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1948-06-24 第2回国会 衆議院 文教委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月二十四日(木曜日)     午前十時二十六分開議  出席委員    委員長 松本 淳造君    理事 水谷  昇君 理事 高津 正道君    理事 西山冨佐太君       柏原 義則君    近藤 鶴代君       圓谷 光衞君    冨田  照君       松木  宏君    田淵 実夫君       野老  誠君    松澤 兼人君       松本 七郎君    伊藤 恭一君       久保 猛夫君    米田 吉盛君       黒岩 重治君    織田 正信君  出席國務大臣         文 部 大 臣 森戸 辰男君  出席政府委員         文部政務次官  細野三千雄君         文部政務次官  岩木 哲夫君         文部事務官   辻田  力君  委員外出席者         專門調査員   宇野 圓空君         專門調査員  横田重左衞門君     ————————————— 本日の会議に付した事件  公聽会開会に関する件  教育委員会法案内閣提出)(第一五二号)     —————————————
  2. 松本淳造

    松本委員長 会議を開きます。  教育委員会法案を議題といたし、前回に引続き審査を進めます。     第二章 教育委員会組織      第一節 教育委員会委員  第六條 都道縣委員会は七人の委員で、地方委員会は五人の委員で、これを組織する。  2 第三項に規定する委員を除く委員は、日本國民たる都道府縣又は市町村住民が、これを選挙する。  3 委員のうち一人は、当該地方公共團体議会議員のうちから、議会において、これを選挙する。 以上。
  3. 黒岩重治

    黒岩委員 原則として地方議会議員は兼職ができないのに、特別に一名だけを委員の中へ入れるという規定は、先日の総括的な質問の場合に、政府の御答弁によつて、お考えになつておるところの意味はよくわかりますが、原則的な精神において除外すべきものを、ことさら委員会議会との間の安全弁的存在として、また潤滑油的存在としてこれを入れるということは、いかがかと考えるわけであります。  さらにまた地方議会が、政党人議員として多く出ておるという現状から考えますと、委員に選ばれる者は、その地方議会のうちの有力政党の中から出るであろうと思います。その有力政党教育委員会との内部の関係において、予算問題につきまして常に妥協を求められるというような結果が生れてくるということは、教育政党の力によつて左右せられるおそれが多分にあると私は考えます。この点について政府の御見解を伺いたいと思います。
  4. 辻田力

    辻田政府委員 お答え申し上げます。当該地方公共團体議会議員をこの教育委員会委員に一名入れることにつきまして、立法的な理由につきましては御承知のことと思いますが、その一名はおそらく多数党の方が選出されるのではなかろうか。その際に政治的な色彩が相当委員会にはいつてきはしないかということについての御心配と申しますか、政治性があまり強く委員会に導入されることはどうかということについての御質問かと存じますが、この点につきましては、この教育委員会は仰せのごとくできるだけ政治から独立したものにいたしまして、いわゆる非政治性の超党派的な観点から運営をされるべきものであると思うのであります。ただ議会議員総意でもつて決定されたものを選挙されれば、それがどういうことになるかわかりませんが、そのことはやむを得ない結果ではなかろうかというふうに考えております。
  5. 黒岩重治

    黒岩委員 要は選ばれる人の問題に帰するということはわかるのでありますが、かような懸念のある制度をつくるよりも、全然そうしたような心配のない制度をつくることが私は好ましいと思います。これは委員会の要求するところの予算が、比較的順調に議会の可決を得られるように、一名の議員委員を兼ねることによつて、そこをぐあいよいよしようというねらいのように当局の御説明を承知しておりますが、これは姑息な手段ではないか。そういう観点から、むしろ地方議会議員は、原則として委員会委員を兼ねることができないということになつておれば、一名でも特例を置かないということが好ましいことであると私は考えます。政府がぜひともこの議員一名を委員に入れたいというそのお考えがありますれば、その点について、もつとはつきりと、われわれの納得のできるような理由を承りたいと思います。今まで御説明をしていただきました理由以外には、何もございませんか。
  6. 辻田力

    辻田政府委員 今度この教育委員会が新しくできまする際に、いろいろな点が考慮されなければならぬのでございますが、特に地方公共團体理事機関と、議決機関との関係は、最も考慮すべき事項一つであると思つておるのでございます。この委員会理事機関議会、この三者の連関をどういうふうにすれば最も円滑に行くようになし得るかということについては、相当考慮したのでございますが、その際特に議会との関係におきましては、議会公共團体最高意思決定機関でございますので、その関係を特に考慮いたしまして、また一方においては予算関係におきまして、議会内で最後的な決定をするという点も考慮いたしまして、議会議員を、しかもその議員は選挙によつて選ばれた議員委員としてはいつてこられまして、そこに橋渡しと申しますが、緊密な連格を保つ役割を演じていただくということは、この委員会運営を最も円滑ならしめる方法一つであろうと考えておるのでございます。
  7. 黒岩重治

    黒岩委員 これは他の條にも関連をもちますが、今の件に関しまして関連性がありますのでお伺いしたいと思います。それは本委員会構成を見まするに、委員会のもとに事務局があるという、まことに簡潔な組織になつております。そして委員そのものは、大体素人の、教育專門家でないということが好ましいという意味をもつているし、その事務を扱うところの教育長以下、指導主事專門職員を初め相当の專門家を入れまして教育行政事務を取扱わせる。この組織からいたしますと、教育のことを知らない素人委員、しかもそれは無報酬で働かせる。こういう制度のもとにおいて、実際の教育行政の実権を握る者はたれかといえば教育長であります。その教育長に対してはどこからも制約を加えるところの力はないのであります。してみると、これは教育長独裁教育行政が行われる懸念多分にあるわけでありますが、ただいまの点で、私は地方議会議員委員会のメンバーに加えないことにしたいという希望をもつておるのでありまして、その地方議会との関連性委員会がどうしてもつかという点については、新しい構想を考えたいと思います。すなわち委員会に対する勧告機関というものを別途につくらなければならぬ。この機関構成というものは現職教員團体から選ばれた者、父兄團体から選ばれた者、地方議会から選ばれた者といつたようなものをもつて構成するところの委員会勧告機関を別に本委員会に設定をいたしますならば、別段委員会の中に地方議会議員を入れなくても十分地方議会との意思の疏通をはかり得るという考えであります。これは地方議会議員委員会に入れないための、それに代るべき組織というわけではなくて、むしろ主眼とします点は、教育長の独裁的な教育の弊に陷らないようにいたしますために、どうしてもこの委員会に対しては、專門的知識をもつているところの現職教員團体並びに直接の痛切な関係をもつておりますところの父兄團体、並びに地方議会團体といつたようなものから推薦された代表者をもつて構成する勧告機関というようなものこそ、最も望ましい組織である私は考えますが、当局といたしましてはこの委員会並びにその下にあるところの事務局以外のものをこの組織の中に加える御意思があるかどうか、この点を伺います。
  8. 辻田力

