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1948-03-27 第2回国会 衆議院 本会議 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年三月二十七日(土曜日)     午後三時二十四分開議     —————————————  議事日程 第三十号   昭和二十三年三月二十七日(土曜日)     午後一時開議  一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)     —————————————  第一 地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出)     —————————————
  2. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 笹口晃

    笹口晃君 議事日程追加緊急動機を提出いたします。すなわちこの際、課税調整に関する緊急質問、官公労の労働争議に関する緊急質問を逐次許可せられんことを望みます。
  4. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  課税調整に関する緊急質問を許可いたします。塚田十一郎君。     〔塚田十一郎登壇
  6. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 私は、民主自由党社会革新党、第一議員倶樂部日本農民党を代表いたしまして、課税調整に関する緊急質問をいたさんとするものであります。  農村漁業者並びに商工業者等個人企業者に対する昭和二十二年度課税所得は、去る2月十五日の日附をもつてその後逐次発送せられておる状態であります。しかして、この通達せられました課税決定を見ますのに、きわめてこれはでたらめと言わざるを得ない程度のものであります。(拍手)どのようなでたらめ実情があるか。これはたまたま私の所へ非常に困つて相談参つた一、二の実例をこの際申し上げるのでありますが、店も何も張らないで青果業を営んでおるある業者が、課税所得本人は三万五千円としておつた。ところが、それに対して二十四万円の更生決定をして、追徴税を含めて実に十六万円余の税を追加納付すべしという通達を受けておるのであります。そのほか農村などにおきましても同樣なのでありまして、農村は概して申告をいたしておりませんために、このたびはまつたく無申告者として、税務署が、一方的な査定をして通達をいたしておるのであります。  農村などの実例に見ますと、私の出身縣であります新潟縣などの單作地帶、この地帶におきましては、米だけが唯一生産物であります。米を賈りましての收入唯一收入であります。それに対しましてし私の地方におきましては、反当り二石というのが一般收入状態でありますが、その程度收入のものに対しまして、一反当り二千円の所得というものが、大体通告を受けた課税所得標準になつてるのであります。さらに畑などの場合で申しますと、これは二毛作、三毛作によりまして、二毛作のものは、その二毛作がどういうものをつくつているかという実情を想定いたしまして、それに対して二毛作所得二毛作所得というように、私どもこれを所得を躍らしていると言うているのでありますが、二度に躍り三度に躍つた課税所得をいたしまして、畑におきましては、一反歩の課税所得算定は、私ども地方実例におきましては、少くとも三千円、多いのは六千円、七千円になつている事情であります。その他林業者漁業者におきましても、同樣な状態が今日見られておるのであります。  何ゆえにこのようなきわめて不合理が出てきたかというと、その第一の理由は、何と申しましても政府が、殊に主税局及び財務局を通して第一線税務署に対して徴収すべき額の割当をしているということが、大きな原因であります。(拍手)この点は、私ども委員会におきまして、しばしば政府に対して、そういうことは怪しからぬじやないかということを申し、質問もいたしているのでありますが、そのときの政府答弁は、必ず絶対にそういうことはありませんということが、きまりきつた答弁であります。おそらく中央におきまして、つまり主税局財務局におきましても、氣持はその通りなのでありましよう。それらの人たち説明によりますと、絶対にこれだけの額を徴收しろという標準割当はいたしておりません、ただ今日の税法を適正にあてはめていくならば、この程度はとれるだろうという標準を與えておるだけだ、こういうのが政府説明のであります。おそらく、中央においてはその通りなのでありましよう。しかし、それを受けた末端第一線税務署は、そう考えておらぬのであります。その通達を受けますとし必ずそれだけが徴收しなければならぬ額であるというように了解をするのであります。それを徴收しなければ自己の成績にも関するというように判断するのであります。從つて、どうしてもそろ通知を受けますと、それだけはとろうという氣持に、その末端第一線事務官連がまじめで熱心であればあるだけ、そういうような氣持をもつのであります。その結果、どうしても定められた額を徴収しなければならないから割当を過大にする。そこで、その割当をいたしております実情を見ますと、御承知のように、今年は中途からいろいろな物價の騰貴、などによりまして所得が非常に、殖えておりますから、概して申告は低目であり、また申告をしていないもの——この納税予定申告制度というものに対する不慣れの関係上、申告しない者も相当ある。そうしてこの確定申告をまつて申告のない者について、二月の初めごろからこれに対して更生決定を出すという事務に取りかかる。  ところが、御承知のように日本税務署機構は、第一に人員において非常に不足いたしております。さらに人間素質において非常に低下しております。不足しておる人間、低下した素質人間が、きわめて短期間に食事をしなければならないから、調査をして更正決定をなすべきものを、調査をせずに更生決定をしておるものが実にたくさんある。それでは何によつてそういう更生決定標準額を出したかというと、まつたくこれは無標準と言わざるを得ない。おそらく、ただ頭の中で想像した程度数字で、大抵同じ事業の業種に対してこれくらいだろうというので、ぶつかけてくる。從つてその通達を見ると、四十万、三十万、二十五万、二十万というふうに、端したのない、実にでたらめ数字であります。そういう状態でありますから、これを受取つた人たちは、とうていこれに対して納得して納税するわけにはいかないと言つて、今非常に大問題になつておるのであります。  そこで私たちは、政府が一体このような税金徴收末端税務署にさせておきながら——これは二十五日の日附の通達でありますから、本人らが受取つたのは大抵三月にはいつております。三月十日間後からずつとでありますから、所定の期日徴收させるということは不可能だ。しかし税金の本來の性質から行けば、どうしても納得のできるものでなければならないということを考えまして、これはこの際強いて法の規定しておる期日をあまりやかましく言われずに、各納税義務者の不服をこの際懇切に聽いてやつて納得の行くところで税金をとるということでなければならぬのじやないかということを、委員会において非常に熱心に主張しておるのであります。(拍手)それに対しまして、また政府の誠意ある答弁委員会において得られておらぬのでありますが、この際大藏大臣より、それらの点についての誠意ある答弁をぜひ得たいと思うのである。  御質問申し上げる具体的な要項は、大俸次の五つでおるということを申し上げます。  まず第一に、課税基準適正化をはかられる意思はないか。それは、一体政府が一方的に課税徴收通達をされますときには、税務署もしくは財務局の内部におきまして、課税基準というものをある程度つておられるのである。これはある程度もたれておることは一向差支えないと思うのでありますが、この課程基準がどうも適正でない部面が非常にある。殊に課税基準が適正でない一点として強く御指摘申し上げたいのは、必要経費認定というものが非常に低いという点であります。これは御承知のように、インフレが非常に高速度に進行いたしておりますから、各事業者営業をいたしますときに、その必要経費においていろいろなやみ支出というものを皆出しておる。ところが、この必要経費認定におきましては、政府やみ経費というものはほとんど考慮しておらない。ところが收入の面においては、やみ收入相当に大きく見ておりながら、必要経費の面においてはやみ支出というものを見ておらないから、この点において課税所得算定に非常に過大なものが出てくる。そこで、課税基準適正化をこの際にほかられる意思はないかということが、お尋ねいたしたいと思う一点であります。  第二に、もうすでに通達になつております更正決定額の再審査を請求いたします期間と、從つてまたそれに附堕して納税をいたします期間をこの際相当程度延期して、その期間において各納税義務者の不服を十分に聽いた上で、納税納得の上による円満なる完納を期することが適当であると思うが、それを実行せられる意思はないかということが、お尋ねいたしたい第二の点であります。  第三に、適法な審査の請求のあつたものに対しては、納税期限後といえども審査決定までほ督促、強制執行並びに延滞利息をとられるということは無理と存じますので、これをとられないようにずる御意思はないか。その点がお尋ねいたしたい第三の点であります。  第四の点は、今回の、殊に昭和二十二年度状態におきましては、今ここで決定を受けまして、また本人が、なるほど決定通り所得はあつたのだということを認めましても、実際問題として納める資金がないという事情が非常に多いのであります。從つて、納める意思があつても、今まとめて納あるというわけにほいかない。金を借りるにしても、借りる先もない。またある金を全部すぐに納めてしまつては仕事を継続していくことができないという状態になつておる。そこで、きわめて異例の措置ではありますが、事情をよ、く調べられて、やむを得ないものについては、特に分割納入を認めてやるという御意思がないかどうか。(拍手)  第五に、昭和二十二年度も、もうすでに年度末になつておりますから、税の徴收はなるべく早く行われなければならないことはもちろんであります。しかし、今申し上げるように非常な納得のいかない状態になつておりますから、どうか現有徴收機構の全能率——これは先ほども申し上げましたように非常に弱体なものではありますが、この全能率を発揮して、できるだけ早くこの異議審査決定をしていただきたい。この観点からいたしまして、私どもは現在行われております全財労働爭議というものに対して非常に重大な関心をもつておるのであります。不当な、納得のできない課税通告を受けて税務署相談に行くと、きようは一齊賜暇だ、ここのところずつと一日おきぐらいに一齊賜暇をやつておられる状態があるのであります。これは絶対に、迅速に審査決定を行なつて年度内完納を期するということはできないのである。どうか早くこの爭議が停止せられて、そうして審査決定が十分に行われて、納得のいく納税が期せられるということを、ぜひ政府当局においてごくふう願いたいということが第五の点であります。  以上、お尋ね申し上げたい五つの点を申し述べたのでありますが、最後に一言附け加えさしていただきたいのは、國家收入の基幹をなしておりますところの所得税收入というものは、財産税などの收入と事違いまして、毎年繰返されて收入されるのでなくては、國家財政の基礎は確立いたさないのであります。もし本年度決定なつたこの更生決定額によつて納税を強行せられますならば——それは國家の強権をもつてされれば、できないことはありませんでしよう。しかし、もをそれをされました暁には、どういうことになるかということを、ひとつお考え願いたい。営業者は全部営業を廃止いたして、店をしまつてやみブローカーになるということを公然と言つておる。農村におきましては、せつかく円滑に遂行しかけてきましたあの農地解放が、こんなに税金がかかるのでは、うつかわ土地を買うことはできないといつて、耕作を放棄する者が、すでに新潟懸などにおいても続々と出てきている実情であります。このような状態におきましては、二十三年度以降の所得税というものは非常なる欠陷を起してくる、また農地改革の前途にも相当大きな影響をもつてくる、食糧の増産も期し得られないという現実が必ず出てくることを確言申し上げることができるのであります。  以上の点を考慮いたしまして、ただいまお尋ねいたしました五つの項目を中心といたしまして、政府当局の誠意ある御答弁をいただきたいと存じます。(拍手
