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1948-02-03 第2回国会 衆議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年二月三日(火曜日)     午前十一時三十三分開議  出席委員    委員長 鈴木茂三郎君    理事 稻村 順三君 理事 小島 徹三君    理事 庄司 一郎君 理事 川野 芳滿君       海野 三朗君    加藤シヅエ君       黒田 寿男君    島田 晋作君       田中 松月君    中崎  敏君       岡田 春夫君    山花 秀雄君       工藤 鐵男君    古賀喜太郎君       寺島隆太郎君   長野重右ヱ門君       山崎 岩男君    青木 孝義君       淺利 三朗君    磯崎 貞序君       上林山榮吉君    西村 久之君       今井  耕君    船田 享二君       中村 寅太君    野坂 參三君  出席國務大臣         内閣総理大臣  片山  哲君         大 藏 大 臣 栗栖 赳夫君         運 輸 大 臣 北村徳太郎君         逓 信 大 臣 三木 武夫君  出席政府委員         大藏事務官   福田 赳夫君         運輸政務次官  田中源三郎君         運輸事務官   田中不破三君         運輸事務官   加賀山之雄君  委員外出席者         專門調査員   芹澤 彪衞君         專門調査員   小竹 豊治君     ————————————— 一月八日委員小峯柳多君退職につき、その補欠と して、二月三日小澤佐重喜君が議長の指名で委員 に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十二年度一般会計予算補正(第一三号)  昭和二十二年度特別会計予算補正(特第七号)     —————————————
  2. 小島徹三

    小島委員長代理 これより会議開きます。  昨日に引続き質疑を断続いたします。庄司一郎君。
  3. 庄司一郎

    庄司委員 片山総理に対しお伺いを申し上げ、あなたの御所感を承りたい第一点——予算の会には直接ぴつたりしないようでございまするが、あなたの政治的な御信念の上に出発されて、ぜひ伺つておきたい第一点は、去る三十日全國各新聞報道において、インドの霊界の偉人と称されておるマハトマ・ガンジー氏の兇刄に倒れられた不幸な出來事に対しては、全世界元首あるいは大統領、総理のような立場におらるる方々が、あげてもつて哀悼弔詞述ベられておるのであります。これはガンジー翁の過去七十八年にわたる長い生涯を通して、平和と友愛、あるいは虚げられておるところの階級の解放運動等に対し、ガンジー氏の偉大なる霊的、あるいは政治的足跡の上において、全世界民衆が崇敬おく能わざる讃仰の上に立つて、各國の元首あるいは総理弔詞を述べられておるのである。わが國はあらためて申し上ぐるまでもなく、思想的あるいは哲学関係においては、インドのウパニシヤツドの感化を受けた王朝の時代あり、あるいは佛教関係において、近くはラビンドラナ・タゴールの文藝哲学思想方面におけるわが國との交換の関係において、また産業、経済の面においては、あらためて申し上ぐるまでもなく、インドの綿花、いわゆる印綿問題において、きわめて密接不可分関係にある東洋のインドである。かような経緯の上から見て、一國の総理として、あなたが当然北区西ヶ原の在日インド代表部宿舎等に、総理が御多忙であるならば、適当に外務大臣あるいは文部大臣等を御派遣になつて日印間における平和の促進、國交の上における一片の弔詞を、國民を代表さるる意味においてお述ベになることが、きわめて妥当なことであると考えておりましたが、各新聞をつぶさに拜見しても、何らの措置もおとりになつていないのであります。私は片山総理はきわめて精神町な、あるいは宗教的な御生涯を送つている方であるということを拜聽しておる意味において、まことに日印國交の上においても意外の感に打たれておるのであります。適当な措置を当然とられたこととは思いますが、いかなる措置をとられ、いかなる対策——と言いましてはきわめて妥当ではございませんが、どういう御所感述ベられたか、この点についてあなたの御所感を承つておきたいと思うのであります。
  4. 片山哲

    片山國務大臣 庄司君のお述ベになりましたガンジー翁突然の訃音につきましては、まつた同感でありまして、日本國民あげて哀悼の意を表さなれけばならないと考えておるのであります。私もその訃音を聞きまして、ただちに新聞通信によりまして、心からなる哀悼の意を表し、平和主義者を失つたこと、並びに暴力否定者暴力に倒れたことは、まことに悲しむべき出來事であるという意味言葉を申し述べておるのでありまして、これは一、二の新聞にも載つてつたことであり、私の心持がただちにこれらの通信を通じて出ておるような次第であります。どういう措置をとつたかという御質問でありまするが、たまたま議会が多忙であつたものでありますから、私が代表部を訪ねて弔問の意を表する折を逸したことを、はなはだ遺憾に思つておるのでありますが、十分これらに対しましては國民的な弔意を表し、哀悼の意を表する方策を講じたいと考えまして、それぞれ機関を通じて今準備をいたしておるような次第でありますから、庄司君の御意思を遺憾なく傳えるようにいたしたいと考えておるような次第であります。
  5. 庄司一郎

    庄司委員 ただいまの総理の御答弁において、適当なる措置を善処する旨の御意思でございますから、その件に関してはこれをもつて打切ります。  続いて総理伺いたいのは、前回の第一回國会において、この予算総会の部屋において、あなたに特に要望した一点は、農村、山村における木炭生産需給関係において、政府が新物價体系のもとに、黒炭においては一俵四貫目正味のものが五十四円五十銭、白炭は十円上り、かように農山村より供出をさせて、政府が買いとられたものを、一俵について約三十円格高の、黒炭においては八十四円五十銭、白炭はそれに十円を加えて、さような賣り方をやつておる。木炭一俵について三十円の大きな開きがあり、巾があることは、片山さんの信念とされておる社会主義経済の面から見られたならば、これは大搾取であらねばならない。こういうことを農林省がやつておるのである。やらしめておるのである。こういうことをあなたに申し上げて、この改正方を要望したるところ、さような事実があるならば、当局に強く警告を與えて善処せしめる旨の御答弁を、この席において承りました。私は長い時間あなたに御迷惑をかけないために、その際申し上げた他の二、三のことは省略するのでございますが、その後いかなる手を打たれ、いかなる措置をとられておるか。木炭一俵を三十円の巾をもつて消費者大衆に供給しておる。農山村の木炭生産家は、非常なる不平と不満に打たれておるのであります。あまりにこの巾が多過ぎる。木炭一表について十円程度のものであるならばいざ知らず、三十円という大きな開きは、生産者にとりましては、これはあまりにも大きな開きであり、また搾取であります。この木炭の問題を小さな問題と考えられてはならない。これは大きな問題であります。米においてもその通り。農家より前年の米は御承知のごとく石五百五十円をもつて供出をさせた。それをあなたの内閣になられてから、八月一日より俄然一升十四円何がしに賣り出されておる。この大きな開き、われわれの推定においては約十四億円のもうけをとられたように考えておりますが、未だに片山政府は、この巾の金をいかに処理したか、その金をどういう方面に用いたか、あるいは大藏省の雜收入の中に編入さるべき性質のものであるかどうかは、研究の余地はありましようけれども、農民は供出の面において心から不愉快の感情に打れておるような始末であります。私は今ここに前の平野農林大臣時代の過去のことを繰返すのではありません。ただ木炭の一点を通して、ただいま木炭需要期にあるこの際において、かような三十円というような巾をとるようなやり方は、すなわち政治惡である。決して生産者納得させるところのやり方じやございません。こういう意味において、いかなる措置をとられたか、前回のこの予算総会における御口約に基いて、その後あなたの打たれた措置について、その結果を拜承したいのであります。
  6. 片山哲

    片山國務大臣 ただいま庄司君の仰せられましたことにつきましては、この前のお話によりまして、十分警告をいたしまして、そういう疑惑を受けたり、間違いのないようにしたいということを、よく話をいたしておいたのでありまするが、その後の進行状態につきましては、まだ私その経過をよく承知いたしておりませんので、その問題については、農林大臣あるいは農林政府委員の方からひとつ答弁さすことにいたしたいと思います。
  7. 庄司一郎

