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1948-06-26 第2回国会 衆議院 本会議 第71号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月二十六日(土曜日)     午後二時四十五分開議     —————————————  議事日程 第六十七号   昭和二十三年六月二十六日(土曜日)     午後一時開議  第一 獣医師会及び裝蹄師会解散に関する法律案内閣提出)  第二 家畜傳染病予防法の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 民生委員法案内閣提出)  第四 厚生年金保險法等の一部を改正する法律案内閣提出)  第五 藥事法案内閣提出)  第六 会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  第七 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案内閣提出)  第八 日本國憲法第八條の規定による議決案内閣提出)  第九 行政官應法等の一部を改正する法律案内閣提出)  第十 國家公務員法第十三條第二項及び地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、臨時人事委員会地方の事務所の設置に関し承認を求めるの件  第十一 職業安定法第十二條第十一項の規定に基き、職業安定委員会委員旅費支給額に関し議決を求めるの件  第十二 農業改良助長法案内閣提出)  第十三 港則法案内閣提出)  第十四 木船保險組合解散に関する法律案内閣提出)  第十五 水先法の一部を改正する法律案内閣提出)  第十六 自轉車競技法案林大作君外四十七名提出)  第十七 郵便法の一部を改正する法律案内閣提出)     —————————————
  2. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 大藏大臣財政演説に対する六月十四日の野坂參三君質疑に対し、内閣総理大臣より答弁ため発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣芦田均君。     〔國務大臣芦田均登壇
  4. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 六月十四日、野坂參三君質疑の際欠席をいたしましために、本日この機会に答弁をいたします。  質問の第一は、外資導入基本とする全政策自力更生に重点をおく方向に変更する意思はないかという質問であります。組閣以來繰返し政府の声明しておることは、わが國の経済再建自力再建をもつて基礎にしておる、しかしながら、自力をもつてしてなお至らざる部門は、今日これを外國のクレジツトもしくは物資の輸入に仰ぐことが最も敏速にわが國の再建を完成するゆえんであると、繰返し声明してきたのでありましても、野坂君は、おそらく施政演説の原稿をまだお読みになつていなかつたために、かような質問を起されたことと思います。  第二は、日本はすべての國と平等に親善関係を結ぶべきであつて、一、二の國に偏る政策をとるべきではないと思うがどうかとの点は、野坂君の御所見通りであります。     〔野坂參三君登壇
  5. 野坂參三

    野坂參三君 きわめて簡單に今の総理の御答弁に対して——私の質問の要点が総理に実におわかりになつていないらしい。私は、総理のあの御演説を繰返し読んだ結果、ああいう結論に達したもので、私の質問のときにも、総理のお言葉大藏大臣のお言葉、あるいは政府の発表されたいろいろな文献の中から、そのまま文字をとつてきて私は言つたつもりです。この点について、これ以上私は質問しても、おそらく水掛論になりますが、ただ一言申し上げたいことは、全政策、全予算基本が、つまり外國援助に頼ることが根本になつておるということは、大体良心的にあの報告とか書面を見た者には理解し得ると思います。これで私の総理への再質問は行わないでおこうと思います。      ————◇—————
  6. 笹口晃

    笹口晃君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、早川崇提出南紀州第二次大震災に関する緊急質問菊池義郎提出連合國から防波堤用としてもらい受けた軍艦埋設作業に関する緊急質問、守出道輔君提出土地改良事業に関する緊急質問を逐次許可せられんことを望みます。
  7. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程四は追加せられました。  南紀州第二次大震災に関する緊急質問許可いたします。早川崇君。     〔早川崇登壇
  9. 早川崇

    早川崇君 私は本月十五日南紀州一帶に起りました第二次震災救済に関しまして、政府のこれに対する対策につき緊急質問せんとするものであります。  新聞紙上報ずるところが地勢の関係上遲れましたので、この被害実情に関しましては、未だ十分認識されておらないのであります。しかしながら、その後私の手もとに達しました被害実情は、われわれが予期した以上のきわめて甚大な被害になつておる次第であります。これを項目別に集計いたしますと、土木関係におきまして、すでに縣工事のみに限定いたしましても数千万円の被害に達しております。さらに林務関係におきましては、おおむね一億に近い被害がすでに私の手もとに到達しておるのであります。さらにきわめて被害の甚大なのは、主として耕地関係でありまして、田畑決壞、井堰の埋沒等枚挙にいとまあらず、合計一億数千万円にこの被害が集計されておるような次第であります。以上通算いたしますれば、縣工事のみに限定いたしましても、その被害は二億数千万円に上つておるような次第でありますから、未だ通信杜絶ため報告に至らない市町村の工事を累計いたしますならば、おそらく数億円に上る、きわめで甚大な被害になると私は思うのであります。  思うに、この南紀州の第二次震災の特質は、しかも私があえてこの壇上に立つて緊急質問をしなければならない理由はと申しますと、この被害の高いのに加うるに、一昨二十一年十二月以降、第一次南海大震災による大被害、さらに大水害による被害土地が沈下いたしましたことによる被害、さらに最近は旱魃というよう二重三重に上る被害が、この地区に集積されておるがゆえに、あえてその縣民の窮乏を見るに忍びず、政府はこれが対策を至急講ずる要ありと認めて、質問せざるを得ない次第であります。  政府に私が伺いたい点は、以上の実情をさらに上回つた被害が今後続々政府当局に入手されるかと思うのでありますが、第一点として建設院総裁に所信を質したいのは、土木関係、主として道路、橋梁、河川でありますが、道路に関しましては、すでに南紀州奧地地帶は、道路決壞、山崩れのために、ほとんど交通が思うままにならない実情に立ち至つておるのであります。これがために、その奧地の住民はまさに飢餓線上に迷つておることは、上京せられました小野縣知事報告通りである。從つて私は、建設院総裁に対しまして、これが予算的措置といたしましては、いかなる方法をもつてこの支弁に当るか、言いかえますれば、予備金のうちから至急出す方途を講ずるか、そういつた点を、まず第一にお伺いしたいのであります。  第二点は、農林大臣にお伺いしたいのであります。先ほど申し述べましたように、林道の壞滅、その被害は数千万円に上つておるめでありますが、これの対策、さらにもう一点重要な問題は、田畑決壞して、亀裂が生じましたために、植付期に直面しておる農民は、水が溜らず、植付不能になりまして、拱手傍觀、天を仰いでおるというみじめな状況でございますが、これに対していかなる救済方法を講じようとするのであるか。さらにまた、供出をすでに割当てておるわけでありまするけれども、かかる供出割当量に関しまして、至急補正の要があると私は考えるのでございまするが、これに対する農林大臣の明確なる御所見を伺い、今後の対策に及んでいただきたいと思うのであります。  さらに私は、そのほか大藏大臣に伺いたい点があるのであります。由來、この南海大震災、関東大水害等に、私たちが水害対策委員会委員としていろいろ経驗した結果によりますれば、正式な國庫補助予算が出るのは、現在の行政機構その他の非能率の結果、きわめて資金融通なり補助が遲れるのであります。從つて、十で済むものが、遲れるために値上りその他がありまして、百になり二百になつて國費を濫費する傾向があるのでありますが、この対策といたしましては、至急大藏当局におきまして、予備費支出予算見合つて、大体の見当で融資をする方法をとられておるのであるか。今日の場合におきましても、それ相当の緊急融資を考慮しておく必要があると思うのでございますが、これに対して大藏当局は、緊急融資措置を至急講ずる用意ありやいなやという点も、具体的に伺つておきたいと思うのであります。  以上数点にわたりまして、現地のこの数度に及ぶ災害にあえぐ國民諸君に代かまして、あえて政府当局の迅速果敢なる対策を要望する次第でありますが、さらにさしあたつての問題といたしましては、建設院なり、あるいは農林当局なり、関係当局が、本省から至急現地調査員を派遣する必要があると思うのであります。この点に関しましても関係大臣答弁を要求する次第であります。  最後にもう一点、文部大臣に伺いたいのであります。この南海大震災の結果、学校損害六・三制のために建設しつつありました学校が、その地盤をゆるめられて崩壞に瀕し、損害実に一億円以上に達しておるという報告でございますが、こういつた問題は一体どう考えるのか、どうするのか、こういつた点につきまして明確なる答弁を要求する次第であります。  以上、南海第二次震災実情を述べ、政府当局答弁を要求する次第であります。(拍手)     〔國務大臣一松定吉登壇
  10. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) ただいまの早川議員の御質問に対しまして、私の関係いたしておりまする点についてお答えを申し上げます。  本月の十五日に、和歌山縣の西牟婁郡、日高郡方面山間地において、地震ために多大の被害のありましたことは、同地方人々に対しまして、まことにお氣の毒に存じております。数年前に和歌山縣南部方面において地震ためにこうむりました被害が今にまだいえない間に、こういうことに立ち至りました点については、建設院総裁として、まことに相濱まないことであると考えておりまして、今回の問題に対しまして、急速に適当な措置をとりたいと考えておるのでございます。和歌山県知事から建設院に対して報告のありましたことを、この際大体御報告申し上げて、早川議員に対する御答弁といたすとともに、皆様に御了承を得ていただきたいと思いますが、人畜にはあまり被害はないそうであります。ただ、目下重傷が二、軽傷が十六、交通道路、用水路というような崩壞がよほど甚大でありまして、それがために今交通が杜絶しておる状況である。殊に物資輸送等関係いたしまして、よほどこの地方人々がお困りになつておるということを承知いたして、まことに氣の毒に感じております。家屋の崩壞が十二軒、半壌並びに傾斜が二百四軒、こういうことになつておるそうでございます。また道路崩壞場所が四百箇所、水路等崩壞が七十四箇所ということになつております。これらの應念処置といたしまして、今縣知事の方から私の方に内報のありました金額は、とりあえず五千万円だけの金が要る。そうして、これの復旧費用としては少くとも三億の金が要る。こういうような状況であるそうでございます。これらの五千万円並びに三億円という金額に対しましては、國庫から三分の二の補助をしなければならぬことになつておることは、皆様承知通りであります。この点につきましては、早川議員の御要求をまつまでもなく、私の方としては、急速に係官を現地に派遣して詳細な調査をし、急速に懸念の措置を講じたい。目下それだけの準備中でございます。このことをもつて早川君に対する大体のお答えといたします。(拍手)     〔國務大臣永江一夫登壇
  11. 永江一夫

