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1948-05-31 第2回国会 衆議院 文教委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年五月三十一日(月曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長代理 理事 高津 正道君    理事 水谷  昇君 理事 西山冨佐太君       近藤 鶴代君    冨田  照君       松木  宏君    田淵 実夫君       野老  誠君    松澤 兼人君       伊藤 恭一君    黒岩 重治君       平川 篤雄君    織田 正信君  出席政府委員         文部事務官   辻田  力君  委員外出席者         文部事務官   米原  穰君         文部事務官   近藤 春夫君         文部事務官   岡野  澄君         專門調査員  横田重左衞門君     ————————————— 五月二十八日  教職員恩給増額に関する請願佐々木盛夫君  紹介)(第一〇五九号)  地方教育委員会法に関する請願外一件(小島徹  三君紹介)(第一〇八七号)  都立新制高校区移管に関する請願押川定秋  君外一名紹介)(第一〇八九号)  兵庫縣農科大学設立請願小島徹三君紹  介)(第一〇九一号)  地方教育委員会法に関する請願(大島多藏君紹  介)(第一一〇四号)  都立新制高校区移管に関する請願原彪之助君  外二名紹介)(第一一〇五号)  地方教育委員会法に関する請願受田新吉君外  四名紹介紹介)(第一一一四号)  鹿兒島縣農林專門学校所属演習林拂下請願(  前田郁紹介)(第一一三〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件   請願  一 久濱美農学校昇格に関する請願大石ヨシ    エ君紹介)(第三号)  二 師範附属校教官待遇改善に関する請願(    大石ヨシエ紹介)(第九号)  三 六・三制完全実施のため全額國庫負担その    他に関する請願田口助太郎君外一名紹介    )(第一八七号)  四 盛岡農林專門学校昇格並び岩手綜合大学    設置請願野原正勝君外七名紹介)(第    二二八号)  五 民間科学技術研究所研究費國庫補助の請    願(海野三朗紹介)(第三三七号)  六 國立女子大学設置請願押川定秋君外一    名紹介)(第三六五号)  七 大学開放に関する請願豊澤豊雄紹介)    (第三七七号)  八 中等教員免許状所有者の取扱に関する請願    (豊澤豊雄紹介)(第三七八号)  九 六・三制完全実施のため全額國庫補助の請    願(岡村利右衞門紹介)(第四〇四号) 一〇 函館市に学藝大学設立請願川村善八郎    君紹介)(第四四三号) 一一 小学校教員恩給増額に関する請願(梁井    淳二君紹介)(第四五四号) 一二 國立女子大学設立請願山崎道子君外一    名紹介)(第四九五号) 一三 第二高等学校跡地拂下請願庄司一郎君    紹介)(第五〇五号) 一四 岡山市に國立綜合大学設立請願西山冨    佐太紹介)(第五三〇号) 一五 北海道大学工学部建築工学科新設請願    (永井勝次郎紹介)(第五九九号) 一六 四國綜合大学設立請願福田繁芳君外六    名紹介)(第六二九号) 一七 新制高等学校教科課程の一部を改正する請    願(寺島隆太郎君外三名紹介)(第六七〇    号) 一八 新潟縣綜合大学設立請願荊木一久君    外十四名紹介)(第六七六号) 一九 仙台工業專門学校昇格請願(佐々木更三    君外四名紹介)(第七三六号) 二〇 第七高等学校復興費國庫補助請願(井上    知治君紹介)(第七四六号) 二一 宗教心涵養に関する請願坂東幸太郎君紹    介)(第七八八号) 二二 浦和高等学校昇格請願松崎朝治君外五    名紹介)(第八三一号) 二三 六・三制完全実施のため全額國庫補助の請    願(松本淳造紹介)(第八三六号) 二四 京都工業專門学校昇格請願中野武雄君    紹介)(第八四二号) 二五 学校敷地買收に関する請願上林榮吉君    紹介)(第八六六号) 二六 学制改革に伴う増加経費國庫負担請願(    上林榮吉紹介)(第八六八号) 二七 彦根経済專門学校昇格請願長野右ヱ    門君紹介)(第九〇八号) 二八 四國綜合大学設立請願柏原義則君紹    介)(第九一四号) 二九 新制大学書道科設置に関する請願竹尾    弌君外一名紹介)(第九五二号)     —————————————
  2. 高津正道

