運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1948-07-02 第2回国会 衆議院 文教委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年七月二日(金曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 松本 淳造君    理事 水谷  昇君 理事 高津 正道君    理事 西山冨佐太君       柏原 義則君    圓谷 光衞君       冨田  照君    田淵 実夫君       野老  誠君    松澤 兼人君       松本 七郎君    伊藤 恭一君       久保 猛夫君    武田 キヨ君       黒岩 重治君    平川 篤雄君       織田 正信君  出席政府委員         文部政務次官  細野三千雄君         文部事務官   辻田  力君  委員外出席者         專門調査員   宇野 圓空君         專門調査員  横田重左衞門君     ————————————— 本日の会議に付した事件  教育委員会法案内閣提出)(第一五二号)  教育公務員任免等に関する法律案内閣提  出)(第二〇二号)     —————————————
  2. 松本淳造

    松本委員長 会議を開きます。  教育委員会法を議題といたし、審査を進めます。質疑を続行いたします。
  3. 水谷昇

    水谷(昇)委員 前にさかのぼりますが、第五條に「教育委員会に要する経費は、当該地方公共團体負担とする」とあるのでありますが、東京都のごとく各区が特別区になりますところは、これを東京各区で申しますと、町村と違いまして、各区においては独立の財源がないように聞いておるのであります。こういう特別区に対しては経費負担はどういうことになるのか、その点御意見をお伺いいたします。
  4. 辻田力

    辻田政府委員 東京都の区につきましては、経費財源を相当の部分都の方から仰いでおる実情でございますが、その関係は近い將來におきまして、区との関係において統制その他との負担関係の区分が改善されますまでは、從來の方法を踏襲するという以外に途はないかと思います。
  5. 伊藤恭一

    伊藤(恭)委員 この四十九條教育委員会事務は実に重大であつて、その運営が最も適正に行われなければならないと思います。すでにいろいろの質問がありましたから重複を避けますが、特に一つお伺いしたいことは人事の問題であります。第五号に「教育公務員任免等に関する法律規定に基き、校長及び教員の任免その他の人事に関すること」ということがはつきり書いてありますから、その根拠は明らかでありますが、その権限都道府縣委員会にあるのか、市町村委員会にあるのかということを明瞭にしておくことが必要であると思います。都道縣委員会ならばよろしいが、市町村委員会であつたならば、私が昨年來再三意見を述べておる通りに、情実に絡まつて歪曲される懸念が多分にある。また政治的のボスに悪用される傾向が非常に多いと思われます。これがすなわち第一点であります。  第二点は、市町村委員会であるならば、都道府縣内に何百の委員会がどこの府縣でもできるから、いわゆる小さな、ブロツク的な運営に低下するのでありまして、はたして適正なる人事交流ができるかどうかということが非常に心配であります。特に貧弱な町村であるとか、山間僻地には最初から優秀な教職員が希望しないという傾向にありますから、地区的に偏頗、不公平などという事実がはつきり現われてまいります。第三点といたしましては、現在都道府縣各都市におきまして、教職員の間に人事委員会というものがあつて、特にいろいろな研究をして、適切妥当にやろうということを考えております。しかるにこの教育委員会において一切の人事を行うことになるといたしますと、從前教職員人事委員会というものは、それを全然無視することになるのか、あるいは從前のごとくその意見をも勘案して、適切妥当に運営する途をとるのか、これがやはり非常に重大なる問題であると私は考えます。こういうふうに人事の問題というものは実に重要でありますから、明確に御答弁を願いたいと思います。  なおもう一つは、これも前に質問があつたかとも思いますが、「教育委員会は、教育長助言推薦により、」という言葉は、これは私は適切妥当でないということも以前から考えておりますから、これについてのお考えを伺いたい。中央集権地方分権になりましても、この教育長助言推薦によるということになつたならば、やはりそこにまた一つの弊害が起つてくるということが考えられます。こういうようなことにつきまして、人事の問題と、教育長の問題について、ひとつはつきりした御答弁を願いたいと思います。
  6. 辻田力

