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1948-05-29 第2回国会 衆議院 本会議 第52号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年五月二十九日(土曜日)     午後二時三十三分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第四十八号   昭和二十三年五月二十九日(土曜日)     午後一時開議  第一 政府職員の新給與実施に関する法律案内閣提出)  第二 裁判官の報酬等に関する法律案内閣提出)  第三 檢察官の俸給等に関する法律案内閣提出)  第四 墓地、埋葬等に関する法律案内閣提出)  第五 食肉輸移入取締規則を廃止する法律案内閣提出)  第六 食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  第七 昭和二十三年の所得税予定申告書提出及び納期の特例に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  第八 國際労働機関への復帰に関する決議案米窪滿亮君外二名提出)(委員会審査省略要求事件)  第九 自由討議(前会の続)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) これより会議を開きます。      ━━━━◇━━━━━
  3. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 新たに議席に着かれました議員を紹介いたします。  第五十番、宮城縣第二選出高橋清治郎君。     〔高橋清治郎起立〕     〔拍手
  4. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 第二百七十一番、宮城縣第二選出大石武一君。     〔大石武一起立〕     〔拍手〕      ━━━━◇━━━━━
  5. 山下榮二

    山下榮二君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、今村忠助提出建設省設置に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
  6. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 山下君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  建設省設置に関する緊急質問を許可いたします。今村忠助君。     〔今村忠助登壇
  8. 今村忠助

    今村忠助君 私は、民主自由党を代表いたしまして、建設省設置に関する緊急質問をいたしたいと思うのであります。  巷間傳えられるところによりますと、政府は現在の建設院所管事務運輸省運輸建設本部を加えまして、建設省を設置せんとしているということであります。かような、單に申訳的に一つの省をつくるのであつては、行政整理をやかましく傳えている今日におきまして、その精神を沒却するものではないかということをまず感ずるのであります。(拍手)殊に、多年の懸案になつておりながら、各省セクショナリズムに禍されまして、今日まで実現をみなかつたところの建設行政の一元化が、依然として行われぬといたしましたならば、まことに悲しむべきことであると思わなければならぬのであります。私は、敗戰後における日本の各都市の、おそろしくみじめな姿になつたのを見るにつけまして、あるいはまた戰時中見捨てられておつた山野河川荒廃に帰しておる姿を見るにつけましても、当然これらの問題を解決するためには、大きな建設省を設置して、これに当るべきであると思うのでありますが、現内閣の人々は、大臣・宰相の地位の一日も長からんことを求めまして、國家國民の前途を何ら考えず、ただ安易の途を求めてお座なりの建設省をつくるのだという感じがいたすのであります。  現在國民は、うずまくインフレの洪水の中にありまして、一日も早く政府が徹底したる行政整理を断行して厖大なる財政支出の根源を絶つことを要望しているのでありますが、われわれも、先ほど申した通り敗戰後日本建設には、どうしても一大建設省のごときものを設置いたしまして、都市の再建にも、山野開発にも当らなければならぬということを痛感しているのであります。実に全建設力を結集いたしまして、総合的に國土開発建設することが、日本の今日の最も基礎的な対策でなければならぬと信ずるものであります。また建設力を結集することが、多年官界弊風であつたところのセクショナリズムを一掃いたしまして、官界民主化を実現するものであると思いまするし、またこれによつて、人員のみならず、資材の点においても多くの節約を見ることができるのではないかと信ずるのであります。すなわち一石三鳥ともなるべき國家根本的対策がここにあると私は思うのであります。ついては、芦田総理大臣を初めといたしまして、関係大臣に、次の各項についてお尋ねしてみたいと思うのであります。  第一に芦田総理大臣にお尋ねいたしたいことは、焦土化しておるところの大都市をしばしばごらんになられて、しかも東京・大阪のごとき都市は、復興わずかに十三、四パーセントにしか達しておらぬという事実を、御存じであるのでありましようか。殊に、荒廃に帰せられておりました山野河川のごときは、一例を昨年の秋の栗橋の欠壊においても見られる通り、わずか一箇所が切れた結果、実に一億七千万円の復旧費を要するところの大きな災害となつてしまつたのであります。これらの点を考えますると、どうしても総合的な立場より國土開発並びに建設ということが考えられなければ新日本建設成りがたしと私は思うのであります。殊に、終戰後海外からは七百万に近い同胞が次々に引揚げておりますし、また終戰後といたしましても、一年に百万に近いところの自然増加があるのであります。これらの人口増加は、あたかも大洪水がひたひたと押し寄せるように、いわゆる失業軍を日増しに多く出しておるのでありますが、これらの対策といたしては、どうしても公共事業のごどきものを盛んに起すよりほかに方法がないのではないかと思うのであります。現在外國におきましても、イタリーのごときにおいては公共事業省をもつておりますし、またフランスのごときも復興省をもちまして、これら國土建設必要対策のために、政府は万全の措置をとつておるのであります。この点に対しまして、芦田総理大臣は、先ほど申しまするがごとく、目先ごまかし程度建設省をつくるのでなくして、新日本建設の基礎ともなるべき大建設省をつくるお考えがあるのであるか、まずお聽きしてみたいと思います。  第二番目は、明治維新以來官僚の中にあるところのセクショナリズムというものは、実に言語に絶するに足るところまでまいつております。敗戰の後、民主化がはなはだ盛んに叫ばれておるにかかわらず、なおこの官界セクショナリズムを押し流すだけの程度に至つておらないということをわれわれは感じておるのであります。すなわち、行政整理がこの観点からも最も徹底して行われることを國民は要望いたしておるのであります。かような立場から、建設行政を一元化して一大建設省をつくるべきであるということは、院の内外を問わず、國民の輿論となつておると思うのであります。すなわち、政府考えておるところの建設廳運輸建設本部を加えるのみでなくして、農林省開拓局商工省電力局運輸省港湾局の大部分仕事をこれに加えまして、山と川と都市建物等を一貫した建設行政のもとに一元化することが、國土建設の上に最も必要なことではないかと思うのであります。これに対しまして、芦田総理大臣はどうお考えでありますか。  第三に、世間では芦田総理大臣のことを外資導入居士だといつております。一度口を開くならば、外資導入せずんば祖國再建成りがたしと言われておるのでありますが、その点は、私も実は同樣に考えております。まさに今日の経済崩壊は、外資導入なくしては防げぬことでありましよう。そのために芦田総理大臣は、過日この席におきまして、共産党活動研究もいたしておると申されました。私は、なお進んで社会党左派はいかなる性質のものであるかの御研究を願うだけでなくして、いわゆる公共事業というものを総括した一つ官廳のもとに置かなければ、外資導入をいかほどこちらで叫んでも、相手のあることでありまするから、不可能に近いものがあると私は思うのであります。行政整理の面から考えましても、当然ここに大きな建設省あるいは公共事業省のごときものを設置いたしまして、わが敗戰後日本が根本的に立ち返る、基礎的な、計画的な建設の必要であるということを痛感するのであります。  次に、永江農林大臣にお伺いいたすのでありますが、從來農林省においては、開拓はすなわち食糧増産なりというお考えであつたようであります。この考えは、すでに終戰後三年になんなんといたしまして、開拓そのものがただちに食糧増産にならないという事実をお握りであろうと思うのであります。言いかえるならば、治山治水その他のいわゆる風水害対策に、現在の開拓に要したくらいの金をもし使つたといたしたならば、良田美田を流すことなくして実質的食糧増産になつておるんだと世間はいつておりますが、いわゆる開拓そのもの食糧増産にならぬということであるのでありまして、この点を一体数字の上から御研究になつておるかどうか。なつておるなら、この際明らかに発表していただいて、いわゆる開拓そのもの食糧増産になるのだという從來考えを訂正していただきたいと思うのであります。  第二段は、開拓というものが今日反省されなければならぬ時期にはいつたと私は思うのでありますが、前述のごとく、開拓すなわち食糧増産ということができぬものであるといたしましたならば、開拓というものは、國土開発見地失業対策の上から考えらるべきものであると私は思うのであります。從來開拓に対する考えを改めずに食糧増産ができるという建前にしておる結果、ほとんど十分とれない農産物に割当供出をせしめまして、開拓民は実に泣いておる状態にあるのであります。すなわち食糧増産という言葉にとらわれ過ぎまして、開拓民を苦しめておると申し上げるのであります。でありまするから、いわゆる開拓國土開発失業対策見地から見るべきものであるというように切替をお考えになるかどうかをお聽きいたしたいのであります。  第三に、開拓事業食糧増産にならぬといたしましたならば、当然これは農林省所管より、近くつくられるという建設省に移すべきものだと思うのでありますが、これに対しまして農林大臣はどうお考えでありましようか、率直にお答えいただきたいのであります。  次に、水谷商工大臣にお伺いいたすのでありますが、電源開発は、ストライク報告にも出ております通り日本の必要とする発電力の推定は、漏水期において七百二十三万キロワツトだと申されております。言いかえたならば、今日の倍ほどの電力を必要とするということでありまして、從つて、いわゆる電源開発は、今後の國家の大きな事業だと私は思うのであります。ところが、大体発電し得るようなものは、民間においてすでに今日まで開発し終つておるのでありまして、今後はいろいろ條件惡いところ開発いたして、いわゆる電源を求めなければならぬと思うのであります。そうだといたしましたならば、從來商工省一本で勝手に発電所を設けるがごときことがありますると、幾多の禍を他に及ぼすということであります。一例をあげますと、私の郷里天龍川に沿うて、泰阜発電所というのがあるのでありますが、この発電所が、いわゆる他の面のことを考えずにつくつたために、一昨年の風水害に際しまして、附近の数村にわたつて美田良田を流すような結果になつたのであります。言いかえるならば、電力を求めて食糧を失つておる現実があるのであります。かような、一方立てれば一方が立たないというような無企画的な電源開発を今後続けるといたしましたならば、國土を半ば以下近くにいたした日本といたしまして、まことに貴い、寸尺の地惜しむべきものを流す結果を來すのであります。從つて、どうあつても、いわゆる電源開発治山治水でありますとか、農業灌漑であるとかいう、いろいろの面から考えていたすべきであると私は思うのであります。從つて私は、この商工省にある電力局を、國土建設計画的面から建設省に移すべきものであると思うのでありますが、商工大臣はこれに対してどうお考えになつておるか、お聽きしたいのであります。  第二段には、かようなことが巷間に傳えられますると、商工省電力局においては、いわゆるこの一局を建設省にとられるというので、いろいろ手を下して反対しておるのでありますが、これが私は、先ほど指摘したところのセクショナリズム、いわゆる官界民主化しないセクショナリズム弊害だと思うのでありますが、一体商工大臣は、かような事実を認めておるのかどうか。認めておるといたしましたならば、この際行政整理とともに、また國土建設という大理想の見地に立つて、いわゆる殿樣ぎらいだといわれるところのあなたが官界粛正を意味するとともに、弊風打破のために、ぜひともこの際思い切つてこのセクショナズムを断つていただきたいと思うのであります。商工大臣にその決意ありやいかんをお尋ねいたしたいのであります。  右、関係大臣に率直にして最も責任あるところの御答弁をお願いいたしたいものであります。(拍手)     〔國務大臣芦田均登壇
  9. 芦田均