    國務大臣永江一夫君) 早川君がお尋ねになりました件につきまして、農林省関係いたしております点についてお答え申し上げます。  ただいま一松國務大臣から御報告申し上げましたような被害が相当ございまして、農林省関係におきまして本日までに判明いたしております被害金額は、大体交通関係におきまして約三千万円、なお公共施設関係におきまして九千万円、計一億二千万円と報告を受けておるのであります。しかしながら、被害地が相当山間地にありますので、林道その他かなり大きな被害があろうと思いますが、目下鋭意これらにつきましては調査を命じておりますから、その調査の到着いたし次第、今一松大臣からお答えを申し上げましたように、農林当局としても適切敏速にこれが処置をいたしたいと考えておる次第であります。  なお、重ねてお尋ねになりました被害地におきまする供出事前割当につきまて、これまたしばしば申し上げておりますように、これらの被害地におきまする実情調査の上におきまして、政府において全供出の数量につきましては適正に是正をいたすつもりでありますから、さよう御了承を願います。(拍手)     〔國務大臣森戸辰男登壇
  12. 森戸辰男

    國務大臣森戸辰男君) 早川君の御質問になりました南紀州震災については、まことに同情にたえないのであります。学校におきましても被害がございまして、その報告はございましたけれども、未だ詳細な事情がわかりませんので、早速再調査を命じておりますから、不日正確な被害状況復旧方途がわかると思つております。これらにつきましては、震災復旧学校の中に加えまして、できるだけ急速に処置をとりたいと存じておるのであります。(拍手)     〔政府委員荒木萬壽夫登壇
  13. 荒木萬壽夫

    政府委員荒木萬壽夫君) ただいまの早川崇君の御質問に対しまして、大藏省関係のあります部分につきまして私よりお答え申し上げます。  公共事業費関係におきまして、御承知通り、まだ予算が成立いたしておりませんので、予算的措置を講じますまでには、なにがしかの日数が必要かと存じますが、しかし、一方災害復旧につきましては、その所要資金は一刻を爭いますので、その間のつなぎ資金の調達につきましては、敏速果敢に処置をいたすべく目下調査中でございます。  なお、お尋ねがございませんでしたが、これらに関連いたしまして当然に起つてまいります問題は、被害者に対します課税の減免猶予等の問題でございますが、これにつきましては、昨年末本國会におきまして成立をみましたところの、災害被害者に対する租税の減免徴收猶予等に関する法律に基きまして、それぞれ処置をいたすべく、所轄財務局及び税務署等を督励いたしまして、これまた調査中でございます。いずれも從來のやり方は、とかく資金融通その他が敏速を欠くから、もつと敏速にしろということが常に要望されることにも鑑みまして、今回の災害復旧資金等につきましては、極力敏速に処置をいたしたい、かように考えておりますことを申し添えまして、お答えにかえる次第であります。(拍手)     〔政府委員西村榮一登壇
  14. 西村榮一

    政府委員西村榮一君) ただいまの早川君の御質問に対しまして、安定本部に関する問題につきまして御答弁申し上げたいと存じます。  大体の御報告は、一松建設院総裁がお述べになつたのでありますが、なお詳細のことは、御指摘の通り関係各官職と協議いたし、至急現地調査員を派遣いたしまして、その具体策を講じたいと存じております。ただ安定本部といたしましては、関係官廳と協力いたしまして、資材と財力の及ぶ限り復興に御協力を申し上げ、もつて罹災者災害に対しましてお報い申し上げたいと存じておるのでありまして、この点御了承願いたいと存しじます。(拍手)      ————◇—————
  15. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 連合國から防波堤用としてもらい受けた軍艦埋設作業に関する緊急質問許可いたします。菊池義郎君。     〔菊池義郎君「外務大臣を出せ、答弁者がいないと質問できない」と呼ぶ〕
  16. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) ただいま請求しております。官房長官がおりますので、官房長官から傳えて、総理から答弁いたさせるようにいたしましよう。     〔菊池義郎君「外務大臣はどうした」と呼ぶ〕
  17. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 運輸大臣農林大臣はおりますから、登壇を願います。     〔「外務大臣はどうした」と呼び、その他発言する者多し〕
  18. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 今催促をしております。     〔「進行々々」「後回し後回し」と呼び、その他発言する者多し〕
  19. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) お靜かに願います。総理に督促しておりますから……。     〔「定足数を欠くぞ」「日程変更」と呼び、その他発言する者多し〕
  20. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 総理大臣治安委員会からただいますぐ来るそうでありますから、菊池君の登壇を願います。     〔「登壇するな」「登壇々々」と呼び、その他発言する者あり〕     〔菊池義郎登壇
  21. 菊池義郎

    菊池義郎君 與党諸君の懇請もだしがたく(答声)とうとう出ましたのでございますが…(「総理大臣が見えたぞ、安心してやつてくれ」と呼び、その他発言する者あり)連合國からして、防波堤として沈めるようにと日本に與えられました艦艇、すなわち連合軍の戰利品となつておりました艦艇の処理に関しまして、同僚議員各位に訴えるとともに、関係大臣諸公の御答弁を求めんとする次第であります。  終戰当時において、日本艦艇は六百八十隻、百八万トンばかりあつたのであります。その中から連合國がとつたのは、わずかに千トン級の驅逐艦、海防艦百三十五隻、それから沈めたものも数十隻ある。地方連合軍が使つておりまするものが十何隻ある、あとは全部日本に残つております。世界戰史の上にかつて見ざる絶大な好意と申さなければならぬのであります。すなわち、三万八千トンの伊勢、日向を初め、三万七千トンの長門、榛名、二万トン級の桂木、天城、以下多数に上つております。その中で、大型の、すなわち最初から戰艦として、戰事用としてつくり上げた軍艦二百隻に解体を命じております。あとの二百八十隻ばかりは、すべて日本に附與しまして、あるいは民間会社に返し、海上保安廰に與えまして、海上監視艇あるいは掃海艇に用いてあります。その中に、運営会に與えたもの、リストから除かれたもの、木造の補助艦、みな小型のものでありますが、これはおもに民間会社の船を徴用いたしまして空母につくりかえたものとか、あるいは戰爭中に急ごしらえにつくり上げたもの、そういうものばかりでありまして、戰爭にはあまり役に立たないものが主となつております。  ところでわれわれは、解体を命ぜられた大型軍艦を含む二百隻、これを陳情折衝いたしまして、解体せず有効適切に使用することが必要であるということを考えまして、終戰当初より、これらの軍艦をもらい受けて全國漁村港岸に沈め、これを防波堤として手取り早く港をつくり上げる、しかして水産の振興に資し、運輸の利便に供することが必要であるということを痛切に感じまして、われわれ民間人として、軍艦獲得の運動に当つたのであります。わが吉田内閣といたしましても、これは重大なる懸案といたしまして研究してまいつたのでありますが、片山内閣のときに、昨年の九月二日でありますが、この解体を命ぜられた軍艦の中から二十二隻もらうことができたのであります。すなわち防波堤として港をつくつてよろしいという許可が得られたのであります。これまた非常なる好意であります。その許可を受けました軍艦の名前を申しますると、碇、澤風、栃、竹、汐風、桂、鈴月、柳、夕月、美竹、おす、矢竹、春風、蓮、椿、潮、矢風、楢、第一迫浦、室津、海防艦九十五号、同五十七号等であります。沈める場所は、秋田縣に三隻、福島縣の小名浜に四隻、四國の高松に四隻、山口の宇部に三隻、八丈島に二隻、京都府の竹野に一隻、福井縣四箇浦に一隻、神奈川縣久里浜に二隻、都下新島に一律という割振りになつてつたのであります。ところで連合國は、最初はただ試驗的にこれを日本に與えた。その沈める手ぎわいかんによつては、また大型の般も許可してやろうという腹であつたことは、明らかに察知することができるのであります。ところが、片山内閣から芦田内閣、二代の内閣にかけまして足かけ二年、これを沈めようともしないで、何ヶ月かの間ほつたらかしておいた。ここにおいてか連合國は怒りまして、沈めることはならぬ、解体せよと言うてきたのであります。周章狼狽いたしました日本政府は、拜まんばかりに陳謝懇請いたしまして、どうかその命令だけは取止めてもらいたいというわけで、三拜九拜いたしました結果、四月の上旬に再び許可されたのであります。ところが、それでもなお沈める作業にとりかからなかつたという軍艦が七隻ばかりあつた。この七隻の軍艦に対しましては、またただちに解体せよという命令が來た。かくのごとく、政府の優柔不断と怠慢との結果、日本水産國策に非常なる障害を來し、対外信用を失墜すること、実に絶大なるものがあつたのであります。  今日港をつくりますのに、どんなちつぽけな港でも、おそらく数億円かかります。少し大きな港になりますと数十億円、大がかりの港になりますと数百億円もかかるのであります。第一、港をつくろうと思つて資材がないという状態。ところが軍艦を沈めますと、わずかの経費でもつて、たちどころにりつぱな防波堤ができ、すぐに港をつくることができる。その経費はいくらかといいますと、わすかに一千万円から、多く三千万円。われわれの八丈島については、六月十八日の毎日新聞に記事が現われておるのであります。わずかに五百万円でもつて沈め、しかして、これがため水産物の水揚高は今までの三十倍にはね上り、東京都民の台所を潤おすことができるという記事が載つてつたのでありますが、(「針小棒大か」と呼ぶ者あり)新聞のことでありますから、そうほらは吹かないでしよう。半分を地方團体がもつというたしましても、政府はその半分だけもてばよろしい。かくのごとき僅少なる経費によつてかくのごとき何十億、何百億に相当する港がただちにできるのにかかわらず、なぜこの重大なる國策を逸し去るのであるか、実に遺憾千万であります。  どういうふうに沈めるかと申しますと、私は專門家でありませんが、聽いてみましたら、何でも軍艦機械類や何か取除けまして、その代りに石を詰めるのだそうです。石の間にセメントを流しこむ、そうすれば、それでりつぱな防波堤ができる。何十年経つても、何百年経つても、さざれ石のいわおとなつても、断じて波に砕けないという港ができる。そういうこと言れておるのであります。  かくのごとき政府怠慢ぶりからいたしましては、残つた十五隻の運命もまた実に憂慮にたえぬのであります。何どきこれに対して解体を命じてくるかもしれない。今日ただ形ばかりの、申訳ばかりの作業に從事しておるにすぎないということを私は仄聞するときにおいて、なおさら心配せざるを得ないのでありまするが、連合國命令をただちに実行に移しまして、沈めてしまつたといたしまするならば、彼らに対して非常な好感を與え、さらにさらに進んで一万トン級の大鑑をももらうことができたのではないかと私は考えるのであります。一万トン級の大艦となりますると、高さが十五メートル以上もあるのでありまするから、大抵の所に沈めても、そのままで差支えない。小さな軍艦を沈めるときのように、海底に床をつくるとか何とか、そういう心配は毛頭ない。ほつたらかして、それでもうりつぱな防波堤になるのであります。從つて金もかからない。なぜこれをやらないのであるか。なぜ二十二隻のみに滿足するのであるか。  今日、各府縣からの築港の陳情を見ますると、何百件か何千件かわからない。沈める所は実に無数であります。だから、解体を命ぜられた二百隻の軍艦を、そつくりそのままもらつても、まだとうてい足りない。なぜ、そのときに陳情をしなかつたか。折衝をしなかつたのであるか。軍艦解体すれば鉄のくずになる。木のくずになる。木のくずにするのがよろしいか。有効適切に國策の遂行のためにこれを利用するのがよろしいか。いずれがよろしいか。それくらいは、脳みそのある大臣なら、はつきりわかるはずである。なぜこの陳情をしなかつたのであるか。いろいろ探りを入れてみると、この陳情をちつともしていない。二十隻の軍艦をもらい受けたのも、みな地方團体水産團体の燃え上るところの熱望、これが政府にもちこまれ、政府はその取次をしたというにすぎないのであります。みずから進んで、自発的に、積極的にこの陳情をしたというためしは絶対にないのであります。現内閣の対外政治力がいかに貧弱なるものであるか。しかして対外折衝に対していかに怠慢きわまるものであるかということは、この一事によつて明らかにわかるのであります。  今日水産業者の話を聽いてみますると、綱は大体七割方もう足りておる。船も大体七割方は足りておる。油も相当に出まわつておる。だが、困つたことは港のないことであるということを、異口同音に言つておるのであります。この港をつくるには、今日こそ実に千載一遇の好機会である。軍艦を利用する絶好の機会でなければならない。この機会を逸し去ることは実に遺憾千万であると私は思うのであります。その軍艦たるや、決して容易にできたものではない。その当時の軍閥が、國民に強いて、当時の一億國民といわれた、その一億國民への膏血を絞つてつくり上げた、貴重なるところの品物である。なぜこれを有効適切に利用することを考えないのであるか。これを考えないのは、爲政者としてまつたくその政治力ゼロなりといわなければならぬのであります。一隻を沈めましても、数十億円に相当する作業工事ができ上るではないか。いわんや大鑑を沈めてごらんなさい。何百億に相当するところの工事が、たちどころに竣功するではないか。この重大國策を誤つて一体どうするか。何とぞ関係大臣、すなわち外務大臣運輸大臣農林大臣の眞劍なる御答弁をお願いいたしたいと存ずる次第であります。     〔國務大臣岡田勢一君登壇
  22. 岡田勢一