    辻田政府委員 お答え申し上げます。最初人事の問題についてでありますが、四十九條の第五号によりまして、人事はそれぞれの教育委員会に所属しておるのでございます。從つて人事権先ほどお話がございましたように、都道府縣でまとめてやるという從來のやり方とは違つてくるわけであります。都道府縣立の学校人事については都道府縣委員会でやり、市立学校人事については市の委員会でやるということになるのでございます。その場合に人事交流その他人事の適正な運営ができないのではなかろうかという御心配でありますが、この点はまことにごもつともだと存ずるのであります。人事問題は、われわれとしましても、最後までいろいろ心配し研究して、関係方面等とも種々打合せをした問題でございますが、結局それぞれの委員会において人事をもつという今回のような規定におちついたわけであります。この点を申し上げておきます。  次に教育長教育委員会関係でございますが、これは昨日もたびたび申し上げたのでございますけれども、教育委員会教育長は上下の関係が截然としておるのでございまして、教育委員会が頭でありまして、その下に教育長があつて教育委員会指揮監督を受けて事務をとるのでございます。それが教育長性格であります。なおもう一つ教育長には性格がございます。それはただいま御指摘通り四十九條助言推薦をする仕事でございますが、これはそのもつております專門的知識技能によつて教育委員会を補佐する、いわゆる補佐機関としての制度でありますが、この機関におきましても、教育長教育委員会自分の思う通りと申しますか、とにかく思う通りに制しようというようなことは起り得ないことでありまして、教育委員会においてしつかりした指揮権をもつて事に当られれば、そういうことは絶対にないと思います。ただしかしその教育委員会は前申しました通り、形式的な意見においては比較的素人が多い。しかして教育長は形式的にいわば玄人である。そこで玄人素人の相違から、そこにやはり專門的事項をきめるときには、玄人の方があるいは力があるもののようにも考えられるのであります。しかしこれは先般來大臣以下われわれもよく説明しましたように、教育委員会自身最初決定権をもつてつて、專門家の意見を聽いて、それを参考にして意思決定をするというに止まるのであります。その点は助言推薦というのは聽きなれない言葉でございますけれども、四十九條についてはそういう趣旨でございますので、御了承を願いたいと思います。
  7. 伊藤恭一

    伊藤(恭)委員 第二点でございますが、人事の問題について質問いたしておきましたが、そういうふうに地方委員会人事権を與えるということになりますと、先刻も申しましたように、各府縣で何百の委員会があつて、それが人事異動をするということになると、つまりブロツク的の一万程度の人事異動であつて、他の人事交流ということはできないと思います。ついては政府としてもはたしてそれがうまくいくかどうかということを一つ考え願いたい。  第三の先刻申し上げましたように、教職員の間で人事委員会というものを從前つてつて、非常に適切妥当に考えております。ところがこれが全然無視せられることになりますかどうか、それも一つ伺いたいと思います。
  8. 辻田力

    辻田政府委員 第一のお尋ねであります人事交流に関しての問題でありますが、小さくばらばらに委員会がわかれて、そこで勝手に人事をするということになると、いろいろ不都合が起るではないかという御心配でありますが、この心配はわれわれももつわけであります。ただその欠陷を補うためには相互の申合せと申しますか、昨日も委員の方からお話がございました連絡協議会を開いて打合せをするとか、法規に基かずして適当な連絡調整機関と申しますか、協議会のようなものをつくりまして、そこで相談し合うことができると思います。なお法規根拠といたしましては、それぞれ人事等につきましては、十三号の「教育事務のための契約に関すること。」というのは、これは非常に廣い規定になつておりますので、この「教育事務のための契約に関すること。」というのを活用いたしまして、そこでお互いに委員会同士申合せをつくつて、場合によつて契約もして、そこで人事交流につきましても打合せができるのではなかろうか。こういうふうに思うわけであります。なお現在の経費負担関係は、義務教育関係におきましては、都道府縣になつております。そこで経費負担関係を通じて、またそこで連絡調整とかあるいは連絡協議というようなことも、当然行われるだろうということを予想しているわけでございます。それによつて人事交流は円滑にいくようにいたしたいと念願しているわけであります。  次に教育組合人事委員会というものがあつて、非常にうまく運営されているが、それとの関係はどうかというお話でございますが、それにつきましては、この法律上の問題といたしましては、人事任命権教育委員会にあるということを、ここにはつきりいたしているだけでございまして、その教育組合人事委員会等関係につきましては、それぞれ地方実情によりまして、実際問題として相談され、從來通りやられるというようなことがあつてももちろん結構と思います。
  9. 圓谷光衞