    辻田政府委員 教育委員会教育長との関係についてこの規定をそのままざつと読んでみると、むしろ教育長独裁権をもつて教育委員会委員はロボツト的なものになるおそれはないだろうかということについての御心配から、いろいろ御議論があつたことと思いますが、これにつきましては、われわれといたしまして十分その点は注意したつもりでございます。すなわち教育委員会は、これは最高のものでありまして、教育長教育委員会指揮監督を受けて、その下において事務をとる人であります。この教育長性格について、いろいろ御心配の点がありまするので、この際要点だけを申し上げますると、教育長は一方におきましては教育事務局の長、いわゆる局長的な性格をもつております。すなわち委員会指揮監督を受けまして、委員会決定された事項について実際に事務をとつていくという仕事と、もう一つは四十九條にありますように、委員会が四十九條に規定してありまする事務を行いまする場合に、教育長助言推薦をするということであります。この四十九條の性格におきましては、これはいわゆる補佐機関的な性格をもつておるのでございまして、この教育長は二つの性格をもつております。この補佐機関的な性格をもつておる点につきましては、教育委員会は必ず教育長助言推薦を必要とするのでありまするが、しかしそれによつてきめなければならぬ問題ではなくて、教育委員会においてもちろん独自にきめ得ることであります。指揮監督に関する点は、これは申し上げるまでもなく、委員会決定されたことをそのまま教育長が実施するのでありまして、これについては特に説明を必要としないと思います。  そこでしからばその今の議員たる委員との関係において、他のたとえば教育者代表とか、あるいはP・T・Aの代表とか、その他の地方におけるいろいろの職能團体等代表者がこれに加わつて経驗あるいは知識に基いていろいろなアドヴアイスをする、助言をするということを考えておるかということでありますが、その点につきましては四十七條におきまして、教科用図書の檢定または採択、教科内容及びその取扱い、その他特殊な事項に関する專門職員につきましては、教員をもつてこれに充てることができるということになつておりまして、教員はその教育長のスタツフといたしまして、十分な発言をし得る機会があるのでございます。なおP・T・Aその他地方團体の方々は、随時制度的ではありませんが、もちろん意見を言つて差支えないのでありまして、この点は一應四十七條において解決しておると存じておるのでございます。
  9. 黒岩重治

    黒岩委員 四十七條の問題はその條の審議の場合に讓りたいと思いますが、ただこの際御答弁に対して一言私の意見を申し上げたいのは、四十七條にあります專門職員教育長のもとにおける一事務員であります。してみるとこれが委員会に対しての発言権というものは、ほとんどとるに足らぬものであろうと思います。そういうような観点から、私は別途の勧告機関を必要とするという見解をもつておるわけでありますが、文部当局に対しては、これに関して、もう必要なしとお考えになつておるということがわかりましたから、これは後日修正意見を述べますときに申し上げたいと思います。ただ私はかような別途の考え地方議会議員については考えておりますので、委員としてその議会議員の一名を入れるということは、先ほど申しましたような理由によつて、はなはだ制度として合理性が乏しいということを考えるわけでございます。この程度でこの点の、私の質問を一應打切つておきます。
  10. 高津正道

    高津委員 第六條の第三項に「委員のうち一人は、当該地方公共團体議会議員のうちから、議会において、これを選挙する。」とありますが、地方公共團体がその議会議員を一人だけ教育委員会の、適当な人物を入れるということは、非常に困難であろうと思います。すなわち副議長あるいは土木委員を本人は希望しているが、それに敗れたから、その人に同情をして、教育委員にしてやろうというような場合も、しばしば起ろうかと思われます。そういうような弊害を除くべき対策を何か政府考えているのであろうか。まずこの点をお伺いします。
  11. 辻田力

    辻田政府委員 ただいまの第三項の、議会の方から選出されまする議員たる委員について、置きました立法理由につきましては、御承知くださつたことと思いますので、この点については重ねて申し上げませんが、この委員のうち、議員を一人に限るか、あるいは人数を殖やすかという問題でございます。この点につきましては、この教育委員会行政機関でありまする関係上、可能の範囲内において全体において人員をできるだけ少くするということが適当であるのでございます。それは会議制行政機関であるという点におきまして、できるだけ少い方がいい。また一方に民主的な点からいつて、ある程度人数もなければならぬという、この両方要請がありますので、そこでこれをいろいろ考慮いたしまして、議会から選出されまする議員たる委員は一名にいたしたのでございます。御了承をお願いいたします。
  12. 高津正道

    高津委員 私は一人入つた議員が不適当である場合の対策はどうであるかということを聽いたのですが、その点に対する御答弁をお願いいたします。
  13. 辻田力

    辻田政府委員 結局委員全体についてもそうでございますが、人の問題に帰すると思います。この委員会がうまく運営されるかどうかということも、それを構成する人の問題に帰すると思うのでございます。從つてこの議会から選出されまする委員につきましても、同樣のことが言い得ると思います。そのときにこの委員が適当でないという場合に、最も悪い場合には、これはリコールの解職請求規定がございまして、それによりまして、住民総意によつて解職を請求するということができるのでございます。そこまでいかない場合には、これは法制的には、この委員を罷免するというようなことはできないことになつております。
  14. 高津正道

    高津委員 議会は村会から國会に至るまで、その議員はなかなか氣が荒くて、押しの強い人物が多いのでありますが、五人のうち、あるいは都道府縣の委員会の七人の中に一人そういうものがはいると、それがその委員会を牛耳るというような弊害はないものでしようか。その点をお伺いします。
  15. 辻田力

    辻田政府委員 この問題は結局さきに申しますように、人の問題だと思います。実際政治的な場合の考慮は別といたしまして、法制的に申しますと、多数決で委員会意思はきめていかれますので、そこで一人の者が非常に強引にやる。その点はそれがかりに適当でないような意見でありますならば、委員会意思として決定しないのであります。
  16. 高津正道

    高津委員 第六條第一項に、都道縣委員会は七人の委員地方委員会は五人の委員規定してありますが、これは実費弁償主義であつて手当を出していないのでありますから、非常に熱心な人であればいいけれども、欠席などをする場合も考えられることであろうし、都道縣委員会の七人も、地方委員会の五人もあまりに少な過ぎるのではあるまいか。そういうことが非常におそれられるのでありますが、これで十分足りると思つてこういう提案がなされておるのでありますか、その理由を明確にお伺いしたいと思います。
  17. 辻田力

    辻田政府委員 委員定数につきましてお尋ねでございますが、この委員会会議制行政機関であるという点を考慮いたしまして、委員があまり多くなりますと、行政運営上種々弊害と申しますか、支障を生ずるのであります。そこで一方にはまた先ほど申しましたように、民主的な運営をしなければならぬし、民主的な政治方法をとらなければならぬ、そういう方面からの要請もございます。両方要請考慮いたしまして、この程度にしたのでございますが、これは先般來も申し上げた通り、このうち一人は議会委員として残りますが、あとの四人ないし六人はこれは偶数の数になつております。それは選出に際しまして最初に二年の委員と四年の委員とを設けまして、行政機関たる性格からいいまして、その仕事の上に連続性をもたせてあるという考えであつたのであります。しからばその場合に二人でいいか、四人でいいか、六人でいいか、八人でいいかという問題になるのでありますが、この点につきましては教育委員会を設置しておりまする先進諸國の種種の立法例あるいはその後におけるいろいろな執行された場合の問題を研究いたしました結果、たとえて申しますると、アメリカ等におきましても、州におきまして、大体平均いたしますと七人から九人までの委員になつております。わが國の面積とほとんど匹敵するくらいの大きな地域をもつおりまする州におきましても、そういうな事情になつておりますので、われわれとしてはこ、の点またアメリカにおける委員会が運營されておる状況等から調べまして、その上で都道府縣においては公選の委員は六名、地方においては四名が適当であるというふうな結論に達したのでございます。
  18. 高津正道

    高津委員 賛否は保留して政府提案意味だけは了承しました。
  19. 圓谷光衞

    圓谷委員 六條の第三項で、委員定数のうち、一名は当該地方公共團体議会議員の中より選ぶ、その理由としましては予算審議その他委員会地方公共團体との連絡のために置く。こういう御説明でありましたが、一万以上の町、市、都道府縣の委員を選ぶ場合においては支障はないと思いますが、もしこれが三箇村なり五箇村が特別区委員会として設定したる場合において、その一名の委員はどういうふうにして選ぶか。それからまた地方議会との連絡のために選ぶのであれば、一名でありますから、三箇村が一緒になつてできた委員会においては、他の二箇村からはその議会との連絡委員が出ないことになるが、この点は御考慮に入れて考えられたかどうか。
  20. 辻田力

