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1948-01-28 第2回国会 衆議院 本会議 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年一月二十八日(水曜日)     午後三時二十六分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第七号   昭和二十三年一月二十八日(水曜日)     午後一時開議  一 國務大臣演説に対する質疑(前会の続)     —————————————  第一 賠償廳臨時設置法案内閣提出)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 去る十二月十一日の本院の決議によりまして設置されることになりました不当財産取引調査特別委員会委員は、議長がこれを指名することになつておりましたが、松岡議長において左の三十名の諸君を指名いたしましたから、ここにこれを御報告いたします。  不当財産取引調査特別委員   足立 梅市君  池谷 信一君   加藤 勘十君  梶川 靜雄君   河井 榮藏君  佐竹 新市君   武藤運十郎君  山中日露史君   鍛冶 良作君  高橋 英吉君   辻  寛一君  平島 良一君   益谷 秀次君  明禮輝三郎君   村上  勇君  伊藤 恭一君   荊木 一久君  宇都宮則綱君   大森 玉木君  小松 勇次君   橋本 金一君  矢野 政男君   石田 一松君  野本 品吉君   田中 角榮君  平澤 長吉君   田中 健吉君  中村元治郎君   中野 四郎君  徳田 球一君      ————◇—————
  4. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) つきましては、さきに設けました隠退藏物資等に関する特別委員会は、これを廃止するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつてその通り決します。      ————◇—————  一 國務大臣演説に対する質疑 (前会の続)
  6. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) これより國務大臣演説に対する質疑を継続いたします。北二郎君。     〔北二郎登壇
  7. 北二郎

    北二郎君 私は、日本農民党を代表いたしまして、おもに農業関係、農政問題に重点をおいて、総理大臣施政方針について質問いたし、総理大臣並びに関係閣僚答弁を求むる次第であります。  第一、片山総理大臣はほんとうに憲法を恪遵する決心であるかどうかということであります。こんなことは言うまでもないことだと言われることと思う。だがしかし、言うはやすくして行うはなかなかむずかしいことである。一國が存立する上において、國民の大多数が法を守るか否かということは、最も重大なことである。國民に法を恪遵せしめることは、行政府である政府が、まず、どんなことがあつても法を固く守り、実行することが第一である。寝ていて人を起こすなという言葉がある。みずから行わないで、他にこれを強いるは、罪惡である。政府みずからが憲法を恪遵することが、國の秩序を保つ最大なことである。もし、政府みずからが憲法を守らなかつたときは、総理大臣はどうしてその責任を負う決心であるか、これを御答弁願いたいのであります。この点につきましては、首相の御答弁を得まして、後ほど再質問をしたいと考えておるのであります。  第二、政令もしくは行政廳の発する通牒について。政府國会で定められた法律に伴い、政令もしくは通牒を発する場合が通例である。この政令もしくは通牒なるものは、常に國会で定められた法律の範囲を越しては断じてならないのであります。それは立法と同じ結果となり、殊に認可主義のものは官僚の氣ままになるからである。立法府の権限を侵すからであります。一例をあげれば、過ぐる議会で定められた農業協同組合法で、十二月十五日公布され、目下その組織準備進行中であるが、十二月初日の農林省の通牒で、みずから定款例で示しておきながらも、團体加入を否定し、または農業会役員は発起に関係してはならないとか、あるいは認可申請役員の氏名を記載せしめよとかを要求し、あたかも帝政ロシア協同組合の認可が、官僚にこびへつろうものでなければ認可しなかつたのと同じである。農業会役員は、法によつて前年公選され、未だ一年を経ないのであります。しかるに、自由と合意であるべき協同組合の発起に何の関係があるか。これを官僚が制限するごとき権限がいずれにある。かつ、農業会役員をして協同組合罪人扱いをするごときは、もつてのほかである。農業会役員の名誉を傷つけられた責任を明らかにせられたい。  また農業災害補償法でも、十二月十五日公布し、すでに收穫、販賣、すなわち供出が終つておるのに、これに今から保険料率を勝手にきめ、強制せんとしておるがごとき、官僚独裁の行為が行われようとしておる。また、昨年食糧調整委員を選任するにあたりましても、選挙権並びに被選挙権も勝手にきめ、かつ選挙方法及び期日等も定め、地方委員のごとき、選挙人が定まつておらぬのに、期日の通知もなく選挙せしめたるがごとき、その他臨時農業生産調整法にしてもしかり、実に枚挙にいとまない多くのことを、官僚が目に余る勝手氣ままなことをしておるのであります。実に戰爭中軍部官僚が行つた以上の圧制が行われておるが、かくのごときことを当然とするか否か。ただちに改正し、その責任者を処罰するか、大臣責任をとるか明瞭な答弁を求めるのであります。  次に税制について。現在農地には、地租と所得税との二重の課税があるが、これは地租を廃して、所得税一本とすべきであると信ずるが、政府所信いかん。  第三、食糧問題。総理施政方針に、一割の食糧増産とうたわれておりましたが、政府食糧救出、すなわち生産者から強奪することには懸命の努力をいたしておりますが、いかにして食糧生産力増大せしめるかの重大な点については、はなはだしく軽視しておられるのであります。  一、生産力増大に対する科学的研究についてであります。日本は、殊に敗戰後、狭い耕地において多数の人口を養わなければならないのである。しかるに、いつまで経つて從來通りのことを繰返しておる。今まで通りのことは絶対にできないことが明瞭であるならば、ここに、一般的には思いも寄らないような、いわば奇跡とでも思われる新たな手段が講ぜられなければならないのであります。しかるに、たとえば農作物の品種にいたしましても、特段なものを育成し得ず、病虫害の防除にいたしましても、百年以上の古いボルドー合剤とか、石油乳剤だとか、大昔のままである。大学においても、試驗場におきましても、まつたく眠つておる感じがするのである。否、眠つておる。從來通りの経費で——この大インフレ進行中でも、同じような経費考えよといつても、これはできるものではないのであります。思い切つた経費で施設し、人材を集めて研究試驗をなし、單位面積生産、さらに立体的に生産力飛躍的増大をはかるべきである。また一面、失いし領土より生産される主食量——日本はどうしても海産物により、これに代わるべき主食糧をつくり上げなければならぬと信ずるのである。すなわち、海産物飛躍的増大をはかるべきであると思いますが、これに対する政府所信いかん。ここに最も重大なことは、日本食糧生産が國内でどうしてもできないというようなあきらめでなく、努力によつて、少なくとも食糧は國内でどうしても作るという最善の努力拂つて、目的を達成するの決意があるかどうかである。  二、生産者が眞に増産に意欲を起し、最大努力をするように仕向ける政治が大切である。しかるに現在のように、圧迫と強制により官僚に隷属せしめていては、決して増産とはならないのであります。生産者が心から奮起するならば、日本國内での食糧の自給自足のごときは、困難なことではないのであります。それには、農民のみに犠牲を強いるがごときことをやめ、全國民を公平な立場におくことが最も大切なことであります。第一、農産物の價格決定に、農民に何らの発言権を與えず、一部官僚が勝手にきめている。かくて、この價格で強制する。はたして憲法は、かくのごとき暴力を認めているでありましようか。(拍手憲法第二十九條には、明瞭に私有財産権を認め、財産権を侵してはならぬと定めている。公正な補償でなければ公共の用に供してはならぬことを定めているのであります。しかるに何ぞや。生産者意思はもとより、國会にもかけず、ただ官僚が勝手に決めている。高い安いは別問題である。公正な價格であるならば、國民代表者である國会の決定によらなければならない。私どもは、パリティ計算には賛成であります。だがしかし、基本物價が、官僚の勝手な、インチキ極まるものでは、問題でない。実質実行價格でなければならない。他の諸物價、労賃との公平が保たれている、すなわち、パリティ計算の原理である諸物價との均衡が絶対に必要であるのであります。諸物價の改定を常に同時に行わなければならないのであります。しかも農民は、昨年の収入で本年を経営しなければならないものであります。すでに一〇〇%の出荷を終つても、自由意思で販売の時期を定めたのではなく、政府が出荷の時期を強制したものであるから、諸物價の改訂も常に平行して、主食價格追加支拂うのが当然であると思うが、総理大臣並びに安本長官農林大臣の御答弁を得たいのであります。この点は、食料生産増大を期するのに最も大切な点である。何とぞ明瞭な御答弁を願いたいのであります。  三、耕地拡張耕地拡張は、平面的と立体的と二面に考えなければならないのであります。立体的には、前にも述べた通り科学的研究が特に大切であるが、平面的拡張は、開墾開拓である。何ゆえに、これが遅々として進まぬのか。前にも述べたように、農民生産経営が困難であるところに障害があると思うのであります。いま一つは、開拓事業の本質を知らない官僚の机上の空論、ペーパープランである。あの厖大経費を濫費しておる開拓営團、実際上あの開拓の費用は、一反歩二千円以上にも達しておるのであります。自作農設置の美田の價格と比較して、驚かざるを得ないであろうと思うのであります。しかも、その経費の大なるものは、一くわも耕さない官僚の古手で充満されておる、いわゆる職員の経費である。ほうとうに身体で働く開拓者には、実際的には渡つておらないのであります。ゆえに、彼らは経営ができないのが実情であります。要するに耕地拡張には、思い切つた別方法手段を講じなければならないのではないか。  四、災害防止災害防止根本的方策は、災害を未然に防ぐことである。いかに災害の保險をいたしましても、これは、失つたものは返らない。災害防止根本策を立てなければならないのであります。殊に戰時中の森林の濫伐は、この災害の最も大きな原因である。この濫伐は、当然植林を行わなければならないが、これが生育して災害防止に役立つのには、相当の長年月を要する。これと同時に、河川の上流に貯水池をつくり、発電をなすならば、災害防止と電力の大増加と、一石二鳥の効果があり、さらに失業救済にも役立つであろうと思うが、かくのごとき計画を樹立し、ただちに実行する考えはないかどうか。  五、肥料問題。肥料増産は言うまでもないが、窒素肥料をさらに低廉に生産し、化学肥料のみならず、緑肥、堆肥の大奬励と、都市、鉱工業地帶人糞尿の処理、これも、都市衛生とともに十分施設考えなければならないのであります。次に、燐酸肥料燐鉱石輸入量をさらに増加する方途を講じなければならないと思うのであります。カリ肥料の輸入も少ないが、國内におけるところの低品位のカリ資源を開発して生産せしむるよう思い切つた奬励方法を講じなければ、カリ肥料増大は望み得ないと思うのであります。政府は、この計画ありや否や。  六、報償物資について。現在の報奬制度のごとき、農業生産必需物資たる肥料を報奬とするがごときは、根本的に改めねばならぬ。肥料には限度があつて、必要以上の量を要しない。しかも一方には、少しも與えられぬから土地の生産力が低下する。かくのごときは、生産を増加するためには役立たないのであります。(拍手)一方酒など、一戸に二斗、三斗というごときぜいたく品が與えられるが、実に子供だまし的、農民を愚弄した方法が行われ、しかも、主食となるべき澱粉質が酒としてつくられ、主食が減少しているがごときは、愚の骨頂であると思うのであります。さらに、農作業上なくてはならない地下たびであるとか、水中長ぐつであるとか木綿反物木綿糸というごとき、生産作業用に必要なものが、少しも配給されていない。殊に農村婦人作業衣、腰巻、これは数年間も配給されていないのであります。しかも、驚くべき高値のやみ品生産物と物交され、正式のルートに乘せられていないのである。農家経済が破壊され、しかも犯罪とされておるのであります。農機具のごときも、農業を知らざる商工省の扱いになつておるから、無責任な、價値のない、あるいは鋼のはいらぬくわであるとか、かまであるとか、驚くべき高値で配給またはやみとなつておるのであります。しかもその資材は、統制権力をもつ一部資本家に独占され、農機具補修上重要な野鍛冶または農機具修繕のための協同組合の施設にも配給されず、ある一部の営利業者の搾取の資材となつておるのであります。(拍手)これらを是正する考えがあるかどうか。  以上のような、農業生産拡充のためにまだほかにも多くの点はありますが、省略いたします。要は、農業生産力増強の計画を伺いたいのであります。  次はインフレ対策について。社会党は、前内閣時代解散を要求され、その主要問題としてはインフレ対策であり、片山首相は、当時その討論をされておる。しかも、現内閣が組閣されるや、経済実相報告をされたが、はたして実相であつたか否か疑わしい白書を発表され、緊急対策を発表されたが、現在の通貨の発行が二千数百億を超えた。しかも大藏省は、前大戰後のドイツの最惡インフレ時代の寸前にあると、旧臘発表された。とにかく、極めて惡性インフレとなつてきた現実をどう思われるか。あるいは、連立内閣であるから思うようにいかぬと言うかもしれぬが、しからば、連立内閣をやめる意思があるかどうか、これをお伺いしたいのである。(拍手)前年から、軍事公債の利拂のたな上げだなどともいわれておりますが、今日となつては、そんなものの四十億や五十億、これはインフレの対策には何もきき目がないのであります。  インフレの大きな原因一つは、生産なきいわゆる経費官公吏及び一般事務的な費用の大膨張であり、政府予算の大半を占める人件費である。千八百円ベースなど、日本のどこにありましよう。安本の一部の役人が唱えるにすぎないのであります。しかも、これらの人々は、何らかの名目によつてつておるのであります。元來官公吏の數は、連合國日本を占領当時、すでに五割を減すべく指令されたはずである。しかるに現在は、これに逆行して、倍以上にもなつておる。安定本部のごときは、経済安定のための機関でありながら、和田長官が就任されるや、ただちに各府縣に出張所を置き、大拡張をなされ、模範を示され、府縣知事失業者、すなわち官僚を救い上げ、官僚勢力増大をはかり、各種公團において、さらに官僚総進軍。(拍手)諸君の國家管理も、これまた必然的に官僚勢力の大膨張となつておるが、この事務的費用こそ、インフレ最大なる原因である。経済安定本部が、経済を不安定にした本部ではないかの感があるのであります。  インフレ対策の重要な面は、行政整理を断行し、政府支出の大削減を断行しすることでなければならない。われらは、まず現在の官吏を五割以下に絶対に整理せよと言いたい。官吏を二分の一にすれば、公吏も同時にできる。さらに、各会社團体も二分の一で済むのである。官吏が多ければ、これから発せられる事務が、同様にこれに準じて多くなるのであります。生産を伴わざる通貨の流通、これがインフレであります。要は、行政整理断行意思ありや否や。一割や二割の形式的なものでは断じてだめなのである。さらに、政府みずからがインフレの高進をなしておるが、これを中止する考えはないかどうか。郵便料金鉄道運賃、タバコ、塩など、諸物價に先行してインフレ進行の基礎をなしておる。運賃が上がれば、物資價格に加算されることは当然であります。官吏待遇についても、しかりである。官吏待遇を引き上げれば、公吏はこれに伴い、諸團体待遇の引き上げを行わなければならぬ。すなわち政府は、大衆負担の増額によつて官吏待遇を引き上げるような政策を改める意思があるかどうか。  次に、やみ撲滅であります。やみ撲滅——インフレやみ價格進行にあるが、現行法令は、官公廳の行うものはやみの処罰を受けない。ゆえに、官公廳やみをやるから、他のものも、しかたなくやみをやるのであります。それでなければ、人でも品物でも官公廳の方へのみ流れて仕事にならぬから、やみをやるのであります。ゆえに、やみに対しては、官公廳責任者は民間同様処罰すべきである。かつ、やみは賣つた者のみ嚴罰主義であるが、賣買両者同罪であるべきである。知らずにやる者はまだしも、官公吏のごときは知つていてやるのだから、さらに重き刑を科すべきである。すなわち、不正官吏を嚴罰に処する特別刑法の設定するの意思ありや否や。  次に物價問題インフレ原因一つ物價である。諸物價官僚のみで定める、ここに大きな誤りがある。官吏一つ價格の決定には直接痛みを感じない。すべて机上の空論で、実際を学ぼうとも、聽き容れようともしないのであります。官僚統制最大欠点はここにある。これは、國民の代表である國会が定めるべきである。現下の諸物價のすべてが、中間利潤または経費が多すぎるのである。生産者價格消費者價格の差があまりにも大なるところにあるのであります。しかも、その中間機関を限定し、彼らの特殊権限を與え、すなわち独占権を與えておるのであります。  まず、主食であるべき米は、農民から一石千七百円で買い上げ、消費者には二千二百円、その差、実に一石について五百円、麦は農民から一俵三百四十六円、消費者には一俵五百九十一円、その差、実に一俵について二百五十円、驚かざるを得ないのであります。(拍手)これは、政府が暴利をとつておるのか、食糧営團にとらしておるのか、この点をお伺いしたいのであります。  そのほかに、政府予算主食調整のために百億以上もあるはずである。多く運賃のかかるところは、政府輸送と称し、政府支拂つて営團にはかからぬよう、食糧事務所営團と内々で勝手にきめておる。保管にしても、政府倉庫料を支拂う。これで、一石五百円の経費がどこに必要なのか、精米をするというが、ぬかは重量にして米よりも高い價格である。これは決して正当の價格とは言えないのであります。また、昨年農民から一石五百五十円で買い上げ、長い間、十キロ九十九円、一石千五百円の割合の消費者價格であつたが、この厖大なる一石千円からの中間利潤は、政府はこの金はいかなる收入に入れたか、また、そのとき営團に渡した價格はいくらにきめておつたか、この際明瞭な金額を報告されたい。また麦にしても、しかりである。特に農林大臣は、この金額の処理について詳細に報告されたいのであります。  食糧のみならず、一般物資卸賣價格、小賣價格にしても、特定の権利者、すなわち独占権者にのみにやらせておるが、これを廃止する意思ありや否や。よく消費者が生活に困ると、盛んに労組によつて労働運動をやつておる。官公職員がやり、また鉄道で現に行われた山猫爭議でも、これらの人々が、米一石に五百円も中間利潤を搾取されることに対して、まだ一言も値下げをしろと要求されたことを聞かない。かの人々は、実際上生活に困るはずである。どうして社会党はこの厖大な搾取をさせておるか、まことにふしぎでならないのであります。中間利潤を大にして生産者消費者を苦しめる社会主義というものは、ひとり日本だけである。この際西尾官房長官より、社会党社会主義理念を明らかにされたい。  次に、インフレ防止のためか、いろいろの宝くじとか課税とかがあるが、物價の変更でストツク品をもつた人は、政府が値上げをするものであるから、本人は頭も資力も使わずに、ただもうけである。これらの課税をなぜやらないのか。実に厖大國庫の收入財源ではなかろうかと思うのであります。これは、課税もきわめて簡単にできる。これをやらないから、風評があると品物が隠れ、いやが上にも暴騰して、政府に高値にきめさせることになるのであります。とにかくインフレ対策についてはいろいろありますが、前に述べた諸点について御答弁を願いたいのであります。  五、当局者の言明に対する責任。前にもちよつと述べた経済実相報告は、あまりにも実相でなかつた。これで千八百円ベースは断じてかえぬと言つておられたが、実質は、そんなものはどこにもない。かくのごとき國策上重大な経済実相が把握できなかつたのか。また承知の上うそを言つてつたのか。このような大臣責任を、首相はいかに考えるか。罷免権でも発動される考えはないかをお伺いするのであります。  さらに、過般ラヂオを通じて、隠退藏物資の問題で、鈴木司法大臣の言として発表されたところでありますが、これは自由党ばかりでなく、各政党全部であるとのことであつたが、わが日本農民党は、断じてそんな関係はないと確信いたしておるのであります。全部という以上は、当然日本農民党も同罪となされたと同じであります。他党はいざ知らず、わが党に事実があるならば、ここにはつきりとしていただきたい。もしそれがなければ、わが党の名誉を傷つけた責任が明らかにせられたいのであります。  以上をもちまして、私の質問を終える次第であります。(拍手)     〔國務大臣片山哲登壇
  8. 片山哲

