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1948-01-31 第2回国会 衆議院 不当財産取引調査特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年一月三十一日(土曜日)     午後二時五十三分開議  出席委員    委員長 加藤 勘十君    理事 梶川 靜雄君 理事 武藤運十郎君    理事 鍛冶 良作君 理事 辻  寛一君    理事 荊木 一久君 理事 小松 勇次君    理事 石田 一松君 理事 田中 角榮君    理事 中野 四郎君       足立 梅市君    池谷 信一君       河井 榮藏君    佐竹 新市君       山中日露史君    高橋 榮吉君       益谷 秀次君    明禮輝三郎君       村上  勇君    伊藤 恭一君       宇都宮則綱君    橋本 金一君       矢野 政男君    野本 品吉君       平澤 長吉君    田中 健吉君       中村元治郎君    徳田 球一君  出席國務大臣         内閣総理大臣  片山  哲君         司 法 大 臣 鈴木 義男君     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  不当財産取引調査に関する件     —————————————
  2. 加藤勘十

    加藤委員長 それではこれより開会いたします。  昨日の理事会におきまして決定しました事柄を御報告して、御承認を求めたいと存じまするが、その前に先般追加指名を延期されておりました理事氏名を申上げます。    田中 角榮君  中野 四郎君  右二名の方でありまして、合わせて九名になります。この点御了承を願います。  それから昨日の理事会におきましては、まずどういう問題を取上げるかということが、協議されたのでありますが、問題を取上げる前に、今後本委員会運営に必要と思われる資料請求を、政府に向つてなすべきであるという点から、資料請求のことが決定したのであります。第一としましては、軍から移管されて政府所有物資で、現在簿外財産となつている品目につき、その数量及び現実の所在場所、第二が閉鎖機関処理委員会の所有する物資品目数量現物所在場所、第三が兵器処理委員会のその後の処理状況に関する資料、第四に陸海軍の物品を取扱つた官廳すなわち工廠であるとか、需品廠であるとか、あるいは衣料廠糧秣廠軍需部等そういうすべての物資取扱つた部署最高責任者と、直接の物資担当者氏名並びにその住所。第五に特殊物件処理状況に関して未だ提出されていない府縣がありまするので、この府縣から資料を求める。この五つの事柄最初決定されたのでありました。  その理由は一々申し上げなくとも十分御了承のことと存じまするが、この中で第三番目の兵器処理委員会のその後の状況についての資料という点につきましては、さきに隱退藏物資等特別委員会において資料提出を求めたのでありますが、その資料も不十分であれば、また時間的にその後の状況が不明でありまするので、その後の状況の全貌を明らかにするという意味であります。それから第五番目の特殊物件処理状況について、各府縣ごと資料提出を求めたのでありまするが、これもやはり一部は提出されましたが、一部は提出されていない。前の隱退藏物資等特別委員会において受け付けたものは三十数件でありまして、なお十三都道府縣資料が未提出になつております。これを早急に提出せしむるように請求することになつておりまして、あとは本委員会において新しく請求する資料であります。  それからこの点につきましては、もしこれ以外に要求されようとする資料について御意見がありますれば、御発言を願いたいと存じまするが、次に最初に本委員会の取上げるべき問題としましては、第一に世耕事件に関連する中曽根某詐欺事件に関連して、辻嘉六氏から政治資金が各方面に撤布されておるという事柄について、これが詳細を調査するという件であります。第二には兵器処理委員会処理状況についての調査をするという、この二つが取上げられたのであります。このほかに理事会におきまして議題となりましたのは、一つは石炭國管問題について、いろいろなうわさが流布されておるから、これを明らかにして世の疑惑を一掃したいという御意見も出しましたが、これは資料が不足でありまするから、なお資料を整えてからあらためて議題に供するということであります。もう一つ原侑君の問題でありまするが、原事件につきましても、おそらく今日強制收容されることになるであろうと想像されるので、檢察当局取調べ調査状況がどのような状況であるか、まだ全然不明確であるから、いましばらく時間的に推移を待つて、政治的に本委員会として取上ぐべきものが発生してくるならば、これを取上げようということが話合わされたのでありますが、正式に今日皆樣に御協力していただきたいと思うことは、今申しました世耕事件にまつわる中曽根問題、兵器処理委員会の問題、この二つでありまして、これが昨日の理事会において取上げられた問題であります。もしこの点について御異議がございませんければ、一應この点について御決定を願いましてあらためて取上げるべき問題について御意見があれば御意見を述べていただきまするし、資料について御意見がありますれば、御意見を述べていただくということにして、ただいまの理事会決定についてはいかがでございましようか。御意見がありますればお述べ願います。もしただいま申し上げました理事会決定に御異議ございませんければ、これはこのまま御承認願うことにして御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 加藤勘十