  7. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 椎熊三郎君。     〔椎熊三郎登壇
  8. 椎熊三郎

    椎熊三郎君 徴税の問題について、容易ならぬ事態が随所に起つておるように思われますので、この機会大藏当局の所信を伺つておきたいと思います。  われわれは、不信なる戰争の結果、敗戰國民でございまして、この日本復興再建せしめんがためには、國民相当忍從をしなければならないことはよく心得ております。從いまして、税金も平常の場合よりは過重に納付しなければならぬということも、これまた今日の場合やむを得ざる状況であることも心えております。しかしてこの再建復興のためには、まず國家健全財政を確立しなければならぬと私は考えます。なおまた現下のインフレーシヨン克服のためにも國家收入が確保されておらなければいかぬのだと思うのであります。よつてわれわれ國民の負担が多少過重な点がありましても、それ健全財政の確立のためであり、国家復興のためであるならば、あえて私どもはその苦痛を耐え忍ばなければならぬのであります。  なおまた、わが國独自の実力をもつていてば容易に國家再建ができないいう今日の状況におきましては、遺憾ながらわれわれは、外國援助に頼る慮も多々あるのであります。最近行われておりますアメリカ側日本に対する援助のごときも、わが國の再建のためにはまことに重大なる問題でござ、いましよう。外資の導入といい、クレジツトの設定といい、ひとえにこれは、國内の態勢がほんとう再建復興に向つているということに確信をもたれるのでなければ、容易にこのことも決定せられぬのではないかと私は危惧いたします。   先日総理大臣が、目下來朝中アメリカ陸軍次官ドレーパー氏と会見せられた新聞の記事を拝見いたしますると、陸軍次官は、日本財政状態について非常に御心配のようだつたという。殊に納税問題等に対して深い関心をもたれまして、詳細なる質疑が交されたということであります。昨年の暮の議会におきまして、政府当局の言明するところによれば、本年度の未收入税金が、驚くべし、一千億を越えておつたのであります。はたしてそういう状況をもつてしてこれの完納を見ることができるかどうか、非常に不安を感じたのでありまするが、その後の状況は、私どもの予想に反しまして、非常なる好成績であつたということであります。三月十三日現在をもつて大藏当局の発表するところによりますと、予算といたしまして千三百五十三億九千万円のうち、納付完了したもの九百五十三億七千七百万円だという、すなわち七〇%以上納入せられたということでございます。  私はこの非常な好成績國家將來のために喜ぶのでありますが、しかもなお今日の状況をもつていたしますると、四百億の未納があるのでございます。今までの完納された分は、幾多の事情はございましたろうが、喜ぶべき現象であります。しかし残つた四百億の徴税というものは、今日までの状況とは違つて、さらに一段の困難な状況を呈するのではなかろうか。しかも四百億残つた最大原因は、多くは不公正なる課税、あるいは徴税方法の拙劣、徴税官吏の不親切、國民との間に意思の合致がなかつたというような点、そういうことが原因としてあげられておるということでございます。すでに年度末になつてかくのごとき未納があるということであるならば、ゆゆしき重大問題でありまして、來年度予算編成にあたりましても、このことは重大なる支障を起すのではなかろうかと私は憂えるものでございます。  よつてわれわれは、日本復建のために、まず國家健全財政を堅持するために徴税機構拡充してもらいたい。そうして徴税技術を進歩さしていただきたい。そういこうことに対して、大藏当局はどのような計画と、どのような決意をもつておられるか。そうして課税にあたりまして、まつたく適正公平なる課税のもとに、國民國家復興の念願に燃えて、ほんとう日本再建のためにこの重い税金を耐え忍ぶという國家的の國民的良識がなければならぬと私は思う。  私はこの機会に一言したいことは、今随所に見らるる納税問題に対する混乱状態農村においても、漁村において、中小商工業者の間におきましても、まことにいろいろな重大問題が起されております。このことをこのままに放題しておくならば、あるいはこの間隙に乗じて、國民納税思想に驚くべき影響を及ぼすがごとき行動が起つて、こないとも限らぬ。現に地方におきましては、共産党的分子などと称するものが、あるは赤旗などを打立てて税務署を取巻き、故意不納同盟などということをやつておる。(拍手)私、は、この共産党の、共産党的分子の、かくのごとき者ども行動というものは、労働問題においてもしかり、今日のストライキでも、私は全逓の——逓信省関係でよく見ておりますが、これらの行動の陰にも共産党的分子がままはいりこんで、故意にこれを誘発し、國家再建のために驚くべき阻害をなしておる。(拍手)  今や諸君、世界の大勢を考えるとき、世はまさに共産主義的思想民主主義的思想対立であるともいえる。まさにかくのごとき対立をやつておるとき、わが國がかくのごときやからによつて撹乱せられるならば、実にわが國の將來というものは驚くべきものだ。私は、ただいま野党各派徴税問題に関する緊急質問共産党を除外したことを、野党各派のために敬意を表したい。(拍手)なるほど、いかに諸君野党であつても、これら共産党などとは同行動をとるまいと思う。そういうことをやつてつたのでは、日本復興というものはできません。私がここに申し上げることは、今大事な納税期にあたつて、うつかりすると共産運動などの跳梁跋扈すきを與えることを國家のために憂うると言うのであります。そこで大藏当局におきましては、この課税の公平適正なる方法徴税方法徴税機構拡充など、あらゆる点について日本再建のために万全を期していただきたい。同時に、彼らごときものの跋扈すきを與えないようにしていただきたい。この点に対しまして、大藏当局の断固たる所見を伺いたいのであります。     〔國務大臣北村徳太郎登壇
  9. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) ただいまのお二人の緊急質問に対してお答えを申し上げたいと思います。  特に塚田君の御指摘になりました点につきましては、私もこれを率直に認めなければならぬ点が多くあることを、はなはだ残念に思うのであります。特に今のときにおきまして、國家財政の最も重要なる歳入でありますところの税收入がうまくいくかいかないかということが、お話がございましたように、國家再建にきわめて至大の関係をもつておるという点も御指摘通りであります。從いまして私どもは、実は、今までのこの徴税組織欠陥があつたということも御指摘通り、また人員不足である、しかも能率が低下しておる、あるいはまたきわめて不慣、れであるというような点も認めなければ、ならぬのでございまして、現在予定されておる定員に対して約七割くらいの人員をもつておるのでありますが、納税者の数が最近になつて七倍に殖えておるというよような関係から、まず第一に御指摘になりましたように、現在の税務組織というものを根本的に刷新かつ拡充しなければならぬ。それで数日前全國の財務局長を集めまして、今後の税務機構改革刷新等につきまして具体的な相談をいたし、また指示をいたしました。のみならず、最近しばしば起つておりますところの税務官吏の不親切であるとか、あるいはその他の問題等につきましても、この際非常な戒飭を加えまして、十分その趣旨が徹底するようにはかつた次第でございます。なお最近において、これは國会の御承認を得まして、税務署の数は現在よりも約百箇所くらいを増設いたしたい気持で、目下さような準備をいたしておるのでございます。  次に税の適正の問題でございますが、これは何といいましても、前に申しました現在のこの税務組織欠陥と、はなはだしい人員不足と、しかもまた待遇等関係がございまして、今日までのところでは非常に異動率が高く、十分に慣れないうちに代つていくというような事実がございましたので、これらにつきましても、ただいま案を立てておるのでございます。なおこの課税適性化をはかるということは、これまた当然であります。先ほどお話がございましたように、殊に今日相当高率課税をしておる際でございますから、それが適正に行われているか否かということは、これは國民経済生活にも、あるいは心理的にも、きわめて重大な関係のございますことは、塚田君の詳細御指摘通りであります。從いまして、これにつきましては実情に即する——今日まで実情を十分見究めるには人手不足の点もあつたと思うのでありますが、急速にこれは拡張いたしますとともに、実情に即するという点に力点をおきまして、從來の、たとえば農村にあつては、農村の中で第三者の通報制度をとり、またいろいろの方に御諮問をする、あるいは團体に諮問するというようなことにおいて、適正を期したいと考えておるのであります。なおまたやみ收入を認めるが、やみ経費を認めないのはどういうわけであるか。これらも、いわゆる適正の一語に帰すると思うのでございまして、今までの点において遺憾の点があつたことは認めるのでありますが、これらは、ただいま申し上げましたような税務機構拡充刷新等を経て十分に御期待に副うようにいたしたい、かように考えておるのであります。  なお再審査は一ケ月以内にてそういう要求ができるということになつておるのでございまして、税金一般に延期することを了承するかどうかというお尋ねでございますけれども、これは何といたしましても法の問題であります。法規のあることでございますから、ここで國会において、法を無視して私がお約束はできません。けれども從來以上に——從來にもいろいろ欠陥があつたことは認めるのでありますが、より親切に、こういうことについて実情といようものを十分のみこむように、これは一般に向つて末端に至るまで徹底するように十分通牒を発し、このことによつて御希望に副うようにいたしたいと存じておるのであります。それで、あるいは分納認むるかどうかというお話がございましたが、分納は認めております。けれども分納後の処置については、これまた嚴格なる法規がございますので、この点については、法規を無視してここでお約束はできませんけれども、これは実情に即するように親切に取扱えという命令を速やかに出したいと考えておる次第でございます。  なお椎熊君よりいろいろお話がございまして、税の残りの四百億をどうするかというお話がございましたが、これはさいわいに今のところ順調な足取りをたどつておりますので、なお努力を続けまして、三月、四月においてこれが完納を見るように熱心にひとつ働きたい、かように考えておる次第でございます。  なお、大蔵省関係財務当局において一齊賜暇をしたという事実に対しては、まことに遺憾にたえないのでございまして、これはひとり税務関係官吏ばかりではございませんけれども、特に税務のごとき重大な任務にある者がかようなことをやつたということは、まことに遺憾にたえない次第でございます。これについては必ず適当の措置をとるという決心でございます。         —————  なお、大蔵省関係財務当局において一齊賜暇をしたという事実に対しては、まことに遺憾にたえないのでございまして、これはひとり税務関係官吏ばかりではございませんけれども、特に税務のごとき重大な任務にある者がかようなことをやつたということは、まことに遺憾にたえない次第でございます。これについては必ず適当の措置をとるという決心でございます。
