○野坂參三君 私は、五つの点について、詳細に総理
大臣、
大藏大臣その他の閣僚諸公に質問したいのでありますが、時間も相当経
つておりますので、できるだけ
簡單にやりますが、しかし皆様方の方でも、どうぞ静粛にお聽き願いたいと思います。
第一にお聽きしたいのは、主として総理
大臣及び外務
大臣について、外資導入政策と対外政策に関するものであります。当
内閣が外資導入を根本的な
基礎にして、ほどんど全政策の
基礎がここにおかれておるということは、大体われわれ了解しておるところであります。但し、
大藏大臣の先日の
演説の中に、わが
國民自身の
努力について語
つております。われわれ
國民の力によ
つてやはり
再建しなければならないというふうな口吻を漏らされておりますが、しかし、われわれが全政策を見ますとき、やはり外資の導入を根本的に
基礎にしておる。この点はまた
大藏大臣がしばしばここで述べられた答弁の中にも、やはりわれわれうかがうことができると思うのであります。
まず当
内閣ができるときに、三
党協定の第一番目に掲げたのも、すなわちこの問題、それから
復興計画、第一次試案五箇年
計画、これの
基礎もまた外資の導入においておるということ。一般には、この間に十六億ドルの外資が大体においてこの五箇年
計画の
基礎にな
つておるということがいわれておる。また
大藏大臣の
演説の中でも、こう申されております。外資の援助を支柱とする一應の中間安定、外資の援助を五箇
計画の柱にしておる、こういうことを
大藏大臣はここで申されております。また
予算説明書の中でも、こう書いてある。中間安定、これとても、わが國
経済の独力をも
つてしてはこれを達成することは困難であ
つて、
外國の援助にま
つて、この間の支えを得なければなりません、こう書いてあります。
以上のごとく、全
財政政策の根本がすなわち外資の援助におかれておる。この点については、すでに私がこの壇上でも、また徳田君がこの壇上でも、われわれのこれに対する態度を申し上げておりますが、一言で言えば、四つの條條がそろうなら、われわれは外資の導入を歓迎する。この四つの條件とは、第一に、わが國の独立が確保されること。言いかえれば、
政治的な條件がはいらないこと。第二には、この外資の導入が眞にわが國の
再建に役立ち、また
國民生活の安定に役立つこと。これがやみに流れる、あるいはただ一部少数の大金持だけがこれによ
つて利益する、こういうやり方には、われわれ反対せざるを得ない。第三には、この外資の導入について、ただ一、二の國だけに偏する、これについてもわれわれは反対する。われわれは、やはりすべての諸
外國と平等に
経済関係、貿易関係を結ばねばならない。第四は、以上のような三つの條件を容れるためには、今日までのような
官僚と少数の資本家だけがこれを管理するのではなくて、民主的な
方法によ
つて、人民の代表がこれを管理する、こういう
方法をとるべきであるということを、われわれは主張するのであります。
さて、私のここで申し上げたいことは、
芦田内閣は、その
経済政策の根本を外資の導入、言いかえれば、対外依存政策をその根本にしているという点であるが、しかしながら、
外國は常に変化し、変動している。たとえば、ここの壇上からもすでに問題になりましたが、一億五千万ドルの
復興資金が、最近アメリカの下院において否決されたということもあるし、あるいは回轉基金が、下院の委員会は通過したが、
國会の通過はどうであるかということも報ぜられております。あるいはこの基金というものが、さようあすのうちに上院の委員会を
通貨するかもしれませんが、しかし私の申し上げたいのは、このように外資の援助というものは変化するということである。
さらに、これは五月二十日の
日本経済の社説に載
つておりましたが、いわゆるジヨンストン報告について、こう書いている。ジヨンストン報告の勧告がどの
程度に実現するか、なお不明であるばかりでなく、米國
政府内部でも意見の一致していない点があり、さらに極東委員会諸国の中にも反対の意向が強いと報ぜられているということを無視してはならない。また、アメリカからスクラツプの輸入が困難に
なつたということも報ぜられているし、逆に
日本のスクラツプを向うに送
つてもらいたいというような報道も出ている。またオーストラリアとか、あるいはフイリピンからの鉄鉱石を
日本に輸入することが今困難に
なつたというようなことも報ぜられております。
芦田総理も、いわゆる
復興資金というものがアメリカの下院によ
つて否決されたについて、ここでお答えに
なつたときに、これもアメリカ國内における
事情によ
つてこいうふうに
なつた、こういう