    圓谷委員 この法案を通して最も関心をもつ問題は二つだと思うのであります。一つ財政の問題であります。一つ人事の問題であります。財政面から地方自治團体等においては六・三制の完成をまたないうちに、財源において非常に憂慮すべきものであるから、この設置範囲を一万以上にしないで、都道府縣に止めてもらいたいという意見がここから一つ出てきているのであります。  もう一つの問題は、日教組修正案とかその他のものを見、また地方教育者の声を聽きますると、人事の問題を心配しているのでありますが、ただいま伊藤委員の申されたことは教育者の声と思うのであります。そこで從來人事の問題は縣の視学等が打合わせまして、非常な廣い範囲においてこの人事交流が行われたのであるが、今度は委員会人事をもつことになると、伊藤委員の申された通り人事範囲が非常に狹くなる。それよりも憂うる問題は地方委員が万一政治的色彩帶びたり、いろいろの角度から見て、ほんとうに教育に理解ある者のみが出れば、問題はないのであるが、選挙である以上は、そういうことは予想できない。從來視学というものが、人事に対して生殺與奪の権をもつてつて教育者に対するいろいろの請託その他圧迫等が行われて、非常に教育者にとつては不愉快なこともあつたのであります。ところがこれに代る委員会と称するものができてこれが人事権を握ることになると、ここに視学に類するところの委員が五人なり六人なり数多く一万以上の都市に出てくる、こういう現象を起す。そこで日教組のごときも、でき得るならば都道府縣に止めてもらいたいという意見がやはりここから発生したように聞いておるのであります。そこで先ほど辻田局長お話によれば、政府においてもこの点は憂慮して、人事については考えた。しかし種々なる事情があつて、やむを得ず人事をこういうふうにしたのであるということを申されている。やはりわれわれと同じ憂いをもつておるものと思うのであります。そこで地方の声を聞けば、地方委員会はもちろん人事に対する大綱と、配置組織、そういう問題についての基礎案はもちろんつくることは差支えないが、この実際の辞令の発令権都道府縣にもたせることが妥当でないかという意見が非常に私どもの耳にはいつておるのであります。こういうふうにする意思があるかどうか、御見解をお伺いしたいと思います。
  10. 辻田力

    辻田政府委員 速記を止めていただきたいと思います。
  11. 松本淳造

    松本委員長 ちよつと速記を止めて……。     〔速記中止
  12. 松本淳造

  13. 圓谷光衞

    圓谷委員 連絡会議その他によつてこの点は是正されるということに一應できるかもしれませんが、私の先ほど心配していることは、審議権をもつということになると、地方委員にやはり教育者が頭を下げることが出てくるのではないか。そうするとそこにボス的存在ができて、あの政党のクライマツクスのときに、教育者政党の門をたたいて自分の地位を有利にしようとしたようなことが、地方の小さい委員会にまでできるということになると、これはゆゆしき問題だと思います。そこでそれは先ほどの御説明で御事情の点はよくわかりますが、日本の國情というものをまた一應説いてやることも必要である。委員会の方についても、先ほど申し上げた伊藤君の憂えておることと、各委員も同じ考えをもつておることと思います。つまり人事権という問題について、何ときできないものであるかということを心配するのであります。後ほどこういう問題については修正案その他について折衝する余地があると思いますので、私はこれだけて質問をやめます。
  14. 黒岩重治