    高津委員長代理 会議を開きます。  ただいま松本委員長が所用のためちよつと他出されておりますので、すぐにおいでになるはずでありますが、それまで私が委員長の職務を行います。  ただいまより請願審査に入ります。議事に入る前に諸君の了承を得ておきたいと思いますのは、本日審査を願う請願に関しましては、なお各方面より十分審査の必要があると認めますので、これが採否の決定は後日にいたしたいと思います。     —————————————
  3. 高津正道

    高津委員長代理 日程第二九、新制大学書道科設置に関する請願竹尾弌君外一名紹介(第九五二号)——冨田君がおいでになりませんから、水谷君代つて説明を願います。
  4. 水谷昇

    水谷(昇)委員 それでは新制大学書道科設置に関する請願要旨を御説明申し上げます。  請願者代表は、書道教育振興協議会委員長豊道慶中君であります。その要旨新制学校制度伊行により、昭和二十四年度をもつて設立される新制大学中、美術学校音樂学校を合併して編成せらるべき大学及び高等師範学校が改められて設立せられる大学科別編成に際し、文化國家の発展に資するためその一科に書道科を特設せられたいというのが要旨であります。  その理由とするところは、書道文字筆冩の実用の道から発達して、東洋においてはこれが至高の藝術にまで進展し、東洋文化の上に密接不離に影響して今日に及びました。しかも書道は一部の專門の藝術家のみの特殊の道ではなく、日常生活の中に深く融合した藝術でありますので、國民のすべてがこの道の教育をもちたいものであります。從つてこれが指導道養成機関として新制大学書道科を設けていただきたいのであります。  第二の理由は、書道藝術内容考えますに、その空間的方面を見るときは、絵画的、彫刻的、建築的内容を具えた造形藝術であり、またその時間的方面を見るときは、音楽藝術と同じ藝術内容を具えておりますので、第一藝術たるの要素に欠けるところなきものと思います。さればさきに日本藝術院の中に書家を会員としてあげられ、最近日展にも書道を取上げんとされている現在、書道藝術研究機関書家養成機関として專攻の大学をもつことは、現今の文教の上から当然のことと思うのであります。  第三の理由は、書道東洋独特の藝術であるとともに、それが日本においては日本独自の発達逐げて、日本文化史上の重要な一面を担当しております。今後海外文化の攝取がいよいよ緊要なことであると同時に、日本独自の文化を擁護し、伸長せしむることが、向後の日本文化建設の上に忽諸にすることのできない緊要事であると思います。この意味において書道研究学校をもたないことは少からざる欠漏と申すべく、藝術面並び教育面における最高の学府において書道科を特設して、これが欠漏を補うようにいたしたいと思います。  第四の理由は、日本と中華とは地理的にも歴史的にも絶対隔離することのできない因縁にあつて同文同種の日華両國の提携は、世界平和と國際文化のため最も重視せねばならぬことと思います。書道は両國を文化的に結ぶ最も適切な途でありますから、学校教育においてこれをさらに重視せられたく、從つてその指導者養成機関として新制大学書道科設置していただきたいのであります。  第五の理由は、今日まで書道研究はもつぱら民間に任せて、國家としてこれが研究養成機関をもたなかつたことは、大きな過誤であつたと思います。かくては書道は逐年衰退のほかなく、將來の日本文化の進路を誤るものと憂慮せられます。新制大学設立を機としてこれらの過誤を是正すべく、ぜひこれに書道科を特設していただきたいのであります。何とぞ委員各位におかせられましては愼重審議をせられまして、この請願を御採択あらんことを切望してやまないのであります。
  5. 高津正道

    高津委員長代理 本請願に対し政府の御意見を伺いたいと思います。
  6. 米原穰

    米原説明員 ただいまの御請願に対しましてお答え申し上げます。  新制大学学科につきましては、ただいま、まだどういう学科をどういう学校に置くべきかということもはつきりきまつておりません。現在問題にしておりますのは、どういう形に置かせるかという学校設置の方式を研究しているような段階でございますが、お言葉にありましたように、書道重要性を十分考えまして、美術学校大学になりました場合にその中に置くべきであるか、また將來各地におそらく設けられるであろうと思われますところの教員養成方面大学の中に置くべきであるか、それらの点につきましても、今後十分に研究いたしまして、御趣旨に副いたいと存じます。
  7. 高津正道

