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1948-03-18 第2回国会 衆議院 予算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年三月十八日(木曜日)     午前十一時七分開議  出席委員    委員長代理 理事 川島 金次君    理事 稻村 順三君 理事 小島 徹三君    理事 鈴木彌五郎君 理事 苫米地英俊君       河合 義一君    島田 晋作君       中崎  敏君    西村 榮一君       岡田 春夫君    押川 定秋君       工藤 鐵男君    古賀喜太郎君       五坪 茂雄君    佃  良一君      長野重右ヱ門君    原 健三郎君       山崎 岩男君    青木 孝義君       淺利 三朗君    磯崎 貞序君       植原悦二郎君    鈴木 正文君       上林山榮吉君    西村 久之君       島村 一郎君    野坂 參三君       小澤佐重喜君  出席國務大臣         内閣総理大臣  芦田  均君         大 藏 大 臣 北村徳太郎君         文 部 大 臣 森戸 辰男君         農 林 大 臣 永江 一夫君         運 輸 大 臣 岡田 勢一君         逓 信 大 臣 冨吉 榮二君         労 働 大 臣 加藤 勘十君  出席政府委員         経済安定本         部副長官    堀越 禎三君         大藏事務官   福田 赳夫君         大藏事務官   今井 一男君         大藏事務官   日下部 滋君         大藏事務官   松尾 俊次君         大藏事務官   原田 富一君         農林事務官   清井  正君         運輸事務官   伊能繁次郎君         運輸事務官   田中不破三君         運輸事務官   牛島 辰彌君         逓信事務官   浦島喜久衞君  委員外出席者         專門調査員   芹澤 彪衞君         専門調査員   小竹 豊治君     —————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十二年度一般会計予算補正(第一五号)  昭和二十二年度特別会計予算補正(特第九号)  昭和二十二年度特別会計予算補正(特第一〇  号)     ——————————————
  2. 川島金次

    川島委員長代理 それではこれより会議を開きます。  昨日に引続きまして質疑にはいります。稻村君。
  3. 稻村順三

    稻村委員 いろいろ尋ねたいことはたくさんありますけれども、時間の関係も大分急いでおられるようでありますから、ただ二点お聽きしておきたいと思います。  今度の二千九百二十円の給與の問題に対しまして、大体二千五百円の支拂をして、四百二十円あとに残すというようなことを、政府では発表されているようでありますが、なぜ四百二十円というものを残したのか、そしてまたこの四百二十円なるものが、聞くところによりますと、でこぼこ調整に使うというように言つておられるようでありますけれども、しかしでこぼこ調整は、どうしても年度が変らなければできないのかどうか、今月中にでこぼこ調整ができるならば、二千九百二十円という新給與制は一應出した以上、今年度中にこれを支給することが適当であるというふうに考えるのでありますが、その点大臣の御答弁を願います。
  4. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お答え申し上げます。ただいまの御質問は、きわめてごもつともであると思うのでありますが、これは政府が出し惜みをするというのではなくて、ただいま御質問のように職階制を取入れまして、そしてこの給與に対する根本的な調整をはかりたい、それを急速にやろうとしておるのでありますけれども、ただいますぐにこれを應用することには準備ができておりません。從いまして、二千五百円をまず拂いまして、あとの四百二十円で職階制を取入れるところの調整に充てる。すなわちでこぼこ調整いたしまして、いろいろな職階職務等による労働の質、量に應じた適当な給與になるように、その点を後に調整する。それで二千五百円支拂うということは、これは一、二、三と一時にうんと拂うことになりますので、相当な金額になるのであります。あとに残されたもので調整するということについても、いろいろの考えようもございますけれども、大体ただいま考えておるような方法でやることが妥当である、かように考えております。
  5. 稻村順三

    稻村委員 職階制をとるために云々ということでありますが、この職階制というのは、何か一級とか、二級とか、あるいは課長とか、部長とか、局長とかいう意味での職階制を勘案して支拂う。こういう意味でありますか、その点ひとつ伺いたい。
  6. 北村徳太郎

    北村國務大臣 從來この地域差その他いろいろのこの給與に対する統一した一貫した一つの制度的なものが、未だ確立されているとは申されませんので、地域差等につきましても、その格差を引上げ運動努力等があつたりしまして、なかなか事はめんどうである。從いまして、公務員法が制定されます場合に問題になりました、アメリカでやつておるような職階制というものを、なるべく早く取入れたいというようなことで、ただいまお話のように、これは労働の質と量を縦横に考えまして、職階制をとつていくということで、給與が一層妥当になるようにという方向に、ただいま研究を進めておるのであります。これによつて給與從來よりも、より妥当になるということを私どもは信じております。從つてこれをただいま支拂うにも、速急の間に合いませんので、前から研究努力をいたしておりますけれども、一應一、二、三と今回御承認を得れば、ただちにそれを支拂う。あとの四百二十円は、ただいま申しました通りにやりたい。こういうような考え方であります。
  7. 稻村順三

    稻村委員 そうしますと、その二千九百二十円というこの新給與は、この計算の方を見ますと、ずいぶん混雑しておりますので、その点について質問をするとすれば、長くなりますからして、省略をいたしますけれども、そうしますと、大体において生活給考えて、生活というものを中心にして考えたものの給與ベースは、大体において二千五百円というような解釈にもとれるようになりますが、そう解釈してよろしいのですか。
  8. 北村徳太郎

    北村國務大臣 必ずしもそう断定はできないと思うのであります。まあ千八百円ベースでは食えないということは、むろんわかつておる。二千九百二十円と決定されたのでありますけれども、大体三月さかのぼつて二千五百円のものが一時に出るということによつて、いろいろ生活の苦しい点はわかりますけれども、一應これは解消するのではないか。從つて調整あとに残したものでやつても、まあ差支えなかろうというふうなことで、立案をいたしておる次第であります。純然たる生活給が二千五百円でよろしいと政府考えたか、こういうお尋ねに対しては、そうでありますとは、お答えしにくい。こういうわけであります。
  9. 稻村順三

    稻村委員 職階制によるでこぼこ調整に、たとえば四百二十円というものを使うということになれば、いろいろそういうふうに大臣答弁できないといつても、大体において官吏最低生活の基準は、実際二千五百円というところで抑えていくというふうに解釈できるのでありますが、この点そうでないといいましても、結局職階制が四百二十円だとすれば、それを除いた二千五百円が、いわゆる官吏最低生活ベースになる。こういうことになるのでありまして、しかしこの点御答弁を一生懸命に聽いてみましても、押問答になると思いますから、次の問題にはいりたいと思います。  今度の二千九百二十円の新給與体制は、國鉄のように、これをのんだところもあります。また逓信のように、今まだ未解決の場合がありますけれども官公労人たちの話を聞きますと、各官廳におきましては、新給與体制をのんだものに対しては、ただちに支拂うけれども、のまないものに対しては、支拂わないというようなことを言つておる大臣もおると、私は聞いております。そうしますと、千八百円ベースでとにかく食えないというのに、それをもしものまない場合には、千八百円ベース支拂う。のんだ場合には二千九百二十円ベースで拂う。そういうようなことをいたしますと、とにかく現在生活問題として非常に困つておる官公吏の人に対して、それを納得するしないによつて支拂が違つてくる、差ができてくるというようなことは、これは單に官公労の人々を刺戟するだけのことでありまして、せつかくいろいろな点で妥結すべき点がまだあつたといたしましても、この点から妥結を不可能にするような状態、これは私たち長い間組合運動をやつて経験から申しましても、こういうふうな態度は、やたらに労働者を刺戟するだけのことにすぎなくて、決して妥結点に進むものでないというふうに考えられるのでありますが、この点に関しまして、政府ははたして二千九百円ベースをのまなかつた場合には支拂わない、千八百円ベース支拂う。こういうふうな態度をとつているのかどうか、その点重ねてお伺いいたします。
  10. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お答えを申し上げます。今の一千九百二十円をのむなら拂う、のまなければ拂わないというような態度は、政府はとつておらぬのでありまして、ただこの際二千九百二十円を氣持よくまあ受諾してもらいたい。われわれの方からいえば、どうかいろいろのこともあろうけれども氣持よく受諾してもらいたい。受諾せられないと支拂が遅れる結果になるから、受諾してもらいたいということを希望として申しておるのであります。受けなければやらないぞといつて、この際勤労階級を特に刺戟する言葉を使うわけでなく、そういうような意図は全然ありません。なるべく早く受諾してもらいたい。受諾をしなければ拂えない、受諾しない場合に押しつけるわけにいかぬから、全体に影響するから受諾をしてもらいたい。受諾をなさらないと、全体の支拂が遅滯するという結果になるから受諾をしてもらいたい。そういうようなことを申しておるのでありまして、そのほかに何ら意図はありません。
  11. 稻村順三

    稻村委員 千八百円ベースのとき、確かに全官公労では非常に大きな問題であつたと思うのであります。しかもなお実際上新給與体制ができるまでは千八百円ベースによつて支拂つたのでありますが、その際も勤労者の方では非常に生活が困つているので、千八百円ベースというものの賃金給與体制は、必ずしものんだわけではないのでありますが、しかしながら、一應こういうふうな千八百円ベースによる給與を受取るということによつて、とにかく新給與体制が確立できるまでは案外平穏裡にこれがこれまで進んできた。こういうふうに私は解しております。そういたしますと、二千九百円ベースの場合であつても、たとえばこれをのみこみ、のみこまないということを、形式的に一々支拂の問題で区別をつけずに、一應の國家財政の建前から二千九百二十円して支拂えないので、一時この点を支拂つて、そうしてこの場を切り拔ける。財源その別が確立するまで切り拔けるというようなことも、一應政府の対労働組合対策としては考えられることなのでありますが、その点政府ではやはり千八百円ベースによる給與と同じような支拂態度をとつているかどうか。その点もう一度お聽きしておきます。
  12. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お答えいたします。先に申し上げました通りでありまして、政府ではとにかく受諾しなければ拂わぬぞという態度ではないのであります。その点は御了承願います。  それから御承知通り、千八百円ベースの場合のお話が出たのでありますけれども、いろいろ労働情勢、それから経済環境、その他國内諸般情勢等から考えまして、私どもはなるべくこの際、現在日本におけるいろいろな労働情勝の緊迫した姿を、できれば一應解消するような方法にやつてもらいたい。これは対外関係等もやはりございまして、相当大きな問題でございますから、二千九百二十円を政府ものんだこの機会に、できれば闘爭態勢を解いてもらいたいというようなことを念願しておるわけであります。從いまして、勤労者の方面にとにかくのんでもらいたいということが基本でありまして、のんでもらわないと支拂が遅れるというようなことを附言しただけでありまして、從つてこれはのまなければやらぬぞという態度ではないということは、先ほど答弁した通りであります。さよう御了承を願います。
  13. 稻村順三

    稻村委員 これは重ねて念を押しておきたいのでありますが、それではこの新給與体制に対して、のみこむということが、交換條件ではないということと、それからもう一つは、たとえばこれも爭議態勢の問題が今出ましたからお尋ねいたしますけれども爭議態勢を解いて、そうしてお互いに協力していくということは、これは非常に望ましいことではありますが、しかしながら、労働組合法にもあります通り労働者には一應の罷業権というものが與えられておりますが、この罷業権を一時ある時期において否認するような態度、この際罷業権を行使するならば、この新給與支拂わぬというような、やはり交換條件的な態度でもあるかないか。この点もひとつお尋ねしておきたいと思つております。
  14. 北村徳太郎

    北村國務大臣 政府としては、現下情勢から考えまして、先ほどから申し上げておりますように、労働情勢を惡化することは望んでおらないのであります。何とかして平和的な解決を見たい。從つてこの労働法規によつて規定せられた基本的な罷業権を否認するとかいうことは、毛頭ございませんし、またそういうことはなし得べきことでもない。また反対給付的な態度をもつてどうこうするというのではないのでありまして、もともとこれは賃金であるから当然支拂わなければならぬものであつて、それが一應委員会の構成によつてきめられた、ベースが決定した。これを拂うときまつた以上、また國会で御承認を得ますれば、当然政府は速やかに拂わなければならぬということは、間違いないのでありまして、これは勤労者勤労條件とすることはもちろんでありますけれども、その他の反対給付的なものを予想しておらないということだけは申し上げておきます。ただこの場合に從來ベースから一應の引上げができたのであるから、こういうチヤンスにいろいろ経済的な要求がたくさんあろうけれども、ひとつできれば快くのんで、一層協力態勢をとつていただきたいということを、政府としては願つておる。こういうことを表現したにほかならぬのでありますから、その点他意はないということを、御承知おきを願いたい。
  15. 稻村順三

    稻村委員 勤労者の方では非常に刺戟されておるのは、やはりのまなければ一應支拂が遅れるかもしれぬということは、そういう意味でないということは了承いたしまして、これは非常に私としても満足に思う次第でありますが、この際に重ねてお尋ねしておきたいことは、もしもこの点を早くのんでもらわなければ支拂が遅れめかもしれぬという、その理論的根拠はどこにあるのか、それもちよつとお尋ねしておきたい。
  16. 北村徳太郎

    北村國務大臣 この点は先ほどから申し上げております通りでありまして、理論の問題ではないと思います。ただなるべく今のような闘爭態勢を解いてもらいたいということが第一でありまして、理論的にこれこれしかじかの理由でこれだけ遅れるということではないのであります。それについては、なるベく円満なる解決を急いでやつてもらいたいということを望んでおるから、たまたまそれが出たので、先ほどから申しますように、決してこれをのまなければこれをやらぬというような、反対給付を求めるような意味ではないのでありますから、さよう御了承願いたいと思います。
  17. 稻村順三

    稻村委員 そうすればその遅れるかもしれぬというのは、言葉のはずみに出たくらいのことで、軽くとつて差支えないのでありますか。
  18. 北村徳太郎

    北村國務大臣 あまりそういうふうにこまかいことまで追究されると困るのでありますけれども言葉のはずみで、全然無意味のものだとは考えませんけれども、ただこの場合なるベく早く受諾してもらいたいということが主であつて從つて受諾したところは早いが、ごたついておるために支拂が遅れるということがあるから、そういうことがあつてはならぬということの希望條件でありまして、必ずしもこれは理論的な根拠に基いて、こうなるからこうだというような、三段論法的な議論はできぬと思います。その点御了承を願います。
  19. 稻村順三

    稻村委員 実はそこのところが非常に問題なので、その点を私が問題にするのも、やはり、こういうふうなことについて支拂が遅れるかもしれぬということを言うと、これは労働組合の方では、もしこれをのまない場合には支拂を遅らすとか、支拂をしないつもりだととるのは論理の当然である。それで私はその点こまかいことですけれども、一應念を押しておくつもりなのでありまして、やはり大臣答弁を何度も繰入して聽くところによりますと、結局この問題でごたついておると、千八百円のときには、この千八百円の給與体系をのまないでも、一應やはり片づけておいて、官公労との間の折衝の結果、自然解決にもつていつたというように私は考えておりまして、この方法は私はきわめて巧みな方法であつたというように考えておるのであります。ところが今度の場合には支拂わないかもしれぬとか、遅れるかもしれぬということは、それはきまらぬ限り拂わないぞという一種威嚇である。これは労働爭議などの経驗から申しますと、威嚇ととらない労働組合の幹部などあろうはずはない。この点私たちはこういう言動は愼んでもらわなければならぬ。反対給付というものを全然お考えにならないならば、私は不用意で使つたといえばそれまでの話でありますけれども、こういう言動は、努めて今後といえども労働組合運営の上においては避けてもらわないと、事がこじれることが非常に多い。こういうふうに考えております。これは大体私の意見を述べましても、大藏大臣としての御答弁はそれ以上のことは得られないと思いますからして、大藏大臣に対するお尋ねはそれぐらいにしておきまして、あと関係各廳の関係大臣が参りましたならば、その方に尋ねてみたいと、こう思つております。
  20. 川島金次

  21. 野坂參三

    野坂委員 加藤労働大臣に伺いたいのですが……。
  22. 川島金次

    川島委員長代理 労働大臣は、今閣議をやつておるらしい。それで午後になると思いますが、大藏大臣に御質問の点があれば、今やつていただき、なければ次の方に……。
  23. 野坂參三

    野坂委員 次にまわしてください。
  24. 川島金次

  25. 原健三郎

    ○原(健)委員 北村大藏大臣お尋ね申し上げたいのであります。大体二、三の点であります。  第一にお聽きしたいことは、新生というタバコを発賣いたしております。四十円のタバコにしております。ああいうまずいタバコは、四十円の値打がないことは、何人が見ても衆人のよく知つておる事実であります。大藏大臣は、タバコをおのみにならぬからお知りにならぬかもしれませんが、われわれはタバコを吸いまして、いかに貨幣價値の下落したときにおきましても、ああいうものを四十円で賣出すことは、はなはだもつて不見識千万でありまして、國民を愚弄することもはなはだしい。しかもそれで賣れないからといつて、今度は百万円の富くじをもつてくるというがごときは、國民射倖心をあふる以外に何ものもない。もしこういうくだらぬことをやつたならば、これが会社であつたならば、会社重役はくびになつてしまう大藏当局はこれに対して、相当責任を感ずるであろうと思うが、その見解はいかがであるか、お聽きしたいのであります。こういうくだらぬタバコをばかな値で賣るようなことは、今後大いに愼んでもらいたい。またタバコの値を決定するのに、國会に諮れということを、今までしばしばこの会議において申してあるが、そういう点をやらないじやないか、その点もいかになつておるか、重ねてお伺いしたいのであります。
  26. 北村徳太郎

    北村國務大臣 原君の御質問にお答えいたしたいと思います。タバコ政府專賣でありまして、從つてこれは今日の場合においては、一種の課税的な性質をもつものである。從いまして、普通の商品値段の構成とは違うのでありまして、その点は原君のつとに御承知通りであると思います。これは政府財源として今日は專賣制を実行しておるのでありまして、從いまして、財政收入を獲得するために、その手段としてタバコの賣出しをしておる。原價いくらで、このコストに対して利潤いくらかけて、それで適正値段が出るという性質のものではないのであります。從つてタバコ値段は、普通の商品價格構成と違う。普通の見地から議論になると、その点は違つてくると思います。それから射倖心をそそるということは、これは富くど類似のことはいけなかつたのでありまして、從來はそういうことは禁止されておつたのでありますが。今日の日本の置かれておる状態からいつて、もちろん射倖心を刺戟するということは、愼んだ方がいいのでありますけれども、今日の日本状態というものは、これさえもやつて、そうして購買力を吸收するとか、あるいは政府財政收入をはかるということをあえてしなければならぬという段階に達しておることは、これは今日の客観情勢から、やむを得ないのでありまして、何も百万円の富くじが非常に好きでやつておるのではありませんけれども、これはそうすることによつて財政收入を獲得していくということは、今の段階においては、まことにやむを得ない。こういうふうに考えておる次第であります。
  27. 原健三郎

    ○原(健)委員 大藏大臣から御説明をいただかなくても、專賣タバコによつて政府税收入を得ようとしておることぐらいは、とくと了承の上でお尋ねいたしたのであります。いくら税收入が目的だからといつても、そのために國民大衆が困つてもかまわぬということは、私はのみこむことができないのであります。そういう一般國民大衆生活に非常に影響を及ぼすタバコに対して、いわゆる普通の商人商品コスト利潤を合わせたような値段でいかないことは、万々承知いたしておりますが、といつて普通の商人商品とは違うからといつて、ものにはすべて程度があるのであります。新生なんというタバコ至つては、もはや程度も、無法というか、でたらめというか、むちやくちやであります。しかも、税收入を得るといつて、賣れなくなつたら、今度は四十円では値が高くていけないからというので、富くじをもつてやろうとする。その費用をここにも計上しておりますが。こんなものを今ごろ計上してくるというがごときは、実にでたらめと言わざるを得ないのであります。私はもう一度大藏大臣の誠意ある御答弁を求める次第であります。
  28. 北村徳太郎

