運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1948-07-02 第2回国会 衆議院 文化委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年七月二日(金曜日)     午後三時六分開議  出席委員    委員長 小川 半次君    理事 鈴木里一郎君 理事 佐藤觀次郎君    理事 最上 英子君       佐々木盛雄君    竹尾  弌君       原田  憲君    山名 義芳君       受田 新吉君    馬場 秀夫君       高橋 長治君    並木 芳雄君       成島 憲子君    川越  博君       森山 武彦君  出席政府委員         労働政務次官  大矢 省三君  委員外出席者         議     員 千賀 康治君         文部事務官   小林 行雄君         文部事務官   釘本 久春君         商工事務官   長村 貞一君         運輸事務官   間島大治郎君         專門調査員   武藤 智雄君     ————————————— 本日の会議に付した事件   請願  一 一宮市に纖維工業復興世界平和大博覽会開    催の請願早稻田柳右エ門紹介)(第九    七号)  二 官報増刷に関する請願小澤專七郎君紹    介)(第四五八号)  三 ヘボン式ローマ字復活請願坂東幸太郎    君紹介)(第一〇九〇号)  四 著作権確立に関する請願鈴木里一郎君紹    介)(第一二〇四号)  五 映画技術者免許制度改革に関する請願(山    口六郎次紹介)(第一二〇五号)  六 「こどもの日」を祝祭日に指定の請願(松    原一彦君外一名紹介)(第一三八〇号)  七 カレンダー出版部類編入請願安平    鹿一君紹介)(第一五五〇号)  八 カレンダー出版部類編入請願安平    鹿一君外一名紹介)(第一五六七号)  九 著作権確立に関する請願松本淳造君紹    介)(第一六三六号) 一〇 別府に國際観光港としての施設充実請願    (中島茂喜君外四名紹介)(第一六五四    号) 一一 映画館及び劇場の入場料統制撤廃請願(    大野伴睦紹介)(第一七二三号) 一二 聖典刊行会文化事業助成請願高橋長    治君外二名紹介)(第一七四六号) 一三 奈良縣國宝並びに重要美術品修理費及び    維持費の財源として富籤発行許可請願(    東井三代次君外十三名紹介)(第一七八八    号) 一四 奈良縣國宝及び重要美術品修理費國庫補    助の請願東井三代次君外十三名紹介)(    第一七八九号)     —————————————
  2. 小川半次

    小川委員長 会議を開きます。  本日は昨日に引続き請願を議題といたします。  なおこの際千賀議員から御発言の申出がありますから、これを許します。千賀議員
  3. 千賀康治

