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1948-02-04 第2回国会 衆議院 不当財産取引調査特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年二月四日(水曜日)     午後一時五十六分開議  出席委員    委員長 加藤勘十君    理事 梶川 靜雄君 理事 武藤運十郎君    理事 鍛冶 良作君 理事 辻  寛一君    理事 荊木 一久君 理事 小松 勇次君    理事 田中 角榮君       足立 梅市君    池谷 信一君       河井 榮藏君    佐竹 新市君       山中日露史君    高橋 榮吉君       明禮輝三郎君    村上  勇君       伊藤 恭一君    宇都宮則綱君       大森 玉木君    橋本 金一君       野本 品吉君    平澤 長吉君       田中 健吉君    中村元治郎君       徳田 球一君  委員外出席者   兵器処理委員会に関する件について証言のた   め出頭した証人    青木秀夫君(元内務調査部長)    小松隆君(元兵器処理委員会委員長)     ————————————— 本日の会議に付した事件  証人出頭要求に関する件  兵器処理委員会に関する問題     —————————————
  2. 加藤勘十

    加藤委員長 これより会議を開きます。  本委員会の設置によりまして廃止された隱退藏物資等に関する特別委員会において、さき委員を派遣して現地調査をしたのでありますが、委員会の廃止された関係から、報告はなくなつたのであります。しかし、調査に当られた鍛冶委員が本委員会委員であります関係から、その調査の結果に関連して、新しい提議をなさろうとする発言を求めておられます。これを許します。鍛冶良作君。
  3. 鍛冶良作

    鍛冶委員 ただいま委員長から御指示のありました事件について、まず報告をいたします。  お手もとへ報告書プリントが出ておるはずでありますが、このプリントには大分誤字がありますので、説明のうちで、その誤字を指摘いたしますから、そのおつもりで報告書をごらん願いとうございます。  ただいま報告いたしまする事件は、昨年十二月東北における隱退藏物資摘発状況調査するために、私と委員中村元治郎君とが仙台地方経済安定局に派遣されたものの一つであります。われわれは昭和二十二年十二月の十二日、東京を出発いたしまして、十三日午前九時半に仙台地方経済安定局に参りまして、安定局首脳部と面会して、まず第一番に宮城縣白石町の農業倉庫に、福島縣からひそかに運搬せられた羊毛が多量に隱匿されておるということで、調査に來た旨を告げたのであります。そしてこれについて何か知るところあるかと尋ねましたところ、稻葉監査部長は、その件は前から聞いておる。一度新聞にも出た事件で、警察部からの内報によると、終戰直後東北興業の下会社である東北振興纖維工業株式会社が、軍から拂下げを受けたもので、その後正規手続を経て各工場に支給されておるということである。なおそのほか不審の点があるので、軍から拂下げを受けたもの全部をその行方調査するために、会社に対して全体の報告を求めておるとのことでありました。  そこでわれわれの第一に感じたのは、終戰直後、軍から直接拂下げを受けたものだとすればこれは標本的の隱匿物資である。たとえ、いかなる手続を履もうとも、正当な物資にもどるわけがない。正邪のほどは、調査の上でないとこれを認定することはできぬが、一應そのものの横流しを防止するために、処分禁止をしておいてはどうかと言いましたところ、同局の者もこれに同意したので、ただちに経済査察官高橋義夫ほか二名の者を同道して白石町へ行つたのであります。まず白石へ行きまして、白石警察署行つて——署長に前もつて電話をかけておいたのでありますが、面会を求めますと、署長病氣のゆえをもつて出てまいりませんでした。そして経済主任である加藤警部補が應待しまして、この件について同警察署において調査した顛末を聽きましたところ、昨年の七、八月ごろに、福島縣から多量の羊毛が当町農業倉庫に運ばれて隱匿されておるとのうわさに基き、取調べたことがある。九月二十七日にこれを取調べたところ、二十貫ないし五十貫の包裝した羊毛四百五十個くらいあつて、まずこれを差押えて関係者取調べたが、ちようどそのときに進駐軍からも第九軍ヘンリー今岡中尉という者が出張して取調べられた。その結果本物資正規手続を経て入手したものであることが明瞭になり、その中尉の命によつて差押えを解除した。その後おいおい当地からこの品物が持ち出されて、現在は貨車五車分、全量の約半ぐらい残つておるということでありました。そこで正当を認めた根拠はどこにあるのかということを尋ねますと、第一は、本物資は元陸軍製絨廠猪苗代倉庫にあつたもので、終戰後進駐軍に引渡されさらに日本政府に返還されたので、今度は東北振興福島縣からこれを正当に拂下げを受けたものであつた。これに関するりつぱな書類も備わつておる。なお次には、右証拠書類閲覽を求めましたるところ、進駐車から日本政府に返還された書類の写し、それは昭和二十一年三月一日附のものであります。第二は、東北興業会社から福島縣拂下申請書を出しておるそれでありますが、それは昭和二十一年二月十六日附であります。第三は、猪苗代警察署より猪苗代倉庫に百三十二トン百キロ保管されていたものであるという、猪苗代警察署長調査報告書があつたのであります。なお詳細は縣の防犯課地方商工局報告をし、さらに檢察廳へも報告してあると申し述べたのであります。  しかし、仙台安定局から聞いた事実と相違しております。そこでまずその報告書閲覽を求めたのでありますが、その警察補は、私が直接調べたのではなくて、巡査部長がこれを調べたからと、その巡査部長を呼んで來ました。そこでその巡査部長関係書類閲覽を求めたのでありますが、あべこべに、あなた方はどうしてさようなことを取調べられるのかという反問を受けて、書類を出しませんでした。しかし前記羊毛に関する調査の結果を知りたいのだと言いますと、その部長東北振興纖維工業株式会社昭和二十年八月十七日、すなわち終戰直後陸軍製絨廠々長向井金次郎中將から、猪苗代、その他四、五箇所にあつた羊毛並びにこれに附属の物件合計五十万貫を一千百十万円——この数字は一千百十一万二百五十万円です。トン当り二百五十円と言つたのですが、これは計算が合うかどうか、そう記憶しておるから書いたのです。それで買い取つたもので、猪苗代においては浅井甚一郎という者に保管させたまま讓り受けたが、その後朝鮮人等からそのものを分與せよと迫られて、しようがないのでここへトラツクで運び、その後商工省指令に基いて適当の地へ搬出するつもりのものであつた。これに関してはりつぱな証拠書類も備わつておるので、不正にあるざることを確認したというのであります。なお適当と認めた根拠はどこにあるか、一口でいいから言えと言いましたら、右拂下げによつて昭和二十年八月十七日に千何百万円という金を出しておる、この事実によつて所有権りつぱに東北振興にあることを認めたからだという返答をしておるのであります。そこでなお物について適当な方法をとろうと思つたのですが、もう暗くなつてしましたおりますので、やむを得ず仙台へ帰りましたら、すでにもう十一時になりました。  そこで翌十四日、日曜でありましたが、仙台安定局稻葉監査部長小岩在庫品課長、それから昨日一緒に参りました査察官並びに縣の防犯課主任である警部庄子駒藏等の会合を求めて調査にかかつたのでありますが、そこで第一番に、昨日白石警察においての警察主任と係りの巡査部長の両名の説明に相違があるが、昭和二十年八月十七日拂下げを受けたから正当と認めたのか、それとも警部補言つたように、その後縣から拂下げを受けたのを正当というのか、第二は、その他本件に関し他に不正のものが在存しなかつたかどうか、こういう質問をいたしましたところ、右庄子警部からは、第一に、昭和二十年八月十七日拂下げを受けたが、その後は拂下げは取消されて日本政府保管に移つた。そうして福島縣警察部の命によつて猪苗代警察署長保管責任者となつていたものである。その後、昭和二十一年二月十六日、東北振興福島縣知事あて拂下申請をして拂下げとなつたので、昭和二十一年二月十九日に猪苗代警察署長立会の上、縣特殊物件課長から正式に引渡しを受けたものである。そして昭和二十一年三月一日にこの物が進駐軍から正式に日本政府へ返還された。そこであとになつてではあるが、同年五月、商工省から東北商工局へあてて、この物資東北振興纖維工業拂下げたものであるという通知が來ておつた。以上の手続によつて正規所有権を得られたものであると認められたという答えであつたのであります。  しかしわれわれはそれは單に形を整えただけのもので、事実は昭和二十年八月十七日のどさくさの際に拂下げを受けたものを正当化するために、いろいろな書類がつくられたにすぎない。但し不正なるものは、いつまでも不正なものであつて、正当化する道理はない。またこれこそ、いわゆる世耕氏のいう官僚と結託して摘発を妨げておるという標本ではないか。殊に日本政府に返還されたのが三月一日、これはもう書類に明白に出ておるのであります。なおこのリストがありますが、これははたしてこのものにはまるかどうかしらぬが、とにかく三月一日のリストとありました。それで三月一日であるし、その前に福島縣知事拂下げ権限はないわけであります。特殊物件課長引渡し得るわけもない。すべてその前にやつたことは無効なものではないか。これは二月十六日に拂下げを受けて十九日に引渡した。まだ進駐軍から返されぬ先だから、それでこういう質問をいたしたのであります。するとこの返答は、内務省から前の收得が不正であつても、あとになつて正規手続さえ済んでおるならば、これを正当なものと認めてよいという内報があつた。その次は、本件に関し福島縣のC・I・Cに尋ねたところが、こちらでよろしいといつて引渡したものを、さらにお前の所で調べるとは何事だ、こういつてあべこべにおしかりを受けましたと、こういう答えであつたのであります。  なおそのほかに不正の事実はなかつたかとの問いに対しましては、隠匿物資等緊急措置令に基く申告の点を調べたのであるが、右は昭和二十一年二月十七日、現在の所有者ました占有者申告すべきものであるが、東北振興が同年二月十九日に引渡しを受けたものだから、申告義務者に該当しておらぬ。これはまことにうまくできておるのであります。十七日に申告しなければならぬ、それを十六日に拂下げ書類を出して、十七日にはまだ福島縣がもつてつたので、それで二日経つて十九日に移つたのだから、これは要らぬ、こういう答えなのです。その次は指定生産資材調整法に基く申告は、本年二月白石警察署に対して提出されておるとのことであつて、これも不正がないと認めた、こういう答えであります。しかして右警部としてはこれ以上取調べ方法がないので、一件書類高等檢察廳に送つて、今後不正ありとすれば、同檢察廳指揮に基くものとしたということでありました。  以上の事実に基きまして、われわれは次のような措置を命じてきたのであります。  第一に、縣警察部に対しては、終戰後東北振興に拂い上げられたものが、拂下げを取消されて進駐軍に引渡され、さらに日本政府へとりもどされたというが、そういう事実がはたしてあつたかどうか。あるとするならば何年何月何日、どういう手続でなされたか。これに関する書類はあればつけて説明してもらいたい。  第二は、倉庫保管料はだれが拂つておるか。おそらく昭和二十年八月以降は、東北振興が拂つておるものであつて縣警察部は拂つておるまいと思うが、この事実は確めてもらいたい。したしてそうだとすれば、昭和二十一年二月十七日現在における所有者占有者も、すべて東北振興纖維工業会社であつて申告義務のあることは当然ではないか。それをなさないで今日まで隠匿しておるとすれば、間違いなく不正なものだと思うがどうか。  その次は未だ進駐軍から返還されぬ前に、福島縣知事拂下げをしたり、引渡し手続をして、正当に東北振興所有権が移る道理はないと思うが、それが正当な所有者なりと言うならば、その根拠を明らかにしてもらいたい。  それらのことについてさらに取調べるよう命じまして、同警部は、今後一切高等檢察廳指揮にまつほかないと言うから、右の趣を檢事に傳えるからと言い、なお稻葉監査部長からもこの旨を檢事に傳えてしかるべく手続をやつてもらおうという返答でありました。  なお仙台安定局に対しましては、終戰のどさくさに際して東北振興收得したという五十万貫の物資行方を徹底的に調べると、次いで取調べの済むまで、退藏されており物資、主として羊毛は一時移動禁止処分をしておいてもらいたい。これは工場行つてつて工場を動かす材料であるならば不穏当であるかしらぬが、退藏されておるものであるならば、全責任をわれわれが負うかこれを禁止処分せよと言つてまいりました。もしこの物資正規に得られたものだと認定するならば、その認実の根拠を法律的に明確にせよ、こう言つてきたのであります。  さらに本件処理いかんは、單に東北振興物資だけの問題ではなくて、全國的に波及する大問題であるから、念には念を入れてやつてもらいたい。われわれも單に議会内の隠肥藏物資委員会のみに止らず、C・I・C等手続を経ておるというのならば、これは私ら個人意見でありますが、G・H・Qへもこの旨を報告して、これに関するG・H・Qの意見をも確めて、將來の処理に資したいと思うということを傳えてきたのであります。  以上は事実の報告でありまするが、本委員会におかれましては、これは前の隠退藏物資等特別委員会でやつたのでありますが、このままをひとつお引継ぎを願いまして、これを英文にして——これは私の意見でありますが、G・H・Qに出して、G・H・Qの意見を求め、さらにこの委員会の名において、宮城縣警察部並びに経済安定局へ、その後の処置はどうなつておるか、詳細に報告せよということを命じていたださたい、かように考えるのであります。
  4. 加藤勘十

    加藤委員長 ただいま鍛冶君から、前隠退藏物資特別委員会における現地調査委員として出張された報告が述べられて、この結論としてこの委員会に御提議になりましたことは、この報告書がこの委員会で承認されますれば、英文に飜訳して司令部に出して、司令部意見を求め、さらに宮城縣警察部仙台東北地方安定本部に対しましてその後の状到がどうなつておるかということを、本委員会の名において正式に問合せの通牒を発してほしい、こういう御提議であります。いかが取計らいましようか。
  5. 高橋榮吉

    高橋(榮)委員 私は全面的に賛成するものでありますが、今の御報告を聽きますと、福島縣から東北振興へ拂い下げたというようなことになつてつて、これが一見合法的なように信じられておるようでありますけれども、國家が所有しておるものは、結局國家財産であつて、いわゆる國家財産処理方法は、國有財産処理規程に基いてやらなければならない。すなわち大藏省の管轄に基いて、不動産なんかむろんのことでありますが、こういう重要物件も、結局國有財産に関するそれぞれの手続を経なければならないものであつて、各地方廳において國有財産を処分するところの権限はない。かりに実際において、福島縣ですか、宮城縣ですか、その縣の方で拂い下げをしておりましても、その拂い下げ自体権限のない拂下げだと思うのであります。その点についても、法的根拠なんかについて、よく委員会として調査せられた上に、それぞれの鍛冶君が言われた交渉の際に、福島縣権限があるのか、大藏省において拂下げ権限があるのかという権限明確化を、ひとつ御研究願いたいと思います。
  6. 加藤勘十

