○
川崎秀二君(続) 次に、
労働法規の改正について
お尋ねをいたしたい。三党の
政策協定には、
労働組合運動の健全化を阻害するような
労働組合法、
労働関係調整法ないしは
労働基準法の改悪は行わないということを
発表したのでありますが、これはあくまでも文字通りに解釈すべきものと私は考えるのであります。すなわち、この発端となりましたものは、二月の上旬、
労働省で立案中なるものとして東都の某新聞紙上に
発表されたものであります。すなわち、
労働組合法第二條に
関連した組合専從者の給料を雇傭者が支拂うことを禁止すること、第十條の組合代表者委任権の問題、中央・地方の
労働委員会の権限を区別する問題、労調法第四十條の改正や、さらに公共事業のストライキに
從來より一層の制限を加える問題や、たまたま
アメリカにおいて上下両院を通過いたしましたタフト・ハートレー法の施行に絡んで、これに近い法律を作成するのではないかと臆測する向きありまして、今日のような組合側の猛然たる反対運動とな
つたのであります。
かりに、これらの條項を分析してみますときに、これらの中には、
日本の
労働組合の発展日程からいたしまして、その改正を行うことが改悪となるものもあれば、また
経済復興の途上、
國民的要請によ
つて当然客観
情勢に即應して改正をする必要を認めるものもあるのであります。(
拍手)たとえば大胆に申しまとて、組会専從者の給與が雇傭者によ
つて拂われることは、
労働ボス育成のもとともなる。またこれはかえ
つて御用組合と解されることとなり、
労働運動の健全化を招來するに多大の障害とな
つているのでありますから、組合法第二條の解釈はもとより、これを一歩進んで法律にうたうか、あるいは團体協約において制約することも必要であると私は考えるのであります。(
拍手)傳えられる法規の改正なるものは、これを具体的に検討してみねばならず、そもそも一緒にして、すべて
労働法規の改正には手をつけないということは、断じて権威ある
労働大臣の
態度ではいのであります。(
拍手)
もとよりわれわれも、
労働者の團結権や争
議権に不当なる制限を加えんとするがごとき改悪には断じて反対であります。また法規の改正問題が敏感なる
労働大衆の瀞経を刺激し、無用の混乱を招くことは避けるべきであります。しかし今日の聰明なる
労働大衆は、漸次
日本の置かれておる客観
情勢と
國民的要請と
経済復興に至るまでの
労働組合のあり方について深き考慮をめぐらしており、すでに米窪前
労働大臣は改正の意のあることを表明しておられるほどでありまして、この点に関し
労働大臣の見解を伺いたいのであります。(
拍手)
次に私は、わが國近來の
労働争議は、矯激分子の活動にもかかわりませず大規模争議を未然に防いでおりまして、昨年のように争議行爲を著しく減少せしめた功績は、けだし中央・地方の
労働委員会の活動によるものであ
つて、
労働委員会の手がけた争議件数九百八十三件、
解決件数七百七十四件に及んでおることは、まさしく関係当局の
労働課長が指摘するように、わが國
労働運動の史上特記すべき活動と称一賛して決とて過言ではないと信ずるのであります。(
拍手)
しかるに、
労働委員会の組織と内容は未だ充実せず、中央
労働委員会のごときも、二、三の著名なる法律学者、
経済学者の特殊的頭脳と活動にま
つておる状況でありまして、事務局スタツフの貧弱と資料の貧困は、とうていこれ以上の活動を期待し得ない状況でありますから、私は、この際これを拡充し、また世情とかくの非難のある中立委員の選出
方法、たとえば中立委員のうち政党に所属する者があ
つて、これが常に紛事と不公平なる裁定の種を招いておることも、この際一掃すべきだと考えるのであります。(
拍手)その
意味で、私は調停の権威を高め、特に公共事業の安全性を保持するために、会関する事項を拔萃して、この平和的機関の法的根拠を確立するため、新たに
