運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1948-08-26 第2回国会 衆議院 不当財産取引調査特別委員会 第51号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年八月二十六日(木曜日)     午後一時三十九分開議  出席委員    委員長 武藤運十郎君    理事 鍛冶 良作君 理事 田中 角榮君    理事 辻  寛一君 理事 梶川 靜雄君    理事 荊木 一久君 理事 石田 一松君    理事 中野 四郎君       尾崎 末吉君    明禮輝三郎君       渡邊 良夫君    足立 梅市君       前田 種男君    小野  孝君       田中 健吉君    中村元治郎君  委員外出席者         兵器処理委員会         に関する問題に         ついて出頭した         証人      三島 宗治君                 鈴木  宏君                 丸谷諄太郎君                 山縣 義夫君                 阿部五郎君                 都築 伊七君     ————————————— 本日の会議に付した事件  兵器処理委員会に関する問題     —————————————
  2. 武藤運十郎

    武藤委員長 これより会議を開きます。  本日御出頭になりました証人三島宗治君、鈴木宏君、丸谷諄太郎君、山縣義夫君、阿部五郎君、都築伊七君の六名であります。  それでは本委員会において目下調査中の兵器処理問題につきまして証言を求めるわけであります。  証言を求める前に各証人に一言申し上げます。昨年十二月二十三日公布になりました昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことになつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、一般の人については、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処置を招くおそれのある事項あるいはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するときに限られ、医師歯科医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者については、その職務上知つた事実であつて黙祕すべきものについて尋問を受けたときに限られております。右以外には何人も宣誓または証言を拒むことができないことになつておるのであります。なお証人が正当の理由なくして宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一應このことを御承知になつていただきたいと思います。では法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。お手許に差上げてある宣誓書を朗読の上署名捺印願います。     〔証人三島宗治君各証人を代表して宣誓〕     〔各証人宣誓書署名捺印
  3. 武藤運十郎

    武藤委員長 では先ほど読みました三島さん、鈴木さん、丸谷さん、山縣さん、阿部さん、都築さん、こういう順序で伺いますから、三島さん以外の方はしばらく先ほどの部屋でお待ちを願いたいと存じます。  三島さんに伺いますが、あなたは神戸制鋼兵器処理部長をしておられますか。
  4. 三島宗治

    三島證人 兵器処理部長をただいまもいたしておりますが、ただいま兵器処理部という名前特別整理部としておりまして、事実兵器処理部長のままで今も勤務いたしております。
  5. 武藤運十郎

    武藤委員長 つまり兵器処理委員会が解散になつたのでそれを引継いでおられるわけですか。
  6. 三島宗治

    三島證人 いや、それは大体私の方の仕事が済みましたので事業段階をつけて縮小をしてまいりましたので、それで蚕の蛹が蛾になつたようにそういう名前をつけたのであります。
  7. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは明禮君質問をしてください。
  8. 明禮輝三郎

    明禮委員 兵器処理部におきまする処理部組織作業所の設置、從業員の配置等についての機構を一應述べていただきます。
  9. 三島宗治

    三島證人 私の方はこの仕事を早く完成しなくてはならないということを各官廳からも、また会社の上司からも命を受けまして、それで昭和二十一年の春からは兵器処理部というものをつくりました。それは全然独立の機構といたしまして、私は工場長でない、工場関係のない大阪事務所長のままで兵器処理部長を兼ねた次第であります。その機構としましては何さま終戰後世情の昏迷の際でございますので、これは普通の方法ではいかないだろう、最も國家收益をあげるということから言えば一つ一つ人を少くして一箇所々々々の各個撃破主義でいくのが一番收益が多いが、それでは損の方の側も多いから、それで各府縣一つ班を設けるということを考えたわけでありますが、その班も一縣一つと申しますと私の方は十二、三の班を設けなくてはならぬ、そうすれば班長が十二、三人要ることになりますので人事配置上二府縣をもつて一班といたしました。そうしておきますれば一縣にある資材が足らぬと言つても一縣では余るかもわからぬし、片一方が済めば片一方に移動ができるというようにして、班長に普通の時代よりももつと大きな権限を與えまして機動力を発揮するごとく組織をいたしました。その組織につきましては組織表がありますが、多分お手もとに差上げておることと存じます。またもしお手もと行つておらぬようでございますればここで申し上げてもよろしうございますが、どういたしましようか。     〔委員長退席鍛冶委員長代理着席
  10. 明禮輝三郎

    明禮委員 よろしいです。詳しいことは順次お尋ねをしている間にわかると思いますから……。関係縣廳から廃兵器受領拂下先選択拂下方法、この三つの状況を簡單に話していただきます。
  11. 三島宗治

    三島證人 まず拂下順序について申し上げます。拂下順序は、世間でリストということが言われておりますが、このリストというものが、われわれは実は見たことがないので多分あるであろうとは存じますが、縣から要するに指令書とか、どこに何があるからというようなことを書いたものを示されまして、それで受領をすることになつてつたのでありますが、それが必ずしも今度われわれが公團に渡したような精密な方法指令が出ておらぬものでありますから、増減がありますので、現地を縣と立会いの上で詳細に調べ、その調べた上で指令書をもらう、あるいはそれでも増減があれば、なお受取をその時々によりましてまとめて、縣の指令もわれわれの受領書も合うようにそれぞれ手続をしてとつておりますが、それが各府縣によりまして、かなり精密な指令のあつた所もあるし、またそれほど精密でなかつた所もありますが、これが大体仕事の性質上、航空機の半分燒けたのが何トンあるかというようなことは、わかるものではありませんし、また鉄の、われわれの扱いましたものは特殊品と異つて商品ではないのでありまして、あるいは特に固いとか、加工の半途であるとかいうものが、兵器処理でいわゆる処理をした品物でございますので、それぞれの状況によりまして、たとえば廃機体でありましたならば、切つてから、あるいは積み出すとき、あるいは大体平均の重量によらねばならなかつたものもありますが、いずれも專門家でありますし、また長年そういうものを取扱つた者がやつておりましたので、ただいま引継いだ受拂い重量等もそう大きな数字の差が出ておらぬ、千六、七百トンくらい増になつておると思つておりますが、そういうような結果を收めた次第であります。  次は拂下が、初めのうちは拂下を受けに來る者がありませんので、日鉄さんも私の方も新聞廣告を出して、こういうものがあるから各班々及び本部に申し込めというようなことをした時代もあつたのであります。それが昭和二十一年の秋ごろから進駐軍設営工事とか、あるいは工場立上り等で申込みが多くなつたので、最初のうちは賣るのに、縣に相談するとか、あるいは地方組合に相談するとか、また轉活についてはそれじれの專門家に鑑定を乞うとか、会社それぞれにおいて相当苦労をした次第でございます。それで第一番の受渡しとそれから轉活の内容を申し上げたのですが、もう一つ何か項目があつたと思いますが。
  12. 明禮輝三郎

  13. 三島宗治

    三島證人 拂下先工場経歴書というものを出しまして、第一は食糧、第二は石炭、第三は運輸交通、第四は一般復興という今の四段階商工省で定められまして、その順序によつて工場の大体三月分をあまり超えざることを目安にして、工場経歴書その他そろえて商工局に出してそれぞれ拂下を進めてまいりました。
  14. 明禮輝三郎

    明禮委員 拂下方法がまだ述べられませんでした。
  15. 三島宗治

    三島證人 拂下方法はただいま申しましたような順序拂下をきめまして、また非常に量の多いものは特別協議会中央に設けられておりましたので、それに手続をいたしまして、なるべく現地渡しという方法をとつて拂下方法を講じてまいりました。
  16. 明禮輝三郎

    明禮委員 廃兵器受領ですが、この受領には現地調査立ち会うというようなことを言われましたが、その立ち会うのはどういう人が立ち会つて廃兵器受取つたのか。その数量はどういうふうにして府縣廳の方で受領をされたか。その数量の点檢はどういうようなやり方でありますか、その点を述べてください。
  17. 三島宗治

    三島證人 この立会人と申しますのは各班々で班長責任をもつて立会をいたします。それから数量の点檢の方法看貫のある所は看貫、また箇数のものは箇数を数えますし、また廃機体の、先ほど申しました半分燒けておりますものとか、あるいは全然燒けて計量の方法のない、一定場所に集めて馬車あるいは自動車に積むとかいうときに、それぞれ重量を出して受渡しを進めました。
  18. 明禮輝三郎

    明禮委員 班長というのはあなたの方の兵器処理部班長のことですか。
  19. 三島宗治

    三島證人 さようでございます。
  20. 明禮輝三郎

    明禮委員 そうしますと、この廃兵器受領については班長立ち会つただけでありますか。たれか官廳からも立会をしたのですか。
  21. 三島宗治

    三島證人 官廳からもおそらく二人以上の人は立ち会つておると思うのであります。縣の記録をする人、その倉をあずかつておる人、現地をあずかつて管理をしておる人で二人になります。それから私の方の班で参りましても班長の下に必ず書記をする者が附いております。それから自動車何台出るかということは門衛の所で記録をせられておりますから、少くとも四人の人はその受渡しには立ち会つておると存じます。
  22. 明禮輝三郎

    明禮委員 縣廳の人というのは——倉庫の人は別ですが、どういう人ですか。
  23. 三島宗治

    三島證人 縣廳の課長さんという人は一々お立会になつておらぬと思います。縣にはそれぞれ係りがありますから、その係りの人一人は必ず現地に行かれております。
  24. 明禮輝三郎

    明禮委員 そういう場合に、兵器処理委員会としての立場の人は出ていないわけですね。それから内務省または商工省の人も出ておりませんか。
  25. 三島宗治

    三島證人 ただいまの御質問縣廳の人以外には、内務省の人、商工省の人というのは職場々々へその都度はお立会になつておりませんが、しかしたとえば特殊品緊急搬出で出したときにどこへわけるかというようなお指図は、内務省行政調査部のようなものができておりましたが、そういう人の所で縣も商工局もみな集まつて配分になるし、また委員会その他から時々在庫状況、それから品物の集まつておる状況などを見においでになりました。現地受渡しの場合に高級官廳が特に立ち会われたというようなことは、私どういうふうになつておるか、あまりほかから聞いておりません。今ここでちよつとお答えいたしかねます。
  26. 明禮輝三郎

    明禮委員 そこで今の品物数量ですが、数量看貫を実際上やつたのですか、目分量ではないのですか。
  27. 三島宗治

    三島證人 看貫大阪のようなぐあいに全部看貫をせられた所もありますし、それから看貫のある所は看貫をさせられておりますが、大体におきまして私の方は航空兵器を取扱うたのでありますが、航空兵器と申しますのは、九州は爆撃を受けておりまして、しかも非常に人里離れた場所にございますので、看貫の設備のある所もありますし、ない所もあるのでありますが、どこか佐世保か大分かに私の方と公團立ち会つたときに、重量が足りるか足りないかという話が一件ありましたものですから、それは目測によるものであつたのですが、看貫をしてみましたら、トン数を忘れましたが、少くとも百トンくらいなものであろうかと思いますが、それで二百キロ違うか違わないかというような状態で、実際においてそれを扱うておる堪能の人はほとんど看貫をしてもせんでも重量なんかは、鉄の方でもうすでにお取調べになつておるように、商習慣から言つてもそんなに違うものではありませんし、また一定場所に集積して積み出すわけでございますから、そこでは看貫があるので、私の方の門司の倉庫に参りますと、増減あるいは返還が行われておつたわけであります。
  28. 明禮輝三郎

    明禮委員 拂下先選択は一應承つたのでありますが、そういうような拂下をいたしまする場合に、拂下を受けるものは相当詳しく要領を書いて出すわけであろうと思いますが、しかしあなたの会社拂下先がその目的に反して他に利用したというようなものはなかつたですか。その点を伺います。
  29. 三島宗治

    三島證人 これは私の方では拂下をしますのが、大体進駐軍及び地方商工局から、差向きの乏しい材料をなるべく中商工業界までも均霑させてくれというようなお話がありました。それで地方の小さい工業会あるいはなべかま組合とか、漁業の組合とかいうようなものが、その組合員とか農業会の單位の証明であるとか、それぞれわれわれがなるほど必要であるというようなものを持つてきております。またそればかりでなくあるいは造幣局拂下げるというようなまとまつたものもありますが、それぞれ要望は先刻も申し上げましたように、工場経歴書もきておりましたのでそれを今度拂下げましてから、その品物がどこに行つて何に使われたかということは調べたものもありますが、ほとんど私の方ではその結果を問うてまわつておりませんので、どのくらいなものがどうなつておるか存じませんけれども、大体その目的に使われておることと存じます。ただ兵器処理の物件がバツジ、メダルあるいは普通の板とか棒とかいうような商品でない関係上、その目的品物にすぐにあてはまる物もありましようし、あてはまらない物もありましよう。また工場が今日のような経済の変動の際でございますので、たけのこ生活をしておるような際でありますから、何月から製品をつくろうと思つても復旧ができなかつたかもしれませんが、そこまでのことは、実は一々その言つた通りのものに使われておつたかどうかということの取調べはできておりません。
  30. 明禮輝三郎

    明禮委員 ここでかようなお尋ねをいたしまする理由は、一九四五年の九月二十四日の帝國政府に対する指令五十三号に基きまして、この兵器は日本の民生安定のために、並びに復興のためにこれを返還されたものである、この総司令部指令によりますと、拂下をいたしまする場合には、かくのごとき民生安定、経済復興のためのみならず、その拂下を受けたるものが消費をいたしまするその先まで明確にこれを知るということになつておるはずでありますが、その点につきましては内務省あるいは商工省、ないしは兵器処理委員会、この方面から代行会社である証人神戸製鋼の方に何か指示があつたかなかつたか、またあなたはこれが指示に基いてやられたかどうか、ないし指示があつてもなくてもその点についてはあなたの知れる範囲においてさようなことを考えておやりくださつたかどうか、その点を伺いたい。
  31. 三島宗治

    三島證人 これは私の範囲を逸脱するわけでありますけれども、聞いておることにつきましてちよつと申し上げます。福岡商工局では、私の承つておるところでは拂下先に一々御紹介になつたと聞いております。また檢察廳がただいま委員長の御質問のような目的をもつて相当照会を各社にお出しになつておると承つております。しかし今のところ私どもが承つておるのは、それほど異つた條件にその材料行つてしまつておるとも承つておらぬのであります。お前の方の拂下商工局の方でも認定がついたが、これは貴重な材料だからということはそれぞれ注意をしておりますけれども、それがいつ何に使われたかというようなことを私の方で監督する組織にもなつておらなかつたようなわけでございます。
  32. 明禮輝三郎

    明禮委員 監督する責任と言うかどうか、私の申しますのは、さような意味において連合軍から返してもらつたものでありますから、これを拂下げる場合にはさような意味において拂下げねばならぬ。今証人のおつしやつた通りになつておるようであります。しかしそれを拂下をいたしました消費者についても、最後の消費者という言葉が使つてあるのですが、どこまで消費者が明らかになつておるか。あなたの方で拂下げ、あなたの方から他の申請人拂下げられたものについてどこまで手続がとつてありますかをお尋ねしたい。それから監督官廳である商工省とか内務省が当然かくのごときことはあなたの方に指示しなければならぬはずであろうと思うが、指示があつたことがあるかないか、そういうことをお尋ねしたい。また兵器処理委員会としても、委員長かくのごときことを知つておるのでありますから、代行会社である証人の方へは十分にこの点を徹底させねばならなかつたはずであるが、そういうことがあつたのかないのか。
  33. 三島宗治

    三島證人 ただいまの御質問にお答えいたしますが、拂下げたものを何に使つた調べておけという指示は一回もいただいておりません。しかしこれは私の方に関します限りは、たとえば銅であれば貨幣の改鑄に、五十銭玉の改鑄大阪造幣局に使われます。またメダル類はおおむね熔解をするところにもつて行かれておりますので、大局から申しましたらほとんど戰後の復興重要資材に使われておることは明かと思いますが、ただ小さい部分的問題で今のような問題が該当する中にあつて、原則としてあるいは千トンいつたとか、あるいは五百トンまとまつてつたとかいうような大きな重量のものは、もちろんそれぞれ切符をもつて商工省からこられるなり、また中央特別協議会に諮るなりして、また商工局で特にその割当の指令があるなりしておりますから、われわれの方に関します限りは今の御質問は非常に小さい小口のものに該当すると思いますが、特別にお前の方はそれを何に使つたかをやれ、こういうことは聽いておりませんけれども承認を受けるときに一々商工局にもつて行つております。また拂下報告を始終しておりますから、その間にはすぐ生産報告というようなものまでは出ておらぬけれども、大体大きな監督はおできになつておるのではないかとも存ずる次第でございます。自分の方として特に拂下げたものが、何に使われたか調べ報告せよという命を受けたことはありません。
  34. 明禮輝三郎

    明禮委員 神戸製鋼におきまして、プロパーの方に拂下げましたものは相当たくさんあるようでありますが、そういうものについては一体どういうふうに使用目的がされるのでありましようか。あなたのプロパー拂下げたものの物品の使途、これはどういうことになるのでありましようか。
  35. 三島宗治

    三島證人 私の方で拂下を受けましたものが鉄もみなつつこみまして二万一千トンくらい、金額にしまして四千百万円くらいであろうと思つております。的確、明詳な資料は持つてきておりませんが、そのくらいに考えております。そして私の方は戰後一番立上りが早うございまして、商工省重要工場でございますのでその材料と申しますものはどこからはいるか、熔鉱炉から火の出ておつた工場は当時お調べになれば——どもが一々そのために調査はしておりませんけれども、お調べになつたらわかると思います。そういうぐあいにどもの方は立上りが早うございましたから、國としては私の方のミーリングを使うとか、あるいはドリルを使うということについては、材料は必ず生産に裏付けをしてこられたものであります。それで中央切符になると、あるいはこれをつくつてくれ、これは少々固くても使つてくれということできておりますから、そのときはそれぞれ緊急やむを得ざるものに御指令になつておるものと心得ております。またただいま申し上げた月に何トン何をつくれという命令のきておる工場でございますので、その方をお聽きくださつても明かであると存じます。
  36. 明禮輝三郎

    明禮委員 要するにたとえば再生塊のようなものを拂下げられたとすれば、伸鉄と申しますか、延べ板でこれをほかの方にまわされるのではないでしようか。あなたの方としては自分の方でなべかまをつくつておるのですから、たとえばその点はどういうふうになつておりますか。
  37. 三島宗治

    三島證人 私も一番初めに申し上げましたように、プロパー工場の方で直接監督はいたしておりませんのでしたけれども、大体事業の管理せられたのが二十一年の暮ごろからでございますので、設営工事による、進駐軍に丸をかけましたマル進という材料が一番多かつたであろうと思います。なおそれの注文をわきへ流してはおらぬかという点は、さようなものはないものと存じます。
  38. 明禮輝三郎

    明禮委員 拂下方法ですが、價格をきめるのには一体どういう方法であなたの方はやつておられましたか。具体的の事実をひとつ述べていただきたい。
  39. 三島宗治

    三島證人 具体的事実は私ここに持参をいたしておらぬのでございますが、兵器処理委員会から四月に兵器処理委員会状態並びに経理という報告事務局から出ておりますが、その中に詳細に書いてあるようでございます。そうして拂下処理要領というものがありまして、どういう方法処理せよということが詳細に書いてありましたから、私の方は処理要領によつて取扱いまして、商工局承認を得、また中央配分のものは中央配分特別委員会の定めるところによつて取扱いをいたしたわけであります。
  40. 明禮輝三郎

    明禮委員 そこでお尋ねしてみますが、三十トン以上の軽金属は兵器処理特別委員会承認を経なければならないものであると思います。これを数量を分割して地方商工局承認拂下げているようなやり方がよくあるのでありますが、あなたのところではそういうものはございませんか。
  41. 三島宗治

    三島證人 それに該当するものが一、二あつたと存じますが、それはこの委員会の方から具体的な御質問がありましたので、文書をもつてその特別な、そう扱わなければならない理由が答申をしてあると思いますから、ちよつと私が手もとで記憶をいたしておりませんので、それで御考慮を願いたいと思います。
  42. 明禮輝三郎

    明禮委員 それでは東洋紡績株式会社能美工場拂下げた合金属百四十三トン、拂下價格が九十万九千五百円、こういうものを四口にわけておるが、この事実はどういうふうになりますか。
  43. 三島宗治

