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福田政府委員 ただいま大臣からの説明を補足いたしまして、お手もとに差上げてあります
昭和二十三年度
暫定予算概要という資料に基きまして御説明申し上げます。
この概要の第一枚目の紙がただいま大臣から説明した
通りでありまするが、第一表に
歳入が掲げてあります。
第一表をごらん願いますと、
歳入の総額は二百四十五億九千万円ということに
なつておりまして、この
算出方法といたしましては、目下二十三年度の本
予算を檢討いたしておるのでありますが、一應の
現行税制その他制度に基きますところの十二箇月分の見透しを立てまして、その十二箇月分をここに計上いたしたわけであります。しかしながらこのトータルは二百四十五億ということになりますが、実際の收入は、四月にはなかなかさように多額には上つてこないのでありまして、実際の收入といたしましては、百三十億程度しかありません。從いましてその差額百二十億近くというものは、これは
國庫金で何とかしなければならぬという状況に相なります。その百二十億円は
予算総則にも掲げてありまするが、
大藏省証券の発行によつてこれを支弁いたしたいと思つておるのであります。
歳入面におきましてはただいま申し上げました
通りの状況でありまして、特別申し上げるような事項もないのであります。
それから次に
歳出面でありまするが、第二表は
予算書の部別によりまして
歳入歳出を区分いたしたものでありますが、これは後刻申し上げる資料と重複いたしますから、ただ單にごらん願うことにいたします。
それから第三表、これは
歳出面の
所管別を掲げたものであります。それから第四表は、
予算面はこの
通りの数字は出てまいりませんが、
予算面を分析いたしまして、これを
重要事項別に区分いたすということにいたしまして、ごらんに入れたわけであります。これによりまして
歳出の大体を御説明申し上げます。
歳出は、ただいま大臣からの説明にもあります
通り、
人件費は二千九百二十円
ベース、それから
物件費は現行の
予算單價、すなわち昨年の
補正予算において修正された單價によつておるわけであります。それから
予算の内容といたしましては、原則として新規の
経費を見ない建前をとつたのでありまするが、以下申し上げる諸点におきまして、新しい事項を若干含んでおるという次第であります。
まず
終戰処理費でありますが、
終戰処理費は二十二年度の
予算が六百四十二億七千三百万円と
なつておるのであります。これは昨年度の
補正予算におきまして、当初の二百七千億
予算をかように増額したのでありまするが、増額をした結果月大体八十億円くらいの
予算に
なつておるのであります。今回はそれより下りまして、五十九億円というふうに
なつております。二十三年度
暫定予算としては五十九億円、これはどういうことかと申しますと、四月分といたしましては、大体六十億円見当でよかろうかというふうに考えたのでありますが、この
予算を編成した後におきまして、
予備金を一億円計上するということにいたしたのであります。
予算の総体を動かさざる建前からこれを一億円減らしまして、五十九億円というふうにいたしたわけであります。現在の
予算の月八十億円につきましては、大体そのうち半分の四十億円というものが、進駐軍諸
施設の
維持管理に要する
経費であります。残りの四十億円が
新規宿舎の
建設費彗また兵舎の
建設費、道路の
建設費、その他建設に要する
経費であります。その
維持管理に要する四十億円につきましては、大体二十三年度におきましてもさような
経費が必要じやないかというふうに考えられるのでありますが、
建設費につきましては目下
関係方面とも
打合せ中でありまして、この
打合せの結果によりましてはいかになるか、目下のところ見透しは困難でありまするが、
暫定予算といたしましては、
維持管理を四十億円と見、
建設費を二十億円と見まして、六十億円というふうな金額を計上いたしたわけであります。
次の
賠償施設処理費は、今年度の
予算は三十六億円でありまするが、
暫定予算は三億三千六百万円を計上いたしたわけであります。本年度の
予算といたしましては、撤去の工場の数を、
軍需工場大体十七工場というふうに考え、それから撤去される
施設がトン数にいたしまして六万トンというふうに考えたのでありますが、大体実行の見透しといたしましては、本年度は五万二千トン、十七工場というふうに相なる見透しであります。二十三年度の見透しにつきましては、
関係方面と
打合せ中でありまするが、まず四月といたしましては大体昨年度の調子を続けて、一向差支えなかろうかというふうな見透しでありまして、ここに三億三千六百万円というものを計上いたしたわけであります。
價格調整費につきましては、本年度は二百三十八億五千三百万円でありまするが、このうちいわゆる
