運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1948-01-24 第2回国会 衆議院 本会議 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年一月二十四日(土曜日)     午後二時四十九分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第四号   昭和二十三年一月二十四日(土曜日)     午後一時開議  一 國務大臣演説に対する質疑(前回の続)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 國務大臣演説に対する質疑を継続いたします。苫米地義三君の発言の昨日の継続を許します。苫米地義三君。     〔苫米地義三登壇
  4. 苫米地義三

    苫米地義三君 昨日、私の発言中に休憩になりまして、さらにその後散会になつたために、私の演説が中途半端になりましたので、本日は、多少重複する点もございましようが、私の質問といたしまする第二点の労働問題について申し上げたいと思うのであります。  わが國の労働運動は、戰後に急速に発展いたしまして、今や勤労大衆の大部分は組織化されまして、組合運動としては健全なる発達を遂げつつあることは、まことに喜ばしきことであると存じます。しかるに、戰後わが國経済界破局的進行は、一方に物價高騰インフレーション進行を促進し、他方生活物資欠乏がはなはだしくなりまして、勤労大衆生活を圧迫し、國家の保障する配給生活物資のみによつては、わずかに生命を保つにすぎないのみならず、それさえ遅配・欠配等が常態となりまして、生活上の不安と焦躁の念を與えまして、これがために、はなはだしく労働生産性が妨げられたことは、まことに遺憾至極とするところでございます。かかるせつぱ詰つた事情のもとにおいて、労働者生活保障要求し、また生活資金の増加を求めることは当然でありまして、その手段たるいわゆる労働攻勢が継続的に行われておるのでありまするが、このことは、物價インフレーション高進と、生活物資欠乏を続くる限りにおきましては、やむを得ない現象であるかと存ずるのであります。  この事実は、普通平常時において発生するところの資本家に対する賃上要求とは、著しくその本質を異にいたしておるのでありまして、まつたくわが國終戰後の特殊的、変態的経済の中に起る現象であろうと思います。すなわち、資本家労働搾取によるものではなくて、企業そのものがすでに赤字を出し、資本を食いこむ実情でありまして、政府の強行いたしつつある統制経済下において発生するところの畸形的な現象であると思われるのであります。從つて、その大半の責任政府の負うべきものが少なからずあるものと思いますが、これは一つは、統制未熟または欠陷のもたらす結果であるかとも思われるのであります。  この意味において、今日の労働問題は全面的に政治の問題であり、政治國民のひとしく参加するところでありまするから、労働組合経済問題を超越して、政治運動にまで進展する傾向にあることも、無理からぬことであると思われるのであります。また経済問題といたしましても、企業参加人事権関與のごとき問題が、今なお労資の間に縣案となつて残されておりまするが、政府は、この状態にあるわが國の労働組合運動の限界をいかように考え、いかように指導せられんとするのでありまするか、この点に対するお答えを得たいと思います。  次に、わが國労働運動並びに組合組織は、その範を欧米の例に学んでおりまして、今日政府のとつております労働政策も、またしかりであると思います。ところが、欧米労働組合は主として肉体労働者團結であるのに反しまして、わが國におきましては、熟練工、技術者事務員指導者管理者等をも含めて組合を結成しており、その構成と内容において、著しく欧米労働組合とは異なつておることは御承知通りであります。一昨年來國内各地に頻発いたしました労働爭議において、欧米にその例を見ることができない生産管理とか企業管理等が行われ、経営者側孤立無援状態陷つたというこの事実は、まつたくわが國の労働組合特殊的性格をもつておるという証左でございます。この特殊的組合の健全なる発達を助成せんとするには、おのずからわが國独特の方策をもつて指導誘掖せねばならぬと思います。政府は、これに対していかなる見解を有せられますか。また爭議行為といたしましても、生産管理のような企業権を侵すような疑いをもつ行為に対しまして、いかに考えられておりますか、この点も伺いたいと思います。  また組合事業は、組合員相互自治的責任と義務とにおいて運営さるべきものでありまするにもかかわらず、組合專從者といたしまして、公務員あるいは会社從業員が、その待遇をそのまま受けながら、本來の業務を放擲いたしまして、もつぱら組合仕事にのみ從事しつつある事実を見るのでございまするが、労働組合の健全なる発達を促す過渡的処置といたしましては、あるいはやむを得ない一時的現象かと思うのでありまするけれども、政府は、これに対する基本的見解だけは明らかにしておく必要があると思うのであります。  私は、前に述べました通り、わが國の労働組合本質欧米のそれとははなはだしく相違いたしておりまするところからいたしまして、飜訳的労働組合と称するよりも、むしろ勤労組合と名づけた方が妥当であるように思うのであります。しかして、わが國の勤労者は、今こそ救國大任を果すべき中核的立場にあるのでありまして、祖國興亡は一にかかつて勤労者の手にあると申しても差支えないと思います。勤労者は実に全人格の発露であり、もはや單なる賃金取引対象物ではないと思います。ここに、わが國独特の勤労組合が創建される段階に到達いたしており、断じて飜訳的組合に堕してはならないと思うのであります。資本主義全盛のアメリカにおいてさえ、近時労働者に対する地位の向上利益の配分を認めまして、いわゆる社会化されたる修正資本主義に轉向しつつあることは明かでありまして、前の米國商工会議所会頭エリツク・ジヨンストン氏の公表しておるところが、まさにその通りであります。  わが國は、財閥解体独占禁止企業集中排除等によりまして、資本の分散がだんだん行われ、資本の威力が消滅して、企業支配力失つたのでありますから、今後におきましては、民衆の努力によつて得られますところの蓄積のみが、貴重なる資本として経済面に現れると思います。從つて、少なくとも大企業にありましては、單一資本企業を起し、経営を独占するというようなことは、もはやあり得ないのでありまして、ただ企業経営優秀性のみが資本を誘引する唯一の力となるものでないかと思われます。私はここに、わが國勤労者にとつてまことに重大なる立場があると思うのでありまして、すなわち、企業社会より、資本民衆より信託せられるものであるということが認識され、企業に從事する全從業員は、経営の衝に当ります者も、技術を担当する者も、現場に從事する者も、ことごとくその能力に應じてその職域を分担し、その業績をあげることによつて社会に貢献し、またその利益資本從業員との間に配分いたしまして、一面資本を尊重し、他面勤労者各自の福利を招來するというわが國独特の新しい企業経営形態と、勤労者組織とが成り立つものであると信じます。(拍手)  かかる観点に立つ場合に、團体爭議権の行使におきましても、必ずしもストライキによつて生産復興を阻害するがごとき行為に出なくとも、少なくとも戰後動乱経済経済を回復するまでは、その要求手段は、あくまでも輿論と國会労働委員会等の、いわゆる平和的機関に訴えて解決する途をとるべきだと存じます。かくてこそ、わが労働運動内外信用を博し、救國大任を果たすことができると思うのであります。  最近、フランスのド・ゴール氏は、労働組合を非難して、彼らは最低賃金要求し、最小限度の働きをし、そして最小限度生産しか行わない、こんなばかげた労働組合制度には、もはやあきあきした、労資はすべからく協同結合しなければならぬと言つております。われわれは、他山の石として謹聽しなければならぬと思います。同時にわれわれは、從來商品的労働が、今や新憲法下に解放されまして、人格的労働にまで進化せることを認識し、勤労者組織と活動は、よろしく一段の社会的進歩をいたさなければならぬと存ずる次第であります。政府は、これに対していかなる所見を有せられまするや、この点について伺いたいと思います。  第三点は、統制経済政策の問題であります。経済安定本部の創設いたされまして以來、わが國の経済統制は、漸次その範囲を拡大いたしまして、またその程度をも強化いたしまして、現在では、すでにあらゆる生活物資にまで及んでまいつたような実情であります。しかるに、かくのごとき廣汎にして複雜なる統制は、机上計画におきましても容易に正鵠を得るものではなく、いわんや、複雜なる経済界にこれを正確に適合せしめんとすることは、簡單にでき得るものではございません。統制経済は、その特質として機械的操作であり、有機的社会にこれを應用せんとするときには、おのずからその範囲程度と時期等を考慮する必要があると思います。特にわが國の社会的傳統歴史的民族性の上に欧米式統制方式をそのままに移植するがごときことは、あたかも砂漠を流れる川をせき止めると同様、周辺至るところより河水の浸透漏洩をみることは当然でありまして、今日統制物資の横流し、やみ取引の横行が氾濫いたしておりまする事実によりましても、最も強く証明されているところであります。かの人工経済の完璧をもつて誇るところのソ連にあつてさえ、三十年來の経験によつて、その機械的統制に破綻を招來し、今や自由経済の一部を認むるに至つたことからいたしましても、このことが了解されると思うのであります。  しかしながら、わが國におきまする現在の欠乏経済を突破するためには、もとより放任された自由経済は許されるべきものでなく、賢明なる計画のもとに、統制範囲程度とを選択し、緩急よろしきを得る統制経済政策を樹立することは、もちろん必要であります。ただ、われわれが今日実施せられているところの経済統制は、その行き過ぎと、そのまずさとによつて産業経済復興を阻害し、國民生活の安定を妨げつつある現実を見出すのであります。また企画廳たる経済安定本部各省との間に、機構の重複と運営の不円滑がありまして、その両者間にわたる煩雜なる二重手続等のために、民間経済界は少なからぬ迷惑をこうむりつつあることは事実であります。政府は、これに対していかなる見解をもたれますか。また、統制政策全面的構想に対して再検討をする御意思がないかどうか、この点を伺いたいと思います。  第四点は、物價賃金の問題でございます。昨年七月、政府は、緊急経済対策の重要なる施策といたしまして、全面的に物價を改定し、一挙に戰前の六十倍ないし六十五倍のいわゆる物價安定帶を構成いたしまして、これに織りこんだ賃金は千八百円ベースであつたのでありますが、廣汎なる物價の査定というものは、三箇月間にわたつて順次行われましたために、諸物價の間に時間的なずれが起りまして、そのために、構成された物價相当均衡を失つている事実を見るのであります。その最も著しい例は、物價の一環として取扱われました運賃でありまして、ひとしく物價廳において算出改訂されましたにかかわらず、他の諸物價との均衡を失つたために、初めから赤字が増大したのであります。かくのごときは、他の諸物價間にありましても同様でありまして、むしろ、産業経済界に動揺を招來し、この偏差價格の影響は、かえつてインフレ高進の一助となり、民間企業賃金値上げの動機ともなりまして、やみ物價高騰を誘発したのでございます。物價構成技術未熟から招來した現象であると私は思うのであります。  しかして、今や再び諸物價運賃並びに賃金に対しまして全面的な改訂の必要に迫られておることは、諸君御承知通りでありますが、政府は再びこの失敗を繰返してはなりません。経済安定本部は、廣汎なる物價均衡調整に対して、はたして自信をもつ改訂ができましようかどうか、この点に対しまして、安定本部長官の御答弁を願いたいと思います。  さらに私は、この機会に、米の供出制度に関し農相の所見をただしたいと思います。從來、米の供出農家生産量からその生活用として保有米を控除し、残量は全部供出せしむる方法でありまして、農家がいかに努力とくふうを凝らして増産いたしましても、ことごとくこれを公定價格をもつて政府に買い上げられるのでありまするから、農家生産意欲は減退し、増産をはなはだしく阻害しつつある事実はあきらかであります。食糧危機の場合、まことに憂慮すべき現象でありまして、現に耕作反別現象が年々増加しつつある統計上の数字から見ましてもあきらかであります。しかもまた農家は、一面においてその必需物資をやみ買いせねばならぬ状態におかれ、正直者がいわゆるばかを見るという実物教育によつて農家純朴性道義性を喪失しつつあることは、遺憾とするところでございます。このことは、要するに供出制度欠陷から招來するものでありまして、まつたく法政の罪に起因するものと思われます。  もとより食糧政策根本は、供出配給制度の、いわゆる分配政策によるものではなくて、生産増強を眼目とする増産政策の強行でなければならぬのでありまするが、その供出制度に対しましても、われわれの主張は、現在のごとき農家保有量以外の全部を供出せしむる方法を改めまして、逆に國家食糧計画を立て、その計画に基づいて、あらかじめ各地域別にこれを割当て、各農家がその割当量を完納いたしました残余に対しては、政府はこれに干渉しない、農家自由処分に任すこととし、ただ買い占めその他発生すべき弊害に対する取締りを行うに止めんとするのであります。かくのごとき方式によつて、初めて農家増産意欲を高め、農民の誠実をとりもどすことができると思います。政府は現在の供出制度に対し、いかなる見解と今後の具体的対策を有せられるや、この点に対して伺いたいと思います。  第五点、行政整理のことであります。行政整理を断行するということは、首相の施政演説に述べられてあります。從來も、財界変動期に際しましては、時の政府によりまして、しばしば行政整理を叫ばれたことがございますが、常に、官廳内に牢固たる基盤をもつ、いわゆる官僚陣に阻まれまして、多くの場合は、中途半端な形式的な整理に終つておるのであります。  現在わが國の行政機構は、戰時、戰後を通じまして相当の変遷を経てきておりまするが、未だ平常時の能率的編成整理されておりません。そこでわれわれは、行政整理を單なる財政的見地に立つて行わんとするものではなく、主たる目的を行政能率向上におくものであります。  まずその第一点は、行政機構改革整理でございます。たとえば、行政官廳から現業を切り離しまして、すなわち運輸省から國有鉄道を分離して鉄道院となし、また逓信省から通信事業を分離して通信院を創設し、これを國営企業といたしまして、独立採算制のもとに経営せしめ、同時に、両省を合して交通省を設置するということ。第二には、経済安定本部を縮小いたしまして、その事務を企画面に止め、実施廳との調整運営を円滑ならしむることにしたい。第三は、各省の部局間の併合整理。第四は、各省地方出先機関整理。その他、中央地方官廳整理統合等をあげることができるのであります。  その第二点は人員配置轉換であります。各省内の配置轉換はもとよりのことでありますが、他省との人事交流を兼ねましての欠員を補充し、または新設官廳への轉出をはかりまして、新規人員採用を差控えることであります。  第三点は、予定人員の天引二割整理であります。現在行政官廳実在人員は、各省において他省の相違はありまするけれども、大体総合いたしますれば、予算面に計上いたしておりまする人員に対比いたしまして、大よそ一割七、八分不足いたしております。從つて、二割整理を断行いたしましても、現在の從業員にさほど大した失業者は出ないと思います。政府は、これを二割五分に拡大して整理するように新聞に傳えられておりますが、機械的に実在人員整理することは、必ずしもわれわれの意図するところではございません。要は、優良なる公務員として行政能率向上せしめんと欲するものであります。よつて、一面には官紀の粛正を断行し、他面行政能率増進運動を強力に展開いたしまして、これに協力せざるものは整理する、優良なる公務員に対しましては、厚く表彰または栄誉を附與する等優遇の途を講ぜんとするものであります。なお、行政整理及び企業整備進行につれまして、ある程度失業者を出すことは萬やむを得ないことであろうかと存じます。しかして、これに対しましては、十分に社会保障の途を講じ、また道路、開拓その他の公共事業を起こしまして、労務の機会を與え、また知能勤労者に対しましては、この場合徹底的に國勢調査のごときものを断行いたしまして、適当なる仕事を與え、その生活を保障せんとするものであります。  政府行政整理に対し、抽象的方針を述べておりますが、われわれの主張するこの具体的方針に対しまして、いかにお考えになりますか、伺いたいと存じます。(拍手)  なお、この機会に申し添えたいことは、四党政策協定破棄に関して、昨日社会党自由党から、それぞれの意見の開陳がありました、この四党政策協定は、現内閣成立の際に、施政基本的政策といたしまして、四党間に意見の一致を見たものでありまして、すなわち、國民多数の意思を総合結集した、妥当なる政策だと申して差支えないと思います。(拍手自由党連立内閣には参加いたしませんでありましたけれども、閣外にあつて援助すると誓つたのも、けだし、この四党の協定政策妥当性を認めたからであろうと思います。(拍手)その後、自由党石炭國官に反対いたして純野党に変りましたけれども、四党政策協定には、必要ある場合は重要産業國家管理を行うということを明白に規定いたしてありまして、自由党といえども、根本的理念においては必ずしも相容れぬ政策でなかつたはずでありまして、今日においても、この四党協定基本的政策は、依然國民多数の支持を受けておると申してよいと思います。  社会党は、最近になつて社会主義政策の実行上これが破棄を熱心に希望せられておりますが、連立内閣を持続する限りにおいては、それは無理な御注文といわなければなりません。(拍手)いわんや四党協定政策は、かなり廣汎な、ゆとりのある大網をとりきめたものでありまして、実際政治の上においては、十分互譲妥協の余地はあるのでありますから、必ずしも破棄の必要はないであろうと思います。  ただ協定第五項但書に、新円封鎖戰時公債利子支拂停止は行わないと規定してありますので、もし社会党が、この禁止的協定事項を断行したいという意味でありまするならば、われわれはこれに反対せざるを得ません。なぜなれば、通貨に対する信用と、公社債に対する國民的信用が、もしも破棄されまするならば、インフレーションはたちまち破局的進展を見るおそれがあり、また今後発行さるべき國公債に重大な支障を招來するばかりでなく、政府が高唱しつつある貯蓄の奬励も、民間資金証券化も、一大頓挫を來すこととなるのであります。また民間企業整備は、一面着々進捗しつつあるのでありますが、公債價格はすでにその整備の中に織りこまれておりまするから、この際、かようなことによつて激変を招くようなことがありまするならば、財界がまた混乱に陷り、企業整備は妨げられることとなると思います。  さらにまた社会党主張は、一面戰時公債利子支拂を停止しながら、他面には巨額の復興建設公債を発行せんとするごとく傳えられておりまするが、これは一方に國家信用を害しながら、他方に國家信用を利用せんとするものでありまして、政策的には矛盾ではないかと思われるのであります。現在わが國の最も重視すべきは、國家信用國民の間に確保することでございまして、われわれは、國家信用破棄せんとするがごとき施策には、断じて賛成することができません。(拍手)さいわいにも総理大臣は、その施政演説におきまして、通貨の封鎖は行わないと声明され、昨日の答弁中には、戰時公債利子支拂停止も考慮していないと言つておられまして、この点に対して、われわれはこれを諒とするものであります。しかる限り、四党協定政策は依然その妥当性を維持するものでありまして、政府はその基本的理念に立脚し、與党内意見調整しながら、具体的政策を樹立してしかるべきと思います。(拍手)  最後に、私は希望を申し上げたい。終戰以來すでに二箇年半、占領軍の好意ある援助にもかかわらず、わが國の経済復興は遅々として進捗いたしません。國内ストツクもまたすでに大半消費し盡して、ややもすれば縮小再生産の方向に轉落せんとする様相がきわめて濃厚でありまして、本年こそは、実にわが國興亡歴史的岐路に立つておると申しても差支えないと思います。かような國状現実にあつては、もとより國民生活の窮乏は改善せられるほどの余裕はなく、勤労大衆要求を満たすこともまた至難でございましよう。片山総理大臣は、昨年來強く國民耐乏生活を要望いたしておることは、まことにもつともなことであると思います。國民は、祖國再建のため、しばらく忍びがたきを忍び、生産復興に全力を盡さねばならぬと存じます。  しかしながら、身にしみ渡る現実の苦痛を緩和して、よりよき慰安を求めんとする人間的要求は、必ずしも理性のままには参りません。この弱点に乘じて、一方には惡辣なる躍動的社会撹乱行為が行われ、他面、利己的経済撹乱行為横行を見るのでありますが、ともに、國家復興を妨害する危險極まる行為でありまして、われわれは、断じてこれを阻止しなければなりません。  第一次欧州大戰後ドイツ復興状態をしばらく回顧いたしまするに、かの有名なるワイマール憲法を制定して、平和的民主的ドイツ復興を企ててましたにもかかわらず、敗戰後社会的、経済的弱点に乘じまして、急進社会主義者等の跋扈は、ややともすれば暴力革命を誘導せんとし、他面ユダヤ暴力利己的跋扈によつて國家の存立を無視する経済秩序破壊的行為があり、ドイツはまさに累卵の危うきに立ち至たつたことは、御承知通りであります。ここにおいてか、祖國を思うドイツ民族は遂に蹶起して、この両勢力左右に破砕し、辛くも亡國の難を免れたことは御承知通りであります。ただ惜しむらくは、指導者ヒトラーの重大なる過誤によりまして、全体主義的独裁國家をつくり上げ、遂にワイマール憲法さえ放棄して、再び今日の悲惨なる亡國の因をなしたのであります。われわれは、今靜かに、このドイツ興亡の跡を他山の石として顧みなければならぬと思います。  われわれは、すでにわが國体に即應したる輝かしき新憲法を制定し、これに基いて民主的平和家再建に邁進せんとしつつあるのでありますが、その復興再建を妨げ、國家を無視するがごとき利己的行爲に対しましては、その個人たる團体たるを問わず、断固として鬪わなければならぬと思います。(拍手)いかなる思想と、いかなる行爲がこれに当るかは、言わずとも明らかであろうと思います。しかして、この恐るべき左右の両勢力に動ぜざる画民態度のみが、信を内外に保つゆえんであり、祖國再建の力であると思います。政府は、よろしく一大勇猛心をもつてこの難局を担当し、みずから謙虚なる態度と誠意をもつて國民の聲に聽き、明朗公正にしてしかも適切なる政治を敢行し、眞に輿望を天下に得て、興国の大任を果されんことを切望いたしてやみません。これをもつて、私の質疑を終ります。(拍手)     〔國務大臣片山哲登壇
  5. 片山哲

