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1948-04-15 第2回国会 衆議院 本会議 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年四月十五日(木曜日)     午後三時十一分開議     —————————————  議事日程 第三十九号   昭和二十三年四月十五日(木曜日)     午後一時開議  第一 檢察廳法の一部を改正する法律案内閣提出 参議院回付)  第二 海上保安廳法案内閣提出参議院回付)  第三 自由討議(前会の続)     —————————————
  2. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 日程第一、檢察廳法の一部を改正する法律案参議院回付案議題といたします。
  4. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 採決いたします。本案参議院修正に同意の諸君起立を求めます。     〔起立者なし〕
  5. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 起立者なし。よつて参議院修正に同意せざることに決しました。(拍手)      ————◇—————
  6. 森三樹二

    ○森三樹二君 憲法第五十九條第二項により再議決をなすため、檢察廳法の一部を改正する法律案の本院議決案議題とせられんことを望みます。
  7. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 森君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて檢察廳法の一部を改正する法律案の本院議決案議題といたします。  ただちに採決いたします。本案さきに本院において議決通り可決するに賛成の諸君起立を求めます。     〔総員起立
  9. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 起立総員。よつて本案は、さき議決通り出席議員三分の二以上の多数をもつて可決せられました。      ————◇—————
  10. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 日程第二、海上保安廳法案参議院回付案議題といたします。
  11. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 採決いたします。本案参議院修正に同意するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて参議院修正に同意するに決しました。      ————◇—————  第三 自由討議    (前会の続)
  13. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) これより前会に引続き自由討議に入ります。  藤田榮君、発言者の指名を願います。
  14. 藤田榮

    藤田榮君 社会革新党では、外崎千代吉君を指名いたします。
  15. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 外崎千代吉君、発言を許します。     〔外崎千代吉登壇
  16. 外崎千代吉

    外崎千代吉君 社会革新党を代表いたしまして自由討議に入ります。  過日來各新聞紙上でも御承知ごとく、いつの本会にでも議員出席率の惡いことは、最近非常に論議されておる問題でありまして、この点につきましては、私は第一國会以來しばしば繰返して議長にまでその注意を促しておつたのであります。しかるに悲しいことには、どういうものか、日を経るに從つて議員出席率かくごときありさまであることは、われわれ國会議員として、はたして國民に忠実なる議員ということが言えるであらうか。  なかんずく、私らは現内閣に対してでも、その與党に対してでも一言言わざるを得ないと思うのは、少なくとも過半数をもつておるその與党が、與党だけでも忠実にもしここに出席するならば、いつでも三分の一以上の出席が見られるものであるとわれわれは考えておるのであります。(「ヒヤヒヤ」)れは当然野党にも、責任のあることは言うまでもありません。全議員とも責任のあることは言うまでもないけれども、少くとも自分たち内閣をもつて総理大臣を初めとして各大臣が列席してその議事に携わろうとするときに、一番責任の深い民主党、それにまた社会党國民協同党ごときは、何をさしおいてでも自分たちが出てきてやらなければならぬ場合ではないかと考えるのである。