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1948-09-21 第2回国会 衆議院 不当財産取引調査特別委員会 第59号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年九月二十一日(火曜日)     午後一時四十九分開議  出席委員    委員長 武藤運十郎君    理事 鍛冶 良作君 理事 田中 角榮君    理事 辻  寛一君 理事 梶川 靜雄君    理事 河井 榮藏君 理事 荊木 一久君    理事 小松 勇次君 理事 石田 一松君       尾崎 末吉君    高橋 英吉君       古島 義英君    明禮輝三郎君       椎熊 三郎君    佐竹 新市君       前田 種男君    橋本 金一君       田中 健吉君    中村元治郎君       本田 英作君    徳田 球一君  委員外出席者         石炭國管問題に         ついて出頭した         証人      木曽 重義君                 阿部 茂吉君                 鈴木 芳衞君                 円城寺松一君     ————————————— 本日の会議に付した事件  石炭國管問題     —————————————
  2. 武藤運十郎

    武藤委員長 これより会議を開きます。  本日御出頭証人は、木曽重義君、阿部茂吉君、鈴木芳衞君、円城寺松一君、俵田明君竹鶴可文君ですね。石炭國管問題につきまして、証言を求めるために御出頭を求めた次第であります。  証言を求める前に各証人に一言申し上げます。  昨年十二月二十三日公布になりました昭和二十三年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことになつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、一般の人については証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項、あるいはこれらの者の恥辱に歸すべき事項に関するときに限られ、医師歯科医師、藥操師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者については、その職務上知つた事実であつて黙祕すべきものについて尋問を受けたときに限られております。右以外には何人も宣誓または証言を拒むことができないことになつておるのであります。なお証人が正当の理由なくして宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の徴役に処せられることになつておるのであります。一應このことを御承知になつていただきたいと思います。それでは法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。お手もとに差上げてある宣誓書を朗読の上署名捺印願います。     〔証人木曽重義君各証人を代表して宣誓〕     〔各証人宣誓書署名捺印
  3. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは木曽君、阿部君、鈴木君、円城寺君、俵田君、竹鶴君、こういう順序でお話を伺いますから、木曽君以外の諸君は、御迷惑ながらもうしばらく別室でお待ちを願います。  それでは伺いますが、あなたは大体どこに住まつておられますか。
  4. 木曽重義

    木曽証人 福岡市茶園谷上野町三番地におります。
  5. 武藤運十郎

    武藤委員長 昨年中は九州石炭鉱業会及び北九州石炭株式会社の役員でありましたね。
  6. 木曽重義

    木曽証人 そうであります。
  7. 武藤運十郎

    武藤委員長 九州石炭鉱業会のどういう地位ですか。
  8. 木曽重義

    木曽証人 それは理事でございます。
  9. 武藤運十郎

  10. 木曽重義

    木曽証人 取締役です。
  11. 武藤運十郎

    武藤委員長 この北九州石炭株式会社というものの事業目的は大体どういうものですか。
  12. 木曽重義

    木曽証人 石炭共同販賣目的でできた会社でございます。
  13. 武藤運十郎

    武藤委員長 業者が集まつて石炭共同販賣をする目的でできた会社ですね。
  14. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  15. 武藤運十郎

    武藤委員長 昨年御承知通り國会石炭國家管理法案というものが上程されたのでありますけれども、これに対して猛烈な反対運動をやつたのでありますが、あなたは運動資金出納関係を主として——会計事務ですか、やつておられたということでありますが、そうでありますか。
  16. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  17. 武藤運十郎

    武藤委員長 どういう役目ですか。会計係というのですか。
  18. 木曽重義

    木曽証人 いや、むずかしい名前はありませんけれども、今から名をつければ会計監督というものであつたと思います。簡單に言つて責任者というようなものであります。
  19. 武藤運十郎

    武藤委員長 実際の出納に当つた者はまた別にあるわけですね。
  20. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  21. 武藤運十郎

    武藤委員長 それはだれですか。
  22. 木曽重義

    木曽証人 それは事務員であります。
  23. 武藤運十郎

    武藤委員長 何という事務員ですか。
  24. 木曽重義

    木曽証人 途中で何人も変りましたが……。
  25. 武藤運十郎

    武藤委員長 順々に覚えている限り言つてください。
  26. 木曽重義

    木曽証人 はい、最初板倉名前は記憶しませんが、姓は板倉であります。それから西原、安川、この三人を記憶しております。
  27. 武藤運十郎

    武藤委員長 石炭國管反対のために業者運動資金出したようでありますけれども、どういう地域ではどういう業者が、どんな割合で分担いたしましたか。具体的に述べてみてください。
  28. 木曽重義

    木曽証人 これは少し遡つて附言しておきませんとはつきりしないと思いますが、よろしゆうございますか。
  29. 武藤運十郎

    武藤委員長 どうぞ。
  30. 木曽重義

    木曽証人 五月の末ごろじやないかと思いますが、われわれ北九州石炭鉱業に属する業者が、炭價の前ぎめをしていただく、このことは終戰後たびたび商工省にも、石炭廳ができて以來交渉いたしましたけれども実現しなかつたようなことで、あとぎめでございます。はなはだしいのは昭和二十二年の炭價が今日までまだきまらずにおるような状態であります。ですから賃金をいくらにきめていいのか、また生産コストいくらにきめていいのか迷うのであります。赤字が出ますと、それを補填するのに、御承知のように赤字融資とか、運轉資金とかいうことで、いろいろな形で貸していただきますが、それは三箇月目とか、半年後とかいうことで時期を失して、百万円借りた金が百万円でなくて八十万円くらいに物の値上りから用をなさない、こういうことがありますので、どうしても石炭炭價の前ぎめをしてもらいたい。これについて東京在住の人も常にやつてもろうけれども、東京在住会社とわれわれ直接業をやつておる者と、その感じ方も違うように感じましたから、われわれできるだけよけい行つて、熱意を示して、眞の窮状を訴えようじやないか、こういうことで出まして、それについては常に東京に行く人はたいていきまつておる。それが全部自腹である。それでは十人の人が八人になり、五人に減つてくるのは当然のことである。ですから行く人に対してはせめて費用ぐらいは共同で賄うべきじやないか。しかもここに來る人は二千トン月に出しても上京してもろう、二万トン出しても行かない人がある。受益する者は二万トンの方が十倍である、その費用を出そうということで、トン割共同負担すべきじやないかということにみんなが賛成しまして、一週間か十日ぐらい十五人か、二十人ぐらい上京しよう。それが二円ということで約三十五万円か七、八万円に相当するだろうと思います。それは金が出れば炭價の前ぎめの運動費用に充てられるだろう、そういうことを決議したのでありまして、六月の中旬ごろでしたか、その炭價を前ぎめしに上つてきたのであります。そうしますると、日本鉱業会理事の在京のお方を商工大臣が呼ばれて、石炭國管案の草案ですか、要綱といいますかを説明になつて——もちろん私はその当時日本鉱業会理事でありませんから、理事会にも出席しません。そういうことがありまして、これは理事会でなくして、結局総代会を開くべきだというようなことに順次移つてきまして、これは相当永引くぞ、それでもう少し業者東京に集めなくちやいかぬ、氣勢をあげなくちやいかぬ、それで必然的に費用を増すというので、ではもう十分とるがよかろうというようなことで、十分とることにきめぬのであります。それが資金の十円にきまつたときの経緯であります。
  31. 武藤運十郎

    武藤委員長 炭價前ぎめをする運動のために、費用としてトン当り二円を醵出するように一たんきめた。ところがその後に……。
  32. 木曽重義

    木曽証人 きめて上つてきたのであります。
  33. 武藤運十郎

    武藤委員長 きめて上つてきて、來てみると國管案が出るというので、これに対して反対しなければならぬ。そうなると相当長期にもわたるし、範囲も廣いことになるから、二円を十円に値上げしようというのですか、二円のほかに十円とろうというのですか。
  34. 木曽重義

    木曽証人 別に十円とろうという……。
  35. 武藤運十郎

    武藤委員長 二円は二円でおいておいて……。
  36. 木曽重義

    木曽証人 それはとつてつて來た。
  37. 武藤運十郎

    武藤委員長 とつてつて來て、そのほかに十円とろうということになつたわけですね。
  38. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  39. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうするとこの二円も、石炭國管案反対の方へ注ぎ込むことになるのですか。それとも並行して前ぎめの方に使うことになるのですか。
  40. 木曽重義

    木曽証人 それがチヤンポンになつてしまつた
  41. 武藤運十郎

    武藤委員長 金がチヤンポンになるとともに、運動チヤンポンにしてしまつたのですね。
  42. 木曽重義

    木曽証人 金融も伴うし、資材配給運動チヤンポンになつて……。
  43. 武藤運十郎

    武藤委員長 必ずしも十円ときまつていないようだが、一律ではないのではないですか。十五円というのもありませんか。
  44. 木曽重義

    木曽証人 それはありません。
  45. 武藤運十郎

    武藤委員長 五円ずつ二回のもあるし、十円一回とつたのもあるし、十五円とつたのもありませんか。
  46. 木曽重義

    木曽証人 いやそんなことはありません。
  47. 武藤運十郎

    武藤委員長 こちらで各業者に対して問合せを発したのでありますけれども、それに対する回答によりますと、十五円というのが非常に多い。これはあなたの話と少し違うかな。
  48. 木曽重義

    木曽証人 それは北九州でありますか、西九州でありますか。
  49. 武藤運十郎

    武藤委員長 北と西と分類してありませんが、たとえば大成炭鉱
  50. 木曽重義

    木曽証人 それは存じませんから多分西でしよう。
  51. 武藤運十郎

    武藤委員長 それから大田長市、報國炭鉱……。
  52. 木曽重義

    木曽証人 知りません。
  53. 武藤運十郎

  54. 木曽重義

    木曽証人 それは全部西でしよう。
  55. 武藤運十郎

  56. 木曽重義

    木曽証人 私は存じませんから、西でしよう。
  57. 武藤運十郎

    武藤委員長 北の方は全部名前を覚えておりますね。
  58. 木曽重義

    木曽証人 たいてい知つております。
  59. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは北九州地区における業者に関しては一律に十円を徴收した、そういふう伺つてよろしゆうございますか。
  60. 木曽重義

    木曽証人 はい。但し申し上げておきますが、私が事務的に扱つたわけではありません。
  61. 武藤運十郎

    武藤委員長 事務的に扱つたわけではないけれども、決定は十円ということにきまつた。そうして十円ずつ集めることに事務員が話を受けて、その徴收に当つた。それをあなたが監督しておられたということになるわけですから、間違いのない限りは十円を徴收したと伺つてよろしいわけですね。
  62. 木曽重義

    木曽証人 さようでございます。
  63. 武藤運十郎

    武藤委員長 その醵出金名前が経費の分担金とか、寄付金とかいう名義がありますけれども、いずれもその性質は同じものでありますか。
  64. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  65. 武藤運十郎

    武藤委員長 正式な名目は何とつけたのですか。
  66. 木曽重義

    木曽証人 さあ、何とつけたでしようか。上京費用共同分担というようなのが正式ではないでしようか。
  67. 武藤運十郎

    武藤委員長 とにかく反対のために使う費用という趣旨ですね。
  68. 木曽重義

    木曽証人 そうです。
  69. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうするとあなたの扱つたの北の方だけですか。
  70. 木曽重義

    木曽証人 両方になつております。
  71. 武藤運十郎

    武藤委員長 西も北も両方ですか。
  72. 木曽重義

    木曽証人 そうです。
  73. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると、先ほどの十五円の話を知らないというのは、おかしくないですか。
  74. 木曽重義

    木曽証人 いや、トン当りいくらか知りませんが、私の所に届けた総額はわかつております。
  75. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると、トン当りいくら出そうという決定は、北と西と別々に出されたわけですか。
  76. 木曽重義

    木曽証人 そうでございます。
  77. 武藤運十郎

    武藤委員長 西の方では十五円もあるという話は聞いておられるでしよう。
  78. 木曽重義

    木曽証人 十円とか十五円ということは聞いておりますが、恐らくこれは最初は私たちが二円とつてきたということを聞いたのだろうと思います。それでわれわれが十円ということで刺戟を受けて、義理が悪いというようなことできめたのじやないか。これは推察でございますが……。そこで百四十五万円西九州出しております。トン当りいくらになるか、私は西の総トン数を存じませんから……。
  79. 武藤運十郎

    武藤委員長 北は……。
  80. 木曽重義

    木曽証人 北は二円の金が三十九万八千円、十円の金が百八十七万七千八百円。
  81. 武藤運十郎

    武藤委員長 六月分の出炭量はどのくらいあつたか、御存じですか。
  82. 木曽重義

    木曽証人 これは十八万七千七百八十トンになつております。
  83. 武藤運十郎

    武藤委員長 それはどつちですか。
  84. 木曽重義

    木曽証人 これは北九州です。
  85. 武藤運十郎

    武藤委員長 西は……。
  86. 木曽重義

    木曽証人 西は存じません。七割か六割五分、八割程度じやないか。北より少いようです。
  87. 武藤運十郎

    武藤委員長 これちの方で調べたところによると、約百万トン余あるように思うのですが……。
  88. 木曽重義

    木曽証人 一箇年ですか。一箇月ですか。
  89. 武藤運十郎

    武藤委員長 六月の出炭量が……。
  90. 木曽重義

    木曽証人 それは間違いでしよう。そんなに出たらたいへんです。そうすれば六千万トンぐらい全國で出ますよ。
  91. 武藤運十郎

    武藤委員長 昭和二十二年六月中の西、北九州出炭量について百十四万四千二百五十五トン石炭廳から取寄せた書類にはそうなつているのですが、間違いでしようか。
  92. 木曽重義

    木曽証人 間違いですね。今月産全國で三百万トン出すのに大わらわになつているのでしよう。九州が半分引受けて、一箇月でも百五十万トン、その中の二割五分か三割を西北で受持つている。百万トン出たらたいへんだと思います。九州全体で百五十万トン出るか出ないかということでやつているのですから……。
  93. 武藤運十郎

    武藤委員長 大手筋は別ですよ。
  94. 木曽重義

    木曽証人 大手筋はもちろん別です。私は主として北の話をしているわけです。
  95. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると、大手筋を除いた中小炭鉱業者出炭量昭和二十二年六月度において……。
  96. 木曽重義

    木曽証人 北九州だけははつきり私調べてきたのですが、十八万七千七百八十トン
  97. 武藤運十郎

    武藤委員長 十円で百八十七万七千八百円、日の方は百四十五万円集まつたけれども、出点量は何ほどであるか証人は知らない……。
  98. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  99. 武藤運十郎

    武藤委員長 西の方はトン十五円ぐらいずつ集めたという話は聞いておりませんか。
  100. 木曽重義

    木曽証人 いや、うすうすは聞いております。北九州に済まぬから集めるということは聞いております。私はやはり十二円と思つていたのです。
  101. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうするとあなたの取扱われた総額は三百七十二万何がしということになりますか。
  102. 木曽重義

    木曽証人 それとは言いません。
  103. 武藤運十郎

    武藤委員長 どういう金額になりますか。西が百四十五万、これは二円はどうなつておりますか。
  104. 木曽重義

    木曽証人 二円も一緒です。
  105. 武藤運十郎

    武藤委員長 二円と十円だか十五円だか大体……。
  106. 木曽重義

    木曽証人 それでこういうようになるのです。百八十七万四千八百円が六ケ月分に対する一トン十円当り……。
  107. 武藤運十郎

    武藤委員長 それは北でしよう。
  108. 木曽重義

    木曽証人 北です。さらに五月分の二円というやつをもつて來ました。それが三十九万八千円。それと西の百四十五万円、さらに借入金が六百万円、その他少し私が立替えた金があります。それはわずかなものであります。
  109. 武藤運十郎

    武藤委員長 百四十五万円というのはやはり二円ないし十五円の分担金が含んであるわけですね。
  110. 木曽重義

    木曽証人 十五円とり、五円とり、十円とつてつたのか存じませんが、まあこれであります。
  111. 武藤運十郎

    武藤委員長 北については今二円と十円に別に金額をおつしやいましたけれども、西については総括して百四十五万円、ほかにあなたがお立替になつた金はどのくらいありますか。
  112. 木曽重義

    木曽証人 十万円足らずですが、はつきりわかりません。
  113. 武藤運十郎

    武藤委員長 そしてあなたが昨日お出しなつ支出概算表という、これが金額になるわけですね。
  114. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  115. 武藤運十郎

    武藤委員長 この金はもちろん現金で集めたのでありましよう。
  116. 木曽重義

    木曽証人 どの金でありますか。
  117. 武藤運十郎

    武藤委員長 今のお話の金は全部現金で集めたのですね。
  118. 木曽重義

    木曽証人 石点代支拂方法ちよつと申し上げますと、要するに俗にいう大手筋といいますか、これは各社直接配炭公團から支拂われるのです。ところがわれわれ中小炭鉱は数が多いものですから、公團が手間を省くのか何か知りませんが、一括してくれるのです。北九州石炭株式会社とか、西九州石炭株式会社とかにくれるのは……ですから一應会社に金が來るものですから、二円というのはそこから引くのでございます。十円なら十円引くのであります。本人炭代をもらつて來たところから二円出すとか、十円出すという性質のものではなく、会社で頭から引くのであります。
  119. 武藤運十郎

    武藤委員長 北九州石炭株式会社、すなわち共販会社からの支拂金のうちから差引くわけですね。
  120. 木曽重義

    木曽証人 そうです。
  121. 武藤運十郎

    武藤委員長 西の方はどうでした。西もやはり同じですか。
  122. 木曽重義

    木曽証人 そうだろうと思います。炭代が一遍にはいりますから……。
  123. 武藤運十郎

    武藤委員長 差引いた金は別口の預金なり何なりして保管をしておきましたか。差引いて集めた金ですね。十円なり十五円なり二円なりという金を差引いてとるわけですね。それを別途会計にして別口で預金するなり現金で保管するなりしたわけですか。
  124. 木曽重義

    木曽証人 それは事務局でなければわかりません。五月分を拂うのが翌月の六日でございますから、六月の五、六日ごろ引かれたわけです。それを六月の十何日に上つて來たのですから、預金する暇も何もなかつたろうと思います。
  125. 武藤運十郎

    武藤委員長 大体引いたものを現金でおいて、それを必要に應じて使つたわけですね。
  126. 木曽重義

    木曽証人 そうでございます。
  127. 武藤運十郎

    武藤委員長 借入金というのはどこから借入れましたか。
  128. 木曽重義

    木曽証人 それは同業者金丸熊太郎という人に百万円借りました。それから久恒貞雄という人に二百万円、藤井伊藏という人に百五十万円それから橋上保というのに百五十万円、合計六百万円借入れました。
  129. 武藤運十郎

    武藤委員長 何れも業者ですね。
  130. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  131. 武藤運十郎

    武藤委員長 これは返済の時期とか利息はどういうふうにしましたか。
  132. 木曽重義

    木曽証人 何も話しません。
  133. 武藤運十郎

    武藤委員長 ただ貸してくれというわけで借りたわけですね。
  134. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  135. 武藤運十郎

    武藤委員長 借主はだれですか。
  136. 木曽重義

    木曽証人 私がやつております。
  137. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたが個人的な借主という名義にしたわけですか。
  138. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  139. 武藤運十郎

    武藤委員長 これは返しましたか。
  140. 木曽重義

    木曽証人 返しません。
  141. 武藤運十郎

    武藤委員長 借りたときのままでおるわけですね。
  142. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  143. 武藤運十郎

    武藤委員長 さてそれからその集めた金の使途を伺いたいのだが、ここにあなたから使途の大体が出ておりますけれども、こういうわけですね。このうち旅費日当明細表というので、この前武内禮藏氏が出て來られての話では、一人一日千五百円の割合で打切る、余つても足りてもとにかく日当旅費として千五百円支拂つたということを申しておりましたけれども、そういうわけでありますか。
  144. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  145. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたがお出しなつ明細表のうちに、百六十八日とか百四十四日とか、百日以上のものが大分多いのですけれども、往復二回、三回ということになつておりますが、こちらに参りました際にはどこへ泊りましたか。
  146. 木曽重義

    木曽証人 龍名館泊つたものと存じております。
  147. 武藤運十郎

    武藤委員長 龍名館その他の旅館を調べたところによりますと、とてもこういう数字が出てこないのでありますけれども、百六十八日とか百四十四日とか、あなたがお書きになつている日数はどこから割出したわけですか。
  148. 木曽重義

    木曽証人 これを調べるのに相当の時間もかけ、苦労もしたのであります。この日数を出すのについてだれも覚えていた者がないので、龍名館旅館宿泊のその日その日の書類があります。宿泊帳を見せてくれと言つたら、それは当委員会の方に出している。それでは何かそれに代るべきものがないかと言つたら、その日その日の控えがある。それでそれを借りて九州に帰つて拾い出した。それと同時に本人についてこれ以外にないかというようにしたので、おそらく私は間違いないと考えております。
  149. 武藤運十郎

    武藤委員長 というと龍名館のその日その日の控えと一々本人について確かめた上で、この滯在日数というか、上京日数というものを出したわけですね。
  150. 木曽重義

    木曽証人 一々というわけではなく、聽けるだけの範囲で——おらない人もありますし、大体聽けるだけの範囲は詳細に調べたのですから、おそらく間違いないと私は確信をもつております。
  151. 武藤運十郎

    武藤委員長 確かめられぬ範囲のものは書いてありませんか。
  152. 木曽重義

    木曽証人 書いてありません。
  153. 武藤運十郎

    武藤委員長 ここに謳われているものはすべて確かめたことになつておりますか。
  154. 木曽重義

    木曽証人 こういうことになつております。遠方で行けない者は龍名館にかりに百日泊つてつたとすると、それに月に三回往復したとすれば往復日数を一日に加えてやると百六日ということになつているが、間違いなかつたならばこれを確認してくれというようなことで、使いをやつて確認書をとつてきたのだから、おそらく間違いないと思います。
  155. 武藤運十郎

    武藤委員長 これは今あらためてそういうふうな問合せ確認や調査をしないでも、あなたの方で一日千五百円の割合支拂つているんだから、そのことはすでにわかつていたのではありませんか。
  156. 木曽重義

    木曽証人 日数ですか。
  157. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうです。
  158. 木曽重義

    木曽証人 わかりませんね。
  159. 武藤運十郎

    武藤委員長 わからなければ支拂い方法はないじやないですか。
  160. 木曽重義

    木曽証人 その当時はわかつていたが、現在はわからないんです。
  161. 武藤運十郎

    武藤委員長 その当時はどういう方法でわかつてつたのですか。
  162. 木曽重義

    木曽証人 本人について……。
  163. 武藤運十郎

    武藤委員長 つまりこういうふうな運動のために行つて上京してまいりましたとか、あるいは上京するという金は前渡しですか、後渡しですか。
  164. 木曽重義

    木曽証人 後渡しです。前にちよつと金を貸せといつて借した金もありますが、大体において金を貸せという人はない。
  165. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると幾月幾日までに滯留して運動してきた、ついては一日千五百円という割合でこれだけもらいたい、こういう話がありまして……。
  166. 木曽重義

    木曽証人 まだもらいたいという人は一人もいなかつた。これらからお上げしたんです。
  167. 武藤運十郎

    武藤委員長 あげるにしても聽かなければ金をやる標準が立ちませんね。そうすると御苦労さまでした、いつからいつまでやつてきたかということになりますね。そうして幾月分くださいということでやつたわけですね。
  168. 木曽重義

    木曽証人 そうです。
  169. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると、その人について支拂つた金額は当然ついておらなければならない。
  170. 木曽重義

    木曽証人 帳面があればわかるかということですか。
  171. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうです。
  172. 木曽重義

    木曽証人 帳面がないのです。
  173. 武藤運十郎

    武藤委員長 おかしいじやあないですか。そんなふうな支拂いをしておるのですか。
  174. 木曽重義

    木曽証人 帳面はあつたけれども今はないというのです。
  175. 武藤運十郎

    武藤委員長 どういう帳面ですか。
  176. 木曽重義

    木曽証人 帳面といつて……傳票です。
  177. 武藤運十郎

    武藤委員長 傳票に書いておいて……支拂方法をもう少し詳しく言つてみてください。
  178. 木曽重義

    木曽証人 最初私がなぜこういう会計責任者とか監督なつたかということを申しますれば、この種の運動については共同の金だから、とかくどうだこうだといううわさ、使いこむという悪いことはどうか知りませんが、そういう疑惑をもちたがるものだから、たれか責任者を立てたらいいだろう、こういうことから皆んなが私になつてくれということになつた。いや、自分会計とか経理とかいうことはだめな人間だから。とにかくあなたがなつてくれればそれでいいのだ、あなたに取扱つてくれというのではないのだ、少少の違いがあつて疑惑はもたないからそうしてくれ。自分はおおざつぱな男で、そんな計算のできる男ではない。会計というようなことは最も不得手で、したことはない。とにかくこうやつてくれれば皆んなが安心するのだから、そういう程度ならよろしい、というのでなつたので、最初から正式に帳簿をつけるとか、また一銭々々間違いないようにするということであれば当然私は断つておるのです。それからどういう方法支拂をしたか、出し入れをしたかというと、事務員に五万なら五万、十万なら十万の金を渡しておく。そうすればその日の晩か、その晩でなかつたら翌日來て、あの金はどういうふうに出しましたと言つて紙片に書いて、何月何日から何月何日までの残高はこれだけある、こういう傳票をもつてくる。そこでそれをしまつておいて、十万円とか五万円をやる。それが終ればまた傳票を持つてきて、領收書が必要ならば領收書を持つてくる。そうしていよいよ運動を済まして十二月になつて國管に通過して帰つてきた。帰つてきてこれだけになつておるがといつてそれを集計させた。私もいつまでも責任をもつわけにいかないから、國管が通過して運動は済んだのだから総決算をしなければならないというので、あらましの金額をとつて集計させた。そして報告しようとした。しかしここに六百万円という借入金がある。この借入金をどうしたらいいか、困つたものだ。それに対して私は皆樣に負担はかけまい。別の方法で考える、こういう考えもあつたものですから、それで六、七人のおもな者に運動経過を報告して、金銭を頼むについて六、七人のおもなものについてこういうことに内容はなつているんだ、集計はこうなつているんだ、借入金はこうなつているんだ、そこでいや御苦労さまでした、これをどうするか、この足らぬ金は追つて研究しよう、自分にも考えがあることだからということで一切済んだわけであります。だからその傳票をそのときに処理というか、破つたとか、燒いたとかはわかりませんが、それで私はてつきり國管というものは済んだと思つていたが、檢察廳でもこの点についていろいろしつこくお問になつて帳面がないとか、傳票がない、集計したものがないのはおかしいではないかと言われた。いやおかしくない。それならなぜ保管しておかぬか。私はいつまでも責任は負えぬ。保存する義務もないし、済んだと思つているのに何ゆえにまた保存しなければならぬか。しかしわからぬとすればそこまでしないでもよいということで大体御了承を得たつもりですが、これは税の対象となるべきものでもなし、また大体会社が解散をして清算事務が済んでしまつて、それをいつまでもある人が責任をもつておるということがないと同じように、私はこの運動は昨年末で済んでしまつた。それをこの九月までもつておかなければならぬという義務はない、こう考えた。そう固苦しいことは考えなくて、すべては済んだのだというので、名簿も何もないけれども、使い途のことをしきりに問われるから、記憶をたどつて、大筋のことはわかつておるけれども、こまかいことは記憶にない。しかしできるだけのことをして出せ、こうおつしやるから、それではその当時の関係した人、またこの旅費日当などは本人に聽けばある程度のことはわかるだろうから、記憶を喚び起して、なるべく御了承のいくようなものをつくりましようということで、これをつくり上げるのに九州行つて一週間くらいかかりまして、やつと概算表をつくつたのです。それを檢察廳に出し、また当委員会の方にも提出したわけであります。帳面がないとか、傳票を処理したのはそういう事情であります。どうぞひとつ御了解を願いたいと思います。
  179. 武藤運十郎

    武藤委員長 いや、了解というところにはいきませんが、あなたのお話は承つておきますけれども、檢察廳でもふしぎに思うと同じように、われわれもまだ納得ができないのです。相当大勢の業者から、トン当り十円なり十二円なりという金額を切つて集めた金であり、なかんずく運動費のうちの三分の一くらいは借入金になつておるというような、しかもまだその借入金の返済ができていないという際にあたつて、その会社関係の業務に当つておるあなた方が、それを全部昨年暮で破棄してしまうというようなことは考えられませんけれども、一應あなたのお話はそういうふうに承つておきましよう。  先ほど伺いましたのですが、この事務に当つた金銭の出納傳票の取扱い、支拂い等に当つた者の住所氏名をひとつおつしやつていただきたい。
  180. 木曽重義

    木曽証人 住所は知りませんが、福岡市水茶屋の九州石炭鉱業協会内ですが……。
  181. 武藤運十郎

    武藤委員長 いずれもそれでわかりますね。
  182. 木曽重義

    木曽証人 わかります。
  183. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると、たとえば原口という人については百六十八日で、これが往復二回で合計二十五万五千五百四十五円拂つておりますけれども、こういう場合には何回に拂うわけですか。
  184. 木曽重義