    三島證人 ただいまのお話は至極具体的な問題でございますが、それは私は一々そこまで自分指図をし、またやつておるような問題でもないのでございますが、私の知つておる範囲のことを申し上げます。それは江田島かどこかで風水害か何かで埋もつてつたのを、東洋紡工場で掘出すか何かして保護を加えておつたと私は聞いておるのであります。それを進駐軍の方に拂下げてもらう約束がわれわれの行くまでにできておつたのか、そこまでははつきり何ですが、それを置いておいたらあんなものはさびまして、まつたくのスクラツプになつてしまいますので、この上さびぬうちに出したらどうかというので、私の方で担当者地方商工局と御相談の上で処理をしたことにつきましては、詳細な記録をお手もとに書類で出してあると存じますし、なおそれにつきまして文書で答えよということでごていますれば、帰つて係の者から文書で提出をさせてもよろしいのでございます。
  44. 明禮輝三郎

    明禮委員 文書の話が出ましたから、文書によりますと、あなたの方の報告によれば廣島縣轉用課井坂嘱託担当者と書いてあります。すなわち協力斡旋もありましたと書いてありますが、廣島縣轉用課井坂嘱託というと縣の技師でありますか、これはどういう人でありますか。
  45. 三島宗治

    三島證人 地方のそこまでのことは、私は現地に参りませんで、皆班長に任しておりましたから、そこまでの具体的なことは存じませんけれども、廣島、長崎は御承知通り原子爆弾を受けまして、地方工場もはなはだしく疲弊しておりますし、復興に血まなこの際でもあり、各府縣責任においてそのときにふさわしい行動がとられておるものであろうと存じております。
  46. 明禮輝三郎

    明禮委員 しかし部長さんにここでお話をするのはちよつとどうかとも思いますけれども、とにもかくにも兵器処理部長を担当しておられる以上は、その部下にどういうことがありましても、その部下のやつておりますることについての責任は免れ得ないものであります。こればかりではありません。もう二つここに現われておるのは、新興産業株式会社拂下げた軽合金、また中央軽金属株式会社拂下げたアルミ再製塊、こういうようなものがほかにもあるようであります。これらにも皆何と言いますか、こういつたような縣の役人か嘱託か知りませんが、こういういう人々の強き斡旋によつてという言葉はこれはどういう意味でありますかわかりませんが、とにかくそうしてくれ、くれなければ困ると言つたのか、実はそういつたような場合の取扱い、これがどこにもあるのでありまして、神戸製鋼だけじやありません。從つてどの会社の部長あるいは副部長の方、あるいはその責任者の方々にもお尋ねをしていくのでありまして、この点についてははなはだ遺憾の意を表さなければならぬ。そのあとの二口もそういつたような事情でありますか、おわかりになりませんですか。
  47. 三島宗治

    三島證人 まことに済まぬことでございますが、私も処理部長としての責任はもとより負うのでございますが、これだけの大きな仕事ですから、拂下げるものを一々記憶もしておりません。それにつきましては、お手もとにそれぞれ理由書が出ておることと思いますが、私が聞いてをりますところによりますと、われわれがその土地へ行くまでに、もうすでに間違つた方法品物をもつてつておる。それを正式ルートへ乘せてくれぬかというようなものも若干あつたようでありますし、それぞれ適切に処置がとられておるものであろうと思つております。なお細目につきまして、より詳細なるお尋ねがありますれば、またその担当者をしていたさせます。
  48. 明禮輝三郎

    明禮委員 それではその次にお伺いするのは、拂下價格が基準價格より非常に安く拂下げてあるものがあるようであります。たとえば大阪班の取扱いで、銅板拂下價格が一万円、その数量が百三十キロかある。それで公定價格といいますか基準價格は一万八千九百円のものを一万円に賣つておるというのが八口あります。こういうのが実は兵器処理の問題になるのでありまして、これはどんなふうになるのでありましようか。ひとつこの点を御釈明願います。
  49. 三島宗治

    三島證人 先ほど申しましたように、具体的に百キロ何円で拂下げているということを御説明する資料もまた記憶もないのであります。兵器については特にここで一言申し上げたいと思うのですが、たとえば同じ状態でも、戰時規格でヒソのはいつておるようなものは銅の代用にならぬのでございます。また同じ眞鑄でも含鉄黄銅として鉄のはいつているものは板に伸べることができぬのであります。また非常に硬い特殊鋼であるとか、ニツケルクロームであるとかいうような、戰爭中には非常に高かつたものも、戰後には釘の材料とか伸びのよいものが使はれるのでありまして、私の承知した範囲では、いろいろ取調べをしたのでありますが、この轉用については、各社の御意見も聽き、また專門家の意見も聽いたりいろいろ調査をしたのでありますが、その使途によりましても、またその條件によりましても、板となつてつてもほとんど端だけがとれる、それでも佛壇の飾りなら眞鑄板二十貫か三十貫買うて行つたら使えるだろう、それは全部さびだらけでゆがんでおつてもこうして使えばこうだからというような個々の條件がありますので、一括をしてその方針として單價をきめるということは、兵器処理要領によつてつておるのでありますが、その具体的な問題につきましては、それぞれ特殊品を扱うておりませんので、廃兵器材料もしくは廃兵器そのものを処理しているのでございますから、さよう御承知を願いたいと思います。
  50. 明禮輝三郎

    明禮委員 どうもやつたことですからいまさら仕方がないかもしれませんが、しかしこの取扱要領によりますと、基準價格があるものは基準價格によるはずであります。もしそういうような原價を割るような場合とか、あるいは公定價格でなしに例外價格をもつて処理するような場合には、またこれは特に関係廳の許可を得る、あるいは兵器処理委員会特別委員会に掛けてやるべきではないかと考えるのでありますが、この点についての証人の御見解を承ります。
  51. 三島宗治

    三島證人 それは非常に小さいものであるか大きな問題であるかによつてもまた違うと思うのでありますが、その單價というものは、そのときの状態を申し述べて、私の方のそれぞれの係員が商工局に持つてつて大きな表にしまして、ずつと書き並べて承認を受けて拂下げておりますから、それぞれの事情は商工局では御承知のはずでございます。
  52. 明禮輝三郎

    明禮委員 そうすると、この許可をした官廳あるいは兵器処理委員会担当者はだれであるか、もしここでわかりますればお述べいただくし、ここでわかりませんとすれば、その当時これを許可した官廳並びに官廳担当者、もし兵器処理委員会がやつたとするならば兵器処理委員会の当時のメンバー、そういうことをここでわからなければ、あとから御提出を願いたい。
  53. 三島宗治

    三島證人 それでは今の御質問にはどれどれであるかということの摘出を願いましたら文書をもつてお答えをいたします。
  54. 明禮輝三郎

    明禮委員 それについては私の方で調査した場合に、あなたの方から拂下單價説明書という書類が出ております。これに八口あります。これはどういう事情か御説明だけではそういうような点がわからぬのであります。それから証人会社では第二会社をつくつておりますかおりませんか。第二会社をつくつておられるとすれば兵器処理部の職員がそれにはいつているようでありますが、そういうような点、第二会社の点を概要を述べていただきます。
  55. 三島宗治

    三島證人 私の方は第二会社を三つつくつております。それにつきまして概略御説明申し上げます。その三つつくつておりますのは、兵器処理をいたしますのに、たとえばどの地区に何がなんぼ残つておるから班長は引揚げない。どの地区に何がどれだけあるから、この番をする人をつけておくというような方法をとつて、また山の中の物も申訳だけに集まつておるから、これで引継ぐというようなことは、われわれ事業のあと味としてさようなことをしてはいけないと考えておりました。それかというて丸通運送店が山の中に行つて一つのベラを拾うてくることはできるわけでもありませんし、また商工局の方からも二次会社をやらして、社員に希望を與えて悪いことを未然に防ぐようにというようなお指図も、出ておつたような次第であります。それでただいま申しましたように、寄せ集めの品物を集めてくるとか何とかいうことに対しまして、運送及び作業の残を拾う協和運輸産業株式会社というのを一つつくりました。次は熔解でありますが、現地で熔解をしますのに、それを班長にやらせましたら、定着してしまいまして恒常化してしまうのであります。そうするとこういう仕事で一番大事なのは、仕事の機敏というものが眼目でございます。それをやる上においては、熔解とかあるいは技術上の機動性が定着してしまうことを防いで、機動力を百パーセント発揮しなくちやならぬという上において、熔解あるいは技術の研究とかいう面を一つつくりまして、いま一つは、これも商工局から通知があつたのでありますが、物を引渡しますときに、われわれはお金の決算だけをして人を最小限度に減らしてしまうという縮小主義を事業段階をつけて進みました。それには西部金属株式会社というのに物を預けまして、それが今度の引継の媒介的の役割をして、それから産業復興公團の方の二次会社として登録をせられまして、以上仕事の上に三つの殿り役を勤めることが、重大関心をもつて先に打たれたのでありまして、二次会社をつくるためにつくつたのでもありませんし、私としては事業の終末を早からしめる、國家に早く縮小をして早く決算のできるところの信念をもつて今言うた必要なものを三つつくつたわけでございます。これにつきましても書類がお手もとに出してありますから、ひとつよろしく御調査願います。
  56. 明禮輝三郎

    明禮委員 第二次会社はそういう意味でできたものもありましようが、たとえば物の保管の部面から言いますると、第次二会社に保管をあなたの方から——神戸製鋼兵器処理部処理保管をしないで、ほかの第二次会社に保管をさせますると、第二次会社の方では保管を受けたという点において、たとえば倉庫料が、兵器処理部で直接に拂うものとすれば百万円で済むものが、第二会社を経てやりますると、第二会社が中で二割の手数料をとつて、百二十万円の倉庫料を結局拂わねばならぬ。倉庫料じやない手数料がはいるからでありましようが、つまりそうすると兵器処理部の人というものは、まあ第二会社に任せてしまつたために用がない。しかしその間やはり兵器処理部の人は月給はもらつておるというのでありまして、結局兵器処理部が三菱なりあるいは三井なりの倉庫に直接預ければ二割だけ安くできるものが、こういう会社を経るために二割だけ高くなるような実情がありはしませんでしようか。もう一つは、今の第二会社拂下を受けられておるようでありますが、これには大部分のものが拂下を受けられておると思いますが、第二会社はどういう目的でこれを拂下いたしまして、どういうふうにこれを利用していつたかということを説明していただきましよう。
  57. 三島宗治

    三島證人 第一番のお答えを申し上げます。なるほどごもつともなお尋ねと存じますが、私の方はそれを考慮に入れまして、このままでいたら月に何十万円かかるか、これをもし物を預かるという面がなかつたら、われわれの経常費が何円で済んでいくかということを標準にしておりますので、その方に対しては、兵單処理の者が月給をもらつて、そして第二会社は口銭をとつてというようなことにはなりませんので、当時経常費がなんぼかかるか、物を預かり管理する、及び散らばつているものを巡視する責任をもつということがなかつたらどうなるかということも計算に入れてやつておりますので、國家に利益をもたらしているということは、第一に私の方は三菱の門司倉庫大阪の三井倉庫にはいつておりますから、お手もと倉庫証券をきようもつておいでになれば、直ちに換金ができましよう。それがほとんどの金額でありまして、そして私の方は大体七月に済んだのですが、八月三日には最終の京都地区及びその他も済みましたし、現品はことごとく國に引継を終了しております。なお拂下をしたものはどういうものであるかというお話でございますが、これは私の方で相当金をかけまして、二次会社が研究をしまして、エンジンの燒けてしまつたやつを人夫にこつこつ捌かせたのであります。ちようど青砥藤綱の例にありますので、いろいろ金をかけて、そのままで抛り込んで温度の差によつて鉄が熔けないで、亞鉛が溶けないで、ジユラだけを絞り出すというような方法に相当皆が苦労をして、それをするために拂下を受けたのでございますが、これはただいま安川電機がモーターの炭鉱用のものをつくつておると聞いております。また私がそれに関與しておるわけでないのでございます。そういうわけで、あとは大局に影響のないほんの荷造りの用の何を出したとか、職業用の何を出したとかいうようなことでありまして、御質問の問題の中では熔解用のエンジンの燒けたやつを拂下げているのが一番大きな問題であろうと思います。
  58. 明禮輝三郎

    明禮委員 では簡單に、第二会社で保管を委嘱された場合には、やはり手数料を何ぼかとつたのですか、とらないのですか。その点は一口に言えば、手数料を出すことになるのですか、出さぬでもよいことになるのですか。
  59. 三島宗治

    三島證人 手数料と申しますのは、先ほど申し上げたように大体私もここに資料をもつておらぬのですが、多分逆算せられたものと思つております。兵器処理仕事は御承知通り機敏ということがこの仕事の眼目でありますので、私の方では熔かすとか何とかいうあとくされの仕事は熔かし屋にやらせ、運送の残つたものを集めてくるというというようなことはそれらにやらせて、保管するということはのけてしまう。そうするとわれわれはいつでも決算できるし、資産を社員が清算することができるという態勢で、事業の終末の計画をそこに立てたわけでありますから、これは決して——商工省から通知がもちろん中にありましたが、人を收容するというばかりでこしらえたものではない。拂下につきましても、また今お話の手数料とかいうものにつきましても、一度計算してみて、このままで押していたら、われわれの兵器処理の経費がなんぼかかる。このものの面の出張とか、あるいは現場でやるとかいうことをしなかつたら、われわれの経費は何円で済むという收支を——どもの方は独立会計でございますので、收支を目安にしておりますから、それがために片一方はもうかつたが、兵器処理は損をするという計算にはなつておらぬのでございます。
  60. 明禮輝三郎

    明禮委員 一應承りました。それから第二会社に作業費を百七十八万三千二百九十六円拂つておりますね。これはどういう意味の作業費になりますか。
  61. 三島宗治

    三島證人 それは私ちよつと詳細の記憶がありませんけれども、多分いわゆる食い散らし仕事というのが野仕事でありますから起りますので、それらをやつたことと思いますが、ちよつと何と何とをどういう意味でやつたいとう詳細のことについては記憶をいたしておりません。
  62. 明禮輝三郎

    明禮委員 たとえばその中には、作業費としてありますが、中にさよつと括孤して、兵器処理全管理物件一箇月保管料として八十二万六千九百四十三円かかつておりますね。こういうのが一月、二月にありまして、あと作業費を十四万五千六百八十円拂つておりますが、これは内容がわかりませんか。
  63. 三島宗治

    三島證人 ちよつと記憶がありませんが、その八十万円くらい別に拂つておるという見当は私記憶しておりますけれども、それはただいま申し上げたようなことで、それがために倉庫料にチヤージするとか何とかいうことで計算はできておらぬと思います。
  64. 明禮輝三郎

    明禮委員 倉庫料ではないのですね。
  65. 三島宗治

    三島證人 はい、倉庫料ではありません。
  66. 明禮輝三郎

    明禮委員 だから倉庫料はなんぼ拂うということはわかりませんか。
  67. 三島宗治

    三島證人 いや、倉庫料を含んだ金額です。
  68. 明禮輝三郎

    明禮委員 ですけれども、この中に倉庫料がなんぼかということです。
  69. 三島宗治

    三島證人 それは私のあとで会計課長をお調べになるようでございますから、そうすればあるいはおわかりになるかもしれませんが、私はまだ内容までは存じておりません。
  70. 明禮輝三郎

    明禮委員 先ほどちよつと述べられたようですが、再生塊の費用について商工省が変な決定をしておるようでありますが、あれは一つの基準を示したものだと思いますけれども、あなたの方の再生塊の費用はあの基準とどういう関係になつておりますか。またあなたの方の再生塊やり方は、ほかの会社とは違つておるようですが、そのやり方についてのあなたのお答え、こういうふうにやつたためにこうなつているということの御説明を、簡單にひとつしていただきと思います。
  71. 三島宗治

    三島證人 私の方は再生塊を終戰前から、國内でも國外でも頼まれてやつておりまして、そのときから木炭でありますが木材の廃木とか、薪でその温度の差によつて軽合金を搾り取るということを長年相当研究しております。それで特に私の方は関門の石炭とか、引揚者とか、交通の非常に困難な所でございますので、現地々々で大体無理をせぬで千トンくらいたまる場所をきめ、そこで動かさぬで溶かしてしまうという方法をとつたわけでございます。なお單價につきましては、私の方は事務所も下関にございますので、中央との連絡も遠うございますし、また必ずしも各社同じ技術方法でもないと思いますので、その通知を受けた單價の通りでそれぞれ仕事をやらして終末をつけております。それにつきましても、お手もとに資料が提出してありますから、それによりまして御承知を願います。
  72. 明禮輝三郎

    明禮委員 結局兵器処理をなさいました結果において公團に引渡しが済んだようですが、結末はどのくらい渡して、そうして赤字であつたか、黒字であつたかということを御報告願いたい。
  73. 三島宗治

    三島證人 私の方は取扱いました物件が、六万三千百二トンで、飛行場その他から、たとえば川崎飛行機なら川崎飛行機から、お前の方が買取れというものが七百四十三トンございまして、販賣が四万四千百六十一トン、それから廃機体で溶かしたものが七千七百九十七トンございまして、結局今度公團に引継ぎましたものは一万一千三百五十六トンであります。これにつきましては置場別内容もことごとく符合をいたしております。それから今まで使つてまいりました金額は、大体賣上品の原價において九万五千八百円、賣上げが一億三千三百七十万円、そうして立替金が六百七十万円、これは各社の同業の方でございますが、これについて差引純益七月末の見込みで四千四百六十万円でございます。賣上品の総原價に対して利益率は四七%見当と思つております。
  74. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたの方ではわかりませんか、作業費の中で交際費というようなものはどういうふうになつておるか。これは会計の方で承りますか。
  75. 三島宗治

    三島證人 そういうことにお願いいたします。
  76. 明禮輝三郎

    明禮委員 これで私は終ります。
  77. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 他に何かお聽きする方はありませんか。——別にないならば……。
  78. 三島宗治

    三島證人 ちよつと私この際一言申し上げさしてもらいたいと思うことがあります。それは何さまこういう政治問題になつてまいりますと、社員、從業員の中で非常にまじめに勤めた者も、課員の労働組合の中から、たとえば会計課長にしたいが、兵器処理をやつてつたのを会計課長にするかどうかというようなことになりますと、終戰後から非常に走りまわつて氣の毒な方も各社に相当あるようでありますし、またあるいはかたわになつた人とか何とかいう、この仕事の陰には相当地方々々で問題が起るにしても、みなが一生懸命に働いておりますので、どうかその点につきましても、われわれもわれわれとしてまたみな話し合うておりますが、最高の委員会におきましてもお考えにあずかりたいと思います。
  79. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 それはどういうことですか。
  80. 三島宗治

    三島證人 たとえば今までずつと兵器処理に從事しております者は、それぞれ初めから從事してきた、相当まじめに勤めてきた者が残つております。ところがそれらは仕事の上におきましても、ただいま申し上げたように兵器処理をしておつたから、会計課長にしようといつても、社会からは疑惑の目をもつて見られるし、そうして今日のところでは取調べ中でなかなか片もつかないし、みなそれぞれ非常に氣の毒な人々も相当あると思います。そういうことを承りつつわれわれは終末をつけております。そのことを一言申し述べたいと思います。
  81. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 承つておくだけなら承つておきますが、どうしてくれという意味ではないのでしよう。
  82. 三島宗治

    三島證人 そうではありません。
  83. 明禮輝三郎

    明禮委員 ちよつと申し落したのですが、神戸製鋼ではあまり犯罪関係のものはなかつたように思うのですが、どういうふうに今日までの状況、経過が——あなたの方のブロツクにおいて、何か檢察廳の特に問題になつているようなものがありますか。どうですか。
  84. 三島宗治

    三島證人 ただいまのところ起訴になつておるものは一つもありません。私の方は大体終末をつけておりますから……。
  85. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 特にこちらでもかようなことの妨げになるようなことをする考えはありません。     —————————————
  86. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 鈴木宏さんですか。
  87. 鈴木宏

    鈴木證人 はい、鈴木であります。
  88. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 神戸製鋼兵器処理部の会計課長ですか。
  89. 鈴木宏

    鈴木證人 そうです。
  90. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 いつから……。
  91. 鈴木宏

    鈴木證人 当初より昭和二十二年の三月末日まで会計課長をしておりました。以後組織が変更になりまして会計課がなくなりましたから、私はそれ以後東京連絡班として、東京に來て中央官廳との連絡をやつておりました。
  92. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 それじや兵器処理の会計は現在はやつておりませんね。
  93. 鈴木宏

    鈴木證人 現在はやつておりません。
  94. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 三月までですね。
  95. 鈴木宏

    鈴木證人 そうです。
  96. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 明禮君お聽きになることがあれば……。
  97. 明禮輝三郎

    明禮委員 三島部長の説明のあつたところを略しまして、兵器処理部の結局の損益計算の跡始末はどうなつておるか。それだけを一口で述べていただきたい。
  98. 鈴木宏