(「ヒヤヒヤ」)野党の人数を勘定して議会は開くべきものでないとわれわれは考えておるのである。しかるに、その一番責任の深い與党の連中みずからがいつでも議席をからつぽにして、そうして議会の開かれないような方法をとつておるということは、與党みずから現内閣を否認しておるものであるとわれわれは考えておるのでありあります。(拍手)  また一面、議会外國民生活は、私からるる申し上げるまでもなく、すでに議員諸公もわかつているはずである。海外の引揚者はさらに帰つてこない。そのまた家族生活というものは、日々の新聞を見てもわかるごとくに、今日その生活にさえ追われてしまつて、まことに聞くにたえないような生き方をしなければならぬというような状態にあるときに、われわれ議員は互いに相戒め合つて、しかしてその家族を見てやらなければならぬ大きな義務があり、同時にまた、最近のごとく労働問題が頻発して、國民生活はいやが上にも今日苦しんでおる場合において、これに対しては政府お互い議員責任をもつてつてやり、國民生活を考えなければならぬのに、その一番責任の深い議員諸公は、常にかくごとき空席をもつて、違法を犯してまで開会しなければならぬということでは、はたしてこの議会において議決されました法律をもつて國民にすべてを強いることができるであろうか。  私は常に運営委員会、また各派交渉会に出るたびごとに、議長にもそれを申すのである。少くともこの立法府、われわれ議員においてつくられたる法律は、日本全國津々浦々におけるところの國民が、きめられた以上はこれを遵奉しなければならぬし、泣いてもほえてもそれに從わなければならぬ、從わせなければならぬという法律でありながら、それをつくるべきところの代表者である國会議員が、常に選挙区に帰つておるのか、どこに行つておるのか、議会をほつたらかしておいて、それでもつて國民にその義務を強いることができるものであろうか。少くとも良心があるなら、よくこの点を考えなければならぬとわれわれは苦慮しておるのである。  國民の批判を受けるまでもなく、國民に安心を與えるためにわれわれは出てきておるものであると考えており、國民もまた、選挙区における多くの有権者は、この人方を送つてつたならばわれわれの生活は安らかになりはしないかと考えて、あらゆる苦慮算段の成果、選びに選んで送られてきたところの四百六十六人の、いわゆる選良というものが、代議士になるときばかりは盛んに、われが代議士なつたならば、國家のために、國民のために、諸君のために身命を賭して闘うというようなことを言いながら、一たび代議士になつてしまえば、さらに議会には出て来ない、あらゆる審議にはほとんど障害を來さしめておつて、どの顔をもつて選挙区に帰つておるのか。こういうようなことをやつでおつて、われわれははたして完全なる義務を果すことができるであろうか。  もし、今日のごと議会を繰返していくならば、やがては、この議会は否認されるおそれがあるとわれわれは考えております。もしこの議会國民の否認を受ける場合は、どういう結果になるであろうか。無政府状態になり、さなきだに敗戰に苦しんでおるところの國民は、一層その生き行く道に苦しまなければならぬ状態になるとわれわれは考えておるのであります。一々その筋から注意を受けて登院数を数えて、その結果でなければ開かれないような議会を開くのであるならば、これこそ議会を解散せよと言われても何ら言うことはできないであろうとわれわれ思います。  同時にまた、現内閣もすでに組閣してから一箇月以上になつておりながら、未だに國民に示すべき一つ予算もなければ、予算の成立もできていない。同時にまた、何ら政策らしい政策も発表していずして、これでもつて内閣を維持していこうとするならば、芦田内閣も速やかに桂冠して、國民の前に、自分はこの内閣を組織しても政策を行うことができ得ないということを、社会党民主党國民協同党と、三党よく協議して——党條約を組んでやつた内閣であるから、三党がまたよく協議して、國民の前に内閣を投げ出し、他の方面に渡してやることこそ至当であると私は考えておるのであります。内閣を組織しておつても、いかなる政策新聞紙上で発表しておりましても、一つも実行することもでき得ず、予算さえ未だに編成のできないような弱体内閣は、これはわれわれが言うまでもなく、野党與党ばかりではない、國民が迷惑をするから、一日も早く投げ出すか、しからざれば思いきつて自分たち惡いところは隠してもよいから、議会を解散して、新たなる議員によつて議会を構成していくということも道の一つであろうと考えておるのであります。  しかも、今度つくるべき法律の中に、政党腐敗防止法案などという法案を論議するさえ、國民の前に各政党ははずかしいと思わないのか。