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1948-07-04 第2回国会 衆議院 本会議 第78号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年七月四日(日曜日)     午後三時五十八分開議     —————————————  議事日程 第七十四号   昭和二十三年七月四日(日曜日)     午後一時開議  第一 食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出参議院回付)  第二 理容師法の一部を改正する法律案(本院提出参議院回付)  第三 裁判官彈劾法の一部を改正する法律案議院運営委員長提出)  第四 國会職員法の一部を改正する法律案議院運営委員長提出)  第五 國会議員歳費旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案議院運営委員長提出)  第六 食糧確保臨時措置法案内閣提出)  第七 大藏省預金部特別会計昭和二十三年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  第八 簡易生命保險事業における戰爭危險に因る死亡に基く保險金支拂による損失の補てんに関する法律案内閣提出)  第九 物資割当に関する手数料等徴收に関する法律案内閣提出)  第十 昭和二十三年六月以降の政府職員俸給等に関する法律案内閣提出)  第十一 金融機関再建整備法の一部を改正する法律案内閣提出)  第十二 割増金附貯蓄の取扱に関する法律案内閣提出)  第十三 当せん金附証票法案内閣提出)  第十四 外國貿易特別円資金特別会計法案内閣提出)  第十五 昭和二十一年度第一予備金支出計算書      昭和二十一年度特別会計第一予備金支出計算書      昭和二十一年度特別会計予備費支出計算書      昭和二十一年度経済安定費支出総調書      承諾を求める件     —————————————   請願  第一乃至第七九 塩竈港修築の請願(第一二三二号)外七十八請願     —————————————
  2. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 去る六月二十九日本院において議決した震災救援に関する決議による政府措置について報告のため、内閣総理大臣より発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣芦田均君。     〔國務大臣芦田均登壇
  4. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 最近北陸方面に起りました大震災につきましては、過般とりあえず第一報を報告いたしておきましたが、その後の調査をとりまとめて、震災報告と、これに対して政府のとりました緊急措置とを報告いたします。  災害の最も激しかつた福井市を中心とする周辺の地帶並びに石川縣大聖寺町中心とする附近一帶の地域の損害は、その後次第に判明したところによりますと、予想外にはなはだしいようであります。すなわち、倒壊家屋は約四万軒、死者三千六百余名、重軽傷者一万余名と推算せられます。政府は、これらの犠牲者に対し、厚き同情と深き哀悼の意を表するものであります。(拍手)  政府はこの際、関係各省を督励し、應急救助はもちろん、將來復旧のための諸般の救護に万遺憾なきを期しておる次第であります。すなわち、震災当夜係官を現地に派遣しましたことは、すでに御報告申した通りでありますが、その後緊急閣議を開いて救護の大綱を決定し、総理官邸中央災害救助対策協議会を開催して、次のごとき措置実施に移しました。  一、政府厚生次官中心とし、厚生大藏農林商工各省並びに建設院等特に災害救助及び復旧関係の深い官廳局課長を含む有力な災害救助及び復旧指導班を派遣し、現地において臨機の措置を講ぜしめることといたしました。その他厚生省より應急救助に必要な藥品、医療材料等現地に急送し、また農林商工、両省よりは、主要食糧及び副食物の大量放出並びに日用品衣料品放出行つたのであります。右のため一億円の予備費支出することにいたしました。  二、大藏省金融関係措置として、罹災者の第一封鎖預金につき、一世帶当り十万円までの自由支拂を認めました。  三、運輸、通信方面にも相当の被害がありましたが、これは両当局の晝夜兼行努力により、電信、電話、通信主要部分はほとんど復旧し、鉄道もまた近く回復する見透しがついております。その後七月二日に至り、福井縣において降雨のため、福井市内に浸水を夾し、また九頭龍川の氾濫のため堤防決壊のおそれがあると報ぜられましたので、同日午後一時半、中央災害対策協議会においては、建設院水政局長を速やかに現地に特派し、工事に必要な労務者については、地元縣のみならず、滋賀、岐阜両懸の協力を依頼し、また土工用器具を総動員してこれが防止に当ることを定めたのでありますが、その後の情報によりますと、水勢やや衰え、その危險も去つた様子でありまして、やや愁眉を開くことが出きました。  今般の震災は火災を伴つておりますために、罹災者の最も苦痛を感ずる点は、まず住宅の問題であります。両縣当局におきましても、近接町村の非罹災寺院等を開放して、罹災者を收容している模様でありますが、政府はとりあえず現在までの報告被害数字に基き、土建用として木材十万石及びこれに伴う副資材割当を決定し、そのうち、くぎその他はすでに現地発送済であります。なお右のほか、連合軍第八軍より木材十万石放出の申出があり、これに伴う副資材も相当放出される予定であります。しかしながら、右の資材をもつてしても、今次災害復旧には十分でありませんので、被害家屋の大部を本年中にとりあえず復旧するため必要の資材量を準備するとともに、その建設家屋の一部に対しては、從來の例に從い國庫補助を行う予定であり、なお建築法規関係においては、とりあえず告示をもつて、許可を必要としないことといたしました。道路橋梁につきましては、石川縣より福井市に通ずる國道は、震災により交通不能となりましたが、他府縣よりの應援工作隊の活躍によりまして、應急の修理を加え、九頭龍川の両岸までトラツクの交通が再開される状態となりました。なお、九頭龍川の架橋については相当の期間を要するものと思われます。  最後に、関係方面も今次震災に深き同情を寄せられ、現地における應急救護はもとより、罹災者に対し大量なララ物資放出せられました。また日本赤十字社を初め民間團体が献身的な援助に当つておられますことは、まことに感謝にたえぬところであります。  右、御報告申し上げます。(拍手)      ————◇—————
  5. 笹口晃

    笹口晃君 日程第一及び第二は後回しとされんことを望みます。
  6. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。     「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程第一及び第二は後回しといたします。      ————◇—————
  8. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 日程第三ないし第五は議院運営委員長提出の議案でありますから、いずれも委員会審査を省略して一括議題となすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。  日程第三、裁判官彈劾法の一部を改正する法律案日程第四、國会職員法の一部を改正する法律案日程第五、國会議員歳費旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案、右三案を一括し議題といたします。提出者趣旨弁明を許します。議院運営委員長淺沼稻次郎君。     —————————————     〔淺沼稻次郎登壇
  10. 淺沼稻次郎

    淺沼稻次郎君 ただいま議題となりました三法律案について、提案理由を御説明いたします。  三案は、ともに議院運営委員会において立案したものでありまして、第一に裁判官彈劾法は、御承知通り第一回國会において制定されたものであります。その施行後半歳となりますが、同法運用の実際の面において多少の改正を要すべきものがあると認められますところから、議院運営委員会において、この改正案を提出することとした次第であります。  今、その改正の要旨を御説明申し上げますれば、まず第一点は、彈劾裁判所及び訴追委員会は、いずれも独立してその職権を行うものでありますが、國会内に設けられた機関であります関係上、一般議院運営と調節をはかる要がありますので、その予算及び人事の面において、事務局及び法制局と同様に、両議院議長議院運営委員会が関與することを明定し、また裁判員及び訴追委員國会開会議院外に派遣される場合に限り、常任委員会と同様に議長承認を要することと定めました。  第二点として、訴追委員会活動の適正を期するため、最高裁判所長官以下裁判所の長が部下裁判官に罷免の事由があると認めた場合、訴追委員会に対し訴追請求または通知をする義務があることを定め、その反面、これらの訴追請求があつた場合、訴追委員は必ずその事由調査しなければならないものとし、さらに訴追委員衆議院議員としての任期の満了または衆議院の解散により在任していない場合の訴追機能の欠陥を補足するため、訴追期間が三年に限定されているのを、かかる場合にこれを延長できる特例を設けたのであります。  第三点は、かようにして彈劾裁判所または訴追委員会活動活発化が期待されます関係上、現在彈劾裁判所及び訴追委員会議員がわずかに二名でありますのを四名に拡充し、これと併せて、その機構をして事務局の形態をとらせることといたしました。  第四点としては、彈刻訴追の事柄の重大性に鑑み、虚偽申告の罪について刑を減軽または免除する條件として、從來の自白につき、それが犯罪発覚前のものに限ることといたしたのであります。  次に、國会職員法は、御承知通り國会職員任用資格、分限、服務、給與懲戒等について規定しているものでありますが、國立國会図書館新設及び先般本院を通過した國会法改正に伴う議院法制局新設によりまして、その職員の種類が増加したため、当然に必要となつ改正を加えたのであります。なお常任委員会專門員は、從來自由任用で、その採用資格には何ら制限がなかつたのでありましたが、今後は國立國会図書館專門調査員と同様の資格を有するものに限ることといたしました。  條文改正は十六條に及んでおりますが、その内容の詳細は條文をごらん願うこととし、大体の主旨は、以上申し述べた通りであります。  次に、國会議員歳費旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案について御説明いたします。  國会議員歳費は、昨年十二月、現行のものに改められたものでありますが、國会法第三十五條によれば、一般官吏最高給料額より少くないことになつておりますため、各省次官等と比較して法律に適うように特別手当支給に関する法律による手当をもつてつり合をとつてまいりましたが、今回内閣総理大臣等俸給も決定され、一般官吏給料も、これにより推定されるに至りましたから、この改正案を提出した次第であります。  その金額は、議長内閣総理大臣及び最高裁判所長官同額の二万五千円、副議長國務大臣同額の二万円、議員は一万八千円、これは一般高等裁判所長官、宮内府長官同額であります。なお通信費は、郵便料金が値上げとなりましたので、月千円といたしました。また、議員秘書は現在二千三百円でありますが、これは千八百円べース時代給料でありますから、これを今後の三千七百円ベースに改めて、月額五千円といたしました。しかして、議員歳費は本年一月にさかのぼりますが、秘書給料は三千七百円べース計算でありますから三月分から、通信費は六月分からこれを適用することといたしました。  この案は、議院運営委員会において、参議院側とも会議して愼重に檢討したものであります。何とぞ御賛成あらんことを希望して、以上三案の説明を終ります。  なお、今会期も余すところいよいよ今明日と相なりましたので、この機会に私は、第二國会中における議院運営委員会審査または調査概要をとりまとめて、簡單に御報告申し上げます。  本委員会は、今日まで会議を開くこと六十七回に及んでおります。その間、各委員諸君の熱意と努力によりまして、議院運用上の各般の諸問題について、あるいは法律を立案し、あるいは議長諮問に答え、あるいは必要な調査研究をいたしてまいつたのでありますが、そのおもなるものを申し上げますと、本委員会において立案提出いたしました法律は、國会法の一部改正法律案議院事務局法の一部改正法律案議院法制局法案と、ただいま御説明申し上げました裁判官彈劾法の一部改正法律案議院歳費旅費及び手当及び國会職員法の一部を改正する法律案等でありまして、いずれも議院運営上基本法規でありますが、特に國会法改正は、今日までの議院運営の貴重な経驗を活かし、また歳費に関する法律については、議員の待遇の改善に資すべく特に努力を注ぎました。また同様に本委員会審議いたしました規定は、國会職員俸給等に関する規程を初め数件であります。  その他議長諮問に應じ、あるいは委員会において審議研究した案件のおもなものは、決議案取扱いに関するもの六件、所管を定めがたい法案を付託すべき委員会に関するもの二十九件、参議院回付案取扱いに関するもの八件、各常任委員会國政調査承認に関するもの二十六件、委員の派遣に関するもの二十九件、公聽会開会承認に関するもの六件、予備金支出を初め衆議院予算に関するもの十件、その他会期延長の問題、内閣総理大臣の指名に関する問題、議員逮捕の許諾に関する問題、閉会中の委員会審査の問題、國会法第三十九條の承認に関する問題、議員の副利に関する問題、院内の秩序維持に関する問題等でありまして、それぞれ議院の円滑なる運営をはかるべく適切な結論を得ることに委員会としては努力をいたしてまいつた次第であります。  さらに一言申上げたいことは、各常任委員会國政調査の件につきまして、第一國会においては、ただ議長承認を求めて調査を行うのみで、その結果については、議員全体には遺憾ながら知らせることがほとんどなかつたのでありますが、國政調査は新憲法が新たに各議院に附與した重大な権能であります点にも鑑みまして、各常任委員会國政調査の結果の報告は、その常任委員会調査を権威あらしめるのみでなく、さらに全議員の参考となることがきわめて多いと考えられましたので、第二國会からは、本委員会國政調査承認するにあたつて、今会期中において國政調査承認を得たもの及び將來承認を受けんとするものについては、必ず調査の結果に関する報告書議長に提出されるよう答申いたしたのでありまして、いずれ今会期中における各委員会の貴重な調査の結果についての報告書が提出され、各位のもとに配付されることと思うのでありまして、これがために全議員が便利するところ、また多大なものがあらうと存ずるのであります。  最後に特に一言申し添えておきたいことは、議会閉会中の委員会審査並びに調査に関する問題でありますが、この問題は関係するところが重大でありますので、目下当委員会において愼重討議研究中でありますが、本日ただいままでには結論に到達いたしませんでした。いずれ各委員長の御意見をも十分に参酌いたしまして、結論を得次第に明日各位の御審議を願うことになると思うのであります。  以上をもちまして本委員会報告を終る次第であります。(拍手
  11. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 三案を一括して採決いたします。三案は可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて三案は可快いたしました。      ————◇—————
  13. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 日程第六、食糧確保臨時措置法案議題といたします。委員長報告を求めます、農林委員長井上良次君。     —————————————     〔井上良次登壇
  14. 井上良次

