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1948-05-05 第2回国会 衆議院 不当財産取引調査特別委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年五月五日(水曜日)     午後二時四十分開議  出席委員    委員長 武藤運十郎君    理事 鍛冶 良作君 理事 田中 角榮君    理事 辻  寛一君 理事 梶川 靜雄君    理事 河井 榮藏君 理事 小松 勇次君    理事 石田 一松君       石田 博英君    尾崎 末吉君       高橋 英吉君    平澤 長吉君       益谷 秀次君    明禮輝三郎君       宇都宮則綱君    大森 玉木君       橋本 金一君    矢野 政男君       田中 健吉君    本田 英作君       徳田 球一君   辻嘉六氏をめくる政治資金問題について出   頭した証人       三浦寅之助君    磯崎 貞序君       中  助松君    渡邊 治湟君       河野 謙三君    八木岡英治君     ————————————— 本日の会議に付した事件  辻嘉六氏をめぐる政治資金問題  証人出頭要求に関する件  委員派遣承認申請に関する件     —————————————
  2. 武藤運十郎

    武藤委員長 これより会議を開きます。  竹中組梅林組清水組などに対する不当融資問題につきまして、証人を調べる日時及び証人をお諮りしたいと思います。まず竹中組清水組に関する問題を一括しまして、前尾大阪造幣局長、池田前大藏次官大阪財務局長平田主税局長愛知銀行局長長沼管理局長、麹町税務署長大阪北税務署長竹中工務店代表といたしまして会長竹中藤右衞門、同竹中錬一両君、竹中工務店経理部長及び藤田榮代議士清水組関係につきまして清水組代表清水康雄君、この諸君を來る五月八日午前十時に当委員会出頭を求めて、証人として喚問いたしたいと思います。なお梅林組につきましては小坂前大藏政務次官大分合同銀行頭取福岡銀行頭取及び綾部健太郎氏、これらの諸君を五月二十日午前十時に当委員会証人として出頭を求めて喚問いたしたいと思います。
  3. 大森玉木

    大森委員 この問題は確証があつてやられるのでありましようか。ただ風評によつてかくも多数の人を喚び出して、調べるということが適当なことでありましようか、ただ風評によつてやるということでありますれば、今後こうした問題を何者が出しても、また架空的なものを出しても、これを委員会が取扱うことが適当であると考えられるかどうか、私どもは今これをちよつと見たのでありますが、これが確実なる証拠だということは、承知することができない。この点を委員長はどう扱われるか。もしもこういうような問題を出した場合、架空的に関を出しても委員会は取上げてもよろしいと仰せられるならば、それは差支えありません。さもなければ、私はこういう証人喚問することに対しては反対をいたします。委員長答弁を求めます。
  4. 武藤運十郎

    武藤委員長 実はこの問題を取上げますときにも石田一松君から同じような御意見があつたのでありますが、提案者であります高橋英吉君から、責任をもつて提議するということがございまして、去る委員会におきまして、取上げることに決定をいたしたものであります。そうしてその調査根本方針範囲並びに喚問すべき証人などにつきましては、理事会一任をするということになりまして、本日午前の理事会において決定をした次第でありまして、この問題を取上げますことは、すでに確定をいたしておるのであります。ただいまの大森さんの御意見は、今後当委員会において取上げる場合における御意見としては承つておきたいと存じますけれども、この問題といたしましてはすでにきまつている次第でございます。
  5. 大森玉木

    大森委員 そうでありますと、高橋委員が出された、その責任をもつてということでありまするが、いかなる責任をもたれるのでありまするか。その点を重ねて高橋さんから承りたいと思います。
  6. 高橋英吉

    高橋(英)委員 答弁する必要はないと思いますけれども、いやしくも代議士であり、不当財産取引調査委員として発議し提案しました以上は、私が説明しなくても、御承知のような公人としての責任はむろんとるのでありますけれども、しかしそれは私個人の問題であつて、この問題が取り上げられた以上は委員会責任であります。委員全体が責任を負わなければいけない。しかしその責任範囲とか、責任内容とか、そういうものはおのずから各種の事情決定するのであつて、それを今さらお聽きになるのはどうかと思うのであります。大体本案が取上げられることに確定した事実、それから証人喚問程度については委員会理事会一任されておつて、今さら当議場にお諮りになる必要はない、これは確定的なことなんでありまして、委員長がお諮りになつたということはちよつと行過ぎじやないかと思います。御報告だけでよい。(「報告つた」と呼ぶ者あり)御報告だけだつたとすれば行過ぎじやないのですか、御報告ばかりでもないというふうにとられましたから……。私が責任を負うという問題については、懇談会においても、理事会においても、私の提唱しておることはまた提案の書類に明らかであります。この問題はおのずから解決されると思います。一々責任内容を言わなくてもわかつておると思います。
  7. 大森玉木

    大森委員 ただいま高橋さんのお話を承りますと、答弁の必要はない。答弁の必要はなくてもよろしいのでありますが、今もしも責任があるならば、委員会へかけたのであるから、全委員責任だというようなことはどこにあるか。そういうことでありますれば、私どもはそうした問題にはタツチすることができないということになる。要するに責任は全委員責任であるというがごときことは私はないと思うのでありますが、どうなんでありますか。
  8. 高橋英吉

    高橋(英)委員 責任というのを誤解されておるのであるが、われわれ委員委員としての責任盡す上においての責任である。だから風評だろうが、何だろうが、この委員会で取り上げなければならないということに決定すれば、それに対して委員としての職責を全うすることがすなわち責任である。從つてそれに対して責任を負うということは、はたして委員全体がその職責に忠実であつたかどうかということに帰することになる。党派的な観点やそのほかによつてこの委員会が歪められて運営されたら、それこそ大きな政治的責任を負わなければならぬ。忠実にさえあればよいのである。この私が提案した問題天下周知の事実です。これを調べずして何の不当委員会の使命があるかと私は叫びたい。今さらそういう個人的な責任論とか何とかいう必要は決してないと私は思う。要するに議院規定では懲罰の規定もあればまた委員会においては名誉毀損規定もあるし、それぞれわれわれの行動に対しては法律上の責任もあり、また選挙民も監視しておることであり、また政治的な制裁もあるのでありますが、いまさらそういうことを聽かれる前に、この委員になつておる方がどういう責任をとられるか、はたして本委員提案しておる中の一つでも該当するような事項があつた場合には、その人々はどういう責任をとられるかということをまず考えられた方が私はいいと思う。
  9. 石田一松

    石田(一)委員 この問題に関してはもちろん理事会決定したことであり、私はせんだつて本件に関する証人喚問はある條件をつけて賛成したものでありますので、何らこれに対して反対を表示する意味でここで発言を求めたのではありませんが、私の特に申し上げたいことは、なるほど理事会できまつたことを委員会で何を言うかというお言葉が出ますが、理事会は何ら速記録をとつて正式な公開の席上で行われるものではありません。要するにただ理事会のあり方は、この委員会の議事を円満に運営するための事前交渉という意味において有効な理事会でありますので、私はここに特に速記録に止めて申し上げておきたいことは、本件に対しての責任高橋委員に追究しようなどという考えはもつておりませんが、少くともせんだつて高橋委員がこれらの証人喚問する理由として申し述べられたことがはたして事実であるかどうかということを追究し、われわれがこれを探求するために証人喚問するのであろうと思います。であるからには高橋委員が申し述べられたことは天下周知の事実であるか、また何であるかということは証人喚問してはつきりこの委員会決定を得るまでは断言し得ないと思います。もしそうした問題であるならば、ただいま委員長ガ報告をなさいました程度の何々事件に関して何々の証人、何々組の事件に対してたれそれを喚問するということがこの前の委員会においてなされたならば、本委員もこの言に対して何ら異議を唱えるものではないのであります。にもかかわらず高橋委員があのときになされたことは、われわれがこれから事実を追究しよう、調査しようとするそれをさながら事実のごとく、理由として堂々と申し述べて、しかもこれこれの証人喚問したいということが速記録に止まつているのであります。しかもそれは公開の席上なされ、翌日の新聞にはさながらその事実がなされたものと世間が誤解するような新聞記事が各社の紙面を賑わしているという事実であります。これは政党間の泥試合的な考え方を國民にもたせるものではないか、この委員会の超党派的な性格を失わしめるものではないか、こういうことを私はおそれるのであります。今度は少くとも証人喚問するためには、その理由理事会において祕密裡にそれを檢討し、理事会がこれは確証あるものと断定し、証人喚問すると決定したときは、この委員会においてただ單に委員が事実はどうかをこれから調べようとすることを事実かのごとく理由として申し述べることなく、何々事件に対して何々という証人を喚びたいと、ただそれだけで私は事が足りると思います。それでなければ理事会の存立の意義も何もない、私はこういうように考える。この点に関して今後は委員長として特に善処されんことを要望して、私は証人喚問に対して賛成するものであります。
  10. 武藤運十郎

    武藤委員長 宇都宮君に発言を許します。
  11. 宇都宮則綱

    宇都宮委員 私は先ほど大森委員質問に対してもしこれが間違つてつたときには、どういう責任をとるかという質問に対して高橋君はこう言われました。これはすでに理事会できまつているのだから自分公人として責任を負うのみでなく、理事会できまつたのだから委員全体が責任を負わなければならぬというお説を述べられたが、私ども委員としてこういう抽象的な、というか、推定すとか、であろうというような、こういう文句で綴られたいわゆる証人喚問することに対しては絶対反対の意思を表明いたしておきます。むろん責任は負いません。     —————————————
  12. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは次に委員派遣をお諮りします。兵器処理関係につきまして、明禮輝三郎君を大阪市、神戸市、調布町方面へ、山中日露史君を廣島市、呉市、光市、八幡市方面へ、野本品吉君を栃木縣下及び群馬縣下派遣をいたしたいと思います。なお派遣日時等につきましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではさよう決定いたします。     —————————————
  14. 武藤運十郎

    武藤委員長 本日木村公平氏は病氣のため出頭できないという書面がただいままいりました。よつて來る七日にもう一度喚出したいと思います。なお七日の喚問は特に委員会を開くことなく、委員長に御一任を願いたいと思いますが、異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 武藤運十郎