    庄司(一)委員 農林関係どなたもいらつしやいませんね——それでは後刻農業関係より御答弁を頂戴することを保留しておきます。  総理に、私だけに関する限り最後のお伺いをしたいのは、ただいま議題となつておりまするこの追加予算——一般会計における十三回目の追加補正のこの予算、この歳出の面において〇・八の生補金官公吏諸君に支給さるるという歳出の面においては、一点反対の意見はございません。まつたくこの案に御同感であります。しかしながら問題となつておるのは財源の問題でございますが、財源の第一より第五まで、そのうちの第一の乘車賃引上げ、第二の郵便料金関係引上げ、これらの合計において二十六億九千九百四十万円、こういう鉄道乘車賃通信料金引上げとによつて、この第十三回目の追加予算財源に充当されんとする原案は、非常なこれは無理のある、あるいは不合理な財源捻出方法であると私は考えております。昨年の七月一日かに、十円の乘車賃は三十五円に値上げをされた。半年経たぬにこの始末という下世話の言葉もございますが、さらに今回九割の値上げを断行されんとしておられる。閣議においてむろん円満に妥結された上の御提案とは考えますけれども、かように乘車賃を俄然値上げさるるという意味は、ただ單に今回の補正予算〇・八の支給のために、通信料金値上げを合わせて二十六億の財源を求められんがために、余儀なくして、あなたとしても不本意ながら、突如としてかような無理な歳入を計上されたものと考えるのでありまするが、だんだん新聞報道等で拜見すると、あなたの属されておる日本社会党におかれてさえも、この原案を妥当なりとお認めにならない方々があるやに承つておる。また片山内閣與党三派においても、釈然たるものがないといううわさを聞いております。たとい三派連合の連立内閣でありましても、その與党了解さえもなく、突如としてかような財源捻出案を御提案なされたということは、どういう意味であるか、私は不可解であります。與党の正しい了解のもとに、あるいは三派與党政調会、あるいは代議士会等にそれぞれかけられて、了解済みのことであるならばいざ知らず、何らそういう措置も三党ともとられていないらしい。特にあなたの所属社会党におかれては、今朝の新聞では、左派の方は了解済みのような報道もありまするが、私はその内容は承知しておりません。おそらくこれは見透しの上においてああいう報道があつたのではないかと思いますが、あなたの委員長であらるるところの社会党さえも、この財源に対しては納得されていない。かような状態のもとにおいて、かような無謀な御提理をなされたということは、いかなる心野状態の上において御提案なされたのであるか。あなたはあなたの率いられるところの社会党をまずもつておまとめになつて、円満に、スムースに了携を求めて、本案を通すところの御確信をもたせておるかどうか。また三派よりなつている連立内閣総理大臣として、與党を円満にまとめて、本案の通過について見透しの確信をおもちであるかどうか。これをお伺いしたいのであります。同時にかようなむちやな、無謀な、國民生活に脅威を與え、不安動搖を與え、今や、やみにおいて一貫目四十円の大根が七十円にあがつた。かようなことを政府が発表されましたこの二、三日後において、やみ大根が四十円が七十円にあがりました。まことにこれは不祥きわまることであります。よつて総理に対するお伺いは、あなた御自身の手において、あなたの所属政党をスムースにまとめ得られる御確信をもつておられるかどうか。與党三派の円満なるところの了解を得られて、本案を通過させる御確信があるかどうか、これが第二点。第三点は、私から言わしめるならば、準備のない、また國民の全体が納得をもつておりません。承服しがたいかような案を、あくまでもあなたはこれを強氣に、強引に押通す御意思であるかどうか。むしろ釈然として他に適当なる財源をお求めになられて、本案は心よくこれを撤回なされるところの御意思があるかないか。これらの三点について総理大臣の御答弁を願います。
  8. 片山哲

    片山國務大臣 この〇・八の支出を、一月三十一日までに支拂いしなければならないということが前提條件になつておるのであります。どうしてもこれは支拂つて生活補給をいたしたい、こういうことが最大の要件であつたのでありますから、この財源を十分に組立てていかなければならない。こういう点におきまして大藏当局におきましても非常に努力いたしまして、この乏しき財源につきまして各方面研究をいたしたのであります。メリヤスの問題が出てまいつておりますが、メリヤスを高く賣つて、その得たる財源をもつてこれにあてるという案も考えられるのでありますけれども、これが早急に間に合わない。かりに一月三十一日の支拂いが三、四日延びたといたしましても、どうもこれには間に合わないのであります。遺憾ながら乏しき財源の中から研究いたしました結果、やむを得ず通信あるいは鉄道、こういう方面に進んできたような次第でありまして、これは政府としては決して喜んでいるわけでもなし、たいへん國民大衆に負担を重くする、こういう意味で心配をしておるのでありますが、わが國の今日の情勢経済事情から考えまして、まことに万やむを得ない事情になつておるのであります。各國の状態を支べてみましても、どこの國におきましても財源難でありまして、乏しき資材と、窮迫せる國民生活、これをにらみ合わせて、何とか工面してやりくりをやつていかなければならない状態に追いこまれておるのであります。率直に皆さんの御批判を仰いで、何とかこれをやりくりして進んでいかなければならない。こういうときに物價等を比較いたしまして、定期券あるいは貨物運賃等はそのまま値上げをしないでおいて、一般断客を相当値上げしなければならない、値上げすることによつて國家財政歳入は補填せられてくる、こういうことがやむを得ざる結果考えられてくるのであります。鉄道独立採算制等の問題は別といたしましても、國民がこの窮迫せる鉄道問題に対して、自主的にこれを築き上げて鉄道会計が成立つように考えてもらうし、また一般会計とのにらみ合わせの関係も、一般会計特別会計関係も調節してもらう。いろいろな点から考えまして、わが國の経済、わが國の財政関係から見まして鉄道郵便値上げは不可避な状態になつてきておるのであらうと思うのであります。こういう事情も一に戰後の荒れ果てておりますわが國の経済、わが國の財政をにらみ合わせての結果でありまして、國民に忍ぶべからざることをも忍んで、再建に御協力願わなければならない、かように考えておる次第であります。それで質問の第一の、私の属する社会党におきましても、だんだんとそれらの事情について十分に了解されてくるであろうことを期待し、また努力いたしておるのであります。また與党三派におきましても、やはりこういう方法で進んでいかなければならないという、既定方針で進んでいきたいと考えておるのでありまして、閣議におきましてもやはりこの方針で進んで、みなさんの御協力を仰ぎたいと考えておるのであります。それでありますから、この追加予算を撤回いたしまして、他の財源を別に求めて〇・八を補給する、こういうことは差迫つた今日においては考えないで、やはりこの案で進んでいきたいと思つておるのでありますから、ひとつ諸君におかれましても、この万やむを得ざる事情を御了察くださいまして御協力を願いたい、かように考えておる次第であります。
  9. 小島徹三

    小島委員長代理 庄司君に御相談いたしますが、総理大臣に対する御質問は終りましたか。
  10. 庄司一郎

    庄司委員 総理大臣に対しては終りました。
  11. 小島徹三

    小島委員長代理 それでは総理大臣の都合がございますので、総理大臣に対する質問を先にすることにいたします。この際庄司君の質問に関連して上林山君から質問したいということでございますから、これを許します。上林山君。
  12. 上林山榮吉

    上林委員 この際総理大臣にお尋ねいたしたいのであります。ただいまの庄司君の、この予算を組みかえて提出する意思はないか、この質問に対して、万やむを得ずこれを提出しなければならぬというような事情を、るる説明されたのでありますが、その中の、社会党党内をまとめ得る自信ありや否やという質問に対しては、曖昧模糊とした答弁のように承つたのであります。自分の属する党内をまとめ得ずしてこの案を出したということ自体は、これは片山内閣が一時野党時代官僚を攻撃しておりながら、このやり方官僚のいわゆるロボツトとなつて片山氏がこの案を出しているというふうにわれわれは見るのであります。政党政治眞髄は、言うまでもなく自分の党と閣僚とが不離一体をなしていなければならないこの際において、片山総理大臣自分の党をまとめ得る自信はないように思う。これに対してはつきりとした御答弁を私は要求するのであります。殊にわれわれは〇・八生活補給金に対してはもちろん賛成であるが、これの財源については先日來の質疑應答によつて絶対反対であります。そこで総理に承りたいのは、この大幅の運賃通信料金値上げ、これが何ら物價関係がない。ないしはインフレの高進に関係がないかのごとく聞かれるのでありまするが、総理考えは、これらは物價あるいはインフレに重大なは関係はないと見るのであるか、ただ單に貨物運賃引上げ、あるいは定期券引上げの延期によつて、わずかながら体面は保つたかのごとく形式的には見られるけれども、その内容を掘下げていけば、言うまでもなくこれは物價インフレに重大な関係がある。ましてインフレ拍車をかけておるということは、おおうべからざる事実であるが、片山流にこれも單にやむを得ないのであつて、そういうものには消極的に関係があるくらいのお考えであるかどうか、この点を明瞭にせられたいのであります。  さらに私は独立採算制についても、運輸大臣等質問をしたのでありまするが、これらの問題は廣く考えますときに、企業合理化廣汎に徹底するという前提、しかもそのうちの重大な要素でありますところの、行政整理を徹底していかなければ、言うまでもなく独立採算制というものはとり得ないと。しかるに閣議決定による発表によると、あれだけ大がかりの宣傳片山内閣がしながら、その行政整理案たるや、わずかに二万三千という國民納得のいかないものであつて、これは世界にその類例を見ない。今総理資材財源において世界はどこも困つていると言われた。日本はさらに困つているはずでありまするが、この状態においてかかる微温的な——これまた片山内閣の性格であるかもしれませんけれども、こういう微温的な行政整理そのものが、はたして企業合理化というようなものと一致するのであるかどうか、この三点について答弁を要求したいのであります。はなはだしきは消極的に二万三千というような実人員を整理するという一面、最近においては経済監督廳を設けて数千名の増員をせんとしている。さらに経済安定局に多数の人員を増加せんとしている。あるいは食糧公團その他の公團において、さらに新しい役人を増加せんとしているのであるが、いわゆる財閥官僚に代る政治が、役人による政治ということに歸結されてくる状態にあるのであつて行政整理は單に名のみである。國民の一部にてらわんとする片山内閣のこれはゼスチユアにしか過ぎない、こういうふうにわれわれは考えるのであります。もちろんこういうふうに言えばおうむ返しに、片山内閣は單に首を切つて切りつ放しにするという考えはもつていない。それはこういう時代においてやるべきではないという陳弁をされるかもしれません。われわれももちろん合理的なる生産を含むとことの行政整理でなければならぬということを要求するのでありまするが、行政整理が非常に不徹底であると思うのであります。  さらに第四点としてお尋ねいたしたいのは、運輸大臣に尋ねても無理な話であり、運輸大臣自身は運輸省のみでまたその責任は負い切れない、こういう答弁でありましたが、そのは鉄道に関する公安の問題であります。今日集團強盗が数回にわたつてつておる。しかも私がこの質問運輸大臣にしたときにすでにその問題が起きていたが、その一両日を出でずしてさらにまた追加せられて大きな問題が起つて、犯人は一人もあがつていない。これは帝銀事件に見られるように、今日犯罪が複雜であるとはいいながら、安心して鉄道に乘れない。安心して鉄道荷物を託送できない。また鉄道員自身が、大がかりにその荷物をば奪取しておるというようなことをも聞く。こういうような場合において片山総理は、自信をもつて公安を維持する決意があるかどうか、私はこの四点についてお尋ねをしたいのであります。最後に一点ありまするが、それは保留しておきます。
  13. 片山哲