    高津委員長代理 委員の方で御意見があれば発言を許します。——なければ次に移ります。     —————————————
  8. 高津正道

    高津委員長代理 日程第一八、新潟縣綜合大学設立請願荊木一久君外十四名紹介、(第六七六号)——説明を願います。
  9. 松木宏

    松木委員 新潟縣綜合大学設立請願紹介者の一名といたしまして、その趣旨説明したいと思います。新日本再建の途は、もとより民主的、平和的文化建設し充実するにありますので、これが実現は、根本においてかかつて教育のことにあることは、申し上ぐるまでもないことであります。新学制実施に伴いまして、從來の高等專門学校を整備充実して、その質的向上をはかるとともに、大学教育普遍化機会均等をいたさんとするときに際しまして、新潟を含む北日本を閑却してはならないと思うのであります。新潟縣を含む北日本を見ますと、廣茫たる面積と厖大なる人口とを與えられているにかかわらず、一つ綜合大学をももつておりません。実に孤立無援というベき状態に打捨てられてあるのであります。既設綜合大学は、本州におきましてことごとく太平洋沿岸の表のみに偏在している。日本海沿岸裏日本には皆無であるのであります。しかも既設綜合大学、これを中心となる正規の人口分布状況等に比較いたしますると、おおむね人口六百万平均に綜合大学一つの割合となつておる。北日本福島縣西部を除いては新潟縣秋田縣山形縣長野縣をもつて優に人口六百八万を算するのであります。さらにこれら地域の二、三をとり、その学校数並びに学生生徒数を比較いたしますと、新潟縣地域学校数金沢地域の二・三倍強、東北大学地域の一・五倍強、また新潟地域学生生徒数金沢地域の四倍強、東北大学地域の一・八倍強を算うるのでありまして、この実情の上に立つて、われわれは北日本一つ綜合大学をも建設しないという事実に当面いたしまして、いまさら遺憾にたえない次第であるのであります。北日本綜合大学存置必然性とその重要性とは、最早理論の余地もないほどであろうと思います。  しかし北日本と呼ばれます新潟縣秋田縣山形縣福島縣西部長野縣を含む廣大なる地域にその外郭を画してみますると、一見してその中心新潟縣であることを判然と知ることができると思います。いうまでもなく新潟港は古くいわゆる五港の一でありまして、日本海沿岸唯一開港場として明治開國における先駆の栄誉を担つておりまして、今も新潟市は北日本唯一大学たる新潟医科大学を擁して、まさにこれら地方文化のよりどころをなしております。しかも新潟縣はわが國第一の米産縣でありまして、日本の穀倉と稱され、豊壤肥沃なる廣野を控えておりまして、加うるに豊富なる水力電氣、石油、天然ガス等の資源にも惠まれていることが非常に多いのであります。また外は滿州、朝鮮、沿海州に対して、内は主都、東京方面に対して裏日本を結ぶ海陸交通の要衝に当つております。かく新潟縣名実とも日本文化の枢軸をなしているということにほかなりませんので、綜合大学設置の主体となるべき医科大学を初め、高等学校農林專門学校工業專門学校、第一、第二師範学校等の必要なる既存施設を有するに至りまして、これらがまつたく戰禍をこうむることなく現存いたしておることは、公平に見まして新潟縣北日本綜合大学設立の最適地であることを保証することができると思うのでありまして、新潟縣綜合大学設置せられんことを希望いたしますが、なお附け加えて申し上げておきたいことは、ただいま申し上げましたように新潟縣は全國唯一農業縣であり、米産縣でありまして、從つて農科設置ということはきわめて喫緊の要務であるとわれわれは信ずるのであります。綜合大学建設と同時に農科をぜひ設置せられることを併せてここに請願趣旨として申し述べておきたいと思います。何とぞ委員諸君におかれましても御賛成、御採択あらんことを切にお願いする次第であります。
  10. 高津正道