  10. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 官公労の労働爭議に関する緊急質問を許可いたします。尾崎末吉君。     〔尾崎末吉君登壇
  11. 尾崎末吉

    ○尾崎末吉君 私は、ここに民主自由党を代表いたしまして、現在行われておる全官公廳の労働爭議に関しまして、眞心からなる質問をなすものであります。  難局を匡救する途は、実に國民の希望してやまざる政治の混迷を打開することから始まるべきであります。政治の混迷を打開するに最も大切なことは、政治が國民の大多数に了解せられ、納得のいく態勢と手段とによらねばならぬことは申すまでもありません。混迷と恐怖の中にある労働爭議も労働問題の解決も、また政府がこれらの問題に関していかなる対策を有するか、いかなる誠意を有するかを明らかにして、これに対し國民の多数が了解し納得し、労働者の多数もまたこれを正しく理解納得することによつて労働者の行くべき道を明らかにし、もつて混迷を除去することにかかつておることはもちろんであります。  昨年七月、片山内閣が不完全なる物價体系を定めたことと、その後の生産と経済との施策が妥当でなく、また施策の遂行にあたつての英断を欠いたこと等がそのおもなる原因となつて、インフレーシヨンを極度に助長し、当時定められた官公吏の千八百円のベースによる生活は、十一月に至れば赤字から黒字に変るとしばしば政府によつて声明せられたにもかかわらず、結果はその正反対となつて、ひとり官公吏の生活がインフレの荒波に脅かされるに至つたのみでなく、実に一般國民生活もまた極度の不安に襲われるに至つておることは御承知通りであります。しかるに、このたび成立をいたしました芦田内閣は、この根本を解決することが第一の急務であるにもかかわらず、これに関する何らの具体策を示さず、誠意と英断をもまた疑われるところから、全官公廳の爭議は日とともに激烈となり、從來つて見なかつた電信・電話・郵便の不通、官廳事務の澁滯となり、治安上の不安さえも來し、國民生活に重大なる影響を生じて、國民は今まさに恐怖におののいておることは、まことに痛心にたえない次第であります。  かねて全官公廳は、最低賃金制の確立と、生活補給金の支給と、團体協約との要求を続けてきたのであるが、これに対し中労委は、生活補給金については二・八ケ月分を支給すること、最低賃金制については、國家財政の現状に鑑み、政府、労組並びに中立の各代表をもつて臨時給與委員会を構成し、これによつて決定したいとの内容の調停案をつくり、初めに全逓にこれを提示し、ついで國鉄に提示したのであります。その後二・八ケ月分の補給金の支給は終つたのであるが、今春設置されました臨時給與委員会に対しては、國鉄が参加したのみで、他の組合はあくまでも最低賃金制の確立を主張して不参加を表明したのであるが、その後労働組合代表として國鉄のみを加えた臨時給與委員会は、檢討を重ねた結果、新給與は二千九百二十円水準案を決定して政府に答申したので、政府は同案を承認しまして、各労組に対しこの案をのむようにと要請をいたしたことは御承知通りであります。  しかるに、國鉄は正式にこれを受諾いたしたが、全逓を勧め全官、全財等においては、最低賃金制を標榜しながら、さらに天引二割五分の行政整理反対と労働法規改正反対のスローガンを高く掲げて、活発なる反対運動を展開し始めたのである。かくして全逓は、二月二十五日大阪中央郵便局の二十四時間ストライキを契機として三月一日から各地方ごとに短時間のストを開始し、漸次一齊ストに移り、全國的に波状ストライキの形態をとるに至つておるのであります。さらに、きよう二十七日の新聞の報ずるところによれば、二十九日以降、全逓四十万をあげて全國一齊ストを含む決定的闘爭を展開することとなり、二十九日には信越地区以東六地区、三十日には中部以西六地区と、東西二分して二十四時間ストを敢行し、三十一日には全國一齊ストを展開するという戰慄すべき状態をつくつておるのであります。  全宮では、二月二十八日宮城前の廣場における要求貫徹大会以來、一齊定時退廳、局別の一齊賜暇ストを行い、全農林の最強硬を初め、大藏、商工、文部、会計檢査院、物價廳にこれが拡大をみておるのである。また全財も三月六日に激烈たる宣言を発し、十五日に全國一齊に賜暇ストを実行したのを初め、その後も盛んにこれを行つておるのである。日本教員組合は、三月六日から三日間開かれた京都における全國大会で生活補給金二ケ月分の要求を決定したが、早くも大阪では、三月十二日学校完全閉鎖が五十校に達し、授業停止が四百校に達するという実情であります。かくて三月十八日以來数次の團体交渉において、二千九百二十円賃金を中にして政府と全官公廳との押問答のまま、爭議のみが以上述べたごとく熾烈をきわめるに至つておるのであります。  この経過の跡を顧みるとき、政府にも重大なる責任があり、官公廳側にも大いに反省すべき点があると思うのであります。すなわち政府は、その誠意を盡すことをあえてせず、二千九百二十円中まず二千五百円を給與するにあたつては、この案をのんだ組合に対してはただちに支給し、受諾しない組合に対しては支給せずとの態度をとり、われわれが國会において妥当なりとして協賛せる予算をもつて、あたかも恩義をかさにしたる反対給與なるがごとき感を強く與えておることであり、全官公廳の將來に関して具体策を示さざることであり、また誠意を開いて國家の現状を全官廳側と國民とに示さざることであります。  官公廳側において嚴粛に反省すべき点は、一体公共性の事業國民の日常生活と須叟も離れることのでき得ざるところのものであり、政府を相手とする観念は、強欲な資本家を相手とするという観念とは異らねばならぬということである。すなわち國民に從属的の関係にあるのが政府であるがゆえに、政府を相手の爭議國民を相手の爭議なのであります。賃金や給與等の要求が貫徹した場合、これが負担は國民がいたすのであるということを強く銘記せなければならないということであります。かかる重要関係にある公共事業において、いとも簡單に最後の宝刀たる爭議権の行使などを行つてよいかどうかということを反省すべきであると思うのであります。  さらにまたアメリカは、日本の経済をなるべく早く自立せしめようとしてあらゆる援助を計画し、また日本國民のために、食糧の輸入等にもあらゆる努力を盡されておるその実情の中において、みずから國民相協力して起ち上るという態勢を放棄することが温情に報いることであるかどうか、日本再建のためであるか否かを反省すべきであ、ると確信をいたすものであります。  ここに私は項目を挙げて、芦田首相その他関係閣僚の明決にして誠意ある答弁を求めるのであります。  一、爭議の対策及び今後の処置として、現業員と非現業員、すなわち現場労働者と事務労働者とを明確に区別してこれに善処すべきであると思うが、政府にその用意ありや否やということがそれであります。  二、賃金の給與は現業と非現業とに区分し、その職能に從つて適正賃金とすべきであるとは思わぬかどうか。  三、非現業官吏爭議において、労調法第三十八に違反があるかないかを知つておるかどうか。この件に関していかなる処置をとらんとするかというのであります。  四、全逓はひとり民間及び官公廳の電話を止めたのみではなく、新聞、通信等もこれを止め、また警察電話をも止めたと言われておるのであるが、事実かどうか。もし事実なりとすれば、國家治安の上に大問題と思うが、これに対しいかなる処置を講じたか、また講ぜんとするのか。  五、芦田首相は、ドレーパー・アメリカ陸軍次宮との会見において、わが國予算の均衡化に関し、最近の納税成績をきわめて好調であるとし、今後の努力を約束したと傳えられておるのであるが、現在の爭議における非現業員のリーダー役を勤めておると言われる全財の賜暇爭議によつて徴税事務が全國的に澁滯し、財政の前途に一大不安を抱かしめておると思うが、ドレーパー次官との話はいかなる根拠に基いてこれをなされたか。  六、政府はこの重大なる爭議をみずから解決できぬとすれば、その経過と眞相と無力とを率直に発表して、その解決を國民代表の機関たる國会相談すべきであると思うが、その覚悟があるかどうか。(拍手)  七、さらに進んで、芦田内閣は組閣早々ではあるが、政治を混迷に陥れ、労働爭議及び労働問題の解決に具体策なく、わが國再建のための最も重大なる労働力結集の自信なく、愛すべき官公労をして混迷に陥れたるの責を強く反省すべきことを重ねてここに強調いたし、これに対するところの所信を伺わんとするものであります。  以上、私の質問を終ることといたしますが、これに関しまして芦田首相並びに関係大臣は率直に眞心を開いて答弁あらんことを切望いたすのであります。(拍手
  12. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 安平鹿一君。     〔安平鹿一君登壇
  13. 安平鹿一