    加藤委員長 それではただいま申し述べました理事会決定は、本委員会において御承認を願つたことにいたします。  次いで今申し上げましたように資料の点、取上ぐべき問題の点につてい御意見がありますればお述べ願います。
  4. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 私は本委員においてぜひとも調査していただきたい件を申し上げたい。それは前農林大臣平野力三氏に関する件でありまして、私は農林委員会に席を置いておる者の一人でありますが、昨年の農林委員会において、官有林拂下問題に関しまして発言を求めました。その発言理由は、幾多國有林拂下げられておるのでありますが、その中で岐阜にあります國有林を昨年拂い下げておるのであります。これは平野農林大臣の在職中でありまして、七箇町村を代表して、平野力三氏の兄の平野増吉氏がこの拂下げを受けた名義人になつておるわけであります。從つてこの拂下げを受けるために、平野増吉氏は復興金庫から約八千万円の金を借り出しておるのであります。農林委員会はこの官有林拂下問題に関しまして小委員会をつくり、具体的に調査をすることになつておるのでございますが、この農林委員会の小委員会調査と併せまして、この不当財産取引特別委員会においても、この問題について詳細ないきさつを、まず農林省の林野局長をこの席上に喚問されまして、しさいを一應聽いてみたいと思います。さらに復興金庫側の人もこの出貸に対して聽いてみたいと同時に、農林委員会における小委員会経過とともに、不当財産取引委員会が緊密な連絡をとつて調査したい、かように考えておる次第であります。  いま一つの問題は、昨日問題になりました原侑君の問題でありますが、本年の一日十二日廣島市におきまして、総合大学誘致運動のために郷里の代議士を廣島縣知事楠瀬常猪氏が縣廳に招きまして、そうして今後の誘致協力方を頼む。こう言つて、その夕方同じく縣廳所在地可存にありまして霞町の縣の水産業寄宿舍で、知事の招待でわれわれ代議士会食をいたしましたときに、その席上原氏はこの問題は原個人の問題ではない——これは私に明らかに言つた原個人だけではない、これには星島氏も関係をしておるのだ。おれが問題になるということになれば、星島氏が從つて問題になる。こういうことを公言しておりますので、この際この関係いきさつも、原氏並びに星島氏をこの委員会に喚問して許細調査いたしたいと考えるものでございます。
  5. 中野四郎

    中野(四)委員 佐竹君に関連して、今の要求ごもつともだと思います。ただその際、復金貸出リストをば、ぜひともこの委員会に取寄せて、なお昭和電工並びに鉄道建設工業等関係も深くこれに含んでおると思いまするから、実際の貸出リストをば当委員会に取寄せて、しかるべく調査愼重を期していただきたい、かように考えます。
  6. 高橋榮吉