労働委員会法を作成してはいかがかと考えるのでありますが、この点に関し
労働大臣の見解を承りたいのであります。
今後わが國の
労働運動を健全に育成するためには、まず組合内部の民主的運営を徹底せしめることが必要であり人事や争議行為の表決にあた
つては、何ものにも脅威されぬ無記名投票の励行は、今日の
労働運動ではやむを得ない
方法であると考えるのであります。わが党は、
労働運動に対し
経営協議会
中心主義の思考を堅持し、これが全國的普及を願
つておるのでありますが、
経営協議会や
労働委員会は、断じて労資双方の
階級鬪争の場ではないのであります。利害の異なる労資双方が、相互の
立場を理解し合うための交渉をなすべき場所であることを、この際一層強調したいのであります。
戦後
労働権の進出は
世界的現象でありまして、わが國においても、すでに二千に近い
労働組合が
経営の参加権を認められ、また石炭國家管理法案施の際は、炭鉱
労働者の、
経営参加は法的にもこれを認められるという
地位の飛躍的向上を見るのであります。されば
労働者は、往時のごとき搾取されたる存在ではなく、また
資本家や
経営者に対し反撥的な
立場をとることをも
つて本領とすべきものではなく、
生産経営体内における主体性、人格性に目ざめ、
生産担当者としての大いなる誇りと自覚とに躍進することこそ望ましいのであります。勤労は実に全人格の発露であり、もはや単なる賃金取引の対象物ではありません。この
意味において、わが党の代表者がか
つて指摘したように、わが國独特の新しい企業形態と
労働者の組織、すなわち
労働組合を創設下る段階を迎えたと思うのでありますが、総括的にこれらの問題について
答弁を煩わしたいのであります。
さて次に、
インフレーシヨン克服の諸問題と
産業問題につきまして、それぞれ所管大臣の見解を承りたいのであります。現
内閣の目ざすところは、
経済復興の
最大の障害とな
つております
インフレーシヨン克服のために、今日及ぶ限りの手段と
方法をとるということでなければならぬと思うのであります。しかしながら、一口に
インフレーシヨンを克服すると申しましても、縮小
生産が拡大再
生産に向わない今日、また通貨の発行高が足踏みをしておるものの、近く物價体系が変更されることともなれば、ここに一時的にも
インフレーシヨンが高進を示してくることは避けられないのであります。
内閣とルては、
長期計画の中に、いついかなる
方法で
インフレーシヨンを決定的に押えるかという大きな目途を描いて、それまでは当面
インフレーシヨンの整理をなすべきけ
経済的な条件を整えることか根本的な問題ではなかろうかと考えるのでありますが、この認識について大藏大臣はいかなる構想をも
つておられますか。
片山内閣は、昨年の七月、
経済安定本部を
中心にしてインフンレーシヨン
対策をとりあげ、賃金と物價の均衡をはかり、その上に立
つて財政の健全化と
産業融資の規制を行
つて、財政と企業の赤字をなくそうと
努力ををいたしたのであります。これは技術上の失敗と、民間の実情を知らぬ机上
政治の欠陷によ
つて破綻はいたしましたが、その基本的の方策、方向は決して誤
つていなかつたと信ずるのであります。
私は、もつと問題は根本的のところに横たわ
つていたと考えるのであります。すなわち、現在のように鉱工業
生産が戦前の三割しかないという状況では、インフレの整理を行う場合に必然的に起
つててるところの安定恐慌を乗り切ることはできない。
從つて、安定恐慌を覚悟してインフレ
対策を進めることができなかつたところに
経済政策が破綻を示すこととなり、再び
インフレーシヨンを招いたと考えるのでありまして、
芦田内閣としては、当面まず石炭を初め
重要産業の
生産を飛躍的に増大させ、海陸輸送力を強化して将來の安定恐慌に耐え得る
生産條件をつく
つていくことが第一の問題ではないかと考えるのであります。さらに第二の問題は、