    國務大臣芦田均君) ただいま今村君より取上げられました建設省設置の問題は、第一國会以來懸案でありまして、政府所管とする各般の建設事業を一元的に建設省に統合して、その運用の完璧を期せなければならぬという議論は、國会においても絶対多数の意見として表示せられたところであります。この内閣においても、行政機構改革行政整理の断行と相並んで、建設省設置の問題を研究いたしたのであります。行政整理については、先般申し上げました通り、すでに具体的の第一案を作成いたしまして、目下それぞれ必要な手続をとつております。全般的の行政機構改革についても、目下それぞれ案をつくつて、閣議において研究いたしております。しかるところ、建設省については、ただいま今村君の指摘せられた通り、戰災都市復興並びに災害復旧その他國土計画全般にわたつて、ぜひ理想的な大建設省をつくりたいと考えたのでありますが、さしあたつて行政機構改革全般の問題が結着するまで、取急いで現在のごとき規模建設省を設置することに決定いたしまして、不日その法案を國会審議に回付する手続をとつております。從つて、今度の建設省機構が必ずしも理想的な規模であるとは考えておりません。漸を逐うて全建設事業を統轄するごとき建設省に改造いたしたいと存じているのであります。この建設省設置のためには、大臣の定員が殖えるわけでもありません。その他の職員についても、現在の定数以上に職員を増加するがごときことは絶対にいたさない計画であります。  なお今村君より、第二の点として、各省セクショナリズムについての弊害をお述べになりました。私は全然同感であります。日本行政機構運用を、從來官僚主義から、徹底的に新憲法にいう民主的な運営に改革しなければならぬことは、痛感いたしている点でありまして、この点においては、政府與党たると在野党たるとを問わず、全然國会意見は一致していると固く信じております。これを実現するには相当に勇氣実行力とを必要とするのでありまして、政府はできるだけ全力をあげて官僚政治打破に邁進いたしたいと考えております。  第三の外資受入態勢について、なお社会党左派研究が足りないというような御意見でありましたが、これほ多年研究をいたしまして、すでに研究済みであることを御報告いたしておきます。(拍手)     〔國務大臣永江一夫登壇
  10. 永江一夫

    國務大臣永江一夫君) 今村君にお答えをいたします。  開拓の第一の目的は、お話の通りに、これは食糧増産目的といたしております。しかしながら、これまた御説にありましたように、開拓の第二の目的といたしまするところは、戰爭犠牲者でありまする多くの同胞開拓地に收容するということを、やはりその目的といたしているのであります。從いまして、食糧増産という一つの角度から御議論になりますると、ただいま御説にありましたように、この開拓費というものが厖大になつても、事実その費用を他の面であるところのいわゆる農業土木農業水利の方にまわした方が食糧増産には直接の効果があるという一應の見透しが立つのであります。しかし、今申しましたように、開拓が二つの目的をもつておりまする以上、第一の食糧増産と同時に、第二の戰爭犠牲者に対しまする國の責任上行わねばならぬ仕事でありますから、單なる食糧増産という面から現下の日本におきまする開拓を論ずることはできない、こう私は信じておるのであります。從いまして、第二にお尋ねになりましたこれらの開拓事業については、いわゆる食糧増産を目途とすることは妥当でないから、これは第二の目的であるところの、いわゆる失業救済というような点からすると、これらのものは建設省に一本にして行政を行うのがいいではないかという説でありますが、今申しましたように、一應現下の日本食糧事情から申しまして、どうしても開拓の第一の目的食糧増産にありまする以上、私どもといたしましては、やはり開拓は大きな面から申しますると、総合的な國土計画の一環ではありまするが、当面はやはり食糧増産にウエートをおきまして、この行政管轄農林省が担当することが妥当である、こう考えておる次第であります。     〔國務大臣水谷長三郎登壇
  11. 水谷長三郎

    國務大臣水谷長三郎君) 電源開発が、將來日本産業振興の上におきまして、きわめて重大なるものであることは、ただいま今村君の御指摘通りでございます。しかしてこれが開発は、今村君御指摘のように、治山治水の点も考慮せねばなりませんが、また他面、その経営面と有機的に一体をなしつつ取り進めることも、また最も必要であると思うのであります。たとえて申し上げますならば、建設計画の立案は、將來需給情勢現有設備との関係等を総合して判断することが必要でございます。しかしまた計画実施にあたりましては、資材・器材の轄用活用をはかるとともに、専門的技術、労務の適時適切なる重点的配置等を行うことによりまして、眞に事業を円滑に、かつ有効に遂行することが必要であろうと確信しておるのでございます。しかしながら、この開発事業というものは各方面に関係しておりますので、商工省といたしましては、從來通り経済安定本邸その他関係各省と密接なる連絡をとりまして、電氣事業を一元的に所管し、二重監督による弊を排しまして、電氣事業の増強をはかつていく方針でございます。  さらに第二の点に関しまして、この電氣事業開発というものをば建設省に讓ることを商工省が反対しているということは、それは殿樣ぎらいの私として不似合いな官僚セクショナリズムであるというようなことを御指摘になつたのでございますが、われわれがこの電氣事業開発建設省に讓ることに反対する立場は、以上申し述べましたような理由に基くものでありまして、眞に電氣事業を愛する眞実一路の立場から反対しているのであります。(拍手)      ━━━━◇━━━━━
  12. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 不当財産取引調査特別委員長から、同委員会における調査について中間報告をいたしたいとの申出があります。この際これを許します。不当財産取引調査特別委員長武藤運十郎君。     〔武藤運十郎登壇
  13. 武藤運十郎

