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松本(七)
委員 私は先ほどの久保さん、それから水谷さんの指摘された趣旨がその立法の趣旨ならば、よくわかるのでありますが、どうも、
政府の
説明ではこの立法の趣旨がはつきり了解できません。再三指摘いたしますように、この法案はただ理想を追うに急にして、現実をあまり無視し過ぎている。もちろん
教育行政の根本的な大改革ですから、大きな理想を掲げて進まなければなりませんが、かんじんの現実をあまりに無視し過ぎて、その理想達成が困難になるようなことであ
つてはこれは何にもならないと思います。
教育行政を文部省から切り離して
地方に委譲するという趣旨から、こういう案が出たわけでありますが、現在の
教育に対する一般の関心というものは、決して高くはございません。それですから、もしも
現職教員の立候補を全面的に認めるということになりますならば、どうしても、現在は、多くの家庭が
教育は学校任せというような
実情でございますから、それは非常に有利であろう。そこで
教員が多数この
委員会にはいりこむということになる。すると、そこで
教員というものが、特に
アメリカなどから
考えた場合には、今までの
教員はどちらかといえば小さい型にはめられておる、視野の廣い人が少いというふうに、あるいは見られるかもわからぬ。
從つてそういう者が
教育委員会に多数はいりこむということになれば、教権の独立ということでなしに、今度はいわゆる
教員による教権の独占になるおそれがあるのじやないか、そういう点を
考慮してこういう條項を入れられたということならば、その趣旨はわかるのであります。しかし、その反面、それほど一般の
教育に対する関心が低いのでありますから、これを高めなければならない。この低い場合に、それでは
現職にある
教員の立候補を禁止して、一般からほんとうに
教育に熱心な者が得られるかどうかということになると、これはどうもはなはだ困難さが予想されるのであります。ですから、どうしてもここに
現職にある
教員が立候補してはいりこんで、そうして一般の
教育に対する関心を高めていくということが、現在の
教員に課せられた大きな任務であろうと私は
考えるのであります。そういう
意味から、どうしても何らかの形で
現職の
教員が立候補できるような途を開くことが必要であると思う。先ほど申しましたような、
教員によ
つてすつかり占められてしまうというような危險があるならば、久保
委員から御指摘のあ
つたように、何名か限定して、先ほど
地方議員から一名必要があ
つて入れるというような御
説明がありましたが、それと同じやり方が、何名かは
現職教員が立候補してこれにはいる途を開くというような途を開くことが必要ではないか。そういたしませんと、結局これは後ほど
実費弁償のところにも
関連してきますが、ほんとうに熱心な者が得られないということになると、この
事務局が新たな官僚の
教育壟断
機関にな
つてしまう危險が
多分にあると思うのであります。こういう点をどの
程度考慮されてこの結論に達せられたのか、ここをもう少し大臣から御
説明を願いたい。