    加藤委員長 ただいま高橋君から御意見が述べられましたが、権限地方廳にあるのか、大藏省にあるのかという疑義もある、こういう御意見でありますが、この点は現に中央官廳において所有しておる軍引渡し軍需物資部外財産として國有財産に記帳されていない。地方廳に移管された特殊物件が、やはり予算外措置として今日まで取扱われてきておる。こういうところに幾多の疑義を生み出したのでありまして、これらの点は、いずれ別に当然調査対象となることであると思いますが、ただいまの鍛冶君の御提議は、これをまず切離して、これを英訳して司令部に出して司令部意見を聽くということ、宮城縣経済部に対して、また仙台地方安定局に対して、その後の経過を聽取するという公式の通牒を、委員会の名において発するということを、まず御決定願いたいのであります。それから高橋君の今御意見が出ましたことは、本委員会として重大なる問題でありまして、これは当然いずれ全資料が整いました上で、調査対象になる点でありますから、どうぞお含みおきを願いたいと思います。
  7. 徳田球一

    徳田委員 これはこういう不当取引特殊物件に関する典型的のものでありまして、これはもう不当取引であることは明らかであります。それゆえにこれをさらにG・H・Qの意見を聽くということは必要ないと思います。そこでこれが不当であるということは明確であるのだから、この後の処置につきまして報告を得るということは必要でありますけれども、G・H・Qの意見を聽くということはどうでしようか、それは私は反対であります。第一にこの内容につきまして、今御報告なされたところによりますれば、これ以上ここで調べてみたところで、問題にならないのでありますから、向うからの報告書をとつて、これが不当の取引であるかどうかという判定だけを、この委員会でしたらどうかと思います。そうしないと、もうなかなか長く延びまして、この問題の処置が長く延びれば、これはまたぞろ隠退藏そのままにずつと長く引続いてそういう状態におかれるのでありますから、早く処置をして、こういうものを生産増強使つた方がよいと思いますので、なるべく早くするようにしたいと思います。これだけでも内容は明らかであります。
  8. 加藤勘十

    加藤委員長 徳田君の御意見ごもつともでありますが、鍛冶君の御意見は、現地調査の過程において、C・I・Cから現地にその人が來ておる、はたしてそれがC・I・Cの司令部の方針として來たのであるかどうか、こういうことの一應の調査を、やはりしなければならぬという意味での意見であります。これがために少しもこちらが遅れるというのではないのです。
  9. 徳田球一

    徳田委員 その点を調べるのは、ただ参考という意味ではいいでしよう。しかし、この内容は、すでに不当取引でありますから、その点は委員会が判定した方がいいと思います。
  10. 加藤勘十

    加藤委員長 それでは鍛冶君の御提議はこれを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 加藤勘十

    加藤委員長 御異議なければそのように早速取計らいます。     —————————————
  12. 小松勇次

    小松委員 過般の本委員会におきまして、さき隠退藏物資摘発委員会において問題に相成つておりまする世耕指令に基くところの未処理の問題を、本委員会において結果をつくべしという御決定を見たのであります。よつて私はこの世耕情報に関連いたしておりまする事件につきまして、未だ本委員会の話題にも、上らなかつた問題が、私の知る範囲において起つておるのであります。ゆえにその問題を本委員会において取上げられまして、世耕情報の結末をつける上において、ぜひともこの問題をその中に包含をしてお取扱いを願いたいと思うのであります。  その事件概件につきましては、私は裁判所記録を概要見てまいつたのでありますが、その記録に基いて申し上げたいのであります。私がこの委員会においてさような要求をいたしますことは、裁判所記録によりますと、この問題の中には政界の人も経済界の人も関係いたしておるのであります。從つて委員会が設立せられました趣旨から申しましても、政界、官界、財界の粛正のために、ぜひともこの問題を本委員会調査対象にしていただかなければならぬと存ずるのであります。  事件内容を申し上げますと、これは靜岡縣伊東町の農業会の專務勝又理三郎が、詐欺罪として告訴せられましたことに端を発しての問題であります。勝又詐欺罪として告訴せられましたことは、世耕指令を盾に軍服拂下げに暗躍いたしました日本産業株式会社社長某、同友人の中山浩東亞興業株式会社竹中、これらの人々がブローカーの紹介によりまして、今申し上げました伊東農業会專務理事勝又理三郎と相知りまして、これらの人々勝又に対して、軍服一万五千着の拂下げができる旨を告げたのであります。勝又は、当時公文書等を見せられたのでありますがゆえに、これを固く信じて、そうして自己の知合いである明治興業株式会社東京支店にこの旨を告げて、そうしてこの明治興業株式会社からその代金の一部として二百八十万円を領收いたし、これを都川中山竹中等に渡したのであります。しかるにその後軍服拂下げは実現せずいたしまして、ここに勝又詐欺罪として明治興業株式会社から訴えられたのであります。この事件には、都川中山竹中等だけでなく、世耕情報において問題になつておりまする辻嘉六さんの名前も出ておる。かつまた現代議士名前も出ておるのであります。これは各関係者の陳述によつて明らかになつておるのであります。私はその眞偽を知らないのでありますけれども、調書によりますと、さような人たちが登場いたしておるのでありますがゆえに、ぜひともこの記録を、本委員会が適当なる方法をもつて沼津裁判所よりお取寄せになり、この記録をもととして、本委員会がこれに対して愼重審議をしていただきたいと思うのであります。  なお辻嘉六さんの調書の一部をも私は見たのでありますが、それによりますと容易ならざることがあるのであります。現代議士になつております某氏が、在庫量の三分の一を全國農業会拂下げを斡旋してもらいたいという依頼を受けたということや、これが実現すれば五百万円内外のお礼がもらえるはずだといつたようなこと、また四月の中旬二回にわたつて某氏の使の者が、辻さんに五十万円と三十万円の金を届けたというようなこと、かようなことが記録されているのであります。かつまた当時農林大臣でありました木村さんの公文書印鑑を偽造したというようなことも記録されておるのであります。これは私は容易ならざる問題であると思うがゆえに、委員長におきましては、私の要求をお計らい願いまして、速やかにこの問題の解決をお取計らい願いたいと思うのであります。
  13. 加藤勘十

    加藤委員長 ただいま小松君から御提議になりました世耕事件に関連するもので、今まで問題として疑惑の渦中にあつた事件地方における出來事で、やはり先般來の疑惑にかかわる問題と密接な関連のある事件が、沼津裁判所において現に起訴されて公判に移されておる。こういう実情にあるがゆえに、この記録を取寄せて、先般の世耕事件一つにして調査を進めてほしい、こういう御提議であります。これはすでに先般の委員会におきまして、記録を取寄せることを決定いたしております。ついては、ただいま小松君の提議されましたことも併せて早急に記録を取寄せるということに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 加藤勘十

    加藤委員長 御異議なければ早急にその手続を運ぶことにいたします。
  15. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私も新事件の事実を、私の知つておる範囲で、当委員会報告いたしまして、委員会においてしかるべく御処置願つた方がいいかと思いますので、一應報告いたしたいと思います。これもやはり隠退藏物資摘発にからむ明瞭なる詐欺事件であります。しかもこれは内閣総理大臣官邸において行われた疑いのある事件でございますので、一應簡單に事実を報告いたします。  これは私に金の取戻しを依頼してきておるのでありますが、私がこの委員をしております以上、知つておる限りは本委員会報告せなければいかぬものだと思つて報告するのでありまして、あとは皆樣方の御判断に任せたいと思います。  生れは東北だと思いますが、現在東京におります石川浩志という者が、岩手並びに山形に相当の隠退藏物資があるというので、この摘発申告すべく考えておりますと、ある人の紹介によつて内閣総理大臣の祕書と称する上杉達夫という者が、そのことによほど勢力をもつておるから、同人に依頼せいということであつたので、同人に依頼したのだそうであります。そうすると、ただちにこれを引受けて、お前の目的を達してやる。ついては自動車賃その他の金が要るから、まず一万円を提供せいというので、一万円を提供させられた。その後話しますと、いよいよ摘発に行くことになつたので、その費用その他に資金が要るから十五万円出せといつて、右隠退藏物資に関して衆議院隠退藏物資委員会において摘発することを証明するという内閣総理大臣祕書官の官邸をおした証明書を出して十五万円を要求された。十五万円を用意するといつたら、きよう片山総理私邸においてこれらの委員諸君の会合があるから、そこへもつていかなければならぬというので、片山総理私邸へ二人で自動車に乘つて行つて、私邸へ着いて、玄関にはいると同時に、金をこつちへよこせといつて十五万円をとつて、それきり金が出てこぬという状態なのであります。その後いろいろ請求いたしますと、それではというので九万五千円と七万円の小切手を書いて、これで間違いなく昭和二十二年十一月八日に支拂いするという小切手を出しましたが、その小切手も銀行に行つて調べてみると、その人の契約もないということを聽かきれて驚いたということであります。しかもその証明書には片山総理大臣官邸におられる祕書か祕書官か知りませんが、上原蕃という人も署名連名しております。なおこれについては清水祕書官も関係しておられるということでありまして、これは大した事件ではないけれども、いわゆる隠退藏物資にからむ不正事件として、われわれ委員会としては放つておけない問題でないかと思いますので、私としてはこれを御報告して、委員会にしかるべく御処置をお願いしたいと考えます。
  16. 加藤勘十

    加藤委員長 ただいま鍛冶君から御提議になりました隠退藏物資摘発にからむ詐欺事件と思われる事柄について、單なる市井における詐欺というのではなくて総理大臣祕書官が祕書かしらぬが、そういう者の署名があり、総理大臣祕書官の官邸が押されておる。事件の起つた場所が総理大臣の私邸の玄関である。こういうところに一抹の疑惑を残すので、これをこの委員会がいかに扱うかということを御提議になつたのであります。  つきましては、この問題については、前の委員会において決定した証人が出頭されておりますので、証人に尋ねるべきことをお尋ねした後に、この問題をいかに処理するかについて御意見を述べていただきたいと思いますが、そういう順序に扱うことにしてはいかがでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 加藤勘十

    加藤委員長 それでは証人の方も御多忙のようでありますから、先に証人に対する尋問を行うことにいたします。     —————————————
  18. 加藤勘十

    加藤委員長 前回の委員会において兵器処理委員会に関する問題について証言を求めるために、元内務省調査部長青木秀夫君並びに元兵器処理委員会委員長小松隆君を証人として出頭を要求することに決議いたし、議長を経由して出頭を求めまして、本日両君ともに出頭されております。  証言を求める前に、証人の両君に一言申し上げます。昨年十二月二十三日公布になりました議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項を関するとき、及び医師歯科医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職に在る者、またはこれらの職に在つた者が、その職務上知つた事実で、默祕すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拓むことはできないことになつております。そして証人が正当の理由なくして、宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、また宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。この法律はお手もとに差上げてありますが、一應そのことを御了承相なりまして、この法律の定めるところによつて証人として直誓を求めます。お手もとに差上げてあります宣誓書を朗読の上署名捺印をお願いたします。青木秀夫君。     〔証人青木秀夫君宣誓〕
  19. 加藤勘十

    加藤委員長 小松隆君。     〔証人小松隆君宣誓〕
  20. 加藤勘十

    加藤委員長 それでは青木さんに対する尋問から始めたいと思いますので、小松さんは別室で御休息を願いたいと思います。  なお委員諸君に一言申し上げます。証人に対する尋問事項につきましては、大体理事会で打合せいたしまして、数箇の條項をこめたのであります。もとより、委員諸君から証言をお求めになることは、自由であります。しかし、できるだけ重複にわたらないように、証人の陳述を靜かにお聽取りくださいまして、言葉などはきわめて愼重物靜にお運び願いたいと存じます。  なおこの尋問について、陳述の中に疑義がございますれば、委員諸君から補充尋問をしていただくこと、もとより御自由であります。一々委員長に発言の承諾を求めて御発言願いたいと思います。  それでは青木さんに対する証言を求めますが、青木さんの現在の地位は、どういう地位においでですか。
  21. 青木秀夫

    ○青木証人 財團法人日本社会事業協会理事長をいたしております。
  22. 加藤勘十

    加藤委員長 続いて、終戰当時のあなたの御地位並びに軍需物資について関係をされた点やその他について、知れるだけのことを一通りお述べ願いたい。
  23. 青木秀夫

    ○青木証人 終戰当時は東北地方総監府の参事官をいたしておりました。それから昭和二十年十月の初めに内務省に調査部ができたのでありますが、内務省調査官といたしまして、その調査部の東京支局長を拜命いたしたのでございます。これを調査部のもとに、東京と大阪に支局が設けられたのでございまして、私はその東京の方の支局長を拜命したわけであります。それから連合軍より日本政府に返還されました軍需物資受領の事務、あるいは処分の事務というようなことに関して関係したわけでありましたが、昭和二十一年一月に調査部長となり、それから昭和二十一年七月九日までその職にあつたわけでありまして、それから新潟縣の方に轉任を命ぜられたわけであります。
  24. 加藤勘十

    加藤委員長 軍需物資を取扱われるについて御承知になつている点は、いかがですか。——それでは、続いて次のことをお尋ねいたします。連合軍から引渡された軍需物資処理というものは、一体連合國の指示に基いて処理したものであるか、あるいは日本政府の見解で処理したものであるか、その点をお答え願いたいと思います。
  25. 青木秀夫

    ○青木証人 返還物資処理につきましては、すでに御承知と思いまするが、連合軍の総司令部から指令と申しますかデイレクテイヴが出まして、これに基きまして、事の重要なものにつきましては、閣議決定に基き、あるいは次官会議なり、あるいは特殊物件処理委員会というような委員会において、審議をいたして処理することになり、また事の軽微なものは、地方廳に任せるというようなことにしておつたのでありまするが、その方針を立て、大綱をきめるにつきましても、これは総司令部なり、あるいは、その当時第八軍、あるいは第六軍があつたわけでありますが、そういう所の承認を求め、あるいはその指示に基く。また地方におきましても、進駐軍の指示命令に基くことになつてつたわけでございます。
  26. 加藤勘十

    加藤委員長 その次に、小松隆氏との間に契約が結ばれたのでありますが、その契約の目的、内客、それから契約に基いてなされた実際の状況、殊にあなたの調査部長という地位が、こうした契約をする権限をもつた地位であつたかどうか。もし権限があつたとすれば、どういうところにその根拠があつたか、こういうことをお答え願いたいと思います。
  27. 青木秀夫

    ○青木証人 小松氏との契約と申しますのは、兵器処理に関する事項でございますが、これは連合軍より、兵器処理につきまして指示を受けましたので、それに基きまして、これを実行するために、兵器処理委員会を設けました。それはその実際の事務を処理するにつきまして、なるべく迅速的確に処理したいという目的のためにやつたのでございまして、その事柄を契約としてはつきりさせたわけでございます。その内客は、連合軍から引渡されました兵器の解体、あるいは輸送なり保管なり、あるいは処分なんかを、兵器処理委員会にさせるということでございました。これに基きまして兵器の処理が行われたのでございます。そしてこの権限は何に基くかということでございますが、これは、連合軍から引渡されるものは特殊物件と申しておりますが、この特殊物件の受入機関といたしまして、内務省が指定されたわけでございます。その内務省に調査部長というものを設けて、その者が内務大臣の補佐機関としてそのことに当つたわけでございます。またその兵器処理につきましては、内閣に設けられました特殊物件処理委員会に付議されまして、そこでそうすることがよいということになりまして、兵器処理委員会を設け、それに基いた事項を確実にするにめに、契約としてこれを結んだわけでございます。
  28. 加藤勘十

    加藤委員長 そうしますると、あなたの見透しでは、この兵器処理委員会の作業は、迅速的確に行われたものであるとごらんになりますかいかがでしようか。
  29. 青木秀夫

