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1948-03-30 第2回国会 衆議院 本会議 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年三月三十日(火曜日)     午後二時十三分開議     —————————————  議事日程 第三十二号   昭和二十三年三月三十日(火曜日)     午後一時開議  一 國務大臣演説に対する質疑(前会の続)     —————————————
  2. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) お諮りいたします。予算委員長鈴木茂三郎君、農林委員長野溝勝君、労働委員長加藤勘十君、通信委員長岡田勢一君より、それぞれ委員長を辞任したいとの申出がありました。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつてこれを許可するに決しました。      ————◇—————
  5. 安平鹿一

    ○安平鹿一君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、成田知巳提出香川縣下における徴税官吏職権濫用に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
  6. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 安平君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  香川縣下における徴税官吏職権濫用に関する緊急質問を許可いたします。提出者成田知巳君。     〔成田知巳登壇
  8. 成田知巳

    成田知巳君 昭和二十二年度所得税徴収に関しまして容易ならざる事態発生いたしおり、これがために、去る二十七日本議場におきまして租税調整に関する緊急質問が行われまして、徴税合理化に関するところの本院の意向が表明されたのでありますが、私は、今全國的に問題になつております徴税問題をめぐつて税務当局納税者との間に発生いたしておりまする多くの紛爭事件一つといたしまして、不幸最近香川縣において惹起されましたところの税務官吏に対する公務執行妨害事件を中心といたしまして、税務官吏職権行使の行過ぎと、税務機構あり方につきまして、大藏大臣緊急質問をいたしたく存ずるものであります。  まず、本事件の概要を申し上げてみますと、香川縣大川郡相生村村長、香川縣会議員渡邊隆行氏が、先月の二十八日に縣議会から帰宅して間もなくのこと、村民二、三名が渡邊氏の宅を訪れまして、同村某のところに脱税容疑税務署の役人が捜査令状をもつてつてきた、そうして家宅捜索をやつて二、三の書類を持ち帰らんとしおるから、何とか円満に話合いをつけてくれぬかとの依頼があつたのであります。渡邊氏は非常に病弱であつて、疲れてはおりましたが、村民のたつての願いを容れまして、税務官吏交渉のため某氏宅へ赴かんといたしましたところ、ちようど帰途にありました税務官吏路上出会つたのであります。路上で話もできぬというので、道ばたの民家にはいりまして、同氏は税務官吏と種々懇談いたしまして田舎のこととて、かかる事件村民に非常なシヨツクを與えておる、村民はたいへん心配しておるから、今日のところは一應その書類自分に預けてもらいたい、明日自分税務署行つて、署長と面談して円満に事件解決いたしたいと申し入れましたところ、税務官吏もこれを了承いたしまして、もし渡邊氏がこの書類保管請書を出すならば書類はもどそうということに話合いがついたのであります。そこで渡邊氏は請書を書いて出しましたところ、急に税務官吏書類に封印すると言い出したのであります。そこで、さすがの渡邊氏もむつといたしまして、それほど自分を信用できないものなら、その書類はもらわなくてもいいと、憤然と席を立つて出たのであります。ところがその夜、右の交渉の席上におりました村民渡邊氏宅へ参りまして、問題は円満解決したから安心してくれ、書類は無事にもどしてくれたという報告があつたので、渡邊氏も円満解決されたものと信じておつたのであります。ところが、いかなる事情によるものか、数日後、渡邊氏ほか六名の逮捕令状が参りまして、強制収容され、公務執行妨害罪として起訴されたのであります。  かりに渡邊氏が右の席上で少し大きな声を出したといたしましても、現在全國的に問題になつておる税金問題のよつて來原因考えますときに、これを平常時の例によつて律することはいかがかと考えられるのでありますが、現に係爭事件になつておりますので、事件の黒白は法廷において堂々と爭われ、正しき解決が得られるものと私は信じておりますから、この席上では、私はあえて税務官吏の告発に基いてなされたところの檢察当局の起訴の当否を論じようとは思いません。しかしながら、本事件発生縣民に多大の衝撃を與えまして、税金問題に悩んでいる縣民は、不安と焦燥のうちに戰戰兢々たる日を送つておるのであります。この事件発生以來、たといいかに不当、過当な税であつても、税務官吏に反対すれば同じようにやられるのじやないか、縣会議員でさえやられるのだから、自分たち税務官吏に対して大きな声も出せないと言つておるのであります。これはただならぬ事態にまで発展している税金問題の一つの集中的な現われでありまして、そのよつて來るところは深くかつ廣きものがあり、單に香川縣における一村の問題として片づけ去るわけにはまいらないと存じます。  二十七日の緊急質問においても指摘されました通り、絶対主義的な、天降り的な租税割当と、徴税機構弱体性の競合した結果が、はなはだしく無責任見込み決定となつて、はなはだしいでこぼこ課税となつておるのでありまして、これに対する納税者の深刻なる不平不満税務行政に対する不信の声が本事件の直接の原因となつていることを忘れてはならないと考えるものであります。担税能力を超えて税額査定を受けた人々は、税を納めようにも納められぬ。無理をして納めれば、早速明日からひぼしにならなければならぬ。税務署からは毎度となく強硬に督促が來て、納めなければただちに差押えるぞと言われて、大衆はまつたく窮地に追い込まれ、その日その日の生活を不安のうちに送つておるのであります。  國民は、敗戰國の宿命といたしまして、税率の高いことは我慢する、國のために苦しくても納税しなければならぬということを十分に知つておりますが、しかしながら、担税力を超えた過当の税は納めるにも納められないのであります。妥当な税額さえも拒否せんとするような不徳義漢がありますれば、これに対しては容赦なく、法の命ずるところに從いまして断固たる処置をとるべきだと考えますが、大藏大臣のしばしばの言明にもあるごとく、税務当局査定にして十全ならざるものがあると認められる以上、いたずらに法の強制力を振りまわすことは、國民思想に及ぼす惡影響、けだし甚大なるものがあると言わなければなりません。  聞くところによりますと、香川縣の某税務署税務官吏は、たくさんの白紙委任状的捜査令状の交付を受けまして、自分勝手に必要事項を記入して、強権をもつて納税者に臨んでおるとのうわささえあるのであります。かかることはまつたくの事実無根だと考えますが、このようなうわさの立つところにも、税務官吏行き過ぎ原因しておることを思わなければなりません。  申すまでもなく民主主義政治は、理解納得政治であります。納税國民理解納得のうちに行われてこそ民主的な徴税であり、かくして初めてよく所期の成績をあげ得るものと考えるのであります。たとい今年は権力によつて納税を強要し得たとしても、來年度ほそうはまいらない。かえつて逆効果を來し、納税の上に不測の惡結果をもたらすことは必定であります。大藏当局は、右の趣旨を徴税第一線にある税務官吏に周知徹底せしめられて、いやしくも法の強制力を盾にとつて威嚇的態度國民に臨むことはなきよう善処すべきだと考えるのでありますが、これに対する大藏大臣の率直なるお答えをお聽きしたいのであります。と同時に、もし納税者が過当なる見込み決定に対して異議の申立をし、自己の妥当と信ずるところの税額を納めた場合においても、更正決定に足らざるの理由によつて差押えをなすものであるかどうか、大藏大臣所見を承りたいのであります。  次に、右の問題と裏腹をなしております税務機構あり方、特に税務官吏待遇問題について簡單質問いたしたいと存じます。  でこぼこ課税の行われました直接の原因徴税機構弱体牲にあることは、先日も指摘された通りでありますが、この弱体な陣容をもつて、上から天降り的に與えられた標準額をぜひとも徴收し、責任額を果すことに無理をするところに税務官吏行き過ぎが生ずるのであります。このような見地に立つときに、税務機構強化によるところの税務官吏待遇改善こそ、目下の税務問題解決一つのキー・ポイントであると言わなければなりません。大藏大臣徴税機構強化を唱えられておりますが、はたして税務行政第一線に働く税務官吏労働過重劣惡なる待遇を御承知でしようか。  試み高松税務署の例をとつて見ますると、同署管内受持戸数は六万八千戸で、これを約五十人の税務官吏でやつております。すなわち、一人千三百六十戸の受持でありまして、一日三戸調査したとしても四百五十日を要するのであります。それを僅々二、三箇月の間に調査完了をして徴収しようとすれば、いきおい無責任見込み決定となり、不公平なるでこぼこ課税となりまして、徴税方法行き過ぎを生ずるのであります。税務官吏は何箇月もの間、日曜日も祭日もなく、残業につぐ残業をもつてしまして、最近では毎日となく徹夜を続けております。  試み大藏大臣税務署行つてごらんになるとわかると思いますが、税務官吏の目は血走り、顔は青ざめて、焦悴し切つております。そうして残業手当といえば、一時間月給日割の八分の一で、一日最高二割五分だと聞いております。筋肉労働者には労務加配米がありますが、税務官吏徹夜しても夜食さえももらえない。この過労待遇劣惡のため、高松財務局管内では、昨年十二月から今日までに、すでに四人の者が結核で死亡し、二十何人かの病氣欠勤者を出しているという悲惨な状態であります。政府労働基準法によりまして一日拘束八時間制を布いておりますが、税務署における残業につぐに残業徹夜また徹夜は、政府みずから労働基準法を犯しておるのではないかと言われても仕方がないと考えるものであります。  最近政府は、全財の一齊賜暇に対しまして、官吏服務紀律違反として処断すると声明され、本日の新聞紙上の報道によりますると、全財の中央委員の四名を免官処分とされ、十六名を罰俸処分にされ、さらに各地方支部においても同様な処分をとるとの意向でありますが、もし服務紀律違反の事実があれば、処断されても私は結構であると思います。しかしながら、処断される前に、労働基準法違反政府みずから行わなければならぬような態勢のもとで、過重な労働を黙々として続けて來ましたところの全財の諸君眞摯なる努力に対して同情と感謝の念をもつて思い浮べ、労働條件改善のため、早急かつ具体的に対策を樹立せられんければならぬと存ずるものであります。
  9. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 成田君、時間がまいりました。簡單に願います。
  10. 成田知巳