    高津委員長代理 本請願に対し、政府の御意見を承りたいと思います。
  11. 米原穰

    米原説明員 お答え申し上げます。新潟縣内の現在存在しております國立学校は、先ほどのお言葉にもありました新潟医科大学新潟高等学校、そのほかに新潟市に第一師範学校、高田市に第二師範学校長岡市に長岡工業專門学校がございます。これらの学校を総合いたしまして、ただいまお言葉にありましたように新潟縣におれる総合した大学に切り替え得るように、ただいま研究いたしております。そのほかに、ただいまの御請願の中にありました農科についてでありますが、これは新潟縣米産縣であること並びに日本海沿岸農業方面專門学校以上の学校が少いこと等から考えまして、お説のように農科関係学校が必要であろうということはわれわれも感じておるのであります、現在新潟縣には縣立の農林專門学校がございますが、これを國立の諸学校の中に入れまして農科といたします場合にも、その施設なり、または予算等につきまして、相当問題もあると思いますので、ただいま地元の代表の方や学校の方と協議中であります。その結果、はたして新潟農科が置かれますかどうか、大体の腹案がきまつてくるのではないかと思われます。
  12. 高津正道

    高津委員長代理 委員の方で御意見があれば発言を許します。——別にないようでありますから、次に移ります。     —————————————
  13. 高津正道

    高津委員長代理 日程第六、國立女子大学設置請願押川定秋君外一名紹介、(第三六五号)紹介議員説明を求めます。伊藤恭一君。
  14. 伊藤恭一

    伊藤(恭)委員 本請願要旨は、過去の男女教育制度欠陷を是正して、女子教養施設を普及向上せしめることにあるのであります。新憲法による教育基本法教育機会均等が確立せられ、男子大学女子に門戸を開放したことは当然でありますが、しかしその実況をみますると、やはり入学者男子が圧倒的であつて、現に東京大学女子などを見ると、わずかに一、二%にすぎない状態にある。從來男子大学が五十七もあつたにもかかわらず、官公立女子大学というものは一つもない。そういう状態であつて、この際女子綜合大学設置する必要があるということを痛切に感ずるものであります。そこで東京女子高等師範学校は、創立以來七十三年、女子教育に多大の効果をあげてまいつております。もちろん女子高等師範は、今後單なる教育者養成機関に止まらないで、一般教養を向上し、あらゆる方面に十分に進出し、國民男女同権を裏づけするところの具体的な女子教養向上にあるのであります。そういうような意味から申しまして、この際女子高等女範國立綜合大学に昇格するということを、教職員生徒も非常な熱意をもつて再三再四議会に陳情に参つて來たのであります。これを押川君並びに私が紹介いたしまして、提出したのでありますが、そういう実際の状況に基きまして、この際委員各位においてもこれに御賛成いただきまして、採択せられんことを希望いたします。
  15. 高津正道

    高津委員長代理 本請願に対し政府の御意見を承りたいと思います。
  16. 米原穰

    米原説明員 お答え申し上げます。女子大学教育が、今後十分に必要であることは申すまでもございません。おそらく明年度以後においては、現在ありますところの公立の女子專門学校、私立の女子專門学校相当数のものが、女子大学になるのではなかろうかと想像されるのであります。その際に、官立としては、從來官立女子高等教育機関というものは、非常に少かつたのでございますが、何としても一番歴史のあります現在の東京女子高等師範学校大学に切り替えるということが、第一番の問題になつて來るではないかと思います。すでに本年度より大学に昇格したいという御希望もあつたくらいでありまして、卒業生の方、また現在の教職員の方、生徒の方々の熱烈な希望文部省も十分に承つております。文部省としても現在においては女子高等師範学校國立女子大学に切り替えますように研究いたしております。
  17. 高津正道

    高津委員長代理 委員の方で御意見があれば発言を許します。
  18. 近藤鶴代

    近藤委員 女子國立大学の必要ということにつきましては、ただいま伊藤委員からお話のあつたようなことでございまして、私がいまさら附け足すこともございませんが、ただいまお話を伺いました政府委員の方の御答弁によりますと、東京女子高等師範学校だけについての御意見のように伺いましたが、私はやはり女子のの教育の必要さと申しましようか、いろいろな点から申しまして、少くとも女子國立大学東京女高師奈良女高師の二校を一緒になされるくらいのおつもりがあつていいのじやないかと思います。その点についての御意見を承りたいと思います。
  19. 米原穰

    米原説明員 お答えいたします。ただいま申し落しました國立女子高等教育機関としての同じような歴史をもちます奈良女子高等師範学校につきましても、東京女高師と同樣に、女子國立大学に切りかえたいと研究いたしております。
  20. 高津正道