    木曽証人 そういう人は、ちよつと五万円貸してくれとか、十万円貸してくれとか、今度帰つてきたら持つてくるから、何ぼ貸してくれとかいつて、長い滯在の人は前借りした人もございます。結局そういうものを総計算してそれだけ拂つたことになります。
  185. 武藤運十郎

    武藤委員長 さつきのあなたの話では、十万円とか二十万円とか預けたというようなことであつたけれども、相当莫大な支拂があるのだから、なかなかそんな生やさしい金では毎日が過せないんじやないですか。
  186. 木曽重義

    木曽証人 それはよけい渡したこともある。
  187. 武藤運十郎

    武藤委員長 どのくらい。
  188. 木曽重義

    木曽証人 五十万円も一遍にやつたことがある。
  189. 武藤運十郎

    武藤委員長 毎日々々。
  190. 木曽重義

    木曽証人 毎日々々五十万というそんな金はありません。
  191. 武藤運十郎

    武藤委員長 それから日本交通自動車株式会社に自動車賃として百十四万五千五百円拂つたということになつておりますが、この自動車賃は、上京した人がそれぞれ使うと一緒に自分の千五百円の中から拂つたものですか。後日別にあなたの方からまとめて拂つたものですか。
  192. 木曽重義

    木曽証人 交通費は私の方で拂つたのです。
  193. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると千五百円とは別ですか。
  194. 木曽重義

    木曽証人 別です。
  195. 武藤運十郎

    武藤委員長 これは領收書があるわけですね。
  196. 木曽重義

    木曽証人 日本交通ですか。これは出してくれません。そのときにもらつた領收書もあつたと思いますが、今度そつちの方控えがあれば確認してくれという交渉になりましたけれども、控えがないといつて出してくれません。それから当委員会からも提出せよというけれども、書類がなくて出されないので断つておるのだ。だから書かれない。國際自動車の方はその当時どのくらい乘つてもらつたということの証明書をくれましたけれども、日本交通の方はくれません。
  197. 武藤運十郎

    武藤委員長 通信費七十万円となつておりますけれども、これはどういう内訳ですか。
  198. 木曽重義

    木曽証人 通信費七万円でしよう。
  199. 武藤運十郎

    武藤委員長 これはどういうふうにして拂つたのですか。あなたの方でまとめて拂つたのですか。
  200. 木曽重義

    木曽証人 ええ。
  201. 武藤運十郎

    武藤委員長 それはどういう金ですか。
  202. 木曽重義

    木曽証人 通信費は、だれだれに上京して來いとか、あちらに電話をかけて、こういうふうになつたとかいろいろ模樣を知らしたり、また向うから來た返事、公けの電報とか電話とかいうものの概算でございます。
  203. 武藤運十郎

    武藤委員長 今度はアルコールの方に移つて、酒類が七十万円とありますけれども、これはどういう内訳ですか。
  204. 木曽重義

    木曽証人 これは私は驚いたのですが、酒とか、ビールとか、ウイスキーを飲んで、帰つて集計しましたら六十九万何ぼとかいうので、よく飲んだものだなあといつて驚いたから、七十万円というのを私は記憶しておるのです。
  205. 武藤運十郎

    武藤委員長 今まで運動したという証人の話を聽いても、酒は大体飲まぬという話で、酒を飲んだり宴会をしたことはないというのが多いんですがね。旅館を聽いてもそうだし、どこでこの酒は飲んだのですか。
  206. 木曽重義

    木曽証人 これは主として旅館であります。
  207. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは話がたいへん違いますよ。持込みで少しは持つてきた者もあるという筋だつたのですね。——この酒は旅館で飲んだ酒ですか。旅館に持つてつたのですか。
  208. 木曽重義

    木曽証人 旅館から出したものではありません。自分たちが買つてつてつたものです。
  209. 武藤運十郎

    武藤委員長 少し多いな。しかしもう少し内訳か明細はないですか。ただ酒七十万円というのでは少し大ざつぱすぎやしないですか。
  210. 木曽重義

    木曽証人 私もどうして覚えているかというと、合計してみてこんなに酒を飲んだかと驚いたのです。もちろん高いやみでしたけれども……。それで記憶しておつたのです。
  211. 武藤運十郎

    武藤委員長 飲んでもかまわぬが、今まで出た人は幾人も酒は飲まぬと言つておるから私は聽くのです。
  212. 木曽重義

    木曽証人 飲みました。
  213. 武藤運十郎

    武藤委員長 これはどういう人が集まつて飲んだのですか。一人で飲んだのですか。
  214. 木曽重義

    木曽証人 いや、一人ではありません。これは業者も常に二十人以上龍名館泊つておりましたが、それに附随した金融問題とか、炭鉱問題とか、その他資材問題とかで上京しておる職員がおります。それからわれわれに直接加勢してもらつた事務員も五、六人おりました。事務員の飲んだ酒も相当なものです。これは旅に來ておりましたので慰労してやろうという氣持もありまして、その事務員をお調べになればわかりますが、酒だけは豪の者で、それの飲んだ酒は相当なものだと思います。
  215. 武藤運十郎

    武藤委員長 大いに飲んだわけですね。
  216. 木曽重義

    木曽証人 大いに飲んだというわけじやないのですがね……。
  217. 武藤運十郎

    武藤委員長 それから雜費が六十一万七千円とありますけれども、その中に晝食代毎月三万円、これは旅費日当の中からでなくて別に拂うわけですか。
  218. 木曽重義

    木曽証人 これは主として職員が食べたものが多いのです。私たちもたまたま一緒に食べることもありますけれども、ほとんど職員の方が多いのです。
  219. 武藤運十郎

    武藤委員長 それから帳場、女中の祝儀心附六万五千円、これは龍名館のことですか。
  220. 木曽重義

    木曽証人 そうです。大体個人々々で相当やつただろうと思いますが、團体的にいろいろ勝手氣ままなことを言う人間が多いから、迷惑かけると思つて二回かにやつたことがあります。
  221. 武藤運十郎

    武藤委員長 さらに少しこまかいことになりますけれども、あなたが滯在中に七月三十一日九時半から午後七時半まで溜池の國際自動車の車で京橋方面、八月二日の午前九時から午後五時まで本郷または谷中方面、同月五日目白方面に、八月十三日午後六時から麹町、九段に参りまして、十四日代々木富ケ谷に行つたということになつておりますけれども、この行先、場所、用向きともにどういうことですか。
  222. 木曽重義

    木曽証人 そう言われるとちよつと記憶がないのですが……。
  223. 武藤運十郎

    武藤委員長 一つずつ聽けば思い出せますか。——それでは七月三十一日の朝九時半から午後七時半まで國際自動車の車で京橋へ行つたと書いてあります。これはどこへどういう御用件で参りましたか。
  224. 木曽重義

    木曽証人 私は一日中自動車で乘つてつたことはございません。ちよつと思い出せません。
  225. 武藤運十郎

    武藤委員長 いや、待たしておいたかもしれませんよ。
  226. 木曽重義

    木曽証人 待たしても京橋に朝から晩までおるようなことはありません。
  227. 武藤運十郎

    武藤委員長 それから八月二日の午前九時から午後五時まで本郷谷中方面は……。
  228. 木曽重義

    木曽証人 谷中というのは私は全然知らない所です。
  229. 武藤運十郎

    武藤委員長 上野の方です。
  230. 木曽重義

    木曽証人 上野の方には用事がありませんから行つたことはありません。私の名前を知つておる人が勝手に自動車を使つたことがあるかもしれません。谷中のような所に用事があつてつたことはありません。
  231. 武藤運十郎

    武藤委員長 いや、國際から出た者は武内とか木曽とかいう諸君の口座が別になつておるのです。ですからあなただろうと思つて伺うわけです。覚えがありませんか。
  232. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  233. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは主としてあなたの活動された範囲方向はどういう方面ですか。
  234. 木曽重義

    木曽証人 活動というのは……。
  235. 武藤運十郎

    武藤委員長 反対の猛運動をしたことです。
  236. 木曽重義

    木曽証人 それは官廳方面から政党方面にみなと一緒に一通り行きました。
  237. 武藤運十郎

    武藤委員長 政界、官界人と会合飲食したような場所、回数を記憶のある限り言つてください。
  238. 木曽重義

    木曽証人 記憶があまりございません。
  239. 武藤運十郎

    武藤委員長 よく思い出してください。一つや二つあるでしよう。
  240. 木曽重義

    木曽証人 私は大体あまり外に出ずに、旅館でも大抵うちにおつたのです。最初みなと一緒に議会方面や官廳方面にはいつてつたかも存じませんが、政界人なんかとあまり一緒になつたことはありません。
  241. 武藤運十郎

    武藤委員長 職員というのはだれだれですか。名前を言つてください。先のお話の職員も來ておつたという……。
  242. 木曽重義

    木曽証人 はあ、たくさん來ておりました。あの当時十人ぐらい來ておつたと思います。なお旅館に帰ればすぐわかりますから、書面でもつて詳しく申し上げます。そうすれば姓名ともにわかりますから。
  243. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは二十四日までに職名、氏名をこちらへ文書で出してください。
  244. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  245. 武藤運十郎

    武藤委員長 それから先伺つた金の借入先ですね。これも住所氏名を書き出してもらいたい。これもやはり二十四日の畫ころまでにお願いします。
  246. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  247. 武藤運十郎

    武藤委員長 それからお使いになつ旅館は、みな龍名館ですか。
  248. 木曽重義

    木曽証人 いや、満員で泊れないで、よその行きつけの所に泊つたこともございます。
  249. 武藤運十郎

    武藤委員長 主として龍名館ですか。
  250. 木曽重義

    木曽証人 はあ。
  251. 武藤運十郎

    武藤委員長 それからここにある旅費日当明細書にあるところの炭鉱名、氏名、これはいずれも業者の名簿にありますね。
  252. 木曽重義

    木曽証人 あります。
  253. 武藤運十郎

    武藤委員長 何かお尋ねになることございますか。
  254. 梶川靜雄

    ○梶川委員 まず一番初めにお伺いしたいのは、西九州の方からあなたが受取られて、あなたが保管しておられたわけですね、百四十五万円というのは。
  255. 木曽重義

    木曽証人 そうではありません。西九州事務局から送つてきたのであります。
  256. 梶川靜雄

    ○梶川委員 事務局から届けて、あなたが一旦受取られて、それから職員の方へ逐次五万円なり十万円なり、ときには二十万円、五十万円と出してやられたわけでしよう。
  257. 木曽重義

    木曽証人 そうです。
  258. 梶川靜雄

    ○梶川委員 一旦あなたがお受取りになつたわけでしよう、あなたの責任において。
  259. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  260. 梶川靜雄

    ○梶川委員 あなたの下に職員で会計をやつてつた者は、あなたの会社の者ではなくて、ほかの方から集めてきた職員なんですね。
  261. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  262. 梶川靜雄

    ○梶川委員 あなたの先ほどのお話を伺えば。
  263. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  264. 梶川靜雄

    ○梶川委員 あなたはそれを絶対に信用しておつたわけですか。
  265. 木曽重義

    木曽証人 はあ。
  266. 梶川靜雄

    ○梶川委員 しかしよそから金を預かつて、なにがしかの金を任せる場合に、その出納を明かにせずに、そういうメモ程度のもので全部やるということはおかしいじやないですか。
  267. 木曽重義

    木曽証人 いや、その方が私にははつきりわかるのです。私には帳簿というようなものは不得手で、よくわかりませんが、かりに五十万円金を預けます、預けたものをこれこれで二十万円出した、残金三十万円になるという、日々の計算の方がわかりやすいのです。
  268. 梶川靜雄

    ○梶川委員 日々の計算はわかるのですが、何千とか何百とかいう金じやない、とにかく一千万円近い金を数十日の間に使われたわけですから、平均すれば一日十何万円の金になるわけですが、そうすれば、平均してそれだけの金を出してきたということは、あなたが直接顔見知りの業者に渡された場合以外に、職員に金を渡した場合、職員がメモで書いてきたものを表にしてあつたといつても、受取もなしにやるということはおかしいじやないですか。
  269. 木曽重義

    木曽証人 いや受取はありました。
  270. 梶川靜雄

    ○梶川委員 あなたのさつきのお話ではあつたのもあるし、ないのもあるというお話ですが……。
  271. 木曽重義

    木曽証人 旅費日当の受取はもらいません。
  272. 梶川靜雄

    ○梶川委員 酒などはどうですか。
  273. 木曽重義

    木曽証人 それはやみですからはいりません。
  274. 梶川靜雄

    ○梶川委員 皆が外から買つてきて持ち込んだと言つているでしよう。
  275. 木曽重義

    木曽証人 賣りに來たものもあるでしよう。
  276. 梶川靜雄

    ○梶川委員 そうして持ち込んだら、それに十本買つてくれば一万円なら一万円渡すわけでしよう。そのときはやはり本人から受取をつくつて出す。外に発表せぬでも、あなたは少くとも北九州には信用がありましようが、西九州のいわば他の團体に対して会計を明らかにする場合には、そういうものを一應向うが信用するせぬにかかわらずつくるというのが、業界のやはり常識だろうと思う。
  277. 木曽重義

    木曽証人 酒何本ということですか。
  278. 梶川靜雄

    ○梶川委員 傳票に受取を全部綴つておくことは当然だと思いますが……。
  279. 木曽重義

    木曽証人 傳票は酒ならば八百円で何本、九百円で何本買うた。そうしていくら出した。差引きいくらつたということはつけます。
  280. 梶川靜雄

    ○梶川委員 そうすると全部の傳票があつたわけですね。受取があつたわけですね。
  281. 木曽重義

    木曽証人 いや受取じやない。
  282. 梶川靜雄

    ○梶川委員 傳票というのは受取の方の証票もあつたわけでしよう。受取を発行されたわけでしよう。
  283. 木曽重義

    木曽証人 職員からですか。
  284. 梶川靜雄

    ○梶川委員 そうです。事務員からあなたは受取を一々とつておられるわけでしよう。事務員はさらに運動員に渡す場合に、受取を運動員からもらつておるわけでしよう。
  285. 木曽重義

    木曽証人 運動員とは……。
  286. 梶川靜雄

    ○梶川委員 運動員というか、陳情に來たいろいろの人です。事務員があなたから金を受取つて、あなたの受取と言われるのは事務員とあなたとの間の受取関係のことだけですか。事務員がらさらに第三者に出したところの金の收受関係は明らかになつているわけでしよう。
  287. 木曽重義

    木曽証人 職員に、かりに旅費日当を渡した場合に、職員でなしにもらつた人から職員が領收書をもらつたかとこうおつしやるんですか。
  288. 梶川靜雄

    ○梶川委員 そうです。
  289. 木曽重義

    木曽証人 それはありません。
  290. 梶川靜雄

    ○梶川委員 そうすると事務員を全面的に信用しておられたわけですか。
  291. 木曽重義

    木曽証人 いや事務員を信用するより、むしろその業者を信用しておつた
  292. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それじや事務員が途中で何をしているかわからんじやないですか、あなたが職員に十万円なら十万円渡されますね。それを職員がどういう工合に使つたか、受取がなければ事実上わからんでしよう。
  293. 木曽重義

    木曽証人 それは事務員はたつた一人使つているわけじやありませんし、またそういう不正に使つたとは思いませんし、また業者自分が十日間おつたからいくらくれと言つて請求した人もほとんどないくらいで、なゼこれを渡したかといつて、中にはあした帰るから、あさつて帰るから切符を買うてくれと言うから、あなたがお帰りになるなら精算をしてあげなければならぬと言うと、いや自分自分のことで來たんだから、そういうものはもらつては氣の毒だ、いや皆もらうのだから、あなたがもらわぬとほかの人がもらいにくいからと言つてつたということも聞いておりますし、またその外に、來た人でもほんとうにもらわぬ人もあります。それは自分が家を持つておるとか、友人の家に泊つたとか、黙つてつたからやれなかつたとか、その後出てきておつても一々旅費をもらわない。いやよいですというようなことで、ほんとうにもらわない人も五、六人ぐらいおります。それでその間に不正があろうとは思いませんでした。
  294. 梶川靜雄

    ○梶川委員 不正があろうと思う思わぬは別として、とにかくそれであなたは西九州の人たちや、借入先の業者に対して、そういう金の出し方で通ると思つたのですか。
  295. 木曽重義

    木曽証人 私が会社の大元締になつたのは、西九州北九州両方の人たちからそう言われたので、私は北九州だけの人からそうしてくれと言われたのではなくして、西九州北九州両方の人から、あなたを見込んでやるのだから安心ですと言われた。私は再三そのときは断つたのです。そういうめんどうくさいことはいやだからと言つたら、しきりにまあやつてくれと、たつて頼まれたからやつたので、そう一々疑われるようなことでは、私は最初からこんなめんどうくさいことは引受けない。実際の話がそのときは、あなたがしておれば何も言うことはないのだ。皆不平が起らぬし、疑いをもたぬからやつてくれ。そうしないとほかの者がとやかく蔭口を言いたがるものだからということでやつたので、職員がどうするとか、業者が日にちを間違わすというようなことはありません。
  296. 梶川靜雄

    ○梶川委員 日にちのわずかなことでなくして、全般に一千万円の金を使うということになれば、あなた自身が信頼されたから、それで会計監督みたいなものに選ばれたということはわかるのですが、しかしそういうぐあいにして選ばれたあなたが、なぜそのような杜撰なことをやつたのか、これは杜撰ですよ。杜撰とは思いませんか。
  297. 木曽重義

    木曽証人 はつきりなぜ帳簿をつくつてきちつとやらなかつたかというのですか。そういうことなら私は断ります。私というものを大体において業者は皆知つておるのです。
  298. 梶川靜雄

    ○梶川委員 あなたがつくるつくらぬにかかわらず、そのために職員を置いておる。あなたにつくれというのではなくして、職員につくらせて、あなたが目を通しておかぬということはありません。
  299. 木曽重義

    木曽証人 これは專属の職員ではありません。
  300. 梶川靜雄

    ○梶川委員 專属の職員でなければ……。
  301. 木曽重義

    木曽証人 ちよつと待つてください。百八十日もこの運動が続くとか何とかいうことは予想しなかつたのです。長くとも四十日か五十日だ。九月一ぱいの会期でしたから、それでしまえるものだと思つた。ところが未曽有の大巾の延長、四十日という引延し、延長をやられて、またさらに三十日とかやつた。とうとう十二月にかかりまして、こちらもそれにつれて、ずるずる長くなつたようなわけで、そんなに長くなつたので、私はへとへとになつてしまつた
  302. 梶川靜雄

    ○梶川委員 この問題は打切りましよう。それではあなたは先ほどの話であまり出て行かなかつたと言われるのですが、そうすれば龍名館に大体あなたはがんばつて、いろいろな人があちこち走りまわつた情報は一々耳にされたわけですね。龍名館におつてあちこち晝間陳情に行つてつてきて、あなたはやはり副委員長をやつておられたから……。
  303. 木曽重義

    木曽証人 副委員長とは何ですか。
  304. 梶川靜雄

    ○梶川委員 会計監督とか、とにかく要するに大幹部ですね。
  305. 木曽重義

    木曽証人 私は大幹部でも何でもない。山が小さいし、そんなものでもない。
  306. 梶川靜雄

    ○梶川委員 とにかくあなたがそこに行つて運動した人に金を渡す役をしておる。そうすればどこでどういうぐあいだつたということで、晩の飯を食いながらでもいろいろな話が出てくるわけでしよう。あなたはずつと留守番役をしておられたから……。
  307. 木曽重義

    木曽証人 留守番役でもありません。
  308. 梶川靜雄

    ○梶川委員 第一線でも働きましたか。
  309. 木曽重義

    木曽証人 それは相当に陳情にまわつた。私は大体ずるいというのですか、あまり動きまわることを好かないのです。それで必要以外に出なかつた。それで人が訪ねてくれば私は会つた。たれか留守番がおらぬと、人が來ても会う人がいない。それを自分が引受けてやろう。それで私は出なかつたのです。
  310. 梶川靜雄

    ○梶川委員 そうすると中で龍名館での應対はやられたが、外へは出なかつたというわけですか。
  311. 木曽重義

    木曽証人 出ないことはないのです。個人的の動きをしなかつたということだけです。
  312. 梶川靜雄

    ○梶川委員 個人的ということはどういうことですか。
  313. 木曽重義

    木曽証人 個人的の動きというものは、同じ選挙区の出身の人がおるから、この人に行つて話をしてみようというような種類の運動はしなかつた
  314. 梶川靜雄

    ○梶川委員 どういう種類の運動をやつたのですか。
  315. 木曽重義

    木曽証人 私は表面きつて各政党なら政党の中の政務調査会の方なり、その他商工大臣のところへ何回も行くし、総理大臣のところへも行きますし、西尾さんのところへも幾度か、芦田さんのところへも幾度か、そういう方面へ團体で動いて、個人的の動きはしなかつたということです。
  316. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それでは大体どういう方面に運動したのですか。今政党なら云云ということを言われたのですが、どういう政党に行つて運動をされたのですか。
  317. 木曽重義

    木曽証人 一巡みな行きました。
  318. 梶川靜雄

    ○梶川委員 一巡みな行つて、そしてたれに会いましたか。
  319. 木曽重義

    木曽証人 たくさんの人のところに行きました。
  320. 梶川靜雄

    ○梶川委員 たくさんといつても政党が何十もあるわけではないのですから。
  321. 木曽重義

    木曽証人 それは各党に行きました。
  322. 梶川靜雄

    ○梶川委員 各党といつても、最も力を入れたところもあろうし、簡單のところもあろうが、順番にまわられて、どの党でたれに会つたということを話してもらいたいのです。めつたに出られなかつたあなたですから、非常に印象が深いだろうと思います。
  323. 木曽重義

    木曽証人 一巡ずつと一緒にまわつた。全員百名くらいを皆連れて歩いた。あなたも陳情したときにお会いくださつたかどうかしれませんが、議員の人もたくさんおられました。順序も忘れましたが、民主党に行つたときはたしか本部へ行つた。それから社会党は……。
  324. 梶川靜雄

    ○梶川委員 民主党では直接たれに会われたのですか。
  325. 木曽重義

    木曽証人 そのとき名前を記憶しておるのは北村さんとか、竹田さんとか、その他たくさんおられた。それから社会党ではどの部屋でしたか。二階の角の部屋じやないかと思いますが、そのときも書記長代理の淺沼さんとか加藤労働大臣ですか、その他たくさん……。
  326. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それからどうなされたのですか。
  327. 木曽重義

    木曽証人 これは順序ではありません。それから自由党に行きました。自由党はそのときの幹事長から……。
  328. 梶川靜雄

    ○梶川委員 たれですか。
  329. 木曽重義

    木曽証人 幹事長の大野さんです。それからずつと前に議長をなさつてつた人とか……。
  330. 梶川靜雄

    ○梶川委員 大きい声で言つてください。
  331. 木曽重義

    木曽証人 大きな声を出しております。幹事長とか、星島さんもたしかおられたと思います。幹部の方が五、六人、その他の代議士の人もおられました。それから総理大臣官邸にも二回か三回行きまして、そのとき三党首にも会いますし、西尾國務大臣のところにも二回か行きました。それから責任者である商工大臣のところには三回も四回も多勢で行きました。
  332. 梶川靜雄

    ○梶川委員 そういう工合に一通りまわられて、それから以後の運動はどうされたわけですか。その以後の運動は、それによつて大体見当があなた方もついて、全部ワツシヨイワツシヨイ議会にやることはないと思います。一通りは儀礼的にまわられたので、われわれのところに來られたのも、われわれは儀礼的に來られたものとして扱つておる。從つてあなた方も業者としてまあ相当な力を入れてやつておられたわけですから、一体どういうところに最後に重点をおいてやられたわけですか。
  333. 木曽重義

    木曽証人 そういうことはみなです。
  334. 梶川靜雄

    ○梶川委員 みなということはないでしよう、物をなそうとする場合には、どつかに重点をおかなければならぬでしよう。
  335. 木曽重義

    木曽証人 私は一人でも親しい人があれば、それは緊急増産対策としてはしてはならぬことだ。イデオロギーで増産になつてもならぬでもやるんだというなら何をか言わんやですが、緊急増産対策としては、増産にならぬということを、一人でも多く議員の人に知つてもらおう。それには同じ選挙区の人が一番親しいから、これはなるべくそういうふうによく理解してもらうことだ、こう私は考えました。
  336. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それであなたが留守番しておられて、あるいはずつと逗留しておられて、いろいろな人がその日の活動状況をもつてこられる。そのときの運動経過について、あら筋だけをお伺いしたい。
  337. 木曽重義

    木曽証人 私は一々報告を受けない。
  338. 梶川靜雄

    ○梶川委員 報告を受けないが、あなたは大体その話を聽いておられると思う。一應あなたも心配だから、御苦労さん、きようはどういうぐあいだつたというようなことによつて、全般の動きがわかつてきておられると思う。これははつきり言つてもらいたい。
  339. 木曽重義

    木曽証人 それは漠然としたものであつて、だれがどういうことを言うたとか、そのときの樂観説もあれば悲観説もあり、いろいろな話がありまして、具体的に今何の某がどういうことを言つたということは記憶にありません。國管案が通らぬとか通るとかいろいろな樂観説、悲観説こもごもあつたのです。
  340. 梶川靜雄

    ○梶川委員 通らぬというのは、どういう材料によつて樂観しておられたわけですか。
  341. 木曽重義

    木曽証人 いろいろ説がありましたというのです。
  342. 梶川靜雄

    ○梶川委員 説があつたというけれども、あなたもいやしくも運動責任者として——最高責任者ではないにしても、幹部の一員としてそういうくらいのことはわかると思う。
  343. 木曽重義

    木曽証人 いや、みな理解してもらえば、これは通らない。
  344. 梶川靜雄

    ○梶川委員 理解してもらえば通らない、あなた方はそんなばかじやないと思いますよ。それはイデオロギーでやるのは別だということになれば、イデオロギーでおのずから通らない問題は別として、イデオロギー以外のものの場合には、どうやれば通らないかというくらいの……。あなたも先話されたように、一人でも多く云々と言つておとは、何らかのものがそこに生れてこなければ、出てこないのです。     〔河井委員長代理退席、委員長着席〕
  345. 木曽重義

    木曽証人 樂観する話もあつたし、樂観せぬ話もある。私は一人でも多くの人が眞に理解してくれれば通らぬだろう。また通つても、私が考えて今でも遺憾に思つておるのは、その時期にあらずといつて、四月説とか七月説とかいろいろありますが、これはかりにいいとしても、準備なくしてやることはいかぬと私は会う人には言つたこともある。そういうことで樂観説、悲観説といろいろありましたが、何の某がこういうことを言つたから樂観説、何の某がこう言つたから悲観説ということはありませんし、また記憶もないのです。
  346. 梶川靜雄

    ○梶川委員 ろれはあなたと押問答しても始まらぬから、もう一つ問題を変えて聽きますが、あなた方の團体だけでなくして、石炭國管の反対というものは、非常に廣汎に行われておつたと思う。それでほかの團体がいろいろできておつたのです。あなたたちは他の友誼團体、あなたたちの反対の立場から言えば、志を同じうする。他の友誼團体との連絡はどういうようにやつておられましたか。
  347. 木曽重義

    木曽証人 石炭業者以外の國管反対團体、こういうのですか。
  348. 梶川靜雄

    ○梶川委員 業者の場合もあろうし、業者以外の場合もあろうし、要するに反対の團体とどういうような連絡をとられたか。またどの範囲に連絡をとられていたか。
  349. 木曽重義

    木曽証人 業者以外の團体とは何ら私の知つている限りは関連はありません。それから業者間における北海道とか常磐とか宇部、こういう團体との連繋は日本鉱業会理事とか、そういう人たちが話合いをしておつたことと考えます。それで業者、要するに石炭業者以外の團体とは何ら関連がないものであつたろうと思います。
  350. 梶川靜雄

    ○梶川委員 あなたは日本橋の政経懇話会というものを知つておられますか。
  351. 木曽重義

    木曽証人 全然知りません。名前を聽くのが初めてです。
  352. 梶川靜雄

    ○梶川委員 知らなければよしましようか。そうすると、あなたはほかの團体とは全然関係ないと言われるわけですね。あなたたちの独自の運動をとつたとあくまで言われるわけですか。
  353. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  354. 梶川靜雄

    ○梶川委員 だからほかの團体とは関係ない。それならば政党の方は通り一遍に廻つただけだ、こう言われるのですか。
  355. 木曽重義

    木曽証人 いや、どうでもいいという通り一遍ではありません。武内君でもほかの者でも、通り一遍というようなことでなく、熱意をこみて話をしております。
  356. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それじや各党に対して一人でも多く知つた者という場合に、たとえば社会党に対してはたれが主として当る、民主党に対してはたれが主として当るということは当然に起つてくると思うのです。これは知合いの関係上あるいは自由党に対してはたれが当る、あるいは共産党に対してはたれが当るということ、それはどういうぐあいになつておりましたか。
  357. 木曽重義

