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1948-06-30 第2回国会 衆議院 文教委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月三十日(水曜日)     午後一時五十分開議  出席委員    委員長 松本 淳造君    理事 水谷  昇君 理事 高津 正道君    理事 西山冨佐太君       柏原 義則君    圓谷 光衞君       冨田  照君    田淵 実夫君       野老  誠君    松尾 トシ君       松本 七郎君    伊藤 恭一君       久保 猛夫君    武田 キヨ君       米田 吉盛君    黒岩 重治君       織田 正信君  出席政府委員         文部事務官   清水 勤二君  委員外出席者         文部事務官   犬丸 秀雄君         文部事務官   岡野  澄君         專門調査員   宇野 圓空君         專門調査員  横田重左衞門君     ————————————— 六月二十九日  教育公務員任免等に関する法律案内閣提  出)(第二〇二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  日本学術会議法案内閣提出)(第一二五号)     —————————————
  2. 高津正道

    高津委員長代理 会議を開きます。  松本委員長常任委員長会議に御出席になつておりますから、私が代つて委員長職務を行います。  日本学術会議法案議題といたし、質疑に入ります。質問のある方はどうぞお述べを願います。
  3. 黒岩重治

    黒岩委員 議事進行に関してであります。大体逐條審議にいきますが、しかしながら章別に一括して、そしてその章のうちの各條についての質問をするような方法をおとり願いたいと思います。
  4. 高津正道

    高津委員長代理 ただいまの黒岩君の提案に御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 高津正道

    高津委員長代理 それではそのようにいたします。  前文について……。
  6. 田淵実夫

    田淵委員 この文章の中に「わが國の平和的復興人類社会福祉に貢献し」とあります。從來こういう書き方が力のある場合もあるのですが、この場合「と」の字を入れたらどうでしよう、その方がいいじやないですか。
  7. 清水勤二

    清水政府委員 結構であると思います。
  8. 高津正道

    高津委員長代理 今田淵君から文章上の注意があつて「わが國の平和的復興人類社会福祉に貢献し」とこうあるのを、この「、」を「と」にかえるという意見が出て、政府はこれに同意でありますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 高津正道

    高津委員長代理 それではこの「、」を「と」にかえます。  ほかに全文について御質疑はございませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 高津正道

    高津委員長代理 では前文質疑は大体これで御了いたしました。  第一章。——第一章について御質疑はありませんか。
  11. 黒岩重治

    黒岩委員 第一條の第三項であります。経費國庫負担とすることは当然であると考えますが、要するに從來学術に対するところの國庫の支出する経費というものが、きわめて僅少であつたということは、國民のだれもが遺憾としておるところであります。いかなるよい組織をつくりましても、結局組織を動かすところの必要な経費國家が出し措しみをしましたらなば、学術振興ははかり得ないと思います。その点におきまして、文部省といたしましては、相手計画的な学術会議運営に対する予算というものをお考えになつておりますか、その点を御説明願いたいと思います。
  12. 清水勤二

    清水政府委員 この日本学術会議法は、すでに御説明申し上げましたように、全國から選ばれました科学者の総意に基いてでき上つたものでありまして、もちろん文部省も関與しておりますが、この日本学術会議運営につきましては、学術体制刷新委員会及び日本学術会議準備委員会において十分用意せられておるのでありまして、予算につきましても相当に檢討された十分な額が計画されておるのであります。まだ法案通りませんので、法案通りました上で、本予算計上には間に合いませんけれども、追加予算あるいは予備金等をもつてお願いする計画にいたしております。
  13. 高津正道

    高津委員長代理 第一章について、ほかに御質問はございませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 高津正道

    高津委員長代理 それでは第一章についての質疑は大体においてこれで終了しました。  次に第二章についてはいかがですか。——別に御発言もないようでございますから、それでは私が質問しますが、第三條の第一項「日本学術会議は、独立して左の職務を行う。」と書いてありますが、この「独立して」というのはどういう意味であるか。第十六條には「日本学術会議に、事務局を置き、翌本学術会議に関する事務を処理させる。」とあります。その事務局官吏がやるという政府説明であるが、そうすれば独立してやるといつても、官吏がずつとやつておるのであつて「独立して」というのはどういう意味であるか、その点をお伺いしたいと思います。
  15. 清水勤二

    清水政府委員 日本学術会議は、第一條第二項にありますように、内閣総理大臣所管になつております。しかし学術のことにつきましては、この日本学術会議各省制肘を受けないで、独立した形において自由にその職務を行うという考えでございます。もちろん第十六條にありますように間接のものでございますから、事務局官吏がこれを行うのでございますけれども、その職務につきましては、政府各省制肘を受けないというような建前と考えます。
  16. 高津正道

    高津委員長代理 私が尋ねますが、第三條の一と二がありますが、二は科学自体向上のことを書いてあるし、一の方は政府科学施策に関することを書いてあります。そうすれば、むしろ日本学術会議としては、二と一とを入れかえた方が適当ではあるまいか、こう考えられますが、政府所見を伺います。
  17. 清水勤二

    清水政府委員 御指摘通り、一は審議事項に関することでありまして、この審議事項は主として第四條の政府諮問事項に関する審議をいたすのでございます。しかしながらその審議は、必ずしも政府諮問事項と限らないのでありまして、みずから重要であると考えることも議題に上せて審議いたすということになると思うのでございまして、從つて必ずしも政府諮問事項と限らない。しかし第二号は研究連絡をはかつて、その能率向上させることでありまして、学術向上のためには、研究の協力ということがきわめて重要な問題であり、かつ能率向上させるゆえんであつて、從いまして連絡し、協力し、そうしてその能率を上げるという、学術会議職務の重要なる事項二つにわけられる。こう考えられて、その仕事を性格的に分けて、こういうふうに書いたものでございます。
  18. 高津正道

    高津委員長代理 了承いたしましたが、続いて私がもう一つ、第四條に「政府は、左の事項について、日本学術会議に諮問することができる。」このように原案はなつておりますが、諮問することが望ましいというのでもなお弱いと私は思います。むしろこれはそのような独立制を認めるものであるならば、なぜ諮問せねばならぬとしないのか。この原案のままであるならば、しない場合もあつてもいいということになりはしないか、政府所見を求めます。
  19. 清水勤二

    清水政府委員 この点はお説の通りでございますが、この機関があくまで審議機関立場をとつておりますので、政府をこの法律によつて拘束するということが——最初の立法のときにはそういう精神であつたのでございますが、この法律政府を拘束するということは、いけないであろうというようなことで、「諮問することができる」ということにいたしたのでございますが、事実においては、政府科学に関することはこの会議に必ず諮問するというような、実際的な運営でまいりたいと考えております。
  20. 松本七郎

    松本(七)委員 ただいまの御答弁では、第四條の各項目については日本学術会議に諮問することができるというので、諮問するだろうという希望で、この程度でいいのじやないかというお話でしたが、この中で一番かんじんなのは「研究、試驗等の助成」それから「科学振興を図るために政府の支出する交付金補助金等予算及びその配分」この点にあろうかと思います。今までも科学者をもつと優遇して、十分研究が安心してできるようにしさえすれば、もつと日本科学発達したでありましよう。せつかくこういうものを独立してつくりながら、予算の面でまた優遇されないということになつたのでは、形ばかりつくつても、実際に研究発達するとは期待できない。  その次の第五條には「日本学術会議は、左の事項について、政府に勧告することができる。」と、この方は学術会議の方から積極的に政府に勧告するようになつている。第四條の方は、政府が必要と思えば学術会議に諮問するということになつているわけです、政府が諮問しなければならぬと縛ることが不適当であるとするならば、せめて学術会議の方から積極的に政府に勧告することができるものの中に、補助金とか予算その他の件を挿入する方が妥当ではないかと思いますが、その点いかがですか。
  21. 清水勤二

    清水政府委員 御指摘通りでございまして、第四條の第一号は、たとえばただいま文部省にあります科学研究費科学試驗研究費、あるいは各省交付金補助金をやるその予算配分を、最も有効に、能率的に配分いたすことでございますが、その予算をもつと多くすべきだとか、科学振興のためには十分補助金あるいは交付金を多くすべきであるというようなことは、第五條におきまして一の「科学振興及び技術発達に関する方策」この中に含められて考えられているのでございます。なお五條につきましては、六の「その他日本学術会議目的の遂行に適当な事項」というものにおいて、必要と思う事項はどんな事項でも勧告するというような考えであるわけでございます。
  22. 織田正信

    織田委員 第四條の第二号に「政府所管研究所試驗所及び委託研究費等に関する予算編成の方針」ということが諮問できるようになつておりますが、今日日本の各官廳相互の間の連絡というものは、有機的についておらないという現状において、この学術会議と各政府所管研究所試驗所との関係はどのようになるのですか。
  23. 清水勤二

    清水政府委員 この点につきましては、この学術会議のほかに、新たに内閣科学技術行政協議会というものが設けられることになつていまして、この科学技術行政協議会は、主として科学技術に関する各省連絡調整をはかることになつているのであります。この科学技術行政協議会と、審議機関である日本学術会議と一連の運用によりまして、各省間の摩擦がないように、また円滑に運営されていくように措置せられるはずであります。
  24. 織田正信

    織田委員 その科学技術行政協議会というものは、また別につくるのですか。
  25. 清水勤二

    清水政府委員 これは学術体制刷新委員会答申事項二つの重要なる提案でございまして、その一つ日本学術会議として、これは審議機関としてつくられるわけでありまして、各省科学技術行政連絡調整機関として科学技術行政協議会をつくるということが提案されているのであります。この科学技術行政協議会政令をもつて内閣に設けることになつております。この方がむしろ早く発足するかと思われます。
  26. 織田正信