    成田知巳君(続) この際併せてお尋ねしておきますが、過労によつて倒れた犠牲者を、労働基準法に基いて公傷病死として取扱う御方針があるかどうか、お尋ねいたしたいのであります。全官公吏の中でも、税務官吏待遇が最も惡いことは周知の事実であります。ために、優秀な人材は税務署にはいらない。はいつても長続きしない。高松税務署の例をとりましても、平均勤続年数は二ケ年半である。うち徴收事務を取扱う庶務課の係官は、勤続年数八箇月足らずの青年たちであります。一人前の税務官吏になるのには十年かかると言われておりますが、これでは税査定がでたらめになつて徴税方法にはなはだしい行き過ぎが生じまして、徴税をめぐつて紛爭事件の起きることも、けだし当然だといわなければなりません。徴税方法行き過ぎを見るにつけましても、正しい税額査定と、無理のない徴収とを行うために、早急に税務官吏待遇改善と、陣容の充実と、税務機構強化刷新を特に大藏省にお願いいたしまして、これに対する大藏大臣所見をお尋ねするものであります。     〔國務大臣北村徳太郎登壇
  11. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) ただいまの緊急質問お答えいたしたいと思うのであります。  税務機構全般刷新、それから充実つきましては、かねて本議場において申し上げた通りであります。ただいま、高松財務局管内において人権蹂躪があつたというお言葉でありますが、ただいままで私どもの方には報告が参つておりません。これはあるいは最近二、三日の全逓の動き等のためじやないかと思うのでありますが、急遽報告させるようにいたしております。  それからなお、この税務官吏につきましては、これは身分上の待遇改善給與上の待遇改善並びにその他施設上の待遇改善等につきましては、この席上より申し上げたかと思うのでありますけれども、すでに実行いたしておりまして、勤務時間外の特別の手当、あるいは酒、タバコ加配等もございまして、漸次待遇改善をいたしておりますけれども、なお全財の諸君と新たに民主的な方法によつて待遇改善をやろうということで申し出ておるのでありまして、さようなことがあるにかかわらず、今回の一齊の賜暇休暇というようなことが起つたことは、はなはだ遺憾にたえないところであります。  それから、ただいまお尋ねの事件につきましては、これは事実の眞相がわかりませんし、承るところによると、すでに裁判所に係属しておるということでありますから、裁判の結果をまつほかはないのでありますが、白紙委任状的な人権蹂躙をやつたというような点は、さようなことは断じてございません。これは簡易裁判所の許可を受けて、そうして捜査の目的と場所と氏名を明示したものでなければ裁判所が発行しないのでありますから、白紙委任状的人権蹂躪というようなことは、新しい憲法下においては断じてないということを申し上げておきます。      ————◇—————
  12. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 國務大臣演説に対する質疑を継続いたします。本田英作君。     〔本田英作登壇
  13. 本田英作

    本田英作君 私は、日本自由党を代表いたしまして、芦田総理大臣施政方針演説に対し、首相並びに関係閣僚質問をいたします。國民は多くのことを現内閣聽かんと欲しているのであります。從つて、私の質問する事項も多岐にわたつております。しかしながら、私に與えられた時間ははなはだ短かいがゆえに、箇條書的に質問いたしますが、これに対しまして各大臣は、納得のいくよう親切に御答弁をお願いいたします。  芦田首相演説は、一般に批評されました通り、熱と迫力を欠いておつたのであります。首相の今おかれた立場は、國際的に見ましても、國内的に見ましても、なまやさしいものではない。國際的に、近ごろの日本をめぐつての雲行きから、いかにも前途に光明があるかのごとく感ずる向きもあるのでありますけれども、飜つてこれを観察した場合において、日本は歴史的の危機に直面せしめられだものといわなければなりません。またこれを國内的に見ましても、前の片山内閣のおかれたものは三党の基盤の上であつて、現内閣もまた同じ三党の基盤の上に立つているのでございます。そうしたならば、前内閣を覆えさせた爆彈は、同じく現内閣がふところにしているものといつても過言でないと思うのであります。(拍手)すなわち、何時その懐中の爆彈が爆発するか、國民はこういう観点がら芦田内閣は短命であるというようなことを言つております。もし芦田内閣が、長くその施政を行わんとするならば、その途はわずかに一つ國民信頼を博することにあると思うのであります。その國民信頼を博するためには、芦田首相が烈々たる救國の氣概を示してもらいたいことであります。この点に対する芦田首相の所懐をお伺いしたいと思うのであります。  第二、首相中道政治による政治力の結集を主張せられておるようでありまするが、それはいわゆるごぼう抜きではないでありましよう。首相構想をお伺いしたいと思うのであります。首相に対し、われら日本自由党は、この際感情や名利を捨て、救國の大義に徹せよとの意図のもとに、政党の大同團結を切望している次第でありまするが、首相のこの点に対する御所見いかがでございましよう。  第三には、米國ドレーパー陸軍次官は、日本自力をもつて起ち上らなければならぬということをわれわれに教えられているのであります。まことに示唆に富む言葉とわれわれは了解しているのであります。國家独立性がなくて、何の自力がありましよう、私は次官言葉の中に、天來の福音を感ずるものであります。國民待望講和会議がいつ開催されるか、その時期並びに見透しをお伺いしたい次第でございます。  第四、本年四月以降の在外同胞引揚げにつき、ソ連側に具体的に交渉をされたことがあるか、ありとすればその経過を御説明願いたいと思うのであります。われら國会は、各派一致して機会あるごとにその促進を要望してきたのでありまするが、國際の風雲あわただしきこのときこの際、総理大臣であり外務大臣である芦田首相の一層の努力を要望するものであります。  第五、文化國家建設に対する首相構想をお伺いしたいと思います。一昨日の新聞には、米國科学視察團の勧告や、日本学術体制刷新委員会の決議などがあつて、いろいろの意見が述べられておりまするが、卑見な例を申しますれば、たとえば内閣のうちに一つの省に匹敵するくらいの大きな学術研究審議機関というようなものを設け、組織的に科学を生かす方法を講ずるようにしてはいかがかと思うのであります。また現在のような各大学に割り当てられた貧弱な研究費では何もできない。現に一つ大学に割り当てられたうさぎがたつた一匹で、それで研究費は使いつぶすというようなことでは、日本科学の進歩はとうてい期待ができないのであります。われわれはこの際、文化國家建設一大動機を與うる意味において、科学銀行のはうなものを創設して、そして有能なる科学者の養成と、これが研究に投資を行い、文化事業に寄與せしむるということも一つ方法であろうと思うのであります。國民はいやというほど、過去においてわが國の科学技術方面の力の微弱さを実驗せしめられたのであります。また研究費不足のために有為なる科学者が埋木になつたたくさんの実例をわれわれは知つているのであります。総理大臣はこの点に対しどういうお考えをもつておられますか、以上四つの事項を、総理大臣に対する質問事項として私は申し述べた次第であります。  次に、安本長官並びに関係閣僚に対する質問をいたします。第一、過日淺沼君の質問に対し加藤労働大臣は、最近官業從業員ストライキの顯著なように見受けられるのは、それは官業從業員だけに特に目立つので、ことさらに取立てて言うべきものではないという答弁があつたのであります。しかして、昨日の総司令部メモランダムで一應官公廳ストは中止になつたのでありまするが、今回のストを機会にして、官業と民業との本質を十分に檢討する必要があるのではないか。民間企業者は経理、経営の自由の立場から、よく労働功勢に対して機宜の処置が講ぜられる結果、自然ストに至らずして事前に解決されるのが多いのであります。しかるに官業公営事業は、予算と法規によらなければならぬ関係上、そこにわくに押えられ、應急臨機処置が不能である。すなわち、民営には景氣変動に即應すべき可動性があるのに、官営にはその可動性がない。そこで経済変動期に際し、移行性の乏しい官業に対し、いわゆる過激派ストライキの誘発のねらいがなされることになるのであります。昨年の二月一日のゼネスト及び今回のストがこれを実証するものであります。すなわちこの実情から見れば、官公事業には常に一般経済性を欠いておるものがあると断ぜなければならぬ。経済性のないところに生産性はない。從つて産業面において官公事業の拡大せられんとする今日の傾向は、將來極力避けるべきであると結論されるのであります。この点に対する安本長官の所感をお伺いしたいと思うのであります。  第二に、安本長官及び商工大臣の御意見をお伺いいたしたい。過日首相は、動力源開発のため國家將來大規模水力発電に力を注ぐ決意を表明されたことは、まことに敬意を表する次第であります。この際お尋ねしたいことは、現在の電力危機を打開するためにも、小規模の自家発電は今後自由に民間に開発せしむる方針をとられてはどうかと思うのであります。この点に関する御所見をお伺いするとともに、現在の國内の配電の状況を見ると、地域的にはなはだ不公平で、たとえば本土と九州のごときは、配電の段階において非常な差等を設けておるのであります。この不公平に対しいかなる処置をとられるお考えであるか、この点もお伺いしたいと思うのであります。  第三には、政令による料理飲食業営業停止をさらに永続せらるる意思であるかを質問しようと思いましたところ、二、三日前のラジオ放送によりますると、永続の意思がないということでありますから、くだくだしく質問をすることをいたしませんが、そのラジオ放送通り、この営業停止は解くという御意思なりやいなやを、はつきりこの壇上において御説明をお願いしたいと思うのであります。  次に、農林大臣並びに商工大臣に対する質問を申し上げます。  第一には、供米その他に報奬物資を出すことは、今日の場合いたし方ないと思うのであります。そこで政府は、農村約束通り報奬物資を出しておるのか。これまで空手形を出しておつて、現在においては、報奬物資を見せなければ供出しないという地方もあるということであります。その上に、政府の供出した米に対する代金支拂いが半年以上も遅れる。一面には報奬物資をやつて供出をせしむるとともに、供出した米に対しましては、代金支拂いを半年以上も引延ばすということは、まつたく昔の惡代官そのままのやり方だと思うのであります。そういう心のに対して十分な責任を負つてもらわなければならぬと思うのであります。この点に対する政府のお考えをお聽きしたいのであります。  なお第二には、近來硫安肥料が過超のために、はなはだしく増産を害しておるということである。近時のたまねぎ、ねぎはその香りを失つて從つてそれだけの精分がないということを承つておるのであります。すなわち農村における硫安肥料は、その極限を過ぎておるものと認められるのでありまして、今やわが國の肥料対策に対しましては、轉換の時期が來ておるのではないか、こう思いまするが、この点に対する農林大臣のお考えを承りたいと思うのであります。  次に、大藏大臣安本長官お答えをお願いしたいと思います。  一つは、最近の國民所得はいくばく程度に見られておるのであるか。  第二には、インフレ進行の見透しはどうか。併せて現在高の通貨をもつて本年内の切盛りができるというお考えがあるか。もし不可能とすれば、どれくらいの発行高の増加のお見込みであるか。また將來物價通貨の惡循環をいかにして解決する御方策であるか、併せて承りたいと思うのであります。第三には、外資導入の本筋は民間業者の動員が大切と思うのでありまして、政府はこの点につきいかなる手を打ちつつあられるのであるか、その点をお伺いしたいと思うのであります。  次には、大藏大臣並びに厚生大臣にお尋ねいたします。  戰いに敗れた國民の大なる希望は、平和なる第二の國民を育成することにあるのであります。しかして、これら子供にとつて主要食糧である砂糖については、特に母性の悩みとして強く叫ばれておるところであります。しかるに事もあろうに、最近タバコ製造に多量の砂糖を割り当て、おとなの嗜好にこびんとしておるのはどういうことか。また紙不足のため出版業者は泣いておる。しかるに、やみタバコのため非常にたくさんの紙が煙になつておるという現実の面があるのであります。結局やみタバコは、子供砂糖を食い、出版業者の紙を食い、併せて政府税収入を食つておるのであります。このやみタバコは、正式ルートのタバコとどのくらいのパーセンテージになつているか、大藏大臣の見込高を承りたい。またそれぞれの立場から、このやみタバコに対する大藏大臣厚生大臣並びに用紙関係國務大臣の御所見を承りたいと思います。  安本長官に対する最後の質問といたしまして、経済的の大なる轉換期に臨んでおる今日、國民のこれに対処すべき心構えを教えてやるということは非常に時宜を得たことと思うのであります。これにつきまして、前内閣が出したような経済白書をもつて國民のこの経済危機に対処する心構えを教えてやるお氣持はないか、この点をお尋ねいたします。  次に、建設院総裁にお尋ねいたします。建設院は不建設院との批評を受けている。この際新総裁は、この不名誉なる批評に対して大いに革新的の方法をとられるお考えはないか。官僚の机上プランを排除し、地方の実情に即し、大いに自力復興を奬励してはどうかと私は思うのであります。しからざれば、中小都市の復興はとうてい不可能と思うのでありまして、すでに地方においては、実情にそぐわない道路の廣さ、不用の緑地帶、資材の不融通性につき、こうごうたる中央不信の声があがつておるのであります。日本復興のために、建設院総裁の御所見をお伺いいたしたいと思うのであります。  厚生大臣にお尋ねいたします。労働攻勢の盛んなる際、われわれは労働者の保健衛生という面をも見てやらなければならぬと思うのであります。この際医療費の低減ということは何よりも必要で、病は貧乏の大なる原因といわれておるのでありまするから、この点は大いに当局は考えなければならぬことと思うのであります。現在医療資材の價格は、消費者の面を考えず、生産費のみをめやすとして決定せられておる。これは公衆衛生、民衆の福祉という点からいえば、生産費を割つても、ある方面の需要の医療品はこれを安く賣りさばいてやる必要があると思うのであります。すなわち、医療の品物に対しては二重的の價格を定めるお考えはないか、この点をお聽きいたします。  次に、今日わが國の國民健康保險政策はまつたく壁にぶつかつていると言つても過言ではないと思うのであります。保險に加入している者の過半数が普通の医者に通つているという現情であります。この現実の事実の最大の原因は、低廉なる治療費をもつてむりに治療を強制せられるからであります。勤労者諸君が安んじて治療を受けるよう國民健康保險の根本的改正をなされる意思はないか、この点をお聽きいたします。  第三といたしまして、生活協同組合の本質は、自己の資本で、自己の労力でやるということをその本質としておるのであります。それが他人の資本、他人の労力でやる生活協同組合ということになれば、中小の商業を圧迫するという結果を招くのでありまして、この生活協同組合と中小商業との間には一線を画さなければならぬと思うのであります。この点に対する厚生大臣のお考えを伺いたいと思うのであります。(拍手)労働大臣に対する質問を申し上げます。昨年の二・一ゼネスト、今回の官公労のスト、二回が二回まで実質的に中止命令を食つたということは、わが國労働運動の非常な黒星と思うのであります。この運動の裏面を掘り下げてみますれば、組合員の過半数はほとんどストライキ不賛成である。その家族も不賛成。しかも、かくのごときストが実行され、まだ実行されんとすることは、総司令部当局も指摘せられるごとく、一部の過激者の政治理念に基くものであるということは、最も明らかな事実と思うのであります。二度までも黒星をいただいた労組は、日本労働組合の名誉のために、三度の黒星を得ないよう深く自粛自戒する必要があると思うのであります。これは組合員の責任であるとともに、政府責任であると思うのであります。二度の黒星をいただくよう指導した組合の幹部は、これを組合より追放する考え政府はもつておられるのであるか、労働大臣の所信をお伺いし、併せて將來の対策をお伺いしたいと思うのであります。  最後に、これはただいまは総理大臣の監督下に置かれているようでありまするけれども、指揮系統から言つて法務総裁の御答弁を仰ぐ方が明快であろうと思いますから、法務総裁の御答弁をお願いいたします。  新警察制度が発足してまだ日も浅いのでありますが、警察官の心構えはほとんど改まつていない、旧態依然たるものがあるのであります。二つの実例を申し上げて、その指導に対する総裁のお考えを承りたいと思うのであります。一つは、やみ買出しを警察が嚴重に取締つた結果、買出物を取上げられた者が、ただちに途中で辻強盗に変つたという実例がたくさんある。第二には、スピード檢査はまことに結構であるが、國会議員を満載したところのあの國会行バスが、スピード檢査のために長いことを待たされて、委員会その他の出席が遅れた実例がたくさんあるのであります。新発足の警察官には、ぜひ常識的に、また温情的に、言葉をかえて申しますなれば、民主主義的に、角を矯めて牛を殺さぬように事を処理するの心構えを教えることが一番大事であると思うのでありまするが、法務総裁はこの点に対してどういう指導の方法をとつておられるので、あるか、お聽きいたします。  以上をもつて私の質問を終わります。(拍手)     〔國務大臣芦田均君登壇
  14. 芦田均