    武藤委員長 河野一郎氏はただいま東京地方檢察廳で留置中で、本日は出頭できないそうであります。檢察廳とも打合せの上、近い機会に再び出頭を求めて喚問いたしたいと思います。いかがでようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 鍛冶良作

    鍛冶委員 木村公平君について病状はわかりませんが、もし七日に出られないということがあれば、臨床迅問なり、適宜の処置をとつた方がいいと思いますので、その点をも併せて委員長一任いたしたいと思います。
  17. 武藤運十郎

    武藤委員長 御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 武藤運十郎

    武藤委員長 さよう決定いたします。  それでは出頭せられました証人を調べることにいたします。本日御出頭証人三浦寅之助君、磯崎貞序君、渡邊治湟君河野謙三君、中助松君、八木岡英治君。  証言を求める前に各証人に一言申し上げます。昨年十二月二十三日公布になりました昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人の宜誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職に在る者、またはこれらの職に在つた者がその職務上知つた事実であつて、默祕すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しこうして証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、且つ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一應このことを御承知おきになつておいていただきたいと思います。
  19. 高橋英吉

    高橋(英)委員 磯崎君と三浦君は前回宣誓しておるのですから、前回宣誓を維持するという裁判所などの慣例通りでいいのじやないですか。
  20. 武藤運十郎

    武藤委員長 わかりました。どうせついでですから、改めてやつておきましよう。では法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。お手もとに差上げてある宣誓書を朗読の上署名捺印を願います。     〔証人三浦寅之助君各証人を代表して宣誓〕     〔各証人宣誓書署名捺印
  21. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは三浦さん、磯崎さん、中さん、渡邊さん、河野謙三さん、八木岡さん、こういう順序で喚問いたしますから、三浦さん以外の方はしばらく別室でお待ちを願いたいと思います。  それでは三浦さんに伺いますが、去る四月五日に辻嘉六氏との関係その他につきまして、当委員会証人として御出頭の上、陳述をされたのでありますけれども、あのとき陳述せられた事柄につきまして、何か本日御訂正をなさる箇所がございましたらば、御訂正を願います。
  22. 三浦寅之助

    三浦証人 前回証言のときに申し上げましたことは、実は全部誤りであるということがはつきりいたしましたので、全部前の証言を取消しいたします。いろいろその後考えてみましたり、また記録等も見ましたり、あるいはその当時の関係の者にもいろいろ聽いてみまして、結局私が河野氏の事務所に行きまして二万円を——辻さんの私に対する陣中見舞の立替であるということで河野氏から二万円の金をもらつたことは事実であります。そのときのことをよく考えてみますと、河野氏が私に対して、辻さんが陣中見舞をやるそうだから行くようにという話があつた考えます。その際私はちようど選挙の最中であり、市会や縣会の選挙もやる、また代護士選挙というようなことで忙しかつたので、いずれ後刻伺おうということで帰ろうとしました際に、河野氏が、それではおれが立替えてやるから、後に辻氏の所に挨拶に行くようにということで、二万円の金を立替えてもらつたことがはつきりわかりましたので、その点を訂正いたします。なおまた選挙後に、私の考えやあるいは陣中見舞挨拶を兼ねて辻邸を訪問した際に、帰りに無造作に一万円を、お祝というような趣旨だろうと思いましたが、もらつたことがはつきりいたしましたので、この際謹んで訂正すると同時に、自分の不注意であつたことを、心からおわびを申し上げておきます。
  23. 武藤運十郎

    武藤委員長 何かお尋ねになることがございますか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは済みました。御苦労さまでした。
  25. 宇都宮則綱

    宇都宮委員 將來ともこういうことが起ると思いますが、もし陳述偽証した場合には、委員会偽証と認めたときにさらに証人喚問して、今日のごとく取消しあるいは言直し將來も繰返すことがあるのでありますか、これをちよつとお尋ねしておきたいのであります。
  26. 武藤運十郎

    武藤委員長 それはそのときの情勢によりまして、再び喚問することもありましようし、しないこともあるでありましようし、あるいはまた偽証の告発をすることもありましようし、しないこともありましようし、そういう点はすべてそのときそのときの具体的な問題につきまして、委員会において決定をいたしたいと考えております。
  27. 大森玉木

    大森委員 大体これもきまつたことだと仰せられたのでありますが、今のように宣誓をしてまた再尋問をするということになりますれば、宣誓意味がないじやありませんか。宣誓というものはすべてうそを言わないということを宣誓したので、しかるに次にまた宣誓をするというのは、宣誓書を何枚も書く、いわゆる三下り半を何枚も書くようなことで、そんなことではこの委員会をどうして信ずるのでありますか。委員会証言というものはそれでよいのでありますか。私はそのときには出ておりませんでしたが、聰明な委員諸君がおられまして再尋問をするということをきめられたということは、実に笑止千万であると思う。この点どうお考えになりますか。
  28. 武藤運十郎

    武藤委員長 これは決定をいたしたのでありますが、再喚問をするということは、別に偽証罪の制裁を免除したということにはならないのでありまして、その点は別個な問題であると思うのであります。     —————————————
  29. 武藤運十郎

    武藤委員長 磯崎さんに伺いますが、四月五日に当委員会証人としてお述べになつた事項につきまして、何何御訂正をなさることがありましたら伺いたいと思います。
  30. 磯崎貞序

    磯崎証人 私のためにいろいろ委員長初め各委員に御配慮を願つておりますことを、まことに申訳なく感じております。去る日お喚び寄せを受けまして開陳いたしましたり事項は、実は昨年の三月末ないし四月初旬の出來事と心得ておりまして、この問題は、一年以上の年所を経ております関係上、いろいろその間におきまして、先般申し述べましたる事項に対し、あるいは関連せられたる事項等と、いろいろみずから考えておりました結果、次に申し上げますことが現段階におきまして正しいことであるということを前提において申し上げます。  私は昨年の三月末におきまして、当時議会は解散され、おそらく選挙も行われるというような空氣が擡頭しました当時、前の選挙で当選したが、一年足らずにまた選挙かというような考えで、その出馬につきましては自分みずから考慮をしておつたものでありましたが、郷党の推挙もだしがたく、みずからの考えもようやく相定まりまして、そこでたまたまただいま申し上げまするような、三月末ないし四月の初めごろ上京しました際に、実は郷党の先輩である河野氏の事務所へ参りまして、その立候補の挨拶をいたしました。たまたま会談中に、河野氏から、ちよつと待つてもらいたい、紹介する人があるというような言葉を受けまして、しばらく待つておりますと、河野氏は別席へはいりまして、その様子は電話をかけられているように想像しましたが、ややありまして同行しまして、行先も知らずにとにかく一緒に行きましたが、牛込なる辻氏邸へ入りました。ちようどその門を潜つたときはじめて辻氏邸であるということがわかつたのであります。そして辻さんに会見いたしまして、ちようど奧座敷で三名連坐という形でございます。そうして私を辻氏に紹介されまして初名乘りをいたしたわけであります。そのうちにいろいろ世間話や老体の健康問題等の話が数分間ございましたが、ややありまして、辻氏は席を立つて三四歩うしろへ行かれまして、本箱であるか、金庫であるか、そこを開けて、持たれた物を河野一郎氏に渡されました。そうして河野一郎氏から私の方へ手渡されました、私の手へはいりました瞬間金一万円の束が二つであつた從つて金二万円私が受けたということに相なつております。その際に私は辞退をいたしましたが、たつてお話であります。その瞬間これは私の陣中に対する御同情ある献金であると考えまして、たつてのことでございますから、いただきました。その点が先の陳述と異つております。その他につきましては、ほぼ同じでございます。大体五分間の会談で、二人とも言葉を交して辻邸を去つたのでございます。
  31. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうしますと、中助松氏から三月円か受取つたというのは別口なんですか。
  32. 磯崎貞序

    磯崎証人 そうであります。
  33. 武藤運十郎

    武藤委員長 何かお尋ねのことはありますか。
  34. 宇都宮則綱

    宇都宮委員 証人お尋ねしますが、証人は先般召喚されたときに、一年有半経つてつて大分間違いがあるということを述べられた。それからさらに日にちが経つておるのでありますが、今度は間違いありませんか。
  35. 磯崎貞序

    磯崎証人 一年経てただいま申しますような、申訳ないわけでありますが、今度はきわめてわずかなことで、絶対に間違いないことを申し上げます。     —————————————
  36. 武藤運十郎

    武藤委員長 お諮りいたします。中助松氏は必要ないような事情ですが、調べないことにいたしますか、調べますか。     〔「必要なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 武藤運十郎

    武藤委員長 それではそういうわけでありますから、御苦労さまでした。     —————————————
  38. 武藤運十郎

    武藤委員長 渡邊証人に伺います。去る七日に当委員会に御出頭願いまして証言を求めたのでありますが、何かあの際なさいました証言について御訂正になるところがありましたら、伺いたいと思います。
  39. 渡邊治湟

    渡邊証人 実はあのときに私の留守中に、選挙事務所へ辻さんをお訪ねするようにという傳言がありました。その傳言先濱野であるというふうに確定的に申し上げたと、あとで考えておるのでございますが、その点が誤つておりますから、訂正をさせていただきたいと考えます。
  40. 武藤運十郎

    武藤委員長 濱野という人物から辻先生のところへ伺えという傳言があつたと申しておるのは浜野でない……。
  41. 渡邊治湟

    渡邊証人 濱野でないというわけではありませんが、確定的に浜野であるというふうに申し上げたのは誤りであるという趣旨であります。趣旨をもう少し申し上げればはつきりすると思います。私が選挙事務所に帰りますと、その日の重要な出來事傳言などがメモされてありまして、辻先生のところへ訪問するようにという傳言もメモされてあつたのでありますが、そのときに傳言先はつきりしませんので、私としては最初は濱野氏でないかと事実思つたのでございます。しかしまた考えてみますと、あるいは河野氏が公職追放になつております関係上、自分名前を出さずに、傳言だけをしてくれたのでないか、こうも考えたのであります。その点が前回申し上げた点と違つているのであります。
  42. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると、濱野という人から傳言があつたことはあつたのですか。
  43. 渡邊治湟

