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1948-04-05 第2回国会 衆議院 不当財産取引調査特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年四月五日(月曜日)     午後二時十四分開議  出席委員    委員長 武藤運十郎君    理事 梶川 靜雄君 理事 荊木 一久君    理事 小松 勇次君 理事 石田 一松君    理事 田中 角榮君       足立 梅市君    池谷 信一君       河井 榮藏君    山中日露史君       高橋 英吉君    明禮輝三郎君       村上  勇君    伊藤 恭一君       橋本 金一君    野本 品吉君       田中 健吉君    徳田 球一君  辻嘉六氏をめぐる政治資金の問題について証言  のため出頭した証人       三浦寅之助君    磯崎 貞序君       木村 公平君    坂東幸太郎君       岡田 宗司君   佐久間徳太郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  辻嘉六氏をめぐる政治資金の問題     —————————————
  2. 武藤運十郎

    武藤委員長 これより会議を開きます。  最初にお断りをしておきたいことは、御承知通りたいへん今日も登院数が少いのでありまして、本会議はまだ始まりませんけれども、本会議が始まりましたならば当委員会は一時休憩をいたしまして、それからまた続行したいと思いますから、あらかじめ御了承願います。  次に例の辻嘉六氏をめぐる政治資金に関する問題を議題といたします。前回の委員会におきまして本問題について証言を求めるために、証人の出頭を求める決議をいたしまして、手続をとりましたが、本日数人お見えになつておりますので、順次その証言を求めたいと思います。議院における証人宣誓及び証言等に関する法律の規定に基きまして、証人諸君宣誓を求めます。  それではただいま三浦君と岡田君が見えております。なおあとからお見えになると思いますが、順次喚問をしたいと思います。宣誓をしてください。     〔証人岡田宗司宣誓〕     〔証人三浦寅之助宣誓
  3. 武藤運十郎

    武藤委員長 一應証人の方に申し上げておきたいと思うのでありますが、例の世耕情報に関連いたしまして、中曽根幾太郎という男が、軍服の拂下げということを理由にして、数回にわたつて六百四十五万円の詐欺をいたしました。その六百四十五万円のうち、二百五十万円を三回にわたり辻嘉六という人に献金をいたしております。その受けた獻金の二百五十万円を、昨年の総選挙当時に各党の立候補者約三十九名に対して金を渡しております。この問題につきまして政界淨化立場から、当委員会議題に供しまして、その調査に当つておるわけであります。この眞相を明らかにしますために、証人諸君にも御苦労願つた次第でありますから、さよう御了承を願いたいと思います。從いまして大体証言をしていただく事項といたしましては、証人諸君辻嘉六との関係、それから昨年の総選挙当時に、辻から金を受取られたかどうか、もし受取られたとすれば、いつ、どこで、何ほどの金を受取られたか、またそれはどういう趣旨、どういう性質の金であつたか、また何にお使いになつたか。概略こういうことに関連して、証言をしていただきたいと思います。なおほかに辻から金を受取つた事実がありますならば、それも述べていただきたいと思います。なお皆さんがこれに関連して、弁解ないし陳述をいたしたいということがございますならば、簡單にお述べ願つても結構であります。それでは三浦さんからひとつお願いします。
  4. 三浦寅之助

    三浦証人 私と辻嘉六氏は何らの関係もありません。それから辻嘉六氏からは金をもらつておりません。從つてそのようなことは答えることができません。ただこの機会にもし必要があれば弁解いたしますが……。
  5. 武藤運十郎

    武藤委員長 弁解してください。
  6. 三浦寅之助

    三浦証人 突然私が何の理由かわからぬが、檢事局に喚ばれたことがあります。その喚ばれた日に、私は差支えがあつたので、前日四時か五時項と思いますが、檢事局に出頭いたしまして、どういう用であるかと聽いたところが、私と河野氏の関係、それから私の過去の政治経歴、私が過去に社会運動無産運動をやつたことを聽かれ、あるいは自由党にはいつたことを聽かれたり、あるいは河野一郎氏との関係を聽かれたのであります。そのときに私の大体の経歴河野氏との関係を申したのであります。ところがそのときに檢事から辻嘉六氏から金をもらつておらないかという突然の問いがあつたのであります。私はそういうことはないと答えたのであります。しからば河野氏からあるかと言うから、それもないと答えた。そうするとしばらく経つて檢事が、辻嘉六氏から河野氏を通じて私に対して二万円か三万円の金を、選挙費用陣中見舞として提供したということを辻嘉六氏が言つておるが、どうかと言うから、それもわからい。ところがその際に、辻氏がはつきりそういうことを言つておるとすれば、もしあなたが強く否認するということであると、何か迷惑でもかかる人があると困るから、よく考えて答えてもらいたい。殊にあなたも法律家であつて法律河野氏からもらつたところで何らの責任があるわけでなし、その金をもらつたところで公表するものでもないのであつて、何ら支障を來さないのであるから、その点をよく考えて返事をしてもらえないかという檢事の話であつたので、私もしばらく考えていたのでありますが、もし辻さんの陳述にそういうことがあるとすれば、私がそれを否定すると、先輩でありまた自由党以來非常に好意をもつてもらつた河野氏にもし迷惑でもかかりはしないかという氣持も働きまして、金額は二万円か三万円と言うのであるから、私も二万円もらつたかもしれぬ、あるいは三万円かもしれぬというような趣旨陳述をしたのであります。それだけです。
  7. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうしますと、実際は辻氏からも受取つていないし、河野氏からも受取つておらないということになるのですね。
  8. 三浦寅之助