    國務大臣(芦田均君) 本田英作君の私に対する質問の第一は、日本再建のために、内閣総理大臣救國の熱意と迫力をもつて國民に臨まなければならないと思うが、どうもそれが足りない、それをどう考えるかというお尋ねでありました。ご承知の通りに、新内閣は三党政策協定を基本としてその政策を立て、新内閣の政策は、去る二十二日に不肖私並びに経済閣僚より諸君に発表いたした通りでありまして、われわれの目標は、この政策をいかに急速に、いかに強力に実行すべきかという点にかかつていると考えるのでありまして、これを言葉より実行に移すという点に、熱をもつて事に当りたいと考えております。  質問の第二は、中道を歩む政治を行うと言つておるが、よろしく國内においては政治休戰を行つて國力を結集する必要があると思うが、政党の合同を実行するのかどうかというお尋ねでありました。本田君の発表された御趣意は、われわれもまさにその通り考えております。だだ、政策、主義主張を同じくする者が一つ政治的結社をつくるということが原則である限り、まずもつて政策において合致するにあらずんば、いたずらに合同をはかることは意義をなさないと考えおります。  第三は、一体講和條約はいつごろ締結できる見込みであるかという御意見でありましたが、現在のところ、率直に申しまして、正確にいつの時期に講和会議が開催せられるかという見透しをつけることは非常に困難であります。日本國民としては、もとより一日も早く講和会議に臨んで、完全な独立國家となることを期待いたしておるのでありまするが、周圍の状況は、正確に講和会議の開催せられる時期を見透すことができない状態であることを御了承願いたいと思います。  その次に御質問なつたことは、ソ連地区より引揚げるべきわれわれの同胞が、今なおかの地に残留しておる、この問題について、引揚げ促進のためにソヴイエト連邦政府交渉を行つたことがあるかという御質問でありました。御存じの通りに、わが國は現在まだいずれの政府とも正式に外交交渉を行い得る環境には至つておりません。しかしながら在外同胞の引揚げ問題については、すでにポツダム宣言の中にも掲げてある問題でありますから、連合國の熱心なる仲介によつて、今日までソ連地区よりの同胞引揚げ問題も比較的順調に進捗させることができたのでありますが、最近冬季に臨んで、港の結氷の結果、本月末日までは引揚げを停止するのやむを得ない状態にあつたことも御存じの通りであります。しかしながら、今後とも政府は連合國の好意ある斡旋によつて、一日も早くこれらの同胞を帰還せしめることに全力を盡したいと考えております。  最後に、わが国に学術研究の大きな機関を設ける必要があると思うが、それを計画しておるかという御質問であります。新内閣成立後、文部省においてもこの問題を取上げて、ある程度具体的の案ができ上つておるのであります。ただ残る点は、この大きなる研究機関に対してどの程度まで政府が國費を投ずることができるかという点において、まだ最後の解決に至つておりません。しかしながら御趣意に副うて、今後わた國の財政の許す限り、この方面に十分努力をいたしたいと考えておる次第であります。(拍手)     〔國務大臣永江一夫君登壇
  15. 永江一夫

    國務大臣(永江一夫君) 私に対しまする三点についてお答えいたします。  第一点は、報奬物資についてのお尋ねであります。報奬物資の配給が非常に遅れておるということは、しばしば承るところでありますが、政府におきましても、報奬物資の配給につきまして格段の努力をいたしまして、御承知のように作業衣その他につきましては、ただいまのところ、すでに報奬物資として八〇%の配給を終つておるのであります。なお残部につきましては、四月中には、農家にお約束をしました報奬物資は残りなく配給いたす予定であります。  第二のお尋ねは、主食買上金の支拂いが非常に遅れておるというご意見でございます。この点も、私どもはまことに申訳ないことと思つております。しかし手続といたしましては、御承知のように主食買上げをいたしまする際には、供出と同時にその金を農業会の預金といたしておりまするので、政府はただちに支拂いを完了した形になつております。しかし末端の市町村におきまする農業会等の事務上の不備がございまして、今御説の通りに非常に主食買上金の支拂いが遅れておりまするから、今後はさようなことを繰返さないように、政府として十分注意をいたすつもりであります。  第三に、わが國の肥料は硫安中心から他に轉換をする方策があるかないかという点であります。硫安は御承知のように、長く使用いたしますると、相当土讓の中に酸性を残す欠点をもつております。しかし、現在のわが國の化学工業の実力から申しましても、資材並びに生産費等から見ましても、どうしても大量生産という面から、われわれは硫安に及ぶ他のものを見つけることができないのであります。また石灰窒素について申しましても、御承知のように追肥には不適当でありまして、全面的にこの肥料を使うということも妥当でないと思います。さらに硝安は、わが國のような稻作を主といたしまする地域におきまして、水田に施しますことは、窒素の流亡が多くなりまして、これまた適当なる肥料とは考えられません。現在政府におきましては、その他の肥料といたしまして、燐酸アンモニア及び尿素等の研究をいたしておりまするが、現在の状態では、設備・資材の点でいろいろな困難がございまして、お説のように政府がわが國の肥料を硫安中心から他に轉換することは、にわかにできないという点を申し上げておきます。(拍手)     〔國務大臣竹田儀一君登壇
  16. 竹田儀一

    國務大臣(竹田儀一君) 本田議員の私に対する御質疑は三点であつたと思います。  御質問になりました第一点は、医藥品の二重價格制の問題でありますが、御趣旨はまことに結構なことと存じます。しかしながら、財政の窮迫しておりまする今日、種々困難な問題もありまするので、この点を十分考慮いたしまして、御趣旨に副うように努力いたしたいと思います。  社会保險制度の問題でありますが、主として現下の経済変動に禍いされまして、目下のところ遺憾ながら不振の状態にありますことは、仰せの通りであります。厚生省といたしましては、目下この制度の改善をいたしますため準備中でありますが、この法律の改正と相まちまして、一層趣旨の普及に努めまして、円滑なる運営をいたしたいと存じているのであります。仰せの通り不振の状態にありますことは、まことに遺憾に存じますが、できる限り法律の改正と相まつて円満なる運営をいたしたいと思います。  第三点は、生活協同組合と中小商工業者との関係をいかに調整するかという問題であります。生活協同組合について最も大きな問題の一つは、中小企業者、特に商業者との間にどの点で一線を画するかという問題であると思います。これはお説の通りであると思いますが、中小企業は、その過去の経験と技術とをもつて消費者に奉仕せんとするものでありまするし、生活協同組合は、自主的な組織として、組合員相互の協力によつてお互いの福祉をはかろうとするものであります。両者それぞれ特色を有するのでありまして、あるいは互いに競爭し、あるいは互いに手を連ねまして、國民経済の安定向上に寄與し得るものと信ずるのであります。政府といたしましては、一方に特別な保護を與えて、他方を不当に圧迫するというようなことなく、それぞれの特色を十分に生かして、互に足らざる部分を補いつつ健全なる発逹を遂げるように育成助長いたしたい考えでございます。簡單に御答弁申し上げます。(拍手)     〔國務大臣一松定吉君登壇
  17. 一松定吉

