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1948-01-27 第2回国会 衆議院 本会議 第8号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十三年一月二十七日(火曜日) 午後四時一分
開議
━━━━━━━━━━━━━
議事日程
第六号
昭和
二十三年一月二十七日(火曜日) 午後一時
開議
一
國務大臣
の
演説
に対する
質疑
(前会の続) ━━━━━━━━━━━━━
松岡駒吉
1
○議長(
松岡駒吉
君) これより
会議
を開きます。 ————◇—————
松岡駒吉
2
○議長(
松岡駒吉
君)
國務大臣
の
演説
に対する
質疑
を継続いたします。
佐竹晴記
君。 〔
佐竹晴記
君登壇〕
佐竹晴記
3
○
佐竹晴記
君
全農有志議員クラブ
を代表して
質問
にします。私は、インフレーシヨンの抑制、物価と賃金の問題、
農業生産
の増強と
供米割当
の
合理化
、
中小企業
の振興と
日本経済
の再建、
失業対策等
について
お尋ね
をいたしたいと考えておりましたが、時間の制限を受けまして、これを果たすことができませんので、ここでは、もつ
ぱら平野
氏の
罷免
並びに
追放
の問題について、
片山内閣総理大臣
、
西尾官房長官
、
鈴木司法大臣
に対し、
事件
の
眞相
を究明するとともに、その
責任
を質したいと存ずる次第であります(
拍手
) まず、冒頭一言いたしたいことは、
総理大臣
は、口を開けば
道義
を論じ、
信義
、
友愛
、
公明正大
を説かれるのであります。しかし、今回
平野
問題が起
つて
以來
、
政府
のとられた
態度
は、一体どうであ
つた
でありまし
よう
。実に不明朗であります。また冷酷であるとの
印象
を深刻に與えられたのであります。(
拍手
)
世人
をして
暗殺
だと言わしめ、
追放
を
政爭
の具に供するものだと憤激せしめましたのみならず、
最後
まで非
該当
と信ぜられた
審査
が、一夜にして覆され、
社会
に
一大暗影
を投じ、正義の士をして、
陰謀政治
を排除せよと絶叫せし
むるに至つたの
であります。(
拍手
)
かく
して、
罷免
から
追放
へ、あまつさえ、刑事問題の追打ちとまで迫
つて
くるのを見て、か
つて
同志を、こうまでしなくてもいいではないかという、暗い、冷たい感じを深うせざるを得なか
つたの
であります。(
拍手
)こういう
状態
のもとに、いかに
道義
を説かれても、いかに
友愛
、
信義
、
公明正大
を論ぜられても、
國民
は、もはやこれに耳を傾けないでありまし
よう
。(
拍手
)この際、むしろすなおに事の
眞相
を明らかにいたしまして、すなおに
責任
の所在を明確にして、
國民
をして納得せしむる
よう
にいたしますることが、何よりも
最善
の策であると私は思うのであります。よ
つて
私は、次の五点について
お尋ね
をいたしたい。 第一点、昨年の十月末、
平野
氏が未だ
追放
された事実がないのに、
追放決定
のごとく
虚偽
の
報道
をいたしましたのは、一体何の
根拠
に基づくものであるのか。(
拍手
)また
総理大臣
は、その
責任者
を何ゆえに処分しないのか。第二点、
司法大臣
及び
総理大臣
は、
刑事事件
につき不実を述べて
平野
氏の
辞職勧告
をしたことは、
司法権
を
政爭
の具に供する
謀略行為
ではないか。(
拍手
)第三点、
農林大臣
を
罷免
した
理由
は一体何か。その
罷免行為
は
憲法違反
と思うが、いかん。第四点、
追放
の
わく
を拡げてまで
平野
氏を
追放
し
よう
といたしました
理由
と
責任
を問う。第五点、今回の
中央公職適否審査委員会
の不明朗極まりなき
最後決定
に対する
責任
の究明と再
審査
の要求並びに將來の
対策
、以上五点であります。 まず第一点より、順次
お尋ね
をいたしたい。十月の三十日、
平野農林大臣
が
供米懇請
のために
新潟
へ出張いたしまして留守中、
西尾官房長官
は、突如として
平野農相追放決定
を
放送
いたしました。三十一日
毎日新聞記事
によりますれば、その
追放
の事由まで
はつきり
と書いてあります。すなわち
追放
の
理由
は、
戰時中皇道会
の
有力メンバー
であるとともに、
機関雜誌
「
皇道
」の
署名人
であ
つた
こと、当時の
立候補資格申請書
にこれが
記入漏れ
とな
つて
おり、告訴されて
刑事事件
とな
つて
いる点であるというのであります。しかし、
平野
氏が
皇道会
の有力な
メンバー
であ
つた
こと、
機関紙
「
皇道
」の
署名人
であ
つた
ことは、すでにすでに
中央公職適否審査委員会
の議題となり、昨年の三月及び五月の二回にわた
つて
、愼重に
審議
されて、非
該当
と
決定
せられ、その後、何らのエヴィデンスも起
つて
おりません。もちろん、
右西尾
氏の
放送
当時は、その
委員会
には全然
関係
なか
つたの
であります。申すまでもなく、
政府
といえ
ども
資格審査委員会
にかけないで勝手に
追放
することのできないことは、当然であります。
從つて
、その
委員会
にかか
つて
いない
平野
氏を、あたかも
追放
に
決定
した
よう
に
報道
するということは、ま
つた
く
虚偽
の事実を捏造
報道
したものと言わざるを得ないのであります。(
拍手
)
西尾
氏は、十一月四日、
社会党代議士会
の席上、成重
代議士
の
質問
に対し、
平野
君の
追放
の点は、
新聞記者
に問い詰められて、知らず知らずに話してしま
つたの
で、遺憾であるとお述べになりました。しかし
西尾
さんは、実にしつかりなさ
つた
方でありまして、とても心にもないことを、問い詰められて余儀なくおしやべりなさる
よう
なお方ではないのであります。(
拍手
)かえ
つて
、この事実こそ、
平野
氏の
追放
問題が、正規の
機関
にかかる以前に、早くも
西尾
さんの頭の中で、
平野追放
、
平野追放
と
決定
してお
つた
ことを物語
つて
余りあるのであります。(
拍手
)
平野追放決定
とは、
委員会
における
決定
にあらずして、
西尾
さんの頭の中で
決定
してお
つた
ことを物語る以外の
何もの
でもない。(
拍手
)すなわち、心の中にあるものだから、問い詰められて知らず知らずに言
つた
ことが、その本音を物語
つた
。すなわち、
西尾
氏の頭の中に描いた策謀を、みずから告白する以外の
何もの
でもないことを信ぜざるを得ないのであります。(
拍手
)もし、しからずとすれば、一体何がゆえにこの
虚偽
の
放送
をしたのか、おのずからその
根拠
を明白に願わなければなりません。
総理大臣
は、十一月五日、衆議院本
会議
において、
中野代議士
の
質問
に対し、
平野追放
の
記事
は
新聞
の誤報であるとい
つて
お逃げになりました。しかし
新聞社
から、逆にその
責任
を問われて陳謝をせられたことは、御
承知
の
通り
であります。(
拍手
)これは
虚偽
の事実を
放送
したことを裏書したものといわざるを得ないのであります。しかるにその後、それにもかかわらず、何らの処置をと
つて
おられません。しかもこの
放送
は、
農相
不在中、卒然としてこれをなし、ために
世人
をして
暗殺
と評せしめ、不明朗極まる
印象
を
世人
に與えたのである。よ
つて
この際、一切の
眞相
を明らかにし、その
責任
をいかにするか、明確に答弁せられんことを望みます。 第二点は、
平野
氏に対する、
資格申請書中
の
記載漏れ
を告発いたしました
事件
は、
平野
氏が
農林大臣就任
後のことであります。当時
鈴木司法大臣
は、
平野
氏に対し、こういう
事件
は、五百件に一件もないことである、こういう
事件
は放
つて
おきまし
よう
と言われた。その以後、そのままにな
つて
おりましたのに、
平野
氏が
新潟
へ立とうといたします朝、すなわち十月の二十九日の朝、突然に