    渡邊証人 私の留守中でその傳言先はつきりしません関係上、濱野であつたか、河野であつたか、その点がはつきりしないのでございます。実はこの濱野辻先生と非常に懇意のことを承知しているものですから、濱野氏から傳言があつたのではないかと最初思いましたけれども、また考えてみますと、名前はつきりしないのは、あるいは河野氏が御自分の方の名前を言われずに、事務所から傳言してくれたのではないか、こうも考えたわけであります。
  44. 武藤運十郎

    武藤委員長 濱野さんという方は実在する人物ですか。
  45. 渡邊治湟

    渡邊証人 もちろんそうです。
  46. 武藤運十郎

    武藤委員長 どういう関係ですか。
  47. 渡邊治湟

    渡邊証人 神奈川縣の片瀬という所で漁業の綱元をしている年配者でございます。辻先生とは前から知合であるということを承知しております。
  48. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたとも懇意ですか。
  49. 渡邊治湟

    渡邊証人 そうです。
  50. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると、濱野であるか、河野であるか、今でもわかりませんか。
  51. 渡邊治湟

    渡邊証人 今では実はそれを確めてみる機会がありませんので、こういう問題が起きましたものですから、不動愼なこともできませんので、はつきり確めてみせんが、あるいは河野氏の方ではないかとも考えているのであります。
  52. 武藤運十郎

    武藤委員長 もう一年以上経つていますから、どちらかになつているでしよう。濱野さん、河野さんにもそのときに話が出ませんでしたか。
  53. 渡邊治湟

    渡邊証人 前回のお調べが比較的簡單に済みましたものですから、辻先生からお金をいただきましたときの前後の状況を申し上げませんでしたので、はつきりしないと思いますが、その関係を申し上げさしていただければ、かなり関係が明瞭になると思いますので、お許しがいただければ、申し上げたいと思います。
  54. 武藤運十郎

    武藤委員長 述べてください。
  55. 渡邊治湟

    渡邊証人 実は私辻先生とお会いしたことはありませんが、日ごろいろいろの話で非常に尊敬しておりましたから、初めての代議士選挙の立候補でもあり、そういう傳言がありましたので、お訪ねしたいと思いましたが、しかし不用意に出來まして恥をかくようなことがあつてもなりませんから、一度河野氏を訪ねてみようと思つたわけでございます。それは私が立候補しましても、河野氏のところへ儀礼的な挨拶にすらも出ておらないような関係でございますので、御挨拶かたがた辻先生関係を伺いまして、その上で辻先生の方へ出たい、こう考えました結果、傳言のありましたたしか翌日ぐらいと考えますが、丸ビルの河野氏の事務所を訪ねたのでございます。ちようど折よく河野氏がおいでになりまして、立候補の挨拶や、松挙情勢などを簡單に話しまして、実は辻先生の方へ訪ねるようにという傳言があつたのだがということを申しましたところが、それはちようどいいところだ、ぼくが辻さんに用意があつて行かなければならないことになつているから一諸に來たまえ、紹介してあげるから、こういう話でございまして、それで河野氏と一緒に河野氏の車で辻先生のところへお訪ねしたわけでございます。それでしばらく待たせられました上、辻先生がお会いくださいまして、その際辻先生からお金をちようだいした。こういう関係になつておりますから、はつきりだれから傳言があつたということを確かめてはありませんが、前後の事情からして、あるいは河野氏が好意で言つてくれたのではなかろうか、こういうふうに今考えれば考えられるわけでございます。
  56. 武藤運十郎

    武藤委員長 伺いましたけれども、小くとも選挙に際して二万円の金をもらいに行けという、傳言があつたわけですから、もう少しはつきり、それが濱野であるか、河野であるかということはその後でもはつきり確かめておられることが普通だと思います。それは納得できません。
  57. 渡邊治湟

    渡邊証人 最初傳言のありました際には陣中見舞とか何とかいうことには全然触れていないのであります。私としては党の先輩者というふうに考えておりましたし、儀礼的にも御挨拶に出るべきであるし、また出れば、私も落選するつもりはありませんでしたので、いろいろと御面倒をみていただけるのではなかろうかという考えもありましたものですから、一度お訪ねしたいと考えたわけであります。河野氏のところへ伺つて結局そういうことになつたわけでして、河野氏を訪ねるまでは、辻先生から金銭的な御挨拶を戴けると考えたことはないのであります。
  58. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると河野氏であるか、濱野氏であるかということは、あとで確かめればこれからでもわかりますか。
  59. 渡邊治湟

    渡邊証人 もちろんわかると思います。
  60. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは一つお確かめになつて、一週間以内に書面で委員長あてにお願いします。
  61. 渡邊治湟

    渡邊証人 かしこまりました。実はこの問題が起きたものですから、濱野氏にもだれにも一回も会つておらないのであります。正確に確かめまして申し上げることにいたします。
  62. 武藤運十郎

    武藤委員長 何か御質問ございませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 武藤運十郎

    武藤委員長 御苦労さまでした。
  64. 田中健吉

    田中(健)委員 委員長に対してぼくは見解の表明を求めるわけであるけれども、犯罪が発覚した後において、前の証言が誤つてつたと言つてみても、前の証言がはたして誤りであつたということを認めるための理由になるかどうか。このことが偽証であるかどうかということを認定する重要な点でなかろうかと思いますので、委員長はどういう見解をもつておられるか、この際お述べ願いたい。
  65. 武藤運十郎

    武藤委員長 私は委員会決定從つて行動するほかないのでありまして、この問題について特に委員長意見というものは述べる必要はないと思います。今後この問題がはたして田中君が言われるごときことになるかどうかということも、すべて委員会決定にまちたいと思います。
  66. 鍛冶良作

    鍛冶委員 ついでですから申し上げますが、この問題はよほど重要ですから、今日の証人が済んだあとでその件を議論したいということを前もつて申し上げておきます。     —————————————
  67. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは河野謙三さんに伺います。あなたは河野一郎さんの実弟でありますか。
  68. 河野謙三

    河野証人 そうです。
  69. 武藤運十郎

    武藤委員長 河野一郎さんは元自由党の幹事長をしておられましたたのですね。
  70. 河野謙三

    河野証人 そうです。
  71. 武藤運十郎

    武藤委員長 追放でおやめになつたのですね。
  72. 河野謙三

    河野証人 そういうふうに聞いております。
  73. 武藤運十郎

    武藤委員長 ふだんは親しくしておらないのですか。
  74. 河野謙三

    河野証人 お互いに住つておるところも離れておりますし、自分の勤も忙しいので、あまり会う機会がありません。田舍の佛事のときに会う程度であります。
  75. 武藤運十郎

    武藤委員長 昨年四月の総選挙に、あなたは神奈川縣第三区から衆議院議員に立候補せられましたか。
  76. 河野謙三

    河野証人 しました。
  77. 武藤運十郎

    武藤委員長 その際に河野一郎氏が辻氏方から二万円の陣中見舞をあなたのためにもらつてまいりまして、あなたにこれを渡したという事実がありますか。
  78. 鍛冶良作

    鍛冶委員 ちよつと……。その点をお聽きになるなら一應証人確める必要があると思います。議院における証人宣誓及び証言等に関する法律第四條には「四親等内の血族もしくは三親等内の姻族及び証人の後見人または、証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関しては証言を拒むことができる」ということになつておりますから、私はそれがたしかに不法であるとは申しませんが、そういう場合は証言を拒み得るものだということをはつきりしておかなければいかんと思います。
  79. 河野謙三

    河野証人 今のお話ですが、私は進んで証言いたします。ただいまのそういう金銭の受授については選挙のときはもちろん、私自分で、独立以來、日ごろの生活においても兄貴と一切金銭のやり取りはいたしません。
  80. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうしますとただいま伺いましたような、辻氏方から河野一郎氏が二万円の選挙陣中見舞をもらつてきてあなたに差上げた、渡したという事実はないわけですか。
  81. 河野謙三

    河野証人 ありまん。
  82. 武藤運十郎

    武藤委員長 関かそれに似通つたような事実は当時ありませんでしたか。
  83. 河野謙三

    河野証人 その点については特に追放者と立候補者との関係についてはやかましい規定があるように聞いておりましたし、選挙の前後二三箇月というものは特に私は一切の往復を避けました。そういうことで、特にその点については留意してやつたつもりでありまして、そういう事実はありません。
  84. 武藤運十郎

    武藤委員長 辻氏も檢察廳でさように述べておりますし、河野一郎氏も同じく檢察廳でさように述べておりますが、間違いはありませんか。
  85. 河野謙三

    河野証人 間違いはありません。
  86. 武藤運十郎

    武藤委員長 何か河野一郎氏がさような行動をすると、それが追放者の政治行動ということで責任を問われるという思いやりから、あなたはただいまお話のように事実を否認してお答えになつているのではありませんか。
  87. 河野謙三

    河野証人 それは昨年の春立候補を自分で決意したころから累を兄に及ぼしてはいかぬというので、そういうことについての一切の交渉を絶つことが絶対に必要だということは、その当時十分承知しておりました。從つてお尋ねのようなことはありません。
  88. 武藤運十郎

    武藤委員長 河野氏がたとえば三浦寅之助君、磯崎貞序君、渡邊治湟君というような諸君に、選挙費用の心配をしてやつたというようなことも御存じありませんか。
  89. 河野謙三

    河野証人 それは新聞にこの前の委員会証人の記事が出まして、初めてそれを知りました。私の云々の話が去年のころに檢事局であつたという話も、そのときたまたま時事新聞だけに私の名前が出ておつたことを友人から時事新聞を見せられて、初めて承知したようなわけです。
  90. 武藤運十郎

    武藤委員長 何かお尋ねになることがありますか。
  91. 橋本金一

    ○橋本委員 ちよつとお尋ねします。辻、河野二方からは直接受けておらないということははつきりしております。いろいろな関係からそれに類似したような方面によつて陣中見舞とか、何とかいう名目できておることはありませんか。
  92. 河野謙三

