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1948-06-05 第2回国会 衆議院 不当財産取引調査特別委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月五日(土曜日)     午後三時四分開議  出席委員    委員長 武藤運十郎君    理事 辻  寛一君 理事 梶川 靜雄君    理事 河井 榮藏君 理事 小松 勇次君    理事 中野 四郎君       石田 博英君    尾崎 末吉君       高橋 英吉君    平澤 長吉君       古島 義英君    明禮輝三郎君       渡邊 良夫君    足立 梅市君       佐竹 新市君    前田 種男君       田中織之進君    宇都宮則綱君       橋本 金一君    野本 品吉君       田中 健吉君    中村元治郎君       北浦圭太郎君    徳田 球一君  竹中工務店清水組その他をめぐる政党献金問  題について出頭した証人     森戸 辰男君(議 員)     深井  斌君(藤田組專務取締役)     妹尾 一夫君(大林組顧問) 六月五日委員山下榮二君辞任につき、その補欠と して足立梅市君が議長の指名委員に選任された。 同日兵器処理調査小委員橋本金一君の補欠として 橋本金一君が委員長指名で小委員に選任された。 同日復興金融金庫融資状況調査小委員足立梅市君 の補欠として足立梅市君が委員長指名で小委員 に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  資料要求に関する件  小委員選定に関する件  群馬コーヒー事件に対する決議に関する件  竹中工務店清水組その他をめぐる政党献金問  題     ―――――――――――――
  2. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではこれより会議を開き。  この際お諮りいたします。復金融資状況調査の小委員と、兵器処理調査の小委員が欠けておりますが、これは委員長において指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは足立梅市君を復金融資状況調査小委員に、橋本金一君を兵器処理調査小委員指名いたします。  次に先般本委員会において取上げ、調査中のいわゆる群馬コーヒー事件につきましては、詳細なる調査報告書委員長手もとまでまいつておりますから、いずれこれをプリントいたしまして、お手もとへ差上げる予定でございます。なお本件について、目下險察廳においても取調べ中でありますが、險察廳迅速嚴正なる取調べを要請するために、本日一つの決議をいたしまして、これを險察廳に申し送りたいと思います。案文を読んでみます。  群馬コーヒー事件については各方面より猛烈な了解運動がある由であるが、險察廳はがかる運動に影響せらるることなく、毅然たる態度をもつて迅速嚴正にこれを処理せられんことを望むこれを決議いたしまして、梶川君並びに明禮君を代表として最高險察廳に持参、要請するととに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではさよう決定します。次に、去る二日喚問をいたしました地崎宇三郎氏の証言中、土建業者より献金を受けた百五十万円及び一、二の友人より贈られた二百万円について、その使途が明細でなかつたのであります。しかしながら、これはどうしてもその明細を求めなければならないと思いますので、文書によつて來る十日までに右二百万円及び百五十万円の明細提出を求めることに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではさよう決定します。  なお地崎君より、ただいま疎明書委員長まで届けられました。朗読をいたします。    疎明書     札幌市南四條西七丁目六番地            地崎宇三郎   右者に対する昭和二十三年六月二日貴委員会の御訊問に関する証言拒絶の事由を左記通り疎明します。    記  右委員会に於て昭和二十二年四月の総選挙前後私が進歩党民主党党務部長選挙対策委員長或は民主党幹事長であつた際私一個の裁量で費消した貳百五拾萬円の中には飯田清太氏よりの金も含まれ更に自個の金の外に一二の友人からの金も含むと証言したので有ります。  その一二の友人と私との間には將來に於て如何なる事情が発生すると雖基金の支出者氏名は絶対に口外せざることの誓約が成立して居ります。其人の意志は天下り政治のために、淨財を提供したもので、公表を好まない理由は「右の手の行いを左の手に知らしむるな」という聖書の示す通りであろうと信じます。從でこの人の了解なくしては其氏名を発表することは男として忍びがたいものが有ります。  殊に此友人の二名は昨年既に幽明境を異にして居られるので残念乍ら今になつて諒解を求むる事は不可能で有ります。  私の生れ及び育つた環境は男の約束を破ることば死に優る恥辱として居ります。かかる事由によつて私は法の許す範囲内に於て証言を拒絶したので有ります。  昭和二十三年六月五日        右証人 地崎宇三郎  不当財産取引調査委員会  委員長武藤運十郎殿  この疎明に対する処置は、來る七日の理事会において決定いたしたいと思いますがいかがでございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではさよう決定いたします。  次にただいま取調べ中の土建業者より三大政党に対する政治献金について、その性質を明らかにするために、飯田精太氏の集めました各土建業者より寄附金の記帳をいたしておる原簿の提出及び、もし小切手で支拂われた場合には小切手の控えを來る八日までに提出を求めることに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではさよう決定します。  次に先日本委員会において起草することに決定いたしました衆議院不当財産取引調査特別委員会における証人宣誓及び証言等の特例に関する法律案につきましては、爾來非公式に協議いたしてまいりましたが、一應の腹案もできましたので、この際成案起草のために小委員会を設け、慎重審議いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 武藤運十郎

    武藤委員長 御異議なしと認めます。小委員選定についてはいかがはからいましようか。     〔「委員長一任」と呼ぶ者あり〕
  9. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは高橋英吉君、河井榮藏君、荊木一久君を指名いたします。  次に先般喚問いたしました西尾末廣君より金四十万円の内訳について明細報告せられておりますので朗読をいたします。六月三日附衆不委第二十八号の求めにより左記書類提出いたします。六月五日、西尾廣印委員長武藤運十郎殿、左記、月日、金額氏名、縣別としてありまして、四月十一日五千円、河合義一兵庫、四月十一日五千円、佐成篤三郎、滋賀、四月十一日五千円、山本幸一岐阜、四月十一日五千円、近藤壽奈良、四月十一日五千円、大川修三、宮城、四月十一日五千円、松澤隼人群馬、四月十一日五千円、永野実郎、愛知、四月十一日五千円、山本富嘉埼玉、四月十一日五千円、佐伯健、福島、四月十一日五千円、光吉悦心、福岡、四月十一日五千円、本藤恒吾、長野、四月十八日ごろ五千円、米田富奈良、四月十一日一万円、徳永正報、新潟、四月十一日一万円、熊本虎藏東京、四月十一日一万円、原虎一東京、四月十一日一万円、赤松常子東京、四月十一日一万円、三木治朗神奈川、四月十一日一万円、佐竹晴記、高知、四月十一日一万円、永江一夫兵庫、四月十一日一万円、細野三千雄、秋田、四月十一日一万円、正木清、北海道、四月十一日一万円、米山久子、石川、四月十一日一万円、松本淳三、島根、四月十一日一万円、加藤鐐造岐阜、四月十一日一万円、松永義雄埼玉、四月十一日一万円、井堀繁雄埼玉、四月十一日一万円、門司亮神奈川、四月十一日一万円、土井直作神奈川、四月十一日一万円、和田操群馬、四月十三日より二十日ごろまで一万円、井家上專、京都、四月十三日より二十日ごろまで一万円、山名義鶴兵庫、四月十三日より二十日ごろまで一万円、叶凸大阪、四月十三日より二十日ごろまで一万円、大矢省三大阪、四月十一日二万円、藤田覗東京、四月十一日二万円、渡邊年之助、東京、四月十一日二万円松谷天光光東京、  附記、右合計三十三万円は全部いわゆる陣中見舞として贈與せるものであります。残余の七万円については記憶を喚び起しかねますが、私の選挙費用にも一、二万円は使つたものと思います。  次は、來る七日午後一時に理事会、午後二時より委員会を開きます。  御報告及びお諮り申し上ぐべき事項は以上であります。これより証人を喚問いたします。喚問いたします。     ―――――――――――――
  10. 武藤運十郎

    武藤委員長 本日御出頭の証人森戸辰男さん、深井斌さん、妹尾一夫さんですね。証言を求める前に各証人に一言申上げます。  昨年十二月二十三日公布になりました昭和三十三年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことになつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、一般の人については、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族及び証人の後見人または記入の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項、あるいはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するときに限られ、医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教またはとう祀の職にある者またはこれらの職にあつた者については、その職務上知つた事実であつて、默祕すべきものについて尋問を受けたときに限られております。右以外には何人も宣誓または証言を拒むことができないことになつておるのであります。なお証人が正当の理由なくして宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられるごとになつておるのであります。一應このことを御承知になつていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。お手許に差上げてある宣誓書朗読の上署名捺印願います。御起立を願います。森戸さん、代表してお読みください。     〔証人森戸辰男君各証人を代表して宣誓〕     〔各証人宣誓書署名捺印
  11. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは森戸さん、深井さん、妹尾さんの順序で伺いますから、森戸さん以外のお方はしばらく別室でお待ちを願います。  森戸さんに伺いますが、昨年四月ごろ社会党政務調査会長をしておられましたか。
  12. 森戸辰男

    森戸證人 その通りです。
  13. 武藤運十郎

    武藤委員長 昨年の四月中、西尾末廣氏より十万円を受取られましたか。
  14. 森戸辰男

    森戸證人 それは日取りがちよつと違うようでございますが、私は選挙から帰つた後ですから、多分五月の初めと思います。
  15. 武藤運十郎

    武藤委員長 金額は十万円ですか。
  16. 森戸辰男

    森戸證人 十万円です。
  17. 武藤運十郎

    武藤委員長 この金は党のものですか、個人のものですか。
  18. 森戸辰男

    森戸證人 それは森戸個人のものとして受取つたものであります。
  19. 武藤運十郎

    武藤委員長 受取られる方は森戸個人のものとして受取られたでありましようが、出す方はどういう意味でしたでしようか。
  20. 森戸辰男

    森戸證人 私の承知しておるところでは、当時政務調査会長であつた、また社会党幹部であつた私にお渡しになつたと思います。そしてそれはやはり森戸というところに重点がおかれておつたものと承知いたしております。
  21. 武藤運十郎

    武藤委員長 わかりました。が、そうではないのでありまして、渡す方の立場においては、その金の性質立場は何であつたでしよう。
  22. 森戸辰男

    森戸證人 今言つたよう仁私は承知しておるのです。
  23. 武藤運十郎

    武藤委員長 こういうふうに考えることができると思うのでございますが、西尾さんから森戸さんに金を渡す場合には、書記長西尾から政調会長森戸へ、それから書記長西尾から個人森戸へ、個人西尾から個人森戸へ、個人西尾から政調会長森月へと、こういうふうな場合が考えられると思うのですが、どれに該当しますか。
  24. 森戸辰男

    森戸證人 これは個人西尾から個人森戸というところに重点があつたと思います。
  25. 武藤運十郎

    武藤委員長 この金の出所、どこから出たかということを御存じでありましたか。
  26. 森戸辰男

    森戸證人 これははつきりとは知りません。しかしそのときの話に、藤田榮氏との関係もありというような意味のことを聞いておりましたので、そういう関係のものもあつたのではないかと思いますけれども、一々そういう詳しい事情を私は承知いたさないように記憶しております。
  27. 武藤運十郎

    武藤委員長 西尾さんからお渡しになりますときに、何かそういう趣旨のことはお話がございませんでしたでしようか。
  28. 森戸辰男

    森戸證人 大体自分が金を受取つて、その中で藤田君の関係から政調会長森戸さんに幾分渡すようにというようなことがあつた関係で、その中のある部分を森戸さんにお渡しする、こういうようなふうに一記憶しでおります。
  29. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうしますと、藤田君の計らいで土建業者のある者たちから西尾さんに献金がなされて、その中の幾分かを政調会使つてもらいたいというような趣旨であつたから、あなたにお渡しをする。そういう話がございましたですか。、
  30. 森戸辰男

    森戸證人 そういう詳しい話はなかつたと記憶いたします。ただ藤田君の関係もあり、藤田君の関係というところから藤田組ということもあつたのではないかと想像されますけれども、そういう関係からの金であるということは想像できたのです。
  31. 武藤運十郎

    武藤委員長 では御想像でありまして、そういう詳しい話はございませんでしたか。
  32. 森戸辰男

    森戸證人 そういう詳しい話は私は聞いておりません。
  33. 武藤運十郎

    武藤委員長 ただいま伺いますと、個人西尾から個人森戸へという形で渡されたようでありますけれども、そういうことは再々ございますのですか。
  34. 森戸辰男

    森戸證人 ありません、そういうことは……。
  35. 武藤運十郎

    武藤委員長 前後を通じて初めてですか。
  36. 森戸辰男

    森戸證人 初めてです。
  37. 武藤運十郎

    武藤委員長 この金をどういうふうにお使いになりましたか。
  38. 森戸辰男

    森戸證人 この金は私が個人としてもらつたのであるから、私個人判断によつて適当なところに使うべきであると思つたのでありますが、しかし当時私は社会党幹部であり、また政調会長でありましたので、そういう線に沿うで良心的に使うことが適当であると思いまして、大体そういう線に沿うて公的なものに使うというふうに私は考えたのであります。
  39. 武藤運十郎

    武藤委員長 お考えになり、また実際におきましてもそういう方面にお使になつたのですか。
  40. 森戸辰男

    森戸證人 大体そういう線に沿うて、純粹に私的なものではなく使つたわけであります。
  41. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたが文部大臣に就任されまして、政調会長をおやめになりましたのはいつでしたか。
  42. 森戸辰男

    森戸證人 就任の約一箇月後と記憶しておりますが、日にちは覚えておりません。
  43. 武藤運十郎

    武藤委員長 何月でしたでせうか。
  44. 森戸辰男

    森戸證人 二月ではないかと思いますが、はつきり覚えておりません。
  45. 武藤運十郎

    武藤委員長 そのときに政務調査会の事務を鈴木政務調査会長に引継がれるときに、金の残つているもの、約三万円を鈴木氏に引継いだというようなことはございませんか。
  46. 森戸辰男

    森戸證人 それはやや違います。私がもらつて、そして私の考えで、というのは私の判断と良心に從つて適当と思うすなわち党と政務調査会の線とはずれない形でこれを使つて余つた金がありましので、それを鈴木会長個人渡したのでありまして、引継いだのではないのであります。
  47. 武藤運十郎

    武藤委員長 やや了解しにくいのですが、個人西尾氏から個人森戸氏に渡されたということになりますと、仰せの通りこれを私的にお使いになりまのも自由でありますけれども、良心從つて公的にお使いになつているというお話でありますが、やはり党の金であつて政務調査会に正式にはいつた金であつて、それをお引継ぎになつたというようなことではないですか
  48. 森戸辰男

    森戸證人 そうではありません。これはそういうことの報告もされておらず、私の判断從つて使つた、その使う線は私は私的なものであるべきではない、公的なものに使うべきであるという判断をして、そして政務調査会長をやめまして、残つた金があるから、これは自分判断でどこに使つてもいいわけでありますけれども、やはり自分の関心は政務調査会がよく育つていくことにあると思つたので、私と同じ地位に就かれた鈴木会長個人にこれを贈つたわけであります。
  49. 武藤運十郎

    武藤委員長 とにかく西尾氏から受取られました十万円の残金三万円ばかりを、新政務調査会長鈴木氏にお渡しになりましたのですね。
  50. 森戸辰男

    森戸證人 渡しました。
  51. 武藤運十郎

    武藤委員長 金額は三万円ですか。
  52. 森戸辰男

    森戸證人 金額はつきり覚えておりませんが、大体三万円です。
  53. 武藤運十郎

    武藤委員長 それではお渡しになりますときに鈴木さんに対してどういう趣旨お話をなさいましたか。
  54. 森戸辰男

    森戸證人 別に詳しい話はしませんでした。三万円手もとにあるので、これをお渡しいたしますから適当にお使いくださるようにということであります。
  55. 武藤運十郎

    武藤委員長 これは鈴木省さんじかにお渡しになりましたか。
  56. 森戸辰男

    森戸證人 それは鈴木氏にそう言いましたら、鈴木氏は当時副会長であつたと思うのでありますが、会計の方に渡してもらいたいということで、そちらの方に渡したのであります。
  57. 武藤運十郎

    武藤委員長 会計ですか。
  58. 森戸辰男

    森戸證人 会計ではない。資金のことをやつておる、私任務はよく知りませんけれども、そちらの方に渡してくれというので、そちらの方に渡しておきました。
  59. 武藤運十郎

    武藤委員長 当時政調にはほかからもずいぶん金がはいり使つておられたのでしようが、この金だけは政務調査会使つたほかの收入支出とは別になつておりますのですか。
  60. 森戸辰男