司法大臣
は、
平野農林大臣
に向かいまして、君は
農林大臣
をやめたらどうか、それでないと、この
事件
は
起訴
になると言われたのであります。しかし、事実は断じてそうではないので、
平野
氏は、その前日、
出射檢事
より初めてその
取調べ
を受けておるのであります。
平野
氏は、相当弁解もいたしますし、立証し
よう
ともいたしました。そこで
檢事
は、数名の証人を喚ぶことを約し、
事件
はまだ、これが初歩であります、まだまだこれから十分
取調べ
なければなりません、さ
よう
に
檢事
はおつしや
つたの
である。事実、実際の
取調べ
は、その後に始ま
つて
おる。
司法大臣
の言う
よう
に、
辞職
をしなければ今にも
起訴
されそうな
状態
では、断じてなか
つた
ことは明白であります。 そこで
平野
氏は、こういう
事件
でやめるわけにはまいりませんと答えた。すると
司法大臣
は、あんたは、なおほかにも
事件
があります、やめなければ
追放
されますと言われた。しかしその当時、
追放
は何ら
機関
にかか
つて
いない。これはうそだ。これは、ただいま申し上げた
通り
である。そこで
平野
氏は、それとこれとは違います、
追放
されるならば
農林大臣
もやめになるのだから、ことさらに
農林大臣
をやめるわけにはまいらぬと述べまするとともに、
追放
などは、ありつこありませんと答えた。そこで
鈴木司法大臣
は、
総理大臣
の所へ
追放
の指令が來ておるでありまし
よう
と言うた。そこで
平野
君は、それならば、
片山
さんの所に私
自身行つて
、それを見せてもらいまし
よう
と
言つて
出かけた。しかして、
片山
さんに
会つて
、何か來ておりますかとお問をいたしましたところ、何にも來ておらぬということであ
つた
。それならば、
新潟
行きはやめるわけにはいかぬということで、
片山
さんの御
了解
を得て、二十九日の夜行で出発をしたのであります。すると、そのるす中、
前述
の
通り西尾
さんからの
虚偽
の
放送
が発せられた。 しかして、その後十一月一日の午後一時、
社会党中央執行委員会
が開かれた際に、
司法大臣
は、
平野
氏の
起訴問題重大岐路
に立つということを述べられ、今にも
起訴
になりそうな
状態
である旨を示されました。これは
新聞
に
はつきり
と書いてある。しかして同夜、
平野
氏が
新潟
から帰
つて
まいりましたので、われわれ
全農議員團
は、九段において彼を迎えた。御
相談
の上に、あなたが直接
行つて
は、感情がとが
つて
いるからよろしくない、私
ども
が参りまし
よう
、まずひとつ御
相談
してみまし
よう
、
平野
氏に対する
弾圧
は、
全農
に対する
弾圧
でもある、われわれもじつとしてはおられませんというので、私以下
全農議員團
の者五、六名は、
片山総理大臣
をお訪ねいたしました。ところが
片山総理大臣
は、
平野
君の
刑事事件
は、
起訴
、不
起訴
を決すべき重大時期に到達をしておる、万一
起訴
にでもなると、閣僚中から
被告人
を出さんければならぬことになり、
片山内閣
の名誉のために、まことに耐えがたいところであるから、どうか今月中にひとつやめさせてもらいたい、明日にも置けば
起訴
になるかもわからぬと、
総理大臣
は
はつきり
私
ども
に申されたのであります。(「
司法権
の濫用だ」「
陰謀
々々」呼ぶ者あり) ところが、事実はどうでありまし
よう
。事実は、全然それと相違しておる。
起訴
、不
起訴
を決すべき
檢察当局
の本格的な
取調べ
は、その以後に行われておる。その後二箇月を経ているけれ
ども
、
起訴
、不
起訴
はまだ
決定
しなか
つた
ではないか。(
拍手
)本年正月に入
つて
、
中央資格審査委員会
の
決定
を見て、初めて
最後
の断が下されたことは、これは嚴粛なる事実であります。十月の末から十一月の初めごろは、断じて
起訴
前夜の
状態
でなか
つた
と、私は固く信じて疑わない。 元來、檢察権の
行使
について
政治的圧力
を加えるがごときは、嚴に愼まんければならぬことはもちろん、
檢察当局
すら
起訴
、不
起訴
の
決定
をすることのできない
段階
にある
事件
に対して、その上司たる
司法大臣
並びに
総理大臣
が、あたかも
起訴
前夜にあるかのごとき口吻を漏らし、
一種
の威圧を感ぜざるを得ない
情勢下
に
辞職
の
勧告
をあえてするというがごときは、まことに遺憾であるといわざるを得ないのであります。(
拍手
)
平野
氏をして、
政府
の
行動
は
権力
を濫用する
謀略的行為
だと憤慨せしめましたことは、まことに無理からぬところであると思うのであります。
政府
は、一体何と考えられるか。もし
政府
にして、そうでないとおつしやるならば、私
ども
の心から納得のいきます
よう
、懇切なる説明あらんことを切望いたします。 第三点、
政府
は、当初
追放
だとおつしやいましたが、それが成り立たぬことを知るや、
憲法
第六十八条に基づいて
罷免
すると言い出されました。その
理由
は、
内閣
不
統一
だというのであります。しからば、一体何が
内閣
の不
統一
であるか。
総理大臣
並びに
司法大臣
の御説明によれば、
平野
氏がスターズ・アンド・ストライプス、すなわち「
星條旗
」という
雜誌
の
記者
に話したことがけしからぬとか、
米価決定
に際しての
平野
氏の
論爭並びに地方
での
演説
がよろしくなか
つた
とかいうのでありましたが、か
よう
なことで、あの大事な
農相
の首を切られるということは、とても私はできないと考えるのであります。この点、すでに
中央執行委員会
においても論議を交わしましたことでもございますので、私はこれを省略する。しかし、これでも
つて
平野
氏の首を切
つた
というのでは、世間がおそらく
承知
はいたしますまい。それかあらぬか、その後、
農相罷免
の
理由
は不
統一
ではないのだ、非
協力
だと言い出した。初めは
追放
だと言い、今度は不
統一
だと言い、そうでないと、また今度は非
協力
だと言い出した。しかし
平野
氏は、
農林大臣就任以來
、窮迫せる
食糧問題解決
のために身をも
つて
当り、
輸入食料
の
懇請
に、供出の促進に、
最善
を盡してまい
つたの
であります。その他
農林行政百般
にわた
つて
、過失なくその
責任
を果たしており、
農林大臣
として、こうも非
協力
ではなか
つた
と私
ども
は信ずるのであります。
從つて
、おそらく
平野
君
罷免
の
原因
は、他に隠されてあるのではないかと考えざるを得ないのは、けだし私一人でありまし
よう
か。もし、これがあるならば、この際卒直に、ここに示されんことを望んでやみません。
総理大臣
並びに
司法大臣
の言われるところによれば、その筋から何らかの
指示
があ
つた
ことく承りました。しかし、もしそうだとしたならば、いかなる
機関
より、いかなる
指示
があ
つたの
か、それはある
機関
を代表したものか、あるいは一部員が個人的になられたものか、またその
指示
は、
文書
によるものであるのか、あるいはまた單なる口頭による示唆に過ぎなか
つた
ものであるか、これを明確に示されんことを望みます。その昔、いわゆる袞竜の袖に隠れて
政敵
を射たものがあると同様に、今日、その筋の名に隠れて
政敵
を射るものなしとはしない。われわれの聞くところにおいては、過去において、しばしばこの傾向があ
つた
ために、その筋よりの
指示
については必ず
文書
によることとし、正当なる
機関
による正しい命令ないし
指示
なるものを明らかにせられない限り、決して公式にとり上げないことにしていたことがあることを私は聞いている。今回の件は、はたしていかなる性質のものであ
つた
か、ここに卒直にわれわれ
國民
の前に示されたい。(
拍手
) なお、ここに重要なことは、この
罷免
の手続は、
総理大臣
としての
職権行為
であるから、
内閣法