    ○安平鹿一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、今回行われておりまする全逓を中心とする爭議について、二、三労働大臣に質問したいと思うのであります。  わが國の再建なるかならぬか、これはかかつて生産復興にあるのにほかならないのであります。從いまして生産復興のかぎは、一にかかつてこれまた政府の労働政策のいかんにあると言うも過言ではないのでございます。殊にアメリカの救援資金の導入、またはクレジツトの設定等アメリカの好意ある占領政策策にこたえるためには、いやが應でも生産復興が重大な要件となつておると言わざるを得ないのであります。  この意味におきまして、現在起きておりまする全逓を中心とする官公廳の爭議の成行きはきわめて重大なものがあり、特に昨日以來東京の都電は止まり、逓信関係事務は停止しております。このことは國民のひとしく遺憾とするところであるのでありますけれども、しかしながら、こうした遺憾な点が單に労働者の罪ばかりであると断ずることはでき得ないのであります。  今回の全逓を中心とするストライキの原因は、二千九百二十円の新給與の問題が中心となつておるのでございます。むろん私は、新給與の二千九百二十円が、この物價高の時代におきまして満足すべでき給與であるとは考えておりません。私も今日の物價高におきまして、ある方面に言われておりますように十八歳の青年が二千四百カロ。リーを基準として八十五グラムの蛋白質をとれる一日の最低生活費と、この一日当りの必要量に六五%を加えたものを計算して最低賃金として要求する、むろんこの要求が現在のわが國の経済状態からして許されるとするならば、私もまことに結構なことであると思うのであります。しかしながらわが國の現状は、カロリーの給源の中心でありまするところの主食の米、これがかりに供出が完了されたといたしましても、なお輸入にまたなければならないのであります。さらに蛋白質の給源は、魚におきましても戰前の、四割に低下し、大豆はほとんど今日はいつておらない状態であるのであります。すなわち今日のわが國の経済状態は、決して正常なる状態であるとは言い得ないのでございます。このように一面物價高にあえぐ労働者の無理からぬ要求があり、一面また敗戰國という冷嚴なる事実に目をおおうわけにはまいらないのであります。かつて東京帝大の教授有澤氏は、今日日本は、今後二十ケ月以内にインフレーシヨンを終熄せしめることなしには、惡性インフレの暴発を免れないであらう、インフレ終熄の條件をつくり出すためには、生産を戰前の六〇%に引上げなければならない、そのためには労働者が生産復興の指導権を握り、現実に増産しなければならないし、外資も導入しなければならないことは自明の理である、かように言うておるのであります。まことにその通りであるのでございます。從つてわが党は、一面闘爭、一面建設の労働政策を建前としておるのでございます。かつての自由党内閣当時、しかも吉田総理大臣は、勤労大衆に向つて不逞のやからと放言したのでございます。しかしながらわが党の労働政策は、決してさような、労働階級を見下すような政策はとらないということをここに明らかにいたしておきたいと思うのであります。  そこで私は、二、三の質問を項目的に申し上げたいのであります。  第一に、國鉄從業員諸君は、いわゆる二千九百二十円の政府案を受諾いたしました。そうしてストライキには参加いたしておりません。このことは國民に安心感を與え、國鉄労組に対して國属的信頼を高めておるのでございます。ところが一方におきまして國鉄と同様な立場に置かれておりまする全逓を中心とする官公廳の労働者諸君は、新給與の問題でストにはいつておるのでございまするが、私はこの点に対しまして、もう少し政府が親切に、これら労働者階級に納得のいく何かの処置が講ぜられるならば、円満な解決に至るのではないか、かように考えておるのであります。聞くところによりますると、逓信從業員組合の下部大衆の間には、二千九百二十円の給與が十分に徹底しておらないということでございます。たとえば下部組織の労働大衆は、今回とられた二千九百二十円のであるが、これを誤つて、その金額に六・六時間、これは官廳労働者の勤務時間でございまするが、これを掛けたものが現給與として支給されるのだというような、これは意識的のデマではないと存じまするけれども、こういう点が下部組織の労働者大衆に徹底しておらないために、今日のいまわしい爭議形態とならざるを得ないことになつたのではないかと考えておるのであります。この点について、政府は各組合員大衆に徹底せしめるように、今日の日本の立場、経済危機の現状等を十分知らしめるような措置が講ぜられなければならない、かように考えておりまするが、この点についていかに考えるか。  第二には、政府は速やかに全官公廳の労働組合の團体交渉権を認め、労働條件の改善をはかるために、勤労所得税の減免あるいは賃金水準の改訂によつた新給與を、團体交渉で速やかに話合いを進める御意思があるかどうか。  第三に、全逓を中心といたしまする今回の爭議の現段階は、最後の段階にきておると思われるのであります。政府は二千九百二十円のうち残額四百二十円の支給方法において、給與規定の法律のわく内で運営しようとしておるし、労組は残額四百二十円の支拂いは千八百円ベースのふくらましの形で支給画せよと要求しておるのであります。これが今日の最後の段階的な焦点になつておるということは見逃せないのであります。そこで、この焦点になる四百二十円の問題は、言葉をかえて申し上げますならば、これは最低賃金水準に決定するかどうか、こういうことになるのでございますが、むろん今日の最低賃金制の確立については、労働組合並びに労働者大衆は最も望むことであるのでありますけれども、今日のわが國の現状からすれば、まことに至難な点があると考えるのでございますけれども、この点、労働大臣は最低賃金制を設定する御意思があるかどうか。  以上の三項目の点をお伺いいたしまして、最後といたしまして私は、政府は今日の日本の置かれておる重大な時局に鑑みまして、速やかに本爭議の円満なる解決をいたされんことを希望いたしまして、私の緊急質問にかえる次第であります。(拍手
  14. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 山下春江君。     〔山下春江君登壇
  15. 山下春江

    ○山下春江君 私は民主党を代表いたしまして、官公労働爭議に関し労働大臣並びに総理大臣に御質問いたしたいと存じます。  すでに各党代表から述べられました通り、現下の労働爭議をこのままに打捨てておきますことは、國民の迷惑は從來にその比を見ないほど深刻となり、國の秩序は根底から崩壞することになるのでありますから、立法府といたしましては、断じてこれを默過することはできないのであります。(拍手)今回のストライキは、たまたまドレーパー視察團が來訪されまして、わが國の経済復興援助する好意的な計画が発表されておる最中でありましただけに、対外的に與えました悪影響も、この際われわれ日本國民といたしましてはまじめに反省しなければならないことと考えるのであります。私は加藤労働大臣に対し、ごく端的に次の点をお尋ねいたしたいと考えます。  第一の点は、今回の爭議行為に対しまして、政府は積極的な收拾方策をおとりになつたかどうかということであります。政府の態度を見ておりますと、たびたび声明を発したり、苫米地官房長官が放送などを行われたようであります。しかし、それで十分であつたでありましようか。私は、政府がこの際進んで労働組合の中に飛びこみ、全官廳労働組合の要求する具体的條項について一々労働大衆の納得のいくように説明し、もし労働組合側の要求において現下の國情と経済的状況に合致いたしませんものがあつたといたしますれば、その非を徹底的に糾明して、爭議態勢を解くべきことを強力に主張すべきであると考えるのであります。(拍手)労働組合側の要求にして、眞に労働者の最低生産を獲得するためのや、むを得ざる要求であるといたしますれば、現下の客観情勢に合致した観点から、いさぎよくこれを容れてやるべきだと考えるのであります。(拍手)しかしながら、私の見るところによりますれば、労働組合側の要求する最低賃金制の要求は、理論的に実際的にもこれる認めることが困難であると考えるのであります。  加藤労働大臣は労働者の味方として入閣されたというのでありますが、かりにも労働行政の最高責任者として立つておられます以上は、ここに姿勢を新たにせられまして、事態を收拾するために全力を傾けねばなりません。労働爭議の指導者としての体験を活かされるのは結構でありますが、その尊い体験からして、今の労働爭議がやがて内部から破壞し、これが頭打ちするであろうというような安易な期待をおもちになつて、荏苒日を過しておるといたしますならば、收拾の方法は別といたしまして、現下の公共事業の行政能率、生産復興に及ぼします影響からいたしまして、私は断じて過ちであると考えるのであります。この点に関し、労働大臣は明快な所信を開陳されたいと考えるのであります。  第二点は、総理大臣にお伺いいたしたいのであります。一昨年以來、労働爭議は主として官公吏を初め公共事業に多く発生いたしたのでありますが、このことは先ほども社会党、民主党の代表質問指摘されておつた通りであります。今回もまたま主として官公吏を中心とした爭議でもあります。民間における爭議は、小麦模なものが多く、大規模にこれが発展した例は少いのであります。電気産業労働組合の爭議も、さいわいにして電産の指導者がよき政治力を発揮いたしましたために中止を見ましたことは、まことに喜ぶべき現象でございます。このような傾向の中にありとして、官公廳のストライキのみが猛威を揮つておるのであります。政府の最高指導者といたしまして、総理はいかなる見解をおもちでございましようか。  また全官公労働組合のストライキのごとき國営事業爭議は、ひとり政府のみでなく、國会も重大な関係をもつておるのでありまして、常に爭議がこのような段階にはいつて初めて國会が眞劍に取上げるというのであつてはならないと考えるのであります。私はこの際、むしろ爭議原因である官公職員の給與に関しましては、平素から國会の代表をも加えた給與審議会を常設して、問題の根本的解決に当る必要を痛感するのでありますが、政府はこれに対していかようにお考えでございましようか。今回の爭議は、その底を流れるものに依然として共産フラクシヨンの活動があります。山ねこ爭議以来、一部の労働組合には、なお少数の極端な分子が、大衆の日常生活苦を好餌として、経済闘争に名をかり、執拗な破壞戰術に出ておりますことは遺憾の極みであります。今回の爭議は、ひとり通信交通を杜絶して國民生活を破壞するばかりでなく、國家治安の維持にも支障を來しはせぬかと人心不安の色を濃くするのでありますから、政府はこの際断固たるヤ決意と方針のもとに一日も早く事態を收拾すべきことを要望いたしまして、私の質問を終る次第でございます。(拍手
  16. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 河野金昇君。     〔河野金昇君登壇
  17. 河野金昇

