運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1948-06-26 第2回国会 衆議院 文教委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月二十六日(土曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 松本 淳造君    理事 水谷  昇君 理事 高津 正道君    理事 西山冨佐太君       圓谷 光衞君    松木  宏君       田淵 実夫君    野老  誠君       松本 七郎君    伊藤 恭一君       久保 猛夫君    武田 キヨ君       黒岩 重治君    平川 篤雄君       織田 正信君  出席政府委員         文部政務次官  岩木 哲夫君         文部事務官   稻田 清助君  委員外出席者         專門調査員   宇野 圓空君     ――――――――――――― 六月二十五日  地方教育委員会法案修正に関する陳情書外三  十件  (第八八四号)  地方教育委員会法案修正に関する陳情書外四  十件(第  八九五号)  地方教育委員会法案修正に関する陳情書外二  十件  (第九〇五号)  都立新制高等学校を特別区教育委員会に移管反  対の陳情書  (第九一三号)  六・三制完全実施に関する陳情書  (第九二八号)  学校建築費補助適正化に関する陳情書  (第九三二号)  地方教育委員会法案修正に関する陳情書外十  五件  (第九四四号)  教育の復興に関する陳情書  (第九五〇号)  六・三制完全実施に関する陳情書外一件  (第七五六号)  香川大学に四年制学藝部設置陳情書  (第  九五七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  教科書発行に関する臨時措置法案内閣提  出)(第一〇一号)     ―――――――――――――     〔筆 記〕
  2. 松本淳造

    松本委員長 開会を宣告した。  教科書発行に関する臨時措置法案を議題とし、すでにこの法案に関する概括的な質疑を終了しているので、今後の審査方針について諮かつた。     〔午前十時四十七分懇談会に入る〕     〔午前十時五十分懇談会を終る〕
  3. 松本淳造

    松本委員長 逐條審議を行うことに決定した旨を述べ、第一條朗読
  4. 高津正道

    高津委員 本法案の成立について、教科用図書委員会との関係について伺いたい。
  5. 稻田清助

    稻田政委員 五月六日に教科用図書委員会より答申があつて教科用図書展示会、その他この法案規定するような内答が述べられたのであるが、その中で法的性格を持つている部分について立法化したものである。しかしながらこの法律案そのものは、諸種の事情により教科用図書委員会にかける余裕がなかつたので、そのまま國会に提出するのほかなかつた
  6. 高津正道

    高津委員 日本学術会議法案を作るときは、学術体制刷新委員会に諮問し、その答申をそのまま立法化したというくらいに民主的にやり、また教育基本法の場合も同樣であつた。しかるにこの法案に関しては、教科用図書委員会の要綱のみの建議に基いて、法案作つたというのは、おかしいではないか。
  7. 稻田清助

    稻田政委員 この委員会性格上、大綱だけをきめてもらい、それを文部大臣責任において法文化するほかない状態であつた
  8. 高津正道

    高津委員 文部大臣責任において行うという認定の根拠は如何。
  9. 稻田清助

    稻田政委員 教科用図書委員会は、制度根本的考え方について調査審議し、答申するものであり、文部大臣は行政に対する直接の責任を有しておるので、文部大臣責任において行うというのは正当であると思う。
  10. 高津正道

    高津委員 教科書発行については、第一回國会における文教委員会学校教科書に関する小委員会において、地方業者の能力を利用し、地方文化の向上と産業の開発に資するために、教科書印刷発行地方委讓を決議したのであるが、今日どの程度になされているのであるか、伺いたい。
  11. 稻田清助

    稻田政委員 中央及び地方業者間の申合せにより、二十三年度は第一次印刷計画と第二次印刷計画を立て、第一次計画においては、総量の二〇%を、第三次印刷計画においては同じく四〇%を、それぞれ地方に委讓いた。そして小学校教科書においては三月、中学校教科書においては四月、大体予定通り実行され、全体的に見ると、教科書の使用に差支えはないものと思われる。
  12. 高津正道

    高津委員 地方に委讓したのは全体でどのくらいか、その部数を伺いたい。
  13. 稻田清助

    稻田政委員 後刻調査の上申し上げたい。
  14. 野老誠

    野老委員 昨日の教育委員会法案審議の際、教育委員が無報酬であることはその実権が事務局に移るのではないかとの委員質問に対し、岩木政務次官は、さようなことはないと言われたが、教科用図書委員会は、今日まで一回も開かれていない状況から見ると、この教科用図書委員会は何ら実質的な活動が行われないのではないか。
  15. 岩木哲夫