第四條によりまして、
閣議決定
を必要とし、またその
罷免
が効力を生ずるためには、
憲法
第七條によ
つて天皇
の認証を必要とし、この
天皇
の
國事
に関する
行為
には、
内閣
の助言と承認を必要といたしますので、
憲法
第三條により、
内閣
全体としてその
責任
を負うべき
事柄
であります。この点についても、
閣議決定
を経なければならないことは当然である。しかるに
総理大臣
が、その
閣議
を開くことなくして、
專横独裁
の処分を敢行したのである。(
拍手
)ま
つた
く
憲法違反
の
行為
といわざるを得ない。 あるいは
総理大臣
は、それは
持回り閣議
をや
つたの
だと言わるるかもわからぬ。しかし、
平野
君に対する
辞職
の
勧告
は、十一月の四日午前零時十五分まで続けられている。私も、そのとき
総理大臣
の部屋にお
つたの
であります。しかして、
平野
君とあなたとは、別室において相当長くお話をなさいました。遂に決裂を見たのは、四日午前零時十五分であります。やむなく、われわれは涙をのんで廊下に出た。そこには、多数の
新聞記者
がすわりこんでいた。われわれは、この間を潜
つて
去ろうといたしまするときに、この
報道班
に対して、
平野
君
罷免
をすでに
放送
していたではないか。その間わずかに五分ないし十分、この間
閣議
の行われ
よう
道理がありません。同日來てお
つたの
は、
鈴木司法大臣
と
西尾官房長官
だけである、この間、いかにして
持回り閣議
をや
つた
でありまし
よう
。電話をかけ
よう
た
つて
、あの午前零時十五分に、各
大臣
の家にわずか五分や十分でかかるものではございません。私は、この
罷免行為
は、
独裁專横
の、
憲法違反
の所為なりと存ずるのであります。
総理大臣
は以下に考えらるるか、その所信をお伺いしたいのであります。 第四点は、
追放
の
わく
を拡げてまで
平野
氏を
追放
しなければならぬ
理由
は、いずこにあ
つたの
でありまし
よう
か。
雜誌
「
皇道
」の
編修人
たりしことをも
つて
追放
し
よう
とはか
つた
が、この「
皇道
」が
わく外
にあることがわかると、これを拡げて
平野
氏をかけ
よう
としたのである。こうまでもしなければならぬ
理由
が、どこにありまし
よう
か。
政府
は、この
わく
の
変更
は決して
平野
氏のためにしたのではない、他の
言論機関
も共に考慮
決定
したのだというのでありますが、しかし、この
平野
問題が天下の重大問題とな
つて
おりますときに、この
平野
氏を
追放
するに必要な
改正
が、その目の前で行われたときに、いかに弁解し
よう
となさいましても、
平野
氏のための
改正
ではないとはたして言い得るでありまし
よう
か。そう
言つて
みたところで、
大衆
がこれを信ずるでありまし
よう
か。(「ヒヤヒヤ」「その
通り
」)しかも、もともと
言論機関追放
の
わく
をつく
つたの
は、現在の
司法大臣
である。そのとき
司法大臣
は、
雜誌
「
皇道
」は
わく外
にすべきものだという信念に基いて、これを除外なされた。しかるに、その後間もなくして、数箇月を出でずして、
平野
君問題が起
つて
まいりますると、朝令暮改とはこれでありまし
よう
。たちまちにして、
司法大臣
はひつくり返りまして、これを
わく
内に入れ
よう
とした。しかして、これを断行して、
平野
君を
追放
することのできる再
審査
の機会を與えたのであります。しかして、遂に
追放決定
にまでこぎつけたのである。たれが、この
わく
の
変更
が
平野追放
に
関係
なきものであるということが言われまし
よう
。 ついでに私は、この際申し上げたい。
わく
を拡げて
平野
氏を
追放
しながら、その後任は、
東亞連盟
という
わく
内の
常任理事
をや
つて
おられた波多野氏を起用されたのである。(
拍手
)これは、
教学局昭和
十六年十一月発行「
思想研究
」第十三集、百三十六ページを御参照になれば明確であります。ここに
朱線
を引いておりますから、
ごらん
になるなら、
ごらん
を願いたい。
かく
して、
政府
のごき
げん
にかなえば、どんなことでもできるが、一たび少々ごき
げん
を損なうたならば、法律をかえてでも首を切ろうとする
内閣
の存在は、
大衆
の前に受け入れられるでありまし
よう
か。私は、
政府
のお考えを深く承りたいのであります。 第五点、今回の
中央公職適否審査委員会
は、実に不明朗極まりなきものであります。
平野
氏
資格
問題は、すでに数回にわた
つて
非
該当
と
決定
されておりまして、今ごろにな
つて
何で彼を
追放
しなければならぬのであろうかということは、
社会一般
の
常識
であります。現に
総理大臣
も、組閣の際に、
平野
氏の
資格
には
十分檢討
を加ええられまして、これでよろしいという
確信
を得て、それを
農林大臣
に起用しておる。
資格
問題について
審査
を受くべき事項は、最近起
つた
事柄
ではありません。ずつと昔に起
つた
事柄
である。その後、何らの
変更
も見ていないのであります。
常識
を有する普通の人に判断せしめますならば、きのうとき
よう
と、さ
よう
にひつくり返るわけはないのであります。(
拍手
) さればこそ、
前述
のごとく
わく
を拡げて、
平野
氏の再
審査
をなさしむることに
なつ
たけれ
ども
、
中央公職適否審査委員会
は、昨年の末数回の
審議
を重ねました結果、十二月二十六日、七対二の多数をも
つて
、明確に非
該当
と
決定
しておるのであります。(
拍手
)しかるに
政府
は、これを欲しなか
つた
もののごとく、再度
審査
を要望し、さらに
会議
が続けられることに
なつ
た。
西尾
氏は、
新聞
が傳える
よう
な
最後的判断
があ
つたの
ではないと否定をなさ
つて
おる。しかし、断じてさ
よう
は言わせません。
右委員会
の
委員岩淵辰雄
氏の
手記
によ
つて
明確にされておる
通り
、事実はま
つた
くこれに反するものであります。
岩淵
氏は何と
言つて
おる。十二月二十六日、
委員会
が
平野
氏の
資格
を非
該当
と判定したとき、これが
最終
の
決定
であること、この
決定
は
文書
にして、公式に報告すべき所へは報告をすること、しかして、それに対する意見は、
内閣
からもどこからも、公
文書
によ
つて
受取ることを申し合わせたのである。そして、その
文書
を作成したのである。その意味は、
平野
問題は世論の注目するところで、
審査委員会
が
権力
の傀儡とな
つて
いるのではないかという疑惑が
一般
に濃くな
つて
いる。
審査委員会
が
片山
氏なり
西尾
氏の奴隷化することを警戒して、
委員会
の動向を注意していたので、二十六日の
決定
に対しても、
一般
の誤解を避けるために、一切の非公式の
行動
による取扱いはしないことにしたのである。こういう
よう
に、明確に
最終
の
決定
がせられたことは、
はつきり
いたしておる。これで、事実はまことに明白である。 しかるに
委員長
は、その後しばしば
片山総理
その他
内閣責任者
を訪問いたしまして、二十九日以後の
委員長
においては、
委員長
の
態度
がにわかに重大なる変化を見る
よう
に
なつ
たということは、これまた、この
岩淵
氏の
手記
の中に明示されておるのである。
かく
て一月十三日、
委員会
においては、ついに四対五に逆轉し、
平野
氏は
該当
と
決定
されたのである。 その直接の
原因
は、一体何か。その
決定
の前夜、
牧野委員長
は、
白銀委員
を伴い、
内閣
の自動車を駆
つて大河内委員
を訪問した。
委員長
は
大河内
氏に対して、
平野
氏の
該当
とならねばならぬ事情を種々説明せられ、
投票
の場合には、
岩淵
氏だけはむづかしいかもわからぬが、他は少くとも承諾をしてくれたから、八対一にはなる、他の
了解
はちやんと得られたから、よろしくと
言つて
、
相談