    織田委員 第五條の第五号に「科学産業及び國民生活に滲透させる方策」とありますが、結局この問題も学術会議では審議をし、法案を出すだけであつて、具体的にやるのは科学技術行政協議会また既設の学校及び社会教育機関を通じてやるということになりますか。
  27. 清水勤二

    清水政府委員 日本学術会議において立てました方策は、科学技術行政協議会を通じまして、各省にこの方策実施方をお願いいたしまして、科学技術行政協議会各省日本学術会議中間機関となりまして、その方策を実際に行政の上に強く反映させるように運営されるはずであります。
  28. 高津正道

    高津委員長代理 ほかに御質疑はありませんか。  第三章組織、御質疑があればどうぞ……。
  29. 田淵実夫

    田淵委員 「会員任期は、三年とする。」とありますが、三年と規定された理由を伺います。
  30. 清水勤二

    清水政府委員 この任期をきめました根拠選挙相当の金がかかりますので、あまり短かい任期では都合が悪いという考えのもとに、いろいろ審議されました結果、三年が適当であろうということにおちついた次第であります。
  31. 高津正道

    高津委員長代理 私が質問しますが、二百十人と限定した理由を簡單に伺いたい。
  32. 清水勤二

    清水政府委員 第十條に日本学術会議の中の区分がございまして、七部にわかれております。この区分については、いろいろ意見もあり、また学問的な分類についても相当意見があるのでありますが、いろいろ審議された結果、この七部にわけるのが今のところ最も妥当であるということに結論されまして、七部になつた次第であります。この七部の各部人数をいかに振りわけるかということは、相当にむずかしい問題でございますが、從來経驗から大体各部一樣にしてよろしかろうということになつたのであります。從つて各部を三十人づつということで二百十人ということがきまつた次第であります。
  33. 高津正道

    高津委員長代理 了承いたしました。  次に第七條の第三項に手当会員に支給することができるようになつておりますが、手当についてどのくらい出されるつもりであるか。わかつておれば、その見込みだけでも聽いておきたいと思います。
  34. 清水勤二

    清水政府委員 これはまだ大藏省との予算折衝も済んでいないのでありますが、私どもの心組といたしましては、大体五千円くらいと考えております。
  35. 高津正道

    高津委員長代理 了承しました。
  36. 水谷昇

    水谷(昇)委員 ただいま局長の御説明によると、会員任期を三年ときめたのは、選挙相当の金がかかるからという理由でありましたが、選挙費用はどれくらいかかるという見込みでありますか。
  37. 清水勤二

    清水政府委員 選挙費用については、日本学術会議準備委員会においていろいろ檢討しておりまして、その方の関係しておる説明員がおりますから、答弁いたさせます。
  38. 岡野澄

    岡野説明員 御説明申し上げます。任期を三年の限りました理由は、この会議選挙が全國の科学者によるというわけでございますので、選挙相当費用がかかつて、現在の國家財政上毎年変えるというようなことは無理だというのも一つ理由でありますが、やはり学問進歩に伴いまして、いろいろの学者の新陳代謝が行われるということも考えられますので、現在、たとえば文部省所管学術研究会というような学者團体がございますが、これらの任期も三年でございまして、大体三年が妥当だという結論に達したわけでございます。但し今度の選挙は画期的な方法によつて早急に行うというのでございますので、あるいはその趣旨の徹底が不十分である。あるいはまた手続上の不慣れがふるというようなことを慮りまして、後に御審議いただきます附則におきまして、第一回の選挙会員任期だけは二年にするということにいたした次第であります。なお選挙費用につきましては、有権者概数はただいま八万九千人と大体推定されておりまして、選挙費用はもし鉄道逓信等現状のままでありますれば、約八百万円ほどかかる。これがもし三倍に値上げになりますれば、約千五百万円ほど必要だという見透しでございます。
  39. 伊藤恭一

    伊藤(恭)委員 この選挙せられた会員が二百十人、これを別表によつて見ますと、全國区の定員と地方区の定員との合計は、一部約三千人となつておるようでありまして、七部にわかれておりますから二百十人になつておりますが、そこでわれわれの考えるところによりますと、この全國区定員のところで專門別定員の数と專門にかかわりない定員の数との均衡のことについて、われわれ多少疑問をもちますが、これはどういうような割合で数を割り当てられたか、ちよつとお聽きしたいのです。
  40. 岡野澄

    岡野説明員 大体三十名に限定しました理由につきましては、先ほど局長から御説明がありましたが、要するにこういう会議体としての人数というものは大体会議をするという目的のためにある程度の概数が出てまいりまして、それを一部二部三部と均等にしたわけでございます。なおただいま御質問專門別定員專門にかかわらない定員とをどういう基準でわけたかと申しますと、この日本学術会議の使命といたしますところは科学研究連絡をよくしまして、その能率向上させる。すなわち科学自身向上発達ということが一つと、それから科学に関する重要事項審議いたしまして、その実現をはかるという二つ目的でございます。それをいかにして三十名という範囲で合理的に振りわけるかという問題でございまして、たとえば第四部というのをごらんいただきますと、ここには数字、天文学物理学というふうに專門が細分されております。この細分された趣旨は、要するにこの日本学術会議会員の中に、天文学專攻者が一人もいない、あるいは動物学專攻者が一人もいないということになりますと、やはり專門学術発達という面からして十分機能が発揮できないおそれがある。さればといつてそういう專門家だけに区分いたしますと、理学全体について廣い見透しをもつた方が逃げるおそれがある。あれこれ要求を満たすために最小限度必要な專門別定員を残しまして、その他は理学部門全体から視野の廣い方を選ぶ、こういう標準でもつて立案されたものでございます。
  41. 伊藤恭一

    伊藤(恭)委員 大体了承いたしましたが、やはり世界の学界と提携して学術進歩に寄與し人類社会福祉を増進する、こういうことになりますと、專門的人数相当多く必要じやないか。ただ連絡というようなことにかかわらないで、專門的にぐんぐん素質を向上するというようなことを考えたときに、たとえば学士院のごときものでも数理学の集りであるというような関係から考えましても、われわれといたしましては、專門的のものをもう少し数を殖やしたらどうかということを考えますが、どうでございますか。
  42. 清水勤二

    清水政府委員 御説の通りでございますが、ここに掲げましたものは会員定員数でございまして、このほか十五條によりまして專門的に特別に審議する場合には常置または臨時委員会を置くことができるようになつております。從つてこの特別のあるいは常置委員会に対しましては、会員ばかりでなく臨時委員をも任命することができるのであります。從いまして特に研究討議を要します場合には、それらの委員会を運用いたしまして、十分檢討いたす予定になつております。
  43. 水谷昇

    水谷(昇)委員 先刻の私の質問に関連してお尋ねしたいのでありますが、御答弁の八百万円は、現在の鉄道運賃郵便料金での八百万円である。これが三倍になれば千五百万円といいますのは、政府が要する選挙費用だと思いますが、各候補者といいますか、立候補した者の選挙費用というものは大体どれくらいか、これは選挙の地区によつて別があると思いますが、御説明願います。
  44. 岡野澄

    岡野説明員 ただいま御質問選挙費用でありますが、先ほど御説明いたしました選挙費用は、政府日本学術会議会員選挙のために支出する費用でございます。そのほかこの選挙につきましては、その金の内容と申しますと、大体これは郵便でもつて選挙をしていただくことになつておりまして、登緑用カードをつくりまして、それに基いて資格の審査を行い、そうして有権者をきめて選挙する。そういう事務的な経費でございます。それでこの会員有権者であれば立候補することも自由でございます。選挙運動を御自分の経費負担でなさることについては自由になさることになるわけでございまして、その場合國でもつてそういう関係のものとして考えられますのは、立候補者は届出をしていただきたいということであります。  それから推薦されたもの、これが実質上非常に重要なことになるかと思いますが、有力な学会等から、これこそ日本学術会議会員にふさわしいという方を推薦していただきまして、立候補者推薦者名薄をつくりまして、それを各部ごと有権者にお見せする、それが含まれるわけでございます。
  45. 織田正信

    織田委員 第十條の部門別でありますが、どういう考え方で人文科学並びに自然科学部門分類をしたか、お答え願いたいと思います。
  46. 岡野澄

    岡野説明員 部門をわけて七部門にしたということにつきましては、非常に議論があつたのでありまして、これは自然科学社会科学あるいは人文と三部門にわけた方がいいという議論もあつたわけでございますが、日本の現在の学問の行われている状態からみまして、現状におきまして実際選挙をするというような立場から見ますと、この七部門が最も妥当であるという結論に達したわけでございます。なおその内部の細分でございますが、たとえば第一部は文学、哲学、史学というふうに三つにわけてございますが、これはただいま東京大学の文学部がこういうわけ方をしておりまして、この点多少御議論があるかと存じますが、たとえば社会学とか、心理学とか、倫理学とか申す学問哲学の中にはいつて扱われておるわけでございます。その他要するに現在の学問を便宜的にわけておる立て方でわけたわけでございまして、この分類によつて、今後日本学問を体系化したり、固定化したりするというような意図はないのでございます。もし第一回の選挙行つて、こういう分類別は不適当だというような反省が行われれば、これは改められる機会があるかと思いますが、現在では学者の方がお考えなつ結論がこうなつたわけでございます。
  47. 田淵実夫