    片山國務大臣 第一の社会党をまとめる自信ありや否や、こういう御質問でありまするが、むろんその自信をもつておるのであります。先ほど何か曖昧模糊答弁をしたというような攻撃がありましたが、決して曖昧模糊でごまかしの答弁をしておるのではないのでありまして、誠意を披瀝して申し上げたのであります。社会党もこの状態を十分に理解してくれるものと期待するのであるということを申し上げたのでありまして、私としては十分自信をもつて臨んでおるのであります。  第二のインフレ進行拍車をかけるのではないか、こういう御質問であります。今日のこの破局化を防ぐためには、どうしてもインフレ進行を防止しなければならない、こういう方針をもちまして組閣後今日まで進んできたのでありますが、さらにこの方針に力を與え、さらにこれを強力に推進せしむるために、生産増強に力を入れまして、相並んでインフレ防止に進んでいきたい。通貨面よりいたしまするインフレ防止策、その他やみの撲滅、流通秩序確立等によるインフレ防止対策と相並んで、生産増強対策をとつて、物を多くつくり、物を殖やす、こういう方面から來りまするインフレ対策をも立てて、兼ねて増強の第一歩を踏出したい、こういうことを中心といたしまして、二十三年度の政策として臨んでいく。こういうことを先般來から、口をすつぱくして申し上げておるような次第であります。こういう情勢に際しましては、通貨問題、物價問題、賃金問題に関しても、現下の経済情勢に対應いたしまして、再檢討しなければならないと考えておりまするのて、その時期、方法等も愼重を要しまするが、大体二十三年度の本予算を提出いたしまするときに、これらの問題る十分考慮した案を、諸君に示し得ると考えております。こういう矢先でありまするが、当面の問題として〇・八を支拂わなければならないし、また水害問題もあるし、六・三制の問題もあるし、いろいろ約束いたしました事項を遂行しなければならない財源として、先ほどからるる申し上げまする通り、万やむを得ざる財源として考えておるのでありまして、インフレ進行拍車しようとか、そういう考えではなしに、極力あらゆる点から防止していかなければならない。かつまた生産増強もはかつていかなければならない。こういう面とにらみ合わして考えておるのでありまして、どこまでもインフレ防止の大原則を確立いたし、それに伴つて今日の約束せる政策を遂行するという建前で進んでおるのであります。私の考えとしてはインフレ進行速度は、どうしても弱めなければならない、こういう意味で進んておるのであります。この鉄道通信値上げは、決してインフレ進行拍車を加える大きな原因になるものではないと考えておるのでありまして、値上げ國民生活に非常な重荷を與えることになりまするが、しかし他の方面からこれを抑制して、他の方面においてこれをあとへ引張つて、そうして調節しつつ進行しておるのである、こういうように御了承願いたいと思います。  第三の、行政整理が手ぬるい、人数も少い、これでは何もならないという御意見でありまするが、今日生活問題が窮迫を告げておりまするときに、多くの失業者を街頭に出すことは極力避けなければならないのであります。この失業者に対して失業手当、失業保險制度が充実しておるときであるならば結構でありまするけれども、不十分なる失業対策の今日においては、多くの失業者を出すことを避けたい。といつて人員の整理もしなければなりませんので、いろいろ研究しました結果、予算面における二割五分程度をもつて今日は摘当なりと考えておるのであります。これは能率を向上せしめる、いわゆる生産増強の面から來りまする行政の合理化をはかつていきたい。根本の問題は前に申したように、審議会を開いて根本的に一切新しく立直していきたいと考えておるのでありまして、その場合においてはまたいろいろの問題が派生的にも出てまいりまするが、当面二十三年度の予算の計上いたしまする人員整理、行政改革の一端として現われてまいる問題は、能率本位、生産増強の面から來りまする人員整理でありまして、どこまでも本旨は能率向上というところに論点をおいて無駄をやめる、こういう建前であります。ただお考え願いたいことは、國家の事業というものは相当殖えてくると思うのであります。これはこの前の國会においても私が申し上げたことでありまするれども、民主國となつて國家が國民のために事業をする、國民のために奉仕をする、國民のために必要な仕事を、事業家に代わつて行わなればならないという意味の民主國家にならなければならないのでありまするから、仕事がだんだんと殖えてくると思います。殖えてまいりますれば從つてその仕事に從事するところの、いわゆる官吏の数も殖えてくるのでありますが、今までのような官僚的なやり方はもちろんやらすべきではないのでありまして、眞に國民の幸福のための國家事業、國民の幸福に奉仕する國家の役人、こういうことにしたいと考えておるのであります。安本における機構の問題等につきましてもそういう面から考えておるのでありまして、やたらに機構が大きくなつてというだけで、それがただちに官僚だ、こういうふうな見方は見当がちよつと違つておるのではなかろうかと思うのであります。眞に新憲法の精神に副う、國家國民のための奉仕的な事業はどしどしやらして、そうして諸君が監督する、國会監視の間に立つて國家が事業を行う。官吏は公僕の観念に徹して進んでいく、こういうことにだんだんとしなければならないと思つておるのであります。  第四番目の鉄道公安に関する問題でありまして、鉄道内において公安が乱された問題については、はなはだ遺憾であります。何とか十分一般乘客の心配のないようにいたしたいと考えておるのでありますが、これま警察制度が根本的に改まつて、國家警察と自治警察との交替変革の過渡時期であります。そういう時期においては國民もなれないし、官吏もなれないという結果、いろいろ過渡時代における一つの間隙が遺憾ながら出てくると思うのであります。しかしこれは國民の訓練、國民の民主革命と申しまするか、変革時期における一つの試練と考えていただいて、國民大衆自分たちの治安を國民の力で自主的に守る、こういう態勢に進んでいただかなければならないのでありまして、國家警察と自治警察の移り変りの一つの摩擦、間隙の現象であるとお考え願いたいのであります。しかしこれをもつて時局を担当する政府が責任を轉嫁するような考えは毛頭ありません。これらの問題に処しましても、十分やつていかなければならないということは申すまでもないのでありますが、帝銀事件にも現われておりまする通り、人相が悪いからといつて、その人間を引ぱつて來てぎゆうぎゆうと追い詰めて白状さすというやり方は、今日は許されないのでありますから、科学的な捜査方法、証據等によつてその犯人を突き止める、こういうようなことになるのでありますから、鉄道公案の問題につきましても、十分これらの事情をお考え願いたいと思う次第であります。
  14. 上林山榮吉

    上林委員 社会党をまとめ得る自信がありやという問題について、私は首相の答弁は曖昧である、自信がなさそうに見える、こういうふうに申し上げたのであリまするが、私の主観は——あるいは客観情勢を見てそういうふうに考えているのでありまして、それに対する答弁がはつきりとしていなかつたから、私は曖昧なる答弁であると申し上げたのであります。この点はさておきまして、総理が大幅の運賃値上げ通信料の値上げが大してインフレとは関係がないと言われたことに対しては、これを論爭しようとは思いません。片山内閣の性格ないしは首相の考えがそこにあるとすれば、何をか言わんやであります。これ以上この問題についても追究する必要はないと思います。ただここで申し上げたいことは、民主國家になれば國民のために仕事が殖える。だから官僚を殖やしても、機構を大きくしても、それはやむを得ない現象なのである。この現象を見て官僚政治であるというのでは妥当でないという首相の御見解は、一慶了としなければならぬとは思いますけれども、私はその考え方自体が、すでに民主國家建設の線に副うものでないと考える。今日役所の仕事を見てみると、國民自体に任してよい、あるいは國民の團体に任してよい仕事が多い。あるいはなんら役所がタツチしなくてもよい仕事が非常に多いのであります。そういう仕事をばやるために機構をいじつて大きくする、あるいは増員をする。これは片山内閣官僚的な内閣と言われても、片山さんの頭がほとんど官僚的になつてしまつている今日においてはいたし方ないと考える。結局その頭から考えておられる機構の改革であり増員であるから、あなたがいかに弁解をされても、あなたの思想がすでに官僚になつてしまつている。そういう意味で私どもはあなたの考えておられる、民主國家の仕事を殖やさなければならぬから、役人を殖やすのだ。ひいて行政整理というものも実員わずかに二万三千人でいいのだ。これでは日本の國家は経済的には立ち直つていける機構であるのだという御見解であるならば、私はこれまた何をか言わんやであります。この点に対してさらに私は首相の答弁を求めるのであるが、殊に公安の問題について、今空白時代であるからやむを得ぬと言う。運輸大臣に聴けば、これは一般的社会現象であつて、あえて鉄道のみに起つたのではないから、鉄道だけでは背負いきれないから、ほかの機関の協力を得て今せつかくやつているのだ。ひいてこれは國民自身の手によつて、これらの治安というものは自分自身自身を護らなければならぬというこの御見解は、一通りの筋は通つているが、われわれはわれわれ自身國を護らなければならない。治安を護らなければならないが、空白時代であればあるほど、特別の関心を國家みずからがもち、責任をもたなければ、國民としては安心できないと思う。政府自体が、われわれでは背負いきれないから國民でこれをやるべきだということを——一つの教育として言うか、將來の問題として言うかするならばいいとしても、このいわゆる殺伐としている今日の時代に、内閣の首相みずからがこれを國民に向つて言うに至つては、私はその責任の所在をこれまた疑うのである。片山総理はこれに対してなんと考えておられるか。殊にこの追加予算の提出も二十九日に出されたのである。一月三十一日にこれを支拂わなければならぬから、やむを得ずこういうことになつたというのは、これまた聽きようによつては筋も通るが、私どもといたしましては、政府みずから当然やらなければならないような仕事をやらずに、平野追放問題のごとき、あるいはその他の問題に終始いたしまして、この予算が遅れたのである。財源はあるじやないか。ある財源を見合うことに努力せずして、そして二十九日にこれを出して急ぐのであるから三十一日までにこれをきめてくれと言う。これは私は片山内閣政治力がいかに貧困であるかということを示すものであると考えるのであります。そういうような考えをもつて、この急迫した時代を押し切ろうとせられる首相の心臓は、まことに私は強いと考えております。これに対してどうお考えであるか。  最後に私は片山さんの答弁を要求したいのは、聞くところによると、平野追放問題が最高裁判所で執行停止になつたということを聞いておるが、これが事実であるかどうか。もし事実とすれば、片山さんはこれに対していかなる政治的責任を感ずるのであるか。率直に言えば、この政治的責任を負うて内閣を辞職されるというくらいの、良心的なお考えをもつているのであるかどうか。この点特に私は率直なる御意見を質しておきたいと思います。
  15. 片山哲