    ○河野金昇君 國民が窮乏に耐えながら祖國再建に邁進しつつある際、全逓を初め全官公労組のごとき、公共的機関であり、公益事業的性格をもつものが、率先してストにはいつた今回の事態に対しましては、政府も労働組合もともに責任を負わなければならぬと思うのであります。政府には強く反省を要求するとともに、組合にも國民の名においてその軽挙を強く戒めたいと思うのであります。(「内容を言え」と呼ぶ者あり)あとで言う。  政府は、インフレ下に全官公職員の給與が民間に比し著しく安く、生活困窮の事態を率直に認めなければならぬと思います。そこで政府は、その対策としては、賃金と物價の不安定な現状においては、職場配給等の実施によつで実質賃金の確保をはからなければならぬと思います。二千九百二十円の新給與を支拂うと、中央官廳だけでも約一年一千億の人件費を必要とするのであります。國民の担税能力とにらみ合わせて、この際どうしても行政整理を断行して、過剰人員を他の生産的事業へ振り向けて、最少の人員で最高の能率を上げしめ、その代りまじめに働く者には、安んじて生活できるだけの優遇をしなければならぬと思うのであります。  一方組合を甘やかすことなく、日本民主化の基盤として労働結合の健全な発達を助長することはもちろん必要であるが、祖國の再建を思わず、單なる混乱のための混乱を引起すがごとき戰術的ストに対しては、断固強硬な態度を持すべきでありまして、不当な爭議行為に対しては、その責任を追究し得るがごとき労調法四十條の改正くらいは、この際なすべきであると思うのであります。(「そんなばかなことを言うな」と呼ぶ者あり)しかるに加藤労働大臣は、労働関係法規を一切改正せずと言明するがごときは、加藤氏個人の立場としてはお察しいたしまするが、かかる加藤氏の組合迎合的態度は、眞に組合の健全な発達をもたらすものではないと思うのであります。この際加藤氏のあらためての答弁を求めたいと思うのであります。  現業官廳以外のストライキは許してないはずであります。しかるに一斎賜暇の名のもとに、各省とも実質上のストライキを行つたのであります。(「賜暇をとるのは権利だと呼ぶ者あり)加藤氏のひざもとの労働省では、昨日のごときは、門に組合員が張番をして、人のはいるのを阻止しておつたのであります。この事実を加藤氏は知つておられるかどうか。知つておるとしたならば、これに対していかなる態度をもつてお臨みになるか、この際はつきり承りたいと思うのであります。  組合に対しても、この國会を通じて数点要請したいと思うのであります。ストは最後の手段として万やむを得ないことを國民納得してこそ、その不便や迷惑を忍び、その行使を肯定するものであります。從つて組合は容易にその権利を行使してはならないと思いまするが、日本ではストライキを簡單にやり過ぎるのであります。この点に関しては、組合の指導者並びに徳田球一君なんかの嚴正なる反省を求めたいと思うのであります。(拍手)今回の場合にも、新給與委員会には國鉄労働組合以外は代表を送らなかつたのであります。代表を送らずにおいて、委員会決定したことに文句をつけるがごとき態度は、男性的態度ではないと思います。委員会に出て堂々と組合の主張を開陳して闘うことこそ、眞に民主主義的な行き方であると思います。総じて組合のやり方は、正々堂々の男性的なやり方ではなく、女性的なヒステリー的やり方であることは、組合のために惜しむのである。敗戰國家として、國民のだれ一人として自分の思うような経済的要求の貫徹のできないのは、敗戰國の経済であります。組合員諸君は、組合員であると同時に國民の一人であることを自覚して、組合の要求と日本全体の財政経済とを調和せしめることこそ眞に祖國を愛する者の態度であるといわなければなりません。しかもスト行為自体がインフレを高進し、ますます生活の困窮を來し、日本再建の障害となると同時に組合自体の自殺的行為であることを知らなければならないのであります。結局このたびの問題は、二千九百二十円の新給よ中二千五百円の支給に対しては、政府も組合も了解がついておるのであります。ただあとの四百二十円に能率給を加味することに対して意見が一致せず、これをのむとかのまないとかいうのが今度の争いの焦点であるように思うのであります。これだけのことが政府も労働組合も解決できず、全逓信が止つたり、交通が止つたり、全官公の役所が仕事を停止したりする現状を、一体國民は何とながめておるでありましようか。この燒野原からの日本再建の困難な前途を思うとき、政府政府なら組合も組合だといわなければならぬのであります。(拍手)  農民は、労働者諸君官吏諸君、消費者諸君のことを考えて、相当過重な供出も完成してくれた。その農民に供出代金以上の所得税更正決定をしたのである。農民の思想を惡くするものがあるとするならば、それは政府と労働組合であることを自覚しなければならぬのであります。國民はも今回の新給與の問題がなぜ解決できずにストにはいつたか、納得がいかないのであります。両者とも面目論にとらわれず、誠意を披瀝して、ともに日本再建のために話し合えば、解決できないはずはないのである。これから夜を徹してでも解決してもらいたいというのが、國民の偽らざる声であろうと思うのであります、この際この問題をいかに処理するかもあらためて加藤労働大臣の誠意ある所信をお伺いすると同時に、加藤氏だけではもの足りないから、総理大臣のこのストに対するところの率直なる所信をお伺いしたいと思うのであります。(拍手総理大臣がおられないようでありますから、このストの問題は官房長官の責任でもありまするがゆえに、加藤氏一人に任せず、苫米地官房長官の責任ある御答弁を要求いたしたいと思うのであります。(拍手
  18. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 徳田球一君     〔徳田球一君登壇
  19. 徳田球一

    ○徳田球一君 現在行われている官公職員のストライキというものは、世間でいわれておるように、最低賃金の問題であるとか、労働組合法改訂反対の問題であるとかではない、二千九百二十円を即刻くれるかくれぬかという問題である。ここでは法律によつて二千九百二十円をくれるということをきめ、予算決定したではないか。決定したらば即刻やるべきだ。そういうことに対して、政府がこれをやることに條件をつけて、策謀をして、労働組合を分裂せしめ、労働者の勢力を彈圧しようとする、その腹黒い魂胆こそ、実にはなはだしい暴政であるといわざるを得ない。  事実二千九百円に対しては、加藤大臣もこれでは食えないということを認め、また社会党の代表演説者の安平君もこれを認めておるのである。二千九百円で食えなければ、これだけでも即時拂うのがあたりまえぢやないか。     〔副議長退席、議長着席〕  千八百円をふくらまして拂うのはあたりまえじやないか。食えないようにしておいて、ストライキをするなするなと、どこにそういう途がある。民主党だの何だのが、こういうことに対して共産党が策動しておるとかなんとか、そういうことがそもそもばからしい話なんである。何か自分の困難が生ずると、すぐさま共産党が策動しておる、策動しておるという。何というばかな話だ。自分の責任を感じてやれ。食えないようなものをくれておりながら、ストライキをするなと言つてもだめじやないか。食えなければストライキをやるのはあたりまえです。憲法にちやんと書いてある。食わせるようにするとちやんと書いてある。憲法違反に対してはストライキをやる権利があるということは、労働者の最も、大きな権利である。その権利を使うのに何で惡い。そういうことに対して、國民の利益とか何とか言うけれども國民自身が、國民自身に権利をちやんと指定してある。この権利を行うのに何のやましいところがある。(「義務を果せ」と呼ぶ者あり)義務を果せ、義務を果せ——ちやんと果しておるじやないか。そういうわけのわからぬことを言つちやだめである。  さてこの二千九百二十円であるが、一体二千九百二十円で食えないということを言つておるけれども、どのくらいの程度であるかということを一人も言わぬ、加藤君、一体どうなんだ。これくらいでどのくらい食えるのだ。事実これだけでは十日間食えばまあまあ普通だ。よつぽど詰めても十五日は食えない。半分には達しない。そういう大事なことを忘れて、こういうことを言うに至つては、実に憤懣にたえない次第だ。事実千八百円べースを七月にきめたときと現在との物價の騰貴を算定すれば、一般的にいつてこの二千九百二十円というのは、実質的に千八百円よりも一八%下つておるのである。これが非現業者の方々の生活においては、これに差をつけられたために、実に二七・五%実質的に下つておるのである。  今この算定につきましては、今井給與局長がさまざまのインチキをやつておるが、この算定をするインチキのもとには、一般労働者の賃金と二千九百二十円の賃金とが大体平衡が保てると言うのだけれども、その基礎的な條件を探してみれば、一般労働者の中に、多くの紡績労働者、その他單独で扶養義務をもたない多くの労働者が、非常な低賃金で働いていることを勘定に入れてない。さらに一般民間の労働者諸君は、官廳職員諸君違つて、みんな現物給與をもらつておる。この現物給與やいろいろの手当のことはちつとも勘定に入れておらぬ。君も知られる通りもピール会社の工場に行つてみろ。ここではストライキは一つも起らぬ。賃金は非常に安いけれども、ストライキは起らぬ。なぜなら、ピールをちやんと一ケ月三ダース以上もらうから、これをやみで賣れば莫大なるものになる。こういう現状を今井君はちつとも知つておらぬ。われわれ労働運動をやつておる者は、その内情をよく知つておる。そういうことを知らずに形式的のことをやるから、こういう破綻を生ずるのだ。  事実、産別その他の進歩的労働組合傘下にいる非現業の事務諸君は一体どれくらい平均とつておる。これは五千二百円以上平均とつておる。これに比較すれば、二千九百二十円で、非現業はこの率を落されるために半分以下になるのである。実際こういう状態において、だれがストライキを起さずして默つているだろう。ストライキを起さないのがおかしいくらい。起すのはあたりまえだ。こんなことをしておると、年百年中ストライキだ。電産は幹部が政治的な手腕を発揮してやめたというが、そうではないのだ。電産は平均五千三百円何十円もらつておる。大体二千九百二十円の二倍もらつておる。二倍もらつておるからやめた。それでもまだ不満だ。まだこれは大きな危險をはらんでおる。こういうことを知らずに、君らは單に政治的な手腕だとかいうから、わからなくなるのだ。(笑声)  さらにこれの不当なことは、大体國鉄と專賣局に対しては——特に國鉄でありますが、これに対してはすでに拂つているのに、なぜその他の人々に拂わない。少くとも二千五百円だけは拂うべきだ。即時拂うべきだ。因縁をつけるべきではない。そうじやなければ、だれだつてストライキをやめられぬ。これを拂いさえすればストライキがやまるのに、なぜこれを拂わない。現に労働組合の諸君は譲歩に譲歩を続けてきたけれども政府がこれに対して譲歩せぬ。あくまでも労働組合を破壞し、あくまでも労働組合を拘束して、この條件でやろうとするから、よろしい、もう譲歩をはねとばして、かえつてどんどん闘おうということになつたのだ。こういうやり方をするから惡い。だからして、結局これは千八百円をふくらましての二千九百二十円を拂えばすぐに收まることだ。労働組合を彈圧しようとか、分裂させようとか、こういう腹黒い根性がなければ、すぐにでもやむ。なぜそれをやらない。  現に大臣諸君はどうだ。大臣諸君は、この賃金のベースがきまるや否や、みな八倍の値上げをしたじやないか。総理大臣は二万五千円、その他一万八千円ぞろぞろ八倍に増大した。一方この非現業の方々はどうだ。わずかに三〇%の増給しかできない。いかにこの職階制を入れていることが不当であるか、よくおわかりであろう。この職階制をたたきこんで、そうして上に厚く下に軽くする。これに対して労働者諸君ば抗議しておるのである。どうです、大臣諸君ば特別配給でうんと太つておる。大臣が栄養失調で死んだというためしはちつとも聞かぬ。しかるに非現業の職員は、栄養失調で死んでいる事実はたくさんにある。