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1948-08-24 第2回国会 衆議院 不当財産取引調査特別委員会 第49号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年八月二十四日(火曜日)     午後三時一分開議  出席委員    委員長 武藤運十郎君    理事 鍛冶 良作君 理事 田中 角榮君    理事 辻  寛一君 理事 梶川 靜雄君    理事 河井 榮藏君 理事 小松 勇次君    理事 石田 一松君 理事 中野 四郎君       明禮輝三郎君    足立 梅市君       佐竹 新市君    前田 種男君       橋本 金一君    野本 品吉君       田中 健吉君    中村元治郎君       宇都宮則綱君    徳田 球一君  委員外出席者         兵器処理委員会         に関する問題に         ついて出頭した         証人      菅波 稱事君                 山地 八郎君                 細井富太郎君                 小松  隆君                 上田 裕康君                 大津寄 茂君                 藤澤 勇次君     ————————————— 本日の会議に付した事件  調査要求手続きに関する件  資料要求に関する件  兵器処理委員会に関する問題     —————————————
  2. 武藤運十郎

    武藤委員長 これより会議を開きます。  本日の理事会において決定をいたしました事項を御報告申し上げて、お諮りをいたしたいと存じます。第一、今後調査要求をなす場合におきましては、要求書をただ一通だけを文書にしたためて、委員長あてに提出することとし、事前にプリントをなし、またはこれを配付する等のことはいたさないことにしたいと思います。なお調査要求事項事前に漏洩する等のことにつきましては、嚴に注意すること、右御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではさよう決定いたします。  第三、兵器処理の問題につきまして、鈴木、東久邇幣原内閣における閣議の記録を本月末までに提出を求めることに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではさよう決します。  第四、兵器処理に関する残余の証人決定は、さらに調査を進めたる後にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではさよう決します。  第五、田中健吉君より三木武夫氏にかかる政治資金の問題に関する調査要求の提案がなされております。この採否につきましては明日の理事会においていたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではさよう決します。  菅波小松両君は昨日はたいへんすみませんでした。本日最初菅波さん、小松さんという順序お話を伺います。  なお新たに出頭せられました証人は、山地八郎さん、細井富太郎さん、上田裕康さん、大津寄茂さん、藤澤勇次さんの五名ですね。いずれも兵器処理に関してお話を伺う次第であります。  菅波小松両君には昨日宣誓をしていただきましたが、その他の証人諸君には新たに宣誓をしていただきます。  証言を求める前に各証人に一言御注意を申し上げます。  昨年十二月二十三日公布になりました昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことになつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項あるいはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するときに限られ、医師歯科医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者については、その職務上知つた事実であつて、黙祕すべきものについて尋問を受けたときに限られております。右以外には何人も宣誓または証言を拒むことができないことになつておるのであります。なお証人が正当の理由なくして宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人虚僞の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一應このことを御承知になつていただきたいと思います。それでは法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。
  7. 足立梅市

    足立委員 きのうの小松さんほか一人の二人でございますが、あれはきよう宣誓させるのでございますか、それともきのうのでよろしいのでございますか。
  8. 武藤運十郎

    武藤委員長 きのうので大体よろしいと思いますが……。
  9. 足立梅市

    足立委員 この問題はもし僞証罪が起りましたときに、法令の問題はどつちが正しいかということは、無効であるか有効であるかということを判断しなければならぬのですが、問題が起らぬとも限らないので、きようもやつておいていただくのがいいと思います。
  10. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは念のために両方やつていただいておきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。お手もとに差上げてある宣誓書を朗読の上、署名捺印して下さい。——それでは菅波さん、代表して、ひとつお読み下さい。     〔証人菅波稱事君証人を代表して宣誓〕     〔各証人宣誓書署名捺印
  11. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは菅波小松山地上田細井藤澤大津さん、こういう順序お話を伺います。菅波さん以外の方は恐縮ですがしばらくさつきのお部屋でお待ちください。  それでは菅波さんに伺いますが、あなたは商工省総務局長をしておられたことがあるようですが、それはいつからいつまでですか。
  12. 菅波稱事

    菅波證人 私が商工省総務局長在任いたしましたのは昭和二十年の十月十二日から翌年の一月十日までであります。
  13. 武藤運十郎

    武藤委員長 その間におきまして兵器処理に関して何か仕事をなさいましたか。
  14. 菅波稱事

    菅波證人 私が就任する少し前から兵器処理問題が起きておりましたので、私が就任いたしましてからいろいろの大綱その他正式決定になりまして、私の在任中にそれをいたしました。
  15. 武藤運十郎

    武藤委員長 それではあなたの在任中になされた兵器処理に関する方針措置等につきまして、やや詳細に述べてください。
  16. 菅波稱事

    菅波證人 こまかい内容は大分前のことでありますので、よく記憶いたしておりませんが、終戰後連合軍に接收せられました日本兵器類、これが当時日本経済復興の非常に資材が不足しておりまして、また当分の間工場等活動が期待できないので、経済復興資材の当てがつかないという状態でありましたが、それを拂下げを受けるという非常な連合軍好意によりまして、日本政府に返還されることになりました。しかしこれは内務省主管官廳としてやることになり、ただ商工省としてはそういう物資が主として商工省関係にあるものでありますから、内務省からいろいろ相談を受けまして、その立案等に当つておりました。そして商工省におきましていろいろ研究いたしました結果、処理要綱原案商工省でつくりました。そしてこれを内務省商工省側意見として提出いたしました。それが決定になつております。
  17. 武藤運十郎

    武藤委員長 その原案というのはどういうのですか。
  18. 菅波稱事

    菅波證人 表題ははつきり覚えておりませんが、兵器等処理要綱という名前つたかと記憶しております。
  19. 武藤運十郎

    武藤委員長 その兵器等処理要綱原案内容はどんなものですか。
  20. 菅波稱事

    菅波證人 その内容兵器等処理については民間業者よりなる委員会をつくつて、それにその処理をやらせる、その委員会を構成するメンバーは有力な民間の五会社をして当らしめる。そしてその処理しました兵器は鉄その他非鉄金屬、こういう原料になりますので、それらの配分についてはさらに別の委員会を設けまして、各省相集まつて適当な処分方法を講ずるというような内容であつたと思います。
  21. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうしますと、兵器処理について民間有力なる五社をしてこれに当らしめることをきめたその原案商工省のあなたのところでおつくりになつたわけですね。
  22. 菅波稱事

    菅波證人 そうであります。但し、それは原案でありまして、正式決定主管廳内務省の方でなされておりました。
  23. 武藤運十郎

    武藤委員長 その民間五社をして兵器処理をなさしめるという原案をつくるについて、どこかへ相談をしたことがありますか、あるいはまたさような指示を受けたことがありますか。
  24. 菅波稱事

    菅波證人 五社の選定につきましては先ほど私が申し上げましたように、私の就任が十月の中旬でございまして、あるいはもうそのころ大体五社の選定についてはきまつてつたのかもしれません。しかし、それはあくまでも私の時代に正式決定したものでございます。
  25. 武藤運十郎

    武藤委員長 大綱がきまつてつたかもしれませんというのはどういう意味ですか。
  26. 菅波稱事

    菅波證人 その選定につきまして当時私としてどういうことをしたか覚えがございません。覚えがないということは、おそらくもう大体事務的にはきまつてつたんではないかと思う。なお先ほどの御質問にお答えしますが、その問題につきまして、私として何か指示を與えたとかあるいはほかの方面から頼まれたとか、そういうようなことは一遍もございません。
  27. 武藤運十郎

    武藤委員長 この原案をつくるについて、すでに前からきまつてつたとすれば、あなたが総務局長就任せられたときに大体においてはその引継ぎを受けられたと思う。きまつてなければ引継ぎはないと思う。引継ぎを受けたとすれば、だれからどういう引継ぎをどの程度に受けられましたか。
  28. 菅波稱事

    菅波證人 特に前任者からこの問題についての引継ぎは何にも受けておりません。当時は終戰後の非常に物事の混沌たる状態でありまして、いろいろな從來の制度を全部根本的に立直さなくちやならぬというようなときでありましたので、從來官廳の慣例たる引継書でやるというようなことを避けまして、別段こまかい引継ぎをいたしませんでした。前局長から特にどうという引継ぎを受けておりません。
  29. 武藤運十郎

    武藤委員長 私のお伺いするのは、引継書をつくつてその書類の受渡しを受けたかどうかというのではなくして、事実の内容兵器処理については民間有力なる五社をしてこれに当らしめるということについて引継ぎを受けたかどうかということです。
  30. 菅波稱事

    菅波證人 そういう点については何の引継ぎも受けておりません。ただ私が前からある程度きまつてつたんではないかと申し上げましたのは、私が局長としてこの問題を決裁いたしましたその際に、初めてこまかい案の内容部下から説明を聽き、また五社を選定した事情等も聽いたのでありますが、そういうふうに進行しておつたのはあるいは私の就任した前からすでに進行しておつたんではないかと思つたので、先ほどああいうふうに申し上げたわけであります。
  31. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると、あなたが就任せられたときに部下がすでにその仕事從つてつて原案もある程度まではできておつたような形ですか。
  32. 菅波稱事

    菅波證人 原案としての形ができておつたかどうかわかりませんが、つまり原案の骨子をなすような点についてはいろいろ研究が進められて、ある点はすでにまとまつてつたものと考えます。
  33. 武藤運十郎

    武藤委員長 当時主としてその仕事を分担しておつた部下はだれだれですか。
  34. 菅波稱事

    菅波證人 私の局におきましては大堀という事務官担当しておりました。鉄関係は当時の鉱山局鉄鋼課長細井君が担当しておりました。非鉄金屬関係は当時の鉱山局非鉄金属課長山地君が担当しておりました。
  35. 武藤運十郎

    武藤委員長 山地八郎君ですね。大堀さんという方は鉄、非鉄関係なく総括的ですか。
  36. 菅波稱事

    菅波證人 その通りであります。
  37. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたが総務局長になられる前はどこにおられたのですか。
  38. 菅波稱事

    菅波證人 総務局長就任いたす前は内閣調査官をいたしておりましたが、それから商工省に移りまして、総務局長になるまでの間ほんのわずかな一月足らずの期間商工省の参事官という名前で別段担当地位をもたずに待機しておりました。
  39. 武藤運十郎

    武藤委員長 前の総務局長はたれですか。
  40. 菅波稱事

    菅波證人 私の前は高峯明達というのが総務局長でありました。
  41. 武藤運十郎

    武藤委員長 この方は今おりますか。
  42. 菅波稱事

    菅波證人 今東京におります。
  43. 武藤運十郎

    武藤委員長 この原案をつくりまして、それを内務省にあなたの方から示したわけですか。
  44. 菅波稱事

    菅波證人 そうであります。
  45. 武藤運十郎

    武藤委員長 第八軍のコーネル・バラードという人を知つておりますか。
  46. 菅波稱事

    菅波證人 当時名前は聞いておりましたが、私は会つたことはございません。ただバラード大佐が帰國する少し前でありましたか、いろいろ石炭問題その他商工省関係において努力していただいたというので、商工大臣が招待されたことがあります。そのときに初めてお目にかかりました。
  47. 武藤運十郎

    武藤委員長 それが最初の終りで、それだけですか。
  48. 菅波稱事

    菅波證人 そのときだけであります。
  49. 武藤運十郎

    武藤委員長 なんか言葉を交わしたことはございませんか。
  50. 菅波稱事

    菅波證人 その席上でもほかに大勢の方がおりましたので、私は別段言葉も交わしませんでした。
  51. 武藤運十郎

    武藤委員長 バラード以外に第八軍またはG・H・Q関係と、兵器処理問題につきましてあなたは折衝されたことはありませんか。
  52. 菅波稱事

    菅波證人 兵器処理の問題についてG・H・Qまたは八軍の方と折衝したことは一遍もございません。
  53. 武藤運十郎

    武藤委員長 小松隆という人を知つておりますか。
  54. 菅波稱事

    菅波證人 小松氏のことは私は知りませんでしたが、総務局長就任しまして、兵器処理仕事関係するようになりましてから、そのお名前は聞いておりました。そうして一遍商工省へ私が呼びましてお話したことがあります。そのとき最初にお目にかかつた
  55. 武藤運十郎

    武藤委員長 それはいつごろです。
  56. 菅波稱事

    菅波證人 それは兵器処理委員会をつくる直前でありました。
  57. 武藤運十郎

    武藤委員長 小松隆という人がアメリカの事情にも通じておられるし、語学も達者だというわけで、第八軍関係者と種々折衡した上で、五社の選定等がなされたのではないかという話もあるのですが、そういうことはございませんか。
  58. 菅波稱事

    菅波證人 小松隆氏がいろいろ努力されて、兵器拂下の問題を折衝されたことは聞いておりましたが、五社の選定等にまで立ち入つたようには私は聞いておりません。
  59. 武藤運十郎

    武藤委員長 それではあなたが最初兵器処理委員会ができるときに、小松氏と会われて、それからは再々接触があつたわけですか。
  60. 菅波稱事

    菅波證人 私は総務局長として商工省全般の問題でいろいろ忙がしい地位にありましたので、委員会ができましてからはその事務兵器処理班というものをつくつて、そこに委しまして、私自身直接関係しておりませんでしたので、小松隆氏にもその後は一遍も会つておりません。
  61. 武藤運十郎

    武藤委員長 その兵器処理班というのは総務局内に置かれた一つの班ですか。
  62. 菅波稱事

    菅波證人 そうであります。
  63. 武藤運十郎

    武藤委員長 班長はだれです。
  64. 菅波稱事

    菅波證人 班長は先ほど申し上げました大堀事務官を充てました。
  65. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうしますと大堀細井山地諸君に伺えば、あなたが総務局長就任せられる前のこともわかるわけですね。
  66. 菅波稱事

    菅波證人 ほかの人たちは私より前からその問題に関係しておつたと思います。わかると思います。
  67. 武藤運十郎

    武藤委員長 兵器処理委員会委員長小松隆氏が就任した事情等について御存じですか。
  68. 菅波稱事

    菅波證人 その問題は私存じております。
  69. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではなるべくくわしく述べてください。
  70. 菅波稱事

    菅波證人 兵器拂下を受けまして兵器処理委員会をつくて、ここで処理するようになりましたのは、小松氏の努力が大いにあずかつて力つたというふうに聞いておりまして、從つてその兵器処理委員会をつくつてそこの委員長をきめるには、そういう功績から申しましても、また英語が上手で連合軍側と折衝する点から申しましても便利であるというような点、それからさらに今後の委員会運営にも小松氏がやれば非常に円滑にいくというようなことから、自然に各方面小松氏が委員長になることが適当であるという空氣が当時すでに釀成されておつたように思います。私といたしましてもそういう事情を聽きまして、小松氏に委員長になつていただくのが適当であると思いましたので、部下ともいろいろ相談の上、小松氏に委員長を引受けてやつていただくようにしたわけであります。当時私が特に小松氏に來ていただいて委員長を引受けることを御依頼したことがあります。それは特に來ていただきましたのは一般にそういう小松氏が委員長になるのは適当であるという空氣がありましたけれども、日本政府側としてもはつきり小松氏にそういう意思を表示しておいた方があと委員会の選挙の場合等において円滑にいくのではないかというふうに考えたからであります。と申しますのは、この兵器処理委員会は鉄の方だけで初めは出発しておりましたが、途中から非鉄金属もはいることになりました。ところが小松氏は鉄の方の関係者であるので、非鉄金属の方と一緒になりますと、だれを委員長にしていいかという点で多少問題がある。それにはやはり政府側からもある程度適当な方に意思表示をしておいた方がそれをきめるのに円滑ではないかというような考慮もありまして、小松氏に來てもらつて引受けていただくようにしたわけであります。その際、この仕事はきわめて重要な仕事でありますので、それを円滑に遂行するように私は希望を述べたのであります。
  71. 武藤運十郎

    武藤委員長 それではまた少し先へもどつて……。五社選定理由その他について青木という人が「構成メンバーにつきましては、その当時の製鉄業者、あるいは金属工業に関する有力なる会社の名簿を出せというバラード大佐からの命令があつたわけであります。それを持参して提出したわけでございます。これにつきましてバラード大佐の方から、こういう会社はどうだということで、五つの会社の御相談があつたわけでございます。それから委員会を構成することになつたわけでございます。」大体こういう趣旨のことを述べておる。これによると五社選定というものは第八軍のバラード大佐指示してつくらしたような言いぶりです。それから大島という調査部長の話を聽きますと、これは商工省の方ですでにきまつてつたというような趣旨証言をしておりますが、もう一度五社選定原案を作成せられた当時の事情を繰返して述べてもらいたい。
  72. 菅波稱事

    菅波證人 先ほど申し上げましたように、私の就任前から商工省範囲における活動は開始せられておつたと思いますから、ほかの証人からなおよく聽いていただきたいと思いますが、私はバラード大佐が五社の選定についてまで意見を述べておるということは当時全然聽いておりません。ただ商工省としては、連合軍から示された方針に基いて委員会をつくり、それの担当業者を選ぶことをきわめて事務的に取扱つて、その結果鉄の方から二社、非鉄金属から三社を選んだように記憶しております。
  73. 武藤運十郎

    武藤委員長 問題は兵器処理についてだれが五社を選定したか、なぜ五社に限つたか、なぜそれ以外の社を入れなかつたかということについて解明をしたわけです。もし第八軍を代表してコロネル・バラードがそういうふうにやれと指示して、それが命令のような形でそれに從つたということになれば、問題は別になると思う。しかしそうではなくつて、こちらの独自の意思でさような決定をしたということになりますれば、こちらでその責任の所在を明らかにすることができるわけです。そういう点についてはつきりしたいためにあなたに伺うわけでありますけれども、実際はこちらでやつたのだけれでも向う指示だということは、ほんとうであるか、弁解であるかよくわからない。そこで結局あなたに伺うわけです。
  74. 菅波稱事

    菅波證人 私の了解しております範囲では、バラード大佐から五社にやらせろというようなことは言われなかつたように思います。あくまでも日本側官廳において五社を適当と認めて選定したというふうに私は記憶しております。
  75. 武藤運十郎

    武藤委員長 兵器処理委員会というものがございまして、その後処理をやつてつたようでありますけれども、あなたの方でも監督をしておつたわけですか。
  76. 菅波稱事

    菅波證人 私の方でも監督いたしておりました。
  77. 武藤運十郎

    武藤委員長 どういう監督をしましたか。
  78. 菅波稱事

    菅波證人 私の在任が翌年の一月上旬までで、きわめて短い期間でありましたので、はつきり監督したというようなことは申し上げられないのでありますが、いろいろ実質的に委員会活動について、殊に処理しました兵器あと配分の問題につきましては、商工省が主となつて監督したのであります。
  79. 武藤運十郎

    武藤委員長 諸君、何かお尋ねになることがありますか。
  80. 前田種男

    前田(種)委員 証人にお聽きします。今委員長も問われましたが、大事なところですから重ねてお聽きしたい。証人就任前から兵器処理委員会に関する立案大綱はできておつたようでありますが、正式にできたのは証人局長になつた後だと言つておりますが、そうであれば五社を選定した理由証人責任においてもつと明らかにならなければならぬと思います。それというのは、なぜ五社にきめたか、ほかにもつと会社が物色されなかつたかどうかという点が大事でありますから、もし大綱ができておつても、局長になられた後あなたの権限において決定しておりますので、その間の事情をもつと糾明して、どういう結論で五社になつたという点を明らかにしてもらいたいというのが一点と、第二点はG・H・Qもしくは第八軍関係との間に、局長自身はあるいはなかつたかもわかりませんが、部下の者が相当連絡があつたかどうか。あるいはそういう連絡があつたことを報告を受けておるかどうかという点をもう少し明確にお尋ねしたいと思います。
  81. 菅波稱事

    菅波證人 第一の五社選定のいきさつ、理由につきましては、私が就任いたしましてから正式に決裁されたのでありますから、私として当時その選定理由等については深く部下に質しまして、その上で適当と認めて決定したのであります。そのときの選定理由といたしましては、兵器処理は迅速にしなければならぬ、敗戰國兵器をまた下げ渡すということはごく異例なことで、向うは非常な好意でありますから、早く兵器たる原型をなくす、それを最も迅速にやらなければいかぬというのが連合軍側の御希望でありますので、その迅速に処理する力をもつた業者を選ぶというのがその際の最も重要な選定の要件でありました。そういう点から考えまして、適当と思われるのがこの五大会社であつたので、私もそれに同意して決定いたしたわけであります。  第二の点は、おつしやるように私はG・H・Qの方にこの問題で行つことはございませんけれども、私の部下なり、他の局のこの問題に関係しておつた者がG・H・Qに行つて何か聽かれたり、意見を述べたことはあると思います。しかしその内容は私は報告を受けておりませんので承知いたしておりません。
  82. 前田種男

    前田(種)委員 重ねてお問いします。それほど重要な関係において五社を選ばれたと証人は言つておりますが、それであるならば、先ほど委員長質問に対して、在任兵器処理委員会運営その他の監督等につきましては、明確にここで申し上げるような記憶もないような答弁でありましたが、短かいといえども四月の間におけるこの大事な兵器処理委員会運営監督その他について、もつと明確な記憶で申し述べられる点があると思います。先ほどの証言はどうも記憶が十分ないようなことでありますが、もつとはつきりその間の事情を、どういう監督をしておつたかという点をお尋ねします。  さらにあなたの在任中に兵器処理委員会に集まつてきました物量その他の点の報告も併せてなされておると思いますが、在任中にどの程度物量がこの委員会において取扱われるようになつたかというような点の報告はなかつたのですか。
  83. 菅波稱事

    菅波證人 いろいろ報告等は当時あつたと思いますが、何しろ前のことでありますので、どういうことが当時問題になつてつたか、よく私は憶えておりませんのでああいうふうに申し上げたわけであります。今記憶に残つておりますのは、その一番問題にしましたのは、兵器処理委員会の予算の点でありました。兵器処理委員会をつくりますときに、その費用で赤字が出た場合には、政府において予算的措置を講じて填補してやるということにしてあつたのでございますが、その後係の事務官が私のところに参りまして、大藏省へ交渉したけれども予算がとれない、業者にはそういう填補をしてやるという約束で委員会をつくらしたのに、その予算がとれないとたいへんだというようなことを言つて非常に心配しておりました。それが今私の一番記憶に残つておる点でありますが、そのほかの点は、はつきり記憶に残つておりません。
  84. 前田種男

    前田(種)委員 重ねてお問いしますが、五社はあくまでも民間会社であるので、あの大量の兵器処理にあたつて政府当局が十分監督なり指導をしなければどういうことになるかわからぬという危惧を、当然局長として、監督者の立場としてあなたはもたれております。その点からいくと、委員会の構成は五社にやらしたが、実際に商工省責任において、あるいは形式は内務省責任であるかわかりませんが、いずれにしてもあの大量な物量処理させるという場合においては、相当嚴重な監督指導等をやらなければならぬということは明確なことだと思います。その点についてこの案を立案された総務局長として、もつとはつきりした態度があつたはずだと思いますが、今までの証言によると、そうした点が非常にあいまいである。もつと明確な答弁をひとつ願いたい。
  85. 菅波稱事

    菅波證人 それは私記憶はつきり残つていないということは、おそらくその後、委員会監督が順調にいつてつたからだと思います。私も委員会をつくりましてからは、その仕事に非常に関心をもつておりましたので、ときどき報告を求めたり何かしておりましたが、その内容について記憶がないのは、おそらく大体うまくいつてつたからだと思います。ただその予算の点だけははつきり憶えております。予算の点は当時私も非常に困りましたので、その点だけを覚えておるのであります。ほかのことは忘れたからでございます。
  86. 前田種男

    前田(種)委員 委員会が順調にいつておるというのは、五社を中心にして順調に選ばれたかしらぬが、あの厖大なる兵器処理にあたつては、この五社によつて構成されておる委員会が順調にいつておるという観点と、國家的に見て、政府の立場から見て順調にいくというのとは、また別な観点に立とうと思います。そういう点について、少くとも五社はみんな民間会社ですが、民間会社が勝手に委員会をこしらえてやるという場合に対する監督官廳としての証人が、もつと高い國家的見地から、政府の立場から見て危惧の念はあつたか、なかつたか。ただ順調にいつたということだけで、その他の点は何もなかつたというのは、あまりにきれいな答弁だと思いますが、その点に対して局長は何も関心はなかつたのですか。
  87. 菅波稱事

    菅波證人 私が委員会が順調にいつてつたと申しましたのは、委員会そのものの動きが順調にいつてつたという意味でなく、兵器処理仕事が順調にいつてつた、そういう意味で申し上げたつもりであります。
  88. 宇都宮則綱

    ○宇都宮委員 ちよつと証人にお尋ねします。証人局長になつたときにはすでに原案決定しておつたというような話をさつきされておつたが、それでその引継ぎは受けなかつた、こういうように聽いたのですが、そうじやなかつたですか。
  89. 菅波稱事

    菅波證人 原案決定しておつたとは申しません。原案をつくる準備行動がすでに始まつてつたというふうに申し上げたのです。
  90. 宇都宮則綱

    ○宇都宮委員 それであなたは引継ぎを受けなかつたと申されたのですね。引継ぎを受けなかつたのはどういうわけですか。すでに原案の準備工作ができておつて引継ぎを受けないということは、はなはだおかしいじやないですか。まだ原案ができておらないというのなら引継ぎを受けなくても、あなたが局長になつてやるのだから構わないが、すでに原案の作成ができておつたというのに引継ぎを受けなかつたというのはどういう理由ですか。
  91. 菅波稱事

    菅波證人 その引継を受けなかつたという意味は、いわゆる引継事項として前の局長から、こういう問題がある、これについては今までこう処理してきた、今後はこう処理すればよいと思うというような、特にそういうようなお話がなかつたという意味で申し上げました。仕事はもちろん從來から引継いでやつたわけであります。
  92. 宇都宮則綱

    ○宇都宮委員 それからさつきあなたのお説の中に、兵器のごときものは原形を早く崩さなければいけない、また敗戰國にこういうものを下げ渡すということはまれなことだから、それで急いで、五社を決定した、こういうお話でしたね。原形を崩すには、五社よりも十社、十五社の方が原形が崩れはしませんか。それが五社でなければ原形が崩れないということがわれわれには受取れないのですが、五社よりも十社、十五社の方が原形を早く崩す意味において便宜である、われわれはそうとりたいのだが、それが五社に限らなければ早く原形が壊れなかつたという理由をひとつ聽きたい。
  93. 菅波稱事

    菅波證人 兵器は大きなものになりますと、これを破碎するのにいろいろな設備が要ります。またものによりましてはそれを熔解したり何かする、そういう作業にもまた設備が要りまして、そういう設備をもつたところでないと、その原形を崩す仕事がうまくいかない。
  94. 宇都宮則綱

    ○宇都宮委員 それでは日本で五社だけがそういう原形を崩すのに適当な機械をもつているとあなたはおつしやるのですね。間違いありませんか。
  95. 菅波稱事

    菅波證人 そうは申し上げません。
  96. 宇都宮則綱

    ○宇都宮委員 それじやどういうのですか。
  97. 菅波稱事

    菅波證人 五社が最も有力な、最も適当な業者であつたというふうに申し上げたわけであります。五社以外にもそういう設備は、あるいは非常に小さな設備でもつてつたところがあるかもしれません。
  98. 宇都宮則綱

