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1948-10-08 第2回国会 衆議院 文教委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年十月八日(金曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 松本 淳造君    理事 水谷  昇君 理事 高津 正道君       近藤 鶴代君    圓谷 光衞君       冨田  照君    田淵 実夫君       松本 七郎君    伊藤 恭一君       久保 猛夫君    米田 吉盛君       黒岩 重治君    野老  誠君  委員外出席者         文部事務官   辻田  力君     ————————————— 本日の会議に付した事件  教育公務員任免等に関する法律案  教育及び教育制度に関する件     —————————————
  2. 松本淳造

    松本委員長 会議を開きます。  教育公務員任免等に関する法律案を議題といたします。  本案に関しましては、すでに議案についての趣旨説明を聽取いたしておるのでありますが、本案において最も重要なる点は、國家公務員法との関係ではないかと思われます。すなわち、從來官吏身分を有する教員が、國家公務員法施行によつて全面的にその適用を受けるようになることは、教員特殊性から考えて適当でないので、別に本案によつて教育公務員として地方公務員身分を與えようというのではないかと思われます。しかし他方本案に定める規定は、國家公務員法または將來制定を予想せられる地方公務員法とも称すべき法律に定める規定に從属することになつているのでありまして、この点國家公務員法との間における密接な関係が考えられるのであります。  しかし先般マツカーサー元帥の書簡によりまして、國家公務員法改正が行われんとしている現在においては、本案提出いたされました当時の状況とは大分客観的情勢が異なつているのではないかと思われますので、本案のみをとり出して審査いたしましてもどうかと思われるのでありまして、一應本案國家公務員法改正の方向とどんな関係にあるのか、それらの点を本案立案当局説明永めたいと思います。
  3. 辻田力

    辻田文部事務官 第二國会終りごろになつて提出いたしましたこの法案は、閉会中もなお引続き審査をお願いいたしているわけでありますが、今般本法案と密接な関係にある國家公務員法改正予定されまして、第三國会において審議されるようになると思われます。しかし國家公務員法改正されましても、本法案に関しては若干の点について影響があるにすぎないと思われます。國家公務員法改正案最終的決定に至つておらぬ以上、本法案との関係は、責任をもつて申し上げかねますが、関係官廳との折衝の資料中より考えられる点を参考までに一應御説明申し上げます。  第一條に関しましては直接の影響はございません。但し、本條第二項中「別に地方公共團体の職員に関して規定する法律」とありますが近く開かれる予定の第三國会におきまして、地方公務員暫定措置に関する法律案とも称せられるものが提出いたされると承りますので、これと本法案との関係が問題になると思われるのであります。但しこの暫定措置規定がまだ案としてきまつていないように承つていますので、この点に関しては、まだ確かなことを申し上げるところまでいつておらぬ状況であります。  第二條より第九條までは、別に変更すべき点もありません。  第十條は任命権者規定でありますが、この度國家公務員法改正案として傳えられているものの規定との関係が、やや問題になるのではないかと思われます。すなわち從來は、官吏の階級によりまして、任命権者が異なつているのであります。ところが公務員法改正では、今後任命権者は一本になることになるそうでありまして、さようになりますと、第十條に規定する学長とか教員というものの任命権は、文部大臣に属することになりますので、本條もそのように修正しなければならないかと思われます。  第十一條ないし第十三條は変更ありません。  第十四條には、字句の点でありますが「人事委員会」「人事委員会規則」というような文字がありますが、今度の改正によりまして人事院となりますので、人事院規則と直す必要が生じてまいります。  第十五條は、休職期間及び効果の規定でありますが、國家公務員法規定によりますれば、結核性疾患に関しても、他の疾病と同樣に休職期間は一箇年、休職期間中の報酬は三分の一を支給するということになつておりますが、今度の國家公務員法改正案と傳えられるものによりますと、休職期間に関しましては、人事院自身規則で定めるようになるようであります。この第十五條はその点を考えまして、とかく経済的に不遇な立場にある教員を保護していこうという考えでありまして、この事に関しましては、関係方面との折衝も必要となると思いますが、私どもといたしましては最小限この線でやつていきたいと希望しております。  第十七條の採用に関しては、教育公務員が他の職務を兼務する場合の規定を加えたいと思います。  次は第二十三條の、施行期日の問題です。昭和二十三年七月一日以降から施行することになつておりますが、これは当然変更になるものと思われます。  次は第二十四條でありますが、旧制の学校教員等の対するこの法律の準用は、学校教育法第九十八條の趣旨から考えて本條中「教員及び部局長にこれを準用する」とある部分を、「教員及び政令で規定する者にこれを準用する。」といたした方がよろしかろうと存じます。  次は第二十五條でありますが、本條教育委員会法施行による教育委員会の発足に伴いまして、不必要になりますので削除になります。  第三十一條は、今度の地方公務員法暫定措置に関して規定する法律規定のいかんによつては、必要がなくなるかもわかりません。  第三十三條及び第三十五條は、教育委員会法がすでに制定いたされておりますので、不必要になります。從つて削除であります。第四十一條は、教育委員会法第八十一條と同趣旨でありまして、これもやはり不必要となります。  その他に條文の移動や、なおその他、字句変更を要する箇所が幾分かありますが、たとえば第三十二條、第三十四條等に「人事委員会」とあるのを「人事院」と改める必要がある等でありますが、とり立てて重大な変更を加えねばならぬというようなことはありません。いわば任命権者の問題と、休職に関する規定の二点が重点となるでありましよう。なお、國家公務員法に最終的な案がきまつておりませんので、その案が今後どう変るかによつて、また改めて考えなおさなければならぬことが起ると思われます。  大体以上であります。
  4. 松本淳造

