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1948-06-29 第2回国会 衆議院 本会議 第73号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月二十九日(火曜日)     午後三時三十七分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程第六十九号   昭和二十三年六月二十九日(火曜日)     午後一時開議  第一 万国郵便條約及び小包郵便に関する約定に加入することについて承認を求めるの件  第二 製造たばこ定価決定又は改定に関する法律案内閣提出)  第三 経済査察廳法案内閣提出)  第四 風俗営業取締法案内閣提出)  第五 市町村立学校職員給與負担法案内閣提出)  第六 中小企業應設法案内閣提出参議院回付)  第七 政治資金規正法案(本院提出参議院回付)  第八 選挙運動等臨時特例に関する法律案政党法及び選挙法に関する特別委員長提出)  第九 衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案政党法及び選挙法に関する特別委員長提出)  第十 在外胞引揚促進請願(第九九七号)  第十 中國東北地区残留同胞救援物資送付請願(第一一四八号)  第十二 在外胞引掲促進請願(第一五七〇号)  第十三 ソ連領からの復員促進に関する請願(第一六四八号)  第十四 在外胞引揚促進請願(第一六四九号)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) これより会議を開きます。      ――――◇―――――
  3. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 福井及び石川県下における震災についての報告のため、國務大臣苫米義三君より発言を求められております。これを許します。國務大臣苫米義三君。     〔国務大臣苫米義三登壇
  4. 苫米義三

    国務大臣苫米義三君) 今般北陸地方におきまする大震災につきまして御報告を申し上げたいと存じます。  まず被害程度でありますが、昨日午後五時十四分ごろ、福井縣九頭龍川下流附近震源地とする、きわめて大規模な地震がありまして、すでに御承知通りでございますが、福井石川縣下は特に被害甚大模様でございます。被害状況は目下調査中でありまして、その詳細はまだはつきりいたしませんが、國家地方警察本部よりの報告及び福井縣知都より内閣総理大臣あて非常電報報告等を総合いたしますと、大体次のような状況であります。  福井縣は、福井市、坂井郡、吉田郡、足羽郡下は倒壊家屋多くありまして、ほとんど全滅の状態で、被害甚大であります。なお、福井市ほか数箇町村は火災を起こしまして、福井市の大半は焼失したような様子でございます。救助対象の人員は約三十万人であり、死傷者は、今のところ調査不明でございます。その他福井縣下森田、春江、丸岡、金津、松岡、芦原町及びその附近村落等被害甚大模様でございます。  次に石川縣におきましては、石川縣南部、特に大聖寺町は、三千戸のうち全壊及び半壊家屋はその約五割。その他附近町村にも相当の被害がある模様でございます。  交通被害状態につきましては、鉄道においては、北陸線森田福井駅間で旅客列車が転覆し、被害が相当ある見込みでございます。その他貨物列車の轉覆、鉄道線路損壊等のために、列車は不通となつております。  通信被害及び復旧状況は、逓信省報告によりますと、通信電信電話とも、大野名古屋東京等より震災地方に対し一時杜絶いたしましたが、ただちに金沢富山、若狭の各局の非常無線を開設するとともに、鋭意有線復旧に努力しまして、現在までに有線連絡状態は、電信金沢福井大阪敦賀電話東京金沢東京富山東京敦賀おのおの一回線、名古屋敦賀大阪敦賀金沢福井、二回線が開通いたしております。福井電話局は機械が倒壊し、福井郵便局舎半壊いたしましたが、火災は免れたのであります。なお、貯金、保險等非常払等措置方につきまして手配中であります。  道路橋梁損害でありますが、九頭龍川各橋梁はほとんど落ちまして、道路の亀裂がはなはだしいようであります。敦賀福井間は、自動車交通は可能の状態であります。  大体以上の程度が、ただいまのところ判明いたしました程度でございます。  次に、中央並びに現地においてとつております措置について御報告を申し上げます。  政府といたしましてほ、今回のこの大震災被害を深く憂慮するものでありまして、本日ただちに、災害救助法による中央災害対策協議会を召集いたし、応急対策を考究いたしますとともに、関係省を動員し、必要の措置をとらせる準備をいたしております。なお、災害救助法による応急救助費の支出をいたしますとともに、災害復旧につきましては公共事業費を増額する予定であります。  食糧につきましては、現地凍結米の解除、カン詰、みそ、乳製品等放出等、農林省において罹災者救助について万全を期しておる次第であります。また衣料につきましては、商工省厚生省において必要なる処置をそれぞれ講じ、医薬品衛生材料等につきましては、貨車四輌半をただちに発想いたしました。すでに実施し、または実施中の措置といたしましては、厚生省災害救助連絡室を急設いたし、次官を中心とした救助対策本部を設け、応急救助態勢を整備いたしまして、さしあたり国立病院四箇所、療養所薗所に対しまして救助班の編成及び現地派遣を指示し、また日本赤十字社、ララ委員会関係諸団体に連絡し、積極的協力を要請いたしました。関係方面とも密接なる連絡を保持し、協力方を懇請いたしております。なお昨夜上野発列車で、社会局予防局よりそれぞれ係官現地に急行いたさせました。また國家地方警察本部からも係官現地に特派し連絡に当らせるとともに、大阪管区本部長をして管下府県より約八百名の応援警察官を派遣せしめ、治安に万全を期しておる次第であります。  被害現地におきましては、福井石川両県にただちに救助対策本部を設け、災害救助法に基く災害救助隊を動員し、ただちに救助活動に当らせるとともに、隣接府県応援を依頼いたしました。新潟県及び富山県におきましては、医療班を編成し、応急援護物資を送つて救助中であります。  以上、目下判明いたしております被害程度及び中央及び現地対策につきまして御報告申し上げます。(拍手)      ――――◇―――――
  5. 笹口晃

    笹口君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、山崎猛君外十三名提出福井石川並び和歌山県下における震災救援に関する決議案は、委員会審査を省略してこの際上程し、その審議を進められんことを望みます。
  6. 田中萬逸

    議長田中萬逸君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 田中萬逸

    議長田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  福井石川並び和歌山県下における震災救援に関する決議案議題といたします。提出者趣旨弁明を求めます。大野伴睦君。     〔大野伴睦登壇
  8. 大野伴睦

    大野伴睦君 私は、ここに衆議院各党各派を代表いたしまして、ただいま議題と相なりました北陸地方大震災救助に関する決議案趣旨を説明いたしたいと存じます。  まず最初に、その決議案の案文を朗読たします。  福井石川並び和歌山県下における震災救援に関する決議  衆議院は、福井石川及び和歌山の各県下における震災により不測の惨禍を蒙られた同地方民に対し衷心より同情の意を表する。  此の際政府おいてはこれが救援について万遺憾なきよう速かにその方途を講ぜられたい。  右決議する。  (拍手)  ただいま政府より、災害状況について御発表がありましたが、その後の状況は、二十九日正午現在において、北陸地方被害は、福井市は、ただいま報告された通り、一万二千戸の中で約三分の一火災に遭うております。あるいは全壊二千五百戸、半壊六千戸、等々、あるいは石川県下におきましては、ただいま判明いたしておるところで、全壊が六百四十一戸、半壊千四百戸、あるいは死者六十、負傷者多数と相なつております。殊に石川県下大聖寺町は、三千戸の中でほとんど大半全壊半壊をいたしておるというような、実に驚くべき次第でありまして、この後の調査の進行よつて被害はまた甚大、今後において通信機関等復旧いたしましたならば、どんどん情報がもたらされると思いますが、まことに同情にたえません。殊に福井市は、さきにかの戦災でほとんど全滅いたしました。このほど、ようやく復興が緒についたのであります。重ね重ねのこの災害に対して、まことに同情言葉すら知らぬような次第であります。おそらく今回の震災は、大正十二年の関東大震災にも匹敵すべきであろうと思われるのでありまして、しかも終戦以来、全国民が精神的、物質的に疲弊困憊しておる現状において、かかる恐るべき天災をまで受けねばならぬことは、返す返すも同情にたえない次第であります。(拍手)  御承知通り福井石川この地方は、絹・人絹織物の産地として、わが國再建の途上、真に重要なる役割を果しておる地方でありまして、この点から見ましても、國家損害は莫大であり、それだけにまた、復興の一日も速やかならんことを念願してやまない次第であります。(拍手)  連合軍当局におかせられては、いち早く救援のために種々のお手配を煩わしておるのであります。殊に第八軍の司令官アイケルバーガー中将は、北陸震災地区救援に関し次の通り発表されたのであります。福井市が地質に襲われ、大火災が起つてから七時間の後、スウイング少将指揮下特別列車が京都から福井向つた列車現地にできるだけ接近してそれより先は列車で搬送したジープ救援隊現地に進み、医薬品救援物資、医師、ジープ等福井市に向け急送されておるが、各地軍政部救護隊、C・J・C調査隊は、四方から福井市に近づいておると発表されております。私は、連合軍のこの好意に対しまして、全国同胞の名において、心より深く謝意を表する次第であります。(拍手)  なお政府当局においては、もとより応援救護のため万全の処置をとられておるようでありますが、何分にも資材その他の欠乏しておる際だけに、政府当局におかれても、単に尋常一様の努力では、その目的を達することは困難であろうと思うのであります。この際、わが衆議院においても、全員一致院議において、全国民とともに政府を鞭撻激励し、これが一日も速やかなる復旧のために万遺憾なきを期せねばなりません。何とぞ各位におかれても、本決議案趣旨を諒とせられ、全会一致御賛同を賜わらんことを切に念願してやみません。(拍手
  9. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決されました。(拍手)      ――――◇―――――  福井石川両県における震災につき同地方のため議員派遣に関する件(議長発議
  11. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) お諮りいたします。昨二十八日福井石川県下における震災につき、同地方慰問のため、特に院議をもつて議員七名を派遣することとし、その人選は議長に一任されたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつてその通り決しました。      ――――◇―――――
  13. 笹口晃

    笹口晃君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、成重光眞提出小田原地檢における日東硫曹過りん酸石炭肥料事件に関する緊急質問中村寅太郎提出国鉄労働組合の新ダイヤ反対に関する緊急質問を逐次許可せられんことを望みます。
  14. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  小田原地檢における日東硫曹過りん石炭肥料事件に関する緊急質問を許可いたします。成重光眞君。     〔成重光眞登壇
  16. 成重光眞