    國務大臣片山哲君) 北君から、憲法を守るか、こういう御質問であります。第一回國会の冒頭に申し上げました通り憲法は嚴守してまいりたい所存でありまして、また現に守つておるつもりであります。  第二の、現下危機を突破するために三派連立内閣を続けていくかどうか、こういう御質問でありますが、現内閣に與えられたる使命を十分果たすために、今日におきましては、三派連立内閣を一段と強化いたしまして、時局を担当していきたいと考えておる次第であります。(拍手)  その他農村問題、経済問題につきまして、いろいろ詳細にわたつて質問がありましたが、所管大臣より御答弁をいたします。     〔國務大臣波多野鼎登壇
  9. 波多野鼎

    國務大臣波多野鼎君) 農業協同組合に関しましての御質問にお答えいたします。農業協同組合に対する團体加入の禁止と、農民協同組合趣旨を理解しないうちに農業会役員農業協同組合設立運動に積極的に参加することは好ましくないという趣旨通牒は、勤労農民を中心とする農業協同組合法趣旨を徹底させるために、関係方面の意向をも反映いたしまして行つた措置であります。これは決して國会意思を無視するつもりのものではありません。また麦の生産割当につきまして、第一回國会提出いたしました臨時農業生産調整法案通過を予想して、その法律通過後では自然割当の時期を失することになりますので、行政措置として、作付面積についてだけ割当行つたのでありまして、法律上の強制力はないわけであります。主要食糧生産及び提出を公正かつ計画的に行い、現下食糧危機を突破するために行いました。やむを得ない措置でありまして、この点、どうぞ御了承をお願いいたします。  第二の耕地面積拡大の問題でありますが、この耕地面積拡張は、終戰直後昭和二十年十一月から始められました緊急開拓事業により実行中でありますが、本事業は、おおむね五箇年間に百五十五万町歩開墾、十万町歩干拓、百十万町歩土地改良を実施せんとするものであります。本事業開始以来、昨年十月までの滿二箇年の実績は、開墾二十八万町歩土地改良百四十八万町歩であります。政府は、過去二箇年の間の実績、それから資材資金等の現況に鑑みまして、昨年十月末、計画をいささか改訂いたしまして、開墾は百五十五万町歩干拓は五万町歩土地の改良は五百九万町歩とし、これをおおむね今後五箇年ないし十箇年間に完成いたしたく計画であります。食糧増産の要がいよいよ緊切なるに鑑みまして、政府としては、あらゆる障害を克服して、これらの開墾開拓を推進いたしたいと考えております。なお、從來の開墾開拓につきましても、いろいろ問題になつた点がございますから、これらの点につきましては、十分今後改善を加えまして、ほんとうに入植者の利便になるような政策を立てていくつもりであります。  次に、水害防止のために河川上流にダムを設置すれば、電力増加ともなり、一石二鳥ではないかという御意見でありますが、河川の総合利用計画は、目下緊急を要する食糧並びに電力対策としまして、重要なことであるのはお説の通りであります。すなわち、河川上流にダムを建設し、洪水を調節し、下流耕地への氾濫を防止するとともに、進んでこれを利用し、灌漑並びに発電に供するということは、われわれ理想として考えたい点であります。しかし、これは農林省だけでできる問題ではございませんので、経済安定本部、農林省、商工省及び建設院、各方面が協力いたしまして、こういう見地から調査を二十二年度から実施いたしております。右のうち、農林省関係のものにつきましては、朝日川、十津川、嘉瀬川の三河川が農林省関係の担当になつております。なお右のほか、農林省單独で灌漑、発電併用のダム建設を進めておる地点も数地点でございます。これは、後ほど御報告いたすつもりでございます。  次に、農家の供米報奬用に肥料等を用ゆることは適当じやないじやないかというお話でございましたが、私ども、農家に対する配給といたしましては、一番農家に必要な生産資材、特に作業衣農機具肥料こういうものを農家に配給いたしまして、農家が生産できるような諸條件をつくつてあげることが大事であるということは、重重考えております。從いまして、そういう方面のものを配給するために、安定本部並びに商工省と常時連絡をとりまして遺憾なきを期しておりますが、何分にも、配給してあげなければならない数が多いので、やむを得ず酒、タバコというようなものまでも配給いたしたような次第でありまして、今後はできるだけ生産資材を配給するように、重点をかえてまいるつもりでおります。  それから次の問題は、農機具生産商工省の所管、配給は資本家の手に握られておるのじやないかといくような御意見でありますが、これは商工大臣から御答弁がある点と思いますが、私、農林省関係の見地から申し上げますと、私どもの農林省のこの問題に関する関係は、やはり配給の面にのみ限られております。常に商工省と、この点は連絡をとりまして、農家の必要なる資材の配給に遺憾なき対策を立てております。この点については、商工省が心から協力いたしておつてくれます。  それから最後に、米麦等の價格の問題につきまして、中間利潤が多過ぎるのじやないかというお話でございました。これは安定本部の長官からも御説明があると思いますが、私は、例を米にとりまして御答弁をいたします。玄米三等品一俵、六十キロ俵のもの、これの生産價格は七百円でありますが、これだけの米に対して、政府事業費といたしましては、倉庫料運賃農業会手数料を含めた直接費と、食糧管理特別会計による間接費、合計五十九円九十九銭があります。それから営團経費といたしましては、配給の諸経費が四十九円八十八銭になつております。この他に等級間の價格費用が七円十六銭、早場米及び供出完納報奬金等の奬励金が二十六円三十二銭に当つております。以上合計いたしまして百四十三円三十五銭というものが、中間諸経費となつて計上されておる次第であります。以上、簡單に御答弁申し上げます。(拍手)     〔國務大臣和田博雄君登壇
  10. 和田博雄

    國務大臣(和田博雄君) この際お許しを得まして、先般の苫米地議員の御質問に対しまして、まずお答えいたします。  第一点は、統制経済の範囲を檢討する意思はないか、その統制と自由との限界はどうであるかというお問いであつたと思うのでありますが、私は、統制経済の範囲は、一つ日本経済の実情と、もう一つは政治的な観点で、どういう政府が一体政権を握るかということによつて、両方から決定されてくると思います。しかし、今の日本の現状から言いまするならば、どうしても統制を必要なる物資についてやりますることだけは、これはお認めを願えるだろうと思うのであります。ただその統制をしまして、実際國民経済的に見て実効のないもの、あるいは需給の均衡のとれてきたものといつたようなものにつきましては、これは統制をはずしていく。これは一つは、日本経済の、やはり回復の速度と相應じて、その時その時に決定していくべきことであると思うのでありまして、政府としましては、そういう檢討を常にいたしておると思うのであります。(拍手)  第二点は、價格形式の際の不手際を改正する必要があろうではないかという御質問でありましたが、その点につきましては、私も同感でありまして、價格形成の技術的な面につきましては、物價廳としましても、常に檢討を行つてきておるわけであります。ただ、今の物價体系を一体いつ改訂するかということにつきましては、経済のいろいろな方面を勘案いたしまして、ただいま檢討中でありまするが、これを改訂いたしまする場合には、お話のように不手際な点は、これをぜひ改正するというつもりで操作を進めております。なお、今回の價格改正の場合におきましては、ただ價格間の均衡ということだけではなしに、やはり國際物價との関係もありまするので、これらの点を考慮する方針でございます。以上、簡單にお答えを申し上げます。  次に、北議員の御質問にお答え申し上げます。物價体系をかえた場合に、米價についてそれを改訂する意思があるかどうかというお話でありますが、パリテイ計算は、米價と農家の必需品との間のパリテイから米價をきめていくわけでありますので、もしも物價の体系というものが大幅に根本的に改訂されます場合におきましては、農業の再生産としての見地から言いまして、やはり米價についても適当の調整が必要であろう、かように考えます。  経済安定本部の増員の問題につきましては、これは経済安定本部の官制がきまりました以後、それを充実するのに努めたわけでございまして、これらの点につきましては、関係方面とも十分連絡をとつてつておることでありまして、行政整理やそのものにつきましては、私もまつたく同感でありまして、この内閣として、行政整理はやる考えでおります。     〔國務大臣水谷長三郎君登壇
  11. 水谷長三郎

    國務大臣(水谷長三郎君) ただいま北さんから、本年度の肥料生産計画に対して御質問がございましたが、本年度とここで申し上げます場合は、目下実施中の、本年一月から七月までの、いわゆる春肥の生産計画でありまして、硫安六十六万五千トン、このうちには石灰窒素十一万三千トンを含んでおりますが、それと過燐酸石灰六十三万トンの生産を目標とするものであります。この数量は、昨年からの持越し、硫安換算約二十二万トンと、本期間に輸入を予想する硝安とを見込んで、これから水田に施される稲作肥料として、硫安反当たり平均五・五貫、過燐酸石灰反当たり平均二貫を中心といたしまする農林省の春肥配給計画に見合う肥料生産計画でございます。本期間の当初三箇月間は、冬季渇水によります以上の電力危機で、過燐酸石灰はともかく、電力の大口消費部門でありますところの硫安石灰窒素は、右の生産計画におきまして、すでにかなり削減を加えられておる次第でございますが、肥料配給計画を完遂いたしまするためには、ぜひともこの計画量を達成せねばならないので、大いに努力をいたしておる次第でございます。なお、本計画通り生産ができますならば、これを昨年同期の実生産に比べますと、硫安は約一・二倍、過燐酸は約二倍に相当いたしまして、配給の面からいたしますれば、硫安といたしまして、稻肥反当たり三貫から五・五貫に上ることになるのでございます。さよう御了承を願います。(拍手)     〔國務大臣一松定吉君登壇
  12. 一松定吉

    國務大臣(一松定吉君) 北君の肥料の処置に対しまする御質問の中で、屎尿処理問題を附加えて申し上げておく必要があろうと思うのであります。御承知の通り人糞等の肥料処置は、これは生肥を野菜等に用います結果、今日では非常に蛔虫その他の毒虫が体内に孵化いたしまして、それがために保健衛生に重大なる影響を及ぼしておりますことは、御承知の通りであります。わが國民のいわゆる八〇%ほどは、蛔虫のために悩まされておるという現状であります。こういう際におきまして、厚生省といたしましては、この駆虫剤を急速に多量に生産をいたしまして、民衆におわかちして、もつてこれらの害を除きたいということに努力をいたしておるのであります。  これらの点に対しまして、厚生省の保健衛生上一番いいことは、いわゆる下水等の完備と、水洗便所の設置ということでありますが、この点につきましては、横浜市、神戸市等は、戰災のためにほとんど破壊せらておりまして、他の四大都市並びに豊橋市、岐阜市等において、これが用いられているわけであります。こういう点に対しましては、これらのものを急速に運搬いたしまして、この生肥を腐熟せしめ、後にこれを農家の肥料に採用していただく方針をとつております。これらの点に対しまして、ほんとうは厚生省式の便所、厚生省式の貯溜所というものを拵えることが一番いいのであります。それには今日セメントが必要でありますが、今日一般にセメントを使う余地がないのでありますから、やむを得ず、これらのものを急速に農地方面に運搬をいたしまして、あるいはこれを化学的方法によつて、あるいは硫酸を加え、もしくはわら灰によつて吸收せしめ、あるいわおがくずに吸收せしめまして蒸燒きにする、その他の方法によつて農業のためにこれを使うよう努力をいたしております。     〔國務大臣栗栖赳夫君登壇
  13. 栗栖赳夫

    國務大臣(栗栖赳夫君) 北君のお尋ねの中で、地租所得税を一本建てにしたらどうかという御議論であります。これに簡單にお答えいたします。地租所得税——所得税中には勤労所得税がございまして、その性質等が非常に違つておるのでございます。そもそも、これを一本建てにして課税するということが、はたして技術上便宜であり、また時間的にも助かるかどうか、あるいは理論的にも、これが正しいかどうかという上においては、いろいろ疑問があると思われるのであります。むしろ、そういう方法によらないで、現在のように、地租としてはその賦課をいたし、所得税の算定の際に、地租金額だけを損金として差引くことにいたしまして、二重課税を避ける方がいいではないか、こう考えておる次第でございます。     〔國務大臣鈴木義男君登壇
  14. 鈴木義男

    國務大臣(鈴木義男君) 私に対する御質問は、ラジオの放送についてのようでありましたが、私、その放送を聽いておりませんので、よく存じませんが、先日自由党のお方々が私をお訪ねになりまして、不正取引に関する問題について私が話したことは、自由党を目標として申したのではないかというような御質問がありましたので、決してそういうことはない、これは超党派的の問題であつて、いやしくも不正取引があるならば、あらゆる党派がその対象となるのである。そういう意味においてであつて、決して自由党を指したのではないということを申し上げたのが誤り傳えられて、そういう形に放送されたのではないかと存ずるのでありまして、ここに決して特定の政党をさしたものでないということを申しておきます。(拍手
  15. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 野坂參三君。     〔野坂參三君登壇
  16. 野坂參三