    井上良次君 ただいま議題となりました、内閣提出農林委員会付託にかかりまする食糧確保臨時措置法案に関しまして、委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告いたします。  すでに御承知のごとく、本法律案はわが國農業中心たる主要食糧生産供出を目的とする重要法律案でありますので、昨年第一國会に、本法律案臨時農業生産調整法案として提出せられ、九月以降農林委員会及び本会議議題となりましたが、各派の態度はおおむね反対でありまして、遂に審議未了終つた経緯に鑑みまして、その後國会並びに民間團体意見を參酌し、屡次大幅の修正を施して、再び提出せられたものでございます。第一回國会以來原案修正の過程並びに本法律案内容につきましては、時間の関係上詳論を避けまして、大体の骨子とするところを御説明いたします。  まず第一点は、從來政府が行つてまいりました食糧確保方法といたしましては、いきなり出來秋の收穫を押えるというやり方でございましたが、本法案によりまして、農業生産割当を行いますると同時に、事前供出割当をも行い、これらの弊害を是正しようというのでありまして、すなわち、あらかじめ包括的な農業計画を策定いたしまして、米、麦、芋、雜穀等の生産数量供出数量を割り当てて、生産者供出生産との責任の限界を明白にし、一方では、裏づけ物資たる肥料、農薬及び農機具等割当をも計画的に行い、事前割当数量以上には絶対に追加供出を行わないことにしたのであります。次に第二点は、その勘当の方法でありますが、まず農林大臣は、中央農業調整審議会及び都道府縣知事意見を聽いて、都道縣ごと農業計画を定め、これを知事指示いたします。知事は、その指示に從いまして、市町村別農業計画を定め、これを市町村長指示し、市町村長はさらにその指示に從い、農家別農業計画を定めて農家指示いたします。しかして、知事市町村長指示いたします場合には、あらかじめ都道縣農業調整委員会議決を経ることが必要であり、市町村長農家指示いたします場合には、あらかじめ市町村農業調整委員会議決を経なければならないのであります。農家別農業計画に対しましては、これを公表し、十日間の異議申立期間を與えたのであります。次に第三点は、肥料等生産資材割当は、生産の諸計画と直結して行われます。但し、災害その他やむを得ない理由計画生産の不可能な場合には、農家市長村長に対しまして供出数量の変更を請求することができるのであります。  次に第四点は、知事都道縣農業調整委員会承認を経て不急作物作付制限することができるのであります。  次に第五点は、市町村及び都道縣農業調整委員会委員農民の間から互選し、他に若干名の中立委員を選任することができるのであります。次に第六点は、不急作物作付制限に違反した者は二万円以下の罰金、また市町村生産者共同活動を障害する者は五千円以下の罰金に処せられるのであります。  次に第七点といたしまして、本法の有效期限は大体三年ということにせられているのであります。以上、本法律案の要点のみを御紹介申し上げたのでございますが、農林委員会における委員諸氏の主張を要約いたしますると、およそ次の通りでございます。すなわち、そもそも食糧の絶対量が不足し、連合軍より年々多量の放出を受けておりまする現状に鑑みまするならば、供出方法欠陷農村民主化を阻害し、また生産面に悪影響を與えない限度におきましては、民族の最低限度の生存を保障しまするために、國として合理的に期待し得る最大限度食糧は、これを絶対に確保せねばなりません。しかしながら、本法による農業計画農民に課しまする責任は、まことに重大なものがありまして、農民は異常なる決意と犠牲とを一面において要求せられますることは否定し得ないのであります。從いまして、かかる義務の遂行をよりよく果しまするためには、農業経営合理性を高めるという意味合におきまして、本法により農民に與えられますところの権利の内容を一層明確にする必要があるというのであります。  本法律案は、六月十日農林委員会付託となり、六月十六日政府委員より提案理由説明を聽取しましたる後、爾來六回に及びまして政府委員との間に白熱的論議が交され、七月二日質疑を終了し、同三日これを討論に付することにいたしたのであります。  討論に入るに先だちまして、與党三派並びに國民党準備会を代表いたしまして、民主党小林委員より修正案が提出せられましたので、修正案並び修正部分を除いた原案議題として討論にはいつたのであります。  まず修正案を朗読いたします。  第二條第二項中「生産数量」の下に「生産者保有数量」を、「供出数量」の下に「(代替供出範囲及び比率を含む)」を、「農機具」の下に「等」を加える。  第三條第一項中「意見を聽いて」を「意見に基き」に改める。  同條第二項の次に次の一項を加える。「政府主要食糧農産物生産を確保するため必要なる資金の融通につき、計画を定め、その実施に関して必要な措置を講ずる」  第七條第五項中「農機具」を「農機具等」と改め、「命令に基き」の下に「時期を失しないで」を加える。  第八條第四項に次の但書を加える。「但し、第五項において準用する第六條第二項の規定による決定があるまでは、食糧緊急措置令昭和二十一年勅令第八十六号)第一條の規定による收用は、これを行わない」  第九條中「農機具」を「農機具等」と改める。  第二十九條を次の如く改める。  「第十條」の上に「第三條第四項の指示又は」を加える。  以上の修正案並び修正部分を除いた原案に対しまして、まず民主自由党を代表して岩本委員より、修正案及び原案をもつてしては、一、割当量不適当なる場合の異議申立條項が弱い、二、農産物價格決定権に関する條項がない、三、裏づけ物資の供給が確保されない、四、依然食管法食糧緊急措置令に縛られていることなどの理由より、國民食生活の安定、農業生産の増大には役立たぬものと認め、本案反対する旨の意見が表明せられました。  次に社会党成瀬委員より、精農、貧農の永年の希望に應じたものであるから、速やかに成立することを望み、本案に対して賛成意見が開陳され、次に日本農民党北委員より、本案が一、増産に障害があること、二、價格に関する規定がないこと、三、農業商工業犠牲とするものであること等の理由により、反対意見が述べられました。  次に民主党寺島委員より、一、日本農業國際的関係將來農業恐慌に関連して、日本農業経済骨格大系の構想を速やかに樹立すること、二、價格問題を速やかに解決すること、三、食管法改正して農村工業の振興をはかること、四、事前割当が過酷にならぬよう法の運営に万全を期すこと、五、審議会並びに各級委員会が眞に眞面目な農民代表機関となるよう注意すること、六、農業生産資材生産配給輸送に関し、政府は十分なる責任をもつて対処すること、七、営農資金割当について十分顧慮すること、以上各項の條件を附して本案に賛成する旨意見の開陳を見ました。  次に社会革新党工委員より、本法案農民の地位を改善するものであるが、なお幾多の点で不備欠陷があるから反対せざるを得ないとの意見が述べられ、次に國民協同党的場委員より、一、本案食管法よりの圧迫を緩和したこと、二、農家保有数量に関する規定挿入により、農民生活がある程度保障されたこと、三、代替供出範囲及び比率を明確にすることにより適地適作を可能ならしめること、四、資材割当が時期を失しないように行われることが規定されていること、五、資金関係規定がはいつたこと、六、資材生産配給輸送業者に対する罰則がはいつたこと、以上の諸点はいずれも歓迎すべきものであつて本案に賛成する旨の意見表明がございました。  最後に、第一議員倶樂部を代表しまして森山委員より賛成意見が開陳されたのでございます。以上をももまして討論を終局し、ただあに採決に入りましたところ、修正案並び修正部分を除いた原案は、いずれも多数をもつて可決するに至つたのであります。  なお國民協同党的場委員より、本法案農産物價格に関する規定を含まぬことは、まことに遺憾とするところであるので、本法案が提出されましたる機会に、政府は主要農産物價格の決定措置に関し國会の意思を尊重するよう次期國会において関連法規を改廃するよう、院議をもつて決議されるよう決議案提案したい旨の動議が提出せられ、委員長よりこれを諮つて、多数の賛成を得た次第であります。  以上をもつて報告を終ります。
  15. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 討論の通告があります。順次これを許します。重富卓君。     〔重富卓君登壇
  16. 重富卓

    ○重富卓君 私は、民主自由党を代表し、食糧確保臨時措置法案が國民の食生活安定に少しも役立たぬばかりか、逆に農業者の生産意欲を弱め、ますます國民の食生活を不安ならしむるものであるというゆえんを明らかにし、本案に対し反対意見を表明せんとするものであります。(拍手與党三派の諸君が最も良心的に加えられた修正さえ本案の欠点を補い得ず、かえつて本案のもつ欺瞞性を高むる結果となつたことは、大変お氣の毒に思います。  申すまでもなく、食生活の安定は増産と出荷意欲を高むることによつてのみ得られるのであります。その増産並びに出荷意欲は、第一に生産條件をよくし、第二に取引條件をよくすることによつて得られますることは、御承知通りであります。しかるに本案は、第一の生産條件の改善という点についてはきわめて消極的であり、第二の取引條件の改善ということについては、買受側に立つ政府の都合のみを考え、相手方である農業者の立場は全然考えず、かえつて逆にこれに権力と威圧をもつて臨んでおるのであります。(拍手)  從つて本案が成立し、実施されるに至りました曉は、生産意欲は弱まり、出荷はますます不円滑となり、國民の食生活はかえつて今日よりも不安定なものとなるでありましよう。(拍手)  すなわち、生産條件につき本案はこれをいかように取扱つておるかと申しますと、本案が直接問題にしておりまます肥料、農具、農藥等の生産配給については、きわめて本案は消極的であります。すなわち、「確保するために必要な事項を指示することができる。」とあつて、「指示する」とか、「しなければならぬ」とかいう積極性は少しもないのであります。食糧供出は「指示する」または「指示しなければならぬ」と義務づけておりまするが、生産資材に関しては選択的にいたしておるのであります。  元來、肥料、農具、農藥等生産資材の量と農産物の生産量は、他の條件が同一であれば必ず正比例するものでありますから、生産量が決定的な命令をもつてなされる限り、その生産に用いられる材料の供給もまた決定的な命令でもつてなされなければならないのであります。(拍手)しかるに本案によれば、資材に関する命令は選択的であり、生産量に対する命令は非選択的であります。政府は明らかに、みずからの責任となることは逃れ、農民責任はあくまで追求していこうというやり方であります。  このようなことは、本案の至るところにあるのであります。たとえば、農民の責に帰する生産減のときは肥料配給しないとか、取上げるとかいうことは明記しておりまするが、肥料や農藥を配給し得なかつたとき、政府はいかなる責任をとるか、また生産高の減少を認めるかということにつきましては、何らの明記もないのであります。また質疑應答中にも、それに関する答えは、そのようなことのないように努力するとか、そのときに善処するとか、まことに誠意のない、紋切型のものであつたのであります。あまり重ねて質しますと、そのようなことを一つ一つ明文で表わすことは不可能だから行政措置でいたしますというがごとき返答であつたのであります。要するに、生産資材農民への供給については、本案はきわめて消極的であります。  それでは次に、第二の條件、すなわち取引條件の改善ということについて、本案はいかようにこれを取扱つておるかと申しますと、まつたくの天降り式で強圧的で、農業者の立場は少しも考えず、政府側の便利のみを考えておるのであります。  そのおもな例をあげてみますと、まず第一に供出量の決定であります。原案では、政府知事や中央審査会の意見を聽くだけで、その意見を採用するしないは大臣の自由であり、審査会には何らの権威ももたせないのであります。大臣の独裁であります。不都合な大臣が出たときには何ともならない状態であります。從つて與党の諸君は、それはいけないというので、「聽き」とあるのを「基き」と修正されたのであります。まことに結構な修正でありますが、しかしながら、審議会の組織及びその権限を修正しなかつたために、この結構な修正も、農民をだますによい材料を官僚に與えただけにすぎないのであります。(拍手)すなわち審議会の正体は、大臣がその責任を轉嫁する対象物以外の何物でもないのであります。  参考資料として配付されました中央農業調整審議会官制要綱案を見ますると、委員はすべて政府の任命するところであり、人選は農林大臣がやるのであつて、戰時中の專制政治の姿そのままであります。しかも、この審議会の会長は農林大臣でありますので、農林大臣農林大臣諮問したり、農林大臣農林大臣と監督したりするというやり方で、まつたく何のことかわからないのであります。このような点を改めず、「聽く」を「基き」と改めてみたところで何にもならなことは、皆様のおわかりのことと思います。  かような次第でありますので、割当量の決定は農林大臣の意のままであり、それは絶対的なものであります。その專制政治をこの際本議場において法制化しようというのであります。封建政治を打破し、民主國家を建設していこうとする本國会において、與党の諸君がこれに賛成されんとするのは、私ども、どうしても了解に苦しむものであります。(拍手)  一事が万事、割当に関しては、この法案はすべてこうした考えのもとにつくられております。縣以下の各委員会も割り当てられたその数字は過大であるとか過小であるとか批判し、修正することは、一切許されておりません。もし市町村委員会が、その市町村に計り当てた数字を否決したり修正いたしましたならば、本案第十七條第一項で、市町村長はこれを取消し、委員会などはこれを追求して、市町村長の一存でやつてのけることができるようになつており、委員会は、その割当が過大であろうとなかろうと、ただ各個人に割り当てる役割のみが課せられているだけであります。すなわち、過大割当を受けた縣の知事または村長が、縣民または村民から、割当が過大で、とてもやつていけないと非難されても、それに対しての答えは、それは自分の責任ではない、君らが選出した委員がやつたことだから、その責任委員にある、委員にあるということは君らにあると、うそぶいておればよいのであります。これが民主化というものだ、割当がいけないというなら、君らは第十五條を活用して委員をとりかえるがよいと言つて、ごまかしてしまうのであります。しかして、その間に強権発動だ、供米阻害だと農家を威し、農家を素裸にして供出させてしまう、それに法的根拠を與えようとするのが本案であります。  かく申しますならば、そのようなむちやなことをさせないために異議の申立ができるように、第六條でその途が開けてあることを、提案者側は説明されるのでありますが、この第六條は、およそナンセンスであります。山間僻地の寒村の一農民異議を容れてやろうといたしますならば、その村長は農林大臣承認まで得た上でないとできないのであります。かようなことが実際できるということは、まつたく夢の限りであります。また、農林大臣にその承認知事が求めに行つたといたしましても、その実情もわからない大臣に、何の判断ができるでありましようか。それを説明する知事でさえできるものではありません。ときによると、その村の村長でさえ説明するのに困る場合があるのであります。また、ただの一件や二件、その数量も三俵か五俵というものを一つ一つ取上げることも、実務上できないことはわかりきつた話であります。しかしその場合でも、その一農家に対しては致命的な場合があるのであります。しかるに、このような複雜な手続をとらねばならぬ第六條はまつたくの責任逃れのための條文であつて、羊頭を掲げて狗肉を賣るものであります。いかにも民主化されたかのごとく裝うための條文にすぎないのであります。  このほかにも、いくらでもこのような例は本案中にあるのであります。農家が最も関心をもち、もつと合理的にやつてほしいと毎年々々血の涙をもつて政府に陳情しておる米價についても、またしかりであります。本案食糧確保という銘を打つて提案される限りにおいては、当然に本案中にそれの決定に関する民主的な條文がなければならぬのであります。何といつても取引條件の最大し條件でありますこの條件が、農民の納得のいく方法で決定されさえすれば、あとの問題はいかようにでも解決するのであります。しかるに、それは食管法にあるからとて、その非民主的な戰時立法の遺物をもつてこれに臨んでおるのは、まつたく遺憾千万であります。  また、農家に対しては作付命令、作付禁止命令、財産の共用命令等を本案は出す法的根拠を與えるものでありまするが、そのために生ずる損害の補償には全然考えを及ぼしていないのであります。石炭や肥料の製造につきましては赤字補償をしながら、それにもまさる重要物資である米麦をつくるために、しかもそれを強要されたために、他の有利作物がつくれなくなるために家計が赤字になつても、政府はみずからの目的である食糧さえとれればそれでよい、一貧農の赤字など問題でないという態度をもつております。これは憲法第二十九條第三項違反であります。  要しまするに、取引條件の改善ということについては、政府側の有利なことのみ規定し、そのためには、すべて農民側には不利益になるように、本案はしておるのであります。しかも、憲法違反まで冒してやつておるのであります。本案が成立すれば今後は追加供出ということはなくなる、責任量をあらかじめ定めたから、その量以上をつくればつくり得るということになるから、農民のためになる法律であると、政府説明しておられますが、そのことには、大臣が決定する要求高とその割当が適正公平であるという前提が要るのであります。適正な量を定めるということが前提でありますが、昨年の三千五十五万石でも過重であつたために、五百万石の反還要求があり、百六十万石をしぶしぶながら政府は還しておる。本年は、その量にまた百五十万石増した三千二百万石が要求量で、過重であることは明らかであります。この行き方で最大限にまで供出をさせて、あとはとらないと第七條第四項で定めてみても、およそ意味はないのであります。また、あえて第四項に違反する行爲をしなくとも、大臣は農業計画を立てるとき、何人にも制約されずにその要求量を定め得るのであります。すなわち、そこにりつぱな抜け穴がつくつてあります。  要するに、本法案のほんとうのねらいは、農業者の経済約立場は全然考えておらず、作付命令と作付禁止命令であつて農民を奴隷化するところにあると申しても過言ではなく、悪法中の悪法と言わざるを得ないのであります。  以上、反対理由を述べ、討論を終ります。(拍手)     〔的場金右衞門君登壇
  17. 的場金右衞門