をもちかけた。
大河内
氏はこれを信じ、これに
從つて
投票
したのである。ところが翌日
大河内
氏が出てきて
投票
して、開いてみると、ま
つた
く意外なる結果であ
つた
。非常に驚いた。しかして、良心の呵責に耐えられないで、
平野個人
に対して一札の
手記
を與えた。それには何と書いてある。ただいまの
よう
な
前提
を省略いたしまして右の
よう
な
前提
が滿たされていなか
つたの
であるから、
自分
の
投票
は
一種
の錯覚に基づいたものである、もし全員(
岩淵
氏を除く)が
該当
としての
投票
を行わないということならば、二十六日の
委員会
において一應
決定
された結果に
從つて
行動
したいというのが
自分
の
眞意
である、と書いてあるのであります。(
拍手
)私は、
かく
のごとき詐術による
投票
は、ま
つた
く無効であると思うと同時に、
政府
にも重大なる
責任
があると思うのである。
政府
は、この
決定
に何ら
関係
がない。
委員会
に対しても何ら
圧力
を加えたものではないというふうに弁解しておられますが、もし
政府
が何らの容喙をせられずに、眞に
委員会
の自由なる
決定
に任しておいたならば、十二月二十六日の
決定
は、そのまま確定したであろうということは、私が言わずとも明らかなことである。(
拍手
)しかるに、その
決定
に不滿を感ずればこそ、それを受け入れ
よう
といたしませず、再
審査
を要望し、二十九日に続行され、さらに一月に繰越したのである。 しかして
西尾官房長官
は、一月四日大阪において、「
新春政局
を語る」と題する
新聞
の
記事
において表明されておる
通り
、
委員会
の
審議
に絶対に
政治的考慮
がはい
つて
いないとも
確信
ができない。
政府
は
委員会
がより高い立場から
審査
を行い、判定をすることを望んでいると、
はつきり
お述べにな
つて
おられます。この間、
前述
する
通り
、
委員長
と
政府
との間にはしばしば折衝が行われた。十三日の
決定
の前日十二日には、その日は
委員会
のない日であるのにかかわりませず、
牧野委員長
は
太田事務局長
、
西尾官房長官
、
曾禰次長等
と
会合協議
をいたしましたことは、その当時、ラジオによ
つて
明確に
報道
されておることである。(
拍手
)
政府
が、その
権力
にものをいわせて、
委員会
が抑えたとの嫌疑は、歴然たるものがあるといわざるを得ないのであります。 これを総合してお考えいただきましても、
平野
氏の
資格
問題が何ら
正式機関
にかか
つて
いないのに、
官房長官
の頭では、もう
追放決定
と最初から刻みつけられておる。実に、この
初一念
はどこまでも押し通される。また通されたものであることを、われわれは認めざるを得ないのである。(
拍手
)この
初一念
が
司法大臣
に通じて、
司法大臣
は、
起訴
、不
起訴
ま
つた
く不明の
段階
であるのにかかわらず、
起訴
前夜であるかのごとく述べ、
辞職勧告
をなし、
平野
氏がこれを拒否するや、今度はあらたま
つて
総理大臣
の
罷免権行使
となり、進んでは、
わく
を拡げて
追放
にかかる。しかして、十二月二十六日に
至つて
非
該当
の
決定
となるや、これを拒否し、
西尾
氏みずからが、
委員会
の
審議
には
政治的考慮
のはいることもあり得る、
政府
は
委員会
がより高き立場から
審査
を行い、判定することを望んでおると公言をしておられる。も
つて
委員会
を動かし、
委員長
等はしばしば
政府
要路者と
会つて
協議を重ねた末が、
委員長
の
大河内
氏訪問とな
つて
おる。よ
つて
一票を詐術にかけてと
つて
おる。も
つて
非
該当
をひつくり返したのである。何ぞ
政府
が
関係
なしと言われまし
よう
。(
拍手
)
かく
て
政府
は、
委員会
の数度にわたる非
該当
決定
はあくまでも認容いたしませず、
最後
にわずかに一票の差、しかも詐術による
該当
決定
が現れるや、待
つて
ましたとばかり、ただちに
該当
指令を急いでお出しに
なつ
た。これは普通ならば、前は非
該当
々々々で來ておりますから、た
つた
一票の差くらいで
該当
が出ましても、ほんとうに公正無私、ほんとうに明朗にして
公明正大
な方であ
つた
ならば、これはどうも疑わしい、その
該当
についても、もう一度お考え直しをや
つて
はどうかということが、私はほんとうの姿であるだろうと思う。(
拍手
)非
該当
がどんどんつくと、これをけつしてしもうておいて、今度詐術による一票でひつくり返ると、待
つて
ましたとばかりに
指示
を出してしまう。何の公明がここにありますか。(
拍手
)
かく
のごときは、実に
委員会
制度を破壊するものであり、日本民主化の敵であるといわざるを得ないのである。(
拍手
)
政府
は速やかに右一月十三日の
決定
を拒否し、再
審査
を命ずべきであると思うが、はたしていかん。同時に、
かく
のごとき
委員会
は日本の將來を誤るものである。これを最高裁判所に移し、眞に公正無私、何人にも拘束されず、自由に判断することのできる機構に改むべきであると同時に、他面、この國会内にその不当
決定
の実情を調査する
委員会
を設くべきであると思うが、いかん。(
拍手
)
政府
のお考えを伺いたいのであります。 われわれ
全農
有志議員十六名は、
平野
氏の問題に憤激し、
社会
党を離脱いたしまして、新生面を開拓いたすべく、今や團結しておる。私も、一片の義心やみがたく、司法政務次官を棒に振り、
なつ
かしの同志とそでをわか
つて
、遂にこの壇上に立たざるを得なくな
つて
おる。(
拍手
)われわれの胸中を十分に御洞察賜りまして、卒直にして誠意のある答弁を切望してやまない次第であります。(
拍手
) 〔
國務大臣
片山
哲君登壇〕
片山哲
4
○
國務大臣
(
片山
哲君) 多年の同僚にわかれなくてはならないことになりましたのは、まことに遺憾であります。佐竹君の御議論は、人情問題という
よう
な点に主点をおかれた
よう
でありますが、この問題は、それ以上嚴粛な問題でありまして、冷静に、理論的にお考え願いたいと思うのであります。私は多年の友達でありまする
平野
君を
罷免
するに至りましたる
理由
は、この前の國会において、るる詳細に申し上げた
通り
でありまして、
追放
とかあるは告訴問題を
理由
にいたしていないのであります。閣内の問題、閣内非
協力
問題を
理由
にいたしまして、
平野
氏に
辞職
を要求いたしまして、聽かれなか
つた
ものでありまするから、やむを得ず
罷免
いたした
よう
な次第であります。新
憲法
の規定によりまするならば、
罷免
権は
内閣
総理大臣
に與えられたる権利であります。これを、やむを得ざる場合においては
行使
することができるのでありますから、この権限を
行使
するとは、決して非立憲、
憲法違反
の
行為
ではないのであります。この手続につきましては、この前の國会においてお答えいたしておりまする
通り
でありまして、
罷免
をいたすについては… 〔発言する者多し〕
松岡駒吉
5
○議長(
松岡駒吉
君) 靜粛に願います。
片山哲
6
○
國務大臣
(
片山
哲君)(続)
閣議
に諮る必要はないのであります。認証を得まする手続については、
閣議
を経る必要があるのでありまして、これは、この前お答えいたしました
通り
、
閣議
において総理一任という形式にな
つて
お
つたの
であります。前回のお答えと同様でありまして、決して
憲法違反
の
行為
をいたしていないことを、あらためて明らかにいたしたいと存じます。(
拍手
) なお、詳細の点は
司法大臣
からお答えいたすことになりまするが、私は、一月十三日に
中央資格審査委員会
が
決定
いたしましたる
決定
が正しいと信頼いたしております。でありまするから、ただいま佐竹君があげられましたる一、二の委員の意見を採用いたしまして、再
審議
するという
よう
な考えはも
つて