    武藤運十郎君 五月中における不当財産取引調査特別委員会調査審議の状況について御報告申し上げたいと存じます。  去る四月三十日の本会議において、本委員会が目下調査審議中の案件辻嘉六氏をめぐる政治資金に関する件ほか六件であることを御報告いたしておきましたが、右のうち辻嘉六氏及び龜井貫一郎氏をめぐる政治資金問題は、ここに一段落を告げましたので、その結果をやや詳細に御報告いたします。  第一、辻嘉六氏をめぐる政治資金に関する件。本件は政界淨化の上においてきわめて重要な案件考えまして、委員会としては愼重なる調査審議を重ね、今日までに関係証人五十三名を喚問すると同時に、必要なる書類の提出を求め、その眞相究明に異常なる努力を傾倒いたしました。もちろん眞相究明の点においては、末だ必ずしも満足すべきものとは考えませんが、本委員会は、委員会に與えられました権能の最高限度において遺憾なく活動し、その最善を盡した次第であります。  辻氏をめぐる政治資金究明の焦点は、中曽根幾太郎氏より辻氏に献金せられました金二百五十万円及び緑産業株式会社社長吉田彦太郎氏ほか三名より辻氏に献金せられました金六百五十万円について、その献金理由を明らかにすると同時に、これが政界に散布せられた散布先並びに目的を追究し、かかる形による政界裏面金銭授受がいかに好ましからざる影響をもたらすものであるかを調査するにあつたのであります。そもそも中曽根氏が、いかなる意味において辻氏にかかる多額の献金をしたかについては、軍服拂下げについて辻氏の盡力を御るための條件附運動資金であつて、單純なる政治献金ではないとする中曽根氏の証言と、何ら條件のない政治献金であると主張する汁、塩月両氏証言との間に、関係者相互の供述がはなはだしく相違いたしておるのであります。しかしながら、そのいずれなるかにせよ、本委員会といたしましては、かかる大金が公然と政党に寄附せられることなく、政界裏面に動く特異な存在人物としての辻嘉六氏個人に対し隠密裡献金せられたところに、政界の不明朗と腐敗との大なる原因を見るのであります。  次に、この金二百五十万円がいかに使用せられたかを調査いたしました結果、そのうち金八十五万円は、昨年四月の総選挙に際して衆議院議員に立候補した左の二十六名に、大部分陣中見舞趣旨において分與せられているのであります。その明細を申し上げますれば、一、当時日本自由党所属尾関義一氏に十一万円、倉石忠雄氏に二十万円、西田当元氏に一万円、高原正高氏に三万円、木村公平氏に三万円、三宅則義氏に一万円、石田左近氏に一万円、渡辺治湟氏に二万円、河野謙三氏に二万円、坂東幸太郎氏に三万円、草場一平氏に四万円、大塚令三氏に二万円、三浦寅之助氏に三万円、磯崎貞序氏に二万円、小澤佐重喜氏に二万円、橘富士松氏に二万円、高木松吉氏に五万円、加藤睦之助氏に二万円、杉田馨子氏に三万円、井上卓一氏に一万円。二、当時民主党所属保利茂氏に二万円、鈴木彌五郎氏に二万円。三、当時國民協同党所属宇田國榮氏に二万円。四、当時無所属ないし中立の山本喜助氏に二万円、矢野晋也氏に二万円、中野寅吉氏に二万円、以上の通りでありますが、右二十六名のうち、河野謙三氏を除いては、おおむね金銭の受領とその趣旨を認める旨の証言をいたしております。しかして、これら二十六名のうち議員当選者は八名でありました。  なお、ここに一言申し添えて遺憾の意を表しておきたいことは、右二十六名のうち、議員木村公平磯崎貞序三浦寅之助の三氏は、本委員会における証言に関し偽証罪として、また河野一郎氏は偽証罪とともに追放令違反を併せて、先般東京地方檢察廳より起訴せられたことであります。本委員会もまた、その嫌疑濃厚なりとして、法律の命ずるところにより告発手続準備中、右のごとく東京地方檢察廳の起訴がありましたので、あらためて告発手続をとる必要がなくなつた次第であります。  次に辻氏は、右献金のうち金三十五万三千円を、昨年四月の参議院議員選挙に立候補した、一、当時日本自由党所属淺岡信夫氏に三十三万円、二、当時日本社会党所属岡田宗司氏に二万円、三、当時無所属高柳太壽氏に三千円を、それぞれ選挙應援資金として分與しておりますが、右淺岡氏が、右金三十三万円のうち金三十万円は引揚同胞促進運動資金として受領した旨を証言しておるほか、両者の証言は大体一致いたしておるのであります。なお、以上三名のうち議員当選者は二名であります。  残金の使途明細を申し上げますと、東京会議員立候補者山口久吉白石錦太郎松葉武の三氏に各一万円、牛込区会議員選挙費用として佐久間徳太郎氏に三万円、森山邦雄氏には、同氏長男立候補選挙費用として二万円、原玉重氏には、矢野富太郎立候補應援費用として八万円、金子力三氏には、当時の日本自由党立候補者選挙應援演説費として八万五千円、下沢秀夫氏には、中曽根幾太郎氏の選挙應援費用として二十万円、岡村吾一氏に十万円、中島次男氏に三万円、当時の自由党本部建設資金として二十万円、自由クラブが集会場として使用した我善坊に接待費として十七万円、料亭桂に招待会食費として二十万円、以上合計金百十三万五千円をそれぞれ支出しております。  以上が、中曽根氏を中心として辻氏になされた献金問題の概要でありますが、次に辻氏をめぐる政治献金第二の案件を御説明いたします。  これは、ただいま申し上げました中曽根関係とは別途に、終戰直前より直後にかけて、緑産業株式会社社長吉田彦太郎、元新夕刊新聞社長高源重吉、旭工機株式会社社長杉山嘉市、元貿易商青木勇の四氏より、合計金六百五十万円が辻氏に献金せられたものであります。右四氏の辻氏に対する献金について、献金者等は、あるいは辻氏の生活援助のためとか、あるいは漠然と提供したとか述べております。またこの多額な金円の出所についても、吉田氏は兒玉機関の副隊長をしていた関係で、終戰時多額の金を所持しておつた旨を供述し、高源氏は、大部分他より借金してきた金であると述べ、杉山、青木両氏は、事業上利得した金の一部であると称しているのでありますが、その事業の実体、なかんずくその收支状況はすこぶる明白を欠き、確たる根拠に乏しいものでありまして、辻氏の政界における特異な地位及び献金者との関係考えまするとき、かかる献金趣旨並びに出所については、にわかに信をおきがたいものがあるのであります。しかして、かかる献金政界をはなはだしく不明朗にし、これを腐敗せしめる原因となるべきものなることは、中曽根氏の場合と毫も異なるところがないのであります。  献金せられた金六百五十万円の使途については、本委員会は重大なる関心のもとに、鋭意調査いたしておるのでありますが、辻氏の証言及び提出書類等によつて明細を申し上げますれば、次の通りであります。生活費約百八十万円、交際費約八十万円、病氣療養費約四十五万円、税金約三十五万円、立替金二百三十万円諸寄附金約二十五万円、自動車車庫及び家屋修理費約十五万円、鳩山一郎氏のための会食費等約四十万円。辻氏のこの証言についても、また委員会はにわかに信をおき得ないのであります。  要するに、委員会は、右金六百五十万円の献金の出所並びに趣旨及びその使途について、首肯し得る調査の結果を御報告申し上げることのできないことをはなはだ遺憾に存ずる次第でありますが、しかし、現在委員会に與えられている権限内においては、眞実発見のためにこれ以上の強制的措置をとることを許されませんので、この点に関する糾明は、これを後日に讓らざるを得ない実情であります。  以上、辻氏をめぐる政治資金関係調査の大要を御報告申し上げましたが、この調査の結果を総合的に判断して、次の二点に要約し得るのであります。  