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1948-09-22 第2回国会 衆議院 不当財産取引調査特別委員会 第60号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年九月二十二日(木曜日)     午後三時三十六分開議  出席委員    委員長 武藤運十郎君    理事 鍛冶 良作君 理事 田中 角榮君    理事 辻  寛一君 理事 梶川 靜雄君    理事 河井 榮藏君 理事 荊木 一久君    理事 小松 勇次君 理事 石田 一松君       高橋 英吉君    古島 義英君       明禮輝三郎君    佐竹 新市君       前田 種男君    椎熊 三郎君       橋本 金一君    田中 健吉君       中村元治郎君    山中日露史君       本田 英作君    宇都宮則綱君       徳田 球一君  委員外出席者         石炭國管問題に         ついて出頭した         証人      松本  勇君                 工藤 三郎君                 原口 秀雄君                 上田清次郎君                 田籠 寅藏君     ————————————— 本日の会議に付した事件  委員派遣に関する件  石炭國管問題     —————————————
  2. 武藤運十郎

    武藤委員長 これより会議を開きます。  本日の理事会において決定せられました事項を御報告申し上げて皆さんにお諮りをいたしたいと存じます。  第一の佐世保事件につきましては一應調査を打切り、月末までに明禮橋本徳田王氏によつて経過報告書の草案をつくつていただくことにいたしたいと存じます。告訴の問題等につきましては書類が出ました場合、これを検討することといたしたいと存じます。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではさよう決します。  第二に徳田球一君提案にかかる國鉄における資材不当拂下問題につきましては、これを取上げて調査をすることにいたしたいと存じます。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではさよう決します。  当委員会出頭を求めておりました永田彦太郎君は病氣のため出頭ができない実情にありますので、明二十三日荊木河井両君を派遣して調査を願うことにいたしたいと存じます。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではさよう決します。以上であります  それから本日御出頭証人松本勇さん、工藤三郎さん、原口秀雄さん、田籠寅藏さん、上田清次郎さんの五名でございます。  御出頭諸君はいずれも石炭國管問題につきまして証言を求める次第でありますが、証言を求める前に各証人に一言申し上げます。  昨年十二月二十三日公布になりました昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことになつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、一般の人については、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項あるいはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するときに限られ、医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者については、その職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについで尋問を受けたときに限られております。右以外には何人も宣誓または証言を拒むことができないことになつておるのであります。なお証人が正当の理由なくして宣誓または証盲を拒んだときは一年以下の禁錮、または一万円以下の罰金に処せられ、且つ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一應このことを御承知になつていただきたいと思ひます。では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。お手許に差上げてある宣誓書を朗読の上署名捺印願います。     〔証人松本勇君各証人を代表して宣誓〕     〔各証人宣誓書署名捺印
  6. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは松本さん、工藤さん、原口さん、田籠さん、上田さん、こういう順序でお話を伺いますから、恐縮ですが、松本さん以外のお方はもうしばらく別室でお待ち願いたいと存じます。  それでは松本さんに伺いますが、あなたはかつて國会新聞関係をせられておつたようでありますが、いつからいつまでどういう地位におられましたか。
  7. 松本勇

    松本証人 確実には覚えておりませんが、昭和二十一年の五月ごろから本年の三月三十一日まで國会新聞編集長を勤めておりました。
  8. 武藤運十郎

    武藤委員長 國会新聞というのは日刊ですか。
  9. 松本勇

    松本証人 新聞日刊ということになつておりますけれども、新聞の形に——つまり活字にして出しておりますのは私のやつておりました時分には一週間に一遍ずつ出しておりました。その他の日曜を除く五日間は特別情報版という名前謄写版刷で出しておつたと思います。現在は月に一度かそこら印刷になつて出ているのがあるように見受けております。
  10. 武藤運十郎

    武藤委員長 当時社長はだれですか、また別に新聞持主というものはありましたか。
  11. 松本勇

    松本証人 社長工藤三郎氏でありまして、別に持主はございません。
  12. 武藤運十郎

    武藤委員長 大体昨年五月ごろから十一月ごろまでの期間におきましていわゆる石炭國管案反対運動があつたようでありますけれども、そのことについてあなたの関係せられたことを中心としてお話を願いたい。
  13. 松本勇

    松本証人 主義といたしましては、私は石炭國管石炭増産には役立たないであろうと考えておつたのであります。しかしながら新聞の使命がそうした個人の意見によつて動かさるべきものでないことは重々承知いたして、おりますので、紙面の上におきましては、絶えずこの委員会なりあるいはその他の動きをそのまま報道に努めておつたのであります。ただそれだけまず申し上げておきます。
  14. 武藤運十郎

    武藤委員長 石炭國管反対運動について、引続いてあなたの知つている限り、あなたを中心としての関係等を述べてもらいたい。
  15. 松本勇

    松本証人 石炭國管についての反対運動は、当時の石炭鉱業会などが中心になりまして、あるいは宣傳ビラを貼り、あるいは石炭國管石炭増産には何らの役に立たぬというようなパンフレツトを出して運動しておつたように見受けているのであります。私といたしましては、そのこと自体に対しては何ら直接に関係をもつていなかつたのであります。ゆえにどういう業者がどういう運動をしておつたかということにつきましては、具体的に当時詳らかにしていなかつたのであります。
  16. 武藤運十郎

    武藤委員長 石炭國管反対につきまして業者とか、代議士とかであなたと接触のあつた者がありませんか。
  17. 松本勇

    松本証人 別に業者としてはございません。あるいは議員方々にもそういう者はございません。
  18. 武藤運十郎

    武藤委員長 原口秀雄という人から昨年二万円受取られたことがありますか。
  19. 松本勇

    松本証人 あります。
  20. 武藤運十郎

    武藤委員長 いつころでありますか。
  21. 松本勇

    松本証人 確実な日時は忘れましたが、十月の末ころか、十一月の初めころであつたように記憶いたしております。
  22. 武藤運十郎

    武藤委員長 その一万円一回だけですか。
  23. 松本勇

    松本証人 さようでございます。
  24. 武藤運十郎

    武藤委員長 どこで受取りましたか。
  25. 松本勇

    松本証人 たしか衆議院の三階の喫茶室あたりの廊下だつたと記憶しております。
  26. 武藤運十郎

    武藤委員長 現金ですか。
  27. 松本勇

    松本証人 現金です。
  28. 武藤運十郎

    武藤委員長 その金はどういう目的受取られたものですか。
  29. 松本勇

    松本証人 当時國会新聞経営すこぶる不如意でございまして、あるいは議員方々から、あるいはそれ以外の方々から廣告名義であるとか、あるいは援助金という名義において醵金を願つてつたよう状況であります。ときたまたまかねて知つておりましたところの原口氏が議会に見えておりましたので、哀情を訴えまして、社の援助金として何らかの寄附を願いたい、こう申し上げたのであります。原口氏は非常に太つ腹な人でありまして、頼めばまず大体聴いてくれる人であつたので、私は原口氏にこのことをお願いいたしましたところが、今言つたように二万円を私にくれたのであります。それで私はこれを工藤社長に提供いたしまして、社員の給料支拂であるとかその他に充てるように手渡ししたのであります。
  30. 武藤運十郎

    武藤委員長 全額すぐ工藤氏に渡したわけですか。
  31. 松本勇

    松本証人 きようであります。
  32. 武藤運十郎

    武藤委員長 二人で分けたというようなことはないのですか。
  33. 松本勇

    松本証人 分けたというようなことはないのでありますが、ただただいまも申しましたように、当時の國会新聞は非常に苦しいので、われわれの給料などもほとんどきまつていないような状況で、あるいは援助金あるいは廣告、こういうような名義受取つてきたものの歩合として私は受取つてつたのであります。その私の歩合の金はそのとき工藤氏からもらつたのであります。
  34. 武藤運十郎

    武藤委員長 いくもらつたのですか。
  35. 松本勇

    松本証人 五千円もらいました。
  36. 武藤運十郎

    武藤委員長 これは國会新聞経営援助するという、そういう趣旨のお金でありますね。
  37. 松本勇

    松本証人 さようであります。
  38. 武藤運十郎

    武藤委員長 石炭國管反対運動を、またこれを新聞記事に書くというような話合のもとに受取つたのではないですか。
  39. 松本勇

    松本証人 その点はよく御承知願いたいと思います。私も三十年近く新聞生活をいたしておりまして、そうした一つ目的のために金を受取るというようなことは新聞道に反するものであることは十分に弁えているのであります。もしまた國会新聞がそうした運動をいたす、こういうことを約束して金の請求をいたしまするならば、わずか二万円くらいの金を私は請求いたしていないだろうと思います。少くとも五年、十年経営に何ら心配のいらないだけの金額を私は要求していただろうと思います。この点につきましてはその額のわずかであつたこと、また石炭國管についてどうこうしてやるということは正しいことであるか否かについて、われわれが常にいかに考えておつたかということについては十分に御了察のほどを願いたいのであります。
  40. 武藤運十郎

    武藤委員長 金を受取つてから、あるいは金を受取るすぐ前かに、新聞石炭國管反対の意見なり、社説なり、あるいは何人かの反対に関する寄稿を載せたようなことはないのですか。
  41. 松本勇

    松本証人 ただの一度もございません。
  42. 武藤運十郎

    武藤委員長 私は手もとに國会新聞を持つておりませんが、それでは紙面なり、論調なりが変つたということはないのですね。
  43. 松本勇

    松本証人 ありませんです。ただ石炭國管委員会動きのみを捉まえてこれを報道したにすぎないのであります。
  44. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうしますと、この金は石炭業者から出たというようなことではなくて、原口氏から出たわけですか。
  45. 松本勇

    松本証人 その通りであります。
  46. 武藤運十郎

    武藤委員長 原口氏は石炭業者であることは御存じですか。
  47. 松本勇

    松本証人 存じてはおります。
  48. 武藤運十郎

    武藤委員長 原口さんとはどういうお附合ですか。いつごろから‥‥。
  49. 松本勇

    松本証人 原口さんとは昨年の春ごろであろうと思います。久保山雄三という人がおりまして、この人は石炭研究所をやつている方であります。かつて私が満洲國新京におりまして、新京日日新聞社編集局長をやつておりました時分に、久保山氏と知り合つて、そうして久保山氏を介して原口氏の人となりその他を承知いたしておりまして、原口氏がこの問題について上京した機会にお会いする機会を得たのであります。
  50. 武藤運十郎

    武藤委員長 前に原口氏から國会新聞としてあるいはあなた個人として金銭の應援を得たことがありますか。
  51. 松本勇

    松本証人 ありません。
  52. 武藤運十郎

    武藤委員長 前後を通じてこの一回だけですか。
  53. 松本勇

    松本証人 さようでございます。
  54. 武藤運十郎

    武藤委員長 先ほど國会新聞はその経営援助してもらうために寄附を求めた、あるいは廣告料をもらつたというお話がありましたが、当時他の議員または業者から援助を求められましたか、もしあつたとすれば、その人の名前金額大体の日時等を述べてください。
  55. 松本勇

    松本証人 それは石炭國管とは全然関係なしに、先ほど申し上げましたことも全然関係ないことでありまして、あるいは年末であるとか、お盆であるとか、こういうときには國会新聞議員方々その他から援助金などをいただいておつたのでありまして、いわゆる國管問題とは何ら関係のない金を受取つてつたように記憶しております。
  56. 武藤運十郎

    武藤委員長 いやそうではない。私の聞くのは、関係がないということでそういう前提で伺つているのです。関係がない金をあなたは二万円原口氏から受取られたというのだから‥‥。しかしそれは國会新聞経営難のために受取つた寄附を求めたというのだから、そのほかにも当時幾口かおそらく寄附を求め、寄附を受けたであろうと思いますから、その金額相手日時等を伺つているのであります。それは別に國管のためという趣旨で伺つているのではありません。
  57. 松本勇

    松本証人 それはおそらくあつただろうと思います。そしてそれは全部工藤氏の方に報告いたしてあるので、あるいは私が戴いたのもありますし、工藤氏自身が動いたのも相当あると思います。そこでその相手の人間であるとか、あるいは金額などはここに調べていないのです。申し上げかねます。
  58. 武藤運十郎

    武藤委員長 申し上げかねるのですか。
  59. 松本勇

    松本証人 わからないのです。
  60. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたが受取つたのは、この二万円だけを覚えているということはないでしよう。
  61. 松本勇

    松本証人 ほかの金額は、あるいは五百円とか、千円とかいう小さな金額で、國会新聞は常にそういうことをやつておるので、それを一々私は覚えていません。
  62. 武藤運十郎

    武藤委員長 ですから全部でなくともいい。覚えているだけを伺うのであつて、あなたが一方では原口さんから二万円受け取られたことは、これは石炭國管反対のためではないかというような疑いももたれているわけなのでありますから、そうでないと言われるそのためにもいくつかの事例を、それが証拠には原口だけではない、これからはこういうふうにもらつたではないか、これからはこういうふうに受取つておる、こういうことを十ばかり言つてもらえばたいへん都合がいいという意味なんです。
  63. 松本勇

    松本証人 それがどうも今そこでだれからであつたかということは頭にないのです。
  64. 武藤運十郎

    武藤委員長 そんなことはないでしよう。少しは覚えているでしよう。
  65. 松本勇

    松本証人 帳簿を見ればわかります。國会新聞社におそらく帳簿があるだろうと思いますから……。
  66. 武藤運十郎

    武藤委員長 どういう帳簿ですか。
  67. 松本勇

    松本証人 金銭出納帳簿がありますから、それに載つているだろうと思います。
  68. 武藤運十郎

    武藤委員長 この二万円も載つていますか。
  69. 松本勇

    松本証人 それはどうか知りません。
  70. 武藤運十郎

    武藤委員長 それはおかしい。都合のいいものは載せ、都合の悪いものは載せないのですか。
  71. 松本勇

    松本証人 それは工藤社長から聴いていただきたい。
  72. 武藤運十郎

    武藤委員長 少しは知つているだろう。
  73. 松本勇

    松本証人 そういうことはないです。
  74. 武藤運十郎

    武藤委員長 何かお尋ねになることはありますか。——では御苦労さまでした。     —————————————
  75. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは工藤さんに伺いますが、あなたは國会新聞社長でありますか。
  76. 工藤三郎

    工藤証人 そうです。
  77. 武藤運十郎

    武藤委員長 國会新聞というのはいつごろ創刊したものですか。
  78. 工藤三郎

    工藤証人 昭和九年だと思います。
  79. 武藤運十郎

    武藤委員長 それから今日まで、日刊ということになつておりますか。
  80. 工藤三郎

    工藤証人 そうです。大体日刊ということになつております。途中戰時中空襲や何かのときには休刊しておりましたが……。
  81. 武藤運十郎

    武藤委員長 編集長松本勇君ですか。
  82. 工藤三郎

    工藤証人 そうです。当時は‥‥。
  83. 武藤運十郎

    武藤委員長 昨年の議会石炭國家管理法案が上程されまして、業者中心となつてたいへん反対運動をしたようでありますけれども、あなたは新聞人としてあるいは議会におられる人として、この運動関係をされましたか。
  84. 工藤三郎

    工藤証人 いろいろ動きは当然職責上ニュースとして知つておりますが、特にこれに関係をしたということはありません。
  85. 武藤運十郎

    武藤委員長 業者または代議士諸君と、この問題についてお会いになつたとか懇談会をしたとかいうことはありませんか。
  86. 工藤三郎

    工藤証人 ありません。
  87. 武藤運十郎

    武藤委員長 反対運動は相当苛烈なものであつたようでありますけれども、ひとつあなたの知つておる限り簡單でいいのですけれども話してもらえますか。
  88. 工藤三郎

    工藤証人 大体あなた方が御存じのようなところで、特にその方にタッチしたことはないからわかりません。一般新聞に出ているくらいの常識くらいのものです。
  89. 武藤運十郎

    武藤委員長 原口秀雄という石炭業者を御存知じですか。
  90. 工藤三郎

    工藤証人 松本君からこの問題が出てきて、一体全体だれから金をもらつたのだということを聴いたときに、初めて原口さんから出たということを聴きました。今初めて証人のあそこで原口さんと、あなたは原口さんですか。そうです。私は工藤です。こう言つて挨拶をしたくらいの初めてです。
  91. 武藤運十郎

    武藤委員長 前からは原口さんとあなたとは知合いではなかつたわけですね。
  92. 工藤三郎

    工藤証人 絶対に知合いではなかつたのです。
  93. 武藤運十郎

    武藤委員長 たまたま松本さんが知つておられて、松本さんが原口さんから寄附を受けてこられたという報告を受けたわけですか。
  94. 工藤三郎

    工藤証人 そうです。
  95. 武藤運十郎

    武藤委員長 それはいつごろ、いくらですか。
  96. 工藤三郎

    工藤証人 その日にちははつきり覚えておりませんが、とにかく松本君が私のところヘ二万円持つてきましてそれを受取りました。
  97. 武藤運十郎

    武藤委員長 それは十月の末か十一月の初めごろですか。
  98. 工藤三郎

    工藤証人 大体終りころだと思いますから、そうじやないかと思います。
  99. 武藤運十郎

    武藤委員長 終りころというのは。
  100. 工藤三郎

    工藤証人 石炭國管がもうすでに峠を越えて、大体帰趨がきまつたよう時分だと思います。
  101. 武藤運十郎

    武藤委員長 これはどういう性質の金だということを松本さんはあなたに言つておりましたか。
  102. 工藤三郎

    工藤証人 私は、大体新聞経営上非常に苦しい。社は欠損でありまして、それを補うために筋のよい寄附をくれるところは遠慮なくもらえ。それから社が貧乏ですから、月給も多額に拂えませんし、もらつてきたらば何割かその方のあれに充てろ、こういうことを言つておりました。そこで松本君が國管のときに、大分費用が出るらしいから、そこで寄附をあれしたらどうかという話がありましたから、それはよろしかろうというので承認をいたしました。そうしたら松本君がそれじや自分に任してくれと言いますから、よろしいと言つて任した次第です。
  103. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると、今のお話の中で、國管があれしたときに寄附が大分出るらしいということを、もう少し具体的に言つていただくとどういうことになるわけですか。
  104. 工藤三郎

    工藤証人 第一あの当時は多額な費用が各方面にばらまかれたということが新聞紙上なんかに傳えられておりますから……。
  105. 武藤運十郎

    武藤委員長 國管反対というわけで業者その他が大分運動をして、そのために費用がこれに賛成をし運動する者には出るらしい。そこで一つそつちの方から貰つていい。こういうことですか。
  106. 工藤三郎

    工藤証人 費用ということじやなく寄附金ですね。
  107. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると、その金は石炭業者の方から出る金だということになるわけですね。
  108. 工藤三郎

    工藤証人 結局そうでしようね。
  109. 武藤運十郎

    武藤委員長 原口秀雄さん個人の金というのではないわけですね。
  110. 工藤三郎

    工藤証人 その金の性質がだれから出たか私は全然知りませんから、とにかく寄附り金ならばどこから出ようと、それがために自分運動するとか、記事をまげるとかいうことの條件や何かなければ、当然私は寄附を受けても差支えないと思つております。
  111. 武藤運十郎

    武藤委員長 それがつまりあなたのお話の筋のいい金ならばかまわないという意味ですね。
  112. 工藤三郎

    工藤証人 そうです。
  113. 武藤運十郎

    武藤委員長 これは別に業者からは金が出ても、そのために記事をまげるとかいうことではないというわけで、無條件の金で貰つたわけですね。
  114. 工藤三郎

    工藤証人 そうです。
  115. 武藤運十郎

    武藤委員長 しかし業者が当時石炭國管反対運動をしておつて大分金をバラ撒いたというのは、石炭國管反対に役に立つという見込みで撒いただろうと思う。ただやたらに撒いたわけではないと思う。
  116. 工藤三郎

    工藤証人 ただ私の方としてはむろんそういつたよう目的のもとに撒いたとすれば撒いたのではないかと思いますが、新聞社としてはいろいろ陳情だとかその他にいろいろそういつたよう寄附が來ます。だからそれをただ單に援助金として、また廣告料という名目の下に貰う分には別に差支えないと思つておりましたから……。
  117. 武藤運十郎

    武藤委員長 それはそれであなたは主観的にはそうであつたかもしれませんけれども、とにかく時あたかも業者挙つて石炭國管反対をしておる。その目的成就のために金をバラ撒いておる。それをあなたの方で一口もらつたということになると、出す方でももらう方でも反対運動をするという紐がついている形になりはしませんか。
  118. 工藤三郎

    工藤証人 私はそう考えません。ということは、もらつてきた金が二方円くらいの金で、何もそのためにこちらも意思をまげるようなことはなし、日日新聞を発行しているんだから、いわゆる何がなくても一つ頼むと言えば出してくれる部面もありますから、ただそういつたようなスムースな関係受取つて來たたのだと思います。
  119. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうしますと、当時ほかにもあなたの社で経営援助なり何なりという名目で金を寄附された会社なり個人なり何かの業者なりが相当あるのではないかと思いますがございますか。
  120. 工藤三郎

    工藤証人 当時は開会中ですから、議員にも盆、暮のあれとしてもらい、それから足りなくなれば、ときには一つ頼むというくらいの程度で業者からもらつたというのは、松本君の持つて来たそれだけじやないかと思うのです。その当時は‥‥。
  121. 武藤運十郎

    武藤委員長 盆、暮は別でありますけれども、こういうふうな臨時にぽつぽつ寄附というものがあつたのではないですか。
  122. 工藤三郎

    工藤証人 ぽつぽつというのは盆、暮にはとても集めきれませんからね。それは掴まえたときに盆、暮のあれを請求するくらいのところです。
  123. 武藤運十郎

    武藤委員長 当時、石炭國管が問題になり始まつたころから済むまでの間ですから、大体五、六月ころから十一、二月ころまでの間に、どのくらいだれから出たか、太口だけでも結構です、おわかりになりますか。
  124. 工藤三郎

    工藤証人 それはもう名前を言つたら大体みんなもらつているんじやないかと思いますね。
  125. 武藤運十郎

    武藤委員長 議員諸君からはね。
  126. 工藤三郎

    工藤証人 ええ。
  127. 武藤運十郎

    武藤委員長 すると、大体あなたの新聞寄附を受けるのはもつぱら議員諸君ですか。
  128. 工藤三郎

    工藤証人 そうです。
  129. 武藤運十郎

    武藤委員長 すると、他の石炭業者とかえのほかの何かの会社なり業者からは寄附をもらうことは稀有のことであつて……。
  130. 工藤三郎

    工藤証人 そうですね。稀ですね。
  131. 武藤運十郎

    武藤委員長 代議士であつて石炭業者関係代議士からでも当時受取つたことはございませんか。
  132. 工藤三郎

    工藤証人 いや、だからみなからもらつていますから、石炭業者代議士ももちろんはいつているでしようし、そうでない賛成派議員もいるでしようし‥‥。
  133. 武藤運十郎

    武藤委員長 この原口氏から金を二万円受取つた前後に、特に石炭國管反対記事を掲げるとか寄稿を受けるとかいうようなことはなかつたのですが。
  134. 工藤三郎

    工藤証人 ありません。それで私この問題が出てから何か——大体私は編集にタッチしていませんから、そこで特にその記事をまげるようなことがありはしないかと思つて新聞を調べてみたんですが、そういうことはありませんから、私も安心しました。
  135. 武藤運十郎