    千賀康治君 制限漢字のことで、委員外質問のお許しを願つたのでございますが、これは私一人の意見ではございません。治安及び地方制度委員会におきまして、法律の中に、制限外漢字かな表現されたり、あるいは半分かなで半分本字表現されたり、非常に復雜多岐乱雜を極めた表現が出てまいりますので、それに関していろいろ檢討行つたのでありますが、結局は制限漢字の線でということで、その整理がつかないのであります。そこで治安及び地方制度委員会では、決議といつても過言でない申合せをいたしまして、私がここにその代表として質問さしていただくのであります。  治安委員会でまず問題になりましたのは、地方制度の今度改正さるべき法案の中に、「じゆん化」という言葉が、「じゆん」はかなで「化」は本字で出てきた。その次には「じんかい処理場」と、かなで「じんかい」と書いて「処理場」が本字で出てまいつたり、または「ドツク」というかなが出てくるかと思えば、一方の法案では「船きよ」と「船」の字にかなで「きよ」と出てきて、括弧が振つてありましたり、まつたく復雜を極めているのであります。そこで「ドツク」というかなが出てくるかと思えば、一方の法案の方では、「船(きよ」——船という字に、渠の字がかなで出てきて、括弧で括つてありましたり、まつたく復雜をきわめておるのであります。そこでドツクという字は、要するに今まで「船渠」という字で表現をされておつた字でありますけれども、その「渠」が制限漢字にひつかかるということで、「渠」の字がかななつたらしいのであります。かようなふうで、同じ字でもその場次第で、あるいは起案されます各局課役人都合でこんなふうに表現をされてきておるのであります。また「じゆん化」という字も、私はその委員会において「じゆん」の字は西扁に享という字であろう、これは今まで日本の字書を見れば、酒の純粋なものであつて、まじりけのないものであり、またこれを人生にあてはめれば、「醇朴」の淳の字は、今度は「シ」に同じつくりになりますが、淳朴な人情を表わすものである、かように書いてあるのでございます。そこで「じゆん」の字を強いてかなで使うというわけはどういうわけか。もしもかような意義が表わしたいというならば、制限漢字の中の他の文字使つても、かような意味は表わせるじやないか、あるいはこれを風俗の「じゆん化」というふうに言わずして、風俗の美化、向上、発展というような言葉を使えば、制限漢字の中でもその表現はできるじやないか。かような質問をいたしたのでありますが、政府当局は、それはそうかもしれませんけれども、「淳」の字は長く法律用語として使い慣れておるから、「淳」の字を他の字をもつて表現するということになると、どうも感じがぴんとこないから、このままかなで使いましたという話であります。「じんかい処理場」も、同じく「塵芥」という字はちりあくたというやまと言葉がある、そのことだと思うけれども、もしもわかりやすくかなで書きたければ、なぜ「ちりあく処理場」と書かないのか。また「塵芥」という字を同意義の字で表現するならば、都市老廃物処理場または掃溜処理場、かようにすれば、制限漢字の中にある字でこの意義表現できるじやないか、かような質問に対しても、そこまで考えておりません。「塵芥」という字は、もう何となしに日本話なつたような氣がしておるから、この字を移動しては、「塵芥処理場」とくつつけて考えたときの感じが出てこないから、そのままかなでやつたという話であります。この例は治安並びに地方制度委員会法案において逢着した例でありますけれども、およそ各種の関係法案についてどれくらいこうした間拔けのものが出てくるかもしれません。もしもこの法律制定されまして、われわれがそれに抵触して裁判の処断を受けるような場合、判決文の中に、お前は「じんかい処理」の件に抵触して、何年の刑に処するとか、あるいは「風俗じゆん化」に抵触してどうするとかいうような問題が出てきたときに、はたしてわれわれはその処断に服する氣持になるだろうか。もしもそのかなの中にほかの字を入れたとすれば、まるで正反対な意義をここに表現し得るのだ。この字をあてはめて、こういう正反対な意義のことでおれたちはこの処断を受けるわけはないのだというような理屈が出てきたら、一体その理屈に対してどういう抵抗ができるであろうか。これは結局制限漢字という、きわめて無理な制度が、こうしたことを生み出してくるのであるから、これは何とかせずばなるまいということになります。私の考えでは、何でも制限漢字法的根拠をもたして、これの中へつつこんでしまおうというならば、役人はその字の中で他の字を用いて同意義言葉表現しなければならない責任がありましよう。そうすると、これはそんなに日本文学なり、日本語学に堪能な役人ばかりはいないのであります。