政党腐敗防止法案、何という恐ろしい文字であろうか。こういうことを臆面もなく法律として論議しなければならぬというほど各政党が眞に腐敗しておるならば、その政党も速やかに解党すべきものであるとわれわれは考えております。  なかんずく最近——最近どころではない、たつた今でも委員会を開いておる、この不当財産委員会ごときは、堂々たる、りつぱな審査を受けて出て來た議員の中にも、思わしくない議員がたくさん出ておつて、各政党が連坐しておるということは、これまた当然その人方責任を負わなければならず、こういうこと自体が國民に知らされておつて、それでもなおかつ各政党が、わが政党主義綱領國民のためなりなどということは言えるはずはないとわれわれは考えておる。  今日までの、いわゆる法律で出さなければならぬほど腐敗し切つておるところの古い既成政党は、速やかにこれを解党すべし。現内閣良心あるならば、一日も早く内閣を投げ出して國民に謝るべし。もしそれができ得ないならば、何か事情があつて——この内閣はたとい青酸カリであろうが、毒藥であろうが、飲んででももつていかなければならぬという事情があるそうでありますから、そういう事情がもし内閣にあるならば、それをひた隠しに隠しておつて、何とか理由をつけて議会を解散するか、いずれにしても、この三つの道を選ぶより方法はないであろうと考えるのであります。(拍手)  世界の政局もとみに緊迫化しておつて議会國民の前に、議員出席しないから開会でき得ないと言う。しかるに、議員はまじめに出ているものは、たとい少数であつても出てきているけれども、出てきておつて議会を開く議案がないというような、こういうふまじめな内閣であり、こういうような議会であるならば、まつたくわれわれは國民に申訳がないと考えております。どうぞして、今日集まつている方方は、ほんとうに良心的な、まじめな、りつぱな議員方々であると私は考えるのでありますから、この集まつておられる議員方々の手によつて、各党々々に呼びかけて、一日も早く多くの人々が出てくるように、そうして、あまり議長さんにも心配をかけないようにお願いしたいのであります。  また、最後に議長さんに一言申し上げてみたいのは、議長もよく檢討しなければなりません。いかにわれわれは、まあ任せてくれ、任せてくれといつて社会党あたりから來るからして、そうあまり顔を見てしまつてからは任せないわけにもいかない、たまには任せることもいいとしても、憲法を乱し、國会法を乱してまで開会しなければならぬという、こういうぶざまな議会というものは、議長みずからよく反省して、いつも私の言うごとくに、定数の足らない場合は何回でも流会してみせればいいのであつて、流会するたびごと國会を開くことができない。開くことができ得ない場合に、皆さん良心が高まつてくる。良心があるならば、各政党人々もまた続々と出てくるものと私は考えております、定足数のない——こういうように國憲を犯して会議を開くということをあえてやらなければならぬという議長の苦衷も察するけれども、名議長といわれている松岡議長は、この点に対しても十分に留意して、各政党に対してよくこれを戒告してやるべきが至当であると考える。  限られた時間にあまり多く申し上げて皆さんのおしかりをこうむることをおそれますから、この辺にしておきますけれども、どうぞして、今日おいでになつておられる善良なる代議士方方に対しまして、特に議員各自々々がたくさん出るようにお願いいたします。そうして、この議会を華やかにもつていきたいと思います。終り。
  17. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 野坂參三君発言者を指名願います。
  18. 野坂參三

    野坂參三君 共産党としては、徳田球一君を指名いたします。
  19. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 徳田球一君、発言を許します。     〔徳田球一登壇
  20. 徳田球一

    徳田球一君 議会では、いつも引揚者の問題がやかましく言われているのであります。わが党も、この引揚者に対しましては、なるべく早く引揚げるために、今署名運動をいたしまして、ソヴイエト方面代表者に向いましても要求をしているわけであります。なるべく今年中に全部を引揚げるように盡力をしているわけであります。  ところで、これに対しまして—引揚げをするのは非常によろしい、よろしいが、一体引揚げをした人間がどういう状態にあるか。そうして、政府はこれに対して一体責任をもつた仕事をしているかどうか。これは重大な問題である。單に引揚げてきさえすればよいというわけではない。引揚げてこられた人々に対しまして、われわれ責任をもつてその生活を安定してやらなければならないのである。  