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1948-04-01 第2回国会 衆議院 本会議 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年四月一日(木曜日)     午後五時三十四分開議     —————————————  議事日程 第三十四号   昭和二十三年四月一日(木曜日)     午後一時開議  第一 檢察廳法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 臨時資金調整法を廃止する法律案内閣提出)  第三 臨時資金調整法の廃止に伴う措置に関する法律案内閣提出)  第四 大藏省預金部特別会計昭和二十三年度における歳入不足補填のための一般会計からする繰入金に関する法律案内閣提出)  第五 金資金特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  第六 昭和二十二年度衆議院予備金支出の件(承諾を求める件)     —————————————
  2. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) これより会議を開きます。  昨日の北君の議事進行発言にお答えいたします。議長大島農林委員長代理からその事情を聽取いたしましたところ、同君が投じ北君に発言を許したのは、附帶決議に関する範囲にのみ限つて許したが、北君が範囲外発言をせられたと認めたので、これを禁止した、しかし、これは禁止の前に一應注意しなかつたのは、不慣れのためであつて、北君に迷惑をかけたことについては何分の御了承を得たいとのことでありました。よつて議長においても、今後十分注意せられたき旨お話しておきました。      ————◇—————
  3. 笹口晃

    笹口晃君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、昭和二十三年一般会計暫定予算及び昭和二十三年特別会計暫定予算の両案を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  4. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり」〕
  5. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 昭和二十三年度一般会計暫定予算昭和二十三年度特別会計予算、右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。     〔川島金次登壇
  6. 川島金次

    川島金次君 ただいま議題となりました昭和二十三年度一般会計暫定予算及び昭和二十三年度苦熱会計予算内容及び審議の経過並びに結果について大略を御報告申し上げます。  この暫定予算案は、昭和二十三年度予算編成が遅れましたため、財政法第三十条の規定によつて昭和二十三年四月分の必要な経費暫定予算として計上した者でございます。  まず、一般会計におきましては、歳入歳出とも二百四十五億九千万余万円であり、歳入の内訳は、租税及び印紙收入百七十三億一千万円、專賣局益金五十八億三千三百余万円、印刷局及びアルコール專賣事業益金一億百五十余万円、病院その他官業收入一億四千百三十余万円、官有財産收入二億千八百余万円、價格差益納付金五億五千八百余万円その他でございます。また歳出のうちおもなる経費については、終戰処理費五十九億円、賠償施設処理費三億三千六百万円、價格調整費十五億円、物資及物價調整事務取扱費八億八百余万円、公共事業費十一億七千九百余万円、地方分與税分與金二十四億円、地方警察費國庫負担金七億円、復金等に対する政府出資金二十億百余万円、國債費二億千五百余万円、同胞引揚費五億五千六百余万円、小学校教育費國庫負担金二十二億四千六百余万円、農地改革費六億千八百余万円、船舶運営会補助四億五千万円、予備費一億円、その他でございます。  次に各特別会計暫定予算は、地方分與税分與金特別会計外二十三の特別会計を通じ、総額歳入六百六十六億七千九百余万円、歳出六百四十四億千八百余万円であります。右歳入のうち、國有事業特別会計における設備建設改良費財源については、公債又は借入金八億円を、又通信事業特別会計におきましても同様に六億五千百余万円を予定しておりまして、右公債又は借入金につきましては、総額七億円を限り日本銀行に引受けさせ、又は日本銀行から借り入れることになつておるのでございます。