    高津委員長代理 他に御意見はありませんか。     —————————————
  21. 高津正道

    高津委員長代理 日程第一二、國立女子大学設立請願山崎道子君外一名紹介(第四九五号)——この請願もただいま伊藤委員の御説明になりましたのと同一趣旨でありますから、この程度に止めたいと思います。     —————————————
  22. 高津正道

    高津委員長代理 日程第五、民間科学技術研究所研究費國庫補助請願海野三朗紹介(第三三七号)——海野君がお見えになつておりませんから、田淵実夫君代つて説明をお願いいたします。
  23. 田淵実夫

    田淵委員 本請願は、民間科学技術研究所研究費に対する國庫補助請願なのであります。海野委員に代つて説明申し上げます。  まず本請願要旨でありますが、わが國産業復興上きわめて重要な役割荘演ずべき優秀な公益的民間科学技術研究所が、現下のインフレに押されまして経済的苦境に立ち、その機能を失おうとしているこの事実に対しまして、速やかに國家といたしまして強力な援助を與え、その活動を促し、日本再建に貢献せしめるよう、國会において善処されんことを希望いたすものであります。  右請願の大旨に加えまして、なお請願に関する諸事項を要約して申し上げますと、優秀な陣容と設備をもつ公益的民間技術研究所が、経済的に破滅の窮境にあるのを救いまして、その特長特質を活かし、本來の使命に邁進させ、科学技術研究の進歩により、日本産業再建に貢献させるため、國庫といたしまして、次のような研究費の支出を実現していただきたいということであります。すなわち昭和二十二年度研究費といたしましては二千万円、昭和二十三年度研究費といたしましては五千万円、この金額は研究所の中の重要なものの研究実行に必要な額の約二分の一に当るのであります。またこの研究費の使途、研究問題の選定研究実施せしむべき研究所選定等嚴正公平科学技術審議機関に諮問の上決定していただきたいということであります。  以上が請願趣旨でありますが、なお一々の條項にわたりまして説明を加えたいのでありますが、いささか長くなりますので、以上の諸点を御勘案くださいまして御採択をお願いいたしますにつきましては、一、研究所の種類と数、二、研究所の起因と業績、三、この民間研究機関重要性、四、研究所の現況、五、研究所のもつ対策、六、國家への要望、七、研究所としての今後のあり方、そういう諸点を御研究くださいますことをお願いいたすものであります。なお以上の諸要項につきましては、詳細請願書の中に述べてありますので、それによつて御檢討くださいますことをお願い申し上げまして、本請願採択希望いたすものであります。
  24. 高津正道

    高津委員長 本請願に対し、政府の御意見を承りたいと思います。
  25. 岡野澄

    岡野説明員 お答え申し上げます。わが國における民間研究機関がそれぞれ独自の内容及び組織をもつておりまして、わが國科学発達産業復興等に、過去非常に貢献してまいつておりましたが、戰後経済界の変動によりまして、経済的に破綻に瀕しつつありまして、おのおの苦しい中を自活体制を確立するように努めておるのではございますが、事業の性質上、その経営維持がきわめて困難な実情にございます。國としても、これらを放置して、そのまま優秀な研究員が離散するというようなことは、わが國の科学研究発達上、多大の損失と考えるのでありまして、これについては種々対策を講じておるのでございますが、特にこれら民間研究所のうち施設陣容等すぐれているものにつきまして、その活発な研究活動を推進するために、昨年度におきましては本予算四百万円、追加予算四百万円を計上いたしまして、これを交付いたしました。なお今年度におきましても、四千五百万円の事業補助費を要求いたしましたが、種々折衝の末、現在では千六百五十万円というような財政当局からの内示を受けておりますが、民間研究機関助成につきましては、この請願の御趣旨とまつたく同樣な考えでございまして、今後とも一層これらの事業助成に努めたいと考えております。
  26. 高津正道

    高津委員長代理 委員の方が御意見があれば発言を許します。——ないようでありますから次に移ります。     —————————————
  27. 高津正道

    高津委員長代理 日程第一四、岡山市に國立綜合大学設立請願西山冨佐太紹介(第五三〇号)この請願はすでに前回の委員会において同一趣旨請願について西山君より十分なる説明を承つたのでありますから、なお十分に審査をいたすこととして、本日はこの程度に止めたいと思います。     —————————————
  28. 高津正道

