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1948-07-02 第2回国会 衆議院 不当財産取引調査特別委員会 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年七月二日(金曜日)     午後三時二十分開議  出席委員    委員長 武藤運十郎君    理事 鍛冶 良作君 理事 田中 角榮君    理事 辻  寛一君 理事 梶川 靜雄君    理事 河井 榮藏君 理事 荊木 一久君    理事 小松 勇次君 理事 石田 一松君    理事 中野 四郎君    石田 博英君       尾崎 末吉君    高橋 英吉君       平澤 長吉君    明禮輝三郎君       足立 梅市君    佐竹 新市君       前田 種男君    山中日露史君       橋本 金一君    吉田  安君       野本 品吉君    田中 健吉君       中村元治郎君    本田 英作君       宇都宮則綱君    徳田 球一君  委員外出席者         佐世保地区にお         ける隠退藏物資         等に関する事件         について出頭し         た証人     船山 正吉君                 高田  透君                 三枝 貞藏君     ————————————— 六月二日委員中村俊夫君辞任につき、その補欠と して吉田安君が議長の指名で委員選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  資料提出要求に関する件  証人出頭要求に関する件  委員派遣に関する件  佐世保地区における隱退藏物資等に関する事件  小委員選任に関する件
  2. 武藤運十郎

    武藤委員長 これより会議を開きます。  去る六月二十九日及び本日の理事会において決定せられました事項を御報告申し上げまして、お諮りをいたしたいと存じます。  第一、閉会中も委員会調査は続行いたします。委員会はとりあえず七月七日まで及び七月二十八日より八月六日まで開会する予定をいたしておきたいと存じます。なお正式な委員会の開会がないときは、小委員会は随時これを開き、なお基礎調査を続行いたしたいと思います。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではさよう決定いたします。  なお閉会委員会の開会せられておらないときの調査につきましては、適宜委員長、小委員長及び在京委員に御一任願いたいと存じます。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではさよう決定いたします。  第二、大野氏に関する事件につきましては、大野氏の問題が檢察廳において目下取調べ中の由でありますから、右檢察廳における取調べの進捗をまつて、当委員会調査を続行することにいたしたいと思います。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではさよう決定いたします。  第三、地崎氏の問題につきましては、証言の拒否、または僞証という疑いがありますので、この点について、理事及び事務局調査員において十分これを檢討いたしたいと思います。なお同氏問題について幣原喜重郎田中萬逸齋藤隆夫一松定吉芦田均、五氏を來る六日午前十時に当委員会に喚問いたしたいと思います。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではさよう決定いたします。  第四、吉田茂氏問題につきましては、委員長に御一任を願うことにいたしました。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではさよう決定いたします。  第五、当委員会において大口やみ利得者財産増加原因及び所得増加原因を徹底的に調査する問題を取り上げることにいたしたいと思います。御異議ありませんか。
  8. 中野四郎

    中野(四)委員 これは重要な問題で、委員長発議によつてこのことの提案されたことは、すばらしいことだと思う。ただ問題は、たとえば戰爭前までに五百万円なり百万円なりの財産しかなかつた者が、終戰後の今日において一億円以上ももつている者に対して、徹底的に調査するということはよろしいのだが、どういう方法をとるかということです。これは私はたいへん容易ならぬ問題が起つてくると思うのは、現在の復金あるいは兵器処理と並行されて、この問題が当委員会の爼上にのせられてきますれば、おそらく各政党のあらゆる献金、援助金、ないしは政党官僚というものの結びつきが忌憚なくこの中に出てくると私は思つている。從つて現在一億円以上の金額を取得していると思われる者は、想定でいくのですか。あるいは何か根拠があつていくのですか。たとえば東京都内の何々区に大体一億円くらい儲けたやつがあるらしいという前提だけで、それを当委員会で取り上げるということがあつてはならないので、この発議については何か根拠がなければならぬと思う。それをどういうふうにして取り上げるかということを具体的にきめておきたい。その点は愼重を期さないと容易ならぬ問題が起つてくると思うので、一應伺いたい。
  9. 石田博英

    石田(博)委員 私は今の中野君のお話はまことにごもつともであると思うのですが、この問題は、終戰後における日本新興財閥というか新円階級というか、そういうものの発生過程自身が非合法なものであるという建前から出発しても差支えないものである、こう考えるのであります。つまり現在の税法においては、いか考えても数年間で億という資産をもち得るはずがないのであつて、そういう者がもし存在しているとするならば、存在していること自身がすでに非合法であり、その過程が当然本委員会対象になるのであるから、あらかじめあまりそういう條件をつけなくても、全般的にこの問題を取上げて、基本的な材料としては、そういう判断を下し得る対象が一体全國にどのくらいあるかという全般的調査からはいつて、次に個々の場合に調査を進めていけばよいのではないか、われわれはそう考えておるのであります。
  10. 中野四郎

    中野(四)委員 私がこのことを申し上げるのは、ちようど昨年の七月三十日、隱退藏物資委員会ができたときに、加藤委員長と思いがけなくトラブルを起したこととやや同等の歩調をとつておるものなんです。先ほども申し上げたように、この問題を取上げることによつて、その成果は期して待つべきでありましようが、おそらく政党政派爭いというものは非常に深刻なものになろうと思うのです。それは政党の、あるいは官僚後援者とし、あるいは援助者として相当いろいろな面が出てくることは論をまたないところで、もしこの委員会においてこれがもみ消しや、あるいはこの委員会政爭の具に供される。あるいは政党政派爭いになるおそれを多分に私は感じておる。結構なんです。私はある意味において泥合戰は大歓迎です。そういう意味において私は大いに洗い出すことがよいと思うのですが、たとえば五百万円以上の所得者が五十六人あるといいましても、実質上においてはもつと悪質な、相当の物を持つておる者があるわけなんです。税務署あるいは官廳方面の帳面づらには小さく届けてあつても、実質上、裏面において相当大きな資材を思いがけなく手に入れた者があつたり、あるいは財産を手にした者がある。こういう者に対してただ根拠なしにやるということになると非常に困ると思いますので、委員会で論議することを避けるなら理事会で結構です。あるいは小委員会でも結構です。その根本問題をまず一遍究めて、取上げる手段、調べていく方法を明確にしておいていただかぬと、將來はこれはきつと問題になることを心配しておるので、ぜひ御一考の上、小委員会に任すならそういうことで結構ですから、そのようにお取計らい願いたいと私は思うのです。
  11. 武藤運十郎

    武藤委員長 それではやみ利得調査に関する小委員会を設けることといたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではその小委員選任いかがいたしましようか。     〔「委員長一任」と呼ぶ者あり〕
  13. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは委員長において指名さしていただきます。  田中角榮君、梶川靜雄君、小松勇次君、石田一松君、田中健吉君、中村元治郎君、中野四郎君、本田英作君、宇都宮則綱君、徳田球一君  右十名にお願いいたします。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 武藤運十郎

    武藤委員長 なおこの問題について、とりあえず大藏省よりただいま申しました二十二年度個人所得五百万円以上のリスト及びこれに関する材料一切を取寄せたいと思いますが、いかがですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではさように決定いたします。     —————————————
  16. 武藤運十郎

    武藤委員長 第六、昭和電工事件につきましては、御承知通り警視廳において目下取調べ中であります。この実情聽取のために当委員会より正式な委員派遣というわけではありませんが、復金関係の小委員諸君においでを願いたいと思います。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではさよう決します。本日行つていただきますか。——ではお願いいたします。  第七、去る六月三十日附で北村徳太郎君より佐世保船舶重工業株式会社より受領したる報酬及びその他諸手当の明細という明細書が提出されております。朗読いたしますか。——では便宜ごらん願いたい。  第八、明禮輝三郎君より六月三十日附をもつて調査要求訂正申立書が提出せられました。  昭和二十三年五月二十二日附  佐世保地区隱退藏物資摘発等に関する調査要求書中第三隱退藏物資対象とする選挙違反の第三項「長崎縣会議員が全部関與しおり」とあるは、「長崎縣会議員が一部関與しおり」の誤りにつき訂正に及びます。  こういう文書が提出せられております。御報告申し上げます。  第九、兵器処理状況調査及び艦艇解撤状況調査のため、閉会中に明禮山中橋本野本中野徳田の各委員及び担当調査員を各担当別調査のため派遣をいたしたいと思います。派遣地名期間等に関しましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではさよう決定します。     —————————————
  19. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは証人調べをいたします。本日御出頭証人は、船山正吉さん、高田透(トール)さん、三枝貞藏(ミエダテイゾー)さんの御三名であります。  本日御出頭願いましたのは、佐世保を中心とする隱退藏物資等不当処分事件につきまして、証言を求めるためであります。  証言を求める前に各証人に一言申し上げておきます。昨年十二月二十三日公布になりました昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことになつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、一般の人については、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の婚族及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項あるいはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するときに限られ、医師歯科医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者については、その職務上知つた事実であつて、黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られております。右以外には何人も宣誓または証言を拒むことができないことになつておるのであります。なお証人が正当の理由なくして宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人虚僞の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一應このことを御承知になつていただきたいと思います。  それでは法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。お手もとに差上げてあります宣誓書を朗読してください。船山さん、代表してお読み願います。     〔証人船山正吉君各証人を代表して宣誓〕     〔各証人宣誓書署名捺印
  20. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは船山さんからお話を伺いますが、高田さん、三枝さんはしばらく別室でお待ちを願います。  船山さんは今國有財産局長をしておられますか。
  21. 船山正吉

    船山証人 そうです。
  22. 武藤運十郎

    武藤委員長 艦艇解撤ということは、あなたの所管ですか。
  23. 船山正吉

    船山証人 私の方の仕事です。
  24. 武藤運十郎

    武藤委員長 そのことで伺いたいのですが、艦艇解撤に関する御所管事項につきまして、一通りお話を願いたいと思います。
  25. 船山正吉

    船山証人 昭和二十一年の四月でございますが、連合國司令官から指令がございまして、もとの海軍艦艇にして占領軍が使わないもの、あるいは復員用に使つておらないものなどにつきましては、これを解撤するということを條件に、日本政府返還せらるることに指令が出たのであります。その前に終戰後占領軍の手によりまして旧海軍艦艇は全部一應接收せられておつたのでありますが、そのときになりましてから解撤することを條件といたしまして返還に相なつたのであります。しかもそれには実施の時期の制限もございました。そこでこれは日本政府といたしまして関係するところが多いので、運輸省海運総局、それから内部省調査部、私の方、それから商工省、これらが互いに相談いたしましてこれに関する取扱方針を定めたのであります。その結果一定の案を得まして、四省の共同通牒をもつてそれぞれの地方部局取扱方針指示した次第であります。その扱いのごく大要を申し上げますと、海運総局の内示によりまして造船業者等がそれぞれ解撤すべき艦船の受持を定めまして、それが艦船解撤許可申請書海運総局の方に出しますと同時に、これらの艦艇國有財産であるという意味をもちまして、大藏省へは國有財産拂下申請をなすという手続でございます。海運総局はこれに対しましていろいろの條件をつけました許可書というものを業者に與えることによりまして、解撤の事業を開始したのでございます。爾來この解撤作業はずつと続いておりまして今日に及んでおりますが、なお未完成の艦艇もございます。ごく大要を申し上げました。
  26. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうしますと今お話のことは昭和二十一年五月三十一日附の運輸省海運総局長官内務省調査部長大藏省國有財産部長商工省商務局長から共同海運局長海運管理部長支局長支部長地方長官地方行政事務長官内務省調査部大阪支局長財務局長地方商工局長、こういうものにあてた解撤艦艇取扱方針に関する件というこの指示のようなものですか。
  27. 船山正吉

    船山証人 それによつてつておるのです。
  28. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると作業許可というものは運輸省でして、拂下許可というのは大藏省でするのですね。
  29. 船山正吉

    船山証人 さようでございます。
  30. 武藤運十郎

    武藤委員長 これは全國各地でやつておるわけですか。
  31. 船山正吉

    船山証人 さようです。
  32. 武藤運十郎

    武藤委員長 どことどこでやつておりますか。
  33. 船山正吉

    船山証人 大分廣範囲になつておりますが、読みあげましようか。
  34. 武藤運十郎

    武藤委員長 何箇所ぐらいございますか。
  35. 船山正吉

    船山証人 関係造船所の数にして五十近くございます。
  36. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは書面で伺います。そこで何か申請書が出て制限を附して許可をするという手続をとるようですけれども、どこでやつているのもすべて正規の手続によつてつておりますか。
  37. 船山正吉

    船山証人 さようでございます。扱いは各所とも同じです。
  38. 武藤運十郎

    武藤委員長 拂下というものはありましたか。
  39. 船山正吉

    船山証人 拂下につきましては事情がございまして、まだその手続をしておりません。その点を御説明いたしたいと思います。
  40. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは細かくその点を話してください。
  41. 船山正吉

    船山証人 司令部指示によりまして船力除去という見地からできるだけ早く旧軍艦の類は解撤しろということになりましたため、当時一應これらの旧軍艦拂下げてしかる後に解撤をする方法考えましたが、作業の迅速をはかるということ、それから拂下の点になりますと拂下價格査定いたさなければなりませんけれども、これが当時の事情として非常にむずかしかつた。すなわち当時まだ経済界は非常に動揺しておりましたし、また前例のない軍艦拂下ということにつきましては、拂下價格をどの程度に、いかなる基礎において決定したらよろしいかということについてなかなか成案を得なかつたのであります。その結果とりあえず解撤作業の方を早く実施しようということになりまして、この旧軍艦造船業者の手に渡しまして、これを実際作業面において解撤さすことをはかつた次第でございます。その作業によりましていろいろスクラップができますが、これを他に賣拂うこと、あるいは自家流用することも一定基準により認めまして、かくして資金を調達して作業費にあてることを認めたわけであります。なおそのときにはそれぞれの造船会社に対してこの解撤作業につきましては特別会計として経理せしめることといたしまして、しばらくその実際のコストはどのくらいかかるか、あるいはよつてつてできたスクラップはどのくらいに賣れるかという実績を得ました後に、拂下價格査定することができるようになりましたならば拂下に移行するという考えで、当時仕事をスタートしたわけであります。
  42. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうしますと拂下という許可をまだしてないわけですか。
  43. 船山正吉

    船山証人 まだただいまのところいたしておりません。
  44. 武藤運十郎

    武藤委員長 しかし今お話を伺うと、実際において解撤したものを処分しておるようなわけですけれども、実質的には拂下をしたような形になるのですか。
  45. 船山正吉

    船山証人 これは拂下することを政府といたしましても正式に認めておるのであります。それはこの艦艇解撤工事経理要項というものを業者がこしらえましたのに対しましてそれを承認しておるのでありますが、この経理要項の中にできあがつたスクラップのうち一部を賣却し、資金にあてることができるということをうたつておるのであります。この経理要項政府が承認しておるのであります。
  46. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうしますと、そのスクラップを処分して経費にあてて、なお残つた物を拂い下げるとか、國庫に納入するとか、納めるとかいうことになるのですか。
  47. 船山正吉

    船山証人 大体そういうような氣持で仕事を進めてまいつたのであります。ところがこの点についてちよつと申し上げたいことがございますが、よろしゆうございますか。
  48. 武藤運十郎

    武藤委員長 どうぞ。
  49. 船山正吉

    船山証人 それは昭和二十一年度の会計檢査のときにあたりまして、会計檢査院からこういうような方法は必ずしも当を得ないではないかという御指摘を受けておることでございます。その後この問題を政府部内においても取上げまして、あるいは解撤費につきましては支拂予算を立て、拂下げということについては拂下價格を策定いたしまして、それによつて拂い下げる方がよいのではないかという考えになつておる次第であります。
  50. 武藤運十郎

    武藤委員長 この艦艇にいろいろな物が乘つかつておると思うが——乘つかつておる物を搭載物資というのですか。——その搭載物資の処置についてはいかがするのですか。
  51. 船山正吉

    船山証人 搭載物資につきましては解撤対象になりませず、これは海務局指示を受けて処分することに相なつておるのであります。
  52. 武藤運十郎

    武藤委員長 佐世保船舶工業株式会社畧称S・S・Kが解撤作業をやつておるということをお聽きでありますか。
  53. 船山正吉

    船山証人 聽いております。
  54. 武藤運十郎

    武藤委員長 これもやはり先ほどあなたがお述べになつたような手続によつて正式にやつておるわけですか。
  55. 船山正吉

    船山証人 一般の例に從つてつておるわけであります。
  56. 武藤運十郎

    武藤委員長 それではどういう種類の船を何隻解撤したか、解撤許可はどういうふうな形でいつ出されたか、搭載物資いかに処分せられたか等につきまして、おわかりになつておる限りを述べていただきたい。
  57. 船山正吉

    船山証人 書面で出しました参考資料の中に記載してございます。必要によりましては、これを読上げてもよろしゆうございます。
  58. 武藤運十郎

    武藤委員長 それではこの点はたいへんですから、後ほど事務に命じて印刷をさせまして各委員のお手もとに差上げることにいたします。不審の点等につきましては後ほど諸君から御質問を願いたいと思います。  もう少し伺います。S・S・Kの使用しておる土地、建物、機械類をどんな條件使用させておるか、その契約の内容について御説明を願います。
  59. 船山正吉

    船山証人 國有財産一般私人に轉用いたしておるのでありますが、この佐世保地区につきましてはまだ進駐軍から返還になつておりません。ただその許可を得て一時使用に供しておる状況であります。こういうような場合は全國にほかにもたくさん例がございまして、佐世保につきましても一般の例によつてつておるわけであります。中央におきましてはS・S・Kに轉用の許可をするということを、これは昭和二十一年でありますが、特殊物件処理委員会中央委員会において決定いたしまして、どの程度貸すかという具体的細目につきましては、大藏省下部機構であります熊本財務局におきまして、現地を踏査の上きめておる次第であります。それから使用料等につきましては、一定基準がございまして、これも熊本財務局査定の上徴收しておるのであります。S・S・Kにつきまして特殊の例外を認めておる点はございませんので、ここに特に申し上げる点はないかと思います。
  60. 武藤運十郎

    武藤委員長 何か御質問がありましたら……。
  61. 石田博英

    石田(博)委員 ちよつと簡單にお伺いしたい点があります。先ほど解体した鉄の價格決定についてコストはわからない、その他いろいろの事情から当分の間一部を賣らして、それで賄いをさすにはどれくらいかかるか調べさせるというようなお話でありましたが、その屑鉄の價格決定というものは、純然たるコストの面からだけ計算する目的でやらせているのか、一般諸物價決定の関連において何らか安定本部等と交渉、御相談があつたかなかつたかという点をお伺いしたいのと、一部拂下を認めているとおつしやつておられますが、その一部というのは一体どの程度の部分を認めるのか、それからコストがいくらかという計算の基準がないのであるから、それを賄わせるためには、どの程度認めさせるかという基準が立たないわけであります。どの基準によつてどの程度拂下を認めているか、その二点についてお伺いいたしたいと思います。
  62. 船山正吉

    船山証人 スクラップにつきましては、これが昨年から指定生産資材に指定されまして、公定價格がございます。これによつて処分しているわけであります。  それから今般の解撤の場合にとりました、先ほど申し上げましたような方法によりますと、でき上つたスクラップを処分して、これを資金化しつつ工事費に充てるという建前なのであります。ところが解撤して発生しました資材のうち、これまで賣却いたしました数量は、まだ一割にも達しておらぬ状況でございます。これはこのスクラップの需要その他もう少し賣れることを予想しておつたのでありますが、賣れなかつたという事実がございまして、このために解撤業者資金の調達に苦しんでおつたという事情があるのでございます。
  63. 石田博英

    石田(博)委員 ちよつとまだ私どもにはわからないのですが、スクラップ公定價格拂下をせられる。そうするとその場合にその拂下げをしたときの艦艇なら艦艇の解体する原材料について、当然國庫にはいるべき一定の率はなければならぬと思うのですが、その点はどういうふうに考えておられるかということと、それから資金化しつつ再び解体をしていくという目的はよくわかるのですが、その限度が明らかでないと、そこに資金化するという課程にあたつて、いろいろな利権とか、そういうものが附随する可能性もわれわれは考えられるので、一体資金化していくというときにあたつて、どういう基準考える、あるいは資金化するにあたつて、一々個々の場合において、許可、認可、査定等を行つておられるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  64. 船山正吉

    船山証人 スクラップを賣ります面につきましては、公定價格あるいは艦艇解撤のために特にできました評價委員会というようなものがございまして、その適正な價格で賣るということを監視しているわけであります。そうしてこれを特別会計をもつて会社一般会計とは別に経理していく、その方法をずつと進めてまいりますと、大体スクラップを賣ることによつていくらくらいはいつたか、それから工事費がいくらくらい要つたか、この工事費業者の使つただけを認めるのではありませんで、適当なる査定を加え、これによつて軍艦解撤に伴う收支の大体の見透しがつくわけであります。それをつかまえましてから、この艦船業者政府がいくらで拂下げるかという價格決定してまいりたい。これを逆に申しますと、初めにあてずつぽうに艦船拂下價格をきめますと、それが安過ぎるならば、業者に不当の利益を儲けさす。それがあまり高過ぎるならば、業者が非常な赤字を出すから、いずれも適当ではあるまい。それについては解撤工事費スクラップの賣却價格の実績の大体をつかまえなければ、拂下價格というものはどうも正確に把握できなかつた、こういう事情で以上申しましたような方法をとつた次第であります。
  65. 石田博英

    石田(博)委員 そうすると、二十一年に始められてから、本年までに三年くらいかつているのですが、その結論には今日達しているかということと、インフレーションの進行下にあつて、そういう態度をとつておられると、いつまで経つても出てこられないというふうに私どもは考えておるがどうか。もう一つは、搭載物資の処理について、海運局の指示によつて云々ということがありましたが、搭載物資は種類のいかんを問わず、海運局の指示によつて処分せられるものかどうか。それからこれはまた書面で結構ですが、当然これは國庫にはいるべきものだと思うが、一体今までどの程度國庫にはいつているか、搭載物資を処分するにあたつても、相当の人件費その他の費用がかかるはずでありますが、それらの点について、どんなふうな考慮を拂つておられるか、この点についてお答え願いたいと思います。
  66. 船山正吉

