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1948-03-30 第2回国会 衆議院 予算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年三月三十日(火曜日)     午前十一時三十七分開議  出席委員    委員長代理 理事 川島 金次君    理事 稻村 順三君 理事 小島 徹三君    理事 苫米地英俊君 理事 庄司 一郎君    理事 川野 芳滿君 理事 東井三代次君       海野 三朗君    加藤シヅエ君       黒田 寿男君    田中 松月君       中崎  敏君    西村 榮一君       岡田 春夫君    押川 定秋君       川崎 秀二君    本間 俊一君       古賀喜太郎君    五坪 茂雄君       鈴木 明良君   長野重右ヱ門君       山崎 岩男君    青木 孝義君       淺利 三朗君    磯崎 貞序君       植原悦二郎君    角田 幸吉君       鈴木 正文君    世耕 弘一君       上林山榮吉君    西村 久之君       島村 一郎君    今井  耕君       笹森 順造君    野坂 參三君       小澤佐重喜君  出席國務大臣         内閣総理大臣  芦田  均君         大 藏 大 臣 北村徳太郎君         文 部 大 臣 森戸 辰男君         農 林 大 臣 永江 一夫君         運 輸 大 臣 岡田 勢一君  出席政府委員         総理廳事務官  佐多 忠隆君         大藏事務官   福田 赳夫君         逓信事務官   大野 勝三君  委員外出席者         專門調査員   芹澤 彪衞君         專門調査員   小竹 豊治君     ————————————— 三月二十九日委員工藤鐵男君辞任につき、その補 欠として本間俊一君が議長の指名で委員に選任さ れた。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十三年度一般会計暫定予算  昭和二十三年度特別会計暫定予算     —————————————
  2. 川島金次

    川島委員長代理 会議を開きます。  これより質疑にはいります。西村久之君。
  3. 西村久之

    西村(久)委員 昭和二十三年度一般会計暫定予算並びに特別会計暫定予算について、予算編成政府方針並びに編成の概要につきましての説明は、大藏大臣より昨日伺つて承知いたしたのでありますが、大藏大臣編成方針の御説明は、すこぶる抽象的でありまして、收支のバランスを保つために留意したと申され、あるいは健全財政を堅持する建前とつたと抑せになり、独立採算制を確立する方針のもとに編成されたと仰せになつておられるのであります。ところが暫定予算内容は、実はそうでないような感じがいたすのであります。從いまして、順を逐うて大藏大臣の所信を質したいと思うのであります。もちろん本暫定予算は、言葉暫定予算でありまするが、暫定予算内容というものは、本予算骨子をなす関係に相なつておる予算でありまするので、私どもはこの骨子となるべき暫定予算内容につきましては、相当慎重なる檢討を加える必要があることを痛感いたしておるのでございます。財政法第三十條によつて暫定予算を組んで提出したと、政府はお述べになつておりまする通り財政法三十條の二項をひもといてみまするときに、一層本予算関係のあることを痛感いたしまするために、私は本予算案審議は、軽率なる審議をすべきものでない、こういうふうな観点に立ちまして質問を試みてみたいて考えておるのでございます。  政府一般会計暫定予算として出されておる二百四十五億九千余万円というこの数字内容につきましては、一應の説明伺つたのでありまするけれども税そのもの收入、こういうふうな関係につきましては、私はこれは数字を羅列してあるのであつて、この收入はないのじやないか、かようなことを考えるのでありまするが、大藏大臣はいかようにお考えになつておりまするか、この点を先にお尋ねを申し上げたいと思います。
  4. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいまの西村君の御質問にお答え申し上げたいと思います。暫定予算につきましてわ、暫定予算を提案するに至りました事情を申し上げて御了解を得、かつそのきわめて輪郭だけを申し上げた次第でありまして、逐次この委員会で御質問に應じてお答えを申し上げたい、かように考えておる次第であります。それから、ただいまの、歳入の面においてというお話がございましたが、これはもちろん暫定予算でございまして、暫定予算の立て方といたしましては、過日御説明申し上げましたように、年度の予算の第十三箇月分といつたような考え方、あるいは十二分の一といつたような考え方を一應立てまして、その上に給與水準並びに物價等において変更を要するものについて、変更した。これがいわゆる暫定のものでありますから、態度としては、さような態度をもつて予算に対処した。こういう点は先般御説明申し上げた通りであります。  それから、約二百五十億の中で、数字が並べてあるにすぎないのじやないかとの御指摘でありまするが、これは歳入のときと歳出のときとの時間的なずれがございまして、この点については、御説明申し上げました通り、そのうち一應百二十億は大藏省証券をもつて一時のつなぎをつけるということを申し上げましたのは、これは時間のずれで、この際やむを得ないに出た次第でございまして、そのことは先般主計局長よりも御了解を得るよう詳細にお話を申し上げた通りであります。
  5. 西村久之

    西村(久)委員 ただいまの大藏大臣のお言葉を伺いますると、時間的のずれを、すなわち金融面ずれ財政面に轉化した。こういうことに解釈をされるのでありまするが、百二十億の借入金限度予定して、そうして百二十億を、一時借入れにいたしましても、日銀引受にいたしましても、ここへ金をこしらえまして、そうして、この予算に現わしておるところの数字租税等收入が伴わないというようなことになりますると、それは赤字になるのではなかろうかということを心配いたすのであります。もしそれが次々に累を及ぼしてまいりますると、これが通貨の將來における膨張となり、インフレを高進するのではなかろうかということを実は心配するのであります。從いまして、予算に組みまするところの計数は、收入確実であるものを歳入にも組む、そうして健全なる建前をとらなければならないのじやないかとういことを考えるのであります。所得税の納入ぐあいから申しましても、各種の税そのものは皆さんの御承知通りに、二十二年度の予定租税收入すらも今日できずに、國内は非常なる不安にさらされている実情を考えまする際に、ここへ百二十億余万円という所得税收入が見積られてあるのでありますが、四月の暫定予算支出財源として百二十億余の所得税が私は徴收し得られるというような考えが浮かばぬのであります。從つて大藏大臣に問うてあるのであります。こういう数字のものは、いかなる根拠によつて出てまいるものであるか。どういうふうなところからこういう数字を出してきて、これが歳入の上に支障なきを期せられるというお考えであるか。その点が私わからないのでありますから、重ねて御答弁を願いたいと思います。
  6. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お答え申し上げます。大体暫定予算というものが、御承知通り変則のものでございまして、年間を通じての予算を立てる建前でありますから、年間歳入年間歳出、これをにらみ合わせて、時期的にもずれがないように、歳入を確保して歳出を見合わすということが、予算の本來の建前であることはいまさら申し上げるまでもないのであります。しかるに変態的な暫定予算というものを組まなければならないようになつたというので、一箇月分を切離してやるのでありますので、年初において、いわゆる十二分の一だけの歳入が四月に必ず確保するかといわれると、そうはまいりません。年間を通じての歳入年間を通じての歳出でございまして、さような関係から、四月分だけ切断してみて、そこで予定通りちやんと十二分の一だけの歳入が確保されるというわけにはまいりませんので、その点はやむを得ず大藏省証券をもつて賄う、しかし一箇年間を通じての財政としては、どこまでも赤字を排撃いたしまして、健全財政を一貫するということには間違いないのでありますけれども年初四月一箇月で、ただちに所定の必要なる歳出に見合うだけの收入が必ず得られるか、こう言われますと、それは時間的のずれでそうまいりませんので、やむを得ず大藏省証券によつた。こういう建前になりますので、その点はひとつ十分御了解を願いたいと思うのであります。
  7. 西村久之

    西村(久)委員 大藏大臣の御言葉の趣意はわかるのでありますが、こういう編成のしかたをやられますことは、財政健全化をはかるゆえんでないと痛感いたすのであります。從つてお尋ねを申し上げたのであります。一年中の関係考慮に入れて暫定予算を組むというようなお言葉の点ほ、私は了承いたしますが、これは政府において税制根本対策等がきちんと確立したる後でなければ、こういう数字の算定はすべきものではないと思うのであります。これを出すということは、予想であつて、いわゆる推定である。その推定数字をもつて審議するということは、好ましからぬではないかというような感じがいたしますので、お尋ねを申し上げてあるわけであります。今のお話のようでありますならば、あながちこういうふうな数字をあげぬでもいいのじやないかと私は思う。全額を一時借入で賄つておきまして、そうして本予算成立の上に、その借入金を返済してでもいいような感じがするのでありますが、こういう点はどういうふうにお考えになるのでありましようか。
  8. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お答え申し上げます。税收については收納見込みのあるものをあげましたので、從つて全額借入金にいたさなかつたのであります。これは見込みを確実にもつておりまして、收入はこれだけある、足りない分をやむを得ず借入れる、こういう関係でございますから、さよう御了承を願います。
  9. 西村久之

    西村(久)委員 そういたしますと、大藏大臣の言われる税收は、これだけ確実であつて、これ以上のものは不確実だということに承知いたしてよろしゆうございますか。二十三年度の税收の御予定伺つてみたいと思います。
  10. 福田赳夫

    福田政府委員 お答えいたします。昨日申し上げたところでありますが、暫定予算といたしまして二百四十五億円の歳入を見ているのでありますが、実際の收入見込みは百三十八億円であります、そのうち、税は七十一億円、それから專賣益金が五十二億円、その他雜收入であります。さようなことで実際は百三十八億円しかないのでございまして、百三十八億円しかないものを二百四十五億円計上しておるということについて、いろいろ御意見がありまするが、これはまことにごもつともな御意見と拜聽するのであります。すなわち暫定予算といたしましては、いろいろ考え方があるのでありまするが、あるいは歳入というものは全部いらないのじやないかというような議論があるくらいなのであります。暫定予算という性質上、歳出だけを計上すべきじやないかというふうな意見もあるのであります。しかしながら、政府暫定予算を施行するにあたつて、大体の計画をしていくという観点から見まして、やはり歳入というものにつきましても、見透しを立ててやる必要があるのじやないか、しかしながら、その見透しというものは、四月の一箇月についてやりますると、これは場合によつては非常に大きくなる場合もありましようし、非常に少くなる場合もある。ということほ、時期的に非常にでこぼこがあるのであります。税について申し上げましても、ただいま七十一億円と申し上げましたが、これは二十三年度全体といたしましてほ二千七十七億円というふうに考えておるのであります。これが五月には百四十三億円、六月にほ百二十八億円、七月には百二十億円、八月は百二十二億円、また九月は百二億円、十月は百十億円、十一月は百二十億円、十二月は百十億円、一月は約二百四十九億円、二月に三百二十六億円、三月に二百十五億円、また四月に二百五十五億円というふうに申告納税関係收入が非常に遅れてはいつてくるのが実際の状況でありまして、これで歳出を賄う財源として、前年度すなわち十二箇月分のものを考えまして、そのもの基準といたしまして、それを超過することなからしめたいという念願から、かような歳入財源というものまで暫定予算にかけることにいたしておるのであります。御承知通りその結果赤字が出て、その赤字ということがインフレ対策上思わしくないということにつきましては、御意見通りでありますが、税制その他の時期的な関係上、まことにやむを得ないところに出てくる、かような次第であります。
  11. 西村久之

    西村(久)委員 この機会に近く政府がとられんとしておりまする税制改革の大体の構想がおわかりでございましたならば、大藏大臣構想の氣構えと申しまするか、お心持ちを拜聽いたしておきたいと思います。
  12. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お答え申し上げます。ただいままだ具体的にはつきり申し上げるところまでいつておらないのでありますが、相当研究を進めております。それでただいま取上げている点を申し上げますと、勤労所得について扶養控除並びに基礎控除の額を上げるということをぜひいたしたい。そうして勤労所得者の負担をなるべく軽減するような態度をとりたいというようなことが一つであります。それから法人に関する税が企業の再生産活動を阻害する点がございますことと、一面さような点が民間会社等に重要な障害となつておる事実がしばしば指摘されておりますので、かような点については企業の再生産活動支障なからしめる程度にまで何とか考慮をして、軽減をはかりたいという点が一つでございます。その他の点につきましては、賣上税等も問題に上つておるますけれども、これは未だ決定したものではございませんので、影響するところも大きゆうございますから、ただいまいろいろ利害の点を檢討中であります。あるいはそういうものが実現するかもしれませんが、大体の点はさように程度以上のことをただいまここで申し上げることはちよつと困難かと思います。御了承を願います。
  13. 西村久之

    西村(久)委員 質疑がもとへもどるようでありますが、この暫定予算に関しまして借入れをなすべき限度額の百二十億というのは、審議会において二十三年度第一・四半期通貨発行限度額をおきめになつて毎月百二十億程度の金、つまり第一・四半期において三百六十億を限度額としてこれを決定をしたというようなことを伺つたのでありますが、これははたして事実でありますか、もしこれが事実であるとすれば、大体何を基準として審議会はこの限度額を決定なされるものであるかを伺つてみたいと思うのであります。
  14. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お答え申し上げます。通貨発行審議会ができまして、大体四半期ごと通貨限度を抑えるようになつておるのでありますが、これはただいまお話がございましたが、実は何によつて抑えるかということは、きわめて困難な問題でございまして、いろいろなやり方があると思うのであります。要するに國家財政國民貯蓄を吸收する、それがまた産業資金として撤布され、それがまた民間活動となつて適度な循環をするというようなことを勘案して、それに政府民間への撤布資金政府所要経費支出等民間企業の総活動からいろいろなものを勘案して、現在の日本の財政見地から、これがまず抑えるべき限度であるというようなところを抑えておると思うのであります。これにはいろいろの意見があり、また理論的にもいろいろ根拠があると思うのでありますが、ただいまやつておるのはどういう方法であるか、私は審議会に出ておりませんから、具体的に申し上げることはできませんが、かりに理論的に根拠があるといたしましても、一方の経済活動その他の問題というものは、絶えず動いておるいわゆる活動体でございますから、これをどこで抑えるかというふうなことも、実はむずかしい問題であるし、また政府撒布金環流速度というものを何によつてはかるかということになりますと、これも実ほずいぶんむずかしい問題で、議論はありますけれども環流速度をどうして測定するかということになると、相当はずかしい問題でございまして、これほその道のエキスパートが通貨発行審議会に加わつていただいておりますので、それぞれ実際的あるいは学問的な見地から勘案して、数字はちよつとはつきりしたものは持つておりませんけれども、いろいろのものから出た結論がさきの数字となつて現われておる、かような結果になつておると思うのであります。
  15. 西村久之

    西村(久)委員 この通貨発行審議会模樣によつて本年度通貨発行高を予想いたしますと、三千七、八百億、四千億近くなるのではなかろうかというようなことを、実は考え得られるのであります。殊に近く政府物價廳において御研究中の物價改訂による物價値上げを発表されます際には、ますますこの数字は大きくなるのではないかということを私は考えるのであります。そうなると、國内には通貨は充満いたしますが、國民の消費いたします物資はあまり殖えないというような今日の國情から見ますと、おのずから通貨價値が下るという結果になるのでなかろうかと、実は憂慮いたすものであります。こういう歩き方をやらせることが國家経済を建直すのにいいやり方であるかということを考えます際に、私は通貨の増発をして、物資が殖えないで通貨自体價値の下落をはかるという政治のやり方はほんとうでない。なるたけ通貨價値を下げないように政府自体は御努力を願うのがいいのじやないか。かように考えるのでありますが、この点に対する大藏大臣の御所見を伺つておきたいと思います。
  16. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいまの西村君の御意見は、きわめてごもつともでありまして、われわれはこの際インフレーシヨンをどうして防止するかということは、お説のごとく、通貨價値をできるだけ保持するということでなければなりません。從つて通貨に対する信頼感をいやしくも阻害するようなことがあつてはならないというような点から、すべての施策を講じていかなければなりませんので、從つて國家財政支出原因とするインフレーシヨンになつてはならないから、どういう無理をしてでも、いわゆる健全財政というものを死守していかなければならぬという点が、財政根本方針でございます。從つてまた財政の健全ということだけにとらわれて、財政の重荷が金融にはみ出して、金融を圧迫するということになつては、これまた結局において通貨價値お話のごとき意味において下落せしめる原因になるのでありますから、健全財政はまた健全金融と二本建でなければならないというような点も、かねてわれわれの考えているとことでありまして、西村君のお説の通りであります。從つてまた通貨價値を確保するためには、物の裏づけがなければなりませんので、そこで生産に力を入れなければならぬということもまた当然のことでございます。しかし生産への資金が流れて商品化するまでの間におけるインフレをどうするかというような問題も起りますので、それらの点を十分勘案いたしまして、健全財政は、同時に健全金融というような意味從つてまたこれもかねて発足以來西村君に特に御盡力を煩わしておるのでありますが、通貨安定対策本部活動が、浮動購買力を吸收して、購買力をして資本たらしめ、國民蓄積たらしめる努力に向つて非常な御盡力をいただいて、この効果も非常に大きいのでございます。そのことがそれ自体また通貨安定となり、從つて通貨價値を維持する重要な役割を演じておるということも御承知通りであります。從つてただいまの御意見はわれわれの平素考えておりますことと全然一致するとことでありまして、まつたく同感であると申し上げるほかはないのであります。
  17. 西村久之

    西村(久)委員 大藏大臣は昨日の暫定予算説明にあたりまして、物價改訂の成案を得るには相当日数がかかりますので、本予算日数が相当に遅れるというようなことを仰せになつておられるのであります。物價改訂をなされますれば、本予算編成が遅れることは、私わかるのでありますが、そういうことを考えますと、五月も暫定予算でいかなければならぬ結論に到達するのではなかろうかということを考えます。五月には本貴算の御提出ができるという御確信があられるのでございますか。この点も大藏大臣の御意見伺つておきたいと思います。
  18. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お話の点でございますが、これはなるたけ早く御審議を願うようにいたしたいと思いまして、ただいま相当急いでやつておるのでありますが、御指摘になりましたように、物價の点においてまた給與水準変化等を勘案いたしまして、それの伴つて必要やむを得ざる物價改訂というようなこともございますので、その点が遅れております。從つて全体の編成が遅れておる次第であります。この点を急ぎましてなるべく早く御審議を願うように、また暫定予算ではなはだしく御迷惑をかけておるのでありますが、かようなことにならないように御審議に十分な時間をとつていただくようにいたしたいと、ただいま大いに勉強しておる次第でございます。なるべく早く出したいと考えておる次第であります。
  19. 西村久之

