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1948-02-02 第2回国会 衆議院 予算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年二月二日(月曜日)     午後三時四十七分開議  出席委員    委員長 鈴木茂三郎君    理事 小島 徹三君 理事 鈴木彌五郎君    理事 庄司 一郎君       海野 三朗君    加藤シヅエ君       河合 義一君    黒田 寿男君       島田 晋作君    田中 松月君       中崎  敏君    中原 健次君       西村 榮一君    岡田 春夫君       押川 定秋君    工藤 鐵男君       古賀喜太郎君   長野重右ヱ門君       原 健三郎君    山崎 岩男君       青木 孝義君    淺利 三朗君       磯崎 貞序君    上林山榮吉君       西村 久之君    船田 享二君       野坂 參三君  出席國務大臣         大 藏 大 臣 栗栖 赳夫君         運 輸 大 臣 北村徳太郎君         逓 信 大 臣 三木 武夫君  出席政府委員         大藏事務官   福田 赳夫君         運輸政務次官  田中源三郎君         運輸事務官   伊能繁次郎君  委員外出席者         專門調査員   芹澤 彪衞君         專門調査員   小竹 豊治君     ————————————— 二月二日委員安平鹿一君辞任につき、その補欠と して岡田春夫君が議長の指名で委員に選任され た。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十二年度一般会計予算補正(第十三号)  昭和二十二年度特別会計予算補正(特第七号)     —————————————
  2. 小島徹三

    小島委員長代理 これより会議を開きます。  前会に引続き質疑を継続いたします。中原健次君。
  3. 中原健次

    中原委員 一昨日の最初の時間の大藏大臣の御答弁の中に、所得税免除すればそれはただちに日銀券増発になつてインフレーシヨンをその面から助長する。こういうお言葉があつたのであります。なるほど日銀券増発によつてそれを賄つていくとすれば、そういう見解も生れることと思います。が、どうも政府当局の物の考え方が、私には根つから納得がいかぬのでありまして、そのような場合にただちに問題をそこへ移していかなければ、ほかの途がないというよう見解をおもちになること、そういう見解ですべてのことを処理していくという行き方に対して、私はもう一度大藏大臣答弁をいただきたいと思うのでありますが、ほかにそれに該当する財源を見つけることが可能である場合には、当然大臣の御見解ような結果は生れてこないわけでありまして、何がゆえに他の財源を求めることに、御苦心を拂われないのであろうか。これを思えば、結局從來よく官僚独善という言葉をわれわれは聽かされてまいりました官僚独善というのはまさにこういうことなのではないか。自分の立てられた案が、常に絶対性であつて、その立てられた案以外には、もう適切なものはいないとう、そういう先入感の上に立つて、そういう独断の上に立つて、ものを取扱つていられるのではないか、こういう感じがいたすのであります。この所得税免除の問題に関しましても、いろいろ議論はあることと思いまするが、一昨日も詳しく申し上げましたように、今回の補給金性質官公廳職員の足らざる生活費を、不十分ながら補うていこうという意味において、中労委のその調停に應えるわけなのでありまする以上は、この補給金それ自身の性格から申しますると、いかに現行税法の命ずるところであるとはいえ、それをそのままただちに、公式的に取上げて、そこへ適用していくというやり方は、これは何としても親切でない。これを免除してもなおかつ支障のないはずの財源を、他に求むるための努力が、なぜ拂われないのであるか。このように私はしみじみ思うのでありまして、いま一度大藏大臣の、この点についての御見解を承りまして、さらに質問を続けたいと考えるものであります。
  4. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 お答えいたします。私は生れながらの野人でございまして、全然官僚ではありません。実は先般來申し上げましたように、今回の追加予算にいたしましても、その必要あるものから、どんどん收入支出とを取上げて、そうして均衡を得さして、追加予算の御審議をお願いするというようなことでは、この切り拔けはできなくなるのでございます。そこでこの今年度の追加予算として、なお百億をちよつと超えると思いますが、そういうものの收入支出とを、兩方とも見合わせまして、そうしてだんだん檢討をいたしておるわけであります。そこでこの收入の面において、たまたま今回もこの旅客運賃値上げとか、そういうものと、〇・八箇月分の支給金とを見合いましたけれども、これはきまつたものをとつたのではなくして、全体としてはこの追加予算の全豹をつかまえて、檢討を加えて、そうしてにらみ合いをいたしておる次第であります。そこで一昨日でありましたか、あのとき申し上げたのでございますけれども、私の言葉が足らなかつたかもしれませんが、そういう趣意でなしに、やはりこの〇・八箇月分を支拂をし、そうしてその税を免ずるというようなことをいたしますと、はね返りの收入として、收入の方の見合いがとれなくなる。そのほかにもなお一月から三月にわたつて給與引上げの点の財源であるとか、その他六・三制その他の点もすいぶんあるのでありまして、そこで今回それを全部見合いをとるわけでございます。一方を免除するというようなことは、なるほど官公吏諸君生活ということは、十分われわれも考えておるのでありますけれども、それを免除いたしますと、結局は赤字になるのでありまして、赤字になれば日銀券増発というところまで進んでいくと、こういう趣意を述べたのでございます。そこでただそれを止めれば、すぐ日銀券増発というところにいくという意味じやないのであります。あらゆる財源を集めまして、そうしてそれと兩方見合つてつておるという趣旨でございまして、先般も申しましたように、その点ではすでに足らないところも出てくるような次第で、これを工面しておるようなわけでありますから、免除すればすぐ日銀券支拂にまでいくというような、簡單な安易な考えをもつておるような次第ではないのであります。御了承を願います。
  5. 中原健次

