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1948-07-01 第2回国会 衆議院 文化委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年七月一日(木曜日)     午後三時十一分開議  出席委員    委員長 小川 半次君    理事 鈴木里一郎君 理事 佐藤觀次郎君    理事 最上 英子君       佐々木盛雄君    竹尾  弌君       原田  憲君    山名 義芳君       受田 新吉君    馬場 秀夫君       高橋 長治君    並木 芳雄君       成島 憲子君    川越  博君       藤田  榮君    森山 武彦君  出席政府委員         新聞出版用紙割         当事務局長   成田勝四郎君  委員外出席者    議員 神山 榮一君 議員 福田 繁芳君    議員 田村 虎一君 議員 稻田 直道君    議員 山村治郎君 議員 吉川 久衛君         運輸事務官   間嶋治郎君         文部事務官   小林 行雄君         專門調査員   武藤 智雄君     ————————————— 本日の会議に付した事件   請 願  一 一宮市に纖維工業復興世界平和大博覽会開    催の請願早稻田柳右エ門紹介)(第九    七号)  二 雜誌「相撲」に用紙割当増加請願佐藤    觀次郎紹介)(第一〇八号)  三 光市に観光施設施行請願守田道輔君紹    介)(第一二三号)  四 日光における國宝建造物修繕費國庫負担の    請願高瀬傳紹介)(第一五六号)  五 「九州朝日新聞」に用紙割当請願(荒木    萬壽夫君紹介)(第一六九号)  六 ローマ字國策に関する請願木下榮君紹    介)(第一八六号)  七 日光における國宝建造物修繕費國庫負担の    請願戸叶里子紹介)(第二二九号)  八 「花まつり」を祝祭日指定請願山名    義芳紹介)(第二四一号)  九 「発明祭」を祝祭日指定請願馬場秀    夫君紹介)(第二六三号) 一〇 「民主新聞」に用紙割当請願宇都宮則    綱君紹介)(第二九〇号) 一一 後樂園復旧費國庫補助増額請願多賀安    郎君外六名紹介)(第二九一号) 一二 大善寺中門重要美術品認定請願(坂    東幸太郎紹介)(第三四三号) 一三 「明治節」を祝祭日指定請願竹尾弌    君紹介)(第三六四号) 一四 「こどもの日」を祝祭日指定請願(松    澤兼人紹介)(第四一一号) 一五 官報増刷に関する請願小澤專七郎君紹    介)(第四五八号) 一六 「教育節」を祝祭日指定請願青木孝    義君紹介)(第五〇四号) 一七 丸亀城附属建造物國宝認定請願(福    田繁芳紹介)(第五二五号) 一八 工藝研究所設置請願八並達雄紹介)    (第五三六号) 一九 金刀比羅宮所藏品重要美術品認定の請    願(福田繁芳紹介)(第五八九号) 二〇 観光関係出版物用紙割増加請願高橋    長治紹介)(第五九三号) 二一 「濱松民報」に用紙割当請願川合彰武    君紹介)(第六一一号) 二二 「莊内自由新聞」に用紙割当請願(圖司    安正君紹介)(第六五一号) 二三 出雲大社修繕費國庫負担請願木村小    左衞門紹介)(第六八九号) 二四 「こどもの日」を祝祭日指定請願(最    上英子紹介)(第六九〇号) 二五 長岡市に観光ホテル設置助成請願神山    榮一紹介)(第七一四号) 二六 「こどもの日」及び「母の日」を祝祭日に    指定請願山崎道子紹介)(第七二二    号) 二七 「花まつり」を祝祭日指定請願(佐々    木盛雄紹介)(第七四九号) 二八 錦帶橋國宝指定請願田村虎一君紹    介)(第七六〇号) 二九 「紀元節」を祝祭日指定請願成島憲    子君外三名紹介)(第八三三号) 三〇 「南信時事新聞」に用紙割当請願(今村    忠助君紹介)(第九二二号) 三一 柳井町の観光事業國営請願受田新吉君    紹介)(第九八二号) 三二 熊本市に國営ホテル設置請願吉田安君    外三名紹介)(第一〇七一号) 三三 ヘボン式ローマ字復活請願坂東幸太郎    君紹介)(第一〇九〇号) 三四 「山陽民報」に用紙割当請願多賀安郎    君外一名紹介)(第一一〇六号) 三五 著作権確立に関する請願鈴木里一郎君紹    介)(第一二〇四号) 三六 映画技術者免許制度改革に関する請願(山    口六郎次紹介)(第一二〇五号) 三七 世界万靈供養の鐘建立に関する請願吉川    久衛君外三名紹介)(第一二四九号) 三八 ザベリヨ遺蹟顯彰費國庫補助請願受田    新吉君外一名紹介)(第一二七五号) 三九 「藥業事報」に用紙割当請願小川半次    君紹介)(第一三一八号) 四〇 「貿易タイムス」に用紙割当請願(細川    八十八君紹介)(第一三七八号) 四一 神崎神社本殿等國宝指定請願稻田    直道紹介)(第一三七九号) 四二 「こどもの日」を祝祭日指定請願(松    原一彦君外一名紹介)(第一三八〇号) 四三 伊能忠敬記念館設置並びに旧宅修理費國    庫補助請願山村治郎君外一名紹介)    (第一四五四号) 四四 カレンダー出版部類編入請願安平    鹿一君紹介)(第一五五〇号) 四五 「防長新聞」に用紙割当増配請願受田    新吉紹介)(第一五五二号) 四六 カレンダー出版部類編入請願安平    鹿一君外一名紹介)(第一五六七号) 四七 龍角寺本堂修理費國庫補助請願竹尾弌    君紹介)(第一五七八号) 四八 著作権確立に関する請願松本淳造君紹    介)(第一六三六号) 四九 別府國際観光港としての施設充実請願    (中島茂喜君外四名紹介)(第一六五四    号) 五〇 「河内日日新聞」に用紙割当請願高橋    長治紹介)(第一六五五号) 五一 映画館及び劇場の入場料統制撤廃請願(    大野伴睦紹介)(第一七二三号) 五二 労働組合等の各機関紙用紙割当請願(    山名義芳君外三名紹介)(第一七四三号) 五三 聖典刊行会文化事業助成請願高橋長    治君外二名紹介)(第一七四六号) 五四 社会科学習指導書用紙割当請願福田    繁芳紹介)(第一七七二号) 五五 奈良縣國宝並びに重要美術品修理費及び    維持費の財源として    富籤発行許可請願東井三代次君外十三    名紹介)(第一七八八号) 五六 奈良縣の国宝及び重要美術品修理費國庫補    助の請願東井三代次君外十三名紹介)(    一七八九号)     —————————————
  2. 小川半次

    小川委員長 これより会議を開きます。  本日は放送法案請願を取扱うことになつておりますが、便宜上請願の方から先に審議に移りたいと思います。  最初日程第二五の長岡市に観光ホテル設置助成請願について紹介議員神山榮一君から御説明を願います。
  3. 神山榮一