意味のことを申されておる。私が申し上げたいのは、つまり
資金が
日本にはいるとかはいらないとか、こういう問題ではなくて、われわれの力によ
つて、
日本人の力によ
つて支配することができない。
外國の
事情によ
つてわが國の
経済政策の根本を立てるというところである。これが私は、根本的な誤謬であり、これは非常に危險なことであると思う。これがすでに——たとえば、あのフアンドが否決されたとか、するかされないか、これだけによ
つて、
日本のこの
内閣自体、
日本の財界
自体が青く
なつたり赤く
なつたりしている。私は、ここに大きな基本的な誤りがあり、危險があるということを、ここで強調したいのであります。
しかも國際情勢は、最近どんどん変化しております。今日の國際情勢は、戰後における
一つの新しい方向にいく兆しを示してきたのではないか、こういうふうに私たちは考えます。たとえば、あのパレスチナのアラビアとの戰爭
状態、これに対してアメリカ、ソ連、東ヨーロツパ諸國は、パレスチナを独立國として承認したが、しかし、イギリスはまだ承認をしていない。こういう変化は、か
つてなかつた変化である。また、西欧十六箇國が
一つの連盟をつくるというようなこともありましたが、これも大体できなくて、今わずかに六箇國が連盟をつくるということにな
つておる。また、マーシヤル・プランの今後におきましても、いろいろのニユースがあります。
また、私たちの強調したいのは、対日政策、
日本の政策についても、最近若干の変化が現われてきている。これは、私は詳しくここでは申し上げることはできませんが、二、三の新聞に現われた実例を見ましても、四月二十八日の対日理事会で、海上保安廰設置に関する議案が提出されましたが、このときには、過去の理事会の会議においてなかつたような新しい空氣が醸し出されております。この保安廳の設置に対して、オーストラリア、中國、ソ連、この三つの國の代表者は、鋭い批判的な、あるいは反対的な態度をと
つておる。アメリカ代表者がこれを支持する。こういう形がとられたと思うのです。こういうことは、か
つてなかりた事実です。また対日講話会議につきましても、最近連合國側の内部において新しい動きが出てきておる。
以上のような変化する
外國の
事情に依存することができるかどうかということを、私は総理
大臣にお聽きしたい。このように不安であり、われわれの手にどうも負えないような、こういうような
外國の
事情に、今日の
日本の
経済の
再建や、あるいは目前の
予算の
基礎をおくというところに、私は非常な危險があると思う。これについて総理
大臣並びに
大藏大臣の
所見をお伺いしたいと思うのであります。
もう
一つ、この問題について申し上げなければならないことは、今外資の導入ということが、あらゆる宣傳機関を動員して行われておりますが、なるほど、われわれ外資の導入もよろしい。たとえば、昨日私はラジオを聽いておりますと、ラジオでこう申しております。
外國からの援助が來る。それがためには、皆さん貯蓄してください。すなわち
外國から援助がくるから、そのために貯蓄せよ。今すべて
政府の政策を見ますと、何でもすベて外資の導入だから、労働爭議をやめろ、労働組合もおとなしくなれ、だからお前たちも貧乏せよということになる。こういうやり方は、結局
日本の
國民が自力で起ち上ろうという意氣をくじくことになる。ただ
外國に頼れという、この卑屈な、ただ奴隷的な、こういう
感情を植える以外に何がありましようか。こういう宣傳をや
つておる。この点について私は、芦田総理
大臣に十分の反省をしていただきたいと思う。われわれは、自力更生ができると確信しております。
この点については、今年初頭、この壇上で、私は共産党のこれに対する政策を述べておる。もしわれわれが、今日
日本に所在するすべての
経済的な力、技術的な力、労働力、これを動員してやるならば、われわれは自力によ
つて更生ができる。ただ、これに対して足らないものがある。これはわれわれが正常な貿易関係によ
つて輸入したらよろしい。それではなくて、逆にすべて
外國に頼
つてお
つて、これに適合するように國内態勢を整える。こういう根本的な逆なやり方にわれわれは反撃しておる。(発言する者あり)もしお好みならば、これから詳しく申し上げます。共産党は‥‥(発言する者あり)よろしいか。
それからもう
一つ、芦田総理に、あるいは外務
大臣とい
つてもよろしゆうございますが、お聽きしたいことは、今日の府府の対外政策において——あるいは今日は対外政策はないと言われるかもしれませんが、しかし
実質上の対外政策において、この