    中原委員 大藏大蔵はいわゆる官僚育ちではない。もちろん私もわかつておりますが、やはりそういうた取扱いがなされるところに、官僚の從來もつてきた性格が、大蔵を通して私は現われておるというふうに解釈するのであります。かようなことは、今後あつてもらいたくないし、またあつてはならぬと思うのでありますけれども、その一つの証左として、これは今運輸大臣がおられませんが、必すし運輸大臣答弁を求めようとするものではありませんが、一昨日の新聞を見ると、もう國鉄旅客運賃値上げにきまつたという閣議決定として、新聞発表になつておる。なるほどそういう手続も一應法的には今の場合なし得るのかもしれませんけれども、運輸省の発表となつておりますが、これらも考え方では、やはり実際は國会考慮に入れておらない。國会がどういう取扱いをしようが、さようなことは法的に今の場合切り拔け得るから、どうでもいいというよう考えをもつていられるがために、このようなことが何のおくめんもなく、遠慮もなく、氣がねもなく、各新聞紙に発表せられたのであろうと私は考えるのであります。こういうものの取扱い方、このような心構えというものが、結局私のいわゆる官僚独善であるということになるのでありまして、本來國会國民総意を代表する機関として尊重しておるのであるならば、少くとも國会決定を待つてでなけらねば、軽々にかよう発表は差控えられるということこそが、國民を尊重し、かつ國会を尊重するということになると思うのであります。しかるにそのようなことに対して、何らの考慮もなきがごときふるまいが現われておるということが、何としても今後あらゆる行政の面に私はそういう癖が現われてくるのじやないかということを氣づかうものでありまして、ほんとう政府の当事者が、新憲法の命ずるところをみずから身につけておりますならば、私はこういう軽々取扱いはなされないものであると考えるのであります。これは一つ例のでありますが、こういうような実例がすでにある。でありますから、なるほど大藏大臣官僚畑に育つておいでにならないだけに、そうではなく、官僚臭をもつていられないであろうとは思いますけれども、やはりたまたま台閣の椅子にすわられると、そういうふうな性格が思わず知らず大臣を通して表現されてくるというふうに思うのであります。かようなことが、今後絶対にあつてはならぬ、少くとも國民を尊重し、國民総意ほんとうに重視して、その総意の命ずるところによつて行政を行うことになれば、私はおそらくかくのごとき態度は繰返されないであろうと信ずるのでありまして、こういう点については、今後まつたく新憲法の精神に合致するよう動き方をしていただきたいと考ゑるものであります。  さらにこの補給金性格は、申すまでもなく一時の臨時的な支出であると考えますが、その臨時的な支出をするために、なるほど他のものとのにらみ合わせにおいて、総合的に取上げたというふうに仰せになりますけれども、その中へ少くともこれに充当するための財源として、恆常性のあるものをもつてきたということは、何としても私は苦心が十分拂われていないことを裹書するものではないか、このよう考えるのであります。大臣はしばしばこの補正予算の編成にあたつては十分苦慮したというふうに説明になつておりますけれども、実際はそうじやなくて、まことにやさしい面にそのほこを振向けて、いわゆる大衆負担によつてこれを賄おうとする、そういう現れがここに出ておるのではないかと私は考えるのであります。そこでこの臨時的な措置に対して、恆常的な性格をもつ財源をもつて振向けていくというこの矛盾したいき方に対して、どういう御見解をおもちだろうか。この場合これも承つておきたいと考えるものであります。
  6. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 お答えいたします。ただしま中原委員の御指摘のように、この補正第十三号、特第七号とだけを見ますと、一時的の支出に対するに恆久的財源をもつてしたというよう考えられるとも思うのでありますが、先ほど來も申し上げましたように、実は追加予算を一括して出したい。百四億というものを兩方を見合わせて出したいと思つてつたのでありますが、これが財源の的確なる把握とかその他について、なお意見がまとまらなかつたり、その他の点において、その筋の間にきまらないので、さしあたりこういうものを見合わしたような次第でございます。そこで百四億というものについて、大体の財源を見ますと、できればあるいは貿易適格品所得、あるいは貿易の繰入資金を一部減少してもつてくる。そういうような一時的財源の百数億というものの間においてのにらみ合わせか、一時的のものは一時的のもので賄うというにらみ合わせがつきません。なおまた一月から以降の給與引上げ、これは恆久的のものでございまして、そういうようなものと、また恆久的なものを見合わせるということもできるわけでございますが、何分にも〇・八の支拂いを急ぎますし、それからそのほかに一時的の財源については、極力早急にきめるということでいたしたのであります。数重は大体確定しておりますが、品質その他についても、なお檢討が足らぬものがある。その他の点で非常に遅れておりますので、こういうようなとりあえずその一部として差出したような次第でございます。そこで追加予算の百数億の全体としては、恆久的財源は恆久費をもつて臨時的財源は臨時的の財源をもつて、こういうような大体見方をいたしまして、これを立てたような次第でございます。
  7. 中原健次