    神山榮一君 長岡市に観光ホテル設置請願であります。長岡市長松田長岡商工会議所会頭駒形両氏からの請願になつております。  今回当市産業復興再建計画の一環として、市郊外悠久山公園観光ホテルを設置いたすこととなり、目下関係筋に対し猛運動を展開中であります。御承知のごとく当市新潟縣下第二の大都市として越後平野中央に位し、上越線信越線分岐点として交通要衝に当り、また商工業中心地にして縣下唯一の戰災都市にもかかわらず、その復興躍進は眞にめざましいものがあります。このたび観光ホテルを誘致せんとする悠久山公園は、市の東南約二キロあり、園内蒼柴神社牧野中興英主忠臣侯をまつりてこれに事代主命を配祀する縣社であり、社殿壮麗で園内は小丘をなして老松亭々天をまし、古杉欝蒼幽境の趣がある。歩を移せば長岡の地は脚下に少さく、遠くはるかに越後平野の消えんとするところに詩の國佐渡ケ島は夢のごとく浮んでいる。園中には、グランド、プール、料亭があつて春は花にあこがるる人、夏は涼を逐う者、秋は紅葉、冬はスキー場とし四時客を絶つことがでない自然色ゆたかな六万坪の大公園である。乘合自動車並びに電鉄は常に往復頻繁であり、観光ホテル誘致に対しての立地條件からしても、まことに申分なき適地と思料されます。今回観光ホテル設置の議起るや、これが実現には全市眞に一丸となり、全力を傾到してあくまで目的達成を念願しておる次第でありますから、右事情特に御賢察の上、当市産業復興のため、格別の御詮議をもつてこれが建築に要する原材料資材及び資金の面につき、一臂の御力添えを賜わりまして、ぜひ長岡市に観光ホテルを設置できるように何分お願いいたしたいと思うのであります。
  4. 小川半次

    小川委員長 この件について運輸省問嶋観光課長から当局の御意見を聽くことにいたします。
  5. 間嶋大治郎

    間嶋説明員 観光ホテル整備につきましては、運輸省といたしましては、ホテル協会あるいは観光連盟というような関係團体代表者と協議いたしまして、全國的なホテル整備計画というものを立てたのであります。これは主として國際観光見地から、実は急いでつくられたものでありまして、その計画におきましては、長岡はいわゆる日本の代表的な國際観光地という範疇に入つておりませんので、考えておらなかつたのであります。しかしホテルというものは必ずしも國際観光だけではございません。國内観光あるいはまた一般宿泊施設としても、当然考慮をしなければならないのでございます。現在資金資材につきましても、從來は比較的低位に置かれておつたのでありますが、この点ホテル整備上、非常に遺憾でもありますので、目下資金につきましては、観光施設整備の方は、乙、運轉資金の方は丙ということになつておりますが、この順位引上げ方につきまして、安本当局に要請中であります。最近産業資金貸出順位の改訂が全面的に行われますので、この際ぜひこれを引上げてもらうべく折衝しております。それから資材の点につきましても、從來観光施設としてのはつきりした資材わくがなかつたのでありますが、施設整備上、どうしてもはつきりした資材わくをつくらなければいけないというので、これまた観光施設というわくをつくりまして、そしてそのわく内でホテル整備をはかることを、安本及び関係筋に折衝いたしております。第三・四半期ぐらいから実現することを考えております。当面の長岡の問題につきましては、そういうふうな資材の点につきましては、わくが一應きまりましたならば、全國的な計画とにらみ合わせまして、できるだけ早く実現に移したいと考えておる次第であります。
  6. 並木芳雄

    並木委員 紹介議員に一つ質問します。今のホテル私営ですか、設立の当事者はどこでございましようか。
  7. 神山榮一

    神山榮一君 これは私営でやりたいと思つております。現在現地におきましては、——ここにも書いてありましたが、料亭並びに旅館設備があるのでありますから、これをもう少し改造とかあるいは拡大をしていただけばよいと思います。これは新規につくるのではありませんから、適当な設備がありますから、これへ拡充していただけばよいと思います。
  8. 並木芳雄

    並木委員 この際観光課長にお尋ねしておきたいと思います。観光事業がいつも焦眉の急であるといわれて、また近くは外人観光客も正式に入國を許可されてくる。そういう段取になつてきたので、いろいろ外客專門ホテルのみならず、やはり日本人向けとしてつくつておいても、案外外人のお客の中では、そういうものを好むお方も多いのじやないかと思います。ただいまお話がありましたからお尋ねするのでありますが、何と申しましても資金資材、特に資金であると思うのであります。先日私復興金庫に行きまして、観光事業に対する融資はどうなつておるかと聽いたのであります。ところがこれは全然問題にならぬ、こういうような責任者の答えだつたのであります。ところが今お聽きしますと、設備資金の方は乙、運轉資金の方は丙だそうですが、とにかく設備資金が乙になつたということは、これは当局皆さんの御努力の結果であろうと思います。乙になれば、どの程度の條件が具備されれば、復興金融金庫あるいはどこの銀行でそういうものを受けつけるのか、そこをひとつ確かめておきたいと思います。
  9. 間嶋大治郎

    間嶋説明員 産業資金の貸出し順位は、御承知通り現在は甲の一、甲の二、乙、丙、こういう段階にわかれております。甲の方は積極的に貸出しをするもの、丙は貸出しをしないもの、乙はその中間に位するもので場合によつてはやるということで、ある程度銀行に対しても自主的な判断の余地を與えているようであります。結局乙になりますれば、貸出しできないものではない。もちろん銀行が貸出しをいたします場合には、相手方の資力信用あるいは事業計画というようなことを見て、安全と考えた上で貸出しをしなくては困る。実際問題としまして、最近においても、地方で、たとえば長崎ホテルとか、あるいは別府の裏の由布院、この二つは最近建築許可が出ておりますが、たとえば長崎ホテルは、地元銀行で七千万円借りる、あるいは福岡でもホテル建設計画がありまして二つ銀行からそれぞれ五千万円ずつ借りるというようなことが実現しているのであります。もちろん銀行が断る場合もあるので、私の方へ参りまして、乙になつているから困るのだ、こういうことを言うのですが、その場合には、やはりその御本人の資力信用というようなものを考えまして、貸出しをしないような向きもかなりあるようであります。先日参議院でもこの問題につきまして、安本大藏省関係官も呼ばれまして、いろいろお話がございましたが、そのときも大藏当局としても、特に緊急なものであれば、たとい丙のものであつても、特別申請があれば、審議の上やり得る道は開けている。乙のものであればそういう銀行の自主的な判断で出し得ることになつているから、なるべくそういう方面と折衝の上解決をしてもらいたい。どうしても必要なもので実現しないものがあれば、正当なルートを通つて中央まで出していただけば、大藏省としても審議の上貸出しができるように取計らう、こういうようなことを言つておりました。実は私どもといたしましては、國際観光施設については、乙でも満足できない、少くとも國際観光施設國内観光施設とにわけて、國際観光施設設備資金は甲にしてもらいたい、こういうような希望をもつているわけであります。この問題につきましては、ごく最近に全面的な改正をやるという段どりで、各省の打合せもあるようでありまして、そういうときに、私の方といたしましても極力努力するつもりであります。どうぞひとつよろしくお願いいします。
  10. 並木芳雄

