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1948-03-18 第2回国会 衆議院 本会議 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年三月十八日(木曜日)     午後三時六分開議     —————————————  議事日程 第二十二号   昭和二十三年三月十八日(木曜日)     午後一時開議  第一 自由討議     —————————————  一、自由討議の問題はこれを定めない。     —————————————
  2. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 自由討議会議に入ます。  小澤佐重喜君 発言者を指名願います。
  4. 小澤佐重喜

    小澤佐重君 民主自由党は、まず第一に八木一郎君を指名いたします。
  5. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 八木一郎君、発言を許します。     〔八木一郎登壇
  6. 八木一郎

    八木一郎君 私は今期の新聞紙上に、「日本経済自立具体化、対日策大幅修正東京会談に期待」という大見出しのもとに、アメリカロイヤル陸軍長官が、今回日本自立経済再建方法について東京側と協議するため、昨十七日に有力なる政府代表及び工業使節團一行を派遣することに正式に決定をいたし、すでにその一行は昨日東京に向け出発したという報を知りまして、日ごろ纖維産業、なかんずく蚕糸絹業につきまして関心を寄せておりまする一人といたしては、これはきわめて興味潔く、まさに時と所を得たニユースだと思いまして、これをめぐつて、この際國際分業蚕糸日本再建の時至るというような課題のもとに、思いつきの二、三を所感の一端とともに諸君の前に申し上げましで、諸君の御批判を受けたいと思うのであります。  私は思いますのに、日本は今、敗戰のもたらしたこの焼野原のみじめな生活の中から、光明ある平和日本建設のために新しい時代に切りかえなければならない。この時に当つて、われわれの目に触れ、手にさわるあらゆる政治経済文化産業社会万般にわたつて、外は世界的、国際的平和國民の一人として世界情勢に深く深く理解をもち、世界各國から信用されるような平和愛好國民になりきることが必要であると思うのでございまするし、内は科学技術を尊重し、勤労を尊び、文化國民として國家生活に深い理解をもち、あの戰争中のように、行き過ぎた超國家主義のもとに、命も物を捨てるように、人的資源豊富だなどと言つて、あのとりざたされた考えを捨てまして、お互いに相助け合う、りつぱな民主國家の一員になりまして、楽しく幸福な暮しを立てて文化生活を営み得るように一日も早くなりたい、この切実な思いでございます。  かような見地から、本日課題としてここに提言いたしますわが國の蚕糸業を見てみますと、蚕糸業は、生糸の占める國際商品的地位から、全世界の注視を浴びているのは当然であります。特に今回マツカーサー元帥大統領戰出馬のため帰米の用意ある旨の声明に接し、思い出の日ともいうべき今を去る二年七箇月前、二十年八月三十日、元帥一行が、その愛用飛行機バターン号から神奈川縣厚木飛行場に降り立ちますや、和やかにマドロス・パイプをくわえた元帥行の口から、日本の土地を踏むや否や、ただちに発せられた言葉の中に、「シルク日本蚕糸日本復興」がとりざたせられていたと傳えられています。  その後約三年間、マツカーサー元帥理解と同情に富んだ助言によつて、わが日本蚕糸業復興管理政策は適当に推進せられましたが、來る六月フランスのリヨン市で開かれる國際絹業者大会には、日本も全世界養蚕製糸製織加工流行創造絹製品仕立等業者に伍して、蚕糸界代表者約十名が参加を許されることに内定をし、すでに人選も進めておると聞いておるのであります。また本年初頭以來、アメリカ市場生糸の賣れ行きは、一月中僅々一箇で昨年の一箇年分も賣れたというすばらしいレコードをつくつております。生糸の積出しも、また世界の各地へ向い快調を続け出しております。  