なお、この暫定予算の実行上必要とする大藏省証券及び國庫金の一時融通のためにする一時借入金は、その限度を一般会計において百二十億円、國有鉄道事業その他七特別会計において五十六億三百余万円を予定しております。以上が本暫定予算内容であります。  次に、質疑應答の大要は次の通りであります。  昭和二十二年度分水害復旧費及び六・三制の経費計上されていないのは何ゆえであるか。政府計上意思があるかどうかとの質問に対し、政府側より、本暫定予算計上するため最善の努力をしてきたのであるが、できなかつたのは遺憾である、しかし現在も関係方面と折衝しており、追加計上もしくは本予算編成の際は織りこむ希望を失つていないとの答弁がありましたが、その後この予算審議中、二、三日中に提案運びとなつた旨報告がありました。  また、財源に実際收入のない所得税のごときを計上してあるのは当を得ていないのではないかとの質問に対して、政府側から、政府としても暫定予算には歳出のみ計上すべしとの意見もあるのであるが、一應現行税制において年間の見透しを立てて計上したものであるとの答弁があり、また大藏省証券及び一時借入金インフレを促進すると思うがどうかとの質問に対し、政府側より、税收の時期的ズレによる通貨の増発は認めるが、追つて予算編成においては、健全財政健全金融建前から、インフレ克服施策を十分に取上げていく方針であるとの答弁がありました。  また、政策協定のうち軍事公債利拂停止を公約せる芦田内閣が、その処理をなすべき委員会決定を見ない前にその利子計上してあるのは公約無視ではないかとの質問に対し、政府側より、本暫定予算與党の代表である閣僚と閣議において決定したものであり、また過去六ヶ月にさかのぼる経過利子であり、その上無記名公債であつて外國人所有者も含んでおりますので、今日國家クレジツト民間クレジツトの進行している現在、國際的信用に惡影響があるので計上したのであるとの答弁でありました。なお、軍事公債利拂停止的処置とはいかなる意味をもつているのであるかとの質問に対して、政府側より、利拂停止前提とするものであるから、そのために委員会をつくり、停止の方法決定するものであるとの答弁があり、また利拂停止の時期はいつであるかとの質問に対しては、早急に委員会を開いて決定するつもりであり、本予算編成にはその措置をとり得るものと思うとの答弁がありました。  また、復興金融金庫に対する出資金計上されているのであるが、復金に対しては、巷間しばしば不正貸出厖大なる資金の使途が不明であるとの非難を聞くが、政府監査に対していかなる責任をとつているかとの質問に対し、貸出については十分嚴重監査ができるのであるが、物價政策建前から赤字補填として融資するので、貸すことが主であり、嚴重監査をしているのであるが、未だ十分であるとは言えない、しかし不正事実があれば、政府として相当な決意をもつて善処する、また監察制度には委員会を設けて回收の促進をはかりたいとの答弁がありました。  また財政法第三條の特例について、政府側より、鉄道通信料金、タバコの値段改訂國会審議によつて決定し、特例は設けないが、他のこまかい配給品のみは特例によるとの答弁がありました。  なお、三党政策協定行政整理案税制改正特別会計独立採算制その他についての質疑應答は、速記録を御参考に願いたいと思います。  次に討論に入り、民主自由党を代表し原健三郎君より、三党政策協定内容があいまいであつて、この予算編成基礎的な問題が不明瞭であるのは残念である、また水害対策費及び六・三制予算については今後一段の努力を必要とし、本予算提出の際に審議に十分な余裕をおくべきであるとの希望がありました。また軍事公債利拂停止には反対であるが、この暫定予算緊急性に鑑み原案賛成する。  次に、日本社会党を代表し河合義一君より、この暫定予算には軍事公債費計上されておること及び水害対策費計上されていないのは残念であるが、三党政策協定の一つである軍事公債利拂停止政府答弁から確認されたこと及びこの予算計上されている諸支出緊急性に鑑み原案賛成する。  また民主党を代表し小島徹三君より、本暫定予算は適切なものとして原案賛成する。  國民協同党を代表し河野芳滿君より、芦田内閣成立直後の暫定予算であり、國際的信用を考慮して原案賛成。  第一議員倶樂部を代表し東井三代次君より、本予算案提出の際には関係資料を十分提出し、かつ審議余裕をもたすべきことを希望して原案賛成されました。  農民党を代表し中村寅太君より、三党政策協定の杜撰、歳入面國民所得の把握の不十分、特に農業生産性に対する経費の乏しいこと、以上の理由をもつてこの御定予算を返上し、また日本共産党を代表して野坂參三君より、この暫定予算歳出において資本家擁護である点、経済再建文化費の僅少、人件費においては未だ決定されていない二千九百二十円の賃金ベースをもつて計上してあること、また歳入において所得税の加重、法人税の軽減、以上の理由をもつて編成替を要求して本予算を返上するとの討論がございました。  かくて採決に入りまして、この暫定予算返上論は少数をもつて否決され、原案は多数をもつて可決されました。  以上、簡単でございますが、御報告いたす次第であります。