    並木委員 当局からごらんになつて、今まで観光事業に一番力を入れている銀行はどこでしよう。一番頼みやすい所は……。
  11. 間嶋大治郎

    間嶋説明員 やはりそういうことを企画される方の関係の深い銀行では、積極的にやるようです。今のところは乙類になつておりますから、その人個人資力信用事業能力というようなものが非常に影響しているように思われるのであります。地方銀行でも相当額の貸出しをいたしております。     —————————————
  12. 小川半次

    小川委員長 次に三一号、三二号に移ります。まず三二の熊本市に國営ホテル設置請願吉田安君に代りまして福田繁芳君から御説明願います。
  13. 福田繁芳

    福田繁芳君 熊本市に國営ホテル設置請願でありますが、ちようど今承りますと、長岡ホテル設置請願相当要旨が共通しておりますから、その点省略いたします。  この請願熊本縣議人の決議に基きまして、縣会議長の名をもつて院議長に参つておるわけであります。紹介議員熊本縣選出各党議員が連名して参つておるわけであります。なぜ熊本國営ホテルを設置してくれということを縣議会が強く要望しておるかと申しますと、熊本縣は枚挙にいとまのない豊富な観光資源を有しておるということ、殊に御承知阿蘇國立公園は、その規模が至つて雄大である、世界第一の火山として、外人はぜひ一生に一度は見物いたしたいというあこがれをもつておるという。しかるに、こういう立地條件のよいところの熊本市に、過般の戰災のために、大多数の旅館ホテルというものが燒けてしまつてございませんので、この際外客誘致外貨獲得のために、九州につくるならばぜひとも熊本につくつていただきたい、これが請願の大体の要旨であります。さいわいに運輸省観光課長もお見えでございますが、ほのかに承りますれば、つい最近運輸省においても、この國営ホテルの御案が大体成り立つたというように伺つておりますが、でき得べくんば、この請願要旨に基きまして、熊本市、殊に西日本では四國の高松市、この二箇所には、ぜひ國営ホテルをつくつていただきたいということをお願いいたしたいと思います。     —————————————
  14. 小川半次

    小川委員長 それでは受田君、柳井町の観光事業國営請願の御説明を願います。
  15. 受田新吉

    受田委員 この請願趣旨説明いたします。柳井町は山陽線岩國の次の急行の停る駅で、皆さん承知の所であると思うのでありますが、ここは四國と九州との交通要衝になつておりまして、宮島と相対立する重要な観光地帶であります。從つて、海上にヨツトあれば、陸上にゴルフ・リンクというようなものを設けて、現に五箇年計画で、非常な熱意をもつて仕事を進めておるのであります。これらについて、でき得べくんば國家においてある程度のこういう観光施設を、國庫補助その他によつて設置していただいきたい、こういう請願であります。しかも將來この地方が中國、四國、九州要衝になつて瀬戸内海の発端の中心地になるということを考え、しかも宮島中心としての瀬戸内海観光地帶の核心をつく地方であるということを考えるときに、このあたりに國家が十分に力を入れて、観光施設の完備に努力願いたいというのであります。希くは十分御審議の上御採択をお願い申し上げたいと思います。     —————————————
  16. 小川半次

    小川委員長 次に國宝関係に類するものを議題といたします。第二八、錦帶橋國宝指定請願田村虎一君から御説明願います。
  17. 田村虎一

    田村虎一君 錦帶橋國宝編入せられたいという請願であります。簡單に御説明申し上げたいと思います。錦帶橋は一名そろばん橋とも申しまするが、岩國崎を貫流する錦川に架せられた一木橋であります。これは岩國藩主三代の吉川廣嘉の考案にかかるものでありまして、今から二百七十年前に架けられたものであります。その河床と橋台と橋梁と、この三つは、二百七十年前の考希といたしまして、今日の日本土木建築学上におけるところの非常に進歩した科学の見地からしても、まことにりつぱなという好評を世人から受けておるのでありまして、さきに史跡、名勝、天然記念物としまして、名勝といたしましての國の保護を受けておりますが、さらに國宝として指定をお願い申し上げたいと思うのであります。橋の小さい構造等につきましては、御説明を省きますけれども、これは請願書に詳しく市長から出しましたものに書いてありますのでごらんを願いたいと思うのであります。ごく簡單に御説明だけ申し上げておきます。
  18. 小川半次

    小川委員長 次に日程第三八、ザベリヨ遺蹟彰費國庫補助請願について受田新吉君から御説明願います。
  19. 受田新吉

    受田委員 これは山口ザベリヨ遺蹟を顯影するための委員会が設置されておりまして、その方から例の聖フランシスコ・ザベリヨ遺蹟を顯影するために、國庫補助をお願い申し上げたいという請願であります。これはわが國に最初に渡來したあの有名なキリスト教宣教師フランシスコ・ザベリヨのことでありまして、そのときの模樣はすでに歴史家もよく知つておるし、國民がわが國に西洋文明を注入してくれた偉大なる人材として注視しておるところでありますので、るる御説明を申し上げることはいたしませんが、山口フランシスコ・ザベリヨは二回やつてきて、文化中心をここで切り開いていつたという重大な関係がありますので、來年このザベリヨの四百年記念式典がわが國で全般的に行われるにあたりまして、ただ宗教的な関係のみでなく、あらゆる西洋文化を非常に大きな立場からわが國に注入した偉大なる人材を大いに顯影する、わが國を今日あらしめるに非常に大きな推進力となつてくれた人物をこの際大いに顯影してその遺徳をしのびたいという、非常に大事な問題でありますので、山口縣においては今年より縣知事が委員長になつて、この画期的な事業をやり、これに対して記念館資料保存館、そういうものを置いて、さらに戰時中一應取壞されておつたあの記念碑までも復活して、ここに西日本中心としての偉大なる文化人を顯影する運動を起したわけであります。これに対してただいまお手もとにありますような趣旨でできた機構と事業ごらんいただいたらわかります通り、非常に大きな構想で仕事を始めておるのでありまして、遠くローマ法王廳においてもこれに大いに補助を與えよう、またカトリツク教会関係のものも、これに対して非常な熱意をもつておりまして、ただ宗教的関係のみでなく、文化的関係からも、この偉大なる人材世界的人材として、いや日本を啓発した非常に大きなわが恩人としてのザべリヨを大いに顯影するために、國会においてもこの事業を大しに確認していただき、でき得べくんば國庫よりこれに対する補助をいただいて、この事業の運営を円滑ならしめていただきたいという請願であります。どうぞ高い立場から御審議いただきまして、御採択をお願いしたいのであります。
  20. 小川半次