おりません。組織上、規定上、定められたる
委員会
が、最も公正に、最も民主的にや
つて
おられるのであります。一委員の書面によりまするならば、佐竹君がおあげになりましたのと違
つた
理由
も発表にな
つて
おるのでありまするから、佐竹君のおあげになりましたる
理由
だけを信用することはいけないのでありまして、
委員長
の正式の報告を正確なりと私は信じておる次第であります。以上の
よう
な次第でありまするから、
審議
をやり直すとか、さ
よう
な考えはも
つて
おりませんので、この
委員会
の決議に不服があるという
よう
な場合においては、正規の手続きによ
つて
訴願をなさるという手続が残されておるだけであると考えておる次第であります。こういう問題が政治
道義
に違反するということで、政治
道義
の問題を取上げられておる
よう
でありまするが、この前お答えいたしましたる
通り
、お互いの政治問題に携わ
つて
おりまする者が、意見の相違を來したり、政策に関する見解を異にいたしたる場合においては、わかれるということは、これはやむを得ないことでありまして、
道義
の問題と別個にお考え願わなければならない問題であると私は考えておる次第であります。以上の
よう
な次第でありまするから、決して
政府
のとりましたる
態度
は、事を構えて、
追放
を
理由
にして追い出すとか、あるいはまた
委員会
に干渉するという
よう
な考えは、断じてないということを明らかに申し上げておきたいと思います。 〔
國務大臣
西尾
末廣君登壇〕 〔発言する者多し〕
松岡駒吉
7
○議長(
松岡駒吉
君) 靜粛に願います。
西尾末廣
8
○
國務大臣
(
西尾
末廣君) ただいま佐竹君から御
質問
のあ
つた
点につきまして、それからの経緯につきましては、
司法大臣
から詳しくお答えすることにいたしまして、私は、私に関する点についてのみお答えいたしたいと思います。 問題を正確に理解するためには、何が事実であるかということを明確にすることが何よりも大事であろうと思うのであります。その意味におきまして、佐竹君の言われた、
政府
は未だ
追放
ときまらないのに、すなわち
平野
君が
新潟
に
行つて
いる留守中に、
追放決定
と発表したというお言葉がありましたが(「号外が出た」と呼ぶ者あり)
政府
は決して、
平野
君が
追放
と
決定
したと発表したことは、絶対にありません。これもみな、事実を明らかにいたしておきたいと思うのであります。 その次に、一月十三日の
委員会
の
決定
の前日、私をも交えて
牧野委員長
と会
つた
というお話がありましたが、私は前日にも会わないし、また昨年末
以來
、
牧野委員長
とは一回も会
つた
ことはありません。これは事実です。 それからもう一つは、一月四日の読賣
新聞
の
記事
の私の談話について言及せられたのでありますが、あの談話は、当時
記者
に会
つた
時に、
記者
は約一時間の間私と話してお
つたの
でありますが、一枚のメモを持たず、一本の鉛筆も持たず、いろいろ座談をして後に書いたのでありまして、私が決して公表したものではありません。殊に私は、
新聞
の
記事
の一つ一つについて
責任
はもてないのであります。このことを明らかにいたしておきます。 〔
國務大臣
鈴木義男君登壇〕 〔発言する者多し〕
松岡駒吉
9
○議長(
松岡駒吉
君) 靜粛に願います。
鈴木義男
10
○
國務大臣
(鈴木義男君) ただいま佐竹君から、
平野
前
農相
の
追放
問題について御
質問
があ
つたの
であります。
平野
君の問題は、その経過上にいろいろの波瀾がありましたために、はなはだしい誤解が廣く行われておるのであります。また佐竹君の御陳述の中にも、たくさんの事実の間違があるのでありまするから、この機会に、私から一應経過を御説明申し上げまして、兼ねて御
質問
にお答えいたしたいと存じます。
平野
氏の
追放
が、何かと政略的なものから起
つた
ものではないかということを言われました一つの
理由
は、昨年十月三十日の各
新聞
紙上に、突然
平野
氏の
追放
問題が大きくクローズ・アツプされたことに基づく
よう
に思うのであります。あの時に
報道
せらるべきものがあ
つた
とすれば、
総理大臣
が
平野
氏に辞表の提出を求める意向だということであ
つたの
であります。これも、
一般
には青天の霹靂であ
つた
ろうと思いまするが、その直後の事情に鑑みて、不自然でなく受取れることであ
つたの
であります。
追放
のことは、当時調査課程にあ
つたの
でありまするが、まだ発表すべき
段階
に達してお
つたの
ではないのであります。これは
辞職
の要望とは別に、なお相当の日時を要することであ
つたの
であります。それが、あの時突如として
報道
されるに至
つた
ということは、大きい誤解を生む
原因
と
なつ
たことは否定できません。首相が
平野
氏に
辞職
を求めたことは、
追放
と何ら直接の
関係
はないのであります。(「至上命令と言
つた
じやないか」と呼ぶ者あり) 首相が
平野
氏に
辞職
を求める決意を固められましたのは、私の聞いておるところによりますれば、九月、十月の交において、
平野
さんが、たびたび、
内閣
の閣僚としては許されない放言を内外の
新聞社
に向
つて
なしたためであります。(発言する者あり)私は、首相が
辞職
を要望し、聽かなければ
罷免
を決意せられたということは、無理からぬことと思われるのであります。これに対して、
雜誌
「
皇道
」の発行兼
編修人
たることに関連いたしまして、一旦昨年の五月九日に
資格
の
審査
を通過してお
つた
平野
さんの
資格
が、再び新しく
審査
の対象にな
つて
きましたのは、ま
つた
く別個の徑路をたど
つた
ものであります。(「その
理由
を言え」と呼び、その他発言する者あり)
罷免
の有無にかかわらず、近い將來に再審させらるべき運命にあ
つたの
であります。ただ、
罷免
がなければ平明に進行すべきはずであ
つた
再
審査
が、
罷免
がありましたために、不必要に波乱を重ねたと言うことができるだけであります。(発言する者あり) 昨年の五月九日に、
平野
氏の
資格
は、その
資格
申請書に基づいて一應
決定
をしたことは、事実であります。しかるに、現
内閣
成立後、昨年六月二十六日に至りまして、東京地方裁判所
檢事
局に、高知縣の長野一之なる者が、
平野
氏の
資格
申請書には重要なる事実の脱漏があるものとして、
皇道会
の重要役員として活動したこと、
機関紙
「
皇道
」の発行兼
編修人
であ
つた
こと等を、証拠を添付して説明をいたしまして、戰時中、軍國主義的、戰意高揚的活動を活動をなしていたことを指摘し、政治道徳の高揚をモットーとする…。(「
東亞連盟
の理事はどうした」と呼び、その他発言する者あり)あとで申し上げます。(「
西尾
はどうする」と呼び、その他発言する者あり)政治道徳をモットーとする
片山内閣
は… 〔発言する者多し〕
松岡駒吉
11
○議長(
松岡駒吉
君) 靜粛に願います。
鈴木義男
12
○
國務大臣
(鈴木義男君)(続) この問題を最も公明に処理すべきことを要望して、告発してきたのであります。(発言する者あり) 当時私は、刑事局長から
文書
をも
つて
、かかる告発のあ
つた
こと並びに近く捜査に着手する旨の報告に接したのでありますが、事情やむを得ないものと認めまして、
取調べ
は公正になすべきこと、被疑者の名誉は十分に尊重すべきことを訓示していたのであります。(発言する者あり)
平野
氏は、私に好意をも
つて
おられたのでありまして、その友人同僚である
平野
氏の事実について
取調べ
を命じなければならない私の立場は、断腸の思いであ
つたの
であります。(「断腸とは何だ」と呼び、その他発言する者あり)しかしながら、
司法大臣
としては、あくまで情実等に左右されず、法の執行は嚴正公平でなければならないと信じておりましたから、その後も、機会あるごとに下僚に向
つて