    高津委員長代理 日程第二一、宗教心涵養に関する請願坂東幸太郎紹介(第七八八号)——坂東君が御出席がありませんから、伊藤恭一君にお願いします。
  29. 伊藤恭一

    伊藤(恭)委員 國民宗教心を涵養し、道義高揚をはかるという請願でありますが、現在のわが國においては、まことに遺憾ながら道義の頽廃、精神の腐敗低下というような欠点を初めとして、あげねばならぬことはたくさんありますけれども、その中で最も大なるものの一つとしては宗教心の欠如がある。そのために政府といたしましては道徳高揚のために種々の方策を立てて施行しておられることは、われわれも知つておるところでありますけけども、その効果の見るべきものがはなはだ少い。これがためにわれわれといたしましては、この道徳高揚のために、教育方面においても一段とこれを強化することが必要でうるということを感じます。特に青年國公安委員その他あらゆる機関を動員いたしまして、現実的に國民の、特に青少年男女宗教心涵養ということに努力しなければ、ほんとうの平和日本文化國家というものの建設はむずかしいのであります。そういうような考えからこの請願をいたす次第でありますから、どうぞこの点を御了承いただきたいと思います。
  30. 高津正道

    高津委員長代理 本請願に対し、政府の御意見を承りたいと思います。
  31. 近藤春夫

    近藤説明員 ただいまの御請願に対しましてお答えいたします。  道義高揚、平和國家建設の立場から、宗教心ないし宗教的情操の涵養の必要であることは申すまでもありません。しかし政府といたしましては一宗一派に偏しました宗教教育を行うことはできませんので、むしろ各宗派並びに宗教家自身の積極的な活動を要望しますとともに、その協力によりまして、國民、特に青少年に対する正しい人世観の確立、あるいはまた和平的な國家再建に対する意欲を高揚することはきわめて必要なことであります。特に社会教育方面におきましては、現在社会教育委員制度が置かれておりますが、その委員の中にも多くの宗教家の参加を得ておりますし、また公民館等の施設の中におきましても、あるいはまた各種の学校開放の上から、文化講座等に宗教家の御努力が非常に活発になつてまいつておりますので、これらの自発的な宗教家の蹶起によりまして、今後青少年に対する宗教心、あるいはまた宗教的情操の涵養、あるいはまたその普及は、逐次顯著な効果をあげていくことを期待しておるのであります。ただいま文部省におきまして、社会教育研究大会を全國各府縣に実施しておりますが、その研究大会におきまして、特に本年度におきましては、参加せられまして宗教家が、非常に熱心に積極的に社会教育に対しまして関心を寄せられておりますので、今後これらの宗教家の御活動によりまして、青少年に対する宗教教育の普及あるいはまた徹底を期待しておるわれでございます。
  32. 高津正道

    高津委員長代理 委員の方で御意見があれば御発言を願います。
  33. 伊藤恭一

    伊藤(恭)委員 今の政府の答弁によりまして、それぞれ努力をいたしておられるようでありますが、もちろん新憲法によつて一宗一派に偏することのいけないことは、はつきりわかつております。でありますから、教育の面に取上げるときは、もちろん一宗一派に偏することはいけません。しかしながら現在の青少年間におきましては、宗教心というものがどうも乏して感じかする。そういうことを指導するためには、やはり家庭というもの、特大婦人というような方がそういうことについて非常に関心を深め、そうして子弟を教養するということが非常に必要でありますから、今もお話がありましたように、社会教育、特に婦人の面におきまして、こういうようなことを助長するように、ひとつ格別の努力を拂つていただきたいと思います。
  34. 高津正道

    高津委員長代理 ほかに御意見はございませんか。     —————————————
  35. 高津正道

    高津委員長代理 なければ、日程第八、中等教育免許状所有者の取扱に関する請願、豊沢豊雄君紹介(第三七八号)——豊沢君がお見えになりませんから、黒岩君に代つて説明を願います。黒岩君。
  36. 黒岩重治