    小川委員長 次に第四一、神崎神社大殿等國宝指定請願稻田直道君から御説明願います。
  21. 稻田直道

    稻田直道君 ただいま議題となりました神崎神社は、素盞鳴尊をまつてあります靈驗あらたかなる神として、廣く山陰、山陽の農家の間に信仰篤く、崇敬者十万名を超える地方まれに見る神社であります。当社本殿は総けやきづくり、八つむね屋根、ひのき皮ぶきの建築物でありまして、この工事に用いたる経費と人員は、今日においてもちよつと見当のつきかねるものであります。その建築物は、屋根裏下より土台まで、全面彫刻をもつて充満しておる大藝術品であります。なかんずく正面の大彫刻は、名匠とうたわれます左甚五郎の作品よりも、はるかに優秀であると感嘆する藝術家は、あえて國米氏のみではありません。これより後にたくさん神社建築の経歴が書いてありますが、これは時間の関係上省きまして政府当局において、よく請願をお読みくださいまして、他日調査資料にしていただきたいと思います。この席上では省きます。よつて過般当社本殿屋根ふきかえ、及び拜殿修理透しへい建築等工事等を竣功し本年四月その遷宮祭を執行いたしましたが、その際建築物修理指導者として、わが國の國宝彫刻物を各府縣において修繕及び鑑査をしておりまする彫刻家大佛師國米泰石氏に当社建築物及び彫刻物の價値につき、鑑査を受けました際に、同氏はわが國の彫刻建築物の粹は、京都及び奈良であるが、この両者においても、この種神崎神社のごとき藝術はちよつと少いからして、將來といえども再びかようなものはなかなかできがたい。実に日本において珍重すべき建築物であるという証言をされたのであります。つきましては、この偉大なる藝術建築物は、國家として保存すべきものであつて、いたずらに民間に保存して藝術の本旨を誤るがごときことのないようにいたしたいとし、ここに本請願を懇請する次第であるという趣旨のものが、この請願の大体の意向であります。よつて政府におかれましては、とくと御調査の上、國宝指定せられるよう厚くお願いをする次第であります。この際政府当局の御意見を承りまして御採決あらんことを紹介者として希望する次第であります。
  22. 小川半次

    小川委員長 当局の御意見は後ほど一括して回答することにいたします。  次に第四三、伊能忠敬記念館設置並びに旧宅修理費國庫補助請願山村治郎君、御説明願います。
  23. 山村新治郎

    山村治郎君 伊能忠敬が幕末の文化人といたしまして、その功績の偉大でありますことは、いまさら申すまでもございませんが、忠敬の遺品につきましては、先般昭和六年に、その旧宅は史蹟としての指定を受けております。そうしてその後昨年になりまして、ようやく関係文書並びに測量関係の遺品二百十五種が、文部省から重要美術品としての指定を受けるに至つたのであります。しかしながら、これらの関係遺物の保存につきましては完全であるということは言い得ないのでございます。一朝にしてこれが烏有に帰するものはかりがたく、何とかしてこの完全なる保存をせんという企図のもとに、ここに忠敬の記念館設置並びに旧宅補修に関するところの請願を提出したものでございまするが、記念館の経費は、総計予算におきまして一千五百万円、並びに旧宅の保存費につきましては、二百五十万円を計上いたしまして、ぜひともこれが財源につきましては、國庫におきまして御高配を願いたいという理由より、ここに本請願を提出した次第でございます。何分皆さんの御賛同によりまして、御採択あらんことを切望してやみません。
  24. 小川半次

    小川委員長 次に第四十七、龍角寺本堂修理費國庫補助請願竹尾弌君御説明願います。
  25. 竹尾弌

    竹尾委員 龍角寺という寺は、千葉縣印旛郡安食町大字龍角寺にございまして、簡單に申し上げますがこれは佐倉風土記によりますと、和鋼二年に龍女が人間の姿になりまして、この寺をつくつたという傳説がありまするが、これは考証の結果、なおその和鋼年間よりも、もつと前の建築にかかるそうでございます。この境内から出土されましたところの古がわら等々を檢討いたしました結果、大正十一年文部省から國宝建造物保存室の方々が見えられまして、その後考古学者後藤守一氏あるいは建築学者の関野貞博士、伊東忠太博士などが、熱心に考証研究を続けられました結果、この龍世寺に安置されておりまする本尊の銅造藥師如來は、遂に昭和八年に國宝指定を受けまして、今日に至つたものでございます。この坐像は高さ四尺そうして右手をあげまして、與願の印しをなし、左手には藥つぼを載せて、非常に崇高きわめて尊嚴でありまして、その目が細く強い線をなしておる。いわゆるそれは二重まぶたでございまして、二重まぶたというのは非常に坐像としてはまれだそうでございます。この様式、手法から見まして、明らかにこれは奈良朝初期の特色を表わしておりまするが、これは法隆寺の夢違観音や新藥師寺の香藥師如來及び深大寺の釋加如來と、ほとんど同時代のもので、建築学、そういう方面からも、まれに見る傑作でございます。なおこの龍角寺という寺は、元祿五年十二月二十六日に本堂が燒けまして、同元祿十年二月に再建されたものでございますが、昔は二十二坊を下らざる伽藍でございました。その部落は整然たる門前町をなしまして、日本の経済史学の貴重な材料を提供しております。こうした伽藍が奈良朝初期に、奈良の都を遠く離れたこの僻遠の地に建てられたということは興味を引くというよりか、非常に驚異に値する事実であります。この國宝本尊を安置する本堂は近年に至りましてようやく損壞の箇所を増しまして、これが修理も地元だけではとうてい負担に耐えない、こういう実情にありますので、文部省といたしましても何とかこれに國庫補助を與えて、修理を進めたいという御意向のもとに、聞くところによりますと、明年度五十万円程度の國庫補助を與えてくださるというお話でありました。これはおいでくださいましてごらん願えばおわかりになるのでございますが、もうほんとうに屋根は落ち、柱は朽ちまして、損壞の実情まことに目も当てられぬ惨状を呈しておる現状でございますので、どうぞ明年と言わず、本年度百万円の應急修理費をお願いしまして、そうしてこのまれなる國宝を保存していきたい、こういう趣旨でございますので、各委員におかれましてもこの請願を御採択あらんことを希望いたします。
  26. 小川半次