    高橋(榮)委員 今の佐竹君のお話の中の、廣島における國際総合大学といいますか、はつきり記憶しおりませんが、あの問題は一体この問題とどういう関係があるのか、原侑君詐欺事件と関連している何ものかがあるというのですか。
  7. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 ちよつと説明をいたします。廣島縣に総合大学を誘致するという運動のときに、縣知事が招きまして、そのときに原君を來たのであります。その会食の席上におきまして、たまたま当時新聞にキヤラコ事件の問題が出ておりましたので、原君に、原君たいへんな問題が出ておる。こう言いましたときに、原君がいわく、この問題はおれ一個の問題ではない、この問題は星島君も関係がある、だからおれ一人ということではない、こういうことを話しておりました。この関係に対しまして、原君がああいう問題になつており、不当財産取引に関して、ああした事件になつておりますので、その問題は原君個人でない、星島氏とも関係があるという、そのいきさつの点を調査していただきたい、こういうのであります。
  8. 高橋榮吉

    高橋(榮)委員 それでありましたなら、私どもは反対いたします。これは、先ほど委員長からお話のありましたように、原君の事件は未だ審理中であつて、詳細にわかつてはいない。われわれの聞いておりまする範囲においては、星島氏は何ら関係がない。また本人キヤラコ事件には全然関係がないということを申しております。一片の会合におきまする座談といいまするか、そういう片言隻句をとらえて今日嚴粛なる本委員会の問題とするということは、これはもう絶対に排撃しなければならぬところの態度であると思います。原君の問題に関係しておるのでありましたならば、先ほど委員長の御提議になりましたことく、原君の事件審議ができまする状態になりましたときに、併せてそういう問題を論及したいと思います。
  9. 荊木一久

    荊木委員 どちらもごむりはないと思いますけれども、個人の問題を取上げて審議を進めるかどうかというとこですが、たまたま流言蜚語で非常に御本人に迷惑を及ぼすようなことを、この公開の席上で論議することは、場合によつてははなはだまずい結果を來すと思います。やはり取上げる具体的の問題は、一應理事会にこれを出していただいと、証憑その他影響あるいは確実性限度等を一應見透して、理事会決定をまつてこの委員会にかけるというふうにしていただかなければ、これは今後なかなか收拾のつかぬことになると思います。
  10. 加藤勘十

    加藤委員長 ただいまいろいろ御意見が出ましたが、復金貸出リスト提出を求めるということは、資料提出になりますから、当然のことと思いますが、その他個々の問題につきましては、今荊木君が提議されましたように昨日も理事会で、かなりこの点については論議されたのであります。個人うわさだけで、ただちにここで問題を取上げてやるということは、本人にとつても非常に迷惑であり、ときには、とんでもないことになるおそれもあるからということで、本委員会は、原則としては公開原則であるが、ときによつて祕密会になる場合もあり、さらに問題を取扱う場合には、愼重を期するために、殊に人に関する問題については、理事会十分協議をして、その上で公開にしてやるか非公開にしてやるかということをもきめることに大体話し合わされたのでありまして、この点私が先ほどの報告の中に申しそびれたことは、はなはだ私が手落ちでありますが、そういう意味でありますから、今佐竹君の御提議になりました平野君の官有林拂下げの問題と、それから原君に関連して星島君に関係があるかないかというような問題は、今日はまだうわさ範囲を出ないと思いますので、こういう問題については、一應具体的な資料をもつてから問題にするようにしたいと思います。そういう意味において、これは一應ここでは問題にしないことにしたいと思いますが、どうでしよう。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 私は昨日の理事会でどういうことが申し合わされましたか、まだ私の方の理事連絡がなかつたのでありますから、その点は氣づかなかつたのでありますが、原君の問題に関しましては、一應原君の事件推移とともに、これをまた調査する必要があるということでありますから、その点については私は別に申し上げません。撤回いたします。官有林拂下げの問題は、これは農林委員会でも問題になつておるのでありまして、ぜひとも今度林野局局長を呼び出して、一應事の顛末経過を聽きたいと思います。それと復金問題を併せてやつていただきたいと思います。
  12. 石田一松