    ○青木証人 その当時、私もこの委員会をつくることについて、連合軍との間に折衝を行つたわけでございますが、その当時の混乱しておりました情勢下におきまして、連合軍の方から、速やかにこれを受取り、これを保全し、その使用目的を的確にさせることについて、その使命を果しておつたというふうに考えております。
  30. 加藤勘十

    加藤委員長 多少の疑問が残りますが、それはあとにしまして、ただいま連合軍から日本政府軍需物資が返還されたときにしデイレクテイヴが発せられておるということをお述べになりましたが、その所有権並びにその決済事項については、どういう関係にありましたか。
  31. 青木秀夫

    ○青木証人 質問意味がちよつとはつきりいたさないのでありますが、どういうことでございますか。
  32. 加藤勘十

    加藤委員長 つまり先ほど連合軍から軍需物資が返還されたときに、デイレクテイヴが発せられたとおつしやいましたが、それならば、所有権の移轉、それから決済事項については、両者はどういう関係にあつたか、ということであります。
  33. 青木秀夫

    ○青木証人 まだはつきりしないが点ありますが、考えておりますことをちよつと申し上げます。その当時陸海軍が持つておりましたものは、全部連合軍を接收をされたわけでございます。それでございますから、この処理につきましては、これは一に連合軍の意思によつてきまることになつてつたと思うのでございあす。それをあるいは戰利品として本國に持ち帰るとか、あるいは危險なるものとして廃棄するとか、あるいは海中に投棄するような処理も行われておつたのであります。しかしその中で特に民生安定に役立つものとして、好意をもつて日本國に返還をしてやるということになつたわけでございますから、これは日本國に返還された上は、日本國の所有になつたもの、こういうふうに考えるのでございます。しかしてその所有権の問題は、日本國と思いますが、これを管理と申しますか、引受ける機関として、窓口として内務省が指定されたわけでございます。しかしながら、これを処分して得た收入は、やはり政府の收入となるべきものであるというふうに考へられるわけでございます。しかし、それにつきましては條件がありまして、困つておる者の救済とか、そういうような使用につきましても、そのデイレクテイヴの中にはつきりと書いてあるわけでございます。それでございますから、政府の予算の中にも、特殊物件收入という科目を設けまして、その收入を明らかにすることになつたわけでございます。
  34. 加藤勘十

    加藤委員長 そうすると、主要なるものは政府直接、それから些末なものは地方官廳に、こういうことをさつきお述べになりまして、ここにいわゆる特殊物件というものが起つてきたわけですが、特殊物件処理した收入も政府の收入になるのですか。われわれの聞くところによりますと、予算外措置として、地方廳において自由に扱つておるということでありますが、そうではないのですか。
  35. 青木秀夫

    ○青木証人 御質問意味がはつきりいたしませんが、特殊物件として連合軍から正式に日本政府に返還になりましたものにつきましては、あるものは無償で配付してもよろしいという科目がございます。これは民生安定のものでございまして、たとえば、乾パン、カン詰、あるいは被服類というようなものにつきましては、これは無償で配給をすることになつておりまして、その他のものにつきましては、有償をもつて拂下げるということにいたしたわけでございます。これにつきましても、承認を得てやつたわけでございます。しかしこれについては、その当時の國民の飢餓の状態、あるいは窮迫せる状況に鑑みまして、民生安定のために使えという條件がつけられておるのでございまして、それは今日でも予算の中にあろうかと思いますが、特殊物件收入なる項目が予算の中にございます。ただそれ以外の收入につきまして、たとえば、よくこの特殊物件と間違えられるものに、いわゆる放出物資——終戰の当時内務大臣を通せないで、また連合軍に返還しないで、ある期間の後に放出された物資がございます。それはいわゆる特殊物件ではないのでございまして、これにつきましては、私どもの方の手には來ない。その点がよく誤解されるのでございますが、その点を附け加えて申し上げます。それと同時にその放出それた物資でも、あとで追究をいたしまして、府縣廳においてその地方の占領軍の承認を得て、正式にリストをつくつて、府縣廳の方で收入をして、國の收入にしたものもあるわけでございます。
  36. 加藤勘十

    加藤委員長 その点どうもまだ私どもも十分得心がいきませんが、今日は兵器処理委員会に関する、あなたの当時の地位において関與それた範囲だけ、つまり一通りアウト・ラインを聽く意味でありますから、あまり内容に立ち入りたくありませんが、今の言葉は多少われわれの調べたところとは違つておる。あなたの方も何か思い違いがあるのではないかと思います。現に中央政府、運輸省なり、逓信省なりで所有しておる軍から移管された、資で、もちろん連合軍から返還された物資の中で、いわゆる部外財産と称して、國有財産に登録されておらぬ物資が相当あるということは、現実の事実ですね。そうすると、今のあなたのお言葉とは食い違つてくると思います。その点も、もし明らかになるならば、あなたの知られる限りで明らかにしてもらえればいいと思います。
  37. 青木秀夫

    ○青木証人 その点で、あるいはどういう問題かはつきりいたしませんが、知つていることを申し上げておきたいと思います。特別会計に属する國の——その当時で言いますと、現業官廳でございますが、そこに引渡し物資につきましても、これは全然無償というわけでないものもあり。無償のものもございます。國または公共團体で使用するものについては、無償でやるという取扱いもいたしておるのでございますが、しかしながら、その物の拂下げをしたり、あるいは賣却をしたりして出たものは、特別会計の收入はいたしておりますが、その使用はやはり帳簿の方ではつきりさせらるべきものとなつておるのでございます。鉄道なりあるいは逓信の関係で、それだけ経費が安くなるならば、それだけ経費を予算の上で軽減するという措置を、政府としてはとつてつたのであります。それが現状はどうなつておるかは存じませんが、方針としてはそういうふうにいたしたわけでございます。
  38. 加藤勘十

    加藤委員長 それではよろしうございます。それはあなたの今日私の方においでを願つて範囲に属することでありますが、兵器処理委員会の問題につきましては、今あなたのお言葉によりますと、兵器処理委員会をつくつて云々というお答えでございましたが、兵器処理委員会というものが——いずれ後に明らかになると思いますけれども、契約をされるよりも前にそれができたのですね。そうすると、兵器処理委員会をつくつて契約が結ばれた、その間に相当の時間的な隔りがあるわけであります。本來ならば、契約ができて、その契約に基いてその委員会ができて、それが処理の主体になる。こうあるべきものが、逆に前にそういうものができて、後に契約が結ばれておる。その間に何らかの複雜な関係がありはしないか。こういうことが想像されるわけですが、その点について御承知ならばお答えを願いたいと思います。
  39. 青木秀夫

    ○青木証人 この兵器処理委員会をつくりますことは、先ほども申し上げましたように、非常に迅速に兵器の引渡しをいたしたいということで、つくつたわけでございますが、これをつくつて現実に動き出して仕事をするということになつたのが、実際は相当違れたのでございます。しかしながら、この関係をはつきりさせておかなければならぬと考えて、契約を結んだわけでございます。その間別に複雜な関係もございません。経理上の関係もはつきりつけたいというので、正式に契約を結んだのでございます。ただ問題は、その当時の実情として、引取りあるいは保管に要する経費を、どういうふうにして出すかということが、非常に問題であつたわけでございます。國の費用をもつて兵器を全部処理するということができず、それをいかにして捻出するかを考えておつたのですが、なかなかそれがうまくいきませんので、こういう形になつて、契約を結んでやることになつたわけでございます。
  40. 加藤勘十

    加藤委員長 委員諸君の方から何かございませんか。
  41. 梶川靜雄

    ○梶川委員 ちよつと補足的にお尋ねいたしたい。契約の時期並びに契約の署名者は、どなたになつておりますでしようか。
  42. 青木秀夫

    ○青木証人 契約の時期は、何月であつたか、はつきりは覚えておりませんが、二十一年の四月か五月、六月でございましたろうか、多分そのころになると思います。それから署名者というか、担当者ということになつておりますのが、内務省の方の調査部長の私の名前になつております。それから相手は、兵器処理委員会委員長小松隆氏になつておると思います。
  43. 梶川靜雄

    ○梶川委員 あなたの先ほどの御証言では、調査責任者は内務大臣であつて調査部長は補佐役ということになつておりますが、補佐役が責任をもつてそれに署名するということ考えられないのであつて、そのときに内務大臣が署名するのが当然だと思います。あなたが署名なされたということは、内務大臣の了承を得てなされたことでおりますか。
  44. 青木秀夫

    ○青木証人 これは官廳の機構として、補佐官がそういう担当をいたすことがあるのでございまして、これは私一存でやるわけではございませんので、官廳の中では各係りの課なり、あるいはそういう所に会議をして、決裁を得て契約が結ばれることになるわけでございます。
  45. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それならば、あなたは会議を経てやるのだというふうに仰せられておるのでありますが、当時の内務大臣あるいは次官というのは一体どなたで——そういう重大な問題について契約を結ばれる場合には、必ず正式の決済を経ておられると思いますが、公文書によつて決済を経られたのであるか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  46. 青木秀夫

    ○青木証人 公文書によつて決済を経ております。これは係の者が書類をつくつて、檢討すべきところは檢討してやつておるわけであります。それから当時の内務大臣は大村さんであつたと思います。次官は飯沼さんであつたと思います。
  47. 梶川靜雄

    ○梶川委員 もうひとつお伺いしたいと思いますが、あなたの先ほどの御証言で、迅速的確に兵器を処理するために、すなわち連合軍より日本政府に引渡されたところの物資処理するために、兵器処理委員会を設置しということを仰せられたのでありますが、内務省の管掌によつて兵器処理委員会なるものができたのでありますか、その点は独自に民間に兵器処理委員会なるものが存在して、たまたまそれと契約されたのであるか。あるいは内務省の方で管掌して兵器処理委員会を、まあ外郭團体というような形でつくられたのであるか、内務省と兵器処理委員会との関係をお尋ねしたい。あなたの先ほどの御証言では迅速的確に処理するために設置しということを言つておられたのですか。
  48. 青木秀夫

    ○青木証人 この委員会をつくるにつきましては、実は兵器を日本の方に返したいということで、その当時八軍の経済課長という役目であつたと思いますが、バラード大佐という人がおつたわけであります。この人がお呼び出しになりまして、兵器の処理についていろいろ考えておつたのでありますが、その当時——先ほどもちよつと申し上げたのでありますが、あるいは海中に投廃をしたり、あるいは飛行機のごときはガソリンをかけて燃やすというようなことをいたしておつたのであります。またあるものは熔解をするというようなことをしておつたが、なかなか迅速にいかないので、これを早く処理して、いわゆる武裝解除の実をあげるために、また他の一面において日本の重要な鉄鋼資材あるいは軽金属の資材というものを確保する意味においても、早く危險なものでないようにする必要があつた。それについては民間の経驗のある会社を使つて、やることが最も適切だと思うがというお話があつたのでございます。それでバラード大佐から、民間の有力な会社、経驗があり、すぐ仕事にかかれるような会社にこの仕事を担当させることはどうだらうかというお話がありましたので、私どもその意見を聽きまして檢討をいたしました結果、それがいいのではないかというふうに考えまして、委員会をつくることになつたわけでありますが、その委員会組織というものも、実は私ども初め考えておりませんでした。これはバラード大佐が、こういう場合には委員会組織にして、お互いの人がよく協力し、またお互いによく協議し合つて仕事をすることがよいと思う。いわゆる委員会制度というものを、日本においてもやつてみたらどうかというお勧めがあつたわけでございます。それに基いてやつたわけでございます。
  49. 梶川靜雄

    ○梶川委員 それならば、その委員会はあなた方の力添えによつてできたということになるわけでありますが、その委員会をつくるにあたつて委員会の構成メンバーをきめられるのは、あなた方できめられたわけでありますか。
  50. 青木秀夫

    ○青木証人 構成メンバーにつきましては、その当時の製銑業者、あるいは金属工業に関する有力なる会社の名簿を出せというバラード大佐からの命令があつたわけであります。それを持参して提出したわけでございます。これにつきましてバラード大佐の方から、こういう会社はどうだということで、五つの会社の御相談があつたわけでございます。それから委員会を構成するということになつたわけでございます。
  51. 梶川靜雄

    ○梶川委員 先ほどこの決済の問題について委員長よりお尋ねがあつたのでありますが、あなたの知つておられる範囲において、それの処理によつて、一体今までにどれくらい政府側に收入があがつておりますか。
  52. 青木秀夫

    ○青木証人 現在收入はどのくらいはいつておるか、実は見当がつきません。その当時はまだ收入として政府にはいつてくるほどのものは、私の在任中にはなかつたと思います。実はこの経理については非常にむずかしい問題があるのでありまして、スクラツプにいたしたものの値段はどの程度のものかということは、私ども当時素人でございましたからよく存じませんが、鉄鋼類につきましては、その運搬等について相当の経費も要りますし、その熔解というようなことについても、これはこちらで思う通りに処理するのではないのでありまして、進駐軍要求するような解体の方法をとらなければならぬわけでございます。それでございますから、その收支の計算については、その当時見当がつかなかつたわけでございます。大体の見当といたしまして、鉄鋼兵器については、そうもうけはないのではないか。軽金属につきましては、処理も簡單にいくだろうし、そう損失というほどまではいかずに済むだろう。それであるから両方プールしてやつたらいいだろうということで、あるいはこれを請負うについては損失補償という問題も出るし、非常に心配をしたわけでございますが、その收益がどの程度になるかということは、実は見当がつかずにおつたわけでございます。
  53. 梶川靜雄

    ○梶川委員 ほかの人が質問されると思いますので、私の質問は一應これで打切りますが、この際書期として、当時の契約書の写し並びに調査部長が決済を経られたと言われる公文書の決済の写し及び現在までの政府に対する兵器処理委員会からの收入の問題、これをすぐ調査して書類報告を求めたいと思います。
  54. 加藤勘十

    加藤委員長 その点は私から申し上げますが、大体兵器処理委員会というのは、二十二年の九月一日で一應終りということになつておりまして、ここに兵器処理委員会から提出されております処理状況の報告は、二十二年十月三十一日現在と、二十二年三月三十一日現在と、こう二通り出ておりまするよつて先般の委員会においても、その後の処理状況をという意味で資料を請求したわけであります。それから契約書の写しは同時にこちらに來ております。これはあとからごらんくださればよくわかると思います。ただ当時内務省において調査部長を契約当時者とするという省議といいますか、そういう決済をした公文書があるかないかということについては、こちらに來ておりませんから、これはひとつ政府に向つて請求します。どうぞお含みおきを願います。
  55. 徳田球一

    徳田委員 今の証言では、この兵器処理委員会の性格というものが、ちつともわかつておりませんが、証人にお尋ねしたいと思います。兵器処理委員会はいかなる性格を有し、いかなる法律上の根拠に基いてこれができたのか。その権限はどういうものであるかを、ひとつ説明していただきたいと思います。
  56. 加藤勘十

    加藤委員長 徳田君、あとから小松氏に対してそういうことを大体聽くことになつてつて、一体兵器処理委員会というものは、契約するより半年も七箇月も前にできてしまつておる。そのできたことについて、一体小松氏がどういうことで委員長となつたかということも、多少の疑義がありますので、今の青木さんの証言だけでは、われわれは納得ができないのですが、いずれあとから、小松さんの方が直接の当事者ですから、そのときにお聽きくだすつたらどうでしよう。官廳関係の方でお尋ねになることがあれば、青木さんにお尋ね願いたい。
  57. 徳田球一