    木曽証人 そういうことを聽いたことはありません。
  358. 梶川靜雄

    ○梶川委員 聽いたことはなくても、事実上連絡に行くのはきまつてくると思う。あなたのさきのお話でいけば、知つた者には一人でも多く連絡していたというのですから。
  359. 木曽重義

    木曽証人 私はそういうことを鉱業会の理事会で取上げてもらいたいと進言したことがある。こういうことを申し上げたのです。
  360. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それではたとえば衞藤君があすこへ泊つておりましたね。衞藤君が泊つてつて運動に歩くかどうかということよりも、どういうぐあいな情報をもつてきたというようなことは、あなたたちとしては当然に御関心をもつておられたわれですね。
  361. 木曽重義

    木曽証人 そうです。
  362. 梶川靜雄

    ○梶川委員 たとえば衞藤君の場合を話してみていただきたい。
  363. 木曽重義

    木曽証人 衞藤代議士が私とどういう話をしたというのですか。
  364. 梶川靜雄

    ○梶川委員 あなたにどういうぐあいな報告があつたか。
  365. 木曽重義

    木曽証人 あの人は業者の会合には一度も顔を出しません。この話は避けておつた。私は選挙区も違うし、炭鉱も近所じやありませんし、もとからあまり懇意じやありませんが、衞藤さんという人は業者でありながら一度も顔を出さぬし、來なくちやいかぬじやないかと話し合つたが、あの人は両方から誤解を受けるから自分は出ないんだと言つて、ちつとも來なかつた
  366. 梶川靜雄

    ○梶川委員 上田氏はよく泊つていたですね。
  367. 木曽重義

    木曽証人 泊つていた。
  368. 梶川靜雄

    ○梶川委員 もとの関係もありますし、ここへ來れば顔が廣いわけですね。それであの人はあなたと始終話をしておられたでしよう。運動の結果を話すでしよう。
  369. 木曽重義

    木曽証人 上田氏の動いたことを私に報告したかというのですか——報告は受けません。
  370. 梶川靜雄

    ○梶川委員 しかし飯食いしながらいろいろな情報を持ち寄つて話すでしよう。
  371. 木曽重義

    木曽証人 いろいろ國管の運動をしておつても、朝から晩までやるわけじやありませんし、おのおのほかの用事がありますし、知合いもありますし、同じ宿屋に泊つたと言つても、上田さんとは部屋も離れておつたし、飯をいつも一緒に食つたわけではありません。あの人とは炭鉱も選挙区も違いますし、遠方で、私は福岡市に住んでおりますし、あの人は福岡縣の一番端の方の郡ですから、あまり親しくありません。從つて詳しいことは知りません。
  372. 梶川靜雄

    ○梶川委員 最後に一つ伺いますが、賭博事件があつたですね。あれは毎日やつたですか。
  373. 木曽重義

    木曽証人 そんなばかなことはありません。毎日なんて……。
  374. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それでは再々あつたわけですね。
  375. 木曽重義

    木曽証人 そんなことはありません。
  376. 梶川靜雄

    ○梶川委員 見つかるまでやつてつたというわけですか。
  377. 木曽重義

    木曽証人 そんなばかなことはありません。
  378. 梶川靜雄

    ○梶川委員 あなたは運動に來ておられてよく御存じだと思うのですが、東京の町中、特にその辺に黒い石炭を赤くするというようなビラが一ぱいはつてつたのをごらんになつたですね。あれをやつたのはだれか知つているでしよう。どなたですか。
  379. 木曽重義

    木曽証人 田中彰次がやつてつたと思います。
  380. 梶川靜雄

    ○梶川委員 あれは何という團体だつたですか。
  381. 木曽重義

    木曽証人 團体は知りません。
  382. 梶川靜雄

    ○梶川委員 あなたは炭鉱國管反対國民連盟というのを知つておられるでしよう。
  383. 木曽重義

    木曽証人 知りません。
  384. 梶川靜雄

    ○梶川委員 知らないはずはない。
  385. 木曽重義

    木曽証人 いや勝手に名前をつけたんだろうと思います。
  386. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それならば人を申しますが、内田行人を知つておられますか。
  387. 木曽重義

    木曽証人 知りません。
  388. 梶川靜雄

    ○梶川委員 ほんとうに知らないのですか。
  389. 木曽重義

    木曽証人 ほんとうに知らないのです。
  390. 梶川靜雄

    ○梶川委員 その田中というのはあなたのところによく出入りしておつたのですか。
  391. 木曽重義

    木曽証人 いや、出入りじやない。あれは炭鉱業者です。
  392. 梶川靜雄

    ○梶川委員 業者だから龍名館に出入りしておつたわけでしよう。
  393. 木曽重義

    木曽証人 龍名館泊つてつたことがあります。
  394. 梶川靜雄

    ○梶川委員 泊つてつたこともあるし、外に泊つてつたこともあるのですが、どういう御関係があつたわけですか、運動の過程を通じて……。
  395. 木曽重義

    木曽証人 あれがビラをはつたという経緯でございますか。
  396. 梶川靜雄

    ○梶川委員 はい。
  397. 木曽重義

    木曽証人 それは日にちは忘れましたが、八月の終りころでしたか、鉱業会で総代会がありました。そのときにいろいろな議案が済んだころに田中彰次君が、國営反対運動は手ぬるい、だから大衆運動をやらなくちやいかぬと、非常に雄弁家ですから一席も二席もやつたのです。そうしたら大阪の人で肥田理吉という人がそれに共鳴して、盛んにやらなくちやいかぬと言つてわあわあにぎわつたのです。議長にここで即決しろということを迫つた。議長はどなたかしらぬが、——会長か、副会長でしたか、よく研究してやると言うと、研究とは生ぬるい、ただちに理事会を開いてきめろということで大分食い下つた。そうして別室で大衆運動というものをやるか、やらぬかということをきめられて、われわれつまらぬながら全國で四百か、そこそこでやつておる炭鉱という特殊な仕事をし、昔の資本家とか、何とか言われたものが、大衆運動をやるのはおかしいじやないか、そんなはでな運動をやるまいということにきまつたのです。ところが二人がわあわあやるものですから、私も見かねて、まあ家に來ないかというので田中を連れてきて、君がやかましく言つてもしようがない。やるなら君も業者だから自分で自費でやる勇氣があるかというと、自身自費でやる勇氣がある、それではまあ自費でやりなさい、しかし鉱業会は不都合とか、何とかいうけれども、やらぬことにきまつたからしようがないということでやり始めたのだから、田中彰次君がやつたことと思う。私もいささかこれは車馬賃にしなさいと言つてやりましたから、その残余のものは田中がやつたというふうに名前はあるけれども、そんなことは私は知りませんね。
  398. 梶川靜雄

    ○梶川委員 あなたのところへ岡部君はしよつちゆう出入りしておつたわけですね。
  399. 木曽重義

    木曽証人 岡部得三代議士ですか。龍名館にですか。
  400. 梶川靜雄

    ○梶川委員 そうです。
  401. 木曽重義

    木曽証人 來ません。しよつちゆうは來ません。
  402. 梶川靜雄

    ○梶川委員 しかしあなたのところの本部と連絡のあつたことは事実でしよう。
  403. 木曽重義

    木曽証人 本部と言いますと……。
  404. 梶川靜雄

    ○梶川委員 龍名館本部と……。
  405. 木曽重義

    木曽証人 一、二度來たことがありますよ。龍名館によく要件で來たことがありますが、連絡があつたかどうかわかりません。
  406. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それはあなたがあそこにおられて、ずつと長い間あれを見てきておられるわけですね。それで各政党の動きというものはそういうふうにずつとわかつてきたと思う。当然にあれだけの情報がはいつてみればわかつておると思う。どの政党がどういうぐあいであつたということが今もあなたの記憶に残つておりますか。
  407. 木曽重義

    木曽証人 おりません。
  408. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それはおかしいですな。何のために運動をしておつたのですか。漠然とした運動はあり得ない。それならこまかい例でひとつ聽きましよう。たとえばあなたが賭博を開帳しておつてあげられたでしよう。それは否認しないでしよう。神田署にあげられたでしよう。
  409. 木曽重義

    木曽証人 行きましたよ。
  410. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それをあなたはなぜいつまでもはつきり言えないのですか。
  411. 木曽重義

    木曽証人 私は賭博でなく、娯樂として……。
  412. 梶川靜雄

    ○梶川委員 娯樂であろうが何だろうが、賭博で神田署にあげられたということは、はつきりしておるでしよう。そのときに代議士のお世話になつたでしようが。
  413. 木曽重義

    木曽証人 もらい下げ運動したことはありませんよ。
  414. 梶川靜雄

    ○梶川委員 ないことはない。あなた方のことで警察署に頼みに行つたことはあるでしよう。
  415. 木曽重義

    木曽証人 私たちは行つてすぐ帰つてきたから、運動する間も何もありませんよ。すぐ帰つてきたんですから……。
  416. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それじやあなたがつかまつたのはいつですか。
  417. 木曽重義

    木曽証人 日時は覚えませんが…。
  418. 梶川靜雄

    ○梶川委員 九月二日の午後四時ごろでしよう。
  419. 木曽重義

    木曽証人 九月二日ということは忘れましたが、夜明け前でした。
  420. 梶川靜雄

    ○梶川委員 午前の四時ごろにくくられて、あなた方が帰つてきたのは、すぐその場で帰つてこなかつたでしようが。
  421. 木曽重義

    木曽証人 いや行つて、そう大した時間がないですね。司法主任か何か呼びにきて、四人順々に調べて帰つてきたのだから、大した時間じやないと思うのですけれども、だれも私たちが代議士に頼むとか、そんな時間はないのです。
  422. 梶川靜雄

    ○梶川委員 あなたは平井義一という代議士を知つておるでしよう。
  423. 木曽重義

    木曽証人 知つております。
  424. 梶川靜雄

    ○梶川委員 平井義一君が神田署に朝の八時ごろ行つて、あなたたちの要するに司法主任に対して了解運動を求めたという事実はあなたは知つておられるはずですが、ないですか。
  425. 木曽重義

    木曽証人 ないです。
  426. 梶川靜雄

    ○梶川委員 あとでそういうことはわかるから……。
  427. 木曽重義

    木曽証人 私は五時ごろに帰つてきた。暗いうちに行つて、帰つてきたのは明るくなつてつてきたから……。
  428. 梶川靜雄

    ○梶川委員 平井君が行つたのは知つておるでしよう。
  429. 木曽重義

    木曽証人 知りません。
  430. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それは先にあげられたので、あなたたちが頼んだとは言えないけれども、引つくくられて連れて行かれたのだから、頼んだとは言えないけれども、平井君が行つたということは知つておるでしよう。
  431. 木曽重義

    木曽証人 知りません。
  432. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それはおかしい。そんなばかなことはないね。平井君が行つて、司法主任に了解運動を求めておるのですよ。それで平井君とあなたたちはどういう関係にあつたのですか。
  433. 木曽重義

    木曽証人 平井君というのは、私は今度來て旅館に一、二度他の人のところに訪ねてきた。私の部屋にはいつたことはありませんが、代議士のマークをつけておりますから、どこの代議士だというと、福岡縣の代議士だ。何という代議士だというので、平井君と名刺を交換したことはあるのですかが、私親しいこともなければ、大した懇意ではありませんし、交渉がないのです。
  434. 梶川靜雄

    ○梶川委員 しかし平井君が行つたからには、だれの紹介で平井君は行つたのですか。平井君がよく知つておるから行つたんでしよう。
  435. 木曽重義

    木曽証人 私は頼んだことも、行つたことも知りません。
  436. 梶川靜雄

    ○梶川委員 神田署の問題とは別にして、平井義一という代議士があなた方の反対運動のために、犬馬の労をとつたということは事実でしよう。
  437. 木曽重義

    木曽証人 そういうことは私と何ら関係がないのです。平井君と個人的の関係はないです。
  438. 梶川靜雄

    ○梶川委員 だれと関係があつて龍名館に出入りしておつたのですか。
  439. 木曽重義

    木曽証人 それは龍名館に福岡縣の人もおるし、また豊前の人もおるからそういう人と懇意だつたと思うのです。
  440. 梶川靜雄

    ○梶川委員 懇意だつたと言つて、少くとも龍名館では、あなたとか、あるいは西田代議士とか、衞藤代議士とか、上田前代議士とか、そういうような人が龍名館の中の常におつた顔役といつたらおかしいが、有名なたれでもわかる人である。だから平井代議士がそこに行つているという場合に、それがだれの所に行つておるかわからないということはあり得ない。平井君がだれと直接よく会つていたかというようなことは明瞭だと思うのです。そうしてどういう方の担当をしておつたということも明瞭だと思う。あなたたちが一緒に住んでいて、それがわからないということはない。それがわからないということは、証言拒否か、虚偽のあれを申立てるものだと思う。
  441. 木曽重義

    木曽証人 代議士の人がだれの部屋に尋ねてきて、どういう話をしたかということはわからない。
  442. 梶川靜雄

    ○梶川委員 どういう話をするということはわからないでも、あなたは少くとも龍名館泊つてつた中の相当重要な幹部である。それがわからなかつたということはあり得ないと思う。
  443. 木曽重義

    木曽証人 わからなかつたということは、平井君がかりに誰かの所に來ておつたかもしれないが、だれを尋ねてきたとか、だれが懇意であるということは知りません。懇意な人さえも私はよく知りません。それくらいの薄さです。
  444. 梶川靜雄

    ○梶川委員 あなたは龍名館会計を握つておりながら、ただ奥の間の方に一人おつたわけではないでしよう。皆としよつちゆう話をすると思う。それがわからないということはあり得ないと思う。西田君にしてもそうです。あなたが賭博をして、いくら娯楽といいながら、少くとも一緒に神田署にひつぱられた以上は、西田君との関係、衞藤君との関係というものは明瞭なものがあると思う。相当親しい間でなければ、警察署に引かれるようなことは、いくら娯楽といつてもやらないと思う。その関係をあなたは否定されることはないでしよう。西田君との関係、平井君との関係、ぼくはわからないというのがわからない
  445. 木曽重義

    木曽証人 平井代議士とは懇意ではありません。
  446. 梶川靜雄

    ○梶川委員 西田君はよく知つておる……。
  447. 木曽重義

    木曽証人 これは懇意です。
  448. 梶川靜雄

    ○梶川委員 西田君があなたといつも懇意である限りは、また花札までやる仲である限りは、西田君がどいうぐあいか、情報を常に持つてきておつたことはわかつておる。
  449. 木曽重義

    木曽証人 もつてこぬから、癪にさわつてつた
  450. 梶川靜雄

    ○梶川委員 癪にさわつておると言えば、それはいつでも好きなことは言えると思うが、そこのところの関係をはつきり言つてもらうば……。
  451. 木曽重義

    木曽証人 はつきりしております。平井君とはそんなに懇意ではない、西田君とは懇意である。情報を聽きたかつたが、もつてこぬから心地よく思つていない。
  452. 梶川靜雄

    ○梶川委員 ぼくはあなたのさつきからの話をちよつとも信用しない。なぜならば、たとえば衞藤君とあなたとはほとんど龍名館で知らなかつたと言いながら、花札までやつて神田署に一緒に行つた仲ではないか、私が知らぬ顔をして尋ねれば、ほとんど衞藤さんは関係しないようにしておつた。それで話もろくにしなかつたというようなでたらめを言つている。私はここにおいてあなたの今までの話はほとんど信用できなくなつてきておる。そういうでたらめを言われるのだつたら、これで私の質問は終る。
  453. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなたはこの運動運動資金をお預りになつた。それは西九州北九州運動資金だけですか。北海道とか、東北の方の金はどうですか。
  454. 木曽重義

    木曽証人 ありません。
  455. 椎熊三郎

    椎熊委員 それはあなた方の團体でない方で集めたのですか。
  456. 木曽重義

    木曽証人 集めたか集めないか知りません。
  457. 椎熊三郎

    椎熊委員 とにかく九州一円における全体の金約一千万円をあなたがお預りになつた。そういう、信用をもつておられる。先ほどあなたの陳述によりますと、五万円とか十万円とか、ときに五十万円程度の金を事務員を通じて支拂いに充てた。そのほかあなたは自安と同じ運動をしておる人に多額の金銭を渡したという事実はありませんか。
  458. 木曽重義

    木曽証人 ありません。
  459. 椎熊三郎

    椎熊委員 同志の間で……。
  460. 木曽重義

    木曽証人 ありません。
  461. 椎熊三郎

    椎熊委員 たとえば具体的に申し上げますと、長尾達生君のごとき人に、その中から金を分けてもつてもらつたというようなことはありませんか。
  462. 木曽重義

    木曽証人 ありません。
  463. 椎熊三郎

    椎熊委員 それからあなたの一千万円支出の概算書はなかなかよくできているようですね。しかし私は非常にこれは疑いをもつている。これはあなたは何も根拠ある受取とか傳票に準拠してつくつたものでないということを、さつきからのあなたの陳述で私は感知できる。最も私は遺憾に思うのは、これほど未然においてあの大運動をやつた九州の親分衆が、一日千五百円の日当などをあの運動費からとるだろうか、私は非常に疑問に思う。そんなことはないでしよう。事実ですか。
  464. 木曽重義

    木曽証人 事実です。もらわぬ人もある。
  465. 椎熊三郎

    椎熊委員 大部分はもらわぬのでしよう。
  466. 木曽重義

    木曽証人 もらわぬ人もあるけれども、もらわなければ困るといつて、宿に泊つた人はみなもらつている。
  467. 椎熊三郎

    椎熊委員 この日当だけでも五百七十二万円を計上して、この大半は日当に充てている。この金銭の使途がここで非常に疑問をもたれる点になる。私はあの運動の経過から見て、あなた方の派手な使いぶりを見て、日の千五百円使つて自動車賃までもらうような顔触ではない。あとでつくつたのではないですか。
  468. 木曽重義

    木曽証人 そうじやない。ほんとうです。
  469. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなたはあとでつくつたようなことばかり言うから、私は信用できない。あなたは一通りの運動はやつたが、会計もやつている関係もあつて、大部分家に残つて、訪問者に應接をしたとさつき言われたが、その訪問者の中に政治家がおりましたか。
  470. 木曽重義

    木曽証人 おりません。
  471. 椎熊三郎

    椎熊委員 全然おりませんか。
  472. 木曽重義

    木曽証人 ええ。
  473. 椎熊三郎

    椎熊委員 それでは聽きますから、責任をもつてお答え願いたい。あの運動の最中に、自由党の顧問植原悦二郎氏が訪問されませんか。
  474. 木曽重義

    木曽証人 されません。
  475. 椎熊三郎

    椎熊委員 ほんとうですね。間違つては困りますよ。
  476. 木曽重義

    木曽証人 ええ。
  477. 椎熊三郎

    椎熊委員 それからあなたはこの運動を六箇月にわたつて継続しておられましたが、結論的にはこの石炭國家管理法案はつぶれるという確信をもつていたか、通過するという見透しをもつていたか、どつちですか。
  478. 木曽重義

    木曽証人 私の希望は通らないことを希望した。もし通つても、大修正が希望された。
  479. 椎熊三郎

    椎熊委員 いや、運動の結論において、非常にたけなわになつたときに、これは通るか通らぬかというわずかの差になつたですね。あなた方の見透しはどうだつたか、もう一息でこの法案はつぶせると思つたのでしよう。
  480. 木曽重義

    木曽証人 私はつぶせぬと思つたけれども、もう少し修正はできないだろうかと思つた
  481. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなたは修正案ですか。
  482. 木曽重義

    木曽証人 いや、でき得るならばその通らないことを希望するが、通つてももう少し修正が欲しい。こういう希望をもつてつたのです。
  483. 椎熊三郎

    椎熊委員 それでは別なことを聽きますが、結局あの案が通過したですね。そのあとなおかつ実施の上において、あなた方は本年の四月一日から実施せられることを妨げようとする運動を展開したのではないですか。
  484. 木曽重義

    木曽証人 そんなことはありません。
  485. 椎熊三郎

    椎熊委員 何とかして四月一日の実施を延ばそうとしたのではありませんか。
  486. 木曽重義

    木曽証人 そんなことはありません。
  487. 椎熊三郎

    椎熊委員 そうするとあなたは十一月以後本年の一月二月にかけての運動は何であるか。あの法案が通過して後の運動は何であるか。
  488. 木曽重義

    木曽証人 どういう運動ですか。
  489. 椎熊三郎

    椎熊委員 各方面の政治家などを歴訪して歩いた事実は顯著なんですが、それは何の運動ですか。たとえば内閣をつぶすとか、内閣を迭らせることによつてこの法案が実施されることができないことになるのではないか、その方があなた方の最初目的に到達するのではないかというので、そういう方面の運動を展開したのではないか。
  490. 木曽重義

    木曽証人 そんなことはありません。
  491. 椎熊三郎

    椎熊委員 もう一つ別な問題を聽きますが、あなたたちの運動に賛成して石炭國家管理法案反対すべからざる党派においてあえて反対をした相当の人間がおります。二十人、三十人の人がおつた。それに対してはあなたは非常な感謝の意を捧げられておつたということだが、どういう氣持でおられたか。私はこのことを聽くのは次にもう一つ聽きたいことがあるからであります。
  492. 木曽重義

    木曽証人 特別の感謝の意を表わしたことはありません。
  493. 椎熊三郎

    椎熊委員 非常にありがたがつたということですが……。
  494. 木曽重義

    木曽証人 ありがたいということもないです。
  495. 椎熊三郎

    椎熊委員 もつと具体的に申し上げます。民主党から除名、あるいは脱落した人々で、後に同志クラブというものをつくつた。あの同志クラブの事務所の設置費用という問題についてどなたからか相談を受けませんか。
  496. 木曽重義

    木曽証人 受けません。
  497. 椎熊三郎

    椎熊委員 神明に誓つて受けんか。
  498. 木曽重義

    木曽証人 受けません。
  499. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなたは五十万円くらいやろうとおつしやつたことはありませんか。
  500. 木曽重義

    木曽証人 ありません。
  501. 椎熊三郎

    椎熊委員 私の顔をよく見ておいてください。
  502. 木曽重義

    木曽証人 ありません。
  503. 椎熊三郎

    椎熊委員 ほんとうですか。
  504. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  505. 椎熊三郎

    椎熊委員 あとでこのことは問題になりますよ。
  506. 木曽重義

    木曽証人 よろしうございます。
  507. 椎熊三郎

    椎熊委員 あなたは特別に政界の有力な人とお会いになつて運動しませんでしたか。
  508. 木曽重義

    木曽証人 しません。
  509. 椎熊三郎

    椎熊委員 百人余りの人とぞろぞろ揃つて一通りの運動をしただけですか。
  510. 木曽重義

    木曽証人 はい。そうです。官廳で会つたことはありますが、特別に自宅訪問をしたことはありません。
  511. 椎熊三郎

    椎熊委員 料亭、旅館等においてはしたことはありませんか。
  512. 木曽重義

    木曽証人 ありません。
  513. 椎熊三郎

    椎熊委員 まつたくありませんか。
  514. 木曽重義

    木曽証人 ありません。
  515. 椎熊三郎

    椎熊委員 それは國管案に賛成すると反対するとを問わずありませんか。
  516. 木曽重義

    木曽証人 ありません。私は官廳で大臣一人二人と一緒に会つたことはあります。
  517. 椎熊三郎

    椎熊委員 もう一つ聽きますが、あなたと原口という人はどういう関係ですか。
  518. 木曽重義

    木曽証人 業者同志です。
  519. 椎熊三郎

    椎熊委員 原口という人は主として議会方面の運動を担当した人ではないのですか。そういう記憶はありませんか。
  520. 木曽重義

    木曽証人 方々走りまわつてつたことは事実です。
  521. 椎熊三郎

    椎熊委員 主として議員関係の運動者ではありませんか。
  522. 木曽重義

    木曽証人 それはどうかわかりません。知合いの多い関係で……。
  523. 椎熊三郎

    椎熊委員 原口君とあなたとはしよつちう打合せの上、運動を展開しておつたわけですね。
  524. 木曽重義

    木曽証人 打合せはしませんよ。
  525. 椎熊三郎

    椎熊委員 打合せしないことはないでしよう。こういう運動をしておつて、各般の打合せをしない運動はありませんよ。その内容を聽くのではない。しよつちう連絡を取りつつやつてつたのではありませんか。
  526. 木曽重義

    木曽証人 しよつちうということはありません。
  527. 椎熊三郎

    椎熊委員 それは言葉じりですから……もう一つ別なことを聽きますが、あなたの支出概算表の中に宣傳費というものがある。三十七万円ほど計上されております。主としてどういう方面ですか。
  528. 木曽重義

    木曽証人 あれは國管についての本を書いた人があります。その本を買つてつたのです。それと炭鉱についての講演があつた。それを新聞にして無料で配付したのです。
  529. 椎熊三郎

    椎熊委員 この宣傳費の内訳を明確にすることができますか。
  530. 木曽重義

    木曽証人 できます。
  531. 椎熊三郎

    椎熊委員 委員長、出ておりますか。
  532. 武藤運十郎

    武藤委員長 ごく大ざつぱなものが出ております。
  533. 椎熊三郎

    椎熊委員 では一つその中の具体的なものを伺います。國管関係の某雜誌記者に二万円渡したという事実はございますか。あなたは知りませんか。
  534. 木曽重義

    木曽証人 知りません。
  535. 椎熊三郎

    椎熊委員 西田君とあなたとは非常に懇意な間柄であつたが、西田君は何らの情報をもたらさなかつた。それで憤概しておつたということである。そうではなくて、西田君は石炭國管案は通らざるを得ない運命にあるので、それを通すためには業者が將來石炭業者としてやつていくのに都合のいいように、また増炭になるように案の内容を直して通させようということをあなた方は御相談になつたのではないですか。
  536. 木曽重義

    木曽証人 あの男はそういうことをせぬですよ。これは通らなければならぬのなら、この修正はどうとか、組織はこういう方法がいいとか何とか打合でもしてくれるなら……。
  537. 椎熊三郎

    椎熊委員 最後にもう一点、あなたはこの石炭國家管理法案が通過の後、運動をひとまず打切ろうとしたとき、議会関係にあらざる某氏と、これに奔走してくれた議会内の人物に対するお礼の問題についてお話なつたことはありませんか。
  538. 木曽重義

    木曽証人 ありません。
  539. 椎熊三郎

    椎熊委員 まつたくありませんか。
  540. 木曽重義

    木曽証人 ありません。
  541. 河井榮藏

    ○河井委員 このあなたの支出概算表についての会計報告、約一千万円の金をお使いになつた報告はなさいましたか。
  542. 木曽重義

    木曽証人 幹部にしました。
  543. 河井榮藏

    ○河井委員 いつです。
  544. 木曽重義

    木曽証人 それは十二月、帰つてすぐです。
  545. 河井榮藏

    ○河井委員 去年の十二月、何日です。
  546. 木曽重義

    木曽証人 それは記録を見ればわかります。鉱業会の記録の中に日にちがはつきりあります。
  547. 河井榮藏

    ○河井委員 どこですか。
  548. 木曽重義

    木曽証人 会社です。
  549. 河井榮藏

    ○河井委員 そのとき——あなたが報告なさつたときはどういう人がおつたのです。
  550. 木曽重義

    木曽証人 北九州会社の総会を開いたときに経過を報告しまして、六百万円という借金があるものですから、それで西の方の代表と、北のおもな五六人、名前は記玲しておりますが、その人間を集めて内容はこうなつていると言つたら、それはどうも御苦労だつたということでしたが、この借入金をどうするかということに実に困つておる。しかし自分にも考えであるから、まあこのままにしておこうということで了解を得ておるのです。
  551. 椎熊三郎

    椎熊委員 その借入金のことばかりではないので、旅費日当五百七十万円以下ありますね。そういう項目についても報告なさつのですか。
  552. 木曽重義

    木曽証人 しました。
  553. 河井榮藏

    ○河井委員 その報告は今そこへ出ておるのは内容は同じですか。
  554. 木曽重義

    木曽証人 内容はほぼ同じです。正確なものじやありませんが、そのときは正確なものです。
  555. 河井榮藏

    ○河井委員 そのときとはいつです。
  556. 木曽重義

    木曽証人 その報告をしたとき。
  557. 河井榮藏

    ○河井委員 それは今出ておるものですね。
  558. 木曽重義

    木曽証人 ほぼ同じです。
  559. 河井榮藏

    ○河井委員 それで皆承認されたのですか。
  560. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  561. 河井榮藏