    國務大臣(岡田勢一君) お答えいたします。菊池君の御質問の、廃艦の沈設を港湾に利用いたします件でございますが、一般全國の問題と、東京都の八丈島神湊港の問題とあるようでございます。技術的見地から、いろいろ菊池君も御意見がございましたようでありますが、技術的につきましては、その場所、いわゆる八丈島のような太平洋のまん中で、荒波のございます所と、あるいは瀬戸内海等によりまして、その方法と、また耐久力も違うと存じます。その点につきましては、相当に精密な説明をせなければなりませんので、ここでは省略をさせていただきます。そのうちの一つ、東京八丈島の神湊港の工事でございますが、これは菊池君も御承知通りに、東京都の都営工事になつておりまして、大体予定通りの進行が続けられておりますので、これに対しまして政府といたしましては、この工事費に國庫から補助を支出いたすことになつておるわけでございます。つきましては、あと一般にはこの工事の進行状況が若干遲れておるのでございますが、それはただいま御審議を願つております本予算が通過いたしませんと、全面的の費用の支出が困難でありますので、若干遲れておるのでございます。それから一般的の、ただいまおつしやつた二十二隻のうち十五隻に縮小いたしましたことは、予算関係などの点で、やむを得ず縮小されましたことでございます。なお、この工事の促進策につきましては、東京都において責任をもつてつておられますので、地方の方々が促進を要望せられます場合は、東京都長官と御交渉を願いましたら結構であると存じます。なお今後やるかやらぬかにつきましては、各地方の要望を受けました場合は、司令部と折衝するということになるわけでございます。  以上、お答えいたします。     〔國務大臣芦田君登壇
  23. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 菊池君の御意見は非常に実際的の議論でありまして、政府も從来その方針をもつて着々施策を進めております。詳細なことは、ただいま運輸大臣から答弁いたした通りであります。     〔國務大臣永江一夫登壇
  24. 永江一夫

    國務大臣永江一夫君) 菊地君にお答えいたします。農林省関係におきましては、水産局の所管いたしておりまする漁港修築用といたしまして、ただいままでに二隻廃艦を使用いたしておるのであります。しかしこれは、先ほど運輸大臣お答え申し上げましたように、その修築箇所によりまして、経済的ないし技術的に、必ずしもいかなる場合においてもこれが安上りにできるとは申し上げかねるのでありまして、そういう点を勘案いたしまして、今後も適当な地域がありますれば、これらの廃艦を利用いたすにやぶさかではございません。     〔菊池義郎登壇
  25. 菊池義郎

    菊池義郎君 運輸大臣答弁は、私の何も聽きもしない島のことばかり答えて、予算々々と言いまするが、頭の使い方一つで、何十億の金はどこからでも出るのですよ。要するに対外的の政治力が足らぬ。私最近外務省に参りまして、いたのでありまするが、一例を申上げますると、中國や南方諸國から、戰時中に拿捕されました多数の汽船を返してくれと言つてきた。返すばかりでない。もと通り修繕して返せというのです。返すのはしかたがないでありましようが、修繕費まで日本がもつて何十億という金を使わなければならぬであろうか。芦田外務大臣にして、もし対外勢力があるならば、こういう面でも何十億の金はただちに節約できるのであります。しかるに、沈黙を守つて一言半句も言わない。何を恐るるところがある。陳情折衝は自由自在ではないか。賠償問題に対しても、何ら一言半句も陳情したためしなし。いわんや、この軍艦を沈めるくらいの予算が一体何です。こういう重大なる國策遂行のためには、他の予算面から繰りまわしましても、この方に充てるべきが当然ではないか。これに思い至らざる大臣であるならば、大臣として三文の價値なきものと私は考えるのであります。  芦田総理大臣のこの質問に対する態度はどうであるか。たつた一言答えただけである。與党の質問には出てきて、私が質問しようとすると隠れてしまう。出たり引込んだり、なまいき千万である。何ゆえ、かくのごとく國策に冷淡であるか。朝な夕な、政権を維持せんがためにはいろいろ策謀をたくましゆうして、國策の遂行のためには冷々氷のごとく……。     〔「何を言うか、質問の範囲外だ」と呼び、その他発言する者多し〕
  26. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 菊池君も、緊急質問の筋をはずれないようにしてください。
  27. 菊池義郎

    菊池義郎君(続) 芦田君の生れた舟波の國には、弓削道鏡が生れ、明智光秀が生れている。芦田君は、この偉大なる悪先輩を手本として、朝な夕な陰謀ばかりたくましゆうして、國策のことを何一つ考えていない。かくのごとき内閣は、すべからく退陣すべきであると思う。(拍手
  28. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 答弁がありますか。——答弁はないそうであります。      ————◇—————
  29. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 土地改良事業に関する緊急質問許可いたします。守田道輔君。     〔守田道輔君登壇
  30. 守田道輔