    徳田委員 しかしながら、これは小松さんの言うことと官廳の言うこととが、符合しなければならないのであります。両方の証人に聽かなければいかぬと思うのであります。政府はこれをどういう性格で、どういう権限をもつて、どういう法律上の根拠でこれを認めたかということを、はつきりしておきませんと、小松さんがまた何と言うかわかりませんから、この点をひとつはつきりしておきたいと思うのであります。
  58. 青木秀夫

    ○青木証人 実はこの委員会というものは、日本におきましては、あまりはつきりいたしておりませんので、私どもも、その当時委員会でこういう仕事をやるということについて、私ども古い頭だつたものですから、どうかということを心配いたしたわけでございます。しかしながら、その当時急速に兵器を処理するには、とにかく大きな五つの会社の力を動員いたすことが、最も早く武装解除の実をあげるにもいいということで、この人たちに集まつてもらつて協力してもらうことは、結構なことだと考えたわけで、五つの会社が実際の実動部隊と申しますか、実行機関として働くということを考えたわけでございます。そして法律上の性格と申しますと、この委員会は組合というような形になるわけであります。私どもも、大体そういうように考えたわけでございます。
  59. 徳田球一

    徳田委員 委員会権限は……。
  60. 青木秀夫

    ○青木証人 この権限は内務省の代行機関という形にしたわけでございます。もちろん内務省というのは、兵器処理と申しますか、特殊物件処理についての一般的のことを取扱うものでございますから、その内容、実際の実務をやるにつきましては、内務省だけではございませんで、主として商工省なり、あるいはその他の官廳のもの、鉄道でも、逓信でも、農林でも、そういう官廳のものもこれに関與するわけでありますが、主たるものといたしまして、内務省と商工省が監督をいたしたわけでございますが、政府の代行機関という形で仕事をしてもらうことになつたわけでございます。
  61. 徳田球一

    徳田委員 そうしますと、この組合は單に私人ではなく、半官的な一つの機関になるわけでありますな。どうですか。
  62. 青木秀夫

    ○青木証人 これは政府の監督のもとに仕事をするわけでございますから、半官というか、代行機関として、性格は私的のものでございますが、その使命はやはり公の使命をもつたものになると思います。
  63. 徳田球一

    徳田委員 そういたしますると、この処理する兵器の所有権は、やはり國庫にあるものと認めざるを得ませんが、これは代行機関であり、ただ実行機関でありますから、もともと政府のものを処理するというだけの機関であると認めなければならぬ。そうするところの物資所有権は、すべて政府の所有権に属すべきものであり、同時にこの経費も、これは代行機関が一時代行してやるのであつて、本來から言えば政府の経費であると認めらるべきものであると思いますが、この点はどう思われますか。
  64. 青木秀夫

    ○青木証人 これは、契約は兵器処理委員会拂下げをしたという形になつております。それで経費もこの委員会の方が支出をしてやるということになつて、最後に政府において收支決算の跡始末をすることになつておるのでございまして、所有権が政府のものであるとまでは、言えないのではないかと思います。
  65. 徳田球一

    徳田委員 そういたしますると、これは拂下げならば、相手方が代行機関ではないはずでありまして、実行機関でもないはずである。拂い下げられる相手はこつちとは対立しておるものでなければならぬ。すなわちこれは私設の單なる個人の会社でなければならぬ、組合でなければならないと思うのであります。しかもこの組合は、法律上は何らの根拠のない組合、單なる私設の組合であつたと思うのです。これまでのいろいろな書類の出て來ておりますものを見ますれば、これらは法律方、何ら財團法人とか、あるいは公益法人とか、何とかかとかいうものではない、單に私人、私的の会社が集まつておるということだけである。そうすると、これは私的に、私人に單に無償で拂い下げておることになりますね。そうして無償で拂い下げたその経費をも指定された。解体の経費もすべてこれは私人がもつ。そのあとで決算をして、契約によつてつたものを國庫がとるというだけになりますから、あなたの言われる実行機関もしくは代行機関とは違つて、これは個人的なもの、私的なものであるといわなければならないと思いますが、その点はどう政府は考えておつたか、その点を明らかにしてもらいたい。
  66. 青木秀夫

    ○青木証人 これは進駐軍の指示に基く機関でございますので、單なる私人というふうに、私どもその当時考えていなかつたのでございます。当然政府においても相当の監督をいたすことになり、またその配分等につきましても、政府の指示に基いて配分をするというふうになつたわけでございますので、今日の法律の解釈でどうなるか、はつきりしたことを今ここで申し上げるわけにもいかぬと思うのでありますが、ただ單なる個人にくれてやつてしまつて、経費もお前たち勝手に出しておいていいというほどにも考えていなかつたわけであります。
  67. 徳田球一

    徳田委員 はなはだ不明瞭で、理屈に合わない答弁であると思いますが、これはあとにいたしまして、別の質問をいたしたいと思います。あなたの今言われておる兵器処理委員会物資でありますが、この物資は全然政府の予算及び政府の財産という立場からやつておるのではなく、それとは別のもので、いわゆる予算外でもあるし、また財産外でもある。いわゆる普通の財産処分とは全然違つた方向でやられておるように聞きましたが、そういうふうに理解していいのでありますか。すなわち予算とは全然関係のないもの、國庫の財産というものは國庫の財産措置法というものが別にあるのでありますから、法律上そういうものとは全然関係のないものになつているかどうか、その点にお聽きしたいのであります。
  68. 青木秀夫

    ○青木証人 これはただいまお話のように、予算には直接出てこないのでございます。ただいまは、最後に至つて予算的の措置を講ずるということにいたしておつたのでございます。それから國有財産の処分につきましての法律方の関係でございますが、私どもその当時——これは私の考えでございますが、連合軍に引渡されたものを、こちらに指示されて返還をされたわけでございますから、その意向に從つて処分することは、その当時としてはそれで差支えないものと考えておつたわけでございます。
  69. 徳田球一

    徳田委員 そういたしますと、これは國庫としては單に連合軍の指示を取次ぐというだけであつて、連合軍対委員会というふうになりますか。その点で、一体政府の責任はどこにありますか。
  70. 青木秀夫

    ○青木証人 ただ單に取次ぐというわけではございません。連合軍は政府に返還をしたわけでございます。その返還したものを処分するにつきまして、連合軍の承認を得るなり、あるいは指示を受けるなりするわけでございますから、責任は内務省が連合軍に対してももつておりますし、内務省としては政府に対しても責任をもつておるということになるわけでございます。
  71. 徳田球一

    徳田委員 そういたしますと、はなはだこれは不明瞭でありまして、返還されているというならば國庫の財産でなければならない、國有財産でなければならないと思いますが、そういう國有財産の取扱いを一つもしておらぬ。内務省がいかに省議でもつてきまろうとも、また閣議でもつてきまろうとも、すべて國有財産は國の法律によつて國有財産措置法があるのでありますから、それを離れて何ゆえにかくのごときことをしたかということに対して、われわれは非常に疑問をもつのであります。その点の法律上及び行政上その他の根拠はどういうところにあるのですか。
  72. 青木秀夫

    ○青木証人 法律上も私は差支えないというふうに考えておるのでございますが、行政上といたしましても差支えないと考えておるのでございます。そういうふうに処分することを、條件と申しますか、そういうことを指示されて返還された物件でございますから、もちろんこれは國の財産になるわけでございますが、それを実行するわけでございますから差支えない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  73. 徳田球一

    徳田委員 そういたしますと、これは実際上どうしても理屈に合わぬ。國有財産であるものを國有財産でないように扱う。そういう指令があつたのですか。そういうふうな國有財産としての扱い方をせぬでもよろしい、これは特別なこういう條件で扱え、そういう指示があつたかどうか。そういう命令のもとで、どうしても國有財産の取扱い以外の取扱いをしなければならなかつたのであるかどうか。その根拠をひとつ明らかにしてもらいたいと思うのであります。
  74. 青木秀夫

    ○青木証人 國有財産として扱えとか何とか、そういう具体的な指示まではいたしておりません。これはこういうふうに処分したらどうかというだけの話でありまして、國有財産として処分しろ、あるいは國有財産としてでなく処分しろというような、法律上の点まで指示をしておるわけではないのでございます。
  75. 徳田球一

    徳田委員 それではそこははつきりいたしました。これはもう明らかに不当の措置であるということ、時の内閣が責任を負わなければならぬことは明らかであります。しかしもうそれは青木さんに聽いてみたところで始まらぬ話でありますから、それはそのままにしておきます。  しからば、この委員会は、今委員長のお話によりますと、もう半年以上も前にできておつたということでありますが、あなたのお話によると、バラード大臣からの指示があつて、あなたの方から名簿を持つてつて、その名簿に從つてバラード大佐がこしらえたということになつておりますが、それをこしらえておるのに、そのときに契約をせずに、半年も以後になつてこの契約をしたというのは、いかなる理由に基くのであるか。契約をしなければ委員会は仕事ができないはずである。だれの命令であろうと彼の命令であろうと、委員会はその性格を見ますと、代行機関であり、または実行機関であるといいながら、実は私人的な存在になつておる。私人的な存在になつておれば、政府と契約なしに仕事が始められるわけのものではない。にもかかわらず、あなたの方からその構成メンバーにつきましても、ちやんと書類を出してできたとすれば、これは内務省がこしらえさせたものに違いない。これを半年前にこしらえさせて、何ゆえに半年後においてこの契約ができたか。そうするとその半年前の数字は、一体何によつたか、この点を聽かせてもらいたいと思うのであります。
  76. 青木秀夫

    ○青木証人 これは非常に急いで仕事を始めなければならぬということで、実は内閣の特殊物件処理委員会にかけまして、すぐに仕事にかかつたわけでございます。しかしながら、これは急速に引取りを始めなければなりませんので、各府縣に通牒を出しまして、連合軍からどんどん武器の引渡し——ここへ出頭して受取れという指示が來ますので、その仕事が非常に忙しかつたわけでございます。と同時に、先ほどもいろいろ御質問にあつた通り、損失補償の問題やら、あるいは経費の問題というのがありまして、政府としても、これは非常に苦心をしたわけでございます。実際におきましては、契約と申しますか、話ができておつたわけでございますが、ただそれを書面にするのが遅れたというだけでございます。書面にしてこれを明確にしたというのが遅れておるのでございます。もつとも、私はこの委員会ができました当時は、先ほど申し上げましたように、東京の支局長というので、内務省の直属の——内務省に調査部というのがありまして、その下におつたわけであります。私は東京関係の仕事をやつてつて、バラード大佐との折衝に当つたのが主たる事務でございました。この予算的措置を講ずるというのは、内務省の方の調査部でやるというのが、その当時の任務でございました。その後私が調査部長になりましてからが、私が直接の契約を担当する責任者ということになるわけでございます。しかしそれは別問題といたしましても、実際上におきましては、何と申しますか、法律上で言うならば口頭による契約と申しますか、そういうものはできておつたわけでありまして、これを書面にして入れさせるのが遅れたというわけなのでございます。
  77. 徳田球一

    徳田委員 はなはだもつて奇怪至極なことと思いますが、それもそれぐらいにしておきましよう、いずれまた明らかになると思いますから……。  それでは兵器処理の解体、輸送、処分、これらのものは、すべて一々連合軍の指示によつて、政府を通して、委員会がこの指示に從つてつたのでありましようか。あなたの先ほどの証言では、そういうふうに聞えますが、そうではなしに、單に物をどんどん持つてつて——いくら持つてつたかどうかをはつきりする手段も何もとらずに、どんどんもつてつて、そうして向うが勝手氣ままにこれを処理し、輸送し、そうしてこれを処分したのであるか、いずれであるかということを、ひとつはつきりしてもらいたいと思うのであります。
  78. 青木秀夫

    ○青木証人 特殊物件の処分につきましては、これも閣議で決定いたしました特殊物件処分方針と申しますか、これによつてその使用目的等もはつきりいたしておるのであります。この指示に基いて処分をすることになつておるわけでございます。兵器におきましても、これに基きまして兵器処理の大綱をきめたのでございます。これについて処分をするというのであります、たとえば、戰車をどこどこのだけにやれというところまで、連合軍が指示するというわけではございません。たとえば、戰車はこれをブルトーザにするのがよろしい、あるいはトラクターにするのがよろしいという、いわゆる包括的の指示と申しますか、承認と申しますか、そういうことを示されておるのでございまして、一々個々のものにまでこれをどうしろというわけではございません。
  79. 徳田球一

    徳田委員 そうしますと、何をどう解体するとか、何に使うとか、あるいはどこからどこへ輸送するとか、あるいは物を一々処分するのにどうするとかこうするとかいうことは、すべて政府の責任において委員会指令しておるわでございますね。そういう書類はみなありますね。
  80. 青木秀夫

    ○青木証人 この処分なり何なりにつきましては、政府におきまして方針をきめまして、委員会に示しておるわけでございます。それに基いて委員会がやることになつておるわけでございます。
  81. 徳田球一

    徳田委員 一々のものに対しましては、どれだけの数量をどういうふうに処置して、どうしてこうしてということは、ひとつも示しておらぬですね。
  82. 青木秀夫

    ○青木証人 大綱を示しまして、具体的の物件をどういうふうに処理するかということにつきましては、その中にまた特別処理委員会というようなものをつくりまして、そこで相談をしてきめるものもございます。これは品物別に、たとえば戰車なら戰車についてどうするとか、鉄についてはどうするとか、品目別にいろいろな委員会ができまして、そこでやつたのでございます。また地方におきまして、非常に軽微なものにつきましては、知事が責任をもつてつたわけでございますが、これを委員会の方に渡す。そうするとこの支部におきまして、これを処理するわけでございますが、これにつきましては、たとえば地方の、今日でいうと商工局と申しますか、この商工局長の承認を得るというようなやり方もしておつたのでございまして、それによつて処分いたしておるわけであります。どういう方面にどういう配分をしたかということについては、一々記録をつくらせて、報告を徴しておるのでございます。どれだけ引渡しを受けて、どれだけスクラツプにしたかということにつきましての記録をはつきりさせ、これを内務省に報告させ、商工省にも報告をさせて整理をすることになつてつたわけでございます。
  83. 徳田球一

    徳田委員 その品種別の委員会というものは、これは政府の下にありますか。それともどういう性格をもつた委員会でありますか。これをひとつ……。
  84. 青木秀夫

    ○青木証人 これは兵器処理委員会の中につくられた委員会でございます。それでこれには官廳の者も関與いたしております。これは主として配分に関するものでございますので、商工省とか、あるいはいわゆる物資の割当、配給統制というような仕事をするのに、これが関係をいたしますので、各関係ある官廳の委員の人が出てきているわけでございます。
  85. 徳田球一

    徳田委員 そうすると、これは兵器処理委員会の性格が、個人的性格に実際なつているように、この品目別委員会というのも、すべてこれは個人的な性格ですね。官廳の委員会ではないですね。
  86. 青木秀夫

