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1948-01-31 第2回国会 衆議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年一月三十一日(土曜日)     午前十一時四十一分開議  出席委員    委員長 鈴木茂三郎君    理事 稻村 順三君 理事 川島 金次君    理事 小島 徹三君 理事 庄司 一郎君    理事 川野 芳滿君       河合 義一君    黒田 寿男君       島田 晋作君    竹谷源太郎君       田中 松月君    中崎  敏君       中原 健次君    西村 榮一君       安平 鹿一君    山花 秀雄君       川崎 秀二君    工藤 鐵男君       五坪 茂雄君   長野重右ヱ門君       青木 孝義君    淺利 三朗君       植原悦二郎君    上林榮吉君       西村 久之君    船田 享二君       中村 寅太君    野坂 參三君  出席國務大臣         大 藏 大 臣 栗栖 赳夫君         運 輸 大 臣 北村徳太郎君         逓 信 大 臣 三木 武夫君  出席政府委員         大藏政務次官  小坂善太郎君         大藏事務官   福田 赳夫君         大藏事務官   河野 一之君         貿易廳長官   永井幸太郎君         運輸政務次官   田中源三郎君         運輸事務官   田中不破三君         運輸事務官   牛島 辰彌君         運輸事務官   加賀山之雄君  委員外出席者         專門調査員   芹澤 彪衞君         專門調査員   小竹 豊治君 一月八日委員小峯柳多君が退職した。     —————————————— 一月二十九日  昭和二十二年度一般会計予算補正(第十三号)  昭和二十二年度特別会計予算補正(特第七号) の審査を本委員会に付託された。     —————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十二年度一般会計予算補正(第十三号)  昭和二十二年度特別会計予算補正(特第七号)     ——————————————
  2. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 それではこれより会議を開きます。  本日は去る二十九日に本委員会に付託となりました昭和二十二年度一般会計予算補正(第十三号)及び昭和二十二年度特別会計予算補正(特第七号)、この両案を一括議題といたしたいと存じます。  議題にはいります前に、多少御報告をいたしたいことがございます。第一はこれは二十三年度予算編成に関する小委員会において御報告をいたした件でございまするが、委員会といたしまして予算編成上に関しまして、こういう意見書関係方面提出をいたしたのであります。ちよつとこれは本予算分でありますからまずいですが、昭和二十二年度追加予算は、主として予算編成にあたつては、関係方面大藏省との間の協議によつて決定をされて、その決定をされたものが予算委員会提出されてくるという形になつておる。從つて予算案が正式に委員会提出されました場合には、非常に日にちも遲れますし、また関係方面ともすでに御決定なつたものがここに提出されるということになりまする関係上、予算審議の時間的な関係から申しましても、また國会意思予算に十分反映するていう建前からみましても、今日までのこういう形は、はなはだ國会予算審議上に支障がある。こういう私の考えから、予算について関係方面などと決定をされる前に、できるだけ國会意思を反映するような方法をとつてもらいたい。こういう意見関係方面提出いたしたのでありまするが、これに関しましては先般関係方面から、委員長の提案はもつともな意見であるから、できるだけそういうように取運びたい。全面的にそれに賛成であるから、そういう取運び方をするようにという御意見でございました。これは小委員会においても協議いたしまして、具体的にそういう方法について考究をいたしてみたいと存じております。なお災害復旧費の問題に関しまして、これは前に附帶條件などについても、関係方面からの御意見がございましたように、政府に対して何かを要請するというような形をとらないで國会あるいは予算委員会においても政府命令書を出す、災害復旧費ならば財源を示して、この財源によつて何月の幾日までに、災害復旧に関する予算案提出せよという命令書を出すという形で進めることが妥当ではないかと、こういうような御意見も承つてまいりましたので、この際御参考までに御報告申し上げておきます。  それでは委員長からの報告はその程度にいたしまして、議題に関しまして大藏大臣からの御説明をお願いいたします。大藏大臣
  3. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 昭和二十二年度一般会計予算補正(第十三号)及び昭和二十二年度特別会計算予補正(特第七号)につきまして、御説明申し上げたいと存じます。  今期國会提出を要しまする昭和二十二年度追加予算は、さき中労委裁定にかかる官公職員に対する生活補給金支給残額〇・八月分のほか、労働基準法施行に伴う政府職員超過勤務手当新制中学校建築費農地改革費船舶運営会補助費復員費法務廳等機構改革経費警察官増員経費等のほか、官廳職員給與引上を考慮するならば、その額は百億円を遙かに突破する見込みであります。  これに対し政府としては嚴に健全財政方針を堅持し、収支の均衡を保持する建前の下に、目下鋭意これが財源調達に努力中でありますが、年度末切迫の今日、かかる巨額の財源調達はなかなか容易なことではないのであります。すなわち一面生活保護費失業手当予備費使用残額等歳出においでできる限りの節約をはかることとし、他面歳入面においては〇・八月分支給等に伴う所得税の増収、電力超過料金、前年度途金等貿易資金保有物資の賣却等、あらゆる財源を求めたのでありますが、なお右の措置をもつてしても、相当多額の財源不足となるのでありまして、ここにこの不足財源を補填するとともに、鉄道通信特別会計経理健全をはかるため、この際鉄道通信料金引上を考慮いたした次第であります。  本年度追加予算の現況は以上のような次第でありまして、歳入歳出は全体として見合うこととなつているのでありますが、その確定を見、かつ急速実施を要するものから便宜逐次これを予算に計上いたす計画であります。  今回提出いたしました補正予算は、すなわちその一部としてこの際早急に支出を要するものであります。すなわちさき中労委裁定にかかる二・八月分の生活補給金について、その残額〇・八月分を支給するに必要な経費等に関しまして、補正予算第十三号及び特第七号といたして、御審議を煩わすようになつた次第であります。  まず一般会計補正予算について申し上げたいと存じます。この補正予算第十三号の歳入歳出は、おのおの七億二千三百九十余万円の増加でありまして、これをすでに成立しました昭和二十二年度予算額二千百二十八億五千七百八十余万円に加えますと、二千百三十五億八千百八十余万円と相なるのであります。この補正予算内訳を申しますれば、政府職員に対し特別の一時手当支給に必要な経費として、一般政府職員に対する分四億七千四百余万円、地方公共團体補助職員に討する分三千九百五十余万円、地方警察職員に対する分九千五百六十余万円、義務教育職員に対する分二億三千八百七十余万円、計八億四千七百九十余万円、厚生保險及び農業共済保險特別会計所属職員に対する特別の一時手当支給財源の一部を一般会計において負担するため三百九十余万円、大藏省預金部簡易生命保險及び郵便年金の、両特別会計関係職員に対する特別の一時手当支給に必要な経費財源一般会計より繰入れるため、大藏省預金部特別会計へ繰入れ七千七百万円、簡易生命保險及び郵便年金特別会計へ繰入れ七千三百十万余円、計一億五千十万余円、政府職員に対して一時手当支給に伴いまして増加する所得税収入の一部を地方公共團体に分與するため、地方分與税分與金特別会計へ繰入れ一億二千九百十余万円、地方公共團体財政の実情に鑑みまして、地方費支弁職員に支給する特別の一時手当財源地方公共團体に貸しつけるため十億七千八十余万円、船舶運営会所属船員待遇改善に伴う事業費増加に対して補助するため六億円、本年度における復員計画の変更に伴う在外者給與増加等のため一億七千十余万円、合計二十九億七千二百十余万円を追加いたしますとともに、既定歳出予算につき、國有鉄道事業特別会計へ繰入れの減少十二億円、通信事業特別会計へ繰入れの減少三億円、生活保護費不用額四億円、本年度復員計画の變更に伴う復員費減少六百七十余万円、予備費既定予算減少三億四千百三十余万円、計二十二億四千八百十余万円を修正減少いたしまして、差引補正増加額七億二千三百九十余万円と相なつておる次第であります。この歳出予算補正増加額財源といたしましては、所得税収入増加五億四千三百万円、前年度剰余金一億八千九十余万円、計七億二千三百九十余万円と相なつております。  次に特別会計予算補正(特第七号)について申し上げます。特別会計予算補正は、地方分與税分與金特別会計ほか十七の特別会計に関するものでありまして、その予算補正額は各会計合計いたしまして、歳入十七億二千六百九十余万円、歳出十七億三千九十余万円の増加と相なつております。この歳出増加内訳は、政府職員に対し特別の一時手当支給に必要な経費一五億七千六百四十余万円、右の一時手当支給財源として他会計又は他勘定へ繰入れ一億五千三百七十余万円、地方分與税分與金増加一億二千九百十余万円、合計十八億五千九百三十余万円を追加いたしますのと、既定予備費予算等を一億二千八百四十余万円修正減少いたしまして、差引十七億三千九十余万円の増加と相なる次第であります。  右のうち、國有鉄道事業特別会計工事勘定所属職員、及び通信事業特別会計建設勘定所属職員の、特別の一時手当支給に必要な経費財源は、これを公債金収入によることといたしました。その金額は國有鉄道事業におきまして五千三百五十余万円、通信事業におきまして二千八百三十余万円であります。  なお國有鉄道事業及び通信事業におきましては、今回鉄道旅客運賃並びに通信料金について倍額程度引上げを行うことといたしたのでありまして、これによる収入増加額は、國有鉄道事業におきまして十九億九千四百四十余万円、通信事業におきまして七億余万円であります。しかしてこの収入増加額のうち、その所属職員に支給する特別の一時手当財源に充当する分を差引きまして、國有鉄道事業におきまして十二億円、通信事業におきまして三億円を、既定一般会計よりの受入予定額より修正減正することといたした次第であります。  以上をもちまして、昭和二十二年度一般会計予算補正(第十三号)及び昭和二十二年度特別会計予算補正(特第七号)の説明といたします。  なお本補正予算案成立の上は、さきに成立いたしました一般会計補正予算(第十号)及び(十二号)、特別会計補正予算(特第五号)及び(特第六号)と相まち、官公廳職員に対しまして中労委裁定にかかる生活補給金二・八箇月分の全額を支給し得ることと相なる次第であります。各般の事情より本案提出がはからすも遲延いたしましたことはまことに遺憾でありますが、右の次第でありますので、何とぞ早急に御審議をお願いいたします。
  4. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 それではこれから質凝に移ります。上林榮吉君。
  5. 上林山榮吉

    上林委員 私は本案に対する自由党立場をばまず明らかにしたいと思います。  自由党は三十日に党の決議によつて声明を発したのでありまするが、参考のためその声明をここで私は敷衍して説明いたして、本案に対する反対の態度をば明らかにしたいと思うのであります。「声明政府は今回官公吏生活補給金残額支拂いのため、鉄道運賃通信料金大幅引上げをきめたが、これは一、インフレ抑止國民生活の安定を呼号する政府自殺行為である。一、本案提出はその手続において國会無視の專断行為である。一、特別会計独立採算制を宣傳しながら虚偽的行為であるといわねばならぬ。われらはインフレ抑止國民生活安定のため、かかる大衆生活に直接影響の大きい暴挙には断固として反対する。國会の権威と特別会計健全化にためにも承引できない。官公吏生活補給金支拂いは一日も早くなくてはならぬが、その財源公費節約または官有林財産処分などの適当な方法によるベきである。」これが自由党反対声明でありまするが、私はこの反対声明の線に沿つて、以下質問を続けていきたいと思うのであります。  まず第一に、政府財政法第三條をいかに、解釈しておられるか。この点について私はお尋ねをいたしたいのであります。條文を読むまでもないことではありますけれども、これもまた念のために私は朗読をいたしておきたいのであります。財政法第三條によれば「租税を除く外國國権に基いて収納する課徴金及び法律上又は事実上國の独占に属する事業における專賣價格若しくは事業料金については、すべて法律又は國会の議決に基いて定めなければならない」と明瞭に規定しております。今回政府のとれる処置は、施行細則がまだできていないというような理由によつてかしりませんが、当然やらなければならないこの財政法建前を無視し、ひいて國会を無視する結果になると、こういうように解釈するのであるが、政府はいかにこれを解釈しておられるか、この点をお尋ねいたしたいのであります。
  6. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 その点についてひとつお答えしたいと思いますが、財政法三條は実は昨年もまだ実施されておらないのであります。政府といたしましては速やかに実施をいたしたいと存じまして、その筋とも種々交渉をいたしたのであります。その際にこういう急迫した事情のもとにおいて、國会意向を十分に尊重し、國会の議を経てきめるということはもちろんのことであるけれども、この急迫した事情のもとにおいては、これをただちに施行いたしますと、國会において御審議を願う間に、いろいろ市場において思惑その他の関係が行われるおそれがある。こういうような見地で前國会に対しては、一つ特別法を御審議を願うように差出したわけであります。それは全面的にこの三條を施行いたしますと同時に、特別法によりまして、この急迫した事情のもとにおいては、当分の間、特別な命令の定むるところによりまして、そうしてこの三條の適用から一定の範囲のものを除外する、こういう趣意法律案を出したのであります。特別の命令の定むるところというのは、すなわちその筋及び両院の委員会その他にお話をして御了解を得た上で、そういう手続をとつてまいり、國会意向を尊重して、実質的にこれを参酌してきめていくというようなことで、この法案の御審議を願うベく前國会に差出したのであります。種々衆議院及び参議院でも御議論がありまして、それは審議未了になりますと同時に、当分はこの施行を差延す。しかし國会に出しましたこの法律上の趣意、実際上の趣意は十分とつてまいります。こういうことをお約束いたしまして、そうして審議未了のままになつたのであります。そういう事情でございまして、今回のこの引上げ等につきましては、この関係委員会等に十分御相談をして、その上できめたいと思うのでございます。しかし財政法第三條との関係は、実際上の関係及び法律上の関係は、今申し上げましたような次第に相なつておるわけであります。
  7. 上林山榮吉