    辻田政府委員 ただいまの御質問ごもつともだと思いますが、この点は特別教育区を設定いたします場合に、これは一部事務組合規定を適用するのでございまして、一部事務組合として都道府縣に置くことができるわけであります。從つて特別教育区には、いわゆる一部事務組合議会がそれに対してできるわけであります。そのできた議会から一名選出するということになるのであります。
  21. 松本七郎

    松本(七)委員 政府答弁を通じて感ぜられますことは、あまりにもプリンシプルに重きを置き過ぎて、現実を無視しておるのであります。六條においてもやはり同じことが言えると思うのでありまして、この委員の数の七名及び五人ということも、プリンシプルから言えば、行政執行機関としてあまり人数が多くては困るということは言えると思いますが、政府提案理由説明にもありましたように、アメリカなどでこれまでやつてきた経驗から、ここでこの程度が適当であろうというようなことから七人、五人きめられたということでございますが、アメリカでも聞くところによると、以前はもつと多かつたのがだんだん減つてきたというように聞いております。そういう実際に運用してきたアメリカ実情をどの程度調査されたか、その点御説明願いたいと思います。  それからこれはなるほど御説のように將來大人数ではかえつて困る、議論ばかりしてまとまりがつかないということになれば、むしろ結構であつて、現在ではむしろ七人、五人程度では、高津委員の言われたように欠席が多いというようなことで、かえつてこれは困ることの方が多いのであります。そういう点をどの程度考慮されたのか、もう少し詳しくお伺いしたいと思います。  それから第三項の地方公共團体議員を入れるという点でございますが、これも政府希望というか、すべてが人物次第、うまく行くことを非常に期待しておる。けれども、現在の地方議会、あるいは永年日本地方政界の状態なんかから考えますと、議員を入れる弊害も相当あるのじやないかということが予想されます。黒岩委員から先ほどいろいろ御質問になつてつたようでありますが、そういう弊害についても一應考慮されただろうと思いますが、その兼合いがむずかしいと思うのですが、その点どの程度檢討されたか、それを御説明願いたい。
  22. 辻田力

    辻田政府委員 まず第一は、アメリカ実情についてどの程度調べたかというお話でございますが、これはもちろんわれわれの入手し得る範囲内の文献によつて調べたのでございます。この点につきましては詳しくなりますので、文書によつてあとから差上げた方がよいのじやないか。印刷物等もありますのでそういうふうにいたしたいと思います。  それから次に、委員を七人、五人と限定したことについての御質問でございますが、これは先ほども高津委員に御説明申し上げましたのですが、この行政機関としての要請と、それからこの行政機関構成する、新しく委員会をつくつてやるという教育民主化という面からの要請と、両方要請がございますので、その点、その要請をどういうふうにかみ合わせて調節していくかということに苦慮しておるのであります。先ほど申し上げましたように、この制度はわが國としてはまつたく新しい事柄でございますので、それについてどうしても先進諸國の実情を調べて、それを最も適当と思いますところに結びつけるのが適当と考えまして、七人、五人ときめた次第でございます。  第三項の地方議会における弊害等について、どのくらい考慮したかということでございますが、これにつきましては、いろいろの研究もし、考えもいたしたのでございますけれども、政府といたしましては、この民主化程度がだんだん進んでまいりますれば、おのずから一層よくなるということを確信いたしまして、この議会から出る委員も、決していわゆるボス的なものでなく、むしろりつぱな人が出ていただけるというふうに考えて、そういう確信のもとに第三項を規定したわけでございます。
  23. 高津正道

    高津委員 今圓谷委員質問に対して辻田局長は、一部事務組合ができておつて、それが教育委員会をこしらえてやるのだ。そこには議会があるから、その一つ議会から一人出るので、三箇村の利害には矛盾がないという御説明を聽いたのでありますが、三つの村が一つになつて一つ組合をもつ。そういう場合に限つて許す。教育委員会に一万以下の村が集まつた時分、そういうものだけを許すという意味なんですか。
  24. 辻田力

    辻田政府委員 第四章のところに、六十四條でございますが、そこに特別教育区を設ける場合には、市町村の一部事務組合を設けるものとするという規定がございますので、一部事務組合地方自治法の二百八十四條の第一項に規定してございますが、それによりまして、このいわゆる市町村の一部事務組合ができまして、その一部事務組合がそこに一つ議会をもつわけでございます。その議会構成等につきましては、これは地方自治法によつて規定があるのでございます。そこでそのできました組合議会から一名出すということで、その一名の人がどの村の出身が出るかわかりませんが、しかしそれは組合議会代表しておる人ということになるわけであります。
  25. 松本七郎

    松本(七)委員 黒岩委員にちよつと補足して御説明を願いたいのですが、先ほど父兄教員、それから委員からなる別個の機関をつくるという御意見、たいへんおもしろく拜聽したのですが、これの経費負担についてはどういうふうにお考えですか。
  26. 黒岩重治

    黒岩委員 私は教員委員に入れることが不適当であるという考えのもとに、別途の機関考えたらどうかという意見をもつておりまして、この條に関連性がありましたので申し上げたわけでありますが、経費は当然その委員会構成をしておりますところの地方公共團体負担すべきであるという考えであります。大体私の描いておる内容は、政府の示されております案によりましては、現職教員が何ら発言をする機会がないということと、いま一つは内一名は議員がなるということについて縣念される弊害考え合わせますときに、ここに別途の委員会に対する勧告機械を設けなければならぬという考え方であります。從つてこれは必要ある場合に委員長が招集いたしまして開会をするのでありまして、実費弁償をすれば事足りるので、多額の経費を要するとは思つておりません。從つてそれだけの余分の経費はもちろん要りますが、地方公共團体負担によつて支弁が可能であるという考え方であります。
  27. 松本淳造

    松本委員長 次に移ります。  第七條 選挙による委員の任期は四年とし、二年ごとにその半数を改選する。但し、補欠委員は、前任者の残任期間存在する。  2 前項の任期は、通常選挙の日から、これを起算する。  3 議会において選挙する委員の任期は、議員の任期中とする。  御異議がありませんか。
  28. 久保猛夫

    ○久保委員 この任期は四年となつておりますが、四十九條の委員会の権限を見ますと、いろいろこの点については、あと意見も申し上げたいし、あるいは質問もしたいと思うのですが、これと関連して考えますときに、教育職員の任免をやるということは結局人事をやることであつて、これは弊害が必ず出てくるものであります。もちろんこの委員会法によれば、きわめて民主的な組織によつて人事が行われるので、うまくいけばその弊害も少いだろうとは予想されるのでありますけれども、やはり前前から問題になつております委員の質というものが、ここに考えられまして、人事をやる者が長くその職にあるということは、これは非常に困る場合が多いのであります。もし不適当な人が間違つて委員に選ばれて、そこから起つてくる弊害、一般の迷惑というものは非常なものでありまして、これは教育界を毒すること非常にはなはだしいものであります。そこで私はこの人事を握るところのものは二年を限度とすべきものだ、こう今まで考えてきたのであります。長くて三年、それを越したらよくない、こういうふうに私は見てきておつたのであります。もしここに困つた委員が選ばれて、普通いわれておる、いわゆるボス的な人物委員に選ばれて、それが四年間そこに留まつて、その害毒を流されたときには、これは非常な問題であります。そこで私はこの四年というのを、最大限三年という程度にした方がよいのではないかと考えておるのでありますが、そういう点について立案された方の卒直な御意見を伺います。
  29. 辻田力