    森戸證人 別になつておりました。
  61. 武藤運十郎

    武藤委員長 社会党では党への寄附金その他の入金は必ず会計へ入れて、会計を通じて支出するということになつておりますか。それとも書記長、または委員長政務調査会長等がそれぞれ自由にその金を使い得ることになつておりますか。
  62. 森戸辰男

    森戸證人 これは明確に党費である場合には、会計を通さなければならぬはずと私は承知しております。しかしそういう限定のない金については必ずしもそういう手続を必要とせぬのではないかと私は考えております。
  63. 武藤運十郎

    武藤委員長 政務調査会会計は党の会計とはどういう関係になつておりますか。
  64. 森戸辰男

    森戸證人 政務調査会会計は党から独立しておる建前になつておるのですけれども、実際には党から人件費その他筆墨費等を受けて、党の会計に直結しておる。形の上では独立ということになつておりますが、実際は党と結ばれたもののようになつてつたと承知いたします。
  65. 武藤運十郎

    武藤委員長 機構的には社会党政務調査会は、日本社会党の一機関でありますか。別な機関ですか。
  66. 森戸辰男

    森戸證人 社会党の一機関です。
  67. 武藤運十郎

    武藤委員長 この西尾氏から受取れた十万円については個人という御趣旨では届出はしておられないのでしようね。
  68. 森戸辰男

    森戸證人 しませんでした。十万円ですね。
  69. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうです。――何かお聽きになることがございますか。
  70. 石田博英

    石田(博)委員 若干お伺いしたいと思います。西尾氏からその十万円を受取るときに、特に西尾氏から森戸さん個人に渡すという言葉がございましたか。
  71. 森戸辰男

    森戸證人 これはそうあらたまつた言葉はないのですが、政務調査会長であつた森戸さんに渡すと、こういうことであります。
  72. 石田博英

    石田(博)委員 それをあなた個人に渡されたものだという判断をされる根拠はどこにありますか、もう少し補足いたしますが、あなたが政務調査会長でなければその金は渡らない種類のものであると私ども考えます。またあなたの御証言もそういうふうに解釈されると思いますが、それをあなた個人社会党の一機関政務調査会費用という意味でなく、あなた個人に渡されたものであるという判断をされた根拠はどこにあるのですか。
  73. 森戸辰男

    森戸證人 これは西尾君も特別に政務調査会費用としてぜひ使えと言うわけではなく……もしそうであつたれば党の機関を通して私の政務調査会にくるはずだと思います。そうでありませんからそういうように判断したわけです。政務調査会にくる費用会計を通してくるはずだと私は思つております。
  74. 石田博英

    石田(博)委員 私ども考えではその金がどういう手続によつてとられたかということによつてその金の性質がきまるのではなくて、その金がどういう目的のために使われたかということによつて、その金が党費であるか党費でないかということを考えるべきであると思うのであります。すなわち西尾氏が党の会計を通されたか通されないかということは、もし通さないとすればそれは手続上の誤りであつて、それによつてこれが党費であるかないかということを決定するのではなくて、その金をどういう目的のために使う。言いかえるならば社会党政務調査会長であるあなたに対して、政務調査会の活動を活発にするためにあるいは政務調査会機構を拡充するために使つてもらいたいという意図をもつて会計支出せられた以上、それはやはり党費であろうと認定せらるべきものであると考えるのでありますけれども、あなたが受取られた場合には党の機関を通さないといたしましても、やはり社会党政務調査会を拡充するあるいは維持するために使つてくれという目的を含まれたものであると考えられせんですか。
  75. 森戸辰男

    森戸證人 それは私見解の違いもありますけれども政務調養会費用としてはつきりしたものであれば適当な機関通つて來、そしてはつきりとした限定がつけられるべきだと私は思つております。ところがそういうような限定はありません。そして私がその社会党幹部であつた政調会長であつたということとの関連はありますけれども、しかしそういう関連でそれが政調会の直接の費用に必ず使われなければならぬという限定は存在しないと私は思つております。
  76. 石田博英

    石田(博)委員 おそらく金銭授受を受けました場合に、これははなはだ嚴格にものを申すようでありますが、公的な機関を通して政治的の目的に使われる場合には政治資金ととて届け出でなければいかぬと政令三百二十八号によつて規定されております。一方個人に対して贈與を受けた場合は、これは収入として税務署届け出さなければならないことに、現行の法律では相なつておりますが、個人として受領せられた以上は、それを税務署個人として受領した額としてお届けになつておりますか。
  77. 森戸辰男

    森戸證人 それは届けておりません。
  78. 石田博英

    石田(博)委員 そうすると個人としてお届けにならないでもいい性質のものとお考えになつて届けにならなかつたのですか。
  79. 森戸辰男

    森戸證人 これは嚴格意味での党費でもなく、また嚴格意味での個人のものでもないというふうに、私は考えております。
  80. 石田博英

    石田(博)委員 そうするとあなたの御見解では税務署に届出しなくともよろしいし、党費として届出しなくともいい。どちらでもないという種類金銭授受が行われているというお考えのもとにお受けになつたのでありますか。
  81. 森戸辰男

    森戸證人 それはあなたの判断でありますが、そういう形で取得したのであります。
  82. 石田博英

    石田(博)委員 森戸先生はそういう意味においては非常に嚴絡な人格者であると私どもは尊敬しておるのでありますが、今日の國家機構の、そして法規の内部におきまして、そういう金の種類が存在をするとお考えになつておるわけでありますか。
  83. 森戸辰男

    森戸證人 それでありますから私はこれは私的のものには使つてはならぬ、公的なものに使うべきであるという判断に基いて一切私的なものには使わず、公的なものに使つたのでありますが、それは嚴格意味での党の費用どいう形ではないのであります。
  84. 石田博英

    石田(博)委員 それをどういう目的にお使いになるかということは、あなた個人がそれを受取られてからあなたの御判断でされることでありますが、その受取られるまでは、あなた個人の資格として個人収入として受取られたものであるか、あるいは党の政務調査会費用として受取られたものであるか、その二つしか私どもはないと考えるのであります。そうして個人として受取られたものであつても、それがあなた自身があなた自身の完全な所有に帰したその十万円を、あなた自身判断で公的なものに使われるということは次の段階に移るものであると考えます。第一の段階においては、あなたの立場といたしましては、公的な社会党政調会機関として受取られたものであるか、あるいは完全な個人として受取られたものであるかという問題になりますが、先ほどから承つておるところによりますと、完全な個人である。そうすると完全な個人として受取られたならば、それは個人の所得として当然税務署届けなければならぬ性質のものであると私は考えますが、その中間的な性質が第一の段階においてもあり得るとお考えになりますか。
  85. 森戸辰男

    森戸證人 これは先ほど申したようにその金は当時政調会長であり、社会党幹部であつた森戸に渡されたので、私はそれを個人として受取つた。しかしそれは使途は個人目的ではなく、公共の線に沿つて自己の判断によつて使つた
  86. 石田博英

    石田(博)委員 私どもがお伺いしておることは、その使途の問題ではなくして、受取られるときの経過であります。先日の西尾末廣氏に対する喚問におきましても、西尾氏は書記長個人という立場において受取つたということを証言しておられますけれども、今日大方の判断におきましては、そういう党の幹部としての個人というような種類の收入であろうとも、それは当然政党収入考えなければならぬという判断が決定的であります。その場合にあなたが再び政調会長としての個人、党の幹部としての個人、こういう御判断をされておいでになるというその立場は、はなはだ不明確なものであろうと思うのでありますが私どもはそれをこれ以上繰返そうとは思いませんけれども、そういう不明確な立場というものは、私ども立場といたしましては了解しがたいのであります。次にお伺いいたしたいことは、公的なことに対して使われたとおつしやいますが、それは社会党関係において、あるいはそのうちでも特に政務調査会関係において使われたものであるか、あるいはあなたはそのほかに衆議院議員として、あるいは文部大臣として公職にあられたのですが、そういう意味の公的な方面に使われたのであるか。公的という言葉意味を具体的に御説明を願いたいと思います。
  87. 森戸辰男

    森戸證人 これは先ほど申したように、社会党幹部であり政務調査会会長であつたという事実に根拠して、そういう線に沿うてこれを使つた、こういうことであります。
  88. 石田博英

    石田(博)委員 それではその具体的な使途を若干御説明を願いたい。
  89. 森戸辰男

    森戸證人 たとえば政調会の方に会員でない人々からも情報を得、資料を得、いろいろな聽き合せもしてもらわなければならぬ。そういう人に対してお礼もしなければならぬ。これは嚴格政調会費用とは申されないのであります。また政調会の現状におきまして生活を十分に保障するような金が渡されていないので、なかなかみんな生活が困つてつた。そういう人々がたとえば引越をするとか病氣をするとか結婚をするとか、こういうことがあつた場合には、殊にそういう人々が私の年來の知人であるというような場合には、何らかの形において亡れらを適当な援助をしてやる。たとえばそういうような使途に使つたということを御承知願いたい。
  90. 石田博英

    石田(博)委員 後者の場合はある程度了解ができないでもありませんけれ  ども、前者の政務調査会長としてその活動をするために、情報資料を蒐集するために要する費用というものはこれは純然たる政務調査会費用であると私ども考えるのでありまするが、それをもしもあなた個人費用とあなたはお考えになつていらつしやるのですか。
  91. 森戸辰男

    森戸證人 これは政務調査会長として政務調査会で集めておるのではなくしで、会長として、また耐会党の幹部として適当な客観的な認識をもたなければならず、諸種の情報も得なければならぬ。こういうような関係からそういう人々から協力を得た。それに対して適当な謝礼をするということは十分考えられることではないかと私は思います。
  92. 石田博英

    石田(博)委員 政令三百二十八号において規定されておりまする党費性質というものについて、私たちの見解森戸さんの見解とがかなり違つておるように思われるのであります。これは見解の相違かもしれませんけれども、私ども見解をもつてしまするならば、その金がどういう目的のためにどういう方向に使われたかということによつて、それが党費であつたかどうかということが決定されるものだと私ども考えておるのであります。それが党の正式の機関を通つてきたもののみだけを党費として考えて、それだけを届け出せ、公開すればいいというのではなくして、あらゆる裏に暗い影として隠されているもの、あるいは未知のものであろうとも、それが政党の活動のために使われたものである限りは、それは党員として届け出ざなければならないというのが法の精神であろうと私ども考えておるわけでありまするが、ただいまおつしやいました費用は、あなたが政務調査会長としてだけの立場でやられたのではなく、政務調査会長というのは個人の地位ではなくして、私ども政党の一つの機関であると考えて一号わけでありまするが、その政党機関としての、政務調査会長としての立場で必要な活動に要した費用はやはり党活動の費用と私どもは認定いたしまするが、私ども見解に対して今でもやはり、反対の御見解、つまり完全に個人として独立的な立場を守り得るという御考えをもつておられるかどうか。
  93. 森戸辰男

    森戸證人 それは考え方の違いであろうと思います。
  94. 石田博英

    石田(博)委員 次にお伺いいたしたいことは、残りを三万円次の鈴木政務調査会長にお渡しになりますときに、手もとにある金がこれだけあるからという、それだけのお言葉で、つまり金の性質について何ら申されないで鈴木政務調査会長が無条件で受取らした。何も申さずに受取られたという点に私どもは若干の疑点をもつものでありますが、それは政治的な疑点をもち得るのでありますけれども、その程度の説明では特に政治資金に関する規則がやかましくなつておりますときに、性質が明らかでない、届け出てあるのかどうか、あるいはどういう種類かというような反問が鈴木茂三朗氏からございませんでしたか。
  95. 森戸辰男

    森戸證人 これはなかつたと承知しております。これは先ほどもつたようにすぐに鈴木君にお渡ししたのではなくして、お渡しするということを言つて鈴木君はそれでは西村君の方へということで渡した。そういう事情であります。
  96. 石田博英

    石田(博)委員 聽きとれませんでしたがもう一度念を押しますが、その金を直接お渡しになつた方は西村榮一氏でありますか。
  97. 森戸辰男

    森戸證人 そうです。
  98. 石田博英

    石田(博)委員 西村榮一氏は政務調調査会の会計のようなことをやつておられた立場でお渡しになつたのですね。
  99. 森戸辰男

    森戸證人 ええ、そうです。会長がそれでは西村君に渡してくださいということでありました。
  100. 石田博英

    石田(博)委員 そのとき西村君もその金の性質については何らの御質問がなかつたわけでありますか。
  101. 森戸辰男

    森戸證人 ええ、大体今言つたような性質の金ですね。今言つたような形で私がもらつた金、そういう性質のことは申しました。
  102. 石田博英

    石田(博)委員 わかりました。
  103. 中野四郎

    ○中野(四)委員 この際森戸証人に伺いたい。先日來この委員会におきまして、西尾証人並びに藤田証人よりの種々の陳述によりますれば、この渡された十万円という金は、あくまでもあなたの証言なさるような森戸個人渡したものにあらずして、政調会のいわゆる発展を期するために、政調会の強化を期するために、その金として贈られたということが明確になつております。すなわち藤田証人は、これは政務調査会において当時ポピユラーな問題でありましたが、政務調査会森戸自身もこのととは確認しておりました、政務調査会幹部は大体これは承知しておつたのであります、ということを前提にして証言をしております。さらに西尾証人は、藤田榮君と森戸辰男氏の関係もあるだろうから、何ほどか政調会費用として森戸氏にお渡し願いたいという証言をしておるのであります。かかる観点からまいりますれば、あなたの先ほど御証言なすつた非常にデリケートな言葉、いわゆる西尾証人とやや揆を同じうするような、政務調査会長森戸個人が金をもらつたもりである、しかしながらその使途はあくまでも公的に使つたというようなお言葉においては、われわれは了承するわけにはまいらぬと思うのでありまするが、しかしながらこれはまだいろいろと各委員から質問があろうと思いますから、私はこの点は省略いたしまして、特に伺いたいと思うのは、今日の政党が、かかる意味合の形で金の支出が行われるということが容易になりますれば、あなた方が内閣時代に、すなわち昭和二十二年の十二月三十日に特に三百二十八号の政令をば強化される段階において改正をされた。その提案をした者は、言わずもがなあなた方の連帶責任においてなされたものであります。從つてこのようにして政党届け出るべき正確なるところの政党の金が政務調査会のいわゆる個人の金というような形において、この政令の精神が踏みにじらしるというようなことになるならば、その立法の趣旨にも反すると私は考うるのでありまするが、あなたの今日の現段階における心境をまずひとつ伺つておきたいと思うのであります。
  104. 森戸辰男

    森戸證人 政務調査会の健全なる発展は政務調査会関係の人はだれも考えておつたところであります。それがためには、政務調査会機構を拡大強化するということを私どもはしばしば考えて、そういう立案もいたしておつたのでありますけれども、その段階には実は遺憾ながら党の事情もあつて達していなかつたので、ありますそこで当時における政務調査会の発展を健全化するためには、会長としてはいろいろ先ほど申したような事情で困難な場面もあろう、そういうところを助けて、政調会が伸びるようにということを考えたことは皆であります。党員の藤田君もそういう考えをもつておられたと思うのであります。それはすぐに政調機構を拡大し、政調に寄附するということでなくて、政務調査会長たる森戸を援助して、政務調査会の外面的な援助をするということで問題をある程度解決するというような考え方があつたと承知いたします。そういう線に沿つて出したのであります。しかもそういう形であります場合には、私は政治家がその金をいかに適当な判断と良心によつてこれを使うかということが大事な問題であると思うのであります。そういう点で私の受取りましたものは私の良心と判断に從うてこれを処分したと私は考えております。
  105. 中野四郎

    ○中野(四)委員 從つて森戸さんのお話を張合すると、政務調査会費用として賄つたことは間違いないのでありますから、その費用党費に属するということを御確認なさすつていらつしやるという結論に陥ると思いますが、その点をあらためてもう一度伺いたい。
  106. 森戸辰男

    森戸證人 それは違います。それはあなたの御解釈でありまして、政務調査会の正当な費用というものではなく、政務調査会長であつた私を助けるということは、政務調査会党費としてこれを入れることよりは廣いものをもつておると私は考えます。
  107. 中野四郎

    ○中野(四)委員 私はよろしいです。
  108. 徳田球一

    ○徳田委員 森戸証人に御質問いたします。第一に社会党幹部並びに政務調査会長としての個人に存在するのですかしないのでか。
  109. 森戸辰男

    森戸證人 それは御判断に任せます。
  110. 徳田球一

    ○徳田委員 御判断ではありません。それはあなたとしても、政党の領袖であり、なおまた文部大臣である以上、社会的な一つの観念に対して自分が都合のいいように便利な考え方をすることは罪惡であると思う。そういうのではなくて、社会的な一つの観念としてここに論ずべきであると考えるのである。いかなる党においても幹部なしにまた政務調査会長抜きでここに何か残りますか、社会党幹部抜きで社会党がありますか。そういうものを個人と理解する根拠がどこにあるか御答弁を願いたいのであります。
  111. 森戸辰男

