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久保委員 私は
教育委員会の
委員には歳費をやるべきだ、こう
考えるものであります。その
理由としておよそ四つがあげられると思うのであります。第一に
教育委員会の職務というものはきわめて重大であ
つて、しかもその仕事はまことに多忙であるのであります。月々例会が開かれ臨時の
会議が開かれるということは、三十四條ないし三十五條で
規定されておる。今日
教育界にはきわめて問題が多いであろう。
從つてこの例会というものが再々開かれるということも
考えなければならぬ。この
教育委員会の仕事の内容というものが、実に日本再建の基盤をなすところの大きな
職責をも
つておる。そういう
立場から
考えまして、
〔
委員長退席、
高津委員長代理着席〕
委員には歳費を與うべきである。なお相当額のものを出さねばならぬと思うものであります。
もう一つその次の
理由としましては、今日は日本はほとんどの人が生活不安の実情にある。余裕をも
つて生活しておるという人は、きわめて少いのであります。外國の例をと
つて説明をなさいましたが、おそらくその外國というのは、戰爭前の、平時のいわゆる生活が安定した場合、しかもアメリカ等の裕福な國ではないかと思うのであります。それを今日の日本のこの窮迫して事態を認識せずに
考えられたのでは、実に迷惑だと私は思うのであります。全然こういうことを
考える基盤が私は違うので、そういうときに、はたして無報酬で、黒岩君が言われたように、聖人君子が得られるかどうか。
第三点はこの
委員というものは、きわめて有能な適任者を得なければ目的を達することができないという
立場にあり、なおまたその
委員の活動、それは熱心に
研究をし勉強してもらわなければならぬのであります。ただ單に実費弁償という、そういうことではいけない。自分の家にあるときも、あるいは
教育法規を調べ、あるいは
教育関係の、たとえば労働組合の
関係もあります、そういう方面を調べ、あるいは
教育内容も調べ、新時代の
教育というものがどうあらねばならぬかということを、常に
研究してもらわねばならぬ方なのであります。
從つて教育委員というものは何も集ま
つたときだけが仕事ではなくして、特別の職務遂行に努力してもらわねばならぬ特別の
委員であります。
從つてそういうことを
考えてみますときに、もし選ばれた方が相当りつぱな方でありましても、人間というものは、ものを見るときに、どうしても自分の人生経驗と現実の生活の窓から見ようとします。そういうことであ
つてはならないのであります。常に自分の人生の経驗なり現実の生活の窓から見、
教育委員会にかれられた問題が、はたしておれの
考え方で妥当であるかどうかということを、常に
反省していかなければならぬものであり、現在の日本の過程はそういう時代なんである。
從つて自分自身を修養し、常に
研究していかなければならぬ
立場に置かれておる
委員でありまして、そういう場合に、ま
つたく無報酬で、ただ実費弁償で、なおそれが相当の額をも
つて歳費に当るようなものを考慮しておるなどという話でありますが、そういうことができることであるかどうか。これは先ほど私がるる申し上げました
通り、そういう
委員会に出席し、そこで三時間が、四時間か
委員会を開いておる間が、この人たちの任務ではないのであります。このことを
考えねばなりません。
〔
高津委員長代理退席、
委員長着席〕
最後に第四点といたしまして、これも黒岩
議員から話があ
つたのでありますが、この
法案の
通りにしておきますと、私が今まで申しましたようなことは行われずに、ただ
事務局任せになるおそれが多分にあるのであります。そう
なつた場合には、今まで諸行政をや
つてお
つたいわゆる内務系官僚、あるいはそれに似たような
性格をも
つて下についてお
つた官僚に代る
事務局が、非常に強力なものとな
つてくるおそれが、またここに多分に生ずるのであります。こうした四つの観点から、私はその
委員と
なつた方には、歳費によ
つて一應の生活ができる程度の報酬を與うべきであると思うのであります。
なおここで思い出すことがあるのでありますが、か
つて方面
委員というのがありました。あれはま
つたく宗教的な
考え方、社会奉仕的な
考え方からあ
つたものでありますが、終戰後に生活保護法ができたときに、民生
委員として再出発したのであります。一昨年の
議会の
委員会で、生活保護法が取上げられて、審議しますときにも、過去のそうした経驗からして、なお現実の社会不安からして、はたして民生
委員が活動できるかどうか。そのためには相当額の報酬をやるべきであるという主張が圧倒的に強か
つたのであります。そして政府原案の
考えてお
つた民生
委員の報酬、手当よりもずつと増額されて、今日
実施されておる実情でありますが、民生
委員と
教育委員とは比ぶべくもなく、とうてい比較にならないものであります。その民生
委員にしてかくのごとき状態である。ましてやわれわれが希望し、期待するような
教育委員会の満足な運営をしていこうとするならば、これに報酬を支給すべきである。実費弁償をあなた方がいかにお
考えに
なつたとしても、これでうまくいくとは
考えられないのであります。
私が今申しました四つの点、なお引合いに出しました民生
委員の問題、これについてもし私が間違
つておれば反駁してもらいたい。それからこういう点を考慮したのだと言われるのであれば、どういうふうに考慮していかれたか。それを前々から第九條なり、あるいはその他のところで私が質問をしたときも、また昨日
委員会が閉じられますときにちよつと
反省を求めておきましたように、満足できない
答弁が多いのであります。私はあなた方を責めるとか何とかいう氣持ではなくして、率直にや
つてくだされば、私たちは私たちとして、また
委員会で
考えることがあるのであります。どうぞ誠意のある御
答弁をお願いいたします。