    中原委員 ここにまたもう一つ現在の政府のいろいろな取上げ方の上に、私は了解のできぬ点があるのであります。さつき申しましたいわゆる所得税免除のことについても、他のいろいろな振合いでこれはとうていできないというふうにおつしやつておられますが、私どもから考えますと、実に簡單なことが言えるのであります。年來私ども社会党といたしまして、軍事公債利拂いを停止せよという主張をいたしてまいりました。これについての反対論は、いろいろ理屈はついておるようでありますが、実際はその理窟は理屈のための理屈考えますから、その論は別といたしまして、もし万一政府にそういう財源難に対するほんとうの苦慮があり、また勤労大衆のきよう生活の痛苦の状態に対して理解があり、また大藏大臣も繰返し言われましたが、勤労階級の苦しい生活はよくわかつておるということが、もしほんとうに心の底から出ておるといたしますれば、この場合軍事公債利拂いをのうのうとして、依然繰返し続けておるというよういき方を、なぜお感じにならないのであろうか。もしそのことを英断をもつて実行するならば、この補給金のためにはね返つてくる税收入のごときは、それをもつてすでにカバーして余りがある。五億なにがしの税に対して年三十六億なにがし公債利拂いをやめるという英断がなされたならば、残り数箇月の間に支拂うであろうところの利子総額をもつて、これをきれいに賄うてなお余りがあるというふうに私どもは解釈しておるのでありますが、こういうような問題に対して一体どんな御見解をもつておいでになるのであろうか。ただ國のいわゆる信用云々というよう意味において、軍事公債利拂いはどのような場合にもこれをやめないという態度を、なぜ固執されなければならぬのであろうかという疑問を、私はここに寄せるのでありまして、この点についての御所見も承つておきたいと思うのであります。
  8. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 軍事公債利子打切りのことにつきましては、すでに政府として、また大藏大臣として、意見を本会議で申し上げたのであります。今回の追加予算に関連する面において申し上げますと、年額三十五、六億でありますが、これを本年度に割振り、かつまた利拂い期がございますから、利拂い期等に割振りますと、その金額は相当少くなるのであります。なおその反面におきまして、これは金融機関再建整備に関連するのでありますが、すでに本会議でも申し上げましたように、再建整備最初のときにこれが取上げられるということならば別でありますが、これに見合いますところの新勘定封鎖預金その他が、すでに戰時中のもので、一定金額が新勘定に振替えられたものが、大部分において支拂い盡され、戰後預金というものが、新たに封鎖預金としてできたものと見合つておるような点もありますし、さらに利拂停止をしますと、有價証券としての保有國債に値下りが相当あるわけであります。このものについていかに処理するかというような、根本問題も出てくるのでありまして、そういう点で、この際これをただちに取上げるというようことは困難であるということは、すでに本会議で申し上げたのであります。財源としても別途で支出その他を出さなければならぬというような点を見合いますと、財源としてこの際取上げることが十分でない。かよう考えますので、取上げないような次第であります。
  9. 中原健次

    中原委員 どうも御答弁の全体を考えてまみすると、やつぱり勤労階級に対する理解という点では、依然として稀薄にしか考えられません。いわゆる株價その他の値上がりというようなこを、非常に御心配のようでありますが、そんなことどころではなくて、勤労階級のきよう生活というものは、もうゆとりも何も実はないのであります。じりじり死期についてしまつているわけでありまして、何としてもここに水を注がなければならぬ絶体絶命の破目に追いやられているわけであります。そのことをほんとう理解されますれば、一方のそういう余裕のある面に対する考慮に倍して、勤労階級の立場に考慮を注がれなければならぬのではないかと、このよう考えるのであります。政府行き方を見ますると、どうも万事が勤労階級抵抗力が弱いということに乘じて、その抵抗力の弱い面に向つて打撃をぐんぐん推し進めていくというふうにしか受取れないのであります。これを一昨日の三木逓相答弁にも関連して考えてみますと、三木逓相は、郵便料金値上げもちろんそれに絡んで旅客運賃値上げも関連すると思いますが、そういう政府公企業料金値上げという事柄は、今日の改訂物價のわく内である。であるから、別にそれは問題ではない。むしろまだ低きに失すると言わんばかりの答弁であつたのであります。なるほど算術的に申しますると、そういうことが言えると思います。たしかに六十五倍には手が届いていない。しかしながら、その鉄道あるいは郵便のそれぞれの料金の値上りという事柄が、ただ單にそういう数字的な問題だげをもつて説明され得るかどうか。少くとも私は國営事業がこの際一役買わなければならぬ事柄があると考えるのであります。國営事業の一役買うベき筋合は何かと申しますると、インフレーションのせめてもの阻止策として、インフレーションをわずかでも食い止めようとするための懸命の努力が、政府公企業によつて拂われなければならぬのではないか、こういうふうに考えるものでありまして、いやしくも國が経営いたしまするそれらの企業は、力の限りにおいて、その許される最大限度において、いわゆる物價高のために刺戟を避け、助長されようとするインフレーションの少しでも歯止めの役割を演ぜしめる、こういう考慮が十分拂われなけれぱならぬのではないか、かよう考えるものであります。そのよう見解から考えますると、三木逓信大臣の先日の御答弁ような、ああいつた態度をもつてこの問題を一蹴し去るというがごときは、まことに思わざるのはなはだしきものがあるのではないか、かよう考えるものでありまして、政府公企業の、從つてつておりまする現在のインフレーションに対するわずかではあろうともその阻止役割について、どういう御見解をもつておいでになるか、この場合逓相並びに大藏大臣の御清見を承つておきたいと思うのであります。
  10. 小島徹三