    森戸證人 個人にはいろいろな個人があります。政調会長である森戸というものがあれば、また何らそういうものに関係のない森戸個人というものもあるわけであります。個人にはいろいろ限定があると思う。
  112. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると、政調会といろものは政調会長という個人を抜きにして別に政調会がありますか。
  113. 森戸辰男

    森戸證人 そういうことをぼくは言つてはおりません。個人というものにはいろいろあります。個人は一つではなくて政務調査会長である森戸という場合もあるし、文部大臣としての森戸というものもありますし、ときどきによつて個人のいろいろの違つた形を現わすと思います。
  114. 徳田球一

    ○徳田委員 そういう場合政務調査会長といえば、政務調査会の一つの機構としてであつて個人ではないと私は思う。公人、政党人として責任をもつべき地位にある。文部大臣なら文部大臣として、國務大臣もしくは行政官廳の公人として存在するのであつて、そういう個人というものはないはずじやないですか。それはあなたの私生活のことを個人というのであつて、ここでは法律の上のことではなく、政治的な観念として言うのでありまして、そういう意味での個人が存在しますか。
  115. 森戸辰男

    森戸證人 個人というのはそういう抽象的なものではなくて、いつも具体的なものであるから……。
  116. 徳田球一

    ○徳田委員 文部大臣としての個人というものを考えることが抽象的なのであつて……。
  117. 森戸辰男

    森戸證人 いや、そうじやない。そういう議論は横道のようですけれども、私はそうは思いません。
  118. 徳田球一

    ○徳田委員 それではいいのです。それは委員会できめればいいのです。  しからばあなたは森戸辰男さんという社会党幹部並びに政調会長としての個人として西尾さんから受取つたのではないのですね、この金は……。
  119. 森戸辰男

    森戸證人 それはどういう意味ですか。
  120. 徳田球一

    ○徳田委員 いや、あなたの先ほどの委員長からの問いに対するお話では、西尾という全然別個の個人、私的関係個人から森戸という私的関係個人受取られたというふうに陳述せられておりましたが、そういろ意味ですか。
  121. 森戸辰男

    森戸證人 社会党幹部であり政務調査会長であつたのですから、そういう形の個人の……。
  122. 徳田球一

    ○徳田委員 それならわかります。それならば西尾君の書記長としての個人から社会党幹部でありかつ政務調査会長個人である森戸さんに渡されたわけですね。これは大事なことですからあなたの思う通りつてください。
  123. 森戸辰男

    森戸證人 私は個人として受取りましたが、当時私は御承知のように社会党幹部であり、政務調査会長であつたのであります。
  124. 徳田球一

    ○徳田委員 それゆえに私的生活における個人としては受取つておらぬのですね。
  125. 森戸辰男

    森戸證人 全然私的生活のものではないのです。
  126. 徳田球一

    ○徳田委員 全然ではないが、幾分かはあるのですか。
  127. 森戸辰男

    森戸證人 だから個人という場合は政務調査会長そのものとしてではないので、当時政務調査会長の職にあつた森戸個人としてというのであります。
  128. 徳田球一

    ○徳田委員 そこは禪問答みたいになりますから、大体それくらいにしておきますが、しからばこの金を使つた使途は先ほどあなたの申されたところでは、政務調査会長並びに社会党幹部としてのその線でということになつておりますが、その線以外のものはないわけですか、あるのですか。
  129. 森戸辰男

    森戸證人 これははつきりとした記憶はありませんが、方向としてはそういう方向に私は使つたと思つております。それは私は純粋的なものとして使うべきものではないと考えたからであります。同時に正確な意味での、普通理解されておる意味での政調会の会費としても党費としてもこれは使わなかつた
  130. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると個人でもなく政調会のそれらのものでもなく、そつちかこつちかの中間的なところで使われる、こういうわけですか。
  131. 森戸辰男

    森戸證人 そういうわけです。中間的といいますか、外のわくといいますか、そういう種類のものがあると思うのです。たとえば今申しましたように、厳格に言えば政務調査会で月給を拂つておるような者が病氣をしたり結婚したりする、そういう場合は政調の金から出ないというような、ところに会長個人としていろいろ心配するということは、ぼくは十分あり得ることだと考えております。
  132. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると機密費といつたようなものですか。
  133. 森戸辰男

    森戸證人 機密費という名前はどうですか知りませんが、そういう線のものも含まれておると思います。
  134. 徳田球一

    ○徳田委員 そうするとこういうことになるわけですか。政調会を成長させるためのものであり、政調会の活動を旺盛ならしめる一つの作用はなすけれども政調会の規則というものにあてはまつたものではない、こういうふうに理解してよろしいですか。
  135. 森戸辰男

    森戸證人 それから必ずしも政調会にすぐに全部かかるという性質のものでないかもしれません。というのは、こういう限界は非常にはつきりした限界がないのです。長い間私の友人であつた者政調会にはいつてそれが病氣をしたり結婚したというときに、一体会長が出したのか、政調会で出したのか、個人として出したのか、嚴格なきまりがつかぬというような場合もある。それはどういう形でいくのかわかりませんが、そういう費用が相当要ると私は考えております。
  136. 徳田球一

    ○徳田委員 しかしながらこれは政調会の仕事を旺盛にし、活発にするための一つの支えになるのではないですか。
  137. 森戸辰男

    森戸證人 そういうことにも役立つと思います。
  138. 徳田球一

    ○徳田委員 そういうことにもですか、ほかにもですか。
  139. 森戸辰男

    森戸證人 同時に個人的な関係もありますけれども、しかし政調会の発展を間接的に育てていくということにも役立つと思います。
  140. 徳田球一

    ○徳田委員 そうですか。それはよろしゆうございます。そこで一番最後の問題でありますが鈴木茂三郎君が受取るときに、いや、これは私が受取るのではなくして会計にまわしてくれというので、会計の西村榮一君に渡したということでありますが、そうするとこれは政調会会計ですね
  141. 森戸辰男

    森戸證人 会計ではないのです。
  142. 徳田球一

    ○徳田委員 さつきの話では会計ということだつたが……。
  143. 森戸辰男

    森戸證人 会計のことを監督しておつたという意味じやないかと思います。会計は別にあるはずです。
  144. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると監督個人ですか。
  145. 森戸辰男

    森戸證人 会計のことを見ておつた西村君です。
  146. 徳田球一

    ○徳田委員 そうするとこれは会計渡したのではなくて、その監督した、西村君個人渡したのですか。
  147. 森戸辰男

    森戸證人 これは鈴木会長が西村君に渡してほしいという話でしたから、そちらへ渡したのです。
  148. 徳田球一

    ○徳田委員 最初のお話では、会計渡してくれと言つたというお話でしたが、石田君の質問に應じて西村榮一という名を出したわけですね。
  149. 森戸辰男

    森戸證人 そうです。
  150. 徳田球一

    ○徳田委員 するとあなたのお話の前後を通じてみますと、会計の西村榮一と言わなければ、これは意味が通らぬと思いますが、今度は会計だけは除くわけですか。
  151. 森戸辰男

    森戸證人 いや除かれぬでもよいですが、あれは会計ではないかと思います。西村君は会計の通過を監督する、そういう任務を分担した人と思つております。
  152. 徳田球一

    ○徳田委員 そうするとこれは会計という公職へ渡したのではなくして、会計監督という個人渡したわけですか。
  153. 森戸辰男

    森戸證人 そういう公職ではないと思いますが、それを監査するというか、そういう部面を掌つている西村君に渡してくれ、こういうことであります。
  154. 徳田球一

    ○徳田委員 そうするとこれは会計にははいつておらぬわけですか。
  155. 森戸辰男

    森戸證人 会計には入つておりません。
  156. 徳田球一

    ○徳田委員 西村君個人があなたとじじ立場で使われるわけですか。
  157. 森戸辰男

    森戸證人 それは西村君の判断によるわけでありますし、あるいは鈴木会長判断によるわけであります。私はそちらへ渡したのであつて、あとはまたどういう判断によつて使われてもよいので、どうして使われるか、これは次の段階であります。
  158. 徳田球一

    ○徳田委員 最後に申し上げておきますが、そういう関係であれば、これは社会党費用じやない、党の資金でもない。從つてこれに対する届出は一切やつてらぬということになりますね。
  159. 森戸辰男

    森戸證人 そうです。
  160. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 森戸さんが政調をやつておられた時分には、会計はだれがやつていたのですか。
  161. 森戸辰男

    森戸證人 それは西本喬君と記憶しています。
  162. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 その人が金の出し入れをしておつたわけですか。
  163. 森戸辰男

    森戸證人 そうです。
  164. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それから鈴木政調に変つたときには、だれが会計の仕事をやつておりましたか。
  165. 森戸辰男

    森戸證人 これは私ちよつと記憶しておりません。というのは、私政調会から出ましたから。
  166. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 先ほどおつしやつたときに、三万円の手許にある金を、鈴木氏に使つてもらいたいと言つた会計に渡せというので会計渡したと聽きましたが……。
  167. 森戸辰男

    森戸證人 それはもしそうだつたらば間違いで、会計のことをみている西村君にということの意味であります。会計は当時たれがやつてつたか、これはもつと下の事務の人がやつているはずであります。
  168. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 相当大きな金ですが、やはり森戸さん自身がこの金の出し入れをなさつたわけではありませんでしようか。やはり西本という人がやつたのでございますか。
  169. 森戸辰男

    森戸證人 いいえ、それは私がやつたのです。
  170. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 実際はあなたがなさつたのですか。
  171. 森戸辰男

    森戸證人 そうです。
  172. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そうすると、会計の西本という人は何をしたのですか。
  173. 森戸辰男

    森戸證人 これは党本部から政調会員の俸給をもらつたり、その他の費用を取扱つたのであります。
  174. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 これは本部附の会計ですね。
  175. 森戸辰男

    森戸證人 それが政調会会計です。
  176. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 いかがでしようか。二万円が引継がれたとしましても、七万円ほど出ているのですが、先ほどの御説明でよくわかりませんが、どういうところへ使われたか、その使途を覚えておられるだけここで話してもらいたい。どういう方面へどれだけ使つたか、大体のことでよろしゆうございます。何銭何厘まではわかりますまいが、一万円はどこへ使つた、五千円はどこへ使つたという、大体覚えているところをお示し願いたい。森戸證人 そういつことは詳しく覚えておりませんけれども、大きな線で言いますと、先ほどもつたように、政調会でない人で情報とかあるいは資料とかいうようなものを集めてもらつたり、また私がいろいろ意見を聞いたりするような人に対してのお礼があります。それからもう一つは……。
  177. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 どういう人ですか。そういう礼をなさつた人は……。
  178. 森戸辰男

    森戸證人 それは一々名前を言う必要がありますか。
  179. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 ええ、その使途を明らかにするのが本委員会目的でありますから、どうか一つ……。
  180. 森戸辰男

    森戸證人 別に隠しはいたしませんけれども、たとえば廣瀬健一君とか……。
  181. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それはどういう人ですか……。
  182. 森戸辰男

    森戸證人 それは今言つたような金をやつた人ですそれから清水愼三君とか、岡治君とか、そういうよな人に……。     〔「そんなことを聽く必要があるか」と呼ぶ者あり〕
  183. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 大事な質問をやつておる、委員長議場を整理してください。     〔「委員長議場を整理せよ」と呼びその他発言する者多し〕
  184. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 黙つて聽け、発言中だから……。     〔「黙つて聽いておれぬがな」と呼ぶ者あり〕
  185. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 こういうことを聽くのは当り前じやないか、どこがわからぬ。私どもは三人の名前を聽いたばかりではわかりません。あとどういう人にやつたはつきり言つてください。またこの三人にどういうふうに使われたかもおつしやつてください。
  186. 森戸辰男

    森戸證人 一々細かいことは……。     〔「委員長そんなことを聽く必要があるか」「公平にやろうじやないか」「公平だよ」と呼びその他発言する者多し〕
  187. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 人が聽いているのだから黙つて聽いておつたらいいじやないか。どうでしよう、その三にんだけじやよくわかりませんから、あとをおつしやつてくれませんか。またどういうふうにお使いになつたかも……。約七万円の金です。
  188. 森戸辰男

    森戸證人 それと、先ほどもつたように、政務調査会の人で結婚したり病氣した人に対しての手当もあすにます。
  189. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 結婚したと言つても、その結婚の費用をもつたわけじやありますまい。冠婚葬祭の意味でしよう。
  190. 森戸辰男

    森戸證人 そうです。
  191. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そうするとそれはどれくらいですか。結婚の費用などというものは、いくらでもないでしよう。
  192. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 ぼくは断然聽く。もう少し詳しく――結婚の費用というものは私ども考えから言うと、そう大した金ではありません。七万も十万もの金ですから、よく説明していただきます。
  193. 森戸辰男

    森戸證人 七万も十万もと言いましても、三万は私は鈴木会長に……。
  194. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 十万円のうち三万円は鈴木会長に引継いだ……。
  195. 森戸辰男

    森戸證人 引継いだのではなく、渡した。これは非常に違います。
  196. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 鈴木会長渡したのは三万円、そのあとをもう少し……。     〔発言する者あり〕
  197. 武藤運十郎

    武藤委員長 明禮君、七万円だけですからね。どうですか、これを一々詳細に伺わなければなりませんか。
  198. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 私は一々の詳細については書面でお伺いしたいのですが今ここに七万円の金の中に結婚の費用使つたというような説明があるから、私はもう少し聽きたい。それはこういう点から眞相がわかるのであうて、素人の人にはよくわからぬ。     〔「素人というのはだれだ」その他発言する者あり〕
  199. 武藤運十郎

    武藤委員長 明禮君、書類で求めたらどうですか。
  200. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 要点だけはもう少し話したらどろですか。結婚費用などということは言われないで、私は二、三よいものを御説明願えればそれでよいのです。
  201. 森戸辰男

    森戸證人 それから情報を得たというようなことに対してのお礼、それから病氣もあれば、引越しもあれば、生活に困るということもありますから、それは相当の額に上るわけです。そういうものを勘定すれば……。
  202. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 大体どのくらいになつておりましようか。     〔発言する者多し〕
  203. 武藤運十郎

    武藤委員長 私語を禁じます。
  204. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 廣瀬健一、清水愼三、成岡修というような方にはどのくらいお出しになつたのですか。
  205. 森戸辰男

    森戸證人 大体八千円くらいです。
  206. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それから結婚費は大体どのくらい、病氣の方とで五、六千円ですか。
  207. 森戸辰男

    森戸證人 八千円というのは一人ですよ。結婚費その他はよく記憶しておりませんけれども……。
  208. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 およそ……。
  209. 森戸辰男

    森戸證人 それは全体として生活費め補給等ありますから、相当の額です。
  210. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 一人八千円というと三人で二万四千円……。     〔発言する者あり〕
  211. 武藤運十郎

    武藤委員長 明禮君、大体その辺でいいことはないかな。
  212. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それではこれ以上の御説明がないということで打切りしましようか。
  213. 森戸辰男

    森戸證人 今一々小さい金額は覚えていない。
  214. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 私はこれだけお尋ねするけれども、詳細なことはよくわからぬということで、書面あとで出していただきましよう。書面で出すのにはびしやつと出しいただきたい。
  215. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは書面で三日以内にお出しください。
  216. 森戸辰男