    ○黒岩委員 本請願は、香川縣三豊郡の前川正宣氏がら出されたものだありまして、要旨は、中等教育免許状を有する者、特に文部省檢定合格者に、官、私立大学受驗資格、高等文官試驗本試驗受驗資格、高等教育の免許状所有者には大学院受驗資格等を與えられたいというのであります。  本人が述べられました請願趣旨を申し添えますと、今や世をあげて民主主義の時代である。学問教育の世界においても、男女の共学、教育の民主化等、幾多新して施策が講せられ、大学は次第に開放せられ、特権から大衆へ、学閥から実力へと喜ばしき足取りを示しているが、教育の世界にあり、学問の情熱に燃えるいわゆる文檢学徒に対しては、その数が少いためか、あるいはまた何らから理由によつてか、文理科大学以外の大学への途は開かれていない。語学の力云々が問題にされるかもしれないけれども、およそ学閥より実力、肩書より内容の今日においては、語学の力もなく大学に進もうなどという大それた考えをもつている者は一人もない。また入試に際しては語学の試驗もあるはずである。平等の立場において試驗をしていただきたい。中等学校または師範学校を出て、孜々として教育の事に從い、数年ないし十数年黙々として独学にこれ努め、文部省檢定試驗に合格した者への制度の上からの思いやり、向上の方途の措置があまりにも講じられていないことを残念に思い、ここに請願書を提出する次第である。これが本人から述べられましたところ請願趣旨であります。当局においては十分制度の上においての檢討を加えられまして、できるならば本請願採択せられ、そうしてこうした独学者の進むべき途を開いてやるような方途が望ましいことであるし存じます。
  37. 高津正道

    高津委員長代理 本請願に対し、政府の御意見を承りたいと思います。学校教育局專門教育課長米原君。
  38. 米原穰

    米原説明員 お答え申し上げます。ただいまの御請願の問題は、要約いたしますと、新制大学ができました場合に、その大学に入学する者の資格の点になるかと思います。新制大学の入学資格は、一應学校教育法によりますと、六年の小学校、三年の中学校、三年の高等学校、合計十二年の学校教育を経た者ということになつておりますが、それ以上の力ある者と文部大臣が認めた場合には、入学の資格があるということになつておりますので、特に今仰せになりましたような、実力があつて機会を與えられてほしいという篤学の士に対して、途を開くということにつきましては、十分に考究する余地があるのではないかと思うのであります。ただいまの御請願趣旨につきましては、十分に研究いたしまして、御趣旨に副うようにいたしたいと思います。
  39. 高津正道

    高津委員長代理 委員の方で御意見があれば発言を許します。     —————————————
  40. 高津正道

    高津委員長代理 それでは日程第七、大学開放に関する請願豊澤豊雄紹介、(第三七七号)——豊澤豊雄君がお見えになりませんから、黒岩君にお願いします。
  41. 黒岩重治

    ○黒岩委員 本請願は前川正宣氏から提出せられたものでありまして、要旨は民主主義はまず学問文化の平等化にあり、学問の自由と学校の開放が第一條件である。ついては一、通信教授による校外生の教育、二、講座、講義録による大学教育の開放、三、教職にある者への内地留学制による大学開放をはかられたいというのであります。  請願の趣意書として本人の記述したものを読み上げます。民主主議はまず学問文化の平等化を要求し、学問の自由と学校の開放がその第一條件になる。しかしてここに文化の平等化、すなわち普及とはその低俗化を意味するものであつてはならない。でき得ベくんば文化は高くそして廣くありたいものである。しかして一切の防壁を失つた今後の日本においては、個人々々の中に打立てられた教養と学問のみが問題の一切を解決するし、また唯一のよりどころでもある。かかる意味からも働く者にも、そして都市はもちろん、田舎の青年にも、殊には教育そのものの道に精進する者のためにも、高き文化の光を廣く與えるために、東大、京大、東北大等を中心に、その道の権威をすぐつて請願にあるごとき措置を大学との協力のもとに強力に積極的に講じられたい、こういうのであります。本請願趣旨はまことに簡單でございますけれども、篤学の人々の燃ゆるような求道の情熱がよく表現されております。十分慎重御審議の上、御採択あらんことを希望申し上げます。
  42. 高津正道