今は國務大臣でありますが、以前に厚生大臣であられた一松大臣は、月に十六万の引揚者を受け入れて、そして、これに対して生活の安定を與えることをちやんと準備を整えている、こう報告しているのである。しかるに実際においては、今まで引揚げてきた引揚者諸君状態は、そういう受入態勢はちつとも確立しておらぬ。その状態は次のことぐである。  昨年十二月末における完全失業者が、政府の調べたところによりましても五百六十万人になつておる。そのうもの四〇%、約二百万人は引傷者である。この二百万の引揚者が実際に失業して、非常な苦境にあるのである。こういうのを、ただ受入態勢ができてるできてる、そういう言葉だけではだめだ。事実が伴わなければだめだ。さらにまたこの失業者の中で、復員者が七四%である。復員者を早く帰せ帰せ、これはよろしいだろうけれども、七四%も失業者になつていて、どうする。  さらにこれにつきまして、驚くべき住宅難が加わつておるのであります。引揚者諸君は、今全体として、この住宅難には非常に悩んでおる。今これを調べてみますと、これは宮城縣の一例でありますが、引揚者の二〇%の者が一人一疊以下である。一疊以下では、ほんとに寝ることさえもできない。横にでもならない限り、まつすぐ平たくは寝られない状態である。さらに二疊以下になると四千%である。こういう状態では、はなはだしき不衛生にもなり、また疾病にもかかる可能性が非常に強いのである。はなはだしきに至つては、三疊にに六人の家族が重なり合つておる状態さえも現われておる。もつとはなはだしいものになると、馬小屋に住まわなければならない状態にあるのである。一体一松厚相——今の國務大臣は、これでもなお受入態勢が十分であると言えるかどうか。はなはだ無責任なことを言うておる。  さらにこの住宅難につきましては、大邸宅引上げることになつておる。東京その他においては、大邸宅引上げまして、これは引揚者並びに戰災者に與えることになつておる。こういう規定があつて、すでに東京では、この大邸宅をすべて登録しておるのである。しかるに、登録しておきながら、一つつて引上げた例がない。一体これは何ということだ。何のために登録したのだ。もう一年半も前から登録しておきながら、一つ引上げておらぬじやないか。この大邸宅をもつておる者は、すべて大資本家であり、大地主であり、また貴族である。こういう者の不利益のためには、一つもやつていないじやないか。(「貴族なんていやせぬ」と呼ぶ者あり)元貴族はいる。今は貴族じやないけれども、元貴族はいる。しかも、その貴族に対して特権さえ與えておる。元皇族であつた者に対しては、特別の下賜金をやつておる。これは國費でもつてつておるじやないか。五千万円域上のものをやつておる。今だつて特配もしておる。酒もタバコも特配しておる。こういう状態であるから、実際この家屋ぐらいは引上げればよいのだ。これを引上げて、引揚者並びに戰災者に住わすべきである。にもかかわらず、これはやつていない。  それで、こういう大邸宅で今何をしておる。あの有名な元田中運輸大臣は、めかけをもつて、ここで裏口営業をやつておるじやないか。天ぷら御殿といわれているじやないか。こういうことを勝手にさしているじやないか。また大村子爵邸においては、エロ行為をやつてみせた事実があるではないか。そういうものには、たくさん使つておるのだ。そういう腐敗堕落せしむる、風紀を乱すことには使われるのに、何ゆえ引揚者住宅にこれを引上げないか。戰災者住宅にこれを引上げないか。怠慢きわまれるものではないか。これでも受入態勢が整えてあると言えるか。  さらに今度は旅費の問題でありますが、政府はこの引揚者諸君に対しまして、わずかに終点で衣食と三百円の旅費しか與えておらぬ。着いた港から家へ帰るまでたつた三百円。三百円といいましても、それは名前だけたくさんのようだけれども、昔からいえば、一円五十銭か、せいぜい三円くらいのものだ。これでは、ろくすつぽ飯も食えないじやないか。これだけしか與えておらぬ。ちつとも保護しておらぬじやないか。  さらに今度は留守家族保護であります。これは非常に重大な問題である。抑留者留守家族に対しては、休戰條約並びに協定によりまして、十分なる保護をすることになつておる。しかるに、実際はこれがほとんど保護をされておらぬ。私たちの調べたところによりますと、一家族に対して一箇月わずかに四百円。四百円ぐらいでは、あめ玉もしやぶつていられはしない。そういう状態である。  これに対しまして生活保護法を適用しなければならぬが、この生活保護法規定を適用するに際しまして、厚生省は本年二月二十四日に、各縣知事あてに次のような通牒を発しておる。生活保護法を適用した場合は、未復員者手当を差引かなければいかぬ。こういうばかなことを言つておる。