    森戸證人 ええ、それは記憶をたどて……。
  217. 田中健吉

    ○田中(健)委員 私は社会党におりまして、やはり政調の一人でございました。政調が金のないということはよく知つているのですが、森戸さんのお話を黙つてつていて、私は質問しまいかと思つていたのですが、当時われわれが社会党におつたとき考えておつたことと大分違うのです。政調に金がない。金がないので、本部の会計からもらえないから、どうしようかという相談を虎の門の社会党の分室で何遍もした。そのとき森戸先生もわれわれもおつたわけです。それで金を集めるという相談をした。それはどういう相談であつたかというと、私の記憶では政調会調査費、活動費、大体これに限定されておつたのじやないかと思うのです。決して結婚の費用でも何でもない。そこでこの金をどうして集めるかということについて皆骨を折つたのだろうと思う。結局われわれと一緒に社会党を脱党した藤田君が政調に金がないということをよく知つてつたので、この金を、森戸さんも政調会長であつたのだし、政調の方にまわしてやろう、こういうことからこの金が政調の方にまわつてつたので、決して森戸個人に対して金が行つたのでないと思う。この間から社会党書記長西尾個人などという言葉がはやつておるけれども、それはそうじやない。これは政調会長として森戸氏のところにいつたのであつて、決して個人ではない。しかし森戸氏の金を受けられる心境は別問題として、金をつくるという当時の情勢から判断する場合には、これは政調会長森戸氏になつております。(「質問ですか」と呼ぶ者あり)こういうふうに金の性質というものははつきりしておる。そこでこの金が五十万円全部が明らかにされなければならないことになつたので、当時の加藤委員長に対して、私がこれを明らかにするために調査を要求した。何遍もやつたけれども加藤委員長はどうしても取上げない。最後に一月三十一日に文書をもつて出してくれ。こういうような経過でありまして、この際私は森戸先生は何らかそこに誤解しておるか、さもなければ、この委員会の眞相糾明に対して眞実を述べないような、眞実を述べることを拒否しておるのではないか、これは金を出すことに努力する藤田君などの精神にも合わない点であつて、これらの点について森戸先生はどういうふうにお考えになつておられるか。金の出る性質はそういうものだと思う。大体その線に沿うて使われておる。ただその過程において個人という言葉が出てくるので、はなはだどうもおかしいじやないかと思いますが、この点は森戸先生はどう思うのですか。両端はきつぱりしておる。金が出る方のことと使われることと、これはよいが、まん中のあたりはどういうところですか、森戸先生にお伺いしたい。
  218. 森戸辰男

    森戸證人 政調会お話ですが、政調会が金がなくて困つて、いろいろの形で金を調達しなければならぬ。それにはあるいは代議士諸君から金をとるという案もあり、いろいろ援助者を求めてそれに割当てるというような考え方もあり、また党員個人自分の力に應じてこれを出してやつたらよいだろうというような、いろいろな考え方があつたのでありまして、そういう形で強化していかないといけないと議論されたことは、今田中君の言われた通りであります。ところでそういう計画については、実はいろいろの事情で遺憾ながら実現されずにおつたのでありまして、そのうちに私はやめることになつたのでありますが、その間に藤田君からも党員としていろいろ心配されたと思うのです。しかし私に関しましては、政調会を離れられない関係にあり、殊に私が政調会長としての線に沿うて十分に活動ができるようにというような面が藤田君の努力にも含まれておりますので、ただいわゆる政調会の正常的な費用を調達するという線と努力とは全面的に一致しない面があるのであります。私がもらいましたところのものは、承知した限りでは政調会長であつたが、この会長森戸会長としての仕事がいろいろな面においてできるようにという形でぼくを援助してもらう。こういう形だつたと私は了解しておるのです。そしてそういう線でこれを使つたわけです。
  219. 田中健吉

    ○田中(健)委員 そうすると大体三つあると思う。金を出すにはこういうふうにして渡さなければならないということになつたという私の言うことを、大体森戸さんも認めていらつしやると思う。それから藤田君が森戸先生ときわめて密接な関係にあつて金が出てきておる。しかし藤田君の証言によりますと、この金は社会党にやつた金である。十万円は政調にやつた金である。こういうふうに藤田君が了解しておると証言しております。もう一つの点は西尾氏かち金が出ておる。これは個人から個人へと、同じく三つになつております。森戸先生はそのうち全部、個人から個人へということも認めておられるし、それから藤田君の言つておられることももつとも、その通り政調の方でいろいろと話合いしたこともその通りである。こういうことになると、その中のどれが森戸氏のほんとうの眞実でありますか。この点は眞実をこの際お述べしていただきたいと思います。
  220. 森戸辰男

    森戸證人 取調のいろいろな計画等は実は実現されなかつたのであります。ですからそれは会計の外にある点であります。藤田君については、藤田君はもちろん政調のことに対しても非常な関心をもつておりました。同時に政調会長であつた森戸個人についても非常に同情をもち、そしてその仕事がうまくいくように非常にやつたと思うのです。     〔委員長退席、梶川委員長代理着席〕 そういう面があるので、その点私は矛盾がないと思うのです。
  221. 辻寛一

    ○辻委員 政務調査会の正当なる資金費用というものは、当然党費であるということは先ほどの御証言でお認めになつたのでありますが、それでは一体政調会の正当な資金というものは、どういう経路からはいつてきたものを正当な資金とお認めになつておりますか。先日細野さんの御証言によりましても、やはり台所が苦しいから、ほんの人件費とか筆墨費程度しか出していない。あとは自給自足でやつてつてもろう。こういう建前でやつておるそうでありますが、そうしますれば、党を通じてはいる政調会費用というものは少いだろうと思う。その他は自給自足でお賄いになつておると思いますが、そういうものはやはり党費の一つだというふうにお認めになつておりますか。どんなふうな程度のものを正当なる資金とお認めになつておりますか。
  222. 森戸辰男

    森戸證人 正当な政調会費用は、党を通してやることが正当な政調会費用と認めております。
  223. 辻寛一

    ○辻委員 そういたしますと、党を通じた以外の政調会費用は、どこからもはいつておらぬのですか。
  224. 森戸辰男

    森戸證人 党の直接のものと、党を通してこなければ政調会の正当の費用ではないと私は思います。
  225. 辻寛一

    ○辻委員 党を通じてでなく、大体自給自足でやつていくという建前になつておるのでありますから、政調会自体としてもある程度まで寄附金がはいつておるだろうと思いますが、そうした経路をたどつてはいる資金というものは、政調会のあなたのいわゆる正当な資金、すなわち党費、こういうふうにお認めにならぬわけですか。
  226. 森戸辰男

    森戸證人 そういうものがなかなかはいらないから政調会は困つてつたのです。
  227. 辻寛一

    ○辻委員 成績の惡かつたということは先ほど承りましたが党を通じてまいる人件費、筆墨費だけでとうてい賄つていけないはすです。相当政調会自体へはいつている援助金というものがあると思いますが、そういうものは全然なかつたのですか。あなたの政調会時代には……。
  228. 森戸辰男

    森戸證人 そういうものを補う形において一つはとつたわけです。
  229. 辻寛一

    ○辻委員 補つたものは政調会の正当な資金というふうにお認めにならぬわけでありますか。
  230. 森戸辰男

    森戸證人 正当な資金としては私は認めておりません。正当な給料等は本部からもらつてつたわけであります。
  231. 辻寛一

    ○辻委員 そうしますと、そういう資金は、今承れば若干はあつたような話でありますが、やはりこれは政調会というわけではなく、森戸個人としてそれもお受けになつているわけでありますか。
  232. 森戸辰男

    森戸證人 今の問題ですか
  233. 辻寛一

    ○辻委員 そうです。
  234. 森戸辰男

    森戸證人 今の問題というのは、西尾君から受取つた例の問題ですか。
  235. 辻寛一

    ○辻委員 いやそうではありません。それ以外に本部からくるのでは足らぬから多少補つてつた。その補うためにはいつてきた援助金というものは政調会としてではなく、やはりあなた自身としてお受取りになつているわけでありますか。
  236. 森戸辰男

    森戸證人 それは受取つておりません。私自身がこれを援助し、発足したのが、実はお正月ちよつと後ですから……。
  237. 辻寛一

    ○辻委員 そうしますと、西尾さんからの十万円以外には、党を通ぜずにはいつたところの政調会費用というものは全然なわけですか。
  238. 森戸辰男

    森戸證人 私の記憶ではないと思います。
  239. 辻寛一

    ○辻委員 全然ない……。
  240. 森戸辰男

    森戸證人 私は、私で補給したものはありますけれども……。
  241. 辻寛一

    ○辻委員 あなたの補給されましたのは、これは政調会本來の活動を盛んならしめるためにあなた自身から補給されたわけでありますか。、
  242. 森戸辰男

    森戸證人 補給というのは、生活に困つておりたりなんかした人りために出したものであります。
  243. 辻寛一

    ○辻委員 そうしますと、今の西尾さんのお金と同じような性質使い方でありまして、あなたの補給されたのも政調会自体の活動のためにお使いになつた費用ではなかつたわけですね。
  244. 森戸辰男

    森戸證人 そうです。
  245. 辻寛一

    ○辻委員 政調会自体の活動は、党を通じた資金以外には全然なくて御活動になつていらつしやつたわけですね。
  246. 森戸辰男

    森戸證人 そういうものはありませんでした。
  247. 辻寛一

    ○辻委員 それから三万円を鈴木会長に渡されたというのでありますが、これは鈴木さん個人にお渡しになつたのか。先ほどの御証言の中には、西村君の判断によつて使われたというお話もあつたが、大体鈴木さん個人にお渡しになつたか西村君個人にお渡しになのか、あなたはどういうふうに御解釈になりますか。
  248. 森戸辰男

    森戸證人 それは私が西尾君から受取つたと同じような関係であります。
  249. 辻寛一

    ○辻委員 それは個人として鈴木さんにお渡しになろうとした場合に、鈴木さんは西村君にお渡ししてくれということで、あなたは西村君にお渡しした、こういう関係になつておりますか、手渡しされたのは西村君でありますか、一体どちらの個人にお渡しになつたと思つていらつしやいますか。
  250. 森戸辰男

    森戸證人 個人としましては西村君に手渡したわけであります。
  251. 辻寛一

    ○辻委員 現実の形はそうであります。ところが西尾さん個人から森戸さん個人にもらつたと同じような意味において、あなたがお渡しになつたのは、一体森戸個人から鈴木個人に渡されたのか、西村個人に渡されたのか、どちらに解釈なさつておられますか。
  252. 森戸辰男

    森戸證人 鈴木さんに渡したわけでありますが、そしたら鈴木さんは西村君に渡してくれということでありましたから私は西村君に渡しました。
  253. 辻寛一

    ○辻委員 それでは先ほどの御証言で、金の使い方は西村君の判断だというようなお言葉がありましたが、その辺がちよつと曖昧でありまして、西村氏個人、こういうふうにお考えになつているのではないかと考えますが、やはむ鈴木個人とこういうふうにに御断定なさるわけですね。
  254. 森戸辰男

    森戸證人 鈴木個人、それから鈴木さんが西村君に渡してくれということですから西村君に渡したわけであります。鈴木さんと西村君がどういう話合いがあつたか知りません。
  255. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 簡單に伺います。今のことに関連をいたしますが、鈴木会長に三十万円を渡すということをお話になつたときに、西村君に渡してくれと言つたその西村君は会計監督のような立場になつてつたのですが、そのあとを伺いたい。鈴木会長に渡されるはずの金を西村榮一を通じてやられた、その使つた金について先般細野証人から伺いますると、政調会政調会人件費と本部からくる若干の事務費以外のものは政調会自身で金の調達をして活動するような建前になつてつたが、そういう金の相当できたものを使つて、あとは月末に一括してそういうものを報告せよという建前になつてつた、こういうことを承つておりますので、察するに鈴木さんが個人として、受取られて個人として使われただけでなく、あのるいはまた政調会として正式に政調会費用使つたという届出が本部の会計にあるかもしれない、こういうことを私は感ずるのですが、その辺について何かお確かめになつたことはありませんか。
  256. 森戸辰男

    森戸證人 私はありません。
  257. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 それは証人がおわかりになつておらないだけで、あるいはそういうことになつておるかもしれんというわけですね。
  258. 森戸辰男

    森戸證人 それは全然私は存じません。
  259. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 もしおわかりになつていないとすれば、新しい会長においでを願うのも面倒でございますから、その金ははたして鈴木会長なり、西村榮一氏なりが個人として使われたか、あるいは先申したように、政調会でできた金として政調会費用使つたあと報告した。そのことを帳簿その他の上に記帳してあるかどうか、そのことを早い機会にお調べ願つて報告願いたい、これが一つ。今一つはこの問題に関連して、遡りますが、西尾氏が個人として、会長であつた証人個人の金を渡すということはほかに例がなかつたということを証言なさつたのですが、そういうことから判断しますると、戰争中ならいまだしでありますが、その金をお受取になつたのが戰後の五月の初めだというのでありますから、そういう際に十万円というようなまとまつた金が個人から個人にくというのは、これは変だというような感じを起されるのがあたり前だということが一つと、先に申したように鈴木会長に渡される際に、これは会計みたいな役割をしておる西村氏に渡しておいてくれと言われた、それらのことを総合いたしますると、やはり金の出所はこういうものであつて、こういう性格の金だということを御判断になるのが普通であるかのように考えるのでありますが、その辺について御判断がなかつたかどうか、この点を伺います。
  260. 森戸辰男

    森戸證人 今の御質問ちよつととはつきりしないところがあるのですが、お聽きになりたい要点をもう一度……。
  261. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 金の出所については何か不審を起こされなかつた、どこから來た金かということについての糾明をなさらなかつたかということであります。     〔梶川委員長代理退席委員長着席〕
  262. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 それと先に申したように、西村君との関係並びに戰後であつたという関係、それから残つた金鈴木会長に渡されるときに、鈴木会長会計のような役目をいたしておる西村君に渡してくれ、こう言われたこと等を総合いたしてみると、その金というものは会長であられ、森戸証人個人個人の金として使つてよいとか惡いという筋のものであるかということについて御判断をなさつたことがあるかないかということです。
  263. 森戸辰男

    森戸證人 時期について、選挙が済んでからそういろ金を受取つたということについてどういう考えをもつたかという点が一つですね。それについては先ほども申し上げましたように、藤田君の話もあつたのでというような話であらましたから、藤田君は私も知つておりますし、政調会長としての私、また政調会の発展ということもおそらく念頭にあつたと思うのですが、その頂点に立つておる私ということが当然にあつたと思うのであります。そういう点で私は、政調会長としての森戸氏にいただいたものと判断をして、しかしその判断において、個人的なものに使うべきではない、公共的なものに、また党並びに政調会というような線に沿うて使うべきものであると思つてこれを使つた
  264. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 それじや結構でありますが、前に申しました三万円の使途についてのお調べを急いでお願いします。
  265. 高橋英吉

    高橋(英)委員 森戸さんが西尾さんから金をおもらいになるとき、どういう言葉のやりとりがあつたのですか。金をやる場合には、親分なら子分に、小づかいにせいとか、生活費の足しにしろとか、何か言つて渡すわけなんですが、そのときにどういう言葉のやりとりがあつたのですか。また先ほど非常に珍らしい資格の言葉があつたように聞いておりますが、実際言葉のやりとりの上では資格の問題も言葉の上に出たのかどうか。その点をお伺いしたい。
  266. 森戸辰男

    森戸證人 資格というのはどういう意味でありますか。
  267. 高橋英吉

    高橋(英)委員 先ほど、政務調査会長森戸個人に金を出すのだというふうなことで授受されたと言われましたね。けれども西尾氏があなたに金を渡したときには、実際どういうふうに言つて渡したかということ、その言葉のやりとりですね、渡すときは、これを小づかいにしろとか、政調会の方に使えとか、選挙のときだつた選挙費用にしろとか、何とか言うわけです。そのときの実際上行われた言葉のやりとりはどういうことであつたか。
  268. 森戸辰男

    森戸證人 これはしつかり言葉通りの記憶はありませんけれども、別に書記長という資格で、あるいはその下にあつたか上にあつたかわからぬが、政務調査会長という正式の問題じやなくして、また親分子分とかいうような関係もむろんない。友人として、対等の、党の幹部あるいは同志としての話でありまして、こういう金が藤田君の話もあつてはいつたからひとつ君に渡すからということでありました。
  269. 高橋英吉

    高橋(英)委員 そうしますと、結局、藤田君の話もあつたからということに意味が含まれておることになつて、具体的に政調関係の金に使つてくれとか何とかいう言葉は別段なかつたのですか。
  270. 森戸辰男

    森戸證人 藤田君の関係ですから、政調ということはもちろん含まれておると解されるのですが、そうしてまた、そういう意味を含めて、政調会長としての森戸ですから、もちろん西尾君も、ほかの人に渡したのではないのですから、そういう考えは……。政調会長として、正式に政調会費用としてれを渡すという性質のものではないと私は考えました。
  271. 高橋英吉

    高橋(英)委員 そうすると、積極的に、これは森戸さん個人に渡すの、だから、自由に処分してもいいという言葉もなかつたんですね。
  272. 森戸辰男

    森戸證人 ええ。同時に、嚴格にこういうところに使えということもなかつた
  273. 武藤運十郎

    武藤委員長 ほかにございませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  274. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは済みました。
  275. 武藤運十郎