、政党政派の区別なく、その人の地位のいかんにかかわらず、檢察は常に公正でなければならないということを訓示してきておるのであります。(「何を言うか」と呼び、その他発言する者あり)その後七月の上旬に、主任
檢事
は一回
平野
氏を
取調べ
たのでありまするが、非常に多忙でありまして、
取調べ
は相当時間を要するので、問答による尋問は一應打ち切りまして、別に
文書
で詳細の答弁を提出せしむることして処理した旨の報告を受けたのであります。しかし
平野
氏は、なかなかこれを実行されなか
つたの
であります。 一方これとは
関係
なく、
内閣
監査課において、前
内閣
以來
言論
報道
機関
の
追放
調査が着々進められておりまして、私はそれを引継いだのでありまするが、六月三十日、
追放
該当
が発表せらるるに至
つた
これは一つのセンセーシヨンを起こしたのでありまして、各方面から、
自分
は
該当
しないはずだという主張や、あの
雜誌
が指定されないのはふしぎだという
よう
な指摘が殺到したのであります。数千の
新聞
や
雜誌
についての調査でありまするから、いかに誠実にや
つて
も、多少の過誤なきを保せないのであります。ゆえに、それらの主張に対しては愼長に再調査して、除くべきものは除き、加うべきものは加えることを約束したのであります。このうち、現閣僚に
関係
のあるものとして各方面から強くして期せられましたのが、
雜誌
「
皇道
」と
新聞
「ジヤパン・タイムス」であります。(発言する者あり)私は、これらも基準に照らして、公正に判断すべきことを監査課の事務当局に命じておいたのであります。
かく
て、この二つの
取調べ
と調査とは、互いに無
関係
に進んでお
つたの
でありまするが、
平野
氏にと
つて
不幸なことには、八月、九月ころ、
平野
氏は建築制限の法令に反して、許可を得ずに(「何を言うか」と呼び、その他発言する者あり)湯殿、ガレージ、天文台等を建築しておることが、
新聞
紙上に報告せられたのであります。 (「
関係
がないじやないか」と呼び、その他発言する者多し)
松岡駒吉
13
○議長(
松岡駒吉
君) 靜粛に願います。
鈴木義男
14
○
國務大臣
(鈴木義男君)(続) これらは、いずれも後にな
つて
許可されたのでありますが、これらの一連の事実は、
関係
方面でも深甚な関心をもつに至
つたの
でありまして、
檢察当局
は、これらの点を調査することとな
つたの
であります。
檢事
局は、長野市の告発を受理いたしまするや、ただちに
中央公職適否審査委員会
事務局に請求して、一昨年と昨年の
平野
氏提出の
審査
請求書原本を取寄せ、
檢事
局が戰時中から蒐集保存しておりまする思想運動史の証據資料と対比して調査いたしましたるところ、
平野
氏は、氏が戰時事中参加して重要な役割を務めたところの右翼的團体、全日本農民組合同盟、國家
社会
主義学盟、あるいわ國家
社会
党
関係
の記載をも省略していることを認めたのであります。
皇道会
も含めまして、これら團体の成立事情や、その活動目的は、思想係
檢事
をも
つて
おりました
檢事
局といたしましては、十分に
承知
いたしておるところでありまして、
檢事
局の見解によれば、これらの團体がポツダム勅令のG項團体に
該当
し、
平野
氏が重要なる役職員の地位を占めていたことは、ほとんど議論の余地のないことであ
つたの
であります。ゆえに、
平野
さんの答弁が、人違いであ
つた
とか、その地位がま
つた
く違
つて
お
つた
とかいうことでないかぎり、
追放
該当
事項の省略としては、
起訴
を免除するわけにはいかないことの見透しであ
つたの
であります。 この点が、後に
中央資格審査委員会
で非常な議論となり、反対意見も相当出たということは、むしろふしぎとするくらいなものであ
つたの
であります。このことは、
檢事
局の意見としては、十月の二十四日
平野
氏を喚問して、午前午後にわた
つて
十分に弁明を聽取いたしました後、主任
檢事
並びに檢察首脳部の一致するに至
つた
意見であ
つたの
であります。
檢事
局が、この
段階
で一時静観することになりましたのは、決裁を請求し
よう
としてお
つた
瞬間に、
追放
問題が
新聞
紙上に大きく取上げられまして、続いて
平野
氏の
罷免
が行われたので、檢察が政治的に動くという誤解を避けるためであ
つたの
であります。 しかし、そのことを知
つて
おりました私は、十月二十八日、仙台から帰りまして、
総理大臣
の
辞職
要求の決意を聽きますや、事態を放置すべきでないと考えまして、懇談によ
つて
波乱少なく解決し
よう
として、ま
つた
く私の独断をも
つて
、二十九日、
平野
氏と懇談したわけであります。私の企図した、波乱少ない解決策は、その進行途上において、
追放
の表面化として各
新聞
紙上に大きく取上げられましたために、ま
つた
く水泡に帰したわけであります。しかし、このことがあ
つたの
にもかかわらず、
雜誌
「
皇道
」のリスト追加と、申請書に記載省略の刑事訴追の調査処理とは、そのまま進行を続けたのでありまして、十一月二十五日、
雜誌
「
皇道
」は「國粋」その他十種類の
雜誌
とともに、基準に
該当
する
雜誌
としてリストの上に追加発表されたのであります。その結果、十二月上旬から、
中央資格審査委員会
において、改めて
雜誌
並びに
平野
氏が再
審査
されることとな
つて
、世上周知のごとき経過をたど
つたの
であります。
平野
氏の再
審査
と勅令違反の
起訴
とは、上述の
よう
な経路をたど
つて
到達をしたのでありまして、
社会
党内の内紛とか、
西尾
氏と
平野
氏の
関係
が昔日のごとくでないということは、あえて否定いたしませんが、それは純然たる私事である。私事のために、
追放
というがごとき公事が亳末も影響を受けるものでないことは、私の断言してはばからないところであります。あるいは
罷免
問題とも、何のかかわりもないのであります。偶然同時に競合いたしましたために、疑惑と誤解とを生んだのであります。
内閣
の監査下も、
檢察当局
も、かかることはま
つた
く無
関係
に、公正に、事務的に処理してい
つた
ものであることを断言いたします。 そこで問題は、
中央公職適否審査委員会
の
審査
について佐竹君からお疑いでありますが、
審査
会は祕密会であ
つて
、
一般
の場合には、主管の
大臣
といえ
ども
内容は聞知しないのであります。しかるに奇怪なことには、
平野
氏の
審査
内容は、その都度、若干歪曲されながら、かなり詳細に
新聞
紙上に公表されたことであります。
一般
に関心をもたれておりますることは否定いたしませんが、何らかの作為なくしては、かかることは可能ではあり得ないのであります。これは、ほとんど類例のないことでありまして、私
ども
の遺憾とするところでありまするが、
岩淵
氏が指摘されました
よう
に、
委員会
は不覇独立であ
つて
、
権力
の奴隷とな
つて
はいけないとともに、また被
審査
者
審査
を受ける者の代理人となる
よう
なことがあ
つて
もならないのであります。
委員会
のこの
審査
内容は祕密でありまするから、これに対して詳細に批評をすることは避けたいと思いまするが、
平野
氏の
審査
は、し
かく
難しい問題ではないのでありまするに、傳えられる
よう
に紛糾したといたしますれば、
委員会
の一部は世論に動かされて、この問題の起りを
西尾
氏対
平野
氏の確執にありと信じ、その渦中に陥
つて
はならないという警戒心が必要以上に働いたためではないかと思われるのであります。もし、そうだといたしまするならば、これは道途の説に動かされた邪推でありまして、再
審査
の要求が、他の多くの
審査
要求と同じく、
前述
の
よう
に事務的必然性をも
つて
提起されてきてお
つた
ことを看過したものであります。何らの戒心をもたずに問題に対していただきたか
つたの
であります。 私は、十二月二十六日、
委員会
は一應の結論に到達して、
委員長