    ○青木証人 これは政府の監督下にある委員会、こういう性格になると思います。
  87. 徳田球一

    徳田委員 監督下にありましても、それは官廳のものではないですね。私的なものと理解していいですか。
  88. 青木秀夫

    ○青木証人 官廳そのものではございません。しかしいわゆる私的にいう言葉の中に含まれる感じと申しますか、そういうものとも多少違うような氣もいたすのでございます。
  89. 徳田球一

    徳田委員 これもはなはだ不明瞭でありまして、わけがわかりませんが、そうすると、この委員会及び知事の許可したもの、これが指示したものは、すべてこうしろああしろと委員会が指示しておりますね。戰車が何台、これはどういうふうに使え、何台はこうしろ、どういうものはどうしろということをすべて委員会で決定しておりますね。そういう決定された記録も全部あるわけですか。
  90. 青木秀夫

    ○青木証人 あるわけでございます。
  91. 徳田球一

    徳田委員 それでは、これはそれだけにいたしておきます。次の点についてお尋ねしたいと思います。
  92. 足立梅市

    ○足立委員 この取調べにつきましては各人が各樣の意見をもつて聽いているのでありますが、一應委員長において筋をとつて聽いていただいて、あとから各委員で補充質問というか、そういう形でやつていただかなければ、うまくいかないかと思います。
  93. 加藤勘十

    加藤委員長 大体そういう順序になつております。
  94. 足立梅市

    ○足立委員 委員長質問はお済みになつたのですか。
  95. 加藤勘十

    加藤委員長 そうです。私のはあらすじだけで、それから幾多の疑義が起る、それを補充尋問の形で委員が自由に質問してもらう。これは相当重要な性質のもので、今徳田君の聽いているところは特に重要な、私どもも特に聽かなければならない点だと思つております。とにかく一應疑義疑義として、明確にしておくことが必要だと思います。
  96. 徳田球一

    徳田委員 これは基本点を明らかにしておきたいと思つて聽いているのであります。  そこでその処理につきましては、所有権は大体國家にあるということを、あなたは先ほど言われたのでありますが、こういう所有権が、実質上はないようなあるような、わけのわからぬものになつているのであります。特に條件をつけて無償で配付することもできる。そういう場合には特に困つた者を救済するという條件がついていると言つているのでありますが、こういう條件のもとに拂い下げたものは、これらはすべてちやんと書類になつてあるわけでありますね。
  97. 青木秀夫

    ○青木証人 特殊物件の、たとえば乾パンとカン詰、これは全部記録がございます。これは非常に嚴重に言われておりますので、救済用の物質につきましては、特に嚴重にやつてつたわけでございます。
  98. 徳田球一

    徳田委員 もうこれで最後にしたいと思いますが、この放出物資というのは、多分終戰後におきまする鈴木内閣の命令によつて、各軍部がどんどん出したものだと思いますが、この放出物資が返りましたときに、これは取消されまして、ああいう放出をしてはいかぬという命令でこれが返環されましたが、この返還されたときに、いかなる手続でこれを特殊物件の中に入れたかということをお尋ねしておきたい。
  99. 青木秀夫

    ○青木証人 これは実は私の方の直接の仕事というわけではないのでございますが、地方長官におきましてその目録をつくりまして、收支をはつきりさせることになつておるのでございます。これはその当時の復員局といいますか、そちらの系統の仕事として実施されたわけでありまして、放出物資でそれがはつきりととりもどされた。それをさらに府縣廳に渡して、その追認と申しますか、処分を正しいものとするというような措置になつたものと思いますし、あるいは代金を追徴したものもある。特殊物件として、その中で正式に内務省の系統である府縣に來たものは、これを國庫の收入にするというふうにしたわけであります。
  100. 徳田球一

    徳田委員 最後にもう一つだけ、これもきわめて不明瞭であるので、ひとつ政府に対して新しい要求をしていただきたいと思います。これは今ちようど尋ねたついででありますから、私要求をしておきたいと思います。第一は、この兵器処理委員会をつくるという決定に対する閣議並びに特殊物件処理委員会の決定事項の記録があるはずでありますから、これを取寄せていただきたい。それから品目別の委員会、これも特殊物件処理委員会で決定されておらねばならないと思うのであります。今のところではそういうふうに聽えましたから、これを決定した閣議または特殊物件処理委員会の決議事項、これを求めたいと存じます。それから軽微のものは知事がやるということになつておりますが、この軽微のものはどれくらいのものが軽微であるか、知事はどういう権限をもつていたかということに対しまして、ちやんと閣議の決定があるはずでありますから、これもひとつとつていただきたい。それから無償で拂下げたものに対しては、それぞれ記録があると申しますから。これはなるほど各縣からもここに出てはおりますが、その記録が不十分なものがあると思います。そこで商工省、農林省その他中央官廳から出したものもたくさんあると思うのでありますから、この無償で拂い下げたものの記録、これは特に無償でありまするから、特別必要があると考えるのであります。それから放出物資から特殊物件へ返還されてきたもの、これはちやんと目録をつけて地方廳に渡してあるという、今の証人のお話でありますから、この目録をひとつ要求していただきたいと存じます。これだけです。
  101. 加藤勘十

    加藤委員長 そうすると田田君、ただいまの資料の御要求は、第一が兵器処理委員会を設けるという決定をした閣議並びに省議の記録、第二に、兵器処理委員会の中に品種別委員会を設けたというが、それを決定した閣議なり省議の記録、それから第三には、軽微な特殊物件は知事の権限で決定するということを決定した閣議の記録、第四が、無償拂下げの件数内容を示した記録、第五が、放出物資特殊物件として組み入れた内容、それだけですね。
  102. 徳田球一

    徳田委員 そうです。
  103. 青木秀夫

    ○青木証人 ただいまお話になりました資料のうちで、私の今覚えておることを補足いたしておきますが、兵器処理委員会を設けるための閣議ではございません、内閣に設けてありました特殊物件処理委員会で決定をいたしたのでございますので、これは閣議ではなかつたと思いますから、その点ひとつ御了承おきを願いたいということでございます。  それからもう一つ、各種別の委員会と申しますか、品種につきましては、兵器処理委員会の中に設けたいろいろな兵器の処分についての問題でございます。これも閣議ではございませんので、規実と申しますか処分要綱というようなものができてはおりますが、これは閣議にはかかつていないと思つております。これは閣議として資料を御要求になりましても、ちよつとむずかしいと思いますので、そのつくつた書面はあると思いますが、閣議とか省議ではないのでございますから、その点もひとつお含みおきを願いたいと思います。  それから軽微な物件についての処分、これは知事の処分権と申しますのは、一般の特殊物件ならば、それで結構でございますが、兵器処理につきましては、兵器処理委員会の系統でずつといきまして、その地方商工局の許可を得るとか何とかいうことになつておりまして、これは知事直接のものではなくなつておりますので、その点もお含みおきを願いたいと思うのでございます。
  104. 加藤勘十

    加藤委員長 そうすると青木さんの御訂正は、兵器処理委員会を設けるという決定をしたということは、閣議や省議で決定したのではなくして、内閣に説けられた特殊物件処理委員会でそれをきめたと、こういうわけですね。
  105. 青木秀夫

    ○青木証人 そうです。
  106. 加藤勘十

    加藤委員長 そうすると私から重ねて伺いますが、一体この特殊物件処理委員会を政府の中に設けたというのは、当時勅令か何か出ておりますか。
  107. 青木秀夫

    ○青木証人 これは勅令ではなくて——私その当時支局長でございましたからはつきりは覚えておりませんが、処分方針というものをきめるときに、閣議でおきめになるのではないかと思つておりますが、その点は今記憶でははつきりいたしておりません。
  108. 加藤勘十

    加藤委員長 そうすると、これは結局閣議できまつた特殊物件処理委員会というものを設けて、そこできめたというわけですね。
  109. 青木秀夫

    ○青木証人 そうです。
  110. 加藤勘十

    加藤委員長 從つて法律並びに規則上の権限はないということですね。
  111. 青木秀夫

    ○青木証人 勅令とかあるいは法律に基いた委員会ではないわけでございます。
  112. 加藤勘十

    加藤委員長 いま一つお尋ねしておきますが、先ほど徳田君のお尋ねに対して、兵器処理委員会の中に設けられた品種別委員会の中には、官廳からも関係者を出しておる、こういうことでありますが、兵器処理委員会そのものが、かりにいわゆる公的な性質をもつてつても、法律的に見れば純然たる私の團体にすぎない。そこへ官吏はどういう資格で参加しておりますか。
  113. 青木秀夫

    ○青木証人 これは処分をするにつきまして、政府が監督なり指示をする権限と申しますか、そういうものをもつておりますので、そこがいわゆる私どもその委員会というものがまつたくの諮問的と申しましても、公の性質をもつておるものと考えられておつたところでございます。そういう資格と申しますか、処分の適正を期する意味において参加して、こういうふうに考えておるのであります。
  114. 加藤勘十

    加藤委員長 將來非常に重大な問題になると思いますが、とにかく今日は、あなたの証言は、このことに対してはこういう話がふつたということを記録にとつておきます。
  115. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 証人にひとつお尋ねしたいのですが、食糧なんかの特殊物件と申しますか、陸海軍のもつてつた食糧は、ただでやつてもよいということですが、そのただでやつてもよいというのは、どこから來ておるのですか、ちよつとその根拠がわからぬのであります。
  116. 青木秀夫

    ○青木証人 それは司令部の方からお話があつたわけであります。
  117. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それについて私の方では、内務省から來ております。一九四五年九月二十四日附の最高司令官の名をもつて、日本帝國政府に対する陸海軍の資材設備の処理に対するいろいろな命令が來ておる。これを見ますと、すべての補給品とか資材、裝備品は内務省に引渡し、最後の消費者まで明細に明記せよさいうことは書いてありますが、これらの使用の目的は、國民救済のために、日本民間経済建て直しのために使用するということが書いてあつて、ただでやつてもよいということは一向書いてない。どういう意味ですか、その根拠がわからない。それがあつたら明示していただきたい。
  118. 青木秀夫

    ○青木証人 これはただいまお話がありました九月何日かの命令に基きまして、日本政府といたしまして特殊物件の処分の方針につき、司令部の承認を得るために許可申請書を出したのでございます。その中に、あるいは有償交付にするものもあるも、また戰災者とか引揚者というようなものについては、事情によつて無償交付することもできることといたしたいという一項を入れまして、承認を得ておるのであります。それに基くものであります。
  119. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そういうことは、実は今まで出ておりませんので、非常に疑問をもつておるのでありますが、今徳田委員からお尋ねがあつたが、無償で出されたものは、わかつておるはずであります。今のお話でありますと、戰災者とか引揚同胞と申しますが、どういう方面へやられたのであるか。これは実はうわさによると、役人の人たちが適当にわけてそしてそれをただでやつたというような、こういうところの処分にうまくしてあるらしいということを、大分言つておるのでありますが、この点について証人はどう思われるのですか。一体ただでやるというのは、どういうことでやつたのか、そういうときには、よほど監督を嚴重にやらなければならぬはずですが、どういうことをやつてただでやる処分をしたのですか。
  120. 青木秀夫

    ○青木証人 これはお話の通り非常に心配いたしたのでありまして。無償で交付するものの範囲は、はつきりと地方廳にも示しておるのであります。範囲をはつきりときめたものもございます。これは内務省にも、その当時の記録はございます。
  121. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 今のお話でありますが、縣廳あたりに任して大分処分したものがあると思います。そういう場合に、最後の消費者まで明細に明記せよとなつておりますが、そういうことをやらしておるのでしようね。どうでしよう。
  122. 青木秀夫

    ○青木証人 これは司令部からも非常にやかましく言われましたので、最後の消費者に至るまで、はつきりとさせることにいたしておるのでございます。ただ食糧品などにつきましては、その当時お米とかそういうものは、食糧営團を通じて配給いたしたものでございますから、個人の名前まで全部書くのが困難だからという話もございまして、どこの配給所に何石行つたという記録ははつきりとさせることにしておいたわけでございます。
  123. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 あなた方責任者として、そういう取扱いをなさるときに、その具体的な指令といいますか、縣その他すべての方面へ、書面か何かでそういうことは指示してあるのですか。その点を伺いたい。
  124. 青木秀夫

    ○青木証人 最後の消費者までの記録を整備するということは、これは通牒を出してあるのでございます。
  125. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そうすると、伺いを立てて、そうして連合軍の方からただでやつてもいいという許可があつたということですから、その資料と、それから縣その他に、最後の消費者まで明記せよという指令が出してあるということでありますから、その指令が出してある資料と、この二つをお取寄せを願いたい。どういうふうにしてあるものか、実は疑問なのであります。  それから先ほど証人も言葉に、これは別問題ですが、鉄鋼については收入の見込みがない、軽金属については收入の見込みがあるということを言われましたが、鉄鋼についてはどういうわけで收入がないのか、その点を私どもはちよつと理解ができませんが、御説明を願います。
  126. 青木秀夫

    ○青木証人 結局鉄鋼兵器の解体等につきましては、その当時のスクラツプの値段では、收益というものをはつきり見込むことは困難ではないかと考えたということを申し上げたのでございまして、その当時の事情から考えたのでございます。ただ、それが無償値のものであるというふうに考えたわけではございません。收益があるかどうかというようなことについて、大体においてそういうふうに漠然と考えたというのであります。
  127. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 これはまた問題になつておるのであります。鉄鋼兵器といいますか、そういうものを、スクラツプに取扱わなければならぬものも相当ありましようが、何でもスクラツプの中に入れて適当に処分されておるのではないかという疑問があるのですが、この点については、証人はお知りになりませんですか。
  128. 青木秀夫

    ○青木証人 これは私ども鉄鋼兵器その他の兵器は、なるべく武裝を解除したあと、有効に民生に役立つように使えるようにしたいということを考えたのでございます。それが全部無價値の鉄くずだというふうにされることは、困りますので、もしそういうことがあればいかぬというので、嚴重に注意をすることにしておつたわけであります。全部何でも皆鉄くずだということでなしに、現物によつて、すぐに役立つものも相当ありますし、多少の手を加えれば役立つものもありわけでありますから、なるべくそれによつて民生にも役立つ、國庫の收入もあるようにいたしたいと考えておつたのであります。
  129. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 陸海軍に持つてつたものが、内務省に返還された。そういう場合に、あなたは御記憶があるかどうか。タンク貨車といつて石油を運ぶ貨車、石油タンクが乘つている貨車があつたはずですが、そういうものがあつたかどうかは、御記憶になりませんでしようか、それだけ伺います。
  130. 青木秀夫

    ○青木証人 今のところどうも記憶はございません。
  131. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 終りました。
  132. 辻寛一

    ○辻委員 兵器処理委員会を構成いたしておりますのは、承りました五社でありますが、その代行機関が、これまた同じく五社であります。この委員会と代行機関との関係がどうもはつきりいたさぬのであります。何だか一人二役をやつているような感じがするのでありますが、この処理機構に関する件という二十年十月三十一日に出ておるのによりますと、「委員会ハ主トシテ計画及統制ニ当リ実行ハ代行機関ヲシテ行ハシムル」とこうなつておりますが、この委員会の構成メンバーも、代行機関の構成メンバーも同じなのでありまして、何だかその間お手盛りをやつているような感じがするのでありますが、この間のぐあいは一体どうなつておりますか。この点をはつきり伺つておきたいと思います。
  133. 青木秀夫