    黒岩委員 四十九條の第七号の労働組合の問題でありますが、実際において給與をする責任をもつものは、形式的には各委員会でやるように、この案では考えるのでありますが、内容を檢討いたしますと、都道府縣費用、それに國庫費用を加えたものをもつて教育給與に充てておる。してみると、使用者としての責任をもつものは、都道縣委員会でなければならぬと思います。それを一地方委員会にまでその使用者としての責任をもたすということには、不合理な点があるように私は考える。人事に関することもまた給與の問題と関連をもちますもので、実際においてその負担をするものが都道府縣であるといたしますならば、人事給與労働組合に対するところの取扱いも、全部が都道縣委員会がもつべきだと思う。こういうように考えるわけでありますが、御見解はいかがでありますか。
  15. 辻田力

    辻田政府委員 人事権をもつておるところと給與についてお世話をするところは、一つの場所であることが最も望ましいことであると私も思います。そうあるのが理想的だと思いますが、今回の場合におきましてはこの点が多少ずれた形になつております。もつとも現在の立法におきましても、こういう例はないわけではないのであります。たとえば義務教育関係につきまして、俸給等都道府縣負担いたしておりますが、しかし二級官以上の人事については文部大臣人事権をもつておるというようなことがありまして、その任命権給與負担しておるところが同じでなければならぬ、ということは、現在でも必ずしもそうではないのであります。しかしそれはそういう例があるということでありまして、実際の運営といたしましては、御指摘のようなことが多々あると思いますので、給與をするところと人事権をもつておるところとが一箇所であるということが望ましいことだと思います。労働組合の問題について、労働組合がその交渉をされる相手方は一應それぞれの教育委員会になつておるけれども、この関係が今の人事給與との関係において特に離れておる場合には、これは給與については府縣委員会にいかなければならぬのではないかというふうな御趣旨つたと思います。その点については、やはり主たる相手方といたしましては、それぞれの学校を所管する教育委員会でありますが、特別の事項につきましては、御質問のようなことがあろうと思います。
  16. 黒岩重治

    黒岩委員 ところがこの注文を正面から解釈いたしますと、都道縣委員会地方委員会に所属しておるところの教育組合は何も交渉に行けないというようなことがあると思います。もし行つても法の上で取上げる必要はないとつつ放されればそれまでのことではないかと思いますが、その点いかがですか。
  17. 辻田力

    辻田政府委員 先ほどお答え申し上げました通り、主たる交渉相手方は、それぞれの学校を所管する委員会になると思います。從つて市立学校であれば市の教育委員会になりますが、しかし法文の上ではそれは給與関係等について都道府縣委員会が所管しておらぬ場合は、そこで交渉をしてはならないという規定はないのでありまして、從つてそういうのを禁止しておるわけではございません。
  18. 松本七郎

    松本(七)委員 質問の前にちよつと委員長にお願いしておきたいのですが、政府はこの法律案審議を非常に急いで早く通したいというのでありますが、政府委員が四十分も遅れてやつと來るというような状態ではまことに困る、政府委員の怠慢だと思いますから、委員長からぜひ嚴重に申入れをしていただきたいと思います。  それから四十九條の第八号ですが、「建物の営繕、保全の計画、及びその実施指導に関すること。」とありますが、この特に「指導」ということを入れた理由がはつきりいたしません。「実施に関すること」でよいではないか。むしろ「指導」ということを入れたために、その指導あるいは監督というものが十分に行われないで、思うような実施ができないおそれがあると思います。その点もお聽きしたい。  それからその次の九号のやはり同じく「教具その他の設備整備計画に関すること。」となつておりますが、これも計画倒れになるおそれが多分にある。むしろ「整備に関すること」でよいではないか。  それからもう一つは十一号「委員会所掌に係る」と書いてありますが、おそらくこれは教育委員会のことであるには間違いないと思います。特にここでのみ「教育委員会」とせずに「委員会」とした事由を伺いたい。
  19. 辻田力