    武藤委員長 それから寄附を受けたものは寄附名簿とか、あるいは出納帳とかいうもので控えているんでしようね。
  136. 工藤三郎

    工藤証人 大体購読料や何か援助購読料としてのあれは控えてありますが、そういつた國管業者から松本君のもらつてきたようなあれは控えてありません。
  137. 武藤運十郎

    武藤委員長 当時業者からほかにもだいぶばら撒かれたというようなお話でありましたが、どんな方面にばら撒かれたか、これは確実なことでなくても、あなたが新聞人として聞き知つたことがありましたらひとつ話してください。
  138. 工藤三郎

    工藤証人 最初はとうも私たちの勘では、やはり反対派民自党あたりの方にだいぶあれしているんじやないかという感じがしましたが、途中からどうもそれは効果がないというんで、むしろ社会党左派だとか民主党も賛成派の方に重点をおいた方がいいんじやないかというふうに変つてきた、というふうに聞いております。それは單にうわさの程度ですね。
  139. 武藤運十郎

    武藤委員長 実際相当金が撒かれたようなわけですか。
  140. 工藤三郎

    工藤証人 それはまアほとんどうわさですね。うわさの程度です。われわれ新聞記者仲間のうわさの程度です。
  141. 武藤運十郎

    武藤委員長 それはこういう金ですから、もし撒かれたととても、公然と受理することはないと思うのです。いずれ内緒の内緒でしようが、これは相当あなた知つていませんか。
  142. 工藤三郎

    工藤証人 どうも私は松本君にも言つたんですが、僕は実にうかつ千万だつた、むしろこうなるなら、ほんとうにもらつた方がよかつたじやないかというような、私も実にぼんやりしておりましたけれど‥‥。
  143. 武藤運十郎

    武藤委員長 それではぼんやりせずに立ちまわつて相当もらつた者もあるのですか。
  144. 工藤三郎

    工藤証人 それはわかりません。私は実にぼんやりしておりまして、もらつてきたときもおこつたくらいです。こんなしみつたれた金はとにかく返した方がいい、ではないかと言つたところ、せつかくもらつてきたのだからというような話でしたのでもらつておいたわけです。
  145. 武藤運十郎

    武藤委員長 もらつた金はどんなふうにお使いになりましたか。
  146. 工藤三郎

    工藤証人 そうですね。大体自分か飲んじやつたのじやないかと思います。(笑声)
  147. 武藤運十郎

    武藤委員長 松本さんには差上げなかつたのですか。
  148. 工藤三郎

    工藤証人 やりました。
  149. 武藤運十郎

    武藤委員長 いくらですか。
  150. 工藤三郎

    工藤証人 五千円です。
  151. 武藤運十郎

    武藤委員長 あとはみなあなたか飲んでしまつたのですね。
  152. 工藤三郎

    工藤証人 大体そうです。(笑声)
  153. 武藤運十郎

    武藤委員長 何が社員の給料なども、経営その他について不如意であつたために、そちらにまわしたというようなことではなかつたのですか。
  154. 工藤三郎

    工藤証人 議会開会中は経営が不如意でも、どうやら給料ぐらいのことは、そういう金をまわさないでもできる立場にありました。
  155. 武藤運十郎

    武藤委員長 何かお尋ねになることはありますか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは御苦労さまでした。     —————————————
  157. 武藤運十郎

    武藤委員長 原口さんに伺いますが、あなたは原口鉱業所の所長ということになつておりますか
  158. 原口秀雄

    原口証人 そうであります。
  159. 武藤運十郎

    武藤委員長 これは会社か、あるいは個人経営ですか。
  160. 原口秀雄

  161. 武藤運十郎

    武藤委員長 まつたくの個人経営ですか。
  162. 原口秀雄

    原口証人 そうです。
  163. 武藤運十郎

    武藤委員長 昨年、いわゆる炭鉱國管案というものが議会に上程せらるる前後、炭鉱業者がこぞつて反対運動をしたようでありますけれども、あなたもこれに参加されましたか。
  164. 原口秀雄

    原口証人 しました。
  165. 武藤運十郎

    武藤委員長 そのとき何か反対についての役員というふうなことになつておりましたか。
  166. 原口秀雄

    原口証人 そういうことはありません。
  167. 武藤運十郎

    武藤委員長 どういう立場でこの反対運動に参加されたわけですか。
  168. 原口秀雄

    原口証人 國管案か石炭増産にならない、こういうような考え方から反対に参加しました。
  169. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると、石炭國管案反対運動という運動に、あなたは自分勝手に來られたわけではないですね。
  170. 原口秀雄

    原口証人 そうです。
  171. 武藤運十郎

    武藤委員長 たれかの指図なり打合せの上で、今度は自分が上京して反対運動をするというようなことで参つたわけですか。
  172. 原口秀雄

    原口証人 最初六月初旬ころだつたと考えます。当時石炭の單價がきまりませんので、どうでも單價をきめてもらわなければならぬというようなことから、九州石炭鉱業会の役員会議の議を経て委員として上つてまいりました。
  173. 武藤運十郎

    武藤委員長 炭價を前ぎめにしてもらうということの運動ですね。
  174. 原口秀雄

    原口証人 そうです。
  175. 武藤運十郎

    武藤委員長 それで、來て見ると石炭國管案が出るということで、運動が変つたのじやないですか。
  176. 原口秀雄

    原口証人 そうです。
  177. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたが上京されて反対運動をされるのは、どんな方法でやることになつてつたのですか。
  178. 原口秀雄

    原口証人 方法と申しましても、ちよつと説明に困りますが、大体國管法が実施せられたならば、石炭増産にならないということを議会の各党に陳情すると同時に、各党員の代議士諸先生に御了解を求めて、これを阻止しよう、こういうような氣持で運動いたしました。
  179. 武藤運十郎

    武藤委員長 神田の龍名館にお泊りになつてつたようですけれども、六月十一日から約十日間滞在されて、そのときには主としてどういう運動をなさいましたか。
  180. 原口秀雄

    原口証人 六月中は積極的な運動はしなかつたように考えております。
  181. 武藤運十郎

    武藤委員長 いつ、幾日ぐらい上京されましたか。
  182. 原口秀雄

    原口証人 相当長く滞在しておつたと思います。
  183. 武藤運十郎

    武藤委員長 龍名館にお泊りになつた日はそう長くないようでありますけれども、どこへお泊りになつたのですか。
  184. 原口秀雄

    原口証人 龍各館ばかりです。ほかの旅館に泊つたことはありません。
  185. 武藤運十郎

    武藤委員長 大体幾日くらい滞在したのですか。
  186. 原口秀雄

    原口証人 六月に参りまして、六月の末ごろに帰つたと思います。そうして七月に参りまして、國管案が通過いたしまして、しばらくおつて、十二月ごろに帰つたと思います。
  187. 武藤運十郎

    武藤委員長 大分長かつたわけですね。
  188. 原口秀雄

    原口証人 そうです。
  189. 武藤運十郎

    武藤委員長 その間常に龍名館を宿泊所としておつたわけですか。
  190. 原口秀雄

    原口証人 そうです。
  191. 武藤運十郎

    武藤委員長 龍名館の関係の者の話を聴きますと、大体石炭國管運動の中堅と申しますか、あなたが主として活動に当つてつたと言つておる者もあるのですが、そういう立場でありましたか。
  192. 原口秀雄

    原口証人 さようなことはありません。業者同等の責任において、それぞれ各個々々働いたのであつて、私が責任をもつたとか、幹部であつたとか、指導をしたとか、そういう事実はありません。
  193. 武藤運十郎

    武藤委員長 さつき運動の方法というのは、議員諸君に会つて、その通過方を阻止することであるというお話でありましたけれども、そのほかにはどういうことをなさいましたか。
  194. 原口秀雄

    原口証人 そのほかのことはした覚えがありません。
  195. 武藤運十郎

    武藤委員長 政界その他の人々と会合したとか、あるいは飲食をしたとかいうことはないのですか。
  196. 原口秀雄

    原口証人 ありません。
  197. 武藤運十郎

    武藤委員長 龍名館にだれか代議士が尋ねて來たことはありませんか。
  198. 原口秀雄

    原口証人 私のところに來た人はありません。
  199. 武藤運十郎

    武藤委員長 新聞記者とか代議士とかその他の者に金を渡して、國管反対方を依頼したようなことはございませんか。
  200. 原口秀雄

    原口証人 代議士にはそんなことをしたことはございません。新聞記者にはあります。但しその新聞記者に與えた金は、國管阻止の運動のためという、そうした性質のものではありません。
  201. 武藤運十郎

    武藤委員長 いつ、だれにどういう新聞記者にいくら渡しましたか。
  202. 原口秀雄

    原口証人 時期は忘れております。がおそらく九月か十月ごろと考えます。國会新聞松本勇、これに私の金を二万円くれてやつたことがあります。
  203. 武藤運十郎

    武藤委員長 それはあなたの方から渡したのですか。松本氏の方からもらいたいという話があつたのですか。
  204. 原口秀雄

    原口証人 松本という者は知りませんでした。従つて先方から相談がありまして、これに乗つて渡しました。
  205. 武藤運十郎

    武藤委員長 お渡しになるまでは、松本という人は知らなかつたのですか。
  206. 原口秀雄

    原口証人 交渉を受けるまでは、知らなかつた
  207. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは松本という人から初めて話があつて松本という人を知り、これに應じたわけですか。
  208. 原口秀雄

    原口証人 そうであります。
  209. 武藤運十郎

    武藤委員長 直接話があつたのですか。
  210. 原口秀雄

    原口証人 そうです。だれか紹介したかもしれませんけれども、その人間は覚えません。
  211. 武藤運十郎

    武藤委員長 久保山雄三という人ではありませんか。
  212. 原口秀雄

    原口証人 久保山雄三君は知つておりますが、はたして彼であつたかどうか記憶しておりません。
  213. 武藤運十郎

    武藤委員長 だれかの紹介でとにかく初めて松本氏と会つて金を渡したわけですね。
  214. 原口秀雄

    原口証人 そうじやありません。数回相談を受けました。
  215. 武藤運十郎

    武藤委員長 松本本人からですか。
  216. 原口秀雄

    原口証人 そうであります。
  217. 武藤運十郎

    武藤委員長 どこへ來てどこで話がありました。
  218. 原口秀雄

    原口証人 旅館には來られなかつたように思うております。おそらく議会内の廊下附近だつたと思います。
  219. 武藤運十郎

    武藤委員長 やはり数回廊下で会つてそのたびに金を心配してもらいたいという話があつて、それで結局あなたがお渡しになつた。こういう順序ですか。
  220. 原口秀雄

    原口証人 新聞社経営内容が非常に困つておるので、何とか同情してほしいという交渉を受けました。これにはちよつと別な話がありますが、釈明さしていただきます。松本さん、この名前に私は非常に心をひかれました。何となれば私は兄弟がありません。女の姉妹がありましたが皆死んで現在ではありませんが、三十年この方一人です。父方の姓が松本と言います。私の從弟がたつた一人おりました。これが非常な困難に遭つたために心を取乱して変死しました、現在でもそのことが私の脳裡にいつもこびりついております、これがおつたならばぼくもあらゆることに相談ができる。また彼もぼくに相談することができるだろうというような、松本勇という人間がおつたのです。これが三十二才で死にましたが、これに氣をひかれまして松本勇という名前が何となしになつかしかつた。從つて彼に二万円やる決意をしました。
  221. 武藤運十郎

    武藤委員長 大分その御心情はお察しすることができますけれども、松本という人で、三十から四十の人はずいぶん多いと思いますし‥‥。
  222. 原口秀雄

    原口証人 いや同姓同名です。
  223. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうしますと一回ですぐお渡しにならなかつたですか。
  224. 原口秀雄

    原口証人 一回では渡しません。四五回交渉を受けたと思います。
  225. 武藤運十郎

    武藤委員長 それから初めてこれはといつて思い出したわけですか。
  226. 原口秀雄

    原口証人 いやその当時から何となしに心ひかれておりましたけれども、まあいろいろ考えておつたのです。
  227. 武藤運十郎

    武藤委員長 考えた結果遂に意を決して金を出した‥‥。
  228. 原口秀雄

    原口証人 そうであります。
  229. 武藤運十郎

    武藤委員長 やはりそのときに石炭國管反対について記事でも書く、運動でもするなどというような話合いでもなかつたですか。
  230. 原口秀雄

    原口証人 そんな権限があの國会新聞にあるとは考えませんでした。
  231. 武藤運十郎

    武藤委員長 ほかの諸君からも金を心配してくれないかというような話はありませんでしたか。
  232. 原口秀雄

    原口証人 それはざらにありました。旅館に小さい四ページの半分くらいの新聞國管反対賛成だというような記事を書いてたくさんそうした小さい新聞、あるいはインチキ雑誌の記者等が殺到した事実があります。
  233. 武藤運十郎

    武藤委員長 そういう者に金を渡しましたか。
  234. 原口秀雄

    原口証人 渡しません。、
  235. 武藤運十郎

    武藤委員長 それではお渡しになつたのはこの松本勇君だけですね。
  236. 原口秀雄

    原口証人 そうであります。
  237. 武藤運十郎

    武藤委員長 金をもらつた方では、大分あちこちへばらまいておるというお話なので、こつちも一口乗つてもらおうというようなことからもらつたことを聽いておりますが、あなたの方でばらまいたことはありませんか。
  238. 原口秀雄

    原口証人 そういうことはありません。またばらまくほど金もありませんでした。
  239. 武藤運十郎

    武藤委員長 國管反対のために上京して滯在する、その運動費等はどういうことになりますか。
  240. 原口秀雄

    原口証人 運動費は各自自弁ということでありまして、旅費日当だけはくれる。こういうことになつておりました。
  241. 武藤運十郎

    武藤委員長 日当というのは金額がきまつておるわけでありますか。
  242. 原口秀雄

    原口証人 千五百円もらつたと思います。
  243. 武藤運十郎

    武藤委員長 一日千五百円でありますか。
  244. 原口秀雄

    原口証人 そうであります。
  245. 武藤運十郎

    武藤委員長 旅費というのは汽車賃のことを言うのですか。
  246. 原口秀雄

    原口証人 汽車賃でなく、私滯在費用と解釈しておりました。
  247. 武藤運十郎

    武藤委員長 滯在費用というのは千五百円のうちにはいるのではないですか。
  248. 原口秀雄

    原口証人 そうであります。
  249. 武藤運十郎

    武藤委員長 旅費というのはないのですか。——旅費というのは別口旅費としてもらうのですか。それはどういうことを標準にしてもらうのですか。
  250. 原口秀雄

    原口証人 行き戻りの汽車賃であります。
  251. 武藤運十郎

    武藤委員長 ずいぶん石炭業者は一生懸命になつてこの反対のために運動をしておられたわけですから、そうきちきちに計算をして金をもらうというようなことは自分のことを自分でやるのですから、しなくてもよさそうに思われますけれども、やはりきちんとやつたのですか。
  252. 原口秀雄

    原口証人 私はもらいました。
  253. 武藤運十郎

    武藤委員長 これも相当莫大になるようですけれども、あなたの場合は百六十八日で二十五万二千円、そういう木曽氏からの明細書が出ておるのでありますけれども、これはこの通りもらつたわけですか。
  254. 原口秀雄

    原口証人 もらつたと思います。金額ははつきり覚えません。それが二遍に精算してもらつたのでなくして、五万円先にもらつたり、三万円もらつたりいたしましたから、総決算いたしますと、さような数字になると思います。
  255. 武藤運十郎

    武藤委員長 藤吉パンフレツトというのは何ですか。
  256. 原口秀雄

    原口証人 藤吉という男がパンフレツトを書きまして、出したのであります。
  257. 武藤運十郎

    武藤委員長 これはだれが出したのですか。
  258. 原口秀雄

    原口証人 藤吉仁太郎が出しました。
  259. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたがそれを買つてつたのですか。
  260. 原口秀雄

    原口証人 私は買つたりいたしません。
  261. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたはそれの金を扱つたことがありませんか。
  262. 原口秀雄

    原口証人 金を扱つたことはありません。
  263. 武藤運十郎

    武藤委員長 藤吉仁太郎という人がこれを書いたのですね。
  264. 原口秀雄

    原口証人 そうであります。
  265. 武藤運十郎

    武藤委員長 原口秘書ということでその金を拂つておるのではないですか。
  266. 原口秀雄

    原口証人 私の秘書に間違いありませんが、私はその金を直接扱つたことも見たこともありません。
  267. 武藤運十郎

    武藤委員長 藤吉仁太郎というのがあなたの秘書にあたるわけですね。
  268. 原口秀雄

    原口証人 そうであります。
  269. 武藤運十郎

    武藤委員長 十七万円買つてつたわけですか。
  270. 原口秀雄

    原口証人 そうであります。
  271. 武藤運十郎

    武藤委員長 主としてどういう方面代議士諸君に会つたか、名前を言つてください。
  272. 原口秀雄

    原口証人 名前はまず民主党から言います。民主党は岡部代議士。それから当時脱党した人がありますから、あるいは所属等が間違うかもしれません。長尾代議士、淵五代議士、西田代議士、平井代議士、大体覚えておるのはそういう人であります。
  273. 武藤運十郎

    武藤委員長 これらの諸君とはどこでお会いになりましたか。
  274. 原口秀雄

    原口証人 ほとんど院内で会いました。
  275. 武藤運十郎

    武藤委員長 龍名館でお会いになつたことはありませんか。
  276. 原口秀雄

    原口証人 龍名館で会つたことはありません。
  277. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたではないけれども武内さんかたれかが代議士諸君に金を渡したというようなことをお開きになつておりませんか。
  278. 原口秀雄

    原口証人 知りません。
  279. 武藤運十郎

    武藤委員長 何かお聽きになることがございますか。徳田君。
  280. 徳田球一

    徳田委員 代議士はお会いになつたのは民主党だけですか。
  281. 原口秀雄

    原口証人 脱党せられた方がございますから‥‥。
  282. 徳田球一

    徳田委員 それはそうですけれども、民主自由党や社会党やへその他の人に会いませんか。
  283. 原口秀雄

    原口証人 大体会いましたけれども、名前を覚えておりません。ほとんど陳情で、團体で参りましたから‥‥。
  284. 徳田球一

    徳田委員 覚えておられるのはこれだけですね。
  285. 原口秀雄

    原口証人 そのくらいです。
  286. 徳田球一

    徳田委員 運動費は自弁だというお話ですが、どれくらい使いましたか。
  287. 原口秀雄

    原口証人 大したことはないと思います。はつきり覚えません。
  288. 徳田球一

    徳田委員 大体でよいのです。
  289. 原口秀雄

    原口証人 長くいましたので、よくそういうような計算をいたしておりません。
  290. 徳田球一

    徳田委員 大まかに大体どのくらいということはわかるでしよう。百万円とか、二百万円とか‥‥。
  291. 原口秀雄

    原口証人 そんなことはありませんけれども、よく覚えません。
  292. 徳田球一

    徳田委員 大体のことはおわかりになると思いますがね。人の金ならわからぬかもしれないが‥‥。
  293. 原口秀雄

    原口証人 鉱業会から、いただきましたから、むろん足らぬことは事実であります。それにどのくらい足したか、はつきり自分で計算したことがありませんので、明確にお答えすることはちよつとできません。
  294. 徳田球一

    徳田委員 大体でよいのです。
  295. 原口秀雄

    原口証人 大体と言つても、よくわかりません。
  296. 徳田球一

    徳田委員 それからだいぶ自動車を使われたと思いますが、自動車費はたれが負担したのですか。
  297. 原口秀雄

    原口証人 これは会から自動車を提供しました。
  298. 徳田球一

    徳田委員 それから大分宴会をなさつたのじやありませんか。
  299. 原口秀雄

    原口証人 ほかの人は知りません私はやつたことがありません。
  300. 徳田球一

    徳田委員 それから大分龍名館で酒を飲まれたのじやありませんか。
  301. 原口秀雄

    原口証人 飲みました。
  302. 徳田球一

    徳田委員 その方はたれが負担したのですか。
  303. 原口秀雄

    原口証人 会から出しました。
  304. 徳田球一

    徳田委員 なるほど、あなた方が買つてきたわけではありませんね。みな会から‥‥。
  305. 原口秀雄

    原口証人 そうであります。事務員がおりまして、これが買つておるのをもらつて飲んだことがあります。
  306. 徳田球一

    徳田委員 だいぶ飲まれたですね。七十万円ばかり飲まれたようですね。
  307. 原口秀雄

    原口証人 私はトータルは知りません。
  308. 徳田球一

    徳田委員 相当飲まれたのじやないですか。
  309. 原口秀雄

    原口証人 私も多少飲みました。毎日は飲んでおりません。
  310. 徳田球一

    徳田委員 事務員をやられたのですか。あなた方自身が行かれたのじやありませんね。
  311. 原口秀雄

    原口証人 私どもが買いに行つたことはありません。
  312. 椎熊三郎

    椎熊委員 ちよつと伺います。あなたはいわゆる石炭國家管理法案反対運動に去年の夏以來約半年にわたつて上京して、議会で相当活躍しておられたようですが、あなたは上京せられる当時、石炭國家管理法案というのは與党三派で案ができて、そのまま普通の状態ならば與党の方が多数ですから通る。そこであのままの状態なら通るということはお考えになつてつたでしようか、議会の分野から言つて……。
  313. 原口秀雄

    原口証人 それは考えておりました。
  314. 椎熊三郎

    椎熊委員 そう考えたので、それ以後中年にわたる運動というものは、その石炭國家管理法案賛成せられておる與党側を切崩す以外には、あれを阻止する方法はないということもお考えでしようね。
  315. 原口秀雄

    原口証人 與党側というような、特定した党に主力を注ぐというようなことは考えておりません。
  316. 椎熊三郎

    椎熊委員 けれども当時の自由党は初めから石炭國管反対なので運動しなくとも反対、なお運動すれば一層反対が強くなるでしよう。あなた方の半年にわたる運動は、この法案を阻止すること、阻止するためには賛成側の党派にいる者に反対させるより、この法案の通過を阻止するという方法はないわけですね。
  317. 原口秀雄

    原口証人 そうであります。
  318. 椎熊三郎

    椎熊委員 そこであなた方半年の運動賛成側、與党の者を反対にまわさせるという運動であつたんですね。
  319. 原口秀雄

    原口証人 そういうことはやつておりません。ただ國管を阻止したいという運動だけで、各党の集散離合にはなんらわれわれは頭を使つておりません。
  320. 椎熊三郎

    椎熊委員 それでは伺いますが、あなたは半年にわたる長期開議会に出入せられておつて、私などあなたの顏をよく存じ上げておりますが、あなたは常に衆議院副議長室におられて謀議せられておつたようですが、田中副議長とはどういう関係ですか。
  321. 原口秀雄

    原口証人 知りません。謀議に参加したような、そんな事実はありません。
  322. 椎熊三郎

    椎熊委員 私は各派交渉の委員をしておつて、ときどき副議長室にも参るので、あなた方が石炭國管案反対せられる議員、並びに業者と十数名、時としては三十名にわたると思わるる人人が、あの中にたむろしておつた状況を、この眼で私は連日にわたつて見ておつた状況なのだが、これが謀議でなくて何であつたのでしようか。
  323. 原口秀雄