    成重光眞君 私が特にこの緊急質問をいたします理由は、単に静岡地檢における肥料やみ事件ではありますが、これに関連いたしまして、今日法治國あり方といたしまして、國民生活の安定、國家再建対外信用の上から見まして、目下法務廳における司法権の動揺ないしその不安定の状態は、われわれ国民といたしまして、まことに憂慮にたえない点があるのであります。(拍手)  ただいまでは、司法部内における鈴木法務総裁は孤立、浮き上つた形にあると思うのであります。また、福井檢事総長以下檢察庁首脳部の陣営は、ほとんどアンチ鈴木であると考えます。また、第一線における若手判檢事團ないし在野法曹團は、これまた強硬なる反鈴木空気がみなぎつておると考えるのであります。(拍手)この三者の関係は、まことに微妙にして、暗雲たれこめ、触雷を持つの状態であると考えるのであります。しかも、その空気は刻々一触即発の危機をはらみつつあることは、司法権確立上まことに憂うべき状態であると考えるのであります。これは言わずもがな、鈴木法相責任であり、小田原事件質問は、これは従にして、この質問の本旨とするところは、鈴木法務総裁責任の追求であります。(拍手)  日東硫曹株式会社新潟工場における鈴木法相実弟鈴木義邦氏は…(発言する者あり)もちろん質問の要旨は端を発しておるのであります。当時、去る三月十八日、小田原、国府津の両駅に、礬土と品名を詐称して、肥料燐酸石炭九百五十八俵を、ブローカー野口某ほか五名と結託して、マル公一貫九十九円二十二銭のものを、貫当り四十円の超過利得をもちまして取引した事件は、小田原署から小田原地檢に移されたが、当の鈴木氏は、この摘発から間もなく、また四月九日に静岡農業会関係にあてまして、同様過燐酸石炭四百俵余、やみ輸送したのであります。この件も、静岡地檢において摘発されておりますが、やみ利得その他未だはつきりしていませんが、この千三百五十八俵、マル公価格にして百六十二万六千円という厖大なる肥料やみで、檢察庁は、鈴木法務総裁実弟という理由のためか、あるいはこれが政争の具に使われるおそれありとしてか、三箇月前の事件を極秘に付して、外部に漏れることを拒否していたと聞くのであります。単なる物価統制違反であるにもかかわらず、何がゆえに極秘にこれを付しておるかという点を、私どもははなはだ疑うのであります。(拍手)  私は、本件のごときことを、皆さんのうちから御意見もあるように、本議場において質問するがごときは不本意ではありまするが、またしかしながら、断じて私はかくのごときことを政争の具に供することもないと思うておりますが、しかしすでにその一端が社会に公表され、そうして、事いやしくも法務総裁実弟なるがために、私はこれを極秘に付しているということこれだけの大やみを犯しながら、本人は一身上の都合という理由によりまして、五月二十八日会社をやめ、六月二十五日、本件は事実だが、四月二十三日小田原署取締べを受け、大体警察の方は了解してくれたはずだ。その後の取調べを受けないので、事件にならないと思つておる。しかも、この日東硫曹会社の――何がゆえ、かくのごときことを申されるかしりませんが、前の社長は現内閣官房長官の苫米地氏であるということを言つております。(拍手超過利得だけでも六、七十万円に上る大やみで、しかも国家の重要産業として管理すべき、農村では一塊の肥料でも切望されておる貴重なもの千数百俵という大量がやみ流しされておる本事件が、はたして了解事件として簡単に済むことであろうかと、私ははなはだ疑うのであります。(拍手)  今農村は、血の出るような米の供出を強行し、わずかの供出でも怠る國民は、強権の発動を受けております。供出報奨物資肥料などは、まつたく農民の期待を裏切つておるとき、さなきだに農民は國の重税にあえいでおるとき、農民の最大の関心をもつ肥料などが、かくも多量やみ流しされ、しかも、その当人が時の法相実弟であり、かつその会社の前社長が時の内閣官房長官であるというような一縷の関連性から、招くものであると考えるのであります。この問題に対する反響がいかに甚大であるかということを私どもが考えますとき、ひいてはまた、かくのごときことが食糧増産あるいは米の供出等に対して思想的に及ぼすところの影響を考えるならば、私どもは、かくのごとき事件こそ国民に明白にすべきであると考えるのであります。(拍手)  最近の不当財産取引調査委員会等におきましては、あるいは西尾國務相土建業着からの献金問題、あるいは森戸文部大臣の資金問題、あるいは北村大蔵大臣の佐世保問題など、国民政府に、また政治家に対するところの不信は、まさに怨嗟の的となつておるのであります。鈴木法相は、就任以来、かつて農相罷免追放の際黒星となり、西尾國務相政令違反に対する黒星、あるいは今回…     〔「議長注意」と呼び、その他発言する者多し〕
  17. 成重光眞

    成重光眞君(続) 日東肥料の…     〔発言する者多し〕
  18. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 注意いたします。
  19. 成重光眞

    成重光眞君 承知いたしました。注意を受けました。  かくのごとく、農相罷免黒星西尾國務相政令違反、あるいは今回の小田原事件のときとは、鈴木法務総裁いたしましては満身まさに黒星だらけであります。  最近、四方関係全般法相に対する不満と反感は、日を遂うて深刻の度を深め、法務廳におけるところの最高幹部、あるいは第一線における若手判檢事の中には、常に辞表をふところに入れておる著があるほど、円満・統制を欠いておるのであります。はたしてこれで司法権の公正明朗なる運営ができるでありましようか。  昨年、法相就任以来、司法関係ないし中央公職資格審査委員会などは、まことに法治国国民といたしまして寄奇怪々、伏魔殿のそしりを免れぬと思うのであります。(拍手従つて、本事件がかりに他の地位の者なら百歩を譲るとしても、法相地位にあるあなたの管下には、幾百、幾千という判檢事が、国民地位と名誉と生命を左右しつつあることをを思うとき、その最高責任者たる法相が、身をもつて範を示すべきであると考えるのであります。かく言う私には、決して本件政争の具にするとか、あるいは政略的の含みなどはありません。真に國家社会のため、あるいは司法権確立のため、ひいては官界粛正のため、あるいは国民思想高揚のため、法相はいかなる責任観念本件に対してもつておられるかということを、私はお伺いしたいのであります。  かつて法相部下でありました山口良忠判事は、やみ買いを一切しないということで法を守り、法を貫徹して、やみを一切拒否して配給生活により、遂に栄養失調で殉死しております。これに対して、永江農相は同じ国民として、やみ米を買わなければ生きていかれないということを国民に公言しております。これとあれとを比較した場合に、山口判事の死と農林大臣との間に、あまりにも私は差のあることを考えるのであります。  しかも、今回の法相実弟事件は、さき浦和地檢におけるところの田中檢事少年暴行事件、あるいは衆議院における弾劾裁判訴追委員会におけるところの静岡事件天野判事のするめ事件のごとく、司法官あり方が今日まことに國民信用を失墜しつつあることを私は遺憾に思うのであります。  昨年、最高檢察廳幸節檢事は、十一月六月、大阪造兵廠摘発指揮のために…
  20. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 成重君常、結論にはいられんことを望みます。
  21. 成重光眞

    成重光眞君(続) 承知いたしました。――檢事総長の命を受けて、この幸節檢事は、大阪において実弟がわずかに一万五千円の詐欺行為をしたということを聞き、その責任をとつて――最高檢察廳における幸節檢事は、弟のわずか一万五千円の詐欺行為責任を感じて、檢事の職を去つているのであります。(拍手法相部下には、かくのごとく法の尊厳を守り、司法官としての職責を全うしておる者のあることを考えますれば、当然鈴木法相としては、本件に関しては国民に対して責任をとるべきであると私は考えるのであります。(拍手)民を裁く司法官は、山口判事あるいは幸節檢事のごとく、法の神聖を堅持し、節操を守り、国民に信頼を得てこそ、法治国としての司法権確立を期し得るもので、あると考えるのであります。  私は、政治家は特に出所進退を明白にし、常に民衆の龜鑑となるべきであり、いわんや、司法権最高賓任者たる法相地位にある鈴木法相の行動こそ、敗戦後頽廃したる國民思想または官界に及ぼす影響のいかに甚大であるかを思うとき、潔く国民龜鑑となり、司法権確立と厳粛にその権威を保持するために、身をもつて責任を明白にし、決意すべきが、私は妥当であると考えるのであります。
  22. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 成重君に御注意します。時間であります。
  23. 成重光眞

    成重光眞君(続) 私は、あえて私情において忍びざるも、国民道義高揚祖国再建の礎石となるべく、ここに鈴木法務総裁の決意を質し、その所信を承りたいと思うのであります。(拍手)     〔國務大臣鈴木義男登壇
  24. 鈴木義男

    國務大臣鈴木義男君) 私の…     〔発言する者あり〕
  25. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君)(続) 私の弟が世上の経済違反に関與いたしているということは、まことに申訳のないことでありまして、深く道義的責任を感じているものであります。まだ公の報告等はありませんので、事の真相はわかりませんが、弟が小田原警察始末書提出して帰りましたときに、私に報告して申しまするのには、新潟工場において、労働者諸君越冬野菜を長野県から大量に買い入れた、割当てられた、それを労働者諸君は、ぜひ会社負担において買つてくれということを要求せられましたので、ほかに財源がないために、工場長、各課長、係長等協議をいたしました結果、やむを得ず、雑分のはいつております肥料を各二、三貫目づつ労働者諸君に実物給與する代りに、これを処分いたしまして、その代金をもつて野菜を買つて與えたということでありまして、遺憾ながら経済違反たることは間違いないのであります。ただいま調査中であると存じますから、法に従つて処断されることを確信いたすものであります。     〔成重光眞点労資壁
  26. 成重光眞

    成重光眞君 ただいま鈴木法務総裁は、まことにあいまいにして不徹底なる答弁をなされました。鈴木法務総裁の言われるととがほんとうか、あるいはこの二十六日の読売新聞に出ていた記事がほんとうか、私はいずれがほんとうかを質したいのであります。この新聞に出ておりますことによりますと、含有量十六%にして優良なる過燐酸石炭肥料ということが出ております。この点について私どもは、鈴木法務総裁の言われたことは、まことにけしからぬ言葉であると考えます。  それから責任の問題に関しましては、非常にあいまいなことを言われておりますが、あるいは調査中であるとかいうことを言われますが、少くともこの問題に関しては、鈴木法務総裁は…     〔発言する者多し〕
  27. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 静粛に願います。
  28. 成重光眞

    成重光眞君(続) すでにこの事実を認めましで、経済違反として本人に対しては処断すべきであるということを言われております。これに対して、未だ調査未了である、しかも、いやしくも三月に起りましたこの事件が、今日まであいまいにして、調査未了であるとかいうようなことは、まことに私どもは、司法権あり方に対して遺憾千万に存ずるのであります。微々たる経済違反等國民の多くが問われておる今日、この法務総裁の弟なるがためでもありますまいが、私どもは、かくのごとき事犯が、いついつまでも国民のうちに疑惑の中におかれることを、司法権確立の上において、はなはだ遺憾に思うのであります。しかも、檢察廳における今日の空気は、その全体がアンチ鈴木であるという点におきまして、司法権確立の上において、当然私ほ責任をとるべきであると考えるのであります。この点に対する答弁は必要といたしませんが、政治家とし、あるいは法相として、当然責任をとるべきであるということを強調して、私の質問を終ります。     〔発言する者多し〕
  29. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 静粛に願います。     〔國務大臣鈴木義男登壇
  30. 鈴木義男

    国務大臣鈴木義男君) 法務総裁の弟であるがらといつて、法の適用を二、三にするというようなことは断じてないことを、わが檢察権の名誉のために、ここにお答えを申し上げておきます。ただこの事件は、むわゆる稟請事件ではありませんから、何ら私は関與しないのでありまして、從つて私は承知しないということを申し上げておるのであります。私の責任につきましては、事実の内容等をよく調査いたしまして、責任を負うべきものがありまするならば、喜んで責任をとるつもりであります。お答え申し上げます。     〔発言する者多く、議場騒然〕
  31. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 成重君。     〔発言する者多く、議場騒然〕     〔成重光眞登壇
  32. 成重光眞

    成重光眞君 私は議長から許されておりますから…(発言する者多く、議場騒然)議長から発言を許されましたから、きわめて簡単に再質問をいたします。私が尋ねました肥料の数量の点について、あるいは…(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)であることをお認め願えるものは…(発言する者多く、聴取不能)その点だけの回答を明らかにお願い申し上げたいと思います。
  33. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 答弁がありません。――答弁がありません。      ――――◇―――――  国鉄労働組合の新ダイヤ反対に関する緊急質問中村寅太郎提出
  34. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 国鉄労働組合の新ダイヤ反対に関する緊急質問議題に供します。中村寅太郎君。     〔中村寅太君登壇
  35. 中村寅太郎