(「お前はどうだ」と呼ぶ者あり)おれは栄養失調どころか、こんなに太つておる。そんなよけいな心配をすることはない。  しかも大臣諸君が太つておるところの原因は、特別配給を受けておる。総理官邸に向つては、生きた魚が十貫目行つておるというではないか。東京都から送つておるというではないか。そういう順にみな大きな特別配給を食つてばくばくしているから、人の苦労を知らない。(「うそを言うな」と呼ぶ者あり)うそであるものか、ちやんと東京都の食糧営團から発表しておる。ちやんと朝日新聞に載せておる。(「証拠があるか」と呼ぶ者あり)なに、証拠ならいつでも持つてくる。そういうふうな状態だ。「証拠を出せ」と呼ぶ者あり)朝日新聞に載つているから、ちやんと証拠を持つてくる。よし、ひとつやるならやつて見ろ。証拠はいつでも持つてくる。  そういうふうな状態では、実際これは労働者諸君を彈圧し、労働者諸君を奴隷化し、そうして労働組合を骨拔きにしようという政策をこの際に行おうとする最も憎むべき魂胆があると言わざるを得ないのである。政府はこれを捨てて、即時にこの問題を解決するために、次の要件を認められることを主張するのである。これに対して政府の明快なる回答を望むものである。  第一に、二千九百二十円は千八百円の水準のふくれ上りの形である。すなわちこれだけの、上つただけのパーセンテージをかけて——今の給料に六三%をかけて、即時支拂うということをやつてもらいたい。これができるや否や。そうすれば労働組合のストライキは即時やむのである。(「農産物はどうする」と呼ぶ者あり)農産物の問題はこれから触れる。(笑声)  第二は、政府は現在の不足額を考慮に入れて——現在実際上賃金は不足しておる。これは加藤大臣の認められるところである。東京において各労働組合の主張しておるのは、七千八百円の要求である。事実それくらい要求するのはあたりまえだ。この七千八百円の要求を十分考慮に入れて、後の團体交渉に應ぜられる意思ありや否や。(「金ほどこから出すんだい」と呼ぶ者あり)金は大資本家からとればいくらもある。現在脱税しているだけでも五千億はある。(「どうやつてとる」と呼ぶ者あり)。それはその銀行の預金を押えればいつでもとれる。君らはとろうとする意思がないからだ。わが共産党はとる意思があるから即時とつてみせる。できなければ共産党政府を渡せ。(笑声)  第三には、新給與は政府と全官公廳労働代表とおのおの同数出席するところの團体交渉によつて協議決定することが必要である。ぜひ同数で民主的團体交渉をしてもらわなければならぬ。これを実際やられるかどうか。  第四は、組合に反対して、組合に対してこれまで行つたところの彈圧、これを絶対に將來しないということが大事である。現在におきましても、全財の爭議に対して、その他全逓の爭議に対して、すでに政府は彈圧的態度をとつておる。軽犯罪の取締りの問題に労働者は非常に関心をもち、これに絶対反射しつつある事実は、現にこれと同様な彈圧を労働組合に対して行つておるからである。  これを社会運動に行わぬ、労働組合運動に対してはこの取締法は適用しないとか加藤大臣は言うておる。しかし、そう言うてみたところで、今のような官僚では必ずやるんだ。なぜなら、かつても暴行取締法というのがあつた。現在も生きているが……。これはフアシストに対し、テロリストに対する取締りだという口実でできたけれども、今これを労働組合運動に事実適用しているではないか。またかつての警察犯取締規則であつても、すべて労働組合運動を目的としていないのにかかわらず、事実これをやつて労働組合運動を彈圧したではないか。これは諸君のよく知られる通り、殊に加藤君は身をもつて知られておる通りだ。それゆえに、今後軽犯罪法にはもちろんわれわれは反対する。これは踏みつぶさねばならぬ。  労働組合に対しては、絶対彈圧しないことを誓わねばならない。彈圧すればするほど労働組合はいよいよますます常軌を逸せざるを得ないのだ。彈圧するから常軌を逸することをやる。彈圧しなければ正々堂々と運動をやる。(「彈圧してないじやないか」と呼ぶ者あり)君らがそんなことを言つたつてだめだ。生きるか死ぬかの境に立てば、いかなる彈圧をもつても建動を抑えることはできないのだ。しかも現在とつておるところの労働組合諸君のやり方は、すべて合法的にやつておるのである。断じて違法ではない。それを認めねばならぬ。(「時間が來た、時間が來た」と呼ぶ者あり)  よけいなことを言うな。そうして、むろん今回の爭議において犠牲を出さないようにすることが必要である。犠牲を出すということになれば、再びもめるのである。それは政府の責任であつて、断じて労働者の責任ではないから、犠牲を出さないことが必要である。  第五に、政府が給與を差別して支給したことは組合に対する分裂工作であることを認め、今後そういう企図のないように処理しなければならない。
  20. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 徳田君、結論を急いでください。
  21. 徳田球一

    ○徳田球一君(続) 今のこれが結論である。これを今要求しておるのである。  第六、爭議を行つたことを理由として組合員に対していかる不利益をも與えない。これを確約しなければならぬ。そうしないと、これは労働組合法違反であり、同時に不満足の状態で解決するところの爭議であるのだから、こういうことをやればたちまち再燃せざるを得ないのだ。從つて政府としては労働組合が爭議を行つたということを理由として、組合員にいかなる不利益も與えないようにしてもらわねばならない。  以上の諸條件が誠意をもつて実施せられるときは、組合は即時爭議行為をやめるという申出をしておるのであるから、即時この六つの條件を容れて、この爭議が收まるように政府は努力せられんことを望むものである。この点に対し加藤君並びに苫米地官房長官の答弁を促すものである。  最後に一言申したいのでありますが、全財のストライキが納税に非常な障害を来しておる云々ということを言うておる。しかし、そうではない。全財が爭議をやろうがやるまいが、現在の課税の仕方は実に犯罪的だ。これは税法に違反しておる。天降りに税を課するという法はない。税法によれば、各個人々々を審査することになつておる。ところがそうではなくて、あらかじめ一反当りいくら、何がいくらときめて、頭ごなしにだあつと押しておる。そういうばかげたことがどこにあるか。どこの税務署はいくらとらなければいかぬということをちやんと駐務局長から通達が出ておる。しかも税務署は、これに対してげたをはいておる。すべてさばを読んでやつておる。そういうことでは、とうてい正当なる課税と認めることはできない。正当なる課税でない限り憲法違反である。これは職権濫用である。犯罪である。しかもなお、この犯罪を政府は報奨その他をもつて強要しておる。納めなけれ。ばどうする、ああする、監獄に入れる、罰金をとる、ああの、こうのと恫喝しておる。また警察官を派して、この交渉に干渉しておる。
  22. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 徳田君、結論を急いでください。
  23. 徳田球一

    ○徳田球一君(続) この犯罪的な課税をもつて、さらに國民に対して差押えをしてとるというがごときに至つては、まさに強盗罪に当るものである。だからして、これは全財とは関係なしにかかることに対して全人民が反対するのは当然である。全農民が反対するのは当然である。かくのごとき状態を放置するならば、日本は、政府はすべて犯罪的なことをやり、全人民はこれに屈從せざるを得ないという奴隷國となるのである。どこに民主主義があるか。どこに新憲法ありや。人民が反対するのは当然ではないか。であるから、これは決して全官公廳の爭議とは関係上ないものである。この点に対して政府は明確なる御答弁あらんことを望むものである。     〔國務大臣加藤勘十君登壇
  24. 加藤勘十

    國務大臣(加藤勘十君) ただいま発生しつつある官公廳労働組合の爭議に対しまして、各党を代表されました皆さんが、それぞれ國民代表の立場において眞摯に御意見お開陳になりましたことに対して直接関係をもつ私といたしましては、きわめて謙虚に皆さんの御意見をお伺いいたしまして、もし皆さんの御意見の中において政府がとり得る御意見がありますれば、私は喜んで皆さんのお指図に從うという心持をもつておるのであります。そういう点から、本來でありますれば皆さん方の御意見に対しまして一々お答えを申し上げたいのでありますが、多くは共通した点がございますので、共通の点に対しては皆さんに同時にお答えすることにし、別個な、個別的な御質問の要旨に対しては、それぞれ個別的にお答えを申し上げたいと考えます。  第一に、皆さんの共通する御質問の御趣旨は、どうしてこういう爭議が起つたか、これをいかにして解決しようとするかという点にありました。爭議が起るに至つた原因経過につきましては、最初に尾崎君から詳しくお述べになりましたので、経過についてはまさにその通りでありまして、この点、何ものも附け加えるものがございません。その点は御了承を願います。  さて、いかにして解決するか、この点でありますが、現在問題になつております焦点は、きわめて圧縮された形において集中されてきておるのであります。すなわち、最近数次の組合側との交渉によりまして、組合側におきましても政府の意のあるところを大分了承していただくことができまして、現在のところ食い違つておりまする点は、二千九百二十円の新給與のうち、先般御協賛を願いました法律に規定した暫定給與としての二千五百円の問題につきましても、すでに法律が定まつておるのであるから、これを組合側においてもかれこれ言おうと言うのではない。ただ残つた四百二十円、すなわち職種に地域等の操作をなし得る技術的な点において、組合側の主張としましては、これを二千五百円の場合に時間差を設けたそれを逆算して、具体的に申しますれば、十五割のものに該当する部分には十七割を、十七割に該当するものの部分に対しては十五割というように、結局二千九百二十円という新給與が千八百円をそのままふくらました形になるように支拂つてくれという点にあります。  これに対して政府側といたしましては、組合側のこうした御意見に対しても、これがすでに一月から三月までの間の問題であるからという理由もありまするし、また組合側がこの給與の決定には参加されなかつたという点から考えてみましても、私は一應はこの組合側の意見はそのまま理解することはできます。しかしながら、現在政府が置かれたる立場は、何と申しましても、ただいま皆様が口を揃えてお述べになりましたる通り日本の経済復興、生産を再建するためには、どうしても現在の生活給一本の形では行けないので、ここに能率給が織りこまれなければならぬという、この点に立つて新給與が定められておりまする関係から、しかもこのことは給與委員会の二回にわたる報告の前文に明確に規定してありまして、この報告書が作成されるまでには三回訂正が行われておるのであります。そうした関係から、この新給與体系、すなわち能率給を織りこむという形態は、今日においては動かすことのできないものになつておるのであります。(拍手)そういう関係で、組合のお話がわかつておるにもかかわらず、なおかつ結果においてはこの体系を崩すことができない。