    上林委員 ただいまの大藏大臣答弁は了解しかねる点が多いのであります。緊急なる、あるいは急迫せる事態においては、これはやむを得ないものとして、政府はこういう方針で進むつもりであるというふうに私には聽えたのであるが、そういう意向であるかどうか、その点を確かめたいのであります。
  8. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 急迫した事態が続く間は、前國会において提出しました法律案審議未了になりましたけれども、その精神によつて國会において委員会の御意向等も徴してきめていくという趣意をとつている次第であります。その当時の財政金融委員会でございましたか、その方にもお話を申し上げまして、そういうことでいこうということに相なつているような次第でございます。
  9. 上林山榮吉

    上林委員 急迫せる状態というものを平たく言えば平和会議が締結せられるまではという意味に解すベきであるか、それとも経済上の窮迫というような意味を含んでのお答えであるか、その点は今後の審議上、われわれは慎重に考慮すべき問題であると考えるので、この点を質しておきたいのであります。
  10. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 これは文字通り、経済上の窮迫したる事態が継続される限りという趣意でございますけれども、それが実際上講和條約を締結するまでかどうかということは、この経済上の状態がどう続くかによつてきまる問題だと思う次第でございます。
  11. 上林山榮吉

    上林委員 しからば政府においては、こういう重要な案件、あるいは財政法の示す趣旨をくんで、事前に國会と緊密な連絡をとつて、これが審議に当るというようなお話でありますが、すでに先般の値上げの際においても國会から要望した通り、これらの問題については議会に提案すべきものである。あるいはそれと同様の折衝をすべきものであるというようなことを要望したにもかかわらず、未だ予算委員会に対しては、委員長には連絡があつたかもしれませんが、密接なる連絡があつたことをわれわれは承つておりません。その点はどういうふうに解すべきであるか、殊にこれは政府声明ではありませんが、ただいま大臣は遺憾の意を表せられているので、一應了解はいたしますけれども、本案委員会に提案されたのは一月二十九日の午後五時五十五分であつたと思います。そういう点からいつて、こういう重要なものを今出して、ただちにこれを決定しなければ支拂に困ると、その責任はあたかも予算委員会にあるかのごとき口吻を漏らされておるように聽くのである。私はあえてその責任の轉嫁を強要するものではありませんが、少くとも二十九日の午後五時五十五分に出して、しかもこれをきよう中にきめなければならぬというようなやり方は、政府が過去の事案について常にとつてきた、最れずるいやり方だと男は考えるのであるが、この点に対してその政治的責任というか、この点を大藏大臣はどういうふうに考えておるか、これを追加して質しておきたいのであります。
  12. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 ただいまの御説明の際に、この手続その他の点で、殊にその筋との交渉、その他の点より遅れましたことを遺憾といたすのでございます。そういう趣意でございまして、これの責任を轉嫁するとか、何とかいうことを考えておるのではないのであります。但しこのものにつきましては、支拂等も差迫つておりますので、何とぞ速やかに御審議をお願いしたいと思う次第でございます。併せてお願いをいたす次第であります。
  13. 上林山榮吉

    上林委員 政府政治的責任を明らかにさせられましたので、その点は了承するのでありまするが、われわれは働く人々に対しまして、食える待遇を與え、あるいは能率を上げ得る待遇をすることについては、何ら異議をさしはさむものではないのであります。特に合理的に、積極的に能率を上げることについては、むしろ進んで思い切つた待遇をしなければならぬとすら考えておるのであります。しかるに現政府のやることをよく見ておりますると、独占企画であるという安易さのためかわからないのでありますが、常に政府事業のみに財源を求めるという最もずるいやり方をしておるし、知慧のないやり方をしておると言わなければならないのであります。しかも今度の案を見てみますと、タバコの値上げと言い、あるいは鉄道運賃値上げと言い、あるいは郵便料金値上げと言い、総じて大衆課税的方向のみに財源を求めているのは、いかに政治力が貧困な現片山内閣であるといつても、私どもは遺憾であると考えるのであります。この政治やり方は、單に安易を求める政治であつて、私は眞の政治やり方ではないと考えておるのでありまするが、この点に対して政府はどういうふうに考えておるか。殊に私の遺憾とするのは、政府インフレ抑圧財政を立てなければならぬと強調しながら、そのやり方は、安易さを求める結果、インフレに拍車をかけるような方向に進んでおる。いかにこれは数字的に詭弁を弄しても、この事実をば否定することはできないと思うのでありまするが、その点はどういうふうに考えられておるか。明らかにせられたいのであります。
  14. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 この鉄道その他の料金引上げに求めました理由の詳しいことについては、関係大臣からお願いすることにいたします。ただ今回の追加予算編成、今日までの状況等について、一應お答えしておきたいと思うのであります。この鉄道特別会計につきましては、すでに一定の年次をおいて独立採算の原則を貫く。これはインフレ防止の上においてもきわめて必要なのでありまして、そういう趣意政府はとつておる次第であります。しかし今日まで二・八箇月分の特別手当を支給することにつきましても、それよりほかの点におきましても、結局さきにできました追加予算で、七十五億の一般会計からの繰入れをいたしたのであります。それなどもその後の繰入れその他を加えますと、これは五億を超えるのでありまして、一般会計の面において、相当の負担をいたしておるのであります。一般会計でこれだけの負担をいたしますれば、利用者においても一部の負担を、独立採算制立場からも考えていただきませんと、この際窮迫したる財政を克服して、そうしてこのインフレを防止する上においても、これはどうしても必要でございますので、そういう趣意におきまして、今回物價その他諸般の経済状況ともにらみ合わせて、最少限度引上げもやむを得ないことに政府は考えて、財源をここに求めた次第であります。引上げその他の詳細なる点につきましては、運輸大臣逓信大臣からひとつ答えていただきたいと思う次第でございます。
  15. 上林山榮吉

    上林委員 政府は、今の大藏大臣答弁によると、これがインフレノ対策であり、独立採算制基礎をなすものであるという見解のようでございまするが、われわれは形式的にはそういうふうには見えるが、内容から見ると、先ほど申し上げたごとく、それは反対方向に進んでおる。こういうふうに考えておるのであります。そこで独立採算制基礎にいたしましても、鉄道郵便料金値上げにいたしましても、その前提となるものは、これは健全なる意味においての、私は企業合理化前提にならなければならない。こういうふうに考えておるのであるが、政府の考えておる独立採算制企業合理化との方向について、できるだけ具体的に御説明を伺いたいのであります。
  16. 北村徳太郎

    北村國務大臣 上林山君の御質問にお答えしたいと思います。企業合理化財政との関係という意味の御質問であつたと思います。企業合理化ということは、どういう意味でありますか、言うところの企業合理化とは、一般に現在の企業全般にわたる整備の問題を特に言うのでありますが、このことはしばらく私の所管外のことでございますので、話は一つ公企業としての鉄道並びにこれに関連する運営についての公企業合理化の問題、從つてそのことと財政との関係はどうであるか。こういうお尋ねであるかとも思うのであります。もし後者であるならば、それについて若干思うていることを申し上げまして御答弁いたしたいと思います。それでよろしゆうございますか。
  17. 上林山榮吉

    上林委員 主として企業整備のことであります。行政整理のことに関連して……。
  18. 北村徳太郎

    北村國務大臣 少し私の考うとあるいは食い違うかもしれませんが、行政整理は、一般共通行政整理の問題と、行政の中に現業をもつておりますたとえば鉄道というものを、行政から離して別途の観点から、これを公企業として見る場合に、公企業整理刷新と言いますか、そのことと行政整理との関係、こういうふうに考えていいのかと思うのであります。鉄道自体にとりましては、これは申し上げるまでもなく、現在非常に大きな赤字を出しております。百数十億の赤字背負つて、しかもこれは一般会計から繰入れられているのでありますが、弁済をしなければならぬ。それで五箇年計画、七年半計画、十年計画、十五年計画というような各般の計画を立てて、これを弁済する一つ方法を考えております。それから現在の鉄道というものを、一体企業求に見て將來どういうふうにもつていくのかというようなことが、いわゆる上林委員お尋ねになつている企業整備の問題になると思うのでありますが、これは私どもはすでに戦爭の惨害をこうむりまして、鉄道の輸送力、能力が非常に衰えている。生産手段がはなはだしく阻害されている。これを一日も早く克服することによつて、國鉄の再建をしなけれずならぬ、國鉄の耗建をすることによつて、國の要請である輸送力を増大して、その面から收入を増大することを考えなければならぬ。何も赤字を出すばかりが能でないから、何とかして收入の増加をはかることに極力力をいたさなければならぬという点が一つ、但しこれには現状において諸般の主要材料等が思わしくまいりません。現在は御承知の通り、鉄飢饉は世界的でございまして、たとえ輸入を仰ぐといたしましても、御承知のルール地方の石炭が一億六千トンも出たものが七千万トン以下になり、製鉄能力が三分の一になつておる。世界で鉄の輸出能力のあるものはほとんどないという現状でありまして、今の日本の製鉄能力をもつてして、非常に壊された鉄道の現状を回復することは容易でない。これは輸入に仰ぐような手段にも多少訴えたのでありますけれども、ただいまのところ望がないというので、いろいろ苦心しております。これは輸送能力の回復、國鉄の再建ということと、そのことによつて收入の増加をはかるという点においては、今まで多少くふうをいたしておりますが、今後極力その方面に努力をいたしたい。同時にまた経費の節減をはかるというような面においても、いわゆる收支の適合をはかるということが独立採算制でございますから、この観点から何とかして経費を縮めていかなければならぬというようなことで、目下一部の電化の問題を促進する。從つて動力源を把握するというようなこと、それから適当な人間の配置轉換を行うというようなこと、そういうことによつて能率化するとうすような方面——これす非常に小さい話になりますけれども、過日も申述べた通り、現在たとえば踏切番だけでも三万人に上る。これを機械化することによつても整理することができるのでありまして、こういう方面によつても極力経費節約をはかる、能率化をはかる。そういうようにいたしまして、今の赤字々々という財政を、何とかして收支適合の状態にいたしたい、パランスのとれたものにいたしたい、こういうふうに考えておるのでありますが、何ぶんすでに百数十億の赤字をもつております。こういうような現状でございまして、お話のごとくこういう現状を打開するには、國鉄を一つ公企業と見て、企画整理はきわめて大事なことであり、そのために以上申し上げましたようなことに努力をいたしておる。全体といたしましても、私は飛込んで日が淺いので十分のことはわかりませんけれども、今までよりも一層経理責任を明確にしたい。これは非常に私の願つておるところでありまして、行政上の責任は明らかになつておるけれども、どうも経理責任を一層明確にするという方面に努力をしたい。こういう点も私の願つておる点でありまして、漸次そういう方向に向けたい。それから独立採算制で、公企業として將來鉄道が國家の負担にならないようにするにはどうしたらよいかということもございますが、これは多数の方のお知慧を拜借しなければなりませんけれども、これについては行政整理部で立てておる一案もあります。これが妥当であるかどうか、目下檢討いたしておりますが、その他行政部面と現業とを切離してほんとうの独立採算意味において、一つの独立して現業廳にするというようなことも多少考えつつあるのであります。しかしこれはここで申し上げるような段階にはいつておりませんが、そういう意味において独立採算制のとれるような方向にもつていかなければならぬという意味において、いろいろとただいま研究を進め、調査をし、材料を集めております。おそらくはあまり遠くないうちに御相談申し上げることができるかも知れぬ、こういうふうに考えておる次第であります。
  19. 上林山榮吉

    上林委員 國鉄の再建を急がなければならぬ、そういう線に沿つて独立採算制を考えていくという建前は異議のあろうはずはないのでありますが、その方向に進んでいるのか、進んでいないのか、われわれは非常に疑いを深くしておるのであります。そこでお尋ねいたしたいのは、私の言う意味はもちろん現業廳としての公企業という意味についてお尋ねしたのでありますが、もつとそれを具体的に申し上げますならば、健全なる独立採算制はつじつまを合わせるだけではもちろんないのでありますから、ここではつきり聽きたいのは、予算人員の現在の國鉄從業員を、どの程度まで整理する方針であるか。あるいは実人員になると整理するのはほんのわずかであるというふうに聽いておるのでありますが、そういう方向に向つておるのであるか。この点をお尋ねしたいのであります。
  20. 北村徳太郎

    北村國務大臣 この人員整理の問題は、一般行政官廳と現業廳とは同一にまいりませんので、從つてこれは切離して考慮するということに、政府方針はきまつておるのであります。行政官廳についてはある割合の人員を減少するということは、すでに御承知の通りであると思いますが、現業官廳と相なりますと、これは一つ企業でございますから、業務の量というものをいつも見ていかなければならぬ。それで業務量と人とがうまくマツチしているかどうかという点が問題になるのでございまして、この点については、私は私としての一つの調査を今いたしつつあります。それでただいまここではつきり申し上げる段階にはいつておりませんけれども、その調査を急いでおりますので、これまたおそらくはそう遠くないうちに御報告を申し上げることができるかと思います。各部門別の業務量と人との問題を勘案いたしまして、どこに偏在があるか、偏在のあるものはこれを是正する。配置轉換を行うには、どの部門からどの部門にもつてくるかというようなことを勘案しなければならぬ。この点が行政官廳とは多少趣を異にしておりますので、そういう調査を今入念にやつております。
  21. 上林山榮吉