安定帶物資という分が百七十億円がはりでありまして、その他は主として食糧の
関係のものでありました。
暫定予算におきましてはこの
安定帶物資の分のみを計上いたすことにいたしまして、十五億円というものを計上いたしたわけであります。
次に
物資及物價調整事務取扱費は、物資の
割当事務をやつている
関係、並びにもろもろの公団に対する
経費を含むものであります。公団につきましては二十二年度の過程におきまして、相当多数の公団ができました
関係上、数は非常に殖えてまいりまして、二十二年度
予算では二十四億四千万円でありまするが、
暫定予算では八億八百余万円を計上するというふうにいたしてあるのであります。内容的には格別なことはないのであります。
公共事業費におきましては、百四十七億四千六百万円の本年度の
予算に対しまして、二十三年度分十一億七千九百万円を計上いたしておるのであります。この十一億七千九百万円の内訳といたしましては、災害の
関係が四億六千九百万円であります。その他
一般公共事業の
関係から六億七千六百万円と
なつておるのであります。災害の
関係四億六千九百万円は、二十二年度の夏の災害が主たるものでありまするが、その以前のものも、またその他の災害も含まれておるわけであります。二十三年度に新しい計画としてさような復旧をいたすというものでありますが、二十二年度の
補足分というものをこれには含んでおらないのであります。また十一億七千九百万円の中には六・三制の二十二年度における
補助金に相当する六億四千万円の額を含んでおりません。
次に
地方分與税分與金であります。
地方分與税分與金につきましては、ただいま
政府におきましては、
中央地方を通ずる財政の調整ということを
檢討中であります。從いましてこの金額は、本
予算におきましては相当変化を見る
可能性をもつておるのでありまするが、その
暫定予算といたしましては、大体二十三年度の
地方財政における
歳入歳出総額を、かりに千四百億円くらいと押えまして、二十二年藤の
地方財政における分
與税のウエート、すなわち百分の二十一というものを千四百億円に乘じまして、その十二箇月分をかりに計上するという措置をとつたのであります。
次に
地方警察費國庫負担金、二十二年度二十二億九千百万円でありまするが、これに対しまして七億円を計上したのであります。
地方警察費の
國庫負担金につきましては、
地方分與税分與金と同樣に、
地方中央の
財源調整の
関係から、これまた
相当異動を生ずる見込みでありますが、
暫定予算といたしましては、前年度におきまして
地方警察費國庫負担金に附属する額約十三億円があるのでありまして、そのうち約半額をここに計上いたすということにいたしたのであります。
次に
住宅復興資材費、前年度は七億円、本年
暫定で一億百万円を計上しておるのでありまするが、この
住宅関係につきましては、ただいま
建設院当局と二十三年度の全体の計画を
檢討中であります。
暫定予算といたしましては、さしあたり二十二年度の四万四千戸計画に要する金額の十二分の一額だけ計上いたすということにいたしたのであります。
次に
政府出資金、
昭和二十二年度は七十一億二千四百万円に対し、
暫定で二十億百万円であります。この二十億百万円のうち、十五億円は
復興金融金庫に対する
出資金であります。四月中に十五億円の額だけ
復興債券の
償還期が到來するのでありまして、その
償還期が到來したものだけにつきまして、
償還資金を
政府から出資するということにいたしまして、十五億円であります。残余の約五億円は
閉鎖機関、すなわち南発でありますとか、
産業設備営団でありますとか、あるいは
外資金庫でありますとか、
住宅営団、あるいは
更生金庫でありますとか、あるいは
日本石炭でありますとか、さような
閉鎖機関の整理が進行いたしまして、これに対して整理の貫徹のために
政府から拂い込むというのが四億四千六百万円であります。それから
日本銀行に対しまして五千五百万円、すなわち
政府の未
拂込みの全額を拂い込むという計画であります。さらに皇室から
財産税として引継ぎました三菱重工業の株式でありまするが、これを十八万七千円四月中に拂い込むということにいたしております。
次に
國債費でありまするが、
國債費は
暫定予算二億一千五百万円であります。このうち四月中に國債の
利拂いが到來する
関係で、必要なる額が八千七百万円であります。その他
借入金の
利拂いが五千九百万円、
大藏省証券の
割引量が六千八百万円、その他
事務費として十万円という内訳に
なつております。
次に
損害保險その他
補償金でありまするが、これは御承知の
通り戰爭死亡傷害保險という制度と、
戰時特殊損害保險という二つの制度が戰時中にありまして、この
生命保險並びに損害保險を実行いたしました結果、