    ○野坂參三君 私は、総理大臣の施政演説に対して、総理大臣並びに他の関係閣僚諸君に、三点について、共産党を代表して質問したいと思います。  片山総理大臣は、施政演説の中で、その冒頭で、こう申されております。経済危機について、危機は未だ完全に去つたとは言えませんが、復興の緒につき始めた。すなわち、インフレは完全に去つたとは言えない。すなわち大体において去つてしまつておる。そこで、これからは復興せねばならない。これが片山総理大臣の、今日の日本経済状態についての根本観念である。これから出発して、すべての政策は出ておると思われます。はたしてそうであるかどうか。  われわれの見るところでは、インフレ進行中であり、また深刻化しておる。たとえば、日本銀行の紙幣発行数だけを見ても、去年の六月には千三百六十三億円で、年末には二千二百億円、政府の予想によつても、今年度末、三月末には二千七百億円の紙幣が出ると、政府自体が言つておる。これ自体が、すなわちインフレが深刻化しておる。この事実を片山総理大臣は否定されるかどうか。  また物價体系にしましても、去年物價体系をつくられたそのときにも、すでに破綻しておる。今安本長官が言われましたように、すでにもう改訂しなければならない。こういうふうな状態にある。毎日々々、われわれの生活自身から見ても、もう物價体系は破綻してきておることは、よくわかつておる。  また生産の問題にしましても、工業生産、これを見れば、御存じのように、昨年の七月を頂点とし、ずつと下つてきておる。ただ石炭だけが年末に増産されておりますが、これも御存じのように、炭鉱労働者諸君が、実際数日前に來て話したところによれば、この増産に労働強化によつてだけやられておる。時間外の労働、残業、休日返上、それと濫掘——めちやくちやな濫掘においてやられておる。この一事だけ見ても、私たちは、今政府ではいかにも樂観的に、今年度は三千数百万トン出すとか、こういうことを言つておりますが、遠からず、石炭の増産というものも、ある破綻がきはしないか。また今國鉄の問題にしましても、この國鉄が、もうめちやくちやになつておるということは、これはだれでも皆知つておることです。こうした状態を見た場合において、生産方面においては、破綻が存在するだけではなく、ますます深刻化する、こういうことを、われわれは事実によつて見なければならないが、こういう事実を、片山総理は一体どういうふうに見られるのか。  さて、食糧の問題にしましても、政府側では、今年度は一割増産ということを、総理大臣施政方針において申されておりますが、これも、はたしてできるであろうかどうか。今農村を見ましても、増産するという手は打つておられない。たとえば一つの例としては、肥料を見ましても、肥料の今年度の生産計画は九十万トン、しかし、実際に増産するためには、この倍が必要です。しかし政府は、九十万トンしかできないと、計画にちやんと書いてある。これではたして増産というものはできるかどうか。  こういうことを見ました場合において、私たちは、今日の日本経済は危機が進行中であり、ますます深刻化する状態にある、こういうふうに見なければならない。ところが、片山総理大臣自身が、実はこの点をある程度認めざるを得ない。と申しますのは、片山総理大臣の施政演説として、新聞記者諸君にまわされました資料がある。この資料は、その朝手に渡つたが、その後、これを改訂されている。どういうふうに改訂されたかと申しますと、まず原文を読みます。これは皆われわれの手に渡つたものです。その原文には「危機は未だ去らず、インフレーシヨンはなお進行を続けつつあります。今にしてこのインフレ進行を断ち切り、その破局化を防止するにあらずんば、祖國の再建は危殆に瀕するというも過言ではありません」、いいですか、ところが、これが一時間か二時間後で、すつかり変つてきている。どういうふうに変つたかと申しますと、「危機は未だ完全に去つたとは言えませんが、」ここでは危機は進行中であると書いてある。今これを断ち切らなければ、日本は危急存亡の危機に面する、こういうことを言いながら、わずか何分かあとに、こういうふうに変つてきている。さらに今度は非常に樂観的になつてきている。これは片山氏の言ですが、「復興の漸くその緒につき始めたことは喜びに耐えない次第であります。國民待望の経済再建への途へ雄々しく発足いたしたいのであります。」初めの原文には、片山総理は実際のことを見、ほんとうのことを書こうとしている。あとになつてくると、今度は非常に樂観して、復興復興だと言つている。私が、この点について片山総理大臣にお聽きしたいのはこの二つの見解がありますが、一体どうして、こういうふうに改訂されたか。この点をお聽きしたい。  一体、なぜこういう問題をわれわれが出すかといえば、この問題自身が、今後の日本経済政策の根本になつてくる。私たちの考えでは、今日の日本経済は、戰爭によつて、ともかくも破壊されてきている。今われわれが、日本という家を建てなければならない。まず、どういうふうにしてりつぱな、家を建てるかといえば、日本のこの破壊された経済的な基礎自身を固めていつて、初めて新しいりつぱな、健全な家ができ上がる。ところが片山総理大臣は、この破壊された基礎を固めることはいい加減にしておいて、今一應バラツク建てを建てろということです。われわれは、日本の將來を考えれば、バラツク建ての家は建てたくない。健全な基礎に健全な家を建てたい。これがすなわち、私の考え片山総理大臣考えと根本的に違う点だと思う。言いかえれば、片山総理大臣演説は、國民の目を現実の危機の実態に向けさせないで、天に向けさせる。根拠のない樂観論を唱える。すなわち、投票獲得のために國民を惑わす、なまぐさ坊主の演説ではないだろうか。  それについて片山総理大臣にお聽きしますが、危機は去つたと思うのかどうか。インフレ進行を断ち切らなければ、破局化を防止するにあらずんば、祖國の再建は危殆に瀕するとこういうふうにお考えにならないかどうか。  もう一つお聽きしたいのは、社会党の予算編成方針として発表されたのを見ますと、「インフレーシヨンの計画的管理政策を強化し」とあります。インフレーシヨンを克服すると書いてない。今までは書いておつたが、しかし今度は、インフレーシヨンの計画的管理をやる。つまり管理するここを見ますと、内閣の政策はインフレーシヨンを克服するのではなくて、これを何か統制し、管理するに止める。インフレーシヨン自身は、やはり進行を続けさせる。こういうふうな政策をとられたのかどうか、これについてお聽きしたいと思います。  さて、第二点になります。第二点としては、経済危機の打開について、いかに日本を再建するかという問題につきまして、自由党、民主党、社会党、これに共通した根本政策は、すなわち日本再建の根本的な基礎を外資の導入におくという問題、この点につきましては、吉田自由党総裁が、幾度もいろいろな形において、談話の形に置いても発表されております。また、民主党の最近発表された十大指針と、これにも発表されておる。また先般、二十三日に苫米地議員がここの演説でなされた中にも、やはりこの意味が言われておる。この間の社会党の大会におきましても、鈴木政務調査会長も、この意味のことをやはり申された。またこの議場で、二十四日は苫米地氏の演説に対する回答として、片山総理はこう答えられておる。「産業復興のため、生産力拡充のために、乏しきわが経済においては、どうしても外資導入を仰がなければならないと思うのであります。」すなわち、すべての構想はまず外資を導入する。この基礎において再建をやる。その受入態勢を、今われわれはつくらなければならない。聞きますところによると、安本では長期計画というものを今立てられておるそうだ。その長期計画も、やはり全体に外資導入ということがおかれておる。ここにすべての基礎をおいて、そうして家を建てよう、こういう計画のように考えられるのであります。これは私は、非常に日本國民として眞劍に考えなければならない問題ではないかと思う。  さて、今日この外資導入という問題につきまして、私たちの方で考えるところによると、去年行われたところのいろいろの貿易関係あるいは外資の問題につきまして考えてみた場合においては、單にこれを無條件で、そのまま表面通り解釈してよいかどうか。たとえば、輸出入回轉基金というものが去年の八月に設定されました。これに対しては、片山総理は旱天の慈雨だと申された。しかしながら、御存じのように、この基金は二億ドルを基準にして三億ドルを借り、これによつて加工生産をやる。ここから五千万ドルは大体われわれが使えるが、しかし、これも一年後の今年の九月でなければ使えないということであります。そうしますと、結局本年九月までは、三億ドルの輸入原材料の加工に必要な副資材と、この加工に従事する労働者の食糧その他の生活必需品は、すべて日本の負担ということになる。これはすなわち、インフレを促進することになる。言いかえれば、この回轉基金自身が、労働力を今年の九月まで大体ただで輸出して、そうしてインフレを促進する、こういう結果になりはしないか。これは安本関係の資料にも、こういう意味のことが出ております。この点につきまして、私は総理大臣あるいは商工大臣にお聽きしたいのは、この回轉基金に関係するところの貿易関係その他について、今日までの実相及び將來の見透し、これをお聽きしたいと思うのです。  また最近、一月十日のA・Pの電報によりますと、ヤラス商会との間に契約ができたそうだ、こういうふうに書いてあります。どういう契約か。新聞の発表によりますとアメリカから三万ロングトンのコークス用石炭を輸入する、これに対して日本から、薄鋼板二万グラムトン、亞鉛引薄鋼板五千グラムトン、合計二万五千グラムトンを輸出する、こういうふうに書いてあります。これを計算しますと、どういうことになるかと言えば、薄鋼板一トンをつくるのに、石炭で換算して——これは普通の石炭ですが、約六トンが必要だ。從つて、二万五千トンの薄鋼板を輸出するためには、十二万から十五万トンの石炭が必要だということになる。そうしますと、十五万トンの石炭が要るのに、向こうから來るものは三万ロングトンの石炭である。これはコークス用の石炭である。そうして見ると、ここでは四分の一、五分の一、すなわち四倍あるいは五倍の石炭を日本が出さなければならぬということになる。もちろん、この石炭は性質が違います。この点について、私たちは、新聞のこの発表だけでははつきりわからない。もし、これだけを見れば、相当これは考慮しなければならぬ問題になつてくる。この点についても、私は水谷商工大臣の御回答を願いたいと思う。  さらに綿花につきましても、必ずしもこれも樂観ができないということは、去年の十一月の発表によりますと、その十一月末において、綿布の滞貨が二億九千万ヤードあると言つておる。こういう事実を見ましても、この綿花の問題、紡績の問題は、一体どうなつておるか。これについて、やはり水谷商工大臣の意見を私は御聽きしたい。  さらに、渉外局一月十二日発表によりますと、民間貿易について、昨年九月から十二月までの四箇月の間に約九十万ドルの入超。さて、この輸出を見ますと、問題は、新聞でいろいろ書きたてられた陶磁器あるいは竹細工、いわゆる國産品的なもの、これは全輸出の中のわずかに一五%、ところが、生活必需品や化学藥品、これが二六%、さらに重要なことは、日本の再建に必要な機械とか金属類、これが三九%、そこで、生活必需品とか、あるいは機械金属類を合計しますと、全輸出の中の六五%、われわれは、こういうものを輸出しておる。さて輸入は、何を輸入したかと申しますと、六三%が羊毛と石炭です。(「食糧はどうだ」と呼ぶ者あり)食糧は、これは別個の問題であります。別個の勘定です。こう見ますと、この統計だけ見ましても、われわれに絶対に必要なものが相当出されていま羊毛というものは緊急な物資ではない、こういうものがどんどんはいわれてくる、こういう状態になつております。こういうことをわれわれは考えた場合において、外資の導入、これは決してわれわれは反対するものではない。しかしながら、ただ無條件で、これができたから、もう日本の再建は大丈夫だ、こういうふうな幻想を日本國民に與えておる。これは非常な誤りだと思います。  さて、総理大臣または水谷商工大臣にお聽きしたいのは、社会党の大会で、鈴木政務調査会長が、五億ドルまたは七億ドルの借款が近くある、こういうことを言われたということを私は聽いております。はたして、こういう事実があるのかどうか。これを私は水谷商工大臣にお聽きしたい。  さて、憲法の第八十五條に、こう書いてあります。「國費を支出し、又は國が債務を負担するには、國会の議決に基づくことを必要とする。」、すなわち、國がクレジツトを設ける場合においては、國会の議決が必要である。これは憲法の規定です。そこで、私は総理大臣にお聽きしたいのは、日本が外國と結ぶところのクレジツトがある場合においては、もちろん國会の承認が必要であるが、同時にわれわれの求めたいことは、こういう計画ができて、あとから発表されるのではなく、できる前に、事前にこの國会に諮られることをわれわれは要求したい。これについての総理大臣の御意見を伺いたい。  さて、私たちの方としましても、外資の導入、これに反対するものではありません。しかし、われわれとしては、まず第一に自力更生、日本國内にあるところの機械、技術、資力、すべてのものを動員して、これにおいて、われわれの再建の基礎を固める、こういう根本方針を立てる。それで足らないものを外資に求める。しかし、この外資を求める場合においても、三つの條件が必要である。まず第一に、この性格が眞に日本の再建に必要であること、第二には、この外資というものが民主的な、人民的な管理においてやられること、第三においては、この外資が日本の民族の独立を保障しなければならない、確保する性格のものでなければならない。こういう條件のもとにおいてならば、われわれは、この外資の導入に賛成します。  さて問題は、それでは一体日本の再建について、自力更生、われわれの力だけにおいて更生する條件があるかどうか、これを見た場合において、私たちは、確かにあると思う。いたずらに対外依存、これに求めずして、日本國内において、われわれの力だけでやる條件がある。