    北村國務大臣 前に申し上げました通りであります。
  29. 原健三郎

    ○原(健)委員 同じでありましようが、大体前の六円くらいのきんしよりも、なお質の惡い、ほとんど國民が口にすることができぬようなものを、四十円で賣るがごときは、政府は常識がなさ過ぎる。今日の現段階においては、やむを得ぬというがごときことは、政治家として実に無責任な言辞であると私は信ずるものであります。こういう厚顔無恥なことを言うことをもつて、一体政府当局責任がとれるかどうか。  次にお聽きしたいのは、昨日も芦田総理大臣は、インフレの惡化の度合が、去年に比べて少しよくなつているから、インフレについても、そう心配はいらない。むしろ今年は樂観することができる。などという、きわめてでたらめ理論を申された。今日経済的に見ても、日本國情が容易ならざることは、八千万國民はことごとく知つているのに、内閣総理大臣一人が、八千万國民の意思を無視して、今年は大いに樂観してもよい年であるなどという暴言を吐いている。民意を知らざるもはなはだしい。それで大藏大臣にお伺いいたしたいのである。日本國民が一番困つているのは、インフレで物が高くて困つているのと、もう一つ税金が高くつ困つている。今日の段階においては、インフレもやむを得ない、現下國情においては、税金の高いのもやむを得ないと、大藏大臣はおつしやられるかもしらぬけれども、そんなことでは、國民承知できない。一体大藏大臣は、インフレをどういうふうにして止めようと思つているのか、具体的な方法お尋ねしておきたい。重ねて言うが、具体的にお聽きしたい。税制についても、昨日も委員から質問がありましたが、税制は改革しようと思つているというような一言をもつてつつぱねておりますが、國民はこれを望んでおります。どういうふうに税制を改革してくれるか。これほど税金が高くては困る。みなそれを熱望しております。インフレも早く止めてくれ、何とかしてくれと熱望している。それを何らなすところがない。片山内閣においてしかり。その片山内閣とほとんど変りがない芦田内閣においても、一体どうしようとするのであるか。昨日からの答弁を見ても、何らの対策がないということを、私はうかがい知るのであります。國民がこれを望んでいるが、やるのかやらぬのか。どういう具体策があるのか、ないのか。インフレと税制、これについて私は大藏大臣の明快な答弁を、具体的にお聽きしたいのであります。
  30. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいま、芦田内閣総理大臣が非常に樂観論を振りまわした、これについて大藏大臣はどう考えるかというようなお尋ねの趣旨であつたと思うのであります。昨日私もここにおつたのでありますが、芦田首相は、手放しで樂観論をしてはならない段階であることは申すまでもないが、昨年の非常に陰鬱な状態から、やや明るくなりつつあるような氣配が見える、というようなことを申されて、そうしてその中に、外資導入の希望がやや具体化してきていること、それから対日援助が、アメリカの國会において議案として相当額の提案があつたというような具体的な事実をあげて、それから、その他食糧事情に関するいろいろな輸入見透し等まで具体的な話しがありましたので、必ずしも、ただ漫然と現下の実情をもつて樂観説を振りまわしたものとは考えていないのであります。その点は原君のただいまおつしやつた意味と多少違つておつたように考えるのであります。それからインフレーションについてどう思うかというようなお尋ねでありますが、これはまことにめんどうな、また非常にむずかしい問題でありまして、いろいろの観点から言うことができると思うのであります。一應はこれはまあやはり通貨の膨脹を防がなければならぬということは申すまでもないのでありまして、この点につきましては、いろいろの施策を講じつつある。これは御承知通りであります。通貨発行審議会などを設けまして、通貨の從來の膨脹に対してあるわくをはめていくというふうなことをやりつつある。それから資金の放出についても、段階を設けまして、主要なる生産のため以外には、資金が出ないように、わくをはめておくというようなことから、通貨の膨脹を防ぐという点について、相当努力している。けれども日本インフレーシヨンは、必ずしも過去ドイツにあつたインフレーシヨンなどと違いまして、通貨の面だけ抑えればそれでインフレーシヨンが止つていくというように、單純には考えておりません。物と通貨とのアンバランスが、インフレーシヨンの根本的な原因であるということはもちろんでありますけれども、それだけではない。今の実情から申しますと、むしろ物の非常な欠乏、ストツクも食つてしまつたし、殊にまた今まで考えられておつたとところのインフレーシヨンは、過大購買力と物との関係であつた。しかしながら、今日のごとく物價が高騰してまいりますと、賣買力の過大性というものは、一應物價の非常な騰貴によつて封鎖されたと申してよろしいのでありまして、從つて從來インフレーシヨンについての考え方というものは、ここで若干修正を要するのではないかというふうに考えております。それで通貨に対にる面において、できるだけこれを抑えていくということは、もちろんでありますけれども、より必要なことは、これは物の欠乏からくる、たとえば非常に過大な人口、消費人口の過大に対して物がはなはだしく欠乏しておる。生産力がはなはだしく振わないという点に、最大の原因があるのでありますからして、その面から抑えていかなければならぬ。そこで増産を大いに主張する、生産第一である。從つて労務にしても、あるいは資金にしても、増産への流れに向つてこれを傾斜していくというようなことは、今もやつておるし、また今後もやろうとしておる方針であつて、そういうような各般の施設をもつて、具体的にこれを増産の方向へ向けていく。但しいかに増産を叫びましても、資材、資源等において非常な欠乏があり、資金においても非常な欠乏がある。現在の國民資本の蓄積の状態だけでは、私が申しますようなインフレーシヨンを食い止めるというような段階にいきにくい、そこに外資の導入の問題がある。あるいは一層企業を整備いたしまして、能率をあげるというようなことを考えなければならぬ。そういうような各般の施設を通じて、インフレーシヨンを克服していきたいとうよふうに考えておるのでありまして、この問題については、もちろんいろいろな観点から見様もあるし、これはお話をすればいくらでも長くなると思うのでありますが、一應原君の御質問でございますから、考えておるということを言えということでございますから、輪郭だけを申し上げまして、御納得を願いたいと思う次第でございます。
  31. 原健三郎

    ○原(健)委員 今インフレーシヨンのアウトラインなどという考えをお聽きいたしましたが、そういうようなことは、もう新聞のはしに今まで何度もたなざらしになつておつたような議論ばかりで、こんななまやさしい議論でもつて、今日の深刻な日本インフレーシヨンをどうするということには少しもならない。大体そういうだけの御意見よりお吐きになれないとおつしやるならば、日本インフレーシヨンに対する大藏大臣の政策なしと断ぜざるを得ないのであります。もつともインフレーシヨンには物と金との関係がいろいろございますが、インフレーシヨンの対策としてもつと簡明直截にやるのには、やはりここまで押しつまつておる場合には、紙幣の面で何とかやらなければだめであります。貨幣の面で何とか考慮することが、一番手取り早いと思う。それから増産とかいうようなことは、一月半月で間に合うことではない。それをやることは言うまでもないことであるが、この際政府は紙幣の印刷を中止するとか、発行限度を嚴格に守つて、こういうような大手術をやるか、やらずに何とかかんとか、なしくずしに彌縫策をやるのか。紙幣に対する面において、いわゆる切開手術的な大英断をもつて臨む氣があるのかないのか。それだけではだめであるから、それもやらずに、なしくずしに彌縫策をやられるのか。この点をもう一度お聽きしたいのであります。
  32. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいまの原君の御質問が、どうも私には十分には納得がいかぬのであります。どういう点に中心があるのか、少しはつきりしないような氣がするのでありますが、紙幣の面から紙幣の発行の停止でもしたらどうかというような御意見のように受取られるのでありますが、さようなことで日本の経済界が窒息した場合にどうなるか。またインフレーションの実体の把握の仕方が私と違うのでありまして、この点は議論が対立すると思いますから述べませんけれども、現段階において、單に通貨だけをひどく抑制すれば、早速インフレーションが止まるというようなお考えのごとくにもとれるのでありますが、さようなことをすれば、國民は必ず窒息してしまう。私はさように思うのでありまして、そこには重大な見解の相違がございますから、できれば御質問の内容を、一層具体的にお述べを願いまして、それに向つてお答えをしたい。かように思うのであります。
  33. 原健三郎

    ○原(健)委員 大体わかりましたが、私は非常に大藏大臣と見解を異にしまして、インフレに対して眞にこの際抜本塞源的にやろうとすれば、紙幣の面で発行を制限するとか、そういうふうにしたらいいと、私は考えておるのであります。そのために國民が窒息すると言いますが、一時的に窒息のような現象はありますが、これもやつて、そのほかに紙幣の面においてやることもありますが、そういう紙幣の問題をある程度この際やるにあらずんは、生産と両面から——生産を増強して、紙幣の面も適当に制限しつつ、じわじわとなしくずしにやろうと思つても、私はできないと思う。これは見解の相違であります。  それでもう一つついでにお聽きいたしたいことは、税制の改革であります。國民はとにかく税金がはなはだ公正を欠いているというて不平を言う人もあるし、また自分のところだけは税金が重過ぎると言つて不平を言う人もあるし、税務官吏が非常に腐敗墜落していると言つて不平を言う人もあるし、全國をまわつてみると、税金のことで國民は非常に不平不満をもつておりますが、税制改革についての意見を、併せてお聽きしたいのであります。
  34. 北村徳太郎

    北村國務大臣 税制改革は、大体やることにいたしております。その基本的な問題は、税に関する限り、公平理論というものが根拠をなすことは、申すまでもないのでありまして、從つて現実に公正を失すると考えられるような点もあるのでありますから、その点は是正しなければならぬ。また賃金ベースが上りますれば、免除点は当然上げていかなければならぬというような点もございます。その他各般について、税制全体の再檢討をいたしたいと考えておるわけでありまして、ただいまここで何税をどうするといいような具体的の御答弁はできませんけれども、税制全般にわたる再檢討をするということだけは、はつきり申し上げてよろしいと思う。
  35. 原健三郎

    ○原(健)委員 この辺でやめます。
  36. 川島金次

  37. 野坂參三

    野坂委員 あるいは総理大臣にお聽きした方がいいかと思いますけれども大藏大臣にまずお聽きしたいのは、今芦田内閣の基本方針として、常に外資導入ということを申されておりますけれども、これについてお聽きしたい。政府は外資導入についてどういう内容を大体今描かれておるのか。言いかえれば、どういうふうな外資導入をするという意図あるいは計画をもつておられるか、その見透しをお聽きしたい。
  38. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お答えいたします。ただいま外資導入のきわめて具体的なことは、ここで申し上げることを少しはばかるのでありまして、これはなお外務大臣たる首相ともよく相談した上で、お答えをいたしたいと思うのであります。いろいろ内外の関係等もございまして、具体的なことを申し上げることはちよつとお控えをさしていただきたいと思うわけであります。
  39. 野坂參三

    野坂委員 ではなるベく早くこういう問題をやはり國会に報告していただくとか、あるいは他の方法國会にこういう問題を率直に協議するというような形をとつていただく問題ではないかと思います。憲法にも明記してあるように、外國から國家が金を借りる場合においては、國会承認を得なければならないというような意味のことがあります。過去一年の間に、いろいろのクレジットの形、あるいは会計基金の形で外資が日本にはいつてます。これは憲法のああした問題に触れる性格ではないと思いますけれども、それにしても、日本國民としては過去一年間において、どういう性質の外資がはいつたか、それがどういうふうに使われておるか、こういう問題について、ほとんど知ることができないのであります。この意味におきまして、大藏大臣あるいは芦田内閣全体として、國会にこういう問題は常に知らせる、またある場合には何らかの承認の形をとつていきたいと思いますが、これについて御意見を伺いたいと思います。
  40. 北村徳太郎

    北村國務大臣 國会にお諮りするということを避ける意図はないと思います。ただ今その段階にないというだけでありますから、なるべく早く御希望に副うことができるようにいたしたいと思います。
  41. 野坂參三

    野坂委員 そうしますれば、過去の外資の内容がどういうように実際の日本の経済に影響を與えておるか、こういうような過去の問題について報告を承ることができませんか。きようという意味じやありませんか……。
  42. 北村徳太郎

    北村國務大臣 それはよく外務大臣並びに安本長官とも協議いたしまして、お答えしたいと思います。
  43. 野坂參三

    野坂委員 次に多少小さい問題になりますけれども、不審の点がありますのでお聽きしたいのは、たとえば財源の問題で、復金出費の減少が四十億、これはきのう中崎委員からもお聽きしたらしいのですけれども、この減少した四十億は、いずれ將來必要な資金だと思います。そうすれば、これはやがてまた四十億という形において、何か公債という形であらわれる性格をもつておるかどうか、これをお聽きしたいと思います。
  44. 福田赳夫

    ○福田政府委員 お答えいたします。復興金融金庫は、本年度の予算には百億円の政府出資を見込んでおるのでありますが、この政府出資の額と、それから金庫自体が発行いたしまする債券の額と合せまして融資を賄つておるのでありまするが、本年度の百億円の執行をどうするかという問題になりますと、政府といたしましては、復興金融金庫に対しまして、復興金融債券の本年度における償還に必要な額だけを拂い込むというふうに執行いたしたい予定であります。この額は二月に二十億円、三月に十億円、合計三十億円であります。從つてさような計画といたあしますと、七十億円の差が出るのであります。この七十億円の残のうち、四十億円を今回の財源に充当する。かような措置をとつたわけであります。三十億円が残るのでありますが、この三十億円は、昨日も申しました通り、本年度の歳入面における欠陷が見込まれるのでありまして、その欠陷の財源にこれを充当するというように考えております。從いまして、本年度といたしましては、四十億円の節約をいたしますことは可能であります。これが來年度また將來変つた形で出てくるかという問題でありますが、本年度の拂込みといたしましては、これで解決いたすわけであります。來年度は來年度の復興金融金庫の融資を賄うために債務を発行する。またその際には本年度において執行したごとく、この債券償還に要する資金を拂いこむとか、さようなことになろうかと思うのでありますが、來年度の問題は來年度の総予算全体の問題といたしまして、とくと考慮する、かように目下檢討中であります。
  45. 野坂參三

    野坂委員 小さい問題になりますから、大藏大臣は特においでにならなくても差支えないと思います。  もう一つ聽きしたいのは、十号ですが、三十ページに國有鉄道事業特別会計の歳入においては、「小政府職員の給與改善を図るためと、用品保有額の増加に要する経費の財源に充てるため、公債金受入又は借入金受入の増加」として、これが三十一億円となつておりますが、この性格が知りたいのですが、この公債はたとえば特別会計、鉄道関係のものだと思いますが、その発行の條件とか、あるいは償環の方法はどうなつておりますか、なゼお聽きするかと申しまするならば、これが又インフレ促進の一つの因素になつておるのではないかと考えるのであります。
  46. 福田赳夫

    ○福田政府委員 お答えいたします。ただいまお尋ねの國有鉄道事業特別会計の財源といたしておりますところの三十一億円の公債金、または借入金でありますが、これは國有鉄道におきましては、経常の経理を賄う勘定と、それから建設を経理するところの勘定との二つがあるのであります。経常の経理をいたす面におきましては、いわゆる独立採算制というような問題があるのであります。これに対しまして、國有鉄道の経理の状況は独立採算制がとれない。從いまして、今回給與引上げをいたしたその際の財源というものはないのでありまして、これを一般会計から繰入れるということにいたしておるのであります。それから建設面の勘定におきましては、これは独立採算というような問題とは違う新規の建設事業に関する問題であります。これに対しましては、從來とも公債を発行し得る、かように考えておるのであります。ただいま御指摘のごとく、この建設勘定に対しましては、公債を発行するということは、理論上は可能でありますが、これはインフレに相当の影響があるということは、御指摘の通りであります。ただいまこの公債発行額に対しましては、その條件は四分利の公債といたしておるのでありますが、この公債の條件は、大体市中における一般金利の趨勢から見まして、消化し得るというところからきておるわけであります。その條件をもちまして、これはその各金融機関に消化せしむるというような建前でやつておりまするが、遺憾ながら、実際の状況といたしましては、完全にこれを市中消化し得るというふうにはなつておらないのであります。一部は日本銀行が引受けるというようなものもあるわけであります。しかしながら、政府といたしましては、できる限り市中で消化いたしたいという計画のもとに、大体においてさような目的は大ざつぱに申しますと達しておるというふうな状態になつておるわけであります。
  47. 野坂參三

    野坂委員 もう一つついでに十五号の四ページの「献納金等受入」、これが金額はわずかですけれども、百六十万円ある。これはどういう献納金か、これについて伺いたい。
  48. 福田赳夫

    ○福田政府委員 お答えいたします。これは学校資金のための献納金であります。すなわち学校におきまして、いろいろな設備をいたそうというような場合におきまして、これはもちろん國家の國営の学校のことでありまするから、これは國費でやるわけであります。しかしながら、その國費でいたすことを容易ならしめるという目的におきまして寄附等があるのであります。この寄附等を献納金というような形におきまして受入れまして、これをさような施設に充当する、さような性質と御了承願いたいと思います。
  49. 川島金次

    川島委員長代理 ただいま労働大臣ならびに運輸大臣も見られましたので、前の稻村君の質問を続行いたしたいと思います。稻村君。
  50. 稻村順三

    稻村委員 先ほど大藏大臣にもお尋ねしたのでありますが、二千九百二十円の新給與の体系に関しまして、大藏大臣答弁によりますと、これをのまない場合には、あるいは遅れるかもしれない。こういうようなことによつてのみこます。あるいは遅れるかもしれないから、早くのんでもらいたいという折衝をしたということになりますが、そういうことは、とりもなおさず勤労者労働組合の側から申しますと、あるいは支拂が遅れるかもしれないというのは、この給與体制をのまなければ支拂わないという、ちよつとした威喝のように聞えるのであります。そこでまず運輸大臣でありますが、國鉄関係において、殊に多くの現業労働者——官公吏とは申しながら、実は普通の産業労働者と同じ性質労働に從事しているこれらの人々の問題でありますが、新給與体制を、今者國鉄はのんだようでありますが、それをのむにつきまして、こういうふうにのまなければ、支拂が遅れるかもしれぬというような、恫喝的な言動が、ある部分にあつたということを、盛んに聽かされているのでありますけれども國鉄に関する限りにおきましては、そういうことがなかつたかどうか、その点をまずお答え願いたいと思います。
  51. 岡田勢一

    岡田國務大臣 稻村君の御質問に対しましてお答え申し上げます。二千九百二十円ベースをのまなかつたならば、差額の内拂ができないということが、通告の中にありますことは、稻村君が申されます通りであります。ところが、この問題はある圧迫を與えようとか、あるいは威喝的態度で出るということでは、政府としては決してないのでありまして、事務的の手続の上からいたしまして、承認をされません組合に対しましては、事実上支拂事務ができない結果になるという考えから発しておるのであります。御質問のお言葉にもありましたように、さいわいにいたしまして、國鉄の方は政府当局のこの意のあるところ、それから國の今日の経済の現情などをよく理解してくれまして、全面的に円満に解決いたされまして、まことに仕合せであると考えております。それは運輸当局といたしましても、國鉄組合に対しまして、さような圧迫的とか、あるいは高飛車に出るという態度でなく、今日まで円満裡に懇談を進めてまいつたのでありまして、その結果円満に解決いたしまして、今後のこまかい問題は、団体交渉によつて解決をし、処理をしていくことに相なつておりますので、この点御了承願いたいと思います。
  52. 稻村順三

    稻村委員 次に労働大臣お尋ねしたいのでありますが、今運輸大臣答弁によりますと、支拂が遅れるかもしれない、のみこまない場合には事務上の手続からして遅れると、こういうふうな意味合いの御答弁でありました。ところが大藏大臣答弁はこれと違つておりまして、大藏大臣は、專務上の手続とか、そういう理由はないのであつて、遅れるかもしれない。その遅れるかもしれないという理由は、一体どこにあるのだという答弁を求めますと、大藏大臣は、これに関しては、あまりそういうこまかいことまで言われますと、答えることができないというような御返答であつたのであります。大藏大臣答弁と運輸大臣答弁との間に、非常な食い違いがあるのでありまして、この食い違いのことはともかくといたしまして、千八百円ベースの場合でありましても、一應千八百円ベースは、國鉄にしても、全逓にしても、その他の官公廳の職員の人々は、これを給與体系としてのむということは、大体納得しなかつたのでありますが、しかしながら、政府が財政上のいろいろな困難な立場から、財源として非常に苦しいという建前から、千二百円、千六百ベースを、千八百ベースにして支拂つたのに対しましては、それを受取つてこれまできたのであります。そうしますと、今度の二千九百円ベースにいたしましても、これはインフレーシヨンの進行とともに、生活に非常に困つておるからである。そうしますと、それをのみこむ、のみこまないの問題は別にして、政府が二千九百二十円ベース給與体制をとつて、切り拔けようという場合に、政府労働組合との間に十分の折合いがつかないという場合にも、千八百円の場合と同じように、政府支拂能力をもつておる範囲においてこれを支拂つて労働組合をあまり刺戟しないというような態度は、当然とらるべきであろうと考えるのでありますが、先ほど申しました通りに、遅れるというようなことが、閣議決定によつて通告になつたということは、これは幾たびも大藏大臣は恫喝ではない。またあの二千九百二十円ベースというものをきめる場合の反対給付でもない。のむか、のまないかということが、反対給付でもないのだ。こういうことを盛んに弁解されておりましたけれども、しかしそれは事務的な問題でもなければ、またこうこういう理由によつて支拂えないというようなことは、ここでは言えない。ただわれわれの誠心誠意解決してもらいたいがために出た言葉である、こういうふうに言われますから、それでは單なる言葉のあやか、こう言うと、言葉のあやとも言うわけにはいかぬというので、実際その点答弁は不徹底でありますが、労働行政を預かつておるところの加藤大臣が、はたしてこの場合、遅れるかもしらぬというのがどういう理由であるのか、また労働大臣としては、政府が二千九百二十円をこの二十日から支給するという態度をおもちであるとするならば、その際に千八百円ベースの場合と同じように、これをのむのまないはともかくとして、全体にわたつて支給するという態度をおとりになつておるのかどうか。この点非常に重要な問題でありますから、加藤大臣に御答弁を煩わしたい、かように考えております。
  53. 加藤勘十

    加藤國務大臣 今の稻村君の御質問にお答えしたいと思います。大藏大臣答弁いたしました事柄については、私聽いておりませんでしたから、十分にわかりませんが、この二千九百二十円の新給與の問題は、千八百円ベースの問題が決定されたときとは、決定の方式において違つておるわけでありまして、これはもう御承知通りであります。御承知のように、今度の二千九百二十円の問題は、不十分ではありましたが、政府の一方的に決定したものではなくして、全官公廳労働組合に呼びかけたのでありますけれども、結果は國鉄從業員組合の代表者のみの参加になりましたが、ともかく労働組合の代表者の参加を得て、完全に民主的な方法において決定された問題であります。そういう決定によつて出てきた問題でありますから、從つてこの決定の手続の上においては間違いないとわれわれも思つております。ただ他の労働組合の代表者が参加されなかつてことについては、遺憾を禁じ得なしのでありますが、これはもう過ぎ去つたことで、かれこれ今言つても仕方がなしことであります。そういう手続によつて生まれた二千九百円新給與の問題は、一應これによつて今日の内外諸般の情勢から総合的に判断をして、各官廳労働組合の側においても了承を願う、そうしてもちろんこれは一月の物價を標準としてきめたものでありますから、將來いろいろな事態が発生してくることが当然予想されますので、將來の問題は問題として、とにかく今日までの経済的要求に関する限りにおいては、これをひとつ了承してもらう、こういうことを強く私どもとしては考えておるのでありまして、從つて承諾した組合に支拂う、承諾しない組合には支拂が遅れるということは、そういう今までの経済的要求に関する限りのことを、一應ここで結末をつけたいという希望を強くもつておるわけであります。これを結末をするならば、内金として支拂つても同じようなことになるのではないかという御意見もあるかと存じますが、内金として支拂われて、過去の闘爭形態がそのまま將來に継続されるというのではなくて、一應これによつて過去の爭議形態が清算されて、そうして次の新しき事態に應ずる賃金その他の給與関係については、その段階において新しき交渉の途がまた開かれるであらうということが考えられますので、この問題はぜひともひとつ組合側においても、今申しますように、内外諸般の情勢を考慮して了承を願う、その了承を願うためには、根氣よく相互で話合いたい、こういう話合いをするための努力を傾倒することについては、われわれは全力をあげたい、こう考えております。あるいは威嚇とか、あるいは恫喝であるとか、少くとも私どもが閣議に参加しておる限り、微塵もそういう心持はありません。そのことをはつきり申し上げておきます。
  54. 稻村順三