    鈴木證人 現在確定した数字が出ておりますのは、昭和二十三年の二月末日の決算であります。これによりまして大体最後のバランスは四千三百万円の剩余金が出ております。その以後約四、五箇月経過しておりますが、大体この剩余金の総額には狂いはないと思います。剩余金の内訳は棚卸資産が一千八百万円と、預金が千六百万円ほどあります。
  99. 明禮輝三郎

    明禮委員 作業費の支出状況、特にジユラ再製塊の熔解費等の内容を説明願いたい。
  100. 鈴木宏

    鈴木證人 作業費の支出内容と言いますと、大体主として廃機体の解体費、それから一般回收物件の運搬費、そういうもので大体諸費用を九千万ないし一億円ぐらい使つております。その中で熔解費としての支拂は二千万ちよつと切れるぐらいと思います。
  101. 明禮輝三郎

    明禮委員 再生塊はどのくらいトン数ができたのですか。
  102. 鈴木宏

    鈴木證人 再生塊は三千トン少しできております。その点は文書でお手もとまで差上げております。
  103. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたの方は熔解費の算定について、どこもあるのですが、あなたのところにはそういうものがなかかつた。実際の熔解費というのは、たとえば八千円しかかからぬものを、一万四千円の基準が出てきておるから、一万四千円の計算で一應計算を終了しておるというような事実はありませんか。あればその数字を伺いたい。
  104. 鈴木宏

    鈴木證人 今お尋ねの熔解費ですが、大体私のところは現在熔解が全部終了しておりまして、かつ大体言いますと値段が約五千円、七千円、一万四千円と三段階にきまつておりますが、五千円の時代に六四%、約半分以上を熔解しております。七千円の時代に二四%、一万四千円になつてからは約一二%です。熔解した総トン数は三千百四十七トンです。大体において七千円までで九〇%までやつております。從つて平均のコストは六千五百八十七円、こうなつております。
  105. 明禮輝三郎

    明禮委員 最後ですが、一万三千円ですか。
  106. 鈴木宏

    鈴木證人 一万四千円です。私のところは二十二年七月より二十二年の十二月までです。
  107. 明禮輝三郎

    明禮委員 そうすると一万四千円というのは、基準の最高ですね。
  108. 鈴木宏

    鈴木證人 最高であります。
  109. 明禮輝三郎

    明禮委員 そうすると実際はそれより少し安くできておりますね。
  110. 鈴木宏

    鈴木證人 二十二年の七月から二十二年の十二月までですから、大体はつきりした数字はわかりかねますが、初めのころは相当の差があり、後になれば足らぬので、平均していいところくらいになつておるのじやないかと思います。約五箇月にわたつているのですから……。
  111. 明禮輝三郎

    明禮委員 これは西部金属にやらしたのですか。
  112. 鈴木宏

    鈴木證人 これは富國製作所にやらしたのです。
  113. 明禮輝三郎

    明禮委員 それからこの一億円の費用の中で、交際費あるいは会議費というものは、どのくらい使つておりますか。
  114. 鈴木宏

    鈴木證人 初めからの累計した数字をもつておりませんので、見当がちよとつきかねます。
  115. 明禮輝三郎

    明禮委員 この前檢察廳では、交際費というものが一千四百万くらいは出ておるということを聞いておりましたが……。
  116. 鈴木宏

    鈴木證人 私のところの関係だけですか。
  117. 明禮輝三郎

    明禮委員 そうです。大体です。
  118. 鈴木宏

    鈴木證人 そう多くはないと思いますが、手もとに数字がありませんから……。
  119. 明禮輝三郎

    明禮委員 これはしかし会計として——あなたは会計をやつていらつしやいますか。
  120. 鈴木宏

    鈴木證人 私は昭和二十二年の三月三十一日まで会計課長です。
  121. 明禮輝三郎

    明禮委員 それから後は……。
  122. 鈴木宏

    鈴木證人 それから後は東京連絡班員として、中央官廳との連絡、事務局との連絡、そういうことをやつております。
  123. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたのところのいわゆる作業の部門、たとえば再製塊とか運賃とかいうもの以外の費用、これがどこでもみなたくさん出ておるのですが、あなたの方ではどのくらい使つておるでしようか。大体のことはあなたにおわかりになりませんか。
  124. 鈴木宏

    鈴木證人 最初の累計になりますと——その期その期の決算で、その期の分はここにあるのですが……。
  125. 明禮輝三郎

    明禮委員 それを寄せられませんか。
  126. 鈴木宏

    鈴木證人 最初からの決算を集めませんと……。
  127. 明禮輝三郎

    明禮委員 そこにあるのは一期、二期、三期とありませんか。
  128. 鈴木宏

    鈴木證人 ここにはその合計はもつていないのです。最終だけの合計で、その数字はもつておりません。
  129. 明禮輝三郎

    明禮委員 それでは具体的にお聽きしますが、要するにこの交際費というものが相当かさまつておるようですが、いろいろ会議をするでしようね。
  130. 鈴木宏

    鈴木證人 会議は非常に関係者が多いので……。
  131. 明禮輝三郎

    明禮委員 そういつたような会議には大分費用が出ておるようですが、どういうふうに使うのか。一体なんに使うか。兵器処理というので問題になつておるのはそういうところにもあるのです。みな費用をよけい使い過ぎている。大体これはあなた方もやはり拂下をしてもらつたものという頭で整理をなすつたか、國家仕事としてやられたか、どつちなんでしよう。
  132. 鈴木宏

    鈴木證人 大体において私たちは契約によつて兵器処理委員会拂下げられ、その代行をしておるもの、こういうふうに考えております。
  133. 明禮輝三郎

    明禮委員 それはそれに違いありませんが、この仕事の本質ですね。その法律の問題というよりも、むしろこれはあなた方の方へ拂下げたものを処理しておるものだという頭ですか。そうでなく國家仕事を代行しているのだという頭ですか。そこのところはどうなんですか。
  134. 鈴木宏

    鈴木證人 その点につきましては、私個人としての考えでは、物は戰時中國民の汗の結晶によつてできたものである。それを連合軍の好意によつて返還され、一日も早く戰後の復興に寄與する、そういう非常に大事な物である。またわれわれの從來の経驗からして貴重な資材である。從つてこの処理にあたつても愼重でなければならないし、特に経費の点あたりは愼重に安く上がるべく努力はいたしました。
  135. 明禮輝三郎

    明禮委員 そういうものだといたしますれば、各社ともこういう交際費というようなもので、たくさん官吏をよんで一緒に飯を食つているのです。あなたのところはそういうことはなかつたですか。
  136. 鈴木宏

    鈴木證人 私の方で私の在任中のことからいきますと、作業関係の方で、現地で割合いろいろそういう費用が要つております。
  137. 明禮輝三郎

    明禮委員 それを一つ説明してくれませんか。
  138. 鈴木宏

    鈴木證人 具体的に説明ということになりますと……。
  139. 明禮輝三郎

    明禮委員 構いませんよ、内務省であろうが、大藏省であろうが、商工省であろうが、遠慮なくこういう人が來てこういうことを言つたのだということを発表する方が私はかえつてあなた方の立場もいいじやないかと思う。
  140. 鈴木宏

    鈴木證人 大体そういうふうに特にある官廳だけ対象にして多くの会合費を使うということは、私の在任中にはなかつたように記憶しております。
  141. 明禮輝三郎

    明禮委員 言葉が悪いですが、対象としてということではなく、やはりいろいろな作業その他について官廳の人が出て來るじやないですか。たとえば品物受領するにしても、官廳の者が出て來ますね。それからかぎをもつておる者も出て來る。あるいはあなたの方の者も行けば、官廳をはじめいろいろな人が立会つて受け渡しをする。そうすれば時間が遅くなつたらどうしても飯を食うでしよう。そういうことを考えてみると、そういつたような会合、たとえば拂下についてのいろいろな会合、特にそういうことがあると思う。こういうものは相当大きな金額が出ているのですから、だからあなたの方でこれがはつきりしないということは、結力ほかのものにかけたごとく、こういうふうな費用に出したのじやないかという疑いをもたれるのであつて、むしろそれよりは実は会合があるたびにこういう人間が集まつたのだ、そういう人間に飯を食わさざるを得なくなつなのだということの方が、かえつて明瞭じやないかと思うのですが、その点あなた方はどうですか。
  142. 鈴木宏

    鈴木證人 その点は具体的にどういう人が出てということは、私本部に課長としておつただけで、現地へはあまり出ませんでしたから、はつきりお答えはできませんけれども関係者が、たとえば官廳にしましても、いろいろな官廳監督を受れる立場で、引継ぎ一つについても、小はその土地の警察官が立会うというようなことで、人数が多く、仕事が煩雜なために、ちよつと晩飯を食べても金高が上るというようなことじやないかと思います。
  143. 明禮輝三郎

    明禮委員 そうでしようね。だから警察の者でもいいでしよう。特定の人を言わぬでも、警察官とか、内務省とか、商工省というような連中が立会つてやる場合でも、お前弁当持つてきたかというわけにいかないので、つい食べるようになつて費用がたくさん要つておるということがわかればかえつてどうかと思いますね。
  144. 鈴木宏

    鈴木證人 その明細は会計としては現在檢地廳の方にいつております。
  145. 明禮輝三郎

    明禮委員 いつたものだが、あなたが会計課長をしておつて、今日はこんなに金が出たが、これは何に使つてこんなに出たのかと受取を見て考えませんでしたか。
  146. 鈴木宏

    鈴木證人 その当時は眼を通しておりましたが、いちいちは記憶しておりません。
  147. 明禮輝三郎

    明禮委員 記憶しているものはありませんか。
  148. 鈴木宏

    鈴木證人 記憶しておるというのは今申し上げたような……。
  149. 明禮輝三郎

    明禮委員 今のように官廳の人、内務省あるいは商工省というような人が集つたような場合には……。
  150. 鈴木宏

    鈴木證人 特に私の地域ですと、大体回收物件の所在地は飛行場などで占領軍の警備地域です。從つて物を一品出すについても、占領軍の了解を得なければならぬという点で、相当会合あたりに占領軍関係の人も出ているのじやないかと思います。
  151. 明禮輝三郎

    明禮委員 占領軍の方に御馳走する場合もある……。
  152. 鈴木宏

    鈴木證人 担当の方が來られる場合もある。
  153. 明禮輝三郎

    明禮委員 占領軍の担当の方に御飯を出すようなこともあつた。そういうことですね。——結構です。
  154. 鈴木宏

    鈴木證人 私等としては、要するに占領軍に対しては少しでも円満に返してもらう、燒却などでも兵器処理委員会ができてもらうべく準備をしているから、燒くのを待つてくれとか相当折衝をしております。その間いくらか費用は要つておるのじやないかと思います。
  155. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたの方には、占領軍関係で特別の奬励金はとりませんでしたか。
  156. 鈴木宏

    鈴木證人 つよつとどういうことか……。
  157. 明禮輝三郎

    明禮委員 占領軍などが御飯を食べたからというので、特別に奬励金という名前でとつている会社があります。十五万、二十万、三十万、百万、二百万もとつておるものもある。あなたの方はないですか。
  158. 鈴木宏

    鈴木證人 私の方はなかつたと思います。
  159. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 ちよつと委員長から伺いますが、いろいろな名義で出張してきた人はありませんでしたか。
  160. 鈴木宏

    鈴木證人 私の方の担当地域は大体中國、九州で、作業の本部は全部下関から離れた長府というところで、遠隔の地ですからあまりそういうことはありません。
  161. 明禮輝三郎

    明禮委員 ちよつと第三回決算書というのはお持ちですか。
  162. 鈴木宏

    鈴木證人 二十三年二月末決算書というのがある。
  163. 明禮輝三郎

    明禮委員 その交際費はどのくらいになつておりますか。
  164. 鈴木宏

    鈴木證人 営業明細がついておりませんから、ちよつと手もとにありません。
  165. 明禮輝三郎

    明禮委員 交際費は……。
  166. 鈴木宏

    鈴木證人 営業費の中の明細、これに遅れたのかついておりませんから……。
  167. 明禮輝三郎

    明禮委員 それではあなたの方の交際費を一期、二期、三期と全部あとから報告してください。
  168. 鈴木宏

    鈴木證人 承知しました。
  169. 明禮輝三郎

    明禮委員 そうして交際費は支出の点もどういうふうに支出したかということを一應明らかにしなければまずいでしよう。あなたの方は金額が相当多かつたと思いますから……。それは忘れないように願うことと、もう一つ、あなたの方の拂下代金について賣掛代金がありますね、それから未收代金というのがありますね、これはどういうことですか、説明をひとつ
  170. 鈴木宏

    鈴木證人 賣掛金は二月末で百五十九万、その後減りまして現在約九十万くらいじやないかと思います。
  171. 明禮輝三郎

    明禮委員 それから未收——
  172. 鈴木宏

    鈴木證人 未收金は二月末決算で六五七十九万、このうちの大口は日本製鉄の兵器処理部に対して四百九十四万、古河電工の処理部に対して百七十五万、この二つが大口で、これは兵器処理委員会が最終においてプール計算をするという意味で、金を向うからもらうべき計算になつたのをもらわずに未收金になつておるというわけです。
  173. 明禮輝三郎

    明禮委員 それはいいでしようが、その九十万円、というのがどういうのですか。どこへ賣掛けして、もうとれる見込みがないのですか。もうその引継は済んであるのですか、どういうのですか。
  174. 鈴木宏

    鈴木證人 全然とれる見込みがないというのではない、その後逐次二箇月で六十万ほど減つておりますし、あとも説意取立中ですが、何分こういう経済情勢の変動の激しいときで、拂う金がないというような状態の所があるかもしれません。
  175. 明禮輝三郎

    明禮委員 それは何処にやつたのですか。
  176. 鈴木宏

    鈴木證人 ちよつと現在の九十万の内訳はここに持つてきておりませんが、これも後刻、最近五月末の決算ができますから文書でお出しいたしいたしたいと存じます。
  177. 明禮輝三郎

    明禮委員 これは大体わかつてはいるのでありますが、それはどういうわけでとれないのですか。小西組、星野組、新生運輸K・K、九州産業機械工業会、壽物産K・K、諸口二十四件、六十七万、これは残つておりますか。
  178. 鈴木宏

    鈴木證人 今鋭意交渉中です。
  179. 明禮輝三郎

    明禮委員 これが六十七万、どういうわけでとれないのですか。
  180. 鈴木宏

    鈴木證人 結局は向うに金がないからとれぬ。
  181. 明禮輝三郎

    明禮委員 品物を渡すときに金をとらないのですか。
  182. 鈴木宏

    鈴木證人 品物を渡すときに全部金をもらつておりません。
  183. 明禮輝三郎

    明禮委員 そうするとそれはだれの責任でしようか。
  184. 鈴木宏

    鈴木證人 まあ担当者であるわれわれの責任もあるわけなのですが、最初この事業を始めるに当つて國家的に、資金的に何ら援助してもらわなかつたわけです。從つて賣るときに一々相当めんどうな書類を出して、前金を持つてきて、許可に三箇月、三箇月かかつて賣るというようなことでは賣れなかつたのです。そういう時期の問題が残つているので、われわれとして別に怠慢で残つたわけじやない。
  185. 明禮輝三郎

    明禮委員 怠慢ではないかもしらぬが、少くともこれが先ほどのように國家のものですから、品物を渡すときには金額が大きいのですから、やはりこれについてはよほど個人保証するくらいでないと品物だけは渡せぬところであろうと思う。つまりこういうところは相当ほかにもありはせぬかと思いますが、考えられなければならぬ。これをとるということは、あなた方はこれはなかなかむずかしいですが、今もつて來ないならば……。
  186. 鈴木宏

    鈴木證人 今もなお解決しつつあるのもあります。
  187. 明禮輝三郎

    明禮委員 たしかこの前の調査のときに、強硬にこれは請求すべきものだと言つたはずですが、どうですか。
  188. 鈴木宏

    鈴木證人 その後請求しております。
  189. 明禮輝三郎

    明禮委員 なまぬるいことを言わないで、買つた連中を一遍品物をどういうように使つておるかということを詮索するくらいでいつたらどうです。
  190. 鈴木宏

    鈴木證人 相当やつております。
  191. 明禮輝三郎

    明禮委員 どうせこういう連中は何かに流したに違いない。
  192. 鈴木宏

    鈴木證人 檢察廳の御援助をいただいて極力やつております。
  193. 明禮輝三郎

    明禮委員 これはあなた方の方で國家の損にならないようにできるだけ回收していただきたいと存じます。
  194. 鈴木宏

    鈴木證人 承知しました。
  195. 明禮輝三郎

    明禮委員 ほかに貸倒れというものがあるのですか。貸倒れ引当金とかいうものが……。
  196. 鈴木宏

    鈴木證人 貸倒れ引当金というのは、今の賣掛金の中でとれぬおそれがある。それで賣掛金というと一種の債権になりますから、金はとれぬでも利益になるわけです。それを利益と見れば、決算が不確実——というよりは不健全な決算になりますから、そういう意味で利益から控除しておく。從つてども四千三百万の利益というのは、それが全部とれれば四千三百六十万円になるわけです。そういう意味です。
  197. 明禮輝三郎

    明禮委員 しかしこれは七十五万ですね。
  198. 鈴木宏

    鈴木證人 それは二月ですから、二月の百五十九万の予想です。
  199. 明禮輝三郎

    明禮委員 両方ともあなたから來ているのは、二月二十九日現在として掛貸しの方は六十七万になる。そうして倒れの方は七十五万円になる。
  200. 鈴木宏

    鈴木證人 いや六十七万円というのはもつと期日が後になつております。手もとにありますのは百五十九万が賣掛です。ですから百五十九万のときに大体七十五万とれぬだろう。その後減つて、現在六十七万に減つておりますから……。
  201. 明禮輝三郎

    明禮委員 よろしい。いずれにしてもどうかその点は十分に注意を願いたいと思います。昭和二十二年九月三十日現在の未拂金明細帳によると、百五十四万円の清掃費というのがありますが、これは何でありますか。
  202. 鈴木宏

    鈴木證人 大体最初に物件を受領するときは、縣廳指令書によつて物件を受領し、大体こちらに物件が引取りが完了したとこちらは思つていても、地方廳の方としてはまだとつたあとが散らかつておるから、これを一定場所に格納せよとか、そういう命令を受けたことがありましたので、完全に地方廳も受領した、神戸製鋼兵器処理部は將來作業をやることがないと言うまでは、作業の完全に終了とならぬわけです。從つて九月のときにはまだ地方廳の終了証明をとつておりません。それで九月には一應作業所の中でそういうものの命ぜられるおそれがある箇所に対しては將來命令がくるかもわからないという意味で、一應引当金をとつたわけです。その後逐次各府縣から縣知事の証明をいただきましたから、二月の末日の決算にはこれは計上しておりません。
  203. 明禮輝三郎

    明禮委員 あとはこれは下してしまつたのですね。
  204. 鈴木宏

    鈴木證人 そうです。二月末には完全に各府縣の終了証明をいただきましたから下しております。
  205. 明禮輝三郎

    明禮委員 私は大体終りました。
  206. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 ほかに何か質問ありませんか。——なければ終りました。御苦労さまでした。     —————————————
  207. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 丸谷諄太郎さんですか。
  208. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 はい。
  209. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 扶桑金属兵器処理部長代理ですか。
  210. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 さようでございます。
  211. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 部長はたれですか。
  212. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 部長は川村義雄でございます。
  213. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 実際の仕事はあなたがやつておいでになるのですか。
  214. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 いや、部長がすべての指揮をしたわけでございます。
  215. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 あなたはいつからこの部長代理をおやりになりましたか。
  216. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 昭和二十一年六月六日に部長代理に就任しました。
  217. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 それで現在までですか。
  218. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 はい、現在まで。
  219. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 あなたの前に部長代理というのはおりましたか。
  220. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 おりましたけれども、私らの職分と全然違う担当をしておりました。その点につきまして、私の職務について一應御了解を得ておきたいことがございます。当時この兵器処理関係をいたしますまでは、プロパーの方の会計課長をしておりましたので、兵器処理の職制といたしまして、私どもの方では五社のうちで一番小さい扱い量でもございました関係上、別に会計課長とか何とかいうものを置きませんでした。部長代理という名目で命を受けました。内容は経理担当でございます。そのことも併せて申し上げておきます。
  221. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 明禮君、わかりましたか。——では明禮君。
  222. 明禮輝三郎