    國務大臣片山哲君) 苫米地君の私に対する御質問の第一点は、産業復興外交導入の件であつたと考えます。苫米地君同様、産業復興のために、生産力拡充のために、乏しきわが経済においては、どうしても外資導入を仰がなければならないと思うのであります。これにつきましての用意、心構えといたしましては、わが國全体の政治機構を民主化せしめなければならないのであります。民主國家としてふさわしい政治機構行政機構を立てまして、眞に國民主権の体制を明らかにしていがなければならないことは、言うまでもないと存じます。第一回國会におきまして、大体諸君の御協力によりまして、この点についてはすでに基盤ができておると思うのであります。さらにその上に立つて経済上の問題につきましても、國民あげて復興に協力をする、わが國の乏しき経済を建て直していくという体制を立つていかなければならないと考えるのであります。産業民主化、経済民主化が、この点において強く叫ばれなければならないと思うのであります。こういう意味から、眞にわが國が國際信用を十分に回復いたしまして、國際社会に仲間入りをなし得る態勢を早く整える必要があろうと思うのであります。こういう用意をいたしまして、外資導入を仰いで、眞に産業復興生産再建のために全力を傾倒いたしたいということは、政府の大いに考えている点でありますので、諸君の御協力を仰いでおる次第であります。行政整理の問題等については、担当大臣より御答弁いたします。     〔國務大臣水谷長三郎君登壇
  6. 水谷長三郎

    國務大臣(水谷長三郎君) 昨日……     〔発言する者多し〕
  7. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
  8. 水谷長三郎

    國務大臣(水谷長三郎君)(続) 苫米地さんから、石炭と電力の問題に関して御質問がありましたが、その点に関してお答えいたします。  臨時炭坑管理法の施行と並行いたしまして、將來にわたり石炭の恒久的増産をはかるために、新坑開発を積極的に行う必要がありますが、さしあたり、これに必要な企業化の調査につきましては、政府において早急に着手することといたしまして、年度千七百五十萬円の予算も確定いたしまして、石炭廳にこれが事務を分掌する機関を設けることになつております。開発の事業は、民間企業がこれを行うのが原則でございまして政府はこれに対し必要な助成をなすのでありますが、現在の経済事情によりまして、民間企業が着手し得ないものであつて、炭質その他の条件に恵まれ、國民経済上緊急に開発することを必要といたしまする新坑は、國またはその代行機関においてこれが開発を行うものといたしまして、目下かかる鉱区の選定、事業機構の設備等につき着々準備を進めております。また現在の炭坑企業運営の効率化をはかるため、資材入手円滑化を目的といたしまして、炭鉱と資材メーカーとの連絡を緊密ならしめる必要上、今般炭鉱資材協力官制度を設置し、主要資材を生産する工場に配属することになつており、また地方商工局、各府縣に坑木官を置いて、坑木の円滑なる入手をはかる等、臨時炭鉱管理法の施行と併せて、炭鉱企業援助のため各般の措置を講じておる次第でございます。  次に、石炭の品質改良に対する方針に関しての御質問でございますが、石炭の品質を向上することは、輸送力節約のためにも、石炭の使用効率を向上せしめるためにも、当然大いに力を盡すべき問題でございますが、政府といたしましては、生産、配給及び消費の三方面からの協力を得て、これが成果をあげるべく努力をいたしておる次第でございます。すなわち生産につきましては、品質による價格差を拡大いたしまして、採算上高カロリー炭の生産を有利ならしめることが必要であり、昨年の炭價改訂に際しましては、この方針をとつたのでありますが、これと並行して、選炭設備の急速なる整備を行うこととし、これに必要なる資材・資金の優先確保にかつてきた次第でございます。配給につきましては、配炭公團といたしまして、山元駐在員を炭鉱に配置いたしまして檢量、檢質を嚴重に行わしめて、品質の維持向上をはかることとしておる以外に、配給方法の改善によりまして、消費目的に應じ、これに適当した品質の配炭を行うことによりまして使用効率を上げるように、今後一段と努力をしておる次第でございます。また品質向上につきましては、消費者の協力が非常に重要なのでありまして、政府は、配炭公團をして消費者の檢炭の結果を十分に尊重いたしまして、配給の改善に資したい、このように考えておる次第であります。(拍手)     〔國務大臣米窪滿亮君登壇
  9. 米窪滿亮