  7. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 討論通告があります。これを許します。中村寅太君。     〔中村寅太登壇
  8. 中村寅太

    中村寅太君 芦田内閣は、きわめて不明朗なる感じ國民に與えながら、不明確なる政策協定のもとに辛うじて出発いたしたのであります。本予算案を見まするときに、不明確なる性格が暫定予算の面にも現われておるのであります。  すなわち、歳入の面に目を進めまするとき、そこには國民所得の実態を無視して、きわめて杜撰きわまる基礎の上に厖大なる租税收入が上げられておるのであります。しかも、かくのごとき厖大なる租税の完納がむつかしいというようなことは、政府といえども私は考えているであらうと思うのであります。かくのごとき薄弱なる惡税を基礎に組上げましたところの歳入に対し、さらにその歳出面を見ますときに、この内閣無能ぶりがきわめて露骨に現わされていると思うのであります。すなわち、國民経済を培うような生産的な費目というものがきわめて少いのであります。殊に農業生産面に目を向けまするとき、ほとんど考慮されておらないというような感じを深くいたすのであります。これでは、片山内閣が企画いたしましたところの一割増産計画を実現しようとして、全消費者食生活の安定を期せんものとして、営営として努力を続けておりますところの全國農民をして失望せしめるのみならず、ひいては來年度における消費者食生活がやがて安定するであろうと期待しておりましたものが、またここに覆えされることになると私は考えるのであります。かくのごとく、歳入歳出ともにわれわれの断じて賛成し得ない面が非常に多いのであります。  私は、かくのごとき点から考えまして、政府にこれを改めて組みかえることを要求いたしまして、反対を述べるものであります。(拍手
  9. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 原健三郎君の発言通告が正式には漏れていたのでありますが、この際許すことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。原健三郎君。     〔原健三郎登壇
  11. 原健三郎

    原健三郎君 私は、民主自由党を代表いたしまして、強力なる意見を附しまして、賛成の意を表するものであります。  暫定予算を通じまして、芦田内閣のよつて立つべき基盤である三党協定なるものが、いかにあいまいなものであり、無責任なものであり、しかもさらに未だ十分に基礎ができていなかつたものであるかというこを、われわれは認識することができたのであります。(拍手)このことを第一に申し上げておきたい。  さらに、二十三年度予算基本的なる前提となるところの経済政策、なかんずくインフレ対策税制改革物價改訂賃金改訂、さらには行政整理などにつきまして、何ら政府には具体的の施策がなかつたということを知つたことは、われわれはなはだ遺憾千万とするところであります。(拍手)しかも本予算は二十三年度予算の一部で、暫定予算ではありますが、芦田内閣財政経済政策基盤を示すもので、きわめて重大であります。かくのごとき重大なる予算において、今申し上げました重大なる経済政策の片鱗もうかがわれないと言つてもあえて過言ではないと同時に、しかも將來に向つて昭和二十三年度の本予算についても、これらの経済政策の具体的な施策をわれわれはうかがうことができなかつたことを、重ねて遺憾なものであつたと言明するものであります。(拍手)  さらに、三党協定の重要なる一項目であるところの軍事公債利拂停止に関する政府態度があいまいであつたことは、予算委員会を通じて暴露されたところであります。しかしながら、われわれがしばしばこれを追求いたしました結果、結局のところ軍事公債利拂を停止するということに政府態度決定いたしました。しかもさらに、五月以降の本予算にはこの利子計上いたしませんということを明確に言明いたしたのであります。(拍手)この結果は國家國民に及ぼす影響のきわめて重大であることは申すまでもないのであります。(拍手)この事実は、財界、経済界あるいは國家國民に及ぼすところの重大なる影響をわれわれはよく知つております。知つているがゆえに、わが党といたしましては、軍事公債利拂停止に対しては絶対反対であります。