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高津委員 お説をいろいろ聽いてみたのですが、理論からいえば、
田淵君、
松本君の言われる
通りだと私は思います。そうして
学士院というものが、今までの旧制度の功労者、それは純粹な
科学という面もありましようけれども、旧制度の擁護者、概して古い思想をもついするような人が多いというのであ
つて、私は
学士院の肩をもつ氣持は少しもないのでありますが、運用を円滑にするという
意味において、
学士院の氣持を少しなだめるようなことを、
法案の体系を崩さないで何か行いたい、そういう氣持がするのであります。
学士院から見れば、第三十
一條に「從前、
日本学士院及び
学術研究会議において所掌した
事務でその廃止の日に殘存するものは、
日本学術会議においてこれを処理する。」と規定されております。これは当然の規定であると思いますけれども、
学士院の
会員諸君から
考えれば、
学士院がも
つておつた寄附金も引継がれるのだし、図書もそうなるのだし、建物も今度は
学術会議のものになるのだ、まつたく自分たちは裸にされるのだというような、そういう
考えをも
つておられるようであります。新たにできる
日本学術会議の方からいうば、
学士院の現在の
会員は終身にするのだし、前と同樣に年金を出すのだし、磧学として、
学術上の功績顯著な人として栄誉の地位にお
つてもら
つて、やはり授賞というようなことは
学士院で
行つてもらうのであるというように、ちやんと待遇をしてあるのでありますが、
日本学士院の言い分を聽いてみると、終身
会員を
任期三年中に選ぶのだから、どうしても公平に判断を誤る。押しが強いとか、政治的手腕のあるような人が選ばれる危險性がある、もしわれわれの方から選ぶならば、この間山田博士か何かの言葉だつたと思いますが、戰爭のあることを知らないで、はぜつりばかりや
つて、だぽはぜの
研究だけをや
つておつたというような、そういう者を入れるというようなことは、現在の風潮のもとでは、
学術会議の
会員はそう選ばないであろうが、われわれだからそれが拾えるのだ、というような、いろいろの思見を聽いてみると、その磧学の希望というか、氣持というか、それをくんで、この
法案に入れないで、この覚書の中にある
松本七郎
委員の続み上げられたあの文句をせめて附帶決議にして、そういうような
方法において
学士院の
会員を選ぶということにしたならば、感情の対立を大分抹消して、そうして
運営が滑らかに行くだろう、これが政治家としての実際の面をも
考えた処置じやあるまいかと思う。だからその附帶決議をつけてこの原案をそのままで通したらよかろう、このように私は
考えるのであります。別に
政府の清見を求めるのでもなく、
委員諸君に聽いてもらうためであります。