内閣は一、二の國の偏向するような政策をとられておるようにも見えますが、この点についてお聽きしたいと思う。もし、こういうふうな政策をとるならば、私は、これは非常に危險な政策ではないかと思う。
まず第一に、
経済的に見て、
日本が円滑な、円満な
外國との交際をやるということに対して、これは大きな妨害になる。たとえば
経済面
一つ見ましても、綿花をアメリカから輸入する。これでメリヤスのシヤツをつく
つて南洋に賣る。ところが賣れない。ここで水谷商工
大臣が昨年報告されましたように、一千八百万着のメリヤスのシヤツが倉庫の中で腐
つておる。これは何か。結局
一つの國に偏向する、この
経済政策の結果であると思います。
さらに
政治面におきましても、われわれがもし一方の國に偏り、他方に対してあまり親しくないような、こういう態度をとるならば、
日本は國際的に孤立する、そうして多数の國を味方にすることができないような、こういう
状態をつくり上げはしないか。
またその次には、こうした偏るというこの國際政策の結果、かりに
將來戰爭があるという場合におきましても、
日本がこれに巻きこまれる、こういう危險が生れてきておる。御承知のように、
日本が太平洋上における戰略的な重要な地点——もし、この
日本がいずれかの國に偏るならば、その結果戰爭を促進させる。客観的に
日本が促進するということになりはしないか。同時に、かりに戰爭が起る場合においては、
日本が必ず巻きこまれる。われわれは、あくまで中立を守らなければならぬ。その
意味におきまして、偏るこの政策に対してわれわれは反対しておる。
次にわれわれは、こうした結果
日本の独立自身も危くなる、こういうことを強調したい。(「共産党が偏
つているじやないか」と呼ぶ者あり)共産党は、絶対
一つの國に偏
つていない。われわれは、いずれの國に対しても、アメリカに対しても、中國に対しても、イギリスに対しても、またソ連に対しても、平等にわれわれは交際することを主張しておる。そういう点が共産党の政策のどこにありますか、言
つてください。具体的に何ら証明することはできないでしよう。この問題は、
日本の
將來にと
つて非常に重要な問題です。あまり軽率な言葉は吐かない方がよい。もしお望みならば、いくらでも詳しくやります。
最後にこの問題について、芦田総理にまとめて私の質問を申し上げて、御回答がしやすいようにしたいと思います。第一の点は、外資導入を基本とする全政策を、これを変更して自力更生に重点をおく、これにかえる
意思があるかどうか。第二は、一、二の國に偏るという政策をやめて、すべての國と平等に親善関係を結ぶ、これについて
政府としてはいかなる
努力を今日まで、また現在やられておるか。それから、これに附随してひとつお聽きしたいことは、たとえば日新化学の和歌山工場とか、
日本軽金属とか、アルギン酸工場とか、こういう所に、今外資がはい
つてくる。これに対して、大体資本の五〇%以上を
外國資本に提供する、こういうふうなニユースもありますが、はたしてそうであるかどうか。もしそうであつた場合においては、一体
経営権というものはどうなるのか。もう
一つこれに
関連して、外資の導入の場合における担保というものについて
政府はどういうことを考えておられるか、これを私はお聽きしたいと思います。もし総理
大臣の方で材料がなければ、他の閣僚諸君でよろしゆうございます。以上が第一の問題であります。
第二の問題としましては、私はこの
予算の
性格について、できるだけ
簡單に、申し上げたいと思います。この
予算を見まして、まず
歳出の面を見ますと、不生産的な、また警察的な支出が非常に大きい。たとえば終戰処理費の問題とか、警察、裁判所とか、
行政の擁護と見られるような
價格調整費とか、公園交付金とか、
政府出
資金、國債費、金融機関
再建補償費、船舶運営会補助費、その他これに類するもの、これを総計しますと、やはり
歳出の四三・二%、以上二つのものを合計しますと七七・四%、すなわち七七%以上が不生産的、警察的、大資本擁護の費用とな
つております。これに対して、社会的ないろいろの施設とか、あるいは労働者・農民教育とか、文化、保健、衞生、こうした文化的な、教育的な、社会政策的な費用は、わずかに九・九%、約一〇%。これを見ますと、
歳出の方面の七七%が、大体において不生産的な、あるいは大資本擁護のために使われており、わずかに
國民生活に関係あるものは一〇%しかない。これが
一つ。
その次には、歳入の方面を見ますと、租
税收入の中、大衆課税と見られるものが約六五・五%あります。さらに、大衆の
負担に轉嫁されるような專賣益金、病院手数料、その他こういうものを合計しますと約七〇%。これがすなわち、歳入の面において大衆の