    西村(久)委員 安本関係になるのかもわかりませんが、物價改訂は、人工的に改訂をいたすといたしましても、その間の均衡を保つのには、相当めんどうな問題が出てまいるのであります。それを物價廳の方で物價改訂をやろうとするところに無理がくる。その無理の結果、予算は膨張してまいる。予算の膨張するのはよろしいといたしましても、働く人々の給料の値上げがここへ伴つてまいつて物價の不均衡を來します関係上、市場の経済状況に少からぬ影響を及ぼしてくる。その結果今日のようなストライキも起る。こういうふうになる重大な関係もつ物價水準であるのであります。これを改訂しなければならないことに立ち至りました原因は、一体どういうところにあるか、今日の物價を押えて財政経済の御計画は立たないものでありますか。
  20. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お答え申し上げます。大体物價というものは、需給関係によつて自律性もつことが本來の姿でありまして、需給に應じて自律的に物價は動いていくというのでございますけれども、現状は御承知通り非常な窮乏経済である。從つてやむを得ず必要なる統制を加えておる。そこで統制を動かしていかなければなりませんので、物價を変更するから物が上るというよりも、上らざるを得なくなつたときに、これに対應して物價を修正していくというのが、むしろ目下の物價の姿であると思うのであります。なぜそうなるかと言われると、ちよつと困るのでありますが、これはやはりインフレーシヨン進行下にある。このインフレーシヨン進行をできるだけ緩慢な点に抑えていくというところに、財政並びに金融根本対策があるのでありまして、もし物が一應潤沢であり、われわれの必要な欲望が充足される場合がまいりますならば、これは需給によつて物價自律性に任していいはずだ。これがそういかないところに、今のやむを得ざる統制がある。從つて統制下において一部修正を加えていくということが、インフレ進行下において起るやむを得ざる現象である。かように解しておるわけであります。
  21. 西村久之

    西村(久)委員 物價問題に対する質疑安本当局に質したいと思いますので、私は大藏大臣にこの際國債費の問題についてお尋ねを申し上げてみたいと思うのであります。今日私どもに御提案されております國債費の中には、軍事公債に要します利子が含まつておるものでありますか。この点をまずお尋ねいたしたいと思います。
  22. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お答え申し上げます。これは四月分の利拂い等がはいつております。これは國債利子額二千万円が國債費の中にはいつております。
  23. 西村久之

    西村(久)委員 軍事公債利子の二千万円が含まつておるというお話でございまするが、この芦田内閣は、民主、社会、國協の三党の協定の際に、軍事公債利拂は停止するかのような協定を、私ども耳にいたしたのであります。はつきり停止するとは伺いませんが、それをするのが是であるか非であるかということについて委員会をつくつた、その委員会の経過をまつて善処するということに、実は承知いたしておるのでございますが、ここへこれを現わしますることは、委員会に対する権限を無視し、なおかつ協定をここに破る前提をつくつたということに相なるのではなかろうかと考えるのであります。この点につきましての大藏大臣の御所見は、ここへ軍事公債は拂うことを予算の中に入れても、協定にいささかも支障がないというお心持で入れておられるものかどうか、また軍事公債利拂を停止することを主張された方の側でも、これは是認するということに私ども承知いたしてよろしいものかどうか、この点を伺つてみたいと思います。
  24. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいまの御質問にお答えいたしたいと思うのでありますが、三党協定というものがございまして、これは御指摘通り軍事公債利拂のことについて委員をあげてこれを檢討することになつております。すでに委員があげられております。それで三党のいわゆる政策協定というものがあることをもつて四月一日に迫りました利拂、國の債務はこれをいかんともすることはできない。これは國家の債務でありますから、四月一日は迫つており、これは無記名の公債でございますし、要求があれば拂わなければならぬので、これをこの際予算に計上するということは、当然やむを得ざる措置でありまして、それで委員会の結果がどうなりますか、その結果によつてこの問題は決定いたすべきでありまして、從つてそれがために委員があげられた次第であります。これは労働團体等からもあげられておりますし、また利拂いを停止すべしと言われたところの側からも委員をお願いしておるし、あるいは金融機関の側からも委員をお願いいたしまして、それらの諸君によつておそらくきわめて最近にある結果が得られるのである。かように考えておる次第でありまして、その結果をまつほかはないのでございます。
  25. 西村久之

    西村(久)委員 今御答弁を願いましたが、委員会をおつくりになつて、権威ある委員会の審査というか決定と申しますか、それがきまりますまでは、委員会を設置いたします以上は、私は政府も御遠慮になりまして、何らか他の適当な処置をとられて、委員会の決定をまたれることが、委員会に対する儀礼でもあり、また三党協当をなされて進まれるというお心持に対しましても、そういうふうな処置をとられることが妥当でないかというような感じがいたすのであります。これはよけいな話になるかもしれませんけれども、私どもは政局の紛糾を好むものでありません。できるものならば、できるようにしなければならないということを考えておりますゆえに、こういう点を重ねてお尋ね申し上げるわけであります。
  26. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お答え申し上げます。かりにいわゆる軍事公債利拂いをやめるベし、こう委員会が決定いたしましたとして、さらに政府がそれを承認いたしまして、これを政府の新しい政策といたしました場合には、必ず國会を通して法律的の措置をとらなければなりません。現在はかようないとまもございませんし、四月一日を期日とする國債利拂いは迫つておりますので、予算に計上いたしますることは、この際どうしてもしなければならぬことであります。それからもう一つは現在國との間のクレジツトが進行いたしておりますし、民間の外資の導入も相当話が進んでいるように聞いておるのであります。この場合政府が、政府みずから発行した債務について不拂いをしたというようなことがありましたのでは、今後外資の導入に、きわめて重大な影響を及ぼしますので、われわれは新たなる合理的な法的措置を講ぜられた後においてはいざ知らず、現状においては國家の債務を必ず拂うという建前を明かにしなければ、國際信用を維持することはできません。さような観点から、今回は暫定予算ですけれども、四月までに拂わなければならぬものは一應拂うという予算を立てまして、皆さんの御審議を仰いでいる次第であります。
  27. 西村久之

    西村(久)委員 私の質問國債費関係について、上林山君から質疑を継続していたしたいというお話でございますが、私はこれを許しても差支えないと存じますので、委員長においてその通りお取計らいが願われますならば、そのあとで私の質問を続行することにしたいと思います。
  28. 川島金次

    川島委員長代理 上林山君。
  29. 上林山榮吉

    ○上林山委員 ただいま西村君から質問された軍事公債利拂の問題は、きわめて重要だと思いますので、関連して大藏大臣質問をしてみたいのであります。大藏大臣に私本会議でこの問題について質問をしたのであるけれども、明快な答弁がないのでありますが、三月十三日において大藏大臣は記者団との会見でこういうことを言つておる。政策協定は三党の連帶の責任であるけれども、具体的にはまだきまつていないから、二十三年度の予算には政策協定を取入れないで、別個にこれを編成するつもりである。こういうことを言つておるが、そういう考えもつたことがあるのであるかどうか。この点をまず質してみたいのであります。
  30. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お答え申し上げます。新聞にどういうことが出ておつたか私はよく知りませんが、政策協定はこれは一應の三党の基本的な一つのわくでありまして、取入れることのできる限りのものは取入れることはもちろんでありますけれども、中に委員をあげてこれを研究し、その結果をまつというようなことで、急いでの間に合わないものも相当ある。たとえば公債利拂のごときはその一つでありまして、暫定予算にこれを入れるというようなことはどうしてもできない。そういうものは一應その委員会の決定案をまつて後というわけにまいりませんから、暫定予算暫定予算としてこれを提出する、こういうふうな態度をとつておるわけでありまして、さような意味ならば、新聞の記事は私の考えと同じであります。ただ何でも彼でも一切三党政策協定のことは別問題として予算編成するというようなことは、考えたこともありませんし、また言つたこともありません。そういう不道理なことはないと考えておる次第であります。
  31. 上林山榮吉

    ○上林山委員 権威ある報道機関が、はたして大藏大臣の言うがごとく間違つたことを報道しておるのであるかどうか知りませんが、その報道するところによれば、二十三年度の予算とは別個に切りはなして予算編成する方針であると、明瞭に各新聞とも書いておるのであります。これはさておいて、私の質したいことは、その利拂に対する三党の政策協定内容でありますが、その内容は民主党側においてはこれを停止するか停止しないかは委員会の決によつてこれをやるというふうに解釈しておるのであるか。あるいは社会党側においては、この問題についてはすでに停止すべきものなりとして協定をしたものであるか。いわゆる民主党の領袖である大藏大臣の見解を、私はこの際明瞭に聽きたいのであります。どういう協定内容であるか、われわれは不幸にして第三者であるからして、外に現われたものだけしか材料がないのであるが、その内容をここにひとつ御披瀝願いたいのであります。
  32. 北村徳太郎

    北村國務大臣 これはさきに申し上げましたように、とにかく委員をあげて研究するということになつておりますから、さよう御了承願いたいと思います。これ以上はここで申し上げることははばかりたいと思います。
  33. 上林山榮吉

    ○上林山委員 今の大藏大臣の答弁は、傳えらるるごとく、民主党側が考えているように、これは委員会をつくつて、その委員会によつて停止するか、停止しないかということをきめるのである。これが政策協定内容だ。詳しい内容は言えないが、そういうことになつておる。こういうように受取つていいのですか。
  34. 北村徳太郎

    北村國務大臣 さようではありません。委員会の決定にまつのでありまして、それ以上申し上げられぬと、こう申し上げたのであります。
  35. 上林山榮吉

    ○上林山委員 どうも大臣の答弁は、まりに抽象的で、政治的含みが多過ぎて、われわれ予算審議する上に非常に障害となるのであるが、この際明暸に聽きたいのは、委員会の決定にまつというその具体的意味は、どういうことを含んでおるのか。ただ政策協定はこういうことをやりたいと思うけれども、それは委員会が右なり左なり、やるとかやらないとか決定をする。その決定に從つて三党政策協定は進んでいくことになつておるのであるか、この点を明暸にしてもらいたいのであります。私の言う意味がわかりますか。
  36. 北村徳太郎

    北村國務大臣 委員会において軍事公債利拂を停止すべしと決定すれば、政府はそれに從つて対策を考える。停止すべからずときまれば、それに從つて対策を考える。その点を委員会に任しておる次第であります。
  37. 上林山榮吉

    ○上林山委員 委員会の決定によつて停止すべきであるというのであれば停止する方針であるが、停止すべからずときまれば停止しない。しかし結局はめぐりめぐつて公債の利子は國の負担になるのだ。こういうような決定になつたとしたならば、その方針政府は進むつもりであるか。しからば何がゆえに西村君も強調された通り委員会の決定にまつべきものを、すでに政府しとては予算を組んだのであるか。なるほど法規的立場から言えば、組む権能があります。権能はあるが、芦田内閣のよつて立つ基盤は、三党政策協定にある。しからば利拂をやるという予算を組むについて、各三党の了解を得ておるかどうか。そういう内交渉によつて、いわゆる了解ができておるのであるかどうか。この点を私は質してみたいと思います。
  38. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お答え申します。暫定予算でも、予算に違いないのであります。いやしくもこれは閣議を経ております。從つて各脈から出ておる大臣が、いずれも承認して、御提出申し上げておることだけは御了承願いたいと思います。
  39. 上林山榮吉

    ○上林山委員 私の言うのは、この案を出す権能は、もちろん閣議の決定により、政府の責任において出せるのである。出せるのであるが、私の言う意味は、三党政策協定は、三党から閣僚が出ておるという意味だけではまだ十分でない。政治的に考えて十分でない。そういう意味において、民主党、社会党、國協党の諸君と、この利拂の問題を予算に組むことについては折衝し、あるいは了解を得えおるか、この政治的折衝を聽いておるのであります。何も権限の分界点を聽いておるのではありません。その点を明らかに願いたい。
  40. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お話の点は、政府内部のことでありまして、この予算と直接の関係はないと思いますけれども、それは御承知通り、社会党、國民協同党並びに民主党が、三党の内閣をつくつておるのでありまして、各三党を代表する閣僚によつて審議されて、お手もとに提案した暫定予算でございますから、それらについては、どうか一致した意見をもつて御提出したものと御了解願いたい。  第二の点は非拂停止の問題でありますが、これは御承知通りに、もし停止するとしても、國会の審議を経た法律を要するのであります。從つて未だ手続を経ざる前に予算に組むこともできない。しかし最後は國定の債務でありまして、四月一日に拂わなければならぬ。これを予算に計上することは、どうしてもやむを得ざることである。この問題でどうなろうとも、ただいまとしては、法的に國家が債務を負うているのでありますから、この利拂予算に計上することは、われわれに負わされたる義務であります。これは政府の当然の責任であると考えて、各閣僚も同意して、そうして暫定予算案としてただいま御提出している次第でありますから、この点は御了承願いたいと思うのであります。
  41. 上林山榮吉

    ○上林山委員 政府の責任であるということはわれわれも重々わかつております。予算編成権も、あるいは法案が確定していない以上、当然出すのがあたりまえだと思う。それは私了承するのでありますが、芦田総理は本会議の席上で、政策協定は今年の予算に組むつもりである。こういうような答弁をしている。そのいわゆる政治的な責任の立場から考えて、一つは申し上げたわけであるが、一つはまた、あなたは、政策協定は別であるから、予算とは別個に取扱うつもりであるという見解を披瀝している。あなたの言葉を借りて言えば、暫定予算に限つて、そういう意味もつものだとも言われておりますけれども、そういうように見解が一つには対立している。あるいはまた各閣間においても、この利拂問題については、一方ではこれを停止するということが協定であつたと言つている。一方では協定するかしないかは、あなたの答弁の通り委員会の決定にまつものである。こういうように解釈が対立している。よつて立つ基盤は三党の協定にある。この政治性を無視して、單に政府の責任においてこれを出したというに至つては、私はまだここに大きな矛盾が残されていると考える。だから政治的折衝をされたか、それは閣僚でやつたからいいということには、まだ大きな間隔があるように思うのだが、そういうような折衝は各党間にしておるか。この各党間の政治的折衝を聽いているのであつて、何も内閣の権限とか、あるいは閣議を経たから、それは認めたものと了承しているとか、そういうあなたの解釈を聽いているのでない。私は事実の行動を聽いている。そういう行動をとられたかどうか。その点を明らかにせられたい。
  42. 北村徳太郎

    北村國務大臣 重ねて申し上げますが、政策の問題について一々各党に呼びかけて、これはいかがでございましようと相談する問題もあろうと思います。思ひますが、それがため各党を代表する閣僚が出ているので、閣議で決定したことは、各党の意思を代表するものと考えて、実際の政務を遂行しているのでありまして、これ以上この問題はわれわれ政府内部の問題でありますから、これまで私の申し上げた通りに御理解願つていいと思うのであります。それがために各党を代表する閣僚が出ている。閣僚において同意したものがここに提案されているという意味で、各党に諮つたかと言われれば、諮つたと申し上げていい。各党に諮るということは、一々各党にもちまわつて、いかがでございましようと相談することもあろうが、閣僚の間において意見の一致を見たものを、一つの政策として提案するということが普通のやり方である。この問題についても、そういうやり方を経て御提案申し上げたのであつて、これについては、閣僚が満場一致で決定した暫定予算を、ただいま御審議つておるということを、繰り返して申し上げておる次第でありますから、御了承願いたいと思います。
  43. 上林山榮吉

    ○上林山委員 政策協定がまことにあいまいであると同時に、大藏大臣の答弁もきわめてあいまいであるので、適当な機会にさらに私は追究したいと思います。これで私は打ち切りたいと思います。
  44. 川島金次

  45. 西村久之

    西村(久)委員 ただいま上林山君が質問應答をされましたので、私の質問を一時中止いたしましたが、これから継続して私の質問を続行いたしたいと思います。  昨日公共土未事業の内容福田主計局長から伺いました際に、水害復旧対策費の二十二年度の不足額は予算に計上してない。こういうことを申されておるのでございまするが、予算に現われております四億六千万円という費用は二十三年度の予算であつて、二十二年度の不足額は後回しにする。こういうふうなことに相なつておると思うのでありまするが、これは先ほど上林山君の質問通りに、閣議決定であるから、災害復旧費の補助は後回しにして差支えないということを、政府與党は御同意あつてお出しになつておると承知いたしてよろしいのでありますか。災害復旧費の二十二年度分の予算計上が今日まで追加予算としても出ませんし、またこの暫定予算にも現われない理由は、この必要を認めてないのであるかどうか。この関係大藏大臣からお話願いたいと存ずるのであります。
  46. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ちよつと速記をやてください。
  47. 川島金次

    川島委員長代理 速記をやめて…。
  48. 川島金次

  49. 西村久之

    西村(久)委員 ただいま二十二年度の災害復旧費の不足額の問題をお尋ねいたしましたところが、速記を中止しての御答弁を承つたのであります。私はどうも了解がいかないのであります。なぜかと申とますると、二十三年度の災害復旧費は予算に計上して、二十二年度の災害復旧費の残の計上がむずかしい。災害復旧に対して費用を投ずべきものでないといたしまするならば、この暫定予算に組まれております四億六千万円も、当然これは組まれないはずである。ところが四億六千万円は組まれておるが、二十二年度の災害復旧の後始末に要する費用を、ここへ計上ができないということの関係は、どうしてもわからないのであります。この点につきまして、政府努力されておりますことは認めまするが、何かここで関係があるのじやなかろうか、あるいは六・三制予算と一緒に政府が提案をなされようとするがために、難色があつて、その実現ができないのじやなかろうか、災害復旧だけの問題を取上げれば、私はおそらくこの四億六千万円を認めて、ここへ御提出になる以上、可能なものでなかろうかという感じがいたすのでありますが、これは今大藏大臣が御答弁になつたように、何かの理由で難色があるものでありまするか、くどいようでありますけれども、重ねて御答弁を願いたいと存じます。
  50. 北村徳太郎

    北村國務大臣 これはさつき申し上げた通りなんです。それでどうも理屈に合わぬところがあるとは思うのですが、さような点でずつと交渉をしておるわけでありまして必ずしも六・三制と一緒でなければならぬというわけではありません。殊に災害復旧の問題は、秋の收穫に重大な影響をもちますから、特にこれは急ぎたいので、一緒でもなし得るし、またおのおのでもなし得るようなかつこうで続けて折衝しておる次第であります。
  51. 西村久之

    西村(久)委員 今日日本の再建は食糧にまたなければならぬことは、論するまでもありません。その食糧増産の根源をなすべき耕地の復旧等に要しまする費用を、とやかく言う理由は私は存在せぬはずだということを痛感するのであります。耕地の復旧をはかつて、一般農民の汗と脂で働いた、増産意欲による増收をはかりまして、はじめて食糧問題は解決するのでなかろうか。こういうことを考えますときに、災害復旧費のごときは、何はさておいても、速やかにこれをいたしまして、その目的達成にあたらなければならぬのが、本筋ではなかろうかと思う。いろいろな方面に御意見等があるという、その御意見は、むしろ御意見でありまして、食糧増産のためには、私どもは何はさておいても、増産に要しまする費用を投じていくということは、今日國家再建の途上におきまする、私どもの義務であることは痛感するのであります。もしこれを阻止いたしまして、復旧が遅れるということになりました際に、食糧はある程度の減産を予想しなければなりませんが、一体國民の生活はどうなるのでありましよう。こういうことを考えますときに、復旧が遅れて作付け等に支障を來しましたその責任は、一体たれが負うもつでありますようか。こういうことを私は考えるのであります。從いまして、私ども議会は、これを修正する、そうして復旧に可能なる費用を投じて、速やかなる復旧をはかり、國民の生活の安定を期したいという考えをもつておるのでありますが、これを修正いたしまする際に、政府はそれに賛意を表せられる御用意があるかを伺つて見たいと思います。
  52. 北村徳太郎