一、前日本自由党総裁鳩山一郎氏が、辻氏より甘んじて建物の新築提供を受け、鳩山氏初め多くの著名なる政治家が、しばしば我善坊及び柱等の料亭に集まり、辻氏の計算において飲食していることが明白となつたのみならず、常に大小無数の政治家が辻氏の門に出入して、あるいは立候補の公認を依頼し、あるいは政務官その他の高級人事の斡旋を求め、なかんずく選挙に際しては、数十人の立候補者が辻氏より相当額の資金を與えられるを例としていたこと等を知り得るのであります。かくして辻氏は、当然政界に対する強力な発言権をもち、いわゆる黒幕の中より、見えざる糸によつて政治と政治家を繰ることになつたものと考えられるのであります。  二、辻氏に対する献金は、献金者の事業と身分とに比較して、いずれも不相應に高額であり、献金理由もまたおおむね首肯しがたいものが多いのであります。隠密のうちになされるかかる献金は、必ずや辻氏の政界に対する発言権を利用した利権の供與または斡旋を交換條件とすることを推定し得るのであります。  かくのごとく、以上の二つは互いに因果関係を有して政界を腐敗せしめることは明らかであります。  第二、龜井貫一郎、綿引喜一氏等をめぐる政治資金に関する件。いわゆる龜井事件なるものも、中曽根幾太郎氏事件と同樣、龜井、綿引、小川、西山氏等が、軍服拂下げを名目に、全國各地の農業会その他の團体より、数回にわたり金千九百四十余万円を集め、その一部を軍服拂下運動の資金として政党及び政治家に献金もしくは提供したという案件であります。本件は、すでに詐欺被告事件として東京地方裁判研の公判に付されておりますが、犯罪の成否はしばらくおき、本委員会としては、前記金円のうち政治資金として政党もしくは政治家に献金提供せられた金額並びに趣旨等に重点をおき、眞栢糾明に努力したのであります。  委員会は、今日までに関係証人十四名を喚問いたしたのでありますが、その結果、次の通り政党並びに政治家に献金または堤供せられたことが判明いたしました。一、亀井貰一郎氏より、当時の日本社会党所属代議士西村榮一氏に金五十五万円、同松太淳造氏に金十万円。二、綿引喜一氏、小川美武彦氏等より、水野繁彦氏に金三百三十万円、河野彌吉氏に金二十万円、当時無所属の戸澤盛男氏に金八万円、当時日本自由党所属藤二雄氏に金三十万円、当時日本自由党所属谷川昇氏に金十万円、当時日本自由党所属本田一郎氏に金二万三千五百円。以上合計金四百六十五万三千五百円であります。しかして、右金員の提供を受けた側も、谷川昇氏を除く他の諸氏はいずれも受領を認めておりますが、諸氏の中には、右金員は全然政治に関係のないものであると主張する者もありますので、この点についていささか説明を加へたいと存じます。  一、西村榮一代議士に交付せられた金五十五万円は、龜井氏が、昭和十八年中数回にわたり、西村氏を介して三恵冶金工業株式会社社長太田勝眞氏より金二十一万円を借受けていたのに対し、西村氏はこれを自己の資金関係において決済しておいたところ、たまたま昨年の総選挙前、西村氏より龜井氏に対し金の必要なことを告げましたので、龜井氏は三回にわたり右金五十五万円を西村氏に提供し、西村氏はこれをもつて、前記太田勝眞氏の龜井氏に対する金二十一万円の貸付元利金の弁済に充てたことにして、太田、西村、龜井三者間の貸借関係を決済したというのであります。しかし、その間龜井、西村、太田三氏の証言は必ずしも一致していないのであります。なお、龜井、西村両氏の委員会における証言は、檢察廳における同氏等の供述といささか齟齬するのでありまして、西村氏は、檢察廳では、最後の金二十万円は選挙資金として受領した旨を陳述しているのであります。  二、河野彌吉氏に交付せられた金二十万円は、檢察廳においては、世耕弘一氏の隠退藏物資等処理委員会副委員長就任の運動資金として提供せられたものとせられていたのであります。しかしながら同氏は、これを否認し、自己の主宰する終戰残存物資調査会の活動資金として使用したと主張し、この点に関する綿引喜一氏の証言と相違するのであります。  三、谷川昇氏に対する金十万円は、日本経済新聞記者三厨正氏に渡した金二十三、四万円中の一部でありまして、三厨氏は、谷川氏に直接手交したのではないが、最初谷川氏祕書に金五万円、また選挙末期に谷川氏夫人に金五万円をおのおの交付したと証言しているのに対し、谷川氏は、受領の記憶がないと証言しております。  四、本田一郎氏分の金二万三千五百円也は、單なる貸借関係であつて、全部弁済したと申しております。  五、水野繁彦氏分金三百三十万円については、内金二百五十万円は、中曽根幾太郎氏の手を経て辻嘉六氏に交付されたのでありまして、辻氏が右金員をいかに処分したかに関しては、先程御報告申し上げた通りであります。なお別に水野繁彦氏分金八十万円は、軍服拂下事件につき同氏が政治工作をなす資金として提供せられたものでありますが、その使途は、塩月、藤川、中曽根氏その他軍服拂下運動関係者との会食の費用等に充てられたという以外、詳細は判明しないのであります。  六、松本淳造氏の五万円、藤二雄氏の三十万円、戸澤盛雄氏の八万円は、いずれも選挙に際しての陣中見舞であります。松本氏への別口五万円は、同氏の主宰する社会文化協会への寄附金であると言われております。右三君に対する関係については、各人の証言も大体において一致いたしております。  そもそも政治資金について公明を欠くことは、政治腐敗の最も大なる原因をなすものであります。本委員によつて明らかにせられた辻氏及び龜井氏をめぐる政治資金関係のごときは、新らしき日本政治のあり方よりして、今後においては断固排斥せねばならぬことと信ずる次第であります。政治家は、その出処進退において公明正大でなければならないことは、申すまでもありませんが、さらにその政治資金についても、一点公明を疑われるようなところがあつてはならないのであります。昭和二十一年勅令第百一号第五條第二項は、政党に対する有力なる財政的援助者の住所、氏名並びにその援助金額を、團体の主幹者より主たる事務所所在地の市町村長に届出ずべき旨規定しておりますが、これは政治資金の公明を期しているものにほかならぬのであります。政党及び政治家にして本法の趣旨を蹂躪せんか、公明なる政治は望むべくもないと言うも過言ではないのであります。本委員会において、辻嘉六氏及び龜井貫一郎氏をめぐる政治資金関係調査審議いたしたゆえんのものは、実に政治の民主化と政治の公明化とを期する目的にほかならないのでありまして、ここに本委員会は、辻氏、龜井氏及び同氏等より選挙その他の資金を收受した多くの関係者に対し、深き反省と格別の自重とを切望してやまない次第であります。  なおこの際私は、本委員会に関する今後の見透し等について、いささか所見を申し述べておきたいと存じます。  まず、今後本委員会はいかなる問題を取上げるかということでありますが、これはただちに具体的に申し上げることはできません。要するに、終戰以來の不当財産取引であつて、いやしくも政界官界・財界淨化のために必要な一切の大問題は、順次これを取上げて糾明しなければならないのであります。しかして、かかる大問題は、現在委員会が取上げている諸問題のほかになお相当多数に存在するものと考えられる次第であります。  次に、調査の方法についてでありますが、ここ数箇月にわたる調査の経驗は、われわれに調査の方法に関する委員会の権限の不足を痛感せしめ、調査を徹底するためには、どうしてもさらに強力なる調査方法の受権を必要とすることを教えるに至つたのであります。よつて委員会は、近くみずから家宅捜索並びに書類の押收等をなし得る法律案を立案し、これを院議に諮りたいと存ずるのであります。  最後にわれわれは、去る五月七日本会議において可決せられました不当財産取引調査鶴徹底に関する決議に勇氣づけられ、この決議の趣旨を体して一層の努力を傾注すべきことをここに誓つて、御報告にかえる次第であります。      ━━━━◇━━━━━
  14. 山下榮二