    ○宇都宮委員 それより大きな設備、五社に平行するような設備をもつている会社日本にはなかつたのですね。
  99. 菅波稱事

    菅波證人 五社が最も大きな業者であります。
  100. 宇都宮則綱

    ○宇都宮委員 それでは五社を選定するのはこれはあなたがやつたんじやないですか。今までだれを調べても、五社を指名した人が大体わからない。ところがあなたの今のお言葉では、やはり五社が日本で一番適当な業者であり、また機械設備もできておる。だから上からとつて五社をとつた、こういう意味に解釈がわれわれは受取れるのだが、はたして日本で上からとつてこの五社が日本一の五社であるかどうかということは、他日でなければわからないけれども、そうするとこの五社を指定したのはあなたじやないですか。
  101. 菅波稱事

    菅波證人 連合軍方針に基きまして、そういう方針に合致するようにそれに当る業者選定することを各担当の者に依頼しまして、そうしていろいろ檢討の結果できました案を決裁したのは私でございます。
  102. 宇都宮則綱

    ○宇都宮委員 おかしいね。今あなたの口では五社が日本で一番そういう取崩しに適当な機械を持つているから五社にきめたとおつしやつたでしよう。それなら部下に命じてやつたのじやないじやないでしようか。あなたがきめたんじやないですか。
  103. 菅波稱事

    菅波證人 その担当の者に依頼してきめてもらいまして、その原案の説明を私が聽きまして、その選定理由はそういうところにあるということを聽いて、私もそれで納得しましたから、それに決裁を與えた。
  104. 宇都宮則綱

    ○宇都宮委員 その五社が日本で一番有数なものであるという報告をあなたにしたのはどなたですか。
  105. 菅波稱事

    菅波證人 その原案を持つて來ましたのは、先ほど申し上げた大堀事務官であります。しかしそこまで原案をつくりますまでには、関係の各課その他で会議をしたりなんかしてきめております。
  106. 宇都宮則綱

    ○宇都宮委員 それではこの五社をきめたのは大堀君を証人に喚べばわかりますね。
  107. 菅波稱事

    菅波證人 わかります。
  108. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 先ほど伺つたのでありますが、終戰後から一月の上旬までしか在官しておられなかつたですか、あまり短かいようですが……。  そこで終戰当時に一番これはあなた方が問題にされているだろうと思うのですが、二十年の九月の二十四日に、指令五十三号という帝國政府に対する覚書が出ている。これは特殊物件——兵器も全部含むようですが、民生安定のためにアメリカ占領軍から日本に返還して、これを日本國民経済復興のために使えという指令が來ている。この指令はもちろん御承知でありましようが、この指令に基いてどういうことをなさつたか、この指令の取扱いについてのあなたの方針を伺いたい。
  109. 菅波稱事

    菅波證人 その当時は、私はその問題に関係のある地位におりませんでしたので、どういう措置をとつたかということは私からはちよつと申し上げられません。またそれは内務省主管官廳としてやつておられたものでありますので、内務省関係の方にお聽きになつた方がよろしいと思います。
  110. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 しかしこれは内務省でありますが、あなたはさつき解体兵器等処理機構に関する件というものをこしらえたと言われましたね。そこのところはほとんど内務省がやつたようにさつき言われたのでありますが、商工省総務局長内務省調査部長と二人の名前で地方官全部にこの通達をしているじやありませんか、責任を免れるためにいろいろ言葉をあやにされることは困ります。
  111. 菅波稱事

    菅波證人 二十四日ですか、六日ですか出た指令に基いて何をしたかという御質問は、その指令が出たとき、それに基いてすぐ何をしたかというふうに私は承つたのでああいうふうにお答えしたわけであります。その後私は十月の十二日に総務局長になりましてからは、兵器処理の問題が私の方の主管の問題になりましたから、兵器処理の問題につきましては、私が責任を負つていろいろ措置はとりました。
  112. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それでは詳しく伺いますが、あなたが、この解体兵器等処理機構に関する件を——これが憲法だと言われるこういうものをつくられて、拂下機構を五大会社を選抜しておやりになつて、地方廳へこういう通牒を出した。ところが帝國政府に対する覚書というこの中には、なるほど内務省は受領せる物品の全部に関する記録を保存し、すべての補給金、資料及び装備品の戰後の最後の消費者をも分明ならしむべく措置を明らかにすると書いてあることは、兵器処理されるあなたとしては、こういうことについて、地方官あるいは五大会社その他すべての方面にしかるべく指示があつたことが相当だと思いますが、この点について何らの指示もなされませんでしたか、どうでしたか。
  113. 菅波稱事

    菅波證人 その点につきましては処理した兵器から出た物資の割当は、また別の委員会をつくつて、そこで決定をする。そうしてその決定された所にその物資を配給する。つまりそういう最後の消費者に、どれだけの物を割当てるというようなことをきめるように、そういう制度をつくつたよう記憶しております。
  114. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 この制度はこれに基いてあなたが指令をなさつておるんですか、少くともそういう達しをしておられるんですか。そういうふうにあなたは指導しましたかということです。
  115. 菅波稱事

    菅波證人 その要綱の中に同時にそこまで決定してあつた
  116. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 この要綱の中に含んでいる意味ですね。
  117. 菅波稱事

    菅波證人 と思いますが、それははつきり覚えておりませんです。
  118. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そうでしよう。小松さんが放送しているのはこの点を言つているんですからね。そこで私はさらにお伺いしたい。この五大会社をお選びになつて、こういうふうな処理をやらせることになつたんですが、実は内務省関係の方々を相当今まで調べたが、この問題に直面した人はないのであります。みなとやかく言われるのでありますが、あなたがちようどこの機構をおつくりになつたようでありますからお伺いします。この機構の中によりますと、先ほどもお述べになつたように補償について、あるいは損失があつた場合に、予算的処置を講ずるということを非常に心配したとおつしやつておりますが、一体この拂下げをなさるには、どういう條件で拂下げをされたか、たとえば今兵器処理というものは無償拂下げをしたんだと言われている。並びにその仕事の結果というものは、ほとんど作業費と申しますか、交際費と申しますか、あらゆるものに業者は全部使つて、ほとんど残りがないのみならず、赤字がたいへん出ている。こういう点からいつて、あなたは初めからこれは赤字になるということを予定して、こういうことをおやりになつたか、その点をお尋ねしたい。
  119. 菅波稱事

    菅波證人 その点は当時担当事務官等から、兵器処理いたしますと、処理の費用が相当高くつく。むしろ屑鉄とかその他の原料の方が、当時は屑鉄、銅その他のスクラツプ等が戰災によりまして多数出ております。その公定價格の方がむしろかえつて安くつく。兵器を返還願うことは非常にありがたいことでありますけれども、その原形をなくすためのいろいろの作業のことを考えますと、その当時の公定價格に比べればかえつて赤字が出るということを、みな心配いたしておつたのであります。その点をまたこれを引受ける業者の方も非常に心配いたしまして、なかなかその五社もこの仕事を引受けたがらなかつたので、何とかあと政府の方でめんどうを見るようにしようということで、まあそういう予算的処置を講ずるという條項を入れたわけでございます。
  120. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 もう一遍重ねてお伺いしますが、取壊しその他の作業費が非常にかかるから、そういうような意味で無償で拂下げたということになるのでありますか。
  121. 菅波稱事

    菅波證人 私ちよつと今記憶ございませんが、無償で拂下げたのではなかつたのじやないかと思います。
  122. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それではどういうふうに。
  123. 菅波稱事

    菅波證人 一定の價格は政府の方へ納めさせるようにしておつたと思います。
  124. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 一定の價格を政府に納めさせるようにしてあつたとすれば、相当それがはいつていなければならないが、事実ははいつていない。それではどういうふうにあなたは商工省責任者としてこの点に考慮をめぐらされましたか。
  125. 菅波稱事

    菅波證人 私は翌年の一月までしかやつておりませんので、当然そういうものは政府にはいるべきものと考えてやつてつただけでありまして、はいらなかつたという事実はその後私は承知しておりません。
  126. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 少くとも商工省内務省責任者はこれを免れることはできません。無償拂下げであるかないか、あるいはあとから金を拂うことになつてつたか、それは知りなせんけれども、この機構をおつくりになつた。これによりますと本処理に関する処理機関の收支はプール計算とし、政府においてこれを監督することと書いてあります。監督なさつたはずであります。しかもこの收支についての監督でありますが、私どもが一番解せないのは、今あなたは撤去費と言われましたが、撤去費のようなものもそうでありましようが、一体運送費あるいは交際費、そういう意味のもとに五社は金を皆ばらまいているのであります。あなた方はこれをつくるときにそういうことを考えたか考えなかつたか。
  127. 菅波稱事

    菅波證人 私どもはいやしくも進駐軍の好意によつて拂下げを受けた兵器処理について、そういう不正をやるということは、とうていこれは許せぬことだと初めから考えておりました。ですからもしもそういうような不正な事実があれば、私としても非常に遺憾に存ずるのであります。
  128. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 あなた方が二十年の十二月一日に兵器処理委員会経費に関する件とか、賣却物件價格決定の件とかいうものをこしらえておられるではありませんか。関係法規をあなた方がつくつておるじやありませんか。そのときになぜ撤去費用は一トンについて戰車はどのくらい、あるいは飛行機はどのくらい、野砲はどのくらいというように、なぜあなた方はそれをこしらえなかつたか、なお委員会の費用とか、あるいは人件費についても会社のすべての問題は一つのある基準をつくることができたんじやないか、しかるにその当局であるあなた方はそういうものをつくらないで、五社を自由に選択して、五社が自由自在に初めから無料で拂い下げたと言われるように、ほとんどの費用というものを全部を使つて、しかもまだ赤字で國民が負担しなければならぬといつたような実情におかれた。しかもこの問題は根本的においてリストがないと称せられておるのでありますが、一体どれくらいな拂下げ政府は五大会社にやらしたものか、これについてもあなた方はその当時責任があると思う。なおそういう経費についての基準をおつくりになつていない点については遺憾の意を表します。なぜこれをつくらなかつたか、それをお尋ねいたします。
  129. 菅波稱事

    菅波證人 そういう拂下とか経費等の問題についての直接の監督は、内務省関係でございます。商工省はそこまで当時タツチいたしておりませんでしたので、われわれとしてはわかりません。
  130. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 数量についてはどうですか。
  131. 菅波稱事

    菅波證人 数量につきましては、私も当時どのくらい資源がこれによつて獲得できるかということには非常に関心をもちましたが、いかんせんああいう終戰のどさくさの当時でありまして、なかなかはつきりした数字がわからないのでございまして、結局私ははつきりした数字を最後まで聞くことができませんでした。
  132. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 あなたはそういうことを言われますけれども、内務省の人からいえば、商工省が全部そういうような收支の問題——総括の問題はそうかもしれませんが、價格の決定なんかについても、商工省がほとんど担任しておつたんじやありませんか。どうです。
  133. 菅波稱事

    菅波證人 價格の計算等については、商工省の方でいろいろ担当して意見内務省に出してあると思うのです。
  134. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そうすれば、拂下げる品物についての價格がそうであるならば、撤去するについてもある基準というものをつくらなければならなかつたはずである。根本においてあなたの失策だと思いますが、どうですか。
  135. 菅波稱事

    菅波證人 もちろんそういう計算は商工省でも立てたと思います。撤去の費用、あるいは波碎する費用、また鎔解する費用がどのくらいかかる。そういうものは当時のスクラツプの公定價格と比較してどうなるかということは、大体の計算は立てた上で、これが引合うかどうかということを考えたものと思います。
  136. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 考えたものだかしれないが、遺憾でありますね。考えたということでは私どもは納得ができぬ。なぜこしらえなかつたか。それからこの拂下契約書はあなた方の時分におつくりになつたんじやありませんか。青木、小松と二人が二十一年の五月に出ておりますが、この案というものはすでにあなた方がつくつておられたと前の証人が言つておりますが、兵器拂下契約書というものはいかがでありますか。
  137. 菅波稱事

    菅波證人 それは私は覚えがございません。
  138. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 覚えがありません。この價格につきましてもいろいろな点があるのでありますが、あなたは一時であつたということでありますから、その後の商工省の当該管理人にお伺いするよりしようがない。しかしもう一つお伺いすることは、商工省配分とか價格についてのすべての監督、あるいはまた委員会が五大会社監督する方法についてのあなたの指示と申しますか、その方針はどういうふうにしてやつたか。これらがあなたがお考えになつておることと、もしたいへん違つた結果になつておるとすれば、あとの人が惡いのか、あるいはあなた方がまだそういうことまでしておらなかつたのか、その点をお伺いしたい。
  139. 菅波稱事

    菅波證人 委員会が五社を監督する制度等についてどういう処置をとつたか、どうもよく思い出せません。
  140. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 商工省はそれについての監督はどういうふうに……。
  141. 菅波稱事

    菅波證人 商工省委員会監督しておつたのでありますが、それについて特にどういう方針をきめるとか何とかいうようなことはやつたかどうか、よく記憶がございません。
  142. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 どうですか。委員会だけの監督をしたのであつた、代行社である五大会社に対する監督はそこまで手が延びておつたかおらないか、それを伺います。
  143. 菅波稱事

    菅波證人 この問題によつては直接会社監督する意向はあつたと思います。
  144. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そこであなたは期間が短かつたから、そのあとのことを伺つてもしかたがありませんが、要するに今日に至つてみますれば、兵器拂下ということは無料拂下どころではないので、赤字になつておるという点からいえば、おつりをつけたということになるのですが、あなたは初めから結局これは赤字になるものとお考えになつて、かような処理機構をおこしらえになつたのか、もつた黒字が出ると思つておこしらえになつたか、この点を最後にお伺いします。
  145. 菅波稱事

    菅波證人 私は初めは担当官からこの仕事は赤字が出る、そのために予算的処置を講じなければならぬということを聞いておつたのでありますが、その後大藏省に交渉の結果、その予算は取れないということになりまして、そのときは非常に心配いたしました。ところがそれからまたしばらく経ちまして、全面的に公定價格の値上の問題が起きまして、そのときに値段が高くなれば結局処理した物を高く処分できるので赤字が出る心配はなくなつた、物價の値上りによつて委員会の赤字が出る心配はなくなつたという部下からの報告を受けまして、私はそれならもう安心だと思つておりました。
  146. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そうしますと、相当官というと初めはたれでしようか。
  147. 菅波稱事

    菅波證人 先ほど申しました大堀弘。
  148. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 相当官から赤字が出ると言われた、それに基いて立案した、こういうことですね。
  149. 菅波稱事

    菅波證人 赤字が出るから予算的処置を構じなければならぬという方針を立てたわけであります。ところがその予算を大藏省へ要求しましたけれども取れなかつた
  150. 中野四郎

    ○中野(四)委員 菅波さんは淺野良三君をご存じですか。ご存じであればどういう形においてご存じであるか、一應詳細にわたつて淺野君との関係を御説明願いたい。
  151. 菅波稱事

    菅波證人 淺野良三氏は日本鋼管の重役をされております。私が昭和十何年でありましたか、商工省の製鉄課長を一年半ばかりやつてつたことがあります。そのときに淺野良三氏を知つたのであります。
  152. 中野四郎

    ○中野(四)委員 淺野良三君はその後あなたが商工省総務局長になつてからもいろいろとお会いになつたことがありますか。
  153. 菅波稱事

    菅波證人 私が総務局長になつてからは淺野良三氏には一遍も会つておりません。
  154. 中野四郎

    ○中野(四)委員 この五社選定に当つて淺野君あるいは淺野君の周辺の人から何か下相談を受けられた事実はありますか。
  155. 菅波稱事

    菅波證人 五社選定の問題につきまして業界の方、あるいは統制会方面の方からお話を伺つたことは一遍もありません。
  156. 中野四郎

    ○中野(四)委員 きようあなたの御証言内容を聽いておりまして、一つ得るところがあつたのであります。それは先日來昭和二十三年の二月の初めから隠退藏物資の委員会においてこの兵器の問題を追究いたしまして、当時小松隆君においでを願つたのでありますが、その時当からバラード大佐から五社選定の暗示があつたかのごとく傳えられておるが、どうも明確でなかつた、ところがあなたがきようはバラード氏から言われたのではないということをおつしやられたのでこれははつきりした……。
  157. 菅波稱事

    菅波證人 ちよつとその点について申し上げたい。私は一遍もバラード大佐と会いませんし、バラード大佐からそういう話があつたということを聽いておりませんが、もしもどなたかほかの方がそういうことをバラード大佐から言われたとすれば、私の耳にはいつておられない範囲で言われたことがあつたとすれば、あるいはそういうことがあつたかも知れません。
  158. 中野四郎

    ○中野(四)委員 そうしますと、バラード大佐から五社選定の指令を受けていないということは明確でないわけあがりますか、先ほどのあなたの御証言を聽いておつて私が違えば訂正しますが、この五社選定の経緯を調査したいのが本委員会の目的です。從つてバラードさんから五社の指定を受けたのでないということをあなたが先ほど御証言になつたように聽いたのでありますが、その点を明確に言われますか。
  159. 菅波稱事

    菅波證人 私の知つている範囲ではバラードさんから何も言われておらないということをはつきり申し上げます。私の耳にはいつていない範囲で何事かあれば、私の承知しないことであります。
  160. 中野四郎

    ○中野(四)委員 ちよつとその点が先ほどの証言と違います。そこで伺いたいのでありますが、昭和二十年十月二十八日、このときに小松隆君をあなたはお呼びになつていらつしやいますね、この時にあなたから委員長になつてくれというように言われておるのですが、当時委員長ができていないのに委員長になつてくれと言われたのにはちよつと驚いたと小松君は言われておる。從つてその下相談が相当できているのではないかと考えたということを二月五日の本委員会において証言をしておるのでありますが、小松隆君が、委員会が当時構成されないのに委員長になつてくれと言われたということと、先ほどのあなたの証言を聽いておりますと、小松君との仲も深くない、大堀君等における場合は経済上の問題を指摘されております。この点について明瞭を欠いております。世上傳えられる淺野良三氏の政治的工作によつてこの委員会に選ばれた経緯があるというように傳えられておるのであります。私はそのことを言うのではないが、なぜ証人小松君に対して委員会の未結成の間に委員長になつてくれと言われましたか、その間の経緯をこまかに聽かしていただきたい。もし前言において違つておるところは御遠慮なく変えられて結構ですから、明確にしていただきたいと思います。
  161. 菅波稱事

    菅波證人 その点は先ほども一應申し上げたつもりでございますが、もう一遍申し上げます。いよいよこの兵器処理の問題について委員会をつくることが決定いたしました。これを動かすのに委員長の人選を考えなければならぬ。もちろん委員長委員会で選ぶべきものであると考えます。しかしそのときに私どもとしましては、当時四囲の情勢上、小松氏が委員長として最も適任である。これは当時関係者がみなそう認めておりまして、それを日本政府側としても確認するということと、それから小松氏が委員長になれば、英語の上手な方ですし、從來この問題について進駐軍と折衝されておつた方でありますから、今後もこの委員会運営上、非常にうまくいくであろうというような考慮もありまして、またこの委員会製鉄業者ばかりでなく、非鉄金属業者も一緒になつております。小松氏は鉄の方の関係の方でありますので、委員会でただ委員長を選ぶときに、何か非鉄金属側の人と問題でも起さぬようにというような、一種の老婆心でありますが、そういうような考慮から政府側からも小松氏にやつてもらうように頼んだ方がいいではないかというような考えで、小松氏に來ていただいて委員会でなるべくあなたが委員長を引受けていただきたいということと、もう一つは、この仕事は非常に重要な仕事であるから、進駐軍の期待にも反しないようにりつぱにやつていただきたいという希望を併せてお願いしたわけであります。
  162. 中野四郎

    ○中野(四)委員 そうしますと、菅波さん個人が大体小松君を委員長にした方がいいお考えになつたのか、あるいは四囲の情勢というお話がありましたが、少くとも下相談をする相手があつたのでしようが、その点をひとつ明確に願いたい。
  163. 菅波稱事

    菅波證人 それは私は部下相談しましてそういう処置をとつたのでありますが、その部下からの報告によりまして、四囲の情勢と言うとはつきりいたしませんが、当時その五社関係の方方の間で、大体そういう氣運が熟しておるというふうに聽いておつたわけであります
  164. 中野四郎

    ○中野(四)委員 これは先ほども宇都宮君から質問がありました大事な点なんです。この委員会で調べまする五社選定のその当時の経緯を調べたいという目的から言えば、ここが明確でないのです。内務省関係の人を喚びましても、あるいは当時の五社の連中を喚びましても、いずれもわからぬと言う。特に当面の人である小松君は二月五日に、私はこの五社を選ぶことは全然知らぬ、そういうようなことは知らぬと言うのです。從つてあなたの方でただ部下相談をされてこの結論が出たといたしますれば、少くともその部下の方で淺野良三君等と深い関係のある方があるのではないかという疑問が出てまいります。特にこの際伺いたいのは、鉄鋼統制会の藤澤事務局長を御承知でありましようか。
  165. 菅波稱事

    菅波證人 藤澤勇次君でありましようか。
  166. 中野四郎

    ○中野(四)委員 名前はわかりませんが藤澤君となつております。兵器処理委員会事務局長であつたかもわかりません。
  167. 菅波稱事

    菅波證人 兵器処理委員会事務局長藤澤勇次氏は、私はその前から知つております。その前と申しますのは、先ほど申し上げました私が商工省の製鉄課長をやつておりましたころ、当時アメリカが資金凍結をして、日本に対するいろいろ重要物資の輸出を停止したころでありますが、そのころ藤澤氏がアメリカにおりまして、当時私は製鉄課長として日本にスクラツプが買える間にうんと買付けをしようというので、たくさん屑鉄を買う処置をとつたことがございますが、その仕事藤澤氏がしておりまして、それからこつちへ帰つてきましてからは、鉄鋼原料統制の会社という会社の常務になりました。そういうような関係で、その当時私は知つておりました。ただ兵器処理委員会事務局長になりましてからは、私は一遍も藤澤氏と会つたことはございません。
  168. 中野四郎

    ○中野(四)委員 そうしますと、菅波さんの御在職中、その五社というものはどういうふうな人々によつて、どういう形によつて選ばれたかということについて、まだ御証言がないようですが、当時の事情を一番よく御承知のあなたから、どういう形によつて当時五社が選ばれたかということを明確にしていただきたい。
  169. 菅波稱事

    菅波證人 五社の選定をいたしましたのは、鉄関係につきましては当時の鉱山局の鉄鋼課長の手もとで選考いたしてきめました。それから非鉄金属関係につきましては、当時の鉱山局非鉄金属課長の手もとで選考してきめましたが、その原案を私のもとに持つてきたわけであります。
  170. 中野四郎

    ○中野(四)委員 当時の鉄鋼課長ともう一つのお名前は何ですか。
  171. 菅波稱事

    菅波證人 鉄鉱課長は細井非鉄金属課長は山地君、どちらもきよう証人として喚ばれておるようです。
  172. 中野四郎

    ○中野(四)委員 そこでもう一つ伺つておきたい。先ほどお話の中に当時はこれが海のものとも山のものともわからぬから、從つてこれを各社が引受けたがらなかつたというお話でありました。先日ここで五社の各代表者に來てもらいましたときにもやはり同樣の意見が出ました。しかし結論から見ますと、この廃兵器処理に対しあらゆる犯罪事項が出ております。特にその結果から言えば、非常な利益を得ておるにもかかわらず、事実上においては國家にその損害を要求しておるという結論が出ておるのであります。そこで問題になりますのは、当時ほんとうに五社が引受けることを拒んでおつたか、逡巡しておつたかどうかということが問題になるわけであります。考えようによりますれば、これはありがたい仕事だ、一番ひとつどんな運動をしても、五社で何とか手に入れようじやないかというような談合が行われやすい傾向もありまするが、当時の状況は、今私がここで、判断いたしましても相当混乱状況にあたつのですが、從つてこれがもうかるか損するかわからないというような意見もうなずけるのでありますが、それを何か裏づけるような証拠がありましようか、その点をひとつ聽かしてもらいたい。
  173. 菅波稱事

    菅波證人 五社で逡巡しておつたということは、私直接五社の方に会つてそういうことを聽いたわけではございませんので、私にそういう報告をした部下の者なり、ほかの証人なり、そういう方についてその点は確めていただきたいと思います。
  174. 中野四郎

    ○中野(四)委員 最後に一点あなたが当時いろいろ御相談になりました小松君を委員長に推薦した方がいいというような意見を出した人、それから今申し上げるような状況を裏づけるような部下の方、それは何という方と何という方に求めたらよろしいか、これを一点伺いたい。
  175. 菅波稱事

    菅波證人 それは先ほどから申します大堀事務官、あるいは当時の鉄鋼課長の細井非鉄金属課長の山地、そういう人たちから聽いていただけばはつきりすると思います。
  176. 徳田球一

    ○徳田委員 最初に、この兵器処理をするにあたりましては、兵器がどれだけあるかという存在、処理すべき物がどれだけあるかということがわかつていなければなりませんが、そういう物に対する品種別のリストをあなたの方は持つておられましたか。
  177. 菅波稱事

    菅波證人 持つておりませんでした。
  178. 徳田球一

    ○徳田委員 何も持つていない……。
  179. 菅波稱事

    菅波證人 そういう信憑すべきはつきりした資料は何もございません。
  180. 徳田球一

    ○徳田委員 一体何もなしに処理して損するとか損しないとか、それから予算の処置をするとか、そんなことが一体どうしてわかるのですか。
  181. 菅波稱事

    菅波證人 大体の見当をつけてやつてつたのであります。
  182. 徳田球一

    ○徳田委員 そんな見当がつくはずがないじやないか君……。
  183. 菅波稱事

    菅波證人 しかし当時はつきりした資料を求めることはおそらく困難であつたろうと思います。
  184. 徳田球一

    ○徳田委員 ぼやつとした資料はあつたのですか。
  185. 菅波稱事

    菅波證人 それから申し上げますが、予算をつくる場合には、そういうはつきりした資料が必要でありますけれども、これは政府事業としてやらないで、委員会仕事としてやりまして、あとで欠損が出たらば予算的措置を講ずるということにしてありますから、そういうはつきりした資料はなくてもできるような建前でやつておりました。
  186. 徳田球一

    ○徳田委員 それはおかしい。引受ける者だつて、引受ける物がどれだけの数量を引受けてどうするかという計画が立たない限り、それは損するか損しないか、これはやつていけるのやつていけないのということは言い得ないと思います。こういうことは一たん仕事を始めれば相当長い間継続してやるためには、設備が要るし、人が要るしするから、やはり一定の数量がなければ、ちよつとそこらに四つや五つあるからやれというような、ちよつとした請負仕事とは違います。だからこの数量がどれだけあつて、どう処理してどういうふうにこの屑鉄を使えば賣れるかということが十分明確になつておらぬと仕事ができないと思いますが、全然そういうものはなかつたのでございますか。
  187. 菅波稱事

    菅波證人 私どもはそういうものを手に入れることはできませんでした。またそういう状態であるから五社の方もはつきりした見透しがつかないで引受けることを逡巡したのではないかと思います。
  188. 徳田球一

