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1948-07-03 第2回国会 衆議院 不当財産取引調査特別委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年七月三日(土曜日)     午後三時二十六分開議  出席委員    委員長 武藤運十郎君    理事 鍛冶 良作君 理事 田中 角榮君    理事 辻  寛一君 理事 梶川 靜雄君    理事 河井 榮藏君 理事 荊木 一久君    理事 小松 勇次君 理事 中野 四郎君       石田 博英君    尾崎 末吉君       高橋 英吉君    平澤 長吉君       明禮輝三郎君    足立 梅市君       佐竹 新市君    山中日露史君       椎熊 三郎君    橋本 金一君       吉田  安君    田中 健吉君       中村元治郎君    本田 英作君       宇都宮則綱君    徳田 球一君  委員外出席者    佐世保地区における隠退藏物資等に関する    事件について出頭した証人                 佐藤 麻男君                 吉永  透君                 松本 長藏君                 井上 正清君     ————————————— 本日の会議に付した事件  佐世保地区における隠退藏物資等に関する事件  小委員補欠選任に関する件     —————————————
  2. 武藤運十郎

    武藤委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。兵器処理調査小委員及び復興金融金庫融資状況調査小委員が欠員となつておりますので、山中日露史君、橋本金一君、野本品吉君を兵器処理小委員に、小松勇次君を復興金融金庫融資状況調査小委員に指名することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではさようにいたします。     —————————————
  4. 武藤運十郎

    武藤委員長 本日出頭証人は、佐藤麻男さん、吉永透さん、松本長藏さん、井上正清さんですね。  本日御出頭を願いましたのは、当委員会におきまして、かねて佐世保市を中心とする隠退藏物資の不正不当処理問題の調査をいたしておるのでありますが、この問題について諸君の御証言を得るためであります。  証言を求める前に各証人に一言申し上げます。昨年十二月二十三日公布になりました昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことになつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、一般の人については、証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項、あるいはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するときに限られ、医師歯科医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者については、その職務知つた事実であつて、默秘すべきものについて尋問を受けたときに限られております。右以外には何人も宣誓または証言を拒むことができないことになつておるのであります。なお証人が正当の理由なくして宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人虚僞の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一應このことを御承知になつていただきたいと思います。  なお吉永さん、佐藤さん、両檢事に関しましては、法務廳から、宣誓をしないで、事情聽取というような趣旨で聽いてもらえないかという申入れがございますけれども、当委員会におきましては、一應宣誓をしてもらいまして、証言を求め、万やむを得ないものにつきましては、後に宣誓なしで伺つてもよろしいと思います。さよう御承知を願います。  それでは法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。御起立の上、朗読してください。佐藤さん、代つておやりください。     〔証人佐藤麻男君各証人を代表して宣誓〕     〔各証人宣誓書署名捺印
  5. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは佐藤さん、吉永さん、松本さん、井上さんという順序でお話を伺いますから、佐藤さん以外の三名はしばらく別室でお待ちください。  佐藤さんにお伺いします。あなたの現職は。
  6. 佐藤麻男

    佐藤證人 私は長崎地方檢察廳檢事として勤務しておりましたが、本年一月、福岡地方檢察廳檢事直方支部勤務の発令に接しました。同時に長崎地方檢察廳檢事事務取扱を命ぜられ、爾來今日まで長崎地方檢察廳において隠退藏事件処理に從事しておるものであります。
  7. 武藤運十郎

    武藤委員長 佐世保におきまして隠退藏物資摘発をなさつたことがあるそうですが、佐世保船舶工業株式会社略称S・S・Kにつきましてあなたが担任せられたのですか。
  8. 佐藤麻男

    佐藤證人 そうであります。
  9. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは摘発しますについての動機、摘発せられた物資種類と総トン数、隠匿せられておつた場所等そういうことを主として、当時の事情をやや詳細に述べてください。何か参考書類をお持ちでありましたならば、適当にごらんになつてよろしゆうございます。
  10. 佐藤麻男

    佐藤證人 本年の二月中旬でありました。私がただいまも申し上げました通り直方支部に轉勤を命ぜられましたので、赴任すべく準備をしておりましたところ、佐世保から私に面接を求めてきて隠退藏事件申告をされたのであります。その申告の内容は、佐世保船舶工業株式会社構内に約一千万円くらいの隠匿物資があるからすぐ摘発をしてもらいたい、なおそれについては相当の褒賞ももらえるかというような申告があつたのであります。そこで当時の岡本檢事正にその旨報告をいたしたのでありますが、君はいよいよ向うに赴任することになつておるが、この事件だけ少しやつて、そのものがあるかどうか確めてくれないかという話がありました。そこでその申告者の取調をなし、摘発準備をしておりましたところ、佐世保の方からまたその申告者がやつてきまして、佐世保の三十四連隊の方でこれの摘発を始めたようでありますから、ぜひ早くやつてもらわないと隠匿物資を全部摘発されてしまうというようなことの話がありましたので、私の方では長崎軍政部にその旨報告をして、長崎軍政部民有財産管理課協議の後、管理課長三枝さんと一緒になつて同月十五日に佐世保に赴いたのであります。最初申告した人がその隠匿の事実を現認したものでないということを聞いたので、現認者の出頭を求めて十六日の朝取調べをなし、確証を得ましたので、三枝氏とともにS・S・Kの構内行つたのであります。構内に着いてみますと、すでに事務所の裏の用水溜の中から隠匿されていた物資を出しており、摘発を回避しておりましたので、さらにはたして三十四連隊においてこれを摘発しておるのかどうかということを確かめることになりまして、佐世保軍政部の出張所において、私吉永檢事会社側から取締役の名前は忘れましたが、その方と井上資材課長の四人が出頭しまして、向うからいろいろ話を聽かされ、結局ミラー氏から、檢察廳の手によつてこの摘発を進めてくれ、三十四連隊が立入禁止をしていた札は取除いて、私の手によつてこの隠匿されておる物資を全部あげて、事件処理を完結してくれということになりましたので、爾來構内における物資摘発を進め、同月十八、九日ごろまでに大体あげましたものは、鉛バラスト五百五十七箇、二十七トン八百五十キロ、亞鉛バラスト五百一箇、三十トン、電氣銅三千四百五十九枚、四十三トン、八百六キロ八百五十、亞鉛地金二千五百九十二箇、五三トン〇四五キロ二〇〇、故銅地金二百九十三箇、三トン〇四一キロ六〇〇、ニツケル地金、六トン一四七キロ四〇〇、フエロクローム地金、四トン三一〇キロ、赤鉄鉱九トン、七百九十六キロ、アンチモン地金三十キロ、マンガン鉱二十五キロ、鳩目二百三十五キロ、電線三十束というものを押收したのであります。これの價格合計しまして、大体公定價格推定價格という点で、四百八十一万二千百七十二円相当價格と見ております。それではただいまの物資がどういう場所から出たのか、S・S・Kの構内から出たのか、構内でなくて他の方から出たかという点になりますれば、私ども捜査の結果によりますと、ここに図面をもつておりますが、S・S・Kにおいて使用許可されて使用しておる地域内のみから出ております。一々申し上げましようか。
  11. 武藤運十郎

    武藤委員長 場所を大体お話しください。
  12. 佐藤麻男

    佐藤證人 最初申しました第一番に、総合事務所の裏の防水溜二箇所、井戸、これはS・S・Kの事務所のすぐ裏になつておりますので、そこから最初のが出ております。今の場所から出ましたのが鉛バラスト亞鉛バラストで、私どもが行つて出したのであります。次に構内移動工場の中から電氣銅が三千五百十九枚出ております。それから事務所のすぐ通り向い側倉庫の中に亞鉛バラスト五百四箇、亞鉛地金大型百四十三枚、同小型二百四十一枚、電氣銅百四十枚、銅地金大型百二十箇、同じく中型百十五箇小型五十八箇、これは倉庫の中にしまわれておりましたが、最初申しました防水溜井戸の中にあつたものをすでに掘り出して、それを外に運んであつたのであります。次に第三船台の上にありましたのが亞鉛地金二千二百八枚、四十四トン、百六十二キロとなつております。これは高い小山のように積み上げられた廃艦の屑鉄、鉄板その他のものが山のように積み上げられておりまして、その山の上の方に駆逐艦艦底がのけてありました。その艦底の中に、今申しましたところの亞鉛地金を置いて、その上に廣い鉄板を五、六板かぶせて隠匿してあつたというものを掘り出しております。それから総合事務所の東側の防空壕内を捜索しまして、そこからニツケル地金フエクローム地金赤鉄鉱アンチモン銅地金電氣銅線、こういうものが出ております。次に機械工場内を捜索しまして、そこから鉛バラスト百二十箇、亞鉛バラストなどが出まして、合計しますと、先ほど私が本件証拠として一應押收いたした、こういう押收の目録該当数量がここに出ておるのであります。これが第一回の大体の捜索状況であります。
  13. 武藤運十郎

    武藤委員長 その捜索には今参りました工場長その他は立会いましたか、ずつと一緒に。
  14. 佐藤麻男

    佐藤證人 立会つております。特に井上資材課長は終始立会われて、本件捜索にはよほど協力してくれているわけであります。
  15. 武藤運十郎

    武藤委員長 それから第二回目は……。
  16. 佐藤麻男

    佐藤證人 第二回目には私が直接行つておりません。二回目は二十三年五月十四日より同十五日までの間、同会社構内において、長崎地方檢察廳佐世保支部檢察官事務取扱檢事免出礦が、事務官三名を帶同し、資材課長井上正清その他の立会のもとに捜索を遂げたのでありますが、捜索場所利材係作業場内地下室機械工場横井戸営繕作業場作業倉庫横水槽防火用水溜、この表の中にいろはで場所を示しております。捜索利材係作業場内地下室から開始した。利材係作業場はもと設備工場にして、修理船舶繋船池第二岸壁より南西約十五メートルに位する木造鉄骨平屋建であつて、同屋内の東北の端にある深さ四メートル、間口二メートル、奥行八メートルの地下室内捜索したのに、約半分が砂に埋つており、どういうものが出たかと申しますと、鉛四十七箇、四トン二百九十一キロ、鉛九箇、十四キロ六百、亞鉛地金箇二十キロ白色合金二箇八キロを発見しました。次に機械工場横井戸捜索した。井戸コンクリート造りの縦二メートル、横一メートルの楕円形にして、地上より約一・五メートルのところまで水が溜つていたので、消防自動車で排水したるに、下の方は直径約二メートルの円形に拡つていて、深さ約三メートルの所に大小の石が底面に堆積され、一見そこに何かが隱匿せる跡が歴然としておりましたので、ただちに一メートル近く積重ねてある石を取除いたところ、亞鉛地金表面にE・M・C、と彫りつけてあるもの、三井鉱山株式会社製、三百五十七枚、七トン百四十キロを発見した。次に営繕作業場作業倉庫横水槽防火用水溜捜索した。水槽は縦二メートル、横一メートル、深さ一メートルのコンクリート造りにして、表面にはかんな屑ぼろ布等汚物を堆積しあるので、取除いて、鉄板を蔽つてあるその下から、亞鉛地金十一個、もう一つ種類違つた亞鉛地金八十一個、青銅五箇を発見し、これらの物件を私の事件証拠として押收いたしているのであります。いずれも場所使用地域内ということになつているのであります。
  17. 武藤運十郎

    武藤委員長 それは免出檢事の取調べ状況を今あなたがお読みなつたわけですか。
  18. 佐藤麻男

    佐藤證人 そうであります。このときただいま読んだ通り報告を受けて、知つておりますので……。
  19. 武藤運十郎

    武藤委員長 免出檢事からあなたに報告があつたわけですね。
  20. 佐藤麻男

    佐藤證人 そうです。
  21. 武藤運十郎

    武藤委員長 その第一回と第二回の摘発で大体お終いになつたわけですか。まだありますか。     〔「二回の價格は……」と呼ぶ者あり〕
  22. 佐藤麻男

    佐藤證人 二回の價格は算定した書類を持つてきておりませんから、ただいま申し上げることができません。なお捜索続行中でありまして、これで終つたという段階に至つておりません。  次に第三回を申し上げます。この第三回は今着手しておりますが、ずつと前から継続して、会社の協力を求めて、会社資材係によつて——どもではこれを法的の隠匿というように申しているのでありますが、事実上今言つたような井戸の中や何かに隠すのではなく、倉庫の中に置いてあるが、届出をしていない。昭和二十一年十一月十四日現在のパイプ類措置規則に基く報告義務違反、と申しますのは、二十一年十一月十四日現在にあるところのパイプ在庫量報告をしたかどうかという点の捜査が、本年の六月十八日現在をもつて應会社側申出をここに受理しているわけであります。それから申しますと、品名は鋼管、昭和二十一年十一月十四日における保有量は六十六トン百二十七キロ、その價格は七十二万七千三百九十七円、これをただいま申しました法令に基いて主務長官報告した数量は十八トン百四十四キロ、價格は出ておりません。保有量報告数量の差が出ておりますが、それは四十八トン三キロ、五十二万八千三十三円、相当のものが法的に隠匿をされ、なおしていると、私どもは現在までの捜査段階では、そういう数字に達しているわけであります。  次に昭和二十二年一月二十五日現在における指定生産資材所有量報告量との相違一覧表というものを求めておりますが、これによつて見ますと、やはり私どものいう法的隠匿、この中で主務大臣に対する報告をなしているのが型鋼五一・七三トン、亞鉛一六七トン、カーバイト五、九八〇トン、丸太三三〇石製材七〇石というのみ報告しておいて、全然報告をなさなかつた分野一般用炭、コークス、棒鋼、厚板、薄板、線材、銅、鉛、被覆電線、塩酸、ピツチ、セメント、一般洋紙麻織物というようなもので、二十二年一月二十五日における所有量は、これは数量はいろいろ種類が違いますので、数量合計を出しておりませんが、價格によりまして、二千二百七十四万八千九百九十一円相当のものを保有しながら、先ほど申しました分野報告をなし、所有量報告量との差は一千九百十四万二千十五円相当法的隠匿物價格をここに算定しているのであります。なおさらに私どもの六月十八日現在で大体まとめておりますことから申しますれば、第一回に二月に摘発いたした分までも含むのでありますが、ただいま申し上げました型鋼丸鋼電氣銅、こうたくさんありまして、價格合計で八百四十九万三千三百六円相当、こういうものはS・S・Kが正式に特殊物件として、またその他の他律上の正当な手続を経て保有しておつたかどうかという点が、なお今後とも私どもによつて檢討しなければならない、一應正式に保有されていないのではないかという容疑のあるものでありまして、日本政府に返還されて、返還されたものを公時の特殊物件拂下手続を経ているのか、あるいはなお返還されていないものかというような分野に、容疑の点のある分もここにまとめ上げまして、大体その数の確定が出ているわけであります。この一々についてなお搜査は続行されていくわけであります。
  23. 武藤運十郎

    武藤委員長 そういうこまかいことは、あとで書類を見せていただくかわかりませんから……。そこで今度は話の方向を変えましてS・S・Kと北村徳太郎氏との開係について何かお調べなつたか、あるいはお聽きになつたか、ありましたら述べてもらいましよす。
  24. 佐藤麻男

    佐藤證人 S・S・Kの隠退藏事件摘発という私ども職務からいたしますれば、この隠退藏したところの違反事実その他刑法上の犯罪ありとすれば、だれが責任者かということは、どうしても確定しなければ、搜査の結末はできないわけであります。その点に向つてどもは全力をあげて搜査を続けてき、なおこの点についても搜査の途中であります。かような意味からいたしますれば、会社を代表する社長はだれか、取締役はどうかということにつき終戰以來調べをしているのであります。北村徳太郎氏とS・S・Kとがいかなる関係にあるかというお尋ねに対しまして、私の今まで調べました事実を一應申し上げます。  北村徳太郎氏は、昭和二十一年九月二十日、東京日本橋区室町三井本館内において開催された会社創立総会取締役に選任せられ、同年十月一日登記も済ませましたが、昭和二十二年七月二十八日、会社東京本社会議室で第十回取締役会が開催せられた際、同会社定款第二十七條規定に基き出席取締役互選により代表留締役社長に選任せられたのであります。この取締役会に出席した役員は、常務取締役塩津英薫取締役北村徳太郎、同澤山信吉、同辻清、同高田透、同法村吉平、同青木省二郎常務監査役上村支繁、同水谷長太郎相談役山縣勝見嘱託北川政の諸氏で、塩津常務取締役議長となり、第五十一号社長選任の件と題する議案を提出し可決されたのでありますが、当時の議事録によりますと、「占部五郎氏六月二十三日社長辞任において後任社長選考委員会を組織し、同委員会において責任者を公平に推挙することになり……。」
  25. 武藤運十郎

    武藤委員長 今あなたがお読みになつているのは何ですか、たれかの聽取書ですか。
  26. 佐藤麻男

    佐藤證人 そうです。佐世保船舶工業株式会社文書課長について調べまして、その調べた事実関係を申し上げておるのであります。  「本年七月二十一日東京本社において選考委員会開催の結果、北村徳太郎氏を社長に推薦することに満場一致決議し、同委員会よりその旨申出があり、よつて定款第二十七條規定に基き、出席取締役互選により、北村徳太郎氏を代表取締役社長に選挙し、同氏就任を承諾した、」こういう記載があるのであります。ところが昭和二十二年十二月二十二日当会社の開催された十二月の常例取締役会において、北村徳太郎辞任の件と題する議案を提出され、その議事録によりますと、「今般代表取締役社長北村徳太郎運輸大臣就任に相なりたるため、十二月三日附をもつて辞表を提出ありたり。会社としては一應辞表を受理することはやむを得ざるところなるも、今後もできれば同氏取締役として在任願いたき希望なり、可決」という記載があるのであります。同氏は同月会社とどういう関係があるかということにつきましてなお申し上げますれば、やはり私のこの文書課長から聽きとつた事実、北村徳太郎氏は当会社社長就任しましたが、会社運営の実務には当らず、昨年八月二十五日当会社佐世保工場事務所で第十一回取締役会が開催された際は出席しておりません。同年九月二十二日東京本社分室で第十二回取締役会が開催されたとき、初めてその役員会に出席して議長となつて、八十三号議案から九十二号案まで議長として処理をしているのであります。八十三号案と申しますのは、賠償撤去後における工場経営方針、八十四号議案というのは國有財産使用料に関する件、八十五号案奬励加給金内規制定の件、八十六号案見越生産試作品に要する金融について、八十七号は取締役金規定一部改正の件、八十八号は労働協約改訂の件、八十九号は時間外及び休日勤務協定に関する件、九十号は月給一千円以上社員採用の件、九十一号議案復員局労就課從業員採用の件、最後の九十二号案小型潜水艦スクラツプ引揚に関する件という議案を提出し、その他報告事項として十件くらい議長として処理しているという事実があるのであります。  次に同年十月二十七日佐世保市精養軒で第十三回取締役会を開催した際は、ちようど北村社長佐世保に帰つていたときでありましたからして、その会に提出された九十三号、第一回定時株主総会招集の件から百六号佐世保警察官練習所建築費賛成の件まで、合計十四の議案議長として処理し、その他了解並びに公告事生処理されておるのであります。このときの議案を見ますと、九十四号独占禁止法に基く重役退任の件、九十五号退職役員に対し慰労金贈呈の件、九十六号重役選任に関する件、九十七号昭和二十二年下半期事業計画決定の件、九十八号労働協約並びに経営協議会規定に関する件、九十九号定款一部改正の件、百号予備規定一部改正の件、百一号佐世保工場事務所規定の件、百二号大阪事務所長ほか二名採用の件、百二号役員報酬改正並びに從業員給與改正の件、百四号帰還者修理作業に伴う施設費の件、百五号佐世保察賛助の件、百六号は、これは先ほど申し上げた同樣の処理をしておるのであります。こういう申立てを聽取しておるのであります。なお同年十一月二十五日臨時取締役会同日第一回定時株主総会が開催されましたが、北村徳太郎氏は出席しておりません。さらに同年十二月二十二日、東京取締役会が開かれた際辞表を提出しておるのを承認を受けた、こういう調べをしておるのであります。
  27. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうしますと今お話になりましたのは、主として責任を負うべき人はだれであるかということを確定しなければならないという観点に立つて北村氏と会社との関係をお調べなつた、その結果をお話なつたわけですね。
  28. 佐藤麻男

    佐藤證人 大体御趣旨通りでありますが、佐世保最初参りましたときに、佐世保軍政部民有財産管理課ミラーさんから非鉄金属類について、軍政部の方からS・S・Kに対し、非鉄金属類在庫数量報告を求めておるのであります。それは昭和二十二年七月十五日現在の在庫量報告せよ、この報告については日本裁判権には附せないで、軍の裁判によつてこれを処理することになつておるのだ、最初はあるいは軍の方でこの事件全般をやられるような意向でありましたけれども、だんだん話合つたあげく私の方にこの時日もきめて、そして先ほど申しましたいわゆる非鉄金属類においても指定生産でありますものはその指令違反と、なお二十二年一月二十五日現在の指定生産在庫調整規則に基く違反というような一つのものについて二つの競合した違反事実があるというような関係もありましたので、また私ども指定生産在庫調整規則違反あるいはパイプ類臨時措置法違反、こういうような違反なんかがありますから、その指令のほとんど、あるいはこの指令書を出したのが九月二十二日に報告をしておりますので、その報告当時における実体の責任者はだれであるかというような点も含まれて捜査を進められて、今までの段階でただいま申し上げたところの事実を聽取しておるのであります。
  29. 武藤運十郎

    武藤委員長 S・S・Kのいろいろな違反嫌疑について責任を負うべきものは北村徳太郎氏であるということについては、未だ確定した御意見はないわけですね。
  30. 佐藤麻男