インフレーシヨンの進行過程において重要なることは、通貨面から極端な
変化や変動を與えるということよりも、むしろインフレ進行過程をいかにして合理的に、矛盾なく、また摩擦なく進行させるかということであります。この点で大藏大臣は、インフレの進行過程を合理化して、なるべくその波動を少くさせるために新しい手を打つ考えないものか、この点を特に
お尋ねしたいのであります。
昨日大藏大臣は、淺沼氏の
質問に答えて、インフレ克服の
最大の手は、財政の赤字と企業の赤字をなくし、健全財政と健全金融を並行せしめるところにあると
答弁されたと私は記憶するのでありますが、貨幣的に見て、インフレを促進する
最大の要因は財政の赤字であります。
日本銀行の勘定から見ましても、昨年中の通貨膨脹千二百五十七億のうち千百五十八億、すなわち九二%までが財蔵関係に基く膨脹である。健全財政を
維持せんとする藏相の悲壯なる
決意はこれを諒としますが、一各省要求額五千億に近いと言われ、二十三年度予算は、歳出の面において思い切つた重点主義をとり、歳入の面において税制の大改革か行うにあらずんば、これを成立さすことは困難であります。この際北村財政の全貌を大藏大臣の発意とされる賣上税の内容とともに輪郭を明らかにされたいと思うのであります。
なお、昨年関東・東北地方に起つた大水害の
対策につきましては、すでに三
党政策協定においても、また過般の
首相演説の中にも、緊急
対策として取上げられておるのでありますが、追加予算にも計上ざれず、また暫定予算等にも計上見込薄とのことでありますが、このことはわれわれの不審とするところでありまして、
政府の
所信及び
対策の現賦について誠意ある御回答を願いたいと思うのであります。(
拍手)
次に、三
党政策協定にもたわれております通り、統制と自由との限界を
調整して、煩瑣にして非能率的なる統制はこれを撤廃または
改善するということがありますが、これは安本当局を
中心にして鏡意御
解決を願わなければならぬ問題と思います。由來統制
経済は、その特質として機械的操作であり、現実の社会にこれを應用するならば、おのずからその範囲と程度と時期を考慮する必要があるのであります。もちろん、わが國におきまする現在の欠乏
経済を突破するためには、もとより放任された自由
経済は許さるべきものではなく、賢明なる
計画のもとに統制の範囲と程度とを選択し、緩急よろしきを得る統制
経済政策を樹立することが必要であります。
今日世論の一部に自由
経済を謳歌する声があることは事実でありますが、これは全般の統制
政策に反対する
意味ではなく、末端におけるところの官僚統制
方式に対する怨嗟の声であり、日常
生活物資のうち需要供給のバランスが一般の目には明らかにとれておると思われる物資の統制を依然として解除または緩和しないことに対する非難であると考えるのであります。これらに対して、わが党はすでに二十三年度予算編成
方針の要綱の中に統制
経済政策の再検討をうたい、一月初めすでにこれを提出し、安定本部当局もこれを承知されておるのでありますから、統制の緩和または撤廃を要する物資の研究についていかなる処理をされておるか、この際安本長官の明示を願いたいと思うのであります。
次に、
生産増強の具体策について商工大臣に若干の
質問をいたしたいと考えるのであります。
経済復興の前提
條件として、またインフレ克服の要素として、
重要産業の復旧はまさに扇のかなめと申さなければなりません。基礎
産業のあり方につきましては、社会党、民主党ともに特に力を注いでまいり、殊に昨年來わが党のごときは、石炭國管案に対しましては、党の生命を賭して公約の実行を果し、
國民多数の幸福のために、あの法律を鬪いとつたことは御承知の通りであります。(
拍手)さいわいにして國官案通過後、十二月以來、連合軍の好意ある協力もあり、石炭は漸次
増産の軌道に乗り、十二月二千九百万トンに上昇し、以來年間三千二百万トンのぺースーを持続し、