    ○青木証人 委員会をつくつて、この委員会が政府の代行機関だというふうに考えたのでございます。それから経費の出し方とか、あるいは実際の仕事をやつていくのに、この五つの会社が最もよくやれるだろうというので、この五つの会社委員会をつくつて、それが実際の実行機関になるというふうに考えたのでございます。別にその間何もほかのものをどうするということは、考えていなかつたのであります。もちろんほかの会社も使えるものは使うということで、多分あとの方にそのことも書いてあつたと思うのでございます。
  134. 辻寛一

    ○辻委員 そういたしますと、委員会即代行機関というふうに解釈してよいのでございますか。そうなりますと、ここにわざわざこういう機構に関する件というのが出ておりますが、これには「運用ニ当リテハ委員会ハ主トシテ計画及統制ニ当リ実行ハ代行機関ヲシテ行ハシムル」。やはり二つに分けてあります。その次にも「委員会ノ代行機関タル」としてあります。委員会と代行機関というのは、別々に扱つておられるように思うのでありますが、その実お話を承つてみますと、この委員会はそつくる代行機関であるようである。そこに何だかどうもわれわれの解しがたいところがある。それとともに、さらに一つつておきたいのは、構成分子の五つの会社、これはバラード大佐の御指示によつて、こういうふうに決定したというお話でありますが、こちらから名簿を出されて向うさんが御選択になつたわけですが、その場合にあなたの方といたしましては向うさまの御選定通り、この上殖やしたいとか、減らしたいとか、そういうお考えはなかつたか。なるほど向うさまが御指務になつた通り、それが最も的確な機関である、数も一番これが適当である、こういうふうにお考えになつたかどうか。これは向うさまの関係があるからどうかと思いますが、承れたらこの点も承つておきたいと思います。
  135. 青木秀夫

    ○青木証人 五社とその委員会との関係でありすが、これは委員会というのは、別個のものであるというふうに考えたわけであります。もちろん五つの会社が全部同じものではございませんので、これらのものが集まつて仕事をするわけでございますが、五社共同してやらけなればならぬものもありますし、同じような歩調でやらなければならぬようなものもありますので、その総合的な計画と申しますか、計画を立てるというようなことは委員会の仕事でございます。しかしこれを実際の場合、たとえば地区を分けて処理をするようなときは、これは実行機関という形になるわけでございますので、その代行機関ということに考えたわけであります。  それから五社以外のものを考えたことはないかということでございますが、これは適当なものがあれば、実際の仕事を担当してもらうのは差支えないというふうに私ども考えておつたのであります。それから軍の作業廳なども、その当時あつたのでございますが、これらの機関も、その仕事に協力してもらわなければやれませんので、そういうものも協力してもらいたいというふうに、もちろんその当時の状況といたしまして、できる限りの力を協せて兵器の解体にあたつてもらいたいと考えておつた次第でございます。
  136. 辻寛一

    ○辻委員 そういたしますと、この委員会の首悩部と代行機関の首悩部とは、やはり同じなんでございますか。どうもその辺が何だか一つ委員会において使いわけをなさるような感じがいたすのであります。  それから今の五社以外に、適当なものがあつたらはいつてもらうつもりだと言われましたが、適当なものは実はなかつたというわけで、五社が一番適格者、それ以外にはちよつと見当らなかつた、こういうふうに承つておいてよろしゆうございますね。  それから解体兵器の拂下價格は、委員会においておきめになるのか、それとも内務省の方でおきめになるのか、これもちよつと承りたい。
  137. 青木秀夫

    ○青木証人 実際の價格をきめるのは、後できめるということになつております。これは内務省ではとてもわからぬのでございます。それで商工省なり、そういう専門の方々のお智惠を借りて價格を決定しなければならぬというふうに考えておつたわけでございます。
  138. 辻寛一

    ○辻委員 その價格は、一体どこできめるのでありますか。そういう衆智を集めておきめになるのは結構でありますが、きめる機関は何でありますか。  それから先ほど委員長からもお尋ねがありまして、私も承つてつてはつきりしませんでしたが、この兵器処理委員会の中にできました兵器処理特別委員会、つまり配分決定機関、これは解体済み資材の配分については、需要者より成る特別委員会、こういうふうに一方には出ておりますが、その需要者の解釈をどういうふうになさるか別ですが、片方におきましては、関係各省関係官及び委員会委員を構成員とする特別委員会、そうしますと、関少各省の関係官などというものは、やはり需要者ということに御解釈になつているのか。なるほど運輸省とか、商工省とか、それぞれ欲しい所もありますから、そういう意味で需要者と御解釈になつているのか、その点も承つておきたい。
  139. 青木秀夫

    ○青木証人 價格決定の機関は、その当時商工省にそういう方面の経驗者がおられると思つたのでありますが、委員会へ拂い下げる價格は、これは後できめるということになつてつたわけであります。代行機関と申しますか、兵器処理委員会に拂い下げる値段は、これは一應の無償ということになつておりますが、後で請算をするということになるわけでございます。その兵器処理委員会から必要者に拂い下げる價格は、兵器処理委員会できめるということになつているわけでございます。  それから配分委員会と申しますか、その特別処理委員会でございますが、需要者と申しますのは、ただいまお話のように、農林省とか、そういう方面の関係の方がみな出ておるわけでございますので、それは関係各省がおのおの自分たちの関係の業務についての利害をもつておるわけでございますから、そういう方面での決定をするために、関係各省の人が出てきておるわけでございます。
  140. 辻寛一

    ○辻委員 それを需要者と解釈されるのですね。
  141. 青木秀夫

    ○青木証人 さようでございます。
  142. 辻寛一

    ○辻委員 どうも私は委員会と代行機関というものの観念がわかりませんが、今青木さん御自身もお間違えになつたように、うつかりしておるとどつちがどつちであつたか間違います。一つの機関を使いわけてお手盛りでやつたいう感じが、少くとも今お話を承つたのでは、私には抜けませんけれども、いずれほかの委員からもお尋ねになると思いますから、私はまず不可解のままにしておきたいと思います。  そこで委員長にお願いいたしておきたいと思いますが、重要物資の処分先、数量などは、産業別にはいただいておりますけれども、拂下げを受けた氏名を明らかにすることは困難であるとありますが、全部をお務しいただかなくとも結構でありますから、せめて商工省の方で扱われるもの、地方商工局のは、金額は少しものでありまして、相当数が多いのでありますけれども、その中の大口の拂下げを受けた氏名を、せめて十箇所くらいは、何とかお調べいただけはわかることと思いますから、至急拂下げを受けました大口者の氏名の資料を委員長から御請求なさつていただきたいと思います。
  143. 加藤勘十

    加藤委員長 辻君の御請求の資材は、内務省調査局から提出したさき調査資料のうち、第二項にある重要物資の処先及び処分数量を各産業部門別に表務すれば第三の表の通りであるという表がありますが、そのうちの氏名を明らかにすることができぬというもの、これを明らかにしてくれというのですね。
  144. 辻寛一

    ○辻委員 大口の氏名だけでよろしゆうございますから……。
  145. 鍛冶良作

    鍛冶委員 今の辻さんの質問に関連して明確にしておきたいと思いますが、拂下代金というのは、先ほどわけてやられたからわかりますが、まず第一に聽くのは、内務省から処理委員会へ拂い下げるというそのことです。一應は無償でいく、こうおつしやいましたが、あとでさらに調査の上で價格を決定するということはあるのですか。また事実ありましたか、それをまず承つておきたい。
  146. 青木秀夫

    ○青木証人 これは政府の方で保管に任じ、あるいは輸送をする、あるいは解体をするというような費用を出すことができれば、問題は一番簡單だつたわけでございますが、そういうわけではなかつたものですから、一應その仕事をずつとやつてもらつて、経理もしておいてもらつて、最後にその價格を決定する、こういうつものでいたわけでございます。
  147. 鍛冶良作

    鍛冶委員 その点あとで計算せられたことはあるのですか。
  148. 青木秀夫

    ○青木証人 これはまだ仕事の途中だと思いますが、私の在任中にはございませんでした。ただいまはどうなつておりますか、はつきりは存じません。
  149. 加藤勘十

    加藤委員長 それはこの報告書に出ておるところによりば、九月に一應兵器処理委員会の任務を終つて、残余の仕事を政府に引継ぐというところに、処理價格がいくら、経費がいくらという数字が出ておりまして、そこにいろいろな問題が起つたわけですが、いずれその後の資料が提出されれば、なお明白になると思います。
  150. 鍛冶良作

    鍛冶委員 先ほどのお話を聽きますと、実際において値段がわからぬから処理委員会において一應無償で需要者に拂い下げた。そうして後においてこの拂い下げはいくらいくらであるべきものだということで、そこに差額があつたらどうするつもりでしたか。要するにトン百円で拂い下げておつた。ところがあとで調べると、それは三百円のものだつたということに決定すれば、処理委員会は二百円を損することになりますが、そういう場合に、どうするつもりでおられたか。それともみな拂い下げの値段にならつていくつもりでしたか、それをお聽きしたい。
  151. 青木秀夫

    ○青木証人 これはその当時も、損をしたらその損失を補償してくれるかという問題があつたわれです。また得をすれば國庫に入れればいいじやないかという話もあつたわけですが、それは仕事が済んだあとで、予算的の措置をしようということで、一應仕事を進めたわけでございます。ですから、現実にやつてみてその処理の仕事が普通の常識をもつては考えられないような処理をしておれば、その経費は査定を加えていかなければならぬと思います。しかしながら、普通のやり方をやつてつて損をしたということになれば損失補償という議も起きてくるだろうと思います。また普通の処理をしておつて剩余が出れば、その手数料をどの程度認めるかということが起ります。剩余があれば、相当の利益と申しますか、そういうものを認めた以外のものは、國庫にはいるというふうに考えておつたわけでございます。
  152. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうすれば結局拂い下げの値段をきめぬというのは、需要者へあとで拂い下げ値段を合うようにすることだと考えてよいのですね。
  153. 青木秀夫

    ○青木証人 その値段は、その当時の相当な値段ということになつております。需要者に拂い下げた値段が妥当であつたかどうか。これは理論でございますが、やはり一應見なければならぬと思うのでございます。特別の関係で無償でやらなければならぬものもあつたとか、あるいは非常に安いことをやつたものが不当であつたということになれば、それはやはり考慮される問題だろうと思うのでございますが、その当時拂い下げた値段をそのままうのみにしなければならぬということはないと思うのでございます。
  154. 鍛冶良作

    鍛冶委員 その次は需要者へ拂い下げる値段ですが、これは委員会できめると、こういうのですね。     〔青木証人うなずく〕
  155. 鍛冶良作

    鍛冶委員 その次に承りたいのは、拂い下げ先をだれがどういうことで決定するか。
  156. 青木秀夫

    ○青木証人 先ほどお話のありました特別なんとか委員会でございますが、そこで大口と申しますか、重要なものについてはきめることになる。それから小口と申しますか、小さいものについては、地方できめるようなものもあるわけでございます。また非常に徴量なものについては、会社においてやるということもあつたと思います。
  157. 鍛冶良作

    鍛冶委員 その点をきめるについて、それは政府なり、その他から指示があつたのですか。それとも何か処理委員会においてそういう規約でもあつたのですか。それともまた委員会が勝手にきめたのですか。
  158. 青木秀夫

    ○青木証人 当時のことは、今記憶にありませんですが、いずれにいたしましても、そういうことをやるについては、政府と密接な関係をもつて、その方針をきめたのであります。文書にしたものか、どういう形でつくつたのかは、今はつきりは記憶いたしておりませんが、政府、殊に内務省なり、商工省なりとよく相談をしてきめられた方針だと思つております。
  159. 辻寛一

    ○辻委員 関連して——。今の解体資材の配分については、特別委員会できめる。これには政府監督のもとにとありますが、政府監督をお忘れになつているはずはないと思います。政府監督というと、あなたの方の監督になるのです。つまり内務省調査部、この点はお忘れになるはずはないと思います。
  160. 青木秀夫

    ○青木証人 それは総括的に内務省でございまして、物資別に今度は各省にあるわけでございます。たとえば鉄度とか、纖維品とか——纖維品は大体兵器の中にあつたかどうか存じませんが、鉄とかアルミニユームとかになりますれば、これは商工省が配分になついて、その当時統制なり管理しておつたわけでありますが、そちらの監督においてなされるわけでございます。
  161. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうすると、今のそういうことをきめるのは、何に基いておるのですか、そのよりどころは何でありますか。そういう処分をするとか、政府の監督でやつたとかいう何かよりどころがあると思います。
  162. 青木秀夫

    ○青木証人 先ほども申し上げたと思いますが、特殊物件処理方針というものが閣議できまりまして、それに基きまして、兵器処理委員会をつくることにつきましては、内閣に設けました特殊物件処理委員会に付議してきめたわけであります。
  163. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それはまだ資材を調べておりませんが、そういうものは出ておりませんか。
  164. 加藤勘十

    加藤委員長 そういうものは出ておらない。
  165. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうすると、閣議できまつて、それから処理委員会できまつたというが、処理委員会というものは、どこに属しておつたか。
  166. 加藤勘十

    加藤委員長 それは今証人の述べられたように、内閣の中に特殊物件処理委員会というものができた。それは勅令によつたのでなくして、閣議できめてつくつた。そういうわけです。
  167. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうすると、処理委員会の決議権というか……。
  168. 加藤勘十

    加藤委員長 法律上の権限は何もないのです。
  169. 鍛冶良作

    鍛冶委員 ありましたら、それを出していただきます。
  170. 加藤勘十

    加藤委員長 それは先ほど請求してあります。
  171. 足立梅市

    ○足立委員 兵器は全部連合軍に接收されたというのですが、採收の形は、どういう形でされたのですか。手渡しされたのか、それとも、これだけのものがあるといつて連合軍に接收されたのですか。簡單で結構ですが……。
  172. 青木秀夫

    ○青木証人 これはその当時、陸海軍から連合軍へ引渡すことになつてつたわけでありますので、直接内務省としては、それに関係はなかつたわけであります。
  173. 足立梅市

    ○足立委員 その引渡された物件の中から、デイレクテイヴが出たのでしようが、処理委員会が受領したそのデイレクテイヴの内容は、どこどこにどんなものがこれだけあるからという、具体的な内容によつてデイレクテイヴが出たのですか。それとも概括的な大づかみであつたのですか。
  174. 青木秀夫

    ○青木証人 そのデイレクテイヴは、政府に示されたものは概括的なものでございまして、連合軍に引渡される物資の集積所というものが設せられたわけであります。そこで管理は進駐軍部隊がこれをなしておつたわけであります。これの引渡しをするにつきましては、地方廳に引渡すということになるわけであります。それでいつ、どこで引渡すからということは、その地方の進駐部隊の通達によつて行われることになるわけであります。
  175. 足立梅市

    ○足立委員 そうすると、概括的な政府に來るデイレクテイヴと、それからまた各場所に存在している地方からの詳細なデイレクテイヴと申しますか、その二本建で連合軍の方から來たわけですね。     〔青木証人うなずく〕
  176. 足立梅市