    佐藤證人 確定しておりません。
  31. 中野四郎

    中野(四)委員 確定しておるのですか。
  32. 佐藤麻男

    佐藤證人 確定しておりません。なお捜査を続けております。
  33. 武藤運十郎

    武藤委員長 もし北村徳太郎氏に責任がないということになると、たれが責任を負うかということについての目標があるのですか。
  34. 佐藤麻男

    佐藤證人 たれが負うかということを、どうしても確定しなければならないので……。
  35. 武藤運十郎

    武藤委員長 もし北村氏でなかつたならば、ほかにだれが負わなければならぬのだというような、人物をお調べになつておるのもあるのですか。
  36. 佐藤麻男

    佐藤證人 もちろん、私ども職務上からいつて、だれが責任者であるかということについては、おのおのの事案について、結末は必ずつけるわけであります。ただいまはだれかということは、まだその点を重点として捜査を続行しておりますので、申し上げるほど確定しておりません。
  37. 武藤運十郎

    武藤委員長 長崎佐世保出張所長の豊島徳治という人が起訴せられたそうですが、それはどういうわけで起訴せられましたか。
  38. 佐藤麻男

    佐藤證人 実はこの点につきましては、まとまつた資料を持つてきておりません。
  39. 武藤運十郎

    武藤委員長 概略でいい。
  40. 佐藤麻男

    佐藤證人 それでは概略で……。起訴しておる罪名は、臨時物資需給調整法違反指定生産資材割当規則に関しておるのであります。本年の五月九日起訴しております。事実の概要は、二十二年九月ごろ、佐世保市本島町にある西部砂利株式会社から、需要者割当証明書なくして揮発油五千リツトル(ドラム罐二十五罐)、モビール油六百リツトル(ドラム罐三本)を七万九千円余りで買い受けたという事実で、同罪名の請求と同時に、起訴を済ませておるわけであります。
  41. 武藤運十郎

    武藤委員長 諸君、何かお聽きになることがございますか。
  42. 荊木一久

    ○荊木委員 S・S・Kに対する嫌疑事件についてですが、S・S・Kには会社を代表すべき代表取締役は何名で、だれだれになつておりますか。
  43. 佐藤麻男

    佐藤證人 現在ですか。
  44. 荊木一久

    ○荊木委員 いや、本件についての当時の責任者、もしくは代表取締役……。北村徳太郎社長であるということは承知しておりますが、そのほかに会社を代表すべき取締役です。
  45. 佐藤麻男

    佐藤證人 それを申し上げます。昭和二十一年九月二十日に、東京都において創立総会を開き、同年十月一日、設立登記を済ませました。創立総会では、創立に関する事項報告した上、定款の承認をし、取締役並びに監査役を選任しておるのであります。その時の取締役は、占部五郎三枝貞藏、塩津英薫、中村倍治、北村徳太郎、川角五郎、澤山信吉、木村大藏、辻清高田透、古賀源吉の十一氏でありました。
  46. 荊木一久

    ○荊木委員 いや、そんなめんどうなことは伺つていない。互選の結果登記をして、たとえば刑事責任のある会社代表者、あるいは民事責任のある会社代表者、代表すべき取締役があるはずですが、それは檢察廳調べておりますか。その名前だけ伺えばいい。
  47. 佐藤麻男

    佐藤證人 調べております。
  48. 荊木一久

    ○荊木委員 要するに私の伺うのは、両罰規定の適用を受ける場合に、会社と実体的責任者が両罰されます。その場合に代表取締役が出てきます。その意味において私は伺つております。
  49. 佐藤麻男

    佐藤證人 昭和二十一年十月三日に日本橋の出張所からとつております登記の謄本ですが、それによりますと、会社を代表すべき取締役占部五郎三枝貞藏、塩津英薫、中村倍治ということになつております。それではパイプ類処置規則について代表するのはたれかということになりますと、この登記の継続が、二十一年十一月十四日現在において、たれが代表取締役であつたかということは、私の方でおのおのの犯罪についてだれが登記上の代表取締役かということは、今別にまとまつておりません。
  50. 荊木一久

    ○荊木委員 それから、在庫調整規則ほか一件ということを言われましたが、それは私実は内容をよく見ておりませんが、これは実体責任者会社との両罰規定がありますか。あなたのお調べになつておるS・S・Kの容疑事件で、実体的な行爲者と会社とが両罰されるという規定が、その法律にはございますかどうか。
  51. 佐藤麻男

    佐藤證人 あります。
  52. 荊木一久

    ○荊木委員 その場合にはどういうことになるのですか。実体的な行爲者が処罰されると同時に、会社が処罰されるのですか、会社の代表取締役が個人として処罰されるのですか。
  53. 佐藤麻男

    佐藤證人 私ども会社というように考えております。
  54. 荊木一久

    ○荊木委員 そこで、そういう場合には、会社の代表取締役をいかにして檢察廳は選択されますか。会社のことはともかくとして、実体的な責任者が別にある。その場合に両罰規定会社も処罰しなければならぬ。そういう場合に代表取締役の選択は檢察廳でどうされるか。たとえば犯罪の行爲時によられるか、あるいは現在時によるのか、起訴時によるのか。
  55. 佐藤麻男

    佐藤證人 私どもは犯罪行爲の起きた時、こういうように考えております。
  56. 荊木一久

    ○荊木委員 そうなりますと、会社が実体的な責任者である。行爲者が処罰される。これはわかります。会社が併せて両罰規定で処罰される場合に、現にその地位にない者が会社の代表として名前を連ねるということは、法理上あり得ないと思いますが、どういうことになりますか。
  57. 佐藤麻男

    佐藤證人 それはどういう意味ですか。
  58. 荊木一久

    ○荊木委員 実体的な行爲者がございますね。両罰規定に基いて、会社自体を併せて処罰しなければならないという見解をとられる場合がありましよう。その場合に今のあなたのお話によると、会社の代表者の記名というものは、犯罪の行爲時によるのだと言われましたが、そのあなたの考えが分明しません。処罰される行爲者と並びに会社である。從つて会社の代表者として名前を連ねられるのでしよう。そうなると犯罪行爲時が、たとえば今から一年前というと、現在その地位から去つておるという場合は、何を表示されますかということです。
  59. 佐藤麻男

    佐藤證人 だれを代表として表示をするかということですね。それは起訴の時における者です。
  60. 荊木一久

    ○荊木委員 起訴の時における代表者を表示する。こういう見解ですね。
  61. 佐藤麻男

    佐藤證人 代表者を表示しない場合もあります。
  62. 荊木一久

    ○荊木委員 代表者を表示せずに会社だけを表示する場合もある。併せて表示する場合は起訴時における行爲者である。これは嚴密な解釈からすれば、現に代表者たる者を表示するのがあたりまえですね。
  63. 佐藤麻男

    佐藤證人 現にというのは私ども調べておるときですか。
  64. 荊木一久

    ○荊木委員 たとえばそれが裁判に移つた場合に、起訴の時に、あなたがそれを表示された場合でも裁判の結果というものは起訴時に拘束されることはないのですね。
  65. 佐藤麻男

    佐藤證人 会社自体を表示します。
  66. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 昭和二十二年九月二十二日に届出をせられた、今証人が述べられました九州軍政本部の指令は、どういう形になつておるのでありましようか。指令第何号とでもいうものでありましようか。先ほどおつしやつたように、軍の方でやらなければならぬのだということでありますと、軍事裁判にかけられるべきものでありますか。それともポツ勅違反と言いますか、三百十一條の規定にはいつてくるようなものでありましようか。その辺の御見解をお伺いします。
  67. 佐藤麻男

    佐藤證人 私どもが現在まで檢討した結果によりますと、この指令違反は三百十一号違反でないという見解をもつておるのでありまして、この時になされた指令書に基き、特別な軍の裁判に附すべきところの指令違反であり、從つてこの事実は軍の裁判に附すべきものだ。こういうように考えておるのであります。從つて私の方はその命によつて調べをしておりますので、その結果を軍に報告いたします。なお二月に物が上り、さらに捜査が続行され、なお物が、いわゆる非鉄金属類も出てくるのではないかというような考えをもつておりますので、最後にいよいよこれで私ども捜査を終結するという段階に、まとまつた報告書をするつもりであります。現在までにももちろん中間報告として時々報告はしておるのであります。この違反については、日本のいわゆる三百十一号違反、従つて日本の裁判によつてやるべきものでないという見解をとつておるのであります。
  68. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それではその指令書の控えか何かお持ちでしようか。
  69. 佐藤麻男

    佐藤證人 持つております。
  70. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 その指令書の番号はどういうようになつておりますか。ちよつとそれをお知らせ願いたい。
  71. 佐藤麻男

    佐藤證人 「軍事郵便所九二九、昭和二十二年八月九日、九州福岡、九州軍政府本部附属民間財産管理部事務所」宛名は「日本政府九州中央終戰連絡事務局御中」というので、「鉄以外の金属に関する件、一、当本部民間財産管理局事務所において捜査を実施せるも、左記第一項の会社において、第二項の事項に基き、報告を作成するよう指令せられたし」というので、ずつとあげて、その中に「五、長崎佐世保佐世保船舶工業株式会社、当本部民間財産管理局事務所昭和二十二年九月十五日までに必着するごとく直接完全報告せられたし。昭和二十二年七月十五日以降の取材に関する金属の確実なる記録及び処理事項は、当本部民間財産管理局の將來要求する報告の参考のため保管するごとくせられたし。」さらにその次に加えてあるのが、「首題に関する報告には最善を期せられたし。事実相違あるいは虚僞報告をなしたる場合は、昭和二十一年七月十九日附総司令部第七五六号刑事裁判管轄に関する件が適用されるゆえ、念のため申し添う。総司令部第七五六号の寫しを別紙に附記す。カフリン大佐命令、チヤールス・エル・ブツチテル中尉、通信附副官。」これには昭和二十一年二月とある。間違いでないかと思いますが、七月十九日、法務官、総司令部第七五六号、日本政府に対する覚書、東京中央終戰連絡事務局径由、刑事裁判に関する件、日本裁判所は爾後次に掲ぐる犯罪に対し裁判管轄権なきものとす。その中に、三号として引いてあるものによりますと、「占領軍人、法務上占領軍人に所属しまたは附從せる者に対し、その者の尋問せる事項申告を阻害し、拒否し、口答、筆記のいかんを問わず、虚僞の陳述あるいは誤解を生ずべき陳述をなし、あるいはいかなる形式にせよ詐術せる所爲、それは憲兵裁判所は左記宣先の権限を有す。七万五千円を超過せざる罰金、五年を超過せざる重労働、あるいは罰金・重労働の併科、あるいは罰金に代る特別因監、追放、價格七万五千円を超過せざる財産の沒收あるいは差押え、連合軍最高司令官代表。」こういう書類が添附されております。
  72. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 その書類は寫しはもらえませんか。もらえませんでしたら、ちよつと貸していただいて寫さしていただきたいと思います。
  73. 佐藤麻男

    佐藤證人 私の方はS・S・Kからこの寫をもらつておものでありますが、会社にこれがあるのであります。それは実は提出をすべく要求したのでありますが、出さぬのであります。
  74. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それじや後刻お伺いしますから、寫すために貸してください。  念のために伺つておきますが、二十二年七月十五日現在の非鉄金属の届出をしておるかどうかということを、本年の二月十六日にミラー立会いの上でお取調べになつて、その結果、何らそういう届出違反はないということになりまして、それから調査した結果出たもので、非鉄金属届出違反のものが、今までその点に関してどれだけ違反のものがありましようか。そのことを明らかにしたいために、その点をひとつお述べを願いたい。
  75. 佐藤麻男

    佐藤證人 前やつたのは、もうすでにないとして、終つたかということですか。
  76. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 いや、二月十六日から、これが第一回。五月の十四日から第二回。それからあと続いておりますが、今までの間に届出違反檢察廳であなたがお調べになつてつて、どういう物品とどういう数量であつたかということを、ここに明確にしていただきたい。届出違反の事実に対するものと、数量種類
  77. 佐藤麻男

    佐藤證人 昭和二十二年九月二十二日附で九州軍政本部にS・S・Kから提出しておる今の報告書、その報告書の中に、金属の種類、引取重量、処理重量、現在保有高とあつて、この現在保有高の金属の種類は、鉛、ホワイト・メダル、ニツケル、亜鉛、銅、錫、はんだ、こういうような種類に基いて、現在保有量をここに出しております。この現在保有量には、大体今私ども摘発しておるものは含まつていないのであります。從つてこの現在保有高として数量を指定されておる以上のものは、いわゆる虚僞報告をしたのだ、こういうことで調べを進めております。なお出てきますので、それが加算さるべきものなら加算し、あるいはこれはどうしても当時にそういう事情は知ることができないので加算ができないというのかどうかというような点で、なお現在のところで確定いたしておりません。それでは今まで確定しておる数字はどうかと申しますと、今まとまつたあれを持ちませんので、急にこの席からその数字を申し上げかねますが……。
  78. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 今おつしやつたようなものですね。たとえば鉛とか、ニツケル、亜鉛、ホワイト・メダル、アンチモンというような各種のものが、保有量と届出をいたしましたものとの間に、相当な記差があるわけだと思うのですが、これはお帰りになつたらわかるわけでありましようか。何かそういうものをお調べなつたものがあるように私は聞いておつたのですが、ありませんですか。
  79. 佐藤麻男

    佐藤證人 中間報告で軍の方に出して、探してみたのですが、今度、前の中間報告の控えが見当らなかつたので、特に今回はえらい急に喚び出しを受けましたので、探し出す余裕もなく、その資料を持つておりません。
  80. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 しかしあなたの方でお調べなつた点において、今私が申し上げました鉛とか、ニツケルとか、亜鉛、銅、ホワイト、メダル、アンチモンというようなものの中に、明らかに届出違反のものがあるということは、数量はわからぬでも、その点についてどうでしようか。
  81. 佐藤麻男

    佐藤證人 全部網羅しておりませんが、鉛、ニツケル、亜鉛、銅、ホワイト・メダル——このアンチモンが指示があつたろうか。これは会社の方で、調ベの際に資料を提供しておるのでありますが……。
  82. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そのわかるものだけ、できればお伺いしたいのです。もし何でしたら数量はあとから御報告を願うことにいたしまして、とにかく違反があつた、届出違反になつておるものがあるということが明瞭になれば、一應本日はいいわけであります。
  83. 佐藤麻男

    佐藤證人 相当数量、いわゆる報告した数量以上の数量をもつていたということは、申し上げることができると思うのであります。
  84. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 あとで詳細御報告を願いとうございます。
  85. 武藤運十郎

    武藤委員長 いろいろ合わせて出してもらうものがあつたら書面で出してください。
  86. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 さらにお伺いしたいのでありますが、先ほど総トン数がわからぬ。先ほどの二月十六日から二月二十一日ころまで捜査されました鉛バラスト五百五十七箇、以下電線三重巻のものが十七万八千二百八十三トンとなつておりますが、多少の相違はあるかもしれませんが、大体これに間違いございませんか。
  87. 佐藤麻男

    佐藤證人 これもずつと読上げたので、ちよつと一札入れてもらえれば……。
  88. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それも時間がかかりますから、大体その点がつかめればいいと思います。
  89. 佐藤麻男

    佐藤證人 私はそういう大きな数字にならぬと思うのですが、いま一札入れていただけばすぐわかりますが……。
  90. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それはわかつております。さらに一つお伺いしたいのですが、こういうことを明確にしておきたい。防火用の水溜から亞鉛バラストが五百四箇、亞鉛地金三百八十四箇、電氣銅が百四十、故銅地金二百九十三枚、鉛バラストが四百三十七箇亞鉛バラスト九十六箇というように出ておりますが、これらは航空母艦の隼鷹を解体したとき、その船底にあつたものを二十二年の四月ごろ第四ドツクに陸揚げ隠匿したものでありましたどうか、この点お伺いします。
  91. 佐藤麻男

    佐藤證人 バラスト以外のものもそうだというのですか。
  92. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 電氣銅……。
  93. 佐藤麻男

    佐藤證人 このバラストというのは私の今までの調べでは船の底にあつたものを、あの第四ドツクの棧橋の上に置いてあつた。しかしそこに置いておけば盗ませもするから、これはどこに置くか、急に新造船をつくるときでもなし、不要でもあるから、どこに持つて行くかというようなことで、向うのドツクの先の方に置いておけば危いから、事務所の裏に持つてきて、バラストを井戸の中に入れたという弁解もしておるわけであります。
  94. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 ところが防火用の水溜からというのは、何か石炭殻か何かでカバーしてしまつて、外からは見えないようにしてあつたという事実はどうですか。
  95. 佐藤麻男

    佐藤證人 今言つたような弁解があり、私どもの現地檢証の捜査の際の実情からすれば、さような弁解をするにしても、それなら入れたままでもそのあたりにきれいに積んでおいてもよいではないか。中に入れて上から相当厚みをもつてトラツクに入れて、あのとき一台か二台かの相当数のアースを運んできて、アースをその上にずつとかぶせてしまつて、だれが見てもこれは隠したと考えるのは常識だと思われるような状況に——どういうことであるかというような調べはしております。
  96. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それは結構です。そこで今申しました用水溜の中から出た物のうちで亞鉛地金電氣銅、それから故銅というようなものは、電氣工場内の地下室一尺の所に埋めてあつたものを二十二年の五月中に発掘した。これは会社の資産台帳に記載されておらないので、当時隠退藏物資摘発の声が高かつたために、昭和二十三年の二月十五日ごろ、あなた方が摘発されるという情勢にありましたその以前に発掘して、第四倉庫防火用水溜に隠したという事実はありませんか。
  97. 佐藤麻男

    佐藤證人 前半の今のお話はその通りであると思いますが、あの工場の中にいけたところの電氣銅佐世保地方管理部からS・S・Kが民業の切替えになつて引継いだ当時から、二十一年の四月一日当時から機械工場内の倉庫の中にあつたものを、安本の摘発等もあり、倉庫台帳に記載してない以上の数量があるので処理に困り、事務所のすぐ附近にある営繕倉庫の中に一應置いてあつたけれども、その営繕倉庫は盗難のおそれもあり、なお事務所のすぐ近くでもあり、もてあましたので、移動工場の中の地下をずつと深く掘つて、その中に電氣銅を入れたのだというような調べをしております。
  98. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 もう一つ電氣銅三千三百十九枚が鑄物工場の地下二尺のところから発掘された、本年の二月十六日に摘発されました、S・S・Kでは本年の二月十四、五日ごろ他に隠匿しようとしたものである。元來この品は会社創立の時、機械工場の第三倉庫内に隠してあつたものを、大藏省佐世保地方管業部から引継ぐ場合に計算違いであつたということであつた。二十二年の六月ころ安本の指摘があり、これにおそれて一たん構内の営繕倉庫に隠し、二十二年の九月二十三日さらに鑄物工場の地下室に隠したものであるということでありますが、いかがでありますか。
  99. 佐藤麻男

    佐藤證人 今申し上げたのはそれであります。
  100. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 こういうふうに点々と隠した事情、それは調べて……。
  101. 佐藤麻男

    佐藤證人 そうです。
  102. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 さらに駆逐艦の船底から亞鉛地金が二千二百八枚、本年の二月十八日に摘発されております。S・S・K内の第三ドツク内に軍艦を解体してある駆逐艦の船底に、船が非常に高く見えるので調べてみると上に鉄板をかぶせてあつて、それをかぶせるのには起重機を使つて非常に深く底の方へ隠匿したものである。それは二十二年八月ごろ安本の中村査察官らが摘発するということがあつたために、それにおそれて機械工場の第三倉庫電氣銅とともに、会社創立のとき管業部から数量をごま化して、あちらにこちらにと隠してあつたものであるということでありますが、この点いかがでありますか。
  103. 佐藤麻男

    佐藤證人 あつた場所が今の亞鉛地金が、私どもはこう調べている。船台上の捜索をしました。船台の東側は道路になつており、道路と船台との中間の空地及び北側空地には解隠した船台及び鉄屑などが小山のように積み上げてあつて、道路から船台は見えない。鉄板、鉄屑等の間をようやくにして上り、第三船台に据えつけられた建造中中止となつ小型駆逐艦上に行つた。該駆逐艦は幅三十尺あつて、その中央よりやや艦首には幅六尺ないし八尺、長さ三十六尺ないし四十一尺の船骨拔きの解体鉄板五枚を船腹一ぱいにわたつて載せてある。その下の方をはうようにしてのぞいて見たところ、亞鉛地金の一部を発見したので、同社資材課勤務立会人山下勝人が人夫十五名を使用し鉄板を取除き計量さしたところが、亞鉛地金二千二百八枚四四・一六〇トンあつた。石塚という人の亞鉛地金についての説明は、本社創立当時から機械工場倉庫内に格納していたが、資産台帳に搭載されていないので摘発をおそれ、昭和二十二年八月中旬ごろ右船底に隠匿した旨述べている。だから電氣銅機械工場から一應営繕倉庫に、営繕倉庫から地下に行き、亞鉛地金もやはり最初機械工場内の倉庫にあつたが、これはこの間を通る道路をトラツクに積んで船台の所に行き、大きな起重機で上までまき上げて、そのまき上げた上に厚い鉄板をまた起重機の力で置いて隠しておつた。こういうのがまさに私どもは典型的な事実隠匿だと、かように見ておるのであります。
  104. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そうしますと、この会社の現在も今申しました軍の届出違反並びに指定生産資材調整規則違反パイプ類臨時措置法違反、緊急措置令違反というようなものであるというわけでございましような。
  105. 佐藤麻男

    佐藤證人 そうです。
  106. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そこで北川ということを先ほどお話なつたが、その北川という人は管業部に勤めておつた人でありますが、その人のことについて何かお調べなつたことがありましたら、お伺いいたします。
  107. 佐藤麻男