    上林委員 この場合具体的に研究中であるから発表できないというのは一應無理はないと考えるのでありますが、しからば私お尋ねしたいのは、配置轉換をやるということは大賛成であります。そういう意味企業整備をやらなければなるぬが、戰時中二十二万人おつた從業員が現在六十万人いる。この現象に対して主官大臣としてどういうふうに考えておられますか。これで十分だ、あるいは少しくらい整理しさえすれば、少しくらい配置轉換をやりさえすれば、わずかの整理ですむというような考えをもつておられますか。最後の結論をお尋ねしておるのではありませんが、そうしたような予想をもつておられるかどうか。この点について承つてみたいのであります。
  22. 北村徳太郎

    北村國務大臣 このことに関しましては、いやしくも人員を整理するということはきわめて重大でございまして、これからくる失業並びにこれに対する受入態勢をどうするかという問題もございます。それでわれわれといたしましては、配置轉換をし、偏在を是正をするということと、仕事の量とにらみ合わすという点について、目下調査をしているということを申し上げましたので、ただいま國鉄はそれでは剩員があるかと言われますと、必ずしもあると私はお答えしにくい。と言うのは、これはきわめて妙な現象でありますけれども、実情について調査してみると、非常に生産設備というものが破壞されている。その中でわずかに人手をもつて物の足りない、あるいは設備の不完全なものを補つているというのが非常に多いのでありまして、この整備を急いで、この整備さえどんどんできてくれば、おそらく相当な剩員が出るであろう。現状においては設備の不完全と物の不足を、人手で補つているという現状でもあります。今一つは労働基準法というものが完全に実施せられるということになりますと、これは現在上林委員の御指摘になりました数をもつて、なお三万人ばかり不足するという、まことにこれは矛盾した現象を起している。こういうわけで企業整備並びに國鉄なら國鉄の独立採算制というものを維持して能率化するということになつてまいりますと、労働立法にも多少問題が出てくるというような点も出てきますので、愼重に取扱いまして、いやしくも剩員がある限り整理しなけれぱならぬが、われわれとしてはできるだけ業務量を勘案して、業務量にマツチした人手をもつて能率化していくことに努めたい。それでこれは必ず何割切るということで、労働大衆の首切りをやることはできませんから、この点については愼重な態度をもつて、目下前に申し上げましたような具体的な調査を進めているわけであります。さように御了承を願いたいと思います。
  23. 上林山榮吉

    上林委員 われわれは労働基準法を尊重しなければならないということ、あるいは國鉄の再建をやらなければならぬというような実情については、十分承知しておるのでありますが、政府はこういう問題について研究はしていると言うけれども、しかし優柔不断であつて独立採算制の線に沿つて進むという形式的な考えから、ただちに料金の値上によつてこれを埋め合わせていく、こういうやり方をいつまでも続けておるがゆえに、私はこの前提となるものは、どうしても思い切つたところの合理的な行政整理でなければならぬ。殊にその中においては失業救済的体制を整えたならば、思い切つて人員整理をばやらなければ、この企業を健全に独立採算制をもつてつていくことはできない。独立採算制には違いないが、その負担は常に國民大衆に負担をかけておる。こういうやり方独立採算制は、われわれの贊成せざるとこめであります。そこで運輸大臣という公企業の主管者としての立場からの御議論は、ある程度了承する点もあるし、不満足な点もありまするが、さらに進んで私は、あなたがもし私企業の経営者であつた場合に、この國鉄の現在のやり方が、はたして企業的に見て妥当であると思うか。あるいは合理的であると思うか。この点についてひとつ参考のために承りたいのであります。
  24. 北村徳太郎

    北村國務大臣 御質問が非常にむずかしいので、さきに申し上げましたように、そういう点について私は根本的な調査をしておる。私は少しばかり私企業の経驗をもつておりますので、私企業のよさというものはある程度とり入れなければならない。公企業としての國鉄の能率をあげて、そうして改善すべき点を改善するというような考え方といたしましては、私企業のもつある特徴というものは、公企業にとり入れてよろしい、こういうようなことを一般的には考えております。それだけのことをお答えいたします。
  25. 上林山榮吉

    上林委員 某方面で、これは日本の全役人を指すのであろうと思いまするが、四割くらい日本は役人が多い、こう言われておるのでありますが、あなたはこの点に対してどういうふうに考えておるか。あるいはまた現場廳としてはこれに対してどの程度であるということを考えておるか。先ほどお答えができないという話でありますけれども、このいわゆる某方面の希望というか、意見というか、これに対して運輸大臣としてどういうふうに考えておられるか。
  26. 北村徳太郎

    北村國務大臣 よく戰前との比較、それから外國鉄道との比較などが出まして、國鉄はこの通り多いじやないかという話が出るのでありますけれども、これはおよそレールも、枕木も機関車も、正常な状態の場合においての比較でなければならない。今の國鉄においては、前にもちよつと触れましたけれども、三十年以上経過して使用にたえぬような機関車を、むりに小修繕を加えては使つておる。レールも戰前は一箇年鋼材十万トンは國鉄の手にはいつておつた。それが一万トンくらいしかはいらない。最近最も多くはいつて二万千トンしかはいつていない。こういうような現状でございまして、枕木のごとき何千万挺新たに入手しなければ、改善ができないというような窮迫した状態にあるのであります。從つてその点において能率を十分に発揮することができないという、非常な苦しい事情がありまして、さような中で國鉄の從業員は物の不足を補い、設備の不完全を補つて働いておる。こういう点が勘案せられますので、もし具体的にどうしても数字を言えとおつしやると、今の人員のほかにもう三万人いないと労働基準法の実施ができない。しかしながら私は、そんなに人を入れるべきでないというので、昨年來嚴格に新たなら採用を止めて、國鉄の整理に力をいたしておりますけれども、もし形式的に申しますと、労働基準法の文句通りにこれが実施せられることになると、三万人以上人が足りない、こういう状態にある。それでお話のごとく能率を上げて、國鉄の収支のバランスをとるように努力なるということは申し上げておりますが、現在國鉄において、行政勘廳並に何割首切りをするというようなことは考えておりません。
  27. 上林山榮吉

    上林委員 運輸大臣の抽象的な御議論はよくわかつたのでありますが、私その答弁はまことに不満足であります。そこであらに運輸大臣お尋ねしたいのは、とりあえず形式的な独立採算制というか、あるいは安易な予算のやりくりというかしりませんが、そういうような意味から、國民の生活に影響のある大幅の料金値上げをやろうとしておるわけでありますが、聞くところによると、さらにまた四月一日から、貨物あるいは旅客についても、大幅の値上げをしようと政府は準備しておられるということであります。この点については間違いございませんか。その点につきお尋ねいたします。
  28. 北村徳太郎

    北村國務大臣 そのことについてはただいま申し上げかねるのであります。いろいろの材料を集めて調査しておりますけれども、何月からさらに幾ら上げるということは全然決定しておりません。
  29. 上林山榮吉

    上林委員 何月から幾ら上げるということは決定していないとしても、上げる方向にもつていかなければ予算のバランスをとれない、そういうふうにお考えになつておるかどうか。
  30. 北村徳太郎

    北村國務大臣 この際御質問に應じて國鉄のことを少し申し上げたいのでありますが、独立採算という観点と、一般物價と運賃との関係等から考えまして、現在國鉄はたとえば今回値上げの御了解を得たいと思つております金額で將來独立採算ができるか。こう言われるとできません。從つて國鉄の独立採算ということを、そういう観点から見ると値上げをしなければならぬ。但しこれはお話がございましたように、國民生活に重大な影響をいたしますし、また物價にも影響するところが大きいのでありますから、われわれはこのことについては十二分に愼重にやらねばならぬということは申し上げるまでもないのでありますが、これは愼重にやるということと、しかし國鉄は独立しなければならぬ。独立採算制でやれという至上命令は遵奉しなければならぬ。こういうことでその間に狹まつて非常に矛盾を感じておるわけでございますが、今回お諮り申し上げておる額で、独立採算はなかなか困難であるという事実だけを申し上げておきたいのであります。
  31. 上林山榮吉

    上林委員 さらに私はこの機会に、國鉄從業員が能率を上げねばならない、あるいはサービスをよくしなければならない、あるいは技術の質が低下しておるから、技術の向上をしなければならない。こういうような点については、運輸大臣も御留意のことと思うのでありますが、こういう点について非常に遺憾の点を感ずるものであります。殊に私は今日日本の國鉄に乘つて安心して旅行ができないということです。ものは盗られる、荷物を委託すれば拔取りをやられる。殊に集團強盗が東化線に二回も続けさまに現われておる。これは國鉄関係者、あるいは治安を担当しておる警察にも関係があるわけでありますけれども、こういうようなことで國民は安心して汽車に乘れない。安心して荷物を汽車で送れない。しかも料金はぐんぐんと上つていく。私は九州でありますが、今までは東京にたれでも來られたが、これからはたれも東京にいくことができないというほどの料金になることを予想しておる。こういうような場合に、私は國鉄の主管者としては、相当にお考えにならなければならぬと思うのでありますが、この問題に対してどういうように考えておられるか。なほ鉄道の貨物の拔取り、これは非常に大掛りなものでありますが、現在これに対してどういう対策をもつておるか、あるのは集團強盗に対する対策はすでにできたか、その後の処置はどうなつたか。私どもは多少の料金の上ることはやむを得ないとしてもかくのごとく大幅に上げることは絶体反対でありますとともに、安心して乘れる汽車、安心して荷物の委託できる國鉄というものが、公企業の價値のある経営でなければならぬと考えるのであるが、これに対してどういう対策をもつて臨んでおられるか。單なる議会の質疑應答ではもうだめです。少くとも運輸大臣が陣頭に立つて思い切つて処置に出でられなければ、單なるその日暮しの抽象的な議論に應酬では、もうだめだと考えます。これに対しての御見解を承つておきたいのであります。
  32. 北村徳太郎

    北村國務大臣 明るい國鉄というような運動を起しまして、サービスの改善等も今やつておるのであります。それから輸送の公安に関することにつきましては、特別なる計画を立てております。これについて政府委員より詳細に御説明いたしたいと思います。
  33. 上林山榮吉

    上林委員 どうも大臣答弁はあまりに簡單で、私は不満足です。この問題は單にあなたをとつちめて快哉を叫ぼうというような氣持で私は言うておるのではない。少くとも安心して乘れる汽車、安心して荷物を委託できる國鉄、ことに治安のごときについては、もつと強力な対策があつてしかるべきであるが、われわれはこの現われた事実によつて見ても、今後もまことに不安であります。國民ももちろん不安であろうと考える。この際にもつと思い切つて対策があつてしかるべきだと思われるが、大臣としてのもつと強力なる御答弁を要求します。
  34. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お話はきわめてごもつともでありまして、最近國鉄のみならず、世上一般に非常に社会不安の情勢がかもし出されておる。これは敗戰に伴う一つのまことに情ない現状だと思うのでありますが、そういう社会的な現象が國鉄の上にも現われてきた。これはひとり國鉄の問題ばかりとは考えませんが、國鉄に関する限りにおいては、治安、檢察当局等々と十分な連絡をとりまして、そういうことの絶滅に盡すべきはもちろんであります。でありますが、先ほどちよつと申し上げましたのは、こういう状態では國鉄自身においても治安の途を考えなければならぬというので、それについての具対策をもつておりますから、これを政府委員から詳細に御説明申し上げさせたいという意味なのであります。
  35. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 それでは一度ここで休憩いたしまして、午後に開くことにいたします。なお理事会はここで午後一時に開きます。  この際ちよつと私としてお断りいたしておきたいことがございます。関係方面に対して、予算委員長としての私が、この案に関する審議を拒否したというような報告をされておるように承つたのでありますが、これははなはだ私として迷惑なことでございまして、きのう政府側から、予算委員会をこれから開いて、きようのうちに可決してもらいたいという御要求がございましたので、私はきよう予算委員会を開くことはできないし、またきよう中に可決することもできないということを申し上げて、きのう理事会を開いて、きよう予算委員会を招集することにいたしたような次第でありまして、決して私が予算審議を拒否したというような事実はございません。  なお新聞などに多少報道されておりますように、この問題につきましては大藏大臣からお話を承りました際に、私はこれまでの傾向からいつて、何かというと、財源がないとすぐ郵便の値上、すぐ國鉄の値上、タバコの値上というように、安易にすぐ政府事業料金の引上が行われますことに鑑みまして、そういうことは私一個としてもはなはだ好ましくないと思う。取りわけ必ずしもこの〇・八の財源に関しては、値上をしなくても、ほかに代り財源があるのではないか、努力すればあるのではないかと思う。たとえて申しますれば、必ずしもこれだけでないにいたしましても、貿易公團の輸出の不合格のシヤツが千八百万着ございまして、この値段に関しまして、一着二百三十円にするとか、あるいは六十円とかいうことで、まだ政府側の御意見がまとまつておらぬようにも承つておりますが、かりにこういうものを二百五十円といたしましても、四十億円くらいのものは、手数料を引いても浮いてくる。その他、すぐと値上をするということをしないで、できるだけひとつ代り財源を見つけて、この〇・八の支拂に充てて欲しい。特に値上の問題に関しましては、ただいまも運輸大臣からの御説明もございましたように、独立採算制に基くところの具体的な計画案というものが近くつくられて、それに関連して、いわゆる本格的な値上案というようなものが考慮されるのではないかと推測されておりますから、從つてそういう問題は、そういうものがちやんとできてから出していただきまして審議することにして、そういうもののある折から、ここでまた〇・八のためにちよつぴり上げるというようなことでなく、何とかお考え願いたい。こういうように若干のお話合をいたしたことがございますが、その点は昨日理事会に詳細御報告申し上げてございます。從つて別に予算審議を私が拒否したというような事実はございません。この際この点を明瞭にいたしまして……。
  36. 工藤鐵男