会社側に生ずる損失は
政府がこれを補償する建前に
なつております。この補償に必要な
経費であります。その損失の総額は
生命保險で十億九千五百万円、
損害保險で二百三十八億二千万円、合計いたしまして二百四十九億一千五百万円というふうに相
なつておりますが、二十一年度の
予算におきまして二百十一億円を計上し、二十二年度の
予備金におきまして五千万円を計上いたして、残額が三十八億六千五百万円というふうに
なつております。
暫定予算におきましては、そのうち三億円を計上するということにいたしたのであります。
次に
同胞引揚費であります。これは
在外同胞が二十三年度中には全部
引揚げるという計画をもつておるのでありまするが、その四月中に要する
経費を計上いたしたわけであります。
次に
帰還輸送費、これは同胞が
引揚げるにあたりまして、これを海上輸送するために必要な
経費であります。その四月分のものであります。
次は
小学校教員給與國庫負担金、これは前年度は三十九億一千二百万円でありまするが、
暫定予算におきまして二十二億四千六百万円、これは二十二億のうち
過年度すなわち二十二年度の
不足分が九億円はいつております。その他約十三億でありまするが、これは二十三年度の第一・
四半期に要する分を四月に支拂うということに
なつておる
関係上、十二分の一という計算には
なつておりません。すなわち第一・
四半期所要分をここに計上してあるのであります。
次に
新制中学校の
教員給與國庫負担金でありまするが、これまた同樣であります。
過年度分がこの中に一億円はいつております。その他は第一・
四半期に要する
國庫負担金であります。
次に
盲聾唖教育義務制実施費、今まで申し上げました事項は、すベて二十二年度において計画され実施されておるものでありまするが、
盲聾唖教育義務制は、二十三年度における
新規施設にかかわるものであります。すなわち新規に
盲聾唖に対して
義務制を施行しようということであります。これは金額もわずかでありまして、百三十九万円程度のものでありますので、この際人道上の見地よりこれを、
暫定予算であるけれども、年度の
関係もありますので、実行いたしたいというふうに思つております。
盲聾唖の生徒十人当り、先生を一・五人くらいおくということで、教員の数が三百三十三人というふうになるのであります。この給料、
事務等に要する
経費が百三十九万円であります。
次は
生活保護費、二十二年度
予算は四十八億五千万円でありますが、
暫定予算におきましては五億六千四百万円といたしておるのであります。大体におきまして前年度
通りの
施設を行うという一箇月分の
所要額であります。
次に
國民健康保險関係経費、前年度三億七千九百万円に対しまして、
暫定予算では六千四十万二千円を計上しております。これまた前年度の
施設を大体において踏襲するというものであります。
次は
失業保險であります。前年度は十億円の
予算であつたのでありますが、
追加予算の財源に充当した結果これを減額いたしまして、五億円というふうに相
なつております。二十三年度の
暫定予算は三億五千六百十二万六千円というふうに
なつております。
失業保險につきましては、昨年の十一月にこれが実施されまして、そうして六箇月間は
手当制度で臨時的にいくというふうに
なつております。從いまして五月から本格的の
保險制度に移り、四月
暫定予算の期間におきましては、未だにこの
手当制度が続くのであります。この
手当制度が続くということにいたしまして、この
手当金に必要な金額を一箇月分計上いたしたわけであります。
ベースは二千九百二十円
ベース、被
保險者を四千七十万人と前年度と同等に見てこれを計上したのであります。ただいままでの
失業保險の
実施状況を見ますと、非常に支出が少く
なつておりますので、この金額がはたして必要であるかどうかということはわかりませんが、とにかく前年度と同じような建前で計上するということにいたしたわけであります。
それから
農地改革費、二十二年度は十七億一千六百万円でありますが、
暫定予算におきまして六億一千八百万円を計上する。これは
農地改革が現に進行しておるのであります。
農地改革進行のために必要なる
経費は、
自作農創設特別会計において計上いたしておるわけでありますが、
一般会社におきましてはこれを推進するための
農地委員会の
経費を補助するというものであります。
次に
貿易資金特別会計繰入、これは四百三十六万六千円と
なつておりますが、これは
貿易資金特別会計で必要な
事務費を
一般会計から繰入れるものであります。これは法律に明記されておる
通りであります。
次が
貿易資金繰入九億五千万円の前年度に対しまして今回は繰入をいたしません。この
貿易資金につきましては二十二年度におきまして
補正予算で九億五千万円の繰入のほかに、五十五億の