    三浦証人 そうです。
  9. 武藤運十郎

    武藤委員長 檢事局で金を二、三万円受取つた言つたのはどういうわけですか。
  10. 三浦寅之助

    三浦証人 今言つた趣旨で、河野氏に迷惑がかかりはしないかという氣持で、河野氏に迷惑をかけることは人情上忍びないという氣持つで言つたのです。つまり繰返して申し上げれば、ただいま申しましたように辻さんが河野氏にやり、河野氏から私にやつたという陳述をしておるのだということで、もう少し具体的に言うならば、私がそれを否定するならば河野氏に対する責任がかかる。その点考えさせられたので、そう陳述したのであります。それで私はその間の陳述内容をもし必要ならば、檢事の名前は忘れましたが、その当時私を調べた檢事出席願つてもいいじやないかと思います。
  11. 武藤運十郎

    武藤委員長 大体檢事局では河野一郎とも親交はないけれども、四月上旬に二、三万円河野事務所河野から受取つた。この金については党からも辻からも別に説明がない。こういう御趣旨のことを述べておると思います。
  12. 三浦寅之助

    三浦証人 河野氏と親交がないとは言わないでしよう。むしろ僕は河野氏に非常に信頼されておつたというように覚えております。
  13. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは選挙後に証人辻邸を訪問されてそうですけれども、どういう趣旨で訪問されましたか。
  14. 三浦寅之助

    三浦証人 選挙がすんでから六分後でありますが、実は私は自由党にはいつてから、自由党の一つの欠陷言つては失礼でありますが、自由党において労働運動社会運動を強力にやらなければならぬということを強く感じておつたので、そういうことをどうしても自由党内にやりたいと自由党入党以來思つておりました。たしか昨年の一月か二月ころの自由党の総会でも、農民運動やあるいは労働運動をやろうという決議がなつてつたのであるけれども、それが進行しないことを私は非常に遺憾に思つてつたわけです。このたび第一回に当選してからも、自由党内において労働運動社会運動をやりたいということを考えておつた際に、私は辻さんとは自由党にはいらない前から面識も交際もないけれども、自由党にはいつてからいろいろ辻さんという人のうわさも聞き、辻さんという人のことを耳にするので、一應この際自由党があまりやつておらない労働運動農民運動をやりたいという氣持と同時に、辻さんは自由党相当関係があるようにうわさに聞くものですから、一度辻さんという人に会つて自分の過去の政治経歴政治意見を述べ、また辻さんの御意見も聽いておく方が自由党内部における労働運動やあるいは社会運動農民運動をする上において何かにつけてよろしいじやないかという感情をもつて私は辻邸を訪問して、そのことを話したのであります。そういう趣旨自由党内における労働運動農民運動が一番足りないと信じているので、自由党内において労働運動農民運動は絶対にやらなくちやならない。ただ從來自由党資本家や地主の政党のごとく一般から認識されているのは間違いである。自由党こそほんとうの大衆政党でなければならない。その趣旨を徹底する意味において、辻氏を訪問して意見を聽くことが賢明なやり方だと確信したから、選挙が終了した後に一應行つたのであります。
  15. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうしますと、金をもらつたわけではないから、金のお礼という意味で伺つたわけではないのですね。
  16. 三浦寅之助

    三浦証人 ありません。
  17. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは大体わかりましたが、一應檢事局で述べたことを読んでみます。「本年度の私の選挙費用はほとんど後援者からの寄附で、たれから何ほどもらつたか明確な記憶はありません。河野一郎からは四月上旬ころ丸ビルの河野事務所選挙費用としてもらいました。二万円か三万円か判然しませんが、二万円であつたと思います。使いがあつたのでたびたび事務所へ行つたが、なかなか会えず、やつとその日にたれか第三者のいるときに会つての立話で、これを選挙費にと言つて無雜作に、詳しい説明もなく渡してくれました。私は一應辞退しましたが、河野先輩として私の選挙を支援してくれる淨財と信じてもらい受けました。」こういうふうになつておりまして、これは大分詳しく具体的に書いてありますが、先ほどの弁明のような趣旨でありますか。
  18. 三浦寅之助

    三浦証人 そうです。檢事がいろいろ詳しく聽くものですから、そこまで詳しく言つたとは思つていなかつたのですが、とにかくそういうような意味で述べたのであります。
  19. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは委員諸君、何かお聽きになることがありましたら……。
  20. 田中健吉

    田中(健)委員 ただいま三浦証人証言がありましたが、証人檢察廳で述べたことと、本委員会で述べていることと非常に相違がありますので、場合によると偽証罪を生ずるだろうと思います。この点はきわめて重大な問題でありますので、金銭の授受にあたつて証人関係のあつた河野一郎氏についてもこの点を質してみる必要があると思います。それで委員長から必要な場合には河野一郎という人を本委員会に喚問していただきたいと思います。  それから辻氏訪問にあたりまして、辻氏を証人が訪問した際にその場にたれかおつたかという点について証人にお伺いしておきたい。
  21. 三浦寅之助