一試みにごく最近の情勢を申し上げてみますと、二月十日には神戸港からワシントン・メール号によつてアメリカ向けに、十二日には横浜からアメリカ向けに、十五日にはインデイアン・ナビゲーテ号によつて横浜港から、二十二日には横浜からサイゴンヘ向けて、二十四日には神戸からスイスへ向けて、二十五日には神戸からダクサン号によつてサンフランシスコ向けに、二十九日には横浜からジヤーラルード・マースク号によつてアメリカ及びスイス向けに、三月一日にはゴールド・ヴアストン号によつてアメリカ向けに、二日には横浜からアメリカ向けに、四日には神戸からフランス向けキヤツスルドアー号によつて、近くはインド、エジプト向けも一万一千ポンドが輸出されようとしています。これすなわち、國際的平和主義をもつて立ち直りつつある敗戰日本が、國際的商品たる生糸平和使節として世界のすみずみにまで送り出しているようなものでありまして、これまさに纖々たる生糸國脈をつなぐの姿であり、日本が今世界各國から信用されようとする平和國民になる姿でなければなりません。  しかも蚕糸業は、國内的にこれを見ますれば、農業部門養蚕工業部門製糸製織、副蚕纖維商業部門輸出貿易と、農工商の三大部門太宗であり、この業に関係する民衆は國民大衆そのものであつて輸出産業であると同時に國内産業、純國産品として國民衣料の充足に役立つています。すなわち、中小纖維産業、なかんずく副蚕纖維工業農家自家用衣服銘仙類國民大衆衣生活に大いに役立つていますことは、ここに喋々するを要しないことでございまして、そのいずれの業態を見ましても、日本世界に誇る蚕糸科学技術を最効率的に活用いたしておるのでございますから、アジアの孤島のわが日本が、内に香り高い文化日本建設を企図し、外に國際貿易全面的再開を待望いたしますとともに、この國運を挽回するには、わが蚕糸業振興ほどその時と所を得た途はないと思うでありまして、われわれがここに本議場を通じて本件を課題とし、討議の対象にいたしたいと考えましたのも、まつたくこの微意にほかなりません。さいわいにして諸君が私のこの微意に耳をおかしくださいますならば、問題のかぎである蚕糸業振興をいかにしてはかるかというとびらを開けるために提唱せんとする具体的事項を列挙してみたいと思います。  機会を得て、この具体的な政策がやがて國際文化通商経済へ接触する導火線となる点等についても申し上げたいと思いますが、蚕糸業振興かぎ考えられる項目だけを列挙さしていただきますならば、その一は、世界に誇る蚕糸に関する專門教育は、御承知のように日本だけであり、この日本には今東京、京都、上田に三繊維專門学校を設けておりますが、近くこれを大学にいたして、世界絹業科学技術の殿堂に押し立てようという考えをもつて動いておるのでありますが、この点を一考いたしたいということであります。  その二は、政府蚕糸業五箇年計画はまつたく作文に終つておりまして、去る本月の八日に、その筋からメモランダムを寄せられまして、これに勇氣を鼓して、再びあらためて五箇年計画実施にとりかかろうとしておるやに聞いておりますが、これを作文に終らせたくないということであります。  その三は、蚕糸綿業貿易振興対策といたしまして、國際價格國際商品たる生糸價格安定の制度として、戰前にあつた糸價安定法を復活いたしたいという点であります。  その四は、蚕糸業に関係ある農工商業態は、廣い意味でのいわゆる農村工業であると考えまして、國際分業的な日本農業特産品だという観点から、もろもろの政案をいたしていきたい、これであります。  その五は、これがためには蚕糸、絹織物に関する政策は、他の繊維のごとく原料を輸入に求めております綿花とか羊毛とか麻という類とは異なりまして、一元的に一貫した強力な行政措置が必要であるにかかわらず、戰時中の行き過ぎた官僚的統制の結果からいたしまして、再検討をいたさなければ蚕糸業振興に関する政策が中断されてしまつておるということであります。具体的に言うならば、その例は数々ございますが、一口に特産農業の延長であつて農家の桑を、繭を、生糸を、副蚕糸を、織物を、一貫的に廣い意味農村工業事業としてこれを取扱うような行政措置が絶対必要であるという考えであります。  