    田淵委員 第九條の二項でございますが、「副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときは、会長の指名により、いずれかの一人が、その職務を代理する。」こう規定してございますが、会長はおそらくは年長者、碩学あるいは経驗者というような人が選ばれやすい。そういう人はとかく老年が多い。そういう場合に会長が頓死した。折柄会議が開かれておるというような場合には、一体だれが指名するのか、この点私は不備があると思いますのでお尋ねいたします。
  48. 清水勤二

    清水政府委員 ただいまの非常特別措置でございますが、これは頓死ということにもよりますけれども、死ぬというような場合には、あらかじめ大体わかるものであろうと思います。もし死んだらあとはだれに頼むというようなことになるのでございまして、大体こういうような形で進めていいのではないかと考えます。
  49. 黒岩重治

    黒岩委員 会長事務局関係でありますが、これによりますと事務局局長並びに一級、二級の官吏任免は、会長申出を考慮して内閣総理大臣がこれを行い、三級官吏以下の任免は、局長がこれを行う。この申出によつて任免をするという形をとつておりますものとして、局長は当然こういう方法でしかるべきことと思いますが、一級及び二級の官吏と三級官吏以下の区別を異にした点についての御意見を承りたいと思います。
  50. 岡野澄

    岡野説明員 現在官吏任免の規定が一級、二級それから三級とわかれておりまして、一級、二級は内閣が行うというふうに官吏任免政令が出ております。それに準じたわけでございます。
  51. 織田正信

    織田委員 先ほどの質問の続きでありますが、その前に高津委員の方からお話があつた学術会議委員人数を二百十人にした根拠並びに私がただいま質問いたしました区分の問題でありますが、御答弁は大体日本現状からというようなものが主要点であつたと思います。もう少しこの点具体的に、たとえば現在の大学並びにこの大学を專攻した人数の分配という点から考えたのか、それとも日本の今日の立場からこういう方向の学問を必要とするという観点から考えたのか、この点もう少し具体的に説明していただきたいと思います。
  52. 岡野澄

    岡野説明員 日本の現在にとつて、どういう学問が重要であるかという問題は、もちろん考えられたわけでございます。しかしながらどういう学問が大切かということを、これを学問的に立証することになりますと、おのおの立場がございまして、現在日本産業を復興するのに工学が一等大事だという主張がされるかと思えば、いや社会科学が大事だということも言われるわけでございます。そういう点で非常に論議が重ねられたのでございますが、ある一つ学問が現在不要であるというようなことも申しかねるのであります。結局そういう点を論議した末に、こういう形が現在では最も妥当であるという結論に達した次第であります。
  53. 織田正信

    織田委員 それからこの学術会議法案のみならず、全般の法案に通ずる点でありますが、民主主義の世の中になつた今日であるにもかかわらず、こういう法案が國会に出ようとしておるが、それを知らない人がその道の專門家の中にも非常に多いということは偽らざる姿であると思います。これはどの程度の人まで知らされておるかということを、御説明願いたいのであります。
  54. 岡野澄

    岡野説明員 学術体制刷新委員会の答申を根本にいたしまして、それを政府は法制化したわけでございますが、学術体制刷新委員会なる團体は、昨年四月から八月にかけまして、限られた時間と限られた費用ではございますが、とにかく全國の科学技術者の選挙によつて成立いたしたものでございます。從つてこういう刷新委員会ができたということは、科学者の間では相当に廣く知られておると思うわけでございます。なお刷新委員会というものは百八人の委員から成り立つておりまして、その際最終の選挙の母体になりました方々は全國で一千五十六名ほどおられますが、その方々が地方にそのまま残つておりまして、刷新委員会のこういう答申と審議をしたということは逐一そういう地方の連絡員には傳わつております。またそういう地方からの声もこの法案の中に盛りこむように、運営については刷新委員会側では相当苦心されたわけでございますが、しかし御指摘のように、何分十分な時間と、それにもましてそういう啓蒙するための経費が事実上ございませんために、十分に徹底していないという憾みがある関係上、そういう弊を除くためには、今後この法案が通過いたしましたら一層そういう面に力を注ぎまして、全國の科学者の総意が盛り上るように努力したいと考えます。
  55. 米田吉盛

    ○米田委員 ちよつと私遅れて参りましたので重複するかわかりませんが、第七條の三項の会員手当というのと、それから十五條委員会委員手当というのがあります。これはどのくらい予想されておるのですか。
  56. 清水勤二

    清水政府委員 この問題は先ほど御質問がございましたが、まだ大藏省とも十分な折衝を重ねておりません。けれども、準備委員会の方といたしましては、手当として年に五千円を予定いたしております。
  57. 高津正道

    高津委員長代理 暫時休憩いたします。     午後二時三十七分休憩      ————◇—————     午後四時十六分開議
  58. 松本淳造

    松本委員長 これより文教委員会を再開いたします。  引続いて質疑を行います。前に第三章の質疑を行いましたが、なお質疑がございましたら御発言を願います。
  59. 米田吉盛

    ○米田委員 日本学術会議事務局を置くという規定があつて局長があることは書いてありますが、どういうような程度の陣容で事務をおやりになる御予定ですか。
  60. 岡野澄

    岡野説明員 ただいま考えておりますのは、事務局長一級官一名、次長が一級官一名、二級官が二十三名、三級官が八十五名、こういう程度の事務局考えております。
  61. 米田吉盛

    ○米田委員 そうすると、從來の三つありました会議学士院その他そういうものが一本に変つたわけですが、前との比較をしてみますと、どの程度拡大強化されているわけですか。
  62. 岡野澄

    岡野説明員 現在学術研究会議というのがありまして、それに二級官が一名、三級官が十二名、それから日本学士院には三級官が三名おります。そのほか嘱託、雇員等を合わせますと、日本学士院予算定員が二十三名、学術研究会議が七十二名、それから、これは民間の法人でございますが、これががきれば一元化されるという見透しの日本学術振興会の職員が四十六名、合計百四十一名ございます。それに比べましても、今度できます事務局の方がはるかに大きくなるということは予想できるのであります。これは、從來この種の学術会水等の運営がはかばかしくいきません一つ理由は、優秀な事務員がいなかつたものでございますので、この点は、今度あらためて相当な方をお迎えしたい。こういうのであります。
  63. 高津正道

    高津委員 雇員、傭員等を全部集めればどのくらいの総数になりますか。
  64. 岡野澄

    岡野説明員 現在事務局が必要だと思う数は全部で三百三十一人です。
  65. 米田吉盛

    ○米田委員 第十一條の三項に地方区というのがあるのですが、これは縣單位でございますか。
  66. 岡野澄

    岡野説明員 地方区は、選挙いたしますときに全國区一本でまいりますと、どうも中央偏重になる傾向が、結果として出てまいりますので、それを是正する意味で、全國を七地区にわけて考えております。北海道、東北、関東、中部、近畿、それから中國、四國を一本にいたしまして九州と七地区にわける考えであります。
  67. 松本淳造

    松本委員長 御質疑はありませんか。——では次に移りまして第四章、会員選挙
  68. 田淵実夫

    田淵委員 二点にわたつて質問いたします。十七條の第三号の「その他研究歴五年以上の者」——この研究経歴五年以上という、これを認定する基準というか、根拠というか、そういうものを知りたいのであります。
  69. 岡野澄

    岡野説明員 一号、二号におきましては、大体科学者であつて、しかもこういう程度の者というものをあげましたので、三号の研究経歴五年以上と申しますのは、一号二号に匹敵するくらいの者というふう考えております。具体的に申しますれば、これは会社の試驗所等で研究されておる、その研究歴が五年以上になるというような責任者の証明によつて、それをまた選挙管理委員会で認定して、有権者の資格を與えるということになろうかと存じますが、学校歴がなくてもいいわけでございます。
  70. 田淵実夫

    田淵委員 選挙管理委員会において認定するのが、大体の標準になるわけですね。なお第十七條の冒頭でありますが、「科学者であつて」とうたつてあります。この「科学者であつて」というのは、同條の二項にあります「前項の科学者は」と、ここに説明しておるところのものを受けたわけですね。といたしますならば、これは「前項の科学者は」と、この次に來ますところの「科学又は技術研究者であつて研究論文若しくは業績報告又はこれに代るべき所属の学界若しくは研究機関の責任者の証明により、研究者であることが証明される者」で「左の資格の一を有する者は、」と、こう解釈していいわけですね。
  71. 岡野澄

    岡野説明員 御指摘通りでございます。書き方で二つにわけたのですが、最初の「科学者であつて」という中を、こまかく注意し、深く規定いたしたのが二項でございまして、この意味科学者である、すなわち科学者というのは、何と申しますか純粹のピュア・サイエンスだけに携わる者でなくて、日本学術会議選挙資格を有する者は廣い意味科学者である、從つてそれには技術研究者も含めるという観念であります。ただし技術技術として、ただ言われたままの仕事を機会的にやるという者は入らないのであります。やはり技術研究者であるということが必要であります。こういう意味であります。
  72. 田淵実夫

    田淵委員 深くこだわるわけではないのですが、そうすれば科学者というものを最初に規定して、そうしてその科学者の中でこうこうこういう資格を有する者がというふうな規定の仕方が私は自然ではないかと考える。まず学術会議会員たる者は、第一要件としては科学者である、第二要件としては十七條の各号に示されているところの資格を有する者というのがこれが当然ではないか。從つてこれはこまかく説明してあるとは申されますが、むしろ重要なのは最初の科学者であるということが重要であるというふうに考えるのですが、いかがでしようか。
  73. 岡野澄