    辻田政府委員 任期の問題でありますが、この教育委員会では半数交替制を一應この案に考慮しておるのであります。そこで半数交替をするためには、年度の途中でかわるというふうなことはできるだけ避けたいと思いまするので、そのためには一年あるいは二年ということもありまするが、二年、四年というようなことも考えられるのであります。二年では一年ごとに人が代つていくことになりまして、あまりに頻繁に異動があり過ぎるということが考えられるのであります。そこで二年から四年ということにして、半数交替にしていくという考えで、偶数が必要でありまするので四年ということになつたのであります。  なおこの点につきまして、ほかの立法例等も考慮したのでありますが、公安委員会におきましては、御承知の通り國家関係において五年、地方関係において三年になつております。しかしこの点は、建前として偶数でなくてもよいようになつておりまするから、その点多少事情が違うこともあろうと思います。なおこの委員会制度の最も進んでおりまするアメリカ等におきましとは、四年の任期になつておるものが全体の六四%になつております。それぞれの実績等も考慮いたしまして、こういうふうにしたのであります。  それからなお先ほどもお話がありましたように、人事を扱う者があまり長くその職にあることは適当でないということは、その点は賛成なんでございますが、その委員が非常に適当でないというふうな事態が起りました場合には、住民は常にこれを監視しておりまして、住民のリコール、解職請求によつて解職することができるということでありまするので、その弊害が非常にはなはだしくなるということはないものと考えております。
  30. 松本淳造

    松本委員長 次に移ります。  第八條 都道府縣又は市町村議会議員の選挙権又は被選挙権を有する者は、都道縣委員会又は地方委員会委員の選挙権又は被選挙権を有する。  御異議ありませんか。     「異議なしと呼ぶ者あり〕
  31. 松本淳造

    松本委員長 では次に移ります。  第九條 現職(休職を含む。)の教員及び別に教育職員の免許に関して規定する法律に定める教育職員の免許状を有する教育委員会の職員は、教育委員会委員の被選挙権を有しない。
  32. 黒岩重治

    黒岩委員 この第九條に規定されました法的根拠を承りたいと思います。それは國家公務員が、こうしたような職を兼ねることができないということになりますならば、他の公務員、教育職員も同様に扱うべきだと考えますが、特別に現職教員のみに被選挙権を與えない、こういう規定をいたしました法律的な根拠を伺います。
  33. 辻田力

    辻田政府委員 第九條の趣旨でございますが、これは現職教員が國家または地方の公務員である。現在では國家公務員でありますが、國家公務員であるという理由によつて、この制限を設けたのではないことはもちろんでございます。それは前に申し上げまするように、教育委員会委員教育長、その他事務局関係において申し述べましたように、委員素人と申しますか、教育に関してはいわゆる專門的な職業をもつておる人を要求するのではなく、むしろ住民全体の総意をはつきりつかんでおられる、しかも見識のある視野の廣いりつぱな方を委員にお願いするということを眼目としておるのでございまして、素人と玄人と申しますか、專門的な知識、技能をもつておられる方とが、互いに牽制、均衝、バランスという言葉で言われておりますが、牽制、均衝をとりまして、しかも円満に教育行政運営を期するという観点から、特に現職の先生は、被選挙権を認めないということになつておるのでございます。
  34. 黒岩重治

    黒岩委員 ただいまの御答弁では被選挙権を與えない法的根拠はないと解してよろしゆうございますか。
  35. 辻田力

    辻田政府委員 法的根拠と申しますと、第九條を立法しまするに至りました理由ですか。
  36. 黒岩重治

    黒岩委員 理由はわかつております。しかし私が伺いましたのは、法律的に與えないことのできる理由があるという、その根拠をお尋ねしたわけです。
  37. 辻田力

    辻田政府委員 この教員が公職につけないという法的根拠があるかということですか。
  38. 黒岩重治

    黒岩委員 被選挙権を與えない根拠です。
  39. 辻田力

    辻田政府委員 そういう意味の法的根拠はないと思います。
  40. 黒岩重治

    黒岩委員 憲法におきましては、日本國民はすべて平等に扱われるということが定められてあるわけでありますが、法律的な根拠をもたずして、現職教員を差別的に扱うという法律をつくることについての、当局のわれわれを納得さすことを得るところの理由というものは、ただいままで説明されたところでは納得がいかないのであります。むしろかような規定を設けますことは憲法の違反ではないかと私は考えますが、その点についての御見解を承りたいと思います。
  41. 辻田力

    辻田政府委員 第九條は憲法違反にならないかという御質問でございますが、この点につきましては、関係の官廳とそれぞれ研究したのでございますが、その点について憲法違反にはならないという結論に達したのてあります。
  42. 黒岩重治

    黒岩委員 御研究の結果憲法違反にはならぬということをはつきりとお答えを願いましたが、その研究されました理由というものを詳細に御説明願いたいと思います。
  43. 辻田力

    辻田政府委員 憲法の第十五條の第三項に「公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。」という規定がございますが、この点につきまして、この普通選挙の中には、選挙権についての制限は憲法違反であると考えるのでありますが、被選挙権の制限につきましては、必要あれば制限することは、憲法違反でないというふうに一應結論したのでございます。
  44. 黒岩重治

    黒岩委員 それでは被選挙権を與えないというふうに定める必要があるからやられた、必要があればそういうふうにすることが憲法違反ではない、こういう御答弁と承知いたしましたが、さように解してよろしゆうがございますか。
  45. 辻田力

    辻田政府委員 もちろん選挙権の制限をするというふうな場合には、法律によらなければならないと思いますが、これが法律によつて認められれば、被選挙権について制限をすることはあり得るというふうに考えます。
  46. 水谷昇

    ○水谷(昇)委員 第九條の現職教員という中には校長も含まれておるのかどうか。それから次に「別に教育職員の免許に関して規定する法立に定める教育職員の免許状を有する教育委員会の職員は」とずいぶん長くなつておりますが、これをひとつ説明してください。
  47. 辻田力

    辻田政府委員 第一のお尋ねの校長は、はいつております。ただこの点につきまして別の箇所で校長と教員をわれておる箇所がございます。そこでこの教員に中に校長を含まれると解されるわれでございますが、その点を明らかにいたしますためには、やはり校長を出した方がはつきりするというふうに考えます。  次に「教育職員の免許に関して規定する法律」と申しますのは、教職員免許法というものを考慮しておるのでございまして、その免許法がこの國会にやはり提出される予定であつたのでございますが、諸種の事情からこの点が延びております。それでここでその内容を申し上げることはまだできませんが、この規定する法律というのは、教職員免許法なるものができることを一應お考えおき願いたいと思うのでありまして、その法律に定める教職員の免許状を有する教育委員会の職員ということであります。要するに免許法による免許状をもつておる職員という意味でございます。この「有する」というのを必要とするというような意味にとつておるのでありますが、この点も「有する」ということになりますと非常に廣くなるおそれもありますので、場合によつては「必要とする」というふうにする方がいいのではないかというふうなことも考えております。
  48. 松本七郎

    松本(七)委員 第九條の條文によりますと、退職した者ならば当然立候補できるということになりますが、政府の趣旨を徹底すれば、退職した者もやはり玄人であり、そういう者も立候補を禁じなければならぬ。ここまでいかなければこの趣旨は徹底しない。結局今の御答弁では、被選挙権は必要があれば、これは制限しても憲法違反にはならぬという結論に達しただけで、その結論に達するまで、どういう法的根拠でそういう結論に達したかということが問題になるのです。それを先ほどから黒岩委員も聽いておられるのだろうと思う。さつぱりまだその根拠がわかりません。もう少し詳しく説明してください。
  49. 辻田力

    辻田政府委員 お答え申し上げますが、この法律に規定された場合、被選挙権について制限し得るということは、他の立法例にもございます。たとえば地方自治法の第二十一條において「選挙管理委員、選挙管理委員会の書記、投票管理者、開票管理者及び選挙長並びに選挙事務関係のある官吏及び吏員は、その関係区域内においては、被選挙権を有しない。」というふうな規定がありますし、またその第二項にも在職の檢察官、警察官等について、同樣の被選挙権を制限する規定がありますが、これはやはり從來の立法例からいきましても、被選挙権については制限を設けておるのでございます。
  50. 松本七郎