    小川委員長 以上五件の請願についての政府の御意見を願います。文部省文化課長小林行雄君。
  27. 小林行雄

    ○小林説明員 御説明申し上げます。  第一の請願錦帶橋國宝指定の件でございますが、請願の御説明にもございましたように、この錦帶橋は大正十一年に、錦帶橋のみならずその附近の建物を合わせまして、一括して名勝として指定をし、維持管理をしてきておりますので、保存の立場から申しますならば、一應遺憾なくやつてきておるというふうに考えておるのであります。ただ、この請願の御趣旨のように、この錦帶橋はわが國におきましても、きわめて著名なものであり、その造構も建築学上のいわゆるトラスの構造をもつており、また形式も珍しい優雅なものでありますので、建造物といたしましても橋自体が非常に價値のあるものであると、一應考えられるのでございます。その点から申しまして文部省といたしましても、これを國宝あるいは重要美術品指定したいという意図のもとに現在研究をいたしております。  第二番目のザベリヨ遺蹟顯彰に対する國庫補助の件であります。宗教界の偉人であるフランシスコ・ザベリヨ師は四百年前わが國に参りまして、キリスト教傳道のために山口に相当長期間にわたつて滯在し、布教した。その間いろいろ新しい文化をわが國にもたらしたということは、もちろん私どもの記憶いたしておるところでございます。今回このフランシスコ・ザベリヨ師の偉業に対して、有志の方々がおはかりになり、遺蹟顯彰の委員会を組織され、そうして遺蹟顯彰の事業をなさることは、現在の時節柄國際親善の意味において、非常に結構な意義のあることだと私ども考えております。しかしながら國家からこのような仕事につきまして財政的な援助を申し上げるということについては、現在これを支出する途が一應認められておりませんので、財政的な國庫補助ということは非常に困難だと思います。ただ文部省といたしましては、このザベリヨ遺蹟が史蹟として指定し得るものであるならば、指定條件に適うものであるならば、これを調査、研究して指定をしたい。なおそれ以外に精神的に援助ができるものならば、これを御後援申し上げたい。こういうふうに考えておるわけでございます。  第三番目の御請願神崎神社本殿及び拜殿の國宝指定の件でありますが、御承知のように國宝指定につきましては、指定の手続をいたす前に、專門の職員に十分調査をしてもらうことになつております。神崎神社本殿、拜殿につきましては、現在まで実地調査を行つておりませんので、最近の職令に文部省の專門職員を現地に派遣して調査した結果によつて指定するかしないかということを決定いたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  第四番目の伊能忠敬記念館及び旧宅修理についての國庫補助の件でございますが、文部省は昭和六年にこの伊能忠敬の旧宅を史蹟に指定いたしました。それから先年さらに伊能忠敬のいろいろな遺品を重要美術品として指定して、今日まで保存をいたしてきておるのでありますが、最近この旧宅の方は非常に傷んでまいりまして、現状のままに放置しますると、非常に悪い影響がありますので、昨年度においてきわめて僅少な額でありまするが、國庫から補助をいたして、この修理に着工したわけでございます。本年度におきましてもできるだけ予算のやり繰りをいたしまして、國庫から昨年度より増額して補助金を差上げたいというふうには考えておるのでありますが、二百五十万円というようなものの大半を國庫から補助申し上げるということは、予算の経理上とうていできがたいと思います。ただいま申し上げましたように予算の範囲内において、できるだけ増額して差上げたいと思つております。  第五番目に龍角寺の本堂の修理に関する御請願でございますが、この龍角寺の本尊は御請願の御説明にもございいしたように、藥師如來でございまして、非常に優秀なものでございますが、本堂そのものは元禄のころのものでございまして、建造物として特に取立てて優秀であるというのではございません。ただ最近非常に破損をいたしてまいつております。殊に屋根が傷んでおりますので、できるならば修理を國としてもいたしたいのでありますが、御承知のような予算の状況でございまして、前年來引続いてやらなければならない事業が相当ございますので、予算の現状から申しますと、現在では國宝そのものに対する修理も、満足にいつておらない状況でございますのでいわば國宝に対しては間接的な保存施設國宝でない本堂に対して、本年度予算を特に削つて、これを龍角寺の方におまわしするということは、困難ではないかと思つております。私どもとしては、できるだけこれについても將來、明年度以降において考えたいとは思つておりますが本年度においては、ただいま御説明申し上げましたように、実施不可能であると考えておりす。
  28. 竹尾弌

    竹尾委員 ちよつとお尋ね申し上げる時間を與えていただくことを希望いたします。今小林課長さんの御説明によりますと、本尊そのものはなるほど國宝であるが、本堂は國宝ではない。それはわれわれもよくわかつております。しかしその國宝の保存の方法を積極的にお考えくださるならば、当然それを安置しておりまする本堂をぜひ修理していただかなければ、実は上らないのでございました、これはもう理屈でも何でもございません。まつたくひどくなつておりまして、それ以後に寺が何回も燒けました。そうして寺で、あるいは檀家で、これを修築する実際の財政的の能力がないのです。そこでこの間も博物館かどこからかおいでになつたそうですが、ぜひひとつ來年は五十万円くらい出してやつてあげる、こういうことを申して帰られたそうで、これはそのままにして入梅になつてしまうといけなくなる。もう本尊も大分やられているのです。ですからそういう杓子定規でなく、いくらの金でもございませんから、ぜひひとつここで至急にやつていただきたい。そのために文部省の方、どなたでも結構ですから、專門家の方にぜひおいで願いたいと思います。われわれ大いに歓迎いたしますから、ぜひ御來駕くださいまして、その現状のいかにひどいかということを、ひとつごらん願いたいと思うのであります。
  29. 山村新治郎

    山村治郎君 ただいま小林課長さんから、伊能忠敬翁の旧宅保存については、政府といたしましても相当にこれに対する補助金を勘案せんとする模樣を承つたのでありますが、御答弁のうちには、記念館の問題については何ら触れられておらぬのであります。本請願はむろん旧宅保存費についても二百五十万円の請願をいたしておりますが、同時に記念館設置につきまして、一千五百万円の國庫補助をもらいたいということについての請願をいたしておるのであります。しかしてこれが記念館の設置というものは、決してむだなものではございませんで、二百十三、四種に上るところの、伊能忠敬が粒々辛苦、みずから肉筆をもつてつくられた当時の最も進歩した地図といわれておりましたところの、今でも驚嘆されるところのりつぱな地図、そのほかに地図を測量するときに用いられたところの幾多の貴重な機械がはいつておるのでございますが、この機械はいずれも旧伊能家に保存されておるのでございまして、その近所には工場あり、また一般民家が立てこんでおりまして、旧宅の腐朽に伴いまして、いつ何時これが近所の火災に見舞われるかもわからないような、危險な状態におかれておるのであります。從いましてぜひともこれを別な所に移して、永遠に日本文化の先がけをなさつたところの伊能忠敬の遺徳を顯彰したいというのが、この記念館設置の目的でございますので、どうかこれにつきましては何分の政府並びに委員諸氏の御協力をお願いしたいのでございますが、特にどんなにりつぱなものであつたかということにつきまして、御認識を得るために、できることでございましたならば委員の諸氏並びに小林課長さんにもぜひ、汽車でもつて二時間ばかりで着く佐原でございます。そのときは私が御案内いたしますから、おいでくださいますようお願いしたい。日本文化史上におきまして記念すべきものであるということを固く信じておりますので、ぜひ皆さんでおいで願つて、本請願の目的を達成するためにお力添えを賜わることを、切にお願いしてやまない次第であります。
  30. 竹尾弌