    小島委員長代理 中原君、逓信大臣は來ておりませんが。
  11. 中原健次

    中原委員 運輸大臣でも結構であります。同一性質のものであるから……
  12. 北村徳太郎

    北村國務大臣 國営の事情がインフレ阻止役割をすべきであるという中原委員の御意見は、これは私は大体ごもつともであると思うのであります。しかしながら、考えようでありますが、インフレ実体が何であるかということも考えてみなければならぬ。それでインフレーション阻止と申しましても、実体把握の仕方が違うと、阻止方法も違つてまいるはずである。こういうふうに考えるのであります。現在の段階においては、私は一種の物のはなはだしい欠乏から來ておるという点が、インフレーションの主因であるというふうに考えるのであります。從つてまず何よりも生産増強しなけれぱならぬ生産増強の方途でインフレーション阻止の方向へ向けていかなけれぱならぬ。こういう観点から、生産と一連の不可分の関係にある輸送力増強するということが、これがインフレーション阻止する積極的の一つの面である。かよう観点に立ちまして、國鉄の荒廃した状態、半身不随のようになつておる今の状況を、一日も早く再建しなければならぬ。また同時に石炭を中心とする主要生産増強されても、これを十分に輸送し得るような態勢を整えなければならぬ。そのこと自体が積極的にインフレ阻止の大きな役割である。こういうふうに考えておるのであります。かよう考え方から、どうかして國鉄輸送力増強しなければならぬ。そのこと自体がまた結果として収入の増加となつて、かよなことから赤字を軽減するというよう方法を講ずることが、これがまたインフレ阻止する。赤字が殖えるということは、インフレへの惡い影響でありますから、この面から赤字阻止するということにもなり、こういう観点から努力しておる次第であります。
  13. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 中原委員のお尋ねに対して、私からもお答えいたしたいと思います。実はこの前の追加予算をお願いいたすときにも申し上げたのでありますが、國鉄損益勘定において相当の赤字をもつておるということは、結局この赤字月々日本銀行からの借入によりまして賄つてつたのでありまして、それだけ通貨の増発を誘致しておつたのであります。そこで國鉄独立採算制ということによつて、これを賄つてつてもらわなければならぬわけでありますが、独立採算制は、各方面からの討究と檢討とによりまして、そして年次を逐うて計画的にやつていただくということになつてつたのであります。本年度の追加予算といたしましては、その赤字をすぐ独立採算制の実行によつて補い得るということは、これは望み得ないことであるのでありまして、そこでとりあえず五十億という一般収入から、異例でありますが繰入れをいたしまして、赤字をやめてもらいまして、経費その他の節減によつて、その範囲で賄つてもらつて、そうしてインフレーションを激成することを抑止してもらう。こういう方法をとつたのであります。その後にも二・八月分の拂いにつきましても、一般会計からこれを入れたような次第であります。一般会計にも、これは昨日も申し上げましたように、大衆の一般収入からの財源を充てておる次第であります。そういう点で、一部は利用者に負担してもらうということで、今回もつまり赤字を出すことを防いで、さらにそれが日銀資金借入というような形になるのを極力防ぐ、そういう趣意で、この特別会計が、殊に官業が赤字誘発のもととなるのを極力防ぐ、こういうようにいろいろ苦心をしてやつておる次第であります。
  14. 中原健次