    辻田政府委員 お答え申し上げます。まず第一の点の第八号の「実施指導」という「指導」は不必要ではないかという御趣意だと思いますが、これは前に申し上げました通り、設計をしたり、あるいは契約を履行したりすることについて、從來言葉で言いますと監督取締りというような意味で、特にそういう言葉を避けて指導ということにしたのであります。この意味はさような意味であります。ただこの場合におきまして特に学校営繕等の場合には、直営でやる場合もあるかもしれませんが、請負によつてやる場合も相当多くありますし、また場合によつては縣の土木課に話をしまして、土木課と相談の上でやつてもらうということも、実際問題として多々あるだろうと思うのですが、そういう場合実施に関することはもちろんでありますが、そのほかに監督取締りという言葉は少しきつ過ぎるという考えのもとに、「指導」という言葉にいたしたわけでございます。  次に九号の「設備整備計画」の「計画」は不必要ではないかという御意見つたと思いますが、これは実質的には必ずしも計画がなければならぬということではありませんが、現在の統制経済段階においては、教具その他すべての設備整備について、いろいろな方面で担当しておる場合がありますので、ここでいろいろなことを全部整備することもできないのではなかろうか。それで整備計画については教育上の全面的な立場から樹立して、実際にはそれぞれの関係の節に当つて整備するというつもりで「計画」という言葉使つたのであります。  それから第三点の十一号の「委員会所掌に係る」の「委員会」は、教育委員会の「教育」がとれておるのでありまして、ミスプリントであります。
  20. 田淵実夫

    田淵委員 松本君の質問に関連して、八号、九号にわたつて質問をいたします。「計画及びその実施指導に関すること。」この規定においては、計画及び実施はもちろんやるのである。その上に実施指導をやるのであるという説明のように聽きとれたのでありますが、私はこの規定では、指導という言葉をそこに附け加えることによつて委員会がこれを実施するという権を拘束しておる、これにコントロールを加えておるとしか解釈できないのであります。その点実施ならばはつきり実施とするべきである。実施及び実施指導というものを掲げておるならばはつきり実施及び実施指導規定しなければならぬと思う。いずれをとるべきかは討論の際に讓りますが、その辺の見解を伺いたい。  第九号の「その他の設備整備計画」も同樣であります。「整備」といつて設備計画をも含めるものならば、この文句は不要である。「設備整備計画」という設備整備する計画意味に限るのであつて、これは権限を多く附與したというよりも、むしろこの整備という言葉コントロールを加えておるものだ、このように解されるのでありますが、その辺の見解を伺いたいと思います。
  21. 辻田力

    辻田政府委員 第一のお尋ねにありました実施指導という問題でございますが、その意味する内容先ほど申した通りであります。現在多くの場合において比較的自営で実施することは少い事情にありますので、むしろ取締り監督といいますが、外に請け負わせてそれを監督指導するという面に力を注いでこういう表現になつておるのでございますが、この点は御指摘通り明瞭を欠くというふうに存ぜられますので、その点明らかにすることは結構だと思います。  それから「設備整備計画」ということでございますが、これも先ほどお答え申し上げましたが、計画だけを立てて、実際は整備のことはやらないのであるというふうな印象をこの文章によつて受けるとしますと、それは起案者の意図するところではありません。この点は計画だけをするのではなくて、整備について計画も立て努力もし、必要があれれば財政的な措置についても心配するわけでございますので、この「計画」という言葉も、目的のためには必要だとも考えます。
  22. 松本七郎

