○田淵
委員 本
法案の
修正において当
委員会が最も意を用いましたところは、ただいまも御
意見がありましたように、この
法律の
目的として第
一條に
規定しております、
教育が不当な支配に服することなく、しかもそれが公正な
民意によ
つて、
地方の実情に即した
教育行政が行われなければならぬ、この
観点からほとんどの
修正が行われたものと
考えるのであります。大体
修正いたしました際に、重点と
なつたところは三つあると思うのであります。その
一つは
設置範囲の問題であります。次は
人事の問題であります。
最後に
財政、この三点に力点がおかれたのであります。
設置範囲におきましては、
都道府縣並びにいわゆる
五大都市にこれを設けるとともに、以下の市
町村にもこれを設ける。但し市
町村の場合は二箇年これを延期するというふうに
規定されましたのは、過般の公聽会などの
意見に徴しましても、最も
地方の実情に即した、現段階における國情に即した
修正であると
考えまして、
賛成を表するものであります。
経費の点におきましては、第五章に新たなる
規定を加えましたのも、これまた当然であ
つたと思うのであります。
組織の問題におきましては、第二章の選挙の
規定において、
現職教員の
立候補を認めたということが、この
修正の実に大きなやまであると思うのであります。なるほど
現職教員より
立候補させるということになるならば、
教員たりし者が
委員のほとんど、もしくは全部を占めるのではないか。少くとも半数を超えるようなことがあるならば、この
委員会の
運営は円滑にいかないのではないかというような憂いもあ
つたのでありますが、他の公務員
一般を
立候補せしめないというのならば、一応筋が通るのでありますけれども、その公務員中、
現職教員に限
つて立候補せしめないということは、これは他の基本的な法及び
法律などに関係して、はなはだ問題になることだと私は
考えるのであります。そういう意味におきまして、
現職教員の
立候補を認めたということは、わが党といたしましても
異議のないところであります。
ただ私はこの場合特に強調しておきたいことは、
現職教員の
立候補を認めた以上は、
現職教員側におきましても、その
立候補に際しては、いわゆる民主的な態度をも
つて候補者の
推薦決定とい
つたものを行
つていただきたいということでございます。これがセクト主義に陷
つて——かかることは万あるまいとは存じますが、もしセクト主義に陷
つてこの
立候補がなされ、從
つてそれによ
つて幾人かの当選者がここに現われるということになりますと、多くの問題を
委員会内に残すのではないかと
考えるのであります。
現職教員の方は
教育の專門家であるとともに、また父兄であり、
國民大衆
一般なんであります。從
つて父兄である立場、
國民大衆の一員であるという立場をよく認識されますとともに、
教育專門家としとての自負、信念、権威をも
つて、ここにそうした
立候補者の選考その他に当
つていただきたいということを特にお願いいたしたいのであります。
次に第三十
一條におきまして幾分の
報酬を認めたことは、当然であると思うのであります。どなたかの御
意見にも、今日無
報酬にして働き得るものは、やみ屋よりほかにないというようなお言葉があ
つたのでありますが、他の有力なる諸外國の場合とは異なりまして、殊に終戰後のわが國においては、無
報酬で働き得る人が幾人あるか。もし無
報酬にして働き得る人があるとするならば、あるいはそうした人は眞に
教育行政を担当すべき人ではなくて、いわゆるボス的な存在である。このように
考えられますところから、ここに当然
報酬を与えることを
規定したことは賛意を表するのであります。
さらに、第四十九條において「
教育長の
助言と
推薦により、左の
事務を行う。」とな
つておりましたのを、「
助言と
推薦を求めることができる」と改めました点は、この
委員会の本務を十分に活かし得たところの
規定だ
つたと思うのであります。「
助言と
推薦により」と
規定しておりますならば、これは絶対的な前提條件であ
つて、
教育長は
委員会に所属しているのではなくて、
委員会が
教育長に所属しておるごとき
規定とな
つているのであります。ここを改めました点、また
異議がないのであります。
次に、第五十
一條において、
人事に関しまして、
協議会を市
町村の
委員会の間に設けるというこの一項を加えました点でありますが、
都道府縣の
委員会にのみ
人事を任しておくならば、末端の実情というものが誤られやすい、從
つて円滑な
人事の
交流ということがはかられないのであります。そこで円滑な
人事の
交流をはかるとするならば、ここに
協議会的なものを設けまして、これに潤滑油的な役割を演じさせるということ、しかも半面
都道府縣の
教育委員会が
中央集権化することを憂えまして、これにブレーキをかける役割を演じさせるということ、こういう意味合から、この
規定また大いに
賛成するものであります。
最後に、
財政の問題でありますが、
教育委員会の
予算に関しましては、深くこれは檢討しなければならぬ問題であります。私などの見解からいたしますならば、
教育目的税というものをここに設定いたしまして、その
教育目的税によ
つて賄
つていくという行き方が最も自然な正しい行き方であろうと
考えるのでありますが、ただ留意しなければなりませんのは、この
教育目的税なるものは、これを設定いたしますについては、実に緻密な
計画と用意が要るのであります。その
財源を那辺に求めるか、その税源をどこに求めるかという、この問題がまず解決されなければならないのであります。從
つて、これは
一般税制、
一般財政と深い連関をも
つてくるのでありますがゆえに、今日ただちに問題を解決するわけにはいかないのであります。けれども、それだけに重要でありますがゆえに、これはやがて本
委員会において、來る
議会に再び
修正案でも出されることによ
つて愼重に
審議されなければならぬ問題であろうと思います。そういう意味において、私たちはこの
委員会に
財政問題については、なお檢討すべき多くのものが残
つておるということを強調しまして、以上申し述べました
修正の諸点について賛意を表し、この
修正案に
日本社会党は
賛成するものであります。