    石田(一)委員 ただいま、昨日の申し合わせによりまして、当委員会原則として公開する、時と、場合によると協議の結果祕密会にするという理由の中に、その問題となつた人の迷惑とか、あるいは社会的な影響とかいうことが考慮の中に拂われておりましたが、この委員会の設置は、この決議案の末尾にも、委員長が本会議委員長報告をなさるときには、公益に害がある場合を除いてすべて公開しなければならない、こういう原則に立つております。少くともこの委員会委員が、一つの問題の資料を蒐集し、この資料に基いて、的確なる信証のもとにある個人または公人をここに喚問してこれを審議する上において、本人の迷惑になるとか、本人明合が惡かろうなどというような中途半端なことでは、とても審議もできませんし、またそれでは全然意味をなしません。これこそ本人の迷惑になることが、かえつてこの委員会ではむしろ望ましいことなのであります。社会的にこういう者が葬られることが、われわれは望ましいのであります。政治的にその生命が奪われることが望ましいのであります。その意味におきまして、本人の迷惑などということで、この委員会祕密会になるなどということを前提としないように、この際特に申し上げておきたいと思います。
  13. 田中角榮

    田中(角)委員 ただいま石田君の御提議がございましたが、これはちよつと筋が違うのではないか。私はそういうことから昨日の理事会のことを申し上げるのではありませんが、本調査委員会は政党並びに官界の粛正を期することが目標であるのでありますが、ただ風評によりまして公開の席上でいろいろなものを取上げることを考えましときに、これは一つの司法問題といたしましても、犯罪を搜査するにしても相当根拠がはつきりするまでは公表はしない。ましてわれわれ調査委員会が、ただ風評を取上げて、いつも公開の席上でだれでも発言をする。しかもそれは何ら調査委員会において取調べられたものではなく、不確実きわまりないものにおいていろいろな個人氏名が出るということになりますると、これは非常に大きな問題になるのではないか。私は本調査委員会運営にあたりましては、昨日理事会においてきめられましたように、少くとも議題に供せられたものは、もちろん公開原則でありますが、議題に供し得るものにつきましては、理事会におきまして相当愼重審議を重ねて、しかも議題に供されるものは相当事件になる可能性がある、いわゆる不正の事実の発見が可能であるというようなものだけにきめてお進めになつた方がよろしいのではないかと考えます。  もう一つ、次に申し上げたいことは、政府提出資料でございまするが、第一番目に、昭和二十年八月十四日以降臨時軍事費支拂調書出納官廳支拂先金額支拂月日支拂物件名。非常に厖大なる調査資料でございまするが、これはぜひとも出していただきたい。本調査委員会がつくられました本旨というものは、第一條にも書いてありますように、こういう大きな問題、いわゆる終戰後におけるわが國経済界の混乱、いわゆる無秩序な状態において不正が行われやすかつたという、この大きな問題を取上げるのが本旨であるという意味において、昭和二十年八月十四日以降臨時軍事費支拂先という調書を、ぜひとも出していただきたい。これは軍別には非常にむずかしいとは思いますが、大藏省に大体のその調書が存在するはずでございます。しかもこの調書と先ほど委員長報告されました兵器処理委員会調書並びに各府縣商工局に進駐軍から委讓されましたところのリストと照らし合わせますると、ここには一つの小さな問題を取上げるというようなことではなく、非常に大きな食い違いを見出すことが、かならずやできるであろうという意味におきまして、この調書提出要求するものであります。  次には、一つ官有林拂下げというような意味ではなく、終戰後八月十四日以降、日本政府において官物を拂い下げもしくは貸出しをいたしましたリストを、各省別拂下げ並びに貸出先貸出金額拂下げ月日、拂下担当官、この表を至急御提出相なりたいと思うのであります。もちろんそうなりまするとこの中から当然先ほど御発議がありましたような問題も、疑義が生ずれば委員会としておのずから取上げられる問題であると、こう思うのであります。  第三の資料要求は、終戰後政補助事業、準政府事業として企業を許可されましたるところの物件リストを、ぜひ御提出相なりたい。これは融資問題と絡みまして、いろいろ世間に疑惑を投げておるのであります。一例を申し上げますると、製塩事業のように、終戰後全國に数多く政府が率先しつくらせ、しかもこれに対しましては、政府がその八割ないしは六割を融資するからというて、政府からコネクシヨンをつけて、各金融機関から融資させた。しかもその後において政府補助金を打切りましたるために、そこにいろいろな問題を生んでおるという風評の根源を衝きますために、特に終戰後政府が許可されたこの補助事業物件その企業先並びにこれに関する準政府融資の形において融資されましたる融資先融資金額融資月日、この三件を特に至急政府より本委員会提出されんことを要求いたす次第でございます。
  14. 田中健吉