    河野証人 先ほど申し上げましたように、私は選挙のときはもちろんのこと、日ごろの生活においても兄との関係で金銭のやりとりは一切ありません。二十年この方補助を受けておりません。
  93. 大森玉木

    大森委員 これはこの事件に関連したことだけしか聽けないのですか。
  94. 武藤運十郎

    武藤委員長 大体そういうことになつております。
  95. 大森玉木

    大森委員 ちよつと私の縣に河野さんに関係しての事件があるのでありますが、それをこの機会証人として聽くことはいけませんか。
  96. 武藤運十郎

    武藤委員長 もし何ならお聽きになつてください。
  97. 大森玉木

    大森委員 それならお尋ねしたい。     〔「異議あり」と呼ぶ者あり〕
  98. 武藤運十郎

    武藤委員長 発言を許してあります。私が発言を聽いてみて必要がなければ答えませんから……。
  99. 大森玉木

    大森委員 漁網の関係で二百五十万円という金があなたの方へ渡つて、それが云々ということになつておるのでありますが、これはその後いかなる解決になつておりますかどうか、ちよつとお尋ねいたします。
  100. 河野謙三

    河野証人 何と言いますか、漁網……
  101. 大森玉木

    大森委員 漁網を賣つてやるということで三百五十万円という金が……
  102. 武藤運十郎

    武藤委員長 大森さんに御注意申し上げますが、だいぶ違うようでありますから、後の機会にお願いいたします。
  103. 大森玉木

    大森委員 では改めてお伺いします。     —————————————
  104. 武藤運十郎

    武藤委員長 八木岡英治さんですか。
  105. 八木岡英治

    八木岡証人 そうです。
  106. 武藤運十郎

    武藤委員長 ちよつと伺いますが、あなたと中央公論社との関係はどういうことになつておりますか。
  107. 八木岡英治

    八木岡証人 今年の三月末日に退職いたしました。それまでは中央公論編集部に勤めておりました。
  108. 武藤運十郎

    武藤委員長 いつからいつまでお勤めになつたのですか。
  109. 八木岡英治

    八木岡証人 婦人公論編集長を終戰後いたしまして、一年で婦人公論を辞めまして、それから中央公論編集部にはいりました。中央公論の編集をやりまして、はつきり期日はわかりませんが、一年以上中央公論にはいつておりました。
  110. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたの記者としての経歴を一應述べてください。
  111. 八木岡英治

    八木岡証人 記者としましては昭和十七年の中央公論へはいりまして、戰時中中央公論が解消されたときには放送局の報道部へ籍を置きまして、中央公論が再建されるに当つて、中央公論へ呼び返されました。その当時中央公論は臘山政道氏が主幹をされておりました。その下で中央公論をその当時は編集長という名目はなかつたのですが、事実上編集長の仕事をやりました。婦人公論が再建されるに当りまして婦人公論の編集長として一年間編集をやりました。それから中央公論の編集部へ一應籍を置いて、中央公論の仕事をしておりました。
  112. 武藤運十郎

    武藤委員長 昭和十七年前は何をしておられたのですか。
  113. 八木岡英治

    八木岡証人 十七年前は私は大学を出ましてから中学校の教師などを多少いたしました。それから十六年か十五年かはつきり記憶いたしませんが、重要産業協議会という所へ勤めまして、それから中央公論へはいりましたので、記者としては中央公論前には重要産業協議会で関係いたしましたことは多少いたしました。それくらいのものであります。
  114. 武藤運十郎

    武藤委員長 中央公論の本年三月号に、「政治と金」という題目で、九鬼千丸というペン・ネームで書いておりますのはあなたですか。
  115. 八木岡英治

    八木岡証人 さようです。
  116. 武藤運十郎

    武藤委員長 この「政治と金」という問題は、中央公論社から與えられた表題ですか、それともあなたがおつけになつたものですか。
  117. 八木岡英治

    八木岡証人 その論文は、この不当財産取引調査委員会が設けられなければならないような情勢がその当時あつたことに対して、そういうものは、ジヤーナリストとして取上げなければならない、取上ぐべきだという考えにおいて取上げたものでございますが、その表題は、「政治資金」という表題をつけておつたのですけれども、それは編集部において訂正したらしく、その内容も削除あるいは多少の変更がなされたらしく、ぼくはそのどこを変更し、どこを削除されたかということはよく記憶いたしませんが、つまり編集部内において書かれたものは、一應そのときの編集長が目を通して、それを直す、削除するものでありますから、表題もそういうわけで、ぼくがつけた表題ではございません。
  118. 武藤運十郎

    武藤委員長 これはあなたが中央公論の社員であつたころにお書きになつたのですか。
  119. 八木岡英治

    八木岡証人 そうです。十二月から一月ごろです。
  120. 武藤運十郎

    武藤委員長 削除が大分あるのですか。
  121. 八木岡英治

    八木岡証人 さあ、どの程度ありますか、それははつきり言えませんけれども、初めの方に論文の趣旨というものが相当書かれてあつた。それが全然削除されて、それだけ見ると、いかにもその個々の材料が重大であるかのごとき感じを受けますが、その全篇の趣は、冐頭のところと最後のところで言つてあるというのがその趣旨である。
  122. 武藤運十郎

    武藤委員長 つけ加えられたものはありませんか。
  123. 八木岡英治

    八木岡証人 私はつけ加えたことはないのじやないかと思います。はつきり記憶いたしません。
  124. 武藤運十郎

    武藤委員長 要するにこの記事はあなたの記事ですね。
  125. 八木岡英治

    八木岡証人 さようです。
  126. 武藤運十郎

    武藤委員長 ここにいろいろな記事が並べられておるようですけれども、こういういくつかの記事につきまして、あなたが書かれた根拠を伺うというのが、きようおいでを願つた目的です。そこで便宜私の方から順を追つて伺いますからお答えを願いたい。お手もとにありますか。
  127. 八木岡英治

    八木岡証人 ここに持つております。
  128. 武藤運十郎

    武藤委員長 それではごらんになつてください。最初に、二十七ページの一番下の段のまん中ごろに「追放の嵐のあと、残つた僅かの首領を別にしては、新しいリーダーは全然出て來ない。出て來ているのは旧人の選挙地盤をとりあえず留守番するために推された替え玉かロボツトが大部分である。」こういうふうに規定していますけれども、これはどういうわけですか。
  129. 八木岡英治

    八木岡証人 そういう考え方も成立するんじやないかと思つて——そういう考え方がいけないとおつしやれば取消しいたします。
  130. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたがお考えになつたのでお書きになつたわけですね。
  131. 八木岡英治

    八木岡証人 そうでございます。どうも申訳ありません。(笑声)
  132. 武藤運十郎

    武藤委員長 その次のページへ移りまして、一番初め「かくて、昨年の秋ごろから政党の台所は火の車となつた。しかし、政権を握つておれば、利権によつて業界から頭をはねることができる。業者も利権を貰えるなら、どの党であろうと問うところではない。」こういうふうに書いておりますが、これは何か事実上の根拠があるのですか。
  133. 八木岡英治

    八木岡証人 ちよつと申し上げたいのですが、この不当財産調査委員会という趣旨に私は非常に賛成でありまして、非常にそれを促進するような意味でこのことが書かれてあるのでありまして、その点についてだつたらどんな質問に対しても自分の知つていることは申し上げますけれども、ジヤーナリストとして、そうした文章に意見は相当はいつておりますので、この問題関係のない問題については、なるべく御容赦願いたいと思うのであります。それはジヤーナリストとして申し上げたいのであります。
  134. 武藤運十郎

    武藤委員長 今伺つたことは意見ではなくて、何か根拠があつて書いたのであろうというのが私の伺いたいことです。
  135. 八木岡英治

    八木岡証人 こういうことは一部の常識であつて、こう考えることがいけないとおつしやればそれは委員長意見であるかもしれませんけれども、こう考えることが一應成立するのではないかと私は考えております。
  136. 武藤運十郎

    武藤委員長 別に根拠はないけれども、そういうふうにお考えになつている。
  137. 八木岡英治

    八木岡証人 さようです。
  138. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは同じページの一番下の方のまん中ごろで、「辻が闇物資の取引に関連して運動資金の仲継をし、金を渡した議員の数は、最初彼が加藤委員長に差出したリストでは四十名に上つていたはずだのに、加藤は二十六名に削つて当局に提出している、西尾の名も削られているというのだ。」こういうふうに書いておりますが、この点についてひとつあなたの確信のあるところを伺いましよう。
  139. 八木岡英治

    八木岡証人 ここに書かれていることは全部私が日常頻繁に接近しておりますジヤーナリストやその他報道機関の人、政界関係の人、そういう人たちから情報を得て書いたのでありますが、その情報が一々事実であるかどうかということは、それは一個人としてとうてい確かめることはできないのでありまして、そういう権能も與えられておらず、そういう時間も材料ももち得ないのでありますが、それはこの委員会においてお取調べを願うほかないのでございますけれども、ここに書いてあることは、その当時年末から正月ごろにかけまして非常に行われておつた。寄るとさわるとこのうわさでもち切つてつたというふうな状態でありまして、今度は多少情勢が違いますが、その当時はまさにそうであつたのでありまして、学校の同窓会その他忘年会や新年宴会などに顔を出しましても、この話を聽かないことはなかつたというふうな状態に刺戟されてこれを書いたのでありまして、確たる根拠はどこだとおつしやられれば、それは根拠をもつて書かれたのではなくて、通俗な表現を用いれば、風説によつたと言われても仕方がない程度の材料でこれを書いたのであります。そういう感心しない風説が行われておつたという事実に憤激を感じまして書いたのであります。その証拠には、一党一派に偏してはいけないと思つて自分としてはずいぶん苦心し、そういうことは書きたくないと思う人に対しても、不偏不党という立場から、そういう風説があればこれを取上げまして書いているようなわけでございまして、確たる根拠というふうなことをお尋ねになりましても、ちよつと私としてはそういうものは持合せていないのでございます。今御質問にありましたところもその通りでありまして、もう相当日数も経つておりまして、ここのところはいつどこでどういう人に聽いたかということも、はつきり記憶がないくらいの状態であります。この点御了承願いたいと思います。
  140. 武藤運十郎