たとえば食糧問題にしましても、もし、われわれが農地改革を徹底する、百姓にすべて土地を與える、こういう改革をやること、さらに農村において機械化すること、あるいは電化すること、あるいは耕地開墾とか、いろいろなことを國家の力においてやる、こうすれば、必ず日本においての食糧問題も大体において解決する。ここに自力更生の基礎がちやんとある。  さらに工業生産にしましても、工業生産の基礎である、たとえば工作機械を見ても、戰災によらないところの工作機械が、約七十五万台ある。賠償撤去されるものを差引いても、まだ過剩です。しかも技術者、これは御存じのように、りつぱな技術者が、今失業に悩んでおる。動力資源にしましても、電力しても、石炭にしても、もしわれわれが開拓すれば、十分にある。さらに原材料にしましても、まだ開発すべき余地がある。ただ、われわれに必要なのは、鉄鉱石とか、石油とか、繊維資源あるいはパルプ類、こういうものは外國に仰がなければならない。ところが、こういうふうな原料は、アメリカ大陸だけではない。われわれの非常に身近にあるところの極東大陸にたくさんある。中國、朝鮮あるいは拂印、インドネシア、インド、この方面に求めるなら、われわれの欲しい原材料はある。そこで、日本がもし平和的な民主的な國家になるならば、これらの國は、喜んでわれわれと貿易を再開してくれる。たとえば、私が中國にいましたときに、毛澤東とか、あるいは國民党の要人に会つて、彼らと話したとき、彼らも、眞劍に日本と貿易したいことを望んでいる。日本に必要な原料を與える。その代わり、また日本にできる機械とか技術、これはぜひ日本からもらいたい。ただ彼らは、一つの條件を出しておる。どういう條件かと申しますと、それは日本という國が、將來決して侵略をしない、完全な平和的な國になること及び民主的な、りつぱな國になつてくれること、この場合においては、中國は喜んで胸襟を開いて日本と貿易をしたいと言つておる。これより見まして、われわれは、日本の再建を自力更生でできることを確信をもつて差支えないと思う。  そこで以上のような食糧と工業生産の自力復興を妨げているものは、一体だれかといえば、日本においては、結局あの少数の独占資本家、大やみ資本家、これと結んだ官僚、政治家です。これを打破するためには、まず金融機関及び重要産業の國営、人民管理、これをわれわれは主張したい。そうして、これをやるのは、決して今日の内閣ではなくて、人民政府でなければならない。  さらに最後に、この問題について申し上げたいことは、自力更生のためには、隠退藏遊休物資の徹底的な摘発ということが必要である。これについては私は、すでにここで設けられた特別委員会のあの報告を皆さん方御承知でありますから、詳しくは申しません。ただ、ここで申し上げたいことは、最近アメリカの週刊雜誌に発表されたワールド・リポート、これにはこういうことが書いてある。原料資材の不足が日本生産を阻害している。反面、産業トラストは、すなわち独占資本は、厖大な退藏物資を隠匿している。やみ市場へ流し、巨額の利得をむさぼつている。かかる行動は、日本の復興を失敗させ、米國の占領費を増大させ、占領を妨害する陰謀と言つてよい。私はその通りであると思う。もし日本政府が、この軍物資に対し十分支拂を受けていたとすれば、降伏以來の赤字予算並びに占領費の全額を補つてなお余りあつたであろう。私はこの通りだと思う。  共産党は、戰後この問題をただちに取上げまして、そうして隠退藏物資の摘発ということについては、全國的にいろいろのことをやつた。それがために、たとえば板橋事件というものを起こしておりますが、しかし、われわれのこの隠退藏物資の摘発に対して、政府は常に妨害をやつてきておる。それは過去の事例ではありません。最近におきましても、こういうこういう事実が頻々として起つている。たとえば、最近大阪方面でも、扶桑金属とか、久保田鉄工所におけるあの事件、これを摘発したものを、官憲がこれを逮捕しておる。まだ、留置場にぶちこんでいる。さらに、これはあまり知られておりませんが、富山の不二越製作所に、こういう事件がありました。これは不二越製作所に、賠償の対象となるべき精密測定機械、ベアリング製造機械が隠匿されている情報を、われわれは得ておる。これの摘発をやつた。ところが、何が発見されたかと申しますと、ここではカール・ツアイス製その他の各種精密測定機械が合計十四台、ボールベアリング製造機械が百二十六台、そのまま、ちやんと学校の中に隠してあつた。しかも、ここの会社の責任者が、こう言つています。これはちやんと証人があります。こう言つておる。なぜ、こういうことをやつたかといえば、進駐軍が日本から帰つたあとで、この機械でベアリングをつくるのだ、だから、これを隠匿しておくことは愛國的行為である、こういうことを今言つておる。この摘発に関連した人が、三人檢束されました。こういうことを見て、私は政府にお聽きしたいのは、これは片山総理でも司法大臣でもよろしいが、このような民主的な、下からの摘発行為を、どうして政府は促進されないで、かえつてこれを妨害されているか。一体、どうしてこれは妨害されるのか。  さて私は、片山総理大臣あるいは社会党そのほかの政党における日本再建の根本観念において、われわれは自力更生しなければならぬと主張しますが、この一つの例として、殷鑑遠からず、ヨーロツパを見た場合に、外資導入を基礎として再建をはかつたところの、たとえばフランス、イタリーが、どういう状態になつておるかといえば、すなわち、現在経済恐慌のまつただ中にある。これを見た場合において、はたして日本の將來は、どの方向にわれわれがいくかということについて、非常に國民は眞檢に考えなければならない。(「共産党はどうしようというのだ」と呼ぶ者あり)だから、先ほどから申しておるように、日本國内に十分あるものを、なぜ動員してやらないかというのである。  さて、第三の点についてお聽きしたいのでありますが、政府は外資導入のために受入態勢を整えなければならない、これが今日における根本政策、こういうことになつております。これについては、西尾官房長官が、一月一日の新聞に、座談会で発表されたところによりますと、こう言つておる。米國からの援助を得るためには、日本の産業界が平和であるとともに、労資が協力して産業の復興に一生懸命やつているという態勢を整えることが一番重要である、こういうふうに言つております。すなわち、受入態勢をつくる、この受入態勢をつくるという名のものに、実は日本の大資本の利益のために、勤労大衆の生活が低下され、また労働が強化されておる。その具体的事実はいくらでもあげることができます。受入態勢を整える。たとえば供米の問題にしましても、その一つです。  この供米の問題に対しまして、農林大臣にお聽きしたいことがあります。これは、山形縣知事の村山道雄という人が、去年の十二月二日に、山形新聞あるいはそのほかの地方新聞に、これは十二月六日の新聞ですが、山形縣告示第四百八十八号に発表しておることがある。どういうことをいつておるかと申しますと、「本年産米の供出は強い割当であります。しかも必ず本月中に完遂していただかねばらならない供出であります。私に先ず皆様に何故に今年の供米の割当が今までよりも強いのか。何故に完遂せねばならないか。何故にそのことを連合軍からも強く命令されているかをはつきり自覚していただきたいのであります。」、さらに続けて「連合軍当局は日本國民に供米三千五十五万石の完遂を命令すると共に、その完遂を俟つて國際食糧緊急委員会に不足分輸入の要請をしようとしておるのであります。」、こういうことをいつておる。これは新聞に発表された山形縣の告示です。ちやんと知事の署名がある。一体供米は、だれがだれのためにやるのですか。この文面を見ますと、これは日本政府ではない。向こうからの命令だからやれということをいつておる。こういうことが、一体許されるべきかどうか。片山総理大臣は、去年のこの議政壇上で、すべての政府の政策は政府責任であるといつておる。しかし、この供米をやるために、連合軍の名前を借りてやらせておる。こういうことを、どうして今まで許しておるか。この問題について、総理大臣でもよろしい、あるいは農林大臣でもよろしい、明確な御回答を願いたいと思います。  それから、ついでに農林大臣にお聽きしたいことは、去年の國会農業生産調整法というものが出されて、これは流産しましたが、さらに今度の國会食糧生産並びに供出に関する法律、こういうものが出されるということを聞きましたが、はたして、この内容はどういうものであるか。これがちようど戰時中におけるあの軍部のやつたような作付強制というものに類するものであるかどうか、こういう内容について、ついでにお聽きしたいのであります。  さて、受入態勢を整える。この名において、今では行政整理、企業整備、これが中心になつております。この問題につきましては、各党は大体において共通しているように思います。しかし、政府の言われている行政整理の内容を見ますと、結局人件費の削減ということです。これに重点がおかれている。ところが、御存じのように予算の中で占める人件費の割合は、わずかに六パーセントにすぎない。これを節約しても三十一億。そこで、政府にお聽きしたいのは、内閣総理大臣は、一昨日ここで、この行政整理はすなわち人員整理である、こういうことを言われた。ところが民主党の苫米地議員は、ラヂオの放送で、この整理というものは、予算定員と実働定員との差をいうだけのことである、そうすれば、実際上において官公吏の首切りはやらない、こういう意味のことを言われている。そうしますと、一体総理大臣と苫米地議員の言には喰違いがあるが、政府にお聽きしたいのは、これは官公吏の首を切られるのであるか、切られるならば、いつ、いくら切られるのであるか、これをお聽きしたい。  さらに現業を見ますと、國鉄にしても逓信にしても、今あそこでは定員が不足している。それにもかかわらず、ここでもやはり人員整理ということが実際にやられるということを私は聞いている。たとえば九州におきましても、九州の國鉄從業員の間で、いくら、だれを首切るというふうなリストがすでにでき上つている、こういうふうなことも言われている。この問題について、運輸大臣に私は実相をお聽きしたい。さらにこの問題につきまして、もう一言お聽きしたいことは、配置轉換が行われますが、この内容がどうであるか。一身上の都合から轉換ができない場合には、政府はどのように処置されるものであるか、これを運輸大臣にお聽きしたいと思う。  さて、受入態勢を整えるという、こういう名前で、政府はいわゆる労働組合の民主化ということを言われている。これは米窪労政とか、あるいは松岡議長が言われているような労働組合の民主化という名前でやつております。この問題について、米窪労働大臣にお聽きしたいのは、労調法、労働組合法を改正されると言つておりますが、その内容はどういうものであるか。また労働基準法までも改正されるというようなうわさがあるが、これははたしてどうであるか。また組合の民主化とか健全化という名前で、政府の手で直接できなくても、間接にいろいろな反共組織とか、こういうものができ上つている。これは單なる会社とか工場の策謀だけではなくて、政府の政策としてやられている。こういうふうに、われわれには客観的な條件から見られる。そうすれば、これは明らかに極東委員会の労働組合に関する十六條原則に違反するものではないか。またもう一つお聽きしたいのは、労働組合法十一條違反が最近頻々として起つております。これによつて、いろいろの左翼分子を組合から、あるいは工場から解雇する、こういうことが起つておりますが、これに対して、政府はどういう対策をとられているのか。  さらにもう一つお聽きしたいのは、米窪労働大臣は、昨日の参議院で、わが党の細川議員に対する答弁として、東芝の、あそこに今たくさんの滞納税金がありますが、その問題について、こう申されている。なぜ、東芝のこの会社に税金の滞納が起つたか。たとえば労働攻勢に抑えられて、いわゆる赤字契約をし、赤字の團体契約を相当給料を赤字においてあげているという疑いのある工場が方々にあります。すなわち、こういう会社が滞納するのは、労働者が労働爭議をやり、あるいは給料の値上げを要求する、そこでこういう滞納ができた。これは明らかに事実に違反している。たとえば、東芝の問題にしましても、会社自身が何と言つておるか。こういう原因で滞納ができたのでは絶対にないということは、会社自身が言つている。しかし米窪労働大臣は、参議院の議場で、これは労働者に責任がある、こういうことを言われている。  この問題につきまして、私は水谷商工大臣に、特にまたお聽きしたい。このオール東芝に対して、先月商工大臣は、商工大臣の名前によつて、この東芝は増産において抜群の成績をあげたと表彰を與えている。しかも一昨日、この東芝の工場に行かれて、あそこで從業員に対していろいろのお褒めの言葉を賜つた。しかるに米窪大臣は、ここでは労働者が惡いから、こういう滞納ができた。すべてこれは政府と会社に責任がある。これを労働者に轉嫁しようとしている。こういうことを許すべきであるかどうか。この点について、米窪及び水谷両大臣にお聽きしたいと思う。  私はこれで終わりますが、一言、最近の新聞を賑わしている帝銀の椎名町支店のあの毒殺事件について、私は司法大臣の報告をお願いしたいと思う。と申しますのは、この事件は普通の事件ではありません。十六名の者が、つくえで同時に毒を飲む。どうしてこういうことが起つたか。これは普通ではない。しかもこれについては、あの町に行つてみますと、いろいろのうわさがとんでいます。それについて私は、この眞相について報告を願いたい。一体、このような毒がどういうところからはいつてきているか。もし、こういう状態が許されるならば、われわれは、水一杯よそで飲むこともできない。これについて、司法大臣の報告をお願いしたいと思います。  さて、最後に一言申し上げたいことは、総理大臣演説の中で…
  17. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 野坂君、時間が來ております。申合せによつて簡潔に願います。
  18. 野坂參三