    國務大臣(米窪滿亮君) 苫米地さんの私に対する御質問にお答えいたします。  第一の点は、日本の労働運動に対する本質的な、お尋ねだつたと思うのでございます。日本の労働運動は、苫米地さん御指摘のごとく、終戰後にわかに勃興いたしまして、戰爭中に彈圧を受けておつた日本の労働運動が、終戰後自分の力で鬪いとつたというよりも、むしろ他の力で與えられたという関係から、今日労働組合の数二万五千、組織労働者約六百万人に達してはおりまするが、その質の点においては、量の非常なる発展に比べて、必ずしも一致して向上しておらない点があることを、私としましても率直に認めるものでございます。この点につきましては、新憲法によつて勤労者が與えられた基本的人権である各種の団結権、交渉権、罷業権等に対する要求の面があまりにも強く出ておりまして、そうして公共の福祉、社会の安寧に対する勤労者のなすべき義務の点が、やや遅れておるかのごとき感のあることは、これを否定することができないのでございます。從つて苫米地さんがおつしやるごとく、日本の今日のこの窮迫せる、極言すれば崩壊の一歩手前にある経済下において、欧米各國の直輸入、直訳のごとき労働運動が日本において理想的なものとも私は考えておりません。(拍手)しかしながら、日本の労働運動は、昨年の二月一日を契機としまして、目下反省期にはいつておりまして、労働組合運動の中にも、労働組合運動の民主化を理想とする新しき運動が目下起りつつあるのでございます。そうして、これらの民主化的運動を中心として、階級至上主義、爭議激発主義というものが、日本の今日の経済再建のために決してよろしいものでないという考え方が、労働組合自体の中に澎湃として起りつつあることは、秋日本の將來のために喜ぶべきことだと考えるものでございます。政府も、労働教育を通じまして、この健全なる労働組合化の傾向を助長してまいりたいと思います。  次の御質問は、労働組合の活動範囲に関してでございます。労働組合運動の目標は、労働組合法によつて定められておりまする労働条件の維持改善にあり、経済的地位の向上をはかるにあることは、言うまでもないのでございます。しからば、いかなる限界を労働組合運動に求めるかということを、ここで抽象的に申し上げることは困難であると思うのでございます。しかしながら、労働和合が企業における人事権と経営権に介入することについては、法的体制から言いましても、労働者には原則としてないと言わなければならないのであります。しかしながら、契約自由の原則から言いまして、企業者と労働者との間に、團体協約によつて経営権の一部に参加するという契約が行われた場合においては、これはもちろん認められたと思うのでございます。  第三は、争議行爲の限界だと考えるのでございます。この爭議行爲の限界については、具体的状況に應じまして、しかも円満なる社会通念に基づいてきめるべきでございまして、一々ここでこれを抽象的に、概括的に申し上げることはできないのでございます。從つて、最終的には裁判所の判決に求めるということよりほかに、ここでは申し上げられないのでございます。しかしながら、労働者による生産管理というものは、これは決して賛成はできないということを、ここではつきりと申し上げるものでございます。  第四は、專從者の問題でございます。日本の労働組合運動が、冒頭に申し上げました通り、終戰後にわかに勃興して、労働組合の階級的基礎が薄弱であるがために、労働組合運動に專念する專從者が、経営者の側からして給料をもらつておるという、その実情に対しては私は同情するものでありまするが、これは決して健全な労働組合運動からみて、よいと思わないのであります。私は、この点は、將來一日も早く、こういう專從者というものが日本の労働組合運動からなくなることを考え、またその方面から指導する考えであります。  次に、労資の休戰のことについてのお尋ねであつたのでありまするが、労働者もいたずらに労働爭議を起すものではないのでございまして、それは生活難から起つてくる原因が一番多いと思います。從つて労働者生活難を訴えないようにするのが、労働運動における妙諦であると考えるのであります。從つて、この原因を除去するがために、政府はあらゆる方法をとつておるのでございまして、しかも今日の経済実情から見まして、政府労働対策がこの点において不十分であるということを率直に認めるものでございまするが、私をして言わしむるならば、私が就任以來常に唱えておるように、この種の労働爭議は、経営協議会において、労資がほんとうに腹を打割つて話すことによつて相当程度に爭議の起る原因を除去することができます。またどうしても爭議をやらなければならない場合においても、労働委員会にその調停を託しましても、その調停期間中は爭議の直接行動に移らないということが、政府労働対策の根本方針でございます。(拍手)     〔國務大臣齋藤隆夫君登壇
  10. 齋藤隆夫

    國務大臣(齋藤隆夫君) 行政整理に関して御質問がありましたからして、私から大要をお答えいたします。  行政整理は、今日國論の要求でありますから、政府はどうしてもこれをやるつもりであります。御承知のごとく、行政整理には二つの方面がありまして、一つは人員整理であります。また一つは行政機構の改革であります。この人員整理の方は割合に簡單であります。実行することになりますと、大分むずかしいことも起こりますが、やろうと思えば、やれないこともありません。歴代内閣がやりました行政整理は、もつぱら人員整理に止まつております。二割を天引するとか、三割を天引するとかいうことでありましたが、今日は人員整理だけではいかない。さかのぼつて、現在の行政機構を全般的に、根本的に改革をする。これがわれわれの考えであるのでありまするが、しかし、これを実際に具体化として実現することになりますというと、なかなかこれはむずかしいことであります。むずかしいからして、歴代の内閣も口に行政整理を唱えておつても、やれなかつたのであります。今日はそういうことを言うておられない。新憲法は実施になりましたし、憲法の精神に基づいて行政機構の改革をやらねばならぬ。これも改革をやりますところの抽象的の原則は、だれも反対がない。すなわち行政組織を民主的にやれ、能率的にやれ、系統を正せ、簡易化をしろ、こういうことにつきましては、たれも反対はありませんが、さて、これを実際に具体化して実現するということになりますと、なかなかむずしいのであります。  日本の行政組織は、御承知通り、明治以來多年にまたがる傳統の上に建設されておりまして、これが傳統化し、また習慣化しておりまして、これをひとつ断ち切つて、新しい行政組織をこしらえるということは、なかなか容易なことではない。さような意味から、御承知通り行政調査部ができまして、熱心に研究をしております。これが相当に具体化しておりまして、すでに現れたものもあります。御承知通り、前議会で現れましたところの公務員法とか、あるいは行政官廳法とか、その他内務省の解体、司法省の改革、労働省の設置ということについても、行政調査部は相当に関係しております。そのほかにも、ずいぶん具体化したところのものがあります。前の議会においても、よく両院において攻撃的の質問を受けましたのは、今の建設院だけではいけない、もつと拡張して建設省にしろ、あるいは行政官廳と現業廳を離らかして、鉄道公廳とか、逓信公廳とかいうようものを設ける、運輸省と逓信省を廃止して、一つの交通省をつくるというような議論があります。これも相当な案だけはできております。あるいは文部省についても手をつけて、文部省の組織根本的に改革するという案もできております。そのほか、いろいろありますけれども、しかし、これをいよいよ実行するということになりますと、なかなかそれぞれ各省との関係もありまして、容易にできませんからして、政府の方においては、ここに目をつけまして、官民合同の強いところの一つの機関をこしらえて、この機関できめたことについては、閣僚も頭を下げる。この決心がなくては、とても行政機構の改革はできるものではありません。この方法によりまして、やろうと思つております。これはできることならば、この議会に間に合うようにして、予算にも関係がありますから、できるものは、この議会に出します。しかし、できないものは、もう少し遅れるかもしれませんが、その点は御承知を願いたい。議員諸君におきましても、この機構の改革については、いろいろ意見がありましようから、どうかひとつ具体的のお考えがありますならば、遠慮なく、忌憚なくお漏らしを願いたいと私どもは思つております。  それから、近ごろやかましくなつておりますところの地方の出張機関でありますが、これも全國の知事がしきりに要求しておりまして、相当に具体案もできておりますので、これもある方面との交渉もありますが、あまり遠くないうちに実現できると思います。  それから、そのほか行政機構についてもいろいろ問題がありますけれども、あまり遠くないうちにあなた方の前に出して、批評を仰ぐことがあると思いますから、さよう御了承願います。(拍手
  11. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 和田國務大臣並びに波多野農林大臣は、やむを得ざる要務のため欠席しておりますので、答弁は次の機会に保留いたします。この際、昨日保留いたしました大藏大臣の答弁を求めます。大藏大臣栗栖赳夫君。     〔國務大臣栗栖赳夫君登壇
  12. 栗栖赳夫

    國務大臣(栗栖赳夫君) 昨日は、やむを得ない用事のためにこちらに出席することができませんでしたので、本日ここに鈴木さん及び植原さんに対する答弁をすることをお許し願いたいと思います。  まず、鈴木さんの御質問に対して御答弁をいたしたいと思います。  第一の問題は、復興金融金庫についてでありまして、復興金融金庫は第二の発券銀行となりはしないか、こういう点であります。これは私どもも、第二の発券銀行にいたしては、このインフレーションの克服その他はとうてい望み得ないと考えておるのでありまして、すでに前國会においても、いろいろ申し上げたのでありますが、これがそういう方面に陷らないように極力努めておるのであります。すなわち復興金融金庫の資金は、日銀の資金というものに直結し、依存をしておるというのでありますが、これがそのままにいきまして、復興金融金庫の貸出が非常なウエートを増して増加をいたしますと、第二の発券銀行化するのであります。そこで、この復金と日銀との連絡、資金ルートというものをなるべく遮断して、これを市場及び市中の資金ルートに結びつける。こういうことをいたしておるのであります。すなわち、復金債の市場消化その他についての問題であるのであります。政府といたしましては、この点を徹底的にいたしたいと考えております。つきましては、復興金融金庫の債券の消化その他についてどういう考えをもち、また今行いつつあるかということも、次にお答えいたしたいと思うのであります。  復金債の資金は市場消化という方面で賄われるということにいたしておるのでありますが、その実績といたしましては、昨年の十二月以來、これに努めておるのであります。実は現内閣ができまして、公債の消化について、昨年の九月から市場消化の実績をあげて、今日までまいつたのであります。これは日本銀行の引受というような安易な方法をすつかり排除いたしまして、すべて市場消化で今日に至つておるのであります。それと同様に、復金債についても、金融機関の毎月の預貯金の漸増のうちの一部分を割当てまして、また農業会、農林中金等の引受けをもいたさせまして、そうして消化に努めたのでありまして、昨年の十二月におきましては、二回これを発行いたしておるのでありますが、この十二月の一回目におきましては、市場消化が大体二九%であります。ところが、二回目の発行は一〇〇%の消化をいたしておるのでありまして、十二月には六四%の市場消化というところにこぎつけたのあります。さらに一月でありますが、一月に最初に出しましたものにつきましては、市場消化は三二%であります。それから二回目のものは二四%ありますが、しかしながら、これは供米の代金を農林中金が國家に代つて代拂いをいたしておるのでありまして、その代拂いを國家から返済する都度、その残つておる復金債を引受けるということにいたしておりますので、これは大部分は消化ができると、こう考えておる次第であります。かように、市場消化化を今後も努めてまいりますけれども、なお市場消化のむずかしいところにおきましては、政府の拂込みをいたしたいと思つておるのであります。二十三年度以降等につきましては、この種の拂込資金は、財政法によつても公債で発行も認められておるのでありますから、復金債と公債と、両方面によつて市場消化をいたしまして、この日銀の資金に依存するということを極力避けたい、こう考えている次第であります。なお資金の斡旋その他をいたしまして、復金の保証貸等をもいたすことにいたしております。これによりまして、資金、この復金債の発行高を減少する、こういうことをいたしたいと考えている次第であります。  次に、復興金融金庫の監査委員会の設置についてのお話があつたのでありますが、復興金融金庫の立場というものが、國家再建の上にきわめて重大なのでありまして、これを公正に行うということがきわめて必要であります。そこで、貸出し等につきましても、各方面の官廳実務者から成つております監事会、それから各方面の権威者から成つております復興金融委員会というものにかけまして、嚴正にこの融資をいたしているのでありますが、嚴正に融資をいたすと同時に、監査制度を十分にしなければ、これは意味をなさないことになるのであります。鈴木さんからの監査制度の必要ということの強調は、まつたく同感であるのであります。復金につきましては、実はこの復金法の三十一條に、政府による監査制度があるのでありまして、これは昨年の三月以來、これを実行いたしておるのでありますが、それと同時に、並行的に、独立的に、さらに昨年の八月には復金の中に監査部を設けまして、融資先の、すなわち資金がいずこに落ちるかということも嚴正に監査をさしておるのでありまして、なお、こういうようにこの経済復興のために、金融が復金の融資に重点を置くようになりますことにつきましては、この監査制度は、ますますただいまの線に沿いまして、強く嚴正にいたすということに努めておるのであります。なお復金の運用につきましては、全体としまして民主的にこれを運用するということに努めておる次第であります。  それから新円再封鎖をしない、それでこの通貨を安定せしめる考え方はどうか、こういう点のお尋ねがありましたが、お説のように、新円再封鎖のむずかしい、すべきでないということも、まつたく同感でありますが、さりとて、通貨信用通貨を安定させるということが、インフレーションの克服には非常に大事であり、またインフレーションを克服することによつて通貨の安定を期せられるのでありますから、これにつきましては、政府といたしましては、國内的と國際的の両措置を考えております。國内的につきましては、何と申しましても生産増強であります。それから、通貨増発の原因をなしますところの中央・地方の財政を健全化し、均衡を得させ、しかも、これは單に編成だけの上でなしに、実質的に、忠実にそれを実行し、完遂するということが通貨増発の原因を抑止するのでありまして、これは信用を回復し、安定をさすというところにいくわけであります。それから、さらに貯蓄の増強によりまして、通貨増発を抑えるに止まらず、通貨を吸い上げるということをいたすことが、きわめて必要である。その貯蓄増強によつた資金は、さらに産業資金、財政資金へと振向けられるのでありまして、かように資金が好ましからざる方、やみその他の方面に滯留するものを引上げまして、そうして正道を流れて、生産方面に流れる、こういうことをいたしますことが、経済回復であると同時に、通貨の安定をせしめるということになると思うのであります。そのほか、通貨安定については、價値計算の方法その他についてのいろいろの方法も称えられておりますが、これは政府としては、未だ調整をいたしておるに止まつておるのであります。なお國際的の方面としては、どうしても貿易を振興するということが必要であり、これがためには、貿易産業を殷賑にし、そうして貿易による收入を多くするということが外事である。それと同時に貿易外の收入の確保ということも考えなければならぬ、こう思うのであります。さらにクレジツトの設定があります。政府関係のクレジツトの設定及び民間関係のクレジツトの設定、こういうことが、國際経済へ復帰し、加入することによつて、日本の経済を建直し、通貨安定への導く方法であると、こう考えておる次第であります。  それから、やみ利得を防ぐためにも、第一次財政税の不公平を是正するためにも、法人財産増加税を設定することはどうかというお考えであります。この点につきましては、法人の財産については、個人の財産に第一次の財産税を賦課いたしましたので、法人に賦課しますと、結局二重課税になるおそれがありますので、法人には、前内閣においては賦課されなかつたのであります。しかし今回は、非戰災の家屋税その他については、法人にも賦課することに相なつておるのであります。しかし、法人に財産増加税を賦課することによつて、二重課税に陷る傾きがあるという点を、愼重に考究する必要があると思うのであります。それと同時に、増加の値上がりの含みでありますが、これはまだ実現した値上がりというわけにもいかないのであります。かかる含みの利益に課税することが妥当かどうか、また含みが動きつつあるときに課税することが妥当かどうか、また含みが動きつつあるときに課税することが妥当かどうか、いかにこれを課税するかというような技術的の点も、種々の点がございますので、これはよく調査をいたしてみたいと存ずる次第であります。  それから、勤労所得税の免税点引上げについてのお話でありますが、來年度におきましては、國民生活の安定、國民経済と財政予算というものとを相應せしむるという観点から申しましても、この免税点引上げは、財政の許す範囲において実行いたしたい、こう考えておるのであります。そうして、來年度また再來年度と、財政の立直り、日本の國民経済の立直りに應じては、十分この点の引上げをさらに進めていつて、民生安定という、おちつくところにもつていきたいと考えておる次第であります。  それから、鉄道料金、郵便料金、タバコの引上げ等について、財政法第三條との問題があつたのであります。これは、財政法第三條は未だ実行されておらぬのでありますが、この点については、速やかに実行いたしたいと、こうわれわれも考えておるのであります。ところが他方におきまして、窮迫せる経済の異常なる状態において、これを全面的に実行するということは、料金の引上げその他についての種々の問題も関係先の方にございますので、実は未だ実行の、施行の運びに至つておらぬのであります。從つて、法律上違法というような問題は、ただちには起りませんけれども、この財政法第三條からの精神といたしましては、鈴木さんからのお尋ねは、私も同感に忌つておるのでありまして、この点につきましては、この引上げ等は、かりに財政法第三條によつてこの手続をいたさない場合におきましても、國会の意向を十分尊重いたしまして、適当なる措置を考え、委員会その他に諮るとかいうことをいたしたい、こう考えておる次第であります。  それから、軍事公債の利拂を停止して、これより生ずる剩余金をもつて戰災者、引揚者のための住宅建設、徴税費に充てるということの御意見であります。この軍事公債は、現在どういうようにもたれておるかと申しますと、國民大衆の預貯金からなつております預金部であるとか、簡易保険局であるとか、金融機関がもつておるのでありまして、その他の点は僅少であるわけであります。これらの金融機関は、金融機関再建整備によりまして、新旧勘定にわかれておるのであります。この軍事公債は、すでに前内閣のときに新勘定へはいつております。そうして、いわゆる預金を、大体一万五千円とかいうもの以下を、新勘定へ封鎖預金として差入れました。その預金、それが後には仏い出されて新しい封鎖預金になつたりして、大部分は変つておりますけれども、そういうものと、大体新勘定で見合つておるのであります。ゆえに、公債の利拂を停止するということになりますと、その大衆の預金の利拂その他をどうするかという問題が起きてくるのでありまして、この点も、非常に考慮しなければならぬ点であります。大衆でございますから、十分考慮の点があるのであります。そういう点を考えますと、この措置を一連総合的に続けていきますと、財政上の余裕を生ずる点は、あまり多くないと思うのであります。そういう点において、あまり予期ができないので、戰災者、引揚者の住宅建設、あるいは徴税費等は、別途にこれを考えざるを得ない、こういうことに相なると思うのであります。  なお、関東その他東北の水害対策費の問題があつたのであります。これは政府といたしましては、公共事業費の中に水害対策費を盛つたのでありますが、昨年の夏から秋にかけての関東、東北、紀州その他の災害によりまして、追加予算においてこれを増額したことは、御承知通りであります。ところが、なお不足があると思われますので、予算外國庫の契約によりまして、これは十億あるのでありますが、そのうちの六億六千万円を主に河川改修費に充てることにして、このうちの一部は、すでに資金斡旋をして、融通済みになつておるのであります。なお、この点につきましては、さらに増加をいたす、こういうことにいたしております。預金部資金で引受けますが、引受ける前には資金斡旋等をもいたしており、今数口の申入れもある次第であります。なお二十三年度におきましては、本予算を初めて組むのでありまして、相当の資金をこれに見積もりますし、またこの種のものについては、市場消化の許す範囲において公債発行等もできるのでありますから、その点を考えて、十分対処の費用を盛りたいと思うのであります。なお、二十三年度のそういうものを引当てにしての融資等は、この金融機関によつて十分斡旋をいたしたいと思つております。  次に、植原さんに対する御答弁をいたしたいと思うのであります。  通貨の安定についてのお尋ねがあつたのであります。これは、先ほど鈴木さんに対してお答えいたしましたと同様でありまして、ここで重ねて申し上げぬことにいたします。  次に、そのときに、なおインフレと関連して税制改革が必要ではないか、どう思うか、こういうお尋ねがありましたので、この点を申し上げます。昨年の前内閣の税制改革によつて、予算申告が採用されたのであります。インフレーション進行下の現在においては、この予算申告制をとるということは非常に妥当な方法だと考えて、今もいたしておるのであります。申告制でありますが、申告制も、從來の賦課制と違いまして、民主的な精神を多分にもつた結構な制度でありますが、これが十分國民の中に慣熟されず、なおまたこの知識が普及されないために、種々の支障を來しておりますので、ただいまも國民運動を展開して、その普及と、その手続の慣熟とに努めておりますが、この点は十分いたしたいと思うのであります。そのほか、改善点については目下考察中でありまして、その改善をいたして、徴税の完遂に副うようにいたしたいと思うのであります。なお、法人税あるいは勤労所得者その他に対する税制の改正についても考慮をいたしております。  それから、財政の前途についてのお尋ねがあつたのであります。このお尋ねの趣旨は、私も大体ごもつともと思つておるのであります。中央・地方の財政は、單につじつまを合わすだけの財政ではなしに、事実上の健全財政を確立することが必要であるのであります。しかも、敗戰後四年を迎えましたが、國民生活その他にあえいでおる中において、健全財政を実行の上においても確立するということは非常な困難がありますが、この困難を克服するということにおいてのみ初めて経済再建ができ得る、こう思うのでありまして、政府は、この点について所信に邁進をいたす方針であります。  なお、二十三年度の予算の編成でありますが、現内閣が予算を編成いたしますについて、本予算の編成は、今回が初めてであります。前回は追加予算でありまして、前内閣でできた本予算を補正する意味においていたしたのでありますが、今回は本予算でありますから、現内閣の精神、今問題となつております生産増強、民生安定とか、こういう方面の点を強力に推す財政の方針で、今編成中であります。大体、この編成の方針にしましても、インフレーション下でありますから、一應の考慮を要しますが、前内閣のときのように、本予算を編み、そのときにある財源をそのままとつてつて、今度追加予算のときには財源が比較的少いというような編み方でなしに、大体一年を見透しての收入と支出とを予定した見込みを立てまして、その方針によりまして、收入と支出とを見合わせた予算を立て、そうして、なるべく追加予算の数を少なくしてやりたいと思うておるのであります。いずれ、これにつきましては、本予算を編成いたしまして御審議を願う際に、改めて御説明申し上げたいと思う次第であります。
  13. 鈴木茂三郎