    中原委員 兩大臣の御答弁から感ずるものは、だから財政健全性を堅持するという意味である。こういうふうに受けとれるのでありまするが、もちろん財政健全性ということについては、私も異存はありません。しかしながら、財政健全性を堅持するために、どの面に重圧を加えるかということが問題になつてまいるわけであります。いわゆる政府健全財政主義というものが、結局弱小者重圧を加えながら、言葉をかえると、勤労階級生活を抑圧しながら、あるいは勤労階級生活費を極力削減しながら、勤労階級の犠牲において、國家財政健全性を維持していく、こういう行き方になると私は思うのであります。われわれの考え方から申しますると、少くとも戰爭以來、わが日本國民の中に、戰爭遂行によつて利益を収得し、膨張し引続いてまた敗戰後のどさくさを通して利潤を厖大に独占した、すなわち戰爭がむしろおのれの財力を増強するために役立ち、敗戰がまたそれに役立つた階級が、嚴然としてあるわけであります。しかるにその面に対しての集中攻撃は根つからなされないのであつて、ややもすれば抵抗力の弱い勤労階層の方にそれが向けられ、しかもその行き方健全財政である、こういう解釈になつてまいるよう考えられるのであります。かくのごとき行き方をもつていたしますると、わが日本の將來が一体どうなるかということでありまするが、そのような方針を堅持しながらわが日本経済再建をはかつていくということになつてまいると、勤労階級はいよいよもつて身の置き所のない、ちようど徳川幕府暴政下における土民の境涯に、日本の全勤労階級が落ちこんでいく。從つて日本民主化どころか、かえつて日本國民奴隷化がおのずからそこに生れてくる、私はこういうよう考えられてならぬのであります。もう少し健全財政主義の本質の置き場をかえたらどうか。角度が違うだけに、どうしても具体的に現われてまいる面はただいま申したことになりがちであり、しかもしばしばそうである。かようなことではとうてい健全なるわが日本民主化は期待できませんし、健全なる日本民主化が期待できないならば、どうしてかよく経済再建がなし得られましようや。また運輸大臣の御説明ようインフレーシヨン克服の重要なる点は、生産増強である。生産増強なくしてインフレーシヨン克服はなし得ないこういうふうに言われるのであります。もちろん一面生産増強ということいついて私どももこれに反対するものではありません。しかしながら、生産増強ということの見方のために、一方において勤労階級生産増強の方策の重圧のもとに、非常な生産窮乏を余儀なくされていくということに相なつてまいるわけであります。殊に鉄道料金値上げに関連しましては、もはやこの声が表面になりましたために、やみの物價が値上りをいたしておるのであります。これは物價の敏感性でありまして、ものの價格はちよつとしたそういう作用が大きな働きをなしまして、思わざる間にどんどん実体は物價の値上りになつてくる。輸送力の急速なる回復を要するがゆえにという御説明でありまするけれども、そういうような面を通して、もしかりにそれが輸送力の回復に役立つといたしましても、これはまつたく本末が轉倒してくる。ねらいはやはり日本國民生活力の回復をねらつて、すベての問題が論議され取扱われておるはずであります。そのことを考慮に入れなくて、一方的にだけものを考えていたのでは、主目的を失うに至ると私は考えます。從つてインフレーシヨン克服等にいたしましても、これはあくまで國民生活実体に対する考慮が十分拂われながら、そのことを進めていかなければ意義をなさない。このよう考えるのであります。なお輸送力増強回復ということについて鉄道会計のあるいは郵便会計の独立採算制の確立、そうしてさきになしたような變則的な一般会計からの繰入れというようなことをなす必要のない状態をもしここにたちどころに実行に移すといたしましても、一昨日も申しましたように、たとえばそれを鉄道について考えましても、まだまだ鉄道の経理内容に対する十分の努力が拂われていない。十分の努力が拂われてないままで、ただ一面だけを押えていくといういき方が、はたして適当であろうか。まず他を言う前に、みずからを省みる必要があるのではないか。そうであれば、一昨日も指摘いたしたように、從來そうであつたからというので、その習慣をそのまま繰返していいのであるかどうか。すなわち弘済会のことにいたしましても、交通公社の経営の問題に対しましても、それをもはや手のつけられないものであるかのよう考え方が、はたして適当であるかどうか。國家のこういう大きい危機に直面したこの際、まずもつて独立採算制を必要とするとき、その独立採算制の基礎を強化してまいりますためには、まずもつとみずからを省み、整理すべきは整理する。しかもその二つの機関國鉄が直接にそれを経営して別に理論的に間違いじやない。何らの矛盾はない。しかるにそれを依然として財團法人の手に委ねて、一つの財閥をあそこに形成せしめて、これを見送つておるというよう事柄がはたして適当であるかどうか。私はそういう努力が十分拂われた後に、なおかつほかに方策がなくて運賃の値上げに手をつけなければならぬというのであれば、これはまた別でありまして、もとより私どもも一般物價とのにらみ合わせにおいて、旅客運賃あるいはその他の料金の改訂をするということに、絶対に反対をするというのではない。そういう改訂も、それらの努力が拂われ、その他の物價との十分の檢討の末適当なる措置が講ぜられて、それが結果として幾分の値上げになるという場合ならば、これはまた別でありますが、どうもそういうよう努力が拂われないで、なおざりにされているように私は思えてならぬのであります。省みて自らを檢討することなくして、外に向つてのみそのほこを向けるということは、何としても了解のできがたいところでありまして、そういう行き方を今後なおかつ無批判のままに、無反省のままにお続けになるおつもりであるかどうか、これについてもう一應御決心を伺つておきたいと思います。
  15. 北村徳太郎