    田中(健)委員 だたいま田中角榮委員より、官有物拂下げについてそのリストを出すようにという要求がありました。私はこれには賛成いたしますが、特定の人物を指して、單なるうわさによつて平野兄弟にいかにも疑惑があつたような言い方に対しては、私は反対せざるを得ません。私は調べるということであるならば、林野局関係において昭和二十年八月十四日以降にどれだけのものが拂下げなつたかということを、帳簿を出さして、その上に立つて調査をする、こういうことにいたしたいと思います。それから拂下物資を購入するにあたりまして、その資金がどこから出ておるか、自己資金であるか、復金から出たものであるかどうかということについては、先ほどの委員長発言の通り、復金帳簿を取寄せてみれば、すぐわかることでありますから、そういうことにいたしたいと思います。  それから委員長に対してお尋ねいたしますが、先ほど私がそこに、特に調査するためのやり方として承諾を求むる文書を出しておりまするが、これを委員会にお諮りを願いまして、どういうふうにしてやるかということは委員会決定でしようが、私としてはこういたしたらどうだろうというので、そこに出したのでございますから、それをお諮りを願いたいと思います。それから司法大臣に質問してもよろしゆうございます。
  15. 加藤勘十

    加藤委員長 ちよつとその質問はあとにしてください。
  16. 鍛冶良作

    鍛冶委員 さつきから大体意見は出ておりますが、今の石田君の御発議はたいへん重大な影響があると思いますから、確かに不正をやつておるものということがわかれば、それをあばいて、その地位も名誉も失わせることは賛成ですが、單なるうわさをもつて、その人の地位、名誉を奪うようなことがあつては、これは委員会としてたいへんな責任を負わなければならぬ。その点は嚴に区別しなければならぬのでありまして、もしそういうことがあれば、その委員会が非常に惡用されるおそれがありますから、われわれが取上げるというのは、相当根拠があつて、いつでも責任のとれるものでなかつたらやれぬものだと思います。その意味において、いよいよ取上げてやることになれば、これは公開でやらなければならぬが、それまでにわれわれが責任をとれる根拠を得るだけの支度をしてかからなければならぬ。それには私は昨日も言つたのですが、まずこれから問題にしようというときには、一種の提訴とでも言うのですか、提訴という名前をつけておきましよう。提訴しようという方は、具体的の事実並びにこれに関する証拠があれば、証拠を指摘せられて、委員長まで申し出てもらうそれをもとにして委員長理事会にかけて、そうして愼重にやる。ここまでやらなければ私はいかぬと思いますから、どうぞその点を今日はがつちりきめておいていただきたい。
  17. 山中日露史

    山中委員 委員長にお尋ねいたしたいのでありますが、すべての問題について、それを取上げるかどうかということの選択権は全然理事会に一任するるということでは、本委員会の権威が失われると思います。從つてその問題を取上げるかどうかということは、この委員会においてきめるべきものであると思いますが、それについてお伺いいたしたいと思います。
  18. 加藤勘十