    岡野説明員 御指摘通りでございます。科学者であるということが要件でございます。ただこう書きましても意味が通じるというふうに考えております。
  74. 松本淳造

    松本委員長 御質疑ありませんか。では次に移ります。第五章、会議
  75. 高津正道

    高津委員 第二十三條「総会は、会員の二分の一以上の出席がなければ、これを開くことができない。」となつておりますが、二百十人の会員がそれいかとおそれるのですが、このように嚴しい規則で運営が間違いなくやれるものですか。その点を聽きたいと思います。
  76. 清水勤二

    清水政府委員 この学術会議は、規定にありますように、原則といたしましては年二回、そうしてその総合におきましては、科学者にとつて非常に重要な事項審議いたすものでございますので、集まつてくる会員が二分の一に満たないということは、まずないと予想いたしておるわけであります。
  77. 松本淳造

    松本委員長 他に御質疑ありませんか。  第六章日本学士院
  78. 松本七郎

    松本(七)委員 日本学士院会員の選定方法に関しましては、今までの学士院からいろいろ強硬な意見が出ておつたようですが、先ほど配付になりました学術体制刷新委員会日本学術会議創設準備委員会との間に覚書が取交されておるようであります。その覚書によりますと、日本学士院会員を選定するには、日本学術会議日本学士院のおのおのが推薦する同数の委員をもつて構成する候補者選考委員会を設け、その過半数をもつて決定した候補者について日本学術会議が決定することというふうになつております。日本学士院としては、今まで長い間の慣例もありますし、学士院会員を、できるだけ自分たちの意思を反映して選びたいという意向は当然と思いますけれども、せつかく学術会議をつくつて、その中に日本学士院というものをはつきり設置して、しかもこの日本学術会議会員は、民主的な選挙によつて選ばれるわけでありますから、この学術会議日本学士院会員を選任しても、何ら不都合はないではないかと原則的に考えられるわけであります。むしろこの覚書にあるようなやり方をすることは、この学術会議法の根本の趣旨を不明確にする。あたかも学士院学術会議と別個に存在するかのごとき観を呈するおそれがあるかと思いますが、そういうやり方をやつた場合の政府所見を伺いたいのであります。
  79. 清水勤二

    清水政府委員 ただいま御指摘の問題は、日本学術会議法の問題について、最も問題の起つた点でございまして、ただいま松本委員お話のように、本会議法の立法の趣旨は、まつたく御説の通りであると思うのであります。ただ從來日本学士院が存在いたしまして、これをこの中に包含いたしたのでございますが、学士院といたしましては、学士院としての自主性をもちたいという意味で、いろいろ熱心な御提案があつたのでございます。学術体制刷新委員会側におきましては、その総会において、原案が決議されましたので、その範囲においては、現在の学士院会員の意向をもある程度参酌して、しかも原案の日本学術会議を設定するというこの趣旨を変えないよう、お互いが妥協してやるところの了解を得たいという考えをもつて、この覚書の案が提出されたわけであります。しかしこの覚書は両方の了解に達せずして、これは学術体制刷新委員会の方で提案せられたものでございまして、学術体制刷新委員会としては、これが最大の讓歩であるというふうに考えられておるものであります。政府といたしましては全國多数の科学者から選ばれた学術体制刷新委員会の決議を尊重いたしまして、原案の通りであることが望ましいのでありますから、原案の前提である候補者の選定について、この程度の覚書を設け、具体的にこういうことがきまるということは差支えないと考えておる次第であります。
  80. 松本七郎

    松本(七)委員 少し原則的なことになりますが、日本学士院の方の御意見として、この日本学術会議は、科学を政治及び産業に反映させることを目的とする審議機関である。しかし一方日本学士院は、從來学術上の功積顯著なる科学者を優遇するために存在する栄誉機関である。それであるから、両者は目的、性格もお互いに違うから、理論上学術会議の中に学士院に関する規定を掲げる必要はないはずである。こういう意見が出ておつたのでありますが、これに対する政府の御意見を承りたいのであります。
  81. 岡野澄

    岡野説明員 ちよつと御説明申し上げたいと思います。日本学術会議法の第二條に、日本学術会議は、わが國の科学者の内外に対する唯一の代表機関であるというふうに規定しております。第三條には、科学に関する重要事項審議し、その実現を図するということと、また科学自身向上発達のために研究連絡をはかつたり、能率向上させたりするということを職務にうたつてあります。また政府の諮問にこたえ、政府に勧告する職務権限を有するということも規定しております。また世界の各國と提携して学術進歩に寄與する、そういう使命を有するということも前文に掲げております。ところで現在の日本学士院の規程、これは勅令で設けられておるものでございますが、その第一條には、学士院学術発達を図り、教化を裨補するということを掲げております。またその官制の六條、十條には、学術及び教化に関する事項審議し、あるいは政府の諮問に應ずるということも明確に書いてございます。從つて今申し上げましたような点につきましては、從來学士院と、今回できます日本学術会議とが職務権限が重複されることになるわけでございます。日本学術会議政府の施策に協力していく機関であり、学士院の方は純粹な学術発達をはかるという理論は、現在の官制規程等を参酌いたしますれば、少しく錯誤があるように感ぜられます。そういう職務権限はすべて日本学術会議に継承されます。この面におきましては從つて学士院をそういうものとして独立して別に存置するという理由は、なくなるかと存じます。ただ日本学術会議の使命であります学術進歩をはかる手段として、現在のわが國において碩学を優遇するとか、あるいは諸種の研究業績に対して授賞するということがすこぶる有効適切な措置でございます。從つてこれは日本学術会議本來の使命達成上そういうことをいたしたいわけでございます。そのためには從來実績のありました日本学士院というものをこの中に置きまして、そうしてそういう仕事だけを担当していくのが適当だろう、こういうふうに考えたわけであります。從つてこの会議の中に規定されます日本学士院というものは、從來学士院とは性格の変つた学士院であるというふうに考えるわけであります。從來学士院そのままがここに置かれるというのではなく、いわば日本学術会議の名誉会員というような一つの性格のある栄誉機関としての学士院、しかもそこでは授賞を事業として行う。そういうふうに考えるものでございます。
  82. 松本七郎

    松本(七)委員 ただいまの御答弁で、政府の原案の趣旨ははつきりしましたが、それならばなおさら先ほど申したような学士院学術体制刷新委員会の間の覚書のようなやり方をやられたのでは、あたかも今までの学士院がそのままただ学術会議の中に残るような印象を非常に強く受けると思います。
  83. 岡野澄

    岡野説明員 ただいまお手もとに差上げました覚書と申しますものは、これは政府がこういう覚書を出した方がいいとか、悪いとか申すわけでないのでありまして、これはこの法案を立案いたしましてこれが國会に上程される前後から学士院側が相当この法案に反対でございました。その情勢を刷新委員会委員長であり、日本学術会議の設立準備委員長であられる兼重先生が憂慮されまして、何とか学者の間の問題は学者の間でもつて円滿に解決したいという苦衷から出されました覚書でございます。從いましてこの覚書の中にも大体において刷新委員会のとつてきたわくの中にあるだろうからというようなことをお述べになり、またもし現在の日本学士院がこれに同意していろいろな要望を撤回される場合には、そういう措置をとる用意があるということを申し出されておるわけであります。この点に関しましては先ほど局長から申し上げましたように、遺憾ながら学士院ではこの覚書に同意してよろしいというような意思表示はございませんままに現在の状態になつておるわけであります。
  84. 松本七郎

    松本(七)委員 もちろんこの覚書について政府が勧告されたというようなことは、私ども思いませんが、先ほど局長お話で、この程度のものならよかろうということでしたが、今の御説明によりますと、この程度のものをやつてもこの立法の趣旨に昼するのではないかというふうに考えられますので、こういう覚書にあるようなやり方をやつた場合に、政府意見としてこれがこの法律の根本趣旨に反するということにならないか、この点を伺いたい。
  85. 清水勤二

    清水政府委員 ただいま御質問の点は、第二十四條の第四項は「日本学術会議がこれを選定する」という條文になつておりまして、この選定をするという方法につきまして、あるいは選定の手段といたしまして、覚書のような方法学術体制刷新委員会の側から提案されたわけであります。その方法には日本学士院会員の意思もはいる、從つて選考委員会というものは両方の半数ずつが出て過半数をもつて決定するものでございますから、日本学士院の意思も十分反映するものであつて学士院の意思を全然無視した、自分の團体会員を自分の意思を反映させ得ないというような学士院会員の御不滿は、ある程度これによつて滿たされるものであると考えまして、この立法においては選定するとありますが、その手段方法は書いてございませんので、手段方法については、両者の了解する方法を設けたならば円滑にいくのではないかというような考えで、政府としてはこの程度ならばよかろうというふうに考えておる次第であります。
  86. 田淵実夫

    田淵委員 ただいまの覚書に関連して、この覚書の案なるものは妙だ、と申しますのは、私は学士院の申入れというものは取入れてはいけない。このことについて述べておりますと非常にむつかしい問題になりますが、この日本学術会議というものは、身体である。その身体の一部をなすところのものが日本学士院である。身体全体と身体の一部をなすものが同じ地位に立つて身体の一部を構成するものの候補者を選ばねばならぬというきめ方は、私は妙なものだと思う。從つて論議していたら長くなると思いますが、学士院の申入れというものは私はけらなければならないものと思う。これをけり得ないところはこうした矛盾した、まことに妙な覚書の案が出るのだというふうに考える。
  87. 柏原義則