    佐藤證人 この事件に関し、私がS・S・Kで取調べをしておる際に、北川さんが私に面会を求めてきて、終戰直後から佐世保船舶工業株式会社が創立に至る当時の状況、苦心されたことなどについて話されたようであります。別に聽取りなどをとつた調べはしておりません。
  108. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 もう一つ、先ほど北村氏が会社に出ましていろいろ議決をいたしたり、参画しておることを述べられましたので……。もう一つあなたのお調べのところでわかつておるところをお尋ねいたしますが、二十二年の三月二十二日でありましたか、二十日でありますか臨時株主総会を佐世保の精養軒で開いておるようでありますが、そのときには北川氏は出席したのでありますかしないのでありますか、わかりませんか。したと私は承つたのでありますが。
  109. 佐藤麻男

    佐藤證人 先ほどのあれでは第一回の株主総会並びに臨時取締役会には出席せず、出席していないというように読上げております。今のは三月ではなくて十一月の第一回株主総会ですね。
  110. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それで一つ、これはいずれあとから委員長の名前をもつてお願いいたしますが、とりあえずお願いをしておきたいことは、今お述べになりました証拠書類の調書の謄本または抄本でも結構であります。できれば謄本をお出し願いたい、それから届出書はさつきのは指令でありますが、届けをしたものの写しはあなたの方にはございませんのでしようか、会社の方が持つておるということですか。
  111. 佐藤麻男

    佐藤證人 できれば会社の方からいただいてもらいたいと思います。私の方は会社に申しますとすぐ出してくれるわけなんであります。私が今申し上げましたのはまつた会社の方に話をして出していただいておるわけなのでありますから、私に出した程度のものはむしろ会社の方にあり、会社から出していただきますれば、私の方が整頓し、あらためてもちろんやりもしますが……。
  112. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 調書の謄本をお願いできましようか。
  113. 佐藤麻男

    佐藤證人 今お答えした通りです。
  114. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それではいずれあとから……。
  115. 中野四郎

    中野(四)委員 一点伺つておきたい。先ほどから証人のいろいろな資料に基く陳述を承つておりますと、結論的に言うて北村徳太郎君は單なる名誉社長でないということがはつきり裏づけせられると私は思うのですが、たとえば先ほど來のお話の中に、取締役として相当数の重役会に出席をし、あるいは社長として実務に携つてつたということは、証人のお調べなつた過程においてどうであつたか、御見解を承つておきたい。
  116. 佐藤麻男

    佐藤證人 それは先ほど來詳細に申し述べた通りでありまして、何度も私はその間に申し上げておりますが、搜査は続行中でありますし、できるだけ私の意見を述べることは差控えたらどうかというような注意も受けてまいつておりますので、お前の意見はどうかという点につきましては、遠慮さしていただけば非常に立場上ぐあいがいいのであります。
  117. 荊木一久

    ○荊木委員 一点だけ伺つておきたい。亞鉛バラスト電線などの数量、これはだいぶ違うのでして、こまかいことはどうでもいいのですが、先般この委員会では非常に大きな数字が出ていた。また前の証人もそれに近いようなことを言つております。それは十七万八千トンという数字が出ておる。しかしあなたの調査によると百七十八トンとあるが、どうして違うのですか。
  118. 佐藤麻男

    佐藤證人 單位のとり違いじやありませんか、私どもこの事件最初から携つておりますが、金物のことが自分の本職でもないし、トンというものがどのくらい、キロがどのくらいかわからなかつた。そこで一番最初はえらい大きな数字が出たりした。今確定した数字は間違いございません。百七十八トンの單位をとり違えましてキロのところがトンとなると十七万いくらとなる。私、当時の新聞を読みまして、はてな、えらい大きな摘発なつた、そんなにあつたかな、というので、この点問い合せたことがあります。百七十八トンが正しいのです。
  119. 荊木一久

    ○荊木委員 キロとトンの違いですね。
  120. 佐藤麻男

    佐藤證人 そうです。
  121. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 ちよつと一点伺いたい。あなたの方で先ほどから承つたS・SK・の摘発をやられた際に、S・S・K構内以外の隠匿物資摘発を同時にやられましたか、いかがですか。その点をお伺いします。
  122. 佐藤麻男

    佐藤證人 S・S・K周辺については隠匿物資の情報が相当あるのであります。S・S・Kの中まで二月に着手しながら今なお搜査続行中と、まことに不面目なお話を申し上げるほど中において手がまわつていないのであります。從つて外の方には相当たくさん情報もありますが、手が伸びておりません。ただ今から十日ほど前ですか、S・S・Kの周辺にある元軍用の大きな防空壕、深さが五十メートル、深いところはまだあるんじやないかと思いますが、それが相当多数にある。その中にずいぶん隠匿物資があるから中を見ろという話もありましたので、これはS・S・K所管のものではありません。大藏省熊本財務局佐世保出張所が所管しております。あそこの管業部というのが管理をしておりますので、そこの職員の方と一緒になり、当時私どものところに來ておりました二宮少尉と一緒になつて、私もその壕の中を約二十メートルくらい奥まではいつてみましたが、ある場所は天井が落ちて、それをよじ登つていきますと水溜りがあり、水溜りの中を歩きましたが、その情報ほどのものはないんじやないかというように見ております。但し一二箇所くらい、その壕の中に相当多量の新しい土を盛り立てたところがありましたので、あるいはこういう中に、相当のものがあるんじやないか、一應これを掘り上げて見なければならぬじやないかというほどのことを感じております。
  123. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、先ほどお述べになつたS・S・Kの摘発以外には、そういううわさはあるけれども、実際において多量の摘発はやらぬと承つてよろしゆうございますか。
  124. 佐藤麻男

    佐藤證人 S・S・Kの周囲というのがどのくらいになりますか、少し離れた赤崎というところに生ゴムが何千万円はいつていたという強い情報が來まして、S・S・Kのずつと向うの赤崎の壕まではいつてみましたが、どうも生ゴムを入れておつた形跡があつた。ところが他の少し離れた方面で相当量の生ゴムを運搬しておるのを押えた。それがそこに縁故があるかどうかというようなことはありますが、なおS・S・Kのずつと取り囲んだ周辺全部の搜索はやつておりませんし、まだそこからは申し上げるほどのものは出ておりません。
  125. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうするとS・S・Kの構内にはわずかのものであつて、S・S・K構内以外の方からたくさんの物資摘発をやられたということは事実に相違がありますね。
  126. 佐藤麻男

    佐藤證人 そういうことはないと思います。
  127. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 その次に承りたいのは、先ほどから明禮君の質問で大体わかりましたが、倉庫の中にあるものだ、それから軍艦を解体したその材料を特に隠している、こういうことになればこれはS・S・Kが作業にあたつてから隠匿されたということは明白である。それ以外に私の聽かんとするものはS・S・Kが知らないで、S・S・Kがここを使用しない前に隠されておつた莫大なものがありはしなかつたか、この点を承りたい。
  128. 佐藤麻男

    佐藤證人 先ほど第三表だと言つて申し始めて、全部申し上げなかつたですが、八百南十万のこれだけのもの、その分野の中にはあるいは占領軍が上陸して清掃作業、あるいは軍でどうつと掻ぎ混ぜた際に地下に埋没しておつたようなもの、S・S・Kの職員工員が故意に入れたかどうかという点の搜査確定はなお困難なものが殘つております。その前に、あるいは終戰のどさくさに軍がやつたか、あるいは占領軍の清掃工事にはいつたところのいろいろな会社、請負人あたりが相当つたかという点についての調べはまだできておりません。
  129. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 大体わかりました。私の特に聽かんとするところは、あなた方が摘発せられたものはS・S・Kになつてから隠匿せられたものではなくて、その前にS・S・Kが占領以前に、もつと言えば終戰のどさくさに軍が隠しておつたものが今出たんだ、こういう説があつたのです。その点を聽くのです。先ほどから明禮君の聽いたところでは、これは明らかにS・S・Kが使用してから軍艦を解体したものがはいつている、それは問題ないが、それが大部分であつたか。それとも、終戰のどさくさにS・S・Kの知らないものを隠したのが大部分であつたか、それを聽きたい。
  130. 佐藤麻男

    佐藤證人 大体申しますれば二月摘発はS・S・Kが故意にああいう事実隠匿をなし、五月のはなおその点檢討未了で何ともはつきり言えませんが、大体五月のは前に比べると少ないし、前の分野については防空壕、用水溜あるいは地下全体あるいは倉庫の一部というふうなことで、S・S・Kが事業開始後において、S・S・Kの手によつて隠匿されたものだというように私どもは現在のところではそう考えているようなわけであります。
  131. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 もう一つ、すると先ほど何か池の中で二メートルほどの水溜りがあつて、それから一メートルほどの石があつてその下に隠してあつたというようなことを言われた、それらもS・S・Kが使用した後のものでしたろうか。
  132. 佐藤麻男

    佐藤證人 そうだと思いますが、その点についてはまた……。
  133. 小松勇次

    小松委員 証人に対して委員諸君からもいろいろ注文がありましたが、伺いますと、S・S・Kの構内には多くの應匿物資がなかつたというようなお話に承つたのでありますが、われわれの聞くところによりますと、また地方の新聞等におきましても、あの周辺から相当多量の物資摘発されていると伺つておる。さようなことはございませんか。
  134. 佐藤麻男

    佐藤證人 S・S・Kの使用区域外からですか。
  135. 小松勇次

    小松委員 そうです。
  136. 佐藤麻男

    佐藤證人 いや、それは先ほども申し上げましたが、周辺というのはどこまでを周辺というか、S・S・Kに近接しているようなところで、それほどのものが出たかということについては私の方で今あげるほどにやつていない、というふうに申し上げたわけであります。現在なおそういうものがあるのかないのかということになりますれば、先ほども申し上げた通り、S・SKのみがむろん目的ではありません。あの周辺一帶を徹底して調べれば情報とすれば相当あるということになつております。
  137. 小松勇次

    小松委員 今日までは別に摘発されたものはなかつたのでございますか。
  138. 佐藤麻男

    佐藤證人 もう少し具体的に聽いていただくと……。
  139. 小松勇次

    小松委員 S・S・Kの周辺と申しますのは要するに鎭守府の域内、三里四方もあろうというその中から相当多量のものが出たということを伺つているのでありますが、さようなことはなかつたかどうか。
  140. 佐藤麻男

    佐藤證人 その点につきましてははつきり言えると思います。S・S・Kが使用しているのは、ここに地図を持つておりますが、赤で印しをしたところ、それ以外の分は占領軍が使用している。私ども勝手にはいれない。そこにはいるのには軍政府の方かだれかいなければはいれません。從つて向うの管理されている中ですから、もと鎭守府構内でS・S・Kで使用している以外のところからは摘発をしておりません。今日申し上げたのは全部使用区域内からあげたものだ、こういうふうに申し上げておきます。
  141. 武藤運十郎

    武藤委員長 ほかにございませんか。     —————————————
  142. 武藤運十郎

    武藤委員長 吉永さん、あなたに伺いたいことは、大体において選挙違反事件に関することが多いと思うのです。今現職はどういうことになつておりますか。
  143. 吉永透

  144. 武藤運十郎

    武藤委員長 佐世保に土建業者でつくつておる佐世保復興建設協会というようなものがありますか。
  145. 吉永透

    吉永證人 あります。
  146. 武藤運十郎

    武藤委員長 それはどういう性質、目的のものであつて、会員はどういう職で、どういう仕事を主としておるかということを、あなたの知つておられる限り述べてください。
  147. 吉永透

    吉永證人 佐世保復興建設協会というのは終戰後できました佐世保の土建業者の團体であります。それは佐世保の土建業者の親睦とか資材の購入の世話というようなものをやつております。最初理事長が梅村忠一郎、その後小野徳一に変つております。役員が大分おりますので、全部一々私はここに覚えておりません。
  148. 武藤運十郎

    武藤委員長 メンバーは何十人というふうにはいつてつたのですか。
  149. 吉永透

    吉永證人 そうです。何十人とおります。佐世保の土建業者はほとんど全部はいつております。役員が十数名から二十数名くらいおります。
  150. 武藤運十郎

    武藤委員長 メンバーは全部でどのくらいですか。
  151. 吉永透

    吉永證人 メンバーの一々まであたつておりませんから、わかつておりません。
  152. 武藤運十郎

    武藤委員長 大体の数を聽いておるのです。
  153. 吉永透

    吉永證人 大体の数もわかりません。
  154. 武藤運十郎

    武藤委員長 何か昨年の知事選挙、それから今年の一月施行せられました参議院議員の補欠選挙に、この佐世保復興建設協会が関係したような事実がありますか。
  155. 吉永透

    吉永證人 私の調べた範囲ではあります。
  156. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではひとつ述べてください。
  157. 吉永透

    吉永證人 佐世保復興建設協会は門屋候補の選挙の際には、協会自体が第三者運動をやりました。また知事選挙の場合には民主党、社会党と土建業者の團体などが協同して第三者運動をしております。
  158. 武藤運十郎

    武藤委員長 何か選挙違反というような問題がありましたか。
  159. 吉永透

    吉永證人 第三者運動の点に違反がありました。
  160. 武藤運十郎

    武藤委員長 どういう違反ですか。
  161. 吉永透

    吉永證人 土建業者のいわゆる佐世保復興建設協会の幹部が、役員会で決定して金を出し合つて、それで選挙運動をやつております。
  162. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたは選挙違反事件を担任としてお調べなつたのですか。
  163. 吉永透

    吉永證人 調べました。もつとも事件は被疑者も多数おりましたので、全部の檢事がやつております。知事選挙の関係は大体私がやりました。なおちよつと申し上げますが、知事選挙と申しても大体は選挙を調べたわけではありません。
  164. 武藤運十郎

    武藤委員長 選挙を調べたわけではないのですか。
  165. 吉永透

    吉永證人 選挙は時効にかかつておりますから、選挙の関係調べたのではなく、金の行方という点で調べたのであります。
  166. 武藤運十郎

    武藤委員長 調べた内容を少し詳しく述べてください。
  167. 吉永透

    吉永證人 門屋議員の際には、門屋議員が佐世保の市会議員に立候補して落選したので、協会の方ではそれに非常に責任を感じ、参議院に立候補された際に第三者運動をやつております。そのために三十万円の金を業者から集めて、大体二十九万円ばかりの金を第三者運動の費用に使つております。——知事の方の関係一緒に申し上げますか。
  168. 武藤運十郎

    武藤委員長 なるべく詳しく述べてください。
  169. 吉永透

    吉永證人 手控えを見てもよろしゆうございますか。
  170. 武藤運十郎

    武藤委員長 よろしゆうございます。
  171. 吉永透

    吉永證人 門屋議員の参議院選挙の際の違反については、すでに起訴になつておりますので、これは裁判所から記録を取寄せればわかると思いますが、大体を申し上げます。土建業者が選挙のために集めた金は、梅村組の梅村忠一郎が七万円、小野組の小野徳一が五万円、山領組の山領浜夫が三万円、金子組の金子正が二万円、三浦組の萩原馨が二万円、水口組の水口正行が二万円、管工事の飯塚邦三が二万円、太平土建の西田茂平が二万円、長岡組の長岡梅右衞門が二万円、松尾組の福山久太郎が一万円、金納組の金納清松が一万円、岩崎清七が五千円、佐世保復興建設協会から出しているのが五千円であります。そしてこの金をもつて長崎縣下の方々に選挙活動を展開しております。その金の使途は次のようになつております。昨年の十二月二十八日、佐世保協会の山崎氏へ二万円、十二月三十日理事長小野徳一が崎東へ選挙活動に行つた際に六万円、十二月三十日に西田氏が長崎縣北高來郡方面へ選挙運動に行つた際に三万円、十二月の三十一日に、選挙運動に使用した自動車の燃料とか、車体の修理費に一万円を使用しております。一月の四日に、眞弓氏が小浜へ行つた際に五千円、一月の五日に、山領氏が島原に行つた際に三万円、一月の六日に、日本建設工業会長崎支部へ五千円、一月の八日に、山領氏が島原に行つた際に一万一千五百円、一月の八日に長崎支部へ五千円、一月十三日に協会の山崎書記長に二万円、合計二十八万六千五百円、そのほかに前田佐七郎という、佐世保の駅前の旅館にマイクロホンを備えつけた部屋の借代が五千円、岩崎清七が北松へ選挙活動に行つた際に三千円、これは三千円か五千円か、供述の上に食い違いがあつてはつきりわかりません。金の支出と使途は今申した通りであります。
  172. 武藤運十郎

    武藤委員長 土建業者と、あるいはまたその建設協会と、北村徳太郎氏との間に、選挙に関して何か関係があつたようなことはありませんでしたか。
  173. 吉永透

    吉永證人 私は藤井友市という男——これは今佐世保の商工会議所の会頭をしております。この男が杉山宗次郎氏の選挙の際の第三者運動の委員長格になつて、あとで辞退したという事実になつておりますが、金の使途について同人から問い質したことがあります。その際に——これはすでに起訴になつておりますが、藤井友市氏の参議院議員選挙の際の選挙運動の違反、同人の背任の事実について免出檢事が取調べをしました。その際に、藤井の日記が押收されましたので、その日記を見ました。その中に書いてあることを知つておる。その以外には、私は北村徳太郎氏のことについては存じません。
  174. 武藤運十郎

    武藤委員長 その日記をお持ちですか、寫しか何か……。
  175. 吉永透

    吉永證人 日記は持つてきております。
  176. 武藤運十郎

    武藤委員長 ちよつと読んでください。
  177. 吉永透

    吉永證人 要旨を私から申し上げる程度ではいけませんか。
  178. 武藤運十郎

    武藤委員長 大分長いかね。
  179. 吉永透

    吉永證人 そう長くありません。
  180. 武藤運十郎

    武藤委員長 読んでもらいますか、趣旨だけでよろしゆうございます。
  181. 吉永透

    吉永證人 字が一、二箇所不明のところがあります。六月十六日の日記であります。「会議役員会」というふうになつております。「北村会頭はかねて辞意を発表せられ私にも親書を送りて後任会頭は貴君にお願いすると明言しながら、本日の役員会において辞任を取止め留任せられた。この裏面は後任副会頭に馬郡」どういう人か知りませんが馬と郡と書いてマゴーリと読むのだろうと思います。「馬郡氏を予定することをきらい、当分北村会頭の留任を願いたいということを会の直前に梅村氏より私に話あり、そのまた出所を疑うべきもこれは研究せず引続き私は副会頭として全力を盡すことを」その次はわかりません。「上」その次の一字がわかりません。「の策と決意した。私、もし会頭とならば、私の後任に馬郡氏を副会頭たらしめることをきらうという梅村氏の話は、半額は認めるが、一方門屋氏が東京北村氏を訪ねて留任を説いた結果と判断することができる。この理由は私の会頭に門屋氏が反対したもので、北村氏宛手紙のあとにこのことありたりと察せらる。北村氏は北村氏の選挙において門屋氏より受けたる五万円の陣中見舞及び東京における門屋氏の至れり盡せりの好意に対し、かくあるべしと察せらる。」これで終りであります。
  182. 武藤運十郎

    武藤委員長 何かお聽きになることがありますか。
  183. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 今読まれましたのがわかりにくいのでありますが、もう一遍、門屋氏が反対したものである、それから後のところを読んでください。
  184. 吉永透

    吉永證人 「私、もし会頭とならば、私の後任に馬郡氏を副会頭たらしめることをきらうという梅村氏の話は、半額は認めるが、一方門屋氏が東京北村氏を訪ねて留任を説いた結果と判断することができる。この理由は私の会頭に門屋氏が反対したもので、北村氏が私あて手紙のあとにこのことありたりと察せらる。北村氏は北村氏の選挙において門屋氏より受けたる五万円の陣中見舞及び東京における門屋氏の至れり盡せりの好意に対し、かくあるべしと察せらる。」
  185. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 北村氏が受けた五万円の陣中見舞の点についてお調べなつたことがございます。
  186. 吉永透

    吉永證人 選挙のことは時効にかかつておりますので、別段詳しくは尋ねておりません。
  187. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そこに書いておる北村氏の受けたる五万円の陣中見舞、これの日附はいつですか。
  188. 吉永透

    吉永證人 そこには日附はありません。六月十六日の日記のところにそういう記載があるだけであります。
  189. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 あとから書いたものですね。その陣中見舞のあと、門屋氏から北村氏は至れり盡せり云々と言われたが、そこのところをちよつと読んでください。
  190. 吉永透

    吉永證人 「北村氏は北村氏の選挙において門屋氏より受けたる五万円の陣中見舞及び東京における門屋氏の至れり盡せりの好意に対し、かくあるべしと察せらる。」
  191. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 「至れり盡せり」とはどういうことでありますか。わかりませんか。
  192. 吉永透

    吉永證人 存じません。
  193. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 しかし藤井友市というものを何かほかのことでお調べなつたんではございませんか。
  194. 吉永透

    吉永證人 さつき申しましたように、知事選挙の際に第三者運動の主催者にこの男がなつていたので、あとで一應この人には私は聞いたことがありますが、しかし北村氏の関係は、さつきも申しましたように、知事の選挙の際には、時効にかかつておりますし、別段選挙を目的に調べたのではありませんから、北村氏の五万円は選挙の際の話でありますから、特別にその点について調べておらぬのであります。
  195. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それはそうかもしれませんが、この点は門屋の選挙に関係したところですね。
  196. 吉永透

    吉永證人 門屋の選挙には関係しておりません。
  197. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 藤井の選挙違反事件には……。
  198. 吉永透

    吉永證人 選挙管理委員として、彼が選挙違反をやつたという。門屋氏の選挙の際に違反しております。この事実に関係がありません。
  199. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そうすると門屋の選挙に藤井は選挙管理委員でありながら、それが選挙に関與しておつたということは明らかですか。
  200. 吉永透