そこで政府といたしまましては、これはこのままの形で、四百二十円の操作の面において、でき得るだけ組合側の希望に近いものが実現するように努力する、こういうように申し出てあつたのでありまするが、この点に対しては組合側の御了承を得ることができないのであります。  さらに政府側といたしましては、後に徳田君の御質問の中にもございましたように、團体協約によつてこのことの話をまとめたい、こういう考えをもつておりまして、團体交渉の形としては、政府側から十名と組合側から十名と同数の委員を出して、ここで十分に話合いをする。そうしてこまかい部分については、各省ごとに分科会を設けて具体的な技術的な点を協議いたしたい。それでもなおかつどうしても両者の意見がまとまらない場合には、中立をまじえた調停委員会を設けて、組合側が三名、政府側が三名、中立側——これは中労委会長の推薦により、しかも政府側も組合側も納得し得られる中立委員三名が参加して、ここにおいて最終決定をしたい。こういうような具体的な交渉の方法まで申し述べたのであります。  それからいま一つは、現在何と申しましても要請せられておる第一の問題は、爭議戰術、爭議行為を解くということにあるのであります。從つて、このことを組合側に申し入れたのでありまするが、組合側としては、過去において再三政府の言明に裏切られておるから、組合がほんとう政府の処置を納得するということのためには、政府が具体的な態度を示されなければならない、政府の具体的態度の方向に從つて順次爭議行為と申しまするか、戰術と申しまするか、それをなくして平和の状態にもつていきたいという御意見でありました。  こうした組合側の申出も、私は過去の政府と組合との折衝の経驗から、そうした政府の態度に疑問をおもちになることも一應やむをえないこととは存じまするが、このたびは、私は職を賭して、責任をもつて言うたことを行いたい。(拍手)そうしてまた、私微力ではありまするが、私のこうした態度を全面的に支持するという大きな力もあるということをはつきり申し上げておきます。そうしたことから、私は誠心誠意、あくまでも現在の情勢を組合側の諸君に判断していただいて、御不満ではあろう、無理ではあろうと思われるが、その無理、御不満を何とかして今日の事態収拾のために御了承を願いたいという誠心誠意を、披瀝して、私といたしましては、なし得る最大をなしてまいつたのであります。しかし結果におきましては、今申し述べまするような点において未だ意見まとまらず、爭議は日に激しくなろうとしている状態にありますることは、きわめて残念でありまするし、遺憾であります。  また私どもといたしましては、これに対してどのような態度をもつて臨むか、こういうことが残されておる次第であります。また來るべき——これは一月から三月までの問題でありまするから、新年度において新事態に対処するためには、これに適應し得られるような方法において團体交渉を平和裡に行う、そうして実際に新事態に適應し得られるような態度方法をとりたい、こういうとも組合側に申し出ておる次第であります。しかもこのことについては、相当時間的にまで述べられているような状態であります。しかし遺憾ながら、この点についてもなお組合側の御了承を得ることができないのであります。しかし私どもは、組合の代表者の諸君におかれましても、日本の労働運動の長い將來のことをお考えくだされば、私が今まで申し上げましたことは、おそらく組合の幹部の諸君も御了承を願つておるのではないかと考えるのであります。ただ残念なことには——残念なことには、それが十分に一般組合員諸君にまで徹底しない憾みがあるという点であります。     〔発言する者あり〕
  25. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
  26. 加藤勘十

    國務大臣(加藤勘十君)(続) どうぞお靜かに願います。  尾崎君の御質問の要旨でありまする点に対して、それぞれ項目をわけてお答え申し上げます。  尾崎君の要旨は、爭議対策において、また今後の処置において、現業と非現業とを区別して対策を講ずる必要があるが、その点どう思うか、こういう御趣旨でありました。これは御趣旨の通り、当然現業と非現業とその職種に應じて具体的な対策が講じられなければならぬのは言うまでもありません。しかし組合はも、現業と非現業とにわかれてはいないのであります。從つて組合が交渉の相手である場合におきましては、当然組合は一本として、現業、非現業を問わず組合の統制下にあるものとして、そういう前提の上に、組合に対する対策を講ずる具体的な給與その他の技術的な点については当然別個に考えられなければならぬことはお説の通りであります。  第二は賃金体系の問題でありまするが、これまた、ただいま私の申し上げましたる通り、今日までの單純なる生活給一本ではどうしてもいけない。これは私個人としての意見といたしましても、どうしても能率給が加味された、能率給と生活給を合わせて一木にした体系が立てられることを必要と考えるのであります。從つて、いわゆる最低賃金制の制定に対しては、後に安平君の御質問の中にもありましたが、私は反対であります。それは後に安平君の場合に申し上げます。  それから、非現業の場合の爭議と労調法三十八條との関係等についての御質問がありましたが、これは当然法律の明記するところに從つて行動いたしたいと存じます。  全逓の爭議行為の中に新聞、通信の切断あるいは警察電話の切断の問題があつたようでありますが、この点に対して、私はその技術的な内容を詳しく存じません。從つて、これは所管大臣から申し述べた方が適当であろうと存じます。  また全財爭議徴税関係、これも私の範囲外でありますから、徴税の実体にどういう影響があるかということは、大藏大臣からお答えになることが適当だと思います。  さらに、國会に解決を委嘱する考えはあるかないか、こういうお話でありました。もちろん國会國家の最高権威であります。この國会の信任に基いて政府は組閣されております。國会政府の処置に対して、もしその処置が適当ならざるものとお考えになりました場合において、國会政府の処置を彈劾されることも國会の当然の権利であります。從つて國会政府の行為を批判されますことに対して、私は何とも申しません。これは國会の完全なる自由な意思に基くものでありますが、現在政府といたしましては、國会の信任に基いてできております関係から、政府として今日の事態に処する態度といたしましては、今再び國会にその解決の方法を委嘱するという考えは、少くとも私はまだもつておりません。  それから、政治的混乱をどうするか、こういう御意見でありましたが、これはいろいろお示しになりました意見を参照しつつ、政府は最善と信ずる方法を講じまして、一日も速かに事態が解決することにより、將來平和的に團体交渉が行われる途が開かれるならば、今日見ておるがごときこういう混迷した事態は明らかに解決されていくであろうと、こう考えます。どうぞ了承願います。  それから安平君の点でありますが、これもまた要点はいくつかにわかれておりました。  その中心的なものといたしましては、生産復興の指導性が労働者の手になければならない。こういう点が一つございましたが、もちろん、そのことは先般もこの議場で申し上げたと存じます。何と申しましても、資金・資材を実際に動かして物を生産するのは労働者でありますがゆえに、労働者の生産性が高まるということが重大なる要素の一つであることは言うまでもありません。從つて、労働者諸君の生産性の高揚をどうして求めるか、ここにいろいろな議論があると存じますが、それにはまず生活を保障しろ、生活が確立した後に働くという意見もありますし、また私はこの場合においては、生産の確立は同時に物の増産でなければならない、物の増産は同時に労働者の生活の保障、安定でなけれでならぬ、向上でなければならぬという考えをもつておるのでありますから、この点については、私は今日の事態が明確にありのまま労働者諸君に理解されますならば、私どものこうした考えについては御協力を得られることがあると、かく信じているものであります。  その次の重要なる点は、國鉄が承諾しておるが、どうして國鉄と同じような状態にある全逓が承知しないのか、また政府は事態の眞相を一般組合員に告げる方法において何か手落ちがありはしないか、こういう意味の御質問であつたと存じますが、なるほど國鉄の諸君がこれを了承されましたことは、お言葉の通り、もとより満足して承諾されたのではないのであります。しかし、たとい不満足であるとはいいながら、今日日本のおかれた事態を冷静に客観されまして御了承を得られたものと考えますから、われわれといたしましては、当然今後とも、いかにして実質賃金の引上げになるような施設をすべきかということについては最善を講じたいと考えております。ただ全逓の諸君が同じような條件のもとにありながら、國鉄が承諾したのに、しないのはどういうわけか、こういう御説のようでありますが、この点はただ最低賃金制の賃金体系に対して全逓側の諸君が強くこれを主張されるということと、それから最初給與委員会ができた当時における政府措置があるいは誤つてつたのかもしれませんが、ともかく参加されなかつたという点が、私は大きな理由をなしておるのではないかと考えます。しかしいずれにしましても、全逓の諸君に対しても、私どもとしては國鉄の諸君に対すると同様に、あくまでも誠心誠意を盡して事態の眞相を御了解していただくことに努めたいと考えております。  また組合員一般に對して問題の眞相を徹底するに手落ちがあつたのではないかという御意見に對しましては、何と申しましても、組合が組合一本の姿において、組合の幹部が全組合員を代表されております関係から、組合の統制を重んずる立場からいつて、どうしても組合員の代表者を尊重しなければならないのでであります。こういう点から、組合代表をさしおいて、組合に対して政府が直接の指揮をすることは避けるべきであるという考えのもとに、組合員の一般に対する直接の宣傳はこれをなすことをやらなかつたのであります。決してこれは手落もしくは怠慢ではなくして、むしろ組合の統制力を尊重するがゆえにこそなさなかつたものであるということを御了解願いたいと思います。山下春江さんの御質問の山で主たる点は、政府が今のような事態で靜観しておるといとうことは、やがて組合が内部から足並みが崩れてくるのではないか、それを待ちうけておるという、そういう安易な考え方ではいけない、こういう御趣旨のようでありましたが、私どもは少くとも、私自身も、三十年に近い組合運動の経験から申しまして、そんな安易な考え方はみじんももつておりません。どういう場合にどのような事態が発生するかということは、十分知り過ぎているのであります。そういうことを知りつつもなおかつ今日の場合において、われわれが静観という形をとらざるを得ない、そういう実際上の窮状にあるということも御了承を願いたいと存じます。  河野金昇君の御質問の主要なる点は、行政整理をして過剰人員を他にまわすようなことを考えなければ、ほんとうに実質賃金の引上げも行えないのではないか、こういう点もあつたように存じますが、実質賃金の引上げにつきましては、先般もこの席において申し上げましたる通り、何とかして官廳全從業員諸君に共通する福利施設などを十分に行うようにして、そして実際には実質賃金の引上げとなる方向をとりたい。