    ○河井委員 その借入金を返すことについては、結局どういう決論になつたのですか。
  562. 木曽重義

    木曽証人 私自身実は困つておるのです。
  563. 河井榮藏

    ○河井委員 困つておるといつてもあなたがお拂いになる必要はないのですね。私に考えがあつたというのはどういうことですか。
  564. 木曽重義

    木曽証人 大手筋から私は寄附してもろう。その考えは何となれば大手筋は大抵東京の在住者であるし、東京に家をもたれて自分の事業傍らこの運動ができたのだが、われわれは自分の仕事を抛擲しておいてここに來てやるんだ。そうして身銭を相当使つておるのだ。大手筋がこの運動に対して八割の出炭をもつておるのです。全國の大手筋というのは十二、三社ある。だから六百万円くらいのものは相談したらとれるだろう、こう私が考えておつたからそれで皆に迷惑をかけぬ、こういう氣持でおつたのです。ところが制限会社とか整理会社とかいうことでそういう金が出せない、出さないから私は今困つているのです。
  565. 河井榮藏

    ○河井委員 しかし制限会社で出せないということは初めからわかつていることでしよう。
  566. 木曽重義

    木曽証人 何ですか。
  567. 河井榮藏

    ○河井委員 あなたが六百万円借りられたときに、こういう方法大手筋から金を借りて、とつて返せるということは最初はお考えになつたんでしよう。
  568. 木曽重義

    木曽証人 いやさつきも申し上げた通り、この運動が十二月まで続こうとは毛頭考えていませんでしたし、最初は二週間くらいのつもりで三十万円くらいの金を用意しておつたが、大分長くなり、十二月まできた。その金でやれるものと思つていたが、深みにきてその結果いけなくなつたので、その金を私は大手筋に寄附してもらおうと考えておつた。ところがある人に聽いてもらつたらそれは出せない。なぜ出せないかと聽くと、うちは制限会社だ、いやうちはどうだというので、これは困つたこと……。
  569. 河井榮藏

    ○河井委員 いやあなたとしては、大手筋が制限会社にかかつておるということは御存じではないのですか。実際は國管法が通らなくなつたから大手筋が出さぬことになつたのではないか。
  570. 木曽重義

    木曽証人 そうではない。
  571. 河井榮藏

    ○河井委員 通ればあなたに六百万円くらいの金はその方から出してもらえるというお考えがあつたのではないか。しかし通らなくなつたから出さなくなつたのではないか。
  572. 木曽重義

    木曽証人 通らなくても当然話せばわかつてくれるものという考えはあつた。しかし通りもしませんし、話もできぬ。出せと言つても出さない。こういうことになつたわけです。それで今困つているわけです。
  573. 河井榮藏

    ○河井委員 大手筋というのはほかにも何か出さなかつたのですか。
  574. 木曽重義

    木曽証人 いや出しません。
  575. 河井榮藏

    ○河井委員 そうすると、運動が成功すると大手筋は非常に得をするわけですね。
  576. 木曽重義

    木曽証人 得をするとか、損をするとかということのほかに……。
  577. 河井榮藏

    ○河井委員 あなたの方の中小炭鉱業者の利益になるのは当然でしよう。大手筋は一文の金も出さないで、結局他人の念佛で極樂に行くようなことを考えていたんでしようか。
  578. 木曽重義

    木曽証人 そんなことはありません。得とか損とかということでなしに……。
  579. 河井榮藏

    ○河井委員 損得の問題ですがね。結局あなた方はイデオロギーの問題で反対なさつたわけではないんでしよう。
  580. 木曽重義

    木曽証人 何ですか。
  581. 河井榮藏

    ○河井委員 大手筋は結局この國管法が通らなければ利益を得るでしよう。いろいろな便宜を得るわけでしようが、あなた方がいろいろ反対された理由もそこにあるだろうと思いますが……。
  582. 木曽重義

    木曽証人 いや利益ばかりではない。減産する、増産するという考え方も大きな役割を占めておつたのであります。
  583. 河井榮藏

    ○河井委員 それでも大手筋は通れば結局ぐあいが悪いでしよう。
  584. 木曽重義

    木曽証人 悪いとかよいとかいうことは、われわれもまよ迷つたところです。大手筋自体がどうにも……。
  585. 河井榮藏

    ○河井委員 そうすると大手筋とあなた方とは考え方が違うということになりますね。
  586. 木曽重義

    木曽証人 違つておりはしないかと思つたこともある。なぜかというと、大手筋というのはにつちもさつちもいかない。炭鉱に金がある。それが國管になると借金を引受けてくれる。そういうことから國管を念願している人があるのじやないかということも出たが、通つたから得たということは必ずしも言えぬのじやないかと思います。しかし私たちはこうした方が増産になるからということで、増産、減産ということがおもなるわれわれの考え方であつたということを申し上げけるのであつて、得だつたとか、損だつたとかということは第二義的です。得ならば大手筋で結局出してもらえる……。
  587. 河井榮藏

    ○河井委員 そうすると六百万円については未だに返済の方法がついていないわけですね。
  588. 木曽重義

    木曽証人 そうです。
  589. 河井榮藏

    ○河井委員 よろしうございます。
  590. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 自由党は石炭國管案反対をしたのですが、あなた方の運動せられる前から反対の態度を決定しておつたのか、もしくはあなた方の運動によつて反対の態度を決定したのかその辺御存じありませんか。
  591. 木曽重義

    木曽証人 おそらくわれわれが陳情に行つたから反対に変つたのではなくて、最初から反対でなかつたかと考えます。
  592. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 最初から反対で、あなた方が上京されたときにきまつたのではないというのですね。
  593. 木曽重義

    木曽証人 陳情に行つたときに、われわれはもとより反対だから、あなた方しつかりおやりなさいということで激励されたから、おそらくわれわれが陳情に行く前にきまつたことだと思います。
  594. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 そうするとあなた方の運動の重点は自由党に向けらるべきものではなくして、石炭國管案に賛成の態度を示すであろうと思われる党に対して猛運動せられるような結果になつたのではないですか。具体的に言えば運動の重点を社会党とか民主党の方に向けられることになつたのではありませんか。
  595. 木曽重義

    木曽証人 私はさつき申しましたように一人でも多く、かりに自由党の人でも、また社会党なり、民主党なりに懇意な人があれば、業者から見れば必ずしも増産にならないのだと言つてもらうこともありますし、一人でも多く理解してもろうことを考えておつたのです。
  596. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 それはもとよりのことですが、大体の運動方針として、社会党とか民主党とか、あなた方の立場と反対の方を説得するに力を入れられたのではないか。そういう方針がきめられたことはないのですか、根本方針として。
  597. 木曽重義

    木曽証人 どこに集中するというのではなく、どこでもやるという方針でやりました。
  598. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 そうしますと、國管案は原案よりは非常に修正されたわけですが、あの修正案というのはあなた方の猛運動の結果そうなつたのですか、どうお思いになりますか。
  599. 木曽重義

    木曽証人 われわれにとつてはもの足らないです、あの修正では。
  600. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 あの修正案は相当國管案反対せられた業者の満足を買つたというような結果になつてつて、事実上骨拔き案だというふうに称せられておるのですが、そういう実情ではないのですか。
  601. 木曽重義

    木曽証人 必ずしもそうではありません。
  602. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 相当運動せられた結果が効果を現わして、御満足になつておるのではないですか。
  603. 木曽重義

    木曽証人 満足ではありません。
  604. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 ある程度は満足ですか。
  605. 木曽重義

    木曽証人 いや。
  606. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 むろん原案よりは満足ですね。
  607. 木曽重義

    木曽証人 原案でしたらおそらく賛成された社会党内部でも、民主党の賛成された方でも賛成しなかつたろうと思います。あれではめちやくちやになるだろうと思います。
  608. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 そうすると民主党なり、社会党なりの原案に反対するような立場の人々は、元來そういう反対の意見をもたれておることになるのか、あなた方の猛運動の結果、すなわち啓蒙運動の結果そういうふうな原案反対の態度をとられるようになつたのかどうか、その点はどうですか。
  609. 木曽重義

    木曽証人 その点は相手方だからよくわかりませんね。
  610. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 大体運動の過程から見て、どういうふうにお考えになりましたか。
  611. 木曽重義

    木曽証人 それはその人のお考えだからわかりません。みずから深く研究されて炭鉱の実体を見られたり、また業者と意見を闘わして、なるほどこれはそういうものだということがわかつた人もありましようし、私は代議士諸公の考え方が一々運動したから変つたのだ、運動しなかつたからどうだということは……。
  612. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 それはいろんな過程でそういうことになつたのでありますけれども、あなた方の運動の結果、相当原案を修正せしめたというようなお考えはありませんかどうか、あなた方の運動の結果は少しも効果を奏しなかつたと思つておられるかどうか。
  613. 木曽重義

    木曽証人 私は何も効果がなかつたとは言えないと思います。それは商工大臣にも、各党の人にも、三党首の方にも会つて、二回にわたつて突込んだ話もしました。わかつてくれたところもあると思います。まんざら効果がないことはないと思います。
  614. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 相当効果はあつたとお考えになつておるととつてもよろしいですね。
  615. 木曽重義

    木曽証人 効果の程度ですがね。
  616. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 ある程度
  617. 木曽重義

    木曽証人 ないことはなかつた
  618. 徳田球一

    ○徳田委員 ちよつと伺いますが、宣傳費はパンフレツトを買い歩いただけですか。
  619. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  620. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると、そのほかのビラを貼つたり、立札を立てたりしたのは、あなたの方の会計とは別ですか。
  621. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  622. 徳田球一

    ○徳田委員 田中彰次君とか肥田理吉君には、全然あなたの方とは関係なしに、ほかから金が出ておるわけですね。
  623. 木曽重義

    木曽証人 そうであります。
  624. 徳田球一

    ○徳田委員 その金の出所は御存じありませんか。
  625. 木曽重義

    木曽証人 知りません。
  626. 徳田球一

    ○徳田委員 もう一つ。あなたの方から武内禮藏さんのところに特別の支出をしたことは全然ございませんか。
  627. 木曽重義

    木曽証人 ございません。
  628. 徳田球一

    ○徳田委員 あの人はあの人で金を支出して、あなた方からは一文も金をとつておらぬわけですか。
  629. 木曽重義

    木曽証人 はい。あの人は別に金の出所がありますから。あの人は石炭鉱業会の副会長で、役人ですから……。
  630. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると鉱業会から出ておるわけですね。
  631. 木曽重義

    木曽証人 あの人の交際費とか、旅費、日当とかいうものが出るのです。
  632. 徳田球一

    ○徳田委員 全部。
  633. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  634. 徳田球一

    ○徳田委員 もう一つ交通費ですが、交通費は各自動車会社に拂つたものが、たくさんあるだろうと思いますが、それは代議士やその他が乘つたようなものは全然ないのですか。
  635. 木曽重義

    木曽証人 ございません。
  636. 徳田球一

    ○徳田委員 これは別個のものですね。
  637. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  638. 徳田球一

    ○徳田委員 たとえば西田君や長尾君の乘つたものは全然あなたの方のものと別ですね。
  639. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  640. 徳田球一

    ○徳田委員 委員長、その方は向うからの帳簿の寫しがありましたね。それにはどうですか。私の見たところでは西田君や何かのがたくさんあつたようですが……。
  641. 武藤運十郎

    武藤委員長 あります。
  642. 木曽重義

    木曽証人 説明書には書いてありますが、あれは除いたのであります。一括して出しましたから、全部関係のないものは除きました。
  643. 徳田球一

    ○徳田委員 もとは一遍は拂つたのですか。
  644. 木曽重義

    木曽証人 いや自動車会社が間違つて一括してここに出したのです。私の方にも証書をくれました。少し多過ぎると思つて内容を調べましたら、西田君のがはいつておりましたから、そういう関係のないものは除きました。
  645. 徳田球一

    ○徳田委員 あとから修正したわけですね。
  646. 木曽重義

    木曽証人 そうです。
  647. 石田一松

    ○石田(一)委員 ちよつとお聽きしますが、原口さんという方に四百万円ばかりの金が行つておる。それは五万円とか十万円とか要求されたので、その費用支拂つたのだ、こうおつしやつておりますが、あなたが要求されて四万円、五万円お拂いになるということは、先ほど委員長の求めた証言の中に、一人には一日千五百円以上は運動費は渡さないということになつておりますのに、なぜ原口君だけにはこうした多額の金が運動費として支拂われたのか。
  648. 木曽重義

    木曽証人 そう申し上げたのではありません。一日千五百円ときまつておりますけれども、ちよつと自分の手もとにないから、五万円貸せ、十万円貸せということで貸したことがある。それは途中で帰つてつてきた人もあれば、旅費で清算した人もあります。原口さんに拂つたことはないが、貸したことがある。大抵の人に立替えたことがあるということを申し上げたので、原口さんだけに余分にやつたことはありません。貸したのです。
  649. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうすると、お貸しになつたのでしたらその金は返済されておりますか。
  650. 木曽重義

    木曽証人 そうです。
  651. 石田一松

    ○石田(一)委員 その返済されたことがこの報告書の中に出ておりますか。
  652. 木曽重義

    木曽証人 いや、借用証をとつて貸したとか何とかいうんじやなくて、今自分の小遺をうちに言つてつておるが、間に合わぬから貸してくれ、いわば立替えです。いいですよ、あなたには五万円旅費をあげる金があるからいいと言つたときもあるし、また二十万円貸せといつて貸して、後で送つてきてもらつたこともある。そういう立替えたこともあるということを申しております。
  653. 石田一松

    ○石田(一)委員 立替えをなさつた金が返つているのに、なぜ原口氏の約四百万円というのが出ているのですか。
  654. 木曽重義

    木曽証人 そういうことはありません。
  655. 石田一松

    ○石田(一)委員 ありませんと言いますが、あなたはさつき委員長の質問に対しては、今おつしやつた立替えたことがあるのでそういうふうになつたかもしらぬというような御証言があつたのですが……。
  656. 木曽重義

    木曽証人 そういうことは申し上げておりません。それは数字の違いじやありませんか。
  657. 石田一松

    ○石田(一)委員 委員長、あれは四百万円とおつしやつたんじやないですか。
  658. 武藤運十郎

    武藤委員長 何がですか。
  659. 石田一松

    ○石田(一)委員 それではもう一遍聽きますが、二十万円とか、大口で五十万円とか立替えた人があるということですが……。
  660. 木曽重義

    木曽証人 五十万円という金は立替えたことはありません。
  661. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうすると、二十万円という金はどういう方にお立替えになりましたか。
  662. 木曽重義

    木曽証人 はつきり覚えませんが、あした持つてくるとか、きよう電報打つているからちよつと貸せといつて貸した金が五万、十万とあつて、たまには二十万円もあつたんじやないか。五十万円なんというようなことは絶対なかつた
  663. 石田一松

    ○石田(一)委員 さつきあなたはおつしやつたんじやないですか。
  664. 木曽重義

    木曽証人 それは会計渡したというんです。
  665. 石田一松

    ○石田(一)委員 それでは五万円、十万円貸してくれというので立替えて、すぐ返したかどうか知らぬが、そういう金を貸した以上は、その人を相当信頼し、相当よくその人を知つている人じやないですか。どういう方に五万円、十万円という金を御用立になりましたか。
  666. 木曽重義

    木曽証人 それは石炭業者仲間です。
  667. 石田一松

    ○石田(一)委員 業者仲間のどういう方ですか。
  668. 木曽重義

    木曽証人 一々覚えておりません。
  669. 石田一松

    ○石田(一)委員 覚えてないとおつしやれば何ともしようがないのですが、もつと石炭鉱業という大きな金もうけをしていらつしやるのですから、五万円や十万円の金は、われわれの一円か二円の金と同じで、どこへ行つたかわからぬのはごもつともだと思います。だからこうした杜撰な運動具が支拂われたのだ、私はそう思います。それから國会にあなたは反対運動のためにいらつしやいましたが、國会にいらつしやいまして、この國管案は鉱工業委員会において審査したものですが、鉱工業委員と特にお会いになつたことはありませんか。
  670. 木曽重義

    木曽証人 委員の方に陳情したことはないか、こうおつしやるのですね。たしかにこの院内で委員の方だけに膝つき合わせてどこかの部屋で相当時間お話ししたことがあるように記憶しております。
  671. 石田一松

    ○石田(一)委員 ちよつとお尋ねいたしますが、あなたはこの衆議院の議長室を御存じでございますか。
  672. 木曽重義

    木曽証人 知つております。
  673. 石田一松

    ○石田(一)委員 副議長室も御存じですね。
  674. 木曽重義

    木曽証人 ええ。
  675. 石田一松

    ○石田(一)委員 副議長室へはたびたびいらつしやいましたか。
  676. 木曽重義

    木曽証人 たびたびではありません。
  677. 石田一松

    ○石田(一)委員 何度くらい行きましたか。
  678. 木曽重義

    木曽証人 二、三度くらい。
  679. 石田一松

    ○石田(一)委員 二、三度くらいいらつしやるときに、お酒の七十万円の中にはいつておるウイスキーとか何かは持つていらつしやいましたか。
  680. 木曽重義

    木曽証人 ありません。
  681. 石田一松

    ○石田(一)委員 副議長室で國会議員あるいは副議長また同志クラブの人たちと話をしながらウイスキーとか、お酒をお飲みになつたことはありませんか。
  682. 木曽重義

    木曽証人 ありません。
  683. 石田一松

    ○石田(一)委員 それはあなたのいらつしやつたときになかつたというのですか。
  684. 木曽重義

    木曽証人 それは知りません。
  685. 石田一松

    ○石田(一)委員 では何度くらいですか。
  686. 木曽重義

    木曽証人 それははつきり覚えません。二、三度行つたことはあります。
  687. 石田一松

    ○石田(一)委員 それはどなたにお会いになるために副議長室においでになりましたか。
  688. 木曽重義

    木曽証人 それは人と待ち合わすときにちよつと行つたことはあります。
  689. 石田一松

    ○石田(一)委員 副議長室は人と待ち合わせるための部屋ではありません。
  690. 木曽重義

    木曽証人 いや、控室の方に行つてつていてくれというので行つたこともあります。また副議長にもお会いしたこともあります。
  691. 石田一松

    ○石田(一)委員 他の一般議員とお話になるのに副議長室でお会いになつたというのですね。二、三度行つて……。
  692. 木曽重義

    木曽証人 いやそうじやありません。
  693. 石田一松

    ○石田(一)委員 それでは二、三度行つたときには副議長室でだれとお話になりましたか。あなたは簡單に言つていらつしやいますけれども、事実会つて話をしておるのを見たりあるいはその現場に居合わせた人がたくさんおる。それであなたは副議長室で副議長だけとお会いになりましたか。
  694. 木曽重義

    木曽証人 副議長室にはたくさん出はいりをしておりました。行つたときにたくさんな人が出入りをしたのは記憶しております。
  695. 石田一松

    ○石田(一)委員 たくさん出入りしたその議員の中のだれかと会つてお話をしたことはありませんか。
  696. 木曽重義

    木曽証人 ありません。
  697. 石田一松

    ○石田(一)委員 では副議長だけとお会いになつたわけですね。
  698. 木曽重義

    木曽証人 副議長に用件があつてお話に行つたときにたくさんの人が出入りをしておつた。また横におる人もありました。
  699. 石田一松

    ○石田(一)委員 いや、それはおかしいですね。それではあなたと副議長との話をそばにいた人は黙つて聽いておりましたか。
  700. 木曽重義

    木曽証人 聽いておつた人もおりましよう。
  701. 石田一松

    ○石田(一)委員 それはどなたですか。
  702. 木曽重義

    木曽証人 それは覚えておりません。
  703. 石田一松

    ○石田(一)委員 あなたは覚えてないとおつしやれば万やむを得ません。しかしこの問題は副議長室があの当時の國会内における炭鉱業者反対運動の参謀室であるかのごとき観を呈していた。そこにあなたであるとかあるいは武内さんとか、錚々たる人がたえずそこで陣を布いていて副議長とお会いになつたのでしよう。たまたまそこへいろいろ議員がはいつてきて世間話か何かなさつたのだろうと思います。しかしそれをだれだか覚えていない、覚えていない、こうおつしやつたのでは私たちもこれ以上聽くこともできません。それではあなたに誠意がないと考えるのです。それで今おつしやつた山川良一さんの自動車とかその他の交通費は鉱業会から出た、そうすると鉱業会から支出された運動費と九州の北、西の中小の炭鉱業者から出された資金あるいは借り入れた資金に約一千万円、この両方の金を合わせたものが國管案反対運動資金であるということに私たちは解釈してよろしいですか。
  704. 木曽重義

    木曽証人 武内さんとか鉱業会を別に除いた中小だけの運動費がこれであるかとお尋ねになるのですか。
  705. 石田一松

    ○石田(一)委員 要するに武内氏あるいは鉱業会で使つた運動費以外が北、西の約一千万円の運動費である……。
  706. 木曽重義

    木曽証人 そうです。
  707. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうであるとすれば、この一千万円にプラスするところの鉱業会からもし出た金があつて、これが運動費にでも少し使用されていたとすれば、これも運動費に加算することができるのですか。
  708. 木曽重義

    木曽証人 そうです。
  709. 石田一松

    ○石田(一)委員 これは愚な質問かもしれませんが、鉱業会からほぼどれくらいの金が出たかということは御想像つきませんか。
  710. 木曽重義

    木曽証人 つきません。
  711. 石田一松

    ○石田(一)委員 それから先ほどお酒の七十万円のときにみんなが飲んだとおつしやつたようですが、武内さんも山川さんもこれは飲んだことがあるというようなことを証言していらつしやいました。しかし飲んだのは個人がそれぞれ龍名館あたりで飲んだので、この運動に関係のあるものではないというような御証言があつたようですが、業者がみんな飲んだのは純然たる運動費ではなくても、慰労の意味でこれは全部運動資金からお出しになつたのですか。
  712. 木曽重義

    木曽証人 そうです。
  713. 石田一松

    ○石田(一)委員 昨年の九月か十月ごろ鉱業会の総代会で、運動がこのままでは手ぬるい、大衆運動をやれという議論があつて、これは理事会に一任されて、理事会では鉱業会としてはそういうことはできぬということを決定したということを御存じですか。
  714. 木曽重義

    木曽証人 知つています。
  715. 石田一松

    ○石田(一)委員 そのときの発言者はどなたか御存じですか。
  716. 木曽重義

    木曽証人 知つております。田中彰次、肥田何とかいう人……。
  717. 石田一松

    ○石田(一)委員 田中、肥田という人たちにはあなたの方から運動資金は渡されておりませんか。
  718. 木曽重義

    木曽証人 私が若干やつたということを申し上げております。
  719. 石田一松

    ○石田(一)委員 肥田氏あたりに若干おやりになつたのですか。
  720. 木曽重義

    木曽証人 肥田氏にはやりません。田中彰次にやつたのです。
  721. 石田一松

    ○石田(一)委員 どれくらい……。
  722. 木曽重義

    木曽証人 十万円。
  723. 石田一松

    ○石田(一)委員 田中さんはどういう運動の役を受持つていらつしやつたから十万円おやりになつたのですか。
  724. 木曽重義

    木曽証人 なかなか言い現わし方がむつかしいのですが、さつきもちよつと申し上げたように、声もよし態度もよし、何百人おつても一人で牛耳つてしまうような雄弁家ですよ。大衆運動をやらなければいかぬというのであらゆる角度からやるのです。また肥田という人がたいへんな雄弁家で声もよし、じやんじやん二人でやつたのです。言葉使いが悪いか知らぬが、七、八十人の人があつけにとられたのです。議長が緊急と言えば生ぬるいじやないか、今別室で理事会をぜひやれということで弱つていたと思うのです。それで私もそのとき、九月の初めか十月ごろ西田君が辞表出したものですから、その補欠で理事会の列席したところが、困つたものだ、われわれが派手な運動はできぬじやないか、さりとてあの人たちの言うこともまるきり効果のないこともなかろう、しかしこちらでやろうとすれば、あの二人をのけなければいかん、あの二人をのければ、聞きづらい話ですがどこまで行くか、行き過ぎはせんだろうか心配だからやめた方がよかろう、こういう氣持でやることになつたのです。ところが外からはまだかまだか、なぜ早くきめぬかとやかましくがなり立てる。それで私は見るに耐えかねて、二人に來いといつてつたのですよ。君たちは一体どういうことをやるのだ。そうすると何だかんだといつてとても大規模のことを言うのです。それはたいへんだ、そんなことはとてもできぬ、鉱業会はもうやらぬことに多数決できまつた。君たちも業者だから身銭でやれ。それをやるというようなことを力強く言うから、それはまるつきり効果のないこともないと思つたから、車馬賃の端にでもしたまえといつて、氣の毒だから金をやつた
  725. 石田一松

    ○石田(一)委員 ただいま証人は、田中あるいは肥田両人の雄弁を認めて、しかもあまりしつこいので二人をなだめるつもりで連れて帰つて、まあ國管反対運動に効果がないことはないだろう、車馬賃にでもというような意味で、十万円田中君にやつた。そうするとこれは要するに、理事会でそうした大衆運動はやらないと表面上は議決して決定したが、その実何かの足しにというので、証人証言では十万円田中君に渡された。これがいわゆる大衆運動費の車馬賃である、こういうふうに理解してもかまいませんか。
  726. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  727. 石田一松

    ○石田(一)委員 先ほど徳田委員からか、何かお尋ねしたときに、ポスターを貼つたとか何とかいうことは全然関知しないとおつしやいましたが、田中君とか、肥田君とか、またこれらの一派の人たちが集まつて、そういつた大衆運動を起すためのいわゆる工作としてポスターなんかを貼つたのじやありませんか。
  728. 木曽重義

    木曽証人 ポスターを貼つたり、政治團体とかいうものと関連があるかというから、ないとはつきり申し上げました。
  729. 石田一松

    ○石田(一)委員 それは関係はないが、その運動資金として車馬賃十万円お出しなつた……。
  730. 木曽重義

    木曽証人 それは私は氣の毒でもあるし、私個人として効果がないこともないと思つて……。
  731. 石田一松

    ○石田(一)委員 よくわかりました。  最後に一つお聽きしたい。運動資金としてではなくて、田中君とか、肥田君にいわゆる今の大衆運動資金でなく、純然たる國管案運動の……千五百円を一日の日当というのでこの人たちに差上げたことはありませんか。
  732. 木曽重義

    木曽証人 肥田君には一銭もやりません。
  733. 石田一松

    ○石田(一)委員 田中君には……。
  734. 木曽重義

    木曽証人 いくらか旅費はやりました。
  735. 石田一松

    ○石田(一)委員 それは届けてありますか。
  736. 木曽重義

    木曽証人 届けてあります。
  737. 石田一松

    ○石田(一)委員 最後にお尋ねしますが、先ほどから聽いておりますと、臨時石炭鉱業管理法というものがもし実施されたならば減産になる、増産にならないという信念でおやりになつたそうですが、現在出炭の成績はいかがですか。
  738. 木曽重義

    木曽証人 成績が政府の計画通り行つているかというのですが、昨年に比べて今多いかとお尋ねなのですか。
  739. 石田一松

    ○石田(一)委員 要するにこれが実施されない以前より現在の方が、あなたたちのお考えになつたように減産していますか。
  740. 木曽重義

    木曽証人 ちよつとむずかしいのですがね。炭鉱というものはきよう始めてすぐあしたから出るのではなくして、増産の過程にあつたのが、その線が急速に行つたかどうか、ただ昨年の九月より今年九月の方が多いからというので國管の目的を達したとは言えないこともあります。ただ増産したから目的を達したというものではない。われわれの建設的の意見はいろいろあるんだ。專門的にいえばこうすればもう少し増産になり、生産意慾が出るんだ、そうすれば増産ができるんだということを申し上げてあるんです。そこで私は政府の言うようには増産になつていないと思うんです。
  741. 石田一松

    ○石田(一)委員 それでは石炭國管案の実施後の効果というものは、全然現在の石炭の産出に影響しておらないという判断ですか。
  742. 木曽重義

    木曽証人 それは見方です。政府筋から見ればこれをやつたから、これくらいの石炭が出た。これをやらなかつたらこれくらい出なんだという説明もつきます。しかしわれわれから言わすれば、これをやらなかつたらもう少し増産しているんだと言いたい。これは見方なり立場でどのようにもなる。われわれはこれをやらなかつたらもう少し出ると考えるが、政府はこれをやつたから、これだけ出たと言う。これはわからんです。
  743. 石田一松

    ○石田(一)委員 しかしそれは仮定のもとにそういうことをおつしやるのであつて、事実國管案が実施されて、炭鉱に必要な資材とか、資金とか、あるいは管理法案によつて基礎づけられた相当の手段は各炭鉱に講じられているはずです。要するに中小炭鉱業者がこれに反対したということは、この國管案が実施された曉には、主として出炭率のいい大資本の大手筋の方は非常に利益を得るが、中小炭鉱の方は從來のように融資された資金を横流しするとか、また資材を横流しするとかいうことの自由がきかなくなる。相当不当なる利益を炭鉱業者が今まで得ていた。それはやれなくなる。國管案には中小炭鉱業者が特に強く反対したということには、こういうような原因があると思う。あなたが今おつしやつている、もし石炭國管案が実施されなかつたなら、現在よりは出炭率はより以上増加しているだろうというようなことは、少くとも炭鉱業者であり、権威のあるあなたが、そんなことをここで証言なさるということはどうかと思いますが、それは間違いありませんか。
  744. 木曽重義