    松本委員長 ただいま辻田局長から詳細に國家公務員法改正と本法案とのつながりを承りましたが、委員の方に御質疑があれば御発言ねがいます。
  5. 松本七郎

    松本(七)委員 本案第十五條休職の問題ですが、休職期間中の俸給については、これも人事院規則で縛られるようになるのですか。
  6. 辻田力

    辻田文部事務官 さようであります。休職期間休職中の俸給も、人事院規則で制約されることになるようであります。それでこの法律で、その特例として、どうしてもこの第十五條の線に踏み止まりたいという希望をもつておるのであります。
  7. 水谷昇

    水谷(昇)委員 文部省のこの法案に対する根本的な考え方を承りたい。それは文部省はこの法案について急いで審査してもらいたいという意向があるのか、それとももつと先に審査を延ばしてもらいたいというのか、その辺のところを承りたい。
  8. 辻田力

    辻田文部事務官 私としましては、國家公務員法改正案がきまつてから、審査をしていただく方がいいのではないかと思つております。
  9. 水谷昇

    水谷(昇)委員 國家公務員法改正は必至でありますので、それを待つて審査した方がいいのではないか。地方公務員に関する暫定的な法律案も、第三國会提出予定だそうであるという点等から考えると、なおさらその方がいいと考えられるのですが。
  10. 辻田力

    辻田文部事務官 國家公務員法改正が正式に案として決定いたしましたときに、それと同時にその改正とにらみ合わせた教育公務員任免等に関する法律案提出いたし、御審議を願うということにいたしたいというのでありまして、國家公務員法改正國会で確定してから、本法案提出するという意味ではありません。
  11. 圓谷光衞

    圓谷委員 第二國会終りごろには、政府の方はどうしても本法案を速やかに審査してもらわないと困るというような事を言つておられた。だからこそ閉会継続審査をするようになつたのであると思いますが、ただいまは、もう少し先に延ばしたいといわれるのは、どういうわけですか。
  12. 辻田力

    辻田文部事務官 そのころは、國家公務員法施行が七月一日となつておりますので、國家公務法が効力を発揮してまいりますと、当然官吏身分を有する教員も全面的にこれに縛られますので、そうなりますと、被教育者人格完成の任に当る教員の職責の特殊性が没却されることになれば、困つたことになりますので、急いでこの法案審議をお願いいたしたのであります。しかるに、その後情勢が変りまして、國家公務員法自身が変化し、実質上活動していないようなぐあいになりましたので、いましばらく成行きを見守つて國家公務員法改正案が正式に決定いたしたときに、この法律案も御審議を願うようにいたしたいと思うのであります。
  13. 久保猛夫

    久保委員 大体事情は了解いたしましたので、委員会としてもこれ以上の審査を行うことは、一應延期ということにした方がいいと思います。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  14. 松本淳造

    松本委員長 大体委員諸君の御意見も、ただいまの久保委員と同様であると思われます。從いまして、本法案に対する閉会中の継続審査はこれをもち認して打切ることに御異議なきものと認めまして、左様決定いたします。  なお、衆議院規則九十一條によりまして、閉会審査を終らなかつた事件については、その旨の報告書を議長に提出いたすことになつておりますが、その報告書の作成及び提出方委員長に御一任願いたいと思います。     —————————————
  15. 松本淳造