    船山証人 経費の点でありますが、解撤すべき艦艇は、数量におのずから制限があるのでありまして、無制限に続くものではありません。ですからある程度進行いたしますれば、その全貌が把握できることになつているのであります。それで拂下價格等も今や決定できる段階になつていると考える次第であります。搭載物の処分につきましては、実はこの解撤作業は、先ほど申しましたように各省の所管に属することでありますので、各省共同して当つている次第でありますから、作業場における実際の作業面につきましては、実は運輸省にお願いしているのでありまして、大藏省はその作業を終りました後の経理面を担当しているのであります。
  67. 明禮輝三郎

    明禮委員 今のお話で概要の筋道はわかりましたが、実際にやつておられることはどうなつているか、伺つてみたいのであります。  拂下手続でありますが、解撤許可申請と同時に拂下の書類を出すのでしようか、拂下手続を出しましても、拂下の契約書もつくつておらぬ、拂下許可もしていないということに承つてよろしいでしようか。
  68. 船山正吉

    船山証人 拂下申請書は出すことになつておりますが、許可手続はしていない実情にございます。契約書もつくつておりません。
  69. 明禮輝三郎

    明禮委員 そこで問題は、たとえばスクラップにいたしましても、どういうふうにするかということに対して、艦艇解撤工事経理要項というのが、昭和二十一年に大臣承認となつておりますが、これによりますと、解撤艦艇評價委員会というのがあり、この評價委員会においてスクラップなどのことはみな見ているというので、財務局はそれでいいのだという御解釈でしようか。
  70. 船山正吉

    船山証人 現場における物資の現在高、それから資金の出入ということにつきましては、特別会計をこしらえまして、詳細なる記録をつくつておるのであります。これを海運局なり財務局なりの監査にも付しますし、また特に物の方の数量につきましては、海運局を通じまして極東海軍司令部の方に提出しておる次第でございます。でありますから先ほどお尋ねのありました搭載物の処分いかんということも、明細にその数量が報告書となつて報告せられておるわけであります。
  71. 明禮輝三郎

    明禮委員 報告はいいですが、私の言いますのは、かりにスクラップにいたしましても、スクラップを処分しているようでありますが、これを処分するのにはどういう方法をとつて処分したのでありましようか。評價委員会に任せたということでありますか、あるいは官廳がこれにタッチしておられるのですか。どういう手続か、そこのところを伺います。
  72. 船山正吉

    船山証人 これは艦艇解撤工事経理要項によりまして、業者が自主的に処分できるのでありますが、これを同時に官廳は嚴重に監督しておるのであります。
  73. 明禮輝三郎

    明禮委員 その監督の方法は、どういうことをやるのですか。
  74. 船山正吉

    船山証人 大藏省におきましては、各財務局ごとに監査官を置きまして、これが常時その受持の艦艇解撤について経理を導くことに相なつております。
  75. 明禮輝三郎

    明禮委員 解撤艦艇評價委員会の構成はどういうものでできているのですか。
  76. 船山正吉

    船山証人 この評價委員会委員長は造船連合会の会長であります。それから解撤事業をいたします関係造船所から委員が一人ずつ出ております。そのほかになお造船連合会から若干名委員を出すことになつております。
  77. 明禮輝三郎

    明禮委員 そうしますと、要するに業者の中でつくつているということですか。
  78. 船山正吉

    船山証人 さようでございます。
  79. 明禮輝三郎

    明禮委員 業者だけによつてこういうものの價格を評價すると言いますが、財務局から監査官か何かが行つておるということでありますが、拂下許可のなつていないものを、どれだけの品物があるかということについての認定は、その委員会と監査官とでやれるのでありますか。
  80. 船山正吉

    船山証人 この解撤作業を通じまして、作業面につきましては海運局の当局者が監督しておりますし、それをいか資金化するか、その後の経理面については大藏省が常時監視しておるのであります。
  81. 明禮輝三郎

    明禮委員 大藏省が監視しておられるのは、具体的に申しますと、どういうことをやるのでしようか。私どもが見ますると、第一、解撤工事費ですね、それが一体何ぼかかるというのはだれがきめるのですか。それからできたスクラップを賣るのは、どれだけの掛目があつて、どれだけの品物でどういうふうだということが明瞭になつているでしようか、その点を伺います。
  82. 船山正吉

    船山証人 この原價計算につきましては、造船工業について一般に認められた基準があるのであります。この場合にも大体それによるのを適当と認めまして、業者の自主性を認めておる次第でございます。
  83. 明禮輝三郎

    明禮委員 私どもが考えますると、日本の無敵艦隊の末路がかくのごときものであるということになるのですが、一体これだけの大きなものをおやりになつて………。この表を見ておりますとこういうことであります。書類がきよう出ましたから参考に申しますと、S・S・Kの計算によると、二十三年四月三十日現在の收支実績というものがここに出ておりますが、これによりますと今までの間に三十二隻解体いたしまして、工事費が六千六十五万三千円かかつて、賈却代金が三千二百九十六万六千円はいつて、マイナス赤字が二千八百六十三万五千円となつているのでありますが、たいへんな赤字であります。殊に作業費ばかりでありまして、スクラップのようなものがない。一体こういうやり方でよろしてのでありますか。この点は全國的に問題があるのだと思います。
  84. 船山正吉

    船山証人 ただいままで申し上げましたのは、造船会で一般に認められたる基準によつて原價計算をして、これによつて記帳をしていくということでございます。一つの艦船ごとにそういう方法によりましていくらいくらの工事費がかつたか、またスクラップはどういうように賣れたかという計算をずつと会社一般会計とは別につくつておるということでございまして、これを全部政府がまるのみにするということではないのであります。こういうふうに資料を蓄積いたしまして、大体艦船をどのくらいに拂い下げたらよかろうかという目安を見出すための資料の蓄積であるということに御了承願いたいのであります。
  85. 明禮輝三郎

    明禮委員 わかりました。今お話によつて一般仕事がそういうふうになつているということでありますから、佐世保船舶の問題を取上げて言うのは御無理かもしれません。これはどういうふうになつているか別といたしまして、一つの例でありますから申し上げたのですが、こういうふうなやり方におそらく全部がなつているのじやないかというおそれがあるために、私どもは財務局の御意見を承つておきたい。一体契約もできない、許可もしてないものをどんどん賣つておるが、監査官というものは一人でありましようか。監督は実際できているのでありましようか。その点私どもちよつとのみ込めない。
  86. 船山正吉

    船山証人 先ほど申し上げましたように各財務局に監査官がございまして、この仕事を專門に取扱つているのであります。また現地にも出張してこの現場をも檢査していることと思うのでありまして、監督は行き届いているものと私ども考えております。
  87. 明禮輝三郎

    明禮委員 監督官は何人おりますか、どういう人がやつているのですか。
  88. 船山正吉

    船山証人 解撤関係の監査官となつているのは各財務局一人ずつであります。財務局は全國で八つありますから八人です。
  89. 明禮輝三郎

    明禮委員 いずれこれは日を逐うて明らかになることと思いますから、一應要領だけ承つておきます。  もう一つ、特別会計と今おつしやいましたが、各解撤をやつている業者は預貯金を特別会計にしているということでありましようか。帳簿だけでなくて、すべての預貯金も特別に預けてあるということだと思うのですが、いかがでしようか。
  90. 船山正吉

    船山証人 私はその点はあまりはつきりいたしませんが、別にしておることはあるまい。帳簿を別にして計算を明らかにしておるものではないか考えます。
  91. 明禮輝三郎

    明禮委員 これはひとつ宿題にいたします。これはなかなかむずかしい問題でありまして、業者一任した形でありますね。こういうような評價委員会に任してしまつてちようど兵器処理委員会兵器処理をするのに五大会社に全部任せてしまつたのとひとつも違わない。そこらに問題があるのでないかと思うが………ここでもう一つS・S・Kの問題でありますが、S・S・Kについては今までに艦艇解撤いたしておるのは何隻になつておるか。覚えておられませんでしようか。
  92. 船山正吉

    船山証人 役所の記録におきましては二十五隻委託いたしまして、そのうち十三隻完成をいたしております。しかし小型の魚雷艇のうちごく小さいものが数隻加わつてつたかと思います。
  93. 明禮輝三郎

    明禮委員 これは本日出したものでありますが、三十二隻という報告を出しておりますが、あなたの方は二十五隻、三十二隻というものの中から七隻違う。それは調べればわかりますけれども、たいへんな相違があるということは遺憾とするものであります。そこでS・S・Kが使用しております土地、建物、機械類は、先ほど二十一年度に借すことには決定しておるということで、これはその通りのようでありますが、爾來今日まであの会社が営業しておる土地、建物、工場これをこういうように使つてまいつておるのでありますが、どれだけの國家收入があるか、この分についての使用料です。これは二十一年からですから今になつてもわからぬはずはないのでありますが、どうでありますか。
  94. 船山正吉

    船山証人 それぞれの会社に対します貸付料は、本省といたしましては、各財務局から、その貸付料総額として報告されておるので、個別の会社の分は実はわかつておりません。S・S・Kのものについては照会中でございます。あるいは要求によつて、御報告申し上げます。
  95. 明禮輝三郎

    明禮委員 これはあとから詳細に御報告を願いたいと思います。もう一つお伺いいたしたいのは、このS・S・Kがおりまするところは佐世保工廠の跡でありますが、このS・S・Kがあとを引受けまして、この二十一年建物を使用するに至りました当時、ここにございましたところのたくさんの資材、この資材大藏省から拂下げられたというように承つておりますが、この点はいかがでありましよう。
  96. 船山正吉

    船山証人 この資材の点がよく問題になるのであります。國家の持つております資材も、それは廣い意味國有財産であることは申すまでもないのでありますが、実はわが國の制度といたしまして、國有財産法による國有財産と称しまして、大藏省所管になつておりますものは、おもに不動産であります。土地、建物、船舶、それから最近加えられました事業場における機械、おもなる器具ということになつておるのでございまして、これらを大藏省所管しておる次第でございます。その他の資材とか、原料とかいわゆる動産的なものは大藏省所管しておらないのでございます。終戰後旧軍の持つておりましたこれらの資材につきましても、從つて大藏省としては引継ぎませず、内務省にありました調査部というものが、これを所管しておりまして、作世保地区におきましても、内務省調査部の駐在官が現地におられまして、これが縣その他と協議の上、適当の手続を経て処分しておられたのであります。大藏省は進駐軍から返してもらいました佐世保工厰の施設のうち、先ほど申しました國有財産法に言う不動産的なものだけを、大藏省とした引継いでおる次第でございます。
  97. 明禮輝三郎

    明禮委員 わかりました。ところがこの間こういうことをある証人がここで述べられたのでありますがS・S・Kの資材は、あそこに管業部というものがあつて、管業部から引継ぎを受けたというふうに言つて、その管業部は大藏省の管業部と聽きましたが、そうしますと、それは内務省の誤りでありましたのでしようか、また管業部というものが大藏省にあるのでありましようか、その点を………
  98. 船山正吉

    船山証人 管業部というものは、大藏省にはございません。それは実は復員局に属するものでありますので、復員局が佐世保港に対する復員事務その他を掌りまして、その佐世保地方復員局の一局部として管業部というのがあつたのであります。從いまして、特殊物件につきましても、その管業部が内務省の調査部に対しまして、ほかの官廳におけると同樣の立場に立ちまして、資材の引渡しを要求したことがあつたかもしれない。そのことは考え得るのであります。そのようにして、もし管業部が内務省の調査部から資材を受取つておりますれば、これは管業部の資材となり、管業部はそれをまた適当の手続によつて処分するなり、使用するなりの段取りとなつておりますので、その辺の手続は申し上げましたが、実際どれだけのものが動いておるかということは、現在大藏省ではわかりかねるのであります。
  99. 明禮輝三郎

    明禮委員 わかりました。そこで先ほどちよつと私は承つたようにも思いますけれども、はつきりしませんので、もう一遍艦艇解撤費はどういうふうにして認定されておりますか、その点をお伺いいたします。
  100. 船山正吉

    船山証人 これは造船工業に原價計算準則というのがございまして、一應これによりまして、一つの艦船別の経費を記録しておくということをやらしておる次第でございます。
  101. 明禮輝三郎

    明禮委員 それでよろしゆうございます。
  102. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 先ほどから聽いておる中で、ちよつと疑問となる点は、拂下げをしない先に業者がこれを拂下げするということは、何か法律によつてつておるのですか、それとも便宜の取扱いなんですか。
  103. 船山正吉

    船山証人 これは会計檢査院あたりの見解によりますと、適当でなかろうと申しておられますが、私どもは進駐軍から仕事を急がされましたのと、実際拂下手続を進行させますことがむずかしかつたために、実際問題としてこういうことをやつておる次第であります。
  104. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 先ほどよくわからなかつたのですが、S・S・Kの敷地その他はまだ占領軍から返還を受けないものであつたというように聽えたのですが、これがどうして管業部からS・S・Kへやれるのか、それはわかりませんか。
  105. 船山正吉

    船山証人 こういう例はたくさんあるのでありまして、賠償指定になつておりますから最終的に日本政府返還なつたものではないのであります。ただ司令部の意向としまして、施設を遊ばしておくのはいけないから、日本の経済復興のために、許可を得て使用を認めようということになつております。それでありますから、連合國から返還を受けましたほかの國有財産と違いまして、日本だけが勝手に処分することはできないのであります。まだ向うの接收下にあるが、しかし使用だけは進駐軍の了解のもとに認められるという、特殊の地位でございます。
  106. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうしますと、進駐軍から使用を許してもらつたのは、不動産だけですか。またそれと含んだ資材も一括して使用許可されたものでありますか。
  107. 船山正吉

    船山証人 進駐軍の方から解除にならないのは不動産だけであります。資材の方はいわゆる特殊物件として、昭和二十一年の当時に、日本政府返還になつてしまいました。それを内務省の調査部が中心となりまして、適当に処分したということであります。
  108. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうしますると、その資材その他の返還なつたものは、返還のリストがあるだろうと思いますが、一般の大きなリストじやなくて、現在S・S・Kが使つておる、その構内における資材返還なつたリストはあつたか、なかつたか。あるとすれば、どこにあるかをお聽きしたい。
  109. 船山正吉

    船山証人 それらの資材は、いわゆる特殊物件でございまして、先ほどから申し上げておりますように、内務省の調査部がこの受け拂いを明確に記録しておるはずでございます。
  110. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、内務省の調査部にあるわけでありますね。
  111. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それから不動産については、直接大藏省所管になるのは、どこかへ指令がきて、それから大藏省所管なつたものか、内務省の調査部なら調査部に、使つてもいいという指令がきて、大藏省所管されたのか、それとも初めから占領軍から直接大藏省にきたのか、その点。
  112. 船山正吉

    船山証人 それは終戰後の特殊の例としまして、およそ進駐軍が接收しましたものを日本政府返還します場合には、内務省調査部を受取人にするということになつておりましたから、内務省調査部を経由しております。しかし國内的には、不動産いわゆる國有財産大藏省所管でございますから、調査部から通り抜けに大藏省の權限に移つておるわけであります。
  113. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうしますと、不動産を使用するということと、動産を使用するということと、二通りに考えなければなりませんが、それらのことについては、S・S・Kに使用せしめるについて、おそらく契約があつただろうと思うのですが、そういう契約は二面になつて契約しておりますか、それとも一括して契約になつておりますか、その点御承知でしようか。
  114. 船山正吉

    船山証人 この施設、つまり土地、建物の施設につきましては、大藏省がS・S・Kに対して一時使用の承認を與えております。それから資材につきましては、これはもしS・S・Kに行つておるといたしますれば、内務省の調査部からS・S・Kに対して、何らかの形で行つておるわけであります。
  115. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 別々ですか。
  116. 船山正吉

    船山証人 別々であります。
  117. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 もう一つ、内務省だと、あなたの方は熊本の財務局だと言われたが、内務省へ直接当つたのはどこか御承知ございませんか。
  118. 船山正吉

    船山証人 これは当時佐世保に内務省の駐在官がおつて、この人がいろいろやつてつたやうに聞いております。
  119. 山中日露史

    山中委員 ちよつとこの機会にお尋ねしておきたい。呉の旧海軍工厰、あるいはまた山口縣の光の工厰あたりに参りますと、あの工厰の建物が爆撃でやられて、醜い鉄骨の残骸をさらしておるのであります。これはもちろん大藏省財産であろうと思いますが、これを今日三年間も醜い姿をそのまま放置しておくというのは、どういうわけですか、その点をひとつお聽きしたい。
  120. 船山正吉

    船山証人 これはできるだけ早く活用したいという氣持はもつておるのでありますが、地理的状況、つまり立地條件とか、あるいは何かあれを利用して、事業をしたいと思われる向きに対して、現在のところ資金がない、資材がないといつたようなことで、十分なる事業を起し得ないために、やむを得ず使用しないものも出ておるようなわけでありまして、当局の主義といたしましては、できるだけ早く活用したいと考えてります。
  121. 山中日露史

    山中委員 兵器ではありませんから、兵器処理仕事じやないかもしれませんけれども、ああいう建物などは、スクラップにするよりしようがないと思いますけれども、鉄骨などは、何かそういうものに処理されるということはお考えになつておらないのですか。ただあのまま適当な買手があつたり、あるいは適当な使い途があつたらというようなことで、漫然と時機を待つているというようなことよりも、積極的に何かお考えなつたらどうかと思いますが、その点に対するお考えいかがですか。
  122. 船山正吉

    船山証人 國有財産といたしましては、せつかく建つておる建物のごときは、できるだけそれをそのまま活用したい。それによけいな経費、労力をかけて、あるいは移築するなり、あるいはスクラップとして使うということは、第二段にしたいと考えましたために、あるいは未だ利用しないままで残つておるものがあるかと存ずるのでありますが、もうそのまま現地ではどうしても使えないということになりますれば、次の手段を考えなければならぬかと存じております。  それから先ほど明禮委員からお尋ねのありましたS・S・Kの解撤艦艇数でございますが、先ほどちよつと資料が見つかりませんでしたが、当初からやつております二十五隻のほかに、輸送艦が一隻、掃海艇が一隻、縣潜艇が三隻、魚雷艇が三隻、これだけ追加になつておりまして、これまでS・S・Kにやらしておりますものは、合計三十七隻になつております。
  123. 武藤運十郎

    武藤委員長 お尋ねはございませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  124. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは済みました。御苦労さまでした。
  125. 武藤運十郎

    武藤委員長 高田透さんですか。
  126. 高田透

    高田証人 はい。
  127. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたは今S・S・K———佐世保船舶工業株式会社のどういう地位におられますか。
  128. 高田透

    高田証人 ただいま取締役で、本社の総務部長をいたしております。
  129. 武藤運十郎

    武藤委員長 いつごろからS・S・Kに御関係になつておりますか。
  130. 高田透

    高田証人 創立当初から関係いたしております。
  131. 武藤運十郎

    武藤委員長 創立当初は何をしておられましたか。
  132. 高田透

    高田証人 創立時の二十一年の三月から創立事務を担当いたしまして、創立と同時に取締役に就任いたしました。
  133. 武藤運十郎

    武藤委員長 以來総務部長をしておられる……。
  134. 高田透

    高田証人 いや、その当時は本社事務——まだ部制がございませんで、たしか今年の初めから総務部というものを設けまして、総務部を兼務いたしておりました。
  135. 武藤運十郎

    武藤委員長 それではS・S・K創立に至る経緯を、北村徳太郎氏との関係をつけながら述べてください。
  136. 高田透

    高田証人 S・S・Kの創立の端緒は、占領軍最高司令部佐世保工廠再開の指令がもとでございます。それに基きまして、運輸省から佐世保工厰再開の際に、これをどこのだれに運営させるかを……。
  137. 武藤運十郎

    武藤委員長 途中ですが、本会議の都合で暫時休憩いたします。高田さん、済みませんが、そのまましばらくお待ち願います。     午後四時四十八分休憩      ————◇—————     午後五時二十五分開議
  138. 武藤運十郎

    武藤委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  証人高田透さん、たいへんお待たせいたしました。まことに恐れ入りますけれども、速記の都合がありますので、先ほどお話になりましたことを一通りお話し願います。
  139. 高田透

    高田証人 証人はS・S・Kの創立と同時に取締役に就任いたしました。現在東京本社の総務部長を担任しております。  その次の会社の創立の経緯と北村徳太郎氏との関係について申します。最高司令部佐世保工廠再開の指令が、日本政府あてに二十一年二月十六日附と、同月十八日附で出ました。そのときの指令事業は艦艇の解体、それから艦船の引上げ、占領軍艦船の修理、こういうものが主要事業となつております。二月十八日の指令は、この佐世保工廠の運営は純民間会社をもつてやるべしという指令であります。それで二月に運輸省の慫慂に基きまして、造船連合会がこの新会社を担当する候補者を選択いたしました結果、占部造船株式会社、三井造船株式会社、この二社が主株となつて会社を組織してやるのがよろしい。こういうことになりました。証人は当時三井造船株式会社に勤務いたしておりました。越えて三月に証人は当時の三井造船の社長に從いまして、佐世保の現場及び施設を概畧調査いたしました。そうして三月下旬に至りまして設立発起人の代表三枝貞藏——今日の証人の一人であります。それを代表として大藏大臣、運輸大臣、商工大臣あての佐世保工廠再開に新会社をもつてあたりたいという申請書を出しました。と同時に三月二十七日付をもちまして第八軍司令部に同樣の申請書を出しました。そういたしまして五月十六日にこの申請書に対して八軍司令部許可がありました。その許可が下りた通知は六月七日附をもちまして地方のM・Gから工場の方に通知がありまして、工場におきましては、四月一日からとりあえず発起人代表の名義で前の管業部の事業を引継ぎいたしまして、同時に東京におきまして新会社の設立事務を始めました。  資本金は最初一千万円の予定でございましたが、三井造船株式会社の出資分につきまして、これは制限会社でありますために、G・H・Qの許可が要ります。その許可、不許可関係で六月、七月がだいぶつぶれまして、結局のとこと制限会社であるから、三井造船の出資は不許可になりました。その関係で当時の一千万円の資本金を六百万円に縮少しまして、これで八月に大藏省の前認可を受け、九月に本認可を受けまして、九月十八日に拂込完了、九月二十日に創立総会を完了いたしまして、十月一日に登記、設立を完了いたしました。その間証人北村徳太郎氏にお目にかかつたことが二回ございます。最初は三月に工場調査に参りましたときに、親和銀行へ三井造船社長に從つて出ましたときにお目にかかりましたが、このときには三井造船社長から、この事業は佐世保地方にとつても非常に大事な事業であるから、土地の有力者としてぜひとも一部の出資を願いたいと慫慂されましたが、私はそのとき直接お話はいたしません。それだけであります。それから六月に一度荻窪の北村徳太郎氏のお宅へ参りましたが、同氏は設立発起人の一人でございまして、手続上の判をいただくことと、新会社の本社を佐世保に置くべきか、東京に置くべきかという意見をたたきまして、同氏の意見は、これは地元の方に本社を置きたい、そうすれば地元の者も力がつくから、こういう意見がございまして、結論では本社は東京になりました。これは中央管廳やらG・H・Qとの関係が非常に深いので本社は東京になりましたが、そういう御意見がございました。これは二回目の会見でありますが、九月二十日の創立総会でも北村氏にお目にかかりました。そのとき取締役は十二名だつたと思いますが、北村氏はその中の一人に選任せられました。会社の設立の経緯はそんなものでございます。
  140. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうしますと、北村氏がこの会社の創立発起人として積極的にやつたことというのはどういうことですか。
  141. 高田透