    ○工藤委員 G・H・Qの関係ですが、あなたが呼ばれて、拒否してということは私ども聞きませんけれども、実際遺憾ながら國会におけるわれわれの考えというものが、正しくある方面に傳えられておらぬということだけは、幾多の話を私どもは聞いております。われわれがこの國会において審議しなければならぬすべては、國民の考えはこうであろうという全体の世論を頭の上において進退を決するつもりでおるのです。ややもすればゆがんでG・H・Qあたりに傳えられておることがありまするから、私は予算委員会の態度としては、委員長を通じてわれわれのほんとうの意のあるところ、すなわち國会議員としてどういうことを考えておるかということを、正しく傳えられるために、委員長その他はできるだけその筋の要路とよみ懇談してやつてもらいたいことを私は希望するものです。そうでないと誤解がたくさん起る。きようの新聞あたりを見ても、われわれが國会を護り、もしくす憲法を擁護するというような大問題に至つても、きわめてゆがんで傳えられておることは、私どもはなはだ遺憾とするものでありまするから、予算委員会の態度においても、委員長を中心として特別なる措置を、政府の手をかりず、官僚の手を離れて、われわれ直接に行く途を開くことを、特に希望いたします。
  37. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 その点は私はも先ほど申し上げましたように、來年度予算編成に関する小委員会がございますので、小委員会においてただいまあなたの御意見の問題を、具体的に相談をいたしまして、そういうように取運ぶことにいたしたいと思います。  それではこれで休憩いたします。     午後零時五十一分休憩      ————◇—————     午後三時十一分開議
  38. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 それでは午前に引続いて会議を開きます。  午前中の上林山君の御質疑に対して運輸省の御答弁が残つておりましたから、先にお願いいたします。業務局長加賀山君。
  39. 加賀山之雄

    ○加賀山政府委員 ごく簡單に御答弁申し上げます。先ほどお問いがございました列車内の治安の問題並びに事故につきまして、昨年と比べますと、荷物事故そのもとは減少の傾向をたどつております。昨年は盗難事故といたしまして総計一万九千円程度でございましたが、本年は十二月までに一万三千円程度でありまして、やや減少の傾向にあります。しかしながらまだ非常に少くなつたとは言えませんので、目下のところ八千人あまりの司法警察官吏を動員いたしまして、この荷物事故の防止の極力力を注いでおる次第であります。最近特に顯著になりましたのは、列車内の暴行が多くなつたことであります。それにつきまして先ほどお問いのございました東北線関係の事故は、二件新聞に現われておりましたが、うち一件は誤報でございまして、正確には一件、これも五十名程度の集團が、網棚の上の荷物を整理するということで、荷物を下して一部持去つた。後難をおそれて届出が非常に遅れましたために、その手配が十分にできませず、未だに犯人等の逮捕に至つていない。かような状態でございます。これに対しましてまずわれわれといたしましては、鉄道公安官になるものを設置いたしまして、鉄道みずからこれを防止することに極力力を注いでおるわけでございますけれども、何ぶん徙手空拳でございますこと、設置するにつきましてもまだ予算、人員等、明確なる決定を経ておりません。また訓練もまだしてないこと等によりまして、目下のところ專任といたしましては、一千人足らずの公安官にすぎないのでございます。一方一般警察の面におきまして、極力協力を得ることに努めておるのでありますが、これも手不足等の理由によりまして、われわれの望む程度の應援はなかなか得られないというのが現状でございます。從いましてわれわれといたしましてはさらに公安官を増置し、訓練をいたしまして、さらに事情によりましては、これに武器等の携帶を許してもらう。そして一般警察がもし手が伸びないならば、鉄道みずからこれを警備するという決意をもつておるわけでございますが、その問題につきましては、まだ國といたしまして確定をいたしておらないのであります。從いまして当座といたしましては一般警察、公安官が力をそろえまして、最も危險な列車に係官等を護乘させ、あるいは駅を警備いたしましてこれを取締り、一般旅客に対しましても、早速事件のあとで、終端駅等におきまして、放送をもつて荷物等に対する注意を喚超し、また事故があつた場合には、必らず何らかの方法で駅なり、車掌なり、あるいは公安官がおりますれば、公安官に通報していただく。そうして極力一般警察、あるいは駅によりましてはR・T・Oと連絡をとりまして、この防止に当りたい。今後頻発することをぜひ防止いたしたいと考えておる次第であります。
  40. 上林山榮吉

    上林委員 集團強盗事件ないし大がかりの拔取り事件という問題に関する政府当局の対策を、今承つたのでありまするが、政府においては、そういす程度のもので安心して旅ができるというようなところまでいけるものと考えておるかどうか、殊に公安官のごとき、われわれが体驗するところによれば、鹿兒島から東京まで來る間に、わずかに自分の手荷物に御注意くださいと、最小の注意をする程度にわれわれは見ておりまするが、ああいうような微温的な、不徹底なやり方によつて、はたして集團暴行というような、こういう大きな問題に対して治安が保たれるかどうか、われわれははなはだ疑いにたえないところであります。殊に大がかりの拔取り事件のごときは、その内容を聞くと、これは複雜をきわめ、殊の智能犯的な傾向をおびるばかりでなく、これにタツチしておる者に鉄道職員がおる、鉄道從業員関係者がおるということについては、これは普通の取締りや対策では、とうていわれわれは安心できない、こういうように考えておるが、もう少し科学的なというか、あるいは徹底した対策というか、安心して國鉄を利用できるというところまで安心感を國民に與えなければ、とうていこれは、普通のお互いの考え方ではだめぢやないか、こういうふうにわれわれは心配しておるのであります。こういう点に対してもつとひとつ突込んだ御意見はないか、殊に警察官等の協力、あるいは公安官のいわゆる訓練をやらなければならぬといつておるが、これらに対するもつと突き進んだ方法はないとかいう点について、お尋ねしておきたいのであります。
  41. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいまのお尋ねの点については、これは午前中にもちよつと申し上げたのでありますけれども、一般社会不安の現象が、たまたま鉄道にも現われたのでありまして、敗戰後の到るところに起るきわめて智能犯的な現象が多いということは、これはまことに残念なことでございます。これに対應いたしまして、ただいま政府委員から説明申し上げましたように、警乘警察官を乘せて警備に当らせるということは、相当の効果をあげておるのでありますけれども、これも予算等の関係で人員は整理しなければならぬ。あるいは予算が縮減せられるというので、最近われわれの思うように警乘させることができなくなりつつあつたのでありますが、これでは困るというのでいろいろ相談いたしまして、少くとも從來通り乘つてもらうようにそういう方向に進めております。それから治安全般にかかわることは、これは治安警察その他とも十分連絡をとりましてやつておるのでありまして、鉄道の力だけをもつてしては、なかなか困難なのでございますけれども、しかし先ほど説明申し上げました公安官の制度を設けまして、大急ぎでただいま人をそれぞれのところへ向けて、現に養成ずみの者が千数百名ございまして、これはすでに乘せており、全体といたしましては一万人近い人員、特にそういうことに適した人間を、それぞれの機関に託して目下養成を急いでおります。こういうことによつて一般の治安的な方面を鉄道自体がこれを守り、乘客並びに荷物に対して安全感を與えるというようなことのために努力をいたしておるわけであります。おそらくあまり遠くないうちに一万人、九千二百人だと思いますが、これが新しい予算にも計上いたしまして、皆樣の御承認を仰ぐように、それぞれその計画を進めておるのでありますから、これができれば大分改善されるのであろうと信じております。さように御了承を願いたいと思います。
  42. 上林山榮吉

    上林委員 私は運輸大臣一般の社会治安という関係から、たまたまこせが鉄道関係に現われてきただけであるという見方は、一面的な見方として賛成であるが、しかしそういうような態度は、政府全体の責任という点から考えても、これはもつと眞劍に考えなければならない問題であるし、鉄道自体において治安を保つ方向に向つても、努力はしておられるようであるが、今言つたように、性質は惡質、しかも複雑をきわめつつあるということ、この問題に対しての対策は取締りの増員によつてこれをただやつていくという考え方でよいのか、その程度であなた方は安心して乘れる汽車、安心して托送される鉄道というところまでいけるというお考えであるかどうか、こういう点であります。ただやつてはおる、やつではおるが、それではまだ治安を保てないと思うのだ、こういうところであるかどうか。やつてはおるがこれでは不十分であつて治安は保てない。だからお互い國民は心掛けをしてもらいたいとか、こういうふうにとつてよいのか、國民はこの程度でわれわれがいるから安心してわれわれに任してもらいたいというところまでの信念があるか、この点を私は聽いておるのであります。これに対する答弁をお願いいたしますと同時に、さらに突き進んで尋ねをしたいのでありますけれども、一應運輸関係はそれで止めておきたいと思います。
  43. 北村徳太郎

    北村國務大臣 午前中も申し上げたのでありますが、何と申しましても國鉄は再建の途上にありまして、設備が壞され、その他非常に物の欠乏の中で闘かいつつ再建を急いでいるさ中であります。従いまして現状においては、私どもといたしましてはベストを盡してやつておる。殊に公安室の問題のごときも、ただなり行きに任しておるというのではなく、一万人近い人をこの際採用しなければならぬ。あるいは行政の整理をしなければならぬ際にもかかわらず。なおこれは御承認を仰ぐことに努力をいたしまして、二十三年度予算に織こんでやつておる。これは今言うても間に合いませんので、そのことに相当に役立ちそうな人を糾合いたしまして、すでに千人あまりはその配置につけておるような状態で、今後は安心して乘つていただいてよろしい、荷物についても安心して托してよろしいという状態に向いつつあるということを申し上げてよいのでございます。將來に向つて一層そのことを努力したい、そういうふうに存じております。切にそういう方向に向けることを、私の責任において強く感じておる次第であります。
  44. 上林山榮吉

    上林委員 この集團強盗事件ですが、今聞くところによれば五、六十名の集團があつたにもかかわらず、未だに犯人があがつていない。こういうような具体的な現象が現われておるのであるが、そういうことは何ら心配ない。だからわれわれは今公安員を増員してやつておるのであるから、それで十分であるというようなお考えはあまりにも單純ではないか、こういうふうに思うのでありますが、その集團強盗事件のあがらざる理由、これが近くあがる見込があるかどうか、あなたは他の関係官廳と連絡をとつておやりになつておるはずでありますが、これを單なる検察廳の問題としてのみでなく、運輸省自体が自律的に治安を保とうとしておる時期であるから、これに対して何らか具体的な手を打つてあるはずである。こういうことに対して何ら手がかりがない。事件の全貌も抽象的でわからない、犯人もあがらない。こういうことであつては、口には治安を保つと言いながら、私はとうてい保ち得ない、こういう見解でありますが、この集團強盗事件に対する具体的対策、ないしは自信というものがあるかどうか。
  45. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お尋ねの点が少し私にはお答えが困難なのでありますけれども、しかしとにかく鉄道自体に検挙、逮捕等の権能があるわけではありませんので、この点に関しては検察、警察等の当局と、各駅々々と十分の連絡をとりまして、それぞれの土地にも細かく警察網が張られておりますから、言葉は惡いかもしれませんが、総動員の形でこれを検挙していただくように連絡をとつております。私どもといたしましては、大体こういう事件が再び起つては相ならぬのでありますから、なし得るだけの方法を盡しておるつもりであります。
  46. 上林山榮吉

    上林委員 この際運輸省に関するものは後まわしにいたしまして……。
  47. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 今の運輸省の治安のことだけについて工藤君が質問したいということですから……。工藤君。
  48. 工藤鐵男

    ○工藤委員 前の委員からの質問で要領を得ましたが、私としてはやはり公安問題は相当重要なる問題と考えます。つまり言えば集團的に殺戮が行われ、掠奪が行われるということは、普通にある一部の公安に関する犯罪とはよほど違う。従つて私は相当立入つた質問がたくさんありますけれども、他に重要な質問があるようでありますから、次回においては私は相当立入つた質問をするつもりであります。政府もそのつもりで御用意あらんことをお願いいたします。
  49. 上林山榮吉

    上林委員 公安問題は、工藤委員も言われるように重要なる案件でありますので、私もさらに追究していきたいのでありますが、時間の関係がありますから、他の質問に移つていきたいと思います。  今度運輸省の計画された賃金値上げでありますが、これは私鉄にも近い將來に及ばなければならぬのではないか、こういうふうに考おておるが、この点は運輸大臣としてはどういうふうに考えておるか、これを質しておきたい。
  50. 北村徳太郎