予算をとつたのでありますが、それが
追加予算財源等に充当されまして、
補正予算で組みました額は、全部これを減額いたしておるのであります。減額いたしました趣旨は御承知の
通り、
貿易資金における輸出不振による赤字の減少というものであります。二十三年度におきましても黒字は出るけれども赤字は出ないという状況でありますので、これを零にいたしております。
次は
炭鉱臨時國家管理でありますが、
暫定予算で千三百四十六万二千円を計上いたしております。
炭鉱國家管理は前年度におきましては
準備費のみを計上いたしたわけでありますが、本年四月からこれが
実施過程にはいるわけであります。すなわちこれに要する
石炭局の人員に要する
経費、それから
石炭管理委員会の
経費等がこれに計上されておるわけであります。それから次は
政府事業再建費、これは名前が適さないのでありますが、
政府事業再建費というものは、
特別会計として
政府がやつておる諸々の
事業、
國有鉄道、
通信事業、
預金部、
簡易保險、
郵便年金等の
特別会計、それに繰入れするに必要な
経費を、この
政府事業再建費という名前のもとに一括しておるのであります。前年度は、
國有鉄道、
通信事業、
簡易生命及び
郵便年金預金部等で繰入れを要するために、百六十四億一千五百万円を要したのでありますが、
鉄道通信につきましては、
独立採算制を堅持するという見地から、
一般会計からは
暫定予算として繰入れをいたしません。その結果一億三千二百万円というものは
預金部に対する繰入れのみを計上するということにいたしたのであります。
次は
船舶運営会補助でありまして、前年度は三十三億一千万円でありますが、
暫定予算は四億五千万円でありまして、これは
船舶運営会の赤字を補填するものであります。
船舶運営会の
赤字補填につきましては、
船舶運営会独立採算の見地から
目下檢討中でありまして、本
予算といたしましては相当赤字を解消し得る見透しでおりますが、
暫定予算といたしましては、從來の
料率等を踏襲する結果、四億五千万円の赤字を生ずるものであります。次に年金及び恩給、これは格別のこともありません、
刑務費においては、
刑務收容者の
増加等の
関係を織こんで、その一箇月分を計上したわけであります。それから
予算費は一億円計上いたしました。
それから雜件といたしましては、ただいま申し上げましたほかの
経費を
所管別に掲げたわけであります。このうち
新規施設に属するものは、
内閣所管におきまして
治水調査委員会というものが一万円であリますが、これは治水というものが非常に重要な題目と
なつてまいりますので、治水調査会を設置するというための一万円であります。それから大藏省所管におきまして五億五千四百万円のうち一億円、金資金持別会計に繰入というのがはいつております。これは新しい事項であります。この金資金
特別会計におきましては、産金を一切ここで買上げまして、そして司令部の許可に從いましてこれを民間その他の賣拂うわけでありまするが、その産金の買上資金が不足いたしてまいつたのであリます。これはもちろん買上げて賣拂うのでありますから。收支はバランスするのでありますが、過渡的に買つてから賣るまでのつなぎとして、資金の不足を生ずるのでありまして、それをここに一億円計上いたしております。
農林省におきまして新規の
施設しとて、飼料作物の原種圃補助、すなわち家畜の飼料を改良しようという見地から、その原種を
政府がつくつてやるのでありますが、これのために三十四万九千円計上しております。それから世界農業センサスというのが一九五〇年にあります。そのために日本としても農業調査をする必要があるというので、七万九千円、それから農業協同組合の指導監督費十万六千円、この事項が昨年度以外に新規として計上いたしたものであります。それ以上は全部昨年度の系統、すなわち昨年度の十二月分を一箇月延ばしまして、十三箇月にいたしたというふうに御了承願いたいのであります。單價等は昨年申し上げた
通りであります。
次は第五表の
特別会計でありまするが、
特別会計は
一般会計において申し上げた原則に基きまして計上いたしてあるわけであります。
通信事業特別会計並びに鉄道
特別会計におきましては、收支の差額につきまして、本
予算の際に独立採算の見地から十分檢討いたして、この赤字を埋めるようにいたしたいということから、
借入金でこれを支弁することにいたしておるのであります。
以上大体申し上げた
通りであります。なおお手もとに印刷物として正式の
予算書が出ておるのでありまするが、その印刷をしたあとにおいて修正いたしております。それは正誤表で目下配付をする段取をしておるのでありまするが、先ほど申し上げました金資金というところで、金資金を大藏省所管に増額するために一億円殖やしまして、
地方分與税分與金より一億円減少しております。その点お含みおきを願います。