    ○柏原委員 私の考え方は前の方と反対の考え方でありまして、そういうふうな考え方でしたら、理論上は一應筋が立つておるのでありますが、学士院は功績顯著なる科学者を優遇するために残したのであつて、掃きだめじやない。法文の中にはいりかけておるのですが、その学士院というものは学術の英雄的なものであつて行政的なものでない。ほんとうの碩学鴻儒がはいるもので、学術会議日本の最高学問機関でありましようが、どうしてもこれは審議機関であり、また科学に関する行政機関をなすものでありまして、大分性格が違うのであります。從つて一方は碩学の士が選ばれるし、一方は性格上科学者でうるが行政的な手腕があるという者が母体をなすものであります。もちろん敗戰後でありますから、封建的なものは皆退けねばならぬ。しかし歴史のある残すべきものは残していいと思う。宗教のいいところとか、科学学者のいいものはある程度残したらいい。学士院の封建性は大いに改めねばならぬのでありますが、碩学鴻儒であるとか、あるいは学界の泰斗であるとかいう人を英雄的にそこに入れる場合に、ただ單に行政機関に似たような学術会議だけの意見でするということは、まだそこに考えなければならない問題がたくさんあると思うのであります。学術会議は今の世相から考えましたら、三年で交代しますし、右に行くやら左に行くやらわからない。学者の集まりでありますからそんな心配はまずないと思いますが、しかしこのごろの若い学者は思想的に右とか左とか政治的色彩をもつてくるのであります。從つて学術会議そのものが、ある時は右になつたり、ある時は左になつたりする。これは時代思想の影響で、当然のことでありますが、しかしそれを離れて靜かに学究的にやつて、ほんとうに人類のため國家のため民族のためにりつぱな学者が出た場合に、それから離れて学士院に送り込むという客観的な公平な態度がとれれば結構でありますが、ともするとそういうことができにくい情勢もできてくるということを私はおそれるのでありまして、そういう意味においてこの覚書にはかなりの意味があると思うのであります。そういうことをいろいろ考えた上で大体覚書ができたと思うのでありますが、この覚書があるからといつて法律ができてしまつたあとで覚書——との準備委員長から芦田均君に出したところのものは、これは三文の値打もない、鼻紙同樣のものであります。法律をこしらえる時分には、あとでこうするとか、実際上こうするといつても、通つてしまつたらどうなるかわからぬ。ですからこれだけのものをやろうという覚書があるならば、この精神を活かして、法文の中へ取込んでやる方が、むしろほんとうであろうと、こういうふうに考えるのであります。前の方と私は反対の考えをもつておるのであります。
  88. 田淵実夫

    田淵委員 ただいまの反対意見でありまするが、私は学士院をなくするということは反対であります。学士院は存置しなければならない。しかしこれを存置する上において、半ば学士院の手がこれに加わるということはいかがか。もちろん学士院会員たるべき人は、天下の学者中の学者であるから、天下の学者が選ぶべきである、こういう考えをもつておる。と申しますのは、具体的に申すと、たとえばその人が天文学の大家中の大家であるといつて学士院会員学士院からもし候補者としてあげられるというときに、学士院の総意ということにはなりましようけれども、言語学をやつておいでの言語学の大家中の大家が、天文学にどれだけ通じているかということになるとこれは問題である。そうするとやはり天文学とかもしくは理学関係のごく数氏の学者によつてこれが推薦されることになる。ところがこれが学術会議の手によつて推薦されるということになると、意味は異なつてきて、公平な選定ができる。天下の学者中の学者は天下の学者によつて選ばなければならぬという考えを私はもつておるのであります。但し学士院の功績に報いなければならない。またこれを大いに活用し、これに頼らなければならぬということに対しましては、毛頭異存はないのであります。
  89. 黒岩重治

    黒岩委員 私は学士院の御要望の点につきましても、よく説明してもらつたわけでありますが、大体学士院の今の方の修正をしなければならないという意味が、私にははつきり了解ができぬのであります。それは学士院自体が修正案として出したものを見ましても、原案を見ましても、碩学の優遇機関であります。してみると、優遇されておる者があとに続く者に対して、君は優遇してはならぬ、君は優遇しなければならぬという選択をする権限があるかということを疑問をもつのであります。いま一つは、学士院の方から出まして修正案は、その説明を見てみますと、碩学の士が選ばるべきであつて、碩学の士によつて選ぶのが当然である、こう断定をしておりますが、これは碩学の士と判定のできるものは、学士院会員の以外にはないという妄断に立つて、かような主張をしておると思います。そういう点においてこの学士院の御熱心さには敬服をいたしますけれども、その御説明に納得をいたしかねるわけであります。  それから次に、時の学術会議の空氣に、新たに学士院に選ばれる者は支配されてはならぬと、こういう御主張には、多少傾聽する点があります。時代の風潮によりまして、人の選択に色がついてはならぬということは、それは納得ができるのでありますが、しかし学士院は超然としておつて、時の政治にも、産業にも関係をせぬ、純粹の学問の塔の中に閉じこもつておる存在である。学術会議の方は産業の方面にも、政治の方面にもタツチするものである。ところが学問というものが人間の文化というものをよりよく構成していくところの大きな使命をもつているものであるならば、産業とか政治に一切関係のない学問というものが必要であるかどうか。人間の生活を幸福にするための学問でありますがゆえに、人間の生き方のすべての面に関連をもつべきだと思います。してみると、学士院の方々の主張は現役を隠退せられた御隠居のような感が強いのであります。隠居であるとしますれば、別にもう世を捨てた人が若い者に差出口をするということも、またこれははなはだ遺憾な問題が起るという危險があります。從つて私はせつかくの御熱心な学士院の方の御主張も聽きましたけれども、それに賛意を表する氣持になつておらないのであります。從いましてこの覚書のごときも、不必要であるという考えをもつているわけであります。
  90. 松本七郎

    松本(七)委員 先ほど覚書を覚書に止めずに、積極的にこの條文の中に入れた方がいいというお話がありましたが、これに対して政府のお考えを御説明願いたいと思います。
  91. 岡野澄

    岡野説明員 この覚書は、学士院側におきまして最初に芦田総理に対しまして覚書という形をもつて御要望なさいました。それに対して刷新委員会からも同樣な形で覚書として芦田総理に出した文書でございます。政府といたしましては、刷新委員会委員長の事態を拾收されようとする御苦衷から発したものと、この覚書は想像いたすわけでございますが、現在のような段階になりまして、もしこの覚書自身を法文化しなければ学士院が納得しないというような事態でございますれば、かえつて法文化することによつて——覚書でも法文化しても結果においては同じかも存じませんけれども、学名院側で強いてこの際御主張になりまして、どうしても法文上に書かなければ納得できないというようなことでございますれば、おそらくその影響するところは、全國の科学者に非常に大きな衝動を與えるかと思うのでございます。從いまして日本学術会議ができましたあとも、何かその間に暗影を投ずるのではないかというような想像がいたされますので、できますならばこれはやはり覚書というような程度にしていただいた方が、今後の学界の大きな流れを見ます上に、その方が妥当ではないか、こういうふうに考えまして、從いましてこういう覚書も法文化しないで、刷新委員会結論通り法案を作成した次第でございます。
  92. 高津正道

    高津委員 お説をいろいろ聽いてみたのですが、理論からいえば、田淵君、松本君の言われる通りだと私は思います。そうして学士院というものが、今までの旧制度の功労者、それは純粹な科学という面もありましようけれども、旧制度の擁護者、概して古い思想をもついするような人が多いというのであつて、私は学士院の肩をもつ氣持は少しもないのでありますが、運用を円滑にするという意味において、学士院の氣持を少しなだめるようなことを、法案の体系を崩さないで何か行いたい、そういう氣持がするのであります。学士院から見れば、第三十一條に「從前、日本学士院及び学術研究会議において所掌した事務でその廃止の日に殘存するものは、日本学術会議においてこれを処理する。」と規定されております。これは当然の規定であると思いますけれども、学士院会員諸君から考えれば、学士院がもつておつた寄附金も引継がれるのだし、図書もそうなるのだし、建物も今度は学術会議のものになるのだ、まつたく自分たちは裸にされるのだというような、そういう考えをもつておられるようであります。新たにできる日本学術会議の方からいうば、学士院の現在の会員は終身にするのだし、前と同樣に年金を出すのだし、磧学として、学術上の功績顯著な人として栄誉の地位におつてもらつて、やはり授賞というようなことは学士院行つてもらうのであるというように、ちやんと待遇をしてあるのでありますが、日本学士院の言い分を聽いてみると、終身会員任期三年中に選ぶのだから、どうしても公平に判断を誤る。押しが強いとか、政治的手腕のあるような人が選ばれる危險性がある、もしわれわれの方から選ぶならば、この間山田博士か何かの言葉だつたと思いますが、戰爭のあることを知らないで、はぜつりばかりやつて、だぽはぜの研究だけをやつておつたというような、そういう者を入れるというようなことは、現在の風潮のもとでは、学術会議会員はそう選ばないであろうが、われわれだからそれが拾えるのだ、というような、いろいろの思見を聽いてみると、その磧学の希望というか、氣持というか、それをくんで、この法案に入れないで、この覚書の中にある松本七郎委員の続み上げられたあの文句をせめて附帶決議にして、そういうような方法において学士院会員を選ぶということにしたならば、感情の対立を大分抹消して、そうして運営が滑らかに行くだろう、これが政治家としての実際の面をも考えた処置じやあるまいかと思う。だからその附帶決議をつけてこの原案をそのままで通したらよかろう、このように私は考えるのであります。別に政府の清見を求めるのでもなく、委員諸君に聽いてもらうためであります。
  93. 伊藤恭一