全國何十万とある官公職員たちがそういう問題にぶつかつたときに、一々文部省制定しましたこの制限漢字の索引をもつてきて、はたして自分の表現しようというものでその中にあるかないか。またどの字をもつてきたら、それができるかということは、一人々々が相当邦字に自信がなければ、なかなかそれは決定しがたいことであります。一般官公吏にしてその能力ありとは断定ができません。これをやろうとすれば、結局その人らは神経衰弱になるよりしようがない。神経衰弱にならぬとすれば、結局きまらないで、いつまでたつて事務が進捗しないということになつてしまうのであります。そこで、この制限漢字のために、日本の全官公廳能率がどんなに落ちるかということを考えますと、実にこの問題の影響するところは、戰慄に値するような大きな問題が起つてくるのであります。私ども治安並びに地方制度委員会といたしまして、全國の各縣廳以下役所——予算にいたしましても、國が四千億であれば、その半分の二千億を使います各部の関係役所吏員たちが、どんなにこれで苦しむであろうかということを考えますと、どうしても安閑としてこのままおることはできません。そこで考えてみますと、文部省のその筋のお役人達は、かような運動をすれば、邦字簡單表現できることになつて、今まで何十万字とある、——康煕辞典をずつと集計いたしましても、四十万か五十万あると思いますが、かような大きな範囲漢字を二千字か、二千五百字に詰めてしまえば、それだけ日本語簡易化であつて日本人文化に対する能力がそれだけ上るのである、この不必要な消耗をここで減らすことができるのだというようなお氣持があると思います。同時にその氣持ができた本はというば、西洋のアルフアベツトが二十六文字で、その組合せですべての表現ができる。それで進んでおり、そして漢語から進化をしてきた日本語は遅れておる、こういう断定のもとにそういうことをお考えなつたと思うのでございますが、私の見るところでは、西洋文字といえども、必ずしも二十六文字表現されておるのではありません。あれは二十六の記号でいろいろな字が組み立てられておるのでございまして、記号簡單だということであれば、日本語こそもつと簡單であります。漢字こそ最も簡單でありましよう。ポツと棒とかぎと、あるいはずつと曲つたものとか実に簡單な字画だけで数十万語の表現ができておりますので、これくらい進んだものはないと言えるくらいでございます。また英語といえども、かつてシエークスピアーは、その一代に二十万語くらい使いこなしておるということを言われておりますが、英語などは決して文字が少いのではありません。彼らといえども三十万語、四十万語というような実に多数の文字をもつてあの文化は、その文字によつて表語され、また後世に傳えられつつあるのであります。そこでこの二千五百字にわれわれの文字をたたき込もうということは、いかに考えても、日本語文字方面はそれだけ簡素化し、能率化するということは絶対に言えないことであります。そこで私は結論として当局に進言をいたしたいことは、もちろん今日のごとき能率時代になりましては、新聞に使う活字等はある程度に制限をして、あとはかな表現をするということになれば、相当に樂になると思いますから、新聞活字等がある数字できめられるということは、私どもも異論がないところでございますけれども法律表現し、また日本人生活文化表現するのにどうしても使わなければならない文字に逢着するならば、どんどんと制限漢字に改訂を加えて、その数を多くしていかなければ、どうしても必要な文化をここに表現することができないし、またあまりにも事務能率が低下するということになつては、この制限漢字を置く目的が逆になると思うのでございます。われわれの聞くところによりますと、私ども金科玉條としております憲法でさえも、今の制限漢字では全部が表現しきれぬということを聞いております。はたしてそうであるかどうか、これも当局の御意見を伺いたいのでありますけれども、さようだとすれば、いかにこの制限漢字をきめたきめ方が乱暴であり、独善的であり、民族生活とおよそ縁の遠いものであるかということを断定せざるを得ないのでございます。そこで將來の問題として、私ども各省あるいは各部局で法律表現するに際して、どうしてもこの文字制限漢字にないが、これだけは入れてくれなければ表現に非常に不便だということを、月々また議会のたびでもよいのですが、それが集計されて要求されてきた場合には、文部省制限漢字の係の方では、これに審査を加えていくという方針にしなければ、非常に不便があり、また國民の実に大きな反感を買いまた官公廳の学力なり、そこに携わる人の精神的な苦痛を実にはかり知れざる大きな谷間に引入れていくと思うのでございます。この点に関して当局の御意見を伺いたいと思うのであります。特に御意見でありましても、独善的にあらずして、われわれの逢着した苦痛を十分にいやすに足るものをもつた御意見を伺いたいのであります。
  4. 釘本久春