    中村寅太郎君 私は、このたびの国鉄ダイヤ改正の問題に対し国鉄労組がとつております反対運動の件に関しまして、首相並びに運愉大臣、加藤労相に対し質問をいたしたいと思うものであります。  国鉄の平時型ダイヤ改正が七月一日から実施されるという当局の発表は、その内容はとにかくといたしまして、殺人的な交通地獄から開放されるものとして、最近にない明るい感じを国民一般に與えたのであります。終戦以来今日までの子通地獄は、国民大衆を塗炭の苦しみに追いこんだのであります。国民大衆にとりましては、今日の交通状態は非常に大きな負担であり、苦痛であり、厖大な時間の浪費であつたのであります。それが今回の改正で幾分でも緩和されることは、まずわれわれは心から喜ぶべきこととして賛意を表すると同時に、政府当局の苦心の存するところとその努力に対し敬意を表しておつたのであります。ところが、国鉄労組中闘委は、去る二十七日、運賃値上げ反対闘争運動の一環として、ダイヤ改正にも反対を表明し、七月一日以降の列車運行は現行ダイヤで実施せよとの闘争指令を全国支部に発したというのでありますが、これは、われわれ交通地獄から開放されるものとして待望いたしておつた者といたしましては、晴天の霹靂と申しますか、冷水を浴びせられたような気持をもつたのであります。  国鉄労組の加藤委員長は、今回のダイヤ改正は当局の一方的判断に基くもので、これを強行するときは非常に危険な事態を招くことが予想されると、重大な意見を述べているのであります。この点、われわれはにわかに信じ得ないのでありますが、また国鉄労組といえども、何ら根拠ないところの、でたらめを言うとも考えられないのであります。これを考えますときに、われわれは、政府の示しております改正ダイヤが正しいのか、これができないという労組の態度が正しいのか、判断に迷わざるを得ないのであります。政府のこの発表いたしましたダイヤ改正に対しましては、事前において現業職員とも十分打合せがあつて、あらゆる角度から調査檢討の上決定したものと了解しておつたのでありますが、これに対しまして労組は、今日否定いたしているのであります。この点に関し、運輸大臣としての責任において、いずれが正しいのであるか、さらに、この國鉄労組の反対を押し切つて、七月一日から敢然と実施し得る自信と見透しをもつておるかどうかということについて、私は責任ある回答を要求するものであります。(拍手)  国鉄のダイヤ改正は、全国民に直接関係を有するところの重大なる問題であることはもちろん、これをなすには、配置人員であるとか、あるいは方法、あるいは配車等に関しまして、多岐にわたるところの技術を必要とする現況でございまするので、これを一たび政府が発表いたしますには、その基本的な調査檢討を十分加えての上に、これで大丈夫できるという固い自信の上に、計画が立てられなければならねと思うのであります。それに対して國欽労組が申しておりますことを信ずるといたしまするならば、このダイヤを強行すれば非常に危険な事態を予想されるということを言うておるのであります。これは國民と、いたしましても、われわれといたしましても、聞き捨てならない問題であると私は考えるのであります。もしも、この国鉄労組の言うことが正しいといたしますならば、このダイヤを強行することによつて、その危険が國民に與えられるということを考えますときに、この政府の発表に対する責任は重大なるものがあると思うのであります。(拍手)この点に対して、当局の責任ある回答を私は要求するのであります。  さらに私は、最近におけ国鉄の労働運動について、いささか批判をいたしてみたいと思うのであります。今日本の再建を考えます場合には、まず国民ことごとくが、まじめに真剣に努力を続けなければならぬと思うのであります。その点から私は、昨年の議会におきまして、国鉄の従業員の諸君が、まじめに、真剣に、現在日本の農村において農民食糧確保のために努力しておるような真剣な姿で、列車の運転に従事してくれましたならば、現在よりもより愉快な、より楽しい国民の旅行ができることを私は信ずるということを申し上げて、彼らに警告を與えたのであります。しかしながら、終戦後三箇年になりますけれども、われわれが静かに見ますときに、国鉄の面において、従業員等の努力によつてサービスが改善されていつておるという姿は、まことに微々たるものであつて、十分というところまで行かないのであります。私は、この点を考え、国鉄従業員の諸君が、あらゆる悪条件を克服して国鉄の使命を貫徹し、國家輸送の大任を果たしてくれることを衷心念願しているものでございますが、このたぴ国鉄労組のとつております態度、これについては、われわれは十分冷静なる批判と厳正なる処置を考えなければならぬと思うのであります。  今日労組がとつておりますところの態度が、もしも強行いたされまするといたしましたならば、政府責任をもつて発表いたしましたところの国鉄ダイヤの改正は、私は実行し得ないものと考えるのであります。(拍手かくのごとき重大なろことが、国鉄の賃金値上げ反対運動の一環としてなされるということは、私は國家のためにまことに容易ならざる重大事であると思うのであります。(拍手かくのごときことは、労組がいかなる法的根拠によつてこれをなし得るのか、さらに法的に根拠がないとすれば、首相としては、いかなる処置をとつてこれに対し、国民に公約したところの国鉄ダイヤを七月一日から決行するか、その信念と、その方針、計画について、私は責任ある回答を要求いたすものであります。     〔國務大臣岡田勢一君登壇
  36. 岡田勢一

    國務大臣(岡田勢一君) 中村君の御質問に対してお答え申し上げます。今回の国鉄の時刻の改正は、昨年の秋ごろから計画してきたものでありまして、組合側とは、本年の三月ごろから、具体的な事項を提示いたしまして協議をしてきたのでございますが、具体的條件等に対しまして、意見の開陳は別になかつたのでございます。この時刻改正は、中村君も御指摘になりましたように、国民に対しまして明るい感じを與えておるということは、私も認めるところであります。すなわち、貨物の本年度一億三千万トン輸送の実現、旅客輪迭増強、並びに列車の速度を緩和いたしまして、石炭消費節約のため行うものでありまして、実施時期はむしろ遅きに失するくらいに思つておるのでございます。従業員の協力を得まするならば、円滑に遂行することができると確信をしておる次第でございます。ゆえに組合側が、従来の折衝を通じまして、明確な意思の表示がなかつたのにかかわらず、今回二十六日、突如として新ダイヤに反対の指令を発せられましたことは、まことに遺憾でございます。これに対しまして当局は、その指令の撤回を求めて、数次交渉を重ねますとともに、一方昨二十八日に、規定方針通りにダイヤ改正を実行いたしますために、運輸大臣名をもちまして業務命令を発しました次第でございます。組合があくまで指令を撤回しないならば、七月一日以降におきまして、あるいは一部に混乱等が懸念されぬでもないのでございますが、政府といたしましては、進駐軍輸送もあることであり、そのような事態を引起さしめないために、円満にダイヤの切替を実施するために最大の努力を払い、ぜひとも予定造りにダイヤを実行したいと考えておるのでございます。  なお、組合側の右のごとき指令は、経営権の不当な侵害でありまして、もし不当に業務命令に従わぎる者が出ましたような場合には、相当の措置を講じますことはもちろんでございます。しかしながら、当局といたしましては、ただいまのところ、組合側の理解によりまして、交渉・協議によりまして、円満にダイヤの切替ができることを信じ、また予想しておりますのでございまして、今後におきましても、この方針をもつて最大の善処仕りたいと存じております。(拍手
  37. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 中村君の御要求は、運輸大臣だけでありましたが、その他の大臣の御要求がありましようか。
  38. 中村寅太郎

    中村寅太郎君 総理大臣と労働大臣に要求しておつたはずであります。  〔國務大臣加藤勘十君登壇
  39. 加藤勘十

    國務大臣(加藤勘十君) 明確に労働行政の範囲に関する御質問でありますれば、私の所管に関する限り明確にお答えいたすのでございますが、ただいまは主として運輸大臣に対する御質問であつたと思いますから、私は‥‥。     〔発言する者多し〕
  40. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
  41. 加藤勘十

    國務大臣(加藤勘十君)(続) 最初のうち、私は席にいませんでしたから、一番初めにどのようなことを御質問なさつたか知りませんが、大体国鉄の問題に関しまして、労働大臣としても、運輸大臣が今御答弁申し上げたことが政府の方針である。こうお答えしておきます。(拍手)     〔國務大臣芦田均君登壇
  42. 芦田均

    國務大臣(芦田均君) 輸送力増強のために新ダイヤを編成することの必要は、諸君のすでに十分御承知通りであります。この問題について、労働組合に対しては、運輸省当局より、それぞれその理由をよく説明しておりますから、このダイヤの実行については…     〔発言する者多し〕
  43. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
  44. 芦田均

    國務大臣(芦田均君)(続) 必ず既定の期日に実行し得ることと信じております。(拍手)      ――――◇―――――
  45. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 日程第一、万国に加入することについて承認を求めるの件を議題といたしますで委員長の報告を求めます。外務委員長安東義良君。     〔安東義良君登壇
  46. 安東義良