    原口証人 ぼくは知りません。
  324. 椎熊三郎

    椎熊委員 知らぬのですか。
  325. 原口秀雄

    原口証人 知りません。
  326. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなたはあそこへは毎日行つておりましたね。
  327. 原口秀雄

    原口証人 行つておりません。いや副議長室の控室には行つたことがあります。
  328. 椎熊三郎

    椎熊委員 副議長の田中さんが事務をとつておらるる控室にもおつたことを私は目撃しておる。
  329. 原口秀雄

    原口証人 人違いでしよう。おそらく人違いじやないかと思います。
  330. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなたの顏を違えるもんですか、私が‥‥。あなた否認なさいますか。
  331. 原口秀雄

    原口証人 否認します。
  332. 椎熊三郎

    椎熊委員 田中さんの部屋へはいつたことはないとおつしやるのですね。
  333. 原口秀雄

    原口証人 田中さんの部屋へはいつたことはない。ただし副議長の控室の次の間へはいつたことはあります。
  334. 椎熊三郎

    椎熊委員 田中さんのふだんおられる部屋へはいつたことはないとあなたはおつしやいますか。
  335. 原口秀雄

    原口証人 はいつたことはありません。
  336. 椎熊三郎

    椎熊委員 そこで副議長の次室にはしよつちゆう行つてつたと言うが、田中副議長とはどういう関係ですか。
  337. 原口秀雄

    原口証人 関係ありません。
  338. 椎熊三郎

    椎熊委員 関係なしにはいるのですか。
  339. 原口秀雄

    原口証人 ほかの代議士さんに会いたくて、ちようど副議長室に行かれておると聞いて、次の間へはいつたことはあります。
  340. 椎熊三郎

    椎熊委員 ほかの代議士さんというのはどういう方ですか。
  341. 原口秀雄

    原口証人 一年も前のことですから、はつきり覚えません。
  342. 椎熊三郎

    椎熊委員 人に会われようとする目的をもつている人、その人を忘れることはないでしよう。
  343. 原口秀雄

    原口証人 それはずつと各党の代議士さんに会つて國管をやることは減産になるという陳情をしておりましたので、やはりあらゆる先生に会うたと思います。従つてその先生を訪ねて行つたかのごとく考えております。
  344. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなたの記憶を喚起する意味において当時の状況を申し上げますが、当時田中副議長の部屋は石炭國管反対派の参謀本部だといううわさが議会にありまして、そこに田中副議長以外にしよつちゆう集つておる人たちは、主として民主党から脱退した、あるいは後に除名された人、それらの人のみが集つてつたので、その他の関係の人は何だか特別の用件があつて議長と交渉等がある場合には、あの部屋は避けておつた状況です。それですからあなたが会われるという目的をもつて出入せられた方は、たとえば民主党における後に國管案に反対して除名されたり脱退したりした人を尋ねて行かれたのですか。
  345. 原口秀雄

    原口証人 覚えません。
  346. 椎熊三郎

    椎熊委員 主としてどういう方と会われたのでしようか。
  347. 原口秀雄

    原口証人 さつき申し上げた人です。
  348. 椎熊三郎

    椎熊委員 さつき言わんた方は、私の記憶では副議長室にあまり出入りしない人です。あなたは冒頭に岡部君を言われましたが、岡部君は副議長の部屋などにほとんどはいらなかつた人です。あなたの会われた人は別の方でしよう。
  349. 原口秀雄

    原口証人 覚えません。
  350. 椎熊三郎

    椎熊委員 そうすると私が申し上げますが、あなたが副議長室におつて、安樂いすに腰をかけられておつた際に、工藤鐵男さん、幣原喜重郎先生、佐々木秀世氏、本間君、あるいは降旗氏、そういう人々と話をしておつた光景を私目撃しておりますが、あなたはそれでも否定なさいますか。
  351. 原口秀雄

    原口証人 それはおそらく人違いだろうと考えます。
  352. 椎熊三郎

    椎熊委員 人は違いません。それでは否定なさるのですか。そういう覚えはないですか。あすこでお話なさつたことはありませんか。
  353. 原口秀雄

    原口証人 記憶がございません。
  354. 椎熊三郎

    椎熊委員 きのうこの委員会で木曽氏の陳述によりますと、運動に上京せられたあなた方の同志の諸君が、約一千万円に近い費用を集めてそれで運動したのですが、そのうちにあなた方の日当と称する一日千五百円、それを全部ではないが、ある特定の人々には一日千五百円を渡した。あなたはそれをもらつた口でございますか。
  355. 原口秀雄

    原口証人 そうであります。
  356. 椎熊三郎

    椎熊委員 そうするともらつた人ともらわなかつた人と、どつちが多いのです。
  357. 原口秀雄

    原口証人 それは知りません。
  358. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなたは十二月の末に九州において木曽さんから、この運動費用の支出の内容について報告を受けられたはずだが、記憶はございませんか。
  359. 原口秀雄

    原口証人 報告したという話を聞きましたが、それは鉱業会の総会の席上でしたということです。ところがちようど私そのとき病氣をしておりまして、欠席しましたので、されたという話は聞きましたが、実際は耳にはしませんでした。
  360. 椎熊三郎

    椎熊委員 その多くの運動者のうちに、あなただけが特に多額の金を木曽さんから受取つておるように、私はきのうの陳述を開いておりますが、そういう事実はどうですか。
  361. 原口秀雄

    原口証人 そういう事実はありません。
  362. 椎熊三郎

    椎熊委員 そうすると先申された二十数万円というのは、滯在費だけですか。
  363. 原口秀雄

    原口証人 滯在費として一日千五百円が計算されたものと思います。
  364. 椎熊三郎

    椎熊委員 もう一遍念のため伺つておきますが、あなたは副議長室に年中おつたという事実を、私どもは目撃しておるのだが、これをどうしても否定なさいますか。
  365. 原口秀雄

    原口証人 副議長室の隣りの部屋にはいつたことはありますが、副議長室にはいつた記憶はありません。
  366. 椎熊三郎

    椎熊委員 記憶違いじやないですか。
  367. 原口秀雄

    原口証人 ないですね。
  368. 椎熊三郎

    椎熊委員 むりにお隠しにならなくとも、われわれも数回か、もつとそれ以上目撃しておるのたが、そういうことはおつしやらない方がいいのじやないですか。おつたと思います。
  369. 原口秀雄

    原口証人 記憶のないことは申し上げ兼ねます。
  370. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなたは國家管理法案が通過後において、民主党を除名されあるいは脱退した人々が、同志クラブというものを結成せられましたが、その同志クラブは結成したにもかかわらず、事務所も議院外にもつておらぬ。それはまことに氣の毒なことだ。せつかく働いてくれたのだから、事務所の費用ぐらいは出してやるべきだという御意見であつたと聞いておりますが、その通り違いありませんか。
  371. 原口秀雄

    原口証人 さようなことはありません。
  372. 椎熊三郎

    椎熊委員 そのことについて木曽さんと御相談になつたことはありませんか。
  373. 原口秀雄

    原口証人 さようなことはありません。
  374. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなたと長尾達生氏とはどういう関係ですか。
  375. 原口秀雄

    原口証人 同じ業者で知つております。
  376. 椎熊三郎

    椎熊委員 長尾達生氏とあなたとの間には金銭の授受はどうですか。
  377. 原口秀雄

    原口証人 ありません。
  378. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなたと西田君との間はどういう関係ですか。
  379. 原口秀雄

    原口証人 同じ業者です。
  380. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなた方は旧來の互助会という会に属しておつた人でありますか。
  381. 原口秀雄

    原口証人 そうであります。
  382. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなたは議院内においてのみ議会関係の人と面接せられたということでありますが、その他の場所、たとえば料亭あるいは旅館等において面接せられた記憶はございませんか。
  383. 原口秀雄

    原口証人 ありません。
  384. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなたはこの運動のために、反対してもらうために議員を招待せられたことはございませんか。
  385. 原口秀雄

    原口証人 記憶がございません。
  386. 椎熊三郎

    椎熊委員 記憶がなければやむを得ません。あなたはいよいよ國家管理法案が三派で意見がまとまりそうになつたときに、そり前提として民主党が一本建に案を承認するかしないかという段取りになりました際に、單に旧來議会内に運動しておつた者だけではいかぬというので、急遽九州方面に電報を打たれて、なるべく少壯な、たいへん形容詞としてはまずいが、暴力にも耐え得るというような人を多数狩り集めて、民主党の議員総会を監視しようというようなことを御指導なさつたということだが、そういうことはございませんか。
  387. 原口秀雄

    原口証人 そういうことは天地神明に誓つてありません。
  388. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなたは民主党の議員総会には、多数の同志らしい方々議員総会の席上にはいつておられた記憶がありますか。
  389. 原口秀雄

    原口証人 あります。
  390. 椎熊三郎

    椎熊委員 その際あなたが引具した多くの人々は、あなたの電報によつて集まつてきた人々じやありませんか。
  391. 原口秀雄

    原口証人 そういうような不逞なやからは來なかつたと思います。
  392. 椎熊三郎

    椎熊委員 そんな不逞のやからとかいうわけではないが……。
  393. 原口秀雄

    原口証人 業者はたいへん心配いたしまして、この問題が通過するかしないかということで、全國からたくさん集まつておりました。その事実は知つておりますが、今椎熊先生の仰せられたような、私はそうした暴力をもつておるような者を狩り集めたというようなことは、いやしくも鉱業会の名においていたしません。
  394. 椎熊三郎

    椎熊委員 そこであなたはこの民主党の代議士会の推移に非常に注意せられて、厖大な同志を議院内に送りこんでおつたのですが、議院の出入には嚴格なる院内の規則があります。どういう手続で院内に……。
  395. 原口秀雄

    原口証人 私は送りこんだことはありません。
  396. 椎熊三郎

    椎熊委員 どういう手続で同志の人がはいつてつたのですか。
  397. 原口秀雄

    原口証人 それは思い思いに、さつき申し上げたようにやつたのでありまして、人のことは私は知りません。
  398. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなた方の運動は、一千万円に近い金までも相談の上に集めておつたにもかかわらず、議会内に行動するにおいても、思い思いにばらばらで、相談も何もなしにやるというのはあり得ないことだと思うのですが……。
  399. 原口秀雄

    原口証人 もつともです。ところがこの炭鉱業者というやつは、特別なる性質をもつおりまして、なかなか人の言うことに服さない、頭の曲つたやつが多いのです。從つてお前はこの仕事をやつたらどうだ、こう言つても、なかなかそれをやろうと言わぬのです。そういう團体ですから、思い思いに勝手にやつたので、だれが大将であつて、だれが参謀であるとか、そういうことはありません。ほとんど炭鉱業者の全部の責任においてやつたと心得ております。
  400. 椎熊三郎

    椎熊委員 頭が曲つでおる人たちの團体としては、五箇月にわたる長期に、なかなか統一ある行動をとつておるように思うのだが、それは私の感じです。そこでいよいよ、民主党の方では党議を決定して、三派が一本になつて、これが議会に提出せられることになつて、一層運動を熾烈になされたが、その運動というのはどうしようというのですか。單に阻止しようというのでは、あなた方は議会で発言権がなし、もちろん暴力を振うという方々でなし、どうしてこれを阻止しようというのですか。
  401. 原口秀雄

    原口証人 それは各党をまわりまして、團体もしくは個人々々に、國会通過の阻止懇願をしてまわりました。
  402. 椎熊三郎

    椎熊委員 そこで、その阻止懇願は、要するに自由党は初めから反対なのですから、これは懇願しないでも反対します。賛成している民主党、國協党並びに社会党、その人々の当然賛成すべき人々の意思を飜さねばならぬということだつたのですね。
  403. 原口秀雄

    原口証人 ちよつと、もう一遍……。
  404. 椎熊三郎

    椎熊委員 與党側の三派は、三派の協定の案であつて、これを通過せしめるということに各党党議が決定した。その後においての運動が一層熾烈になつたんだが、その運動は、國管通過に賛成の人々の意思を飜させようということだつたんでしような。そうでなければあなたの目的が達しない。
  405. 原口秀雄

    原口証人 それは最初から私どもは命をかけたのであつて、これは日本の再建のためにならないという信念で動いたのでありますから、非常に最初緩慢であつて、後に一生懸念になつた、さらに熾烈になつたというようなことはありません。最初から終始熱心にやつたつもりであります。
  406. 椎熊三郎

    椎熊委員 最初から熱心ならなおさらだが、私の結論は、いよいよ三派が提案した場合になおかつ運動が続けられておるということは、議会の政党の分野から言えば当然通過するものである。あなた方はその上に運動してこれを阻止しようということは、本來賛成すべかりし人々に反対させようという、意思の変化をしてもらおうという運動つたんでしような。
  407. 原口秀雄

    原口証人 それはこう回答いたしましよう。國管が、さつきから重ねて申し上げますように、増産にならない。だから代議士諸先生の中で、つまり炭鉱をよく御承知になつている方はよくおわかりでしようと思いますが、大部分の方は炭鉱の実際を把握してない。従つて炭鉱はかようなものである、それからこういう状態で仕事をしております、これがこうなれば増産になりますが、これをいわゆる企業権のたな上げになるようなことになつたんでは減産になります、こういうことを歎願してまわつたのであります。
  408. 椎熊三郎

    椎熊委員 別なことを聽きます。この問題がまだ各党で党議を決定しない前に、鉱工業の委員が九州の炭鉱を視察に参りましたが、その際、視察の委員の方々とあなたは会われましたね。
  409. 原口秀雄

    原口証人 残念ながら会いませんでした。各党から見えたあのときでしよう。
  410. 椎熊三郎

    椎熊委員 ええ。
  411. 原口秀雄

    原口証人 見えたという話は聽きましたが、残念ながら何かの用事で、会いませんでした。鉱業会の幹部あたりは会つておるものと考えます。
  412. 椎熊三郎

    椎熊委員 その際、鉱業会が非常な豪奢なる響應をしたということだが、そういうことは聽いておりませんか。
  413. 原口秀雄

    原口証人 そういうことは聽いておりません。
  414. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなたは反対運動のために、議員外の、たとえば新聞、雑誌等、先ほど問題になつた國会新聞以外にも、國会新聞社長などの観測によると、この團体は非常な多額の金をばらまいたという観測をもつておるんですが、國会新聞以外の方々にも金銭の授受等はなかつたですか。
  415. 原口秀雄

    原口証人 ないと思うております。
  416. 椎熊三郎

    椎熊委員 ないと思つている——あなたとしてはなかつたのですか。
  417. 原口秀雄

    原口証人 ないと思つております。
  418. 椎熊三郎

    椎熊委員 いや、よろしゆうございます。
  419. 荊木一久

    荊木委員 一点たけであります。炭鉱國管反対運動ですね。そのことでなくて、別の名目でもよいのですが、昨年の七月から十二月までに、政治家に金をお出しになつたことはありませんか。
  420. 原口秀雄

    原口証人 ありません。
  421. 荊木一久

    荊木委員 たとえば新党運動という名前でお出しになつたことはありませんか。
  422. 原口秀雄

    原口証人 ありません。
  423. 荊木一久

    荊木委員 あなた自身でなくて、出されたことを御存じありませんか。
  424. 原口秀雄

    原口証人 ありません。
  425. 荊木一久

    荊木委員 お立会になつたこともありませんか。
  426. 原口秀雄

    原口証人 ありません。
  427. 石田一松

    ○石田(一)委員 ちよつとお尋ねしますが、先ほどの証言の中に、二十数万円もらつたのは一度にもらつたのではなくて、先に五万円もらつて、またあとから三万円もらつたという。それはどこでどなたの手からおもらいになつたのですか。
  428. 原口秀雄

    原口証人 それは金額をはつきり覚えませんか、さようなことで一遍でもらわなかつたということをさつき申し上げたのでありますが、これはさつきも御説明申し上げましたように、大体金は木曽氏が預かつておりました。しかしながらあの人は名ばかりであつて、事務の人か小さい計算をやつておりました。從つて事務の者からもらつたと考えます。しかし一應はさようなことは木曽さんの耳に入れたと考えております。
  429. 石田一松

    ○石田(一)委員 その事務の人というのは何という人ですか。
  430. 原口秀雄

    原口証人 それは忘れております。だか調べればすぐわかると考えます。
  431. 石田一松

    ○石田(一)委員 五万円もらつた、三万円もらつた、額はいくらでもよいのですが、一番終いにあなたがおもらいになつたのは、國管案が通過してから後のいつごろですか。
  432. 原口秀雄

    原口証人 済んで翌々日、とにかくもう負けた、からあつさりひとつ帰ろうということになりまして、そのときに清算してもらつたと思います。
  433. 石田一松

    ○石田(一)委員 そのときに出されたのはいくらだつたか、御記憶ありませんか。
  434. 原口秀雄

    原口証人 ありません。
  435. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうすると、事務の人はだれに何日にいくら渡したということは、帳簿や何かにつけていなければほとんどわからないのですか。
  436. 原口秀雄

    原口証人 メモか何かしておつたと思いますが、その場を見たことがありませんので‥‥。
  437. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうするとあなたは、つけていたろうと思うけれども、それではつけていないかもしれないのですか。そのいないときに、あなたの方からあと五万円要るという要求をなさつたときに、事務の人は覚えているでしようか。
  438. 原口秀雄

    原口証人 それはむろん出した事実がありますから、覚えていると思います。
  439. 石田一松

    ○石田(一)委員 滯在費として五百万、六百万という金を拂つている。それを事務の人か一人で紛失するおそれのあるメモやまた記憶や何かでこの金が正確に千五百円ずつの割当で支拂われるということは、常識的に考えてもないと思いますか、これはどういう計算方法によつたものですか。
  440. 原口秀雄

    原口証人 それは私当つておりませんから知りません。
  441. 石田一松

    ○石田(一)委員 あなたは最後に自分から要求したのではありませんか。
  442. 原口秀雄

    原口証人 清算するから來いということでもらつたと思います。
  443. 石田一松

    ○石田(一)委員 自分では、これはもらい過きであるとか、あるいはもらい足りないということをお考えになつたことはありませんか。
  444. 原口秀雄

    原口証人 間違いないたろうど思つて受領いたしました。
  445. 石田一松

    ○石田(一)委員 先ほどからたびたび聽いておりますと、たとえば椎熊君の質問に対して、料亭や旅館では議員と会つたことかないと記憶するという答弁が非常に多いのですが、記憶するというのは、喚ひ起すとあるかもしれないというのですか。
  446. 原口秀雄

    原口証人 記憶がないということであります。
  447. 石田一松

    ○石田(一)委員 記憶かないということは、そういう事実がないということですか。忘れたということは、事実あつたかもしれないけれども、私の頭が悪いから忘れた、配慮かないというのですか。
  448. 原口秀雄

    原口証人 さように御解釈願います。
  449. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうすると事実はあつたかもしれないということですな。
  450. 原口秀雄

    原口証人 そういうことはないと思います。
  451. 石田一松

    ○石田(一)委員 今お尋ねしたのは、料亭や旅館で議員とか、政界の人々と会食をして、國管反対運動のための協議をしたことがあるかと尋ねておるのです。
  452. 原口秀雄

    原口証人 ありません。
  453. 石田一松

    ○石田(一)委員 では先ほどの記憶がないというのは訂正なさいますか。
  454. 原口秀雄

    原口証人 訂正します。
  455. 石田一松

    ○石田(一)委員 絶対にないですね。
  456. 原口秀雄

    原口証人 ええ。私の説明が悪かつたのです。國管問題についてはありません。
  457. 石田一松

    ○石田(一)委員 國会では一緒にお飲みになつたことかあるでしよう。
  458. 原口秀雄

    原口証人 ありません。
  459. 石田一松

    ○石田(一)委員 議長室の控室のテーブルの上でウイスキーのびんやビールびん、一升びんを置いてお飲みになつたことはありませんか。
  460. 原口秀雄

    原口証人 大地神明に誓つて私はありません。それは人違いでしよう。
  461. 石田一松

    ○石田(一)委員 私は聽いておるのです。人違いでしようということは、私かあなたを知つていて言うことだ。私は全然あなたを知らないから聽いている。
  462. 原口秀雄

    原口証人 椎熊さんが言われましたから。私じやありません。
  463. 石田一松

    ○石田(一)委員 今年に入つてから、鉱業会の理事会とか役員会が開かれましたか。
  464. 原口秀雄

    原口証人 それはたびたび九州では開かれたと思います。
  465. 石田一松

    ○石田(一)委員 九州でなく、東京あたりでは。あなたは理事になつていらつしやいませんか。
  466. 原口秀雄

    原口証人 私は石炭鉱業会時代には九州の総代として中央の会議に参加しております。ところが、これが解散になりまして、協会になりまして、制度が変りましたので、それ以來ありません。
  467. 石田一松

    ○石田(一)委員 國管案の議会反対運動が一應敗北した後に、武内さんとか山川さんとか、あるいは貝島さんとかいう、その運動当時のわれわれから考えれば主流をなしたと思う方々とお会いになつたことはありませんか。
  468. 原口秀雄

    原口証人 貝島さんとは会いません。武内さんとは、私のところの九州石炭鉱業協会の副会長でありますがゆえに、いろいろ事業上のことで会つたことはたびたびあります。
  469. 石田一松

    ○石田(一)委員 それは主としてどこでお会いになつておりますか。
  470. 原口秀雄

    原口証人 福岡の石炭鉱業会館というのが事務室になつておりますから、ここではしばしば会つた事実があります。
  471. 石田一松

    ○石田(一)委員 最も最近お会いになつたのはいつですか。
  472. 原口秀雄

    原口証人 最近と申しましても、二、三箇月前には会つたと思います。始終先生東京へ出ておりますので、先生帰つてから会を開き、あるいは今度の炭價改訂であるとか、配分の方法であるとか、そういうことについては会つたことがあります。おそらく七月の半ばころと思います。
  473. 石田一松

    ○石田(一)委員 たえず武内さんは東京にいらつしやるというただいまのお言葉ですが、あなたが今度この証人として喚問をされたという通知を受けてから、武内さんにお会いになりませんか。
  474. 原口秀雄

    原口証人 会いません。
  475. 石田一松

    ○石田(一)委員 あなたが受けなくても武内さんが喚を問されたということの通知を受けてから後にお会いになりませんか。
  476. 原口秀雄

    原口証人 会いません。新聞では見ました。
  477. 石田一松

    ○石田(一)委員 まつたく会いませんか。
  478. 原口秀雄

    原口証人 会いません。
  479. 石田一松

    ○石田(一)委員 では、七月半ばころお会いになつたときに、この運動に関しての何か問題が出ているらしいという話は出ませんか。、
  480. 原口秀雄

    原口証人 そういう話は聞いておりません。石炭の炭価價の配分問題で説明に行きました。それ以來ありません。
  481. 石田一松

    ○石田(一)委員 九州のいわゆる業者たちが集まつたときに、國会のこの委員会で國営案お反対運動が問題になるらしいというような話も出たことはありませんね
  482. 原口秀雄

    原口証人 私は聞いておりませんが、新聞では知つております。
  483. 石田一松

    ○石田(一)委員 では全然そういうことは会議では話が出ないですか。
  484. 原口秀雄

    原口証人 出ません。
  485. 石田一松

    ○石田(一)委員 またそういうことについて会つたことはないですか。
  486. 原口秀雄

    原口証人 ありません。
  487. 石田一松

    ○石田(一)委員 あなたは武内さんにもその他の方にもその点では会つたことがないのですか。
  488. 原口秀雄

    原口証人 ありません。
  489. 石田一松

    ○石田(一)委員 これは私の主観になるのでおこられるかもしれませんが、お会いにならないとしては、各証人証言が一字一句あまりにぴつたりと合いすぎている。まつたく正しいのであります。一つお伺いしますが、先ほど龍名館へ引続き長期にわたつて宿泊していたと……。これは委員長も念を押して聽いていましたが、全然これは間違いありませんか。
  490. 原口秀雄