以上の五つの項目、すなわち纖維單科大学の設置、蚕糸五箇年計画の実行、糸價安定法の制定、廣農村蚕糸工業振興、必要なる行政的措置、かような項目をあげまして、皆様の注意と批判を受ける日を期して、本日は各論的な項目は他日に讓らしていただき、劈頭に申し上げましたように、新聞の記事を読みまして、ロイヤル陸軍長官が、ドレーパー陸軍次官一行をわざわざわが日本に十名もよこしていただき、その三大項目の中の第二項目、特に繊維部門における振興に関する東京会談というこの一項目に注目いたしますとともに、昨日立たれたはずの一行が、一日も早く無事に東京の地を踏まれる日をこの席よりお待ち申し上げまして、正しきシルク日本蚕糸日本復興の日を、バターン号から神奈川縣厚木飛行場に降り立つた元帥一行のあの声にこたえて、親しくドレーパー次官一行と御相談申し上げる機会を待ちたいということをこの際披瀝いたしまして、私の立ちました理由に代える次第であります。(拍手)
  7. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 坪川信三君、発言者を指名願います。
  8. 坪川信三

    坪川信三君 民主党は、安東義良君を指名いたします。
  9. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 安東義良君、発言を許します。     〔安東義良登壇
  10. 安東義良

    安東義良君 第二次世界大戰中、米國大統領ルーズヴエルトのよき協力者として世界各國に使をいたしましたウイルキーは、戰後において世界平和愛好の諸國民協力による一つ世界となることを希望して、「一つ世界」という著書を公刊いたしておるのであります。しかし戰後三年にして、今や世界は判然と二つの世界に分れ、その間の抗爭は日々激しくなつております。いわゆる冷たい戰爭が熱い戰爭となるか、または温い平和となるか、人類はなかなかその分岐点に立つておるのであります。  過日のチエツコスロヴアキア國に起りました政変は、共産党と提携しておりました社会民主党系の内閣が、共産党クーデタに脆くも潰えまして、東欧諸國が完全にソ連勢力下に落ちたることを意味するものであり、相次いで起りました外務大臣の自殺とともに、米國及び西欧諸國に一大衝撃を與えまして、英佛初め西欧五箇國は、急遽同盟を締結してソ連勢力の西進を防止する態勢を整えました。  しかし共産党攻勢は旺盛でありまして、佛國においては、シユーマン首相は、最近フランス共産主義者チエツコ式クーデタをすぐ実行する計画はないが、心配なのは、近隣諸國で社会的混乱が起つたときにそれが傳染する危險である、われわれはすでに行政及び警察機構を強化したから、國家体制を内部から轉覆させようとするような暴力企図を防止する自信はあるがしかし、もちろん危險は存在しておるのである、殊に共産主義者は到る処でマーシヤル・プラン反対を叫んでおるからして、今後の数ケ月が危險であるというふうに申しまして、共産党員の地方分散的のストライキ戰術を極力警戒しておりますし、またイタリーでは、ガスペリ首相が、來るべき四月の総選挙においてイタリーの自由が再び共産党によつて奪われるおそれがあることを警告しておるのであります。英國のごときは、最近に官公職員より共産党員を除くことをきめたようであります。米國では、マーシヤル計画の実現を急ぎ、さらにトルーマン大統領は、御承知通り昨日、ソ進の進出に対しては経済的援助をもつて足れりとせず、軍備の充実を急速に実施する要ある旨の重大なる教書を発表するに至つたのであります。  ひとり欧州においてのみならず、東亜における事態は、われわれ日本國民にとつても実に容易ならぬものがあるのであります。滿州はほとんど中共軍の手に落ち、北鮮には共産党政府が樹立せられ、中國の本部におきましても、北支共産軍に蚕食せられ、延安は再び危く、洛陽は最近中共軍の手に占領せられたということであります。連合軍嚴然として日本を占領しておる今日、共産党分子日本の國内を撹乱する危險はないといたしましても、やがて講和條約が締結せられ、ポツダム宣言の規定の通り日本民主政府が確立して、連合軍引揚げ日本が独立を回復いたしました後における日本の状態を静かに考えてみまするときに、はたしてどうなりましようか。速やかに健全なる民主政治が確立せられ、極左極右活動日本國民みずから防衛する準備と心構えができないならば、ゆゆしい事態が生ずるかもしれません。