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1948-06-11 第2回国会 衆議院 文教委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月十一日(金曜日)     午前十時十五分開議  出席委員    委員長 松本 淳造君    理事 水谷  昇君 理事 高津 正道君    理事 西山冨佐太君       近藤 鶴代君    圓谷 光衞君       冨田  照君    田淵 実夫君       松澤 兼人君    松本 七郎君       久保 猛夫君    黒岩 重治君       松本 眞一君  出席政府委員         文部事務官   剱木 亨弘君  委員外出席者         議     員 小林 運美君         議     員 永井勝次郎君         議     員 花月 純誠君         專門調査員   宇野 圓空君         專門調査員  横田重左衞門君     ————————————— 六月十日  教科書の発行に関する臨時措置法案内閣提  出)(第一〇一号)  日本学術会議法案内閣提出)(第一二五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  教育勅語等排除に関する決議案起草に関する件   請 願  一 北海道大学工学部建築工学科新設請願    (永井勝次郎紹介)(第五九九号)  二 四國綜合大学設立請願福田繁芳外六名    紹介)(第六二九号)  三 新制高等学校教科課程の一部を改正する請    願(寺島隆太郎君外三名紹介)(第六七〇    号)  四 第七高等学校復興費國庫補助請願(井上    知治君紹介)(第七四六号)  五 学制改革に伴う増加経費國庫負担請願(    上林榮吉紹介)(第八六八号)  六 彦根経済專門学校昇格請願長野右ヱ    門君紹介)(第九〇八号)  七 四國綜合大学設立請願柏原義則君紹    介)(第九一四号)  八 釧路市に教育大学設立請願伊藤郷一君    外一名紹介)(第九七九号)  九 上田纖維專門学校昇格請願小林運美君    紹介)(第九九一号) 一〇 塩成小学校復旧費國庫補助請願井谷正    吉君外七名紹介)(第一〇四五号) 一一 上田纖維專門学校昇格請願小林運美君    紹介)(第一一八〇号)     —————————————
  2. 松本淳造

    松本委員長 会議を開きます。  教育勅語等排除に関する決議案提出したらという議が起りまして、御承知のように本委員会は今日まで前後約十回にわたる打合会を開催いたしまして、愼重審議をいたしました結果、教育勅語等排除に関する決議案を、今議会に提出することに決定を見たのであります。それにつきまして、どういう決議案を上程するかということについての案文でありますが、これらも愼重に数回にわたる打合せの結果、その原案ができましたので、これをこの際お諮り申し上げようと思いますが、それにつきましては、一應朗読いたしますから御審議を願いたいと思うのであります。なおこの原案に対しましても多少修正をお願いすることがあるかもわからないと思いますので、その点も併せてお願いしたいと思うのであります。では決議案案文を朗読いたします。    教育勅語等排除に関する決議案   民主平和國家として世界史的建設途上にあるわが國の現実は、その精神内容において未だ決定的な民主化を確認するを得ないのは遺憾である。これが徹底に最も緊要なことは教育基本法に則り、教育革新振興とをはかることにある。しかるに既に過去の文書となつている教育勅語並びに陸海軍軍人に賜われたる勅輸その他の教育に関する諸詔勅が、今日もなお國民道徳指導原理としての性格を持続しているかの如く誤解されるのは、從來の行政上の措置が不十分であつたがためである。   思うに、これらの詔勅根本理念が主権在君並びに神話的國体観に基いている事実は、明かに基本的人権を損い、且つ國際信義に対し疑義なしとしない。よつて憲法第九十八條の本旨に從い、ここに衆議院は院議を以て、これらの詔勅排除し、その指導原理的性格を認めないことを宣言する。政府は直ちにこれらの詔勅の謄本を回收し、排除措置を完了すべきである。   右決議する。  右の通りでありますが、この案文につきまして御意見があれば、御発表願いたいと思います。  その前に一應参考までに申し上げておきますが、この案文五行目のところでありますが、「教育革新振興とをはかることにある。」と表現されておりますが、これは関係当局ともお打合せいたしました際に、エツセンシアルという言葉を用いておりますが、もしそれをそのまま表現するとしますならば、「はかることにある。」というよりは、もう少し補則的に強い言葉が必要になつてくるのではないかという氣もいたすのであります。振興をはかることが肝要であるとか、あるいは必要であるとか、何かそういうもう少し強い言葉が必要ではないか、こういうふうに実は考えてもいるわけであります。  それからその行からさらに六行目の一番頭のところにあります「思うに、これら詔勅根本理念が」という「思うに」でありますが、この原案のまた原案におきましては「もとよりこれらの詔勅内容は部分的にはその眞理性を認められるのであるが」という文句で表現されておつたのでありますが、その「部分的にはその眞理性を認められるのであるが」という言葉は必要がないであろうというお話もありましたので、それを卒直に削ることにいたしました。そのために前文と後段との文章上の接続がなかなかうまくいかないのでありますために、いろいろ考案いたしました結果、「思うに」という言葉をもつて前段後段をつなぎ、一環して文章上の誤りのないように期したつもりでありますけれども、はたしてこの「思うに」が最も的確な言葉であるかどうであるか、この点も御審議を願えればありがたいと思うのであります。  それからさらにその行から四行目に先ほど朗読いたしました「國際信義に対し疑義なしとしない。」という点でありまするが、「疑義なしとしない。」という表現がよいのであるか、それとも「國際信義に対して疑点を残すもととなる。」と、こういうふうに表現した方がいいのではないかということも考えられるのでありまして、この点併せてやはりこの際御審議を願いたいと思つておるのであります。  大体私といたしましてはその三点でありますが、関係方面とも打合わせました結論として、その三階に問題が残されているわけであります。この三点さえうまく表現をすることができまするならば、あとは全体がもういいことに決定したい、かように考えております。併せてそれらの点をも御考慮の上で御審議を願いたいと思います。いかがでありましようか。
  3. 黒岩重治