    三浦証人 辻氏を訪問した場合にはおそらくたれもいなかつたろうと思います——いなかつたのです。
  22. 田中健吉

    田中(健)委員 家族はどうですか。
  23. 三浦寅之助

    三浦証人 取次の人はあつたろうと思いますが、取次くらいであとはいなかつたと思います。
  24. 武藤運十郎

    武藤委員長 三浦君に伺つておきますが、ただいま田中委員からも御注意がありましたけれども、檢事局で述べましたことと、ここで陳述されましたこととたいへん違いますが、もし間違つておりますと偽証判裁がありますが、よろしゆうございますか。
  25. 三浦寅之助

    三浦証人 私も法律家です。
  26. 梶川靜雄

    梶川委員 三浦証人に尋ねたいのですが、先ほどから出てまいります河野というのは河野一郎のことでありますか。
  27. 三浦寅之助

    三浦証人 そうです。
  28. 梶川靜雄

    梶川委員 それではお伺いしますが、河野一郎とはずつとその後親交を結んでおられるわけでありますか。
  29. 三浦寅之助

    三浦証人 河野氏とは先輩ですから、親交といつて別に……。用がなければほとんど会わないけれども、たまに会うこともあります。ほとんど会いません。
  30. 梶川靜雄

    梶川委員 そうすると、先ほどのあなたの証言によりますと、河野一郎との関係上、迷惑がかかつて惡いから、檢事局においてはいわば虚偽陳述をしたということに了解してよろしゆうございますか。
  31. 三浦寅之助

    三浦証人 そうです。先ほど話します通り否認したところが、檢事からこうだと言われて、——檢事が、辻さんが河野さんに金を渡して、河野さんから渡したというふうに辻さんが言つておるのだ、その点を十分に考え陳述してくれと言われて、私は初めそんなことはないと正直に言つてつたところが、そう言われて、そう陳述したのです。
  32. 梶川靜雄

    梶川委員 それではもう一つ伺いますが、先般の選挙の際には河野一郎からは援助は受けておられなかつたのでありますか。
  33. 三浦寅之助

    三浦証人 おりません。
  34. 梶川靜雄

    梶川委員 物心両方とも受けておりませんか。
  35. 三浦寅之助

    三浦証人 受けておりません。
  36. 高橋英吉

    高橋(英)委員 三浦君の述べました河野一郎氏に迷惑がかかつてはいけないからというのは、辻嘉六氏がもし河野氏に、三浦君に金をやるからというので二万円でも三万円でも出しておつたら、そして実際において三浦君に金を渡さなかつた詐欺罪横領罪河野氏の上に関係してくるというふうなことを心配してという意味に具体的にはなるですね。迷惑とか責任とかいう抽象的な言葉使いますけれども、要するに詐欺とか横領とかいう一身上の問題が河野氏に上に起ることを心配して、從つて先輩である河野氏をかばつたということに了解してよろしゆうございますね。
  37. 三浦寅之助

    三浦証人 そうです。
  38. 梶川靜雄

    梶川委員 それではこの点につきまして、いつか次の折を見て、関係証人として河野一郎なるものを喚問されるように提案いたします。
  39. 山中日露史

    山中委員 ちよつと証人お尋ねいたしたい。先ほどの証言によりますと、実際に金を受取つておらないにもかかわらず、金を受取つた檢事局において証言したのは、今他の委員からもお尋ねがありましたように、河野氏に迷惑をかかつてはいけないという考えからそういう虚偽陳述をした、こう言うのでありますが、そうすると証人のお考えでは、河野一郎という人は辻から金を受取つて、それを人に渡さないで着服するとか、横領するとかいうふうな人柄と考えておつたのですか。
  40. 三浦寅之助

    三浦証人 そういうふうには考えません。河野氏の人格はぼくは疑いませんが、檢事がよく考えなさい、こう言つておるんですよと言われれば、私はその際にやはりそういうような氣持つたのです。別に河野氏をそんな人間とは疑いません。
  41. 山中日露史

    山中委員 そうすると証人の頭には辻氏から河野氏に金は渡つたということは想像されておつた。それだから迷惑がかかつてはならないというので、そういうふうに檢事局で述べられたと思うが、そうすると辻から渡つた金はどういうふうに証人考えておつたのですか。
  42. 三浦寅之助

    三浦証人 どういう金であるか、第一そういうことは何も考えていません。
  43. 武藤運十郎

    武藤委員長 三浦君に重ねて御注意をしますけれども、辻は「三浦自由党所属衆議院議員で弁護士です。この三浦に本年四月上旬ごろ三万円渡しておりますが、そのいきさつや金の趣旨等についてはまつたく前局樣です。同人は当選後私方にお礼かたがた來たことがありました。」こういうふうに言つておるのですが……
  44. 三浦寅之助

    三浦証人 お礼のことは何も関係しない、先ほど言う通りなんです。
  45. 石田一松

    石田(一)委員 この委員会証人を喚んで、その証言証人言つた範囲において捕捉して事実を究明することが目的でありますので、証人の弁護にこの委員会委員が立つておるような質問のしかたは、各自自粛して避けるように委員長からも注意を願いたいと思うのであります。
  46. 高橋英吉