    松本(七)委員 ただいまのは、そういう例はあるということで、形式論からいえば、あるいはそういうことになるかもわかりませんが、これは職務内容が全然違うので、これをもつてただちにこれに通用するとは考えられません。それはそれとして、退職した者は素人だという断定をされるわけですか。
  51. 辻田力

    辻田政府委員 退職した人は素人であるということを断定するわけではございませんが、現職教員がその道の專門家であるということは申すまでもないことでございます。退職した人あるいは教育関係ない人でも、教育について相当研究をして專門的な知識をもつておる人もあるかと思いますが、それを一々素人、玄人というふうにわけることはできません。それらの人々は皆住民一般として取扱うことになりますので、ここに素人、玄人というような問題は、その点においては除外されております。
  52. 西山冨佐太

    ○西山委員 私も今お尋ねしたいと思つておつた事柄でありますが、退職しておる者は、これは被選挙権がある、こういう御答弁があつたようでありますが、それがはつきりしておれば結構です。それからもう一つは被選挙権を現職教員は有しないということになつておりますが、現職教員が当選をして、それからやめたら一般住民になるのだからいいという御意見があるかないか聽きたいのです。
  53. 辻田力

    辻田政府委員 ただいまの御説はごもつともだと思います。第十條との関係におきまして、兼職を禁止したらいいじやないか、被選挙権まで制限する必要はないじやないかという御意見は当然起り得るのであります。この点につきましては種々研究したのでありますが、各種の事情から現職教員は皆被選挙権をもたない方がいいということになつたのであります。
  54. 伊藤恭一

    ○伊藤(恭)委員 せんだつて私は現職教員を入れるべきであるということを質問したときに、文部大臣の答弁といたしましては、やはり今辻田局長のお話のあつたよう意味のこともありましたし、なお現職のものが立候補して落選したときには、また教職員に居すわるというようなことはどうもおかしいという意味もありましたし、なお一般の公選によつて出るところの人たちは、これはおそらくは父兄、後援会あるいはあらゆる方面から見て、教育に理解がある者が出るのであるから、現職の者は必ずしも立たなくてもいいというような答弁が文部大臣からありましたが、なお今辻田局長のお話によりますと、檢察官であるとか警察官であるとかいうようなものも、制限を受けておるということもありましたが、しかし教職員の事務内容というものは、警察官とは全然違つております。であるから、ほんとうに教育の本質を向上させるためには、ただ單なるそういう一般の公選のものだけでなく、本当に誠心誠意專門的の知識をもつて專念しておるところの現職の教職員を入れるということが、やはりほんとうの教育民主化のためには、当然必要であるということを、われわれは痛切に感じております。そういう意味からいいまして、今の法的根拠のいかんを問わず、やはり現職の者を若干入れることが当然であるということをわれわれは考えておりまして、そうしてこれは修正したいと考えておりますが、これは後に讓りまして、ただ私の意見を申し上げます。
  55. 久保猛夫

    ○久保委員 私は立案者の方で考えておられますところの委員会構成メンバーは、廣く一般的な人を求めるという考え方には賛成なのであります。それはそうであつたがよいと思います。しかしながら專門的な者がここにはいつてはよくないという考え方には、私は不賛成であります。それは專門家委員会に少くとも一人ぐらいははいつたらよいという考えをもつておるのであります。なぜかと申しますと、もし委員会がまつたく專門的な知識経驗のない人ばかりであつたとするならば、それは事務局を強化するということになるわけです。事務局を実質的に牽制し得るところの者がおらなくなるわけであります。そうなると事務局というものは非常に強くなる。これがかつての内務官僚から教育が実質的に圧迫を受けたということが、今度は事務局から圧迫を受けるという形に変るおそれが多分にあるのであります。四十九條と五十條を見てみると確かにそう考えねばならない節があるのであります。たとえば五十條——これはどれを例にとつてもいいのですが、「都道縣委員会は、教育長助言推薦により前條各号に掲げる事務を行う外、左の事務を行う。」の第三項をとつてみますと、「地方委員会に対し、技術的、專門的な助言と指導を與えること。」というのがあります。もしこういう権限が、都道縣委員会によつて、まつたく素人と申しますか、そういう人ばかりの委員会であつたならば、事務局がきわめて発言権が強くなつて、これを抑える委員会というものが弱いものになると、私はその点をおそれるのであります。從つて初め申しました通りに、この中には少くとも一名以上の專門的な経驗のある人が委員会にはいつたらよい。しかしながら、私はそういう人が大多数になつたら、これはまたよくないと考えるのであります。そういう意味でここに現職教員の被選挙権を禁止してあるのはどうもその点からいつて私は遺憾にたえないのであります。今言つたような私の意見考慮されたかどうか。されたとするならば、どの程度考慮してみられたか承りたいのであります。これは文部大臣から承りたい。
  56. 森戸辰男

    ○森戸國務大臣 ただいまのお話でございますが、教育委員会に專門的な教育に関した経驗知識をもつて者、言いかえるならば現職教員を加えるということについて、どういうふうに考えたかという御質問であります。これは一應ごもつともなことでありますが、いろいろその点について考慮いたしました結果、結局においては委員会はむしろそういう形ではなく、教育についてはいわゆる特殊な專門家でない、しかし教育について関心の強い人から構成される方が適当であろう。ただそれの知識その他については教育長の方からこれを供給して参考に供するということの方が、かえつて公正な陣容ができるのではなかろうか、こういうふうな結論に達してこういう形になつたのでありまして、お話の点についても、初めからこれを考慮の外においたわけではなかつたのであります。
  57. 久保猛夫

    ○久保委員 非常に御答弁が抽象的でありまして、そういう程度のことであれば、私もすでにわかつておるのであります。もつて質問した者の氣持にピンとくるような答弁が願いたいのであります。日本の学校教育では、たとえば、綜合大学は東京大学だけが綜合大学と言いましても、過去の大学教育では綜合大学の実はあがつていないと私は見ておるのであります。その他の單科大学に至つては言うに及ばずであります。外國でありますと、私は外國に行つた経驗も何もありませんし、從つて外國の大学に学んだこともないのでありますが、文書等を読み、人の話を聽いたところでは、外國では綜合大学は綜合大学として人間をきわめて綜合的に教育されていくようになつておる。文科の人が理科のことがわかり、あるいは工科の人が文科教育のこともある程度の教養が與えられていく、そこに私は綜合大学の意義があるとこう思い、將來の教育はそうでなければならないと思つておるのであります。私は教育に関心をもつておる地方知識人であるとか、あるいは医者であるとか、あるいは僧侶であるとか、あるいはまた実業家であるとか、そういう方方と教育に関して語つたことが幾十回あるかわかりません。しかし日本のそうした教育についての関心をもつておる方々の教育意見というものは、きわめて独断的でありまして、これは当らないことが非常に多いと私は思うのであります。そこでアメリカその他の諸外國のそうした総合的な教養をもつて教育に関心の深い委員が選ばれれば、これはいいのでありますけれども、実際日本においてはそういうところまでいつていない。そこで少くとも教育について勉強もし、経驗をもつておる人が、この委員会に一人あるいは二人というようにはいることが、私はこの法案の趣旨、——教育を民主的に進めていくというこの実質に副う方法ではないかと考えるのであります。特にさつき申しました四十九條、五十條のことを考えてみると、一層そのことを深くし、もし悪くすれば、事務局というのが非常に強いものになつてしまうおそれが多分にあると私は考えます。さらにもし、九條の規定をここに設けられたゆえんのものは、これは私の臆測でありますが、現職教員に被選挙権を與えた場合の弊害として、五人の委員あるいは七名の委員が半数以上その現職教員から出た候補者によつて占められるおそれがありはしないか、そういうことがもし立案者のほんとうの氣持であるとするならば、それは制限してもよいのではないかと私は思うのであります。その点についてもう一應承りたいと思います。
  58. 森戸辰男