    木曽証人 間違いありません。
  745. 石田一松

    ○石田(一)委員 それは出炭率と同時に、中小炭鉱業者の不当なる利益が得られるということが、それに附添うということですな。
  746. 木曽重義

    木曽証人 いやそんな資材を横流ししたいからとか、何がしたいからとか、そんなことはないです。結局あなたのお考えのようなことは、毛頭考えておらなかつた。こうお答え申し上げておきます。
  747. 石田一松

    ○石田(一)委員 あなたはまことに断言をなさいまして——これは議論になつて恐れ入りますが、石炭國管案が実施されなかつたら、今より増産できるだろう。いやできるだろうじやない、私が念を押したら、できると再びおつしやいましたが、ちよつと念のために申し上げておきます。石炭國管案は國民から選ばれた國会議員の多数によつて決定したものです。あなた一人の考え方でこれがなかつたらたくさん出ると言うことは、これはあなたの考え方です。そういうことはこうした公の席で、あまりおつしやらない方がいいと思います。     〔発言する者あり〕
  748. 石田一松

    ○石田(一)委員 いや委員長、私は証人がこんな不届きなことを証言するとは思わなかつた。(「主観を言つてはだめだ。」)自分が思うことを言うのが何が悪い。それでは打切ります。たいへん委員の方から証人に対して弁護人がたくさん出たので。
  749. 椎熊三郎

    椎熊委員 さつき河井委員の質問に対して、去年の十二月にあなたは金を出した人に会計の報告をしておる。これはもう同志であり、金を出した人ですから、その際はまつたく眞実の報告をしたのに違いないと私は確信する。最近檢事局で調べられて、急遽支出概算簿なるものをつくらざるを得ないはめに至つた。あなたは何らの根拠なくして、辻つまを合わせるためにつくつたかのごとき感を、さつき以來の証言でことごとく私はそう思う。私は十二月のあなたの報告はおそらく眞実であつたろうと思いますが、これは良心に恥ずる報告ではありませんか。おかしいじやないか。
  750. 木曽重義

    木曽証人 そうではない。
  751. 椎熊三郎

    椎熊委員 十二月のあれは明確な報告でなくとも、檢事に問われてなぜそのときお答えができなかつたのですか。
  752. 木曽重義

    木曽証人 概算これに近いことは申し上げております。
  753. 椎熊三郎

    椎熊委員 概算を、なぜ十二月の報告と同樣のものを檢事の尋問に対して報告ができなかつたのですか。忘れたのですか。
  754. 木曽重義

    木曽証人 忘れたのではありません。ほぼこれに近い数字を申し上げた。檢事さんはその時書類はないかと言うから、一々の書類はないと申し上げた。しからば記憶を喚び起してこれに近いものをつくれるかというので、つくれますといつてつくつてきたのですから。
  755. 椎熊三郎

    椎熊委員 おそらくトン当り十二円かの金を出して、何十万という金をみんな出した人なんですが、それで運動するのにその金が自分の日当であつたり、酒の四十万円であつたり、まるで道樂に來たようなものにそんな金を使うでしようか。それは人からとつてきた金でない。みんな出しつた金です。そこから自分の遊興費だとか、日当だとかとるような性質の金ではないではないですか。
  756. 木曽重義

    木曽証人 あまりこまかいから酒のことを詳細に申し上げませんし、また日当のことも、あなたのお考えのように、全部が來て全部がとつたというならこれはおかしい。ところが最初から百何十人の業者の中で十五人か二十人來てやろう。それでは行く人が氣の毒ではないか、自分の業を抛擲していくのに身銭では氣の毒だ。しかもそれが大きな炭鉱ばかりの人ではなく、中小にも二万トンからの人もおりますが、その人が行かずに、二千トンとか三千トンの人が出ていつてやる。これに自腹を切らせては氣の毒だ。トン当りいくら出してやろう。
  757. 椎熊三郎

    椎熊委員 そういう人もありましよう。私が言うのは、たかが一千万円足らずの金のうち日当だけで六割以上とつておる。それで何を運動するのですか。それじや運動目的を達しないし、あなたの頭でそんなばかな運動をするわけはない。ほんとうのことを言つたらどうですか。
  758. 木曽重義

    木曽証人 そうなつております。
  759. 椎熊三郎

    椎熊委員 それではよろしい。
  760. 小松勇次

    ○小松委員 簡單にお尋ねいたします。証人会計責任者として、もつぱらこの方面に活動せられた方でありますが、この十二月に一切の清算を完了したというお話でありますが、この交通費やその他の領收書を得ることができなくて、一会社からは証明書が出たということですが、これはいつごろ出たのですか。
  761. 木曽重義

    木曽証人 とつたのです。
  762. 小松勇次

    ○小松委員 これは最近におとりになつたのですか。
  763. 木曽重義

    木曽証人 はあ。
  764. 小松勇次

    ○小松委員 以前の額は明らかになつたのですか。
  765. 木曽重義

    木曽証人 拂つてありますから。
  766. 小松勇次

    ○小松委員 そしてあなた方は清算事務をおとりになつたのは、東京でおとりになつたのでありますか。九州でおやりになつて……。
  767. 木曽重義

    木曽証人 全部自分九州に帰つてからです。
  768. 小松勇次

    ○小松委員 いつごろ九州に帰られたのですか。
  769. 木曽重義

    木曽証人 十二月の十日前後に帰つて、これで十日で打切つたのです。十日後に残つた人もありますが、十日でこの運動は打切るからといつて、十日で打切つたのです。
  770. 小松勇次

    ○小松委員 この國管案の議会を通過したのは十二月の初めであつたと私は記憶いたします。九州にお帰りになつてからのこととしては、十二月のうちに清算事務が終つたとすれば、ずいぶんお早く計算したわけですね。
  771. 木曽重義

    木曽証人 むつかしいことはないのです。傳票整理だけですから。
  772. 小松勇次

    ○小松委員 なお尋ねいたしますが、一番長く御滯在になつた方は幾日ぐらい御滯在になつたのですか。
  773. 木曽重義

    木曽証人 私が相当長くおつたのですが百五、六十日おつたでしようか。
  774. 小松勇次

    ○小松委員 そういう方は何人くらいおりますか。
  775. 木曽重義

    木曽証人 記憶しませんが、そこに出してあります。
  776. 小松勇次

    ○小松委員 それは委員長の手もとに出ておれば、あとで拜見するからよろしうございます。あなたは政党方面へこの反対運動をいろいろなさる。そのときに自由党の方では非常に激励を受けたというお話でありましたが、どなたがこういう激励の言葉をあなた方にお贈りになつたのですか。
  777. 木曽重義

    木曽証人 さあ、幹部の人が二人、三人いたのですが、一人じやなくして二、三人の方から……。
  778. 小松勇次

    ○小松委員 あなたは政党の幹部にいろいろ反対運動をなされて、幹部としてはどういう方に多く面会なされましたか。
  779. 木曽重義

    木曽証人 民主党では総裁、幹事長、それから北村政務調査会長とか、大臣級の人、社会党では総理大臣、西尾さん、水谷さんなどが多いのですが、大抵大臣級の人にみな一通り二通り陳情しております。自由党ももちろん総裁から幹事長、大臣級の人には全部会つた
  780. 小松勇次

    ○小松委員 くどくお尋ねするようでありますが、そういう方々とあなたはいろいろ代議士懇談会などを催したようなことはありませんか。
  781. 木曽重義

    木曽証人 ありません。
  782. 小松勇次

    ○小松委員 あなた方のお宿を訪ねた代議士はほかにありませんか。
  783. 木曽重義

    木曽証人 私を訪ねた人はおりません。
  784. 小松勇次

    ○小松委員 あなたをお訪ねになりませんが、國管反対問題に関して、あなた方を激励の意味で、またあなた方と院内の運動の連絡の意味でお訪ねになつた代議士は……。
  785. 木曽重義

    木曽証人 そういう内容は知りませんが、選挙のときに應援してもらつたとか、郷里の人が來たという意味か、連絡かしりませんが、代議士の人で來た人はあります。
  786. 小松勇次

    ○小松委員 どういう方ですか。
  787. 木曽重義

    木曽証人 それは淵上氏とか、西田君も來ましたし、それから長尾君も來ましたし……。
  788. 小松勇次

    ○小松委員 東君も見えておりましたか。
  789. 木曽重義

    木曽証人 東さんも見えました。
  790. 小松勇次

    ○小松委員 降旗さんは……。
  791. 木曽重義

    木曽証人 降旗さんという人は知りません。
  792. 小松勇次

    ○小松委員 本間という人は……。
  793. 木曽重義

    木曽証人 本間という人は知りません。それくらいしか記憶がありません。
  794. 小松勇次

    ○小松委員 あなたは北海道方面の方とお会いになりませんか。もつぱら植原さんに対してあなた方の反対運動者の方から反対運動のためにある程度資金が渡つておるというようなうわさが飛んでおりまするが、あなたはそういうことを耳にしたこともございませんか。
  795. 木曽重義

    木曽証人 ございません。
  796. 小松勇次

    ○小松委員 また代議士に炭鉱視察のために特にお出掛けを願うについて旅費を支拂つたということもございませんか。
  797. 木曽重義

    木曽証人 ございません。
  798. 徳田球一

    ○徳田委員 ちよつと伺いますが、貝島太市さん御存じですか。
  799. 木曽重義

    木曽証人 知つております。
  800. 徳田球一

    ○徳田委員 貝島さんは醵金しましたか。
  801. 木曽重義

    木曽証人 出しません。
  802. 徳田球一

    ○徳田委員 貝島さんはあなた方の運動に全然関係ないのですか。
  803. 木曽重義

    木曽証人 鉱業会の会長ですから、理事会とか総代会の議長になるわけであります。
  804. 徳田球一

    ○徳田委員 そういう意味で関係なされた。
  805. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  806. 徳田球一

    ○徳田委員 しかし金は出さない。
  807. 木曽重義

    木曽証人 出しません。いや鉱業会の方に出されたか出されないか知りません。
  808. 徳田球一

    ○徳田委員 それは斤先掘の方はみな出しておりますか。
  809. 木曽重義

    木曽証人 それは出しません。とりません。メンバーでありません。
  810. 徳田球一

    ○徳田委員 これは全然出さないのですか。下相田炭鉱の森藤という人を御存じですか。
  811. 木曽重義

    木曽証人 業者でございますか。斤先掘でございますか。
  812. 徳田球一

    ○徳田委員 斤先掘です。
  813. 木曽重義

    木曽証人 斤先掘だつたら名簿に載りませんから知りません。
  814. 徳田球一

    ○徳田委員 これなどは一トン当り二十円も出しておると言つておるようですがね。そんなことはありませんか。
  815. 木曽重義

    木曽証人 それはありません。
  816. 徳田球一

    ○徳田委員 出さないのですか。間違いありませんか。
  817. 木曽重義

    木曽証人 はい。斤先掘は私の方には関係ありませんから。
  818. 徳田球一

    ○徳田委員 それから九州業者ではトン当り十四円を二度ばかりにわたつて出しておると言うておるものもあるが、そういうことはありませんか。
  819. 木曽重義

    木曽証人 それは間違いでしよう。私の方でははつきりしたところは二円と十円、これはただ勝手にとるわけにいかぬから、皆の承諾を得てやるから、それは間違いありません。その七円とか十円とかは、西九州のことは知りませんが、北九州の話ですが、七円とか二十円は西九州のことかもしれません。
  820. 徳田球一

    ○徳田委員 いやそれは北九州です。
  821. 木曽重義

    木曽証人 北九州ではそれはありません。何かの間違いです。
  822. 徳田球一

    ○徳田委員 それから田中彰次とか肥田理吉君など、こういう業者からあなた方とは別にとつておるということはありませんか。
  823. 木曽重義

    木曽証人 おそらくないでしよう。
  824. 徳田球一

    ○徳田委員 斤先掘だの、ほかの業者から別にとつておるということはないですか。
  825. 木曽重義

    木曽証人 それはもう人格のことですから。
  826. 徳田球一

    ○徳田委員 さたの限りじやないというのですか。
  827. 木曽重義

    木曽証人 そういうことは想像したくありません。
  828. 徳田球一

    ○徳田委員 ようございます。
  829. 荊木一久

    ○荊木委員 最後に一点伺いますが、石炭國管の反対をめぐつて、去年の八月ごろから世間には非常な疑惑があるのですが、その事実を証人は認められるでしようね。
  830. 木曽重義

    木曽証人 事実というのはどういうことですか。それはたいへんな話を聞いたことがあります。
  831. 荊木一久

    ○荊木委員 どうですか。その疑惑をふしぎと思いますか。それとももつともだと思いますか。
  832. 木曽重義

    木曽証人 その出所は大体わかつております。
  833. 荊木一久

    ○荊木委員 それでは疑惑の出所をお話し願いたい。
  834. 木曽重義

    木曽証人 それは田中彰次君がたしか院内で、新聞記者諸君のいる所だという話ですが——これはうわさで、これを楯にとられてとやかく言われると困るが、どこから疑惑が生れたかというから私の想像を申し上げるのです。田中君が、この内閣をぶつ潰してしまえ。何だ、一円ずつとつたら三千万円あるじやないか、三千万円出してぶつ潰してしまえという話をした。ところがそこにおつた人が、三千万円くらいじやぶつ潰れるか。十円ずつとつたら三億円あるじやないか、三円ずつとつたら一億円あるじやないか。そういうことを言つた。それが次から次に傳わつた。そこにもつてきてわれわれが二円とつた、十円とつた、今の二十円とつたという事実が起つたものですから、それをあたかも一年間トン数に割当ててとつたように響くのですね。一年間分をとつたのではない。われわれは一箇月分でございますよ。年産のものに一円かければ三千万円になりますが、一箇月だつたら二百五十万円しかない。大手筋を引いたらわずかなものです。全國の出炭に対しての話です。
  835. 荊木一久

    ○荊木委員 それが疑惑のもとだ。こう考えられるのですか。
  836. 木曽重義

    木曽証人 だから話半分にしても相当な金が出ているんだ。こういうことが疑惑のもとになつている。ある新聞にもそのことが書いてあります。それから田中彰次君がそんなことを言つたということが耳にはいりましたから、これは困つたものだ。雄弁もいいけれども、こういうことを言うのは困つたものだ。そうして実際の話が、少し愼しんでくれぬかと言つたらいや少し意氣のいいことを言わなければいかぬのだ。本人はそういうことを言う男ですが、私はこういうところから、話半分にしても相当な金だ、こういうふうに疑惑が大きくなつてきたんじやないかと考えたことがある。
  837. 荊木一久

    ○荊木委員 そういう点から疑惑をもたれた。金の額はあなたのおつしやるように大したものじやない。側で言うのが疑惑のもとなんだとお考えになつていらつしやる。
  838. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  839. 荊木一久

    ○荊木委員 実はこの委員会では私ども少し愼重を期しているものだから、うかつに人の名前を出さないのです。あなたと武内禮藏さんとはもう一遍來てもらわなければならぬ。檢察廳が調べているので調査委員会も非常に愼重を期しているが、これは焦点に立つている問題ですが、あなたのお話によると政治家に対してつかみ勘定で一文も金を渡していないというのは間違いでございませんか。
  840. 木曽重義

    木曽証人 間違いございません。
  841. 荊木一久

    ○荊木委員 またおいで願わなければならない。そのときに名前が出るかもしれませんが、間違いありませんか。
  842. 木曽重義

    木曽証人 はい。
  843. 荊木一久

    ○荊木委員 よろしゆうございます。
  844. 武藤運十郎

    武藤委員長 それじや本日はこれでお帰りください。それから恐縮ですが、証人控室へお寄りにならないでまつすぐにお帰りください。御苦労さんでした。     —————————————
  845. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは阿部さんにお伺いいたします。あなたは日本石炭鉱業会の経理課長をしておられましたか。
  846. 阿部茂吉

    阿部証人 いいえ、経理課長代理でございます。
  847. 武藤運十郎

    武藤委員長 経理課長というのはどなたですか。
  848. 阿部茂吉

    阿部証人 河原茂太郎です。
  849. 武藤運十郎

    武藤委員長 何ゆえに代理を置くことになつたのですか。
  850. 阿部茂吉

    阿部証人 それは私よくわかりません。
  851. 武藤運十郎

    武藤委員長 経理課の仕事は経理課長が統轄しておるわけですか。
  852. 阿部茂吉

    阿部証人 そうでございます。
  853. 武藤運十郎

    武藤委員長 経理課長代理という職制があるのですか。
  854. 阿部茂吉

    阿部証人 経理課長代理という職制は、特に設けたのかと思いますが、私はその点は人事のことですからよく知りません。
  855. 武藤運十郎

    武藤委員長 特に定めた理由はあなたにはわからないですか。
  856. 阿部茂吉

    阿部証人 わかりません。
  857. 武藤運十郎

    武藤委員長 実際の経理事務を統轄しておられるのはあなたじやないですか。
  858. 阿部茂吉

    阿部証人 私ではありません。私はただその下で仕事をいたしました。
  859. 武藤運十郎

    武藤委員長 経理課長を輔佐するという形ですか。
  860. 阿部茂吉

    阿部証人 そういうわけです。
  861. 武藤運十郎

    武藤委員長 経理課のことは大体あなたがおわかりになるわけですね。
  862. 阿部茂吉

    阿部証人 大体わかりますが、あまりこまかいことはそれぞれの事務相当者がおります。
  863. 武藤運十郎

    武藤委員長 それではわかるだけのことを、責任をもつてなるべく詳しく述べてもらいたい。
  864. 阿部茂吉

    阿部証人 わかりました。
  865. 武藤運十郎

    武藤委員長 これは閉鎖機関になりましたね。
  866. 阿部茂吉

    阿部証人 なりました。
  867. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたは何か閉鎖機関の仕事をしておりましたか。
  868. 阿部茂吉

    阿部証人 閉鎖機関の整理事務をやつております。
  869. 武藤運十郎

    武藤委員長 どういう役目ですか。
  870. 阿部茂吉

    阿部証人 それは鉱業会が六月二十二日に閉鎖を受けまして、そのあとの始末で整理事務をやることになりましたので、その整理事務の職員として残つたわけです。
  871. 武藤運十郎

    武藤委員長 昨年石炭鉱業会が炭鉱國管案反対運動をしたようですけれども、どんな方法運動をしたか、たとえば運動資金の問題、運動方法等についてあなたはよくわかつていますか。
  872. 阿部茂吉

    阿部証人 いいえ、全然私はわかりません。
  873. 武藤運十郎

    武藤委員長 運動資金のことは……。
  874. 阿部茂吉

    阿部証人 わかりません。
  875. 武藤運十郎

    武藤委員長 運動資金として各業者に負担をさせたということを御存じありませんか。
  876. 阿部茂吉

    阿部証人 知りません。
  877. 武藤運十郎

    武藤委員長 運動資金として業者から負担させなくても、石炭鉱業会で計上して予算をとつたことはありませんか。
  878. 阿部茂吉

    阿部証人 それも存じません。そういう鉱業会のいろいろな数字に関する事務的なことについては参與しておりませんので、ただ金の入つたものを出すという繰作だけで、内容的なことは一切私にはわかりません。
  879. 武藤運十郎

    武藤委員長 臨時負担金というのはどういうものですか。
  880. 阿部茂吉

    阿部証人 臨時負担金というのは当時炭價が非常に低くて、金繰りが苦しかつたために臨時にちようだいした金と記憶しております。
  881. 武藤運十郎

    武藤委員長 炭價が低くてというのは……。
  882. 阿部茂吉

    阿部証人 あの当時非常に鉱業会の金繰りが苦しかつたものですから、臨時に一月から三月の操炭量に対してトン当り一円頂戴したと記憶します。
  883. 武藤運十郎

    武藤委員長 これは石炭炭價を前ぎめしてもらう。運動とか何とかいうこととは全然別で、石炭鉱業会の経理者といいますか、財政方面が非常に窮屈であるので、それを補うために特に負担金としてトン当り一円くらいで一月から三月までの間負担をさせた、そういうものでありますか。
  884. 阿部茂吉

    阿部証人 そうであります。一月から三月までの操炭数量に対してトン当り一円頂戴したものであります。
  885. 武藤運十郎

    武藤委員長 操炭数量というと……。
  886. 阿部茂吉

    阿部証人 操炭数量というのは山で出炭しまして、山元で約一割くらい消費します。その数量を差引いて山から積み出す。その数量であります。
  887. 武藤運十郎

    武藤委員長 送り出した炭の数量に対して一月から三月までの間トン一円ということで集めたものですか。
  888. 阿部茂吉

    阿部証人 そうでございます。
  889. 武藤運十郎

    武藤委員長 これは石炭國管反対運動に使つたというのではないのですか。
  890. 阿部茂吉

    阿部証人 私はそれについては知りません。
  891. 武藤運十郎

    武藤委員長 それ以後はとつておりませんか。
  892. 阿部茂吉

    阿部証人 それ以後は別に通常会費というものは四月以降三月までもらうことになつておりまして、それはトン当り四月から七月の五日までが四円七十八銭でありました。それから七月六日以後の送炭量に対しては五円と三十何銭でしたか、そんな数字で五円いくらでございます。それを頂戴しました。それはやはり鉱業会の運営資金としてもらつたものでございます。
  893. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたの方の帳簿を見ますと、交際費とか、会費とかいう項目のところに、昭和二十二年五月三十一日金田中において会長、代議士の会合費四万二千五百六十五円、同じく六月十一日金田中において会長ほか議員懇談会として三百一千百五十五円、これはどういう目的の会合であつたか、集まつた人はだれだれであつたか、あなたは知つておりますか。
  894. 阿部茂吉

    阿部証人 いいえ、存じません、私は……。
  895. 武藤運十郎

    武藤委員長 これを記帳したことは御存じですか。
  896. 阿部茂吉

    阿部証人 記帳したことは存じております。
  897. 武藤運十郎

    武藤委員長 だれですか、それは……。
  898. 阿部茂吉

    阿部証人 それは女の事務員でございます。
  899. 武藤運十郎

    武藤委員長 だれから命ぜられて記帳するのですか。
  900. 阿部茂吉

    阿部証人 それは傳票が発行されて記帳する。
  901. 武藤運十郎

    武藤委員長 ほかにも出費傳票があるでしよう。それと一緒にはいつてくるので、たまたまそれを記帳したということですか。
  902. 阿部茂吉

    阿部証人 ちよつと質問の何かわからないのですが……。
  903. 武藤運十郎

    武藤委員長 傳票はこの分だけぽつんと來るのですか。ほかのものとたくさん來るのですか。
  904. 阿部茂吉

    阿部証人 その日の傳票の多くのものと一緒です。入金と出金の傳票と振替の傳票のその日のものが來て、記帳することになつております。
  905. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると傳票に対して判を押しているのはあなた方ではないのですか。
  906. 阿部茂吉

    阿部証人 傳票と申しますのは領收書の意味ですか。私どもの方の出金、入金の傳票のことですか。
  907. 武藤運十郎

    武藤委員長 あとの方です。
  908. 阿部茂吉

    阿部証人 それには傳票を発行した者や、その他の者がみんな見てそうして檢印を押すというわけでございます。
  909. 武藤運十郎

    武藤委員長 これについてはどういうふうにして記帳されたのですか。あなたは全然これを見ないのですか。
  910. 阿部茂吉

    阿部証人 見ているか、見ていないか、ちよつと記憶がありませんが‥‥。
  911. 武藤運十郎

    武藤委員長 傳票や受取書は全然ごらんになりませんか。
  912. 阿部茂吉

    阿部証人 私今ちよつと記憶にありません。
  913. 武藤運十郎

    武藤委員長 こういうふうな事実については御記憶がないかもしれませんけれども、こういうふうな会合費についてはどこかで一應よく見るのではありませんか。
  914. 阿部茂吉

    阿部証人 大体会議や何かは庶務の方でいろいろ采配準備いたしますので、そちらの方で詳しくわかるかと思いまして、そちらの方から書類がまわつてきますと、会計でそれによつて処理するという形になります。
  915. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたの方では内容について審査する、調査するとかいうことは全然ない、機械的に記帳するのですか。
  916. 阿部茂吉

    阿部証人 はい、そうでございます。
  917. 武藤運十郎

    武藤委員長 経理課長なり、経理課長代理というものは、もう少し権限のあるものじやないのですか。
  918. 阿部茂吉

    阿部証人 実はそういうふうに私も考えるのですけれども、鉱業会の会計については、要するに團体会計というものは、金の支拂い所というような形になつておるのですから、非常にそういう点の組織がほかの株式会社や何かの会計とは違うような感じを私はもつておるわけです。
  919. 武藤運十郎

    武藤委員長 それではその後小松とか、初波奈とかいう所において十数回にわたつて会合費、飲食費、そういうようなものが、ずつと記帳されておりますけれども、こういうことについても、ただ傳票に基いて機械的に記帳しただけであつて、あなたはその内容を全然御存じないわけですか。
  920. 阿部茂吉

    阿部証人 全然私にはわかりません。
  921. 武藤運十郎

    武藤委員長 会合費や会食費が、非常に金額が張つて会議が多いということについて不審とは思いませんか。
  922. 阿部茂吉

    阿部証人 それは大分かかつておることはわかりまして、不審をもたないこともないですけれども、大体こういう團体というものは会食、会合が相当あるというような性質と心得ておりましたので、あまり氣にもとめないでおりました。
  923. 武藤運十郎

    武藤委員長 それではこういう会合はずつと数年來あるわけですか。昨年の五月から十月ごろまで、遅くも十二月ですけれども、それまでの間に著しく多いのですけれども‥‥。
  924. 阿部茂吉

    阿部証人 いつからですか。
  925. 武藤運十郎

    武藤委員長 五月から十二月までの間に‥‥。
  926. 阿部茂吉

    阿部証人 昨年ですか。
  927. 武藤運十郎

    武藤委員長 昨年、ただ團体には宴会や会合があるのだというだけでは割切れないことはありませんか。
  928. 阿部茂吉

    阿部証人 それについて、お話があればそういう感じもありますが、当時はただまわつてきたものを、そのまま拂つてつた
  929. 武藤運十郎

    武藤委員長 石炭國管反対のために会合していたということですね。これはしかしおわかりだつたでしよう。費目が書いてありますから、会長と議員の懇談とか、貝島ほかだれだれの会合とか、木内、西田ほかだれだれの会合とか、永田総長の会合とか、田代、吉賀の会合とか、それぞれ名目がはいつていますね、費目がはいつておりますね。同じ会合でもこれは石炭國管反対のための会合であるということはおわかりになつてつたわけですか。
  930. 阿部茂吉

    阿部証人 それは何の会合か、私は内容がほんとうにわからぬのです。ただ庶務からこれこれの人が行つたんだということを聞いて、その傳票を発行しただけの話です。
  931. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると庶務ではおわかりですか。
  932. 阿部茂吉

    阿部証人 庶務ではわかりますが、私はわかりません。内容的にどうか知りませんが、ただだれだれが行つたかという詳しい話は庶務の方でわかるだけの話で、私の方ではわかりません。
  933. 武藤運十郎

    武藤委員長 庶務ということになると、庶務課長ですか。
  934. 阿部茂吉

    阿部証人 庶務課長です。
  935. 武藤運十郎

    武藤委員長 当時の庶務課長はどなた‥‥。
  936. 阿部茂吉

    阿部証人 鈴木芳衞さんでしたか。
  937. 武藤運十郎

    武藤委員長 今でも閉鎖機関におられますか。
  938. 阿部茂吉

    阿部証人 おられます。会計支拂いをそのまましたというだけで、よく内容はわかりません。
  939. 武藤運十郎

    武藤委員長 どうも少しのみこめませんが、その次の質問をしましよう。今伺つた金額がちよつと私の方で拾つてみただけでも百四十四万三千二百四十二円というような莫大な金額になりますね。
  940. 阿部茂吉

    阿部証人 はい。
  941. 武藤運十郎

    武藤委員長 これは実際に会合飲食した費用であるのか、それともこういう費目を帳簿の上に計上記載しておいて、実際にはこの金は他の方面に使われたものではないのですか。
  942. 阿部茂吉

    阿部証人 さあ、それは私にはわかりません。会合だと私は思いますけれども‥‥。
  943. 武藤運十郎

    武藤委員長 実際に会合をし、実際にその金を使つたものだと思うのですか。
  944. 阿部茂吉

    阿部証人 はい、私はそう思います。そう記入いたしました。
  945. 武藤運十郎

    武藤委員長 傳票には領收書はついておつてもついていなくてもよろしいのですか。
  946. 阿部茂吉

    阿部証人 傳票には大体ついておつたと私は記憶いたします。
  947. 武藤運十郎

    武藤委員長 ついていないものが多いようですが‥‥。
  948. 阿部茂吉

    阿部証人 そうですか。
  949. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうですかつて、大体あなたは責任があるのでしよう。
  950. 阿部茂吉

    阿部証人 傳票はついておるものと私は考えておるのですが、あとつけ落しや何かで、傳票の整理をしたときに脱落したか、よくその辺は私にはわかりませんが‥‥。
  951. 武藤運十郎