    釘本説明員 ただいまの千賀議員の非常に御熱心な、國語の生命を尊び、國民生活將來をお考えいただいた御意見を承りまして、御意見の中には私どもも平素この仕事を扱つておりまして、心から御賛同申し上げる点も多々あるのであります。またある部分については技術的な問題で、私どもの御説明の申し上げ方が足りませんために十分御理解されていない点もあり、そのために私どもの方でやつております仕事に対して御縣念をおもちになるように思われる点も拜承いたします。この二つの点について、私どもの携わつている仕事の上からお答え申し上げたいと存じます。  最初の方にお話がございました、たとえば終戰後法律を民主化するという建前から口語文で書かれ、義務教育終つた程度の一般國民國会で協賛を経る法律案をほとんど全部わかるようにするという建前口語文にし、用字もなるべくやさしくしようという建前からこうなつておるのでありますが、その際の漢字使い方としましては、大体において当用漢字表千八百五十字で活用するという方針がとられているわけであります。それには、かえつて用字上の不統一が起り、また用法の理解をするのに困難な場合も、生じてくる、そういう点についてどういうふうに考えているかというお話でございました。その点について詳しく具体的な例をおあげになりましてお話になりましたが、その点で私どもも同じ考えをもち、実はかねがね調査もいたしておつたのであります。たとえば当用漢字にはいつてない漢字で書かれる言葉、その際にはかなで書く。かなで書くと今度はわかりやすいかというと、かえつて意味がよくわからないという場合がある。こういう御指摘でございました。その際にむしろ当用漢字表の中にはいつている言葉で、現在における漢字使い方からすればほとんど同じような意味に使われていると思われる漢字を轉用して書くか、あるいはほかの言葉で言い表わすかしたらよいではないか、こういう意見が出たように思いますが、その点はまことに私どももそのつもりなのでございます。たとえば「あつせん」などという字がございますが、「あつせん」などという言葉につきまして、「旋」という字は当用漢字にございます。ところが「斡」の方はないということになると「あつ」はかなで書く。ある部分漢字で書きある部分かなで書くということになると、かえつて読みにくくなる。その際には法律上の問題でございますから、私ども言語問題だけに携わつている者の意見だけで左右することは、全部が全部できるというわけにはまいりませんので、私ども立場といたしましては、同じような意味をもつており、そして当用漢字の中にあるようなやさしい、だれにも大体わかる漢字でつくられる言葉で言いかえていただくか、あるいは別の漢字で書いていただくか、こういうふうにしていただけば、少い漢字のため、言葉がかえつてわかりにくくなるという煩が防げると思うのであります。殊にその点につきまして適切な例をおあげくださいました。たとえば「じんかい処理場」というようなことを、何も「じんかい」とかなで書いて、「処理場」と漢字で書ようなことをするよりは、「塵芥」という字が書けないならば、ほかの「ちりあくた」という言葉もあるではないかという御指摘がございましたが、まことにその通りでございまして、私ども漢字制限をするにしても、日本言葉をできるだけ活かして使いたいという立場、まだ漢字の素養が十分國民全般にありました時分にはそうでございませんでしたが、近ごろは漢字使い方が非常に乱雜に行われておりまして、漢字言語簡單にくつつければすぐ言葉ができるようなことが一般に出ておりますので、そういうことを避けて、なるべく由緒のある日本語で言い表わせるものは言い表わす、かように考えているのでございますが、こういう場合には、むりに言語をそのままかなで書き表わすというよりは、無理のない日本語で言い表わす処置がとられたいと思うのでございます。また「船渠」というときに、一方には「ドツク」という外來語が書いてある。こういう点も不統一ではないかという御説でございます。これもまことに御指摘通りでございまして、外來語をどのくらい日本語として認めるか、國会関係政府関係のような國民一般に示す文書の中にどのくらい外來語を用いるべきかということについて、十分檢討した上で統一をはからねばならぬことと存じます。当用漢字國語審議会という諮問機関審議の後にできまして、総理大臣の訓令によつてども実施に当りました根本の意味は、これによつて國民全体が法律その他の國民生活上必要な読み物を十分に理解することができ、民主國家を建設する上に必要な知識が正しく得られるようにするという建前から選ばれたことと私どもは確信いたしております。從いましてこの実施にあたつて一段とくふうを加え、字の制限ばかりでなくて、言葉が不統一なことのないように、かえつて読みにくいようなことがないようにするという配意は、当然これに伴つてども努むべきことだと存じております。それがために多少の調査もすでにできておりますが、これは昨年來各省で打合わせまして、結局のところ法律や政令に用いられている言葉について十分檢討を加え、終戰後出ているものについては特に十分檢討を加えて、それが当用漢字表によつて書かれる場合にどのくらいわかりにくいところがあるか、それを十分檢討の上言葉を言いかえるとか、他の漢字で書きかえるとかいう具体的な処置をとり、各省が一致してやれるようなプランを立てるように今努力しております。  なお当用漢字表によれば、このたびの新憲法にも読めない漢字があるとお氣づきの由でございましたが、そのようなことはございません。憲法國民必読のものでございますから、憲法にある漢字当用漢字表の中に審議の際に國語審議会ではお入れになつたのでございます。  次に法律用語のことが特に中心でございましたので、ややくどいと存じますが、技術的なことをお答え申し上げます。当用漢字表は、本來前書にもあるように、一般の普通の生活における漢字制限が、なるべく無理なく行われるようにしようという建前でつくられたものでありまして、從つて「当用」という名前も永久不動のものだという意味ではなくて、社会一般都合よく漢字整理が行われるようにという意味でつくられたものでございます。そこで專門用語や固有名詞はこの範囲ではないというふうに前書にもうたつてございます。從つて法律にしましても、技術、学問に関する用語など特殊なものについては、必ずしもこれに縛られることはない。普通の一般國民生活の上で影響深いものはこれでやろうという意味合なのであります。從つて法律関係言葉にいたしましても、特に法律專門言葉については、これから先どういう言葉が適当であるかということの整理が十分行われた上で完全にこれが実施されることになるわけでありまして、多少專門用語当用漢字表以外のものが使われることは決して法の精神に矛盾するものではないのであります。ただ私どもの力がまだ十分にありませんために、不徹底な点が多々あるものとは存じますけれども、この当用漢字制限とともに、言葉の方の整理を十分進めていきますならば、そのためにかえつて地方公共團体に勤務しておられる方々文書を書かれる場合に困られるということは、だんだん少くなつてくるのではないかと考えております。現に昨年「公用文の手引」というものを内閣と文部省で編纂しまして配付いたしましたが、これも紙等の足らぬためにずつと地方のあらゆる自治團体にまでは行き渡つておりませんけれども、書く場合の用式語は、それで片づくように努めておる次第であります。要するに当用漢字で書けない專門用語については、專門家だけのものでなく、國民一般にわかりやすいような言葉專門学者が大分努力しておられますので、直していただいてからは完全に当用漢字で賄える時期が参りましようけれども專門用語については特に拘束すべきでないと考えておりますことと、現に文書を書きます場合に、御指摘のごとく、かえつてかな書にしたら根拠のわかりにくいものについては、ほかの漢字で書き表わすか別の言葉で言い表わすようにする。それから当用漢字制定について法的に拘束するような意図をもつてやられたのかということが、あるいは私の伺いようが惡いのがございましたが、これは全然さようなことはございません。また私どもはそういうような問題については法律でどうこうすべき問題ではないと考えております。私ども行政命令として、閣議決定の上、官廳の公文書をきめます場合に、この範囲で賄えという命令が出ておりますので、これも実施しようと考えております。  なおこの表の制定について文部省ということでございましたが、これは長年明治以來國語審議会という各方面方々がお集まりになつております委員会で慎重審議されまして、多年の歴史を閲してつくつた案でありまして、その國語審議会の答申を総理大臣において採用されたわけであります。しからば一般意見を聽かずに國語審議会という諮問機関でつくられたのかというように言われますけれども、実際には私どもの方としては各省から必要な字は全部提出していただき、また各新聞社からも提出していただき、また学会で発表せられておるものは全部参考にして、一應檢討して、委員方々にはそれらの材料檢討された上で、決定されたものでございますから、民間に長い間漢字についていろいろな材料が出ておりますが、それは十分檢討されたことと確信いたします。
  5. 小川半次