    山下榮二君 議事日程順序変更の緊急動議提出いたします。日程第八、國際労働機関への復帰に関する決議案委員会の審査を省略して、この際繰上げ上程し、その審議を進められんことを望みます。
  15. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 山下君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程の順序は変更せられました。  日程第八、国際労働機関への復帰に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。米窪滿亮君。     〔米窪滿亮登壇
  17. 米窪滿亮

    米窪滿亮君 ただいま議題となりました國際労働機関への復帰に関する決議案につきまして、その趣旨を弁明したいと思います。趣旨弁明に先だちまして、決議案の内容を朗読いたします。    國際労働機関への復帰に関する決議   われらは、新憲法の下、世界の恒久平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高なる理想を深く自覚し、平和を愛好する諸國家と提携し、相互の諒解を深め、速かに國際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。   このことは、わが國における労働條件その他の労働問題に関しても同樣であることは、申すまでもないところである。   國際労働機関は、既に発足以來三十有余年、社会的正義を基礎とし、世界の民主的文明諸國家の労働者の処遇の向上に幾多の輝かしい成果を挙げ、世界平和の維持に偉大な貢献をして來たことは、周知の事実である。因てわれらは、講和條約締結前ではあるが、速かに右國際労働機関への復帰を衷心より希望し、わが國政府が、あらゆる努力を傾注してこれが実現を期せられんことを要望する。   右決議する。  これが決議案の内容でございます。この決議案の内容で、すでにこの決議案提出した趣旨は十分であると思いまするが、少しくこの趣旨を補足して皆樣の御賛同を願いたいと思います。  第一次世界大戰が終了した直後に、ヴェルサイユにおいて平和條約が締結されたことは、すでに御承知のことと思います。その平和條約の第十三編というものが、労働憲章と俗に称せられるものでございます。その労働憲章は、前文において非常に壯重なる字句をもつて始められておるのであります。それは、こういう字句であるのでございます。國際連盟は世界平和の確立を目的とし、しかして世界平和は社会正義を基礎とする場合においてのみ、これを確立し得べきものなるにより、多数の人民に対する不正、困苦及び窮乏を伴う現今の労働状態は大なる不安を釀成し、ひいて世界の平和協調を危殆ならしむべきにより、かの労働時間の制定、殊に一日または一週の最長労働時間の限定云々という労働條件を掲げまして、そうして終りに、一國において人道的労働條件を採用せざるときは、他の諸國のこれが改善を企図するものに対し障害となるべきにより、個々の締約國は正義人道を旨とし、世界恒久の平和を確保するの希望をもつて左の諸條を協定す、というのでございます。この平和條約第十三編の精神によつて、一九一九年に生れたものが國際労働機関であるのでございます。この國際労働機関は、さらに「労働は商品にあらず」という非常に有名なかつ重要なることを規定して今日に至つておるのでございます。  日本は、創立以來この労働機関に加盟しておりまして、毎年開かれる総会には、政府、使用者、労働者それぞれ代表者を送つてまいつたのでございます。そして、この総会で採択された條約案なるものが、おおむね今日の労働組合法、労働基準法、労働関係調整法の重要なるものになつておることは、すでに御承知のことと思います。たとえて言いまするならば、工業的企業における労働時間を一日八時間、一週四十八時間に制限する條約、失業に関する條約、産前産後における婦人使用に関する條約、夜間における婦人使用に関する條約、工業に使用し得る兒童の最低年齢を定むる條約、工業において使用される年少者の夜業に関する條約、労働災害補償に関する條約、最低賃金制度の創設に関する條約、年次有給休暇に関する條約、こういうぐあいに、今日労働問題として重要なる諸條項並びに日本の労働法規に制定されたるものは、ほとんどすべてこの國際労働機関の総会において決定されて、そうして條約案として、日本の國にそれの批准を迫つたものであるのでございます。  しかるに日本は、満州事変が起りまして、リツトン卿の特派となりまして、そうして日本の満州侵略はヴエルサイユ平和條約の精神に違反するものであるということでもつて遂に問題が起りまして、日本は松岡洋右氏がゼネヴアへ行きまして、國際連盟から脱退したのであります。すなわち昭和七年以來、日本は國際連盟から脱退したのでございまするが、しかし日本は、この國際労働機関の生れた趣旨に賛成をしまして、それから約七年、昭和十四年に至るまで、国際労働機関に留まつてつたのでございます。しかしながら、日本の当時とられたところの、いわゆる海外発展のあの方針が、著しく國際労働機関に加盟しておるところの諸國の平和に対する愛好の念に対して相反するものがあるというので、非常に問題になりまして遂に昭和十四年に、この國際労働機関からも脱退することになつたのでございます。  一方國際労働機関は、第二次欧州大戰の難を避けまして、ゼネヴアにあつた事務所をカナダのモントリオールに引揚げ、二、三年の間総会が閉されておつたのでございまするが、その後、その事業を継続しまして、一九四一年にニユーヨークに、一九四四年にフイラデルフイアに、一九四五年にバリーに、一九四六年にシヤトル及びモントリオールに、一九四七年に再びゼネヴアにその総会を開きまして、そうして本年は、その三十一回を六月十七日よりサンフランシスコにおいて開く現状にあるのでございます。  こういうことでございまして、この労働機関がいかなる事業をし、そうしてその結果がいかに世界の産業と労働者の福祉増進に寄與したかということは、私多く言う必要がないと思います。  一方、この國際労働機関の地域的総会というものがあるのでございまして、アメリカ地域においては、あるいはメキシコ・シテイ、あるいはサンチヤゴあるいはハヴアナ等において地域的総会を開き、アジア地域においては、一九四七年、即ち昨年の十月、インドのニユーデリーにおきまして、約一箇月にわたつて総会を開いたのでございますが、この総会はきわめて重要な総会でございまして、アジアにおける産業と労働不安とを解消するためには、かつては八大産業國の一つであり、かつ常任理事國であつたところの日本の参加なくしてはアジアの平和を保つことができないと同時に、アジアの産業を復興することができないという意味の決議をして、日本國際労働機関への復帰を、このニユーデリーに開かれました地域総会において決議をしております。一方オーストリア及びイタリアは、今日日本と同じように第二次世界大戰における敗戰國ではございまするが、すでにこの國際労働機関に復帰を許されまして、本年もおそらくその代表者を送ることと思うのでございます。  ここで一言申し上げたいことは、國際連合と國際労働機関との関係でございます。國際労働機関と國際連合とは、有機的には、いわゆる規則的には何らの関係がないと言つてよいのでございます。これを言い直しますと、國際労働機関に加盟するということは、國際連合の加盟國にならなければならないという義務はないのでございます。また從つて、國際連合の加盟國でなければ國際労働機関にはいれないというわけではないのでございます。イタリア、オーストリアは、御承知の通りまだ平和会議がもたれず、國際連合に正式に加盟しておらないのですけれども、國際労働機関にはすでに加盟しているのでございます。今日國際労働機関に加盟している世界の國々は五十四箇國ございますが、敗戰國は日本とドイツと、大体その二箇國だけだと思うのでございます。戰勝國においては、ただ一つの例外として、ソヴイエト・ロシヤがこれにはいつておりません、ソヴイエト・ロシヤがなぜはいらないかというと、一九四〇年にソヴイエトがフインランドに侵入して、それがヴエルサイユ平和條約の違反であるというので、國際連盟から除名されたのであります。このことに端を発して、ソヴイエト・ロシヤは感情的に國際労働機関からも脱退したのでございます。  世界労連と國際労働機関との関係をここで一言申し上げることは、むだではないと考えるのでございます。世界労連は労働者だけの團体でございます。そうしてその傾向は、昔の第三インターナシヨナル、すなわち口シヤの共産主義團体を中心としたところの流れであると言つてよいのでございます。これにはもちろん、他の國、すなわち英國のT・U・C、フランスのC・G・T、あるいはアメリカのC・I・〇等もはいつておりまするが、大体この世界労連からは、この反共産的な團体が、ようやくその地位を自覚して脱退を始めそうな形勢にあるのでございます。現にアメリカのA・F・Lは、これに加盟しておりません。最近に英國のT・U・Cも、これから脱退する状況にあるということであります。  さて、日本が民主國家であり、平和國家であることは、新憲法においてこれが規定され、またわれわれはそれを強く熱望しておるのでございます。われわれが、わが國を眞の平和國家、民主國家にしていくためには、日本國民全体に個人主義が徹底し、社会正義の観念を植えつけなければならないと思います。この点において私は、民主主義の眞髄は社会正義に立脚した個人主義にあると考えるのであります。從つてこの点は、國際労働機関が一九一九年に創立されたときの、あの莊重なる前文をもつて始まつている労働憲章、あの精神こそは、われわれが今後われわれの日常生活の上に反映しなければならないと思います。  日本は未だ講和條約には参加を許されておりません。また国際連合にも加盟はしておりませんが、すでに海外との関係においては、思想的あるいは文化的、あるいは貿易的な方面においては、幾多の代表者が日本から派遣されております。すなわち世界のペン・クラブであるとか、その他の点においては、幾多の代表が派遣されております。從つて私は、日本があの名誉ある過去をもつている國際労働機関に復帰することは、この際絶対に必要であると思うのであります。殊に日本の労働者が、鎖國状態が長く続いたために、國内の問題にのみとらわれて視野が狹いのであります。心の労働者あるいはまた使用者が、その企業の合理化の面においても、眼を廣く國際的に開いて、海外との交渉によつて世界の廣い知識を得てくることは、絶対に必要であると考えるのであります。  私は、この六月十七日に開かれるサンフランシスコの大会へ……(発言する者あり)徳田君は不賛成でしようけれども、オブザーヴアーを送つて、そうして、日本がこの総会において國際労働機関に復帰することを要請することについて、政府があらゆる努力を盡されんことをお願いして、私の説明を終ることにいたします。(拍手
  18. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 討論の通告があります。これを許します。倉石忠雄君。     〔倉石忠雄登壇
  19. 倉石忠雄

    倉石忠雄君 私は、民主自由党を代表いたしまして、ただいま上程せられましたる國際労働機関への復帰に関する決議案に満腔の賛意を表するものであります。  誤れる指導者たちによつて、わが國が國際協力の機関より離脱いたしましてから、すでに十有余年を経ておるのでありますが、本年の六月十七日、サンフランシスコにおいて開催されます國際労働会議に、わが國の代表が参加することを許されますならば、このことは、ひとりわれわれの幸福のみには止まらないと存ずるのであります。  そもそも國際平和への熱烈なる欲求は、第二次大戰の悲惨なる経驗をいたしましたる世界各國民の、ひとしく渇望するところでありますけれども、およそ世界平和は、世界各國の連帶責任による協力なくしては不可能であります。かつての國際連盟は、世界の平和維持の上において最もウエートの重かつた諸國が脱落したというところに致命的な結果を見たのであります。しかるに、このたび國際連合の組織は着々と強化せられて、その一翼をなしておるところの國際労働機関の活動も、またようやく活溌化し來つたということは、まことに慶賀にたえない次第でありますが、平和國家、文化國家として、ここにまつたく新しき再出発をなさんとしつつあるわが國の代表者が、國際労働機関に参加し得るの光栄を與えられましたならば、私どもの感激これに過ぐるものはないのであります。  わが國の労働運動史を顧みますのに、その惨澹たる彈圧から解放せられましたのは、わずかに終戰以來のことであります。さればこそ、わが國の現在の労働運動は、欧米の先進諾國に比較いたしまして、なお幾多の反省を要する向きもあるのであります。さいわいにして國際労働機関に復帰を許され、わが國の企業家及び労働者が世界の労働運動に学ぶところがありますならば、わが國の労働運動も、除々に正常にして建設的な方向に進み得ると思うのであります。(拍手)私どもは、政府が全幅の努力を傾けて本決議案趣旨を達成せられるよう強く要望いたしまして、本案に賛成の意を表するものであります。(拍手
  20. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 川崎秀二君。     〔川崎秀二君登壇
  21. 川崎秀二

    ○川崎秀二君 私は、民主党を代表して、簡單に賛成の理由を申し述ぶるものであります。  國際労働機関が信念といたしておるところは、ただいま提案者よりるる御説明がありました通り、世界の恒久平和は社会正義に基礎を置かなければならない、労働條件の改善は、あらゆる犠牲を拂つてもやらなければならないということを強く申しておるのでありまして、これこそは、まさにわが國の新憲法の精神と合致するものと言わなければならないのであります。  私は、この國際労働機関への復帰ということは、二つの大きな意義があると思うのであります。その意義の第一は、わが國が國際労働機関に復帰をいたしますことは、わが國の國際社会への復帰ということが労働の面から発足するということで、そこに大きな意義があると考えるのであります。これはすなわち、領土を失い、資源を失つたところのわが國が、勤労をもつて立つ勤労救國の精神に則つているということを世界に示すからであります。第二の意義は、國際労働機関に復帰することによりまして、多難にして困難なるわが國の労働問題の解決が、わが國の経営者が、わが國の労働者が、わが國の政府関係者が、世界の労働者、世界の経営者、世界の人々との交流によりまして、大きな叡智のもとに導かれる可能性があるからであります。  この二つのことに私は大きな意義を見つけまして、この案に賛成するものでありますが、この超党派的な問題に対しても、すでに反対せられておる党があるのでありますが……     〔発言する者あり〕
  22. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 靜粛に。
  23. 川崎秀二