    竹尾委員 ただいま山村代議士から、るる伊能忠敬氏の記念館のことにつきまして申されましたけれども、地域的に私が千葉縣で生れたから、そう申し上げるわけではございませんが、御承知のように伊能忠敬は、日本民族が生んだ最大の人物として、今後も大いに顯彰しなければならぬ人物であることは、御承知通りでございます。それゆえに特に佐原及び佐原近在の人たちは、この日本の生んだ文化的偉人を顯彰するために、それこそ血のにじみ出るような努力を続けてまいりまして、今までも幾多の記念の行事を行つたのでございます。しかも先日行われました伊能忠敬翁誕生日の記念祭のごときは、それこそ千葉縣全体がこぞりまして、この偉大なる文化人を顯彰いたしましたので、文化委員会からもわざわざ武藤專門員及び安部能成博士のごときりつぱな方々が寸暇を利用されましておいでくださいまして、盛大なる祭典を行つたようなわけであります。どうぞ今山村代議士のお話のごとく、ぜひこれもひとつ十分御考慮を願いまして、文化委員の方及び文部当局の方の御來駕を願いたいのでございます。これはつけたりでございますが、洋々たる利根の流れを見、そうして諏訪山の緑永久に盡きざる所にわが偉人がまつられておるという、こういう非常に文化的に環境すこぶるよいところでございますので、どうぞ一度皆さんの御來駕を願いましていかに郷土の人たちがこの偉人の顯彰のために熱心なる努力を続けておられるかということをごらんくださいまして、ぜひこの請願を御採択あらんことを望む次第であります。
  31. 並木芳雄

    並木委員 小林文化課長に質問いたします。先ほどのザベリヨ遺蹟顯彰に対する補助金の問題でありますが、國家見地からは財政的援助の方法がないようにお聽きしたのですけれども、これはおそらく憲法の例の八十九條に基いての御見解と思いますがいかがでしようか。
  32. 小林行雄

    ○小林説明員 初めの龍角寺の本尊の修理のことでございますが、もちろん私どもとしましては、予算さえ十分にあれば問題なくこの修理を実施したいのでありますが、御承知のような國宝その他の保存に関するいろいろの現状でございますので、私どもとしては、涙をのんで手をこまねいておるような事情でございます。しかしそれだからといつて、全然策をもつていないわけではないので、それについていろいろ考えておるのであります。たとえばこの御本尊の保存のためには、一時お寺の修理ができるまで博物館へ納めていただくというようなことも一つの方法ではないか。しかし御本尊の関係上これを動かすことができなければこの御本尊はそれほど大きい佛像ではありませんので、小さい厨子をこしらえてその中に入れていただくというような應急的な方法を何とか考える。そうして時期が來て屋根をふきかえることができるようなときには、それを実施するというようことを一應研究いたしておるのであります。  それから伊能忠敬記念館でございますが、史蹟あるいは國宝建造物というようなものの活用方法、利用方法として、これに関連するいろいろな資料をできるだけ收集して、その附近にいわば小さい博物館のようなものをこしらえるということは、顯彰的な意味で理想的ではないかと思つております。そういう意味から、伊能忠敬記念館は非常に意義のあることだと私ども考えるのでありますが、しかし残念ながらこの記念館あるいは資料館というようなものにつきましては、御承知通り私立学校あるいは私立の教育施設というようなものについては、なかなか現状では関係筋の方で國家からこれを財政的に援助するというようなことは認めないのであります。私どもとしても、できればこれはやりたいと考えているのでありますが、これの了解がついておりません。そのために本年度におきましても予算が全然計上されていないのであります。  最後に、ザベリヨ遺蹟顯彰に関する補助金も、ただいま伊能忠敬記念館について申し上げたような意味で、御後援することはむずかしいのではないかと考えております。     —————————————
  33. 小川半次

    小川委員長 時間の都合上進行いたします。次に三七、世界万靈供養の鐘建立に関する請願吉川久衛君の御説明を願います。
  34. 吉川久衛

    吉川久衛君 時間の関係上、きわめて簡單に御説明申し上げます。世界万靈供養の鐘建立期成会の会長有田智玉君、世界万靈供養の鐘建立後援会の会長森高繁雄君の請願によりますところの世界万靈供養の鐘建立に関する請願でありますが、現下平和の叫びは世界各國二十億の民衆一樣の念願であり理想であります。世界平和の根幹は実に今次未曽有の大戰禍のために犧牲となりました戰歿戰災世界万靈を永遠に供養し、日夜その靂を慰め、人類の恒久平和親睦を深め、道義の高揚をはかることこそ、刻下焦眉の急務であります。殊に敗戰日本の現状を想到しますとき、社会の大衆を善導するの方途はこれら万靈を供養する大ぼん鐘を鑄造し、東京都の一角に鐘楼堂を建立して二六時中この名鐘を鳴らし、一切聖靈怨親平等の冥福を祈ることによつて人々の心靈に触れ、さらに人の心をやわらげ、文化向上國民の思想を指導するにありと考えます。私ども発起の有志は協力一致これが実現に粉骨碎身、全心全靈を傾け、重大なる責任を痛感して社会江湖の篤志の共鳴を得て本事業の完成を衷心より念願している次第であります。具体的な問題にちよつと触れますならば、上野公園のそのような適当な場所に平和の鐘とも申すべき万靈供養の塔を建立いたしまして、この戰爭において悲惨な最後を遂げられ、犧牲になられた遺族の方々の念願でもあつて、ここにこの世界万靈供養の鐘を建立してもらいたいということから、この建立期成会となり、あるいは建立後援会となつて、ここに請願に及んだ次第であります。その費用はそれぞれの遺族の方々から零細な醵金をいたしまして、そうして政府あるいは國会等の精神的な御協力によりましてこれが実現を期したいと考えている次第でありますから、何分御審議の上、御採択いただけますよう、お願いする次第であります。
  35. 小林行雄

    ○小林説明員 世界万靈供養の鐘を建立されるという御請願でありますが、新憲法によつて戰爭を永久に放棄し、平和的な文化國家を建設するということを念願としている、われわれ國民といたしまして、こういう事業はきわめて意義の深い仕事であると考えられるのであります。ただいま御説明のように、民間の自発的な仕事として積極的に仕事をお進めになる、政府として精神的な援助をしてくれということであります。政府としては特にこれに積極的に関係して、あるいは援助し、あるいは禁止をするというような意図はもつておりませんが、きわめて意義の深いことでありますので、精神的な援助という意味においてはできるだけ御後援申し上げたい、かように考えております。     —————————————
  36. 小川半次

    小川委員長 次に用紙割当請願に移りたいと思います。三四、「山陽民報」に用紙割当請願、三九、「藥業事報」に用紙割当請願、四〇、「貿易タイムス」に用紙割当請願、四五、「防長新聞」に用紙割当増配請願、五〇、「河内日日新聞」に用紙割当請願、五二、労働組合等の各機関紙用紙割当請願、五四、社会科学習指導書用紙割当請願、以上を一括して議題といたします。山陽民報用紙割当請願、多賀君がただいま席をはずしておられますので、川越委員から御説明願います。
  37. 川越博

    ○川越委員 紹介議員に代つて請願趣旨を御説明申し上げます。本請願は、日刊倉敷新報というのが從來ありましたけれども、これが最近山陽民報として復刊をいたしまして、今日岡山縣の文化都市であるところの倉敷の政治、経済、文化向上の発達に対して非常な貢献をいたしつつありますけれども、現在のところ日刊紙としての配給用紙がないために、非常な不便を感じておるわけであります。これにつきまして政府関係方面等では、本山陽民報に用紙を配給されまして、同地方一帶の政治、経済、文化の推進の一層役立つようにしていただきたい。こういう趣旨でございますから、何とぞ本請願を御採択あらんことを希望いたします。
  38. 小川半次