    國務大臣(一松定吉君) 本田君の御質問に対して、私に関する限りの点をお答え申し上げます。  建設院としての仕事について、ひとつ何か大いに目新しい、しかも人のびつくりするような、そしてこの建設の目的を逹するような仕事について私の考えておりますることは、まず何をおきましても、今日の実情から見れば、まず第一番に水害対策を取上げなければならぬことは言うまでもありません。この点に関する仕事といたしましては、つまりそれらの点に関する仕事を完成するのには、よほどたくさんの予算を請求し、これを獲得しなければならないが、それらの点につきましては、いろいろの事情のために、今日私どもの満足するだけの予算のとれないことをはなはだ遺憾に考えておりまするが、これはできる限り、建設院総裁だけではない、政府一体となつて、これらの点についてただいま努力中でありますから、いずれ早晩、まあまあこの程度ならばという御期待に副うだけの予算は獲得することができようと思います。(拍手)  その次におきましては、何を申しましても戰災都市の復興ということが第二に考えられなければなりません。この点につきましては、どうしても六大都市は燒跡地を急速に整備いたしまして、その区画整理を完全にして、そうして、ほんとうに日本國民の住みよき立派な土地を建設しなければならない。(予算がないと呼ぶ者あり)それにつきましても、同じく今おつしやるように実は予算がない。でありますから、実はその点につきましても、公共事業の予算として、私は大いにこれを大藏省並びに安本方面に向つて全力をあげて請求すべく努力中であります。(拍手)  その次にはいわゆる住宅問題、この問題は、今は戰災都市の人々は住宅がないために困つておる。私もその一人でありますが、あるいは引揚者諸君のためにも住宅が非常にない。こういう方に対して、少くとも一年に五十万戸くらいの住宅を差上げるくらいの仕事をしなければならぬと考えております。(拍手)そういう点に対しても私は大いに努力いたしまして、自分の職責を全ういたしたいと考えておりまするが、何と申しましても、仕事は予算の問題、金の問題である。この点につきましても、ひとつ皆さん方の十分の御協力を仰ぎまして、この目的を逹成いたしたいと考えております。何分の御協力をお願いいたします。     〔國務大臣加藤勘十君登壇
  18. 加藤勘十

    國務大臣(加藤勘十君) 本田君の御質問お答えをいたします。本田君のお尋ねの要旨は、昨年の二・一ゼネストの場合と今回の場合と、二度までも指令なりあるいはメモランダムを発せられたということは、いかにも遺憾のきわみである、こうした爭議を起すに至つた組合の中においても、半数くらいの組合員は爭議に反対であるが、それにもかかわらず、こういう爭議が起つたということは、一部の過激主義者が煽動したためではないか、こういうような御質問の御趣旨でありましたが、この点は、組合があくまでも民主化の線に沿いまして、民主主義團体の基本的な組織であるという点に鑑みまして、少数が多数の意見に從うということは当然のことであります。あるいは組合員の中には反対の意見をもつている人がありましても、正規の機関により、多数の意思によつて決定されたことには、組合員はこれに從う。これはまことに今日の民主的組織の労働組合においては当然のことであるというように御理解を願いたいと存じます。  また今回の爭議のような場合には、組合においても大いに自粛自戒し、政府もまた大いに考えなければならぬ点があるが、こうした爭議を起すに至つた指導者を組合から追放する意思政府にないかどうか、こういうお尋ねでありましたが、先般來本議場におきましてもしばしば申し上げましたる通り、組合はあくまでも自主的に発逹していくべき性質のものであり、決して政府においても、またその他のいかなる政治勢力においても、これに干渉したり、あるいは指導したりする性質のものではないのでありまするから、そういう点につきましては、組合が堅実なる発展を遂げるならば、きつと組合の正しい意思が組合の行動の上に実現されていくであろうと思うのでありまして、組合員多数の意思に反するような少数の指導者は、おのずから組合内部においてそれぞれ清算されるのでありまして、決して政府がかれこれ干渉すべきではない、このように私は考えております。(拍手)     〔國務大臣鈴木義男君登壇
  19. 鈴木義男

    國務大臣(鈴木義男君) 警察のことは、御承知のように自治体警察も國家警察もともに公安委員会の管轄に属するのであります。まだ議会にその代表が出ておりませんので、便宜私からお答えいたしますが、やみ取引に対して警察官がもう少し手心を加うべきではないか。取上げられたために強盗になつたという実例を引かれたのでありますが、かつぎ屋を見るときに、まことに私どもは胸の痛みを感ずるのであります。何とかしてこれらの人々を正当な生活戰線に立たせたいということを考えるのであります。これは警察官の手心の問題でなくして、大口のやみ取引はもちろん嚴重に取締つておりまするが、小口のやみ取引も、やはりその総体の数量は非常に大きなものでありまして、全然これを見逃すというわけにはいかぬのであります。問題は結局、末端の警官は寛嚴よろしきを制しておると考えますが、流通秩序をいかにして確立するかという根本問題にもどつていくのでありまして、その点については、政府といたしましては十分に心を用いておるということを申し上げておきたいと思うのであります。     〔議長退席、副議長著席〕  なお、スピード違反の取調べ等が長時間にわたつて、常識に反するという御非難であります。そういうことは、まれにあろうかと思うのでありますが、できるだけそういう常識に反することがないように指示いたすつもりであります。(拍手)
  20. 田中萬逸

    ○副議長(田中萬逸君) 栗栖國務大臣商工大臣大藏大臣は、予算委員会との関係でお見えになつておりませんから、適当な機会に答弁を願うことといたします。徳田球一君。     〔徳田球一君登壇
  21. 徳田球一