    ○川崎秀二君(続) 局主自由党が、この間にあつて國際労働機関への復帰に御賛成になつたことに敬意を表しまして、私は賛成するものであります。(拍手
  24. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  25. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 起立多数。よつて本案は可決いたしました。(拍手)  この際、労働大臣より発言を求められております。これを許します。労働大臣加藤勘十君。     〔國務大臣加藤勘十君登壇
  26. 加藤勘十

    國務大臣(加藤勘十君) ただいま御決定になりました國際労働機関への復帰の問題につきましては、御趣旨のありましたところ、十分政府といたしましても了承いたしております。從つて、御趣旨の精神に基きまして、政府としても最善の努力をいたしたいと考えております。  ついででありますから、この機会にこの問題に関する若干の御報告を申し上げて、御了承おきを願いたいと存じます。それは、あるいは日本も講和会議前でも復帰ができるのではないかと、いうことが傳えられましたので、あらかじめ関係方面の内意を尋ねましたところが、國際労働機関は労資並びに政府各代表者によつて構成されておるものであるから、ひとり政府だけの関係においては困難である、労資それぞれの意向が明白になることが必要ではないか、こういうことでありましたので、政府は、この決議の出まする前ではありましたが、労働組合につきましては組織成員五万名以上の各労働組合に対し、資本家團体としましては日本経済團体連合会、日本商工会議所、これらに諮問を発しました。労働組合側におきましては、産別系統が態度保留の回答がありましたし、まだ未回答の組合もありまするが、今日まで賛成の回答が寄せられましたのが六五%に達しておりまするし、経営者團体においては、二つとも賛成の意を表されてきましたので、この回答を得ました政府といたしましては、いずれにいたしましても講和会議前に國際機関に復帰するということは非常な困難が伴うものでありますから、関係方面に十分懇請をいたしまして、できれば復帰が可能であるように盡力をお願いすることにしてあるわけであります。なおいずれとも決定いたしておりませんが、今日この御決議がありましたので、一層政府は御決議の趣旨を体して努力いたしたいと存じます。(拍手)      ————◇—————
  27. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 日程第一、政府職員の新給與実施に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。財政及び金融委員長早稻田柳右エ門君。     〔早稻田柳右エ門君登壇
  28. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田柳右エ門君 ただいま議題となりました政府職員の新給與実施に関する法律案について、財政及び金融委員会における審議の経過並びに結果について概略御報告を申し上げます。  まず、原案の内容を簡單に御紹介申し上げます。政府は、さきに政府職員俸給等に関する法律本則におきまして、臨時給與委員会の報告書に基き、二千九百二十円の新給與水準及び職階制の精神に副う給與体系を一月一日に遡及して実施することとし、その具体的事項は別に法律をもつて定める旨を規定したのであります。この法律は、右の規定に基き定めるものでありまして、一般政府職員に適用されるものであります。  この法律の完全なる実施を確保するため、内閣総理大臣所管のもとに、新給與実施本部、地域給審議会及び新給與苦情処理委員会の三機関を設けることといたしております。新給與実施本部は、新給與制度に関する総合調整の機関とし、本部長には内閣官房長官、次長には大藏省給與局長をもつてこれに充てることといたしております。地域給審議会は、勤務地手当の地区区分、支給割合等を調査審議するものとし、職員側及び政府側を代表する同数の委員をもつて組織することに相なつております。新給與苦情処理委員会は、新しい給與体系への移り変りに伴つて生ずることが予想されます俸給の決定に関する苦情を最後的に審査決定する機関とし、職員側、政府側及び第三者を代表する委員をもつて組織することに相なつております。  この法律による給與の種類は、俸給、扶養手当、勤務地手当及び特殊勤務手当の四種になつております。  まず俸給について御説明申し上げますならば、わが國における從來の俸給制度は、学歴、資格、勤続年数、生計費等に應じて漫然と定められております。その人の從事しておる職務であるとか、その他のこととは、必ずしも合理的な相関関係がなかつたのであります。しかしながら、本來職階給與制度においては、同等の職務に対しては同等の給與を與え、職務に関係のない事項によつて俸給に差別が設けられてはならないというのが根本の原則であります。從つて、まず職員の職務を、その職務内容、責任の軽重、勤労の強度、勤務時間、勤労環境その他の勤労に関する條件に應じて、これを十五階級に分類いたします。その分類の具体的基準は、新給與実施本部長が定めることに相なつております。この十五級に分類せられました職務の階級について、一定の俸給の幅を設け、職員は、そのうちいずれか一つの俸給を受けることにいたしてあります。もちろん、特殊の職務、特殊の職域につきましては、政令で一般の行政官廳とは異る級のわけ方、俸給の幅を定め得ることといたしてあります。右のようにいたして、一應各職員の職務の級に應ずる俸給が定まるわけでありますが、各職員の現に受けている俸給の額が、その者の職務の級に應ずる俸給の幅の最高をも超えるような場合には、特に極端な場合を除いて、当分の間その現俸給の額を認めていく方針にしております。なお、現行の年齢による最低保障給も、臨時給與委員会の第一報告書の定めるところにまつて、これを改訂することにいたしてあります。  なお扶養手当は、扶養親族一人について二百五十円、その支給方法は從前の通りであります。勤務地手当の地区区分、支給割合は、地域給審議会の議を経て大藏大臣がこれを定めることにいたしております。  特殊勤務手当につきましては、從來種々雑多な手当が存在し、給與体系の混乱を來していたのでありますが、それらを整理して、処理し得るものはでき得る限り俸給に取入れることとし、その勤務に対する報酬について特別の考慮を必要とする場合に限つてこれを認めていくことにいたしたのであります。その細目については、この法律に基く政令をもつて定めることにいたしております。  さらに、この法律による給與と、すでに支給済みになつておる二千五百円水準の給與との差額は、この法律案が公布されましたならば、速やかにこれを支給すべく準備を進めておるのであります。  次に、この法律案実施するに必要な予算額は、一月ないし三月分については昭和二十二年一般会計予算補正(第十五号)及び特別会計予算補正(特第十号)に、四月、五月分についてはそれぞれの暫定予算に計上されてあります。  以上が本案の要旨であります。これは、去る十八日附本委員会に付託されたのでありまするが、二十日には大藏大臣より提案理由の説明を聽取し、ただちに質疑に入り、爾來四回にわたつて、きわめて慎重に審議を続けてまいりました。すなわち二十日には、審議の愼重を期するため、参考人として日本職員労働組合中央執行委員の岡三郎君、全官公職員労働組合協議会法制專門委員の平本充宏君の両君に出席を求め忌憚なき意見を聽取いたしたのであります。次いで二十二日には、今井給與局長と種々懇談を続け、二十五日よりは逐條審議に入り、地域給等の問題について、委員諸君と政府委員との間激しい質疑應答が交されたのであります。次いで二十八日には、根本的な問題について質疑が行われました。  まず民主党の梅林委員より、私は賃金は國民の消費生活における現実とにらみ合わせて考慮さるべきものであると思う、從つて、本案は一應了承するけれども、あくまでもこれが暫定措置であるとするならば、將來は賃金に対し、大藏当局はいかような構想をもつて臨む考えであるかという質問がありました。これに対し、大藏大臣より大体次のような答弁がありました。梅林君の説のごとく、給與は人間生活の基本である以上、現実の消費生活に即したものでなければならず、今後ともその線に沿つて努力したい、なお本案は、一月から三月の分としてきめたものではない、必要によつて改訂を行うまでの間続くものであるという答弁があつたのでございます。  次に社会党の川合彰武委員より、本法律案のうちに、政府と組合との團体交渉の結果による協定外の條項が加わつておる。すなわち、第一條第一項に「人事」という文字を加えたこと、同條第二項には國家公務員法の條項を入れたこと、同條第三項に職階制度を入れたこと、さらに第二十二條末尾に、新給與実施本部長に更正決定変更の命令権を與えたこと等は、明らかに協定の違反ではないかとの質問があつたのであります。これに対し、政府を代表して西尾國務大臣より、それら條項中協定に含まれないものがあるが、諸般の情勢により、政府の責任においてこれを加えたものであるとの答弁がありました。  さらに川合委員は、本法案の基礎たる二千九百二十円の賃金水準は、一月ないし三月の暫定的なものであつて、新年度以降においては新給與によつて支給されるものであると思うが、いかがであるかという質問に対し、北村大藏大臣より、新給與が決定するまでの暫定給與であると答え、さらに西尾國務大臣より、新給與は物價改訂と同時に決定する旨の答弁があつたのであります。  次いで川合委員より、第二十一條の「執務しなかつた」という條項の解釈を求めたところ、西尾國務大臣より、本人の都合による遅刻、早退等はもちろん爭議の場合等をも含むとの答弁があつたのであります。さらに、本法案が原案のまま通過した場合、組合はどういう態度をとると思うかという質問に対し、加藤労働大臣、岡田運輸大臣より、この法案は政府と総合との協定を精神とするものであつて、ただ二、三の点で違つた字句の表現があつて疑問が出たようであるが、こうならなければならなかつた事情をよく了承していただけるものと信ずる、かような答弁があつたのであります。  次いで、社会党の田中織之進君より、これとほぼ同樣の点につき補足的質疑がなされ、かくて本法案は、以上のようにきわめて愼重に審議を行い、同日討論を省略、ただちに採決に入りましたところ、大多数をもつて原案の通り可決いたしたのであります。  以上、御報告を申し上げます。(拍手
  29. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 討論の通告があります。これを許します。堀江實藏君。     〔堀江實藏君登壇
  30. 堀江實藏