    高橋(英)委員 石田君の今の発言はどういうことを意味しておるか知らないが、石田君の常識を疑わざるを得ない。たとえばぼくが河野一郎氏の横領罪とか詐欺罪とかいうようなことを質問しても、これは事実究明の上において最も必要なことである。はたしてそういうふうな心理状態三浦君がなり得るかどうであるかというようなこと、これこそ大事なことであつて、ああいうふうな迷惑とか責任とかいう抽象的な言葉で、眞実を追求しなければならぬこの嚴粛なる委員会においてああいう発言をされることは迷惑だから、われわれ委員としてはその責任とは、迷惑とは、具体的な内容とは何であるかということを追及するのに何らのここに不公平、えこひいきというようなものはない。そういうふうに人を考えられる人こそ不公平なえこひいき考えをもつておられるのである。ああいう発言ははなはだ委員として軽率だと思います。
  47. 武藤運十郎

    武藤委員長 本会議も始まつておりますから、先ほどお話しましたように一時休憩をいたします。     午後二時四十五分休憩      ————◇—————     午後四時十二分開会
  48. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは会議を再開いたします。引続いて証人証言を求めます。     〔証人磯崎貞序宣誓
  49. 武藤運十郎

    武藤委員長 磯崎貞序君。宣誓書に署名捺印いたしましたか。
  50. 磯崎貞序

    磯崎証人 いたしました。
  51. 武藤運十郎

    武藤委員長 偽正の制裁がありますから、どうかそのつもりで……  御承知中曽根幾太郎及び辻嘉六関係事件につきまして、辻嘉六檢事局でこういうような陳述をいたしております。「磯崎自由党の元幹事長河野一郎から紹介を受けて、去る四月の選挙の際知合つた人です。河野從來神奈川縣小田方面を地盤として、衆議院に出ていたのですが、昨年六、七月ごろ追放されたものです。本年四月上旬ころ河野が私の方に來て、神奈川縣から衆議院議員に立候補する磯崎選挙費用援助してやつてくれぬかというので、私方で二万円を河野に通じて磯崎に渡してもらつたわけです。磯崎自由党所属で、今回代議士に当選したものですが、右のごとく金を渡した後、私方に挨拶に來たことがありました。右金河野から話はありましたが、私の考えとしては磯崎政治資金として渡したもので、河野にはただ取次ぎをしてもらつただけです。」こういうことを申しておりますけれども、これについてあなたの証言を求めます。
  52. 磯崎貞序

    磯崎証人 ただいま証言を求められております案件でありますが、この問題に対しましては、昨年でございましたか、檢察廳方面のお役人にお調べを受けた際に、明瞭に陳述いたしましたものと同一の言葉をこの席上で申し上げる以外にない。すなわち辻嘉六氏と申しましても、私はかつて新聞氏、ないし雜誌においてその氏名を拜承したことはございますが、いまだ一回の面接交際もないのであります。この関係にある私が、そうした政府献金を受ける立場にないことは、もとより当然であります。たまたま辻氏の申しまするいわゆる河野一郎氏を経てということでございますが、河野君は一昨年でございましたか、すでに追放されまして、政治的には謹愼の立場であります。しかも私は河野氏とはその後交際はほとんどございません。そうした環境におる私が、この全然交際のない、しかも政治的にきわめて謹愼しておる河野氏そうした人の手を経て辻氏の申しまするような政治献金を受ける理由はありません。從いましてこの問題は檢察当局に明瞭にお答えしておきました。しかしその当時いろいろお話がございまして、何か選挙のときに献金的のものを受けたことはないかというようなお問いがございましたから、これは私はかつて政治生活三十年、常に不思議と思われるように郷党におきましては、各方面から物心両面における援助を受けております。そのうちでたまたま申さるるならば心当りが一つあるのであります。すなわちそれは昨年の四月選挙の前後でありましたか、日限はちよつとさだかに脳裡にありませんが、とにかくそのころ神奈川縣支部の席上で、いろいろと選挙対策等評議会がありました。その席上において評議が済みますと中助松、これは私ども縣会におきまして二回も三回も席を同じくしたごく親しい人間でありますが、その人からわきの部屋へ呼ばれまして、新聞氏に包まれたものを受けた。そうして私はそれは中氏の長い間の厚誼というような関係からその瞬間いわゆる政治的におそらく私に献金をしてくれるものと思つて、そのままもつてつた。そうして開けてみると三万円あつたということを述べたのでございますが、これは檢察当局において申し上げましたのとも頭違つておりません。概略だけ申し上げておきます。
  53. 武藤運十郎

    武藤委員長 中氏から金を渡されたときに、これは辻から出た金であるとか、あるいは河野から出た金であるとかいうふうな話合いは全然ありませんでしたか。
  54. 磯崎貞序

    磯崎証人 中君はもう長い間の友人でありまして、私はただいまお問いのような問題は少しもございませんのみならず、中君が、私に見舞金として與えるものであろうというようなことで家へ帰つてひもといてみましたらば、ただいま申しましたような金員がはいつてつたということなのでありまして、ただいまの辻氏とか河野氏とか、そういう者に対しては絶対申しておりません。
  55. 武藤運十郎

    武藤委員長 中さんの財産状態はどの程度でありますか。そうしてまた前にも何かの関係で、中さんからかような金を受け取られたことがありますか。
  56. 磯崎貞序

    磯崎証人 中君の財産がいかようあるかということについては、私存じません。そうしてただいまの後段のお問いに対しましては、かつて一回いただいたこともございますが、しかし財産やその他こまかいことについては全然関知せざるところでございます。
  57. 武藤運十郎