(拍手)  次に災害対策については、その緊急性からいたしまして、わが党の極力主張したところでありますが、一両日中に追加提出することを政府が確約いたしましたから、これを諒といたしますが、この重大性に鑑みまして、さらに災害復旧の全体の費用について責任をもつて考慮すべきことを、この際政府当局に警告するものであります。  次に六・三制につきましては、わが党の支持してきた政策でありますが、この予算は前片山内閣より引続き追加計上を確約したにもかかわらず、政治力の貧困のため延期したものであります。しかるに國民の輿論に押されて、ここに近く追加の運びに至りましたことは、われわれといたしましては、はなはだ不満足ながら諒とするところであります。しかしながら、地方財政の困憊せる今日、かつまた文化國家建設のため、教育振興のためにも、今後一段の努力政府に要望するものであります。  われわれは、このたびの予算審議については、十分の審議をするの時間を與えよということをかねてから政府に警告を発してきたのであります。しかるに政府は、今回も政府側事情によつて、十分な審議の時間を與えることができなかつたことは遺憾にたえないところであります。しかしながら、われわれは事の緊急性に鑑みて、はなはだ不満足ながら本暫定予算賛成するものであります。  以上をもつて終ります。
  12. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) これにて討論は終局いたしました。  両案を一括して採決いたします。両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  13. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  14. 笹口晃

    笹口晃君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、赤松勇君外三十九名提出、全官公廳爭議解決に関する決議案は、提出者要求通り委員会の審査を省略してこの際上程し、その審議を進められんことを望みます。
  15. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程追加せられました。  全官公廳爭議解決に関する勧告決議案議題といたします。提出者趣旨弁明を許します。赤松勇君。     〔赤松勇登壇
  17. 赤松勇

    赤松勇君 財政金融委員提案に相なります全官公廳爭議解決に関する勧告決議案趣旨弁明をいたします。  まず最初に、本勧告決議案の朗読をいたします。   全官公廳爭議解決に関する勧告決議   全官公廳爭議國民生活及びわが國経済再建に重大なる影響をもつものである。よつて衆議院は本爭議を左記の方法によつて円満解決を図ることを当事者に勧告する。  一、賃金給與に関する基本原則の点については政府と全官公廳労働組合連絡協議会との間になお相当の考へ方の相違があるとしても仮拂い二千五百円を除く四百二十円の支拂方法の操作にいては円満妥結可能性は十分にあると考えられる、よつて政府は全官公廳労働組合連絡協議会と速かに團体交渉を行いその要求を尊重すること。  二、さきに國会が可決した「政府職員俸給等に関する法律」は一時支拂暫定給與である。從つて政府臨時給與委員会の第一報告書及び第二報告書に示された意向を参酌して國鉄を含む全官公廳労働組合連絡協議会團体交渉を行い從業員意向を尊重し速かに國会法律案提出すること。  三、政府は二千九百二十円基準に基く支拂に関しては決議案第二項に於て勧告した法律によることを確認すること。  四、政府は二千九百二十円賃銀基準昭和二十三年一月の民間水準に基くものであるから新年度においてはなるべく速かに新賃銀基準決定に着手すること。  五、政府並びに全官公廳労働組合連絡協議会に問題を直ちに平和的事態に移し互讓の精神を以て解決を計ること。右決議する。 以上が、本勧告決議案内容であるのであります。  私は、この際政府に対しまして、二つの点について強い希望を附しておきたいと思うのであります。  まず第一点でありますが、本勧告決議案の中の第三項に示されております、すなはち「決議案第二項において勧告した法律によることを確認すること」という点でありますが、この点に対しまして、現在全官公廳労働組合連絡協議会に所属いたします全從業員諸君は、この法律案がいつ出るかということに関しまして、異常なる関心をもつておるのであります。しかも、これに関する政府の具体的な意思表示がないために、不測の事態を発生するかもしれないような、そうしてまたわれわれの考えてもいない多くの誤解が組合の内部に起きておるということを考えまするとき、私はこの際、政府は速やかに本法律案をいつごろ國会提出するかとしうことの具体的なしかも明確な意思表示をば速やかに近い將來にしていただきたいのであります。  