    吉永證人 それは明らかで、起訴しております。明らかであるといつても、裁判所で無罪になるかもしれません。私どもでは明らかなものとして起訴しております。
  201. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それからもう一つ、復興建設協会というものが百四十万円の金を集めまして、そして知事選挙に第三者運動をやつた事実がありますか。
  202. 吉永透

    吉永證人 それはあります。
  203. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 その点をお述べください。
  204. 吉永透

    吉永證人 もつともこれは前に誤解がないように申し上げておきたいと思いますが。     〔委員長退席、河井委員長代理着席〕 檢事の方ではこれを選挙違反という点で取調べたわけではない。土建業者から知事への贈賄、こういう関係から取上げましたのでその際に金の使途までつき進んで明らかにする必要があつたので、取調べております。
  205. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 その点を述べていただきます。
  206. 吉永透

    吉永證人 この点を御了解願つておきまして、金の入つたのや出たところを明らかにしておきたいと思います。知事の選挙の際には、土建業者は資金面を受持ち、それに社会党と民主党が共同して——このほかのものも共同しておるようでありますが、第三者運動をやつております。けれども出ております金は、知事の選挙運動のためにだけ費されたものではありません。ある者は知事の選挙運動のためにだけ醵出したと言います。またある者はそれと佐世保占領軍協力実践会の費用に充てるために出したのだ。こういうように申しております。かように使途が知事選挙のための一本槍であつたのか、実践協力会の一本槍であるのかということははつきり申し上げられませんが、出した金は次の通りであります。それから中に死んだ人間や病氣のために取調べのできなかつた人間があります。その点に不正確なところもありますから、それはその都度明確に申し上げます。  復興建設協会の理事長の小野徳一が新円で五万円、これは梅村忠一郎の言うところではあいまいだということであります。門屋盛一が新円で七万五千円、旧円で七万五千円、原太一が旧円で三万五千円、これも原が幽門狹搾症で取調べができませんので、正確なことはわかりません。梅村忠一郎が新円で五万円または七万円と本人が申しております。萩原馨が旧円が五万円、新円が五万円、山領浜夫が新円で七万五千円、旧円が七万五千円、西田茂平が新円五万円、旧円が五万円、永岡梅右ェ門が新円で二万五千円、旧円で五万円、飯塚邦三が新円で十二万五千円、旧円で十二万五千円、これは死亡しておりますので正確なことはわかりません。福山久太郎が新円で一万円、旧円で一万円、金子正が新円で五万円、旧円で五万円、水口正行が新円で十万円旧円で五万円、金納清松が新円で一万円、旧円で二万円、戸田組の中津川武雄が旧円で二万五千円、鹿島組の齋藤弘藏が旧円で一万円、合計百二十四万五千円、さつき申し上げましたように正確なところはわかりません。  それから出した方はどうでしよう。これは全部お尋ねになるのですか。
  207. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 出した方を詳しくお尋ねしたいのですが、新円の集金額がどれくらいになつておりますか。
  208. 吉永透

    吉永證人 新円の方は六十七万円、封鎖の方が五十七万五千円、たださつきも申しましたように、どこまで正確かということは死んだ者もありますのでわかりません。
  209. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それを集めまして、新円はどういうふうに使つたか、だれが取扱いましたか。
  210. 吉永透

    吉永證人 大体この金の使途については、役員会で当時の副理事長の原太一という男と小野徳一の両名が自分らに任せてくれということで、この両名が金の使途を任されております。これは証人証言によつて調べができております。
  211. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 だれの証人ですか。
  212. 吉永透

    吉永證人 それは全部調べてありますので、協会に出席した役員がさように述べております。
  213. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 梅村、小野、原は調べたのですか。
  214. 吉永透

    吉永證人 原はさつき申しましたように霊門狹搾症で調べができません。医者に鑑定させましたが、調べが不可能ということでありました。
  215. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 新円はだれが保管しておりますか。
  216. 吉永透

    吉永證人 原太一が集まつた都度自分が保管しておつたそうであります。金は、小野には君は関與せぬでも自分がやるということになつたそうです。小野がそういうふうに述べております。小野徳一は大体学問のない男でありますから、原に任せておつたそうであります。金は原から梅村を通じて出ております。そのことは梅村が証言しております。
  217. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それでどこへ使つたんですか。
  218. 吉永透

    吉永證人 使い先を全部お問いになるのですか。
  219. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 大体承りたい。
  220. 吉永透

    吉永證人 選挙拳費用に使いましたのは三月の十九日ごろから四月の四、五日ごろまでに大体六回ぐらい二十一万円ないし二十四万円使つております。それから三月二十五日に知事の留守宅を原と小野と梅村が尋ねまして——知事というのは当時やめておつて杉村宗次郎氏でありますが、訪ねまして、夫人に五万円手渡しております。四月二十日ごろ現在長崎縣の副知事をしておる、そのころ縣会議員に立候補した田代弘藏氏に三万円渡されております。四月二十四日ごろ、これも縣会に立候補しました法村吉平氏に三万円渡されております。八木と言つて、小野の知人の香奠に一万円、占領軍協力実践会のバツチ代に一万円、小野や梅村が選挙の際にあちこちに行つた費用に大体一万五千円、そのほかの費用はわかりません。わかつた費用は四十一万五千円程度であります。
  221. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 中田市長は関係なかつたのですか。
  222. 吉永透

    吉永證人 市長には藤井友市から一万円いつたという話は聞いておりますが、詳しいことは知りません。
  223. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そうすると、今の百四十万円のうち現金と封鎖とにわけて、その新円の中で杉山の運動のために使つたのが二十一万円から二十四、五万円、なお奧さんに五万円持つてつたというのですか。
  224. 吉永透

    吉永證人 そうです。
  225. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そのほかはございませんか。
  226. 吉永透

    吉永證人 そのほかは知りません。
  227. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それから選挙の前に、知事の選挙について、何か梅村のところで相談をしたというようなことがあるではありませんか。
  228. 吉永透

    吉永證人 そういうことはあります。
  229. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 どういうことですか。
  230. 吉永透

    吉永證人 それは昨年の三月十一日午後一時ごろに、梅村組の寮を第三者運動の選挙事務所にしておりましたので、そこで話合いをして、その際に杉山知事がその席にちよつと顔を出したということがわかつております。
  231. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 梅村宅ですか。
  232. 吉永透

    吉永證人 梅村忠一郎の寮です。
  233. 吉永透

    吉永證人 寮で選挙の相談をしているときに立会つたというわけですか。
  234. 吉永透

    吉永證人 それがちよつと顔を出したという以外にはわかりません。     〔川合委員長代理退席・委員長着席〕
  235. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そのときに推薦されたんではないですか。
  236. 吉永透

    吉永證人 推薦の話はもつと前であります。
  237. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それはいつですか。
  238. 椎熊三郎

    椎熊委員 どうもさつきから明禮委員の質問というか、話を聽いていますと、われわれが今取扱つている佐世保隠退藏物資事件とさらに関係がないように私には聞える。事件の範囲外にわたつているように思われるので、証人も迷惑のようでありますし、何にも事件関係のないことをごたごた言うのは無意味だと思いますので、御注意願いたい。
  239. 武藤運十郎

    武藤委員長 椎熊君お見えになつておらなかつたと思いますが、実は佐世保市を中心とする隠退藏物資の不当処分ということに題目はなつておりますが、そのときに選挙関係も一應調べようということになつておるのです。
  240. 荊木一久

    ○荊木委員 その点私もよくわからぬのですが、疑惑の点はどういう点ですか。選挙違反なら調べる必要がないという筋ですが。
  241. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 これは要求書にもあるし、長崎縣では縣会が私に対して誣告の訴えを起すということに決議をしているのです。ぼくらはこの点は明らかにしなければならぬ点であると思つて、前もつてその通り要求書を出したのです。
  242. 荊木一久

    ○荊木委員 調査要求書を一遍読んでください。
  243. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは読みましよう。     調査要求書  左記の点に付本委員会調査を要   するものであるから本要求書を提出する    佐世保市疑獄事件   佐世保市が軍需物資である海底電線三千屯を佐世保市の復興に使用することを條件として拂下を受けたるに不拘これを大阪の杉村工業株式会社に六百数十万円にて闇賣して背任行爲を爲すと同時に各関係公吏は收賄の事実あり(特殊物件拂下責任者)退いては縣知事の責任も追究を免かれぬ尚右六百数十万円は市の会計にも入つて居らぬ  三、隠退藏物資の対象者である佐世保土木建築業者は佐世保復興建設協会といふものを創り参議院補欠選挙に当り右土建業者の團体たる佐世保復興建設協会に三十万円を集め第三者運動を装い門屋盛一候補の爲運動をやつた選挙管理委員商工会議所会頭藤井友市氏が選挙運動に干與し買收費に使用したと謂ふ事実   右選挙の支出責任者は市会議長辻一三氏である  四、昭和二十二年四月五日の知事選挙に於ても佐世保の土建業者の團体で百四十数万円集めそれを中川門隆が約七十万円バラ撒いた殘り約八十万円は占領軍協力実践会名義を以つて新聞廣告料等に支拂つた事実  五、北村徳太郎氏の選挙にも皆土木建築業者が同様な手段を採用して居る北村の選挙費用は星野組社長門屋盛一氏が出して居るという事実  六、長崎縣廳の佐世保出張所長豊島徳治氏は縣の代行機関として佐世保に出張中土建業者に後援会を創つて貰い(長崎佐世保出張所協力会)金三十万円を集めて諸種の便宜を與えて收受したる事実   右の通りの事実は全國中に於ける隠退藏物資の根源地たる佐世保を巡る不正物資に基因して斯かる犯罪が土建業者等を通して行はれ且つ不当なる諸取引が行はれつつあるを以つて調査を求めるものである。  昭和二十三年六月一日            明禮輝三郎   不当財産取引調査特別委員会    委員長 武藤運十郎殿  大体こういうのです。明禮委員、他の諸君の御注意もあることですから、なるべく核心を衡いてください。
  244. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そういうお話もあつたから、御趣意に副うてなるたけよけいなことはやらぬようにします。先ほどお尋ねしました知事が梅村の寮で言つたと言いますが、さらに土建業者の方々が集つて、知事の推薦会をしたという事実を述べているが、その点をお尋ねしたい。
  245. 吉永透

    吉永證人 証人の取調べをした際の供述もありますが、物的な証拠として協会の役員会議事録があります。その決議録の「昭和二十二年三月十四日役員会議の議決として「現長崎縣知事選挙に関する懇談の結果杉山知事を推挙することに議決す」当日は理事長以下九名の理事と相談役評議員十名参加。」こうなつております。同年の三月ですが……「三月二十三日第三十七回役員会において附議事項として縣知事選挙、縣会議員選挙、市会議員選挙に関し推薦者の件を協議し、杉山宗次郎(知事)山領浜夫(縣議)の推薦を議す三月二十四日役員会において又縣知事立候補者推挙に関し協議の結果杉山宗次郎氏を推すことに満場一致可決世話人を出し推薦状を出す場合は多少共名義を出す必要ある場合各人の承諾を請ふて異議なく可決」文句がおかしいがそういうふうに書いてあります。  「三月二十七日第三十九回役員会の時同樣附議事項協議している」その三月二十七日の役員会の際に、金を出す割当をしておるわけであります。割当したことは今の議事録には付いておりません。
  246. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そうすると、推薦の決議というようなものが決議録の中にあるのですか。
  247. 吉永透

    吉永證人 いまさつき申し上げましたように、三月十四日、三月二十三日、三月二十四日、三月二十七日、これだけなんです。
  248. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 その決議録はお持ちになつているのですか。
  249. 吉永透

    吉永證人 それは持つてきておりません。
  250. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それは議事録にはあるのですか。
  251. 吉永透

    吉永證人 起訴してありますから、お取寄せになれば、いつでも裁判所の方から送つてくると思います。
  252. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 先ほど北村さんはどの業者からも金をもらつていないとはつきり証言をしておりますが、今承ればここで北村氏の受けた五万円の陣中見舞があるようでありますが、この点については藤井友市、この人によつてその点のお調べはどうなつておりますか。
  253. 吉永透

    吉永證人 さつきも申しましたように、選挙違反はわれわれの今では関知するところではないのであります。時効になつております。日記にありましたので、そういう金を授受したかということを本人に聽いております。つまらぬことを聽いたが、ほんとうかうそかわからぬような話をしております。はつきりしたことは本人も言いませんし、私の方もそれ以上追求しておりません。
  254. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それから東京において至れり盡せりの——というこの点は先ほど聽いたのですが、何だか。……
  255. 吉永透

    吉永證人 うわさだけは私聞いておりますが、事実は知らぬです。
  256. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 どういうことなんですか。
  257. 吉永透

    吉永證人 何か門屋の寮に寝泊りしたとか何とか、うわさに聞いておりますが、詳しいことは知りません。
  258. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 その日記は二三日拜借できますか。
  259. 吉永透

    吉永證人 ほかに関係した部分がありますので、これも起訴してありますから、裁判所の方に取寄せを請求になりますと送つてくると思いますが、私は許可する権限はないように思います。
  260. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 ちよつと要点だけあとで寫させてもらいたい。それからもう一つ今述べられましたような梅村、小野という人らの調書によつてわかるのですか。
  261. 吉永透

    吉永證人 門屋の件ですか。知事の件ですか。どちらですか。
  262. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 知事の選挙の……。
  263. 吉永透

    吉永證人 知事の件はまだ取調べ中で結論が出ておりません。
  264. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 門屋の分はどうですか。
  265. 吉永透

    吉永證人 門屋の分は選挙違反で起訴しておりますので、裁判所の方に言われますれば、謄本でも何でも送つてくると思います。
  266. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 梅村、小野というのはわかるですか。
  267. 吉永透

    吉永證人 梅村や小野、それから山嶺などが大体中心になつておりますので、これらの人の調書をごらんになればわかると思います。
  268. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 大体それでよろしゆうございます。
  269. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私の聽きたいのは、土建業者が佐世保復興建設協会もしくは占領軍協力実践会などというものをつくつたことでありますが、これはいかなる目的をもつてつくつたかお調べになりませんでしたか。
  270. 吉永透

    吉永證人 さつきも佐世保復興建設協会の目的については申し上げたと思いますが、大体長崎縣では佐世保の土建業者の方が主勢力をなしております。そういう関係で日建の佐世保の分会というようなものはありますが、特に佐世保復興建設協会をつくつて、親睦と資材の斡旋などを目的としておるのであります。占領軍協力実践会というのは、当時の終連の佐世保事務局長の三浦文夫氏が占領軍の人夫に非常にどろぼうが多いので何とかならぬかということを占領軍当局から言われまして、最初は盗難の防止のためできたものであります。途中から知事の選挙運動に利用されまして、新聞廣告などを出しておるのであります。そうしてほとんど事業らしいものはせずに、バツジを配つた程度に終つております。
  271. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると結局名前はそういう名前であつたが、知事選挙、もしくは参議院選挙、縣会の選挙等に活動しておる團体である、かように見て差支えないわけでありますね。
  272. 吉永透

    吉永證人 その点はどういうふうに考えられるか、私にはよくわかりません。
  273. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 しかし先ほどのあなたのお話から、そういうふうに推量されます。
  274. 吉永透

    吉永證人 推量されるかどうかわかりませんが、事実は今申したようなところであります。
  275. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 今のお話では知事及び参議院の選挙という見解でありましたが、衆議院の選挙には関係しておりませんでしたか。そういう事実はお認めになりませんでしたか。
  276. 吉永透

    吉永證人 全然お調べにならなかつたのですか。
  277. 吉永透

    吉永證人 わからなかつたのです。調べるものもそういう捜査の端緒を握つておりません。
  278. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それではよろしゆうございます。
  279. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 吉永檢事さんはわかつておると思うのですが、在庫調整法とか臨時物資需給調整法とか、そういうようにいろいろありましようが、土建業者の中で隠退藏物資をめぐる犯罪事件があつて、起訴されたものが大分あるようでありますが、その点について吉永檢事、知つておられるならば伺いたい。
  280. 吉永透

    吉永證人 それが隠退藏物資と言いますと、臨時物資需給調整法に基く指定生産資材の在庫調整規則違反というものでも、不当に入手して持つていたものもありますれば、正当に入手して法定数量以上も持つてつて、ためにひつかかつたのもあるわけです。そういう区別がむつかしいのと、それから人のやつた事件というものは檢事はわからぬわけです。
  281. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そういつた事件佐世保地区には相当あるということを伺つておけばいいのですが、どうでしようか。
  282. 吉永透

    吉永證人 それはある見込みで調べはいたしておりますが、はつきりしておりません。
  283. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 起訴したものはあるのではないですか。
  284. 吉永透

    吉永證人 起訴したものはあります。それが今のように不正に入手したものを持つていたのか、正当に持つていたものを処分してひつかかつたのか、個々のものは主任の檢事でないとわからぬのです。
  285. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それは個々のものですが、佐世保としては土建業者の中に起訴した者があつたかどうか。
  286. 吉永透

    吉永證人 そういうふうに申されますと、ちよつとわかりかねるのですが……。
  287. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 名前を言わなければですか。
  288. 吉永透

    吉永證人 名前を言うも言わぬも、私が起訴したのは梅村忠一郎一人だけです。それは入手の経路が不正であつたということになつておらぬわけです。
  289. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 入手が不正かどうかは別として、届出違反というものはすべて……。
  290. 吉永透

    吉永證人 届出違反で私は梅村忠一郎を起訴しております。そのほかのことは……。
  291. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 小野君は。
  292. 吉永透

    吉永證人 小野君は起訴しておりません。
  293. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 山領組は。
  294. 吉永透

    吉永證人 山領はどうなつておるか私にはわかりません。
  295. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 金納は。
  296. 吉永透

    吉永證人 金納は何かで起訴されておると思います。
  297. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 私は個々に追究するつもりでありませんから……。
  298. 吉永透

    吉永證人 それはお問合せをなさつてもらつたらどうでしようか。そうすれば起訴したのはわかります。
  299. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それで結構です。
  300. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは御苦労さまでした。お帰りください。     —————————————
  301. 武藤運十郎

    武藤委員長 松本さん、伺いますが、あなたは今どういう御職業ですか。
  302. 松本長藏

    松本證人 私は佐世保船舶の工場所長をしております。
  303. 武藤運十郎

    武藤委員長 佐世保船舶というのはS・S・Kというのですね。
  304. 松本長藏

    松本證人 そうです。
  305. 武藤運十郎

    武藤委員長 その工場所長ですね。そうすると佐世保面の仕事は現場の方はあなたが最高の責任者でやつているわけですか。
  306. 松本長藏

    松本證人 ただいまはそうでございます。
  307. 武藤運十郎

    武藤委員長 いつからそういう立場になつたのですか。
  308. 松本長藏

    松本證人 ちよつと前から申し上げます。私は大正十三年に東北帝國大学の機械科を卒業いたしまして、もとの日立造船所の廣島の工場にはいりました。それ以來約二十余年造船界で暮しました。去年の二月の終りに日立造船所をやめまして、ちようど体も悪うございましたので休養しておりまして、佐世保船舶には去年の七月末日に技術部長として入社いたしました。それから八月一日に工場所長となり、去年の十一月二十五日附で役員総会で取締役になりまして、同日取締役互選により代表取締役になりまして、ただいま代表留締役兼工場所長をやつております。
  309. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうしますと、S・S・Kの創立当時のことはあなたは御存じがないわけですか。
  310. 松本長藏

    松本證人 存じません。
  311. 武藤運十郎

    武藤委員長 從つてこのS・S・Kと北村氏との関係などにつきましても御存じがないわけですね。
  312. 松本長藏

    松本證人 存じません。
  313. 武藤運十郎

    武藤委員長 ここから相当量の隠退藏物資と称せられるものが佐世保檢察廳から摘発をされたそうですが、そのことは御存じですか。
  314. 松本長藏

    松本證人 ちようど二月の十四日でございまして、檢察廳並びに軍政部の係官がおいでになりまして、合計して約百七十七トンの非鉄金属が発見されました。
  315. 武藤運十郎

    武藤委員長 その発見された品物は、檢察廳でかなり明細に、発見された場当の症面をつくつたり、明細書をつくつて品名、数量價格等を調べたようです。先ほど吉永佐藤証人、特に佐藤証人が述べておりましたが、あなたもその明細その他については御存じですね。
  316. 松本長藏

    松本證人 明細についてはよく存じません。概略存じているだけでございます。資材課長から報告を聽きましたが……。
  317. 武藤運十郎

    武藤委員長 檢察廳で現場を調べるときにあなたは立会われたのですか。
  318. 松本長藏

    松本證人 立会いません。
  319. 武藤運十郎

    武藤委員長 だれが立会いましたか。
  320. 松本長藏

    松本證人 資材課長が立会いました。
  321. 武藤運十郎

    武藤委員長 資材課長の井上正清さんが立会われたのですね。
  322. 松本長藏

    松本證人 さようでございます。
  323. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたは井上さんから報告を受けただけですか。
  324. 松本長藏

