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1948-02-10 第2回国会 衆議院 不当財産取引調査特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年二月十日(火曜日)     午後二時十九分開議  出席委員    委員長 加藤 勘十君    理事 梶川 靜雄君 理事 武藤運十郎君    理事 鍛冶 良作君 理事 辻  寛一君    理事 荊木 一久君 理事 田中 角榮君    理事 中野 四郎君       足立 梅市君    池谷 信一君       河井 榮藏君    佐竹 新市君       山中日露史君    高橋 榮吉君       明禮輝三郎君    伊藤 恭一君       宇都宮則綱君    大森 玉木君       橋本 金一君    矢野 政男君       野本 品吉君    平澤 長吉君       田中 健吉君    中村元治郎君  委員外出席者   兵器処理委員会に関する問題について証言の   ため出頭した証人                 杉本 正幸君                 金上 俊二君                 菅波 稱事君     ————————————— 本日の会議に付した事件  兵器処理調査小委員選定に関する件  兵器処理委員会に関する問題     —————————————
  2. 加藤勘十

    加藤委員長 これより会議を開きます。  本日は兵器処理委員会を構成する五社のうち神戸製鋼代表者杉本正幸君、扶桑金属代表者金上俊二君、及び商工省総務局長菅波稱事君を、証人として出頭を求めてあります。証人証言を求める前に各証人に一言申し上げておきます。なお菅波稱事君は三時に來ていただくことになつておりまして、現在見えておりませんから、とりあえず杉本金上両君に対して証言を求めることにいたします。  昨年十二月二十三日公布になりました昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求むる場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことになつております。宣誓または証言を拒むことができるのは、証言証人配偶者、四親等内の血族、もしくは三親等内の姻族及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき及び医師歯科医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職に在る者またはこれらの職に在つた者が、その職務上知つた事実であつて默祕すべきものについて尋問を受けたときに限られております。それ以外には証言を拒むことができないことになつております。証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときには一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、且つ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは三月以上、十年以下の懲役に処せられることになつております。この法律の趣旨を御承知の上で証言していただきたいと思います。法律の定めるところによりまして、お手もとに出してある宣誓書を朗読の上、署名捺印をしていただきます。     〔証人杉本正幸宣誓〕     〔証人金上俊二宣誓
  3. 加藤勘十

    加藤委員長 先に杉本君から証言を求めますから、金上君はあちらでお控えください。  それでは私から大綱お尋ねしまして、他の委員諸君からもそれぞれ御質問があろうと思いますから、お答えを願います。兵器処理委員会の成立した経過、機構、その仕事目的等については、大体契約当事者である当時の内務省調査部長青木君や兵器処理委員会委員長小松君の証言によつて大体を知ることができましたが、その点について、あなたが御存じつたかないかという一つのことをお尋ねしたいのは、当時契約が締結されたときに、その契約書大臣決裁を決て、内務省議として決定したものとして御承知になつたのか、あるいは單に一調査部長として契約が締結されたものであるか、どのように御承知なつておりましたか、その点についてあなたの御見解をお尋ねしたいと思います。
  4. 杉本正幸

    杉本證人 ただいまのお尋ねお答えいたします前に一言申し上げておきたいのは、私が兵器処理委員会委員になりましたのは、昨年の一月であります。その以前のことはよく存じておりません。のみならず昨年一月ごろには、私の方の引受けておりました仕事は大体済んでおりましたし、作業その他の現地関係のことはすべて現地処理部長に任せてありましたから、その方のことも詳細には承知しておりません。しかし重要な事柄につきましては、随時報告を得ておりましたから、この範囲お答えすることにお許しを願いたいと存じます。かような次第でありまして、ただいまお尋ねをこうむりました契約を締結しました当時、内務大臣決裁を受けたか、調査部長として締結したかということについては、実はよく存じておりません。
  5. 加藤勘十

    加藤委員長 もちろんあなたが途中でお送りになつたということもわかつておりますし、契約当時の最初委員会構成のメンバーでもなし、また契約立会人というところで署名もしておいでになるのでないから、おわかりにならないかとも思いますが、お聽きになつたこともないですか。
  6. 杉本正幸

    杉本證人 私もそういうぐあいで、委員なつたときは、仕事が済みかけておりましたから。別段遡つて聽くにも及ばぬことでありまして、聽いたこともございません。
  7. 加藤勘十

    加藤委員長 あなたの方でお扱いになつたのは主として非鉄金属部門に属するうちでしようね。
  8. 杉本正幸

    杉本證人 さようでございます。
  9. 加藤勘十

    加藤委員長 あなたの方で作業を実際担当されました作業現場においての作業を遂行する機構は、どういう機構でおやりになつたのですか。また同時にそれが兵器処理委員会との関係はどういう関係でありましたか。
  10. 杉本正幸

    杉本證人 私の方の受持ちました作業区域は、中國、九州の主として飛行基地でございました。そこで山口縣の長府に兵器処理部を設置いたしまして、この処理部会社とは全然別個のものといたしまして、独立会計として運営をいたしてまいりました。  それからこの処理部と本委員会関係でございますが、承つておるところによりますと、処理委員会代行機関というふうに聞いております。
  11. 加藤勘十

    加藤委員長 代行機関ということは最初からきまつていることで、現場における作業監督にも関係してくることですが、担任されたあなたの方で全責任を負つて監督されたのか、それとも兵器処理委員会の方で全責任を負つて監督されたのか、その点を承つておきます。
  12. 杉本正幸

    杉本證人 その点はよく存じておりません。ただ現場の方の監督兵器処理部の職員が適当にやつておることと存じております。
  13. 加藤勘十

    加藤委員長 そうしますと、あなたの方で作業を担当された現場においての関係は、現場にあなたの方で設けられた処理部出張所ですか。処理部出張所が全部監督の衝に当つて、あなたの会社自身としては直接何ら監督権をおもちなつておらなかつたのですか。
  14. 杉本正幸

    杉本證人 その点は私もはつきりしておりませんが、万事処理部長に任せてありまして、処理部長がそれぞれの現場監督されておりました。
  15. 加藤勘十

    加藤委員長 こういうことはお聞きになつたことはありませんか。あなたの方の担任された作業場において、直接作業を行われた作業場中間請負者作業を請負わされた区別があるのですね、その場合に中間請負者に対する監督状況はどこですか、お聞きになつたことはありませんか。
  16. 杉本正幸

    杉本證人 それにつきましては万事現地処理部長に任してありますので、一々聞いておりません。
  17. 加藤勘十

    加藤委員長 そういうことについて現場作業進行状況なり、処理状況なりは報告をお聽きになつておるのじやないですか、どうでしようか。
  18. 杉本正幸

    杉本證人 仕事の結果について、どれだけの分量をしたという報告はありますが、一々そういうことについて報告は受けておりません。
  19. 加藤勘十

    加藤委員長 あなたの方で担任された現場における作業を請負わされたおもな会社というか、請負者の氏名はおわかりになつておりますか。
  20. 杉本正幸

    杉本證人 そのことにつきましては私今知つておりません。
  21. 加藤勘十

    加藤委員長 そうすると、大体あなたは会社責任者ということで兵器処理委員会に顏を並べており、代行機関としての会社責任者というだけで、実際についてはあまり御存じないわけですね。
  22. 杉本正幸

    杉本證人 実は私は製鋼所常務取締役でありますが、東京支社を受持つております。東京支社におる関係委員に出たような次第でございます。詳細なことはあまり承知しておらないのでございます。
  23. 加藤勘十

    加藤委員長 どうですか、皆さん、今証人の述べられたような証言では、聽いてもあまり役に立たぬと思いますが、何かお尋ねになることがありますか。
  24. 鍛冶良作

    鍛冶委員 当時のことについて今委員長が聽かれたことを知つているのはだれでしようか。
  25. 杉本正幸

    杉本證人 仕事のことをよく存じておるのは処理部長だろうと思います。
  26. 加藤勘十

    加藤委員長 その処理部長というのはあなたの方の会社処理部長ですか。兵器処理委員会処理部長ですか。
  27. 杉本正幸

    杉本證人 私の方の関係した仕事で、私の方で分担しております仕事独立機関たる処理部長を置きまして、そこでやつております。
  28. 鍛冶良作

    鍛冶委員 処理委員会処理部長でなくて、委員のうちのあなたの方の処理部長ですね。
  29. 杉本正幸

    杉本證人 ただいまのこの兵器処理委員会委員は私がやつております。それから代行させられておる方は会社の方が受持つたのですが、その会社がまた独立な処理部という機構をこしらえまして、会社仕事とは全然別にやつておるのでございます。
  30. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それは初めから一人の人がやつておりましたか。
  31. 杉本正幸