    ○徳田球一君 私は、日本共産党を代表いたしまして、芦田首相並びに栗栖安本長官施政方針演説に対しまして質問をせんとするものであります。  第一に外資導入についてであります。この外資導入につきましては、政府及び資本家の態度はきわめて奇怪至極のものでありまして、ただ物をとりさえすればよい、あとの條件は何も考えておらない、まるで乞食的な態度であると言わざるを得ないのであります。何らの計画なくして物をとりさえすればよいということであつてはならないのであります。しかるに、これを実証しますものは、今後のこれが成功いかんを律するものは、実に現在における貿易の実態そのものであるのである。  昭和二十二年度、すなわち昨年度中の貿易の実績を見まするに、輸入中には食糧、石油、肥料、綿花等の占める割合が実に八八%でありまして、これらはすべて消費されるものであり、何ら生産設備を充実するものではないのである。さらに輸出中には纖維品が五六%を占めまして、輸入によつてさらにこれを加工して輸出する綿糸並びに綿製品がその中の六三%を占めているのである。これらも、すべて國内における消費を節減して、そうして実際上は空腹輸出をしておるわけであります。  しかるに奇怪至極のことには、機械並びにその部分品、鉱物、金属、石炭等、今生産復興のために最も必要なるもの、離してはいけないものが、この輸出の一六%に及んでおるのである。それゆえに、この輸出の全体を見ますれば、生産の施設を増強するということが目的ではなく、かえつてこつちにおいては、生産に必要なるものは外國へ安く賣つておるという、実に言語道断な矛盾を來しておるのである。しかも輸入は輸出の二・六倍である。その結果、入超が輸出のまさに一・六倍という驚くべきものになつておるのである。そういたしますれば、この輸出によつて輸入を償うことはできませんために、終戰以來昨年末までに、入超は累積に累積を重ねまして、実に驚くべき累積をしておるのである。これが三億三千四百万ドルになつておるのである。百五十円に換算いたしましても、五百十億という莫大な負債を今もつておるわけてあります。  しかるに、このうち輸入の実態をさらに詳細に調べてみますれば、日本に輸入せられる小麦は主としてカナダ小麦でありますが、このカナダ小麦の横浜着の値段は一トン当たり百五十ドルでありまして、これを百五十円で換算いたしますると、驚くなかれ二億二千五百万円という莫大なものになるのである。しかるに日本における小麦の値段は、食料の統制によりまして一トン七千五百四十円でありますから、輸入は三倍以上の値段になるのであります。それゆえに、これを國内の配給に使いますときは、この二倍の値段は政府が補給してやらなければならないことになるのである。驚くべき事実である。  さらにこれを輸入石炭に見ますれば、カナダ炭は神戸着におきまして二十九ドルである。これまた日本金に換算いたしますれば四千三百五十円、しかるに日本における製鉄用の國内炭は、八幡製鉄所におきまして、一トンわずかに六百円として渡されておるのであります。驚くべき高價のものを輸入しておるのである。海南島から輸入しますところの鉄鉱石は、一トン十六ドルである。日本金に換算いたしまして二千四百円である。これを内地産の鉱石にしますれば、わずかに四百円である。こういう事態でありますが、これを政府の計画しておりますところの石炭五十万トン、鉄鉱石七十万トンの輸入をいたすといたしますれば、驚く、なかれ三十二億七千五百万円というものが、日本産を使いますよりもよけい高價のものを使わねばならないという驚くべきことになるのである。  さらに神戸から各工場に渡します。ときに、この運賃はすべて政府もちでありますが、これが十二億円。さてこれを精算いたしまして、中國港渡しの薄鋼版にいたしますれば、トン当たりにして、ここまでの生産費が一万八千五百円かかります。ところがアメリカの鋼板は、上海において賣渡し値段は一万五百円でありますために、ここに八千円の高價のものになるのであります。これを二十五万トン輸出計画いたしております。これらをやりますと、二十億円損をするわけであります。從いまして、この石炭及び鉱石を輸入して、これを生産して輸出するというこの方式によりますれば、驚くなかれ、一箇年間に六十四億七千五百万円という莫大なる損出をわれわれ國民が負わなければならないという重大なる事態に際会するのである。これがドルの資金として固まるわけでありますから、この負債はドル資金として予算面には現われませんけれども、しかしながら、將來われわれはこの重圧に圧せられなければならないということになるのである。それで実際上貿易廳の損失は、二十二年度だけで百六十億以上と推定せられておるのである。  さらに奇怪至極のことには、綿布を外國渡しに賣りますときに一ヤール十三円五十銭でありますが、國内においては、これのやみ價格が二百円以上である。そのために綿糸布を輸出するのを控えまして、國内の滯貨が莫大なものである。生産した総額の半分以上に逹するであろうと推定せられておる。すべてこれは、この安いものを製造業者が引取りまして、これをやみで流す魂膽のもとに行われているのである。  それゆえに、かくのごとき貿易は、まさに日本國民をして破滅に陷れ、その結果、外國資本家並びに日本独占資本家の腹を肥やす以外には何ものもないということになるのである。かかる方式において、はたして今後借りるクレジツトが一体何をなすであろう。これは日本國民をして外國資本、日本の独占資本を富ますところの手段として以外に何らの途がないではないか。それゆえに、かくのごとき状態におきましては、外資の導入はわが党は絶対に反対せざるを得ないというのであります。  第二に、かかる外國資本に対しまして、これはただではおくものではない。殊に外國資本が直接導入されますれば、これに対してどうしても抵当を設定しなければならないのである。栗栖國務大臣は、これに対して電力設備を抵当に入れる、あるいはすでにはいつておると言われるのでありますが、こればかりのものではとても足りるものでない。今後これが増大いたしますれば、國鉄も逓信も海運も、それからその他の大きな設備、殊に今後は関税も、すべてこれらは抵当に入れなければならない。  しかも、こういうむちやをやりまして、入れるときには高く、賣るときには安くという状態にいきますれば、損するにきまつておる。利子は拂えない。この結果は一体どうなるであろう。この結果は、まさに日本の全財産が外國資本の支配に属するということになるのではないか。かつての満州を見、かつての上海を思い出すならば、わが日本國民は、まさに膚にあわを生ずる一大危險を感ずるではないか。  しかるに資本家におきましては、鉱山権を渡してもいいとか、株式のうち五一%までも外國資本に渡していいというような態度をとつておるのである。五一%外國資本に握られたちどうなる。一切が外國資本の奴隷にならざるを得ないではないか。これを認容する者は、かくのごとき資本家は、まさに賣國奴であるといつて少しも差支えない。こういうことは、あの南京政府と称された汪兆銘、彼でさえ、日本にさえも許さなかつたものである。今や日本政府の態度及び日本の資本家の態度は、この汪兆銘以下だといわざるを得ないではないか。  さて、さらにこれを受け入れるために、法人税を安くして、これに利潤を與えることを約束する。現在におきましても、大衆の課税は強く法人の課税はきわめて安い。その上なお安くしますれば、一体どうなる。大衆はまつたく課税に圧倒されまして、生きる途を失うことは当然ではないか。さらに行政整理、企業整備におきまして、首を切ることに興味を感ずるに至つては、首切浅右衛門でございまして、かかる方針によつて外國資本を入れようとすることは、実に罪惡そのものといわざるを得ない。さらに低賃金政策をとり、組合を御用化する政策をとり、工業生産物を高價格にし、農業生産物、水産物、手工業生産物をなるべく低價格にしようというこの政策におきましては、農民、中小商工業者は破滅し、労働者はまつたくこじき以下に下るではないか。  かくのごときは、まつたく外國資本の利益、國内における独占資本の利益のために、日本人民の、全國民の九五%をまさに奴隷とするところのものである。こういう方針を立てまして、しかも芦田首相は、この外國資本の導入によつてのみわが國を再建するというに至つては、驚くべき愚鈍ではないか。  しかるに芦田首相は、このインフレの中に繁栄しておるといわれた。何が繁栄している。芦田首相は、銀座において、どこにおいて、家がどんどん建つているじやないかと言う。この家が建つているのは、だれが建てたのか。これは大やみ屋が建てたのではないか。ここに労働者がいるか。ここに引揚者がいるか。労働者も引揚者もみんな苦しんでいるではないか。三疊に五人、六人寝ている所はたくさんある。繁栄しているのはだれだ。大やみ屋じやないか。しかもここに品物がたくさん出ておるという。なるほど出ておる。相当出ておる。これはもはや購買力がなくなつたために、買う者がないから品物がたくさんたまつているだげの話である。購買力があれば、これらの品物はどんどんなくなるに違いない。こういうものを見て、これが繁昌のしるし、好景氣のしるしだと言うに至つては、まさに芦田首相は笑うべき限りの人間であるといわざるを得ないのである。  それゆえに、わが党の外資導入の政策は、これらの政策に反対し、第一に、民族の独立、國家の自主権を害せないことを條件とすること、言葉をかえて言いますれば、政治的干渉は絶対避けるということ。第二に、経済の復興はすべて独力でやるということ。この独力でやることに対して、クレジツトは單にこれを援助するというに止まるべきこと。第三に、國営人民管理の貿易によつてこのクレジツトが設定せられること。決して現在の官僚並びに現在の資本家によつてクレジツトを得、資本を得るということには絶対反対である。これらは大やみ師、これらは経済を破壊する毒物であるから、これらに資金を與えるということは絶対反対である。しかもこれらのクレジツトは、すべて利子その他元本とも、わが國経済の範囲内においてこれを消化し得るということが條件にならなければならないと思うのである。これに対して、特に芦田首相、来栖國務大臣並びに水谷商工大臣答弁を求めるものである。  第二に、労働問題についてである。苫米地國務大臣は、この前、今の給與によりますれば、東京では、三人家族でもつて三十二、三歳の者は、一般の事務員が四千二百六十六円、現業は五千三百三十三円になると言われたのである。しかし、これは單に名目上の手取りにすぎない。しかも、こういう給與の体系は非常に複雑なるために、鉄道総局に行きましたら、上の方では、だれがいくら取つて、だれがどうか、そんなことは全然知らぬ。末端に行かない限りわからぬ。末端に行つて調べました事実によりますれば、実にかくの通りである。  非現業の東京商工局におきまして、事務員が税込みで、この先生の言われる標準でもつて三千二百四円五十銭でありまして、まさに一千円近くの相違が出ておる。下の方に薄くなることを苫米地先生は知らないのである。こういう結果になる。しかも、これが手取りにおきましては、驚くながれ、二千七百五十九円五十銭にしかならない。現業におきましては、國鉄の機関士でありますが、勤続十年ないし十二年、年齢三十二歳でありまして、これが税込みでもつて三千五百六十八円五十銭しか取つていない。これから税を引きました手取りは三千四十四円五十銭でありまして、苫米地先生の言われるのに対しまして、二千三百円近くも違つておるのである。これが事実である。これは何を意味するか。これは職階制の不合理を意味するものである。  当衆議院及び参議院におきましても、この職階制のために、小使さんたちが、これまで取つていたものよりもかえつて少なくなるという事実になつておる。それゆえに、四月以後におきまして、どんどん頭から不足分を取去られるということになつておるそうだ。それゆえに、今やここにもストライキがまさに起らんとしつつあるのである。かくのごとき不合理、かくのごとき状態こそ、まさに一大爭議が起るところの原因である。こういうむちやくちやな職階制、こういうむちやくちやな給與法は、現在の状態においではまつたく適せないのである。これをむりやり、口を開かして押しこむような、そういう態度をとるに至つては、まさに言語道断といわざるを得ないのである。  さて、総理大臣が二万五千円、平大臣が一万八千円、これだけ取るということに対しまして、苫米地大臣は非常に憤慨せられまして、かかる事実はない、こう言われましたが、これは共同通信から発せられている、予定のものでありまして、今まさにこの爭議が終ればパツと上ろうとする、その態勢のうちにあるのである。実にこれは八倍でありまして、こういうことは、現在取つていないというだけでは弁解にならない。ここは八倍上るのに、労働者は大体におきまして——事務員は、名目上でさえ、手取りにおきましてはわずかに三割前後しか上らない。  そういうことを考えますれば、いかにこれが残酷無類のものであるか。総理大臣といえども、小使さんといえども、生きるためには大して違いはない。どれだけ職務を盡したかということにしたつて、決してこれは比較にはならぬ。小使さんの方がいいかもしれぬ。なぜなれば、大臣のごときは積極的に惡いことの面を結果している。それゆえに、職務上これに高給を拂うということは決して合理的ではない。  かかる結果、すべて仕事は非常に非能率になり、食えないからやみをやらざるを得ない。すべて腐敗堕落のもとは、この給與が実に非人間的であるからである。不合理にできているからである。小やみを押えれば押えるほど、いよいよますますこれは國内の一大騒動を起す爆藥を詰めるのと同一の結果になるではないか。この爭議が起るゆえんのものは、かくのごとくである。この根本的なものを直さずして、これに対する基本的な方針なくして、加藤君や西尾君や苫米地君が、ただ手先でもつてこれを操つて何とかしようたつてだめだ。いかなる彈圧を受けようとも、いかなるものがあろうとも、人が食えなくなれば、最後に一番強くなるのである。そうなつて初めてここに革命が勃発するのである。まさに革命のために爆藥を詰めつつあるのは大臣諸君である、政府それ自体であるということを、ここに立証しているのではないか。  專賣局におきましては、一日五十万本のたばこが盗まれるという。五十万本盗まれるということは政府が認めておるところだ。こういう不当のことをするから五十万本も盗まざるを得ないのだ。いかなる監督をつけましてもこれを追い出す。事実上、監督は勤まらないといわれている。  さて、この上にさらに勤労所得税は二重課税をしている。すなわち源泉で課税して、さらに総合所得に課税するために、驚くべき惡税となりつつある。そのために、職場放棄がどんどん起りつつある。いい腕をもつている熟練工であればあるほど、どんどん職場を放棄している。そのために生産を害せられることおびただしいものがある。  