    高田証人 株式を土地の有力者に加わつて出資してくださいましたことが一つで、ほかに別段立入つた積極的なことはなさいませんでした。
  142. 武藤運十郎

    武藤委員長 今あなたのお話なつたような、あなたが二回行かれたときに意見を延べられたということだけですか。
  143. 高田透

    高田証人 さようでございます。
  144. 武藤運十郎

    武藤委員長 この会社の工場施設、機械、土地、建物などはどういう手続でお使いになつておるのですか。
  145. 高田透

    高田証人 この事業経営に必要な大体の範囲を見立てまして、土地、建物、構築物、機械の目録をつくりまして、これを大藏省國有財産局長に一時使用許可の願出をいたしまして、二十一年の三月三十日付をもちまして、國有財産部長から使用許可の内定の通知がございました。実際の決定的な使用許可熊本財務局が追つて出すはずということでございました。それで追つて熊本財務局から正式の許可がございまして、使用範囲はその後漸次拡充いたしまして、最初は土地の廣さ七万五千坪程度でありましたが、その後使用範囲の拡張願をいたしまして、現在十万坪外内の土地を使用いたしております。
  146. 武藤運十郎

    武藤委員長 前にちよつと戻りますが、北村さんはその後この会社の取締役ですか。
  147. 高田透

    高田証人 創立当時から取締役でございます。
  148. 武藤運十郎

    武藤委員長 その後会社会議その他にはときどき御出席になり、また会議以外でも会社へお出になつて実務を見ておりますか。
  149. 高田透

    高田証人 取締役会に御出席になつたのは取締役として五、六回ぐらいです。
  150. 武藤運十郎

    武藤委員長 いつからいつまでの間に………。
  151. 高田透

    高田証人 昭和二十一年から昨年の九月ごろまでであります。
  152. 武藤運十郎

    武藤委員長 大臣に就任される前までですか。
  153. 高田透

    高田証人 就任される前であります。昨年の七月に社長に就任されましたが、その社長就任の前が五、六回ぐらい、いわゆる平取締の資格で御出席だつたように記憶しております。
  154. 武藤運十郎

    武藤委員長 その会議にはあなたもたいがい出ておられますか。
  155. 高田透

    高田証人 会議は東京でやります場合と佐世保でやります場合とがあつて、東京でやる場合はたいてい出ております。
  156. 武藤運十郎

    武藤委員長 北村さんは会議に出まして意見は述べますか。
  157. 高田透

    高田証人 ほかの方と同じ程度ちよちよいとさしはさんでいらつしやいます。ほかにも同様の取締役はたくさんおります。それで、皆で話合つたわけでございまするが、大体において中座されたり、あとから來られたりするので、会議の初めから終りまでおられたことはあまりありません。
  158. 武藤運十郎

    武藤委員長 しかし普通には意見を述べておられたのですか。
  159. 高田透

    高田証人 つまり会議の協議事項が一つずつありますと、おられるときには、それについては説明者の説明もほかの重役と一緒に聽く。そうしてほかの重役並の意見をお吐きになつたということはございます。
  160. 武藤運十郎

    武藤委員長 社長になられたときはどういう事情で社長になられたのですか。
  161. 高田透

    高田証人 これは前の社長の辞職以後、約一箇月間社長が欠員でございました。後任者がなかなか見つかりませんので、役員の中から北村さんにお願いしようじやないかという動議がございまして、社長の選考委員を組織しまして、北村さんをその委員が推薦いたしました結果、自分は忙しいけれども名前だけならよかろう、こういう御承認があつたわけであります。
  162. 武藤運十郎

    武藤委員長 選考委員というのはどなたとどなたですか。
  163. 高田透

    高田証人 今やめておりますが、当時監査役をやつてつた水谷長太郎と申します。
  164. 武藤運十郎

    武藤委員長 何か北村さんに聽きますと、名誉社長であつたというような………。
  165. 高田透

    高田証人 名誉社長と申しますか、名義社長と申しますか、世間一般に申します取締役会長というごく軽いのがございますが、会長でもない、社長なのでございますが、ごく軽い意味の名前だけ出してもらつて、ほかに代表重役がおりまして、実務はその方でやつていくということになつておりました。
  166. 武藤運十郎

    武藤委員長 社長になられてからも、普通前に取締役であつた程度には会議関係しておられたのですか。
  167. 高田透

    高田証人 ほとんど関係なさいませんで、社長になられてから二回ぐらいは取締役会に出られて座長を務められた。その前後はほとんどありません。
  168. 武藤運十郎

    武藤委員長 会社から毎月手当、報酬といいますか、そういうものを受けておられるようでありますけれども、これを御存じでしようね。
  169. 高田透

    高田証人 存じております。
  170. 武藤運十郎

    武藤委員長 これはどういうふうにするのですか。送つてやるのですか、だれか持つて行くのですか、それともとりに來るのですか。
  171. 高田透

    高田証人 会社の者にお宅の方に持たしてやります。
  172. 武藤運十郎

    武藤委員長 今度問題を変えまして、この会社には相当のいわゆる隱退藏物資があつたということですけれども、どうですか。
  173. 高田透

    高田証人 摘発を受けまして多少の物資が出たことは聞いております。
  174. 武藤運十郎

    武藤委員長 多少の程度ですか。
  175. 高田透

    高田証人 トン数にいたしまして、百七、八十トンくらいのものであります。その中で返還を受けたものがございます。これは船の重りに使いますいわゆるバラストでございます。五十七八トンくらいと開いております。これが返つてきたものでございますから、差引きますと百二十トン程度のものが出たことを聞いております。
  176. 武藤運十郎

    武藤委員長 九州軍政本部から昭和二十二年七月十五日現在で非鉄金属在庫数量調を提出せよという趣旨で御提出になつたと思うのですが、その届出は実際その在庫数量を調べまして正確にお出しになつたわけですか。
  177. 高田透

    高田証人 私は工場におりませんので、あとから聞きまして、当時の届出については九月になつてから調査の上で届出をした、そういうふうに聞いております。
  178. 武藤運十郎

    武藤委員長 S・S・Kは親和銀行及び復金からどの程度に金を借りておりますか、またどういうふうにそれを返しておりますか、また保証人はだけであるか、こういう点を伺いたい。
  179. 高田透

    高田証人 親和銀行からの借入金は、大体毎月千万円内外のものであります。これは毎月返しまして、また借りる。そういうふうなやり方で借りております。保証人はなかつたと思います。
  180. 武藤運十郎

    武藤委員長 借りては返し、返しては借りるということですね。
  181. 高田透

    高田証人 さようでございます。実際の手形の方は工場でやつておりますので、はつきり存じません。工場の方で経理部長が向うの常務の方、貸付係りの方と折衝して借りております。
  182. 武藤運十郎

    武藤委員長 復金は………
  183. 高田透

    高田証人 復金の方は現在三千八百万円借りております。この方の保証人は大体当時の社長及び二、三名の重役、これが個人保証に立つております。
  184. 武藤運十郎

    武藤委員長 御記憶があるかどうかわかりませんが、昭和二十二年三月二十八日に四百万円、同日三百五十万円、八月十六日六百万円、十二月二十六日八百万円、昭和二十三年二月二十三日五百万円、同三月二十三日三百五十万円、これだけ融資を受けて、この六口については北村徳太郎氏が保証をしておるということでありますけれども、そうでありますか。
  185. 高田透

    高田証人 それは大体記憶がございます。
  186. 武藤運十郎

    武藤委員長 大体その通りでありますか。
  187. 高田透

    高田証人 そうです。二十二年、最初は四月でございましたか、三月でございましたか。
  188. 武藤運十郎

    武藤委員長 三月二十八日四百万円、同日三百五十万円としてこのうち二百万円は返しておりますね。
  189. 高田透

    高田証人 返しました。それで当時の社長は占部五郎氏でございます。占部五郎氏が個人保証をいたしております。
  190. 武藤運十郎

    武藤委員長 北村さんと一緒ですか。
  191. 高田透

    高田証人 その当時は北村氏はまだ平取締で保証に関係ありません。ただし社長になつてから、手形の書替えのときに保証に立つたように思つております。
  192. 武藤運十郎

    武藤委員長 もとの社長、借入れ当時は社長占部五郎氏が個人保証をしておりまして、社長が代つて北村さんになつたというわけですね。一回は北村さんが保証に立つたそういうことになるのですか。
  193. 高田透

    高田証人 さようでございます。
  194. 武藤運十郎

    武藤委員長 これは社長であるからというわけで、北村さんが保証せられたわけですか、そのほか何か理由があるのでしようか。
  195. 高田透

    高田証人 これは大体復金の要求でございまして、できれば社長及び二、三の重役連名で個人保証をしてもらいたい。こういうのが復金の方の要求でございました。
  196. 武藤運十郎

    武藤委員長 その後五月二十四日に一千万円借りておりますけれども、これは北村さんは保証しておられませんね。
  197. 高田透

    高田証人 それは保証しておりません。
  198. 武藤運十郎

    武藤委員長 だれが保証しておりますか。
  199. 高田透

    高田証人 塩津専務取締。むろん個人の資格です。それから私自身、それと松本長藏。この三名で保証しております。
  200. 武藤運十郎

    武藤委員長 北村さんはどうして保証されなかつたのです。
  201. 高田透

    高田証人 すでに社長でも取締役でもございませんので……。
  202. 武藤運十郎

    武藤委員長 社長及び取締役をやめて大臣に就任せられておるのでされなかつた
  203. 高田透

    高田証人 さようです。復金の方も一應要求はございましたけれども、これは役員でもないから、やめてくれというてはずしてもらいました。
  204. 武藤運十郎

    武藤委員長 S・S・Kは艦艇解撤作業をしておられるそうですけれども、創業以來何隻くらいを解体しましたか。
  205. 高田透

    高田証人 解体は大体今月をもちまして大ばらしを完了することになつております。艦数は大型艦、小型艦をまぜて二十三隻か四隻であります。ほかに未完成の艦艇がございまして、潜水艦とかこまかいものでありますが、百トン程度のもの。それは陸上にあつた未完成のものを進駐軍の速急解体命令がございまして、これが九隻でございます。これを勘定に入れますると、三十二隻くらいになると思います。
  206. 武藤運十郎

    武藤委員長 この解体をいたしますのには、まずその許可願いを出してやるということになるのですか。
  207. 高田透

    高田証人 はあ。運輸者に対して艦艇一艦ごとに解体許可申請をいたしまか。
  208. 武藤運十郎

    武藤委員長 拂下申請というものは出しませんか。
  209. 高田透

    高田証人 同時に拂下申請を大藏大臣に出します。
  210. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうして解体したものは会社で自由に処分をしておるのですか。
  211. 高田透

    高田証人 最初は自由に処分しておりましたが、昨年の八月から解体スクラップ指定生産資材に入れられまして、商工省の発給する切符によつて需要家に供給しております。
  212. 武藤運十郎

    武藤委員長 拂下げというものがなくして、解体したスクラツプの処分をしておるのはどういうわけです。
  213. 高田透

    高田証人 大体拂下げなつたものとわれわれは了解しております。
  214. 武藤運十郎

    武藤委員長 これはおかしいな。拂下許可申請は申してもまだ許可はないのでしよう。
  215. 高田透

    高田証人 正式の許可書は受取つておりません。
  216. 武藤運十郎

    武藤委員長 じやどういうことで拂下げがあつたものと考えますか。
  217. 高田透

    高田証人 それは大体三つの観点から考えられますが、一つは大藏省が承認しております艦艇解撤工事經理要綱というものがございます。これによつてスクラツプを賣却した場合の原價計算その他の收支を明らかにすることになつておりますが、これですでに販賣を認められておると私どもは考えております。もう一つはただいま申した商工省指定生産資材に入れられまして、解体業者商工省の切符によつて需要される方にこれを販賣しろ、こういう指図を受けております。また別にあらゆる機会におきまして、占領軍の解体命令その他の場合に業者の販賣を認めておられます。そういつたことから私どもはすでに拂下げを受け、またスクラツプの処分ができるものというように考えております。
  218. 武藤運十郎

    武藤委員長 なるほどそうすると、その三つの観点から拂下げは正式には許可の形はとられておらないけれども、許可なつたものと考えるという御趣旨のようですが、これは金額はどういうふうに査定をいたしますか。
  219. 高田透

    高田証人 販賣價格の場合は、ただいま公定價格でございます。それに從つてつております。それから工事費の場合は実際にかかつた人件費、材料費その他の經費を經理要綱によつて原價計算をいたします。そうして一艦ごとに收支を明らかにしております。
  220. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると拂下げの場合の價格はどういうことになるのですか。
  221. 高田透

    高田証人 拂下價格は經理要綱によりまして、解撤艦艇評價委員会というものが組織されておりまして、その評價委員会が解体工事費のトン当りの統一價格というものを査定するのでございます。その査定價格によつて業者はそれに縛られまして、それが軍艦の大きいのも小さいのもいろいろございますから、艦種と大きさによりまして、トン当りの工事費がどのくらい、こういう査定がその委員会においてできることになつております。それで計算したものがこれこれの軍艦の解体工事費ということにきまるのであります。まだこれは完了いたしておりません。
  222. 武藤運十郎

    武藤委員長 解体工事費というものはきまるけれども、拂下價格拂下價格は……。
  223. 高田透

    高田証人 拂下價格は解体工事費を勘案して、大藏省が最後におきめになります。
  224. 武藤運十郎

    武藤委員長 それはまだきまつたものはないのですか。
  225. 高田透

    高田証人 ございません。
  226. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると解撤評價委員会というのは、これは業者でつくつておるのでしよう。
  227. 高田透

    高田証人 造船クラブの事務局長が委員長で、業者が数名委員になつております。それから運輸省大藏省の方からその委員会に列席され、会議を進められることになつております。
  228. 武藤運十郎

    武藤委員長 運輸省大藏省は会員ではないのですね。
  229. 高田透

    高田証人 委員ではございません。
  230. 武藤運十郎

    武藤委員長 オブザーヴアーの形ですか。
  231. 高田透

    高田証人 そうです。
  232. 武藤運十郎

    武藤委員長 いろいろ業者でお手盛できめられることになるのですか。
  233. 高田透

    高田証人 これはやはり列席を願つておりますので、お手盛りにならぬように、もちろん適正なものをやるという精神でやつております。
  234. 武藤運十郎

    武藤委員長 結局解撤作業によつては余る金はそうないことになりますか。國庫に戻つてくるものは……。つまり拂下金というものが出てくるわけではないですか。申てこないですか。
  235. 高田透

    高田証人 これは工事費が最後にいくらかかるかによつて拂下價格がきまるのでございますから、それによつて國家に戻つてくるかどうか、その後でないときまらないと思います。
  236. 武藤運十郎

    武藤委員長 解体工事というものはきまるけれども、拂下價格價格は……。
  237. 高田透

    高田証人 拂下價格は解体工事費を勘案して、大藏省が最後におきめになります。
  238. 武藤運十郎

    武藤委員長 それはまだきまつたものはないのですか。
  239. 高田透

    高田証人 ございません。
  240. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると解撤評價委員会というのは、これは業者でつくつておるのでしよう。
  241. 高田透

    高田証人 造船クラブの事務局長が委員長で、業者が数名委員になつております。それから運輸省大藏省の方からその委員会に列席され、会議を進められることになつております。
  242. 武藤運十郎

    武藤委員長 運輸省大藏省は会員ではないのですね。
  243. 高田透

    高田証人 委員ではございません。
  244. 武藤運十郎

    武藤委員長 オブザーヴアーの形ですか。
  245. 高田透

    高田証人 そうです。
  246. 武藤運十郎

    武藤委員長 いろいろ業者でお手盛できめられることになるのですか。
  247. 高田透

    高田証人 これはやはり列席を願つておりますので、お手盛にならぬように、もちろん適正なものをやるという精神でやつております。
  248. 武藤運十郎

    武藤委員長 結局解撤作業によつては余る金はそうないことになりますか。國庫に戻つてくるものは……。つまり拂下金というものが出てくるわけではないですか。出てこないですか。
  249. 高田透

    高田証人 これは工事費が最後にいくらかかるかによつて拂下價格がきまるのでございますから、それによつて國家に戻つてくるかどうか、その後できないときまらない思います。
  250. 武藤運十郎

    武藤委員長 ですから普通の拂下げの観念と違うみたいですけれども、工事費などはかけ放題かけてもいいということになりますね。
  251. 高田透

    高田証人 惡く解釈するというそうことは考えられぬこともございませんけれども、実際問題はそういうものじやないのです。
  252. 武藤運十郎

    武藤委員長 何かお尋ねになることがありますか。
  253. 辻寛一

    ○辻委員 S・S・Kの社長の実務の限界というものを、一体どういうふうにお考えになつておりますか。たとえば北村さんは代表取締役でもあり、それから報酬も社長として受取つておられる。また重役会においても両三度議長をお勤めになつて、相當の御発言もなさつておる。これは会社の最高実務に管掌していると常識的にわれわれは考えられるのでありますが、実務ではなくして、名義上であると言われますが、それでは一体前社長と具体的にどういう点において違つてつたか。その辺を伺いたい。
  254. 高田透

    高田証人 工場におきましては工場を代表する取締役が、工場一切の責任者としてやつております。東京の本社におきましても、同樣に代表取締役を置いてやつております。前の社長は毎月の会議ごとに大体漏れなく出席いたしましたのみならず、それ以外のときにも相當頻繁に工場内部をまわつて指揮をいたしております。北村徳太郎氏の場合は取締役会にしても、私どもから見ますと出席常ならぬ方で、あまり御相談の相手には考えておりません。実務から見ますと、あまり問題にしていなかつたような次第であります。
  255. 辻寛一

    ○辻委員 それはただ程度の問題のように考えられるのでありまして、独占禁止法ができましてからは、重役が三つしかできぬことになつておりますけれども、それ以前におきましては、ずいぶん会社の重役、社会を兼ねておる人もありまして、やはり日勤でなく、ときどきしかのぞけないものでも、実質的には社長として自他ともに認めておつたわけでありますから、ただ程度の差のように考えられるのであります。  それから復金の保証であります。これは先ほど伺いますれば、個人の資格としての保証である。こんなようなお話でありますが、個人の資格としてならば、たとい復金からの要求がありましても、自分は名義上の社長だから、そういうことまで立ち入つては困るというような、一應澁られたこともあつたのではなかろうかと思いますが、さようなことはございませんか。ただ社長はそれなら引受けておこうと、簡單にお引受けになつたのでありますか。
  256. 高田透

    高田証人 これは私どもがお願いに行きました。それで自分はどうもあまり進まぬけれども、復金の方でぜひということならほかの人もやるのだから自分も加わつておいてよろしい。こういうごく受身的なことで保証をされました。
  257. 辻寛一

    ○辻委員 社長をおやめになりましてからでも、先ほどの御証言によりますれば、復金の方は北村さんに保証人になつてもらいたいというようなお話があつたようですが、そのときにお断りになつた。こういうところから察しますと、やはり御自身は社長であつた。社長としてそれだけのことは、たとい個人の資格においても引受けるべきものだ。こういう御認識がおのずからの中にあつたように解釈されるのでありますが、その辺いかにお考えになりますか。
  258. 高田透

    高田証人 大体復金の方は最初から社長及び二、三の取締役というふうに言われまして、前社長からのしきたりで、北村社長も保証に参加されまして、社長をやめられてから同様に、復金としては一應希望を申し入れてございます。しかし、大体復金の方は役員の中からというお考えでありました。やめてもらいましたのは、私どものそういう観点からで、もう関係のない方であります。保証はやめてもらえまいか、そのかわり代りの役員をということで、松本長藏を加えまして、復金の方もそれならよかろう、こういうことになりました。
  259. 辻寛一

    ○辻委員 九州の軍政部の方へ届けられました重要物資の在庫高ですが、これはまた相當重要なる問題でありまするから、おそらく事前に重役会にもその報告について付議されたことがあつたように思うのでありますが、さようなことはございませんでしたか。
  260. 高田透

    高田証人 それは全然ございません。大体軍政部への報告事項は、非鉄金属以外に何やかやとございます。これは工場担當の代表重役が全部賄つております。そのためにただいまの調べについても、ことしの摘発があつた後に私どもは聞いたくらいで、本社の方へはほとんどそれの報告らしいものは來ておりません。從つて役員会でも全然タッチいたしません。
  261. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 S・S・Kの創立総会の際には、北村さんは出られましたか、出られませんでしたか。
  262. 高田透