    小川委員長 この際請願説明者並びに政府委員の方に申し上げますが、日程が多数ございますので、説明される方もまた御意見を開陳される方も、努めて簡略にお願いいたしたいと思います。
  6. 千賀康治

    千賀康治君 ただいまの御答弁でわかりますけれども文章なり常用語なりは、あえて政府でそんなに力を入れなくても、これは時代変遷とともにどんどん変更をしてまいります。われわれが、たとえば古事記の祝詞等を読みましても、ほとんど難解になつておりますし、また里見八犬傳のころの文章を見てもわかりにくい。それどころでなく、明治のころの黒岩涙本日の飜訳小説などがありますが、そのような文章もわからなくなつておる、これは官憲においてこんな文章に変えろと圧迫したのでもなければ、指導したのでもない、時代の趨勢によつて文章は、日本語使つておる日本人の顔が変らなくても、どんどんと時代に即應して変つていくのであります。今大きなエポツクがわれわれ民族に來ておるのでありますから、当然日本語が変りつつあることは否定しません。われわれは三千年の古い歴史の上に立ち、その時代々々によつて、やむにやまれぬ民族生活変遷とともに、この用語も自然にある流れをもつてつていくのです。それをわずかに四、五箇月ぐらいと聞いておりますが、その間にあなた方國語審議会のお方々が、どんなにこれを人為的にやろうと思つても、自然の流れはさえぎり得ないのだし、また自然の流れによつて、放つておいても自然に國語は進化していくのだから、あまりさようなことをやられる必要もないと思うのであります。しかし、せつかく今までやつたということであれば、いたし方がありません。しかしここに聞捨てならぬのは、先ほど言われましたが、同意義のことがこれで表現ができるということであります。確かに表現はできます。かく申す私も無学でありますが、國語に興味をもつておりますから、今の制限漢字を與えられて大抵の思想を表現せよと言われれば、何とかくふうはしますが、それだけのことのできる吏員が全國の官公廳の中にどれだけあるだろうか。多数の人がさようなことができなければ、結局必要なところにぶつかつて、妙ちくりんなかな文字をもつてくるよりほかにしようがない。そのかな文字を一つもつてくるにも、必ずその人たち簡單にはできない。起案をするとき、手紙を書くとき、公文章を書くとき、必ずあなた方の通牒とか、原本を見て、ああだ、こうだと時間をかけ、必ずかななつたり、あて字になつたりするのであります。その苦労、そのスピリツトの消耗、また時間の消耗を考えますと、あなた方は利益と認めておるだろうが、むしろその消耗に対しては代償がないじやないかとまで私は思つております。これはやられてもいたし方がないが、私はおやめになつても大した害はないと思います。やろうとお考えになつておやりになることはいいと思うのでありますが、この制限文字の増補は相当鋭敏におやりにならないと、現在の法律が非常に不統一不徹底になつてしまつて、窮極するところがないと思う。われわれの救うことのできないところまでいつてしまうと思うのであります。私がこの質問を発しました理由は、今年私どもが参画いたしました法律が、地方制度委員会が逢着しましたような矛盾に逢着することをなくしたいと思つたが、とりあえずわれわれ原案通りきめておきましたけれども、これをできるだけ早い機会に全部統一して、表現文字を改訂したいと希望するのであります。
  7. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 当用漢字は、内閣の訓令あるいは告示によつて実施することを進められておりますが、先ほどのお話によりますと、この訓令ないし告示というものは、当用漢字の法的に拘束する法的根拠は決してもつておらぬのだというお話を承りました。現実の面にぶつかりまして、たとえば子供が産れると赤ちやんの名前を役場に届けにいく。そうすると係員が、これは当用漢字ではないといつて受けつけないのであります。現に私はそういう苦い経験をもつておる。これについて、どういう見解をもつておるか。吏員あたりが間違つておるならば、そういう考えは間違いであるということについて、あなた方の方から何らかの措置をとらるべきでなかろうか、これについて簡單に御質問申し上げます。
  8. 釘本久春

    釘本説明員 お答え申し上げます。産れる子供の名前のつけ方は、戸籍法の問題であります。これは司法関係の戸籍法の立案、実施に当つた政府委員にお答え願つた方がいいと思います。私もその点についてはまつたく素人でございますが、固有名詞については、当用漢字制定のことに当つております私どもの部局では、はずしである。それは当用漢字の前書にもあります。固有名詞の漢字について、どう読んでいいかわからない地名、人名などについて、お互いに読みやすくするのには、どうしたらいいかという処置が重大な問題でありますので、それは今後の研究題目に残してあるわけであります。戸籍法のことは、当時の司法省関係の方から直接に私どもつておりませんが、第一回國会で新しい戸籍法が通つた際に、名前をつける場合には、わかりやすい、だれにも読みやすいような名前をつけるようにしたがよい、ということがあつたと思いますが、それは委員方々がよく御存じだと思います。その戸籍法が通過して、具体的に法律で示されたやさしい文字というのはどういうものかということで、司法省がそれを当用漢字範囲ということに示されたのだと思います。この点は旧司法関係政府委員からお聽きいただいた方が、その経過がはつきりいたすと思います。ただ私どもとしては固有名詞にしても、お互いに読みやすくするという処置漢字制限伴つて研究しなければならないと存じ、なお研究いたしております。
  9. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 司法省の関係ならば、私はそちらの方にも伺いますが、現に私たちはそういう苦い経験を味わつておる。あなた方文部省において当用漢字をつくりました以上、これと関係はないことであるが、あなたの方もよくお調べ願つて、この次の何かの機会にその間の事情を御報告願いたい。実際役場の吏員などで、この法律に対する知識の欠如から、一般の人々にそういう間違つたことを強制しておることが現実にあるのでありますから、そういうことに対しては何らかの手を打たれるように、あなたの方からも御連絡を願いたい。
  10. 釘本久春

