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1948-03-29 第2回国会 衆議院 本会議 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年三月二十九日(月曜日)     午後三時二十一分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第三十一号   昭和二十三年三月二十九日     午後一時開議  一 國務大臣演説に対する質疑(前会の続)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 笹口晃

    笹口晃君 議事日程追加緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出煙草專賣法の一部を改正する等の法律案議題となし委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  4. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  煙草專法の一部を改正する等の法律案議題といたします。委員長報告を求めます。財政及び金融委員会理事梅林時雄君。     〔梅林時雄登壇
  6. 梅林時雄

    梅林時雄君 ただいま議題となりました煙草專賣法の一部を改正する等の法律案について、委員会における審議の経過並びに結果等につきまして概略御報告申し上げます。  最近專賣法違反事件が急激に増加し、昭和二十一年度は件数にして昭和二十年度の約二十二倍、二万千件に及び、本年度タバコのみで十月までにすでに二万六千件を越えているのであります。この傾向タバコ定價の引上げとともに一層顯著になると予想され、このままに放置しておいては、專賣事業の運営にも支障を來すのみならず、予定の専賣益金の確保ができなくなるのであります。これに対処して取締陣を整備強化するのはもちろんでありますが、專賣法罰則を強化することが絶対に必要となつた次第であります。現在行われている專賣法罰則は、二、三の例外を除いて、いずれも明治年間に制定されたもので、罰金額も、その最高がわずか五百円というのが標準であります。これでは罰則の効果を期待できなので、現下実情を考慮し、最高五万円に引き上げることにいたしたのであります。  なおその他に專賣法により與えた許可の取消処分をなすにあたり、被処分者に弁明の機会を與える規定を設け、その他若干の技術的改正を試み、併せて昭和二十二年法律第七十二号日本國憲法施行の際限に効力を有する命令規定効力等に関する法律案によつて昨年末で効力失つた関係省令規定を織りこんだのであります。  以上が原案の大要でありますが、本案は去る一月三十日本委員会に付託されたものでありまして、翌三十一日提案理由の説明を聽き、その後四回にわたつて審議いたしました。やみタバコの取締り、配給問題、タバコ耕作面積食糧との関係等をめぐつて委員政府側との間に熱心なる質疑應答が交され本二十九日討論を省略、採決の結果、全会一致をもつて可決いたしました。  簡単でございますが、右御告申し上げます。
  7. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 採決いたします。本案委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認ます。よつて本案委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  9. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 國務大臣演説に対する質疑を継続いたします。織田正信君。     〔織田正信登壇
  10. 織田正信