    ○的場金右衞門君 私はただいま上程されました食糧確保臨時措置法案委員長報告の一部修正に対し、與党を代表いたしまして賛成の意見を申し述べるものであります。(拍手)  今日まで農業者たちは、食糧管理法及び食糧緊急措置令によりまして統制せられ、圧迫を受けておるのであります。この食糧緊急措置令によつて非常なる苦しみを受けつつあるのでありますが、これを緩和するために、管理法なり、あるいは緊急措置令なりによつて被害を受けておる農業者たちを救うために、農民を擁護するために、この法案に賛成をするのであります。農業者たちの苦しみを知るものといたしましては、何とかしてこの苦しみから農民を救いたいと念願しておるものであります。(拍手)ゆえに、本法により、ある程度農民の受けつつあるこれらの苦しみを救い得るものと信じ、賛成するものであります。  その苦しみの一番大きなものは、供出割当が過大にして自家食糧も保有できず、家畜の飼料も認められず、不当過大なる供出割当に対し異議の申立もできずに、これを遂行しつつあることであります。農業者たちは、未明より田畑に出て働き、夜は八時、九時に家に帰り、帰ればまた家畜の飼いつけまでもやる、十一時、十二時まで働く、この寸暇のない重労働者が、食糧もなければ飼料もないという、その苦しみは農民でなければ知ることができない苦しみであります。農民たちには、サンマー・タイムもなければ、労働基準法もないのであります。第二は、農産物の價格があまりに低廉であり、他の一般物慣と比較して安過ぎるので‥‥     〔発言する者多し〕
  18. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 靜粛に願います。本日は拡声器に故障がありますから、特に靜粛に願います。
  19. 的場金右衞門

    ○的場金右衞門君(続) 再生産資金乏しく、一家の生計にも事欠くということであります。第三は、農村の必需資材高價にして、しかも入手困難なることであります。第四には、供出量、作付反別等の、國なり縣なりまたは市町村なりの割当が不合理にして不適当であり、不公平であつても、異議の申立ができないこと。第五は、常に罰則は農民たちだけに適用されました。これらの不当なる圧迫を排除して、農業者たちを保護することのできるように修正したのが、この修正案であります。(拍手)  農業者が増産に苦心努力して計画以上の收穫をあげても、計画供出量を超えては供出せしむることはできないと規定しましたから、農業者たちは樂しみをもつて増産に努力することとなります。すなわち、第一の自家保有のことについては、從來農業計画の中に入れずに、供出量だけが割当計画をされましたので、面積が足りなくても、收穫が少くても、供出を強要せられたのでありますけれども、本修正においては、生産者の保有数量を割当計画の中に供出数量と同列に計画することとし、保有量が優先約に確保される結果となり、農業者最大の苦しみが除去され、保護されることとなります。さらに、代替供出範囲及び比率規定いたしましたので、農業者の自由意思により自己の特技を生かし、また適地適作が可能となるのであります。(拍手)  次に、政府主要食糧農産物生産を確保するために必要な資金の融通につき計画を定め、その実施に関し必要な措置を講ずることに規定しました。資金難の農業者たちはこれによつて救われ、次の生産を確保することができるのでございます。資材入手のことにつきましては、市長村長は第一項の規定による指示をしたときは、その指示した農業計画において定めた配給数量に相当する数量の肥料、農藥、農機具等を、第一條第一項の規定による命令に基き、時期を失しないで当該生産者割当てなければならないと規定いたしました。  次に、右の計画が不公平、不合理、不適正なる場合は異議の申立ができる。しかも、異議申立が解決するまでは食糧緊急措置令第一條の規定による收用はこれを行わないことといたしました。罰則も、從來農業者だけが罰せられる規定しかなかつたものを、第三條第四項により、主務大臣は農業計画に定められた肥料、農薬及び農機具その他主要食糧農産物生産に必要なものの生産配給または輸送の業務を営む者に対し、これらのものの供給を確保するため必要な事項を指示することができる。この規定に違反した者は罰則が適用されることにしたのであります。  以上の諸点は、今日までよりも農業者たちを保護することとなります。この法律あることにより農業者たちが苦しめられるというのは間違いであると同時に、本法により強制されます事項は、本法がなければさらに一層強く食糧管理法なり食糧緊急措置令等により圧迫を受けますので、これを除去し、農業者を保護するために、本修正案に賛成するものであります。これに反対をされますと、全國の農民たちが恨みます。農村農業者に理解あり、同情ある諸君の、御賛成を望むものであります。  以上、簡單でありますが、私どもの賛成する理由を申述べて、賛成意見を終ります。(拍手
  20. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 北二郎君。——本日は拡声器が故障いたしておりますから、特別に靜粛にお願いいたします。     〔北二郎君登壇
  21. 北二郎

    ○北二郎君 私は、日本農民党、社会革新党並びに日本自由党を代表いたしまして、ただいま議題となつておりまする食糧確保臨時措置法の原案並びに修正案反対するものであります。  本法案は、食糧事情の安定をはかる上に、また食糧を円滑に配給する上に、はなはだしく障害となり、農民生産意欲を著しく減退せしむる重大な結果をもたらすもので、実に百害あつて一利ないと確信するゆえんであります。またこの法案によりまして米價を安くすることは明かであり、從つて農業商工業犠牲になる、これもまた明かであります。  食糧生産を増大するには、だれが何と言いましても、生産者が喜んで生産に從事することと、いま一点重大なることは、まず生産者自身の食糧が完全に確保されねばなりません。しかるに、昨年度の還元米の事実につきましても、食糧管理法に、農家の保有は平均四合と見られておりますが、事実はまつたく反しておるのであります。また、供出と最も深い関係のある米價に対しては、農民の発言権は何らないのであります。かかる考え方で、政府の根本的な農業生産、なかんずく食糧政策が変らず、なおこれがなし得ると考えておることは、とりもなおさず、はなはだしい官僚思想、極端なる封建思想であると言つて断じてはばからないのであります。  元來、この法案農民だけを対象としたものであるが、他面農民生産上あるいは生活上の必需品には、かような法令はないのであります。一例を申し上げますれば、一般民需品の綿布の割当にいたしましても、六割を出ない実情にあるにもかかわらず、政府は何らこれに手を打つことなく、かくして資本家、営利業者のなすがままに放任しておるのであります。農民の一日十数時間、しかも燒きつく炎天の中に眞に血と汗との結晶、一年の苛酷の労働の成果を、官僚の名づける二束三文の價格で取上げようとする、まつたくの悪法である。まさに農民を奴隷視するのはなはだしきものと言わざるを得ないのであります。     〔発言する者多し〕
  22. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 靜粛に願います。
  23. 北二郎

    ○北二郎君(続) 天然と人力よりなる日本農業の実体も弁えず、事前割当をいたしましても、実際上食糧の確保にはならないのであります。また、日本農業は非常に氣候に支配され、ある地方はその年により非常に多くとれる場合と、また天災などによつて、ある地方は非常に減收する場合が必ずあるのであります。かようなときは、多い方は考えられず、減じたる場合のみに当てられる方法であります。     〔発言する者多し〕
  24. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 靜粛に願います。
  25. 北二郎

    ○北二郎君(続) やはり價格を踏みにじつておくならば、いつでも政府の必要量が赤字となることは明らかであります。  さらにまた、食糧強権といい、本件といい、農民に対しては、まつたく嚴罰主義で臨んでいることである。過般も、連合國側のデーヴイス氏が声明されたように、政府並びに日本の官僚は、日本農業の実体を把握していない。政府がもし眞に農民実情を把握し、食糧の真劍な解決に当りますなれば、かかる法は断じて要らないのであります。(拍手)  終戰後、全般的な食糧危機の激化に伴いまして、食糧の一部におけるやみ賣買が一般化されているのように認められ、いわゆる農民のやみ太りとして、意識的に、系統的に宣傳されるようになつたのでありますが、それは、一般人民の飢餓的窮乏による不安と憤懣に対し、食糧危機の一切の責任農民の我利々々のやみ賣りに轉嫁し、都市の勤労大衆のたけのこ生活に対して、農民のやみ太りによるいわゆる農村インフレの夢物語を宣傳いたし、いたずらに都市と農村とを対立させ、勤労大衆の分裂と対立をつくり出そうとするものにほかならないのであります。(拍手)このような農民のやみ太りの悪宣傳の上に‥‥     〔発言する者多し〕
  26. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 靜粛に願います。
  27. 北二郎

    ○北二郎君(続) 農民に対する強権発動が、悪農退治の名目のもとに敢行されたのであります。しかし実際には、この強権発動の打撃は、自家保有米にも不足している貧農に向けられ、中貧農を先頭とする全勤労農民の死活的な飯米確保鬪爭といたしまして、全國にわたる強権発動反対鬪爭が捲き起されたのであります。(拍手)この延べ数十万に上る大衆闘爭こそ、全勤労農民が身をもつて、いわゆる農民のやみ太りの宣傳の不当であることを攻撃したものにほかならなのであります。(拍手)  昭和二十一年二月末に、破産一歩前の銀行を救済すべく施行されました金融緊急措置令は、全人民の動産を封鎖するとによつて、終戰後のインフレの実体を白日のもとに露呈したものでありますが、それによつて、いわゆる農村インフレはいかなる規模と水準をもつものとして示されたでありましようか。当時の動産申告状態を、各地の現地調査に基いて農民の階層別に見まするなれば、農民が粒々辛苦でこれまで蓄積した全動産は、農家平均約六千円ないし一万四千円、平均いたしまして八千八百六十七円である。しかもこの調査は、主として交通の便のよい所で行われたものでありますから、奧地の農村は。まだまだこれより少くなつていることは明らかであります。事実後に見ますように、二十年九月末の農家の貯金は六千円前後でありますから、封鎖当時の全動産も、全國平均で、多くとも七、八千円程度と推定することができるのであります。たとい一万円の動産といたしましたも、これは現実的に役牛一頭さえも購入しがたいのであります。しかもこの全動産は、戰時中の農産物販賣代金貯金振替拂制度によりまして強制貯蓄され、農村向けの資料の供給制限によりまして、必需物資の購入さえほとんど抑制され、仕方がなしに動産として蓄積されたものであります。実に戰爭を通じて、農民生活ないし農業経営の劣悪、縮小化の反映にほかならないのであります。  さらに、動産申告を農民の階層別に見ますなれば、大体一町歩未満の耕作規模の零細稻作農家ないし小作農家は、その動産所有額が農家平均よりも遙かに低く、わずか五千円前後にすぎないのであります。二十一年四月の農家人口調査によりますれば、わが國農家の七〇%強が一町歩未満の零細農家であります。実にこの日本農民の圧倒的部分が、わずか五千円の動産の所有しかない貧農なのであります。口を開けば、横流しをする、やみ太りとして取扱われますが、農民の七割以上にとつては、これはまつたく他人ごとでありまして、一ないし二町歩級に至つて、ようやく農家平均を上まわるようになるのであります。このような農民の階級的相違は、供出問題だけを考えても容易に理解されるところであります。     〔発言する者多し〕
  28. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 靜粛に願います。
  29. 北二郎