    高田証人 出られたように記憶いたしております。
  263. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 創立総会には經過報告があるはずでありますが、經過報告はどなたがどういう程度にいたされたか、その点を伺いたい。
  264. 高田透

    高田証人 創立総会の經過報告は各所に対する創立の手続きでございます。それの手続内容と日附、たとえば八月の何日に何の認可があつた。株式の募集を始めた、拂込みが終つた、そういつた經過報告を創立総会においてつくりました。大体作成は私がほかの者と数人でいたしました。
  265. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたが報告なさつたのですか。
  266. 高田透

    高田証人 創立総会の席上での報告は、當時の発起人代表がいたしました。
  267. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 だれですか。
  268. 高田透

    高田証人 三枝貞藏であります。
  269. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 不動産並びに動産、機械等は、先ほどのお言葉ではあなたの方からこれだけのものがほしいという目録を出して、許可申請を得た。それには資材が加わつておりますか。おりませんでしたか。
  270. 高田透

    高田証人 資材はおいおいと使つていくものでございまして、これは大藏省関係ではございません。大藏省関係は土地、建物、構築物、機械、これだけでございます。資材は復員局管業部の持つておりましたもの、それから、内務省関係の特殊物件、熊本逓信局の関係資材そういつたものの拂下げ、そういう方面から資材を入手しております。
  271. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうするとその拂下げは、使用許可と同時にあつたのですか、それはどうでございましようか。
  272. 高田透

    高田証人 使用許可とは別個でございます。それで何回かにわけて願い出ております。これは工場の方でもやりました。自分は東京におりましたものですから、詳しいことは存じません。
  273. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 土地、建物、機械だけでは、とういて仕事はできないですから、當然資材を伴うものだと私は聞いたのですが、そうすれば、それを使用して、いよいよ事業を始めるというときに、必然的にともに資材も要るものと思う。そこで創立総会の際に土地、建物及び機械の使用許可を得たと同時に、資材拂下許可も得ておられるものと思いますが、その点をひとつ……
  274. 高田透

    高田証人 多少のものは當然あつたと思います。それは復員局管業部の持つております資材の一部を讓り受けたものであります。これはあつたと思います。
  275. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、それらの使用許可申請並びに資材拂下申請に関する書類は、現在でも会社にありますか。
  276. 高田透

    高田証人 土地、建物に関するものは、全部はないかもしれませんが、大部分は東京にも写しをもつております。資材の方はございません。工場の方でやつたのでございまして、こちらへ写しをとつておりません。
  277. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、工場にはあるわけですな。
  278. 高田透

    高田証人 あるはずでございます。
  279. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこで承りたいのですが、創立総会には、もちろん土地、建物及び機械の使用許可のあつたことを報告せられておると思います。これがなかつた仕事にならぬ。それと同時に資材拂下許可をも報告せられなければ、仕事はできないから、當然ある、あるものと思いますが、報告せられましたか、いかがでありますか。
  280. 高田透

    高田証人 私の記憶では、創立經過報告のときには資材に触れておりません。これはしかし事実上は工場の方で手続はしたものと考えます。報告事項の中には資材の問題ははいつてないと思います。
  281. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 事実に基いてお尋ねするのですが、報告はただ單に株の拂込みをやつたとか、何とかいうのじやない。これだけのものを使用さしてもらえる、もしくは拂下げをしてもらえる、今後仕事がやれるようになつたという事業もくろみというものが根本だろうと思う。そんなことは報告しないでもわかるものですか。そんなものがあつたはずだと思うのですが、どうですか。
  282. 高田透

    高田証人 これは昭和二十一年の四月から管業部の事業を引継ぎまして、九月に実際の会社が創立されまして、その九月の仮決算のときに手持資材がどのくらい、こういうことは報告が出ております。これは創立総会には出ませんでした。実際問題としてそういうことです。
  283. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこでS・S・Kに使用許可を得られましたる範囲内において、もしあなたの方で使用許可または拂下許可を得ないものが存在しておつたり、または新たに発見せられたりいたしますると、それはどういうことにするのがあたりまえであるとお思いになつておりまするか、その点を承りたい。
  284. 高田透

    高田証人 これは前にあつたことのお尋ねでございますか。
  285. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あつたとすればどうされるか。
  286. 高田透

    高田証人 発見されたということは聞きませんでございますから、大体先ほど申し上げましたように、内務省の持物は特殊物件、逓信局、それから管業部、大体あるところはわかつております。これに対する拂下願の手続をいたしました。それ以外に発見というふうなものは聞いておりませんです。
  287. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それならば、先ほど隠退藏物資の摘発を受けたら百何十トンか出た。それはどうしてそうなつたのですか。
  288. 高田透

    高田証人 それは摘発を受けて出てきた資材でございます。それの報告でございますか。
  289. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 いやいや、どこからどうして出たか……。
  290. 高田透

    高田証人 これは明日資材課長が喚ばれると思いますが、私はほとんど年中現場におりません。ずつと東京におりますので、はつきりお返事はちよつといたしかねます。
  291. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 大体のところでよろしうございます。あなたの知つておる範囲で。
  292. 高田透

    高田証人 聞いた範囲では、二月の摘発で、先ほど申しました百七、八十トンの非鉄金属その他が出た、こういうことでございます。
  293. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 もつとそれを具体的に伺いますが、摘発というのは隠匿しておつたから摘発されたのですから、その隠匿があなたの方でどういうふうに隠匿しておつたわけだか、それを聽いておるのです。
  294. 高田透

    高田証人 それはよく聽いておりません。隠匿かどうかも、今檢察廳の方でお調べが進んでおりまして、これが終りませんと、はつきり申し上げられないと思います。
  295. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 先ほどのお言葉では、在庫品調査の届出のときは、在庫品を調査した上で届け出たと、こう言われましたが、その調査方法、並びにあなたがお聽きになつ程度は、どの程度調査をして、どういう報告をしたか、それをお伺いいたします。
  296. 高田透

    高田証人 その点は詳しくは聽いておりません。
  297. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 先ほど調査の上で報告したと言いました。
  298. 高田透

    高田証人 そこまでは聽いておりますが、どういう方法調査したとか…。
  299. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 どの程度で聽いておられるか。
  300. 高田透

    高田証人 調査ということは現品点檢しての上でと思いますけれども、どこにどれだけの物のがあつて、どういう調査をしたか、こまかいことは聽いておりません。これはどうか、実際に相當いたしました資材課長からお聽きとり願いたいと思います。私はあとから聽いたもので、東京におりませんから。
  301. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あとから聽いた内容をお聽きしておる。あなたの聽かれた程度のことを聽いておる。
  302. 高田透

    高田証人 ですから、どういう調査をしたかという、調査手続、そのことし詳しく聽いておりません。
  303. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこでそれを届出をしたということは、あなたはいつごろ、どこでお聽きになりましたか。
  304. 高田透

    高田証人 これは私、工場へ先月参りまして、そのときに大体状態を聽いただけであります。それも現場を見たわけどもございません。また実際担當者から案内を受けて調べたわけでもございません。
  305. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 いや、それは違う。私の言うのは、あなたが届出のときは調査をした上で届出をしたと言う。それを聽いておる。摘発のことじやない。要するに届出をしたということはお聽きになつたのでしよう。したということはもちろん調査の上したということでしよう。それをいつごろ、どこで、どういうことで聽かれたかを聽いておるのです。
  306. 高田透

    高田証人 届出をいつやつたかとおつしやるのですか。
  307. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 届出をやつたか、それからあなたが聽いたこと。
  308. 高田透

    高田証人 届出は昨年の九月二十九日附で出ておるということを聽いております。
  309. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それは現場で届け出たのですね。
  310. 高田透

    高田証人 さようでございます。
  311. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 けれども、それはあなたの方で発見者としての通知なり、届出なりがあつたと思うが、それをいつごろどういうふうに聽かれたか。これを聽いておるのです。
  312. 高田透

    高田証人 先月聽きました。つまり届出の當時は本社に報告がなかつたのです。
  313. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると事件が起つて初めて聽いた。こういうことになりますか。
  314. 高田透

    高田証人 大体そういうわけでございます。
  315. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 一應これで終ります。
  316. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたは発起人でございますか。
  317. 高田透

    高田証人 私発起人ではございません。
  318. 明禮輝三郎

    明禮委員 それから三枝さんが発起人と言いましたね。
  319. 高田透

    高田証人 発起人代表三枝貞藏
  320. 明禮輝三郎

    明禮委員 報告したのは三枝さんという人が報告したというわけですね。今S・S・Kで何人くらい人を使つておるのですか。
  321. 高田透

    高田証人 從業者全部で三千人近い人数でございます。三千人のうち工員が二千二百名くらいございます。その他七、八百名が職員、但し職員、工員の区別はつけておりません。一般に社員といたしております。
  322. 明禮輝三郎

    明禮委員 そこでお尋ねしたいのですが、北村さんには手当を毎月出しておりますね。
  323. 高田透

    高田証人 ただいまは出しておりません。
  324. 明禮輝三郎

    明禮委員 いつからいつまでなんぼ出しましたか。
  325. 武藤運十郎

    武藤委員長 明禮君に申し上げます。この点は書類が出ておりますが…。
  326. 明禮輝三郎

    明禮委員 出ておるから聽いておるのです。
  327. 高田透

    高田証人 私の記憶で申し上げますと、創立のときから昨年十二月まで出ております。
  328. 明禮輝三郎

    明禮委員 その間十二月まで俸給と言いますか、手当が出ておりますね。それから後は出ておりませんか。
  329. 高田透

    高田証人 出ておりません。
  330. 明禮輝三郎

    明禮委員 退職手當というのはないのですか。
  331. 高田透

    高田証人 これはまだ出しておりません。
  332. 明禮輝三郎

    明禮委員 出すことになつておりますか。
  333. 高田透

    高田証人 それは役員協議の上でなければきまりません。
  334. 明禮輝三郎

    明禮委員 協議したことはありませんか。
  335. 高田透

    高田証人 まだ協議しておりません。
  336. 明禮輝三郎

    明禮委員 二十三年五月二十四日に会議がありましたね。そのときに北村さんの問題を北村取締役辞任の件として二十三年五月二十四日に行われておりますが、それはどういうことですか。
  337. 高田透

    高田証人 あれは登記面で社長でなくてただの取締りで、たしか四月まで登記面で残つております。それを正式に辞任の手続をとつたのであります。その辞任登記をした取締役会の議事録と違いますですか。
  338. 明禮輝三郎

    明禮委員 違いますかと言つても、あなた方が相談して北村取締役辞任の件というのを、二十三年五月二十四日におやりになつているから、それを聽いているのです。
  339. 高田透

    高田証人 私は出席しておりません。大体あとで聽いただけです。
  340. 明禮輝三郎

    明禮委員  あとで聽いたのだが、それはどういうことですか。
  341. 高田透

    高田証人 辞任登記をしたというのです。
  342. 明禮輝三郎

    明禮委員 辞任登記をしたということの報告ですか。
  343. 高田透

    高田証人 そうだと思います。
  344. 明禮輝三郎

    明禮委員 一体辞任登記はいつやりましたか。
  345. 高田透

    高田証人 五月初めでございます。
  346. 明禮輝三郎

    明禮委員 そういうふうにもつてこないと合わないかもしれないが、辞任登記は二十三年二月十日にできております。これはとんでもない話です。二十三年二月十日に登記済みです。間違えてもらつては困ります。
  347. 高田透

    高田証人 それは社長の辞任でございます。代表取締役社長の辞任でございます。
  348. 明禮輝三郎

    明禮委員 二十一年の十一月二十三日に会議が行われておりますね。そのときにこういうことが書いてあるのです。第九号議案に、艦艇解体資金借入の件というのがありますが、そのときの工事費千八百万円、解体品賣却金三百万円、差引き資金千五百万円、これが資金調達のため左記の通り借入れのことと書いて、復興金融金庫から千四百二十万円借りると書いてある。こういう決議といいますか、取締役会をなさつたことがありますね。
  349. 高田透

    高田証人 大体覚えております。
  350. 明禮輝三郎

    明禮委員 この千八百万円という工事費はどういうところから出てまいりましたか。それから三百万円の解体賣却金というのはどういうところから出てきますか。
  351. 高田透

    高田証人 それは大体毎四半期に工事の予定を立てまして、その工事に要する材料費、人件費、これの予算を立てます。それに対して賣上金の予想を立てまして、その差額、足りない金額を資金として復金から借入れる、こういうことでございます。
  352. 明禮輝三郎

    明禮委員 これは何という船でございますか。
  353. 高田透

    高田証人 船は、その当時割当を受けて工事を進行中の船でございまして、どういう船だつたかは私記憶いたしておりません。
  354. 明禮輝三郎

    明禮委員 先ほども出たのですが、工事費というのは、どういうことから工事費千八百万円というのが出てまいるのでしようか。
  355. 高田透

    高田証人 大体軍艦の解体のトン数から割出します。それで一トンあたり人間が何人かかる。逆に言いますと、一人がどのくらいの仕事をやるという、そのトン数かける人間の数、それにかける工賃、プラス材料費、プラス經費、こういう計算で出します。
  356. 明禮輝三郎

    明禮委員 そういう計算をやつて出るのですが、そういう場合に、船の解体についての場所のあり所によつて云々ということはないですか。
  357. 高田透

    高田証人 今の質問をもう一度……
  358. 明禮輝三郎

    明禮委員 場所によりまして、解体に難易があると思いますが、そういうことはないのでございますか。トンだけというお話ですが……。
  359. 高田透

    高田証人 船によりまして難易がございます。大型艦は大体むつかしいのであります。こまかいのは比較的やさしい。
  360. 明禮輝三郎

    明禮委員 船のあり場所によつてはどうですか。
  361. 高田透

    高田証人 船のあり場所は関係ございません。それはドツクに持ち込みましてやりますから、いつも同じ状態でございます。
  362. 明禮輝三郎

    明禮委員 二十二年の一月十八日に議案として上程されていることがあるのですが、それによりますと長崎縣の佐世保出張所寄附金と書いてある。これはどういう意味でございましようか。
  363. 高田透

    高田証人 ちよつとはつきり記憶がございません。
  364. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたの御判が押してありますね。
  365. 高田透

    高田証人 そういうことはあつたかもわかりませんが。
  366. 明禮輝三郎

    明禮委員 私が伺うのは、長崎出張所は隠退藏物資の根源地であつたから、それであなたの方で寄附されることには何か関連がありはしませんかと聽いているわけです。
  367. 高田透

    高田証人 そういうことはないと思います。
  368. 明禮輝三郎

    明禮委員 二十二年の三月二十日に二十号議案というものがありまして、これによりますと、弁護費用約二百万円の五分として十万円を、三月の末に五万円、六月の中に五万円、封鎖支拂をされたようでありますが、これはどういう意味でありますか。
  369. 高田透

    高田証人 それは覚えております。その当時の復員局からの御依頼で、軍事裁判の弁護費用の一部を寄附をしてもらいたい。こういう御依頼でございます。
  370. 明禮輝三郎

    明禮委員 軍事裁判の寄附をしたのですね。
  371. 高田透

    高田証人 弁護士の費用であります。
  372. 明禮輝三郎

    明禮委員 読んでみましようか、ここに書いてあるのは東京帝國銀行銀座支店、戰爭犯罪裁判弁護世話人今村了之介口座に拂込ということが書いてありますね。
  373. 高田透

    高田証人 そういう依頼を受けまして一應寄附をしたのでございます。—しかしこれは寄附はいたしませんでした。寄附をしておりません。
  374. 明禮輝三郎

    明禮委員 寄附しない、ここであなたは寄附しましたと言つたり、ここに書いたというのは、拂込可決となつておりますね。
  375. 高田透

    高田証人 可決はしてもお金は納めません。
  376. 明禮輝三郎

    明禮委員 三月の末に五万円、六月の中に五万円、いずれも封鎖支拂として判は押してありますが。
  377. 高田透

    高田証人 そういうことは相談してきめたことはございます。その後復員局の方に行きまして断つたわけです。
  378. 明禮輝三郎

    明禮委員 どういうようにして頼まれたのですか。あなたが頼まれたのは。
  379. 高田透

    高田証人 これは被告が一般から寄附を仰ぐことは構わない。G・H・Qの方で認めた。こういうふうに伺いました。それならばということで相談したわけです。
  380. 明禮輝三郎

    明禮委員 それではひとつ読みましよう。 「旧海軍関係者戰犯裁判弁護費用寄附の事。第二復員局よりの依頼として岡田啓介、野村吉三郎、米内光政、三氏発起による旧海軍関係戰犯容疑者島田繁太郎外一千余名に対する弁護費用の一部寄附方に付呉、佐世保、舞鶴等の轉換工廠其他関係者に依頼あり、当社に対しては左の通り引受け方懇請あり右寄附方承認願いたき事」と書いてあります。そうして先に言つたように「弁護費用約二百万円の五分金十万円也、三月の末五万円、六月中五万円いずれも封鎖支拂、支拂先は東京帝銀銀座支店」こう書いてありますね。
  381. 高田透

    高田証人 その通りでございます。しかし寄附金は実際においていたしませんでした。
  382. 明禮輝三郎

    明禮委員 それではなぜこういうことを決議しておきながら拂わなかつたのか、その理由を伺つておきます。
  383. 高田透

    高田証人 一つは金融関係もございまして、なるべく寄附はしたくないというのが会社の意思だつたのです。しかし寄附金はみな勝手にいたしませんですから、一應相談をしておいて——役員会で相談だけはしておいた。そういう意味で相談はいたしましたが、なるべくならば拂わずに済ましたいというのが会社考えでありました。
  384. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたの会社ではここにまだほかにも出て來ますが、会社としてやるのはまずいから、だれか個人の名前でやるということになつたのではありませんか。
  385. 高田透

    高田証人 そういうことはございません。
  386. 明禮輝三郎

    明禮委員 それからここに軍需轉換工廠や何か書いてあるところをみますと、何か引受ける、それを一應あなたの方は引受けて、これを決議したに違いないのだが、あとで拂つた拂わないは別として、それにはどういう理由でこれを引受けるようになつたのですか。
  387. 高田透

    高田証人 今村さんという当時復員局におられた方です。その方がひとつやつてくれまいか、こういうお願いであつたのです。轉換工廠は復員局に相当御厄介になりました。
  388. 明禮輝三郎

    明禮委員 第二復員局ですね。
  389. 高田透

    高田証人 第二です。
  390. 明禮輝三郎

    明禮委員 今村さんという人はそこに勤めておつた人ですか。管業部ですか。
  391. 高田透

    高田証人 総務部だつたと思います。
  392. 明禮輝三郎

    明禮委員 佐世保の方の。
  393. 高田透

    高田証人 いや本省の。
  394. 明禮輝三郎

    明禮委員 それから二十二年五月の十日にこういう決議があります。  第三十八号議案解撤材処分の件  右は昨年十一月二十三日の役員会に於て先高を見越し賣急がざることに議決せられたる処、その趣旨は之を尊重しつつ今後の經済情勢の変動と資材方面の動向等を考慮し、臨機有利に処分することに致度し。」こう書いてありますが、これはどういう意味ですか。
  395. 高田透

    高田証人 当時だんだんと解体工事費がかさみました。ところが一方スクラップの賣値はなかなか上りません。つまり收支が償わない、それで時機を見てやりたい。こういうのが趣旨でありました。
  396. 明禮輝三郎

    明禮委員 しかし先ほども承つたやり方でいきますならば、收支が償わないといつて、あなたのところが收支が償うようなことをやつてつたものですか。この赤字を読んでみますと、あなたのところの三十二隻がこれに報告書が出ておりますが、とにかく六千万円ほど作業費がかかつて処分したものが三千万円ほど、約二千八百六十三万五千円という赤字じやないですか。それほど御心配なさつているようなところは一向ございませんが………。
  397. 高田透

    高田証人 赤字軽減の心配は絶えずやつております。
  398. 明禮輝三郎

    明禮委員 それはあなたの方の儲けとのにらみ合せかもしれませんけれどもね。ちよつと私どもはここに書いてあることは、いずれあとで問題になつてきますから、その次にひとつ申し上げていきますが、ここに北川嘱託という待遇の問題が書いてありますが、この北川嘱託というのはだれのことですか。
  399. 高田透

    高田証人 これはもとの管業部長北川政です。
  400. 明禮輝三郎

    明禮委員 この人のことでこう書いてあります。読んでみますと「同嘱託は当初より役員待遇なるが四月より企画を担当しおり、工場との接触も多くあるが、工場においての身分に明確を欠く点あり、これが確認のため同氏を役員待遇の常務または工場長級として取扱う氣持をもつて、かく嘱託として給與もある程度増給方社長より申出あり、了解す。」と書いてある。社長がだいぶ心配しておりますね。
  401. 高田透

    高田証人 社長はだれか………。
  402. 明禮輝三郎

    明禮委員 社長は占部五郎。いかがですか。
  403. 高田透

    高田証人 そういうことがございましたが………。
  404. 明禮輝三郎

    明禮委員 役員待遇なるがゆえというのはどういうわけで役員待遇になるか。
  405. 高田透

    高田証人 わけは、この人は技術家でございまして、技術に関するいろいろアドヴァイスを受けました、そういう意味の役員であります。
  406. 明禮輝三郎

    明禮委員 管業部におつた人ですね、管業部長ですか。
  407. 高田透

    高田証人 そうです。
  408. 明禮輝三郎

    明禮委員 引渡し物資を受けたのは、この人からあなたの方は引受けましたね。
  409. 高田透

    高田証人 この人は三月限りで管業部をやめまして、多少残務をやりましたけれども、それで物資の引渡しを受けたのは管業部の中に工務課とか何とかいうのがございますが、その管業部の清算事務をやる方の方です。
  410. 明禮輝三郎