    小川委員長 次に四五の「防長新聞用紙割当増配請願受田新吉君、御説明願います。
  39. 受田新吉

    受田委員 本請願趣旨簡單に御説明申し上げます。防長新聞山口縣において発行されている郷土唯一の新聞でありまして、石炭生産量において全國第三位にある山口縣で発行しておるという点において、石炭増産という立場から九州、北海道においては、すでに関係新聞が用紙増配によつて石炭版を実施して着々効果をあげている現状において、特に山口縣は全國第三位の石炭産出縣として、その地元紙に石炭版の発行がないということは非常に遺憾である。ここにおいて石炭増産の國策に協力していただく意味において、十分実情を御審議していただいて、石炭版を増刷するための用紙増配をお願い申し上げたいという趣旨であります。特に現下最も強調されている石炭の増産にあたつて、労務者を慰安する新聞がまつたくないということは、九州、北海道と比較いたして非常な遜色をもつている。この機会においてこれら労務者に潤いのある文化面を與えるために、全國三大石炭産地の地方紙としてのこの防長新聞の石炭版の発行によつて潤いがもたれるならば、いかにその増産の上に好影響を及ぼし、ひいては國家の産業に重大なる進展を來すであろうか。この点においてぜひとも防長新聞という特殊性をもつこの新聞に國策の最も大事な石炭増産のための石炭版を特に設けていただくために、用紙の増配をお願い申し上げたいというのであります。これについてはここに詳細に石炭版発行に伴う新聞用紙配給割当増配に関する請願というのがありまするからごらんいただきまして、何とぞ御審議、御採択を願いたいと思います。
  40. 小川半次

    小川委員長 次に第五四、社会科学習指導書用紙割当請願福田繁芳君、御説明願います。
  41. 福田繁芳

    福田繁芳君 ここに請願いたしました社会科学習指導書用紙割当に関する件でありまするが、この請願は学習書協会の決議に基きまして、過日本院議長に御提出申し上げたのでございます。理由書を詳細に申し上げたいのでございまするが、時間の関係上省略いたします。さいわいに委員各位並びに政府委員に、こういつた袋に入つたものを一部ずつ差上げてございまするからこれをごらんくださいますれば、なるほどこれは割当増配してやらねばいかぬというふうに御納得くださると思うから省略いたします。ただ簡單に要点のみを二、三申し上げておきたいと思いますのは、このたび政府が民主主義國家達成の手段として、教育方針を根本的にかえまして、なかんずく教授項目を変更いたしまして、新しく中学校、小学校に社会科を教授することになつたことは御承知通りです。しかしこの小学校、中学校に社会科を教授することになりましたが、課目の内容が多岐にわたつておりますので、これがために適当な指導書がなくて、教師なり生徒が非常に困つております。最近になりましても、議会の方々新制中学校の男の子、女の子がしばしば議員さんたちをつかまえていろいろと政治学のことを教わりに参つておるのもこの参考指導書がないからであります。これは一例でありますが、すべてがこの通りで非常に困つておる。おそらくこういう状態ならば一つの社会問題を起すんぢやないとかいうように教育者は必配しておるというので、ここに請願が出てきたわけでありますから、この協会といたしましても文部当局と緊密な連絡をとつて、何とかして学習指導書を一册でもよけいつくりたいということを申し上げておるのでありまするが、何といたしましても今のように割当の基準と申しまするか、それに基きまして一般参考書並に扱われておるがために、一点三千部しか印刷ができない。御参考に申し上げまするが、今この小学校と新制中学校と高等学校がいくらあるかというと、四万五百五十一校ありまして、生徒はいくらあるかというと、やはり小学校、中学校、高等学校で千六百八十六万五千三百六十八人ある。こういうところへもつてつて一種類三千部しか印刷ができない。殊に今用紙が不自由であるからというて一般参考書並に扱われるならば、おそらくこの小学校、中学校の社会科の参考書というものは何千人に一册しかいかないという状態になるわけでございますから、どうぞこの用紙割当の基準を一般参考書並に扱わなくて、特別のわくをつくつて世の中の変遷きわまりないここ二、三年の間、ほんとうの民主主義教育を達成するために、小学校、中学校、高等学校に一人一册くらいの参考書が渡るようにしていただきたい、これがこの請願要旨と存じております。なお袋の中にはこれに関連した詳しい参考資料がはいつておりますから、とくとごらん願いまして、政府委員並びに委員各位におかせられましては、石炭の地方新聞も大事でございますれれども、よろしく御審議願いとう存じ上げます。
  42. 小川半次

    小川委員長 次に第三九、第四〇並びに第五〇の三案に対して並木委員より御説明願います。
  43. 並木芳雄

    並木委員 それでは最初貿易タイムスの発刊に対する用紙割当請願の要領を申し上げまして、紹介議員に代つてお願いいたします。発行新聞紙名貿易タイムス、種類及び部数、日刊新聞(朝刊)十五万部、発行所、大阪市旭区北清水町一一一八番地、組織、株式会社貿易タイムス、資本金一百万円也(増資一千万円予定)、代表者木村光重、新聞用紙割当應申請書受理番号五〇九号であります。要領から御推察くださいますように、これが大阪方面におい特に必要な貿易上に資するタイムスでありますので、特別の御配慮をもつて当局から割当の受けられるようにという紹介議員細川八十八氏の請願でございます。  次に代りまして紹介議員小川半次氏の「藥業事報」に用紙割当請願を御紹介いたします。いろいろ貴重な理由が述べてありますけれども、本日は時間の制限があるとのことでございますので、はなはだ残念ですが、ごく簡單に申し上げます。用紙割当配給の件については、一昨年以來二箇年に及んで関係各廳に再三再四陳情を重ねて懇請してまいりましたが、末だに配給の決定を見るに至りません。かかる上は國務多端の折柄、まことに恐縮ながら、國政の最高機関たる國会請願懇請し、各位の格別なる御配慮を賜わりたいと存じまして、ここに請願書を提出する次第である。こういうような趣旨がこの請願書に述べられております通り、これは題名から御判断くださいましてもわかります通り、藥事あるいは藥業に関しての事報でございますので、これに対しましてもどうぞ皆樣の御審議をいただき、御賛同を得たいと存ずる次第であります。大体本年四月より週二回の刊行に躍進しておるということも述べられておりますが、残念ながら当局の方の紙の割当がありませんために、非常に苦しんでおる、こういうことが内容に載つております。それからもう一つ変つて、これは「河内日日新聞」に用紙割当請願でございます。紹介議員高橋長治氏でありますが、これも要領を申し上げた方が簡單でいいと思います。発行しようとする新聞の種類夕刊、普通新聞型二ページ、発行回数は一日一回、題号は「河内日日新聞」、発行大阪府南河内郡長野町、印刷所は大阪市西区江戸堀下通一丁目、経営の責任者は先ほどの「貿易タイムス」と同じように思われますが、内容については詳しく申し上げませんでも、これまた何を目的としているか、殊に農村文化の高揚と啓蒙に必要な教養的な記事を載せたい、そのほか政治、社会、経済概念一般について述べられておりますことは、他の貴重なる請願の内容と大体揆を一にするものと思いますので、皆樣の御審議、御賛同を賜わりたいと存じます。
  44. 小川半次