これにつきましては、今具体的な構想をもつておりますから、もしこの問題が片づきました後には、そういうことも皆さんの前に明らかにして御批判を受けたいと、こう考えております。  それから労働省の昨日の賜暇休暇の場合に、問前において紛糾があつたという事実を知つておるかどうかという御趣旨のようでありましたが、いかにも労働省の職員諸君から賜暇の申請がありました。これに対して労働省としては、もとよりこれを認めるわけにはまいりません。殊に労政局におきましては、局として、局長の名で業務命令を出しました。從つて、労政局の諸君は出勤をされたのであります。ただ組合側と十分に意思の。疏通が欠けておつた点から、門のところにおいて若干の意思の食違いがあつたようでありますが、これは組合幹部諸君と話合いの上で、きわめて平靜裡に労政局の職員は勤務につかれたのであります。この点、御了承を願います。  それから徳田君の御質問の趣旨は、いろいろございましたが、なかんずく最後の解決に対する措置としてこれこれのことをやる意思はないか、こういう御質問でありました。その中に、二千九百二十円を千八百円のふくれ上りの形において支拂うということ、これについてどう思うか、こういうお話でありましたが、これは今申し上げましたことによつて御了承願えましたことと存じます。  第二の、七千八百円の要求を考慮して、次の新事態に應ずる場合に團体交渉をする意思があるかどうか、こういう御質問でありましたが、七千八百円というこの計算の基礎がどこから出ましたものか、私はまだ十分にこれを聽いておりませんが、政府といたしましては、二千九百二十円は一月から三月までのものであることはしばしば繰返して申し上げておる通りであります。從つて、新事態に対処するための新構想が設けられなければならない。それはあくまでも團体交渉の形式において、平和的に話を進めていきたいという考えにおいてはもとより異議はございませんが、ただ七千八百円の問題を考慮に置くか置かないかということは、後の問題でありまして、今日のところにおいては、今申します通り、この数字の基礎も明確でありませんから、これを考慮に置くということを申し上げることはできません。  第三の、政府と組合側の同数の代表によつて團体交渉を行うかどうか、こういう点でありますが、これははつき。り申し上げます。行う意思があります。  それから、組合に対して行つてきた彈圧を今後やらないようにするかという御趣旨でありましたが、もとよりわれわれは、実際に刑罰法規に触れるような事態がありますれば、これはどういう場合であろうとも、社会秩序を維持する上からとらなければならぬことは当然でありますが、不必要な、そうしたことの規定のないにかかわらず行政措置として不当な彈圧と思われるようなことをやる意思は毛頭ありません。  次には軽犯罪法の問題でありますが、軽犯罪法の問題につきましては、すでに法務総裁からも、参議院においてはつきりと、この点は社会運動には適用しない、労働運動には適用しない、しかして、そういうことに疑義があるならば、一項を挿してもよろしい、こういう答えが得られているくらいでありますから、もちろん労働省所管の私といたしましては、法務総裁のこの言を忠実に信じております。  それから最後には、爭議を行つた理由で組合に不利益を與えてはならない。この点もまた私どもは、労調法その他法規に正確なる規定のあることは、これはどういう場合でもやむを得ぬことと存じますただ行政措置としては、できるだけそういうことのないように私としては努力いたしたいと考えておりますから、この点、御了承願いたいと存じます。  皆さん、これで御了承願います。(拍手〕。     〔國務大臣北村徳太郎登壇
  27. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 徳田君その他の方から、全財の問題を一体どの考えるか、どうするかというような点について御質問があつたのでありますが、ひとり全財といわず、罷業権のない官吏、罷業権が認められていない官公職員の今回の罷業的な行為に対しては、共通の問題でありまして、これは一齊にしかるべき措置をとる、特に全財について御質問があつたのでありますが、これは先ほど塚田君、椎熊君の御質問に答えた通りで、ありまして、必ず適当なる措置をとる、かようにお答えを申し上げておきます。  なお徳田君から、税收入が後れていることと。全財の今回のスト行為とは全然関係がないというお話でありました。これはさようにも考えられますが、税收を急がなければならない今日の実情において、全財の当面の担当者がスト行為をやつたということと無関係であるとは申されないのであります。  なお、終りの方で憲法論をなすつておられますが、とくと拜聽いたしましたけれども、これは遺憾ながら私とは全然見解を異にしている点を御答弁いたしておきます。(拍手)     〔國務大臣苫米地義三君登壇
  28. 苫米地義三

    國務大臣(苫米地義三君) 先刻加藤労働大臣から詳細にわたつて答弁をいたされましたから、私から特に附け加える必要はないと存じます。しかしながら、連日組合側と交渉いたしまして、ついに妥結の途を講ずることができなかつたことは、私自身まことに遺憾至極でございます。その要点は、先ほど徳田君は、二千九百二十円はすでに予算にとつてあるから、やつてよかろうという簡單なことでありますが、同時に給與法案というものが通過いたしておりまして、この法案には給與体系が規定されておるのであります。從つて、この給與体系に則つて支給するということは、われわれのとらなけれぱならぬで途ございますから、この法律の運用及び解釋の範囲において、組合側の御意見を十分に尊重して解決したいと努めた次第でございますが、遂にこの法律を無視することでなければ妥結の途がないということがはつきりいたしましたので、結局不幸なる現在の状況になつておることは、まことに残念至極でございます。要するに給與体系は、よけい働く者によけいやる、職務の繁劇なる者によけい給與するというような能率給と職給とが加味されて、今後生産増強のために勤労者が、その意欲を増進するというところに給與法案のねらいがあるのでありまして、このねらいがはずれて、單純なる千八百円が二千九百二十円になるということであれば、その意味が非常に変つてくるのでありまして、われわれとしては、現在の段階においては、そのままのむことはできないのであります。  それから、二千九百二十円という言葉は非常に常識的にこれはわからないということでありますが、東京で家族が三人あつて、三十二、三才の者が、この新給與法によつていくらもらえるのかということを計算いたしますれば、一般事務者は四千二百六十六円になります。現業の人は五千三百三十三円になります。このことは二千九百二十円と平均に言われておりまするが、各個人の立場から申しますれば、かような数字になりまするので、もとよりこれで十分だとは申されないのでありますけれども、今日のわが國の財政の上から申しまして、大体不自由でもひとつ忍んでいただけるというような程度ではなかつたろうかと思うのでありまして、先ほど大臣は二万五千円とおつしやいましたが、そういう事実はございません。現在國務大臣は、月給に直しますと二千五百円です。われわれは國会議員としての給與を受けておるにすぎません。その点こも徳田君の思い違いだと思います。(「現在ではないよ、新給與規定になつてからだ」と呼ぶ者あり)  さらに、政府はこの一齊休業その他に対する処置をどうするかということに対しましては、先ほど加藤労働大臣からお話があつた通りでありまして、法の建前上、もしこのままでまいりますならば、官吏服務規律等のことも法律としてございまする以上、この法を擁護する立場から、あるいは不幸なる処置を見る方もあるかもしらぬということを残念に思うのであります。われわれは一日も早くこれらの点に考慮を拂つてもらつて、円満なる妥結を見ることを希望してやまない次第でございます。(拍手
  29. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 日程第一、地方自治法の一部を改正する法律案を議題、といたします。委員長の報告を求めます。治安及び地方制度委員会理事矢尾喜三郎君。     —————————————
  30. 矢尾喜三郎

    ○矢尾喜三郎君 ただいま上程せられました地方自治法の一部を改正する法律案について、治安及び地方制度委員会における審議の経過並びに結果を簡單に御報告いたします。  まず原文を朗読いたします。   地方自治法の一部を次のように改正する。   附則第一條第二項中「昭和二十三年四月一日」を「昭和三年五月一月」に「制定」を「國会に提出」に改める。    附則   この法律は、公布の日から、これを施行する。  委員会は二十六日午後一時開会いたしまして、ただちに審議を開始いたしました。有田政府委員から説明がありました。今その内容を簡單に申し上げます。  さきに国家公務員の身分に関する基準法として国家公務員法が制定せられたのでありますが、これと相並んで地方公共團体の職員に関する制度を確立することは、新憲法の明示する全体の奉仕者たる理念を具現し、地方自治行政の民主的運営をはかる上からまことに喫緊の要務であります。昨年十二月、地方自治法の一部改正が行われました際、同法附則第一條に、その第二項として「別に普通地方公共團体の職員に関して規定する法律は、昭和二十三年四月一日までに、これを制定しなければならない。」としたのであります。政府は爾来地方公務員法案について調査研究を進め、その立案を急いでいたのでありますが、本法案は何分にも地方公務員制度の基本をなす、きわめて重要なものでありますので、さらに慎重考慮を要するものが少くないのみならず、議会において十分審議をせねばならぬ関係もあり、從つて本年四月一日までにこれを制定することがとうてい不可能と相なりましたので、現在までの準備の状態とにらみ合わせ、右法案は五月一日までに國会に提出しなければならないことにするのであります。すなわち、その制度に若干の余裕を存せしめんとするのが本案の趣旨であります。  委員会においては二、三の質疑がありましたが、有田政府委員及び鈴木自治課長より答弁がありまして質疑は終了し、次に討論省略の動議が成立して採決の結果、満場一致政府原案通り可決確定いたしました。詳細は速記録によつてごらんを願います。  右、簡單ながら御報告申し上げます。(拍手
  31. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。     —————————————
  33. 安平鹿一

    ○安平鹿一君 國務大臣の演説に対する質疑は延長し、明後二十九日定刻より本会議を開くこととし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
  34. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 安平君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時四十七分散会