はその結果を
関係
方面へ報告し、
審査
のなお不十分な点について注意を喚起されたということを聞いております。事
追放
に関する限り、
関係
方面が発言と再
審査
の権限を有することは、覚書並びに勅令に明記されているところでありまするから、当然のことであります。これに対しても、成心をも
つて
臨むべきではないのであります。ただ、その注意なり意見なりが合理的であるかどうかということを檢討すれば足りるのであります。十二月二十六日の可否の比率——は採決はとらなか
つた
よう
に聞いておりまするが、その後回を重ねて、一月の十三日に
最後
の
決定
をしたときには、過半数が
該当
の意見を表示したことには間違いはないのでありまするから、これが
委員会
の到達した結論と申すほかはないのであります。
大河内
委員の表示が問題と
なつ
た
よう
でありますが、同委員が
平野
夫人に手交されたメモの中に「錯覚」という言葉が使われておりまするために、疑念を惹起こしたわけでありますが、その意味は、採決の手続が希望のごとく運ばれなか
つた
ということを遺憾とするという意味でありまして、事務局長を通じて公式に出されました声明並びに今回
総理大臣
、マツカーサー司令部に出しました弁明書によりますれば、
大河内
一男君の自書した、これは弁明書でありまするが、「その文中に、あたかも私が錯覚に基づき
自分
の信念に反した
投票
を行
つた
かのごとき誤解を牽き起こす個所がありますが、私の
投票
は、私が資料の檢討と総体しての判断の結果決意したものであります。」「
平野
氏に対しては私個人としてはまことにお氣の毒にたえませぬが、
最終
決定
に参加した私は、
自分
の信念に基づいて
投票
したものであることを申し上げておきます。また
牧野委員長
が拙宅に御來駕くださ
つた
ことは確かですが、過日私が弁明書にも詳細書き記しておきました
よう
に、
該当
を
投票
する
よう
私を勧説されたごときことは絶対にございません。
從つて
私の
投票
に関連して
委員会
が再
投票
又は最
審査
を行うという
よう
な必要はないものと考えます。」(
拍手
)こう述べておられるのであります。
決定
の正当性につきましては、疑問の余地はないと信ずるのであります。
平野
氏の
該当
が、やむを得ないものであるかどうかということは、過日発表せられました
委員会
の判定
理由
書を一読せらますれば、おのずから明らかであろうと存ずるのであります。これに対しましてまで政略的だと言う者がありますれば、何らかの成心をも
つて
見るものというほかはないと存ずるのであります。
追放
は、もともと政治思想に対する批判であります。犯罪構成要件を批判する
よう
に、あまりに分析的になりまするときに、かえ
つて
正鵠を失するのである。木を見て森を見ないという非難を受けるのであります。 私は
平野
氏の偉大なる一面を認め、農民運動上の功績は高くこれを評価するものでありまするが、およそ、この
追放
事由のありますものについては、その他の違法
行為
に対する
責任
究明とともに、何人に対しても公平でなければならないと信じます。ゆえに…(「ジヤパン・タイムスはどうするか」と呼ぶ者あり)ジヤパン・タイムスが
該当
せざることは、すでに発表済であります。波多野
農林大臣
に御指摘のごときことがありまするならば、
追放
に
該当
することはもちろんでありまするが、ただいま十分に調査中であります。その他、いやしくも疑いがありまする場合には、公正に
取調べ
をいたしますことについては、人によ
つて
区別する
よう
なことは断じてないのであります。これをもちまして、佐竹君の御
質問
に対するお答えといたしたいと思います。(
拍手
)
松岡駒吉
15
○議長(
松岡駒吉
君) 佐竹君、申合せの時間が五分ほどであります。申合せの時間が非常に迫
つて
おります。発言を許します。 〔
佐竹晴記
君登壇〕
佐竹晴記
16
○
佐竹晴記
君 まず、
片山総理大臣
に対し再
質問
いたします。
憲法
六十八條二項に基づく
罷免
であるから、
理由
を示す必要なしと言わんばかりの答弁であります。しかし、
憲法
六十八條による
罷免
は、
天皇
の認証を要する重大な
國事
の一つである
憲法
第三條によ
つて
、
内閣
全体が
責任
を負わなければならぬ重要事項の一つである。それのみならず、
國務大臣
罷免
に止まりませず、
農林大臣
という行
政府
の長たる
資格
を奪うのでありますから、
憲法
六十六條第三項に基づいて、國会に対して連帶
責任
を負わなければならぬ行政権の
行使
として、相当の
理由
を具備しなければならぬことは当然である。(「その
通り
」)さらに一歩進めて考察するに、
憲法
六十八條二項に、任意に
罷免
することができるとあ
つて
も、それは
総理大臣
の右重大なる
國事
に関する権限の規定であるから、どんな氣隨氣ままなことでも、自由にや
つて
よろしいという趣旨ではない。あくまで公人として、公正妥当に事を処理することを
前提
として任意にや
つて
よろしいというのである。公正妥当な事由なしに、勝手な
行動
を許されたものとは、私は断じて思わない。 他面
総理大臣
は、
國民
全体の奉仕者である公務員の選定並びに
罷免
は、
憲法
第十五條に示す
通り
、
國民
固有の権限である。
農林大臣
という行
政府
の長を任免することは、この固有の権限に由來するものであることに鑑みるならば、この
農林大臣
と
罷免
するためには、
國民
の何人にも理解ができ、また
國民
の何人も納得のいく客観的事由の存在することを要し、いたずらに專恣の振舞を許さるべきものでないということは、私がここに申し上げるまでもないのであります。(
拍手
)もし
総理大臣
が、事由のいかんにかかわらず、ほしいままに閣僚の首を切ることができるというときは、私的感情の報復のために、事由に
罷免
権を
行使
することができる。ときには、
政爭
の具に供するおそれがある。(「ヒヤヒヤ」)
かく
ては、新
憲法
は
專横独裁
の権限を附與した法典と化し、民主
憲法
の精神は、断然根底より破壊さるるに至るでありまし
よう
。(「ヒヤヒヤ」
拍手
) 本件
罷免
の前後を
ごらん
なさい。当初は
追放
と
言つて
おられる。刑事問題にからま
つて
、不実の事実を土台として
辞職
を迫り、
平野
さんが聽かぬということになると、今度は不
統一
だ。これを爭うと、今度は不一致とくる。しまいに、
わく
を拡げてこれを切ろうとした。そうして、先ほど申し上げまする
よう
に、遂に
委員会
まで手を伸ばしておる。こんなことが、はたして許されるでありまし
よう
か。私は少なくとも、公正妥当な、客観的に正当な事由があ
つて
罷免
をしたと、
國民
の前にこれをさらけ出して御判断を願うが一番適当だ思う。何とぞ明快なる御答弁を煩わします。(
拍手
) 私は、さらに
西尾
氏及び鈴木氏に徹底的にこれから申し上げ
よう
と考えますが、しかし、議長より時間を制限されましたので、(「やれやれ」と呼ぶ者あり)ただ
西尾
氏に一言申し上げたいことは、
追放
に関し
新聞記者
に話したことは、この佐竹の言う
よう
な、それとは違うのだとおつしやられたが、それなら、また再び
新聞
が誤傳であると、また
新聞
に
責任
をなするところの前の
総理大臣
の答弁に返るのである。さきに
総理大臣
は、そのときに陳謝をせられて済んでおるんじやないか。(
拍手
)これをむし返すことは卑怯千万である。また、一月四日の
新聞
記事
について
責任
を負えないというけれ
ども
、なるほどメモはなか
つた
。一時間も話した、これは弁解になりません。およそ何も言わぬことを、
新聞記者
諸君が書くわけはない。ある程度これについて
責任
を負うということは当然である。違うならば、ここが違
つて
おる、これこれしかじかであ
つて
、私の
眞意
はこれであるという親切な答弁があ
つて
、初めて答弁である。答弁にな
つて