    明禮委員 どつちにしても、この人にはだいぶお世話になつたわけですね。
  411. 高田透

    高田証人 いまのお世話というのを誤解されては困りますが、そういう意味では関係の深い方です。
  412. 明禮輝三郎

    明禮委員 関係の深い方ですね。会社でね。
  413. 高田透

    高田証人 そうです。
  414. 明禮輝三郎

    明禮委員 それから、そのあとに土地建物使用料軽減運動の経過というのが書いてありますが、それはどういうことなんですか。
  415. 高田透

    高田証人 つまり軽減運動というのは大藏省の方で大体査定をなさるのでございます。会社としてはとてもそのまま拂つてつたんでは経理上非常に困るというので、これを減らしてもらいたいというお願いをしたわけであります。
  416. 明禮輝三郎

    明禮委員 それではここで出ましたからお伺いしますが、どのくらいお拂いになつているか。
  417. 高田透

    高田証人 金額はまだはつきり聞いておりません。
  418. 明禮輝三郎

    明禮委員 実はこの間あなたの方の会社の人を喚んだ聽いた。高田取締役に聽いたら全部会計のことは明らかだという話だつたが………。
  419. 高田透

    高田証人 私は総務部長でありまして、べつに経理部長の方が工場の方におります。
  420. 明禮輝三郎

    明禮委員 総務部長だつたらなお知つているはずです。
  421. 高田透

    高田証人 今経理は査定が進んでおりまして、熊本財務局の方できめることになつております。
  422. 明禮輝三郎

    明禮委員 まだ拂つていないのですか。
  423. 高田透

    高田証人 拂つておりません。
  424. 明禮輝三郎

    明禮委員 拂つていないならば、それを聞けばよろしい。それから八月二十五日に、親和銀行から金を借入れられておりますが、これはどういう問題ですか、読まないとわかりませんですか。親和銀行より借入金の件と書いて「昨年十一月二十三日付取締役会議は九十九号にて承認を得たる解体資金一千四百二十万円は現在復興金融金庫より一千三百五十万円借入済みの所、これが解体資金以外に修理船、機器、造修工事費につき千二百万円を要し、一方賣掛回收に努むるもなおこれが工事運轉資金に困窮の場合、今後親和銀行にて一時継ぎ資金として五百万円の限度において借入れ方承認を得たり」こういうものがありますが、大体どのくらい親和銀行から………一千万円くらいずつ借りたんですか。
  425. 高田透

    高田証人 大体一千万円くらい借りております。
  426. 明禮輝三郎

    明禮委員 その保証人はだれでしようか。
  427. 高田透

    高田証人 保証人はおらぬはずでございます。
  428. 明禮輝三郎

    明禮委員 それでは何か担保でもあるのですか。
  429. 高田透

    高田証人 担保もございません。
  430. 明禮輝三郎

    明禮委員 それではどうやつて借りているのですか。
  431. 高田透

    高田証人 つまり先ほど申し上げた通り、経理部長が向うの重役と貸付課長にお願いして、毎月短期で拂つては借り拂つては借り………。
  432. 明禮輝三郎

    明禮委員 一体親和銀行から金を借りられるのに、保証人もなければ担保も取らないで銀行が貸すのはどういう意味であるか。そういうことは銀行でできないはずと思う。しかも大きいのですよ、五百万円、一千万円………。
  433. 高田透

    高田証人 それはあまり担保を取つて銀行は貸しておりませんようです。短期の貸付は。
  434. 明禮輝三郎

    明禮委員 それは早く言えば、北村さんが所長にお就きになつたからではありませんか。
  435. 高田透

    高田証人 そういうことではございません。何度も申し上げるようですが、経理部長が直接お願いしているのです。
  436. 明禮輝三郎

    明禮委員 どうもそれだけの大きな金を保証人もなし、担保も入れないということではちよつととりにくいですが。………     〔委員長退席、梶川委員長代理着席〕  それからちよつと………佐世商事株式会社というのができておりますね。あれは何でございますか。
  437. 高田透

    高田証人 ございます。これは以前の役員の中に中村というのがおります。これがやめて、大阪で新会社をつくつている事業であります。佐世商事………。
  438. 明禮輝三郎

    明禮委員 「佐世商事株式会社との間に別紙契約締結致し度きにつき承認願いたし」、と言つておりますが、「本内容のことは取締役会ですでに話合い済みのもので今あらためて契約書を取交す必要なしと思料せらるるにつき契約書は取交さぬことに三枝常務が打合せ、事実上之が適宜実施を為すこと」と書いてありますが、この会社との間はどういう関係になるのですか。
  439. 高田透

    高田証人 中村というのがやめまして、大阪で事業を始めるについて会社の方からいろいろ製作品が將來出るから、自分の方で賣らしてもらいたい。こういう一種の打合せでございます。
  440. 明禮輝三郎

    明禮委員 第二会社というのですね。
  441. 高田透

    高田証人 第二会社では全然ございません。資本も出ておりません。
  442. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたのところとの契約の内容はどういうことですか。
  443. 高田透

    高田証人 契約はいたしておりません。
  444. 明禮輝三郎

    明禮委員 契約していないというのですか。ではここを読んでみましようか。契約書があります。八二号別紙となつております。
  445. 高田透

    高田証人 それは一應そういう案はつくつたことがございます。
  446. 明禮輝三郎

    明禮委員 これはなかなか意味深長な会社でありまして、一項だけ読んでみますと、「甲ハ其製品(第二次製品ヲ含ム)」と書いてあります。「船舶解体諸材料機械類、物資類等ノ賣却、加工証ニ購入等ハ甲乙両者問ニ協定シタル地区内ニ於テ乙ニ委任スルモノトス」と書いてあります。それから第七というところに、非常に意味の深いものがあります。「乙ハ甲ヨリ買受ケタル物資並ニ製品ハ出來得ル限リノ最善價格ニテ処分シ、之ヨリ生ズル利益ハ両者問ノ協定率ニヨル報酬ヲ甲ヨリ乙ニ支拂ウモノトス」と書いてあります。「乙」というのは向うの会社のことで、「甲」というのはあなたの方の佐世商事をいうのですが、あなたの方から乙に報酬を拂うというのですね。
  447. 高田透

    高田証人 その案は佐世商事側から持つてきた案で、私の方では承認しなかつた
  448. 明禮輝三郎

    明禮委員 承認しなかつたけれども、あなたの方では都合がいいことでしよう。仕事をしてもらつて報酬はあなたの方から拂う、いわゆる第二会社と称しているのですね。あなたの下を勤めている会社でしよう。
  449. 高田透

    高田証人 第二会社ではございません。
  450. 明禮輝三郎

    明禮委員 向うがこの書類を持つてきたということは認めるのですか。
  451. 高田透

    高田証人 その契約書の案を佐世商事側から持つてきたのでありますが、向う側に都合のいい案なんでございまして、それでやめたのでございます。
  452. 明禮輝三郎

    明禮委員 二十二年九月二十二日の八四号議案にはこういうことが書いてあります。  「二十二年九月二十二日、國有財産使用料ニ関スル件は二十一年度工事費六千万円、これに対する当社希望の使用料四%として二百五十万円、昭和二十二年度予定工事費が一億五千万円、これに対する当社希望の使用料は四%六百万円、解体工事は旧艦艇拂下げ見込、收益金はほとんどなく、從つてこれがため、使用料を拂うときは赤字となるものなり、船舶修理その他造修工事の益金からみて、右程度使用料支拂いは、各社固定資産償却費からみてやむを得ざらるものと思うにつき云々」と書いてありますが、これはどういう意味でありますか。
  453. 高田透

    高田証人 その通りでございます。
  454. 明禮輝三郎

    明禮委員 その通りということは、國有財産使用料は二十一年度は二百五十万円くらい、二十二年度には六百万円くらい、こういうことですね。
  455. 高田透

    高田証人 そういう希望を皆で協議したわけであります。
  456. 明禮輝三郎

    明禮委員 では次に、 「第九一号議案 件名復員局造修課從業員採用ノ件 総務紡造修課ハ近々解散ノコトニ決定シ、其從業員ノ就職ニ付、造修課長ヨリ当社ヘ予メ交捗ヲ受ケ居リシガ、同課ハ元復員局管業部トノ繁リモアルノミナラズ。同社トハ色々ナ点ニ於テ今日マデ色々密接ナ交捗アリタル等ノ関係ニテ、出來ルダケ同課ノ希望ヲ入レルコトニシ、労愛会幹部ヨリ希望申入レ等アリ、種々選銓ノ上別紙二十一名ノ特別採用ヲ致シ度ニ付御了承願上度」  と書いてありますが、これはもとの二十一名を採用したということですね。これは交渉の後五万人の職員を引受けたということを盛んに話されました。実際これを見ると採用されたのは二十一名でほかにも大分ありますか。
  457. 高田透

    高田証人 五万人とおつしやいますけれども、そういうことはございません。
  458. 明禮輝三郎

    明禮委員 この間どなたかそういうことを言つた人があります。この間述べられた人の中にあるから私は聽いたのであります。そのためにS・S・Kはこしらえたというのですが……。
  459. 高田透

    高田証人 S・S・Kの創立当時の從業員の大部分は工廠当時からおつた者であります。人数は千五百名内外であります。五万人というのは戰爭中の最盛期の人数であります。
  460. 明禮輝三郎

    明禮委員 その五万人を活かすためにS・S・Kをつくつたのだという人がありましたが……。
  461. 高田透

    高田証人 それは家族を勘定すれば何倍かになります。家族の生活も從業員に関係の深いことでありますから。
  462. 明禮輝三郎

    明禮委員 それから 「九二号議案 件名小型潜水艦スクラップ引揚ニ関スル件 昭和二十一年六月連合軍命ニヨリ当局ヨリ潜水艦解体指令ヲ受ケタルモ、当時会社ハ工事輻輳セルタメ余力ナク、止ムナク山領造船所ニ其引揚ヲ請負ハシメタルモ天候ノ都合ニヨリ海中ニ投入セリ、更ニ工事費トシテ約十五万円ヲ要スルモ、諸種ノ事情ヨリ之ヲ放置スルコト能ハザルニ付適当ナル時期ニ右引揚承認願度」  とありますが、これはどういう意味ですか。
  463. 高田透

    高田証人 それもその通りでございます。
  464. 明禮輝三郎

    明禮委員 スクラップを海の中に捨てたというのはどういうことですか。
  465. 高田透

    高田証人 つまり海が荒れて陸揚げするまでの曳航ができなかつた。そのために一應その場へ捨ててきたのであります。
  466. 明禮輝三郎

    明禮委員 先ほどあなたは船を解体するのにはドックに入れると言われたのですが……。
  467. 高田透

    高田証人 その分だけは沖で解体しました。
  468. 明禮輝三郎

    明禮委員 そうすると必ずしもドックで解体するのではなく、沖で解体することもあるのではないですか。
  469. 高田透

    高田証人 これは沖でするから、特に山領に下請させました。自分の方のドックでやる分は差支えありませんが、人数も手薄だしするから、沖の解体を山領に下請させました。こういう例外的なものもございます。
  470. 明禮輝三郎

    明禮委員 都合の惡いところを人に請負わした、こういうわけですか。
  471. 高田透

    高田証人 必ずしもそうじやございません。
  472. 明禮輝三郎

    明禮委員 二十三年の二月十二日、ここに資本金増加の件というものが一つありまして、こういうことが書いてあります。増加資本の額一千四百万円、株式の割当方法及び募集方法、あるいは拂込時期というふうに書いてありまして、増資の目的というところにはこういうことが書いてある。親和銀行借入金返済と書いてあります。「実際は船艇その他の國有財産拂下並びに船舶の修理資金に充当するものなるも、許可取付には借入充返済名義とするがよろしき故、表面的には親和よりの借入金返済の形式といたしたし、」こう書いてある。これは何ですか。
  473. 高田透

    高田証人 これは拂下資金を借りる。そうしてその借入金を増額した資本金で返済しよう、そういう意味であります。
  474. 明禮輝三郎

    明禮委員 増資の目的は何ですか。
  475. 高田透

    高田証人 借入金返済です。
  476. 明禮輝三郎

    明禮委員 どこの借入金返済ですか。
  477. 高田透

    高田証人 親和銀行。
  478. 明禮輝三郎

    明禮委員 これに書いてあるのは………。
  479. 高田透

    高田証人 つまり拂下げの船がありまして、どうしてもその資金を捻出せなければならぬ。それを親和から一應借入れて、その支拂に充てるために増資をする。
  480. 明禮輝三郎

    明禮委員 増資の目的はどうか、実際は船艇その他の國有財産拂下げ並びに船舶修理資金に充当するものなるもと書いてある。
  481. 高田透

    高田証人 借入金の実体がこうなんです。
  482. 明禮輝三郎

    明禮委員 これは増資の目的でしよう。
  483. 高田透

    高田証人 増資の目的國有財産拂下という形式上の目的であります。借入れのためには、何のために借入れをするか、営業資金のために借入れをする。     〔梶川委員長代理退席、武藤委員長着席〕
  484. 明禮輝三郎

    明禮委員 だが許可を取りつけるには借入金返済としなければ名目が立たぬから、裏面的には親和より借入返済の形式をとりたい。こう書いてあります。
  485. 高田透

    高田証人 その通りであります。
  486. 明禮輝三郎

    明禮委員 そうすると、金を借りるのだね。営業資金が実際には要るのだけれども、その親和銀行の借入金を拂うのだという名目でやつた。こういうことでありますか。
  487. 高田透

    高田証人 そういうことであります。
  488. 明禮輝三郎

    明禮委員 今の理事の点はこれで済んだのですが、そこで北村氏のところは、北村さんが出られた日を言われておりましたが、創立総会に二十一年の九月二十日に出ておられますね。
  489. 高田透

    高田証人 出られていると記憶しております。
  490. 明禮輝三郎

    明禮委員 二十一年十月十八日も出ておられますね。
  491. 高田透

    高田証人 それはよく記憶しておりません。
  492. 明禮輝三郎

    明禮委員 ここに会議録があるのですから、お目にかけましようか。
  493. 高田透

    高田証人 出られたかもわかりませんが、はつきり記憶しておりません。
  494. 明禮輝三郎

    明禮委員 それから二十二年一月十八日も出ておられますね。
  495. 高田透

    高田証人 昨年の一月ですか、それはあつたかもしれません。
  496. 明禮輝三郎

    明禮委員 二十二年の四月十九日、それから二十二年五月十日、これもあなたが出ておられるのだから、わかるでしよう。
  497. 高田透

    高田証人 二十二年四月、五月はそれは佐世保であつたんじやありませんか、私はその方へ出ていないつもりでございますが。
  498. 明禮輝三郎

    明禮委員 四月にはあなたは出ておらないが、五月には出ておられるでしよう。四月の十五日は佐世保の佐船会館でやつた。これは四月の十九日にやつて、北村さんも出ておる。五月の十日にはあなたは出ておられるのですね。どうですか。
  499. 高田透

    高田証人 五月の十日ですか。
  500. 明禮輝三郎

    明禮委員 三井本館だ。高田透と書いてある。
  501. 高田透

    高田証人 それならば出ております。
  502. 明禮輝三郎

    明禮委員 二十二年七月二十八日はどうですか。これも社長になつたときだからはつきりわかると思う。
  503. 高田透

    高田証人 開催はどこでやつておりますか。
  504. 明禮輝三郎

    明禮委員 それはあなたが出ておる。社長になつたときだから東京でしよう。
  505. 高田透

    高田証人 東京でやつた場合にはたいがい出ております。
  506. 明禮輝三郎

    明禮委員 北村さんも出ておりましよう。そのときに社長になつたのだから………。
  507. 高田透

    高田証人 それは出ております。
  508. 明禮輝三郎

    明禮委員 それから九月二十二日もあなたは出ておりますか。
  509. 高田透

    高田証人 出ております。
  510. 明禮輝三郎

    明禮委員 二十二年十月二十七日も出ておりますね。
  511. 高田透

    高田証人 その辺ははつきり覚えません。
  512. 明禮輝三郎

    明禮委員 とにかく、この帳簿によりますと、あなたの方の会議録によりますと、八回出て五回欠席した。二回は不明です。出たか出ないかわからぬ。送つて來ないからわからぬ。とにかくこういう実情であつたのであります。そこで北村さんは來たときにはみんな議長になつておることになつておりますが、議長の席に着いておりますか。
  513. 高田透

    高田証人 つまり時間通りに來ておるときは議長になつておる。
  514. 明禮輝三郎

    明禮委員 遅れて來たときにはほかの人が一應仮議長になつてつて、あとから着く。こういうことですか。
  515. 高田透

    高田証人 そうです。
  516. 明禮輝三郎

    明禮委員 そこで艦艇のことは大分聽きましたから、艦艇は省畧しておきますが、その隠退藏物資の問題は先ほど他の委員からも質問がありましたので、あなたはよくおわかりにならぬというようなお話をさつき承りましたが………。
  517. 高田透

    高田証人 私は実情をよく存じません。
  518. 明禮輝三郎

    明禮委員 そこで、この問題は、二十二年の七月十五日に非鉄金属在庫数量調を出さなければならないように九州軍政本部から請求があつて、それが二十二年九月二十二日に届けられておるという事実は、先ほどお聽きになつた通りでありますね。
  519. 高田透

    高田証人 それは聞いております。
  520. 明禮輝三郎

    明禮委員 この数量は、あなたはわからぬということでありますから、これを追究してもしようがありませんが、この物資の届出については東京で議題になりませんでしたか。
  521. 高田透

    高田証人 先ほど御返事しましたが、東京ではそれは全然聞いておりません。
  522. 明禮輝三郎

    明禮委員 しかしこれの協議が相当にあつたということはお聞きになつておりますね。
  523. 高田透

    高田証人 いや、今年の二月でしたか三月でしたか、檢察当局の摘発があつた、その以後に初めて聞いたのです。それ以前にはその届出の関係も東京では何も聞いておりません。
  524. 明禮輝三郎

    明禮委員 摘発のあつたあとで聞いたのですか。
  525. 高田透

    高田証人 そうです。
  526. 明禮輝三郎

    明禮委員 これについては東京の方面のほかの重役もみんな知らぬのですか。
  527. 高田透

    高田証人 東京には專務がおりますが、專務も知らなかつたのです。
  528. 明禮輝三郎

    明禮委員 ところがこの品物は、多分明日檢察廳方面から來られたらよくわかると思いますが、あなたの方の帳簿で、あつちの倉庫へ持つていき、こつちの倉庫へ持つていき、さんざん隠しあぐんで、とうとうつかまつたものであるということはどうですか。御存じありませんか。
  529. 高田透

    高田証人 そういうふうには聞いておりません。
  530. 明禮輝三郎

    明禮委員 それから、これは今年の五月ころ佐世保に行きました時分に拜見したのですが、たくさんまだ、井戸の中とか、防空壕からどんどん出ておるのですが、その点はいかがでありますか。
  531. 高田透

    高田証人 その後自発的に探して出たものがあるということは聞いております。
  532. 明禮輝三郎

    明禮委員 自発的にというと、どういうことですか。
  533. 高田透

    高田証人 何か摘発があつたものですから、工場長以下、どこかに探してありはせぬかということで、みんなを激励しまして、あつちこつち隈なく探した、その結果いくらかまた出た、それを届けた。こういうことは聞いております。
  534. 明禮輝三郎

    明禮委員 それが、隈なく探したと言われればまことに体裁いいけれども、実際は井戸の飲水のある底から出てくる鉛のバラストですから。それから、防空壕といつても、防空壕の下の方にありまして、その上へはいろいろなものを積上げた上に石炭殼なんかを載せまして、全然何もわからぬようになつておる所から出てきたわけです。ですから、あなたの言われるような、普通の防空壕がここにあつて、その防空壕でわからなかつたというような意味ではなく、わざわざ隠してあつた実情がよくわかつておるようですが、この点はどうでしようか。
  535. 高田透

    高田証人 私はわざわざ隠したとは聞いておりませんが。
  536. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたは佐世保の方ですか。御郷里はどちらですか。
  537. 高田透

    高田証人 私は郷里は廣島縣でございますが、ただいま本籍は東京に移しております。東京はもう十数年住つております。佐世保は今度の会社ができてからであります。
  538. 明禮輝三郎

    明禮委員 発起人ではないが、創立当時から関係しておられますね。
  539. 高田透

    高田証人 さようです。
  540. 明禮輝三郎

    明禮委員 この艦艇の解体によりまして、先ほど申しました赤字が二千八百六十三万五千円出ておるのですが、これはあなたの方では結局どういうふうにされるおつもりでしようか。國家に請求することになるのですか。
  541. 高田透

    高田証人 これは助成でもしていただかなければ解決しないのじやないかと思つております。むろんできるだけ赤字を軽減するという意味で、ただいまの公定價を引上げていただく、そういうこともお願いしております。
  542. 明禮輝三郎

    明禮委員 こうやつてみますと、この中に賣却價格というものがあるものは三十二艦のうちで四つ五つで、あとは何もありませんが、これは皆スクラップはとつてあるという意味でしようか。賣つたものがなかつたという意味でしようか。
  543. 高田透

    高田証人 大体スクラップと機械とございます。スクラップは、大体現場は御承知の通りこのスクラッはどの船から上つたということがだんだんわからなくなります。それを区別するのにはなかなか困難でありまして、重量物でありますから、大体見当でこのスクラップはこの船のものだというふうにしてやつております。大体古い方からスクラップを賣却したというふうに帳面上はなつております。
  544. 明禮輝三郎

    明禮委員 そうしますと、今では、隼鷹にはどれだけのスクラップがあつたということはわかりますか。各艦艇ごとに。
  545. 高田透

    高田証人 わかります。
  546. 明禮輝三郎

    明禮委員 それで、このお賣りになつたのはここに名簿に出ておるようですが、大分名簿では足りません。あなたの方へ請求したところが、それはみな出ておるという話ですが、出ておりません。足りません。艦艇解撤をなさつたスクラップを方々へ賣つてありますね。
  547. 高田透

    高田証人 賣先でございますか。
  548. 明禮輝三郎

    明禮委員 賣先なんかの報告書はここにあるのですけれども、この報告書では、艦艇三十二艦か三十三艦にはならぬです。ですからこれをあとで出していただきたい。
  549. 高田透

    高田証人 賣れ残りが相当ございます。
  550. 明禮輝三郎

    明禮委員 それから、会計のことですが、あなたの方の会計は特別会計ということになつておるようですが、どんなことをしておるのでありますか。特別会計になつていないのですか。
  551. 高田透