生産復興のきざしは炭鉱労務者の揮うつるはしの一振りから生れ出んとしておることは、まことに力強き限りであります。
しかるに、四月一日石炭國管法の実施を前に控えましてその準備の進捗は、傳えられるところが眞なわとせば、まことに寒心にたえないのであります。すなわち今日のところ、わずかに石炭局長の任命が終わ
つたのみで、全國及地方炭鉱管理
委員会の委員の構成も
発表されず、指定炭鉱も、予定されておるのはわずかに十局しかないということでありますが、これははたして事実なりや否や。商工大臣から國管に対する準備の経過を詳細に報告されたいと思うのであります。また、昨年來の石炭の握う方を実績によ
つて調べてみますと、現在の切羽にのみ重点を置いて、新坑道の掘進に力が入れられていないのではないかという観測があるのでありますが、この点に対する実情も報告されたいと思うのであります。
次に私は、基礎
産業に対するあり方を伺いたい。すなわち欠乏
経済下、特に資材に著しい不足を感じている基礎
産業は、私企業によ
つてもはや
國民の要請する需要を達し得ぬものは、必要に感じて國家の管理権を強化することが至当であり、民主党として特に重要
政策の一環として揚げているのでありますが、國家管理の問題は業種によ
つて区別しなければならないのであ
つて、一概にこれを公式的に取上げるべきではないと考えるのであります。たとえば鉄鋼の國家管理のごときは、対外的な競争を前提として考慮するのが望ましいのでありまして、國家管理を行うにいたしましても、その対象はすこぶる複雑であり、國家管理によ
つて能率を上げ得る形態にない事業を、單に社会化の
理想論とイデオロギーから、現実を無視して、
増産の面を軽視してこれを行うことは、断じて避けなければならぬと思うのであります。
同じことは肥料工業の場合にも言えると思う。肥料工業は、昨年來、すでに予期以上の
生産を上げているのでありまして、これらはすべて現実の実績と國管の及ぼす利害を判断して決定さるべきでありまして、民主党は、私企業権の擁護、能率本位に基調を置き、いかにしても私企業をも
つてしては達成し得られない事業を一時國家の管理に委ねんとするものであり、いたずらなる
産業社会化の声に同調するわけにはいかないのであります。もちろんわれわれは、三
党政策協定を忠実に守るものでありましてもそれぞれ設けられる
委員会がこれを取上げることになるわけでありますが、その際は廣く各界の
意見を徴する必要があることは贅言をまたぬところであります。しかしてわが國
経済の方向、今日明確に
産業民主化を主体として、旧來の
資本主義を新たに
産業民主主義に修正することこそ現段階の主要任務と考えるのでありますが、水谷商工大臣は、これに対していかなる考えをも
つておられるか、伺いたいのであります。
しかしながらこの反面におきまして、國家の強力なる
援助なくしてはとうてい事業の円滑化を期し得ないとする電力、石油のごときは、速やかに國家の管理ないしは一元化の方面に移すべきものと考えるのであります。現在わが國の石油事業が在來は海外の
輸入に仰いでいたこと、樺太、台湾等の旧領土を失つたことによりまして、原油はまつたく枯渇しており、民間事業としてはすでに開発の能力を失い、いずれも
経営に苦心を感じている
現状からいたしまして、石油事業はこの際國営に移すべきものと考えるのであります。
また、石炭問題に次ぎまして世論
関心の的とな
つてまいりました電力事業の一元化、
責任態勢の確立も、必至の問題と信じているのであります。すなわち電力問題は、すでに
経営者、
労働組合とも、一元化についてはほぼ歩調を同じにいたしているのでありますが、
労働組合の國有國営論に対しまして、
経営者側は、発送電、配電側それぞれ別個の構想をもつやに傳えられております。私は、わが國の電気事業の再編成にあたりまして、これをいかなる形態にすべきやは、最初から一定の考え方を立てて押しつけることなく、第一は事業の沿革と