    明禮委員 兵器処理部組織機構というようなものを簡單に述べていただきます。
  223. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 私ども兵器処理部は、大阪の扶桑金属工業の本店の中に本部を置きまして、本部に部長、副部長、部長代理、その下に部員をもち、その実際の作業面としまして、東京、名古屋、大阪に各班を設けまして、それに班長、副班長の職制をおきまして処理責任に当らしたわけでございます。私どもの担当は二府十六縣、それを東京班は千葉縣、それから名古屋班は靜岡、愛知、岐阜、三重の東海四縣に、北陸の石川、福井、富山の三縣を担当いたしました。大阪班は近畿の滋賀、京都、奈良、大阪、兵庫、和歌山、それに四國の四縣を担当しておつたわけであります。各班に必要に應じましてその駐在員を設けまして、東京では木更津に、名古屋では豊橋、各務ケ原、靜岡、津の四箇所、それから大阪班では舞鶴、四國に駐在員を設けましてこの出先の仕事を担当させました。こういう組織によりまして現地の物件を東京班では木更津の作業所へ、名古屋班では名古屋、各務ケ原及び豊橋の作業所へ主として品物を集めました。大阪班では天満並びに伊丹の二つの作業所に集めましてこの物件を処理したわけでございます。大体以上でございます。
  224. 明禮輝三郎

    明禮委員 廃兵器受領、あるいは拂下先の選所ということ、拂下げ方法、そういうような面における状況、お取扱いの実情をお話願いたい。
  225. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 ただいま御質問を受けましたことにつきましては、私の担当のことでございませんので、十分のお答えができないと思います。受領につきましては地方廳から引渡しの指図書をいただきまして、これに基きまして地方廳の方、地方事務所の方、あるいは警官等に立会つていただいて、現地で物を見まして、これに対して作業機関に作業費等を見積らせまして、物を引取りまして、その引取りました数量を確認した量に対しまして受領書地方廳に出しております。それから処分の問題につきましてはやや途中で制度等も変つておるように聞いておりますが、この方面につきまして私十分に知識をもつておりませんので、かえつてお答え申し上げて誤りがあるといけませんのでお答えは差控えさせていただきたいのでございます。
  226. 明禮輝三郎

    明禮委員 ほかのことはわからないのですか。今お問いした廃兵器受領拂下先選択拂下方法についての大体のことはわからないですか。あなたは副部長さんですか。
  227. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 代理だけれども主として経理をやつておる。
  228. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 物の方は直接自分が担当しておりませんでございましたから詳しいことは存じておりませんのです。
  229. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 知つていることだけを大体でよろしい。わかる範囲でよろしい。
  230. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 確かなことを知つておりませんので……。
  231. 明禮輝三郎

    明禮委員 それでは具体的に聽きましよう。一体その兵器拂下を受けるというのでしようが、内務省関係から、官廳から受取るときにはどういう人が立会つて受取つて数量なんかについての点檢はどういうことをやりましたか。それをお尋ねするのです。
  232. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 これも現地で実際私が当つておりませんので、具体的に申し上げることが非常にむずかしいのでございます。実際現地にそういうものの引渡し関係で出向いたこともございませんししますので、お答えがしにくいのですが……。
  233. 明禮輝三郎

    明禮委員 現地に行かなくともやつておる輪郭を、あなたが会計で金を出されたりする経理の面から言つてもわかりはしませんか。そうすると一体だれがわかるのでしようか。
  234. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 物の受領関係はやはりそれぞれ担当者もおりましたし、それから経理以外の物の処理関係はすべて部長が直接統括しておりましたから、その面の者が一番よく知つておると考えます。
  235. 明禮輝三郎

    明禮委員 部長はきよう出られないのですね。どういうわけで出られないのですか。
  236. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 お喚出しは私一人だけでございます。
  237. 明禮輝三郎

    明禮委員 いや、何か事故がありますか。
  238. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 現在はおるはずでございますが……。
  239. 明禮輝三郎

    明禮委員 過去はどうなんです。
  240. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 先週の土曜日まで拘置されておりましたので……。
  241. 明禮輝三郎

    明禮委員 それは何かあつたのですか。
  242. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 大阪地檢で処分品のプロパーが買い受けました物の処分をしましたことについて被疑の点がございました。
  243. 明禮輝三郎

    明禮委員 その内容は……。
  244. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 その内容は大体軽合金の屑並びに再生塊プロパーが買い取りましたものを他へ賣りましたことによりまして、需給調整法の違反と、業務上の横領という名前になつております。
  245. 明禮輝三郎

    明禮委員 起訴されたのですか。
  246. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 起訴されております。
  247. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 いつ拘置になつたのですか。
  248. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 拘置になりましたのは七月の十四日。
  249. 明禮輝三郎

    明禮委員 その事案は金額が大きいのですか。トン数で……。
  250. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 トン数で申し上げますと、兵器処理からプロパーに賣りましたものは軽合金の関係は約二千トン。
  251. 明禮輝三郎

    明禮委員 それはプロパーに賣つたのが二千トンで、今問題になつたのはどのくらいですか。
  252. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 轉賣という言葉を使つております。その轉賣という仕事は地金課の所管でございますので、地金課でその金額等はすべて扱つております。内容につきましては私はタツチしておりません。
  253. 明禮輝三郎

    明禮委員 話を聞きましたでしよう。何トンくらい、金目にしてなんぼとか……。
  254. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 金目のことは聞いておりません。トン数はそのトン数ほとんど全部賣つたように聞いております。
  255. 明禮輝三郎

    明禮委員 ずいぶん大掛りですね。さて一体こういうことですからかねて兵器というものを拂下げるときに、日本の政府に、アメリカの連合軍から返還されるときには指令五十三号といつて、民生安定のために並びに國家経済復興のためにこれを使え、そうして最後の消費者までこれを明らかにしておけということになつておるのでありますが、その点をあなたは知つておられたのですか、知らないのですか。だれか上の方から、内務省商工省あたりからそういう点について通達はなかつたのですか。
  256. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 その御趣旨はたしか印刷物で拜見したように考えております。
  257. 明禮輝三郎

    明禮委員 拜見したといつて、だれかから指示されたんじやないですか。
  258. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 おつしやる意味はどういう意味ですか。
  259. 明禮輝三郎

    明禮委員 つまりこういうものは経済復興のために戻してもらうのだから、最後の使用者まで明らかにしておけということでありますから、あなたの方でこれを拂下げる場合にも、これを何にするということをはつきりしなければならぬのであつて、あなたの方でいわゆる規則に違反して賣るということはいけないということはわかつていなければならなかつたですな。その点から言つて殊に拂下先について、プロパーでなく一般的に拂下げるについても、そういうふうな注意ができておるかどうかということを伺いたい。
  260. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 この処理の問題につき今被疑事件につきまして私の聞いておりますところでは、二十一年の十月頃にたしか拂下を申請したように聞いております。
  261. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 そうでない。あなた方兵器処理に着手するときにこういう指令のもとに拂下になつたから、この指令に從つてだれに品物をやらなければならぬということを、だれかから聞かされておらなかつたかという問です。
  262. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 最終需要者ということを私も聞いておつた
  263. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 どこから指示があつたか。
  264. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 私はたしか書類で見たと考えております。
  265. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 どこから出た書類であるか、覚えがないのですか。
  266. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 私ども事務局から來ました書類にあつたと記憶しております。
  267. 明禮輝三郎

    明禮委員 それで知つてつたというわけですな。拂下方法については、あなたは経理の面ですからよくわかるでしようね。
  268. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 経理担当に方ではそういう仕事は一切やつておりません。
  269. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたは経理だけしかわからないのですか。
  270. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 大体経理の仕事だけを担当したものでございます。
  271. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたの方では作業將励金という名目で、下請業者に二百四十五万円を分割供與しておる事実がありますね。
  272. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 はい、ございます。
  273. 明禮輝三郎

    明禮委員 これはどういう意味でありますか。
  274. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 これにつきましては、御承知通り最初官から一銭の金をいただいたわけでもありませんししましたために、最初作業をむやみに促進さすこともいたしました一面におきまして、非常に金融事情が悪く、集荷したものは当初なかなか金にかえることには運びませんし、要するにその作業費は相当額銀行から借り、支社から借りて賄つていかなければならなかつたような事情であります。そのために業者にもやはり請求を受けましても、十分に作業費を逐次拂つてやることができぬままに、二十一年くらいはかなり金額も大きく積つてつたこともあつたのであります。ある業者などはそのための数十万も金利を負担しながら、その作業を続けてくれたものがあるのであります。そういう事情も一つでございます。それから作業を見積らせまして、実際作業を行いました結果の問題につきましても、御承知のような物價の上昇の非常に著しいときでございまして、その実際と見積つたときとの、業者に支拂つた金額にも実際は相当開きのあるものもあつたわけでございます。しかし私どもとしてはやはり見積り当時の單價でこれを査定していくというふうに嚴格にやりました。それから地域によりましては、進駐軍のおります所では、作業予定を立てて仕事を始めましても、都合によつて中止を命ぜられる場合もある。また場合によりましては、大急ぎでこのものを何時までに出してしまえというようなこともあります。そうすると、作業のむだ、二重になるようなことも隨時あつたわけでありますが、何しろ当初作業費さえもそうやつて滿足に拂つていくことができませんでした関係上、そういう特別な考慮は作業費支拂に入れておりません。これらのいろいろな事情を勘案しまして、作業の將励金という名目でこれに報いたわけでございます。もちろんその金額は、業者におきまして、それまでの損失を補填した程度のものと考えております。一面におきまして、非常に早く作業をさせました結果から見ますれば、今日から考えますと早くしただけに、作業費の面でも相当助かつた面があるのじやないか、こういうふうにも考えておるわけでございます。
  275. 明禮輝三郎

    明禮委員 今のように進駐軍とかあるいは至急にやれというような場合がある。そういうところも中にはありましよう。しかしこの二百四十五万円という金は何箇所ですか。大分廣いところへ……。七箇所ですね。
  276. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 そうでございます。
  277. 明禮輝三郎

    明禮委員 方々にみなわけてやつている。
  278. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 大体大阪班、名古屋班の業者のおもなるものに支拂つたわけでございます。
  279. 明禮輝三郎

    明禮委員 今までの話ではあなたは普通は作業費として請負わせたという点にはありましようが、廃兵器処理機構に関する件という根本的な商工省あるいは内務省の規定からいきますれば、その制限がそうないのですから、こういう奬励金として別立てでお出しになることは、何だか異様に考えられますね。
  280. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 これは元來がその都度の作業費を、そういうことがありました分、特殊事情をみな勘案して査定してやればよかつたわけであります。ですけれどもこれを別途に出したわけでございますので、その点はかえつて目立つたような内容になつたかと思います。
  281. 明禮輝三郎

    明禮委員 次にお尋ねすることは、溶解作業費はとういう基準に基いてお支拂いになりましたか。あなたの方の溶解作業費の取扱いについての経理面においての説明を願います。
  282. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 溶解作業費の單價につきましては、たしか二十二年の十一月二十五日だつたかと思いますが。事務局から出ました通知によりまして、それを基準として溶解費を計算して、一應その下請をしておりました扶桑金属に支拂つたことになつております。
  283. 明禮輝三郎

    明禮委員 そこで実際そういう取扱いができてはおるようでありますが、これは非鉄金属の各社にあるようですが、大体二十一年の一月から十月までがトン当り五千六十九円、二十二年十一月から二十二年六月までが七千百三十円、二十二年七月から九月まで一万四千円、こんなふうに大体の基準が——これは商工省から許可を得ておるわけですね。
  284. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 これはただいま申し上げました事務局長からの通知によりますと、商工省の御了解を得たという書面になつてつたように記憶しております。
  285. 明禮輝三郎

    明禮委員 ところが実際はほかの会社もありますが、古河なんかもあるのですが、実際の費用というものはこれの六割か七割程度かかる。だけれども商工省はどういうつもりか、あなた方が一万二千円でよろしいと言つておるのに一万四千円の計算をしてきておるような実情もあり、いろいろの点からいつてこの基準というものが相当高くなつておる。ところがあなたの方のは実際もう少し安くできたものを、やはり高くきめられておるから最高のものをとるというようなことにはなつておりませんか。
  286. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 この点は実は檢察廳の方でもお調べになつておるところでございます。それで私どもの方といたしましては扶桑金属が一應下請して、それからさらに三つの業者にそれを再下請をさしております。それに支拂いました金額と、兵器処理から扶桑金属に拂いました金額との間に、ただいま申し上げましたような意味の差があるわけであります。その点についてただいまお調べ中でありますが、総額二千百八十万円の支拂額に対して三百六十七万八千円の差額が出ております。
  287. 明禮輝三郎

    明禮委員 そうするとこの点は、金額がよけいとつてあるということにはなつているわけですね。
  288. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 さようでございます。
  289. 明禮輝三郎

    明禮委員 そこであなたの方の非鉄金属を受領されて、それを解体あるいに溶解、運搬その他の費用をかけて、結局総決算としてはどういう決算になつておりますか。
  290. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 最終決算はまだ出ておりません。しかし二月までのところ大体出ておりますので、それを申し上げます。作業費といたしましては、集荷の作業費が四千二百五十万円、それから解体費が大体千三百二十万円、溶解費が二千百八十万円、合計しまして七千七百五十万円が作業費でございます。それから営業費が千二百五十万円、合計いたしまして九千万円の費用が二月までにかかつております。それで現在残つております品物の原價が千三百二十万円ほどになつて、賣上は一億八十万円ほどであつたと思います。これから賣上げました品物の原價を差引きました結果におきましては、大体二千四百万円の益が出ております。しかし二千四百万円のうち、約二百万円の原價外の出費がございますので、差引二千二百万円ほどの益になるはずになつております。大体そういうことでございます。
  291. 明禮輝三郎

    明禮委員 その原價外というのはどういうのですか。ちよつと簡單に説明してください。
  292. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 これはちよつと事情があるのでございますが、もともと私どもの方の三社は非鉄部門でございます。鉄鋼部門の方の会社とおのおのその扱いますものについてもきめがあり、担当地域についてもきめがあつたのでございます。たまたま鉄鋼担当の二社さんの方にある銅合金を三社の方でもらいますときに、その配分の協定をしたのであります。ところが実際銅各金を受け取りました量は、三社のうち私の本社が受取りました予定量が多かつたわけであります。その多かつた分に対する價格を見積りまして少くとられた他社の方にそのお金を差上げたわけであります。その金額が百九十五万五千円あつた、その数字でございます。
  293. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたの方の会計で作業費の中に営業費といいますか、あるいは交渉費といいますか、そういつたものはどのくらい出ておりますか。
  294. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 営業費千二百五十万円のうち百三十万円が大体集会接待関係の費用であります。
  295. 明禮輝三郎

    明禮委員 百三十万円は一体どういうことに使われたのですか。
  296. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 その中にありますものの主たるものは、やはり事務局を通じて集会されたものの割掛費が一番多かつたように思います。
  297. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたの方の事務局ですか。
  298. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 兵器処理事務局でございます。
  299. 明禮輝三郎

    明禮委員 そうすると兵器処理委員会の人が來たという意味ですか。
  300. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 兵器処理事務局で主催されての五社の関係の集会費というようなものではなかつたかと思います。
  301. 明禮輝三郎

    明禮委員 結局飲み食いですね。
  302. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 事務局で五社の関係のいろいろな集会をする。それの費用というものは五社がもつわけであります。
  303. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 分担金ですか。
  304. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 分担金であります。
  305. 明禮輝三郎

    明禮委員 分担金といつても、それは五社といつても何でしようが、普通の兵器処理委員会というものは本部の方でやつて、本部の方の費用になるのです。あなたの方はこれは兵器処理部というのでしよう。
  306. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 そうでございます。
  307. 明禮輝三郎

    明禮委員 だから兵器処理委員会というものは東京にある。あなたの方の大阪というのは兵器処理部で、この今の二百五十万円かの会計は、そこの部でやつたことでしよう。たまたまお客さんで來たということだけですね。
  308. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 私どもの方で、やはり東京にも班をもつております。名古屋にも班をもつております。各班でやはりその費用をもつべき集会の費用もあるわけでございます。
  309. 明禮輝三郎

    明禮委員 いろいろな会合のときには、やはり官廳の人も來るのでしよう。
  310. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 それは御出席になつた場合もございます。
  311. 明禮輝三郎

    明禮委員 そういうときにはやはり官廳の人も一緒に飯を食つたわけでありますか。
  312. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 そういうこともございます。私ども主として大阪におりますし、そういうことについては、あまりよくは知りませんけれども、そういうこともあるわけでございます。
  313. 明禮輝三郎

    明禮委員 それは大体商工省の人ですか、内務省ですか。
  314. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 やはり商工省が多かつたように思います。
  315. 明禮輝三郎

    明禮委員 どういう人が大体來たか知りませんか。
  316. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 私どもの打合せ等は、やはり兵器処理班長を中心にいろいろな会合をしました。
  317. 明禮輝三郎

    明禮委員 商工省班長ですね。
  318. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 さようでございます。
  319. 明禮輝三郎

    明禮委員 大堀という人ですか。
  320. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 大堀さんという名前は存じません。
  321. 明禮輝三郎

    明禮委員 この昭和二十年の九月三十日現在の決算書の中で、作業勘定明細書というものがありますね。この中に材料費という科目ができておる。ほかのところには材料費というのが大分あるようですが、あなたの方ではこれがございません。何かほかの勘定科目にこれは移つてありますか。
  322. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 これはそれを含めましてそつくり請負勘定でありますので、たしかその表の次の項目のところにあります労務費か何かのところに一括されている内容をもつておると思います。
  323. 明禮輝三郎

    明禮委員 どこに一括されておるのですか。
  324. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 表は手もとに持つておりませんからはつきりとはわかりませんが、労務費の中にはいつておるのではないかと思います。材料といつて別に立てる何をもちませんものですから……。
  325. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたの所ではプロパー拂下げて、相当安く買取つたのではなかつたのですか。
  326. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 プロパー拂下げるにつきましては、價格の決定はやはり私の担当のことではございませんが、そういう過当のことはなかつたろうと思います。
  327. 明禮輝三郎

    明禮委員 公定價格より安いということはないですか。
  328. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 ないと思います。
  329. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたの方からほかに拂下げる、そういう賣掛金とか、未收金というものはありませんか。
  330. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 大体建前といたしまして、賣りますときには先に金をとるように基本をもつてやりましたので、ほとんどそういうものはございませんが、わずかの金額でありますが特例的なものがございます。金額で六千三百二十円というものがございますが、これは四國にありましたことでございまして、すでに私ども兵器処理仕事を進めますまでに、縣におかれて需要者に渡されてあつたものであります。その債権を手続上引継ぎましたもので、相手の会社が特経会社であり、しかも清算会社になりましたために、どうしてももらえないというものはございます。そのほかにまとまつたものは、ほとんどないはずでございます。
  331. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたの会社はバイヤー工場に安く拂下げておりはしませんか。
  332. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 バイヤー工場に安くというような内容はもたないのでございますが、バイヤーにやります物については、私がこの仕事に携わるまでにその單價をきめられておりまして、それによつて割当てられた量を送に出したという内容をもつておるわけであります。
  333. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたの会社は大きな会社ですが、非常な欠点を残して大阪の事件がありまするから、いずれ事実は詳細に闡明されましようから、あなたは会計であるというお立場もあるからこのくらいにいたしましよう。
  334. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 さつきのところでちよつとわからなかつたが、兵器処理委員会本部で使われた会合費が多いと言われたが、その点は間違いないでしようか。その分担金だと言われたが……。
  335. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 これは数字の表も何らただいま御承知のように手もとに持つておりませんが、私の記憶ではそういうものがかなりあつたように思いましたので申し上げたのでございます。
  336. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 兵器処理本部が使つたものをあなたの方に分担せよと言うのですか。あなたの方も行つておるからその金の一部を出せと言うのですか。
  337. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 事務局でそういうふうないろいろな兵器処理全般いついての打合せをしましたときには、特にそういう経費を割当ててくることがあるわけでございます。
  338. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 それは間違いありませんか。
  339. 丸谷諄太郎

    丸谷證人 たしかそうだつたと記憶しております。
  340. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 それじやよろしゆうございます。  十分間休憩します。     午後四時四分休憩      ━━━━◇━━━━━     午後四時二十三分開議
  341. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは山縣さんですね。お待ち遠さまでした。あなたは日鉄兵器処理部総務班長ですか。
  342. 山縣義夫

    山縣證人 そうであります。
  343. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではこれから兵器処理について伺います。明禮輝三郎君。
  344. 明禮輝三郎

    明禮委員 総務班長は全部にわたつてお尋ねすることの大体はおわかりになつておりましようが、部長はおいでにならないのですか。どういうのですか。
  345. 山縣義夫