負担になる面であります。このようにして、歳入の方面においては七〇%を大衆のふところから收奪する。一方税制の方面を見ますと、資本家に対する課税のようなものは、今度の税制率を見ますと減
つております。たとえば法人税のごとき、あるいは
價格差益金のごときは、わずかに百八十九億しか算定していない。これは普通一般には、数百億あるに違いないといわれている。また所得税率を見ましても、高額所得に対する税率は昨年よりも軽減している。たとえば百万円、二百万円、五百万円以上の所得者に対して、昨年は八五%課せられておつたものが、本年は一五%、一〇%、五%を軽減している。減
つているのです。
これらを見まして、今度の
予算の
性格がわれわれにははつきりしてきている。
歳出の方面において七七%を不生産的、大資本家の援助のために使いながら、歳入の方面においては七〇%の大衆的な收奪をやる。すなわち、こういう階級的な
予算が組まれていることが今度ははつきりしてきている。、
そこで私は
大藏大臣にお聽きしたいのは、こうした事実について、
大藏大臣はいかなる理解をもたれているか。大衆課税的なものをもう少し減らして、大資本に課せられるような税をもつと重くするという面において、
政府はいかなる
努力をされたか、あるいはされていないのか、
將來どうされるつもりか、これについてお聽きしたいと思います。
それから第三には、加藤労働
大臣にだけお聽きしましよう。農林
大臣にお聽きするはずでありましたが、これは
簡單でありますからあとで‥‥。
加藤労働
大臣は、この壇上でも、また
予算委員会でも、二千九百二十円ベースが論議されたとき、これでは労働者として食
つていけないということを認められております。そこで今度三千七百円ベースが出ましたが、これについては、いろいろ
計算の
方法もありましようが、われわれの
計算によれば、千八百円ベースの二六%低減であるということをわれわれは認めておりますが、社会党の政調会自身でも、これではあまりに低過ぎる、これをさらに四千二百円ベースに上げるとか、最近では四千五百円に上げる、こういうことを言
つております。すなわち、今日の三千七百円ベースは、二千九百二十円ベースにおいて加藤労働
大臣は食えないと認められた、それよりも低い額である。これについて、いかなる所感をもたれるか。これではたして食
つていけると思われているかどうか。
その次には、一昨日國鉄及び官公労組合の諸君の代表が來まして、三千二百円ベースを
政府に要求してきております。これについて、加藤労働
大臣はいかなる対策をも
つていられるか。これを認められますか。あるいは認められないのか。さらにこの問題から
將來いろいろ労働紛議が起つた場合において、加藤労働
大臣あるいは
内閣において、いかなる責任をもたれるか、こういう問題についてお聽きしたいのであります。
それから農林
大臣について。先ほどここで北君の質問に対して、本年度の米の
價格について何もお答えなかつたのでありますが、この点、私は農林
大臣からはつきりお聽きしたいのであります。と申しますのは、もうすでに、われわれの目の前には
予算案が提出されております。しかもここには、給與の三千七百円ベースというものがはつきりきま
つている。これらは、すべて米價が決定しない限りはできないはずのものです。米價がきま
つて、初めてまた
賃金のべースはきまるはずである。さらに、これから全
物價がまたきまらなければならぬ。
從つてこの米價というものは、もうすでに当然きま
つていなければならぬはずである。ですから私は、ここで農林
大臣にお答え願いたいと思うのであります。
さて第四の点につきまして、私は今度のこの
予算を見た場合に、これはインフレ
予算であるということを痛切に感ぜざるを得ない。これは具体的に申しますと、たとえば
予算面から見てみますと、
一般会計の中で、金融
再建補償その他の
予算外の交付公債が二百三十四億あります。これは流動性をもつから、
將來インフレの原因となることは、大体認めて差支えないじやないか。その次に
特別会計を見ますと、公債及び
証券、それから借入金、これを合計しますと千四百六十七億円あります。昨年度の実績によると、
特別会計の公債借入金の八八%は日銀引受とな
つております。
從つて、これは
通貨増発にな
つている。そこで、今の八八%、すなわち千二百九十億円が、これが大体において
日本銀行の紙幣に轉嫁されるもの。さらに
地方財政を見ますと、この
赤字が百八十億ないし二百四十六億、大体こういう予想を立て得る。さらに復金、これを見ますと、やはり九百億ないし一千億円の復金貸出しがあり、これがまた紙幣に変る。但し、この復金の中の八〇%が大体紙幣に変るものと見て差支えないと思います。そこで、先ほど申しました数字から、交付公債がとりあえず流動化して