第二点でありますが、第四項の二千九百二十円賃金基準は、当然新年度におきましては新賃金ベース決定されるのであります。この際私は、給與委員会におきましてもやはり論議になつた点でありますが、この点につきまして政府に強い希望を附しておきたい。それは今日の賃金ベースというものは、インフレそのものをば安定させ克服することなくして、定定した賃金ベースは断じて生れてこないのであります。この点に関しまして、特に経済安定本部長官大藏大臣は、現下インフレの惡性化の現状を直視いたしまして、しかも名目賃金によつて極度に悲惨なる生活をしておりますところの全官公廳に属する官公吏諸君生活状態をば明確に認識いたしまして、これに対するところの具体的な名自賃金裏づけをすることによつて、すなわち実質賃金確保をしなければならぬと思うのであります。本議場におきまして、しばしば労働大臣は、物による賃金裏づけを言明されておりますが、これはひとり労働大臣の問題であるばかりでなく、これこそは芦田内閣全力を傾注して、わが國のインフレ克服のために、わが國の経済再建のために、わが國の労働力をば百パーセント結集活用するために、第一に、すべては安定した賃金制度の上に労働力を活用しなければならないという、その労働政策を重要視するということに問題がかかつておると私は思うのであります。  すでに給與委員会におきましては、三ヶ月毎に賃金に関するスライドの問題が問題になりましたが、私どもも、やはりそういう点につきまして深い関心をもつておるのであります。來るべき新しい物價改訂基本をなす、また昭和二十三年度予算編成基本をなす、新たなる賃金ベースの設定の際におきましては、一面において物の裏づけによるところの実質賃金確保、他面におきましては現下の高進するインフレに対する強力なる手を打つて勤労大衆生活を安定さすことによつてわが國の経済再建を早めるという点に全力芦田内閣は傾注していただきたいということを私は強く要望いたしまして、この勧告決議案趣旨弁明を終りたいと思うのであります。(拍手
  18. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 討論通告があります。これを許します。林百君。     〔林百郎君登壇
  19. 林百郎

    ○林百郎君 私は、日本共産党を代表しまして、この全官公廳爭議解決に関する勧告決議案に対し、反対理由を左の五点について述べたいと思うものであります。この勧告案は、全官公廳諸君の下からの圧力によつてできたものであり、民主党社会党民主自由党もまた全官公廳労働者諸君要求について一應考慮せざるを得なくなつたものと言い得ると思うのであります。しかしながらこの勧告案は、次の諸点においてなお芦田内閣労働組合操縱策を合理化しようとする非難を免れないと思うのであります。  第一は、加藤労働大臣言つておりますごとく、二千九百二十円ベースというものは、二月現在の計算によりますと、千八百円ベースの一割八分を下まわつておる。非現業の諸君至つては、千八百円ベースの二割七分を下まわつておる。これは加藤労働大臣もみずから言明しておるところであります。この、とうてい全官公廳労働者諸君が食べていかれないところの二千九百二十円のベースを依然として固執しようということが、第一点においてわれわれの反対する点であります。  その次は、今回の全官公廳労働者諸君爭議の大きな原因が、この政府側の申入れを無條件に承認した労働組合については二千九百二十円の支拂をなすが、これを受け入れない組合に対してはこの支拂を拒否するという政府組合分裂の策動によつて端を発しておるということを全然隠蔽し、擁護しようとしておるのであります。  第三としましては、争議の解決前に爭議の態勢を解くことを勧告しておるのでありますが、これは爭議権に対する政府干渉政策國会みずからが擁護しようとする危險が多分にあるのであります。(「ノーノー、」)  第四としては、從つて手続において、國会政府労働組合との紛爭に無用な介入を行い、本來その権限のないところの労働組合に対してすら爭議態勢を解くことの勧告をするということは、國会がいたずらに負うべからざる責任を負うことになるのであります。國会は、行政府たる政府に対して要求することは正しいが、労働組合に対してまで責任をもつてのこの勧告をする必要はないと思うのであります。  第五として、特に第四項においては、またもやベース賃金制を固執しておるのでありますが、そもそもベース賃金制は、明らかに身分給能率給の惡用による組合分裂を策しておるものであります。  共産党としましては、以上の五点において本決議案に遺憾ながら賛意を表するわけにいかないのであります。  今や適正價格よる完全配給基礎とする最低賃金制確立なくしては、労働者生活安定はもちろんのこと、生産再建は不可能なのであります。これは、ただいま提案者である赤松議員も表明しておる点であります。しかるに、この最低賃金制確立については一言も触れずして、依然として政府組合分裂策であるところの賃金ベース制を固執しようとしておるところの本決議案に対しては、共産党反対するものであります。  以上をもつて、私の反対理由を終りたいと思います。