    松本(七)委員 四十九條に関して專門調査員の方から修正意見が出ておりますから、專門調査員の御意見と、それに対する政府の御意見を伺いたい。
  23. 宇野圓空

    宇野專門調査員 四十九條に関することで、参考書類に三として書いてあることは、教育公務員任免等に関する法律案の成立を予想して原案には書かれておつたのです。ところが途中でこの法案がどうやら出ないようなふうになつたものですから、ここのところはどうだと当局とも御相談した結果、これを削らなければならぬようなはめになつてつたが、御承知のように両三日前にこの法案が出ておりますので、これは多分修正しないことになるのだろうと思います。四の四十九條第十一号の委員会教育委員会にするという点は、先ほど局長から御答弁があつたように存じます。
  24. 辻田力

    辻田政府委員 第四十九條の第五号の「教育公務員任免等に関する法律昭和二十三年法律第 号)の規定に基き」とありますのを、專門調査員の方で、初めこの法律が出る予定でありましたが、途中でいろいろないきさつがありまして保留されておつたりした関係上、これが出ないのではなかろうかというような心配もございましたので、その実情お話したことがあるのでありますが、そういう関係で、調査の方でこれは削つた方がいいじやないかというような話があつたのであります。そのときの段階においては、それは削つた方がいいと思いましたが、現在この教育公務員任免等に関する法律が、どういうふうに処置されるかによつて、これを削るか削らぬかという問題が起つてくるわけであります。さいわいに通過するようでありましたならば、もちろんこれは書いておく必要があるということになるわけであります。  それから第十一号の方は、先ほども申しましたように、「教育委員会の所管に係る」と書くべきものを「教育」の二字が脱けているのは、ミス・プリントであります。
  25. 松本七郎

    松本(七)委員 先ほどどなたかの質問に対する局長答弁で、この法律案を立案中に、五つの点を特に考慮したという言葉がありましたが、われわれ修正案をつくるについて重要な参考になりますので、この五つの点について少し詳細に承つておきたいと思います。
  26. 細野三千雄

    細野政府委員 速記を止めていただきたい。     〔速記中止
  27. 松本淳造

    松本委員長 速記を始めてください。
  28. 織田正信

    ○織田委員 この教育委員会と文部省との関係はどうなりますか。
  29. 辻田力

    辻田政府委員 この関係につきましては本法案の第五十四條に規定があるのでございますが、まず文部大臣都道府縣委員会及び地方委員会に対して、各所轄区域の教育に関する年報その他必要な報告書を提出させることができるということになつております。その他の問題につきましては、法律に別段の定めがある場合は指揮監督ということもできますが、そうでない場合には、今までのような一般的な監督権は全然これを認めない趣旨から、この法律に別段の定めがある場合のほかは、文部大臣都道縣委員会及び地方委員会に対して指揮監督をしてはならないという積極的な規定を置いたのであります。
  30. 織田正信

    ○織田委員 この教育委員会法案にならつて、中央にもこういうような形式、組織のやり方でやろうとする計画があるのか、中央のはこのままでいこうとしているのか。
  31. 辻田力

    辻田政府委員 中央の教育行政の改革についても、文部省はもとよりでありますが、各方面においても、この点は熱心に研究をしているのでありまして、それに関する法律案は文部省設置法、あるいはまた文部省法というような形の法律で、この國会には間に合わぬかもしれませんが、遠からず國会に提出されるのではなかろうかと思つております。從つてそのときに中央教育委員会のことも問題になろうと思いますが、まだ最終的な決定にはいつていないように聞いております。
  32. 織田正信

    ○織田委員 それから教員養成学校と有機的関連をもつ必要があると思うのですが、この点教育委員会との関係は……。
  33. 辻田力

    辻田政府委員 教員養成の学校とこの教育委員会との関係は、これはもちろん実質的には密接な関係があると思いまするが、立法の上では、特に具体的に申しますると、師範学校教育委員会との関係について規定すべき事項はただいまのところでは考えられないのでございます。
  34. 高津正道