日本銀行券に変らないで、また
地方財政の
赤字が全部預金部または市中銀行から賄われたとしても、日銀の引受分は二千十一億ないし二千九十一億円となり、これだけ
日本銀行券の増発になりはしないか、こういうことを私は
大藏大臣にお聽きしたい。
さらに、國家資力のバランスの方面から見ましても同じような結論が出てくると思います。
政府の統計によりますと、生産
國民所得が一兆九千六十億にな
つております。さて、これがいかに分配されるかと申しますと、第一に
國民消費基金、これが三千七百円べースによりますと一兆四千億になる。その次の民間投資、いわゆる
産業資金、これが二千七百億、この二つを合計して、これを
國民所得全体から引きますと、残つたものが二千三百六十億、これがすなわち、
財政資金として使われるものとして残
つておる。ところが
財政資金の方は、これは國家
財政、
地方財政、この二つを合計して見ますと、五千九百三十五億円、そうしますと、先ほど申し上げた二千三百六十億という、この
國民所得から残
つていて、これを
財政資金に割当てられる額が不足して來る。いくら不足するかと申しますと、三千五百六十五億円不足する。これがすなわち、インフレの
要因として重要なる役割を演ぜざるを得ない。
政府は、こう申しますと必ず
調整項目、これを持出されて、これでバランスがとれる。こういうことを申されておりますが、しかし現実の事実は、おそらくそうはならない。たとえば昨年の十一月七日、私はこの演壇から追加
予算の討論の場合に、二十二年度においては、おそらく一千億円の
赤字が出る、これがすなわちインフレになるということを申し上げた。ところが、当時の安本
長官は、
調整項目という例の数字のトリツクを持出されて、そういうはずはない、必ずバランスがとられる、こういう
意味のことを申されましたが、しかし、過去の事実はどうであるか。私の申しましたように、最近
政府の発表された第二の
経済白書によりますと、すなわちこのときにおいて、同じ期間に一千三十億円の
通貨の
膨張が行われておる。
こういうことを見ましても、私は、今度のこの
予算から
政府が先ほど繰返し繰返しインフレの危險がないような口吻を漏らされておりますが、必ず二千億を越す、あるいは二千億内外の
通貨膨脹にならざるを得ないということを言い得ると思います。これについて
大藏大臣の
所見を伺いたいと思います。
大藏大臣は、これについては、おそらく万全の策を講ずると言われる。しかし、いかなる具体的な万全の策を講ぜられるか。これをお聽きしたい。
さて私は、最後に一言申し上げます。林代議士がここで過日質問しましたときに、これは例の一億五千万ドルの
資金の問題でありますが、これが否決されたとき、芦田総理は、ここでこう答えられた。これは何も
日本だけの問題ではなくして、アメリカの世界全体に対する
復興資金が全体として
削減されるわけだ、こういうふうに申された。いかにもこの
内閣が信頼されておるような口吻を漏らされた。今、
日本國内において、
國民がこの
内閣についていかなる感じをも
つておるかということは、ここで申し上げるまでもなく、賢明なる皆さんはよく御存じのはずです。
國民一般だけではありません。この
政府を支持しておる與党内部において、今どういう
状態にあるのか、これは皆さん方が私よりもよく御存じのはずです。また、今労働組合がどういう要求を
芦田内閣にも
つてきておるか。一昨日、官公労の代表が、
芦田内閣に村して即時辞職を要求しておる。(「共産党の宣傳だよ」と呼ぶ者あり)そう思
つておればおめでたいです。もうじきに
内閣はつぶれるのだから——そうすれば、共産党がつぶしたことになる。
さらに、
日本國内ではありません、
外國はどういうふうに考えておるか、これは
芦田内閣ができて間もないことでありますが、おそらく御承知でありましよう。「ニユース・ウイーク」——あのアメリカの雜誌の中で、
日本の新聞の書いたものを引用して、この
内閣が
—————————————
だと言
つている。(「けしからぬことを言うな」と呼ぶ者あり)しかしながら、こう書いてあるのだからしかたがない。(「下劣だよ、取消せ」と呼ぶ者あり)また、五月十一日の中國の新聞の大公報には‥‥(発言する者あり)中國の大公報という、あの新聞に、
芦田内閣の批評をして、こう書いてある。「取消せ」と呼び、その他発言する者多し)さらに中國の大公報が、五月十一日の社説に、
芦田内閣に対してこう書いております。(「不穏当な言葉を取消せ」と呼び、その他発言する者多し)新聞に書いてある。
〔「書いてあることでもだめだ」と呼び、その他発言する者多し〕