  20. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) これにて討論は終局いたしました。採決いたします。本案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  21. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 起立多数。よつて本案は可決されました。      ————◇—————
  22. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 日程第一、檢察廳法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。司法委員会理事山中日露史君。     〔山中日露史君登壇
  23. 山中日露史

    ○山中日露史君 ただいま議題と相なりました檢察廳法の一部を改正する法律案について、司法委員会審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。  まず、本案の要旨について簡單に御説明をいたします。現行檢察廳法は、檢察官の嚴正かつ公平な公訴権の実行を期待する意図から、その第二十三條において、檢察官は心身の故障その他の事由によりその職務をとるにたえない場合にのみ限つて罷免されるという規定をいたしておりまして、強く檢察官の身分を保障しているのでありますが、この現行制度に対して、檢察官が職務上の非能率あるいは重大な非行等によりその職務をとるに適しない場合にも、なおこれを罷免することができないというのでは、身分保障があまり強きに過ぎるという批判があり、また裁判官との権衡を失するとの意見もあるので、その職責の重要性に鑑み、檢察事務運営の適正をはかる必要から、三年ごとに行う檢察官の適格定時審査の制度を設け、併せて檢察官の罷免事由を拡張し、さらに檢察官適格審査委員会の構成員の過半数を國会議員とすることに改めるのが、本案の要旨とするところであります。  委員会は、去る二十七日本案の付託後ただちに政府の説明を聽き、次いで二十九、三十日と審査を進めてまいりましたが、檢察民主化のための新制度を採用する本案の重要性に鑑み、愼重な審議が続けられたのであります。  今、かいつまんで審査の内容を御紹介申し上げますと、質疑のおもなる点は、第一に、本案第二十三條の罷免事由と裁判官の彈劾による罷免の事由とを対照してみると、文言は必ずしも同一ではないと思われるが、たとえば、職務をはなはだしく怠つたときというのは、職務上の非能率に含まれるか、また威信を著しく失つた場合であつて、職務をとるに適しないときも、本案の罷免事由の中にはいるかどうかとの問に対し、本案では、全般の状態について非能率という言葉を使用しているのであつて、裁判官彈劾法におけるこれらの文言の内容は、本案においても罷免の事由となる旨の答弁でありました。  第二に、同條第四項の但書における檢察官適格審査委員会の委員となる國会議員の選定方法並びに数の割当はどうなるかとの質疑に対し、別に官制は政令で規定されるのであるが、それには両院同数の割当を考えているとのことでありました。  第三に、同條第一項及び第三項の法務総裁の行う罷免勧告の意義及び檢察官適格審査委員会との関係、すなわち、たとえば法務総裁が審査委員会の決議の結果を相当と認めないときはどうなるかについて政府の見解を質しましたところ、政府答弁として、最初審査委員会に議決を求めるのは法務総裁であるから、その議決と違うことはなく、ただ審査委員会が、たとえば一般からの通知により審査を開始し、職権をもつてみずから議決したような場合、まれに意見の相違を見ることも予想されるが、そのときは議決の結果の通知を黙殺するか、あるいは他の処分を求めることになるかもしれない、この適格審査委員会は、議決はしても結果から見れば諮問機関である、しかし、事実はその議決を尊重することを建前とし、法務総裁が責任をもつて当該檢察官の罷免権者に対し罷免の勧告をするものであるとの見解を表明せられました。  