    ○高津(正)委員 第十一号の「委員会所掌に係る歳入歳出予算に関すること。」この点についてお尋ねしますが、昨日辻田局長答弁では、財政決定権をもたない教育委員会は、予算の点で非常に困るのではないかという質問に対して、第五條の適用があるし、また議会から來ておる議員がよく斡旋してくれるであろうというような答弁でありましたが、日教組意見の中にこういうのがあります。教育予算案を委員会で作成しながら、これを知事の一般予算案との振合いを協議調節して一般予算の中に入れるということになれば、まつた委員会独立の意義がないことになる、歳入権をもたない委員会の案は、必ず知事の作成した一般予算案の中の教育予算のすえ膳をそのまま是認せざるを得ない運命に陷ることが予想される。委員会作成の予算を優先的に議会に上程するようにしない限り、委員会性格從來知事に隷属していた單なる一部課にすぎないどころか、かえつて感情的ないきさつが伴つて、年を逐うて地方予算の中に占める教育予算は、次第に白眼視され、削減を加えられ、遂には教育の衰退を招來することはきわめて容易に予測せられるのである。このように憂えておりますが、これに対する政府見解を聽きたいと思います。
  35. 辻田力

    辻田政府委員 日教組の方で、この教育委員会制度が確立される際に、財政的な独立をこの案によつて認めておりません点を、非常に憂慮されておる御趣旨は、よくわかるのでございますが、昨日も申し述べましたように、できるだけ御趣旨に副うように立案計画いたしたかつたのでございますが、現在の地方財政と國の財政との関係、その他教育税等を新しく設ける場合には各種の方面に非常な影響がありますし、今回これを実施することは適当でないというふうな諸般の事情から結論に達しまして、そこで次善の方策をとらえざるを得ないことになつたのであります。從つてただいま御紹介になりましたような日教組意見について、教育費が優先的に確保されることは非常に望ましいのでありますが、今日の段階におきましては、五十五條以下で予算編成について特別に規定いたしましたような方法、すなわち次善の策をとらざるを得ないことになつておることは、理想的な見地から申しますと遺憾なことであつたと思います。
  36. 松本淳造

    松本委員長 休憩いたします。午後一時から再開いたします。     午前十一時三十二分休憩      ━━━━◇━━━━━     午後一時五十三分開議
  37. 松本淳造

    松本委員長 午前に引続き再会いたします。  この際細野政務次官より、教育公務員任免等に関する法律案について提案理由の説明をいたしたいとの申出がございます。これを許します。細野政務次官
  38. 細野三千雄