    片山國務大臣 上林山君からいろいろ御意見をお出してなりまして、その御意見に基いて攻撃をされておるのであります。攻撃は御自由であります。それぞれ立場が違つておるのでありまして、十分國会は論議を闘わしていかなければならないのでありますから、それは御自由でありまするが、見解の相違はやむを得ないと思います。私は誠意を披瀝いたしまして、今日の國家の治安を護つていかなければならない、空白時代だからといつて、責任を逃れようという考えは毛頭ありません。先ほども申しましたように、責任を轉嫁する考えは寸毫もない。眞に國民のために、國民から依託せられた仕事を遂行するというのが政府の仕事であると考えて、最善の努力を拂つておるのであります。治安の問題はもちろんでありまするが、その他経済問題につきましても、この敗戰後の難関を何とかして建て直したい、切り抜けていきたい、こういうことを考えまして、日夜対策を立てるのに焦慮そつつあるような次第であります。その方法について、いろいろ意見の相違は、これはやむを得ないと思います。その点十分に御了解願いたいと思います。  最後に平野君の資格に関しましての裁判所の処置についての御質問がありましたので、お答えいたしたいと思います。昨晩——最高裁判所ではないのです。東京地方裁判所から、平野君が申請人となり、私を相手方といたしまして、仮処分の決定というのが送達になりました。これは判決ではないのであります。今上林山君は裁判所の判決とか言われたように聽きましたが、これは仮処分の決定ということになつております。この仮処分の決定の内容は、相当廣範にわたつておりまするので、目下檢討中でありまして、これに対してどういう対策を立てるか、どういうふうにこれを処理するかということは、昨晩遅く受け取つて、今朝見たばかりでありまして、目下檢討中でありまするが、司法問題、行政問題といういろいろ錯綜した、複雜なる問題がありまするので、しばらく時日をかしていただいて、よくこれを檢討いたしまして、さらにお答えいたしたいと思います。その意味において目下檢討中であるということをもつて、お答えといたしたいと思います。
  16. 上林山榮吉

    上林委員 事実は事実であるが、現在檢討中であるから、何ら答えられないという意味に承つたのでありまするが、この問題について、総理閣議その他の重要なる協議を遂げられたものであるかどうか。殊に結論としての政治的責任を、ここで追究するのは一應無理かと思うが、政治的責任については、現在の段階においては、何らかお考えになつておるかどうか。この段階におけるあなたのお考えを承つておけばさいわいだと思います。それ以上追究いたしません。
  17. 片山哲

    片山國務大臣 私自身考えといたしましては、申し上げたい点も多々あるのでありますが、この仮処分一つで、ただちに責任をとるというわけにはいかないと思います。いろいろ内容も檢討しなければなりませんので、よく檢討いたした上で、これに対する対策考えたいと思います。法律的な処置もありましようし、またわが國に課せられたる追放問題というものの処理の上からも檢討してければならない。政治上の立場から、これを考えていかなければならない点もあり、法律上の問題として、対策を講じなければならない点もあり、いろいろの面がありまするから、檢討した上でお答えいたしたいと思います。
  18. 野坂參三

    ○野坂委員 私は庄司君及び上林山君の質問に関連して、総理大臣に二、三質問したいと思います。  第一の問題は、先ほどの上林山氏の質問に対する答弁の中で、総理大臣インフレ対策について一言ふれられたと思います。この点については、私が本会議総理の施政演説に対する質問の中でお尋ねした、そのときの総理のお答えでは満足することはできないし、また明瞭でなかつたので、この機会にこれをはつきりしたいと思います。問題はこういう点であります。総理があの演説をなされた草稿が、最初のものと、最後のものとの間に相違があつた。これは單なる言葉の相違ではなくて、相当基本的なる方針の相違になつてきておる。初めの案では、インフレは今進行中である。こういうふうに述ベられておる。ところが最後の案においては——今はつきり覚えておりませんが、完全になくなつたのではないかというような、非常に緩和されたことを言つておられます。これをもう一つ言いかえれば、インフレは大体において克服されてきておるが、しかしまだどうしてもやらなければならないというふうな、残つたものを退治するのが、今の政府の根本的対策である。今むしろこれよりも増産、生産増強に重点をおかなければならない。こういうふうな御意見が、あの施政演説にずうつと一貫しておつたと思います。ここで私は総理にお聽きしたいことは、インフレに対して、政府は昨年と今年において、基本的な方針に相違があるのかどうか。こういう点であります。なぜこういうことをお聽きするかと言えば、今申し上げた総理の演説の内容が変化されておる点が一つ。それからさらに私はやはり本会議でもこれにふれましたが、社会党財政方針の中にも、インフレ突破とか、インフレ克服いとう、今まで使つたような言葉を使わずに、インフレを統制するというような言葉を使つておる。さらに今日出された〇・八の予算を見ただけでも、ここで問題になつたように、通信料金鉄道料金、こういうものを引上げる。すなわちこれはインフレ促進に当然役立たなければならない。こういう実際の施策の上から見ても、政府としてはインフレを徹底的に克服することに、今の当面の緊急な任務を置かず、やはり若干インフレを促進させるという方向に、政府は行つておるのじやないか。と申しますのは、ある教授、あるいはこれはどこまで正当かは知りませんが、安本の方でもこういうふうな見解がふる。つまりドイツの例で言えば、ドイツのあの恐慌は、要するに安定恐慌なのである。あのときにドイツは戰前の約八割以上の生産が回復しておつたが、安定恐慌の結果半分以下になつてしまつた。もし日本で今安定恐慌が起れば、生産は戰前の約三割にすぎない。これが半分になれば一割五分になつてしまう。だから今インフレの徹底的克服ではなくて、やはり統制するとか、促進させながら行くという、こういう見解があると聽いております。もしこういうふうな見解があるならば、総理の演説、また社会党の決定に、そこに一貫した方針があるのじやないか。この点についてまず総理大臣の御意見を伺いたい。
  19. 片山哲

    片山國務大臣 私はインフレを促進させよう。こういう考えはないのです。インフレをどこまでも抑止したい。これが前提條件であります。インフレ抑止のために全力を傾倒してきたのでありますが、やはりその抑止の政策を続けていきたい。どうしてもこの抑止政策というものをさらに続けていかなければならぬのであるが、大体この抑止政策というものが軌道に乘つてきておるのであつて、これをかえたり放擲したりするようなことはしない。やはりこれを堅持して、インフレ防止、抑制対策を突き進めていきたい。こういう意味を施政方針の演説の前提といたしておるのであります。それをさらに強化するために、生産増強生産物をさらに殖やすという対策をとつていかなければならない。こういう意味でありまして、野坂君の言われるように、インフレの抑止策を捨てて、それはもうでき上つたから安心だ、これはこれとして別個に生産増強対策をさらに立てる、こういうような方法を講じておるのでは決してないのであります。最初の草稿と最後と違うということをしきりに仰せられるのでありますが、心持は決して違つておりません。表現が多少違つておるかと思いますが、その趣旨においては変つていないのであります。精神においてももちろん変つていない。今申し上げるように、どこまでもインフレ抑止していかなければならないという精神を堅持しておるのでありまして、二十三年度はその堅持策の上に加えるのに、生産増強策をとつていくのである。こういうやり方であります。その点を御了承願いたいと思います。
  20. 野坂參三

    ○野坂委員 もう一つこの問題に関連しまして伺いたい。今総理の方ではインフレを抑止するという政策をやめたのではないという、これはわかる。これはともかくも、声明とか、演説とか、口の上では必ず言われなければならないと思うのであります。そこで実際の行動の上でどうであるか。これは去年の追加予算を見てもわかりますように、また今度の〇・八に関する追加予算を見ても、若干これが現われておる。この問題については、さらに出されるところの追加予算及び二十三年度の一般予算に関して、具体的に私は政府質問したいと思いますが、もう一言お伺いしたいのは、この問題に関連して、総理は、今日インフレ進行し、また深刻化しつつあると思われるかどうか。これは緩和の方向へ行つておるかどうか。これに対する一つの見方を私はお伺いしたいと思います。この見方によつて今後の政策はまた根本的に違つてくると思います。総理の御演説の中にはこの点が特に削除されている。ここに私は問題があるのじやないかと思います。
  21. 片山哲

    片山國務大臣 インフレはなお進行を続けておると思います。政府の今までとつてまいりましたる対策によりまして、激化することは防止できたと思つております。その速度を弱めることができたと思つております。一段とこれを弱めて、これを抑止し、防止しなければならない。こういうことに主力を注いで対策を講じつつあるのであります。
  22. 野坂參三

    ○野坂委員 そうすると、今の問題に関連して、インフレ進行中であるというあの言葉は、何のためにお省きになつたか。それから、たとえば政府側の発表でも、三月末までには二千七百億、あるいはこれを突破するでしようが、これの日本銀行の紙幣が出るということ、これは一体インフレであるのか、インフレでないのか。この二点をお伺いしたい。
  23. 片山哲