    北村國務大臣 御承知の通り運輸交通のことは非常に関連性が多いのでありまして、たとえば陸の連絡、海上輸送、連絡船との関係、それから同じ陸運でも、私鉄と國鉄とが連絡しておる線等々がございます。また國会と並行しておる線等も少からずあるのでありまして、これは國鉄がもし値上げをいたしますならば、多分これは同時に私鉄もあがるようにならなければならない。それでないと輸送量が多くなつて、輸送力の非常に減退しておる今日、ある値上の遅れたところへ殺到するというようなことから、先ほどお話のあつた治安関係にも不安なことが起らぬとも限りませんが、私どもの考えといたしましては、國鉄が値上をいたしますならば、これに関連して私鉄も同時にあがるベきものである。こういうふうに考えております。
  51. 上林山榮吉

    上林委員 私鉄の経営の合理化というか、あるいは不完全なる私鉄の経営を堅実にしていくという意味か、いずれでも構いませんが、私鉄の経営に対して、たとえば施設という問題に対して、運輸省はあまり積極的な指導というか、協力というか、そういうものをほとんどやつていないとわれわれは見ているのであるが、これらの賃金の値上げは、單なる待遇改善という意味においてこれを認めるのであるか、あるいは建設的な方面にも認めるという意味で、私鉄の値上げをば政府は承認する考えであるかどうか、殊に私鉄の経営としてとうていやつていけないようなもの、あるいは國鉄に移していいようなもの、そういうものに対して——たとえば鹿児島縣の南薩線とか、その他九州地方、全國に非常に多いのでありますが、そういう問題に対して國鉄にこれを買収する、そういうような調査研究を進めているかどうか。この点も併せて質問しておきたいのであります。
  52. 田中源三郎

    田中(源)政府委員 今回の賃金の値上げにおきましては、私鉄に対しましては、個々の会社の経理面を観察いたしまして、従つて会社企業の合理的なる経営面に到達いたすような意味において、私鉄の賃金の値上げは認められると考えているのであります。私鉄はおのずから営業キロ数も異なつておりますし、國鉄のように一貫したる営業方針に基いているものではありません。ただいま申しましたように、その企業の合理的に、今御指摘になりましたように建設面等も含まれるのであります。單に企業面のみでなく、その意味から考察いたしまして、私鉄の個々の会社の経理内容を検討いたしまして、その上において賃金の値上げを、適当に必要な面まで認めていくのが妥当であると考えているのであります。なお將來におきましての問題でありますが、この面に関しましては、目下の國鉄の財政状況におきましては、單にこの國鉄全体におきまする基本的な建設面、補修面に相当の財政面が必要でございまして、他にこれを及ぼしていくというような余力は、今日見得られないのであります。しかしながら國家の一貫したる交通面から考えまして、特に必要であるというような面がありますならば、あるいは國会に諮つて、將來これを買收するようなものもあるかもしれないということは、今日ただいま申し上げることはでき得ないのであります。なお私鉄の経営面におきまして、あるいは建設補修の面におきましては、でき得る限り余力のある資材を割愛いたしまして、これらの補修建設に向つて、できるだけの援助をいたしているような次第でございますので、今日の資材及び財政の面から、十分にこれらを援助することができ得ないのでありますが、つとめて御指摘の点については、援助の途を講じているような次第であります。
  53. 上林山榮吉

    上林委員 私は主として大藏大臣お尋ねしたいと思いますが、さらに関係大臣関係のある部分については、併せて御答弁を願いたいと思います。それは二・八の生活補給金の問題について、中労委の裁定を政府が承認したとき、政府はその際において財源を何に求むるという予想のもとに、二・八箇月分を承認したか、そのときの政府の態度について、私はお尋ねしておきたいのであります。
  54. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 この予算の立て方は申すまでもないことでありますが、退加予算を立てますにつきましては、本年度末までの大体の收入と支出を見合わしておきまして、二・八を、中労委を尊重し、その当時すでに申しましたように、趣意においてもまた大体妥当と政府も認めまして、これを拂い得る、こういうことに見当をつけた次第でございます。
  55. 上林山榮吉

    上林委員 政府一般的態度としてはもちろんそうあるべきであろうと思いますが、私の聽かんとするところは、具体的に言えば生活補給金の問題については、財源をいわゆる鉄道運賃その他の料金値上げによつて賄いをしなければならないという予想のもとに、これを承認したものであるかどうか、この点を伺つておきたいのであります。
  56. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 先ほど申しましたように、單に個々の問題を扱いまして、個々の支出と歳入を見合わして、そして問題が起るごとにとつていくというような考え方をいたしますと、これは財政のつじつまが合わなくなりあとのものが困るということが考えられますので、全体の收入の支出とを見合わして、これを考えたのであります。國鉄につきましては、すでに御承知のように昨年御賛成を得ました追加予算においても、國鉄及び通信で七十五億の一般の收入、すなわち大部分は税收でありますが、そういうものからこれを賄うことにしたのであります。なおその後にも時々これが生じてまいりまして、大体百億を超えるような数字になつておるのであります。そういうことであるならば、一般收入の面においては、年度末までにこの利用者負担一般國民の租税收入その他で賄うだけでは、独立採算制その他の建前から申しても妥当でないのであります。利用者負担ということをも一面において考えていただくということは考えたのであります。それは一般收入を予定する際に考えたのでありまして、一部と一部とを引合わして、それだけを抜きとるというようには考えておらぬのであります。
  57. 上林山榮吉

    上林委員 私は今までの政府予算の出し方、殊に追加予算の出し方は、いろいろな弊害もありましようが、結局は最も安易な方法を求めているのだ。いわゆる知慧のないやり方をしておるのだというふうに考えますので、具体的に政府財源捻出に関する方法について、お尋ねを進めてみたいのであります。たとえば先般の追加予算委員会において、私は政府に注告をいたしておいたのでありますが、それは時價にして三万円ないしは、五万円もするものを、三百円ないし四百円で売却しておる。これは政府所有の牛馬でございますが、かような点はその拂い下げた方面が特殊な方面にあつたにしても、たとえば農耕方面であつたような場合にしても、一方の農家においては三万円も五万円もする牛を買わなければならないのに、一方の農家に対しては、政府所有であるからという理由によつて、三百円でこれを拂い下げたというようなことは、この財源の困つておる時期に、はたして妥当なやり方であるかどうか。私は時價が五万円するから五万円で賣れというのではない。三百円では常識的に考えて、あまりにも安過ぎると考えるが、あるいは農林省との関係もありましようけれども、あの表を、どれだけの数量を、どの方面にこれを賣つたものであるか、この明細を明らかにしてもらいたいのであります。さらにもう一つ政府所有の土地でありますが、これらの土地についても、市街地で坪二百円あるいは三百円というようなことを言うておる所もありますが、そういう所は時價によると千円もあるいは二千円もする場所が多いのであります。かような問題に対して政府はどういう考えをもつておるのであるか。私はこの点を非常に疑うのであります。この二つの問題について政府の見解を質してみたいのであります。
  58. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 この牛馬の拂下げのときの問題は、お尋ねもございまして、当時河野次長からも御説明いたしましたように、予算としてはそういう数字を計上いたしましたけれども、できるだけ農林当局と連絡をして、高い値段で賣るようにいたしましようということを申し上げたのであります。その実績及び土地に関する実績の問題などは、一應取調ベまして、それからあらためて御返事をいたしたいと思つております。
  59. 上林山榮吉

    上林委員 その具体的な点についての取調ベはわかるのでありますが、一般政府方針として、時價と政府の台帳面との開きというものが、今日非常に大きいのである。これは時價通り賣れというのではありませんけれども、もう少し台帳面と実際の時價との中間を出すくらいの氣持で、政府財産の拂下げについては考えなければならぬと思うのであるが、政府一般的御見解、具体的対策についてはどういうふうにやつておるか、これを聽きたいのであります。
  60. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 政府といたしましては、適正な時價でこれを賣るということにきまつておるのでございまして、それでいたしておるような次第でございます。今後もそういう場合には、特別な事情その他がない限りにおいては、適正なる時價によつてこれを処分していきたいと考えておる次第でございます。
  61. 上林山榮吉

    上林委員 適正な時價によつて賣買するという方針についてはわかつたのであるが、実際においては政府の考え方が杜撰であるのか、あるいは出先官憲のやり方が不徹底なのかしらぬが、いろいろと有力者と提携をいたしまして、いろいろな内輪の折衝も行われておるかのごとくわれわれは聽いておるのでありまして、こういう具体的な問題については、席をあらためて発表したいと思うのであります。いずれにいたしましても、そういうような考え方によつて、ないところの國の財産しかもそれを適正に賣られずして、財源を安易な方面に求めていくという政府の態度に対しては、相当嚴格にこれを考えてもらはなければならぬと思う。こういう意味においてこの点を申し上げたのであります。  さらに鉄道の問題にしても、逓信省の問題にしてもその通りでありますが、財源を單に税金とか、今言つたような料金値上げとかいうような方面のみに求めずに、もつと廣く、あるいは創意をこらして財源を求めていかなければならぬというような考えをもつておるのであります。そういう点からして、鉄道を例にとりますならば、別途の收入に対してもう少し知慧を働かす方法はないのか。かりに一例をあげますならば、車内における廣告などを今日思い切つて廣くやりますならば、相当の收入があるものと考えておるのでありますけれども、敗戰後駅などに労働攻勢のポスターは無料で張られていたのであるが、車内において國家の收入になる、いわゆる廣告というようなものについては、何ら考えを及ぼしていない。これこそ役人の経営を考えないやり方であると考えるのであります。これについてどういう意見をもつておるのであるか。さらに一歩進んで、たとえばおもなる駅の附近に、鉄道ホテルを建設するというような方面の考えはもたないか。殊にこれは大藏大臣との関係もあるのであるが、インフレ対策を含む意味において、特殊の鉄道富くじのようなものを発行する考えはないか。具体的に言うと、たとえば一箇月間の無料の乘車券、あるいは日本一周の旅行券、こういうようなものを考えて、そうしてこれに思い切つた富くじを発行することは、インフレ対策の一環として、当然國庫の收入として考えていいものであると思うのであるが、これらに対する見解を承知したいと思うのでございます。
  62. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいまの御質問の中にいろいろのことが含まれておつたのでありますが、最後に伺いました、たとえば日本を無料で一周できる富くじのようなものを出したらどうだ、これは一つの考え方で、そういうことが可能な状態に國鉄再建を早くいたしたい、こういうことを私どもは念願いたしておるのでありまして、いかに國鉄の現在の輸送力が、輸送量に対してマツチしないかということは、午前中以來申し上げている通りであります。從つて現在の事情において、そうまでしてお客をひつぱつたのでは、どうも遊覽客のために必要なお客がはみ出されるというようなことになるのでありまして、國鉄の輸送力が、現在においては輸送の量に應じていない。これが最大の混乱の原因であり、あるいは秩序の乱れておる原因でありますので、從つて何を措いても國鉄の再建のために、われわれ努力しなければならぬということを非常に大きく考えておる次第であります。さようなことによつて國鉄は國鉄としての正常な收入の増加をはかりたい。そのほかに一つの附録的の意味において、廣告の問題も出ましたのでありますが、これは私鉄と違いまして、いやしくも國がやつておるのでございますから、廣告料次第で、いかなる廣告でもとるというわけにもまいりませんし、場所、風致、いろいろな点を考えなければなりません。現在でもそのことはやつております。一部やつておりますけれども、おのずから制約を受けるという点もありまして、これらに多大の收入を期待するわけにまいりません。國鉄自体としては輸送量が増加しておるのでありますから、それをどんどん引受けることができるように、貨物においても、旅客においても、十分御満足を供し得るような状態に、國鉄再建を早くしなければならぬ。その点に努力の下心をおいておる次第でございます。
  63. 上林山榮吉