    ○徳田委員 しからばもう一つお伺いしますが、このリストに関しては、連合軍から日本に引渡しますときにちやんとリストをつけて引渡すはずであります。また連合軍に対してはちやんとリストをつけて、これだけの物がありますというので引渡されたはずでありますが、そういうことがある以上、諸君がこれを処理するにあたつてそういう基本的な資料を持たないということはどうも合理的でないと思いますが、そういうものは全然持たないのですか。
  189. 菅波稱事

    菅波證人 持つておりませんでした。当時その兵器は軍が持つてつて、それが國有財産になつてつたのでありますが、それの措置は私どもの関係仕事ではないのでよく存じません事柄でありますけれども、当時軍はもう目茶苦茶な状態になつており、各地方でいろいろ騒擾が起きたり、ものが紛失したりしておつたのはつきりした資料はつくることができなかつたのではないかと思います。
  190. 徳田球一

    ○徳田委員 よろしゆうございます。それではこれはあとに讓りまして、佐世保の鎭守府だとか、あるいは横須賀の軍港だとか、または大阪造兵厰だとか、それぞれ大きな兵器を製造するところ及びこれを貯藏しているところ、さらにこういうところでなくても、そういう会社やあるいはこれを貯藏集積しておつたところがありますが、そういう地点についてあなたの方でお調べになつたことはありますか。
  191. 菅波稱事

    菅波證人 おそらく調べるべく努力はしたことと思いますが、はつきりした数字はつかめなかつたのです。
  192. 徳田球一

    ○徳田委員 調べは何もしませんでしたね。
  193. 菅波稱事

    菅波證人 できなかつたろうと思います。
  194. 徳田球一

    ○徳田委員 実はこれは非常にたいへんなことになつております。兵器でないものまでも、兵器処理委員会はこれを兵器としてとつたり、あるいはまた兵器であつても、損するようなものは兵器でないと言つて放り出したりしているようなことがありますが、そういう現場に行つて引渡しをしたり、これに対して指示を與えたりするようなことには、商工省としては全然関知しなかつたわけですね。
  195. 菅波稱事

    菅波證人 そういう点は各地方に散在しているものの管理でありますので、商工省としてはそういうことはできません。そのために内務省の所管にして、警察力をもつた内務省がその管理の責任に当ることになつたのであります。
  196. 徳田球一

    ○徳田委員 商工省としてはそういうことは全然関知せず、一体何をやつたのですか。
  197. 菅波稱事

    菅波證人 兵器処理する仕事、つまり熔かしたり工場へ持つてきて破碎したりすること、またはそれによつてできた原料を配給する、そういう面に商工省としてはタツチしておつたのであります。
  198. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると、処理する対象の物資がどんなものがあつて、どういうぐあいにあるかというようなことがわからずに、一体これをどう処理するか。どうしてこれの價格が引合うとか何とかいうことがわかりますか。
  199. 菅波稱事

    菅波證人 あらかじめはつきりした全体の数量またはその品種別等はわかつておりませんでしたけれども、仕事をやつていくに從つて、どこにどれだけあり、どれだけ進駐軍の方から返還を受けたということはわかるわけであります。それにより仕事ができるわけであります。
  200. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると、それぞれの場所においてはそれぞれわかつたわけですね。
  201. 菅波稱事

    菅波證人 わかつたのです。
  202. 徳田球一

    ○徳田委員 その書類はあるわけですね。
  203. 菅波稱事

    菅波證人 兵器処理委員会として処理した数字ははつきりあつたと思います。
  204. 徳田球一

    ○徳田委員 それは商工省がちやんと握つておりますね。
  205. 菅波稱事

    菅波證人 処理委員会から報告を受けていると思います。
  206. 徳田球一

    ○徳田委員 処理委員会から報告を受けると言つても、処理委員会の前に商工省がタツチすべきではないですか。
  207. 菅波稱事

    菅波證人 しかし商工省自体はそういう処理仕事はやらずに、そのために処理委員会のようなものをつくつたものであります。
  208. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると、むやみやたらに処理委員会に、実はお前さんやつてくれと何も知らずに皆放り出したわけですね。あとは助言はするけれども、いい加減な價格やいろいろなことは何とかやるけれども、事務的な処理はするけれども、ほんとうのことを言えば、これは君のところへめんどうくさいから放り出してやる、勝手にしろという結果になつたのですね。
  209. 菅波稱事

    菅波證人 結果はどうごらんになるかわかりませんが、われわれのつもりとしてはそういうつもりはございません。
  210. 徳田球一

    ○徳田委員 つもりでなければ、前に処理をして、きちつと監督をして、あと始末する段取になつていないではありませんか。
  211. 菅波稱事

    菅波證人 はつきりした数字はわかりませんけれども、そのあとのことはきちんと制度をきめ、その監督をしていくつもりでやつております。
  212. 徳田球一

    ○徳田委員 それを前にやつてあとで渡したものが合うようにしない限り、君の方では兵器処理委員会から報告があつたというだけでは、兵器処理委員会は全部勝手にやることになる。
  213. 菅波稱事

    菅波證人 どうもその点返還を受けるその官廳内務省になつておりますので、はつきり記憶しておりません。
  214. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると、内務省商工省にそういう実際の仕事の分界をわけて、別々に両方ともタツチしないように、両方ともこれにさわらぬようにしたところに妙味がある……。
  215. 菅波稱事

    菅波證人 そういうつもりは毛頭もつておりません。初めからわからぬようにしようというようなつもりでやつてつたのではないのであります。
  216. 徳田球一

    ○徳田委員 そうじやない。内務省は何も知らないと言う。商工省が実際処理をすべきものだと彼らは言う。また商工省は実際の仕事の上においてわからなければならない知識をもち、また行政上の責任をもつておるのに、そつちの方は内務省がやつているのだからおれの方は知らぬと言う。
  217. 菅波稱事

    菅波證人 商工省責任に属する範囲内のことは私は責任を負うつもりでありますが、ほかの省の主管になつている事柄まで……。
  218. 徳田球一

    ○徳田委員 だからおかしいというのだ。それから五社の選定についてでありますが、いろいろ今まで論議がありました。商工省の五社選定はすべて技術上の見地に立つているのであります。政治的の見地は全然なかつたということになりますか。
  219. 菅波稱事

    菅波證人 はつきりそう申し上げられます。
  220. 徳田球一

    ○徳田委員 まつたくそうですね。
  221. 菅波稱事

    菅波證人 まつたくそうです。
  222. 徳田球一

    ○徳田委員 しからばこのことに関しまして、すべての責任商工省が技術的に決定するというところにあるのであつて、五社選定責任はすべて商工省がもたれるということになりますね。
  223. 菅波稱事

    菅波證人 そうなりません。この問題は政治的の考慮は全然なく、純粹に事務的に決定したことは先ほど申し上げた通りでありますが、この制度全体が、またおしかりになるかもしれませんが、これは内務省主管の問題でありまして、五社の選定及び兵器処理のやり方について、ある原案をつくることを商工省内務省から依頼を受けてやつたのです。ですから最後の決定内務省でやつたことになります。ただいま責任を全部お前が負うかとおつしやられましても、決定内務省商工省が一緒にしたということになりますから、さよう御承知願います。
  224. 徳田球一

    ○徳田委員 しかしながら内務省が最後の決定権をもつたところで、五社の選定商工省でやつて原案通り決定されたのだから、そこには政治的の考慮は全然なかつたと見るべきじやないのですか。
  225. 菅波稱事

    菅波證人 政治的の考慮は全然なかつたと私も思つております。
  226. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると、政治的の考慮がないのに、小松隆さんをこの委員長にする場合には、あなたの証言によりましても、これは進駐車との関係が前にすでにあつたし、またそういう関係から政府首脳部との関係もあり、この人を委員長にしておかないとすべて今後の処理はうまくいかないだろうという御証言でありましたが、そうするとこの小松隆君を委員長にすることに対しては、これは五社を選定したのとは別に特殊な政治的な考慮がはいつているわけですね。
  227. 菅波稱事

    菅波證人 私が小松氏に來ていただいてそういうことを申し上げたことを政治的というならば、それは政治的考慮がはいつたと言われてもいいと思います。
  228. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると非常におかしいように思います。この小松隆君は御存じの通り日本鋼管の主宰者であつて、淺野良三君などと最も近しい仲であるし、事実この処置をするにあたつても、必ずしもこの五社だけではなしに、相当廣範囲にこれを処置し得るところがあつたろうと思うのですが、どうですか。たとえば大同製鋼のごとき、これらも鉄鋼業であつて、相当スクラツプを使つた経驗のある会社であります。そういう会社がずいぶんほかにもある。そういう会社には全然能力がないと認めて、鉄鋼関係日本鋼管と日本製鉄——日本製鉄を拔くわけにはいきますまいが、第二には日本鋼管を入れて、その他のものは拔いておるところに政治的考慮があつたとどうしても思われるし、しかもこの日本鋼管を指揮しておる小松君の選定が、これが政治的考慮があるとすれば、すでにその前に進駐軍との関係があつたために、これを選定したとすれば、その間の経過から見て、明らかにここには政治的考慮があつたものと思いますが、どうですか。
  229. 菅波稱事

    菅波證人 五社の選定については、あくまでも私は政治的考慮がなかつたと申し上げますが、小松氏を委員長に選んだということは、多少政治的な考慮が施されたということも同時に申し上げます。
  230. 徳田球一

    ○徳田委員 それならばなおもう一つ聽いておきたいのですが、この配分に関して、これがスクラツプになり、いろいろなものになりまして、これを配分するにあたつては、これの配分をするほかに委員会ができておりますが、この委員会での配分の処置に対する規定はどういうふうになつておりますか。概要を説明していただきたい。
  231. 菅波稱事

    菅波證人 こまかいことは私よく記憶しておりませんが、大体の方針としましては、その物資を扱つておる統制團体、そこへ総括して渡してしまうということを原則にしております。
  232. 徳田球一

    ○徳田委員 そうするとその会社が、五社は大体は統制会社にはいつておるだろうと思いますが、五社が大体自由勝手になるようにできておるのでありますか、配分は……。
  233. 菅波稱事

    菅波證人 自由勝手になるようにできておりません。その委員会において決定した行先へ渡すことになりますから……。
  234. 徳田球一

    ○徳田委員 その委員会の主力は五社が握つておるから……。
  235. 菅波稱事

    菅波證人 別の委員会——その委員会ではなくて、物資を配給するための別の委員会から配給するようになつておりますから……。
  236. 徳田球一

    ○徳田委員 別の委員会であるけれども、鉄鋼統制委員会は主として日鉄、日本鋼管が握り、その他非鉄金属の方は扶桑金属とか、神戸製鋼だとか、古河とか、そういうものが握り、あるいはそれらの兄弟会社として、財閥として附き合つておる三井、三菱その他が大体握つておるのじやありませんか。そうすると、それらの五社が配分を実際上は左右するようにできておるのではないですか。
  237. 菅波稱事

    菅波證人 大会社を選んだ関係上、そういう有力な勢力のある会社ということは言えますけれども、私どもの考えとしては、それがために五社に有利に配給するというようなことをさせるつもりは毛頭もつておりません。配分の問題は全然別個の問題として……。
  238. 徳田球一

    ○徳田委員 毛頭もつておらなければ、それだけの機構ができていて、そういうことを一々処置し得る権能が與えられておらなければならないのに、やはり依然として五社が主力を握つておる。その機関がこれを統制して、それを処置する権限をもつておるとすれば、それは事実上はそうはできない、その点について政府はいかなる処置をしたか、あなた方はいかなる処置をしたかという……。
  239. 菅波稱事

    菅波證人 その配給の委員会の方には各省の物資を扱つております担当官のような方々が常に出席いたしておりまして、むしろ五社の発言力は非常に小さかつたのじやないかと思います。各官廳の代表者の間において配給の決定がなされたように思います。
  240. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると事実もまた何ですね。五社関係のものには配給されずに、それ以外のものにどんどん配給されたということになりますね。
  241. 菅波稱事

    菅波證人 事実上は、その最も大きな消費者が五社でありますので、事実上はそういうところに相当行く結果にはなるとは思いますが、五社が自分できめるという形はとらせなかつた
  242. 徳田球一

    ○徳田委員 実際の実績は五社がほとんど左右していますね。だからまあそれはそれにしておきますが、あなた方のこの処置の方法は、根本的な点がみんな抜けていますな。末梢のことはああの、こうのと言つておるけれども、根本的な、いわゆるリストを握つておらぬ点、それらの処置を十分監督するだけの機構が抜けておる点、それからそれに対する予算的な措置、すなわち價格の決定権その他に対する監督をしないで、実際上の具体的な現場を全然握つておらぬ点、そういう点でこれは完全に破産しておると思いますが、どうですか。あなたの感想は……。
  243. 菅波稱事

    菅波證人 私は全然そういうつもりではやつておりませんでした。
  244. 宇都宮則綱

    ○宇都宮委員 ちよつと証人に伺います。証人はさつき何ぶん終戰のどさくさであつたということを言われたが、われわれ國民から見ると終戰のどさくさというそのどさくさをつくつたのは官吏と軍需物資を取扱つた團体がどさくさをつくつたのであつて、國民はちつともどさくさにまぎれてもおらぬし、どさくさを利用した者を國民は白い眼で見ておつたのであるが、証人の話では、この仕事はもう最初から赤字になるということがわかつてつたようなことをさつきも申されておつた。赤字になることがわかつておるものが、何も祕密裡に五社を選んで五社に選定しなければならぬとはわれわれは受取れない。のみならずその当時この五社が発表されたときに、この五社は実に鉄鋼業者の羨望の的であつた。どれほどもうかるかわからないということを鉄鋼業者は言うておつたが、僕らの考えでは、海深く沈んだ軍艦さえ解体して相当もうかつておるのに、陸にある軍需物資がそれほど損をするものとは受取れない。これはどういうわけであるか。その理由をひとつ明確に御証言が願いたい。
  245. 菅波稱事

    菅波證人 それは当時のスクラツプの價格が非常に安かつたために、いろいろな費用をかけて処理した兵器の價格の方が高くつてい引合わないという意味で申し上げたのであります。もしも当時スクラツプの公定價格がもつと高くあれば樂に引合うのでありますが、そのスクラツプの公定價格の比較問題なんです。
  246. 宇都宮則綱

    ○宇都宮委員 この五社決定をするまでに、鉄鋼業者は自分どもも指名の中に入れてもらいたいという申出がありましたか、ありませんか。
  247. 菅波稱事

    菅波證人 その前に私は何も鉄鋼業者から話を聽いておりませんが、そのあとで当時の部下つた連中などに聽きますと、業者の方からこの仕事をやらしてくれと言いに來たことはなかつたようであります。むしろ業者の方が逡巡しておつたのを、政府の方からむりにやらせるようにしたということであります。それから先ほど祕密裡に五社を選定したということをおつしやいましたが、私どもとしては祕密裡にやつたというようなつもりは毛頭ございません。役所として普通の公正な事務の取扱い方で五社を選定しております。
  248. 宇都宮則綱

    ○宇都宮委員 祕密裡というのは、どの証人を調べても五社選定に対しては言い逃れをしておる。私はよく知らなかつたとか、だれとだれに聽いてくれとか、あるいはあなたのお話でもその五社を選定するに大堀事務官か出てきてきめた。その次に細井山地が大体を選定したというあなたの言葉で、速記録を見ればわかるが、二度も三度もまわつてきておる。これが祕密裡でなくて何です。公にやつたならばもつと堂々とたくさんの人が集まつて、五社を選定される。それがあれば、いいとか、これがいいとかいつたことは、祕密裡でなくて、これは公開の席できめたとは言えないじやないですか。これはどういうわけですか。
  249. 菅波稱事

    菅波證人 それは何の祕密できめたのではありませんで、事務的の順路を通つてきまつてきた。それまでのことは私は知らないということを申し上げたわけで、大体案ができて私のところへきてからのことは知つておりますが、それまでのいろいろな細かい選考のためにやつたことは知らないと申し上げたのであります。またほかの証人の方が知らないと言われたのは実際そういうことにタツチしておられなかつたから言われたのだろうと思います。
  250. 宇都宮則綱

    ○宇都宮委員 あなたは祕密でなかつたかもしれない。最後をあなたが決定したというならば、その前には祕密であつたかどうか、その前は、あなたに持つてくるまでの行動は祕密でないということをあなたは証言ができますか。
  251. 菅波稱事

    菅波證人 当時の部下の話を聽いて私の判断で、それは祕密にやらなかつたということを私は公言できます。
  252. 宇都宮則綱

    ○宇都宮委員 それはわからぬじやないか。あなたはだれが選考したかわからぬようなのを決定しておる。最後の決定をした。
  253. 菅波稱事

    菅波證人 決定の順路を申し上げた……。
  254. 宇都宮則綱

    ○宇都宮委員 その前の選考を祕密裡にやつたかどうかあなたにはわかりますか。わかつたとすればあなたははなからそれにタツチしておるということになる。これが祕密裡でない、はなから公平にやつたものであるということになつておるから、はなからタツチしておるのであつて、あなたのさつきからの証言では大堀事務官がこれこれでありますと言つてきたからそれに決定したと言い、また細井山地両君が大体選考にあづかつておると言う。話がちつとも辻褄が合わぬではないですか。これはどういうわけですか。
  255. 菅波稱事

    菅波證人 私の言い方が非常にまずいからだと思います。私は決定の順路を申し上げたのでありまして、私のところに持つてくるまでのことは私にはわかりません。
  256. 宇都宮則綱

    ○宇都宮委員 それならば祕密であるかどうかわからぬ。
  257. 菅波稱事

    菅波證人 しかし、あとでいろいろ報告を聽きまして、きめた当時の議論とか、どういうところでどういうふうにして集まつてきめたということを聽けば、これは絶対に祕密裡にやつたのではないということは私も想像できる。
  258. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 想像ができるというのでしよう。祕密でやつたかやらぬかということは責任をもつて断言はできぬでしよう、見たのでもなければ。
  259. 菅波稱事

    菅波證人 見たのではございませんが、きめた人たちのでまあ強い想像ができる。
  260. 徳田球一

    ○徳田委員 最後に一つ、あなたは総務局長をやめられてからどういう仕事をやつておられますか。
  261. 菅波稱事

    菅波證人 私は退官後一年ほど何もしておりませんでしたが、その後啓明交易株式会社というところの取締をやつております。
  262. 徳田球一

    ○徳田委員 どんな仕事ですか。
  263. 菅波稱事

    菅波證人 貿易であります。
  264. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 先ほどお尋ねしたのですが、重要な事項ですからもう一遍お尋ねして念を押しておきます。一九四五年の九月二十四日の覚書は内務省の方にいつておるのだとさつきもおつしやつたのですが、解体兵器等処理要綱に関する件の中に織込んであるという考えをもつておるというようなことをおつしやつたと思いますが、それだけで別に地方長官にかくのごとき指令をあなたがはつきりさせておるような御通知はおとりになつていないかどうか、そのことをはつきりしておいていただきたいと思います。
  265. 菅波稱事

    菅波證人 兵器処理の問題以外についてですか。
  266. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 兵器処理の問題であります。こういうものをこしらえて各地方長官に送つたですね。これに対する覚書ですね。これについては明確な指示方針を各関係者に示達しておられるかどうか。
  267. 菅波稱事

    菅波證人 その要綱以外には特にこういうものは出しておらぬと思います。向うのデイレクテイヴに関する何か示達でございますね、そういうものは商工省としては出しておりません。
  268. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 商工省としても内務省と一緒にこの仕事をなされたのでありますから、これによると最後の消費者にまで明らかにするということになつていますが、これを処理されるときの初めの処理要綱の中にはあなたは意味が含んでいると言われる、だからこれでいいという考えで別にしているのか、おらぬのか。
  269. 菅波稱事

    菅波證人 そのデイレクテイヴは範囲が非常に廣くて、商工省関係以外のものもたくさんあります。船の問題あるいは輸送鉄道関係のもの……。
  270. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 今おたずねしているのは兵器に関するだけです。
  271. 菅波稱事

    菅波證人 兵器に関するだけは私の在任中はその地方長官宛て通牒以外には出しておらぬと思います。
  272. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 非常に重大なことだと思うのでお伺いしたいが、先ほどから承つておりますと、あなたはこの五社を選ぶについてはあなたの方の重要関係から調べさして、あなたの方の独自の見解で選ばれた行為であると言われる。他の内務省のこれに関する人もしくは少松さん等の意見を聽くと、相当第八軍等の意見がはいつていると思う、これはよほど重大なことである。あなたは独自にやられたものならば、それらの意見がはいろう道理がない。しかるに一方はいつたと言う、あなたははいらぬと言われると非常な大きな食違いが出てまいりますが、実際はどうだつたのでしよう。もう一遍間違いのないところをひとつ……。
  273. 菅波稱事

    菅波證人 私といたしましては、先ほど來申し上げておりますように、八軍の方からどういう会社を選んだらよかろうというようなことは当時何も言われておりません。また私の部下の者もそういうことを言われたという報告を聽いておりません。われわれ独自の立場で選んだものであるということを申し上げております。
  274. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうしますと、他の人が第八軍からの意向がはいつたと言つているのは全然間違いでありますね。あなたの方で選んだのがそのままになつているのですか。
  275. 菅波稱事

    菅波證人 ほかの方がどう言われたか私よく存じませんが、それは私どもの知らぬことであります。
  276. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたはこれをもつて行つて内務省に言われて、内務省が最後の決定をされた。それについてはあなたの上司、たとえば次官とか大臣には相談しておやりになりましたか、それともあなた総務局長だけの責任でよかつたか。
  277. 菅波稱事

    菅波證人 もちろん重大な問題でありますから、その問題の決裁は次官は必ず得ていると思いますが、大臣の決裁まで得ておりますかどうか、その点はつきり憶えておりませんが、もちろん上司の決裁は受けている。
  278. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 すると次官はだれで大臣はだれでありましたか。
  279. 菅波稱事

    菅波證人 あのときは次官は豊田次官、大臣は小笠原三九郎さんだつたと思います。
  280. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 もう一つ承りたいのはリストの問題ですが、これは初めにあなたの方で兵器処理しようということになつたときにはまだわからなかつたかもしれません。そこでいよいよ現実処理をするというときになれば、これだけのものを引渡しを受けて、これを渡すということになれば必ずここではきまつていると思う。そうしてきまつたらこれだけのものをこういう方法でやるのだということになるから、ここで予算も立てば大体の損得もわかると思いますが、まずそのものをこれだけ受取つて、これを受渡せるということは商工省が全然関係しなかつたのでありますか、内務省商工省相談の上でやられたものであるか、この点は先ほどから明確でなかつた
  281. 菅波稱事

    菅波證人 その点は進駐軍の方から廃兵器として内務省に返還されまして、内務省はそれを受取りまして、今度は兵器処理委員会に渡す、そういう手続をもつていたしました。
  282. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それは表向きそうですがね。こういう方法で処理しようとかなんとかいうことはみな商工省で指図をされるのではないか、内務省はただ責任者としてそれをやるだけで、実際は商工省だとわれわれは考えるのですが、それはいかがですか。
  283. 菅波稱事

    菅波證人 それはそうではございません。商工省としては全國の何処にどういうものがどれくらいあるかということは、地方に官廳をもたないのでわからぬのであります。内務省は地方廳をもつておりますので、各地方廳の手を通じてそういうものを進駐軍から受取りまして、その場所でそのままやる、こういうことになつております。商工省としてはそういう機構をもつておりませんからわかりません。
  284. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、どういう方法で処理すればいいかということは、指図せずに処理委員会に全然一任したきりでありますか。いまここに大砲なら大砲がある。これだけのものが來た、これを処理してもらいたいということでありますが、内務省では技術的なことは全然わからぬので、商工省の手傳いを得たということになつている。これをやるにはこういう方法が最も費用もかからぬし得な方法だ。そういうことは商工省でなかつたらきまらぬと思います。それはどうですか。
  285. 菅波稱事

    菅波證人 そういう技術的の問題は商工省がきめましたか、あるいは鉄鋼業者の方できめてもらつたかよく覚えておりませんが、もちろんタンクはどういうように解体してどこの部分はどういうように処理するというようなことは、いろいろな物資別に処理の技術的なやり方をきめたことと思います。
  286. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうするとせめてそのときだけでも、商工省においても監督に出ておられるのだからわかるし、内務省でもわからなければならないものだから、どれだけのものを何月何日にどういうことをきめて処理して渡したか、さらに予算はこういうことであつた、ところがやつてみたらこれだけのスクラツプが出て、これをおろしてみたらどれだけの損がいつた。これは必ず監督官廳としてもつておらなければならぬものだと思いますが、そういうことがあつたかなかつたか。あるとすればどこにあつたか。商工省ももつておるし、内務省ももつておる。両方ともにあると思いますが、それはどういうものか、それをまず伺いたい。
  287. 菅波稱事

    菅波證人 それは内務省兵器処理委員会にあつたと思いますが、商工省としてはおそらく兵器処理委員会から報告をとつて、そういう内容がわかるようになつたと思います。
  288. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると計算の面はどうですか。損がいつたとか得がいつたとか。これも内務省に任せきりですか。
  289. 菅波稱事

    菅波證人 内務省がその主管官廳でありますが、商工省はその手助けの意味で、これを一緒に見ておつたという意味であります。
  290. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると損得の方も内務省でいけば参考というか、むしろ基本の何だと思いますが、そういうものがありますか。あるべきはずだと思いますが……。
  291. 菅波稱事

    菅波證人 あるべきはずだと思います。
  292. 武藤運十郎

    武藤委員長 ほかにございませんか。ちよつと速記を止めてください。     〔速記中止〕
  293. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは速記をとつてください。  この際諸君にお諮りをいたします。時間も大変経過をいたしましたので、本日証言を求めることになつております上田大津藤澤の三君は、明日にこれを延期しお帰りを願うことに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  294. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではさよう決します。  なお先ほど申し上げました証人証言を求める順序を変更いたしまして、次には山地君、次に細井君、次に小松君、こういう順序にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  295. 武藤運十郎

    武藤委員長 なお菅波君、山地君、細井君、小松君の順序でいたしますが、済みましてもこの四君はこの委員会に関連がございますので、残つていただくことにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  296. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではそういう方法で進行いたします。     〔委員長退席河井委員長代理着席〕     —————————————
  297. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 あなたは山地八郎さんですね。
  298. 山地八郎

    山地證人 はい。
  299. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 昭和二十年の後戰当時にあなたは商工省非鉄金属課長をしておられましたか。
  300. 山地八郎

    山地證人 さようでございます。
  301. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 いつごろからいつごろまでしておられましたか。
  302. 山地八郎

    山地證人 昭和二十年六月六日に当時軍需省の鉱山局の鉱政課長をしておりました。それから同年の八月二十六日に軍需省が商工省に変りまして、商工省鉱山局非鉄金属課長でありました。
  303. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 いつごろまでですか。
  304. 山地八郎

    山地證人 それから翌年の二十一年一月十日に名前だけ変りまして、同じ鉱山局の鉱政課長になりました。同年八月十一日に北海道の地方商工局に轉出いたしました。それまでその仕事をしておつたわけであります。
  305. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 あなたが非鉄金属課長になられた当時の直属の上官はだれでしたか。
  306. 山地八郎