    ○野坂參三君(続) 簡潔に、すぐやめます。——総理大臣演説の中で、経済の破壊や社会秩序の混乱を企図するがごとき一部の不健全分子は、遠からずあげて精算さるべきことを期待してやまない、こういうふうに言つておる。これは一体、具体的に言つてどういう分子であるか。これを第三者から、連合國人士の口から言わせます。  これは十二月二十四日にフライル氏、これは総司令部の経済科学局特別顧問です。これが北海道、九州の炭鉱視察から帰つて、こう申されている。よく聽いてください。共産党が政治的目的で増産を妨げているというのは、まつたくの流言である、デマである、將來もないと確信すると言つている。これは、私が言つたのではありません。事実がまた証明しております。今九州において増炭がやられているが、あそこで一番よい成績をあげているのは高松炭鉱、ここは共産党の一番強い炭鉱です。さらに、今申し上げた、商工大臣が表彰されたあの東芝です。堀川町のごときは、あそこにおいては、一番よい成績をあげている。これは一番共産党の強いところです。これだけ見ても、共産党は絶対に増産を妨げるものではない。増産を実際やつている。それでは、一体だれが不健全分子であるか。私は連合國人士に聽いてみる。  これは、本年一月十九日に、ゴツチヨーク石炭調整官が申されている。増産運動に不熱心なのは……。(発言する者あり)増産運動に不熱心なのは少数の炭鉱業者であると言つている。これはすでに明らかになつている。不健全分子は、結局これは、あの日本の戰爭をやつた、また戰後インフレやみによつて日本の破壊をさらに続けたあの軍閥の残流や、あるいは日本の大きなやみ成金、あるいはこれと結託した官僚とか政治家です。これらこそ、片山総理大臣言つている不健全分子である。しかるに総理大臣は、これらの分子については、この中に一言も言つてない。一体なぜであるか。過去半年の間に、政府は、工場から、あるいは労働組合の中から、進歩的な労働者を除名したり、いろいろなことをやつています。しかし、ただの一回も、資本家生産サボ、生産妨害について取締つたことはない。これを見たときに、片山社会党首班の内閣とは、これはなにか、これは資本家内閣であるということであります。これをもつて、私の演説を終ります。     〔國務大臣片山哲登壇
  19. 片山哲