    上林委員 原則論としての運輸大臣のお考えについては、もちろんわれわれもその方向に進んでいかなければならぬことは考えているのであつて、これのみに頼らずして、この財源難を國民大衆に最も関係の深い、しかも物價もただちに上る、これだけの待遇改善をやつても、勤労者も待遇の改善にならない、こういう結果になるときに、安易なる方法のみを求めて、いわゆる原則論のみを求めて、その原則論が実行できずに、今言うように安易を求めるような料金値上げになつて現われてくる。だから一方において、あなたの言われるように原則として國鉄の再建をはかり、正常の收入をあげる、これは当然なことであります。当然なことであるが、それでは追つつかない。現在の状態においても別途の財源を求むることを、鉄道自体においても考えなければならない。もちろん一般財源においてもこれは考えなければならないのであるが、鉄道自体において、多少の制約は受けるであらうが、そういう点までわれわれは考えて進んでいかなければならない。私がかりに日本一周というような言葉を使つたことにおいて、言葉尻をとらえたような御回答であるようであるが、私はそうじやないのであつて、少くとも特殊の鉄道の富くじというようなものをもつて、たとえば一箇月間の乘車券、あるいはどこからどこまでの乘車券という程度のものでも、これを鉄道が一歩明るくなつた、明るくなりつつあるのだのいう意味を示す上からも、私どもは考えていかなければならないと思う。鉄道に乘れば、物はとられる。あるいは暴行を加えられる。運賃は高い。この結果物價を上げて、インフレは高進する。また四月にはこれを引上げようとする。これをただ繰返すだけであるから、あなたの原則論のいわゆる國鉄の再建はわかるのでありますけれども、私は別途にもつと廣汎な財産を求める方向に進んでもらわなければならない、こういう意味で言つたのであります。この点に対して私は大藏大臣についでに聽きたいのは、こうしたような鉄道富くじというような問題に対して大藏省は、運輸省でこれがいいということであれば、そういう方向に進んでもよいというような考えをもつておられるかどうか。これは政府事業で制約を受けるから、絶対にいけないと考えられておられるのであるかどうか。この点大藏大臣の見解を聽きたいのであります。
  64. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 この鉄道富くじであるとか、個々の富くじという問題より前に、富くじによつてこういう破局化の前にあるインフレーシヨンの購買力を吸收するという点において、私はこの際やることが効果があり、またやつてよろしいと考えておるのでありますが、ただこれは教育の関係、あるいは災害復興の関係、あるいは鉄道関係等各種の面がありまして、そういう面をどういうふうに調整していくか、その他についてはなお研究を要すると思うのであります。なおまた富くじなどを発行しまして浮動購買力を吸收するにしましても、限度があることでございますので、そういうような量その他をとくと研究した上でなければ、はつきりと申し上げられないと思う次第でございます。
  65. 上林山榮吉

    上林委員 政府は國民の生活を考えずに、大衆課税的な方向財源を求めてその安易をはかつておるわけでありますが、この際私國民の側から考えて、一言政府に尋ねておきたいことは、タバコの問題であります。タバコの大衆課税的に、六十五倍の基準である昭和九年から十一年のあの時代の價格と比較してみますと、当時金鵄が七銭で十本であつたのが、今日は新生というタバコに化けて、これが五百七十一倍に上つておる。この状態に対して政府はこれでもインフレ昂進でないと思うかどうか。あるいは物價が適正であると思うかどうか。われわれの考えるところでは、ただつじつまを合わせるために、國民のインフレのことも、頭では考えておられるだろけれども、結果から見ると結局つじつまを合わせるために値上げをする。專賣事業であるから、政府事業であるから、やりやすいから値上げをする。こういうような結果になつておると思うのであるが、これに対して大藏大臣はどう考えておられるか、さらに時間の関係があるのでつけ加えて申し上げたいのであるが、こういう状態でタバコ耕作者からは多少の賠償金を引上げたが、非常に安く買つておいて、そうしてこれを賣るときには、新物價体系の物價基準から考えても、五百七十一倍も上つでおる。こういうようなやり方をしておるのである。そこでタバコの横流れというものが非常に多くたつてくる。その取締りを政府は今度やらなければならぬ。たくさんの人間を動員してやらなければなりぬ。こういう結果になつて現われてくるのであるから、この際私は取上げることだけをせずに、生産者であるタバコ耕作者に対して、相当思い切つた賠償價格を引上げてよいものである、こういうふうに考えておるますが、このタバコ値上りに対し、併せて生産者の賠償金の問題に対してどういう考えをもつておるか。さらに希望といたしましては、もつと高いタバコを一部つくつて、もつと安いタバコを國民大衆に提供するというような用意をもつていないかどうか。またこのままを基準としてどしどしタバコの値上げをやつていく、こういうふうに考えておられるのかどうか。この点を、ひとつ聽いておきたいのであります。
  66. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 タバコの値上げの問題は前國会追加予算のときすでに盡しておるのであります。しかしこの二十三年度財政を組みますのにつきましては、相当の時間もありますので、私はタバコについて根本的な問題をいろいろ解決したい。それは配給その他の点、價格の点、それから今の賠償の点、それらの点をも一連のものをとりまとめて解決をいたしたい、こう思いましてただいま研究をいたしておるような次第でございます。
  67. 上林山榮吉

    上林委員 賠償價格の点を全体的に直そうと考えているという意味は、結局賠償金をある程度引上げていいかもわからない。あるいは引上げる用意ありと、こういうふうに考えていいのであるかどうか、なお販賣の方法について、たとえば二十四年度ぐらいから自由販賣にする意思はないかどうかというような問題について、どういう見解をもつているか、最後にこの点をお尋ねしておきたいのであります。
  68. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 今も申し上げましたが、二十三年度のタバコにつきましては、相当切換えの時間的の余裕もあると思いますので、配給價格あるいは賠償その他の点をひとつ再檢討をして、根本的に建直しもしてみたい、こう考えておる次第であります。今賠償の價格を引上げるかどうかという、一部分を抜いてのお尋ねでございますが、これは物價の調整その他の点にも関係をもつておりますので、この際はつきり、すぐこうだということは申し上げられぬと思うのであります。しかしいろいろの点を総合して見合わして改めていきたいということを考えている次第でございます。二十三年度はおきまして、二十四年度から自由販賣にするかどうかというような点をも、ここで今すぐこうだということは申し上げられぬ次第でございます。
  69. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 次は中原健次君でありまするが、ただいま貿易廳長官永井幸太郎君が御出席になつております。これは委員長からちよつとこの原案に関連してお尋ねしたいことがございまして、御出席を願つたのであります。しかし時間の御都合上急がれるようでありますから、中原君、失礼ですが、前にちよつと貿易廳長官お尋ねいたしたいのであります。  今度の追加予算に関しましては、政府が運賃の値上げ財源を求めるまでには、あらゆる財源を洗つて十分御檢討になつたことと存じておりまするが、そのうちの財源一つとして、ここに問題に上つてまいつておりますのは、貿易公團の輸出品の不合格品のシヤツでありますが、一千八百万着、これに関しましてたとえば評價はいくらになつているのか、それからまたこういういろいろな書類などの手続はどんなふうになつているかということを、このシヤツに関しましては、少しく詳しく貿易廳長官に直接お尋ねをしたいと思います。それと合わせまして、同じような性質のもので、私の聞き及んだところによりますると、絹が九百七十万ヤール、綿布が二億三千万ヤールの輸出品がございまして、そのうち大体七割ぐらいは、同じように不適格品であるように承知しておりまするが、これを放出することにいたしますると、大体四十億円くらいの財源になるのではないかというように推算されるのでありまするが、こういうようなものについても併せて一應私どもの審議の資料として、御答弁、御説明願いたいに思います。
  70. 永井幸太郎

    ○永井政府委員 ただいまのお尋ねにお答え申します。ちとつとお断り申しますが、輸出不合格品ということをおつしやつたようですが、ちよつと誤解を招くおそれがあると思います。これは品質が輸出に適せぬから不合格品という意味ではないのでありまして、御存じの通り、去年の八月以來、オランダ、南方地域東亞地域に対する輸出は、ポンドがドルに変ることができないようになりましたので、賣れにくくなりました。それで輸出が止つておるという意味であります。なおこのメリヤスのシヤツは丸首になつておりまして、他の諸國から輸出が出なかつたころは、日本でできまする丸首のシヤツも喜んで南方が買つたのでありますけれども、このごろではやや丸首でないランニング・シヤツというふうに流行が移つておりますので、多少賣りにくいという点もありますけれでも、ポンドからドルへコンバートすることができないという事情で、今輸出が止つておるという意味でありまして、そういう輸出に合格しないような品物をつくらせたわけではありません。ここをひとつ誤解のないようにお願いをしておきます。  ただいまお尋ねになりました百五十万ダース、すなわち千八百万枚くらいの丸首のシヤツは、司令部の承認を得ましたならば、放出することができると思います。またただいまの蘭印その他の丸首のシヤツを買います地方の購買力が、今すぐにはできないと思います。あるいはポンドからドルへの換算の協定でもできますれば賣れるかもしれませんが、賣れるような時代にはまた製造ができますから、ただいま溜つておりますものは、内地に放出せられるのも適当かと存じます。原價は大体一枚三十円になつております。國有綿を拂下げまして、それに加工賃を加えたところが大体三十円になつております。それではどれくらいに賣れるかということは、これはむしろ貿易廳としまして意見を申し述べるのが適当かと思いますけれども、私の考えるところでは、まず百四、五十円くらいで特配をするとかいうようなくらいのところが適当ではないかと思います。もつともやみ取引では、ダースが二千円も二千五百円もに賣れておるということを聞いております。御賣のやみ取引がダース二千円で賣れておるとしますれば、やみの小賣は相当高いものと思いますけれども、まずある意味の特配というようなことで拂下げ得るということでしたら、一枚が百四、五十円くらいが適当ではないかと考えます。これは物價廳の御意見もあろうと思います。賣値に対しましては、私どもよりあまり申し上げる筋合いではないと思います。ただ原價が三十円になつておる。それから百五十万ダースは放出しても適当と思う。但しそれには司令部の承認をとりつけることが必要である。これだけのことをお答えいたします。  それから絹その他の不適品があるようにおつしやつたのですが、これはごくわずかでございまして、この年明けて以來、羽二重なども非常に賣行がよくなりましたので、これはなるべく置いておきまして、できるだけ輸出に充てまして、ドルの獲得に充てるのが適当かと思います。ただいまのところ國内へ放出して適当であると思われるのは、まずこのメリヤスのシヤツくらいかと思います。
  71. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 中原健次君
  72. 中原健次

    ○中原委員 私はこの官公廳職員諸君に対する残額〇・八の生活補給金に関する対加予算に対しまして、政府の御熱意の程度がいささか疑われる次第であります。というのは、このことはすでに今回の第二回國会が召集された最初の日に予想がついておつたはずでありまして、いろいろ時間的な関係で、〇・八だけを再開早々に上程するという約束になつておつたように記憶いたしております。しかるに再開すでに十日を経過いたしましたこのごろ、ようやくこれが上程されたという関係上、補給金を支拂うための期日に間に合いがたいというような状態をここに露呈してまいりました。少くともあらかじめ考えられておりました問題であるだけに、このように切迫して、しかもきよう中にというような、いらいらした関係においてこの問題を審議せしめようとする事柄は、何といたしましても了承しがたいのでありまして、もとより財源の問題等について、いろいろ御考究もあつたことと思いまするけれども、財源のことをいろいろ予想してみますると、なおさらのこと政府追加予算上程の期日の遅延に関連しまして、私は誠意のほどを疑わざるを得ない次第であります。つきましては、これが今日まで遅延したことの事情を一應あらかじめ承りまして、あとの質問を進めたいと考えるのであります。
  73. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 お答えいたします。先ほども申し上げましたように、かように遅延したことはまことに遺憾といたしておるところでございます。実はその筋との関係その他で非常に時間が手間どりまして、二十八日にようやく承認を得たような次第でございまして、それでかように切迫したときにまことに申訳ないことでございますが、お願いをいたすことになつた次第でございます。
  74. 中原健次

    ○中原委員 たいていの場合に、その筋との折衝が遅延の原因になつておるようでありますが、そのことをここで論議しても、結局どうにもならないことのようにも考えられまするけれども、本來この補給金は年末に全部をとりそろえて支拂うべき筋合のものであつたと考えるのであります、それだけにこの最後に残されました〇・八に対する場合は、相当積極的な熱意をもつて急がるべきはずのものであつたと私は思うのであります。殊にただいま示されておりまするような財源をもつてするという行き方は、何と考えても私どもには納得ができないのであります。從いましてこの場合、特に今後こういう性質の追加予算等については、もう少しわがこととして積極的な熱意をもつて、これに対処されたいということを要望いたしておきます。私がなぜこのことをかように申すかと言いますれば、この財源の問題について、われわれはまさに相反する見解をもつのでありまして、それだれにこの追加予算を一日や二日で処理するということは、とうていむずかしいのでありまするから、そうなつてくれば、おのずから補給金を受取る側の官公廳職員諸君の手もとに、補給金が渡ることが非常に遅延されて、せつかくの目的がそのために非常に薄められていくという、効果上の問題を考えましても、これは非常に遺憾であると考えるからでありまして、從いましてわれわれの氣持から申しますると、一時間でも早くこの予算を終了いたしまして、補給金の支拂を開始させたいと考えまするだけに、それだけにこの予算に対する意見の相違があればあるほと、われわれの心理から申しますると、非常にいらいらした思いがいたすのであります。われわれがいらいらした思いをしながら、この追加予算審議するということは、言いかえますると、十分批判檢討を加える余地を與えないということになるために、杜撰なる結果に陷るのおそれがあるわけであります。考えようでは、あるいはそれが政府のねらいではなかろうか。むしろわれわれの了承しがたいような財源をもつてする。この追加予算をとにかく急ぎながら、むちうちながら通過せれめようということには、何らかそこに一つの意図があるのではないかというような、卑屈な考え方をさえしなければならぬのでありまして、從いまして、この補給金の給與されるための期間がかりに遅れましても、その責は國会側にあるのではなくて、政府自体にその責があるものであるということを、私は主張するものでありますが、この問題に対してもう少し、当局の今後に対する所信を伺つておかなければならぬと思うのであります。今後しばしばこういう緊張を要する問題がもち上つてくることもあるであろうと思いますが、そういう場合に、ただその筋との折衝が手間どつたためにというような釈明をもつて、その責任をうやむやにするということでなくて、もう少し、みずからその責を負うて立つというような態度が要請されるわけでありまして、この点についての大藏大臣の今後の御決心を、一應伺つておきたいと考えるものであります。  さらにこの財源に関する問題でありまするが、もはや論議申し上げるまでもなく、財源を大衆の負担に求めて、そうして一つの何と申しましようか、抗議する力の弱い面に、負担を轉嫁せしめて、そうしてその急場を処理していこうというような態度に出ておいでになるように考えられるのであります。このことについて当局はさらに別個の財源に対する御苦心を、どのようになさつたであろうか。相当具体的に、かくのごとき苦心をしたが、しかし結果としてはやはりやむを得ず、大衆の負担になることを顧ることをなし得ず、このような予算編成したものであるということの経過を、一應聽かしていただきたいと考えるのであります。從いましてその経過につきましての御説明を承りたい。
  75. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 その点はぜひこちらからも申し上げたいと思つたのであります。徴力でございますが、各種の材料をいろいろ求めまして、そうして大体百数十億というような、この支出に対してつり合いをとつておるのであります。ただいまも貿易廳長官から申し上げましたが貿易資金の繰入れとか、あるいはこの輸出入の不適格品の処分による收入とか、こういうものもむろん、そのほか一連のものを皆考えたのであります。これもこの本年にはいりましてから、引続き交渉をいたしておるのでありますが、数字その他についも、各省でまとめられるものが、相当時間がかかりますし、その上にこの賣買價格その他決定等にも、未だ決定しない点があるのであります。そうして大藏省としては、一般のそういう支出と收入と見合わせて一つの相当まとまつた予算を出したいと考えておつたのでありますが、何分にも期日も切迫いたしましたので、やむを得ず一部を切り離しまして、今回十三号と特第七号としてお願いしたような次第であります。なおその詳しい経過その他は主計局長からひとつ申し上げたいと思います。
  76. 福田赳夫