    ○守田道輔君 私は、社会党を代表いたしまして、政府土地改良事業に対する所信を伺いたいと思うものであります。  質問の第一点は、政府は一体わが國の食糧問題の解決の根本方針をどこにおこうとしているのか、確固たる方針の指向するところを明示されたいのであります。すなわち一、食糧の自立をはかろうと欲するのか。二、工業製品を輸出して、その代金で食糧を輸入しようとするのか。三、今後とも連合國に食糧放出を懇請し続けようと欲しているのか。  政府は当面その日暮しの対策に沒頭し、恒久対策の確立を怠つていることについては、弁解の余地はなかろうと存ずる次第であります。戰前五箇年の日本は、年平均米一千四百万石を朝鮮・台湾から、大豆その他の雜穀八百万石を滿州その他から、砂糖百万トンを台湾。南洋等から輸移入していたのでありますが、今や、これらの補給源を喪失したのであります。さらに國内の生産量について見まするに、甘藷、馬鈴薯は相当の増收があらますけれども、米麦等の著しい減收で、結局これまた一千万石程度の減産になつていると推定されるのであります。  また、終戰後における人口の自然増加、または海外よりの引揚者を合しまして、安本の経済復興計画第一次試案の基礎となつ昭和二十七年の内輪な推定によりましても、狭小にして資源貧弱な國土に約八千二百九十三万人の人口を扶養しなければならぬのであります。日本人の食生活を戰前の水準、すなわち一人一日当りカロリー攝取量二千百六十カロリーにまで引上げますためには、おおむね五千万石は不足するのであります。現在の配給量は二合五勺で、しかもその中には甘藷、馬鈴薯その他の雜多なものが含まれているが、それでもなお千二百万石の不足を來す。二合五勺とは、まさに飢えたる動物の生存である。われわれは、いつまでもこれに滿足するわけにはまいらぬのであります。  そこで、終戰後今日までの歴代内閣の方針を見まするに、最も安易な途を歩んでいるように思える。すなわち、連合國に対しまする食糧放出の懇請であります。はたして日本は、講和條約締結後独立を回復した後においても、連合國の納税者の負担においてわれわれの生命を維持するという方式が継続し得るでありましようか。また世界的な農産物の凶作、あるいは不測の事態による食糧難ということも、今日より考えておくことが必要ではないでしようか。  次に、工業立國の主張でございますが、工業の振興をはかり、食糧輸入の見返りとして工業製品を輸出しようという方法にも、一定の制約のあることを認めなければならぬのであります。工業水準の戰前への復活には内外の條件に障害があり、特に戰爭のためその設備の大事は失われ、独占市場も有しない。いわんや海外よりの輸入にあたつては、綿花、ゴム、石油等生産復興のための生産資材の輸入が先決であるにおいては、食料輸入はますます抑制せられざるを得ないのであります。よつてわれわれは、食料問題解決の根本方針は、與えられた條件のもとにおきましては、まず、自給自足の原則を立て、しかも絶対量の不足につきましては、工業品を輸出して見返り食糧を獲得することにし、何はさておいても、國家の総力をあげて、食糧増産の施策に邁進しなければならぬと考えるものであります。政府のこれに対する方針を承りたいのであります。  第二問として、目下全國に展開されておりまするところの食糧一割増産運動について、その眞意を質したいのであります。さきに政府は、食糧一割増産運動要綱なるものを示し、これによつて米三百二十万石、麦二百十五万石、豆類七十万石、甘藷三億貫、馬鈴薯八千万貫の増加をはかろうとしているのであります。今日農業生産の状況は、労働力の充実、自給肥料及び化学肥料の増産等によりまして、徐々にではあるが、上昇しつつあることは事実であります。今回の一割価増産必行事項を見まするに、施肥技術の改善、病虫害の駆除等に重点がおかれているのでありまして、農業資材の配給が適当に行われますならば、おそらくある程度の効果はあがるでありましよう。しかし、疑問とする点が三点あるのであります。  すなわち第一点は、現在の貧弱な技術陣をもつてして、はたして末端に至る技術浸透が円滑に行われるのでありましようか。  第二点、一割増産運動費として支出される予算は、わずか四千七百万円にすぎぬのでありまして、一縣当り五十万円程度になり、ポスター代、会議費にも当らぬのであります。政府は眞劍に生産の増加を考えているのでありましようか。  第三点、運動要綱の第三の運動方針を読みまするに、個々の農家に対してその自発的奮起を促し云々とあり、農家の生産意欲に重点がおかれているのであります。農民は、戰時戰後を通じまして、最も犠牲的精神の発揮を要求されてきたのであります。どこまでむちうたれねばならぬでしようか。農民心理に訴える方法には、おのずから限度があることを、政府の諸公は心得ておられるかどうか。要綱第四は、「増産の結果による自発的超過供出分については、政府は特別價格で買い入れるほか、でき得る限り報償物資を與える」とありまして、超過供出分は特例價格をもつて買い上げることをうたつているのでありますが、現在の強権的供出制度、低米値格政策をもつてして、やみ價格が十数倍するとき、はたして絶大なる期待がかけられるかどうか。  以上の諸点に鑑みまして、食糧一割増産運動なるものは、はたしてその成果があげられるものかどうか。実際に食糧一割増産が達成できない場合において、これを達成したと称して次年度供出数量を農民に要求するのではないか。以上の疑念に対しまして、農林大臣の明確な答弁を求めるのであります。  第三問。第一國会並びに第二國会において農林委員会の受理いたしておりまする請願、陳情の過半数は、土地改良の促進に関するものであります。また衆議院においては、各党各派を網羅して土地改良貫徹議員連盟が結成されております。今や土地改良への要望は、全國農民の膨湃たる声と化しているのであります。すなわち農地改革、協同組合運動の後に來るものは、農村への技術滲透であり、またなかんずく農地改良事業でなければなりません。農村の民主化は、農地改良の大々的なる断行によらずんば実際不可能であります。農業経営の基礎條件を整えず、現下のきわめて農民に不利なる供出体制下に、單なる懸声のみによつて民主化をはかろうとする政府のやり方は、まさに木によつて魚を求むるの類でなくて何でありましようか。  労働力の無限の投下によつて土地の生産力を高めようとする方法は、農民を奴隷の境地に陥れ、農村を無知蒙昧の世界に縛るものであります。むしろ、土地の性質を改良することによりまして一労働單位当りの生産量を高める方向に農業政策の重点は置きかえられなければなりません。農業の近代化は、そこより出発するものであります。農業の生産力が停滯し、農民労働の生産性が低い段階に止まりまする限り、その生産する單位量当りの食糧の労働價値は当然高からざるを得ず、このことは、ひいては國民の生活不安へも響いてこざるを得ないのであります。農業労働の生産性を高めることによつて、農産物價格は眞の意味で國内的にもまた國際的にも安くなるのであり、農業恐慌を克服することができ、農村文化が確立され、わが國の民生化は完成するのであります。  私は、農地改良の基本問題については詳論を避け、食糧問題と土地改良事業関係につきまして質問を続けたいと存じます。  まず私は、政府の行つているところの開拓政策に関しまして率直なる見解を承りたい。政府は今日までに約五千億を使い、二十三年度において同じく五十億を使う予定であります。しかもその効果たるや、予期に反した結果を示しているのであります。私は、現在の緊急開拓計画ば官吏の失業救済であるとさえ極言したいのであります。営農條件の伴わない開拓地農業が経済的にいかに無意味であるかをこの際強調したいのであります。農地改良は、これによりまして農業水利施設、農業用道路、耕地整理、暗渠排水、床締または客土、地目変換、埋立、干拓、災害予防、復旧工事等を行わんとするものでありますが、用排水施設、客土を行つたのみで、年間一千万石以上の増收は確実であると私は信ずるものであります。しかも、冬の農閑期に工事せば、秋の收穫はただちに増加する。一毛作田は二毛作田になり、麦作ができる。特に客土に至りましては、地方の増加を巨的とするものでありますから、全部の田畑に実行し得るのであります。從つて、困難な開拓に比べまして工事費は至つて低廉であり、受益者は進んで工事の担当者となるのであります。かような土地改良事業に対しまして、何ゆえ政府はこれを継子扱ひとなし、重要視もなかつたか。また國家の指導を必要とするという意味において農地改良法の制定を急がなかつたか。怠慢と言はざるを得ないのであります。政府はこれに対し用意ありとするならば、この際農林大臣より明示されたいのであります。  第四問。政府が食糧増産のために支出する経費は、國家総予算の割合からいたしまするならば、きわめて僅少と言わざるを得ないのであります。かりに昨年度及び今年度の予算についてみますならば、一、生産復興に支出した金額、いわゆる生産的支出は約千億、一、復金の今日までの融資残高は約七百億、一、價格調整金は約七百五十億、一、公共事業費は約三百七十億、一、鉄道・通信の赤字補填金約三百億、これらのうち、食料増産に間接に役立つものは何と何でありましようか。  まず肥料の増産関係経費がありましよう。治山治水、災害復旧費も一應は役立つているでありましよう。しかし、それは災害のマイナスをプラスに轉ずる意味しかないのであり、しかもそれはきわめて不十分でありましよう。開拓は、食糧増産よりも、むしろ失業救済費と見た方が適当であり、逆に開拓によつて洪水の原因をつくつたと非難される場合には、その点ではマイナスであります。しかるに、眞正の食糧増産に役立つところの土地改良費用は、農業水利費を合わせて、わずかに二十二年度約十億円、二十三年度約二十五億円にすぎないのであります。まさに九牛の一毛であります。これで政府は、日本の食糧問題の銀本的解決に眞劍であるとはたして断言できるかどうか。農民の膏血を搾ろうとするが如き低位なるパリテイ米價、強制供出、苛酷なる課税——私は、國内経済の矛盾を勤労農民のみの犠牲によつて解決しようとするがごとき政策のあり方には、断乎反対せざるを得ないのであります。政府はこの際、追加予算をもつてしましても食糧増産費として二百億以上を支出する必要があり、かつ次年度よりは、公共事業費のごとき曖昧模糊たる費目を排し、明確に食糧増産対策費を設け、確固たる政策の指向するところを明示されたいのであります。  政府は、今日の窮迫せる財政状態のもとにおきまして、食糧増産費として追加予算に二百億円、さらに次年度予算に二百億円は組めないとおつしやるかもしれませんが、私をして言はしむれば、その経費の捻出はきはめて簡單でありまして、昭和二十三年度予算に現われました生産的支出、復金融資、公共産業費もしくは鉄道・通信赤字補填金等より、幾分ずつを食糧増産の方へ割けばよいのである。國民生活の安定は、何よりも食糧問題の解決にある。そのため経費を年二百億円程度支出するのは、いとも易しきものであると私は確信する。この際私は、農林大臣大藏大臣及び安本長官に対しまして、赤字補填政策をやめ、また他の支出を圧縮し、食糧増産優先の予算を組む意思ありやなしやを承りたい。  わが社会党は、食糧増産のため予算としまして、今年度追加予算二百億、次年度予算として二百億要求するものであることを申上げて、私の緊急質問を終ります。     〔國務大臣永江一夫登壇
  31. 永江一夫