    ○北二郎君(続) すなわち米麦の生産額は、労働力及び農家一戸当りはもちろん、反当りについてさえも、耕作規模に正比例して零細農家ほど低く、大農経営ほど高くなつているのであります。これに対して供出割当は、大体反別割で割当てられてくるのでありますから、零細農家にとつて供出割当が非常に過重となり、大農家に從つて軽くなるのであります。零細農家は自家用飯米にも不足し、大農家の手もとには余剰米が残されることになつてくるのであります。つまりこの法律におきまして、割当以後の供出の三倍の買上げは、これに該当し得る農家は中以上の大規模農家に限られておりまして‥‥     〔発言する者多し〕
  30. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 静粛に願います。
  31. 北二郎

    ○北二郎君(続) 事実どこの農村につきましても、現実的に三倍以上に買上げられる農家は特定の一、二戸にすぎず、大多数の中貧農は、いくら努力しても、三倍の買上げには、とうていおぼつかない結果となるのであります。最後に、第一國会ですでに審議未了となりました臨時農業生産調整法案と本法案を比較するときに、いかに修正はされましても、そのねらいどころは同じで、事実上の精神には変りはなく、從つて、この法案運営にあたつては、必ず農民を泣かせることは明らかであります。(拍手)その証拠といたしましては、今春の事前割当について、官吏が勝手に不当な一方的な割当をしたことは、言をまたざるところであります。  また、ここに最も重大なることは、昨年十二月五日、自由討議の際に、社会党の成瀬君から、その党の立場より明らかに言われておるのでありますが、その内容を申し上げるならば、「私どもは常に叫んでおることでありますが、水や空氣と同じく、土地は公器性をもつものであるし、この土地は八千万同胞の共有財産である。」云々とあります。いわゆる土地公有、國有、國営、國管の見地より賛成されているのであります。かかる前提のもとに本法案に賛成するならば、三千万農民は断じて承服しない。(拍手)ますます食糧が減ずることは明らかであります。  以上の意味により、一面机上においてはよいように見えますが、將來のわが國農業に対しては、これを破壊されることは火を見るよりも明らかであります。  最後にまた、過般國会決議されましたところの昨年度の米價の追加支拂もせず、かかる農民からとる法案ばかりをここで可決するならば、万が一ここで賛成する議員があるならば、これは農民の敵である。以上、反対理由を申し上げます。(拍手)  さらに日本共産党は、きようの反対討論は時間がないので、私にこの壇上より、日本共産党はわれわれの反対とはまつたく違いますが、反対だということを言つてくれと言われましたので、ここにさよう申し上げておきます。
  32. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) これにて討論は終局いたしました。採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。本案委員長報告修正であります。本案委員長報告通り決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。  氏名点呼を命じます。     〔参事氏名を点呼〕
  33. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。  投票を計算いたさせます。     〔参事投票の教を計算
  34. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。     〔事務総長朗読〕  投票総数三百   可とする者(白票) 百七十七   否とする者(青票) 百二十三     〔拍手
  35. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 右の結果、本案委員長報告通り修正議決いたしました。     —————————————     〔参照〕  否とする議員の氏名    青木 孝義君  淺利 三朗君    有田 二郎君  井上 知治君    石田 博英君  石原 圓吉君    石原  登君  泉山 三六君    磯崎 貞序君  稻田 直道君    今村 忠助君  岩本 信行君    江崎 真澄君  小川原政信君    小澤佐重喜君 小野瀬忠兵衞君    大内 一郎君  大上  司君    大澤嘉平治君  大村 清一君    岡井藤志郎君  奥村 竹三君    加藤隆太郎君  鍛冶 良作君    角田 幸吉君  上林山榮吉君    川村善八郎君  倉石 忠雄君    小暮藤三郎君  小平 久雄君    古賀喜太郎君  佐々木盛雄君    佐瀬 昌三君  佐藤 通吉君    坂田 道太君  坂本  實君    重富  卓君  澁谷雄太郎君    島村 一郎君  庄  忠人君    庄司 一郎君  周東 英雄君    鈴木里一郎君  鈴木 仙八君    鈴木 正文君  關内 正一君    田口助太郎君  田中 萬逸君    高田 弥市君  竹尾  弌君    塚田十一郎君  綱島 正興君    圓谷 光衞君  冨田  照君    冨永格五郎君  中嶋 勝一君    中島 守利君  中山 マサ君    中村 嘉壽君  長尾 達生君    西村 久之君  根本龍太郎君    野原 正勝君  花村 四郎君    原 健三郎君  原  孝吉君    原田  憲君  樋貝 詮三君    平澤 長吉君  平島 良一君    深津玉一郎君  淵上房太郎君    降旗 徳弥君  星島 二郎君    本間 俊一君  益谷 秀次君    増田甲子七君  松井 豊吉君    松浦  榮君  松浦 東介君    松木  宏君  松田 正一君    松本 一郎君  水田三喜男君    水谷  昇君  明禮輝三郎君    武藤 嘉一君  村上  勇君    村上 清治君  森  直次君    八木 一郎君  梁井 淳二君    山口 好一君  山口六郎次君    山崎  猛君  山名 義芳君    山村新治郎君  山本 猛夫君    若松 虎雄君  渡邊 良夫君    赤松 明勅君  大原 博夫君    佐竹 晴記君  鈴木 善幸君    田中 健吉君  成重 光眞君    早川  崇君  平工 喜市君    本藤 恒松君  松澤  一君    斎藤  昇君  只野直三郎君    河口 陽一君  北  二郎君    高倉 定助君  中野 四郎君    中村 寅太君  大瀧亀代司君    川橋豊治郎君  中野 寅吉君    本田 英作君  木村  榮君    林  百郎君  委員長報告通り決するを可とする議員の氏名    足立 梅市君  赤松  勇君    淺沼稻次郎君  井上 良次君    伊瀬幸太郎君  伊藤卯四郎君    猪俣 浩三君  石井 繁丸君    石神 啓吾君  石川金次郎君    稻村 順三君  今澄  勇君    受田 新吉君  海野 三朗君    大島 義晴君  大矢 省三君    太田 典禮君  加藤 勘十君    加藤 靜雄君  花月 純誠君    片島  港君  勝間田清一君    金子益太郎君  上林與市郎君    川合 彰武君  川島 金次君    河井 榮藏君  河合 義一君    菊池 重作君  清澤 俊英君    久保田鶴松君  金野 定吉君    佐々木更三君  佐竹 新市君    佐藤觀次郎君  榊原 千代君    笹口  晃君  重井 鹿治君    鈴木茂三郎君  鈴木 雄二君    鈴木 義男君  田中織之進君    田中 松月君  田中 稔男君    田淵 実夫君  竹谷源太郎君    辻井民之助君  土井 直作君    戸叶 里子君  冨吉 榮二君    中崎  敏君  永江 一夫君    成瀬喜五郎君  西尾 末廣君    野溝  勝君  馬場 秀夫君    林  大作君  原 彪之助君    福田 昌子君  藤原繁太郎君    細川 隆元君  細野三千雄君    前田 種男君  正木  清君    松永 義雄君  松原喜之次君    松本 七郎君  松本 淳造君    萬田 五郎君  溝淵松太郎君    水谷長三郎君  村尾 薩男君    守田 道輔君  森 三樹二君    森戸 辰男君  師岡 榮一君    門司  亮君  八百板 正君    矢尾喜三郎君  安平 鹿一君    山崎 道子君  山下 榮二君    山中日露史君  山本 幸一君    吉川 兼光君  米窪 滿亮君    和田 敏明君  安東 義良君    芦田  均君  伊藤 恭一君   生悦住貞太郎君  荊木 一久君    打出 信行君  梅林 時雄君    小川 半次君  小野  孝君    岡野 繁藏君  押川 定秋君    金光 義邦君  川崎 秀二君    神山 榮一君 木村小左衞門君    喜多楢治郎君  北村徳太郎君    栗田 英男君  小島 徹三君    小林 運美君  小松 勇次君    五坪 茂雄君  後藤 悦治君    坂口 主税君  櫻内 義雄君    志賀健次郎君  椎熊 三郎君    鈴木 強平君  園田  直君    田島 房邦君  田中源三郎君    高岡 忠弘君  高橋清治郎君    高橋 禎一君  竹田 儀一君    武田 キヨ君  圖司 安正君    佃  良一君  坪川 信三君    寺島隆太郎君  苫米地義三君    中垣 國男君  中島 茂喜君    中曽根康弘君  中村 俊夫君    中村 又一君  長野 長廣君   長野重右ヱ門君  並木 芳雄君    西田 隆男君  西山冨佐太君    橋本 金一君  長谷川政友君    坂東幸太郎君  一松 定吉君    福田 繁芳君  舟崎 由之君    細川八十八君  三好 竹勇君    村瀬 宣親君  最上 英子君    八並 達雄君  安田 幹太君    山崎 岩男君  山下 春江君    吉田  安君  米田 吉盛君    石田 一松君  今井  耕君    大島 多藏君  川越  博君    吉川 久衛君  黒岩 重治君    小枝 一雄君  河野 金昇君    酒井 俊雄君  竹山祐太郎君    豊澤 豊雄君  内藤 友明君    野本 品吉君  萩原 壽雄君    平川 篤雄君  船田 享二君    松原 一彦君  松本 瀧藏君   的場金右衞門君  森山 武彦君    久保 猛夫君  鈴木彌五郎君    寺本  齋君      ————◇—————
  36. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 日程第七、大藏省預金部特別会計昭和二十三年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案日程第八、簡易生命保險事業における戰爭危險に因る死亡に基く保險金支拂による損失の補てんに関する法律案日程第九、物資割当に関する手数料等徴收に関する法律案日程第十、昭和二十三年六月以降の政府職員俸給等に関する法律案日程第十一、金融機関再建整備法の一部を改正する法律案日程第十二、割増金附貯蓄の取扱に関する法律案日程第十三、当せん金附証票法案日程第十四、外國貿易特別円資金特別会計法案、右八案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長報告を求めます。財政及び金融委員会理事梅林時雄君。     ——————————————     〔梅林時雄君登壇
  37. 梅林時雄