    北村國務大臣 今の西村君のお話は、実は同様のことをもつて折衝しておるのでありまして、お考えはわれわれと全然同感であります。少しも違つておりません。それでこの問題は、野党、與党とを問わず、超党派的の問題で、これは食糧増産の建前から言いましても、また農村の実情から言いましても、どの方面から考えましても、異論のないところで、それは西村君のおつしやる通りであります。われわれはそういう考え方をもつて折衝を続けておるのでありますが、今のところ、まだ承認を受けるに至つていない。それはどういう理由だとこう言われると、非常に困るのでありますが、これはわれわれが占領下にあるという事実において御理解をしていただきたい。しかしこれはなほ折衝は続けておるのでありますから。その点は御了承願いたいと思つております。
  53. 西村久之

    西村(久)委員 私ども敗戰國民であり、占領下にあることはよく承知しております。しかしながら、食糧不足のために米國へ、向うも余分にある食糧でいなところを、輸入の懇請をして國民の生活を保持し、國家の再建にあたろうとしておる際であります。そういう際に、私はこの問題が難関と申しまするが、何かにいきあたつて、これが実現ができないというようなことは、これは何かどこかで了解をする上について、了解しにくい関係があるのじやなかろうか、こういうことを実は考えるのであります。政府の某方面に対しまするところの努力が足らないのだ、政治力の稀薄を現わすものだ、今少しく熱意あるところの御努力を願いまして、速やかにこれを実現さしてほしい。政府の力が足りなけれど、私ども國民を代表して、國民の生活の安定を期する意味において、実は修正はいたしたくもないのでありますけれども、場合によつては修正してでも、災害地の復旧ははかつていかなければならぬという考えをもつておるのであります。その際において、政府は私どもと同じ意見で修正の意に同意なされる御用意があるかを、お尋ねしておるわけでございます。
  54. 北村徳太郎

    北村國務大臣 この委員会で修正をなさるということになれば、これはわれわれいかんともできませんので、やむを得ぬと思います。それが出しまた場合は、またあらためて閣議にはかりまして、善処するよりしかたがないと思つております。ただわれわれはこの問題だけは、党派を超えた非常に重大な問題だということを痛感いたしまして、全力をあげて承認を受くべく、今努力いたしておるということをたびたび申し上げておるのであります。
  55. 植原悦二郎

    ○植原委員 二十二年度の災害復旧費の二億七千万円の問題は、議論の余地のないことだと思います。大藏大臣自身も、非常な差迫つた問題で、國民の一致する意見だ、こういうお話であります。西村君の質問も、農産物を生産維持する上から言つても、また二十二年度になしかけたるところの工事の結末をつける上においても、どうしてもやらなければならないという問題である。大藏大臣は非常に苦心のことを言われておるが、委員の見るどころは、その苦心が足りないのでできないのだ、こういうところに意見の違いがあると思う。そこで大藏大臣は、最善の努力をされておると言われるが、できる見込みですか、できない見込もですか。できない場合には、どうなさるか、その御答弁があれば、問題はすべて解決すると思います。
  56. 北村徳太郎

    北村國務大臣 できないものと思つておりませんから、努力を続けておるのであります。それで見透しははつきりいたしませんけれども努力は続けておる。これは何も絶望したわけではないのでありまして、いろいろの方法をもつて、あらゆる面から今もなお折衝を続けておる。こういうことを申し上げておる次第でありまして、おつしやることは、よくわかるのであります。
  57. 植原悦二郎

    ○植原委員 もし万一努力してできない場合には——さようなことはありますまいが、——することです、遷延を許されないことであります。それゆえに、努力をしてできればよろしい、できない場合にはどうなさるという御決意があるかどうか。そこまでものを進めていかなければ、この問題は解決できない問題だと思います。
  58. 北村徳太郎

    北村國務大臣 私はでかすために努力しておりますが、どうしてもやむを得ないときには、二十三年度の予算には、必ず編成させるようにいたしたい、かように考えております。
  59. 川島金次

    川島委員長代理 午前中はこの程度で休憩し、午後は一時半から会議を開きます。     午後零時四十七分休憩      ————◇—————     午後二時四十五分開議
  60. 川島金次

    川島委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。西村君。
  61. 西村久之

    西村(久)委員 時間の関係等もありますので、あと一、二質疑申し上げまして、あとは同僚諸君の質問に譲ることにいたしたいと存じます。  税制の改正にあたりまして、今日とつております所得税申告納税制度は、民間にその趣旨を徹底しにくい点もあり、また昨年この税制を布いて日が淺い関係上、いろいろ手違いが多かつたと私は想像するのであります。手違いの多い中に、政府予算できまりました金額を努力目標として、地方財務局あるいは財務局より地方の税務所へ示されたという御意見伺つておるのでありますが、これは私は非民主的なやり方でなかろうかと思つておるのであります。從いまして、税制の改正にあたりましては、このやり方で地方から予定いたしましたものを、次々に財務局に集め、財務局から中央局に集めましたものを基準としておきめになるのが、民主的ではなかろかと考えますが、こういう方法、あるいは構想は、大藏大臣はお考えにならないものであるかどうか、御意見伺つてみたいと思います。
  62. 北村徳太郎

    北村國務大臣 西村君の御質問にお答え申し上げます。申告制度については、始めたばかりでございまして、まだ十分に習熟していない憾みも、多分にあるのでございます。これはだんだん慣れていただくことができると思いますし、この方法は、実は一番民主的な方法であると考えております。  それからただいまお話になりましたことは、お話になりました通りのことを実行しておりまして、これは各税務署單位で、つまり下の方からというと語弊がありますが、下部組織の方から、だんだんに大体の見当を言つてくる、われわれの方はわれわれの方で、またおよそ努力の見当の目標をつける、そういうものを檢討し合いまして、それによつておよその予算の概数を握るということにいたしておるのでありますから、今西村君のおつしやつた通りの方法をとつておるということに御了承つてよろしいのであります。
  63. 西村久之

    西村(久)委員 どうも大藏大臣の御答弁のような方法をとられておるような感じはいたさぬのであります。なるほど大体政府の方で予定をいたしまする上からは、一應は関係税務署へ御照会になるとは思いまするけれども、その御照会になるのについて、先に政府の方から目標額をお示しになつたものを土台として、税務署の方で回答してくるという式になつておるのではなかろうかと私は思つております。從つてこの点については、中央は地方からの申出があるまでは中央自体が率先して筆を染めていく、あるいは額を示すというようなことをやることが私はよろしくないのではないか。そうすれば、各税務署から民主的な方法で、大体自分の考えの税金はこれくらいとれるであろうという予想しましたものが、努力目標になるのでありまして、政府の方で示される努力目標額とは、趣きを異にするような努力目標額になるのではなかろうか、それがしかも民主的になるのではなかろうかということを考えまするために、政府の事務の扱い方といたしましては、すこぶるこれは扱いにくい関係の仕事ではありまするが、仕事自体はそういうふうなことにし向けていくことがよかろうかと存じまして、実は御意見を拜聽したわけでありまするが、今後そういうふうな方針でお進め願えないかどうか、重ねてお尋ねいたしたいと思います。
  64. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいま申し上げました通りで、お話は食い違つていないのであります。下部から申出があつてそれを大体檢討して額を押える。但したとえば今日の暫定予算を出すというような場合に、これは一々税務署からお前の方はいくらいくらということを待つわけにいきませんから、かような場合には、従來の実績その他から勘案いたしまして、およその予算を立てる、これはやむを得ないことでありまするけれども建前としては、お話のような方法によつておる、かように御了承願いたいと思います。
  65. 西村久之

    西村(久)委員 ことのついでにもう一つお尋ね申し上げたいのでありますが、税の関係で、本会で再々問題になりました通りに、二十二年度の税の未收が多いというので、いろいろな問題が起きておるのでありまするが、所得税の納期あるいは納入方法等について、納税義務者の緩和をはかるべきところの措置を、何らか政府の方ではおとりになつていらつしやるかどうか、この点をこの委員会を通じて、御意見が伺えれば幸甚と存ずるわけでありますが、何か処置をおとりになつていらつしやるかどうか。
  66. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいまの件につきましては、この委員会において、先般やや詳しく申し上げたかと思います。それから本会議において、緊急質問が出まして、そのときも申し上げたのでありまするが、これは具体的に一箇月間延期せよというような御注文も出た場合もあるのであります。それから審査期間の期日を延長せよというようなお話も出たのでありますけれども、これは政府側として法に定められたことを勝たしまして、一箇月延ばしましようということは申し上げるわけにいきません。ただ事情やむを得ないものについては、これは再審査の請求が遅れたからといつて、受付を拒否することがあつてはならぬということの指示をいたしております。できるだけ懇切に円滿に納入できるようにいたしたい。これはそういう限りにおいてできるだけのことをするということを申し上げるほかはないのでありまして、この点は本会議においても申し上げた通りであります。さよう御了承願いたいと存じます。
  67. 西村久之

    西村(久)委員 次は行政整理と暫定予算との関係についてお尋ね申し上げてみたいと思います。行政整理を断行することの必要なることは、いまさら喋々する必要もなかろうかと存じますが、この暫定予算編成されるにあたりまして、行政整理の点を御考慮に入れて編成されてあるのであるか、行政整理のことは考慮せずして編成されたかの点についてお尋ね申し上げたいと思います。
  68. 北村徳太郎

    北村國務大臣 これは一箇月の暫定予算でございまして、この点は行政整理をこの暫定予算の中には織りこんでおりません。
  69. 西村久之

    西村(久)委員 この暫定予算の中に行政整理の関係を織りこんでないといたしますと、行政整理はしばらくできないということになるのではなかろうかと実は思うのでありますが、本予算の際に行政整理の必要があれば行政整理の案を出すということに大藏大臣は言われるのでありましようが、事少くも暫定予算といたしましても、私どもは整理をされるところは整理をしなければならないのではないか、かように考えておるわけでございます。しかるに行政整理のことは暫定予算には考えないという大藏大臣のお言葉であられるのであります。行政整理をしないでこの暫定予算をお組みになり、しかも大藏大臣は新規の仕事は暫定予算には組入れることを避けると仰せになつておられるにかかわりませず、一面におきましては福田主計局長の御説明を伺いますと、新規の御計画も金額の多少にかかわりませずないように、あるかのように承知いたしておるのであります。そうすると予算は膨張の一途をたどりまして、何ら整理節約をする面は歳出の方に出てこないのではないか、こういうことを考えますときに、私ども暫定予算でありましても整理されるところは、努めてその範囲を整理される部分に局限いたしますならば、少しでも整理をしてその節約をはかることが予算編成建前ではないかと考えておりますが、暫定予算でありますがゆえに、そういうことは考えないということに、大藏大臣の御答弁の趣意があると了承いたしてよろしいのでありますか、重ねてお伺いいたします。
  70. 北村徳太郎

    北村國務大臣 行政整理をやらないというような意味のことは申し上げたのではないのであります。それで二十三年度予算全体を通じてどの程度の行政整理ができますか、それは目下いろいろ研究懸案中でございまして、これの具体化に伴いまして、予算にもそのことを盛りたい、今回の分は一箇月間の急を要する暫定予算でございますから、一應從來の原則としてただいまの物價に基きま二千九百二十円ベースを盛りこんで、そうして一應の原則として新規のものを排除して第十三箇月分を盛つたというような考え方暫定予算を編集したということは、さきに申し上げた通りであります。それで何といたしましても、お説のごとく國民負担も相当多くなつておるし、その他いろいろの事情から財政の面からもいたしまして、財政をかなり圧縮しなければならぬことになることは事実でございまして、このことは行政と相関連することでございますから、行政整理を決してやらないというようなことは申し上げておるのではないのでありますが、今回の一箇月分の暫定予算においては、そこまで行き届かなかつだけれども、この範囲においても急にまた行政上の整理のある部門が具体化してまいりますれば、おのずからそれに從つて今度は実行を進めていくということは申すまでもないことでございまして、行政整理のことを全然無視しておるわけではございません。ただ一箇月分の暫定予算でありますがゆえに、一應こういう編成のしかたをして御承認を得たい、かように考えておる次第でございます。
  71. 西村久之

    西村(久)委員 大藏大臣に対する私の質問は、これでやめることにいたします。あとは主税局長に関係いたしますから、大藏大臣に関する質問者を先にいたして、その代りあとに保留いたしておきたいと思います。
  72. 川島金次

    川島委員長代理 次に庄司一郎君。
  73. 庄司一郎

    ○庄司(一)委員 大藏大臣に対する二三のお尋ねをしてみたいのでございますが、前片山内閣以來現内閣もまた同樣に國家財政健全財政をあくまでも把握する。健全財政建前でやつていくという方針を、しばしば吐露されておるのであります。健全財政を把握されること、もとより心から大賛成であります。しかるに大藏大臣のお考えになつている健全財政とは、一体どういうことを意味されておるのであるか、当初この一点を明確にお伺いをしておきたいと思うのであります。  小生の愚考するところによれば、健全財政とは歳入の面、特に租税の面において無理がないという建前でなければならない。從いまして、歳出の面においても、つとめて國家経費を健全化し、経済化し、特に終戰後はまだ両三年の今日において、國民の負担をつとめて軽減をはかり、担税者の肩を緩めてやるというような御方針でなければ、歳入の面においても、歳出の面においても、併せて総合的において健全財政とは言い得ないんじやないか、かように考えておる次第でございますが、政府は名を健全財政にかりて、一面においては行政の整理をやる、つまり官公吏の首を切る、効率的に整理をする、あるいは企業の合理化をはかる、つとめて人件費関係等においても、経済をはかるというようなことを強調されておる反面において、さらに官公吏の増員をきわめてスピード・アツプに、急速に充足をはかられておる。すなわち食糧公団であるとか、亞炭公團であるとか、油の公団であるとか、いろいろの公団を設けられて、あるいは石炭の國家管理問題等々に関しても、それぞれ政府の役人、官吏の数が、幾何級数的に殖えておると思うのであります。反面においては行政整理を断行して歳出の経済をはかり、合理化をはかる。反面においては、官吏の数をいやが上にも増している。この結果歳入の面においては、特に租税の面において、非常な無理をされているように感じておるのであります。國家の財政が、終戰処理費あるいは賠償物資の撤去費等のかかりますことは百も承知でありますが、どうも政府、特に財政当局のお述べになつている健全財政意味が私にはわからない。非常に歳入の面において、租税の面において、御無理をなされておる。そうしてただ歳入歳出のバランスを合わせられ、收支計算においては、なるほど予算均衡收支的には合つておるけれども、この財政内容においては、まことに心細い不健全な財政に陷つておるのではないかというようなことを考えられてなりません。そこで大藏大臣のお考えになつている健全財政とは、一体なんであるか、あなたの御所存を最初においてお伺いいたしたいと思います。
  74. 北村徳太郎

    北村國務大臣 きわめてごもつともな質問であると存じますが、これは何と申しましても、今の日本のインレフーシヨン段階において、財政支出から來るインフレーシヨンの促進を阻み抑えねばならぬ、これが現下最大の急務であると考えるのであります。從いまして、この面から財政收支均衡をとるということが、一つの至上命令であります。われわれ財政当局としては、その点に重点を置きまして、財政の処理に当つておるつもりであるのでありまして、いやしくも政府財政支出から來るインフレーシヨンを促進するような結果になつてはなりません。そこで一面において政府のいわゆる健全財政主義によつて、できるだけ歳出は圧縮することはもちろんでありますし、また一面、これはお話のごとく、税負担の公平あるいは適正ということには努力いたしておりますが、いかに適正公平でありましても、今の日本の疲労困憊した現状から申しますと、かなり重圧感をもつて迎えられる高率な税になつている、この事はいなむベからざることでありまして、このこと自体は日本自体の経済がそれほど困憊しておるという事情によるものと思うのでありますが、それにしても非常に高率の税がかかつているということで、從つて國民の経済生活に相当な影響を與えているということも、いなむベからざる事実でありますけれども、かような点で國家の再建をはかつていかなければならぬのでありますから、これはどうしてもやむを得ないことであり、一部のものをたとえば公債で賄う、そうして税財担を軽くするということになれば、これは当代における税を減じて次の世代に税を繰延ベることになりまして、結局子孫に大きな禍いをかけて、いわんや、次の段階のインフレーシヨンの促進を免れることができないということになりますので、どうしても歳出を圧縮しながら、收支のバランスのとれた、赤字で、借金によつて一時の埋合わせをするというような財政をやめていかなければなりません。この点に健全財政の重点を置いて、これに対処しておるつもりであります。一方において健全財政と言いながら、この財政の面からはみ出すものが金融を圧迫し、從つて産業を圧迫するというような結果になつては相なりませんので、一面政府財政支出があるにしても、これがなるべく廻轉率を早くして、これが金融機関に吸收せられることによつてインフレーシヨンの惡化を防ぐ、しかもそのことがまた國家財政資金になり、生産の新たなる再活動資金になるようにという意味から、金融機関の活動を促して、放出せられたものの吸收を急いでおる。從つてここに健全金融というものを合わせて二本建でやつていくということが、現下においての方法として——私ども健全財政というのはそういう意味で、インフレーシヨンの促進を阻み、惡化を防ぐという点に力を入れておるつもりであります。そればかりではありませんので、從つて政府財政放出が吸收せられまして、なるベく早くこれが還流いたしまして、一面においては財政資金となり、一面においては生産活動の資源と相なり、その下において生産活動が促進せられるという方向へ力を入れますために、金融面においてもやはりこの方針に重点主義をとつている、必要欠くベからざる産業に金融が流れ、不急不要な面には流れないように留意をいたしまして、いわゆる健全財政が横つちよから過つた面に流れないように、その面から注意を続けておるわけでありまして、お話のごとく、負担が非常に重いじやないかということを仰せになりますと、私どもまつたくその通りでありまして、ある意味においては、申しわけなく存じますけれども、それだからいいというような考えは、毛頭もつておりませんけれども、これは今の窮乏した日本の財政の状態で非常に重い負担だけれども、やむを得ず願わなければならぬようなことになつておる点は御了承願いたい。かように存じておる次第であります。
  75. 庄司一郎

    ○庄司(一)委員 藏相の御信念の健全財政論は、一席拜聽いたしましたが、たとえばただいま議題と相なつておりまする四月の暫定予算の御編成にあたり、先ほどずれがあるのでというような冒頭語のもとに、百二十億からの大藏省証券を発行された、一時借入をもつて緩和されんとするような手を打たれておるようでございますが、大藏当局といえども、軽々にこれを発行して借り入れるということは、望ましくないことであると考えております。そういうことをなさることが、やはりあなたのお考えになつておる健全財政建前一つの手でございまよしうか、念のためにお伺いしたいと思います。
  76. 北村徳太郎