    岩木政府委員 教育委員会委員には報酬は支拂わないが、職務遂行の必要な程度において実費弁償がなされるのであり、毎月一回定例会を、また臨時会はしばしば開かれるのであるから「実費」と廣義に解釈して、事実上は歳費に相当するものを支給することを、文部省としては希望している。これに対してかかることは不明朗であるとの意見もあつたが、それについては昨日説明した通り相当愼重に論議と研究をした結果、このような結論になつたのである。しかるに教科用図書委員会は、年に四回しか開かないというのは活動ができるかという御意見のようであるが、教科書は毎月変更されるものではなく、そうしばしば開く必要はないと思われる。
  16. 野老誠

    野老委員 教科用図書委員会目的は、教科書を作ることにある。にもかかわらず、予算その他の末梢的な事柄によつて委員会が開かれなかつたことは遺憾である。
  17. 稻田清助

    稻田政委員 教科用図書委員会は、その他檢定制度及びそれと関連する廣汎事項にわたり答申ぜられた。そしてこの法案目的とするところは、その答申に現われた教科書発行に関する現定であり、それ以外の答申事項についても、それを軽んずる意思も毛頭ない。
  18. 圓谷光衞

    圓谷委員 第一條に、「この法律は、現在の経済事情にかんがみ云々とあるが、経済事情が好轉すれば何か別の方法をとると思われるがどうか。また政府は七月から急いで施行するつもりらしいが、それは経済事情のほかに何か理由があるのか。
  19. 稻田清助

    稻田政委員 以前は各発行者が、見本を各学校に送つて自由に取引したのであるが、用紙不足の今日においては用紙の調節がつかないので、やむを得ずこのような手段を取らざるを得なくなつたものである。また檢定申込みをすでに受けつけているので、來年度に間に合わすためには、どうしてもこの審議を急いでいただきたいのである。
  20. 圓谷光衞

    圓谷委員 文部省発行の「教科書発行に関する新制度の解説」というのを続むと、非常にむずかしい、來年の四月にはとても間に合わないのではないか。
  21. 稻田清助

    稻田政委員 すでに四百種も受けつけており、調査の方にまわしてある。順調に行けば、相当数展示会に出品されることになるでありましよう。
  22. 圓谷光衞

    圓谷委員 定價が從來より高くなるのではないか。
  23. 稻田清助

    稻田政委員 今までは國定教科書ただ一種であつたので、非常に廉價であつたが、今後はいくらか高くなるのではないかと思われる。
  24. 圓谷光衞

    圓谷委員 その場合相当の高價なものも認可することになるのか。
  25. 稻田清助

    稻田政委員 價格算定基準によつて文部大臣價格を決定するのであるが、無理のない程度認可するはずである。
  26. 伊藤恭一

    伊藤(恭)委員 價格が適正であることが一番重要である。今後の教科書は、種々の事情で高くなるのは当然であろうが、学徒、父兄に影響は大であるから極力低廉なものにしたい。  教科書配給地方々々で行うのか。それとも公園のごときものを設けて文部省統制をするのか。
  27. 稻田清助

    稻田政委員 價格は十分に適正を期したい。配給方法は各発行者で自由行うが、最後まで責任はとつてもらう。ただその点に関しては今なお研究中である。あるいは公團でやつてもらうことになるかもしれない。
  28. 野老誠

    野老委員 價格の点であるが、國定教科書廉價であるために、民間の檢定教科書では太刀打ができないのではないか。また算定基準が苛酷である場合、業者経営難に陷り発行ができなくなり、かえつて國定教科書のみが行われるようなことになりはしないか。
  29. 稻田清助

    稻田政委員 展示会選択するとき、價格は決定できない状態であろうから内容本位で採用することになり、必ずしも國定のみが行われることはないと思う。算定基準は、苛酷にならぬように注意したい。
  30. 田淵実夫