    ○梅林時雄君 ただいま議題となりました八法律案につきまして、財政及び金融委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  まず第一に、大藏省預金部特別会計昭和二十三年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案について御報告申し上げます。  本案は、大藏省預金部特別会計四十五億七千九百九十七万九千円、國有鉄道事業特別会計百億円及び通信事業特別会計五十億円の昭和二十三年度における歳入不足は、これらの会計の昭和二十三年度における收支の状況に鑑み、これを一般会計から補足することといたしたものであります。  本案は、去る六月十一日、本委員会に付託せられたものでありまして、政府より提案理由説明を聽取いたしました後、愼重審議いたしましたが、昨三日、民主自由党修正案を同党塚田十一郎君より、日本社会党松原喜之次君よりは與党三派共同提案になる修正案が提出いたされたのであります。次いで、討論を省略し採決いたしましたが、民主自由党修正案は少数をもつて否決、與党三派の修正案は多数をもつて可決せられたのであします。また修正部分を除く原案については全会一致をもつて可決せられたのであります。  今、松原君よりの與党三派共同提案にかかる修正案を朗読申し上げます。  大蔵省預金部特別会計昭和二十三年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案修正法律案中「百億円」を「三百九十一億七千四百万円」に、「五十億円」を「六十億二千六百万円」に修正する。 以上であります。  次に、簡易生命保險事業における戰爭危險に因る死亡に基く保險金支拂による損失の補てんに関する法律案について御報告申し上げます。  本案は、簡易生命保險事業における今次の戰爭による死亡に基く保險金支拂により生じた損失を、その性質及び同事業運営の状況に顧み、これを一般会計の負担において補填しようとするものでありまして、去る七月一日政府より説明を聽取しました後、第一議員倶樂部所属堀江實藏君より簡單な質疑がありまして、昨三日、討論省略、採決の結果、全会一致をもつて可決いたした次第であります。  次に、物資割当に関する手数料等徴收に関する法律案について御報告申し上げます。  本案は、臨時物資需給調整法に基く命令の規定による物資割当に関し手数料を徴收し得る途を開き、歳入の増加をはからんとするものでありまして、七月一日政府より提案理由説明を聽取し、審議いたしました結果、昨三日、討論を省略し採決いたしましたところ、全会一致をもつて可決いたしたのであります。  次に、昭和二十三年六月以降の政府職員俸給等に関する法律案について御報告申し上げます。この法律は、認証官等他の法律に特別の定めある者を除く一般政府職員に対し、月收三千七百九十一円水準の給與を本年六月一日に遡及して支給することを定めたものであります。從來と異なるおもなる点は、級別俸給額表について、おおむね三割程度増額すること、扶養手当二百二十五円を二百五十円に増額すること等であります。  本案は、先月二十九日、本委員会に付託せられたものでありまして、翌三十日政府よりの説明つて後、ただちに審議に入つたのであります。日本社会党の佐藤觀次郎君、田中織之進君、民主自由党の倉石忠雄君の諸君より、大要次のごとき質疑がありました。  すなわち、このたびの新給與は、このまま改正せずに済むと思うかどうか、あるいは地域給に関してはどう考えているか、これを四千二百円ぐらいに引上げて、安定帶の賃金ベースを設ける考えはないかどうか、最近における全國官公廳労働組合の運動方法には不満な点が多いが、これらについてはいかん等々でございました。これに対しまして、大藏大臣並びに労働大臣より、今回の新給與は、財政当局としては、予算編成当時の入手できる限りの材料と年間の見透しをもつて組んだものであるが、実質的には物資の裏づけ等により考慮せられなければならない、あるいは物資の裏づけ、物價等関連して考慮し、時々の状態に即應してやつていかなければならないと考えている旨の答弁がありました。第二に、地域給等に関しては、請願、陳情等を織りこんで極力善処方を考えているが、これは團体交渉で決定すべきもので、今政府が一方的にきめるものではないと考えている、また四千二百円ぐらいにしてはどうかという問題につきましては、結局一種の賃金くぎづけになると思うから反対である。労働組合の傾向については、民主革命への途上にあるという観点から見れば、やむを得ない現象だと思う、組合は自主約な成長がなされねばならぬ、他から支配されることがないようにもつていかなければならないと思うなどとの答弁があつたのであります。  また、民主党の後藤悦治委員よりは、政府は物價上昇に伴い賃金ベースを引上げつつあり、物價と賃金との悪循環を断つための政府の企図、施策效を奏せずとの強い意見が吐かれました。第一議員倶樂部所属の堀江委員よりは、妥結のつかない新給與は労働功勢の爆薬である、補正予算提出も必至となる、ついては妥結を急いでほしいとの強い要望があつたのであります。なお同じ要望は、三日、日本社会党川合彰武委員からもなされたのであります。  さらに、日本社会党赤松勇君、國民協同党井出一太郎君、民主自由党小平久雄君、倉石忠雄君の諸君から多々質疑がありました。特に赤松勇委員よりは、次のような意見が述べられたのであります。  すなわち第一には、私はさきに衆議院に財政及び金融委員会を代表して、全官公廳爭議解決に関する勧告決議案を提出し、政府は速やかに新年度において新賃金ベースを決定して、その法律案國会に提出すべしということを院議をもつて決定したのであるが、本法律案は六月一日より支給することになつている。これは右院議を無視するものであるがどうかという点であります。これに対して給與局長は、團体交渉の結果、四月一日から給與されることも可能であり、その精神は、お言葉の通り可能であると思うが、その点は、法的には團体交渉の結果に任せてほしいとの答弁があつたのであります。  第二には、日本社会党が昭和二十三年度予算に賛成したのは、三千七百円ベース予算編成の單價であつて、これは基準賃金ではないという観点からであつた、第三には、堀江君の修正案に対し、その趣旨には賛成であるが、本法律案國会で可決されたからといつて、現に政府と全官公廳労働組合との間に続けられている團体交渉のわくにしてはならない、以上の各点について特に強く要望されたのであります。これに対して政府は、そのようなわくに入れるべきものでもなく、またそのようなことにはしないとの答弁が、同委員政府委員との間に交されたのでありました。詳細にわたつて会議録に讓りたいと存じます。  かくて、大体の質疑も終りましたところ、第一議員倶樂部所属の堀江實藏委員より修正案が提出されたのであります。この修正案等の内容についても会議録に讓りたいと思います。  次いで討論を省略し、採決に入りましたところ、まず堀江實藏君提出にかかる修正案は少数をもつて否決せられ、政府原案は多数をもつて可決されたのであります。  次に、金融機関再建整備法の一部を改正する法律案について御報告申し上げます。  本案は、金融機関に対する政府の補償金及び金融機関の新旧勘定の併合後における前に旧勘定に属した資金より生ずる利益金の処分等に関し、金融機関再建整備法の一部を改正せんとするものでありまして、本月一日政府よりの説明あつた後、愼重審議いたしました結果、三日討論を省略し採決いたしましたところ、全会一致をもつて可決いたしました。  次に、割増金附貯蓄の取扱に関する法律案について御報告申し上げます。  本案概要を申し述べますと、第一には、この法律は日本銀行を除く全部の金融機関に適用せられることであります。第二には、大藏大臣が割増金附貯蓄に関して細目を定めた場合には、各金融機関は任意自由にその取扱いができることであります。第三には、割増金に対する所得税と、特定の預金証書に対する印紙税を課さないこととし、なお必要な罰則を設けることといたしたのであります。  本案については、政府提案理由説明を聽き、去る一日より審議いたしました結果、昨三日、討論を省略し採決いたしましたが、全会一致をもつて可決いたしたのであります。  次に、当せん金附証票法案について御報告申し上げます。  いわゆる宝くじの発賣は、本年四月臨時資金調整法の廃止に伴い、三月二十六日以後は新たな発行命令を出すことができなくなり、三月二十五日以前に命令の発せられているもののみが発賣せられているに過ぎないのであります。今日インフレーシヨンの高進を抑制するため、貯蓄の増強、租税の完納その他あらゆる手段を講じて購買力の吸收をはかる必要があるのでありますが、現下の民心の射倖的な心理をつかんだ購買力吸收手段もまた十分に認められるべきものと考えられますとともに、この方法政府の財源獲得の一助ともなり得るのであります。他面都道府縣におきましては、一般財源または公債によりがたい事業の財源獲得手段として本制度の再現を期待しております点等に鑑みまして、当分の間、從來に引続いて宝くじ制度を存置する考えのもとに、その根拠法律として、ここに本案が提出されたのであります。  本案については、去る二日政府よりの説明を聽き、三日討論を省略して採決いたしましたが、全会一致をもつて可決いたしました。  最後に、外國貿易特別円資金特別会計法案について御報告申し上げます。  本案は、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令の件に基き、解散團体の財産の管理及び処分に関する政令がポツダム政令として近く交付される予定であるが、これに伴い國庫に帰属した解散團体の現金及び財産の管理処分による收入金を國の外國貿易資金としてこれに運用するため新たに特別会計を設ける必要があり、ここに提案の運びとなつたものでありまして、昨三日政府よりの説明を聽取いたしました後、審議の結果、討論を省略し採決いたしましたが、全会一致をもつて可決いたしました。  以上、八法律案についての財政及び金融委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
  38. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 八案中、大藏省預金部特別会計昭和二十三年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案に対しては、塚田十一郎君より成規により修正案が提出されております。この際その趣旨弁明を許します。塚田十一郎君。     —————————————     〔塚田十一郎君登壇
  39. 塚田十一郎

    ○塚田十一郎君 ただいま議題となつておりまする大藏省預金部特別会計昭和二十三年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、民主自由党を代表いたしまして修正案を提出いたし、その趣旨を簡單に弁明いたしたいと存じます。  修正の要旨は、本改正案によりまして一般会計より特別会計に繰入れまする金額は、國有鉄道事業特別会計におきましては、政府原案の百億円とありますのを二百八十億円に修正し、通信事業特別会計に対する繰入金は、政府原案五十億円とありますのを七十億円に、大藏省預金部特別会計に対する一般会計よりの繰入金は、政府原案四十五億七千九百九十七万九千円とありますのを三十九億七千九百九十七万九千円と改めんとするものであります。國有鉄道事業特別会計並びに通信事業特別会計に対する繰入金の額を変更いたしましたのは、昨日わが党から予算に対する修正案を提出いたしましたのと歩調を一つにするものでありまして、その理由につきましては、ここに重ねて説明をいたしません。  次に、大藏省預金部特別会計に対する繰入金は、六億円を政府原案より減額いたしましたのは、本繰入金は與党三派の案によりますところの戰時國債利拂を延期するによつて生じた金額でありまして、私どもはそれに対して賛成をいたしません建前上、この金額は六億円だけ必要を認めないということによるものであります。  以上、簡單に趣旨を弁明いたしまして、皆様の御賛成を願います。
  40. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) まず、大藏省預金部特別会計昭和二十三年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案の採決に入ります。本案に対する塚田十一郎君提出の修正案につき採決いたします。本修正安に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  41. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 起立少数。よつて塚田十一郎君提出の修正案は否決せられました。  次に、委員長報告につき採決いたします。本案委員長報告修正であります。本案委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  42. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り決しました。(拍手)  次に、日程第八ないし第十四の七案を一括して採決いたします。七案の委員長報告はいずれも可決であります。七案を委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  43. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 起立多数。よつて七案とも委員長報告通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  44. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 日程第一五、昭和二十一年度第一予備金支出計算書外三件の承諾を求める件を議題といたします。委員長報告を求めます。決算委員長松原一彦君。     —————————————     〔松原一彦君登壇
  45. 松原一彦

    ○松原一彦君 昭和二十一年度第一予備金予算額は二億円でありまして、これをもつて予算の不足を補充いたしました金額は一億七千八百余万円、その主なる費途は、刑政收容費、裁判及び登記諸費、傳染病予防檢疫諸費等であります。  次に、昭和二十一年度特別会計の第一予備金予算額は、十七特別会計において一億五千六百余万円でありますが、このうち予算の不足を補充いたしましたのは、印刷局、專賣局等の八会計において五千八百余万円であります。  次に、昭和二十一年度特別会計における予備費予算額は、食糧管理、帝國鉄道、通信事業の三特別会計において二億九千四百余万円でありますが、このうち支出をいたしましたのは帝國鉄道特別会計だけでありまして、その額七千九百余万円であります。これは災害による事業費の支出が多かつたためであります。  終りに、昭和二十一年度経済安定費の予算額は六十五億四千万円でありますが、このうち昭和二十一年勅令第四百四十号第二條の規定により支出いたしました金額は、経済安定に関する予算の不足を補つたものが五十八億九千九百余万円、予算外に生じた経済安定に関する費用に充てられたものが六億二千余万円、合計六十五億千九百余万円でありまして、そのおもなる費途は、河川、道路港湾その他の土木事業費等であります。  なお本委員会におきましては、愼重審議の末、全員一致本案に対し承諾を與うることに決定いたした次第であります。  右、御報告申し上げます。(拍手
  46. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 昭和二十一年度第一予備金支出金総計算外三件は承諾を與えるに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて四件とも承諾を與えるに決しました。      ————◇—————
  48. 笹口晃

    笹口晃君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、河野金昇君外三十名提出、引揚同胞対策審議会設置法案内閣提出農業改良局設置法案商工省官制の一部を改正する法律案及び工業技術廳設置法案の四案を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  49. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  引揚同胞対策審議会設置法案農業改良局設置法案商工省官制の一部を改正する法律案、工業技術廳設置法案、右四案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。決算委員長松原一彦君。     〔松原一彦君登壇
  51. 松原一彦

    ○松原一彦君 引揚同胞対策審議会設置法案は、第二回國会において議決されました引揚同胞対策に関する決議に基いて、引揚促進に関する各般の対策を樹立し、その実現に資するために、内閣総理大臣の監督下に官民合同の審議会を設置せんとするものでありまして、その目的並びに任務は、第一條及び第二條に明記せられている通りであります。  本法案に対しましては、審議会の経費は政府において速やかにしかるべく予算措置をとられるよう意見の一致をみたのであります。本法案は、全会一致をもつて原案通り可決いたした次第であります。次に、農業改良局設置法案は、食糧の増産、農業経営の合理化、國民生活の改善をはかるために、農業に関する科学技術の発達及びその成果の急速なる普及をはかる等の目的をもつて、國立農業関係試驗場、大学、專門学校、都道府縣農業関係試驗場その他の機関において行われている試驗研究につきまして、一段と連絡を緊密にし、これら研究の成果を急速に普及して、農業及び農民生活の改善に資する普及事業を一段と推進するため、今般農林省に、これら試驗研究並びに普及事業の責任ある実施機関として農業改良局を設置せんとするに至つたのであります。  本法案に対しましては、討論の際、これに対する遺憾の意を表せられて反対された方があります。それは、この機関を設置することにおいては異存はないが、いずれ農林省は、新しい設置法案によつて全機構を最も合理的に改正せねばならぬ運命に迫つている、何を急いでかくのごときものを出すかという意見であります。また賛成者の方の意見では、善は急げである、今日農業生産の急激なる増加をはかつておる際でありますから、かくのごとき機関によつて一日も早く農業生産の増進をはかりたい、かような意見でありました。なお農業技術の研究体制を確立する必要を認め、またいかに技術の研究が進んでおつても、これが一戸々々の農家に取入れられねばならない、特に普及事業の完遂を強調せられた賛成意見もございました。  以上の結果、討論終結となりまして、多数をもつて原案通り可決せられたものであります。  次に、商工省官制の一部を改正する法律案及び工業技術廳設置法案につき、本委員会審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  商工省官制の一部改正の第一は、鉄鋼増産の緊要性に鑑み、同省に新たに鉄鋼局を設けること、第二は、内外諸般の情勢に鑑み、賠償実施局を賠償実施部として、これを総務局に置くこと、第三は、製品の品質向上のため任意檢査または輸出品取締法等の法律に基く檢査を行うための檢査機関を同省に設置し得ることとするのが、おもなる内容であります。  次に工業技術廳設置法案は、わが國産業技術の後進性に鑑みまして、鉄工業技術の飛躍的発展をはかるため工業技術廳を新設し、商工省管理下に分散せる試驗研究機関並びに工業標準化を担当する部局を総合するとともに、公私立の諸試驗研究機関との緊密なる協力態勢を確立せんといたすものであります。  両法案は、鉱工業委員会との連合予備審査会を開くこと数回に及び、七月三日参議院より送付の商工省官制の一部を改正する法律案政府原案及び工業技術廳設置法案議院修正議決案をそれぞれ原案といたしまして、本四日討論を省略し、全会一致をもつて原案通り可決いたした次第であります。  以上、御報告を終ります。
  52. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 農業改良局設置法案商工省官制の一部を修正する法律案及び工業技術廳設置法案に対し討論の通告があります。冨田照君。     〔冨田照君登壇
  53. 冨田照