    織田正信君 私は、芦田総理大臣施政演説に対しまして、次の六つの問題を簡単に質問いたしたいと思います。  第一は、外交問題についてであります。占領下の今日、もちろん常道の、外交はないでありましよう。しかし、今日日本國民氣持を代表して海外に発表するということは、政府責任であると思つておるのであります。今なお世界の一部においては日本人氣持が誤解されておるようでありまするが、これは敗戰後三年の歳月を経たにもかかわらず歴代内閣が何らこの点について処置をしなかつた責任であると思うのであります。今日において、この誤解を解くただ一つの途は、日本人の今日における氣持を率直に政府声明をして、理解をしてもらうことであると思うのであります。殊にわが國の旧領土人々や中國の人々に対しましては、過去のわが國の先輩の犯した罪悪を深く陳謝し、今日の日本人氣持を理解してもらうよう努力しなければならないと思います。このことについては、関係方面もある程度許してくれるものと考えるのでありまするが、首相の見解はいかがでありましようか。  第二は、言論徹底的自由についてであります。言論の自由は民主主義政治を行う上においで基本問題であることは申すまでもありません。しかし、今なお日本人の間には、このことはこのように言わなければならないとか、このことは言つてはならないなどと、軍閥時代の遺風を依然として残しておるというのが偽らざる実情であります。徹底的に自由であるべき新聞言論についても何らかの拘束があるような風潮を全國津々浦々にまで與えておりまするが、このことは、民主主義に基く生活を始めたばかりの日本人にとつては、まさに民主政治危機であると思うのであります。政府はこの任に関して、特に声明を出して國民の蒙を啓く必要があると思うのでありまするが、総理大臣所信をお伺いいたしたいと思います。  第三は、食糧問題についてであります。食糧問題について、簡単に次の三つの点をお尋ねいたしたいと思ます。第一は、絶対平和の精神から考えてみましても、人間の生命を維持する根源である食糧は、いたずらに外國に依存したり、商品としないよう努力すべきであると思いまするが、政府はこれを原則として進む方針であるかどうか、お伺いいたしたいと思います。第二は、これとともに今日の食糧難を打開する唯一の対策は、米作偏重を打破して、適地適作徹底することであると思います。すなわち、現在の水田の約三分・一は米作に適しないものでありまするから、これを甘藷馬鈴薯に轉換し、農村工業によつてこれを加工すればよいのであります。これがたためには、米・麦・馬鈴薯甘藷を一元化した完全総合供出制度を採用すべきであると思いまするが、政府見解お尋ねいたしたいと思います。第三は、國際貿易が許された後において、外國廉價食糧が輸入され、ダンピングを受けるということを今田の農民は危惧しておりまするが、政府はこれに対していかなる態度をとるつもりであるか、お伺いいたしたいと思います。  第四は、地方分権徹底についてであります。今日のわが國は、敗戰とこれに伴う過重なる負担のために、都市といわず、農村といわず、重税に苦められておりまするが、これが打開の方策は、日清戰爭以前の領土なつたわが國の実情に適するごとく、政治行政の諸制度は人と物と経費とを極限までに縮減せられたものにならなければならないと信じておるものであります。しかるに行政機構は、從來の形骸を保存しようとしております。おまけに厖大官吏が、依然として非能率極まるはんこと書類の行政行つておる実情であります。知事は公選になりましたが、大幅に権限は委譲されておりません。これがために、依然として國会や各管廳に毎日のごとく陳情團が押し寄せております。汽車は、これらの人々と、官吏の主張と、やみブローカーで満員になつておる実情であります。インフレ経済のもとにおいては、月給取の生活は困難であるはずでありまするが、料理屋を最大限に利用するのは、奇妙なことに、いまなお月給取の官吏が一番多いといわれております。国民は、この複雑な機構の維持と、厖大官吏を養うために、悪税に苦しめられておるのであります。これらが今日のインフレ高推最大原因であり、公職員ストライキサボタ—ジュを可能にする原因であると思いまするが、これらの問題の解決は、一に地方分権徹底化によつてなされるものであると信じます。  明治以來中央集権的政治が、新しい憲法によつて知事は公選され、内務省は解体し、警察制度改革され、漸次地方分権方向に向つておるようでありまするが、それは未だ徴温的であり、むしろ実質は中央集権的政治機構プラス地方分権的機構つておるのが偽らざる実情であります。しかしこのことは、官吏のみが悪いのではなくして、むしろ、このような旧態依然たる中央集権的機構をそのままにしておる政治家責任であると信ずるのでありますや行政整理の必要は今日に始まつたことでなく、戰前より叫ばれ來つたものでありまするが、不思議なことに、行政整理を今まで行つて成功したことがありません。むしろ反対に官吏の数が増加したというのが偽らざる事実であります。  この原因は、一つには、官僚組織以上に完全な組織体はなく、官吏仕事ため仕事が複雑化して外部から手がつけられなくなつておるからであると思います。この壇上に行儀よく並んでおる大臣諸公も、このことは身をもつて体験されておる事実であると思います。二つには、地方分権徹底化をなさずして、常に人員整理にのみ頭をおいてこれを行わんとしたところに失敗の原因があると思います。およそ中央集権的機構のもとにおいては、このようなことはまつたくナンセンスな話しであると思います。  片山内閣のとき試みられた行政整理閣議決定も、予算定員の一割五分であり、これは実働人員の七%に当つてつたようでありまするが、その後者省ともどんどん人を殖やし、結局予算定員と実際定員との差を切つて、事実においてはほとんど首を切らないで、行政整理をしたということにしてお茶を濁そうとしたということを聞いておりまするが、もしこのよう申訳的行偽を引き続き芦田内閣が行わんとするならば、初めからやめた方がよいと思います。  しかし今日の政治重要課題は、まさに行政権理地方分権徹底化にあると信じておるものであります。先日芦田総理大臣は、行政能率化機構改革に眼目をおいてやりたいと申しておつたようでありまするが、人員整理並びに地方分権徹底化を行わずして、能率向上は断じて望むべくもないと信ずるものであります。そうして、この際政治面だけでなくし、経済文化社会格般にわたつて地方分権徹底するということが、まさに今日の焦眉の急務であると思います。   これに関し、私は左の原則を提案いたしたいと思います。その一つは、行政機構改革にあたつては、機構単純化をはかり、簡素直截なものたらしむるべきであるということであります、その二は、人員整理を行うということであります。國民の汗と脂の税金で生活する人々必要量限度にするということを、今後の敏治の目標にしなければならないと思います。その三は、地方分権徹底化をはかるためには、中央権限は大綱を決定することにのみ止めて、細部はあげて地方権限を委譲しなければならないということであります。これは單に政治面のみでなく、経済面においても、文化面においても、同様に徹底されなければならないと思います。その四は、地方分権徹底化をはかるために、地方区画変革を行う必要が生れてくるのであります。現在のわが國の地方区画は、明治維新の際の極力の行きがかりから決定されたものであり、当初よりぐあいの悪かつたものもありますが今日、ますますこの矛盾を暴露してきております。この際、地理的條件はもとより、歴史的、社会的あるいは産業経済的観点などより、あらゆる角度から愼重な檢討をいたしまして、これが変革実行しなければならないと思います。  以上申し述べましたように、先日芦田総理大臣が申されました行政機構改革並びに能率化のみではなく、人員整理を断行し、地方大幅権限を委譲し、地方区画変革を行い、地方分権徹底化するということは、まさに今日の急務であると考えまするが、総理大臣の御答弁をお願いいたしたいと思います。  第五は、道義高揚についてであります。総理大臣施政演説中に、この際速やかに、國民道義高揚に関し適切なる方策を講じたいと申しておりましたが、具体的にいかなる万策をもつておるか、お聽きいたしたいと思います。動議向揚は、為政者壇上に立つて口やかましく叫ぶことでもなく國費を投じ官吏使つて何々運動を展開することでもないと信じます。一に、為政者みずからが道義的行動によつて範を示さなければならないと思います。單に学校教育のみでこれを強調するのではなく、より大切なのは、政府施策が一貫して道義的政策実行するということであります。  しかるに、今日寄々怪々たる事実は、戰車犠牲者に対する対策であります。いかに戰爭罪悪であり、その目的が間違つていたにいたしましても、國家至上命令のもと、戰場に駆り立てられた人々には、罪がないものと思います。そうしてこの問題は、どの政党も、また国民のすべてが同様に考えておる問題であるにもかかわりませず、今日白衣をまとつた戰爭犠牲者が街頭に叫んでおるあの痛ましい姿をながめては、國民公共に奉仕する崇高なる精神を失い、道義地に落ちるのもむりからぬことと考えます。  六・三制の予算編成の問題を見ましても、同様なことが申せるのじやなかろうかと思います。また教育は尊重するといいながら、教育者は常に冷遇されてきております。それがために、教員の極端なる不足が今日教育をほとんど停止せしめようとしておる現状であります。一例をあげますならば、北海道の教員数は二万一千八百三十八名でありますが、現在員は一万八千二百九十三名で、三千五百四十五名の不足となつております。そうして新年度には、教員不足は一万名に達するのではないかと見られております。四月の新学期から約千二百六十名の教員不足しておる大阪市では、新制中学校教員七百名余りを、全國にさきがけて一般募集をしたのてありますが、五百名程度の應募者が集まつただけであります。今や全国的に拡がりつつあります教員不足などから学校教育はまさに危機に瀕しております。これに対する根本的解決方策お尋ねいたしたいのであります。  かくのごとく、為政者が常に口頭禪に終り、適切なる施策を講ぜず、荏苒その日を過すのであるならば、かかる為政者こそ道義を頽廃せしめる本家本元であつて、百害、あつて一利なしと言わざるを得ないと思います。國民のすべてがとも同感し、ども政党もが掲げておるこれらの問題に対して、なぜ十分なる措置が、しかも民主主義のこの機会において行われないのでありましようか。  最後に私は、今次戰爭最大犠牲者である青年の代表といたしまして、政府所信を質したいことがあります。明日を担う者は青年であり、その國の将來を見んとせば青年を見よと言われておりまするが、かかる観点からいたしまするならば、今日の青少年犯罪の増加、不良化の激増にたいする対策は、ただ單に今日の政治重要課題であるのみならず、これこそ民族の前途を明るくするか暗くするかの民族存亡の問題であり、あすの政治の全般に重要なる影響を及ぼす問題であると思いまするが、はたしてこれに対して政府はどれだけの誠億をもつておるのでありましようか、御答弁願いたいと思います。  今日の青年の多くは、希望と光明を失つております。殺風景な職場から帰ると、あまりに世の中の変り方に途方に暮れたものてあります。理想をもつて起ち上がれば、おとなには利用こそされ、主体的に行動せんとすれば、周囲より圧迫をこうむつたものであります。しかし今日、不良化しておる青年も、享樂生活を送つておる青年も、やがてあすの日には目標を同じくして民族新生礎石となり、絶対平和の精神による新しい國土の開拓に精進するものと信じて疑わないものであります。  私はここに青年教育根本的対策として、またきよう経済混乱を打開するため生産復興の一翼として、男女青年義務制公共奉仕團の制定を提案するものであります。生産のすべてを資本家の手に断ざせることを許すことはできなくなりました。鉄道、通信など最も公共的な事業は、ストライキによる國民生活に及ぼす影響がきわめて甚大でありまするがゆえに、職業労働者の手にのみ任すことはできなくなりました。われわれ青年は、生産教育の一体化によつて青年みずからを救うとともに、民族新生礎石となる覚悟であります。私はこの平和的青年組織の問題に関しまして、やみ列車出し青年たちをつかまえて話をしたことがありますが、彼らはまじめにこの問題について賛成してくれました。ガチヤの眼を潜つてシヤリを運ぶのも、ほかに働くところがねえからよというのが、彼らの偽らざる現実であります。これに対して政府はいかなる考えをもつておるのでありましようか、御答弁をお願いいたしたいと思います。  以上をもつて私の質問は終りまするが、今日の國民の切なる願いは、美辞麗句の羅列でも、議論に時を空費することでもありません。一に、具体的政策を迅速にしかも勇敢に実行に移してもらいたいということであります。この点特に要望いたしまして、降壇いたしたいと思います。(拍手)     〔國務大臣芦田均登壇
  11. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 織田君の質疑にお答えいたします。  第一の点は、中國、朝鮮等においてわれわれの同胞が犯したる過ちを率直に認めて、これを陳謝することがわが國民眞意を了解せしめるゆえんであると思うが、どうかという点であります。御承知の通りに、終戰当時われわれはポツダム宣言を受諾いたしたのであります。このポツダム宣言の各條項は、われわれがこれらの土地において犯したる過ちを是正し、これを償うべきある種の行動規定いたしておるのであります。申すまでもなく、われわれが祐廣く諸外國より信頼を博するのは、単なる言葉ではなくして、厳然たる事実とわれわれの行動とであります。われわれにしてポツダム宣言に掲げられたる條項を厳格にしかも忠実に履行する限り、われわれは諸外國信頼を回復することができると考えており、さらに進んで國際的の平和あるいは國際文化向上に貢献することによつて、われわれ民族の價置はさらに多く認められ得ることと考えております。  第二の御質問は、言論の自由がとかく不徹底である、國民の言わんとするところを率直に言う美風を失つておるがごとくにみえる、これをどう考えるかというお尋ねであります。御承知のごとく、われわれが憲法によつて保障されておる言論の自由はあくまでもこれを尊重すべきものでありますが、ときに、わが國の置かれたる現在の環境においては、ある強度の言論の自由をみずから拘束せざるを得ない場合も起り得ると思います。これは今日の境遇からくる暫定的の條件でありまして、遠からずわれわれは、かよう客観的條件を何ら考慮に入れる必要のない時期がくることを期待いたしておるのであります。  第三は、行政整理行政機構改革並びに地方分権の実施について政府はどれだけの熱意をもつておるかというお尋ねでありました。この問題につきましては、すでに、この席よりお答えいたしたところでありますが、本日織田君の御発表になつ意見に中には、われわれが参考とすべき数々の点もありましたから、十分この点を考慮して御趣意に副うよう努力いたしたいと考えております。  道義高揚に関する御意見についても、まつたく同感であります。政府といたしましても、せつかくこの趣意に副うて、今後万全を期したいと考えております。  なお食糧問題、教育問題等につきましては、それぞれ所管大臣より答弁があるはずでありますから、これを省略いたします。(拍手)     〔國務大臣永江一夫登壇
  12. 永江一夫