これを差引いてでないと生活保護法は適用しないと言う。だからこのために、生活保護法の適用に対して、未復員者家族というものは非常な大きい損害をこうむつておるのである。未復員者家族に対しましては、特別に一率に手当を給することになつておりますから、この手当は当然受取るべきものである。しかる後に、なお生活ができない者に対しましては、生活保護法を適用して、生活保護法の金はすべて與えなければいかぬ。それは当然である。だのに、これを二つ合せてやつと生活保護法の額に上るべきだ。こういうのである。だから、いかに未帰還、未復員者家族がわずかなものしかもらつていないかがわかるじやないか。こういう状態でどうして生活できる。  今の生活保護法と言いましても、きわめて零細なものである。これくらいでは生活できない千円か千二、三百円くらいのものである。今、人間一人千円か千二、三百円ぐらいでは、とても生きておれるものではない。お互い承知通り、少くとも食糧だけでも二千円以上かかる。だのに、こんな金さえ出し惜しむ。こういうしみつたれでなんだ。しかも、大資本家のためには莫大な價格差補給金をやつておるではないか。これが保護に対しては至れり盡せりではないか。大やみ業者は盛んに家をこしらえ、盛んにきれいな着物を着、また料理屋にいつて莫大な費用を使つて豪遊をきわめておるではないか。こういうのと思ひ合せて、一体何ということだ。これでもつてなおかつ失業者諸君労働者諸君農民諸君、未帰還者家族諸君が反抗するからといつて、反抗をするのは非國民であるがごとくこれを彈圧しようとするに至つては、何という暴圧だ。これを暴政と言わずして何が暴政だ。  芦田君などに至つては、今インフレでありながら景氣はよくなつておる、非常に復興しておると言う。その復興しておるものは何だ。決して引揚者戰災者復興しているのじやない。復興すべき人間は、この引揚者戰災者であるべきである。インフレでもうかり、やみでもうかつておる人間が、いくら豪遊をきわめ、いくら栄華の生活をしておつたつて、それは復興にも何もなりはしない。そういう者は害毒である。そういう者は、この國民経済を破壊し、日本民族を破滅させる有害者である。こういう者が栄え、こういう者が復興するということは、むしろ憎むべきであるか。この引揚者並びに戰災者諸君復興こそ大事なのに、これをさしおいて、こういうばかげた犯罪者ばかり繁栄しているのを、これをもつて芦田君は、彼等の政治が正当の方向によく進んでいるという証拠のごとく言うに至つては、あきれかえるではないか。  それゆえに、この未復員者給與は、一律無條件にくれて、そしてさらに生活保護法を適用すべきことが正当である。こういう法律を無視した官僚の勝手な通牒なんというものは、これはどんどん取消すべきである。こういう通牒を発した者まで、どんどんこれは追放すべきである。そうしないと世の中がよくならない。  そこでわが党は、次の要求をしたいのである。帰還者の故郷に帰る帰郷費は、旅費は一人少くとも一千円を支給しなければならぬ。これはぜひともやるべきである。  第二に、帰還者も、これは兵士帰還者であるが、もう引揚者と同様に取扱つて、そうして物資を配給すべきである。今までは、兵士諸君帰還者に対しましては、一般の引揚者、すなわち大連だの奉天だのに住いをもつていた引揚者とは違いまして、これに対しては物資の支給をしておりません。しかし実際におきましては、こういう兵士諸君の窮乏は非常にひどいものである。これは家があるからという、これだけでもつて、これに物資を支給しないというのは、まことにこれは暴政である。実際今の状態におきましては、若い、二十台の人ばかりが行つておるのではない。三十台、四十台の人も行つておる。こういう人たちが帰りましても、今のような状態ではきわめて不安定な状態でありますので、多くは失業しておる。こういう状態にある人を、引揚者、いわゆる向うで生活しておつた人と別個に考えるということは、実情に適さないのである。でありますから、これは引揚者帰還者もすべて同一に物資を支給すべきものであると思うのである。これを要求するのである。  第三は生業資金でありますが、この生業資金の貸出しが二千円だの三千円だのというのでは、今問題にならぬ。そんなものは小遣にしかならない。それではどうしてもだめだ。少くとも五万円以上を保障しなければならぬ。五万円以上ないと、今一つ商費も始まらないことは、諸君の御承知通りである。ただ名義だけ生業資金としてくれましても、生業資金にもなんにもならない。実質上生業をやつていけるだけの資金はくれなければいかぬ。それといたしましては、少くとも最低が五万円、東京などに至りましては十万円、十五万円以上くれなければだめである。これをぜひ実行してもらいたいのである。  第四に、職業を斡旋する。