    松本證人 さようでございます。
  325. 武藤運十郎

    武藤委員長 しかし、どこの場所からどういうものがどれくらい出たということはおわかりでしよう。
  326. 松本長藏

    松本證人 大体わかつております。
  327. 武藤運十郎

    武藤委員長 それは井上さんから聽くのが一番正確ですね。
  328. 松本長藏

    松本證人 今井上資材課長調べられております。井上が一番よく知つておりますからどうぞお聽になつてください。
  329. 武藤運十郎

    武藤委員長 艦艇の解撤作業というのを今やつているのですか。
  330. 松本長藏

    松本證人 やつております。
  331. 武藤運十郎

    武藤委員長 何隻やりましたか。
  332. 松本長藏

    松本證人 約三十二隻解体することになつておりますが、この七月上旬をもちまして全部終了することになつております。
  333. 武藤運十郎

    武藤委員長 解撤をする場合には解撤許可手続というものをしますね。
  334. 松本長藏

    松本證人 そうです。
  335. 武藤運十郎

    武藤委員長 そのときに拂下手続一緒にするのでございますか。
  336. 松本長藏

    松本證人 いたします。
  337. 武藤運十郎

    武藤委員長 それは拂下げを受けたのですか。
  338. 松本長藏

    松本證人 拂下げ手続をいたしておりますが、まだ正式に拂下の許可証はまいつておりません。
  339. 武藤運十郎

    武藤委員長 最近あれを処分したのはどういうわけですか。
  340. 松本長藏

    松本證人 船は大体戰利品で連合國側のものでございますが、大体解体されますと日本の國有財産の方へ繰入れられる。私どもは大体経理要綱というものがございまして、業者が集まりましてその経理要綱を大藏省に御承認を願いまして、拂下げされるものといたしましてただいまその処分をしているわけであります。これには経理要綱の中にその自由処分を認めておりますし、それから連合軍の方からもこの問題を認めております。なお商工省からは、指定生産資材になつております関係上、指定生産資材の切符をもつてくるものには賣渡す義務を負わされております。そういうようなことでわれわれの自由処分ができるものと思いましてやつておる次第であります。
  341. 武藤運十郎

    武藤委員長 何かお尋ねのことがありますか。
  342. 徳田球一

    ○徳田委員 ここにあなたの方から出されている書類がありますが、これは艦船を解体いたしまして收支決算をした四月三十日現在の收支実績であります。これによりますと作業費が六千万円ちよつとあります。その中に賣却價格が三千二百何十万円とあります。そうしてあとに二千八百六十三万円という不足が出ておりますが、これは各船ごとに全部を終了したものだけがこの賣却價格を書いてあるわけですか。
  343. 松本長藏

    松本證人 今の賣却價格は途中においていつておりますから、各船の最終のときにおいてそれが決算されるものではございませんで、そこに書いてあるものが私はよく内容を存じておりませんが——私は昨日参りましてまだ事務所にも行つておりませんから出したものはよくわかりませんが、大体賣つた都度どのくらいに賣つたかということを四月現在でとつておるわけであります。一つの船が済んでしまつてからこれだけ賣つたということを書いてあるものと違うと思います。それは約六千万円。つまり現在の船は大体大ばらしいたしまして、一應ドツクの中に船を沈めるのでございます。沈めましてそれからG・H・Qの一應の解体は済んだということの許可を得まして、今度は小ばらしする。小ばらしするときには、今度はおのおの伸鉄業者とかその他に賣るのであります。その賣つた都度、それがどのくらいに賣つたということを月々集計しております。今の六千万円というのは私の記憶する限り現在までにかかりました一切の費用でございます。
  344. 徳田球一

    ○徳田委員 それはわかつておりますが、この收支実績によりますと各船種、各船名毎に賣却代と作業費の間に不足を出しておる。マイナスを出しておる。そうするとここに全然賣却を書いてないのがありますが、まだ賣却しておらぬというわけですか。
  345. 松本長藏

    松本證人 賣却してないものがたくさんございます。そのおのおのの船につきまして賣却したものは多少ございます。今大ばらしのままで現場にあるのがほとんど大部分でございますから……。
  346. 徳田球一

    ○徳田委員 ところでこれによりますと今三十二隻ほどあなたの方で解体せられておると言われておるのですが、それは相違ありませんね。
  347. 松本長藏

    松本證人 相違ありません。
  348. 徳田球一

    ○徳田委員 ところがここに書いてございますのは賣却しているのはただ五隻の分で、あとの分は賣却のことが一つも書いてありませんが、これは未賣却ですか。
  349. 松本長藏

    松本證人 さようでございます。
  350. 徳田球一

    ○徳田委員 そういたしますとたつた五隻の船で大体半分以上作業費を償つております。だから不足分として出ておるのはあとのものをやりますと埋めて十分余りがあると推定されますが、これはどうですか。
  351. 松本長藏

    松本證人 あとの小さいやつは小型艦艇であります。前の巡洋艦衣笠、その他大きな三万五、六千トンの航空母艦、それから敷島という日露戰爭当時の大きな軍艦がございます。それらが一番難物でありまして、一番大きなトン数をもち一番大きな解体資材を出す分でありますが、あとの小さいやつはほとんど小型艦艇でございます。
  352. 徳田球一

    ○徳田委員 だからこれは大したことはないというわけでございますか。
  353. 松本長藏

    松本證人 ええ、そうです。
  354. 徳田球一

    ○徳田委員 ところがこれによりますと潜水艦の方はわずかに千三百七十六トンの排水量でありますが、この方は大分もうけておる。大きい航空母艦の方が莫大に損をしておりますが、あなたの言われる敷島というのはまだ賣却はしておらぬようです。伊吹などは賣却しておるがこの方はうんと損している。ところが小型の方はうんともうけております。この潜水艦の第二番目におげてあるのが大分もうけている。小型の艦船がむしろもうかつて、大型の方が損するように出ております。
  355. 松本長藏

    松本證人 はつきり私はその表を見ておりませんし、また現状をはつきり申し上げるだけの資料を持つておりませんから申し上げかねますが、解体という工事は非常にチヤージがかかりまして、相当に苦しいのでございます。ただいまマル公が制定されておりますが、現在のマル公で取扱いましては赤字が出る。それでわれわれはマル公の訂正をお上の方にいろいろお願いしておるのでございますが、それがどういうふうに変りますか。また今後の労銀の上りぐあい、資材の上りぐあい等とにらみ合わせまして、最後になつてみなければ大体の数字はわかりません。
  356. 徳田球一

    ○徳田委員 それはわかりますが、私の聽きたいことはこういう莫大なものがまだ賣れずに殘つていて、あなたの計算から申しますと、これは大体もうかる仕事のように思いますが……。
  357. 松本長藏

    松本證人 それがなかなかそう一概に推定はできないのであります。もうかるようでもうからないのが一般にいう弔い仕事であります。
  358. 徳田球一

    ○徳田委員 この表からいうともうかるようですね。
  359. 松本長藏

    松本證人 あなたがそう思われるのは勝手ですが……。
  360. 徳田球一

    ○徳田委員 ところがこの問題を聽くのは、あなたの方では戰艦の仕事が一方ではもうかり、他方では非常にもうからないように計算しておりますね。きのうの高田さんの証言によりますと、一四半期一千八百万円の作業をしてわずかに三百万円しか收入がない、すなわち六分の一だと言われる。ところがここの実績から見てみますと、三十何隻のうちわずかに五隻しか賣却してないのに、全体の表からすると半分以上すでに超えて收入がある。不足の方は半分以下という計算である。そうすると一方は六分の一しか收入がない。他方ではこういう実績であなた方の四半期毎の計画は非常に杜撰なように思われますがどうですか。
  361. 松本長藏

    松本證人 その計画は別に杜撰ではないのですが、あなたが今言われた数字が実際の事情と大分違つているように思います。
  362. 徳田球一

    ○徳田委員 そこでお尋ねいたしますが、こういうふうですと作業費の方がもつとかかるということになりますか。
  363. 松本長藏

    松本證人 さようでございます。
  364. 徳田球一

    ○徳田委員 そうするとやはり六分の一しか賣却代はないのですか。
  365. 松本長藏

    松本證人 六分の一といいますと……。
  366. 徳田球一

    ○徳田委員 この前のときは解体費用が千八百万円かかつて、賣却して收入するものはわずかに三百万円であるという計画でやつておられる。そこでわずかに六分の一になりますね。
  367. 松本長藏

    松本證人 それはだれが言つたかわかりませんが。解体全体を通じてそうだということになります。
  368. 徳田球一

    ○徳田委員 大体一期毎の計算でやつておる、それは高田さんが言つておる。だいぶ違いますね。
  369. 松本長藏

    松本證人 それは違うのでありまして、要するに解体というものは大ばらしするための費用で、今度は小ばらしをする費用がかかります。それから中にはいつておる臓物——機械類、メイン・エンヂンとかいつた機械を整理して、これだけの費用がかかる。そういうものがこれからいろいろかかつてくるのですから六千万というのは、今の徳田さんの大体のお考えでは全部終了したものとお考えになるから、三千二百万円賣つておるからもうかりすぎるんじやないかという御質問が出るのですが、そういうことはございませんで、作業費というものは、これからまだずつと増加してまいります。
  370. 徳田球一

    ○徳田委員 それならばお尋ねします。毎期々々毎にあなた方は企画を立てておるはずでありますが、その企画によりますと、毎期々々の企画は全部企画表をこしらえて処理されておりますか。
  371. 松本長藏

    松本證人 それは最後の收支決算の見込み表というものを、大体の物價の上ることを想定いたして立てております。
  372. 徳田球一

    ○徳田委員 私がそれを聽くのは、実はあなた方は作業費としてこれだけかかつて、わずかにこれだけしか收入がないから、非常に重荷になるからというので復金から金を借りておりましよう。その復金から金を借りるときには計画書を出さなければならない。その計画書と実際とを私は見たいというのです。ところがこの計画書は高田さんが金融の面を受持つていらつしやる。その高田さんの言によれば大体今言つた通りです、それで六分の一しかあれしないで、金を借りるのに、実際はこういうふうにもうかるのでは、これは復金との関係であなた方の企画の出し方は私はどうも承知できないというのです。
  373. 松本長藏

    松本證人 それはこういうわけなんです。途中におきましてG・H・Qから責められますと日限の関係で大ばらしだけをやらなければならぬ。ところが小ばらしをやりませんと、物が賣れませんから、入金がなくて出る方ばかり多くなる。途中においてはいろいろと資金の山あり谷もあるわけです。ですから杜撰な計画は立てておりません。きちんとした計画を立てておりますが、作業の間におきましてはいろいろと大ばらしを強制されますと、大ばらしの方にばかり日限がかかつて、小ばらしの方はその間できないということで、賣るべきものがないから金がはいらない。そういうときには資金的に困るというわけです。
  374. 徳田球一

    ○徳田委員 それならよろしゆうございます。あなたの方の毎期々々ずつ復金に出しておる企画の書類と、現在までの毎期々々の書類、この両方を出していただきたい。そうすればわかりますから。ここであなたが実際を説明してもわれわれの方はこの両方の関係がなかなか納得しがたいから、両方の関係が納得できるように書類を出していただきたいと思います。  第二の問題はあなたは二十二年七月十五日に長崎軍政部からの命令で非鉄金属の在庫表を出せという指令を受けられたことがありますか。
  375. 松本長藏

    松本證人 ございます。そのとき私はまだ就任しておりませんでした。その命令は私の会社で受取つております。
  376. 徳田球一

    ○徳田委員 就任していないのですか。
  377. 松本長藏

    松本證人 七月二十八日にS・S・Kに技術部長として就任いたしました。
  378. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると、届出の事実は九月二十何日になつておりますね。
  379. 松本長藏

    松本證人 届出は要するに七月十五日現在における非鉄金属の在庫調査表というものを出せということです。
  380. 徳田球一

    ○徳田委員 それはあなたの責任で出されたのですか。
  381. 松本長藏

    松本證人 当時工場に代表取締役というものがおりまして、これは三枝貞藏君がその当時所長であつて、工場の在住代表取締であつた。私はちようどその規則が出た直後、八月一日附をもちまして工場の所長となつたわけです。そういういきさつでございます。
  382. 徳田球一

    ○徳田委員 そうするとあなたの名義で出されておるのですね。
  383. 松本長藏

    松本證人 名義は連合軍に対しまする英文は三枝貞藏君の名前で出ております。
  384. 徳田球一

    ○徳田委員 和文はどうですか。
  385. 松本長藏

    松本證人 和文は松本の判が捺してあります。
  386. 徳田球一

    ○徳田委員 どういうわけで名義が違つておるのですか。
  387. 松本長藏

    松本證人 それは事務上のいろいろ間違いがあつたのでしようか、いずれにいたしましても私はその書類を出したことは覚えております。
  388. 徳田球一

    ○徳田委員 内容は違いませんね。
  389. 松本長藏

    松本證人 内容は違いません。英文、和文同じであります。
  390. 徳田球一

    ○徳田委員 その報告を出したことに対しまして本社にあなたの方から報告をなさつておりますか。
  391. 松本長藏

    松本證人 報告はしておりません。当時私は所長といたしまして入社直後でありまして、工場の一般状況がよくわかりませんでした。資材状況につきましてはよくわかりませんし、そういう資材の取扱いは一應工場の事務事項でございますので、普通ルーデイング・ワークと申しまして、それは本社の方には届けておりません。工場の代表取締役が一切取扱うことになつております。
  392. 徳田球一

    ○徳田委員 これは非常に重大なことである。もしこれに間違いを生ずると、工場が責任を負うのでなくて、会社責任を負はなければならないと思いますが、どうですか。
  393. 松本長藏

    松本證人 私はそれは工場において責任をもつものだと思います。工場の存在の代表取締役が工場に関する限りのルーデイング・ワークをやつておるわけでございます。実際の資材の取扱いをやつておりまする工場單位にそういうものが來るものでございますから、工場單位に來るものであれば工場の代表取締役所長が責任を負うのでございます。
  394. 徳田球一

    ○徳田委員 しかし法律上からいつて、法人格からいつても工場は一構成部分であつて、工場側は実務上の責任は負うかもしらぬけれども法律上の法人格としての責任はやはり本社で負わなければならないし、会社全体として負うべき性質のものだと思いますが、そういう場合でもあなたの方では全然報告なさらないのですか。
  395. 松本長藏

    松本證人 しておりません。
  396. 徳田球一

    ○徳田委員 これは奇怪至極だな。そうすると本社の代表責任者は全然こういうことを知らないのですか。
  397. 松本長藏

    松本證人 知りません。知らないはずでございます。送つておりませんし、何ら連絡をしておりませんから知りません。
  398. 徳田球一

    ○徳田委員 それは非常におかしいことだと思いますが、まあ聽いておきましよう。  それからもう一つお尋ねしますが、あなたの方で隠退藏物質に対してたくさんな摘発がなされておるということを檢事局の証人から報告を受けておりますから、その量に対して、また内容に対しては本社に報告をなされておりますか。
  399. 松本長藏

    松本證人 その詳しい報告はまだいたしておりません。こういう問題があるということだけは口頭をもちまして東京の方の代表には話してあります。塩津事務には話してあります。
  400. 徳田球一

    ○徳田委員 しかしおかしいじやありませんか。本社の方がこれは法律上重大な責任を負い、体刑その他罰金刑も受けなければならない重大な問題ですが、そういう場合でもあなたの方では本社の方に全然報告をしないのですか。
  401. 松本長藏

    松本證人 それは解釈の相違でございまして、私は法律的なことはよく存じません。そういつたものは、從來日立におきましても、現に私が築港の所長をしておりましたときには、連合軍に対する資材の報告は一切私の名前でやつておりました。工場のいろいろの作業をやりますプロダクシヨンのレポートも、工場の所長あるいは代表取締役が工場に駐在いたします場合には、その名前でやつております。私は工場の実際の事務をやつておりまして、法律的にはどうこうということは、私は法律家ではございませんので、むしろあなたの方がよくおわかりと思います。
  402. 徳田球一

    ○徳田委員 本社に報告もしないとは驚いた。
  403. 松本長藏

    松本證人 現在やつておりません。私はやる必要もないと思つております。
  404. 徳田球一

    ○徳田委員 隠退藏物資のこともそうですか。
  405. 松本長藏

    松本證人 隠退藏物資につきましては、二月十四日に檢察御当局並びに軍政官が参りまして、摘発を始めた。私はそのときに会議がありまして、よそに出ておりましたが、あとで帰りましてそういつた物資が百七十七トン発見されたことを聽きました。それはその当時は知りませんでしたが、後に至りまして累計いたしまして、一回及び二回で百七十七トンだと資材課長から聽きました。その当時私の記憶では、百五トンというような数字の非鉄金属の発見物資がございました。それからバラストといたしまして、これは地金ではございませんが、五十八トンかと記憶しております。私はその当時檢察御当局の御指示並びに連合軍の御趣旨もよくわかりましたので、全員に対し言触れを出し、また工場の常会を各工場で開かせまして何回も何回も調べまして、これに協力しよう。そしてこういつたものが工場の中にあるならば、喜び勇んで出すようにしなくちやいけないと言いました結果、全員が非常に協力して、殊に資材課長に対しましては懇々と申しまして、全員が向うの職場、こちらの職場から少しずついろいろのものを拾い集めましたのが、約十五トンばかりと記憶しております。合計いたしまして一回、二回で百七十七トン出たと思います。
  406. 徳田球一

    ○徳田委員 そういうことはわかつております。それを本社に報告してあるかどうか。私はその責任の方が重大な問題だと思う。具体的な内容はいろいろ檢事からも聞いておりますから、その方は少しも私には興味がない。興味があるのはあなたが本社に報告しておるかどうかということです。
  407. 松本長藏

    松本證人 その当時まだ担当者の資材課長が調べられておりましたから、一切の数量その他についてははつきりわかりませんでした。それで私は本社にはこういうことがあつたということを口頭をもつて数量はわからないが、ちようど塩津專務が佐世保に來ましたときに傳えただけです。
  408. 徳田球一

    ○徳田委員 言葉でちよつと知らせただけですか。
  409. 松本長藏

    松本證人 塩津專務にちよつと報告しただけです。
  410. 徳田球一

    ○徳田委員 塩津專務にちよつと報告しただけですね。——それは重大な問題です。よろしい。ではあなたはほかのことは知らないのだから大して聽きませんけれども、もう一つお尋ねしておきます。解体をしましたときに、あなた方は賣却をいたしますが、これらの物資に対する價格の評價はだれがいたしますか。
  411. 松本長藏

    松本證人 價格の評價は一般に解撤材は綱材に関する限りマル公がきまつております。Aクラスは五千九百円、Bクラスは三千八百円、Cクラスが三千百円ということになつております。そのマル公でわれわれは処理しておりますが、マル公で人が買つてくれませんので、マル公以下で賣らねばならぬような状態になつておりました。
  412. 徳田球一

    ○徳田委員 私の言うのはそういうところを聽いておるのじやない。マル公のあるものはなにも評價價格を決定する必要はありません。しかしマル公のないものがありまして、それは價格の決定をしなければならぬと思いますが、そういう價格決定はしておりませんか。
  413. 松本長藏

    松本證人 法的にそういう價格はいくらでなくちやならないということはない。しかし一般に業界の通り値段というものは時々刻々にあります。たとえばメイン・エンジンのようなもの、それから補助機械、そういうものは通り値段がございますから、その通り値段で賣買しております。他にマル公はございません。
  414. 徳田球一

    ○徳田委員 この解体の命令につきましては、処理要綱というのが出ておりまして、あなた方はその処理要綱に從つて解体作業をなし、かつ賣却なさつておるのじやないですか。
  415. 松本長藏

    松本證人 さようです。
  416. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると処理要綱の中に價格の決定に対して評價委員会があるのじやないですか、それによらないのですか。
  417. 松本長藏

    松本證人 それによつておるのです。つまり評價委員会の基準によりまして賣買をやつておるのです。
  418. 徳田球一

    ○徳田委員 だから私は評價委員会を聽いておるのです。私の興味のあるのは評價委員会です。評價委員会がどういう構成でもつて、どんなふうに價格を決定するかということをあなたにお尋ねしておるのです。
  419. 松本長藏

    松本證人 あなたのおつしやるような方法でやつております。
  420. 徳田球一

    ○徳田委員 それではわからんじやないですか。評價委員会はどういう人が構成して、どういう方法で價格を決定するか、價格が決定するにはやはり原價計算もしましようし、あるいはまた普通の市場價格、今の言葉で言いますとやみ價格、これとの関係、あるいは公定價格との関係、いろいろのものを考査してやるでありましようが、そういうやり方について私はお尋しておるのです。
  421. 松本長藏

    松本證人 その値段の決定の方法なのですね。
  422. 徳田球一

    ○徳田委員 構成委員から最初にやつてもらわぬと困る。
  423. 松本長藏

    松本證人 委員会におきましては、大体機械でありますと、一台当り大体いくらという新製の場合の値段がわかりますから、中古の機械でありましたら大体何パーセント引きとか、それから特別の修理費を加えます。大体機械が古くなつておりますから、新しくするには動くようにしなければならぬ。その修理費は、一体どれぐらいの金額がかかる。材料費を含めまして、あとで一定の評價になるわけであります。
  424. 徳田球一

    ○徳田委員 そういうことを聽いておるのではない。價格査定をする委員会がどんな構成になつておるかを私は聽いておるのです。
  425. 松本長藏

    松本證人 委員会のメンバーの構成は、委員長は当時の造船連合会の吉田君がなつてつたと了承しております。あとは造船業者の專門委員から、つまりそういうものの價格の評價をする專門家を集めまして、委員会を構成しております。
  426. 徳田球一

    ○徳田委員 そうするとあなたの方では、解撤いたしましたものに対しまして、主として上物でありましようが、そういうものはすべてこの委員会にかけておりますか。
  427. 松本長藏

    松本證人 大体その委員会の基準によつてつております。逐一その委員会に持つてつて、これはこれぐらいの値段にいたしますから、これで賣りますからいかがでございましようかということはいたしておりません。
  428. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると、委員会は一定の基準をきめればきめ放つしで、現物は見ないわけですか。
  429. 松本長藏

    松本證人 現物は、委員会は見ません。
  430. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると、たとえば三菱電機の何年製の何号のモーターは、これは中古ではいくら、何ではいくらというふうにきまるわけですか。
  431. 松本長藏