    伊藤(恭)委員 この学術会議は、科学の復興により産業経済の復興をはかる、そういうことは当然でありますが、そしてまたいろいろ皆樣の意見ももつともと思いますが、しかしながら、やはりこういう若干の手当もあり、またいろいろの選挙管理委員会もある、そういうことになりますと、やはり政治的に動く人が非常に多くなると私は思う。そういうことになりますと、今までの磧学というような人、ほんとうに学術に專念してきたところの人たちが非常に微妙な立場に立つということも考えられる。そうしてまた將來は若い人でこれをとつてしまうというようなことにもなる傾向があつて、そのためには政府的の方面と産業的の方面と学術の方面と、三つを勘案して立候補する人が相当できてくると考えられますから、そういうことになりますと、ほんとうの学術振興ということが若干懸念される点があると思う。それにはやはり誠心誠意、あくまでも学究的にやるという人、超然たる態度に立つて学術道を信念的に行う人も必要である、こういうことを考えますときに、今高津さんの言われたようなぐあいに、われわれといたしましても、これはやはり政治的とかいろいろの方面に巻きこまれないように考えなければならぬ。そういうことを勘案したならば、この覚書も、われわれは非常にこれを重要に考えなければならぬということを私は考えます。松本委員長 ちよつとお諮りいたしますが、今は質疑の段でありますので、御意見二つおありのようで、これを続けますと討論のような形になつてまいりますので、ここのところは質疑の程度に止めていただきまして、討論のときにやつていただきたい、かように考えております。御了承願います。
  94. 黒岩重治

    黒岩委員 政府の方へお尋ねしますが、ただいま高津さんや伊藤さんから学者の本分を忘れて自己の栄達のために政治を利用するという懸念があるからというような意味の御心配があつたように思います。言葉は違いますけれども、私はそういう意味に受けとつたわけでありますが、そういうような懸念が政府としてはおありになるかどうか、私の氣持では、学者というものがそういうような氣持であれば、日本学術振興を託するに足らぬと思つております。現在においてさような者がありとすれば、相当反省をしていただかなければならぬと思う。  それから今までの学士院というものが、この学士院に列している人たちの履歴を見みますと、出身学校が非常に偏しております。これは人材がその学校から輩出したといえばそれまででありますがそういう政治色云々ということを懸念すれば、学士院自体にもそういう心配が起ることはあり得ないかどうか。この辺に対するところの政府の御見解を伺いたいと思います。
  95. 清水勤二

    清水政府委員 日本学術会議会員に、いろいろ学者として好ましからざるような行動をする人が選ばれはしないかという御懸念があるようでございますが、この点につきましては、選挙規則におきまして会員選挙の被選挙権者を相当に高く規定いたしております。またこの前予備的に学術体制刷新委員会委員を全國的に選挙いたしました経驗からいたしましても、それほど憂慮するような会員が選ばれてくるとは考えられないのであります。もちろん学者と申しましても、いろいろな性格をもつておられる人があります。時に学者であるがゆえに特殊の性格をもつておられる人もあるのであります。從つて、ああいうような人がああいうことを言うというような人が、あるいは選ばれるかもしれませんけれども、全体として考えますときに、こういう民主的な方法によつて選んでも、この選挙方法によつて選んだ者が、非常に学者として忌憚すべき人々になるということは予想いたしておらないのであります。  それからもう一つの御質問日本学士院の問題でありますが、この学士院選挙に対しましては、ただいま御指摘のような非難が学者の間に相当強くある、殊に地方の学者、地方の大学等におきましては相当非難をいたしておるのであります。もとより日本学士院定員数が非常に少うございまして、その少いということからおのずから生ずるというとも考えられますけれども、その推薦方法についていろいろ非難している向きもあるのであります。そういう意味で、このたびの原案は日本学術会議がこれを選挙するということになつたと思うのであります。
  96. 柏原義則

    ○柏原委員 この覚書の点でありますが、この覚書を法制化すれば日本学者が大騒動になるというお話であります。そんなこともあるだろうと私は思うのですが、それほど法制化のむずかしい、從つて実行のむずかしい覚書を学術会議創設準備委員長が芦田内閣総理大臣になぜ書いたのか、それほどあぶないものをごまかす意味で書いたんですか、それとも固めるために膏藥ばりにこんなものをちよつと書いてみたのか、あるいは実際運営上制約があるのか。
  97. 岡野澄

    岡野説明員 ただいまの御質問でございますが、法律にこれを書くということと、覚書について実際上運営すると申しますことは結果においては同じかとお考えと思いますが、政府原案は刷新委員会の答申をそのまま尊重して出している。それが、たとえば國会なら國会としてもちろん御修正になる権限はおもちでございますから、御修正になることは一向御自由でございますが、その御修正になる動機が学士院の運動によつてはいつたので、この法律がこういうふうに修正されたという印象を與えるということは、あまりおもしろい結果を生まないのじやないか、こう申し上げたわけでありまして、実際上この覚書の精神になりまして、委員長は非常に苦しい立場かと存じます。とにかく学士院の選定は日本学術会議がするので、その選定の一つ方法としてこういう案を考えてこの実現に努力してみるということだけをこの覚書では言つこいらつしやるので、從つて覚書をやるのと法律にこれを修正するのと結果においては同じかもしれませんが、與える影響が違うと私は存ずるわけであります。
  98. 松本七郎

    松本(七)委員 この覚書ではまだ日本学士院はこれに同意しておらないように書いてございますが、この政府提出の法律案の通過前に日本学士院がこれに同意する見込みがございますか。
  99. 清水勤二

    清水政府委員 この覚書は、今まで数次折衝して同意されないものでありまして、刷新委員会学士院との間では了解は達せられないものと考えるのであります。しかし國会の御勧奬があればこの覚書の交換によつて、あるいは了解が得られるかと考えます。
  100. 松本淳造

    松本委員長 ちよつと私からその点につきまして補足的に申し上げておきますが、お手もとに学士院からの修正案がこの前行つておるはずであります。ところが、その後学士院の院長であります山田博士が、私に刷り物でないペン書きの一枚の修正案を御提出になりました。これを刷りまして御配付しようと思つたのですけれども、時間的にその余裕がありません。それは、ちよつと読みますが、学士院会員の選定について、日本学士院日本学術会議提案する候補者中よりその会員を選定する、これが第一の希望でありますが、この修正案が成立しない場合には、日本学士院会員の選定は、日本学士院日本学術会議とを代表するおのおの同数の委員をもつて構成する候補者選考委員会の決議によりてこれを定める第二案を準備している、こういう御通知であります。この第二案の内容を拜見しますと、兼重委員長の提出であります覚書の第一項に大体該当するように私は考えておりますが、その点御参考までに申し上げておきます。
  101. 清水勤二

    清水政府委員 ただいま御説明がございました学士院の側の第二の御提案の問題でございますが、第二の御提案はその選考委員会あるいは会員選定委員会というようなものが決定するということになつておりまして、日本学術会議が選定するのではないことになり、從いまして第二の御提案とこの覚書の筋とは全然異なつておると考えるのであります。
  102. 松本淳造

    松本委員長 そうですか、これは私まことに恐縮ですが、今清水局長の言われた通りで、兼重案の中には、一番最後に日本学術会議が決定するとありますからやはりその点が妥協ができておらぬ。私訂正いたします。
  103. 柏原義則

    ○柏原委員 兼重案ですか、この案は学術準備委員会全体の人がのみこんでいるのですか。それとも兼重さん一人がそういう一つの中間的な手を打つたのですか。それとも全体を代表して出ておるのですか。
  104. 清水勤二

    清水政府委員 この案はただいま日本学術会議創設準備委員会というものができておりまして、その後の日本学術会議法の取り運び方については、その委員会に任せられておるのであります。それでその委員会委員長はやはり兼重君が兼ねておるわけであります。その委員会といたしましてはこの原案の範囲においてこのわくの中においてある程度学士院と妥協することはやむを得ないだろう、こう考えておるのでありまして、從いましてこの原案通りでありますけれども、原案は日本学術会議がこれを選定するのでありまして、選定する候補者はだれが選ぶかは原案にはないわけでありまして、その手段方法は書いていないわけであります。その手段方法については、学士院の方の意向をある程度盛つて、そして最後の決定は日本学術会議が決定するということになれば、総会においてきめられたこれを変更することなくして、事実において学士院会員の意向を盛ることができて妥協ができるであろう、こういう考えでこの法案通がつたあとで自分たちが責任をもつてこれを遂行する。そして全学術体制刷新委員会を納得せしめるという強い信念をもつてつておられるのであります。從いまして、原案を訂正するのではなく、原案の選定する手段について、準備委員会で任せられておる権限内においてこれだけのことをやると解釈されたわけであります。
  105. 織田正信

    織田委員 前の章にもどるのですが、第四章の第十七條の三番目に「その他研究歴五年以上の者」ということが書かれております。具体的にこれはどういうことを指すのですか。
  106. 岡野澄

    岡野説明員 これはたとえば大学專門学校を卒業しなくても、そういう学歴を問いませんで、ある研究所に入りましてそこで研究に從事しておる、それが五年以上ということでございます。
  107. 織田正信