    國務大臣永江一夫君) 守田君にお答えをいたします。  第一の点は、守田君は、わが國の食糧政策については、あくまでも國内に生産されまりする食糧によつて今後自給自足の方針をとつていくのか、あるいは工業の発達にまつて、外米の輸入等によつて食種の依存を行うのか、そういう点が明確でないというお説であります。これに対しまして、るる御所見をお述べになりましたが、そのお述べになりました守田君の御所見には、私はまつたく同感であります。すなわち、お述べになりましたように、今日のわが國の実情から申しましても、すべての條件を勘案いたしまして、相当量のカロリーを攝取しながら自給自足を実現するということは、かなり困難がございます。從つて、この自給自足によつて立ち得ない部面につきましては、あくまで貿易によりまするところの食糧輸入にまたねばならぬのでありますが、この間しばしば論議されまするように、非常な大きな計画によつて食糧を増産しつつありまする諸外國の農業経営から見まして、これらの外國食糧が無制限にわが國に輸入されますることは、わが國の農業恐慌の大きな原因を構成いたすのでありまして、こういう点について、十分これらを嚴戒しつつ、日本があくまでも將來独立國といたしつまして健全なる食糧の確保を行うという建前におきましては、今守田君がお述べにまりましたような線に從つて今後の施策を行つていきたいと考えておるのであります。  第二の点でありまする、一割増産運動を政府は今呼号しておるけれども、その実が伴わないではないかという御指摘であります。御承知のように一割増産運動につきましては、ただこれが補助費によりまする官製運動に堕さないように、しかも自主的に起きてまいりまする生産農民諸君の一種の國民運動としてその目的を達成いたしますまするように、政府は各方面の協力をお願いしておる次第であります。從いまして、ある一面におきましては、精神的な面において御協力を願うと同時に、他の一面においては、純然たる精神運動に止めずいたしまして、これら一割の食糧増産のために必要であり、政府が現下なし得る最大限度において裏づけをなすところの諸種の物的条件を確立せんとして、政府は本予算の中においても、諸種の点においてこれに努力いたしておるのであります。一つは肥料であります。肥料は、いわゆる傾斜生産の効果がだんだん現われてまいりまして、先般政府が公表いたしましたように、昭和十六年以降初めて最高度の硫安の生産を見たのでありまして、かくのごとくいたしまして、肥料が傾斜生産の結果、漸次農家の要望せられるところの数量にその生産高を近づけていくということができつつあるのであります。なお農機具用の鉄鋼等につきましても、私が前に申し上げましたように、昨年度の四倍になんなんとするところ数量を確保することができたのでありまして、これらの肥料、農機具その他の物資の裏づけによりまして、私どもは一割増産というものをどうしても達成いたしたいと考えておるのであります。  この間に御心配になりましたように、もし本年一割増産がある程度達成された場合に、政府は來年度の供出にあたつて、その増産されたものを勘案して、來年度の供出割当においては、増産された部分がさらに加えられてくるような心配があるということを、御指摘になつたのであります。しかし政府は、この点しばしばあらゆる機会において声明いたしておりまするように、本年の事前割当につきましても、決してこれは追加供出の方策はとらない。また一割増産運動の結果非常な効果が現われましても、それを材料といたしまして來年度の供出の際におきまする増加割当等は断じていたさない方針でございます。  第三のお尋ねにつきましては、いわゆる食糧増産のためには、ただちに効果があがるところの土地改良費に予算を投入すべきであつて、今日いろいろ問題になるところの開拓・開墾等において多額の費用を食つておるけれども、かような方面に対するところの予算はできるだけ圧縮するのが妥当ではないかという御意見でございました。この点も、あらゆる機会に皆さんから御論議がありましたように、ただ食糧増産という面からこれを論議いたしまするならば、当然守田君の御主張のように、すぐ効果のありまするところの土地改良費に國の予算をより多く投入いたしますることが妥当であろうと考えるのであります。しかしながら、開拓・開墾という目的は、國の責任において行いまする限りにおいては、一つは当然食料増産のためにこれを行うのでありまするけれども、他の一面におきましては、今次の戰爭のための犠牲者に対して、これらを收容するところの失業救済の意味をもつておるのでありますから、戰爭犠牲者に対する國家の責任上から申しましても、ただ開拓・開墾食糧増産の一つの窓からのみ断案を下すということは妥当ではないと信じておるのであります。從いまして、いろいろ財政上困難が伴いまするけれども、政府といたしましては、食糧増産に重点をおきながら、なお開拓・開墾の他の目的でありまする戰爭犠牲者に対する國家的責任を果しつつあるということを、重ねてお認めを願いたいと思うのであります。  なおその際御指摘になりました、農地改良に対する法案をなぜ今期國会に出さなかつたかという点でございますが、政府は農地改良法を立案中でございまして、今國会にこれが間に合わなかつたことは、はなはだ遺憾に存じておりまするが、來るべき國会には必ず農地改良法を提出いたす所存でございます。  第四の点につきましては、食糧増産の経費として二百億を追加予算に計上すべしという御意見でございました。もちろん農林大臣といたしましても、國家の財政が許しまするならば、あらゆるくふうをいたしまして、これらの二百億以上の金額を食糧増産に投入いたしたいという考えをもつておるのでありますが、本予算におきましても、守田君がすでに御承知になつておりまするように、開墾、開拓、土地改良、耕地の災害復旧等、これらのものを総合いたしまして、すでに食糧増産に直接関接に役立ちまする予算は百億を超えておると私は信じておるのでありまして、さらに追加予算によつて二百億を加え得るというような状態が財政上許されまするならば、私はもちろん積極的にこの案を立案いたしまして、皆さんの御審議にまちたいと考えておるのであます。その他食糧増産のためと特に銘を打ちまして、いろいろ予算を組むということは、今日の予算編成上あまり適当ではないと考えておるのでありまして、農林省関係の、あるいは開拓、開墾その他各種の予算が、直接間接に食糧増産を意味しておるのでありまして、食糧増産という銘を打つて、それだけで一つの予算を組むということは困難であるということも、併せて御了承を願つておきたいと思います。(拍手)      ————◇—————
  32. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 日程第一、獣医師会及び裝蹄師会解散に関する法律案、日程第二、家畜傳染病予防法の一部を改正する法律案、右両案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員長井上良次君。     —————————————     〔井上良次君登壇
  33. 井上良次

    ○井上良次君 ただいまより、本日の議題と相なりました、内閣提出、農林委員会付託にかかりまする獣医師会及び裝蹄師会解散に関する法律案並びに家畜傳染病予防法の一部を改正する法律案に関しまして、委員会における審議の経過並びに結果の概要を簡單に御報告いたします。  まず獣医師会及び裝蹄師会解散に関する法律案より申し上げます。  從來、中央及び地方にそれぞれ獣医師会並びに裝蹄師会が設立されておりまして、戰前戰時におきまして畜産対策の一翼を担当してまいたのでありまするが、いずれも強制設立、強制加入の團体でございまして、今日では私的独占禁止法の精神に抵触するおそれがありまするので、この際これらを解散いたしまして、あらため法律上の拘束力のない民主的團体として発足せしめようというのが、本法律案提出の理由でございます。  本法律案に関連いたしまして、両團体の解散後における処置並びに将來の指導方針に関し政府委員との間に簡單なる質疑應答が行われましたが、これを要約しまするに、彼らの要望に從い民法上の社團法人を結成せしめる方針でありまして、今後はその團体を通じ、有畜農業奨励の総合的見地より獣医師等の積極的協力を得るごとく指導していきたいというのがその答弁でございました。  次に、家畜傳染病予防法の一部を改正する法律案につきまして、その要点を御報告いたします。  畜産振興のために家畜傳染病撲滅を必要といたしますることは、いまさら申すまでもないことでございまするが、今日までのところ、これが法的措置といたしましては、家畜傳染病予防法、畜牛結核病予防法、傳染病性貧血に罹りたる馬の殺処分に関する法律をもつてし、少からず効果を奏してまいつたのでありまするが、終戰以來、内外の條件が一変したことによりまして、家畜衞生上憂慮すべき事態が発生するやの兆しが各地に生じておりまするので、この際家畜傳染病関係の法規を整備強化いたしまして、新事態に対処して万遺憾なきを期そうというのが、本改正法律案提出の目的でございます。  改正点といたしましては、他の法規の改廃に伴いまして行われました字句の修正等こまかいものまで一々算え上げますといろいろございますが、細部については煩にわたりますので省略し、大きくこれを分類いたしますると、およそ次の四点に帰着するであろうと考えられるのであります。すなわち第一点は、最近の家畜衞生事情に從いまして家畜への傳染率を勘案いたし、法定傳染病に加入削除を行い、また病因的に配列がえをし、家畜傳染病に対する法規は本法一本とし、畜牛結核病予防法、傳貧に罹りたる馬の殺処分に関する法律にいう傳染病を整理統合したこと。第二点は、新たに傳染病が発生しました場合、農林大臣は一箇年間有効の省令をもつて臨機の処置をとり得るようにしたこと。第三点は、都道府縣間の家畜の移動につきまして獣医師の発行する健康証明書を要する等一定の制限を課したこと。第四点は、地方財政法制定の精神に照らしまして、從來省令で定められていた費用負担区分を法律で定めましたこと。以上が本改正法律案の骨子でございまして、獣医学上の細部にわたりましては、これを委員会速記録についてごらんを願うことにいたします。  さて、畜産もしくは有畜農業の振興は刻下わが農政上の重要課題でありますことは、すでに御承知通りでございまして、かような見地よりいたしまして、農林委員会は、ただに家畜傳染病対策に止まらず、あまねく畜産の技術的並びに経済的関連事項につきまして、微細の点にわたり審議檢討を遂げたのでございます。そこで、質疑應答中重要と思われまする事項を整理いたしまして御報告するごとにいたします。  まず、畜産振興五箇年計画の進捗状況を示されたいとの質問に対し、政府は、本年度は計画の第一年度であるが、着々成果を收めている、前年に比べ乳牛一〇%、役牛五%、馬八%、豚二一〇%、やぎ六五%、緬羊四〇%を増加していると答え、次に畜産問題のかぎは飼料にある、しかるに、家畜の飼料と人間の食物とが競合している、飼料対策を示されたいとの質問に対し、飼料対策としては、まず自給飼料に重点を置き、次いで配給飼料の輸入をはかる、最近中華民國より若干輸入しており、將來見込みがある、飼料畑の割当は、これを認めているのであるが、末端でうまくいつていないようであるから、念のため通牒を出すことにするとの答弁でありました。以上をもつて家畜博染病予防法の一部を改正する法律案に関連いたしまして行われた質疑應答の御紹介を終わます。  両法律案は、六月十四日農林委員会付託となり、六月十六日政府より提案理由の説明を受け、六月二十一日午前午後を通じて、両案を一括議題として質疑を行つたのでありますが、重要なる意見も出盡しましたので、二十二日午後、討論を省略して採決の結果、全会一致をもつで本案は政府原案の通り可決するものといたしました。  以上、簡單ながら御報告を申し上げます。
  34. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員報告はいずれも可決であります。両案は委員報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員報告通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  36. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 日程第三、民生委員法案、日程第四、厚生年金保險法等の一部を改正する法律案、日程第五、藥事法案、右三案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員長山崎岩男君。     —————————————     〔山崎岩男君登壇
  37. 山崎岩男