    國務大臣永江一夫君) 私に対する三点の質疑に対してお答えいたします。  第一は、食糧自給度についてのお話でございましたが、御承知ように、ただいまのところは絶対量の不足でございますから、これは外國食糧に依存しなければならないことは当然でありますが、しかし将來方針といたしましては、あらゆる努力を傾倒いたしまして、主食自給度を高めるごとに努力をしてまいりたいと存じます。主食以外についても、あるいは蛋白脂肪源等食糧増産ためには、水産、畜産等政府が格段の努力を拂うことも当然でございます。從つて、あらゆる挙國的努力を長い間傾倒いたしまして、私ども食糧自給度をかなり高度に高めるごとに努力いたしたいと存じまするけれども、何分にも敗戰後現状から申しまして、私どもはよほどの努力をしなければ、わが國における食糧の自給自足を確立することは困難ではなかろうか、かよう考えておる次第であります。  第二の、供出に関して完全なる総合供出行つてはどうかという御意見でございまするが、この点については、米とか麦とか甘藷馬鈴薯雑穀等は、それぞれ生産の時期、貯藏性、國民嗜好等に関して特質をもつておる作物でございますから、これを全面的に総合供出をせしめるということは必ずしも適当ではない、かのよう考えております。ただ生産の時期を勘案いたしまして、米と甘藷、あるいは麦と馬鈴薯の間におきまして、若干の数量において代替供出を認めておるのでございまして、現在のところは、この程度が適当でないか、かよう考えておる次第でございます。  なお一言附け加えて申し上げますが、常習旱魃田の轄換等についてお話がございましたが、この点は将来適当に考慮してまいりたいと思います。、  第三のいわゆる農業恐慌についてでありますが、私は現下状態から申しまして、今ただちに農業恐慌の懸念はない、かように信じております。御承知ように、わが國の資金の力から申しましても、あるいは食糧輸入限度から見ましても、急速にわが國の農村恐慌が來るということは、簡単に判断ができぬと思つておるのであります。從いまして、将来の関税の制度につきましても、目下私どもは鋭意考究中でありまして、わが國の農業恐慌に導くがごときことのないように、それぞれでき得る限りの努力を拂つてまいりたい、かよう考えておる次第であります。(拍手)     〔國務大臣森戸辰男登壇
  13. 森戸辰男