    松本委員長 それでは、これより教育及び教育制度に関する件の中、学校教育法に基く新学制の最後の一環をなす大学の設置問題について協議いたしたいと思います。  大学設置に関しましては、文部省大学設置委員会において、現在愼重調査を進めているようでありますが、わが文教委員会といたしましても、本問題については非常な関心を有しているのでありまして、先般委員各位に、親しく各地における実情調査していただいた次第であります。從いまして、この際派遣委員方々から調査の御報告の発表を願いまして、その御意見を承ることにいたしたいと思いますが、いかがでしようか。
  16. 久保猛夫

    久保委員 この問題については、文部省でも大学設置委員会愼重調査檢討いたしているようでありまして、その設置委員会の方と、文教委員会意見の対立があつたりして摩擦を起すようなことがあつては、おもしろくないので、両者の関係をどのように調和するかということについて、私は先般日高学校教育局長と話し合つたこともあります。地方によつては、個々に決定的な案を持つてきて、文部省と直接に交渉しているようでありますが、結局地方の要望して持つてきた案と変つた決定がなされた場合に、衆議院文教委員会でかえたようなことになつては、これまた困つたことになるのではないか。われわれが実地調査した結果をここで発表して、どういうふうにした方がいいだろうということを申し述べたのでは、後になつて困つたことになりはしないか。われわれとしては文部省の案がまとまつてから、その説明を聽いて後、適当な方法を講ずるようにしたらどうでしようか。
  17. 米田吉盛

    米田委員 私の知る限りでは大学設置委員会できめようとするところと、現地の要望するところとは、大分異なつているようであります。今後大臣なり局長なり設置委員会審査員なり、めぼしい人々においで願つて十分に話し合つておちつくべき所におちつくようにしたいものです。たとえば、今までよりもちよつと程度の低い、新しい高等学校の卒業生が入学する大学に、地元、特に学者等に多いようでありますが、そういう人達は、非常に程度の高い大学を作ろうというような理想に走り過ぎた点もあるようでありまして、実情に即するような大学をつくるというようなことは、今後十分檢討しなければならない問題でしよう。
  18. 水谷昇

    水谷(昇)委員 われわれが実地調査の結果を報告するということになると、まだ一緒に調査参つた委員方々と相談して意見をまとめるというようなことを、いたしておりませんので、いきおいここで個人の意見を発表するのもどうかと思われるし、また既設の大学を参観して比較檢討した上でないとわからぬ点もありますし……。
  19. 松本七郎

    松本(七)委員 私も皆さんと同意見であります。実際に調査した時と現在とは相当事情も異なつておりますし、たとえば福岡の学藝大学についても、地元民は当局者がどんな内容の申請書を出しているか注意をもつて見守つているような状態でありまして、早急に結論は出さない方がいいと思います。
  20. 松本淳造

    松本委員長 大体ただいまの方々の御意見通り、対外的に各方面との関係もありますので、懇談会の形式で調査の結果について意見の交換を行うことにいたしたいと思います。      ————◇—————     〔午前十一時四十分懇談会に入る〕     〔午前十一時五十一分懇談会を終る〕      ————◇—————
  21. 松本淳造

    松本委員長 大体において大学設置に関する地方の準備とか熱意とかいうものはわかりましたが、一應この程度で止めまして、結論は出さぬことにいたしましよう。それから、本件に関しての報告書のことについてお諮りいたしますが、教育及び教育制度に関する件のうちの大学設置問題について、現在までの段階において調査したことを報告いたすことにしますか。それとも單に審査を終了しなかつたとして報告いたしましようか。
  22. 圓谷光衞

    圓谷委員 今度の第三回國会になりますと、文教委員会もなくなつて、新たに文教委員会が発足することになりますので、その委員会において十分にやつてもらうことにいたしまして、われわれとしましては、審査を終了しなかつた旨の報告に止めることにいたしたらいかがでしようか。
  23. 松本淳造

    松本委員長 ただいまの圓谷君の御意見通りいたすに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 松本淳造

    松本委員長 それではさようにいたします。  なおただいまの御意見に基いて委員長からその報告書提出することにいたしますから、さよう御了承願います。  本日はこれにて散会いたします。     午前十一時五十八分散会