これを教員の例に見ますれば、師範学校の卒業生の就職拒否は非常にたくさんありまして、その結果北海道におきましては、正式の免状をもつている者はわずかに三〇%という悲劇を生じている。あとは、きよう床屋をやつていたかと思えば、あしたは先生になるという連中でありまして、とうていこれはものにならないのである。  文部省の統計によりますれば、本年師範学校の受験に應募している者——これは試験を受けたのではない、受けようといつてきた者、これが男子がわずかに定員の一倍半に過ぎない。すなわち半分を超過したに過ぎない。実際に試験を受ける者は、はたして定員に満つるかどうか危いのである。さらに女子におきましては、應募者が定員のたつた半分にすぎないのである。こういう状態では、今やまさに職場放棄が始まる。こういう官公職に就くことは人が好まないようになり、ばかがここにはいるようになりますれば、一体、どういう結果になるか。  かかる状態におきまして、行政整理を二五%やるに至つては、これはまさに白痴のやることではないか。いよいよますます労働を強化し、いよいよますます困難を増加るのに、かくのごとき所にはいる者がどこにあるか。みなどんどん逃げていく。これは現に税務官吏のうちに起つておるのである。税務官吏の爭議が最も強硬である。いかなる彈圧に対しても断固闘つているのは、実に税務官吏が、かかる状態ではいつやめてもよろしいという大きな決心をもつているからである。だから、いかなることをもつてしても屈しないのである。  さらに、石炭における最近の増産が衰えているといわれておりますが、これを労働者の責任に嫁そうとしているけれども、そうではない。事実は、この施設の荒廃、石炭の設備の破壊から起つてきておるのである。現在石炭採掘にあたりまして、百万トン当りの死者が、アメリカにおいてわずかに二・二三人であるのに、日本においては三〇人という驚くべきものになつている。十五倍である。それゆえに、日本の一万トン当りの死傷率は〇・五人になつております。三千万トンを掘るにあたりましては、一千五百人というものが死傷をしなければならなくなるのである。その不良の状態につきましては、外國人もこれを認めているところである。  さて、こういう状態の中でも、共産党がこの生産不良に対して責任があるかのごどく言うけれども、事実は逆だ。たとえば九州における高松炭鉱は、わが党の一大細胞が公然と存する所である。堂々と闘つている所であるが、ここの増産は、まさに成績優等である。九州一である。これは共産党が生産に対して眞に労働者的に精進していることを立証しているものといつてよろしい。  生産の惡化につきましては、これが原因ではなくして、実際は施設の荒廃が原因である。ここに読みあげてみますれば、昭和十六年におきましては、十一万九千百九十九トンの鋼材を使つておる。しかるに二十年におきましては、わずかに二万百九十五トンしか使つていない。しかも、レールの質が非常に惡化したために、非常に設備が惡くなつておる。能率が下つておるのである。しかも、この二十年以後におきましては、これよりもなお下つてはいても、よくはなつておらぬ。セメントにおきましては、十六年に十万二千三百トンであつたのが、二十年にはわずかに一万七千九百五十トン、非常に下つておる。坑木におきましては、十六年に千百七十八万石使つてつたのが、二十年にはわずかに五百五十万石しか使つておらぬ。  かくのごとき状態において、生産が減退するのは当然である。にもかかわらず、これをわが共産党の活動に帰せようというに至つては、まさに笑うべき限りではないか、しかも、労働者の怠慢に帰せようというに至つては、ストライキ責任を負わそうというに至つては、まさに政府が根本的にこの事態を把握し得ない無能の至りではないのか。さもなければ、資本家の利益のために労働者を彈圧することを職業としている者だけがこういうことを言い得るのである。  事実、石炭國管におきましては、九州の貝島炭鉱は、これはどうしても國管をしなければならないのに、この三つの炭鉱を分離することに策動している、よからぬ性質の者があります。労働者がこれに対抗し、かかる分裂を拒否しておりますのに、水谷商工大臣その他は、この陳情に対してちつとも働いておらぬ。非常に怠慢である。これを傍観しつつある。そうして実際この組合の分裂策動をし、事実これを分けることに対しまして、これが小さい山になりますれば、一トン当り三百円炭價が上る。この三百円の炭價を望んでこうやつていることはよくわかるのに、これに対して何らの手を打たないばかりか、ここにおける組合に対する暴行並びに脅迫に対しまして、政府は何らの保護を加えておらぬ状態である。  さて、こういう状態におきまして組合を彈圧していること、これがまた、さらに最近激しさを加えておるのである。  第一に、集会及びデモの届出でありますが、これは届出制度であるにかかわらず、警視廳におきましては、内規でもつてこれを許可制度にしておる。これは憲法違反である。これは人権蹂躪である。  さらに第二に、生産管理に対しまして、鈴木國務大臣は生産管理は違法であると言われておる。この違法論の根拠は、資本家的財産、これに対する古い法律家の考えを基礎にしているからである。この財産第一主義は、財産不可侵論的なものがある。現在のごとき資本家が、この財産を全國民、全民族の利益のために使わず、やみとインフレと國民を害するために使うにおいては、これに対する労働者の生産を管理するということは、決してこれは不当ではない。そうしない限り日本の経済は破壊するからである。すなわち國家全体の秩序において、生産管理こそまさに最もいい方法であるといわざるを得ないのである。資本家の擁護のために生産を無視して、そしてこれを擁護するにいたつては、まさに驚くべきことであるといわざるを得ない。  東京地方檢察廳におきましても、この生産管理に対して、たびたび妨害をしている。現に印刷の愛光堂のごとき、また日本タイプのごとき、大和製鋼のごとき、資本家が押し込んできたり、暴行をしたりしていても、これに対しては何らの制裁を加えないのに、労働者に対しては、生産管理を違法とし、時と場合によつてはこれを窃盗とし、強盗とするという事態が起つているのである。一体どこに鈴木君の公平論があろうか。平等論があろうか。社会のために、生産復興のために、この観点からものを見るべきである。單なる石のごとき法律論でもつてものを見るべきではない。事態はまさに革命を勃発せんとするこの事態に際して、かくのごとき古き法律論は何ら役に立たないものであると思う。(「法律は絶対だ」と呼ぶ者あり)法律はすべて相対的なものである。(笑声)法律は絶対的なものじやない。  さて、岩手縣における教員事件でありまするが、この事件のごときは、まつたくつくり話である。つくり話をもつてこの教員を彈圧しつつある。また現在全財に対する彈圧のごとく、彼らが憲法に保障せられている賜暇権、これをもつてつているのに、これを違法として彈圧するに至つては、まつたくこれはいよいよますます全財の爭議を惡化するものと言わざるを得ない。(「とんでもないことを言うな」と呼ぶ者あり)現に惡化しつつあるではないか。全財のごときは、現在においては、やめたつてもちつとも苦しくはない。田舎における不当課税のために、今や税務官吏は生きておる途さえない。全人民の反対のもとに、まつたくあわれな生活をしているのである。それゆえにこそ、彼らは奮然として爭議を起しているのである。眞因はそこにあることを知らなければならない。  かくのごとき政策が、はたして労働組合の健全なる発逹を企図しておるということが言えるであろうか。まつたく労働組合をして、いよいよ自己を守るために一大闘爭をしなければならないところに追いこみつつあるではないか。  しかるに、かかる労働者の窮乏に対して、医藥品の暴騰は驚くべきものである。昨年中に三度上つて、二十倍になつておるのである。そのために、今や医者自体の営業が成り立たなくなつて、八〇%ば医者が仕事をやめなければならないという状態である。なぜならば、いくら患者はあつても、患者が藥を飲む購買力がないからである。こういう点は、医藥品製造者たる独占資本家のしわざである。この独占資本家の手先が、まさに厚生省の内部にいるからである。こういう状態では、まつたくこれは労働者を破滅に陷れることになるのである。  さらに失業及び住宅の問題につきましても、何ら政府は適当のことをやつておらぬ。だからして、いよいよますますこれば労働者の闘爭を惡化させる以外に何ものもないのである。このことに関しまして、加藤労働大臣、鈴木國務大臣、水谷商工大臣、竹田厚生大臣の明快なる御回答を願うものである。  次は農業問題である。土地の取上げ、その他農業改革の遅滯、これは驚くべきものでありますが、いまやこれは論じなくても、すでに周知の事実であるから略することにいたすのである。  当面重大なる問題となつておるのは、供出割当の実際が実に驚くべき不当なものである。すなわち収穫量の統計は、大体でこぼこはありまするが、平均しまして五等級くらいにわかれておる。一等級が二石六斗ないし七斗くらいとしてある。しかるに、実収は四石五斗くらいあるのである。すなわち半分に乏いものに実収を見ておる。しかるに、最低級の五等は二石四斗くらいである。これは實収は一石五斗くらいしかないのである。そのくらい下の方は実収を多く見、上の方は実収を少く見て課しておるのである。そういう結果、貧農は裸供出になり、富豪農は供出後に大きなやみ米を保有しておるという驚くべき事実になつておるのである。  事実、岡山縣の例でありまするが、こういうことがある。平井部落におきましては、ここは市の農業会長の出身部落であるために、きわめて肥沃地であるのに反当り二石六斗八升である。しかるに、この反対に宇野部落におきましては、五寸掘れば砂利が出る。ここが反当り一石六斗一升になつておる。こういう驚くべき事実があるために、ますます貧農が苦しむのである。  事実これは、さらに村の顔役及び有力者におきましては割当が少く、貧農におきましては非常に驚くべき高いものになつておるが事実現われておるのである。これは栃木縣の富田村であります。村議で食糧調整委員で三反もつておる者が、わずかに一反五畝もつておると報告して、供出を免除されておる。しかるに、貧農の四反をもつている者は、早害があつてわずかに七俵しかとらないのに、割当が驚くなかれ十六俵となつておるのである。こういう驚くべき事実があるのである。  さらに富農に至つては、隠し田をたくさんもつておる。これは鹿児島縣の入來村のわが共産党細胞が摘発した事実であるが、これは五百七十町歩のうち、四十七町歩の隠し田を摘発しておるのである。しかして、この摘発は未完了であつて、おそらく隠し田は七十町歩と言われておるのである。それゆえに、これらの富農が事実上やみに流し得るものが一千石以上であると推定せられておるのである。にもかかわらず、貧農は隠し田もなく、保有米も食いこみ、そうして米を出しておるのである。だからして、ここに飯米闘爭が起る。現在の税の驚くべき過重によつて、耕作権を放棄しつつある者がたくさんあるに至つたのである。せつかく政府から買取つた土地を、もう要らないから返してやる、税務署に買つてくれということを言つておる者さえ起るに至つたのである。ここに至つて、はたして農地改革とは何ものだ。自作農創定ではなく、まつたく自殺する農民の創出である。驚くべき事実ではないか。  しかるに、水害地に対する不当割当は実に驚くべきものがある。これは千葉縣の東葛飾郡湖北村の例であるが、実収皆無の面積が五十八町歩あるのに対して、割当免除面積はわずかに二十五町歩である。半分以下しか認めておらない。このために葬式米までも賣り、種子も賣り、牛馬も賣るという驚くべき状態になつておるのである。しかるに、これらの供出に対して恐喝をし、これを出さなければ、ある筋から何とかかんとかいうような、そういうおどかし文句をたくさん並べて供出させている、驚くべき不当干渉がある。  事実、このことに関しましては、当議場においてわれわれの同志野坂參三が、山形縣村山知事の不当事件につきまして、首相並びに農相に聽きましたときに——G・H・Qの命令云々でもつておとしているが、これはどうだと言つたときに、そういうことは絶対ない、日本政府責任においてやつている、こう言つたのに、村山知事はこう言つておる。これは片山前首相並びに前農林大臣波多野君は知らないが、そんなばかなことはない。事実あるんだ。知らないからだと言つて、傲然として頑張つている。わが共産党はこれに対して、これは脅迫罪である、不当な供出干渉であると提訴しているのに対して、傲然と構えている次第である。政府はこれをいかに処置するか。  次に、耕作の強制作付でありますが、現在の強制作付の方法をもつてすれば、富農のみを富まして、貧農をいよいよますます貧農化することは明らかだ。すべて肥料その他も富農に行き、そのために富農は、自己の供出以外の生産に対して二、三倍の高い値段で買われることになる。かかる結果は、いよいよますます貧農をして耕作を放棄せしめ、富農を肥やすことになるのである。かくして、はたして農業生産を拡充すると言い得るであろうか。さらに、供出と配給のリンク問題でありますが、これは漁民においてもそうだ。供出をしたらば、そのあとに報奬物をやると言う。何だそれは。そうすると供出する前はどうする。供出する前は、皆やみで買つて供出しなければならぬじやないか。漁民だつてそうだ。やみで油を買い、いろいろ買つて漁獲物をとらなければならぬじやないか。そうしてもつて、供出するときには公定値だ。何だ。そんばかなことができるか。そうして、この報奬がまた三分の一以下しかくれない。事実これは、漁民に対しましては一大問題になつたではないか。こういうやり方で、はたして供出が正当と言えるか。かかる配給が正当と言えるか。絶対に言えない。かくごときは、まさに農民殺しであり、漁民殺しであると言わざるを得ない。政府の政策それ自体、が、まさにこれは殺人行為と言わざるを得ないではないか。かくのごとくして、食糧政策がはたして正鵠を得たりと言い得るか。今後食糧を増産して、はたしてこれがわが人民の生活を安定し得ると言われるかどうか。  こういうやり方をもつて公定價格をきあるもんだから、米だつて、魚だつて、何つて、すべてこの公定價格は不当になり、從つてやみをやらざるを得ない窮状に農民も漁民も陷れられるのである。その上にこの不在課税が來ましたときに、農民は耕作を放棄し、漁民は出漁を放棄するに至つている。かくして、いかにして生活の安定を保障することができるか。特に永江農林大臣の明快なる御回答を要求するものである。  第四に、税金問題についてである。このことについては、この前少々質問しましたが、さらに今度は徹底的にやらなければならぬ。本年一月十八日に、東京財務局長から各税務署長にあてて次のごとき通牒が発せられている。これは前の方は言いませんが、主要な部分はこうだ。目標以上に……。
  22. 田中萬逸