    武藤委員長 前にはどういうときにいくら受取つたのですか。
  58. 磯崎貞序

    磯崎証人 いろいろ縣会選挙とか、あるいは縣会選挙に当面して、その当時神奈川縣で相当いろいろな彈圧等があつて、私も選挙違反で御難を受けたというようなことがございまして、そうした都度常にいろいろな形におきまして見舞金等をいただいたことはございます。
  59. 武藤運十郎

    武藤委員長 この中氏から受け取られた三万円は昨年の選挙にお使いになつたのですか。
  60. 磯崎貞序

    磯崎証人 もちろんその一部に使つたことはあります。
  61. 武藤運十郎

    武藤委員長 何か委員会諸君でお問いになることはありますか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは御苦労様でした。  次は木村公平君。     〔証人木村公平宣誓
  63. 武藤運十郎

    武藤委員長 偽証制裁がありますからどうか……。  お尋ねいたしますけれども、お聞きの通り辻嘉六檢事局でこういうことを申しております。「木村自由党岐阜縣選出衆議院議員で、私と同郷の者で、同人の父も同人もかねてより知つており、めんどうを見てきている男で、本年三月下旬ごろ同人が私方に來て、やはり選挙費用援助してくれというので、前同様本人に対する政治資金として現金三万円を渡してやりました。」こういうふうに申しておりますが、この点につきましてあなたの証言を求めます。
  64. 木村公平

    木村証人 昨年の何月ころでありましたか、檢察廳から書面でもつてその点聽いてまいりましたから、書面で答えてあるはずでありますから、一應お読みを願うことにいたします。
  65. 武藤運十郎

    武藤委員長 來ておりますが、どうか口頭でお述べください。
  66. 木村公平

    木村証人 大体辻嘉六氏と私の父親とは五十年來の友人です。年齢的にみましても同じような年齢であります。從いまして私は子供の自分から知つております。けれども私は金には困りません。選挙のときにも困りません。平生も困りませんから、さようなこまかい金は問題にしておりませんから、もらつたことはありません。
  67. 武藤運十郎

    武藤委員長 昨年の選挙の前後に辻方に行かれたこともありませんか。
  68. 木村公平

    木村証人 ありません。
  69. 武藤運十郎

    武藤委員長 何か委員諸君お尋ねになることはありますか。     〔「質問なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは御苦労様でした。
  71. 木村公平

    木村証人 委員長 ちよつと簡單皆様方お許しを得て少しこの問題に関して発言をしたいと思いますが、お許しを得られませんか。万一途中で事案に関係がないとお認めの場合はただちに中止を命ぜられて構いません。
  72. 武藤運十郎

    武藤委員長 実はたくさん調べなければなりませんので後の一括してまた伺いましよう。  岡田宗司君、この問題につきまして辻氏は檢事局でこういうふうに申し述べております。「岡田社会党所属参議院議員ですが、私と同人との関係は従來全然なく、自由党員で現在東亞産業株式会社社長松岡松平紹介知つた人です。本年三月下旬ころ、当時自由党総務松岡松平が私方に來て、社会党全國参議院議員候補者の岡田選挙費用援助してくれとの頼みがあつたのでこれを承知しておきました。するとその一両日後岡田が松岡の紹介名刺をもつて一人で私方に來たので、その際一万円を私方前回室にて渡したのです。前同室というのは奧の十一疊です。同人は当選後私方に一應挨拶に來ました。松岡はかねて岡田と知合いの間柄だとのことでした。」こういうふうに述べておりますが、何か証言することがありましたら……。
  73. 岡田宗司

    岡田証人 辻と私とはその証言通り今まで全然関係ありません。そこに出ております。松岡松平君とは私は昵懇の間柄であります。松岡君はかつて左翼運動に関係されておりまして、特に富山縣において農民組合運動にも関係されておつた方であります。從つてそういう関係で私は昵懇にしておつたのであります。昨年の総選挙に際しまして私は全國参議院議員選挙に立候補することになつたのでありますが、その際に私は選挙に臨むに当りまして資金に事欠いておりました。ところが松岡君が私に援助するから來いというので、三月の末ごろだつたと思いますがまいりましたところ、松岡君が私に一万円出してくれたのです。そのときは松岡氏はまだ追放になつておりません。自分選挙に立つのでどうもたくさんは援助できないが、辻氏という人に私が話してあるからその方へいつてもらつてください、よく話してあるから名刺をもつていけばわかる、こういうことで私は辻氏を訪れました。そして辻氏から二万円受取つたのであります。その後選挙が済みましてから私は辻氏の所にお礼にまいつております。それ以後は辻氏とは一回も会つたことはございません。また私は辻氏とはそういう関係で政治的な関係は全然ないのであります。昨年の十一月ごろでございましたか、檢察廳から参考人として喚ばれまして、いろいろ資金関係について問われましたときに、中曽根という人を通じました金が問題になつておるということを聽かされまして、実は非常に驚いたようなわけであります。そのことがありましたから私は松岡松平君に会いましたときに、困つたことになつたがどういうわけだと尋ねましたところが、いや実は自分が一昨年の暮に辻氏から、金を借りたいという申込みを受けた、そこで辻氏に自分が若干の金を用立てした、どうも辻氏に対して返してくれといつて催促することもできぬから、選挙の時にあなたが行つたら金をまわしてもらうように話しておいたのです。こういうことであつたのであります。以上の通りであります。なおそこ間のことにつきましては、松岡松平君にお尋ねくださることを希望するのであります。
  74. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうしますと辻という人は全然御存じがなく、また辻という人が政界におけるどういう存在であるかということについては御存じがなかつたのですか。
  75. 岡田宗司