    武藤委員長 山川良一という人は御存じですね。
  952. 阿部茂吉

    阿部証人 会長ですか——はい。
  953. 武藤運十郎

    武藤委員長 この人が先般当委員会出頭せられまして、石炭会館で代議士と会食をしたことがあると申しておりますけれども、ほかにこの会食をした代議士の名前などあなたは御存じありませんか。
  954. 阿部茂吉

    阿部証人 全然わかりません。
  955. 武藤運十郎

    武藤委員長 だれに聞けばわかりましようか。
  956. 阿部茂吉

    阿部証人 そういうようなことはむしろ総務の方でもお聞きになつてくださればいいかと思います。
  957. 武藤運十郎

    武藤委員長 総務は総務課長ですか。
  958. 阿部茂吉

    阿部証人 総務の阿部陽一ですね。総務と申しますとちよつと誤弊がありますが、今の石炭協会の調整課の阿部さんです。
  959. 武藤運十郎

    武藤委員長 この人に聞いたらばわかるかもしれない‥‥。
  960. 阿部茂吉

    阿部証人 はい。
  961. 武藤運十郎

    武藤委員長 鉱業会には自動車がありますか。
  962. 阿部茂吉

    阿部証人 鉱業会には自動車はありません。
  963. 武藤運十郎

    武藤委員長 もとはございましたか。
  964. 阿部茂吉

    阿部証人 はい。
  965. 武藤運十郎

    武藤委員長 國管反対運動にもこれを使つてつたことは御存じありませんか。
  966. 阿部茂吉

    阿部証人 わかりません。全然そういう運動とか何かには会計は何もタツチしておりませんからわかりません。また会計はそういうことにタツチするような組織になつておりませんから‥‥。
  967. 武藤運十郎

    武藤委員長 自動車を炭鉱國管の方に使つたかどうかということは、それではあなたにはわからない‥‥。
  968. 阿部茂吉

    阿部証人 はいわかりません。
  969. 武藤運十郎

    武藤委員長 帳簿を見ますと、交通費というところに、昭和二十二年四月から七月までの自動車使用料金は合計四万一千六百五十円、八月から十二月までの自動車料金支拂は合計六十五万六千二百九十一円というふうに非常に多くなつておりますけれども、これはちようど炭鉱國管反対運動の期間中に該当しますが、反対運動のために使つたというわけではないのですか。そういう点はわかりませんか。
  970. 阿部茂吉

    阿部証人 はい、私には何に使われたかわかりません。
  971. 武藤運十郎

    武藤委員長 一向わからない課長さん代理ですね。そんなことはないでしよう。非常に多いのですからね。
  972. 阿部茂吉

    阿部証人 実際ほんとうにわからないのです。大体私は國管の問題について喚び出されたのは何のために喚び出されたのか、実はふしぎに思つているくらいなんです。
  973. 武藤運十郎

    武藤委員長 いや、同じ交通費でも十倍にも上るというようなことであれば、何でこういうふうに上つたかということは、経理課長なり経理課長代理の方はわからなければならぬし、当然わかつていると思うのですがね。
  974. 阿部茂吉

    阿部証人 そういうことについてはわかりません。
  975. 武藤運十郎

    武藤委員長 武内さんはこの前出てこられまして、そういう点は阿部さんが知つていると思う‥‥。
  976. 阿部茂吉

    阿部証人 それは阿部が違います。阿部陽一君のことだと思います。私は会計だけをやつておりますので、それはむしろ総務の阿部陽一君のことを指しているのだと思います。
  977. 武藤運十郎

    武藤委員長 経理の阿部さんというように言つていたと私は記憶するのですが‥‥。
  978. 阿部茂吉

    阿部証人 私は実は武内さんの所に行くのは年に三、四度ぐらいのもので、おそらく武内さん自身阿部といつて私を指しているのではないと思います。
  979. 武藤運十郎

    武藤委員長 いずれまた阿部陽一さんにも伺うことにいたしますが、かりに武内さんの関係は別にして、経理課長代理としてもう少し経理の上り下りがわかつていると思うのですが‥‥。
  980. 阿部茂吉

    阿部証人 いや、内容は実際わからぬのです。
  981. 武藤運十郎

    武藤委員長 これをちよつとごらんになつてください。ここに阿部という判がありますが、これはだれの判ですか。その傳票の下に判があるでしよう。
  982. 阿部茂吉

    阿部証人 これは私が押しております。これは私の判です。
  983. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると、これには東京出張、石炭國管問題旅費となつておりますね。こういうふうに費目が具体的に現われているのもあるのですけれども、こういうのは盲判ですか。
  984. 阿部茂吉

    阿部証人 それに書いてある通り、國管の問題にあるいは出かけたりなにかして……。
  985. 武藤運十郎

    武藤委員長 あるいはではない。はつきり書いてある。
  986. 阿部茂吉

    阿部証人 ですから國管問題について出かけたりなにかしたその費用ですね。それに支出されたものとはわかりますが、それが國管の問題のどういう目的で行つたのかどうかというようなことについては、私は内容はわからぬのです。実際その書いてある通り國管問題で行つたに違いない。しかしどういうことか内容はわからぬ。
  987. 武藤運十郎

    武藤委員長 いや、課長としてそんな迂遠な話はないでしよう。
  988. 阿部茂吉

    阿部証人 実際わからぬのです。
  989. 武藤運十郎

    武藤委員長 石炭國管反対ということは、当時十分唱えられておつた。國管問題ということになれば、國管反対のための旅費だということは、これはわからないことはないだろうと思う。
  990. 阿部茂吉

    阿部証人 反対か、打合せにいつたか、私にはその内容がわからないという意味なんです、私の言うのは。
  991. 武藤運十郎

    武藤委員長 こういうふうに國管問題ということでまだたくさんその当時判を押したことがありますか。
  992. 阿部茂吉

    阿部証人 とにかく傳票にはみな押しているつもりです。
  993. 武藤運十郎

    武藤委員長 自動車使用料金のうち、金十八万円、十一月分の使用料ですか、これを十二月の二十九日附で石炭振興会というのへ振替しておるのは、どういうわけですか。
  994. 阿部茂吉

    阿部証人 自動車使用料というのを振興会へ振替えたというのですか。それは振興会の自動車を鉱業会の方に借りて乘廻してあちらから代金を請求されて拂つたのは、丁度建物の金とこちらの方で会費のもらい分とを相殺したという意味、それは会費じやなくて、表現がまずいのですが、振興会から自動車を借りて乘つて、その代金を振興会から請求を受けて拂つたというわけです。
  995. 武藤運十郎

    武藤委員長 それから帳簿の記載によると、石炭鉱業会は代議士西田隆男君に対して借入金の返済ということで大分金を出しておる。六月の二十二日には二十万円、六月三十日には三十五万円、七月二十二日には五十万円、九月二十九日には十万円、十月十五日には十万円、十一月十七日にも十万円、合計百三十五万円という金を借入金の返済金という名義出しておりますけれども、これはどういうのですか。
  996. 阿部茂吉

    阿部証人 これは封鎖があつた当時非常に金繰りが苦しくなつて、西田さんから新円で金を借りたことがあるのです。その金を拂つたのです。それであれは九州事務局でも借りておつたのを、こちらで拂つたと記憶しております。
  997. 武藤運十郎

    武藤委員長 封鎖で非常に都合が悪かつたときに現金で借りたわけですか。
  998. 阿部茂吉

    阿部証人 新円で借りたのです。
  999. 武藤運十郎

    武藤委員長 いくら借りたのです。
  1000. 阿部茂吉

    阿部証人 おそらくその金と思いますが、ちよつと記憶はありません。何か一度に借りたのではなく、二つか三つにわけて借りたと思います。
  1001. 武藤運十郎

    武藤委員長 その借りたものをぼつぼつ返したというわけですか。
  1002. 阿部茂吉

    阿部証人 そうであります。
  1003. 武藤運十郎

    武藤委員長 これはあなたはよく内容を知つておられますね。
  1004. 阿部茂吉

    阿部証人 今日金のことはわかつております。会計の金の出入のことですから、どういう関係か……。
  1005. 武藤運十郎

    武藤委員長 いや金の出入のことであつても、今までのあなたのお話を聽いておると、ただつけるだけで、金の出入のことはわからない。
  1006. 阿部茂吉

    阿部証人 そういうことに言葉尻を捉えられては実際困るのですが、西田さんのときだけは私はどういうことであるか知つております。
  1007. 武藤運十郎

    武藤委員長 これをそうではなくて、借入金を返済するという名義で西田さんに金が渡つたものではないのですか。
  1008. 阿部茂吉

    阿部証人 いやそうではありません。借りた金を返したのです。
  1009. 武藤運十郎

    武藤委員長 金を借りたということは、借りた当時帳簿に記載してありますか。
  1010. 阿部茂吉

    阿部証人 あります。
  1011. 武藤運十郎

    武藤委員長 西田さんの代理として今のお話の二十万、五十万という金を受取つておるのは川上一男、これはどういう人ですか。
  1012. 阿部茂吉

    阿部証人 これは西九州石炭東京の出張所の者ですが、西田さんから頼まれて來たといつて金を受取りに來たのです。
  1013. 武藤運十郎

    武藤委員長 西田さんから頼まれたと言つてね。この人は今でもおりますか。
  1014. 阿部茂吉

    阿部証人 今でもおります。
  1015. 武藤運十郎

    武藤委員長 どこにおります。勤めはどこです。
  1016. 阿部茂吉

    阿部証人 西九州だと思いました。東京出張所です。丸の内に事務所があるということです。
  1017. 武藤運十郎

    武藤委員長 特別会費というのは何ですか。
  1018. 阿部茂吉

    阿部証人 特別会費というのは財團法人炭鉱振興会という團体がありまして、そこから会費の徴收委託を受けたのです。建物を買うために徴收した金です。
  1019. 武藤運十郎

    武藤委員長 石炭会館というやつですか。
  1020. 阿部茂吉

    阿部証人 はい。
  1021. 武藤運十郎

    武藤委員長 二千百八十六万八千三百九十一円拂つておりますね。それだけが買受代金ですか。
  1022. 阿部茂吉

    阿部証人 買受代金はいくらか、あれは庶務の方で扱いましたので、ただその炭鉱振興会の代行事務をやつただけなのです。徴收してその建物を購入して。
  1023. 武藤運十郎

    武藤委員長 一千万円とかいう話を聞いておるのだけれども、二千万円というと大分多いですね。
  1024. 阿部茂吉

    阿部証人 どのくらいか、私には建物の價値についてはわかりませんが、実際購入に当りませんから……。
  1025. 武藤運十郎

    武藤委員長 この賣買の衝に当つた人はだれですか。
  1026. 阿部茂吉

    阿部証人 それはあの当時の庶務課長をやつておりました鈴木さんに聽かれればわかると思います。あと大西さんなんかも関係しております。
  1027. 武藤運十郎

    武藤委員長 それから……。
  1028. 阿部茂吉

    阿部証人 よくわかりませんが、私の記憶ではそんなところです。
  1029. 武藤運十郎

    武藤委員長 ちよつと先へもどりまして西田隆男代議士から借りた金は、いついくら借りたということは帳薄に記載してありますね。
  1030. 阿部茂吉

    阿部証人 あります。
  1031. 武藤運十郎

    武藤委員長 それはお手もとにありますか。
  1032. 阿部茂吉

    阿部証人 あります。
  1033. 武藤運十郎

    武藤委員長 閉鎖機関で保管しておりますか。
  1034. 阿部茂吉

    阿部証人 保管してあります。
  1035. 武藤運十郎

    武藤委員長 これを提出してもらいたい。こちらへ來ておる帳簿には日附などはないようですが、どういう帳簿に載つておるのですか。
  1036. 阿部茂吉

    阿部証人 借入台帳と思いますが、借入帳と言いますか、借入金のところにありますが、載つておらぬですか。
  1037. 武藤運十郎

    武藤委員長 ないようです。
  1038. 阿部茂吉

    阿部証人 では何かに書いてお知らせいたします。
  1039. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは厄介でもその帳簿をお出し願いたい。それから西田氏から百三十五万円からの金を借りたのはどういうわけで借りたのですか。
  1040. 阿部茂吉

    阿部証人 その借りたのはこちらの本部で借りているのと、九州の方で借りているのと二つありまして、本部の方で借りたのは金繰りが苦しく借りたのです。九州の方で借りたのは何のために借りたのか事情は知りません。それであちらの方から振替えられてきたのです。結局本部と支部というのは本店、支店関係になつているものですから、九州事務局で借りた金は支店で借りたようなもので、支店の責任は本店が負わなければならぬという形で、それでこちらで拂つたということになつております。あちらの方で借りた事情は私存じません。本部で借りたのは金繰りが苦しくて借りたのです。あのときは新円がなくて困つていたのです。
  1041. 武藤運十郎

    武藤委員長 そのときは何か割引みたような形で借りたのですか。
  1042. 阿部茂吉

    阿部証人 そうではないと思います。
  1043. 武藤運十郎

    武藤委員長 西田君にそんな莫大な金があるというのはおかしい。またあなたの方にも金がないというのはおかしい。
  1044. 阿部茂吉

    阿部証人 封鎖を受けてまつたく困りました。
  1045. 武藤運十郎

    武藤委員長 困つたのはみな困つた、そこに百万円も現金がそんなにあるというのはおかしい。
  1046. 阿部茂吉

    阿部証人 その時いろいろなことであれだけ大きな團体を運営していくのにはやはり新円がなくて実際困つたわけです。
  1047. 武藤運十郎

    武藤委員長 それからさつきの特別経費ですが、これは会館を買入れるというような御説だつたのですが、会館買入後も特別経費というような形で借入れているのですが……。
  1048. 阿部茂吉

    阿部証人 それは買入れるときに会費というのはあのときはトン当り一円とつたのですが、金は月々の相談でとりますから月遅れになります。この間建物の支拂いの方は金をすぐ大きく拂わなければならないから、一時銀行から借りて先方へ拂つたわけです。それで会費の方がその後はいつてきたので、銀行の方へ返していくというやり方をしたわけです。そのために今のお話のように建物の買入後会費の方はずつと引続いてはいつているということになります。
  1049. 武藤運十郎

    武藤委員長 何か御質問がございますか。
  1050. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 その金の出るときにはあなたの方には、もちろん傳票がまわつてくるから支拂いせいという命令がくるわけでしようが、そのまわつてくるのはどこからくるのですか。先ほど言われた宴会費のようなものは……。
  1051. 阿部茂吉

    阿部証人 宴会費というものは庶務の方からまわつてくるのです。
  1052. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 庶務の判はそういうものにありますか。
  1053. 阿部茂吉

    阿部証人 傳票にですか。
  1054. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうです。
  1055. 阿部茂吉

    阿部証人 傳票にはありません。傳票会計で発行しております。しかしそういう支拂がこういう会合をやつた、こういう受取がある、そういうものをみな庶務の方から判を押して庶務の方の手を通じてまわつてくる。庶務の方で会合の費用を全部計算する。
  1056. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこで今日こういう会合をやるから準備せいという命令がないと庶務の問題となりませんね。
  1057. 阿部茂吉

    阿部証人 そういうことです。
  1058. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 その命令はだれがやるのですか。
  1059. 阿部茂吉

    阿部証人 庶務で聽いてやります。私は会計ですからわかりません。
  1060. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そういうのは判をとつておりませんか。
  1061. 阿部茂吉

    阿部証人 庶務の方で事務の内容についてどんな手続をとつておるか私にはわかりません。
  1062. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 傳票の方はあなたの方で起して……。
  1063. 阿部茂吉

    阿部証人 会合が済んでから、こういう会合をやつたということを庶務の方から通じてきて、領收書なりその他のものがまわつてきまして初めて支拂をするので、最初会合の起きた当時のことやなんかはむしろ庶務の方がよくわかると思うのです。私にはその点までわかりません。
  1064. 梶川靜雄

    ○梶川委員 ちよつと一、二伺います。傳票支拂をされるわけですが、それの支拂会計現金で扱われるのですか。
  1065. 阿部茂吉

    阿部証人 そうです。
  1066. 梶川靜雄

    ○梶川委員 会計課というのが別にあるのですか。
  1067. 阿部茂吉

    阿部証人 会計課というのがあります。
  1068. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それであなたが支拂われたのは、小切手で出されておるのかあるいは後で勘定して支拂うか、そういうことはわかりませんですか。
  1069. 阿部茂吉

    阿部証人 それは現金で拂う場合もありましようし、小切手で拂う場合もありましよう。
  1070. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それは会計の人たちはわからないわけですね。
  1071. 阿部茂吉

    阿部証人 そうです。
  1072. 梶川靜雄

    ○梶川委員 あんたは何も知らない知らないと言いながら、しまいには非常によく思い出されたようで、それはどういうわけかわかりませんが、たとえば西田君から借りた金の返済が、借りたのは大分前だし、その返済との関係が聽いておつてちよつと明確でないのですよ。借りたのはどういうふうなあれで……私の言つておるのは金の話をしておるのですよ。金はどういう方法で借りて、支拂はどういうことをしたかということを聽きたいのです。
  1073. 阿部茂吉

    阿部証人 それは新円を借りまして、そして新円で返す……。
  1074. 梶川靜雄

    ○梶川委員 新円ですか。全部封鎖ではないのですね。
  1075. 阿部茂吉

    阿部証人 そうです。
  1076. 梶川靜雄

    ○梶川委員 僕は封鎖ではないかと思うのですが……そういうことはないですか。
  1077. 阿部茂吉

    阿部証人 金繰りが苦しくて借りたのですから……封鎖だとか新円だとか言われると、ちよつと混乱してきますが……。
  1078. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それによつて非常に大きな鍵が握られると思うので重大問題だと思うのです。初めにお出しになつたのは小切手で支拂われたのかあるいは……。
  1079. 阿部茂吉

    阿部証人 私の方から拂つたのですか。
  1080. 梶川靜雄

    ○梶川委員 借りるのを封鎖で借りて、今度返す場合にどういうふうに現金支拂われたか、小切手で支拂われたか、今までの話では明確でない。そこのところにわれわれとしてゆるがせにできない問題があると思うのですがね。
  1081. 阿部茂吉

    阿部証人 とにかく返したのは新円で返したのですが、借りたのは……。
  1082. 梶川靜雄

    ○梶川委員 返したのを知つておられれば、借りたのも知つておられるでしよう。
  1083. 阿部茂吉

    阿部証人 新円で借りたのが、封鎖で借りたのかという御質問ですが、その問題は今考えておりますから、ちよつとお待ちください。
  1084. 梶川靜雄

    ○梶川委員 どうぞゆつくり考えてください。
  1085. 阿部茂吉

    阿部証人 とにかく古いことですから……。
  1086. 梶川靜雄

    ○梶川委員 そこのところがはつきりわからないですか。
  1087. 阿部茂吉

    阿部証人 封鎖で借りて新円で返したのだつたかもしれません。ちよつと今記憶がないのですが……。
  1088. 梶川靜雄

    ○梶川委員 返したのは新円ということがわかつておれば、やはり借りたのもわかるはずじやないかと思うのです。
  1089. 阿部茂吉

    阿部証人 古い話ですから忘れたのです。あの当時封鎖と新円と両方ありましたので、実際どつちであつたかということについてはつきり……。
  1090. 梶川靜雄

    ○梶川委員 しかしあの当時と言われますけれども、その当時は封鎖と新円ではえらい取引上の大きな開きがあつたと思います。そういう開きのあるときに、あなたがどつちかわからないということはないと思います。
  1091. 阿部茂吉

    阿部証人 そういうふうに言葉尻で言われましても、実際古い話ですからわからないのです。
  1092. 梶川靜雄

    ○梶川委員 あとでもよいですから答えてください。
  1093. 阿部茂吉

    阿部証人 あとでよく御返事するというのでしたら、いつでも御返事いたしますが、今すぐ即答せよと言われてもわからないのです。
  1094. 武藤運十郎

    武藤委員長 二十四日の十時ごろまでに、殊に今お願いした帳簿も関係書類があつたら……。封鎖で借りて現金で拂つたのか、現金を借りて現金で拂つたのか、当時は非常にやかましくて、現金が尊ばれたわけですから、いろいろまた別の問題もあると思いますけれども、とにかく帳簿と一緒にその貸借に関する関係書類出してください。  ほかにございませんか。——それでは済みましたけれども、あと鈴木さん、円城寺さんのこともございますから、しばらくうしろでお控えになつていてください。     —————————————
  1095. 武藤運十郎

    武藤委員長 鈴木さんですね。
  1096. 鈴木芳衞

    鈴木証人 そうです。
  1097. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたは当時日本石炭鉱業会の庶務課長、総務課長、会計課長などを歴任または兼任されたようでありますけれども、そうでありますか。
  1098. 鈴木芳衞

    鈴木証人 そうです。
  1099. 武藤運十郎

    武藤委員長 いつからいつまで庶務課長で、いつからいつまで総務課長というようなぐあいに、その任期を言つてみてください。
  1100. 鈴木芳衞

    鈴木証人 正確には日附を覚えておりませんが、控えを持つてきておりますから、見てよろしゆうございますか。
  1101. 武藤運十郎

    武藤委員長 どうぞ。
  1102. 鈴木芳衞

    鈴木証人 昭和二十二年の四月一日附で庶務課長になりました。それから二十二年の九月一日附で総務課長になりました。越えて二十三年の二月十八日附で会計課長兼務、それから二十三年の三月十日附で中央事務局長代理、そういう径路を辿つております。
  1103. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると、九月一日から総務課長になつたときには庶務課長を兼任しておつたわけですか。
  1104. 鈴木芳衞

    鈴木証人 これは機構の改正がありまして、総務課と庶務課と分かれおつたのが、小さい変動がございまして、庶務課を含んだ総務課になりましたから、兼任ではありませんが……。
  1105. 武藤運十郎

    武藤委員長 從來の庶務でやつてつたものは総務課に統合させたわけですか。
  1106. 鈴木芳衞

    鈴木証人 そうです。
  1107. 武藤運十郎

    武藤委員長 そこでお尋ねしたいのですが、昨年日本石炭鉱業会が中心になつて石炭國管案反対運動をいたしましたね。これは御存じでしよう。
  1108. 鈴木芳衞

    鈴木証人 知つております。
  1109. 武藤運十郎

    武藤委員長 この運動資金などはどういうふうにいたしましたか、御存じですか。
  1110. 鈴木芳衞

    鈴木証人 運動資金については全然知りません。
  1111. 武藤運十郎

    武藤委員長 臨時負担金というのは何ですか。
  1112. 鈴木芳衞

    鈴木証人 臨時負担金とか何とかいうのはどれか見当つきませんが、会計上の整理の科目を使われますと、どうも私にはわからないのですが……。
  1113. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたの方の帳簿を見ますと、交際費とか会議費とかいう費目の中に、代議士と会長と会食した費用とか、懇談した費用というものが、昨年の五月ごろから十二月ごろまでの間に非常に多い。たとえば金田中で食事をして何万円、初波祭で会合して何万円ということが非常に多い。これはどういうための会合なして会食であつたかということはあなたは御存じですね。
  1114. 鈴木芳衞

    鈴木証人 これは同行したこともなければ、どういう方が行かれたかは、現実には知りません。
  1115. 武藤運十郎

    武藤委員長 現実には知らないけれども、これは從來ずつとあつたわけではないのであつて、昨年の五月から十二月ごろまでのいわゆる石炭國管問題がやかましいときに、特にこういう会合があつたことは御承知でしよう。その前にもこういうものがこのくらいの期間にこのくらいの回数ありましたか。
  1116. 鈴木芳衞

    鈴木証人 その前のことは庶務を担当しておりませんからわかりませんが、そういうようなときにはおそらく上層部の人が行かれるのだろうと思います。大体の場合にはあと附に何名というようなことをメモに渡されるということで、庶務としては整理しておりましたから、顔触であるとか、どういう目的で行かれたかということはわからぬ。こういう意味であります。
  1117. 武藤運十郎

    武藤委員長 顔ぶれの中に貝島、武内、田代、あるいは円城寺、永田、河原とか、あるいは会長と代議士とかいうふうにあるので、これは石炭國管反対のために会合であるということはわかつてつたと思うのですが……。
  1118. 鈴木芳衞

    鈴木証人 それもわかりません。いろいろの会合がありますから……。
  1119. 武藤運十郎

    武藤委員長 特にこの期間に非常に数多く相当金額あるのでけれども、やはり何にためだかわからなかつたのですね。
  1120. 鈴木芳衞

    鈴木証人 内容がわかりませんから……。
  1121. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたはだれが行つたかということは、ついて行かないからわからないかもしれないが、それが何のためであつたかということくらいは、いやしくも課長さんなんだからわかつておられただろうと思いますが……。
  1122. 鈴木芳衞

    鈴木証人 それは仕事のヴオリユームが非常に多いものですから、一々記憶がないのです。大体会合について、平均しまして一日に五、六件くらいずつの会合がありますから、それの会場とか場所をとるということが行われるわけですから、一々はどうも記憶かないのです。
  1123. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではだれが知つておるのですか。
  1124. 鈴木芳衞

    鈴木証人 それは大体私が総務をやつておりますときには課長代理が三人おりまして、分掌関係とでも言いますか、そういつたものをやつておるのと、主として理事会だとかいろいろな会議、そういつた一連のことをやつておるのと、それから庶務関係を主として担当しておる者とこの三人くらいにわかれて助けてくれておりました。しかし大体において庶務関係の方は私が一番知つておるはずであります。
  1125. 武藤運十郎

    武藤委員長 知つておるはずだが知らない……。
  1126. 鈴木芳衞

    鈴木証人 構成の上からは……。
  1127. 武藤運十郎

    武藤委員長 大体今ここにおられる経理課長代理ですか、この方と庶務課長、総務課長、会計課長というようなお方であつて、お二人のうち両方つておるか、どつちか知つておるのでなければ知つておる者はないじやないですか。
  1128. 鈴木芳衞

    鈴木証人 そのあと附でそういつたメモがきて、それによつて整理しておりますから、そのときには議員さんにお会いになつたとかいうことはわかつております。
  1129. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなた方が石炭國管のために会合したということを言つてもあなたには直接関係がないのだから、職務上知つておることは言つてもらいたい。
  1130. 鈴木芳衞

    鈴木証人 國管反対のためやられたかどうかわからなかつたのです。
  1131. 武藤運十郎

    武藤委員長 これをごらんになつていただきたい。     〔証人に文書を渡す〕  國管反対のためだということはあなたの言う通りわからないとしても、だれとだれがどういうところで会合したということはわかるわけですね。
  1132. 鈴木芳衞

    鈴木証人 それは今申しました通り、大体そういう場合は上層部の方が行つておられると思いますが、メモでいつ何日どこでやつた、あるいは何名というようなものがきておりますから、それによつて会合関係のことを知つております。そこで行つてだれとだれということを事務所に聽くことは、これはなかなか聽きにくいものです。そういう意味でだれとだれというふうにわかつておるはずじやないかとおつしやられても、わからないと申し上げる以外にないのです。
  1133. 武藤運十郎

    武藤委員長 わかつておるのもあればわからないのもあるのだね。わかるときもあるでしよう。
  1134. 鈴木芳衞

    鈴木証人 一々具体的なこと言つていただけば自分のわかつておることを申し上げられると思いますが、いろいろたくさんありますから、それを庶務課長をやつておるからいつどこでだれとだれと言われても、記憶というものは薄弱ですから……。
  1135. 武藤運十郎

    武藤委員長 わかつておるものはわかつておるが、わかつてないのはわからないということだね。
  1136. 鈴木芳衞

    鈴木証人 そういうわけです。
  1137. 武藤運十郎

    武藤委員長 それではそのわかつておる分だけ言つてください、順々に言いますから……。昨年五月の三十一日金田中における会長、代議士会合費として四万三千五百六十五円、このときの代議士はだれですか。
  1138. 鈴木芳衞

    鈴木証人 それはわかりません。
  1139. 武藤運十郎

    武藤委員長 一人もわからぬですか。
  1140. 鈴木芳衞

    鈴木証人 一人もわからぬ。
  1141. 武藤運十郎

    武藤委員長 同年六月十一日金田中における会長ほか議員懇談会三万千百五十五円、これは議員というのはだれですか。
  1142. 鈴木芳衞

    鈴木証人 これもわかりません。
  1143. 武藤運十郎

    武藤委員長 一人くらいわからないかな。
  1144. 鈴木芳衞

    鈴木証人 今のところ記憶ないのです。今の、たとえば二人の場合なら、普通のやり方を申し上げるならば、会長がおそらく主催者でしよう。それでいろいろお話合になつてほかへ行かれる。一日、二日経つたあとで金田中で云々ということで整理しておりますから、これはどうもわかりませんね。
  1145. 武藤運十郎