    國務大臣森戸辰男君) 織田君の御質問にお答えいたします。  第一点は、國民道義高揚と関連いたしまして、政府はその掲げた政策実行についても道義的でなければならぬということに関連いたしまして、政府教育を尊重するのであれば、六・三制の実現、また教育者待遇について徹底した政策をとるべきではないかという御質問でありまして、まことにごもつともでございます。六三制の問題については、しばしばこの所から御説明申し上げたように、政府はいろんな困難な事情の中でもあらゆる努力をいたしておるのであります。なお、教育は建物でなく人間でありますので、教職員の待遇について特に留意をいたしておりまして、窮乏財政の中からでぎるだけこれらの人々が安んじて職におられるようなふうに、最善努力をいたしておるのであります。  第二点は、青年犯罪について政府はどういう考えをもち、どういう対策をもつておるかという御質問でありました。國民道義の頽廃といううちで最も私ども憂えておるのは、青年がこの傾向に強く侵されていわせぬかという点でございました。これは日本将來にとつてゆゆしきことであるからでございます。青年がなぜかよう状態なつたかという問題をここで申し上げる時はございませんが戰爭影響、第二は戰爭の結果としての生活窮乏、さらにもう一つ大きなことは、道義の基準が今日轉換の時機にあるということが大きな原因であると思いまして、私ども、一面には古い道義に代る憲法精神が明らかにしておりまする民主的、平和的な、さらに社会的な國家形成者としてこの青年を育てていく方向に、学校教育におきましても、社会教育におきましても、最善を盡しておるのであります。しかし、なおこれでもなかなか今日の経済状態戰爭の及ぼした精神的荒廃に十分に打勝つことができませんので、好ましくない状況に陷つております者につきましては、文部省といたしましては青少年教護委員会というものを設けまして、他省との連絡において、これらのことに対策を講じておりますが、根本的には、この青少年に対する今日の状態青年自身の力によらなければなりませんので、新しい意味の青年運動が、これらの中に、職域的にも地域的にも起るようにと、私どもは大いに関心と努力とを拂つておるのであります。  なお最後に 業務制の勤労青年奉仕隊をつくるということは青年教育生産とを結びつけることについて非常によいと思うが、政府はこれに対してどういう考えをもつているかということでございます。青年教育生産とを結びますことは、まことに適切な方策考えております。ただこれを義務制にいたしますることについては、かつてのアルバイト。ゲインストがドイツにもつてきたような多くの弊害も考えられますので、はなはだ適切な御示唆では干ありますけれども、それらのことを十分勘案しながら、欠点のない形でこれらのことを学校教育あるいは社会教育において実現したいと考えている次第であります。
  14. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 織田君、質問は終りましたか。加藤吉太夫君。     〔加藤吉太夫君登壇
  15. 加藤吉太夫