    ○鈴木茂三郎君 簡單でありますから、自席からお許し願います。  私の昨日のお尋ねに対して、大藏大臣より、多くの問題についてるる御答弁を得たことを感謝いたしますが、多くの点について、私は承服いたしがたいものがございます。これらの問題につきましては、この内閣の性格を決する重要な部分も含まれておりますがゆえに、私は質疑をここで終了いたしまして、國会を通じまして、あらゆる機会において、私どもの提出いたしました問題の究明をいたしたいと存ずるのであります。
  14. 植原悦二郎

    ○植原悦二郎君 簡單ですから自席からお願いいたします。  昨日の私の質問に対して、総理大臣と今の大藏大臣の答弁との間においては、多少の食い違いがあることを私は認めます。総理大臣は、今までのこの政府の財政計画は健全財政であつたということを、昨日は固執なされた。しかるに、今日大藏大臣は、その健全財政を固執なさらない態度をはつきりおとりになりました。大藏大臣は、將來ほぼ私の提案したごとき考えをもつて、中央・地方を通じて税制その他のことを十分考慮して、実際において生産も増強し、收支償うところの財政計画を立てるとおつしやられましたことは、私の歓迎するところであります。なお大藏大臣は、申告制の現在の手続、徴税方針について欠陷のあることを認められて、これも改めようと言われたことも、誠に結構であると思います。ただ二十三年度の予算編成に対して、はつきりとした具体的の方法を尋ねたのであるにもかかわらず、これに対する具体的の方法の説明のなかつたことは遺憾でありますから、これはいずれ予算委員会において、なお十分に政府との間に論議を闘わしたいと思いますから、私の質問は、これで終ることにいたします。      ————◇—————
  15. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) この際、お諮りいたします。昨二十三日、内閣総理大臣より議長あてに、衆議院議員原侑君を会期中に逮捕するため、國会法第三十三條により本院の許諾を求めてまいりました。本件は重大な事柄でありますから、議院運営委員会に付託いたしたいと思います。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつてその通り決しました。      ————◇—————
  17. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 國務大臣演説に対する質疑を継続いたします。本多市郎君。     〔本多市郎君登壇
  18. 本多市郎

    ○本多市郎君 片山内閣施政方針の重点が、分配の問題よりも増産の面に移行されてまいりましたことは、当然のことと思うのでありますが、これらの経済政策は、すべて政府計画経済方式によつて遂行せられるのであります。私は、このすべての経済政策の基盤である経済体制の根本について、片山首相の所信を問わんとするものであります。(拍手)  いわゆる計画経済は、御承知のごとく、國内物資のあらゆる生産計画、配給の計画、輸送の計画、資金金融の計画賃金計画、物一つ一つの値段に至るまで中央政府計画決定し、これを國民に命じて実行させるところの経済方式であります。わが國における計画経済方式の採用は、かの支那事変以來、統制経済の名のもとに実行されてきたのでありますが、その結果は、統制にはいるとたちまち生産は減退し、流通は不円滑となり、少い物資も偏在して、失敗に失敗を重ね、遂に國民を今日のごとき経済的混乱に陷れ來つたのであります。その失敗の原因について、当初のうちは、官僚独善のためだと非難したのであります。しかるにその後は、業界専門家等も網羅して、これに参画しておるのでありますが、少しも改善されず、依然として、その結果は失敗に失敗が続いておるのであります。  われわれの見解によれば、その失敗の原因は、実に社会経済要求というものは複雜、変轉極まりないものでありまして、これに対應するがごとき総合計画は、人為をもつてしては、その完璧を期しがたいというところにあると信ずるのであります。(拍手)すなわち、これらの総合計画を完全に樹立遂行するためには、天変地異はもとより、天候、氣候、人の健康、思想の動向、國際環境等に至るまで、ことごとく、あらかじめ知つて計画の中に織りこんでいかなかつたならば、必ず不測の欠陷を生ずるのであります。(拍手)一ところ不測の欠陷を生じたならば、次から次にこれが隘路となつて生産の減少と停頓は循環するのであります。このことは、人為不可能のことでありますから、計画と実際は必ず量においても時期においてもずれを生ずるのであります。ずれを生じた結果は、必要な物が必要な時に間に合わないことになり、やみ、横流し等によらなければ、生産生活も維持することはできなくなつてくるのであります。(拍手)また生産財においても、消費物資においても、配給のずれた結果は、遊休退藏となつて偏在し、浪費ともなつて、不足物資はますます不足を告げ、生産は減退し、國民生活は、これまたますます窮屈になつてくるのであります。  次に物價の問題でありますが、元來、貨幣経済計画経済というものは、両立しない性格をもつておる。片山首相の力説せられた通貨信用を高めるということと、安價な配給物資によつて実質賃金を充実するということの間には、大きな矛盾があるのであります。(「矛盾はない」と呼ぶ者あり)かくのごとき計画経済を、貨幣制度のもとに実施しようとすれば、現在のごとく物價を法定しなければならぬ。法定するとすれば、この物價は適正に決定しなければならぬのでありますが、この適正物價の決定こそ、物の生産流通のかぎともいわなければならぬのであります。しかるに、物價を適正に決定するということが、これまた人為不可能であるといわなければなりません。なぜかと申しますと、第一、物の数の多いことである。このすべての物に、ことごとくつり合いのとれるような物價は、この物の数の多いという点から不可能であるということがわかる。第二には、公定價格というものは固定的性質をもつておりますが、物の價格というものは、常に変動していなければ適正を保てないという性格をもつておるのであります。(拍手)さらに、物は同じ物でも、運賃の関係で、ある場所ごとに價格というものは違つていかなければならぬ。何億万通りになるかわからないすべての物のつり合いがとれ、時々刻々の事情にも対應し、ある場所ごとに均衡のとれるような値段を人間の力できめ得るかと申しますと、その何億万通りにきめても、操作では間に合わない。所詮人為不可能といわなければならぬのであります。(拍手)  かくのごとき適正物價の決定は、人為不可能のことであるがために、現内閣における新物價体系のごときも、一片の…     〔発言する者多し〕
  19. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
  20. 本多市郎

    ○本多市郎君(続) 一片の観念論にすぎないのであります。これら人為不可避の原因に基づいた公定物價は、常に不適正を免れない。價格が不適正なる結果は、國民は人情の自然、経済生活根本に反する経済行為をも強制せらるることとなるのでありまして、その公益と私益が逆行する場面を生ずることが、國民の眞の力を発揮せしむることのできない、計画経済の重大なる内在的欠陷であるといわなければならぬのであります。(拍手)さらに、不適正なる價格によつて物資の配給は惡平等となり、物資は遺憾なく活用されず、浪費、退藏を増加して、ますます不足を招來するのであります。  次に、公定價格の性格と需要供給の関係を考えてみましても、そこに矛盾を生じてくるのであります。公定價格というものは、御承知通り、ある品物が不足をしても、その品物の値段が上がらないように抑えておくという性質をもつておる。もつとも、片山内閣の決定した公定價格は別問題で、やみ値よりもはるかにつり上げられたものもありますが、これは本來の性質と相反するものであります。本來の性質というものは——ある品物が不足しても、その品物の値段が上がらないように抑えておくということが、公定價格の…     〔発言する者多し〕
  21. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
  22. 本多市郎