    國務大臣片山哲君) インフレ抑圧のためには全力を傾倒しなければならないのでありまして、私は決してその防遏政策がすでにその目的を達し終つておるとは言つていないのであります。全体の演説をお聽きになれば、よくわかると思うのであります。インフレを抑圧するためには、さらに積極的な増産計画を並べて立てていかなければならない。すでにその必要に迫られており、その時期が來つておる。昭和二十三年度をその増産の第一歩として進んでいかなければ、祖國再建はできない、こういう意味で申し上げておるのであります。なお、私の草案についていろいろ御質問がありましたが、草案についてはお答えする必要がないと思います。ただ、その草案と演説の本旨とは、表現が多少違いますけれども、趣旨においては決して違つていないということを明らかに申し上げておきます。(拍手)  第二の外資導入の問題でありますが、自力再建をはかつていかなければならないのは、言うまでもありません。自力再建をはかりつつ、さらに復興を促進するために、再建の速度を早めるために外資導入を要求することは、國民全体の声であると私は信ずるのであります。(拍手)先般新聞によりましても、マーシヤル・プランに対しまして、欧州復興計画について西欧十六箇國が要求を出した。その声明によりますならば、欧州復興のためには、さらに四箇年に二百二十億ドルの外資導入しなければ、戰爭で破壊せられた西欧十六箇國の復興は困難であるということを発表いたしておるのであります。外資導入と自力更生と相まつて戰後の復興に着手しなければならないということは、世界の今日の現実であると見なければならないのであります。(拍手)私どもも、その意味において、決して外國依存をいたしてはいないのであります。これは、私の施政方針演説の中においても、ただ外國に憐れみを請うというようなことではいけない、自力をもつて復興の実をあげなければならないということを明白に述べておるのであります。しかし、資源の乏しい、戰爭でほとんど生産力が破壊せられたわが國の再建の実際を見まするならば、どうしても外資にまたなければならない点が多々あることは、きわめて現実であると見なければならないのであります。こういうような意味から、われわれはインフレを抑止するために、インフレ防止するために、全力を傾倒して今日まで進んでまいりましたが、さらに一歩を積極的に踏み出すために積極的な増産計画を立てることが、祖國のために最も必要なる対策であると痛切に感じておる次第であります。  なお最後に、秩序を破壊する運動がほどなく清算されるであろうということを申しましたのは、わが國の再建を妨害し、わが國の社会秩序を破壊するすべてのものは、当然國民全体の民主的な判断によつて精算する機会の早きことを心から望んでやまないということを申し上げた次第であります。以上をもつてお答えにいたしたいと思います。(拍手)     〔國務大臣水谷長三郎君登壇
  20. 水谷長三郎

    國務大臣(水谷長三郎君) まず、貿易の現況からお答えします。昨年におきまする貿易は、輸出が二億七千万ドル、輸入が四億四千万ドルで、輸出入ともに、前年に比し相当の増加を見ております。輸出品の主なるものは繊維品でありまして、金額にいたしまして二億八百万ドルに上つており、輸入品の主なるものは食糧でございまして、金額にして二億二千九百万ドルであります。そのほか、繊維原料九千万ドル、石油二千五百万ドル、肥料二千三百万ドル等が主な輸入品であります。なお、制限附民間貿易におきましては、契約成立高、昨年末までに約九百万ドル、本年に入り約四百万ドルになつております。本年におきましても、わが國としましては多量の食糧輸入せねばなりませんが、その上に、その見返り輸出の原料を相当輸入しなければなりません。さらに産業の復興、経済の再建のためにも、できる限り多くの資材輸入を仰ぎたいと思う次第でありまして、輸入額は多額に上る見込みでございまするが、これが代價を賄うべき輸出につきましては、資材、資金、燃料その他あらゆる施策を講じて、これが振興をいたしたいと考えております。さいわいにいたしまして、輸出入回轉基金も近く運用を見るようでございまして、これにより、輸出品製造用の原料も円滑にはいつてまいりまして、加工貿易の実も上つてくる見込みでございますし、また近く米國投資團の來朝も実現を見る模様でございまして、本年におけるわが國産出貿易の前途も明るい方向に向つているものと考えます。從いまして本年は、輸出輸入ともに、昨年に比しさらに一段と増加する見込みでございます。ただ最も問題となりますのは、海外、特に東洋、南洋における購賣力いかんでありまして、この地方の経済が速やかに安定復興いたしまして、購買力の増加いたすことを期待してやまない次第でございますが、政府といたしましては、この地方よりの輸入を増加いたしまして、いわゆるバーターにより、おおいに輸出を増進するよういたしたいと考えておる次第でございます。  さらに貿易回轉基金の問題でございますが、この問題は、当初考慮されていたのは、金一億三千七百万ドルと綿製品輸出利益約七千万ドルを担保といたしまして、五億ドルの資金を得ることになつていたのでございますが、その後、先方の都合によりまして、金のみを担保といたしまして、最初予定されておりました金額よりも少額になる予定でございますが、最終的決定はまだなされておりません、最初予想されておりました金額と減少基金との差は、米國側におきまして善処されることになろうと思つております。  さらに最後に、ヤラス商会との契約内容に関して御質問がございましたが、ヤラス商会との契約につきましては、昨年九月より、連合軍最高司令部を介しまして、同商会と貿易廳との間にいろいろ折衝がございました結果、本年一月初めに、最後的契約の締結を見たものでございまして、その内容は、日本より鉄板二万トンと亜鉛引鉄板五千トンを供給いたしまして、先方より、これが生産に必要な粘結炭五万四千トンを日本に供給するという方法によるものでございます。政府は、日本の輸出貿易に寄與するところがあるとの考え方から、この契約の締結を見たのでございまして、これがために必要なる鉄鉱石は、海南島より買いつけました二十五万トンの鉱石の一部を充当する予定でございます。今後におきましても、政府といたしましては、この種のバーター契約が続々と成立いたしまして、わが國産業の再開と輸出の振興に寄與することを切望いたしますとともに、これが努力をいたしたいと考えておる次第でございます。     〔國務大臣和田博雄君登壇
  21. 和田博雄