    北村國務大臣 中原委員インフレーシヨンについての考え方を拜聽いたしたのでありますが、多少私と考えが違つております。このことについては、あまり多くを申上げぬ方がよいと思います。ただいま國鉄自身がもつと反省したらどうかというようなお話でございました。それは弘済会と鉄道交通公社の問題であつたようであります。これは申し上げるまでもなく、いずれも公益法人でありまして、私益を目的とするものではないのであります。法に基いて公益法人として設立されておるものでございまして、これが直接の監督の任に当ります運輸省においては、監督上万遺憾なきを期しておるのであります。現に交通公社が利益をあげているというような現状には相なつておらないのであります。それからもう一つは、これは戰争はるか前から、國際的に世界のツーリスト・ビユーローとして共通のものとして設立されたもしでございまして、戰時のために戰争中名前がちよつと変りましたけれども、今後日本がやはり國際的な一員として加わります場合に、われわれは外客の招致というようなことを通して、外貨の獲得にも努力しなければなりませんので、この交通公社の世界的といいますか、國際的な性格に鑑みまして、この面はいま少しく力を入れてまいりたいというよう考えておるのであります。  それから弘済会のことでございますが、これは先般政府委員から申し上げたと思うのでありますけれど、鉄道に從事している氣の毒な犠牲者、片足を失つたとか、片手を失つたとかいうような人、あるいは遂に不幸にも公務で死んだ人、そういう人たちの遺族、そういう人たちのために考えられたのが弘済会でございまして、多数の氣の毒な人を包容して、これによつて現在の日本の社会保險的な不完全を、いくらかでも補つておる、こういう面の仕事をいたしておるのでありまして、これが國鉄の利益に寄與貢敵するということになればなお結構でありますけれども、今のところそれほどのものでもございませんし、目下公益的な、さような一種の鉄道從業員中の犠牲者、あるいは永年忠実に勤めあげた人で相当老境に達した人たちが、その仕事の一部を担当して生活されるというような、きわめて氣の毒な人に対する、いわば親心のような施設でございまして、これをもつて鉄道の収入に寄與したらどうか、直営でやつたらどうかというお話でありますけれでも、直営にいたしまして駅で鉄道の官吏がおもちやを賣つたり、せんべいを賣つたりすることはどうかと思います。はたしてそういうことによつて経費が節約できるかどうかということになりますと、これは問題でございまして、私どもは今のよう行き方もちろんこれは無反省でよろしいというのではありません。相当に注意すべき点は注意いたしますし、改善すべき点は改善いたしますけれども、まず今の形態を継続するということが妥当である、こういうふうに信じておりますけれども、先般そのことを申上げたかと思うのでありますが、その点はひとつように御了承願いたいと思うのであります。
  16. 中原健次

    中原委員 國鉄の経理に関してのいろいろな反省といいますか、自己批判といいますか、そういうものはもちろん当然起つてくることでございますし、弘済会にいたしましても、大臣説明では、一應非常にりつぱな救済機関ように聞えますけれども、実情ははたしてそうであろうか。実情必ずしもそうでない面も見受けられるのでありまして、やはりそこに一つの勢力が形成されて、一般の下級從業員諸君がその利益の均霑を受けているかどうか。それらの点についても、このままでよろしいというわけにはいかないと、私は考えるのであります。もとより私ども國鉄の從業員諸君の老後、あるいはそういう疾病負傷等により再起不能な状態に陥つた諸君に対する救済ということについては、当局よりもつと積極的に心配をしているものでありますが、これらに対します方法についても、はたして今の弘済会が現在のままでその要請にこたえているかどうか。これは必ずしも大臣の確信に満ちた答弁にもかかわらず、実際はそれにこたえがたい実情が見受けられないではないと思います。いずれにいたしましても、無反省にてよいというのではないということでありますから、おそらく相当御反省になられることと期待いたしまして、そのことはしばらく打切りますが、何はともあれ、すべての再建方式は言うまでもなく弱小者の犠牲においてこれがなされるというようなことがあつたのでは、まつたくその目的を喪失するのでありまして、今後はどこまでもこの点について十分の考慮を拂つてもらいたい。私どもはこの点について今後とも一層の協力をおしまないつもりでおりますけれども、当局のものの考え方のいかんによりましては、結局再建方式が反対の方向へゆがめられていくということになつてまいることをそれるのであります。  さらにこれは安定本部の方の御答弁をいただきたいのでございますが、先に追加補正予算の場合に御発表になられました價格差益金のことでありますが、この價格差益金の今日の徴収状況と申しますか、ただいままでの成績状況等についてできるだけ詳細な御発表が願いたいと思うのであります。
  17. 福田赳夫

    ○福田政府委員 先般の補正予算におきまして、價格差納付金六十億円というものを財源として計上いたしてあるのであります。これは本年度におきまして徴収し得る見込額を計上いたしたのでありまして、その後この徴収につきましては、安定本部におきまして鋭意努力いたしているのであります。その実績を見ますると、しかしながらなかなか樂観は許さないのでありまして、十二月までにおきまする徴収済額といたしましては、六十億円のうち約十一億円というものが徴収済額になつている、かような状況になつております。一月以降におきまして、その残額五十億円というものを、極力予算通り徴収いたしたいということで、ただいま努力いたしているところであります。
  18. 中原健次

    中原委員 この價南差益金の見込みでありますが、この未済の部分の徴収済みになるためには、相当努力を拂つておいでになると考えますけれども、あの当時もう一つありましたが、これを從來のままにつまりその当初の方針のままにするのではなくして、徴収担当者を財務関係の方に轉換するというよう行き方をお考えになられたかどうか、この点について一應承つておきたいと考えます。
  19. 福田赳夫

    ○福田政府委員 價格差補給金は、從來安定本部で扱つてつたのでありますが、これを多額に予算財源といたしまして企図いたした際におきまして、從來り安定本部がいたしまするか、あるいは別途の処置を講じまするかということにつきましては、先般の議会におきましても、いろいろ御議論もありまして、政府といたしましても、研究いたしたのであります。しかしてこれを安定本部から離しまして、たれにやせらるかという問題になりますと、これは税務署がやるのが適当だということになつてくるのであります。そこで税務署にやらせるかどうかということにつきましても、檢討いたしたのでありますが、一面税務署における事務の能力の減退というものが、ただいまのところでは飽和点にきておるのでありまして、現在の能力をもつていたしましては、税自体がなかなか思うようにとれぬというようなところになつているのでありまして、さしあたりといたしましては、安定本部の方、すなわちその下部機構であるところの物價廳が、これの徴収に当るという現在の体制の下に全力を盡すというほかはないという結論のもとに、かような措置をとつておるのであります。しかし今後におきまして、これをどうするかということは、相当重大な問題でありますので、税務署におきまするところの税の徴収の状況等とにらみ合わせまして、さようなことは、なお再檢討の余地ありとかように存じておるのであります。
  20. 中原健次