    山縣證人 部長はおります。総務部長は大体業務的なこと、庶務的なこと、渉外的なことをやつております。経理のことは私は携わつておりません。
  346. 明禮輝三郎

    明禮委員 それでは経理の部面は経理班長お尋ねいたしまして、総体的なことをお尋ねいたします。廃兵器受領というような場合はどういう方法をもつて受領しておられましたか。また廃兵器受領したものを解鉄をいたしましたものを、さらに拂下げる場合にはどういうふうにして拂下先選択をしておられましたか。また拂下方法はどういうような段階を経て拂下をしておられましたか。そういう点についてお話を願いたい。
  347. 山縣義夫

    山縣證人 私の方は大体本部は東京にありまして、実務は全然やつておりません。ただ東京から各支部を監督しておりましたので、実際的にこまかいことはあまり承知していないかもわかりません。廃兵器受領は大体は府縣の特殊物件課から拂下指示書等のリストをいただきまして、そのリストによりまして係員が現場に赴きまして、現場で数量を確認して受領しました。それには各府縣受領書を出しておるわけであります。これで一應各支部が支部長の名において受領するわけでございます。  それから拂下選択は、大体昭和二十年から始めたわけでございますけれども昭和二十年、二十一年、二十二年の初めごろまでは品物が非常に賣れなくて、資金的に非常に困りましたので各支部で展示会、展覧会のようなものををつくりまして、大いに買つていただくように一般の供覽に付してやつたわけでございます。大体は使いたいという業者が各支部へ参りまして、こういうものが欲しい、どれくらい数量があるかと支部の係員に聽きまして、その数量を書き込んで、およそこれくらいの値段ということで、たしか値段もそのときに話合いをしたのだろうと思います。しかし値段は大体拂下処理要領によりましてきまつておりますので、その要領によりまして一應査定しまして書き込んで、スクラツプですと二百トン以下、その他のものは、たしか三十万円以下のものは地方商工局兵器処理委員会の支局というものがありましたが、その支局を通じて商工局に出して拂下の許可を受けたのであります。それ以上のものは支部を通じて本部の私どもの方へ來るわけであります。私どもの方から兵器処理委員会の本部へ出しまして、本部から商工省拂下願いが出るわけであります。そのときに特別に値段を安くする必要のあるものは、大体値段を書き込みまして、こういう値段ですということで許可をお願いしたわけであります。それが許可になりますると、今申し上げました逆の順序で一應業者へ渡りまして、業者が支部の係員の立会いの上で品物を渡すというような方法で渡していたわけであります。
  348. 明禮輝三郎

    明禮委員 受領の場合に立会つた人は、どういう人が立会つたのでしようか。
  349. 山縣義夫

    山縣證人 受領の場合には、大体府の特殊物件課の方と、私の方の総務の関係者が参りまして、立会つたと思います。
  350. 明禮輝三郎

    明禮委員 そうすると、それはほとんど出店である縣の特殊物件課の者が出るだけで、ほかにほ商工省その他來ないわけですね。
  351. 山縣義夫

    山縣證人 参りません。
  352. 明禮輝三郎

    明禮委員 その数量についてはどういう方法ですか。
  353. 山縣義夫

    山縣證人 数量につきましては、一應そのリスト数量の書いてあるのもありましたし、あるいは大雜把に一式というようなリストもありました。一式というのは大体こちらでどれくらいというトン数に直しましておそらく受領書を縣に出しておると思います。
  354. 明禮輝三郎

    明禮委員 数量についてはどうでしようか。これは実際の問題として秤にかけるということはなかなかむつかしいことではありますが、実際においては何かいい方法がないと、量目が多少食違いを生ずるのじやないでしようか。
  355. 山縣義夫

    山縣證人 私の方は鉄関係でございますけれども、たとえば小銃とか大砲とか、そういうものは割合い数量が明らかになるわけでございますけれども、その他のスクラツプ一山ということになりますと、非常に困難がある。大体は鉄屋でございますから、目分量でその容積をはかりまして、容積から割出して大体何トンあるということを推定して、何トンのスクラツプを受取つたということを、おそらく書いて出しておるのだろうと思います。ですから多少見る人によりまして、違いが出てくるのではないかと思います。
  356. 明禮輝三郎

    明禮委員 目量というのですね。
  357. 山縣義夫

    山縣證人 そうでございます。もしこれを実際に看貫して受取ることになりますと、たとえば十万トンのスクラツプを看貫することになると、今の値段で約一億何千万円という金がかかるわけです。それはとうてい不可能なことだと思つております。
  358. 明禮輝三郎

    明禮委員 それから拂下についての選択は、あなたは御承知じやないかと思うのですが、一九四五年の九月二十四日附政府に対する覚書、すなわち連合軍からかような兵器についてのすべてのものを、日本の民生安定のために、あるいは経済復興のためにもどしてもらう。そうしてそれを最後の消費者はで明らかにしておけという覚書があるのを御承知だと思うのですが、いかがですか。
  359. 山縣義夫

    山縣證人 実は私よく知らなかつたのですが、せんだつて檢察廳へ参りまして見せていただいて、あとの方もよく見ました。
  360. 明禮輝三郎

    明禮委員 そうしまするとこういう問題は商工省もしくは内務省、あるいは兵器処理委員会、あなたの方の本部になるわけだが、そういうところから何らかのこれに対する指示があるべきではなかつたかと思うのですが、何らの指示もなかつたわけでありますね。
  361. 山縣義夫

    山縣證人 これについての指示承知いたしておりません。
  362. 明禮輝三郎

    明禮委員 そうするとその拂下先選択ということについては事実はいろいろ拂下を求める理由とか、目的を書いてくるのでありましようから、ある程度は明瞭にもなるかもしれませんけれども、とにもかくにも、最後の消費者まで明らかにするという点には及んでいないのじやないかと思うのですが、いかがですか。
  363. 山縣義夫

    山縣證人 大体は今の九月二十四日の覚書は承知いたしておりませんが、そのあとに兵器処理に対する覚書というものが出ております。その中には食糧関係、輸送関係、その他四項目ばかり載つておりました。その方面へぜひこれを配分しろということはありました。それによる指示は各支部へやつております。ですからそれに準じて一應支部長は行動したものと思つております。
  364. 明禮輝三郎

    明禮委員 これをあなたの方のプロパー拂下げられておるものがありはしませんか。
  365. 山縣義夫

    山縣證人 私の方へ……。
  366. 明禮輝三郎

    明禮委員 みずからが拂下げを受けておる。あるいは……。
  367. 山縣義夫

    山縣證人 私の方へ受けておるのはあります。大体鉄屑が主体で、十七万三千トンばかり拂下を受けております。
  368. 明禮輝三郎

    明禮委員 そういうものについてはどういうことになりますか。今の最後の消費者を明らかにしろということについては、あなたの方では鉄によつて今何をつくるというわけじやございませんね。
  369. 山縣義夫

    山縣證人 大体屑鉄は、たとえば大砲その他については、これを放置しておけばもちろん醜い残骸をさらすようなことになりますし、いたずらに錆びさして、鉄としての價値がだんだん減つてくるわけであります。これを製鉄所へ持つて行つて再熔解して、新しい鉄にして、薄板なり銑材なりつくりまして、民生安定のために鉄製品をつくるということは、今の九月二十四日のメモランダムに副うものだと思つております。
  370. 明禮輝三郎

    明禮委員 どういうところへ使うのですか。
  371. 山縣義夫

    山縣證人 直接は使いませんが、鉄をつくるということは、結局それから発生する鉄の二次製品、三次製品、その他なべかま、いろいろつくれるわけであります。
  372. 明禮輝三郎

    明禮委員 そういうところへ向けるということになりますか。
  373. 山縣義夫

    山縣證人 結論としては向くことになるのであります。そのまま置いておけば、結局スクラツプとして放置しておく以外に、何も役に立たないのじやないかと思います。
  374. 明禮輝三郎

    明禮委員 これはそのくらいにしまして、拂下方法については先ほど説明があつたと思うのですが、これは中央配分地方配分になつておるようですね。
  375. 山縣義夫

    山縣證人 そうです。
  376. 明禮輝三郎

    明禮委員 この中央配分については、兵器処理委員会特別委員会でやるのでしたか。
  377. 山縣義夫

    山縣證人 それは初期の時分にはたしか特別委員会でありました。それが二十一年に特別委員会を廃止して、商工省配分を決定しておつたわけであります。
  378. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたの方の二十二年の三月三十一日附で八幡、輪西、廣畑、釜石地区所在の鋼屑六万六千五百五十四トンを單價三百五十円、二千三百二十九万三千九百円で日鉄プロパー拂下げておりますが、この点はいかがですか。
  379. 山縣義夫

    山縣證人 その通りでございます。
  380. 明禮輝三郎

    明禮委員 二十一年五月二十九日に八幡製鉄所に対し一万二千六百二十九トン四四を單價三百五十円で拂下げておる。二十一年五月当時、一年後の二十二年三月同一單價で拂下を行つたのはいかがでありましようか。これはどういう意味でありますか、ちよつと説明を願います。
  381. 山縣義夫

    山縣證人 今のところは最初はたしか三百円で八幡製鉄所へ拂下げたのじやありませんでしようか。第二回目は七百五十円で拂下げまして、三回目に三百五十円で拂下げております。
  382. 明禮輝三郎

    明禮委員 この七百五十円というのがあつて、それから三百五十円というのがある。実はそれで疑問をもつのです。
  383. 山縣義夫

    山縣證人 この七百五十円といいますのは、私の方にちよつと手落ちがありまして、契約が少し遅れていたわけでございますけれども、このときにたしか経理制限統制令が出まして、この帳簿を改めるわけにいかなくなりましたので、それで日鉄の方から、プロパーの方から、私の方の兵器処理費七百五十円という相場は、当時は非常に高いからもつと安くしてくれという申入れがあつたわけですが、帳簿がかえられないのでいたし方がないから、このままにしてくれと私の方から拝みましてこのままになつたわけでございます。それからあとの三百五十円はその当時のスクラツプの値段が大体三百円ないし四百円くらいの相場だつたと思います。これは昭和二十一年の五月ごろに、戰災復興院から金属回收会社へ出しましたスクラツプの價格の公價表があります。それによりますと、当時マル公が七百五十円、二級品が四百五十円になりました。しかるに戰災復興院は、これを一級品は三百円、二級品は五十円、しかも一級品は二級品を選別したものであつて、平炉サイズに切断したもの、こういうことで切断費はほかに百五十円を見込むということでマル公表が出ております。それによりますと大体切断したもので三百円、もしこれを切断してなけれが一級品で百五十円、二級品になりますと金を出しても買わないということになるわけです。その情勢が大体二十二年の春ごろまで続いたかと思います。御承知のように鉄鋼は終戰後ほとん需要がなくて、たしか終戰直後には八幡製鉄所の平炉が一基動いていたというような状況で、各製鉄所とも非常にたくさんのスクラツプを持つて苦しんでいたような状況でありまして、鉄屑はほとんど需要はなかつた。鉄屑の需要の出ましたのは、おそらく二十二年の春ごろか六月くらいからだと思います。ですからそのころの値段としましては市價に近いのじやないかと私は思つております。
  384. 明禮輝三郎

    明禮委員 われわれが考えてちよつと腑に落ちないのは、このあなたの方から出ておる表にもありますが、これは日本製鉄株式会社拂下げた資材数量價格、及び解体費用の対照表、これによりますと、今の三百円とか、七百五十円とか、三百五十円で拂下げておる鉄の経費ですね。これの経費だけでも五百三十三円二十八銭かかつておるわけですね。これだけ経費のかかつておるもの、これの経費前の品物は別といたしましても、経費だけでも五百三十三円以上かかつているものを三百円なり三百五十円なりで賣られたということは、私どもちよつとこの点が解せないのです。それでここにお尋ねをするわけです。
  385. 山縣義夫

    山縣證人 それは大体兵器処理でこれをやります当初から、鉄屑の方は大体赤字が出ると言われておりましたし、また実際問題として今お示しの通りに個々の問題については赤字の出る問題が出くるわけです。しかしたとえば山頂にあります要塞砲、これのスクラツプを処理しますのに約六千円かかる。それを、たとえば八幡製鉄所に持つてまいりまして、これは六千円経費がかかつたから六千円で買つてくれといつても、八幡製鉄所としては買わない。やはり買う方はそのときの相場でないと買わないわけです。ですからその解体物件その他によりまして経費をバランスしまして妥当の價格で賣つたわけです。私の方で各一期々々の決算をやりましたが、そのときの決算のブツク・ヴアリユーがたしか二百九十何円とか、約三百円程度になつております。それにそのスクラツプのブツク・ヴアリユーを三百円にしまして、なおかつその当時何億円かの黒字が出ていたわけです。ですからその値段で賣つても当然黒字として兵器処理仕事がやつていけるのじやないかと思つております。
  386. 明禮輝三郎

    明禮委員 こういう結果になりますね。今この点を見ますと日鉄の、この当時プロパー拂下げた総額は七千三百九十三万円ほどになる。これに対する費用が七万七千五百三十円、ここで四百万円も損をしておるわけですね。こういう結果の場合は、これは何か例外價格とでも言うのですか。
  387. 山縣義夫

    山縣證人 一應これは例外價格と言いますか、一級品七百五十円、二級品四百五十円でございますから、商工省へは三百五十円で拂下げるという申請はしております。そして許可はもらつております。しかし今申し上げました通りそのスクラツプだけで計算するとそういうことになりますが、これはやはり全般的に経理を計算すべきじやないかと思います。ただいま申し上げたように要塞の大砲が六千円かかる。するとやはり六千円で賣らなければならぬ。要塞砲をたくさん抱えておつた所は、結局その大砲のスクラツプは賣れないということになりますと、兵器処理が円滿にできないという結論になるわけです。
  388. 明禮輝三郎

    明禮委員 そういうものもありましようが、今これが問題になつておるのは、あなたの会社だけじやない。ほかの所でも自分のところのプロパーへ下げるのに非常に安くやつておる。これはあなたの所だけじやない。ほかの所もはなはだ遺憾ですが、卒直に言いますと、お手盛だと言われておる。そこで一体こういう処理をなさつたあなた方のお考えは、これを國家から兵器処理委員会拂下げてもらつたものであるから、自分らの拂下げたものとして取扱つておられるものか。またそうでなく國家事業としてあなた方はこれをお取扱いになつたか、この点のお氣持はどうでありましよう。
  389. 山縣義夫

    山縣證人 当初はこれは國家のものだ、國家の代行だというふうに内務省からの通牒なんかに書いてありましたし、そういう話でありましたが、途中でわれわれは損害が出た場合に赤字補償がしてもらえないというわけで、商工省その他からとにかく商賣だから一應赤字が出ない程度で、——民生に寄與するためには安く賣る。赤字が出ないようにするためには高く賣るという二つの矛盾があるわけで、赤字が出ないという一線をもつて最低限度でなるべく安く賣つていきたいという氣持でやつてまいりました。
  390. 明禮輝三郎

    明禮委員 ちよつと聽きそこなつたのですが、初めは國家仕事だと思つたが、あとから……。
  391. 山縣義夫

    山縣證人 あとからは商工省の方で商賣だからというような指導を度々受けましたし、金の問題についても、國家からは一文も心配していただけない。赤字の補償も受けられないということになりましたので、われわれとしましては、自分のものというところまでは考えておりませんでしたが、今申し上げたように赤字が出ては、やはり会社として会社の通常業務以外の仕事をするわけでございますから、ぐあいが悪い。しかしそんなに厖大に黒字を出す必要もない。これは民生安定のためにもなるべく皆さんに安く買つていただく方がよいのじやないかというわけで、そこに二つの——一方では安く、一方では高く、赤字の出ないように高く、民生安定のためには安くというわけで、少し矛盾した考えであつたのですが、とにかく赤字が出ないというところへ線を引きまして終始してきたわけなのです。
  392. 明禮輝三郎

    明禮委員 初めからこの委員会の成立ちは赤字が出るものということが予測されておつたようですね。
  393. 山縣義夫

    山縣證人 初めは予測しておりました。それで非常に心配してそれをやかましく言つたわけです。初めのうちはスクラツプは賣れませんし、非常に悲観的な状況にあつたわけです。
  394. 明禮輝三郎

    明禮委員 二十二年の四月ごろ神戸製鋼にあなたの方で拂下げておられるものは單價が二百二十五円くらいで拂下げておるものがありますね。
  395. 山縣義夫

    山縣證人 それはスクラツプですか。
  396. 明禮輝三郎

    明禮委員 破壊火砲とか破壊戰車とか、これはどういう取扱いになつておりますか。
  397. 山縣義夫

    山縣證人 それは私知りませんが、おそらくあり姿のまま拂下げしたのじやないかと思います。特別に安うございますから。それで切断費は神戸製鋼がもつたのじやないかと思います。
  398. 明禮輝三郎

    明禮委員 しかしあなたの方の今のような考え方で拂下げを受けたものだからというようなことかも知れませんが、これについては依然として二十年十一月十二日附の二〇総局第二八四号解体兵器等の処理機構に関する件というのが活きているわけですね。並びに兵器処理委員会受領すべき物件の範囲の件というのも活きているわけですね。兵器処理委員会経理に関する方針も活きているわけですね。價格決定の方針、これも活きている。     〔委員長退席鍛冶委員長代理着席〕  それからそのほか権限以上の物件範囲、すべてこういうものは活きて、これによつて統轄されている以上は、拂下げを受けたといつても実際は國家のものとしてあなた方はお取扱いになつてよかつたものと思うのです。これは各社ともこういうことがあるのでありますが、ほかの方はみなこれは國家のものとしてやりましたと言われ、あなたは正直にいや拂下げを受けたものだと思うという意向でありますが、ここに大いに観点が違つてきておる。從つて今日、これが処理については非常なる非難を受けているのでありまして、私どもはこれを拂下げた言つても、こういう一つの大きなわくに閉じ込められて、あなた方は処理し、しかも先ほど言つたように指令五三号というものが出ておりまして、こういうものの処理には十分注意をしてもらわなければならなかつたと私は考える。こういう結果がたくさんありますが、あなたの方のプロパー拂下げられましたトン数は全部でどのくらいになりますか。
  399. 山縣義夫

    山縣證人 全部で十七万三千トンばかりでございます。
  400. 明禮輝三郎

    明禮委員 それは單價はみなどれくらいのものでございますか。
  401. 山縣義夫

    山縣證人 先ほど申し上げましたように、最低が三百円で一番高いのが千百円でございます。
  402. 明禮輝三郎

    明禮委員 それは最高ですね。
  403. 山縣義夫

    山縣證人 はい。これは受渡しの條件が違つておりますわけですから、一概に平均というわけにはいかないのです。
  404. 明禮輝三郎

    明禮委員 それからこの拂下價格に非常な異同がある。たとえば鉄鋼部門のあなたの方の関係で見ると、舞鶴出張所五百五円、九州支部が九百三十八円、四國出張所が九百九十五円、西部支部が千八十七円、九州支部が千八十八円、中國支部が千百五円、中國支部直轄千五百三円、東北支部が二千二百八十一円四十三銭、こういうふうにほとんどまちまちなところが多いのですが、この点についてはいかがでありますか。
  405. 山縣義夫

    山縣證人 これはスクラップが大部分でございますが。今平均されましたのは全部の平均單價でございますか。
  406. 明禮輝三郎

    明禮委員 鉄鋼部門の平均單價でございます。
  407. 山縣義夫

    山縣證人 鉄鋼関係ばかりでございますか。
  408. 明禮輝三郎

    明禮委員 鉄だけです。
  409. 山縣義夫

    山縣證人 スクラツプ値段というのは、ちよつと御説明したいと思いますが、大体マル公がきめられておりますのは、平炉の寸法に切つて、需要家の置場まで持ち込んで千百円、あるいは七百五十円という数字であります。それでそのスクラツプの價値は大体ある場所、たとえば山の上にあるものと、今申し上げました需要家のすぐそばにあるものとによつて非常に違うわけであります。それからスクラツプの形状、寸法、今の平炉サイズということになるわけですが、寸法によりまして、たとえば四十サンチの大砲一門と、一メートルくらいのレールということになりますと、レールの方がうんと高いわけで、四十サンチの大砲一門は重量にしてもうんとあるわけですが、これはほとんどマイナスというわけです。スクラツプの寸法、スクラツプの材質、これは中にニツケル、クローム、そういうものがはいつておりますと、戰時中は非常に價値のあるものであつたわけですが、現在においては異物がはいつているわけで非常に嫌う。ほとんど役に立たないという状況であります。それからもう一つ、先ほど述べましたスクラツプの需要状況、この四つに左右されるわけです。おそらく各支部でその平均單價の違いますのは、そういう四つの條件に支配されまして、たとえば舞鶴が五百五円というのは、舞鶴のスクラツプが非常に悪かつたということで、一番高い東北はどういうふうに平均を出されたかわかりませんが、あるいは伸鉄——伸鉄材というのは今の熔解料よりは非常に高いわけですが、伸鉄材が多かつたというところにあるわけで、平均でこの單價を出されるのはちよつと無理かと思いますが……。
  410. 明禮輝三郎