    ○森戸國務大臣 この点については先ほどお話した通りでありまして、教育行政に対するわれわれの要望しているところは、教育は專門的な知識というよりも、全般的な見透し、ただいま御指摘になつたような総合的な人間的なものがこれに求められているのであります。その点で教育專門家というものも一つ專門家でありまして、全体の教育を立てる建前としては、專門教育の專門的な知識は十分尊重されなければならないが、大きな教育行政の面では全般的な見透し、教育の点のみならず、財政経済、國家の政治等をも含めた全般的な、またある点から言いますれば均衝を得た認識、また政治的な行政的な教育というものが立てられるにはそういう形がいいのではないか、この專門的知識の点につきましては、先ほども申しましたように、教育長並びにそのところの事務局において十分に專門的な知識が蓄積され形成されるように、そしてその点では先ほどもあるいは逆に御心配になりましたように、教育的な認識、知識、方針というものが相当に強く政府教育行政の上に反映するのではないか、ただそういうものが一方的に片面的に反映してはならない、それは全面的な常識的な判断をもつた委員会がこれを材料にして決定することによつて教員の專門的な知識教育行政の上に生きて行くゆえんではないか、こういうふうな建前になつているのであります。
  59. 久保猛夫

    ○久保委員 よくわかりますが、委員会というのは七名であれば七名によつて構成されて、それで七名の総意がそこに総合的に出てくる、その七名の中に一人か二人、教育経驗者がおつた方がいいじやないかと私は思う。それは繰返して申しますが、日本の今日の社会の現実からして、そういう過程を履んで、將來理想的な委員会というものができる。現在の過程においてはそういうのがよいんじやないか。そこでそのためにはやはり教育界からも一人ぐらい、あるいは二人ぐらい出た方がいいのではないか、こう思うことが一つ。もし現職教員の立候補を許せば、これが委員会の過半数を占めるという縣念から、これをやられたんではないかと思う。
  60. 森戸辰男

    ○森戸國務大臣 先ほども繰返し申しましたように、教育長並びに教育長下における教育事務局等において、教育の專門的な知識は十分に反映されると私どもは考えておりまして、しかもこれは久保委員の御指摘になつたように、場合によつては、素人である方が、その意見が支配的になりはせぬかと御心配になるほどに、実は相当にはいつてくるのではないかと考えておるのであります。ただそのはいり方が偏つたはいり方をすることは非常にいけない。それを防ぐのには、むしろ、先ほど御指摘になつたような專門的というよりは、綜合大学という形で御指摘になつたような、つまり專門家でない、平均的な常識をもつた、バランスした考えてもつた人々が、そういう知識を基本にして考えた方がよいのではないかということが、この立法のめざしておるところでありまして、それによつて私は今日発足しておる形の方が、かえつて十分目的が達せられるのではないかと考えておるのであります。過半数の問題につきましては、そういうこともあるかもしれませんし、ないかもしれません。それはそのことに重大な力点をおいて立法されたというわけではないのであります。
  61. 水谷昇

    ○水谷(昇)委員 現職の校長並びに教員の被選挙権の問題について繰返し質問應答があつたのでありますが、文部大臣の御答弁によりますと、現職の者だけが專門の教育者であるというふうな解釈ができるのでありますが、私は現職を辞職して立候補したら、これは被選挙権を認められるかどうか、そういうものが当選すれば、專門的な人がその委員会に何人でもはいれることになります。そういう意味よりも、現職を禁じてある意味は、教員現職のままで立候補すると当選がしやすいのだ。それからもし落選した場合には、感情的に教育をする上において非常な弊害を及ぼす、こういう点に非常な重点があるのだと私は考える。この意味から現職の者には被選挙権を與えない、こういうことになるのではなかろうかと思うのでありますが、当局のお考えはどうでありますか。
  62. 森戸辰男

    ○森戸國務大臣 その点も考慮には入れられておるつもりであります。殊に專門的という意味は、教員という現職にあるということが、專門であるということを生活と結びつけまして、いろいろな複雜な形で政治の上に反映するというようなこともあり得るのであります。そういう廣い背景も全然除外におかれておるというわけではないのでありまして、大きな筋から申しますと、特殊專門家を選ぶという形をとらないところに特質があると考えられるのであります。
  63. 水谷昇

    ○水谷(昇)委員 大体これは田舎へ行きますと、教職員であつた人、現職ではないが教職員であつた経驗のある人を多く選んでくるだろうと考えますが、そうすると今文部大臣のおつしやつたような專門的な人が多いことになる。素人でなく、玄人の人が多く選ばれるということになると思いますが、そうなるとその立案の趣旨の反するような形が現われてくる、かように思うのであります。そういう点につきまして御心配はありませんでしようか。
  64. 森戸辰男

    ○森戸國務大臣 もちろん私どもはレーマンということでありますがそれらの人々が教育について強い関心をもち、また知識をもつておるということは決して否定しない。またある方がいいのでありますが、根本の望むところは、特殊の專門家として、殊に生活における專門的地位によつてものを考えていくということでなく、廣い一般的な立場から、あるいは総合的な立場からものを考えていくことが望ましいということでありまして、かつて現職にあつた人がそれから漏れるというわけではない。そういう方々がおいでになつてもよい。私どもの期待する人は、むしろいわゆる教育專門家でなく、教育経驗をもつた一般的な知識経驗をもつた人々である、こういうことが言われるのであります。いわゆる教育專門家としての教員の一番よい方法は、むしろ教育長を通す方法である、こういうふうに考えております。
  65. 水谷昇

    ○水谷(昇)委員 そういたしますと現職にあつたら專門家だと認め、現職でないものがレーマンだ、こういうふうに解釈していいのですか。
  66. 森戸辰男

    ○森戸國務大臣 大体大きな線では、たとえば現職にある者。それから現職にない者については、それはここで考えられておる專門的な人々と考えないでもよいのではないか。殊に選挙によつて選ばれる場合には、國民の目標となるのはむしろ一般的な教育行政に対して関心をもつておる人として選ばれることを私は信じておるのであります。立法の趣意もそこにあると思つておるのであります。
  67. 松本七郎

    松本(七)委員 私は先ほどの久保さん、それから水谷さんの指摘された趣旨がその立法の趣旨ならば、よくわかるのでありますが、どうも、政府説明ではこの立法の趣旨がはつきり了解できません。再三指摘いたしますように、この法案はただ理想を追うに急にして、現実をあまり無視し過ぎている。もちろん教育行政の根本的な大改革ですから、大きな理想を掲げて進まなければなりませんが、かんじんの現実をあまりに無視し過ぎて、その理想達成が困難になるようなことであつてはこれは何にもならないと思います。教育行政を文部省から切り離して地方に委譲するという趣旨から、こういう案が出たわけでありますが、現在の教育に対する一般の関心というものは、決して高くはございません。それですから、もしも現職教員の立候補を全面的に認めるということになりますならば、どうしても、現在は、多くの家庭が教育は学校任せというような実情でございますから、それは非常に有利であろう。そこで教員が多数この委員会にはいりこむということになる。すると、そこで教員というものが、特にアメリカなどから考えた場合には、今までの教員はどちらかといえば小さい型にはめられておる、視野の廣い人が少いというふうに、あるいは見られるかもわからぬ。從つてそういう者が教育委員会に多数はいりこむということになれば、教権の独立ということでなしに、今度はいわゆる教員による教権の独占になるおそれがあるのじやないか、そういう点を考慮してこういう條項を入れられたということならば、その趣旨はわかるのであります。しかし、その反面、それほど一般の教育に対する関心が低いのでありますから、これを高めなければならない。この低い場合に、それでは現職にある教員の立候補を禁止して、一般からほんとうに教育に熱心な者が得られるかどうかということになると、これはどうもはなはだ困難さが予想されるのであります。ですから、どうしてもここに現職にある教員が立候補してはいりこんで、そうして一般の教育に対する関心を高めていくということが、現在の教員に課せられた大きな任務であろうと私は考えるのであります。そういう意味から、どうしても何らかの形で現職教員が立候補できるような途を開くことが必要であると思う。先ほど申しましたような、教員によつてすつかり占められてしまうというような危險があるならば、久保委員から御指摘のあつたように、何名か限定して、先ほど地方議員から一名必要があつて入れるというような御説明がありましたが、それと同じやり方が、何名かは現職教員が立候補してこれにはいる途を開くというような途を開くことが必要ではないか。そういたしませんと、結局これは後ほど実費弁償のところにも関連してきますが、ほんとうに熱心な者が得られないということになると、この事務局が新たな官僚の教育壟断機関になつてしまう危險が多分にあると思うのであります。こういう点をどの程度考慮されてこの結論に達せられたのか、ここをもう少し大臣から御説明を願いたい。
  68. 森戸辰男