    高田証人 特別会計にやつております。
  552. 明禮輝三郎

    明禮委員 これによつてつた金は………。
  553. 高田透

    高田証人 それだけで口座を別にして收支を明かにしております。
  554. 明禮輝三郎

    明禮委員 口座と申しましても、銀行の口座が別になつておりますか。
  555. 高田透

    高田証人 銀行の口座は画然と別にしておりません。帳簿面だけの收支の計算をはつきりしております。
  556. 明禮輝三郎

    明禮委員 まだいろいろとあるのですが、これは明日あとの証人もおりますから、これでやめます。
  557. 徳田球一

    徳田委員 証人にお尋ねしますが、あなたの会社の取引銀行はどこでありますか。
  558. 高田透

    高田証人 東京では帝國銀行、興業銀行、安田銀行の三店であります。帝國銀行は東京支店。佐世保では親和銀行。
  559. 徳田球一

    徳田委員 大体一箇月どれくらいの取引をやつていますか。
  560. 高田透

    高田証人 銀行の金高の出入りは大部分は工場でやつております。東京の本社の方は主として本社の從業員の人件費で、大したものはございません。
  561. 徳田球一

    徳田委員 いや、佐世保の取引高がどれくらいかということです。
  562. 高田透

    高田証人 毎月どれくらいかちよつと記憶いたしません。月によつて違います。
  563. 徳田球一

    徳田委員 大体あなたのお話では一千万円くらい月に借りておるということでありますが、それはそうすると貸越になつておるわけですか。
  564. 高田透

    高田証人 手形借人です。
  565. 徳田球一

    徳田委員 すると、手形の借入で、無担保で。
  566. 高田透

    高田証人 さようです。
  567. 徳田球一

    徳田委員 そうして、ほかの取引とは別にやつておるわけですね。
  568. 高田透

    高田証人 そうです。
  569. 徳田球一

    徳田委員 そうすると取引はそのほかにまだ相当あるわけですね。
  570. 高田透

    高田証人 当座の現金、それから賣掛金がはいつた場合、こういうものは預金いたします。それから毎月の給與支拂の場合には引出しをいたします。そういう取引がある程度あるはずです。
  571. 徳田球一

    徳田委員 この艦艇解撤しますと、上物というものが大分あるはずですが、その上物は一体どういうふうな取扱いをしておりますか。
  572. 高田透

    高田証人 上物と申しますのは、それがすぐに他のものに使えるAクラスのものです。これがとれるのは、せいぜい解体重量の一割以内です。これは需要家に販賣しております。その次のものは伸鉄用でございます。伸鉄用はパーセンテージで三割ないし三割五分程度であります。
  573. 徳田球一

    徳田委員 そうすると、あとの六〇%はスクラップですね。
  574. 高田透

    高田証人 全体がスクラップでありますが、スクラップをA・B・Cと三クラスにわけて、Cクラスが一番多いのであります。
  575. 徳田球一

    徳田委員 ほんとうの意味スクラップというのは、そのCクラスのものですか。伸鉄用は大体大阪などでも、船を解体しますし、どんどん伸鉄して、伸鉄会社みたいなものがありますね。
  576. 高田透

    高田証人 ございます。
  577. 徳田球一

    徳田委員 それは純粹な意味スクラップではないでしよう。
  578. 高田透

    高田証人 製鋼原料になるのが普通の意味スクラップであります。熔解用のCクラスがいわゆるスクラップです。
  579. 徳田球一

    徳田委員 屑鉄に入れて一緒に計算する。それが総数六〇%ですね。
  580. 高田透

    高田証人 そんなものです。
  581. 徳田球一

    徳田委員 その上物の一〇%、六〇%はそれぞれ処分しているはずですが、それぞれマル公があるのですか。
  582. 高田透

    高田証人 ございます。
  583. 徳田球一

    徳田委員 そうすると、上物の一〇%にはそれぞれいろいろの電氣機械もありましようし、あるいは計器もありましようし、いろいろありますが、そういうものも全部これはマル公があるのですか。
  584. 高田透

    高田証人 機械類はマル公はありません。
  585. 徳田球一

    徳田委員 そういうものは一体何によつて拂下げるわけですか。
  586. 高田透

    高田証人 これは工事費の中に含むのです。政府からの拂下げでございます。
  587. 徳田球一

    徳田委員 それを賣らなければなりませんが。
  588. 高田透

    高田証人 賣ります。
  589. 徳田球一

    徳田委員 賣るのは公定價格がなければ自由價格で賣るのですか。
  590. 高田透

    高田証人 はい。自由價格です。
  591. 徳田球一

    徳田委員 そうすると、そういうものに対して、あらかじめ拂下の契約があつて、そしてその拂下げにどれだけの値段で、どう賣れるということが指定されないと賣れないはずですが、それはどういうわけで賣れるのですか。
  592. 高田透

    高田証人 値段の指定がございますのは、今のA・B・C三クラスのスクラップです。それ以外に出てきました発電機のようなもの、モーター、トランス・フォーマーが大体おもでありますが、これは大体市場相場がございまして、その相場を見ながら賣るのであります。
  593. 徳田球一

    徳田委員 やみ相場ですか。
  594. 高田透

    高田証人 マル公ではありませんが、マル公よりはいくらか高いと思います。つまり業界で取引いたします通り相場というものが大体あります。
  595. 徳田球一

    徳田委員 大体こういうことを聽いたのは、あなたの方で最初に解体命令を受けましたときに、拂下に対する契約はないのですね。
  596. 高田透

    高田証人 拂下願は出してあります。
  597. 徳田球一

    徳田委員 許可はないのですね。
  598. 高田透

    高田証人 許可の書類はありません。
  599. 徳田球一

    徳田委員 從つて契約もないわけですね。
  600. 高田透

    高田証人 契約というものはありません。
  601. 徳田球一

    徳田委員 そうすると、拂下許可は、申請はしてあるけれども、許可がない限り、契約がない限り、この解体したものはすべて國有財産法律上認定さるべきものだと思いますが、そういう点はどうお考えになりますか。
  602. 高田透

    高田証人 申請をして、解体命令を受けております。手続上は解体許可申請をいたして、許可を得て解体をしております。先ほども申し上げましたが、大藏省で解体工事経理要綱というものがありまして、これによつて賣却を認められております。
  603. 徳田球一

    徳田委員 しかし経理要綱というのは法律的な効果は実際上ないはずでありますが、これは行政上の一つの心得であつて法律上の國有財産の処分の効果を発生しないと思いますが、どうですか。
  604. 高田透

    高田証人 私どもはそれで拂下を受けたというつもりでやつております。
  605. 徳田球一

    徳田委員 氣持ですね。むろんこれはあなたをどうするというわけではない。大藏省の取扱いが不当だと認めるから、それを追究するので、実情を聽いておかないといけないと思いますから、聽いておくわけであります。あまり氣にしないでください。ところであなたの方では千八百万円の解体費を要して、賣上金は大体三百万円程度だと申しますと、大体六分の一程度になりますが、実際そういうふうにひどいものですか。
  606. 高田透

    高田証人 これはスクラップが最近需要が増しまして、今の千八百万円とおつしやるのは、昨年ごろのお話だと思います。その当時は需要がそうございませんでした。賣上の見込が少うございました。
  607. 徳田球一

    徳田委員 ほんとうに六分の一しか去年はなかつたのですか。
  608. 高田透

    高田証人 毎月昨年あたりは百万円から百五十万円、月あてその程度でございます。
  609. 徳田球一

    徳田委員 賣上げですか。
  610. 高田透

    高田証人 そうです。
  611. 徳田球一

    徳田委員 そうすると、実際に解体するのに千八百万円もかかつて、その六分の一しかないというわけですね。そうすると莫大な負債を被つておるわけですが、こういう状態でよく二、三年の間営業を続けられたと思いますが、どういうわけでこんな負債を負いながら営業が続けられたのですか。
  612. 高田透

    高田証人 負債があるから事業が続けられたのであります。
  613. 徳田球一

    徳田委員 そうすると、千八百万円が三百万円しかないという、そうするとこれは千五百万円負債になる。その千五百万の負債はどこから注ぎこんで営業が続けられたか。借金があるから潰されないために続けられるという理窟はありますね。銀行が握つておれば………。しかしあなた方はどうして毎期ごとの千五百万円の負債をどこからこれを補つて、そうしてこれを継続していくことができたかというのです。
  614. 高田透

    高田証人 それは今後の問題にかかると思います。この解体の賣上げになりますまでには大割、小割と、だんだんに時間をかけて、小さいブロックに割ります。それで初めて市場化しまして賣れる品物になる。大割の方は十トン、二十トンになりますので、これは賣れない。そういうものが溜つておる間は賣上はないわけであります。これを全部カーバイトで切りまして、切つたものが賣上にはいつてきます。これからは徐々に賣上が殖えてくる。
  615. 徳田球一

    徳田委員 そうすると賣上は殖えるかもしれませんが、これまで毎期々々千五百万円の借金をするようでは、この借金をどこかで埋めなければなりますまい。これをどこから借りて、どこで埋めたというのですか。
  616. 高田透

    高田証人 その借金は復興金融金庫から………。
  617. 徳田球一

    徳田委員 復金はそういう損失があるというのに、赤字補填ということをやつておるわけですね。
  618. 高田透

    高田証人 赤字補填ではございません。復金には一年後には解体が進んで、だんだん賣上げてくる、その收入をもつて返済します。こういうことで借りております。
  619. 徳田球一

    徳田委員 それだつたら赤字補填じやないですか。
  620. 高田透

    高田証人 赤字というのは一時の收入と、不足を補填する意味の借入れとか………。
  621. 徳田球一

    徳田委員 しかしそれは復金のあれにはあてはまらんようですね。復金の規則はわれわれの調べた範囲においては、大体建設費だけ貸すものであつて、石炭その他の特別融資の命令のあるものに関してのみ赤字の補填をいたすことになつておるが、これは特に政府の赤字補填してもよろしいという、許可書があるのですか。
  622. 高田透

    高田証人 赤字補填でしたら貸してくれません。つまり毎月々々の收入が三百万円しかない。しかるに工事費の方は千何百万円かかりますから、どうしてもこれを補つていくには借金をしていかねばならぬ、解体事業は米軍の命令により、どうしてもやらねばならぬ。だから一時的に收支をうめるために一年契約で借金をする。
  623. 徳田球一

    徳田委員 それはどうも腑におちないが、そういう状態だと現在でも非常に大きな赤字ができまして、会社復金から補填しなければならぬはめに陷つておると思うが、大体そうですか。
  624. 高田透

    高田証人 ただいまのマル公が上りませんでしたなら、最後に赤字になると思います。
  625. 徳田球一

    徳田委員 営業報告があなたの方から出ておるが、これは第一回の営業報告、第二回の営業報告となつておりますが、この報告によると利益が出ておりますね。
  626. 高田透

    高田証人 出ております。
  627. 徳田球一

    徳田委員 これはどういうわけです。第一回のときには六十三万七千五百三十二円三十二銭、第二回のときには八十八万五千五百四十八円九十五銭、いずれも当期利益金が出ておるが、そういうものが出るはずはないと思う。一体どういうわけですか。
  628. 高田透

    高田証人 解体の工事費、賣上費、これは別途会計でございまして、その決算へはいつておりません。全然別のものです。
  629. 徳田球一

    徳田委員 この営業はどういう営業ですか。
  630. 高田透

    高田証人 船舶の修理、機械類の製作、米軍の船舶の修理もございます。つまり解体以外の事業でございます。決算にはいつてくるのはそれだけです。
  631. 徳田球一

    徳田委員 こつちの方は政府の請負仕事というわけになつておるのですか。
  632. 高田透

    高田証人 まだ未決算のまま残してあります。
  633. 徳田球一

    徳田委員 そうすると、これは政府とそういう契約があるのですか。
  634. 高田透

    高田証人 特別会計で、收支は明らかにするという規定があるわけです。
  635. 徳田球一

    徳田委員 そうすると、何らここに契約はないのですね。行政規定があるだけで、契約は全然ないですね。
  636. 高田透

    高田証人 私どものやつておりますのは、大藏省が認めた解撤工事、経理要項によつて原價計算をやり、收支を記帳いたしまして、いつでも監査に應ぜられるというふうにやつております。まだ決算利益を生むというところまできておりません。
  637. 徳田球一

    徳田委員 そういう特別会計の全欠損は現在までのところいくらですか。
  638. 高田透

    高田証人 大体二千八百万円、三千万円近いです。
  639. 徳田球一

    徳田委員 この状態でありますれば、政府がこの事業に関して特別監査をしなければならないことと考えておりますが、そういう監査は毎期々々ずつ政府が立合つてつておりますか。
  640. 高田透

    高田証人 運輸省からも大藏省からも工場へ行つて監査しております。
  641. 徳田球一

    徳田委員 監査すればこの價格並びに事業の費用、その他損欠に対して特別の指示が與えられるはずでありますが、そういうことをやつておりますか。
  642. 高田透

    高田証人 まだ解撤事業は途中でありますから、最終的のそういう指示はありません。
  643. 徳田球一

    徳田委員 それは違うでしよう。解撤事業はずつと続いてはおるけれども、この工事費の実情は、その時その時で勘定しませんと、インフレでだんだん費用が上つて状態が変つていくのだから、それらを毎期々々ずつ工場費を決定し、價格決定し、その損欠に対してどうするかを決定しませんと決定のしようがないじやないですか、一番終りでは………。
  644. 高田透

    高田証人 会社としてはその時期々々の帳面を記帳しております。
  645. 徳田球一

    徳田委員 それを言うのではない。その記帳しておるものに対して政府が監査をして、その監査によつてこれが適当であるかどうかを調べたかということです。
  646. 高田透

    高田証人 それはあると思います。私はその経理の方を担当しておりません。
  647. 徳田球一

    徳田委員 しかしそれがあれば拂下價格をちやんと決定できるわけですね。
  648. 高田透

    高田証人 拂下價格決定は別に評價委員会がございまして、この評價委員会会が案を立てて、最後に大藏省決定をする。
  649. 徳田球一

    徳田委員 決定しましたか。
  650. 高田透

    高田証人 まだしておりません。
  651. 徳田球一

    徳田委員 それではまつたくものになつていない。そこでこの解体事業に対する職員及び労働者と自己営業に属する職員、労働者は全部区別しておりますね。
  652. 高田透

    高田証人 区別しております。
  653. 徳田球一

    徳田委員 その状態はどうですか。両方ともどのくらいありますか。
  654. 高田透

    高田証人 解体事業の方は出入がございますが、大体三百人程度でございます。月によりまして、つまり材料がなくて仕事ができぬときには遊びになりますから、そういう場合にはほかの事業の方へまわすことはございます。
  655. 徳田球一

    徳田委員 大体三百人として、ほかの事業の方は大体二千七百人ということになりますか。
  656. 高田透

    高田証人 そうです。
  657. 徳田球一

    徳田委員 ほかの事業の方がはるかに大きいですが、このほかの事業をやつていくものと、解体事業をやつていくものとに、それぞれ政府との契約があつて、設備の使用料、その他に対しておのおの別々の契約があると思われますが、それはありますか。
  658. 高田透

    高田証人 使用料は設備を單位として計算なされておると思います。事業内容によつてはわけてございません。
  659. 徳田球一

    徳田委員 そうすると、これは性質が違うじやありませんか、解体の方は政府の請負で損する。自己の事業では相当にもうけておる。それとは別箇にしないと、使用料の支拂に対しても性質が異なつておるのだから、契約が決定ができないじやないですか、あなた方は解体でうんと損しておるからという理由で、この設備費の使用料を安くとしようとする運動をしたのでは矛盾するのじやないですか。
  660. 高田透

    高田証人 それは矛盾いたしません。使用料に限らず、ほかの経費も、電力費、皆原價計算によつて割振りいたします。一定の率をつくつて、解体事業にいくら、造船事業にいくらと割振りいたしまして、公平にわけております。
  661. 徳田球一

    徳田委員 別々にわけて契約して、こつちの方は損をしているから出さなくともいい、あるいはまけてやつてもいいが、しかし一方あなたの方の自己の事業というものは相当もうかつている。もうかつているものに対しては使用料はきちんきちんと政府に拂うべき性質のものだが、これをわけないということになつて、一方損したものばかり主張して、これは損しているからまけてもらいたい、まけてもらいたいという運動をするのはおかしいじやないですか。
  662. 高田透

    高田証人 いや、そういうことは言うておりません。ですから当然使用した設備の償却率を標準にしまして、四%なら四%という程度で、全体でお願いをしておるので、それをできるだけ有効に会社としては土地建物を使つているわけです。しかし解体に要する設備の使用料はいくら、そういう区別はできておりません。
  663. 徳田球一

    徳田委員 しからばもう一つ聽いておきますが、資材拂下の関しましては、先ほどのお話では内務省と熊本の逓信局と、それから第一復員局管業部とから拂下げられたと言われますが、この拂下に対する書類は全部保管されておるはずですが……。
  664. 高田透

    高田証人 それは工場の方にあると思います。
  665. 徳田球一

    徳田委員 提出できますね。
  666. 高田透

    高田証人 明日資材課長が出ますから、その方へお聽き願いたい。
  667. 徳田球一

    徳田委員 そうするとここで隠退藏物質というもので出てきておりますが、隠退藏物質はあなた方とは関係なしに、S・S・Kのただ敷地の中にほかの人が隠したということになりますか。
  668. 高田透

    高田証人 そういうものもあると思います。つまり終戰当時のどさくさで隠したものが、その会社の設立前にそういうものが出てきたのじやないかと思います。
  669. 徳田球一

    徳田委員 そうするとそれをほかの人が隠したのでS・S・Kでは責任がないというのですね。
  670. 高田透

    高田証人 全部そうだとは申しません。その辺はよく私は存じません。
  671. 徳田球一

    徳田委員 それではあした聽きましよう。  最後にもう一つ聽きたいのは、佐世保商事という会社とは今取引をしておりますか。
  672. 高田透

    高田証人 ほとんどやつておりません。
  673. 徳田球一

    徳田委員 やつたことはありますか。
  674. 高田透

    高田証人 やつたことは一回くらい、何か会社の賣れ残りのくずみたいなもの、機械みたいなものを一回賣つたことがあります。
  675. 徳田球一

    徳田委員 そうすると、最後に二回ほど会議録を出しておりませんが、これはそしてなぜ提出しないのです。
  676. 高田透

    高田証人 提出しておりませんか。
  677. 徳田球一

    徳田委員 してない。昭和二十二年の六月と二十一年十二月の会議録が出ておりません。
  678. 高田透

    高田証人 それはお届けしたはずだと思いますが届いておりませんか。それではきようあすにもお届けいたします。
  679. 徳田球一

    徳田委員 至急出してください。  そうすると、今までの様子を見てみますと、親和銀行とは重大な関係があつて、北村さんは発起人時代から何とかかんとか言い抜けはするけれども、実際上の会社事務をとり、会社の事業にも容喙し、かつ会社の重大な借金に対して、それぞれ保証を與えている。また親和銀行からはいろいろの取引上の便宜を與えておる。一千万円ずつ毎月與えている。のみならず各種の借金をするためにも、増資をするためにも、それぞれ便宜を與えておる。われわれとしては納得できない。内部のからくりをするためにも、十分なる援助を與えているということに、認められますが、それでも北村氏はこの会社に名誉以上の関係がないということを、あなたは実質上に断言できますか。
  680. 高田透

    高田証人 親和銀行の貸付金は牧副頭取にもつぱらお願いし、ほかにも常務の方がおられますのでその方にもお願いしております。北村さんはタッチしておりません。
  681. 徳田球一

    徳田委員 しかし北村氏は親和銀行の頭取であり、責任ある代表者である。そこからこの会社におきましても、最初は平取締役であるけれども後には代表取締役である。代表ということは実質上のもので、これが名誉職とは断じて推定できない。そればかりでなく、一体借金に保証を與える、判を押すなど、それから会議に出て終始座長を勤め議長を勤めているということ、これをあなたの方では実質的には名誉社長だと言われるのですか。
  682. 高田透

    高田証人 私どもの会社では役員会に、最初から算えてもう二年半か三年になりますが、六回、八回出たくらいじや相談相手になれません。実質的に事業に携つておられると、私どもはそういう観念はもつておりません。
  683. 徳田球一

    徳田委員 代表取締役というのは法律上の責任をもつのですよ。
  684. 高田透

    高田証人 法律的には解釈がどうつくか知りません。
  685. 徳田球一

    徳田委員 商法の規定により代表取締役社長なるものは、会社実質上の責任を負うべき性質のものであるにかかわらず、なおかつこれが何ら責任を負わない。いやしくも名誉社長というのは何ら責任を負わないものと断定できますか。報酬ももらつておる。すべて報酬というものは働く者に対して報酬を與えるのでありまして、賞與ではありません。
  686. 高田透

    高田証人 工場には工場の代表者がおりまして、工場でやつたことはその代表者が責任を負うのです。
  687. 徳田球一

    徳田委員 そうすると、会社の代表取締役というのは何をやるのですか。
  688. 高田透

    高田証人 会社の代表取締役が会社の責任をもつのは法律上当然でございます。
  689. 徳田球一

    徳田委員 工場の内部の問題はどうです。
  690. 高田透

    高田証人 その辺はどうか御想像にま任せします。
  691. 田中健吉

    田中(健)委員 二点ばかりお尋ねしたい。先ほど証人特別会計でやつておると言われたが、それは間違いないですか。
  692. 高田透

    高田証人 間違いございません。
  693. 田中健吉

    田中(健)委員 そうすると特別会計でやつておる限りにおいては銀行の帳簿、当座、出納のようなものは全部わけられておらなければならぬと思いますが、それはどうなつておりますか。
  694. 高田透