    稻村委員 問題はこの給與体系をのまない限り、政府がきめたところの二千九百二十円に給與体系による支拂いはやはりしないで、千八百円の支拂い体系で拂つていくという方針なのかどうか、その点をもう一度重ねて伺いたいと思います。
  55. 加藤勘十

    加藤國務大臣 それは今申します通り、これまでの爭議態勢というか、闘爭態勢というものをここで一應結末をつけたい、こういう意味においては、ぜひひとつこの点を了承してもらう。またよく組合の幹部諸君と話合えば、おそらく了承されるのではないか。これが千八百円のときのように、あたかも基準は固定であるというような考え方が起つてこない限り、当然私は了承され得る。今までは多少の誤解もあり、あるいは意思の疎通を缺いた点があつたために困難になつてつたのではないか。從つてこれは極力両者の話合いによつて了承してもらうという前提に立つのでありまして、これをどこまでもひとつ了承してもらうように努力するという方針ですから、從つて今これが聽かれなかつた場合に、千八百円で依然として支拂つていくかどうかといういとは、われわれは考えていないのであります。どこまでも今度の新給與了承してもらうという建前に立つておりますから、どうぞ御了承願います。
  56. 稻村順三

    稻村委員 新給與体系が、一應現在の國家財政の建前からしてこれしか出せない、たとえて言えば、民間の問題からすれば、少くとも三千何百円の大体平均に十一月になつておるということも聞いておりますが、それに対して、やはり執務時間その他を勘案して二千九百二十円、しかも國家財政の建前からこういうことしかできない、こういうふうな意味合で実は二千九百二十円というような問題が決定されたということを聞かされているのでありますが、しかし千八百円では食えないというところに、こういう問題が起きたのであつて、將來の問題については、なお未解決な問題があつたといたしましても、ここにいくらかでも給與を改善して出さなければならない、その際にこれだけの問題では受取らないと言えばどうか知らないけれども、今生活に窮迫しておる限りにおいて受取るならば、もう月末に近づいておりますので、最後の結着がつくまで支拂わないということではなくして、受取るのであるならば、これは当然に支拂つて、むしろ支拂うことか、問題を円満に解決するということのそれがモメントになる、契機になるというようなことも、私ども考えるのでありますが、この点に関する労働大臣の、ただこれを了承を得る、こういつた場合でも、了承を得るのにも、たとえばここに十日なりあるいは十五日の時間を要する場合も考えられます。そうしますと、給與支拂というものは、一日々々このインフレーションの進行状態から考えてみますと、きわめてむつかしい問題がありますので、この際に二千九百二十円の給與体系で一應支拂うのかどうか、やはり問題が解決するまでは支拂われない、こういう態度をとつておるのかどうか、その点についての御答弁を伺います。
  57. 加藤勘十

    加藤國務大臣 現在のインフレ高進下において、二千九百二十円に給與でそれで満足だという考えをもつておるものは一人もないと思います。從つてこれは当然問題としては將來に残されておるのでありますが、今日われわれが当面しておる内外諸般の情勢は、どうしても一應ここで過去の問題を打切つてもらわなければならぬ情勢にある、こういう点で私はぜひともこれは了承してもらうために努力したい、こう考えております。それから一日々々に上昇していくこのインフレ下において、ともかく二千九百二十円の新しい給與を受取るならばそれをまずやつて、それから問題はそのまま引延ばしていつてもよいのではないか、こういうことも一通り意見としては成立つと思いますが、また同時にそれならば、一遍ここで受取るものは受取つて、それからまた新年度においては物價の問題なんかにも関連してくるし、その他の問題も発生してくるのであるから、そういう事態には、また新しい事態に應ずるような別途の方法において考慮される、こういう途もあるのですから、すでにそういうことについては若干の準備もしておるのですから、そういう点は組合の諸君もおそらく了承してくれるのではないか、こう私は考えておりますから、從つて過去の問題をそのまま將來に継続するということでは非常に困るのです。これはひとり政府が困るばかりでなく、日本全体として非常に困る問題がありますし、また労働組合全体としても、非常に困る問題があるのです。だからそこは大藏大臣が十分に説明のできなかつた点であると思いまするが、この点は私も今説明ができない点なのです。けれどもこういうことは膝をつき合わせて組合の諸君と話合えば、了承してもらえるのじやないかと、こう考えておりますから、どうぞこの点御了承願いたいと思います。
  58. 稻村順三

    稻村委員 どうも私の聽きたいところがはつきり出てこないので、私も困つておるのですが、了承をするという加藤君の誠意は、十分に私たちも納得できるのであります。しかし了承させるのには、ある程度の時間がかかるという場合に、その際に了承するまでは新給與体系による給料を支拂わないというのか、あるいはそうでないにいたしましても、一應納得せしめることができるという見透しのもとに一應支拂うと、こういうのが、その点はつきりしたことがわからないのであります。
  59. 加藤勘十

    加藤國務大臣 たびたび恐縮ですが、その点はやはり今日までの行きがかりの爭議形態というか、闘爭形態というものが打ち切られるということが、ぜひとも必要なのです。だからそういう点からいつて了承してもらうまでは、どうしてを支拂いが遅れる、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  60. 稻村順三

    稻村委員 大体今のことはわかりました。逓信大臣が來ましたらもう一度。
  61. 野坂參三

    野坂委員 今の稻村君の質問と関連していますが、まず先ほど加藤労働大臣の、二十九百二十円でほ食える人が一人もないということは、これは私も十分賛成だが、もう一言この点についてお聽きしたいのは——もちろん正確な統計はまだ私たちにもありませんが、たとえば教員組合の方の出している材料、またわれわれの大体計算した材料によりますと、この二十九百二十円というものは、千八百円ベースを基準にしても、今年の一月には、大体一五%ないし一七%の実賃賃金の低下になつておる、こういうことになつているが、これを加藤労働大臣は大体において承認されますか。
  62. 加藤勘十

    加藤國務大臣 いまの野坂君からの御質問ですが、私もその統計については、まだ聞いておりません、また見せてももらつていないのです。從つてよくわかりませんが、この間全逓の代表者が來てのお話によると、中には現在千八百円ベースでとつておる給與よりも下る面が出てくるということを言つておられました。もしそういうようなおそれありとするならば、これはよくわかりまませんが、いずれ逓信大臣からお答えになるかと思いますが、労働大臣とては、過去の実際に受取つておつた給與より減るというようなことについては、当然調整されまして、そういうことの断じて起らないように努める。それから千八百円の時と比べて、実質的に一〇ないし一五%低下するのではないかという統計上の問題につきましては、私たちまだその統計を手にしておりませんし、日教組からも見せてもらつておりませんから、何とも申し上げられませんが、そういう点につきましても、新給與委員会においては、これに参加した組合の代表者、——國鉄の代表者でけですが、おそらくは、ほとんど残るくまなく実際に苦しい生活難の立場から、科学的に檢討されたものと思う。そういう意味で、われわれは新給與の算定基準が不満足ではあるが、合理的に成立つておる、こう見ておるわけであります。なお具体的な統計資料を見せていただきますれば、そのときさらにその点については、檢討したいと考えております。
  63. 野坂參三

    野坂委員 加藤労働大臣は二十九百二十円では大体食えないということを先ほども申されましたが、そうしますと、今の國鉄のみならず、全官公労全体の、これでは食えないから、もう少し増してもらわなければならないという要求は、合理的であり、また当然のように思います。この点については、労働大臣はどういうお考えであるか。
  64. 加藤勘十

    加藤國務大臣 これは私から申し上げるまでもなく、野坂君も十分御承知の点だと思いますが、名目賃金が上るということは、決して生活を高めていくことにも、また安定することにもならぬのでありまして、ただいたずらにインフレを高進する以外の何ものでもない、こう考えられますので、ぜひとも実質賃金引上げられる方向に向けていかなければならぬと思います。そういう点から、今も申しまする通り、二千九百二十円は一月当時の物價を基準としたものでありまして、これから算定されたものでありますから、新年度以降において、物價その他の新しい事態の発生に伴つて、これらの点をいかに合理的に解決していくかという解決方法考えられなければならぬ、そういうことについて、政府側においても、それぞれの準備を進めていきつつあるわけでありますから、その点御了承を願いたいと思います。
  65. 野坂參三

    野坂委員 また教員組合から出された材料によりますと、民間企業における給與の問題ですが、この額は、ここにいろいろの会社の例としてやつてありますが、東京のあるT自動車会社では、三十歳、勤続年限六年、扶養家族二人で一万七百二十六円もらつています。S電機、これは九千七百いくら、これ以上は申し上げませんが、こういうふうにして、民間では相当多額の給與をもらつていると思うのです。ところが官公労だけが、今の二千九百二十円、三分の一あるいは四分の一、これしか今もらつていない、こういうふうな状態において、彼らがこういう要求をするのは当然ではないか。今加藤労働大臣の言われたところでは、配給物資が実質賃金をもつと上げるようにする、配給物資をもつと配給するというふうなことを申されました。これは具体的には一体どういうふうな計画、予定であるのか。もし二千九百二十円のこの額においても、実質において配給が十分あればまあやつていけるということにもなるが、具体的にはどうなるかお伺いします。
  66. 加藤勘十

    加藤國務大臣 ただいまお示しの日教組の資料ですが、民間個々の企業体においては、いろいろあると思いますが、二千九百二十円の基準を生み出した当時の民間の基準は三千二百二十円、三千二百二十円の基準が、労働時間等の関係から、それと対應するために二千九百二十円というものが算定されたと私聞いております。從つて個々の企業においては、そういう高率賃金のところもあるかと存じまするが、しかしそれは能率というものが算定されているではないか。今まではまず生活の保障、生活の安定、次いで生産の増強、こう二段構えに論じられてきたようでありますが、今後は生産復興が何といつても重大なインフレ抑制の基本的な点と考えまするから、從つて賃金体系においても、生活賃金と同時に能率賃金というものが加味されて、この両者が一体となつて新しい賃金体制が立てられるところに、物の増産と同時に、それは生活の安定ということを意味する、生活の安定は同時に物の増産を意味するということにならなければならぬと思います。ただ生活の保障さえあればそれでよいというわけにはいかぬと思いまして、同時にそのことは物の増産を裏づけるというような方向に向つていきたいと私考えております。  それから先ほどの実質賃金引上げの問題につきましては、今までの労務用物資の配給の面について、労働者としては、ほとんど何ら実際上関與するところがなかつたのであります。配給の物資が適正に配給されておるかどうかということについてすら、労働省としては、ほとんど関與するところがなかつたのでありますが、今後はある特殊の業態、特殊の物資を除きまして、大体において労務物資の配給については、労働省も関與することになりまして、その配給が適正に行われておるかどうかということについて、十分に監査機能を発揮して、その不公正のないように努めることができる、こういうような段取りもついていくわけでありまするから、これによつて相当今までのでこぼこ調整されて、配給の公正を期することができるのではないかと考えております。しかしそれだけでもとより満足するのではありません。さらに他の方法によつても、ともかくも全勤労者生活が安定の方向へ向うために努力しなければならぬということは言うまでもありませんし、またその方向についても、ひとり官廳側だけで勝手にきめるのではなく、あくまでも労働組合側の意向を尊重して、労働組合と隔意なき了解の上に、そういう方向をとつていきたい、こう考えております。
  67. 川島金次

    川島委員長代理 午後は一時半から開会することにいたしまして、これにて休憩いたしたいと思います。     午後零時三十分休憩     —————————————     午後二時二十四分開議
  68. 川島金次

    川島委員長代理 それでは休憩前に引続いて会議を開きます。  質疑を継続いたします。野坂參三君
  69. 野坂參三

    野坂委員 午前中の質問の残りを続けたいと思います。先ほどの私の質問に対して、加藤労働大臣は、二千九百二十円では食つていれないということを承認されたわけです。お聽きしたいのは、それではいくらならば食つていけるだろうかという大体の見当——もちろん正確な数字的な御答弁を今特に願う必要はありませんが、参考のために申し上げれば、全官公労賃金專門委員の方でつくつた資料によりますと、これは加藤大臣御存じのはずですが、独身一人当りが四千六百八十二円、扶養家族一人半、消費單位が二・三としてみるといくら要るかといえば、一万七百六十九円、もしそれに税を加えるならば、一万八千三百六十四円、こういうふうな相当大きな額が出てくるのであります。これは二千四百カロリーを基準にしたものであります。普通労働者として生産を営み、また復興に携わるためには、これが大体最小限度だというふうな結論が出ておるのであります。これに対して加藤労働大臣はどういう御意見であるか。初めに申しましたように、二千九百二十円で食つていけないということを御承認された上からは、何らか加藤大臣としては、大体このくらいというふうな見当をつけておられるか、こういうことであります。
  70. 加藤勘十

    加藤國務大臣 野坂君のただいまの御質問にお答えする前に、ちよつと先ほど稻村君の御質問に対して、私の申し上げた言葉で、何か政府の申出を全面的に承認しなければ拂わないというような印象を受けられたかのごとくに聽きましたが、この点は先ほどもしばしば繰返して申し上げました通り、決してこれは給與をするにあたつてのそれが一つの確定的な條件であるとか、あるいはそれが絶対的なものであるとかいう意味ではないのでありまして、ぜひとも今日の内外諸般の情勢から総合判断されて、それを了承してもらいたい。了承してもらうためには、極力組合幹部諸君と隔意なき話合いを進めていくならば、おそらく了承してもらえるだろう、こういう意味のことでありまして、あくまでも希望としては從來の闘盟爭形というものが、一應ここで解除されるということを希望いたしますが、しかしそれはあくまでも希望であつて、それが絶対的な條件ではないという点だけは、ひとつ稻村君も他の委員の各位も御了承願いたいと思います。  それからただいまの野坂君の御質問でありますが、端的に見て二千九百二十円の收入で生活ができるかできぬかということなれば、できないということは、おそらくこれは常識的にだれが見ても、そう考えられると思うのです。それにもかかわらず、この二千九百二十円の算定が、相当合理的に檢討された結果生れてきたものであるから、これはこれとして一應了承してもらつて、さらに新しい物價その他の関係を勘案して、それに対する別な方法が講じられるべきである、こういうぐあいに考えておりまして、一万何千円というものが妥当であるかどうかということについて、私お答えする何も根拠をもつておりません。それからまたどのくらいならば生活ができるかということについても、私自身今何も手もとにこれという特別な資料をもつておりませんから、ただ二千九百二十円で食えないであろうということは、常識的な一般論として申し上げたのでありまして、そういうことについては、順次新年度において考究されて、それに対應策が講じられるようにしたい、こういう意味であります。御了承を願います。
  71. 野坂參三

    野坂委員 加藤労働大臣の御意見を聽いて、非常に失望したのです。と申しますのは、長い間労働運動をやつた方であり、こういう給與の問題とか、これについては、もう定見がおありになるはずです。しかも今度労働大臣という重要な職へつかれるからには、今言つたような給與の問題なんかについても、何らの根拠がない、こういうような回答はできないはずである。それでは一体二千九百二十円というのは、何のためにやられ、どこを根拠にしてやられたか。ただ臨時給與委員会がきめたからやつたというだけなのか、それとも加藤大臣としては、これでやつていけるという点からおやりになつているのか、この点私はよくわからない。ただいいかげんに向うがきめたからそれでやるというだけの根拠においてやられるのか、それとも食えないということを今加藤大臣自身の口から言われたが、それではどうして食えるような額に上げる努力をされないのか、これをお聽きしたい。
  72. 加藤勘十

    加藤國務大臣 二千九百二十円の問題は、先ほど來申し上げた通り、新給與を決定するために設けられた臨時給與委員会において、合理的に科学的に檢討された結果、その報告書が提出されましたので、その報告書に基いて政府はその報告書を承認したのであります。この点は野坂君も御承知通りなのであります。ただ問題は、それではそれで全部が解決したものということになるならば、私はそれだけでは生活は依然として困難である。從つて二千九百二十円というものが満足すべき情勢でないが、それにもかかわらず、この案が出たということは、ここに十分諸般の情勢がこまかく檢討された結果として生れたものでありますから、政府としてこれを承認するということは、当然なことと思うのです。しかも政府からも委員が出て、組合側からも委員が出て民主的な方法において決定された事柄なのですから……。ただ今後の問題としてどういう努力をするかということについては、先ほど來、これもまたしばしば申し上げた通り、適切な具体的な方法を考慮しつつある。それでこれはおそらくきわめて近い時間のうちに、具体的なものが皆さんに示されるであろう、こういうことを考えているわけであります。
  73. 野坂參三

    野坂委員 しつこいようですけれども、今の点でやはりはつきりしないので、もう一度お聽きしたいのは、今の二千九百二十円というのは合理的で科学的で民主的にでき上つた。だからこれを認める。そうすれば二千九百二十円で普通食えるはずである。ところが加藤大臣自身も先ほどから繰返して言われるように、常識的にみてこれは食えない、これは一体どういうふうな食い違いであるか。
  74. 加藤勘十

    加藤國務大臣 これは野坂君ともあろう人も、やはり全般の情勢を総合判断されれば当然納得のいくことだと思うのです。おそらく野坂君がこれくらいのことが納得にいかぬはずはないと私は思うのですが、現在のこれは一月の物價を基準として約一箇月もかかつて、この一月から三月までの期間の基準として採用されたものでありますから、それがかりに非常に不十分なものであり、これでは食つていけないということも考えられた。にもかかわらず、ここには多くの組合員を擁する國鉄の代表者が参加しておられるわけなんです。それでその國鉄の代表者が参加した上で、これが定められたものなんです。これを政府として今日の財政の面やら物資の面やらで、これ以上になお考慮するものがあるとするならば、その委員会の審議の過程において、当然政府の代表者からそうした事柄が述べられているわけでありますから、そういうすべてのことを総合した後にこの結果が生れたから、そこで不十分ではあるが、一應これをもつて一月から三月までのものとして了承を願つて、四月からは新物價のもとにおいてまた別な方法が考慮される、決してこれはもう四月も五月もそのままにしておけというのではないのでありますから、当然新らしい事態には新らしい方法をもつて対処していく、こういうのですからして、これはひとつ野坂君においても諒としてもらいたいと思うのです。
  75. 野坂參三

    野坂委員 どうも諒とできないのです。こういう問答を続けても、あまり結果が出ないように思いますが、最後にお聽きしたいのは、そうしますと、加藤大臣の今の御発言によると、ともかくも給與委員会でいろいろな人が集まつてきめたから、不満足であるが、これを認めてもらいたい、こういうことであります。そうしますと、今各組合側の方では、これでは不十分である。たとえばここでは一万何千円という額も出ていますが、先ほど加藤大臣も言われたように、民間でも三千三百いくら、二千九百円を数百円上廻いる、そうしますと、今官公労その他の組合の方で、今日の生活を最低限度とするためにも二千九百二十円ではやつていけないからもつと上げてもらいたい、こういう要求は当然だとお認めになりますかどうか。
  76. 加藤勘十

    加藤國務大臣 民間の三千二百二十円というものは、勤務時間の関係で、時間から算定してここに官公廳の基準が二千九百二十円というものが生れたのでありますから、この間には勤務時間というものを計算してみれば矛盾はないと思うのです。三千二百二十円という民間のものが間違つておるということになれば、これはおのずから別問題ですが、それとはちやんと時間的に勘案されてマツチしておるわけであります。それから二千九百二十円で食つていけないということについては、それは今後の問題でありますから、從つて今後の問題について、また新らしい何か生活のでき得るような要求が組合側から生れてくることもまた当然でしよう。そういうことをかれこれ勘案して、新事態に処する新らしい機構による方法が考慮される、こういうわけであります。今までの問題は今までの問題として一應整理されて、新らしくそういう事態になつていきたい、こう考えます。
  77. 野坂參三

    野坂委員 今のお話を聞きますと、先ほどから少し変つてきているように思う。私たちの聽いておること及び今の組合員の要求しているものは、一月まで遡つて少くとも今日食えないからということを根拠にして要求しておる、ところが、先ほど加藤大臣のお答えの中には、今も食えないということが常識であるというふうにお答えになつたと思う。ところが、今の御発言では、そうではなくして、今日現在はこれでいい、將來はまた別だ、こういうふうにお答えになつたように思いますが、この点念のためにお聽きしておきたい。
  78. 加藤勘十

    加藤國務大臣 どうも何というか、言葉の綾というかどうかしらぬが、そういうぐあいにもしとられるとすれば、私の説明が下手かもしれぬが、とにかく一月の物價を基準として、一月から三月までの生活をこれで不承々々でも、ともかくがまんしてもらういとう意味において、この決定を了承されたい、こういうことをまず第一にして、それから今日と將來というけれども、三月と四月という間にそれほど大きな時間的の開きはないと思うんです。これもまた野坂君御承知のはずだと思います。だから四月、新年度において新しい物價が定められるとか、あるいは物價の暴騰によるとか、そういうような新事態に対しては、それに應じて生活を最小限であつても可能にするような機構をもつて、それに対処していきたい。つまり一口に言えば、三月までは不十分であり不満足であつても、ともかく一應諸般の情勢を考慮して、これで納得してもらうようにして、それから四月からは新事態に対應するとこの機構によつて、それに対する対策けですからどうぞ……。
  79. 野坂參三

    野坂委員 もう一度はつきりお尋ねいたします。つまり問題は、今の問題について二つあると思います。一つは、今食えないか食えるかという問題が一つ。第二は、食えないけれども、しかし今の情勢ではこうだから、新しい問題については、將來解決する、この手続の問題と二つあると思います。私の今聽いているのは第一の問題で、現在食えるか食えないかということをお聽きしているんです。それを加藤君がいろんなことを入れて、いかにもこれが何か——結局いのかしらぬがわからないが、労働組合側にとつてこれが根本になつてくると思います。これから私が質問したい点も、これがはつきりしなければ、やはり質問ができません。今食えるか食えないか。
  80. 加藤勘十

    加藤國務大臣 今と將來ということですか、今はもう三月のすでに下旬——いや中旬だけれどもすでに終りの近くになつております。だから四月といつても、將來と言えば將來かもしれぬが、ともかくそこで新しい体制によつて、新事態に対應する対策が講じられようとしているんだから、あまり今ということと、將來ということと、言葉の上でその間に非常に大きな開きがあるようにお感じ、またはおとりにならないで、ほとんど引続いてこれは考えなければならぬ問題なんですから、この点をひとつ了承願いたいと思います。
  81. 野坂參三

