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1948-06-15 第2回国会 衆議院 文化委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月十五日(火曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 小川 半次君    理事 鈴木里一郎君 理事 佐藤觀次郎君    理事 最上 英子君    奥村 竹三君       佐々木盛雄君    田口助太郎君       原田  憲君    平澤 長吉君       山名 義芳君    太田 典禮君       馬場 秀夫君    高橋 長治君       成島 憲子君    川越  博君       森山 武彦君  出席國務大臣         國 務 大 臣 鈴木 義男君  出席政府委員         賞勳局総裁   瀬古 保次君         賞勳局事務官  村田八千穗君         文部事務官   柴沼  直君  委員外出席者         專門調査員   武藤 智雄君     ————————————— 六月十二日  「藥業事報」に用紙割当請願小川半次君紹  介)(第一三一八号)  「貿易タイムス」に用紙割当請願細川八十  八君紹介)(第一三七八号)  神崎神社本殿等國宝指定請願稻田直道  君紹介)(第一三七九号)  「こどもの日」を祝祭日指定請願(松原一  彦君外一名紹介)(第一三八〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  栄典法案内閣提出)(第一一〇号)   請 願  奈良縣國宝及び重要美術品修理費國庫補助の  請願原田憲紹介)(第七六四号)     —————————————     〔筆記〕
  2. 小川半次

    小川委員長 会議を開きます。  祝祭日に関する件については参議院文化委員会との合同審査会を開いてはという意見もありますが、いかがいたしますか。
  3. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 未だ衆議院案としても再檢討を必要とするところもあり、まだその時期ではないと思います。
  4. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 参議院側より、早急に成文化したいとの申出もありますので、こちらとしても最後案作成の際には合同して、審議を行うのが妥当ではないかと思います。
  5. 小川半次

    小川委員長 それでは参議院文化委員会合同打合会行つてはどうでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 小川半次

    小川委員長 それでは本日午後一時より参議院文化委員会合同打合会を開くことにいたします。     —————————————
  7. 小川半次

    小川委員長 次に去る六月十一日決算委員会に付託せられました新聞出版用紙割当事務廳設置法案について決算委員会連合審査会を開きたいと思いますが御異議ありませんか。
  8. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 用紙割当乃至著作出版に関しては、本委員会は、すでに国政調査の承認も得ており、決算委員会連合審査会を開くことよりも、その法案を極力本委員会に付託されるよう努力されんことを希望します。
  9. 小川半次

    小川委員長 本法案用紙割当事務廳を設置するための法案である関係上、すでに決算委員会に付託されたものと思いますが、なお確かめてみることにします。     —————————————
  10. 小川半次