    松本證人 そうでございます。大体の標準点がきまつておるわけであります。
  432. 徳田球一

    ○徳田委員 それに從つてあなた方が自由に賣却するというわけでございますね。
  433. 松本長藏

    松本證人 さようでございます。
  434. 徳田球一

    ○徳田委員 それから現在あなた方は資材をどういうふうにしてとられておるのですか。
  435. 松本長藏

    松本證人 現在のわれわれの資材の入手方法は、適法によつて割当てられたものをわれわれが入手している。
  436. 徳田球一

    ○徳田委員 その適法によつてというだけでは無意味なのでありまして、そういうのではなしに、海運総局の船舶局にどういう資材を申請しておるからとるとか、熊本逓信局から特殊物件をとるとか、どことかこことか、そういう内容を聽きたい。
  437. 松本長藏

    松本證人 ただいまS・S・Kが持つておる資材は復員局から讓り受けました資材と、それから熊本逓信局の特殊物件、縣の特殊物件、それから解体の中で私の方で許可を得て使わしてもらいます材料、そういうことになつております。なお現在はわれわれはいろいろの材料を手に入れておりますが、たいてい最近は割当制でございまして、海運総局のわくからいただいております。鋼材につきましては、鋼材のわくの打合せ会がございます。そしてお前はどこのロールからとれ、どのくらい鋼材の割当をお前にやる、いつ幾日第一四半期、第二四半期はこのくらいの資材というわくをくれるのです。
  438. 徳田球一

    ○徳田委員 資材の切符ですね。
  439. 松本長藏

    松本證人 切符です。
  440. 徳田球一

    ○徳田委員 その資材をもらつた書類はありますか。
  441. 松本長藏

    松本證人 いただきました書類はございます。
  442. 徳田球一

    ○徳田委員 そうするとその書類を要求すれば提出できますね。
  443. 松本長藏

    松本證人 できます。
  444. 徳田球一

    ○徳田委員 北川政という元海軍少將を御存じですか。
  445. 松本長藏

    松本證人 存じております。
  446. 徳田球一

    ○徳田委員 今何をなさつておりますか。
  447. 松本長藏

    松本證人 今私のところの嘱託をしておりまして企画をやらしております。
  448. 徳田球一

    ○徳田委員 企画部長ということですか。
  449. 松本長藏

    松本證人 今部長の適当な人がありませんから、部長の仕事をやらしておるわけです。
  450. 徳田球一

    ○徳田委員 いつごろから……。
  451. 松本長藏

    松本證人 私がはいりましたころは、すでに北川さんはおりました。
  452. 徳田球一

    ○徳田委員 あなたより古いのですね。
  453. 松本長藏

    松本證人 そうでございます。
  454. 徳田球一

    ○徳田委員 待遇は……。
  455. 松本長藏

    松本證人 待遇は実は本社の方で大体やつておりますから、工場の方はあまりそういうことは存じません。
  456. 徳田球一

    ○徳田委員 月給はあなたの方からお拂いになるのじやありませんか。
  457. 松本長藏

    松本證人 月給は本社から……。
  458. 徳田球一

    ○徳田委員 それならようございます。もう一つお尋ねいたしますが、取引銀行はどこですか。
  459. 松本長藏

    松本證人 金融関係一般に本社でやつておりまして、私は工場の方を守つて仕事の方を精出しておりますから、金融関係についてはあまりよく存じません。
  460. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると、佐世保の方は金融関係は全然ないですか。
  461. 松本長藏

    松本證人 親和銀行を取引銀行にしております。佐世保の工場におきましては短期の運轉資金を借りております。
  462. 徳田球一

    ○徳田委員 むろん今私の聽いているのは、あなたの工場の責任において——先ほどあなたのお話では、工場の責任は全部あなたがおもちになると言われるから、工場の責任において取引している銀行のことを聽いている。
  463. 松本長藏

    松本證人 それは親和銀行であります。
  464. 徳田球一

    ○徳田委員 一箇月平均して大体どのくらいの取引がありますか。
  465. 松本長藏

    松本證人 ただいま借りておりますのは約一千万円かと思つておりますが、これは経理部長にさせておりますが、一千万円くらい借りております。
  466. 徳田球一

    ○徳田委員 それは借りているものですな。
  467. 松本長藏

    松本證人 毎月短期の融資を受けております。
  468. 徳田球一

    ○徳田委員 あなたの方から預け入れてどうするというのでなくて、一千万円借りておいて……。
  469. 松本長藏

    松本證人 一千万円借りまして、たいてい職工の給與がおもでありますが、借りまして、いつ幾日に返せるという目途がついておりますから、月のうちにたいてい返しております。
  470. 徳田球一

    ○徳田委員 一千万円借りておいて、今度は返してはまた借り、返しては借りるということですね。
  471. 松本長藏

    松本證人 そうでございます。
  472. 徳田球一

    ○徳田委員 どうも高田さんの話とは大分違いますな。ちよつと思い出してみてください。それに相違ありませんか。
  473. 松本長藏

    松本證人 相違ございません。一千万円ときまつてはおりませんが、五百万円借りて返す場合もあるし……。
  474. 徳田球一

    ○徳田委員 やり方は……。
  475. 松本長藏

    松本證人 やり方は短期で、私の方は仕事をしまして賣掛金というものがあります。それがいつ幾日にはいるということがわかつておりますから、大体借りては返し、借りては返しやつております。
  476. 徳田球一

    ○徳田委員 抵当を入れて保証をしてあるのですか。
  477. 松本長藏

    松本證人 別に抵当は入れません。手形で借りております。
  478. 徳田球一

    ○徳田委員 利子はいくらですか。
  479. 松本長藏

    松本證人 利子はいくらでしたか、詳しいことは経理部長にやらしておりますから、ちよつと忘れましたが、大体二銭そこそこじやないかと思います。
  480. 徳田球一

    ○徳田委員 現在はあなたは代表取締役になられているのじやないですか。
  481. 松本長藏

    松本證人 去年の十一月二十五日から代表取締役になりました。
  482. 徳田球一

    ○徳田委員 北村さんも代表取締役として、時期が少しダブつているのじやないですか。
  483. 松本長藏

    松本證人 北村さんがおやめになつたのは十二月かと思いましたが、日はよく覚えございません。
  484. 徳田球一

    ○徳田委員 登記しているのは二月くらい……。
  485. 松本長藏

    松本證人 辞任届を出されたのは十二月かと思います。そういう意味で私が代表になりましたのと少しダブつておりますね。
  486. 徳田球一

    ○徳田委員 代表取締役としてのおつき合いはないですね。
  487. 松本長藏

    松本證人 北村さんを実は私は知らないのです。正直に申しますと、あの方は社長就任しましたときに一同、それから東京ですが役員会がありましたときに一回私がまいりまして御挨拶しただけでございまして、北村さんとはあまり前からも面識がございませんし、現在でも北村さんとは深いつき合いをしておりません。ただS・S・Kへはいつて顔を二回合わせただけで、それ以外には何もありません。
  488. 辻寛一

    ○辻委員 S・S・Kで摘発された非鉄金属は大体百七十七トンくらいというふうに先ほど承りましたが、これを價格に直しますとどのくらいと御承知になつておりますか。
  489. 松本長藏

    松本證人 大体トン三万円ぐらいで、百七十七トンというと……。
  490. 辻寛一

    ○辻委員 五百万円くらい、あなたのおつしやるのはマル公じやありませんか。
  491. 松本長藏

    松本證人 マル公といたしますと、もう少し低くないかと思います。最近はやみの値段が不当でございまして、金融も逼迫しておりますので、はつきりわかりませんが、大体五百万円以下と思います。
  492. 辻寛一

    ○辻委員 先ほど檢事さんの御証言によりますと、このほかにパイプ類などの届出の違反とか、その他の重要物資の届出の規則違反、いわゆる法的隠匿物資と言いますか、そういうものの総量が大体額にして一千九百万円ばかりあるように伺いましたが、そんなように御承知になつておりませんか。
  493. 松本長藏

    松本證人 そういうことを言つておられたのですか。
  494. 辻寛一

    ○辻委員 そのように聽きましたが……。
  495. 松本長藏

    松本證人 私は実は今あなたのおつしやつた隠匿と称するもの、それは存じません。今調査続行中でございましようから私はよく存じませんが、その点は井上資材課長がよく知つているのじやないかと思います。
  496. 辻寛一

    ○辻委員 あなたは部長だし常務取締役なので、せめて中間報告くらい受けてはありませんか。このくらい届出漏れになつてつたとか……。
  497. 松本長藏

    松本證人 あなたのおつしやるのは二十二年一月幾日かの在庫調査、そのときの調査漏れのことをおつしやるのでございますか。
  498. 辻寛一

    ○辻委員 ええ。
  499. 松本長藏

    松本證人 それは私がまだ來ない当時のことでございまして、その当時どのくらいのものを届けたか、その内容につきましては私は見ておりません。届けたことは事実です。
  500. 辻寛一

    ○辻委員 届けたのは前ですけれども、届出がしてないということを摘発されたのは、あなたが所長におなりになつてからだと思います。ですからそういう点について資材課長から御報告をお受けになつていると思いますが……。
  501. 松本長藏

    松本證人 実はまだ受けておりません。
  502. 辻寛一

    ○辻委員 その外貌についてもお聽きになつておりませんか。
  503. 松本長藏

    松本證人 調査漏れがあつたということだけは聞いております。その調査漏れが、どういうものがどれくらい調査に漏れておるか、その当時の数量は、まだ聞いておりません。
  504. 辻寛一

    ○辻委員 調査漏れがあつたということはお聞きになつておるが、その数量とか、いわんやその金額などは全然お聞き及びになつておらぬ。
  505. 松本長藏

    松本證人 聞いておりません。
  506. 辻寛一

    ○辻委員 お確めなつたこともない。
  507. 松本長藏

    松本證人 確めておりません。本人が今まだ調べられております。
  508. 辻寛一

    ○辻委員 本人というのはだれですか。
  509. 松本長藏

    松本證人 井上資材課長であります。
  510. 辻寛一

    ○辻委員 それから、本社の方に御報告はなさらなかつたということは承りましたが、この事件が起きましてから、相当S・S・Kに物資があるというようなことも世間に拡まつたので、北村さんも御心配になつて、その眞相を工場の方にお確かめになつたように承りましたが、そんなことはございませんでしたか。そういう御照会はございませんでした。
  511. 松本長藏

    松本證人 いや、まだ北村さんから、何の手紙も私には來ません。
  512. 辻寛一

    ○辻委員 われわれが察すれば、あなたが常務取締役でもあり、そう親しくなかつたにしても、責任者でもありますし、一番よくおわかりですから、本社としても、工場にお確かめになれば、あなたを通じてお確かめになつたろうと思うのですが、お尋ねがないということならば、やはり工場の資材課長に直接とか、何かお尋ねがあつたということもお聞きになつておりませんか。
  513. 松本長藏

    松本證人 聞いておりません。
  514. 辻寛一

    ○辻委員 全然聞いておりませんか。
  515. 松本長藏

    松本證人 聞いておりません。
  516. 辻寛一

    ○辻委員 そうすると、本社の方からお問合せもございませんか。
  517. 松本長藏

    松本證人 來ておりません。
  518. 辻寛一

    ○辻委員 つまり高田さんの方からも、お問合せがなかつたのですか。
  519. 松本長藏

    松本證人 高田さんからも……。
  520. 松本長藏

    松本證人 続行中でございますので、はつきりしたことがよくわかりません。はつきり全貌が明らかになりましたときに、まとめて報告しよう、こういうふうに私は思つております。
  521. 辻寛一

    ○辻委員 続行中ではありますけれども、本社としてはこれはたいへん心配なことですから一体どんな事情になつておるかということは、当然お問合せになるだろうと思いますが、そういう問合せは全然ございませんか。
  522. 松本長藏

    松本證人 ございません。
  523. 辻寛一

    ○辻委員 工場の方に赴かれて、その実情を聞いたということもございませんか。
  524. 松本長藏

    松本證人 ございません。
  525. 辻寛一

    ○辻委員 高田さんは、きのうの御証言によりますと、工場においでになつて、どなたかに聽かれたという……。
  526. 松本長藏

    松本證人 高田さんが参りましたのは、私の方ではいろいろの製品をつくつておりますが、G・H・Qにそのつくりたいという品物の許可を得なければいけない。その許可指令のために、先般われわれの方へ、どういうものを工場でつくりたいか、將來の事業としてどういうことをやりたいか、G・H・Qに出せというので、連絡に参りました。隠退藏発見物資の問合せに來たのではありません。
  527. 辻寛一

    ○辻委員 そういうことでわざわざおいでにならなかつたにしても、時たまたまこういうことが起きておることでありますから、実情がどうなつておるかということは、一應人情としてお尋ねになるのが至当だろうと思うが、そういう話はあなたとの間には全然なかつたのですか。
  528. 松本長藏

    松本證人 全然ありません。
  529. 辻寛一

    ○辻委員 あなたから積極的にお話しにもならなかつたのですか。
  530. 松本長藏

    松本證人 そういうことは、はつきりした檢察廳の御処理が済まないうちは、いろいろなことを一般に発表いたしますと、間違いもありますし、世間の誤解も招きますから、愼重を期して一切発表しないことに私はしております。
  531. 辻寛一

    ○辻委員 ところが、北村さんは、世間の誤解を招いてはいけないから、針小棒大に傳えられておる氣味があるから、誤解を解くために、特に声明書をお出しになつて、その声明書には、調査をしたところが、ほんの少量摘発されたにすぎないのである、こういうことをはつきり言われまして、声明書を出して、新聞にまでも御発表になつておるのであります。調査をされるということになりますれば、これはやはり工場自体についてお聞合せにならなければならぬわけであると思う。また御自身においても、たしか工場の方へ問合せをしたとおつしやつたはずでありますが、あなた方の方にも問合せがない、また資材課長の方にもそういうお話がなかつたということになりますと、こういう事件の概貌を、少くとも前社長からのお問合せに対して答え得るところの人が、あなた方の方には、ほかにございましようか。御想像になるような方はございますか。北村さんのお問合せならば、あの辺の重役に來たのではないかというような、御想像になるむきはございませんか。
  532. 松本長藏

    松本證人 もう一遍おつしやつてください。つまりほかの人に北村さんが……。
  533. 辻寛一

    ○辻委員 私の方からお察しすれば、北村さんが隠匿物資について工場に問合せをしたとするならば、おそらく工場の責任者であるあなたのもとにお問合せになつただろうと思つたのですけれども、今承れば、さようなことは聞いておらぬというお話である。また、資材課長の方からも、そういう問合せが來たということを耳にしたことがないというお話があります。そうすると、どこで北村さんは、一体事件の全貌を確かめられたか。そうして、あなた自身が、まだ取調べ中であつて、はつきり言うことができないとまで言つておる問題につきまして、北村さんは世間の誤解を解くためであるというて、はつきりと、少量摘発されたに過ぎないものであつて、S・S・Kに構内以外の所に多くのものがあるのであつて、S・S・Kの構内においては、わずかなものに過ぎないということを、はつきりと、少量摘発されたに過ぎないものであつて、S・S・Kの構内以外の所に多くのものがあるのであつて、S・S・Kの構内においては、わずかなものに過ぎないということを、はつきり断言しておられる。その断言された根拠というものは、あなたでもなく、資材課長でもないとするならば、あなたの工場内において、北村さんの御照会に対して答え得るというような人が、ほかにありますか。
  534. 松本長藏

    松本證人 私はあるいは、東京の塩津專務が工場に月一回ずつ参りますから、その時に、今の非鉄金属の数量は世間で厖大に言われておるが、それは誤りである。井上資材課長から私に報告があつたものは——これは檢察廳立会の上でありますから——百七十七トンというものが一應発見された。そのほかには今のところ、所長は一生けんめい奔走もしておるし、部内の人々にも、あるものなら早く出せということを言つておるから、今のところ出たのは、そのうちで十五トンだけ出た。今のところは出ない。おそらく出ないのじやなかろうかと自分は思う。S・SKも、海軍工廠の中の三分の一の十万坪も借りておるだけで、S・S・K以外のものは、米軍の許可なくして立入禁止で、われわれの知る限りでもございませんから、最善の努力を盡してこれ以上出ないだろうということを、塩津專務に話した。北村さんはそれを聞いたのかもしれません。あるいはまたどこから聞いたか、私は知りません。私は塩津專務にそういうことは報告しておる。しかしこれは、井上資材課長調べられておる最中だから、はつきりしたことは申し上げられませんが、現在のところはこれだけということだけ、報告を聞いたから、復命しておきました。
  535. 辻寛一

    ○辻委員 それで、塩津專務から聞いたのではなかろうかという御想像ですか。
  536. 松本長藏

    松本證人 それはわかりませんが、私は塩津專務には言つておきました。
  537. 辻寛一

    ○辻委員 その塩津專務に話したときは、鋼管、パイプの問題については、お話しにならなかつたのでありますか。ただ非鉄金属が摘発されただけだというふうにお話しになつただけでありますか。
  538. 松本長藏

    松本證人 そうです。非鉄金属のことだけは聞きました。
  539. 辻寛一

    ○辻委員 このパイプなんかも、届出以上に保有されておつたならば、発見されたのはやはり摘発ということに類するわけですね。当然、いわゆる法的隠匿物資になるわけですね。
  540. 松本長藏

    松本證人 さあ、その点はよくわかりません。それが摘発であるか、あるいはあとから発見されたものであるか、あるいは解釈の相違であるか。余剩物資保有量は、大体六箇月ということがその当時の常識になつておりますから、その点はわかりません。
  541. 辻寛一

    ○辻委員 パイプの問題は取調べ中であるから、数量もはつきりしないから、これは厖大なものに上るかどうか、ほんの少量のものかわかりませんが、はつきりしておる非鉄金属の百七十七トンというのは、あなた方の会社から言えば、また世間並みから言えば、これはほんの少量で、大した問題でない。こんなふうに軽くお考えになつておりますか。
  542. 松本長藏

    松本證人 そうです。
  543. 辻寛一

    ○辻委員 非常に軽く考えておりますか。
  544. 松本長藏

    松本證人 そうです。造船会社におきましては、材料の百七十七トンぐらいは、プロペラーでも十トン十五トンございますから、プロペラーを吹いてもわずかなものですから、数量としてはわずかなものとしか考えておりません。
  545. 辻寛一

    ○辻委員 先ほど私は確かに承つたのでありますが、私の聽違いかもしれませんが、その他の届出違反による物の総量がたしか千九百何万というようなこまかい数字まで承つたように思いますが、その程度に上りますればこれは相当隠退藏物資であつたということは、あなたの方の会社としてはお認めにならざるを得ないことになりますが、そうですか。
  546. 松本長藏

    松本證人 それは私は報告も聽かないので、そのことは私全然存じません。二十一年の一月二十五日ですが、法令による届出のその当時の状況は私よく存じておりません。まだ就任していない以前のことですから……。
  547. 辻寛一

    ○辻委員 仮定によつての話は御迷惑かとも存じますが、百七十七トン約五百七十万円程度のささたるものは、別に本社に報告するにも及ばん。現場だけでいいというふうに軽く考えていたというお話でありますが、少くとも二千万円くらいの金額に上れば、これは本社にも報告しなければならぬ。これは少々問題だということは、結局程度問題ではありますが、どの程度になるとこれは本社にも報告しなければなるまいというふうに、工場長としてはお考えになるのでありますか。デリケートな問題でありますが、あなたのその限界を承つておきたい。
  548. 松本長藏

    松本證人 私ははつきりしないうちは一切報告しないという性質です。
  549. 辻寛一

    ○辻委員 ところがはつきりいたしましても百七十七トンは、これは少量だということにおいて、あなたは塩津專務に、それぞれ來たついでにお話しになつたから、本社には正式に報告に相なつておらんのですか。
  550. 松本長藏

    松本證人 塩津專務に非鉄金属の問題だけは言うておりましたが、あなたのおつしやるパイプその他の問題は、まだはつきりいたしませんでしたから……。
  551. 辻寛一

    ○辻委員 塩津專務は東京におる方ですか。
  552. 松本長藏

    松本證人 東京におります。
  553. 辻寛一

    ○辻委員 そうですか。そうすると百七十七トンという非鉄金属の摘発があつたということは、これは正式に御報告なつたわけですか。事がはつきりしなかつたから正式に御報告なつたんですか。
  554. 松本長藏

    松本證人 百七十七トンのうち十五トンは私が調べに行つて報告させた。一回、二回で百七十七トンあつたということは話してあります。
  555. 田中健吉

    田中(健)委員 あなたは北村さんがやめられたあとの取締役社長ですか。
  556. 松本長藏

    松本證人 代表取締役で、工場長です。
  557. 田中健吉

    田中(健)委員 そうしますと、北村さんからいつ事務引継ぎをしましたか。
  558. 松本長藏

    松本證人 私は社長じやありませんから……。
  559. 田中健吉

    田中(健)委員 復金から金が出ていることはあなたは知つておりますか。
  560. 松本長藏

    松本證人 出ていることは知つております。
  561. 田中健吉

    田中(健)委員 どれだけ出ているか……。
  562. 松本長藏

    松本證人 大体三千万程度、私にははつきりしりません。金融問題は一般に本社にやつてもらうことになつておりまして、工場関係は私のとこでやつておりますが、金融は本社が主としてやつております。
  563. 田中健吉

    田中(健)委員 それであなたの工場に、いろいろ解体の費用の金がきいているわけですが、それは本社からその金がくるんですか、それとも親和銀行で借りた金がくるんですか。
  564. 松本長藏

    松本證人 解体の金と言いますと資金のことですか。解体資金なら本社からまいります。
  565. 田中健吉

    田中(健)委員 本社からきた金を親和銀行に預けておいて、それから拂うんですか。
  566. 松本長藏

    松本證人 預け入れは親和銀行へ振込んできて、親和銀行からこちらへもらつて使うわけです。
  567. 田中健吉

    田中(健)委員 つまり復興金融金庫からですか。
  568. 松本長藏

    松本證人 東京本社の方で受取りまして、それを親和銀行へ拂込む。その点ははつきりいたしません。私は金融問題につきましては、はつきり存じません。
  569. 田中健吉