    ○足立委員 そうすると、そのデイレクテイヴと各部隊から出たデイレクテヴの写しをお取寄せ願いたいと願います。
  177. 加藤勘十

    加藤委員長 よろしゆうございます。それは返還兵器の処理に関するデイレクテイヴの写しですね。
  178. 足立梅市

    ○足立委員 写しと、それから各地方保管しておるものです。
  179. 青木秀夫

    ○青木証人 ただいまの資料の御要求につきまして、ちよつと氣のついた点を御参考に申し上げておきたいと思います。兵器だけについて、特別に政府に対してのデイレクテイヴを出すということはありません。陸海軍が保有しておつたものについて、さつきどなたかお話のありました九月二十四日のデイレクテイヴというものが來ているわけであります。今度はそれに基いて、あとは現実の行為として引渡して行為が行われるのでありまして、各地方廳にどこどこへ出頭しろという命令は文書のみではごいません。電話でもいいし、人が來てもいいし——その当時渉外廳というものができておつたと思いますが、そこに電話なり、あるいは渉外課長を呼び出しまして、ここへ來いということになるのでありまして、全部書面で出頭命令が來たというわけでもないと思いますので、ただいまの御要求になる資料は、あるいは書面で來た所でもあれば、あろうかと思いますが、ただちに取寄せることは困難ではないかと考えられますので、御参考に申し上げます。
  180. 足立梅市

    ○足立委員 そうしますと兵器処理委員会処理する物品というものは、概括的なものであつて、数量その他品種については、ほとんどわからないわけですね。抽象的なものですね。
  181. 青木秀夫

    ○青木証人 兵器処理委員会として取扱う物件の範囲を限定してございます。これはただいま申し上げました特殊物件処理委員会にかけた方針の中にあつたか、あるいはそれに基いて、さらに兵器処理委員会において取扱う物件というものの範囲を限定いたしたものがきめてあるはずでございます。
  182. 足立梅市

    ○足立委員 しからば、その限定というのは、どういう範囲においてきめたのですか。兵器とは何ぞやという定義がひとつほしいのです。
  183. 青木秀夫

    ○青木証人 これは実は非常に困難な問題でございましたので、その当時陸海軍の係の人に集まつてもらつて、兵器というものはどういうものかという、その抽象的の定義というよりは、委員会に取扱わせる兵器でございますね。これをどういうふうな範囲に限定するかということで、相談をしてきめたものがあるはずでごごいます。抽象的にどれをどれということは、はつきりわからない。たとえば戰車とか大砲とかいうものはわかつておりますが、あいまいなるものが、われわれ素人から見るとわからないというように考えられるものがあつたわけでございますから、でき得るだけはつきりさせておく必要があるというので、その範囲をきめたものがあるはずでございます。
  184. 足立梅市

    ○足立委員 その範囲をきめたのはどこにあるのですか。
  185. 青木秀夫

    ○青木証人 それはここに書類はあるのです。
  186. 足立梅市

    ○足立委員 それからもう一つ最初にお尋ねしたいのは、こういう処理委員会で、あなたが部長に在任当時、國民に満足のいく処理ができると思いましたか。それともこれは國民の満足のいく処理ができないと思いましたか。イエスかノーかどちらか、ごく簡單でよいのですから……。
  187. 青木秀夫

    ○青木証人 これは十分五社の協力を得、あるいはその他の人の協力を得て、國民の満足の満足する処理をさせるようにしたいという考えでやつてつたわけであります。
  188. 足立梅市

    ○足立委員 いや、したいじやない、これができたかできなかつたか、その結果を聽いておるのです。
  189. 青木秀夫

    ○青木証人 その当時まだその結果がわかつておりませんでしたが、できるだろうというふうに考えたのであります。
  190. 足立梅市

    ○足立委員 現在どう思つておりますか。
  191. 青木秀夫

    ○青木証人 現在は私直接関係しておりませんし、はつきりした現状は詳らかにしておらないのでありますが、大体順調に行つておるのではないかと考えております。
  192. 足立梅市

    ○足立委員 國民に満足のいく処理ができたと自分は思つておる、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  193. 青木秀夫

    ○青木証人 その当時、私の関與しておりました限りにおいては、満足されるように行くだろうと考えておつたのであります。
  194. 足立梅市

    ○足立委員 行くだろうじやない。
  195. 青木秀夫

    ○青木証人 私は、現状がどういうふうになつておるかということは、あまり詳しく存じませんので、その実情を申し上げるわけにはいかぬのでごいざますが、ただいま申し上げましたように、大体順調に進捗したのではないかというふうに考えております。
  196. 足立梅市

    ○足立委員 國民の大体満足のいく処理ができたものと自分は思う、こういうぐあいに解釈してよろしゆうございますね。
  197. 加藤勘十

    加藤委員長 この点はちよつと青木さんに言うておきますが、せつかくあなたがそういうぐあいに思われ、行くだろうという御想定のもとにこの兵器処理委員会と契約をお結びになりましたが、現実の状況は、満足に進行していない、至るところの兵器廳において、すでにいくつかの刑事事件を起しておる。こういう事実から徴して、おそらく最初あなた方が思われたとは違つた方向に行つているだろうということを、これは現実の姿として御承認にならなければならぬと思うのですが、これはあなたの現在の立場が違いますけれども、御参考までに申し上げておきます。  それから私ちよつと関連して申し上げておきたいのでありますが、バラード大佐というのは、第八軍の経済課長であつたのでありますか。
  198. 青木秀夫

    ○青木証人 経済課長、あるいはそのセクシヨンの名前をはつきりおぼえておりませんが、第八軍におつた方でありまして、セクシヨンの名前はあるいは違つてつたかもしれません。
  199. 加藤勘十

    加藤委員長 そうして司令部との関係はどういう関係つたのですか。
  200. 青木秀夫

    ○青木証人 司令部は、御承知のように、東京にあるのでございますが第八軍の司令部は横浜にその当時ございました。それからその当時私どもが調査部に参りましたときは、軍が二つにあつた。第八軍と第六軍というのがあつたわけでございます。
  201. 加藤勘十

    加藤委員長 それで第八軍と第六軍と、さらに英國軍と、各軍があつて、それを総括をするものが最高司令部つたのですね。從つて全國的な大規模にわたるこういう兵器処理の問題などは、当然司令部関係が最後の決定権をもたなければならぬと思う。それを第八軍のどういうセクシヨンであられたか知らぬが、一大佐の指示というのですが、これは正式の命令ですか。
  202. 青木秀夫

    ○青木証人 私どもの方で言えば正式の命令を受けたというふうに解釈しておるわけでございます。
  203. 加藤勘十

    加藤委員長 このバラード大佐というのは、現在第八軍におられますか。
  204. 青木秀夫

    ○青木証人 バラード大佐はすでに帰國いたしております。
  205. 加藤勘十

    加藤委員長 いつごろ帰國いたしておりますか。
  206. 青木秀夫

    ○青木証人 いつごろでございますか、私が在任いたしておりまするしまいごろでございますから、日にちははつきり覚えておりませんが、昭和二十一年の何月ごろになりますか……。
  207. 加藤勘十

    加藤委員長 よろしゆうございます。わかりました。そうするとバラード大佐は第八軍の、セクシヨンはわからないが、課長であつて、あなたとしては正式の命令として、バラード大佐の命令をお受けになつた。それからバラード大佐は二十一年の八月ごろにもう帰國された、こういうことになるのですね。
  208. 青木秀夫

    ○青木証人 七月、八月よりもつと前だと思いますが……。
  209. 加藤勘十

    加藤委員長 あなたが、七月まで在任されたというから、五、六月ごろ、大体そのころですね。
  210. 青木秀夫

    ○青木証人 そうだろうと思います。
  211. 加藤勘十

    加藤委員長 ところが、五月としますと、この契約が締結されたのは、五月十六日附になつておる。その契約書が締結される前だつたのですが、あとつたのですか。
  212. 青木秀夫

    ○青木証人 あとつたろうかと思います。どうもはつきりは覚えておりませんが……。
  213. 鍛冶良作

    鍛冶委員 日本軍がもつてつた兵器を進駐軍に接收されて、それからさらに日本政府へ返還された。こうなりますが、その接收された、返還されたという手続は、どういうことでやつておりましたか、その点を……。
  214. 青木秀夫

    ○青木証人 連合軍が接收をされたのは、陸海軍から接收したわけでございます。これを日本政府に返したというのは、その所在の部隊から府縣廳に渡したということになります。府縣廳あるいは、地方事務所というものがありますが、そこの係官を呼び出して、これこれのものをお前たちに返したということで、多分そのときは目録をつくりまして、署名をして、これはお前たちの方に渡したんだぞということにしておるわけでございます。
  215. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それはもうわかつておる。私のは実際をお聽きしたいのですが、接收するときに、今目録と言われたが、接收目録といつても、軍から、これだけのものがどこそこにあるという、こういう目録か、リストか、それを持つてつて、これだけをお渡しします、どこそこにあります、こういつて目録を渡すだけですか。それとも一々品物を現場において算えてみる、こういうような現実の引渡しがあつたか。單なる目録上の引渡しがあつたか、両方あるのですが、この点をお聽きしたい。
  216. 青木秀夫

    ○青木証人 それは引渡しを受けるときは、実際にはいわゆる檢收と申しますか、一々の物品に当つて、その所在を確認して引受けをしなければならぬのでございますが、非常に厖大な数量にわたるものもありますし、また一々巨細の檢討することのできないものもありますし、一山とかいうようなものもございますので、それらについて、いわゆる会計檢査をしたような、微細の点までについて実際に当つて引受けをすることのできなかつたものも相当あると思います。しかし理想としては一々当つて引受けるべきであつたと思いますが、それができない実情にあつたということも事実であります。
  217. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私はその理屈を聽いておるのではない、実際を聽いておるのです。これはおそらくリストのやりとりじやなかつたかと思うのです。そこでさらに聽きたいのは、あなたの方で処理委員会へ拂い下げされるときも、あなた方はこの倉庫に何々がどれだけある、ここにいくらあると、こういうふうに数量を見てやられたか、それともリストをそのまま拂い下げられたか、これを聽きたいのであります。理屈じやありません、実際を聽いておるのです。
  218. 青木秀夫

    ○青木証人 これは府縣廳の者と処理委員会の者と立ち会つて引渡しをするということにしたわけでございます。
  219. 鍛冶良作

    鍛冶委員 あなた自身はどうなさつたのでしようか、契約をするときに……。
  220. 青木秀夫

    ○青木証人 私は一々現物をその委員会に引渡すということには携つていなかつたのです。現物の引渡しは、府縣廳においてその地方委員会の機関に引渡しをしてもらうということで、これこれの兵器というものの数量を明示して引渡したわけではございません。これはその当時わかつていなかつたのでございます。現実にどれだけのものが連合軍の方から返されて、それを処理委員会の方に引渡すことができるかということは、將來の事実にかかる事項でございまして、契約をする当時、あるいは処理委員会に話をするときには、ここに何万トンの兵器がいるから、これをお前さんの方で処理してくれということを確定したものではないのでございます。今後も連合軍の方から返還される兵器があるということを見越してやつたわけでございまして、現実にあるものを、これをやつてくれというわけではなかつたのでございます。その当時はそういうことをやつていたのではなくて、これから連合軍から引渡しをする、それで引渡すのはその地方部隊において、あるいは要らなくなつたもの、あるいは引渡すことができる状態になつたものを引渡すようにするのだから、そのときにならなければわからないのでございます。現実の取引と申しますか、引渡し地方において行うということになつてつたわけでございます。
  221. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうすると確実にいくらいくら渡した、いくらいくら拂い下げしたということを決定するのは、いつどこでやるのですか。
  222. 青木秀夫

    ○青木証人 これは地方廳で現実に引渡しをして、その結果の書類は全部地方廳にあるわけでございますから、それに基いて結了をしたときに決済がされるわけでございます。全部一度に渡したというわけではないのでございまして、実際そういうことはできなかつたわけであります。それですから現実に武器の引渡しが全部できたかどうか、これはわかりません。私の在任中はまだ全部は済んでいなかつたのだろうと思つております。
  223. 鍛冶良作

    鍛冶委員 大体わかりましたが、そうするとあなたの方で拂い下げをしたものの数字はいくらで、何月何日に渡したかわからないのですね。ただ行つておるのだろうという推定ですね。
  224. 青木秀夫

    ○青木証人 内務省の出先といたしまして、府縣廳というものがございます。府縣廳に引渡した数量ははつきりとわかつておるわけでございますから、その意味においては、わかつておると申し上げてもよろしいのでありますが、その後連合軍からこれだけのものを引渡すということを言われれば、またそのときに引受けなければなりませんので、その意味においては、まだはつきりしたものではなかつた、こういうふうになるわけでございます。この武器の引渡しというのは、日本政府から連合軍に引渡した武器を全部日本政府に返すというのじやないのでございます。その武器のうち、あるものは戰利品として持ち帰つたものもございます。あるいは紀念品として持つてつたものもございます。またあるものは海中に投棄したものもございます。あるものは燒いてしまつたものもございまして、いわゆる連合軍の方でも要らくなつたものを返してやるというのと、それから連合軍の方で武裝解除をする仕事を、日本政府にやらせるというような意味において、日本政府にやらせてもこれを武器として再び使うことがないような見透しのついたときに引渡してくれるものなのでございますので、お前の所にこれだけのものをやるからといつて、総司令部の方ではつきりとして渡してくれるものはないのでございます。その引渡すべきかどうかの認定は、地方進駐軍の部隊に任されておつたのだろうと思いますが、そこにおいて現実に引渡しをされるものでございますから、今日における商取引のように数量なり價格なりをはつきりとしてやることができなかつたわけであります。
  225. 鍛冶良作

    鍛冶委員 大体わかりました。そうすると実際は返されたものの数量も、あなたの方ではほんとうのことはわかつていないわけですね。またどれだけ燒かれたかどうかということも……。
  226. 青木秀夫

    ○青木証人 燒かれたものとか、海中に投棄されたものとか、本國に持ち帰つた武器というものは、これは私どもの方ではわかりませんでしたし、またそれを聽くこともできないと思います。現実に府縣廳に返されたものが特殊物件ということになるわけでございまして、この点ははつきりとしておかないといけないと思いますが現実に引渡しをされたものだけが特殊物件でございます。それ以外のものは特殊物件ということにはならないのであります。その引渡された物件は、はつきりしないということはないわけでございまして、これはちやんといくら引受けたということが、府縣廳では記録がとつてありますから、はつきりしているわけでございます。
  227. 鍛冶良作

    鍛冶委員 これは委員長が聽かれなかつたと思いますが、その契約の相手方を小松氏に選んだ理由ですが、小松氏は初め兵器処理委員で、あとでは委員長であつたと思いますが、もし委員長であつたとすれば、どうして小松氏が委員長になつたのか、その点を委員長よりお尋ねしていただきたいと思います。
  228. 加藤勘十

    加藤委員長 今お聽きの通り、契約の相手方として小松隆氏をお選びになつたということ、そのことについては兵器処理委員長小松隆氏であつたから、小松氏を選んだということになると思いますが、あなたのごらんになるところでは小松隆という人がどうして兵器処理委員会委員長になつたのだろうか、こういうことについての当時のあなたのお考えを伺いたいと思います。
  229. 青木秀夫