    山地證人 奧田さんだつたと思います。
  307. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 そのときの総務局長はだれですか。
  308. 山地八郎

    山地證人 おそらく菅波さんだと思います。
  309. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 兵器処理の問題についてお伺いしたいのですが、兵器処理委員会ができた事情について詳しく話してください。特に五社を選定された事情について詳しくお述べください。
  310. 山地八郎

    山地證人 何分約三年前のことでありますので、私の記憶の違つておる点とか、あるいは忘れておる点があるかも存じません。終戰後多分昭和二十年九月下旬ごろではないかと記憶いたしますが、そのころに第八軍のバラード大佐から内々非鉄金属課長の私に軍政部に出てくるようにという連絡がありまして、私が出向きました。
  311. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 九月何日でしたか。
  312. 山地八郎

    山地證人 二十年の九月の中ごろか下旬ではないかと思います。あるいは十月の上旬ではないかとも思いますが、そこらの記憶はつきりしておりません。まつたく何の用件かわからないで出て参りまして、そのときバラード大佐から申されましたのは、航空機を近く日本政府拂下げる。これを急速に破壊してアルミニユームとかジユラルミンなどの原材料に戻しまして、これをまた日本の平和産業の方に使う。そういつた仕事をしなければならぬので、その受取り態勢を至急に考えてもらいたい。これは急を要する仕事であるから、はやく能率的に仕事が片づくように考えてもらいたい。なおこの際参考になると思うのは、鉄関係兵器については、民間会社にコミツテイーをつくらしてやらせるというふうに考えられておるので、そういつたものを考えたらいいのではないかと思う。バラード大佐は何かエージエントというような言葉を使われたと思いますが、何かそういうエージヨントを考えてみたらどうかという示唆がありました。私即答いたしかねましたので、帰つてから研究してお答え申し上げると言つてつたわけでございます。役所に帰りまして、どういつた仕組みがいいだろうか。当初はそういつた民間会社にやらせるのがよかろうといつたふうな、大約そんな意味のバラード大佐の御示唆ではありますけれども、さてどうしたものだろうかといつて研究したのであります。なるほど日本政府がみずからやるとしましても、どれほど予算がかかるか見当もつかない。予算とか官制とか定員とかを考えてみるとなかなかたいへんである。急速に能率的に処理するという意味では、信頼のおける民間会社仕事を請負わせるというバラード大佐の考えも合理的である。かように考えました。ただその場合には鉄の関係とは違いますので、飛行機の方は、これを壊してまたもとのアルミニユウムとかジユラルミンにするということについては、設備をもつている別の会社がありますので、そういつた方面の專門の会社で、しかもわれわれとしては信頼のできる会社であり、また全國的にそういう手足をもつているという会社を考えなければならぬ、かように考えた次第であります。
  313. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 それは飛行機と鉄関係兵器と別々にコミツテイーをつくれという意味ですか。
  314. 山地八郎

    山地證人 そのときは別々と言われたわけではないのです。ただそういうものが鉄の関係ではあるようだから参考にしてもらいたいということでありました。それでわれわれの方では研究しまして、別のものがいいのではないかと一應第一次的に考えまして、今言つたよう理由で古河、住友、神戸製鋼の三社を考えました。
  315. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 それは非鉄金属についてですね。
  316. 山地八郎

    山地證人 非鉄金属です。それはこの三社がいいだろうと部内で考えまして、その考えましたことを、私の代理の者を出しまして、多分一週間ぐらいあとつたろうと思いますが、バラード大佐報告させた次第であります。鉄の関係と一緒の委員会にして交渉する方が便利だろうということになりまして、五つが一つの委員会になつたのだ、かように大約記憶いたしております。
  317. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 あなたがバラード大佐にお会いになつてそういう示唆を受けられて、商工省のだれに報告なさつたのですか、また御相談なさつたのですか。
  318. 山地八郎

    山地證人 私としてはそのときの上司は鉱山局長でありますから……、
  319. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 だれでしたか。
  320. 山地八郎

    山地證人 その当時は奧田新三さんか、その次の北野さんとおつしやる局長さんでしたか、その前後だと思つております。
  321. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 商工省総務局長には関係がないのですか。
  322. 山地八郎

    山地證人 一應商工省の仕組といたしましては、われわれの方で考えましたことを当局の方に御相談にもつていくという仕組になるわけであります。
  323. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 それであなたの方でどういうふうにしてやるという案ができたわけですか。
  324. 山地八郎

    山地證人 今のようないきさつでありまして、そういう仕組を考えろというような話でありまして、そこで全國的にも組織をもつているということから、それでは軽金属の関係では今の三社を選んだらいいのであるまいかという私の課としての意見をつくりまして、それをおそらく上司にも御相談したと思いますが……。
  325. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 鉄鋼関係では。
  326. 山地八郎

    山地證人 鉄鋼関係は、同じ局の中に鉄鋼課がありまして、鉄鋼課の方で日鉄、日鋼を選んできたのだと覚えております。同じ局内ですから話がまとまりまして、五つの社でその仕事をやらした方がいいのであるまいかというような、なんと申しますか、一番原局と申しますか、関係の深い局というものができたのだろうと記憶いたしております。
  327. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 そうすると、あなたと鉄鋼関係細井さんと二人だけでそういう案をきめたのですか。
  328. 山地八郎

    山地證人 当然その場合には鉱山局長のところできまらなければならぬと思います。
  329. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 いや実際に御相談になつたのは……。そういう命令関係ではなく。どういうものを選んだらいいだろうということについて、あなたに腹案が前からあつたわけではないでしよう。
  330. 山地八郎

    山地證人 それで非鉄金属関係で私の方の課で相談して、三社がいいということに私の方できめたわけであります。鉄鋼の方は鉄鋼課の意見をまとめてきたわけであります。当時私の方の仕事は局の中の仕事を総括すると申しますか、庶務的な仕事を受持つておりましたので、形式的に私の方で鉄鋼の意見をとりまとめて五社にするということをきめたのではないかと思つておりますが、いずれにしても当時の鉱山局長に御相談したことであると思つております。
  331. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 そのときに業者とは御相談なさらなかつたのですか。
  332. 山地八郎

    山地證人 最初バラード大佐が言われましてから、われわれ部内で考えまして、日取りは覚えておりませんが、いよいよ大体以上の三社で仕事をもたせようということに話が部内できまりましたころに、こちらの方から業者に呼びかけまして、たしか私の記憶では三社の相当責任ある方々に鉱政課の部屋に來ていただきましてその趣旨お話いたしまして、もしもこういうように將來きまればお引受け願いたい、こういう話をいたした覚えがあります。そしてその際も各社の代表が出て來ておられましたが、即答はせられませんでした。研究してから答えたいというような話でありました。私どこの社であるか正確に記憶いたしておりませんが、大変むつかしい仕事だから、むしろ御辞退したいと言つて來られた会社もあつたよう記憶しております。当時の事情を申し述べまして、國のために引受けていただきたいと言つて、重ねて趣旨お話してこちらの方からお願いしたような記憶があります。
  333. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 そうすると三社はあなたと鉱山局長なんかと相談して、こつちだけできめたわけですか。きめて三社を呼出して話をしたのですか。たれかお膳立をしてきた人はなかつたのですか。
  334. 山地八郎

    山地證人 こういう仕事をさせるなら三社がいいだろうというのは、私の方の課で考えたわけです。それを私の方で三社の内諾を得ると申しますか、こんな意味でわれわれの方で三社を呼出したことは記憶があります。
  335. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 そうすると、三社選定についてあなたは十分責任をもつて、これが一番いいとお選びになつたわけですね。
  336. 山地八郎

    山地證人 いろいろ考えました結果、軽金属、特に航空機を解体いたしまして、これをアルミニユームとジユラルミンの素材にもどす仕事をさせるには、この三社が適当であると私の方で考えたわけであります。
  337. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 鉄鋼関係でも同樣ですね。細井氏がそういうようにきめたのですか。
  338. 山地八郎

    山地證人 そうだと思います。同じ局内でありますので、日附は覚えておりませんが、関係の課長同士で相談いたしまして、鉱山局としては以上の五社になるという、いわゆる原案的な考えがきまつたのではないかと記憶しております。
  339. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 そのきまつた原案をだれに出したのですか。
  340. 山地八郎

    山地證人 鉱山局としてきまれば、商工省全体としての立場は、やはり総務局に出していかなければならぬだろうと思います。
  341. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 総務局長菅波さん。
  342. 山地八郎

    山地證人 はあ。
  343. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 菅波さんの意見はどうだつたのですか。
  344. 山地八郎

    山地證人 大体原案通りいつたのだろうと思います。
  345. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 それでよかろうという話。
  346. 山地八郎

    山地證人 はあ。
  347. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 それじや菅波さんの意見はなかつたのですか。
  348. 山地八郎

    山地證人 私の記憶では特別のものはありませんが……。
  349. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 じや、あなたの案で丸呑みにされてそれでよいということになつたんですね。
  350. 山地八郎

    山地證人 特別に当時の菅波局長から呼出しを受けて、こういう点を考え直してはどうかというふうなお指図をいただいた記憶はございませんから、鉱山局で考えた原案が通つたのだろうと思うわけであります。
  351. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 そうして第八軍のバラード大佐のところにその案を持つてつたのですか。
  352. 山地八郎

    山地證人 私の記憶しておりますのはそこまで正確ではないのでありまして、私がバラード大佐から示唆を受けましたのは航空機関係だけであります。
  353. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 あなたは航空機関係だけですが、細井氏の鉄鋼も同樣でしよう。
  354. 山地八郎

    山地證人 それで航空機についてもしもやらせるなら、古河、住友、神戸製鋼、この三社がよいだろうとわれわれの部内で考えたという報告を一應出した記憶がある。それも私が事故がありまして、口頭で私の代理の技官と事務官報告に参つたという程度であります。
  355. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 そうしたらバラード大佐の方ではそれでよいということになつたのですか。
  356. 山地八郎

    山地證人 別段反対の御意見もなかつたようでありまして、そういつたことでさらに部内で研究が進行していつたのだと記憶しております。
  357. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 そうすると五社の選定ができたとして、それから委員会の構成とか権限というようなことをお考えになつたわけですね。
  358. 山地八郎

    山地證人 そのころに、私の記憶が実は正確でないのですが、例の兵器日本政府拂下げの正式なメモランダムが出たんじやないかと思つておりますが、そういつた仕事内務省仕事になりまして、商工省としての意見を述べるという形でありましたので、われわれの方の原局の意見を総務局に取次ぎまして、総務局にも商工省全体の立場からそれを考えていただくことにしまして、総務局の中にも兵器処理班というものができまして、そちらの方にわれわれの原局としての意見を取次ぐ、こういうことにいたしまして、私どもの仕事はそれに関する限りはそれで終つたわけであります。
  359. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 そうすると、あなたは日時ははつきりしないと言いますが、九月下旬ごろにバラード大佐に呼ばれるまではそういう兵器処理の問題についてどうしようという考えはなかつたのですね。
  360. 山地八郎

    山地證人 私の記憶では、その前までは何にもなかつたと思います。
  361. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 商工省全体としてもなかつたのですか。
  362. 山地八郎

    山地證人 私の方は当時非鉄金属課でありましたが、当時私の非鉄金属課でそれを聽いたのが始まりだと記憶しております。
  363. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 そうすると、あなたはバラード大佐からそういう示唆を受けられてから鉱山局長なりあるいは総務局長なりに御報告なり御相談なすつたでしようね。
  364. 山地八郎

    山地證人 そういうことは当然あつたろうと思います。
  365. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 いや、あなた自身どうですか。御相談したですか。
  366. 山地八郎

    山地證人 当然したことだと思います。私の関係になりますから、毎日報告をして、自分の考えていることを局長報告して御意見を伺つたと思います。
  367. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 総務局長は……。
  368. 山地八郎

    山地證人 総務局長まで出向きましたことは記憶いたしません。おそらく鉱山局の方として鉱山局長かあるいはほかの方から意見を取次いだんじやないかと思います。
  369. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 鉱山局長は当然総務局長には報告するわけですね。
  370. 山地八郎

    山地證人 御相談になることじやないかと思います。事務的には私の方の意見を並行的に総務局の方の担当の課に連絡いたしまして、私の課の方はこんなことを考えているということを傳えまして、御研究願うことになつているのであります。
  371. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 それからあなたがさつきお話になつたバラード大佐からコミツテイにするか、エージエントにするかというお話があつたというのですが、それはどうなんですか。
  372. 山地八郎

    山地證人 実は私もはつきり記憶しておらないのでありますが……。
  373. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 エージエントというと代行機関という意味でしよう。
  374. 山地八郎

    山地證人 当時バラード大佐が自分で鉛筆で図のようなものを書かれまして、航空機を解体するから日本政府に渡すので、そこにエージエントを置いて処理するというような話をされた。
  375. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 エージエントとは政府のエージエントですか。
  376. 山地八郎

    山地證人 という意味だと思います。そのときコミツテイという言葉を使われたかどうか、私も判然とした記憶はないのでありますが、いろいろ考えて、そのときに一緒に連れて参りました者などの意見をいろいろ聽いてまいりましても、コミツテイという言葉も当時使われたようであるということであります。
  377. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 結局はコミツテイとして実現したわけですね。
  378. 山地八郎

    山地證人 結果においてそうであります。
  379. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 これは重大なことですが、こういうことの相談はたれとなさつたのですか。
  380. 山地八郎

    山地證人 私の課では課員が数十人おりまして、事務系統の相談役もおり、技術系統の相談役もいるわけであります。課内でおそらく全部に私の帰つて來た当時の状況を話しまして相談したわけであります。
  381. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 みんなというのはあなた方課長級の連中のことですか。
  382. 山地八郎

    山地證人 まず自分の課で意見をとりまとめねばなりません。私の課ではそういつた軽金属の仕事責任がありますので、バラード大佐がこういうような御意見であるが、どうしたものであろうという相談をしたわけであります。それで課の中で研究しました結果が、ただいま申しましたように、そういつたエージエントと申しますか、代行機関を設けて民間会社責任を持たしてやつていくというのは、非常に能率的で妥当な考え方であるという結論になりまして、しからばそういつた立場からどこの会社を選んだらよいだろうかという御相談をいたしまして、ただいま申しました通り信頼の置ける会社であり、そういつた素材を扱う設備を持つており、また日本全國的に大体カバーするだけの工場を持つておる、そういつた点を考え合わせますと、古河、住友、神戸製鋼の三社が適当である。そういう事務的な研究の結論になつたわけであります。
  383. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 そうすると、あなたの言われるところを聽きますと、こういう兵器処理についての機構をこしらえる考え方も、バラード大佐から初めて出て、それに基いてやられたのですか、この五社の選定についてはバラード大佐から何か示唆があつたのですか。
  384. 山地八郎

    山地證人 いや特別にどうこうという示唆はなかつたと思つております。
  385. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 全然なかつたのですか。
  386. 山地八郎

    山地證人 何か私の記憶では、エージエントという言葉が残つているわけであります。そういつたものを考えよということであります。私の方として考えなければならぬ問題として提示されたわけであります。
  387. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 そうすると、五社の選定についてはまつたくあなたと細井氏とで立案なさつたわけでありますか。
  388. 山地八郎

    山地證人 さような形になると思います。立案と申しますか、原局としての考えをまとめたわけであります。
  389. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 あなたは小松隆さんを御存じですか。
  390. 山地八郎

    山地證人 知つております。
  391. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 この兵器処理の五社を選定されるについて、小松さんなんかと御相談なすつたことはございませんか。
  392. 山地八郎

    山地證人 私の記憶ではございません。今申しましたバラード大佐にお会いしましてから、後で部内で相談しましたときなどに、小松さんの名前を伺つた程度でありまして、私の仕事非鉄金属でありますので、小松さんとそれまでにお会いする機会もなかつたと思つております。その後私は小松さんにお目にかかりましたのは、委員会が正式に活動し始めまして本格的な仕事をしているときに、当時の工業倶樂部か何かに出向きましたときに、席においでになつて初めてお目にかかつて名刺を交換したというような記憶があるわけであります。それまでにはお目にかかつておらないと記憶いたしております。
  393. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 そうしてこの兵器処理委員会の構成員であるその五社に対する監督とか、あるいは兵器処理委員会に対する監督というものは、あなた方がやはりなさつたんですか。
  394. 山地八郎

    山地證人 これはその当時は私の方で申しますれば、軽金属会社というものは、私ども鉱山局内の非鉄金属課に仕事監督権があり、一般的な監督権があるわけであります。そういつた意味で当然監督指導できる立場にありますし、後に正式に連合軍のメモランダムが出ましてからは、それに從つて政府として監督権があるということになると思いますが、メモランダムが出ましてからあとは、直接の……。
  395. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 メモランダムはいつ出たんですか。
  396. 山地八郎

    山地證人 九月の二十四日か何日かじやないかと思いますが、それから先は内務省が直接の担当になりまして、商工省意見を述べるというようなことになりました。
  397. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 そうすると、あなたはバラード大佐に初めてお会いになりましたのは、そのメモランダムが出る前ですから、二十四日より前ですか。
  398. 山地八郎

    山地證人 どうもそうじやないかと思いますが、はつきり覚えておりません。
  399. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 一週間くらい前ですか、五日くらい前ですか。
  400. 山地八郎

    山地證人 どうもその点記憶はつきりしません。
  401. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 それではあなたが五社を選定するについて、どれくらい時間がかかつたかということについては、大体推定がつきますね。
  402. 山地八郎

    山地證人 五社を選定するには、私の記憶でありますが、バラード大佐から話を聽いて帰つてまいりまして、それからその日か、あるいはそのあくる日、私の課内で全体の会議を開きましたときに、その日にきまつたと思つております。でありますから、そう長時間はかかつておらないのであります。
  403. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 こういう重大なことで、日本の陸海軍が武装解除をして一切の武器なり、軍需物資をただ五社に扱わす。あなたの方では三社に扱わすということについては、そう言つちや何ですが、あなた方課長級くらいで、そう簡單にきめられるものじやないと思うんですが、どうでしようか。
  404. 山地八郎

    山地證人 ですから私の方で、それでいいじやないだろうかという課長としての意見をつくりまして、上司の御裁断を仰ぐことになるんです。
  405. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 まあそういうことになりましようが、われわれの常識としては、こういう大きい問題なら、あなた方が三社にきめられる前に、もつと上の人にでも御相談なさるということはないんですか。そうする方があなた方の責任も軽いわけじやないですか。
  406. 山地八郎

    山地證人 当時の私としては話の出発がただいま申しましたように、バラード大佐のサゼツシヨンもございまして、課の中で研究をいたしまして、政府がみずからやるとすれば、どうするだろうかと考えたんですが、予算もどのくらいだか見当もつかないし、またそれに関連して今度はいろいろ官制、定義なども研究していつても、これはたいへん手間もかかるし、時間もかかるし、見当もつかぬことであるし、反面バラード大佐にサゼツシヨンされましたある特定民間会社責任をもたして、政府がこれを監督していくというアイデアもいろいろ檢討してみましたが、これは当時としてはよいアイデアじやないか、こう考えまして、そういう立場から考えてみますと、ただいま申しましたように三社が浮び上がつてくるわけであります。それで……。
  407. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 浮び上がつてくるというのは、どういう意味ですか。
  408. 山地八郎

    山地證人 ただいま申しましたように、一つには航空機を壊しまして、これを溶解してアルミニウムとジユラルミンの塊り、インゴツトにするわけでありますが、この仕事をするにはそれだけの設備と技術を持つていなければならない。この設備と技術を持つているのが右の三社であります。それから航空機は全國に北海道から九州まで散らばつておりますので、この破壊した物を受取りまして、それを処分するについては、全國的にそういつた設備がなければできないのであります。この点三社そろいますと、大体北から南まで手足はそろうわけであります。大体において古河が関東以北の方に工場をもつております。大体において住友が関西地方に工場をもつておる。神戸製鋼が四國から西日本に工場を多くもつておるという関係がありますので、この三社に仕事をもたせますならば、日本全國どこに航空機がありましても、引取態勢がそろうわけであります。この三社でありますならば人手もそろつておりますし、また仕事も信頼できるではないか、必要以上により多くのものに、責任を負わせましても、事が乱れるもとでありますので、必要上最小限度に止めた方がいいだろう、こう考えて部内で研究しました結果、三社に落ちついたわけであります。
  409. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 今の三社が浮び上るというのは工場で仕事ができるから……。
  410. 山地八郎

    山地證人 われわれの頭の中でそういう議論をすると、そういう言葉が浮んでくるわけであります。言葉を訂正いたします。
  411. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 会社仕事がこれで順調になつて、浮び上るという意味ではありませんか。
  412. 山地八郎

    山地證人 そういう意味では全然ございません。
  413. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 そうするとあなたは三社を直接に監督もなさつたわけですね。
  414. 山地八郎

    山地證人 そうです。ただいま申し上げましたように、正式にメモランダムが出ました以上は、日本政府の代表者としては内務省が直接監督指導の責にあたる。こういう仕組になつたのだろうと記憶しております。私の方は仕事の性質上、商工省として商工省鉱山局担当部課として関係のある会社仕事を一般的な意味で監督をしているわけであります。正式にメモランダムが出ましたから、あと内務省が統轄してやつていく。その監督指導をしていく立場になつたのだと記憶しております。
  415. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 重ねてお伺いしますが、五社選定については、まつたくあなた方同僚間でおきめになつたのですね。
  416. 山地八郎

    山地證人 きまると申すと語弊がありますが。
  417. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 別に外界から意見なんか持ちこんだ人はなかつたわけですか。
  418. 山地八郎

    山地證人 私の非鉄金属関係の三社に関する限りは事務的に檢討いたしまして、意見をとりまとめ、それを上司のところにもつていきまして、御意見を伺つた。こういつた形でありまして、最初から外部からの意見などは伺つていなかつた記憶しております。
  419. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 それから全然別個の立場からお尋ねしたい。あなたはそういうふうな專門家ですが、そういう航空機を解体して、アルミなんかをインゴツトにしてやるというような仕事はどうですか、こういう会社としても多少もうかることですか、どうですか。
  420. 山地八郎

    山地證人 その当時私どもは、実は先ほどお話しましたように、三社の代表の方に來ていただきましてこの話をしまして、お引受け願いたいというお話をした覚えがあるのでありますが、その当時すでに三社の方は小首をかしげておられまして、どうも非常に経費が多くかかつて損失になるのではないだろうかという点を懸念しておつた。そういつた意見を洩らされた方もあつた。それをこういうときであるが、われわれの目から見ると損ばかりするとは限らない。物によつては黒字が出かもしれん。とにかくお國の大事な仕事であるからお引受けを願いたい。こういう意味のことを申したわけであります。当時われわれとしてはまつたく見当がつかなかつたという氣持であります。
  421. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 それで五社はとにかく、あなたがお話になつて快く引受けたわけですか。
  422. 山地八郎

    山地證人 私が関係しましたのは三社でありますが、ただいま申し上げましたようにそのうち一社か二社か、名前覚えておりませんですが、一應電話で辞退すると言つてこられた方もあるわけであります。どうも研究してみた結果、経費倒れになるのではないかと思われるので、君辞退いたしたいという申出もありましたけれども、われわれの方ではただいま申し上げましたように、三社の中の一つが脱けましても、全体の仕組から申しますとたいへんにまずい。どこかに穴が開いてしまう。日本國中をカヴアーするという仕組にまいりませんので、日本としてしなければならぬ仕事をするのであるから、お引受け願いたいといつて、こちらから最度おしてお願いいたしたいと言つた記憶があります。
  423. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 大体わかりました。あなたは現在は。
  424. 山地八郎

    山地證人 私現在商工省の特許局の総務部長をいたしております。
  425. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 よろしうございます。何か委員の方……。
  426. 中野四郎

    ○中野(四)委員 第一番に聽きたいのは、あなたが在職中内務次官の坂さんとか、青木秀夫という内務省調査部長、これらを御存知になつたことはありますか。知つておられるならどういう経過で知つておられるのですか。
  427. 山地八郎

    山地證人 仕事に関連いたしましては、坂さんにはお目にかかつたことはないと記憶しております。青木さんについては、仕事が進行いたしましてから、仕事関係でお目にかかつたこともあろうかと思います。その程度記憶しかございません。
  428. 中野四郎

    ○中野(四)委員 さらに日本鋼管の取締役をやつておる黛虎造という人を御存知ですか。
  429. 山地八郎

    山地證人 これも兵器処理仕事が進行してから会つたことがございます。
  430. 中野四郎

    ○中野(四)委員 その五社を決定します前、あなたのところで言いますれば三社を決定する前に、たれかからこの三社は最も適当だというふうな印象を受けるような相談を受けられたことがありますか。たとえばあなたの部下なら部下で特定の人が、この三社を特に強く主張した人がありますか。
  431. 山地八郎

    山地證人 ただいまも申しました通り、事前には私ども何ら話を聞いていないのであります。バラード大佐お話を伺つてから、帰りまして課の中で合同の会議を開きまして、そういう立場から議論してまいりますと、当然三社だなということでみんなの話がきまつたというだけであります。
  432. 中野四郎

    ○中野(四)委員 ここのところは大事なところで、この委員会の目的は御承知の通り、大体五社を選定した理由を明確にしたい。從つてあなたの主観で大体課員と相談して、これが適当だと言われるについては、当時相当な根拠がなくしてはならぬわけです。すなわち全國的に十二分に手足をもつてつて、これ以外には事実上委嘱するものはないという何か根拠がなくてはならぬわけです。この点が一つ。それから大事なことですが、今委員長からの質問の中にありました、当時一、二のものが断つてきたということがありました。各証人証言を聽きますと、大分兵器処理についての最初委員会を構成する場合に、五社に相談したところが逡巡した傾向が強いというふうに言われておる。從つてそれは海のものとも山のものともわからぬから、えらい損害を受けてはかなわぬということで逡巡されたかと思いますが、それを何か裏づけする証拠がなくてはならぬわけです。してみると今一、二の会社で断つてきたというのは、どの会社とどの会社でどういう形で断つてきたか、一應聽いておきたい。
  433. 山地八郎

    山地證人 先ほど委員長に申しましたように、三社を選びますには全國的に手足がそろつてつて、信頼できる会社で、かつ技術的に壞しました飛行機を鎔解して、これを原料にもどすだけの設備をもつていなければならぬという点を檢討しますと、当然この三社が出てくるわけてあります。この三社以外には考えられなかつたというのが私の記憶であります。  それから次の御質問でありますが、私もその話を初め三社の代表を呼びましてお話をいたしました。即座にお引受けがなかつたわけであります。後ほど考えてから返事をいたしますということでありまして、私のところへ直接に電話でかかつてきたのではないと思います。私の課の者のところに電話をかけられるか、あるいはたれか責任者がおいでになりまして、どうもこの仕事はお引受けしにくいといつて來られた方があるのであります。この会社は私どうも覚えておりませんが、もしも記憶に間違いがなければ、古河あたりではなかつたかと覚えております。これは正確ではございませんが。
  434. 中野四郎