    國務大臣(和田博雄君) お答えいたします。私に対しまする御質問は、総理からほとんどお答えいたしたわけでありますが、附け加えまして、若干お答えいたしたいと思います。  長期計画の策定にあたつても、他力本願ではなくして、どこまでも自立経済ということの確立に基本的な態度をもつべきではないかという御意見に対しましては、われわれとしましても、長期計画の策定にあたりましては、どこまでも自立経済の確立ということを目標にいたしております。ただ、野坂さんもお認めのように、日本経済は、性格的に言いまして、孤立経済たり得ません。やはり外國から原料を買い、また必要な石炭その他のものを輸入して、初めて日本経済が成り立つていくのであります。從いまして、日本経済を回復しまする場合におきましても、目標はどこまでも自立経済の確立でありますけれども、しかし、それが自立経済に達しまするためには、やはり自分の力プラス外國からのクレジツトという形で、そこに藥を注入する必要があるのであります。しかし、たといクレジツトと要請するとしても、やはりクレジツトはクレジツトであつて、ちようど藥を病人に盛るように、病人が回復するという、病人がどこまでも主体であるという基本的な態度は、われわれとしても堅持いたしておるのであります。さように御了承をお願いいたしたいと思います。     〔國務大臣鈴木義男君登壇
  22. 鈴木義男

    國務大臣(鈴木義男君) 私に対する御質問は、一つは扶桑金属その他の諸会社における隠退藏物資の摘発をなぜ政府は妨げるかという御質問でありまするが、少しも妨げる意思はないのでありまして、私の報告を受けておるところによりますると、隠退藏物資を摘発するのは非常に結構なことでありまするが、その手段があまりに乱暴でありまして、いろいろな暴行を伴つたたために、その点に対しまして、警察官が出動をして檢束をし、そのおもなる者が起訴せらるるに至つた次第でありまして、隠退藏物資を出すことを穏やかにご協力くださることに対しましては、特にごほうびを出すことになつております。(「乱暴にしなければ出やしないよ」と呼ぶ者あり)その乱暴の程度はあまりはなはだしいために、今後はもう少し穏やかにお願いいたしたいのであります。  それから帝國銀行椎名町支店事件は、誠に天人ともに許さざる犯罪でありまして、その使用いたしました毒物は、青酸カリであるということが明らかになつたのであります。その入手経路その他につき、嚴密にただいま檢察当局、警察当局が連合いたしまして努力いたしておりますから、必ず日ならず犯人を檢挙して嚴罰に処する予定であります。こういう事態が再び起こらないことを希望いたしまするが、だんだん知能的犯罪が殖えてまいりましたので、警察の地方分権化にともない、檢察当局といたしましては、できるだけ科学的犯罪操作法を確立いたすために、アメリカにおけるごとく、りつぱな一つの犯罪科学研究所をもちたいという希望をもつておりまするので、後日諸君の協賛を得て、是非その予算を許していただきたいと存じておる次第であります。この問題は、早急に解決するように努力いたしております。(拍手)     〔國務大臣波多野鼎登壇
  23. 波多野鼎

    國務大臣波多野鼎君) 私に対する御質問は、割当の性格の問題でございました。割当供出は、これは日本政府責任をもつてつたものでありまして、決して他の國あるいは他の人に対する供出をお願いしておるわけではなくして、日本民族の生活のために供出をお願いしておるものであるという点を御了承を願います。  なお、個々の農家に対する割当供出につきましていろいろ問題がございます点は、私もよく承知いたしておりますが、これは、わが國の從來の行政におきまして、科学的な調査が十分でなかつたという点に根本の原因がございますので、私は就任以來、統計調査局の機能を十分に活用するために、地方にまでこの組織を延ばしまして、今後の割当につきましては万遺憾なきを期しておる次第であります。  第二の点は、このたび提出を予定しておる法律案において作付統制を行うようであるが、その作付統制は戰時中の統制と同じようなことになるのではないかという御質問でございましたが、これは決して同じ性質のものではございませんので、民主的な諸機関の協力を得まして、そして作付統制の計画を立てたいと考えております。詳しいことは、法律案を提出した場合の御審議を通じてご理解願えることと期待いたしております。以上、簡単でありますが、お答えいたします。     〔國務大臣北村徳太郎君登壇
  24. 北村徳太郎

    國務大臣(北村徳太郎君) 野坂君にお答え申し上げます。  一般行政整理と異なつた目的をもつて、現業廳たる鉄道も、またある整理をしなければならぬということは考えております。これは、國鉄の再建と同時に、收支の適合をはかる独立採算制という観点から、当然ある整理、またある強化をしなければならぬということは、切に感じておるところでございます。但し、これは現在の人員等について配置轉換を行つておりますけれども、この面につきましては、さいわいに國鉄労組との間にきわめて円滿なる連絡をとりつつ実行いたしております。  それから第二段の御質問で、九州のどこかで首切りのリストを出しておるというお話があつたのでありますが、これは野坂君からただいま初めて私どもは聽いたところでありまして、運輸省自体といたしましては、未だかつてさようなリストをつくつた覚えがございませんので、さようなものの存在するはずはない、かように考えております。(拍手)     〔國務大臣米窪滿亮君登壇
  25. 米窪滿亮

    國務大臣(米窪滿亮君) 私に対する御質問にお答えいたします。第一の点は、労働法規の改正をする意思ありやというお尋ねであつたと思うのでございまするが、憲法によつて保障された團結権、交渉権あるいは罷業権等のこの重大なる基本的人権に関し、さらに労働条件の低下を招来するような改正を労働法に試みる意思は、今のところございません。但し、日本の労働運動が終戰後にわかに擡頭してまいりまして、これに應ずるためにこしらえられた労働組合法、労調法の中には、労働組合運動の民主化、自主的な生活について明確なる解釈を下すことができない点が若干あるように思われます。また爭議権をもつておらないものが爭議を敢行した場合に対する処置についても、法的解釈が明確性を欠いておる点があるのでございまして、これらについては、これを改正するか否か、目下愼重に考慮中でございまして、本日のところは、これを言明する段階に立つておらないのであります。  それから第二の点は、最近日本の労働運動において健全なる労働組合運動が提唱されまして、外部の政党の指揮介入を排除する、あるいは一部の指導者の独裁の傾向を是正するという運動が起つておることは、新聞紙等によつて傳えられております。このいわゆる労働組合のデモクラシー的なる傾向は、総同盟が中心になつて、いわゆる労働組合の民主化運動が起こり、また新聞紙の傳えられるところによれば、國鉄及び一部の産別の組合の中に、共産党のフラクシヨン運動を排斥する運動が起こりつつあることは、日本の労働運動の健全化のために慶賀すべき傾向にあると私は考えます。(拍手)但し、政府といたしましては、こういう傾向はあくまでも労働組合が自主的、民主的に決定すべき問題であつて政府がこの傾向を助長し、労働戰線を分裂したり、あるいは御用組合化しようとする意思は毛頭ございません。御安心願つてしかるべきだと思います。  最後にお尋ねの東芝問題でございますが、この点については、野坂君が若干、私の昨日の参議院における答弁を誤り傳えておると思うのでございます。民間の企業團体において滞納が相当あることは、新聞紙等によつて私承知しでおりまするが、その滞納がなぜ起つたかということを政府の一部が究明した場合に、ある企業家は、労働團体の攻勢に押されて給與を高くしたために、政府へ納めるべきものを納められなかつたと称する者があるのでございます。この点を私は指摘して、東芝がもしそういうことを言うならば、これはその本質をよく究明して、その場合においては、政府はこの経営者に対して警告を発するということを申し上げたのでございます。從つて、野坂君の言われたことと全然反対なことを私は申し上げておるのでございまして、東芝に何億の滞納があつたか否かということは、私は全然きのうまで知らなかつたのであります。以上簡單に申し上げて、あなたの誤解を解きたいと思います。(拍手
  26. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) この際和田國務大臣より、先般保留されました答弁を求むることといたします。國務大臣和田博雄君。     〔國務大臣和田博雄君登壇
  27. 和田博雄

    國務大臣(和田博雄君) 先般の辻議員の御質問に対しましてお答えいたします。  料理店の処置の問題でございますが、料理店の休業は、この前の第一回國会に、與党三派から法律案として出していただく準備をいたしておつたわけでありますが、向こうとの交渉が間に合いませんで、從いまして、二月一ぱいこれを延期いたしております。今これをただちに解くことはできない状態でありますが、從來の料理飲食店の取扱い方につきまして、その後種々交渉をいたしまして、やはりこれははつきりと法律で決めて処置するのがよかろうと思いまして、今その準備をいたしておる次第でございます。
  28. 野坂參三

    ○野坂參三君 再質問があります。
  29. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 約束の時間を超過いたしておりますので、他の機会にまたやられることを望みます。  これにて國務大臣演説に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————  第一 賠償廳臨時設置法案内閣提出
  30. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 日程第一、賠償廳臨時設置法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。決算委員長竹山祐太郎君。     〔竹山祐太郎君登壇
  31. 竹山祐太郎