    野坂委員 私は今加藤大臣の御回答を、今はともかく食えない、そういうことに言われたように解釈します。さてそれで先ほど質問しました点で、少しまだはつきりしない点があります。つまり物の配給を今後大いに実質賃金をあげる方向にもつていくように努力すると言われました。このことが非常にぼんやりしていて、何ら今具体的な計画があるというふうには私にはとれなかつた。これをもう一つお尋ねしたいと思います。つもり二千九百二十円で食えないのは事実だから、これに対して物の配給をもう少し積極的にやるという計画があるのであるか、あるいは四月からでもいいが、これがあるのかどうか。
  82. 加藤勘十

    加藤國務大臣 労務物資の配給の問題は、これは特に官公廳從業員諸君に対する限定された問題ではなくして、労務一般に関する問題でありまして、これは基準局においてやるように段取がてきております。それから直接官公廳從業員諸君に対する問題としては、そういう構想のもとに、具体案を近く、しかもこれはできれば政府一方の考え方ではなく、組合の代表者諸君の具体的な意見が実際に現われるような方法によつて一つの機関を設けて進んでいきたいという構想をもつております。こういうことであります。
  83. 野坂參三

    野坂委員 いつからおやりになりますか。
  84. 加藤勘十

    加藤國務大臣 今月中にもそういう機構について——日でも三日でも案が定まり次第に、そういうことをやつていきたいと考えております。
  85. 野坂參三

    野坂委員 その次に一言申し上げておきたいのは、先ほどから加藤大臣が今度の二千九百二十円というのは、非常に民主的にやられというふうに言われましたが、これは御存じのように、國鉄の組合だけがはいつたもので、その他の全官公廳職員組合は、これにはいつていない。これをボイコツトした。しかも國鉄の大会でも御存じのように、政府の言われる通りに大体決定はしたけれども、この決議はわずか四十幾票かの差で決議しただけのことである。だから加藤大臣先ほど國鉄全員が参加、賛成したというような印象をわれわれに與えられましたけれども、この点は違うので、從つてこれをいかにもすべての官公吏が満足した二千九百二十円であるというふうなことを言つていただくことは、私はこの際愼  さて次にお聽きしたいのは、十三日に政府から各組合に対して大体三つの通告があつた。その一と三は大した問題ではありませんが、二の点については、これは先ほど稻村委員からも質問がありましたが、ちよつと念のために読んでみますと、「経済的要求に関する限り昨年以來の問題は中央及び地方を通じ、これで一應打切るとともに、その他の問題も、爭議行為によつて解決をはかるという段階から、團体交渉の段階に移ること」、つまり二千九百二十円をのめ、そして爭議行為を打切れ。そうしなければこれは拂わないという意味が含まれていると思う。この通告については、加藤労働大臣はもちろん責任をもたれると思いますが、これは直接御参加になつたかどうか、責任の点もお聽きしたい。
  86. 加藤勘十

    加藤國務大臣 第一の新給與の問題を決定した臨時給與委員会が、國鉄の代表者の参加を見たのみであつて、他の組合が参加されなかつたということについては、私もよく知つております。それから國鉄の大会における決定の数的比率も、今野坂君が言われた通り、私も承知しております。從つてこの臨時給與委員会が、全官公廳職員組合の代表者諸君が集まつて、審議されたものであるというようなぐあいには、私は一言も述ベておりません。ただ從來ややもすれば、こういう問題は、政府だけの機関できめられたという形式からみれば、しかもこれは最初から國鉄だけを限定して呼びかけたのではなくして、全組合に参加してもろうように呼びかけた。そうしてその結果が、いろいろの行き違いからではありましたが、國鉄だけしか参加されなかつたというのでありまして、その参加されなかつたことは、先ほども申しまする通り、きわめて遺憾なことではあつたが、とにかく参加された組合の代表との間には、十分に審議がつくされたということだけは、御了承を願つておかなければならぬと思います。  それから第二の通告の点でありますが、もちろん政府から出された通告に対して私は責任を感じます。ただこの決定のあつた日に、ちようど私は司令部に行つておりまして、その決定そのものには直接参加しておりませんが、しかし責任はあくまで負います。どうぞそのように思了承を願います。
  87. 野坂參三

    野坂委員 この通告自体の問題ですが、これの解釈の問題になりますが、これを承認しなければ二千九百二十円を支拂わないかどうかという問題について、先ほどから繰返し繰返し質問があつたと思います。この点は非常に重大な問題で、明確な御回答を願いたいと思います。先ほどから加藤労働大臣は、こういう問題について今國鉄以外の組合が承認していない。たとえば全逓その他においても、明らかにこれに対して承認できないということをはつきりと政府に対して通告しているはずです。もう彼等は承認しない、了承しないというふうに言つておると思います。さて了承しないという状態においては、政府としては二千九百二十円をお拂いになるのか、お拂いにならないのか、その点をはつきりと……。
  88. 加藤勘十

    加藤國務大臣 現在國鉄の組合員以外に承認されておらぬということは、野坂君が言われた通りであります。しかしこれは組合の從來からの要求されておる点から見れば、組合としてこの審議にも参加されなかつたのであるし、私はその拒否される一應のことはもつともだと思います。從つて、これについては、さらに官公廳組合以外の全体の立場から、なおよく情勢について話合うならば、一度そういうような決定をされたにしても、あるいはもつともつと懇切に努力して話合えば、了承願えるのではないか、これは私の主観であるから、そう言つても、皆さん承認されないかもしれませんが、私はそのように努力を継続するつもりでおります。それから承認しなければ支拂わないか、こういう問題については、今私ここで稻村君への答弁で、私の先ほど言葉にもし誤解があるならば、いさぎよく訂正をするという意味において、これが一つの絶対的な條件であるというふうには考えておりませんので、從つて拂うベき性質のものは拂うのであるが、願わくば、これを一つの契機として、今までの闘爭体形を解除して、そして新しき方法によつて、次の交渉に進んでいつてもらうようにしたい、こういうことのために、極力了承を得られるように努力をする。こういうことの意味でありますから、その点はさように御了承を願いたい。
  89. 野坂參三

    野坂委員 そうしますと、加藤労働大臣の方で、組合側と交渉されて、できるだけ了解を得る、こういうことに努力をされるということは、今わかつたと思いますが、努力の結果やはり組合側において了承しないという場合においては、二千九百二十円は一体お拂いになるのかどうか、結局私の質問は前と同じことを繰返すことになりますが、この点一應はつきりしていただきたい。もしこの場合條件を附せられる、たとえば爭議体形を解く、そうしたならば、このベース承認しなくても二千九百二十円は渡すということなのか、こういう点をはつきりしていただきたい。
  90. 加藤勘十

    加藤國務大臣 ただいまの野坂君の御質問は、爭議体形を解くという條件がきまらなければ拂わぬというのであるのか、爭議態勢を解けば拂うというのか、そのどちらでございましようか。
  91. 野坂參三

    野坂委員 爭議体形を解かなければ拂わないという條件があるのかどうか。もう一つは、そういう條件は全然なくして、そうして了承しなくても二千九百二十円はともかく拂うのか。
  92. 加藤勘十

    加藤國務大臣 條件ではありませんが、今言う通り、どうしてもこれは一つ了承してもらいたい、こう思うのです。これはもう禪問答のようになりますけれども、この点は一つ了承してもらいたいのです。
  93. 野坂參三

    野坂委員 了承という意味になりますけれども、つまり爭議体形を解くという了承なのか、原則としてベースをこれにしろということですか。
  94. 加藤勘十

    加藤國務大臣 だからそれは今言う通り二千九百二十円では生活が困難だということは、政府側においても、また一般の世間においても、組合側はもちろんのこと、そういうことについては、もう常識的に判断をして一致しておると思うのです。それにもかかわらず、これを了承してもらいたいということは、爭議体形を解除して、新しき事態に應ずるような新しき体形で、その問題は新しく出発してもらう。こういうことなんですから、この点は結局禪問答のようになるが、どうしてもこれはひとつ納得してもらいたいのです。頼みます。
  95. 野坂參三

    野坂委員 結局予算委員として、この問題は非常に愼重に、また的確にはつきりしなければ、われわれとしてもやはり質問を打切ることはできないと思います。今はつきりしてきたのは、あのベースを認めなくてもよろしいから、爭議体形は解いてくれ、こういうことを一体言われるのか。第二には、ベース自体を認めてくれ、同時に爭議体形をやはり解いてくれ、この二つの條件が附いておるのかどうか。こういう点を伺いたい。加藤君が今まで出された勇敢な勇猛心を出して、ひとつさつぱりと言つてもらつたらどうか、そうすればすぐ片づくと思いますよ。
  96. 加藤勘十

    加藤國務大臣 私は率直簡明に皆さんの御了承が願えるようにできれば文句はないのですけれども、結局こういう言葉を使わなければならないというところにも、また大きな事情が存しておるということも、また多くの諸君が御了承願えると思うのです。そこで問題は具体的にはいつて、そういう條件というわけではないのですから、この点は私はつきり申し上げます。條件ではない。いずれにしてものまなければいかぬとか、のむとか、解くとか解かぬという條件ではないが、しかし事態はどうしても爭議体形を解いて、一應これを了承してもらつて、新しき事態には新しき体形をもつていくということなんですから、これはどうぞひとつ了承願います。
  97. 野坂參三

    野坂委員 もう少しお聽きしたいのは、労働爭議体形を解くと言われましたが、爭議体形ということは、どういうことを意味するのか。
  98. 加藤勘十

    加藤國務大臣 爭議体形でなくて闘爭体形ですね。
  99. 野坂參三

    野坂委員 それはどういうことを意味するのか、たとえば今まで條件を出しておりますよ。あれをやめてくれ、あるいは今の中闘委員なんかいろいろ組織がありますが、こういうものを解体しろというのか、あるいはそのほかどういうことをねらつておるのか、この点をひとつ……。
  100. 加藤勘十

    加藤國務大臣 だんだん問題の所在が一つ一つ解決されいてくと思いますが、私が特に予算委員の皆さんの御了承を願い、さらにこの席を通じて組合の諸君の御了承を願おうとする点は、從來のそういう闘爭態勢を解いて、團体交渉の方法による交渉によつて事態の展開をはかつていただきたい。こういうようにひとつきめていきたいというのが希望であります。
  101. 野坂參三

    野坂委員 團体交渉という場合に、これも廣い意味一つの闘爭だと思います。これはやはり一つの闘爭体形ではなかと思うのです。そうなれば、闘爭体形というものは、非常に廣い範囲に解釈して、たとえば団体交渉も闘爭体形と理解していいのか、今の闘爭委員会というものをつくるということ自体はどうですか。
  102. 加藤勘十

    加藤國務大臣 わかりました。なるほど団体交渉をするということも闘爭態勢といえば闘爭態勢のうちの一つになるかと思いますけれども、私の言うのはそういう意味ではなくして、狹い意味においての爭議態勢といつた方がよいかと思いますが、爭議態勢を一應この際解除してもらうようにしたい、私はこう言うのでありまして、団体交渉はあくまでも組合側に団体交渉権もさらに罷業権もありますから、本來ならば十分に罷業権をもつた組合が罷業権を行使するということも、何ら差支えないわけでありますが、事態はそういう態勢によらないで、あくまでも団体交渉の方法で、事態の展開をはかつていくようにしていただきたい、こういう意味であります。
  103. 野坂參三

    野坂委員 そうしますと、ちよつとまだはつきりしないのは、爭議態勢自体の内容でと思いますが、これはつまり今まで要求しているこの要求を下げるということが一つ。それから中闘委員会とか、ああいう組織をやめろということが一つ。こういうことを意味するのかどうか、それをひとつもう一度はつきり伺いたいと思います。
  104. 加藤勘十

    加藤國務大臣 中闘組織などということは、これは組合自体の一つの機構でありますから、これを政府から解いてもらいたいとか、解けということは言われぬと思います。事態の状況判断によつて組合側が解かれれば、それは組合側の自主的な態度にまたなければならないと思いますが、ただ現実の問題として、いわゆる地方的に起つておる部分的なストであるとか、あるいは勤労中における職場大会であるとか、それも当然その職場の責任者の承諾があれば、これは労調法によつて許されておる、これも労働組合の権利でありますから、こういう法律によつて定められた事柄についての行為を、かれこれ言うのではありませんが、しいし世間から見て、これが爭議行為と思われるような事柄を、ひとつこの際解除してもらいたい、こういうことであります。わかりましたか。
  105. 野坂參三

    野坂委員 世間から見て爭議行為というような解釈は、非常にぼんやりしておると思います。ところが今加藤大臣自身は、たとえば地域的なストであるとか、いろいろなサボとか、こういうものはともかくも今法的に許されているから、これをかれこれ言うのではない、ただ世間一般に爭議行為、爭議態勢と言われておるものは、これは実を言うと、やはり今の爭議行為、爭議態勢をそのまま続けても構わないということになるのではないかと思いますが……。
  106. 加藤勘十

    加藤國務大臣 それは野坂君の解釈がどういう解釈であつても、私の解釈はそうではなく、今日まで爭議形態と思われるような事柄を一應この際やめてもらいたい、こういう点にあるのです。
  107. 野坂參三

    野坂委員 だからそれはどういうことですか。
  108. 加藤勘十

    加藤國務大臣 それはたとえば地方的な時間ストであるとか、あるいはサボ戰術であるとかいうようなことを意味するわけなのです。
  109. 野坂參三

    野坂委員 わかりました。それでは大体今の内容はわかつたのですが、さて今の内容、たとえば地方的な時間ストしか、あるいはサボとか、それ以外のものは大体爭議態勢にならないというふうに解釈してよいかと思います。  さて次にいろいろ加藤大臣は私に対して、今の二千九百二十円を何とかして承認了解してもらいたい、努力する、こういうふうな関係は、大体われわれにわかるのではないか。何かしらほかにある力があつて、こういうことが求められておるというふうな印象を私たちは受けたと思います。これは今の私に対するお答えだけではなくして、先ほどの稻村君の質問に対しても、同様なことを言われたと思う。この点は私はよほど重要だと思います。だからこの点はもう少し明確にお答え願いたい。どういう事情なのか、どういう一体條件があるのか。
  110. 加藤勘十

    加藤國務大臣 その点は今まで申し上げたことが全部でありまして、それ以外に含まれておるものはありません。ただ内外諸般の情勢を大局から考慮してもらう、こういうことでありました。それ以上に附け加える何ものもないのです。
  111. 野坂參三

    野坂委員 内外の情勢は、みんな大体わかると思うのですけれども、特にああいうふうなことを強調されるとなると、何か一つの見えない力があつて、これがために加藤君は言いたいことも言えない。二千九百二十円を何とかしてがまんしてくれというふうに言われる。これは前の内閣のときにも、その前の内閣のときにも、大臣諸君が用いられた。何か言いにくい、やりにくいとなると、別の力があると言われる。これは私は非常に遺憾だと思います。  それでもう一つ伺いますが、國鉄が大会で二千九百二十円その他の條件を大体承認したと思います。ところがこれに対して政府としては、いつごろお拂いになるのか。二千九百二十円をお拂いになるのか、一説によれば二千五百円というような説もありますが、こういう点に対してお伺いしたいと思います。
  112. 加藤勘十

    加藤國務大臣 それは私からよりもほんとうは大藏大臣の方がいいのですが……。
  113. 福田赳夫

    ○福田政府委員 お答えいたします。支拂いの時期は、法律案並びに予算案両者が成立した直後であります。それから二千九百二十円を全部支拂いますので、二千五百円を内拂いとして支拂うことにいたします。
  114. 野坂參三

    野坂委員 あとはどういうふうに支拂われますか。
  115. 福田赳夫

    ○福田政府委員 あとは今度の二千九百二十円を支拂うにあたりましては、職階制的な要素を加味いたしまして、新給與体系をつくりまして支拂いたい、かようなことになるのであります。ところがその新給與体系の作成に時日がかかりまして、今月中はとうててできない。來月になるというような情勢なのでありまして、そのうち二千五百円だけをこの際至急拂う、かようなことにいたしたいと思つております。御了承願います。
  116. 野坂參三

    野坂委員 私は職階制をこれに入れるという問題については反対ですが、きようはここでこの問題は取上げないことにします。  もう一つお伺いしたいのは、國鉄については今言つたようなお答えですが、つまり二千九百二十円を承認しなかつた他の官公職員に対しては、いつお支拂いになるのか、これをお聽きしたいと思います。
  117. 加藤勘十

    加藤國務大臣 さつきの野崎君の言葉の中に、困難な事態が起るとどうこうという言葉がありましたが、今までの内閣がどうあつたか、それは別問題としまして、少くともこの内閣において、私の所管に関する限り、私はそういう自分の責任を回避するような態度はとりません。私からだをもつて物を言つております。よくこの点はひとつ了承を願いたい。  それから國鉄以外にいつ支拂うかという問題になりますが、これは技術的な問題も含まれておりますので、ともかくまず、多少誤解の点もあるから、そういう点については、極力組合代表諸君と話合つて、その上でよく協議したいという考えをもつております。時間をいついつと切る前に、そういう方法を十分に納得してもらうということにいたしたいと思うのです。どうぞ御了承を願いたいと思います。
  118. 野坂參三

    野坂委員 いつもそういう会をおもちになるのですか。
  119. 加藤勘十

    加藤國務大臣 これは政府としては、まず技術的な問題が伴いますから、かりにこの問題を承認されない組合といえども、技術的な問題については、当然意見をおもちだから、從つて組合の意見を求めるために、政府としては大藏省の給與局長を技術的な責任者として、各組合に呼びかけて、代表者にお集りを願い、そこで技術的な面をまず檢討するということになります。これは急速にやることになつております。
  120. 野坂參三

    野坂委員 ちよつと報與局長がおられればお聽きしたいのですが、技術的なというと、何か特別な技術的なものがあるのですか。つまり二千九百二十円ベース承認しなければ拂わないという法律でもあるのですか。
  121. 川島金次

    川島委員長代理 野坂君に申し上げますが、今給與局長は参議院に出ていて出席しておりませんが……。
  122. 野坂參三

    野坂委員 それでは主計局長にお願いいたします。
  123. 福田赳夫

    ○福田政府委員 ただいま政府において、國会に提案することを計画しております本予算に伴う給與支給に関する法律案におきましては、さような、のまなければ技拂わぬというような規定は、計画しておりません。
  124. 野坂參三

    野坂委員 そうすると技術的の面の上で遅れるというのは、どういうことですか。
  125. 加藤勘十

    加藤國務大臣 それは今野坂君は反対だと言われたが、職種の問題、それから地域差の問題、こういう事柄については、全國的な観点に立たなければなりませんし、そういうことについては、組合がそれぞれ十分研究をしておいでになりますから、そういう組合の研究事項を総合して、不公平にわたらないようにするという技術的な面があるわけです。そういう意味であります。
  126. 野坂參三

    野坂委員 そうすると先ほどの主計局長のお話では、予算が通過すれば、すぐ拂うということでありますが、地域差あるいは職階という問題になれば、單に官公職員だけではなしに、國鉄も同じだと思います。國鉄も予算が通過しても、やはり技術的な面が片づくまで支拂は延ばされるということになるのですか。
  127. 岡田勢一

    岡田國務大臣 今のお話にお答えいたします。國鉄の方は、さいわいに昨日労組が承認しておりますので、二千五百円見当の内拂をいたしまして、そのあとのものは、今労働大臣から言われましたような技術的な問題、いわゆる職階制とか、地域別とか、またすでに起つております不公平を調整する、その調整することにつきまして、一方的のこちらからの考え方でなしに、民主的と申しますか、組合代表者の意見をよく聽きまして、その意見を取入れて、公正にあと給與の割振りをきめたい。そういう考えでおりますので、これがいわゆる労働大臣の言われました技術的な問題であります。從つて内拂をいたしましてから、その手続を懇談または檢討いたしますために、先ほど福田主計局長が申し上げましたように、日にちがかかる予定になつております。
  128. 野坂參三

    野坂委員 今私の質問したのは、國鉄では一体こういう技術的な問題ということは、全然問題にならないのか、やはり問題になるのか聽いているのです。
  129. 岡田勢一

    岡田國務大臣 その技術的問題は、よく組合側と懇談して檢討するということになるますが、それは先ほど労働大臣が言われましたように、給與局長が各組合の代表者に集つてもらいまして、その基礎的な相談がなされるという段取りになつております。
  130. 野坂參三

    野坂委員 國鉄の方も同樣におやりになるのでね。
  131. 岡田勢一

    岡田國務大臣 そのあとの内拂の残額に対する支拂も、そういう考えで進んでおります。同じであります。
  132. 野坂參三

    野坂委員 そうすると、私のわからないのは、國鉄だけは予算が済めばすぐ二千五百円は出す。ほかの官公労については、予算が済んでも、まず技術面から審議にはいる、それの協定を得て云々ということであるが、どうしてこういうふうに國鉄官公労の区別をもたれるのか。そこがきようの一番大きな問題だと思います。ただ國鉄はこれを承認したから、お前にはすぐやるぞ、お前のところは承認しないから延ばす、いつやるかわからぬ、こういう政府の手だとしか、私は解釈できないと思う。
  133. 加藤勘十

    加藤國務大臣 野坂君の御意見ですが、実際問題として、そういうことについて、一應御了承を得ないとあとの職種もしくは地域の問題の点も、これは切り離しては見られぬと思うのです。從つてその二千九百二十円というものの了承の上に立つて初めて新しい技術面が出てくるわけなのです。そういう技術的檢討からいけば、全面的な了解にも到達するのではないかということも考えられるわけでありますけれども、そういうことは、第二の問題として、二千九百二十円というものが前提になるのですから、從つてその技術的な解決も、それを基準としてやるということになるために、今申し上げるように、どうしても御了承を得なければならない、こういうための努力する、こういうわけですから……。
  134. 野坂參三