    ○中野(四)委員 これはあなたが一番最初におつしやつた二十年の六月六日ないしは二十年八月二十一日まで、北海道に行かれるまでこの非鉄金属課長として関係しておられたので、専門的な知識をもつておられるわけであります。当時これに類した会社が相当あつたはずなんであります。從つてこの三社だけを適当として選ぶ理由はつきりなくちやならぬわけであります。從つて当時の資料とでも言いますか、たとえばこういう会社があつたが、特にこの三社をば適当と認めて選んだというような資料を、この委員会に出されるような用意がありましようか。出していただけましようか。調べれば出るはずだと思うのですけれども……。
  435. 山地八郎

    山地證人 当時同じような仕事をいたしておりました会社名前とか工場の名前とかは、取調べればわかると思います。
  436. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 委員会へそれを出していただけますか。
  437. 山地八郎

    山地證人 その当時のおもなる会社名前と所在地……。
  438. 中野四郎

    ○中野(四)委員 三社を選ばなければならなかつた理由……。
  439. 山地八郎

    山地證人 先ほど申しましたように、飛行機をつくつてつた工場はたくさんございますが、どの工場もみんな飛行機に使いますジユラルミンの板とかアルミニユームの板というような原材料を他の会社からもらつて飛行機をつくつてつたわけであります。そういつた飛行機の原材料、ジユラルミンの板であるとか、ジユラルミンの棒であるとか、アルミニユームの素材をつくつてつた工場があるわけであります。そこで先ほど言つたように、あまりたくさんあつても話が乱れてしまう。また責任をとり得るだけの会社の人柄と申しますか、そういつたことも考えなければならぬというような点を考えまして、三社にきめた次第でございます。その点は間違いないと思いますが、ただそのような仕事をしておりました会社、工場の名前は、もしあるとすれば調べて出します。
  440. 河井榮藏

    ○河井委員長代理 書面で出してください。
  441. 中野四郎

    ○中野(四)委員 なぜこのようなことを私がお願いするかと申しますと、当時上陸早々で日本の國内の内情によく通じていないバラード大佐に、五社だけを——あなたの方が三社、それから鉄鋼課で二社、この五社をお出しになつた。求めても事実上内情によく通じていないバラードさんとしては、それに対してとかくの論評を加える資料がなかつたのだろうと思います。私はここに非常に不審に考えますのは、なぜ各方面の権威ある会社の名簿を出してバラードさんの意見を承らなかつたか、こういう点なのであります。あなたの主観からいけば三社が最もよいように思い、それからあなたの下僚の中にもし万が一にもこのことを引受けることによつて相当大きな利益がある、あるいはこの廃兵器の、特に非鉄金属に属するところの飛行機等の処理については、相当大きな利益があるというふうに考える者があつて、あなたの下僚に故意にいろいろと下相談をしておいて、自然に課内の相談のときに持ち込ませる方法もあるわけであります。大事な点は今あなたが古河なら古河がかりにことわつてきた。各証人証言によれば、当時非常に逡巡しておつた。この逡巡しておつた理由はつきりすれば、当時そういう惡い氣持でやつた傾向はないということになるわけであります。ところで私どもが聽いておりますと、どうもあなたの主観あるいはあなたの課の主観だけで、この三社が最も適当であるというような断を下し、鉄鋼課で日鉄、日本鋼管というような二社を出した。それは鉱山局長あるいは総務局長において最も信頼する部下からこういつたふうに出たのだから、これ以上詮議する必要はない。それが適当であろうというような認識があつたという結果になりますと、その根本をなした当時の状況を詳しく知らなければならぬ。私はなぜそういう場合に、先ほども申しましたように、すべての会社の名簿をつくつてバラードにこういう意味だ、從つてこの三社が最も適当である、こういうふうに言うて、向うの許可を得るのが当然ではないか、こういう疑問をもつわけであります。当時それをお出しになつたかどうかということも一つ聽いておきたいし、もう一つは当時の非鉄に関する物量がどのくらいあつたかということは、大体あなたの方でも想像がつていおつたのだろうと思うのですが、それは見当がつていおつたのですが、あるいはリストがあつてそれによつてつたのですか、何か根拠があつて、この非鉄金属処理するについて、損がいくとか得をするとか考えられたか、こういう点をひとつ明確にしておいていただきたい。
  442. 山地八郎

    山地證人 ただいま仰せになりました点でバラード大佐の方にはすべての関係会社の名簿を出しておりません。それから当時物量がどのくらいあつたかということでありますが、私のそのとき扱いましたのは飛行機の関係だけでありまして、当時われわれには全然見当のつかない数字だつた記憶いたしております。
  443. 中野四郎

    ○中野(四)委員 特にあなたは軍需省から引続いて商工省においでになつたわけでありまして、そうして見ればおよその量はどこかでつかめなければならぬ。ここに証人菅波さんもおいでだが、先ほどその点について明確を欠いております。これは当時の混乱状況から言えば無理からぬことではありますが、すべての事務処理する上においては、何か根拠がなくちやならぬということは常識で判断ができます。ただ全國二百一箇所にあつた飛行場のすべての飛行機を破壞して、それをさらに運搬し適当に処理するということになると、ほんとうにこれがどのくらいあつたかということがつかまれない限りにおいては、損するとか得するということは少し早計ではないでしようか。それを逡巡したいわゆる会社側の行動、当時の状況等はあなたが一番担当官として御承知のはずです。特にあなたが当時の一番專門家の中心におられたのであるが、こういう点は何か御記憶はありませんか。
  444. 山地八郎

    山地證人 ただいまの航空機の点は軍需省に航空兵器総局というのがありまして、その仕事を專管しておりました。私は軍需省におりましても航空機のことは非常に祕密でありまして、まつたく知らなかつたことであります。当時軽金属の仕事も航空兵器総局の中で処理しておつたよう事情でありまして、私はほんとうの平和産業というとおかしいのでありますが、鉱山から出てくる銅、鉛、亞鉛等を精錬するような仕事を軍需省で当時やつてつたわけでありますが、終戰当時八月二十何日かに軍需省が解体いたしまして商工省になりました。そのときに軍需省のそういつた軽金属の仕事が一括して商工省鉱山局の私の課にはいつてきたということでありまして、あの終戰当時のことでありますので、仕事の所管が移つたというだけでありまして、詳細なデーターなどはなかつたのであります。從いまして先ほども委員長に申し上げましたように、この仕事処理するために政府がみずからやるとしましても、ちよつと乘り出していいかどうか、実は見当がつかないということもその理由であるわけであります。また三社のうちで逡巡せられた会社があつたわけでありますが、これも私の立場から想像するだけでありますが、考え方によれば、あるいはもうかるかもしれませんし、また非常に手間が多くてたいへんじやないか、そんなふうな意味で、抽象的にどちらの方が重く考えられるかで、会社の首脳部の方の考えがきまつたんじやないかと思いますが、その程度のことを私は想像するだけであります。大体当時常識的に考えまして、鉄関係兵器は重くてたいへん運搬に手間がかかるけれども、航空機の方は比較的軽くて、あの中に付属しておるアルミニユームとかジユラルミンのほかに、たとえば若干の銅の関係の物も、ほかの非鉄金属も若干つていおるに違いないから、そういつた物が案外いい値段になるかもしれない。してみれば航空機の方が鉄関係よりは比較的経費が少くて利益が多いのじやなかろうかという抽象的な氣持がわれわれありましたが、その程度でございます。
  445. 中野四郎

    ○中野(四)委員 問題はそこなんです。鉄鋼の方と非鉄金属の方との差異はそこから生れてくるのです。從つて非鉄金属を回收し処理する人間は相当場合によつては利潤も夢見られるわけでありますが、場合によればえらい損害をするかしれぬ。たとえばばくちですね。さいわいにこういう問題がわいたから、從つて鉄より非鉄金属に力を入れるというような氣持でいろいろ各会社から競爭があつたではないかというふうに今になるととれるわけであります。それからあなたの陳述を聽いておりますとやはり問題になるのは、たとえば当時の大本営の発表がうそであつても、信じられなかつたにしても、日本にある非鉄金属の量とか、飛行機の台数とかいうようなものは、大体つかめるわけです。少くとも軍需省におられてこれを三社に委すについては、一應常識として、大体どれだけ台数があつて、軍がどれくらい持つてつたという想定の下にあるのだから、これを処理したいと思うが、お前の方ではどうかと御相談をなさつたのではないですか。ただ漠然と、アメリカの方から話があつたの処理したいが、お前の方で処理してくれないかという無責任な態度で臨まれたのか、あるいはそれぞれ当の軍関係の方に連絡をとつて、一体どれくらいの非鉄金属があつたかというようなことについての調査の任に当られなかつたのですか。
  446. 山地八郎

    山地證人 先ほど申しましたように、航空機の関係は終戰に至るまでまつたくわれわれの方にはわかつておりません。終戰後には事務的にもまつたく混乱した状態でございまして、私の方に正確な資料がなかつたことは仰せの通りでありまして、その点はまつたく遺憾だと思つておりますが、事実でございます。
  447. 中野四郎

    ○中野(四)委員 そういう漠然たる処置をとられたことは大分あなたの責任にもなるのですが、当時三社を呼ばれてあなたが懇談をされた当時の状況をもう少し詳しく聽かしていただけませんか。
  448. 山地八郎

    山地證人 私の記憶も正確でないのでありますが、あまり無責任な方に來られては困るので、私の課の部屋に、三社の部長級以上の然るべき方にお願いしたと思つておりますが、來ていただきたいと申しまして、何でも狭い私の部屋に各社から数人ずつ來たと記憶しております。それでただいま委員長お話し申し上げました通りの事実を各社の代表の方にお傳えしまして、政府としては予算も立たないし、しかも仕事は急速に処理しなければならぬということになつているので、これはたいへんなことと思うけれども、お國のためにひとつ協力してもらいたいというような、漠とした國民としての道義観というふうなものに訴えてすべてをお願いしたというようなことで、数字的な根拠を示してお話申し上げたのではないと記憶いたしておるわけであります。
  449. 中野四郎

    ○中野(四)委員 それでは損するか得するかもまだはつきりせぬわけですね。これは非常に危險な相談です。いくら混乱しておつたからといつて、一つのものを処理するに当つて、どこそこにはどれくらいの量があるからこれを処理する、お前の方で見積つてみろとなぜ言わなかつたか、私の方にはわかりません。  もう一点聽いておきたいと思いますが、あなたは日本鋼管の淺野良三という方を御存じですか。御存じならばどういう経緯で御存じですか。
  450. 山地八郎

    山地證人 私はほとんどお目にかかつたことはないと記憶します。あるいは公の席上ではお目にかかつたかもしれませんが、正式にはいわゆる御眤懇になるまでお目にかかつていないと思います。
  451. 中野四郎

    ○中野(四)委員 そうでもう一つ伺つておきたいのは、当時前身が金属配給会社でありまして、後に金属商事になりましたが、これに対してあなたは当時御関係になつたことがありますか。つまり非鉄金属処理するにあたつて、金属配給会社のいろいろの問題についてお聞きになつたことがあるかどうか。お聞きになつたならばその範囲を御説明願いたい。
  452. 山地八郎

    山地證人 これは兵器の方には直接関係がなかつたかと考えまするが、非鉄金属につきましては、非鉄金属の中でもジユラルミンとかアルミニウムのようなものを除いた銅、鉛、亞鉛といつたよう非鉄金属につきましては、戰時中から金属配給統制会社というのがございまして、軍需省の私の監督の下の配給会社であつたわけであります。終戰後もいろいろ組織はかわりましたが、その仕事は続いていると思つております。同じように商工省鉱山局監督指導のもとに立つておる統制会社であると記憶しております。その点では私どもの方でも監督上の面で仕事を承知いたしておるわけであります。
  453. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 あなたがおやめになつたあとをだれがやつておられましたか。
  454. 山地八郎

    山地證人 後に労政課長になりまして、現在でも商工省におられますが、名前はちよつと忘れました。調べればすぐわかります。
  455. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 その人はやはり鉱政課長ですか。
  456. 山地八郎

    山地證人 鉱政課長です。
  457. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 あとからひとつ知らせてください。それから今お話に五社選択のことが出ておりましたが、こういうことはなかつたでしようか。バラード大佐から呼び出しがあつて、あなたがいろいろ折衝しておられた時分に、兵器処理委員会ができるとか何とかいうのを新聞か何かで見て、民間業者あるいは統制團体の中の人々がこの問題を取上げて、あなたの手もとに運動に來たような人はなかつたのですか。
  458. 山地八郎

    山地證人 そういう記憶はございません。
  459. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 あなたのところに來ないでも、ほかの人のところに來たということも知りませんか。
  460. 山地八郎

    山地證人 私の方に関する限りは、そういつたことはなかつた記憶いたしております。
  461. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 先ほどメモランダムの話が出ましたが、これは九月二十四日のいわゆる帝國政府に対する覚書がございましよう。これは指令五三号というのですが、これについてあなたはこういうものが出たということを御承知ですか。これの中には兵器処理も含んでいるわけですね。國民民生のために返してやる、そうして返したものは経済復興のために使うのだが、しかし最後の消費者に至るまで明記せよということを書いてありますね。この点について兵器処理委員会ができた時分に、商工省として地方長官の方へいろいろな通知をやられたようなことがありますか。
  462. 山地八郎

    山地證人 兵器処理についての商工省としての方針は、内務省と共同で何か通牒が出ているのじやないかと思います。
  463. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 菅波局長も先ほど言われたのでありますが、解体兵器等処理機構に関する件というものはできたのですね。これはあなたが関與しておられますか。
  464. 山地八郎

    山地證人 おそらくこれは私の記憶いたしますところでは、よく覚えておりませんが、ただいまも申し上げました通り、最も関係の深い原局としての立場におりましたので、特に原局としての意見をつくりまして、それを総務局に持つてまいりまして、当時は総務局にこの問題を考える兵器処理班というものがあつた記憶しておりますが、そこで私どものもとになる草案と申しますか、考え方と申しますか、そういつたものを檢討されまして、いろいろの意見がつけ加えられ修正されてまとまつたものになつたのではないかと覚えております。
  465. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そうすると、これはあなた方が草案をつくつたということになるのですか。
  466. 山地八郎

    山地證人 草案と申しますか、総局自身でみずから立案されるということでなしに、総局が案をつくられますときには、関係の深いわれわれの意見を求められるわけであります。ただいま申しましたように、私どもの方では関係の深い仕事をしておりましたので、そういう意見を今までの経過などを述べまして、こういう仕組みがいいのではないかという意見鉱山局非鉄金属課として述べまして、意見をつくりました。それを総務局の兵器処理班に取継ぎまして、そこで研究していただいてまとまつたものだろう、さような意見で草案と申しますが、草案の草案と申しますか、そういうものを考え、かつつくつたのだと記憶いたしております。
  467. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 これによつてみますると、これは一体兵器拂下げたことになつておりますね。拂下契約はあとからできておりますね。この兵器というものを一体五社にどういう方法で任せることになつたのでありますか。
  468. 山地八郎

    山地證人 それが先ほど申しましたように、私関與いたしましたのは、そういう話を初めから始まりまして、それから先は内務省仕事をとりまとめまして、商工省内務省意見を出すというような形ではなかつたかと思いますが、私はただ関係の局として総務局の意見を出しまして、総務局から内務省に交渉をしていただく、かような手順になつておると思います。その契約関係法律関係についてほとんど私ども知らない関係が多いのであります。
  469. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 兵器処理委員会というのをつくるのに、あなたは関與されたのではないのですか。
  470. 山地八郎

    山地證人 兵器処理委員会も形式的には内務省の方でとりまとめられて、何か中央の委員会にかけられて、そういつた機構がきまつたのだと記憶しておりますが……。
  471. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 この兵器処理委員会の定款なんかはあなたのところで原案がつくられたのではありませんか。
  472. 山地八郎

    山地證人 私どもの方に関係ないと思つております。ただおそらく参考に、從來から関與しておりました仕事に直接間接関係がありましたので、こんなものができるというような連絡があつたかと思いますが、私どもの方で原案をつくることはなかつた記憶しております。
  473. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そうすると、この解体兵器処理機構等に関する件として、この規定によると、やはり原則としてこれを民間拂下げるということになるのでございますね。
  474. 山地八郎

    山地證人 そうでございます。
  475. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 その拂下げるのに、代金はどういうことになるのでありましようか。
  476. 山地八郎

    山地證人 これは処置としては私どもの方の所管外でありまして、ただいま申しましたように、私はただ最初の問題を取継ぎまして三社を選んだ、これまでの仕事をいたしておりまして、このことに関連してそれからメモランダムが出ましたので、正式に内務省にそういつたことを担当する局ができまして問題を專管して取上げられ、私どもの方は関係としての意見を折々総務局に具申するという程度でありました。
  477. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 だが先ほどの証人の話によると、処理機構に関する原案原案みたいなものをつくられたのじやないのですか。
  478. 山地八郎

    山地證人 私どもの記憶が正確でありますならば、そういう際に五社の委員会をつくつて、その委員会仕事をする。そうして委員会で五社の代行として、その五社のうちで非鉄金属関係と鉄の関係とは損益計算をプール計算にしまして、最後の收支計算を明らかにするといつたような構想までが私どもの方の原局で考えたところでありまして、それから先はまたそれぞれの関係担当をもつております。部局で、どういう仕組で拂下げるか、どういう契約をするかということは考えられるだろうと思つております。
  479. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そこで今のいわゆるプール計算と、それからこういうことがありますね。処理機関の事業経費及び損失の補償につき、政府において予算的措置を講ずること、こうなつておりますね。こういうことについてあなたの方では一体事業の経費をどういうふうに見たのですか。たとえばこの兵器処理の問題は、あなた方非常に骨を折つてよくできておるというお考えかどうかしりませんが、実際においては今日は兵器処理は、これだけの兵器を全部この兵器処理委員会に引取られたような形になつております。しかも赤字が出ておる関係からいくと、まだ大分足しをしなければならぬという実情におかれておる。その間におきましては、あなた方関係しておられない時分かもわかりませんが、マル公というものが非常に安い程度におかれておつたために、たとえば鉄のごときものは一千百円を鉄のスクラツプの公定にしておる。ところが素材としての鉄ならば、たとえば一万二、三千円もするものがございますが、スクラツプは一千五百円で公定をしておる。そういつたようなことは拂下げの部面ですが、このように極端なことがしてあるために、普通ならば原、素鉄の半分くらいの値打があるものを、商工省で一千百円という公定でつまらぬものを出すために、運賃がかかるとか、どうとかいうことのために非常な損害を生じておる。こういうことは再生塊でもある。再生塊の熔解費がたくさんかかる。こういうようなたくさんかかつたものをまた安く拂下げるというような事実がある。すべてこういう問題がたくさんあるのでありますが、私どもはこの拂下げについても商工省としては十分に監督しておらなかつた、その責任を追究しなければならぬと思う。  それからもう一つは今言いましたように、プール計算にするとか、その経費は一体かなり厖大にかかつても、あなたの方はなんぼかかつてもよいというやり方をしたのか。たとえば航空機の問題であるならば、航空機は一台にどのぐらいの解体費がかかるか。それくらいの予算はつくはずです。基準はできるはずですよ。戰車なら戰車、すべてのものはそういうふうにある程度は基準はできるはずにかかわらず、何らの基準も示さないで、仕事をやり放しにやつたために、ある社は非常に費用をかける。たとえば作業費、運搬費、この再生塊のごときでも、あなたはこの会社ならばいい会社で機構をもつておるからどうかという話ですけれども、業者に今聽いてみますと、業者の中ではこういうことを言つておる。ある業者は、この三社のうちでは、とにもかくにも一つところにジユラルミンを寄せてそこでこしらえておる。多少費用はかかつても、その現場でかまをつてい再生塊をつくつたところとはたいへん値段が違う。なぜ値段が違うかというと、現場でやればそれだけ運賃が要らないで済むのです。多少費用がかつてもかまをついたり、あるいはいろいろな設備をした方が安い。それを全部一つところに無理に集めてやるというような形をとつておる。それがために非常に高く再生塊に費用がかかつておる。しかもこれはあなたの関係じやない、ほかの人の係のようですけれども、とにもかくにも再生塊の問題としては費用が三分の一くらいはみんなこれをよけいにとつておるようです。みな公定價格より目茶苦茶に高いことをしておる。まるきり商工省というものは監督をひとつもしておらぬ。一体だれが責任を負うのか。これらを追究するのです。要するにどれだけ作業費を見て、どれだけ交際費を見て、どれだけ委員会の費用を見るかということを明確にそのときにしなければならなかつたはずです。それをしていない責任は、私どもだれか知らぬが、その当時の当該官廳、当該官吏あるいはこのすべての業者、これはみんな責任を負わなければならぬと思う。その点をはつきりひとつお願いいたします。
  480. 山地八郎

    山地證人 私が兵器処理に関與いたしましたのは、先ほど申しましたように、バラード大佐からお話がありましてからであります。それからしばらく経つて、どのくらいの期間かわかりませんが、間もなく正式なメモランダムが出まして、内務省がその仕事をやることになりました。それと同時に商工省として内務省連絡するために商工省の中に兵器処理班ができました。非鉄金属課のそれに関係する仕事は全部総務局の兵器処理班に移つたわけであります。と同時に内務省でそういつた委員会の何をどうするかとか、いろいろな研究を始められたのだろうと思つておりますが、私が申しましたのは今までのようないきさつがありまして、ただそのような話合いができておつたというような話を総務局に取継ぎまして、今話がありましたようなことはおそらく当時の代表官廳でありました内務省でいろいろ研究された問題でないかと思いますが、私の方の所管からそれ以後は離れまして、よく情勢はわからないのであります。     〔河井委員長代理退席、委員長着席〕
  481. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 よくおわかりにならぬかもしれませんが、今こういうような案をあなた方のところでつくつたということでありますから、つくつたときに一体そういうことを考えなかつたかということですね。あなた方がどう考えられて、初めから赤字ということを予想してやつたかということです。これが今日成績がよくいつておればこれは問題にならなかつたかもしれませんけれども、初めから赤字ということを頭に入れてやるときに、なぜそれではそういつた費用のかかる部面についての基準をあなた方は考えられなかつたのです。
  482. 山地八郎

    山地證人 実は赤字になるか黒字になるか、私の方の関係では予想がつかなかつたのであります。從つて赤字になるという前提のもとで総務局の方に話をもつてつたよう記憶はございません。ただ記憶しておりますのは、抽象的に鉄の関係方面では赤字になるというような議論がありまして、プール計算をした方がよいのだろうという意見を出したという程度であります。
  483. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 鉄の方面でそういうことを言つたかどうか知りませんが、飛行機ではどうであるか。飛行機ではどういう費用をかけて、どういうことになるかあなたはわかるはずである。
  484. 山地八郎

    山地證人 私の方では飛行機の関係に当時関與したのはごくしばらくです。飛行機がどのくらいあつて、どこにどうなつておるかまつたくわからない状態であります。從つてこれを破碎して、運搬して整理するのにどのくらいかかるかということについては、当時の非鉄金属課としては見当がつていおりません。当時としてはほんとうに問題が始まつたばかりでありまして、相当な経費がかかるだろうという程度の認識しかなかつたわけであります。大体はつきりするに從つて部局ではわかつてきたところもあろうと思いますが、私が関與しました当時は相当の経費がかかるだろうということがわかつた程度でありまして、先ほど申しました通り、軽金属の方が鉄関係よりも安く処理できるだろうという程度の面がわかつたところで、それを関係方面に引継いだ、こういうことになるわけであります。
  485. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それはそうでしようけれども、あなたは軍需省の飛行機の專門家です。それであなたはいつまでおられたのですか。
  486. 山地八郎

    山地證人 私は飛行機の專門家ではございませんで、先ほど申しましたように、軍需省時代には飛行機の問題あるいは航空機の原料であるアルミニユーム及びジユラルミンは軍需省の航空兵器総局で仕事をしておつたわけであります。私は当時軍需省の鉱山局でありまして、まつた関係がないのであります。終戰後商工省になりまして、八月二十六日か、商工省が発足いたしましたときに、軍需省が解体いたしまして、その残務整理という形で当時航空兵器総局でやつておりました軽金属の仕事が、私の課の仕事にはいつてきたというだけで、航空機につきましては何にも知識を当時までもつていないのであります。また八月二十六日に初めて軽金属の仕事引継ぎまして、それから軽金属の勉強をし始めた、こういうわけであります。
  487. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 あなたはいつまでやつておられたのですか、商工省で。二十一年の八月までですか。
  488. 山地八郎

    山地證人 さようでございます。
  489. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それでは相当長くいたではありませんか。相当長くいた間に、自分が相当している飛行機について、そういうような大体の費用をあなたがこれを立案するときに考えなかつたということの責任はどうしますかと言うのです。
  490. 山地八郎

    山地證人 私が問題を伺いましたときには、飛行機のことはまつたく未経驗であり、初めてのことであります。それから先ほど申しましたように九月の下旬あたりに兵器処理仕事を総務局でやることになりまして、そちらに全部移管したのであります。航空機という関係については前後私が関與いたしましたのはごく短かい期間内であります。
  491. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そうすれば航空機ということは別にして、非鉄金属についてはよく知つておりますね。三社を選んだくらいだから。
  492. 山地八郎

    山地證人 さようでございます。
  493. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そうすれば軽金属の、非鉄金属についての大体の費用を考えられたんではなかつたか。——ちよつとあなたは何かやめたいというようなことがあつたと言われますが、それをむりに押しつけたというようにも聞えますけれども、一説によればたいへん運動者があつたということも聞いている。それを三社だけにして、五社だけにしたということが問題である。あなた方はバラード大佐とかいろいろなにしますけれども、相当これには運動があり、あなた方と相通ずる者があつてこの五社が選定されたと言われている。しかもそういうふうにして選定されて、今日までどの会社も相当なことをやつてきている。この事実を実際あなた方は知つておるのかどうか知りませんけれども、この費用がかかり過ぎているという点についてはおそらくあなた方も否めないであろう。こういう問題はどうしてもその当時の責任者に責任をもつてもらわなければならぬ。殊に内務省の、だれですか、その時分のあなたが折衝した内務省の役人の人は。
  494. 山地八郎

    山地證人 ただいま申しましたように、私の方ではただいまのいきさつで三社を選びまして、そして選びました前後からただいま申しましたように正式の指令が出まして、総務局に仕事が移り、それからのことは直接関與する限りでもございませんので、私の方から内務省に直接交渉したという記憶はない。
  495. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 その当時の内務省調査課長、内務大臣あるいは次官、それを言つてくださいませんか。
  496. 山地八郎

    山地證人 ちよつと今私記憶しておりませんが……。
  497. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そのくらいのあなた……。内務省とも折衝はなかつたのですか。
  498. 山地八郎

    山地證人 私の方は商工省を代表して総務局が内務省と交渉をすることになつております。
  499. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それではそこに総務局長さんがおられるからちよつと聽いて報告してください。そんなことはわかつていると思うのですが、逃げてはいけませんよ。
  500. 武藤運十郎

    武藤委員長 それは明禮君……。
  501. 山地八郎

    山地證人 お調べ願いますれば、そのときの……。
  502. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 交渉している人がわかつているでしよう。
  503. 菅波稱事

    菅波證人 大島……。
  504. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それから大臣は。
  505. 山地八郎

    山地證人 われわれは大臣に交渉はなかつたかという話であります。
  506. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 大体、調査部長大島さんですか。
  507. 山地八郎