    高津委員長代理 本請願に対し政府の御意見を承りたいと思います。米原学校教育局專門教育課長
  43. 米原穰

    米原説明員 お答え申し上げます。ただいまの御請願趣旨は、大学教育を向学心に燃える者に、できるだけ開放するようにという御趣旨だと思うのでありますが、そのうち通信教育につきましては、すでに大学通信教育の実設を始めております。まだ國立大学がそれを開始するには至りませんが、これもおいおいには通信教育が行われるようになるのではないかと考えておるのであります。第二講義録その他による教育の普及ということでありますが、この点につきましては、まだ十分の研究はしておりませんが、今後そういうことができますならば、これも非常に有意義なことだと感じますので、大いに研究したいと思います。最後の、現職にありながら内地留学の機会を與えるようにという点でありますが、これは現に各專門学校等によりましては、大学に内地留学をする機会をつくつておるのでありますが、今後はさらにそういつた機会を多くいたしまして、小学校の教員、中等学校の教員につきましても、そういつた機会が與えられるように講ぜられるべきであると考えております。以上お答え申し上げます。     —————————————
  44. 高津正道

    高津委員長代理 委員の方で御意見があれば発言を許します。
  45. 高津正道

    高津委員長代理 なければ日程第一〇、函館市に学藝大学設立請願川村善八郎紹介(第四四三号)——川村君の御出席がありませんから、近藤鶴代君に代つてお願いします。
  46. 近藤鶴代

    近藤委員 川村善八郎議員に代りまして申し上げます。この函館市に学藝大学設立請願は、函館教育会長山中肇氏によつて請願されているのであります。函館市に四年制國立学藝大学の創設せられるよう、その実現方について格別の御配慮を賜わらんことを請願する理由につきましては、函館市は北海道の関門に位し、かつ北海道文化発祥の地であり幕末、明治、大正、昭和にわたつて、すでに國際的開港場ないしは貿易港としての價値を発揮し來り、昨年の夏、貿易再開を許可せられてからは、観光地函館の地域的好條件とともに、いよいよその將來を重視されるに至り、現に二十三万の人口を有して、北海道文化圏の重要地域性を確保し、特に教育養成機関設置については、先に明治の初め小学校教員傳習所あり、次いで官立函館師範学校、函館縣立函館師範学校、北海道函館師範学校を通じて現に北海道第二師範学校設置となり、その間卒業生を出すこと数千名に及び、青少年の教育地方文化高揚のため寄與せる業績の多大なるものあるを認めるものであるが、今般教育刷新委員会において、教員養成大学を創設して、從來よりも一層廣くかつ深い教養を積んだ教員を養成するとともに、いわゆる大学教育普及の目途をもつて、現在の師範学校の設備内容を改善拡充して、昭和二十四度から大学轉換の措置を講ぜられるように承つているが、この際現在の北海道第二師範学校の一切をあげて、学校教育法に規定する四年制國立大学を創設して、一面には権威ある教育養成機関とし、他面には一般向学の人をも進学せしめて、教育機会均等文化高揚をはかり、日本再建の重要なるかぎたらしめんとするものである。右実現のため特段の御配慮をいただきたく、函館教育会員の総意をもつて請願するというのでございます。どうか御審議の上御採択あらんことをお願いいたします。
  47. 高津正道

    高津委員長代理 本請願に対し、政府の御意見を承りたいと思います。米原專門教育課長。
  48. 米原穰

    米原説明員 お答え申し上げます。北海道には師範学校といたしまして、札幌と旭川と函館との三師範学校、岩見澤に青年師範学校がございます。これらの学校は、いずれも教育者養成を主眼とする大学に切りかえられるはずであります。北海道の道廳及び各師範学校の方々の御意見を総合いたしますと、この三つの師範学校一つの青年師範学校を打つて一丸として、北海道学藝大学という方向で進んでもらいたいという御意見も出ております。はたしてそういたしましても、北海道におきましては、現在なお教員が足らないような状況なのでありまして、これは現在の規模をでき得る限りさらに拡張いたす必要があるのではないかとさえいわれております。そういたしますと、当然現在函館にあります師範学校大学になるのでありますが、その形がこの三校を合体いたしましたときにどういうふうな形をとるようになるか、その点につきましては、今後十分に研究していきたいと考えております。
  49. 高津正道

    高津委員長代理 委員の方で御意見があれば発表を許します。——別に御意見もないようであります。  それでは本日の請願審査はこの程度で打切りまして、本委員会は一應散会としたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 高津正道

    高津委員長代理 ただいま文部省調査局長辻田君がお見えになつておりますので、この際近く提出されるように伺つております教育委員会法に関しまして、懇談会として政府の御説明並びに委員の御意見の発表を願いたいと思いますが、これも御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 高津正道

    高津委員長代理 それではこれにて散会いたします。     午前十一時三十三分散会