    野坂委員 今加藤大臣が言われましたけれども、結局本質は同じことです。國鉄は聽いたから拂う、ほかのものは聽かないからぐずぐずして延ばす、そのうちに何とか讓歩してくるだろう、こういうことだろうと思いますが、私の時間が超過したので、この問題はこれくらいにして打切りまして、最後にもう一つ加藤労働大臣からお聽きしたいのは、労働基準法、あるいは労働組合法、労調法、こういうものを改正する意図政府の方にあることは、前々からわれわれも聞いているし、去年の暮には米窪前労働大臣が、こういう意味のことを新聞にも発表されたと思います。つい最近でも、米窪君はこういうことを言つておられる。さて加藤君が大臣になられて、すぐ発表された意見の中には、こういうふうな法律は、いかなる改正もしないということを言われたいと思いますが、その後少し変つてきて、健全な労働運動を阻害するような改正はやらない、こういうふうにも言われている。そこでお聽きしたいのは、一体改正をされるのか、されないのか。もしされるならば、どういう性格をもつた改正をされるのか。この点をはつきりお聽きしたい。
  135. 加藤勘十

    加藤國務大臣 前の内閣がどういうことを言うたか、これは内閣がなくなつたんですから、從つてその言葉はそのままでいいと思います。また米窪君がどういうことを言うたか、これもまた米窪君個人の意見だと思います。私が労働大臣にある限りは、私は現在の労働関係法規は、よきにつけあしきにつけ、いじらないということを、私ははつきり申し上げます。それは各方面から、いろいろ意見があるだろうと思いますが、しかしこういう問題が、今非常に不便であり、支障も生じているというのならばともかくも、こうした方が都合がいいということのために改正するということはとるべきでないとは、私は判断いたしまするので、私はこの地位にある限り、そういうことについて、何ら積極的な方法をとらぬとはつきり申し上げます。
  136. 野坂參三

    野坂委員 これで私は加藤労働大臣労働法規の改正問題についての態度は非常にはつきりしたと思います。絶対に改正をするようなことはやらないという御回答であつたが、これに附随してひとつ念のためにお聽きしたいのは、今政府側から軽犯罪法という新らしい法律が出ておりますが、この内容を見ますと、前の警察犯処罰令の復活よりもつと改惡になつている。單にこれは労働運動のみならず、人権蹂躙の法律になつてきている。これが施行されれば、労働運動の上においても、大きな障害があるように思いますが、この点について加藤労働大臣は、どういうふうにお考えになるか、お聽きしたい。
  137. 加藤勘十

    加藤國務大臣 軽犯罪法は、その法文を見ただけでは、警察犯処罰令であるとか、治安警察法であるとか、行政執行法とかの範囲とは、ちよつと性質が違つていると思います。むしろこれは道義に関する点が多分にあるのでありまして、お互いにこういう法律によつて日々の生活が支配されなくてもいい状態にあることが、一番望ましいのでありますが、残念ながら今日の道義廃頽の段階においては、こういう道義に関することまでも法律に入れらなければならぬということは、お互いに恥辱だと思うのでありますが。ないことが一番いいと思うのですが、しかしこれは主として道義に関する事柄を規定したもので、労働組合の運動とか、農民組合の運動というような社会運動に関する取締規定とは違うと思いますが、しかし過去においても暴力行為取締令というような法律が施行されるときに、これは労働運動や農民運動には適用せぬと言つておきながら、実際そういう法律ができると、行政官廳はこれを適用した例があるわけであります。この條文のうちのどういう点に、そういうおそれがあるかということについては、政府としては、あくまでも十分に注意いたします。その法律の精神は、古い警察國家時代の國家機構とは違いまして、主権が人民にあるという今日の時代においては、当然そういう事柄についても、われわれは立法の精神通り法律を運用することができると思いますから、その点については、そういう疑問の念を懷くことなくして済むようにしたいと考えております。
  138. 川島金次

    川島委員長代理 労働大臣が出席中でありますから、次に原君に質問を許します。
  139. 原健三郎

    ○原(健)委員 簡單に御質問を申し上げます。結論から申し上げますと、けさから労働大臣がいろいろ御答弁をされましたが、こういう臨時給與を上げる予算制ありますから、私どもは即刻賛成してこれを通したいと考えておつたのでありますが、労働大臣のいろいろな御意見を聽くに從いまして、簡單にこれを通すことははなはだ心配にたえないという疑惧の念を懷いておりますが、あえてそれは私一人ではないと思う。なぜかと言いますと、労働大臣は二千九百二十円ベースを立てておるにかかわらず、そのベースがいかなる理由によつておるかというその理由がはつきりしない。しかも二千九百二十円ベースを堅持するという信念も少しもない。だから二千九百二十円ベースを提案した理由が、われわれにはわからぬのであります。臨時給與委員会で、こういう報告があつたから、それで私はやつたのである、こういう答弁であります。もつとさつき野坂君からいろいろ聽くと、内外諸般の情勢からこれをひとつのんでくれ、しかも二千九百二十円ベースは、これをもらう方から言うと、だれ一人としてみなこのくらいでは食えないと思つておる、自分もそれを認めておる、こういうようなことを言われておりまして、私ははなはだ提案の理由が理解できなくて、即刻賛成いたしたいと思つておつたが、賛成の自信を失わざるを得ない。その点はなはだ遺憾に思いのます。しかもだれ一人として食えないことを認めておるような二千九百二十円ベースを議会へもつてきまして、これを承認せよといつても、承認していいのか惡いのかわかない。しかも食えないような、信念も確信もほとんどないような基礎的な数字をもつてきても、われわれは承認できないと同時に、今ストライキをやつておる人にいたしましても、それをやめる理由もないだろうし、またやめる必要もないだろう。ほとんどでたらめな数字をもつてまいりまして、内外諸般の情勢から了承せよということは、われわれははなはだ了解するに苦しむのであります。そこで重ねてお尋ねいたしたいが、内外諸般の情勢とは、一体何のことであるか、これをお聽きいたしたいのであります。
  140. 加藤勘十

    加藤國務大臣 ただいまの原君の御質問にお答えいたしたいと思います。二千九百二十円の基準は、決して今おつしやつたようなでたらめできまつた数字ではありません。これは先ほど稻村君にもまた野坂君にもお答えしました通り、不満足ではあつたが、民主的な方法において、あらゆる條件から審議されて、約一箇月の日子を費して非常な苦心の結果、科学的な檢討に基いて算定されたものなのであります。しかしそれならば、それで食えるかということになれば、この委員会の報告書にもありまする通り、これは不満足であるということがはつきり明記してあるわけです。不満足ではあるが、今日の國家財政の上からいつても、また日本の経済條件からいつても、やむを得ざるものとして、委員会もこれを承認し、またその報告に基いて政府はこれを得心する、そういうことになつたわけでありまして、この点はひとつ誤解のないようにお願いいたしたいと存じます。それから内外諸般の情勢ということは、今も申しまする通り、今日の日本の経済状態、また政府の財政状態、こういうものと、どうしても日本の経済復興のためには、好むと好まざるとにかかわらず、外資の導入、すなわちクレヂットの設定を求めなければ、日本経済の復興はむつかしいのであります。そういう日本経済の復興のためには、外資の導入を見なければならぬとしまするならば、その外資の導入の方法において、あくまでもわれわれ自身だ自主的な体制を整えるということが必要なんであります。その自主的な体制を整えるということは、経済界、また一般労働界において、クレヂットを與える方から見て不安の感じをもたしめないようにするということは、言うまでもなく必要な事柄でありまして、そういうことを意味するもとであるということを、ひとつ了承願いたいと存じます。
  141. 原健三郎

    ○原(健)委員 内外諸般の情勢というのは、そういう全部ではございませんでしようが、外資を導入する方法のためには、自主的体制を整えなければならぬ。それには経済界、労働界に不安をなからしめることが必要だ、こうおつしやられるのは、その点は全然同感であります。経済界や労働界に不安を起していいなどと思つておる人はおそらくないだろうと思います。しかも、その不安になつてきておる原因は、けさからいろいろ論議されておるように、その原因は、それでは食えないから少し上げてくれというのが根本でありまして、さつきから労働大臣は、民主的とか、科学的とか、合理的という言葉をもつてごまかしておりますが、合理的ならば食えるはずである、科学的であればもう少し食えるはずであるし、民主的でないということは、さつき野坂君が言つた通りであります。ただ臨時給與委員会から答申があつたから、労働大臣として二千九百二十円くらいで、ぜひこれを國会においても通してくれということは、いくら考えてもわれわれは解せないのであります。結局そういうことなら、労働大臣としての信念抱負をもつて、こんな答申は答申といたしまして、報告は報告として、このくらいの給與をひとつやろうじやないか、日ごろ常に加藤労働大臣は、民衆に対してもきわめて廣言を吐き、強力な闘爭力をもつて今までやつてきたんであるから、その日ごろの信念を発揮して、このくらいに賃金をもつと上げてやるとか、労働者も食えるというベース考えられてはどうか、これが第一点である。  第二点はさつきも野坂君が言うように、こんな名目賃金でなくて、もつとうんと名目賃金を上げて、さらに実質賃金において上げなければならぬ。これはおそらく日ごろの抱負経綸としていろいろあられると思うが、さつきからいろいろ聽いておると、実質賃金でなくちやいかぬというのではなく、実質賃金の内容は全然ありません。こんなことで一体労働大臣としての大任を果すことができるか。こういう予算を出して、それが簡單に國会を通過できると考えるか。しかも内閣の首班が任命されてから、長い間それを放任して、組閣がなかなかできない、できたらこれをもつてきて、一日や二日でただちにこの案を通せというようなことを慫慂しておるが、はなはだでたらめ千万である。われわれはこういう内閣ははなはだ遺憾であると思う。それでもう一つぜひお聽きしたいのであるが、四月以降——といつてもすぐであるが、今後四月以降の新事態に処する何か機構をつくつて賃金考えるつまりである。こういうようにさつき労働大臣は申されましたが、四月以降いかなる機構をつくり、いかなる賃金体制を整えると言われるのであるか、労働大臣としての抱負経綸をここでひとつ明確に述ベていただきたいのであります。
  142. 加藤勘十

    加藤國務大臣 御意見は御意見として愼んで承つておきたいと存じますが、御質問になりました賃金の点につきましては、私は名目賃金引上げは、インフレを高進せしめるだけで、これは結局何らだれにも利益を與えない。こういう点から実質賃金引上げということに主力を注ぐことこそ妥当であると感じます。從つてそれについては、全般としましては、労働基準法に基く賃金委員会というものができまして、そこでそういう点についての審議が進められると存じますが、その基準法に基く賃金委員会の設定なり、あるいはその審議とは別に、從來安本で專管しておりました労務者用の物資の配給について、労働省がその割当に参画する。そして先ほど申しまするように、その物資の配給が適正に行われるかどうかということについての監督をするようにしたい。これが全般の労働者に対する問題でありますが、直接官公廳の問題にしましては、今申しまする通り、二千九百二十円は一月の物價を基準としたものでありまするから、当然今日までの間には、若干の物價の騰貴を見ております。また四月になれば新しい物價の問題が起つてきているわけでありますから、そういう事態が起つた場合には、それに対処するために、今度は前の臨時給與委員会には國鉄の代表者だけしか参加されなかつたけれども、この次のそういう機構がつくられり場合には、ひとつ全部の組合の代表者諸君に参画してもらうことのできるような態勢を整えたい。そしてそこで実際の問題を審議していただきたい。こういう意味でありますから、この点ひとつ了承を願いたいと存じます。
  143. 原健三郎

    ○原(健)委員 後の御答弁は、四月以降の賃金については、新事態に処する態勢を整えて新しい賃金を考慮されるというわけでありますが、その機構をどうされて、どのくらいの賃金にされるか。この労働攻勢はこのまま收まりそうもないのであります。これに対して、いわゆる実質賃金、名目賃金、それをどういうように決定する機構並びにその労働功勢に処するところの労働大臣の大抱負をひとつ聽きしたいのであります。
  144. 加藤勘十

    加藤國務大臣 ただいまのお言葉でありますが、この点につきましては、新事態に処する機構としては、今私の申し上げましたように、かりに新給與委員会というような性格のものができるとしまするならば、各労働組合が参加せられるような機構にしたい。そしてそこで十分に新事態に應ずるように審議をしたいということでありまして、それ以上に今日いくらが適当であるとかいうようなことは、その審議の結果にまたなければ申し上げることは困難だと存じますので、この点は原君においても、十分御了承願えることと存じます。ただ問題は、賃金を上げるというだけでは、今申しまするように意味をなしませんので、どうしても賃金の値上げは、同時に物の増産への途と一体にならなければならない。こういう点から、從來生活費という賃金形態からできればこれに能率的な賃金形態を加味されて、この生活賃金と能率賃金と、技術的にはどういうようになるかということは、まだ今後の問題になたなければなりませんが、この二つのものが一体になるような賃金体系を生み出されることを、私としては希望いたしているわけでありますが、現下のいわゆる労働功勢といわれておりまする問題に対して、私どもインフレの高進下において、賃金なり、俸給なりという定まつた收入で生活している人が、非常な生活の窮乏状態にあるということは認めなければならぬと思いますので、そういう人々の実際に生活が不可能であり、困難であるという点から生れてくる経済的要求に対しては、十分なる理解をもつて対処しなければならぬと存じます。ただもしそういう機会を組合の自主的意図以外の意図によつて事が行われるというようなことに対しては、私どもとしては、十分に戒心をして、これに処する方法もまた生れてこなければならぬだろう、こういうように考えております。
  145. 原健三郎

    ○原(健)委員 大分内容がはつきりいたしてまいりましたが、それではさつきからるるも申し述べられております実質賃金を、四月以降労働大臣はどういうようにされるつもりでありますか。このことについて……。
  146. 加藤勘十

    加藤國務大臣 その点はまだ十分に政府としても案は練られておりません。それから私もまだ御承知のように、ここ一週間になるかならぬかという期間でありまして、労働省内部の事情全般についてすら報告を明けておらぬような事態でありまして、今すぐにその構想を申し上げる段階には至つておりませんが、とにかく官廳職員諸君が、なるほどこれならば不満足ではあつても、がまんし得られるというような状態に、事を運んでいくような機構をつくりたい。こういう輪廓だけを申し上げることによつて了承を願いたいと存じます。
  147. 原健三郎

    ○原(健)委員 さつきもいろいろ申されたのですが、今の二千九百二十円ベースを言うときにおいては、労働大臣はその名目賃金だけではだめで、実質賃金でこれをなるべく補いたいというようなことを力説され、しかも実質賃金は何かというと、配給をどうするとか、いろいろ申されましたが、ほとんど実は伴いません。されならばこの日睫の間にできなければ、四月以降のことについては、名目賃金についても、実質賃金についても、どうされるのであるかということを尋ねると、まだその成案がないとか、就任以來一週間が十日よりならないということをおつしやいますが、それほどあなたは素人でもないし、長年労働運動のために盡瘁せられてきた闘將である。それが労働大臣になられて、そかも社会党の左派を代表されてはいられた有力な人である。われわれといえども、この人が労働大臣になるならば、今日の労働攻勢を緩和してくれて、まことに日本の産業再建のためにもありがたいことであると感謝しておつた。いわんや全國幾百万の労働者諸君は、加藤勘十氏が労働大臣になられたので、おそらく待望して欣喜雀躍しておる。これをもつて生産も増強し、大いに働いて産業の復興を期そうと考えておるに違いないと思う。しかるにきのうからけさにかけて質問を伺いますと、ほとんど言葉だけは大きいのでありますが、内容に至つては私どもははなはださつきからるると申し上げたごとく、遺憾に存ずるのであります。これ以上申し上げても何にもなりませんから、願わくは四月以降におきましても、もつと力を入れて、眞に日本労働者が起ち上つて、祖國再建に勇往邁進できるようにあなたの力をもつてつてもらいたい。これを切望いしましてやめておきます。
  148. 川島金次

    川島委員長代理 この際一言申し上げますが、大藏大臣は、ただいま参議院で質問を受けておりますので、約二十分くらい経つてからこちらへ見えるそうであります。その間に大藏省関係で、福田主計局長が見えておりますから、主計局長で済む御質問がありましたならば、御発言を願いたいと思います。
  149. 河合義一

    ○河合委員 目下農村におきまして行わせておりまする農家の所得税の徴收でありまするが、まことに苛斂誅求そのものでありまして、農家は非常に困憊いたしておるのであります。これに対しまして、昨日同僚の委員から質問がありましたが、その質問に答えて、大藏大臣は、將來において税制の整理をやりたいという御答弁があつたのであります。しかしながら、農村におきます税制の改革を、將來において行うというようなことでは、事が済まないのでありまして、何とかこの際に緊急なる措置をとられまして、この困憊しておりまする農村の納税者に対して、納得のいくような措置をとつていただきたいと思うのでありますが、このことに関しまして、大藏当局から御意見を承りたいと思います。
  150. 福田赳夫

    ○福田政府委員 お答えいたします。御承知通り税收の確保ということが、非常に重大な問題になつてまいりました関係上、全國税務職員は、非常な努力をいたして、目下租税の目標額完遂に努力いたしておるところであります。その関係上、いろいろ納税者側におきまして、御苦情等があるのでありまして、特に農村関係におきましては、問題が多いようであります。特に農村の所得を決定する場合におきまして、計算上使うところの経費の査定につきまして、税務署の決定に対しまして、農村側の異議と申しまするか、見解の相違というものが、相当各方面にあるように聞いておるのであります。この問題につきましては、農村のみならず、議会各党の間におきましても、いろいろな御注意があるのであります。ただいま実情をよく調べまして、もし政府の側におきまして誤りがあるということを発見されるならば、その際は善処するというように考えております。ただいま調査中でありますから、なお樣子をみた上で善処する、かように御了承願います。
  151. 河合義一

    ○河合委員 実は過日三日ほど私が選挙区に帰りましたところが、毎日々々農村の諸君がやつてまいりまして、いろいろの実情を聞いたのであります。その中でこういうことを聞いたのであります。このたびの課税はあるAの税務署においては二億五千万円を徴税せよ、Bの税務署は二億円を徴收せよというような金額が天降り式に地方財務当局から通達されまして、それに基いてこれを割当てて、農家に課税をしたのであるというようなことを聞いたのであります。私はこの事実につきまして、ある税務署の署長についてこれを質しましたところが、その通りであるということを申しました。しかし與えられたるだけの金額を課税はしていないが、これだけの金額を徴收せよというようなことを聞いたのであります。これが私は大きな間違いでないかと思うのであります。いろいろ事情を聽いてみますと、七十歳を過ぎたところの年取つた農民が、老妻と二人でようやくにして二反歩の耕作をして生活をしております。その農家に対しまして、このたびの更正決定額だけで二万二千円課税をされておるのであります。この二人の農民は、非常に心配をいたしまして、その事情を私に訴えたのであります。そういう実例がたくさんあります。また一つの例は、二反歩の畑を耕作しておる農民に対しまして、所得額の決定が五万五千円であつて、このたびの更正決定の金額だけでも五万八千円でありまして、その税額の方が所得の金額に超過しておるのであります。こういう実例を申し上げますと枚挙にいとまありませんので、一々これを申し上げることはいたしませんが、ところが反面におきましては、相当村内でも裕福なる農家であつて、多くの收入をあげておると認められるところの農家に対して、わずか三千円の更正決定がまいつておるのであります。まことにでこぼこがはなはだしいのであります。そこにおきまして、私どもはあるいは農業会の方から、あるいは農民組合の方から代表いたしまして、税務署に交渉いたしますと、團体交渉は受付けないと言つてはねつけてしまうのであります。ところが一方におきましては、これは兵庫縣のある蔬菜栽培を盛んにやつておる村でありますが、所得の金額を申告いたしますときに、よく村中で相談いたしまして、どこそこはどれぐらいの收入がある、乙の家はこれぐらいの收入があるということをよく調査いたしまして、そうしてその事実をもちまして、税務署と前もつて交渉いたしました結果、このたびの更正決定には一厘の課税もないのであります。税務署は交渉に参りますと、すぐ團体交渉は受付けないと申しますけれども、私はこれは團体交渉の最もよき実例であると思うのであります。  もう一つ私ははなはだ遺憾に思いますことは、このたびの更正決定の通知は、ある税務署においては通知書の日附は二月十五日であります。ところがその書類が農家に到着いたしましたのは三月八日であります。そうしてその通知を受けた後一箇月以内に、再審査の申告をせよということになつておりますが、すでに二十三日経過いたしまして、期限の三月十五日までは、あと七、八日よりないのであります。それを税務署に申してまいりますと、かれこれ申しまして受付けない。元來農家のごときは、どれだけの経費がかかつて一反歩の耕作をして、どれだけの收入があるということを、よく調査しておかなければならぬはずであるけれども、そういうことをする農家は少いのであります。そういう人が税務署に行きますと、私どもが参りますと団体交渉は受付けないと申しますし、また老人や女でありましたならば、わけのわからぬ税務署の役人がいじめ拔きますので、涙を流して訴えておる状態を、私は目のあたり見てきたのであります。これは税務署側におきましても、多くの失態があるのでありますから、納税の期日を延期する。あるいはもう一遍その課税の標準の算出をやりかえる。そのためには、ひとつ村と団体交渉をいたしまして、公平なる課税をするというようなことを、この際やつてもらつたらどうかと思うのであります。ただいま大藏当局から、何とかよき方法考えたいという御答弁でありましたが、私は今事実を申し上げまして御参考にいたしたいと思うのであります。何とか納税の期日を一箇月あるいは二箇月延期する。あるいはその課税の標準の算出をやりかえる。あるいは村から代表者を選びまして、村で一應取調べましたものを税務署に持出して団体交渉を認めるとか、こういう方法によつて、もう一度やりかえてもらいたいと思うのでありますが、私の今申しましたような事柄につきましては、どうお考えになりますか、一應お考えを聽きたいと思います。
  152. 福田赳夫

    ○福田政府委員 お答えいたします。全國の税務署に対しまして割当をしたかどうかということが、第一のお尋ねつたのでありますが、別に割当というような趣旨ではありませんが、本年度予算の予定額、これが徴收されるかどうかということは、非常に重大な問題である関係上、財務局長をして、管内の税務署におきまして、一体どれぐらいの税額がとれるかという意見を、詳細に本省においては聽取したのであります。それを基礎といたしまして、各財務局長に対しましては、財務局管内において、どのくらいの額の徴收が可能であるべきかという、大体の目標というものを、本省から指示したということは事実であります。これに基きまして、各財務局長は、税務署長に対しまして、その管内の経済状況、過去のいろいろな要素を勘案いたしまして、この税務署はこのぐらいはとれそうである。このぐらいは努力すべきではないかというような目標を指示したということがあるのであります。これがただいま割当というふうに申されたことに相当するのではないかというように思います。しかしながら、決してこれは天降りで、こういうことをやれというのではないのでありまして、大体の努力目標を示すというようなことでありまして、強圧的にこれだけの税をとらなければならぬというような性質のものではないのであります。  それから団体交渉をどうかという問題でありまするが、団体交渉につきましては、これは長短いろいろあるわけであります。殊にこの団体交渉によりますると、非常な納税上の長所はあるのでありますが、一面において、いわゆるボスが介入して、不公正な結果を招くというような欠点もありまして、今この方法をとるかどうかということは、きわめて愼重な態度をとる必要があろうかと思うのであります。農村におけるいろいろな状況につきましては、ただいま御意見を承つたのでありまするが、先ほども申し上げました通り、状況を調査しておりまして、また國会方面のいろいろ御意見も承つておる最中であります。さようなものが判明いたしました上で、適正な措置をとりたい、かように思つております。
  153. 河合義一