    ○山崎岩男君 ただいま議題となりました民主委員法案、厚生年金保險法等の一部を改正する法律案及び藥事法案につきまして、厚生委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  まず民生委員法案について申し上げます。民生委員は、生活保護法におきましては市町村長の補助機関となり、また兒童福祉法におきまして、当然兒童委員に充てられることになつているのでありまして、それぞれ生活保護並びに兒童福祉の第一線機関として活動することになつているのでありまするが、このほか、民生委員は一般に共同社会の世話役として、その職務は現下の社会情勢上ますます重要性を増し、國民生活と密接不可分なる関係を有するに至りましたので、民生委員制度を國会議決を経た法律に基く制度といたそうとするのが、政府の本法律案提案理由であります。  次に、本法律案の内容のおもなるものを申し上げます。  第一に、民生委員の選出方法の民主化をはかつておるのでありまして、民生委員の推薦母体たる民生委員推薦会の構成及び選出方法を民主化し、併せて民生委員審査会の構成をも極力民主化いたしております。  第二に、推薦せられた者が不適当であると認められる場合には、都道府縣知事は民生委員推薦会に対して再推薦を命じ得ることといたしておるのであります。  第三に、民生委員たるの資格要件、及び民生委員がその職務を執行するについての心構えを法に明示いたしておるのであります。  第四に、特別理由がある場合には、民生委員は任期中でもこれを解嘱できることといたしておるのであります。  第五に、民生委員の任期を三年と改めておるのであります。  第六に、都道府縣知事は民生委員の指導訓練に從事する專門の吏員を置かなければならないことといたしておるのであります。  第七に、民生委員協議会、民生委員協議会の常務委員及び民生委員事務所に関する規定を設けておるのであります。  本法律案は、六月九日本委員会に付託されたのでありますが、その内容の重要性に鑑み、政府との間にきわめて熱心なる質疑應答が交されたのであります。次に、その主なるものについて簡單に御紹介申し上げます。  まず第一は、民生委員と議員との兼職禁止に関する質疑でありまして、新憲法実施以來、各種議員の職務は複雜多忙をきわめる状態であるが、一方民生委員の職務も相当の劇務であるから、両者の兼職を認めることは不適当である、また地方議会における事例にも見らるるごとく、民生委員の選任が政爭の具に供せられ、社会事業の分野に政治上の弊害が導入せられるおそれがあるというのが、そのおもな理由であります。これに対して、元來民生委員制度は篤志家の奉仕にまつものであるから、他に兼職を有することは何等差支えない、議員と民生委員との兼職を一般的に禁止するときは、かえつて民生委員に適当なる人物が得がたくさんなるおそれがある、事実双方の職務が行えぬほど繁忙の人とか、政党的に職務を左右するおそれがある人は、具体的の場合において回避すれば十分であるから、一般的に法律をもつて両者の兼職を禁止するの必要は認めがたいとの答弁がありました。  第二に、官公吏との兼職禁止についても同様に、双方の職務遂行に支障はないかとの質疑に対しては、事実上民生委員の職務を行い得ぬ場合は不適当であるが、官公吏の地位職務によつては、むしろ兼職を適当または便宜と認めるものがあるとの答弁がありりました。  第三に、民生委員の名誉職制度について、最近における民生委員の職務の重要性並びに複雜性に徴するときは、熱心なる民生委員としてとうてい自己の生業を営む時間を得がたいものと認めるから、これを專務職とし、有給制とするのが適当ではないかとの質疑に対しては、篤志家の社会奉仕にまつを本旨とする本制度においては、名誉職が適当であり、また財政上よりも、現在の民生委員をことごとく有給職とすることは不可能である、ただ專務者がある程度民生委員補助することは必要であるから、大都市方面においては民生委員事務所を設け、有給の社会指導職員を置く方針であるとの答弁でありました。  第四に、民生委員がその職務を執行するにあたつて知得した地人の身上に関する秘密を故なく漏洩した場合、これに対する処罰はどうするかどの質疑に対しては、民生委員の本質よりして、かかる場合には解嘱のごとき社会制裁をもつて十分であるとの答弁でありました。  かくて審議を終りましたので、二十二日討論に入り、まず民主自由党を代表して有田委員より、新憲法下、議会の議員の職責は重大となり、かつその職務も繁忙をきわめ、一方において民生委員の職務もいよいよ重大かつ繁忙を予想せられるので、議会の議員が民生委員の職を兼ねることについて今後十分考慮せられたい、なお現在議会の議員にして民生委員の職にある者については、兼職はつとめてこれを遠慮してもろうようにすること、また官公吏の民生委員との兼職についても右と同様なることとの熱心なる希望意見の開陳がありました。続いて、社会党を代表して山崎委員よりは、生活保護、兒童福祉等の重責に寝食忘れつつある民生委員に深甚なる感謝の辞を述べた後、その職務担当について希望意見開陳が行われ、國民協同党を代表して野本委員よりは、民生委員の推薦、職務執行の公正の確保について希望意見の開陳があり、さらに民主党を代表して武田委員日本自由党を代表して榊原委員より、それぞれ原案通り賛成の意見が述べられたのであります。次いで採決にはいりましたところ、全員一致をもつて原案通り可決すべきものと決した次第でございます。  次に、厚生年金保險法等の一部を改正する法律案について申し上げます。厚生年金保險では、標準報酬を基準として保險料を徴收し、保險金を決定しておるのでありますが、この標準報酬月額の最高限は六百円になつておりまする結果として、木制度全体が、いわば冬眠状態にあるのであります。よつて、現下の経済情勢に即應するため所要の改正を加えるとともに、最近立法の趨勢に鑑み、命令のうち重要なる事項はすべてこれを法律に引上げ、それに伴う命令の改廃をも併せ行うのが、政府の本法律案提案の理由であります。  次に、本改正案の内容の主なる点を申し上げますれば、第一に、標準報酬を現行の六百円より一躍改正健康保險法案と同額の八千百円に引き上げて、これにより保險給付も現下の実生活に適するものに改めんとするものであります。  第二に、これに伴つて増加する保險料につきましては、給付が十数年の將來に約束されておる養老給付の面で調節することとして、保險を約三分の一に引き下げることにより、実負担額を二倍弱の増徴に止めもつて被保險者と事業主の負担に應じ得るように考慮を拂つておるのであります。  第三に、保險給付に関する改正の主なる事項としましては、まず寡婦年金及び遺兒年金の創設をしたことでありますが、六月以上二十年未滿被保險者であつた者が在職中死亡したとき、在職中に発した疫病、負傷により死亡したとき、または障害年金の一級の受給者が死亡したときには、規定に從いまして寡婦年金とか遺兒年金を支給することといたしたのであります。次に、年金受給者が配偶者及び子を扶養する場合には、加給金として配偶者及び子一人につき月二百円を加給することとし、更に本改正案施行の日前の業務上の障害年金及び遺族年金の受給者に対する年金額は、これを五倍に引き上げたのであります。  第四に、本保險制度の本旨が養老年金たる点に鑑み、脱退手当金の支給につきましてぱ相当制限を加えることとしておるのであります。  本法律案は、六月十一日本委員会に付託せられたのでありますが、國、公共團体等に使用せらるる者及び生命保險会社の勧誘員に対する適用除外、その他二、三の点につき政府との間に質疑應答が行われた後、二十二日、討論を省略して採決に入り、全員一致をもつて可決すべきものと決した次第であります。  次に、藥事法案について申し上げます。現行藥事法は戰時中に立法せられました関係上、その規定の中には今日において不適当または不要と思われるものも多々あるばかりでなく、終戰後の新情勢に鑑みて、新たに規定を設けねばならぬ点もありますので、ここに藥事制度の民主的運営、委任立法的規定の縮減及び公衆保健保護の見地からする取締規定の整備等に主眼をおいて、本改正案が提出せられた次第であります。  この法案の骨子を申し上げますれば、第一に、藥剤師の身分に関するものとして、藥剤師免許証の更新に関する規定ほか、藥剤師の國家試驗制度に関する規定を新たに設けております。第二に、新たに藥事委員会を設け、これに実質的に重要な権能を與え、藥事行政運営の民主化をはからんとしているのであります。第三に、藥局開設の許可制度を発して登録制度に改め、この登録を毎年更新することにより業務実態把握をはかることとしておるのであります。第四に、藥剤師の調剤権を規定した条文の但書として、現行法においては附則に規定する。医師、歯科医師または獣医師の調剤権に関する規定を加え、これらの者が自己の処方箋によりみずから調剤するか、または藥剤師に調剤させる場合には調剤できることにいたしておるのであります。第五に、医藥品のみならず用具及び化粧品に対しても、その國民保健に対する重要牲に鑑み、医藥品に準ずる取締を加えることしたのであります。第六に、医藥品の製造業、輸入販売業並びに販売業の許可制を廃して、藥局と同様に登録制を採用し、一定の基準に達すれば自由に登録せしめ、また用具並びに化粧品の製造業についても同様の制度を取入れておるのであります。第七に、医藥品、用具及び化粧品について、不良粗悪品及びび不正表示品の取締りに遺憾のないようにしております。第八に、新たに藥事監視員の規定、公聽会に関する規定等を設け、本法律案運用の万全を期しているのであります。  本法案は、去る四月本委員会に付託せられたのでありますが、本法案の重要性に鑑み、数次にわたり会議を開いて愼重審議を遂げ、政府との間に幾多熱心なる質疑應答を重ねたのであります。そのうち最も論議の中心となつた問題について御紹介申し上げたいと存じます。  まず第一は、政府は完全なる医藥分業をただちに実施する意思があるかどうかとの質問対しては、医藥分業の原則で進むことが恒久法策としては理想としておるが、現在における藥局の普及状態及び医師が必要とする重要医藥品の生産額の不十分なる点並びに一般國民の間において医師から藥剤を受げることを便宜とする長年の慣行と、それから來る心理的原因等の存する事実に徴するときは、今ただちに完全なる医藥分業を励行することは困難であるが、將來においては完全分業の方向に努力するとの答弁があつたのであります。  第二に、本法律案中には藥事諸般に関する事項とともに藥剤師の身分に関する規定が包括せられており、医師、歯科医師等のごとく身分に関する單独法がないのはいかなる理由によるかとの質問に対しては、これは單なる便宜ないし形式の問題にすぎず、藥剤師の資質向上をはかる上において特に支障を來すがごときおそれはないつもりであるとの答弁がありました。  第三は、新設の藥事委員会の委員に消費者ないし藥業労働者代表を入れる意思はないか、また委員の選任については選挙制を採用する意思はないかとの質問に対しては、委員の選任方法は厚生大臣の任命の形をとることになつてはいるが、実際上は当然各関係團体からの推薦に基いて任命するものであり、後者については、本委員会の職務内容は專門技術的のものであるから、純然たる第三者を加えることは困難と思われるが、藥業労働者代表は考慮するとの答弁がありました。  第四に、藥剤師國家試驗の科目を法律に明記しておることはいろいろの弊害もあるから、むしろ医師法案等におけるごとく学科目の限定を避けて、藥剤師として必要なる知識技能につき試驗を行うものとする方が適当ではないかとの質問に対しては、國家試驗の科目については抽象的表現をとるのも一つのいき方と思うとの答弁がありました。  第五に、第六條で藥剤師の免許証を毎年更新することとしておるのは、藥剤師に過重の負担を課することとなるのみならず、他面においては、いたずらに繁雜なる行政手続を増加することとなるのではないかとの質問に対しては、これによつて藥剤師の現状を的確に把握するのほか、この機会において藥剤師たるの自覚を新たにし、その資質の向上を期せんとするものであるとの答弁がありました。  第六に、第四十四條においては、厚生大臣の指定するぺニシリン、スルフアミン剤等の特殊医藥品の販賣または授與を制限しておるが、これはわが國現下の性病の蔓延状況に照して、むしろ大衆より軽費と治療の便宜を奪う結果となるおそれはないかとの質問に対しては、これらの医藥品が素人により非科学的に使用せられる場合は、あるいは治療の時機を失し、あるいは病原菌にこれら医藥品に対する抵抗力を生ぜしめて、治療上または予防上恐るべき結果をもたらすおそれがあるから、その販賣または授與について特に愼重なる手続をとらんとするものである、なおこれが指定については、藥事委員会において具体的に十分審議を重ねた結果の建議にまつべきものであるとの答弁でありました。  以上のごとく、本委員会における審議の進行に伴いまして、委員の間に本法律案に対する修正の意見が出てまいつたのでありますが、数回にわたり協議会を開きましたる結果、これを三つの点にとりまとめ、各派共同提案の形で修正案が提案されたのであります。  その第一は、第六條第二項の藥剤師免許証を毎年更新することに手数料を徴することとなつてつたのを削除いたしたのであります。  第二は、第十三條において藥剤師國家試驗の科目を法律に明記してあつたのを、抽象的に、「藥剤師として具有すべき知識及び技能について、これを行う。」と改めたのであります。  第三は、新たに第七十六條を追加して、旧法の規定により藥剤師免許を受けることのできた者が、單に未成年であるのゆえをもつで藥剤師免許を受けることのできなかつた場合とか、應召その他やむを得ない理由によつて、本法施行の日までに藥剤師免許を受けることができなかつた者に対しては、当分の間、國家試驗なくして藥剤師免許を與えることができることといたしたのであります。  かくて審査を終りましたので、二十二日の委員会において討論に入り、各党代表委員はいずれもこの修正可決に賛成いたしたのであります。次いで採決に入り、まず各派共同提案の修正案について採決いたしましたところ、全員一致これに賛成いたしました。次いで、修正部分を除いた原案の他の部分について採決いたしましたところ、これまた全員一致これに賛成いたしました。すなわち藥事法案は、全員一致をもつて修正可決すべきものと決した次第でございます。  以上、御報告申し上げます。
  38. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 三案を一括して採決いたします。三案は委員報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて三案は委員報告通り決しました。      ————◇—————
  40. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 日程第六、会計法の一部を改正する法律案、日程第七、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案、日程第八、日本國憲法第八條の規定による議決案、右三案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。財政及び金融委員会理事梅林時雄君。     —————————————     〔梅林時雄君登壇
  41. 梅林時雄