    小川委員長 次に去る六月十一日、本委員会に付託されました栄典法案議題とし、所管大臣より提案理由説明を聽取いたします。     —————————————
  11. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 内閣総理大臣より御説明を願う予定でありましたが、私が栄典制度審査委員会委員長であるため、主管大臣の形において、提案理由説明をいたします。  ただいま上程になりました栄典法案提案理由を御説明申し上げます。  新憲法公布後二年、憲法に予定せられました憲法附属の諸法律は、國会の熱心なる御審議によりまして、ほぼ完成いたしたのでありまして、終戰とともに停止せられておりまする栄典制度を新たに決定発足いたしますことは、わずかに残つておりまする事項の重要な一つであります。政府は相当期間にわたり愼重考究いたしました結果、旧憲法とともに旧栄典制度を廃止し、新憲法の精神にふさわしい新栄典制度を採用いたすことに決し、ここに提案いたすことと相なつた次第であります。  栄典制度を存置すべきか否かは、憲法改正の際十分論議せられ存置することとなつたのでありますから、この問題を繰返すことはいたしません。今やこれを制定する時期に到達したかということについても議論の余地もありましようが、政府はその時期に達したと信ずるのであります。  わが國の現状を見ますると、終戰後の一時的混乱を脱して、ようやく思想的にも経済的にも再建の光明を認めようといたしているのでありまして、ここに至りましたのは、もとより連合國の援助によるところが大であるのでありますが、また國民諸君の最惡の諸條件を克服しての努力の結果にもよるのであります。從いまして、これら國民の中でその労効顯著と認められます者に対しましては、これが表彰の途を講じもつて國民志氣を振作し、道義の高揚をはかることは、現下喫緊の要務と考えるのであります。栄典のことは元來國家として一日も廃すべからざるものでありますのに、終戰とともに停止せられてそのままになつておりますことは、遺憾なことでありまして、ここに民主的文化國家にふさわしい栄典を勘案いたした次第であります。  本案要旨を申し上げますと、第一に現在残つておりまする在來の制度のうち、位階及び勳章制度は、すでに廃止されました爵の制度と並んで從來栄典制度根幹を成しておりましたもので、今やわが國が過去を脱却し、新たに平和、民主文化を目標として更生しようとしておるのでありまするから、これら過去の日本を表象する栄典制度はこれを全廃し、新栄典制度のもとに発足すべきであると考えるのであります。しかしながら現に勳章を有する者について今後一切その着用を禁じまするのは、穏当でないと考えられます。この点を考慮いたしましていわゆる公職追放者以外は、旧勳章を着用することを妨げないことにいたしたのであります。  次に新栄典制度は、新勳章制度根幹とし、これに配するに功労章制度善行章制度等をもつてし、國民表彰に遺憾のないことを期しました。新勳章制度は、一種五級の普通勳章單一級文化勳章といたしました。普通勳章一種五級といたしましたことは、在來の数種あつて級別も多かつたのを簡素化いたすことが適切と考えたからであります。文化勳章を設けましたのは、文化に関する特にすぐれた功労については、その特殊性に鑑み、單一級の特別の勳章を設けて表彰することが適当と存じたからであります。新たに功労章制度を設けましたのは、新普通勳章制度の簡素化したのを補いまして、廣くあらゆる方面功労ある國民表彰することを目途といたしたのであります。從來褒章制度は、主として國民のいわゆる奇特な行為を対象としたもので、今後もその趣旨は、これを存置すべきものと考えましたが、在來の褒章をもつて表彰したもののうち、社会公共に対する功労に重きをおいたものは、これを功労章及び新勳章に移し、名称を善行章と改めることにいたしました。  以上申し述べましたように、ここに旧制を一新しようとするのでありますが、更にその運営の実際において、從來の官尊民卑の弊風を残し、被表彰者の格式、地位等にとらわれるようなことがあつては、本制度一新の意義は全く失われるこというまでもありません。從いまして、政府においては、さいわいに本案趣旨に御賛成を得ましたならば、その運営において、またこれを一新し、廣く市町村長都道縣知事などからの推薦を募つて國民表彰に遺漏のないことを期するとともに、なおこれが審議機関として、内閣に廣く民間方面の公正なる人士にお願いしまして審議会を設け、その公正かつ民主的な審議を経て決するようにいたす所存であります。  以上本案趣旨の概略を申し上げたのでありますが、なお詳細の点は、本案審議の節申し上げる所存であります。  何とぞ愼重御審議の上速やかに御可決あらんことを希望いたします。
  12. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 栄典法施行令案要綱における栄典審議会の設置の理由について説明を願います。
  13. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 栄典法施行令は、未だ案でありますが、本施行令によれば、地方の方々については全國の市町村長当該都道縣知事を経由することが必要であります。審議会民間有識者各階代表者十名より成り、その任期は四年であります。この審議会ができれば、きわめて明朗にやつていけると思います。
  14. 川越博

    川越委員 國家行政組織法によると、賞勳局はどうなりますか。
  15. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 從來内閣の外局として存していたが、今度は内閣の一部局となります。
  16. 川越博

    川越委員 栄典はだれが授與するのですか。
  17. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 天皇の名において授與され、内閣総理大臣及び都道縣知事より傳達されます。
  18. 森山武彦

    森山委員 地方町村長知事が推薦したとき、中央では地方の事情がわからないため、正確を欠く場合もあり、地方ごと審査機関を設ける必要ありと思うがどうですか。
  19. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 市町村長が行う人選については、公正明朗なるよう努めるが、審査機関を設けることに異存はない。ただ法律、政令に載せる必要はないので、内閣総理大臣の諮問のみを規定したのであります。
  20. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 外國勳章、記章を授與されている者がこれを佩用する場合、内閣総理大臣認可を必要とするとあるが、その理由いかん。また今までに授與された勳章は、今後どうなるか。さらに勳章を授與された者の数はどの位かお伺いします。
  21. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 外國勳章を佩用する場合、内閣総理大臣認可を必要とすることは、どこの國も同じで、單なる形式である。また今まで授與されている勳章については、その侭佩用して差支えないようにする。すでに授與された勳章を新制度勳章に切りかえることは技術的にも困難である。たとえば從前の勳三等の勳章は新しい栄典制度のどの勳章に相当するかということは、その判定に非常に困難を伴うので、從来の勳章を新制度による勳章に切りかえることはむずかしいと思います。
  22. 村田八千穗