    杉本證人 二十年のことで、私が神戸製鋼にはいりましたのが終戰のずつと後でございまして、今覚えておりません。
  32. 鍛冶良作

    鍛冶委員 処理部長名前を言つてください。
  33. 杉本正幸

    杉本證人 現在おりますのは三島と言います。
  34. 加藤勘十

    加藤委員長 それでは作業現場において廃兵器として処理されたもののほかに、すでに製品化されたものでそのまま使用に耐え得る機械器具類スクラツプとして拂下げられて、拂下げを受けた者から差額の何割かを戻さしておるという処理についてお聞きになつたことはありませんか。
  35. 杉本正幸

    杉本證人 何ら聞いておりません。
  36. 加藤勘十

    加藤委員長 あなたの方の会社で担任された作業場においては事件が起つたということについてお聞きになつたことはないですか。
  37. 杉本正幸

    杉本證人 何ら起つたとは聞いておりません。
  38. 加藤勘十

    加藤委員長 大阪造浜廠はあなたの方の管轄ではなかつたのですか。
  39. 杉本正幸

    杉本證人 私の方は中國、九州を受持ちましたので、大阪造兵廠関係はよく存じません。
  40. 加藤勘十

    加藤委員長 しかしあなたの方は東京地区も受持つておられますね。九州、四國ばかりじやないですね。造兵廠があつたかなかつたかは別として、大阪地区もある。名古屋もあるんですね。
  41. 杉本正幸

    杉本證人 まことに申訳ありませんが、大阪東京は今よく私は聞いておりません。ただ中國、四國ということはしよつちゆう聞いておりますけれども、そのことはよくひとつ係の方に聞いてみませんと、ちよつとお答えがしにくいのです。
  42. 加藤勘十

    加藤委員長 しかしかりにも兵器処理委員会のわずか五名の委員の一人として、しかも代行機関として作業をやつておいでになる会社責任者が、自分の扱つておる作業現場の一々個々の名前についてはむつかしいかもしれませんが、その範囲について四國、九州というだけしか記憶されぬということはどうかと思う。殊に扶桑金属大阪会社ですし、現に兵器処理委員会から出した報告書の中に、東京大阪名古屋みな出ておるのですよ。
  43. 杉本正幸

    杉本證人 私は神戸製鋼でございまして、神戸に本拠がございまして、大阪には関係がないのでございます。
  44. 加藤勘十

    加藤委員長 それは私が惡かつた。その点は訂正します。そうすると最初の私のお尋ねしたのは扶桑金属のつもりでばかり聽いておつたからそういう間違いが起つたので、それは私が失礼しました。私が非鉄金属についてお伺いしたいときに否定してくださればよかつたのです。
  45. 杉本正幸

    杉本證人 非鉄金属は住友と古河と神戸製鋼と三社がやつております。
  46. 加藤勘十

    加藤委員長 大体あなたは何も御存じないということですね、実際は。
  47. 杉本正幸

    杉本證人 実際上のことはよく存じておりません。もし必要があれば現地から処理部長を呼びまして聽いてお答えいたします。
  48. 加藤勘十

    加藤委員長 きようここに同伴して傍聽席におられます鈴木宏君という人はどれくらいの限度に事実の内容を知つておられますか。それは御存じですか。
  49. 杉本正幸

    杉本證人 これは現地との連絡をしております。その程度においては知つておると思います。
  50. 加藤勘十

    加藤委員長 現在の処理部長というのは神戸におるのですか。
  51. 杉本正幸

    杉本證人 現場におります。山口縣の長府であります。
  52. 加藤勘十

    加藤委員長 いずれこの委員会は明日以後は小委員会をつくつてさらに詳細に調査を進めることになつておりますから、小委員会の方で御足労を願うことになるだろうと思いますから、そういうことにいたしましよう。  ほかにお尋ねになることはございませんか。     〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
  53. 加藤勘十

    加藤委員長 それでは御苦労さまでした。  次に金上証人お尋ねします。兵器処理委員会大綱については、本委員会としては大体当時の契約責任者である青木内務省調査部長並びに小松隆君から証言を聽きまして、ほぼ承知しておりますが、あなたはいつごろ兵器処理委員会委員として前任者をお迭りになつたのですか。
  54. 金上俊二

    金上證人 昨年の五月です。
  55. 加藤勘十

    加藤委員長 それ以前のことについては御存じないのですか。相当事情を御承知なつておりますか。
  56. 金上俊二

    金上證人 それまでは大阪におりましたのでおぼろげには知つておりますが、中央その他の的確なことはあまり承知しておりません。
  57. 加藤勘十

    加藤委員長 こういう点お聽きになつたことはありませんか。兵器処理委員会内務省調査部長契約書を取交して廃兵器拂下げ契約した。そのときにあなた方の会社からの代表者立会人という立場で署名しておられますね。その場合に内務省側青木という調査部長調査部長という單なる責任において締結されたのか、内務省として大臣決裁を経て契約を締結されたものであるかどうかという点についてお聽きになつたことはございませんか。
  58. 金上俊二

    金上證人 聽いておりません。
  59. 加藤勘十

    加藤委員長 それではやはりあまりよく事情御存じないようですから、二三現場模樣についてお尋ねしますが、あなたの方の会社は主として非鉄金属を扱うのですね。
  60. 金上俊二

    金上證人 さようでございます。
  61. 加藤勘十

    加藤委員長 あなたの方の担任された現場において作業を遂行する上においての機構、それからその作業監督する機関との関係はどういうことになつておりますか。
  62. 金上俊二

    金上證人 機構といたしましては兵器処理をやれという命によりまして、大阪本部を置きまして、それから実際の企画というふうな総括のことを大阪でやつております。そして現場監督につきましては大阪班東京班名古屋班、この三つによりまして運営をいたしまして、おのおの本部には部長を置きますし、班には班長を置きまして事務をとらせております。
  63. 加藤勘十

    加藤委員長 それで実際に作業をなさつたのは、会社が直接作業された場所もあるであろうし、請負業者に請負わせた場所もあると思います。その場合に請負業者作業進行状況について、またその内容についてどういう監督方法をおとりになつたかということです。
  64. 金上俊二

    金上證人 各地方に終戰前から使つておりました会社を利用いたしまして、おのおの班長がその下請会社監督いたしました。
  65. 加藤勘十

    加藤委員長 作業現場に働いておつた職業軍人を嘱託とかその他の名儀でお使いなつたことはあるのですね。
  66. 金上俊二

    金上證人 ございません。
  67. 加藤勘十

    加藤委員長 軍人はあなたの方は一人もお使いにならなかつたのですか。
  68. 金上俊二

    金上證人 一人も使いません。
  69. 加藤勘十

    加藤委員長 それから作業現場スクラツプとして拂下げられて各方面に賣られたわけですね。それもありましよう。それからあなたの方が直接買売けられたこともあるわけですね。
  70. 金上俊二

    金上證人 その筋の御承認を得て拂下げておりますので、そういう点については区別はないと思います。
  71. 加藤勘十

    加藤委員長 いや兵器処理委員会の中にそれぞれ品種別特別委員会ができて、その特別委員会で査定承認して、それぞれ需要者に販賣というか拂下げられたわけですね。その拂下げられた中であなたの方で直接拂下げを受けられた量はどれくらいになりますか。
  72. 金上俊二

    金上證人 大体処理いたしました数量の五、六%くらいです。
  73. 加藤勘十

    加藤委員長 一割にならぬわけですね。ではこういうことをお聞きになりませんか、スクラツプとして拂下をした製品で、実はそのまま使用に耐えるものが、形式をスクラツプにして拂下げて、拂下者から割戻金を受けておる。こういうことについてはどうですか。
  74. 金上俊二

    金上證人 そういうことはないと思います。
  75. 加藤勘十

    加藤委員長 ないつたつて、それはもうあなたがないと思われるならば仕方がありませんが、あるという場合があり得るですね。あなたが御存じなければやむを得ませんが……。
  76. 金上俊二