    黒岩委員 四行目から五行目へかけての表現でありますが、これは本文の通りでよいと私は思います。「これが徹底に最も緊要なことは」と表現しておいて、「はかることにある。」と結んでありますから、教育基本法こそが唯一つの準拠であるということが、強く表現せられているのではないかというふうに考えております。  次の前段後段接続に、「思うに、」という表現も妥当であると思いますから、原文のままが適当ではないかと考えます。  第三点の「國際信義に対し」のあとを承けた表現は、「疑点を残すもととなる」という表現が、きわめて卒直表現でありますので、この方がよいのではないかという考えをもつております。
  4. 水谷昇

    水谷(昇)委員 ただいま黒岩君からの御意見がありましたが、私も三点とも同樣に考えますから、そういうふうに賛成いたします。
  5. 松本淳造

    松本委員長 ほかに御意見ありませんか。御意見ないといたしまするならばただいまの黒岩水谷委員お話通り決定して御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松本淳造

    松本委員長 それでは異議なきものと認めまして、さように決定いたします。  なおこの決議案提出手続その他につきましては、委員長に御一任を願いたいと思います。この点御了承おき願いたいと思います。     〔以下筆記〕
  7. 松本淳造

    松本委員長 次に請願審査に入ることを宣告し、日程第九、並びに日程第十一、上田纖維專門学校昇格請願一括議題とした。
  8. 小林運美

    小林運美君 本請願要旨は、上田纖維專門学校蚕糸業中心地たる上田市に創設されてから四十一年、学界並びに纖維産業発展に大なる貢献をなしてきた。今や纖維業は文化日本重要産業としてきわめて緊要なる使命を荷い、その長足の進歩発達を期するには、纖維大学設立が最も必要である。さいわい上田纖維專門学校他校の追從を許さないほどの設備内容とを有して、勉学の好適地である。ついては、該專門学校單科纖維大学として昇格されたいとの紹介説明があつた。
  9. 剱木亨弘

    剱木政委員 來年度よりかねて計画中の新制大学制の実施の運びとなれば、当然該專門学校昇格せられるとは思ふが、單科大学となるか、あるいは綜合大学の一学部となるかは、まだ結論が出ていない。当局としては、予算の点から見て、多数の学校が協力して綜合大学を作ることが望ましいと思つている。殊に、長野縣においては綜合大学設立の氣運もあるので、該專門学校も、これに歩調を合わせてもらいたいとの意見を述べた。
  10. 小林運美