現状、第二に特に料金
政策とプール計算、第三に資源の分布、第四に電力の配分、第五に電源開発の重要性、第六に資金特に外債問題、第七に
経営事務能率、第八に需用者へのサービス、第九に
労働問題、第十に
世界電氣事業の形態の趨勢等を十分に分析して、しかる後愼重に結論を出すべきものと考えるのであります。商工大臣は、石炭國官案で貴重なる経験をも
つておられるのでありますから、今回はきわめて愼重に事を運ばれることと思うのでありますが、現在いかなる程度の最低構想をも
つておられるか、素案なりとも吐露されれば幸であります。
次に、わが國が今後管理貿易から自由貿易に参加し、國際市場に進出する日を迎えるためには、わが國の
産業構造をいかにすべきか。会社、工場の企業規模を合理化し、
経営合理化を断行しなければならぬのであります。これがためには、企業
再建整備法が施行されて著々と進行しておるのでありますが、これに先行すべき問題として、行政機構の改革と行政整理が本年度における重要課題なりと信ずるのであります。
経済復興への不可欠の
條件として行政整理が登場した以上、私の見解をも
つてするならば、これこそ
労働組合に基盤をもつ社会党が、その首班
内閣の時代に、
労働者を納得させつつ行うべき歴史的な使命であつたとさえ思うのであります。
片山内閣は、その末期におきまして、二割五分の天引案を閣議の決定事項といたしたのであります。
片山内閣でき、まつたことは、輿論が引続き要求をいたしまするならば、常然
芦田内閣によ
つても踏襲さるべきものと思うのであります。実は私ども率直に申しまして、昨年の末、民主党の政調会におきまして、行政整理断行に必要な各種の資料を集め、いかにしてこれを實施するかということについて論議を重ねた末、まず機構の根本的改革は長時日を要することと判断いたしもして、これがためには官民の審議会をつく
つて研究することとし、とりあえず官職の能率化と合理化、さらに財政上の見地から、行政整理は予算定員の二割天引案を本年度予算の
方針といたしたのであります。しかるに、民主党が二割天引案でありましたのにかかわらず、
政府は一挙に二割五分を決定いたしたことは、当時いささか意外としたのであります。
私は、現在の非現業官廳の人員は、三十九万五千人の予算定員に対しまして三十一万九千人の実人員とな
つておる状況から、これは実人員が予算人員る状況から、これは実人員が予算人員に対して平均一割七、八分ということにな
つております。その点からいたしまして、二割の天引をいたすことは、さしたる官廳労務者の失業群をつくることでない。長期欠勤者と老廃者の小部分が整理されることであり、さらに行政能率発達運動を強力に展開すれば行政整理の実はあがるものと考え、その具体的措置として、各省に共通した部課を統合すること、地方の出先機関を整理すること、各省の総務局課の縮小による廳急的機構改革を迫
つたのであります。
終戰以來、官廳機構は膨脹に次ぐ膨脹をも
つてし、歴代
内閣いずれも行政整理を看板に掲げながら羊頭狗肉に終り、遂にこれを実施せずに今日を迎えたのでありますが、
芦田内閣にしても、これを断行しないときは、官僚統制に対する非難と國家財政に與える圧迫をも加えて、怨嗟の的となることは必定であります。われらは、
労働者の大量失業群を生み出すようなこれ以上の機械的整理、社会不安を招来するものでありますから、これには反対でありますが、とりあえず非現業官廳の二割の天引を行い、その他は労務の配置轉換を主として行政整理を行うのでなければ、企業整備、
産業合理化は断じて行えぬことを指摘したいのであります。民間企業にのみ企業整備を強いて、おのれは
天下にかまびすしい行政整備をほおかぶるとい
態度は、世人の糾弾を招くものといわざるを得ないのでありまして、か
つて國民協同党の政務調会長として、國協党の行政整理案を
天下に明示した船田行政調査部総裁の明快にしてかつ具体的な