    北村國務大臣 これは昨年の例で申し上げますと、税收が思わしくなかつたということから、いきおいやむを得ず政府の支拂というものが、相当それがために出まして、つまり政府の支拂の一部を税收入として還流すベきものが、還流がうまくいかなかつたために、通貨の膨脹を來したのであります。今年にはいりましてからは、きわめて順調でありまして、從つて通貨の膨張も收縮したというような例もあるのであります。これはやはり一つの時間的なあるずれというものは、どうしてもこれを少くするために努力はいたしておりますけれども、万やむを得ないことが起るのでありまして、かような場合においても、それを金額的に最小に、また時間的にも最小にするために努力するということによつて、結局年間を通じて、この均衡のとれた予算にする。これは一箇月分の暫定のものでありまして、年初收入を確保することはきわめて困難であります。しかしながら、これは年間通じての予算としては均衡のとれたものになるというような確信をもつてつておりますので、この点はある時間のずれというものは、どうしてもやむ得をないのであります。しかしいかにしてその時間を少くし、その金額を少くするかということについては、きわめて注意深く取扱わねばならぬということは、十分心得ておる次第でございます。
  77. 庄司一郎

    ○庄司(一)委員 ただいまの点は御答弁で了承しましたが、ただいま議題となつておる租税中度六款、非戰災者特別税、これは確かに私の記憶では、昭和二十二年度において一回だけ該当者より徴收するというふうに法律関係は相なつておつたと思いますが、何か徴收残りでもあつて、次年度である昭和二十三年度に繰延ベられた関係でありましようか、念のためにお伺いいたしたいと思います。
  78. 北村徳太郎

    北村國務大臣 庄司君のお説の通りであります。残りであります。
  79. 庄司一郎

    ○庄司(一)委員 第三問は、御答弁は主税局長でも結構でありますが、ただいま議題となつておる四月の暫定予算中の租税総額は、百七十一億ですが、これは了承されますが、その後昭和二十三年度合計において直接國税をどの程度、また間接國税をどの程度、この直税と間税の合計において、國民よりどの程度の國税を徴收されんとるす御計画であるか。五月後の本予算審議する上においても、きわめて重要な、重大性をもつておる参考資料でございますから、その総額をここに御披露願いたいと思います。
  80. 福田赳夫

    福田政府委員 二十三年度全体といたしましては、先ほど大臣からお答えがあつた通り税制全般にわたりまして改正することを考えておるので、從いまして、この税制全般の改正案ができた上で、その問題はお答えする以外に途がないので、ただいまのところでは、まださような数字を申し上げる段階に至つておりません。
  81. 庄司一郎

    ○庄司(一)委員 昭和二十二年度の補正第十五号までの総計における國民負担は、多分一千三百三十六億程度であつたと覚えておりますが、三、四日前の新聞報道等によれば、大藏当局の放送されたニユースであると思いますが、一千七百億ないし八百億程度の國税になろうというような報道があつたようでございますが、さような御構想でおられますか、いま一應局長より承ります。
  82. 福田赳夫

    福田政府委員 昭和二十二年度の租税收入の見込額は、一千三百数十億でありますが、これはただいまの見透しといたしましては、大体そのくらいな金額が收入になる、かようなことでありまして、これが千七百億になるかということはございません。
  83. 庄司一郎

    ○庄司(一)委員 健全財政建前をとられておる現内閣は、担税者である國民より税を賦課徴收される上において、これはあくまでも公正妥当でなければならないと考えております。またこの点は御同感であると思いますが、過般も本会議におきまして問題となつておりますが、現下中小商工業者、あるいは農村農家の諸君に対する追加所得税の賦課割は、まことに天降り的あるいは一方申な独善的な賦課をされておる。ひとり共産党的分子の煽動であるとか、あるいは日農関係の煽動であるとかいうようなことも、本会議いおいてどなたかの御演説の中にあつたようであるが、それもございましようけれども、根本的には、あまりにむちやな、不当な、いわゆる苛斂誅求的なやり方が、下部の各税務署の職員において行なれておる。私はその実例の一つか二つを大藏大臣に御参考までに申し上げてみたい。それはかりに一箇年に百の收入のあるある会社、ある工場等に対して百三の追加所得税を賦課した。会社の名前も、工場の名前もみな承知しておりますが、ただいま略しまして、これは都内のできごとであります。百の收入しかないのに百三賦課したあり得ざるところの事実が、この都内において行われておる。また農村において米を十石程度供出しておる中農階級においては八千五百五十五円、これが追加の所得税であります。追加で約九千円をとられ、縣民税は戰前より四十倍も殖えており、町村民税が約三百倍にもなつておる。あるいは水利組合費、あるいは國民健康保險組合の負担等を総合する場合において、中農階級の負担は、合計約二万円であるようであります。米が一石五百五十円より一躍千八百円に高く相なりましても、その幅は全部税に充当されてなおかつ足りません。かような事実が到るところの農村に展開されておる。苛斂誅求は虎よりも猛しというような言葉を支那の学者は言つたが、まつたく農民は増産の意欲を失つておるただいまの状態であります。かような不当な賦課徴税は一体どこにその原因があるかということを尋ねると、税務所の若い連中が、中学校を出て一年か二年講習を受けたばかりのいわゆる三級官が、ある種のイデオロギーにとらわれて、ただとりさえすればよい、成績をあげればよいのだ、自然増收という名前のもとに、割当以上に税をとれば成績があがる。あるいは関係筋の方面から優勝旗がもらえるのだ。かような考えをもつて、この不当きわまる苛斂誅求を、ほとんど毎日随所にさようなむちやなことが行われておるのであります。國民の担税力にもおのづから限度があり、飽和点がある。それにもかかわらず、かようなむりな徴税をやつてつて、さらに昭和二十三年度において、ただいま御説明税制改正の特別委員会でございますか、——その結果どういうふうに改正されるか、改惡されるかわかりませんけれども担税額をさらに増すというようなことがあつた場合においては、中小工業等は、將棋倒しにべた倒れし、農村農民は、せつかく自作農になつたのに、この上にまた新しい負債をしなければならぬ。かような状態に陷るおそれが十分看取されるのであります。そこでさような不当な、不法な、一方的な、天降り的な、独善的なことのないように、最善の対策を私は大藏大臣に要望してやまないのであります。先ほど同僚の西村君からも民主的な意味におけるもとの所得税調査委員制度のようなものを実行してほしいという意味質問もあられたようでありますが、また全國各町村には、納税協力会という名前のもとに、もとの所得税調査委院会に代るような仕事をやつておる團体も、ぼつぼつ出てはまいりましたけれども、何としても政府におかれては、不当な不法な、担税者の納得のいかない、苛斂誅求の税額を賦課して、そうして納税に対するところの——新憲法にうたわれておるわれわれ國民の最高の義務である納税思想が阻害されるようなことがあつてはならない。あくまでも理解のもとに、納税を一定の期間に完納なし能うところの心構えを與えるために、最善の御対策が必要であると考えておるのでございまするが、何らかそれらに対して、大藏大臣は御対策をお考えでございましようか。願わくば適正なる施策があつてほしいということを念願して、あなたの御答弁をお願いしたいこ思うのであります。
  84. 北村徳太郎

    北村國務大臣 まことに剴切な御意見を拜聽しまして、これは私ども日ごろの考えと全然一致しておるのであります。実は私も多年にわたりまして、中小都市の中小企業家というものの世話をやいてまいりました。これは多く農村もしくは漁村を背景とする中小の都市でございまするが、從つてそいうう人たちの現在の非常に経済的な窮迫と、これに対する税の負担の多いということは、身をもつて体驗していると申してよろしいのでございまして、今の庄司委員のおつしやつたことは、きわめて私ども考えにも非常に強く響いてくるのであります。それでこれはどうすればいいかということが大きな問題になるのでございますが、それがために、私はまず全國の財務局長を招集いたしまして、相当苦しい思いをして納税をしてもらつておるのであるけれども、できるだけ説明するところを説明し、納得づくで氣持よくとまでいかぬでも、多小笑顔で納めていただくようにしなければならぬ。それにもまたわれわれの公僕としての大きな使命があるのであるし、税の完納がうまくいかなければ、日本の再建も、それからまた今のいわゆる健全財政主義も破綻を來すのであつて、このことのきわめて重大なことに鑑みまして、さようなことを十分に懇談をいたしたのでございます。それからこれはたびたび申し上げたと思うのでございますけれども、税務署の現在の機構が弱い。これをもつと殖やさなければならぬ人員においても、旧時代の七割くらいの人員しかもつておりませんで、納税者は七倍くらい殖えておる。何がゆえ税務署員の数がそんなに減るかと申しますと、待遇の問題もございます。待遇の問題に関しても、具体的なる待遇改善策を講じておるのでございます。さようないろいろな方法によつて、納税組織の刷新と、それから公僕としての自覚をもつともつてもらつて、そうしてこのことにおいて遺憾のないようにいたしたいというようなことを念願してやつておる次第であります。  それからもとの所得調査委員会、あるいは所得審査委員会というようなものを、もう一度やつてみたらどうかというお話でございますけれども、不慣れかもしれませんけれども、一應申告制を採用いたしておりますので、申告制の建前から、一應そういうことは要らないということになるのであります。しかしながら、農村等において、十分税の根本原理である適正ということを欠いてはならないのでありますから、地方によつては、地方のいろいろの方々の意見を聽いて、適切公平にやることと、その他牒報制をとりまして、あの人は非常にやみでもうけたというような牒報があれば、それはそれでまた押えるようにして、適切な課税をやるというように、最善の努力を盡したいと考えておるわけであります。何と申しましても、このことは廣く國民全体の納税に関する新たなる意味においての御協力を得なければなりませんし、さいわいに最近租税完納運動というものが、相当に強い力をもつて伸びてまいりまして、この御協力が非常な効果をあげておることも、非常に感謝しておる次第であります。かような運動が國民の間から起つたことは、非常にありがたいと思つておるのでありますが、津々浦々に至るまで、さようなものが、だんだん普及いたしまして、今きわめて不慣れな徴税の申告制なども慣れていただいて、なるほどこれはよかつたということになるようにいたしたいと念願しておる次第であります。先ほどのお話になりましたように、中学を出て、ちよつと講習を受けてという人が多いのであります。これではいけないということで、今対策を講じておるのでありますが、あまり長くなるからその点は略しますが、御指摘の点は同感であります。税においては、その点適切公平でなければならぬということを固く信じておりますから、そういう方向に、一層努力を向けていきたいと存じておる次第であります。
  85. 庄司一郎

    ○庄司(一)委員 先ほど大藏大臣税制の改正に伴うて、勤労所得税の免税点の引上げ、あるいは扶養家族控除の引上げというような御意見を発表されました。まことに結構なことであります。御同感の至りでありまするが、この所得税の中のいわゆる幼老控除として御承知通り六十年以上の爺さん、婆さん、あるいは十八歳以下の子供、この家族数によつて幼老控除として所得関係から控除する。この制度は、確かに健全なる社会政策として結構なことであるが、ここに一つの大きなエラーがある。それはたとえば当該担税者家庭の子供が、十八歳を過ぎて十九歳でありましようとも、二十歳でありましようとも、專門学校に行つておる、あるいは大学に学んでおるために、その家庭がかりに一万円の一箇月の純所得がありましても、子供の育英資金に一箇月二千円なりあるいは三千円なり、最近慶應大学のように月謝が一箇年六千円というような極端な月謝の学校も現われてきて、学生を一人あるいは二人ないし三人、私なども現に七人学校へやつておりますが、その教育費のために、子供を義務教育以上の学校に就学されておる家庭において、かりに相当の收入がありましても、家庭の全收入の過半は、教育費のために投じなければならぬという家庭も、全國には多々あるのであります。ゆえにただ一律に画一的に十八歳以下の子供の場合は、幼老控除に該当することは、むろんただいまの税法においては該当しておるが、十八歳を超えましても、ただいま申し上げるような教育の過程にある子供をもつておる家庭等より、たとえば教育資金控除というようなことを改正法等の中にうたわれて相等税の負担を軽減してやるという半面においては、教育の奨励のためさような教育を盛んにやつておる家庭等に対しては十八歳を超過しても適当な措置を講じてほしいというようなことを——私も賦課徴收法によつて税をとつてあげる役目を十何年やりましたが、その私の体驗の上から申し上げるのでありますが、大藏大臣のお考えはいかがでございましようか、あるいは局長のお考えはいかがでございましようか。
  86. 北村徳太郎

    北村國務大臣 率直に申しますが、ただいまのところ、今のようなことは考慮の中にないのであります。実際は何とかして租税收入の増加をはからなければならぬという建前におりまして、少し余裕ができれば、おそらく第一に考えなければならぬ点であると考えますが、國家財政の今のような窮之の中で、これはごもつともであり、教育を尊重する、殊に教育費を多分に負担するというような家庭のあることは、次の世代のために大きな貢献をしていただくことでもあるし、事情が許せば第一に取上くべき問題だと考えますが、現下の事情では、これを取入れることは、財政的に非常に困難であると、私は考えております。但しただいまの御意見は、よく拜聽いたしておきまして、税制改革等の研究一つの資料としては、十分研究の題目に取上げたいと考えております。
  87. 庄司一郎

    ○庄司(一)委員 もう一つ当局に要請し、かつ御答弁を得ておきたいことは、ただいま全國の大学生あるいは專門学校生徒、高等学校生徒等において、父兄より教育費の仕送りが十分でないために、苦学力行しておる学生が、その数幾十万であるかを知らざる状態であります。街頭においてアイスクリームを賣つておる、新聞その他いろいろなものを賣つたおる、こういう学生から、その賣上げいくばくあつたかというようなことを、税務署員が調べて税をとつております。これは所得税法の上からは公正妥当な取方であるかもしれませんが、私はその実例の一つをあなたに申し上げて御参考の一端にしたいと思う。仙台の東北大学のある学生諸君でありますが、過般私に許えて、四万五千円の所得税がまいりました、先生何とかしてほしい、ぼくは担税者個々の人のために税務署に行つてお願いしてやるとか、談判してやるということはやらない建前の人間であるが、それはほんとうか。この通りこういうのがまいりました。私だけではない、ほかの苦学生の仲間にも來ましたというようなことを言われておるのであります。これはたとえ学生でありましようとも、大学生でございますから選挙権ももつており成年以上の年配の諸君であるが、自己の学資を得んがために働いておる諸君からまで賦課徴收しておるということは、われわれの常識の許さないところであります。かような点において、ひとつぜひ財務局長等の会議などにおいて、あたなから御善処を願いたい。さようなことがあつてはならない。学生がいじけてしまいます。かような常識はずれなことをやつて、ただ税の額さへあげればいいのである、相手が苦学生であろうと何であろうと、税法にあてはめてとれるのだ、かようなことであつてはならない。そういうことは常識上当然特免してやるべきものである。かように考えておりますが、この点もひとつぜひ御考慮に入れられて御善処願いたいと思います。私の大藏当局に対する質問はこれで打切ります。なお保留しておきました総理大臣等は御都合はいけませんか。——いけなかつたら後で……。
  88. 川島金次

    川島委員長代理 次は角田幸吉君
  89. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 大藏大育の構想されておる健全金融についてお尋ね申し上げたいのであります。健全金融をどういう構想においてお考えになつておるか。たとえて言えば、具体的には昭和二十三年都の第一・四半期、第二・四半期、第三・四半期、第四・四半期において産業資金の需要額がどれくらいずつにみなされておるか。
  90. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいま数字についての御質問でございますが、政府委員よりお答え申し上げます。
  91. 福田赳夫

    福田政府委員 二十三年度といたしましては、ただいま予算といたしましても、暫定予算をお願いいたしておるような状況でありまして、年度全体のことはわかりかねるのであります。しかしながら、暫定予算に見合います関係といたしまして、第一・四半期の四月の見込額を、大体のところでありますが申し上げますと、四月に産業資金といたしまして百八十三億を予定しております。五月に百八十六億円、六月に百八十四億円、合計第一・四半期五百五十三億円、ただいまのところでは、本予算もきまらぬというような状況でありまして、第二・四半期以降につきましては、まだ檢討を了せざ状況であります。
  92. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 そこで大藏大臣お尋ね申し上げたいのでありますが、復金の資金を二百億に増資する予定のようでありますが、これをもつていつ頃まで産業資金需要額が充たされるお考えのもとに計画されたのであるか。お尋ね申し上げたい。
  93. 福田赳夫

    福田政府委員 二百億の資金をもちまして、大体六月末までの需要といたしたいと考えております。
  94. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 現在復金にどれだけ資金として出せるものがあるか。
  95. 福田赳夫

    福田政府委員 ただいまの復興金融金庫の資本金といたしましては、大体四月の中旬頃までの需要はあろうかというような状況になつております。四月中旬になりますと、復金は融資する能力がない、というような状況になるのでありまして、從いまして、二百億円の増資方を、ただいま別途法律案をもつてお願いしておるという状況であります。
  96. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 さように見ますと、昨年の復金の増資額に対照いたしますると、二百億どは本年の六月くらいまで、今年度においては大体の見当でいいのでありますが、およそどのくらいの増資をしていかねばならぬか、このことについてどうお考えになつておるか、お答え願いたい。
  97. 福田赳夫

    福田政府委員 復金といたしましては、一般の金融において融資ができないようなものを担当するのであります。從いまして、昭和二十二年度等におきましては、いわゆる赤字金融というようなものも相当出ておるのであります。特に石炭等におきましては、相当額の赤字金融、すなわち一般金融ではあぶなくて貸せぬというようなものも出ておるのであります。これがどういう関係赤字金融ということになるかと申しますと、物價政策との関連がきわめて重大なのであります。價格が相当摘正にきめられておりますれば、これは赤字金融という必要はない。それが非常に低めに実際にはきめられておるという関係赤字が出てくる。これを復興金融金庫から融資するというようなことになつておるのでありますが、ただいま二十三年度の本予算と関連いたしまして、物價改訂という問題を政府において檢討中であります。この物價改訂の規模いかんによりまして、復興金融金庫の融資総額というものず、大きく左右される問題であろうと思うのでありまするが、ただいまのところは、三箇月間に大体二百億だというところで前年度の分の御推量を願いたい。かようなふうに存じます。
  98. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 もう一点大藏大臣お尋ね申し上げたいのでありますが、最近寒冷地雪害地の官公職員が、特別給與をしてもらわないと、ほかの均衡上いかぬ、こういうわけで、一道十一縣の官公労組が騒いでおるようでありますが、大藏大臣はこれに対して特別給與の何かの対策を御研究中であるかどうかということをお尋ね申し上げます。
  99. 北村徳太郎