    釘本説明員 承りました。     —————————————
  11. 小川半次

    小川委員長 日程第一、一宮市に纖維工業復興世界平和大博覽会開催の請願早稻田柳右エ門君がおりませんから佐藤委員から御説明をお願いいたします。
  12. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 請願者の早稻田柳右エ門君がおりませんから、私から纖維工業の復興世界大博覽会を一宮に開催することにつきまして、請願したいと思うのであります。古くから織物王國として海外に知られておりますわが一宮市は、現在日本の毛織物の八割までが、大体ここで生産されておるのであります。現在御承知のように、日本の纖維工業の中でも、特に最近はこの方面に非常に力を入れまして、日本の中でも一番優秀なものが現在できておるわけであります。特にこういう観点からいたしまして、御承知のように一宮市の附近の起、奥町、木曽川、荻原、稻沢を初め、最近市制を施かれた津島市等、非常に纖維工業の盛んな土地になつております。そういう意味におきまして、今日平和会議が開かれる前としまして、ぜひともこの纖維工業の博覽会を開きたいというのがこの趣旨でございます。皆さん方の御賛同を得まして、わが一宮市にこの纖維工業の大博覽会が開催されますよう請願いたす次第でございますが、皆さん方の御援助を賜わりたいと存じます。発案者は一宮市の伊神という人でありますが、何とぞ御詮議の上、ぜひ御賛成あらんことをお願いいたします。
  13. 小川半次

    小川委員長 纖維局次長、長村貞一君の御意見をお願いいたします。
  14. 長村貞一

    ○長村説明員 ただいまお話でございましたように、私どもといたしましても、纖維産業が日本復興の中心の産業であると存じております。殊に毛の問題につきましては、これは量的には綿ほどには参らないのでありますけれども、その性質上、今後の纖維産業としまして、最も注意すべきことだと存ずるのであります。御承知の通り原料的に見まするならば、これは國内原料というものはほとんどないのでありまするけれども、この原毛の輸入につきましても、さいわいに將來相当多量のものが海外から輸入される余地がたくさん開かれてまいる際でもありますので、この面の纖維産業は大いに期待し得ると思うのであります。特にお話のございました一宮附近は、從來ともわが國の毛織物産業の中心地でありまして、今日なおその七、八十パーセントを占めておるような状態であります。今後もこれを中核といたしまして、日本の毛の産業が進んでいくことは疑いないと思います。ただ現在及び將來のことを考えますると、いろいろ技術の点につきまして、なお檢討を要する問題も多々あろうかと思います。こういう点になりますると、ただいまお話のように世界各國のこの方面の権威者が一堂に会しまして、最新の技術を討議し、またこれを通じてわが國の纖維産業を振興するということは、非常に望ましいことであるわけであります。各般の情勢から、今ただちに世界各國のこの方面の権威者なり、あるいは顧客というようなものが一堂に集まるということは、あるいは困難かとも思いまするけれども、最近の情勢から見ますると、多数のバイヤーが参りまして、非常な関心をもつてそれぞれの産地も視察し、またいろいろなアドバイスも與えておるような次第でございます。もしさいわいに機会を得ましたならば、わが國の毛の主要産地におきまして、世界各國の権威を網羅しました会が、あるいは博覽会その他の会合が催されるということは、纖維産業発達の立場からも非常に望ましいことであると存ずる次第でございます。
  15. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 ちよつと商工省の当局にお尋ねするのでありますが、先ほど申されましたように、纖維工業の大事なことはわかつておりますが、現在こういう博覽会をやるような案が、商工省に計画されておるかどうか、簡單でよろしゆうございますからお願いいたします。
  16. 長村貞一

    ○長村説明員 ただいまのお話でございますが、さしあたり商工省といたしましては、お話のような各國の人を集めての展覽会、博覽会というものの開催は、実は考えておらないのでございます。ただ製品を紹介するためには、積極的にいろいろな施設も講じておりますし、バイヤーに対するいろいろな説明その他の処置も講じております。
  17. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 そういうような場合がございましたならば、ぜひともその候補地として一宮市に、そしてそこにおける纖維博覽会の開催について、格段の御協力をお願いしたいと思います。     —————————————
  18. 小川半次