    ○加藤吉太夫君 私は、農民党を代表いたしまして、救國政治の大本について芦田総理大臣に聽き質すとともに、主として農村問題について所管大臣答弁を求めたいのでございます。  今日國民は、芦田総理大臣に対して、革新時代における救国政治方針、芦田総理の創意による新しい政治の動向を望んでおつたのでございます。しかるに何ぞや、芦田総理の演説を聽きますと、多くを語つてしかも何事も語らず式でございます。すなわち、産業経営の合理化を説いて失業対策を講じないのであります。國民道義高揚を説いて官紀の粛正を説いておりません。外資の導入を説きながら労働対策を逸脱しているのでございます。  芦田総理が組閣に際しまして意外の長日時を要したこの政治の空白は、農民の最も遺憾とするところでございます。この政治の空白さえなかつたならば、今日の労働爭議をかくまで悪化せずに善処し得たであろうことを思うのでございます。(拍手)なおまた、全國的にまき起つた課税の不平の爆発に対しましても、かほどに農村を動揺させずに善処し得たであろうと私は思います。(拍手)こういう点において、この政治の空白は芦田総理の重大な責任でなければならぬと私は考えます。  今日中庸を得る政治を施し、國民をして中道を歩ましめんがためには、第一に経済的の凹凸を直してかからなてはいけません。國民生活の均衡を求めなくてはならないと思います。この政策に沿つて國民に勤労意欲を高揚し、耐乏精神高揚することによつて、私は國民全部を働かす國民皆働の線にもつていきたいのでございます。かくして國民の支持と協力を得まして、われわれは救國的一大國民運動を展開いたしまして、強く祖國再建の第一歩を踏み出すこどができると確信いたすのでございます。(拍手)これこそ、マツカーサー元帥の述べられた、自力によつて起ち上るところの日本人のほんとうの努力でなければならないと私は考えるのでございます。  今日國民の大半の中には、今裸にせられたところの零細なる土地の所有者がございます。赤字供出に泣くところの農民が過半あるのでございます。同情すべきところの引揚者があるのでございます。戰災者あり、遺家族あり、統制によつて生じた失業者がある。インフレにあえぐところの勤労階層があるのでございます。まさに超非常時と言わなければなりません。これに対して、なまやさしい政治をもつてして救國し得ざることは、明らかでございます。私は、片山内閣を倒すに至つた原因一つである軍事公債の利拂いのごとき問題は、問題とする價値がないと思うのでございます。こういう政治的な國民の動きを把握することによつて、私は國は救われると思います。しかして、かくして初めて中庸を得たるところの政治をとることができると信ずるのでございます。  今日の農政問題は、農業の韓換期に際しまして協同組合の発達助長をはかり、経営面の近代化をはかり、食糧の自給態勢をはかる等、まことに急を要するものがあります。この書にあたつて、農林大臣の選考は最も重大であります。農林大臣は、すべからく農政に通じた、達識あるとことの人材を天下に求む、べきであつたと思います。今回の組閣の選考に際しても、農相の選考のみならず、廣く人材を天下に求めまして、国民信頼にことうべきであつたと私は思いまして、まことに失望を感ぜざるを得ないのでございます。(拍手)芦田総理の創意によつて行われたただ一つ政策があります。これは政務官の第二号を設けることでございます。(拍手)農民党は、この定評ある弱体内閣の補強策にすぎないところの第二号制に絶対反対であります。以上に対して、芦田総理の信念を国民に披瀝していただきたいのでございます。  次に、労働大臣にお伺いいたします。(「いない」と呼ぶ者あり)あすでよろしい。今日の農民は、土地は管理されておる。耕作権は農地委員会に管理されております。自主性なき供出制度にあえいでおります。納得し得ぬところの事前割当、苛酷なるところ農民課税に苦しみつつも、当局に対して法的に交渉するところの権利をすらもたないところの農民であります。すなわち農民にすぎない、奴隸にすぎない、農民でありますが、國家再建のために一〇〇%の供出をし、納税成績も優秀であり、勤労精神また高揚されておるのでございます。しかしながら、これに反して官公労組の最近におけるところのスト並びにサボ、職場大会は、農民にとつてまことに目に余るものがあるにでございます。特に官廳のストに対しては顰蹙にせざるを得ないと思います。この際労働大臣は、経済ストであろうと、政治的ストであろうと、思想的ストであろうと、断然ストは休戰を宣すべきであると思います。しこうして、農民とともに生産闘爭並びに能率闘爭に邁進しまして、救國の一遂に進むべきであると信ずるものでございます。かかる一國の安寧秩序を破壊し、國民の福利民福を阻害するところのスト行為が、いささかでも当局によつて当然とされるならば、農民もまた反抗ストに出でるところの事態を惹起することを、ここに特に当局に警告したいのであります。労働大臣の勇断と見解を問たい。  次に商工大臣にお尋ねしたい。〇・八の財源問題について問題になりましたところのメリヤスのシャツ百五十万着分は、いかにして輸出を不可能にしたか、その原因及び善後処置を聽きたいのであります。なお農民は、目下一尺の縫糸でも、一尺の端切れでも欲しいと思う矢先におきまして、紡績会社の製品化されたところの綿糸が、その大都分がストックされて、一割しか綿織物会社に渡されておらないというこの不可解な事実も明瞭に説明していただいて、國民の疑惑を解いていただきたいのでございます。以下は、農林大臣にお尋ねいたします。農村を近代化せしむるために、一片の協同組合法なるものを農村に押しつけて、これをもつて起き上れと言うても、これは至難でございます。これを発達助長せしめるところの方策急務でございます。主食品、油糧、飼料、ことごとく公團法によつて取扱われることは、すなわち農業協同組合の設立の趣旨に反し、なお最近において養蚕組合を分離せしむるがごとき方針をとるということは、すなわち協同組合の助長発達を期することに逆行するものであります。  現下の肥料会社を考えてみますと、経営すこぶる非能率であります。しかして、放漫なるとにろの融資を受けております。製品はやみ流しをしておる。不正なる成分量は、農民が最も目に余つておるのでございます。今年度の窒素肥料反当の五貫五百匁と政府は言うておりますが、その成分量より論ずれば、昨年度の四貫と同様であることを私はここで指摘いたしたいのであります。(「ノーノー」)肥料会社國有にするところの論議が行われておりまするが、これは当然農業協同組合連合会の経営に移管した方が相当であると私は考えるのであります。これが農村恐慌対策といたしましても、また防衛経済の確立をいたす点におきましても、まことに農村の起き上りに役立つと考えるのでございます。  次に、この点は大事でございますから、特に農相の御注意をお願いいたしたいのでございます。協同組合法の第十條の第十一項に、生活改善をはかるための團体協約に関する事業というのがございます。平野前農林大臣は、一昨年、農民もまた勤労民であるということを断定しております。勤労者に與えたるところの憲法第二十八條の示す團体交渉権を、なぜ働く農民、協同組合に與えないのか、與えるのが当然ではないかと主張するのでございます。この点、農相の明瞭なる答弁をいただきた。  次に、單作地帯における農民は、特に供出及び課税の重圧によりまして、保有米並びに再生産資金の欠乏に悩んでおる窮状でございますが、これが対策といたしまして、水田の二割畑作轉換をやること、濕田地帯を二毛地帯に乾田化せしむるところの土地改良事業に重点をおいていただきたいのであります。これに対して、今年度の予算面にいかなる構想をおもちでございますか、明らかに農民に安心を與えてほしいのであります。  次に、米價問題についてお尋ねをいたします。今年度の米價はパリテイ計算によつて算出されたのでございますが、パリティ計算なるものには大きな欠陷があるのでございます。それは、基準年次の物價に対する六二・五倍の倍数の点は諸物價と均衡されておるのでございますが、七十一品目の品質及び使用價値より比較いたしましたならば、品質並びに耐久力において半分の使用價置しかない。しかるに、一方において米や麦は、基準年次の昭和年度と今角度とを比較するのに、品種改良によつて品質はまさつてつても劣つておらないのであります。