    北村國務大臣 寒冷地手当というものをただいま現に出しております。
  100. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 まだ足らないか、一道十一縣でずいぶん騒いでおるようでありますが、あれ以上の対策は講じないお考えでありますか。現在以上の対策はお考えないのですか。
  101. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいま考究はいたしておりますが、今のところ現在出しておるもので一應止めたい。しかし研究はいたしております。
  102. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 大藏大臣に対する質問は、この程度にいたします。ついでに逓信当局にお尋ねを申し上げたいのは、最近特定郵便局の廳舎を四月一日から賃借りをするという何か交渉をやつておるようでありますが、從來は三等郵便局、いわゆる特定郵便局長が無料提供をしてきたのであります。ところが來年度にこれを賃借りを受ける、いわば賃料を出す。こういうようなことに変つていくようでありますが、独立採算制を堅持していかなければならない逓信当局として、赤字財政に苦しんでおる今日において、一万三千にわたる特定郵便局に対して、にわかに賃料を出して借りなければならぬというようなことに立ち至つたのであるか。このことをひとつお伺いしておきたいと思います。
  103. 大野勝三

    ○大野政府委員 逓信大臣がちよつとお差支えで御出席できませんので、代つて私からお答えを申し上げます。お話通り、この四月から特定郵便局の局舎を借り上げすることにいたしました趣旨は、御承知のように、一昨年の夏ごろから、この特定郵便局制度の撤廃という問題が、労働組合の方から提起されまして、爾來引続き今日まで二度にわたりまして、中央労働委員会の調停を受け、今日なお完全にこの問題が解決しておるというわけにはまいらない状態にあるわけでございますが、この制度撤廃の問題が起りました大きな原因といたしましては、旧來の特定局制度には、非常に封建的な色彩が強い。そのために特定局從事員の待遇も非常に差別的であり、かつ劣惡であるというのが、制度撤廃の一番大きな理由になつているように考えられます。そこでその封建的であるとか、あるいは待遇の問題というものは、いろいろ組合側では言うところがあるのでございますが、最も端的に申しますれば、特定郵便局長が旧來の制度でございますと局舎を提供する、また局舎に附随いたしまする備品も提供する。そうして局舎運営の費用一切を、なかば請負式に経費の支給を受けてやつていくというところに、いわゆる封建性、あるいは非常に待遇の惡いという根本の原因が潜んでいるというふうに、組合側では指摘しているわけでございます。この点は非常に旧い特定局制度が始められました当時におきましては、この新式郵便の制度を全國都鄙くまなく普及いたしますためには、非常に妙味のある一つの考案であつたのでございまして、地方の有力者の方から局舎を提供していただいて、そうしてそこに昔で言います郵便役所を開設してもらいますことが、創設当時においては非常によかつたことに違いございませんが、今日の時勢になつてみますと、まさに一方においては当然に局舎を提供するということが、郵便局長に任命される條件であるということは、何と申しましても、これは今日の時代にはふさわしくございませんし、それにその局舎を提供するという義務が附随しておりますために、ややもうたしますれば、局長の任命にいたしましても、不適格の人であるにもかかわらず、親から子にというふうに世襲的な運用もしなければならぬということが、事実においてこれはそのまま全部がそうと申すわけではございませんけれども、制度的にそういう欠陷をそこに伴う可能性もございますし、経済的に見ましても、今日特定局長の方々が、非常に重い責任を負つて、そうしてこの間の運営をしていかれるのに、諸式非常の物價高の今日、局舎の手入維持などにも相当の経費がかかりますのにもかかわらず、これが全部局長の私経済的の負担であるとすることにも無理がございます。いろいろこう考え合せまして、つまり制度に伴う一つの欠陷を是正するとともに、ほんとうの意味で、合理的の特定局経営の基礎を確立いたしますために、そういう両面の意味からいたしまして、提供義務というものをなくいたしまして、局舎はこれは明らかに國の事業経営のために必要な一つの建物として國が使用するものでございますから、その使用に対しまして、公正な対價、家賃を支拂うというのが合理的であるというので、こういたしたわけでございます。
  104. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 そこに問題か最近起つてきているようでありますが、三月三十一日前に辞表を提出して廳舎を貸さない、こういう問題が起つているところが大分あるようでありますが、これに対してはどういう取扱いをなさるお考えですか。
  105. 大野勝三

    ○大野政府委員 三月三十一日前に辞表を提出して、局舎を貸すことを拒む向きがあるというふうなお尋ねでございまして、それに対する対策いかんというのでございますが、実は今まではほんの名義だけの局舎料で、局舎をいわば犠牲的に提供しておる、その特定局長のお立場として、これから合理的な局舎料といいますか、あるいは賃貸料——実質的に局舎に対する賃貸料でありますが、それを合理的なものにして支給されることに不満をもたれるということは、そのこと自体に不満があるのではなくて、こういう局舎を賃貸するという制度に切りかえられることの裏面に、何か誤解、あるいは懸念が潜んでおるということにしか考えられないわけでございます。それではそういうふうに三月末以前にやめて、もう局舎も國には貸さないという方があるかというと、実は私今日までそういう事実を聞いておりません。ただそういうふうな考えをもたれる向きもあるやに、先だつて聞きましたが、それは御承知の現在全國の特定局長の團体ができておりまして、その團体と逓信省当局との間によく話合いをいにしまして、十分その間の誤解のないように、協定もできておりますわけでございますから、四月から新しいそういう合理的なやり方を始めましても、何ら懸念はないものと考えておる次第でございます。
  106. 角田幸吉

    ○角田(幸)委員 合理的にやるというのでありますから、この点につきましての私の質問はこれで終ります。
  107. 海野三朗

    ○海野委員 東京を中心といたしまして、地方との連絡は非常に重点をおいておりますから、都合がいいのでありますが、地方々々の連絡には、一つも重きをおいていないように思うのであります。そこでたとえば山形縣などにおきましては、同じ縣内でありながら、山形から小國に参りますのに約一日を要するのであります。東京に來る時間とほぼ等しいくらいの時間を要し、途中における乘換も二回というような状態でありますが、そういうふうでは、大東京を中心として、東京だけがすべての中心となつて、ますます大きくなつていく。そういうことでは、都市計画建前から、非常に遺憾であると思うのでありますが、地方々々の管理局におきましては、自分の方の管内だけは連絡を非常にうまくやつているようでありますが、山形のごとき、新潟局と仙台の管理局との両方から見まして、非常に不利益な立場に置かれておりまして、また山形を中心としての地方々々の連絡が、非常に惡いのであります。こういうことは、運輸大臣としていかにお考えになつておりますか、その御所見を承りたいと考えるのであります。
  108. 岡田勢一

    岡田國務大臣 海野君の御質問にお答えいたします。大都市中心主義で、交通が地方あるいは支線に対しては重きを置かないでいけないという御意見でありますが、まさにそういうきらいも若干あることと存じます。その点は謹んで拜聽いたしておきます。支線で山形、小國間六十キロぐらいの距離で約三時間以上もかかつておりまして、この地方の方々に、たいへん御迷惑をかけておりまして、まことに相済まないのでありますが、これは一昨年十一月以降の石炭の制限のために、旅客列車を全國的に削減いたしまして、奧羽線でも相当削減いたしまして、支線との連絡が惡くなつた結果であります。またあの山の中のことでありまして、今言われました山形から小國に参ります間に二度も乘換をしなければならぬ、すなわち赤湯で一度乘りかえて、今泉でまた乘りかえて小國に行かなければならぬ、この間に待合せの時間が相当かかるということでございまして、この線につきましては、運輸省といたしましては、なるべく早く時間改正をいたしまして、改善をいたしたい、でき得れば列車回数を殖やしたいと考えまして、今調査中でございます。あるいは多分この六月一日改正の中に繰りこめるかもしれないと思つておりますので、御趣旨に副いまして、極力努力いたしたいと思います。
  109. 海野三朗

    ○海野委員 運輸大臣への質問はそれだけにいたしまして、次に文部大臣にお伺いいたしたいのであります。前議会におきましても、いろいろ申し上げて、相当の御努力をお願いしたのでありますが、なおもう一段の努力をお願いしたいと思うのであります。それは民間における九十九の財団法人の研究所であります。この研究所は、過去においていかなることをなしたかと申しますと、民間研究に非常にまつべきものが多かつたと、たとえばアルマイトの製品の発明にしてもそうであるし、あるいはペニシリンにしてもそうであるし、枚拳にいとまないところの実績をあげておるのであります。その研究所が今日見る影もないありさまで、りつぱな肩書をもつている学者が、ほとんどやみ屋と化しておる状態であります。やみ屋とは、手近な、ごく卑近な仕事に轉々移りつつあるのでありまして、そういうことでは、將來日本の科学研究というものが、地に堕ちるのではないかと考えるのであります。またこの研究費も他の國家の研究費に比べますと、パーセントにおいてはるかに及ばないのみならず、日本の総予算は外國の予算に及ばないことももちろんであります。なおかつそのパーセントがはるかに及ばないのでありますから、この研究費というものは、今の世界列強の各國の研究費から見ますと、蚊の涙に等しいような研究費であるのであります。文部当局におきましては、文部省の管轄の範囲内、つまり帝大あるいは政府直轄の研究所に重きを置かれておるのでありますか。また民間の財團法人の研究所、そういうものに対しては、いかなる御所見をおもちになつておるのでありましようか、これをお伺いいたしたいと思うのであります。
  110. 森戸辰男

    ○森戸國務大臣 海野委員お尋ねにお答えいたします。海野委員の言われたごとく、殊に敗戰後のわが國の現状から、経済再建という上におきましても、科学技術の振興が重要であることは、まことにお説の通りであります。しかるにこの科学技術の研究が、その機関ももちろんのことですが、はなはだ十分でないということは、海野委員とともに、まこと遺憾に存じておるのであります。科学技術の研究所は、大まかにわけまして、國家の費用あるいは地方團体の費用によつて賄われておるものと、民間の営利会社によつて賄われておるものと、その中間の財團法人によつて賄われておるものと、三つの種類があると思うのであります。そうして戰後の経済の状態から言いますと、これら三者はいずれも非常に困つているのでございますが、海野委員の御指摘なつたのは、最後に述べた財團法人の研究所のことであろうと思うのであります。この点につきましては、これらの研究所が、從來財團をもつてつて、その財團の收益で経済を賄つておつたのが、インフレその他の原因でこの資金價値が少くなつたということが、これら研究所の経営を非常に困難ならしめておるのでございます。この点で有力な研究員が四散し、研究の成果があがらないというような事態にあることを、私どもは非常に遺憾に思つておるのでございます。官の方面の研究所について関心をもつておりまするのみならず、殊に民主主義の國となりました日本におきましては、この民間研究所が健全に成長して、民間においても健全に行われていくということに関心をもつておりまして、当省といたしましても、この民間研究所の補助について、努力いたしておるのであります。ただ今日の財政状態から、私どもの思うようにまいりません事態は、海野委員も御了解のことと思うのでありますが、先年度の予算におきましても、大体かような重要な民間研究所二十に対しまして補助をいたし、昨年度においては、本予算四百万円、追加予算四百万円という額の補助をいたしたのであります。今年度におきましては、ならに三十を五十といたしまして、私どもといたしましては、これにずつと多額な補助費を望んでおるのでございます。四百万円以上の金額を望んでおるのでありますけれども、しかしこれはまた日本の経済の実情とにらみ合わせながら考えていかなければならぬのでありまして、大藏当局との交渉におきまして許される範囲で、これらの研究所が健全な成長ができるように、最善の努力をいたしたいと存じておる次第であります。
  111. 海野三朗

    ○海野委員 ただいま文部大臣のお話伺つたのでありますが、この財團法人の研究所の所長等が、大拳して陳情にやつてくるという話がこの間ありましたけれども、その前になお研究項目などもよく調査した上でなければ、ただ陳情にやつてきてもしようがないということで、私はそれを止めておきましたが、相当に必要なる研究題目をひつさげて文部当局に陳情に出てまりいましたときは、大臣は誠意をもつてこれに努力してくださるだけのお考えがあらせられることであろうと思いますが、大臣の御決心を、ちよつと一言伺つておきたいと思います。
  112. 森戸辰男

    ○森戸國務大臣 お答えいたします。研究所の所長さん、あるいは関係の方々が御上京になりまして、私に御面会になり、研究所の事情並びに研究対象の重要性について御説明がございます場合は、喜んで承りまして、重要性に應じまして、最善の努力をいたす決意をもつている次第であります。
  113. 海野三朗

    ○海野委員 あと大藏大臣に対する質問が残つておりますが、私の質問は一應これをもつて終ります。
  114. 稻村順三

    ○稻村委員長代理 海野君に御相談いたしますが、大藏大臣は見えませんが、主税局長でよろしゆうございますか。
  115. 海野三朗

    ○海野委員 それでは主税局長に伺いますから、大藏大臣の代りにお答え願います。税務署の役人の給料のことでありますが、私は郷里山形に帰りまして、過日税務署に行つて俸給日に俸給袋を調べてみたのであります。そこには從業員が約八十五名ほどおりまして、その平均給をそろばんではじかせてみました。ところが署長以下平均、税金を含めて千三百円でありました。千八百円ベースにもなつていない。そこから税金を差引かれるのでありまして、税金を呉めて千三百円でありました。そこで私が俸給袋を調べておりましたところに税務吏員が來まして、先生、私どもはどうして食うていけるのでありましようかということを切実に訴えられたのであります。私はかくのごとく低いのだということを、実は知らなかつたのであります。署長がいくらとつておるのかということを見ましたところが、手取り二千百円、間税課長が子供があつて三十年も勤めておつて手取り二千三百円というのであります。まことに低い。平均千八百円ベースと言うておるけれども、山形の税務署においては、どうして給與がそんなに低いのであるか、まことにふしぎだと思うのであります。また前議会において、この山梨縣ほか各縣から税務吏員の訴えがありましたが、年齢と取れ高をカーヴにとつてみて、平均の曲線を描いてみました。ところが税務吏員は、その平均曲線より一人あたり四百円低くなつておりました。警察官は二百円低くなつておりました。大藏省としましては、そういう方面のことを專門にお調べになつておるはずだと思いますが、どうしてそういうふうな現象があるのでありましようか、私解せないからその一應の説明を承りたい。もう一つ、この全財の方もけさがた懲戒処分をなさつたようでありますが、このことに対しては、全國のこの全財の職員たちがいかなる態度に出てくるか、そのことに対しては、政府御当局はいかなる御決心をおもちになつておるのでありましようか。それをお伺いいたしたいと思います。
  116. 福田赳夫

    福田政府委員 お答えいたします。山形の税務署の平均賃金が非常に低いというお話でありますが、税務職員は戰時中非常に数が減りまして、終戰後におきまして若い人をとつたのであります。その若い人をとつ関係上、官吏の平均給は千八百円ベースであるけれども、実際の税務署の職員に対しては、年が若いという関係で、非常に低くなつておる。かような実情であります。しかしながら税務署の仕事というものは、非常に大事な仕事でありまして、これは知能的な要素を非常に要することでありまして、また同時に危險を伴うようなことがあります。過渡的に特別の手当等を出しまして、そうして支弁いたしておるわけでありまするが、なお今二千九百二十円の新給與体系というものをつくつておる。その新給與体系におきましては、税務署の特殊性を十分に考えて、これに織りこみたい。かように考えておる次第であります。山形で非常に低いというのは、年が若いという点が主たる原因だろうと考えております。なお全財の問題につきましては、相当今後問題が多かろうと思いますが、その点に関しては、大臣からお答え願うことにいたします。
  117. 海野三朗

    ○海野委員 山形の税務吏員の平均年齢は、たしか三十二、三歳になつておりますので、ほかの方に比べまして、つまり学校、官廳そのほかに比べますと、非常に低くなつておりますが、大藏省の給與局長、つまり給與の方面を担当しておられるお役人の方は、そういうことを綿密に、はなはだしいでこぼこを訂正するために働いておられるのではありませんでしようか。給與局長というのは、どういうお仕事をおやりになつておるのでありましようか。どうもその辺がはなはだ解せない。俸給が少なくても、黙つておればいいというような考えではいけないのだ。政府の方で先手を打つて、はなはだしいところは訂正をしてやるというお考えでなければならないのではないか。こういうふうに考えておりますが、大藏当局におかれましては、どういうふうな御所見をもつておるか。これをお伺いしたいのであります。
  118. 福田赳夫

    福田政府委員 官吏の給與は年齢、学歴その他を考慮いたしまして、初任給というものがきまりまして、それからあとは年齢、すなわち何年勤めたかということが基本になるのであります。それから從來税務署に対しては、非常に予算関係等で昇給等が遅れておつたのでありますが、それを調整しようというのが、でこぼこ調整の問題であります。この問題は各税務署長が財務局長に、かような状況になつておるという意見を具申いたしまして、財務局長がそれを檢討し、これを大藏省にもつてまいりまして、そしてでこぼこ調整の処置は済ましたわけであります。その処置によつて、税務署の職員が戰時中またその以前から非常に給料が少かつたというような関係で、一般官廳の職員よりは非常に給料が安かつたのであります。この関係を調整いたしまして、大体二階級ないし三階級ぐらいの引上げを一挙にいたしたのであります。大体さようなことで、でこぼこ調整という問題は済んでおるのであります。なお今後の問題といたしましては、税務官吏全体の問題、政府職員全体の問題といたしまして、二千九百二十円というベースにおいて、いかなる体系をとつておるかという問題にかかつてきておりますので、十分考慮したいと思います。
  119. 稻村順三

    ○稻村委員長代理 淺利君、運輸大臣に対する質疑がありますか。——発言を許します。
  120. 淺利三朗

    ○淺利委員 各大臣がお見えにならぬようでありますが、さいわいに運輸大臣がお見えになつておりますから、一、二質問したいと思います。本日の新聞によりますと、運輸省の運輸計画というようなものが発表になつております。私は第一に希望することは、これらの資料は、國会議員にまつ先に提供していただきたいということを希望申し上げます。それから私の伺いたいのは、東北鉄道幹線の強化という問題であります。それから運送量の増強の問題であります。御承知のごとぐ、東北は東北本線並びに奥羽線、この二本の幹線がありまするが、いずれも輸送量がはなはだ少くて、地方物質の輸送の上において困難を感じ、また旅客交通にも非常に混雜この上もなく、殺到的な状況であるのであります。これは申すまでもなく、北海道と東京とをつなぐところの主要幹線でございます。ただにこれは東北本線という見地だけから見るべきものではないのであります。このことにつきましては、いろいろ伺いますと、東海道線方面は電化があるが、東北線はただ石炭の力によつて動かしておる。しかして石炭の供給が不十分であるがために、現状のようなありさまに放置されておるということを伺つております。殊にまた過般來青森管理部におけるストライキ等の関係上、ますます今日東北の輸送状況が窮迫を告げております。先般岩手縣の木材業者が大挙上京いたしまして、運輸当局に陳情をされたのであります。それによりますと、岩手縣一縣でさえ、現在木材の滯貨が百七十万石に上つて、しかもこれが停車場附近、その直近の背後の地帶にあるものだけで、そうであるということでありました。そのほか薪炭の滯貨のごときは厖大なものであります。この木材の輸送だけから見ましても、公定價格をもつて大体七億円ないし八億円であります。この滯貨のために、資金の融通の上に非常に窮迫を告げておる。これは安く見ましても一日十四、五万円の利子の手当をしなければならぬ。しかもこの輸送ができないために、木材は片つぱしから腐朽しておるという実情である。しかもこの木材林者は、融資上の方面より、輸送ができないために、経営上の不振というものはおびただしいものである。こういうものをいかにして一掃するかという問題であります。聞くところによりますと、岩手縣においては特別運送の関係があるということであります。この特別輸送のごときは、これは日本の運輸省に課せられたる至上命令であります。これは全國的にこの輸送力は特別に取扱いをなし、この東北線殊に岩手縣地方におきましては、平常の——平常の申しましては語弊がありますが、この特別輸送列車を除いた方面においては、他の運輸管理局と同樣の程度において輸送するという御配慮を願いたいと思うのであります。これらの東北線についてこれを電化するとか、また複線にするとか、また路線の改良をする、こういうことについて、運輸大臣の御構想伺つてみたいと思うのであります。
  121. 岡田勢一