    田淵委員 用紙の配当は、基準に從うので不当なことは行われないだろうが、問題は破損を見越して、何パーセントかの増配を行うということにある。これが業者の不正の根源である。自分の経驗によつても、また先般の教科書の回収のときの問題にしても同樣である。  熟練工であれば、破損見込みの二%の中の五%の破れしか出ないものである。從つて大量の用紙が残ることになる。この点をどう考えていられるか、十分考慮してもらいたい。
  31. 稻田清助

    稻田政委員 現在全体の五%の破れを見込んでいる。價格では三・五%である。少し嚴しすぎると思うが……。
  32. 松本七郎

    松本(七)委員 將來國定教科書を廃止するという考えがあるか。
  33. 稻田清助

    稻田政委員 檢定制度実施した以上は、その教科については新しい國定教科書編纂はやらないつもりである。さしあたりは、今までの國定檢定と並行して行われ、その選定先生に任せることになる。
  34. 松本七郎

    松本(七)委員 檢定制弊害防止策として、どういうことを考えているか。
  35. 稻田清助

    稻田政委員 檢定制弊害の大なるものとして、賣込み競爭があるが、これは目録送付見本展示会供給責任を各発行者に持たせること及び價格文部大臣認可等によつて、大体防止できると思つている。
  36. 松本淳造

    松本委員長 第一條には需要供給に対する規定はあるが、教科書編纂規定が出ていないようである。これはどのようにするつもりであるか。
  37. 稻田清助

    稻田政委員 学校教育法基準としてやることになつている。
  38. 松本淳造

    松本委員長 教育委員会法ができればこれとの関係はどうなるのか。
  39. 稻田清助

    稻田政委員 檢定の権限は、教育委員会法第五十條に規定してあるが、同時に附則第九十條に用紙割当のことがきめられている。
  40. 高津正道

    高津委員 教科書見本展示会に展示される教科書の定價がきまらないということは、教科書選択上困ることになりはしないか。
  41. 稻田清助

    稻田政委員 現在の用紙事情から見て、見本展示会から半年後に実際発行ということになるので、その予測は困難であり、遺憾ながら定價を附さないで展示するのはやむを得ない。
  42. 高津正道

    高津委員 第一條に、教科書需給の調整をはかり発行を迅速確実に云々とあるが、檢定本がどの位の速度で國定に代り得るかわからないが、現在相当量あると思われる國定教科書発行を、今までの中央業者にのみやらせないで、さらに多く地方に委讓させれば、より能率が上るのではないか。
  43. 稻田清助

    稻田政委員 それは見本展示会をやつた後の問題であると思うが、種々教科用図書委員会意見とにらみ合わせて檢討したい。
  44. 田淵実夫

    田淵委員 見本展示会に於て、教員は、その見本本を十分に檢討する時間的な余裕があるか。
  45. 稻田清助

    稻田政委員 なるべく多数の見本を用意して、思う存分先生方に見てもらいたいのであるが、ただいまのところでは、やはり一冊のものを多くの先生方に見てもらうより仕方がないと思う。展示会の期間も來年度からはもつと長くやりたいと考えている。
  46. 高津正道

    高津委員 第八條では、文部大臣はどの本屋に印刷させるか、その場合契約は入札によるのか、適当な資格あるものだけにやらせるのか、その点不明だが、それは省令で規定するのか。
  47. 稻田清助

    稻田政委員 檢定本は、文部大臣がその本の発行者発行の指示をするが、國定はだれにやらせるか今のところきまつていない。
  48. 松本七郎

    松本(七)委員 見本展示会に出品しないで、目録のみで教科書選択をすることになると、賣込み競爭等弊害を生じはしないか。
  49. 稻田清助

    稻田政委員 從來文部省統制をしないで、各業者が勝手に目録を作つて込みをやつていたので、そういうこともあつたであろうが、この法案規定したような方法目録を作ることになれば弊害は除去されると思う。
  50. 松本淳造

    松本委員長 第二條朗読。     〔質疑なし〕
  51. 松本淳造

  52. 高津正道

    高津委員 社会科教科書に「マサオノタビ」というのがあるが、「マサオノタビ教科書」というのはおかしいと思う。
  53. 稻田清助

    稻田政委員 「マサオノタビ教科書」というふうに「教科書」の文字を入れるのではなく、表紙のいずれかの部分にうたつてあればよいのであつて表紙デザイン等は自由にしてよいと考える。
  54. 松本淳造