    山地證人 私大島さんという名前については記憶はございません。
  508. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 あなたは上の方に言つただけで、横の方の関係はなかつたのですか。
  509. 山地八郎

    山地證人 さようでございます。
  510. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 どうも不可解なことがたくさんございますが、私は長くやつていないというのでお尋ねしたいことはたくさんあつても、さつぱり尻切れとんぼになつてしまうから、このくらいにしておきましよう。
  511. 武藤運十郎

    武藤委員長 橋本金一君。
  512. 橋本金一

    ○橋本委員 バラード大佐に初めて呼ばれて、單なる民間会社によつて代行さすべきような命令だけでありましたか。そのときにいろいろとあるいは接收資材がどのくらいあるいは飛行機をどういうふうに解体して取扱わせるか、何かその間にお話があつたか、もう少し明細に。それから一週間後に大体人選をして報告をしたという、そのときの報告によつてそのまま受入れられたか、何か意見があつたか、この点を一つ……。
  513. 山地八郎

    山地證人 私バラード大佐にお目にかかりましたときには、バラード大佐お話は先ほど申しました通りわりかた抽象的でございました。航空機を近く破壊して政府拂下げるから、それについて受取りの態勢を考えてもらいたい。つていは非常に急いでいるので能率的に処理する仕組を考えてもらいたい。モデルという言葉は使つたかどうか知りませんが、結論についてはエイジエンシーが考えられつつあるから、ああいうものを考えられてはどうであろうか、それからこの次に出てくるときには何か技術的の問題がわかる人を連れて來てもらいたいという程度お話でございました。バラード大佐は簡單にお話をなさいまして、私は伺つてつたわけであります。そしてその研究をいたしまして実は一週間という期間であつたかどうか、はつきり記憶いたしておりませんが、もしも民間会社責任をもつてやらせるならば、こういつた三社があるということを、今度私自身は参りませんで、代理の技官と事務官報告さしたわけであります。その代理の事務官が帰つてまいりまして別段にバラード大佐からそれで惡いというお話はなかつた。なおかつそういつたことで研究を続けるというお話であつたということでありまして、一應バラード大佐の方で反対意見がないということで、さらに部内で研究を続けてまいつたということだつたと慨ね記憶いたしております。そしてほとんどそれと同時ころに、記憶はつきりいたさないで大変恐縮に存じますが、正式なメモランダムが出ましてこの問題は内務省責任をもつて引受けるということになつたのではなかつたかと記憶いたしております。ちようど私どもはその前後にお話を受けて、そういつた問題を最初に考えることに與かつたということでございます。
  514. 橋本金一

    ○橋本委員 そうしますと数字の話は少しもなかつたわけですね。
  515. 山地八郎

    山地證人 さようでございます。数字的の話は出ていなかつたと思います。
  516. 橋本金一

    ○橋本委員 その間に大体三社をあなたの方の課で選び、それから上司に報告して大体承認を得たわけなのですが、その間において三社を商工省のあなたの課へお呼びになつたというお話でございますが、そのときにやはり漠然とそういうことを言い傳えられたものか、それに対する質疑があつたはずでありますが、その当時の状況を一應お聽きしたいと思います。
  517. 山地八郎

    山地證人 記憶は正確でありませんが、先ほど申しますようにバラード大佐の御意見がそうであつた。われわれとしても政府部内で研究してみたけれども、これから急に予算をつくる見当もつかぬ状況である、三社の方々にこの仕事を引受けてもらうのが適当であろうと考えますのでお引受け願いたいということを、むしろ漠然と数字的の資料もなしに申し上げたと記憶いたしております。從つて三社の方々でも話が抽象的でありますので、しばらく考えさせてくれといつたような返事でありました。そうしてしばらく経ちましてからどうも見当もつかないような仕事で、何か不安だからできればお断りしたいというお話が出たという記憶があります。それに対して私の方にも数字的にもうかるとも損がいくともはつきりしないのでありますが、日本政府として予算関係その他においてすぐ直接には仕事ができないから、この仕事を引受けてもらいたいという基本的な話はいたしました。それから順次それならお引受けいたしましようということになりまして、だんだん機構を考えていくという仕組になつた記憶いたしております。
  518. 橋本金一

    ○橋本委員 それではそのときにただ漠然とそういうお話ですが、その質疑のうちにいかなる組織をし、いかなる方法をもつてこれを処理するというような点までは一向触れなかつたというわけですか。
  519. 山地八郎

    山地證人 私の方で実は今申しましたような理由で三社を選んでおる。この三社の方々の責任をもつて、地区を分担しておやり願わなければならぬだろう。そうして地区を分担して航空機を破壞して、保管して熔解するというような仕事をしていただきたい。それから鉄の方の関係では、日鉄と日鋼の二社が仕事をするようになつた。いずれはそういつたものは何か共同の形になるかもしれませんが、他はまだわれわれの方でわからないので、御相談の上きまつていくことになる。そういうようなことをお話になつたのではないかと思つております。
  520. 橋本金一

    ○橋本委員 そのときはただこういう事業を引受けてもらいたいという範囲であつて、具体的な問題はその後において決定するという範囲で、両者がわかれた形と記憶してよろしうございますか。
  521. 山地八郎

    山地證人 私の課でお話いたしまいたときは、言わば内交渉と申しますか、各社の内容をはかるといつた程度であります。それで各社とも引受けていただくことになりましたので、さらに話を具体的に研究を続けていく。こういうことに記憶をしております。
  522. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 先ほどお聽きしましたが、商工省内に兵器処理班というのをつくつたということですが、それはどういう仕事をすることになつてつたのですか。
  523. 山地八郎

    山地證人 これは総務局長からお答え願つたことかと思いますが、私の先ほど來申しましたように、たまたま飛行機の関係は軽金属が多いものですから、当時の鉱山局非鉄金属課でそういつた話が始まりました。また鉄鋼課で同樣な話が始まつたわけでありますが、その後考えて見ますと、飛行機を壞しますとその中からあるいはタイヤのようなゴム製品が出て來るかもしれない。あるいはラジオのようなもの、電線とか測定機とかメーターとかいつたようなものも出い來るのじやないか。そうなるとこれは鉱山局の所管ではございませんので、当時申せば工務局か何か、よその局の関係も出てまいります、從つてほかのことまで鉱山局でやらなければならぬということになりますので、商工省全体として取りまとめる立場になつておる総務局でこの仕事をやつていく方がいいということになりまして、兵器処理の一般的な仕事を総務局の中ですることになり、総務局の中で兵器処理班ができることになつたと思つております。
  524. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私の聽きたいには現実の仕事のことを聽きたいのです。どういうことをするのか。まず処理について委員会に渡します。委員会でそれを処理します。それについてどういう監督をするとか、指図をするとか、そういうことがあるだろうと思うのです。その後においてまた出たスクラツプに対してどうするということがあろうと思うが、それを具体的にお聽きしたい。こういうのです。
  525. 山地八郎

    山地證人 その方はただいま申しましたように正式な指令が出まして、内務省調査部か、調査局でありましたか、その仕事を專管してやつていくということになりました。私どもちようど問題の始まりましたときに、橋渡しをしたという程度に止まつておるわけであります。でありますので具体的にその契約の仕方とか、処理の仕方というふうなものは、何か内務省の所管の委員会においていろいろ研究せられまして、兵器処理委員会の方からもいろいろ研究を出されまして、内務省所管の委員会で研究された上で処理されていつたのじやなかろうかと思つております。兵器処理に関する限りはそれから先は私どもの手を離れていつたのであります。よくわかつておらないのであります。
  526. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 手を離れるなら何も処理班をつくらぬでもいいじやないか。仕事をするための処理班でしよう。どういう仕事をするのですか。ただ飛行機を分解すれば、先ほど申した通りゴムが出るとか、ラジオが出るとか、そういうことを調べるだけのことですか、処理そのものに対しての仕事処理班じやないですか。あなたがわからないなら総務局長から聽いてもいいのですが、総務局長から、どういう仕事をさせるためにそういうものをつくられたか、そしてどんな仕事をしておつたか、伺つておきたい。
  527. 菅波稱事

    菅波證人 兵器処理班仕事は、内務省の主管している兵器処理全体の仕事に対して、商工省の技術的の知惠を借りる必要が多々ありますから、そういう点を商工省側として全体をまとめていろいろな案を立てて内務省意見を述べる。そういう目的でつくりました。また現実にはある程度兵器処理委員会監督なりそれの構成なり、そういうところまで実際には触れておりました。
  528. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 これはもとへ戻りますが、予算のことについてはどうですか。これをやるについてはこれだけの金が要るだろう、これははたして損があるか利益があるか……。
  529. 菅波稱事

    菅波證人 そういう点は内務省の方ではよくわかりませんので、商工省の方に意見を聽いてくるわけであります。そういう場合に兵器処理班はそれを受けて、兵器処理班で考えて意見を出しております。
  530. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすればただ内務省でやることに対しての知識、経驗を貸してやるということだけですか。決定商工省にはなかつたのですか。
  531. 菅波稱事

    菅波證人 事柄によつて商工省決定する問題もあつたと思います。たとえば解体後の配給の問題、そういう点はあるいは商工省がやつてつたよう記憶しておりますが、主として内務省に対する機関でございます。
  532. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 さつきのあなたのあとを引受けられた鉱山局鉱政課長がわかりましたか。
  533. 山地八郎

    山地證人 現在労働課長をしております佐久洋君だと思います。
  534. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 あなた方はこの兵器処理特別委員会に出席しておりますね。山地八郎鉱山局非鉄金属課長と書いてあるのはあなたでしよう。
  535. 山地八郎

    山地證人 仕事関係で出ておることもあろうかと思います。私も正確に覚えておりません。
  536. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 兵器処理委員会出席者名簿というものがありますが、非鉄金属課長山地八郎というのはほかにはないでしようね。
  537. 山地八郎

    山地證人 そうです。私です。
  538. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 たくさんありますからひとつ聽いておきたいのですが、軽合金のバイヤー工場、つまり日本金属清水工場、昭和電工横浜工場、住友金属新居浜工場というようなところへ、トン当り二千二百円くらいで賣つておるとあるのですが、ほかのところへは六千円にも七千円にも賣つておるのがあるのです。こういうことは処理委員会に御出席のときにやるのじやないですか。
  539. 山地八郎

    山地證人 私が出まして処理委員会では記憶はございませんが、私のあとではありますまいか。一回か二回最初のころ出たことはあるかもしれませんが、しばしば処理委員会に出たことはありません。しかし記憶はありません。
  540. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 こういう配分とか價格等をきめるためにやるのでございましよう。
  541. 山地八郎

    山地證人 そのために委員会があるわけでございます。
  542. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 あなたの時分に、バイヤー工場というものに二千二百円くらいで軽合金を賣らせるということをやつたことはありませんか。
  543. 山地八郎

    山地證人 ちよつと記憶はございませんが、後任の課長あるいはそのあとの課長のときじやないかと思います。
  544. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 佐久という事務官が課長のときでしよう。
  545. 山地八郎

    山地證人 はい。
  546. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 こういう集まりを何時から何時までやるのですか。
  547. 山地八郎

    山地證人 ちよつと記憶いたしません。大体晝間だろうと思います。
  548. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 夜おそくなることは……。
  549. 山地八郎

    山地證人 私はどうもあまり委員会に出た記憶はありませんが、出たと記憶がある場合でも、大体東京クラブで午後から明るいうちやつて簡單に終つた覚えております。あまり記憶がありません。
  550. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 こういうときには皆で畫飯を食うとか晩飯を食うとかいうことができているのでしようか。
  551. 山地八郎

    山地證人 そういう記憶はございません。
  552. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 交際費の中でそういうようにしたように皆そう言つておりますが、あなたの記憶はありませんか。
  553. 山地八郎

    山地證人 私自身そういう委員会に出たことが一度か二度ありましたか……。
  554. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 お役所の人が皆で食事を一緒になさることがあるのでしようか。
  555. 山地八郎

    山地證人 私の記憶でははつきりいたしません。
  556. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 一回、二回はありますか。
  557. 山地八郎

    山地證人 兵器処理委員会が発会するというので——よく覚えておりませんが、どうも発会式と思いました。何か大勢集まられた会議がありましたからそのとき弁当でも出たかと思いますが……。
  558. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 非常に大勢出ておりますからね。ではよろしゆうございます。
  559. 河井榮藏

    ○河井委員 先ほど中野委員からも追究がありましたし、委員会からも追究しておいたのですが、山地証人に、その当時の日本全國の非鉄金属を製造分解する工場設備、それからそのとき三社を選んだ根本的な理由を書いて御提出願いたいと思います。
  560. 武藤運十郎

    武藤委員長 山地君に伺いますが、これはおわかりですか。
  561. 山地八郎

    山地證人 三社を選んだ理由は先ほどから何回も申し上げたのに盡きると思いますが、ただ御要求がございましたのは、そのとき三社以外に設備能力のあつた工場があつたのではないかという御質問でありましたが、私ちよつと記憶がございませんので、帰りまして関係の各課の方に問い合せまして、資料ができましたならばお届けいたしたいと思つております。
  562. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 ただいまバイヤー工場のがわかりましたからお伺いしたい。ほかのところに賣つたときだけは日附があるのですが、バイヤー工場に賣られたときだけは日附がない。安く賣つたときは日附は入れない。またトン数も多いのです。これは一体商工省でどういうふうに取扱つてこういうことをやられたのか。御記憶はありませんか。
  563. 山地八郎

    山地證人 委員長にお伺いしますが、これは当時日本中に存在した非鉄金属関係会社名となつておりますが、軽金属ではございませんか。非鉄金属と申すと、銅とか鉛とか亜鉛とかの精錬の工場がありますが、当時航空機で問題になりましたのはジユラルミンとアルミニユウムを熔かす関係でございます。
  564. 武藤運十郎

    武藤委員長 この非鉄金属というのは軽金属という意味でしよう。
  565. 河井榮藏

    ○河井委員 軽金属の意味で、ジユラルミンとアルミニユウムです。
  566. 山地八郎

    山地證人 あした商工省にもどりまして、その当時おりました関係の人を集めて、ジユラルミンとアルミニユウムの工場を調べます。今月中には出るだろうと思います。
  567. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは細井さんにお伺いします。かつてあなたは商工省鉄鋼課長に在職せられたことがあるようでありますけれども、いつからいつまででございますか。
  568. 細井富太郎

    細井證人 軍需省が廃止されまして商工省にまたもどりましたのが終戰の年の八月二十六日と記憶いたしておりますが、そのときに私は鉄鋼課長を拜命したのであります。その年の一月から八月までは当時軍需省に鉄鋼局がありまして、その局の配報課長を拜命いたしておりました。八月二十六日から鉄鋼課という一課になりまして、鉄鋼行政は一課に縮められた。それから翌年の一月まで在職いたしておりました。
  569. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたがその鉄鋼課長として在職中に、兵器処理に関しましてどういう方針、措置をとられたかお伺いしたい。
  570. 細井富太郎

    細井證人 兵器処理の問題で最初に話を受けましたのは、はつきりと日附を記憶いたしませんが、九月の末か十月初旬であつたと思うのでございます。そのときに鉄鋼統制会の会長をしておられました日鉄の社長の渡邊義介さんと、日本鋼管の重役をしておられました渡邊政人さんとが鉱山局長のところにお見えになりまして、実は第八軍のバラード大佐から、兵器処理について政府の直営でやるのはおもしろくない、民間の手で迅速活発に処理する必要があると言われておるんだが、これの進め方についてどうしたらいいだろうかという話をもつてこられたと記憶いたしております。そのときに私どもは直接第八軍から日本政府に対してお呼び出しを受けて、そういうような御指示なり御相談があつてしかるべきだと思つたのでありますが、何分終戰当時のことでありまして、政府が司令部なり第八軍方面にどの程度の信用があるかわからぬときでありまして、おそらくバラード大佐日本政府にそういうことをやらせるよりも、民間のものに早く処理をさせるのが必要ではないかというようなことで、そういうサゼツシヨンがあつたものと思つたのでありまして、その点は多少遺憾なことであるというふうに表明したのでありますが、しかしさりとてこの仕事政府の手によつて責任をもつてやれと言われても、手足をもたないことでもあるし、なかなか困難な仕事でございますので、あるいはバラード大佐のサゼツシヨンのようなやり方がその当時のやり方としては一番早くうまくやる方法になるのではないかということで、結局そういう次第であればわれわれといたしましては官廳側としてもそのやり方に協力しなければなるまいということで、早速その線に沿つて準備の打合せをしようではないかということで、十月初旬にその話がありました後早速、場所が当時ございませんでしたので、三越の上にありました鉄鋼統制会の会議室を使いまして、その進め方の準備の会合をいたしたと記憶いたしております。そのときにバラード大佐とこちら側との話合は日本鋼管の小松さんが当つておられるということでありましたので、小松さんの御出席をお願いいたしましていきさつを伺つたのであります。その結果、これは実力をもつた業者に実務を担当してもらうたのが、一番実行の上においていいのではないかということで、鉄鋼関係といたしましては、日鉄と日本鋼管に大体やつてもらえば、全國的にそういう破碎、解体、輸送等の実力もあることでございますから、迅速にいくのじやないか。その処理をいたしましたものの処分問題は別といたしまして、作業自体は日鉄とか日本鋼管にやつてもらうのがよいじやないかということで話がまとまつたのでございます。同時にこの問題は航空機関係の軽金属の関係も、バラード大佐の話によりますと、あるようでございましたので、これは非鉄金属部門の方でひとつ適当な担当者を選定してもらおうじやないかということで、その後非鉄金属課で関係方面と打合わせられた結果、後になつてきまりましたように、古河電氣と住友金属、それから神戸製鋼の三社が選ばれたのであります。この選び方につきましては私どもは直接タツチいたしておりませんが、そのとき準備の打合せをいたしましたときにはいろいろ心配がございまして、私どももいろいろ心配したのでございますが、一つ問題になりましたのは、こういう仕事が、一位迅速活発にやるということはよいといたしまして、非常に経費のかかることでございますので、これを解体処分いたしまして、これによつてどういうコストでもつてその仕事ができるか、また出たものの処分あるいはスクラツプの処分等を考え合わせまして、どの程度これが赤字を出さないでやれるかということについては非常に疑問があるというので、場合によりましてはこれは國家的な仕事であるから國家の補償ということも考えなければならぬじやないかということを心配したのであります。そのときいろいろ意見も出たのでございますが、飛行機とか、高射砲等についております附属品も一括して日本側に渡されるということでございますので、そういうようなことでただちに有利に処分できるものもあるんじやないか、そういうものと、非常に解体等の困難な作業を伴うものにつきまして、それをスクラツプとして活用する場合につきましても非常に不利な状況になるものもございますので、この有利な條件で処理できるものと、不利な條件で処理するものとを合わせてやつてみて、どの程度に赤字を出さないでやれるかどうかということが大きな疑問であつた。その点がいろいろ関係者から意見が出たのでございますが、一應私どもといたしましては、それを明らかにするために何か特別会計のようなやり片でこれを経理したらどうか。はたしてこれが黒字になるか赤字になるかということは、やつてみなければわからないことで、ほかの関係と混同してはいけないから、特別会計のようなやり方で明らかにしてやることが必要じやないかということを指摘しまして、大体そういうような線で行つたらどうかということ、もう一つは軽金属部門と鉄鋼部門と比較いたしますると、鉄鋼部門の方は明らかにマイナスが多いのでございまして、從いまして軽金属と鉄鋼とを別々の委員会なり、あるいは別々の経理でやりますと、鉄鋼部門が損するのではないか、從つてこれは両方一本にしてプール計算でやるのが望ましいのではないかというようなことも私どもは申したのでございます。それから委員会といたしましては、第八軍との関係から一本の委員会にいたしまして、あとは軽金属と鉄鋼とは内部的に部門別にこれを実行していくというのが望ましいのではないか、そうして八軍との交渉の関係等も一本で的を一つにした方がよいじやないかというので、とりあえず從來から第八軍といろいろ交渉の世話をやつていただいておりました小松さんに——これは日本鋼管の方でございますが、同時にこの方は経済團体の役員もしておられましたので、そういうような資格において、ひとつ一本でやつてもらつた向うとの関係はぐあいがよいのではないかというので、準備を進めてもらつたのであります。その結果大体の方針をとりまとめてまいつたのでありますが、同時に別途司令部の方から特殊物件の処理に関するメモランダムが出ているということがわかりましたので、それとこの廃兵器処理と、どういうふうに結びつけるかということが問題になりまして、その点を檢討いたしました結果、解体兵器処理に関する件というような一つの要綱にまとまつたのでございますが、その要綱をまとめまして、たしか十一月の一日だつたか、初めに第一回の委員会を開いたというような経過になつております。そういうような次第で、私どもといたしましては、その委員会をつくり上げることまで私どもの仕事といたしまして、タツチしてまいつたのでございます。その後この仕事は実際の面において相当監督を要する仕事がありますので、商工省といたしましても、單に需要官廳である鉄鋼課とか非鉄金属課でそれをやつてつたのでは十分な監督ができないというわけで、特に総務局に整備課というものを置かれまして、これに兵器処理班という班を置かれまして、大堀という事務官がその主任として任命されたのでございますが、その方の手によつてこれの実務の監督を一元的にやつていく、そうして内務省等と十分な連繋をとりまして、商工省側のやるべき責任をとつていこう、こういうようないきさつになつたのでございます。その後その第一回の委員会を開きました以後は、そういう仕事は総務局の手に移りましたので、私どもといたしましては、一應その方に仕事が移つたというような関係で深くタツチせずに進んでまいりまして、私は一月の始めに他に轉勤いたしましたような次第であります。
  571. 武藤運十郎

    武藤委員長 大分詳しく伺つたのでありますが、五社を選定することですね。バラード大佐からそういうサゼツシヨンがあつたような御趣旨ですが、バラード大佐がそういうサゼツシヨンをするについては、すでに小松氏と相談があつて小松氏の方からサゼツシヨンがあつてバラード大佐がそういう氣になつて、そうして五社ということになつたのではないですか。
  572. 細井富太郎

    細井證人 その点はいきさつを実は審かにいたしませんで、私自身バラード大佐に会つておりませんので、よく究めておらなかつたのでありますが、当時の日鉄と日本鋼管の両渡辺さんがお見えになつたときには、バラード大佐からそういうサゼツシヨンがあつたということで、日本側としてはこれをどういうふうに実行していつたらよいかということの御相談があつたのでありまして、積極的にこちらからその前に小松さんとバラード大佐との間に、そういうような交渉があつたかどうかということは、全然私どもは存じないのでございます。
  573. 武藤運十郎

    武藤委員長 わからなかつたんですか。
  574. 細井富太郎

    細井證人 はい。
  575. 武藤運十郎

    武藤委員長 当時鉄、非鉄金属のスクラツプの價格は相当高いものだつたですか、安いものだつたですか。
  576. 細井富太郎

    細井證人 具体的にいくらだつたか、ちよつと覚えませんが、もし何でしたらあとで調べまして御答弁、申し上げますが……。
  577. 武藤運十郎

    武藤委員長 それを伺いたいわけは、兵器の解体処分について作業費とスクラツプの販賣價格は一体どんなふうな見透しでやつたのかということを伺いたい前提として、伺つたわけです。
  578. 細井富太郎

    細井證人 その点は私どもの方で詳しくそろばんをはじいて、どの程度になるだろうかということでやつたのでございませんで、ただ漠然と兵器の解体破碎というようなことは、非常な経費を伴うもので、これは今まで製鉄所において大きなスクラツプを破碎するにも、相当経費を要したというようないきさつから申しましても、これはなかなか採算がとれるものでないだろうというふうに考えたのでございまして、実際の実務は委員会ができた後に行われましたために、私どもは実は詳らかにいたしませんのでございます。ただ漠然とそういうことで考えたのでございます。
  579. 武藤運十郎

    武藤委員長 それから五社で兵器処理委員会をつくつて兵器の処分をさせるというようなことは、菅波さんが総務局長になられた当時は、大体きまつてつたんですか。
  580. 細井富太郎

    細井證人 私どもいわば発起人のような立場で準備しておつた当時から、大体五社がよかろうということは、それぞれ鉄鋼部門と軽金属部門とを合わせまして話合つてつたことで、総務局長が御所管のときは、ほぼそのメンバーはきまつてつたというふうに記憶いたしております。ただバラード大佐から五社にしろというような御指示はなかつたと思います。
  581. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたの方にはなかつたとしても、大体バラード大佐からのサゼツシヨンでそういうことになつたということは、新総務局長にあなたの方からお話になりましたか。
  582. 細井富太郎

    細井證人 話しておらなかつた記憶いたします。
  583. 武藤運十郎

    武藤委員長 どうしてですか。
  584. 細井富太郎

    細井證人 そのときは大体きまつてつて、それをただ正式の委員会に仕上げるという作業だけ残つておりましたものでございますから、私からは総務局長にその報告をいたしておりませんが、たれか係の者、あるいは大堀事務官を通じて、そういうことは総務局長には御報告されておつたというふうに想像いたしておつたのであります。
  585. 武藤運十郎

    武藤委員長 その後兵器処理委員会仕事を始めたようですけれども、実施業務について、あなたの方はどういう報告を受けて、どういう監督をなさいましたか。
  586. 細井富太郎

    細井證人 実施業務につきましては、十一月の初めに、そういう委員会が正式に発足いたしまして、それと特殊物件との関係等も要綱によつて大体はつきりいたしまして、それから作業が始まつたわけでございますが、それから大体その年中は、実務が活発に行われなかつたと想像するのでございまして、その間作業のいきさつについて詳細な報告を私どもは受けないうちに私は轉勤いたしたのでございます。
  587. 武藤運十郎

    武藤委員長 何かお聽きになることがございますか。
  588. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 先ほどけつの方の二社は、あなた方が聽かれない先にバラード大佐の意向で向うから業者が出てきたということがわかりましたが、非鉄金属に対してはどう指定三社が選ばれたのですか、それはよくわかりませんでしたが、非鉄金属も同樣なことでやはりバラード大佐のサゼツシヨンによつて選んだのですか。
  589. 細井富太郎

    細井證人 兵器処理の中に非鉄金属部門がございます。それにはどういう業者担当してもらうのが一番適当であるかということは、鉄鋼部門の担当者からは積極的に申し上げることは差控えたのでございまして、非鉄金属の部門でひとつとりまとめていただきたい。しかしいずれにしてもあまりたくさんの業者を寄せてもこれは実効があがらないので、なるべく力をもつた、しかも全國的にバランスのとれたような配置をもつものが選定されるのが適当ではないかということは話合つてつたのでございますが、その選定は一切非鉄部門と、それからその関係官廳であるところのその当時の非鉄金属課にお願いして結果だけを伺つたという状況でございます。
  590. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私の聽かんとするのは、鉄の方はバラード大佐から業者へ言われて、あなた方が業者から聞かれたという、こういうことになるのですね。非鉄金属も同樣なことじやないかと思いますが、それと違つた方法であるかどうかそれを聽きたいのです。先ほどのことから聞くと、あなた方鉄の方はその二社でよかろう、非鉄の方は非鉄課の方で選んだがよかろう、こういつたが、先ほど言われた統制会で相談の結果、非鉄課に言われたように聞えるのですが、その点どうか間違いないところを聽きたい。
  591. 細井富太郎