    金上證人 相当監督を嚴しくしておりましたので、そういう点はおそらく扶桑としてはないと私は信じております。
  77. 加藤勘十

    加藤委員長 あなたの方で現場処理された物資の中で、金属関係以外の物資はどういうふうに処理されましたか。
  78. 金上俊二

    金上證人 そういう物は多少あつたと思いますが、それはその統制の規定に從つて処理したと思います。
  79. 加藤勘十

    加藤委員長 それは一應形式を調べればそういうぐあいになつているわけですが、実はいろいろ私の手もとにも、飛行場とか造兵廠とかいう所から、いろいろな情報がここにもたらされてきておるわけです。上の方においでになるあなた方としては御存じなかつたかもしれないが、現実にはあり得るような、確実は情報とも思われるものがあるわけです。そういう問題がどこから起つてきたかということが、当然この委員会においても問題になるわけです。あなたが御存じなければやむを得ません。  それじや最存にお尋ねしますが、兵器処理数量について、この兵器処理委員会から出された資料によりますと、鉄鋼が約百九万何千トン、非鉄金属部類が二十万トン前後ということになつておるようでありますが、これは何を標準にしてこういう数量が出てきたと思われますか。
  80. 金上俊二

    金上證人 今申しておられるのは兵器処理で計算した数量でございますか。
  81. 加藤勘十

    加藤委員長 そうです。回收予定数量としてそういう数字が出ておるのです。二十一年三月三十一日の回收予定数量がそういうように報告されておるのです。
  82. 金上俊二

    金上證人 これは私の想像でありますけれども、大体の数量当局から渡されて、それも現物を見られて大体の手当をおつけになつたのだろうと私は推察いたします。
  83. 加藤勘十

    加藤委員長 大体この兵器類は一遍連合軍に接收されて、連合軍から日本の民生安定に役立たしめるという目的で返還されたものですぬ。そうするとそれらの品物が一々移動されたわけではなくして、主としてリストによつて引渡しなり返還なりがされておると思うのです。そのリストを見ることなくして、ただ品物現地々々でごらんなつて、こういう数量がきめられたものと思われたのですか。
  84. 金上俊二

    金上證人 一應の数字当局から出たのだろうと私は思います。
  85. 加藤勘十

    加藤委員長 その点はどなたにお尋ねしても非常に不明確で、全然リストごらんなつておらぬようですが、あなたもやはりリストごらんにならなかつたのですか。
  86. 金上俊二

    金上證人 見ませんでした。
  87. 加藤勘十

    加藤委員長 その鉄鋼非鉄金属を合して回收予定数量百二十八、九万トンというものに対しては、それが妥当な数字と当時ごらんになつたのですか。それとも実際においてはわかぬというようにごらんになつたのですか。
  88. 金上俊二

    金上證人 実はその際概算どのくらいあるということも自分承知しておりませんでした。その点の判断は……。
  89. 加藤勘十

    加藤委員長 後になつてもお聞きにならなかつたのですか。
  90. 金上俊二

    金上證人 あまり聞いておりません。
  91. 加藤勘十

    加藤委員長 どこからか別な方面からでも、鉄鋼の総量が相当多量にある。たとえば七百万トン程度あるというようなことについてお聞きになつたことはないのですか。
  92. 金上俊二

    金上證人 聞いておりません。
  93. 加藤勘十

    加藤委員長 もちろん鉄鋼はあなた方が直接担任されたものでないからお聞きにならなかつたかもわかりませんが、鉄鋼についてそういう大きな数字上の違つた面が出てきておるのです。從つて非鉄金属についても数量の上において、実際に処理した数量予定数量現実にあつた数量との間に食違いがありはせぬかと考えられるわけですが、そういうことについては何ら疑問をおもちにならなかつたわけですか。
  94. 金上俊二

    金上證人 はい。もつておりませんでした。
  95. 加藤勘十

    加藤委員長 どなたかお尋ねになることがありますか。
  96. 橋本金一

    橋本委員 実はどの証人に聽きましても、ほとんど現場処理委員会との連絡がはつきりいたしません。そこでお尋ねしたいのは、いずれの会社におきましても、委員会委員更迭等がありますと、先の行為が不明のために、あるいは運営上における組織等について、責任上当然前委員との打合せなり事務引継ぎがあると思いますが、そういう点は別に今日までなくして、たとえば今の証言でありますと、昨年九月更迭する場合においては、何もそういう連絡はなくして就任せられたものでありますか。
  97. 金上俊二

    金上證人 お答えいたします。実は私が就任いたしましたときは、だんだん兵器処理が相当進行いたしまして、私の扶桑といたしましては完了に近くなつておりましたので、そういう根本的な引継ぎはいたしませんで引継ぎをいたしました。
  98. 宇都宮則綱

    宇都宮委員 今の橋本君のお尋ねと同じでありますが、書類の上か何かの上で引継ぎというものはするもので、漫然とただ席に坐るだけが引継ぎでない。書類の上で数字を示して、どれだけのものがあるとか、これだけのものがあるということを引継ぎしなければならぬが、あなたの引継ぎは漫然と席を引継いだだけの引継ぎですか。それをお尋ねしたい。
  99. 金上俊二

    金上證人 お答えいたします。今後の処理ということについて引継ぎまして、その前のことにつきましては、うかつでございますけれどれも、引継はしておりません。
  100. 宇都宮則綱

    宇都宮委員 今後の処理というのはどこからどこまでが今後の処理になるか、前がいくらあるか、うしろがいくらあるか、今後というその線はどこに引くのか、今後というのがわからぬが、品物がいくらあつたかということについて、どこに線を引いて、これから後が今後になり、これから前があなたの席につく以前のものであるという線がなければならぬのではないか。あなたがおつきになつたときはどのくらいの物資残つてつたのか、あなたが引継いで処理なされた物資はどのくらいのトン数のものであつたかということは御存じでしよう。
  101. 金上俊二

    金上證人 引継ぎのとき大体の数字は聽きましたが、今のお尋ねの点については、これは怠慢と言えば怠慢でありますが、詳細につきましては大体処理が近付いてきておるということで引継ぎをしたのであります。
  102. 明禮輝三郎

    明禮委員 扶桑金属の方で拂下げを受けたもので、兵器処理委員会拂下げたものがありますか。
  103. 金上俊二

    金上證人 ございます。
  104. 明禮輝三郎

    明禮委員 それはどういうものか、大体覚えておるものがありましたら述べてみて下さい。それから数量……。
  105. 金上俊二

    金上證人 数量ははつきりと覚えておりませんが、私の方では地金を必要といたしましたので、委員会の方へ申請して相当の数量配給を受けております。
  106. 明禮輝三郎

    明禮委員 およそどのくらいですか。
  107. 金上俊二

    金上證人 およそ千トン余りと思つております。
  108. 明禮輝三郎

    明禮委員 それはどんなものですか。つまり眞鍮を受けたのですか、銅を受けたのですか。
  109. 金上俊二

    金上證人 銅、眞鍮とり混ぜて大体そのくらいだつたと思います。
  110. 明禮輝三郎

    明禮委員 そういうものはよく問題になつておるのですが、素材として受けられたのですか。
  111. 金上俊二

    金上證人 素材として受けました。
  112. 明禮輝三郎

  113. 金上俊二

    金上證人 その大部分は地金として受取つております。
  114. 明禮輝三郎

    明禮委員 それはやはり終戰時当マル公で受けたのですか。
  115. 金上俊二

    金上證人 拂下げをしていただいたときのマル公と思つています。
  116. 明禮輝三郎

    明禮委員 今もまだその地金の類はございますか。
  117. 金上俊二

    金上證人 大体使つたと思います。
  118. 明禮輝三郎

    明禮委員 どういうところへ使いましたか。
  119. 金上俊二

    金上證人 たとえば銅の合金品物であります板とか、カンとか、棒とかいうようなものの原料に使いました。軽合金の方もそういうふうなものに使うべく配給を受けて使用したのでございます。
  120. 明禮輝三郎

    明禮委員 相当もうかつたでしよう。早いことを言えば……。
  121. 金上俊二

    金上証人 もうからなかつたと思います。
  122. 明禮輝三郎

    明禮委員 損をしたのですか。
  123. 金上俊二

    金上證人 その点は総合的になりますので、ちよつと申し上げかねると思います。
  124. 明禮輝三郎

    明禮委員 大体あなたの方はそういう品物ですから素材として受けられたかも知れませんが、大方ほかの方へ拂下げなつたものはスクラツプで、拂下げをしておるということを聞いておりますが、どうですか。ひとつ偽らざるところを言つてもらいたい。
  125. 金上俊二

    金上證人 品物によりましては、委員会の方でジヤツジしておやりになつたから、いい品物であれば地金とし、あるいは製品とし、惡い物はスクラツプとして公平に配給されたと私は思つております。
  126. 明禮輝三郎