    ○堀江實藏君 この法案は、さきの全官公廳労組の爭議解決のときの政府の約束を、政府みずから破つた法案であります。すなわちこの法案は、二千九百二十円べースを一月一日に遡及して支給されるためのものであるが、それが明確に表現されていないし、また全官公廳労組を政府との了解事項以外のことが規定されておるが、その意図するところは何でありましよう。二千九百二十円ベースは、一月—三月の暫定給與であるにかかわらず、それを新物價改訂まで継続せんとするものであるとともに、官僚主義支配をますます強化せんとするものであります。私は、この法案が本來の目的を明示していない点、政府と労組との了解事項以外の件が盛りこまれておる点等に対しまして、絶対反対するものであります。  すなわち第一條第一項に、「この法律は、二千九百二十円水準を一月一日に遡及し実施するために必要な事項を規定するものである。」という字句を挿入すべきであります。これは、この法律の生れる基礎である政府、組合側の確認事項であり、明記すべきものであります。また第一條第一項の「政府職員の人事及び給與に関する方針の統一を図るため」とあるうち、「人事」という字句は除くべきであります。この法律は、人事に関係のない給與だけに関するものであつたはずであります。  次に、第一條第二項の、この法律の規定が本年十二月三十一日まで有効であるという條項は、削除すべきであります。一月から三月までの臨時の給與に関するものを、本年末まで効力をもたせることは、明らかに政府の詐欺的行為であります。  次に、第一條第三項は全部削除すべきであります。政府が一方的に職階制の分類を定めるのは、全官公労組の存在を無視し、二千五百円平均のときの了解事項をふみにじるものであります。また、第二十一條も全部削除すべきであります。給與の差引を時間で計算することは、いたずらに事を紛糾し、禍根を將來に残し、かつ官廳を再び官僚主義の巣窟とし、民主的な発達を阻害するものだからであります。  次に、二十二條末尾の「又はこれらの者に対しその決定を更正すべき旨を命ずることができる。」は、「相互の協議により定めることができる。」と改むべきであります。新給與実施本部が最後の決定機関ではなく、かつまた実質上あつてはならないのでありますから、かくのごとき強い命令権を付與することは不当であり、また、さきの実施本部を設ける際において、政府と全官。公労働組合との了解事項に反するからであります。  また、第二十九條第一項中の「財務局及び税務署に在勤する政府職員に対する税務特別手当の支給に関する法律による手当その他この法律による給與に相当する給與」なる字句は、削除すべきであります。税務署にある全財労組の諸君が、やみに寄生するところの新円所得階級から税をとるとき、身に及ぶ非常な危險を冒して徴税に努めているに対し拂うべき危險手当ともいうべき手当を、この四百二十円の差額に含めるということは何事であるか、政府のやり方はまるで詐欺師であると思います。  以上の点が本案に反対する理由でありますが、私は以上の案を修正案として提出しました。しかし、財政金融委員会はこの案の審議を拒否したのであります。過般、全官公廳労組の諸君が、生活権の擁護のために、また日本経済再建のために闘爭に起ち上つたが、いろいろ交渉の結果、内外の諸情勢に鑑み、了解事項になつて矛を收められたことに対しましては、深甚の敬意と同情を禁じ能わざるものがありますが、それにもかかわらず、了解事項に反してこの法律提出したことは、爭議に際し平和的解決を常に口にする政府が、口とは反対に、事実において全官公廳労組を挑発する以外の何ものでもなく、また政府は、全官公廳労組がこの法律提出を了解しているごとく称しているが、全官公廳労組諸君は断じて了解していないのにか、重大なる関心を示しておるということを聞いております。かかる法律提出する政府は、労働者、農民の犠牲のもとに、独占資本の支配を強化し、独占資本の利益のために経済再建をはからんとする以外の何ものでもないことを立証し得るのであります。  新聞の報ずるところによれば、政府は、厖大な人民搾取の予算を提出せんとしておりますが、これよつてますます勤労階級の生活は破滅のかなたに押しやられるであろうことは、疑いない事実であります。勤労大衆の最低生活を保障する政治なくして、わが國の経済再建は断じてあり得ないのであるにかかわらず、かかる法律、そしてまた反人民的な予算を提出することは、まさに反動的であるといつて過言でないと思います。私は、この法律が全官公廳労組と政府の了解事項に基く正しき基礎のもとに修正せられんことを希望するがゆえに、これに反する本法案に絶対に反対せざるを得ないのであります。何とぞ反対趣旨に諸君の賛成を求めまして、降壇いたします。
  31. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通りに決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  32. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  33. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 日程第二、裁判官の報酬等に関する法律案、日程第三、檢察官の俸給等に関する法律案、右両案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。司法委員長井伊誠一君。     〔井伊誠一君登壇
  34. 井伊誠一