    ○副議長(田中萬逸君) 徳田君、時間の関係上、結論を急いでください。
  23. 徳田球一

    ○徳田球一君(続) はいはい。「目標以上に収入を確保するよう賦課並びに徴収上施策を講じ、目的逹成に挙署一体格段の努力をなされたい。」こういうのであります。だから、目標をまず天降り的に與えて、それ以上にとれとれと激励をしている。かくのごときことが、一体正当なる課税であるか。税法違反であることは明らかである。かくのごとき結果、大阪南区税務署においては、財務局は割当を三億五千万円としているのに、税務署は六億五千万円としている。三億だけ下駄をはいて、るのである。こういうふうにしてやりますから、從つて実収を無視した平均的な割当をしている。田は一反歩いくら、畑は一反歩いくら、果樹園はいくら、何野菜はいくら、こういうべらぼうなことがどこにあるか、上中下いくらも段階があるのである。これを申告して、これの適否を審査するのが政府責任であるにかかわらず、かくのごときことはなされておらぬのである。さらに大口所有者のボスと一般人民との間に、実にでこぼこがある。これがすべて収賄事件でくつついているのである。大阪北区税務署の署長吉國次郎並びに直税課長の牧野豐は、この収賄事件のために、今や問題になつておるのである。商店主などのごちそう饗應を受けて、これがため安くしたというので、これが問題になりつつある。それから浅草における東都製靴組合のボス幹部たちは、確定申告の四割増で納まつておるにかかわらず、下の組合員は実に三倍ないし四倍である。こういうふうなべらぼうなものであります。  さらに重大なることは、所得三十万円以上はすべで税務署長が査定する権限をもち、百万円以上は税務局長がもち、一千万円以上は本省が決定するというのであります。すなわち、上に上れば上るほど上の役人が査定するために、ここに非常に安くなるように仕掛けてあるのである。  さらにこの問題は、実際上は事業所得税というのに勤労所得税的に課税しておる。すなわち事実は、農民、中小商工業者の働きは、すべて勤労所得税的である四千八百円の控除金しか認めぬというべらぼうなことがある。これは税法が徹底的に誤つておるのである。基本的に言つて、これは法人税の観念である。これを事業所得税に入れるべきであるにかかわらず、反対に勤労所得税の観念に入れておるのである。しかして、法人所得税の計算はきわめて軽い。これは一例でありますが、岩手縣の水沢税務署では、法人税の対象が二十以上あるにかかわらず、驚くなかれ、課税目標はわずかに五千円である。二十以上の会社が五千円、これに至つては、まさにあきれてものが言えないといわざるを得ないのであるる。  かくのごとくして、この課税及び徴収は職権の乱用をあえてし、恐喝をあえてし、これに対して課税をして、差押えしてとるならば、まさに強盗行為といわざるを得ない。  さらに地方税におきましては、住民税においてまつたくでこぼこがはなはだしい。この一例のごときは武藏野市にありますが、市会の副議長は金融業者であるにかかわらず、百五十円を課されている。しかるに、裏長屋の労働者が百八十円を課され、土建労働者は三百二十円を課されているという驚くべき事実があるのである。しかるに、このたびさらに住民税を二倍に増加しようといい、タバコ、酒等の消費税を地方税として二割増そうというに至つては、驚くべき暴惡ではないか。  実際終戰以來、脱税の累計が驚くなかれ五千億あるといつておる。これは全國財務労働組合の調査である。しかるに、大阪の財務労働組合の組合員がこれを摘発しようとしたのに対して、税務局はこれを抑えようとしておるのである。
  24. 田中萬逸

    ○副議長(田中萬逸君) 徳田君、時間です。注意いたします。
  25. 徳田球一

    ○徳田球一君(続) もう少し——かくのごとくしてやつておるのに、六・三制の経費を計上せず、さらにまた水害の経費を計上しないのである。芦田内閣は絶対自由及び正義を唱えておるのに、かくのごとき政治をすれば、かえつて世界戰爭を促進し、民族の独立を失い、人民を外國資本の奴隷にし、自由を蹂躪し、正義を彈圧し、この方向で行けばフアシズムの道に行かざるを得ないわけであります。(「君も同じだ」と呼ぶ者あり)それゆえに、國会を即時解散し、國民信頼の所在を明らかにすべきであると思うのであります。これに対しまして、特に芦田首相の回答を求めるものである(拍手)     〔國務大臣芦田均君登壇
  26. 芦田均

    國務大臣(芦田均君) 徳田球一君の私に対する質問の第一点は、徳田君の見解によれば、わが國の経済再建は自力更生によるべきものであつて、食糧も綿花も鉄も、一切これを外國に仰ぐことはすこぶる危險である、やがて借金で首がまわらなくなつて日本は外國資本家のえさになろうという御意見でありました。いろいろ数字をおあげになりましたが、かんじんの数字はおあげにならなかつた。今日の情勢をもつて外國から日本が物資を仰いで、今日の輸出の数量でもつて何年かかつたらば日本の輸出が超過になるかということをまずおあげになれば、それで結論ははつきりわかります。今日の情勢からいえば、かりに日本の輸出……(「数字をあげてくれ」と呼ぶ者あり)今あげているじやないか。黙つて聽きなさい。今日の日本の輸出貿易が、戰前の四割に回復したとするならば、これでもつて現在の輸出入のバランスは十三、四年で平均がとれる数字になつている。徳田君は御記憶でありましよう。明治二十年前後に、大隈伯が條約の改正をやろうと言つた。内地を開放して、内地雜居、外國人に國内の商賣を許そうと言つたら、國内の反動勢力が、大隈の政策は國を亡ぽすといつて爆彈を投げた。日本共産党の頭領徳田球一君が、時計の針を六十年もあとにまわすような論をされるということは、まことに驚くべきことだと私は思う。まず一應これをもつて私の答弁といたします。(拍手)     〔國務大臣栗栖赳夫君登壇
  27. 栗栖赳夫

    國務大臣(栗栖赳夫君) 徳田君の外資導入に関する御懸念についてお答えをいたしたいと思います。  日本の経済再建のためには、現在の過小生産のもとにおきましては、やはり重要なる資材あるいは輸出向きの資材その他を輸入する必要があるのでありまして、輸入する上においては、外資導入という裏づけがなければ、これはできないのであります。ところで、この裏づけをするということが、他力本願的に考えるというのでは毛頭ないのでありまして、すでに幾回も私この席から申し上げましたが、受入態勢を備えて、國民みずから起ち上つて経済自立というところに行くために導入その他をするのでありまして、決してこれがために日本國民を重圧のもとにおくとか、あるいは資本家の重圧のもとにおくというような御心配は要らないと思うのであります。  それから先ほどよんどころない所用のために、本田議員に対する答弁が延びておりますので、ここで述べさせていただきたいと思うのであります。  料理店禁止令を解除する考えはないかというお尋ねがあつたのでありますが、これは禁止の趣意が、やみの湯床でございますこういう種類のものを止めまして、そうして米その他の主要食糧が正常なるルートのもとに流れるということを目的としていたしたものでございますので、この際ただちに解除するということは考えていない次第であります。  第二の点は、現在の経済轉換期において國民に実相を知らす必要はないかというのであります。これは実は前長官も前議会においてその旨を約束いたしておりますし、私も実は大体材料ができておりますので、近くとりまとめまして、実相を國民に知らせ、さらに本議会において発表いたしたいと考える次第であります。(拍手)     〔國務大臣水谷長三郎君登壇
  28. 水谷長三郎

    國務大臣(水谷長三郎君) 徳田君の貝島炭鉱の爭議についての御質問お答えいたします。貝島炭鉱会社の炭鉱分離問題につきましては、本來労質問解決さるべき問題でございまして、官廳の関與するべきものでないのでございますが、労働組合側の切なる要望によりまして、石炭廳は、現地商工局をしてその解決のための斡旋を行わせることといたしまして、二月十八日、商工局立会いのもとに、炭鉱現場において労資協議を行つたのであります。けれども、経営協議会をもつかどうかの点で両者の話合いがつかず、二十一日、二十八日、商工局におきまして、商工局及び労資の三者協議を行つたのでありますが、同様本質的な問題の檢討にはいらず、逐にその解決の見透しがつかず、一應現地協議は打切りの状態となつた次第でございます。  しこうして労働組合側からは、本問題は現地においてではなしに、中央において問題解決に当つてもらいたいとの切望が石炭廳及び石炭増産協議会議になされましたので、石炭廳といたしましても、協力会と相談の上、協力会が中心となり、石炭廳もこれに加わつて、その調停を行うことにしたのでございます。そのため、三月十二日、十三日両日にわたりまして、協力会の調停委員、石炭廳及び労資双方出席のもとに、その予備会談を開催したのでございますが、遂に調停の段階に至らず、遺憾ながら会談打切りのやむなきに至つた次第でございます。しかしながら、その後といえども、本問題解決の曙光を見出すために、十五日、労資双方の希望を容れまして、協力会主催のもとに懇談会を開催し、なお労働組合側の切なる要求を容れまして、十九日同じく懇談会を開催いたしたのでございますが、依然局面打開の端緒を発見するに至らなかつた次第でございます。  その後労働組合側から、炭鉱の現地調査を行うことを條件といたしまして、調停に應ずるからとの再度調停の要求がございまして、石炭廳といたしましては、本問題の解決遅延によつて貝島炭鉱の分離の登録を延引すれば、爾後に提出された他の会社の登録もできなくなり、不測の迷惑を及ぼしますので、少くとも三十日には調停委員会を開き裁定を下すこと、その裁定は絶対に從うこと、それについては上京中の労働代表等も絶対責任を負うことなどの條件を確約できれば、再度の調停を引受けるようにしようと申し入れましたが、労働組合側としては、これに対しまして、今日までのところこれを確約するには至つておりません。しかし、労働組合側の要求である現地調査につきましては、時日切迫の関係もありましたので、石炭廳の係官を二十四日夜行列車にて急遽現地に出発せしめたのでございます。その調査團は本日帰つてきたのでありまして、当方といたしましては、以上のように本問題解決のためにできる限りの努力を続けてまいつたような次第でございまして、徳田君のおつしやるように、商工省あるいは石炭廳といたしましても、へんぱな態度は絶対にとらなかつたのでございます。さようにご了承を願います。  さらに、委員会のためにやむなく欠席中なされました本田英作君の御質問お答えいたします。  御質問の趣旨は、大きなダムの建設は緊急の間には合わないが、小さな自家用発電、風力発電等を許可して電力危機を緩和してはどうかというように拜聽いたしました。水力発電所の建設、殊に大規模のダム建設には数年を要しまして、急の間に合わぬことは御趣旨の通りでございます。そこで政府といたしましては、当面の緊急対策といたしまして、既設の火力及び水力の補修増強に第一の重点を置きまして、さらに完成近くなつて工事を中止しております水力発電所が相当ございますので、これが工事再開による急速なる電源増強を考えますとともに、資材その他の事情の許す限り新規水力発電の建設に着手できるよう準備を進めている次第でございます。自家用発電が、最近方々で言われている地方的な小水力発電所の建設でありますならば、有利なものにつきましては抑制する考えはございませんが、從來の例によりますれば、小水力発電所は、その建設のみならず、完成後の電源維持につきまして相当問題が残りますので、十分考慮を加える必要がございます。また規模の自家用水力発電所の建設につきましては、電氣事業用のものと併せて総合的な計画が適当であると考えております。風力発電につきましては、なお現在のところ研究の域にあるものと考えていますが、將來の動力資源としては、風力のほかに地熱利用等も考えられますので、これらにつきましては、現在各方面の研究機関による檢討をまつて考えていきたいと思つております。  さらにまた本田君から、全國における一般需用の配電が不公平である、公平にされたい、たとえば九州は本州に比し水力が劣る、これを補うために火力発電で補給しているのであるが、石炭は他の用途に使用され、効果をあげていないという御趣旨の御質問がございました。なるほど、一般需要に対する配電につきましては、昨年十二月以降全國一律の配電割当制を実施いたしまして、日本発送電の全國的な発送電網により各地区間の電力融通を行い、公平を期しているのでございますが、実際問題としては、各地の渇水状況、火力発電の能力等によりまして、電力需給が完全に足並の揃わぬことが生じたのでございます。これに対しましては、適切なる対策を講じまして、でき得る限りの改善調整をはかつてきているのでございます。特に火力発電に依存する度合の強い九州地方について見まするに、昨年春以來の電力需給は、他の地方に比べて著しいアンバランスを示したのでございます。これに対し政府としては、本州中央部から中國を経まして九州え最大可能限度の電力の振替送電を強行する一方、火力発電所の能力低下を、冬の渇水期を目標に補修整備することといたしまして、鋭意努力したのでございます。さいわい所期以上の成績を収めまして、火力発電能力は倍加いたしまして、一月以降の降雨と相まつて著しく好轉したと考える次第でございます。本年はさらに補給を続行いたしまして、発電用炭の確保を考慮いたしておりまするので、異常渇水のない限り相当改善されるものと考えておる次第でございます。御答弁申し上げます。(拍手)     〔國務大臣加藤勘十君登壇
  29. 加藤勘十