    田中(健)委員 あなたは所長でしよう。所長がはつきりしないと言うのはおかしいですね。
  570. 松本長藏

    松本證人 所長ですが、工場の建直しの最中は、工場の一切の問題で、非常に多忙をきわめておりまして、大体東京方面と工場方面と二つにわけまして、東京方面のことは塩津がやり、工場方面のことは松本という者が分担してやつており、金融は本社においてやつていただいております。
  571. 田中健吉

    田中(健)委員 しかし解体作業というものは、大体あなたのもとにおいてやつているわけでしよう。そうすると解体作業全体の資金関係は、あなたが全部知つていなければならん。
  572. 松本長藏

    松本證人 解体の作業関係は、大体計画書でわかつております。
  573. 田中健吉

    田中(健)委員 大体解体の資金計画はどうなつているか、その解体資金計画の金貌について御説明を願いたいと思います。
  574. 松本長藏

    松本證人 ですから、先ほど申しましたように資金計画は、ただいま解体のものは四月分のもので、今は五月分のものを立てていると思います。現在の見透しは、大体どのくらいの解体作業が要り、賣上高はどのくらい、そのバランスはどうなるという計画は立つております。
  575. 田中健吉

    田中(健)委員 その解体作業は現在進行中だと思いますが、解体作業は、この前の証人証言によりますと、別会計となつているということですが、そうしますと、解体作業の全般的な帳簿があるはずですから、それをお出しを願いたいと思います。
  576. 松本長藏

    松本證人 解体のものは別会計となつております。
  577. 田中健吉

    田中(健)委員 別会計になつている。そういつた帳簿は何か資産表みたいになつておりますか、毎日々々の分が資産表になつておりますか、ただつけこみ帳みたいになつておるんですか。
  578. 松本長藏

    松本證人 賣却したものはもちろん台帳で整理しておりますし、それから費用は別勘定で計上してできておりますから、解体のものはもうちやんと別勘定でできております。
  579. 田中健吉

    田中(健)委員 あなたは資金のことはよくわからないとおつしやるが、大体復興金融金庫から出た金が工場の方にまわつて、解体作業に使われたと思うんですが、そうするとその資金計画があるはずだが、その資金計画に基いてやつているかどうかということを私は聽きたい。今詳しくわからないとすれば、それらについて詳細の書類を後日お願いしたいと思います。  委員長一つ要求いたしますが、復興金融金庫から、十三万トンでしたかの船舶を解体するために、三千四百万円かの金が出た、この関係は特別会計になつているそうですから、その特別会計の書類と資金計画、償還計画、一切のものを含めて、書類の提出方をお願いいたしたいと思います。
  580. 武藤運十郎

    武藤委員長 後刻明確に書面で出してください。
  581. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 先ほど塩津專務へ隠退藏の物を口頭で知らせたとあなたは言われた。前の海軍工廠の構内はずいぶん廣いが、S・S・Kの構内以外のことはわからないが、S・S・K以外の構内ではこれだけしか出なかつた。こう言われております。そこでS・S・K構内以外の海軍工廠の構内で、相当の物が出たということをおつしやつたんですが……。
  582. 松本長藏

    松本證人 それは知りません。S・S・Kの港外のことは現在のところ知りません。
  583. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、S・S・Kの港外以内で多量の物が出ましたということは言われなかつたか。
  584. 松本長藏

    松本證人 言いません。
  585. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それでよろしゆうございます。もう一つ聽きたいのは、あなたの方で解体せられた解体のスクラツプ一切、これは拂下を受けておられないのですから、所有権は政府のものですね。あなたの方は保管者たる義務があるものだ。かように考えますが、これはどうお考えになりますか。
  586. 松本長藏

    松本證人 これはわれわれの方で拂下げてもらつたものと了承しておるわけであります。つまりそれの自由処分をわれわれに許されておるのでございまして……。
  587. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それはいろいろ議論がある。あなたがそう思つておられるのはよろしいが、あなたの物だからほかへ賣ろうが、自分の方で使つてしまおうが、どうしようが勝手ですか。
  588. 松本長藏

    松本證人 そうではありません。指定生産資材制度というものがございまして、指定生産資材でございますから、切符をもつてまいりました方には渡さなければならぬ義務がある。私の方でそれを使う場合はもちろん切符が要りますが、海運総局のわくの中で使つております。ですからわれわれの方は勝手に使つたのではございません。
  589. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 勝手に使うわけにはいかぬですね。しかるにあなたの方で解体の一部の物を、殊に非鉄金属等を、ほかへ隠しておかれるということになると、それはどういうことになるか。
  590. 松本長藏

    松本證人 解体非鉄金属の物をほかへ隠したと言われるが、隠したのではございません。
  591. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 議論はせぬが、隠したとなればどうなるか。
  592. 松本長藏

    松本證人 隠した覚えがありませんから、そういうことは存じません。
  593. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 隠したか隠さぬかわからないが、隠したとすれば、隠匿以外にどろぼうになりはしませんか。
  594. 松本長藏

    松本證人 別に隠した覚えもございませんから、何ですか、今あなたのおつしやるのはバラストの件ですが、あれはうちの方に返してもらうことになつております。あれは誤りです。
  595. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたは昨年の七月十五日現在で、昨年九月二十二日に報告なさいましたね。その報告は非鉄金属であれば、あなたのところの所有物はもちろん報告しなければならぬ。そこで私はさつき保管と言つたが、そういうものは申告しなくてもよかつたのですか。それとも申告しなければならなかつたのか。
  596. 松本長藏

    松本證人 解体の非鉄金属は別に申告しなくてもよいのです。部品でございますから。一つの品物であつて、地金ではございませんから。七月十五日現在に届けなくともよいはずです。部品でございまして、地金類ではございませんから。
  597. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 たいへんなことを伺つたが、そうすると現在摘発せられておる物でも、解体したる部品であれば、それは申告違反のものでないということになりますね。現在摘発せられたるところの対象物は解体の部品であるとすれば、非鉄金属でも申告違反には絶対ならぬわけですか。
  598. 松本長藏

    松本證人 解体の物はつまり解体品の部品で品物でございますから、地金ではございません。今のバラストは加工品になつております。鉛にワイヤーをつけて加工品になつたのです。それは何かの誤りで、五十八トンのバラストがその中にまぎれこんだ。それは今の軍令によります。二十二年七月の十五日のあの中にははいらないわけです。
  599. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 申告違反にはならぬですね。
  600. 松本長藏

    松本證人 ならぬと思います。
  601. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 進んで聽きますが、あなたは隠したことはないと言われるが、たいへんな重いものを起重機で持ち上げて入れて、その上にさらに重い鉄板を載せて、さらにその上にほかのものを載せてあるという事実をあなたは御承知ですか、御承知でありませんか。
  602. 松本長藏

    松本證人 発見されましたところの二月十四日に、そういうことがあつたことはあとで知りました。
  603. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 その事実は御承知ですね。
  604. 松本長藏

    松本證人 知つておりました。
  605. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 しからば承りますが、それでもあなたは特に隠匿したものにあらずと言われますか。
  606. 松本長藏

    松本證人 私は隠匿した覚えはありません。
  607. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それは誰がやつたか。
  608. 松本長藏

    松本證人 それを今調べられておるのです。
  609. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたというのは会社を言うのですがね。そういう責任はないとあなたは言われますか。
  610. 松本長藏

    松本證人 責任はないと申し上げません。やはり法の命ずるところによりまして、私らがその法に当りますならば、もちろん私は責任をとります。私は逃げるのでも何でもない。
  611. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたのおつしやるのは隠匿した覚えはない。あんなものは返してもらうはずであるとおつしやるから、こういう事実があつて、なおあなたは言われますか。
  612. 松本長藏

    松本證人 それはバラストの件でございます。全般の問題でありません。バラストだけの件です。品物は違うのでございます。それは何かの誤りだと思います。今の五十八トンのバラストがその中にまぎれこんであつたのは何かの誤りであります。
  613. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 誤りとはどういう誤りか。
  614. 松本長藏

    松本證人 その結果から言いまして、今の五十八トンというバラストはつまり解体の部品であつた。であるからあの法律は非鉄金属の地金の報告でございますから。
  615. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 ちよつと私申しますが、あなたは当然わかつておりながら、責任者でありながら知らぬ存ぜぬといつても、僞証罪になるということを御認識なさつてお答え願いたい。
  616. 松本長藏

    松本證人 いや知らぬといつても私が全部知らないのでなくして、資材課長の報告を受けて知つたのであります。
  617. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それだけ注意しておきまして、あとの点を聽きますが、あなたはさつき現在のスクラツプを現在の公定價格では安くていけないので、公定價格の変更を申請中である。こうおつしやいましたね。安すぎるから高くしてくれということだと思いますが、どうです。
  618. 松本長藏

    松本證人 そうでございます。
  619. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私初めにそう聽いたから、あなたがそのあとで公定價格でも買手がないから損がいく。それはどういうわけです。
  620. 松本長藏

    松本證人 現在の公定價格では買手がないのです。事実賣れないのです。昨今はまた形勢がどう変りましたか、私がこつちに來たから知りません。私が知つておる間はマル公では賣れなかつたのです。
  621. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこが私は初めからふしぎだと思つて聽いたのだが、公定價格でも買手がないものを、安すぎるから高くしてくれといつて申請中だということは何といつても合点がいかない。そうするとどういうことか、現在は公定價格で買手がない。それを高くしてくれということでは、なお買手があるはずがないじやないか。
  622. 松本長藏

    松本證人 それはだんだん需要は殖えてくると思います。先般までの状態がそうであつたのです。これは事実なんです。
  623. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私はあなたを特にいじめようとするのではないが、あなたがそのときどきの答弁をされるので、それを私は指摘するのである。最初は、安過ぎていけないから高くしてもらうように申請をするのだと言う。そこで今度はどうして申告していくのだと聽くと、実は公定價格で買手がないと言う。それでは通る理屈じやない。
  624. 松本長藏

    松本證人 今の公定價格にいたしましてもなおかつ赤が出るのです。
  625. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 買手がないのなら、変更してもらう道理がないじやないですか。
  626. 松本長藏

    松本證人 それで、まず公定價格を先に上げてもらうようなことをこれから申請してやつていただかなければならぬのです。
  627. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 買手がないものなら変更して上げる道理がないでしよう。
  628. 松本長藏

    松本證人 しかしこれからまた経済状態がどうなるかわかりませんから。
  629. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなた本氣でさようなことをつつぱられますか。みんな聽いておるが、さようなことを肯定し得る者はないんだが、そんなことを言われるならもうよろしゆうございます。
  630. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 土地建物とか、機械設備を使つておりますね。あれを一体どのくらい賃料を拂つておるのですか。
  631. 松本長藏

    松本證人 賃料は、今のところまだ告知書がきておりませんからはつきりしておりませんが、大体二十一年度におきましては土地、建物、工作物、機械類の使用料が百五十万円程度であり、それから二十二年度が三百四十万円から三十万円程度大体きまるのじやないかと思つております。
  632. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 まだ納めていないのですか。ただで使つているのですか。
  633. 松本長藏

    松本證人 いやそうじやありません。これは査定がきまりませんので遅くなつたのであります。
  634. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 軽減運動をやつておりますね。
  635. 松本長藏

    松本證人 軽減運動と申しますと、つまり値段を安くしてくれという陳情ですね。それはやつております。
  636. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 その運動のときの取締役会の決議によると、もつと高いことを言つておるようですが、今またたいへん安くなつておりますね。使用料軽減運動に、二十二年五月十日というのがある。もつと高いようですが、どういうふうにして拂うつもりなんですか。どのくらいお拂いになるのですか。
  637. 松本長藏

    松本證人 大体ただいま私が申した程度で拂いたいと思うのですが、二十一年度は一年間の使用料ではないのでありまして、私ども会社が始まりましたときに、あの機械を防空壕の中から持つてきましたり、それから壊れたものがたくさんあるというので、それを修理したりなどいたしまして、非常に費用がかかりまして、私の会社ではあの機械の修理に相当な金を使つたのであります。二十二年度にいたしましても、やはりあの中に、ふだんは遊ばしておいても、進駐軍関係の特別な工事があつたときに使わなければならないような、そういうふうに運命づけられた機械も相当たくさんございます。また進駐軍專門に使つておる機械も相当ございます。
  638. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それはいいのですが、あまり安くなつてしまつて、國家のものをどういうふうに使うという御予定ですか。
  639. 松本長藏

    松本證人 今のその値段できまりましても、決して私たちは安いと思つておりません。
  640. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 実はこちらの本社の人に聽いたのですが、たれも知らぬ知らぬと言つてみな逃げてしまつた。結局あなたが知つておるということになつたのです。あなたもまだわからぬですか。要するに、國会で見ると、あの機械と工場の大したものを使つてどれだけ拂うつもりかということがわからぬのです。どうなさる御予定ですか。
  641. 松本長藏

    松本證人 二十一年度は百五十万円程度、二十二年度は三百四十万円程度でやつていただきたい、こういうふうなことでいろいろ愼重審議をいたしたのでありますが、私の方で使つております現況と、それから修理をいたしました現況、当時機械が壊れておりまして稼動率が非常に悪うございました。実際に利用的な價置のあつたものは非常なわずかのものでありましたので……。
  642. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 あなたはそう言われるけれども、二十二年九月二十二日の役員会で、二十一年度の工事費は六千万円として、これに対する希望の使用料として四%二百五十万円と書いてある。それから二十二年度は一億五千万円の工事費として、これに対する希望使用料として四%六百万円と書いてありますが、これまたこれよりもつとこれに軽減運動をするというようなことが書いてあるのだが、もつと安くならなければいかぬのですか。
  643. 松本長藏

    松本證人 その当時は、一應の目安をつけましていろいろやつたのでありますが、今の値段で大体査定されるといたしましても、工場には相当に高いものを借りておる。事実におきまして、現在の工場の機械の修理状況、それから建物が非常に悪うございまして、そういつたものに使いまする金が非常に高い金を使つておるのであります。そういつた修復費が相当嵩みます。それからドツクでも、非常な厖大なドツクが、進駐軍の命令で、小さいボートを入れてもドツクをほして使わなければならぬというようなことで、時間的にせめられますので、そういつたことでドツクの使用料が高いものについてしまうのです。
  644. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そういうことはたれか査定しておるのですか、役所として。
  645. 松本長藏

    松本證人 しております。
  646. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 たれがしておりましたか。
  647. 松本長藏

    松本證人 名前はよく存じませんが、熊本、長崎、それから佐世保地区の國有財産関係の方々がやつておるわけです。
  648. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それがきまらないで、今は金を拂わないで使つておるということなんですね。
  649. 松本長藏

    松本證人 それは、金を拂うのでございますけれども、査定がまだ……。
  650. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 拂うということじやなく、現在拂つていないんでしよう。
  651. 松本長藏

    松本證人 私こつちへ來ましたので、その後のことは私記憶しておりませんが。
  652. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 あなたはこつちへいつ來たのですか。
  653. 松本長藏

    松本證人 昨日來たのでございます。
  654. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 昨日來てからきようまでに変るのですか。
  655. 松本長藏

    松本證人 いやそうでありません。告知書のことはまだよく見ておりませんから。
  656. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 告知書といつても、告知書が來たかどうか知らないけれども、金を拂つていないのは間違いないでしよう。そんなふうに逃げなくても、まだ拂つていないのなら、実はまだ拂つていないと言えばいいじやないか。私どもの方はそれを追究しておるのじやない。一体國有財産をみんなどんなふうに考えておるかということを知るために聽いておるのです。どうもあなたは何とか言つて逃げればいいというふうに聞える。それから、先ほども質問がありましたが、二十二年七月十五日現在の非鉄金属についての届出はあなたの名前だということはさつき言つたですね。九州軍政本部に対する九月二十二日附の届出はあなたの名前ですね。
  657. 松本長藏

    松本證人 英文は前代表取締役三枝貞藏君がやつております。和文の方は私が判を押しております。
  658. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 やはりあなたが届出したのでしよう。
  659. 松本長藏

    松本證人 そういうことになります。
  660. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そうすると、届出によつてこれについて違反があるというのは、先ほども大分言つたのですが、どのくらいか知りませんが、ある程度の違反があつたということは、あなたはおわかりになつてつたんじやありませんか。
  661. 松本長藏

    松本證人 それは発見されまして物がございますから、それが今調べられておりますが、あるいはその結果違反になるかもわかりません。
  662. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そういうことは下から報告を受けておられるのでしようか。
  663. 松本長藏

    松本證人 下からの届出の報告ですか。
  664. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 ええ。
  665. 松本長藏

    松本證人 下からの届出の報告は、私は当時就任したばかりでございまして、実際の事情はよくわからないのであります。それで資材に関する問題は、私はよくわかりませんので、大体私の部下であります資材課長の届出を信じまして、そのまま私は出した、そういうことになつております。
  666. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 資材課長なり、ほかの総務課長からか、だれかからか聽いておられるのでしよう。
  667. 松本長藏

    松本證人 それは発見されました後、私はそういう数量が出たということを聽いております。
  668. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 発見されて後にわかつたことは聽いておるのですね。
  669. 松本長藏

    松本證人 そうです。
  670. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 現在はもうわかつておるわけですね。
  671. 松本長藏

    松本證人 現在は大体わかつております。
  672. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 その中にあちらこちらに隱してきた品物があるわけですが、それはわからぬのですか。
  673. 松本長藏

    松本證人 後でそれはわかりました。摘発されましてから後でわかりました。
  674. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 あつちに持つて行き、こつちに持つて行きした物が違反があるということがわかつてつたのですね。
  675. 松本長藏

    松本證人 はあ。
  676. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 わかつてつたら、さつきからそう言つてもらえばよかつたのです。それがどうもおかしかつたのですがね。お認めになつたならばいいのです。悪いところは悪かつたと……。  それから船舶解撤問題については、一九四六年四月三十日の指令によつて、解撤をする條件が連合軍の方から日本政府に委託され、解撤をあなた方がするようになつたんだが、その解撤をした経過報告を軍の方に出さなければならぬようになつておりますか。
  677. 松本長藏

    松本證人 ええ。
  678. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 出しておりますか。
  679. 松本長藏

    松本證人 出しております。海運総局を通じて軍の方へ出しております。
  680. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 出してありますね。
  681. 松本長藏

    松本證人 出してあります。
  682. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 海運総局を通じて、民間財産管理課長ミラー氏のところですか、どこですか。
  683. 松本長藏

    松本證人 ただいまはハーデイングスキー大佐でございます。
  684. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 出してありますね。
  685. 松本長藏

    松本證人 出してあります。
  686. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 出してあればよろしい。まだたくさんありますがこれくらいにしておきます。
  687. 徳田球一

    ○徳田委員 復金からあなた方に融資されておりますが、その融資されておることに対しての実績について復金から來て監査を受けたことがありますか。
  688. 松本長藏

    松本證人 來ております。
  689. 徳田球一

    ○徳田委員 何遍くらい來ておりますか。
  690. 松本長藏

    松本證人 度数は今記憶にありません。
  691. 徳田球一

    ○徳田委員 それはあなたが立会つておりますか。
  692. 松本長藏

    松本證人 私は立会つておりません。経理部長が立会つております。
  693. 徳田球一

    ○徳田委員 監査を受けたときの報告がありますか。
  694. 松本長藏

    松本證人 あると思います。
  695. 徳田球一

    ○徳田委員 それから海運総局からも監査を受けておるのですか。
  696. 松本長藏

    松本證人 解撤資材の監査ですか。
  697. 徳田球一

    ○徳田委員 海運総局から解撤に関しての毎期々々の監査を受けておるのですか。
  698. 松本長藏

    松本證人 海運総局の監査は受けておると私は記憶しております。
  699. 徳田球一

    ○徳田委員 受けておりますね……。そうすると監査表は総局にあるわけですね。
  700. 松本長藏

    松本證人 あると思います。
  701. 徳田球一

    ○徳田委員 それからもう一つ、大藏省の國有財産局からも毎期々々監査を受けておるのですか。
  702. 松本長藏

    松本證人 会計監査ですか。
  703. 徳田球一

    ○徳田委員 國有財産局にあなたは借りておるんだから、そうすれば、あなたの方の敷地料こととか、いろいろなことについて毎期々々監査しなければ決定ができないでしよう。だからこの監査は受けるはずですが、受けておりますか。
  704. 松本長藏

    松本證人 私の工場に國有財産部の方がよく調べに來ております。監査と言いますかね。私経理の方はよくわかりませんが。
  705. 徳田球一

    ○徳田委員 檢査を受けておるのですね……。あなたの言うことはちつとも信ぜられないから監査表をとりたいと思います。ほんとうは監査表なんかとらなくてもいいのだけれども、あなたの言い方は皆ぬらくら逃げてわからぬ。監査表があれば監査表をとつてすつかり調べたいと思います。だからはつきりしてください。何でも彼でもぬるぬる抜けることばかり考えておる。あなたがぬらくら言つてつても、ちやんと監査を受け檢査を受けておるのなら、その報告が行つておりますから、ちやんと國家で管理しておるので、それを見ればわかる。國会は何大臣であろうが皆連れて來てどんどん聽くんだから、監査表を出してもらつて、間違いのあるものはどんどんやる。これが國会の任務なんだから、あなたがここでいい加減なことを言つて、ずばつと抜けられると思つたら間違いです。
  706. 松本長藏

    松本證人 逃げようとは思つておりませんし、逃げるつもりで言つたんじやないのです。私はよくものを忘れまして、記憶に残つておらないのであります。
  707. 徳田球一

    ○徳田委員 そういう言い方をするから変なんです。監査、檢査、これを全部表を調べます。
  708. 松本長藏

    松本證人 監査のことに関しましては、私は非常に忙しいものですから、経理部長が責任者で、それにやらせております。私が今ここで申し上げることは逃げるために言うのじやなく、私の記憶にないことでございまして、記憶を呼び起して言つておるわけですから、その点どうぞ悪しからず。
  709. 徳田球一