    加藤委員長 それでは今の御意見に対してはあとからにして、まず先に、今田中君から二つ調査について承諾を求むる件という提議がなされております。一つは、竹中工務店より西尾末廣氏に対し五十万円を政治献金せる件につき調査承諾を求むるの件、その理由としては、西尾官房長官が総選挙当時竹中工務店より五十万円の政治献金を受けたることにつき、世上疑惑多き事実に鑑み、右調査いたしたきにつき承諾を求める。いま一つは、復興金融金庫により昭和電工融資せる件につき調査承諾を求むるの件、復興金融金庫より現在までに約四百四十一億円の融資がなされているといううわさであるが、これに絡み世上疑惑をもつ者多き事実に鑑み、本院においてこれが調査をいたしたきにつき右承諾を求むる。この二つ承諾を求むる意見が述べられております。しかしこれは皆さんの御意見をまたなさればなりませんが、大体先日の委員会におきましても、昨日の理事会におきましても、こういう場合は、あらかじめ委員であつても單なる個人として調査をして、相当の事実をつかんだ上で委員会に提起をして委員会課題とする。委員会課題にするについて資料委員会の名で集めることは越権のおそれがあるからということで、大体話ができておるわけであります。しかしあたらめて皆さんからこういう場合においても委員委員会の権限を附與することが多数で御決定になれば、それでもよろしゆうございますが、この点についてもし融意見があれはお述べ願いたいと思います。
  19. 石田一松

    石田(一)委員 田中委員自身は、先ほど廣島における問題であるとか、あるいは山梨における問題のことについて、平野氏の問題を取上げられたときに個人の問題に関することは、この委員会では取上げることには反対だとおつしやつた。その委員自身が、わざわざ文書をもつて西尾末廣という名前を指してその資料を集めるための手続を許してもらいたいというので、委員長にわざわざその文書を読ませておるのですが、それでは全然御趣旨となされることとが相反しはしないかと思う。私はこれもおやりになつたがいいと思います。大きな一般の帳簿を見せてもらつて、その中から調べておれば問題は出るから、その出たときにそれを調べていけば確かだと、なるほどそれは確かな石橋をたたいて渡る方法でありますが、今のように具体的な問題があるわらば、それを委員会の問題として取上げて、その部分の特に資料提出を求めて、これを追究していくことが、深く掘り下げられるやり方だと思う。私はそうした確かな資料が、また証拠があるならば、一應そういうものをこの委員会で取上げて、たとえ些少な事件といえども徹底的にこれに追究したい。
  20. 田中健吉

    田中(健)委員 ちよつと弁明します。個人ということについて今お話がありましたが、委員会に問題を提起する前に私が委言の資格においてこれを調査して出したいから承諾を求める。それから平野氏の問題については委員会として取上げるのではなく、まずもつて今私が申し上げたような方法によつて調査して、十分に御調査をなさつて委員会に提起するということであるならば、非常に結構ではないかというので、私のやつていることは決して矛盾でないと思う。
  21. 加藤勘十

    加藤委員長 問題を整理します。要するに前回の委員会においても問題になりましたし、昨日の理事会においても問題になりました。本委員会課題とするためにある種の事件について委員個人委員会の名において調査するということはいろいろな弊害を生ずるおそれがあるゆえに、そういう場合はとらない。委員会課題なつたときには今石田君の言われる通り、徹底的に資料を蒐集し、現地について調査をする。こういうことに前回の委員会でも話ができておりました。昨日の理事会においても、大体そういう方針をとることに申合せがされております。從つてこの点については、例をあげますと、昨日も石炭國管の問題について、ある理事からこれを取上げてほしいという問題がありましたけれども、なお資料不十分であるという点から單なるうわさをもつてこれを取上げることはどうかと思われるので、個人的にまず資料を集めて、一つでも具体的なものがあればそれをもつて提起して、それから先の調査委員会の権威において委員会の名で調査をする。こういうことになつたような次第でありますから、從つて私は田中提議の問題も、竹田工務店云々問題についてはもとよりのこと、復金の問題については、ひとりこういう問題ばかりでなく、先ほど中野君御提議貸出リスト、同時に私はこれに回收状況というものをやはり知らなければならぬと思います。回收状況をしるしたリストを求めろということで一つの問題は済むと思います。かように委員長として考えますが、思かがでしようか。そういうことにここで明確に決定しておきたいと思う。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 加藤勘十