    小川委員長 次に日程第三、ヘボン式ローマ字復活請願坂東幸太郎委員がおりませんので、高橋委員から御説明をお願いいたします。
  19. 高橋長治

    高橋(長)委員 紹介議員に代りまして、御説明を申し上げます。本請願の要旨は、民主的な新日本文化を打立てるためには、文字言葉の改革が第一でありまして、これを最も自然にかつ効果的にいたしまするには、まず小学校、中学校の教育の半分をローマ字によつて行いまして、その熟したるローマ字日本語一般に普及する意味をもつて、小学校のローマ字教育を國策の一部として遂行されたいというのでございます。
  20. 釘本久春

    釘本説明員 ローマ字の読み書きを國民一般が覚えますことが、國民言語生活を非常に能率的にするということについては、まことに御請願の趣旨の通り賛成でございまして、昨年度から小学校、中学校でローマ字を教育しても差支えないことにいたしております。しかしながら日本の社会が全部ローマ字で行われているわけでもございませんので、子供たちを一人前の社会人とするための義務教育を、半分をローマ字で行うということは、現在のところ考えておりません。     —————————————
  21. 小川半次

    小川委員長 次に日程第五、映画技術者免許制度改革に関する請願。山口六郎次議員がおりませんので、鈴木委員から御説明をお願いします。
  22. 鈴木里一郎

    ○鈴木(里)委員 紹介請願者の山口君に代りまして、私からその要旨を申し上げたいと思います。本請願の要旨は、映画技術の一分野といたしまして、また観賞という技術面を最高度に発揮しなければならない映写技術者の資格審査が、從來のような單なるフイルム取扱のための防火のみの面の試驗方法では、とうて映画技術の向上は望めない。ついては官民合同の映写技術者認定試驗委員会を構成して、映画技術者免許制度を改革されたいというのであります。請願者は全日本映写技術者連合会中央委員長齋藤鎌次郎外一名になつております。
  23. 大矢省三

    ○大矢政府委員 ただいま御説明のありましたように、この請願の趣旨は映画技術者の免許に対して、技術の向上の委員会を構成してこれをはかれ。今日のごとき單なる映画技術者に対する試驗では、はなはだ貧弱ではないか、こういう御趣旨であろうと思います。現に今技術者の試驗制度は、そこには委員会になつておりまするけれども、諮問委員会というものが——これは法的の根拠はありませんけれども——ありまして、今請願されておるところの日本映画技術者連盟からも、すでに委員が出ております。そこで御趣旨の通りの内容をもつと充実いたしました試驗制度を採用いたしまして、その請願の趣旨たる、すなわち技術員の向上あるいはまた資格の上においても、もつとそれを認めるような制度をとりたい、すなわち請願の趣旨に副つてこれを行いたいと考えるのであります。この機会に申し添えておきたいことは、当時その御趣旨の通り委員会制定いたしまして、そういう資格を高めようと思つて、いろいろ関係方面とも折衝したのでありますけれども、この委員会制定することの了解を得ることができなかつたために、諮問委員会としてそれに諮問することとして、今日試驗制度を行つておるような実情でありますので、なおこの請願の趣旨に副いたいと考えておるのでございます。以上御答弁いたします。     —————————————
  24. 小川半次

    小川委員長 次に日程第一〇、別府に國際観光港としての施設充実請願。川越委員から御説明願います。
  25. 川越博

    ○川越委員 本請願の要旨を御説明申し上げます。別府は阿蘇、霧島、雲仙その他多数の観光地を含めての全陸上の観光基地とも申すべき重要なる地点でございます。ところがせつかくの観光基地に対しまして、現在横浜、神戸の両港は國際観光港として外國船の出入りが自由に許されておりますけれども、別府港だけはその運びに至つておりませんから、なるべく速やかに外國船の出入りができますように、國際観光港としての施設を充実していただきたい。こういう請願でありまして、この提出者は九州各市議会議長会の実行委員の要望として、九州各縣の市会議長が出しておるのでありますから、何とぞ御採択あらんことをお願いいたします。
  26. 間島大治郎

    ○間島説明員 お答えいたします。別府港の計画につきましては、運輸省といたしましては、これを観光港及び遊覽港としての計画をもつております。総経費は観光港の方は五億八千万円、遊覽港の方は七千万円というような計画を立てまして、本年度におきましても相当額を要求いたしたのでありますが、公共事業費が相当削減を受けました関係で、本年度は基本的な調査とそれから防波堤の一部を着手するということで、今年度から手をつけたいと考えておるのでありまして、五百万円の中の二百万円を國庫補助として支出いたす予定にいたしております。     —————————————
  27. 小川半次

    小川委員長 次に日程第一三及び第一四を一括いたします。奈良縣國宝並びに重要美術品修理費及び維持費の財源として富籤発行許可請願並びに奈良縣國宝及び重要美術品修理費國庫補助の請願、この二件について鈴木委員から御説明を願います。
  28. 鈴木里一郎