    原口証人 ありません。
  491. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうすると、龍名館はたいへんお氣の毒なことになるのですが‥‥。  もう一つこれは余計なことのようですが、聽いておきます。炭鉱業者というのは、人の言うことはあまり素直に聽かない人であるとおつしやいましたが、そうすると証人としておいでになつても、委員の質問なんかは素直にはお答えにならない‥‥。
  492. 原口秀雄

    原口証人 私はさつき宣誓しました。宣誓には従うつもりであります。
  493. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 先ほど椎熊さんからの質問に、あなた方の運動は、案が出たのでこれをつぶそうという運動だけのように聞えたのですが、私はそうではなかろうと思う。第一に聽きたいのは、先ほどのお言葉では、六月に東京へ來てすぐ運動をしたというお話でありましたが、この案の議会へ出たのは七月の末たつたと思います。約三箇月あつたと思いますが、その間も運動をなさつたのでしようか。
  494. 原口秀雄

    原口証人 そうであります。とにかくさつき申し上げた六月に参りまして、こんなことを予期しておりませんし、炭價を決定してほしいということを政府に陳情に参つたのであります。たまたまこの問題が起りましたので、これはたいへんなことだというので、反対運動をやらなければなるまいということになつたのですが、六月に猛烈に反対したということはよく記憶しません。やることはやつたでしようが‥‥。
  495. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこでそうなりますと、出ぬ先の反対運動ですから、むしろこういう案が出ないような運動をやつたように考えますが‥‥。
  496. 原口秀雄

    原口証人 商工省案とか、安本案とかいつたようなものが、どこからとなしに業者の手にはいりましたので、それを見て驚いたわけです。それからこれはたいへんなことだということでやつたのであります。
  497. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、議会へ出ぬ先になるべくこういうものは議会に出ぬようにという運動をやられた‥‥。
  498. 原口秀雄

    原口証人 そうです。そのときの商工大臣であるとか、安本長官であるとかいう人に陳情したように聞いております。
  499. 梶川靜雄

    ○梶川委員 一つだけお伺いしますが、平井代議士とはよく御存じのようですが、どういう御関係でございますか。
  500. 原口秀雄

    原口証人 あの人は私は知りませんでした。ところが炭鉱國管問題で参りまして、たまたま名乗り合つて、あの人は福岡縣の四区から出ておるということで親しくなりました。
  501. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それであなたの運動中いろいろ御依願されたと思うのですが、主としてどういうことを御依頼されましたか。
  502. 原口秀雄

    原口証人 炭鉱國管をやられたならば減産になるから、できるならば多くの人に國管反対の方に協力してもらうように、運動願いたいということを申し上げたことがあります。
  503. 梶川靜雄

    ○梶川委員 平井代議士は龍名館にはちよいちよい出入りされたですね。
  504. 原口秀雄

    原口証人 私は知りません。
  505. 梶川靜雄

    ○梶川委員 そんなことはないと思うのですが……。いつごろ一番初めに知り会われたわけですか。
  506. 原口秀雄

    原口証人 七月に参りまして、それからと思います。たまたま自由党の本部に陳情に行つたときに名乗り合つたと思うのです。
  507. 梶川靜雄

    ○梶川委員 自由党の本部というのはどこのことですか。
  508. 原口秀雄

    原口証人 いや、自由党の控室であります。訂正いたします。
  509. 梶川靜雄

    ○梶川委員 名乗り合つたと言いますが、私が平井ですと言つてまわる者はおらぬですからね。だれかが何するとか……、会つたときのいきさつをもう少し詳しくお話願いたい。
  510. 原口秀雄

    原口証人 よく記憶しません。
  511. 石田一松

    ○石田(一)委員 ちよつと尋ねることを忘れていたのですが、國管案の反対運動をなさるために各党をおもわりになつたのはよくわかりましたが、特に鉱工業委員会というものがこれを主として審議しますので、鉱工業委員会運動したということはありませんか。
  512. 原口秀雄

    原口証人 鉱工業委員会に陳情したことはありませんが、さつき申し上げたことく、各党を陳情してまわつた事実があります。
  513. 石田一松

    ○石田(一)委員 各党だけで……。鉱工業の常任委員に特別に運動といいますか、働きかけたことはありませんか。
  514. 原口秀雄

    原口証人 特別に委員ということに限定してやつたことはありません
  515. 石田一松

    ○石田(一)委員 限定ではありませんが、各党をまわる中にも、ただ各党をまわるよりかも、事前に委員会が審議するのですから、その係の委員に会つたことはありませんか。
  516. 原口秀雄

    原口証人 そういうことはありません。
  517. 石田一松

    ○石田(一)委員 各党でこの人が鉱工業委員だと言つて紹介されて、特にその人に話したことはありませんか。
  518. 原口秀雄

    原口証人 それはあります。國管の是非論を話したことがあります。
  519. 石田一松

    ○石田(一)委員 それはその党のたれから、この人が鉱工業委員だからこの人に話してもらいたい、というので話したのであれば、各党の鉱工業委員に特に会つたということになるでしよう。
  520. 原口秀雄

    原口証人 各党ということははつきり覚えませんが、自由党なら自由党に陳情に行きましたとき、これはさつきも申したことですが、おれたちは炭鉱の実情を知らないから専門委員によく徹底するように話してくれ、こういうような注文を受けてやつたことはあります。
  521. 石田一松

    ○石田(一)委員 それはどこの党とどこの党ですか。
  522. 原口秀雄

    原口証人 それは覚えませんが、各党でやつたと思います。
  523. 石田一松

    ○石田(一)委員 これはさつきの話にもあつたことですが‥‥。
  524. 原口秀雄

    原口証人 覚えません。会つたかもわかりません。なかつたかもわかりません。
  525. 石田一松

    ○石田(一)委員 それでははつきりしないですよ。そう覚えてないのでは困るのですが‥‥。委員長などにお会いしませんでしたか。
  526. 原口秀雄

    原口証人 伊藤委員長を訪問して話したことはあります。
  527. 石田一松

    ○石田(一)委員 あなたはさつき代議士の知つておる名前をあげるときに伊藤委員長の伊藤は出なかつたようですが、今偶然出た。もう少し考えられると、まだ知つておる名前は出ませんか。
  528. 原口秀雄

    原口証人 だいぶ考えましたが出ません。
  529. 石田一松

    ○石田(一)委員 どうして伊藤委員長とはつきり言つたのですか。
  530. 原口秀雄

    原口証人 それは鉱工業委員会委員長であることは有名であり、また私の地区の二区から出ておられる社会党の議員さんでありますから……。
  531. 石田一松

    ○石田(一)委員 特にお会いになつたことはありませんか。
  532. 原口秀雄

    原口証人 特に会つたことはありません。
  533. 石田一松

    ○石田(一)委員 それから修正案か出ましたか、修正案が出たので、たとえば社会党の左派方面に向つて原案に賛成をして修正案そ否決するというような運動はなさいませんてしたか。
  534. 原口秀雄

    原口証人 そんな運動はもつてのほかです。考えたことはない。
  535. 石田一松

    ○石田(一)委員 先達つてあり証人に聽いたところが、実は私たちの運動は実に拙かつたということを肯定したような、しなかつたよう証言かあつたのですが‥‥。
  536. 原口秀雄

    原口証人 それは私に関する限り知りません。おそらく社会党の左派の方がこれに賛成されようとは考えておりませんでした。
  537. 石田一松

    ○石田(一)委員 どれにです。
  538. 原口秀雄

    原口証人 あなたの言われることは、社会党の左派に特別に働きかけたことはないかということでしよう。
  539. 石田一松

    ○石田(一)委員 そう。
  540. 原口秀雄

    原口証人 私会党の左派か通過に反対されようとは考えておりませんでした。
  541. 石田一松

    ○石田(一)委員 それはそうなんです。だから原案の方がより以上業者あるいは國管案を支持する方にはいいのですね。しかしそれはあらゆる機会に、あらゆる協議の結果だんだん手ぬるい修正案になつてきた。それならば社会党左派の人々は原案の方を固孰していくに違いない。だから原案を固孰することによつて修正案に賛成する人の数を少くする、こういう運動をなされたと私たちは思うのてすが、そういうことは今あなたの仰しやることとは違うのです。社会党の左派の方は原案の方に賛成なんです。修正案の方かあまり好ましくないという事実もある。その左派の方に原案に賛成するように、修正案に反対するようにという運動がここでは高等戰術としてなさるべきであると私は思うのですがどうですか。
  542. 原口秀雄

    原口証人 そういうことはありません。
  543. 石田一松

    ○石田(一)委員 全然。
  544. 原口秀雄

    原口証人 知りません。
  545. 石田一松

    ○石田(一)委員 それからもう一つさつき聽き漏らしたのですが、椎熊君がお尋ねした副議長室で幣原さんも知らなければ、田中さんも何もかも全部名前はわからぬとおつしやるのですが、その前にあなたがおつしやつたのは、なぜ副議長室へあなたはおはいりなつたかと椎熊君がお尋ねしたら、訪ねに行つた代議士が副議長室にいるといわれたので、副議長室へ行つたとおつしやるのですが、訪ねに行つた代議士はどの代議士ですか。
  546. 原口秀雄

    原口証人 それがはつきり覚えません。あすこだろうということで行つたが、おられぬというので帰つたことは一、二度あつたと思います。
  547. 石田一松

    ○石田(一)委員 お訪ねになる以上は、ただ代議士がどこにいるかじやわからないので、やはり、だれそれはいるかとお尋ねになつたはずです。そうすると、その人が副議長室に今いるというふうに考えたわけじやないですか。特にその当時のおも立つた人の名前もお忘れになつたことはおかしいと思いませんか。
  548. 原口秀雄

    原口証人 私もおかしいと考えます。しかし一年も経過しておりますので、そんなこまかいことは私は覚えておりません。
  549. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうすると、あなたは代議士名前を忘れているということは自分でもおかしいと思つていらつしやいますか。
  550. 原口秀雄

    原口証人 もう少し知つておるはずだと思いますが、さつき申し上げた通りしか知りません。
  551. 前田種男

    ○前田(種)委員 ちよつと先ほどの証言の中に、証人は百六十日近くも東京におられましたが、その間國管反対運動のためには、料亭、待合、旅館等でいろいろな会合、懇談をしたと言つておられますが、その通りですか。
  552. 原口秀雄

    原口証人 そうです。
  553. 前田種男

    ○前田(種)委員 そうしますと、その半期以上の長い間でありますから、國管に集中されました以外に、業者として営業上その他のことについての会合はやられたのですか。
  554. 原口秀雄

    原口証人 ほとんど國管に終始しておりましたので、業者としての仕事上の会合はおそらくなかつたと考えております。
  555. 前田種男

    ○前田(種)委員 あなたの半期間における会合というものは、院内と龍名館で、それ以外ではだれとも会つて相談したということはないですか。
  556. 原口秀雄

    原口証人 ないです。
  557. 前田種男

    ○前田(種)委員 絶対にないですか。
  558. 原口秀雄

    原口証人 ないです。
  559. 前田種男

    ○前田(種)委員 自動車会社から來て、おります書類によりますと、龍名館から相当頻繁に自動車が出ておるのですが、晩の九時、十時あるいはもつと遅く、朝早くから出て、しかも行先は待合らしい。東京都内あるいは東京近郊の各方面に往復しておりますが、相当頻繁にやつている中で、他の業者はどうか知りませんか、あなたが中心になつて運動をやつておられながら、相当車に乗つてそういう場所に行つて相談をしたことはありませんか。
  560. 原口秀雄

    原口証人 私は中心ではありません。
  561. 前田種男

    ○前田(種)委員 中心でなくとも、この運動の幹部として……。
  562. 原口秀雄

    原口証人 幹部でもありません。
  563. 前田種男

    ○前田(種)委員 業者として半期以上も東京に滯在しておつて、しかも莫大な自動車を使つて走りまわつてつて、その車に乗つてそういう場所に行かれたことはありませんか。
  564. 原口秀雄

    原口証人 ありません。
  565. 前田種男

    ○前田(種)委員 絶対にないですか。
  566. 原口秀雄

    原口証人 ありません。
  567. 前田種男

    ○前田(種)委員 ないとしたら、あなたの運動されたのは、院内と龍名館の宿舎、しかも宿舎でも代議士で訪問した人にも一遍も会わない。その他の人にも会わないということでしたら、その間は一体どうしておられたのですか。朝から晩まで……。
  568. 原口秀雄

    原口証人 院内におらなくても、退屈まぎれに銀座へ行つてぶらりいたり、活動や芝居にも行きました。
  569. 前田種男

    ○前田(種)委員 そうしたらあの自動車の日割を書いて、主として乗つておられた人の名前まで書いて、相当待合その他に自動車が往復しておるのですが、そういう会合に一回も行かれたことはありませんか。
  570. 原口秀雄

    原口証人 はつきり言います。ありません。
  571. 椎熊三郎

    椎熊委員 最後にもう一点聽いておきたい、あなたは幹部でも何でもないとおつしやるが、われわれの目からみて、この國管案阻止の巨額であり、有力者であり、先ほどあなたがおつしやるところからいつても、身命を賭してあれだけの費用を使つて、あれだけの日数議会に出入しておつて、あなたはこの運動が成功するという確信のもとになされたのですか。
  572. 原口秀雄

    原口証人 成功するものと思つておりましたが、残念ながら負けました。
  573. 椎熊三郎

    椎熊委員 成功すると思つた。そうすると、その成功すると思うということは、本來この案に賛成すべき立場にあるものが、節を変え、あるいは変心して、何らかあなた方の運動の影響によつて反対側にまわるということの結果、成功すると思われたのですね。
  574. 原口秀雄

    原口証人 そうじやありません。つまり國会というのは、國民によつて選出せられた諸先生のおられるところでありますから、減産になるようなことにはおそらく御賛成になるまい、実情がおわかりにならぬから、これをよく説明申し上げたならば勝てるものじやないかという希望をもつて運動いたしました。
  575. 椎熊三郎

    椎熊委員 もう一点、あなたはこの運動が成功するという確信をもつてなされたと言うが、ただいまのあなたの言葉通り、國会の議員は國民の代表であるが、業者運動等によつて考え方を違えにいくもののように、あなたはお考えになつたのですか。
  576. 原口秀雄

    原口証人 私はあの案が緊急石炭増産案であるならば——眞に石炭を掘つているわれわれから考えたならば、さにあらずという解釈をした。従つてその実情を陳情申し上げたならば、おそらく御了解がいくものなりと考えておりました。
  577. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなたは今日の國会というものを少し軽んじておりはしませんか。運動、請託、誘惑等によつて議員が態度を二、三にするなどという確信をもつたということは、國会に対する重大な侮辱じやないか。
  578. 原口秀雄

    原口証人 そんなことを言つた覚えは私はありません。
  579. 椎熊三郎

    椎熊委員 そうじやないかと聽いている。
  580. 原口秀雄

    原口証人 そうじやないと申し上げている。
  581. 椎熊三郎

    椎熊委員 そうじやないか。本來当然通るという分野になつているものが、運動をすれば勝つという確信をもつということは何だ。それは誘惑じやないか。
  582. 原口秀雄

    原口証人 運動すれば了解いただけるかもしれんという確信のもとに運動をしたと申し上げました。
  583. 椎熊三郎

    椎熊委員 了解されるという確信がもてるということですか。
  584. 原口秀雄

    原口証人 わかつていただけると思いました。從つて國管案に反対していただけるものじやないかという考え方をもつておりました。
  585. 椎熊三郎

    椎熊委員 いずれにしても、運動なんかで大事な法案を左右することができるという確信をあなたはもつたということなんだ。われわれはあなたは重大な國会侮辱をしたものであるという観点からあなたを観測いたします。
  586. 原口秀雄

    原口証人 私は……。
  587. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 今の椎熊君の御発言は重大問題です。運動と一口に言つても、正しい運動もあれば、正しくない運動もある。陳情とか、運動というものは國民に許されたものであるし、今の証人証言は、結局議員が実情にうといから、間違つた判断をしているのだ、だから……(「それは質問じやない」と呼び、その他発言する者多し)証人に質問しているのだ、しまいまで聽かないか。  要するに、今証人の言葉を聽くと、議員に実情の明らかでない人があるかもしれないから、それを正しく啓蒙するというふうな意味で、いろいろ実情を訴えられたというふうに聽いたのですが、椎熊君はそういうふうにとつていないのです。正しくない運動であるというふうにとれば、権能君の言うようなことになるかもしれないが、そういうふうな意味じやないですね。実情を訴えるという正しい運動をあなた方はぜられたということを今お述べになつたのじやないですか。
  588. 原口秀雄

    原口証人 その通りです。
  589. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 椎熊君が今出したけれども、いわゆる誘惑とか、請託とかいう言葉も、語源を引いてみたらわかると思うが、いろいろ問題がありましよう。要するに、正しい運動でなかつた。國民の代表に正しい判断をもたす運動であつたということを言われたのですね。
  590. 原口秀雄

    原口証人 聞違いなく、その通りです。
  591. 武藤運十郎

    武藤委員長 ほかにございませんか。——じや証人済みました。御苦労さまでした。
  592. 武藤運十郎

    武藤委員長 上田清次郎さんですか。
  593. 上田清次郎

    上田証人 そうです。
  594. 武藤運十郎

    武藤委員長 前に代議士をしておられましたか。
  595. 上田清次郎

    上田証人 そうです。
  596. 武藤運十郎

    武藤委員長 いつでございますか。
  597. 上田清次郎

    上田証人 一昨年でした。
  598. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたの経営しておられる炭鉱は豊州ですか。
  599. 上田清次郎

    上田証人 豊州と東洋でありますが、さつきは一つでいいというから東洋の方を出しました。
  600. 武藤運十郎

    武藤委員長 豊州炭鉱と東洋炭鉱と二つ経営しておられるわけですか。
  601. 上田清次郎

    上田証人 今は三つになりました。
  602. 武藤運十郎

    武藤委員長 もう一つは。
  603. 上田清次郎

    上田証人 池尻炭鉱というのを本年の七月から始めました。
  604. 武藤運十郎

    武藤委員長 これはいずれもあなたの個人経営ですか。
  605. 上田清次郎

    上田証人 そうであります。
  606. 武藤運十郎

    武藤委員長 昨年御承知の通り國管問題が出まして、これに業者反対運動をしましたけれども、あなたもこれに参加しましたか。
  607. 上田清次郎

    上田証人 むちろん私もこの國管運動の中にははいつておりました。
  608. 武藤運十郎

    武藤委員長 どんなふうな運動をなさいましたか。
  609. 上田清次郎

    上田証人 私個人でありましようか。われわれ鉱業会でありましようか。
  610. 武藤運十郎

    武藤委員長 まず個人としてどういう運動をなさいましたか。
  611. 上田清次郎

    上田証人 私個人としては別に運動をやりませんでした。
  612. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは個人でない立場では、どういう立場でどういう運動をなさいましたか。
  613. 上田清次郎

    上田証人 われわれ同業者國管運動反対することになりまして、東京に参りまして以來、私は個人的には何もやつておりませんが、たとえば院内における各党にわれわれ業者が訪問いたしまして陳情をやりました。その際はわれわれ業者で、きようは各党を訪問しての陳情運動だから、一人残らず参加してもらいたい。こういうことでありましたので、その中に加つてまいりました。その程度のもので、特別にやつたような記憶はないのであります。
  614. 武藤運十郎

    武藤委員長 こちらの宿所はどこですか。
  615. 上田清次郎

    上田証人 神田の龍名館です。
  616. 武藤運十郎

    武藤委員長 いつからいつまで幾日くらい滯在なさいましたか。
  617. 上田清次郎

    上田証人 八月の初めから十二月の初めまでの間に、途中で何回か帰りましたと思いますけれども、ほとんど東京におつたと申し上げてもいいと思います。
  618. 武藤運十郎

    武藤委員長 それで八月から十二月までほとんど東京におられた、その期間における宿舎はすベて龍名館でありますか。
  619. 上田清次郎

    上田証人 そうであります。
  620. 武藤運十郎

    武藤委員長 そういう場合の運動費はどういうことになるのですか。
  621. 上田清次郎

    上田証人 運動費はたしか当時一日千五百円の日当をいただいたと思います。
  622. 武藤運十郎

    武藤委員長 日当千五百円で、上京あるいは帰京の汽車賃は。
  623. 上田清次郎

    上田証人 それは別にもらいました。
  624. 武藤運十郎

    武藤委員長 その千五百円というのは、旅館の費用とか、晝食代とか、そういうものですか。
  625. 上田清次郎

    上田証人 そうです。
  626. 武藤運十郎

    武藤委員長 そのほかに何か運動するに費用がかかればそれは御自分持ちということになるのですか。
  627. 上田清次郎

    上田証人 車賃も別に拂つたと思います。
  628. 武藤運十郎

    武藤委員長 別に拂つたと思うというのは、会の方で拂つたのですか。
  629. 上田清次郎

    上田証人 ええ、会の方で拂いました。
  630. 武藤運十郎

    武藤委員長 これは日当旅費は全額拂つてもらいましたか。
  631. 上田清次郎

    上田証人 もらいました。
  632. 武藤運十郎

    武藤委員長 大体いくらぐらいになります。
  633. 上田清次郎

    上田証人 はつきり覚えておりませんが、百五十日ぐらいおつたと思いますから、二十数万円もらつておるはずだと思つております。
  634. 武藤運十郎

    武藤委員長 一度にですか。
  635. 上田清次郎

    上田証人 数回にもらつたと思つております。
  636. 武藤運十郎

    武藤委員長 先渡しですか。後渡しですか。
  637. 上田清次郎

    上田証人 何回かに分けてもらつたと思つております。
  638. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうして最後に清算をしたわけですか。
  639. 上田清次郎

    上田証人 そうです。
  640. 武藤運十郎

    武藤委員長 陳情に來られてお会いになつた代議士はだれです。
  641. 上田清次郎

    上田証人 先だつて各党に陳情したときに、だれに聽いてもらつたかということでしたけれども、当時聽いてもらつた人をよく記憶しておりませんが、それは私一人でなくして、ほかにたくさんおつたと思いますから、記憶している人もあるかもしれませんが、私はよく記憶してないのです。
  642. 武藤運十郎

    武藤委員長 ほかの人のことはまた別にその人から聽きますけれども、あなたの御記憶なさる代議士が少しはあるでしよう。、全然覚えていないということはないではないですか。
  643. 上田清次郎

    上田証人 社会党のときは加藤勘十さんがおつたと思います。そのほかはあまり覚えてないです。
  644. 武藤運十郎

    武藤委員長 大勢でなくて個人的に会つたこともございませんか。
  645. 上田清次郎

    上田証人 個人的にはそんな話をしたことはございません。
  646. 武藤運十郎

    武藤委員長 衞藤速君を御存じですか。
  647. 上田清次郎

    上田証人 知つております。
  648. 武藤運十郎

    武藤委員長 どういう関係です。
  649. 上田清次郎

    上田証人 これは私と同郷でもありますし、同業者でもあります関係からよく知つております。
  650. 武藤運十郎

    武藤委員長 この君と國管について何か話をしましたか。
  651. 上田清次郎

    上田証人 國管についてことさら話はなかつたのです。当時宿も同じでありましたから、始終会うことは会つておりましたが、衛藤氏も國管は時期尚早だという考えであるし、われわれ業者とは考え方に少し変つたところはありましたけれども、結局結論としては反対だというような意見を私は聞いておりました。
  652. 武藤運十郎

