○梅林時雄君 ただいま
議題となりました四
法律案について、財政及び金融
委員会における
審議の経過並びに結果について御
報告申し上げます。
まず、
臨時資金調整法を廃止する
法律案について申し上げますと、
本案は
昭和十二年九月公布施行せられまして以來、物資と
資金の需給の適合をはかり、経済秩序を
確立することを目的として運用せられてきたのでありますが、最近の経済情勢は、同法が制定せられました当時とはその様相を異にするに至りましたので、同法の
内容についても種々檢討を加える必要が生じてきたのであります。そこで、この際一應
臨時資金調整法を廃正することが適当であると認められ、
政府はここに
臨時資金調整法を廃止する
法律案を
提出いたしたのであります。
次に、
臨時資金調整法の廃止に伴う
措置に関する
法律案について御説明いたします。ただいま申し上げました
臨時資金調整法を廃止する
法律案においては、必要なる経過
措置に関する規定は、一切掲げていないのであります。もしそのまま施行せられるとするならば、
臨時資金調整法に基いて適法に行われておる行為、あるいは適法に発行しまたは発賣せられた証券、証票等はいずれも無効となり、これが
処理に関して秩序を乱すこと等のおそれがありますので、ここに経過
措置を規定する
法律案が
提出せられた次第であります。
その要点を申し述べますならば、第一は、興業債券及び商工債券等償還期が到來するものに対しては、これを借換えさせる必要があるので、借換えのための発行のみは今後も引続き発行できることといたしたのであります。
第二は、
臨時資金調整法により金
資金特別会計が所有しておる興業債券は、今後も引続きこれを所有することができることとな
つておるのであります。
第三は、
臨時資金調整法に基いて発行せられた貯蓄券、福券、貯蓄債券、報國債券及びいわゆる宝くじ並びに同法に基いて取扱われていたいわゆる割増金附貯蓄券につきまして、この際繰上償還あるいは預金契約を変更することは、かえ
つて弊害を伴うおそれがあるので、今後もそれぞれ、すでに與えられた
條件通りにこれを
処理し得るものといたしてあるのであります。そのうち割増金附貯蓄及びいわゆる宝くじについては、その取扱いまたは発賣に関して命令が発せられておるため、一切の準備がすでに進行しておるものは、その分に限り特に今後の新たな取扱いや発賣をも認めるようにするというのであります。
最後に、
臨時資金調整法に規定せられておる罰則に関して、同法廃止後もこれを有効とすることが適正であると認められたので、必要なる規定を設けることとするものであります。
次に、繰入金に関する
法律案について御説明申し上げます。
大藏省預金部特別会計の
昭和二十三
年度暫定予算における
歳入歳出は、別途
提案された
昭和二十三
年度特別会計暫定予算に
計上してありますごとく、その
歳出は事務費、預金
利子、他会計への繰入金、給與特別
措置費等、合計一億五千八百三十六万五千円を要するのでありますが、その固有の
歳入といたしましては、預金部
資金の運用による
利子、有價証券の償還による益金等二千六百二十五万一千円でありまして、差引一億三千二百十一万四千円の
歳入不足を生じておるのであります。
本会計における
歳入不足については、
借入金をも
つてこれを補填する
方法も考えられておるのでありまするが、これは本会計の性質に鑑み適当でないのみならず、
健全財政の趣旨にも副わないと考えられまするので、この
歳入不足額一億三千二百十一万四千円については、これを
一般会計から繰入れせんとするものであります。
なお今回の
措置は、本会計の収支が改善せられるに至りますまでの臨時
措置でありますので、後日、本会計の財政状況が健全な状態と
なつた際、その繰入額に相当する金額は本会計から
一般会計へ繰入れることとするため、これに関する規定も設けられることにな
つております。
最後に、
金資金特別会計法の一部を改正する
法律案について申し上げます。金
資金特別会計においては、
資金の運用として貴金属の賣買操作を行
つておるのでありますが、この操作を行うにあた
つては、産金法等により、新産貴金属は全部買い上げることを要することにな
つておるのであります。買上貴金属の國内消費向けの拂下げ等に関しましては、連合國司令部の承認を必要とせられておるのであります。同司令部よりは、四半期ごとに國内消費の必要最小限度の拂下数量を指定されておる関係上、買上貴金属の金額は常に手持貴金属の拂下金額を超過しておるのが現況であります。從いまして、この賣買のアンバランスから生ずる
資金の不足を、
一般会計からの繰入金をも
つて補填いたさんとするものであります。しかして、本年三月中における買上貴金属の
支拂所要額は、約三千四百六十九万八千円でありますものに対し、三月中旬の
資金残高は約四百五十万円でありまして、差引三千十九万八千円を四月に繰越すこととなり、四月中の買上貴金属の代金見込額約六千四百八十三万円との合計額、約九千五百二万八千円の不足を生ずることと相なるのであります。この不足額の端数を切り上げまして、一億円を、別途
提案の
昭和二十三
年度一般会計暫定予算に
計上いたしますとともに、
法律をも
つてその旨を規定する必要があり、從いまして
金資金特別会計法に、繰入れに関する一條を設けたのであります。なお
特別会計の性質に鑑み、後日、本会計の財政状況が健全な状態となりました曉には、その繰入金に相当する代金額は本会計から
一般会計へ繰入れることと相な
つておるのであります。これ等に関する規定も併せて設けた次第であります。
以上四案は、いづれも本
委員会に付託せられたものでありまして、
政府よりそれぞれ
提案理由の説明を聽取いたしました後、愼重
審議の上、昨三十一日、いずれも
討論を省略して、全会一致をも
つて原案通り可決いたしたのであります。
右、簡單ながら御
報告申し上げます。(
拍手)