    明禮委員 大体委員会のメンバーになつておる五社は、みなどこも讓り受けておりましようね。
  127. 金上俊二

    金上證人 むろんあると思います。
  128. 明禮輝三郎

    明禮委員 スクラツプとか地金と言いますか、素材と言いますか、それは委員会でやるというときには、どういう方法でやつたのですか。
  129. 金上俊二

    金上證人 これは各作業場なりで、出てきた品物をジヤツジして、それを当局にお見せして、それはどういう品質であるかということを申請して、それを配給したと思います。たとえば軽合金でございますと、大体飛行機の解体、発動機の解体などでありますが、それを大体あらじのままで使うところもありますし、またそれを再生替えをいたしまして、地金の形にして、それを配給する。こういうふうになるので、たとえばアルミの精錬会社におきまして、それをボーキサイトの代用品に使つたというのは姿のままで使つたと思います。
  130. 明禮輝三郎

    明禮委員 要するにスクラツプとするか、地金とするかという判定は、どういうふうにしてやつたのですか。
  131. 金上俊二

    金上證人 それは大体その姿によつてつたと思います。
  132. 明禮輝三郎

    明禮委員 現物を見てやつたのですか。
  133. 金上俊二

    金上證人 そうです。
  134. 明禮輝三郎

    明禮委員 その現物をだれが見たのですか。
  135. 金上俊二

    金上證人 たとえばスクラツプといいますと、御承知の通り解体したそのままの品物でありますから、そのスクラツプを再生替えすれば、ちやんと地金の形になりますから、これは再生替えの地金として配給した。こう思つております。
  136. 明禮輝三郎

    明禮委員 それは地金というものにして取扱うかどうかということでしようが、委員会が見て決裁をするのですか、どういうことをやるのですか。
  137. 金上俊二

    金上證人 これは私の想像ですが、たとえばこういう品物が出た、この品物はこういうものだと言つて配給したと思います。
  138. 明禮輝三郎

    明禮委員 それは委員会が見るのですか、だれが見るのですか。
  139. 金上俊二

    金上證人 それは現場処理した者が委員会の方に申請して、委員会はそれを信用して配給するということで、委員会が一々現場ごらんなつたとは思いません。
  140. 明禮輝三郎

    明禮委員 委員会現場を一々見ないのですか。
  141. 金上俊二

    金上證人 委員会で処分されるときは、私は委員会の方が一々見て歩いたとは思われません。
  142. 明禮輝三郎

    明禮委員 委員会が一々品物を見たわけではないと言われるのですね。そうすると現場報告を聞いて処理していたのが多い、こういうことになるのですか。
  143. 金上俊二

    金上證人 そう思われます。
  144. 明禮輝三郎

    明禮委員 これは非常に重大なことだと思いますが、そうすると大体現場報告がもととなつているということなんですね。
  145. 金上俊二

    金上證人 それでその配給を受ける方は、おそらくその品物はそれだけの價値があるということで配給をお受けになつたと思います。
  146. 明禮輝三郎

    明禮委員 もちろんそうでしようが、拂下げる方の関係から私は申しているのです。
  147. 金上俊二

    金上證人 それは統制品になつておりますから、各地方廳の当局なりあるいはその他の方が現物を見て、そうしとこういう値段であるということを証明されておられるだろうと私は思つております。
  148. 明禮輝三郎

    明禮委員 それはそうでしようが、いくら統制になつておつても、たとえばここにこういう物があるが、これを現場報告素材としてやれば、非常に値段があがるでしよう。ところがこれがスクラツプだということを現場の方で報告したとすれば、非常に値段が違つてくるじやないですか。
  149. 金上俊二

    金上證人 かりにそういうものがあつたとすればそうも思われますが、軽合金あたりでございますと、大体飛行機の解体が大部分でございますから、そのままということでは利用價値がないのではないかと私は思つております。飛行機の翼や発動機を配給されても、今となつてはそれは使用の途がない、こう思われますので……。
  150. 明禮輝三郎

    明禮委員 それはやはりスクラツプとするのでしよう、いい部分があつてもやはりその中に入れたのではありませんか、そういうことをみな言つておるのです。
  151. 金上俊二

    金上證人 そういうことはないと思います。
  152. 明禮輝三郎

    明禮委員 まあその辺にしておきます。
  153. 田中健吉

    田中(健)委員 扶桑金属が一千トンの銅、眞鑄のようなものの拂下げを受けた、それは配給ですね。
  154. 金上俊二

    金上證人 はい。
  155. 田中健吉

    田中(健)委員 その配給委員会がやるのだが、その場合、配給される団体、会社、そういうものを調査することがあるのですか。ただ何でも申請があれば言いなりに配給してやるというのであるか。委員会配給申請に基いて愼重審議の上に配給するものであるかどうか。その点あなたは配給を受けた会社の一人であり、同時に委員会委員であるから、聽きたいと思います。
  156. 金上俊二

    金上證人 これは製品をつくりますについては、物動の関係配給を受けなければ製品になりませんので、当局の了解のもとにいわゆる配給として受けたわけでございますから、嚴正に委員会の方でジヤツジされたと私は思います。
  157. 田中健吉

    田中(健)委員 嚴正に委員会の方でやつたということではなく、あなたは委員じやなかつたのですか。
  158. 金上俊二

    金上證人 委員でございましたけれども、私が委員になりましてから、大体処理が済みましたので、そういうことはありません。
  159. 田中健吉

    田中(健)委員 扶桑金属が一千トンの地金配給を受けたの年月日はいつごろですか。
  160. 金上俊二

    金上證人 これはずつと処理しましてから必要に應じて委員会にお願いして、継続して受けたと思います。
  161. 田中健吉

    田中(健)委員 その一番の始まりはいつごろですか。
  162. 金上俊二

    金上證人 ちよつと記憶しておりません。
  163. 田中健吉

    田中(健)委員 そうすると、大体配給を受ける日時がはつきりわからなければいいですが、たとえば昭和二十一年の三月なら三月に配給を受けたといたしますると、二月末日の会社の資産表はあるでしよう。
  164. 金上俊二

    金上證人 これは取調べたらあるかと思います。
  165. 田中健吉

    田中(健)委員 同時に、配給を受けてから継続したところの毎月の資産表、財産表といつたものも、今会社にあるわけですね。
  166. 金上俊二

    金上證人 それぞれ別々というわけにはいきませんが、総括論としてはあると思います。
  167. 田中健吉

    田中(健)委員 昭和二十二年度末の会社の会計年度は十二月三十一日ですか。
  168. 金上俊二

    金上證人 このごろは決算の方もいろいろ違つておりますが、普通は三月でございます。
  169. 田中健吉

    田中(健)委員 そうすると、昨年の三月三十一日現在の貸借対照表を見た場合に、代社の損益勘定はどうなつておりますか。
  170. 金上俊二

    金上證人 損益勘定はずつと赤だつたと思います。
  171. 田中健吉

    田中(健)委員 経理の内容なつてきますが、その赤というのは、いずれ小委員会が設けられれば、詳しく調査せられると思いますが、三月三十一日現在では赤であつたと記憶する、こういうわけですね。
  172. 金上俊二

    金上證人 はい。
  173. 田中健吉

    田中(健)委員 そうすると、赤字の内容についてですが、それは兵器処理に関しては赤字になつておるのか。兵器処理の計算というものは、何か特別の科目を設けたのであるかどうか。
  174. 金上俊二

    金上證人 それは兵器処理とは全然別でございまして、兵器処理から頂載しなくても、たとえばアルミ精錬の方から頂載しても同じことだと思います。
  175. 田中健吉

    田中(健)委員 そうすると、三月三十一日現在の貸借対照表による赤字というものは、兵器処理とは関係はないというのですね。
  176. 金上俊二

    金上證人 はい。
  177. 田中健吉

    田中(健)委員 そういたしますと、兵器処理のことは貸借対照表にはいつておらないというのですね。
  178. 金上俊二

    金上證人 はいつておりません。
  179. 田中健吉

    田中(健)委員 そうすると、その勘定はいつになるのですか。
  180. 金上俊二

    金上證人 兵器処理として別勘定にしております。
  181. 田中健吉

    田中(健)委員 その勘定の資産表のようなものはありますか。
  182. 金上俊二

    金上證人 これは資産表というほどになりませんでした。処理をして配給のルートに移して金がはいりますが、そこにまた処理費用というものが出ておりますので、その間に借金があるかないかということが最後に出てくるわけで、最後の收益というものは結末がつきませんと出てこない。
  183. 田中健吉