    高田証人 それはわけられておりません。
  695. 田中健吉

    田中(健)委員 それでは特別会計ではないじやないですか。特別会計というのは全部わけられておらなければならぬ。
  696. 高田透

    高田証人 帳簿の記帳をわけておるわけです。
  697. 田中健吉

    田中(健)委員 帳簿の記帳だけでは特別会計にならない。全部がわけられていなければ……。
  698. 高田透

    高田証人 それはわけろということを命ぜられておりません。
  699. 田中健吉

    田中(健)委員 それから復金の融資でございますが、現金融資を受けた金を、先ほど徳田委員質問に対して赤字に埋めておるというような証言があつたのですが、それはその通りですか。
  700. 高田透

    高田証人 いや、それは私が申し上げたのではありません。
  701. 田中健吉

    田中(健)委員 あなたがそうおつしやつた
  702. 高田透

    高田証人 復金は赤字補償として貸しておりません。赤字と言うと語弊がありますが、毎月の收支が合いませんから、收入の不足金を借入金で埋めておるという意味であります。
  703. 田中健吉

    田中(健)委員 それが復金の融資の金を使われておるというのではありませんか。
  704. 高田透

    高田証人 決算面の赤字というものではありません。
  705. 田中健吉

    田中(健)委員 毎月の資産表に現われる場合は赤字でしよう。
  706. 高田透

    高田証人 資産表には現わしておりません。
  707. 田中健吉

    田中(健)委員 あなたも復金から金を借りる場合に証人になつておるのですか。
  708. 高田透

    高田証人 私も全部ではありませんが、大部分はいつております。
  709. 田中健吉

    田中(健)委員 あなたが金を借りる場合にはどういう理由で金をお借りになつたのですか。
  710. 高田透

    高田証人 解体資金として毎四半期に予算をとりまして、どのくらい不足金が出るという予算をとりまして、運輸買でその方の借入金のわくと申しますか、毎四半期ごとの予算を組んでもらいまして、それを基礎にして復金の方へ申しこんで借入れをやつてつたのです。
  711. 田中健吉

    田中(健)委員 それでは復金の融資の理由を読みます。「当社は旧海軍佐世保軍港所在艦艇約十三万トン解体のための所要運轉資金である。償還長期を要し先行き懸念あるゆえ本金庫融資に決定したものである。」こういう報告が当委員会内の復金融資調査の小委員にきておるのですが、この復金融資の理由をおなたはお認めになりますか。
  712. 高田透

    高田証人 私の申し上げたのもその通りでございます。
  713. 田中健吉

    田中(健)委員 それであれば解体に使うベき運轉資金であつて、ほかの方には使わないはずである。
  714. 高田透

    高田証人 解体に使つておるのです。
  715. 田中健吉

    田中(健)委員 解体に使つておるのではなく、赤字にいくらか使つておるということじやないですか。復金から借りておるのは解体資金を借りておるので、解体そのものに使うべきものであつて会社全体の赤字には向けられないじやないか
  716. 高田透

    高田証人 会社全体の赤字には復金から貸してくれない。
  717. 田中健吉

    田中(健)委員 それからおなたの会社関係する事件が起きた前後に、復興金融金庫の監査部から監査を受けたことがありますか。
  718. 高田透

    高田証人 毎月解体事業の收支実績を報告いたしております。
  719. 田中健吉

    田中(健)委員 いや、報告しておることは報告しておるだろうと思うが、あなたの方へ監査部から出張して監査したことがありますか。
  720. 高田透

    高田証人 まだありません。
  721. 田中健吉

    田中(健)委員 それから償還計画はどういうふうにしておりますか。
  722. 高田透

    高田証人 大体一年後に償還ということ……。
  723. 田中健吉

    田中(健)委員 それで現在はどういうことになつておりますか。
  724. 高田透

    高田証人 現在償還したものはわずかです。
  725. 田中健吉

    田中(健)委員 どのくらいですか、
  726. 高田透

    高田証人 二百万円内外です。
  727. 田中健吉

    田中(健)委員 いつごろですか。
  728. 高田透

    高田証人 昨年です。
  729. 田中健吉

    田中(健)委員 それから復金の融資にあたつてどなたが御交渉なさつたのですか。
  730. 高田透

    高田証人 大体私がわとんどやつております。
  731. 田中健吉

    田中(健)委員 あなただけが行つたのですか。
  732. 高田透

    高田証人 いや、東京本社の経理をやつております者が一緒に行きました。
  733. 田中健吉

    田中(健)委員 代表取締役の北村さんは顔を出したことがありますか。
  734. 高田透

    高田証人 北村さんにお願いしたことはございません。
  735. 田中健吉

    田中(健)委員 そうすると、社長は一遍も復金には交渉しておらないのですか。
  736. 高田透

    高田証人 私の方はこの借入金のわくをとつてくるのは運輸買でありまして、運輸車の方で計画を立てて、日本銀行、復金、そういう方面との渡りをつけてくれるのは運輸省海運総局です。
  737. 田中健吉

    田中(健)委員 そうすると、社長は運輸省なり復金以外の他の團体とか官署に一遍も顔を出しておりませんか。
  738. 高田透

    高田証人 顔を出しておりません。
  739. 田中健吉

    田中(健)委員 つまりこの融資のことについて一遍もその関係のところに行つておりません……。
  740. 高田透

    高田証人 行つておりません。
  741. 田中健吉

    田中(健)委員 それから北村さんは証人になつておりますか、証人になるについてどういう関係でございますか。
  742. 高田透

    高田証人 これは復金の方でどなたとどなたという指名の御希望がございました。
  743. 田中健吉

    田中(健)委員 それは北村さんが会社において占めておる地位によつて復金から交渉があつたのですか、どういう意味復金から北村さんと言つてきたのですか。
  744. 高田透

    高田証人 大体東京におられる役員という意味です。
  745. 田中健吉

    田中(健)委員 その場合に、北村さんからも一應判を押したと思いますが、どういうことを言つておられますか。
  746. 高田透

    高田証人 自分がたつて判をつかねばならぬのならしかたなかろう、こういうごく消極的の意味であつたのであります。
  747. 田中健吉

    田中(健)委員 そういたしますと、証人になるということは会社に対して財産上の責任を負うことになるんだが、名誉職の場合もそういうことになつておるものですか。よその方はめつたにそういうことはないのですが、あなたの方の会社は特にそうなつておるのです。個人保証ですか。
  748. 高田透

    高田証人 そうです。よその会社のことは存じません。
  749. 田中健吉

    田中(健)委員 いや、あなたの会社はそういうことですか。
  750. 高田透

    高田証人 私の方は復金の方から金を借りとうございましたから、復金の方の御要求になるべく合う意味で、個人保証をやつていただいたのです。
  751. 田中健吉

    田中(健)委員 名誉職なのだから、そういう証人になつてくれということを復金から要求されても、名誉職だからと言つてつた事実はありませんか。
  752. 高田透

    高田証人 そこまでは氣がつきませんでした。
  753. 田中健吉

    田中(健)委員 あなたの知つておる範囲においては断つたことはありませんね。
  754. 高田透

    高田証人 はい。
  755. 田中健吉

    田中(健)委員 大体了承しました。
  756. 中野四郎

    中野(四)委員 二点伺つておきたい。先ほど徳田君の質問中に隠匿物資の件で、S・S・Kでは全部隠したのではないというふうにあなたはおつしやつた。全部隠したのでないというと、どのくらい隠してあるのですか。その隠した量。
  757. 高田透

    高田証人 どうかその点は明日の資材課長にお尋ねを願いたい。どうも私傳え聞きでありまして、ここで想像が加わつたり何かして工合が惡うございます。
  758. 中野四郎

    中野(四)委員 これは特に証人に聽かなければならないのですけれども、隠匿物資の件は大分S・S・K会社では重要視しておる。これは先日北村君がここに証人として出まして、ほかのことは名誉社長でよく知らない、知らないと言いながら、隠匿物資の件だけは絶対にさようなことはあり得ないと確信をもつて言うておる。從つて隠匿物資の件は相当会社としては重大な関心を拂つてつたと私は考える。あなたがこの問題は先ほど全部隠したのでないという議論をおつしやるから、そういう観点から言えばどのくらい隠したかということくらいはおわかりになるはずである。ただ資材課長に聽けとおつしやつても、あなたの方で明確にはいかぬまでも、大体の量、想像だけはわかると思う。これだけ念のためにあなたに聽いておきたい。
  759. 高田透

    高田証人 隠したとか、隠さぬとか、そういうことは確めておりません。それから隠匿物資であるかどうかということも、檢察廳がまだお調べ中で、私どもはつきり申し上げられません。
  760. 中野四郎

    中野(四)委員 それではあなたが先ほど言うたことと大分違うではありませんか。あなたが先ほど徳田君の質問に対して、これは速記録を見てもよろしいが、S・S・Kで全部隠したのでないといつておられる。從つて全部隠したのでなければ、何分か隠したということになる。それと今言われる言葉と大分違うと思うがどうですか。
  761. 高田透

    高田証人 それは言葉のあやでございまして、全部S・S・Kが隠したのでないと思います、とこう申し上げただけであります。
  762. 中野四郎

    中野(四)委員 大事な問題ですから証人に聽いておきますが、この佐世保船舶の問題は相当重大な問題であつて、單なる隠匿物資の問題とか、政治的問題と違う。從つて証人のここでなされる証言は、相当將來に重要な関連があると思う。そこで言葉のあやというようなことで一應糊塗されることも結構です。しかしながら一應この委員会証言されたからには、愼重を期して言葉は使われたがよろしいと私は思う。あなたの方で、全部隠したのでないというので、私は一部どういうふうに隠したかと聽いたわけですが、あなたの言葉のあやという一言なれば、これもがまんします。しかしながらもう一つあなたに聽いておきたいことは、親和銀行とは関係が全然ないということを北村君がこの前ここで明確に言うておる。ところがあなたの言葉を聽くと、約一千万円の融資を受けておると、言うておられる。しかも保証人は全然ない。担保物件もないという。いやしくも金融事業としての銀行業が、無担保、無保証でこのような莫大な金融をするということは、非常に不可解である。いわんやこれが設備資金とかいうようなことなら、ともかく、運轉資金に相当する面が含まれておる。近來の金融状態というものは、御承知のように親銀行である日本銀行が貸出しを引締めておる、從つて市中銀行は融資に対しては相当大きく牽制されておる。從つて復金にからむいろいろ融資の事態が起つてくることは御承知の通りである。一千万円を無保証、無担保で貸しておるという点について、われわれは強く追究している。ところが北村君の証言とあなたの証言とは根本的に食違つている。そこで念のためにこれは明確に聽いておきますが、將來において言葉のあやなどと言わずに、親和銀行とは関係がないということは断じてあり得ませんね。
  763. 高田透

    高田証人 会社と親和銀行は関係がない。
  764. 中野四郎

    中野(四)委員 一千万円の金を無保証、無担保で借りておるということは間違いありませんね。
  765. 高田透

    高田証人 借りておることは事実であります。
  766. 中野四郎

    中野(四)委員 無保証、無担保で…………。
  767. 高田透

    高田証人 無担保も事実であります。
  768. 中野四郎

    中野(四)委員 保証はありませんね。
  769. 高田透

    高田証人 先ほどそう考えておりましたから、ないと………。
  770. 中野四郎

    中野(四)委員 間違いありませんね。この点念のために申しておきます。  もう一つ今田中君の質問の中に非常に疑問の点があるのですが、たとえば常務の塩津君とか、あるいはあなた方が復金の融資に対して保証をしておられますね。これは財産上の保証ですから、將來もしこの会社がどうしても拂込みができないという場合におきましては、あなた方が責任を負わなければならぬ。ところが復金はあなた方の財産状態を十分調べて保証を認めておるかどうか。
  771. 高田透

    高田証人 一應はお調べになつたと思いますが、よく存じません。
  772. 中野四郎

    中野(四)委員 そこであなたの財産と塩津君の財産状態はおよそどのくらいの所得があるのですか。この金融に相当し、補償し得るだけの能力があるのですか。失礼ですが………。
  773. 高田透

    高田証人 そう支拂不能に陷る金額が大きければ………。
  774. 中野四郎

    中野(四)委員 ちよつと言葉なかはですが、たとえば会社がそういうことはあり得ないけれども、全面的に損害をこうむつた場合には当然補償する。それが保証人の役目です。從つてあなたが補償し得るところの能力があるかないか。これははなはだおかしいが、同族会社と同じように会社の一部の課長とか部長とかいうものが保証人になつておる形体ははなはだもつて不可能に思う。從つてあなたの財産状態を伺うのであるが、どうですか。
  775. 高田透

    高田証人 私はそんな金持ではありません。
  776. 中野四郎

    中野(四)委員 あなたは保証人でしよう。塩津君も保証人でしよう。從つてあなたが会社の課長であり、部長であるのでしよう。その收入等から考えまして、その所得が十二分に補償し得る能力があると復金が認めたのですか。これは復金がそういうふうな軽卒な保証の程度で貸付をしておるというならば、今後徹底的に追究しなければならぬ。
  777. 高田透

    高田証人 復金の方は個人保証だけではありません。ほかに解体した資材が保証になつておる。大体それで保証がついておる。
  778. 中野四郎

    中野(四)委員 解体資材とはどんなものですか。
  779. 高田透

    高田証人 スクラツプです。それの賣上金が保証になる。
  780. 徳田球一

    徳田委員 それは保証になつても何にもなりはしない。
  781. 中野四郎

    中野(四)委員 十三万トンが解体のために生じたというのですが、金額がすこし甘いではないか。解体された結果と借入れる金額とちよつとバランスがとれないような傾向があるが、どうですか。
  782. 高田透

    高田証人 十三万トンというのはちよつとおかしい。
  783. 中野四郎

    中野(四)委員 これは旧海軍佐世保軍港所在艦艇約十三万トン解体のため所要運轉資金である。あくまで運轉資金である。運轉資金というのは赤字資金と同じである。運轉資金は償還を要するから先行き懸念あるゆえ本融資に決定したものであるというように融資の理由が明確になつておるのですが、そうすると、もしこれが十三万トンに達せざる限りにおいては、あなたが保証をしておる以上は保証人として相当あなたの方に補償し得る手段がなければならぬと思うが、一体そういうようなことを復金は融資するときに杜撰にやるのですか。あるいは徹底的にやるのですか。復金の金は國民の金ですからね。從つてこれが損失をこうむつた場合にはあなた方の財産を沒收し、それによつてでも埋め合せをしなければならぬという考え方がわいてくると思いますが、そういう場合の保証人は何でもかまわないという意識でやつたのですか。
  784. 高田透

    高田証人 そんなことはないのです。
  785. 中野四郎

    中野(四)委員 あなたの資産はどのくらいですか。
  786. 高田透

    高田証人 私の資産は会社の報酬以外にございません。
  787. 中野四郎

    中野(四)委員 失礼ですが、あなたの報酬はいくらぐらいですか。
  788. 高田透

    高田証人 月一万円です。
  789. 中野四郎

    中野(四)委員 今あなたは何人家御族か知りませんが、生活をしていくと月一万円では足りないと思いますが、それでどうして保証ができますか。
  790. 高田透

    高田証人 先ほど申し上げましたように、解体費をもつて返済する計画をたてております。
  791. 中野四郎

    中野(四)委員 もし損害をこうむつた場合には、保証人は現実に保証しなければならぬ。その保証をする人が月一万円の俸給をもらつてつて、家族の産活を含めてそう余るものじやないと思う。それならば形式的な保証人になりはしませんか。形式的な保証人ならつけない方がよい。あなたを詰責するわけではないが、保証人というものはこういうような形でやられるのですか。
  792. 高田透

    高田証人 これはよく存じません。復金の方でお考えがあることと思います。
  793. 中野四郎

    中野(四)委員 あなたはあつてもなくてもよい保証人ではありませんか。保証價値の全然ないものを認めておつたわけじやありませんか。
  794. 高田透

    高田証人 しかし返済計画が立つているからよいと思います。
  795. 中野四郎

    中野(四)委員 計画が立たない場合が起つたらどうしますか。こういうような保証金を全然内容を調べずにずつと認めておつたのですか。
  796. 高田透

    高田証人 私はよく存じませんが、復金の方でお調べになつているかもしれません。
  797. 明禮輝三郎

    明禮委員 北村さんは今どのくらいの株主でありますか。
  798. 高田透

    高田証人 はつきり記憶しませんが、五百株ぐらいと思います。
  799. 明禮輝三郎

    明禮委員 信和銀行の株はなんぼ持つておりますか。
  800. 高田透

    高田証人 三月ごろに一万四千株内外と思います。
  801. 明禮輝三郎

    明禮委員 最後にお尋ねしておきたい。今の復金の金は重役として應じたということを、さつきあなたは言われましたね。
  802. 高田透

    高田証人 復金の御要求で三人のものを指定された………。
  803. 明禮輝三郎

    明禮委員 三人のものといつても重役だから應じたんだと言われましたが、北村さんは去年の十二月三日に辞任をしたでしよう。辞任しておるにかかわらず、一番おしまいの二十二年二月の二十三日、十二月の二十六日、あとにもどつて八百万円、五百万円、三百五十万円という金は辞任後に判を押したのですね。
  804. 高田透

    高田証人 そうでございます。
  805. 明禮輝三郎

    明禮委員 そうすると、あなたの言われることと合わんじやないですか。
  806. 高田透

    高田証人 一回ぐらいは食違いがございます。
  807. 明禮輝三郎

    明禮委員 三回も判を押したんじやないですか。
  808. 高田透

    高田証人 そんなにないと思います。
  809. 明禮輝三郎

    明禮委員 一番初め二十二年二月二十三日には四百万円、それからそのときに一緒に三百五十万円、その次が二十二年八月十六日の六百万円、それまでが重役ですね。けれども十二月二十六日の八百万円は重役ではないでしよう。やめてから後保証しておるんじやないですか。
  810. 高田透

    高田証人 それはお願いしました。
  811. 明禮輝三郎

    明禮委員 そうすると、やはり北村さんは会社に相当関係があるのを、あなたはいろいろと言われるようではなはだ遺憾です。もうそれだけお尋ねすれば結構です。
  812. 武藤運十郎

    武藤委員長 ほかにございませんか。——それでは済みました。御苦労さんでした。     —————————————
  813. 武藤運十郎

    武藤委員長 先刻やみ利得調査委員を指名いたしましたが、この際田中健吉君を追加指名いたします。     —————————————
  814. 武藤運十郎

    武藤委員長 三枝貞藏さんですね。
  815. 三枝貞藏

    三枝証人 はい。
  816. 武藤運十郎

    武藤委員長 佐世保船舶工業株式会社とあなたとはどういう関係がございますか、やや詳細に話してください。
  817. 三枝貞藏

    三枝証人 それにつきましては、佐世保船舶工業会社ができた生立ちから話した方がよいと思いますが、佐世保船舶工業株式会社と申すのは、その前身は佐世保海軍工廠の復員局の管理部が前にありましたのを、昭和二十一年の一月の終りでございました。當時の管業部長の塙氏が、何とかしてこの施設を活かして民業に轉換するようにというので、非常に努力せられまして、一應東京に來て、各関係者と打合わされ、なお民業に移すのにはどうしたらよいだろうかということを運輸省の方にお諮りになつて、そのときに運輸省としては、そういう問題に対しては造船連合会というものがあり、そこに権威者がいるから、その方で適當な人間を推薦させようということになりました。そしてそのときに、大体そういうことを調べるのには、三菱重工業と三井造船の方から各関係者を出させたらよいだろうという話がきまつたそうであります。三菱重工業からは各務技師がそれに任命せられたそうであります。三井造船の方では不肖私が人選せられまして、私は經営方面、各務技師は技術方面を見てくれということでございました。私その當時は玉野の方に工務部長としておりましたのですが、社長から、事情はわからぬが、とりあえず現地には北川管業部長がいるから、そこで詳しいことを聽いて対策をとつてくれという長文の電報が來ましたので、二月三日に玉野を立ちまして、四日に現地に参りました。ところが東京の方から各務技師も北川部長も帰つておられないので、留守を預つておられる方にいろいろ話したのですが、わからないからとりあえず待つてくれということで、約一週間ほど待ちました。その間いろいろ電話その他で連絡をとつてもらつたのですが、要領を得ませんので、私としましても使々とそういう問題で待つのもどうかと思いましたが、またそういうものに対して先入主を入れて色眼鏡で見るのはいかぬから、その担当者の北川管業部長の意見もよく聽いて、その上で私が判断するのが一番いいだろうと思いまして、そのまま待つてつたのでございますが、どうしても帰られぬ。十四日ごろになるだろうということで、私も二月の十日か十一日に一旦帰りました。ところが汽車中で手に負傷したりしましたので、とりあえず実際の調査は、私の代りに、香港造船所長をして帰つておりました中村倍治氏が当ることになりまして、各務技師と中村倍治氏の意見を造船連合会に報告いたしました。そのときに私がその方の委員に当つておりましたし、また実際は中村がやつておりましたが、そういう関係であの会社をやるに対しましては、たれかそういうのならやらなければならぬということになりまして、私らの方は財閥会社でございますから、そういうことは結局占部造船がやりまして、技術及び事務の方面を私らが援助しました。しかし三井造船としては、独立して三井から離れてやろうという話が当時の社長からありましたから、また佐世保船舶という会社が、G・H・Qからの特殊の指令工事であり、またあの工場が利益ということを考えず、むしろ國家的にやるという工場でありましたから、私並びに中村が引受けてそういう方に関係することになりました。
  818. 武藤運十郎

    武藤委員長 S・S・Kの会社を創立する事務の方はおやりにならないのですか。
  819. 三枝貞藏

    三枝証人 そういう事情で、会社の設立に際しましても、三井造船としましては財閥会社関係上、資金が出せぬ、出してもごく一部だろうということで、大体占部造船の関係者並びに三井関係の海運方面から出すことに大体話がきまりまして、私としましては人間の問題をやり、資金の問題は主として中村があたるということで話を進めたのでございますが、そういう関係でなかなかできなかつた。もともと四月一日からそういうことを引受けるということは触れなかつたのですけれども、進駐軍としましては、そういう会社をこしらえることに対して財閥関係は表向きにできぬということで、そのために大分遅れまして、設立準備の間が約六箇月くらいかかり、ほんとうに会社ができましたのはその年の十月一日になつております。資本金も初め中村の報告では二千六百万円ないし三千万円くらいにするというのが、なかなか集まらぬので一千万円にしましたが、それもどうしてもできないので、六百万円ということになり、しかも二十一年の十月には半分の三百万円を拂い込んだような事情でございます。
  820. 武藤運十郎