この職業の斡旋につきましては、職業安定所その他がありますけれども、事実職業安定所などで職業を斡旋しても、非常に低賃金なために、ほとんどものになつておりません。また引揚者並びに帰還兵士諸君に対しまして、集團をこしらえて、開墾をやらせておりますけれども、これまたきわめて不成績である。いずれのところへ行きましても、この開墾はほとんど墓場に行くようなものだ。成功したためしは一つもありません。北海道のごときところがあるが、ただ身柄ばかり行きましても、とてもだめだ。ちよつとばかりの保護をしただけでは、とてもだめだ。事実この問題につきましては、一大不満が勃発いたしまして、方々においてこの開拓営團が問題を起しているのである。でありますから、どうしてもこの職業を正しく斡旋しなければいけない、生活ができるように斡旋しなければいかぬと思うのである。  同時に、失業している間、すなわち職業を與える前までは、ぜひとも失業手当を支給してもらわなけれぱいかぬ。こういう失業手当を支給しないからこそ、現在大きな社会不安になりまして、社会的に大きな犯罪が起りつつあるのは、多くここに基因している。最近の多くの犯罪の中に、特に凶暴犯の中に、帰還兵士諸君が相当の数を占めている。これはきわめて遺憾である。戰爭に狩り出すときには、國家のためだ、何のためだと言つて引出しておいて、そして身が眞裸になつてつてきたけれども、何らの職業も與えず、失業手当も與えずして、それで正常の生活をしろというても無理じやないか。戰闘行為に從事して氣が荒れておれば、必然これは凶暴にならざるを得ない。社会に対して大きい憤懣を感じ、國家に対して大きい憤懣を感じ、そのためにこういう犯罪は頻発するのである。でありますから、ぜひとも失業手当を給さなければならないと思うのである。  第五に、住宅を保障する二と。この住宅の保障は、先ほども申しました通り、至急に大邸宅を開放し、この住宅の保障をしてもらいたい。殊に政府のもつております、軍事用に使つた家島がまだ相当余つている。病院などでも相当余つている。これを療養所に使うとか何とか言いながら、事実は使つておらぬ。その数も莫大だ。こういうものを早く手を入れて、立腐れになるのを防いで、どんどん住宅を保障しなければならない。のみならず、早く新しく建てて、住宅を與えなければいかぬ。しかるに、この新築に対しましは、土木建築請負業者のブローカーに食われているのがたくさんある。東骨都などのごときは、はなはだしいものである。何十万戸建てる、何百万戸建てると、口ばかりで一松君は大きなことを言つて、事実建てるかというといや予算がないと言う。予算がなければ言わなければいい。予算がなくて大きなほらを吐くのは犯罪である。國民をごまかすのは犯罪と言わなければならない。であるから、どうしても住宅を至急に建てて、これを保障しなければならないと思うのである。  六番目に、医療診察をしなければいかぬ。現在は、この診察料が非常に高く、また藥品が非常に高いために、実際病氣にかかりましても、ほとんど治療なしにほつたらかされておる。こういう状態では、社会不安は増す一方である。厚生省は何を考えておるか知らぬが、昨年中でさえ、この藥品の値段は二十倍に上つておる。こういうぱかげたことをしていては、帰還同胞や引揚者諸君が治療にほとんどかかれないのは当然である。でありますから、これは國家が当然無料で治療すべきであると考えるのであります。  第七には、留守家族生活補助費を少くとも一箇月五千円以上はやらなければいかぬ。三人家族がいるにしましても、五千円なくてはとてもやつていかれない。奥さんと子供が二人いるのは普通である。一家庭当り平均五千円以上、こういうことにすれば何とかやつていけるのでありますから、これをぜひとも至急にやつてもらわなければならぬと思うのであります。  本日は政府委員が一人もおりません。答弁を求めたいと思いますが、こういうように、ごらんの通りの怠慢の状態である。はなはだもつて遺憾である。(拍手)これは議員諸君の怠慢を云云する前に、まず政府が精励でなければいかぬ。政府当局者は一人も出てこぬ。政府が無責任に、自由討議だからとほつたらかしておくのがわからぬ。自由討議でも、議会がある以上は、大臣を初め政府委員はみな緊張して聽いておらなければいかぬ。(「その通り」)しかるに、かくごとく怠慢で、職をむなしゆうするにおいては、われわれは憤懣にたえないのである。かかるようならば、早く内閣をほつぽり出すがよろしい。共産党は、いつでも組閣をする用意がある。(拍手
  21. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) これにて自由討議は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十二分散会