    片山國務大臣 演説の草稿は私の心持で作案したのでありまして、それ以外にはありません。それから通貨が膨張しているということも事実であります。これもインフレ進行の一つの場面でありまするが、どこまでも抑止政策を立てたいと考えて、これをしないことには再建の実が上らないという心持は、多分に、かつまた十分にこれを現わしたいと考えておるのであります。
  24. 野坂參三

    ○野坂委員 この問題については私は新しい追加予算あるいは來年度の予算のときに、もう少し具体的に伺うことにいたします。次の問題としましては、〇・八箇月の補給金の問題ですが、先ほど総理庄司君の質問に答えて、ともかく一月三十一日に出さなければならないから、急ぐからと、こういうふうな御意見だつた。それで財源をこういうところに見出さなければならない、こういう御意見であつた。ところが問題は去年の十一月からの問題である。十二月には決定されている。二・八箇月のうち二箇月分がすでに出されておつた。ですからそのときにもうすでに〇・八の財源をどこに見つけるかという準備は、十分時間もあつたし、余裕もあつたと思います。そのときになぜこういうふうな、郵便料金や通信料というような、まず第一に大衆に負担をかけるものを考えなければならなかつたか。この官公吏の〇・八箇月の給與を出すために、わざわざこういうふうな負担を大衆にかけなければならないか。そうして官公吏及び一般人民との間に溝をつくる、一般人民をして官公吏に対して反感を懷かせる、こういうふうな政治的な意図があるようなことで、特に財源を見出さなければならなかつたか。私はこれは一月三十一日で急ぐからというのは意味をなさぬと思う。二箇月前からこれは当然準備する余裕があつたと思うが、この点についてもう一度お伺いたしいと思います。
  25. 片山哲

    片山國務大臣 私の聞いたところによりますならば、最近問題となりましたメリヤス問題は、ほんとうに最近に現われた問題でありまして、それは一月中には財源とし出てこなかつたのです。それはいろいろ商工省等における取扱の関係であつたと思います。これが初めからわかつてつたにもかかわらず、それを除外して鉄道あるいは通信に目をつけた、こういうことはないのであります。万やむを得ず鉄道通信ということによらなければ財源がなかつた。こういう建前であつたのであります。
  26. 野坂參三

    ○野坂委員 今総理メリヤス云々と申されましたけれども、今政府の方では、〇・八箇月の補給金以外に、さらに合計して百数十億の追加予算を提出されております。それには当然メリヤス以外の財源があると思います。私はそれを言つておるのです。メリヤスが一月でなければ見出されなかつたという問題ではなく、それ以外に出されておる百数十億の追加予算、これにはちやんと財源があつた。この財源をなぜ一体この方にまわされなかつたか。
  27. 片山哲

    片山國務大臣 それは、大藏大臣の方で、追加予算を二つにわけて、急ぐからこれ、その他の分はその次の追加予算、こういうふうに予算拔術として分けて閣議に提出いたしたような次第で、これは單なる拔術上の問題であろうと思いますが、詳細は大藏大臣よりお答えさせることにいたします。
  28. 野坂參三

    ○野坂委員 今の問題については、それでは大藏大臣に午後にお聽きしようい思います。問題は、單なる技術上と申されましたけれども、一般に対する印象は、拔術の問題ではなくて、政治的なある若干の意図がありはしないか、こういう印象を受ける。それがために、今官公郎の方ではこれに対して大きな反対運がが起つておる。何十万かの國民の署名を求めております。これは私が言つておるのじやない。片山総理社会党の人が言つておる。こういうような状態である。今民間に非常な反感がある。こういう状態にあるにもかかわらず、これをさらに押し切つていかれる。私が総理にお聽きしたいのは、総理は一般に起つておるところの反対の意見、及びこの議場でも、自由党そのほかにおいてもすでに反対の意見を表明しております。また私たち小会派の方でも、この問題については返上するという決議をやるように大体今相談をしております。こういうような状態のもとにおいて、片山総理の方はどうしてもこれを押切るという意図をもつておられるかどうか。これをお聽きしたい。
  29. 片山哲

    片山國務大臣 院外においてもそういう声があるし、諸君の間においてもそういう御意見のあることは承知しておりますが、先ほどから申しまするように、現下の財政上の立場から考えまして、どうしても急いで〇・八を支拂わなければならないし、かつまたその後の追加予算関係から申しまして、この案で進みたい考えであります。
  30. 野坂參三

    ○野坂委員 くどいようですけれども、最後に伺つておきたいことは、財源も大体あるということは社会党の方から申されております。急ぐ急ぐと申されますけれでも、もうこれは二箇月前からの問題である。さらに今官公郎の組合の方でも、新しい財源を求められるならば多少延ばしてもいい、こういうことを労働組合自身が今言つている。こういう状態のもとにおいても総理としてはあくまでこれを通す、これらの意見は聽かない、こういう態度をとられるのであるかどうか、もしそうならばわれわれはここで審議しても意味はないのであります。われわれがここで審議するというのは、新しい財源を求める。あるいはいろいろな方法によつて、今大衆の間に起つておる不満、反感、これをわれわれとしては考慮して、新しい財源を求めるためであります。それがための委員会だと思う。この委員会の意見とか、あるいは大衆の意見を無視して、あくまで政府としては既定方針でいく、こういう方針をとられておるものとしか考えることができない。私はこれをもう一度聽く必要はない。これは私だけの意見でなく、おそらく大多数の人の意見ではないかと考えます。
  31. 小島徹三

    小島委員長代理 磯崎貞序君。
  32. 磯崎貞序

    ○磯崎委員 先ほど來各委員質疑に対しまする総理の御答弁の中に、インフレ高進の問題が相当あつたのであります。私は現内閣が組織されまして第一に行われたのが、かの物價体系、賃金ベース問題、これを契機としまして起つてきましたインフレの高進、こうして観点からしまして、現内閣インフレ高進製造元であると私は思います。この結果いわゆる賃金階層の各方面から、いろいろ生活権の擁護の要請か起りまして、中労委方面に裁定を求める。ところがその結果において御了承の通り今問題になつております二・八箇月分の裁定がある。しかもこの裁定を政府が呑まれるかどうかということを、重大なる関心をもつて見ておつたのでありますが、これを呑まれる。実は御承知の通り当時千八百円ベース問題について安本長官その他の閣僚から、いずれも語を強うしまして、いわゆる十一月黒字説を力強く声明したのでありますが、すでに十一月を過ぎても赤字家計というものは拍車をかけて、その声明はことごとく裏切られた、しかも中務委の裁定を勇敢にお呑みになつた。しかも実際におきましてインフレ問題におきましては、すでにその製造元であり、しかもその根幹であるところの政策を、みずから放擲なすつたという観点からしまして、重大なる責任がとらるべきであるというふうにさえ考えております。ところで御了承の通り内閣は、その政策の最も重大なる裏づけの予算がいつも遅れております。昨年組閣をいたしまして、当時追加予算を御提案になりましたが、遷延は遷延を重ねて、会期半ば過ぎに相なりまして御提案になつた。ところが私どもお互いはこの重大なる予算案の審議にあたりまして、ややともしますと愼重なる審議をなし得なかつたというきらいから、実は総理の属しておいでになる社会党の、しかも委員長である鈴木茂三郎さんから、昨年末実は急遽招電を受けまして、その当時の委員が本院へ集合したのでございます。その際におきまして委員長の申されるには、現内閣がさきに予算の提案をいたしました実体から見ますと、お互いがまことに審議に辛い経驗をもつておる。これからお互いは率直に党派を超越して、政策の一致するものは相固めて、そうして政府の力のみは依存するのではなくて、勇敢にやつていこうじやないかという御提議等がございました。私は現在政党内閣の形からしまして、こうしたことを與党に属しておいでになる鈴木委員長から伺いますことは、奇怪に思つておりましたが、しかしそうした再三の集合で鈴木さんの御意見等も大分強く、すべてのものを超越して現内閣を鞭撻しようというお声等もあつたのであります。ところで当時社会党の中央委員会のまだ開催前で、各党におきましてもその党大会の前でございまして、未だ政策のもち寄り等もありませんで、すべての協議がまつたく完備しておりませんときに、たまたま〇・八箇月分の補給金の要請があつたのであります。この問題に対しましてはからずもかつて再三お寄りを願つた委員長の御言明等が反映しまして、與党間におきましてもいろいろ御折衝が深刻にあられるというふうに想像されておりますが、私どもはこの財源問題につきましては相当意見をもつております。もつておりますが、與党に置かれておる委員長が、みずから相当強いものをもつておられる以上は、おそらくこの案件がこの予算委員会におきまして通過するかどうかさえ疑われる、あるいは修正されるかどうか、あるいは編成替をされるかどうかというような、いろいろな難関が目前に横たわつておりますが、もしもそうした場面に当面しました場合には、総理はいかなる御心境をもたれるであろうか、この点につきましてお答えを煩わしたいと思います。
  33. 片山哲

    片山國務大臣 先ほど上林山君にお答えいたしました通り党内は十分にまとまると考えております。從いましてこの財源につきましては、いろいろ御意見があるのでありましようけれども、論議を盡した後におきましては、政府考えておりますることを、諸君におかれましても十分に御了承を願えることと考えておるのであります。〇・八はどうしても支拂わなければならないのでありまするし、その他の点についてもすでに約束いたしております項目でありますから、どうしても追加として急がなければならない費目であります。これらを支拂わなければならない結果としての立場から申しまして、ぜひとも諸君の御了承を仰ぎたいと思つて努力いたしておるような次第であります。社会党は先ほど申しましたような次第で、十分に政府案を了解し、まとまるということを考えておる次第であります。
  34. 小島徹三