この点が大きな原因で米價の不均衡を來しておるのに注意していただきたい。この点、二十三年度の米價決定において安本長官及び農相はいかなる見解をとられるか、お聽きいたしたい。  次に、米麦の事前割当についてお尋ねします。今回突如として発表されたる事前割当なるものは、農民から見ますれば、政府は科学的であろ、合理的な算定にとつていたしたいと言いまするが、すこぶる非合理的事前割当といわなければなりません。平均収量は、なぜ大正十年の肥料の十分あつたときの長期平均収量を採用したかというのであります。つくりもしないところの反別になぜ基準反別数字をおいたか。精農の努力に報ゆるところの價格操作は、とうてい精農が背伸びしても届かないところの價格操作であります。こういう点については、机上の空論にないと私は考えます。  しかし、私のここに尋ねんとすることは、この重大なるところの事前割当がどの法規によつで発表ざれたのか。どの法規によつてこういうことを実施されたのであるか。私は民主憲法治下における農民といたしまして、その政府の無法さに驚く次第であります。(拍手)おそらく食糧管理法第三條の、米麦等にして命令をもつて定むものを政府に賣渡すべしという法規によつたものと考えますが、この簡単なるところの一法文、この動員法にもまさるところの悪法によつて國会に諮ることもなく実施されておるのは、断固として反対であります。私は農民の名において承知いたしかねるのであります。私は農相に、速かに事前割当の撤回を望むものでございます。(拍手)(「むちやを言うな」と呼ぶ者あり)何がむちやだ。そちらがむちやじやないかか。  次に、燐酸肥料反当り二貫匁を公約されておりますが、これがためには硫化鉱四十八万五千トンの共給確保を計画されておるのであります。これは計画だけであつて、特別なる措置を講じない以上は、四十万トンの供給不足を生ずることは明らかであります。先般間の成績を見ましても、その物資と輸送力の確保がなかつたために、公約通り行わなかつたために、失敗に経つた。この事実から見ましても、春肥の燐酸肥の配給確保は、特別の非常措置を講じない以上望み薄であります。眞劍なる農相の決意と方法をお尋ねいたしたい。  次に、農村課税についてもう一度農村の立場から当局に尋ねたいのであります。今回芦田首相が組閣に狂奔しておつた政治の空白期間中に全國的にまき起つたこの苛酷極まる申告所得に対する不平不満、国民の動揺は、言語に絶するものがあつたのであります。ただその筋の命によつて表面鎮静を保つておるにすぎない現状であります。これがために増産意欲はいよいよ沈滞し、各地に土地の返還問題を惹起しておるのであります。これはゆゆしき大問題で、明らかに大藏大臣及び主税局長の責任と言わねばねらぬと思います。零細な農家から一時に二万円、三万円の税金がやすや取立てられると思うのが当局の認識不足であります。(拍手)これは全國税務署長会議において、大藏大臣並びに主税局長が適当なるところの指示を誤まつた結果によつて招來された國民の動揺であると私は思います。二の責任は断然追究さるべきであつて、大藏大臣は本議場において陳謝の意を表する責任があると思います。(拍手)主税局長の更迭をもつて責任政治を明かにせなければだめでございます。  私はここに前後措置といたしまして、所得税の納期を一ケ月間延期いたしまして、この間において、自治團体の代表者を通じて総括的に更正決定に異議ある納税者に対して調整するところの期間をあてがうのが適当であると考えます。第二に、分割拂いを農民にさせなければ無理でございます。しかして恒久策といたしまして、税制改革に所得税査定審議委員制度を設けまして、徴税の民主化をはかつていただきたい。第三に、基礎控除並びに扶養家族は過少に過ぎますから、現在の三倍程度にぜひとも上げなければなりません。勤労者及び農民の所得というものは、いわゆるガラス張りでありまして、課税の対象が一目明瞭にわかるところの欠点があるのである。この明瞭にわかるところの過重の負担を是正する方法をとつていただきたい。この点は非常な関心をもつて國民は待つておりますから、明確に安心を與えていただきたいのでございます。  最後に私は、供出制度の改正について申し上げたい。農民の増産意欲を高揚し、食糧の自給体制を確立するために、今年度は必ず各党の御協力を得まして、ぜひとも農民の納得のいく合理的供出制度に変えていただきたいのでございます。二十一年度産米におきまして、政府はあのように農民を騒がせ、泣かせて、強制に強制をもつてして確実に政府の把握したところの米の数量というものは、二千五百三十万石にすぎないのであります。二十二年度におきましても、一〇〇%完遂されたとはいいながら、五百万石の還元保有米を差引きますと、差引き一昨年度回様二千五百万石内外でございます。この二ケ年の実績こそ、今度の供出割当数量の基礎数字とせなければいけないと私は思います。これが農民の最大限度供出し得るところの限界を示す数字と言わなければなりません。いたずらに保有米まで供出させて、農民を泣かせてやつても、おのずから限度のあることを当局は知らなければいけません。よつて私は、この限界数量二千五百五十万石を農民の納得のいく責任供出といたしまして、その残りを高額買入れによつて供出制度を改正すべきであると主張いたします。これこそ精農の努力に報い、増産と勤労意欲を與える、自主性あるところの供出制度と言わなければなりません。  かつてソヴエトですら、食糧五ヶ年計画を達成著ために、農民にまず種と保有米を與え、一部を税金として供出させ、爾余を自由販賣せしむることによつて、すなわち農民に自主性をあてがうことによつて、五ケ年食糧計画を達成いたしたのでございます。すなわち、農民に増産意欲を起さしめるために、一部営利心を満足せしめることによつて成功をしたのでございます。  米強地の農村の部落の中心において、町と向様な主食の配給風景を現わしておるのでございます。こういうばかなことはあり得ないのでございます。貴重な農民の半日の時間を空費させて、騒がせておる現在でございます。各地の村長は板挟みとなつて辞職をしております。北海道の某助役は断食をして請願しております。まさに農民の不平というものは爆発寸前にきておるのでございます。古來これほど朴誘なる農民並びに労働者を騒がせて、救國できるはずはないのでございます。これは私は亡國的前兆であると断ぜざるを得ません。  私は五十二俵を供出しておるのでございます。本代議士は五十二俵を供出して、三月一日から配給を受けておるのでございます。こんなばかげたことはないのでございます。佛の顔も三度ということがございます。これで三ケ年間納得のいかぬ供出制度に虐げられておるのでございます。しかも、供出の米の價格は一俵七百円であります。配給を受ける米は九百円余でございます。この二百円の差額を農相はどうするつもりか、お聽きしたい。事すこぶる重大でありますから、この際供出制度改正の農相の構想と、以上申し上げた点につきまして明確に答弁をいただきまとて、農民に安心をあてがわれんことを希望してやまない次第であります。(拍手)     〔國務大臣芦田均登壇
  16. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 加藤君にお答えいたします。  最初に御質問になりましたのは、片山内閣が辞表を出してから現内閣が成立するまで一ヶ月間の空白があつたことによつて、現に官公廳の労働爭議が起つたのであるが、どう思うかという御質問であります。そういう考え方もあるかもしれませんが、労働爭議は主として経済條件の維持改善を目標とする運動でありますから、不幸にして私は加藤君と見解をにすることができません。御了承を願います。  第二の問題は、中道政治を行うには経済生活の均衡をはからなければならぬ、耐乏生活に耐え、勤労者精神に徹するにあらずんば日本の再建はできないのだ、それをどう思うかという御意見でありましたが、私は全然同感であります。極力この方向に、われわれみずから自粛して、率先ごの勤労精神高揚に努めたいと考えております。  次に、農民党は政務官の制度に反対であるが、政府はどう思うかという御質問でありました。政務官は多年の議院政治の運用において幾多の成績を示してきたのでありますから、政府としては、現存の政務官制度を今後もなお継続する意向であります。     〔國務大臣永江一夫登壇
  17. 永江一夫