    加藤委員長 それではこの点は明確に、まだ本委員会課題となつておらない事柄について、自分がこの問題を委員会提議しようという場合に、それを調査しようとするときに委員会の名で調査をするということはやらない。委員会の名で調査をするのは、委員会課題なつたものを徹底的に調査する。こういうことに決定いたしますから、御了承を願います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 加藤勘十

    加藤委員長 それから先ほど山中君から、問題提議の権限を理事会のみに專管するということは、本委員会の存在を無視するものでないかという御意見がありましたが、これは山中君の誤解でありまして、決して理事会だけにあるのではありません。もちろん委員各個の方々が具体的な資料をもつて問題を委員会に提起されるならば、この委員会において十分取上げることもちろんであります。ただ理事会は、最初のことでありますし、最初に何をまず取上げるかということで理事会がこれをきめたにすぎないのでありまして、問題は自由に委員から委員会提議されます。ただその場合人の名誉、人の信用に関することが非常に多いのでありますから、愼重の上にも愼重を期するという点から先ほど鍛冶君の言われたように、各委員から一つの問題を出そうというならば、それを委員長なり理事会に出して、下相談した上で、取扱い方をどうしようという下話が必じ要やないかという御意見でありましたので、決して理事会だけに專断的に問題を取上げるということではありませんから、この点誤解のないようにしていただきたいと思います。  第三には、田中君の御提議になりました資料請求の点であります。これは田中君からさらに今お述べになりました詳細の事柄文書にして出していただきまして、三箇の資料は当然の御請求だと思いますので、これは承認したいと思います。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 加藤勘十

    加藤委員長 それではさきに決定されました五つの資料に加えて、後の三つの資料政府請求することにいたしたいと存じます。
  25. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 私は隠退藏物質等に関する特別委員会決定に基きまして、一月十二日から十五日まで武藤委員とともに調査いたしました。元陸海軍省の所有でありましたタンク貨車が二百三十六輛、東京都内の五、六箇所の会社あるいは運輸省にもありますが、現在運轉されつつあり、また一部は貸して賃料をとつておるというような実情にある、いわゆる特殊物件が明瞭になりましたので、この問題をこの委員会に取上げていただき、関係会社あるいは官廳のお取調べを願つて、これだけのものが今日そのままあるということを御調査を願いたいと存じ、これを提案いたします。調査報告書として、一月十六日附をもつて隠退藏物資等に関する委員会加藤委員長あてに提出してある書類を、詳細にごらんくださればわかる次第であります。説明してよろしければ詳細に説明いたします。
  26. 加藤勘十

    加藤委員長 ただいま明禮委員から御提議になりましたのは、終戰当時軍が保有しておつた石油タンク貨車が二百三十六輛実在しておる。現に各会社において使用しておるにもかかわらず、運輸省がどうして軍からこれらの会社に使用が許されるようになつたかということについては全然不明である。当然運輸省が移管されたものであるから、運輸省の所有になつておらなければならぬものが、民間で自由に使用されている。こういう事実が調査の結果明白になつたから、あらためて本委員会においても、この間何らかの不正がありはしないかという事実を調査せよという御提議でありますが、いかがでしようか。
  27. 鍛冶良作

    鍛冶委員 調査せられることには一向異論はありません。早速調査していただきたいと思いますが、ただ先ほど言つたように、どういう順序でどうやるかということは、簡單なことでここですぐわかることならよろしいですが、それでなかつたら一應理事会でこの方法でこうしてやろうじやないかということをきめて、それからやられた方が便利だと思います。ちよつと今聽いただけはわかりかねると思いますから……
  28. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 私は実は会社とか関係方面へ全部あたつて調べてありますので、一應念のため各関係者を呼び出していただいて、この委員会でお調べ願うことが一番よろしいのではないかと思うのであります。それだけもう事態は明瞭になつておりますから、その方法等はいろいろ手続はありましよう。この問題だけじやなく、ほかの問題もどういうふうになさるかということがありましようから、適当にその点はお考えになつて結構であります。
  29. 田中角榮