    小島委員長代理 磯崎君に申し上げますが、ちよつと総理大臣が急用ができまして、どうしても出なければなりませんから、あなたの総理大臣に対する質問は、また午後にでも延ばしていただいて、ここで休憩にはいりたいと思いますから、どうぞ御了承を願いたいと思います。  ではこれをもつて休憩いたします。午後は二時から再開することにいたします。     午後零時五十九分休憩      ————◇—————     午後三時三十四分開議
  35. 稻村順三

    ○稻村委員長代理 休憩前に引続き会議開きます。  質疑にはいりますが、運輸大臣は四時から余儀ない用事があつてそこへ出られるそうでありますので、それまで運輸大臣に対する質疑をしていただきます。庄司一郎君。
  36. 庄司一郎

    庄司(一)委員 運輸大臣に対するお伺いは、運輸省の地方の現場においては、開拓開懇の事業を継続してやられておるようであります。その開懇事業の目的はあらためてお伺いしませんでも、大体その目的の存するところは了承さるるのでありますが、本來運輸省が開懇事業をやり、農業を営むというようなことは、運輸省本來の仕事でもなければ、また附帶事業として考えらるるはずのものでもないと考えておるのであります。戰時中において運輸省の鉄道線路一帶における用地に、簡單な開懇をして野菜をとるとか、鉄道職員に野菜を收穫させるとかいうような意味から始まつたものと考えておりますが、最近はかなり各地に大規模な開懇をやられておる。その開墜の長は、一應三十年以上勤続された相当古参の諸君が監督となられて、現場の開拓開墾事業等を指導なされておるようであります。また鉄道職員以外の労務者を雇用されて開墾開拓をやられておるようでありますが、地方でお伺いすると、生産したものを別に政府供出をされているような事実もない。現場における重労働の官公吏諸君には、それぞれ加配米の制度も実施されておるようでありますが、運輸省が各現場において直営されておる開墾事業等は、將來とも継続させて御経営なさる御意思であるかどうか。私見をもつてするならば、これは速やかに手を引かれておやめになつて、引揚同胞であるとか、あるいは戰地から帰つてきたもので、農地法によつて農地を取得する能わざる境遇に陥つておる戰前の百姓等に分割して、農業を漸次やらしむるようなことが適当なやり方ではないかというように考えております。これは過般の追加予算においても、相当の予算をこの開墾のために運輸省はとられておるようでありますが、將來とも継続してこういう仕事をおやりになるのであるかどうか、願わくばそういう運輸省の本來の仕事でない開墾、開拓事業等からは手を引いていただいて、むしろ國鉄の復興のために、そういう職員諸君協力をもつて鉄道関係一切の仕事に一意專心せられたいと考えておるのでありますが、運輸大臣の御所見はいかがでございますか。
  37. 北村徳太郎

    ○北村國務大臣 ただいまの庄司委員の御説はきわめてごもつともだと思います。それでこのことにつきましてはちよつと答弁を留保させていただきまして、事務当局より詳しく御説明申し上げたいと思いますが、御説のごとくであるとするならば、これは穏当でないと私は考えておる次第であります。御意見とまつたく同じ考えをもつております。もう少し詳細なことをあとから申し上げたいと思います。御了承願います。
  38. 磯崎貞序

    ○磯崎委員 大藏大臣、運輸大臣御両者にお尋ねしたい。まず運輸関係として大臣にお答えを煩わしたいことは、ただいまいろいろ論議審議中に属じております予算の問題でありますが、さきに伺いますところによると、〇・八の補給金支出の問題は、全逓方面においてはすでに支給済と拜承しておるのでありますが、はたして世評のごとく支給済であるかどうか、この点につきましての御答弁を煩わしたいと思います。
  39. 福田赳夫

    ○福田政府委員 お答えいたします。逓信省職員に対しまして〇・八が出たかどうかというお話でありますが、私どもが調査いたしましたところによりますると、出した事実はありません。
  40. 磯崎貞序

    ○磯崎委員 運輸関係のお答えをひとつお願いいたします。
  41. 北村徳太郎

    ○北村國務大臣 運輸省関係においてもさような事実はございません。
  42. 磯崎貞序

    ○磯崎委員 そうしますると、昨日あたり大分新聞紙上にも発表されておるように思われまするが、これは何らの根拠なきものと心得てよろしうございますか。
  43. 北村徳太郎

    ○北村國務大臣 さよう御了承願つて結構だと思います。
  44. 磯崎貞序

    ○磯崎委員 大藏大臣がお見えになりませぬから政府委員のお答えをお願いいたします。私ども常に補正の予算を手にするのでありますが、財源にお困りの関係から、いつも対象になるのは剩余金であるようでございます。剩余金は今日どんな状態にあるのか、ひとつ剩余金に対する明細なる御答弁をお願いいたします。
  45. 福田赳夫

    ○福田政府委員 お答えいたします。剩余金といたしましては、二十一年度に生じたる剩余金というものが現在残つておるのでありまして、二十年度に生じたる剩余金は皆無であります。  二十一年度に生じた剩余金について申し上げますると、当初十六億五千二百万円の剩余金を生じまして、そのうちその半分は財政法の規定によりまして、國債償還に充当するということになつておるのでありまして、これを控除いたしますると残額が八億二千六百万円となるのであります。この八億二千六百万円のうち、すでに補正予算として使用いたしました額が五億九千三百万円でありまして、残額二億三千三百万円というふうに現在相なつておる次第であります。
  46. 稻村順三

    ○稻村委員長代理 ちよつと磯崎君に御相談ですが、運輸大臣は所用のために四時から出かけなければならないそうでありますので、運輸大臣に対する質疑を続けてまいりまして、後より発言を許可いたしますから御了承願います。  運輸省大臣の対する質疑の通告によまして、野坂參三君。
  47. 野坂參三

    ○野坂委員 私は二、三の問題についてお聽きしたい。それは今度の補給金の問題についていつも問題になるのは、財源を今の鉄道あるいは逓信の料金の引上げに求めており、この根拠は独立採算制をとつておるからである、こういうことになつていると思うのですが、この独立採算制の問題について、こういう方針をお立てになつたのはいつごろからお立てになつたか、またこの方針はぜひ守らなければないものであるかどうか、もしそうならばその根拠をお伺いしたいと思います。と申しますのは、たとえば鉄道だけについて申しても、ここにある材料によりますと、昭和十一年から十八、九年までは、大体三割ないし四割近くが黒字になつており、これが一般会計に食いこんだ。ところが二十年ごろになるといわゆる赤字が出てきて、特に去年ごろからああした大きな赤字が出てきた。そうすると去年ごろから急に独立採算制が強調され、殊に今年になり、片山内閣以後これが非常に強調されておりますが、赤字になつたときに初めて独立採算制を強調されてその方針をとられるが、余つたときにはそうじやない。こういうふうな点はわれわれには腑に落ちないのでありますが、この点をひとつお聽きします。
  48. 北村徳太郎

    ○北村國務大臣 ただいまの御質問にお答えいたします。余つたときには独立採算制をとらずに、赤字が出てから独立採算制はおかしいじやないかというような御質問だと思うのですが、黒字を一般会計に繰入れることができるほどの状態のときには、経理的に申しますと、完全に独立採算をやつてつたと申してよろしいと思うのです。赤字になつた、なつたればこそこれではいけない、鉄道も一つの公企業であるから、收支の適合をはからなければいかぬということは、当然の帰結であると思うのであります。しかもまたこれは関係方面より強くそのことを示唆されまして、鉄道がこう赤字を出しては相ならぬ。殊に赤字の結末を一般会計でつけるということになりますと、それだけの赤字というものが國民大衆の負担になる。從つてこれは何とかして赤字を解消する方法を講じなければならぬということは、特に運輸の局を預かる者の当然の務めでもございますし、またただいま申し上げましたような方面の非常に強い示唆があり、また赤字なるがゆえに、独立採算制をもつて赤字解消への方途を講じなければならぬということに相なるわけでございまして、この点はただいまもその方向へ大いに推進をやらなければならぬ、こういうふうに感じておる次第であります。
  49. 野坂參三

    ○野坂委員 私は國家企業において、独立採算制の原則をもつということについて反対しているわけではない。これは原則としてはわれわれとしても根本的に反対する意思はもつていない。今日の日本経済状態のもとで、インフレと、やみと、経済危機の眞中にあるこの状態のもとで、これをむりやりに通すというところに非常な無理が出てくる。この負担を結局大衆の方へかける、こういう結果が実際出てきている。こういう現在のような経済危機の状態のもとで、これをむりに通すところに誤りがあるのではないか。こういう場合においては独立採算制というふうなことを、嚴格に杓子定規にとるべきではなく、こういう場合において日本経済全体を見て、この上から、こういう鉄道あるいは通信方面を考慮すべきだ。私は今当面の財政政策としては、こういう行き方の方がよくはないかと考えておりますが、これについて伺いたい。
  50. 北村徳太郎

    ○北村國務大臣 ただいまの説はごもつともな点もあるのでありまするが、もちろんこれは國営の事業でございますから、独立採算制と申しましても私企業と性質を異にしております。だから仕事の中で明らかに赤字がわかつてつてもやらなければならぬ仕事があるということはもちろんでありまして、現にそれをやりつつあるのであります。しかしながら今日の段階においてインフレーションの問題等を考えますと、どうしてもこれは財政全体の収支の適合をはかるということに力点を置いていかなければならぬ。そういう面から、これは公企業であるから少々赤字が出てもいいというような考え方は、とうていできませんので、インフレーションをおそれるがゆえに、また危機経済のさ中にあるがゆえに、なおさら鉄道を一箇の公企業として独立採算制、すなわち収支の適合がうまくいくような方向へ向けていくということが、きはめて必要である。またそうしなければただいまお話の大衆の負担を増すばかりになる。こういうふうに考えるのでありまして、お説のようなことから、私はむしろ独立採算制というものを強調したいという氣持でおるわけであります。
  51. 野坂參三