    小川委員長 では次に第五二の労働組合等の各機関紙用紙割当請願山名義芳君、御説明を願います。
  45. 山名義芳

    山名委員 御紹介いたします。簡單に御説明申し上げますと、大体日本民主化の根幹をなすものは、憲法に許されました通り、言論、集会並びに思想の自由でなければなりません。しかも諸資材、わけても紙に裏づけられない言論の自由あるいは文化の向上ということは、まつたく考えられません。現在用紙一箇月の使用量が千五百五十万ポンドで、うち機関紙の発行量は十一万ポンド、わずかに一%強にすぎない状態であります。「朝日」や「毎日」「読賣」以下商業新聞の全用紙の独占、これはいわば言論、思想の独占といつてもよいのでありますが、そういうようなきわめて不合理な状況であります。大多数の團体はやみ買いの用紙によつてようやく機関紙の発行を継続しておるという状態でありますので、新憲法下保障されておりまする言論の自由を裏づけるために、公平なる御活動を一日もはやくされたいというのが、請願の趣意であります。なお紹介議員として民自党の私を初め、社会党の馬場委員、民主党の並木委員、あるいは國協党の川越委員、こういう方々も紹介議員となつておりますので、どうかひとつ請願の趣意をなるべく早くかなえられるようにお願いいたします。
  46. 小川半次

    小川委員長 以上「山陽民報」に用紙割当請願外六件の請願について、当局の御意見を伺います。
  47. 成田勝四郎

    ○成田政府委員 一括して御説明申し上げます。まず第一に「山陽民報」に用紙割当の件でありますけれども、他方の政治、経済、文化発達のために地方新聞の健全なる発達が必要であるということは、私もよく存じておる次第であります。「山陽民報」もその地方の方々のそういうような要望が凝り個まつて請願なつたものと存ずるのであります。政府当局といたしましても、できるだけ速やかに本請願趣旨を満たしてあげたいと存ずるのもやまやまなのでございまするけれども、前々御説明申し上げますように、新聞出版用紙の方の出廻りがはなはだ窮屈な状態にありますので、いましばらくお待ち願いまして、あるいは今年の夏のうちにでも多少殖えるのではないかと思つておりますが、新規新聞のための紙が増加配給されるようなことになりますれば、地方新聞のうちの全部というわけにはまいりませんけれども、多少のものに紙が出るのではないかというふうに考えておる次第であります。ただ用紙が殖えるかどうかという問題は、なかなか予測困難な問題でありまして、もしはつきりと殖えるようなことがありましたら、地方新聞に多少出まわるという程度のお返事しかできないのを残念に思います。  次に「防長新聞」の問題でありまするが、「防長新聞」は現在割当を受けておりますが、その部数が割合に少量であありまして、しかもあの大切な石炭生産地を控えて、大いに生産意欲鼓舞のために活躍しておられる事情もわれわれよく存じておるのでありますが、これもまた一つことを繰返すようでありますけれども、新聞にまわされまする用紙の不足のために、今早急に殖やすというわけにもまいらない状態であります。北海道及び九州の石炭関係の新聞に、石炭版のための用紙割当ということがあるのは事実でありまして、山口縣の炭田のためには、そういうものがないのであります。しかし石炭生産地の新聞が石炭版用紙の割当の有無にかかわらず、非常に炭鉱のためにいろいろと紙面を割いて石炭増産のために協力しておられるという努力に、われわれは敬意を表するものでありまして、できるだけ増配をして差上げたいと思うのでありますけれども、何分今のような状態でありまして、思うに任せない次第であります。  次に社会科学習指導書に対する用紙割当の問題であります。中学校、小学校に最近社会科という科目ができまして、しかもそれに対する適当な指導書がありませんために、授業者の方も生徒の方も非常に当惑しておるという事情は、われわれもよく存じておるのであります。用紙割当委員会におきましては、從來とも学習書に対する割当をいうことには特に重きをおいておるのでありまして、たとえば本年第一、四半期の割当の表を見ましても、出版書を二十いくつの部門にわけて見ますと、学習書は第二位にあるのであります。第一は文学でありますが、第二位に学習書がはいつておるようなありさまなのであります。社会科の学習書が特に必要であるということは、文部省の社会科指導に対する方針もはつきりしてまいりましたし、割当委員会といたしましても十分認識いたしまして、今後ともできるだけ多くそらちの方にまわすという努力をいたすことと存じます。ただほかの部門と比較して飛躍的に、つまり段階の違うようなわくをつけろという御注文は、できるだけその御趣旨の方向に向いたいとは存じますけれども、早急に実現は困難なことだと思つております。  次に「薬業事報」でございますが、これはいわゆる業界の新聞ということになりまして、過去二年間にわたつて申請をしておるけれども、未だに割当がないというお話でございます。まことにお氣の毒な事情なのでありますが、どうも新聞に対する割当の順位を考えますと、一般地方新聞の方がまだまだ足りないという実情でございまして、今後多少、紙が殖えましても、どうしても地方新聞の方にまわるということになるのでございまして、業界新聞がやや不利な立場にあるということをお答えせざるを得ないのであります。  次に「貿易タイムス」でありますが、これも現在の日本の産業上に占めます貿易の重大な意義ということから考えますと、貿易関係の新聞の必要ということは、十分われわれも認めるわけでございますが、新規の新聞に対して紙を割り当てるということは、今日においてはなはだ困難な事情にありますので、新聞用紙全体の生産量がいま少し殖えませんと、実現困難ではないかと思つております。「河内日日新聞」につきましては、先ほど山陽民報について申し上げたと同じような事情でありまして、地方新聞の健全な発達ということにつきましては、われわれも最大の関心をもつておりますけれども、何分にも紙が不足で思うように任せない状態であります。  最後に労働組合等機関紙に対する紙の割当でございますが、日本民主主義化に大切なる労働組合の健全な発達、そのために必要な機関紙の用紙ということでありますので、これは用紙割当委員会も非常に重大性をおいて考えおるのであります。ただこれは何度も繰返して相済みませんが、何分にも紙が足りませんので、まだ手がまわりかねておりますけれども、用紙の都合がつき次第、労働組合関係の機関新聞は優先的に考えられるのではないかと存じております。以上をもつて説明を終ります。
  48. 鈴木里一郎

    ○鈴木(里)委員 まだ二、三請願が残つておるようでありますけれども、すでに本会議が始まつて三十分も経過しておりますから、本日はこの程度で散会されんことを望みます。
  49. 小川半次

    小川委員長 ただいま鈴木委員から御発言がありましたように、本会議の方で定員の都合したびたび催促されておりますので、本日はこの程度で打切りまして、明日は午後一時から観光事業委員会、二時半から本日に引続き請願及び陳情を議題とすることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十三分散会