    ○福田政府委員 〇・八の予算につきましては、かねて政府から國会劈頭にこれを提案いたすということを申し上げておつたのでありますが、しかしながら〇・八の予算と同時に、緊張を要するものの、すなわち本年度追加予算として議会の御審議を願うべきものが相当多額にあるのであります。これは先ほど大藏大臣から申しました通り、百数十億になるというような状況であります。〇・八の予算は御承知の通り三十四億円でありますが、そのほかに船舶運営会でありますとか、あるいは警察員の増員であるとか、あるいは経済保安廳の設置であるとか、法務廳を設置しなければならぬ。あるいは農地改革をさらに続行していかなければならぬ。あるいは学校関係の例の六・三制の問題を処理しなければいかぬというような状況でありまして、ただいま申し上げましたような多大な金額に上るわけであります。〇・八の問題は早急解決を要するのでありますが、しかしながらそれだけを政府といたしましては特別に考えるわけにもいかないのでありまして、政府の考えといたしましては、今後今年度内において出てくるあらゆる歳出というものを頭に置きまして、それに対しましてあらゆる財源を勘案して、大体の見当をつけました上、これを逐次緊急を要するものから予算化してまいるというような建前にすることが、從來の健全財政方針から、当然な処置と考えておるのであります。百数十億円という歳出に対する財源として考えられますものは、まず歳出節約の面でありますが、この面においてもあらゆる歳出というものを再檢討いたしてみたのであります。そのうち特に歳出節約の公算の多いものは、ただいま予算に計上しておりますところの生活保護費不用額、まだ予備金が三億四千万円余残つておるのでありますが、この際全部これを返上するという措置、また國債費等においても相当の不用額が出るじやないかということを考えております。また價格調整費の面においても若干の不用額があり、あるいは公團出資金、この予算においても若干の節約がてきるじやないかということも考えておるのであります。また失業保險の失業手当制度のその後の運用状況に鑑みまして、これまた相当の節約ができるじやないかということも考えておるのであります。かようなものを集めましても、そう多額にはならないのでありまして、結局財源の大きなものといたしましては貿易会計保育の物資を相当高めで賣拂うという措置が一つ、それからもう一つは貿易資金の合計におきまして、当初考えておりましたよりは遺憾ながら輸出の状況が悪いのであります。この輸出が悪いということは、反面におきまして貿易、円勘定の面におきまして、赤字減少してまいるということになるのでありまして、この関係予算に組み入れるということ、この二つが相当多額の財源となつてまいるのであります。しかしながらそういたしましてもどうしても百数十億の財源というふうにはなりませんので、その差額というものを、この鉄道通信料金値上げ——鉄道通信料金につきましては、つまり両会計におきまして独立採算制、またそれができないまでも両会計の設備を充実するという見地から、また別途の意味におきまして値上げの要請があるのでありますが、この際これを大幅に引上げるということを考えたのであります。しかしながらこの料金の問題につきましては、これを非常に大幅に引上げるというようなことになりますと、これはまた價格体系との問題でいろいろ問題を起してくるというので、一種の妥協点といたしまして、中間的な割合をもちまして、今回十割という案ができ上つにわけなのであります。かように予算全体といたしまして、歳入の面からも歳出の面からも、あらゆる面から作案いたしたのでありますが、その重要なる一環としまして、料金値上げというものがはいつてまいつておるのであります。しかして今回提出になりました〇・八等の予算財源といたしまして、料金値上げというものが、まずとり上げられておるのでありますが、要するにこれは全体の百数十億という歳入歳出としての値上げをとつておるのでありまして、そのうちまず確定したものから逐次もつていく。かような建前からなつておるのでありまして、これが〇・八の財源として鉄道通信値上げをするという関係には相なつておらないのであります。
  77. 中原健次

    ○中原委員 いろいろ御説明があるようでありましたが、どうも目のつけどころが、私どもと大分見解を異にするのであります。財源の求め場所は、なるベくだけそれは一般の國民大衆が、そのため迷惑をこうむること少きものに対して求めなければならぬのであります。しばしばそれが大衆負担的な性格をもつものに求められがちであり、またそういう方向にのも御注意が注がれるように思うのでありまして、このことは、言いかえますと、特に問題が官公廳の職員諸君の生活補給金に関連してのことであるだけに、それに関連して大衆の負担が過重していくということになれば、一般の大衆は、官公廳職員諸君の生活を補給するということが、同時に大衆の負担を過重するというこいになるのである。こういうとんでもない概念をつくつてしまうのでありまして、私どもからそういう樣子を見ますと、これは最近わが日本民主化の軌範として擡頭してまいりました労働組合運動を、ある意味では阻害する。むしろそういうことをさえ当局は意図しておるのではなかろうか、このような疑念をさえさしはさまざるを得ないのであります。もちろんそのような考えを毛頭もつておらないと御答弁になられることは当然でありますけれども、実際はそういう意識すると否とにかかわらず、結果がそこに赴くのではないか。かように私どもは氣づかうのであります。また巷間そういうことを、どんどん口にしておるような國民もあるわけでありまして、これはとんでもない誤解であり、認識不足であるのでありますけれども、実情は遺憾ながらわが日本の國民の意識の低さは、何と申しますか、こういうことに慣れざる國民の意識は、そのような錯覚をしばしば起すことに相なるのであります。そこで政府は日本の民主化ということに対して、眞に熱情をもついおいでになるはずである以上は、それを阻害することのないように、すベてを取扱つていくという基本的な心構えが必要なのではないか。そうであれば、なるベくだけそのような錯覚を國民に起させることのないような方向に、この財源もまた考慮さるべきものであつた。かように私は考えるのでありまするが、その点について当局はどういう御見解をおもちでございましようか、一應伺つておきたいと思うのであります。
  78. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 政府といたしましては、ただいまお尋ねのように、民主的な日本の発達を阻害するということ、また官公廳内におきましてもそういうような発展を阻害するような考えを毛頭もつてはおりません。ただこの点を、先ほど來申し上げましたが、もう一度申し上げますと、先般タバコその他の税の値上げその他によりまして、七十五億の特別会計への繰入をいたしたのでございます。その際にも税その他の大衆からの一般收入をもつて特別会計のしりを埋めるということについては、いろいろ御議論もあつたのであります。そこでそういう点をも考えますし、一面におきましては、やはり利用者が一部を負担する。こういう点も考えましてこそ、官業その他の使命が十分達し得る。こう考えたのであります。そこで全部一般会計から繰入れるということにつきまして、さらに増税その他を考えなけれどいかないことに相なるのであります。そういうことは本委員会におきましても種々御議論もあり、私どももその線に沿うてやろう、こう考えた次第でございます。そこで一部は利用者負担になり、一部が一般会計からの繰入、しかも一般会計からの繰入にいたしましても、これは一定独立採算制を確立することによりまして、拂いもどしをして始末をつけ、そうして健全なる官業の発達ということに資する。こういう趣意でいたしておるような次第であります。ただ先ほど來御指摘のように、政府はできるならば今度百数億の追加予算一つにまとめて出したにのでありますが、支出の面においてもまだ決定しない点がありますし、それから收入の面におきましても、貿易資金その他まだ的確にきまらぬ点があります。一面におきましては〇・八月分の支拂を急ぐ関係もありまして、たまたまその一部がこういうように現われてきた次第でございます。そういう趣意をひとつ御了承をお願いいたしたいと思う次第でございます。
  79. 中原健次

    ○中原委員 ただいま一部を利用者負担に求めるということもまたやむを得ないという御見解でありましたが、もとより私どももやむを得ざる場合に利用者負担にそれが轉嫁されていくということを認めないというのではございません。しかしながらそこへもつていくためには、もう少しその過程にいろいろなさるベき、いわゆる手を盡さるべき事柄があるのではないかというふうに考えておるのであります。たとえばそれをいわゆる國鉄の事情について考えましても、現在の國鉄が取扱つておりまする経理のいろいろな内面的な処理の問題が、ここに問題になつてくるであろうと思うのでありまするが、さらにその鉄道会計の外に、鉄道会計であるベきはずの性質のものが、そのまま現存しておる。しかもそれは相当の收益を上げながら、鉄道会計外にそれが置かれておるという事実を思いまするならば、まだまだ経理上の面の、相当徹底した檢討が要請されておるのではないか、すでに運賃等につきましては、相当高額に相なつておりまする今日、かなり國民は交通上の迷惑を、そういう関係でこうむつておるのでありまするが、しかしながら、それにもかかわらず、なおかつ國鉄の経理面に対する徹底した檢討がなされておるように見受けられないのであります。このことについて、これは運輸省のことになりまするが、さいわいここに運輸大臣がお見えになりますので、大臣の所見並びに今日までの鉄道の経理面に対する御詮索が、どのようになされたのであるか。その詮索の後、いわゆる独立採算制に環るためのやむを得ざる方法として、利用者負担を取上げざるを得なかつたという結論が出てまいりますならば、またわれわれの考えもおのずから別でありますけれども、その間の御努力の跡が見えないならば、これは御当局の怠慢であると言わざるを得ないのでありまして、そのことについての御苦心の眞相を、この場合お示し願いたいと思うのであります。
  80. 北村徳太郎

    北村國務大臣 國鉄の現状につきましては、さきに國鉄経済白書を出しまして、大体眞相をすつかりこれに盛つておるのでございます。そういう状況でございまして、経理のことに関しても、これは詳細にのせておりますので、多分御覧を願つたことと思うのでありまするが、ただいまお話の、國鉄の会計以外の収入云云ということは、これは私どうも少し理解がしにくいのでありまして、もう少し具体的にどういうことであるか、伺いたいのであります。
  81. 中原健次

    ○中原委員 それは戰爭中に非常に活発に活動したのでありまするが、交通公社という機関があるのであります。この交通公社をわざわざ今日なお在続しておいでになるのであります。しかも交通公社の取扱いまする仕事ぶりは、なるベく手数のかからない高額の旅券を取扱つて、そうして労少くして多数の利益をあげておるという関係になつておると思うのであります。この交通公社がそのまま在続しなければならない理由が一体どこにあるのか、私どもはいささかこれを疑問に思つておるのであります。  さらにもう一つは、鉄道弘済会のことでありまするが、鉄道弘済会は、國鉄関係のあらゆる必需諸物資を取扱うておるようでありますが、これらにいたしましても、かなり大きな収入が当然上つておることと考える次第であります。これら弘済会に対しても何らの御疑念も、あるいは御研究の対象としても、お考えになつておらないように思うのでありまするが、これらの点に対して、一体どういう御見解をおもちなのでありましようか、それを承りたいと思うのであります。
  82. 加賀山之雄