    ○安東義良君 ただいま議題と相なりました、万国郵便条約及び小包郵便物に関する約定に加入することについて承認を求めるの件について、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本件は、六月二十五日政府から国会に提出され、ただちに本委員会に付託されましたので、翌二十六日及び二十八日の二回にわたり委員会を開き、外務、逓信両省政府委員の出席を求め、本件について審議いたしたのであります。本件は、新憲法下条約審議の最初の事例でありますので、本委員会といたしLましても慎重に審議し、活発に質疑応答及び討論が行われました。  政府委員の説明によれば、昭和十四年五月二十三日、ブエノスアイレスにおいて署名された万国郵便条約及び関係約定は、本月末ひもつて廃止され、七月一日以後は、紹和二十二年七月五日パリにおいて署名された万国郵便条約及び関係約定、これに代つて実施されることとなり、わが國としても旧条約に加入していた関係もあり、かつまた今回真条約に加入し得る状態なつたので、右のパリ万国郵便条約及び小包郵便物に関する約定に加入することとしたいというのであります。  共に、新万国郵便条約成立の経緯その他につき詳細に政府側の説明がありましたが、それを要約いたしますれば、第十二回万国郵便連合会議は、昭和十四年ブエノスアイレスにおいて開催されました前回会議の決定により、五年後の昭和十九年にパリで開催される予定で、あつたところ、戦争のため延期され、昨年五月七日からパリで開かれたので、あります。右会議は、総数八百二十一件に及ぶ各国の提議を審議の上、万国郵便条約ほか七種類の約定及びこれら条約、約定の思考規則の条項を決定し、七月五日に、各国委員が各条約、約定の原本に署名を了したのであります。なお、新郵便条約に署名した國は七十六箇國、小包郵便約定に署名したのは六十三箇國であります。本条約の最終議定書には特別規定を設けて、条約及び約定への加入を一時妨げられているドイツ国、日本国及び朝鮮は、責任当局が適当と判断するときに、正規の手続、すなわち連合構成国三分の二以上の承認を得ずとも、外交上の形式により、当該政府からこれをフランス共和国政府に通知し、かつ同国政府から他の連合国に通知することにより、これらの条約、約定に加入することができることになつているのであります。  新パリ条約が、旧ブエノスアイレス条約と比較して相違した主要点をあげますれば、一、万国郵便連合と国際連合との間に協定が締結せられ、万国郵便連合は國際連合の専門機関として認められ、これを本条約の規定に明らかにしたこと。二、万国郵便条約へ新たに加入しようとする場合、従前の規定では、当該國政府からスイス政府に外交上の手続により通告するだけ足りたのであります、新条約では、加入通告のほかに、連合構成国の少くとも三分の二の承認を要することとなつたこと。三、万国郵便連合の大会議から次の大会議までの間において事務の継続を確保するため、実施連絡委員会をスイス国ペルン市に設置し、原則として一年一回定時会議を開催することに相なつたのであります。  日本政府は、六月上旬にこの条約の全文を入手しましたので、政府においては、翻訳その他右条約加入のための準備に鋭意努力しておりましたが、さしむき必要とみとめられる本条約及び小包郵便物の約定に加入するを適当と認め、関係節の正式承認を得た上、六月二十五日閣議の承認を得ましで、ただちに国会に提出した次第でありまして、効力発生期日も七月一日に迫つております関係上、早急国会の承認を得たき旨の政府側要望があつたのであります。  次いで、本委員と政府委員との間に質疑応答が行われましたが、その詳細は会議録に譲り、ここでは、そのうち最も問題となつた諸点を述べることといたします。  まず、外国郵便の現状についての質問に対し、政府側としては、現に外国郵便については、一昨年九月から、連合郡当局の承認により逐次業務を開始し、現在は通常郵便物については例外なく業務が行われており、小包郵便についても、外国より日本向けのものは自由に行われており、日本より外国向けのものも、目下国会に提出中の郵便法の一部を改正する法案が通過すれば、例外なく自由に行われ得ることとなる旨の応答がありました。  また、新パリ條約に加入することにより、わが國として特に有利となることがあるか、特にないというのであれば、わが国は占領下独立國家としての昨日も十分に発揮し得ない今日でもあるから、十分な審議の余日も少ないのに、取急ぎ本条約等に加入する必要があるのかとの質疑がありましたが、これに対し政府側としては、新條的は旧条約と大差はないが、幾多新規な技術的規定を含んでおり、実施期日も七月一日に迫つておることで、殊に郵便連合事務局よりも加入方の勧誘があり、連合軍当局より特に加入許可の正式通知もあつた次第で、その示された好意にこたえるためにも、早急加入を実現いたしたく、かつ本件は終戦以来條約締結について最初の事例であり、これからその他の條約へ加入する前例ともなり、国際社会への仲間入りの第一歩ともなることで、十分意義あることと信ずる旨の應答がありました。  次に、本条約加入の結果、条約上の権利義務が生ずると思われるが、現在連合軍の占領下におけるわが国が、完全に権利を行使することができるかにつき質疑がありましたが、これに対し政府側として、本件のごとく、条約中に占領下における日本の加入を予想して加入の手続をも規定しており、責任当局の承認の上で加入すすものであるから、条約の上の権利は十分行使し得るものと信ずる旨の答弁がありました。  さらに、本条約中国際事務局の経費の分担につき質疑がありましたが、政府側から、旧条約時代では、わが国は一等国として、朝鮮その他の属領地の分を加えて年約一万七千スイス・フランンを分担したが、新条約では、わが国は以前一等国として、大体一万二千フランを分担することとなつており、朝鮮は第四等国として分担金を課せられておるとの應答がありました。  最後に委員側から、本件加入の承認を国会に求むるについて、政府側が、今回のごとく国会閉会間際に至り、十分の審議を盡すの余日なきに至つて、かかる重要なる条約の早急承認を求めらるることは、はなはだ妥当を欠くの措置なりとして、今後は政府当局において、条約その他の参考資料も委員会開催前に配布し、本委員会側ともあらかじめ十分連絡を遂げ、委員会に十分檢討の機会を與えられるよう措置せられたい旨の要望がありましたが、政府側においてもこれを諒とし、将来は十分注意すべき旨の答弁がありました。  右をもつて質疑を終了し、討論に入り、委員竹内克巳君より、本条約及び約定は、現下の事態に鑑み、政府の要求通りこれを承認することに異議はないが、今後条約案の審議に際しては十分なる審議の余地を與えられるよう政府側に厳重なる注意を促すべしとの意見が述べられ、また委員若松虎雄君よりも同趣旨の意見が開陳せられた後、討論を終結し、本委員会は、今後政府において国会に条約の承認を求めるに際しては、本委員会に十分なる審議の機会を興うるよう政府当局に厳重要望し、全会一致をもつて本件を可決いたした次第あります。つきましては、本院において万国郵便条約及び小包郵便物関する約定に加入することについて承認を與えられんことを希望いたします。  右、報告いたします。(拍手
  47. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 採決いたします。(拍手本件は委員長報告通り承認することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告通り承認するに決しました。(拍手)      ――――◇―――――
  49. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 日程第二、製法たばこの定価の決定又は改定に関する法律案議題といたします。委員長の報告を求めます。財政及び金融委員長早稻田柳右エ門君。     〔早稻田柳右エ門君登壇
  50. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田柳右エ門君 本案は、昭和二十三年度の専売益金九百四十三億円を放出確保するために、自由販売タバコとして新たに四十円の「いこい」と、三十円の「ハッピー」と、二十円の「ききよう」という刻みタバコを発売することに相なり、従来の自由販売タバコでありました「ピース」及び「朝日」を六十円及び二十円にそれぞれ値上げをなし、さらに配給タバコである「きんし」「みのり」「のぞみ」等を九円ないし十一円程度に値上げして販売しようという政府案であります。以上のように値上げをいたしますと、この売上高は、自由販売品において八百五十七億…     〔発言する者あり〕
  51. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 静粛にに願います。
  52. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田柳右エ門君(続) 配給品において二百七十一億円、合計千百二十八億円となるのでありまして、その比率は、自由販売品が七六%、配給品が二四%と相なるのであります。  本案は去る六月一日本委員会に付託されましてより、数字にわたつて審議を重ねましたが、目下審議中の予算と関連し、また国民生活にも重大なる影響を有するので、終始活発なる質疑が取交され、タバコ値上げの是非善悪について、きわめて慎重な檢討が行われたのであります。今委員各位と政府との間に取交されました質疑のおもなるものを要約して申し上げてみたいと存じます。  国民のタバコの重要度はどうなつておるか。新しい貸金ベース三千七百円に見込まれているかどうか。今回の値上げは品質に應じた適正価格であるかどうか。一般大衆にとつて大きな負担となるが、政府はどう考えているか。やみタバコ撲滅の方途について政府はどう考えているか。自由販売タバコは浮動購買力吸収の役割をもつておるが、値上げをいたんした後の売行きについては自信があるかどうか。自由タバコの値上げはやみタバコの値上げを誘致し、インフレに拍車をかけろ結果と相なるが、政府の所見いかん。葉タバコの管理並びに収納及び買上げ値段につき改訂の意思はないかというような質疑が多かつたのであります。  これに対し政府より、おおむね左のような答弁があつたのであります。すなわち、昭和二十三年度において、政府は予定製造数量を五百三十億本に見込んでおる。国民の重要度に対此いたしましては、むろん量的に足りないと思いますが、しかし、戦災工場の復旧、耕作面積の拡張等によりまして逐次増強を見つつあるから、三、四年後には戦前のタバコの製造水準である八百億本に近づくものと思う。新しい賃金ベースには、もちろん盛りこまれている。品質については十分に吟味をし、適正化に留意をする。配給タバコの値上げは最小限度に食い止めて、一般大衆の生活になるべく影響Lないように努めてまいつた。やみタバコ撲滅については万全を期する。値上げ後の売行きには相当自信がある。葉タバコの収納には改善を加える。今回の値上げは国家財政上真にやむを得ね措置であることを御了解願いたいと、るる政府当局の苦衷を開陳されたのであります。  次いで、六月十四日には公聴会を開き、本案について各界代表者の意見を聴取いたしました。エコノミストの山本正男君、時事新報の有竹健二君、消費者代表の長谷川乕太郎君等より、生産原価と定価との開きがあまりに大きいのではないか、三千七百円ベースとの間に矛盾がありはしないか、國家財政の大部分が専売益金によつて賄われるのはかんばしくない、タバコの値上げはやみ価格に拍車をかける点などを指摘しまして、それぞれ反対意見の陳述がありました。小売人の代表の廣瀬理一者、耕作者代表の矢野敬三君からは、十五円ないし二十円程度の自由販売タバコを大量に売出すこと、葉タバコの買上げ価格を二倍程度に引上げてもらいたいという希望を附して、今回の値上げに賛成意見を開陳されたのであります。  次いで、六月十八日の委員会におきましては、川合彰武委員より、配給タバコ増配の意図ありや否や質しました。これに対して政府より、本年度約十三億本を増配し、また職域配給の増加も考えておるので、実質的には一般大衆の負担影響することが少いものと考えておる旨の答弁がありました。さらに社会党、民主自由党、民主党の各委員より、今回の値上げは、窮迫せる國家財政の実情に鑑み、やむを得ぬものとは思うが、国民の家計に及ぼす影響を考え、配給タバコの増配を早急に行つて、実質的に購入費の増高とならぬように一段と努力せよという強い希望があり、政府もまたこれを了承したのであります。  かくて質疑を打切り、討論を省略して、ただちに採決に入らんといたしましたとき、第一議員クラブの堀江委員よりタバコは生活必需品である、大衆負担を増大し、やみタバコの値上げはインフレに拍車をかけるから、賛成できぬ旨の発言があつたのでありましたが、委員会の大勢は真にやむを得ね措置と認め、採決の結果、堀江委員を除く全員の賛成得て、原案の通り可決確定いたした次第であります。  以上、ご報告申し上げます。(拍手
  53. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 本案に対しては、北二郎君より、成規の賛成を得て修正案が提出されております。この際その趣旨弁明を許します。北二郎君。     〔北二郎君登壇
  54. 北二郎

    ○北二郡君 私は、ただいま上程になつておりまする製造タバコの定価の決定または改正に関する法律案に対しまして、本案に反対し、左の修正を要求するものであります。  すなわち、製法タバコの定価の決定または改正に関する法律案中、左の通り修正す。朝日、きんし、のぞみ、ピース、新生は、現行通りすえおきと改む。ハッピーは十本三十円を二十五円に改む。いこいは十本四十円を三十五円に改む。ききようは十グラム二十円を、三十グラム二十円に改む。以上であります。  以下、ごく簡単に修正案を提出しました趣旨弁明をいたしたいと思います。  御承知通り、昨年度における不当なる徴税と極端なる通過圧縮のため、国民の間には非常なる金詰りを来しておるのであります。特に農民その他の勤労者は多大なる苦痛をなめつつあることは、言をまたざるところであります。すなわち、タバコの値上げにより一番困るのは農民その他勤労階級である。タバコはすでに嗜好品ではなく、生活必需品の域に達しているのであります。このタバコの値上げをすることは、それ自体がすでに必需品の域に達しているのでありますので、たとい質金を上げたとしても、そのバランスはとれなくなり、物価と賃金の悪循環を来すおそれが十分にあるのであります。政府がいくら健全財政を唱えても、これでは財政的に破綻を来すことは火を見るよりも明らかであります。  またタバコの税金は、大富豪ののむ一本にも、貧農その他勤労者ののむ一本にも、まつたく同率に課せられるもので、應能課税の鉄則を無視したる悪税である。すなわちタバコの大幅値上げは、貧乏人の血を搾つてやみ成金の脱税を補填する悪政治である。政府は現にやみ成金が巨額の脱税をしておることを承知しておるはずである。ただやみ利得を捕捉することが困難であるから、最も政治的に抵抗力の少い貧乏人の膏血を吸いとる安易の途を選んだのである。やみ利得の捕捉ができるかできないかは、徴税技術の問題と言わんよりは、むしろ政府に政治力があるかないかの問題である。もつばらタバコや運賃や郵便料金の値上げによつて予算のつじつまを合わせるに汲々たる現内閣の財政政策は、端的に現内閣の政治力の貧困を告白する以外の何ものでもないのであります。  経済安定本部か、不安定インフレ促進本部かわからぬが、新物価体系と称して、一躍三倍も四倍も物価の引き上げを断交して、労働賃金は二割ないし三割増しで、これでは国民生活ができなくなるのは当然である。しかも政府は、値上げをしなくともよいものまでも、どんどん上げていく。このたぴの予算を通じましても、いかにして値下げをしてこの悪性インフレを切り抜け、国内経済を確立しようかというまじめな考えが、毛頭ないように思われるのであります。国民は決して物価の値上げを好んでいるのではないのであります。政府みずかちがこのがんをつくつているのである。私は、この点におきまして、現在政府の財政政策はどうかしていると思う。また、そう考えることがかえつて日本のためだと信ずるから言うのであります。  これでよいと思つてやつたことが、よくなかつたことは、敗戦でよくよくわかつたことと思う。わが国の財政政策が、戦時中から今でもまだ向じことを繰返し、あらゆる生産が著しく減退しているにもかかわらず、これを支持しておる政治家の人たちは一体これでよいと思つてつておるのでありましようか。通貨は一兆という天文学的な数字に上り、未曽有の悪性インフレが到来することは、あまりに明らかである。しかるに、これでもまだ気がつかぬのか、気がついていてもまだ無理押しをするつもりなのか、終戦近くでも、国内に引寄せて決戦だと言うておつた人たちと同じ感がするのであります。竹槍と、その辺に穴を掘つておるようなものである。それになお、今までの方法に輪をかけて、タバコや運賃や郵便料金を上げる、これでは国民はたまつたものではないのであります。また今回のタバコの値上げにしても、タバコ生産者の方は、まつた子供だましのような方法で、大幅の値上げ等は一向に考えられていないのであります。  さらにまた、特にわが農民党から申し上げるならば、昨年の農産物の価格はパリティ計算だと言いながらも、他の諸物価、労銀との公平が保たれず、パリティ計算の原理である諸物価の均衝をまつたく欠くものである。すなわちバリティ計算の原理は、諸物価の改訂と常に同時に行わねばならぬ。しかも農民は、昨年の収入で本年を経営しなければならないものである。すでに一〇〇%の出荷終つても、自由意思で販売の時期を定めたのではなく、政府が出荷の時期を強制したものであるから、諸物価の改訂と常に並行して主食価格を追加して支払うのが当然であるにもかかわらず、政府は一向に支払う意思がないようである。  パリティ計算の起訴品目として重大なる役目をしているタバコの価格においても、一方は上げで、一方はすえおきである。しかも一方、昨年度の米価に対し、今回の物価改訂による追加支払は、過般も国会において決議をしているにもかかわらず、政府は当然支払うべきものを支払わずに、とるものは遠慮なく取上げるのである。まつたく、タバコその他の値上げは農民を欺くものである。そしてその結果は、農民その他勤労者のみに犠牲を負わしむることになるのであります。ゆえにわれわれは、断固として反対せざるを得ないのであります。  一方またタバコの質からやしますならば、きんしの質は、終戦直後は、日本産の優秀葉、すなはち黄色葉が四五%、米国の葉が一〇%、他は日本の在来種のものでありますが、現在におきましては、黄色葉が二五%、他は日本の在来葉、その上にいたどりが六%もはいつておるのでありまして、その質におきまして、まつたく低下しておるのであります。また戦前の価格と比べますれぼ実に百六十倍近くになり、またわれわれは、今のピースと戦前におけるきんしを比較いたしますときに、大体これで同質だと思われるのであります。その見地からいたしますれば…     〔「簡単々々」と呼ぶ者あり〕
  55. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
  56. 北二郎