    ○鈴木(里)委員 奈良縣國宝並びに重要美術品の修理費及び維持費の財源として富くじを発行方の請願の要旨を説明いたします。御承知の通りこの請願の要旨は、奈良縣といたしまして、國庫にこの費用を要求しておるのでありまするけれども、ただいまの財政とにらみ合わせて、はなはだ微々たるものでありまするから、この際特にこの國宝並びに重要美術品の修理費及び維持費等の財源といたしまして、奈良縣に富くじを発行さしてくれという趣旨であるのであります。この余儀ない事情をおくみとりいただきまして、何とぞ御賛成あらんことを希望いたします。この請願者は縣会議長の植田周一氏になつております。なお紹介議員は東井三代次君外十二名となつておりますが、何とぞ御採択あらんことをお願いいたします。  次に奈良縣國宝及び重要美術品修理費の國庫補助に関する請願であります。提出者は同じく奈良縣会議長植田周一氏であります。紹介議員は東井三代次氏でありますが、御出席がありませんから私から代つて要旨を申し上げます。奈良縣の重要美術品並びに國宝は、さいわいにして戰災を免れましたが、有為轉変の世相はこれを顧みるいとまがなく、今や荒廃の一歩手前にさらされている惨怛たる状態でありまして、うたた感慨の禁じ得ないものがあります。これら國宝の多くを持つ古社寺は、ほとんど檀家、信徒をもたず、自己の生活にさえ追われておる現状であります。右の事情に鑑みまして奈良縣國宝協会、観光協会、宗教連盟が相協力いたしまして、奈良縣名所旧跡國宝保存連盟を結成し、廣く特志家の御協力を求むべく立つたのでありますが、すべて思うに任せざる現状であります。つきましては國家財政きわめて困難のときではありますが、右の実情御推察の上、國会においてこれが保存に積極的なる措置を一日も早く講ぜられんことを請願するのであります。以上がこの請願の要旨であります。
  29. 小川半次

    小川委員長 文部省文化課長小林説明員。
  30. 小林行雄

    ○小林説明員 奈良縣の古文化財の保存事業に対する経費補助並びにこれに関する富くじ発行の問題でございますが、一括して御説明申し上げたいと思います。御説のように奈良縣は古文化財の優秀なものが非常に多数あるのでありますが、これが最近非常に腐朽しておりますので、文部省といたしましてもこの奈良縣の古文化財の保存につきましては特に力を入れて修理を実施しておるのであります。ただ現在のような保存に関する予算の状況では、十分なことはできません。本年度の保存修理に要する経費千七百万円のうち、この奈良縣下には六百四十五万円、約三分の一強の國庫補助を出す予定をいたしておりますが、それをもつてしては十分ではございませんが、文部省としましては、できる限り今後もこの奈良縣下の國宝その他の保存事業については力を入れてまいりたいと思つております。なおこの富くじの発行につきましては、あるいは財政当局の方からお答えを願う方がよいのではないかと思つておりますが、文部省といたしましては、現在國庫の状況が非常に窮迫しておりますので、これ以上國庫から補助を出すということは無理ではないかと思います。しかしどんどん腐朽いたしますので、奈良縣地元といたしましてこういう事業のために富くじを発行なさるということは、文部省としては非常にいいことだと思つておりますので、大藏省の方とも連絡して、できるだけ実現をはかりたいと考えております。
  31. 原田憲

    ○原田委員 これに関連して先日私が請願いたしまして本委員会で採択されたのでありますけれども、重ねてお願いしたいことは、御承知でありましようが、六月二十四日附で連合軍の総司令部経済科学局から商工省の貿易廳あてに、制限外國旅行の件について、観光事業に対する判然たる意思表示があつたのであります。それはすなわち一週間当り二十四名、一年約千二百人の人たちが今度は來ることになつたのでありまして、七月十五日から連日純観光の目的で海外からわが國にやつてくるわけであります。その観光先は今のところ富士、箱根、あるいは日光、京都、最後に奈良というコースになつておるのであります。ゆえにこの奈良は観光事業として現実的にわが國としてこの文化財をいち早く復興してこの趣旨に合致しなければならないと考えるのであります。文部省の方では今、金がないというような話でありまして、先日もそのような話でありましたけれども、まだ今為替レートはきまつておりませんが、これはドルに換算しても二十一万ドル、二百円パーにしますれば四千二百万円という金がはいつてくるのでありまして、今日もこれの前途の見透しを聞きましたところ、初めは二十四人ぐらいであるけれども、この予定はおそらく倍あるいは三倍になるであろうという見透しをもつておりますから、私はこれらによる收入は続々あがつてくると思います。ゆえに政府がこれに対して支出することは、決してマイナスにはならないばかりでなく、プラスになるのでありますから、私は文部当局としましても、強硬にこの予算をおとりになるように願いたい。私たちもそのために助力をいたします。私は今観光面から申しておりますが、日本の國内的に申しましても、世界中にない法隆寺の建築物など、特に保存の要があると思いますので、繰返して申し上げますが、極力当局に対して、この実現方をお願いいたしておきます。
  32. 小川半次

    小川委員長 明日は午後二時半から引続き請願並びに陳情に関する問題を議題といたします。本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時十二分散会