    ○本多市郎君(続) 價格の性格である。ところが、品物が不足しておるというのに、その品物の値段を不当に抑えておく結果として、需要は殖えていくが、生産の方は減退する。必ず需要供給のバランスというものは保つことができなくなつてくるのであります。需要と供給の関係は、中間に價格というものがあつて、この價格が微妙に動いてバランスを保つのでありまして、世の中に、價格を不適正にしておいて需要供給を論ずるということは、ナンセンスであるといわなければならぬのであります。(拍手)  國家経済政策は、國内物資の需給関係を達観して、生産、消費、輸出入等に、財政政策あるいは税制政策によつて、先手を打つて調整していくということが政治であります。また計画経済のもとにおいては、競爭がない結果、進歩発展、品質の向上というものが期待できない。海外貿易の前途も、まことに寒心にたえないといわなければなりません。殊に民間人の創意くふうによる自主的計画が、政府計画策定のいかんによつて破棄抹殺されてしまうという結果は、生産者の生産意欲をはなはだしく減退せしむるのであります。  そもそも計画経済の目的は、不足物資の増産と活用をおいて、ほかにはないはずでありますが、現在の統制は、かえつて増産、流通、活用を阻害しておると思うのであります。われわれは、その不合理にして有害無益なる統制経済の撤廃こそ、日本経済復興根本問題であると思うのであるが、はたしてこの点について、片山内閣はいかなる所信をもつておられるか、お伺いいたしたいのであります。(拍手)  戰災地復興のためには、木材統制の全廃、建築制限の簡素化が先決問題であり、中小商工業の振興は、いかなる施策よりも、まずその発展を阻害している統制の撤廃が前提要件であると思います。(拍手かくして、中小商工業を自由闊達に活動せしめることによつて生産は増加し、流通は円滑となり、業者間競爭の結果は、生産價格も漸次低下し、商人の中間利益は、現在の統制のための経費よりは、はるかに圧縮せられて、消費者にとつても大なる利益と利便をもたらすことと信ずるのであります。重点産業は、おのずから有利な事業となりまして、傾斜生産の必要もなく、期せずして資材・労力は重点的に集まつてくるのであります。現在統制制度のもとにおける中間の経費は、米については約一割二分、芋は十割、炭について六割、まきについては実に二十五割にも上つておるのでありまして、役人氣分の月給取りでは能率が上がらないということを実証いたしておると思うのであります。(拍手)中小商工業の振興策は、中小商工業の國家的存在價値について確固たる信念の上に立たなければ、空念拂に終るのであります。  失業問題にいたしましても、個々の失業対策よりも、失業者がおのおの志すところに從つて自立更生のできるように、統制を撤廃して自立更生の途を開放してやるということが、根本問題であると思うのであります。しかるに現内閣は、かえつてこの統制を強化して、経済危局に対処せんとしておるのであります。人為不可能の原因によつて完全には成り立たない、欠陷のある計画経済を強化すればするほど、その欠陷から生ずる弊害が大きくなつて、結果は逆効果に終つてしまうのである。片山内閣の組閣以來の施政が、ことごとく予期に反し、失敗に帰しておるのは、その原因ここにありといわなければなりません。またこれを徹底的に行わんとすれば、調査、計画、実施、取締りに、官民ともに無限に事務要員を増加する一方、嚴罰をもつて臨むほかはない。不生産的なる人件費の増加は、インフレ助長の原因であります。眞の行政整理は、無用の統制を撤廃するにある。統制を撤廃すれば、國民の労苦は半減し、官民とも事務要員は半減することができると思うのであります。(拍手)また嚴罰をもつて臨むとすれば、官治権力主義の世の中となり、明朗な民主主義の世の中ということはできない。  権力主義の世の中には、必ず権力に伴う権力搾取の弊害というものが生じてくるのである。この弊害は、自由経済のもとにおける資本的搾取といわれる弊害よりも、惡質にしておそるべきものであります。わが國において、現今その弊害特にはなはだしきものがある。たとえば、料理飲食店休業の世の中に、日夜官邸、官舎等に行われている宴会の酒もごちそうも、権力搾取、民間においても、統制のために人の物を自由にする地位、権力を利用しての不当利得は権力搾取。官公吏の間には、公務、官業に関する役得が横行して、綱紀の紊乱今日よりはなはだしきはないといわなければならぬのであります。(拍手)片山内閣は、はたしてこれを徹底的に粛正するの用意と自信ありや否や、お伺いいたしたいと思います。  かくのごとく、統制経済の弊害累積いたしまして、今日の世の中は、率直に言うと、國民総やみ、総犯罪、虚偽の世の中といつて、あえて過言ではなかろうと思う。取締まる者も、取締まられる者も、いやしくも日本の法律の適用を受くるもので、直接もしくは間接に統制の法律に触れないで生活をしている人が、一人でもあるであろうか。総理大臣でも、司法大臣でも、安本の長官でも、農林大臣でも、もしあるというなら、この壇上から國民の前に言明してもらいたいと思います。(拍手)昔から、おのれの欲せざるところ人に施すなかれということがある。自分で守れないことを國民にのみ強要せねばならぬ今日の政治は、暴政であり、虚偽の政治であるといわなければなりません。(拍手)遵法精神の頽廃も、道義の失墜も、実に不可能なる計画経済の矛盾にその原因があるといわなければならぬのであります。現存する法律は、もちろん守らなければならぬ。しかし、國民一人一日とて守ることのできない法律の存在するということが間違いでありますから、かくのごとき法律は、一日も早く、國民の。輿論に從つてこれを撤廃すべしと絶叫してやまないものであります。(拍手)  もし、この計画経済統制方式が、國民生活の平等公平を主張せんとして、社会主義あるいは社会連帶主義のイデオロギーに基づいているものとすれば、それは錯覚か偽善であるというほかはない。人の生活の平等公平を主張するその人が、はたしてみずから平等公平を希望しておるか、実行しておるか、嚴粛に編成を促したい。平等であるべきものが基本的人権である。この基本的人権の上に立つて切磋琢磨、不平等を求めて努力しているのが、人生の眞の姿ではなかろうかと思うのであります。  自由経済は、本能を努力の中に活かして、明朗なる実力の世の中、競爭の世の中である。競爭の結果、不平等と貧富の懸隔を生ずることは、人を働かせる自由経済の長所でありますが、これを無計画に放任しておくときは、はなはだしき貧富の懸隔を生じ、社会の調和を害し、社会問題を惹き起こするおそれがありますから、そのためには、強力なる社会政党の必要なることもちろんであります。独占禁止法も、経済集中力排除法も社会政策労働組合法、同調整法、基準法、かくのごとき方法によつて労働者の地位を高めたのも社会政策。財産税、軍需補償の打切りも社会政策。富める者、所得多き者より高額の税金をとるのも社会政策。現在政府は、新円所得者、やみ利得者、不当利得者の脱税は捕捉し得ないで、税率の引上げのみによつて増收をはからんとしておるのでありますが、これがかえつて苛斂誅求に陷り、財源に困難を來しておる。これは税制政策の貧困の結果を物語るほかの何ものでもないといわなければなりません。これら税收その他を財源といたしまして、不幸なる人々の生活を援護し、更生を援助してやるのも社会政策。すなわち、上から下からの貧富の懸隔を調節するための社会政策の断行はどこまでも必要でありますが、世の中は、やはり働けば働きがいのある世の中、勤勉努力次第では、人よりも成功して幸福を得られる世の中にしておかなければ、眞に國民を働かせて、産業を興し、國を富ますことはできないと信ずるのであります。この点について、片山首相は究極の目的をかくのごとき自由経済においておるのであるが、それとも社会主義計画経済においておるのであるか、その根本観念を明確にお答え願いたいのであります。  われわれの主張する自由主義経済は、國民の財産権を尊重し、営業の自由を認め、職業の自由を認め、國民おのおの志すところ、希望する道に從つて自由闊達に競爭で働いて、自主的に生活をなさしむることを原則とするのであります。しかして、必要やむを得ざる統制調整は、これを例外的に行わんとするものである。殊に現段階における最小限度の基礎資材、主要食糧等については、過渡的、一時的手段としての統制は、やむを得ざるものと認めるのであります。統制すべきものを峻別して、統制を行う以上、現内閣のごときルーズな方法でなく、最も効果的に徹底してこれを行わんとするものであります。  しかしながら、経済体制の根本は、何としても自由経済に復帰せしめ、安定の上に行うにあらざれば、民間の企業計画も、國家のいかなる経済政策も、砂上の櫻閣にひとしく、十分な効果をあぐることはできないと信ずるのであります。(拍手)すなわち、経済統制の桎梏より一日も早く國民を解放せずしては、政府施策の完全なる遂行はもとより、生産増進も、インフレの防止も、明朗なる國民生活の安定も、また虚偽を脱却して眞実につかしめ、國民道義を高揚することも不可能であつて統制の撤廃こそ、平和日本、道義日本建設の根本問題であると確信するのであります。  以上、忌憚なき私の意見を申述べまして、片山首相の所信をお伺いいたしたいと存じます。     〔國務大臣片山哲登壇
  23. 片山哲

    國務大臣片山哲君) ただいま本多君から、いろいろ御意見を交えて御質問がありましたので、意見にわたる点を除きまして、御質問に答えたいと思います。  私の考えは、計画経済によつて増産へ、生産力拡大へと進みたいと考えておるのであります。戰爭に巻きこまれております世界各國の状態を見ますと、戰爭の損害、損失を回復するためには、どこの國におきましても、計画経済をとつておるのであります。自由経済では、とうてい生産力の拡充はできないということが、今日の常識になつておるのであります。物の不足しておる時代であります。食糧も不足いたしております。生産力も拡充すべき基礎産業の資材も不足いたしております。この不足いたしておりますときに、どうして國民全体に腹一ぱいに食べさすことができるでしようか。これを自由なる状態に任しておきまするならば、金のある人や強い人が先取りするでありましよう。また物も高くなつてまいります。物が不足しておりますので、物の騰貴を來すということは、三歳の童子でもわかつておることであると思います。(拍手)これを統制いたしまして、國民全体にわけて、乏しき人々にも食糧をわかつ方法が必要であります。また生産を拡充するためには、必要なる資材をまわさなければなりません。こういうことを、だれがやるのでしようか。國家は、國民全体の幸福のために、國家産業発展のために計画経済を立てましてこそ、初めて生産は拡充いたすのであります。(拍手)これをこのまま放つておきますならば、必ず富は偏在するでありましよう。     〔発言する者多し〕
  24. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
  25. 片山哲

    國務大臣片山哲君)(続) 富の偏在は、今まで財閥を発生せしめました。財閥は解体されなければならないということは、どこに原因があるのでありましようか。富が偏在したからであります。富の偏在を打砕いて、これを公平に國民に分配せなければならないのであります。現内閣が今日までとつてまいりました政策は、ただ單に分配問題に、主力を集中しできたのでは決してありません。今日の生産拡充の土台として、生産力を充実せしめる土台として、危機を突破しなければならないという地均し工作をやるために緊急対策を立ててまいつたのであります。國家は、諸君の制定せられました新憲法に、よつて、民主國家となつたのであります。決して官僚國家ではありません。サーベル國家では決してありません。諸君の動かし得る國家機構であります。國家は産業に手を出して、産業を國民のために指揮しなければならないということは、当然のとであると思うのであります。そうして、産業発展のために國家機構を新しく建て直していかなければならない意味において、政府は、石炭増産のために石炭國家管理法を、あるいはまたその他生産増強ということに対しまして、力を入れておるのであります。今日計画経済を立てておりますゆえんというものは、一に、今まで自主競争によりまして、適者生存の者ながらの観念によつて生産が発展しなかつた状態を打破る、新しき画期的計画であるということをいわなければならないのであります。(拍手政府は、この意味によつて、非常な信念をもつて、意氣込みをもちまして、生産増強のために計画経済を立てていかなければならないということを深く信じておりまするから、本多君の言われるように、計画経済を捨てるとか、あるいは統制をやめるとか、自由経済にする意思は決してありませんということを、この機会に明らかに申し上げておく次第であります。(拍手)     〔本多市郎君登壇
  26. 本多市郎

    ○本多市郎君 片山首相の御答弁を聽いたのでありますが、片山首相に対して私が質問したのは、計画経済は、人為をもつてその計画に完璧を期することができない。ここから崩れて弊害を生ずるのである。私がるるその弊害、できない原因を指摘したにかかわらず、これには一点も答弁がなかつたのであります。しかして、計画経済でなけおば増産ができないということを言われるのであるが、私は…     〔発言する者多し〕
  27. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
  28. 本多市郎

    ○本多市郎君(続) 計画経済のために増産を阻んでいるということを指摘しているのであります。また貧富の懸隔を生ずるという問題については、貧富の懸隔を調節するために強力なる社会政策を断行せなければならぬということを私は言つているのである。昔の自由主義経済の世の中には、労働組合法もなかつた。また独占禁止法、経済力集中排除法もなかつた。すなわち……     〔発言する者多し〕
  29. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
  30. 本多市郎

    ○本多市郎君(続) 貧富の懸隔を調和し得るか否かは、社会政策断行のいかんにかかつているのでありまして、世の中というものは——片山首相は物資はすべて公平に平等にと言われますが、公平ということは國民の希望するところにあらずして、むしろ國民は、基本的人権を平等にして、その上に立つて、不平等を求めて活動しているというのが、眞の姿であるということを言つたのであります。この人間の本能を無規してやろうとするところに、生産の増強のできない根本的な原因があると言わなければなりません。  さらに重ねてお伺いをいたしておきますが、片山首相は、自由主義経済を究極の目的とせずして、やはり計画経済で日本の将來は進むべきであるという考えをもつておられるのであるか、この点をはつきりお伺いいたしておきたいと存じます。     〔國務大臣片山哲登壇
  31. 片山哲