    田中(健)委員 結末はまだついておらぬのですか。
  184. 金上俊二

    金上證人 ついておりません。
  185. 田中健吉

    田中(健)委員 いつごろつく見込みですか。これは扶桑金属だけですが……。
  186. 金上俊二

    金上證人 扶桑金属だけでも結末はついておりません。
  187. 田中健吉

    田中(健)委員 現在会社はいろいろなものを先につくつたということを証言いたしましたね。そうすると、そのつくつたものは当然それぞれの機関にお渡しになるか、あるいは会社自体で販賣しておられるということになりますと、そこに特別の勘定と申しますか、そういう勘定があると思いますが、その勘定の書類は現在会社にあるわけですね。
  188. 金上俊二

    金上證人 はあ。
  189. 田中健吉

    田中(健)委員 よくわかりました。
  190. 加藤勘十

    加藤委員長 ほかにお尋ねになる方はありませんか。——それでは私から一つお尋ねいたします。兵器処理委員会は予定は大体去年の九月に終るはずだつたですね。
  191. 金上俊二

    金上證人 そうでございます。
  192. 加藤勘十

    加藤委員長 どういう理由で今日まで最後の決済が延びたかということについて、どうお考えになりますか。
  193. 金上俊二

    金上證人 非鉄だけの立場から申しますと、黒の方は非常に残つているのでございますが、非鉄の方はもう済みましたので、われわれの方の希望からいたしますと、これはよしていただきたいということになつておるのですが、設立の趣旨から勝手に合体ということができませんので、現在に延びていたような実情になつております。
  194. 加藤勘十

    加藤委員長 鉄鋼の方はあなたの関係外のものですが、委員会構成委員として、どうしてその予定より延びたか、そうして今後どのくらいの期間を要するとお見込みになりますか。
  195. 金上俊二

    金上證人 今後の処理というものは相当困難な仕事残つております。当局がどういうふうに御判定になつておやりになるか、それにまつほか方法はないのではないかと思います。
  196. 加藤勘十

    加藤委員長 当局と言いますと、すでに廃兵器拂下契約書によつて拂下げられて、その拂下げられたものが販賣された額と処理に要した額とを差引いて、もし余裕があつたならば政府に納める、もし赤字が出た場合には政府が考慮する、こういうことになつていて、その処理は一々政府の指図を受けているのでなく、委員会自体が独立の権能において今まで処理してきたのでしよう。
  197. 金上俊二

    金上證人 そうです。
  198. 加藤勘十

    加藤委員長 それならば今後といえども当局の指示をまつということでなく、委員会自体でできるわけではないですか。
  199. 金上俊二

    金上證人 鉄鋼の方としてはそういうことになりますが、しかしこちらといたしましては、その他いろいろの問題がありますので、一時も早く一應済んだ方から大体無罪放免にしていただきたいという希望をもつて私は処してきております。
  200. 加藤勘十

    加藤委員長 しかしそれは非常に見当が違うのではないか。最初からあなたばかりでなく、他の証人の諸君も、これは純然として独立会計でやつておる、独立の機構を設けてやつておるということを力説されている。そうすると、それと新会社との関係が起つてくるわけはないではないか。それからまたそれはすでに処理される区分が明確になつておるわけでしようから、どうしてその新旧会社の勘定の関係が絡みついてくるのですか。経理も全然独立ということになつておるならば……。
  201. 金上俊二

    金上證人 趣旨は初めからそうであつたかもしれませんが、実際の実情から申しますと、処理する品物もなくなつた。しかし兵器処理としての人間を使つておりますので、これは経理費はかりかかるから、すぐ首を切つてしまえばよいものの、そう簡單にもまいりませんので、この際ひとつ終結にしていただきたいという……。
  202. 加藤勘十

    加藤委員長 終結にするということは、何も新旧会社の勘定に関係するということでなくて、ただ兵器処理についての一應の処理が終つたから、非鉄部門だけは終末にしてほしいというあなたの御希望なんでしよう。
  203. 金上俊二

    金上證人 これは人間の問題としていろいろ考えますと、そういうふうにせざるを得ないような情勢に立到つておるのであります。
  204. 加藤勘十

    加藤委員長 ところが、これは最初拂下げする契約書にもある、兵器処理委員会の定款の中にもある通り、計算はプール計算ということになつておる。そのときに鉄鋼部門と非鉄金属部門と別々にプール計算することになつておるのですか。全体を包含しての計算でしよう。
  205. 金上俊二

    金上證人 全体です。そう私は聞いております。
  206. 加藤勘十

    加藤委員長 そうすると非鉄部門だけが終了したからといつて、それだけ拔けきるということはできぬわけですね。契約からいつても、定款からいつても……。  そこであなたの会社としては直接の担任部門ではないが、鉄鋼部門がどうしてそういうように処理が遅れてきたかということと、今後どのくらいの期間を要するかということについて、あなた御自身が見込みをおもちなつておるのか。もしくは鉄鋼部門の人からそういうことについて相談をお受けになつたことがあるのか。またあなたが早く非鉄金属部門だけ終末を告げたいという希望をもつておられることを兵器処理委員会に持ち出されたのか、持ち出した場合に、鉄鋼部門の担任者はどういう意図をもつておられたかということをお聽きしたい。
  207. 金上俊二

    金上證人 非鉄の方としては、今委員長のおつしやる通り、早く解体してもらいたいという希望を申しておりました。鉄鋼の方とされても、私の関知したところでは、やはり兵器処理の多数の人間をかかえておる関係上、いろいろ会社の実情からして、この際ある程度まで進んだのだから、一應解体したいという希望をもつておられると私は推察しております。
  208. 加藤勘十

    加藤委員長 私のお尋ねすることと趣旨が違いますが、その点はそれくらいにしておきまして、そうすると今日まで処理のしやすい部分はもう処理し終つた処理の困難な部門だけが残つた、だからもうそれは自分たちの手でやつたのでは赤字が出るから、これ以上やることは御免こうむる、一口に言えばそういうお考え方なんですね。
  209. 金上俊二

    金上證人 そういう点もあると思います。
  210. 加藤勘十

    加藤委員長 その点はそれでよろしゆうございます。  それからあなたの方としては、地域的にほとんど各地で非鉄部門をお扱いになつているが、大阪造兵廠はどうですか。あなたの方は全然お扱いにならなかつたのですか。
  211. 金上俊二

    金上證人 扱いませんでした。
  212. 加藤勘十

    加藤委員長 どうして大阪造兵廠は拔けたのでしよう。
  213. 金上俊二

    金上證人 これは最もそこに関係の深いところという点から、そういうふうになつたと思います。
  214. 加藤勘十

    加藤委員長 ところが大阪造兵廠大阪にあつて、あなた方の会社の本拠は大阪にあるわけだが、どういうわけですか。
  215. 金上俊二

    金上證人 その点は地理的ばかりではないと思います。
  216. 加藤勘十

    加藤委員長 大阪造兵廠兵器処理委員会処理から除外されたのですか。
  217. 金上俊二

    金上證人 除外されたのじやないと思つています。
  218. 加藤勘十

    加藤委員長 そうでしよう。
  219. 金上俊二

    金上證人 はあ。
  220. 加藤勘十

    加藤委員長 それにもかかわらず、大阪造兵廠物資処理するのに、兵器処理委員会の構成員であるあなたの方が除外されたというのはどういうわけですか。
  221. 金上俊二

    金上證人 兵器処理もやはりあそこにはやつたと私は記憶しております。
  222. 加藤勘十

    加藤委員長 だからそれをやつた場合に、あなたの方が地域的にいろいろ担任されておるから、当然あなたの方がそれも担任されてしかるべきだと常識上思われる。しかるにあなたの方が担任されないで、別な人が担任したというのはどういうことか、しかもその別な人が兵器処理委員会の構成の要素ではなかつたということになると、それはどういう理由かということですね。
  223. 金上俊二

    金上證人 これは私の方よりも、ほかの委員の方が最もあの大阪造兵廠に対しては関係が深かつたというような意味合から、あれを受け持たなかつたと私には思われるのです。
  224. 加藤勘十

    加藤委員長 大事な点ですが、ほかの委員の方が関係が深かつたというのはどういう意味ですか。
  225. 金上俊二

    金上證人 大体兵器処理につきましては、過去のいろいろの関係を考慮に入れて地域をきめられたという点がありますので、そういう点からして最も都合のいい、処理が最もしやすいという観点から、そういうふうにおきめになつたのだろうと私は推察するのであります。
  226. 加藤勘十

    加藤委員長 それであなたの御承知なつているところでは、たとえば大阪造兵廠については、非鉄金属部門自分の方では扱わなかつたが、どこの会社が扱つたと記憶しておいでになりますか。
  227. 金上俊二

    金上證人 それは神戸さんがお扱いになつたのではないかと私は思います。
  228. 加藤勘十

    加藤委員長 こういうことが傳わつていますが、非鉄金属の集荷については三井物産が当つた、それから処理加工については三菱が当つたということが言われておりますが、その点についてお聞きになつたことはないですか。
  229. 金上俊二