    ○北二郎君(続) 実に九百倍にもなるのであります。これは、現行の十本六円を十一円に値上げしようとするのでありますから、いかに政府国民に無理を押しつけておるかということがわかるのであります。  また、政府発表の数字によりますれば、ピースは、人件費、包装費、これを含めて原価計算いたしますれば、十本四円五十銭になるのであります。しかも、その質の内容は、黄色種の葉が六〇%、香料・砂糖入りであるが、戦前の同質のタバコと比較すれば、ピース六十円は、政府発表の統計によつてみますと、実に二百七十倍である。これはいかに不当な価格であるかということがわかるのであります。  次にまた、国民消費資金と専売益金との比率についてみますならば、昨年新生を四十円に値上げしたときに、政府の予定では一〇〇対五であつたが、しかし、これが売れぬために収入減で、一〇〇対軍三・五にしか達しないのであります。ゆえに、単に値上げをいたしましても、これは売れない。その結果においては、政府収入も減ずることは明らかであります。皆さんにおきましても、おそらく私の申し上げておることについては御異論のないことと思いますが、ぜひわれわれのこの修正案に御賛成くださらんことをお願いいたしまして、修正案提出趣旨といたします。  なお本案の採決に対しましては、記名投票きもつて採決されんことをお願いする次第であります。
  57. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) この際討論の通告があります。これを許します。堀江實藏君。     〔堀江實藏君登壇
  58. 堀江實藏

    ○堀江實藏君 製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律案につきまして、簡単にただいま北君から提出になりました修正案に賛成し、原案に反対の意見を申し述べたいと思います。  まず第一に、なぜわれわれが原案に反対するかということであります。これは、タバコが嗜好品でなくして生活必需品の域にはいつておる。しかも委員長の報告にありましたように、政府は配給数量を増やすと言つておりますが、ただそれは現在の五十本を六十本にするにすぎない。すなわち配給量を増しましても、たつた一日に二本であります。タバコをのむ人が、おそらく二本や八本や十本でいいかどうか、それはすでに皆さんのよく御承知の点であります。こうした配給状態にあるときにおいては、足らぬところは、やはり高いタバコを買わなければならない。もちろん、今回のタバコ値上げの中に安いタバコはあります。しかし、自由販売価格の二百四十本のうち、百八十本は高級タバコである。そういう意味において、それが完全に大衆課税の性質を帯びておるということであります。(拍手)  次に、この値上がインフレを煽揚するという問題であります。農村に帰りましても、まだピースが五十円のとき、タバコ一箇と米が三升である。こうした価格の不合理がインフレを促進することになるということは、はつきりした事実であります。  さらに、これがやみタバコを増加せしむるという問題であります。このやみタバコの原価は、大体当局なんかの指示しておるところによりますと、十円ないし十五円だということでありました。  こうした大きな値上によつてやみタバコがますます氾濫する。政府は、今回煙草専売法の一部改正法案を提出しましたが、法律で罰則を強化するとしても、こうした不合理理が包蔵されてある以上、絶対にやみタバコは絶滅しないということを私らは考えるものであります。  さらに、配給量の抵下であります。昨年度よりも本年度の計画は、二〇%配給タバコが少くなつておるという事実を見逃してはなりません。  さらに一番重要なことは国民消費との比率の問題であります。昭和二十二年度に、政府国民所得に対して五%の収入を見込んでおりました。しかし、皆さんすでに御存知のように、あのばかげた新生の不成功によりまして、結局三・五%に落ちたという事実を考えてみましたならば、昭和二十三年度において九百四十三億を見込んでおりますが、この九百四十三億は、国民所得に比較しまして五・六九%に当ると思います。昨年の実績からいたしましても、おそらくこうした厖大な九百四十三億の収入は得られぬということは、われわれいろいろの統計から、これを信ずるものであります。  次に、国民大衆の意向を無視しておる。専売局労組が中心になつてタバコ値上げ反対請願署名運動をやつておりまして、委員会にも二十五万人の署名をもつてまいつておりましたが、実際において何百万の署名が今でき上つておるのであります。民主的な国会がこうした大衆の要望を認めないということは、はたして民主的であるかどうか、それを疑うものであります。  そして、われわれが最も反対しなければならないことは、このタバコ値上げは三千九百九十三億の厖大なインフレを煽揚する、大衆収奪、資本家擁護の予算の基本をなしておるという点であります。われわれは、こうした予算をたたくために、ぜひタバコの値上げを食い止めなければならない。皆さんが、真に国民の生活、大衆がいかに困つておるかということを考えましたならば、断じてこのタバコ値上げに反対していただきたいことを要望いたしまして、私の意見といたします。(拍手
  59. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。まず、本案に対する北二郎君提出の修正案につき採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。北二郎君提出の修正案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖  氏名点呼を命じます。     〔参事氏名を点呼〕
  60. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 投票漏れはありませんか。      投票漏れはありませんか。     投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。  投票を計算いたさせます。     〔参事投票の数を計算〕
  61. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。     〔事務総長朗読〕   投票総数 二百二十二   可とする者(白票)  十三   否とする者(青票)  二百九   (拍手
  62. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 右の結果緒架、北二郎君提出の修正案は否決されました。     ―――――――――――――     〔参照〕  北二郎君提出修正案を可とする議員の氏名    石田 博英君  田口助太郎君    堀江 實藏君  山口 武秀君    河口 陽一君  北  二郎君    高倉 定助君  寺崎  覺君    中野 四郎君  木村  栄君    徳田 球一君  野坂 参蔵君    林  百郎君   否とする議員の氏名    井上 知治君  磯崎 貞序君    小澤佐重喜君  大内 一郎君   岡井藤志郎君  川村 善八郎君    島村 一郎君  高田 弥市君    辻  寛一君  圓谷 光衞君    野原 正勝君  本間 俊一君    森 幸太郎君  森  直次君    赤松  勇君  浅沼稲次郎君    荒畑 勝三君  井上 良次君    井谷 正吉君  伊瀬幸太郎君    伊藤卯四郎君  猪俣 浩三君    池谷 信一君  石井 繁丸君    今澄 勇君   受田 新吉君    海野 三朗君  大鳥 義晴君    大矢 省三君  加藤 勘十君    加藤 靜雄君  花月 純誠君    笠原 貞造君  梶川 靜雄君   片山  哲君  勝間田清一郎君    金子益太郎君  上林與市郎君    川合 彰武君  川島 金次君    河井 榮藏君  河合 義一君    菊川 忠雄君  菊池 重作君    清澤 俊英君  久保田鶴松君    金野 定吉君  佐竹 新市君    佐藤虎次郎君  榊原 千代君    笹口 晃君   重井 鹿治君    島上善五郎君  島田 晋作君    庄司 彦男君  鈴木 雄二君    田中 松月君  田中 稔男君    田淵 実雄君  高津 正道君    竹内 克巳君  竹谷源太郎君    辻井民之助君  土井 直作君    野老  誠君  中崎  敏君    永井勝次郎君  永江 一夫君    成瀬喜五郎君  成田 知巳君    西尾 末席君  西村 榮一君    野上 健次君  野溝  勝君    馬場 秀夫君  林  大作君    原 彪之助君  福田 昌子君    藤原繁太郎君  細川 隆元君    細野三千雄君  前田栄之助君    前田 種男君  正木  清君    松尾 トシ君  松澤 兼人君    松永 義雄君  松原喜之次君    松本 七郎君  松本 淳造君    萬田 五郎君  満淵松太郎君    水谷長三郎君  村尾 薩男君    守田 道輔君  森 三樹二君    森戸 辰男君  師岡 榮一君    門司  亮君  八百板 正君    矢尾喜三郎君  山口 靜江君    山崎 道子君  山下 榮二君    吉川 兼光君  米窪 滿亮君    和田 敏明君  安東 義良君    芦田  均君  天野  久君    荒木萬壽夫君  井村 徳二君    伊藤 恭一君 生悦住貞太郎君    荊木 一久君  打出 信行君    馬越  晃君  梅林 時雄君    小川 半次君  小野  孝君    大森 玉木君  岡野 繁藏君    押川 定秋君  金光 義邦君    川崎 秀二君  神山 榮一君   木村小左衡門君  北村徳太郎君    小坂善太郎君  小島 徹三君    小松 勇次君  五坪 茂雄君    後藤 悦治君  佐伯 宗義君    坂口 主税君  櫻内 義雄君    志賀健次郎君  椎熊 三郎君    鈴木 強平君  園田  直君    田島 邦邦君  田中源三郎君    高岡 忠弘君  高橋清治郎君    高橋 禎一君  高橋 長治君    武田 キヨ君  橘  直治君    圖司 安正君  坪川 信三君    寺島隆太郎君  苫米地義三君    中垣 國男君  中島 茂喜君    中曽根康弘君  中村 俊夫君    中村 又一君 長野重右ヱ門君    並木 芳雄君  成島 憲子君    西田 隆男君  西山冨佐太君    長谷川政友君  原   彪君    坂東幸太郎君  一松 定吉君    福田 繁芳君  細川八十八君    堀川 恭平君  三好 竹勇君    最上 英子君  矢野 政男君    安田 幹太君  山崎 岩男君    山下 春江君  吉田  安君    米田 吉盛君 早稻田柳右エ門君    井出一太郎君  石田 一松君    今井  耕君  大島 多藏君    岡田 勢一君 唐木田藤五郎君    川越  博君  川野 芳滿君    木下  榮君  吉川 久衛君    黒岩 重治君  河野 金昇君    笹森 順造君  竹山祐太郎君    豊澤 豊雄君  内藤 友明君    野本 品吉君  荻原 壽雄君    平川 篤雄君  船田 享二君    松原 一彦君 的場金右エ門君    谷口 武雄君  斎藤  晃君    田中 久雄君  東井三代次君    大瀧亀代司君  川橋豊次郎君    榊原  亨君  中野 寅吉君    本田 英作君     ―――――――――――――
  63. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 本案について採決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  64. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて本案は原案通り可決いたしました。(拍手)      ――――◇―――――
  65. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 日程第三、経済査察廳法案議題といたします。委員長の報告を求めます。決算委員長松原一彦君。     〔松原一彦君登壇
  66. 松原一彦