    小林運美君 上田纖維專門学校は特殊の学校があつて、一地方学校というより、日本学校という大きな観点から見てもらいたい。單科大学昇格を望むと意見を述べた。
  11. 松本淳造

    松本委員長 本件に関する決定は追つて協議の上決する旨を宣告した。     〔松本委員長退席西山委員長代理着席
  12. 西山冨佐太

  13. 黒岩重治

    黒岩委員 本請願要旨は、四國は本土と海をもつて隔てているために、文化恩惠に遠ざかつていたが、今や学制改革に際し、各縣一体となり四國綜合大学設立に努力している。しかるに東方近畿には、京都、大阪の各綜合大学あり、西方に九州大学あり、北方の中國地方にも綜合大学設立されんとしている。ついては四百万の住民を有する四國にも、綜合大学設立されたいとの紹介説明があつた。
  14. 剱木亨弘

    剱木政委員 四國綜合大学は種々の点より見て当局の望むところであるが、各縣各地に散在する多数校が綜合大学となることができるかどうかは、まだ研究の余地があると思う。來年度計画としては、財源の上から、できる限り現在の学校を土台とし、新設は避けたいと考えているとの意見を述べた。
  15. 西山冨佐太

    西山委員長代理 本件に関する決定は追つて協議の上決する旨を宣告した。     —————————————
  16. 西山冨佐太

    西山委員長代理 次に日程第五、学制改革に伴う増加経費國庫負担請願議題として、紹介議員上林榮吉君欠席のため、近藤委員が代つて紹介説明をした。
  17. 近藤鶴代

    近藤委員 本請願要旨は、学制改革に伴い市町村負担は急に増加しつつあるが、現在市町村財政状態は非常な行詰りの実情にあり、この上負担増加はとうていできないので、教育の問題は、当然國家がなすベきであるから、これに要する経費國庫負担とされたいとの紹介説明があつた。
  18. 剱木亨弘

    剱木政委員 できるだけ國庫補助するように努力する。地方財政の方はもつぱら緩和するようにと努力しているとの意見を述べた。
  19. 西山冨佐太

    西山委員長代理 本件に関する決定は、追つて協議の上決する旨を宣告した。     —————————————
  20. 西山冨佐太

  21. 永井勝次郎

    永井勝次郎君 本請願要旨は、北海道の住宅の状態を見ると、まだ植民地的色彩が濃厚で、暖地の建築樣式をそのまま採用したものが多く、約半箇年にわたる越冬生活は、燃料の損失が大であるのみでなく、きわめて不便かつ不生産的、非衞生的であり、保健、衞生経済上ゆゆしき問題である。ついてはこれに対処するため、特に寒氣と多雪を対象とする建築工学飛躍的推進をはかるべき研究並びに教育上、地理的優位にある北海道大学工学部に、建築工学科新設されたいとの紹介説明があつた。
  22. 剱木亨弘

    剱木政委員 請願の趣旨にはまつたく同感である。二十三年度予算では困難と思われるが、現在この件に関して國会予算提出中であるとの答弁をした。
  23. 西山冨佐太

    西山委員長代理 本件に関する決定は追つて協議の上決する旨を宣告した。
  24. 西山冨佐太

  25. 花月純誠

    花月純誠君 本請願要旨は、貿易を中心とする日本経済の再建並びに発展担当者として、國際的ビジネスマン及び科学的経営指導者養成が、今後最も重要と考えられるについては、この要望にこたえるため、その地理的環境において、また教授陣において、物的設備において、他校に財越している彦根経済專門学校経済大学昇格されたいとの紹介説明があつた。
  26. 剱木亨弘

    剱木政委員 当局の意向として、昇格の場合は該專門学校師範学校青年師範学校と合併した綜合大学にしたいと考えていること、またさきに文教委員会で論議された教員養成の在り方という観点からしても、これら三校の協力がよい結果をもたらすと考えられるとの意見を述べた。
  27. 花月純誠

    花月純誠君 あながち綜合大学を希望しないわけでもないが、師範学校青年師範学校との合併は、学力の点で懸念されるので、單科大学を切望するとの意見を述べた。
  28. 西山冨佐太

    西山委員長代理 本件に関する決定は追つて協議の上決することとし、他の日程はこれを延期し、散会を宣告した。     〔午後十一時二十分散会