    武藤委員長 北村徳太郎君はこのS・S・Kの創立当時どういう関係があつたですか。
  821. 三枝貞藏

    三枝証人 北村氏はその当時は、私の記憶しているところでは親和銀行の頭取、それから佐世保の商工会議所の会頭をしておられました。殊に私らはそういう金融方面に対しては經驗がなく、また佐世保そのものに対しても、今まで三井造船におりまして公人としては行つたけれども、そういう町との関連は全然ないから、主として經済的方面にだれか強力な援助があると、非常に町ともうまくいくだろうということで、前社長の塙氏が特に私らを連れて北村氏に面会せられて、その点発起人の一人にもなり、將來も会社の役員の一人となつてつてくれということを懇願せられました。そういう関係で、北村氏もそのことが佐世保の消長に関係することだし、またそういうことならというので発起人になられました。
  822. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなた方の方からそういう懇請があつたので、北村氏はこと佐世保に関することであるから、ひと肌脱ごうということになつたわけですね。
  823. 三枝貞藏

    三枝証人 そうでございます。
  824. 武藤運十郎

    武藤委員長 このS・S・Kの工場施設、機械、土地、建物などはどういう手続方法でこの会社は使つておりますか。
  825. 三枝貞藏

    三枝証人 今私の記憶しておる範囲では、あの土地建物は全部今かりに借りておるのでございますが、非常に何回も何回も追加々々して借りておるのでありまして、第一回の正式の許可を得たものは七万七、八千坪と記憶しております。その部分は、造機の部分、機械工場、それから鍛錬工場、汽罐工場、鑄物工場、造船の艤裝工場、造機の組立工場、こういうものがおもと、それからドックで申しますと一、二、三、四、五、六と六つございます中で、四番目が一番大きないわゆる武藏山とも言えたドックでございますから、これは主として解体に使うということで、三、四、五と三つを大体使う、そういうものを大体寄せますと、約七万七、八千坪になつただろうと考えます。それを一番初め借りました。ところがその後いろいろわれわれの方ではあの工場の施設をできるだけ活かして使うということでずいぶん——占領軍としましては、特にあの工場は新造はまかりならぬ。いわゆる日本の廃棄、艦艇の解体、船舶の修理、進駐軍の命令工事、こういうものをやれ、それから新造に対しては許可せぬという指令がございました。ところがわれわれがあの施設を見まして、鑄物工場、鍛錬工場、そういう工場のものをうまく利用しますと、われわれの一番欲しい民需品、また佐世保方面が生きるのに一番大事な施設をあの工場はもつておるから、それを活用しようということで、軍政部に願い出ましたところ、そういうことなら一應八軍の方に願を出せということで、願を出しまして、多分五月の十五、六日でありますが、正式に八軍の方から許可がきましたそういう必要なものをだんだん殖やしまして、今のところでは約十二、三万坪、木工場の方も入れますと十五万坪に近いものになるかもしれません。そういう関係で、全後四回ぐらいにわけて追加々々して借りたように考えております。
  826. 武藤運十郎

    武藤委員長 艦艇解撤をやつておるそうですが、どんなぐあいにやつていますか。
  827. 三枝貞藏

    三枝証人 どうも事務的な処理のことは、私七箇月ほどああいう仕事から離れておりますから記憶が薄うございます。技術的な問題だけはわかりますが、初めたしかあのときには占領軍の方から解体命令が出たと思います。その命令によつて、どういう船をやらすということで、運輸省がたしかそういう船を各造船所に割当てられたと思います。われわれの方に一番初めには航空母艦の隼鷹、笠置、伊吹この三艘が当てられたように考えます。大体私らの方では、そういうのならばこういうぐあいにして解体をやりますというような計画書を出しまして、それに説明をつけまして向うに許可を得たように考えております。しかもああいう際でございますから、急速にやれということで、期間は相当むりなようでありますし、またその時は施設もなかなか完備しておりませんし、相当つらかつたのでありますが、かかる工事は重大な使命だからというので、曲りなりにも向うの御趣旨に副うようにやつて遂行ができたように記憶しております。
  828. 明禮輝三郎

    明禮委員 今のお話を聽きますと、S・S・Kの成立ちは北川政という人がたいへん奔走されたということでございますか。
  829. 三枝貞藏

    三枝証人 はい。私ちようど二月は、先ほど申したようにその調査委員として運輸省の嘱託としてきましたときに、そういう問題に対していろいろ聞き、またそういう問題については、当時の残つておる從業員なり事務の人間からも聽いております。
  830. 明禮輝三郎

    明禮委員 北村さんはたいへん親和銀行に関係が深く、頭取をされておられた。それであそこから金を借りておるようでありますね。あれはどういうことで借りておられるのですか。一千万円ぐらい借りておるようですが。
  831. 三枝貞藏

    三枝証人 初めは、設立準備の間は発起人代表になりましたけれども、何も法的な基礎がないものですから、非常にその点は困りました。しかし大体その間だけは銀行としてもそういうことはできませんから、私ども復員局の經理部の方へお願なんかしまして、いろいろ金のやり繰りをしまして、いよいよ会社ができまして、われわれがそういうことをやるようになつてからは、できるだけ援助をしていただきまして、多分私らのときには五、六百万円程度で、主として私ら交渉しましたのは、牧副頭取とたいてい交渉しておりました。北村さんはそのときには相当お忙しゆうございましたから、私は直接にあまり関係いたしませんでした。
  832. 明禮輝三郎

    明禮委員 北村さんから口添があつたのでしよう。
  833. 三枝貞藏

    三枝証人 その点は、向うの親和銀行の頭取と副頭取との間は、援助してやれということはあつたろうと思います。これは私の想像でございます。
  834. 明禮輝三郎

    明禮委員 援助してやれということで、なお六百万円借りておる時分には保証はだれがやりましたか。
  835. 三枝貞藏

    三枝証人 そのときにはたいてい中村という常務がおりました。從つて私はもともと技術出であるが、中村氏は事務出であります。その中村氏が主としてそういう方を担当してくれまして、今の牧副頭取並びに高田常務なんかとも行つて、相談して話してきて大体の御了解を得て經理部長あるいは經理課長をやつて、あとは事務手続をさせたように記憶しております。
  836. 明禮輝三郎

    明禮委員 借りるのに保証はだれがなつたのですか。
  837. 三枝貞藏

    三枝証人 そのときには、代表取締役の中村がなりますが、もしも中村がいなければ私がたいていやつております。
  838. 明禮輝三郎

    明禮委員 北村さんも保証にならなかつたですか。
  839. 三枝貞藏

    三枝証人 北村さんはそのときにはただ平取締役としておはいりになつておりましたから、まだそういう方に対してはしておらぬように私は記憶しております。
  840. 明禮輝三郎

    明禮委員 口添えがあつただけですか。
  841. 三枝貞藏

    三枝証人 その口添えも、これは私想像で向うは頭取と副頭取との間ですから、その点は私はつきりしたことを申し上げかねます。
  842. 明禮輝三郎

    明禮委員 やはりあなたが六百万円借りておつた時分に、北村さんも頭取をしておつたのですか。
  843. 三枝貞藏

    三枝証人 昭和二十一年の十月一日に会社を発起したのですから、そのときに発起人から、大体私ら前からお願いして、おりまして北村氏も取締役になつていただくことに了解を得ましたものですから。
  844. 明禮輝三郎

    明禮委員 だからそのときに親和銀行の頭取でもあつたのですね。
  845. 三枝貞藏

    三枝証人 そうでございます。
  846. 明禮輝三郎

    明禮委員 六百万円借りたのは、その時分ですか。
  847. 三枝貞藏

    三枝証人 その当時でございます。
  848. 明禮輝三郎

    明禮委員 北村さんはいつまで親和銀行の頭取をやつておりましたか。役人になるまでですか。
  849. 三枝貞藏

    三枝証人 私らもそういう点はしつかり存じませんですから………。
  850. 明禮輝三郎

    明禮委員 復興金融金庫から金を借りておりますね。
  851. 三枝貞藏

    三枝証人 はあ、借りております。
  852. 明禮輝三郎

    明禮委員 それはどういうふうにして借りたのですか。
  853. 三枝貞藏

    三枝証人 そのときは占部五郎という占部造船所の社長がわれわれの方と兼務しておりましたから、占部社長の名前で借りたように私は記憶しております。
  854. 明禮輝三郎

    明禮委員 復金の方の保証はどうですか。
  855. 三枝貞藏

    三枝証人 復金の方のそういうことは占部社長でやつたように記憶しております。
  856. 明禮輝三郎

    明禮委員 北村さんも保証しておるでしよう。復金から借りたのは。
  857. 三枝貞藏

    三枝証人 その点は社長になられてからそうされたのじやないですか。私はしつかり記憶しておりませんけれども、私の今の記憶では占部社長の間は占部社長が昨年の六月に辞任せられて、社長がしばらくきまらぬときは、私と塩津、中村というほかの代表常務三人で、連名で一切したように記憶しますけれども、私もはつきりしたことは申し上げられませんです。
  858. 明禮輝三郎

    明禮委員 どうもあまりはつきりしないですな。
  859. 三枝貞藏

    三枝証人 その点は私はつきり記憶があつたら、そう申しますけれども、ないものを………。
  860. 明禮輝三郎

    明禮委員 北村さんは五百株持つておりますね。
  861. 三枝貞藏

    三枝証人 五百株でございますか。ちよつと待つてくださいよ。一番初め、私の記憶では、一万株、これは北村さんの名前か、親和銀行か知らぬが、北村徳太郎として初め持つてもらつたように記憶しておりますが、会社ではいかぬということで、個人にかえられたかもしれません。そのときに五百株にせられたか、その点はたいてい経理部長に任しておりましたから、私らがはつきり明答して、もしも間違いましてはいかぬと思いますから……。
  862. 明禮輝三郎

    明禮委員 拂込みはどうなんですか。その五百株を北村さんは拂込みをしないでも………。
  863. 三枝貞藏

    三枝証人 その問題はどうも、私はつきりしませんから、申し上げぬ方がよいだろうと思います。
  864. 明禮輝三郎

    明禮委員 だれか重役会で、贈呈株にでもした方がよいというような話をしたですか。
  865. 三枝貞藏

    三枝証人 そんなことはないように思います。私も五百株持つておるけれども、そういうことは知りませんから………。
  866. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたの五百株も、來たわけではないのですか。
  867. 三枝貞藏

    三枝証人 いや、そういうことはありません。
  868. 明禮輝三郎

    明禮委員 北川さんは相当骨折つて会社をつくつて、今相当待遇をしておるようですね。
  869. 三枝貞藏

    三枝証人 これは、実は私が言いましたのです。あの人もいろいろ骨折つて、向うの工場の所長として就任いたしましたり、ああいう技術者であつて、しかも政治的の人でありますから、そういうふうにして、今までの功労者であるし、また從業員も、ああいう人だからぜひそうしてくれという労務の幹部の人からも話がありましたから、私もそれはよいだろうということで、私がむしろ勧めたように記憶しております。
  870. 明禮輝三郎

    明禮委員 どういうわけで勧めたのですか。大分世話になつたのですね。
  871. 三枝貞藏

    三枝証人 世話になつたといつて、私は技術的に造船関係だし、あちらは機関関係のエキスパートだから、そういう方面において、私の足らぬところは大いに助けてもらえばよいだろう、こういうつもりで私申し上げましてございます。
  872. 明禮輝三郎

    明禮委員 それはそうですが、重役ではないのですから、それを重役待遇にするわけは、何かやはり理由がないと、そうはいきませんわな。
  873. 三枝貞藏

    三枝証人 その点は、要するに功労者であるし、経驗者であり、また権威者であるから、それぐらいその人を尊敬する、そういう意味で私は初め言うたつもりでございますけれども……。
  874. 明禮輝三郎

    明禮委員 尊敬するといつても、重役でない人を重役待遇にするには、一番初めから言われたように、北川さんが大分、この会社が成立して以來世話しておつたから、やつぱりその点があるんじやないですか。あなたを引つぱり出して骨折つたというのは——三菱とか三井へ行つてですね。
  875. 三枝貞藏

    三枝証人 それは北川営業部長が直接やられたのではない。初め運輸省に行つて、こういうぐあいにしたいがどうしたらよいかということを聽かれた。運輸省は造船連合会においては民間の権威者が集まつておるから、それに諮つて、適当な、案をもつたら一番よいだろうというのできめられたので、北川部長直接の案じやございません。
  876. 明禮輝三郎

    明禮委員 去年の七月十五日現在の佐世保におけるS・S・Kの非鉄金属の在庫品調べを出せということが、九州の軍政本部からあつたことは御承知ありませんか。
  877. 三枝貞藏

    三枝証人 あつたように記憶します。
  878. 明禮輝三郎

    明禮委員 その問題は九月の二十二日に出しておりますね。その問題について御相談いたしましたか。
  879. 三枝貞藏

    三枝証人 もちろんそのときは、六月に占部社長が辞任いたしまして、七月の役員会で、現所長の松本長藏君が所長に推薦せられまして、私多分、今の記憶では、八月のごく初めに、所長の交代の挨拶を一般の人にしたように思います。それから後は、規定で私は代表として残つておりますから、そういう全体の会社に対しては何ですけれども、工場の運営ということは大体所長がやろうということに話しておりましたから、その点におきまして、初めの移り変りのときは、お互いに話合いをして、よくしたつもりでございます。それからそういうもので出したときには、私もたしかに出しておるように記憶しております。
  880. 明禮輝三郎

    明禮委員 届出をね。
  881. 三枝貞藏

    三枝証人 はあ。九月の何日に出したということも、日にちは何ですけれども、たしかに出したということは記憶しております。
  882. 明禮輝三郎

    明禮委員 その時分に北村さんがやつぱり社長だつたのですか。七月の二十八日にあなたが推薦されたか何かになつておる。
  883. 三枝貞藏

    三枝証人 そうでございますか。それなら私も選考委員の一人でございますから、いま日にちははつきりわかりませんけれども………。
  884. 明禮輝三郎

    明禮委員 とにかく七月二十八日に取締役会を東京で開いて、そのときに北村さんが正式に、あなた方選考委員の発表によつて社長になつておる。
  885. 三枝貞藏

    三枝証人 そのときは私は出席しませんでしたが、それは間違いありません。そういうことで役員会がきまつておれば、そうでございます。
  886. 明禮輝三郎

    明禮委員 その当時今の届出の問題は、あなたはその次のときに行かれて聽かれたのでしようか。
  887. 三枝貞藏

    三枝証人 大体ああいう資材の問題は、毎月々々軍政部の方へ届けることになつております。また日本関係官廳にも届けることになつておりますが、それで私が一番初めに、軍政部関係の問題は、向うの管理とか、そういうものを皆引受けておりますから、皆私がサインしておるように記憶しております。いろいろなものをサインしたように記憶しております。
  888. 明禮輝三郎

    明禮委員 九月の二十二日にも重役会がございましたな。
  889. 三枝貞藏

    三枝証人 九月の二十二日でございますか。日にちははつきりしません。たいてい毎月やるのでございます。東京か、あるいは佐世保でやるのでございますから………。
  890. 明禮輝三郎

    明禮委員 毎月やりましたね。そのときに、九月二十二日に、今おつしやるように、材料の届出なんというものは、みんな社長というか、重役が運営しておるわけですね。
  891. 三枝貞藏

    三枝証人 私が代表取締役としまして、しかも工場の所長でありますし、代表でございましたから、それから占部社長のときも、占部社長は大体月に長くて一週間くらいしか來られませんから私が代行しておりました。法律上の解釈は知りませんが、私がそういうものをやりました。あの調べが殊に英文でなかなか厖大なもので、英語の綴りなんか間違つているとつつこまれるので時間がかかります。出すときには期限がぎりぎりで急ぐから、それを一々東京なり社長に送るひまがないので、私が事後的にはときどき見せるということをやつておりました。
  892. 明禮輝三郎

    明禮委員 その九月二十二日にはあなたは出ておらないけれども、届けを出されるについては重役の人にみな相談してやられたのでしよう。
  893. 三枝貞藏

    三枝証人 その点はひよつとしたらみんなには諮らなかつたかもしれません。どうもその点はつきりしません。惡意でないけれども、私潛水艦の解体の問題であとでそういうことを役員会でつつこまれまして、私の間違つたところはおわびしたのですが。
  894. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたの名前で出されたのですか。
  895. 三枝貞藏

    三枝証人 そうです。
  896. 明禮輝三郎

    明禮委員 それで十月の二十七日にも、佐世保の靜養軒で北村さんやあなた方が集つた役員会がありましたね。そのときに北村さんなんかみな役員が集つたときにその報告をしたのですか。
  897. 三枝貞藏

    三枝証人 私昨年の十月十七日実は辞表を出しておりまして、十月の下旬までおりましたが、その間に東京へ行つておりますし、それから十月の二十七日にはちようどつたかどうかはつきり記憶しません。
  898. 明禮輝三郎

    明禮委員 記録をお見せしてもよろしい。そのときにも話がでておるのではないですか。あなたが届けられたことについて………。
  899. 三枝貞藏

    三枝証人 その点はつきりした記憶がありません。大事なものはもちろん役員会へかけることになつておりますけれども、しかし技術上の問題はあるいは先ほどの潛水艦の解体の間で失敗したようなことがあつたかもしれません。その点はそのときの実際のものを調べてはつきりしたことを御返事しなければならないと思います。
  900. 明禮輝三郎

    明禮委員 大体そういう在庫品数を出したりなんかするには重要なことだから役員会を通しておつたということは間違いないですね。
  901. 三枝貞藏

    三枝証人 大体重要なことは役員会を通すようにしております。そのことはそのときやつたかどうか記憶がありませんから、はつきりしたことを調べて御返事申し上げます。
  902. 明禮輝三郎

    明禮委員 あなたが責任者としてそのときに届けをされておるのだから、そういう届けをするときには詳しく見る、見ないは別にして一應みんなに話される、だまつてあなたが一人でやることはないと思う。
  903. 三枝貞藏

    三枝証人 それがほんとうでございます。潛水艦の問題もありますから、その点ははつきりそれに違いないということを申し上げることはできません。そのときの事情をもう一遍調べてお答えした方がよかろうと思います。
  904. 明禮輝三郎

    明禮委員 潛水艦の解体というのは何ですか。
  905. 三枝貞藏

    三枝証人 沖の方に小型の潛水艦が沈めてございますね。あの問題でございます。あのときにやはり急速解体という命令を受けましたので、ああいう工場から離れた所で、しかも浅瀬へ乘り上げて機関部とか魚雷部とか爆破してちよつと浮かすことができぬ、どうしたらいいかということでわれわれ技術者が相談して、その一部を原型をとつてしまつて向うの要求に應ずるのが一番いいだろうということで、その問題を山領工鉄所に渡してスクラツプ………。
  906. 明禮輝三郎

    明禮委員 捨てたと記録には書いてある。
  907. 三枝貞藏

    三枝証人 捨てたのじやないです。こういうような状態においてあるということは運輸省へ写真をつけて報告した。
  908. 明禮輝三郎

    明禮委員 十五万円損害と書いてある。
  909. 三枝貞藏

    三枝証人 それに対して北村社長に答弁書を出しております。技術的の問題に対してははつきり答弁したつもりであります。ただ事務手続が先ほど申すように遺憾な点があつたので、私そのときにおわびしております。そういう問題がありますから、今の問題もはつきりしたことを調べた上でないと、間違つて御迷惑をかけてもいかぬと思いますから………。
  910. 明禮輝三郎

    明禮委員 北村さんには退職手当金は出さないのですか。
  911. 三枝貞藏

    三枝証人 私の方が先にやめましたから………。
  912. 明禮輝三郎

    明禮委員 解撤する場合に一千五百万円かかるとか、一千七百万円かかるというのは一トン何ぼでやつていいのですか。
  913. 三枝貞藏

    三枝証人 そういうことはありません。それはたしかあのときに評價委員をこしらえて——評價委員というのは民間のそういう権威者が集まりましていろいろ案を出し、それをたしか造船連合会側の理事長が委員長になつて檢討して調べたように記憶しております。評價委員は私どもの方では先ほど申しました中村というのがなつておりましたが、しかし技術上の問題はよくわかつております。それからそのときに船の種類とか、船の擱坐しておる状態とか、またその船の艦齢は別に関係なかつたのですが、いろいろ條件を考慮してきめておるのですから、どれもこれも一せいということはありません。
  914. 明禮輝三郎

    明禮委員 二十二年の三月ごろ戰爭犯罪人の弁護費を寄附したという事実があるのですが、あれはどうですか。役員会で十万円とか………。
  915. 三枝貞藏

    三枝証人 そういうことは私も記憶しております。
  916. 明禮輝三郎

    明禮委員 あれを寄附したのですね。
  917. 三枝貞藏

    三枝証人 寄附しました。
  918. 明禮輝三郎

    明禮委員 あれは帝國銀行で送つたのですか。
  919. 三枝貞藏

    三枝証人 その点は事務的なものを確かに役員会で可決したように記憶しております。
  920. 明禮輝三郎

    明禮委員 佐世商事株式会社というのがありますが、あれは何ですか。
  921. 三枝貞藏

    三枝証人 佐世商事株式会社というのは前におりました中村というのがやめましてそういう商事会社をこしらえたのです。
  922. 明禮輝三郎

    明禮委員 第二会社ですか。………
  923. 武藤運十郎

    武藤委員長 明禮君に御注意申し上げますが、速記が書けませんから、委員長許可を得て発言してください。
  924. 三枝貞藏

    三枝証人 ………援助してやつてもいいだろう。われわれの方もできた製品で差支えないようなものならできるだけ便宜をはかつていい………。
  925. 明禮輝三郎

    明禮委員 第二会社というのですか。
  926. 三枝貞藏

    三枝証人 そうです。
  927. 武藤運十郎

    武藤委員長 これで済みました。どうも御若労さまでした。  本日はこれにて散会いたします。     午後九時一分散会