    ○冨田照君 ただいま委員長から報告になりました農業改良局の設置法案並びに商工省官制の一部を改正する法律案、さらに工業技術廳設置法案、この三案に対しまして、私は民主自由党を代表いたしまして、わが党がなぜこの案に反対しなければならないかという理由をはつきりと申し上げて、御了解を得たいと思います。  農業改良局そのものの設置にわれわれは反対いたしませんけれども、農業改良局即農業改良ということに誤解していただいては困る。わが党は、農業改良ということについては、あえて他党に劣らざる熱意をもつておるものであります。しかるに、今回提案になりました農業改良局の設置法案なるものを見ますると、さきに御提案になりました農林省設置法案の一部であります。しかも、農林省設置法案が撤回になりまして、さらに農林大臣の演説によりますと、食品局を食糧管理廳に移す、畜産局を農産局に移す、そうした新たなる構想をもつておりますにもかかわらず、今突如として農業改良局設置法案なるものを御提出になりました。これが一つ時宜を得ておらないということであります。  役人が殖えて、明月から米の收穫が殖えるのではありません。役人が殖えることによつて、明日から木炭の増産ができるわけでもありません。この点を考えまして、しかも、この間にうたわれております目的——きわめて新しい官廳として、民主的に、そうして能率的に、合理的にやろうとするその目標はまことに言葉は美しゆうございますけれども、一たびこの案の内容を檢討いたしますと、さきに水産局が水産廳に昇格いたしましたために、その穴埋めにこの農業改良局をもつてきたという感じがいたします。  その証拠といたしましては、今農業改良局の構想なるものを見ますると、第一に普及部がある。この普及部の仕事が、はたして農業改良局でやらなければならないかどうか、檢討を要する。第二に農業経済研究所なるものがある。そうして、農業経済研究所なるものの中に総合農業研究所なるものをもつております。およそ総合と申します言葉は、すべてを一貫した理論のもとにこれを系統づけて、合理的に、そうして能率化していける建前でなければなりません。しかるに、これによりますと、経済的研究をする、社会的研究をするそうして技術的研究にいたりましては、さらにこれを分離いたしまして農業技術部にわけております。しかも、この農業技術の研究部に至りますると、その間に含まれておりますいろいろな研究所はこれは他の畜産局なり、あるいは開拓局なりに分散せしめなければならないものを多数に包含いたしております。今農林省が設計いたしたものが、いかに杜撰きわまるものであり、一つの系統もなく、一つの合理化もなく、一つの能率化していこうとする熱意もないものであるかということを、はつきりこの構想そのものが物語つております。(拍手)  のみならず、農業会解散に伴いまして、政府が千二百円ベース当時、二万人の農業技術員を擁しておりましたが、その技術員の失業救済であるかのごとき感を與えるところの六千五百人の農業牲技術員をこの間に含めております。しかもわれわれは、この提案になりました法案だけを一見しますると、まことに予算は殖えない。人は殖えない。あにはからんや、この説明を見まするならば、本局において千五百万円、さらに研究所、試驗場その他において五億円、さらに補助金の四千九百万円、これを合わせますと厖大なる予算を盛つておりまするのみならず、本年において五億円の予算は、明年におきましては十億円になるということを、政府当局ははつきりと言明しておるのであります。ここに一つの官廳におけるところの手品がある。からくりがある。表面は予算は殖やしません、人は殖やしませんと言いながら、何ぞはからん、その内容を暴露すれば、來年においては十億円という厖太なる予算を提出するにきまつておる。一方には御承知通り、わずかに六億三千万円の予算が取れないで、窓なき教室に泣いておる小学兒童が占めるにもかかわらず、他面においては、かくのごとく早急に、火事場どろぼう的な案をもつてわれわれに押しつけんとすることは、断じてわれわれの賛意を表し得ないところであります。(拍手)  のみならず、農業の改良ということは、きわめて科学的に行われる。農業そのものの特異性から申しまして、花を植えるものは一年、木を植えるものは十年、徳を植えるものは百年、農業改良ということは、どこまでも農民が自主的に、自発的に進んで農業改良に從事する、官廳はこれを補助すればすなわち足りる、農民をしてあくまでも自主的な立場において育て上げていくのが、ほんとうの建前であります。あのアメリカの民主的な詩人であるホイツトマンの詩の中にも、大統領は何のためにホワイトハウスの中にいるのだ。これはわれわれのためにいるのである。事務局長は何のためにいるのだ。これはわれわれのためにいるのだ。われわれは大統領のためにいるのではない。われわれは事務総長のためにここにいるのではない。あくまでも官廳はわれわれのサービス省としてあるべきものであり、役人のためにわれわれ民衆があるのでは由ありません。  この意味から申しまして、私は、本法案農林省設置法案として、総合的な建前において本議会に提案されまして、愼重審議して、りつぱな農業改良局として誕生せられんことを心から望んでおるのであります。この意味において、七箇月兒は産みたくないという母心から、この時期の当を得ざるという理由によつて反対をいたします。もしその子がかわいいと思召すならば、七箇月兒をお産みにならずに、十箇月のまるまるとした男の子を生んでほしいというのが、農民を愛する私の熱情であるということを申し上げておきます。  さらに、商工省官制の一部を改正する法律案でありますが、商工省官制の一部を改正する法律案は、わが國現下の情勢から申しまして、鉱山局をわけて鉄鋼局を置く。この点におきましては、鉱工業委員の方々ども連絡をいたしまして、われわれは賛意を表します。しかし、この商工省に鉄鋼局一つをつくることに便乗して、さらに他のものをつくる。特にこの工業技術廳案なるものを見ますると、工業技術廳の設置は、ただただ羅列された試驗場であり、研究所でありまして、ここには一つの科学性がない。一つの系統がない。もつとこれは與えるに時をもつてし、りつぱな、科学的な論拠に基き、そうしてこれを合理的に、系統的なものとして、十分生産技術廳として、あるいは科学技術廳としてでも、りつぱな、新時代に適應したものとして提案さるべき性質のものでありまります。  われわれは、日本の現段階におきまして、商工省が受持つ役割の重大であることを重々承知しております。しかしながら、この商工省が果すべき役割が大事であればあるほど、このような杜撰なものを、一挙にして、会期迫つた今日、可決する必要は少しもございません。われわれは、あえて党派の立場において申し上げない。眞に國民を愛し、眞にわれわれ同胞の現実をながめてみますならば、屋上屋を架し、官僚いたずらに栄えて民衆野に飢えるというこの状態を見るとき、断固としてこれをお取下げになりまして、あらためて次の國会に堂々たる案を御提出あらんことを切望し、これは諸君に党派を超えて眞に國民を愛する熱情があつたなら、あつさりと私はこの御提案をお取消しにならんことを勧めたいと思うのでありますが、やはり騎虎の勢ひやみがたく、逐に多数をたのんで——われわれは少数でありますがために、委員会において敗れ去りましたけれども、眞理は永遠に朽ちません。われわれは少数において敗れたりといえども、必ずやこの次に來るべきものは、民衆を味方とするわれわれの勝利であることを確信する。(拍手)  この意味におきまして、私は、ただいま委員長報告にありました二つの議案に対し、民自党を代表いたしまして、断固反対の、はつきりした趣旨を御弁明申し上げます。(拍手
  54. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) これにて討論は終局いたしました。  まず、引揚同胞対策審議会設置法案について採決いたします。本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。(拍手)  次に農業改良局設置法案商工省官制の一部を改正する法律案及び工業技術廳設置法案の三案を一括して採決いたします。三案の委員長報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  56. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 起立多数。よつて三案ともに委員長報告通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  57. 笹口晃

    笹口晃君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、文化委員長提出、國民の祝日に関する法律案は、委員会審査を省略してこの際上程し、その審議を進められんことを望みます。
  58. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。國民の祝日に関する法律案議題といたします。提出者趣旨弁明を許します。文化委員長小川半次君。     —————————————     〔小川半次君登壇
  60. 小川半次

    ○小川半次君 ただいま議題と相なりましたる國民の祝日に関する法律案につきまして文化委員会を代表し、提案理由並びに法案の趣旨を御説明申し上げます。  日本國憲法は、國民主権と自由平等と永久平和とを標榜いたしておりますが、これに伴いまして、いわゆる祝祭日も、概念そのものよりして再檢討ないし改訂の必要に迫られましたことは、申すまでもありません。これすなわち、わが文化委員会が、第一回國会の劈頭以來、しばしばこれを問題といたしまして、愼重に研究を重ねてまいつたゆえんであります。  しかるところ、たまたま政府は、昨年十二月上旬、政令をもつて一氣に新祝祭日を制定の上、ただちに実施しようといたしたのでありますが、われわれは、この官製的処置に適しては強く反対し、いやしく國をあげてのかつ國民全部をすぐつての祝祭の日である以上、すべからく國民の代表者たるわれわれ自身の提案によりまして、國民大衆が納得のいく決定をなすべきであるとの見解を表明したのであります。また関係筋においても、このわれわれの意のあるところを諒として、時間的余裕を與えられたのであります。  しかも、一たびこの挙が世間に傳わりまするや、廣く國民大衆や有権者といわるる人々ないしは新聞報道方面や関係官廳が、期せずして深き理解と関心を示されまして、あるいは國会あての正式な請願、陳情により、あるいは非公式に投書や面談により、ないしは報道、評論や輿論調査や、資料の提供などによりまして、直接間接に多大の協力を惜しまれなかつだことは、われわれの最も感謝にたえないところであります。  われわれは、これらの各方面からの有益なる示唆を尊重いたしまするとともに、諾外國の実例も檢討し、またわが國の過去と現状とを照らし合わせまして、祝祭日の改訂を愼重審議いたしますること、委員会十二回、打合会九回、参議院文化委員会との合同打合会四回に及びましたが、この前後二十五回に及ぶ諸種の会合を通じ、われわれが、第一には自己責任の建前をとりまして、いたずらに左顧右眄することなく、取入れるべき点は正しく取入れるとともに、主張すべき点はあくまでも主張し、また第二に、審議公開の建前をとりまして、傍聽を希望する向きには、ことごとくこれを許可するとともに、報道方面にも何らの制肘を加えず、終始一貫、いわゆる國民立法の趣旨に副うべく努力いたしましたことは、ひそかに喜びとするところであります。かくしてわれわれの到達いたしました結論が、お手許に配付いたしましたととろの國民の祝日に関する法律案であります。  以下、簡單に御説明申し上げます。まず最初に、國民の祝日に関する法律という題名でありますが、從来は皇室の祭典の行われる日がいわゆる祭日で、國及び國民一般の恒例としての祝い日がいわゆる祝日であるとせられておりましたのに反し、今後は祝日の一本建とし、しかも、それはほかならぬ國民の祝い日であるところから、わざわぎ「國民の」という三字をかむらせまして、國民の祝日といたした次第であります。  法律案の本文に入りまして、まず第一條は、このいわゆる國民の祝日の概念を規定いたしたものであります。次に第二條は、このいわゆる國民の祝日を具体的に一々列挙いたしておりまするが、もともとその選定の標準は、第一には新憲法の趣旨に副うべきこと、そして第二には、國民大衆をあげて容易に納得し、参加し得べきものということにありましたので、國家神道的な色彩は、もちろん全然拂拭されているわけであります。なお、お断りいたしておきまするが、われわれは、ここに列記いたしてありまする九つの祝日以外に、なお二つの祝日、すなわち國始の日と平和の日を設けることを、委員会の全員一致をもつて決定していたのであります。紀元節ないし建國の日の存置は、輿論調査その他でも示されました通り、國民大衆の最も熱望していたところでありまして、われわれは、その心持をも十分に参酌いたしまして、國の誕生日を祝うという意味で、いわゆる國始の日を設けようといたしたのでありまするが、これを置くべき日附に関して確定案を得ず、遂に保留するのやむなきに至りましたことは、実に遺憾の極みであり、同胞諸君に対しましても、まことに申訳なく思つております。またいわゆる平和の日は、もし講和條約の締結が許されますならば、その日をもつてこれに充てたいというつもりでありますので、これまた一應保留の形といたした次第であります。  次に第三條は、國民の祝日を休日とする旨の規定をいたしておりまするが、本條のこの休日とは、いわゆる一般の休日の意味でありますので、これ以外の休日を決して排除するものではありません。すなわち第一には、ある社会、階級、地方の全般を通じて業務を休み、取引をなさない日、すなわち日曜日とか土曜日午後のいわゆる銀行休日とか、ぼんやひがんなども、民法第百四十二條、手形法第七十二條、第八十七條、なお小切手法第六十條、第七十五條などに、いわゆる休日として当然残されるのであります。第二には、労働者が就業制限の一方法として毎週少くとも一回休む日も労働基準法上の休日となるわけであり、また年末、年始にかけてのいわゆる官職の休暇日なども依然として生きているわけであります。この点、世間に往々誤解がありますので、一應お断り申し上げておきます。  大要以上が、本法案提出の理由並びにその要旨であります。  憲法記念日を置き、文化の日や勤労感謝の日を設け、成人の日や、こどもの日までも祝日として定めましたわれわれといたしましては、この法律が、終戰後ともすれば萎靡沈滯しがちな國民に対して、祖國再建のために伸び行く喜びと祝いを與え、明朗暢達な氣分を喚起するよすがともなれば、まことに幸であると存じます。これがために、法文の体裁もいささか型破りとは思いましたが、夢を盛り、理想も織りこみまして、もつぱら平明を主とした次第であります。もつともこの法律案は、新しい祝日の骨組だけを示したものにすぎませんが、われわれとしては、これ以上こまかいところまでを規定して、國民の祝日生活に号令をかけたり、おせつかいをしようなどとは、毛頭思つておりません。この種のものは、恒例として毎年繰返すことによつてのみ自然に大衆に親しみができ、その間において、行事もおのずから定まつてくるからであります。しかしながら、この法律の活用いかんは、われわれが起草者としての責任において見守るべきところでもありまするので、さいわいにしてこの法律が成立いたしました暁においては、われわれも國民大衆とともに、この骨組に肉をつけ、血を通わせまして、十分になじみの深い、名実ともに兼ね備わつた國民の祝日に仕立てたいものと念願いたしておる次第であります。  なお本案が、國会法並びに衆議院規則のもとにおいて起草せられました委員会提出の法律案でありますことは、提出者たる文化委員会の衷心喜びとするところであります。私は、國会の自主的活動の強く要望せられまする今日、文化委員諸君の、延々半歳にわたつての、嚴寒、炎暑をいとわぬ労苦を多謝いたしまして、私の説明を終りたいと存じます。何とぞ満場一致御賛成あらんことを希望する次第であります。(拍手
  61. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 本案を可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。      ————◇—————
  63. 笹口昇