    ○松原一彦君 経済査察廳法案は、統制経済によつて生ずる不安と弊害とを取除き、物資の配給を正確かつ、円滑に行わんがために、経済取締計画の統一ある立案、その他経済関係全般の運営に対する調査、啓蒙、監督あるいは隠退蔵物資の調査供出等を任務とする機関を設け、中央廳のほか八管区と、各都道府県にそれぞれの廳をもち、五千人の専任経済査察官をもつてこれに充てんとするのが、政府の原案であつたのであります。  本委員会は、極力行政機構の簡素化、公務員の生理縮小、冗費の節約等をはかつておる際に、たとい配置転換によつて人員の過大な増加は行わぬ方針なりとは申せ、六億七千余万円の経費を要するかくのごとき機関の増設を重視し、かつ物資絶対量の不足に基くやむを得ざるところから生じた末端の違反者を檢挙するくらいのことで深刻なる経済統制の宿弊を取除き得るとは考えられないとの見地から、最も慎重に法案を審議檢討の結果、本案の精神に基き、以下述ぶるごとき修正を加うることになつたのであります。修正の要点を申し上げます。  第一、法案の名称が「経済査察廳」とありましたものを「経済調査廳」、「経済査察官」とありましたものを「経済調査官」と改めました。その理由は、名称から来る国民への威嚇的な圧迫感を和らげるためであります。  第二は、設置目的の中に「統制の励行を確保する」とありましたものを、国民経済の調和ある復興を図るために経済統制を円滑に実施する」と改め、窮乏の中にも、つとめて調和がある滑らかさを保たしめようといたしたのであります。  第三、この機関は末端の弱き違反者をいじめるためのものではなく、根本的には大やみの根元を衝き、不当なる値段のよつて来る出所をただすとともに、配給の任務を怠つて国民を苦しめ、罪なき者に罪を犯さしむるがごとき当事者に対する責任追及や配給制度の不備を吟味し、親切に配給の実績を調査して、消費者擁護の役に立たせることに重きをおくよう法文を修正いたしました。  第四は、人的機構においては、経済安定本部長官た國務大臣をもつてその長官に充てるとありましたものを、単に國務大臣をもつて長官とすることにいたし、局長を置かず、すべて部長制度にいたしました。  第五、経済査察官専任五千人とあつたものを、経済調査官専任三千五百人とし、都道府県のもとに査察署とありましたものをば削除し、一級官四十人を三十六人に削つて、下に厚くするよにいたしました。  第六、調査のために必要なる場合は、調査官は裁判官から臨檢、捜索、差押えの許可状を受けることができるが、その執行をすべて警察官に求めるものであつて調査官は警察官と並行の列にあり、これむ指揮するものでも、また指揮せられるものでもないことを明らかにするために、行政権と司法権との紛淆があるように見ゆるすべての字句を修正いたしました。  なおこのほかに、若干の修正や条章の整理がありまするが、詳細は印刷の法文に譲つて省略いたします。  決算委員会は、五月十七日の付託を受けて以来、最も熱心に慎重審議を行い、司法委員会とも連合審査会を開いて審査の後六月月二十六日、社会、民主、国協三党を代表して中曽根委員より修正案の提出があり、討論に入つては、民主自由等代表松本委員、共産党代表木村委員より、それぞれ反対理由の陳述がありました。理由のおもなものは、やみ統制そのものの欠陷から発生する、これが廓清は、今日の完了組織のよくするところではない、冗官冗費に属するこの種の制度は、むしろ有害無益である、(拍手)はたして調査官に適任者があり得るか等々でありました。また社会党を代表して戸叶委員、民主党を代表して中曽根委員より、それぞれ賛成意見の陳述がありましたが、そのうち、調査官には比較的廉直なる婦人をも若干採用されたい、この際真に統制せねばならぬものは徹底的にその実をあげるとともに、解かれるものは大幅に統制を解除する勇断を政府に要望する、調査の重点を官僚の責任追及に置くべし、実施の結果は毎月詳細に報告せられたい等のことがあつたことを申し添えておきます。採決の結果は、多数をもつて修正案を含む全法案を可決いたしたのであります。  以上、委員会審議の大要を申し述べて御報告といたします。(拍手
  67. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 討論の通告があります。これを許します。松本一郎君。     〔松本一郎君登壇
  68. 松本一郎

    ○松本一郎君 ただいま上程になりましたる経済査察廳法案――修正になりまして経済調査廳設置法案――につきましては、私ども民主自由党といたしまして、悪法中の悪法であると考えまするがゆえに、民主自由党を代表いたしまして、いささか意見を開陳せんとするものであります。(拍手)  そもそもこの法律は、わが国の国民性と経済の実情にまつたく合致せざるものであります。もし、かようなる法律を施行せんか、行政と司法の事務を混淆せしめ、いたずらに官吏を増員するに止まわり、わが国の産業をますます沈滞せしめ、国民経済活動を萎靡沈滞せしめ、ひいてはインフレに拍車をかけ、ますます国民生活を苦境のどん底に陷れるものなりと言わざるを得ないのであります。(拍手)  そもそもわが日本が、敗戦の結果、食糧を初め重要物資をアメリカの御好意によつて輸入しておることは、われわれ満腔の感謝の意を捧ぐるものであります。従つて、わが国内内におきましても、つとめてやみをなくし、流通秩序の確立をはかるべき要あることは、減政府とわれわれ、もとより同感であります。しかしながら、現実にわが国の実情を見ましたとき、何がゆえにやみ取引を行わなければならないか、何がゆえにやみが生ずるかというこの根底を究明し、適切なる救済を樹立しなければならねと思うのであります。  しからば、やみの生ずる基というもの、やみの生ずる原因はどこにあるか。まず一つは、敗戦の結果、わが日本が領土を失い、資源は乏しく、人口八千万を超える世界一の密度となり、生存競争激しくして、乏しき物の争奪をしなければならぬという憐むべき状態にあることである。いま一つには、戦時中から今日まで、この十年の間に行われたるいろいろな統制方式に欠陷があつたからであります。すなわち食糧管理法とい、食糧緊急措置令といい、あるいは物価統制令といい、あるいは臨時物資需給調整法といい、または飲食営業緊急措置令といい、これら多々ある統制法は、真に実情に適しておつたかどうかということを考えるとき、法そのものにも観念論的な、抽象的なイデオロギーに走つて、真に実情をよく見究めておらなかつたという大きな欠点があるのである。それといま一つには、この法を行うところの、上に立つ大臣を初め、指導階級にあるべき多数の人々が、これらの統制法を身をもつて実践垂範しておつたかどうかということである。上に立つ者が行わずして、下におる国民大衆のみを取締らんとしても、物は言わぬが、国民はよく知つてありますぞ。上に立つ者は、まず国民に法を強うる前に、身をもつて実践垂範されなければならねはずである。これが帰するところ道義を頽廃し、生存競争の激しさと両々相まつてやみというものが生じてきて、われわれを今日悩ます基をなしたのであります。  つきましては、このたぴ、これをなくせんがために、すなわちこの調査廳設置法案を提案されたのであるが、この法案について五つ、六つの点を指摘して、反対せんといたすものであります。  まずその一つは、政府は行政整理とか、人員整理とか、口を開けば国民負担の軽減を叫んでおる。私ども、芦田首相からたぴたび伺つておる。しかるに、今ここに提案になつたこの法案は、またぞろ官庁を新設し、役人三千五百人を採用せんとしておる。これが物の生産に役立つ人たちであるならばともかくも、国民から税金をとつて国民を束縛して、帰するところ物を消費する役人を大勢つくつて、どうして人員の整理などということができるか。(拍手)しかも今日、やみを行う者のほとんど大部分大口やみ屋の一部は、官僚と業者と結託しておるのではありませんか。(拍手)たとえば、先般の鉄道次官の疑獄事件といい、昭和電工の日野原社長事件といい、商工省肥料課長のことといい、ことごとく官僚が一かた担つておるのである。その役人を殖やしてやみが減るか。殖えるのが当然である。(拍手)すなわち、今こそわれわれはここに三千五百人、十億近い予算を使つて呑舟の魚は破つて大海に逃げ、つかまえたのは、ざこやひしこである。ざこやひしこをとるのに、十億の犠牲は多すぎる。このことをよくわきまえなければならぬのではないかと私どもは考えます。  かくして、しかもこれができたときは、字句はなるほど経済安定本部長官なるものを抜いて、長官は國務大臣といたしましたけれども、結局これを牛耳る者は経済安定本部であります。すなわち、安定本部官僚の権限拡充になるのであります。かつて経済安定本部なるものは、二重行政の弊害が如実に現われてきて、一日も早く企画庁程度に縮小しなければならぬといつて、この一月政務調査会で決定し、政策を発表したのは、民主党與党ではなかつたか。(拍手)しかるにその民主党が、一月天下の公党として約束したことを、さかさまに経済安定本部を拡充するがごとき、かようなものを出すということは、私ども絶対納得がいかないのである。(拍手かくのごときは、芦田首相は羊頭をかかげて狗肉を売るにひとしきものといわなければならぬ。(拍手)  その次は、もしも…     〔発言する者多し〕
  69. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
  70. 松本一郎

    ○松本一郎君(続) もしも、この案が施行されましたならば、三千五百人の役人は地方に出て、そうして…     〔発言する者多し〕
  71. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
  72. 松本一郎

    ○松本一郎君(続) 地方長官、府県庁、あるいは檢察庁警察官と、これらの役人とが、事務が混淆して…     〔発言する者多し〕
  73. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。論旨を準めてください。
  74. 松本一郎

    ○松本一郎君(続) もしも、これらの役人が地方に出て、地方府県庁で、あるいは檢察庁または警察等々の間に、必ずおもしろからぬ紛淆を生じ、結局、地方長官を公選した意義は全然没却されるのではないか。しかも、本法実施後必ず陷る弊害は、まずこれが政党に悪用されたならば、党利党略の具となるおそれがある。また官僚に悪用されたら、官僚勢力の権限強化拡充となるのである。あたかも特高警察のごとき働きをなすのであります。もし、この問題が思想的に悪用されましたならば…     〔発言する者多し〕
  75. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 静粛に願います
  76. 松本一郎

    ○松本一郎君(続) 諸君、もしもこれが思想的に悪用されましたならば、どういう結果になるか。わが日本は、社会主義化、赤化したる警察國家とならざるを得ないのである。(拍手)あたかもソ連の経済ゲー・べー・ウーに匹敵するものに、これなりといわなければならぬ。  諸君、戦時中、わが国の政治を軍部が掌握して、この大戦を巻き超し、わが国を大敗北させた。今日は官僚が日本の経済を牛耳つて、日本をして滅亡させんとしておることを知つておるか。(拍手)諸君、今日やみをなくするのは、まず法律制度を設けるよりも、ただちにできる手段としては、重要産業だけは統制はいたし方ないが、しからざるものは統制を撤廃し、自由明朗なる経済活動をすることである。(拍手)しかも、これによつて犠牲になり、気の毒な立場に陷るのは…     〔発言する者多し〕
  77. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。――静粛に願います。
  78. 松本一郎

    ○松本一郎君(続) 諸君、――諸君、今や全國には…
  79. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
  80. 松本一郎

    ○松本一郎君(続) 諸君、今や全國には、無慮二百万を超えるというやみ屋があります。これらのやみ屋は、決して大口のものではない。リユツクサツクを背負つた、気の毒な職なき人たちでありまして、これらの人たちが目標におかれるがごときこの法律をつくつて、この人たちはどこへ行くか。統制さえ撤廃すれば、この人たちは、りつぱな行商人である。     〔発言する者多し〕
  81. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。――静粛に願います。
  82. 松本一郎