    村田政府委員 大正以後民間官吏ともに約千名以下であります。從つて新しい栄典制度において千人以下が旧勳章を持つていることになります。
  23. 森山武彦

    森山委員 戰役による勳章については、いま少し考える必要があると思うが何か考慮していますか。
  24. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 過去における戰功による勳章と、文化による勳章とを問わず、一應区別なしに停止して、今回よりすべて新しい栄典制度によつて実施する考えであります。なお本人が勳章返還を希望しているような場合は、その返還もでき得るようにしてあります。これは夏目漱石博士号返還の場合と同様であります。
  25. 馬場秀夫

    馬場委員 功労について勳章のほかに年金制度を設ける考えはもつていませんか。
  26. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 國家予算関係もあり、困難ではあるが、一回だけの賞金のようなものを考えています。     —————————————
  27. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 栄典法案に対する質疑はまだたくさんございますが、次回の委員会に讓り、本日はこの程度で打切られんことを望みます。
  28. 小川半次

    小川委員長 佐藤委員の動議に御異議ありませんか。
  29. 小川半次

    小川委員長 それではそのように決しました。     —————————————
  30. 小川半次

  31. 原田憲

    原田委員 奈良縣國宝及び重要美術品修理費國庫補助請願は、わが國の國宝及び重要美術品の多くは奈良縣に集まり、全國随一観光縣で、將來海外よりの観光客の來訪が予想されるが、戰時中これら國宝及び重要美術品は荒廃するに任せてあつたが、今や滅失の寸前にあり、文化観光日本建設の見地からも実に憂うべき現象であると思う。これらに対しては速やかに國庫補助をされたいというのが本請願要旨であります。何とぞ政府におかれましても、この点を十分御理解の上、多額の補助金を支出されんことを私からもお願いいたします。
  32. 柴沼直

    柴沼政府委員 國宝重要美術品の多い奈良縣については、政府としても多大の関心を拂つており、その復旧については、できるだけ、速やかに適当な処置を講じたいと考えています。從つて補助金割当についても奈良縣にはなるべく多く行くよう努力いたしております。ただ残念なことには、全体としての予算が一千七百万円程度しかなく、物價の低い時でさえも二十万円程度出していたのに比較すれば、百倍の物價高の今日、比率からいつても二千万円は必要であります。一千七百万円ではあまりにも少く、現在少くともこの三倍程度予算がなくては、思うようにできません。奈良縣に対しては全体の予算の三分の一、あるいは四割弱の六百四十五万円が割り当てられていますが、現在ではこれ以上力が及ばないのであります。
  33. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 政府の御説明は一應了解するが、それでは、あれもできないこれもできないというようになつてしまいます。思い切つた処置はとれませんか。
  34. 柴沼直

    柴沼政府委員 一つ國宝及び重要美術品についても、高級なもの、さらに高級なものと区分して、その修理復旧を行う案もあるが、目下研究中であります。鈴木(里)委員 力が及ばないとの御答弁であるが、放置しておいては、國宝は懷滅してしまう。國家が財政上これが救済が不可能であるならば、奈良縣に対し國宝救済の富くじのようなものを発行させてはいかがかと思うが、このような方法を許可されるお考えはおもちになりませんか。
  35. 柴沼直

    柴沼政府委員 これはいい考えであると思うが、確実に行い得るところまでは行つていません。
  36. 鈴木里一郎

    鈴木(里)委員 再び取返すことのできない重要なものであるから、現実の問題として具体策をとつていただきたいのであります。
  37. 柴沼直

    柴沼政府委員 当局としてもまつたく同感であります。御趣旨に副うよう、できるだけ努力してまいりたいと考えております。
  38. 小川半次

    小川委員長 この際右請願について奈良縣より松尾副知事外一名の方が参つておりますから、懇談会を開き、意見を聽取いたしたいと存じます。  それではこれより懇談会に入ります。      ————◇—————   午後零時二十分懇談会に入る   午後零時五十二分懇談会を終る。      ————◇—————
  39. 小川半次

    小川委員長 再開いたします。ただいまの請願について審査を継続いたします。
  40. 原田憲

    原田委員 奈良縣における國宝及び重要美術品については、單にこの請願採択するのみならず、現実にその復旧、保存に努力していただきたいのであります。
  41. 鈴木里一郎

    鈴木(里)委員 文部大臣にもよくその実情を視察していただけば、十分御了解がいくのであり、右請願は早急に採択の上、その御処置当局にお願いいたしたいと思います。
  42. 小川半次

    小川委員長 奈良縣國宝及び重要美術品修理費國庫補助請願については、早急に國庫補助を行う必要があると考えますので、採択の上内閣に送付いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 小川半次

    小川委員長 それではそのように決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十六分散会