    武藤委員長 深井斌さんですか。
  276. 深井斌

    深井證人 はい。
  277. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは伺いますが、あなたと藤田組との関係はどういうことになつておりますか。
  278. 深井斌

    深井證人 私は藤田組の專務取締役であります。
  279. 武藤運十郎

    武藤委員長 いつごろからですか。
  280. 深井斌

    深井證人 昭和十九年かと思つておりますが、はつきり覚えておりません。
  281. 武藤運十郎

    武藤委員長 藤田組との関係はよほど古いですか。
  282. 深井斌

    深井證人 相当古くあります。
  283. 武藤運十郎

    武藤委員長 一昨年の秋ごろに、藤田榮君から、実は社会党へ寄附をしてもらいたいと言われておるのだが何とかならぬか、というような相談を受けたことがございますか。
  284. 深井斌

    深井證人 あります。
  285. 武藤運十郎

    武藤委員長 それではその時の話をあなたからもう一遍してみてください。
  286. 深井斌

    深井證人 一昨年の暮れでしたか、あるいは昨年の初めころであつたか、はつきり記憶はございませんが、藤田榮氏から、目下政務調査会拡充の資金カンパをやつておるけれども、その成績はなはだ思わしくない。ついては何分どこかへ話して應援してみてくれんか、という意味の話がありました。言いまわしはどうであつたか記憶はありませんが、意味はそうです。
  287. 武藤運十郎

    武藤委員長 そしてあなたはどういうふうな返事をなさつたのですか。
  288. 深井斌

    深井證人 どこかへ相談してやろうと言いました。
  289. 武藤運十郎

    武藤委員長 あてがあつたのですか
  290. 深井斌

    深井證人 ありました。
  291. 武藤運十郎

    武藤委員長 どういうふうな。
  292. 深井斌

    深井證人 それは、まず竹中藤右衞門氏へでも相談すれば何とかなるであろうという腹案があつたから、そう答えたのであります。
  293. 武藤運十郎

    武藤委員長 つまり、竹中藤右衞門氏は当時日本建設工業会の会長であつて土建業者の元締というような形であるから、ここへ相談をもつてつた土建業者から出るのではないかというような意味ですか。
  294. 深井斌

    深井證人 その通りです。
  295. 武藤運十郎

    武藤委員長 そこで、昨年の三月ころに、あなたは日本建設工業会の会長の竹中藤右衞門氏にお会いになつて、ひとつ社会党へ寄附をしてくれないかという申し出をいたしましたか。
  296. 深井斌

    深井證人 いたしました。
  297. 武藤運十郎

    武藤委員長 それは三月のいつごろですか。
  298. 深井斌

    深井證人 はつきり記憶いたしませんが、三月の初めごろか、あるいは二月の末であつたか、はつきり覚えません。
  299. 武藤運十郎

    武藤委員長 やはり藤田榮氏を代理していたということになるのですか、そういう正確な意味でもないのですか。
  300. 深井斌

    深井證人 たしか藤田榮さんが來るべきところであるけれども、私が代理に來たということを申し述べたように記憶します。
  301. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうして先ほどお話になつたような、社会党資金カンパのお話もなさつたですか。
  302. 深井斌

    深井證人 それは、私ははつきりしなかつたと思います。
  303. 武藤運十郎

    武藤委員長 何か政務調査会資金カンパというようなお話があつたけれども、そうではないので社会党資金カンパをしているというような話ではございませんでしたか。
  304. 深井斌

    深井證人 社会党資金カンパをしているような話というのは藤田榮氏から私が聞いた話であります。
  305. 武藤運十郎

    武藤委員長 先ほど政務調査会資金カンパをしているような……。
  306. 深井斌

    深井證人 それは間違いでありました。
  307. 武藤運十郎

    武藤委員長 しかし政務調査会に主として使いたいというような話もあつたのですか。藤田君からあなたに対して。
  308. 深井斌

    深井證人 主として使う、使いたいのだという話はなかつた。ただ政務調査会の拡充のために今やつておるが、金が集らぬから何かしてくれというような話でありました。
  309. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると、そういう趣旨であなたが竹中藤右衞門氏に申し込まれたのはそのときが最初ですか。その前にもお話があつたのですか。
  310. 深井斌

    深井證人 ございません。
  311. 武藤運十郎

    武藤委員長 そのときが初めてですね。竹中氏はどういうふうに答えましたか。
  312. 深井斌

    深井證人 なんとかみんなに話してやろうと言われました。
  313. 武藤運十郎

    武藤委員長 みんなというのはだれを意味しでいるのですか。
  314. 深井斌

    深井證人 みんなというのは、まあ竹中さんが話やすい相当な顔ぶれの人という意味に私は解しました。
  315. 武藤運十郎

    武藤委員長 主なる土建業者という意味ですね。
  316. 深井斌

    深井證人 ただし私はその際竹中さんに申し込みましたときに、社会党政務調査会において目下金を募集中であるということは言わなかつたように記憶いたします。ただ單に社会党で金が要るから、なんとか五十万円出してやつてくれませんかということを申し述べたに過ぎぬと、私は記憶いたします。
  317. 武藤運十郎

    武藤委員長 五十万円という金額もおつしやつたのですね。そのときにまだほかに何か應対はございませんでしたか。なんとかみんなに話して心配してみようということ以外に何か話がありませんか。
  318. 深井斌

    深井證人 なかつたように思います。
  319. 武藤運十郎

    武藤委員長 実はほかの政党からも申込みがあるのだというような話はなかつたですか。
  320. 深井斌

    深井證人 記憶いたしません。
  321. 武藤運十郎

    武藤委員長 その場に、だれかおりましたか。
  322. 深井斌

    深井證人 御質問の意味は、その部屋にだれかおつたという意味ですか。
  323. 武藤運十郎

    武藤委員長 竹中さんとあなたとさようなお話をしておりましたときに、そばにだれかおりましたか。
  324. 深井斌

    深井證人 私が竹中氏に頼んだことはほかの人には聞えなかつたと思います。
  325. 武藤運十郎

    武藤委員長 どこでお頼みになつたのですか。
  326. 深井斌

    深井證人 建設工業会の会長室であります。
  327. 武藤運十郎

    武藤委員長 そこで竹中藤右衞門氏がおもなる土建業者を集めてひとつ政党献金をしようではないかという相談をしたことはあなたは御存じありませんか。
  328. 深井斌

    深井證人 私は出席いたしました。
  329. 武藤運十郎

    武藤委員長 どんなお話がありましたか。
  330. 深井斌

    深井證人 選挙も近付いてきたので諸君方もそれぞれ関係筋からいろいろのことを言つてこられるであろうけれども、各自がてんでんばらばらで出したのでは、いろいろその間にうるさいこともあるし、めんどうなことも起るであろうからして、これは建設工業会において――という意味は重立つた者でという意味に解しましたけれども、ひとつまとめて三大政党に寄附した方が最も賢明であろうと思うから、みんなこの相談に乗つてくれという意味でありました。
  331. 武藤運十郎

    武藤委員長 なるほど、そうしますとその話の趣旨は、各政党なり各政治家なりから各組へ個別的な申込をしてくるような向きもあるけれども、さようなことはこの際排しで各重立つた組から一括して三大政党献金をすることが一番ぐあいがよいから、さようひとつ賛成をしてやろうじやないかという趣旨ですか。
  332. 深井斌

    深井證人 そうです。
  333. 武藤運十郎

    武藤委員長 そり時にやはり他の党なり、他の政治家なりからもすでに申込があつたような話もしましたか。
  334. 深井斌

    深井證人 あつたように記憶しますがそれはどういう言葉で言われたか、私ははつきり覚えません。
  335. 武藤運十郎

    武藤委員長 集まつた場所は築地の竹葉ですか。
  336. 深井斌

    深井證人 まさにその通り
  337. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたほどういう資格で出席されたのですか。
  338. 深井斌

    深井證人 私は藤田組の代表者という資格であつたと思います。
  339. 武藤運十郎

    武藤委員長 藤田組を代表して。
  340. 深井斌

    深井證人 そうです。
  341. 武藤運十郎

    武藤委員長 そこで話がきまつたのですね。大体いくらぐらいを集めようという趣旨でありましたか。
  342. 深井斌

    深井證人 そういう話は全然なかつた
  343. 武藤運十郎

    武藤委員長 しかし三大政党献金しようと……
  344. 深井斌

    深井證人 各自應分の寄附を求める、近くお願いするであろうから應分の寄附を頼むという意味でありました。
  345. 武藤運十郎

    武藤委員長 飯田清太という人を御存じですか。
  346. 深井斌

    深井證人 よく知つております。
  347. 武藤運十郎

    武藤委員長 これはどういう関係の人ですか。
  348. 深井斌

    深井證人 鉄道工業の專務取締役です。
  349. 武藤運十郎

    武藤委員長 この人が奔走をして各組から今きまつた話に基いて金を集めて、集まつたものを三大政党へ持つてつてつたということでありますけれども、御存じですか。あなたのところはいくらお出しになつたのですか。
  350. 深井斌

    深井證人 二十万円です。
  351. 武藤運十郎

    武藤委員長 やはり飯田にお出しになつたのですか。
  352. 深井斌

    深井證人 そうです。
  353. 武藤運十郎

    武藤委員長 これは藤田組という会社から正式の寄附金として出ておるのですか。
  354. 深井斌

    深井證人 そう心得ております。
  355. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると帳簿にも寄附金というか何というか、項目を書いて載つておるのですか。
  356. 深井斌

    深井證人 載つていなければならぬはずであります。
  357. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると、この趣旨ほ特定の個人献金するというのではなくて、政党へ寄附をするという趣旨ですね。
  358. 深井斌

    深井證人 竹中さんが申された趣旨ほまさにその通りであります。
  359. 武藤運十郎

    武藤委員長 集めたのもそうですか。
  360. 深井斌

    深井證人 それに從つて飯田さんが應分の寄附を集めて取りに來られたものと心得ます。
  361. 武藤運十郎

    武藤委員長 飯田氏からどのくらい金が集まり、それをどういうふうに配つたという報告を受けましたか。
  362. 深井斌

    深井證人 受けません。
  363. 武藤運十郎

    武藤委員長 社会党に対する五十万円の寄附問題でありますけれども、昨年の四月十一日に鉄道工業株式会社の事務所で、飯田氏が西尾氏に渡したということでありますが、あなたはそのときにそこへ立会つておられたのですか。
  364. 深井斌

    深井證人 おりました。
  365. 武藤運十郎

    武藤委員長 どういう関係でそこにおられたのですか。
  366. 深井斌

    深井證人 たしかその前日だつたか、明日金を渡すから君も僕の事務所へ來てくれという電話があつたように記憶しております。
  367. 武藤運十郎

    武藤委員長 それは飯田さんからですね。
  368. 深井斌

    深井證人 はあ。
  369. 武藤運十郎

    武藤委員長 そこであなたも行かれて、西尾氏も來られて三人鼎座の上で渡したのですか。
  370. 深井斌

    深井證人 少くとも受取られたときはそうでありました。
  371. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたは別のときも会つたのですか。
  372. 深井斌

    深井證人 いや。というのは、金を持つてきて渡したのを私が見たというわけではないのです。
  373. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうするとどの場面まであなたが関係しておつて、どの場面からあなたがいなかつたのですか。少し詳しく述べてみてください。
  374. 深井斌

    深井證人 金は新聞紙みたようなものに包んであつたように私は記憶しております。むろん中は見ません。
  375. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではこういうふうに伺いましよう。まずあなたが鉄道工業会へ行かれたときは、すでに飯田氏はそこにおりましたね。
  376. 深井斌

    深井證人 はあ。
  377. 武藤運十郎

    武藤委員長 西尾氏も來ておりましたか。
  378. 深井斌

    深井證人 その点ははつきりしないのですが、たしか私が先だつてか――その点ははつきり覚えません。
  379. 武藤運十郎

    武藤委員長 とにかく三人で落ち合つたことは、落ち合つたのですね。
  380. 深井斌

    深井證人 というわけです。
  381. 武藤運十郎

    武藤委員長 どういう話がありましたか。
  382. 深井斌

    深井證人 私は名刺を出して自己紹介をいたしたと思います。
  383. 武藤運十郎

    武藤委員長 西尾さんにですね。
  384. 深井斌

    深井證人 はあ。西尾さんに対して私が申し上げた最初の言葉は、むろん言いまわしその他ははつきり覚えておりませんけれども藤田榮氏は千葉から出ておつたのを、今度廣島へ選挙区を変更したについては、現地からの情勢においては相当惡戰のように聞いているが、先生実際の清勢はいかがなものでしようかという意味のことを尋ねたと思います。
  385. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると……。
  386. 深井斌

    深井證人 非常に苦戰のように心得ているという話でありました。
  387. 武藤運十郎

    武藤委員長 それから……。
  388. 深井斌

    深井證人 それから金を飯田氏が渡すときであつたかどうか、時間的なことはばつちり覚えませんけれども、そのうち一部は森戸先生にお差上げ願いたいということを申し出たと記憶しております。
  389. 武藤運十郎

    武藤委員長 なるほど。しかしそういう話もあつたでしようけれども、その前にいくらか話があつたでしよう。
  390. 深井斌

    深井證人 だからその話は途中で何を言つたか覚えません。
  391. 武藤運十郎

    武藤委員長 その前にこういうわけで五十万円を土建業者が集めて、三大政党にやることになつたとか何とかいう……。
  392. 深井斌

    深井證人 金の受渡しのときはきわめて簡單なものでありまして、別段そめ趣旨その他についてそういう話はなかつたように心得ております。
  393. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたが行われる前に西尾氏と飯田氏と話をしておつたのではないですか。
  394. 深井斌

    深井證人 その点ははつきり覚えません。
  395. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうするとそのうち一部は森戸さんにやつてもらいたいというわけなんですね。
  396. 深井斌

    深井證人 はあ。
  397. 武藤運十郎

    武藤委員長 そのすぐ前の話はどういう話ですか。
  398. 深井斌

    深井證人 そのすぐ前の話は私はつきり覚えがないのですが、とにかく授受が、何と申しますか、簡單かつ淡白に授受されたものでありまたからその間にあまりごたごたした話はなかつたように記憶しております。
  399. 武藤運十郎

    武藤委員長 しかしあなたの申込みがあつて、竹中さんの主唱で社会党に金を出すことになつたのであるし、特にあなたを電話か何かでお呼びして飯田氏があなたに立会つてもらつておるような話なんだから、何かもう少し詳しい話があつたのではないですか。
  400. 深井斌

    深井證人 私はなかつたと思います。森戸先生に差上げてくださいといろ言葉の前には、私と西尾さんの間には、藤田榮氏の問題以外にはあまりなかつたように思います。
  401. 武藤運十郎

    武藤委員長 飯田氏と西尾さんとの間には……。
  402. 深井斌

    深井證人 それも別段大した話はなかつたと思います。
  403. 武藤運十郎

    武藤委員長 しかしあなたが行つてから新聞紙に包んだ金は出したのでしよう。
  404. 深井斌

    深井證人 それもはつきりいたしません。私の記憶では……。
  405. 武藤運十郎

    武藤委員長 金が渡つてしまつてからか、渡る前だかあなたは記憶がない。十万円と言えばへ新聞紙包みでこれより少し大きいですね。
  406. 深井斌

    深井證人 いや五十万円でしよう。
  407. 武藤運十郎

    武藤委員長 五十万円です。それをこう出したのですか。
  408. 深井斌

    深井證人 はいつたときに机の上に置いてあつたように思います。
  409. 武藤運十郎

    武藤委員長 じや出して、そのうち一部は森戸さんにやつてもらいたい、こういわけなんですか。やりとりはないのですか。
  410. 深井斌

    深井證人 やりとりは済んでおつたか、やりとりの最中であつたはつきり記憶がないのです。
  411. 武藤運十郎

    武藤委員長 一番重要なところですから、ひとつ良心に從つてほんとうのところを間違いなく……。
  412. 深井斌

    深井證人 むろん良心に從つて答えております。
  413. 武藤運十郎

    武藤委員長 それじや話はほとんどそのくらいで受渡しは済んだわけですね。
  414. 深井斌

    深井證人 いや済まんです。
  415. 武藤運十郎

    武藤委員長 ほかに何か……。
  416. 深井斌

    深井證人 私としてはさつき申しましたように言葉の言いまわしはどうであつたか知りませんけれども、うち森戸先生に少しくお渡しください、残りはあなた御都合のいいようにお使いになつて差支えないものという趣旨を私は申し上げたのです。
  417. 武藤運十郎