    細野政府委員 本委員会に付託されました教育公務員任免等に関する法律案について、その提案の理由を御説明いたします。  六・三の義務教育制を根幹とする新学校制度は、今や着々実施を見つつあるのでありますが、直接新教育実施の任に当る学校教員の選任を公正かつ適切ならしめるとともに、教員の地位を確立し、もつて教員としてのその職務に專念させることは、教育刷新、教育振興の基礎條件であり、現下における喫緊の要務と存ずる次第であります。政府におきましては、かかる信念のもとに、早くからこれが研究を重ねてまいつたのであります。  しかるところ、昨年十月に公布されました國家公務員法は、來る七月一日をもつて施行の運びと相なりました。從いまして、國家公務員たる身分を有する教員も当然その適用を受けることとなるわけであります。しかしながら、國家公務員法の規定を、全面的にそのまま学校教員に対して適用することにつきましては、被教育者の人格完成の任に当る教員の職責の特殊性に鑑みるとき、必ずしも適当でなく、かつ不十分と思われる点も存するのであります。國家公務員法におきましても、学校教員に関して、特例を設け得べきことを規定しているのであります。右に申し述べました事情を深く考慮いたした結果、ここに國家公務員法の特例として、教員の任免等に関して規定する法律制定の必要を認めた次第であります。この必要性につきましては、すでに第一回國会において、國家公務員法案審議の際、教員の身分に関する法律を速やかに制定すべき旨の附帶決議が行われている事実からも明らかであると存じます。  次に学校教員は、從來、國立、公立を問わず、官吏の身分を有するものと法制定の趣旨からしても、また教育行政の地方分権の精神に鑑みても、公立学校の教員は、これを地方公務員とすることが、適当と考えられますので、國家公務員法の施行に際して、この趣旨を明らかにいたしますとともに、これら公立学校の教員の任免等についても、國立学校の教員の場合と同じく、ほぼそれに準じた規定を設ける必要があると考える次第であります。なお教育委員会法の制定に伴い、教育委員会教育長專門的教育職員についても、その任免等について学校教員に類似した規定を設ける必要があるのであります。  以上がこの法案の制定を必要とするおもな理由でありますが、次にこの法案の要点を説明いたします。  まず本案の適用範囲でありますが、それは國立及び公立の小学校、中学校、高等学校、大学の学長、校長、教員及び部局長並びに教育委員会教育長及び專門的教育職員であります。本案ではこれらの者を総称して教育公務員と称することといたしました。  教育公務員は、教育を通じて國民全体に奉仕する者でありまして、その特殊な職責に基き、次の諸点に関し一般公務員に対して適用される基準の特例を設けたのであります。  第一は採用及び昇任の方法に関する点であります。國家公務員法によりますと、職員の採用及び昇任は、原則としてすべて競爭試驗によることとなつておりますが、一般に教育者たるに必要な人格的要素は、競爭試驗によつては、とうてい判定しがたいものと考えられます。しかも高等学校以下の学校の校長、教員並びに教育委員会教育長等の教育公務員につきましては、嚴正な手続を経て、下附される校長若しくは教員または教育長等の免許状をもつていることが、必須の資格要件とされているのでありますから、その上に競爭試驗を行うことは、不必要でもあり、また不適当とも考えられるのであります。特に大学の教育公務員につきましては、その職務の性質上、きわめて專門化された労力、技能を必要とするのでありまして、競爭試驗によることは不適当でもあり、かつ実施困難の場合が多いとさえ想像されるのであります。  以上申し述べました理由により、教育公務員の採用及び昇任は、競爭試驗によらず、適正な選考によつて行うべきであり、この点に関する規定を本案に設けたのであります。  第二は研修に関する点であります。教育公務員はその職責の遂行上、当然研究と修養に努めなければならないものでありますから、この点について、國家公務員法の教育訓練に関する事項を積極的に拡充明示して規定いたしました。  第三は学問の自由の保障と、大学自治の尊重に関する点であります。大学の教員の人事に関しましては、從來慣例上強度の大学自治の原則が認められていたのでありますが、新憲法は第二十三條において学問の自由は、これを保障する旨を明らかにしています。この新憲法の精神に則つて、大学の教育公務員人事についても、各大学の自治的運営にまつことを本体とし、その任免、分限等については、大学の自治機関の定める基準により、各大学で自主的に行うのが適当と考えるのであります。從いまして、その採用及び昇任の方法のほかに、分限、懲戒、服務等について、國家公務員法に対して相当の特例を設けました。  以上簡單ながらこの法案提出の理由と内容の大要について説明いたしましたが、何とぞ愼重御審議の上速やかに議決あらんことをお願いいたします。
  39. 松本淳造

    松本委員長 本案に関しましてはこの程度にいたしまして、教育委員会法案を議題といたし、その修正案に関する打合せのための懇談会に移りたいと思います。さよう御了承を願います。  なお昨日審議いたしました日本学術会議法案に関しまして、委員の選出方法に関して本委員会としまして強い意見を表示するために、学士院の代表と学術刷新委員会の代表、双方の代表を招きまして、委員会としての意のあるところを明らかにしておくということに決定をいたしたのでありますが、それにつきまして、本日その手続をいたして、月曜日の午前十時からの文教委員会において双方の代表者を招きたいと思つておりますが、その点御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 松本淳造

    松本委員長 さよう決定いたします。  それでは本日はこれで散会いたします。     午後二時二分散会