    武藤委員長 当委員会であなたに伺うのは、あなたがこういうことを書いて不都合ではないかというような、責任を追究するためにではないのであつて、ひとつ御了解願いたいと思うのは、あなたもやはりこの委員会の仕事に協力してもらえるという、あなたが先ほどお話しになつたような趣旨で伺つておるのですから、おわかりになつておる限りでは、ただ風説というだけでなく、ひとつつてみたいと思う。もしお聽きになつているとすれば、たとえばこの話はいつごろだれから聽いたということです。そういうふうにお答え願いたい。
  141. 八木岡英治

    八木岡証人 それはここにみんな書かれてあります通りに、政党別にすれば反対党の方からの話が大部分であるということは動かせないのでございますけれども、今御質問のところは、どうもよく記憶がありませんが、やはり自由党関係の人に聽いたのじやないかと思いますが、どうもそれ以上はつきりしたことは記憶がないので、まことに申訳ございません。
  142. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたが普段接触しておられるのはおもに各政党の政治家ですか。あるいは記者諸君ですか。
  143. 八木岡英治

    八木岡証人 特別に取りたててどの政党というふうなことは私はございません。学校関係の友人その他が相当各方面にありますので、それ以上に自分としては各政党に親しくしようというような考えは毛頭もつておりませんから、やはり各方面と申し上げた方がいいと思います。
  144. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうしますと、要するにあなたがこれをお書きになつたのは、あなたの日常接触しておられる関係の者からうわさで聞いたりしたものをまとめたというふうに伺つてよろしいのですか。
  145. 八木岡英治

    八木岡証人 その通りでございます。
  146. 武藤運十郎

    武藤委員長 そういうことになると、実は私はいくつかの項目を伺つていこうと思つたのですけれども、いずれも同じようなお答えを聽くことになると思うのですが……。
  147. 八木岡英治

    八木岡証人 それからもう一つ申し上げたいのは、ここに書かれてある事実で、その当時の新聞、雜誌、怪文書その他いろいろな印刷物に疑表されておつたのが三分の二ぐらいあるのじやないかと私は記憶いたしますが、今メモもなくしましたので、はつきりしたことは申し上げられません。あとの三分の一くらいを友人関係の情報によつてまとめたというようないきさつでございます。今お出しになつておりますあとの部分は、「眞相」とか「政界ジープ」とか、そういうふうな雜誌に載つてつたのを書いたのじやないかと思います。
  148. 武藤運十郎

    武藤委員長 何かお聽きになることがありましたら……。
  149. 石田博英

    石田(博)委員 あなたは先ほど政党関係の友人から情報を受取られたということですが、あなたが多数の代議士——ほとんど全部の方々に御交際があるというわけではなく、きわめて限られたる方との御交際と思いますけれども、あなたが情報を聽取せられた御交際の相手というのはどういう方ですか、お名前をおつしやつていただきたい。
  150. 八木岡英治

    八木岡証人 それは私そう廣い交際の範囲ではございませんけれども、ジヤーナリストとして社会に立つております以上は、やはり相当関係方面に接触がありますので、取立てて一人や二人を申し上げるということは有害無益ではないかと思いますし、もう一つはジヤーナリストとしてそういうニユース操作ということは生命でもありますので、そういうことは非常に重大なこの問題関係があるという場合は別としましても、そうでない以上は、なるべく申し上げたくないという心中を御了察いただきたいのであります。
  151. 石田博英

    石田(博)委員 先ほど証言を行つていただきます前に宣誓をしていただきました。その際に本委員会において証言をおこばみになり得る範囲は明示されたはずであります。私が特にお伺いいたしたいと思いますことは、これらのうわさが巷間傳わつてつたという事実を否認するものではありません。たしかにあなたのおつしやる通りです。あなたがこれをお書きになる場合に、先日も編集長の方からもいろいろと御証言を承つたのですが、方々調査して書くようにしてもらつたのだという御証言がありました。しかしあなたがお書きになつて日本で最も権威ある雜誌に御掲載になる場合に、他の雜誌の切拔を集めて、それを編集し直して書かれたということを承つて、実はちよつと唖然としているのですが、今回この委員会でこの中に掲載されておる諸般の事犯についてそれぞれ調査を進めてくことになつております。それはなぜかというと、こういううわさがあまり立つているので、それが眞実であるかどうかというその眞相を確かめなければいけないというわけで取上げるわけなのですが、その大きな根拠にやはりあなたの書かれは記事がなつている。そうするとあなた自身がすべて他の雜誌の記事を編集し直したと言われ、あるいはニユース操作を明かにされないということでは滿足できなくなるわけです。つまりわれわれがこの問題調査していく場合にあたりまして、こういう種類のうわさが流布される以上、その背後にいろいろの意図もあるだろうと思いますけれども、同時にそのうわさを流布した人自身がかなり眞相を知つているとも考えられる。從つてうわさの出てきた源を糾していかなければいけない。これが本委員会としてここに掲げてあるいろいろの傳えられた事例の眞相をつかむ一つの方法であると思います。從つて大勢の中から一人、二人をあげて言うのは誤弊があるとか差障りがあるというのはあなたの主観であつて、私どもとしましてはこれほどにこまかに事実があつたように書かれております以上、この一つのことは一体どこからお聞きになつたか、だれからお聞きになつたかということを、どうしてもお答え願わなければならぬ。そこでまず私どもはあなたの立場はわかるけれども、今委員長が大分手もとに用意してあると思いますが、その事々について同種類の答弁をされるのではなくて、もつと具体的にあなたの知つておられる範囲において、たとえば雜誌からとつたなら雜誌からとつたとか、だれから聞いたならだれから聞いたということを明瞭に申していただきたい。それによつてあなたはその名前を出した人に迷惑がかかるとおつしやるかもしれませんが、この記事を書かれたことによつて、もつと廣範囲に迷惑がかかつている人がたくさんある。しかも非常に清純な生活を営んている大多数の政治家さえも國民の大きな疑惑の中にとじこめられるということもあり得る。そういう廣範囲な大きな迷惑を考えられまして、個々の場合のことにとらわれることなく、もつと率省かつ大胆に具体的に申していただきたい。それが本日御意頭願つたゆえんなのであります。委員長の手もとにおそらく事例について用意されてあると思いますから、その事例について、ただいま私が申したような趣旨において答弁していただきたい。また委員長もそのように要求していただきたい。
  152. 八木岡英治

    八木岡証人 ちよつと申し上げますが、今ジヤーナリストとして申し上げたくないというのは、一般論として自分の信念を申し上げたのであつて、しかし個々の場合で自分が廻康しておりまして、確かにその人からニユースを得たのだということがわかりますれば申し上げたいと思いますけれども、そういう場合であつたなら、その人に迷惑がかかるということもないと信ずるのでございますけれども、ここに書きました記事は先ほども申し上げましたように、いろいろな会合の席上とか、酒の席とか、その当時年末から年始にかけましていろいろな機会に得ましたことが多いので、確信をもつて——ここに証人としてさつき宣誓いたしましたけれども、ああいうふうな責任において申し上げられるようなことの材料を私は非常に少ししかもつていないということを残念に思います。それだけ申し上げます。
  153. 石田博英

    石田(博)委員 全然全部酒の席で醉つて忘れたというわけでもないだろうと思いますので、まずここに書かれてある記事の中でいろいろな事例があります。たとえばそのリストの氏名を削つたということ、あるいは辻氏から西尾氏あるいは平野氏へ献金したとかしないとかいうような経緯、あるいは辻氏と兒玉譽士夫との関係、あるいはその後芦田、栗栖及び西尾の資金工作について、または菅原通済の芦田氏に対する資金関係について、その他梅林組、竹中工務店の事件、その他たくさんの事件をあげております。これらの中であなたは少しは知つているという先ほどのお言葉ですが、この事件はだれから聞いたということを言える範囲だけお答え願いたい。
  154. 八木岡英治

    八木岡証人 少し日数も経つておりますし、これを書いてから社を退職いたしましたし、メモもありましたが、破棄してしまつたらしく、こういうことになろうとは全然予期しなかつたので、非常に用意が不十分でありまして、うろ覚えを辿つて申し上げますと、リストを削除したというのは、これは今思い出しましたけれども、自由党の人がそういううわさをしているということを間接に同窓会か何かの席上で聽いたというふうに覚えております。それからその次の笹川良一云々とか、兒玉譽士夫とか、それは眞相という雜誌と、その当時出ておりました社会党の盛衰というパンフレツトからたしか取つたと記憶いたしております。  それから二十九ページの下の方にある昭和電工云々というのは、毎日新聞の座談会に載つてつたと思いますし、読賣新聞の解説記事にも載つてつたと記憶しております。それからそのあとの方が問題だと思うのですけれども梅林組とか竹中工務店とか清水組というふうなところは、大藏省の職員組合で当時こういうことを問題にしておつたのです。それを新聞関係に人から、大藏省でこういうことが今非常に問題になつているのだ、大藏大臣の排斥問題まで起つているのだということを聞いたようにおぼえております。その他はどうも記憶がはつきりしないのでありますけれども、メモがありませんのでその程度でございます。
  155. 石田博英

    石田(博)委員 御弁解をいろいろお聽きしてもしようがないので、今後御答弁願うときには御弁解は御無用に願いたいと思います。ごく簡略に御答弁願えばよろしい。あなたは今リストの問題は自由党の人がそういうことを言つてつたということを間接に同窓会において聽かれたとおつしやいましたが、同窓会に出席しておられる諸君で、政界のこういうわれわれの社会に御交際のある人というのはまず限られると思います。普通常識では全部の方がそういう関係があるとは言われないと思いますので、あなたがその同窓会に出席されて、その話を聽かれた人の名前はわかるはずだと思います。從つてそのお答えを願いたい。  いま一つは、梅林組竹中組清水組のことは、大藏省の職員組合で問題にしているということを新聞関係の人から聞いた、そうなりますと、新聞関係の人で大藏省担当の人というのは数が限られております。そのうちで特にあなたの御交際がある方となると、なお限られてくると思います。從つてこれもお名前を出していただけるはずだと思います。その点をお答え願いたい。
  156. 八木岡英治