    ○徳田委員 復金の融資を受けた場合は、復金が監査するばかりじやなく、銀行局が監査することになつておりますが、あなたの方は監査を受けておりますか。
  710. 松本長藏

    松本證人 ここに参りまして、はなはだどうも何ですが、私は実は技術の方を主としてやつておるので、経理の方は詳しくないものですから、そういうものが來た場合には経理部長をしてやらせてありますが、私その銀行局の監査云々ということは、はつきり記憶がございません。
  711. 徳田球一

    ○徳田委員 それならばようございます。あとで調べればわかります。
  712. 荊木一久

    ○荊木委員 在庫品の調べでございますが、その届出はだれの名前で届出るのですか。会社にただ届出ろというのですか、それとも会社の代表者か、あるいは指名してくるのですか、どうなんですか。
  713. 松本長藏

    松本證人 会社の事業部單位でくるはずでございます。事業場單位に…。
  714. 荊木一久

    ○荊木委員 それがきたときには会社では役員会を開くとか、あるいは何とかやりましたか。
  715. 松本長藏

    松本證人 そういつたことはこれまでやつておりません。届出をする際には別にやつておりません。
  716. 荊木一久

    ○荊木委員 それは何か各事業部單位、事業部ごとに連絡会議でもございますか。
  717. 松本長藏

    松本證人 別に私の方は一会社一工場でございますから、工場の方に参りますれば、その工場でとりまとめて出すことが習慣になつております。
  718. 武藤運十郎

    武藤委員長 もうございませんね。それでは済みました。御苦労さまでした。     —————————————
  719. 武藤運十郎

    武藤委員長 たいへんお待たせしました。井上正清さんですね。
  720. 井上正清

    井上證人 はい。
  721. 武藤運十郎

    武藤委員長 S・S・Kの佐世保船舶工業株式会社の資材課長……。
  722. 井上正清

    井上證人 さようでございます。
  723. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたの会社のことにつきまして、各方面からいろいろ伺つたのですが、あなたの会社の中から大分隠退藏物資摘発されて、三回にわたつて佐世保檢察廳で手を入れて、摘発をしたそうですけれども、その際、あなたは係官と一緒にその摘発に携わりましたか。
  724. 井上正清

    井上證人 はあ、そうであります。
  725. 武藤運十郎

    武藤委員長 そういたしますると、檢察廳でこまかい表をつくられたようですね。一回、二回、三回か、品名、数量、見積價格隠匿してあつた場所等ついて、表をつくつてあるようでありますけれども、御存じですね。
  726. 井上正清

    井上證人 そうでございます。
  727. 武藤運十郎

    武藤委員長 あの通り相違ありませんか。
  728. 井上正清

    井上證人 違いありません。
  729. 武藤運十郎

    武藤委員長 ほかに何か伺うことがありますか。
  730. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 資材課長でないとわからぬということでありますから、よくおわかりになつておると思うのですが、二十二年の七月十五日現在の非鉄金属を九州軍政本部から提出を命ぜられて、二十二年九月二十二日に提出をしたのは承知ですね。
  731. 井上正清

    井上證人 知つております。
  732. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 あの報告書に記載したものについて、違反したものがあつたのですか、ありませんか。
  733. 井上正清

    井上證人 報告自体は違反しておりません。ただその後軍政官並びに檢察廳の直接の取調べがありまして、摘発の結果出てきたものはあるわけであります。結果としてその報告書が間違つてつたということになると思います。
  734. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そうすると、出すときは間違つていなかつたということですが、やつぱり出すときに間違つてつたのじやないですか。
  735. 井上正清

    井上證人 出すときに、私としては間違つておりました。
  736. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 あなたとしては間違つてつた……。
  737. 井上正清

    井上證人 はあ。
  738. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 だれが責任を負うのですか。
  739. 井上正清

    井上證人 私だと思います。
  740. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 あなたが会社を引きまわしておるのですか。
  741. 井上正清

    井上證人 私は会社の代表者ではありませんが、あの報告については、私は責任があると思います。
  742. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 あなたはこの問題について、違反事件があつたということは認めるわけですね。
  743. 井上正清

    井上證人 はい。
  744. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 漏れがあつたということは認めるわけですね。
  745. 井上正清

    井上證人 はい。
  746. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そうすると、大体においてどのくらい漏れがあつたということはわかりますか。
  747. 井上正清

    井上證人 百五トンであります。
  748. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それは計算をしなければわかりませんが、二月十六日から二月二十四日までの間、所長立会いで檢察廳でやつた場合ですね。鉛のバラストほか大分あるのですが、百七十八トンのようにさつき言うておつた人がある。
  749. 井上正清

    井上證人 そのバラストは、非鉄金属の在庫報告に対する対象物件ではありません。
  750. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 何ですか。
  751. 井上正清

    井上證人 これは製品です。
  752. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 何の製品ですか。
  753. 井上正清

    井上證人 バラストという製品です。
  754. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それは何に使うのですか。
  755. 井上正清

    井上證人 これは隼鷹という航空母艦を解体いたしましたときに、その航空母艦についておりますエレベーターの昇降に使う重りなんです。
  756. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そうすると船のですな。
  757. 井上正清

    井上證人 そうです。
  758. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それで対象にならぬ。それで百五トンになるのですね。
  759. 井上正清

    井上證人 そうです。
  760. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そうすると、隼鷹の資材というものは、あなたの方で賣却しておりますね。
  761. 井上正清

    井上證人 しております。
  762. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 全部これは賣却してあるのですね。
  763. 井上正清

    井上證人 全部とは言いません。まだ殘つております。
  764. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 この資材は隼鷹のものをどこへ持つてつて置いたのですか。摘発されたときには隼鷹のところにあつたのではないでしようか。ほんとうのことを言わなければいかぬ。
  765. 井上正清

    井上證人 それは倉庫事務所の裏に置いてありました。
  766. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 どこですか、言うてください。
  767. 井上正清

    井上證人 もう一度おそれ入りますが御質問をおつしやつてください。
  768. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それは隼鷹のものは賣られてしまつてあるように報告書が出ておりますが……。
  769. 井上正清

    井上證人 全部は賣られておりません。
  770. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 全部賣られておらぬ。そうすると亞鉛バラストはどこへ置いたのですか。
  771. 井上正清

    井上證人 私が直接置場等に携わつたわけではありませんが、摘発を受けたときには、事務所の裏の用水桶に格納してあつたと思います。
  772. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 用水桶に格納してあつた。用水桶の上へバラストが見えないように何か載せてあつたのでしようか。
  773. 井上正清

    井上證人 がらが置いてありました。
  774. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 がらが置いてあつた。中の方へもつてつた。そこでそのバラストは、亞鉛地金とか電氣銅とかいうのと同じように、第四ドツクに陸揚げしたものではないですか。
  775. 井上正清

    井上證人 そうです。解体いたしましたのが第四ドツクでありますから、第四ドツクに陸揚げしたと思います。
  776. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それを今度は二十二年五月中に持ち運んで、これを第四倉庫の防火用水の中に入れたというのでしよう。
  777. 井上正清

    井上證人 第四倉庫の防火用水というものはないと思います。
  778. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 檢察廳が來る前に、第四倉庫の防火用水の中へ入れたということを、檢察廳が來てきよう言つたのですが、どうですか。
  779. 井上正清

    井上證人 第四倉庫に防火用水というのはないのです。
  780. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 今の防火用水の中から出てきたというのは、これじやないのですか。
  781. 井上正清

    井上證人 私が先ほど申し上げましたのは、事務所の裏です。
  782. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それじやこれは陸揚げして、どこへ持つてつたか。陸揚げしたらそのままでいいじやないですか。いろいろなものをかけなくたつて、これは逃げやしませんね。その間私が行つたら、五月だのに、亞鉛バラスト電氣銅も、みなS・S・Kで君のところでは積んでありますね。
  783. 井上正清

    井上證人 それは檢察廳の御指示であすこに並べまして、檢察官も経理に立ち会う、S・S・Kも責任をもつて保管しろというので……。
  784. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それを言うのではない。陸揚げしたら、そこへ置いたらよいのです。方々へ持つてつて入れないでも——用水池の中に入れて上から見えないようにしなければならぬ理由はどういうところにある……。
  785. 井上正清

    井上證人 しかしああいつた重量の目方のものは粉失のおそれが当時あつたのであります。私どももかれこれ二年になりますが、その間相当盗難事件が多うございまして、一枚持つてつて相当な金目になるものでありますから、それでその盗難を予防するためにわれわれは格納したのであります。
  786. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 水溜の中に……。そうすると今度は電氣銅を三千三百十九枚鑄物工場下から掘り出して、それを二月十六日の摘発によつて他の所に隠匿しようとしておつたが、その当時機械工場の第三倉庫内に入れてあつたものを、大藏省の佐世保地方管業部から引継ぐ場合に計算違いであつたということで、二十二年六月案本の摘発があるというので、それにおそれて、一たん構内の営繕倉庫に隠して、二十二年九月二十三日さらに鑄物工場の地下に隠したものであるというのは、これはどうですか。
  787. 井上正清

    井上證人 この非鉄金属の関係につきましては、私直接軍政官から調査を受けまして、そのいきさつ等についてるる御説明を申し上げますと、隠匿した事情がわかつていけないと思いますが……。
  788. 武藤運十郎

    武藤委員長 やつてください、ほんとうのことを言つてください。明禮君も腰かけて聽いてください。
  789. 井上正清

    井上證人 それでは委員長のお許しを得まして……。実は二十二年の七月十五日以前のことで、私ははつきりしたことは覚えておりませんが、軍の直接の命令で——軍と申しますのは占領軍であります——当時日本の軍閥が占領地域から持つてきた、つまり掠奪して持つてきたところのそういつた非鉄金属等があれば速やかに報告せよ、こういう御指示がありまして、それで電氣銅の問題にもなりますし、それに附け加えまして亞鉛地金の問題も併せ御説明申し上げますが、当時亞鉛地金を百八十七トンばかり特殊物件として拂い下げを受けたのであります。その中に百六十六トンばかり掠奪物資があつたのであります。掠奪物質と申しましても、私は元軍におつたわけではありませんので、どういつたものが掠奪物資であるかはわかりませんでした。当時そういつた地金を扱つております会社その他に聽いてみましたところが、そういつたものは掠奪物資だから、こういう御回答を得ましたので、多少疑問もありましたけれども、百六十六トンは全部掠奪物資として報告いたしました。ところがその報告をしたあと、その内九十一トンはかりは実は掠奪物資でなかつたということがわかりました。そこで早速関係官廳なり軍政府の方に連絡して、九十一トンの掠奪物資でないものを返していただくように折衡したのですが、まだ現在のところではお許しがありません。それで亞鉛地金につきましては、もしこの掠奪物資でない九十一トンが沒收されるといたしますれば、その代りとして殘つた亞鉛地金をいただきたい、こう思つたのであります。それから電氣銅につきましては、その当時約二百トンばかりの掠奪物資がどこかに隠匿されておるのではないかという、デマと申しますか、うわさがございまして——ところが先ほどお話のありました鑄物工場の地下に埋沒しましたところの電氣銅は掠奪物資ではないのであります。それで亞鉛地金について非常に苦い経驗もありますので、それを全部報告いたしますと、掠奪物資でなくとも、全部沒收されるのではないかという、これははなはだ勝手な考えではありますが、考えたわけであります。そこで軍政官から掠奪物資について、現地調査もございましたが、軍政官といたされましては、大体これで調査は済んだ、お前のところもいいから、こういうお話でございまして、もしまだ電氣銅の掠奪物資があるとか、亞鉛地金の掠奪物資があるとかいうような御指示がありまして、もつと徹底的に調べろとかいうことでございますれば、やむを得ずその両物資報告したのでございますけれども、大体調査も完了したからいい、こうおつしやいましたので、それでは前の苦い経驗もありますし、損失もカバーしたいという、勝手な考えももつておりましたが、あらためてこういう物が出てきましたということを、その掠奪物資調査のほとぼりが冷めたころに申し出まして、そうしてあらためて拂下げを受けた。こういうような非常に混入つた事情でございますが勝手に考えてやつたわけです。それで御了解願えますか。
  790. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 しかしそういうような巧妙な話もあるかもしれませんが、ここに書いてあるところ、調べたところによると、大藏省の佐世保地方管業部から引継ぐ場合、計算違いであつたということがはつきりなつておるのか……。
  791. 井上正清

    井上證人 それは結果においてそういうことがわかつたのであります。
  792. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 結果といつても、引継ぐときに——北川という人はあすこの所長ですか。
  793. 井上正清

    井上證人 本社の企画部長をしております。
  794. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 あの人があすこにおつて、あの人が引継いでくれた……。
  795. 井上正清

    井上證人 拂下げを受けましたのは経理部長……。
  796. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そうですか、管理部長が経理部長の上におるか、同等の資格か知らんが、東京へ來てS・S・Kをこしらえるのに大分骨折つた人です。そこでリストと、今のあなたの掠奪物資ということとは合わないではないですか。
  797. 井上正清

    井上證人 掠奪物資ではありません。
  798. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 もう一つお伺いしますが、この問題はあなたが自分でやつたはずはないのですが、こういうことはだれと連絡してやつたのですか。
  799. 井上正清

    井上證人 私が部下に命じてやらせたのです。協議しておりません。
  800. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 自分一人でやつたのですか。
  801. 井上正清

    井上證人 今日においては非常に会社に迷惑をかけたと思いますが、実は私が指図してやつたのです。
  802. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 部下を指図してやつたが、上の方の人は所長がこの結果の報告だけはしたのですね。
  803. 井上正清

    井上證人 それはそのときの代表取締役三枝貞藏という人がサインして報告いたしました。
  804. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 軍政本部に出しまして手入れがあつた結果物が足りないことがわかつて、つまり届出漏れがあつたということをあなたが自分の上司に報告したのではないのですか。
  805. 井上正清

    井上證人 摘発の結果、それは上司としては資材課長にどうなつたかといつた程度のことは聽かれるのはあたりまえで、聽かれたと思います。しかし先ほど申しましたように、軍政官が直接私の履歴とかそういつたものを嚴重に調べ上げられまして、その最後の責任者井上であるという宣誓書を渡しているわけであります。軍政官はそれで了承されたのであります。
  806. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 了承されているかどうかは別ですが、あなたの上の方の人には何も言わなかつたのですか。あなた独断でやつたということですか。
  807. 井上正清

    井上證人 申訳けないですが、そうです。
  808. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 報告はしているのですか。間違いありませんか。
  809. 井上正清

    井上證人 しております。
  810. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それだけではなしに最近に至つても、この間五月ごろ私が行つたときに、ずつと工場のぐるりに積んである鉛とかその他電氣銅のようなものが出てくるのですか……。
  811. 井上正清

    井上證人 鉛とか電氣銅とかいつた地金は出ません。
  812. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 五月十四、五日ごろ檢察廳から手入れがあつて事務所の裏の水桶から亞鉛地金二トン半というものが出ておりますが……。
  813. 井上正清

    井上證人 先ほど私が申し述べましたのはバラストをのけまして、百五トンの中にはいつている。一回二回にわけて御調査があつたのだろうというあなたのお話を、私うつかりしておりましたものですから、その一回二回にわたつて数量合計してお話申し上げたわけです。
  814. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 あつちへ隠しこつちへ隠ししたのではなく初から隠していたものが、水槽から亞鉛地金が二トン半横井戸から亞鉛地金七トン、二十七工場の地下防空穴から鉛地金三トンが出ておりますね。
  815. 井上正清

    井上證人 はい。
  816. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 これはまた別でしよう。
  817. 井上正清

    井上證人 それは百五トンの中にはいつております。
  818. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 船の解撤の問題はあなたはわかつているのですか。
  819. 井上正清

    井上證人 わかつていることもあります。
  820. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 大体船の鉛のバラストというのは船の底の方へ使うものですか。
  821. 井上正清

    井上證人 先ほど私の申し上げましたやつはエレベーターの昇降用に使うものですが、私はその船にも乘つたこともありませんし、エレベーターのどういうところへどういうふうについているかという技術的なことは存じません。
  822. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そういう船のものをあつちへ隠しこつちへ隠しするというと、ちよつと変ですね。早く言えば窃盜みたいなことになりますね。
  823. 井上正清

    井上證人 隠したのではありません。先ほど申し上げた通りあの廣いところにこれという倉庫がない。あつても人が出入りし、入口もないというような倉庫も多いものですから、ああいつた小型のものは紛失するおそれがある。たとえば五馬力とか十馬力のモーターのようなものでも紛失するおそれがある。あれなんかかついでいけば持つていけます。
  824. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 持つていけそうもない、相当重いですよ。そして上から見えないように全部おおう必要はないではないか。
  825. 井上正清

    井上證人 覆わなかつたらどうしますか。見えておれば……。
  826. 辻寛一

    ○辻委員 ただいま問題の非鉄金属の以外に、重要物資の在庫高の届出規則とかいうものがありましたね。それに基いて申告された中で、パイプ類が大分申告洩れになつてつたような話ですが、それはどんなふうでありますか。
  827. 井上正清

    井上證人 その通りであります。
  828. 辻寛一

    ○辻委員 その申告洩れしておつた数量はどれくらいですか、概略で結構ですが。
  829. 井上正清

    井上證人 報告洩れしておりました数量は四十八トンであります。
  830. 辻寛一

    ○辻委員 それははつきりわかつておるのですね。
  831. 井上正清

    井上證人 わかつておるのです。
  832. 辻寛一

    ○辻委員 それはあなたは所長さんには御報告にならなかつたのですか。
  833. 井上正清

    井上證人 いたしておりません。
  834. 辻寛一

    ○辻委員 しなくてもいいのですか。
  835. 井上正清

    井上證人 しなくてもいいわけじやないが、それがごく最近の取調べでありますので、まだ実は報告しておりません。
  836. 辻寛一

    ○辻委員 それは結末がはつきりつきましたのはいつでございます。
  837. 井上正清

    井上證人 六月十九日です。
  838. 辻寛一

    ○辻委員 そうしたら申告洩れの問題が起つておるということは、所長は御承知になつておるわけですね。
  839. 井上正清

    井上證人 パイプというような具体的な意味じやなしに、非鉄金属以外にもそういつたものがあるということは知つておられました。
  840. 辻寛一

    ○辻委員 知つておられたけれども、その結末についてはまだあなたは御報告にはならなかつたわけですか。
  841. 井上正清

    井上證人 そうです。
  842. 辻寛一

    ○辻委員 所長さんの方からも照会がなかつたのですか。
  843. 井上正清

    井上證人 結末というのは要するに報告洩れというものが、隠退藏物資になるかどうかということは、まだ決定になつていないのです。非鉄金属のようにはつきりしておりませんが、それで調査中でもありますから、詳細は御報告しておりません。しかしそういうような取調べを受けておることは報告しております。
  844. 辻寛一

    ○辻委員 隠匿になるならぬは別問題として、洩れておつた数量ははつきりしておつたわけですか。その数量についても御報告にはなつておらなかつたですか。
  845. 井上正清

    井上證人 まだしておりません。
  846. 辻寛一

    ○辻委員 あなたの方の前の社長さんの北村さんから、この隠退藏の問題について一体工場の方の実情はどうなつておるかという御照会があつたことを、あなたはお聽きになつておりませんか。
  847. 井上正清

    井上證人 聽いておりません。私は北村さんには大臣になられて工場へ挨拶にこられたときに、從業員一同とお会いしただけです。
  848. 辻寛一

    ○辻委員 東京の塩津專務にも直接あなたは御報告なつたことはありませんか。
  849. 井上正清

    井上證人 ありません。
  850. 辻寛一

    ○辻委員 さうするとあなたは所長さんを通じて報告されておるだけなのですね。
  851. 井上正清

    井上證人 所長がどういうようなお話をされておられるか存じません。
  852. 辻寛一

    ○辻委員 いや所長を通じて非鉄金属の百何トンの解撤並びにパイプ申告洩れの問題、所長さん以外にはあなたは申しておられぬわけですね。上司の方には……。
  853. 井上正清

    井上證人 しておりません。
  854. 武藤運十郎

    武藤委員長 では済みました。どうも御苦労さまでした。
  855. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 長い間たいへんごめんどうを願つて骨折つていただいて調べた結果、今日もはつきりしたことは、北村氏の証言の中に、この間土建業者から何も金をもらつたことはないという御証言があつたのでありますが、本日檢察廳の取調べの結果、ここに書いてある日誌にある通り、門屋氏から五万円いろいろな事情があるようですが、選挙のためにもらつたということがはつきりいたしました。なお軍の方の指令に基く二十二年七月十五日附の届出につきましても、届出違反があつたこと、少くとも数字はどのくらいか、今ただちに確定はいたしませんけれども、届出違反があつた。なお相当今後も出るかもしれぬ状態でありますが、いずれにしても、その二つの問題ははつきりしたと思います。それでこの点におきまして委員会は何らかの結末をつけていただきたい。  今後またS・S・Kの他の船舶解撤問題その他の隠退藏物資、いろいろな問題はこれはまた別といたしまして、この二つの問題は十分明瞭でありますから、この際会期もこれで終りでありますから、一應この二つの問題を取上げて御審議を願いたいと思うのです。なおパイプ類臨時措置法違反指定生産資材調整規則違反、緊急措置令違反というようなものについての違反があることもこれは当然明らかになりましたので、はつきりわかつたものだけについて一應御処理を願いたいと思う次第であります。
  856. 武藤運十郎

    武藤委員長 ちよつと速記を止めて……。     〔速記中止〕
  857. 武藤運十郎

    武藤委員長 來る五日午前十時より理事会を開きます。  本日はこれにて散会いたします。     午後八時五十三分散会