    國務大臣片山哲君) 御質問の御趣旨がよく徹底しなかつたのでありますが、私は社会民主主義を信奉いたしております。社会民主主義の精神によつて政治経済、産業の政治機構を立てて、その発展をはかりたいと考えておるのであります。現下の情勢は、三党連立内閣でありまするから、社会党と民主党と協同党と連立いたしまして、増産計画あるいはまた耐乏生活に対する各般の機構を立てる等の問題について、お互いの間で十分連絡をとりまして、統制経済を——十分に増産のために、國民生活を安定せしむるために、労働者生産協力を十分に立て得るために進んでおるのであります。その意味において、今日におきましては、自由経済に立戻るという考えは少しもありません。かえつて、それは混乱を來すものと思うのであります。自由競争にいたしますると、いわゆる適者生存となりまして、強い者が勝つだけであつて、窮乏せる國民生活は非常な困却を感ずるのであります。こういう情勢から考えまして、今日におきましては、どうしても國民のための統制経済は廃棄することができないということを深く感じておる次第であります。(拍手)     〔本多市郎君登壇
  32. 本多市郎

    ○本多市郎君 片山総理は、第一回の答弁におきましては、どこまでも計画経済で一貫するというような御答弁でありましたが、二回目の答弁によりますと、大分違つてまいりまして、最後のときには、今日の段階においては、また統制もやむを得ないというような御答弁でありました。まことに大きな変化であると言わねばならぬ。これは、片山総理が社会主義を信奉してきた人でありますために、社会主義計画経済のことばかりに頭がとらわれておつて、自由主義経済の、人の本能に基いて努力さして生産力を増強するという長所を、少しも理解しておられないものであると思います。この質問演説において、これ以上討論いたしましても、結論に到達することは困難であると思いますから、私は重ねて、最後の一点、日本の将來進むべき道は自由経済計画経済か、この点だけをはつきりしてもらいたいと思います。(拍手)     〔「答弁々々」と呼び、その他発言する者多し〕
  33. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。——片山総理、答弁をされますか。     〔石田博英君「答弁がないそうだから、正式に要求いたします」と呼ぶ〕
  34. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 正式に要求がありましたが、首相は答弁をしないそうであります。松原一彦君。     〔松原一彦君登壇
  35. 松原一彦

    ○松原一彦君 私は、國民協同党を代表いたしまして、首相の施政方針に対する質問並びに所見の一端を申し述べて、政府の御答弁を求むるものであります。  私がこれからお尋ね申し上げようとするところの要旨は、三つあるのであります。第一は、片山総理大臣が昨年就任の際に天下に公約せられましたところの中道政治の原則は、今後といえども堅持せらるるかどうかという点であります。この点に関しまして、私は今後の政治の指導理念に対する点をお伺いしつつ、私の所見を申し述べたい。第二には、産業経済並びに五箇年計画の主目標につきましてお伺いを申し上げたい。同時に私は、平和なる文化農村建設の急務を訴えたいのであります。第三は、教育の振興と新字制の完成並びに官紀風教の粛正につきまして所見を伺いたいのでございます。以上の三点につきまして、以下申述べます。     〔「定足数を欠いておる」「自由党責任だ」と呼び、その他発言する者多し〕
  36. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
  37. 松原一彦

    ○松原一彦君(続) 第一は、首相の中道政治に対する公約のことでございます。わが党は、御承知通りに與党でございます。従つて、現内閣の功罪のすべては、これが責任を担うものであります。敗戰後の大破局収拾の責を負うて、連立内閣のむずかしい首班にお立ちになつた片山首相の御労苦に対しては、深く感謝するものであります。しかしながら、政治は天下の公務であります。私心、私情をもつてこれを曲庇し、あるいは黒白を糊塗して國民を欺くことはできません。現内閣は、昨春の総選挙の結果が、どの一党も議員総数の三分の一以上を占めず、小党分立の形となつたところから、やむを得ず、民意を総合して連立内閣をつくつたのでありました。その條件が、四党政策協定と同時に、政治協定までいつてのことであることは、世間周知の通りであります。  從つて、その性格は、当時マ元帥の声明にもありました通りに、「公共の必要に最もよく奉仕できる政府をつくるために、種々異なつ政治見解を融合して、ここに一つの実際的な型を見出そうとの努力が拂われた」ことからきておるものであつて昭和二十二年六月一日、片山首相が御就任と同時に発せられました声明には、かようにあります。「私は四党政党協定の方針を守り、極右、極左に偏せず、特に共産党に対しては明確に一線を画し、中道を歩む意向である。」と御発表になつております。かつ、人格者片山首相は、「公約は必ず実行する。断じて表裏のない政治をする。」と誓われておられるのであります。マツカーサー元帥も、また片山氏の信仰とその人格から推して、片山氏が新しい首相として選ばれたことは、日本の内政が中道を歩んでいることを強調するものであると裏書きをせられておるのであります。  すなわち、片山首相が内外に声明し、天下に公表せられたる政治指導の理念は、まさに中道であつたのであります。政治家の声明は、その公約を重んじ、信を國民から失わないことであります。この意味におきまして私は、片山首相の心境は、今日といえども決して変つてはおられないであろうことを信ずるものでありますが、しかしながら、最近日本社会党が、党議をもつて一方的に、友党にも諮らず、四派協定破棄せられたことにつきましては、私どもは深く考えざるを得ないのであります。もちろん、独立の政党がいかなる決議をせられようとも、他党の関するところではございません。しかしながら、協定は相互的なあものであつて、決して一方的な偏務的なものであつてはなりません。しかも、天下周知の公約であります。これによつて現内閣も成立したのであります。  当時の四派協定は、現内閣の性格を天下に公約したものでありまして、從つて協約は、内閣の生命であることを私は固く信ずるのであります。それを一方的に破棄せられたことは、同時に中道政治を行わんとする公約をも破棄せられたことになるのでありましようか、どうでありましようか。私はこの点につきまして、片山首相の固き御決意を承りたい。  私は、この難局の日本の政治に当たる信念は、まず第一に、今日の情勢を現在のままにはつきりと認識することでなくてはならぬと信じます。日本の今日は、まさにポツダム宣言を全面的に受諾いたしまして、絶対無條件に降伏しておるのであります。しかも一方には、その結果として、連合國の完全なる占領下にあるのであります。この制約を受けておりまする日本の政治は、新憲法のもとにおきまして、絶対平和主義の政治をば、民主的精神において樹立しなければならない誓約を世界にいたしておるのであります。かかる際に、民意に背き、公式的なる、観念的な單一の主義、または一党一派によつて、独善的なる一方的政治が行われ得るものでありましようか。私は、政治常識の上から、これを疑うのであります。  私は、日本の置かれたる現在の事実の上から直感いたしまして、今日の日本の政治は何といたしましても、世界不変の眞理である人道主義の自然法的鉄則に則り、統制に偏せず、自由に堕せず、党派を超えて現実情應の政策をとることでなくてはならないと信ずるものであります。(拍手政治上の主義主張は、もちろん、極端なものほど鋭く、強く、鮮明であります。私は、政治思想に現れた左右両極の主張には、敬意を表します。しかしながら、日本のごとき制約のもとに、複雜なる情勢をもつてつておるこの場合におきましては、断じて一方的な尖鋭な主義や主張が、なまのままで行われるものではございません。  私は、公式論としての二大政党を必ずしも排撃するものではございませんが、しかしながら、先刻から承つておりまするように、自由党の諸君の言われる自由資本主義のこの経済において、一方的な政党が右から立ち、左において、國有國営の主義を掲げるところの尖鋭なる社会主義の政党がこれに対立する場合に、一体日本の政治がいかになるのでありましようか。対立抗爭は、まつたくここに血を見るような、激しい破棄とならざるを得ないのであります。かりに尖鋭なる革新主義の政党が一方に立てば、必ずや國有國営の制度を固めていくに相違ございません。これに反対する政党がさらに立つた場合におきましては、これはどんでん返しを打ちまして、民有民営のきわめて自由な制度に、一遍に変わらざるを得ないのであります。  一体、革命と反革命の両政党が、血を見るような対立をもつて、革命と反革命のこの制度の改革に終始いたしました場合に、一体日本の平和なる民主主義の政治が成り立つとお考えになるでありましようか、どうでありましようか。(拍手)私は、政治上の常識の上から考え、かつ日本民族のここなお半世紀以上は苦しみ抜かなければならない現実に鑑みまして、かかる対立抗爭によつて平和の撹乱せられることをば心から恐るると同時に、全國民が協同一致いたしまして、結束によつて建設に向かうほかに、日本の生きる途はないと信ずるものであるのであります。(拍手)  一体、もし日本に対立するものがあつたならば、いかなるものが対立するでありましようか。私は資本主義と社会主義の対立では断じてないと信ずるのであります。今日吉田総裁が発表せられましたように、自由主義政党である自由党におきましても、放逸なる自由はとらぬと言つておられます。必要なる統制は是認しておられるのであります。社会主義政党といえども、断じて一方的な統制のみに偏する政策をとつておられるとは信じません。もし、今後対立するものがありといたしますならば、私は、人道に基づく社会民主主義的國民主義の政党と、結局は革命を施行するところの共産主義の政党以外にはないと思うのであります。すなわち、ナシヨナリズムかコンミユニズムかのこの対立ならば、あり得る対立でありまするが、現在の日本民族のかくのごとき運命を考えまするならば、私は社会主義か資本主義かなどというような対立をもつて日本の政治に臨むものであつてはならないと思う。  片山首相から、ただいまお答えがなかつたのでありまするが、今日一方的な、さようなイズムで割り切れるような簡單な日本ではないのであります。左派も右派も、という言葉を私は使うことを好みませんけれども、新聞に傳えらるるところの主張を見れば、いずれも五十歩百歩の爭いであります。何も大した問題ではないと私は思う。対立抗爭は結局破壊であり、協同結束の建設を求むることこそ、日本の運命に対するわれわれの心からの熱望でなくてはならないと信ずるものでございまするが、この意味におきまして、はたして片山首相はいかなる御決意をおもちになるのでありましようか、伺いたいのであります。  私は、この際申し述べたい。世間往往にして、協同主義とは方便的な姑息の妥協であるかのように思わるる方があるのでありまするが、私どもは、断じてさようなものではないと信じます。協同主義とは弁証法的には第三理であります。原則といたしましては社会生活原理である。友愛、互助、協力の精神に基づき、哲学的には二元の対立を使用いたしまして、不離一体の実践に立つものであります。目的といたしましては、新憲法の精神に則り、万邦協和の平和的日本のを建設せんとするものであります。この意味におきまして私は、この妥当なる主張のもとに、左右両面からの歩み寄りが常に行われてあることを固く信ずるものであります。  現に諸君見らるる通りに、現内閣は、われわれ協同主義者と、さらに右には、資本主義をば修正したる穏健なる民主党の諸君が手を握つておるのである。左には、社会党が現にわれわれと一緒に協力いたして、現内閣を構成いたしておるのであります。私は、ここにおらるるところの西尾氏から、たびたび聽いておる。社会党は断じて階級政党ではない。國民政党である。階級のみの政党であつてはならない。國民全体の利害の上に立つ政党であるということをば、たびたび公開の席において聽いております。從つて、今日單純なる階級政党などは、私は存在しないと信じておる。こういう意味におきまして、今の政界の傾向は、決して分離的な、遠心的なものではなくして、國民の希望に應じ、要求に應じて、ことごとくまん中に歩み寄つておるものである。