    中原委員 このたびのこの補給金財源のことでありまするが、いろいろ財源について議論も取沙汰されておるわけであります。政府におかれても、いろいろ財源を御檢討になられたと考えまするが、政府が今檢討された財源以外に、なおいろいろ財源が発見されていると考えるのであります。つきましては、さいわいここにかわり財源が発見されてまいり、しかもその発見された代り財源が妥当であるなならば、政府はこの予算に対して、重大な決意をなさるお覚悟があるかどうか、しやにむに押し通していくというようなお考えもちろんあろうとは考えませんけれども、それに対しての御見解を、この場合承りたいと存じます。
  21. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 お答えいたします。他に財源があつた場合にどうするかという問題であります。その檢討あるいはその筋との交渉その他に、相当の時間を要するというようなことも予想されるのであります。そういうような場合におきましては、今回の〇・八というものは、何とかしてこれは速やかに拂わなければいかぬ関係もございますので、委員各位の十分なる御了解を得るように努めて、そうして何とか速やかに御審議をお願いしたいと、かよう思つておる次第でございます。財源等の内容によつてこれは檢討される問題でありますが、非常に急ぐ関係もございまして、たとえばこのメリヤスの問題にしましても、いろいろ期日その他について昨日檢討の結果、御報告を伺うというと、價格などで思うようにも収入が上らぬ、こういうようなことにも相なるのでございまして、そういう点なども、抽象的にいろいろ申せば簡單でございますが、こまかく檢討し、そうしてその筋とも交渉を続けたいと思うのでありまして、相当の時間がかかろうと思うのでございます。そういう点も考えますと〇・八というもものは、追加予算が歳入と歳出で百億を超えますが、その檢討が十分できて、一緒に出せばこれは問題はないと思うのであります。〇・八は急ぎますが、他の檢討が進まない。こういうような関係で一部を取出したために、いろいろ御疑念を生じたことと思うのであります。財源を取替えるということの檢討が進めば別でありますが、なかなかそういかないうちに〇・八の支拂を非常に急ぐというようなことに相なりますので、そういう点も併せ考えて、御善処をお願いするという考えで、かようにいたしている次第であります。
  22. 中原健次

    中原委員 政府ほんとうの腹は、國会の承認を得るというのは單なる手続上の問題であつて、実際は承認を得るも得ないもない、これを押切るよりほかに途はない、こういうように私には受取れるのであります。そうしますと、國会というものが一体どういう機能をもたせられたらいいのかという問題が起つてくるのであります。かりそめにも國民総意を代表する機関であるならば、國会決定に基いて政府は行使すベきではないか、何事を行うにしても、國会総意にまずよるということが原則であつて、またそれが実際であつて、單に形式的に國会の議を経るというのであれば國会の必要がない。こういう極論をさえ、私は申さなければならぬようになつてまいるのであります。そういうよう行き方をなすのでは、先からも繰返して言うように、どうもなおかつ依然として戰時並びに、それ以前のわが日本政府行き方と別に変つておらない。何がゆえに國会に対してこのことをお諮りになるのか理解できないのでありますが、何はともあれ、政府は了解してもらいたいというようなことでは、結局國会の特異性というものは、もはやそこに寸毫も認められないというよう感じがいたすのであります。殊にこの取扱いというものは、何としても國民の了承し得ないところであると、私は信じておりますが、さらに時期の問題についても、繰返して申しまするようでありますけれども、なぜ政府は初めからわかつておつたこの問題を、この差迫つた時間までいたずらに遷延せしめたか、もちろんいろいろ折衝等の関係もあり、複雜なこともあつたので、簡單にいかないという御説明もあつたのであるが、はたしてほんとうにそうであるか、政府ほんとうに熱意をもつておいでになれば、この補正予算のごときは、もうたちどころに立案されておつたはずでありまするし、從つてまた國会に上程する手続にしましても、いよいよ数日に迫つたときにこれを出すというふうなことでなしにやれたであろうと考えるのであります。そのことについて、今穿鑿しようとは思いません。かりに穿鑿をしましても意味をなさぬのでありますが、いずれにしても時間が迫つているから仕方がないという行き方は、結局問題を政府の思うままに折切るための一つの方策としか考えられないのであります。かようなことをかれこれ考えてみますと、政府がどこまでほんとう國会に対する認識をもつておいでになるのか。このことが疑われてまいるのであります。われわれは第一回國会の終了するときに、あるいは第二國会の召集されました第二日目に、もう今日のこの〇・八箇月分の追加予算が上程されなければならぬことを承知しており、政府もまたそのことを承知して用意しておつたはずでありましたし、このいう問題について、いまさら時間が少いからというのは、私は誠意のほどを遺憾ながら疑わなければならぬのであります。殊に財源の問題が、繰返し申し述ベまするように、どうも適当でない。考えようでは、これはやがてしやにむに引上げようとするこれらの運賃、郵便料金等のために、國民が持ち上げるところの非難を、官公廳の從業員諸君にこれを肩替りする。こういうずるい行き方になつておるとしか考えられません。このことについて、私は政府の誠意がどこにあるかについて、遺憾ながら疑いを抹殺するわけにいかぬのでありますが、何といたしましても、財源の問題につきましては、これはほかにいくらも出てくるはずでありまして、政府がこれほど今日財源の問題について苦労しなければならぬとするならば、この財源の捻出について、まず國会に協力を求める。すなわち國会の意思を問うて財源のことを決定していくというよう行き方が、その初めになさるベきものでないかと、私はかよう考えるものでありますが、当局のただいまの答弁によれば、ただ單にこれは形式的に会議にかけたのであつて、実際はいやが應でもこれをやり切る、こういうことになつてまいると思うのであります。さきにも指摘いたしましたように、鉄道運賃の値上げにつきましても、すでに運輸省の発表として、何の遠慮もなく各新聞紙上にこのことを報道している。こういうことから考えましても、さすがに今日の政府考えておりまする考え方の眞相が、そこに露呈されておると私は思います。かようなかれこれした事柄に対しまして、もう一應最後的な大藏大臣の御答弁を求めたいと思うのであります。
  23. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 お答えいたします。先ほど私が申し上げた趣意は、そういう形式的に國会に御承認を願うという意味ではないのでございます。私はさように申し上げなかつたつもりであります。あるいは言葉が足らなかつたかと思うのでありますが、元來私は信用を主とする仕事に一生を捧げてまいつたものでありまして、まつたくの民間人でございますけれども、信用ということを十分考えておるのでございます。政府としましても、十分責任をもつてこれを國会に御提出をし、國会に十分なる御檢計を願い、國会の御審議を願い、御決定に從う。こういう趣意でございます。その辺は政府の責任をもつてというところで御提出申し上げたような次第でございます。私の心情としては、かよりに申し上げる次第であります。今後におきましては、その予算編成において、実はいい財源その他はすでに取上げられて、本予算等に組みこまれておる。実にこの追加予算は、あとの残つたものを掻き集めるというような、まことにインフレーシヨン下における追加予算の編成という困難なる仕事のもとに進んでおるのであります。本予算、その他の來年度の問題につきましては、すでに本会議でも御答弁申し上げたのであります。相当の財源と歳出の予定を見込みまして、その予定のもとにこの財源と歳出とを見合わしていく、こういうような点を考えて進みたいと思つて今編成中でございます。そういう面につきまして、また当委員会におきましても、十分なる御説明を申し上げ、当委員会の御協力を得てぜひこの均衡を得た予算、來年度はもつと充実したものをつくりたい、かように心がけておる次第でごでいます。
  24. 中原健次