    國務大臣永江一夫君) 私に対します非常に廣汎な御質問がございましたが、逐次お答えを申し上げたいと思います。  第一は、農業協同組合を強化するために、政府においては肥料の國管の構想よりもさらに進んで、この共同組合の連合会に肥料の生産を行わしてはどうか、こういう御意見でございますが、硫安等の化学肥料につきましては、生産に高度の技術を要するのみならず、多額の資本を不可欠とするのでありまして、協同組合連合会に新規にこの事業を行わせるということについては多大の困難があるのでありまして、今ただちに御意見ようにはまいりかねると思います。  次に、農業協同組合の團体交渉権についてでありますが、これはお示しのように、農村業協同組合法の第十條に、組合員の経済的地位の改善のために團体協約を締結し得る旨が廣汎に規定せられておるのでありますから、これによつて團体交渉権というものは十分に認められておる、かように私は考えておるのであります。但し、供米割当は行政行為でありますので、團体交渉という形はとり得ないのであります。割当にあたりましては、食糧調整委員会等民間の意向を十分に参酌いたしましてこれを決することになつておりますから、これによつて目的を達することができる、こう信じております。  第三につきましては、單作地帯について二〇%程度を畑作に還元してはどうか、こういう御意見でありますが、米の單作地帯は、他の二毛作地帯、畑作地帯に比しまして供出の負担が非常に重いのであるから、家畜飼料等に対する保有量の増加、その他種々の事情によりまして改善を考慮するつもりであります。水田を一〇%も二〇%も全國的に畑に轉換するというようなことは、御承知よう食糧の質及び操作の上から見ましても、今政府としては同意しがたいのでございます。但し、適地適作原則に則りまして、むしろ畑に轉換するのが適当である不良田につきましては、これを適当に考慮してまいりたいと思います。  次にお尋ねの点は、一毛作地帶を乾田化するために、土壌改良事業に重点をおいたらどうかという御意見でありましてこの一毛作地帶の乾田化その他土地改良事業は、増産土最も効力がある事業でありますから、政府におきましてもこれに力を注ぎまして、御承知のごとく二十二年度におきましても、約十億円の國費をもつてこれを実施したのでありますが、なお本年におきましても、引続きこの事業を施行するために計画中でございます。  なお、パリテイ方式によつての米價についての御意見がございました。このパリティ計算については、一、二度私はこの席上からお答えをいたしましたが、この方式によつて決定せられた米價を、パリティの採用品目の一つ一つの價格の変動に感じてスライドしてまいりますことは、理論上からは理想であります。しかしながら、事実上から申しましては非常に困難がありまして、現在の供出制度のもとにおきまして、時期的に収穫直後全量を賣り渡す建前をとつております点から見ましても、必ずしもこれは妥当でないと存じます。むしろ、年次途中において一般價格体系が変動するような場合、実情に即した調整処置を講ずるのが妥当ではないかと考えております。  事前割当の法的根拠いかんという御質疑でございましたが、今般の本年産の主要食糧の事前供出割当は、お示しのよう食糧管理法に基くものであります。食糧管理法は、供出割当の時期については何らの規定を設けておりませんから、事前割当をいたしますことも適法であります。從いまして、今般決定いたしました割当は供出割当のみでありまして、生産割当ではありませんから、これを御了承願いたいと思います。從つて、いろいろこの点に関して御心配がありましたけれども、われわれは実情に即しまして、さような心配が実現しないように、政府としては努力をいたすつもりでありますから今ただちに事前割当を撤回するという意思はございません。  なおこれに関連いたしまして、供出制度の根本的な改善制度についてお尋ねがありました。これもすでに質問者におきましては十分御承知のことと思いますが、昭和二十二年度産米の供出までは、原則としておおむね収穫が決定いたしました時期に、これに基いて供出割当を決定しておりましたが、これは農家が努力して増産すればするだけ、何らの報奨的な処置なしに政府に買い入れることとなりますので、農家の生産意欲を減殺する画があつたのでございます。從いまして政府は、本年産米の主要食糧からこれを事前割当にいたしまして農家が苦心して増一産した割当以上の増産分は特別の價格で買い入れ、超過供出分にはでき得る限りの報奨物資を放出することにいたしまして、農家の生産意欲を高揚するようにいたしたのであります、なお収穫決定後におきます追加供出はこれを行わないのでありまして、天災等眞にやむを得ない理由によりまして、収穫の結果、当初生産見込みに比し著しい減収が生じ、保有量に影響を與えるようか場合には、事実を確認のうえに共出割当数量を補正いたすように考慮して処置を講ずる等、共出制度を根本的に改正いたしたいと考えておる次第であります。     〔発言する者多し〕
  18. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 靜粛に願います。
  19. 永江一夫