    八木岡証人 最初の方の自由党の人がうわさをしているのを聞いたというのは、名前はつきりどの人間というふうに記憶がないのでございますけれども、大藏省の方はその当時皆知つてつたことなんじやないでしようか。
  157. 石田博英

    石田(博)委員 皆知つてつたかどうかということは、あなたに聽く必要はありません。あなたがだれから聽いたかを……。
  158. 八木岡英治

    八木岡証人 数人の人から……。
  159. 石田博英

    石田(博)委員 数人の名前を知つておる限りにおいて……。
  160. 八木岡英治

    八木岡証人 大藏省の玄関にこういうことが貼り出してあつたということを耳にしたように聞いております。
  161. 石田博英

    石田(博)委員 それはあなたが見たわけではなく、だれから……。
  162. 八木岡英治

    八木岡証人 それは数人の人で……。
  163. 石田博英

    石田(博)委員 数人でも、あなたの知つている名前を……。
  164. 八木岡英治

    八木岡証人 非常に不確実なことを申し上げることは不本意なのでございますけれども、その程度で御管弁を願いたいと思います。
  165. 石田博英

    石田(博)委員 不確実々々々と先ほどからおつしやいますけれども、あなたは先ほど少しのことならば記憶があるとおつしやつた。私どもまず大藏省であなたとの交際がある者は何人か——あなたがどういう御関係か知りませんけれども、私も実は永年ジヤーナリストをしておつた。しかしその間私はあなたに面識がありません。從つてあなたは当時ジヤーナリストの間にそれほど御交際が廣い方とは思いません。從つて大藏省を担当しているクラブの諸君にそんなにたくさんお知合いがあるはずないと思います。あなたのお知合いの範囲は限られている。ことさらに証言を阻んでいると断定せざるを得ません。それはおつしやられるはずです。私は今までの職業上おつややればおつしやられると断定します。証言を求めます。
  166. 八木岡英治

    八木岡証人 正確に記憶していないものをちよつと申し上げかねるのであります。一人から聽いたというならばそれは申せますけれども、言つたか言わないかはつきり記憶しない。それは友人はいますけれども、はたしてその人間が言つたかどうかということは今日になつてちよつと記憶が不確実なのでございます。
  167. 石田博英

    石田(博)委員 その内部で傳わつておりますうわさを耳にして、こういうことを書かれる材料をつかみ得られるまでには、その内部に相当長く出入りしておつた場合には誰から聽いたかわからないということはあり得るかもしれません。しかしあなたは大藏省の担当記者ではなかつたはずであります。おそらくまた聞きに違いない。先ほどもおつしやつた通り、前にこういう貼出しがしてあつたということをまた聞きされたんです。それは当然あなたの御交際のある人からお聽きになつた以外に方法はないはずです。それは不確実ではないはずです。確実にあなたの知つておられる少数の限られた人からお聽きになつたに違いない。私はあなたが答弁をされない、証言をされないということは、故意に証言を避けておられると断定せざるを得ない。本委員会証言を求める前に繰返して申しますが、規定があつたことは御承知の通り、お名前をあなたは言えないわけがない。当然言い得ると思います。     〔「それは証人の自由じやないか」と呼ぶ者あり〕
  168. 石田博英

    石田(博)委員 自由じやない、ばかなことを言うな。     〔発言する者あり〕
  169. 武藤運十郎

    武藤委員長 ちよつとお待ちください。石田博英君に許しています。
  170. 石田博英

    石田(博)委員 今証人が答えるも答えないも自由だという滑稽な御発言があつたが、本委員会証人証言を求めるのは証人の自由じやない。特別の事由のない限り証人証言を拒むことはできない。それを明らかにしておきます。それを明らかにした上で証人証言を求めます。
  171. 八木岡英治

    八木岡証人 知つておれば全部申し上げたいと私は思つておりますけれども、複数、それは数人の人間が今私の頭脳に浮んでおるのであるけれども、それがはたして言つたのか言わないのかちよつと思い出せないので、ちよつと即答はできないのであります。
  172. 武藤運十郎

    武藤委員長 石田君に申しますけれども、もうこの程度で大体わかつたんじやないかな。
  173. 石田博英

    石田(博)委員 まだ何もわかつておりません。
  174. 武藤運十郎

    武藤委員長 いやわからないことがわかつたんじやないかな。(笑声)
  175. 石田博英

    石田(博)委員 あなたが言われないわけはない。たつた数人の人間を大学教育を受けた人間が思い出せないわけはないでしよう。あなただつてこれをことさらに拒んだ場合に罰則の規定の適用についてはよく御存じである。だからその数人の方のお名前をおつしやつてください。
  176. 八木岡英治

    八木岡証人 いやしくもここで宣誓をしてこういう公の席で言明します以上は、うろ覚えとか、はつきりしない、間違うおそれのあることを申し上げたくない、はつきり知つておれば私は申します。決して証言を拒んでいるわけではございません。しかしそれを申し上げましても、それは非常に不確実な御答弁しかできないということを残念に思います。
  177. 石田博英

    石田(博)委員 あなたが御交際のある数人の中からお聽きになつたことは間違いないでしよう。誰が言つたかわからないにしても、その数人の中の誰という個人があなたに言つたかどうかはわからないにしても、その数人の中の誰からあなたがお聽きになつたことは間違いない。その中の誰が言つたかは別個の方法によつて委員会が調べます。從つてあなたの御交喬のある数人の人の名前を言つてください。あなたはこの記事については大部分はそういう席で聽いたが、少数のことについては具体的に知つておると先ほど申された。しかし具体的なものは何もない。それではあなたの先ほどの証言と食い違つてくる。
  178. 八木岡英治

    八木岡証人 少数と言いましたのは、どういう方面からということを一部分記憶しているということを申し上げたのであつて、だれから聽いたというふうなことは、それは非常にだぶつていまして、はつきり記憶にないということを非常に遺憾に存じます。
  179. 石田博英

    石田(博)委員 しかいあなたがいくらおつしやいましても、およそお互い同じ職業におれば、常識上できる判断というものはきまつている。私はあなたがことさらに証言を拒んでいるとしか考えられない。少数のことというのは、そういう少数の人から聽いた云々という御答弁が今ありましたが、これはまことに詭弁であつて、あなたは大藏省担当の記者からお聽きになつたというならば、あなたがその中で交際のある人から聽いたことは間違いない、それは証言できるでしよう。
  180. 八木岡英治

    八木岡証人 大藏省担当の記者でないことは明らかです。
  181. 石田博英

    石田(博)委員 あなたは大藏省担当の記者と言つたじやありませんか。
  182. 八木岡英治

    八木岡証人 いや、大藏省担当の記者じやないでしよう。はつきりしませんけれども……。
  183. 石田博英

    石田(博)委員 大藏省担当の記者でないという認定は、あなたがされるんでしよう。あなたはその人を知つているんです。
  184. 八木岡英治

    八木岡証人 そういう事実があつたにしても、大藏省担当の記者は一人も知らないんです。
  185. 石田博英

    石田(博)委員 それじやなぜ大藏省担当の記者云々ということをおつしやつたか、速記録を調べればわかります。大藏省担当ということは確かにおつしやつた
  186. 八木岡英治

    八木岡証人 大藏省担当ということは言わなかつた
  187. 石田博英

    石田(博)委員 担当ということは言わなかつたかしらぬが、職員組合が問題としていた。大藏省に関係している新聞記者から聽いた。大藏省の新聞記者ということはおつしやつた
  188. 八木岡英治

    八木岡証人 大藏疑担当者じやないんじやないですか。
  189. 石田博英

    石田(博)委員 私は大藏省担当ということは何回も申している。それじやなぜそれをあなたは否定されなかつたか。
  190. 八木岡英治

    八木岡証人 新聞記者にはたくさんつき合いがありますけれども、大藏省担当ということはちよつと聽いていないので……。
  191. 石田博英

    石田(博)委員 だれに聽いていないんですか。
  192. 八木岡英治

    八木岡証人 そういうふうに承知していないんです。ぼくは友人関係もたくさんありますけれども、その人物は大藏省担当かどうかよく知りません。
  193. 石田博英

    石田(博)委員 数人の友人がおるということをおつしやつた。大藏省関係には数人おるということをあなたはおつしやつている。
  194. 八木岡英治

    八木岡証人 いや、それは申しません。
  195. 石田博英

    石田(博)委員 いや、おつしやつている。あなたは偽証罪に問われてもよろしゆうございますが、
  196. 八木岡英治

    八木岡証人 それは結構ですが、そういうことは申しません。
  197. 石田博英

    石田(博)委員 そんなことはない、皆が聽いている。
  198. 武藤運十郎

    武藤委員長 石田君、もうよろしいですね。
  199. 石田博英

    石田(博)委員 いや、よくない。そうするとあなたはこれが全部人のうわさから書いたものであり、あるいはよその雜誌に書いてあるものを書いたものであつて、この問題の事実については、あなたは全然その事実であるかないかということさえも承知しないとおつしやるのですか。
  200. 八木岡英治

    八木岡証人 その通りです。
  201. 石田博英

    石田(博)委員 この記事の内容、なるほど文句の書き方というものは、あるいはという話だとか、といううわさである。何とかいうこともあつたということを書いてある。内容にこういうことがある。この間まで貧乏くさい三流弁護士つた片山哲氏にしても今や大別莊の持主である。これは事実です。あなたはこの事実をどこからお聞きになりましたか。ごらんになりましたか。
  202. 八木岡英治