答弁を求むるものであります。(
拍手)次に、永江農政の全般について
質疑をいたしたいのでありますが、時間の関係から、問題のポイントを二、三取上げて申したいと思うのであります。
農地改革については、
政策協定によりまして徹底的推進をするとあります。これは第二次
農地改革の速やかなる進行と、その行過ぎやでこぼこを
調整する
意味と解釈いたしておるのでありますが、昨日の永江大臣の
答弁の中には、小作地の自作化、平地林の解放ということに言及をされておるのであります。これは現下の農村の実態からして、また治山治水の重要性からいたしまして、にわかにその実施を見ることはきわめて危険千万であるといわなければならないのであります。永江農政の行う
農地改革の合理的徹底とは当面いかなることを指すか、いま一度具体的に方策を示されたいと思うのであります。
次に、さきの
國会において提出にな
つて流産と
なつた農地
調整法案のことでありますが、わが党も、この法律が
農業生産物全般にわた
つての強制的な
計画生産であることや罰則の重いことからいたしまして強硬に反対いたしました。先般の
國会においては審議未了とな
つてお
つたのでありますが、その後
政府においては、
主要食糧供出確保決と改訂しまして内容も相当に修正されたと聞いております。はたして今度の
國会に提出するものかどうか。わが党は、現在の
食糧事情を廣く
世界的視野からながめ、
計画生産の必要性を認めまして、事前割当の基本的原則には異議がないのでありますが、その後傳えられる
主要食糧供出確保法について、しさいに検討しました結果、
計画生産をなす場合、一、
主要食糧の範囲を明確化し、米、麦、大麦、さつま芋、じやが芋及び雑穀とし、二、作付に関する
計画を立てる場合、その所要面積を中央より、命令的に押しつけることなく、基準面積を個別的にきめるように緩和し、三、
農業生
生産必需物資を作付面積に感じて公定價格で配給するよう強力に要望するとともに、
從來の肥料に新たに農機具と農薬を加え、その他農地
調整委員会の民主的運営、罰則中体刑刑罰の廃止等を主眼とする大幅修正案を実は用意をいたしておるのであります。その場合、
政府は民主党の考えておるところの線に應ずるかどうか、この点の御
答弁を願いたいと思うのであります。
さらに
主要食糧の配給について、永江農林大臣は昨日
会議場で、六、七月に欠配なしと言明れたのでありますが、しかりとすれば、
輸入食糧の明るい見透しと相ま
つて、近き将來二合八勺の配断行し
國民をして
食生活の安定に明朗感を與えるべきであると思うのでありますが、博えられる二合八勺の実現について、具体的な言明を伺いたいと思うのであります。(
拍手)
次に、
厚生大臣には一言だけお伺いいたしたい。完全雇用の実現ということは、戰後
世界の共通
理想であります。しかし、これが今日の
日本ではとうてい実現できぬことでありますので、失業者群の救済、老幼貧窮者の保護等いわゆる融会保障制度の確立は、文化國家としての当然の義務であると考えるのでおります。イギリスは、一九四四年
大戰のさ中におきまして、「われらは戦後の
生活をより楽しく、すべての人が相互に相より助け合うために」という標題のもとに、ビーヴアリツジ社会保障法案を成立させたのであります。戦後現在の
日本においては、未だその
理想を果す段階に達しておるとは思いませんが、構想はすベからく雄大に、将來の文化國の
生活内容を豊富にすべく準備をなざねばならぬと考えますが、
厚生大臣は社会保障制度に対していかなるお考えをも
つておられるか。
いま
一つお尋ねいたしたいのは、消費協同組合法の実施であります。民主党社会党、國協党もそれぞれ自党の案を用意いたしておるのでありますが、この案が
調整されました際には、
政府はこれに應ずる
意思があるかどうか。また
政府自体として準備されておるものがあるか。御
答弁を煩わしたいのであります。