    織田委員 ただいまの研究機関というのは、私設の研究機関も含めるわけですね。
  108. 岡野澄

    岡野説明員 それは研究機関というものの認定を選挙管理委員会ですることになつておりまして、具体的に申しますと、選挙方法は個人登録が原則でございます。自分で有権者だと思う方が申し出て、そして資格の審査をして、有権者と認められた人が選挙権を行使するわけでございますが、事実上約八万九千人の有権者個人々々の登録ということは困難でございます。実際行われる方法といたしましては、研究機関または学会に依頼いたしまして、その成員または会員有権者と認められる方の名薄を提出していただきまして、その名薄に基いて選挙管理委員会が資格を審査するわけでございますので、ただいま御質問の私立の研究機関でありましても、それが相当研究機関でありますれば、当然そういうふうに御照会いたしまして、その研究機関から名薄を提出していただくということになるわけであります。
  109. 織田正信

    織田委員 それから第二号に「旧專門学校令による專門学校、旧師範教育令による教員養成諸学校」というのがありますが、旧師範教育令というのは、昭和十八年にきめられたものとすれば、新しい師範教育令によつた者が一年長かつたかもしれませんが、実際の問題として昭和十八年以降の師範学校卒業者よりもむしろそれ以前の師範学校を出た者の中に研究者が多いのではないかと考えるのです。この点昭和十八年以前の師範学校の卒業者に対してはいかがでありますか。
  110. 清水勤二

    清水政府委員 ただいまのお尋ねは、この選挙権、被選挙権者の規定がなかなか困難でございますから、形式的に第一号は大学程度、第二号は專門学校程度ということに考えております。そして昭和十八年に師範教育令によつて設けられた師範学校は專門学校程度になつておりますので、それで專門学校程度という範疇に入れてあるわけであります。
  111. 松本七郎

    松本(七)委員 先ほど委員長から山田博士の案というものを御発表になりましたが、ただいま配付になつた修正意見というものについて見ますと、日本学士院会員日本学士院日本学術会議とを代表するそれぞれ同数の委員をもつて——日本学士院会員の選定方法についてはそれぞれ同数の委員をもつて構成する。日本学士院会員選定委員会の決定の基き内閣がこれを命ずるという案が出ておりますが、この内閣が命ずるという考え方と日本学術会議が選定するということとは根本的な開きがある点だと思います。あたかもこういうものを内閣が任命しなければ権威がないように考えられておるが、こういう考えが強いということはわれわれとしては非常に寒心せざるを得ませんので、そういう考えについて政府意見を伺います。
  112. 岡野澄

    岡野説明員 内閣が命ずるという修正案を学士院が國会にお出しになつてことにつきましては、政府は関知しないわけでありますが、大体学士院の昔は勅旨をもつてこれを任ずるという規定がございました。それが八月十五日以後内閣がこれを命ずるということになつておるわけでございます。この点に関しましては、刷新委員会側もまた政府側も、科学者の栄誉を表わすためにそれが上から内閣によつて任命されたことによつて権威づけられるということは、新しい時代にふさわしくないわけでございまして、むしろ全國の科学者から選挙された日本学術会議におきまして、この人こそわが國の科学界に不朽の功績があつたのだと推戴されること自身が栄誉になるのではないかと存ずるわけであります。從つて旧來の学士院のそういう立場を離れまして内閣が任命するということを省いたわけであります。
  113. 清水勤二

    清水政府委員 ただいまの松本委員の御質問に対しましてちよつと補足いたしておきますが、学士院側において内閣から命ずるということを附け加えましたことは、もちろん御推測のような意味も多少あるかと思うのでございます。山田院長の御説明によりますと、学士院会員は年金を支給せられる。年金を支給せられることにつきましては、内閣から命ぜられなければできないのではないか、あるいは憲法違反になるじやないかということが最初論議され、この点は法務廳におきましても、いろいろ審議いたしまして、内閣から命ぜられなくても年金が受けらめるということになつたのであります。しかしその点はやはり命ぜられた方が年金を受けるについて疑義が少いというような意味から、内閣から命ぜられるということにした方がよい。もう一つは、日本学術会議が選定すると学士院会員が快く思わない。学士院がみずから選ぶと、日本学術会議がよく思わない。むしろ第三者から選ばれた方がよくはないかというような考えもあつたのであります。内閣が命ずるということを附けられた趣旨はそういうところで附け加えた次第であります。
  114. 高津正道

    高津委員 年金を支給するということが第二十四條第六項にありますが、年金はどのくらい出す考えでおられるのですか。
  115. 岡野澄

    岡野説明員 学士院会員は創立以來年金を政府からいただいております。その額は昭和二十年まではたしか三百円でございました。二十一年度は年額三千円で、現在國会にただいま御審査をいただいております本予算におきましては、年額一万八千円という額でございます。今度日本学術会議ができまして、学士院の方々を優遇するための年金といたしましては、現在は予算上は、これから交渉いたすわけでございますが、五千円以上は計上したいと思つているわけでございます。また物價のベースが変つてまいりまして、その点もにらみ合わせて月額五千円程度計上しております。
  116. 高津正道

    高津委員 授賞するということが第二項にありますが、授賞の方法を簡單に聽きたいのです。
  117. 犬丸秀雄

    ○犬丸説明員 現在の授賞の方法を申し上げます。学士院は第一部、第二部の二つにわかれておりまして、もしそれが人文科学でありますと、人文科学が第一部でありますが、第一部の会員が寄り集まりまして、大体前年度の優秀な業績をあげた人を選びまして、それを参考にいたしまして、別に選考委員会というものをつくりまして、その選考委員会でそういういろいろな人の業績を審査いたします。そうして選考委員会意見がきまりますと、今度は次の部会に出すわけであります。そうしてその部分で審査をして決定いたしますと、今度は総会、これは第一部、第二部両方であります。自然科学も含めましての全会員の総会にまわしまして、総会の議決によつて決定する、こういう順序であります。
  118. 黒岩重治

    黒岩委員 少し前へもどつて相済みませんけれども、先ほど織田君が質問いたしました選挙権、被選挙権を得るところの資格でありますが、学歴はなくても、國家試驗を受けて相当の資格を獲得した者は、これに該当するか否か、お聽きしたいと思います。
  119. 清水勤二

    清水政府委員 第十七條の一及び二の資格は、これは学校教育の程度を表わすものでございまして、これが現在存置されております大学程度及び專門学校程度の学校の種類だと存じております。この同程度の國家試驗を受けた者は、その証明によりまして、もちろん同等に取扱われるものと考えます。
  120. 松本七郎

    松本(七)委員 日本学士院の行います授賞の公表の方法を御説明願います。
  121. 犬丸秀雄

    ○犬丸説明員 それは新聞の発表によりまして知らせるとか、授賞式を行いまして、公衆の面前で授賞する、こういう方法をとつております。
  122. 高津正道

    高津委員 「日本学術会議は、左の事項について、政府に勧告することができる。」という第五條の一番終りに「その他日本学術会議目的の遂行に適当な事項」というのがあります。それは予算にも触れられるという今御答弁であつたが、授賞というようなことは、全部第二十四條の日本学士院に讓つて日本学術会議それ自体ではやらないのですか。その点をちよつと聽いておきたい。
  123. 岡野澄

    岡野説明員 この法律によりますれば、科学者の眞に業績のある者に対して授賞するという権限は、学士院に委ねておるということに解されるわけであります。但しその授賞の候補者等につきまして、学士院側の意見に対しまして、日本学術会議として適当な者を推薦するというようなことも、もちろんあり得ることと存じます。そこは運営でできるというふうに考えております。
  124. 黒岩重治

    黒岩委員 学士院側の最終修正案というものをただいま見てみますと、全然学術会議とは切り離して、日本学士院を別に置いて、独立して職務を行うという根抵に立つて修正をしております。してみると、これを政府が容認するならば、この法律案外のものでありはせぬかと思う。そうして二元的な二本建の機関というものをお考えになる余地があるかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  125. 清水勤二

    清水政府委員 修正案に対しましては、政府はその立案についても関知いたしておりませんし、またそれを見ましても容認いたしていないのであります。ただいま御指摘のように、まつたく独立の機関として二つ機関になるということは、この学術体制刷新の根本の精神が、一本にまとめて、一つの最も強力なる組織にしていくという建前でございまして、別に存在させるということは政府考えていないのであります。
  126. 圓谷光衞

    圓谷委員 学士院というものをここに置きまして、学士院のメンバーと学術会議のメンバーが対立関係を起すのでありましようがこれがやはり学士院という一つのグループができるように見えるのですが、そういう憂いはありませんか。
  127. 岡野澄

    岡野説明員 それは從來日本学士院というような機能がもし新しくできた日本学士院にも附與されておるといたしますれば、そういう職務権限の重複からくるわざわいと申しますか、トラブルがあるかと思いますが、新しい学士院と申しますのは、いわば日本学術会議の名誉会員というような方をもつて組織されるわけでございます。しかも学士院を事業をなさる所ではなくなりまして、政府に勧告したり、諮問に應じたりする機能を今後は学士院がもつわけではございませんので、そういう面からいたしましても、そういう対立的なことはあるまいと存じます。
  128. 圓谷光衞

    圓谷委員 そうすると功労ある者の優遇のためにつくられる、いわば養老院のようなものと考えていいですか。
  129. 岡野澄

    岡野説明員 まあそうでございます。
  130. 松本淳造

    松本委員長 次は第七章、雜則に移ります。
  131. 織田正信

    織田委員 第二十六條の「不適当な行為」というのは、どういうようなことを考えておられるのですか。
  132. 岡野澄

    岡野説明員 万々そういうことはないと思いますが、たとえば刑法上の罪に当る、あるいは追放のようなことも考えられます。普通社会一般で申します名誉を汚辱するような行為というふうにお考えいただきますれば、結構と存じます。
  133. 松本淳造