    明禮委員 これは商工省承認とか、あるいは地方配分としての許可は得てありますか。
  411. 山縣義夫

    山縣證人 得ております。大体全部得ておりますが、これは申訳ないのですが、大阪、九州で事件が起りまして一、二無許可で出したものもあります。それは檢察当局で調べられましたのですが、それ以外のものは大体全部得ておると思います。
  412. 明禮輝三郎

    明禮委員 その大阪で起つた事件というのをちよつと説明していただきます。
  413. 山縣義夫

    山縣證人  大では一昨年の五月ごろから九月ごろまでの間に問題が起きたわけですが、大阪の支部長でありますが、權藤氏が請負業者の富島組、それから上組、塚本商事という所から大阪工場——これは日鉄大阪工場でございますが、今再建整備で分離しようとしておりますが、これの建設資金に充てたいというつもりで業者から二百七十万円かの融資を強制融資したわけであります。これらの業者は大阪兵器処理の作業をやつていたわけで、業者から金を一應とつたわけでございます。その問題で權藤氏は起訴されました。金は一應兵器処理へ全部返りました。それから業務班長の西村というのが今申し上げましたように何か厚生資金をつくるために材木、油類を横流して約九万円ばかり金を捻出した。その金は全部大阪日鉄の事務所の厚生資金に充てた。こういう話でございますけれども、これは横領罪で起訴されております。大体この二件でございますが、あと一人たしか豊田というのが枚方でやはり横流しをしたということで起訴されております。三名あつたと思います。
  414. 明禮輝三郎

    明禮委員 前中國支部長毛利英熊氏は……。
  415. 山縣義夫

    山縣證人 まことに支部長ばかりでこういうふうに起訴を出しまして申訳ありませんが、毛利氏は二十一年の六月ころから二十二年の九月ころまでの間にかけまして水銀を一トン二百、金額にしまして五十万円ばかり賣却した、これは横領罪で起訴されました。それから十一空廠——廣工廠でございますが、元の海軍十一空廠で、これは当初神戸製鋼兵器処理に当つたわけで、神戸製鋼が全部引揚げてしまいまして、あと残り破壊した建屋、それからインゴツト、こういうものが約二万トンばかりあつたわけであります。これを大藏省の管財から、あそこは進駐軍が使うから片づけてくれということを中國支部長の毛利氏に依頼があつた。それで毛利氏はこれは兵器処理とは別個の話で自分の方としては管轄外だから別個の問題として一應考えて処分しようというわけで出発したらしいのです。それでその建屋とかインゴツト類を業者へ直接賣拂いまして、その賣拂つた金でそこの清掃費をお前の方でもてというわけでもたしたわけです。しかしその賣拂い價格が妥当でなかつたわけで、何か二百五十万ばかり損害を與えたということで起訴されました。
  416. 明禮輝三郎

    明禮委員 三百五十八万ではありませんか。
  417. 山縣義夫

    山縣證人 三百七十万円は契約による——二百五十万円の損害を與えたと私は聞いておりますが……。
  418. 明禮輝三郎

    明禮委員 よろしうございます。大体そういうことがあるわけですね。これが私どもから言えば、あなた方のいわゆるこれは自分のものに拂下げてもらつたものだから適当にやろうというように響きます。もう一つお尋ねするのは和歌山縣鐘紡内所在の工作機械を処理した問題でありますが、この工作機械というのは百十数台あるということであるが、一体工作機械のようなものは兵器処理の部類にはいつておるのでありまするが、この点ちよつとお尋ねいたします。
  419. 山縣義夫

    山縣證人 鐘紡の工作機械はあとで大阪支部から報告を受けたわけでございますが、和歌山縣の鐘紡に燒けた工作機械がたしか二百三十台ばかりあつたと思います。それを兵器処理受領したいということを大阪の管財へ申し出たのか、管財から受取れと言つたのか、その点私よく知りませんが、とにかく管財の了解を得まして受領しました。配分はたしか和歌山縣指示によりまして縣の指示通り配分したらしいのでございます。大体燒けました工作機械は一應スクラツプと考えられますから受領範囲にはいるわけです。その燒けた程度によりまして非常にここに問題があるわけでございますが、私現物を見ておりませんから、ここではいるかはいらないかという断定はできないのでありますが、あれは燒けますと非常に精度が落ちまして全部ばらばらにして相当な修理を加えても元のようにはならないじやないかと思つております。
  420. 明禮輝三郎

    明禮委員 ここでお尋ねしますが、これはあなたの方だけではない、ほかの所も兵器処理に属しないものを大分とりこんだということがあるのですが、これは燒けても、スクラツプになつて兵器じやないのじやないですか。それからまたこれを処理するのについては、和歌山縣縣廳のどういう者がそういうことを指示いたしましたか。それから大藏省はこれに対して默つてつたのか、あるいは大藏省との関係はどうなつているのか。
  421. 山縣義夫

    山縣證人 和歌山縣縣廳の方でだれがどういうふうに指示したかということは私存じません。それから大藏省の方はたしか大阪の管財であれば受領してよろしい、一應大藏省の國有財産だけれども燒けてスクラツプになつたのでよろしいというわけで、工作機械もたとえば二通りあるのではないかと思います。一應陸軍あたりで自動車へ乘つてつておる兵器費支弁の工作機械というのは明らかに兵器であるわけです。それから工場なんかに据付けてあるのは明らかに國有財産の方で、むしろ兵器でない設備の方に属するわけでございます。この工作機械が兵器費支弁であつたかどうかということは存じません。
  422. 明禮輝三郎

    明禮委員 これは鐘紡の機械じやありませんか。
  423. 山縣義夫

    山縣證人 鐘紡にはいつておりました陸軍の機械だと思います。海軍かもわかりませんが、そういう軍の所有した機械じやないかと思います。鐘紡に軍から貸與していた……。
  424. 明禮輝三郎

    明禮委員 だけれども今のように、たとえば戰車の上に乘つかつておる機械というならあるいは兵器になるかもしれませんがね。全然鐘紡の中にある普通の機械は兵器にはならぬのじやないのでしようか。
  425. 山縣義夫

    山縣證人 これは受領物件の範囲という中にいろいろ細かくずつと書いてありますが、その前に一應兵器費支弁のものは兵器だというふうな解釈でとつたのじやないかと思います。  軍の兵器費支弁というやつで予算項目があると思いますが、それは私よく知りませんが……。
  426. 明禮輝三郎

    明禮委員 一体この機械はたいへん安く拂下げてほとんどスクラツプの程度にされておるが、いいものがあるということを言つておりますが、どうですか。
  427. 山縣義夫

    山縣證人 それは私現物を見ないからわかりませんが、おそらく値段も和歌山縣廳でこれだけの値段にしろと言われたのじやないかと思いますが、この点は知りませんちよつとお答えできないと思います。
  428. 明禮輝三郎

    明禮委員 この点はひとつ調べ願いたい。將來の問題ですから……。それから大藏省が、大阪の管財局がこれを支持したというのなら、何人が管財局を支持したか、この点です。それから縣の方もわかれば和歌山縣廳の‥‥。  もう一つお尋ねいたしますが、山口縣の光の旧海軍工廠内にあります物件で、鉄六万一千四百三十トンのうち、三万七千八百五トンが未処理に終つているというが、なぜ今日までこれが未処理に終つているのかということを説明してください。
  429. 山縣義夫

    山縣證人 ただいまの、光海軍工廠には七万トンばかりあつたわけですが、そのうちの三万トンばかりはたしか緊急搬出で搬出されたわけです。そのうちこの日鉄兵器処理部は、五千トンばかり担当いたしました。これはたしか八幡へ持つてつたのだろうと思います。それから残りました三万何千トンにつきましては、大体山口縣が当初から——山口のモンロー主義といいますか、とにかく山口縣の産業を開発するために、どうしても縣外へ出したくないという意向が非常に強くて、あの光の工廠内部のものを受取りたいと、再三現地の人が縣へ出頭してお願いしましたが、一向許可していただけない。その言分としましては、お前の方はあの光の中の在庫量を調査してない。もつと精細に調査しなければだめだというわけで、何回もおしかりを受けまして、一昨年でしたか、八幡から約二十人ばかり調査隊を出して、光の内部の在庫量を寸法別に詳細に、約一箇月くらいかかつて調べまして、在庫量を出した。そのときの在庫量が三万八千五百トンあつたのです。こういうふうに在庫があるからいただきたいということを申し出たわけです。これより先に、山口縣でそういうふうに國内で鉄を使つて産業を起したいということで、あそこへ何か工場を建てたいというわけで、縣の調査課の方と、不二輸送機という会社がありますが、そこの藤重という社長の方とお話が合つて、鉄鋼工場伸鉄工場をつくりたいというわけで、日鉄として一肌脱いでくれという話がありました。私の方はできることなら御遠慮したいと言つたのですが、不二輸送機の藤重氏がやはり何もかも牛じりたいということで、あるいは横流しの心配なども多少考えられましたから、伸鉄工場なら、自分の方では今まで鉄を取扱つていたのだからやれるけれども、ほかのものはごめんこうむりたいというわけで、それでは伸鉄工場をやろうということで、一應伸鉄工場の案を立てたわけです。しかしこれは資金の問題、それから不二輸送機の社長の問題等でいろいろこんがらがりまして、とうとう実現に至りませんでした。そうこうするうちに去年の終りごろになりまして、やはり公團へ引移らなければいけないというわけで、光の三万八千トンはそのままになつたような次第であります。
  430. 明禮輝三郎

    明禮委員 現在はどうなんですか。
  431. 山縣義夫

    山縣證人 現在はそのまま、三万八千トンのストツクそのままを産業復興公團へ引継ぎました。
  432. 明禮輝三郎

    明禮委員 まだ伺いたいこともたくさんありますけれども、経理班長もおられますし、大体小さいことはよしまして、総体的に見て、あなたの方の成績というか、バランスの件は一体どうなつておりますか、結局は赤字なんですか、黒字なんですか、どういう結果ですか。
  433. 山縣義夫

    山縣證人 これは経理班長から詳しく……、データーを持つておると思いますから……。大体黒字で終ると思います。
  434. 明禮輝三郎

    明禮委員 黒字で終る……。それでは私の質問はこれで終ります。
  435. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 これで一應済みましたが、あと調べる間にまたお聽きすることもあろうと思いますから、うしろの席で控えていてください。     —————————————
  436. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 阿部五郎さんですね。
  437. 阿部三五郎

    阿部證人 さようでございます。
  438. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 日鉄の経理班長ですか。
  439. 阿部三五郎

    阿部證人 さようでございます。
  440. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 班長というのはどういう仕事をするものですか。
  441. 阿部三五郎

    阿部證人 私の仕事日鉄臨時兵器処理部の経理班長としまして、日鉄兵器処理部の予算及び決算並びに資金の操作及び各作業所、支部における経理班の連絡等もやつております。
  442. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 経理一切をやつておるわけですね。
  443. 阿部三五郎

    阿部證人 そうです。
  444. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 いつからおやりになつておりますか。
  445. 阿部三五郎

    阿部證人 昭和二十一年の九月からやつております。
  446. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 その前は他の人が……。
  447. 阿部三五郎

    阿部證人 前任者は小林……。
  448. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 現在まで続いて……。
  449. 阿部三五郎

    阿部證人 現在までやつております。
  450. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 では明禮君。
  451. 明禮輝三郎

    明禮委員 経理班長兵器処理について、結局どういうバランスに結末はなつておりますか。どのくらい赤字になつておるか、黒字になつておるか、その点を一つ……。
  452. 阿部三五郎

    阿部證人 申し上げます。私の方の昨年の九月の決算で利益が一億九千二百万円ほどございまして、その後今年の五月の締切りまでですと、帳簿上の利益は大体二億二千万円くらいになります。これをこのたび産業復興公團に引継ぎましたところの日鉄数量は約三十万トンでございます。この三十万トンを現在のマル公で計算いたしますると、大体内訳を申しますと、鉄地金がその三十万トンの九割でございますが、二十七万トンがスクラツプでございます。
  453. 明禮輝三郎

    明禮委員 そういうことをお尋ねしておるのではありません。今までの作業費その他の出がなんぼで、今までの入がなんぼで——現在の品物のことは聽かないで、今あなたの方で決算をしてなんぼ金がはいつてなんぼ出た。そういうことの結末を聽きたいのです。
  454. 阿部三五郎

    阿部證人 それにつきまして今までので数字を申し上げます。
  455. 明禮輝三郎

    明禮委員 いやほかのことはわかつております。
  456. 阿部三五郎

    阿部證人 大体五月までの賣上げとしまして約六億円くらいになります。それから作業費と営業費を合わせまして大体五億八千万円くらいと思います。はつきりした数字はまだできておりません。
  457. 明禮輝三郎

    明禮委員 そうすると二千万円ほどもうかつたということですか。
  458. 阿部三五郎

    阿部證人 それは金の面から申しますと、約二千万円ほど賣上が多かつたということになります。
  459. 明禮輝三郎

    明禮委員 賣掛けの未收がございますか。
  460. 阿部三五郎

    阿部證人 ございます。
  461. 明禮輝三郎

    明禮委員 どこにあるのですか。
  462. 阿部三五郎

    阿部證人 約五千万円ほど残つております。
  463. 明禮輝三郎

    明禮委員 それはどこに……。
  464. 阿部三五郎

    阿部證人 その中千二百万円ばかりは特別経理会社の賣掛金でございます。これは法律によりまして棚上げされております。それから約五百万円は閉鎖機関に対する賣掛金でございます。あとの三千七百万円が一般の賣掛けでございます。
  465. 明禮輝三郎

    明禮委員 三千七百万円はどうなのです。
  466. 阿部三五郎

    阿部證人 件数から申しますと、はつきり覚えておりませんが千件くらいあるのじやないかと思つております。
  467. 明禮輝三郎

    明禮委員 それはとれないというのですか。
  468. 阿部三五郎

    阿部證人 いやとれないわけではございません。私の方としましては一部はとれないものがあるのじやないかと思います。
  469. 明禮輝三郎

    明禮委員 どうしてとらないのです。今この計算をしておるのではありませんか。
  470. 阿部三五郎

    阿部證人 盛んに回收に努めておりますが、何分こういつた金融関係で思うようにとられておりません。
  471. 明禮輝三郎

    明禮委員 品物を渡すときに、一体金をとらなければならぬのじやないですか。
  472. 阿部三五郎

    阿部證人 そういうことになつておるのですが、賣拂いの場合に最初は非常に賣れなかつたという関係で、各支部が品物を渡したあとで金をとる。また緊急搬出の場合は期限が切られておるものですから、品物だけ持つて行けということで、あとになつて金をとるということが今日になつて非常な賣掛金の残つた理由一つであります。のみならず各府縣廳で販賣しまして、——販賣と申しますか、ちやんときめて品物を渡して、そして私の方はそういつた兵器処理リストだけもらつて、この賣掛金があるものが大分あります。
  473. 明禮輝三郎

    明禮委員 そうするとこういう仕事をあなた方がなさる頭のもち方は、兵器処理委員会拂下げたものだからということになつて仕事をやつて來られたのですか。これは國家仕事としておやりになつてつたのですか。あなたはどういう頭ですか。
  474. 阿部三五郎

    阿部證人 私の方としましては、一應兵器処理委員会拂下げたものであるという頭でやつておりました。
  475. 明禮輝三郎

    明禮委員 それで賣掛が出たところで、自分らのものだから、追々とればいい、こういうのですな。
  476. 阿部三五郎

    阿部證人 できるだけ早くとりたいと思いましたけれども、結果においてそういうぐあいにつたのです。
  477. 明禮輝三郎

    明禮委員 これはもうとれないものとしてはいないのですか。
  478. 阿部三五郎

    阿部證人 とれるものとしております。
  479. 明禮輝三郎

    明禮委員 そうすると一向利益がないじやないですか。
  480. 阿部三五郎

    阿部證人 その利益というのは、賣上と支出の面からだけ見ればいくらも残つておりませんが、つまり決算というものはそういうものではなくて、現在の在庫に対するところの金を見積つておるのです。
  481. 明禮輝三郎

    明禮委員 それは皆そういうことを言うのです。品物を賣ればそれにかかつておる費用があつて、実際においてこれだけの大きなものを処理しながら、皆いいかげんに処理して來たんじやありませんか。自分のものをプロパー拂下げたものはうんと安くして、ほかのところは高く賣つておる形があるんじやありませんか。
  482. 阿部三五郎

    阿部證人 私はそういうことはないと思います。適当な値段で賣つておると思います。
  483. 明禮輝三郎

    明禮委員 大阪で起つておる事件は、一体だれが責任を負うのですか。
  484. 阿部三五郎

    阿部證人 どういうことでございますか。
  485. 明禮輝三郎

    明禮委員 大阪で起つておる事件をあなたは知らないのですか。權藤とか……。
  486. 阿部三五郎

    阿部證人 聽いております。
  487. 明禮輝三郎

    明禮委員 一体その頭のもち方が違つていやせんか、そんなことでいいのですか。皆いいかげんに仕事もしておるという証拠じやありませんか。
  488. 阿部三五郎

    阿部證人 いや私どもとしてはまじめにやつておるつもりでございます。
  489. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたはまじめかもしらんが、あなたの方でも、皆五社ともほとんど同じようなことを相談してやつておる。そういう仕事やり方で、ただ数字だけで、あなたはここでなんぼの品物がどれだけ行つたというような、そういう形式ばかりで三千八百万円も貸したのかとれない。あなたはこれを実際において今日清算しておる時分には、とつて渡さなければならぬのであるが、どうやつてとるのですか。
  490. 阿部三五郎

    阿部證人 各支部に対して、各支部のものを極力催促してとれと言つて、今努力しております。
  491. 明禮輝三郎

    明禮委員 催促しておつて、整理して渡すときには、これは國家のものですよ。あなたは拂下げてもらつたなんと言うけれども、そうでしよう、すべてのこれについての解体兵器等に関する処理機構一つの大きな輪になつて、すべての取扱いは官廳から監督を受けておるはずじやありませんか。
  492. 阿部三五郎

    阿部證人 受けております。
  493. 明禮輝三郎

    明禮委員 そうだつたらこういうものは掛貸しをした責任は、あなたの会社にありはしませんか。会社でとつて渡すか、そうでなかつたらこれだけの品物なり何なりの金をとにかく拂わなきやならぬのがあたりまえでしよう。
  494. 阿部三五郎

    阿部證人 はあ。
  495. 明禮輝三郎

    明禮委員 拂いますか。
  496. 阿部三五郎

    阿部證人 それはできるだけとることに努力いたします。
  497. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたの会社の費用が五億八千万円かかつたとして、そのうちで交際費というようなものはどのくらい出しておるのですか。
  498. 阿部三五郎

    阿部證人 最初から五月末までで申しますと、約一千百万円くらい出しておるんじやないかと思います。
  499. 明禮輝三郎

    明禮委員 交際費が……。
  500. 阿部三五郎

    阿部證人 交際費、雜費全部でです。雜費がいろいろありますから、そのうちの交際費的な支出でございます。
  501. 明禮輝三郎

    明禮委員 それは一体何に使つたのですか。
  502. 阿部三五郎

    阿部證人 約二箇年半の日数に官廳関係とか、あるいは五社関係とか、あるいは本支部間のいろいろな出入りの関係とかいうようなものに対する食事代とか、そういつたものに使つたのであります。
  503. 明禮輝三郎

    明禮委員 出入りというと……。
  504. 阿部三五郎

    阿部證人 出入りというのは支部から本部に上京するとか、あるいは支部間の往復、会合、打合せ会、そういつたものであります。
  505. 明禮輝三郎

    明禮委員 そういつたときには官廳側も來るんでしようね。
  506. 阿部三五郎

    阿部證人 官廳の場合もありますし、またわれわれだけの会議のときもございます。
  507. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなた方はそういう場合において食糧は自分で持つておるんじやないですか。
  508. 阿部三五郎

    阿部證人 持つております。
  509. 明禮輝三郎

    明禮委員 そういうとき皆食べるのですか。
  510. 阿部三五郎

    阿部證人 いつもというわけじやありません。遅くなつた場合には出すことにしております。
  511. 明禮輝三郎

    明禮委員 遅くなつた場合にはですか。あまり金額が多過ぎるじやありませんか。あなたの頭のもち方が、これは拂下げてもらつたものだ、どうせもらつたものだ、初めから赤が出なきやいいくらいの頭でやつてつたのでしよう。
  512. 阿部三五郎