    ○河合委員 私の質問はこれで終ります。
  154. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 主計局長にお尋ね申し上げます。ただいま課税の関係について御質問がございましたが、かつて戰爭前においては、所得税の調査委員会というものがありまして、これが各地方々々において、非常に効果をあげておる地方の実情をよく知つております。また課税の対象となるべき各戸の所得関係についても、非常なる知識をもつておりまして、まことによい効果をあげておつた。ところがそれが戰爭中に廃止されたのでありまして、その後は役所自身の独断專行によつて課税するということが、いろいろな経緯を生じておる原因になつておる。そこで私はこの所得税調査委員会に代るべき委員会、あるいは協力会というものを設けられて、適正な課税方法を講ぜられてはどうかという点について、栗栖前大藏大臣お尋ね申しましたところが、それに代るべき委員会を設ける所存であるという御答弁であつたけれども、これをややりなさる考えがあるかどうか、これを四月からやつてもらいたいと思うのであります。私はかつて大湊というところの町長をやつておるたのでありますが。その際には戸数割というものがあつて、その戸数割を賦課する際には、戸数割調査委員会というものを設けまして、これが非常に効果をあげたのであります。一つも不平がなかつた。一々にわたつて詳細な資料を求めて、その資料によつて二週間あまりの会議を開いて、各戸のいろいろな所得を算定する。それによつて戸数割というものを賦課しておつたので、その町内におけるいろいろな納税については、不公平というものがなかつた。それを拂拭することができた。それが独断專行的に、ただ役所一点張りでやるから、とかくの問題を生ずるじやないかと考えますので、この機会に納税の思想というものをも、りつぱに高揚せしめていくためには、何としても、私はその課税の形式においても改めるべきは改めて、民主的に國民の協力を得るような処置を講じなければならぬと思うのであります。この点について主計局長さんはどう考えられるか、お考えを拜聽さしていただきたいと存じます。
  155. 福田赳夫

    ○福田政府委員 所得税調査委員会というのが廃止になりまして、その後それに代る機能をどういうふうにしてまいるかということでありますが、やはり税務暑長が一人できめるという組織は、私はよくない制度じやないか、——変つた形でありますが、たとえば協力委員制度というようなものを設けまして、各方面の意見を聽いてやるということが、ほんとうじやないかと思うのであります。しかしながら、その運用につきましては、これは注意を要する。やはり団体交渉と同じような配意が必要じやないかというふうに考えるのであります。すなわち協力委員に人を得て、非常にこれが適正に運営されていくということでありますれば、これは非常な理想的な形になるのでありまするが、しかし協力委員の中に、やはり不公正な結果を招くような人的構成なんかできてやるというようなことになりますれば、これはまた所期の目的は達せられぬというような経果にもなるので、運用につきましては、相当注意をする必要があろうと思いまするが、いずれにいたしましても、民主的に皆さんの意見を適正に反映して、そうして実情がよく把握できるという制度は、これは必要ではないかというふうに思つております。現在におきましても、さような趣旨におきまして、適当に税務暑長がその場合場合でいろいろな意見を聽くというようなことはあろうかと思いますが、これを制度化するということも、ぜひ考えなければならぬ一事項であるというふうに考えます。私はただいまどういうふうにその問題を考えつつあるかということを、詳細に実は主務者がいませんので存じませんが、もし大臣がそういうふうに申されたのならば、大藏当局はすでに研究しておるのではないかというふうに考えるのであります。なお必要がありますれば、意向を確かめました上、御答弁いたしたいと思います。
  156. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 農林大臣お尋ね申し上げます。水害対策の関係につきまして、私もたいへん苦慮を遂げておるようなわけなのでございますが、その予算的な措置につきましては、大藏大臣の御出席をいただきまして御説明を求めたいと思いますが、農林省当局におきましても、この点については、これは忽緒に付してはいないことはよく存じておるのであります。しかしながら、水害の臨時措置というものは、二月、三月のこの期間にやつておかなかつたならば、四月以後におけるところの融雪期をかかえまして、重大なる問題が生ずるということは、私は一月三十一日の水害対策に関するところの緊急決議案を上程いたしました際に、政府にも強く要望しておつたのであります。ところが、二月、三月という大切なその期間が、もはや旬日を余すのみというような状態でありまして、もうすぐ明けてしまうのであります。にもかかわらず、それに対する処置というものは、全然講ぜられていない。政治的な空白のこの時代において、最も大切な工事の時期というものを失つてしまつた。それに対して農林省は、一体どういう措置をこれから講ぜられようといたされておりますか。私は何としましても、これは大藏大臣に、農林関係の土木事業と内務土木事業と、合計で四十億円以上の工事費を要求しなければ、とうてい應急対策は講ずることはできないと考えておるのであります。それにつきましては、農林大臣におかれましても、建設院の総裁におかれましても、十分にこの災害地の國民の意を体しまして、当局に要望していただかなければなりませんが、私は農林土木の関係におきましては、來年度の植付けというものは、もう目睫に迫つております。これに対し現在やることができない状態にある。たとえば橋が落ちてしまつておる。そのために、雪の東北地方におきましては、雪を利用しまして、堆肥を運ばなければならぬのであるが、橋が落ちておるためにこれを運ぶことができないという状態である。また砂礫が田畑を押し流してしまつた。その砂や石ころをも処置することができない状態である。それを一体どうして、この植付けをしようとするか。今年は御承知のごとく供米を完遂しましたが、來年度におけるところのこの供出米のごときは、一割以上というものを増量して割当てをしておることは、御承知通りであります。その増量は一体何でもつて処置を講ずるかといいまするならば、農耕地の復旧以外にはない、今度の供米のごときは、農耕地の破損というもの、災害というものを考慮に入れていない、まつたく平常の状態においての供出米というものの割当てをしておる。從いまして、その農耕地が復旧しない限りは、私は來年度におけるところの供米の実績というようものは、まことに憂慮すべきものになりはしないかということを憂えておるのであります。農林大臣はこの点につきまして、どうお考えになつていらつしやいますか、承りたいと存じます。
  157. 永江一夫

    ○永江國務大臣 お答えいたします。ただいまるるお話がございました点につきましては、私もまつたく同感でありまして、予算措置につきましては、御承知のように、やむを得ざる事情によつて、本補正予算の中に、追加予算として盛ることができなかつた。農林当局としても、まことに残念に考えている次第であります。しかしこれを補いまするためには、できるだけ多額の金額を、來るべき四月の暫定予算に盛るために、せつかく努力中でございまして、十分にできるだけのことをいたしたい。しかし、今御指摘になりましたように、この工事が二月、三月と遅れたということは、非常な大きな増産に惡影響を與えていることも認めております。これらを追かけて完成をいたしまするために。できるだけの手配をいたしたいと考えております。その具体的なことにつきましては、いずれ四月の考定予算にできるだけのものを盛りまして、その際さらに御協賛を得たい。かように考えております。
  158. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 重ねてお尋ね申し上げます。食糧増産という大眼目のもとに、今までいろいろな各府縣を督励しまして開墾の事業をやつてきているのでありますが、その開墾の事業計画というものが、科学的に行われていなかつたということの結論が、今度の水害になつているということも、御承知通りかと考えるのであります。すなわち、やたらにどこでも山林さえあれば、これを目の敵として伐採する、そうしてそこを開墾して、そこにじやが芋を植えつけたり、あるいは種を播く。肥料はないものですから、一年や二年のことは、じやが芋とか豆ならば栽培は可能である。そこで一年か二年間植えつけをすることの目的のもとに、やたらに山林を伐り開きまして、そうして最も大切な水源涵養林ともならなければならぬようなものをも濫伐してしまつた。そういうやり方をしました結果、今度のような水害が起つてきた。一方農林省におきましては、干拓の事業計画を立てまして、湖沼を干拓して、そこに植えつけをしていこうとしている。ところが、最も大切な山の水源涵養林さえも伐つてしまうものでありますから、それから大水が出まして、せつかく苦心して農林当局のやられた干拓事業まで流してしまつている。父祖傳來三百年も四百年間も営々苦心を続けてやつてきましたところの美田が、一夜にして砂礫に押流されてしまつているというような状態である。それでありますから、農林省当局のやられます開墾事業計画というものも、科学的に組織立つた御研究の上でやつてもらわなければならない。ところが、地方におきましては、農地委員会が主となりまして、どんどん山林というものがあれば、先ほど申し上げたように、目の敵にして濫伐してしまつている。しかもその目あてが、食糧増産というのは表向きの眼目であつて、その内容はそうじやない。農業省から補助金を貰うことが目的である。そこで一、二年間の最も苦しい時分に、金さえ貰つてしまえば、あとはどうなつてもいいというものが多い。しかも引揚げてきた人たちが、農地委員会といろいろ組んでやる。ところがその山林は、これは何十年間というもの自分の子供を育てるように育て、愛撫してきている。それは土着の人である。それに対して、よそから來た人たちが、権力ずくで、法規を盾に、山林を濫伐して開墾事業をやつていくのですから、それは泣いても泣き切れないような状態なんです。それが現在爭いになつている。地方における爭いの最も大なるものはこれなんである。農林省はこういう問題について、これからどういう御計画のもとにこの開墾の事業というものをやつていかれますか、その点について主務大臣の御抱負を承ることができれば、まことにさいわいと存じます。
  159. 永江一夫

    ○永江國務大臣 いろいろ御説がございましたが、御説のように、開墾事業の非常に科学的な計画ということについては、一層注意していきたいと思います。開墾地の実情を今お示しがありましたけれども、やはり國全体といたしましては、その開墾地の地元の方々は、やはり開墾をしたところは、その地元にあるあるいは地主さんの次男、三男の人を開壕地に入れたいというような御希望も、もちろん強いと思いますが、しかし満洲から引揚げる、その他非常に開墾に技術的にも能力をもつておる引揚者に対しましては、先ほど申しました國全体の立場から、その地元の人の意向いかんにかかわらず、やはり入植をお願いするということも考えてやらねばならぬ。今お示しのように、そのために地元以外の者がはいつて、そうして無責任な開墾をやつて他に移るというような弊害につきましては、今後十分氣をつけてまいりたいと思います。ただ地元の人のみが入植するということでなくして、全体から見てまいらなければならない点もありますから、こういう点については、御了承を願いたいと思います。
  160. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 お尋ね申し上げます。
  161. 川島金次

    川島委員長代理 山崎君にちよつと申し上げますが、なるベく議案に直接関係の深い御質問を願いまして、議案外のことは御遠慮願いたいと思います。どうぞそのつもりで……。
  162. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 大藏大臣さへお出でになれば、私は水害対策の予算関係について質問するだけでいいのです。他に質問者があればいいのです。
  163. 川島金次

    川島委員長代理 原君があるそうですから。原君。
  164. 原健三郎

    ○原(健)委員 簡單にお尋ねいたします。このたびのいわゆる二千九百二十円ベースに対して、運輸省の國鉄の労組においては、これを承認したということでありますが、これは三月までのことで、四月以降運輸省としては、いかなる給與体制をもつて國鉄の組合委員に臨もうとしておるのであるかということをお伺いしたいのであります。
  165. 岡田勢一

    岡田國務大臣 お答えいたします。國鉄の労組は、さいわいに今原さんが言われましたように、完全にこの二千九百二十円ベースの案、並びに政府の通告を受諾してくれまして、まことに結構だと思つております。四月以降に対する給與の取扱いにつきましては、一應これでただいまの物價に大きな改訂が加えられない、あるいはまたほかに重大な理由が起りません場合には、当分この給與体制でやつてつてもらうことを考えておりまして、もしそうした大きな新事態が起りましたときには、その事態に應じまして、適当な処置を講じまして善処いたしたいと考えております。
  166. 原健三郎

    ○原(健)委員 今の運輸大臣の御説明によりますと、大体現在國鉄の労組は承認しておるし、特別の変化がない限りは、四月以降もこれでよいというような御答弁でございましたが、さつきの労働大臣の説明によると、日本全体としてだれ一人として二千九百二十円ベースでは食えると思つていない。私も食えるとは思わない。いわんや四月以降においては、よろしくこれを改めなければならぬという答弁でございました。しかも改めるためには、新事態に即するための改正を行い、それに対する賃金考えるということであつて労働大臣と今の運輸大臣考えは非常に食い違いますが、運輸省だけは今申しました一般の官公労組と別にいかれる考えか、一緒にいかれる考えか、その点もお伺いいたしたいのであります。
  167. 岡田勢一

    岡田國務大臣 先ほどの御答弁は、少し私の言葉が落ちました点がありまして、労働大臣考え方と、私の考え方とが、食い違つているわけでは決しまてございません。労働大臣の言われしたように、今後の賃金制の問題につきましては、やはり政府全般として、全般の組合関係を考慮して研究を続けていくという考え方でやつているわけでありまして、少し言葉が足りなかつた関係で原さんの再質問だつたと思いますが、御了承を願います。
  168. 原健三郎

    ○原(健)委員 もう一つ簡單にお尋ねしたいですが、國鉄賃金関係して、國鉄の旅客及び貨物の運賃を上げるか上げぬかということは、賃金関係もあるし、一般の國民大衆に及ぼす影響も非常に大きいので、今後運賃を旅客においてもあるいは貨物においても上げるお考えであるか上げないお考えであるか、その見透し、計画をお尋ねいたしたいのであります。
  169. 岡田勢一

    岡田國務大臣 お答えいたします、鉄道運賃が、今原さんが申しましたように、一般國民大衆生活及び物價に重大な影響をもたらしますことは、仰せの通りであります。ところで今後上げるかどうかという問題につきましては、御承知通り、鉄道は今相当な赤字で経営が続けられておりますし、また一方に独立採算制の問題も考えなければ、國全体としての経済に大きな関連もあることでありますし、趣旨といたしましては、かような経済的緊急事態の際におきまして、鉄道運賃を上げることはいたしたくないのでありますが、あるいは國全体の財政面、あるいはまた先ほど申し上げましたような運輸企業の関係から、將來においてあるいは値上げの問題を考慮しなければならぬことになるかもわからぬとは思います。しかし今のところでは、これをいつごろの時期にどの程度くらい上げるというような考え及び案をつくつておりません。將來の問題になりますので、今はつきりお答えいたしますことは困離だと思います。その程度で御了承を願います。
  170. 原健三郎

    ○原(健)委員 今の運輸大臣言葉からみますと、このままでは運輸省も赤字であり、独立採算制の問題もあるから、まず値上げは必至であると了解してよろしゆうございますか。
  171. 岡田勢一

    岡田國務大臣 それは御解釈は御自由にしていただいたらいいと思うが、今のところでは、上げるという考えを定めておりませんわけであります。
  172. 原健三郎

    ○原(健)委員 今のところはという今の弁解はどちらか知りませんが、しかしさつきのお話によると、今の何月何日からどのくらいの運賃を上げるというこまかいことはきまつていないが、將來は上げるのが、独立採算制及び赤字の関係でやむを得ないではないか。こういうわけなんですね。
  173. 岡田勢一

    岡田國務大臣 これは先ほどの私の答弁で、原さんもそういうふうに御解釈くださつたと思うのですが、やはりこの問題は國民大衆生活及び物價の面などにも大きく響きますので、この際ははつきりいつごろということも言われませんと同時に、國民に対して、いつかは上げるぞというふうな印象を與えますようなことは、私といたしましては、どうしても避けなければなりません。御了承を願います。
  174. 原健三郎

    ○原(健)委員 大体了承いたしました。農林大臣にちよつとお尋ねいたします。去年の端境期に食糧を欠配せられて、國民は非常に迷惑して困つた。今年は芦田総理大臣が昨日申されたように、供米が完了して、去年よりも情勢がよいということでありますが、この端境期に食糧の欠配遅配はなし見込みか、ある見込みか、あるとするならばどういう体制をとるのであるか、問題はないのでありますか、これについてどういう用意があるか、そのを抽象論でなくて、数字をもつてとつお示し願いたい。
  175. 永江一夫

    ○永江國務大臣 御承知のように、さいわいにいたしまして、本年三千五十五万石の供米が完遂いたしました。これはひとえに農民諸君の御協力によるのであります。この供米の完遂を機といたしまして、政府としては、今御懸念になりましたように、昨年のごとき欠配、遅配のないことを念願いたしまして、愼重に具体的な案を立てつつあるのであります。今数字をあげて言えということでございましたから、一言この点に触れまして、現在申し上げ得る数字を申し上げまして、御了承つておきます。大体國内の食糧の順調な供出と、輸入食糧の適正な放出によりまして、御承知のように今日までは順調に経過をしておるのであります。大体本年の需給関係におきましては、三月一日に政府がもつております持越米は千五百八十万石、昨年の同期には約七百万石でありましたから、相当多量の持越米があるわけであります。それに本年度の馬鈴薯生産及び供出が順調にまいりますれば、内輪に見積りまして約八十六万石というものを持越すことができる。これで三月から六月までの四箇月間における需給関係を申し上げてみますると、今申し上げましたように、政府の持越高は千五百八十万石、それに馬鈴薯のこの四箇月間の供出見込みが大よそ八十六万石、合計千六百六十六万石というものが、大体これが見込みの違わない数字であると考えておるのであります。これに対しまして、三月から六月までの四箇月間の需要総額についての大よそ見込みを申し上げますと、本年は農家の配給等の増加がありまして、この四箇月間に約千七百万石というものを見込んでおるのであります。この数字で申しますると、政府の持越高と馬鈴薯の供出見込みと、今申しました千七百万石と比べますると、やや少し供給力が下まわつておるのでありますが、これはこれから四箇月間の外来の輸入というものを全然ゼロとして考えた場合であります。この間四箇月間に、政府としましてマツカーサー司令部に懇請をいたしまして、今後もさらに好意ある外米の輸入を懇請してまいる。恐らくこれは適当にこれが実際に現われてくるものと予想しております。その予想額は今ここで明らかに申し上げることは差し控えたいと思いますが、そういう関係から申しまして、今申しましたように、三月から六月までの四箇月間の需要総額を、先ほど申しました千七百万石と見込みまして、これに七月以降における持越高を約五百万石としたしますと、需要総額は約二千二百万石になるのであります。先ほど申しました政府の持越高と馬鈴薯の供出を内輪にみましたものを合計しまして、千六百六十六万石でありまするから、不足が約五百三十万石、こういうことになる、こすは今申しました輸入食糧の放出というものを全然見込まない数字であります。これに輸入食糧の放出、身代り凍結米の解除等を懇請してまいりますならば、現在のところ六月までは需要供給の均衡をはかりまして、欠配、遅配というものは昨年のようには起らない、こういう見透しをもつておるわけであります。なお七月以降の需給関係につきましては、今年産の麦類の生産の増強、あるいはいわゆる早場米の状況等もまだ明確でありません、輸入食糧の見透しにつきましても、さらに七月以降の点については、なお明確なことを申し上げかねるのでございまして、これを具体的に今申し上げることは非常に困難でありますが、麦類の供出と輸入食糧の確保に全力をあげまして、大体十一月までには、昨年のように、非常な困難な状態を上まわつたところの非常に順調な状態になる、かように考えております。なお昨年七月以上の消費地に対します米の配給縣としての身代り凍結米が約二十二万トンでございましたが、今年はさいわいにいたしまして、約五十万トンを予定として計画しておりますから、こういう点も考えますと、七月以降の都市消費地の米食率というものは、昨年よりは非常に数善される、こういうように考えております。
  176. 原健三郎

    ○原(健)委員 今こまかく御説明をいただきましたが、去年六月まではまあいつておる。問題は七月以降でありますが、今の御説明で大体わかりましたが、七月以降も大体においていわゆる予備米その他によりまして、遅配欠配なしでいく確信があり、自信がある。こう了解してよろしゆうございましようか。
  177. 永江一夫

    ○永江國務大臣 先ほど数字で申し上げましたように、ただいまの見込みにおきましては、七月以降におきましても二合五勺を基本といたしまして、欠配遅配はないようにしたい、こういうつもりで努力をいたします。
  178. 原健三郎

    ○原(健)委員 ありがとうございました。これで終ります。
  179. 川島金次

    川島委員長代理 次に運輸大臣に御質問のお方は……。
  180. 西村久之

    西村(久)委員 一点だけ、農林大臣がお帰りのようでありますから、農林大臣に先きにお確かめ申し上げたい。大臣のお座りが一向不安定なものですから、今まで質問を差し控えておりましたが、お急ぎのところをひとつ伺いたいと思います。いわゆる平野農政の失政によつた追加予算の生産調整費が、現在不用額として、今日官公吏給與支拂の一部に充つべき財源に織りこまれておるのであります。新農林大臣は、農業生産調整をしていかれるという御方途をもつておられるのであるかどうか、平野農政と同じような調整の方針をとらはるのかどうか、この点をまず農民が安心するように、御方針があられるなら、伺つてみたいと思います。
  181. 永江一夫

    ○永江國務大臣 今のお尋ねでございますが、私は農林行政について行つてまいりますることは、現在の政府は御承知のように、いわゆる私どもの申し上げる三党政策協定というわく内で農林行政を行う、かように考えておりますから、平野農政を私が踏襲するという意思はございません。
  182. 西村久之

    西村(久)委員 お尋ね言葉が足りなかつたかしれませんが、農業生産を調整するために、平野農林大臣がお考えになつておつたような生産調整の御方針をもたれておるかどうかということを、お尋ね申し上げておるわけでございます。
  183. 永江一夫

    ○永江國務大臣 今お示しの農業生産調整に代るベきものを考えております。まだここで私が明らかにいたしまして御協賛を得るだけに至つておりません。
  184. 西村久之