    中原委員 最後にもう一つお尋ねいたしますが、新しい財源のことであります。由來今日の財界といいますか、経済界の事情がいろいろインフレーシヨンに影響されまして、非常な厖大ぶりを示しております。それにつきまして、今國が一つ間違えば國民生活はただちに破綻に導き入れられるであろうような、國民の日常生活に切離すことのできない消費面に課税をし、あるいは追究を試みようとしておる矢先に、私どもはここに別の方面に一つの大きな財源をみるのであります。それはほかではございませんが、さきに二十二年の暦年度末に、東京の手形交換所の発表によりますと、いわゆる小切手の発行交換高、こういうようなものが、相当厖大な数字になつております。もちろんこれは全國的に見ると驚くベき数字になるかのよう考えられるのでありまするが、そのような高額の小切手の発行に対しまして、何らか適当なる課税措置を講ずるようなことをお考えになられたことがあるかどうか、いわゆる約束手形等でみましても、すでに印紙税は拂われておるのでありますが、かような方面の財源についてどういう御見解をもつのであるか、この場合一應承つておきたいと考えております。
  25. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 小切手に対する何かの形式の課税についてどういう見解をもつておるか、こういうお尋ねであります。これはなお十分研究してみなければわからないところでありますが、しかし私ども考え、あるいは思つておりますところを一應申し上げますと、以下のようなところであります。これは小切手に非常に大きな税を課しますことになりますと、金利負拒の過重ということにも相なるのでございます。それと同時に、なお小切手によらないで、現金取引とかその他の取引をも誘致することにも相なると思うのであります。そうなりますと、せつかくどもの方では、ただいま現金による授受ということが非常に頻繁に行われて、これがやみの取引を助長いたしておるというようなことを考える。日本銀行の兌換券の発行高の増額はこういう点にもあると思われますので、実はこの小切手によつて日本銀行券以外の決済手段をなるベく奬励して、そうしてこの兌換券が日本銀行から発行されて日本銀行に還える間の正常なるルートによる環流ということを回復したい、こう考えておる次第であります。さような点につきまして、思い課税がどういうような支障をきたすかという点をも、なおいろいろ考究せなければならぬ点があると思いますので、ここでただちにこうだということは申し上げかねるような次第であると思つております。
  26. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 それではお諮りいたしますが、今日は質疑はあとまだ工藤鐵男君、野坂參三君、庄司一郎君、磯崎貞序君、海野三朗君とございますが、今日はこの程度で散会いたしまして、明日正確に午前十時から開会して質問を続けることにしてはいかがでしようか。
  27. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 それではそういうことにしまして、今日は散会したします。     午後五時二分散会