  55. 圓谷光衞

    圓谷委員長 発行者は一度権定とつ教科書についても、毎年その書目文部大臣に届け出るのか。
  56. 稻田清助

    稻田政委員 その通りである。
  57. 松本淳造

    松本委員長 第五條朗読。     〔質疑なし〕
  58. 松本淳造

    松本委員長 第六條朗読。     〔質疑なし〕
  59. 松本淳造

  60. 高津正道

    高津委員 教科書需要数を報告するというのは、何科の本が何冊要るということを報告する意味か。
  61. 稻田清助

    稻田政委員 そうである。
  62. 松本淳造

  63. 高津正道

    高津委員 現在國定教科書の数は非常に多い、そして当分の間は消減しないであろう。この場合、文部省著作権があるというので、どの出版者とも自由に契約していいとなると、困つたことが起きると思う。発行配給も一應公團に持つていくか、入札するかしてもらいたい。
  64. 稻田清助

    稻田政委員 実際問題として重要なことであるから、これが実施については愼重にいたしたいと思う。
  65. 高津正道

    高津委員 この点については、教科用図書委員会とか、文部委員会意見も取入れて行うのか。
  66. 稻田清助

    稻田政委員 ただいま愼重審議中であるので、近々何らかの決定がなされると思う。
  67. 黒岩重治

    黒岩委員 第四條ないし第八條について質問がある。第四條には書目の届出、第五條には教科書展示会、第六條には目録の作成の規定があるが、第六條第三項には、教科書見本展示会に出品することができるとなつているが、目録さえ送れば展示会見本は出さなくてもよろしい。それでは業者学校との直接交渉が行われることになり、そこに不正なことが起りはしないか。
  68. 稻田清助

    稻田政委員 教科書目録が正であつて見本は副である。たとえば前年見本を出しておいたものは、再び出さなくても何ら差支えは起らないと思う。
  69. 黒岩重治

    黒岩委員 私はむしろ正副は反対にすべきだとの考えを持つている。最初に行う見本展示会においては、目録にあるすべての教科書見本が出品されなければ、選択は困難であると思う。また業者見本を出品しないで直接に学校へ持つてまわることになれば、その弊害は大きなものがあるのではないか。
  70. 稻田清助

    稻田政委員 見本展示会に出品した方が経費の点からも便利なのであるから、業者としてもむしろ展示会を選ぶと思う。
  71. 高津正道

    高津委員 黒岩さんはよい所を衝いた。
  72. 稻田清助

    稻田政委員 用紙を出してもらつた以上、業者としては当然見本を出品せねばならぬと思う。
  73. 高津正道

    高津委員 勿論展示会にも出品するだろう。しかし、そのほかに直接学校見本を持ちまわることになりはしないか。
  74. 稻田清助

    稻田政委員 そういうこともあるかもしれない。しかしながら定價に関しては、文部大臣認可ということもあるので、それによつて制約されることになり、弊害は起らないと思う。
  75. 田淵実夫

    田淵委員 業者は実に頭がいいから、一度檢定されたものは、半永久的に引継がれることになるだらうということを見越して、営利的に立ちまわることは十分に考えられる。
  76. 稻田清助

    稻田政委員 最小限度において業者を強制して見本を告示させ、弊害を極力回避したい。
  77. 圓谷光衞

    圓谷委員 あまり心配過ぎて統制が強すぎることもまたどうかと思われるが、紙が足りないといつていながら、市場には下らない本が何百種と出ている。こんな紙はどんなルートによつているのか。
  78. 岩木哲夫

    岩木政府委員 用紙は、用紙割当委員会においてその割当をきめている。その他に特定の紙が相当に出ているので、あるいは多小の不正が行われているかもわからない。
  79. 田淵実夫

    田淵委員 仙花紙は統制外であつていくらでも出ている。
  80. 野老誠

    野老委員 教育委員会法案と、この法案とにはどんな関係があるのか。
  81. 稻田清助

    稻田政委員 この法案が先に上程されたので、委員会法案で訂正ということになる。
  82. 伊藤恭一

    伊藤(恭)委員 教科書選定教育者が行うことになつているのに、教育委員会法案には教育委員会が決定するというふうになつている。そうなると一体どうしたらよいのか。
  83. 稻田清助

    稻田政委員 その選択教員によつて行われ得るはずである。
  84. 松本淳造

    松本委員長 散会を宣告した。     午後十二時二十四分散会