    武藤委員長 主催者は会長ですか。
  1146. 鈴木芳衞

    鈴木証人 だと思いますね。おそらくそんな場合は会長を喚んでいただいて、覚えているかどうかを聽いていただく以外に手はないと思いますね。
  1147. 武藤運十郎

    武藤委員長 大体会長とか、副会長とか……。
  1148. 鈴木芳衞

    鈴木証人 書いてあれば、おそらくそう思つていただいて間違いないと思います。
  1149. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうするとその後初波奈において、永田総長、大手筋業者会合、初波奈において木内、西田ほか懇談会、初波奈において貝島ほか十四名懇談、天華において事務総長扱いということになつておりますけれども、このときにも会長か、副会長が大体行つておるのですか、主催しているわけですか。
  1150. 鈴木芳衞

    鈴木証人 必ずしも会長がいつでもおるとは限らぬと思いますね。
  1151. 武藤運十郎

    武藤委員長 主催はあなたの方の鉱業会でやるわけでしよう。支拂がこうなつているのだから……。
  1152. 鈴木芳衞

    鈴木証人 そうだと思いますね。
  1153. 武藤運十郎

    武藤委員長 思うじやなくて、そうですね。
  1154. 鈴木芳衞

    鈴木証人 そうです。
  1155. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうなれば主催者は鉱業会にきまつていますね。
  1156. 鈴木芳衞

    鈴木証人 きまつています。
  1157. 武藤運十郎

    武藤委員長 今の五月三十一日の金田中における会長、代議士会合費として四万三千五百六十五円、これは鉱業会主催、その通りですね。
  1158. 鈴木芳衞

    鈴木証人 そうでございます。
  1159. 武藤運十郎

    武藤委員長 六月十一日の金田中における会長ほか議員懇談会として三万千百五十五円、これももちろん鉱業会主催ですね。
  1160. 鈴木芳衞

    鈴木証人 そうです。具体的にこういうやつという記憶が出てきませんから、大体お読みくださる項目によつて、整理のしかたはそうだからもちろん鉱業会だろう。だろうと言うと笑われるのですが、そこのところに会長と出てくれば、会長が主催者だろうと思つて、さようですと答えておる次第です。
  1161. 武藤運十郎

    武藤委員長 六月二十四日の初波奈において、永田総長、大手筋業者会合費というのは二万二千五百二十八円ありますけれども、これはやはり……。
  1162. 鈴木芳衞

    鈴木証人 その場合はおそらく永田総長が主催していると思います。
  1163. 武藤運十郎

    武藤委員長 永田総長主催といつても個人的じやないのですね。鉱業会の代表として行つておるのですね。
  1164. 鈴木芳衞

    鈴木証人 そうですね。
  1165. 武藤運十郎

    武藤委員長 それから六月三十日に諸会議資金二万三千七百七十円というのがあるのですけれども、これは何でしよう。
  1166. 鈴木芳衞

    鈴木証人 どうも記憶にないですね。どうそれは整理したものか……。
  1167. 武藤運十郎

    武藤委員長 それから八月四日初波奈において木内、西田ほか懇談会金二万三千九百九十円、この主催はだれだと思いますか。
  1168. 鈴木芳衞

    鈴木証人 おそらく木内さんだろうと思いますね。
  1169. 武藤運十郎

    武藤委員長 木内さんは当時鉱業会の何ですか。
  1170. 鈴木芳衞

    鈴木証人 今お読みくださるもので、そう判断しているんですから……。木内さんは二十一年十二月十六日から二十二年の八月十八日まで副会長でおられましたはずですから、おそらくそういう書き方がしてあれば、木内さんの主催ということになると思います。
  1171. 武藤運十郎

    武藤委員長 やはり木内さんが鉱業会の代表ということで主催されたことになりますね。
  1172. 鈴木芳衞

    鈴木証人 そうなると思います。
  1173. 武藤運十郎

    武藤委員長 八月のいく日からでしたか在任は……。
  1174. 鈴木芳衞

    鈴木証人 木内さんの在任期間ですか、それは二十一年十二月十六日から二十二年八月十八日までです。
  1175. 武藤運十郎

    武藤委員長 参議院議員になるのでおやめになつたということはございませんでしたか、八月十八日に正式にやめたということになつたかどうか知りませんが、その前に参議院議員になるのでやめるというわけではなかつたですか。
  1176. 鈴木芳衞

    鈴木証人 これはやはりやめるやめるというと形式化しますから、この日附までとにかくおられたということでしよう。
  1177. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは先のお話の通り承つておきましよう。  それから八月十四日同じく初波奈において貝島ほか十四名懇談会、金三万七千五百五十七円、この主催は。
  1178. 鈴木芳衞

    鈴木証人 おそらくその書き方なら、それは普通の書き方とちよつと違います。貝島さんも八月十九日から今年の六月二十六日までですから、そのときに会長でおられない。御承知の通りあの人は大分金持でいられるから、ほかでも大分やつておられることでしよう。しかしこれは鉱業会が金を拂つておりますから、鉱業会の主催を見るほかないんですが、貝島さんが主催者であるかどうかということは、その書き方では私は具体的にはその日のことがうまく記憶に乘つてこないものですから……。だれかたとえば事務総長とかあるいはほかの会長が主催されたのに、そういつて書いてあるのかもしれませんし、ちよつと何とも申しかねます。
  1179. 武藤運十郎

    武藤委員長 八月十九日天華において事務総長扱い、金二万二千五百五十八円、これはやはり事務総長主催ですね。
  1180. 鈴木芳衞

    鈴木証人 そうです。
  1181. 武藤運十郎

    武藤委員長 八月二十四日初波奈において貝島、武内、田代、吉賀氏懇談会、金一万七千百九十四円、これは。
  1182. 鈴木芳衞

    鈴木証人 これはおそらくその書き方では貝島会長が主催ということになりますね。
  1183. 武藤運十郎

    武藤委員長 このときには貝島さんが会長ですね。
  1184. 鈴木芳衞

    鈴木証人 そうです。
  1185. 武藤運十郎

    武藤委員長 八月三十日、副会長吉賀ほか会合し一万五千二百五十九円、これは。
  1186. 鈴木芳衞

    鈴木証人 それは副会長とありますから、副会長はその当時二人おりました。武内副会長か、あるいは円城寺副会長かちよつとわかりかねますが、おそらくそこに吉賀というのが出ておりますから、吉賀というのは武内副会長の秘書ですから、それから判断すればあるいは武内副会長の方がその主催じやなかつたかと思います。
  1187. 武藤運十郎

    武藤委員長 九月九日初波奈において、永田、渡辺、石坂、木下ほか会合し一万五千六百九十二円。
  1188. 鈴木芳衞

    鈴木証人 それは永田さんが主催だと思います。
  1189. 武藤運十郎

    武藤委員長 それから九月二十五日円城寺、永田、河原ほか会合、金一万七百十一円。
  1190. 鈴木芳衞

    鈴木証人 これはおそらく円城寺さんの主催じやないかと思います。つまり出ておつた人の中で一番偉い人が主催という形になるだろうと思います。
  1191. 武藤運十郎

    武藤委員長 十月十五日に会議経費という名前で五万七千五百円。
  1192. 鈴木芳衞

    鈴木証人 これもさつきの承諾金というものと同じで、どう整理されてどうされておるか記憶ございません。
  1193. 武藤運十郎

    武藤委員長 小池章介という人を知つていますか。
  1194. 鈴木芳衞

    鈴木証人 存じません。名前も聞いた覚えはありません。
  1195. 武藤運十郎

    武藤委員長 とにかくこのごろに会長、副会長の主催した会合は相当多いですね。
  1196. 鈴木芳衞

    鈴木証人 そうですね。
  1197. 武藤運十郎

    武藤委員長 なお十月二十日になりまして、二十日の日附で七月十六日から二十日までの諸会合経費として天華拂三十九万二千百六十四円というのがある。これは何です。
  1198. 鈴木芳衞

    鈴木証人 これはおそらく先ほど申した通り、ほとんど平均しまして五つか六つぐらいずつ毎日いろいろの会合がございます。それは会食を伴うものとは限りません。あすこの所で支那料理をやつておりまして、えこでドーナツか何かがつくられる。たとえば役員会などをやつた場合でも、疲れてくるとドーナツか何かをとるとかいうこともありますし、夜遅くまで会議がかかる場合に食事をとることもありますから、そういつたやつを一まとめにして拂つているのではないかと思います。おそらくそれは一本じや絶対にないと思います。
  1199. 武藤運十郎

    武藤委員長 しかし七月十六日から七月二十日までというと、わずか五日間ですよ。三十九万二千百六十四円というと相当多いじやないでか。食事をする場合もあり、しない場合もあると言いますが、相当の食事をしたと思わなければならぬ。
  1200. 鈴木芳衞

    鈴木証人 それはそのことあつたかどうか記憶しませんが、理事会とか何とかがありますと、二十人もおります。そういつた場合を食事を一緒にすると相当の金額になることはちよちよいあります。
  1201. 武藤運十郎

    武藤委員長 それから七月二十四日から八月十一日までの諸会合の経費天華拂十五万円。
  1202. 鈴木芳衞

    鈴木証人 それもおそらく今御説明したような事情のものじやないかと思います。
  1203. 武藤運十郎

    武藤委員長 九月、十月、十一月の会議費、天華拂いとして三十四万五千四百二十六円五十銭というのである。これも相当多い。
  1204. 鈴木芳衞

    鈴木証人 これも今御説明申し上げたと同じような條件下にあるのではないかと思います。
  1205. 武藤運十郎

    武藤委員長 十月二十五日になつて会議用経費天華拂いとして金十二万八千七百四十四円。
  1206. 鈴木芳衞

    鈴木証人 おそらくこれも同樣の事情じやないかと思います。(笑声)
  1207. 武藤運十郎

    武藤委員長 つまりこういうものを合計してみると、ただいま申し上げたものだけでも百四十四万三千二百四十二円というような莫大な金額に上るのです。
  1208. 鈴木芳衞

    鈴木証人 それは申し上げますが、傳票の整理その他がどういう工合になつておるか、正確なことは申せませんが、私の記憶では天華拂いでも毎日平均的に言うなら、通常の場合でも二十万円見当ずつとあつたように思います。先ほど申した会合のいろいろのやつをそのくらい拂つてつたんじやないかと思います。
  1209. 武藤運十郎

    武藤委員長 ですから、今言う期間におけるものは普通よりも多くないというのですか。
  1210. 鈴木芳衞

    鈴木証人 そういう意味じやありません。
  1211. 武藤運十郎

    武藤委員長 多いことは多い。これは実際会合費、会食費に拂つたものでしようね。
  1212. 鈴木芳衞

    鈴木証人 もちろんそうです。
  1213. 武藤運十郎

    武藤委員長 こういう名目を帳簿上とつて、別に金の支出をしたわけではないですか。
  1214. 鈴木芳衞

    鈴木証人 おそらくそうだと思います。会合費ということにして、ほかのものに使つたということはないと思います。
  1215. 武藤運十郎

    武藤委員長 あまりない。ちつともない。
  1216. 鈴木芳衞

    鈴木証人 その辺の傳票の整理になつてくると、私はそこのところまではどうも現実にタツチしないものですから。それは激しい例を申しますと、会合の関係のやつをある時期に整理をする場合には、やつて五日も六日も経つたころ、処理済になつたものを、立つてつて判を押しておるという場合が相当多いものですから。
  1217. 武藤運十郎

    武藤委員長 まあこういうふうに使つておるけれども、それが國管問題に関して使つたものであるかどうかということはわかりませんか。
  1218. 鈴木芳衞

    鈴木証人 わかりませんですね。
  1219. 武藤運十郎

    武藤委員長 多分そうだとは思いませんか。
  1220. 鈴木芳衞

    鈴木証人 今申した通り、たとえば月平均天華でも二十万か二十五万、そういつた金額は毎日あつたと思いますから、特にそのために使つてつたものとは思いませんでした。
  1221. 武藤運十郎

    武藤委員長 そんなうかつなことでは勤まりませんね。
  1222. 鈴木芳衞

    鈴木証人 恐れ入ります。
  1223. 武藤運十郎

    武藤委員長 さつきのは小池章介ですが、あなたの判があるようだ。わかりませんか。
  1224. 鈴木芳衞

    鈴木証人 わかりませんな。
  1225. 武藤運十郎

    武藤委員長 山川良一という人が石炭会館で代議士と会食したことがあると言つておりますが、鉱業会を訪問して会食した代議士はだれかということはおわかりになりませんか。
  1226. 鈴木芳衞

    鈴木証人 私はその事実は承知しております。しかし代議士の方々顔は知りませんし、その席へは私は出ておりませんものですから、どういう方々がおいでになつたかよくわかりません。
  1227. 武藤運十郎

    武藤委員長 一人くらいは。
  1228. 鈴木芳衞

    鈴木証人 ほとんど代議士の方々は顔見知りの方がありませんから、あとから私の方の理事をやつてつた西田隆男さんとかいう方は知つておりますけれども、ほかの方ほとんど顔見知りの方はないものですから。
  1229. 武藤運十郎

    武藤委員長 今度は別の問題ですが、あなたの知つておられる西田隆男さんのことですね。西田隆男から金を借りたやつを返すということで、昨年の六月二十二日に二十万円、六月三十日に三十五万円、七月二十二日に五十万円、九月二十九日に十万円、十月十五日に十万円、十一月十七日に十万円、合計金百三十五万円を返しておるのですけれども、これはどういう借金ですか。
  1230. 鈴木芳衞

    鈴木証人 それは私記憶ございません。
  1231. 武藤運十郎

    武藤委員長 話にも聞いておりませんか。
  1232. 鈴木芳衞

    鈴木証人 はい。もつともこのほかに復興会議両方つてつたわけでありますから、そのとき何かD・D・Tじやなしに、何か買つておかなければならぬのに、鉱業会は金がないというので、そのときは復興会議の席だつたと思いますが、西田銀行に借りて、それをとりあえずやろうじやないかというようなことを、だれか言つておられたことも断片的に記憶がありますですがね。こういう以外にはいまのような具体的なことはどうも記憶がありませんが。
  1233. 武藤運十郎

    武藤委員長 鉱業会はそんなに金がないということは、ちよつと信ぜられないのですが、そうですか。
  1234. 鈴木芳衞

    鈴木証人 いや、金繰りの場合ではあり得ることです。
  1235. 武藤運十郎

    武藤委員長 そこに押してある鈴木という判はだれの判ですか。
  1236. 鈴木芳衞

    鈴木証人 この鈴木は違います。これはぼつちやんと言つておりますが、鈴木伸夫さんという子供の判です。
  1237. 武藤運十郎

    武藤委員長 小さい子供の鈴木ですか。
  1238. 鈴木芳衞

    鈴木証人 そう思いますね。鈴木伸夫という者の判だと思います。私鉱業会に使つておる判は、ここに二つ持つ持つておりますが、それ以外に使つた覚えはありませんから。
  1239. 武藤運十郎

    武藤委員長 川上一男という人を知つておりますか。
  1240. 鈴木芳衞

    鈴木証人 私川上という人は知つていますが、一男がどうかはどうもわかりませんが、もし私の想像する人であるならば、北九州、武内さんの会社ですね。あの出張員に川上という人はあります。
  1241. 武藤運十郎

    武藤委員長 東京出張員に。
  1242. 鈴木芳衞

    鈴木証人 ええ。しかしそれが一男という人かどうかはわかりません。
  1243. 武藤運十郎

    武藤委員長 しかしこういう金を西田氏から借りることもおかしいし、昨年ぼつぼつ返すなら、百万円くらいの金を一遍に返しそうだけれども、二十万円、五十万円、十万円というように返していることは非常におかしいと思うんだが、実際は金を借りたんじやなくて、借入金の返済名義で西田氏に金を渡してやつたのではないですか。
  1244. 鈴木芳衞

    鈴木証人 そうじやないと思います。
  1245. 武藤運十郎

    武藤委員長 特別会費というのは昨年どういうわけでとつたのですか。
  1246. 鈴木芳衞

    鈴木証人 私はその頃会計をやつておりませんから、何とか会費、何とか会費というのは三つも四つもあつたようで、どうもわかりません。金額を言つていただくと大体あれかというのがわかると思いますが。
  1247. 武藤運十郎

    武藤委員長 昨年石炭会館——家を買いましたね。
  1248. 鈴木芳衞

    鈴木証人 買いました。
  1249. 武藤運十郎

    武藤委員長 それはどういうわけで、たれが賣買の衝に当つたのでか。
  1250. 鈴木芳衞

    鈴木証人 あれは一等先に話の出てきておつたのは、私その当時主管者じやありませんが、一昨年の暮頃から話が出ておつたはずです。そうして財團法人——その頃非常に粉らわしい名前ですが、石炭鉱業会というものをつくつて石炭関係のいろいろ團体がありますから、それらの者を入れていく家もそこのところで持つことにしようという議が起つた。ところが手続が相当かかりますから、どうせ寄附を受けてやるとすれば、全炭鉱を主体にしますから、鉱業会と会員がおそらく同じになつてきますから、そこのところで事務を代行してもらうというようなことになつて、その賣買の衝に当られたのは当時の会長と、それから事務総長はどの点までタツチしておつたかよくわかりませんが、聽いた話ですから……。そうしてその頃総務課長をやつておりましたのに大西五十郎というのがあります。これはただいまのところは三菱鉱業に帰つております。そこから出張したものでありますから。それが私の前任者で、賣買契約を結ぶとか、その他のことまで全部やつたということと、それが今の特別会費です。
  1251. 武藤運十郎

    武藤委員長 二千百八十六万八千三百九十一円という莫大な金が集まつておる。
  1252. 鈴木芳衞

    鈴木証人 それはおそらく建物を買うための費用です。
  1253. 武藤運十郎

    武藤委員長 これだけみな拂つたのですか。
  1254. 鈴木芳衞

    鈴木証人 それは私の引継いだときには、会費としてはおよそ三千五百万円集めておると思います。もつともああいう会ですから、買つてもすぐ動きがつきませんから、修繕費その他も見越して、それだけのものを買つて、それからあれを買つておるのが、受継いだときの話ですから、少し数字が違うかもしれませんが、二千二百三十万円くらいですかな、そのくらいの金額で買つております。
  1255. 武藤運十郎

    武藤委員長 一千万円くらいじやなかつたですか。
  1256. 鈴木芳衞

    鈴木証人 そんなことはありません。
  1257. 武藤運十郎

    武藤委員長 賣買の契約書とか何とか、書類はありますか。
  1258. 鈴木芳衞

    鈴木証人 ございます。それもついでをもつて申し上げれば、第一信託へ拂い込んで買つております。つまり明渡しがありますから、買主にすぐすぽつとやるということをやらないで、部屋がだんだんあいてくるに從つて、こつちでもつてよろしいという金額だけずつ本人渡しておるというような仕方でやつております。私はその当時の五月庶務課長になつてからは明渡し專門くらいのところでやつておりました。
  1259. 武藤運十郎

    武藤委員長 会館を買入れた後も引継いでとつているようですけれども、それはどういうわけですか。
  1260. 鈴木芳衞

    鈴木証人 それはおそらく二箇月とか三箇月にわたつて、一時にもらうのは負担を急にかけるというわけで、何箇月間にわたつてとるということになつてつたのではないかと思います。
  1261. 武藤運十郎

    武藤委員長 何かお尋ねになることはありますか。
  1262. 梶川靜雄

    ○梶川委員 ちよつと伺います。あなたのところの鉱業会の取組み銀行はどこになつておりますか。あなたは会計課長をやつておられたからよくわかると思いますが……。
  1263. 鈴木芳衞

    鈴木証人 それはほとんど名義だけです。私の会計課長というのは二月十八日からですから……。
  1264. 梶川靜雄

    ○梶川委員 少しでもやられたら、そうあつちこつちかけまわすことはないと思いますが……。
  1265. 鈴木芳衞

    鈴木証人 私の覚えているのでは、帝國銀行京橋支店、これはたしか取引銀行でありました。その点はむしろここにいる阿部さんに聽いていただくと正確にわかると思います。
  1266. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それから会合のときの費用ですが、これは庶務あるい総務の方で傳票を切つて経理の方に渡すわけですね。
  1267. 鈴木芳衞

    鈴木証人 傳票自身は庶務では切りません。だから妙な会計になつております。
  1268. 梶川靜雄

    ○梶川委員 そこのところを詳しく説明してください。
  1269. 鈴木芳衞

    鈴木証人 傳票自身は皆会計で切ります。
  1270. 梶川靜雄

    ○梶川委員 最後に支拂傳票は切るけれども、会計で切る前は一應経理の方に通すわけですから、経理の方に支拂命令を出す。それは庶務でやるのでしよう。
  1271. 鈴木芳衞

    鈴木証人 そうです。
  1272. 梶川靜雄

    ○梶川委員 そうすると、庶務で命令を受けるのはだれですか。庶務が支拂命令を出す場合に、支拂命令を出せと言う人と、命ぜられる人とがあるわけですね。庶務で支拂命令を出すときの、その命令を出す人はだれかというのです。
  1273. 鈴木芳衞

    鈴木証人 それは庶務課長です。
  1274. 梶川靜雄

    ○梶川委員 そうするとあなたは昨年のあの場合は出されたわけですね。
  1275. 鈴木芳衞

    鈴木証人 その通りです。
  1276. 梶川靜雄

    ○梶川委員 そうすると、あなたはだれから言われてその命令を出されるわけですか。あなたが勝手に命令を出されるわけではない、だれかがあなたに、金田中なら金田中にあれをまわしておけというので、あなたのところで統制して、支拂命令を経理に出すわけでしよう。だからあなたに命令をされる人はだれか、命令をする人、あるいは傳える人でもよろしい。
  1277. 鈴木芳衞

    鈴木証人 それは現実の姿を申しますと、さつきの例で申し上げれば、たとえば会長が主催者と考えられましたね。そういつたときは、私の記憶では、おそらく二三日後になつて、あそこで何名というようなメモが來まして、それが私のところに直接來ることはめずらしいのです。係の者がいろいろおりますが、そこのところでやります。そうするとそれが会長だつたら会長の方からメモが來るから、それですぐと会計の方にまわしてやる場合もありましようし、それから請求書のようなものが來ますとそれをくつつけてやる場合もありましようし、やみ屋なんかの関係もあるから……。
  1278. 梶川靜雄

    ○梶川委員 その支拂請求書なり何なり來ますと、それは裏づけになるわけですね。それであなた、またはあなたの課に会長なら会長の場合に、会長が直接行つてあなたに、これはあそこで会合したから拂つておけとは言わないでしよう。だれか使いに來るでしよう。それはだれですか。
  1279. 鈴木芳衞

    鈴木証人 金田中の例を今あげられたから、金田中の例で申しますと、金田中から取りに來て、そこでもつて金を渡す場合もありましようし、会計の方に傳票がまわつて、用意ができたと通知して來ますね。そうすると係の人がそれをもらつて届ける場合もありますし、いろいろの場合がございます。
  1280. 梶川靜雄

    ○梶川委員 金田中で懇談会をやつたということをあなたの課に言つて來るのは、たとえば会長の場合はだれですか。直接会長が言つて來ないでしよう。
  1281. 鈴木芳衞

    鈴木証人 それは言つて來ません。あの当時はどういつてつたですか……。
  1282. 梶川靜雄

    ○梶川委員 大体人数はきまつておるのですから、たとえば今の場合で申しますと、貝島会長の場合にはだれが來る。円城寺副会長の場合にはだれが來る。武内副会長の場合にはだれが來る。永田事務総長の場合にはだれが來るというふうに、あなたの課では一應顔がわかつておるはずだと思います。
  1283. 鈴木芳衞

    鈴木証人 それは部屋の都合で大抵それらの人は自分の部屋におりまして、人事課と言つたか、祕書課と言つたか、当時のことは正確に記憶はありませんが……。
  1284. 梶川靜雄

    ○梶川委員 祕書課の方で知つていますね。そうすると祕書課からあなたのところにだれかが言つて來るわけですね。
  1285. 鈴木芳衞

    鈴木証人 そうです。
  1286. 梶川靜雄

    ○梶川委員 その人というのはあなたの課では大体わかつておるでしよう。だれが言つて來るのですか。
  1287. 鈴木芳衞

    鈴木証人 祕書課扱いの場合には、人事で祕書のことをやつておりますから人課長ですね。その当時の人事課長は河原茂太郎さんです。そういう場合もありますし、私のところの係の者を呼んで、そこでもつて祕書からもらつて來る場合もありますし、たまには氣まぐれに会長みずからぶらつと來て言う場合もあるようですし、その係を呼んで言う場合もある。私はその当時、それじやとてもこつちは忙しくて事実上見られぬ場合もあつて、職責は勤められぬということを言つたこともあります。
  1288. 梶川靜雄

    ○梶川委員 そういうところで会合をやる場合に電話をかけるなり、あるいはその設営をする等は人事課でやつてつたのですか。
  1289. 鈴木芳衞

    鈴木証人 それは庶務課です。
  1290. 梶川靜雄

    ○梶川委員 そうすると設営の係は、あなたのところの人が電話をかけるなり、前もつて行くなり、一應通知しなければそういうお客さんがある場合には向うでも準備できないわけですが、そうするとあなたのところで設営はやられたわけですか。
  1291. 鈴木芳衞

    鈴木証人 そこでお尋ねの趣旨がはつきりして來ましたが、私自身はそれはわかりません。係がおりまして、その係の者が直接やつております。
  1292. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それが行つて設営をやつてつたわけですね。
  1293. 鈴木芳衞

    鈴木証人 普通はおそらくそういうときには電話で今日は何人行くから頼むよ、よろしゆうございます、場所はとりましたよという場合の方が多かろうと思いますね。
  1294. 梶川靜雄

    ○梶川委員 しかし行つてやる場合もあるでしよう。向うに……。
  1295. 鈴木芳衞

    鈴木証人 行つてやる場合もあります。
  1296. 梶川靜雄

    ○梶川委員 そこで大体こういうものはコツがわかつていなければいかぬのですから、だれかほとんど專門的にかかつておられたと思うのですよ。今度はAの者が電話をかけて交渉する。次はBが電話をかけて交渉するというように、どの料理屋でも電話一本で済むという非常に慣れた人だつたと思うのですよ。そうするとその人はあなたの部下の何という名前の人ですか。
  1297. 鈴木芳衞

    鈴木証人 それは紀野、名前は何と言いましたか……。
  1298. 梶川靜雄

    ○梶川委員 今はどこにおりますか。
  1299. 鈴木芳衞

    鈴木証人 今はやめております。住所を調べなければわからない。何でも中野の方におるはずです。
  1300. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それに聽けば当時の状況はほとんどわかるわけですね。
  1301. 鈴木芳衞

    鈴木証人 それとまだ桑名というのがおりました。それも電話をかけています。そうでなくても大体石炭鉱業会ということでほかの人がかけている場合もありますが、大体は今の紀野と桑名、名前ちよつと記憶がありません。顔はよく覚えておりますが……。あとで調べてみればすぐわかります。
  1302. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それからさつきの阿部違いの阿部という人がおつたのですが、これはどういう仕事をしておる人ですか。
  1303. 鈴木芳衞

    鈴木証人 阿部陽一——それは私が総務課長をやつてつた時代に私の課長代理をやつてつた人です。先ほどちよつと申し上げたように三人おつた。そのうちのものについて少し長たらしいが申し上げた方がわかりやすいと思います。総務課の所管事項は読み上げますと一、会員相互の連絡融和親睦に関する事項、二、総会、総代会、評議員会、理事会、部課長会議に関する事項、三は地域別鉱業会との連絡に関する事項、四が会員の加入脱退に関する事項、そこでちよつと挿みますが、そのうちの一のつまり設営とか何とかいう意味がかりに親睦とすれば、これは純粹庶務の形にはいりますが、そうでない総代会その他の関係の連絡、その意味を含めて一から今まで読み上げました四の間の事項、この方を今の阿部陽一という人にやつてもらつておりました。なおあとありますけれども、今の御質問には関係ないと思います。
  1304. 梶川靜雄

    ○梶川委員 そこで最後に一つお聽きしたい。鉱業会の目的は定款を見なければわかりませんけれども、山川証人の話では大体会員の連絡、懇親あるいはいろいろな問題の檢討研究、技術の向上ということになるのですが、年がら年中そういうぐあいに飲んでいるものですか。
  1305. 鈴木芳衞

    鈴木証人 年がら年中と言われますと、その会合は仲間うちで飯を食う場合もありますし、相当数ありますですね。
  1306. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それではもう一つ聽きますが、あなたが総務課長、庶務課長になつたときに、非常に飲む回数が多いということを感じなかつたのですか。
  1307. 鈴木芳衞

    鈴木証人 感じました。
  1308. 梶川靜雄

    ○梶川委員 その非常に多いなと思つてつたのはいつごろからいつごろまでのように思つたですか。
  1309. 鈴木芳衞

    鈴木証人 それはずつと同じことできたと思つております。
  1310. 梶川靜雄

    ○梶川委員 國管問題が終つてから比較的少くなつたことはありませんか。
  1311. 鈴木芳衞

    鈴木証人 そうは思いませんね。つまり九月二十六日ごろになつてから、閉鎖の仮指定というのが來ております。それからあとこれを整備しておりますが……。
  1312. 梶川靜雄