    金上證人 聞いておりませんです。
  230. 加藤勘十

    加藤委員長 ではよろしゆうございますか——どうも御苦労さまでした。  菅波証人に申し上げます。証言をしていただく前に宣誓をしていただくことになつておりますが、それについて一通り規則に從つて法律内容を説明しておきます。  昨年十二月二十三日公布になりました昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によつて証人証言を求める場合には、その前に宣誓をしなければならぬことになつております。宣誓または証言を拒むことができるのは、証言証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族及び証人の後見人、または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはそれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職に在る者、またはそれらの職に在つた者がその職務上知つた事実であつて、默祕すべきものについて尋問を受けたときに限られております。それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。そして証人が正当の理由がなくして宣誓または証言を拒んだときには、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときには、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつております。この法律の趣旨を御了承の上で法律の定めるところによつて証人証言を求めまするから、お手もとにある宣誓書を朗読の上、署名捺印をしていただきます。     〔証人菅波稱事君宣誓
  231. 加藤勘十

    加藤委員長 それではまず私から大綱お尋ねしますが、兵器処理委員会が設置されました当時、証人はどういう地位においでになりましたか。
  232. 菅波稱事

    菅波證人 その当時私は商工省の総務局長をいたしておりました。
  233. 加藤勘十

    加藤委員長 兵器処理委員会がどういう経過を経て設置されるに至つたか御承知でありますか。
  234. 菅波稱事

    菅波證人 前のことでして詳しくは覚えておりませんが、兵器処理委員会は元來当然進駐軍の占領のもとにある日本の兵器、これを私どもといたしましてはできるだけ日本の経済復興に役立たせたいというふうに考えておつたのでございますが、それがさいわいにして進駐軍の非常な御好意によつて日本側に渡されることになりましたので、この処理を掌るために一つの機関が必要になりました。このためにこの兵器処理委員会をつくつたのでございますが、当時進駐軍といたしましては、この兵器の非戰力化と申しますか、早くこの兵器を解体し、あるいはこれを破碎し、ふたたび戰力の具に供し得ないようにすることを強く要望されておりました。しかし非常に厖大な数量に上るこれらの兵器を短期間に処理いたしまするには、どうしても從來そういう仕事をしておつた民間業者を中心にそういう仕事をする機関をつくらなければならぬというようなことから、鉄鋼係におきましては日本製鉄及び日本鋼管、非鉄金属につきましては住友金属、古川電機でございましたが、それから神戸製鋼所、そういう大きな処理能力をもつておるところを中心とする委員会をつくつたというのが当時の経過であつたように記憶しております。
  235. 加藤勘十

    加藤委員長 それらの五社の選定はどこでやられたのですか。
  236. 菅波稱事

    菅波證人 これも私よくはつきりした記憶はございませんが、鉄につきましては日鉄と日本鋼管というものは、日本における製鉄業者のうち最も代表的なものでありまして、これはだけが考えてもそういうところに帰着するようなことになると思います。非鉄金属の方は当時多分非鉄金属を扱つておりまする鉱山局の意見を聽いてこの三社をきめたように考えます。
  237. 加藤勘十

    加藤委員長 それは常識上当然製鉄について日鉄、日本鋼管が組んでおらることはわかるわけでありますが、それをどういう機関によつて指名されるようになつたのか。その点、日本製鉄とか日本鋼管を鉄鋼スクラツプを集め、これを処理するのに適当な業者である。こう認定して、それを指名するに至つた機関はどういう機関か。あるいは機関以外の何かそういう点について……。
  238. 菅波稱事

    菅波證人 これにつきまして、私どもの意見もそういうところにございましたけれども、進駐軍当局の意向も、そういうところにあるということを酌んで、私どもがそういう処置をとつたように記憶しております。
  239. 加藤勘十

    加藤委員長 ところが、先日日本製鉄の代表者証言されたところによると、今までに現実処理された鉄鋼関係のうち、日本製鉄として直接拂下げを受けられた数量は、まだ四分の一、もしくはそれ以下の数量ですね。日本製鋼がどれくらい引受けられたか、数量については正確にはわかりませんが、大体両者合して、多くて半分くらいでないかと想像されます。あとの五割、四十万トン前後の数量は、他の業者に拂下げられたということになるわけです。そういう消費数量から見ると、必ずしも日鉄、日本鋼管だけが、最も代表的な業者だとも言われないだろうと思います。だから政府の機関でそれを決定されたのか、あるいは何ぴとかの指図を基いてそれを決定されたのか。その点ですね。
  240. 菅波稱事

    菅波證人 どうも当時の記憶がはつきりいたしておりませんのと、私自身あまりこまかいところまで、その仕事にタツチするひまもなくやつておりましたので、その数量がどこに多く行つたかということまでは、私は全然覚えておりません。ただどういう機関を通じてやつたかということにつきましては、先ほど申し上げた程度のことしか覚えておりません。
  241. 加藤勘十

    加藤委員長 この兵器処理委員会が実際にできたのは二十年の十月の末ですね。それから作業が始まつたのが二十一年の一月ごろですね。そして内務省拂下契約の結ばれたのが五月になつてからですね。それから兵器処理委員会の定款のつくられたのは、その拂下げがあつてから後ですね。そうすると委員会が実際にできた。仕事は始めた。まだ拂下契約書は何もできておらぬというと、最初のうちの兵器処理委員会というものは、法的には何も根拠のないものと思われる。それから拂下契約の結ばれない先に、作業が実際に開始されていることになるわけですが、いかに処理を急ぐからといつて、この國家の重要な、殊に日本経済復興の資材たらしむべき重要な物資が、何ら法的根拠なくして、そういう私の団体によつて自由に処理されるということは、許されることでしようか、どうでしようか。
  242. 菅波稱事

    菅波證人 兵器処理委員会のできましたのが十月で、当時私は総務局長をいたしておりました。私が総務局長になりましたのは二十年の十月でございます。そしてこの仕事を私の局でやつておりました。ところが多分その翌年の三月か四月と思いますが、その時から総務局の主管でなくなりまして、商工省に整理部というのがございまして、そこへその仕事が移りました。その後のことは私タツチしておりませんのでよくわかりませんですが、ただいまお話の委員会がまだ法的根拠のないうちに、実際に仕事を始めたことがどうかというお話でありましたが、委員会そのものは、おそらく十月にできたのだと思います。それに対して拂下げその他の処理をいたしまして手続は、いろいろ所定の法律の要求する手続を経て、やつたものと私は考えております。
  243. 加藤勘十

    加藤委員長 そうしますと、具体的には、内務省調査部長と、小松隆君という兵器処理委員会委員長との間に結ばれた拂下契約以前に、やはり法律的手続によつて、それらの物資が拂い下げられておるのですか。
  244. 菅波稱事

    菅波證人 もし拂い下げられておつたとすれば、おそらく法律上の手続をとつてつたものと私は思います。
  245. 加藤勘十

    加藤委員長 この間小松証人証言によれば、実際の仕事はもうすでに一月ごろから始めたと言つておられる。ところがそれは実際法律上の根拠も何もないわけです。それで特に当時の事情を官廳側として承知しておられるはずのあなたに、ここに御出頭を願つたわけです。そういうことについては、いつごろから具体的に仕事を始めたか、たとえ所管は整理部に移つたとしても、兵器処理委員会出発の当初に、ほとんど生みの親とも言うべき世話役をされたあなたとしては、その後の進行状態がどういう状況にあつたかということは、同じ省内におられたあなたは御承知のことと思うが、どうでしようか。
  246. 菅波稱事

    菅波證人 実際の仕事は、たしかそのところから始まつてつたというふうに私は記憶いたします。しかしその拂下手続は、これは國有財産でございますから、おそらく國有財産の処分に関する法律の通り、所定の手続をふんでやつたものと私は思つております。
  247. 加藤勘十

    加藤委員長 そうすると、契約が締結される以前の処理作業は、國有財産拂下規程に基く法律措置の上に処理が進められた。こういうふうにお考えになるわけですね。
  248. 菅波稱事

    菅波證人 この手続関係は、一切内務省が主管してやつておりましたので、私自身でそれを扱つておりません。ですからはつきりしたことは申し上げられませんが、私の考えとしてはそういうふうに記憶しております。
  249. 加藤勘十