    武藤委員長 衛藤君とあなたとは、旅館も同じであれば、目的も同じであるのだから、もう少し話合つてはおりませんか。
  653. 上田清次郎

    上田証人 ことさら話す必要がなかつたですね。
  654. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたから衛藤氏に、反対運動のための資金というようなことで金を渡されたことがありますか。
  655. 上田清次郎

    上田証人 そういうことはありません。
  656. 武藤運十郎

    武藤委員長 そういう名義以外で金を渡したことはありますか。
  657. 上田清次郎

    上田証人 ありません。
  658. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは衛藤君とあなたとは、金の授受ということは昨年五、六月ごろから十一月ごろまでには何もなかつた
  659. 上田清次郎

    上田証人 ありません、
  660. 武藤運十郎

    武藤委員長 旅館で飲食したことはありませんか。
  661. 上田清次郎

    上田証人 だれとですか。
  662. 武藤運十郎

    武藤委員長 だれかほかの代議士または業者と……。
  663. 上田清次郎

    上田証人 業者とは食べたことはあります。しかし代議士とは一回も食べたことはありません。
  664. 武藤運十郎

    武藤委員長 酒を飲んだこともない。
  665. 上田清次郎

    上田証人 そうです。
  666. 武藤運十郎

    武藤委員長 木曽という人を知つておりますか。
  667. 上田清次郎

    上田証人 ええ。
  668. 上田清次郎

    上田証人 当時われわれ業者金銭の出納の方は木曽氏に依頼しておつたのです。
  669. 武藤運十郎

    武藤委員長 西田という人を知つておりますか。
  670. 上田清次郎

    上田証人 知つております。
  671. 武藤運十郎

    武藤委員長 これはどういう人ですか。
  672. 上田清次郎

    上田証人 われわれの業者です。
  673. 武藤運十郎

    武藤委員長 業者でかつ代議士ですか。
  674. 上田清次郎

    上田証人 そうです。
  675. 武藤運十郎

    武藤委員長 いつか龍名館で木曽さん、西田さんとあなたと、何か賭博のようなことをなさつたことはないですか。
  676. 上田清次郎

    上田証人 賭博と言われると困るのですけれども、花札遊びはやつたことがあります。
  677. 武藤運十郎

    武藤委員長 そのとき大いに酒を飲んだのですか。
  678. 上田清次郎

    上田証人 そうです。そのときは酒を飲みました。
  679. 武藤運十郎

    武藤委員長 そのときは飲んだ。
  680. 上田清次郎

    上田証人 ええ、私は飲みません。
  681. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたは全然酒を飲めない。
  682. 上田清次郎

    上田証人 ええ。
  683. 武藤運十郎

    武藤委員長 一番酒んだのはだれですか。
  684. 上田清次郎

    上田証人 そうですね。それは酒の好きな人がよけい飲んだでしよう。ほかの人は、西田さんも飲みますし、木曽さんも飲みますからね。
  685. 武藤運十郎

    武藤委員長 よほど遅くまでやつたのですか。酒を飲んで花をしたのは……。
  686. 上田清次郎

    上田証人 遅くまでやつておりました。警察の人がはいつてくるまでですから、夜明けまでだつたでしよう。
  687. 武藤運十郎

    武藤委員長 何かお聽きのことはございませんか。
  688. 石田一松

    ○石田(一)委員 私ちよつと聽いておきたい。先ほどの原口さんもあなたも二十数万円ということになります。日にちはちよつとばかり違うのですが……。それで計算は一日千五百円としてはほぼ合うのでが、二十数万円の金は六、月、七月から十二月ころに必要であつた運動費としておもらいになつたのですか。あなたとしては業者として他に收入もあるのですが、その金というのは実費弁償という意味ですか、運動費として特に会から與えられたのですか。一日一千五百円というのは……。
  689. 上田清次郎

    上田証人 実費というわけじやないのです。実費なら一日千五百円ときまるわけはないのですから……。実費ではなくて結局一日千五百円ずつ拂おう。そうして足りないものは各自で持つということになるわけです。
  690. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうするとあなたはこれで足りなかつた場合自分の金をどれくらいお使いになりましたか。
  691. 上田清次郎

    上田証人 私は國管当時東京に長居はしましたけれども、國管よりも私個人の仕事が東京にあつたわけです。それとかね合いでこつちにおつたものですから、國管費用がなんぼであつたか、ちよつとはつきりわからぬのです。
  692. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうすると、あなたの個人の仕事とかね合いで東京にいらつしやつて、それで一日の運動日当が千五百円で足りないというのは、どういう運動をするから足りないのですか。
  693. 上田清次郎

    上田証人 國管運動が千五百円で足りたか足りぬかということは、自分の仕事とかね合つてつたからそこがはつきりしないということです。
  694. 石田一松

    ○石田(一)委員 今千五百円では実費弁償としては足りない。だから足りないところは自分で負担をしたのだから日当だろうとおつしやる。あなたはほかの仕事とかね合つておやりになつていて、それで一日千五百円日当をもらつて國管運動に足りないというのはどういうことをおやりになつたのですか。
  695. 上田清次郎

    上田証人 私はそういうことを申し上げていないのです。千五百円と限定されているから実費じやないというのです。
  696. 石田一松

    ○石田(一)委員 そりすると日当手当ということになれば、これはあなたの個人收入ですね。
  697. 上田清次郎

    上田証人 そうです。それはこつちに滯在しておるために千五百円だけは一方からもらつたということです。
  698. 石田一松

    ○石田(一)委員 個人收入として全部お届けになつておりますか。
  699. 上田清次郎

    上田証人 どこに届出るのですか。
  700. 石田一松

    ○石田(一)委員 税務署にです。
  701. 上田清次郎

    上田証人 それは届けておりません。
  702. 石田一松

    ○石田(一)委員 日当や手当は大概届けることになつております。あなたの方は二十五万円や三十万円の金は何でもないでしようが、たいへんな税金をとられておる人がたくさんあるのです。
  703. 上田清次郎

    上田証人 あなたは脱税をやつておるとおつしやるのかもしれんけれども、脱税じやないのです。私個人の経費として東京の出張旅費を税務署に私の收入の中から引いてないです。だからむしろ脱税の面は、税務署の方へは自分費用も完全につけ出していないのです。
  704. 石田一松

    ○石田(一)委員 それはあなたの会社個人関係のものでしよう。千五百円というものが別にはいつておる。
  705. 上田清次郎

    上田証人 これははいつたけれども、宿の拂いとかいうものを支出の方に出してないのです。私個人としてははいつた千五百円は收入にせずに、宿の拂いだけを支出にしたら、千五百円は浮いてくることになる。ところがそういうことはやつてないのです。
  706. 石田一松

    ○石田(一)委員 会社がらは全然出張旅費はとつてないということになりますか。
  707. 上田清次郎

    上田証人 さつき申し上げましたように、個人経営ですからとつてないのです。会社でなくて個人経営です。
  708. 石田一松

    ○石田(一)委員 自分の金を使つていらつしやるのですか。
  709. 上田清次郎

    上田証人 そうです。
  710. 石田一松

    ○石田(一)委員 あなたが東京にいようがどこにいようが、食うだけのことはかかるのですから、それは引かないのが当り前のことです。
  711. 上田清次郎

    上田証人 家におる場合と旅館におる場合では経費が違います。
  712. 石田一松

    ○石田(一)委員 日当であろうと手当であろうと、それはとにかく收入に違いない。それはあなたが宿に泊つて拂おうとどうしようと、そんなことは私がここで聽く問題ではない。脱税とかそんな意味であなたはこわがつていらつしやるから……。
  713. 上田清次郎

    上田証人 こわがることもない。
  714. 石田一松

    ○石田(一)委員 お届にはなつていないということでしよう。
  715. 上田清次郎

    上田証人 そうです。
  716. 石田一松

    ○石田(一)委員 それに対する税金は拂つてはいないということですね。
  717. 上田清次郎

    上田証人 税金を拂うわけがない。
  718. 石田一松

    ○石田(一)委員 わけがないというのは、あなたの勝手な考え方で、それをまた拂わせる方では拂わせる考えかあるのですから、そう聽くだけです。では手当、日当であつて、これは自分の收入としては届けていないということですね。
  719. 上田清次郎

    上田証人 委員長に申し上げて置きますが、手当、日当は向うが勝手に言うのであつて、手当か日当か何か知らぬけれども、とにかく千五百円貰つたのです。
  720. 武藤運十郎

    武藤委員長 名目は別として……。
  721. 上田清次郎

    上田証人 はい。
  722. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなた方がきめたのですか。
  723. 上田清次郎

    上田証人 きめたのです。われわれ反対運動としてはよし悪しは別として、われわれ業者の共同の仕事ですから、そこで東京に來る人のみで実費で各個負担ではむりがいくから、この費用は一應千五百円ということにきめよう。もし足りなくてもこれは足りないということになると限度がないから、一應千五百円ということにきめようということで、われわれ業者がきめた。
  724. 石田一松

    ○石田(一)委員 もう一辺しつこいようですが、あなたの会社個人経営会社で、あなたの仕事ですね。その仕事を傍やらりながら、國管反対運動をするために百五十何日という長い間一日千五百円ずつ日当をもらつた。それであなたが何か私の聽いたことについてたいへんお腹立ちのように私は思いますけれども、こんな金が拂われても当然なものでしようか。もらつても正しいものでしようか。あなたはあなた自身の個人経営会社の仕事を東京でしておりながら、百五十何日の長期に、わたつて二十数万円の金を、運動をしているのと自分の仕事とかね合いでやつている、それをもらつてなおかつ足りないとか、宿の方の拂いはこつちから届けていないからというようなたいへん御立腹でしたけれども、これは当然なことなのですね。あなたの考えでは……。
  725. 上田清次郎

    上田証人 そうです。私はこの千五百円なんかもらつてももらわなくてもどうでもいい。ところがもらつてくれないと困るというのです。もらう人ともらわぬ人があると困るというのでもらつた
  726. 石田一松

    ○石田(一)委員 今あなたはいいことをおつしやつてくだすつた。もらつてくれないと困るというのはほんとうなのだ。あなたは二十数万円ほんとうはわからないと言うが、ほんとうは十万円か五万円かわからないのでしよう。
  727. 上田清次郎

    上田証人 今ここで、はしたを覚えていないというだけで、なんぼかはつきり知りたいと言われれば、すぐわかります。それは事務局で聽けば当時領收書を出したと言いますから、そつちの方を見ればすぐわかります。
  728. 石田一松

    ○石田(一)委員 それはたびたび受取りをお出しになりましたか。
  729. 上田清次郎

    上田証人 それは最後の清算のときに一緒に行つておるはずです。そのときは記憶しておつたが、泊つた日数が百五十何日だということであれば今でも計算かできるが、百五十何日であつたのかはつきり覚えていない。
  730. 石田一松

    ○石田(一)委員 最後の清算はいつごろですか。
  731. 上田清次郎

    上田証人 帰るちよつと前です。
  732. 石田一松

    ○石田(一)委員 すると十二月の……。
  733. 上田清次郎

    上田証人 十二月のいつでしたかはつきり覚えておりませんか、とにかく國管が済んで帰るときです。
  734. 石田一松

    ○石田(一)委員 そのときの期日かはつきりすればわかりますか。その請求書をあなたの印か何か捺してお出しになりましたね。
  735. 上田清次郎

    上田証人 そういうふうに記憶しております。とにかく金は数回にわけて一日千五百円とつた
  736. 石田一松

    ○石田(一)委員 先ほど領収書をやらてあるからわかるとおつしやつたが、領收書はお出しになつたか。
  737. 上田清次郎

    上田証人 それは出したかどうですかわからない。
  738. 石田一松

    ○石田(一)委員 それはあんまりひどい。私が追究すれば逃げようとする。領收書を出したからそのときを調べればわかるとあなたは今言つたではないか。それが突つこめば、出したか出さぬかわからぬと言う。
  739. 荊木一久

    荊木委員 正直にいい給え。ほんとうに出したのか。
  740. 上田清次郎

    上田証人 出したような気持がするのですがね。
  741. 石田一松

    ○石田(一)委員 今になつたら氣持がすると言う。
  742. 上田清次郎

    上田証人 しかしもらつたのですから‥‥。もらわないというのではないのです。
  743. 椎熊三郎

    椎熊委員 もらつたことにして、実際はもらつていないのじやないか。
  744. 上田清次郎

    上田証人 もらつているんです。
  745. 石田一松

    ○石田(一)委員 領收書をお出しになつたというか、はつきり記憶にないのですか。
  746. 上田清次郎

    上田証人 領收書を出したような記憶がするのです。
  747. 石田一松

    ○石田(一)委員 領收書を出したから、事務の方を調べればはつきりするとおつしやつたのはうそですね。
  748. 上田清次郎

    上田証人 うそではない。そう問題にすることはないと思うが‥‥。
  749. 石田一松

    ○石田(一)委員 いや、それは問題になるから問題にします。領收書を出せばたいへんな証拠ですから問題にしますよ。あなたはいいことをおつしやつてくだすつたんだ。それをすぐあとで変えるから。あなたは先ほどおつしやつた宣誓をなすつて証言しておられるのだから、もう少しはつきりしたことを言つてもらわなければ掴みどころがない。あなたが今まで言つたことは全部うそになつてしまう。
  750. 上田清次郎

    上田証人 そんなことはない。
  751. 石田一松

    ○石田(一)委員 それではどれがほんとうです。領收書を出したから、領收書を調べればわかると思うというのと、出した記憶がはつきりせぬというのと、出したと思うというのと、三つの中のどれがほんとうですか。
  752. 上田清次郎

    上田証人 とにかく一日千五百円もらつたのです。宿の帳面を調べて、百五十何日であつたかということがわかれば、それに掛けただけがはつきりする。領收書を出したような氣持がするが、そこがはつきりしません。
  753. 石田一松

    ○石田(一)委員 宿に何日いたかということをはつきり清算したらわかるとおつしやいますが、宿は千五百円かからないでしよう。
  754. 上田清次郎

    上田証人 宿屋に泊つた日数です。その何日かがはつきりすれば、金額がはつきりする。
  755. 石田一松

    ○石田(一)委員 領收書を出してあるから領收書を事務の方で調べればわかるというのと、出した記憶がはつきりせぬというのと、出したと思う、こう言うのですが、この三つの中のどれがほんとうですか。
  756. 上田清次郎

    上田証人 領收書を出したような氣持がするというのがほんとうです。
  757. 石田一松

    ○石田(一)委員 それでは出したような氣持がするから、事務の方で領收書を出したのを調べれば受取つた金がはつきりするというのですね。
  758. 荊木一久

    荊木委員 ちよつと証人の信憑性を聽きたい。先般龍名館の番頭が出てまいりまして、あなた方から頂戴した金は、マル公であると言つていますが、この点はどうですか。おわかりですか。
  759. 上田清次郎

    上田証人 それはマル公だつたと思いますね。マル公はなんぼだつたか、私は知らん。
  760. 荊木一久

    荊木委員 どうしてわかる‥‥。
  761. 上田清次郎

    上田証人 あそこの旅館はやみはやらないということになつているから、われわれは信用しているので、はたしてマル公であつたかどうか記憶はいたしませんが‥‥。
  762. 荊木一久

    荊木委員 一日龍名館の勘定はいくらですか。
  763. 上田清次郎

    上田証人 なんぼでしたかね。領收書は向うが出しているんですからね。
  764. 荊木一久

    荊木委員 むろんそれはそうでしよう。
  765. 上田清次郎

    上田証人 なんぼでしようね。そんなことを聽かれてもなかなか記憶しませんね。
  766. 荊木一久

    荊木委員 ちよつと伺いたいのは、マル公で皆さんを引受けているし、それから車賃は運動をする会の方でもつ、酒はもつ、そうすると、千五百円はどこに使う。マル公で、酒は全部もつ、車賃は全部もつ、するとあまる。
  767. 上田清次郎

    上田証人 そんなことはないでしよう。外に出て一食洋食を食べても千円や二千円取りますから‥‥。
  768. 荊木一久

    荊木委員 外に出て一人で洋食を食うときの金ですか、残りは。
  769. 上田清次郎

    上田証人 いや、そういうことに要るんですよ。
  770. 荊木一久

    荊木委員 外では全然……。
  771. 上田清次郎

    上田証人 外で食べたことがあります。
  772. 荊木一久

    荊木委員 代議士と。
  773. 上田清次郎

    上田証人 一人で食べた。
  774. 荊木一久

    荊木委員 それじや運動にならない。(笑声)
  775. 上田清次郎

    上田証人 それはこつちに來て滯在しているのに、やはり飯だけは食わなければならないわけです。
  776. 荊木一久

    荊木委員 もつとも千万だが、実に不思議なんです。それで千五百円ずつ受取つていらつしやる……。
  777. 上田清次郎

    上田証人 お尋ねの要点は千五百円が多過ぎるというのですか。
  778. 荊木一久

    荊木委員 そういうことになれば多過ぎるではないか。去年の春は旅館はマル公とおつしやるからたかが知れたものです。車賃はもつ、酒は全部もつ。するとどうなる、残つてしまうが、それはあなたの晝飯の洋食代か……。(笑声)
  779. 上田清次郎

    上田証人 残りませんね。
  780. 荊木一久

    荊木委員 それでは宿屋の値段は一日いくらですか。あなたのおつしやるのは、全部うそだからそうなるのではないか。どうせ千五百円が二千円だつて足りるはずはない。それはよくわかる
  781. 上田清次郎

    上田証人 一人前の宿賃がいくらか聽かれてもよくわかりません。
  782. 前田種男

    ○前田(種)委員 証人は百五十何日東京におられて、院内の運動、宿屋とそれ以外にいろいろ会合されたと思いますが、記憶をたどつてもう少し申し述べてもらいたいと思います。
  783. 上田清次郎

    上田証人 鉱業会で会議が数回あつたと思います。
  784. 前田種男

    ○前田(種)委員 それ以外にないですか。
  785. 上田清次郎

    上田証人 それ以外には外では会合はなかつたと思います。
  786. 前田種男

    ○前田(種)委員 業者ばかりの会合、あるいは新聞記者、議会人その他の人もあるかもしれませんがう龍名館、院内、それ以外に、半年からの間ですから会合はあつたでしよう。
  787. 上田清次郎

    上田証人 鉱業会で数回会議がありました。
  788. 前田種男

    ○前田(種)委員 鉱業会以外に……。
  789. 上田清次郎

    上田証人 鉱業会以外にはありません。
  790. 前田種男

    ○前田(種)委員 しかし龍各館からは、朝早くから晩遅くまで、相当数の自動車が毎日のように出ております。それは目附もちやんと書いてあり、それに乗つた人も出ておりますが、あなたもずつとおられましたし、運動中心になつてつておられたのですから、全部あなたが一緒に行かれたとは思いませんが、長い間には何回か一緒に行かれたこともあると思いますがどうですか。
  791. 上田清次郎

    上田証人 皆さんに一應申し上げておきますが、私の場合、私は追放ですから個人的の運動はすべて遠慮しておつたのです。
  792. 前田種男

    ○前田(種)委員 いや今度の運動は会としての運動でしよう。会の一員としての……。
  793. 上田清次郎

    上田証人 先頭に立つて働くようなことは一切遠慮しておりました。
  794. 前田種男

    ○前田(種)委員 それならあなたは九州におられてもよかつたので、東京に半年も忙しい仕事を放つて來られなくてもよかつたと思いますが、わざわざあなたが代表として、しかも半年も東京におられて、会の一員として、業者として運動されたのは事実ですね。
  795. 上田清次郎

    上田証人 いや私はあまりやつておりません。
  796. 前田種男

    ○前田(種)委員 それではまた話が違う。
  797. 上田清次郎

    上田証人 違うことはありません。
  798. 前田種男

    ○前田(種)委員 しかし運動費として、日当費として、合計百五十何日分もらつてつて、半ばあなた個人の仕事もやつておられた。それはわかります。しかしその間一緒に泊つた他の業者と相談していろいろ反対運動をやられたのですから、その間あなたも一緒になつて外の会合に行かれたとか、あるいは作戰をねるとか、相談をされたでしようが……。
  799. 上田清次郎

    上田証人 外ではそんな会合はやりません。
  800. 前田種男

    ○前田(種)委員 しかしやらなければ自動車を使うはずはない。
  801. 上田清次郎

    上田証人 それは多いときは五、六十人來たこともあります。
  802. 前田種男

    ○前田(種)委員 常時龍各館に泊つてつた人は数人でしよう。あなたもそのうちの一人ですが……。
  803. 上田清次郎

    上田証人 数人ではありません。
  804. 前田種男

    ○前田(種)委員 しかし百何日もおつたのはそう数はない。そのうちの一人ですから、毎日自動車があすこから出はいりしておる。しかもその車の行つた先も大体わかつておる。それにあなたは全然そういう会合に行つておられぬか、おられたかということを聽いておるのです。
  805. 上田清次郎

    上田証人 外での会合には一切行つておりません。
  806. 前田種男

    ○前田(種)委員 もう少しはつきり言つたらどうですか。
  807. 上田清次郎

    上田証人 はつきり申します。行つておりません。
  808. 前田種男

    ○前田(種)委員 すると鉱業会と龍各館と院内、それ以外の数人あるいはそれ以上の会合には行つておりませんか。
  809. 上田清次郎

    上田証人 行つておりません。
  810. 前田種男

    ○前田(種)委員 待合その他の場所へ行つておりませんか。
  811. 上田清次郎

    上田証人 行つておりません。
  812. 前田種男

    ○前田(種)委員 しかしおかしいではないか。毎晩九時、十時ごろまで、あるいはもつと遅く自動車が出る場合もありますから……。
  813. 上田清次郎

    上田証人 それは私の使つた車ではありません。
  814. 前田種男

    ○前田(種)委員 使つておるのではなくても——あなたがそれにみな乗つておるというのではむろんありませんが、百五十何日の間には何回か、あるいは何十回かあつたのではありませんか。
  815. 上田清次郎

    上田証人 ありません。
  816. 前田種男

    ○前田(種)委員 全然ありませんか。
  817. 上田清次郎

    上田証人 ありません。先ほど申し上げましたように、私は追放だから、とかく先頭に立つて働くことはやつてならないと思つて遠慮しておりました。それと、しからば東京にそんなに長く何ゆえおつたか、こうおつしやるかもしれませんけれども、私は北九州の中の田川部会の部会長をしておりました。たまたま私が——先ほど委員長に申し上げましたように、去年の七月一日から、三井の炭鉱を私の炭鉱にしてもらつたのです。これは戰時中私が経営しておつたのですが、実質は鉱区と設備は全部三井のものです。今度それを三井から譲り受けて、名実ともに私の仕事にしてもらうようにするのに去年半年かかつた。そういう自分の用事もあるから、それで一應私が東京にずつといて、皆さんは代る代る、三人で來ておつたり、十人か十五人で來ておつたりして、龍名館に入れ替り立ち替り來て泊つてつた。同じ人が何回も來たこともあります。そういうことで私は私用を兼ねて龍名館に泊つてつたということです。
  818. 前田種男