    西村(久)委員 農林大臣のお考えが別個にあられるようでございますから、別個の方針は、いま少しく大臣の具体案がお進みになりましてから、お尋ね申し上げることがよろしいと思いますから、農林大臣に対する質疑はこれで終ります。  次に運輸大臣お尋ね申し上げてみたいと思うのでございますが、先ほど原君のお尋ねの鉄道料金の値上問題でございます。御承知通り、片山内閣は、この鉄道の値上問題によつて瓦解をいたしたのでございます。その瓦解をいたしました原因の鉄道問題の関係は、財政法第三條の公布の日を政令で定めるということを政府がしなかつたために、結局ああいうふうなことに相なつたのであろうと、私は思うのでございます。從いまして、料金を値上げする前提には、必ず財政法第三條をいかして、政令を公布した後におやりになるきとを、主管の運輸大臣はお考えになつておるかどうか。ちようど総理もお見えのようでございますから、この点につきましては、総理の御方針を伺うことがよろしいかと思いますから、総理大臣から御答弁を願いたいと思います。
  185. 芦田均

    芦田國務大臣 ただいま御質問の点は、すでに一箇月余前に財政法の第三條をいかすという方針を決定いたしたのでありますから、財政法の規定する趣旨に基いて、國会の御審議を受けることになると思います。
  186. 西村久之

    西村(久)委員 総理に質問しかかりましたから、一、二点総理大臣の御方針を伺つておきたいと思います。鉄道料金値上げに関しまする財政法改正に関する件につきましては、総理大臣の御答弁了承いたします。  次に、今日審議中のこの給與案を御編成になられると同時に、行政の整理を断行すベきだろうと思うのでありまするが、行政整理案は示されておらぬようでございまするが、行政の整理はされないものか、またする御意思があられるのか、この点を総理大臣から御答弁を伺つてみたいと実は存ずるのでございます。先ごろの議会でも國家のこの経済情勢を健全ならしむるためには、行政整理が先決問題である、こういうことで私どもは進んでまいつたのでありますけれども、行政の整理は、整理するどころではなしに、だんだんと人員が増加するような傾向をたどつておるかのように思うのであります。從いまして総理は行政整理をする意思があるかどうか、その点もお尋ね申し上げてみたいと存じます。
  187. 芦田均

    芦田國務大臣 行政整理を行うことは、片山内閣当時にすでに決定いたしておつたのでありますが、さらに今回の組閣以前に、與党三派の間の政策協定においても、行政整理を行う方針を明らかにいたしておるのでありますから、この内閣の存続する限り、行政整理を行うに問違いないと御了承願います。
  188. 西村久之

    西村(久)委員 行政整理の御意思のある点は、御答弁によつてわかりまするが、しからば明年度の予算より、行政整理をいたしました案をお示し願われるということに了承してよろしいのでありますか、重ねて御答弁を煩わします。
  189. 芦田均

    芦田國務大臣 西村君の御存じの通りに、すでに本年は年度末に追つている関係上、明年度予算の当初は、一時暫定予算によつて國会の審議を受ける以外に、時間的に見て、この下旬に來年度予算の全部の案を御審議を願うことは、政府としても困難な立場にあると思います。從つて來年度の大部分にわたる本予算を編成する際には、おそらく現在立案中の行政整理案が、一應の具体的の案として出てくることを考えておりますが、御承知通りに官公廳の役人は、六十万にも上る数であります。これを整理するにも、諸般の手続も必要であり、また重複したる機関の統合、地方出先機関の整理その他については、それぞれ適当の案を立てる必要がありますから、明日に今日一箇月先とか、二箇月先とかいう期日を切つて政府の見透しを申し上げることは、多少困難な点がありますが、明年度の予算編成にあたつて行政整理を考慮に入れるということは、問違いなく考えておる次第であります。
  190. 西村久之

    西村(久)委員 次に経済問題に重大な結果をもたらしまする物價問題について、お尋ねを申し上げるのでございまするが、物價の水準を変更されて、物價の改訂をなされるかのように伺つております。これを基準として明年度の予算を編成されるかのようにも伺つておるのでございます。こういうことをやりますると、結局また片山内閣が七月に物價を改訂したの同じような、インフレを助長するような結長になると思うのでありまするが、物價の改訂をするお考えのもとにお進みになるのであるか。私は物價は現在の物價で抑えるベきものなりと思つておるのであります。物價改訂をなされるということでありますならば、下になされるのであるか、上になされるのであるか。その点につきまして、物價改訂と予算編成とは少からぬ関係を有しまするし、また今日私どもの審議いたしておりまする給與に、ただちに影響をいたしてまいります問題でありまするがゆえに、ここに物價改訂の意図の有無を、総理大臣にお尋申し上げておきたいと思うのであります。
  191. 芦田均

    芦田國務大臣 この問題は御承知通り、價格体系の整備に関する問題でありまして、物によつては上げるものもあり、また下げるものもあましようが、さいわい大藏大臣が出席いたしておりますから、詳細のことは大藏大臣よりお答えいたします。
  192. 北村徳太郎

    北村國務大臣 西村君にお答え申し上げたいと思います。來年度の予算において、物價をどう扱うかというような意味お尋ねと思うのでありますが、これは物價を動かさずに、そのまま予算を組むことを御要求になつているような意味で伺つたのであります。それで物價を修正するかどうかということなのでありますが、これは御承知通り、ただいま残念ながらインフレーシヨンの進行下にあるという事実は認めなければならぬ。從いまして、物價騰貴を抑え、インフレーシヨンの克服に努力はいたしますけれども、今の段階において物價を釘付けにすることができるかどうかということを、現実に考えてまいりますると、願わしいことではあるが、しかしながら、これはどうも不可能ではないか、こういうふうに考えるのであります。從つて根本問題としては、どうしてインフレーシヨンを克服するかということに相なるのでございますが、これは午前中原君の御質問に対して私は若干の構想をお答え申し上げたのでございまして、このことについては、ただいま触れるこのを避けたいと思うのでございます。ただ今回官公職員の賃金水準というものをただいま御審議を願つておるように、二千九百二十円ベースなつたということは、またこのこと自体がある意味において物價と関連をもつことでございまして、從つてそれらのこのを勘案いたしますると、ある部分の修正はやむを得ない、根本的に物價体系を立て直すというふうなことは、なるベく避けたいという考えをもつておりますけれども、必要なる修正をしなければならぬ、また同時にある物價の修正をしなければ、日本の企業は滅亡するというようなところもあるのであります。今のごとくずつと赤字から赤字への連続であつては、生産を増強してそうして対外易貿にもこたえなければならぬという現在の段階において、無理な公定價格というものを修正しなければ、企業は成り立たないというような点もございまして、必要やむを得ざる限度において物價に対する修正は行わなければならぬ。それが來年度の予算にどの程度織りこまれるかということは、今申し上げることはできませんけれども、大体において物價を釘付けにするかどうかということについてのお尋ねに対しては、以上の答弁をもつて御了解を得たいと思うのであります。
  193. 西村久之

    西村(久)委員 大藏大臣から御意見は伺つたのでありまするが、私は大藏大臣は御心境の変化を來しておるのじやなかろうかと思うのでございます。当予算委員会場におきまして、物價の値上りと賃金の値上りの悪循環はインフレを高進することをモツトーとされまして、この委員会で議論を吐かれたことを承知いたしておるのであります。しかるに物價の改訂値上げやむを得ぬと言われるのであります。賃金の値上げまたこれに伴うてやむを得ぬと言われるのであります。そうすると大臣自体がインフレ高進という政策をおとりになるのじやないか、かように私は考えるのでございます。私は、物價は政府が上げないでも、少い物質に対する値段は自然と上りたいのであるからして、これを抑えることを政府は努めていただきたい。そうして今日の物價より以上に上げないことにして、反面増産に拍車をかけまして、少しづつでも物を殖やして、このインフレを切り抜ける政策をとつていかなければ、いつまで経つて日本の今日の國情は立ち直らないじやないかと心配するのでございます。これは先輩北村大藏大臣の御意見と、私の意見と相違するかもしれませんが、私はそう信じておるのでございます。企業が立ち行かないということを言われるのでありまするけれども、企業はこの際整備をして、ある程度の企業に全力を集中して、企業を起して、生産資材の殖えるにつれて企業もまた増していくというような方法をとつていくのが、今日の日本の企業としてとるべき途でなかろうかと、かように考えるのであります。從いまして、ただいま大藏大臣の言われました物價を政府が進んで改訂をし、値をかえていくというような物價廳のやり方を繰返しておりましては、断じてこのインフレの高進を抑えることはできない、かような考えを実はもつておるのでございます。意見の相違となるかしれませんが、大藏大臣はこの委員会の席上で、先年その意見を強く主張しておられるのでございまするが、今日は御方針がお変りになつたのであるかどうか、はなはだ失礼な申分でございますけれども、重ねて御意見を拜聽いたしたいと思うのでございます。
  194. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お答え申し上げます。ただいまの西村君のお話は、大体私が考えておることと同じでありまして、その前段のお言葉が少し違つておるということになるのであります。一言にして申しますと、およそ物價というものは、どんなに政府ががんばつても、國の力、國家意思で、物價というものを安くするとか、ある点に釘付けにするということは、きわめて困難なものであるということを、第一に考えなければならぬ。それで私の考えが変つておるかどうかというようなお尋ねもあつたのでありますが、これはインフレの実体が変つているということを、まず午前中に申し上げたのであります。この点インフレのまず最初の常識としては、金と物とのアンバランスから來るということが、一應の常識でありますけれども、終戰直後、及びその後一年あるいは一年半くらいまでの間は、さような段階でございました。たしかに通貨と物との関係において、インフレーションが非常に促進したということはおおうべからざる事実でございまして、かような段階において、いろいろ施策をする場合に、第一に考えなければならぬことは、当時といたしましては、非常に過大なる購買力というものが、物の欠乏しているところへ大きな圧迫となつて、それがインフレの原因になつておつた。ところが今日のごとく、少い物が上つてしまうと、購買力の過大性というものは、物が上つたことによつて一應封鎖された。從つて、私がいつそういうことを言つたかよく覚えませんけれども、今の段階においては、これは通貨と物との関係であると言うよりも、むしろ人口と足りない物との関係である、こういうふうに見なければならぬのでありまして、これは言葉が強過ぎますけれども一種の欠乏恐慌的な一つインフレーションの段階にはいつている、こういうことを言わなければならぬのであります。從いまして、増産をしなければならぬ——通貨面においてできるだけこれを圧縮するということはもちろんであるけれども、同時に一方において、もつと積極的な増産をしなければならぬ、この点が第二のインフレ克服の一つの途であります。かような観点から、物が殖えるということになれば、おのずから物價が下りましよう。そういうことになりましようけれども、こういうような経過を経ずして、ただ今日の段階でだんだんとストツクは食いつぶした、人口は一割も殖えている、こういうふうな状態で物を下げないのはどういうわけかという御質問があつたけれども無理である。まず物を殖やすということからかかつて、欠乏的な今の経済危機を突破するために生産第一でなければならぬ。それから外資を導入する。それがためには、必要なる資材を輸入する。それがためには、生産機構に対して必要なる刷新を加えるというふうなことをいたしまして、あらゆる努力を傾注して増産をするということが、現段階においてインフレを克服する途であるということを、午前中に私申し上げたのでございますが、そういうふうに理解しているのであります。話が長くなりますから、簡単にいたしたいと思うのでありますが、われわれもまた何とかして物價を下げるようにしたいということにおいては、西村君と同じ考えであります。願わくば現在の物價の基準において抑えることができるならば抑えるということにおいても、西村君と考えが変つていないのである。けれども事実はそうはいかないであろう。殊に今回の賃金の値上げ等から來るある修正ということは、おのずから行わなければならぬ段階にはいつておるのでございます。從つて今具体的なことは申し上げませんけれども、物價は決して上げないのだ、來年度の予算においてはただいまの物價で押通すのだというようなことは、これは今の経済の現実がそれを許さない。從つてある修正はやむを得ない、こういうふうに申し上げたのでございますから、十分御理解を願いたいと思うのでございます。
  195. 西村久之

    西村(久)委員 大藏大臣の御意見なり、お話になることは、私わかるのでございまするが、私は物價を上げるということは、必ずやこれは好結果をもたらすものでないということを深く信ずるがゆえに、お尋ねを申し上げておるのでございます。物價を上げますれば、必ず賃金が上る。この競爭によりまして、通貨の増発をしなければならぬという結果になつてまいりまして、今日のような状態を、今後拍車をかけて継続する結果に相なることを心配いたしまするがゆえに、なるたけ現段階におきまして、抑え得る程度に物價の値上げは進んでなすべきものでない。物價は上りとうてならない事態にあるのであるから、政府は努めて抑えることを本体として政策を立てていつてもらいたい、これが私の考えておる点であります。しかしながら、この点につきましては、意見の相違となろうかと存じまするから、私の意見だけはここではつきり申し上げまして、先の推移をながめてみたいと私は思います。  もう一つお尋ね申し上げてみたいと思いまするのは、今日御承知通り通貨の増発によりまして、二千数百億という通貨が國内に発行されておりまする関係上、國民ひとしく何か通貨に手を打つのでなかろうかということを心配いたしておるのでございます。その結果がいろいろなる経済方面に通貨が流れがちに相なつておるのでございます。巷間傳うるところによりますれば、あるいは新円の封鎖をやるのでなかろうか、平價の切下げをやるのでなかろうかというような、いろいろ円に対する施策に対して國民自体が批評、批判をいたしておるのでございます。この委員会を通じまして、平價の切下げ、あるいは通貨に対するところの処置はとらないものでありまするならば、はつきりとらないことを御言明願います。そうして國民に安心して通貨を信用するという途を践ましていくことが妥当なりと信じまするがゆえに、ここに大藏大臣の御意見を拜聽いたしてみたいと存ずるものでございます。
  196. 北村徳太郎

    北村國務大臣 西村君のお尋ねは、新円の封銷もしくは平價切下げをやらないのかどうかという点だと思うのでありますが、これはやらないのであります。現在お話になりましたように、何としても通貨の信頼感というものを向上させなければならぬ。このことが一つの重大なインフレーシヨンの原因をなすのでありますから、通貨に対する信頼感が衰えたならば、これはインフレーシヨンの結果になることはわかつております。從つてわれわれといたしましては、どうしても通貨への信頼感というものを一層ますます深くなるようにいたさなければなりませんので、從つてこれを阻害するような行動を政府みずからとるわけはないのでありまして、巷間ややもすれば、もう一度新円を封鎖するのではないかというような設が行われておるように聞えますけれども、全然さようなことは考えておりませんことを、ここにはつきり申し上げておきます。第二段の平價切下げの問題でありますが、申し上げるまでもなく、現在におきましては、日本に平價というものはないのでありまして、方法的にも切下げようはない。平價切下げのごときは、これは金本位の場合に、対外関係において、ある國の平價の水準を下げるということなのでございまして、そのほかに名目的の平價切下げという言葉がございますけれども、いずれにいたしましても、さような考えは全然ない。新円封鎖もしくは平價切下げというようなことは、全然やらないということを、ひとつはつきり申し上げておきたいと思うのであります。特に西村君は通貨安全本部の役員をなさつておられますので、そういう面において御努力を願つておるのであります。この点はそういう面からもどうか國民に十分浸透するように、一層の御盡力をこの機会に願いたいと思うのであります。
  197. 西村久之

    西村(久)委員 次は予算の財源についてお尋ねを申し上げてみたいと思うのでありますが、この財源は補正第七号によつて、私ども承認を與えました貿易資金あるいは復金に対する政府出資金の残、價格調整費の減というようなものが財源に実は充てられておるのでございます。こういうやり方を私ども予算をお示しになる際に伺いますると、政府の方針がいずれにあるのか、朝令暮改のそしりを招くような関係を私どもは感ずるのでございます。十一月にお示しになつた際には、必要が生じてこれだけの財源を要するのである。貿易資金が不足を訴えた。復金出資の資金に不足を訴えて出資をしなければならない。價格調整をする上についで、やむを得ず調整金に多額の費用を要求しなければならなくなつたとして、十一月末の議会に私どもは協賛を與えておるのでございます。二箇月、三箇月経たない今日におきまして、その費用の大体にあたるべき金が、ここへ不用額と申しまするか出てまいつておる。その金を今度の給與財源に充てられておるのでございます。こういう予算の組み方は、はたして妥当なる行き方であるかどうかを、私は疑うのであります。復金資金にいたしましても、復金資金は今後ますます私は産業助長の上から必要を訴えてくるのでなかろうかと思うのであります。また政府もこれに対して應分の出資を増資していかなければならない関係になつてくるのではないかと思うのであります。その出資金を今度の新給與に充てられて、ここへ使いつぶしてしまうということになりますと、明年以後の出資金の関係に、また新しい財源を捻出しなければならない、こういう結果になるのでなかろうかと実は考えるのでありますが、今申しまする通り、こういうふうな関係財源をもつて今度のような臨時の給與支出に充てられるということが、はたして妥当なやり方であるかどうか、私は疑うのでありますが、いささかも差支えがないというふうに大藏大臣はお考えになつておられるかどうか、この点につきまして大藏大臣の御意見を伺つてみたいと思います。
  198. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お答え申し上げます。ただいまの追加予算は、これはお話がございましたように、二千九百二十円の給與に関するものでございまして、きわめて事急を要しますものでございますし、またこれは一箇年を通じての全体の総予算という意味ではございませんので、この場合にどういう財源があるかということを檢索いたしました結果、最も出しやすい、流用のただちにできるものでないと急場の間に合いませんので、そういうものについてこれを処理したということなのでございまして、これは私は一般の財政論としては、財政上の余つた金を流用するということは惡いことでない、こう信じております。復金についてお話がございましたが、お説の通りでございまして、復金はさらに新しい年度において多分増資しなけれなならぬであろうということは間違いないと思うのであります。但し年度内においては引受けた放資すべきものは大体放資いたしまして、それでもなお年度内に余つた金がある、これは年度内の処理として一應今回のような処理をするということは私は妥当である、こういうふうに考えておる次第であります。
  199. 西村久之

    西村(久)委員 もう一点お尋ねを申し上げますが、船舶運営会の補助が出ておるのでございますが、今度の補助の追加、増加で三回目に相なつておるのでございます。当初予算におきまして十二億、十一月の追加予算におきまして七億余万円と、今度十四億余万円ということになりまして、三十三億程度の船舶運営会に補助するということに、実は相なつておるのでございます。ところが船舶運営会が補助を受けました金が造船所に流れる。造船所は戰後の品物を運営会を通じて造船所の方へ造船資材として品を渡していく。安い品物をとつた造船所が船をつくつたり、修繕したりするのに、修繕費等は高い金をとる。こういうふうなことで、補助がすなわち造船所の救済と申しまするか、救済と申しまするか、そういうような形に変つてきておるかのような世の話を伺うのであります。今日造船所だけが物價の値上りを盾にとりまして船價を引上げ、そうして進む。いういうふうな関係に相なつておりまして、もし造船所に拂うべき金が運営会の方からあるといたしました際に、その内容等につきましては、今私が申しまする通り、今日の物價を標準として拂うべきものであるかどうかということを、政府において御調査になられたことがあるのかどうか、その点をお尋ね申し上げておきたいと思います。
  200. 北村徳太郎

    北村國務大臣 船舶運営会のことにつきましては、これはむしろ運輸大臣がお答えすべきだと思うのでありますが、ただいまのお尋ね、私で大体御答弁ができると思うのであります。御承知通り、この船舶運営会というのは、一つの戰時形態でありまして、こういう形態というものは、早く解いて、もう少し違つた形になるベきであるというふうに考えられるのであります。さような考えをもつておるのでありますけれども、これは一つ関係方面の意向がありまして、今なおこの船舶運営会だけは、その形態を残しておる。きわめて変態的なものでありますけれども、御承知通り、これは政府の仕事を船舶運営会の名においてやつておるというのでありまして、この赤字は当然政府の負担においてやるということになつて、今日に至つておる。この状態をこのまま続けていいか惡いかということは、非常に問題でありまするし、また船舶運営会といえども、これはやはり独立採算制という一つの基本的な公企業的な性格をもつべきものでありますから、そういう方向に向うべきものであるということは、私もそう思つております。大体のただいまのお話は、その船舶運営会の船主からチヤーターしておるところのその傭船料、それから船員はこれは船舶運営会の所属のものに全部なつておりますから、その給料、それからその船の修繕費、その他船舶運営に必要なる一切の費用を全部含んでおるものであります。造船所云々というお言葉がありましたが、そのうち船の新建設その他修繕等がございまして、そのためにドツキングするところの金もはいつておりますけれども、それだれではございませんで、船舶運営に対する一切の費用の中から補助すべきものが計上されておる。こういう意味でありますから、さよう御了解願います。
  201. 西村久之

    西村(久)委員 私の質問はこれをもつて終ります。
  202. 川島金次

    川島委員長代理 他に御質問がありますれば……。
  203. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 大藏大臣に水害対策費の問題について、お尋ねを申し上げたいと存じます。片山内閣の末期におきまして、大藏をとりました結果、昨年の九月を中心とするあの台風の災害復旧につきましては、予算外國庫契約をもつて二十億万円ばかりの金を出してくれるという約束をし、閣議においてもたしかこのことが決定されたことになつておつたはずであると思います。しかるに遂に内閣の桂冠によりまして、やむを得ずそのことが空白の事態を現出した結果としまして、このことが資金化されておりません。また法律化もされておらないのであります。予算外國庫契約十億万円だけは確かに出ておることになつておるのでありますけれども、その後において十億万円を増ことになつておつた。しかしながら、予算外國庫契約は、法律上の手続をとらねばなりませんために、それを議会に上程して法的根拠を與束であつたのでありますが、遂にそのことができなかつたのは、まことに残念に考えるのであります。一月の三十一日に院議をもつて政府に対し、災害復旧費として約三十億万円の要望を出しておるのであります。しかるにそのことが一銭も資金化されておりません。從つて各地方廳におきましては、塗炭の苦をなめておるのであります。何と申しましても資金化されないことは、ないそでは振れないのでありますので、どんな全知全能を傾けましても、とうとうその工事というようなものを成し遂げることができなかつた。ただいまの状態では、各地方廳においては、手をあげておるような状態なのでございます。そこでその十億万円の予算外國庫契約増加につきまして、ぜひともこれに法的根拠を與たいということを、政府に要望いたしたのでありましたが、総理大臣の指名が、あらゆる行政措置に先行すべき筋合いのものであるという理由のもとに、遂に片山内閣において、これが残務整理という名目をもつてつてくれることができなかつたのであります。まことに遺憾に存じます。これにつきましては、大藏大臣は予算外國庫契約をもつて十億万円をここに増くださる御意図があるかどうか。まずお尋ねいたしたいと思います。
  204. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいまの御質問きわめてごもつともと存じます。これにつきましては、十億円の予算外契約を利用いたしまして、これをその方面に大いに活用していただくという方針に変りはございません。ただこれを資金化するということが、そのままではいけませんので、資金化して現実に金融がはかられるように、併せてそのことも講ずることにいたしております。それから十億円の予算外契約はどうするかということでありますが、十億円を資金化するように、そういう努力を加えて、それを繰入れるということには、方針は全然変つておりませんことを、御承知を願いたいと思います。
  205. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 重ねてお尋ね申し上げますが、その十億万円というものは、これはすでに政府でもつてつておる金でありますが、それにさらに十億万円を加えるということであります。そうすると合計二十億万円の予算外國庫契約になるのであります。そのあとの十億万円について法的措置を講じていかなければならぬ。この十億万円を何となされるかということであります。
  206. 福田赳夫

