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松本委員長 会議を開きます。
教育勅語等排除に関する
決議案を
提出したらという議が起りまして、御承知のように本
委員会は今日まで前後約十回にわたる打
合会を開催いたしまして、
愼重な
審議をいたしました結果、
教育勅語等排除に関する
決議案を、今議会に
提出することに
決定を見たのであります。それにつきまして、どういう
決議案を上程するかということについての
案文でありますが、これらも
愼重に数回にわたる打合せの結果、その
原案ができましたので、これをこの際お諮り申し上げようと思いますが、それにつきましては、一應朗読いたしますから御
審議を願いたいと思うのであります。なおこの
原案に対しましても多少修正をお願いすることがあるかもわからないと思いますので、その点も併せてお願いしたいと思うのであります。では
決議案の
案文を朗読いたします。
教育勅語等排除に関する
決議案
民主平和國家として
世界史的建設途上にあるわが國の現実は、その
精神内容において未だ
決定的な
民主化を確認するを得ないのは遺憾である。これが
徹底に最も緊要なことは
教育基本法に則り、
教育の
革新と
振興とをはかることにある。しかるに既に過去の文書と
なつている
教育勅語並びに
陸海軍軍人に賜われたる
勅輸その他の
教育に関する諸
詔勅が、今日もなお
國民道徳の
指導原理としての
性格を持続しているかの如く誤解されるのは、從來の行政上の
措置が不十分であつたがためである。
思うに、これらの
詔勅の
根本理念が主権在君並びに
神話的國体観に基いている事実は、明かに
基本的人権を損い、且つ
國際信義に対し
疑義なしとしない。よ
つて憲法第九十八條の本旨に從い、ここに衆議院は院議を以て、これらの
詔勅を
排除し、その
指導原理的性格を認めないことを宣言する。
政府は直ちにこれらの
詔勅の謄本を回收し、
排除の
措置を完了すべきである。
右決議する。
右の
通りでありますが、この
案文につきまして御
意見があれば、御発表願いたいと思います。
その前に一應参考までに申し上げておきますが、この
案文の
五行目のところでありますが、「
教育の
革新と
振興とをはかることにある。」と
表現されておりますが、これは
関係当局ともお打合せいたしました際に、エツセンシアルという
言葉を用いておりますが、もしそれをそのまま
表現するとしますならば、「はかることにある。」というよりは、もう少し補則的に強い
言葉が必要に
なつてくるのではないかという氣もいたすのであります。
振興をはかることが肝要であるとか、あるいは必要であるとか、何かそういうもう少し強い
言葉が必要ではないか、こういうふうに実は考えてもいるわけであります。
それからその行からさらに六行目の一番頭のところにあります「思うに、これら
詔勅の
根本理念が」という「思うに」でありますが、この
原案のまた
原案におきましては「もとよりこれらの
詔勅の
内容は部分的にはその
眞理性を認められるのであるが」という文句で
表現されておつたのでありますが、その「部分的にはその
眞理性を認められるのであるが」という
言葉は必要がないであろうという
お話もありましたので、それを
卒直に削ることにいたしました。そのために前文と
後段との
文章上の
接続がなかなかうまくいかないのでありますために、いろいろ考案いたしました結果、「思うに」という
言葉をもつて
前段、
後段をつなぎ、一環して
文章上の誤りのないように期したつもりでありますけれども、はたしてこの「思うに」が最も的確な
言葉であるかどうであるか、この点も御
審議を願えればありがたいと思うのであります。
それからさらにその行から四行目に先ほど朗読いたしました「
國際信義に対し
疑義なしとしない。」という点でありまするが、「
疑義なしとしない。」という
表現がよいのであるか、それとも「
國際信義に対して
疑点を残すもととなる。」と、こういうふうに
表現した方がいいのではないかということも考えられるのでありまして、この点併せてやはりこの際御
審議を願いたいと思つておるのであります。
大体私といたしましてはその三点でありますが、
関係方面とも打合わせました
結論として、その三階に問題が残されているわけであります。この三点さえうまく
表現をすることができまするならば、
あとは全体がもういいことに
決定したい、かように考えております。併せてそれらの点をも御考慮の上で御
審議を願いたいと思います。いかがでありましようか。