    ○松本一郎君(続) 最後に、私ほ結論を申し上げます。この問題につきましては、去る二十五日、二十六日の両日、E・S・Sに参りまして、アルバー課長並びにグッドマンのお二人にお目にかかつてまいつたのであります。ゆえに、御先方の意のあるところは、もとよりよく知つております。但し、この法案を議会に出すに至るまでには、現政府に重大な欠陷があつた。それは何であるか。すなわち芦田内閣の二重の性格と政治力の貧困とである。これさえなければ、かような法案が出なくて済んだ。このことを、與党議員もどうぞお考えくだされて、われわれ委員会におきましては、少数の差をもつて破れましたけれども、この本会議においては――諸君も善良な、忠実な国民代表にあらざるや。背後には多数国民のあることを何とぞお忘れなく、この悪法だけは、今日ここで、みごと否決されんことを切にお願いいたします。(拍手
  83. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。本案の委員長報告は修正であります。本案を委員長報告通り決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票…(発言する者多く、聴取不能)閉鎖。氏名点呼を命じます。     〔参事氏名を点呼〕
  84. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 投票漏れはありませんか。      投票漏れはありませんか。      投票漏れなしと認めます。投票箱子閉鎖。開匣。閉鎖。  投票を計算いたさせます。     〔参事投票の数を計算〕
  85. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。     〔事務総長朗読〕  投票総数 三百四十九  可とする者(白票)  百九十五  否とする者(青票)  百五十四  (拍手
  86. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 右の結果、本案は委員長報告通り修正議決するに決しました。     ―――――――――――――     〔参照〕   委員長報告通り決するを可とする議員の氏名    赤松  勇君  淺沼稻次郎君    井伊 誠一君  井上 良次君    井谷 正吉君  伊瀬幸太郎君    伊藤卯四郎君  猪俣 浩三君    池谷 信一君  石井 繁丸君    今澄 勇君   受田 新吉君    海野 三朗君  大島 義晴君    大矢 省三君  加藤 勘十君    加藤 靜雄君  花月 純誠君    笠原 貞造君  梶川 靜雄君    片山  哲君  勝間田清一君    金子益太郎君  上林與市郎君    川合 彰武君  川島 金次君    河井 榮藏君  河合 義一君    菊川 忠雄君  菊池 重作君    清澤 俊英君  久保田鶴松君    黒田 寿男君  金野 定吉君    佐竹 新市君  佐藤觀次郎君    榊原 千代君  笹口  晃君    重井 鹿治君  島上善五郎君    島田 晋作君  庄司 彦男君    鈴木茂三部君  鈴木 雄二君    田中織之進君  田中 松月君    田中 稔男君  田淵 実夫君    高津 正道君  竹内 克巳君    竹谷源太郎君  辻井民之助君    土井 直作君  野老  誠君    冨吉 榮二君  中崎  敏君    永井勝次郎君  永江 一夫君    成瀬喜五郎君  成田 知巳君    西尾 末廣君  西村 榮一君    野上 健次君  野溝  勝君    馬場 秀夫君  林  大作君    原 彪之助君  福田 晶子君    藤原繁太郎君  細川 隆元君    細野三千雄君  前田榮之助君    前田 種雄君  松尾 トシ君    松澤 兼人君  松永 義雄君    松原喜之次君  松本 七郎君    松本 淳造君  萬田 五郎君    溝淵松太郎君  水谷長三郎君    守田 道輔君  森 三喜二君    森戸 辰男君  師岡 榮一君    門司  亮君  八百板 正君    矢尾喜三郎君  矢後 嘉蔵君    山口 靜江君  山崎 道子君    山下 榮二君  吉川 兼光君    米窪 滿亮君  和田 敏明君    安東 義良君  芦田  均君    天野  久君  荒木萬壽夫君    井村 徳二君  伊藤 恭一君   生悦住貞太郎君  荊木 一久君    打出 信行君  馬越  晃君    栴林 時雄君  小川 半次君    小野 孝君   大森 玉木君    岡野 繁藏君  押川 定秋君    金光 義邦君  川崎 秀二君    神山 榮一君  木村左衛門君    喜多楢治郎君  北村徳太郎君    小坂善太郎君  小島 徹三君    小松 勇次君  五坪 茂雄君    後藤 悦治君  佐伯 宗義君    坂口 主税君  櫻内 義雄君    志賀健次郎君  椎熊 三郎君    鈴木 強平君  園田  直君    田島 房邦君  田中源三郎君    高岡 忠弘君  高橋清治郎君    高橋 禎一君  高橋 長治君    竹田 儀一君  武田 キヨ君    橘  直治君  園司 安正君    坪川 信三君  寺島隆太郎君    苫米地義三君  中垣 國男君    中島 茂喜君  申曽根康弘君    中村 俊夫君  中村 又一君   長野 長廣君  長野重右ェ門君    並木 芳雄君  成島 憲子君    西田 隆男雷  西山冨佐太君    長谷川政友君  原   彪君    坂東幸太郎君  一松 定吉君    福田 繁芳君  細川八十八君    堀川 恭平君  三好 竹勇君    最上 英子君  矢野 政男君    安田 幹太君  山崎 岩男君    山下 春江君  吉田  安君  米田 吉盛君  早稲田柳右エ門君    井出一太郎君  石田 一松君    今井  耕君  大島 多藏君   岡田 勢一君  唐木田藤五郎君    川越  博君  川野 芳滿君    木下  栄君  吉川 久衡君    黒岩 重治君  河野 金昇君    笹森 順造君  竹山祐太郎君    豊澤 豊雄君  内藤 友明君    野本 晶吉君  萩原 壽雄君    平川 篤雄君  船田 亭二君   松原 一彦君  的場金右衡門君    谷口 武雄君  東井三代次君    鈴木彌五郎君   否とする議員の氏名    青木 孝義君  青柳 高一君    淺利 三朗君  東  舜英君    有田 二郎君  井上 知治君    伊藤 郷一君  石田 博英君    石原 圓吉君  石原  登君    泉山 三六君  磯崎 貞序君    稻田 直道君  今村 忠助君    岩本 信行君  植原悦二郎君    江崎 真澄君  小川原政信君   小澤佐重喜君  小野瀬忠兵衞君    尾崎 末吉君  生越 三郎君    大石 武一君  大内 一郎君    大上 司君   大澤嘉平治君    大野 伴睦君  大村 清一君   岡井藤志郎君  岡村利右衞門君    奥村 竹三君  加藤隆太郎君    鍛冶 良作君  角田 幸吉君    柏原 義則君  上林山榮吉君    川村善八郎君  神田  博君    工藤 鐵男君  倉石 忠雄君    小平 久雄君  古賀喜太郎君    近藤 鶴代君  佐々木秀世君    佐々木盛雄君  佐瀬 昌三君    佐藤 通吉君  坂田 道太君    坂本  實君  重富  卓君    澁谷雄太郎君  島村 一郎君    庄  忠人君  庄司 一郎君    白井 佐吉君  周東 英雄君    鈴木里一郎君  鈴木 仙八君    鈴木 正文君  鈴木 明良君    關内 正一君  千賀 康治君    田口助太郎君  田中 萬逸君    田村 虎一君  多田  勇君    高田 弥市君  竹尾  弌君    塚田十一郎君  辻  寛一君    綱島 正興君  圓谷 光衡君    冨田 照君   冨永格五郎君    苫米地英俊君  中嶋 勝一君    中野 武雄君  中村 嘉壽君    仲内 憲治君  長尾 達生君    夏堀源三郎君  西村 久之君    根本龍太郎君  野原 正勝君    花村 四郎君  林  讓治君    原 健三郎君  樋貝 詮三君    平澤 長吉君  平島 良一君    廣川 弘禪君  深津玉一郎君    淵上房太郎君  降旗 徳弥君    古島 義英君  星島 二郎君    本間 俊一君  前田  郁君    前田 正男君  益谷 秀次君    増田甲子七君  松浦  栄君    松浦 東介君  松木  弘君    松崎 朝治君  松本 一郎君    水谷  昇君  宮幡  靖君    村上  勇君  村上 清治君    森 幸太郎君  森  直次君    八木 一郎君  梁井 淳二君   山口喜久一郎君  山口 好一君    山口六郎次君  山崎  猛君    山名 義芳君  山村新治郎君    山本 猛夫君  吉田  茂君    若松 虎雄君  渡邉 良夫君    亘  四郎君  大石ヨシエ君    大原 博夫君  大神 善吉君    鈴木 善幸君  田中 健吉君    高瀬  傳君  戸崎千代吉君    成重 光眞君  平工 喜市君    本藤 恒松君  松澤  一君    水野 實郎君  宮村 又八君    斎藤  晃君  只野直三郎君    中村元治郎君  森山 武彦君    河口 陽一君  北  二郎君    中野 四郎君  大瀧亀代司君    川橋豊治郎君  榊原  亨君    中野 寅吉君  本田 栄作君    木村  榮君  徳田 球一君    野坂 參三君  林  百郎君      ――――◇―――――
  87. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 日程第四、風俗営業取締法案、日程第五、市町村立学校職員給與負担法案、右両案は同一の委員会に付託された議案でありますから一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。治安及び地方制度委員長坂東幸太郎君。     〔坂東幸太郎君〕
  88. 坂東幸太郎

    ○坂東幸太郎君 ただいま議題となりました風俗営業取締法案につきまして、治安及び地方制度委員会における審議の経過並びに結果の概要を御説明申し上げます。  本法律案の内容は、本文八箇條及び附則から成り立つておるものでありまして、第一條には風浴営業の定義、第二條には営業の許可、第三條には条例の制定、第四條には行政処分、第五條には聴聞、第六條には立入、第七條及び第八条には罰則に関する事項を規定したものであります。  本委員会におきましては、去る五月二十二日、本法律案の付託を受け、五月二十五日、斎藤国家地方警察本部長官から提案理由の説明を聴取いたしまして以来、委員会を開くこと六回、協議懇談会を開くこと一回、毎回にわたつて熱心な質疑を行い、慎重な審議をいたしたのであります。その詳細な点につきましては、何とぞ委員会議録によつてごらんを願いたいと存じます。  これらの質疑が終了して討論に入り、委員長より別紙のような修正案を提出いたしました。その要点は、第一に、第一條第一号中「婦女が」を削ることにいたし、第二に、第五條第二項中「当該営業者に通告し」の次に「聴聞の期日及び場所を公示し」を加えることといたし、第三に、この法律の施行期日について、附則におきまして、この法律の施行期日を昭和二十三年九月一日と改めた。以上の三点であります。  以上が修正案の概要でありますが、続いて討論が行われ、坂口主税君の賛成演説があつた後採決に入り、満場一致をもつて提案の通り修正するに決し、ここに風俗営業取締法案は修正議決せられたのであります。右、御報告申し上げます。  次に、ただいま議題となりました市町村立学校職員給與負担法案に、関し、治安及び地方制度委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず順序として、本法案の内容について、その概略を説明いたします。法案の内容は、これを左の三点に大別することができます。  第一には、市町村立の小学校、中学校、盲学校及び唖学校の職員の俸給その他の給與を都道府県負担とすることであります。このことは従来政令で規定せられておつたのでありましたが、地方自治法の解釈、今回制定を予想せられます地方財政法等によりまして、これを法律に改めることが適当であるという考えから、本法案制定と相なつたものであります。内容につきましては、従来の政令とほぼ同様でありますが、新たに義務制となりました盲学校及び唖学校を加えたこと、従来主として市町村負担であ々ました退官退職手当、日直手当、宿直手当を今回都道府県負担としたこと等が、その内容のおもなものであります。  第二には、市町村立高等学校の定時制の課程の教員の俸給その他の給與を都道府県負担としたことであります。従来勤労青年の教育は、主として青年学校において行われておりまして、その職員の俸給等は都道府県負担とせられておりました。しかるに、本年四月一日から青年学校が廃止せられることになりましたので、勤労青年の教育は、主として新制高等学校の定時制の課程において行われることとなりました。従つて、勤労青年の教育を振興するという趣旨から、市町村立高等学校の定時制の課程の職員の俸給等を、青年学校と同様、都道府懸の負担とした次第であります。  第三に、本法律は四月一日にさかのぼつて適用せられることを明らかにいたしますとともに、さきにも申し上げました理由によりまして、従来の政令を廃止することといたしました。しかしながら、市町村立の旧制中等学校に併置せられました新制中学校につきましては、主として義務教育に属しない学年、すなわち本年度におきましては第三学年の授業を担任いたしております教員の俸給等は、従前通り市町村の負担といたしております。以上が本法案の内容概略であります。  本委員会におきましては、去る六月十一日、本法案の付託を受け、六月十五日、細野文部政務次官から法案の提案理由の説明を聴取いたしまして以来、委員会む開くこと二回、慎重審議を重ねたのでありまして、その詳細は、何とぞ委員会議録によつてごらんを願いたいと存じますが、その中でも最も問題となりました点は、市町村学校職員の給與は、本法案によつて都道府県負担となるのに、人事の実権は、将来市町村に設置せらるべき教育委員会の手中に帰することとなるので、両者の間におもしろからぬ関係を生ずるから、できることなら将来、市のうち特に五大都市だけでもよいから、給與の負担及びその裏づけの財源を市に委譲せられるよう希望したのであります、  本委員会におきましては、六月二十八日質凝を終了いたしまして、討論を省略の上、右の意見を希望条項といたしまして、本法案を原案通り可決すべきものと議決いたしました。  右、概要御報告申し上げます。(拍手
  89. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 両案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告通り決しました。      ――――◇―――――
  91. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 日程第六、中小企業庁設置法案の参議院回付案を議題といたします。     ―――――――――――――
  92. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。     〔賛成者多数起立〕
  93. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 起立少数。よつて参議院の修正に同意せざることに決しました。      ――――◇―――――
  94. 笹口晃