    武藤委員長 それはあなたが言つたのですか。
  418. 深井斌

    深井證人 はあ。
  419. 武藤運十郎

    武藤委員長 一部は森戸さんにやつてもらつて、あと残つたものはいいように使つてもらいたいという趣旨は、いろいろにとれるのですが、考えてみると、一つは西尾個人西尾個人の金として自由に使うという意味考えられる。それから別に條件はない、無條件の金だから條件もなく使つてもらいたい。第三には、献金は党にするのだけれども、その使途は西尾書記長のいいようにという意味考えられる。そのどれにあたるのですか。
  420. 深井斌

    深井證人 私は別段そういう点は考えずに申しました。
  421. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでまあ大体話はおしまいなんですね。
  422. 深井斌

    深井證人 はい。
  423. 武藤運十郎

    武藤委員長 昨年の四月の中ごろに廣島で選挙をやつていた藤田榮君にあなたは手紙を出して、かねてお話の件――社会党へ寄附するという件ですね。――お話の件は、約束を果したから、御安心を願いたいという趣旨を申し送りましたか。
  424. 深井斌

    深井證人 送りました。
  425. 武藤運十郎

    武藤委員長 藤田君から何か返事がありましたか。
  426. 深井斌

    深井證人 ありません。
  427. 武藤運十郎

    武藤委員長 何か御質問がございますか。
  428. 田中織之進

    ○田中(織)委員 深井証人に伺いたい、藤田榮君から党の方へ寄附してもらいたいという相談を受けて、そのことを竹中氏にお話されたのと、それから今証人のお述べになりました竹中藤右衞門氏を中心にして飯田清太氏が実際に金を集めたところの三大政党への献金問題とは直接的な関連があるのですか。時間的にもその間には開きはないのですか。
  429. 深井斌

    深井證人 失礼ですが、もう一度ポイントをおつしやつてください。
  430. 田中織之進

    ○田中(織)委員 あなたが藤田榮氏から社会党へ寄附してもらいたいという相談を受けて竹中氏に相談されたことと、竹中藤右衞門氏がその趣旨に基いて金を集められたものか。それともそれとは関連なしに建設工業会の方で各政党から各組へいろいろ話がもつてこられるやつをばらばらで出してもどうかと思うから、まとめて建設工業会として献金するようにした方がよかろうという相談をされたのとは、直接的な関連があるかどうか。
  431. 深井斌

    深井證人 私はその点ははつきり何とも考えなかつたことでありますが、要は五十万円の金を調達するという目的であるということだけで、竹中氏に話したのであります。
  432. 田中織之進

    ○田中(織)委員 その点ちよつと先ほどの証言によると不明確なんですが……。
  433. 深井斌

    深井證人 いや、その点ははつきり言えば、藤田榮氏からは政務調査会の拡張費用と言うて私は依頼を受けましたけれども、竹中氏へこの話をもつていくときには、そのことは一口も言わないで、ただ社会党で金が要ると言うて申込んだのであります。
  434. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そういたしますと、建設工業会が中心になつて、金を有力なる土建業者から集めて、三大政党献金したこととの結びつきが不明確だと思うのですが、証人はその点は、あなたが竹中藤右衞門氏に社会党への五十万円の献金について相談されたことと、それから会合の場所は竹葉で、建設工業会として集めようということの相談との間には、直接的な因果関係がないようにも先ほど証言を受け取つたのですが……。
  435. 深井斌

    深井證人 しかしそれは言わなければ、少くとも金を集めようということは、竹中さんは動議を出されなかつたかもしれませんね。ですから関連がないとは絶対に言えぬでしよう。
  436. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私の証人に伺つておる点は、竹中藤右衞門氏としては、社会党への献金を各土建業者に話しかけたというよりも、むしろ当時の自由党なりあるいは進歩党なり、そういう政党からの申出もあつて、建設工業会としてまとめて献金しようという話で藤田組の代表者としてあなたにも相談されて、あなたも代表者として竹葉で会つて相談されたことと、これは一應わけて考えられるのでありまするが、その点はいかがですか。
  437. 深井斌

    深井證人 私はそれは、はつきり関連――社会党へ寄附してくれと私はとにかく傳えただけで、竹中さんがほかから申込みがあるんだから、社会党も加えなければならぬとお考えになつた。――私が申込んだので――三大政党が一つになつたから、関連性があることも間違いないです。
  438. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そういう意味ならわかりましだ。もう一点伺いたいのでありますが、あなたが四月十一日でありましたか、飯田氏が西尾氏を呼んで金を渡されるときに、ただいま委員長の質問にお答えになりましたこの金は森戸さんへ……。
  439. 深井斌

    深井證人 この金の一部は……。
  440. 田中織之進

    ○田中(織)委員 この金の一部は森戸さんへ渡していただきたいというほかに、その残りは都合のいいようにお使いくださいということをあなたが言われたのであつて、飯田さんが言われたのではないのですか。
  441. 深井斌

    深井證人 私が申したとさつき申し上げました。
  442. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そのときには飯田ざんは何らその金のことについて西尾氏に話されたことはあなたはお聽きになつておらないのですか。
  443. 深井斌

    深井證人 いないです。
  444. 田中織之進

    ○田中(織)委員 わかりました。
  445. 中村元治郎

    ○中村(元)委員 証人証言はまことに明瞭でありまして、過日來より竹中氏及び飯田氏の証言とほとんどは合致いたしております。ただ私ちよつとお尋ねしたいと思うことは、飯田氏の事務所へ西尾氏が來られまして、金の授受がありましたときに四十万円とかあるいは十万円とかということについて、あなたが容啄なさる権限はどこから與えられたのですか。
  446. 深井斌

    深井證人 まさにないです。
  447. 中村元治郎

    ○中村(元)委員 そういたしますると、あなたが当初藤田氏からの依頼を受けたことに、政調会資金の依頼を受けられてそうして竹中氏への話にはそれがなくて、社会党への寄附を申込まれた。ただ要は藤田氏の意を体して本來から言いますと、政調会の金を申込まれることがほんとうであるのであつて、あなた個人の意思で社会党の應援をやてやつてくれと言われたことは、いささか依頼を受けたこととなされた行動とが相反するように考えるのですが……。
  448. 深井斌

    深井證人 まさにその通りと思いますが、それについて私を叱つた者は一人もおりません。
  449. 中村元治郎

    ○中村(元)委員 そういたしますと、やはりあなたの御意見でありますが、先ほどお尋ね申し上げました通り四十万円、十万円というような……。
  450. 深井斌

    深井證人 四十万円、十万円ということは私は申し上げなかつたのです。
  451. 中村元治郎

    ○中村(元)委員 その中の幾分ですか、その中の幾分を政調会長森戸さ々に渡してくれと附け加えられましたあなたの御意思は、一体どこにあつたのですか。
  452. 深井斌

    深井證人 それは一番初めから頼まれたことが趣旨でありましたし、ある程度その顔を立てなければならぬと思つたから、その場合私は立会いを申し出たのであります。
  453. 中村元治郎

    ○中村(元)委員 そういたしますと幾分森戸さんに渡してくれと附け加えてお話をなさつた金は、森戸さん個人に渡す金であつたのですか、但しは藤田さんの依頼を受けたから政調会の方へまわしてくれという金であつたのですか。
  454. 深井斌

    深井證人 それは、今かかる御質問をなされば、一つの話になりましようけれども、当時の私といたしましては、個人政調会も何もなかつたのです。ただ森戸先生にお渡し願いますと申しました。それがほんとうの腹であつて、その間に区別する意識は自分に全然なかつたはつきり申し上げます。
  455. 中村元治郎

    ○中村(元)委員 それは、森戸さんが政調山会の会長であるということは認識なさつてつたのですか。
  456. 深井斌

    深井證人 政調会会長であられることは知つてはおりましたが、私が申しました言葉と腹の中はただ單なる、ほんとうのフアミリアな意味森戸先生ということでありました。
  457. 中村元治郎

    ○中村(元)委員 それなちその程度で……。
  458. 石田博英

    石田(博)委員 藤田君から御依頼を受けられて、そうして竹中藤右衞門氏に話されて、それから飯田氏に集めさせて西尾氏に渡された。この金の経路に、ただいま御証言通り一貫性が完全にあるわけですね。そういたしますと、藤田君がその初めに話をされたときは、政調会の金という申出であり、あなたが竹中藤右衞門氏に話をされたときは、社会党に寄附してやつてくれ……
  459. 深井斌

    深井證人 金を……
  460. 石田博英

    石田(博)委員 社会党へ金が要ると思つて、寄附してやつてくれ、そういう意味で申され、その趣旨に基づいて、同時に自由党、進歩党からの申込みもあつて、竹葉での話になつて、そのときも個人に金をそれぞれ渡すようなことがあつては弊害を伴うからまとめて政党へやろうじやないか……。
  461. 深井斌

    深井證人 それは竹中さんの趣旨はその通り
  462. 石田博英

    石田(博)委員 それについては、どなたも御異議がなくて、金をお集めになつたわけですね。
  463. 深井斌

    深井證人 いや、御異議はありましたよ。
  464. 石田博英

    石田(博)委員 菅原さんとか、一部の人はありましたが、結論としては、そういう趣旨によつて集めるというこについては、大体合致して集めたわけですね。
  465. 深井斌

    深井證人 はあ。
  466. 石田博英

    石田(博)委員 そうすると、集めた金の性質というものは一貫して、個人にそれぞれ渡すということは弊害が伴ろから、党に金が要るから党へ、選挙も控えておるから、つまり党へということに一貫されておるわけですね。
  467. 深井斌

    深井證人 竹中さんの趣旨はまさにその通りであります。
  468. 石田博英

    石田(博)委員 その趣旨に基いた金を、飯田清太氏が西尾氏を呼んで渡されたわけですね。そうすると、その趣旨はあなだが御自分で十分了解されておつたわけですね。
  469. 深井斌

    深井證人 私はただ單にそのときに、竹中さんの趣旨はむろん解しておりましたけれども、そのときに、前申し上げました通り森戸先生に幾分との金を行かしてほしいという氣持があつたので、私が申しましたついでに、あとの残額という問題が、おのずから私が言わなければならぬような立場に私が感じまして、森戸先生にお渡しくださいましたあとの残額は、御自由に御都合のよいようにお使いくださいますようという意味言葉を、その氣持をもつて申し上げたことは、はつきりいたしております。
  470. 石田博英

    石田(博)委員 私どもがお伺いしたいと思つておる点、それからこの委員会で今非常に重大になつております点は、その金が党にあてもれたものであるか、あるいは個人で自由に処分してよいという意図のもとに與えられたものであるかという点が重大になつておる問題なのです。そこで今、先ほどから委員長の質問や、あるいは田中君、中村君あたりの質問に対するあなたの証言を通して見ますると、その金には全部一貫性がある。一貫性があつて西尾氏と飯田氏とあなたが、三人会われるときまでは、その金の性質は党に対するものであつた。そとであなたに会われた瞬間において、森戸先生にあなたのファミリアな氣持でおつしやつたことは了解できます。残余の分はあなたが西尾という人は党の書記長立場にあつたということも御承知でしようが、西尾という人が自由に使つてもよいとあなたが申されることは、それは党の書記長であるから、自由に使つてくれと言えば党の費用に使う、つまり金の性質は変らずに使用されるというお考えで申されたのであるか、あるいは今までの金の性質とそこで一変されて、西尾個人が自由裁量で使つてよいという意味で申されたのであるか。
  471. 深井斌

    深井證人 いや、私は政治のことはよく知りませんけれども、その党のおもなる人は、こういう危急存亡の際においては、各知合いその他の方面から金を集められることがあるであろうと想像しておりました。もし集めてなおかつ不足せる場合においては、党の幹部たる者は、あるいは借金を質においても集められるような場合もあるんであろうと心得ましたゆえ、残りのものは御自由にお使いくださいという意味で申し上げたのであります。
  472. 石田博英

    石田(博)委員 そうする、党の方へですね。
  473. 深井斌

    深井證人 いや、党の方へとは絶対に私は……
  474. 石田博英

    石田(博)委員 あなたのお氣持……
  475. 深井斌

    深井證人 私の氣持は、西尾さん適当にというのです。だからその前に私は、幹事長たる者はかかることをやるんだ、ろうという頭があつたということを申し上げた。
  476. 石田博英

    石田(博)委員 それまでの目的は、個人へ出すという弊害を避けて、もちろんあなた方の関係の方々にいろいろ御依頼に來られる人は、党の幹部の人が多いだろうと思うが、その幹部の人々がそこへ御依頼に來られた場合に、幹部であろうと、あるいはその一人の代議士であろうと、個々に來ると弊害を伴うという趣旨に貫かれておる。そうしてその金の性質も明らかに……
  477. 深井斌

    深井證人 弊害という意味はどういうことですか。
  478. 石田博英

    石田(博)委員 それは前の証言に……。
  479. 深井斌

    深井證人 弊害という言葉は、こつちへ來ても、あつちへ來ても、平たく言えば應接にいとまがないからという意味もあつたのであります。
  480. 石田博英

    石田(博)委員 そういう意味があつたこともわかりますし、また逆に、その間にいろいろ明朗でない接触があるという疑いを受けられても困る、こういうことも当然言えると思うのです。そこで、今まで飯田氏に渡すまでは、そこまではその趣旨で貫かれてきておるわけであるし、あなたの方は二十万円出されておるが、そのほかの出された人の多くの趣旨もそこにある。そうすると、金を出す人の趣旨も、そうして出すまでに集めた人の趣旨も、そういう点から貫かれていきますと、党という大きな結合体に出されるものだ、そういうふうに一貫しておるわけですね、趣旨は。
  481. 深井斌

    深井證人 竹中氏の趣旨、募集の趣旨はそうであつた
  482. 石田博英

    石田(博)委員 そこで、募集の当の責任者である飯田氏が言わないで立会人であるあなたが、その金の性質についてそこまでお指図なさる立場というものは、われわれにちよつとはつきりしない点がある。
  483. 深井斌

    深井證人 その点は、私はまさにこれは越権行為だつたということは認めております。
  484. 石田博英

    石田(博)委員 越権行為と言われればそれまでだが……  次にもう一点お伺いしたい。あなたは先ほど、立会うことを希望したということをちよつと申されましたが、その前の証言では、飯田氏から電話があつて行かれたという証言でありましたが、どつちでありますか。
  485. 深井斌

    深井證人 それは、その電話のある前に、だれかおいでになるときには、私にも知らしてくれということを頼んでおいたからであります。
  486. 石田博英

    石田(博)委員 それからもう一つ、そうしても明瞭にしなければならぬ点でまたわかりきつた話ですが、西尾末廣という人が社会党書記長でなければ渡されない金でありますね。つまり西尾末廣という人が社会党の主幹者、党務の一切の主幹者である書記長という立場にあればこそあなた方がお渡しになつた金でありますね。
  487. 深井斌

    深井證人 それは、西尾さんであれば、書記長であろうと何であろうと、われわれの頭には有名な責任者ということはわかります。責任者ということは、それが党の幹事長、責任者と申し上げるよりも、西尾さんに上げれば、それでことが足りるのだという感じがあつた
  488. 石田博英

    石田(博)委員 その意味は……。
  489. 深井斌

    深井證人 個人として自由に、西尾さんに差上げさえすれば、西尾さんはその信念に從つて御都合のよいように、御自由に――人にものを上げるのに、條件をつけるということは、上げてその人が非常に使いにくいことになるであろうということがわれわれ、の頭にありますので、われわれの社会におきましてはこまかいことは申しません。
  490. 石田博英

    石田(博)委員 こまかいこととおつしやる意味はわかりますが、しかし西尾さんに上げればという意味は、西尾さんに上げさえすれば、党のために使われるという意味で上げた……。
  491. 深井斌

    深井證人 党のために……。堂々とおつしやるけれども、当時私が言うた言葉は出過ぎた言葉であつて、私がアドミツシヨンしておるごとく、それは越権行為である。ただ森戸先生に上げてくださいという言葉の次に出た言葉であるがゆえに、さしたる重要性を私は……。
  492. 石田博英

    石田(博)委員 重要性を感じないということはおつしやいました。そこでもう一点、それでは先ほどから何回も申し上げておりますが、西尾個人の自由ということは、先ほどあなたもおつしやつたように党の有力な立場にあるから西尾個人ということをおつしやつたのですね。それは先ほどからあなたも認めておりますからそれでよろしいと思うが、証人その通りですね。
  493. 深井斌