    岡田証人 私は辻という人については政治的にどういう人であつたか、一向知らなかつたのです。
  76. 武藤運十郎

    武藤委員長 何か委員諸君でお聽きになることがありますか。——それでは岡田さん御苦労様でした。  坂東さん、宣誓をしていただきます。お立ちになつてお讀みください。     〔証人坂東幸太郎宣誓
  77. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは今日中曽根幾太郎及び辻嘉六に関する問題につきまして、政界淨化という立場から当委員会眞相を究めることになつておりますが、それに関係してあなたの証言を求める次第です。宣誓をしまして間違いがありますと偽証の罪に問われますから、念のため御注意を申し上げておきます。  辻嘉六氏は檢業局におきましてこういうふうな陳述をいたしております。「坂東は現在北海道選出民主党所属衆議院議員ですが、本年四月選挙当時は北海道自由党支部長で当選後党籍を変更した人です。私は坂東かねて名前はよく知つていましたが、親しく話したことはなく、ちようど本年四月上旬ごろ同人が私方に來て、選挙費用に要するから金をくれという話があり、それで前同様私方で——前同様というのは奧の十一疊で同人政治資金として金を渡してやつたのですが、その金高は三万円かあるいは五万円かだつたと記憶します。」こういうふうに述べておりますが、これに関してあなたの証言を求めます。
  78. 坂東幸太郎

    ○坂東証人 今の辻氏の陳述の中において少し違つておる点があります。それは私が行つて金を要求してきたわけではない。私の友人が、辻氏があなたにも会いたいというから一緒に行くかと言われたので、一緒に行つたのです。辻君は知らないわけであります。それでいろいろ選挙の話が出ましたときに、「きみ、これは少いが選挙費用に使つてくれないか。」ということを言われたのです。それで私は何も頼るところがないので頂載したというわけだつたのです。つまり私は辻氏の名前を知つてつただけで、会つたこともなければ何も知らないのです。私は正当なものと信じて、何ら恥ずるところなくそれをもらつてきたわけであります。選挙費用を補つたというので感謝しております。
  79. 武藤運十郎

    武藤委員長 その前後に辻から金を受取られたことがございますか。
  80. 坂東幸太郎

    ○坂東証人 何にもありません。また一回も会つたことはございません。
  81. 武藤運十郎

    武藤委員長 一緒に参つた人は橘という人ですか。
  82. 坂東幸太郎

    ○坂東証人 橘冨士丸という人で、学生時代からよく知つており、二十七年來の知合いです。今でも親しくしております。その人が辻君に会いたいからというので一緒に行つたようなわけです。
  83. 武藤運十郎

    武藤委員長 辻の政界における、どういう存在であるかということについて御認識がありましたか。
  84. 坂東幸太郎

    ○坂東証人 相当有力な人だということだけの認識はありました。
  85. 武藤運十郎

    武藤委員長 選挙のときには金を候補者に出してやるような人だということはお聞きになりませんでしたか。
  86. 坂東幸太郎

    ○坂東証人 そういう点はむろん聞いておりました。相当政治力をもつて自分の信ずる政治家に対して援助するということだけは知つておりました。
  87. 武藤運十郎

    武藤委員長 もちろん受取られた金は昨年の選挙にお使いになつたのですか。
  88. 坂東幸太郎

    ○坂東証人 そうです。
  89. 武藤運十郎

    武藤委員長 何か委員諸君でお聽きになることはございますか——それではこれで済みました。御苦労さまでした。  本日出頭しております証人は、これだけでありまして喚問が済みました。芦田総理はただいま閣議中で、出頭ができないということであります。やむを得ませんから明日にいたしましよう。  実は本日は現職の議員だけ調べることになつてつたのでありまして、それ以外の人は明日または明後日にする予定でありましたけれども、佐久間徳太郎さんという方から、旅行する都合があるので、ぜひ本日調べさしていただきたいという申出があります。喚出しの日附と違いますが、いかがいたしましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは引続いて佐久間氏をお調べいたします。佐久間徳太郎さん。     〔証人佐久間徳太郎宣誓
  91. 武藤運十郎

    武藤委員長 それではこれからお尋ねしますけれども、宣誓をいたしまして、もし間違つたことがありますと、偽証の罪に問われますから、さよう御承知ください。  中曽根幾太郎辻嘉六関係事件について、政界浄化という建前から、その眞相を究明するために証言を求めるのですが、辻嘉六氏は檢事局におきまして、こういうふうにあなたに関して述べておりますから、読んでみます。「佐久間は自由クラブ員で前牛込区会議員で、私の古くからの知合いです。やはり去る四月上旬ごろ、私方で佐久間に三万円渡してありますが、うち二万円は牛込区会議選挙に佐久間の同志が立候補するにつき、その援助の金として、残り一万円は佐久間自身が今度の選挙に手傳う費用ということでくれてやりました。佐久間自身は立候補しませんでした。」こういうふうに述べておりますが、これに関連してあなたの証言を求めます。
  92. 佐久間徳太郎