    加藤委員長 最初これらの物資が、兵器処理委員会の手によつて処理されようとするときに、数量の点において全然よるところなく、大ざつぱに、日本にはこれくらいのものがあるだろうということで、数量が生れてきたのですか、それとも日本政府から連合軍に引渡したリストのうち、向うで処理したものもあつて、その後日本政府に返還されたものが、やはりリストで返還されておると思うのですが、そのリストは全然兵器処理委員会を設置するとき考慮に上らなかつたのですか。
  250. 菅波稱事

    菅波證人 数量がどのくらいあるかということについては、当時は軍のもつてつたものの統計等が非常にはつきりいたしておりませんので、はつきりした数字はつかめなかつたと思いますが、およそどのくらいあつて、そのうちどのくらいのものが進駐軍の方からこちらへ拂下げになるかという点を大体見当をつけてやつたものと思います。
  251. 加藤勘十

    加藤委員長 いや具体的に連合軍から日本政府に返還された物資リストというものが一々品物が手から手へ渡されたものではなく、品物は異動されないでリストによつて進駐軍に引渡され、さらに進駐軍から日本政府に返還されたと思いますが、そのリストはどこにありますか。
  252. 菅波稱事

    菅波證人 よく覚えておりませんが、おそらく軍の方にあつたのではないかと思います。
  253. 加藤勘十

    加藤委員長 軍と言うてもすでにそのときは軍はなくなつておるはずですね。現在そういうリストが一体どこにあるとお考えですか。
  254. 菅波稱事

    菅波證人 どこにあるかちよつと私わかりません。
  255. 加藤勘十

    加藤委員長 そうすると処理にあたる数量というものは大ざつぱな見当で、おおよそこのくらいあるだろうというところから出発されたということになるわけですね。  それから処理した物資兵器処理委員会から拂下げる場合に、兵器処理委員会の中に品種別特別委員会ができて、そこで、配分などを査定されてそれぞれ統制機関配給された、こういうことになつているのですか。
  256. 菅波稱事

    菅波證人 それは多分当時その配分については兵器処理委員会がみずからきめないで、政府側でその配分をするような案をつくつる委員会をつくつて、その決定に基いて処分さしたというふうに考えております。
  257. 加藤勘十

    加藤委員長 その特別委員会は消費者側からも参加しておつたのでないか。同時にまた兵器処理委員会の構成要素の中からもその委員会に参加し、また政府の役人もそこに参加しておつたという形ではないのですか。全然兵器処理委員会ほその委員会に参加していなかつたか、またそれは兵器処理委員会とは全然別個な機関つたのですか。
  258. 菅波稱事

    菅波證人 別な機関という形でつくつたと思いますが、その中にはあるいは兵器処理委員会の人がはいつてつたかもしれませんが、その点は私はよく記憶しておりません。
  259. 加藤勘十

    加藤委員長 この解体兵器等の処理機関に関する件という兵器処理委員会から出した資料によりますと、そういう特別委員会兵器処理委員会の中に設けられて、そこに需要者から委員が出、兵器処理委員会から委員が出、内務省、商工省等から委員が出た。こういうように構成がなつておりますが……。
  260. 菅波稱事

    菅波證人 その点は私自身その委員会に出たことがございませんのでよくわかりませんが、そういう形であつたとすれば私は非常におかしいと思います。それは兵器処理委員会とは全然別の委員会であるべきであつて、官廳が主としてそういう配分をきめる、兵器処理委員会はその決定に基いて処分をするというふうにすべきものだつたと思います。
  261. 加藤勘十

    加藤委員長 念のために読んでみますが、こういうことになつております。重要な点だからよくお聽きとりの上にお答え願いたい。解体兵器等の処理機構に関する件、昭和二十年十月三十一日付です。連合軍より交付せらるべき廃兵器の解体その他の処理についても、原則として民間業会にその実行を一任するものとし、政府としては右実行を援助し並びに解体済み資材の配分、本件処理に関する收支等の事項に関し、所要の監督を加うる方針のもとに、左記により措置するものとす。  一、解体兵器処理のため日本鋼管、日本製鉄、古河電氣、住友金属、神戸製鋼その他関係民間業者並びに業者以外の者も参加せしめたる委員会を設置すること。  一、右委員会鉄鋼兵器(海上特攻兵器以外の海上にある艦船を除く)及び航空兵器を一括し取扱い廃兵器内務省よりの受領、破碎、輸送、保管、解体済み資材の処分の実務を行うものとし、その運用に当りては委員会は主として計画及び統制に当り実行は代行機関をして行わしむるものとす。  一、鉄鋼兵器及び航空兵器につきそれぞれ地域をわかち、担任の代行者を定むること。  一、右委員会には事務局を設置せしむること。  一、解体兵器内務省より右委員会代行機関たる前記五社に対しそれぞれ拂下ぐるものとすること。  一、解体済み資材の配分については、需要者等より成る特別委員会を設置し、政府監督のもとに処分を決定せしむること。  一、本件処理に関する処理機関の收支はプール計算として政府においてこれを監督すること。  一、処理機関の事業の経営及び損失の補償につき政府において予算的に措置を講ずること。  一、解体兵器の破碎等に関し処理機関において適当と認むる場合軍作業廳、金属回收会社等を利用すること。 これが全文です。そこでこの資材の処分についての問題ですが、需要者等よりなるというその需要者の中に五会社需要者という側に立つということになれば、理窟は一應成立つでしよう。処理者であると同時に需要者である。けれどもだれが見てもこれは処理主体であつて。單純な需要者と見ることはできぬと思う。そうすると一人で二役を演ずることになる。こういうところからいろいろな疑惑も生れてきておるので、こういう点について当時商工省におられたあなたとしてはどういうふうにお考えになるか。
  262. 菅波稱事

    菅波證人 申し上げます、当時は終戰直後のことでございまして、当時の空氣としては官廳というものがまつたく無力な状態になつておりまして、私どもの頭でもこういうような仕事はなるべく民間自体にやつてもらう方がよいというふうに当時なつておりまして、民間団体たるこういう委員会をつくつたりいたしたのですが、当時の頭からいたしますと、すべてそういうようなことは民間の人にやつていただくというのが中心になつておりましたので、そこに書いてありますようなこともそういうような頭でできておつたのではないかと思います。しかしその後この問題の処理としてはだんだんまた考え方が変つて來て、実際はそう民間の団体に任せない、政府が重要な問題はきめるのだというようなことで動いて來ているのぢやないかと思います。  それからもう一つの消費者自体が同時に代行機関を兼ねておるというのはおかしいという点につきましては、もともとこの仕事は最も大きな処理能力をもつているものにやらせるという建前で出発いたしました関係上、スクラツプ処理をする大きな事者、つまり五社、そういうものを中心につくりましたので、どうしても代行者と消費者というものがそこで一致するようなことになつてしまう。そういう点も当時のすべて民間にやらせるという頭から、多少の矛盾も矛盾とは知りつつ、そういう案がつくられたのじやないかと、今になつて私は考えておる次第であります。
  263. 加藤勘十

    加藤委員長 あなたは商工省にはいつごろまでおいでになりましたか。
  264. 菅波稱事

    菅波證人 昭和二十一年の六月までおりました。
  265. 加藤勘十

    加藤委員長 そうすると拂下契約書の作成された当時は、まだおいでなつたわをですね。五月十六日ですから……。
  266. 菅波稱事

    菅波證人 おりましたけれども、この仕事の主管は総務局から商工省の整理部に移りましたので、私の主管ではございません。
  267. 加藤勘十

    加藤委員長 主管ではなかつたが、おいでなつたことはおいでになつたのですね。
  268. 菅波稱事

    菅波證人 そうです。
  269. 加藤勘十

    加藤委員長 それから内務省調査部長青木君が、契約当事者なつ契約しておりますが、これはあなたのお考えでは内務省の、もつと大きく言えば政府の方針を青木君が責任者として担任されたのか。そうとすれば当然内務大臣の、少くともこの契約については決裁がなければならぬと思う。あるいは青木調査部長調査部長という單独の責任において契約を結ばれたのか。そのいずれとお考えになりままか。
  270. 菅波稱事

    菅波證人 その点はちよつと私にはわかりません。
  271. 鍛冶良作

    鍛冶委員 先ほど委員長から何遍も聽かれましたが、一体日本の軍が持つてつたものを進駐軍へ接收されましたが、それはリストでありましたか、またそういうものがあつたことを御承知ですか。
  272. 菅波稱事

    菅波證人 その点は私そういう仕事にタツチしておりませんでした。おそらく軍の方でやられたことと思いますので、私にはよくわかりません。
  273. 鍛冶良作

    鍛冶委員 その次に今度は進駐軍から返還をされましたね。これも日本全体にあるものを一々当つてやるというわけにいかぬ。たただあるものを皆やるということでもない。何かよりどころがあつたと思う。われわれはリストがあつたのだと思いますが、それはありましたか。またそういうものがあることをごらんになりましたか。
  274. 菅波稱事