ふたたび日本國民がその自由を失うようなことがないと、だれが断言いたすことができましようか。  かくのごとき國際的環境のもとに、わが國においていわゆる三月攻勢なる労働爭議が頻発し、國鉄全逓を初めとして、官公職員組合の地方分散的またはいわゆる波状攻撃的労働爭議が展開せられているのであります。今日の労働爭議がインフレと生活苦にあえぐ勤労者生活改善経済鬪爭の一形態である反面に、一部の共産分子政治的企図をもつて労働爭議を利用し、労働組合を壟断せんと策動している事実を、われわれは看過するわけにはまいらないのであります。この共産分子活動國際共産運動の流れと何らつながりがないと、だれが断言し得られましようか。さいわい國鉄は、二千九百二十円べースの調停案を受諾いたしまして、爭議をやめることとなりましたが、全逓その他は幾多の條件に固執して、未だその態度を改めておりませんのは、まことに遺憾なことであります。  労働爭議の頻発がわが國経済再建を阻害しているということは否定し得ないところでありまして、殊に通信のごとき公共事業爭議國民に対し甚大な損害と不便を與えていることを思うときに、一日も速やかにその平和的解決を希望せざるを得ないのであります。われわれは、生活苦にあえぐ勤労者の正当な要求に対して、國家の財政と経済の許す限り、でき得る限りこれを容れるにやぶさかであつてはなりません。またわれわれは、健全なる労働組合発達を希望し、これに協力せんとするものであります。しかしながら、その要求が独善であり、破壊的であり、階級的利益にのみ拘泥して國民公衆利益を顧みないような行動があつたり、労働爭議の陰に隠れて政治的野望をたくましゆうせんとする行動があるとすれば、政府嚴然たる態度をもつてこれに臨むべきであると信じます。私は、この点について政府の所信を伺いたいと思うているのであります。政府がもしこの態度に徹するならば、國を愛し、平和を愛し、自由を愛する國民大衆は、こぞつて政府を支持することと思うのであります。  日本経済は、外國よりの援助なしにはとうてい再建がおぼつかないのでありますが、さいわい米國は、日本経済自立に対し深い理解をもつて、外資の導入を初めとし、経済的援助の手を差延べつつあるのであります。われわれとしては、急速にその受入態勢を整備いたさねばなりませんが、このときに際し、政府労働攻勢を処理するのに優柔不断であつてはならぬと思うのであります。私はこの問題に関連いたしまして、政府に二、三の質問をいたしたい。政府は未だ施政方針を発表しておられませんから、今ただちに御返答を求めようとは思いませんが、後にそのお答えを願いたいと思います。  第一は、過般の政策協定において、健全な労働組合発達を阻害するような労働法規の改悪は行わないことをきめられたのでありますが、これは一切の改正を行わないことではない、健全な労働組合を助成する改正はもちろんこれを行うべきものと信ずるのであります。この点について、労働大臣所見を承りたいと思うのであります。  第二に、私は労働運動共産主義化を防止する最も有効なる途は、経済の安定であり、わが國経済の安定の一大障害は依然として食糧の不足にありと思うものであります。さいわいに本年度の見透しは、わが農民の努力米國援助により明るい見透しがあるのでありますが、二合五勺の主食配給の現状が改善せられる段階にはまいつていないのであります。この際政府は、輸入食糧増加を極力懇請して、三合配給を実現する努力をなす意図はないのであるか、お尋ねいたしたいのであります。また三合配給実施は、賃金の増加要求に日もこれ足らざる勤労者生活を安定せしめる近道であると同時に、将來日本國民経済再建に対する明朗な意欲を喚起し、道義の立直しに資するところ大なるものありと信ずるのであります。  以上、私の所見を述べて終りといたします。     —————————————
  11. 笹口晃

    笹口晃君 本日の自由討議はこの程度に止め、明十九日定刻より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
  12. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十七分散会