    ○加賀山政府委員 ただいま御発言がございました交通公社と弘済会の問題に関しまして、簡単に実情をお答えいたしたいと思います。  交通公社は戰時中と申しますよりは、むしろそれ以前よりございまして、名前はジヤパン・ツーリスト・ビユーロー、こういうふうに申しておつたのでありますが、旅行の斡旋、案内をする事業で、そういう所なんでございます。旅行の案内、斡旋をするにつきまして、最も必要な切符の代賣も、案内斡旋に併せましてこれにやらせておる。そういうような現状でございまして、案内を伴う、あるいは斡旋を伴うというような切符を扱わせておるような次第であります。そうして役所として手の届かないところをやらせておるというのが現状でございます。ここに約三千人ばかりの從事員を擁しておりますが、このほとんど大部分が切符の代賣に当つておるわけでありまして、その切符の代賣をいたすにあたりまして、省といたしましては手数料を拂つているというのが現状であります。從いましてこれを省で直営したらどうかというような——直接そういうような御発言ではございませぬが、そういうような意味で言われたと思うのでございますが、そういたしますれば、やはり省といたしましても、相当の人数を増員いたさなければ、現在の公社のやつておりますところの切符を、全部省でやるということはできない実情でございます。  次に弘済会でございますが、これは本來は鉄道の仕事にあたりまして公傷を受け、あるいは殉職をした、あるいはほとんど一生を鉄道に捧げまして退職をいたしました職員のために、財團法人として老後を見てやる。あるいは遺族のめんどうを見るという趣旨のもとに設立せられたものでございまして、かたがた現在の從事員の福祉にも、できるだけ役立つことを使命といたした、いわゆる社会事業團体でございます。從いましてこの社会事業を営みますためには、相当の資金を要するのでございます。それにはちようど一番多いのは鉄道の賣店でございますが、そういつた仕事、その他最も適当とする仕事を、退職者等を使用しつつやらせまして、かたがたそういう者、その他遺族とか、あるいは老後を送るに、ほかに生活の途のないという人の救済に充てている機関なのでございます。從いましてやはり省で行つておりまするところの荷物の一時預りというような仕事も、一部分分担をさせておりまして、その荷物の一時預り等にいたしましても、もとは省の職員をもつてつておりましたのでありますが、弘済会にこの仕事を引継ぎますと同時に、省の定員を落し、弘済会としては、それほどの能力がなくとも、あるいは年をとつた人でもできるというような状態でございます。この方がむしろ合理的な、いわゆる経営合理化の一端でもあろうかというように、私どもといたしましては考えておる次第でございます。
  83. 中原健次

    ○中原委員 弘済会のことにつきまして、扱わすことによつて退職職員の老後を保障する、もちろんその趣旨に対して異議をもちません。私ども結構だと思いまするが、しかし退職職員の老後を保護するための方法は、別個にまた考えられてもいいのではないか。しかも弘済会それ自身の中に、しからば退職職員がどれだけ包容されておるかという問題にもなつてくると思います。さらに弘済会が営んでおるところのいろいろな事業は、鉄道それ自身がその現場の中において取上げていくこともまた一つ方法なのであります。それが必ずしもその仕事を不円滑にするという筋合のものではないと私は理解するのであります。特に退職後の問題については、これはあくまで切離して考えられていいのではないかと思うのでありまして、弘済会それ自身についてのつつこんだ問題を、今ここで私は申し上げることを、実はいろいろな関係から遠虜をしたいのでありますが、実際はこの弘済会それ自身の内容を、もう少しつつこんで解剖いたしますると、問題がおのずから明瞭になると思うのであります。しかしそれは一應きようの主題と、必ずしも直接的な問題でありませんから、機会を別に譲ることにいたしまして、とりあえず当局はこの問題を、ただいまの御答弁のような角度から不問に附する態度をやめて、弘済会に対し再檢討の努力を続けられたい。  さらに交通公社の問題も同様でありまして、交通公社の今日の経営のいろいろな内容につきましても、もつと研究する余地があるのではないか。殊にその業務たるや、鉄道が直接それを取扱うことになんら支障はない。もし必要ならばそのために人員を殖やしても、別にそれは差支えない。交通公社それ自身のあげておりまする利潤の終局的な行き場所が、結局國鉄自身に還元してまいりますれば、それだけ余裕があるということは当然でありまして、これをわざわざ他に移管して、そのままにしておく必要はないというふうに、私は理解いたしておるものであります。これら二点につきましては問題を後日に延ばしまして、一層の熱意あり御研究を要請いたしておきます。  さらに鉄道運賃並びに郵便料金値上げに関しまして、先ほど大藏当局の御答弁の中で伺いますように、いわゆるインフレーションの助長になることのないようにしたいという意味で、最小限度の値上げをしたのである、かように承りましたが、しかしはたしてそうであろうか。この運賃値上げに伴いまして、インフレーションの高進をさらに刺戟することがないのであろうか。これは実際はそうでない。確かに刺戟するということが言えるのでありまして、この運賃値上げがおそらくただちに物價体系の基礎をゆさぶるようになつてまいることは議論の余地がないのであります。そうであるならば今回のこの取計らいは、一面やはり依然としてインフレーション助長の政策が、ここに織こまれておるということを私どもは指摘せざるを得ぬのでありまして、もしそうなら、それは政府の表面主張しておいでになるインフレ阻止という問題と、確かに正面衝突をするというふうに考えられるのであります。しかるにそういうような観点から、インフレーションの高進に刺戟を與えない限度においてという御答弁でございましたが、それをもう少し具体的に御説明を求めて、私の判断に資したいと思うのであります。
  84. 三木武夫

    ○三木國務大臣 通信特別会計の点について申し上げたいと思うのでありますが、御承知のように、現在の通信料金は、賃金のベースにおきましては千二百円のベースの上に立ち、また物件費の点におきましては、一昨年の九月の物價を基準にいたしてできておるわけであります。從つて新給與水準がどうきまるかしりませんが、かりに二千四百円程度にきまりますならば、賃金のベースにおいては実にその半額のベースの上に立つておる。もた物件費の上から言つても、一昨年の九月に比較いたしますならば、昨年の物價改訂によつて相当の値上げをしておる。しかるに昨年の新物價改訂の場合においても、ふつうから申せば通信料金のごときは値上げをすべきものであつたのであります。しかし諸般の事情を勘案いたしまして、新物價改訂をいたす場合にも、通信料金はこれを値上げせずに今日までまいつたのでありまして、ふつうから申して、独立採算制という見地から、利用者に対してある程度の負程を願うという見地からすれば、あるいは通信料金のごときも、三倍程度値上げを必要とするような事態になつておるのであります。もちろん料金値上げにいくまでの間には積極的な増收策を講じ、消極的には経営の合理化等によつて経費節約をして、最後の手段として料金値上げに行かなければならないということは、公企業として國民に対する責任を果す上からいつて当然のことだと考えますが、そういたしましても、今申すように賃金ベースも、物價のベースも、全然違つてきた今日、この通信料金でまいりまして、このような非常な犠牲を拂つて利用者にサービスをいたしますことは、財政状態からもできない、ふつうから言えば、三倍程度値上げをしなけれずならないような事態であるけれども、それを二倍程度に止めて、インフレ等に與える影響をできるだけ小さくその波紋を押えていこう、こういう努力が今回御審議を願つておるように、郵便料金のごときも、新物價改訂の場合にも値上げをしてない郵便料金を、あえて二倍程度値上げを止めましたゆえんも、國民経済に與える影響を考えましてその程度に止めた。この点は十分御了承を願いたいと思う。
  85. 中原健次

    ○中原委員 通信料金のことについてのお答えを伺いましたが、鉄道の方はまだ伺つておりません。なるほどそういうふうな数字的な見方もできると思いますが、しかし政府は國の経済再建ということを目指して進んでおいでになる。そうして國家の経済力の回復をはかろうとしておいでになるのでありますが、その一番基本的な問題はまずインフレーシヨンを阻止するという努力にあると思うのであります。インフレーシヨンを阻止するために懸命の努力をいたすということが、まず最初に必要であつて物價の高騰、インフレーシヨン高進にみすから乘りかかつていくという態度は、決して政府の取るべき事柄ではないと私は理解するのであります。從いまして現在当面抱えておりまする主題は、何といたしましてもインフレーシヨンを阻止するということのために最善を盡さなければならぬのであります。そうであれば、そのインフレーシヨン阻止のために最善を盡すためのもろもろの努力が、政府をあげて集中されていかなければならぬと思いますし、それだけの努力が拂われてこそ、初めて今日の経済危機の突破ないしは経済の再建への構想が、適切なものであるということに相なたてまいると私は考えるのであります。しかし今この追加予算を通しまして、それ以上話を進めることはいささか御迷惑と考えまするから差控えますが、從つてそういう観点から考えますれば、通信料金値上げのことが妥当なりということを公然御発言になるということも、その熱意のほどを私は疑うものであります。いわんや鉄道の旅客の運賃の問題に関しましては、その比率の点では必ずしもそうじやなくて、相当思い切つた値上げになつておると考えるのでありますが、この両者の値上げということに関連いたしまして、どうしても一般の刺戟というものは非常に強烈なものがあるわけであります。政府でお考えになられますような、そういうやうなまやさしいものではないのであつて、運賃が上ればただちに物價に響いてくるということは爭うことのできない現実であります。それに対する心づかいというものは、相当敏感に用いられなければならぬと思うのでありますが、遺憾ながら政府のお取扱いのなされ方は、むしろかえつてインフレーシヨン阻止の言葉において、インフレーシヨンを助長するという、いわゆる從來までの金融資本本位の政策が、依然としてここに取上げられておるとしか考えられないのであります。もてる階級にとつてはあるいは好都合のことかもしれませんが、一般の働く階級にとりましては、これほど迷惑千万なことはないのであります。もとより今日の政府に私がこれ以上のことを申し上げましても意味をなさぬと思いますが、しかしながらこの点は一應明らかにいたしておきたいと考えるのであります。さらの先の二回にわたる二箇月分の補給金の場合にも申し上げたことでありますが、官公廳の職員諸君が補給金を必要といたしましたのは、生活の赤字を埋めなければならぬ事情からでありまして、決してゆとりのある生活、贅沢な生活をするために、この補給金が要求されたのではなかつたのであります。從いましてこの補給金をまるまる受取りましても、なおかつ余る生活がなし得るのではなくて、最低限度の生活の、ぎりぎりのところへもようやくという限度にすぎないのであります。むしろこれをもつてもなおかつ足らないのであります。しかるに先日國鉄の労組の代表者諸君の陳情によりますと、補給金にさらに加えて二月分の先渡をいただかなければ、われわれは今日の生活の危機が乘越えられないということを陳情しておいでになりましたが、もつとものことであると私どもは考えるのであります。われわれ自身の生活を顧みて思いましても、これはあまりにも当然のことでありまして、決して甘えて見過ぎておるのではないのであります。しかるにそのような意味において補給されるはずの補給金に対して、依然として所得税が徴收されていく。政府がお出しになられました財源の明細書の中にも、何の臆面もなく所得税のはねかえりとここに書いてある。五億四千三百万円という数字が、今回の〇・八箇月分に対してさえ出てまいるのであります。もちろんこれは正直にこれをうたつたのだから結構でありますが、その所得税のはねかえりをみずからとがめることなく発表されるようなそういう常識が、私は納得できないのであります。この補給金の性質が、ようやく赤字のある部分を補填するにしか過ぎないという限度のものであるということを考えるならば、政府はさらのもう一つ心をそこに用いられて、こういう特別な給與に対しては、所得税に対する徴收に心を傾けられて、この徴收が無理であるということをお氣づきにならないのであるか、私はこの点についての大藏大臣の御心境が伺いたいと思うのであります。
  86. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 今るるお説を拜聽したのであります。一部はごもつともと思うところもございます。一部についてはいささか説明さしていただきたいと思うところがございます。政府といたしましては均衡のとれた予算を編み得ないということになりますと、いずれ日本銀行の兌換券が増発されるのであります。インフレーシヨンはさらに激化するのであります。そこで先ほど申し上げますように、相当部分は一般收入でもつて二・八箇月分のものを賄つたのであります。一部は利用者のもので賄うということも当然じやないかと思うのであります。これがもしその点を引上げて、サイコロジカルに影響を與えるというお話でありますならば、それはもしやらないということになりますと、赤字で日本銀行から賄うという以外には方法がないのであります。それは單に〇・八箇月分をお拂いするという点だけでなしに、この一月から三月にわたりましては、さらに官公吏の俸給の一部の調整をするために、目下委員会もありまして、それの財源をも考えておる次第であります。そういうような点を考えますと、これは心理的のみならず、実体的にインフレーシヨンをさらに進めることにあるのであります。両々相見合つて考えておるような次第でございます。その辺の御了承を願いたいと思います。  それから官公吏の俸給その他が、昨今の物價と比較して非常に生活が苦しい。こういう点におきましてはまつたく中原委員お話と私は同感に思うのであります。それを今度はどうして賄つていくかということになつていきますと、税その他を、官公吏の方にも民間と同じように負担してもらわなければならぬ。これは租税完納等につきまして、目下やはりインフレーシヨン防止、この危機を克服するには最も大事な点であります。すでに各位の御賛成を得て、この決議もできますし、本日はその納税完遂の運動本部も出発をいたしたような次第でございます。そういうわけでありまして、本年度におきましてはぜひ納税もいたしていただかなければならぬし、國民の一人としてお願いする次第であります。なお二十三年度につきましては、これは本予算を現内閣が編む立場にありますし、諸般の事情を考えまして、この税の軽減その他については、收支その他の許す限りにおいて、これの実現をいたしたいと考えているような次第でございます。
  87. 鈴木茂三郎

    鈴木委員長 きようはこれで散会したいと思います。引続き月曜日の午前十時に開会いたします。なおほかに質疑の申込がたくさんございますから、月曜日引続き質疑を行います。この際私からも政府にお願いをしておきたいのですが、運賃あるいは通信料の値上げ以外に〇・八の財源はないのだ。非常に御苦労になつたこととは存じますが、できるだけそうかたくなに考えないで、あるいは一應提案したからというような面目にとらわれないで、もうほかに財源はないかということについても、できるだけひとつ御檢討をお願いしておきます。  それではきようはこれで散会いたします。     午後五時二分散会