    ○佐久間証人 私と辻さんとは約三十年以前からの知合いでございまして、昭和二十年の四月、五月の二回の戰災に遭つて、辻さんの近くに仮住居をしておりました。その当時主食の心配をしていただいたということや何かで、非常に私は感激をもつて、その以前から交際はしておりましたけれども、何の援助を受けておりません。たまたま終戰後新たなる政党が生れるというので、政治に対する意見を述べ合いまして、たまたままあ長い経驗を現在に活かして少し働いたらどうでというので、当時自由党の幹事長を河野一郎氏がしているから、ひとつ幹事長を助けろ、こういうことを十二月の末に話されて、春から当時の幹事長の輔佐をいたしておりました。選挙河野氏は追放になつて、私もその用がなくなつたので、一應辻さんの方に帰つてきた、手近におりますものですから、何かと辻さんが私に用を命ずる。もとより下女、下男と同じように俸給を貰つておる私ではありませんが、まあ辻のうちの用を弁じておりましたので、たまたま昨年の選挙の時分に——今三万円というお話があつたが、私は二万円もらつた。三万円ということは何かお年寄りでもあるから、はつきり御記憶にないのではないかというように考えておりますが、金額は二万円です。また二万円と言えば非常に多額のようですが、今日の生活状態から言つて、それから半年引続いて辻さんの用をしておる私が二万円もらつたということは、決してびつくりする金とも思つておりませんし、まあ小遣いをくださつた氣持ではないかというので、御好意を受けて、それは交際費や何かに使つてしまいました。また自分の同僚で立候補しておる者もありましたけれども、別に何兵衞に関をやつたということもありませんで、私一人がその金を使つたということを、檢事局においても申し上げてありますので、私が檢事局において陳述したことに間違いはありません。
  93. 武藤運十郎

    武藤委員長 その金が中曽根からはいつた金だというようなことは、全然お聞きになりませんでしたか。
  94. 佐久間徳太郎

    ○佐久間証人 もちろんそんなことは存じておりません。実はきよう、つまり明日のお喚出しですが、政治資金に関するということもありますから、何か政治資金の調達に歩いたとか、そういう金をもらつて來たときに、携わつたことかと思つておりましたが、全然そういうことには現わつておりませんし、また調達の使いをしたこともありません。その金はあとでお調べになつてから、こういうものであるということを伺つたのですが、二万円の金がそういうような関係にあるとは思つておりません。
  95. 武藤運十郎

    武藤委員長 なおこの前後に何回か辻氏から金を受取られたことはないのですか。
  96. 佐久間徳太郎

    ○佐久間証人 ありません。
  97. 武藤運十郎

    武藤委員長 何か委員諸君お尋ねになることはありませんか。——それでは証人の喚問は済みました。何か御意見がありましたら……
  98. 田中健吉

    田中(健)委員 檢察廳の調書によりますと、辻嘉六氏が、本日召喚の対象となつておる人物に渡した金額以上の金を、各方面から集めております。それは調書に現われております。その残額とでも申しましようか、それからの点についても、その金がただ短期間のうちに、数百万円も生活費に全部使用されておるべきはずのものではないのでありまして、もしその多額の金が全部生活費に使われたものとするならば、その生活の内容について仔細に調査しなければならないのであつて、私といたしましてはおそらくその金も各方面に、むしろ今の二万や三万のそんな小さなものでなく、もつと大きく各方面に渡されておるのではないか。こういうように考えまするので、辻氏を本委員会に喚問するなり、あるいは病氣であるならば辻氏の家に行つて調査するなり、何らかの方法によつて残額の点を明らかにすることを、この委員会においてやつていただきたい。こう提案する次第であります。
  99. 武藤運十郎

    武藤委員長 田中君からお話のありました点につきましては、皆さんの御意見を求めます前に、もう少し詳しく私から説明いたします。調書によりますと、辻嘉六氏は昭和二十一年から二十二年十月までの間に、緑産業株式会社社長吉田彦太郎から三百万円、新夕刊新聞社社長高源重吉から百万円、熱海市の貿易商青木勇から百五十万円、旭工機株式会社、これは横浜にありますが、社長杉山嘉市から百万円、これと先ほどの中曽根幾太郎からの二百五十万円、会計九百万円受取つておるのでありますが、今明らかにされつつあるのは、中曽根幾太郎から受取りました二百五十万円だけでありまして、その他の六百五十万円については、檢事局並びに裁判所で明らかにされておらないようであります。それは事件そのものが中曽根幾太郎にかかる詐欺事件であるために、中曽根が辻に渡した二百五十万円についてだけ究明があつたのであつて、それ以外は深くつつこんでないのであろうと思います。辻嘉六氏からは先般読み上げました通り、六百五十万円については私生活、または事業関係の入金で、政治資金として他人より受領したものではない。うち二百万円ぐらいは比氣見舞であるというような、簡單な弁明をいたしております。そういう事情でございますが、田中君の御意見に対して何か御意見がありましたら伺います。
  100. 梶川靜雄