    笹口昇君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、逓信職員訓練法案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  64. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
  65. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。逓信職員訓練法案議題といたします。委員長報告を求めます。通信委員長土井直作君。     〔土井直作君登壇〕     —————————————     〔土井直作君登壇
  66. 土井直作

    ○土井直作君 ただいま議題となりました逓信職員訓練法案に関し、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず本法案制定の理由でありますが、從来逓信省においては、業務の特殊性に基き、國有の養成機関を設けて、逓信職員並びに逓信部外無線電信技術者に対し專門的技能及び一般教養修得に必要な訓練を施してきたでありますが、新憲法の施行に伴い、その精神に準拠して、新たに逓信職員に対する訓練の目的、範囲その他訓練実施に関する逓信大臣の権限、職責等を明確に法定することが至当と認められますため、政府本案を提出するに至つたのであります。  次に、本法律内容を申し上げますれば、一、從来は遁信職員のみならず、一般の需要に應じて遁信部外で職につく無線電信技術者の養成をも行つてきたのでありますが、これらは一般教育体系に編入するのを適当といたしますので、これを逓信省から文部省の所掌に移管し、逓信大臣の行う訓練の対象を遁信職員に限定したこと、二、教育新制の実施に伴い、從來逓信省の訓練機関において施していた普通教養学科の習得は、これを一般教育体系に委ねることとし、逓信大臣の行う訓練は、業務遂行に直接関係のある專門的な学科目に限り、かつ、その実施にあたつては、教育で行う教程を少くして、職場訓練に重点をおくこととしたこと、三、必要あるときは一般の学校その他の教育研究機関等に職員を派遣して專門の事項を研修させる方途を開いたこと等が、その主要な点でありますが、なお附則において、施行月日を公布の日とすること、逓信講習所官制を廃止すること、及び無線電信講習所の文部省移管に伴う官制の改正その他の措置に関し規定を設けております。  申すまでもなく、四十余万の職員を擁する逓信事業におきまして、業務の能率を増進し、運営の完全をはかるためには、從業員の訓練という問題はきわめて重要でありますので、委員会におきましては、去五月二十九日本案の付託以來しばしば会議を開きまして、法案提案理由内容につき檢討を加え、政府側との間に詳細にわたつて質疑應答を重ねましたほか、特に二回にわたつて本件に関する学識経驗者、利害関係者等を招致して参考意見を聽取する等愼重審議を盡したのでありますが、これらはすべて会議録に讓ることとします。  かくて委員会は、七月四日質疑を打切り、討論に入つたのでありますが、その際、日本社会党を代表して重井鹿治君より、本法案第二條第二項の規定は主として運用上の問題であつて特に在置の必要がないという理由から、これを削除する修正案が提出され、ついで日本共産党を代表して林百郎君より、本法案第二條を「この法律に基き遁信大臣の行う職業教育は、前條の目的を達成するに必要なる課程を修得せしめるものとする」と改める旨の修正案が提出され、民主党を代表して長谷川政友君、民主自由党を代表して森直次君より、いずれも重井鹿治君提出の修正案に賛成の意見を述べられたのでありますが、長谷川君は特に、本法案実施にあたつては、職業教育に重点を置くことはもちろんであるが、併せて職員の人格教養の面をもゆるがせにしないこと、現在の逓信講習所施設を有效に利用すること、現在の逓信講習所職員の新訓練機関への轉換をはかること等の要望を附け加えられたのであります。  ついで採決に入り、まず林百郎君提出の修正案につき賛否を諮りましたところ少数をもつて否決、次に重井鹿治君提出の修正案は、多数をもつて可決し、引続き重井鹿治者提出の修正案による修正部分を除く原案を同じく多数をもつて可決いたしました結果、原案修正議決を見た次第であります。  以上をもつて報告を終ります。(拍手
  67. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 採決いたします。本案委員長報告修正であります。本案委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告通り決しました。(拍手)      ————◇—————
  69. 笹口昇

    笹口昇君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、治安及び地方制度委員長提出、地方自治法の一部を改正する法律案は、委員会審査を省略してこの際上程し、その審議を進められんことを望みます。
  70. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 笹口君の動揺に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  地方自治法の一部を改正する法律案議題といたします。提出者趣旨弁明を許します。治安及び地方制度委員長坂東幸太郎君。     〔坂東幸太郎君登壇
  72. 坂東幸太郎

    ○坂東幸太郎君 ただいま上程せられました、治安及び地方制度委員会提案にかかる地方自治法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容を簡單に御報告申し上げます。  本法律案は、地方自治法第百五十八條中改正に関するものであります。今回建設省が設置せられるに伴いまして、各都道府縣における建設院の出張所、すなわち出先官廳が廃止せられまして、その國家の事務が都道府縣の建築課、住宅課、営繕課等に吸收せられることになりました。すなわち、その事務は國家から地方へ移管せられるのであります。しかるに、右所管事務が相当厖大になりますので、それらの建築関係の主務部課を独立せしめて、東京都においては建築局を置き得ることにし、なお事務の増加に伴い、総務部を総務局に、財務部を財務局に改めんとするのであります。その他主要なる府縣、たとえば神奈川縣、愛知縣、大阪府、兵庫縣等においては建築部を置くことを得るように改正せんとするのが、本案提出の理由であります。そこで、建設院の出張所が廃止となりますれば、その所員は当然廃官となります。從つて、その事務は地方へ移管し、これまで國費支弁であつたその仕事が地方の仕事となりますが、その國費は当然その地方廳へ交付せられることに相なります。廃官せられた者は、もちろん官吏ではありませんから、これを地方廳において任用せんとするときには、当然官吏となるべきものであります。これを任用するとせざるとは都道府縣の自由であることは申し上げるまでもありません。  本件は、当委員会においては、きわめて緊急を要するものと認められたので、七月二日、地方自治法の一部を改正する法律案起草に関する件として緊急上程し、続いて翌三日愼重審議を継続し、成案を得まして、七月四日討論の上、満場一致をもつてこの改正案原案通り可決せられたのであります。何とぞ御審議の上御賛成あらんことを希望いたします。(拍手
  73. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 本案は可決するに御異議ありませんか。     「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。     —————————————
  75. 笹口晃

    笹口晃君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、競馬法案、馬匹組合の整理等に関する法律案、指定農林物資檢査法案及び森林資源造成法の一部を改正する法律案の四案を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  76. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  競馬法案、馬匹組合の整理等に関する法律案、指定農林物資檢査法案、森林資源造成法の一部を改正する法律案、右四案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。農林委員長井上良次君。     〔井上良次登壇
  78. 井上良次

    井上良次君 ただいま議題となりました、内閣提出、参議院送付にかかる指定農林物資檢査法案内閣提出、馬匹組合の整理等に関する法律案内閣提出、競馬法案及び内閣提出、参議院送付、森林資源造成法の一部を改正する法律案に関しまして、農林委員会における審議の経過並びに結果について簡軍に御報告申し上げます。  まず、指定農林物資檢査法案に関しまして御報告いたします。本法案の目的としますところは、わら工品、特殊農産物、木材、薪炭、加工水産物等雜多な商品につきまして、全國的に統一のある規格を定め、これに基いて公正なる檢査を実施、品質改善をはかろうというのであります。  その要点を申し上げますと、農林大臣は規格審議会の議を経て規格を定めること。規格審議会は農産物、林産物、水産物及び工業食品の四審議会とし、これを農林省に置くこと。農林物資はこれを二つにわけ、一つは命令で提出する國の機関または都道府縣知事に檢査義務を課することとし、他は都道府縣知事の自由意思に任せたこと。從来國の機関都道府縣知事から委託を受げて実際に檢査を実施しているものについては國営檢査としたこと。生産者または販賣業者に受檢義務を課したこと。以上でございます。  本法律案は、七月一日農林委員会付託となり、七月二日政府より提案理由説明を聽取しましたる後、本四日質疑を行いました。民主党神山委員より、本法律案別表を見るに、食料品配給公團の取扱物資であるみそ、しようゆ、アミノ酸、カン詰、乳製品等の物資が掲げられていない、これらの物資は國民生活に最も深い関係をもつものであり、粗悪品が氾濫するにおいては、國民の衛生に及ぼす影響も大である、よつてこれを公團の檢査品目中に加え、法的基礎を明白にする必要はないかとの質疑が行われ、これに対して政府側より、御節ごもつともであるから、近い将來に改訂するごとく処置したいとの答弁がございました。  以上をもつて質疑を打切り、討論を省略して採決に入りましたところ、全会一致をもつて可決するに至つたのであります。  次に、馬匹組合の整理等に関する法律案並びに競馬法案に関しまして御報告申し上げます。  両法律案提出の理由は、競馬施行の主体たる日本競馬会並びに都道府縣における馬匹組合または馬匹組合連合会等は、私的独占禁止の建前上解散せざるを得ないので、これが対策措置として両法案の提出を見たものであります。すなわち、從來の公認競馬はこれを國の直営とし、地方競馬は都道府懸の直営といたしておるのであります。競馬施行の方法は、大体從來の方式をとるものでありますが、馬券の拂いもどしが券面金額の百倍を超えることができなかたのを撤廃し、罰則強化をはかり、なお日本競馬会の負債についてはこれを政府に承継し、農林大臣の競馬施行の許可権の撤廃、馬券税、入場税及び中央馬事会納付金等は都道府縣の收入としたこと、都道府縣馬匹組合連合会所有資産の都道府縣承継、本法案の有劾期間一箇年などが、本法案の主たる内容であります。  馬匹組合の整理等に関する法律案は七月一日に、競馬法案は七月二日農林委員会付託なつたものでありますが、両案は一括これを審議いたすこととしたのであります。なおこの間治安及び地方制度委員会との連合審査意見も出ましたが、会期切迫の際でありますので、これを調整し、農林委員会付託議案とし、治安及び町方制度委員会より委員外発言の形式をもつて審議を進めたものであります。  両法案について、政府との間に、七月二日以降三日間にわたり質疑を行つたのでありますが、おもなる点を要約いたすならば、次のことであります。  一、戰災都市復興財源として、都市施行の競馬を認める意思があるかどうか。二、競馬の開催の日数を十日くらいに延長してはいかん。三、日本競馬会財産処理の方法は買收によるものか、あるいは賃借によるのか。四、日本競馬会の赤字の原因は何か。五、中央地方財源確保のため場外馬券の発賣いかん。六、日本競馬会役員は新機構に就任せしめざることが、本法案提案の趣旨からして妥当であると思うが、政府の考えいかん。  これに対し政府答弁の概要は、戰災都市施行競馬については、諸種の事情に制約されて困難があつたこと。競馬の開催日数については、祉会環境がおちついてきたとき増加したい。日本競馬会の資産は、さきに三百万円の対償補助金を出しているので、無償承継したい。日本競馬会の赤字收入に対し、諸物價、資材等の値上りによるのである等の答弁がございました。  以上が質疑應答のおもなる点でありますが、詳細については会議録に讓り、かくて本委員会は、七月四日、両法案一括議題として討論、採決に入つのであります。まず、民主党を代表して寺島委員より、修正の上本法律案を可決すべきことが述べられたのであります。次いで、民主自由党を代表し田口委員より、本法案は目的がきわめて不明であり、利益金の使途が一般会計に繰入れられ、畜産振興に対し考えられていない、のみ競馬の横行、政府收入の見込みが不確実であり、法案全体として不備であるので、本法律案については反対である旨が述べられたのであります。次に社会党を代表して佐竹委員より、戰災都市の財源確保の見地より本法修正し賛成する、特に附け加えて、施行にあたり農林官僚の独善につき十分注意をするように警告を発したいとのことを申されまして。次いで、國民協同党を代表して的場委員より、日本競馬会解散の総果、競馬の空白を来すことは生産者に影響を來すので、本案修正の上可決に賛成するものであると述べ、次に日本農民党代表して北委員より、修正案により可決することに賛成である、特にこの際当局は馬の骨格改造に努力を拂われ、種畜改良の見地より農耕馬の充実に注意されたいと述べ、かくて、ただちに採決に入つたのでありますが、修正の上これを可決することとし、多数をもつて法律案修正議決いたしたのであります。なおこの際修正箇所を朗読いたしたいと思いますがこれも会議録に讓つておきたいと思います。  以上をもつて法案に関する報告を終ります。  最後に、森林資源造成法の一部を改正する法律案につきまして簡單に御説明を申し上げます。  政府は、森林資源の造成を確保いたしますために、森林資源造成法によつてこれを実施してまいつたのであります。すなわち同法第二條によりまして、森林の所有者が農林中央金庫に対して森林造成に要する費用の半額に相当する金額を拂込んだときは、同金庫はその森林の所有者に対しまして、その振込み金額の倍額に相当する証券を交付し、同四條によりまして、造林事業の実行後、額面金額を支拂うことによりまして、造林費用の半額を補助してまいつたのであります。しかるに、同法第一條によりまして、証券の発行限度は三億円に制限されておるのであります。物債高の今日、造林事業の進捗に伴いまして、この金額では近い將來不足するに至ることは明瞭であり、この際とりあえず本年度に必要なる金額を追加することとし、その額を十二億円と予定し、造林証券の発行限度を十五億円に引上げたいというのが、本改正法律案提出の理由であります。  本法律案は、七月二日農林委員会付託となり、七月三日提案理由説明を聽き、本四日簡單なる質疑應答を行い、討論を省略して採決いたしましたるところ、全会一致をもつて政府原案通り可決することにいたしだ次第であります。以上をもちまして、四法律案に関する御報告を終ります。(拍手
  79. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 討論の通告があります。田口助太郎君。     〔田口助太郎君登壇
  80. 田口助太郎