    ○青木証人 これは委員会で互選することになつてつたと思います。それで委員長になられたと思つておりますが、しかし実際の問題として、その当時小松さんは産業團体連合会と申しますか、その渉外部長をされておりました。それで経済問題につきまして連合軍との折衝に当つておられたのでございます。そういうようなことも考えられまして互選をされたのではないかと、これは想像でそういうことを申し上げてよいのかどうか存じませんが、そういうふうに考えるわけでございます。
  230. 梶川靜雄

    ○梶川委員 ちよつとそれに関連して——この処理委員会をつくるときに、五社をお選びになつたというお話でありまして、その人的構成等については、あなたの方では何ら関與されなかつたのですか。
  231. 青木秀夫

    ○青木証人 別に関與するようなことはございませんでした。
  232. 加藤勘十

    加藤委員長 ちよつとお伺いしますが、いろいろ今各委員の方からお尋ねになりました中に、きわめてお答えが不明瞭な点がたくさんあつたと思いますが、最初政府が兵器処理委員会処理を任せるという鉄鋼並びに非鉄金属を合しておよそ百二十八万トンという回收見込数量を出しておられますが、一体百二十八万トンの回收見込量というものは、何を基準としてお出しになつておるのか、私の聞くところによると、関係方面ではおよそ七百万トンのスクラツプがあるという見込みを立てられておつたということであります。そういう数量については、今お話になるように、向うから返還された、返還されるに從つて順次それを兵器処理委員会の方に処理を任していく、そういう方法をとつたとおつしやるが、最初の百二十八万トンという数量、その中で鉄鋼スクラツプはわずかに百何万トンに過ぎません。そういう数量はどこから想定されたものであるかということについて、当時あなたはどういう見込みをしておられたか。
  233. 青木秀夫

    ○青木証人 私はその当時この数量については全然見透しがつきませんでした。百二十八万トンということも、私はその当時見込みをつけておりませんでした。ただその当時新聞に出た記事が百万トンくらいあるだろうと出たことを記憶いたしておるのでありまして、内務省として何トンあるだろうということを推定してきめることも、実は困難だつたのでございます。あるいは商工省なり何なりでは、大体の目算をつけておつたかもしりませんが、私の所では見当がついておらなかつたのであります。
  234. 加藤勘十

    加藤委員長 ここに兵器処理委員会事務局から、前の私どもの隱退藏物資特別委員会に提出された昭和二十一年十月三十一日現在という日附で、業務状況調査総括表というものが出されておるが、それによると五社の回收及び回收見込高総括表という表がある、それによりますと、非鉄金属を混えて百二十八万何千トンというものが出ておつて、そのうち鉄鋼ストラツプが百何万トンとなつている。そうすると大体百二十八万トンばかりが見込数量であつたのですね。そういうことは何も御存じなかつたですか。御存じなければ、ないで結構です。
  235. 青木秀夫

    ○青木証人 私としてはその当時見込みをつけられませんで、わかりませんでした。
  236. 足立梅市

    ○足立委員 もう青木さんに対する大体の質問も終つておるように思うのでありますが、一言ここで提言したいと思います。この処理につきましては國民の満足のいく処理方法ができたのである、こういうような青木さんのお言葉であつたように聽きましたが、われわれは、この言葉をどうしても信ずるわけにいかないのであります。諸般の情勢から考えてみて、各人の常識で考え、かつまた実際衝に当られた青木さんとしては、そういうようなことは考え得られないものであると思うのであります。われわれの委員会を進行する上におきましては、この証人の証言というものを第一義にとらなくては、この眞相がわからないのであります。ここにおきまして、われわれはこういう進行の過程において——まだ熱さないかしりませんが、こういうような点につきましては、偽証罪で檢察廳の方へ適当な措置を願うというくらいにやつていかないと、証人は順々に自分の心にないことを言つてしまして、信頼ができないものだと思います。この点十分お考えを願いたいと思います。
  237. 加藤勘十

    加藤委員長 今、足立委員の御提義は、きわめて重大でありまして、ただ青木証人のお述べになつたことは、見込みについての自分の御意見でありまして、事実の陳述についての相違、虚偽の陳述ということには、すぐには判断はとれないと思います。今後についてはもちろん宣誓が行われておりまするし、新しい法律による罰則規定も設けられておりますから、証人の証言は非常に重要性をもつております。從つて私ども愼重に証人の証言は聽かなければならぬし、それが意識的に違つた——記憶違いということもないとは言えませんが、事実と違つた陳述をされたときには、証人は当然その責任を負われなければならぬ性質のものであります。今後ともこの委員会の運営については、その点十分に注意して、運営に当つていきたいと思いますから、お含みおき願います。  ほかに御質疑の方はございませんか——それでは青木証人は御退席を願うことにします。どうも御苦労さまでございまして。  それからちよつとこの際お諮りいたしますが、いま一人小松隆氏が証人として出席されておりましたが、もう五時でありまして、青木証人に対する証言を求めた経驗から申しましても、おそらく小松氏に対して証言を求める時間は、相当よけいとるものと見なければなりませんので、本日はせつかく來ていただいたけれども、お帰りを願つて、明日午後一時半からこの委員会を開きまして、そこで小松氏に再び出頭願つて証言をお聽きする、こういうことにいたしたいと思います。それを御承認願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  238. 加藤勘十

    加藤委員長 ではそのように計らいます。     —————————————
  239. 加藤勘十

    加藤委員長 それから先ほど鍛冶君の御提議になりました総理大臣祕書と称する者の総理大臣官邸並びに片山総理の私邸を舞台として詐欺事件に関して、これをいかに取扱うかという問題があるわけでありますが、これをいかように扱いますか。
  240. 梶川靜雄

    ○梶川委員 これは理事会のときにも申しましたが、非常に大きな社会的な影響も及ぼしますし、しかも事の眞相はただ詐欺事件という問題でありますので、また実際にも本人はすでに解雇せられていないというような状態でありまして、これは檢察廳の方の取調べに一任して、この際本委員会としてこの問題を穿鑿するということは、それほど重要性のないものと考えるわけであります。從つて委員会においてこのように兵器処理委員会その他の大きな問題が取上げられておるときに、いたずらに横道にそれた問題になると思いますので、これは檢察廳の方に要求せられ、眞相を調べるということが穏当と思いますので、委員会としては取上げない方がいいと考える次第であります。
  241. 田中角榮

    田中(角)委員 この問題に対しましては、少くとも官印を使用し、首相官邸並びに私邸において起りました事件でありまして、しかも現職の人として、在職中の者が本件を起しておるのであります。第三者的に見まするときには、当然片山首相にかかる事件であると思うのであります。とはいえ、官印の内容については、眞偽のいかんによりましては、官房長官も当然官記紊乱の責任を追究さるべき重大なる問題であると思うのであります。しかも本調査委員会の設置の目的は、政界、官界、実業界全般の粛正淨化が根本趣旨であることを考えまするとき、いやしくも政府の最高責任者に疑義のかかる本事件は、当然本委員会に上程されまして、至急これが実相の究明に当ることが、当然だと思うのであります。しかもこの問題は、片山総理といたしましても、われわれが常識的に考えまするときには、ただ單に官印の盗用であり、詐欺事件であるということが考えられるのでありまするが、一般的世間の疑惑というものは、少くとも國会が指名せる首相であり、しかも政府最高責任者である首相といたしましても、これを公開し審議をすることによりまして、しかも結末を明白につけることによりまして、政界の明朗化ははかられる。私はこの意味において、明日の委員会にも首相の御出席を求めて、この事件を本委員会で議決することが最も妥当である、こう思うのであります。しかも、先日原侑君の問題もありまして、非常に政界に対して疑惑の目をもたれ、特に官記の粛正に対しましては、この問題を手初めといたしまして、最もいい出発じやないか。こういう考えをもつておりますために、ぜひ至急取上げられまして、明日にでもはつきりとした結末をつけられますことが、首相のためにも、またわれわれ議員のためにも非常にいいことではないかと考えますので、私の本問題に対する意見を申し述べた次第であります。
  242. 河井榮藏

    ○河井委員 ただいま田中委員は、上杉某が総理大臣の秘書だという前提のもとにお話になりましたが、上杉は全然秘書でも何でもないのです。そしてまた鍛冶委員から、片山首相の私邸の玄関で金を渡したというようなお話もありましたが、私、事実聽いたのですが、玄関までも行かないで、單に門前で金を渡したというようなことで、ほんとうにこれはよく市井にありますかご抜け事件でありまして、何ら本委員会において論議すべきほどの事案でもないし、またそういう人物でもないのであります。かかる問題につきまして、この委員会が論議するということは、あまりに小さい問題でありまして、たまたま片山氏の名が出たということにひつかけて、これを問題にしようということは、はなはだ不穏当と考えるのであります。かかる考えから、本委員会において審議されることは、全然必要はないと考えます。
  243. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私は不穏当だということを聽いては、默つておられません。私はこういう問題を大きくしようとも何とも思つておりません。ただ本委員会の性質上、この隠退藏物資に絡んで疑惑があるというならば、どこまでも明白にせよ。また檢察当局にもつていくことを考えることも十分知つておりますけれども、ある筋からいうならば、檢察当局へやる前に、むしろお前らの方で明白にせよと言われておるから、私はこれこそはこの委員会で明白にしなければならぬ事件だと思つて提議しただけで、不穏当だと言われたのでは、どこまでも爭います。私はこれを問題にして片山氏を傷つけようとも何とも思つておりません。かかる問題をここで伏せてやるということは、かえつて片山氏のためにとらぬ。私はかえつてここで明白にすることが、いいと思つておる。何もそんな政治上の考えをもつておるのではありません。しかるに何をもつて不穏当と言われるか、その点を聽かせてもらわなければならぬ。
  244. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 私はこの問題は、党という立場でものを考えてはいけないと思います。第一に官印を使つたのは、実際に現職の秘書官であつたかどうか。かつて秘書官であつたかどうか、こういう点を一應調べる必要がある。いま一つの問題は、官印は実際に盗用したものであるか、あるいは偽造したものであるか、こういうことも一應調べてみなければいけないと思う。これはさつき片山首相をここに呼び出せというお話がありましたが、むしろ官房関係に関することであると思いますので、呼ぶならば西尾官房長官を呼ぶ。これを不問に附すというようなことは、われわれは考えないのであります。
  245. 高橋榮吉

    高橋(榮)委員 これは市井の一詐欺事件、かご抜け事件であるかどうかということが大体問題で、そうであるかどうかということをここを調べるのが、鍛冶君の提議の目的だろうと思うのであります。鍛冶君のもつております書類を見ますると、官印がはつきり押してあります。それから総理大臣官邸上原蕃、総理大臣官邸上杉達夫という文字は、これは書いた文字ではないのです、判です。印肉ではないのでしようけれども、はつきりとしている。これは木版であるか、もしくはゴム印であるかわかりませんけれども、そういうものをちやんとこしらえてある。それから関係書類の電報を見ますると、衆議院内の局から、いくつも打つておるのであります。舞台はすべて衆議院とか首相官邸というふうなことになつておりまするし、殊にこの書類の証明書というものには、「隠退藏物資に関しては衆議院隠退藏物資委員会に於て摘発処理する事」などというふうに、衆議院関係の文字もはつきり明記してあるのであります。そういうふうな関係で、私が解説しますまでもなく、総理大臣官邸の印章が押してあるということは、これはよほど重大な問題にもなつてくるのでありまして、今いろいろな人から言われますように、これが市井の一詐欺事件、かご抜き事件であつたというて、たとえそれであつたにしても、この官印なんかがこんなに濫用せられるとあうことの、官紀粛正の問題もありまするし、いろいろな問題が含まれておると思います。そういうことがはつきりしますれば、かえつてこれは官紀粛正のためにもなると思うのであります。それと名刺なんかも、秘書上杉達夫という名刺がはつきりあるのでありまして、この点については、もしこれが当委員会に出ていないものでありましたならばともかくでありますが、一旦出た以上は、これを今言われたように、單にかご抜け事件にすぎないという一方的な判断によつて審議しないということになりますならば、いろいろな疑惑の目が現在不当委員会にかけられている。すなわちうやむやにやにすますのではないか、党派関係からどろ試合を回避して問題をうやむやにすますのではないかという疑いすらかけられて、新聞紙上にもそれが散見できるような今日でありますから、一旦当委員会の問題になつた以上は、どこまでもこれを明らかにした方が、すべての関係において得策ではないか。その意味鍛冶君の提議に賛成いたします。
  246. 池谷信一

    ○池谷委員 私はあえてこの事実を本委員会において究明することに反対するものではないのでありますけれども、私の想像するところによれば、これは河井委員も申しておりましたように、單なる市井のかご抜け事件にすぎないと思うのでありまして、かような事件で一々総理大臣であるとか官房長官を本委員会に出すということは、あまりに事を重大視するものではないかと思うのでありまして、これはむしろ直接事件関係しております上原蕃及び上杉達夫、この両君こそ、最初に本委員会に唆問して取調べることが先決問題であり、それによつて官房長官なり、あるいは秘書に出てもらう必要があれば、そのときに初めて出てもらえばいいのでありまして、私はまず初めに上原と上杉を唆問することを提議申し上げます。
  247. 加藤勘十

    加藤委員長 いろいろ御意見が出ましたように、すでにこの問題が本委員会提議されております以上は、これを取上げないというわけにはいきません。この点は取上げるということに先ほども御決定になつたのでありますから、処理方法をどうするかということが、今議論として残されている問題であります。処理方法としては二つの御意見、あるいは強いて言えば三つの御意見が出ておると思います。一つは純粹の詐欺事件として、そこに氏名を書いておる上杉並びに上原、この両名を喚問して証言せしめるということと、官邸における事件で、官印が押されておるという点から、官紀弛緩の問題も起つてくるので官房長官に出席してもらつて証言を求める。これは議員でありますから、証人ではありません、議員としての発言を求めるわけであります。  またいま一つは、事は総理大臣官邸において総理大臣祕書の名によつて行われておるがゆえに、そしてまた片山氏私邸において——私邸の入口が玄関かしらぬが、とにかくそういう所で行われておるがゆえに、片山総理大臣もこの際出席して、事態を明瞭にすることこそ、むしろ片山氏個人の信用を確保するゆえんであり、本委員会の権威を保つゆえんである。こういう三つの御意見が出ておると思います。これを單にかご拔けであるという理由でけで、上杉並びに上原二人だけの喚問では、世間は常識的に納得しないと思います。やはり西尾君なり、片山総理なりの議員としての出席を求めて、この問題に関する発言を求めて、事態を明瞭にする。これを一遍先に調べて、次にというと二度にわたらなければならない。一度でこれは優に済む問題であります。從つて明日さいわいに本委員会が開かれる段取りになつておりますから、明日ただちに上杉、上原両名を証人として喚問する。それから西尾君なり、片山総理なりは議員として出席して、議員としての必要があれば発言を求める、こういうことにいたしたいと思います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  248. 鍛冶良作

    鍛冶委員 これは清水祕書官の方がかえつてわかるんじやないかと思います。
  249. 加藤勘十

    加藤委員長 それでは被害者と思われる本人、それから詐欺の中心と思われる上杉並びに連名で署名しておる上原、この三名と清水君を証人として呼ぶことにいたします。西尾、片山両君は議員として適宜出席して、必要があれば発言をする、こういうことに決定いたします。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  250. 加藤勘十

    加藤委員長 御異議なしと認めます。  それでは今日はこれをもつて散会いたします。     午後五時二十四分散会