    ○竹山祐太郎君 ただいま議題となりました賠償廳臨時設置法案について、委員会の経過並びに結果について御報告を申し上げます。  本案は、二十六日付託、昨日委員会を開き、外務大臣の説明を求めて審議に入りました。本案は申すまでもなく、ポツダム宣言受諾に伴う残されたる大きな義務たる賠償を最も迅速的確に行い、もつて國際信義に答えるために、いよいよ実施期に入らんとするこの際、從來の機構に整備改革を行い、一元的に強力的確なる実施を行うために、終戰連絡中央事務局廃止に伴い、内閣に臨時に賠償廳を設置せんとする案であります。本廳の長官は、各省長官でない國務大臣がこれに当たり、機構は次長のもとに六課を起き、その職員も、外務、安本、商工、運輸、大藏等の各省人員の配置轉換により、最も経驗ある者によつて編成し、新規増加は行わないことになつております。なお、二月一日より実施の予定をいたしておる次第であります。  この際、質疑を通じて政府の述べれられました賠償の経過、見透し等につき、若干申し述べたいと思います。  賠償問題は、御承知の通り、極東委員会において、さきにポーレー案が報告をせられ、続いてストライク・コンミツシヨンの再度の調査が行われ、目下、その基礎のもとに活発なる討議が行われておる状態でありまして、その結果はもちろん知ることを得ませんが、最初の案に相当の修正が加えられたのではないかと報ぜられております。日本経済の自立自給につき種々の同情ある意見も行われておる状態でありまして、平和條約とともに確定を見るものと確信せられますが、目下の日本として、平和國家、民主國家の実現に忠実に邁進する限り、日本の自立を著しく危殆に陷らしめるようなことはないことを信じておると報告をされております。また、現物賠償とともに生産物賠償の問題も論議せられておりますが、生産物賠償に対して、反対輿論も相当に高く、日本としては極力避けたい希望をもつておるわけであります。現在までのところ、九百余の管理指定を命ぜられた施設は、軍工場は大藏省、民間工場は商工省、造船運輸は運輸省、研究機関は文部省それぞれ実施責任官廳となつて、これが保全に努めつつある次第であります。昨年十月、まず一部として十七の軍工廳機械の引渡命令があり、今月、中國船二隻、オランダ船一隻の引渡しを了し、引続き二万台の荷造りを二月中に終わる予定であります。これは軍工廠の約一割くらいに当たります。  なお、質疑の詳細は速記録をごらん願うこととし、委員会は質疑を打切り、討論を省略して採決に入りましたところ、滿場一致、原案を可決いたした次第であります。  終わりに、本案は行政整理の叫ばれる中に、その意義の重大性を一層痛感するものであります。政府はこの点に鑑み、強化せられた機構をもつて、最も有効適切にこれが運用に当たり、日本再建途上、國民ひとしく心痛をいたしております賠償問題の処理にあたり、國際審議を高め、ひいては、これが終局の決定を最も望ましき状態にもち来すよう、担当大臣としてはもちろん、政府一丸となつて努力せられんことを、委員会全員の希望として申し添え、御報告を終わる次第であります。(拍手
  32. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————  連絡調整事務局臨時設置法案(内閣提出
  34. 山花秀雄

    ○山花秀雄君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、連絡調整事務局臨時設置法案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  35. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 山花君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  連絡調整事務局臨時設置法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員長安東義良君。     〔安東義良君登壇
  37. 安東義良

    ○安東義良君 ただいま議題と相なりました連絡調整事務局臨時設置法案について、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、一月二十六日本委員会に付託せられまして、翌二十七日委員会を開き、外務大臣及び関係政府委員の出席を求め、提案理由の説明を聽取いたしたのであります。右説明によりますれば、連合國による日本占領以來、外務大臣の管理下にあつた終戰連絡事務局は、政府連合國官憲との連絡の衝に当つていたのでありまするが、漸次総司令部各部局及び日本側各機関において、その所管事務につき相互に直接連絡の利便及び必要が生じ、終戰連絡事務局の事務の内容は漸減してきたのであります。しかしながら、他面占領軍当局との連絡に関連し、各廳事務の総合調整を行う有効適切な機構の必要が痛感せらるるので、ここに終戰連絡事務局を廃止して、新たに内閣総理大臣の管理のもとに、連合國官憲との連絡に関する事務及びこれに関連する各廳事務の総合調整に関する事務を掌らせるため、連絡調整事務局を設置し、またこれに伴い必要となつた外務省機構の一部改変をするというのが、この法案の趣旨であります。  連絡調整事務局の機構といたしましては、中央に連絡調整中央事務局を置くとともに、所要の地に連絡調整地方事務局を置くことになつております。また連合國官憲との連絡に関する各廳事務の総合調整に関する事項を審議するため、連絡調整事務局に連絡調整委員会を置くことができるようになつております。なお、連絡調整地方事務局においては、前記事務のほか、特殊財産及び賠償に関する事務を掌ることとし、それにつきましては、外務大臣または賠償廳長官は、連絡調整地方事務局の長を指揮監督することができることとしております。從來終戰連絡中央事務局管理部において取扱つていました特殊財産に関する事務は、今般外務省に移管されることになり、また從來終戰連絡中央事務局の賠償部において取扱つておりました賠償に関する事務は、別に政府より提出されて、ただいま可決いたされました賠償廳臨時設置法案により設置さるべき賠償廳に移管されることになつておりますが、この事務につきましては、新たに地方機構を設けることを避けて、連絡調整地方事務局をして地方的事務処理に当たらしめることにしてあります。  外務省機構の改正につきましては、特殊財産に関する事務を掌らしめるため特殊財産局を新設し、さらに特別資料部を置き、日本占領に関する記録の蒐集編纂並びに研究に関する事務を掌ることになつております。すなわち、連合國の対日管理に関し総司令部より発出された重要な文書及びこれに対して日本側においてとつた措置に関する文書等の蒐集、整理、調査、研究を行うことは、將來に対する準備の上からもきわめて重要なことでありますので、この点において遺憾なからしめたいというのであります。  なお本件は、二月一日から実施することとなつておりますので、審議の上速やかに可決せられんことを政府において切望しておるということであります。  次いで、本委員政府側との間に質疑應答が行われましたが、その詳細は会議録に譲り、ここでは、そのうち最も問題となつた諸点を述べることにいたします。  まず、從來終戰連絡事務局は連合國官憲との連絡に当たり、十分能率を上げていたのにかかわらず、新たに総理廳内に連絡調整局を設ける必要があるかとの質疑に対し、政府側においては、提案理由に述べました通り、占領軍司令部と各省とが所管事務について直接に話し合う方が相互に便利であり、また技術的にも必要となつたので、その事務の総合調整を行う仕事を連絡調整局に行わしむるという建前であり、各廳全体にわたる事務を総合する関係から、総理大臣がこの機関を握つていることが合理的でかつ便宜であり、人的構成は、從來の終戰連絡事務局の人員が総理廳の方に移ることになるので、事務上の支障は全然生じないという趣旨答弁があつたのであります。  また、新たに設置せらるる連絡調整局と外務大臣との関係についての質疑に対しましては、外交関係の復旧するまでは、直接わが國は対外関係をもつておりませんから、いわゆる外交事務と称するものは存在しないわけであります。しかし、平和克服後においては、一切の渉外事務は一元的に外務大臣が管掌することはもちろんのことでありまして、わが國が正規の國交を回復すれば、本件のごとき機関は当然総理廳から解消せらる次第であります。第一條冒頭の臨時というのは、その意味にほかなりません。連絡調整事務局の活動に対し、外務大臣が閣僚の一人として直接間接関與することは、從來通りであるという答弁がありました。  なお、連合國官憲との連絡に関しては、連絡調整事務局がこれに当たるとすれば、講和條約に関連した事項をも含むものであるかとの質疑が行われたのでありますが、これに対して、講話條約に関する事務は、もとより外務省が主管するところでありまして、連合國から日本政府に対して何らかの意思表示があれば、連合軍司令部から連絡調整事務局に通ぜられ、これを外務省に傳えられるということになるであろうとの答弁がありました。  また、同法第十一條の連絡調整委員会の組織権限に関する質疑に対しては、政府としては、中央においては、委員は大体関係各省の次官級、幹事は関係各省の総務局長ないしは連絡部長級、地方においては、委員は知事及び中央の出先機関の長、幹事については、それぞれその下級者を充てる予定である旨、また右委員会においては、十分情報の交換と審議とを実施したい旨の答弁がありました。  また、外務省機構の改正中、外務省官制第八條の特殊財産局の新設に関する質疑に対しては、特殊財産に関する事務を特に外務省に残すことにいたしましたのは、まつたく仕事の便宜に出たものであり、また第十條の特別資料部の新設に関する質疑に対しては、占領軍上陸以來の各種重要文書の散佚を防ぎ、將來の参考資料として蒐集整理するには、從來本事務を取扱つていた外務省がこれに当たる方が便利であるとする趣意である旨の説明がありました。  右をもつて質疑を終了し、討論に入り、委員和田敏明君より原案賛成の意見発表の後、討論を終結、一月二十八日委員会を開き、採決の結果、全会一致をもつて原案を可決した次第であります。つきましては、本院において本案を可決せられんことを望みます。  右、報告申し上げます。
  38. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————  救援物資の寄贈に関し在米州同胞に対する感謝決議案   (安東義良君外二十九名提出)      (委員会審査省略要求事件)
  40. 山花秀雄

    ○山花秀雄君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、安東義良君外二十九名から提出された、救援物資の寄贈に関し在米州同胞に対する感謝決議案を、提出者の要求通り委員会の審査を省略して、この際上程し、その審議を進められんことを望みます。
  41. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 山花君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  救援物資の寄贈に関し在米州同胞に対する感謝決議案を議題といたします。提出者の趣意弁明を許します。提出者安東義良君。     〔安東義良君登壇
  43. 安東義良

    ○安東義良君 ただいま議題と相なりました決議案を朗読いたします。  終戰以來在米州同胞から平和的民主國家の再建を念としつつ耐乏の生活を続けている内地の同胞に多大の救援物資が贈られた。  右物資は亞細亞救援公認團体(ララ)を通じ又はその他の方法によつて送附せられ、幾多不幸なわが同胞の生活を潤し、わが國民を心から感激させた。  ここに衆議院は特に院議を以て在米州同胞に対し深厚な感謝の意を表するものである。  右決議する。  さきに本院におきましては、決議をもつて、ララの救援物資に関し、窮乏のうちにある薄幸な日本國民に寄せられました人道愛に対して、深甚なる感謝の意を表したのであります。このララの救援物資中には、北米、中南米におりまするわが同胞が寄贈した部分が相当量あるのでありまするが、これら同胞は、そのほかにも、個人的に、あるいは小包をもつて、あるいはその他の方法をもつて、直接にわが同胞に多数の物資を贈られておるのであります。今日の窮乏せる経済のもとにおいて、生活苦にあえいでおるあわれな家族、殊にいたいけな学童や、孤兒や、あるいは病者、これらの人々の間に、いかにこの物資が、この心からなる贈り物が、光と喜びとを與え、また希望と力をわき起こさせたかということは、今さらここに喋々申し上げる必要もないと存じます。  わが外務委員会におきましては、各員協議をいたしまして、ここに連名のもとに、今申し上げました決議案を提出した次第であります。何とぞ御審議の上、滿場一致をもつて御可決あらんことを希望いたします。(拍手
  44. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 本案を可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 田中萬逸

    ○副議長田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決されました。(拍手)  次回の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。     午後五時五十四分散会