    梶川委員 今まで五人だけあるのですが、あと相当数ありますし、それの全部に聽いてこの二百五十万円の方を片づけなければ、その方の問題に移るのは少し早いじやないかと思います。今までの証言を聽いても、証人のここにおける陳述と、辻嘉六証言との内容に食違いがありますので、この点に関してもいずれ本人に直接もう一度質すなり、いろいろしなければならぬと思いますが、現在の問題は関係議員あるいはその他の関係者か速やかに証言を求めて、この問題の堀下げに当るということが先決であると思いますので、とりあえず明日、明後日の委員会においては、このまま続行せられ、さらい本日の証人証言によりますと、河野一郎なるものが相当介在しておるということが三浦寅之助証人、あるいは磯崎貞序証人証言の中から推断されるのであります。従つてこの際河野一郎なるものを召喚されるように希望し、さらにまた岡田宗司証人発言によれば、松岡松平なるものが介入いたしておりますので、これらの速やかに証人として喚問せられ、その眞相を究明せられるように提案する次第であります。
  101. 田中角榮

    田中(角)委員 ただいま田中健吉委員から、辻嘉六氏にまつわるところの残余六百五十万円の事件を至急調査されるようにとの提案がございましたが、この事件は御承知通り隠退藏物資委員会当時からの事件でございまして、未だ結末がついておらないのであります。これは不当財産取引委員会が非常に成績が惡いという風評をこうむるのは、委員会の本質からいたしましてやむを得ないものである。非常に事件が復雜である廣汎であるというために、やむを得ないではないかと思いますが、この事件は大別いたして二つにわけられるではないかと思います。その一つは今日から明日、明後日にわたつて委員会において審査される事件は、檢察廳で取調べたところの中曽根幾太郎にかかる詐欺事件から取調べの端緒をつかんだところの事件であつて、しかもこの事件内容はすでに長いこと檢察当局でも研究されていたのでありますから、一應この二百五十万円の事件を一区切りといたしまして、本委員会ではそれをあげて、この事件が完結した後引続いて残余の六百五十万円の事件に取掛られんことを望むのであります。なおその上に現在九百万円以外にもあるかもわかりませんから、その場合はこの六百五十万円の事件が完結した後第三番目として取調べる。現在のままでまいると二百五十万円なり六百五十万円なり、いつになつて果てるかもわからない状態でありますから、できるならば相当事件の全貌も調べ、簡單事件であるところのまずこの二百五十万円という事件に終止符を至急に打たれ、引続いて次の事件に釈明せられんことを要望する次第であります。
  102. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうしますと田中君の御意見は、別個の事件として起そうという御趣旨ですか。
  103. 田中角榮

    田中(角)委員 別個な事件ではありません。不当律産委員会というものの本質を考えまするときに、非常に復雜多岐である。これはずるずるとどこまでいくかしれぬというものである一つ一つの区切りをつけない場合、運営上も非常にまずいのではないか。私は当委員会の運営上といたしましても、この事件に対しましてはちようど一区切りつけていい時期でありまするから、これをひとつつけて、また残余の六百五十万円という事件は新しく、本調査委員会でも根本的に調査をしなければならぬ事件でありますがために、やがてはその事件に対しましては小委員会も設けられるのでありましようし、そういう意味においては二つにわけていただきたい、こういうふうに考えておるのであります。
  104. 田中健吉

    田中(健)委員 私は田中角榮委員の今の意見に対して反対するものであります。それは一應区切りをつけてやることも方法だろうと思いますが、どちらかというと残りの方が金額も大きいし、関係者もうわさに聞くところによると相当大物の関係があるということであります。そこで大物の方は投げて、今日あたりの小物をつついてみても、しかも檢事局で調べたものを調べてみても、これは本委員会の目的にかなわないというわけではないが、もつともつと深く掘下げてやれば、どうしても残りの六百五十万円というものをやらなければならぬと私は思います。そういう意味においてこれは並行してやつていくのが、本委員会の目的に一番かなう、こう思いまするので、この点は私は今申し上げたことを固執いたしません。委員長においてしかるべくやつていただきたいと思う次第であります。
  105. 武藤運十郎

    武藤委員長 それではこういうふうにいたしたいと思います。とりあえず、ただいま喚んでおります三十九名でありますか、一應取調べを済みましてみます。そうしますると、おそらく本日調べただけでも辻氏との関係において大分食い違いがありますから、まだまだ金額その他につきまして食い違つたところが出てくると思うのでありまして、その結果はどうしても辻氏をここに喚ぶなり、あるいは臨床尋問するなりの形において、調べなければならないときがあると思うのでありますが、そのときにこの六百五十万円につきましても、辻氏から説明を求めることにいたしましよう。それから引続いて今研究しましたところの吉田彦太郎、高源重吉、青木勇、杉山嘉市、そういう人たちを喚問いたしたいと思います。なお河野一郎はすでに喚んであります。松本松平氏、これも一應ただいま喚んであります。証人の取調べが済んだ後に喚びたいと思います。さよう決したいと思いますが、いかがでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 徳田球一

    ○徳田委員 なるべく五、六、七日でみんな喚びたいと思いますが、今の残つたものも七日あたりに喚べませんか。また八日、九日となるとたいへんです。
  107. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは今の辻本人の訊問は別としまして、吉田彦太郎、高源重吉、青木勇、杉山嘉市、松岡松平、この五人を七日に呼ぶことにいたします。なるべく七日までに済ますようにいたしたいと思いますけれども、住所のわからないのも幾人かまだありますし、やむを得ない都合で來られない人もあるかもしれませんので、あるいは七日までで全部済むかどうかわからないと思うのですが、皆さんの御協力によりまして極力済ますようにしたいと思います。  それでは本日はこれにて散会いたします。     午後五時二分散会