    ○森戸國務大臣 これは久保委員の御質問松本委員の御質問も大体同じ方向であると思うのでありますが、この教育委員会事務局につきましては、教育経驗のある、教育的な方面の知識が十分に動員されるように期待いたしておるのでありますけれども、それについて教育委員は十分関心を拂うであろう。この大きな前提といたしましては、地方の人々は、自分たちの子供の教育、子供がどういうような育つかについては重大な関心をもつておる。これを選ぶのには、適当な、しかも均衡のとれた、政治的な、また行政的な認識をもつた人を選ぶ。こういう前提のもとにこの立法がなされておるのでありまして、そういう建前から、この委員会は、常識的な均衡のとれた教育行政の方針を立てていくということであります。その專門的知識については、先ほども繰返して申しますように、教育長を通して十分に準備されることができ、またされるであろう。地方民の教育に対する熱意がこれをするであろう。もし地方の人々が教育に対して熱意をもたず、自分の子供の教育に対して十分な関心をもたぬということでありますれば、民主的な教育立法というものが成り立たなくなるのでありますから、私どもはこの点では地方の人々の民主的な教育思想に信頼を置きたい、こういうふうに考えておるのであります。
  69. 黒岩重治

    黒岩委員 御答弁の点はよくわかりましたが、しかしながら私どもが考えるところでは、政府答弁は、現職教員に対する被選挙権を制限しなければならぬという理由にはならぬと考えるのであります。それは、今日まで現職教員であつて、それをやめたら明日立候補ができるのであります。してみると、政府の主張されるところは形式論であつて、実質的な事柄については一切これを無視しております。そこで、先ほど政府委員からの御答弁によりますと、必要があつて被選挙権を制限することは憲法に違反しない、そうして警察官などの例をあげて御答弁なつたのでありますが、選挙のときの警察官の立場と、教育委員の選挙のときの現職教員の立場とは本質的に異なるものであると私は考える。現職教員が立候補することによつて委員会の選挙に何らの悪影響を與えるとは考えません。そこで私は、第十條に規定してありますところの兼職禁止の國家公務員としての立場は、現職教員も同樣でございますから、他の國家公務員と現職教員というものとを差別して法で規定しなければならぬという理由というものが納得ができぬのであります。兼職を禁止してある者は、すべて現職のままで被選挙権をもたすことはできないということならば、すべてが平等でありまして、憲法の精神によく副います。しかしながら現職教員のみは立候補を許さない、他の兼職禁止の公務員は自由に立候補ができる、ここに大きな不平等がある。法の構成の原理から考えまして、第九條のごとき立法は私は内容的に考えまして憲法の精神には副わないものであるというふうに考えるものであります。事実いわゆる專門家委員になつてはいけないということでありましたならば、昨日まで現職教員であつた者も立候補させないということがほんとうであり、それをなお日時を廣く考えますと、去年まで教員であつて者はいけないということにもなりますし、免許状をもつておる者はすべていかぬということにもならねばならぬと思います。それを昨日まで現職であつた者はよろしい、現実本日立候補するときの現在をもつて線を引く、こういうことになりますれば、形式的には一應の條理が立ちますけれども、実質的には矛盾もはなはだしいと思います。こういうような考え方からして、大臣は兼職禁止のおのおの立候補をともに禁止するか、または禁止しないとすれば現職教員のみを禁止するということが不当であると私は考えるが、その点の見解を承りたいと思います。
  70. 森戸辰男

    ○森戸國務大臣 お話でございますが、私ども教育というものの特殊性から考えまして、かようなふうに立法をいたしたのであります。現職教員はいけないが、やめたらあすからはいいだろうということは矛盾であろうということであります。この点形式的な立場と、実質的の立場とが相容れない形はもつておるのでありますが、これは大きな方向から言いますと、殊に一定の職業と專門とが結び付いたもの、そうしてそれから離れたむしろそういう経驗をもちながらも一般的な立場に立ち得る地位になつたということで、実は違いがあり得るのであります。しかし実際的にそう違つておるかどうかは、これは事実の問題でありまして、立法といたしましては、こういう形式的な区分を設けることも、これは多くの立法におけるように、やむを得ないのではないかと存じておるのであります。その他のものとの比較の問題、憲法の問題等もございますけれども、この点は特に憲法に矛盾するというような種類のものではありません。從つてその立法の領域に從つて特殊の制限を法律を通して加えられるということは、不当に権利を抑圧したというような形ではないと考えております。
  71. 松本淳造

    松本委員長 第九條は相当御意見がある点だと思いますので、質疑は本日はこの程度にいたしまして、後ほど修正案を出していただくということにいたしまして次へ移ります。  第十條 國会議員地方公共團体議会議員(第六條第三項の委員たる議員を除く。)國家公務員及び地方公共團体の有給の職員は、教育委員会委員を兼ねることができない。  2 都道縣委員会委員と、地方委員会委員とは、これを兼ねることができない。  御異議ありませんか。
  72. 久保猛夫

    ○久保委員 第二項の都道縣委員会委員地方委員会委員を兼ねさせないという、その理由を承りたい。
  73. 辻田力

    辻田政府委員 教育委員会はその性格といたしまして、都道府縣の教育委員会も、地方教育委員会も、同樣に行政機関でございます。両行政機関の間におきまして互いに兼ね合うというようなことがありますことは、これは四十九條と五十條におきまして、都道府縣と地方の場合におきまして権限がはつきりと明定されておりまする精神からいきましても、人的関係で混淆するおそれがございまするので、そういう面から考えまして兼職を禁止するようにしたのであります。
  74. 高津正道

    高津委員 現職教員は、現在日本教職員組合に大部分組織されておるのでありますが、その立候補を第九條で禁止して、それから第十條でまた兼任兼職を禁止してあるということは、何となく酷に当つてあるような印象を受けるのであります。後の第三十五條を見ますと、教育委員会会議は月に一回である。臨時会は毎月あるとも思いませんから、たつた一回くらいであつて職務に支障を來すようには思えないから兼任兼職を認めてもいいのではないか。すなわちかりに第九條がそのまま通つたといたしましても、免許状をもつておる人が教育委員会委員になる、その委員が月に一回かあるいは一回半平均になるものであるから教職員がなつてもよかろう、こういうように考えるのでありますが、とにかく現職教員に対して非常にこの法案は酷に当つてあるという印象を受けるのであります。この点に関する文部大臣の所見を伺います。
  75. 森戸辰男

    ○森戸國務大臣 この点は先ほど御説明した通りでございまして、立法の趣旨は、教育委員会においては教育委員はむしろ素人である、こういうことの方が運営に公正に、またバランスを得た教育行政がとられる、こういうことを檢討してきめておるのであります。教員組合を特に酷に扱うというような意図は毛頭もつておらないのであります。
  76. 松澤兼人