おらぬ。 また鈴木氏のごときは、私の問いに対して何ら答弁をしないではないか。どこでお書きにな
つて
、どこで御協議に
なつ
たかしらぬけれ
ども
、長い書面を書いてきて、私の
質問
には一向つじつまが合わない。それをここで読み上げておる。これがなんの答弁であるか。答弁ではない。しかも、私が靜かにお聽きを申し上げたそれについて、つぶさに、もう一度五項目について、順を追うて御答弁を願いたい。私は、あなたが、いかにも
委員会
を弁護し、何でも
委員会
を弁護し、
委員会
と一体とな
つて
、
政府
と
委員会
が一緒くたにな
つて
平野
氏を陥れた感じを、あなたの答弁によ
つて
受けこそすれ、あなたの答弁によ
つて
、私
ども
の疑問は何ら氷解したものでないことを、はなはだ遺憾に存ずる。 なおお聽き申し上げたい点がありまするけれ
ども
、私は時間を許されませんので、この程度に止めておきますが、ただいまの御答弁には、絶対に承服することはできません。他日適当な機会において、なお徹底的に
お尋ね
することの機会があることを留保いたしまして、
質問
を打切ります。(
拍手
) 〔「答弁々々」と呼び、その他発言する者多し〕 〔
國務大臣
片山
哲君登壇〕
片山哲
17
○
國務大臣
(
片山
哲君)
平野
君
罷免
の
理由
は明らかにいたしておるのであります。すなわち、
内閣
非
協力
という
理由
であります。この
理由
で十分であろうと考へております。 〔「抽象的じやいかぬ」と呼び、その他発言する者多し〕 —————————————
山花秀雄
18
○山花秀雄君
國務大臣
の
演説
に対する残余の
質疑
は延期し… 〔発言する者多く、聽取不能〕
松岡駒吉
19
○議長(
松岡駒吉
君) 山花君、ただいまの動議をもう一度繰返してください。 〔「答弁をさせなければだめじやないか」「きのうもそうだ」と呼び、その他発言する者、離席するもの多く、議場騒然〕
松岡駒吉
20
○議長(
松岡駒吉
君)
官房長官
並びに
司法大臣
よりは答弁がないそうでありますから…。 〔「動議は成立していない」「動議を諮れ」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
松岡駒吉
21
○議長(
松岡駒吉
君) 山花君、先ほどの動議は議場に徹底しておりませんから、もう一度
はつきり
言つて
ください。
山花秀雄
22
○山花秀雄君
國務大臣
の
演説
に対する残余の
質疑
は延期し、明二十八日定刻より本
会議
を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。 〔「異議あり」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
松岡駒吉
23
○議長(
松岡駒吉
君) 山花秀雄君より、
國務大臣
の
演説
に対する残余の
質疑
は延期し、明二十八日定刻より本
会議
を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会すべしとの動議が提出されております。 〔発言する者多し〕
松岡駒吉
24
○議長(
松岡駒吉
君) ただいまの動議に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票、これより記名
投票
を行います。議場の閉鎖。氏名の点呼を命じます。 〔参事氏名を点呼〕 〔発言する者多し〕
松岡駒吉
25
○議長(
松岡駒吉
君) 賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されんことを望みます。 〔参事氏名の点呼を継続〕
松岡駒吉
26
○議長(
松岡駒吉
君)
投票
漏れはありませんか。——
投票
漏れなしと認めます。
投票
箱閉鎖。開匣。開鎖。
投票
を計算いたさせます。 〔参事
投票
の数を計算〕
松岡駒吉
27
○議長(
松岡駒吉
君)
投票
の結果を事務総長より報告いたさせます。 〔事務総長朗読〕
投票
総数 二百十九 可とする者(白票) 百三十 否とする者(青票) 八十九 〔
拍手
)
松岡駒吉
28
○議長(
松岡駒吉
君) 右の結果、山花君の動議は可決されました。 ————————————— 〔参照〕 山花君の動議を可とする議員の氏名 赤松 勇君 足立 梅市君 淺沼稻次郎君 荒畑 勝三君 井伊 誠一君 井上 良次君 伊瀬幸太郎君 伊藤卯四郎君 池谷 信一君 石神 啓吾君 稻村 順三君 大島 義晴君 加藤 勘十君 笠原 貞造君 片島 港君
片山
哲君 勝間田清一君 川島 金次君 久保田鶴松君 黒田 寿男君 佐々木更三君 佐竹 新市君 堺 一雄君 笹口 晃君 重井 鹿治君 島田 晋作君 鈴木 雄二君 鈴木 義男君 田中繊之進君 田中 松月君 田淵 実夫君 館 俊三君 玉井 祐吉君 戸叶 里子君 中崎 敏君 永井勝次郎君 成瀬喜五郎君 成田 知巳君
西尾
末廣君 西村 榮一君 野上 健次君 馬場 秀夫君 原 彪之助君 細川 隆元君 細野三千雄君 前田榮之助君 前田 種男君 正木 清君 松永 義雄君 松本 七郎君 水谷長三郎君 森田 道輔君 森 三樹二君 森戸 辰男君 矢尾喜三郎君 矢後 嘉藏君 安平 鹿一君 山口 靜江君 山崎 道子君 山下 榮二君 山中日露史君 山花 秀雄君 吉川 兼光君 米窪 滿亮君 和田 敏明君 安東 義良君 荒木萬壽夫君 伊藤 恭一君 飯村 泉君 生悦住貞太郎君 宇都宮則綱君 馬場 晃君 梅林 時雄君 小野 孝君 大上 司君 大澤嘉平治君 大森 玉木君 岡野 繁藏君 押川 定秋君 金光 義邦君 木村小左衞門君 喜多楢治郎君 小島 徹三君 小平 久雄君 小林 運美君 小松 勇次君 椎熊 三郎君 田島 房邦君 田中 萬逸君 高岡 忠弘君 竹田 儀一君 武田 キヨ君 橘 直治君 坪川 信三君 寺本 齋君 苫米地義三君 中垣 國男君 中島 茂喜君 中曽根康弘君 中村 又一君 長野 長廣君 長野重右ヱ門君 西田 隆男君 西山冨佐太君 原 彪君 一松 定吉君 福田 繁芳君 舟崎 由之君 細川八十八君 三好 竹勇君 武藤 嘉一君 最上 英子君 八並 達雄君 矢野 政男君 山崎 岩男君 山下 春江君 吉田 安君 米田 吉盛君 石田 一松君 今井 耕君 川越 博君 木下 榮君 河野 金昇君 酒井 敏雄君 笹森 順造君 竹山祐太郎君 豊澤 豊雄君 萩原 壽雄君 松原 一彦君 松本 瀧藏君 否とする議員の氏名 青木 孝義君 有田 二郎君 石田 博英君 石原 圓吉君 泉山 三六君 稻田 直道君 岩本 信行君 内海 安吉君 江崎 真澄君 小笠原八十美君 小澤佐重喜君 大石 倫治君 大瀧亀代司君 岡村利右衞門君 加藤隆太郎君 花月 純誠君 柏原 義則君 片岡伊三郎君 川村善八郎君 木村 公平君 北浦圭太郎君 佐々木盛雄君 佐瀬 昌三君 坂本 實君 澁谷雄太郎君 島村 一郎君 白井 佐吉君 鈴木 仙八君 多田 勇君 高田 弥市君 高橋 英吉君 竹尾 弌君 辻 寛一君 冨田 照君 仲内 憲治君 西村 久之君 野原 正勝君 原田 憲君 平島 良一君 廣川 弘禪君 本多 市郎君 益谷 秀次君 松浦 東介君 松崎 朝治君 松野 頼三君 水谷 昇君 村上 勇君 森 幸太郎君 山口喜久一郎君 若松 虎雄君 渡邊 良夫君 東 舜英君 井上 知治君 尾崎 末吉君 生越 三郎君 工藤 鐵男君 佐々木秀世君 田中 角榮君 中村 嘉壽君 根本龍太郎君 原 健三郎君 原 孝吉君 平澤 長吉君 降旗 徳弥君 本間 俊一君 八木 一郎君 赤松 明勅君 衞藤 速君 大石ヨシエ君 叶 凸君 佐竹 晴記君 鈴木 善幸君 田中 健吉君 高瀬 傳君
平野
力三君 藤田 榮君 本藤 恒松君 松澤 一君 松本 眞一君 水野 實郎君 小西 寅松君 田中 久雄君 只野直三郎君 外崎千代吉君 中村元治郎君 前田 正男君 加藤吉太夫君 高倉 定助君 綱島 正興君 —————————————
松岡駒吉
29
○議長(
松岡駒吉
君) よ
つて
本日はこれにて散会いたします。 午後五時五十八分散会