    笹口晃君 憲法第五十九条第二項に基いて再議決のため、中小企業庁設置法案の本院議決案を議題とせられんことを望みます。
  95. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて中小企業庁設置法案の本院議決案を議題といたします。  ただちに採決いたします。本案さきに本院において議決の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  97. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 一名を除いて総員起立。よつて本案は、さきの議決の通り、出席議員三分の二以上の多数をもつて可決せられました。      ――――◇―――――
  98. 笹口晃

    笹口君 日程第七ないし第九は延期されんことを望みます。
  99. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。      ――――◇―――――
  101. 笹口晃

    笹口晃君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、水産庁設置法案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  102. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありまりませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  水産庁設置法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。決算委員長松原一彦君。     〔松原一彦君登壇
  104. 松原一彦

    ○松原一彦君 戦後、わが国水産業の発展を期するために、科学的調査研究を基礎とする水産行政の推進、あるいは漁業民主化の基本たる漁業権制度の改革及び水産業協同組合制度の立案等が、目下の急務となつております。この際、これら水産に関する事務を所管水産局の現機構が貧弱であろことは、まことに遺憾であります。よつて、ここに水産行政機構を強化する必要上、農林省の外局として水産庁を設置し、農林省の行政のうちに徳に水産行政に重きをおくの意思を明らかにしにものであります。  本法案につきましては、六月二十六日、本委員会に付託せられましたが、以上の事情につき政府当局の説明を聴取したる上、二、三簡単なる質疑応答を重ねまして後、本二十九日午前、討論を省略して採決に入り、全会一致をもつて原案通り可決いたしました。  右、御報告申し上げます。
  105. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告通り可決いたしました。      ――――◇―――――
  107. 笹口晃

    笹口晃君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、船員保健法の一部を改正する法律案議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  108. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  船員保険法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員長山崎岩男君。     〔山崎岩男君登壇
  110. 山崎岩男

    ○山崎岩男君 ただいま議題となりました船員保健法の一部を改正する法律案につきまして、厚生委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  船員保健法は、昭和十四年四月制定後、数回にわたり改正の上、今日まで実施されてまいつたのでありますが、新情勢に即応するため、他の社会保険制度と同様に、船員労働者の福祉増進をはからんとするのが、政府の本改正案提出理由であります。以下、そのおもなる点について申し上げます。  第一に、最近における立法の情勢に鑑み、従来命令に委任されておりました重要事項は、すべてこれを法律に規定して、その権利の保護に万全を期せんとするものであります。  第二に、保険給付の内容の充実でありますが、そのおもなるものは、一は、船員の家族に対する給付の創設でありまして、被保険者によつて生計を維持する者の疾病、負傷または死亡に対しても、家族療養費または家族葬際料を支給すること。二は、寡婦年金、鰥夫年金、遺児年金制度の創設でありまして、六箇月以上十五年末満の被保険者たる者が、職務外の事由によりまして死亡したとき、もしくは傷病によりまして資格喪失後二年以内に死亡したとき、または職務外の事由による障害年金受給者で、その癈疾の程度が重い者が死亡したとき、その配偶者または子に寡婦年金、鰥夫年金または遺児年金を支給すること。三は、障害年金受給者で、その癈疾の程度が重いものに対しては、扶養者加給金として、配偶者または子一人当り年二千四百円を加給すること。四は、この改正法律施行の日前、職務上の理由により交付を受けている遺族年金及び障害年金の額を、五倍に引上げて増額支給するとともに、配偶者または子のあるときは、その配偶者または子一人当り二千四百円を加給すること。五は、失業保険金の日額を増額すること、などであります。  第三は、保険医制度でありますが、従来強制指定制度でありましたのを廃止して、新たに医師の同意に基く自由任意指定制度といたしたのであります。  第四に、保険料率については、現下の情勢に鑑み、負担能力等を勘案の上、暫定的措置といたしまして保険料率を引下げておるのであります。  本法律案は、六月二十三日、本委員会に付託せられ、二十八日、水産委員会との連合審査会を開き、政府との間に熱心なる質疑応答がおこなわれたのでありますが、結局本法律案は、漁業船員の立場より見て実情に適せざるものであるがゆえに、次期国会に漁業船員の要望に応ずる改正案提出の意思があるかとの質疑に対しては、厚生大臣より十分善処する旨の答弁があつたのであります。  かくて、本日審議を終え、討論を省略して採決に入りましたところ、全員一致原案通り可決すべきものと決した次第であります。  右、御報告申し上げます。
  111. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告通り可決いたLました。      ――――◇―――――
  113. 笹口晃

    笹口晃君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  114. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長の報告を求めます。商業委員長堀川恭平君。     〔堀川恭平君登壇
  116. 堀川恭平

    ○堀川恭平君 ただいま議題と相なりました貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、本委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。  本法は、昭和二十三年法律第百七十九号をもつて公布施行せられておるものでありまして、今回改正せんといたします主たるねらいは、大体以下の三点につきるものであります。  まず第一に、貿易資金の不足を補足するための借入金または融通証券の発行限度額を引上げなければならぬことであります。現行法の法定限度は、先般の改正によりまして百億円と相なつておるのでありまして、その限度の余裕額は、現在のところ、わずかこ二十四億円にすぎないのであります。従いまして、この年度中に要する宇出物資の買入資金の支出額六百十四億円と、輸入物資の売払代余等の資金約五百四十二億円との差差額を考慮に入れますと、この年度中の現金支払上なお四十八億円の資金不足となる計算であります。よつてこの際、多少の余裕を見込み、今回、現行法定限度百億円を百五十億円に引上げまして、貿易資金の運用を円滑にせんとするものであります。  第二は、貿易公団に対する交付金及び同公団からの郵余金の会計所属に関するものであります。御承知通り、従来貿易公団の人件費及び事務費は、これを一般会計からの交付金として交付し、また同公団の剰余金は、これを一般会計に受け入れることと相なつておつたのであります。しかし、その本来の性質より考えまして、これを貿易資金特別会計の所属とするのが適当と考えられますので、これに関する必要なる改正を行い、貿易に関する経理を明確にいたそうとすものであります。  第三は、貿易資金の運用の範囲を拡張せんとすることであります。御承知通り、従来輸出は国営の方法によつておりまして、制限附の民間貿易といえども、貿易廳が輸出業者からその輸出物資を買い上げ、貿易廳が外国のバイヤーと契約して、これを売却する建前をとつていたのでありますが、今般民間貿易の取引を円滑にいたしますために、輸出業者が直接バイヤーと契約して、これを履行することができることといたしますとともに、その代金の請求については、輸出業者が外国為替手形の振出人となり、日本側機関を通じ、在日外国銀行にその手形の買取りを依頼することに手続の改定が行われますに伴いまして、この民間業者の輸出に基く請求権につきまして、政府においてこれを買取り集中することが必要なのでありまして、今回、この請求権につきましても、貿易資金を運用し得る途を講ぜんとするものであります。以上が本法の一部改正法律案の要旨であります。  なお本改正法案は、六月十五日商業委員会に付託せられ、爾来二十四費日には財政及び金融委員会との連合審査、十九日、二十四日には商業委員会の単独審査を行い、その間熱心なる質疑応答が繰返された次第であります。質疑の内容については、会議録を御参考願いたいと思います。  以上をもちまして質疑を終了いたしまして、討論を省略し、六月二十九日採決に入り、全員一致をもちまして、  右、御報告申し上げます。(拍手
  117. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告通り可決いたしました。(拍手)      ――――◇―――――
  119. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 日程第十ないし第十四は同一の委員会に付託した請願でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員長安東義良君。     〔安東義良君登壇
  120. 安東義良

    ○安東義良君 ただいま上程に相なりました請願五件につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果について簡単に御報告申し上げます。  外務委員会は、六月二十六日及び六月二十八日、在外同胞引揚げ促進に関する四つの請願を審議いたしましたから、これを一括御報告いたします。  政府委員より引揚に関する状況を聴取いたしますと、最近の引揚数は協定の一箇月五万人の数には少し足りないが、日本側の引場げ促進に関する熱望を連合軍当局につぶさに伝えて、今冬は残留する者のないように能う限りの努力をするとのことでありました。よつて委員会は、政府当局の一層の努力を期待して、本請願を採択することに決定し、本請願を本院において採決し、かつこれを内閣に送付せらるべきものと認めたのであります。  次に、中国東北地区残留の同胞に対する救済物資送付に関する請願につき、六月二十六日、外務委員会関係政府当局の説明を求め、審議いたしました。本請願の要旨は、中国東北地区の国民政府治下には四千五百名の留用者のほかに二千名以上の難民と数十名の戦犯容疑者が、あり、また中共地区には推定四、五万名の同胞が残留し、祖国の救援もなく、困難なる境遇にあるがゆえに、救済物資を送付せられたいというのであります。この請願に対し、政府当局の説明によりますと、これら地方に対する交通方法の困難であるということは別にしましても、中共地区残留者に対しては、不幸今日に至るまで連絡がつかず、救援の策を講ずることができなかつたとのことであります。しかしながら、占領軍当局の御盡力により連絡の方法さえつけば、今日佐世保援護局において、援護物資を必要に応じ、いつにても発送し得る準備を整えておりますから、その時期が参りましたならば、援護につき万潰憾なき方法を講ずるとのことでありました。従つて外務委員会といたしましては、外務当局と厚生当局に対し、請願趣旨達成のため努力を要望して、本請願を採択することに決定いたしたのであります。よつて請願は本院において採択し、かつこれを内閣に迭付すべきものと認めた次第であります。  右、御報告申し上げます。(拍手
  121. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 日程第十及び第十二号ないし第十四号の請願は、五月十七日本院において採択した請願と同一内容でありますから、採択とみなすことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつてその通り決しました。  次に、日程第十一の請願は委員長報告通り採択するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて請願は委員長報告通り採択するに決しました。  これにて日程は終了いたしました。明三十日は定刻より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。     午後六時四十七分散会