    ○前田(種)委員 それなら逆に聽きますが、あなたの言われる通り、追放になつておるから遠慮しなければいかぬという筆法からいきますと、院内へ來てあなたがいろいろ陳情されたりなんかすることこそ、遠慮しなければならぬ身分だと思います。
  819. 上田清次郎

    上田証人 私は一切発言しておりません。
  820. 前田種男

    ○前田(種)委員 いや発言しなくても、院内に出入りしていろいろやることこそ遠慮すべき身分だと思います。今あなたの言葉でいくと……。
  821. 上田清次郎

    上田証人 院内では、きようは一人残らずついて來てもらいたいということであつたからついていつたが、私は一言もそのことについて発言しておりません。
  822. 前田種男

    ○前田(種)委員 しかし院内には何回も來られたのでしよう。
  823. 上田清次郎

    上田証人 二回くらい來ておると思います。
  824. 前田種男

    ○前田(種)委員 もつと來ておられるでしよう。
  825. 上田清次郎

    上田証人 いやそのくらいです。
  826. 前田種男

    ○前田(種)委員 それから晩遅くとか、小人数でいろいろ会合される場合は、遠慮してそういう会合には実際出席されておらなかつたのですか。
  827. 上田清次郎

    上田証人 出席しておりません。
  828. 前田種男

    ○前田(種)委員 全然ありませんか。
  829. 上田清次郎

    上田証人 ありません。
  830. 前田種男

    ○前田(種)委員 それから龍名館には相当多数の代議士諸君が出入りしておりますが、そういう人々といろいろ話をされたことがあるでしよう。
  831. 上田清次郎

    上田証人 國管のことについて……。
  832. 前田種男

    ○前田(種)委員 國管のことではないが、あなたが去年の七月から十二月までの滯在期間中に、代議士諸君が相当多数出入りしておりますが、そういう方々と相当話合をされたのでしよう。
  833. 上田清次郎

    上田証人 それは二、三の人と会つて話をしました。
  834. 前田種男

    ○前田(種)委員 どういう人ですか。
  835. 上田清次郎

    上田証人 長尾さんとも会いました。それから西田さんとも会いましたし、伊藤さんとも会いました。
  836. 前田種男

    ○前田(種)委員 そのほかには……。
  837. 上田清次郎

    上田証人 そのほかはちよつと記憶がありません。
  838. 前田種男

    ○前田(種)委員 実際に龍名館、鉱業会、院内以外には、そういう会合にはあなたは全然出席しておらぬのですか。
  839. 上田清次郎

    上田証人 出席しておりません。
  840. 前田種男

    ○前田(種)委員 そんなはずはないですがね。
  841. 上田清次郎

    上田証人 ほんとうにないのです。
  842. 椎熊三郎

    椎熊委員 千五百円は、あなたの話によると滯在している日当だということですが、実際それ以上かかつたということを……。
  843. 上田清次郎

    上田証人 ええ。
  844. 椎熊三郎

    椎熊委員 日当だと言いますが、それは運動費としてもらつたのじやないですか。それでは足りないのですけれども、運動費の一部ですね。
  845. 上田清次郎

    上田証人 ええ。
  846. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなたはパージにかかつて政治運動はできないということを自覚してをられたのに、議会における天下を聳動した大問題たる、この法律案を通過せしめないという行動は、政治運動ですね。
  847. 上田清次郎

    上田証人 だから私はさつきも申しましたように、先頭参に立つてつておりません。
  848. 椎熊三郎

    椎熊委員 先頭であつても後方であつてもいいのですが、とにかく議会まで乗り込んできて、多数の人と行動を共にして運動の中に参加したのですから、あなたは運動費をもらつて政治運動をなさつたことだけは間違いありませんね。そして費用までとつて政治運動をしたというわけですね。
  849. 上田清次郎

    上田証人 いや議会に私たちが來たわけは、われわれとしては議員諸公が炭鉱についての認識がなくして決定されたのでは困るというので、われわれとしては一應この國管案に何ゆえに反対するかということを各党によく実情を話して、それから先議会でどうきめられようともそれは別だ、一應話をする必要があるというので運動したわけです。
  850. 椎熊三郎

    椎熊委員 そういうことは政治運動と同じわけですね。
  851. 上田清次郎

    上田証人 いや私がしたのではなくて、全部ついて來いということであつたから……。
  852. 椎熊三郎

    椎熊委員 いやそれはたしかに政治運動と同じですよ。(笑声)
  853. 梶川靜雄

    ○梶川委員 ちよつと証人に伺いますが、ほかに東京に仕事があつたと言われるのは、その三井から山を返してもらつた問題だけのことですか。ほかにあなたの事業は東京にないのですか。
  854. 上田清次郎

    上田証人 千葉にある千葉漁業というのに若干株を持つております。
  855. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると、あなたは千葉漁業というものの株を持つておると言われますが、大体どらくれいの割合で持つておられるわけですか。それはどのくらいの大きさの会社で、あなたがそのうちどれくらい持つて、どういう役員をやつておられるのですか。
  856. 上田清次郎

    上田証人 役員をやつておりませんが、五百万円の会社で、当時私が百万円持つております。
  857. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると会社の仕事のめんどうも見ておられたわけですね。
  858. 上田清次郎

    上田証人 会社の仕事のめんどうを見たことはありません。
  859. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると東京に事業を持つておるというわけではないのですか。
  860. 上田清次郎

    上田証人 そうです。
  861. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうしますと東京の事業については、三井から返してもらつた山のことを指すのですか。
  862. 上田清次郎

    上田証人 そうです。
  863. 武藤運十郎

    武藤委員長 それは全然あなた個人のお仕事ですね。
  864. 上田清次郎

    上田証人 そうです。
  865. 武藤運十郎

    武藤委員長 石炭業者全体にとつて関係じやないですね。
  866. 上田清次郎

    上田証人 そうです。
  867. 武藤運十郎

    武藤委員長 また互助会なんかとは全然関係のない問題ですね。
  868. 上田清次郎

    上田証人 そうです。
  869. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうしますと、それは一体どれくらいの取引なのですか。
  870. 上田清次郎

    上田証人 それは五箇年拂いの二千五百万円ということに結局なつております。
  871. 武藤運十郎

    武藤委員長 つまりあなたが鉱区権を持つておられたから、從つてその設備に対する三井への弁償なのですか。
  872. 上田清次郎

    上田証人 設備の賠償費です。
  873. 武藤運十郎

    武藤委員長 だから設備に対する賠償費として二千五百万円拂う……。
  874. 上田清次郎

    上田証人 五箇年拂いなら二千五百万円、一時拂いなら二千万円という……。
  875. 武藤運十郎

    武藤委員長 それはいつごろ話がついたのですか。
  876. 上田清次郎

    上田証人 そうですね。去年の……。
  877. 武藤運十郎

    武藤委員長 いつごろから始まつていつごろ終つたのですか。契約終つて第一回のあれをやつたのは……。
  878. 上田清次郎

    上田証人 八月か九月ごろだつたと思います。
  879. 武藤運十郎

    武藤委員長 八月か九月ごろに終つたのですか。
  880. 上田清次郎

    上田証人 終つたのじやなくて大体譲渡してもらうことをきめたのです。
  881. 武藤運十郎

    武藤委員長 その話はいつごろから始まつたのですか。
  882. 上田清次郎

    上田証人 去年の六月ごろからです。
  883. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたが上京されたのは、大体そのころ上京されたのですね。
  884. 上田清次郎

    上田証人 六月の終りごろに上京しました。
  885. 梶川靜雄

    ○梶川委員 そうしますとあなたが東京におられたのは、二千五百万円の取引をされるからには、あなたが東京におられて、そこで三、四箇月というものはその折衝にかかつておられたわけですね。あなたのような方は非常に男らしい人であり、特に業界の人は非常にしみつたれなことは言わないと思うのですよ。そういう二千五百万円以上のあなたの仕事としては相当影響を及ぼす大きな取引ですね。これは一つ——もつとほかにたくさん持つておられるでしようけれども、そういうあなたの仕事の上において相当プラスになる仕事なのです。從つてそういう点に対してあなたのような方が鉱業会の方から、自分の仕事で來ておりながら、しかもパージの関係にあるというような人が、金をもらつたということは考えられないし、またあなたとして当然そういう場合に男として受取らないのじやないかと思うのですが、もらわなかつた人も相当あるのじやないですか。
  886. 上田清次郎

    上田証人 そこはだれがもらつておらぬか知らぬけれども、私はこの國管專門に來ておるわけでもないし、自分の仕事たまたま同時にあつて、東京におる必要が自分でもあつたのだからというので、一應辞退したのだけれども、もらわぬ人もあるが、あなたがもらわなければ、そういう人がもらいにくいし、これは会できめたことであるからもらつてほしいということでもらつたのであります。
  887. 梶川靜雄

    ○梶川委員 きのう木曽さんの話では、もらつた人もあるし、渡さぬ人もある。本人が要らぬという場合は渡さぬし、受取るという人にはやつておると言つておるのですよ。それは速記にも載つておる。從つてほかの貧乏な運動員か、あるいはブローカー的な運動員というものなら自分で要求しますし、あるいは貧乏な運動員でも、業者運動員は痩せても枯れても自分の仕事に関係があるから、くれるならばもらうが、くれなかつたらしかたがない。ところがあなたの場合は非常に違うと思います。自分の二千五百万円の取引をやるのに來て、しかもパージによつて表面立てない身である。しかもあなたの平素の性格といい、あるいはあなたのみならず、ほかの業者の方の性格といいそうなのですが、先ほど原口さんも言つておられたが、そういう特につむじ曲りの人が多いというのは、要するに他人のせわにならぬという業界の氣風、特に九州方面の人はそういう氣風が多いのですね。私も九州に三年ほどおつてよく知つておりますが、そういう人がこれを受取るということは考えられない。一日千五百円ぐらいの金をですね。きのうの話では、もらわなかつた人もあるが渡さなかつた人もあるということだがうあなたの場合はもらつたということはうそなのですよ。
  888. 上田清次郎

    上田証人 もらいましたね。ぼくはもらいましたよ。
  889. 梶川靜雄

    ○梶川委員 その場合にあなたはもらつたということを、ほんとうに宣誓して言つておるのですか。われわれはこれを調査していきますから、もし間違つてつたら、御存じの通り偽証罪というのがあるのです。だから初めに宣誓して言われておるわけです。今まで私ずつと黙つてつたのですが、もし間違いがあつたらあなたのような方に非常に氣の毒だと思いますから、それで言つておるのです。それでもしそれをもらわなかつたというふうに言いかえられるなら、今のうちに言いかえられた方が非常におためになると思うので、私も口を挟んだわけなのですよ。だからその点もう一遍考え直して話された方がいいじやないかと思います
  890. 上田清次郎

    上田証人 御親切はありがたいですけれども、もらいました。
  891. 武藤運十郎

    武藤委員長 ほかにございませんか。では済みました。御苦労さまでした。     —————————————
  892. 武藤運十郎

    武藤委員長 田籠寅藏さんですね。田籠重吉さんと田籠勝という字が書いてあるのがあるのだが、あなたとはどういう関係でありますか。御存じありませんか。
  893. 田籠寅藏

    田籠証人 田籠勝です。それは私のせがれであります。
  894. 武藤運十郎

    武藤委員長 田籠勝という人があなたのお子さんですね。
  895. 田籠寅藏

    田籠証人 そうです。
  896. 武藤運十郎

    武藤委員長 それから田籠重吉さんというのは……。
  897. 田籠寅藏

    田籠証人 それは知りません。
  898. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたとは御関係がない……。あなたの経営しておられる炭鉱は。
  899. 田籠寅藏

    田籠証人 昭嘉炭鉱です。
  900. 武藤運十郎

    武藤委員長 その社長ですか。
  901. 田籠寅藏

    田籠証人 そうであります。
  902. 武藤運十郎

    武藤委員長 これは会社ですか。
  903. 田籠寅藏

    田籠証人 会社です。
  904. 武藤運十郎

    武藤委員長 株式会社であつて、あなたはその社長ですか。
  905. 田籠寅藏

    田籠証人 そうです。
  906. 武藤運十郎

    武藤委員長 田籠鉱業株式会社というのとは違うのですか。
  907. 田籠寅藏

    田籠証人 そうです。田籠鉱業株式会社昭嘉炭鉱です。
  908. 武藤運十郎

    武藤委員長 専務取締役ではないのですか。
  909. 田籠寅藏

    田籠証人 いいえ違います。社長です。
  910. 武藤運十郎

    武藤委員長 昨年御承知の通り、國管反対運動業者がやりまして、あなたも上京して來られて、龍名館にお泊りになつたようでありますけれども、五月九日から二日間、七月十八日から五日間、十一月十九日から十日間というふうに宿帳には記しておりますが……。
  911. 田籠寅藏

    田籠証人 私は七月の初めごろにここに來たと思います。五月には來ておりません。
  912. 武藤運十郎

    武藤委員長 七月から十一月ごろまでですか。
  913. 田籠寅藏

    田籠証人 途中で一、二回用事があつて帰りまして、十一月の末方に九州に帰つたと思います。もう長いことですから、はつきりしたことは覚えませんが、そういうふうに記憶しております。
  914. 武藤運十郎

    武藤委員長 御上京なさつたのはやはり石炭國管反対のためですね。
  915. 田籠寅藏

    田籠証人 そうです。
  916. 武藤運十郎

    武藤委員長 他の業者運動を一緒にしておるわけですね。主としてどういう運動をなさいましたか。
  917. 田籠寅藏

    田籠証人 運動につきましては、とにかく鉱業会が主体になつて、鉱業会の理事会において決議しまして、そうして國管反対運動を起したのであります。
  918. 武藤運十郎

    武藤委員長 それはわかつておりますけれども、じやあその運動はどういう運動をなさいましたか、具体的な例をあげてください。
  919. 田籠寅藏

    田籠証人 どういう運動というのはうこの反対のために……。
  920. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうです。たとえば代議士のところへ行つて、これはひとつ通過しないようにやつてもらいたいというふうに、いろいろのことをやることもそうでしようが、あるいは諸君に寄つてもらつて一席設けて陳情するとか、いろいろあるだろうと思うのでありますが、そういうことはどういうことをなさいましたか。
  921. 田籠寅藏

    田籠証人 私はただいま申し上げますように、七月こちらに参りまして、そのときにはすでにもう反対運動を起しておつたときであります。私は何分年をとつておりますから、ほとんど龍名館に留守居をしまして、みながまああなたは年寄つておるから家におれというようなことで家におりました。みなが一緒に陳情なんかに行くときは一、二回行つたこともあります。それから首相官邸で座談会のありましたときに、たしか行つたと思います。そのほかはあまり出ておりません。それで運動についてはただ鉱業会の理事会においてきまつて、それによつてみながやつてつた。こう思います。私はあまりこれには深くはいつておりません。
  922. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたは理事ではないのですか。
  923. 田籠寅藏

    田籠証人 理事でございます。
  924. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたは龍名館におつたわけですね。
  925. 田籠寅藏

    田籠証人 そうです。もう年をとつていますから……。
  926. 武藤運十郎

    武藤委員長 龍名館に泊つて采配を振つてつたわけじやありませんか。
  927. 田籠寅藏

    田籠証人 そういうわけでもありませんけれども、何分炭鉱の先生たちは若い連中がいますから、その若い連中に任せるということで、龍各館におつたのであります。
  928. 武藤運十郎

    武藤委員長 ほかの元氣のよい諸君が行つてきて、あるいは出かけるときに、きようはどこへ行つてどういう運動をするとか、きようはどうだつたとかいうような話はお聞きになりませんか。
  929. 田籠寅藏

    田籠証人 聞きません。
  930. 武藤運十郎

    武藤委員長 たれか代議士にお会いになつたような人の記憶はございませんか。
  931. 田籠寅藏

    田籠証人 長尾代議士、あれは郷里の関係で從來から知つております。一、二回会つたと思います。
  932. 武藤運十郎

    武藤委員長 それから……。
  933. 田籠寅藏

    田籠証人 それから平井代議士、あれは元の九州山が同じ所でございますから、先生が龍名館に來て紹介しました。
  934. 武藤運十郎

    武藤委員長 それから……。
  935. 田籠寅藏

    田籠証人 淵上代議士は知つております。ほかはちよつと‥‥。
  936. 武藤運十郎

    武藤委員長 これはいずれも龍各館に訪ねて來られて、あなたがお会いこなつたのですか。
  937. 田籠寅藏

    田籠証人 そうです。平井代議士はちようど九州山が一緒に連れてきて紹介しまして、そのとき会いました。
  938. 武藤運十郎

    武藤委員長 ほかの政界の人または官界の人と会食をし、飲食をしたようなことはありませんか。
  939. 田籠寅藏

    田籠証人 ありません。
  940. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたがこつちへ來られておる費用はどういうふうになつたのですか。
  941. 田籠寅藏

    田籠証人 それは北九州統制会社から一日に千五百円の日当をもらつた
  942. 武藤運十郎

    武藤委員長 いくらぐらいあなたは全部でもらいましたか。
  943. 田籠寅藏

    田籠証人 それははつきり覚えません。
  944. 武藤運十郎

    武藤委員長 大体どのくらい。
  945. 田籠寅藏

    田籠証人 大体はどれくらいもらつておるか、それは日にちを調べてみればわかりますけれども、何ほどぐらいであつたか、よく記憶しません。
  946. 武藤運十郎

    武藤委員長 大体はわかるでしよう。
  947. 田籠寅藏

    田籠証人 はつきりわかりません。調べてみればわかります。
  948. 武藤運十郎

    武藤委員長 十日とか五十日とか、百日とか、百五十日とか‥‥。
  949. 田籠寅藏

    田籠証人 百日以上は來ておつたと思いますから、十万円以上はもらつておいたと思います。
  950. 武藤運十郎

    武藤委員長 一度にもらつたのですか。
  951. 田籠寅藏

    田籠証人 それははいるたびにもらつておりますから、三回ぐらいもらつているのじやないかと思います。
  952. 武藤運十郎

    武藤委員長 だれから受取りましたか。
  953. 田籠寅藏

    田籠証人 それは事務局から……。
  954. 武藤運十郎

    武藤委員長 事務局の何という人から‥‥。
  955. 田籠寅藏

    田籠証人 それははつきり覚えませんが田中……。
  956. 武藤運十郎

    武藤委員長 受取は出すのですか、金をもらうと……。
  957. 田籠寅藏

    田籠証人 それは受取も何も出さず何日ということで……。
  958. 武藤運十郎

    武藤委員長 判こを押すのですか、認印か何か……。
  959. 田籠寅藏

    田籠証人 認印は押しておると思います。
  960. 武藤運十郎

    武藤委員長 どこへ押すのですか。
  961. 田籠寅藏

    田籠証人 それはしかし認印そのものも、私どもの方ではそういうことはあまり深くしておりませんので、領收書なんというものはなかつたと思います。何日來ておるか大体わかつておるから、それに対して金を‥‥。
  962. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは整理がつかない。大勢だし、一人や二人なら‥‥。
  963. 田籠寅藏

    田籠証人 しかし木曽氏を信頼して事務局がやつておりましたから、ただ何日來たというようなことでもらつただけで、別段そういうようなものはつくつておらぬと思います。
  964. 武藤運十郎

    武藤委員長 一人や二人なら信用するとかしないとかいうことは別ですけれども、延人員にして七千人に近い人間が動いているのですから、ただ金を受取つたもらつたというだけでは整理がつかないじやないですか。受取もなければ判こも押さない……。
  965. 田籠寅藏

    田籠証人 木曽氏を信頼してやつておるのだがら、そういうものはないと思います。
  966. 武藤運十郎

    武藤委員長 受取もないし判こを押した覚えもない。ただ事務局へ行つて現金受取つてきた……。
  967. 田籠寅藏

    田籠証人 そうです。帰るときにもらつたのです。
  968. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたのほかに今度は田籠勝さんという方も來ておつたですね。
  969. 田籠寅藏

    田籠証人 あれは私が來ない前に、何か炭價の切替のために、初めのうちは委員が上つて來ておりました。それでそのときについてきておつたと思います。私は七月の初めごろだつたと思いますが、私がこちらに参りまして、枠が帰つたのであります。
  970. 武藤運十郎

    武藤委員長 これはほんとうに金を受取つているのですか。
  971. 田籠寅藏

    田籠証人 金を受取つています。それは一日に対して千五百円ずつは確かに受取つております。
  972. 武藤運十郎

    武藤委員長 勝という人は幾日くらい來ておつたんですか。
  973. 田籠寅藏

    田籠証人 四十八か……。
  974. 武藤運十郎

    武藤委員長 年は四十八。幾日くらい東京へ來ておられましたか。
  975. 田籠寅藏

    田籠証人 三十日か四十日くらいじやないかと思いますが、はつきりしたことは、もう長いことですから私記憶はありません。
  976. 武藤運十郎

    武藤委員長 勝さんの分は勝さんが受取つたんですか。
  977. 田籠寅藏

    田籠証人 そうだと思います。
  978. 武藤運十郎

    武藤委員長 これは今度問題が起つて、こういうふうな勘定をして受取つたことにしたのではないですか。
  979. 田籠寅藏

    田籠証人 そんなことはありません。
  980. 武藤運十郎

    武藤委員長 ほんとうに受取つておりますか。
  981. 田籠寅藏

    田籠証人 ええ。そのときの費用ははつきり出ておると思います。
  982. 武藤運十郎

    武藤委員長 何かお尋ねがございますか。
  983. 椎熊三郎

    椎熊委員 ちよつとあなたにお尋ねします。あなたは、北九州の炭坑に長くやつておられた方を川筋者という俗語があるそうですが、そういう社会で長く鍛えられたのですが。
  984. 田籠寅藏

    田籠証人 それはぼくたちは川筋川筋と言つておりました。
  985. 椎熊三郎

    椎熊委員 この業界に携つて何年くらい……。
  986. 田籠寅藏

    田籠証人 私は炭坑を始めて四十四、五年くらいになります。
  987. 椎熊三郎

    椎熊委員 そこであなたにお伺いしたい。あなたは日本一の炭鉱の親分ばかり揃つている川筋に四十年も苦労しておつて、それが私どもの聞き及ぶところによると、義侠に富んだ天下男一匹で賣出した人ばかりだということだ。今度の大運動に際して、あなた方で一千万円からの身銭を切つて出しておる。会社であろうと個人であろうと合して……。その男一匹費出しておるあなた方が、それほどの金を惜し氣もなくこの運動に費してやつたにもかかわらず、殊にあなたは老齢をもつて上京をして、老齢のゆえをもつて外部に出ない。今の陳述によれば宴会等もしない。酒もあまり飲まぬというのに、毎日千五百円の運動資金を受取るということは、四十年の男を磨いておつたあなたの過去の閲歴、心境から、私は信じかねるのですが、あなたはそんなけちくさい金を受取る人ではないのじやありませんか。
  988. 田籠寅藏