    深井證人 西尾さんという言葉は申しました。
  494. 徳田球一

    ○徳田委員 ちよつとお尋ね申します。あなたの方で二十万円を出されるときにこれは社会党にやつてくれという條件づきになつておりますか。飯田さんに渡したとき、あるいはまた竹中藤右衞門さんにお話になつたときに、自分の方の寄附は社会党渡してくれろという條件がついておりますか。
  495. 深井斌

    深井證人 それははつきり覚えておりません。
  496. 徳田球一

    ○徳田委員 はつきり覚えないというと、條件はついているかもしれないというのですか。
  497. 深井斌

    深井證人 いやそれは、ただお前の方は二十万円出せというから出したのです。
  498. 徳田球一

    ○徳田委員 二十万円出せと言つたから出したので、必ず社会党に行かなければならぬという條件はついておりませんね。
  499. 深井斌

    深井證人 ついておりません。
  500. 徳田球一

    ○徳田委員 はつきりいたしました。そこで森戸さんに一部渡してくれというのは、この金を渡すときの一つの條件になつておりますか。西尾さんに金を渡しましたね。そのときあなたがわきから行つて、これは越権行為であるが、この越権行為が……。その中に一部を森戸氏に渡せというのは、この渡すときの條件になつておりますか。
  501. 深井斌

    深井證人 委員長、この條件という言葉は非常に固苦しい言葉でありまして、イエスと申してよろしいか、ノーと言つてよろしいか、はなはだ答弁に困る。希望は申しました。差上げてくださいと言つたことが條件であるか、どうであるか、私はちよりとわからぬ。
  502. 徳田球一

    ○徳田委員 わからぬでよろしい。それなら條件でないと言えばよろしい。ただそれは希望であつて條件ではない。そういうわけですね。
  503. 深井斌

    深井證人 むずかしく言えばそうでしよう。
  504. 徳田球一

    ○徳田委員 むずかしく言わなければここは納まらぬところです。だからしてこれは單に條件ではなくして希望だ、そうあつて欲しいという程度なんですね。
  505. 深井斌

    深井證人 当時單なる希望で言うたことを後日こう日にちが経つて、これが問題になつて、小刻みにぐんぐんとこられると、なかなか私としても、どうであつた、こうであつたと物事を明快に答えておりますが、そういう点になるとはつきりしない点があります。
  506. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると條件であるかも、單なる希望であるかも、はつきりしないわけですね。言われた言葉は、これを森戸さんに渡してくださいか、ほしいか、どつちですか。
  507. 深井斌

    深井證人 それは当時覚えていなかつた。どつちでもなければ金は行かない。
  508. 徳田球一

    ○徳田委員 そうするとどうなる……
  509. 深井斌

    深井證人 だからあげてくださいという希望を述べた。
  510. 徳田球一

    ○徳田委員 渡してくださいという希望を述べた。そうするとちよつと條件となると思われるのだが、いわゆる西尾君にこれを自由にしてくださいと述べたのであつて、主なるあなたの條件というものは、これは單に一部を森戸さんに渡すという條件の方が、主なわけですね。あなたは先ほどそう言われたのであるが、森戸君に一應渡せと言つたから、あとのことを言わないとわからない、ぐあいが惡いから、そこをつけ加えた。こういうことですね。
  511. 深井斌

    深井證人 森戸さんに差上げてください、残りの分はお使いください。どつちが大事であつたかという御質問ですね。
  512. 徳田球一

    ○徳田委員 先ほどあなたの御答弁では、森戸さんに渡してくれろという義理があつたのでしよう。要するに藤田君が政調会云々のことがあつたから、政調会のことがしよつちゆう氣にかかつておるものだから、藤田君があなたの主人格ではないでしようけれども、とにかくあなたに対して社長だから、それが氣にかかるから、立会つて、ぜひ森戸君に政調会の方に一部は出さないと義理が惡いから、その義理をつくすために言つた言葉ではないのですか。
  513. 深井斌

    深井證人 義理ばかりではない。私は学生時分に森戸先生が、経済研究でありましたか、何かに先生がお書きになつたことがあつて、いわゆる筆禍事件というのがありまして、先生はそのために助教授を追われた。私はその当時の学生であります。そういうことも頭にありまして、森戸先生に対しては平素、そのときから今日まで一種の尊敬の念をもつてつた
  514. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると森戸個人ですか。
  515. 深井斌

    深井證人 森戸先生渡してくれというのは、確かに個人という意味も若干含まれております。
  516. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると藤田君が政調会を拡充するということはすでに……。     〔発言する者多し〕
  517. 武藤運十郎

    武藤委員長 静粛に願います。徳田君、質問をお願いいたします。
  518. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると、その方は全然関係ないのですね。
  519. 深井斌

    深井證人 今いろいろ騒ぎが大きかつたので、その方ははつきり聞えなかつたのです。
  520. 徳田球一

    ○徳田委員 あなたの最初の五十万円をつくる動機いうものは、そもそも藤田君から頼まれて、藤田君は政調会を拡充しろということを趣旨にしてあなたに頼まれたそうですね。間違いありませんね。そうしてあなたは社会党が金が要るから社会党に金を集めてくれろ、これが大体五十万円だ、こういうことは明確ですね。――しかるにこの金を渡すときにあなたが希望をして立会われておりますね。
  521. 武藤運十郎

    武藤委員長 深井証人に御注意いたしますけれども、ただこうやるだけでは速記になりませんから、肯定する場合はそうですという言葉使つてください。
  522. 深井斌

    深井證人 はい。
  523. 徳田球一

    ○徳田委員 それを寄附するときにはこれを社会党にということは全然言わない。だからこれはプールになつているわけですね。あなたの五十万円ほ必ずしも社会党に行くわけではないから、條件をつけておらぬから、自由党にも社会党にも三党の中にプールされていくわけですね。
  524. 深井斌

    深井證人 そうです。
  525. 徳田球一

    ○徳田委員 それであなたが立会われているわけですね。そうするとこの金の出所というものは、竹中君やあなたが相談されました通り、三党に全体として渡す、その趣旨によつてこれは決定さるべきものである、そうですね。
  526. 深井斌

    深井證人 そうです。
  527. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると、あなたが立会われて越権されたとは言え、あなたが言われていることは、森戸個人ということによつて森戸個人に渡せということは意味をなさぬと思いますが、どうです。越権もことによりけり、この大体の金の性質から考えて、森戸個人これが政調会だというならばそもそもの初めからわかるけれども、そういうことを言われるのはその金の性質と非常に違うと思うが、あなたはそしれでいいと思うのですか。
  528. 深井斌

    深井證人 私はそう申したと思います。だから越権のさたとは言いながら、そういうことはいけないとおつしやるのでしよう。
  529. 徳田球一

    ○徳田委員 いけない、いいはこつちの判断です。事実がどうであつたかというのです。あなたが最初に言つたことから一番最後にきて……。
  530. 深井斌

    深井證人 最初に言つたことは、竹中さんの趣旨としてはつきり申し上げたのです。
  531. 徳田球一

    ○徳田委員 その前にとにかく藤田君から頼まれたときはあなたの金ではないから、これは政調会のためにということになつているのだ。そのためにあなたが立会われて、そうしてこの政調会のために森戸君に渡せとあなたが言われるならば、同じ越権でもわかる。しかしながらこれがかつて経済学を聽、いたからというだけで森戸個人に渡すということは……。
  532. 深井斌

    深井證人 私は個人とか何とかいうことは頭になくて、ただ森戸先生にお渡しくださいと申し上げたのです。
  533. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると、西尾君というのはぼやつとしておりますね。
  534. 深井斌

    深井證人 しかしこれはあなたと言つたのですから、あなたの自由にお使いくださいと言つたのです。
  535. 徳田球一

    ○徳田委員 あなたというのはぼやつとしているが、どうですか。西尾個人でなければ渡されないという、全体の趣旨から考えてみて、この結果においてあなたが判断を下してもらいたい。
  536. 深井斌

    深井證人 先ほどから繰返して申します通り森戸先生に一部をお渡しください。残りはあなたの自由にお使いくださいと申しましただけです。
  537. 徳田球一

    ○徳田委員 これは越権の処置であると認めておりますね。
  538. 深井斌

    深井證人 自分でそう思つております。
  539. 高橋英吉

    高橋(英)委員 ちよつと聽きたいのです。事偽証の問題ですが、当議場において証人と問答する場合に、偽証の問題が何遍も出ている。三浦君初め木村君の場合でも、質問する人が重大なる虚偽の陳述をすると認めた場合には、あらかじめ偽証の非があるがというふうな前提のもとに質問をされて、またあの人たちは実際うそを言つた。そのために偽証罪で起訴されているのであります。私どもももし重大なるわかりきつた虚偽の陳述があるといたしますならば、やむを得ずそういう処置をいたさなければならないということを前提としてお聽きしたいのですが、適当に処分してくれとか、自由に使つてくれとかいう言葉はどういうふうなことになるのですか。私用に使つてもよいということになるのですか。
  540. 深井斌

    深井證人 私はそういうことは考えなかつたのです。
  541. 高橋英吉

    高橋(英)委員 そうすると、たとえば適当とかいうように、あなた方大ざつぱに金を取扱いされる人のみならず、われわれでもあるのです。しかし政党に寄附した場合、適当にとか自由にとかいうことになれば、遊説費に使おうと、公認費に使おうと、印刷費に使おうと、ポスター費に使おうと自由である。党のために自由に使われているが、あなたの自由は党として限定しているのか、また個人が、たとえば森戸さんなり西尾さんなりが自分の洋服をこしらえても、家を建築しても、適当に出費してもよいというそれまでの自由裁量をお認めになつた言葉ですか。
  542. 深井斌

    深井證人 私はそこまでは何も考えませんでした。
  543. 高橋英吉

    高橋(英)委員 現在ほどうですか。はいつていると思われますか。
  544. 深井斌

    深井證人 先ほどから繰返し繰返し申しますごとく、言葉の綾は何であつたはつきり覚えませんけれども、とにかくそれは御自由にお使いくださいという意味のことを申し上げただけです。
  545. 高橋英吉

    高橋(英)委員 その御自由にという意味は。
  546. 深井斌

    深井證人 ただ單に御自由にと申しました意味は、世間一般日常の会話で使う自由です。
  547. 高橋英吉

    高橋(英)委員 そうすると、洋服代にも生活の足しに使つてもよいと……。
  548. 深井斌

    深井證人 そこまでのことは私は考えておりません。
  549. 高橋英吉

    高橋(英)委員 要するに私用と解釈してよいのですか。西尾さん、森戸さんが自分の私用に使つてもよいと思われましたか。
  550. 深井斌

    深井證人 その点は私がさつきから繰返して申し上げるように、これをあなたの洋服代にお使いなさつてもよいとか、あるいは何にお使いになつてもよいとか、條件をつけないで、あなたの自由にと言つたのです。
  551. 高橋英吉

    高橋(英)委員 その自由の意味言葉の中にはどういうものが含まれておるのですか。廣義の無辺法界な自由裁量であるか、あるいは限定された意味か。たとえば限定された中には書記長の自由、また政調会長の自由、そういうふうなものを意味しておるかどうかそれをお聽きするのです。廣い意味の自由か、限定された意味の自由か。適当と言うが、どの程度の適当か。どぶの中に捨ててしまつてもいいという適当か、それは極端な話ですけれども……。
  552. 深井斌

    深井證人 ただ單に自由にお使いくださいと言つただけで、その意味がどういうことであるかという御質問ですが、それは私ははつきりわからない。
  553. 高橋英吉

    高橋(英)委員 そうすると自由とか、適当とかいう意味はつきりしたことをここにお述べになることはできないということにとつてよろしいのですね。
  554. 深井斌

    深井證人 それは違います。
  555. 高橋英吉

    高橋(英)委員 私の言つた質問に対して、どういう意味であつたかということをお答えにならないのだから、それはお答えになれないのでしよう。越権だから、それを洋服代にしろ、建築費にしろと言つても差支えないのだから。そこまで含んだ意味の自由とか適当とかいう意味で言われたかということです。これは西尾氏も非常に長時間にわたつてこの間熱心に弁護をさされました。御苦心の点はわれわれ涙な、くして拝聽できなかつたのでありますが、飯田氏もこの点について委員長その他から詳細に質問がありました。しかしその際において單なる立会人の証人深井さんが、こういうような積極的なる言葉を出されたということは、一人として言つておらないのであります。三人のうちの一人もそう言つておらないのであります。     〔「西尾氏は言つておるじやないか」と呼ぶ者あり〕
  556. 高橋英吉

    高橋(英)委員 西尾氏が言つたのは、飯田氏が言つたのだと稱しておる。それでは返事できませんね。――ではその程度でよろしゆうございます。
  557. 田中健吉

    ○田中(健)委員 深井さんにお伺いしますが、これは非常にデリケートな大事な段階です。これはまかり間違えばあなた自身もとんだことになるのではないかと思います。私は藤田君をよく承知しておるのですから、当初からこの金は政調会にやるということを目的としてやられたことははつきりしておる。それから選挙なんかが近ずいたから、選挙に使うということをあなたがはつきり発言なさつた。それで最初は政党資金であつたけれども、あなたが立会つて、あなたが個人という言葉、あるいは西尾さん、また森戸先生という言葉を使われた。そこに非常に重要な問題かあるのですが、その集める金の性質というものは政治資金であつて、当然政党に渡らなければならない。だからあなたがかりにもし政党の金として集められた金が、このように勝手に使われるということは、ある意味においては横領罪である。もし横領罪であるとしたならば、そういうきつかけをつくつたあなたは、当然責任を負わなければならない。そういう意味できわめて重要な場面にあるのです。この際あなたも、すいぶん古い話であるから、記憶も新たでない点もあるでしようし、そういうことからそういう言葉を使われたのかもしれませんが、西尾さんであろうが、森戸先生であろうが、当然この金は社会党の金に使われるべきものである。こういうふうにわれわれは考えておるのです。あなたも多分そうなのであろうと思うのですが、そこまではつきり記憶が喚び起されていないので、そういうことをおつしやつておるのじやないかと思う。もし今までの証言に若干修正を加えるというのであればこれは当然時間がなければならないと思いますが、この点はどうでしようか。これはあなたとしても党に使うべき金を個人使つてもいいようなことは、越権か何か知らないけれども、これは当然横領というようなことになると思うのであります。しかし私は断定はしません。自分考えを言つているのであります。今いろいろな事件調査委員会を開かれておりまして、たとえば復金で出された金など、当然社長の業務上の横領の問題になるというようなこともありますが、この眞実を発見するというわれわれ委員会目的から考えても、きわめて重大な段階に立つているのですから、西尾さんにやつたのでありましよう。あるいは森戸先生にやつたかもしれないが、金を集めるほんとうの目的政治資金であつたということをあなたはこの際お認めになりますか。
  558. 深井斌

    深井證人 竹中さんの説としてたびたび私が申しましたことく、この金の趣旨がどこまでもそうであつたことは間違いありません。
  559. 田中健吉

    ○田中(健)委員 しからば藤田さんからあなたが言われたこともそういう趣旨であるにかかわらず、いかなる意味においてあなたは越権行為でそういうことをおやりになつたのですか。
  560. 深井斌

    深井證人 それは平たい言葉で申しますと、森戸先生に対する学生時分の氣持、藤田榮氏の関係、その他もう一つは、多少いい顔でもしようという心理があつたのだろうと思います。
  561. 田中健吉

    ○田中(健)委員 そういう個人的な氣持、感情から、公金的な性質のものを左右することができるものでありましようか。
  562. 深井斌

    深井證人 いや、左右しようという意思ではなかつたのであります。左右しようというほどの大きな意思ではなくて、ただ單に……
  563. 田中健吉

    ○田中(健)委員 私は深井さんに重ねてお伺いしますが、私は大体この金を扱う精神は藤田君からよく聽いているのです。それで私はほかの人よりよく知つているつもりですが、だんだんお話を聽いていると、これは重大な段階にはいつてくると思うのです。深井さんの意味は、決してこの金を集めた意味、精神そのものを沒却する、これを無視するという考えではないのですね。
  564. 深井斌

    深井證人 それはむろんそうです。
  565. 田中健吉

    ○田中(健)委員 そうすると、この金を集められている、この金はどういう趣旨のものである、その金を集める精神、その精神というものを決して沒却するという考えはないのである、こういうことを深井さんは今御証言なさつたのですが、そういたしますと、先ほどの西尾さん、あるいは森戸先生とおつしやつていることは、これはほんとうの金の使い方を一言つているのじやないでしよう。
  566. 深井斌