    細井證人 非鉄金属の部門の選定されましたいきさつを私ははつきり記憶いたしておりませんが、つまりこちらの方で三社を選定いたしましてバラード大佐の了解を得たのか、あるいはバラード大佐が積極的に三社がよかろうと言われたのかはつきりいたしませんが、おそらく鉄鋼のいきさつから申しましても、鉄鋼も日鉄に日本鋼管がよかろうということを向うから積極的に言われたのでなかつた。鉄鋼関係の大きな業者としてはどういうものがあるということから、日鉄の日本鋼管とがこれを代表すれば、大体全國的に解体等の布陣が布けるということを申したので、それはよかろうと申したのですが、非鉄金属の場合は、たとえば古河電氣は関東方面担当すると非常に力があつていい、関西関係は住友金属がよい。あるいは西の方は神戸製鋼がよろしいというようなことで選定されたように伺つておりますが、これをバラード大佐の方にこの三社がどうだろうというようなことをもつていきまして、それがよかろうと言われたのか、おそらくそう言われたのではないかと当時想像いたしておつたのでありますが、その点は積極的にバラード大佐から三社にしろと言われたかどうかは、私責任をもつて申し上げるだけのいきさつを存じないのであります。
  592. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それはたいへん重要なことだ。私が先ほど聽いたのは、あなたは何にも知らぬのに日本製鉄の渡邊さん、日本鋼管の渡邊さんから、バラード大佐からこういうことを言われておるが、それについてはあなたの方でしかるべくやつてもらいたい。こう聞いたのです。どうもバラード大佐から言われたことは、それは間違いがありませんか。
  593. 細井富太郎

    細井證人 ちよつと誤解を受けますといけませんので補充しますが日鉄と日本鋼管の代表の方が鉱山局長のところへ見えましたときは、日鉄と日本鋼管でこれをやらすことに言われてきたというのではなくて、両渡邊さんがバラード大佐にお会いになりましたときに、兵器処理については民間の手で迅速活発にやるのが一番いいのじやないかというサゼツシヨンを受けた。從つて鉄鋼部門としては日鉄と日本鋼管が二つでこれを受けてしまうのがいいかどうかということにつきましては、積極的にバラード大佐からお前ら二社でやれと言われたというふうには伺わなかつたのであります。その後準備の相談の結果、この日鉄の日本鋼管がよかろうと私どもも申し上げたのであります。
  594. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると日本鋼管と日鉄を呼んで、バラード大佐相談されたわけですね。急速に民間でやらしたらよいと思うが、お前らどう考えるか。
  595. 細井富太郎

    細井證人 そうでございます。そういうふうに考えております。
  596. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこで二つを呼んで相談されたのは、バラード大佐は何も日本事情を知られないのですが、それはだれからか、それこそ日本側からサゼツシヨンを與えたものと言わざるを得ぬと思います。それはだれから與えたとお聞きになつておりますか。
  597. 細井富太郎

    細井證人 それは当時の鉄鋼統制会の会議室で日鉄の日本鋼管、それから鉄鋼統制会の関係者に集つていただきまして、私どもも列席いたしまして、鉄の部門ではどういうふうにやるのが一番よかろうかという相談をいたしましたときに——今から考えますとはなはだ杜撰なやり方ではないかとおしかりを受けるかもしれないのでございますが、みんなの意見が期せずして、これは日鉄と日本鋼管で担当するよりほか、非常にやりにくい仕事でもあるし、相当骨の折れる仕事である。はたしてこれがうまくいくかどうかということについては、日鉄とか日本鋼管とか、実力をもつた大きなとこでしなければなしとげられるものではないというような見地から、みんなの意見が期せずして一致した。そういうようなことでバラード大佐のところに、鉄の部門はこういうところでやりたいということでもつていこうじやないかというふうにまとまつた記憶いたしております。
  598. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私の聽くのはそうじやない。日鉄と日本鋼管をバラード大佐が呼んで相談されたのでしよう。バラード大佐日本におられた方でもないのだから、だれに相談すればよいかということはわかるわけがない。しかるに日鉄と日本鋼管を呼んで相談されたということは、だれかがこの二つが最もよいというサゼツシヨンを與えなければそういうことはできぬと思います。それをだれが與えたか、あなたは御承知になつておりますか。
  599. 細井富太郎

    細井證人 わかりました。それは日本鋼管の小松さんが、正式に日本鋼管と日鉄の両渡邊さんがバラード大佐にお会いになる前に、いろいろな関係バラード大佐に御折衝があつた。そのときに鉄の問題も出て、日本で鉄の業者はだれが一番大きいのかというようなことで、これは日鉄と日本鋼管が一番代表的なものだということを話された。從つてそれじや日鉄と日本鋼管をひとつ呼んでみようということになつたように伺つております。
  600. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうだろうと思つた。そこでそうすると非鉄金属に対しては、小松氏はさようなことは言わなかつたのですか、どうでしよう。これは御承知ないなら御承知ないで結構です。
  601. 細井富太郎

    細井證人 おそらく非鉄金属については、小松さんは直接業界としても関係がございませんので、積極的におつしやらなかつたと思います。
  602. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 よろしゆうございます。
  603. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは細井証人に特にお聽きになることがございましたらお聽きになつていただいて、しかる後に総括的に三名に聽いていただきましよう。
  604. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 先ほど細井証人はメモランダムが來て、それを廃兵器処理と結び合わすのに苦心をしたというようなお話がありましたが、その取扱いはどういうふうになりますか。
  605. 細井富太郎

    細井證人 この点はこういうわけでございます。実は廃兵器処理を今の五社でももて実務を担任して、委員会組織で運用していきます下相談をいたしておりましたときには、そういうメモランダムが出ておることは私どもは知らなかつたのであります。おそらく日附といたしましてはメモランダムの方が先に出ておつたのじやないかと思いますが、それがわれわれ側に傳わつてまいりましたのは、その準備をいたしておりましたときに並行してわかつてきたのでございます。從つて解体兵器処理を実務化するという方針を立てますのは、そのメモランダムがやはり基礎になるわけでございますので、後になつてそのことを聽きまして、解体兵器処理に関する要網を大堀氏が主任となつてとりまとめていただいたというような経緯になつておるのでございます。
  606. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 解体兵器等処理機構に関する件はそれでよろしいと思います。こういうやり方はそのときはしかたがなかつたといたしましても、この日本帝國政府に対する覚え書というものは、指令五十三号として出ておりまして、最後の消費者までこれを明細にしておけということになつておるのでありますが、この点についてはあなた方はどういう方法にすればよかつたか、どういうふうにおやりになつたか、ただ解体兵器だけをお任せになつたのであるか、その点をお伺いします。
  607. 細井富太郎

    細井證人 ただいまの点は、解体兵器委員会とその実務機関に担当していただきまして、役所としてはこの実務を監督していくことになつた次第でございますが、私どもはその当時他に送りましたので、実務についてはほとんどタツチしていないのでございます。
  608. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 ちよつと聽き洩らしたのでありますが、いつからいつまであなたは商工省にいらつしやつたか。
  609. 細井富太郎

    細井證人 私は鉄鋼課長といたしましては、終戰後翌年の一月七日附だつた記憶いたしておりますが、それまで鉄鋼課長を拜命いたしておりました。從つて十一月、十二月のその実務にはいる当時のことにつきましては、先ほど申し上げた通り、十一月以後は総務局の整備課の兵器処理班処理することになりました関係上、それ以後の住事には全然タツチしていないのでございます。
  610. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 兵器処理班長は大堀という人でありますか。
  611. 細井富太郎

    細井證人 さようでございます。
  612. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 班長ですね。
  613. 細井富太郎

    細井證人 さようです。
  614. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そこであなたは解体兵器処理機構に関する件についての案をおこしらえになつたのでございますか。これには関係しておられませんか。
  615. 細井富太郎

    細井證人 その処理案は大堀主任が内務省と打合せましてまとめていただいたのでありまして、それを受入れる第一回の委員会、十一月の初めでございますが、それには私出席しております。しかしその案のとりまとめは私いたしていなかつたのでございます。
  616. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 第一回というとまだできていないときじやないですか。できてからですか。
  617. 細井富太郎

    細井證人 この処理委員会の第一回の会合でございますが……。
  618. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 できてからでございますか。
  619. 細井富太郎

    細井證人 準備を終りまして、十一月の初めに、正式にできたわけでございます。そのときまで私は出席いたしまして、それから以後は総務局の整備課の兵器処理班の手に移りましたので、その以後は……。
  620. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 十二月の十一日に地方行政長官あてに出ておりますね。これについて私どもは大分疑問をもつておるのですが、あなたが関係しないということならあなたに聽いてもわからない。
  621. 細井富太郎

    細井證人 いたしておりません。
  622. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 あなたは期間が短かいからあまり鉄鋼の取締りについての特別委員会というようなものは関係がありませんですか。
  623. 細井富太郎

    細井證人 ございません。
  624. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 出ておられたことはありますね。
  625. 細井富太郎

    細井證人 いつでございますか。
  626. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 鉄鋼課長細井富太郎というのがあります。日が書いてございませんけれども、兵器処理特別委員会出席者名簿というものがあるが、これに細井富太郎というのがある。細井富太郎というのはあなたでございますね。
  627. 細井富太郎

    細井證人 それは十一月一日じやございませんでしようか。
  628. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それが書いてありません。
  629. 細井富太郎

    細井證人 それには今申しました通りたしかに出ております。
  630. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 今の五社を選定する事情もそうでありますが、これについて一体費用がたいへんかかるということは、先ほどあなたが説明されておつたのでありますが、初めてから赤字になるような考え方でできたということは、私どもは非常に遺憾に思う。費用のかかる点で、たとえば鉄鋼の戰車のごときものは一台でどのくらいの費用を限度とするとその前に考えられなければならなかつたと思うのでありますが、費用はかかり放題、なんぼかかつてもいいという実情に置かれて、今日まで兵器処理ができておつたということで、私どもはそういう点について一体どうこれを考えておられたかということ、あなたは証人控室でも大分説明しておられたようだからよくおわかりになつておると思う。一つ説明してください。
  631. 細井富太郎

    細井證人 私ども委員会の準備をいたしておりました当時には、まだそういう計算は全然見当がつきませんで、一切白紙でおつたのでありまして、ただ私が鉄鋼部門を担当しておりましたころは戰爭中のスクラツプの取扱いました経驗から見て、これは余ほど経費がかかる。鉄鋼スクラツプという面から見るとたしかに黒字ではできないということを申し上げたのでございます。それも計算をいたしまして戰車ではどのくらいかかる、大砲はどうだというようなことを考えてやつたわけではございませんで、ただ漠然と準備のときにそういう点を用意してかからないと、場合によつては國家補償も伴うのではないかということを私はスクラツプの需用の面から申し上げたのでありますが、そのときに他の方々の意見では、スクラツプの面からはたしかにそうであるが、ほかにすぐに有利にさばけるものも続いて引渡しを受けるから、それらと一緒にしてやればある程度カバーできるのではないかこれはやつてみなければわからぬということで、実際の計算計画は委員会ができてからおそくやられたことと考えておるのでございますが、私が在任中ほとんど準備事務担当いたしました点から申しまして、深くその点を檢討いたさなかつたことははなはだ申しわけないと思いますが、その当時短期間ではそこまでまだ見当をつけないで、実は委員会の発足をいたしたような状況なのであります。
  632. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 なるほどあなたはあまり関係しておられなかつたようでありますが、あなたが正直に言われた事実、あなたの責任として処理機構に関する件で、こういうものをつくつたというのは実に商工省責任であります。あなたはおられないかも知れませんが、二十一年の五月ころからずつと六月拂下げておると思いますが、このスクラツプの拂下げが大低七百五十円くらいのスクラツプを百円から二百五十円でどんどんと相当大きなものを拂下げております。一体どうしてこういうことをするのか、その時分は時間が食い違いますからあなたにこれを聽いてもわかりますまいが、とにかくあなた方がやられるときの不用意の言葉からである。少くともこれはやれぬ、たいへんだというようなことばかり言われておるから、それで予算的措置を政府が補償するのだというようなことをいろいろこしらえられた。その責任がこういうことになつている。費用としてある会社で一千四五百万円使う、雜費として皆商工省の役人たちを御馳走したと言つている。そういうようなことに皆使われているのは一体どういうわけかというと、あなた方がだらしのないものをこしらえたからである。兵器処理としてこういうものが根本的に誤つておる。それがためにこういうような問題になつておると私は思う。  そこであなたのあとに來られた課長はどなたですか。
  633. 細井富太郎

    細井證人 大原という技官の方であります。
  634. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 何という名前ですか。
  635. 細井富太郎

    細井證人 あとで調べて報告いたします。
  636. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 これは第一回かしりませんが、あなた方の名前が出ている兵器処理特別委員会で、配分とか價格等のことをおやりになるのでございますね。
  637. 細井富太郎

    細井證人 そういうような構想になつております。
  638. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 これは兵器処理委員会の中にあるのでございますね。別にあることになるのですか。
  639. 細井富太郎

    細井證人 内務省の特殊物件処理委員会の中にあつたと思います。
  640. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 これはしかし兵器関係でできておるのじやないですか。
  641. 細井富太郎

    細井證人 あるいは別だつたかもしれませんが、商工省の中ではなかつたと思います。
  642. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 ごらんください。メンバーを見ればわかるでしよう。     〔明禮委員書類を示す〕 こういうような形でみな委員会配分とか價格の部面をおやりになるのではないですか。
  643. 細井富太郎

    細井證人 このメンバーでやるのではありません。私はそういう委員になつた覚えもありません。これは第一回の準備のときの出席者の顔触れだと思います。
  644. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 特別委員会と書いてあるのです。準備とは書いてない。
  645. 細井富太郎

    細井證人 その後でございますね。委員会ができてから……。
  646. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 どういうところでそういう配分とか價格の点をやるのですか。それが今問題になつているところはたくさんあります。非鉄金属でも先ほど言いましたが、價格とか配分商工省監督をしておるのでしよう。
  647. 細井富太郎

    細井證人 それは内務省でやつたと思います。その特別委員会の運用につきましては、私どもは……。
  648. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 指示については内務省がもつておる。こういう統制されておるものを配分するとか、價格とについては全部商工省でやつておる。内務省の役人はみなそう言つているじやありませんか。
  649. 細井富太郎

    細井證人 そうじやありません。内務省でやつておると思います。たとえばそのうちのゴムが出てくれば、ゴムはルートにのせて、どこへ配分するとか、あるいはアルミニユームならばどこへ持つていくかということは、特別委員会で大体配分をきめることになつておるのです。
  650. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 内務省の特別委員会ですか。
  651. 細井富太郎

    細井證人 はあ。私はその委員になつてつたと思いますが、おそらく出席したかしないで、そのときは代理が出たかもしれませんが、私はその審議には一遍も與らないで轉勤したという状況であります。
  652. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それではお尋ねいたしますが、商工省はこういう問題についての、價格とか配分についての監督はどういうふうにしてなさつてつたのですか。
  653. 細井富太郎

    細井證人 それは委員会なり幹事なりが出ることになつて相談してやれということで、直接商工省監督によつておりません。
  654. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 内務省の特別委員会へ出て、そこで監督された、こういうことですか。
  655. 武藤運十郎

    武藤委員長 明禮君、いいですか。
  656. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 よろしうございます。
  657. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 小松氏を委員長に選んだ事情は聽いておらなかつたが、それをひとつ述べていただきたい。
  658. 細井富太郎

    細井證人 先ほど申し上げたと思うのでありますが、委員会は初め軽金属と鉄鋼を別々の委員会にした方が、いいかどうかということを非常に準備のときに論議したのであります。しかしこれは先ほど私の申しましたように、採算の点で軽金属と鉄鋼部面とはものが非常に違うので、それを計量した結果、どちらが得か損かという問題もございますし、これは委員会としては一本で運用して、実際の実務は軽金属部面と鉄鋼部面に別けて、部会制で運用するのがいいが、委員会としては一本がよかろう。その場合に委員長は鉄鋼部面から出るのがいいか、軽金属部面から出るのがいいかという問題もございますが、たまたま從來のいきさつといたしまして、小松さんがバラード大佐といろいろ最初からタツチしていただいておるので、その意味で小松氏はもとの経済團体の役員をしておつた関係もございますので、これは受入体制の窓口としては一本がよかろう。從つて小松さんにお願いするのが、いろいろな点でバラード大佐との交渉上便宜ではないか。その上で軽金属部面についていろいろ話しまして、軽金属部会の方に小松さんも傳えて、委員会としては一本で行つたらよかろうということで相談したのであります。
  659. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それは鉄鋼の方はあなたでも、非鉄金属の方は山地さんである。そういう方々が寄つてきめたのですか。それともどういう形で小松さんがよかろうということに纏りましたか。
  660. 細井富太郎

    細井證人 これは大体いまの五社の顔触がきまりましたときに、私どもと非鉄金属の部門と役所側と五社の出席者相談して、そういうふうに了解を得た。私ども鉄鋼部門から申しますと、軽金属の部門を小松さんにやつてもらうことは、当然にはそうやつちやいけないじやないかという意見が出るおそれもございます。役所側と軽金属の部門と鉄鋼部門と五社の大体の顔触がきまつたところで、それがよかろうということに準備会のときにきまつたよう記憶しております。
  661. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 準備金できまつてからバラード大佐意見を述べられてバラード大佐の了解を得られたものですか。前もつてバラード大佐意見もこれだから小松氏にしようと言つたのですか。その点はどうですか。
  662. 細井富太郎

    細井證人 私の記憶では、わが方側で意見をまとめまして、バラード大佐の了解を得たように記憶しております。
  663. 辻寛一

    ○辻委員 バラード大佐の方から民間業者に迅速にやらせよという根本的なサゼツシヨンがあつたことはあなたの方も非鉄金属の方も御一緒のように承りましたが、それからの業者の選択決定という点において大分違つているようであります。先ほど來あなたの御証言によりますと、日鉄と鋼管の代表者が來られて、二社に限つてやれというわけじやないけれども、とにかくバラードさんの方からのお声がかりがあつて、われわれにその処理方針はどんなかというように相談に來られたので、日本政府に直接話がなくて業者へじかに話があつたということは多少不愉快だ。と言つたつて、当時の状態だからやむを得ぬというあなたの述懐もありました。われわれもさように考えますが、そこでその場合において、そうしたお声がかりもあるんだから、業者はこの二つよりいたし方がなかろう。そういつた純理的におのずから二社にきめた——きめた、というよりきまつたというような自然な成行きになつているんじやないか。その辺はどうなんですか。
  664. 細井富太郎

    細井證人 これは当時私どもの常識といたしまして、鉄鋼部門から代表者を選定するとすれば、日本鋼管と日鉄が一番よかろう、またほかの川崎重工とかいろいろございますが、そういうものを入れるよりも、この二社は大体全國的な手足をもつておりますので、やつてもらうのが一番いいのじやないかということを、期せずして常識的に考えておつたのでございまして、バラード大佐から限定的に二社にやれと言われてきたのでなかつたと了解いたしております。
  665. 辻寛一

    ○辻委員 その非鉄金属の部門におきましては、先ほど山地さんの御証言によりますれば、少くともフリーな立場から、それぞれの適格條件を愼重に考慮してやつたというお話でありましたが、あなたの先ほど來のお話を聽いておりますと、どうもそういうふうに大体きまつたのだからというようなことで、元締をしておられるあなたの方としては、さらに相当それに匹敵すべき大会社もあつたとわれわれには思われるわけであります。そういうものはすでに選択の余地なくこの二つにきめたというようなふうにとれるのですが、実際におきましてそうしたサゼツシヨンに左右されずに、公平な立場に立つて考えられた結果、やはりこの二社よりほかにはないという断定をはつきりなさつたのでありますが、その点を一遍よく……。
  666. 細井富太郎

    細井證人 当時やりました記憶をたどつてみますると、この二社が一番よかろうということは、私どもの課内の全体の意見でもございましたし、また局長にも申し上げたのでございますが、鉄鋼課といたしましては、この二社が一番よかろうということを判断したのであります。
  667. 辻寛一

    ○辻委員 非鉄金属の部門では、どうかひとつやつてくれというお話をされても、危險が伴うからと言つて尻ごみされて、一應辞退をされたというような会社もあつたと承りました。まして鉄鋼の方はよけいその危險が多いというようなお話でございましたが、にもかかわらず二社の方は進んでお引受けなつた、こういう話だが、どうもやむを得ぬけれども、まことにやりにくい仕事で困つた、こういうような意見を漏らされたことはございませんでしたか。
  668. 細井富太郎

    細井證人 ございます。日鉄の業務部長をやつておりまして森田さんが、たしか準備のときに出席されたと思います。社長は統制会の会長をかねておられましたので、積極的な意見はございませんでしたが、森田さんとそれから課長も二、三出席しておられましたが、それらの方々はこの仕事は日鉄もあまり氣持よく引受けたくない。しかしどうしても民間の手でやるとすれば、またバラード大佐のサゼツシヨンに從うならば、日鉄も引受けなければなるまいというようなことで、あまり快く引受けなかつた記憶いたしております。
  669. 辻寛一

    ○辻委員 名前はちよつと申し上げませんが、やはり相当大きな製鋼方面会社で、これは仲間入りしたいというように希望しておつたようでありますが、それにつきましてあなたの方にその線に入れてくれというような運動はどこからもございませんでしたか。
  670. 細井富太郎

    細井證人 私どもの方で、今の鉄鋼部門の二社だけを選んだのは、けしからぬ。どこも入れろというような話はどこからも受けませんでした。
  671. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 ちよつと細井さん、あなた何か勘違いしてますね。この物の中央配分商工省指示または監督を受けるとなつておるのですね。兵器処理委員会の中に特別委員会があつて、あなたそれに出席しておられるのではありませんか。ごまかしちや困る。
  672. 細井富太郎

    細井證人 私はごまかして申し上げておる覚えは毛頭ありませんが、特別委員会をつくつたのは私がつくつたのではございませんで、これは兵器処理委員会ができましてから、今の兵器処理班の手でつくつてくれましたので、それに私が出席いたしましたとすれば……。
  673. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 あなたは出席しておる。
  674. 細井富太郎

    細井證人 名簿に載つておるとすれば、これは私自分で出席したか主任官を派遣したか、そこまでは覚えておりませんが、兵器処理委員会から特別委員会になつてからも、私はタツチしていないように記憶しておりますから、そう申し上げたのであります。
  675. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 だから私がお伺いしたいのは、商工省で中央配分について指示または監督をしておることをお認めになるようならば、どういうふうな指示または監督をなすつたか、これを聽きたいのです。責任を回避せられて……。
  676. 細井富太郎

    細井證人 私は責任を回避するつもりは毛頭ございませんが、特別委員会ができまして、それがどういうふうに運用されたか、どういう監督をしたかということは、鉄鋼課といたしましては直接しなかつたのでございまして、先ほど申しました兵器処理班ができて、その方の手で運用して調べたというわけでございます。
  677. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 細井さんはあまり関係しなかつたというようなことで、出ておつても自分じやなくほかの者が出たんだろうということですが、山地課長は出ておられたようでありますから山地さんに説明を求めます。
  678. 山地八郎

    山地證人 先ほどもお答え申し上げたように、私はその委員会に出たかどうかはつきり記憶はございませんが、おそらくその委員会は各省の関係官が出ておりまして、兵器処理委員会の方で、こういつたものを配分したいと思うがどうかという意見を求めてきますれば、それのとりまとめをやるわけでありますが、内務省でやる場合にわれわれ商工省の係官としてよかろうというように意見を述べる。そういつた関係で各省合同委員会にわれわれも委員として出ておつただろうと思います。今問題の当委員会に私は出席したかどうか記憶はございませんが、その委員会仕事としては、関係各省の委員が集まりまして、そういつた原案を審議すると申しますか、こういつた物はたとえば通信部門に任すがいいだろう。こういつた物は農機具として農業部門に使つたらいいだろう、こういつた物は商工省関係の工場に使つたらいいだろうというような意見が出たのではないかと思いますが、詳細な記憶はございません。
  679. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それじや総務局長にお尋ねいたします。こういうことについての商工省指示または監督とはどういうことでありますか。御承知じやありませんか。
  680. 菅波稱事

    菅波證人 どうもよく記憶がございませんので、ほかの証人あとでお聽き願いたい。
  681. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 みんなわからぬ。わからぬことはしようがありませんから、あとで研究しましよう。
  682. 石田一松

    ○石田(一)委員 ちよつとお聽きしたい。実務はやらぬが監督という面はおやりになつておる。監督をおやりになつておる立場で、処理委員会でなくて、その下に代行機関とか称するものが各所に設けられておるのは御存じでございますか。
  683. 細井富太郎

    細井證人 代行機関と申しますのは、今の日鉄とか日本鋼管とか……。
  684. 石田一松

    ○石田(一)委員 それは違います。
  685. 細井富太郎

    細井證人 実務代行者のまた代行機関でございますか。
  686. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうです。
  687. 細井富太郎

    細井證人 それは存じません。
  688. 石田一松

    ○石田(一)委員 それではちよつと具体的に聽きたいのでありますが、初めのうちは三菱商事、その次には都商事と名前をかえ、世間の評判がたいへんやかましくなると、今度は巴工業と名前をかえておる。のべつ幕なしに名前を書いている代行機関と称するものが東京にあります。しかもこれはあなた方の御存じないことかもしれませんが、ことしの春から巴工業以外には全然何も拂下げられぬというのが東京の実情である。こういうようなことはあの当時でも皆さん方におわかりになつていたのかどうか。しかも実際には解体するまでに、運賃とか人件費にかかつて、結局國家には何らの收入がないという。これはどういうふうに運賃を使つたかと嚴密に調べてみると、Aの土地からBへもつて行き、BからCへもつて行き、また元のAへ戻るというように、帳面ずらだけをやつてその間の運賃は全部加算してあるが、そのものは一つのところも動いてはいなかつた。ただ帳面の上で動いてその経費が計上されている。しかも六割以上加工されたものが経費ということになつているが、こんなものは守られていないということ、これは現地に行つて見るとすくわかる。だれでも見てふしぎに思うことは、十トンの証明をもつて行つて荷物を出すときには、普通どんなまぬけな者が行つても二十トンは持つて來る。こういうことを公然となされている。皆さん監督地位にあられる方が十分目を光らせて監督をしてくださればほんとうに結構だと私は思います。しかもいわゆる非鉄金属とか、特に銀塊なんかは、金配が独占的に扱つていて收拾のつかない問題を提出しておる。これはあなた方の辞任なすつた後の問題ではありますが、せめて後輩にこういう事実があるのだということをお知らせになつて、これからでも遅くはありませんが、十分監督をしていただきたいと思つております。ひとつ御意見だけを聽かしてください。
  689. 細井富太郎

    細井證人 今のそういう実務にはいりましてからは、実は私他に轉勤いたしましたので、御満足のいく御証言を申し上げられぬのはたいへん恐縮でありますが、お話のような筋があるとすれば、まことに同感でございまして、あるいは末端の者の動きにつきまして、十分監督の目が届かなかつた点もあつたのではないかと心配するのでございますが、もしそういうものについて、役所としてどの程度監督をしておつたかという問題につきましては、実行にはいつてから後の、実際の監督担当官を証人としてお喚びくだされば結構かと思います。
  690. 石田一松