最後に私は、政党
政治に対する
首相の
理想を聽かんとするものであります。
芦田総理大臣は、新
内閣の最高目標は平和と正義との支配る
世界を建設することであ
つて、その歩まんとする道は中道であり、左右いずれにせよ、極端な
思想は平和を
維持するゆえんではないと説かれたのであります。これは抽象論としてはまことにりつぱでありますが、現実の事態に對していかにお考えでありますか。
すなわち、近來政界には二大政党を唱る者があ
つて、現に二大政党を
理想とし生れ出でた、議席数においては強力な新政党が存在しておるのであります。私は二大政党論を一概に否定するものではないのである。しかしながら、現在かりに二大政党が出現するとせば、不安定なる
経済基盤の
動揺のため、一方の政党は尖鋭にして急激なる社会、主義
思想の徹底を要求し、一方の政党はいきおい自由
資本主義の強烈なる性格となり、いわゆる保守反動と矯激急進の二大
思想の対立に追いこまれることは必然であります。このような二大政党の対立が、はたして
日本國民の幸福となるでありましようか。かりに尖鋭な革新政党が政権を握れば、必ずや國有・國営のイデオロギーによ
つて政策を塗りつぶし、もしこれが失敗して倒れた場合は、自由主義
経済万能の政党が、明日から
國民の
生活を民有・民営の
思想によ
つて一変せんと試みるでありましよう。このことによ
つて起る国民の
経済生活が、はたして幸福であるかどうか。
國民は終始その対立抗事に悩まされるばかりでなく、革命と反革命の連続によ
つて、國家
再建の方途はまつたく土崩瓦解に帰すると思うのであります。
もちろんわれわれは、このような二大政党に現在の政界が今分割されようどは考えておらぬのであります。しかしながら、われわれが中道を歩むということは、決してかかる二大政党排撃論のみによるのではなく、実に今日の容易ならざる
経済危局を突破することと、占領
政治の制約下においては、
経済政策は何人が立
つても、過去の利潤本位の
資本主義を修正し、
敗戦下の
國民生活に対し高度の社会
政策を取入れるほかに
政策の基本線はないと固く信じておるからであります。さればこそ、主義
思想の立脚点を異にする社会党と民主党は、
窮乏にあえぐ
國民の惨苦を救うために、一は現実主義的な社会主義者の
立場から、一は進歩的な保守主義者の
立場から、良識ある
國民協同党の協力を得て今日の困難なる政局を担当し、いかにして最短距離をも
つて國民を
経済安定の彼岸へ送り得るかと日夜苦心を重ねておるのであります。(
拍手)これこそまさに
敗戦下の
國民を思う愛國者のつどいでなくて何でありましようか。われわれは、ヨーロツパの戦い勝てる諸國が、また敗れたけとはいえ
日本の今日ほど疲弊しておらない各國が、いずれも祖國
復興のため連立政権を結成し、孜々として國家
再建の大業に邁進しつつある姿を見るときに、ひとり
日本ののみが深刻なる
政治抗争によ
つて平和を撹乱されることをおそれるがゆえに、これを回避しなければならない、のであります。ここにわれわれは、極右極左を除く中央安定勢力の拡大に心を盡し、全勢力を傾注せんと深く覚悟するものであります。
芦田総理大臣は、一昨年の暮、自由党の代表として議会の
壇上において挙國連立を提唱し、社会党の解散要求に対し、イギリス
労働党のラムゼー・マクドナルドの故智を説いて、片山委員長に協力を求められたことがあるのでありますが、この
思想は今日もなお一貫しておられるものと信ずるのであります。しかりとせば、保守陣営の大勢力が依然として連立参加の拒否をなすこの
現状をいかに考えられるか。いわゆる時計の針を逆にまわす人々をでき得る限り少数に止めることが、
日本の
民主化進展に多大の効果を改めるものと確信し、挙國的連立政権の
思想を堅持することを
首相に勧告するとともに、積極的な
信念の吐露を要求して、私の
演説を終る次第であります。(
拍手)
〔
國務大臣芦田均君
登壇〕