    菅波證人 そのリストのようなものを私は見たことはございません。ただ個々の物件につきましては、当時特殊物件処理委員会というのを内閣が中心でつくりまして、軍の持つてつた物資あるいは設備、そういうものの処分はすべて今後各省が一緒に相談してきめようというので、特殊物件処理委員会でいろいろな物件の処理を各省が集まつて相談しました。そこで個々の物件についての書類は見ましたけれども、全体のリストというようなものについて、私は見たことはございませんので、それがあつたかどうかは知りません。
  275. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうするとその個々の物件でも、現物を見られたのではないでしよう。おそらくリストでしよう。いかがでしたか。
  276. 菅波稱事

    菅波証人 それはどこに所在する。軍のたとえば何工廠のどういう品物とか、あるいはどこに所在する工場とか、そういつたものを書類で見ただけでございまして、リストという形のものでもなかつたように思います。
  277. 明禮輝三郎

    明禮委員 証人神戸製鋼所でしたか。
  278. 加藤勘十

    加藤委員長 商工省の当時の総務局長です。
  279. 明禮輝三郎

    明禮委員 今は何をやつておられますか。
  280. 菅波稱事

    菅波証人 私は啓明公易株式会社という会社をやつております。
  281. 田中健吉

    田中(健)委員 証人は現在兵器処理委員会委員をやつておられるのですか。
  282. 菅波稱事

    菅波證人 やつておりません。
  283. 田中健吉

    田中(健)委員 前にやつてつたのですか。
  284. 加藤勘十

    加藤委員長 兵器処理委員会には直接関係はないのです。今お尋ねしたように兵器処理委員会がつくられる当時、商工省の総務局長の立場におつて兵器処理委員会の構成について政府側としていろいろ斡旋役をつとめられた人です。
  285. 田中健吉

    田中(健)委員 それでは証人お尋ねしますが、あなたは処理委員会の指導役みたいようなものをやさておられたのですが、委員会の庶務日誌というようなものはありませんでしたか。
  286. 菅波稱事

    菅波証人 処理委員会を行つたこともございませんので、わかりません。
  287. 田中健吉

    田中(健)委員 委員会拂下げを決定するとか何かの場合に、会議のようなものを開かれたが、その会議録のようなものをつくるように指導しましたか。
  288. 加藤勘十

    加藤委員長 田中君、菅波証人は直接には兵器処理委員会には関係はないのです。ただ兵器処理委員会をつくる場合に、日鉄とか日本鋼管とかいう五社の業者を選定される場合に、その斡旋役をされた、こういう範囲なのです。だから兵器処理委員会内容自体については、全然関係のない人です。それをお含みの上お尋ねください。
  289. 田中健吉

    田中(健)委員 当時商工省の総務局長をおやりになつておつたというのですが、拂下げられた物件が何かの製品になるのでしよう。その場合に配給について何らかの指図のようなものを商工省からもらつてつたかどうかということが一つ、もう一つは整理をすべきものについて、商工省が指示したかどうか。この二点は商工省にあなたがおいでなつたとすれば、おわかりになるならばお答え願いたい。
  290. 菅波稱事

    菅波證人 兵器処理委員会拂下げましたものの大部分は、鉄屑及び非鉄金属の屑でありますが、こういうものでつくつたものは、いずれも非常に重件な物資でございますから、当時終戰後ではございましたが、需給調整規則、需給調整計画というものをつくりまして、重要物資はこういうところに配分しようというふうになつておりました。そういう重要物資についてはすべて政府の指示によつて配分をいたしたわけであります。
  291. 田中健吉

    田中(健)委員 整理をすべき物品を指示しておつたのですか。
  292. 菅波稱事

    菅波證人 その拂下げたもので何をつくれというところまでは、いつてなかつたと思います。しかし鉄屑ならその鉄屑で当熱鉄ができます。そのできた鉄は指示に基いて処分されておつたのであります。
  293. 田中健吉

    田中(健)委員 そうするとあなたは商工省におつて拂下げを受けた会社や団体あるいは組合から、毎日とか隨時とか、こういうものができておるというような報告のあることを知つておられますか。
  294. 菅波稱事

    菅波證人 私がその関係仕事をやつておりましたのは、ほんの短い期間で間もなく退官いたしておりますので、そういう報告を一々聽いたことはございません。
  295. 田中健吉

    田中(健)委員 証人は需給調整委員会関係はなかつたのですか。
  296. 菅波稱事

    菅波證人 当時はまだ需給調整についてはそういう委員会というような形のものはできておりません。しかし隨時関係各省の者が集まつて協議しておつた形でございますが、そういう重要物資の需給計画をきめるのは、私のやつておりました総務局のこれは最も大事な仕事でした。
  297. 田中健吉

    田中(健)委員 総務局にあなたのおいでなつたときに、隨時協議会のようなものでやつてつた。そうするとあなたか、あるいはあなたの部下が出席しておられたと思われまするが、そうすると当然隨時開かれる委員会に持ち寄るべき各部課の報告がなければそういうものは開かれないことになりますが、報告があつたのじやないのですか。
  298. 菅波稱事

    菅波證人 私は直接聽かなかつたのでそう申し上げましたけれども、各担当の局課の方面にはあるいはそういう報告が來ておつたかもしれない。しかしちよつと考えることは、ああいうスクラツプからつくられるものは、それ自体からすぐ製品ができるのでなくて、鋼材であるとか、あるいは非鉄金属にしますれば銅の地金みたいなものができますので、半製品でありますから、拂下げを受けたもので、これで何ができたというところまでははつきりいたしません。どれだけの鋼材なり地金ができたということははつきりして、今度それを原料にしていろいろの製品をつくる。それの需給計画をきめておつたという形になるのでございます。
  299. 田中健吉

    田中(健)委員 連合軍から日本政府に返還された纖維製品の場合は、最終の配給で、どこに何が行つておるかということを詳細に地方なら地方の軍政部に報告した。これは私見て知つております。そこでスクラツプであろうが何であろうが、とにかく配給されて、これだけの物が、こういうふうにして最終の配給がされておるということも軍政部の報告なさつたことがあるかどうか。この点をお伺いいたします。
  300. 菅波稱事

    菅波證人 私が仕事をやつてつた期間が非常に短かくて拂下げた物によつて製品ができるところまでやつておりませんので、どうなつておるかよく存じません。
  301. 加藤勘十

    加藤委員長 ほかにお尋ねはございませんか。——それではどうも御苦労様でした。  昨日來兵器処理委員会の構成並びに現地処理状況に関しまして、それぞれの責任者証人として出頭を求め証言を求めましたが、いずれもきわめて実際の事情に通ぜられない人が多く、調査は一向これらの証言から進行したとは思われないのであります。よつて兵器処理の問題につきましては、さらに具体的に事実の眞相を調査する必要があると認めます。昨日決定いたしました通り、五名ないし七名の小委員を設けまして、調査を続行いたしたいと存じます。これについて御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  302. 加藤勘十

    加藤委員長 それでは小委員会を設けることにいたします。各派から小委員会委員が推薦されておりますので、その通り指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  303. 加藤勘十

    加藤委員長 御異議がなければ委員といたしまして       山中日露史君    明禮輝三郎君       橋本 金一君    野本 品吉君       中野 四郎君    徳田 球一君 この六名を小委員として指名いたします。これらの小委員の諸君は、近く專門調査員が嘱託される予定になつておりますが、その專門調査員の嘱託を待つまでもなく、できるだけ早く小委員会をお開きくだすつて、書面、すなわち資料に基く調査なり、あるいは必要に應じて現地調査なり、あるいはさらに証人の喚問を必要とされる場合には、それぞれ手続をとつていただきまして、本委員会に御報告を願いたいと思います。それに基いて本委員会はこの処理を進めていくことにいたします。  それからこの問題と同時に本委員会の課題となつておりました世耕事件に関する中曽根何がしの詐偽事件に関連しての問題は、裁判所側から裁判記録、檢事聽取書等の書類を取寄せることに運んでおりましたが、公判進行中のゆえに急速にその書類を取寄せることがむずかしい状態にありますから、來る十三日午後一時から理事委員長が代表して裁判所に行つて、その書類をどういう方法によつて閲覧するか、あるいは書類を借り受けるか、もしくは謄写をとるかというようなことについての手続を運びたいと思います。このむね御承知おきを願いたいと思います。  本日はこれをもつて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後四時二十分散会