    深井證人 そうです。しかしそれが越権行為であるということは認めております。
  567. 田中健吉

    ○田中(健)委員 やはりその金は政治資金であるという……
  568. 深井斌

    深井證人 集まつた金は竹中さんか再三言われた通りです。
  569. 田中健吉

    ○田中(健)委員 政党献金すべき金であるという御主張は当然あなたはお認めになりますか。
  570. 深井斌

    深井證人 そのとき立会つた初めからの話はそうに違いない。しかしそこで私は前の義理合その他のことでそういうことを言つたに過ぎないのです。
  571. 田中健吉

    ○田中(健)委員 あなたは義理合義理合とおつしやるが、それでは私はあらためて伺います、あなたが金をお渡しになつたその金はどういうふうに使われたと思うのですか。
  572. 深井斌

    深井證人 私は全然それは関知しません。
  573. 辻寛一

    ○辻委員 立会いを希望されましたですね。あらかじめ飯田さんの方に言うておかれたわけですね。それは社会党西尾さんが來たら知らせてほしいと言つたのか、それとも社会党の、だれでもいいから來たら立ち会つて金を渡すと言つたのか。
  574. 深井斌

    深井證人 それははつきり覚えておりません。だれか見えたらお知らせくださいと言つたか、いずれにしても私は当時藤田榮氏が社会党におりましたから、多分西尾さんか、森戸先生でも見えるだろうと思つておりました。
  575. 辻寛一

    ○辻委員 必ずしも断定しておらぬわけですね。とにかく社会党を代表してだれか來たら西尾さんか森戸さんが來られたら――それ以外の人が來られたらあなたはお渡しにならないつもりですか。
  576. 深井斌

    深井證人 たしか西尾さんが來られるからという意味の電話があつたように思つております。
  577. 辻寛一

    ○辻委員 それでは西尾さんが來られるから特に立ち会いたい、こういう意味ですか。――そうしますと、先ほどちよつと承りましたが、特にこの立会いを希望されたというのは藤田君に対する約束を果す、この一点にかかつておるように承りましたが、その点どうですか、もう一遍念を押します。
  578. 深井斌

    深井證人 それは藤田並びに森戸先生に対する当初口をきいた義理合いもありますから、立ち会いたいと言つた
  579. 辻寛一

    ○辻委員 森戸先生からは口をきいてないじやありませんか。
  580. 深井斌

    深井證人 私が立ち会つたの藤田森戸関係もうすうす知つてつたからです。
  581. 辻寛一

    ○辻委員 特に選挙中の藤田君に約束を果したから安心せよ、こういう電報を打たれたのですね。その約束を果したという主眼点を一体どこに置いておられるのですか。
  582. 深井斌

    深井證人 約束を果したということは、とにかく五十万円という金を調えたという趣旨であります。
  583. 辻寛一

    ○辻委員 最初藤田君から政調ということが特に強調されておつたわけですから、その約束を果したというところに主眼がなければならぬと思うが……
  584. 深井斌

    深井證人 私はとにかく政調とか何とか言つたら金が集まらぬから、社会党で金が要ると言つたのですから、それてやはり藤田に対する責任は果した思つております。
  585. 辻寛一

    ○辻委員 そういたしますると、たまたま政調会長森戸さんが一緒になつてつたわけでありますが、あなたが立会いを希望されたときには、やはり政調会長森戸という点が頭を離れなかつたのではないかと思う。あなたの御証言を承つておると、学生時代の尊、敬しておつた森戸さんというような表現もありましたが、いかに尊敬いたしましても單なる森戸さんならば、あなたがわざわざでかけてそういう言葉もなかつたろうと思います。
  586. 深井斌

    深井證人 その点私ははつきとり覚えませんが、とにかく森戸先生という言葉で私は申したので、森戸先生はすなわち政調会長であられる森戸先生とも思つたし、どつちでもよかつた
  587. 辻寛一

    ○辻委員 政調会長ということが念頭を離れたかつたことは確かですね。
  588. 深井斌

    深井證人 森戸先生政調会長であるということは知つておりました。
  589. 中村元治郎

    ○中村(元)委員 いろいろ承りましたが、最後に一つだけお伺いしておきたい。証人は自由にと言つて渡されたこの範囲は、もし西尾氏がそのまま自由を受け込んで、先ほど話のあつたように建築とか、あるいは自分の家計という方面に使われた場合、そういうことはおそらくありますまいが、竹中氏からそういう意味の金を渡したのではないのであつて、そるいうことに支拂われたのであるならば私は皆さんに対して申訳がない。その結末はどうするかと竹中氏からお話のあつた場合に、あなたはどうなさる用意をもつておりましたか。
  590. 深井斌

    深井證人 それは自分で拂います。
  591. 中村元治郎

    ○中村(元)委員 負担するということを前提とした越権行為であるとおつしやるのですか。
  592. 深井斌

    深井證人 いや、そのときには拂いましよう。
  593. 中村元治郎

    ○中村(元)委員 つまりそれを支拂うという用意があつて……
  594. 深井斌

    深井證人 いや、それは竹中さんと私の関係において、あるいは同業者から私に対して、それは越権行為であるから筋か違う、お前はなまいきによけいなことを言つたじやないか、その金は筋が違うから金を拂えと言つたら、私は今でも拂いましよう。C中村(元)委員 そういうことを用意のうちにあつて越権……
  595. 深井斌

    深井證人 今の質問がそうであつたから、そういうことを申し上げる。
  596. 中村元治郎

    ○中村(元)委員 そういうような御用意があつて私は越権行為だとおつしやつておられるように感ずることだけを申し上げておきたいと思います。
  597. 深井斌

    深井證人 いや、それは……     〔「質問なし」と呼ぶ者あり〕
  598. 武藤運十郎

    武藤委員長 今も中村さんからもありましたし、高橋さんからもあつたのですが、御自由にという趣旨は、政治関係の方、たとえば選挙とか何とかいう公の方面というのですか、それとも…
  599. 深井斌

    深井證人 それは選挙を前にしておいてのことですから、私の頭にはやはりそういう方面で先生が御必要のある場合は御自由にという意味であつたと思うのです。
  600. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは済みました。御苦労さんでした。     ―――――――――――――
  601. 武藤運十郎

    武藤委員長 では伺いますが、妹尾一夫さんですか。
  602. 妹尾一夫

    妹尾證人 はい。
  603. 武藤運十郎

    武藤委員長 大林組の重役をしておられますか。
  604. 妹尾一夫

    妹尾證人 ただいまは一線を引きまして、顧問でございます。
  605. 武藤運十郎

    武藤委員長 今までは……。
  606. 妹尾一夫

    妹尾證人 今までは常務取締役をいたしておりました。
  607. 武藤運十郎

    武藤委員長 ずつと大林組に長いですか。
  608. 妹尾一夫

    妹尾證人 さようであります。
  609. 武藤運十郎

    武藤委員長 どのくらいお勤めになつておりますか。
  610. 妹尾一夫

    妹尾證人 大正二年の六月からでございますから、三十五年になると思います。
  611. 武藤運十郎

    武藤委員長 それから昨年の四月の総選挙に際しまして、建設工業会の会長竹中藤右衞門氏の唱えるところによりまして、おもなる土建業者が相談をして、ひとつ三大政党献金をしようということをきめましたか。
  612. 妹尾一夫

    妹尾證人 私は大阪の本社に勤務をいたしておりますので、そのことは竹中さんから直接聽いたのではありません。東京駐在の木田常務から電話で聽いたのであります。一
  613. 武藤運十郎

    武藤委員長 木田常務……。
  614. 妹尾一夫

    妹尾證人 はい。
  615. 武藤運十郎

    武藤委員長 当時ですね、その電話でお聽きになりましたのは……。
  616. 妹尾一夫

    妹尾證人 さようでございます。
  617. 武藤運十郎

    武藤委員長 こういう話があるがどうかという相談を受けたわけですか。
  618. 妹尾一夫

    妹尾證人 さようでございます。
  619. 武藤運十郎

    武藤委員長 電話による木田常務からの話の趣旨は、ただいま私が申し上げましたようなわけでありましたか。
  620. 妹尾一夫

    妹尾證人 土建業者の有志が相寄つて政党を應援するために選挙費を出したいのだということでありました。三大政党ということは聽きませんでした。
  621. 武藤運十郎

    武藤委員長 竹中さんからのお話ということはございましたね。
  622. 妹尾一夫

    妹尾證人 竹中さんのお話ということはありました。
  623. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでその趣旨は各政党からあるいは政治家から各組へ個別な申込みがあるが、さようなことは煩わしいことでもあるから、この際おもなる業者が一括して政党へ寄附をする、そういうような趣旨から出発したということをお聽きになつておりませんか。
  624. 妹尾一夫

    妹尾證人 道行は長く聽きませんでした。
  625. 武藤運十郎

    武藤委員長 電話でお聽きになつたあと、このことにあなたは携わられたことはございませんか。
  626. 妹尾一夫

    妹尾證人 携わるといいますと……
  627. 武藤運十郎

    武藤委員長 電話でそれはよかろうという御返事をなさつたのですか。
  628. 妹尾一夫

    妹尾證人 さよう申しました。
  629. 武藤運十郎

    武藤委員長 それは東京の本田君にお任せするという話ですか。
  630. 妹尾一夫

    妹尾證人 いえ、そのときはただそれだけではいけませんから、大体どれほどの金を集めるのかということを聽きました。
  631. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうしますと……。
  632. 妹尾一夫

    妹尾證人 本田君は三、四百万円の金を集めることを目標にしておるのだということでありました。そうしてそれはどういうふうに、どの政党の方にいくらいくら行くのかと聽きました。本田君は進歩党と自由党へ大部分行くだろう、社会党の方へもなんぼか行くだろうということでありました。そこで私は社会党の方へなんぼ行くというような程度では困るじやないか、こちらは君も知つておる通り、昵懇の西尾さんもおられることであるからそれは困る。一体こちらの方の割当はどのくらいかと聽きましたところ、四十万円だという。それではその半分くらいの二十万円は社会党西尾さんの方に差上げるようにしてもらいたい、そしてそれはだれが大体きも入りをしておるのか鉄道工業專務の飯田さんであるとかいう話でありました。それではその方へも言つて、よく了解してもらうように取計らつてもらいたい。そういうふうに業者が寄つて寄附をするというのだから、こちらもこだわるわけにいかないのではないか、同業者に対してぐあいが惡いから、それはそういうふうに取計らつてもらいたいということでございました。
  633. 武藤運十郎

    武藤委員長 なるほどそうしますと、これは公の寄附金でありますから、帳簿に載るわけですね。
  634. 妹尾一夫

    妹尾證人 それはそうですね。
  635. 武藤運十郎

    武藤委員長 載つておりますか。
  636. 妹尾一夫

    妹尾證人 載つておるでしよう。東京の方に太田君がおるのですから……。
  637. 武藤運十郎

    武藤委員長 普通なんという名前の帳簿に載せるのですか、こういう場合には……。
  638. 妹尾一夫

    妹尾證人 そういうときには、本店でありますと本店の営業費の帳面です。
  639. 武藤運十郎

    武藤委員長 何という名前ですか、帳簿の名前……。
  640. 妹尾一夫

    妹尾證人 営業費勘定でございますね。
  641. 武藤運十郎

    武藤委員長 営業費勘定……。お話趣旨はまことに明瞭ですが、そうしますと、これはうち二十万円くらいは西尾さんにやつてもらいたいと思うがというお話がございますけれども、金を集めて寄附をする趣旨は、西尾さんとかだれとかいう個人ではなくて、三つの党へ寄附をする、そういう建前ですね。
  642. 妹尾一夫

    妹尾證人 建前はそうでありますね。
  643. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたがお出しになるときの希望として、うち二十万円くらいは西尾さんがお使いになれるようにという趣旨がついておつた……。
  644. 妹尾一夫

    妹尾證人 さようでございます。
  645. 武藤運十郎

    武藤委員長 その話は飯田氏にも傳えられたのであろうと思う……。
  646. 妹尾一夫

    妹尾證人 さようでございます。
  647. 武藤運十郎

    武藤委員長 その後飯田氏からいくら集まつて、いくらどこえどういうぐあいに寄附をしたかというお話がございませんか。
  648. 妹尾一夫

    妹尾證人 ございません。
  649. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたの方から確かめたこともないですか。
  650. 妹尾一夫

    妹尾證人 ありません。
  651. 武藤運十郎

    武藤委員長 本田さんはいかがですか。
  652. 妹尾一夫

    妹尾證人 本田君から聽いておりません。
  653. 武藤運十郎

    武藤委員長 しかしまあそのくらい念を押してされたわけですから、あのときの金はこうしたであろうというようなことをお話がなかつたのですか。本田さんなり飯田さんなりにあなたから。
  654. 妹尾一夫

    妹尾證人 飯田さんの方には話はいたしません。
  655. 武藤運十郎

    武藤委員長 本田さんにもお話になりませんでしたか。
  656. 妹尾一夫

    妹尾證人 本田さんには西尾さんが來られてから後、前にああいうふうに言うておいたからそういうふうに言つてくれたであろうなという念を押しました。
  657. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうしましたら……。
  658. 妹尾一夫

    妹尾證人 承知しておるよと言われました。
  659. 武藤運十郎

    武藤委員長 先ほどお話の出ました西尾末廣氏と大林組とはどういうような関係があるのですか。
  660. 妹尾一夫

    妹尾證人 西尾さんのたしかへ從兄と思いますが、南戸又四郎という人が大林の木家に勤務いたしておられました。私は大正四年に大林組に勤務しながら大体本家の方に寄寓をいたしておりますけれども、若かりしころでありましたから、一人者で寄寓をいたしておりましたような次第であります。そういうわけで西尾さんがときどきその南戸又四郎さんに会いに見えますし、また私とも話をいたしまするし、その後ずつと昵懇にいたしております。西尾さんの近親の者が、甥であるとか、子供さんもおりますが、そういうような人が大林組に勤務をいたしております。
  661. 武藤運十郎

    武藤委員長 そういう関係西尾さんと大林組と、またあなたとも関係ができておるわけですね。
  662. 武藤運十郎

    武藤委員長 そういう次第であつて、從來大林組は選挙などに際しましては、西尾氏に相当金銭上の應援をしておるというようなことがございますか。
  663. 妹尾一夫

    妹尾證人 あります。
  664. 武藤運十郎

    武藤委員長 どんなふうに一体いたしておりましたか。
  665. 妹尾一夫

    妹尾證人 金額なんかは記憶いたしません。
  666. 武藤運十郎

    武藤委員長 いつごろ大体どんなようにという概略のことをお話しください。
  667. 妹尾一夫

    妹尾證人 それは大林組とは申しますものの、やはり先代社長が亡くなりまず前までは、どちらかといえば大林家の方に深かつたとでも申しましようか、そういうわけですから、大林家の方なり社長なりでお取計らいになりましたことにつきましては、私承知いたしておりません。
  668. 武藤運十郎

    武藤委員長 会社からお出しになつたことはないのですか。
  669. 妹尾一夫

    妹尾證人 あります。
  670. 武藤運十郎

    武藤委員長 それにはどうですか。
  671. 妹尾一夫

    妹尾證人 私は昭和十三年から十七年まですつと支那の方に行つておりましたから、それはわかりませんし、それ以前のことは承知いたしません。
  672. 武藤運十郎

    武藤委員長 昨年四月総選挙のときに、西尾さんが大阪へ行かれまして、今年もひとつ何とか心配してくれないかという話がございましたか。
  673. 妹尾一夫

    妹尾證人 ございました。
  674. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでどういうふうなことになつたのですか。
  675. 妹尾一夫

    妹尾證人 私は、あなたの方に差上げる分は今度私の方からはいたしません。同業の有志が相寄つて金を集めて、まとめて差上げることになつておりますから、あなたはその方から受取つていただきたい、ということを申しました。
  676. 武藤運十郎

    武藤委員長 そのとき、いくらぐらいしてあるから、いくらぐらいそちらに行くだろう、というような話もありましたか。
  677. 妹尾一夫

    妹尾證人 それはどのくらいですかということでございましたから、二十万円です、どこへとりに行つたらいいか、どこへ行つたらわかりますか、ということでありましたから、それは鉄道工業会の專務をしておられます飯田に私の方からもよく連絡してありますから、というふうに申しました。
  678. 武藤運十郎

    武藤委員長 何かお聽きになることございますか。     〔[なし」と呼ぶ者あり〕
  679. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは済みました。御苦労さまでした。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時三十八分散会