    ○梶川委員 そこでこれほどずつと年がら年中飲んでおつて、それなのに西田君から借りなければ金がないという理由がどうにもわからない、みんなから会費を集めておきながら、しかも賦課金というのは許可を得なければめんどうだつたという際に、教府が監視しており、司令部の方で賦課金はやかましく言つてつたから……。
  1313. 鈴木芳衞

    鈴木証人 賦課金は十月ごろまでそんなにやかましくなかつた
  1314. 梶川靜雄

    ○梶川委員 十月ごろまでやかましくなかつた、あまり飲み出してからやかましくなつた……。
  1315. 鈴木芳衞

    鈴木証人 そうじやないと思います。政府の方から……。
  1316. 梶川靜雄

    ○梶川委員 政府からやかましく言い出してきたでしよう、賦課金のことを。それまでは賦課金のことをやかましく言わなければ、全國の業者を網羅した業界ですからね、鉱業会ですから、西田君からわざわざ借りる必要はなくて、賦課金を少しづつ増せば、十分に金が集まつて、それの方がより集めやすかつたのじやないですか、さらにまたそんなに飲んでばかりおる鉱業会が、わずかな金に困つて、西田君から借りたということは、どうもおかしい。それはうそじやないですか。常識で考えても、賦課金がやかましくなつたのは十月以降であつて、それ以前に賦課金のやかましくない、いわば何も買う、あれも買うというどさくさの集めやすいときに集めないで借りて、集めにくくなつてからむしろ返済したということは、逆におかしいと思うですよ。
  1317. 鈴木芳衞

    鈴木証人 それは私は金繰りの方のことはよくわかりませんけれども……。
  1318. 梶川靜雄

    ○梶川委員 わからないけれども、あなたの感じがね。
  1319. 鈴木芳衞

    鈴木証人 それはさつき申した通り一時的に……。
  1320. 梶川靜雄

    ○梶川委員 おかしいじやないですか。
  1321. 鈴木芳衞

    鈴木証人 一時的には金繰りの問題で、会費というやつは、次々にこつちから催捉をしてはもらに歩くということをやりますね、そうすると時期的に金繰りの問題でとぎれるようなことは私はあり得ると思うんですがね。
  1322. 梶川靜雄

    ○梶川委員 わかりました。それから一つお伺いしたいのですけれども、大体顔触が会長、副会長と事務総長になつておるわけですが、大体鉱業会は会長、副会長の独裁ですか。どうしようが勝手というようなかつこうですか、あなたが内部で見られた感じですね。——ほかのところに勤められた経驗はずいぶんおありでしよう。
  1323. 鈴木芳衞

    鈴木証人 もつております。
  1324. 梶川靜雄

    ○梶川委員 ほかのところと比べてみて、もちろんこういう荒い商賣の業者集まつておる会合ですから、しかも懇親というような名義も含んでおるが、それは相当荒いだろうと思いますけれども、しかしそれだけにあとの会計檢査というようなものは、一應みんな承知するせぬと別として、おそらく承知するだろうけれども、綿密な報告をされるわけでしよう、定期にね。そこでそういう場合にこんな独裁的なものがあるということは通るのですか。非常にほかのところから見て、独裁的だと思いませんか。個人の営業店ではないのですから……。
  1325. 鈴木芳衞

    鈴木証人 私はほかの経驗では多いと思いましたが、私の感じでは。そういうもし独裁——というといろいろ意味がありますが、日常業務については、やはり会長、副会長が全面的に業務を見ておられる人だし、事務総長などは、特にやつておられたように思います。
  1326. 武藤運十郎

    武藤委員長 ほかにございませんか。——証人に最後に一点お聽きしたい。今梶護委員から伺つた桑名、紀野という諸君はその会合の場所にも行つておりますか。
  1327. 鈴木芳衞

    鈴木証人 たまに行つておることもあります。今の具体的におあげになつたやつには行つておりませんが、行つておる場合もあります。
  1328. 武藤運十郎

    武藤委員長 ほかにたいがい会合には祕書みたいなものが行つてこまごませわをする人がいるのですが、そういう職員か何かかあなたの所は行つていない。
  1329. 鈴木芳衞

    鈴木証人 あまりやりませんですね。ただ、今の紀野君とか、桑名君が行つてくれた場合もあります。私自身も行つたこともあります。今の具体的の場合には行つておりません。何か祕書とか何とかいうものをずつと連れていくことが常態ではないように思います。そつちの方がむしろ少いように思います。
  1330. 武藤運十郎

    武藤委員長 紀野さん、桑名さんの住所氏名がわかりますか。
  1331. 鈴木芳衞

    鈴木証人 調べればわかります。
  1332. 武藤運十郎

    武藤委員長 やつかいでも調べて、二十四日までにお出し願いたいと思います。
  1333. 鈴木芳衞

    鈴木証人 承知いたしました。
  1334. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは済みましたけれども、圓城寺さんにひとつ伺いますから、ちよつとうしろでお待ちを願います。     —————————————
  1335. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは伺いますが、あなたは古河鉱業の專務取締役でしたか。
  1336. 円城寺松一

    円城寺証人 そうです。
  1337. 武藤運十郎

    武藤委員長 前に日本石炭鉱業会の副会長をしておられましたか。
  1338. 円城寺松一

    円城寺証人 そうです。
  1339. 武藤運十郎

    武藤委員長 いつからいつまでですか。
  1340. 円城寺松一

    円城寺証人 昨年の八月十九日から今年の三月に解組いたします終末までやりました。
  1341. 武藤運十郎

    武藤委員長 昨年石炭鉱業会がいわゆる石炭國管案反対運動をしておるようですけれども、副会長として当時の模樣を話してもらいたいと思います。
  1342. 円城寺松一

    円城寺証人 炭鉱國管の問題が起りましたのは、私よく覚えておりませんが、昨年われわれが炭價があのままでは炭鉱の赤字が出てしようがないから、これを変更しなければならぬということを協議するために、業者が上京しておりました。ちようどそれは五、六月のころと思いますが、その時分にたまたま國管案の問題が國会に上程される運命にあるのだということを耳に挾みまして、その後石炭廳、すなわち商工省案と申しまする草案が手にはいりまして、これでは現段階においては國家の要請に副うような増産はできないのだということで、当時私は副会長ではなかつたのでありますが、そういう意図をもちまして、数人の人が品川の商工大臣官邸におきまして、当時の安本長官和田さん、商工大臣の水谷さん、そのほかの人は、私は行きませんから知りませんが、そのときに行つて、政府の氣持を打診いたしました結果、そういう意図がある。しかも原案においては経営権の棚上である。これが問答の結果、安本長官の口からはつきりされたのであります。それからわれわれ業者は、これがそのまま実施されるにおいては、目下緊急に要請されまする石炭増産を阻害するという考えからいたしまして、引続き反対運動をいたしました。運動方法といたしましては、これは前の証人も触れたことと思いますが、石炭鉱業会には業者の意思を決定いたしまする理事会というものがございまして、これにかけまして、業者の意図をまとめ、そうしてこの案が上程されないようにわれわれは運動したのであります。なお運動のこまかいことにつきましては、当時のことは詳しくは存じませんが、何か御疑問がございましたら、一々御回答申し上げます。
  1343. 武藤運十郎

    武藤委員長 鉱業会ではそれでは反対運動をしようという決議を、理事会でして、始めた仕事ですか。
  1344. 円城寺松一

    円城寺証人 そうです。
  1345. 武藤運十郎

    武藤委員長 費用などはどういうふうにして‥‥。
  1346. 円城寺松一

    円城寺証人 その当時われわれは費用のかかることは一向に考えておりません。そういうことで順次進めまして、八月十九日、すなわち私が副会長に就任いたしまするそのときに、総代会を開催し、理事会は最高機関ではございますが、総意を確かめるためには、さらに総代会というものをもつ必要がありまして、ちようど会長が不任で、会長、副会長を選任しなければならぬことがございまして、八月十九日に総代会を開催いたしました。それまでの理事会として話し合いましたことを、総代会におい確認をいたしまして、これは業者としては絶対に反対すべきことであるということで、引続きその総意に基いて運動いたしたのであります。
  1347. 武藤運十郎

    武藤委員長 それはよくわかりました。反対運動をするという決定をしたことはよくわかりますけれども、費用の点はどういうようにするという‥‥。
  1348. 円城寺松一

    円城寺証人 費用の点は從來地方から上京する人は総代会その他全部自弁でございましたし、われわれは東京におきまして、別に費用を出す必要もございませんので、費用が議題に上つたことは一回もございません。
  1349. 武藤運十郎

    武藤委員長 問題にしなかつたわけですね。
  1350. 円城寺松一

    円城寺証人 問題にしなかつたわけです。
  1351. 武藤運十郎

    武藤委員長 臨時負担金というのは何ですか。
  1352. 円城寺松一

    円城寺証人 臨時負担金というのは私就任前に徴收されたものでありますが、おそらくそれは今の石炭会館を買收するために特別に集めた金だと思います。
  1353. 武藤運十郎

    武藤委員長 石炭会館を買收するためのは、特別会費というのじやないですか。
  1354. 円城寺松一

    円城寺証人 臨時負担金と特別会費と二つあるようでございますね。一つが今申し上げましたどつちかはつきり存じませんが。
  1355. 武藤運十郎

    武藤委員長 特別会費というのがどうも家の方のようですね。
  1356. 円城寺松一

    円城寺証人 特別会費がそつちですか。二つあつた一つが家の方でございます。一つは從來経費が足りないから徴收しよう、前年度から赤字続きであるから、あの時分の炭價を標準にして会費を徴收しておりましたから、炭價の何%ということではインフレの進行しております際に経費を賄うに足りなくなりますので、それを賄うために集めた金だと思います。
  1357. 武藤運十郎

    武藤委員長 反対運動運動資金というわけではないのですね。
  1358. 円城寺松一

    円城寺証人 反対運動の意味ではございません。
  1359. 武藤運十郎

    武藤委員長 帳簿を見ますと、交際費とか、会議費とか、交通費とかいうような項目で大分金で出ておる。百四十四万円何がしというものが出ておるけれども、これは國管反対のための会合をしたものですか。
  1360. 円城寺松一

    円城寺証人 國管反対の会合のための費用はないはずです。ただ会議費の中には集まりましてお茶を飲み菓子を食いした程度はございましたけれども、それによつて國管運動費用に充当したのじやありません。ということは今会議費として支出しますものは、これは鉱業会の運営に必要な費用でございまして、今申し上げますように理事会を開き、あるいは総代会を開きまして、業者の総意を集めるための通常の運営の費用でございます。
  1361. 武藤運十郎

    武藤委員長 それではこまかく聽きますが、昨年の五月三十一日の金田中で会長と代議士会合費として四万三千五百六十五円、これは何の会合です。
  1362. 円城寺松一

    円城寺証人 それは私の関係する前の支出でございまして、私はまつたく與かり知りません。
  1363. 武藤運十郎

    武藤委員長 それではあなたが関係されてからのことを伺いましよう。八月十九日、これはあなたが就任された日ですか。
  1364. 円城寺松一

    円城寺証人 八月十九日は就任の当日でございます。
  1365. 武藤運十郎

    武藤委員長 天華において事務総長扱金二万五千五百五十八円という会合費ですね。
  1366. 円城寺松一

    円城寺証人 それはその日の会合費かも知れませんが、私には記憶ございません。総代会当日の費用じやないかと思います。
  1367. 武藤運十郎

    武藤委員長 同月二十四日、初波奈において貝島、武内、田代、吉賀氏懇談会金一万七千百九十四円、これはだれが主催してどういう会合ですか。
  1368. 円城寺松一

    円城寺証人 それは私も出ておりましたか。
  1369. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたが出ておられるかどうかは、この傳票の面ではわかりませんが、とにかくただいま申し上げただけは間違いなく出ておるようですね。
  1370. 円城寺松一

    円城寺証人 それは私想像で申し上げますが、貝島さんが私が副会長となる同じ日に会長になられて、前会長の田代さんを呼んで引継をしたときの金だと思います。当時のことを申し上げますと、私は昨年の一月に初めて東京に出てまいりまして、東京の事情はよくわからぬのでありますが、九州で貝島さんと懇意にしておりましたので、貝島さんが会長に就任するについては自分ではやり切れぬからお前副会長になつてくれ。これは私にも武内にも二人に無理に言われまして、私は副会長に就任したわけでございます。それが確定いたしまして、前会長との事務引継だと私思います。
  1371. 武藤運十郎

    武藤委員長 なおそれでは越して八月三十日副会長吉賀氏ほか会合費一万五千二百五十九円、これは何ですか。
  1372. 円城寺松一

    円城寺証人 これは一應武内君の祕書をしておるのが吉賀でありますから、その副会長というのは武内を指しておると思いますが、私存じません。
  1373. 武藤運十郎

    武藤委員長 その次は九月九日で、初波奈において永田、渡辺、石坂、木下ほか会合資金一万五千六百六十九円、これは。
  1374. 円城寺松一

    円城寺証人 それは永田が事務的にやつたことで、私にはわかりません。
  1375. 武藤運十郎

    武藤委員長 事務的にやつたことというのはどういうのですか。
  1376. 円城寺松一

    円城寺証人 副会長に断つてやると度のものではなくて、事務的にやつたものと心得ますので、私は当時聞いておりません。よくわかりません。
  1377. 武藤運十郎

    武藤委員長 九月二十五日、円城寺、永田、河原ほか会合金一万七百十一円、これは。
  1378. 円城寺松一

    円城寺証人 それは私は実は專務をしながら、しかも会長貝島さんはほとんど顔でなつておりますので、仕事を見ません。武内は九州におつて見ません。ほとんど晝間に仕事を処理してしまうという能力と時間がございませんので、仕事をもつてつてあすこで夜更しをして仕事をすることが数回あつたので、それだと思います。
  1379. 武藤運十郎

    武藤委員長 十月十五日、会議経費程して五万七千五百円、これはちよつと多いですね。
  1380. 円城寺松一

    円城寺証人 ちよつと記憶がないのです。
  1381. 武藤運十郎

    武藤委員長 それから九月、十月、十一月中会議費天華拂いとして三十四万五千四百二十六円とある。これは何だかわかりませんか。
  1382. 円城寺松一

    円城寺証人 企それはいろいろ集まつたものと思いますので、内容ははつきりわかりませんが、可なり会会をその当時しておりましたので、会議費だと想像いたします。
  1383. 武藤運十郎

    武藤委員長 さつき申しましたように、あなたの就任される前、五月ごろからのものを勘定してみると、百四十四万何がしになるが、この中には一つも石炭國管問題についての会合というものはないということになるのですが……。
  1384. 円城寺松一

    円城寺証人 会合は今申し上げましたように、理事会を開いたり、総代会を開いたりする費用はありますが、それ以外の費用はないと申し上げました。
  1385. 武藤運十郎

    武藤委員長 会食費というようなものはない……。
  1386. 円城寺松一

    円城寺証人 ございません。それで実は御想像くださると思いますが、今の金で一万円やそこらの金を一々副会長に言うて、支出をして、副会長がこれを記憶してやるというほどのことは実際事務の処理上できませんので、大きなある方針でどういう金を出すのだというようなことは、副会長として相談も受けますし、認可もいたしますが、ごく小さなものにつきましてお尋ねいただいても、一々それに対する明答ができないことを遺憾に思いますが、総括いたしまして國管反対のための運動費用として支出したものではないと確信しております。
  1387. 武藤運十郎

    武藤委員長 私の方でもはなはだ遺憾なんだが、今阿部さんとか、鈴木さんとか、総務課長、庶務課長という地位にある者に伺つてもやはりわからない。自分たちは機械的な記帳をしているのにすぎないから、わからぬ。こう言つている。ところで上の方のあなたに聽くと一万円、二万円、三万円というはんぱなものはわからぬと言う。それでは一体だれに聽けばわかるのですか。
  1388. 円城寺松一

    円城寺証人 全國的には東京の事務総長の永田がやつておりました。しかし永田といえども一々言われてもそれはこれだというように記録していない限りは、御返事できないだろうと思います。
  1389. 武藤運十郎

    武藤委員長 永田彦太郎ですね。
  1390. 円城寺松一

    円城寺証人 はい、しかし永田君といえども、当時は覚えておつても今どうかと言われては、特にノートしていない限りはおそらくわからぬだろうと思います。
  1391. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると、わかる者はないということになりますか。一年ばかり前のことであつて、相当大きい機械をもつているところでわかる者はないということになるのですか。金銭の支出は……。
  1392. 円城寺松一

    円城寺証人 当時はわかりましても、今お尋ね願つて一々明快なる回答ができるかどうか、あるいはできるかもわかりませんが、なかなかむずかしいだろうと思います。
  1393. 武藤運十郎

    武藤委員長 山川良一氏が出て來られて、石炭会館で代議士と会合して会食したことがあるという趣旨のことを申しておりますが、來らてた代議士はだれだれですか。
  1394. 円城寺松一

    円城寺証人 私は代議士のお名前と顔を——先ほど申し上げましたように、昨年田舎から出てきたばかりで顔は知りませんが、自由党その他の党の方で、個人の顔も名前も実は知らぬのであります。
  1395. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたはその場合立ち会われましたか。
  1396. 円城寺松一

    円城寺証人 おるときもありましたし、いないこともありました。
  1397. 武藤運十郎

    武藤委員長 幾人くらい來られましたか。
  1398. 円城寺松一

    円城寺証人 十四、五人くらいでしよう。
  1399. 武藤運十郎

    武藤委員長 直接会つて名刺を交換したとか挨拶をしたという人はありませんか。
  1400. 円城寺松一

    円城寺証人 私はございません。
  1401. 武藤運十郎

    武藤委員長 全然ないですか。
  1402. 円城寺松一

    円城寺証人 ありません。
  1403. 武藤運十郎

    武藤委員長 遠くの方から見ておつただけですか。
  1404. 円城寺松一

    円城寺証人 遠くから、定めの席に着いて、私は主として國管を理論的に今やるべきでないということを説明いたしましたので、実は前からおる人は代議士諸公を御存じかも知れませんが、私はいまだに知らない人ばかりでございます。
  1405. 武藤運十郎

    武藤委員長 一人もいないということはないでしよう。
  1406. 円城寺松一

    円城寺証人 石炭会館に來た人は一人も知りません。
  1407. 武藤運十郎

    武藤委員長 今にして思えばたれたれであつたということはわかりませんか。
  1408. 円城寺松一

    円城寺証人 今にして思えばその後もこつちへ來て各党に反審の陳情をいたしましたので、あの人があのときおつたというくらいのことは覚えておりますが、名前はよく存じません。この間檢察廳に呼ばれたときも、お前が知らぬはずはないではないかというお話でしたが、私、知らぬ人ばかりです。しかし石炭会館に來られた人はそうでありますが、一切合財知らぬとは申しません。準備運動しておるうちにあの人はどういう人だくらいのことで知つた人はありますが、懇意な人は一人もありません。
  1409. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは伺いますが、石炭國管案反対についてあなた方の陳情を受け、且つこれに共鳴された代議士はたれたれですか、名前を言つてください。
  1410. 円城寺松一

    円城寺証人 われわれに共鳴されたのは、やはり自由党の代議士の諸君だろうと思います。
  1411. 武藤運十郎

  1412. 円城寺松一

    円城寺証人 私は実はここに來て各党の控室で説明をいたしましたので、名前はここへ來て再三会うようになつて——再三といつて数回ですが、あの人が星島だとか、あの人が植原だという程度の知り方です。
  1413. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでよろしいのです。それから……。
  1414. 円城寺松一

    円城寺証人 それから三首党に陳情いたしましたから、現首相の芦田さん、それから当時の首相片山さん、顔を知つておるのはそうですが、その後こういう所へ來て顔を覚えましたのは社会党では加藤勘十さん、これはここに來ます前に九段下の石炭という雜誌をやつておりまする久保山君がぜひ社会党の加藤さんと対談してくれ、雜誌の記事にするからということで、前にお目にかかつておりましたからここへ來まして、社会党でもあの人はたれだとわかつたのは加藤勘十一人です。
  1415. 武藤運十郎

    武藤委員長 それから。
  1416. 円城寺松一

    円城寺証人 そのほかはあまり知つた人はございません。
  1417. 武藤運十郎

    武藤委員長 今度は別の問題について、西田隆男君を知つていますね。
  1418. 円城寺松一

    円城寺証人 知つています。
  1419. 武藤運十郎

    武藤委員長 この人から前に金を借りておつて、昨年返済をしたという事実がございますか。
  1420. 円城寺松一

    円城寺証人 私はその事実は知りませんけれども、西田君から協会が金を借りておるというのはちらつと耳にはさんだことがあります。
  1421. 武藤運十郎

    武藤委員長 それをいつごろ何のために借りたのですか。
  1422. 円城寺松一

    円城寺証人 それは私は存じません。
  1423. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたの就任される前からぽつぽつ返し始めて、つまり六月二十二日に二十万円、六月三十日に三十五万円、七月二十二日に金五十万円、あなたが就任されてから、九月二十九日に十万円、十月十五日に十万円、十一月十七日に十万円、以上合計金百三十五万円を、借入金の返済という名目で返しておる。返すときにあなたは知つておられるでしよう。
  1424. 円城寺松一

    円城寺証人 知つております。
  1425. 武藤運十郎

    武藤委員長 どういう性質の金であるかということも知つておられるでしよう。
  1426. 円城寺松一

    円城寺証人 それは私の関係しないことでありますが、鉱業会の経費が足りないでずいぶん苦しんできておりますので、西田君から借りて、私が就任当時その借金の最後の部分がいくらか残つておりましたので、その借金があるということを私は承知しております。
  1427. 武藤運十郎

    武藤委員長 鉱業会がそう金が足りなくて、金を借りるというような状態ですか。
  1428. 円城寺松一

    円城寺証人 現在は俸給さえ拂えません。
  1429. 武藤運十郎

    武藤委員長 いや、あのころです。
  1430. 円城寺松一

    円城寺証人 あのころでもそうです。
  1431. 武藤運十郎

    武藤委員長 これは借入金名義で形式はそうであるけれども、西田君に金を渡したのではないのですか。
  1432. 円城寺松一

    円城寺証人 そんなことはありません。これは自分で関係しませんけれども、そういうことは絶対にあり得ないことです。それから私就任するにつきまして、借金の残りがあることも聞いておりますので、借金でないものを借金だとして返したことは絶対にないと思います。
  1433. 武藤運十郎

    武藤委員長 何かお尋ねになることがございますか。
  1434. 梶川靜雄

    ○梶川委員 あなたたちの鉱業会が國管案反対されたということは、あなたの話でよくわかつたのですが、配炭公團の方はどういう態度をとつておられたのですか。これも反対しておつたのですか。
  1435. 円城寺松一

    円城寺証人 配炭公團の方は私たちの反対運動には全然参加もしませんし、それから連絡をとろうという態度を見せたことはないと思います。
  1436. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それじや配炭公團國管案には反対も賛成もしておらない。
  1437. 円城寺松一

    円城寺証人 私はそう承知しております。
  1438. 梶川靜雄

    ○梶川委員 配炭公團理事の八代さんという人は、あなたはよく知つておるでしよう。
  1439. 円城寺松一

    円城寺証人 知つております。
  1440. 梶川靜雄

    ○梶川委員 よく知つておれば、やはり八代という人が反対であつたかどうかということはわかるでしよう。
  1441. 円城寺松一

    円城寺証人 それはわかりません。
  1442. 梶川靜雄

    ○梶川委員 しかし同じ業界で生産者と配給部門ですが、やはり会えば國管案について、当時の大問題ですから、彼の方も聽くでしようし、あなたの方も意見を述べる。そうすればあなたに対して何らかの話があつたと思うが、どうですか。
  1443. 円城寺松一

    円城寺証人 ほとんど会うことはありません。私が知つておると申しますのは、八代君が北九州石炭の総務部長をしておりましたから、私が九州に在勤しておつた関係で知つておると申し上げるので、國管当時彼と往復して國管問題について議論したことは一回もありません。
  1444. 梶川靜雄

    ○梶川委員 ないと言われればそれまででありますが、それでは話を生産方面に変えまして、あの東部、西部というふうにあつたわけでありますが、東部の方の会長をやつておられた常磐の大貫さんというのはよく御存じですね。
  1445. 円城寺松一

    円城寺証人 よく知つております。
  1446. 梶川靜雄

    ○梶川委員 その下に、もと常磐におられた松本さんというのはよく御存じでしよう。
  1447. 円城寺松一

    円城寺証人 業者の松本榮一という人、知つております。
  1448. 梶川靜雄

    ○梶川委員 これは相当業界では俊才としてあなたたちも目をかけたでしよう。
  1449. 円城寺松一

    円城寺証人 それは炭鉱の経営者にも大中小の差がありまして、大手と中小とは多少思想、感情の違いがあるのです。しかし松本君は教養のある人であり、小炭鉱でありながら理論も立つししますから、今日も全國管理委員会にはぜひあの人に出てもらいたいというくらいで、出てもらつておりますから、よく知つております。
  1450. 梶川靜雄

    ○梶川委員 そうしますと、東部石炭鉱業会、これの会長は大貫さんで、松本さんは役員の理事か何かやつてつたわけですか。
  1451. 円城寺松一

    円城寺証人 むろんやつてつたでしよう。
  1452. 梶川靜雄

    ○梶川委員 だから松本さんのそれだけの英才をもつておれば、大貫さんとの関係も、もと常磐におつたという関係もあり、あとで独立されて隅田川鉱業ですか、そうすると、松本さんというのはいわば大貫さんの懐ろ刀というような形になつてつたんじやないですか。
  1453. 円城寺松一

    円城寺証人 その点はよく存じませんが、常磐におられたことも私は知らないので、実は今松本さんがやつております隅田川というのは、私の会社の好間炭鉱の鉱区を一部わけてやつて、あのお父さんが個人経営をいたしましてああいうふうになつておりますので、常磐との関係はよく知りませんが、しかし相当大貫さんが重用したということはあると思います。
  1454. 梶川靜雄

    ○梶川委員 そこで松本さんは、あなたも先ほど言われたように、中小業界切つての英才であり、教養もあり、一高、東大を出ておられますから、從つて業界あげて反対した炭鉱國管のときには、当然松本さんが相当活躍したというか、反対の強硬論者であつたということは言えるですね。
  1455. 円城寺松一

    円城寺証人 それは地方においてはどうか知りませんが、中央におきましてはむしろわれわれの方が急先鋒でありまして、あの人も、おつしやる通りの人ではありますが、中央において先頭を切つたという形はない。
  1456. 梶川靜雄

    ○梶川委員 中央においては先頑を切らないけれども、常磐を大体区域とする東部石炭鉱業会において相当頑張つたということは言えるですね。全國的な組織でなくて、常磐を單位とする東部鉱業会において頭張つたということはあるでしよう。
  1457. 円城寺松一

    円城寺証人 それはあり得るかもしれませんけれども、私に聽かれるよりも、この間大貫君をお喚びになつておりますから、そのときお聽きくださればわかつたと思いますが、常磐の方を申し上げれば想像で申し上げるよりほか仕方がない。それは御承知の通りの人格の方です。
  1458. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それで常磐の方から賦課金をとつて、その賦課金をあなたの方に出したということは間違いないでしよう。
  1459. 円城寺松一

    円城寺証人 私の方で常磐炭から賦課金をこの國管問題についてですか。
  1460. 梶川靜雄

    ○梶川委員 いや、國管問題ではなく、さつき否定されておりましたけれども、鈴木さんあたりが活躍されるにあたつてその費用として何がしかをあなたに取次がれたということは事実ですね。
  1461. 円城寺松一

    円城寺証人 費用を向うから私にくれたというのですか。
  1462. 梶川靜雄

    ○梶川委員 松本さんがあなたに持つてきたということは……。
  1463. 円城寺松一

    円城寺証人 そんな事実は全然ありません。
  1464. 梶川靜雄

    ○梶川委員 知らないですか。
  1465. 円城寺松一

    円城寺証人 知らないんじやない。ないんです。
  1466. 梶川靜雄

    ○梶川委員 東部の問題はそれで打切りますが、あなたは先ほど代議士では星島、植原というようなのを知つていると言われたのですが、田中萬逸さんをよく御存じでしよう。
  1467. 円城寺松一

    円城寺証人 いや、私は田中萬逸さんとは、ここへ説明にきましたときに、大勢副議長室におりましたときに、よろしく願いますと言つて、人なかをかきわけて名刺を置いてきただけです。よく知つているということはありません。
  1468. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それでは東舜英君というのはよく知つておられるでしよう。
  1469. 円城寺松一

    円城寺証人 東舜英というのはどういう人ですか。
  1470. 梶川靜雄

    ○梶川委員 もと民主党におられた、田中さんと眤懇な人です。
  1471. 円城寺松一

    円城寺証人 知りません。
  1472. 梶川靜雄

    ○梶川委員 ほんとうに知らないのですか。
  1473. 円城寺松一

    円城寺証人 ほんとうに知らない。
  1474. 武藤運十郎

    武藤委員長 ほかにございませんか。——それでは済みました。御苦労さまでした。  明日は正午より理事会を開きます。本日はこれにて散会いたします。     午後七時五十一分散会