    ○野坂委員 この問題については結局意見の違いということになりますけれども、今の日本経済のもとにおいて、石炭を重点産業として、あらゆる力をここに向けられるということを今やられておりますが、國鉄、運輸、これは私は來るべき危機の大きな中心になりはしないか。こういう場合において、これをいかに再建するかといつた場合に、いわゆる独立採算制のもとにいけば、これはおそらく不可能であります。実際もう赤字が出ている。この場合に、独立採算制というようなものは、憲法にも何も規定するものでもなんでもない。こういうものを政府の方で杓子定規にやられることに矛盾がある。これ以上私は申しませんが、もう一つお伺いしたいのは、國鉄の方で今買われている石炭の値段であります。今すでに赤字々々と言われておりますが、私どものもつている材料によると、國鉄が買つている石炭の値段、これは生産者價格はトン当りが九百五十六円、それから今度はいわゆるわれわれの言う独占資本の方、鉄鋼とか、硫安、電氣銅、海運、これらにいくらで渡されているかというと、とん当り六百円。生産者價格よりは三百五十六円安く供給されている。ところが國鉄はどうかと申しますと千二百八円です。ここでは生産者價格よりは二百五十二円も余分に拂つておられる。どうしてこういうことがやられているが。一般の独占資本に対してはこれだけ安く石炭を與えながら、國鉄だけが高い値段で買つている。これだけの負担を結局國民に負わせる結果を導いている。ここの矛盾を私はお聽きしたいのであります。
  52. 田中不破三

    田中(不)政府委員 お答え申し上げます。今野坂委員からお話がありました通りに、鉄道の石炭の價格は千二百八円を標準といたしております。これはある特殊産業につきましては、石炭の値段が特に値引されまして、比較的低い値段、生産者價格を割つて支給されている部分もございます。鉄道につきましては、当時できるだけ独立採算制の本旨をとりまして、しかも一般会計の石炭補給金の予算額等ともにらみ会わせまして、鉄道では普通の價格で石炭を購入するという段取りをとつたのでございますが、今お話の通り鉄道の炭につきましては、各種の銘柄がございまして、山元において購入します石炭の銘柄も、それぞれ多種多樣にわたつておりまして、從つてカロリーもいろいろ違つております。從つてカロリーを基準とし、またその他の諸掛り等を加算いたしますと、今お話のように千二百八円の石炭價格になるのでございまして、これはいわゆる山元で買いまする購入値段その他の諸掛り、また石炭購入につきましてこれを扱いまする事務的の費用、その他を含んでおりまする関係上、今おつしやいましたような値段に相なつているような次第でございます。
  53. 野坂參三

    ○野坂委員 今私の聽いておりますのは、なぜ民間の大企業に対して安くして、官業の國鉄だけが高く買つているか。この根拠をお聽きしたいのです。
  54. 田中源三郎

    田中(源)政府委員 お答えいたします。政府方針といたしまして、傾斜生産の重点産業に対して價格差補給金を出しているようなわけであります。鉄道はその重点産業としての價格差補給金を受けないという根拠によりまして、ただいま申しましたような鉄道の石炭代金を支拂つている。一に御質疑の重点はそこにあるということをお答え申します。
  55. 野坂參三

    ○野坂委員 つまり重点産業と申されましたが、この重点産業には海運、電氣銅、硫安というようなものもはいつているわけですか。
  56. 田中源三郎

    田中(源)政府委員 海運におきましては、運営会一部所属船舶の分に対する價格差補給金はございまするが、その他の点につきましては價格差補給金はないのでございます。
  57. 野坂參三

    ○野坂委員 いま少し運輸大臣にお聽きしたい。御承知のように國鉄は日本の産業の動脈であります。これは当然重点産業でなければならぬ。しかも一番今問題になつているこの國鉄を、ただ形式上重点産業より政府方針で除外されたというたけでなく、これをこういう不利な状態におき、しかも六十億近くの赤字を出している。これは許すべきでないと思う。どうして大企業、大資本家だけに恩典を與えて、國民の負担になる國鉄をこういうような状態に置かれるか。ここに政治的な問題があるのじやないかと思うのですが……。
  58. 北村徳太郎

    ○北村國務大臣 ただいまのようなお話になりますと、日本経済の構造全般にわたる、非常に重大なことになるわけでありまして、現在の日本経済再建の力点をどこに置いて、どこから手がかりを求めて、どこからいわゆる増産への重要な、最も根幹的なものを整備していくかという、非常に大きな問題になると思うのであります。從つてこれに必要にして、しかも最も緊要なものに政府が價格差の補給をするということは、これはやむを得ないことであつて、当然であると思うのでありすが、國鉄は國鉄自体が独立採算をせねばならぬようにせしめられている。これはある意味において至上命令であると思うのであります。從つて独立採算制をとるという建前から申しますと政府から特別なる價格差補給をもらうというようなことでなくて、通常の消費者價格で石炭を買い入れて、それで独立採算をとれということを、ある意味において命ぜられておるわけであります。このことの考え方については、それだけ價格差の補給を政府がすることによつて、安い石炭を使えば、赤字が減る。しかしながらその價格差補給そのことは結局國家の負担であり、從つて大衆の負担になるわけでありますから、この点はどちらから眺めても、國鉄の上に一つの赤字が出るということは——赤字が減少するけれども、他の面で赤字が出るということになりますから、財政的の面から同一のことになる。こういうふうに私は考えておるのであります。
  59. 野坂參三

    ○野坂委員 この問題に関して、小さいような問題ですけれども、今のと性格が同じようになつている。たとえば私が今言つておるように、石炭の値段の問題ですけれども、ここで民間の大企業と國鉄に区別があるというだけでなしに、多少古い統計で、二十一年の下半期ですけれども、たとえばカロリーについてみると、全國平均の石炭のカロリーは五千五百いくらカロリー、とことが國鉄の利用する石炭のカロリーは五千三百九十で、つまり二百九カロリーほど低いものを國鉄はいつも買つておられる。ここを見ても、私企業に対してやはり特別の恩典が與えられて、國鉄だけがいつも國民の負担になるような方針をとられている。こういうように私はとらざるを得ない。これは一貫した政策として現われておる。この点を私はお聽きしたい。これについて、もうおそらくお答えは前と同じようなものでしようから、これ以上私はお聽きしません。運輸大臣については、私はこれだけです。
  60. 稻村順三

    ○稻村委員長代理 それでは運輸大臣に対する簡單に質問だそうですから、ごく簡單に、海野君。
  61. 海野三朗

    ○海野委員 汽車賃の値上でありますが、日本の汽車賃とアメリカ、イギリス、ソビエツト、その國々における一キロ当りの運賃、それと日本の現在の高くせんとしておるところの値段、すなわち日本の円とドル、ドルはまだはつきりきまつていないようでありますが、いわゆるドルのやみの値段、一ドルが日本の何円にあたつておるか、それと換算をいたしまして、日本のこの料金がどれくらいの地位にあるか。それをお伺いしたいと思うのでございます。
  62. 北村徳太郎

    ○北村國務大臣 ただいまの海野博士のお尋ねにお答えしたいと思いますが、これは実は、騰貴率を指数に出してみるというような場合には、これは、たとえばアメリカの運賃の騰貴率がどうで、日本の騰貴率がそれに対してどうであるというようなことは割合に把握できると思いますけれども、國民生活内容、それから富の程度、鉄道整備の状態等々がございまして、非常に違つた條件におかれておりますので、これを絶対数で、一キロ当りが何セント、殊に米ドルをいくらに見るかというようなことも、御承知の通りただいまのところちよつと見当がつかぬのでありますが、これはある假定をもつて換算いたしますれば出るには出るのでございます。しかしそのことはむしろ指数として騰貴率を見るということほどに、意義がないのじやないかというふうにも考えるのでございます。但しこれは御質問でございますから、政府委員からお答えを申し上げることにいたしますが、特に問題は、米ドルをいくらに換算するか、この問題が少し面到でございまして、この点は、かりに少し前に、一應の公定でもないけれども、公定とされたものについて申し上げますので、これをやみのドル相場で換算すれば、どうなるかということは、ひとつ別途にお考え願いたいと思います。
  63. 加賀山之雄

    ○加賀山政府委員 お答えいたします。ただいま大臣からお答え申し上げましたように、非常にこれは仮定を入れた数字でございまして、特にソ連のものはごく最近のものがないので、たいへん恐縮でございますが、アメリカでは一九四八年今施行中と思われますものが、旅客、これは一人一キロ当りでありますが、これも米ドルと実際に合いますかどうですか、一ドル五十円として換算したものでございますが、旅客一人キロ当り六十三銭、貨物が一トンキロ当り三十七銭五厘になつております。それからソ連邦のものは、一九三七年で、少し古いのでございますが、これが旅客二十八銭三毛、貨物が十七銭七厘五毛、先ほど申しましたように、これは一ドルを五十円と換算いたしました数字であります。
  64. 海野三朗

    ○海野委員 こういう方面につきまして、政府当局におかれましては、專門の調査委員をお置きになつて、そうして世界各國の情勢日本経済情勢とにらみ合わせてよくお調べになつて、いわゆる科学的基礎の上にこの運賃をお定めになる、そういうふうにおやりになることが最も必要じやないか。今日日本のどの方面を見ましても、科学的根拠が非常に薄弱でありまして、一つ一つこまれるとふらふらになつていくような感が非常に多いのであります。どうかこの方面につきまして政府はもつと力を入れて、よく外國の情勢を調査して、日本の現状と比較してみるという方面に進んでもらいたいと思うのでありますが、御当局におかれましてはいかなるお考えをもつておられるのでありましようか。この方面の調査、そういうことにお力をもつとお入れになるお考えがあるかないか、それを私はお伺いしたいと思うのであります。
  65. 北村徳太郎