    岡田國務大臣 淺利さんの御質問にお答え申し上げます。輸送計画ができる前に、なるべく衆議院の皆さんに報告せよというお話承知いたしました。今後なるべくさようにいたしたいと思います。  それから東北方面が幹線及び支線が非常に輸送力が弱化しておつて、地方の方々に御迷惑をかけているということ、まことに恐縮でございます。この木材あるいは薪炭の滯貨は全國的で、まことに相済まないことだと考えておりますが、何分にも戰爭中にたいへんな損害をこうむりまして、このあとの軌道及び機関車、その他の輸送施設の復旧が、今日まで思うように進んでおりませんで、本年度は鉄道輸送が一億一千万トンを運べるという結果にしかなつておりません。大体予定計画の九四%ぐらいしかできていないのであります。ところで各省及び國民の産業面から要望せられている二十三年度の輸送要求量は一億九千万トンほどにも上つているのであります。もつともこれは鉄道だけではなく、海運、陸運を合わせたものでありますが、このうちできるならば一億三千万トンほどの鉄道輸送量をあげたいと思つていますが、いろいろ今日まで安本その他関係方面に折衝いたしておりますが、ただいまのところでは、二十三年度としては、石炭の三千六百万トン生産ということを含めて、この一億三千万トンの鉄道輸送を実現するためには、やはり非常に困難がいろいろの面にあるのではあります。今言われました通り、鉄道路線の強化、貨車不足の増強、その他機関車とか、貨物駅の設備の改善とかいうことをいろいろ計画指導いたしましても、この一億三千万トンの輸送量の達成ということには、非常な困難が重なつておりましてこれを達成するためには、國会の皆さん方を初め、國民一般の大なる御協力を得なければ、達成できないと考えます。私は非常に景氣のよいことを申し上げたいのですが、特別に今お話の木材、薪炭などの大なる滯貨のある東北方面に対しては、今後一層注意を向けて、なるべく御迷惑を除去するように努力いたしたいと考えます。  それから電化あるいは複線工事の問題でございますが、これもなるべく急速にそういうことを実現いたしたいと考えておりますが、ただいまの資材難の関係で、新しく複線にするとか、電化を要望するすべての地域に実現するとかいうことは、ただいまのところまことに困難であります。ただここで望みをつないでいることは、ただいまあります車輛、線路等の施設も、現状においては從業員諸君の協力によりまして、修繕日数を短縮いたしまして、貨車あるいは機関車の加工率をあげていきますこと、それから路線にいたしましても、たいへん傷んでおりますところを、これまた從業員の勤労意欲の向上にまつて、修理を早くやつて能率をあげる、こういう面にさしあたり努力をいたしまして、ごく低いパーセンテージでありましよとうも、一割とか一割二分とか輸送力が強化いたしますように、努力を拂いたいと当面は考えております。  ついでに申し上げたいのは、海運に対して鉄道輸送からどれくらい轉移できますかを、ただいま研究中であります。また御承知のストライクの報告案の中には、日本の船舶の保有量の問題等につきまして、相当前途に望みのもてるようなアメリカ方面の意向が掲載されておりますので、最近に関係方面に懇請をいたしまして、アメリカから船舶を借入ること、それからそれらの方に困難な陸運をできるだけ轉移いたしまして、この輸送力を上昇さしていくというような方面につきまして、できるだけの努力を拂つていきたいと考えておる次第であります。なお私まだ就任日なお淺うございまして、あまり具体的のことは十分に研究しておりませんけれども、そういう心組みで、一生懸命やつていきたいと考えております。
  122. 淺利三朗

    ○淺利委員 ただいま大臣から懇切なる御答弁を得まして感謝するのでありますが、貨物の輸送は全國一般というお話でありましたけれども、東北は殊にひどいのであります。実はこの問題につきましては、過般運輸当局、農林当局及び安本の当局と、われわれ岩手國会衆参両院議員団が一党に会して、いろいろお話を承つたのでありますが、その際に承りますと、木材等においては岩手縣、北海道の北見地区が最も輸送の比率が惡い、こういうことであります。これについて何とかしたいというお話はあつたのであります。しかしこれは事務当局においてすでにそうお考えになつておるようでありまするが、特にこの点については、東北の現時における状態が、他の線に比較してはなはだ遅れておる、また弱体の状態にあるということを、大臣におかれましても、特に認識をせられまして、この際東北の輸送力の増強について、格段の努力を願いたいと思うのであります。なお木材のごときは、復興資材といたしまして、最も重要なるものであるにかかわらず、これが数年にわたつて、滯貨そのままであるがために、一方から腐朽をしてしまいるということは、実に國家の損失、これより大なるものはないと思うのであります。この重要資材を、無益に費すということは、一日も放任すべからざるものと思います。もし現地の見込みの資材において不十分であるならば、今後の政府の交渉によりまして、外資の導入なり、レールあるいは貨車等の輸入の途を講じてもらいたい。あるいはまた、聞くところによりますと、事業公債によつて鉄道の改善をはかるということであります。そういう方面において、一段の努力をいたしまして、健全財政とは言いながら、この輸送力の増強が、今日の日本の再建の上において、重要なる地位を占めておるというお考えから、特にこの方面についても、何か外國から資材を輸入するというような方面について、お考えがあるかないか、その点をひとつ伺つてみたいと思うのであります。
  123. 岡田勢一

    岡田國務大臣 お答え申し上げます。東北、北海道方面が、特に鉄道輸送は弱化しておる。殊に岩手縣方面がひどいという御意見、まさに拜聽いたしております。輸送がはかどらないために滯貨しておる。木材が腐蝕してくるのは、まことにもつたいないことでありまして、早くさような状態から脱却せしめたいと考えております。輸入についてどういう考えをもつておるかというお尋ね、先ほどもちよつと申し上げましたが、日本の経済事実ということに対して、最近アメリカ方面で、とみに輿論が好轉してまいりまして、新聞にも出ております記事によりまして、私もたいへんこれに希望をつないでおります。おつしやるごとく、鉄道のレールを初め、貨車、あるいは機関車の建造資材、その他陸運の自動車におきまして、タイヤなどの輸入、これの問題につきましても、十分に懇請をいたしたい。さしあたりドレーバー使節団が來ておられますので、先日來ドレーバー使節団の輸送関係の人たちに会見を申込んでおりまして、これはあるいは一両日中に会見ができるかと思つております。まずそうした鉄道、陸運の資材、船舶というような物の入手を、どういうふうに考えておつてくれるかということを尋ねまして、そして向うの意向を聽きました上で、見透しをつけまして、積極的に懇請をいたしたいと考えております。  またこれはお尋ねの中にはありませんでしたが、船舶、戰時中つくられましたリバテイー型というのが、アメリカで相当余りまして、繋船されておるということであります。その船舶を、さしあたりクレジツトの金額の都合もありますので、こちらから申せば、できるだけ借入れをさしてもらう。クレジツトのわくを縮めないようにいたしまして、それに使用いたします重油なども懇請する。それはクレジットによらなければしかたがありませんが、そういういたしまして、今の東北線にいたしましても、北海道にいたしましても、鉄道一本で困つておる現状を、たとえば青森から京浜とか、室蘭、小樽、あるいは根室から京浜とかいうふうに、できるだけ海上に轉移していくというふうなことにやつてまいりたいと考えております。國民の皆さんからも、いろいろと輸送増強の重要なことについて、非常に熱烈眞摯なる御警告をいただいておりまして、十分にこれをやらなければならぬという考えでありますが、先ほども申しましたように、実に輸送力の増強というものは、はいつてみますと、非常にたくさんのネツクが重つておりまして、まことに困難なのであります。それで先ほどもお答えいたしましたように、一億三千万トンの鉄道輸送達成ということも、実は今後たいへんなほかの御援助と、また第一に從業員諸君の協力だなかつたら実現しにくいという現状でありますので、國会の皆さん方におかれましても、各省にそのつもりの御援助方をお話くださいまして、輸送力の上るように御支援、御鞭撻をお願いいたしたいと存じております。以上簡單でありますが、お答え申し上げます。
  124. 淺利三朗

    ○淺利委員 なおこれは一般の労働爭議にも関係するのでありますが、特に青森管理部は、しばしば散発的に労働爭議を起しまして、あるいはサボと申しますか、賜暇と申しますか、北海道からの中継の輸送ができない、また始発駅青森からの輸送ができないために、あそこに貨車が停頓しておるというようなことが、しばしば繰返されておるのであります。これはどういう事情でありましようか。特に青森に限つてそのような待遇の惡いということもないと思うのでありますが、あるいはこれは思想的な方面にその原因があるのか、どういう点にこれがあるか。特に青森管理部が格別に事件数の多いということについて、どういうふうに見ておられるか、その点についてお伺いしたいと思います。
  125. 岡田勢一

    岡田國務大臣 淺利さんの御意見、どうして青森がそんなに頻繁に爭議が起つたりするかということ、また非常に輸送が澁滯しておる。青森の方は、淺利さんのお言葉にもありますように、あそこの区の從業員諸君は、少しやはり地域的の関係か、あるいは寒冷地という関係かの原因も多少あろうかと思いますが、從來しばしば爭議をほかの区に比べてよけい起しておりましたようなことでありますが、この点につきましては、当局といたしまして、十分注意をいたしてまいるつもりであります。先般國鉄從業員大会が上諏訪で開かれまして、さいわいにも國鉄の方は大体におきまして、今回の二千九百二十円水準の政府案を全面的にのんでくれたわけであります。その直後に、青森区の從業員たちが、二十四時間ストを一應計画いたしまして、予報をしておつたのでありますが、今回は当局からの説得によりまして、これを事前に中止されまして、たいへん喜んでおるわけであります。今後当局におきましても、青森区の從業員その他仙鉄、一般從業員諸君に、十分な説得の方法をとりまして、今後におきましては、頻繁にさような不祥事が起らないように、十分注意してまいりたいと思つております。  輸送力の弱化につきましては、仰せ通りでありまするが、今後におきましても、十分に注意をいたしまして、努力をいたしますと同時に、青森港からの海運轉移もできるだけはかつて、そうしてこの澁帶を緩和してまいりたいと思つております。
  126. 淺利三朗

    ○淺利委員 もう一つ最後に、これは希望かたがた申し上げておく次第であります。現在鉄道の独立採算制の上において非常に困難を感じておるということも、要するにこれは貨車、機関車その他の不足によつて輸送量が少いということから、収入が十分に上げられないということであろうと思います。ゆえにこれは万難を排して、貨車、機関車の増強をはかつて、輸送量を増強して收入をはかるということにいたしますれば、自然多数の人を擁しておつても、おのずからそこに補いがつくことになると思うのであります。もう一つは、東北地方のごとく鉄道の開発の遅れている地方におきましては、今時の情勢からいたしますと、鉄道によつて新たな線路を開くことは、よほど至難であると思うのであります。ゆえに一番手つ取り早くいきますのは、バスの輸送であります。最近運輸省におかれましては、岩手縣地方においても、貨物自動車、あるいは旅客自動車の省営の御計画もあるようであります。これらこの汽車開発の遅れたる地方に、アメリカ方面からのバスの輸入等によりまして、これを普遍的に多く路線を開きましたならば、自然この過剩人員の配置轉換という問題も解決せられるでありましようし、また地方的の交通緩和ともなり、あるいは産業の開発によつて、これで産業の振興がますます盛んになると思うのであります。そういうことについては、特に今後一層努力を願いたいのであります。またさしあたりこれにつきまして、年次計画なり何かお立てになつておるものがあるかどうか。あるいは今後そういう計画をお立てになる見込みであるかどうか。これによつと人員の配置轉換もどのくらいできるというお見込みであるか、もし御計画がありましたら、お伺いいたしたいのであります。もしなければ、將來この点について、特に御考慮を煩わしたいと思うのであります。
  127. 岡田勢一

    岡田國務大臣 お答えいたします。独立採算制を確立いたしたいということは、淺利さんの御質問通り、運輸当局も考えております。ただいまのところでは、相当大きな赤字を出しておりますのは、御承知通りでありますが、これをなるベく早く独立採算制確立という方向にもつていきたいと考えております。  それから鉄道の新線が今できにくいから、バス、トラツク等の路線を普遍的に開設して、この輸送難を緩和せよという御言葉、まことにごもつともであります。車体及びタイヤの輸入等にきつまして、十分に懇請をいたすつもりであります。ただいまのところは、全國的にそういう要望がたくさんありますが、淺利さんのお言葉のごとく、東北線などは、殊に不自由であると存じております。タイヤの問題と、モビールなどの燃料の問題、車輛の問題等に阻まれまして、なかなか思うように今のところはまいらないのでありますが、何とか努力をいたしまして、さような一番輸送の澁滯しておるひどいところから、バス、トラツクの新路線を逐次開設していきたいと考えております。
  128. 川島金次

    川島委員長代理 ちよつと海野君に申し上げますが、運輸大臣は何か急用ができたとのこでありますが……。
  129. 海野三朗

    ○海野委員 簡單ですから……。
  130. 川島金次

    川島委員長代理 なるべく簡單に願います。
  131. 海野三朗

    ○海野委員 運輸大臣にお伺いしたいのは、東北本線、わけても奥羽線でありますが、この線の夜の八時の急行に乘るためには、前の日から行つて切符をとらなければならず、それに乘つてみますと、実にひどい。これは乘込者が多いためであります。東海道線に比ベてみますと、乘客の密度が非常に大きいであります。結局東北、わけても奥羽線に乘るのは、食糧の関係からでもありましようが、非常に乘客が多い。命懸けで乘らなけばならぬ。あれをひとつ今後緩和していただきたい。あの実情をやはり運輸大臣に親しく見ていただいて、善処していただかなければならぬと考えるのであります。この東北の方は、われても今日まで忘れられておるのでありまして、東北地方の交通についての運輸大臣の御所見をお伺いしたいと思うのであります。とても殺人的で、もう東海道線の比ではありません。これに対して運輸大臣は、どういう御所見であるか、お伺いしたいと思います。
  132. 岡田勢一

    岡田國務大臣 お答えいたします。奥羽線が特に輸送地嶽を現出しておるということでございます。私もまことによくそれを了解できる氣がいたします。私のことを申し上げて恐縮でありますが、仕事の関係で北海道に毎年まいつておりまして、東北本線及び奥羽線が非常な混雜をする、わけても暖くなります今ごろから五、六月にかけて、それから秋の北洋漁場の切上げどきの九、十、十一月にかけて、まことに殺人的でありまして、私もよくわかります。海野さんの言われる通りであると思います。夜の八時の汽車に乘るのに前日からいつて切符をとらなければ乘れない。まことにごもつともなことであると思いますが、その点は東海道、山陽なでに比べて、何とかして、この列車数の増強をするようにしたいと考えておりますので、実際の具体的な問題については、事務当局と十分調査をいたしまして、なるべく御意向に副いたいと考えております。
  133. 川島金次

    川島委員長代理 お諮りいたしますが、今大藏大臣の出席がありませんが、福田政府委員に御質問がありますればやつていただきます。
  134. 稻村順三

    ○稻村委員 福たしますけれども、今度のこの四月暫定予算に二億円以上の公債利子利拂を含めた公債費というものが計上されておりますが、大体においてこの予算が組まれるにあたりまして、この二億のうち軍事公債は一体どのくらいある見込みでありますか。
  135. 福田赳夫

    福田政府委員 暫定予算の二億一千五百万円の中には、いわゆる軍事公債すなわち支那事変関係の公債、並びに大東亞戰爭関係の公債だけについて申し上げますと、約二千万円がその中に含まれております。
  136. 稻村順三

    ○稻村委員 それからもう一つお尋ねしておきたいことは、これは速急に問題になると思うのでありますが、二千万円のうち四月一日に支拂うべきものが、軍事公債でどれくらいあるか。その点をお伺いしたいと思います。
  137. 福田赳夫

    福田政府委員 ただいま申し上げた範囲の軍事公債といたしましては、四月一日に支拂を要するものはありません。
  138. 稻村順三

    ○稻村委員 それでは政府委員お尋ねしたいことは、軍事公債というのは、どの程度の公債をもつて軍事公債と見ておるのかどうか。できれば種類なども伺いたいと思います。
  139. 福田赳夫

    福田政府委員 軍事公債というのは、いろいろの見方があるわけであります。満洲事変からの分も全部入れますとか、あるいは支那事変以降に限りますとか、いろいろ見方があるわけでありますが、満洲事変当時におきましては、特別他の國債と変つた名称をつけておりません。支那事変後になりましてから、支那事変國庫債券でありますとか、さような戰爭に関係のある名称をつけております。太平洋戰爭につきましても、大東亞戰爭何々公債とかいうようなものを使つておるのでありまして、この支那事変公債、あるいは大東亞戰爭公債、これをいわゆる軍事公債と言うのでありまして、その総額は約八百億円であります。この公債に該当するものが四月に二千万円ある、かようなわけなのであります。四月一日な支拂うものはありません。しかしながら、一般の公債の利拂いが四月一日には約一千万円ございます。
  140. 稻村順三

    ○稻村委員 そうすると、満洲事変の用に供したところの軍事公債は、普通の産業建設その他に要した公債との間に、はつきりした区別があるかないのか。支那事変公債、あるいは大東亞戰爭公債というものが出ておりますが、満洲事変のときは、そういつた公債がなかつたのがありますか。
  141. 福田赳夫

    福田政府委員 満洲事変の際におきましては、一般の歳計の赤字を補填するというようなことになつておつたわけであります。と申しますることは、当時におきましては、臨時軍事費特別会計というものを設けずに、一般会計の中に満洲事変費というものを設けておりまして一般会計歳入歳出全体として、その赤字を公債によつておつた、かような状況なのであります。從いまして、その公債には満洲事変何々というような言葉を冠しないで、一般の歳入不足の財源というふうになつておるのであります。從いまして、その公債金をもつてどういう経費にあてたろうかと申しますると、これは産業方面にも用いられ、あるいは満洲事変遂行の方にも用いられたといういろいろな用途があつたわけであります。これがそのうちいくばくが満洲事変そのものに充当されたかというようなことは、現在はわからぬことになつております。
  142. 川島金次

    川島委員長代理 ほかに御質疑ございませんか。それではこのままで暫時休憩いたします。     午後四時五十三分休憩      ————◇—————     午後五時五分開議
  143. 川島金次