    國務大臣永江一夫君)(続) なお燐酸肥料の生産についてお尋ねがありましたが、これまた御承知ように、燐酸肥料の生産につきましては、硫化鉱の生産、輸送、所要電力等の最優先的な確保をいたしまして、この増産を期したいと考えておる次第であります。  なお最後に、農村の課税のことにつきましては、私は二度ほどこの席上からお答えをいたしておきました通りに、農林省の立場といたしましては、農村課税の点において、ただ単なる粉を徴収するという技術の面からこれを見ることなくして、今日の食糧事情から申しまして、食糧の再生産に支障のあるような課税の方法はこれを改めていきたい、かよう考えておる次第でございます。以上、お答え申します。(拍手)     〔國務大臣水谷長三郎君登壇
  20. 水谷長三郎

    國務大臣(水谷長三郎君) 加藤さんの私に対する質問は二点でありましたが、質問の第一点は、現在綿製品の逼迫しておるにかかわらず、大阪に約百五十万着のメリヤス・シャツが輸出不合格品として滞貨されておるが、これに対する政府責任の問題でございます。問題のメリヤス・シャツは丸首シヤツでありまして、これは輸入綿花を原料とするものであり、当初メリヤス業界の設備と能力に鑑みまして、G・H・Qよりの指示に基き、南方向製品として、未さらし生なりのものを昭和二十一年七月より昭和二十三年三月に至る間三回にわたつて計画生産を行つたものでありまして、G・H・Qよりの指令生産によるものでございます。  次に、本品は輸出不合格品ではないので、未さらしのものとしては立派な適格品であります。ただ海外の需要は、この種の製品につきましても、いずれかと申し上げますれば、さらしのものを求める傾向が強いので、業界の設備の完備に伴いまして、二十二年四月から六月に至る分よりは、生産計画を切替えまして、丸首シャツは全部ざらし加工を施すこととなりました。從つて現在は、未さらしのものの生産は停止しておる次第でございます。メリヤス製品のみならず、綿製品一般につきまして、現在ストック品が増大する傾向がございますが、これは海外市場におきますドル資金不足によるものでございまして、これについては目下打解策を考慮中でございます。  なお本品については、歳入不足の補填及び國内衣料の充足を目的といたしまして、内地放出実施方を考究中であることを申添えておきます。(拍手)     〔國務大臣加藤勘十君登壇
  21. 加藤勘十

    國務大臣(加藤勘十君) ただいまの加藤吉太夫君のご質問にお答え申し上げます。御質問の要旨は、労働者に罷業権があつて罷業をしておる。同じ勤労者でありながら、農民は苦しんでおるにもかかわらず、罷業をすることができない、こういう点に対する私の見解はどうか、こういう御質問であつたと存じます。この点につきましては、申し上げるまでもなく、労働者には労働組合法等によりまして、労働者の基本的権利として團結権、罷業権が認められ、これは憲法もまた保障するところであります。そういう法律の範囲において行うことができるのであります。もちろん現在行われておりますような爭議は、ただの一人の労働者といえども、みずから欲して爭議を行うのではなくして、眞にやむを得ず、今日のインフレーシヨン高進下においてはどうにもならないという点から起つたものでありまして、この点に対しては、お互いに深い理解をもつて対処することに努めたいと存じております。農民諸君の苦しい立場に対しても、また私どもは十分な理解をもつて対処し、おのずから農民諸君に対しては別途の方法が講じられるであろうということを申し上げたいと存じます。  さらにこの機会に、一言現在の爭議に対する政府の態度を申し述べたいと存じます。実は本日、司令部からメモランダムを受取りました。そのメモランダムの要旨は、今次全逓の罷業は昨年一月三十一日附最高司令官声明條項に該当するものであるという見解を本司令部は有することを貴大臣に通告する。この通告は、逓信大臣と労働大臣にあてられたものであります。こうしたメモランダムの発せられたに対して、私どもは重々遺憾の意を表するものでありまするが、事態がここまでまいりまして、私どもはこのメモランダムの趣旨に從つて善処をしたいということを申し上げて御返事にしたいと存じます。     〔國務大臣北村徳太郎君登壇
  22. 北村徳太郎

    國務大臣(北村徳太郎君) 加藤君の御質問にお答えいたしたいと思います。  課税の適正と負担の公平をはかりますことは当然のことでありまするが、御指摘のよう農村地帯においてどうも手違いがあつたということは認めなければならぬのでありまして、かようなことを聞きましたから、この議場でたびたび申し上げましたように、財務局長を集めまして、そうして税務署の末端に至るまで課税に関する公平並びに適正を期するように十分に注意をいたしたのでございます。  これに関しまして、たとえば納期を一ヶ月延ばす氣はないかという御質問でございましたが、これは遺憾ながら現行法規の点においては、さようなことはできませんので、とにかく再審査の要求等については、少々のことは税務署において法規だけにとらわれずに十分に親切を盡すようにというような訓令を発しております。  それからなお審議制度を設ける意思はないかというようお尋ねでございましたが、ただいまのところ、さようには考えておりません。と申しますことは、申告制度をとりましたので、これはどうも納税者の各位がまだおなれになつていないので無理からぬと思います。税務署自身においてもなれていない。けれども、この制度が最も民主的な方法である。納税者自身が、自分の納税はこれこれということが、もしこれに習熟されますならば最も民主的な方法でございますから、漸次習熟するように、そういう方へ協力をし合うということをもつて審議会等を設けることはただいまのところ考えておらぬということを御答弁申し上げます。     〔加藤吉太夫君登壇
  23. 加藤吉太夫

    ○加藤吉太夫君 米價の。パリティ計算について再質問いたします。その他の点については農林委員会お尋ねすることにいたします。  二十二年度の米價は、すなわち千八百円ベースのパリティ計算によつてきめられた米價でございます。從つて、給與額が増額されもしくは諸物價が改訂される場合におきましては、当然二十一二年度の米價は、スライド制によつてその差額を還付してもらわなければ無理があると私は思うのでございます。農民の供出した供出量を月割にいたしまして、これをスライド化した價格に更正しまして、その差額を還付する、この点について農相の答弁をもう一度お伺いしたい。  第二に、私の述べましたように、出すときには米一俵七百円で出して、これを保有米の切りこみとしてもろうときには九百円拂わなければならない、その差額の二百円余はいかがにしてくださるのか明確に御答弁をお願いいたします。     〔國務大臣永江一夫登壇
  24. 永江一夫

    國務大臣永江一夫君) 重ねてのお尋ねにお答いたします。パリティ計算によるところのいわゆる米價の基礎が、すなわち労働賃金において千八百円ベースが移動したのであるから、米價についてもその点は考慮なければならぬのではないかという御意見は、ごもつともだと思います。ただ、ただちにそういう処置をとりますのか、あるいは他の農村における必需物資の裏づけとして換算をするのか、そうゆう点について当局においては今考慮中でありますから、適当な時期に具体的な御答弁をいたしたいと思います。     〔発言する者多し〕
  25. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 靜粛に。
  26. 永江一夫

    國務大臣永江一夫君)(続) なお第二の点でありますところの、いわゆる供出したところの米の値段と、それからさらに農家に割り当てるところの、米の値段との開きについてどうかという点でありますが、これもごもつともだと思いまして、ただいま関係方面とよく折衝いたしまして、農家に返します米の値段についでは、農家において、分納得せられる値段においてお返しするという考えであります。     —————————————
  27. 笹口晃

    笹口晃君 國務大臣演説に対する残余の質疑は延長し、明三十日定刻より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
  28. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十二分散会