以上は質疑應答のおもなる点でありますが、なお同條第四項の但書は、單に國会議員を委員に加えるというのであつて、必ずしも國会の代表者として参加せしめる趣旨ではないとの政府主張の根拠に対し、議員は國会を離れて意味はなく、代表者として選出するのが通例であるから、選定方法も互選に限るべきではなく、また数の割当も両院の議席の割合に應ずべきであるとの意見によりまして、三月三十日、この点に対する各党の共同提案になる修正案が提出せられたのであります。  次いで、同日討論に際し、各党委員より修正案に対する賛成意見が述べられ、採決の結果、本案は全会一致をもつて各党共同提案のごとく修正議決いたした次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  24. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 採決いたします。本案委員長報告は修正であります。本案委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告通り決しました。      ————◇—————
  26. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 日程第二、臨時資金調整法を廃止する法律案日程第三、臨時資金調整法の廃止に伴う措置に関する法律案日程第四、大藏省預金部特別会計昭和二十三年度における歳入不足補填のための一般会計からする繰入金に関する法律案日程第五、金資金特別会計法の一部を改正する法律案、右四案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長報告を求めます。財政及び金融委員会理事梅林時雄君。     〔梅林時雄君登壇
  27. 梅林時雄

    ○梅林時雄君 ただいま議題となりました四法律案について、財政及び金融委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  まず、臨時資金調整法を廃止する法律案について申し上げますと、本案昭和十二年九月公布施行せられまして以來、物資と資金の需給の適合をはかり、経済秩序を確立することを目的として運用せられてきたのでありますが、最近の経済情勢は、同法が制定せられました当時とはその様相を異にするに至りましたので、同法の内容についても種々檢討を加える必要が生じてきたのであります。そこで、この際一應臨時資金調整法を廃正することが適当であると認められ、政府はここに臨時資金調整法を廃止する法律案提出いたしたのであります。  次に、臨時資金調整法の廃止に伴う措置に関する法律案について御説明いたします。ただいま申し上げました臨時資金調整法を廃止する法律案においては、必要なる経過措置に関する規定は、一切掲げていないのであります。もしそのまま施行せられるとするならば、臨時資金調整法に基いて適法に行われておる行為、あるいは適法に発行しまたは発賣せられた証券、証票等はいずれも無効となり、これが処理に関して秩序を乱すこと等のおそれがありますので、ここに経過措置を規定する法律案提出せられた次第であります。  その要点を申し述べますならば、第一は、興業債券及び商工債券等償還期が到來するものに対しては、これを借換えさせる必要があるので、借換えのための発行のみは今後も引続き発行できることといたしたのであります。  第二は、臨時資金調整法により金資金特別会計が所有しておる興業債券は、今後も引続きこれを所有することができることとなつておるのであります。  第三は、臨時資金調整法に基いて発行せられた貯蓄券、福券、貯蓄債券、報國債券及びいわゆる宝くじ並びに同法に基いて取扱われていたいわゆる割増金附貯蓄券につきまして、この際繰上償還あるいは預金契約を変更することは、かえつて弊害を伴うおそれがあるので、今後もそれぞれ、すでに與えられた條件通りにこれを処理し得るものといたしてあるのであります。そのうち割増金附貯蓄及びいわゆる宝くじについては、その取扱いまたは発賣に関して命令が発せられておるため、一切の準備がすでに進行しておるものは、その分に限り特に今後の新たな取扱いや発賣をも認めるようにするというのであります。  最後に、臨時資金調整法に規定せられておる罰則に関して、同法廃止後もこれを有効とすることが適正であると認められたので、必要なる規定を設けることとするものであります。  次に、繰入金に関する法律案について御説明申し上げます。大藏省預金部特別会計昭和二十三年度暫定予算における歳入歳出は、別途提案された昭和二十三年度特別会計暫定予算計上してありますごとく、その歳出は事務費、預金利子、他会計への繰入金、給與特別措置費等、合計一億五千八百三十六万五千円を要するのでありますが、その固有の歳入といたしましては、預金部資金の運用による利子、有價証券の償還による益金等二千六百二十五万一千円でありまして、差引一億三千二百十一万四千円の歳入不足を生じておるのであります。  