ここに、われわれが挙國一致の内閣を要望し、今まさに戰爭裁判は終局に入り、講和会議は目の前に迫り、しかもインフレの危險は刻々に迫つておる、この時代を切り拔けるために、一方的な主義主張の爭いによつてこの内閣をば破壊し、あらゆる解散を促進して、そうして政治の上に空白を生ずるような危險なことをおかしてはならないというとを、私は固く諸君に訴えて、善処を求むるものであるのであります。(拍手)  第二におきましては、私は現下の産業経済の各方面に向つて、首相並びに経済閣僚の御所見を伺いたい。私は、日本の今日の破局、國民生活のこの窮乏は、まことに悲しいことの限りでございますけれども、必ずしも物の欠乏のみからはまいつておらないと思うものであります。もちろん、積極的なる生産の増強、これが今日の至上命令であつて、物の増産なくしてインフレは克服できませんし、國民の独立の生活もまた打立てることはできないのでございますが、しかしながら、これに先立つものは、まず日本國民が、精神的なる希望によつて、勇氣を振い起して、將來を築こうとする努力がなくてはならないと信ずるものであります。  今日の失われたるものの最も大きなものは何であるかと申せば、必ずしも國土が四割減つたことではない。また産業が三割以上に回復できないということのみではない。一番大きな失われたるものは、全國民が希望を失つたことであるのであります。絶望状態に陷つておることであるのであります。これこそ、日本の復活を妨げるところの最も大きな原因であります。國民が希望を失つておる。希望を失つた國民は、まつたく刹那的な、動物的な本能によつて右往左往せざるを得ないのであります。ここに、すべてのものの困窮をますます深くするところの原因がある。統制をすれば、これを逃げようとすることばかりにかかつてくる。自由放任になれば、まつたく力の強い者、財力のある者がこれを独占しようとする。いずれにいたしましても、積極的なる起ち上がりが見られ得ないのであります。  この意味から申しまして、私は、どうしてもここに五箇年計画に対する政府の最終局の、大きな見透しを高く掲げてほしいということを要求するものであります。もちろん、今日御発表になりました五箇年計画第一年次のその目標は、私は諒といたします。また、この計画によつてつていかれることが、インフレを克服し、日本の産業経済を回復する公式的なものであることにおいては、異存はございません。しかしながら、こればかりでは、決して日本國民は心から動くものではないのであります。それには、政府がこれに対するところの順次的な方法を備え、さらに到達するところの順序を、その目標に向つて的確なるものを示さなくてはなりません。  今日まで政府の言われたことについては、残念ながら私どもも責を負わなければなりませんが、世間に信を失するものが、あまりに多過ぎるのであります。昨年も、安本長官は、十一月黒字説を出しておる。しかも、何らその実はあがらなかつたのであります。かくのごとくにして、政府の発表に何の信がありましようか。政治家が信を國民に求めようとするならば、言つた言葉には必ず責任がなくてはならぬ、安本長官が、十一月黒字のできなかつた今日、恬として恥じず、今にその席におられるがごときは、私はいかにも不可解千万と思うのであります。(拍手責任のあるところに責任をとりさえすれば、國民はここに信用をいたすのであります。  國民の心を健全にし、健全なる希望と、これが実現への勇氣をもたしめるために、どうしても責任を負うて、政府は五箇年計画の目標を示されたい。それには何をおいても、今日本の國が最も要求いたしておりまする食糧の自給ということが第一でなければならぬと思います。第二は、電力の大拡充であります。石炭は掘れば必ず盡きるものであり、困難は倍加するものでありますが、しかしながら、水力は無限のものであります。  日本國民が独立せんがためには、まず食糧の独立から始めなければなりません。食糧の独立なくして、何の独立の民族があり得ましようか。英國が今日経済崩壊の危機に達しておると傳えられるのも、一に食糧輸入にのみ全力を注いで、原料資材を輸入し、再生産機会をつくることのできない窮迫に陷つておるからだと傳えられておるのであります。日本國民がこの狭い島國に立ちながら、將來民族としての独立をはかつていこうとするならば、確かにむりには相違ありません。八反百姓この狹い土地において食糧の独立というようなことは、まことにむづかしいことには相違ありませんけれども、これを克服しなければ、民族の將來に私は希望がもてないと思う。かくのごとき意味におきまして、増産こそ、特に食糧の自給こそ、日本國民に課せられたる、現在においては至上命令だと思うのであります。これを達成することは、困難ではあるけれども、必ずしも不可能ではないと思うのであります。  現に首相は、新年度におきまして、主食の一割の増收をば希望しておられるのであります。一割は、第一年度においてもできるとするならば、ここに、あらゆる方面から今日の科学的な研究を求めて、整地を行い、肥料を増加し、農業技術並びに経営方面に改良を加え、適切なる指導を與えるならば、私は日本の農産の上に二割の増收のできないことは断じてないと思う。  私は、先般來地方をまわつて、精農、篤農と言われるような方々に幾多お目にかかりまして、いろいろ示唆を受けたのでありますが、こういう人々には、凛たる愛國の熱意が燃えておる。現に、信州における黒澤翁のごときは、一反六石取りを発表し、この指導を受けたる美濃地方の、現にわれわれの知つておる農家の方々の中には、本年四石五斗以上を実收したる人も、確かにたくさんあるのであります。もちろん、これはむつかしいことには違いありません。一反二石取りすらも難しい今日に、二割増收の困難はございますけれども、五箇年後においては必ず食糧自給を実現するという希望に燃え、これに対する勇氣と努力とが添い、政府が信をもつてこれを後援いたしまするならば、私は、断じて行い得ないような、さような、日本人ではないと思うのです。日本民族は優秀な民族であることを、われわれは今日まで自覚してまいつたのでありますが、不幸にして一大停頓をみたのでありますけれども、一回の敗戰ぐらいで腰を折るような民族でないことを信じます。どうか私は、政府が炭鉱國官問題にも示されたような——石炭増産が今日の一大要求であることにはもちろん相違ないと思いますが、五箇年計画におきましては、どうかしてこの最高の目標、第一の目標を食糧自給の線に掲げて進まれんことを特に希望するものであります。  しかしながら、申すまでもなく農業生産は、天候等に支配せられまして、すこぶる障害が多いのであります。もちろん、一氣呵成に行われようとは思いませんけれども、しかしながら、これに対する指導よろしきを得ると同時に、國民の意氣がそうならば、できるに相違ありませんが、しかし、政府が昨年公約せられました、あの災害地方における復旧のごときを、公約のままに捨てておくような態度では、私は、これはとうてい計画は行われないと思うのであります。  現に、先刻も御質問がありましたが、この農業生産地における復旧のごときは、何をおいても急がなければならないところの重大要件であります。昨年來の水害によつて非常に大きな災害をこうむりつつも、関東・東北地方の農民諸君は、まさに百パーセントの供出を果たそうといたしておるのであります。民は、一方において誠意を盡くして努力をいたし、ひたすら政府の公約を持つておる。かかる際に、政府が万難を排してこの生産地方の復旧に力を注ぐ事実を示されまするならば、私は先刻から申します通りに、日本の正直なる農民諸君は、死力を盡して食糧自給の目的に向つて進むことを、決して疑わないのでございます。  そもそも、今日まで日本の國が、これほど大きなハンデイキヤツプをつけながら、どうにかこうにか食つてまいつたゆえんは、もちろん二割内外の外國からの輸入によるのではございますけれども、実は日本の農村は、戰災を受けておらぬのであります。人的な損害、若干の農機具等の物的な損害はございますけれども、最も健全性を保つておるのは、日本の農村であるのであります。  そこで私は、特に首相に向つて、さらに農林大臣に向つて希望を申し上げたい。健全なる農村の存在こそ、私は國の基礎を最も堅くするものだと思う。農村は、社会的には第一次的の存在であります。これが完成せられた後に、都市の存在が起つてくる。平和なる文化農村を指向します日本の將來は、何と申しても、この農村を理想的な文化農村に仕上げることを最も重大なる使命としなければならないと信ずるものであります。この点につきまして、政府の御所見いかがでありましようか。私は、農村の人々こそ最も保守的であると思います。しかしながら、保守的であるだけに、きわめて堅実なのであります。進歩は遅いが、しかしながら、崩れもまた遅いのであります。こういう意味から申しましても、私どもは日本の農村に大きな望みをかけ、かつこれをやみの巣といたしたくない、惡農呼ばわりをせらるるところの対象といたしたくないのであります  日本の農村が、今後いかにあらねばならぬかは、これはそれぞれの理想によつて違うことはもちろんでありましようけれども、平和なる理想的文化農村は、どうあつても近き將來において実現を見なければならない絶対條件であるのでありますから、でき得る限りにおきまして、各府縣に一つでも二つでも、その理想的な文化農村の設定を実行し、この朗らかなる、明るい文化農村を範として、全國農民諸君が、あるいは青年の人たちが、この範二ならつて將來に明るい希望をもつような目標を示されんことを、私は切望いたすものであります。  平和なる文化的理想農村とは、一体どういう條件をもつものでありましようか。結局、八反何畝しかないところの過小農である日本の農家は、單一農業でないことはもちろんであります。そこには、あるいは酪農もとり入れなければなりますまい。あるいは有畜農業、あるいはいろいろな多角形な生産方法をとり入れなければなりますまい。さらに生活の面に起きましては、おびただしいところの動物性蛋白質を初め、脂肪等の滋養源をも豊かに與えるものがなくてはならぬのであります。かようにいたしまして、一方には自給豊かなる文化農村を建設するとともに、一方には、今日刻々起りつつありますところの日本の土地の高低、落差のある事実を利用いたしまして、水力電氣を豊富にとり、日本の農村が一方には電氣によつて炊爨のできることも計画いたしたい。一方には、動力を利用いたしますところの農村工業をも実現いたしたいのであります。かようにいたしますならば、私は日本の農村人諸君が、必ずやこの光明と希望のもとに、愉快なる生活を営み得ると信ずるのであります。  その中心は、かつて文部省がしきりに宣傳いたしましたところの、あの公民館の創設であります。公民館こそは、全國一万一千の市町村の文化センターであつたはずであります。今日、この運動がいささか停頓いたしておりますことは、まことに残念にたえませんけれども、中道を志すところの國、世界における中道の國として最も有名なのは、御承知通りスエーデンであり、デンマークであります。スエーデン、デンマークは、ともに農業の國であり、しかも、平和なる文化農村を現に実現いたしておるのであります。そのねらいこそ、今日立法の上に成立いたしました、あの農業協同組合法であります。日本の全農村が、この新しい農業協同組合の精神によりまして、階級闘爭の苦悶から起ち上つて、無血革命によつて現れました土地の均分化、富の均分化の上に立ちまして、協力一体となつて、この理想を追うて進みますならば、私は、日本の將來は世界のどこに対しても恥ずかしくないところの平和なる文化國家となることを、断じて疑わないのであります。(拍手)この大希望なくして、何でこの苦しさが切り抜けていかれましようか。私は、この大希望を掲げて、苦しい日本の現在の運命を切り抜けていきたいと強く志望いたすものであります。  さらに私は、第三の点、教育対策につきまして、首相並びに文相の御意向を伺いたい。     〔「定足数を欠くじやないか」と呼び、その他発言する者あり〕
  38. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。     〔「議長、議長」と呼び、発言する者あり〕
  39. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。     〔発言する者あり〕
  40. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 妨害をしてはいけません。
  41. 松原一彦