    川島委員長代理 休憩前に引続き、会議を開きます。稻村委員
  144. 稻村順三

    ○稻村委員 これは労働大臣に一緒にいてもらつて答弁していただいた方が非常にいいのでありますけれども大藏大臣にまず現在の官公廳の職員の爭議の問題について、一應二、三の質問をしてみたいと思います。それはどういうことかと言えば、四月の暫定予算というものが、今のところから申しますならば、追加予算に現われた二千九百二十円の支拂い全体に関する方法が、まだきまつていないと思うのです。そのでこれをきめないでおくとすれば、四月以降の支給を、どういう基準でするつもりか、その点をちよつとお尋ねしたいと思います。
  145. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お答えいたします。今度の暫定予算には、やはり人件費は二千九百二十円ベース計上しておりますので、委員会が成案を得れば、それに從つてただちに支拂うことができる準備はいたしております。
  146. 稻村順三

    ○稻村委員 これは労働大臣がこなければ、はつきりわからないのでありましようけれども、今度の給與委員会には、國鉄が参加しただけでありまして、ほかの組合はこれに参加しておらないわけであります。今後の給與委員会には、新しくいろいろな組合の代表を入れてしなければならないと思うのでありますが、実は私たちは今度のものを一月から三月までの暫定的な一つの支拂の処置として、この前の官廳職員の給與に関する法律を一應承認したかつこうになつているわけでありすが、四月以降もしもこのベースが変らないにいたしましても、この支拂方法に関しましては、その委員会に他の労働組合の者も参加して、これを納得せしめるということになつてくれば、この給與支拂の方法は、全体としての二千九百二十円のベースは変らないにしても、変つてくるのではないかと考えるのでありますが、その点大藏大臣はどうお考えになりますか。
  147. 北村徳太郎

    北村國務大臣 あの支拂方法に示しております二千九百二十円のうち、一應二千五百円を支拂う。あとの四百二十円については、いろいろな方々に委員になつていただいて、職階制等を加味して、これに基いてその御決定の通りに拂う、こういうことであります。でありますから、それはどうなりますか。結局二千九百二十円というその水準は変りませんけれども、四百二十円の配分については、これは委員会がいろいろ練つて、職階制等の考え方を取入れるということでありますから、さような結論を得次第拂うということになります。
  148. 稻村順三

    ○稻村委員 そうしますと、この給與の方法に関しましては、國鉄ばかりでなく、新しく他の組合の代表者もこれに参加してもらう、こういうことになるのでありますか。
  149. 北村徳太郎

    北村國務大臣 これは廣く呼びかけておるはずでございます。今日決定いたしております給與審議会には、不幸にして國鉄以外の参加を見なかつたのでありますが、廣く呼びかけておるわけであります。どういうふうになつておるか、具体的なことはちよつと私覚えませんけれども、廣く参加を求めて、なるべく労働団体の衆知を集めるということにいたす方針でございます。
  150. 稻村順三

    ○稻村委員 それからもう一つ、労働問題に関連することでありますけれども、新聞発表によりますと、今度の爭議の責任者といたしまして、全財連の首脳部が解職処分になつておるようであります。この解職処分は、官吏服務紀律によつたものであろうと思うのでありますが、もし官吏服務紀律が、これに適用されるものであるならば、それは個人としてのその人間の行動云々が処分の大体基準になつてくる、かように考えております。しかるに今回のような労働爭議という形をとれば、一方において労働組合法によつてこれらの人々の罷業権が認められております。この罷業権が認められておる人間が、罷業の形をとつたといたしますならば、これは單にその人間が服務紀律に反したというような個人的な問題ではなくて、実はこれは一個の労働組合に許された権限の範囲においてこれをなしたという結論が出てくるのであります。政府が今日のような状態のもとに、爭議をやつたから、ただちにこれが懲戒に付せられるというようなことになるならば、民間におきましても、労働爭議をやつて操業がうまくいかないと言つて、同じような口実で、爭議に参加したかどをもつて解職できるのでありまして、そうなれば労働組合法の精神に違反するものと、私は考えますが、この点に関しまして、大藏大臣の所見を承りたいと考えます。
  151. 北村徳太郎

    北村國務大臣 全財の問題につきましては、これは一應官吏として採用せられましたので、官吏服務紀律に基いて職務を遂行すべき責任を負つて雇用せられたものであります。その官吏が、一面労働組合法によつて與えられた権限に基いて労働組合をつくつておるということは事実であります。ただ全財の場合は、これは労働組合法において罷業権が認められておりませんので、從つて罷業は許されないのであります。許されていないにかかわらず、一種の爭議行為をやつたということなのでありまして、これは現に官吏服務紀律に反するのでございますから、一應行政上の処分をした。但し労調法違反等の関係をもつてさらにこれに司法的な処分を加えるかどうかは、おのずから別問題でありまして、一應官吏たる身分に対して、官吏服務紀律を適用したのであります。その上に司法的な処分が加わることもあり得ると考えるのでありますけれども、ただいまのところ、われわれはまず行政的な処分をいたした、かようなことになつておるのであります。
  152. 稻村順三

    ○稻村委員 一應労働組合というものを認められておる限りにおいては、その人間の行動というものは、結局労働組合の団体行動として是認することであろうと私は考えます。その際に団体行動に出たのは、この幹部だけではなくして、その場合には一切の全財連のこの行動をともにした人々が全部その責任を負うべき性質のものであろうと考えるのであります。そうしますと、そういう中の選ばれた特定の人間だけに責任を負わすということは、先ほど申しました通り、とにかく官吏服務紀律に反するということだけをもつて首にする、あるいはこれを行政処分に付するというようなことになりますと、要するにこれは労働組合の禁圧ということになつてくると思うのであります。事実官吏服務紀律で、労働組合がそういうようなものにはいつていけない、いわゆる労働爭議や何かというものは許されていない、こういうのであるならば、私は爭議に参加した全部の人間が責任を負わなければならぬ、少数の幹部だけが責任を負うという理由にはならないと思うのであります。この点大藏大臣はどうお考えになりますか。
  153. 北村徳太郎

    北村國務大臣 官吏はやはり公僕としての官吏の特別の責任を負うておるものでございまして、國家は官吏服務紀律によつて官吏を規制するということは当然であります。從つて官吏服務紀律があるがゆえに、労働組合法を除外するというものでもなければ、労働諸法規は官吏服務紀律と矛盾するものではない。官吏たる身分におい官吏である。それが労働組合法に基いて労働組合をつくつた、こういうことなんでありますから、この二つのものは併存することであります。従つて官吏が労働組合をつくるということは許されておる。但し罷業権のない行政官吏が、殊に徴税のことにあずかる官吏が、罷業権が許されていないにかかわらず、結果として罷業同様の行為をしたということは、これは労調法において労働組合的に司法的な見解として違反行為であるということになるでありましようが、そのことはおのずから別の問題で、われわれは行政官廳として行政官廳の秩序維持のために、かねて官吏服務紀律という法によつて秩序を維持しなければなりませんので、法は空文でないということで処分をいたしました。そうしてこれをいかに処分するかということについては、もちろんこれは委員会等がございまして、委員会の議に付し、その決定通りにいたしたのでございまして、特に労働組合が全員責任があるかどうかというようなことは一つの問題であると思います。これはあるいはむしろ労働法規において考えらるべき問題であるかもしれぬと思うのでありますが、行政的な処分としては、みずからその陣頭に立つて指揮命令をしたというものを、一應処分をいたしまして、そのことは決して不妥当であるとは考えておりませんので、官吏服務紀律というものが存する限りは、これによつて國家の秩序を維持しなければならぬという観点からいたしましたので、それ以外の労働法規に照らして司法的な処分が行われるかどうか、これは私は今考えておりません。私どものなし得る一つの行政官廳の監督の任にあるものとして、以上のような処置をとつた次第でございます。
  154. 稻村順三

    ○稻村委員 私労働運動の実際から考えてみますと、労働組合の決定は、これ必ずしも指導者の決定ではないと思います。要するに幹部はその職場の決議に從つて動かなければならぬ。これは民主的な組織としては当然な行き方であろうと私は思つております。その場合に、幹部という名前をもつておるがゆえに行政処分に付せられるというようなことになりましたならば、これは実際上の問題でありますけれども、一個の労働組合に加入しおる官吏が、それによりまして非常に大きな不平不満が起きたときに、官吏は常に犠牲にならなければならぬ、こういうふうな立場に追いこまれる、幹部は常に犠牲にならなければならぬという立場に追い出されまして、そうして終いになると、こういう非常に不安な状態のもとにおいては、幹部になり手がないということで、結局労働組合が実質上存立し得ないというところにまで追いこまれると思うのであります。從つてわれわれから言うならば、こういうインフレーシヨン進行しておる特殊な時代にありましては、法規そのものを單に機械的に解釈することなしに、よほどその点に関しては幅のある解釈が必要なんではないかというふうに、私考えておるのであります。その点私は今度の少数の幹部を懲戒処分に付したということについては、いたずらに現在は爭議をやりかねないというのは、これは生活の問題からくる事実なのであります。この事実に対して、こういうふうな懲戒処分をやつたということは、いわゆる一番下層の人々をむしろ刺激するという結果になりはしないかというふうに考えられる。從つて私は幹部のみに責任を負わして、この際これを行政処分にするということは、政府の意図するとこちとは反対の結果にいく危檢があるのではないかというふうに考えられますので、この点特に大藏大臣考慮を促したい。かように考えております。従いまして、爭議がこれである程度円満妥結の途がついたならば、こういう立場にある少数幹部の解職処分で一應解職した者を復帰させるという意思を大臣はお持ちであるかどうか。その点をお答え願いたいと思います。
  155. 北村徳太郎

    北村國務大臣 復帰させる意思はもつておりません。
  156. 稻村順三

    ○稻村委員 そうしますと、結局大臣の考え方から申しますならば、官吏は今のような状態のもとにおきまして、労働組合に加盟を許されておる限りにおいて、組合の決定というものを幹部がそのまま執行するということがいけない。こういうふうな結論になると思うのでありますが、大臣はそうお考えになつておりますか。
  157. 北村徳太郎

    北村國務大臣 さように考えておりません。これは組合の実情というものもいろいろあると思いますが、今までの私ども承知した多少遺憾に思いますことは、決定の場合の決定の方式等にも、非常に遺憾な点がある。それから必ずしも全財を指すわけではございませんけれども、中央の指令というものが、どうも考えによつてはフアツシヨ的ではないかと思うほど、中央の指令一本で未端の人は一体何のためにこういうことをするかわからないというような場合が非常に多いのでありまして、この場合に幹部に責任なしという考えもございますけれども、私どもは必ずしもその説をとらないのであります。たとえばこれに反対する者は手をあげてみろ、こういう方式をとると、反対ということを明らかにどうもたくさんの人の前で手をあげにくいというようなことから反対者がない。そうすると満場一致というようにきめられる場合が往々にして行われる。それがために、きわめて自由にして民主的な表現がとられていないというような場合もある。これは完全に無記名投票等によつて表現がとられた場合には、各自の意思がきわめて自由に、きわめて民主的に表現せられる場合があり得るのでありますけれども從つて現在のいろいろな労働団体のいき方の中には、今申し上げたような方式等もありまして、いささか幹部の專断ではないかと思うような節もある場合がずいぶんあるのでありまして、下の方から盛上つて全員の意思が自由にしかも民主的に表現せられたものばかりではございませんから、從つて幹部だけを責めて不都合ではないかというような御意見のようでございますけれども、私はそういう場合も起り得るが、今回の場合はそうでなかつたがゆえに処分をいたしましたと、こうお答え申し上げるようほかにちよつと手はないのでございます。
  158. 稻村順三

    ○稻村委員 そうしますと、大臣はこういうふうな処分になつた人々が、いろいろ組合の事情やなんかもありますし、非常にその判別は困難なのでありますが、この処分になつた人間が確かにそういうふうな專断的な行為があつたという観察のもとになされたのでありますか、それともそういうふうなことの見込みでやられたのであるか、その点ひとつ御答弁願いたいと思います。
  159. 北村徳太郎

    北村國務大臣 これは私が決定したのでなくて、懲戒委員会において幹部に責任ありと認めてさような決定をやりましたので、その通り実行した次第でございます。
  160. 稻村順三

    ○稻村委員 私の聞いているところによりますと、幹部は——しかも幹部全部ではなくて、大体十六人だけが処分されたというふうに聞いているのであります。全財連のような大きなものをどうして十六人という数に限定したのか、また全財連のようなものだと、おそらく執行委員でももつと多いと思うのであります。それからまた常時組合運動に從事している人間も、これより多いと思うのでありますが、この十六人という選定を、どういうふうにしてやつて、それに全責任を負わせるか、私はこういうことも十分に考えなければならぬと思います。労働組合に対する処置というものは、実際われわれとして、先ほど申しました通り、労働組合との関係もあり、また労働関係の調整法などとの関係もありますので、よほどその点を愼重にやらないと、十分公平な処置というような、万人が納得のいく処置ができないで、やたらに労働組合にはいつている人間を刺戟するに止まるとかように考えているのでありますが、この点大藏大臣に御伺いしたいと思います。
  161. 北村徳太郎

    北村國務大臣 どうもそこになりますと、見方が違うということになりますか、見解を異にしているということになるのであります。この場合もう少し率直に申し上げた方がよいと思うのでありますが、委員長のお許しを得れば速記を止め、また新聞社の諸君にもひとつ掲載をお止めを願うことにいたしまして……。
  162. 川島金次

    川島委員長代理 ちよつと速記を止めてください。
  163. 川島金次

    川島委員長代理 農林大臣が見えておりますから海野君。
  164. 海野三朗

    ○海野委員 農林大臣にお伺いいたしますが、去る十二月、薪炭の價格改訂につきまして、政府に申し入れたのでありますが、三月もまさに過ぎ四月になんなんとしておるが、さらに改訂されるような形跡を認めないのであります。生産者價格と消費者價格では約五割の差がある。八貫俵で百三十八円の生産者價格が、消費者價格になりますと二百一円という値段になりまして、その問の六十何円、約五割の差額という、まことにトンネル式な中間搾取が非常に行われておるがゆえに、これをもつと單純化として、一般大衆に税金をかけないようにせよということを、強く申し入れたのであります。その当時いつからこれを実行するかということも、政府当局に質しましたが、期日はまだ明言できないということであつたのであります。果せるかな、今日まで何ら誠意が認められないのであります。この薪炭の價格調整、つまり生産縣、地元のもの、あるいは遠方のものと、値段においては相当の差があつていいのじやないか。そうして東京のごときも炭が非常に高い。ところで生産縣においてはまだすつかり残つておる。山形縣のごときは、莫大な炭が残つておるにもかかわらず、みんなが凍えておるのである。それに対して農林大臣としては、どういう具体的な方策を立案しておられるのであるか。あるいははたしてこれを急速に実行して、一般大衆の生活を樂にせしめんとされる御意見があるのかないのか、この点をお伺いしたいと思うのであります。
  165. 永江一夫

    ○永江國務大臣 お答えいたします。薪炭のごとにつきましては、今お話のように、生産者價格と消費者價格と相当開きがあります。これは御承知のようなプール計算でありますので、生産地の近い所と遠い所において、いろいろ不都合な点があると思います。政府におきましては、こういう面からも考慮いたしまして、適当に改正をいたしたいと思いますが、何分にも薪炭の價格のみを切り離して、今ただちに処置をするということはできませんので、近く一般物價体系が改訂される際に、國会側の御意見を尊重いたしまして、適当な措置をいたしたいと考えるわけであります。
  166. 稻村順三

    ○稻村委員 大藏大臣にもう一つ質問したいことは、公債利拂停止の問題なのであります。とにかく内閣が成立するときに三党政策協定をやりまして、これには利拂停止的措置というふうに書いてあるわけであります。これに対して、きのうの自由党の上林山君などの質問に対しまして、社会党の解釈はこうであつたけれども、必ずしも解釈はさようでないという意味の御答弁があつたようであります。われわれは停止措的置とは言つておりますけれども、実際上申しますと、あれは停止する。実際上停止にならないようであつても、実質上は停止とほとんど同じようなものを含めた意味で停止的措置と、かように解釈しておるのでありますが、これに関しまして、その措置はもし暫定予算を組むとすれば、ただちにそれが問題となつてくることは明らかなのであります。しかるに今日の場合におきましては、この措置に関しまして、なるほど委員会はまだ活動を開始していない意味合いもありますけれども、しかし委員会活動を開始していなければ、與党間に三党主脳部会談などというものがあるのでありますからして、これを予算委員会に提出する前にまず一應の打合せがあつてしかるべきであつたと、私たちは考えております。閣議において與党出身の閣僚がいるのだから、その人の一應の了解を得たということになりますけれども、今日の閣僚は非常に忙しいのであつて、その点党に持ち帰つてその問題を審議するという余裕は、これは社会党ばかりでなくして、民主党側においても、國協党側においても、同じくしばしばあることであろうと思うのであります。その意味からして重要な問題であるだけに、その点は一應與党の間において協議をして出すべきである。しかるにもかかわらず、きのうわれわれが見ますとやつと書いてありまして、その間に首脳部会議をいくたびかなされたにかかわらず、それには何ら問題にならない。そして突如としてこう出されてまいりまして、事実上これは暫定予算でありますので、四月になる前にこれを可決しなければならぬという状態になつてまいりますると先ほど主計局長からは、四月一日に拂うものが二千万円のうち軍事公債は案外ないという話でありますので、これは私たちにとつても、非常に救われたような感じもするのでありますけれども、こういうふうに押しつまつて、ほとんど法的措置も何も講ぜられなくなつてここに予算が提出される、こういうことになりますと、これは財政法によりまして、三月一ぱいに暫定予算ができないといえば、これは一應政府の責任にもなることでありますが、こういうふうな押しつまつてから、初めてこの問題を表面に出してくるということは、われわれにとつてきわめて不満足な感じがする。政府が、殊に大藏当局がこれに関してどれだけの誠意をもつておるかどうかということさえ、あれほど政治的な問題になつておつたので、私たちにとつては、ちよつと疑いたくなるような状態が、今出てきておるのであります。そこで私たちはこういうふうな政治的な問題を処置する場合に、まず第一に問題になるのは、四日一日の支拂の問題に、軍事公債がさいわいにないそうでありますけれども、これに対してはたとえば四月の十五日から支拂うものがあるとするならば、それまでに委員会にかけたり、あるいは與党間の十分な連絡をとつて何らかの措置を講ずる意思があるかどうか、この点もお尋ねしてみたいと思います。
  167. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お尋ねの点はきわめてごもつともと思いますが、これは第一暫定予算というものを出すにあたりまして、御承知の六・三・三制の問題と災害復旧費という問題を何とかしてこれを生かしたいと存じましたので、どうもだんだん時間が経つてしまいまして、ついきわめて押し迫つてから出すということを余儀なくされたという事情がございますことが第一。それからこれはさように押し迫つたものですから、各與党間にこのことについてあらかじめ御相談をすることができなかつた。それで各党出身の閣僚がおられるものですから、これに御相談をして了解を得れば、それぞれの党へお諮りくださるか、あるいは党を代表してこれを是認するとか否認するとかなさるという考え方からいたしまして、閣僚間で了解を得て、閣議決定で提案をした。こういうことになつておりまして、かような重大な問題を事前にいわゆる與党の連絡会議等にかけなかつたのはなぜかと言われると、はなはだ恐縮する次第でありまして、その点はそうして方が非常によかつた、こう考えるのでありますけれど、何分にも六・三制と災害復旧のために実は奔命しておりまして、そうしてぎりぎりになつてかくのごとく非常に無理な同審議を願うというような事態になつだという事情等を御了解を願いたいと思います。  それからその次に四月一日に拂わねばならぬものだと私聞いておつたのでありますが、ただいまのお言葉ではそうではなくて十五日ということで、これは二週間ほど期間があるのであります。ところが御承知通り公債はあと拂いでございまして、前の六箇月分を今拂うのであります。それから法を改正いたしましても、法は大体將來に向つて効果を発生すべきもので、その点は公債等に関する價値連続の原理というような一つの鉄則に基いて價値が連続しなければならぬという原理から、あと拂いの利子を將來に向つてはよろしゆうございますけれども、過去六箇月にさかのぼる結果になりますので、このことは法的の措置として少し無理があるのではないか、こういうふうに考えますのと、すでに委員会ができたのでございますから、これはなるべく急速に解決をみまして、こういうことにおいて論議が行われることを省るために、一日も早く委員会の決をみたい、かように考えておるわけであります。政府といたしましては、政策協定はこれを忠実に守るということは間違いないのでありますから、委員会をなるべく早くいたしまして、稻村氏の御希望、あるいはただいまの御意見に副うような方向に努力をいたすということを申し上げたいと思います。
  168. 稻村順三