    ○松澤(兼)委員 この括弧の中に「第六條第三項の委員たる議員を除く」ということになつておりまして、これは地方議会において一名選挙することになつておるのでありますが、そういたしますと、現在は地方議会におきまして現職教員が立候補することも自由でありますし、現職のまま地方議会議員になつていることも自由であります。從つてもしこの地方議会議員のうち、現職教員である議員が選挙せられて出てきた場合には、第九條との関係はどうなりましようか。
  77. 辻田力

    辻田政府委員 地方議会議員に教職員の出身の方がなられておりまして、その方が第六條の第三項によりまして議会代表する議員たる委員なつた場合に、この規定上不都合ではないかというお話でございますが、これにつきましてはもちろん議会議員としては何ら差支えございませんが、第九條に規定する趣旨から考えまして、現職教員は被選挙権がないのであります。從つて現職教員の方は委員会委員にはなれないという趣旨でございますので、ただいまお尋ねのような場合には、委員会委員にはなれないというふうに解釈できると思います。
  78. 松澤兼人

    ○松澤(兼)委員 そのお話はたいへん変であります。第六條の地方議会から選挙するものは、地方議会議員たる資格で選挙されるのでありまして、一般の公選によつて選挙されるのと違うのであります。第九條はいわゆる一般の公選によつて選挙せられるものであつて、この点は現職にある者はいけない、これははつきりわかるのであります。しかるに地方議会議員で現に教職員であるものが議員の中から選挙されるというのは、一般の公選の場合と違つて、その議会において教育委員として適当であるとして推薦されたということで、別箇に考えなければならない問題だと思うのであります。これを一般の公選の場合と同じように選挙資格を剥奪するということは、地方議会意思を全然無視するものである。地方議会が最も適当であるとして教育專門家議員の中から選ぶということは、自由でなければならないのでありまして、これをも禁止するならば、明らかにこの第六條の規定の中に、但し現職教員たる議員はこれを除くという條文がはつきりしてなければ、この間の関連というものはわからないと思います。
  79. 辻田力

    辻田政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、第九條の趣旨から見まして、現職教員地方議会議員になつておられる方は兼ねることは適当でないと思いのであります。ただいま御指摘の通り第九條の委員の被選挙権というのをそこまで拡張して解釈することは、少し無理ではないかという御話の趣旨はわかりますが、趣旨といたしましては現職教員で、地方議会議員になつている方が、教育委員会委員になることは適当でないという考え方をしているわけでございます。
  80. 松澤兼人

    ○松澤(兼)委員 ただいまの御答弁では、絶対に私どもは承服することはできないのであります。明らかにこの括弧の中にあります「第六條第三項の委員たる議員を除く。」——その議員がどういうものかであるかということは、何らここに規定していないのであります。また第六條の場合におきましても、現職教員である議員は選挙してはならないという規定がありません。同じ選挙という言葉を使つたのでありますけれども、片方は議会意思によつて選挙せられたものであるし、第九條は一般公選によつて選挙せられたものでありますから、その性格は、同じ選挙であるけれども、全然違うものだと思うのであります。そこでただいま精神においてどうこうというようなお話でありますけれども、私どもは、その精神というようなことでは絶対的に承服できません。從つて前に申しましたように、地方議会議員たる現職教員は、第十條の括弧の中によつて教育委員会委員になれるという信念を私はもつておるのであります。この点さらに明確にしていただきたいと存ずるのであります。
  81. 岩木哲夫

    ○岩木政府委員 御指摘の点につきましては、元來地方議会の選挙における性格というか、性質の場合と、教育委員会委員の選挙における性格、性質というものとは、相当開きがあるわけであります。たとえば現在は警察公安委員会は選挙になつておりませんが、これが選挙されるような場合においても、警察官吏が公安委員会の選挙にはいかないような事情等から、特に教育委員会委員の被選挙権につきましては、現職の教職員については一定の考え方をもつておるのでありますが、しからば先ほど御指摘のようなぐあいに、地方議会から選任された一名の議員委員会委員に選任される場合につきましては、よほど研究を要すると思うのでありますが、元來現職教員地方議会議員に選任された場合には、知事の判定によりましてこれが否定される場合もある。そのまま容認される場合もありますが、元來におきましてはそういう場合が大筋だと考えておるような事態もあるので、御指摘の点は特殊の府縣においての特例を御指摘でありますが、府縣の委員会あるいは地方議会等において、あるいは教育委員会実情によつては、これら地方議会で選任された教員議員が、この委員会委員に選任されるということもある場合においては差支えがないというような解釈をもつて、絶対いけないという解釈の結論にはまだ立つておらないのであります。
  82. 松澤兼人

    ○松澤(兼)委員 ただいまの最後のお言葉によりまして、絶対にいけないということではないという消極的な承認のお言葉があつたのであります。それによつて私はこれを廣義に解釈するならば、当然現職地方議会議員である教育委員会委員というものができる。できても差支えがないというふうに解釈するのであります。特別のところにおいては知事の判定によつて云々という言葉もあつたのでありますが、現に私神戸に住んでおりますが、兵庫縣下におきましても、神戸市会におきましても、現職教員がはいつております。これは何ら問題が起らないのでありまして、ただ職務上校長であり、議員であるということが仕事がうまくいくであろうかどうか、両立するであろうかどうかというようなことは、選挙直後にいろいろ取上げられ、問題になりましたけれども、現在はそのままで行つておるのであります。でありますから、今後も私ども地方議会の解散の場合におきましては、法文に何らの制限がないのでありますから、当然現職教員地方議会議員になるということを予想することもできますし、そしてまたこれらの條文によつてそういう現職教員地方議会の選挙によつて教育委員になることができるというふうに解釈できると思うのであります。その点につきまして、私の考えが間違つておるかどうか、もう一度御指摘を願いたいのであります。
  83. 岩木哲夫

    ○岩木政府委員 御趣旨の点はよく了承いたしまして、こうしたことにつきましては差支えはないものと私たちの方では判断いたしております。
  84. 久保猛夫

    ○久保委員 ちよつと委員会を進めることについて希望があるのです。逐條審議に入りましてからでも、昨日の第五條の問題について、前の委員会の場合と昨日の委員会の場合との政府委員答弁に非常に食い違いがある、それが今日の場合で考えますと、第九條においても辻田局長はこういう九條をつくつたのは諸般の事情からだと言つております。文部大臣は文部省の考え方としてはつきり信念的なことを言つておられる。全然そこに食い違いがある。今の十條の答弁を聽いていても、辻田局長初めそれはできないと言う。もう一應つつこんで聽いてみるとそれはできるのだ。われわれはこういう政府委員答弁で、実際こういうことをやつておることは、実に不愉快である。もつとしつかりした答弁をしてもらつて、私たちはそういう今のようなやり方で、昨日今日と続けて、これから先もまたこのままの状態で続けていくとするならば、ちつともあなた方の言うことは信用できないということになります。ああそうですかといつて一應聽いておいて、もう少しつつこんでみたら違うことになる。こういうことで、はたしていいものか、もう少し反省して、しつかりした答弁をして、もつと研究してかかつてもらいたい。そうでなければ、私はちよつと困る。これは委員会自身が考えてみなければならぬことじやないかと私は思うのであります。
  85. 松本淳造

    松本委員長 ただいまの久保委員の御発言でありますが、私もどうも政府側の御答弁の統一が欠けている点を認めるので、その点につきましては、政府側も愼重に御研究の上で御出席を願いたい。これをよく申し上げておきたいと思います。  それでは本日はこの程度に質疑を止めまして明日午前十時から続行したいと思います。  なおこの際お諮りいたしておきたいと思いますが、昨日議長のもとまで提出いたしました公聽会開会承認要求書に対しまして本日の議院運営委員会におきまして承認になりました。そこで來る六月二十九日火曜日午前十時から公聽会を開くことにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 松本淳造

    松本委員長 御異議ないようでありますからさよう決定いたします。なお公聽会開会報告書の提出その他の事務手続に関しましては、委員情並びに理事に御一任願います。  それではこれで散会いたします。     午後零時三十六分散会