    八木岡証人 いやぼくは見たわけではない。
  203. 石田博英

    石田(博)委員 だれからお聽きになりましたか。
  204. 八木岡英治

    八木岡証人 それもどこからか聞いたのでございます。
  205. 石田博英

    石田(博)委員 それは、というということが書いてない。
  206. 八木岡英治

    八木岡証人 書き落した。
  207. 石田博英

    石田(博)委員 そんなばかな話はありません。公にした以上は、あなたは自分の書いたものに責任を負わなければならぬでしよう。
  208. 八木岡英治

    八木岡証人 そういう風説があつたという事実に対しては、十分責任を負います。
  209. 石田博英

    石田(博)委員 その次の中に、ということがあると書いてあるが、そのことは大きな別珀をもつておるとちやんと書いている。
  210. 八木岡英治

    八木岡証人 見たことがないことを書いたということは、私は遺憾に思います。
  211. 石田博英

    石田(博)委員 だれから聞いたか。
  212. 八木岡英治

    八木岡証人 風説はその当時相当あつたと思います。別珀をもつておるということは相当周知の事実であるか知りませんが。
  213. 石田博英

    石田(博)委員 周知の事実であるかどうかということ田、あなたはどうして認定するか。
  214. 八木岡英治

    八木岡証人 周知の風説であるということは事実だ。
  215. 石田博英

    石田(博)委員 周知の風説ということはありません。とにかくきわめて無責任な記事である。しかしこのすべてのものがうわさを集めただけのものであるということしかあなたは言えないのか。
  216. 八木岡英治

    八木岡証人 一々の場合が問題になるのではなくて、先ほど申しましたように、その雜誌というものは、そういう感心しない風説が行われていることは事実である。
  217. 石田博英

    石田(博)委員 それはそのいけないと思われる風説をよけいに拡めることなんです。
  218. 八木岡英治

    八木岡証人 風説があるということは、その事実だけでも遺憾なことだと思います。
  219. 石田博英

    石田(博)委員 それをあなだかしつかり確めないで書くことは、よけいに拡めることになる。
  220. 八木岡英治

    八木岡証人 そうかもしれません。しかし、そういう風説はこういう委員会で毎底的に究明してもらいたい。
  221. 石田博英

    石田(博)委員 究明するために、あなたに知つておる事実を聽いておる。
  222. 八木岡英治

    八木岡証人 知つておることは全部申し上げたのでありますけれども
  223. 石田博英

    石田(博)委員 何も知つていないということは……。
  224. 橋本金一

    ○橋本委員 先ほどからの御証言を聽いておりますと、結果はいろいろな風説、あるいはパンフレツト等によつて得た記事、それを総合的にとりまとめたあなたの主観の表現と考えてよろしいのですか。
  225. 八木岡英治

    八木岡証人 結構です。
  226. 橋本金一

    ○橋本委員 はつきり御返事を願いたいと思います。
  227. 八木岡英治

    八木岡証人 主観の表現という意味はどういう意味ですか。
  228. 橋本金一

    ○橋本委員 あなたがいろいろ総合的な主観を記事にせられましたものとしてよろしいですか。
  229. 八木岡英治

    八木岡証人 そうお考えになつてもよいが、その主観という意味がよくわかりません。
  230. 橋本金一

    ○橋本委員 あなたがいろいろな風説、あるいはパンフレツト等によつてごらんになつたものを総合的にとりまとめて、確固たる根拠がないけれども、あなたの主観として、それを眞実と認めて筆にせられたものと考えてよろしうございますか。
  231. 八木岡英治

    八木岡証人 眞実と認めたということを別にすれば、その通りです。
  232. 橋本金一

    ○橋本委員 その風説をとりまとめてあなたが筆にせられたという意味には変りませんか。
  233. 八木岡英治

    八木岡証人 その通りです。
  234. 橋本金一

    ○橋本委員 なお重ねて伺いますが、そうすると確固たる根拠のないことも明かでありますか。
  235. 八木岡英治

    八木岡証人 根拠があるかないかということは、風説それ自身の性格でありますから、それは常識によつて判断していただきたいと思います。
  236. 橋本金一

    ○橋本委員 根拠があるとすれば、先ほどからの質疑に対して、その根拠のあるところをはつきりしなければならないのであるが、先ほどからあなたの証言はいろいろな風説、あるいは人に会つて聽いたままであるとか、自己に何らはつきりした調査の根拠がないということを言外に意味しておるわけでありますが、さようすれば結果においては風説、あるいは何かの雜誌の記事で見たままをとりまとめて、そうしてあなたが筆にせらさたということはわかつておる。そうすれば根拠のないものとみなければならないが、さよう考えてよろしゆうございますか。
  237. 八木岡英治

    八木岡証人 風説でございますから、根拠があるとは言えないと思います。
  238. 高橋英吉

    高橋(英)委員 どうも証人証言を聽くと、いかにも根拠なさそうにみえますし、中央公論も根威のない雜誌ということになるのですが、私は一番中央公論の筆者に、すなわち記者の中でも一番証人に期待しておつたんですが、現職のある搜査官の借づけによると、中央公論のこの記事は最も正確に近いものだというふうに聽いたのですが、その当時は風説にしても、それからまたいろいろな名前に忘れられたろうけれども、あなたがこれを書かれるのに、信用できるような人々から、政界の人々なりジヤーナリストなり、そういう人々からお聽きになつたので、当時においてはこの書いておられることが相当確実だというふうな信念のもとにすなわた主観のもとにお書きになつたものと私ども考えておるのですが、その点はいかがですか。
  239. 八木岡英治

    八木岡証人 先ほどから申し上げております通りに、私はこういうものを調査する責任のある人間でもなんでもなく、一雜誌の編集者でありますから、ジヤーナリストとしてこういうふうな風説が行われている、こういう政治の様相というものがおもしろくない。こういう様相というものは改めなければならないという観点のもとに、こういう風説をまとめたのでありまして、その一つ一つの事実が眞実であるかどうかということは、今高橋護士がおつしやつたように、多少調査不行届きであつたということは認めます。しかしその論旨は間違つておるとは思いません。
  240. 高橋英吉

    高橋(英)委員 よろしゆございます。
  241. 田中健吉

    田中(健)委員 先ほどから各委員がいろいろと証人お尋ねしておりますが、大分記憶が薄らいでおるようでございます。私どもはどうしても証人がお聽きになつたという人物、あるいは日時、場所ぐらいは明らかにしていただきたいと思うのですが、先ほどからお話を聽いておりますと、とうていきようは明らかにならないと思うのです。從つて証人にお求めしたいのは、今でなくともよろしい。早急に文書をもつて、この記事はこういう根拠をもつておるものである。これはだれから聽いた。住所があれば住所を入れて、そういうことをお出し願えればまことに結構だと思います。本委員会までその詳細なものをお出し願えるかどうか。この点は委員長の方からも要望していただきたいと思います。
  242. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると証人に伺いますがあなたの今までのお答えを聽いておりますと、家へ帰つてメモがあるわけでないし、あらためて記憶を喚び起して出すということも困難な状態ですか。
  243. 八木岡英治

    八木岡証人 その通りであります。先ほども申し上げました通り、三分の二くらいはその当時の雜誌、新聞の記事によつておるのでありまして、その他その当時耳にしましたことをまとめたものでありまして、メモが残つておればたいへん都合がよいのでありますが、退職のときに破棄しましたのでたいへん残念でありますが、ちよつと考え直してみてはつきり責任をもつて申し上げるというようなことはできかねるのじやないかと思います。  もう一つは中央公論という雜誌は権威があるかどうかしりませんが、この記事は少くとも間接的な記事でありまして、その当時の新聞やプライベートな新聞の政治面に堂々と掲載されている記事の方がもつて根拠があり、権威があるのじやないかと思いますので、その方を調べていただいた方が適当ではないかと存じます。
  244. 高橋英吉

    高橋(英)委員 今のこの証人証言はお互いにいろいろな関係があつて、この程度で済まそうというような空氣も相当あるようですが、雜誌や新聞の筆者が今の証人のような証言で逃れ得るというようなことになつてくれば、委員会の権威にもかかわるし、偽証は相次いで行われることになり、眞実発見は相当遠いことになるのではないかと思います。そういう点で委員長としてはひとつ証人をしつかり抑えていただいと、このあとに雜誌の編輯人や記者の諸君を喚んでおりますから、將來も同様な証人がこの委員会に出てくると思いますが、そういうような意味においてもう少し記憶を喚起して、あらためて眞実発見に協力していただくようにお諭し願いたいと思いますが、いかがですか。
  245. 石田博英

    石田(博)委員 この調子でいけば今高橋君が言うように、何人喚んでも同じですよ。しかしこういう記事が根拠なくして書かれるはずがない。從つどこにか源があるわけですから、その源を探求していかなければ問題の眞相は確かめられない。そこで先ほどからも証人が言つておるが、三分の二はほかの雜誌から聞いたとすれば、三分の一は自分が見聞きしたはずで、その名前を全部忘れるということは絶対あり得ない。そういうことを容認したら本委員会の審議なんか全然できない。從つて先ほど田中君から提議があつたように、きよう申されぬならば、二十日の休会明のときまでにそれを明らかにしてもらつて責任証人に負わせることが必要であり、本委員会の当然の義務だ。そうしなければ今後何人この種の証人を喚んだところで、事態の眞相は明らかにされない。從つて委員会の決議においてこれを要求して、決して無理ではないと思う。わかつておるし、わかり得ると思うので要求します。
  246. 武藤運十郎

    武藤委員長 今までの証人証言を聽いておりますと、記事に根拠がないはずはないという追究に対して、根拠は要するに他からの雜誌の記事が三分の二ぐらい、風説が三分の一ぐらい、これが根拠になるというようです。もちろん私どもはこの委員会の権威において眞実は述べてもらいたいと思うのですけれども、この雜誌は必ずしも調査報告ではないのであつて、一つの記事であります。もしかような証言が相次いで行われるならば、偽証が平然と行われと、われわれは眞実を発見することができぬ。当委員会の任務が行われないというお説ももつともでありますけれども、さようなことを考えます前に、私どもが雜誌の記事というものにそれほど依存して眞実の発見をしなければならないかということも、一應再檢討をこの委員会で私はしてみなければならぬと思う。從つて私は出頭せられた証人が、ただいま石田委員及び高橋委員田中委員等の要求によりまして、できますならばこれはしてもらいたい。あなたはこの委員会に協力したいというお話ですから、かような風説が政界にあることは問題だというあなたの考え方、それを事実の上に展開してもらうということになるのですから、できればそうしてもらいたい。
  247. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 この一点だけ飼つておこう。三十ページの上にこういう記事があるのです。これは年末のことで新しい問題だから記憶がありましよう。「ともあれ、年末特融だけで芦田と西尾は僅々十日間に五千万円の鞘稼ぎをしたという。年末特融は全國では総額八十九億に上る」云々と書いてある。これはどこから聞いたのですか。証人はどういう方面からこれを手に入れられたか。この一点だけを聽いておきたい。
  248. 八木岡英治