    ○田口助太郎君 私は、ただいま議題になつております競馬法案について、民主自由党を代表いたしまして反対の意思を申し上げます。  競馬は一種の賭博行爲であつて、いろいろな弊害の伴うものでありますことは異論のないところであり、またわれわれは、実際に身をもつて体驗しているものであります。しかも、各國の刑法が賭博行爲を処罪しておりまする本質的理由はどこにあるかと申しますと、申すまでもなく、経済秩序の基礎になつている、まじめな労働によつて財産を取得するという社会道徳的原則に反する行爲であるからであります。すなわち、いわゆる遊び人や遊惰な人間の発生を防止し、働かざる者食うべからずの社会道徳的原則を維持せんがために設けられたものであります。從つて、競馬の開催を認めるためには、この社会道徳的一般原則に從うことのでき得ない、より高次の社会目的がなければならないのは当然であります。特に、現在のように著しく道義頽廃し、かつ勤労意欲の低下しているわが國におきましては、一層高次の目的を必要とするのであります。  また競馬を認めます場合におきましても、競馬の施行に伴う弊害を最小限度に食い止むべき立法処置を講ずる必要のあることは言うまでもないことであります。從來は、社会道徳的一般原則に從うことのでき得ない高次の目的として、三つ言われておりました。一つは馬の改良、増殖、一つは國民に健全なる娯樂を與へる、一つは畜産振興資金を確保する、この三つの目的があるがために、競馬は賭博であるけれども、このより高き目的達成の手段として競馬を是認しておつたのであります。  ところが、今度提案されました競馬法におきまして、この競馬の目的が完全に達成されているかどうかと申しますと、この目的は完全に否定されているのであります。すなわち、馬の改良増殖には何らの役に立たないばかりでなく、かえつて馬産を破壊するものであります。(拍手)現在日本におきまして、馬の必要性はもちろん認めます。しかし、その必要性のあるものは農耕馬と輓馬であります。すなわち、産業上必要とする馬の増産であり、改良でなければならないのであります。ところが競馬に要する馬は、産業用馬として最も不適当な馬なのであります。かぐのごとき馬が多数できましたならば、日本の農耕馬あるいは、輓馬は、繊細非薄にして用をなさないおそれがあるのであります。從いまして、現在のような競馬をやりますために、馬の生産者は一攫千金を夢みて、眞に社会経済上必要とする農耕馬や輓馬をつくることを考えず、競馬馬の生産にのみ從事するものが非常に殖えつつあることは、まことに遺憾であります。この点から見ましても、本法案においては何らの考慮も拂われておらず、かえつて日本の馬の生産改良を阻害しておる点において、まず反対しなければならないのであります。(拍手)  また競馬の目的として、國民に健全なる娯樂を與えるということが一つの目的になつておるのでありますが、この法案におきましても、決して健全なる娯樂を與えるようにはなつておりません。私をして言わしむるならば、從來以上に不健全にしつつある法律案であると思うのであります。(拍手)健全か不健全かと言えば、どこが健全にしなければならないか、どこに弊害があつたかと申しますと、從來の競馬は非常に射倖心を激発いたしまして、勤労意欲を低下せしむるのであります。戰前の立法におきましては、これらの点に最大の考慮を拂われて、売上枚数の制限とか、あるいわ拂戻金の制限等をしておつたのでありますが、本法案においては、これらを全部削つてしまつたのであつて、最も改悪であると私は考えます。  また從來は、競馬によつて得た利益金は畜産の振興に使つておつたのでありますが、今度の法案によりますと、一般会計に繰入れられて、何ら畜産に使うような処置を講じておらないのであります。從いまして、これからの日本は、有畜産業、工業化した、立体化した科学営農にしなければならない、畜産の振興にはますます多くの資金を必要とするのでありますが、これを取上げて一般財源にしたことも、また畜産を阻害するものでありましで、これも改悪であると考えるのであります。かくのごとく、競馬を認める本質的理由については、全部この法案は逆行しておるのであります。  また從來の競馬、すなわち公認競馬は日本競馬会で開催し、他方競馬は馬匹畜産組合連合会で開催しておつたのでありますが、この法律によりますと、いわゆる公認競馬は國営で、地方競馬は都道府縣営にしたのであります。これによつて、いかなる利益があるか、今までの團体とどれだけのよさがあるかという点をわれわれは考えなければならないと思います。  私も、日本競馬会あるいは馬匹畜産組合が、これからの競馬の主催者團体であることを最も適当なりと認むるものではないのであります。だからと言つて、國営や都道府縣営に移す必要がどこにあるでありましようか。世界のいずれの國でも競馬は施行しておりますが、現在國営で行つておる國は、ソヴイエト・ロシヤたつた一つであります。他の國はすべて民営で行つておるのであります。何ゆえに國営より民営が適当であるかと申しますと、國営でやりますことは、一見非常に明朗な、公正な競馬ができるように考える人が多いのでありますが、それは明らかに誤解であり、錯覚であると私は思うのであります。(拍手)國営や縣営でやりましても、決して公正にはならない。  特に、今度出されました競馬法案によりますれば、先ほど申し上げました通りに、一般國民の射倖心をそそること大であり、また、のみ屋の跋扈はますます横行するような制度である。またボスの増加——現在競馬には非常にボスや顔役が多いのでありますが、今度の競馬法案は、より以上ボスの跋扈を來すものであることは疑いないのであります。(拍手)  また競馬の施行については、從來不透明であつた。インチキ競馬、八百長競馬が横行したのであります。特に地方競馬の一部には、そうした現象があつたのでありますが、これが國営や府縣営になりましても、この八百長競馬を抑制する立法的処置は何ら講じていないのであります。特にはなはだしいのは、開催者と監督者が一つになることであります。從來は開催者と監督者がありまして、開催者の不正に対しては、監督官である者がこれを抑制することができたのでありますが、今度の國営案によりますれば、監督する者と施行する者と同一になりますので、官僚の不正と独善はますます競馬を暗い競馬にするおそれが十二分にあるのであります。これらの点を考えまして、競馬の本質に背き、また施行方法についても何ら改善されず、かえつて改悪し、弊害を助長するものである点が、私が第二の反対理由とするところであります。  この法案に賛成する者は、現在出されておる法案は不備である、相当改良しなければならないけれども、もしこの議会を通らなければ、競馬の空白時代ができてしまうから、やむを得ず賛成する、というのが大部分であつたと思うのであります。しかしながら、かくのごとき言葉は明らかに誤解であり、錯覚であります。公認競馬は年に二回であります。地方競馬は六回であります。すでに春競馬は終つております。あと公認競馬で本年残つているのは一回であります。從つて、次に開かるべき臨時國会において審議いたしましても、決して競馬の空白時代は起き得ないのであります。私は競馬の目的を全然否定するものではありません。  わが党は、競馬の健全なる発達、眞に弊害のない、健全な競馬の発達は大いに望むものでありますが、現在出されたごとき最も弊害の多い競馬法案には、絶対に賛成し得ないものであります。從いまして私は、民主自由党を代表いたしまして、本法案には絶対に反対の意を表明いたします。(拍手
  81. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) これにて討論は終局いたしました。  まず競馬法案につき採決いたします。本案委員長報告修正であります。本案委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  82. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り決しました。  次に、馬匹組合の整理等に関する法律案、指定農林物資檢査法案及び森林資源造成法の一部を改正する法律案の三案を一括して採決いたします。三案の委員長報告はいずれも可決であります。三案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて三案は委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  84. 笹口晃

    笹口晃君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、事業者團体法案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  85. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  事業者團体法案議題といたします。委員長報告を求めます。商業委員長堀川恭平君。     —————————————     〔堀川恭平君登壇
  87. 堀川恭平

    ○堀川恭平君 ただいま議題と相なりました事業者團体法案につきまして。審議の経過並びに結果を概要報告申し上げます。  まず、本法案の趣旨を御説明申し上げます。わが國の経済、特に戰時中の統制経済におきましては、いわゆる産業團体、すなわち本法案におきまする事業者團体は、業界組織化の中核的な存在といたしまして、統制の遂行に所要の寄與をなしてまいつたのであります。しかるに敗戰後は、戰時統制方式の全面的撤廃とともに、臨時物資需給調整法、各種公團法の登場等によりまして、新しい統制方式が樹立せられたのであります。すなわち、統制の責任と機能とを政府または政府機関に一元化いたしまして、民間の事業者團体によります直接または間接の統制業務への参與は、原則としてこれを認めないこととなりました。從いまして、從來の統制的な事業者團体に代るべき新しい事業者團体のあり方というものが明示される必要が当然に起つてまいつたのであります。  御承知のごとく、昨年公布施行されました私的独占禁止法の基本原則は、取引一般における自由にして公正なる競爭の保全擁護ということにほかなりません。しかるに、事業者團体の大部分は同業者の相結束するところの團体でありまして、本來競爭関係にあるものの結合体が主たるものであります。  從いまして、私的独占禁止法の根本的趣旨でありますところの競爭の自由と公正を保全するためには、事業者團体がカルテル化し、同業者間の競爭を減少させる危險性につきまして、あらかじめこれを防止しなければならないことは言うまでもありません。すなわち、その手段といたしましては、一切の事業者團体につきまして届出制を設けまして、その存否を明らかにいたしますとともに、正当な活動範囲を定めまして、競爭を拘束する危險性のある特定の行爲を禁圧することがあげられるのであります。以上が本法案を提出するに至つた趣旨であり、この趣旨の達成のために正当な活動範囲を定め、かつ届出制を実施しようというのが本案の目的であります。次に、この法案内容のおもなるものにつきまして御説明申し上げます。  まず第四條は、事業者團体の正当な活動範囲を積極的に明らかならしめた規定でありまして、本條の第一号から第九号に揚げました活動に限り、これを遂行することができるのであります。もつとも、この各号に列挙いたしました事項は、解釈において相当の弾力性に富むものといたしたのであります。  第五條におきましては、逆に事業者團体について禁止されるべき行爲を、第一項の第一号から第十九号にわたりまして相当具体的に列挙いたし、事業者團体の正当な活動範囲を消極的に明らかならしめるごとく規定いたしたのであります。  次に、この法案の適用を除外さるべきものは第六條に掲げた事業者團体であり、その大部分は協同組合的な性格を有する團体でありまして、本法の適用から除外されております。さらに協同組合以外にも、臨時物資需給調整法附則の規定に基いて指定されている團体、閉鎖機関に指定されている團体、取引所ないし手形交換所等を除外しております。以上が原案の大要でありますが、本案は、去る六月十一日本委員会に付託せられ、爾來鉱工業委員会との連合審査を六月三十日、七月一日の両日にわたり開催、さらに本委員会單独審査を六月十九日、二十五日、二十八日、七月二日、三日及び四日と、連日にわたり開催いたしました。その間、六月二十二日公聽会を開き、利害関係人帆足計君以下十二名の意見を聽取し、さらに引続き関係筋より担当官の來訪を求めること再三に及び、数次にわたり折衝の結果、左のごとき修正案を決定した次第であります。詳細は会議録を御参照願うこととし、要点のみを申し上げます。  第四條に次の一号を加える。  「十、前各号に掲げるものの外、公正取引委員会の認可した行爲」第四條に次の二項を加える。  「2 公正取引委員会は前項第十号の規定による認可の申請があつた場合において、当該行爲が私的独占禁止法の規定及び第五條第一項各号の規定に違反しないと認めるときは、これを認可することができる、」  「3、公正取引委員会は、前項の規定による認可の申請に関し必要な規則を定めることができる。」  次に、第五條第一項第十九号を削除し、第六條第一項第三号に次のように加える。  「4、種畜法の規定に基いて設立された家畜登録協会。」  最後に、各党を代表して多田勇君、林大作君等より熱烈なる修正要求が出まして、ようやく昨三日深更に至り、遂に第六條第二項を次のように改めた次第であります。すなわち、「この法律規定は小規模な事業者である個人が相互扶助を目的として設立した團体であつて、構成事業者の数が十九人を超えないものにはこれを適用しない。この場合において小規模な事業者とは、從業員の数が二十人を超えないものをいう。」という大幅の修正をいたすことに決定いたしました。  以上をもちまして質疑を終了し、七月四日討論を終局し、全員一致をもつて笹口晃君説明による各派共同の修正案及び修正案を除く原案を可決した次第であります。  右、報告申上げます。(拍手
  88. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 採決いたします。本案委員長報告修正であります。本案委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議ないと認めます。よつて本案委員長報告通り決しました。
  90. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 請願日程第一、塩竈港修築の請願外七十八請願は同一の委員会に付託された請願でありますから、一括して議題といたします。委員長報告を求めます。國土計画委員会委員村瀬宣親君。     —————————————     〔村瀬宣親君登壇
  91. 村瀬宣親

    ○村瀬宣親君 ただいま一括上程に相なりました請願に関しまして、國土計画委員会における審査の経過並びに結果を、委員長に代つてきわめて簡單に御報告申し上げます。  これらの請願は、去る六月二十四日以降本委員会に付託された分でありますが、その総数は七十九件でありまして、これを内容的に類別いたしますと、河川に関するもの二十七件、道路に関するもの三十七件、港湾に関するもの五件、國立公園に関するもの五件、その他のもの五件と相なつておりまして、本委員会において愼重審査の結果、六月三十日の本会議において御報告申し上げましたその他の請願と同様の趣旨において、そのいずれもが喫緊の案件であると認めまして、以上七十九件を議院会議に付したる上採択すべきものと議決いたし、議院において採択の上は、これを内閣に送付するを適当と認めた次第であります。詳しくは会議録に讓らしていただきまして、以上簡單ながら御報告申し上げます。(拍手
  92. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 請願日程第一及び第六五の両請願は、去る六月三十日本院において採択せられた請願と同一内容でありますから、採択とみなすことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつてその通りに決しました。  次に、日程第一及び第六十五の両請願を除く他の各請願は、いずれも委員長報告通り採択するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて請願委員長報告通り採択するに決しました。     —————————————
  95. 山下榮二

    ○山下榮二君 委員会に付託した議案の審査終了を待つため、この際暫時休憩せられんことを望みます。
  96. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 山下君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつてこの際暫時休憩いたします。     午後七時八分休憩      ————◇—————     午後七時十五分開議
  98. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 休憩前に引続き会議を開きます。  明日は会期終了日でありますから、午前十時より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。     午後七時十六分散会