    ○梅林時雄君 ただいま議題となりました三案について、簡單に御報告申し上げます。詳細は委員会における速記録でごらん願いたいと思います。  会計法の一部を改正する法律案について申し上げますが、今回同法を改正しようといたしまする点は次の二点であります。すなわち第一点は、都道府縣並びに町方自治法に基き將來できるところの特別市の吏員の取扱う國の会計事務の範囲を拡張いたしまして、歳入歳出外現金、物品等に関する事務をも併せ行わせたいというのであります。なお改正の第二点でありますが、特別調達廳は実質的にはほとんど官廳同様のものでありますので、同廳が特別調達法に基いて行う業務の遂行上必要とする國の会計事務は、これを同廳の役職員に取扱わせることといたしたのであります。  本案につきましては、去る七日提案理由の説明を聽きたる後質疑に入り、去る二十四日、討論を省略し採決いたしましたところ、全会一致をもつて可決いたした次第であります。  次に、皇室経済費施行法の一部を改正する法律案について申し上げます。改正案の大要は次の通りであります。  皇室の費用は、皇室経済法の規定により内廷費、宮廷費及び皇族費に区分されておるのでありますが、そのうち内廷費の定額は、昨年皇室経済法の施行に関する法律案及び同年度予算作成の際八百万円と定められておるのでありますが、最近の物價情勢並びにこのたびの物價改訂等の影響を織りこみまして、この際これを二千万円に増額することといたしたのであります。また皇族の費用については、昨年八月二十万円と定められましたものを、これも同じような理由によりまして三十六万円に増額することといたしたいというのが、提案の理由と相なつておるのであります。  次に、日本國憲法第八條の規定による議決案でありますが、皇室経済法施行法第五條によりますと、天皇とその他内廷にある皇族が一年内になされる賜與または讓り受けの財産の價額が百二十万円に達したる後は、價額の多少にかかわらず國会議決を得なければならないことと相なつておるのであります。しかしながら、これらについては、その都度必要に当面いたしまして一々國会議決を経ることは事実上困難である場合も多く、かたがたその目的も大体きまつておりますので、あらかじめ價額を限り年額百八十万円内外が今日まで使用されております等の点を勘案いたしまして、百八十万円といたしたいというのであります。  両案につきましては、去る二十四日提案理由の説明を聽取いたしました後、ただちに審議にはいつたのでありますが、日本社会党の川合君、第一議員倶楽部の堀江君等より、内廷費の内訳その他について詳細なる数字的な質問もあつたのでありますが、数字の点は省略させていただきます。次いで、討論を省略し採決いたしましたところ、全会一致をもつて再決心たしました次第であります。  右、簡單ながら御報告申し上げます。(拍手
  42. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 三案を一括して採決いたします。三案は委員報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて三案は委員報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  44. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 日程第九、行政官廳法等の一部を改正する法律案、日程第十、國家公務員法第三條第二項及び地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、臨時人事委員会地方の事務所の設置に関し承認を求めるの件、右両案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。決算委員長松原一彦君。     —————————————     〔松原一彦君登壇
  45. 松原一彦

    ○松原一彦君 行政官廳法等の一部を改正する法律案は、すでに二回にわたりてその施行期日を延期したものでありますが、今回制定せられましたところの國家行政組織法が明二十四年一月一日より実施せられることになりました結果、各行政官廳設置法はすべていま一度檢討を加えなければならないことになりまして、政府はこれを撤回いたすことになつたのであります。從つて、現行行政官廳法等は、國家行政組織法が実施せられる予定日の前日、すなわち昭和二十三年十二月三十一日までその施行期日を延期いたさんとするものであります。  本法案は、本月二十二日委員会に付託せられましたが、二十四日説明を聽取し、質疑並びに討論を省略して、ただちに採決し、全員一致をもつて原案の通り可決するものと決定いたしたのであります。  次に、臨時人事委員会地方の事務所の設置に関し國会の承認を求めるの件は、御承知通り來る七月一日より國家公務員法が施行されますが、これが実施の必要上、全國を通じて八箇所に臨時人事委員会地方の事務所を設け、本委員会事務局の事務を分掌させたいすなわち國家公務員法十三條及び地方自治法第百五十六條の規定に基きまして、國会の承認を求めんとするものであります。  分掌事務は、さしあたり管轄区域所仕の行政機関について、職階制の基礎調査、公務員の試驗に関する事項、就職状況、人事管理の状況等を調査するものでありまして、いずれも早急に実施を要する事項であります。設置箇所は札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、廣島、高松及び福岡の八箇所でありまして、実質は臨時人事委員会事務局の支所であつて、独立の性格をもたず、所長以下二級官八人、三級宮二十四人のみをもつて出発せんとするものでありまして、決して独立定員等はもたないものであります。從つて、國の行政機関及び國家公務員志望者のみを対象とするものでありますから、地方の自治の権能を制限したり、またはこれに抵触する等のことはほとんど考えられないのであます。  本件は、本月十八日に付託せられ、政府当局の説明を聽取の後、特に木村委員より、人事委員会事務局職員採用試驗の方法については、今後國会において人事委員会の委員をも招き、とくと研究し、その結果を実施面に反映せしめるよう努力すべきことを、委員会の申合せ事項といたしたい旨の発言がございまして、全員これに賛成いたしました。六月二十四日質疑を終了し、討論を省略して採決に入り、全員一致本件は承認を與うべきものと議決いたしたのであります。  右、御報告申します。
  46. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) まず日程第九について採決いたします。本案の委員報告は可決であります。本案は委員報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員報告の通う可決いたしました。  次に、日程第十につき採決いたします。本件は委員報告通り通り承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本件は委員報告通り承認するに決しました。     —————————————
  49. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 日程第十一、職業安定法第十二條第十一項の規定に基き、職業安定委員会委員旅費支給額に関し議決を求める件を議題といたします。委員長の報告を求めます。労働委員長安平鹿一君。     〔安平鹿一君登壇
  50. 安平鹿一

    ○安平鹿一君 政府提出にかかる職業安定法第十二條第十一項の規定に基き、職業安定委員会委員旅費支給額に関し議決を求めるの件の、労働委員会における審議の経過並びに結果を報告いたします。  本件は、職業安定法第十二條の規定による職業安定委員会の委員に対する旅費額につきましては、これを両議院の労働委員会の合同審査会の議を経て、國会議決を得なければならないこととなつておりまして、本國会提出せられ、労働委員会に付託となつたのであらます。しかして本委員会は、五月二十五日並びに六月二十二日の二回にわたつて開催し、その間両議院の労働委員会の合同審査会を、六月一日に第一回、同十八日に第二回と、前後二回にわたつて開催審議をいたした次第であります。政府からは加藤労働大臣、大矢労働政務次官その他の政府委員が出席せられ、眞摯なる答弁説明があつたのであります。  以下、その主要な点を申し上げますれば、職業安定委員会の委員委員会に出席する場合、または実情調査、視察等公務のために本邦内を旅行する場合において、それに要する鉄道賃、船賃、車馬賃、日当、宿泊料等の旅費を支給することとなつているのでありますが、この支給は一應官吏の旅費額を基準として定めることとしたのであります。すなわち官吏の定額に対し、中央職業安定委員会長は八割増、同委員及び地方委員長は六割増、同地方委員及び地区委員長は四割増、同地区委員は二割増の旅費額といたした次第であります。  以上が本件の大体の趣旨並びに内容でありますが、本委会といたしましては、審議の結果、全員一致をもつてこれを可決した次第であります。詳細は速記録により御承知をお願いいたすことといたしまして、以上簡單でありますが、御報告を終る次第であります。
  51. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 採決いたします。本件は委員報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本件は委員報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  53. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 日程第十二、農業改良助長法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員長井上良次君。     〔井上良次君登壇
  54. 井上良次