    ○石田(一)委員 現在の実際の監督担当官というのはどなたですか。
  691. 細井富太郎

    細井證人 今は清算にはいつておりますが、現在の所管は総務局の物資調整課でやつております。
  692. 武藤運十郎

    武藤委員長 細井証人に対する御質問はございませんか。それでは総括的に三証人に対する質問を許します。
  693. 河井榮藏

    ○河井委員 菅波総務局長にお尋ねしたい。あなたは証言としてバラード大佐からのサゼツシヨンについては全然なかつたようなことを言つておられましたが、今の山地さんと細仁さんの証言では、十分にその点が明らかになつているのです。殊に山地さんのごときは九月の中ごろ、二十四日以前に呼び出されてサゼツシヨンがあつた。そのことは鉱山局長を通じてあなたにも通じているに違いないとはつきり言われている。それをあなたが知らないで、あの当時委員会はずいぶんあなたに質問をしたのですが、それにもかかわらずあなたは知らない。バラード大佐とは委員会で一回会つただけだ。なるほどお会いになつたことは一回でしようが、こういう実情を実際知らぬ、それは知らぬとつつぱられているが、われわれの考えでは、こういう山地さんとか細井さんのごとき下の人が十分知つておられることが、上の人にいくならば、直接そのことにお当りにならないにしても、報告によつてより高い見地からより廣く知つておらなければならないはずだ。ところが上にいくに從つて知らぬ知らぬと言う。これこそ官僚的な責任を回避するようなことではないかと思うのです。われわれ委員会はあなた方のやられたことについて責任を問うているわけではない。この厖大なる物資を処分されるについてどういう手続で処分されたか。どういうわけで五社に独占的にされたか。その事情を明らかにしたい。あなたの責任を問うわけではない。また今もあなた方が前には默つておられて、今度この事実が明かになつた、そのことを責めるのでもないので、その事実をあなた方が知つておられる範囲はつきりしてもらいたいというのがこの委員会の考えなんですから、あなたが今でも知つておられるだけ詳しく話していただきたい。
  694. 菅波稱事

    菅波證人 私が先ほど申し上げましたことについて多少誤解されているのではないかと思います。私が先ほどバラード大佐からそういうサゼツシヨンがなかつたはつきり申し上げましたのは、五社の選定の問題についてのいろいろな御質問の際に申し上げた。これはもちろんバラード大佐が進駐軍側の当局者として日本側兵器を返還することをやつておられたのでありますから、その事務をやる際にバラード大佐から日本側にいろいろなサゼツシヨンなり、希望なり、そういうことは当然私も述べられたことと思いますが、五社の選定については何もそういうサゼツシヨンはなかつたということを先ほど申し上げたのであります。
  695. 河井榮藏

    ○河井委員 おそらくあなたはそう言われるだろうと思つておりましたが、五社の選定についても、鉄鋼については日鉄、鋼管の両渡邊氏に小松氏をという推薦的な話があつた。これは推薦的ではありませんか。事実はともかく形式的には五社選定の上の重大なサゼツシヨンではありませんか。これはあなたは知らないとおそらくおつしやられるのでありましようが、私らの考えでは細井氏がそういうことを知つておられることは、だんだんあなたの方に通じているに違いないと思つている。だから五社のサゼツシヨンについてもこういうことは内容的にあるわけです。
  696. 菅波稱事

    菅波證人 ただいまの日鉄及び日本鋼管の両渡邊氏がバラード大佐に呼ばれたということは、私今まで聞いておりませんでした。その点私全然知りません。
  697. 河井榮藏

    ○河井委員 知らぬと言われれば責任は回避されるのですが、あなたの総務局長としての地位から、あるいは職務からいつて、こういうことは知つておく必要があるのではないですか。ただ知らぬと言つて済みますか。
  698. 菅波稱事

    菅波證人 報告は私は受けておりませんので……。
  699. 河井榮藏

    ○河井委員 ここにおける証言については、それは知らぬと言われればいいのですが、あなたが総務局長としての任務としてそれで済むでしようか。われわれはそういう点について非常に不可解に考えているのですが、結局これを五社に選定されるについては、他に大きな力が動いて、たとえば小松氏とか、あるいは先ほど中野委員から執拗に問われましたが、淺野良三氏というような人が運動してきましたのではないだろうかという考えをわれわれは深くもつているのです。そういうことはあなたの責任でないのですから、そういうことであなたがお知りになつておれば、できるだけのここで話していただきましよう。
  700. 菅波稱事

    菅波證人 私も知つていることは申し上げて御協力申し上げたつもりでありますが、ただいまの問題で私が聞いておりますのは、小松隆氏が進駐軍の方にいろいろ運動してこの兵器拂下げてもろうようになつたということは聞いておりました。しかし淺野君は……。
  701. 河井榮藏

    ○河井委員 お聞きになつておる。前にちつともそういうことは話さなかつたですね。そのことを聽きたかつた。それが肝心なことなんです。
  702. 菅波稱事

    菅波證人 質問なさらないから言わなかつた……。
  703. 河井榮藏

    ○河井委員 質問しなくても、小松さんをどういう関係で知つているか、小松さんとどういう関係があるかということを聽いたでしよう。今あなたがおつしやつたように、小松氏が運動して、五社に下げるようになつただろうということは、重大な事実なんです。——そうすると小松隆氏が運動されて……。
  704. 菅波稱事

    菅波證人 それは私が総務局長就任いたしまして、兵器処理仕事を扱うようになりまして、部下の者からそういうことを聽いたことがあります。
  705. 河井榮藏

    ○河井委員 どういうふうに聽かれましたか。
  706. 菅波稱事

    菅波證人 兵器拂下げになつて、今準備を進めておるというようなことを部下から報告を受けまして、そういうことになつたの小松隆氏が進駐軍の方にいろいろ折衝された結果になつたというふうに聽いております。
  707. 河井榮藏

    ○河井委員 そして五社の点については……。
  708. 菅波稱事

    菅波證人 五社の件は立案ができまして、私のところへその決裁をとりにくるときに、その五社を選定したことを聽いたのであります。
  709. 河井榮藏

    ○河井委員 小松氏の推薦によつてですか。
  710. 菅波稱事

    菅波證人 そうではありません。先ほど申しましたように、五社の選定はこういう標準で選定した。それで五社が最も適当であるというふうに説明を受けたわけであります。私もそれに同意したわけであります。
  711. 河井榮藏

    ○河井委員 それに小松氏が向うとの連絡をとつてつたという……。
  712. 菅波稱事

    菅波證人 そこまで私は全然そのときは聽きません。五社の選定はこういう標準で日本側事務的にまとめたものだと聽いております。
  713. 河井榮藏

    ○河井委員 形式は日本側でむろんきめたのですが、日鉄や鋼管の両渡邊はやはり小松氏からお話があつたのでしよう。
  714. 菅波稱事

    菅波證人 それも先ほど細井証人が申しましたように、進駐軍側でその両人を呼んだのは、その会社に任せるというわけではないのです。
  715. 河井榮藏

    ○河井委員 むろん直接進駐軍からこの二社に任せると言うわけはないけれども、そういう名前を出すということは、重大なサボツシヨンではないですか、命令じやないですけれども……。
  716. 菅波稱事

    菅波證人 私の想像では、この両氏は当時鉄鋼統制会の会長、及びもう一人は鉄鋼統制会の役員でありましたが、そういう鉄鋼統制会の役員という意味でやつたのではないかと思います。
  717. 河井榮藏

    ○河井委員 そうすると、要するに小松隆氏が運動して、大体においてこういうようになつたとは、あなたも御承認になりますね。
  718. 菅波稱事

    菅波證人 知つております。
  719. 河井榮藏

    ○河井委員 その程度でよろしうございます。
  720. 山地八郎

    山地證人 ちよつと私先ほどお話がありました私がバラード氏に会いました日取につきまして、未だに正確な記憶がありませんが、多分九月の下旬だろうと記憶しておるのであります。それで先ほども細井証人からお話がありましたように、九月の二十四日に正式にメモランダムが出ておるわけであります。その当時それを知つてつたかどうか不正確な点からして、月末になりましたか、今のは九月の上旬でありましたか二十日ごろでありましたか、その点をちよつと私正確に記憶がございませんけれども、ただいま御発言になりましたように、二十四日前にバラード氏に会いましたというその点は、正確な記憶がないということを申し上げておきます。
  721. 河井榮藏

    ○河井委員 日時でしよう。
  722. 山地八郎

    山地證人 はあ。
  723. 河井榮藏

    ○河井委員 それは結構です。
  724. 足立梅市

    足立委員 さつき河井委員から、ちよつと河井委員の思い違いじやないかと思いますので、皆さん方に責任をとつてもらうわけじやない。こういう発言がございましたが、ちよつとそれは考え違いがあると思う。事実関係を明らかにいたしまして、むろんこの兵器処理の事実関係の全貌を明らかにすることが必要なことだろうと思う。それと同時に直接の衝に当られた皆さん方には十分これは政治的なあるいは法律的なまた管理者としてのそれぞれの責任をとつてもらわなければならぬし、眞実に反したことを言えば、僞証の責任はとつてもらわなければならぬ。責任をとらない意味において事実関係を明らかにするという意味じやないように私はこの委員会では考えますので……。
  725. 武藤運十郎

    武藤委員長 それはそういうふうに了解しております。
  726. 河井榮藏

    ○河井委員 責任をとられることを目的として調べるというのじやない……。
  727. 武藤運十郎

    武藤委員長 河井君、ちよつとその点は思い違いですね。
  728. 河井榮藏

    ○河井委員 私は責任をとらせるために糾明し、証人と話をしておるという意味じやないのです。事実をあくまでも闡明したい。
  729. 武藤運十郎

    武藤委員長 事実を闡明すれば、同時に責任の所在を明らかにするのですね。
  730. 河井榮藏

    ○河井委員 もちろんその間に刑事上の問題が起きたり、僞証の問題が起きたりはする。
  731. 武藤運十郎

    武藤委員長 それらが政治的に責任を負担してもろうこともあり得ます。ですから御出席を願つた証人も全然五社というものの責任は別ですけれども、この問題に当られた人については、事実を明らかにすると同時に、われわれは結論において責任を明らかにするという目的をもつておりますから……。
  732. 河井榮藏

    ○河井委員 むろん、そうです。
  733. 武藤運十郎

    武藤委員長 この点は河井君と私の考えで違つておりますから、今足立君の御意見のように御訂正願います。どうかさよう諸君にも御了承願いたい。
  734. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 今菅波さんが言われた小松氏がいろいろとこの運動をして、兵器拂下げをしてもろうようにやつてつたということを部下から聽いたと言われましたね。これは間違いないですな。
  735. 菅波稱事

    菅波證人 はあ。
  736. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 その部下というのはだれですか。
  737. 菅波稱事

    菅波證人 それは当時私の下で兵器処理関係を担任しておりました大堀事務官です。
  738. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 大堀弘という人ですか。
  739. 菅波稱事

    菅波證人 そうです。
  740. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 その方がそのことを言つてつたという、ここにおられる二人はそういうことは言いませんか。
  741. 菅波稱事

    菅波證人 この問題でこの二人の方と当時私は直接話をしたことはございません。すべて大堀事務官を通じて報告を……。
  742. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 今でも大堀事務官はおるわけですね。
  743. 菅波稱事

    菅波證人 おります。
  744. 橋本金一

    ○橋本委員 菅波証人に一つ伺います。先ほどの証言の中に小松委員長の指名はあなたがせられたようなお話であつたが、殊にまだ委員会が結成前であつたが、四囲の事情並びに非鉄金属の振合いの関係等から、小松氏が適当であるというので、あなたが他のことはあまり関係はない、知らないけれども、この問題に関する限りはあなた自身が指名したような話で、なお細井証人の言でみますと、統制会において大体日鉄並びに日本鋼管に決定をし、その後委員会を組織して、委員会によつて小松氏を委員長として適当として推薦をした。こういうふうに聽くのであります。両者はどちらが眞実であるか、はつきり伺いたい。  なお一つは先ほど山地証言によりますと、最初呼ばれて行かれたときに、はじめて飛行機を返還することに対する民間委員会を設けてもらたいというので、赤い話もなく、漠然たる話で帰つてきた。しかしてそれを鉱山局内におる鉄鋼課と相談をして、いずれその方にも関係を生じてくるのであるから、この鉄鋼課に呼びかけて、鉄鋼関係と非鉄関係との委員の選択に当つて、一週間後にはじめてその報告をした。こういうようなお話であつたのであります。ところが山地証言でありますと、最初バラード大佐の方へ日鉄並びに日本鋼管の両渡辺に対する話があつて、それによつて初めて相談をかけられて、それから初めてむしろ非鉄金属の方へ、非鉄課の方へあなたの方から呼びかけて、積極的に委員会結成に対する準備を進めたという言葉であつた。非常にここに相違をきたしておる。最初の出発点が根本から異つておる。この点がどちらが眞意であるか、私どもはこれを決定づけるのに委員会としても困るのであるが、そのときの状況を、今申し上げた点に対する御回答を願います。
  745. 細井富太郎

    細井證人 鉄鋼部門に最初話されておつて、それから非鉄金属も当然はいる、兵器といえばそれも部門にはいるからということで、それもバラード大佐の方に何らかの方法で確められたと思いますが、それで非鉄金属の方は並行して人選をしてもらわなければならぬというように私どもは考えておつたのでありますが、その当時すでにバラード大佐の方では当然鉄鋼と非鉄金属はあるのだからということで、非鉄金属非鉄鋼属で鉄鋼に話すと並行してまたそういうお話があつたというようになつてつたのかもしれないと思います。私の記憶によれば、鉄鋼の両渡辺さんが呼ばれてそういう話を受けて來られたので、非鉄金属は一体どうするのか、それもはいりそうだということからこれは相談してきめなければいかぬことだというので進めてまいつたのでありますが、あるいはそういうことと並行して、非鉄非鉄で、またバラード大佐に呼ばれたということがあるのかもしれませんが、その点は私ども存じないわけであります。鉄鋼部門から非鉄金属もはいるそうだというので、それではひとつ一緒に相談してやらなければならぬということでもつてつたでありまして、並行してそういう交渉が進められておつたかどうかということは山地証人からお答え願いたいと思います。
  746. 山地八郎

    山地證人 私の方を申し上げますると、記憶はつきりいたしませんが、バラード大佐から示唆を受けて帰りまして、関係の鉄鋼課に相談をしたのであります。その当時のことをいろいろ前後を考えてみましても、時間的に少し鉄鋼関係の方が先に話が進んでおりまして、それから時間的には少し遅れて航空機の解体の問題がきて、エージエントを設けてそれにやらしたらよいのではないかというようになつたものと思つております。そうして両方で相談しまして、二社が鉄鋼関係の方で上つてまいりました。私の方で軽金属の三社が上つてまいりました。こんなふうな形になつたのではないかと思います。
  747. 橋本金一

    ○橋本委員 そうすると、最初呼ばれて帰つてきて、鉄鋼関係に呼びかけたということは間違いでありますね。
  748. 山地八郎

    山地證人 最初呼ばれて帰つてまいりまして、私の課で軽金属の方の三社をきめましたが、これは先ほど委員長にもお話申し上げましたように、バラード大佐お話の中にも、鉄の関係ではそういつたエージエントはできておるが、そういうふうなものを考えたかどうかということでありましたので、鉄の方にも相談しました。すると鉄の方では日鉄、日鋼計画が進んでおるということで、軽金属の方もそれに加わつた、こういう経過だつたと思います。
  749. 橋本金一

    ○橋本委員 先ほどお尋ねしました小松氏を委員長に推薦したその契機でありますが、先ほどの菅波証人お話では、小松というその人もあまり無関係のようであり、バラード大佐とは全然未知な関係にあつたようお話であり、しかも河井氏の質問に対してはすでに御承知のような樣子もあり、その間が判然としないということである。小松委員長の推薦経緯については根本から細井証言とは相違しておる。その間は御証言願えませんか。
  750. 菅波稱事

    菅波證人 お答え申し上げます。小松隆氏を私のところに呼びましたのは、先ほどいろいろ適任であつたというようなことのほかに、四囲の情勢上も大体そういう空氣ができ上つてつたというふうに申し上げましたが、それがつまり細井証人の申し上げました統制会あたりの会合ですでに小松氏がいいだろうということになつてつたということを指して実は申し上げたのであります。そういうもくろみができましたので、当時の部下が私のところにまいりまして、こういうことになつているから日本政府側としても小松氏にやつてもらうように手続をとつたらいいだろうと部下から言われて、それではそうしようということになつて小松氏を私のところに呼んで、私からお話したという経過でございます。
  751. 橋本金一

    ○橋本委員 委員会がまだ結成前であり、しかも先ほどからいずれの質問に対しても、みずからは何の信念もなく、ただ部下部下がと一々部下責任を轉嫁しておいでになるが、一部下の話によつて、実際小松氏がどういう立場にあるかというような深い関係ない者——あるいは委員会がまだ未結成であるが但し非鉄金属と一つの組織体になるということははつきりしておつて、両者の調和をはかるために小松氏を推薦したのだと、こういうお話であつた。いまお話を聞いておりますと、統制会で大体そういうような話があつたと言うておられますが、統制会で話があつてもまだ委員会を結成しておらぬ前である、その後において委員会が結成され、しかも委員会で推薦したということをはつきり言うておられるにもかかわらず、委員会が結成しない前に統制会の一つの風聞をもつて、ただちに当時の責任ある総務局長としてさような軽率な、しかも專断にみずからが推薦をするということはわれわれはどうもそれを眞実に受取ることができない。むしろそこに何か情実的な関係が生じて、推薦というよりも委員会小松氏を推薦するか斡旋する暗示をそのときあなたは與えられたのであつて、確定的にそういう権限であなたが委員会を結成しない前に小松氏を推薦する責任をもつているかどうか。むしろ委員会小松氏を委員会とすべくいろいろと情実的な、そこに内輪話のうちに内示をしたのではないか、それが委員会に現われてきたのではないか、かような疑いをもたれても私は弁解の余地ないであろうと思う。委員会結成前にあなたがどういう責任をもつてそれだけの推薦をしたのであるか、どういう権限でその推薦をするのであるかということがはつきり私どもには受取れない。しかも、その当時、私はあなたの回答に疑問をもつているときたまたま今細井氏の証言によれば、推薦の理由はつきりしてきている、委員会において決定したのだ。そのいきさつはどういうふうになつているのですか。なお一應明快な御証言を願います。
  752. 菅波稱事

    菅波證人 私が小松氏を呼んで話をいたしましたのは委員会のできる前でございました。ですから、私としましては、私が委嘱してその委員長になつてもらうというそういう意味での話でなく、委員会でこれは選挙すべきものであるという前提のもとに、その選挙された場合に引受けてやつてもらいたい、またはこの仕事は非常に大事な仕事であるからこれをりつぱにやつてもらいたいということをお話し申し上げたのであります。私がむりやりに委員長にするというように話したものではございません。また先ほども申し上げましたように、私としては小松氏はそれまで全然知らぬ方でありまして、そのとき約束していただきましたときに、初めて会つた。そういう方でありましたけれども、その前に先ほど細井証人の言われましたように統制会あたりで関係の五社が集まつた席上で小松氏が適任であるがといつたようなことに大体なつているというようなことで私からも話したのであります。
  753. 橋本金一

    ○橋本委員 先ほどの証言によりますと、今お話になつたよう小松氏とはあまり関係も何もない。むしろ未知なくらいである。しかし統制会の問題は出ておらないのでありますが、たまたま細井氏の証言の中に統制会の問題が出てきてそこへ結ばれたのであります。それについてはしからば統制会がこういうような情勢にあるから内諾でも與えてくれというような何者かによつてあなたは指示を受けてそういうような処置をとられたのであるか、一應お聽きいたします。
  754. 菅波稱事

    菅波證人 そういうような指示も何も私は受けませんでした。それから統制会でそういうことがあつたということも実はそのとき部下からの話では詳しく聽いておりせん。今実はこの席でその内容を詳しく聽いたのであります。そのときの部下からの話ではもう業界の空氣はそういうようになつているということを聽いたのでありまして、こまかい話はそのときは聽いておりません。今ここではつきりいたしたのであります。
  755. 橋本金一

    ○橋本委員 いくら押問答をしても同じことですが、統制会の樣子も責任のある者から実情を別に聽いたわけではなくして、部下から單に一應聽き及んだことによつて、この重大な委員会委員長を大体内示するとか、今内示と言はれたが最初の言であるとあなたが指名をしたのだとはつきりそう記憶にも殘つております。この責任ある委員長に統制会からもあるいはまた委員会の結成前においてただ一片の部下の話というのですが、風説そのものをもつて、殊に小松氏とは何ら関係のないその方が小松氏の実際人格であるとか、小松氏の從來の経歴であるとか、小松氏そのものをどの程度つておいでになつたか知りませんが、一面識ない者をもつてただちにこの重要な委員長に指定するのであるとか、呼出してお話になる。しからば直接関係をしておつた当時の細井鉄鋼課長もあり、責任あるものがあつて初めて一應の内部的事情調査の上、さようなことをせられたならともかく何ら責任もない一片の風聞によつて小松氏を呼ぶということによつて私どもは一つの疑点を抱かざるを得ないのであります。その結果が委員会結成の上に、また本人の委員長と相なつてきたのではないかと考えざるを得ないのであります。その点において先ほどからあなた自身も申しておる、まつたく何ら知らない小松氏である、それを一片の部下の風聞によつて委員長としての指定をしたという点に問違いないわけですか。
  756. 菅波稱事

    菅波證人 私はそのとき部下から受けました説明を聞きまして、その説明の内容を單なる一片の風聞というふうには考えませんでした。平素から非常に信頼している部下でありますし、また事務的にも非常にきちんとよくやる部下でありましたので、まつたく私は信頼いたしておりましたので、その説明に同感いたしたわけでございます。
  757. 辻寛一

    ○辻委員 細井証人に資料の提出を要求したいのでありますが、軽金属の部門におきましては、先ほど山地証人大会社の比較表と申しますか、三社選定の基準になつた点についての参考として資料を出していただくように要求して承諾を得たわけであります。鉄鋼の部門におきましてもまたたとえば川崎重工業あるいは大同製鋼とか相当の大会社もありますから、それの規模作業能力、そういつたものを一遍比較檢討したいと思う。今地位がお変りになつておるかとも思いますが、從來関係もありますから、そうした資料を出していただくように要求いたします。
  758. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると辻君のは、先の非鉄金属について山地証人に求めたと同じような趣旨でありますか。
  759. 辻寛一

    ○辻委員 そうです。
  760. 武藤運十郎

    武藤委員長 その点おわかりですか。
  761. 細井富太郎

    細井證人 他の業者との作業能力の比較ですか。
  762. 辻寛一

    ○辻委員 そうです。
  763. 武藤運十郎

    武藤委員長 こういうものです。当時日本中に散在した鉄関係について、一、会社名二、設備三、工場及び分工場の所在地四、生産力等こういう状態であります。
  764. 細井富太郎

    細井證人 私在任中に当時戰災を受けました後、各メーカーの作業能力の低下、設備の状況等を調べたものがあるはずでございますので、それを連絡いたしまして、各参考になるように資料につくり上げて提出いたします。
  765. 武藤運十郎

    武藤委員長 では今月中にお出し願います。ちよつと速記を止めてください。     〔速記中止〕
  766. 武藤運十郎

    武藤委員長 速記をとつてください。
  767. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 今の商工省でこれを監視し、指示をしておるということになつておるのですが、それについてあなた方は三人とも知らぬということです。それがどういうわけであなた方毎日商工省仕事をやつておられた方がわからぬのか。その点がなぜ言えないのか。それがふしぎなのであります。いかがでしよう。その点をあなた方はみな知らぬということになつておるのですが、これをだれかがやつておる、どういう形でやつておるということが、これは知らぬはずはないのですが。
  768. 細井富太郎

    細井證人 それは兵器処理班の手でやつてもらうことになりましたために、その後のことを私はタツチしなかつたものですから存じない。但し私は一遍委員会委員選定されたような記憶もございますので、自分は出席しないで代理者が発言したかも知れないが、そこまではいつておるということでございます。
  769. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 私はこういうことです。この中央配分については商工省指示または監督を受ける。こうなつておるのですが、その方法はどういうふうにしてやつておるかということは、兵器処理特別委員会の一回でも構成の中にはいつておられるあなた方ですから——総務局長ははいつてないかも知れませんが、それはどういうわけで、指示または監督をしておるということがわからぬはずはないと私は思う。それがわからぬとおつしやるのはどういうわけか。いろいろな問題があるところからそんなところは知らぬというておく方がいいと言われるのか。またそうではない。何とかに崇りなしで知らぬというのかどうか。ちよつとそのところは満足をしません。どういう方法で指示または監督をしておるということがわからぬはずはない。あなたみずからがやつたやらぬの問題ではありません。商工省が中央配分について價格と物の配分両方についてのこういつたようなわくができておるのですから、これをあなた方がわからないはずはない。また総務局長としてもお知りにならぬはずはないのです。まあめんどうだということなら、それでよろしゆうございますが、おわかりになるなら言つてください。
  770. 山地八郎

    山地證人 私は一、二回、その委員会であるかどうかわかりませんが、出たことを記憶しております。たとえば戰車を改造してトラクターにするという計画、あるいは資材を変更して農機具をつくるとか、そんなふうなものが項目別に事務局からいろいろな案として出てきまして、それは連合軍から返還された趣旨にかなつておる、こういう用途に使われれば便宜である、よろしいであろうということをわれわれが委員として出ておりまして承認するだけです。そういう委員会に出た記憶があるのであります。そういつた委員会仕事を通じまして、解体、処理された兵器が正しい方面に配給されるようにわれわれが指示する、そういつたことになつてつた記憶するのであります。  それから先ほどのバラード大佐の件について、委員長に申し上げたいのでありますが、先ほど繰返し申し上げました通り、私はバラード大佐にお目にかかりました時期については記憶が薄いのであります。はつきりした正確な記憶がありませんので、それを申し上げておきたいと思います。それからバラード大佐の言われましたことの大体の要領を私が理解したことは、私が先ほど申し上げた通りでありますが、大佐のお言葉その他一切のことは記憶しておりません。私が了解した範囲についてだけ申し上げたのであります。その点については相違ないと現在では記憶いたしております。
  771. 菅波稱事

    菅波證人 先ほどの特別委員会のことにつきましては、どうも私記憶はつきり残つておりませんので、間違つたことを申し上げるかもしれないという氣持で実は申し上げたのであります。大体の私の記憶といたしましては、根本的には價格は公定價格で処理する。そこから出た物資は原則としてその物資の統制機関に引渡すという根本方針で動いておつたと思うのであります。さらにこまかくはどういうふうにやりましたか、私も一月上旬には轉勤いたしておりますので、よく存じません。それでああいうふうに申し上げたのであります。
  772. 武藤運十郎

    武藤委員長 それではこの際皆さんにお諮りをいたします。本日なお証言を求めることになつておりました小松君は、これを明日に延期いたたしいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  773. 武藤運十郎

    武藤委員長 では本日はこれにて散会いたします。     午後八時三十七分散会