    八木岡証人 それはその前の方に書いてあることの継続でございますから、それと同じだろうと思いますけれども、そのことをだれから聞いたかということは、不明であります。
  249. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 年末のことですが。
  250. 八木岡英治

    八木岡証人 これは全部年末ごろのことでございます。これを書いたのは年末でございます。
  251. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 ですけれども事実「年末特融だけで芦田と西尾は僅々十日間に五千万円の鞘稼ぎをしたという。」
  252. 八木岡英治

    八木岡証人 その事実をたれから聽いたかということが、今記憶にないことは残念で、おわびしなければならぬ。
  253. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それは何からとつたのですか。
  254. 八木岡英治

    八木岡証人 それは雜誌や新聞でなかつたかと思う。
  255. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それならば、何から聽いたか。新しいことですから、このくらいはわかるでしよう。旧いことは忘れても……。
  256. 八木岡英治

    八木岡証人 これはそんな旧いことじやない。
  257. 徳田球一

    ○徳田委員 ばらすことが不当取引委員会の任務だ。大いにばらせ。
  258. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 これは第七條を読んで証人に少しはつきりしておきたいが、こういう條文になつておる。「正当の理由がなくて、証人出頭せず、若しくは要求された書類を提出しないとき又は出頭した証人宣誓若しくは証言を拒むだときは、一年以下の禁錮又は一万円以下の罰金を処する。」こういうことをしたくはないのですが、この辺でひとつ言おうじやありませんか、たいていのところで。
  259. 八木岡英治

    八木岡証人 それはよく承知しておるのでございますけれども、うろ憶えのようなことを申し上げられない。重大なことだと思いますので、はつきり記憶しない限りは……。
  260. 鍛冶良作

    鍛冶委員 ここには相当突つ込んだことが書いてあるのですよ。あなたが書いたのはほんとうのエキスを書いただけで、いろいろなことを聞いておるはずだ、もつとたくさんあるが、そう書いては惡いと思つてその程度にしておるのでしよう。だからこれくらいは一つきようは來たついでに言つてください。これもわからぬのですか。
  261. 八木岡英治

    八木岡証人 はつきりしたことは記憶にありません。
  262. 鍛冶良作

    鍛冶委員 証人に言いますが、あなたはうろ覚えのことを言つちやいかぬと言われる。それはごもつともである。けれどもうろ覚えのことは言うてはいかぬというて、全部言わぬということになると、それだけ虚偽です。あなたはきようこの程度なら言えるが、そのあとのことは確実でないというならよろしい。うろ覚えだから全部言わぬということになると、言わぬ範囲が虚偽になるが、よろしいですか。今の程度ではこれだけのことは言えるが、これ以上のことは言えません。こう言つてもらわなければならぬ。うろ覚えであるから、ほかの者に迷惑がかかるから、全部を言わぬということはいけない。
  263. 八木岡英治

    八木岡証人 言えませんとは言つてないので、本当に知つておることなら申し上げたいのですけれども……。
  264. 鍛冶良作

    鍛冶委員 だから知つておる範囲のことを言いなさい。わからぬことならわからぬでよろしい。
  265. 八木岡英治

    八木岡証人 どういう方面ということを覚えておりますれば申し上げますけれども、特にだれからということはどうしてもはつきり思い出せないのであります。
  266. 鍛冶良作

    鍛冶委員 だからその程度で、先ほど言われる昭和電工の問題は忘年会のときに、毎日新聞と読賣新聞の記者から聞いた。そう言われるのですね。そうすれば確かなことは覚えないが、聞いたとすれば、これくらいのものじやなかつたろうかというくらいのことはあるはずです。それをも言わぬということになれば、その点だけあなたは虚偽を言うておるのですよ。それだけは言つてもらいましよう。
  267. 八木岡英治

    八木岡証人 その昭和電工云々は、毎日新聞の座談会と読賣新聞の解説記事で、それははつきりしております。しかし今お尋ねのところは、やはり新聞関係の人間だろうということははつきり申し上げられますけれども、数人おりますので、そのうちだれから聽いたかということはちよつと……。
  268. 鍛冶良作

    鍛冶委員 梅林と竹中の問題は、新聞記者から聽いたことは間違いない。けれどもその新聞記者はだれであつたか今思い出せない、こう言われるのでしよう。そこで強いて言われるならば、あるいはこの社の者でなかつたか、こういうものでなかつたかというくらいのことはあるでしよう。
  269. 八木岡英治

    八木岡証人 しかしそういう不確実な、言わば無責任なことを申し上げることは……。
  270. 鍛冶良作

    鍛冶委員 あなたは無責任を材料として、全部を隱すということになりませんか。
  271. 八木岡英治

    八木岡証人 そんなことはございません。
  272. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そんなら知つておるだけのことは言いなさい。はつきり覚えがないが、これだけのことは言える。だれであつたかわからない。そんなことで全部を隱蔽することはあるものでない。
  273. 八木岡英治

    八木岡証人 隱蔽するということはありません。
  274. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そんなら今覚えておる範囲でよろしい。言つてもらいましよう。大体この新聞社でなかつたろうかということを言つてもらいたい。何もかも知らぬ。そんなことでは世の中は通るものではない。そこでもしきよう言われぬならば、今言うたように大藏省にあつた事実を新聞記者から聞いたのであるならば、今思い出せぬならば、あとで思い出せる範囲でよろしい。ただ不確実なことであつてはいかぬということで全部、ある程度確実なことまで隱すということになる。そんなことではいかぬ。不確実であるが、これくらいのことを覚えておるというならば、今言われるならば言つてもらいたい。もし言われぬなら、後日書面で出してもらう、いずれかにしてもらわぬと困る。
  275. 徳田球一

    ○徳田委員 この問題は、なるほど筆者にしてみれば、新聞記者でありますから、自分が記事を取り出したもとに対しては、なるべく隱しておこう、そういう点では同情すべきである。それは同情しなければいかぬが、しかしながら新聞記者というものは、やはり新聞紙法及び出版法に対して、ちやんと責任をもつておらなければならない。これ以上に新聞紙法及び出版法の規定に触れれば、やはり犯罪である。その点は証人は十分心得ていただかなければならぬ。それだから不確実は不確実にしても、その不確実がちやんと出版法及び新聞紙法によつて制限せられておる。これによつて責任を負うべき範囲はやはり心得ておかなければならぬ。だからすべてこんなニユースの根源はわかつておるはずである。これは今不確実だ、それはわからぬ、何だかだというのは、結局言訳であつて、そういうものは通るべき性質のものじやない。メモをなくしたという、そのメモをなくしたということによつて、すべてをおれは知らぬのだという口実になる。そういうことでは当委員会に対してきわめて不誠実である。証人はこの事実を提出することによつて、政界の淨化に対して大きな貢献をしたいという氣持で書いておるという、また文書にもそういうことがよく見える。見えるならばいよいよますますこの根拠を明らかにしなければ何にもなりはしない。だから証人がここで言われることは不心得である、間違つておる。自分の職業的な利益を守り、かつほかに迷惑をかけないようにしようという、そういう利己的な点にのみ偏しまして、その結果眞実を発見するということに対して、きわめて不忠実である。これはよくない。だからこういう制限があるのだから、メモを取り探しても、またメモに書いたことを思い出しても、これは相当責任のある返事をすべきである、回答すべきであると思うのであります。從いまして先ほど田中君から提議されました通り、数日を要してよろしい。何の新聞から、何の論説から、何によつて、これはこういうニユース・ソースによつてつておるということを、はつきりさしてもらいたい。そうしなければ証人がこの論文を書いた趣旨にも全部反するわけでありますから、この点は証人にぜひともひとつ実行してもらいたい。また当委員会は、もし実行しなければ、決議によつてこれを証人に命令してよろしい。
  276. 田中健吉

    田中(健)委員 私は先ほど申し上げましたように、今日でなくても、数日をおいてもよろしいから、文書なり何なりで詳細を書いて出してもらいたい、これに対して委員長からも証人に対して御要望があつたにもかかわらず、証人がこの点きわめてあいまいの状態にして逃げようとしておるのであります。從いまして私は、これは故意に証人が拒んでおる、こういうふうに断定せざるを得ないのでございまして、これは本委員会の今後のためにも重大な問題でありますので、今日証人に対してなおこれ以上継続いたしまして眞実を述べてくださるか、それともまた決議をもつて後日に、数日をおいて文書をもつて出してもらうか、きわめて重大な問題であると思いますので、できるならば暫時休憩いたしまして、その点を委員長において適当にこの際御裁量ありたいと思う次第でございます。
  277. 八木岡英治

    八木岡証人 先ほど委員長から私に対して、文書をもつて提出することはどうかという要望がございましたのに対して、私はそれを拒否したのではありません。そういうことによつて、有効な資料を提出することができるかどうかということを考えておつたのでありますが、今の皆さまのお話を伺いまして、風説にいたしましても、自分がこういうものを書いたということに十分責任があります。自覚しておるわけでございますから、多少の何かが残つておるかもしれませんが、資料をできるだけ集めまして、もう一遍考え直して、文書のかつこうで提出いたします。
  278. 武藤運十郎

    武藤委員長 それはいつごろまでに出せますか。なるべく急いでもらいたいのですが……。
  279. 八木岡英治

    八木岡証人 一週間ぐらい御猶予いただけませんか。
  280. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは來る五月二十日までに御提出を願います。
  281. 八木岡英治

    八木岡証人 承知いたしました。
  282. 武藤運十郎

    武藤委員長 なるべく詳細に願いたい。
  283. 八木岡英治

    八木岡証人 承知いたしました。
  284. 武藤運十郎

    武藤委員長 諸君よろしゆうございますか。     〔「よろしい」と呼ぶ者あり〕
  285. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは、御苦労さまでした。  先ほど木村公平君の出頭を七日といたしましたが、八日の午後一時に変更いたしたいと思いますが、いかがでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  286. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではさよう決定します。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時十一分散会