本会計における歳入不足については、借入金をもつてこれを補填する方法も考えられておるのでありまするが、これは本会計の性質に鑑み適当でないのみならず、健全財政の趣旨にも副わないと考えられまするので、この歳入不足額一億三千二百十一万四千円については、これを一般会計から繰入れせんとするものであります。  なお今回の措置は、本会計の収支が改善せられるに至りますまでの臨時措置でありますので、後日、本会計の財政状況が健全な状態となつた際、その繰入額に相当する金額は本会計から一般会計へ繰入れることとするため、これに関する規定も設けられることになつております。  最後に、金資金特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。金資金特別会計においては、資金の運用として貴金属の賣買操作を行つておるのでありますが、この操作を行うにあたつては、産金法等により、新産貴金属は全部買い上げることを要することになつておるのであります。買上貴金属の國内消費向けの拂下げ等に関しましては、連合國司令部の承認を必要とせられておるのであります。同司令部よりは、四半期ごとに國内消費の必要最小限度の拂下数量を指定されておる関係上、買上貴金属の金額は常に手持貴金属の拂下金額を超過しておるのが現況であります。從いまして、この賣買のアンバランスから生ずる資金の不足を、一般会計からの繰入金をもつて補填いたさんとするものであります。しかして、本年三月中における買上貴金属の支拂所要額は、約三千四百六十九万八千円でありますものに対し、三月中旬の資金残高は約四百五十万円でありまして、差引三千十九万八千円を四月に繰越すこととなり、四月中の買上貴金属の代金見込額約六千四百八十三万円との合計額、約九千五百二万八千円の不足を生ずることと相なるのであります。この不足額の端数を切り上げまして、一億円を、別途提案昭和二十三年度一般会計暫定予算計上いたしますとともに、法律をもつてその旨を規定する必要があり、從いまして金資金特別会計法に、繰入れに関する一條を設けたのであります。なお特別会計の性質に鑑み、後日、本会計の財政状況が健全な状態となりました曉には、その繰入金に相当する代金額は本会計から一般会計へ繰入れることと相なつておるのであります。これ等に関する規定も併せて設けた次第であります。  以上四案は、いづれも本委員会に付託せられたものでありまして、政府よりそれぞれ提案理由の説明を聽取いたしました後、愼重審議の上、昨三十一日、いずれも討論を省略して、全会一致をもつて原案通り可決いたしたのであります。  右、簡單ながら御報告申し上げます。(拍手
  28. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 四案を一括して採決いたします。四案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて四案は委員長報告通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  30. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 日程第六、昭和二十二年度衆議院予備金支出の件を議題といたします。議院運営委員長報告を求めます。議院運営委員森三樹二君。     〔森三樹二君登壇
  31. 森三樹二

    ○森三樹二君 ただいま議題に供せられました昭和二十二年度衆議院予備金支出の件について御説明をいたします。  昭和二十二年度國会予備金のうち、衆議院予備経費予算額は四百五十万円でありまして、昨二十二年十二月五日までに支出した予算金額は総額三十二万七千円であります。その費途は、昭和二十二年度衆議院予備金支出報告書に詳記してあります通り、在職中逝去せられた議員の遺族に対し支給いたしました弔慰金と、國政調査のため議員派遣に関して旅費立替金として交際手当より支出いたした分並びに委員会食糧費を配分するに際し予算に不足を生じたため支出しました経費でありまして、以上はいずれも、その都度議院運営委員会の御承認を経て支出したものであります。  右、御承諾あらんことを希望いたします。(拍手
  32. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 本件に承諾を與うるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて承諾を與うるに決しました。  明二日は定刻より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。     午後六時四十一分散会