    田籠証人 ごもつともであります。私どもはその千五百円の金を受取らない。そんな金を受取る必要はない。またそういう金を受取るようなことではいかないということは、木曽さんにも再三申しました。しかしながらこれが業者がみなこぞつて來ておるのならば、私どもの言うことは通りますけれども、しかし來ておる者が、かりに一箇月に一万トン以上、一万五千トンも二万トンも出しておる者でも、それは人物によつては來ない。あるいは五百トン出しておつても千トン出しておつても、人物によつては上京して役に立つというような者があります。それだからこれはどうしても金を平等に、上京しておる人にはわけてやらなければいかないというようなことで、金を集めて、皆に公平に、上京しておる人の費用の一端としてやつた。それだから私ども甘んじて不本意ながら受取つたわけであります。
  989. 椎熊三郎

    椎熊委員 そこであなたや木曽さんは、今度運動なさつた方々のうちの長老格の方で、内外ともにそう認められております。
  990. 田籠寅藏

    田籠証人 長老でも何でもありません。
  991. 椎熊三郎

    椎熊委員 その木曽さんのここにおける陳述では、平等に一たいにみんなに金をやつたのではない。受取らぬという人にはやらなかつた。こういうことをしかもきのうここで言つておるのです。それですから、あなたのようにそんな金をもらうべきでないと主張した人には、やるわけがないのですが、どつちがほんとうですか。
  992. 田籠寅藏

    田籠証人 それは意外なことを聞きますが、そういう、ことでしたら私は木曽さんに一應話があります。
  993. 椎熊三郎

    椎熊委員 木曽さんのお話がほんとうか、あなたのお話がほんとうかわからないことになる。
  994. 田籠寅藏

    田籠証人 これは上京した人がみなその金を目当てにして運動に來たわけじやないんですから、みなそれを進んでもらうような者はおらぬわけですけれども、しかしさつき申し上げますように、二万トン月額出しても、家におつて動けもしない。また千トンや千五百トン、五百トンくらいの人でも、役に立つ人は上京してもらつて運動に携つてもらわねばなちぬというような建前から、その金を徴収して皆にやつておるわけであります。
  995. 椎熊三郎

    椎熊委員 別なことを聽きますが、私はなぜこういうことをしつこく聽くかと申しますと、あなた方は約九千八百万円ほどの金を集めた。そのうちあなた方のとつたといいう千五百円の合計が約六割にあたる。あなた方が集めた金の六割が日当でわけたということになつておる。そうすると、あなた方の連動のほんとうの目的のためには、そのほか自動車費の三百万円に近いものもありますが、ほんとうの主たる運動目的のためには、最も大切な宣傳費なんかにはごくわずかの三十七万円しか使つていない。ことごとくあなた方の滯在費に使われておる。これだけの運動をするあなた方がそろつていて、そんなばかげたことをするわけはなし、あなた方そんな個人の日当なんか欲しがるような人ではなし、そこでこの金は主たる目的のために大部分使われておるのだが、ひとまず日当によつて五百七十万円ほどの金をわけたということに申し合わせてしたものではないでしようか。ほんとうのことを言つてください。私はあなたを人格者として尊敬して、あなたのうわさもかげながら聞いておるけれども、あなたはうそを言うような人ではないと思つておるから、特にこういうことを聽いておるのです。殊にあなたはうちわにあつて若い者を治めつつ、総参謀格にすわつてつた、そういう人が表に出もせずに日当をもらつているというようなことは、想像もできない。
  996. 田籠寅藏

    田籠証人 それはどうも、そこを衝かれますと恐縮いたします。しかしながらさつき申し上げましたように、やむを得ずもらつたので、御了承をお願いいたします。
  997. 椎熊三郎

    椎熊委員 了承できないのは、木曽さんはもらわぬという人にはやらなかつたと言つておるのです。あなた方はみずから日当をもらう必要はないと言つて主張しておるのに、木曽さんがやるわけはないじやないですか。
  998. 田籠寅藏

    田籠証人 それは、私がとらなければ、みんなもとりにくいからと木曽氏が言うから、もらつたのであります。しがし、もらわぬのが多数おつたならば、私は今からでも返します。強いてそういう金をもちおうとは考えておらなかつたのです。
  999. 椎熊三郎

    椎熊委員 最近木曽さんとはお会いになりましたか。
  1000. 田籠寅藏

    田籠証人 私きのう参りましたから、まだ会いません。
  1001. 椎熊三郎

    椎熊委員 もう一つ別なことを聽きますが、去年の暮ごろ、この運動費に一千万円ほど集めた金の使い途について、報告を受けたことがありますか。
  1002. 田籠寅藏

    田籠証人 あります。
  1003. 椎熊三郎

    椎熊委員 どこでですか。
  1004. 田籠寅藏

    田籠証人 それはこの國管問題の解決がつきまして、私どもが帰つたのが十二月の一日、二日ごろだつたと思います。その後皆引揚げてきたのが十日過ぎだつたと思いますが、十日から二十日ごろの間に九州石炭鉱業会で臨時総会をを開いて、そこで報告がありました。その際私は特に部会長の関係上、皆に一應の報告がありまして、その後に私どもだけ呼んで、詳細に報告を聽きました。私どもは木曽氏のこの國管に対する非常な骨折に対して大いに感謝しております。
  1005. 椎熊三郎

    椎熊委員 その際に日当として五百七十万円かかつたという詳細な報告はあつたでしような。
  1006. 田籠寅藏

    田籠証人 金額ははつきり——もう一年にもなりますし、私は年もいつておるから、はつきり記憶いたしませんけれども、たしかそのくらいだつたと思います。
  1007. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなたは石炭鉱業会理事ですか。
  1008. 田籠寅藏

    田籠証人 そうです。
  1009. 椎熊三郎

    椎熊委員 この運動の最高方針は、理事会できめられたんだと思いますが……。
  1010. 田籠寅藏

    田籠証人 それは評議員会にかけて、その方針がきまつて理事会あたりで決議したものを運動に移した、こう記憶しております。
  1011. 椎熊三郎

    椎熊委員 この運動はうんと金を使えば成功すると思われたですか。
  1012. 田籠寅藏

    田籠証人 金をそううんと使うと言うて、どうして金を使いますか。
  1013. 椎熊三郎

    椎熊委員 どうしてと言つて、一千万円も集めたのですから、一千万円も集めるについては、よほど金を使うという覚悟で集めたのでしよう。
  1014. 田籠寅藏

    田籠証人 あなた方はそんなことを言われますけれども、私どもは昭和八年の撫順炭増資問題のときには、二箇月くらいで、あの時代の金でやつぱり十万円ぐらい使つております。だから今度の金は一千万円内外で済んだということは、長い期間において金が要らなかつたというくらいに、木曽氏に非常に感謝しております。
  1015. 椎熊三郎

    椎熊委員 それだけではないのですよ。その他にも何十万円と使つている。あなた方が集めた金だけで一千万円集めている。だから、この運動は金をうんと使えば成功するという考え方だつたのですか。
  1016. 田籠寅藏

    田籠証人 いや、私どもはそういうようなことは初めから絶対考えておりません。
  1017. 椎熊三郎

    椎熊委員 それじやこういう考えにどうしてなれなかつたのでしよう。お互いに金にそんなに汚い人じやないのですから、一トン十円なんて集めないで、熱心な方は上京しろ、お互いにかかつたときに頭割でいこう、出し合つていこう、そういうような運動になぜやらなかつたのですか。
  1018. 田籠寅藏

    田籠証人 それが申し上げますように、参一箇月に二万トンも出していて上京もしないというような人もおるでしよう。そういう人はどちらかと言えば、利益には一番與かります。千トンか五百トンの者は、自分の手金まで使つて東京に來て運動して、ばかを見るというようなことですから、やはりトン割にすれば、それが一番公平だというようなことで……。
  1019. 椎熊三郎

    椎熊委員 それくらい金の出し方について注意深くやつたのならば、毎日千五百円なんか、あなた方そんなものもらわないのがほんとうでしよう。
  1020. 田籠寅藏

    田籠証人 そうですね。それはあなた方からそう言われると、実際穴があつたらはいりたいような氣がするのですが……。
  1021. 椎熊三郎

    椎熊委員 もらつたことにしようというのじやなかつたのですか。
  1022. 田籠寅藏

    田籠証人 いやいや、決してそんな、そういうことなんか申し上げられる場所でありませんから、そんなことは……。
  1023. 椎熊三郎

    椎熊委員 もらつたのは事実ですね。
  1024. 田籠寅藏

    田籠証人 そうです。
  1025. 椎熊三郎

    椎熊委員 全部もらいましたか、報告によると……。
  1026. 田籠寅藏

    田籠証人 全部もらつておると思います。それは私がさつき申し上げますように、一人でももらわぬ者があつたら、木曽氏に今から反駁しようと思います。私もらわぬと言うものを、無理に強いられたから、私もやむなく甘んじてもらつておりますけれども、しかし今あなたのお説のように、ほかにもらわぬ者が相当おるとするならば、私今から木曽氏に相当話してみます。
  1027. 椎熊三郎

    椎熊委員 木曽さんは明らかにきのうここでそういうことを言つておられたから、あなたなんかはもらわぬ方の人だろうと思つてつた。意外にも……。
  1028. 田籠寅藏

    田籠証人 大体私の気持はそうでありましたけれども、やむなく、皆がもらわぬというので……。
  1029. 椎熊三郎

    椎熊委員 少し話が齟齬している点がありますが、この程度で……。
  1030. 石田一松

    ○石田(一)委員 ちよつとお尋ねいたしますが、一千五百円の運動費で、運動するのに足りると思いましたか、足りないと思いましたか。
  1031. 田籠寅藏

    田籠証人 それでは足りませんね。けれども、上つてきた業者の皆に十分に與えるということはいかないけれども、とにかく一人において千五百円くらいは、宿泊料くらいなことは出そうということでやられたと思います。
  1032. 石田一松

    ○石田(一)委員 宿泊料は龍名館ではマル公以外には何もとらぬ。酒も向うでおもちになつたというので、このほかに七十五万円の酒代が出たということもわかつておるのですが、自動車代も会でもつ。そうなると、マル公で泊つたので、あの当時は精々百円以下です。そうすると千五百円のうちの百円が宿泊料になつて千四百円残つている。自動車賃も掛れば別ですが、これも会から拂うということになつても、千五百円で運動費が足らぬということになると、どういう方面運動にお使いになるのですか。
  1033. 田籠寅藏

    田籠証人 あなた方は九州の炭鉱の者の心理状態がよくおわかりになりませんからそうおつしやるでしよう。これは普通の者でしたら十分に足るだろうと思います。しかし私ども同業者が東京に來れば飲みもしますし食いもしますし、要らぬことに相当使います。東京に來なければそんな費用は全然要らないけれども、東京に來ればやはりそういう費用に使いますから、それでやはり足りない。そういうことを申し上げたのであります。
  1034. 石田一松

    ○石田(一)委員 飲み食いすることはよくわかりますが、業者が東京に來て飲み食いするための金が千五百円……。
  1035. 田籠寅藏

    田籠証人 飲み食いした費用まで会からやるというようなことは考えておりません。やはり十部は負担するというような氣持はあつたと思います。
  1036. 石田一松

    ○石田(一)委員 飲むと言つても、飲む方は七十万円の酒をお買いになつたのですから相当あると思います。それの費用まで考えるだつだならば、飲む方は二重に拂われることになる。だから千五百円という日当で足らぬ。要するに運動するのに、あなたたちの方ではわずかな金でしようが、何千という人が千五百円ずつで全部足らぬということになると、合計した約六百万円ばかりのものでは足りないということになるのです。
  1037. 田籠寅藏

    田籠証人 私の申し上げたのが、全部が全部それで足りないというようなことはなかつたろうと思います。しかし大半足りなかつたろうと思います。
  1038. 石田一松

    ○石田(一)委員 それではお聽きしますが、六百万円の金を借りているということはあなたは御存じですか。
  1039. 田籠寅藏

    田籠証人 報告で聽きました。
  1040. 石田一松

    ○石田(一)委員 それはいつごろお聽きになりましたか。
  1041. 田籠寅藏

    田籠証人 それはたしか十二月の十日から二十日ごろの間と思います。
  1042. 石田一松

    ○石田(一)委員 その金はいつごろ借りたということを聽きましたか。
  1043. 田籠寅藏

    田籠証人 いつごろ借りたという日にちは聽きませんけれども、これだけ借受をしている、これについては皆さんに御迷惑を掛けないで、木曽氏が私の腹案もあるからしばらく任してくれということで、私どもお任せして先生を信頼しておつたから何もやつておりません。
  1044. 石田一松

    ○石田(一)委員 木曽氏はこの日当はほとんど後拂でやつたというのですね。そうすると、よそから六百万円も借りたという木曽氏の報告をお聽きになつて、しかも皆さんが一人で少いので十万円とか二十万円、三十万円という金を、借りた金の中から分けてとつたことになりますね。
  1045. 田籠寅藏

    田籠証人 結局そうなります。皆から集めた金は大体の高がわかつておりますから、結局足りない金は先生が借りてきて……。
  1046. 石田一松

    ○石田(一)委員 それではちよつとお聽きしますが、ちようど六百万円というものを借入れておりますね。その借りた金を人数で割ると一人頭千五百円になるから、ちようどこの借入金はどこかへ行つてしまうような計算になりますね。この六百万円がどこへ行つているかわからぬということがもしあつたならば、この六百万円は上京してい、た人数で割れば千五百円ということになつて、ちようど六百万円の借金に合うですね。あなたたちは後拂いにされてあとから六百万円借入れたということをお聽きになつて、しかも椎熊君の話では、非常に潔白な方で、皆がとらないというのに、よそから木曽氏が個人の責任で借りた金を日当として分けてとるということは私たちにはちよつと考えが及ばない。先にもおつしやるように、昭和何年かに十万円の金を使つたので、今の金で一千万円くらい安過ぎると思うほどの太つ腹の方が、木曽君個人の責任で借りた六百万円の金を日当として皆さんで分けてとるということを了承なさるということは常識的に考えてもおかしいと考えます。
  1047. 田籠寅藏

    田籠証人 それは、さつきも申し上げますように、六百万円は借りておるけれども、これは腹案があるからしばらく任してくれということを報告のときに言われたから、その金については何らか木曽氏が腹案があるものだと信じて別段私どもは何も言わないで先生を信任しておつたのです。
  1048. 石田一松

    ○石田(一)委員 その十二月の二十日ころか十日ころかの報告というのはどこでなされたのですか。
  1049. 田籠寅藏

    田籠証人 福岡です。
  1050. 石田一松

    ○石田(一)委員 私は、この千五百円の日当で足りないとおつしやること、それから、あなたが六百万円の借金をしているということを知つていつつ、もしもらわなかつた者がほかにあつたれらおれは突返すとおつしやつておらる方が、木曽氏の個人の責任で借りた六百万円の金を運動費としてわけてとつているということがどうしても納得がいかないのです。しかしこれ以上お尋ねしてもむだなことだと思いますからこれ以上は聽きません。今椎熊君も聽きましたが最近木曽君にお会いになつたことがありますか。
  1051. 田籠寅藏

    田籠証人 ありません。
  1052. 石田一松

    ○石田(一)委員 それでは、一番近くお会いになつたのはいつですか。
  1053. 田籠寅藏

    田籠証人 九州でありまうす。」
  1054. 石田一松

    ○石田(一)委員 いつごろですか。
  1055. 田籠寅藏

    田籠証人 それは十日くらい前でしようか。
  1056. 石田一松

    ○石田(一)委員 そのときにどういう話が出ましたか。
  1057. 田籠寅藏

    田籠証人 どういう話つて、別段そういう話は聽きません。
  1058. 石田一松

    ○石田(一)委員 それは九州のどこでお会いになつたのですか。
  1059. 田籠寅藏

    田籠証人 九州の事務所です。
  1060. 石田一松

    ○石田(一)委員 そのときに何かこの問題に関しての話が出ませんでしたか。
  1061. 田籠寅藏

    田籠証人 東京でこんなことで喚ばれたということは聽きました。しかし別段それに対してどうこうというようなことは聽きません。
  1062. 石田一松

    ○石田(一)委員 そのときに、あなた一人でなくて、先ほど出られた上田さんなんかが一緒じやなかつたですか。
  1063. 田籠寅藏

    田籠証人 上田氏も一緒だつたと思います。
  1064. 石田一松

    ○石田(一)委員 上田さんが一緒であつて、ただ東京でここの委員会で喚ばれたというような話だけですか。ほかに何かありませんか。
  1065. 田籠寅藏

    田籠証人 ほかにはあまり聽きませんね。
  1066. 石田一松

    ○石田(一)委員 何か木曽さんがあなたたちに聽いたはすですがね。
  1067. 田籠寅藏

    田籠証人 さあ……、どんなことですか。
  1068. 石田一松

    ○石田(一)委員 聽かなければこれはちよつと話が合わなくなるんですがね。何も聽きませんか。十日くらい前に、何かこの問題について聽いているはずです。
  1069. 田籠寅藏

    田籠証人 覚えませんね。それは近ごろのことですけれども記憶はありません。
  1070. 石田一松

    ○石田(一)委員 何もお聽きになりませんか。わかりませんか。
  1071. 田籠寅藏

    田籠証人 覚えませんね。
  1072. 石田一松

    ○石田(一)委員 これは誘導するわけじやないのですが、たとえば、木曽さんがあなたに、田籠さんあなたは何日くらい東京に行つていたかな、というようなことをお聽きになりませんか。
  1073. 田籠寅藏

    田籠証人 そんなこと聽きません。
  1074. 石田一松

    ○石田(一)委員 宿に泊つた日数なんかもお聽きになりませんか。
  1075. 田籠寅藏

    田籠証人 そんなことは聽きません。
  1076. 石田一松

    ○石田(一)委員 その前に電話とか手紙の連絡で、あなたのところへ木曽さんから、田籠さんは何月の何日から何日ころまで東京にいたかというようなことを聞合わせたことはありませんか。
  1077. 田籠寅藏

    田籠証人 聽きません。
  1078. 石田一松

    ○石田(一)委員 では木曽という人は皆うそをついていたことになる昨日本曽さんがここに出してある報告書は、前に報告書を出したものはそれほど正確ではないが、しかしなるべく正確を期そうと思つて会える人には一人々々皆会つて聽き質し、会えない人には連絡をとり、どうしても連絡がつかない場合には龍名館の帳簿によつて届け出たとおつしやつている。ところが十日前に会つていて、しかもそのことをあなたにちつともお聽きにならない……。
  1079. 田籠寅藏

    田籠証人 それは上京した日数なんかおよそわかつておりますから、会社の者にあるいは聽いておるのかもしれませんけれども、私は聽いておりません。
  1080. 石田一松

    ○石田(一)委員 はつきりと一人々々会つて、こういうことをおつしやつているんです。それだと業者の一人々々に会つたが、会たない人には連絡したということになるのです。そうすると、これは木曽さんがうそをついているか、それともあなたが何か話があつたのだけれども、ここでそれをお話にならないのか、どつちかがとにかく偽証か証言を拒否することになるのであります。
  1081. 田籠寅藏

    田籠証人 その話は直接聽きませんけれども、これは会社の者が私の上京しておる日数なんかわかつておるから、会社の方へ問い質していつたのかもしれません。それならよくわかります。
  1082. 石田一松

    ○石田(一)委員 じや、十日前にお会いになつたときには、上田清次郎氏も一緒であつたと思う。それから他にその席に同席なすつた方はありませんか。他の業者でこの國管案に反対のために上京していた人で、ちようど十日ほど前にあなたが木曽さんにお会いになつたその席上で、上田さん以上の人でそういう方はいませんか。
  1083. 田籠寅藏

    田籠証人 その他の者はあまりおりませんね。それは会議やなんかのときなら……。
  1084. 石田一松

    ○石田(一)委員 いや、その十日ほど前にお会いになつたときです。
  1085. 田籠寅藏

    田籠証人 福岡に行つてつたのでありますから、だれかれというようなことは、そう大人数寄つたわけではありませんから……。上田君には偶然会つたわけでありますから……。
  1086. 石田一松

    ○石田(一)委員 それで福岡においでになつたのは、どういう要件ですか。個人的のものですか。
  1087. 田籠寅藏

    田籠証人 福岡には私のところの出張所もありますし、いろいろ福岡には関係がありますから……。私は武内副会長が今の業者がやつていけないからというので、一時金の借入れをするというようなことであつたから、それで皆嘉穂部会から集めて持つて行きました。そのときのことであります。
  1088. 石田一松

    ○石田(一)委員 お会いになつたのは鉱業会の事務所ですか。
  1089. 田籠寅藏

    田籠証人 ええ、そうです。
  1090. 石田一松

    ○石田(一)委員 鉱業会の事務所は福岡の何というところにあるのですか。
  1091. 田籠寅藏

    田籠証人 地行西町。
  1092. 石田一松

    ○石田(一)委員 地行西町の何番地ですか。
  1093. 田籠寅藏

    田籠証人 番地は覚えておりません。
  1094. 石田一松

    ○石田(一)委員 地行西町の何という事務所ですか。
  1095. 田籠寅藏

    田籠証人 北九州統制会社
  1096. 石田一松

    ○石田(一)委員 そこの應接間か何かでお会いになつたのですか。
  1097. 田籠寅藏

    田籠証人 そこの應接間で話ました。
  1098. 石田一松

    ○石田(一)委員 應接間で、お会いになつたとすれば、あなたと三人だけしかお会いになつていませんね。
  1099. 田籠寅藏

    田籠証人 そのときは三人だけだつたと思います。
  1100. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうすると、三人だけお会いになつたということはどなたか知つていますね。その三人だけがお会いになつた十日ぐらい前というのですから、一日や二日はしかたがありませんが……。
  1101. 田籠寅藏

    田籠証人 十日前ということで、十日であつたか、十二日であつたか、はつきり記憶しませんが……。
  1102. 石田一松

    ○石田(一)委員 十日か十一日か十二日にその事務所であなたと木曽さんと上田さんが会つたというのは、その前にもその後にもただ三人きりで会つたということはそうたびたびあることではないと思いますから、その三人がお会いになつたことはどなたかが御存じでしよう。
  1103. 田籠寅藏

    田籠証人 それはわかりませんね。
  1104. 石田一松

    ○石田(一)委員 たれも知つていないのですか。
  1105. 田籠寅藏

    田籠証人 それは知つておるか知つていないか氣がつきません。
  1106. 石田一松

    ○石田(一)委員 その席にたれか用事で出入りしたことがありますか。
  1107. 田籠寅藏

    田籠証人 それは應接間でありますから、三人でおつただけでほかの者は出入りしておりません。
  1108. 石田一松

    ○石田(一)委員 全然。
  1109. 田籠寅藏

    田籠証人  へえ。
  1110. 石田一松

    ○石田(一)委員 しかし給仕がお茶を持つてくるというようなことはありませんか。
  1111. 田籠寅藏

    田籠証人 それは給仕がお茶くらいは持つてきたでしよう。
  1112. 石田一松

    ○石田(一)委員 お茶を持つてきた給仕というのは、その事務所に勧めて参る何という者か御存じありませんか。
  1113. 田籠寅藏

    田籠証人 知りませんね。
  1114. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうするとその事務所にはいるにはたれの眼にもつかないようにはいれるのですか。
  1115. 田籠寅藏

    田籠証人 そういうわけではありません。表からはいります。そう隠れてはいるわけじやありません。
  1116. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうすると三人がお集まりになつたということは……。
  1117. 田籠寅藏