    ○井上良次君 ただいまより、本日の議題と相なりました、内閣提出、農林委員会付託にかかりまする農業改良助長法案に関しまして、委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告いたします。  申し上げますまでもなく、今日のわが國農村は有史以來の一大変革期に際会しているわけでございまして、さきに第一回國会を通過いたしました農地改革法、農業協同組合法等一連の立法は、いずれもその法的基盤となつているのでありまするが、しからば今後におきまして農業政策の進む大きな目標をどこにおいたらよいかという点をいろいろ考えてまいりますると、当面の應急対策に次々と手を打つと同時に、何と申しましても、農業生産の基礎條件を速やかに整備して、できるだけ國際的水準に近づき、來るべき農業恐慌に備えるということが、今日の急務であろうかと考えるのであります。  そこで、その基礎條件中の重要な要素は、営農主体たる農民の技術水準の向上でありまして、農業に関する試驗研究を深めますると同時に、一方では、これによつて得られた技術知識を廣く農民間に普及いたしまして、現実の農業に確実に浸透するところまでもつていかねばならぬのであります。  かような觀点に立ちまして、政府当局は、農業技術の普及拡充に関し連合軍総指令部の熱烈なる支援を受けまして、農業技術の研究並びに普及、機構の刷新方策に関し考究しておつたのでありますが、今回成案を得、これを農業改良助長法案として提起してまいたのであります。  本法律案の骨子は、第一、國内における農業研究機関の有機的連絡調整の緊密化とともに、一定の計画のもとに研究の助成を行うこと、第二、研究成果の普及浸透に関して、從來の指導農場方式をやめ、組織的に普及技術者を設置すること、第三、以上の目的を達成するために交付する國庫の助成に関して規定を制定すること、という三点に要約することができるのでありますが、本問題の重要性に鑑みまして、なお細部の点にわたり、本法案の規定政府委員との質疑應答、その他の提出資料を参照しつつ、若干の説明をつけ加え、御参考に供したいと存ずる次第でございます。  詳細は速記録に一切轉載をいただきまして、速記録でごらんくださるとともに、なお委員報告も詳細は速記に讓ります。     〔本号の末尾参照〕  以上をもちまして、農業改良助長法案に関しまする趣旨内容の説明を終ります。  本法律案は、六月十六日政府より提案理由の説明を聽取し、六月二十二日、二十三日の両日にわたりまして愼重審議を行い、農業経営の合理化、農業生産の増大及び農民生活の改善をはかるため、この法律案がきわめて緊要なものであることを認め、六月二十四日、討論を省略して採決に付しましたるところ、全員一致をもちまして原案の通り可決すべきものと議決するに至つた次第でございます。簡單ながら報告を終ります。
  55. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 採決いたします。本案の委員報告は可決であります。本案は委員報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  56. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  57. 笹口晃

    笹口晃君 日程第十三ないし第十五の三案は延期せられんことを望みます。
  58. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 笹口君の動に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく延期するに決しました。      ————◇—————
  60. 松岡駒吉

    ○議員(松岡駒吉君) 日程第十六、自轉車競技法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。商業委員長堀川恭平君。     —————————————     〔堀川恭平君登壇
  61. 堀川恭平

    ○堀川恭平君 ただいま議題となりました自轉車競技法案につきまして、委員会における審議の経過並びに結果を概要御報告申し上げます。まず本案の要旨を御説明申し上げます。第一に、國民の自轉車に対する関心を増大し、かつその知識を普及することによりまして、自轉車工業発展の無形的な素地をつくることであります。第二は、この法案の施行によりまして期待し得る莫大な收益の活用であります。すなわち賣上金額の配分について申し上げますと、自轉車競技施行者は、勝者投票券の賣上額の百分の七十五を車券購入者の賞金とし、残り百分の二十五以内の金額を自己の收入とすることができるのであります。すなわち、その百分の二十五のうち百分の三以内の金額を自轉車振興会に交付し、振興会は競技施行に要した実費としてこれを受領し、残り百分の二十二のうちより、その三分の一に相当する金額國庫に納付し、主務大臣は納付されました金額に相当する金額を自轉車の改良、生産増強、國丙需要の充足あるいは自轉車に関する各種試驗研究施設の完備あるいは諸外國における廣汎な市場獲得のために必要なる宣博を行う等のことに支出いたし、もつて自轉車の生産及び輸出の振興に直接寄與せんとするものであります。残額三分の二は、自治團体の收入としてこれを繰入れ、地方財政の増收に寄與し、もつて大衆課税を軽減せんとすることが大きなねらいであります。なおこのために主務官廳においては、本案施行に際し最小限度の人的処置を必要とすることは申すまでもないことと存じます。以上申し述べましたことが本案の要旨であります。  本法案は、四月十三日、林大作君ほか四十七名より提出され、六月十日商業委員会に付託されましたので、爾來本委員会におきましては、六月十四日、十六日、十七日、二十五日、と連日にわたり熱心な質疑が行われました。質疑のおもなるものを簡單に申し上げます。  まず社会党笹口委員より、競技方法において作意的な勝負が行われることがあり得るが、この場合、選手に対してしかるべき罰則または制裁の規定を設ける必要はないかとの質問に対し、本法案第十六條においてこれに対する罰則規定が設けられているとの答えがありました。また民主自由党富永委員より、戰災都市または引揚者の集中している都市等においても自轉車競技を開催することができるようにしてはどうかとの質問に対し、でき得ればそのようにしたいとの答えがありました。  そこで六月二十五日の委員会におきまして、民主自由党多田委員より、次のごとき箇所を修正すべきであるとの申出がありました。今その修正箇所のおもなるものを申し上げます。  第一條第一項の「都道府縣及び別表の市(以下特定の市という)」を「都道府縣及び人口、財政等を勘案して、主務大臣が指定する市(以下指定市という)」とし、第十條の「第一項の金額より」の前に「自轉車競走施行者は第一項の金額より」と挿入し、「第二項の金額及び所要の経費を差引いた残額の二分の一に相当する金額は、自轉車の改良、増産、輸出の増加、國内需要の充足に必要なる経費に支出しなければならない。」を「第二項の金額及び所要の経費を差引いた残額の三分の一に相労する金額國庫に納付しなければならない。」とし、その次に「主務大臣、前項の規定により納付された金額に相毒当する金額を、自轉車の改良、増産、輸出の増加、國内需要充足に必要な経費に支出しなければならない。」という項を挿入し、その他これに伴う所の修正をいたしました。  右をもちまして、討論を省略、ただちに採決に入り、修正案及び修正案を除く原案を全員一致をもちまして可決した次第であります。  右、御報告申し上げます。(拍手
  62. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 採決いたします。本案の委員報告は修正であります。本案は委員報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員報告通り決しました。(拍手)      ————◇—————
  64. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 日程第十七、郵便法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。通信委員長土井直作君。     —————————————     〔土井直作君登壇
  65. 土井直作

    ○土井直作君 ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案に関し、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  現在外國郵便業務は、連合軍最高司令官の指令に基きまして、別段の指示あるもののほか、從來本邦と諾外國との間に適用されていた郵便関係諸條約に準拠して実施されているのでありますが、外國郵便に関する料金及び損害賠償金額は、右條約中に、個々の場合につき具体的に金フランをもつてその基準が規定されておりまして、各締約國においては、爲替相場を基準として、なるべくこれに近い價値で自國通貨における料金額及び損害賠償金額を決定することになつているのであります。しかして條約の締結にあたつては、憲法第七十三條の規定により國会の承認を経ることを必要といたしまするゆえに、右料金額及び損害賠償金額は、事実上対内的にも、あたかも金フランで法律をもつて規定されているのと同様の状況になつておるのであります。  他面、外國郵便料金中、小包料金、航空料金、代金引換郵便物の料金等、関係國に支拂うべき割当額を内容とするものにつきましては、郵便物逓送経路の異動等によつて随時変更を見る性質のものとなつております。これらの点に鑑みまして、外國郵便に関する料金及び損害賠償額の邦貨における金額命令規定するのを適当といたしますると同時に、これが國内施行の立法措置といたしましては、料金については、財政法第三條に対する例外規定として、損害賠償額と併せ郵便法中にその根拠規定を設ける必要があるのであります。  以上が本法律案提出理由でありますが、法律案の内容は、郵便法第十三條に一項を加えまして、外國郵便に関する料金及び損害賠償金額は、條約に規定するものを超えない範囲内において、内閣総理大臣及び逓信大臣命令をもつてこれを定めることとしようとするものであります。  本法律案は、去る四月十二日付託以來、委員会は数次にわたり会議を開きまして、政府の提案理由並びに内容の説明を聽取し、愼重審議を加えたのでありますが、その詳細は会議録によつて了承を願いたいと存じます。  かくして、六月二十五日質疑を打切り討論にはいつたのでありますが、その際、日本共産党を代表して林百郎委員より、郵便に関する料金は、外國郵便に関するものといえども、財政法第三條の趣旨により、すべてこれを法律をもつて規定するのが適当であり、本法律案規定するごとくこれを命令規定に委ねることに反対なる旨意見を述べられたのであります。次いで日本社会党重井鹿治委員より、原案中「昭和二十二年法律第三十四号財政法第三條の規定にかかわらず」の字句を削除し、かつ附則の「成立の日」とあるのを「公布の日」と改めようとする修正案の提出があり、討論を省略して、右修正案及び修正部分を除く原案につき採決を行いました結果、いずれも大多数をもつてこれを可決、よつて原案は修正議決せられた次第であります。右修正の理由は、削除部分の字句は特に存置の必要なく、かつ損害賠償金額との関係上、これを存置することはかえつて不適当であるのと、法律の施行は成立の日よりも公布の日を基準とすることを適当と認めた結果であります。  以上、簡單でありますが、御報告申し上げます。(拍手
  66. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 採決いたします。本案の委員報告は修正であります。本案は委員報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員報告通り決しました。(拍手)      ————◇—————
  68. 笹口晃

    笹口晃君 議事日程追加緊急動議議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、厚生省官制の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  69. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  厚生省官制の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。決算委員長松原一彦君。     —————————————     〔松原一彦君登壇
  71. 松原一彦

    ○松原一彦君 厚生省官制の一部を改正する法律案は、最近における衞生行政の進展に伴い厚生省官制の一部を改正しようとするものでありまして、その要点は、まず藥務局の新設であります。これによつて医藥品その他医療資材に関する藥事行政の強化をはかろうとするものであります。第二は、第一回國会を通過したる保健所法の全面的改正によつて、保健所の性格が予防行政第一線の行政機関になりました点に鑑み、これに関する事務を公衆保健局から予防局に移し、第三には、公衆保健局の名称を公衆衞生局と改め、水道、下水道、汚物清掃の事務は公衆衞生行政の一環として行わしめるために、これを予防局から公衆衞生局に移そうとするものであります。  本法案は、本月二十四日本委員会に付託せられたのでありますが、政府当局より諸般の説明を聽取し、二、三質疑應答が重ねられた後、本日討論を省略して採決に入り、全会一致をもつて原案通り可決いたしたものであります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  72. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 採決いたします。本案は委員報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員報告通り可決いたしました。  これにて日程は終了いたしました。明後二十八日は定刻より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします     午後五時十三分散会