    阿部證人 そんなことはございません。
  513. 明禮輝三郎

    明禮委員 何に使つて一千万円になるか、大体説明してください。
  514. 阿部三五郎

    阿部證人 私の方の作業所と申しますか、本部と各支部が五つございます。そのほかに事務所、支所、出張所、そういつた約十人程度、あるいはそれ以上のものが四十幾箇所ございまして、それから物の置場が六百幾つございます。その四十何ぼに対する全部の費用でございます。
  515. 明禮輝三郎

    明禮委員 全部の費用ですか。月給じやないでしよう。
  516. 阿部三五郎

    阿部證人 そうではございません。
  517. 明禮輝三郎

    明禮委員 全部の費用といつて一体何を拂うのですか。
  518. 阿部三五郎

    阿部證人 詳しいことは私直接やつておりませんのではつきりしません。
  519. 明禮輝三郎

    明禮委員 いけません。経理班長がそんなことを言うてはだめです。経理班長がそんなことがわからないで支拂つてどうする。
  520. 阿部三五郎

    阿部證人 わからぬということは、こまかい事実はわかりません。全部のまとまつた数字でございますから。
  521. 明禮輝三郎

    明禮委員 商工省の人、内務省の人はどういう人が集まつたのですか。
  522. 阿部三五郎

    阿部證人 それは私の方の所管でございませんで、総務班の所管です。
  523. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたが金を拂うときに、どういう人がこれを使つたかということが問題になるでしよう。
  524. 阿部三五郎

    阿部證人 それは九州とか大阪とか各支部でやつておりますから。
  525. 明禮輝三郎

    明禮委員 今支部でやつていると言つても、経理班長をやつている以上は、こういうものを拂うときはいかぬと言わなければいけないじやないですか。
  526. 阿部三五郎

    阿部證人 報告はとつております。
  527. 明禮輝三郎

    明禮委員 報告はとつておるが、その報告のとり方が私どもに腑に落ちないのです。
  528. 阿部三五郎

    阿部證人 主として官廳関係とか、先ほど申し上げたような……。
  529. 明禮輝三郎

    明禮委員 官廳関係はどういうところが來たのですか。
  530. 阿部三五郎

    阿部證人 商工省とか、あるいは商工局とか、運輸省とか、そういつた関係と思います。
  531. 明禮輝三郎

    明禮委員 まあ官廳の人らと一緒に飯を食つたというのですね。
  532. 阿部三五郎

    阿部證人 さようでございます。
  533. 明禮輝三郎

    明禮委員 こういうのは会社が全部負担したらいいじやないですか。それは國家で負担すべきことではないと思うが、みんなこれをやつているのではないですか。
  534. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 総務班の係と言いますが、どういうことの係です。
  535. 阿部三五郎

    阿部證人 使うのは総務班です。経理班は数字的にまとめることだけです。こういう会合をやるということをきめるのは総務班です。
  536. 明禮輝三郎

    明禮委員 とにかくこんなことは私どもは絶対に許すべからざるものであると思う。その責任会社の重役はもちろんのこと、経理班長はすべて責任を負うべきものであると思う。棚卸減ということをよく書いてありますが、これはどういう意味でありますか。
  537. 阿部三五郎

    阿部證人 これは申し上げますが、私の方は昭和二十一年の八月の決算で約一万三千トンの鉄地金の棚卸減を見込みました。その理由一つといたしましては、鉄は野ざらしにしておきます。從いまして一年について約三%あるいは五%の酸化が出て腐つてまいります。粗鉱の方は一年で三割も腐つてまいります。棚卸しをやる当時日本の鉄鋼業というものは非常な悲観状態にありまして、われわれの持つておるスクラツプはいつ賣れるかわからぬという状態にありましたので、四、五年は賣れないといつた見方でございました。從つてそういつた点を加味して蒐集する鉄地金につきましては、一應看貫をしておらないのです。大体目測で計算しております。つきましては私ども経理の立場からいつて、できるだけこれは堅実な決算をしなければならぬという建前でしているものですから、報告があつたからというてただちにそれをそのまま帳面にあげるということでなく、そういつた点を総合いたしまして、その当時は在庫品に対する二割の棚卸減を見込みました。
  538. 明禮輝三郎

    明禮委員 しかし実際二割の減量があるかということは相当愼重にしなければならぬものを、あなたの方では天引二割減をやつているということは、やはりあなた方は初めからつじつまさえ合えばよいという頭ではなかつたかと思いますが、どうですか。
  539. 阿部三五郎

    阿部證人 これは堅実な決算をするという建前でやつたのであります。それから賣却までに非常に期間があるだろうというような見込でやつたのでございます。
  540. 明禮輝三郎

    明禮委員 それはそうです。堅実なるということは、ただでやつておるものだからあなたの方で損をしないように、自分の方に怪我のないように、なるたけ安全地帶に持つていくのにはどうすればよいかということを皆考えている。すべて各会社とも同じような考え方です。これはあなたの方だけではありません。各会社ともこの点について十分責任を負つてくださるほかはないと思います。
  541. 前田種男

    ○前田(種)委員 関連しますが、交際費百万円雑費に使つていると言われますが、おそらく各事業場、支部その他ではこれ以上にもつと使つていると目標をおいておりますが、どうですか。
  542. 阿部三五郎

    阿部證人 交際費として出したのは昨年の九月までに三百十一万円です。そのほかに九州支部は雑費から出しております。そういつたものを加えまして全部であります。
  543. 前田種男

    ○前田(種)委員 ただ交際費として項目はこれだけですが、そのほかに官廳そのほかの人の接待費とかいろいろな名目で、もつと大きな金を使つていると見ておりますが、どうですか。
  544. 阿部三五郎

    阿部證人 私は全部だと思います。
  545. 前田種男

    ○前田(種)委員 絶対ですか。
  546. 阿部三五郎

    阿部證人 計算しておりませんからわかりませんが、大体の見当では、詳しく申し上げますと九州が三百万円、中國支部が大体三百五十万円と思います。
  547. 前田種男

    ○前田(種)委員 これ以外に名目はいくらになるかわかりませんが、そういう方面にもつと使われていると思いますが、その点経理班長としてどうですか。
  548. 阿部三五郎

    阿部證人 ないと思います。
  549. 前田種男

    ○前田(種)委員 もう一遍さかのぼります。十七万三千トンを拂下價格三百円で日鉄拂下げてもらつているのですが、これは適当な價格と今御証言であつた。ぼくらは非常に割安に拂下げられているように見ておりますが、あなたは依然として適当な價格だと見ておられるのですか。
  550. 阿部三五郎

    阿部證人 私は價格の決定権はもつておりません。しかし大体適当な價格だと信じております。
  551. 前田種男

    ○前田(種)委員 先ほど総務班長証言の中にもありましたが、政府から赤字の補填をしてくれるという保証がなかつたためにもうからなければやらないと言いましたが、言い換えますれば、内には割安に拂下げて、外には割高に賣つている事実もあるという証言であつた。現に十七万三千トンというのは相当割安に拂下をしてもらつて、今日では相当もうかつていると思いますが、どうですか。
  552. 阿部三五郎

    阿部證人 今持つておればもうかることになります。
  553. 前田種男

    ○前田(種)委員 これは拂下げてもらつて、その都度さらに賣拂つたというわけではありませんでしようから、これだけの数量では会社はすでに相当もうかつていると思いますが、どうですか。
  554. 阿部三五郎

    阿部證人 よくわかりません。
  555. 前田種男

    ○前田(種)委員 もうけていると思つていないのですか。
  556. 阿部三五郎

    阿部證人 現在持つておりますれば……。
  557. 前田種男

    ○前田(種)委員 拂下げてもらつた十七万三千トンは損したかもうけたかという点で、会社としてはどうですか。
  558. 阿部三五郎

    阿部證人 私は適当な價格だと思つております。
  559. 前田種男

    ○前田(種)委員 非常に割安で拂下げてもらつているので、その材料会社は相当もうけているとわれわれは見ているのですが、どうですか。
  560. 阿部三五郎

    阿部證人 わかりませんです。
  561. 前田種男

    ○前田(種)委員 兵器処理委員会から三百円で十七万三千トンの材料拂下げてもらつて、それだけの材料会社から製品として賣り出されて、どれだけもうけたかということは数字に出ているでしよう。
  562. 阿部三五郎

    阿部證人 私どもにはわかりません。それは本社の方の関係ですから。
  563. 前田種男

    ○前田(種)委員 本社ですか。
  564. 阿部三五郎

    阿部證人 日鉄の本社ですので、私ども関係しておりませんから。
  565. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 本社のだれです。
  566. 阿部三五郎

    阿部證人 経理部です。
  567. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 本社の経理部ですか。山縣さんそれではちよつと、先ほどの交際費の使い先ですが、どういうものへやるということがあなたの方でわかるということですが。
  568. 山縣義夫

    山縣證人 それは私の方では本社の方はわかつておりますが、先ほど経理班長証言しました通り委員会等の会合費もありました。商工省との会合費もありました。内務省との会合費もありました。それから第八軍の方も來ていただいて会合したこともあります。それから支部の人が上京しまして会合して、夜おそくなりましてから、食事を出したというような会合費もありました。これは本社の関係であります。
  569. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 本社というのは何ですか。
  570. 山縣義夫

    山縣證人 いや間違いました本部の関係であります。それから支部の方は支部長が大体全部やつておりますから、どういう点でどのように出しておるかということは私どもはよくわかつておりません。
  571. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 しかし監督はするんぢやないですか。
  572. 山縣義夫

    山縣證人 そう言われると監督責任はあるわけですが、実はいろいろ始めましたときに、私といたしましても多忙をきわめまして、相当激しい仕事を、今は暇でございますけれどもつたわけです。監督責任はありますが、なかなか支部まで手が届きませんでした。大体一番当初班を三つつくつたわけです。それは総務班、監理班、経理班で、監理班というところで支部の監督をやりたいという意図のもとにつくつたわけであります。しかしどうも人を得なかつたためにうまくいかなくて、うやむやに立消えしてしまつたというふうなことで、先ほど申し上げましたように支部長の不祥事件も起つたような次第でございます。
  573. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 いいですか。
  574. 明禮輝三郎

    明禮委員 いいです。
  575. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 それではお二人とも済みました。     —————————————
  576. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 都築伊七さんですか。日本鋼管の何をやつておいでになりますか。
  577. 都築伊七

    都築證人 兵器処理局の作業本部を担当しておりました。
  578. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 あなたの方は兵器処理局という名前で全部やつたのですね、作業本部も。
  579. 都築伊七

    都築證人 そうであります。
  580. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 現在は。
  581. 都築伊七

    都築證人 現在は作業本部の清算事務をやつております。
  582. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 その作業部の何だつたのですか。
  583. 都築伊七

    都築證人 作業部の本部長をやつておりました。
  584. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 最初兵器処理が始まつてから、ずつと今日までやつてつて仕事が済んだから清算部長になつた、こういうわけですね。
  585. 都築伊七

    都築證人 そういうわけであります。
  586. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 では明禮君。
  587. 明禮輝三郎

    明禮委員 都築さんは兵器処理部長とはまた違うのですか。
  588. 都築伊七

    都築證人 こういうふうになつております。兵器処理局の中に総務部と作業本部と経理部とありまして、そのうちの作業本部長をしておつたわけであります。
  589. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたは元海軍の出でありますね。
  590. 都築伊七

    都築證人 そうです。
  591. 明禮輝三郎

    明禮委員 どういうお立場だつたですか。
  592. 都築伊七

    都築證人 私はずつと前というわけではありませんが、戰爭を一年やりました。一年は横須賀工廠におりました。
  593. 明禮輝三郎

    明禮委員 どういう官等ですか。
  594. 都築伊七

    都築證人 横須賀工廠長です。
  595. 明禮輝三郎

    明禮委員 工廠長というと機関中將ですか。
  596. 都築伊七

    都築證人 機関中將です。
  597. 明禮輝三郎

    明禮委員 どういう事情で日本鋼管におはいりになりましたか。
  598. 都築伊七

    都築證人 私は海軍を首切られまして休んでおりました時分に、日本鋼管の社長さんから海軍の方へ依頼がありまして、日本鋼管へはいれということで、はいりました。
  599. 明禮輝三郎

    明禮委員 社長はたれですか。
  600. 都築伊七

    都築證人 淺野良三です。
  601. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたはこの兵器処理委員会というものができる時分に、日本鋼管が代行会社になる事情は御承知でありませんか。
  602. 都築伊七

    都築證人 深い事情は存じません。
  603. 明禮輝三郎

    明禮委員 淺野さんからお聽きになりませんか。
  604. 都築伊七

    都築證人 聽きませんでした。
  605. 明禮輝三郎

    明禮委員 そうするといつから御就任ですか。ずつと初めからですか。
  606. 都築伊七

    都築證人 初めからでございます。
  607. 明禮輝三郎

    明禮委員 廃兵器受領拂下先選択拂下方法は一体どういうふうにお取扱いになつておりましたか、概略を簡單でいいですからお述べ願います。
  608. 都築伊七

    都築證人 廃兵器内務省の方から、縣廳の方からここを処理しろという指令がありまして、私の方がそこを見まして拂下申請書を出します。そうしますと拂下申請書に対して許可を與えてくれます。許可を與えられますと、解体、運搬、選別、保管、最後に倉出しまで私の作業本部でいたしておりました。  拂下先選択は、日本鋼管の方では主として兵器処理局の総務部でやつておりましたが、私がそばで見ておるところによりますと、販賣機関がありまして、その販賣機関の一員が拂下の要望者を紹介してまいりまして、それが拂下申請書を書いて持つてくる。それで受付けまして、販賣人協議会へかけまして、よかろうというので申請書を各中央兵器処理委員会商工局商工省、そういうふうにまわりまして、許可を得まして、そうして現地拂下申請書が返つてまいりますと、その申請書によつて庫出しをして渡すということになります。
  609. 明禮輝三郎

    明禮委員 今の拂下先のことですが、よかろうというのは大体申請書が出ると、あなたの方の委員会と申しますか、内部で相談してまず内偵をいたして、それから許可を得るようにずつとまわしていくのでございますか。
  610. 都築伊七

    都築證人 そうです。
  611. 明禮輝三郎

    明禮委員 大体あなたの方でこういうふうな内偵で、こういうふうにという申請をしたら大抵通るのでございましようね。
  612. 都築伊七

    都築證人 大抵は通りますが、許可にならぬものもたくさんありました。
  613. 明禮輝三郎

    明禮委員 どういうわけです。
  614. 都築伊七

    都築證人 それは拂下を受けるものが適当でない、重要産業でないということで許可になりませんでした。それから許可になつたのもあります。
  615. 明禮輝三郎

    明禮委員 これは特に伺つておきたい。その当時あなたは軍におられて御承知ですが、兵器というものはすべて連合軍が一應これを蒐集いたしましたね。
  616. 都築伊七

    都築證人 そうです。
  617. 明禮輝三郎

    明禮委員 それを日本國民生活安定のためと経済復興のために内務省の方へ返還する……。
  618. 都築伊七

    都築證人 そうです。
  619. 明禮輝三郎

    明禮委員 この返還したものがその趣旨に從つて國民経済復興のために使うのであるが、最後の消費者までこれを明らかにしておけというアメリカ連合軍からの覚書がありますが、御承知でありますか。
  620. 都築伊七

    都築證人 承知しております。
  621. 明禮輝三郎

    明禮委員 そうすると、それに基いてこの処理ができていかなければならなかつたと思いますが、そういうことについては内務省とか商工省、あるいは小松さんが委員長兵器処理委員会、そこからでも何らかの示達があつたのですか、それもなくてあなたの方では代行会社として御承知なんですか。
  622. 都築伊七

    都築證人 あつたように思います。こういうふうに最終に使用するものに拂下げろということがあつたように思います。
  623. 明禮輝三郎

    明禮委員 その点は十分になされておりますか。
  624. 都築伊七

    都築證人 そうです。
  625. 明禮輝三郎

    明禮委員 拂下方法中央配分地方配分とありますが、これはやはりその点においても十分に二百トンというような制限があるというようなものをわけて地方配分にするということはなかつたのでしようか。
  626. 都築伊七

    都築證人 そんなことはありませんが、中央配分が大口です。それから地方配分というのはごく小口のものでございます。
  627. 明禮輝三郎

    明禮委員 大きい配分をわけますと、地方配分になりますけれども、そういうことはなかつたでしようね。
  628. 都築伊七

    都築證人 そんなことはなかつたように記憶しております。
  629. 明禮輝三郎

    明禮委員 そこでお伺いしたい。あなたの方の部長さんは今出ておられるのですか、おられないようだが、どうかしたのですか。
  630. 都築伊七

    都築證人 みんな出ておられます。
  631. 明禮輝三郎

    明禮委員 何か差支えがあるということで……。
  632. 都築伊七

    都築證人 つい二、三日前に東京にお二人さん出て参りました。
  633. 明禮輝三郎

    明禮委員 その二、三日前はどこにおられましたか。
  634. 都築伊七

    都築證人 拘留所におりました。
  635. 明禮輝三郎

    明禮委員 それはだれとだれですか。
  636. 都築伊七

    都築證人 黛部長と林部長。
  637. 明禮輝三郎

    明禮委員 二人とも何で拘置所におられましたか。
  638. 都築伊七

    都築證人 これは私はつきり聞いておりませんが、藏前工業という第二会社がありまして、それに何か金を貸したとか、貸さないとかいうような問題をお調べになられて留置所に入れられておつたように聞いております。
  639. 明禮輝三郎

    明禮委員 その内容はわかりませんか。
  640. 都築伊七

    都築證人 まだ詳しく存じておりません。
  641. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたに第二会社のことを伺えばわかりますが、四十五社の第二会社が設けられておるようでありますが、事実でありますか。
  642. 都築伊七

    都築證人 大約そのくらいの第二会社ができておるように思います。
  643. 明禮輝三郎

    明禮委員 ずいぶん賑かですね。これはどういう目的でできたのですか。
  644. 都築伊七

    都築證人 これは失業救済、兵器処理が終りますと、盛んな時分には大分人を使つておりましたが、兵器処理が終りますると当然減らす。それで行くところがある者はよろしゆうございますが、ない者が困りますので、それに第二会社をつくつて國家のために働いたらよかろうというので、第二会社をつくることを承認したわけであります。もう一つは第二会社をつくりましても、兵器処理仕事をしておつて月給をもらつておりますると、第二会社に行くのを嫌います。どういうわけかといいますと、新設の会社でよぼよぼの会社ですからそういうところに行きたがらない。首を切つてしまえばよいということになりますが、なかなかどつこい行くところもない、おりたいというやつをむりやり首切ることができない事情があります。それでは兵器処理仕事を見つけて、何か仕事をやらしておるということになりますと、兵器処理が非常に経費がかかります。そういうことで、第二会社をつくりまして失業救済に資するとともに、兵器処理そのものが第二会社をつくることによつて食われないように、第二会社をつくつたわけであります。ただいま清算事務の方で約百名くらいしか残つておりませんが、これは数字的にはわかりませんが、もし第二会社がなくてどつこへも行くところがないということになりますると、やむを得ず最終のときまで百五十名あるいは二百名というものを保有しておらなければならないようになつたのでないかと思います。
  645. 明禮輝三郎

    明禮委員 第二会社というものはどうもいろいろな問題が起つておるようですが、こんなに四十五もこしらえなければならぬほど、何ですか。相当人を使いますね。
  646. 都築伊七

    都築證人 そんなに多くの人を使いません。二三人で仕事をやつても第二会社です。
  647. 明禮輝三郎

    明禮委員 二三人ですか。
  648. 都築伊七

    都築證人 そこに人数は書いてないかもわかりませんけれども……。
  649. 明禮輝三郎

    明禮委員 一つ会社が二、三人ですか、平均。
  650. 都築伊七

    都築證人 そういうのもあります。
  651. 明禮輝三郎

    明禮委員 それでみな仕事は電氣炉、製鉄、農機具二次製品、軽金属製品、製材、木工、自動車修理業、食糧品加工、畜産業あるいは土建業から倉庫業、ホテルというようなものがありますが、これが二人か三人でできておりますか。
  652. 都築伊七