    ○福田政府委員 代わりましてお答え申し上げます。予算外契約は御承知通り十億円すでに成立いたしておるのであります。それ対しまして、さらに十億円の予算外契約をするという努力を、前内閣においていたしておつたわけであります。この際におきましては、予算外の契約の金額は二十億円と相なります。そしてこれに対しまして、予算外契約でありますから予算はないのでありまして、予算の金は出ないわけであります。これが措置といたしましては、金融をこれにつけるという措置なのでありますが、その金額は大体二十億の半額の九億三千万円、しかしながら、新内閣成立後の状たいましては、予算外契約並びにこれと並行的にございましたのは追加予算で、これの決定がなかなか困難な事情がありまして、予算もなかなかむずかしい、また予算外契約もむずかしい、かような状す。しかしながら、当初二十億円に対しまして、九億三千万円の金融をいたすということを考えたのでありますが、今回十億円の予算外契約の追加が、非常に困難になつてきた今日におきましては、どうも何とか措置を講じなければならぬというふうな考えをもちまして、前の予算外契約の十億円をフルに活用いたしまして、これに対して九億三千万円全にいたしたいというふうに考えておるのであります。すなわち効果におきましては、大体さような措置によりまして、当初の目的が貫徹し得る、かような考えをもつているわけであります。
  207. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 ただいまの御説明でございますけれども、九億三千万円の金では、これはもう二階から目藥ようなものなのです。公共事業費の総額だけでは三百億円からの見積りが立つている。それに対して予算をもらいましたのは二十一億円、それではどうしても應急措置を講ずることができない。二月、三月の大切な時期において、四月からの雪解けを控えて應急措置を講じなければ、せつかくつくり上げましたものが、また水のために流れてしまう。そうすると元も子もなくなつてしまう。そこ二箇月間に應急措置を講じまして融雪期の災害をここで防止していこうという考えをもつて、議会におきましては大体において三十億円の予算を要求したわけであります。それに対しまして十億円のうち九億三千万円出るというものは、すでに成るのですから、当然の措置です。そこであとの十億円は二月、三月分として何とかして出してもらわなければならぬ、それでも足りないのです。それを何とか処置を講じてみようというので、府縣廳においてはどうやらこうやら瞑目することができた。しかるにその金ができていない。今度の予算でも何ら水害対策の費目が載つていない。これではどうするか。もう四月いら植付れをしなければならぬ。それで植付けができるのでありましようか。とにかく災害地の状況は大藏大臣も一巡してもらわなければならぬ。関東東北は宝庫なんです。穀倉地帯です。穀滯が水害のために砂礫でおおわれておる。三百年の美田の砂礫の下になつておる。それを何とか復旧しなければ、食糧増く、今度の供米の関係につきましては、一割の供出の割当を強めておるのであります。その供出がほんとうにできるのでありましようか。三千五十五万石の供米が完遂されまして、政府においても非常に喜んでおられます。私どもまことに喜びにたえない。しかしながら、來年度におきましては、さらにこれに対して一割の増加の割当をいたしております。青森縣の実情しますと、今年の供米の内容は四十二万石、來年度においてはそれが七十二万石、三十万石も殖えておるのであります。それでも知事さんは総理大臣の御説に從つて默々として帰つて、これを農民に割当てていくのであります。しかるにその三十万石の増のを、この復旧なくして、どうして一体納めもことができるでありましようか。ここをひとつ考えいただかなければならぬ、この災害復旧費なくしては、断じて來年度における供米というものは、ただいまのような成ることはできません。ここをひとつ考えてください、給料の点はいかにも大切です。給料の点はこのように臨時的な処置を講じておりながら、農民の最も大切な田畑というものを犠牲になさいましてどうなさいましよう。農民はただ黙々としている。そして供米の完遂をやつているのではありませんか。声をあげないだけではありませんか。しかしながら、声なき声に私どもはほんとうによい政治を行つていかなかつたら一体どあなるでありましようか。ここなんです。この四月にしからば一体どういう措置を考えておらりまして、どれだけの予算を暫定予算として組んでいただけますか、その点ひとつお尋ね申し上げます。
  208. 福田赳夫

    ○福田政府委員 お答えいたします。ただいまのお話まことにもつともなことと存ずるのでありますが、水害地の復旧ができないとなかなか本年の米の生産に重大なる支障があることはその通りであろうと思うのであります。これに対しまして、予算外契約並びに追加予算の計上、こういう措置を考慮しておつたのでありますが、資材の関係、財政の関係その他各般の関係上、遺憾ながらこれが実現できなかつたという今日の事態に立ち至つているのであります。今日の事態といたしましては、先ほど申しました予算外契約としてすでにあるところをフルに活用いたしまして、何とか遺憾なきを期したいという考えでありますが、さらに事ここに至つては暫定予算並びに本予算におきまして、でき得る限りの処置を講じなければいかぬと考えているのであります。この暫定予算における見透しが立ちますれば、暫定予算の水害の関係の分につきましては、本年度の予算を差繰つてもこれを実行いたしたい。本年度に繰上げて実行したいとまで考えているわけであります。しかしながら暫定予算に瀬府の公約した二億七千万円の金額を計上できるかどうかということにつきましては、なかなかいろいろ問題があるのでありますが、総理大臣もみずから非常に御奔走願つているような最中であります。何とかひとついたしたいという最高の努力をいたしているわけであります。暫定予算また二十三年度の本予算におきまして、できるだけの努力をいたしたい。かよいに御了承願いたいのであります。
  209. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 どうかひとつ何分の御努力を賜りたい。少くとも私は四月の暫定予算としましては四十億の金が出なければ賄がつかないと思う。どういう理由かと申しますと、一月、二月、三月の三箇月間において三十億を要求している。それに四月の一箇月を加えて四十億なければ賄がつきません。しかも最小限度である。もしも政府の予算的措置において、いろいろに障害が現われるのでありましたならば、特別なる融資を考えてもらいたい。特別なる融資を考えられて、地方廳に金を貸付けてもらわなければならぬ。そうしなかつたならば、仕事はできません。これは大体において地方の状況はこうなんです。何としてもこの仕事をやつて、橋を架けてしまわなければでめなのである。橋を架けてしまわなければ、肥料を運ぶこともできない状態である。また用水路を何とかしなければ灌漑用水を運ぶことができない。また用水池が痛んでしまいましたために排水事業もできない。用水池も直していかなければならぬという状態である。この仕事を三箇年間に継続事業としてやることになれば、やはりチグハグで仕事が中途になるおそれがある。それで何としても地方におきましては、ない袖をもつて金を借り集めて仕事をやつている。今度の政府の処置が緩慢でありましたために、とうとう仕事が中途でなげやりになつている。この状態ではだめだ。この仕事を完成させるためには、何とかして特別な融資を考えてもらわなければいけません。予算的措置のでき上るまでには、特別融資の方法を講じてもらわなかつたならば、仕事ができないことになりますから、どうかその点十分御考慮くださいまして、これが善処をお願い申し上げたいのであります。
  210. 川島金次

    川島委員長代理 次に原君。
  211. 原健三郎

    ○原(健)委員 時間も迫りましたので、簡單に二、三の点をお尋ね申し上げます。  この予算を審議する根本に当るので、総理大臣に特に御出席願いたてのであります。去る十一月の本委員会で、私はこの日本の時局を突破するには、挙國政治態勢を樹立することが必容であると力説いたしまいた。すると時の外務大臣である芦田氏は、そんな挙國政治態勢をつくる必要はない。三党連立政権で今やつているから、これで十分乘切つていけるということを言明されました。そして言明してからいくばくも経たずして内閣は崩壊した。そして片山内閣が倒れまして芦田首班工作というものを始めると、今度は再び民主党の党議をもつて四党連立政権でなくてはいかぬということを決定して、それを実行に移しました。時局の客観的情勢は、前と今日とほとんど変つていない。しかるに前においては挙國政権は必要ないと言つておいて、今度は四党連立政権を民主党の党議で決定された。そして前にも民主党総裁であり、今日も引続き民主党総裁である芦田首相のこの点の見解の変化をみたことについてのひとつ答弁を願いたい。
  212. 芦田均

    芦田國務大臣 ただいまの原君の御質問は、私の記憶とは違います。当時私が言つたことは、われわれは昨日三月以來挙國連立政権が必要であるということを唱えておるが、不幸にしてこれに賛成されない党派がある。やむを得ず三派連立の内閣をつくつておる。しかし三派連立の内閣で政府の運用ができないかという質問があれば、それはできます。現に議会において多数をもつておるのだから、さしさわりなく議会の運営ができますということをお答えしたのでありまして、挙國連立政権は何ら必要がないという意味のことを答弁した記憶はありません。
  213. 原健三郎

    ○原(健)委員 今それを言つた、言わなかつたということになると、速記録を見ないとはつきりいたしませんが、私の記憶に関する限り挙國政権でなくても、三党連立政権で十分やつていけるから、いまさらそういう必要はない、こういうふうに答弁されたと、私はよく記憶しておるのでありますが、それはこれ以上申し上げません。非常に見解の相違になりますので申し上げません。それで私はそのときから考えておつたのでありますが、少くとも片山内閣の副総理であつた芦田首相は、片山内閣は何と言いましても政治的に行き詰つておる。政策に失敗して退却し、民意が離れて退却したという結論にならざるを得なてのであります。しかるにその片山内閣の副総理であつた人が、またみずから名乘りをあげて政権をとられるというようなことは、どう考えても、私はこれは良心があり、責任を一体感じておられるかどうかを疑わざるを得ないのであります。おれはそんな必要はない、おれは責任はないとおつしやるかもしれませんが、一應私は責任を感じたらみずから名乘りをあげて首班工作に狂奔されるということはやるべきではないと思う。これは單なるわれわれ國会議員の意見でけではなくして、全國八千万國民の意向はその通りであります。全國を旅行でもしてわれわれがひとしく聞くことはこの声である。この声について芦田首相はどうお考えになつておるか、私は一應お聽きしたい。これは日本國民がひとしく聽きたいと念願しておるところであります。
  214. 芦田均

    芦田國務大臣 原君にお答えいたします。政治責任論についての原君の御意見は、とくと伺いました。察するところ、われわれの見解とは、憲法の解釈においても政治責任論においても、よほど違つておる点があると思いますが、それはおのおの見解の相違でありますから、特に本日ここで詳しく申し述ベることは差控えます。
  215. 原健三郎

    ○原(健)委員 見解の相違であるとおつしやいますが、私と同じような見解を日本國民が多数もつておると私は申し上げるものであり、でありますから、國民がそういうふうに考えておる場合に、これに対して釈明されることは、私はあながち無用なものではないと思う。單に私と総理大臣との見解が違つておるというのではなくして、そういう考え國民多数がもつておるから、これに対する疑惑を解くことも非常に私は必要である、こう考えるのであります。單に私がそれを思つておるからと言つて答弁するしないということではない。非常に重大な問題だと私は考えておる。しかし答弁がなければやむを得ません。私どもはこういうふうに考えて、この前に私は片山内閣は十一月のこの委員会におきまして、民意を離れておるから、みずからよろしく投げ出すか、解散をやるか、何とか一度民意を問われたらどうかということを申し上げましたときに、これも時の芦田外務大臣は、民意を知ることははなはだ困難であるが、最近の参議院の選挙によると、民主党におきましても各地において與堂は非常に大勝しておるから、民意があるという御答弁でありました。しかるに最近において、私ども民意を知ることははなはだ困難でありますが、新聞社の世論調査等を見ても、あるいはラジオの街頭録音を見ましても、芦田前外務大臣が引用されました参議院の選挙を見ましても、最近は次第に社会党や民主党の人よりも野党の方が大勝をいたしております。こういう点から見ましても、民意は少くとも社会党や民主党にはないと断ぜざるを得ないのであります。その民意のない者が——これはまた御意見の発表はないかもしれませんが、民意のない者が國会の、殊に衆議院の多数をかき集めて首班になるというのは、これはきわめて非立憲的であると考えます。この点をいかにお考えになるか。御答弁をお聽きしたいのであります。
  216. 芦田均

    芦田國務大臣 ただいまの御意見は國民の多数がこの内閣を離れておるという御議論のようでありました。民意がどういう方法で現われるか、また國民の多数の意向が的確にどこに現われるかということは、いろいろ考え方もありましよう。なるほど態本の参議院の補欠選挙においては、自由党が三千票よけいとつて勢ちました。しかし参議院の今日までの補欠選挙の数でもしおつしやるならば、よくお調べになればわかります。民主党の参議院の候補者と自由党の参議院の候補者とどつちがよけい当選したかこれは御記憶の通り、私は一々縣を指して申し上げてよろしいが、その必要はないと思いますから申し上げませんけれども、民意を的確につかむという方法は、いろいろあります。しかし必ずしも新聞社の調査が的確な科学的の方法だとばかりは言えない。これは各種の方面から考えなければならぬことでありまして、原君は民意が、八千万の國民はこの内閣を支持しないと言われますが、私は不幸にして八千万の國民に一々聽くだけの機会をもつておりません。もしそういう調査がありますならばお示しを願いたい。
  217. 原健三郎

    ○原(健)委員 八千万の國民に一々聽けないというようなことは、三歳の童子もおそらく知つていることと存ずるのであります。私はそういうことを言つておりません、民主政治家は民の声なき声を明敏に聽いてやるのでなくては、何をもつて政治をやる資格ありやと私は反問せざるを得ないのであります。しかも去年の選挙から一年も経過いたしまして、選挙民の意向も日本の國内情勢も政治の情勢も相当変つてきておる。八千万の國民に一々聽けないことはわかつておりますが、もう一遍おそらく聽いたらよいという意向のようにも今お聽きしたのでありますが、聽く方法は議会を解散されたらよくわかります。一々聽かなくても、八千万の國民の意向は解散を断行すればわかる。いかがであろうか、一度この辺で國民の冷靜な批判に訴えて、國民がどう考えておるかを聽くお氣持があられるかどうかをお聽きいたしたいのであります。
  218. 芦田均

    芦田國務大臣 原君の解散の御議論はとくと拜承いたします。承つておきます。
  219. 原健三郎

    ○原(健)委員 承つておきますという答弁は私は聽かなくても——おそらくお聽きになつておることは間違いないのでありまして、やられる意思があるかないかということを、お尋ねいたしておるのであります。
  220. 川島金次

    川島委員長代理 原君、質疑を終えましたか。
  221. 原健三郎

    ○原(健)委員 ぜひ答弁を求めたいと思いますから、委員長においてよろしくお取計らい願います。
  222. 川島金次

    川島委員長代理 総理は御答弁がないようですが、原君、いかがですか。
  223. 原健三郎

    ○原(健)委員 答弁を待つている。
  224. 芦田均

    芦田國務大臣 お答えいたします。とくと考慮いたしました上でお答えいたします。
  225. 原健三郎

    ○原(健)委員 解散については、とくと考慮して答弁をするということでありましたが、考慮して別の機会にお答えを願いたいと思います。  もう一つついでに、解散については考慮されるでありましようが、その前提として選挙法を改正する必要があるとわれわれも思つておりますが、その用意ありや否や。また選挙の公営を必要とするが、その選挙の公営の意思ありや否や。その点を簡單にお尋ねいたしておきます。
  226. 芦田均

    芦田國務大臣 ただいまの問題につきましては、原君の御意見の通り、賛成いたします。
  227. 原健三郎

    ○原(健)委員 私の質問はこれで終ります。
  228. 川島金次

    川島委員長代理 続いて浅利君に御質疑をお願いいたします。浅利君。
  229. 淺利三朗

    ○淺利委員 時間がないようでありますから、簡單にいたします。水害復旧費用の問題でありますが、これは対策委員長の山崎君より詳細に述ベられましたから、ただ一、二の例を申し上げまして、この上特別の考慮をいただきたいと思うのであります。さきに前大藏大臣は、水害復旧の費用として、予算外の國庫支出をするということを言明されました。それによつて、私どもの最も水害の激甚であつたところの岩手縣は、ひの言葉を信用して、すでに橋梁の復旧の入札、工事等もいたしておつたのであります。しかるにそのことが実現せられませんで、今日入札はいたしましたけれども、その前渡金の支拂ができないという関係上、ほとんど橋梁の架設は進行を止めておるような状態であります。この状況を見ますと、とうてい明年の農業増産の計画なり、あるいは薪炭の輸送計画には間に合わぬという実情にあるのであります。この実情をよく認識されまして、願わくば今年度中に、あるいは融資の方法でもよろしいが、この実現ができるように御努力が願いたいと思うのであります。大藏大臣は水害のことについては御縁が遠いために、前大臣ほどの御理解がないのかも存じませんが、この点については、特に御考慮願いたいと思うのであります。  次に御質問申し上げたいことは、地方財政との関係であります。今回の官吏給與に伴いまして、地方職員の給與に対して約二十八億円という地方貸付金があるのであります。前回にも二・八箇月分にの給與に対しては貸付金の形式をとつたのであります。物價政策の破綻から賃金の改訂を必要しと、そうしてその結果が地方財政に重圧を加えておる。このために今日地方財政が非常に破局に瀕しているということは、御承知のことと思うのであります。一方においては所得税の増徴のために、地方農民の負担力というものは、極度に重圧をこうむつておるのであります。先刻他の委員からもお話がありましたように、國の税金において非常にたくさんの搾取をされておる。その上に重ねて地方税を徴收するという余力はほとんどないのであります。こういう状態において、この地方吏員の給與の点について、重ねて、また今後においても一層その増加を見なければならぬ情勢にあるということになりますれば、今後の地方財政は破局に向う一方であろうと思うのであります。先刻労働大臣の説明によりますと、來る四月においてさらにまた賃金の改訂をするという意向を述べられております。そういたしますと、地方財政というものは、將來はなはだしく破局に瀕する。これに対して大藏大臣は將來どういたさるるお見込でありますか。その点についてひとつ承りたいと思います。
  230. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お答え申し上げます。前段の水害復旧のことに関しましては、先ほど福田政府委員より申し述べた通りであります。これは先刻山崎委員よりも熱心な御質疑がありまして、私どももきわめて同感でありまして、最善を盡してその実現を期したい、かように存じておる次第であります。なおこのことは御承知通りのわれわれにはいろいろなわくがありまして、この件に関して目下特に総理大臣も煩わしておるわけでありますが、ぜひ御希望にこたえるように、最善の努力をいたす覚悟であります。  それから第二段の点でありますが、これは申すまでもなく、國民経済が不健康な状態で、國家財政が健全であり得ないし、また地方財政が非常に不健全な状態で、健全財政はあり得ないのでございまして、われわれがしきりに唱え、また実行に努力いたしております健全財政とは、中央はもむろん地方財政においても健全財政を一貫しなければならぬという建前を堅持いたしておるのであります。ところがだんだん地方の財源が枯渇いたしてまいりましたし、その他各般の事情で、地方財政がきわめて困難な状態にあるということは、十分痛感いたしております。從いまして地方財政についての委員会等もできておりまして、これらの方々の御活動を煩わしておるわけであります。またどうかして地方の財源を見つけて、できるだけ地方の力を培養するということでなければ、中央の財政というものももてない。そういう関係がございますので、從つてこれらの点については十分考慮いたしまして、ただいま御質問の趣旨は、われわれの考えと同じなのでありますから、そういう線に沿つて十分努力をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  231. 淺利三朗

    ○淺利委員 御趣旨はよくわかりましたが、さしあたりの問題といたしまして、この地方の貸付金を、將來地方団体において返還できなかつたというような場合においては、政府は何らかの方法で、これを補給するということのお考えがありや否や。あるいはまたこの貸付は長期貸付として、無利子で永久に貸しておくというような形式をおとりになるお考えはないかどうか。その点について御意見を承りたい。
  232. 北村徳太郎

    北村國務大臣 実は私は率直に申しますと、ただいまの御意見の通りであると言いたいのでありますが、どうもそうはここで申し上げかねるのであります。この点については、地方の財政の実情というものを十分に勘案いたしまして、無理のいかぬような方法をとりたい、こういうふうに考えております。お話通りでありますとここで申し上げたいのでありますが、そうまいりませんことを、はなはだ遺憾に存じます。ただ地方の実情を無視して事をやるというようなことはいたしません。今回の賃金水準の引上げについても、まず地方の方でお困りになるということは、十分わかつておりますから、こちらの方で貸付金の制度を考えて、それを予算に盛りこんで御承認を得ようとしておるわけでありますので、その点はひとつ了承願いたいと思います。
  233. 淺利三朗

    ○淺利委員 大体大藏大臣の腹がわかつたようであります。地方廳の財政というものは非常に窮迫いたしております。國家がこの金が返還できるものとお考えになつて政治を進めたならば、これは思わざる障害に逢着する危險があるということをお含みおきの上、施政の方針をお進め願いたいと思います。時間がありませんから、ほかに税制その他についてお伺いしたいこともありますけれども、これをもつて私は打切ります。
  234. 川島金次

    川島委員長代理 これにて質疑は大体終了いたしました。明日は午前十一時から開会いたすこととし、討論採決にはいりたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時三十七分散会