    ○北村國務大臣 まことに剴切な御意見でございまして、運輸事業のような非常に関係するところの廣い、また國民生活に重大な関係をもつ仕事でございますから、これは科学的の研究を怠つてはならないし、また各國の事情等については、できる限りデーターを集めまして研究をやつております。將來一層そういう研究をいたしたいと存じております。特に石炭のごときも、これは石炭の消費を効率的にするというような面において、石炭の研究と同時に燃焼率等の研究をいたしまして、そうしてこれが消費の科学化の向つては、相当研究の歩を進めております。多少効果をあげまして、七%くらいの節約を結果いたしておるのでありまして、これをもう少し研究することによりまして、かまと石炭との関係等も、ただいま調和的に研究しております。それでお話のようなことにつきましては、今後ますます——非常に國鉄の事業というものが特に破懷された、極端に申しますと半身不随のような状態にされた今の現状でありますので、これを再建いたさなければなりませんので、國鉄再建途上においては、特に科学的な研究、また科学精神の高揚、こういうふうなこと、それから、ややもすれば戰時中低下したと思われる技術の向上等につきましては、鋭意努力いたしまいて、海野委員のお言葉に副うように今後も十分努力いたしたいと考えております。
  66. 稻村順三

    ○稻村委員長代理 野坂君に御相談いたしますが、主税局長という御要求でしたけれども、主税局長がおりませんが、主計局長でよろしうございますか。
  67. 野坂參三

    ○野坂委員 私は大藏大臣にお伺いしたいのですが、それでは主計局長にちよつと代りに部分的な問題だけ伺いたいと思います。  その前に、運輸大臣がお帰りになる前に一言申し上げたい。今陳情として署名したものがこれだけ來たのです。それは何かと申しますと、運賃郵便料金値上反対というのです。これは何万人あるか何十万人あるか今数えておりませんけれども、これほど今反対があります。こういうことをよくお考えになつて、われわれが今この問題についてこういう眞劍な対議をやつておるし、結論からいえば、今の財源の発見についてわれわれは全然反対している。これをよく考慮していただきたい。  それでは私は主計局長にまず最初にお聽きしたいのは、〇・八の補給金の問題です。これはわれわれとしては、あわゆる赤字補填である、こういうように解釈をしております。これはたとえば十二月の中労委の決定があります。これはどういう決定かというと、從業員の生計上赤字を生じた事実を認めるものである云々。從業員がこれでは十分生計費を賄い得ないと考えられる、千八百円水準の基礎として政府が約束した配給計画は必ずしも正確に行われなかつた。つまりなぜこういう赤字が出たかと言えば、政府政策がよくなかつたから、つまり政府が約束したいろいろの物資の配給とかいうことをやらなかつたために赤字が出てきた。その赤字補填という臨時的な給與だと思います。そうしますと、これは一般の給與ともちろん性格が違うし、臨時的な一個の支拂いである。こう見ますと、これには税を課すべきではないではないか。と申します根拠は、たとへば昨年の追加予算の中に、皇室十一家が臣下になつた。普通の人民になつた。その結果五千何百万円という臨時の支給があつた。これに対しては政府は特に税を除外された。このときの参議院の予算委員会での記録でありますが、こう書いてあります。これは政府委員塚越虎男君の答えとして、「これは所得税法第六條の第五号にございますところの、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得ということでございます。」すなわちもう一度言えば、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得である。だからこの皇室降下のために支拂われたものには税金をかけなかつた。こういうことを言われております。そうしますと今言つたような〇・八箇月、この赤字の補填というものと大体において性格が同じではないか。そうすればなぜ皇室の金に対しては税を除外し、今度の労働者側の臨時の補給に対しては税をかけられるのかという点についてお伺いいたします。
  68. 福田赳夫

    ○福田政府委員 所得税法におきましては、所得税として俸給、給料その他賞與並びにこれに準ずるものに対しまして課税をいたすことになつておるのであります。ただいまの一時資金はそれに該当いたしますかどうかという問題でありますが、俸報、給料ではないかもしれないが、これに準ずるもの、すなわち賞與等に準ずるものという中にはいるのじやないかというふうに考えられるのでございます。すなわちただいま問題になつておる二・八、これは官吏の勤労に対する報酬であることは事実であります。さようなものは俸給、給與、賞與、その他これに準ずるものというふうに解釈いたしていきたいということで、すべて一時的なものであるにいたしましても、これは課税の対象といたすというふうにいたしておるのであります。
  69. 野坂參三

    ○野坂委員 しかし中労委の裁定の中にもはつきりと、これは政府の失政のもとに生じた特別の一時資金だ。こういうふうに書いてあります。そうすれば今言つたように、勤労所得の云々というのは、そのまま適用できないではないか。これは結局皇室に対するああいう免税的な性格をもつべきものである。これはむしろ政府に責任がある。こういうふうにわれわれは解釈すべきだと思う。と申しますのは、実際上から言つて、今勤労所得と申されましたが、労働者側の勤労に対する定らないものに対して税をかけて、皇室の降下というものには何ら勤労と関係がない。これに対しては税を免除するというところを見ても、政治的にも、道義的にも非常におかしいと思う。こういうことが一つ。もう一つは実際これから税を引かれて手取りは非常に少い。しかもこれと一緒になつて総合所得税なんかかかつてはますと、普通の労働者でも二千円、三千円、四千円になつてきておる。そうすると〇・八をもらつても何にもならない。かえつてもらつた方が損だということになつておる。こういう状態でありますから、その実際上の彼らの生活を考えるならば、これは税を拔くべきじやないか、これが私の考えなんです。
  70. 福田赳夫

    ○福田政府委員 官吏の給料は、御説の通り非常に窮屈な状況にありまして、少額の税金でもなかなかこれが納付には困難を生ずる状況であることはまつた同感であります。しかしながら一面國家財源等のために、非常に苦しい中からでも、いくばくでも割いて、その勤労の結果を、國家にこれを出すということは、また現下の情勢から一面要請せられておることじやないかと考えるのであります。ただいまお話がありましたが、皇族の関係はこれは純然たる営利関係もない、ほんとうの一時的の所得でありまして、過去の税制におきましては、何らこれに対して課税をするという根拠はないものであります。現在税法は改正されまして、さような一時の所得に対しましても課税はせられるということになつておりますが、当時の税制におきましては、さような課税をするということはできなかつた状況にあるのであります。官吏の給與は基本給があり、それにいろいろ複雜な手当等がついておる。またその上にさらに時期的に、ちよこちよこと分割されて出されておるというのであります。これはいかなる形をとりましても、ひとしく勤労に対する対價でありまして、これに対しまして税法は先般申し上げました通り、賞與その他これに準ずるものということをもつて、税を納むべきことを規定しておるのであります。私どもはさような解釈のもとに、この税を免除するということはできないものというように扱つておるわけであります。
  71. 野坂參三

    ○野坂委員 くどいようでありますけれども、もう一言言えば、この問題については先ほど申しましたように、これは決して賞與とか、あるいは手当とかいうような性格とは、全然違つておるものであります。中労委の裁定の中にも、政府が約束した配給計画が、必ずしも正確に行われなかつた。このためにこういうような結果になつたとあるが、これは勤労の結果に対する報酬では全然なく、政府の失策の結果として生れたものである。いわばこれは今主計局長の言われた性格のものとは全然違う。こういうようにわれわれは考えざるを得ない。しかも実際上にいつてなぜこの〇・八を給與するかと言えば、実際食えないからだ。だからこれをやつてもらう。食えないものをやりながら、しかもこれから税を引いていく。たとえば五億円が今度追加予算に載つておりますが、これでは結局補給するという意味がなくなるのではないか、ここに根本があると思うのです。こう申し上げてもおそらく主計局長は同じ回答をなさると思うから、これ以上申しません。  ただもう一つお聽きしたいのは、先ほど他の議員から質問があつて、全逓の方ではすでに先月末〇・八箇月の給與を大体もらつておる。こういう質問に対して主計局長が、そういう事実はないと申されましたが、しかし現実にそういう事実があります。もし必要ならば、おそらくこの議会の中にも全逓の人が來ておると思いますから、それにお聽きになればわかります。われわれの知つている範囲でも、先月の二十六日に、全逓の方の給與課長の高橋という人が、これを給與として支拂うべきだという命令を出したというようなニユースもはいつております。実際上二十六日前後に、全逓の職員たちはもらつているそうです。これは現実の事実らしいです。こういう事実があれば、今ここで拂わないとか拂うとかいうことは、問題にはならないじやないか。たとうば財源の問題にしましても、新しい財源を求めるために時日を要する、あるいは時日を要しても構わないと言つておる組合の人もあります。実際上お拂いになればこの問題は時日の問題ではなくなる。現実に全逓の人はもらつておるのに、なぜほかの職員、あるいは國鉄職員に拂われないか。これをお伺いしたいと思います。
  72. 福田赳夫

    ○福田政府委員 通信会計の職員に対しまして、〇・八の給與が支拂われたという話は、私も数日前に報道関係の方から聽いたのであります。政府部内の取扱いといたしましては、二十九日の議会にこの法案並びに予算案が出まして、議会の審議がどのくらいかかるかわかりませんが、かりに三十日にこれが議決になつたならば三十一日には出せるように、また三十一日に議決になれば一日というふうに、とにかく議会の議決があり次第拂えるようにという手配は全部いたしておつたのでありますが、議決がある以前に出すということにつきましては、実際さような措置はとつていないのであります。そこで、ただいま申し上げました通り報道関係の方から、逓信從業員が〇・八の支拂いを受けたという話を聽きましたから、ただちにこれを逓信省の責任当局に確かめたわけでありますが、責任当局の答えといたしましては絶対にさような事実はないということになつております。でありますから、野坂さんのおつしやるような支拂いがつたというようなことは、私はとうてい信ぜられないことでございます。
  73. 稻村順三

    ○稻村委員長代理 本会議の定足数の関係で暫時休憩いたします。     午後四時二十三分休憩