    ○稻村委員 そこでどうもきのうの委員会の解釈と、われわれの聞いておる解釈との間には、非常に相違があるようでありますが、ここで私たちが一應金を押しておきたいことは、すでに政策協定の上で公債利拂的措置と言つておるのでありまして、これは的という言葉には、いろいろ解釈もありましようけれども、公債利拂に衣たような、実質上はこれと同じような措置を含めておるという意味において、われわれは利拂停止的措置と考える。しかもそれをやるかやらないかということを、その委員会審議するのではなくて、すでに政策協定においてこれを措置をとるという決定をみておるのでありますから、そういう利拂停止もしくはそれと本質的に同じような作用を有する措置をとるということを前提にして、その具体的な方法をどうするかしいうことを檢討するというふうに、私たちは解釈しておるのでありますけれども、その点に関する大藏大臣の所見を、もう一度聽いておきたい、かように考えております。
  169. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいまお話があつたほど私は窮屈には考えていないのであります。それでこれは利拂停止問題を委員をあげて処理する、こういうことで、われわれはその線を非常に主張しておつたわけであります。けれども停止的措置という言葉を使うことになりましてので、停止的措置になつたのでありまして、この点はここではつきりすることは、きわめて困難でありますけれども、これは文言に從いましてよろしいと思います。停止的措置についてという文言に從うということを、ここで申し上げて御了解願いたいと思います。その文言の現わす通りのことに御理解願つてよろしいと思います。さよう御了承願いたいのであります。
  170. 稻村順三

    ○稻村委員 そうすると、停止的措置ということが、私の解釈したような意味においての停止的措置、こう解釈してもよろしいという意味でありますか。
  171. 北村徳太郎

    北村國務大臣 これは卒直に申し上げますと、私の見解と少し違うのでありますが、それはそういうふうに解釈してよろしいと思います。
  172. 稻村順三

    ○稻村委員 それで、委員会の問題でありますが、この委員会はいつごろから発足するという見透しであるのでありますか、そしてまた私たちは、こういうふうに考えておるのでありますが、実は委員会の構成の中に、民主自由党の人もはいつているようであります。しかしながら、民主自由党は、初めから停止的措置というものに対しては反対な人であります。その党を代表して入れるということになれば——停止的措置を講ずるということになれば、私はやはりその措置を前提としていかにするかという問題でありますので、初めから停止に反対の人間がこの委員会に構成メンバーとしてはいるということは、結局その委員会の機能を十分に発揮せしめるゆえんでないと、かように考えているのでありますけれども、その点に関する大藏大臣の御意見を伺いたい。
  173. 北村徳太郎

    北村國務大臣 そこまでまいりますと、さつき私が申し上げたことと少し食い違つてくるわけで、それで稻村君の御理解の通り考えていただいてよろしいと申し上げたのはその点ですが、率直に申しますと、私ども白紙の関係でこれを処理したい、從つて第一党たる自由党に加わつていただいた方がいい、自由党としてどういう見解であるかということは、しばらく別問題として……。結果としてはおはいりにならなかつたのです。さらにこれは労働組合その他の方もなるべく多数入れた方がいいということで、そういう方々を入れた。それからいつごろこれが開かれるかということは、なるべく急ぎたいと考えております。これは官房長官が世話人ということになつておりますから、官房長官と連絡をとりまして、なるべく早くこれを開くようにいたしたいと考えております。
  174. 稻村順三

    ○稻村委員 私はこういうことに念には念を押すのは、われわれの多くの人々の間には、いろいろな点で自分たちは公党としての責任をもつて意見も発表しているのでありますので、この点もしもこの四月の暫定予算に、これが技術的な意味で、こういう問題を論議して、それを具体化するというまでにはいかなかつたということでありますが、それならば、たとえば、本予算がもし五月にできない場合には、五月の暫定予算というような問題になつてくると思います。それで五月の暫定予算には、もし出たとしましても、大体大藏省の数字によるというと、五月には公債利子は零でありますので、この点に対して暫定予算では問題にならぬと思いますが、少くとも六月以降の予算の組まれる前には、本予算が組まれるというような場合には、この問題の結論をいかにしてそれまでに処置するかというこの措置に関しては、われわれは具体求な措置というふうに解釈しておりますが、その点多少の意見の相違があつたといたしましても、それまでには具体的な結論が出るかどうか、出す用意を大藏当局としてしておるかどうか、その点を御答弁願いたいと思います。
  175. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいま申し上げましたように、なるべく委員会を急ぎたい。それで本予算の場合には、この委員会の結果に基くようにいたしたい、こう考えている次第であります。  なお、これは私が非常にむずかしい立場におりますことは、現在の日本の公債は、ほとんど無記名であります。登録公債もありますけれども、大体原則として無記名でございまして、これが相当日本人以外の外國人の手に渡つております。從つて過去六箇月の既往の利息に対して、これをただちに突如として停止するといえことがあつては、國際信用上重大な結果を來す点もありますので、ここでそれらのことについて、余り明瞭なことを申し上げることを、多少はばかつたわけでありまして、その点も御了承願いたい。今公債の時價は六十何円かでありますから、そういう点から、この利回り等を考えて、日本の公債を所有されている者が少くないということでありまして、無記名でありますから、これはたれがもつてもしようがないのです。しかし無記名でありますけれども利拂の場合に、その日本人以外の人々に対して、過去の分には——これから法律が出て將來に向つて利拂を止めるということは、これは当然の法律的措置でありますけれども、過去に遡及して、これぎ支拂われないということによつて、日本人以外に相当大きな経済的な打撃を與えるといたしますならば、このことが日本の今おかれているいろいろな実情から、相当影響することろが大きいという点も考えまして、今までいろいろ申し上げておつた次第でありまして、その点もひとつ考慮の中に入れていただきまして御了解いただきたい、かように考えております。
  176. 稻村順三

    ○稻村委員 なお今度の予算の中に、政府資金というのがありまして、これが約十五億で、これは復金に対する出資であると当局は説明をしておるのであります。ところが復金に関しては、いろいろ大きな問題がたくさんあるのでありまして、私はいつか復金の金融と、それから昭和電工に対する金融問題で一度お尋ねしたことがあるのでありますが、十分な結論も得られなかつたのであります。なおその後私いろいろの所から材料をもらつておるのでありますが、昨年の十二月に復金から大体五億昭和電工は金融されておるのでありますが、その中の実用資金といえば三億五千万円であると、かように言われておるのであります。これは昭和電工の人自身がそう言つておるのであります。しかるに施設の方面には三億五千万円の実用に対して五億円を借りて、その中の五千万円はこれを運轉資金にまわしてしまう、そしてあと一億円はその行方がはつきりわからないということが言われている、こういうことが大藏省当局においてもはつきりおわかりなのかどうか、その点もひとつ御答弁を煩わしたい、かように考えております。  なお復金等から金融されたものが昭和電工に行つた場合にその昭和電工の金の使い方においては実に明確でないものがある。たとえて申しますならば、私たち聞いておるところによりますと、復金では建設資金の中から湯河原に厚生療を買つている、こういうような話もあります。さらに部長課長は全部会社から家を買つてもらつている、そして毎月大体一万円以下のボーナスを部課長連中はもらつている、こういうような話もあります。こういうことは、すべて私は制限会社令の違反ではないかというふうに考えるのであります。さらにもう一つ不正事実としては、とにかく制限会社であるにもかかわらず、大きな事務所を買收して、さらに乘用車を幾台も新たに購入する、こういうこともあえてしている。私たちはこういうふうに復金から金融されて——確かに前に十二億、これは建設資金として借りまして、それが私は非常な不正な方向に使われておるのではないかという質問をした第一の点であります。その後八億円を借り、五億円を借りたというのでありますから、全部で二十五億くらいな金融が一会社に対してなされておるということだけでも、驚くべきものなのにかかわらず、その金の使い方が、こかなふうに混乱しておるという事実が、もしあるものとするならば、ゆゆしき問題である。國民の非常に重税の中から出資してきた政府の金が、こかなところへ使われているということがあるならば、一大問題であろうと思う。  また私は名前を言いません。しかしあるデイーゼル会社でありますが、これに対して二千万円の融資を復金がしたときに、復金の責任者だれということは言いませんが、責任者から二千万円融資したからといつて二割の報酬を要求された。つまり二千万円貸して四百万円の報酬を要求した。これに対して、それではといもやり切れないからというので、頭を下げて勘弁してもらつて一割に負けてもらつたという事実があるのです。これは私は事実その会社の責任者から聽いておる。こういうようなことが復金において行われているとしたならば、わずかな暫定予算においても、十五億の金を金融しなければならぬということになつているものとするならば、私はこの監査に対して、政府は責任をもつてするという確固たる御答弁を願いたいと思うのであります。もしそういうものがあつたならば、断固たる処置をとるという決意を表明していただきたい、かように考えます。
  177. 北村徳太郎

    北村國務大臣 私は多年金融のことに携わつてまいりまして、金融機関の徳義として、公開のところで債務者の行為を云々することは控えておつたのでありますが、ただいま稻村君からお話がありましたので、もしお話のようなことが事実であるならば、これはきわめて重大であります。私も復興金融金庫に対しては、監督の責任を負つておる者でありますから、それがもし事実であるならば、必ず適当な処置をとるということを、はつきり申し上げておきます。  この場合に一應復興金融金庫について一般的なお答えをいたしておきたいのでありますけれども、御承知通り、日本の産業経済の復興に必要にして、しかも一般の金融機関から資金の供給を受け得られないようなもつについて、復金が金を出すということになついてますから、そのこと自体が、復金は日本の経済復興に必要であるけれども、非常にリスクか高くて、一般の金融機関ではやれないことをやるということでできたものですから、危險率が高いということは、復金ができた当時の本來の性質から見て、当然であろうと考えるのであります。ところが危險はいくらおかしてもかまわぬ、おかしつぱなしということになつては相なりませんので、從つて金融資につきましては、復興金融委員会がありまして、これは日本銀行を初め関係当局が出ておりまして、從つてたとえば復金で融資をいたしましても、現下の事情において運轉資金ならば、これがほんとうに材料の仕入れができるかどうか、その材料はどこから買うのかというようなことがなければ、いたずらに資金を貸したのでは、目的に反することになります。從つて関係各省間に十分な連絡があり、安本とも連絡かありまして、これだけの融資をする場合にはこれだけの仕入れができるということを具体的に押えなければ、大体融資しないということになつておりますし、あるいは建設資金であるか、あるいはの他の仕入資金であるのか、それらのことについては、関係者において委員会を開く。その前に幹事会を開いて、幹事会で一應の下調べをして、そうして委員会を開いて委員会において決定をいたしまして、その上で貸出をするというようなことに相なつておりますので、この点についてはお話のようなことがそう超るものではないと、私は考えております。  それからもう一つは、貸出して後の爾後の監督について、特に非常に嚴重な注意を発しております。今後出しつぱなしではいけない。ただ問題は復興金融金庫の特殊な性格に鑑みまして——特殊な性格と申しますのは、一つにはこれはここで申と上げたこともあるかと思いますけれども、一般の金融機関ならば、信用を與えることと、受はることと両方やる。興信と受信と併せてやる。すなわち受入れし出すことと併せて行いますために、活動をする企業はどんどん物を賣るとか、製品が販賣されるとかいうことがあれば、そこからどんどんはいつてくる。それから給料にいくら拂う、何にいくら拂うというようなことで出ていくということで、きわめて動的な動きというものがその金銭の出入りを通じて確実に把握できる。これが復金においてはできない。どうも復金は貸すことを専門にしていて、受入れることができないことになつておりますので、この点に復金は欠陷があるということを、私は指摘しております。將來復金のあり方につきましては、なお檢討を要すると思つておるのでありますが、さような点において、少くとも復金に関しては監査がなかなかやりにくいという点がございますので、この点特に注意いたしまして、人員等を増して、大藏省としても相当直接の監督をいたしたいと思つておりますし、復金自身の監査機能も、十分発揮させるようにいたしたいと考えておるのであります。ただいま会社の名をあげ、またいろいろ具体的な数字をあげてのお話がありましたから、私の方でも調査いたしますけれども、もしさようなことが事実でありますと、容易ならぬことでありますので、この点については、相当な決心をもつて臨むということを申し上げておきます。
  178. 稻村順三

    ○稻村委員 私の質問はこれだけにしておきます。
  179. 川島金次

    川島委員長代理 この際安定本部から佐多政府委員が出席しておりますので、きわめて簡單だそうでありますから、海野君の発言を許します。海野君。
  180. 海野三朗

    ○海野委員 纖維品、それから糸の配給についてでありますが、東北、北海道から九州のはてまで、ほとんど一律に配給をしておるように、配給課長からお話がありましたが、それでは非常に困る。寒い方はよけい着物を着なければいけない。從つて着物が早く切れる。纖維品の配給なども、寒い方は暖かい方に比べてよけい配給してもらわなければいけない。こう考えるのでありますが、その辺について安本はどういうふうにお考えになつておるのでありましようか。
  181. 佐多忠隆

    ○佐多政府委員 今の御質問の纖維品につきましては、仰せ通り、今一應各地方一人当り一律に配給率をきめておるのであります。というのは、おつしやる通りに、各地域差なり、地方別のいろいろな点を配慮して、さらに詳しくそういう差別をつける必要もあるかと思いますが、まだそこまでに事務的な準備が整いませんので、今のところは一律にやつておるわけでございます。ただ糸の種類、布の種類その他については、そういう地域差なり何なりを若干考慮して配給をきめるというようなことは、今でもやつておりますし、労務加配などについては、特にそういうことをさらに配意したいとは思いますが、今の段階は今申し上げましたような程度で配給いたしております。しかし御指摘の点は、非常にごもつともな点と思いますので、さらに研究いたしまして善処いたしたいと思います。
  182. 海野三朗

    ○海野委員 前議会におきまして、安本の配給課長を議会へ來てもらつて話を聽きましたときに、これは上の方からそういう命令がなければ、自分のところではできないのだというような話でありましたが、安本としては、ほかのことよりとにかく國民生活、私どもが家庭においてほんとうに困る、つまり婦人の立場からやんやん言われるようなこの糸の配給、纖維品の配給については、でき得る限り早く地域差、氣候、そういうことを考慮に入れて配給するようにしてもらいたいと思うのでありますが、これに対して安本としては、それだけの御決心がおありになるかどうか、ただだらだらと見送られては困ると私は考えるのでありますが、安本の御決心を承りたい。
  183. 佐多忠隆

    ○佐多政府委員 御質問の、上の方から命令がなければそういうことはできないということは、ちよつと言い過ぎでありまして、決してそういうことはないと思います。そういう配給の量なり、地域差なり、そういうものがもし必要であるとするならば、日本政府が日本政府の責任においてやれると思いますが、ただ問題は御承知通り、纖維製品等につきましては、輸入原材料を使つて向うの回轉基金なり、あるいは救済勘定の資金をもつて購入し、一應原則としては輸出に向けて、そのわずかな部分を内需に流すことを許されているというような特殊な状況にございますので、そういう配給の單位数量なり、あるいは配給の方法等については、関係当局とも緊密に連絡して、先方の同意を得なければならないというような特殊な関係がありますので、單純にはまいらないと思いますが、研究いたしまして、もしそれが絶対に必要であるというような結論に達しますれば、そういう心組で関係当局とも折衝することは、当然だと思つております。
  184. 海野三朗

    ○海野委員 糸の配給などは非常に少いのでありますが、やみ市場を見ると、木綿糸の白いやつも、黒いやつも、絹糸でも、たくさん流れておるのであります。あれは一体どうしたわけでありましようか。そうして配給の糸というものは、非常に少い。北海道からも九州南端まで、みな一律に同じ割合に配給するということは、実に私は当を得ていないものだと考えております。やみ市に流れておるところの糸、それらに対しては、安本ではどういうお考えになつておるのでありましようか、これをお伺いしたいと思います。
  185. 佐多忠隆

    ○佐多政府委員 やみ市に相当たくさんのものが流れておるというお話でございますが、実はやみ市に的確にいくらぐらい流れておるか、從つて全体の國内における配給量の中に、そういうものがどのくらいの比率を占めるかということは、未だ正確なる調べがついておりませんので、どの程度のものだと申し上げることはできないのでございますけれども、御説の通り、非常に乏しいものを割いて配給しておる貴重な品物でございますので、流通秩序の確立その他の政策をさらに徹底いたしまして、横流れのないように、從つて配給に計画されたものは、全部配給のルートから配給されるように、万全の処置を講じたいと思います。
  186. 海野三朗

    ○海野委員 纖維品につきましては、縣の商工課あたりで配給されるもので、やはり職場に対しても特別なる配給というものがどの程度行われておるのでありましようか。たとえば商工課に來ておる外套のごとき物は、数をどういうふうに各縣に割当てておるのでありましようか、その辺もちよつとお伺いしたいと思います。
  187. 佐多忠隆

    ○佐多政府委員 そういう具体的な点については、実は生活物資局の方で扱つておりますので、私の方は今資料の持合せもございませんので、はつきりわかりませんが、他の機会において関係の方から御説明いたしたいと思います。
  188. 川島金次

    川島委員長代理 明日は午前十時半から会議を開くことといたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後六時十五分散会