    都築證人 大きいのはもつと大きいのがあります。小さいのは非常に小さいのもあるわけであります。
  653. 明禮輝三郎

    明禮委員 これはあなたの方でございませんが、よく第二会社はたくさんできておりますが、第二会社拂下はしておりますか。
  654. 都築伊七

    都築證人 拂下をしております。
  655. 明禮輝三郎

    明禮委員 拂下を受けた者は何をやつているのです、何をつくつておりますか。
  656. 都築伊七

    都築證人 農機具をやります者には農機具の拂下をやります。運搬をやつているような者には自動車の修理をするような原材料拂下げます。あるいは電氣の部品の修理をやつているような者には電氣の部品、スクラツプの拂下をやる。こういうふうにして拂下を受けているように思います。
  657. 明禮輝三郎

    明禮委員 そういうのもあるでしようが、中にはトンネルというのもあるですな。
  658. 都築伊七

    都築證人 どういうのですか。
  659. 明禮輝三郎

    明禮委員 たとえば第二会社というものをこしらえておきまして、そこで保管をさせる、そうするとある兵器処理委員会の連中は倉庫へ直接に委託すれば百万円の保管料なら百万円の保管料を拂えばよいわけですな、ところが第二会社に頼んでそれからやらせると第二会社はそこで二割ずつ頭をはねるから、兵器処理委員会は百二十万円拂わなければいかぬのですね。第二会社はただその手数だけで二十万円ずつもうかりますね。それをトンネルというのですが、ちよつと通るだけです。通るか通らぬかわかりませんが……。
  660. 都築伊七

    都築證人 いや、そういうことは聞いておりません。
  661. 明禮輝三郎

    明禮委員 そういうことはありませんか。
  662. 都築伊七

    都築證人 そういうことはありません。
  663. 明禮輝三郎

    明禮委員 そういうことをやつておるのがあるのです。あなたの所になければほかにあるのですが……。あなたの第二会社の構成メンバーはどういう人々になつておりますか。概略を御説明願いたい。
  664. 都築伊七

    都築證人 みんなもとの兵器処理の從業員でございます。
  665. 明禮輝三郎

    明禮委員 大体軍人の人が多いのではありませんか。
  666. 都築伊七

    都築證人 そうでもありません。海軍工廠に勤めておつた者兵器処理に働いておつた者は、とにかくそこへはいつております。
  667. 明禮輝三郎

    明禮委員 ミヤコ産業株式会社の監査役はあなたでございますね。
  668. 都築伊七

    都築證人 そうでございます。
  669. 明禮輝三郎

    明禮委員 秋山穗積という人も、少佐か何かですが、その人も監査役にはいつておりますね。
  670. 都築伊七

    都築證人 秋山というのは存じません。
  671. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたと同じように監査役ではございませんか。名前だけではわかりませんか。
  672. 都築伊七

    都築證人 ちよつと存じません。
  673. 明禮輝三郎

    明禮委員 こういうのがトンネルの仲間になるのですが……。これは東都株式会社取締役伊藤鈴嗣、陸軍少將、それから監査役原田照藏という人は日本鋼管、いろいろありますが、みな相当の者です。偉い人ばかりです。それでつまらないところにはいつておつで、トンネルならいいが、ほかの仕事ならなかなか骨が折れる。兵器処理にも熱田興業株式会社、これはずいぶん偉い人がはいつておりますが、軍人の人ばかりですね。
  674. 都築伊七

    都築證人 はつきり存じませんが……。
  675. 明禮輝三郎

    明禮委員 取締役社長大澤武雄、技術中尉、取締役加藤銖作、名古屋作業所金枝市兵衞、陸軍少佐という人ですね。千田靜飛虎、これも陸軍大佐、軍人の人も結果ですが……。
  676. 都築伊七

    都築證人 兵器処理をやりますのに、陸海軍工廠に兵器処理するものが非常にたくさんありまして、それで私が兵器処理をやれと言われた時分に、人を集めるのに非常に苦労いたしました。それでこの陸海軍工廠にもとから働いておつた人、内部の事情をよく知つておる人、こういう人が來て、兵器処理をやつてくだすつたら非常に便利だろう。うまくいくだろうというふうに考えまして、陸海軍工廠にもとおつた人で、ほかに職のない人、こういう人を頼みましたものですから、從つてその幹部には軍人であつた人が相当おります。それからそういう人が仕事をやりまして第二会社を始めた時分に、やはり世話をしてくれ、名前を貸してくれというようなことで、相当幹部になつておると思います。
  677. 明禮輝三郎

    明禮委員 先ほどおつしやつたような意味の第二会社としては、ちよつと精神がはずれておりはしませんか。
  678. 都築伊七

    都築證人 どういうわけですか。
  679. 明禮輝三郎

    明禮委員 名前を借りたり、よその人を入れてきたのでは……。これはやはり兵器処理委員会の人ですか。
  680. 都築伊七

    都築證人 兵器処都に働いておつた者ばかりです。ほかの者ははいつておりません。しかし一、二の例外があります。たとえば第二会社でも、民間のその地方の人が資本を出してくれたというような場合には、幹部にはいつておるはずであります。
  681. 明禮輝三郎

    明禮委員 拂下を第二会社に大分しておりますね。この第二会社で熔解設備のない会社に屑鉄、またはコークスを多量に拂下げておりますが、これは一体どういうものですかね。
  682. 都築伊七

    都築證人 それは私はつきり知りませんが、農機具をやるとか、その他の家具の製造をやるとか、あるいは運搬道具を修理する修理業でございますとか、そういうものをやりますためにスクラツプが要ると認定されたと思います。
  683. 明禮輝三郎

    明禮委員 これも、第二会社というのはあなたの方の子会社だから、拂下をするのには便利ですね。
  684. 都築伊七

    都築證人 便利ではありません。特別な便利を與えておりません。
  685. 明禮輝三郎

    明禮委員 これはたいへんな品物ではありませんけれども、相当拂下が行われておるようですが、どうも熔解その他の設備ももつていないところにこんなものを拂下げてどうかと思われますがね。
  686. 都築伊七

    都築證人 熔解されないでも、これを切りましてみな利用します。それから鍛冶屋をやりまして農具をたくさんつくつておる経驗があります。
  687. 明禮輝三郎

    明禮委員 屑鉄なんかをやはりこしらえるのですか。
  688. 都築伊七

    都築證人 屑鉄で農具をつくつております。
  689. 明禮輝三郎

    明禮委員 自動車の方はどうですか。
  690. 都築伊七

    都築證人 自動車の部品あたりは、それで一部分は間に合うところがあります。
  691. 明禮輝三郎

    明禮委員 日興物産というのは、自動車に使うという名目で拂下を受けておるけれども、一体物産会社自動車組立、これははたして適当でありますか。
  692. 都築伊七

    都築證人 それは一々存じませんが、仕事関係と、これは要るのだということで、大勢の眼を通つてよろしいということになつたものと思います。
  693. 明禮輝三郎

    明禮委員 一トンが七百五十円、二号品で四百五十円くらいな時分に、百円から二百五十円くらいで、これは第二会社でありませんが、拂下がしてありますが、こういうようなものはどうでしようか。
  694. 都築伊七

    都築證人 それも販賣協議会というのが地方の部支のあるところにみんなあるのです。そこで現物を見て、それから從來の例を見て、それでよろしいということで案をつくりまして、東京なりあるいは地方商工局なりへまわしまして、それが決定するわけです。
  695. 明禮輝三郎

    明禮委員 こういうことをやれば、原價を割るのじやないですか。これには費用が相当余計かかつておるはずですが、これを二百五十円くらいで賣つたのでは、國家は大分損をするのじやありませんか。
  696. 都築伊七

    都築證人 兵器処都の初期のころはトン二百五十円くらいで集積ができましたけれども、あとでは大分かかるようになりました。
  697. 明禮輝三郎

    明禮委員 二十一年の五月ごろから先ですからね。鉄のスクラツプは百円くらいで賣つたのでは、どうしても何か事情がなければこう安く賣れるはずはないと思います。
  698. 都築伊七

    都築證人 それは事情があると思います。
  699. 明禮輝三郎

    明禮委員 どういう事情ですか。
  700. 都築伊七

    都築證人 それははつきりしません。
  701. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたは係りじやありませんか。
  702. 都築伊七

    都築證人 私は販賣の方はかかつておりません。作業です。
  703. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 それは販賣班ですか。
  704. 都築伊七

    都築證人 販賣は私の方は総務部の所管になつております。
  705. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 責任者はたれです。
  706. 都築伊七

    都築證人 黛虎造。
  707. 明禮輝三郎

    明禮委員 販賣のことについてはおわかりになりませんか。
  708. 都築伊七

    都築證人 ただいま申し上げたのは、聞いていることを申し上げておるので、私がこれを現に監督しておつたというわけじやありません。
  709. 明禮輝三郎

    明禮委員 一体あなた方は作業なすつても、どうでも、鉄、兵器というものは拂下げてもらつたので、兵器処理委員会の物だというお考えでしたか、國家の物だというお考えでしたか。
  710. 都築伊七

    都築證人 それは私ども拂下げてもらつた兵器処理局の物だというように考えております。
  711. 明禮輝三郎

    明禮委員 なるほど拂下げてもらつたのだから、あなた方のブロツクの物だ、そういうわけですね。
  712. 都築伊七

    都築證人 そうです。
  713. 明禮輝三郎

    明禮委員 だから適当に処理をすればよいわけだ。
  714. 都築伊七

    都築證人 そうです。
  715. 明禮輝三郎

    明禮委員 そうすると、結局プール計算になつておりますから、できるだけはいつたのと出るのとバランスが合えばどうやるいい、こういう考え方ですね。
  716. 都築伊七

    都築證人 ところが私は作業をやつておりますので、集めるのに大分苦労いたしました。解体して安く集める、安く運搬する、請負も安く請負わせる、もし私の手にあまつた時分、こういうことは絶えず考えておりまして、それが私の方の非常に大きな仕事でございます。
  717. 明禮輝三郎

    明禮委員 それは安くすればもうかるわけですか。
  718. 都築伊七

    都築證人 安くすればあとで黒字にして政府にお返しできるという考えで、なるべくたくさん黒字を出すという考えでやつたのです。
  719. 明禮輝三郎

    明禮委員 そうすると、やはり拂下をしてもらつたものだが、政府に返すということも考えておつたのですね。
  720. 都築伊七

    都築證人 考えておりました。
  721. 明禮輝三郎

    明禮委員 拂下の問題はあなたに聽いてもわかりませんね。
  722. 都築伊七

    都築證人 作業の方で監督しておりますのは、拂下をするのには、たとえばどれだけの金で、どういう品物で、それから拂下先はどういう人である、こういうことをきめるのに販賣協議会というのが各地方にあります。販賣協議会にやはり作業をやつている作業支部長が一人出るということになつております。つまり立案をする中に作業をほんとうにやる者が一人はいつておるということになつております。それでちよつと責任があります。それからもう一つ拂下をいたしまして出庫する場合、そういう場合には作業の方で何トンやるぞということを正確に出している、この責任があります。
  723. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたは作業をやつておられて作業費のことはわかるわけですね。
  724. 都築伊七

    都築證人 作業費は大抵わかります。
  725. 明禮輝三郎

    明禮委員 そういたしますと、日本鋼管に拂下げた資材数量と作業費というものをにらみ合わしてみますと、作業費が千五百七十四万八千二百三十三円かかものを千三百四十八万九千九百八円というような値で賣つておりますね。あなたの会社自分会社だから安く買えばそれだけもうかるわけでしよう。たとえば非鉄屑というのがあるが、それも十七万四千五百二十八円に賣つておる、これは非鉄の方は逆になつておりますね。こういうような点からいきますと、大きな鉄で、しかも二万七千六百三十八トンという鉄を、先ほど言つたような安い値段であなたの会社は買取つた、こういうことをあなたは作業をやつてつていかにお考えになりますか。
  726. 都築伊七

    都築證人 これは終期になりますと、たとえば去年の中ごろから以降になりますと運搬、解体が非常にコストがかかつてまいりました。それでその当時にマル公が上つていない。ですからそういうことは起り得る。
  727. 明禮輝三郎

    明禮委員 マル公が上つていなくても作業費がかかればそんなに安く賣つたのではいかぬのであつて、しかもそれは現場渡しでいくべきものを皆あなたの方に運び込みでしよう。
  728. 都築伊七

    都築證人 それは賣る方ですからどこへ持つてつたか存じませんが。とにかくマル公で押さえられまして、こつちで作業がどんなに費用がかかつてもマル公でぴしやつやつといつておるはずである。作業費がたくさんかかるものは損をしているのじやないか。
  729. 明禮輝三郎

    明禮委員 ところがマル公でいつていないじやないか、安く賣つたのがあるじやないか。
  730. 都築伊七

    都築證人 マル公でしよう。
  731. 明禮輝三郎

    明禮委員 さつき言つたように一般会社は百円くらいじやないですか。
  732. 都築伊七

    都築證人 それは事情があるのではないですか。
  733. 明禮輝三郎

    明禮委員 事情つければあるでしよう。大抵事情があるとつけてあります。われわれも品物がないからその事情を認められない。今は逆にこつちの方も考えなければならぬ。事情がわかりませんから普通のものとして一等品、二等品とするならば、四百五十円に賣らなければならぬものが二百五十円に賣つてあれば、これは安く賣つたということである。それを許可したのがあるというならば、認可した商工省なり中央配分の役人が悪いのだ、そう考えるよりほかないと思いますがいかがでしよう。
  734. 都築伊七

    都築證人 それはよくお調べになつていただきますと、特別に安いものは何か事情があると思います。ほとんどマル公でいつておりますから……。
  735. 明禮輝三郎

    明禮委員 いろいろに事情をつけておりますが、いかにもこれは國民が納得しないじやありませんか。
  736. 都築伊七

    都築證人 それはむやみに安かつたら納得いたしませんでしよう。
  737. 明禮輝三郎

    明禮委員 経理面についてわかりませんね。
  738. 都築伊七

    都築證人 経理面は私存じませんが。
  739. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 経理はどなたがやつておりますか。
  740. 都築伊七

    都築證人 林鷹治というのがやつております。
  741. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたにちよつと伺いますが、いろいろな会合をやりましたでしよう。
  742. 都築伊七

    都築證人 ありました。
  743. 明禮輝三郎

    明禮委員 会合のときは遅くなれば食事などをするですね。
  744. 都築伊七

    都築證人 そうです。
  745. 明禮輝三郎

    明禮委員 そのときには食事は委員会でもつたでしよう。
  746. 都築伊七

    都築證人 委員会でもつたと思います。
  747. 明禮輝三郎

    明禮委員 役所の人も來たときに、遅くなれば仕方がないから一緒に御飯を食べたという実情ですね。
  748. 都築伊七

    都築證人 御飯食べたこともあるだろうと思います。私よく存じませんが……。
  749. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたも一緒に食べたことはありますか。
  750. 都築伊七

    都築證人 ごくわずかあります二年の間に四五回ありましたか。
  751. 明禮輝三郎

    明禮委員 役人の人と一緒でしたか。
  752. 都築伊七

    都築證人 役人の人たちとどうだか知りませんが。
  753. 明禮輝三郎

    明禮委員 少くともあなたの立場から言えば、お役人などどうでも問題じやないでしようが、商工省の人は仕事をする上には仕方がなかつた……。
  754. 都築伊七

    都築證人 どうか知りませんが、私の方でいろいろ指令があつたりいろいろ協議をやりまして、遅くなるとよく食事はしておりました。
  755. 明禮輝三郎

    明禮委員 そうですね。
  756. 都築伊七

    都築證人 はあ。
  757. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたは横須賀工廠というお立場ですか。
  758. 都築伊七

    都築證人 そうです。
  759. 明禮輝三郎

    明禮委員 その当時横須賀の工廠にあつた原素材はどのくらいですかわかりませんか。
  760. 都築伊七

    都築證人 原素材はどのくらいあつたか私はつきり存じませんが。
  761. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 あなたはいつまで工廠長をやつておいでですか。
  762. 都築伊七

    都築證人 私十七年の十一月までです。
  763. 明禮輝三郎

    明禮委員 大東亞戰爭が始まつてからですね。
  764. 都築伊七

    都築證人 始まつて一年目です。
  765. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 日本鋼管におはりになつたのはいつですか。
  766. 都築伊七

    都築證人 十八年の一月です。
  767. 明禮輝三郎

    明禮委員 どうもお尋ねしたいことはたくさんあるのですが、あなたでわからぬとすれば、これははなはだ戸惑いせざるを得ないですが……。
  768. 都築伊七

    都築證人 仕事の方はどうぞ何でも、作業の方だけは……。
  769. 明禮輝三郎

    明禮委員 仕事の方では費用が相当余計かかり過ぎたと、はなはだ失礼ですが思うのですが。
  770. 都築伊七

    都築證人 決してそうじやありません。その点はもう一生懸命でやりました。けれども仕事をやる人数、これは非常に困りました。終戰時どこから集めてこようと思つても、かき集めばかりです。私の所はあれだけの大きな仕事をやるのに集めた人というのは烏合の衆です。海軍工廠でも陸軍工縞でも有能な人はみんなどこかへ行つておりました。残りくずを私が集めて仕事をやりました。仕事は非常に苦しかつたです。もう一つはこの兵器処理という仕事は予定がちつとも立ちません。それから從來こういうことをやつたらこのくらい金がかかつた、このくらい人数がかかつたというデーターが一つもありません。そういう仕事をやるのに幹部といたしまして非常な苦心を拂にましたけれども、しかしながら一年くらい経つてからは相当軌道に乗つてまいりました。そして二年経つてほとんど慣れたという時分に仕事はやめです。そういうことでありますので、あなた方が見られたら非常にルーズな仕事をやつているじやないかと言われますが、内情はそうではないのです。
  771. 明禮輝三郎

    明禮委員 いやそうかもしれぬですが。大体賣る品物でも現場渡しになつてつても御丁寧にそのうちまで届ける。殊にプロパー拂下げたものはほとんどみんな各会社に届けられたのではないかと私思う。あなた方の仕事としては骨を折つたかもしれないが、実際上の計数ですね。作業費とか交際費にかかつた費用というものは莫大なものです。私どもはどうしてもうのみにできない。
  772. 都築伊七

    都築證人 しかしながら作業費はあれだけの仕事をやりまして、あれくらいな経費がかかるというのは、今の人員をもつてして、今のむずかしい作業をもつてして、從來のデーターが一つもない、こういうような仕事は幾分か察してもらわなくてはならぬと思います。
  773. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたが先ほど言われました黛さんほかの人は大体あなたが聞いておられるところでは、何とか会社にどういうことをしたということになるのですか。
  774. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 黛、林両名です。
  775. 都築伊七

    都築證人 ここに第二会社の藏前工業というのがあるのです。そこにスクラツプが三、四千トン置いてありますが、それを選別ですね。今のスクラツプを集めまして、鋼索は鋼索、ズクはズク、鋼は鋼、普通のマイルド・スチールはマイルド・スチール、ブリキ板はブリキ板とわけなければならぬ。そういうような仕事をやつて、ひとつその仕事会社を建ててやつたらどうかというようなことで、あそこに二次会社を建てたわけです。そしてみんなが、あそこで首切られた人が生活しようじやないかということでやつたのですが、その会社の建つ時分に——これはうそかもしれませんですが、大体の話からそうだろうと思うのですが、建つ時分に金が困つたから金を貸してやつたとか何とかいうことで調べられた。
  776. 明禮輝三郎

    明禮委員 あの人たちが貸したというのですか、その第二会社に……。
  777. 都築伊七

    都築證人 便宜をはかつてつたとか何とかいうことじやないかと思います。
  778. 明禮輝三郎

    明禮委員 結局自分会社じやないということですね。
  779. 都築伊七

    都築證人 自分会社じやないのです。
  780. 明禮輝三郎

    明禮委員 貸した会社というのは……。
  781. 都築伊七

    都築證人 貸した会社というのは今の二次会社で独立しております。そこでこちらから金を貸してやつた
  782. 明禮輝三郎

    明禮委員 それは形式上は独立しておるように見えますけれども、金を貸してからその人たちがこしらえて、実際に実権があれば自分らの会社ですね。
  783. 都築伊七

    都築證人 それは実権がありませんよ。第二会社をつくりましても、私たちが重役に行つたら実権がありますけれども、しかしながら重役も何にも行つておらぬ。
  784. 明禮輝三郎

    明禮委員 名前だけ貸したら実権があるのじやないですか。
  785. 都築伊七

    都築證人 第二会社と申しますのは從業員が首を切られて行き所がない、それだから会社をつくつてもらいたいという從業員の意思でつくつたわけです。
  786. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 林さんも同じ事件ですか。
  787. 都築伊七

    都築證人 そうです。経理部長ですから。
  788. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 ほかにありませんか。
  789. 明禮輝三郎

    明禮委員 大体終りました。
  790. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 済みました。御苦労でした。きようはこれで散会します。    午後六時二十八分