    ○井伊誠一君 ただいま議題と相なりました裁判官の報酬等に関する法律案と檢察官の俸給等に関する法律案との両案について、司法委員会における審議の経過並びに結果の概略を御報告申し上げます。両案は密接不離の関係がありますから、政府原案の要旨については各別に申し上げますが、審議経過並びに結果については、両案を一括して御報告申し上げることといたします。  まず、裁判官の報酬等に関する法律案について申し上げます。  裁判官の報酬等の應急的措置に関する法律の効力は、すでに第一回國会と第二回國会との二回にわたり延長せられましたが、遂にさる五月三日をもつてその効力を失うに至つたのであります。他方において一般の政府職員の給與は、政府職員俸給等に関する法律により、平均月收二千九百二十円の基準で体系づけられることに相なりました。この際裁判官の報酬についても、行政官の給與に対應してその職務の特殊性と重要性とに鑑み、職階制を加味した新水準の給與を定めることとしたのであります。これが裁判官の報酬等に関する法律案提出する理由であります。  さて、新憲法が裁判官の報酬について特に規定を設けているのは、その報酬が裁判官にふさわしい生活を保障するに足るものでなければならぬ趣旨と思われます。從つて裁判官は、一般行政官に比較して高い報酬を受けるべきが当然であります。米國及び英國の裁判官が、他の官吏に比較して特に高い待遇を受けておることは、御承知の通りであります。もつとも、わが國財政の窮迫の折柄でありますし、また政府職員全般の給與体系との均衡も考慮しなければなりません。よつて、この法案においては、別表において判事の月給額の最低は三千五百円とし、最高は一万四千円とし、認証官については一万七千円から二万五千円としたのであります。もつとも、超過勤務手当は支給いたしません。以上が政府原案の要旨であります。  次に檢察官の俸給等に関する法律案について申し上げます。  檢察官の俸給等の應急的措置に関する法律は、すでに二回にわたりその効力が延長せられましたが、すでに五月三日にその効力を失いました。この間、國家公務員全般の給與は、前述の通り二千九百二十円の基準にて体系づけられたのであります。檢察官は行政官でありますけれども、その性格は準司法官的でありますから、これを一般行政官と区別して、裁判官に対する給與に準じてその給與を定める必要があります。これが檢察管の俸給等に関する法律案提出する理由であります。  さて檢察官は、御承知の通り國内治安の確保に日夜苦心し、凶惡事犯の檢挙や経済事犯の処理に忙殺され、近年は隠退藏物資の摘発に当り、その功績は顯著なるものがあります。よつて檢察官の待遇額については、別表において檢事の月給額の最低は三千円とし、最高は一万三千円とし、認証官については一万七千円から二万円としたのであります。もつとも、超過勤務手当はこれを支給いたしません。以上が政府原案の要旨であります。  司法委員会は、五月一日付託されるや、ただちに両法案の説明を聽き、五月四日に公廳会に準ずる懇談会を開き、裁判官代表、檢察官代表、弁護士代表を招き、それぞれの意見を聽取して審議の参考とし、その後数回にわたり審議を続けました。その間、委員と総理大臣國務大臣政府委員との間に重要な質疑應答がありました。以下、司法委員会における質疑應答のおもなるものを御紹介申し上げます。  第一に、裁判官の報酬の法案を立案するにあたつて、いかなる根本理念によつてその報酬を定めたものであるか、また檢察官の俸給法案の根本理念は何かという質疑がありました。これに対して政府から、裁判官の報酬は、憲法上の三権分立主義により定められた裁判官の地位に基いて定められたものである、しかして裁判官は、裁判所の法廷構成において檢察官の上位にあらねばならぬ、けれども、さしあたり現状において、待遇問題においてまで検察官の俸給が裁判官の報酬より少くあらねばならぬという根拠はないという答弁がありました。  第二に、裁判官と檢察官との同待遇論につき政府の所見を質しましたところ、政府より次の答弁がありました。すなわち憲法の精神に鑑み、最高裁判所の裁判官は優遇せらるべき必然性があると思う、待遇問題においても、判事と檢事との間には原則として差別を設ける必要がある、換言すれば、現在は別として、近き將來においては、檢事は判事より低き待遇をもつて満足しなければならぬと思う、ただし、これは來るべき將來における原則であつて、さしあたりの現状においては、任用條件も大して差異なく、勤務條件も同樣な環境のもとにあるから、今急に著しい差異を設けることは適当でないというのであります。  第三に、何ゆえに裁判官及び検察官に対し超過勤務手当を支給しないのかという質疑に対し、政府より、國家財政窮乏の折柄であるし、行政官についても、比較的高額の所得者はこれを辞退する例も少くないし、かつ裁判官、檢察官の超過勤務についてはある程度存在すると推定し、若干時間の超過勤務手当を報酬額並びに俸給額に含めてあるからであるという答弁がありました。  第四に、両法案については、閣議で一度決定したものが取消された、すなわち閣議の変更があつたのだというような印象を世間に與えている、閣議決定の経緯はどうかという質疑がありました。これに対して政府から、両法案とも、四月二十六日の閣議において一應の決定がなされたのであるが、二十七日に至つて、別表の数字の取扱いに異論が出た、よつて四月三十日に閣議を開き、両法案について正式に決定したものであり、國会提出したものがそれであるという答弁がありました。  以上が質疑應答のおもなる点でありますが、なおこの際附言いたしますることは、一部に強い判檢事同待遇論のあつたことであります。この種の意見におけるおもなる論拠は、裁判官について、憲法に相当額の報酬を受けると規定してあつても、同樣に保障もされている議員の歳費と対比して考えるならば、ひとり最高裁判所の判事のみが高給を食むのは、必ずしも憲法の精神ではない。また現行任用制度のもとにおける判事の資格と犯罪増加の現状を考慮するならば、判事が檢察官より優遇される理由がないというにあります。しかし両意見の対立も、委員会全般の強い要望にこたえて、將來における司法官任用制度の改善に関しこれらの意見を考慮するという政府の見解が衰弱せられることによつて、五月二十七日に至り一應落着を見ることとなりまして、同日、各党の共同提案になる修正案が提出せられました。すなわちその内容は、東京及びその他の高等裁判所長官の月額をおのおの一千円ずつ増加するということであります。その理由は、裁判官は檢察官よりも、いくらかなりとも多く月額を受けるのが適当であるということであります。  次いで討論の際、各党委員よりそれぞれ、裁判官の報酬等に関する法律案については各党共同提案のごとく修正することに賛成し、檢察官の俸給等に関する法律案については原案に賛成する意見の開陳があり、採決の結果、裁判官の報酬等に関する法律案は全会一致をもつて修正議決せられ、檢察官の俸給等に関する法律案は全会一致をもつて原案通り可決した次第であります。  以上、両案について御報告申し上げます。(拍手
  35. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 両案を一括して採決いたします。日程第二の委員長報告は修正でありまして、日程第三の委員長報告は可決であります。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  37. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 日程第四、墓地、埋葬等に関する法律案、日程第五、食肉輸移入取締規則を廃止する法律案、右両案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員長山崎岩男君。     〔山崎岩男君登壇
  38. 山崎岩男

    ○山崎岩男君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生委員会における審議の経過並びに結果を御告申し上げます。  まず、墓地、埋葬等に関する法律案について申し上げます。  本案の提案理由について申し上げますれば、從來墓地、納骨堂または火葬場の受理及び埋葬、火葬等に関しては、墓地及埋葬取締規則に違反する者処分方及び埋火葬の認許等に関する件の三規則によつて規制されてまいつたのでありますが、これらの規則は、日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律第一條の四の規定により、必要な改廃の措置をとらなければならないこととなりましたので、その措置として、これら三つの規則を総合いたしました法律案提出いたすこととなつた次第であります。  本法律案のおもな内容は、埋葬、火葬及び改葬に関し手続その他必要な規定をするとともに、墓地、納骨堂及び火葬場の管理者の義務その他管理に関する規定を設けたことであります。  本法案は、五月四日本委員会に付託されたのでありますが、委員会は、五月二十六日政府の説明を聽いた後、ただちに質疑に入つたのであります。そのおもなものを申し上げますれば、第一に墓地、埋葬等の施設の基準に関する規定を欠くが、いかなる措置を議ずるか。その質問に対しては、政府委員により、施設の基準は都道府縣知事がそれぞれ地方の実情に應じて定めることとなつているが、その際立法の趣旨に副うよう考慮するとの答弁がありました。第二の質問といたしまして、第十三條の「正当の理由がなければ」とはどういう場合かとの質問に対しましては、施設に收容能力があるにもかかわらず、経済上不利であるため拒絶するというような場合であつて、その判定は社会通念でおのずから定まつてくるとの答弁がありました。第三は、管理表の遺骨保管の義務年限についての質問に対しましては、それは個々の寄託の條件によつて異なるとの答弁があつたのであります。  かくして、五月二十八日討論を省略して採決をいたしましたところ、全員一致をもつて原案通り可決いたしました次第でございます。  次に、食肉輸移入取締規則を廃止する法律案につきまして申し上げます。  本法案の提案理由を申し上げますれば、食肉輸移入取締規則は、輸移入食肉の衞生上の取締りを徹底するため、昭和二年内務省令第四号をもつて制定されたものでありますが、日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律第一條の四の規定によりまして、必要な改廃の措置をとらなければならないこととなつております。しかしながら、未だ食肉の輸移入が行われるに至つておりませんので、一應これを廃止する措置をとる必要があるというのであります。  本法律案は、五月五日本委員会に付託されましたが、本委員会は、五月二十六日政府の説明を聽いた後審議に入り、特に質疑もなく、五月二十八日、討論を省略して採決いたしましたところ、全員一致をもつて原案通り可決いたしました次第でございます。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  39. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  41. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 日程第六、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案、日程第七、昭和二十三年の所得税予定申告書提出及び納期の特例に関する法律の一部を改正する法律案、右両案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。財政及び金融委員会理事梅林時雄君。     〔梅林時雄君登壇
  42. 梅林時雄

    ○梅林時雄君 ただいま議題となりました二法律案について、財政及び金融委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  まず、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。改正の内容は次の三点であります。  第一点は、食糧管理特別会計におきまして、本年度の食糧賣買計画に基き、これが所要資金を推算いたしますると、供出の最盛期と目される昭和二十四年一月においては約六百億円、供出数量の増加、供出期日の短縮及び賣拂代金の回収までの期間に要する資金等の需要増加約八十億円、それに若干の余裕を見込みますると七百億円の資金を必要といたしますので、從來四百億円となつておりました食糧証劵及び一時借入金の限度額を、七百億円まで引上げる必要があるのであります。  第二点は、食糧買入代金は、從來もつぱら農林中央金庫を通じ、農業会系統によつて支拂を行つてまいつたのでありますが、今般供出者の利便を考慮して、協同組合系統のほか、任意の市中銀行においてもこれが支拂を受けることができることとし、必要な一條を改正案中に織り込んだ次第であります。  第三点は、食糧配給公團の人件費、事務費の同公團に対する交付金と同公團からの納付金は、從來一般会計でこれを行つておりましたが、これをこの会計の所属とする必要があり、必要な改正措置を講じた次第であります。  次に、昭和二十三年の所得税予定申告書提出及び納期の特例に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  政府は、さきに國会審議を経まして、本年に限り所得税予定申告書提出及び納期に関し特例を設け、所得税法の改正案が國会で可決された後、改正規定に從つて所得税の四月予定申告書提出し、第一期の納税をするようにいたしたのであります。目下致府は、最近における経済情勢の推移等に照らし、租税負担を軽減するため具体案を檢討中でありますが、その提案の時期が、諸般の事情により遅延することと相なりましたので、本年に限り所得税の四月予定申告書は本年七月一日の現况によつて記載し、七月一日から同月三十一日までに提出することとし、所得税の第一期の納期も七月一日から同月三十一日限りとして、それぞれ三箇月繰延べることといたした次第であります。また右に伴い、本年に限つて所得税の納期はこれを三期とし、予定納税額の三分の一ずつを七月、十月及び一月に納付するようにいたしたいというのであります。  以上の両案については、それぞれ去る二十五日及び二十七日提案理由の説明を聽取し、食糧管理特別会計法の一部改正については二、三簡單な質疑のあつた後、昨二十八日討論を省略して採決いたしましたところ、両案とも全会一致をもつて原案通り可決いたしました。  右、御報告申し上げます。(拍手
  43. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案は委員長報告の通り可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。     —————————————
  45. 山下榮二

    山下榮二君 自由討議はこれを延期し、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
  46. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 山下君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十七分散会