    國務大臣(加藤勘十君) ただいま徳田君の私に対する御質問、いろいろ、な角度から、いろいろな例をおあげになつてお尋ねになりましたが、これは要約いたしますれば、第一の御質問の要旨は、現在問題となつておる全逓を初め全官公労働諸君の爭議の点において、給與の実際の状況から見て職階制が不合理である、こういう点にあつたと聽きましたが、今までの職階制は、なるほど政府の一方的な決定でありました関係からそうした矛盾があつたかとも存じまするが、そうした矛盾を認めて、今回はこれらの点はすべて労働組合の代表者と政府側とが協議して、その協議の整つたものをもつて決定するというのでありまするから、過去においてそうであつたから今後もまたそうであろうという前提のもとに立つての御批判は当らないものと存じます。  それから、勤労所得税が二重課税であつて、負担が過重である、こういうところから職場放棄がどしどし行われて、優秀なる熟練工の諸君が職場を離脱する、こういうことは生産復興の上にもきわめて好ましくないことであるという御意見でありましたが、なるほど生産復興に習熟した熟練工の諸君が必要であることは言うまでもありません。また現在の勤労所得税が、おつしやる通り重い負担であることも、これまた疑う余地はないのであります。そういう点から、三党政策協定におきましても、また過般の芦田総理の本議場における演説におきましても、勤労所得税の免税点を大幅に引上げることによつて負担の不均衡を是正しようという……(徳田球一君「幅はいくらだ」と呼ぶ)それは順次來年度の予算にはつきり出てきますから、そのとき御了承願います。  さらに、炭鉱における最近の増産額傾向が下向いてきた、これをあたかも共産党の責任であるがごとく非難されておるが、共産党の有力なる組織をもつておるといわれる高松炭鉱の実例をおあげになりまして、共産党の責任ではない、こうおつしやいました。  なるほど、私もまた現在全体的に見て、石炭増産の下向傾向が、共産党の責任であるとばかりは申しません。何となれば、共産党は日本の炭鉱労働者にそれほど決定的な影響力はもつていないと私は確信するからであります。  なお炭鉱の問題について、われわれもまた石炭の増産が経済再建のために必要なる條件である、この点について徳田君と同様の意見をもつものでありまして、殊に炭鉱労働諸君の安全施設につきましては、事は商工省石炭廳の所管に属するとは申しながら、労働省といたしましても、この点に対しては重大なる関心をもつておりまして、労働者の安全保障の施設に対しては今後とも重大なる注意を拂つて、そうしたことに対しては最善を盡したいと考えております。  次は、生産管理の問題が違法であると鈴木法務廳総裁が言われたことに対しての御質問のようでありますが、これは私からよりも、法律的な專門的なことにわたりますから、法務廳総裁のお答えにまつことといたしまして、全財の現在の爭議行為に対して断圧が行われておる、こういうような状態では、なお今後こうした爭議形態が発展するであろう、やがては職域の離脱が行われるであろう、こういうことを御心配でありまして、私もまた、そうした職場離脱が行われるということに対しては非常な心配をしております。從つて政府といたしましては、そうした点において全財の諸君が、すなわち税務官吏第一線に働いておいでになる諸君が、安んじて仕事のでき得るように最善の施設を講じ、給與の点においても考えなければならぬという点については、徳田君と同意見であるということをお答え申し上げておきます。  さらに失業の問題に対しての御質問でありましたが、失業問題は何と申しましても、現在における日本の最大社会問題の一つであるということにおいて、これまた徳田君の御指摘の通りであります。これに対し政府はどのような失業対策をもつておるか、こういうお尋ねでありましたが、政府といたしましては、失業問題の重大性に鑑み、かつ現在の状態において失業者を発生せしめないためには、第一に輸出産業えの吸収と、他の新興企業の勃興に伴つて順次失業者を生産面に吸収していく、これが第一に考えられなければならぬ点でありまして、その他公共事業等、やむを得ざる場合には第二次的な生産面えの吸収も考えられます。そうして、万やむを得ずして、眞に職を得ることのできない人々に対しては、失業保險法の制定と、これが完全なる運用によりまして、失業のためにおののくことのないように努力するという考えをもつておることを申し上げて、御返事にいたしたいと思います。     〔國務大臣鈴木義男君登壇
  30. 鈴木義男

    國務大臣(鈴木義男君) 徳田君は、現内閣労働運動を彈圧するかのごとき御非難があつたのてありますが、私は、歴代内閣のうちでも、これほど労働運動に対して寛大な内閣はなかつたと思うのであります。電線が切られても、電車が止まつても、毫末も干渉を加えたことはないのであります。そこで、集会やデモに対して不当な彈圧を加えるかのごときお言葉があつたのであります。これは届出制であることは事実でありまするが、東京におきましては、特に占領軍憲兵司令部の指図に從つて、デモ行列等は取締るごとになつておるのでありまして、これも決して彈圧というような意味はないのでありまして、特別の指示に從つておるのであるということだけを御了承願いたいと思います。  それから生産管理の問題につきましては、法律的に論じますると非常に長くなり、むずかしくなるのでありまするから、過日の参議院における答弁を引用いたしておきたいと思うのでありまするが、確かに労働の方を財産よりも優位に置く考え方があるということは事実であります。殊にマルクスのように、徳田君のように、そういう考え方があることは認めまするが、この憲法は少くともそういう考え方をとつておらないのでありまして、財産権と労働権とを対等に置いておるのでありまするから、あくまでもその立場においてこの問題を批判しなければならないということを御了承願いたいのであります。しかるときは、愛光堂事件のごとき、九割まで労働者の要求を容れると申したにかかわらず、ただ一部だけ容れないということを理由として、工場を占有し、資材を、あらゆるものを利用して、そうして一党一派の專属工場として印刷に從事する、さらに返せというてくると、また難問題を吹きかけてその占有を継続していくというようなことは、正しい生産管理とはどうしても見ることができないのでありまして、こういうことは取締らなければならないという見地から檢事が警告を発したのでありまして、どう考えてみてもこれは違法であるという結論に到逹いたしましたので、警告を発したのであります。進んで檢挙もいたすことに相なるかもしれないのでありますが、こうも不当な彈圧でないということをお答えいたしておきます。  日本タイプあるいは大和製鋼等につきましては、一部は捜査中でありまするが、これも違法なる生産管理であるということに相なりますれば、遺憾ながら檢挙処罰を行う方針であります。その他岩手教員組合の問題、全財等の問題についても言及せられたようでありまするが、すべて暴力を用いるということは、いかなる者が用いましても、ひとり労働運動においてこれを取締るのではなくして、すべて取締ることにいたしておるのでありまして、決して他意あるものでないということを御了承願いたいのであります。     〔國務大臣竹田儀一君登壇
  31. 竹田儀一

    國務大臣(竹田儀一君) 徳田議員の私えの御質疑は、藥價が高きに失するのではないかという御質疑であつたと思います。藥價の決定は物價廳の所管でありまして、他の一般物價と比例して決定されておると思いますが、藥品の原材料であります化学製品の高騰と運賃の値上げ等で多少上つておるものがあるといたしましても、やむを得なかつたと思うのであります。將來藥價の決定につきましては、厚生省といたしまして、物價廳と十分連絡をとりまして、國民の保健衛生えの影響を十分考慮いたしまして、御趣意に副い得るようにいたしたいと思います。     〔國務大臣永江一夫君登壇
  32. 永江一夫

    國務大臣(永江一夫君) 徳田君にお答えいたしますが、第一に主食割当の不公平についていろいろお話がございました。御承知のようにこの割当は、末端の割当につきましては府縣知事、町村長が独断でやらないように、民主的に選出しましたところの食糧調整委員会が議決によつてつているのでありまして、その運営につきまして、今だんだんお話にありましたような不都合な点でありましたならば、これは政府において是正してまいります。いろいろお示しがありましたが、そういう事例がありますならば、さらに具体的にお示しをくださるならば、政府として適当に処置をするにやぶさかではございません。  それから第二に、食糧の増産についていろいろお話がございましたけれども、この食糧の増産は、農山漁村におきましてこの増産に携わる人々の心からなる協力がなければその所期の目的が逹せられないことは、すでに総理大臣施政演説において明らかにせられたところであります。この点につきましては、食糧の増産を促しますために、政府としてはその増産に必要なる諸物資について適切なる方策を講じておりますことは、しばしば私がこの席上から申し上げているのであります。今徳田君の非常に御心配になりました点を集約いたしますと、今にも米が一粒も供出されないがごとき非常に悲観的な御意見が多々ございましたが、しかし御承知のように、昨年度の割当につきましても、先般総理から感謝をもつてこの席上で報告がありましたように、三千五十五万石は一〇〇%の供出をいたしているのでありまして、私どもは衷心この供出に対して感謝をいたすと同時に、政府としては、この感謝の念を具体的施策の上に現わしまして、十分に食糧につきましてもわれわれが心配のないように生産に当られる諸君の御協力を得る万策をさらに推進してまいりたい、かように考えておりますから御協力を願いたいと存じます。
  33. 田中萬逸

    ○副議長(田中萬逸君) これにて國務大臣演説に対する質疑は終了いたしました。
  34. 徳田球一

    ○徳田球一君 自席から少々申し上げたい。
  35. 田中萬逸

    ○副議長(田中萬逸君) 徳田君はすでに時間を経過いたしております。再質問は許可いたしません。  明三十一日は定刻より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十九分散会