    田籠証人 三人は偶然に会つただけで、三人が何か会議のために集まつたというような筋合ではない。私はさつき申しましたように私は嘉穂部会から集めて、借入金を皆が要求したものを持つてつたのです。
  1118. 石田一松

    ○石田(一)委員 私のお聽きしたいことは、あなたが三人だげ集まつてそれ以外にはないと仰しやるので、それを信じ、それを実証するためにはどなたに聽いたら一番あなたの言つたことが確かになるか、これを私は知りたいのです。
  1119. 田籠寅藏

    田籠証人 それはちよつと私も氣がつきませんね。だれが來ておつたかということは。
  1120. 石田一松

    ○石田(一)委員 それでは事務所の人に聽いてもわかりませんか。
  1121. 田籠寅藏

    田籠証人 私どもそういうことを氣にかけておりませんでしたから……。
  1122. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうするとその事務所というのは絶えず多くの人が事務をとつておる所ではないですか。
  1123. 田籠寅藏

    田籠証人 北九州の統制会社は炭代をそこで一括して受入れて、そこから拂出しております。
  1124. 石田一松

    ○石田(一)委員 相当人数いらつしやるのですね。
  1125. 田籠寅藏

    田籠証人 大分おりますね。何人くらいおるかはつきり記憶しませんが、四、五十人くらいおるでしようかね。
  1126. 石田一松

    ○石田(一)委員 その事務所は戰災で焼けけたのですか。
  1127. 田籠寅藏

    田籠証人 たしか戰災後に建てたのではないかと思います。バラックですから。
  1128. 石田一松

    ○石田(一)委員 平屋ですか、二階屋ですか。
  1129. 田籠寅藏

    田籠証人 平屋です。
  1130. 石田一松

    ○石田(一)委員 應接間というのはどこにあるのですか。
  1131. 田籠寅藏

    田籠証人 應接間というのは少し先になつておるのです。
  1132. 石田一松

    ○石田(一)委員 同じ建物の中の‥…。
  1133. 田籠寅藏

    田籠証人 中よりもまだ少し先です。
  1134. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうすると五十人や六十人の事務員の前を通らなければ應接間に行けないのではないですか。
  1135. 田籠寅藏

    田籠証人 いいえ。廊下があつて切れていますからね。
  1136. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうするとその事務所からは應接間は見えない……。
  1137. 田籠寅藏

    田籠証人 事務員の中を通らなくても行けることになつております。
  1138. 石田一松

    ○石田(一)委員 三人がお会いになつておるところへはいつたのはお茶を持つてはいつた給仕くらいのものというのですね。
  1139. 田籠寅藏

    田籠証人 そんなものだろうと思います。氣がつきませんね。
  1140. 石田一松

    ○石田(一)委員 だろうと思いますということですが、しかし十日か十二日前にあなたたちが偶然にも会つて話していたというのが上田さんだけわかつていて、そこへ何か書類を持つてくるとか、お茶を持つてくるとか、何か話のついでに出入りした者が一つも……。
  1141. 田籠寅藏

    田籠証人 あまり氣にかけていないものですから記憶はありません。
  1142. 石田一松

    ○石田(一)委員 もうこれ以上お尋ねしても、おそらくあなたもおつしやらないと思います。しかしもしできることならば私は最後に一つ、木曽さんとあなたと上田さんが十日か十一日か十二日ぐらい前に福岡の鉱業会の事務所の應接間で会つたそのときに、國管反対のために上京していたあなた方、三人以外の業者がそこに同席したのではないかということについて、このことをもう一ぺんよくお考えになつて、もし御記憶がございましたらおつしやつてください。
  1143. 田籠寅藏

    田籠証人 そういう記憶はありません。
  1144. 石田一松

    ○石田(一)委員 記憶はないのですか。
  1145. 田籠寅藏

    田籠証人 三人以外にはおらなかつたと思います。
  1146. 石田一松

    ○石田(一)委員 思いますではおかしいでしよう。應接間でお会いになつたのは三人だけであつたかどうかわからないというのが私には了承できない。三人だけだとおつしやるか、それともまたたれかおつたが帰つたという話ならわかるのですが、僅か十日か十二、三日前のことで、三人だつたか何人だつたか、そうぼやかされたのでは……。
  1147. 田籠寅藏

    田籠証人 あまり氣にかけていなかつたから、三人だけははつきりしておりますけれども、そのほかの者は來ていなかつたと思います。どうもあまり氣に留めておらぬものですから、記憶がありません。
  1148. 石田一松

    ○石田(一)委員 それではこれはもうしかたがない。あなたがそうおつしやれば、それでは後日私たちはこれを一遍調べてみたいと思いますが、今おつしやつてくださればまことに結構だと思います。あまりどうもぼやけているので、記憶をひとつ喚び起してもらつて、あとからでも結構ですからおわかりになつたらおつしやつてください。
  1149. 梶川靜雄

    ○梶川委員 ちよつとお伺いしますが、あなたたちが國管案に反対されるときに、この國管案を阻止して、國管案がつぶれて通らなかつたら相当もうかるというふうにお考えになりましたか。
  1150. 田籠寅藏

    田籠証人 それはもうかるとかもうからないとかいうよりも、これは見解の相違で、私どもはこの國管をやられれば減産になる。國家の危急の場合に減産になるようなことは絶対に避けてもらいたいという私どもの、主義主張のために運動したのであります。
  1151. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それはよくわかるのですが、企業権を脅かす、要するにあなたたちの今まで生活を主としておる企業権を脅かすからぐあいが惡い。それで今まで大してもうかる、もうからぬは別として、より惡くなるということを考えられなかつたですか。
  1152. 田籠寅藏

    田籠証人 それは長い間自分でやつておる仕事ですから、全然考えないこともありません。しかし今日ではそういうことを考える時期ではありません。とにかくいかにしても國家再建のためには一塊の石炭でも出さなければならぬということが主眼でありますから、これが政府の企図されておるところの國管を実施すれば、相当に増産になるというような見透しがつけば、私どもは昨年あれだけの猛烈な反対運動はやつておらなかつたと思います。
  1153. 梶川靜雄

    ○梶川委員 なかなか御感心なことで、増産精神に燃えられたということはよくわかるのですが、しかし増産精神だけではかすみを食つて生きておられぬから、石炭國管案が通れば、あなたたちももうからなくなるということもやはり考えられたでしよう。
  1154. 田籠寅藏

    田籠証人 これは多年私どもはやつてきておりますから、國管案を施行されることになれば、これは業者が棚上げになるというようなことも一つの原因にはなつております。しかしながら今申し上げましたように、われわれは犠牲になつて國家こために増産になるということであれば、私どもは國管案に反対しなければならぬ立場におりますが、涙をのんで……。もしかしながら私どもが考えるに、決して國管を施行されて増産にはならない。これはお互いの見解の相違でありますけれども、そういう見解のもとに反対運動を起しておりました。
  1155. 梶川靜雄

    ○梶川委員 前に撫順炭を防がれたときも、要するにこれは撫順炭がはいつてくることによつて、結局業者が倒れて生活が脅かされるということで反対されたわけでしよう。
  1156. 田籠寅藏

    田籠証人 そうです。
  1157. 梶川靜雄

    ○梶川委員 撫順炭がたくさんまいればはいるほど石炭が安くなつて、消費者の方はいいわけですが、今度の場合もやはりそういうようなことがあるのではないですか。あなたたち自体が撫順炭のときに脅威を受ける。要するにもうけが少くなるということと同じように、今度も國管になればもうけがなくなるということを卒直に認められないですか。
  1158. 田籠寅藏

    田籠証人 そういうけちな考えは私どもは絶対にもつておりません。撫順淡防止問題のときは、利益とか何とかいうよりも、撫順炭がはいつてきたために炭鉱はほとんど自滅してしまう。だから炭鉱を生かすについては撫順炭を内地に輸入しないようにしてほしいということで私どもは運動をしたのであります。あれは撫順炭がはいつてきて中小炭鉱などが全減することになれば何千万という人間が餓死するようなことになりますから、そのために私どもはあのときに運動を起したのであります。今度においとも私どもは利潤が少くなるとかいうようなけちな考えでやつたのでありません。先ほども申し上げた通りでありますから、どうぞ御了承願いたいと思います。
  1159. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それはよくわかるですが、自分の家で掘つて自分の家で使うというような自家用炭をやつておられる人は、たとえば賦課金なんかに対しても非常に反対していたでしよう、運動資金を皆に頭割りにして出させるトンあたり十円とかいう問題です。そういうようなことには自家用炭をやつておられる人は反対しておられたわけでしよう。
  1160. 田籠寅藏

    田籠証人 それはどうですかね。それまではつきり記憶していません。
  1161. 梶川靜雄

    ○梶川委員 自家用炭をやつている人は結局もうけにならないからというので反対した。それで掘つた石炭を賣られる人はもうけにならないから反対されたじやないですか。賦課金の問題でも自家用炭の人が反対され、それ以外の人は身銭を切つてでも反対しようとしたことは、やはりこれを阻止する反対運動がもし成功すればもうかるのだということがあつたのじやないですか。
  1162. 田籠寅藏

    田籠証人 今もちつとわかりませんが、自家用炭とはどんなものでありますか。
  1163. 梶川靜雄

    ○梶川委員 たとえば日曹なら日曹というような会社——これは常磐関係になるかもしれませんが、ああいう総合企業体が自分のところで掘つて自分のところで使う、たとえば大手筋なんかでもそういうようなのが多いじやないですか。
  1164. 田籠寅藏

    田籠証人 しかしそれは昔のことでしよう。今そんなところがありますか。
  1165. 梶川靜雄

    ○梶川委員 今でも、たとえば日曹なら日曹という例を一つつてみてもあるでしよう。
  1166. 田籠寅藏

    田籠証人 しかしそれは私どもよくわかりませんが、現在は政府が全部一應買上げて、それを配炭公團が配給しているのだと私どもは考えております。今お説のように、そんなことになつているかもしれませんけれども、そういうことは私どもは業者であつて、一向知りません。
  1167. 前田種男

    ○前田(種)委員 先ほど武内副会長から復金の融資問題で福岡で会われたという話ですが、武内さんといつ会われたですか。
  1168. 田籠寅藏

    田籠証人 武内さんとは福岡で一度会いました。
  1169. 前田種男

    ○前田(種)委員 いつですか。福岡にこの間出て行かれて、木曽さんに会われたときに、武内さんにも会われたというのですか。
  1170. 田籠寅藏

    田籠証人 そのころ武内さんにも会つたように思います。
  1171. 前田種男

    ○前田(種)委員 その木曽さんと会われたときに、同席されておつたかどうかしらぬが、同じ日に武内さんも福岡におられて復金その他の問題で会われたでしようか。
  1172. 田籠寅藏

    田籠証人 それはずつと前のことです。その復金の問題のことは、復金から四千万円借り入れることに契約しているから、それを各地区であんばいして特に困つているようなところは申し込むというようなことであります。
  1173. 前田種男

    ○前田(種)委員 先ほど木曽さんに会われた日か、その前後に武内さんにも会つたように記憶するとあなたは言われたのですが、それは間違いありませんか。
  1174. 田籠寅藏

    田籠証人 その前だつたと思います。
  1175. 前田種男

    ○前田(種)委員 前とは何日くらいですか。十日か半月のことですから、もう少しはつきり言うたらどうですか。武内さんと会われて復金の話をしたということ……。
  1176. 田籠寅藏

    田籠証人 こんなことがあるなら、日誌でもつけておけばわかるでしようが……。
  1177. 前田種男

    ○前田(種)委員 十日や三十日のことですから、武内さんに会われたことなんかもう少しはつきり言えぬですか。
  1178. 田籠寅藏

    田籠証人 別段会うたからといつて何もあるわけじやありません。それより偽証罪で、お前はうそを言つたというようなことになつては困りますから……。
  1179. 前田種男

    ○前田(種)委員 大体武内さんと会われて、復金の融資の話をされたときのことをもう少しはつきり言われたらどうですか。
  1180. 田籠寅藏

    田籠証人 復金の借入金のことで話されたことはよほど前だと思いますね。
  1181. 前田種男

    ○前田(種)委員 先ほど石田君の質問に対して、あなたが福岡に出られたことは武内副会長を通じての融資の関係と……。
  1182. 田籠寅藏

    田籠証人 よく覚えません。
  1183. 前田種男

    ○前田(種)委員 日銀の関係等で福岡に出ていつて、たまたま事務所で木曽君や上田君と一緒に会つたという話を言つておられるのだが、そのときにやはり武内氏とも会われたでしよう。
  1184. 田籠寅藏

    田籠証人 そのときには同席場じやなかつたでしようけれども、その前後に会うたかもしれんと思います。はつきり覚えません。
  1185. 前田種男

    ○前田(種)委員 そのとき会つたとすると、武内さんとは復金の融資関係以外の話が出たのでしよう。
  1186. 田籠寅藏

    田籠証人 その話はあまり……。
  1187. 前田種男

    ○前田(種)委員 國管の問題で武内さんも十日以前に証人として出てきて証言をしているのですが、やはりその話をしたでしようが。
  1188. 田籠寅藏

    田籠証人 あまりその話は聽きません。
  1189. 前田種男

    ○前田(種)委員 そんなことはない。あなたたち半年も東京におつて、毎日会つて運動されたことがこの委員会で問題になつたのに、武内さんも証人として出てきているのに、その話に触れないはずはない。もう少しその点の内容をざつくばらんに言われたらどうですか。
  1190. 田籠寅藏

    田籠証人 記憶しませんね。
  1191. 前田種男

    ○前田(種)委員 記憶しないといつて、十日や十五日前に会われたことが言えないはずはないでしよう。言えぬならば武内氏も証人として來てもらわなければならないし、今までも言つておられるし、木曽氏の言もありますから、そんな手数をかけずに、こういう話があつたということを、先ほど言われたように九州人なら九州人らしゆう言われたらどうですか。
  1192. 田籠寅藏

    田籠証人 よく記憶しませんね。
  1193. 前田種男

    ○前田(種)委員 記憶しないということなら私は質問を続行します。あなたは会われたことを記憶すると言つておられるのですから、会つたときの話をもう少しはつきりしてください。武内さんが今度の問題の中心ですから、全体の反対運動中心だし、鉱業会の副会長だしするから、武内さんと会われて話が出ているですよ。それは一つ考えて言つてください。  もう一つ、あなたは先ほど椎熊君の質問の中に、九州人の氣持を知らぬからというようなことを言つておられた。その中に、どうも九州人は荒つぽくて、千五百円や二千円で足らずに相当金も使つている。酒も飲み、食いもする。女のことに触れておられなんだが、半年も東京におられたから相当金は使つておられたと思います。宿屋に引籠つてまじめにしているようにだれしもとれぬのですが、長い間やはり宿屋以外に飲み食いをされだでしよう。
  1194. 田籠寅藏

    田籠証人 私は家内が来ましたから外にはあまり出ておりません。
  1195. 前田種男

    ○前田(種)委員 ほかの人ほどうですか。
  1196. 田籠寅藏

    田籠証人 ほかの者のことはよく……。
  1197. 前田種男

    ○前田(種)委員 毎晩のように遅くあそこから何台か自動車が出て、相当待合やその他のところへ往復しておつたという書類が自動車会枇から出てきておりますが、ほかへ会合をもつて酒も飲み、食いもしたでしよう。
  1198. 田籠寅藏

    田籠証人 私はそんなところには行つたことはありません。
  1199. 前田種男

    ○前田(種)委員 各人龍名館に宿つておられる人皆ここへ來て、一軒も待合に行つたこともなし、酒も飲んだことはないと言つている。龍名館に自動車が來て、一体その自動車をだれが乗りまわしたのですか。三百万円近くの交通費を拂つてつて、その自動車の使いようがない。私これ以上しつこく言いませんが、もう少しはつきり言つてもらいたい。さつきの武内さんとの会見の内容、今の飲み食いの問題、もう少し眞相を言つたらどうですか。
  1200. 田籠寅藏

    田籠証人 飲み食いの問題は私は知りません。
  1201. 前田種男

    ○前田(種)委員 武内さんとの話の内容はどうですか。
  1202. 田籠寅藏

    田籠証人 武内さんとは最近会いません。
  1203. 前田種男

    ○前田(種)委員 十日ばかし前には会つたような記憶があると言われたが、その会つたときの話の内容を言つてください。
  1204. 田籠寅藏

    田籠証人 そのときは別段話も聽いておりません。それは復金の金の問題を主として聽いたのであつて……。
  1205. 前田種男

    ○前田(種)委員 それではよろしい。
  1206. 椎熊三郎

    椎熊委員 石炭國管案と言いましてもいろいろ案が変つているんだが、あなた方最初に反対せられたのは商工省案あるいは社会党案で、最後に三派が意見が一致して議会に出された案に対しては、業者の中にこれは非常によい案だという意見の人があつたように聞くが、そこはどうですか。
  1207. 田籠寅藏

    田籠証人 そういうことは私は聞きません。
  1208. 椎熊三郎

    椎熊委員 最後の案もいけないということですか。
  1209. 田籠寅藏

    田籠証人 私はさつきも申し上げますように、これを実施されることになれば減産になる。この國管案というものは増産にならないということで……。
  1210. 椎熊三郎

    椎熊委員 最初の案であつて、最後の議会を通過した案だと、この程度だと増産にもなるし、がまんができるということであつたのではないですか。
  1211. 田籠寅藏

    田籠証人 そんなことをだれか言つた者がありますか。
  1212. 椎熊三郎

    椎熊委員 業者の中にあります。西田君などはこの案ならば当然のむべきだと……。
  1213. 田籠寅藏

    田籠証人 しかし先生は民主党の党員ですから言うたでしよう。
  1214. 椎熊三郎

    椎熊委員 民主党が必ずしも全部が一致したのではなくて、あなた方の運動の結果か何か知らんが、反対した人もある。
  1215. 田籠寅藏

    田籠証人 私どもは決してそんなことで結構だとか何とか、絶対に言つていません。
  1216. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなた方の十二月の会計の報告の中に、もう少し金があれば成功するという話があつたというのではないですか。
  1217. 田籠寅藏

    田籠証人 聞きません。
  1218. 椎熊三郎

    椎熊委員 金がなかつたから失敗したというような話は聞きませんでしたか。
  1219. 田籠寅藏

    田籠証人 聞きません。
  1220. 椎熊三郎

    椎熊委員 金は十分であつたのですか。
  1221. 田籠寅藏

    田籠証人 金のことは私どもはあまり携つておりませんから‥‥。
  1222. 椎熊三郎

    椎熊委員 運動を熾烈にやつてあなたは金をもうつてつた人だから十分だということですか。
  1223. 田籠寅藏

    田籠証人 それは旅費としてもらつただけで、どれくらいで十分であつたとか、どれくらい足らなかつたということは聞きません。
  1224. 椎熊三郎

    椎熊委員 大体足らなかつたから六百万円も借金したのでしよう。
  1225. 田籠寅藏

    田籠証人 木曽氏の報告によつて六百万円借金しておつたということを、初めて報告によつて聞かされた。そのほかの金銭上のことは私ども全然聞いておりません。
  1226. 椎熊三郎

    椎熊委員 石炭鉱業会理事で留守番をして若い者を監督した地位にあつて、毎日本曽さんと顏を見合わておつて金銭のことに全然触れないのもおかしい。
  1227. 田籠寅藏

    田籠証人 それはあなた方からお考えになつたらふしぎのように思われるかもしれませんけれども、そういう方面には全然タツチしておりません。それはあなた方の御意見は一應ごもつともかもしれませんけれども、私はそういう金銭のことを……。
  1228. 椎熊三郎

    椎熊委員 どうもさつきからあなたのおつしやることは、私はあなたの経歴の一端を知つているのであるから敬意を表しつつ聽いておつたのであるが、ふだんのあなたの行動とまるで違つておどおどして明確なことを言わぬのは、あなたはうそを言つているように聞えてしようがないのだ。ここは神聖な議場ですよ。もう少してきぱき言わなくちやいけませんな。武内さんに会つたことだつて、会つたと言いつつ十日前に話した内容もわからぬと言う。
  1229. 田籠寅藏

    田籠証人 私も七十近くになつておりますから……。
  1230. 椎熊三郎

    椎熊委員 それなら運動中心になつて百五十日もあすこに座つておられますか。あなたは七十になつても八十になつてもきちんとしている人だ、川筋組で男の中の男だと威張る普段のあなたとまるで違うじやないか。
  1231. 田籠寅藏

    田籠証人 それはさつき川筋の者がどうこうと言うから言つたのですが、私自身としては七十近くになつて、出たくはないが、しかし若い連中ばかりだからもうしばらくというのでようやくやつておるくらいのことですから……。
  1232. 椎熊三郎

    椎熊委員 ほんとうのことを言つてもらわぬと困る。
  1233. 田籠寅藏

    田籠証人 覚えのないことは覚えがないとていうより仕方がない。
  1234. 椎熊三郎

    椎熊委員 三人で会つた時分に不当財産委員会の話は話題に上つたでしよう。東京ではこういうことが始まつていると……。そのうちの一人がすでに証人に立つておる。そしてあなたたちと会つて、その話が出ないわけはない。
  1235. 田籠寅藏

    田籠証人 木曽氏が帰つてこんなことまでやつたということは……。
  1236. 椎熊三郎

    椎熊委員 大体の話の模様、取調べの内容は……。
  1237. 田籠寅藏

    田籠証人 そんなことは何も聽きません。
  1238. 椎熊三郎

    椎熊委員 信じられない。あなた方は兄弟分以上の間柄じやないか。
  1239. 石田一松

    ○石田(一)委員 ちよつとお尋ねします。木曽さんあたり三人にお会いになつた十日か十一日ほど前の福岡の会合であなたは先ほど東京の議院の委と員会に喚ばれたことを聽いたというこは。
  1240. 田籠寅藏

    田籠証人 そのことは木曽氏から聽いたように覚えております。
  1241. 石田一松

    ○石田(一)委員 それであなたも喚ばれたということはおつしやいませんか。実はわしも喚ばれているのだ……。
  1242. 田籠寅藏

    田籠証人 私はまだ喚ばれていないのですから、そんなことは言いません。
  1243. 石田一松

    ○石田(一)委員 上田氏からはその話は出ませんか。
  1244. 田籠寅藏

    田籠証人 聽きません。
  1245. 石田一松

    ○石田(一)委員 それでは少くとも木曽さんはこの委員会証人として喚ばれたということは言いましたね。
  1246. 田籠寅藏

    田籠証人 そのことだけば福岡で確かに聽いたように思います。
  1247. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうするとおそらく木曽さんから、君たちもあるいは喚ばれるかもしれんぞという話がそのついでに出そうなものですが……。
  1248. 田籠寅藏

    田籠証人 それは何も聽きません。
  1249. 石田一松

    ○石田(一)委員 あなたは木曽という人が証人として喚ばれたことをそのときにお知りになりましたね。そうすると今後また証人として喚ばれるだろうというおそれのある上田という人と、証人として喚ばれたという事実をもつた木曽さんの三人が、たまたま偶然ではあるが福岡でお会いになつた、こう解釈して構いませんね。
  1250. 田籠寅藏

    田籠証人 しかし私どもは東京に喚ばれようなどとは考えていなかつたけれども、令状をいただいて初めてわかりました。それは要するに木曽氏に会つた後のことです。
  1251. 武藤運十郎

    武藤委員長 ほかにありませんか。それでは済みました。  本日はこれにて散会いたします     午後七時四十八分散会