    松本委員長 ほかに御意見はありませんか。——それでは次に移りまして、附則。
  134. 圓谷光衞

    圓谷委員 附則が非常に長いんですが、これは結局学士院というものを無理に入れたために、こういう附則ができたのですが、ほんとうのところを伺いたい。
  135. 岡野澄

    岡野説明員 この附則は、二十九條におきましては、この日本学術会議が成立する日を本法の施行の日と定めた規定でございます。これは日本学術会議が成立いたしますには、全國の科学者選挙によらなければなりません。それが大体六箇月かかる予定でございます。從いまして一月二十日からこの日本学術会議が成立いたしまして、同時にこれが施行されるという規定でございます。それから三十條、三十一條、三十二條、これは経過規定でございまして、日本学士院学術研究会議、それから日本学士院会員の待遇に関する件、これは日本学術会議会員は一級官の待遇とする勅令が現在ございますので、それを廃止する規定でございます。三十一條は残存する事務をどこかで処理しなければなりませんので、日本学術会議が引続いてそれを処理する。三十二條におきましては、現在の学士院会員がそのまま新しい学士院会員なつたものをするという規定でございます。  三十三條に新しい第一回の会員任期は、本來なら三年でございますが、先ほどすでに申し上げましたように、第一回の会員任期だけは二年にしたい。  三十四條、三十五條は新しい第一回の会員選挙のための特別の規定でございまして、日本学術会議が成立しておりませんので、学術体制刷新委員会がこういう選挙を行いまして、選挙管理委員会と申すものを学術体制刷新委員会に設けて、第一回の会員選挙を支障なく行うという趣旨でございます。
  136. 田淵実夫

    田淵委員 三十四條の三項にあります「前二項に要する経費は、國庫負担とする。」この「前二項に要する経費」というのを具体的に伺いたい。
  137. 岡野澄

    岡野説明員 前二項と申しますのは、第一項は会員選挙費用でございます。これは先ほど御説明申し上げましたように、科学者有権者を調べまして、それを登録いたしまして、それに所定の投票用紙を配ります。それから候補者あるいは推薦者の氏名を印刷しまして、有権者に配る費用でございます。これが郵便あるいは紙代で相当かかるわけであります。  それから第二項は第一回の総会を招集する費用でございます。二百十人の会員ができたときに、それを刷新委員会委員長が招集いたします。そして会員ができまして、そこで初めて日本学術会議が成立するその費用でございます。これは全額にいたしまして先ほど御説明申し上げましたように、運賃あるいは郵便料金等が値上げになる場上におきましては、約千五百万円ほど必要かと存じます。
  138. 田淵実夫

    田淵委員 わかりましたが、念のためにもう一度伺います。そういたしますと、学術体制刷新委員会委員長がこれを招集する。すなわち第一回の総会を招集する経費なのですね。
  139. 岡野澄

    岡野説明員 さようでございます。
  140. 松本淳造

    松本委員長 他に御質問ありませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 松本淳造

    松本委員長 最後に委員定員数、部別であります。別表でありますが、これについて御質疑はありませんか。
  142. 織田正信

    織田委員 教育学はどこにはいるのですか。
  143. 岡野澄

    岡野説明員 教育学は第一部の哲学の中にはいるわけであります。
  144. 織田正信

    織田委員 大体今までの教育学は、哲学の中にはいつてつたのですが、結局終戰後の教育界の動向としては、むしろそうでない社会学、政治学に近いような方面が非常に強いし、現実の問題とタツチして問題もよくやつておるので、何かむしろこれは時代に逆行するような感じを受けるのですが、その点に関して伺いたい。
  145. 岡野澄

    岡野説明員 第一部の分け方が一番御疑問が多いことかと存ずるのでありますが、たとえば東京大学のごとき、文学部を例にとつて申し上げますと、從來は教育学、社会学心理学、西洋歴史学、東洋史学、倫理学、宗教学と細分しておつたわけであります。それを最近は少し大きく括ることにいたしまして、史学、文学に属しないものは、みな哲学という範疇に入れておりまして、今御指摘社会学というものも、一應哲学の中にはいつておるわけであります。とりあえずこういう三つの大別をいたしまして、選挙をやりたい、こういう趣旨でございます。
  146. 松本七郎

    松本(七)委員 專門にかかわらない定員の数のきめ方について伺いたい。
  147. 岡野澄

    岡野説明員 それは先ほど申し上げましたのですが、三十人のうち、七人は地方代表で、七地区ございまして、第四部で申しますれば、七人北海道、東北というふうに出るわけであります。殘りの二十三人をどう分けるかというところから、この数字が出たわけでございまして、第四部におきましては、たとえば、数学、天文学、地理学、人類学、こういつた方々を選考される有権者の数というものは、必ずしも多いわけではございません。普通であれば、理学全体からもし選挙が行われるとすれば、有権者の多寡によつて得票の最多数からとるということになれば、有権者の少いこういう專門部門は、代表も出ないという結果になるわけでございますが、日本学術会議の使命から見まして、そういう專門を落しては会議本來の使命達成上困難でございますので、時にこういう定員を振り当てたわけであります。これを最小限度に止めまして、そのほか視野の廣い方をとるというので、その殘りを專門にかかわらない定員にきめましてわけであります。それは各部門とも同樣な考え方によつてきまつたのであります。
  148. 圓谷光衞

    圓谷委員 七区の分け方、それからもう一つ有権者は両方に投票できますか。
  149. 岡野澄

    岡野説明員 地区は七地区に分けまして、北海道、東北——東北は六縣でございます。それから関東には新潟、山梨を加えております。中部には、富山、石川、福井、長野、岐阜、靜岡、愛知、三重、こういうものがはいつております。近畿は滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山、それから中國、四國が一つのブロツクでございます。さらに九州。それから投票の方法でございますが、有権者は全國区及び地方区に対して投票、一人一票で、全國区、地方区ごとに選挙をいたします。それから投票は三名連記によりまして、一名は自己と同じ專門に属する者、二名は專門にかかわらない者ということを考えております。
  150. 織田正信

    織田委員 この七区に分けたのは、どういう標準のもとに分けたのですか。
  151. 岡野澄

    岡野説明員 大体從來の総合大学の所在地ごとにブロツクを分けたわけでございますが、ただ京都、大阪は距離も近接している関係でこれを一つのブロツクにいたしました。なお中國、四國は現在では総合大学がございませんが、これもやがてはできるだろう。また地域的にもこれを一つにまとめた方がよろしかろうという意見でございます。なおこの地区の分け方は、これをもつて將來までずつと拘束する考えはないのでありまして、たとえば北陸地方に相当学術の中心地ができれば、それを一つにまとめて別にするという意見もございます。そういうわけであります。
  152. 高津正道

    高津委員 第一部の哲学という分類は文学、史学に属しないその他の人文科学がはいつているような御説でありましたが、宗教学、倫理学というものもこの中にはいつているわけですか。
  153. 岡野澄

    岡野説明員 宗教学、倫理学心理学、教育学、社会学、いずれも哲学の中に入れる仕組でございます。
  154. 黒岩重治

    黒岩委員 今の御説明によると、ずいぶん哲学の中にはいる範囲が廣いのですが、それに定員四名ということはおかしいじやないですか。
  155. 岡野澄

    岡野説明員 おつしやる通りでございますが、しかしたとえば歴史学と申すものもなかなか廣いわけでございます。國史、西洋吏、東洋史、これが相当研究者がおるわけでございます。また文学と申しましても、これは國文学、英文学、ドイツ文学、フランス文学、イタリア文学、ロシア文学というふうに文学の中にもたくさんあります。御説のように哲学がやや種類の違つたものが雜多にはいり過ぎて、それが四人じや少いだろうという御注意、まことにごもつともだと思いますが、いろいろな問題がございまして、とりあえずこういうようなことになつたわけであります。     〔委員長退席、高津委員長代理着席〕
  156. 高津正道

    高津委員長代理 速記をやめて。     〔速記中止〕
  157. 高津正道

    高津委員長代理 速記を始めて。
  158. 織田正信

    織田委員 ただいまの史学の方が東洋史、西洋史、國史と、たくさんある。文学の方にも國文学、英文学、イタリヤ文学、いろいろおつしやいましたが、哲学の、たとえば社会学なら社会学だけ、心理学なら心理学だけ、教育学だけをとつてみても、東洋のものを研究する、あるいは西洋のものを研究する、いろいろあるじやないかと思うのですが、この点について、もう少し詳しく説明していただきたいと思います。
  159. 岡野澄

    岡野説明員 まことに御指摘通りでございまして、社会学でも、日本の社会を研究するのもありますし、ヨーヨツパのもある次第でありますけれども、一應哲学と申すから、少し意味がおかしいかと思いますが、何と申しましようか、哲学的な理論を母体にしたものというような程度で、この哲学というものに入れておるわけでございます。便宜的なものでございますので、嚴密に学問上この区わけがいいかどうかということは別の問題でございます。これはそういう見地からは妥当だとは必ずしも思いませんが、ただ、日本の現在の学校のわけ方、学校の中の細分のしかた、文学部における学問分類をもとにして、こういうことをきめたわけでございます。
  160. 高津正道

    高津委員長代理 ほかに質疑はございませんか。     〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 高津正道

    高津委員長代理 では、速記を止めて。     〔速機中止〕
  162. 高津正道

    高津委員長代理 それでは、質疑を打切つて討論に入るわけですが本日はこれで散会して、あとは懇談会にいたします。     午後六時九分散会