    ○松原一彦君(続) 世界に誓つたところの平和なる文化國家の建設は、何を申しましても、まず教育から出発いたさなければなりません。今日のごとき教育の貧困さをもつては、とうていわれわれが世界に誓つた責任を果たすことはできないのであります。  諸君、あの疲弊困憊の底から起ち上がりましたるデンマーク、グルンドウイツヒ翁が、かような希望を立てたことから始まつたのであります。デンマークは土地が小さく、生産が稀少であり、そうして、國防力をももたなかつたのであります。それがために…     〔発言する者あり〕
  42. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
  43. 松原一彦

    ○松原一彦君(続) グルンドウイツヒ翁は非常に苦しみましたが、デンマークにあり余るものを求めました。あり余るものは何であつたかというと、人間だけであつたのであります。あの小さい國にあり余るものが人間だけであつたとときに、彼は少しも悲観しなかつたのであります。このあり余る人間をば世界最高の人間に育て上げようというのが、教育人グルンドウイツヒ翁の念願であつたのであります。  今の日本に何が一番多いか。多いものは人間だけであります。しからば、どうしてこれから立ち上がるか。まず人間をば世界最高のものに育て上げなければならぬ。これが日本の立ち直りの第一の要件であると私は信じます。この意味におきまして、まず人間を教育してかかること、これが何をおいてもまづ先の仕事でなくてはならないのであります。  かような意味におきまして、世の中にたまたま六・三制義務教育の中止または延期をば要求するの声もあるのでありますが、私は深く皆様方に考えていただきたい。一体、今日の青少年がどういう生活をいたし、どういうような心持をもつて暮らしておるでありましようか。私は、今日この席でいささか申すことをはばかるような氣持がいたすのでありますが、地方をまわつてみて驚くべきことは、少年たちが、小学校の学童ですらも、タバコをのんでおるのであります。ばくちをうつておるのであります。あるいはまた、中学校の生徒などでどろぼうをやり、集團強盗をやるといつたような不祥な事実をも示しておるのであります。もし教室が足らぬ、教具がないといつたようなことをもつて、教育を中止しまたは延期するようなことがあつたならば、一体青少年はどうなるでありましようか。教室の建つまでに、設備の整うまでにわが六百万の青少年は腐つてしまうのであります。青少年を腐らせて、それから何の教育が行われましよう。私は、何をおいても青少年を腐らしてはならぬと思う。  現に先日、私は最も苦しい中等学校に行つてまいつた。新制中学校に行つてまいつたのでありますが、この子供たちと話をした。子供たちに聽いたのであります。諸君、この設備はきわめてつらい、まことに貧しい設備であり、諸君も非常に困るであろう、國会には、おびただしいところの諸君からの注文や希望や詰責が参つておる。しかしながら、諸君に相談するが、今この六・三制の中学校をば、苦しいからというてやめてよろしいかどうか、やめて、立派な学校のできるまで諸君は教育を受けないで待つかどうか、諸君のほんとうの希望を聽きたい、私はこう思う。教育とは先生と生徒があればできるものである、先生があれば教育はできる、今日の六・三制の特に青年に求むるところの教育は、私は生産の教育でなくてはならぬと思う、たんぼの中が、畑の上が、同時に教育の場でなくてはならない、(拍手生活そのものが教材でなくてはならないのである、だから、もし学校が間に合わなかつたならば、家庭をまわつても教えてもらう、農閑期には、お寺に集まつても、お宮に集まつても、諸君は教えてもらうところの先生があることを希望しはしないか、先生はある、教科書は必ず保障する、設備が足りないからというて、今この際諸君を遊ばして、このやりかけた学校の制度をば中止することに諸君は賛成するか、と私は聽きましたところ、絶対一人といえども賛成する者はないのであります。先生、私どもはやります、よい先生さえ送つてくだされば、私どもは必ずどんな苦しい目をみましても、教育は続けてもらはなければならない、と彼は異口同音に叫ぶのであります。  デンマークの復興したのも、この生産、産業の中に勤労の精神を與え、その能力を養うところの教育から出発いたしておる。日本の復興が、新しき義務教育の延長による生産の教育から進まねばならないことは、まことに私は当然であると思う。(拍手從つて、学校のできるのを待つような悠長なことで日本が救われるものではないことを私は強調いたしまして、断じて中止や延期のごとき俗論、愚論にまどわされず、敢然として、この延長せれたる義務教育の完成に進まれんことを切望するものであります。(拍手)  それについても、私がここに熱望いたしまするものは、一体今日まで、この國政の計画において、教育に対するところの予算の配当がきわめて貧しいのであります。現に、総予算に対する教育費の割合は、最高が昭和五年度であつて、九・二%になつております。最低が昭和十九年度であつて、〇・六%、すなわち、総予算に対するわずか千分の六であつたのであります。昭和二十一年に至りまして、戰爭が終つてからの第一年次は、二・二%であつた。本年になりまして急に激増はいたしましたものの、しかも、今日なお四%に達しておりません。かくのごとき貧困なる教育経済計画におきまして、はたして、われわれの所期するごとき興國の教育の実をあげることができるでありましようか。  隣國中華民國の憲法草案と傳えらるるものによりますれば、中華民國におきましては、文教の費用をば、中央においては、一五%、地方においては三〇%を下ることを得ずと規定してあるのであります。隣邦中華民國が、教育において復興したことは、かの蒋介石の五箇年計画においても明瞭にわかるのでありまするが、日本の復興は、かくのごとき貧弱なる教育費ではとうていできない。從つてわれわれは、必ずしも中國にならうのではないけれども、ほんとうに心から日本の復興を希いまするならば、まず教育費に一つのわくを與えることを要望する。それは最小限度において、私は総予算に対する一〇%を要求するものであります。この点につきましては、諸君の特に御協賛を得たい。  いつもいつも教育費が後回しにせられる。何となれば、これは見返りがないからだというような暴論をも聞いておるのであります。人の養成は、見返り品、物資ではありません。しかしながら教育費は、どうしても中國において要求するがごとくに、中央においては一五%あるいは二〇%をば要求いたしたいのでありまするけれども、今日は三割三分の終戰処理費もあります。終戰処理費がだんだん縮小せられまするならば、この方からの補いもつくのでございまするから、この際におきましては、どうあつても一〇%だけは置いていただきたい。これをば、教育優先の原則に從いまして、予算編成の際に、まづ先にわくの中に取入れて、しかる後に教育行政を按配せられるように切望するものであります。この点につきまして、大藏大臣並びに文部大臣はいかなるお考えをおもちになるのでありましようか。  六・三制義務教育の完成につきまして、私は、勤労青年への高等教育の充実、これをも特に要求するものであります。今日六・三制として高等学校の制度があげられておりまして、首相は施政方針の演説におきまして、その中の勤労青年に対する定時制高等学校の拡充をば明言せられておりますることは感謝いたしますが、それが單なる全日制高等学校への從属的なものでなく、この八割に余るところの勤労青年を、ほんとうに國家中堅の人格智能者として育て上げるために、私は特に勤労教育を中心といたしましたる高等学校を強く要求するものであります。これは、この一〇%の中における一大條件となるのであります。さらに盲聾唖教育の義務制、軍用施設のあらゆる面においての教育施設への轉用、私学に対する寄附金の免除、新学制、特に教育者を養成しなければなりません新大学制の中には、教育者養成の大学を含めまして、これが國庫負担を私は要求するものであります。  さらに、過去に惠まれなかつたところの教員の人たちが、ただいま郷里におきまして非常な窮乏に陷つておる。それは何か申しますれば、恩給制度の菲薄なことであります。過去の特権は失われたとは申せ、なおこの制度は残つておる。國家公務員法におきましては、恩給制度の復活すべきことが法律においてきまつておるのであります。今日地方における教職員の恩給は、月額わずかに平均三十億円という、まことにタバコ一筒に値せざる微々たるものであります。これがために、過去に人の子を教えたる人々が、生活保護費までも受けなければならない窮乏に陷つておる。この点におきましても、私は一切平等、希わくば恩給法改正を急いで、こういう人々にも光を與えられたいということを希望いたしまするが、同時に、これは教職員ばかりではありません。一般普通文官すべてに及ぼすものであります。  最後に私は、官紀並びに風教の振粛につきまして政府に伺いたい。官公吏の諸君、すなわち公務員たち諸君の勤務態度につきましては、たれが目にも、私は今日決して満足なものではないと思う。われわれ大きなハンデイキヤツプをつけられておる疲弊困憊の日本民族が起ち上るためには、かかる際においては、実は世界の水準の倍も働かなければならないのであります。権利の要求にのみ敏にして、義務の実行のおろそかなるようなことがあつたのでは、とうていこの復興は行われません。かかる意味から申しましても、どうか官公吏の諸君はもちろん、一般公務に携わるような人々は、特に深き反省をもつて一層の努力を希望いたします。これに対しますところの政府所見を伺いたい。  さらに私は、官紀風紀の振粛につきまして申し述べたい。それは平野問題に関する点であります。もちろん、これには非常な苦衷もあらるることも、私は想察するに決してやぶさかなるものではございませんが、その後に現れましたところの、かの中央公職適否審査委員の諸君のあの手記なるものは、一体何でありましようか。一体、人の資格を審査し、死刑にもひとしいほどの追放を決定せらるる、公平無私なる裁判に当たらるる方々が、その被告の細君に向つて内情を打明けて、これが慰藉を與えるがごとき、一体そういうような態度が、資格審査委員としてはたして適当であるかどうかを私は疑うのであります。(拍手)  私は、その後に現れましたるいろいろな新聞記事等のみしか知らないのでありまするけれども、一体公人の追放を決定するというようなことには、断じて一点の私情があつてはなりません。これは、どこまでも明々白々たるものがなくてはならぬ。これが疑われまするのは、内閣総理大臣が会長となつているところに、行政上の手ごころがあるのではないいかといつたような疑惑が起るのであります。わが國協党は、さきに所見を呈して、その中央公職適否審査委員会を最高裁場所に移されたいという希望を申し述べてあります。もし移されておつたならば、今日のごとき世間に疑惑を起こさせないで済むのであつたろうと思うのであります。この点につきましても、政府はいかなる処置をとられるでありましようか。少なくとも、今日あの手記を発表いたしましたる人々のごときは、私は十二分に処断すべき必要があると思うのであります。  さらに、最近傳えるところによりますれば、選挙法の改正が各方面から起つておるということでありまするが、これはまことに当然であります。選挙にはやみのある間は、とうてい議会を構成することはできません。やみの手段によつて当選した人に、やみの撲滅を要求する理由はないと思うのであります。今日も現れましたる、衆議院内における、ある最も不快なる事実のごときは、まつたく選挙に用いたる選挙費から起つておる。(拍手)選挙費のやみこそ、政界を惑わし、日本を誤るところの最も大きな條件であるのであります。かような意味におきまして、私は、首相の金のかからぬ選挙法を制定したいという御希望に、双手をあげて賛成する。(拍手)願わくは同僚議員諸君も、この際至急に、最も正しい、金のかからぬ選挙法の制定に向つて全力を盡されたい。これが成功を特に祈るものであります。かくのごとくにしまして、私は、ほんとうに、最も粛正せられたる國会が成立すると思うのであります。  最後に、講和会議はわれわれ待望の的であります。講話会議の終了によつて、われわれは一日も早く独立の國になりたい。政府はこれに向つていろいろな御努力をなさつておらるることとは思いますけれども、その時期、その場所等についてのお見透しがあるかどうか、願わくばこれをお聽かせ願いたい。  以上をもちまして、私は政府に対する質問並びに私の希望を申し述べた次第であります。(拍手)     〔國務大臣片山哲登壇
  44. 片山哲

    國務大臣片山哲君) 御承知通り、現内閣は三派連立内閣であります。各党の特色をもち寄つて、その長所を十分に発揮いたしまして、現下の情勢に対應した最も適切なる政策を練つて、時局を乘切りたいと考えております。中道に、しかも合理的に、またお互いの間の信頼感を深めまして、結束を固くして時局を相当いたしたいと決意は、組閣当時と今日と少しも変つていないのであります。(拍手)  第二に、農業生産拡充のためにはどういうような目標を立てておるか、こういう点の御質問であります。これにつきまして松原君は、農村文化の高揚、農業技術向上をはかつていかなければならない、農民の生活向上も必要である、こういうような御意見を附加されましたが、まつたく同感であります。私どもは、ほとんど封建的な隷属下にありました農民解放に主力を注いでまいりまして、そうして、わが國の農業生産を發展せしむるための素地を今日までつくるべく努力してまいつたのあります。今後におきましても、見捨てられたる、忘れられたる農村文化を十分に発揚するために努力いたしたいと考えておるのであります。技術の点においても、生活の点においても、生活態様の点においても、文化上におきましても、すべての点において遅れておりまするところの農村を向上せしむるということは、現下最大の急務であろうと存じます。これは一に農業生産力を拡充する土台となると考えておりますから、この農村文化高揚のために、全力を盡したいと考えておる次第であります。  第三に、行政機構の改革から、中心は中央資格審査委員会の所属関係取扱いの官廳をいかにするか、こういうような問題についての御意見がありました。この問題はときどき伺うのでありまして、最高裁判所に中央資格審査委員会を移して、最高裁判所の判断にまつた方がよかろう、こういうような御意見のようでありますが、ポツダム宣言において、日本政府としてやらなければならない仕事の一つになつておりまする行政事務と心得ておるのであります。司法事務行政事務とわけますると、この問題は裁判制度に移すべしということは、あまり適当にあらずと思うのであります。よつて行政事務、こういう意味におきまして、政府責任において、中央資格審査委員にこの檢討を委託するということが適当であろうと存じておるのであります。  なお中央資格審査委員会は、政府の意のままに動くとか、政府意見によつて左右せられるというようなことは、全然ありません、最も公正に、最も合理的に、また民主的に審議をいたしておるのでありまするから、その点は十分に御信頼願いたいと心得るのであります。  また綱紀粛正につきましては、御意見通り十分徹底してやりたいと思います。官吏は、官吏風を吹かせまして自分の利益を得るとか、あるいはまた自分の地位を目あてに仕事をするとかいうようなことは、断じて許すべからざることでありまするから、この問題に対しては、假惜なく諸君のいろいろな御意見を出していただきたいと存じます。十分徹底的に官紀の粛正を断行いたしたい考えであります。  なお最後に、選挙法の改正について御賛成の意見を出してくださいましたることは、まことに感謝の至りであります。早急に諸君の御意見によつて、政党の意見を十分に出していただいて、成案を得たいということを切望いたしておる次第であります。これをもつてお答えといたします。     〔國務大臣森戸辰男君登壇
  45. 森戸辰男

    國務大臣(森戸辰男君) 松原君の御質問にお答えいたします。文教政策に対する政府根本方針と決意並びに当面の教育政策についての御意見には、全面的に賛成であります。政府は、先ごろの首相の施政演説にも明らかに述べましたように、幾多の困難を排しつつ、教育刷新の実をあげたいと存じておるのであります。松原君の御質問は非常に多くの面に触れておりますので、ここにことごとくお答えいたすことはできませんので、重要な諸点のみをお答えいたしまして、他は、他の機会にお譲りいたしたいと思うのであります。  第一点は、六・三制、殊に新制中学を中止あるいは延期するかという御質問でございました。これは重大な問題でありまして、巷間、そういうような説もあるのであります。しかし政府といたしましては、さような意思はもつておりません。六・三制は、いろいろ日本の窮迫した財政状態の中でも、新しい日本建設のためには、アメリカの教育使節の言つたように、われわれは最大の希望を子供にかけて、この教育施設を立てたのでありまして、もちろん、その実行にはいろいろな困難がございます。地方の財政等まことにお氣の毒な状態にあるのでありまするけれども、しかし私どもは、この根本的は日本再建政策は、國も、地方も、先生も、親がたも、学生生徒も、力を協せてこれをやつていかなければなりませんので、私どもは、この線に沿うて不十分なところがあるけれども、それと闘いながら、この制度を実行していく固い決意をもつておるのであります。  第二の点は、文教費について最小のわくをつくる意思はないかという御質問でありました。文教費の問題は、切迫した経済のもとでは、いろいろ困難な面に当面いたしますので、この御説は大いに傾聽すべきところがありまして、御説明のように、中華民國では憲法にそれが規定されておりまするし、アメリカの多くの諸州では、一定の基準経費が定められて、そうして、それの國家と地方との分担が、また法律できまつておる所もあるのであります。私どもは、これらを十分に勘案いたしまして——しかしながら、現在の財政の状態もありまするので、財務当局と十分御相談をして、この問題に善処いたしたいと存じておる次第であります。  第三の点は、勤労青年の教育の問題でありまして、私ども、義務教育を終えました勤労青年の大部分に、どうかして教育を受ける機会を得させたいと存じております。從つて、今年から行われまする新制高等学校には定時制を設けまして、働きながら勉強する機会をこれらの人々に與えたいと存じております。なお夜学の制度も設け、通信教授の制度も設けまして、できるだけ廣い勤労青年が教育の機会を得るようにと、最善の努力いたしたいと存じております。しかしながら、これも財政の問題と関連いたしますので、私どもは、現状を十分に熟視しながら、かような事情のもとに最善の発足をいたしたいと存じておるのであります。  なお、特殊兒童の義務教育、殊に盲者、唖者の教育につきましては、本年度より義務制を始めることになつております。しかしながら、これも一時にやることはできませんので、本年度から一年ずつ、九箇年をもつて完了する方針で、これを始めることになつておるのであります。  なお、学校の先生方、殊に年寄つた先生方の恩給が、今日の事情でまことにお氣の毒な状態にあるということは、一般官吏の同じ状態にある方々とともに、まことに御同情にたえないのでありまして、これまた財政当局と十分に御相談をいたしまして、最善の方途を講じたいと存じておる次第であります。  簡單ながらお答えいたします。(拍手
  46. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 農林大臣はやむなき用務のため出席されていませんので、答弁は次の機会に留保いたします。
  47. 松原一彦

    ○松原一彦君 簡單ですから、自席から…。  講和会議の見透しについて、首相の御説明を承りたい。     〔國務大臣片山哲登壇
  48. 片山哲

    國務大臣片山哲君) 講和会議の期日、場所等については、お話を申し上げる段取りには、まだ進んでおられないと思います。いろいろその問題についてお尋ねがありまするならば、外務大臣からお答えいたすのが適当かと存じておりますので、次の機会にいたしたいと思います。(拍手)     —————————————
  49. 笹口晃

    ○笹口晃君 國務大臣演説に対する残余の質疑は延期し、明後二十六日定刻より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて閉会せられんことを望みます。
  50. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時八分散会