    田中(角)委員 議事進行に対して提議いたします。本日は司法大臣も見えておりますから、一々具体的な問題を取上げず、運営上総理大臣並びに司法大臣との連絡事項、本委員会と司法当局との関係に対して、根本的に議事を進行せられんことを望みます。
  30. 加藤勘十

    加藤委員長 つきましてはなお前の委員会の問題でありまするが、鍛冶委員から報告事項もありまするし、ただいま取上げられました世耕問題、並びに兵器処理委員会の問題を、いかなる順序によつて調査を進行していくかということについての御協議も願わなければなりませんが、総理大臣が四時から閣議があるそうで、先に総理大臣に御意見を求めたいと思います。他の議事はただいま田中君からの進行の申出もありましたことに鑑みまして、そういう順序ではかりたいと思いますから、御承知を願いたいと思います。  そこで総理大臣に対して私から特に御意見を求めたいと思いますことは、この前の隠退藏物資等特別委員会におきまして、委員会発足にあたつて総理大臣は、この委員会調査については全幅の協力を惜しまないものであるという御意見が述べられたのであります。ところが実際にあたつてみますと、下部官僚は協力していない事実が非常にたくさんあります。現に資料のごときは先ほどもここで報告いたしましたが、重要な資料が未提出状態になつている。今後総理大臣がこの席において協力をするとお述べになりまして、もし現実に現地官僚なり当面の責任官良なりが、そういう資料提出を怠つたり、あるいは調査にあたつて協力を怠つた場合には、その官吏に対する処分方法をどうなさるか、責任のある言明をせられたいと思います。どうぞその点に対する御所信を聽かしてもらいたいと思います。
  31. 片山哲

    ○片山國務大臣 ただいま委員長がお尋ねになりました事項につきましては、前囘の隠退藏物資委員会においてもお答えいたしました通り、政府の根本方針は変つていないのでありまして、なお今囘発足されまする不正取引委員会につきましては一段と協力いたしたいと思つておるのであります。これによつてわが國の不正なる事実が政界より一掃されることは、心より望んでやまないところであり、政界の明朗化を心より期待いたしておりまする政府といたしましては、十分なる協力をいたす所在であります。  つきまして下部官吏にして協力の実を上げない場合においてどうするかという点でありますが、不当に協力をしない、盡すべき職務を盡さないというような点については、不当なる事実がありまする場合においては十分処置をとります。また提出できないということにいろいろの理由があるかと思いますが、それらは政府の中央において十分取調べまして、苟くも職務に協力する点において欠くるところある場合においては、十分なる処置をとつて、いささかも疑念のないようにいたしたいと考えておる次第であります。
  32. 加藤勘十

    加藤委員長 ただいまの総理大臣のお言葉に対して、委員会としては十分了承することができますが、委員諸君からこの際総理大臣にお尋ねになりたいことがありましたならば発言を願いたいと思います。
  33. 辻寛一

    ○辻委員 この特別委員会ができまして、官界、政界、経済界の全般にわたりまして、不当不正の事実があれがこれに調査のメスを振う、こういう活動を開始いたしました以上、特に一つお愼しみをいただきたいと存じますのは、政府におきましてかりそめにも國民の疑惑を招くような放送をしていただきたくないということ、なぜさようなことを私が申すかと申しますと、昨年の暮の社会党の閣僚懇談会の席上でありましたが、それを傳えましたところの新聞には、政府は隠退藏事件を重視して檢察当局を督励して徹底的に摘発のメスを揮う方針である。政府としては同事件の発展により保守党側は大きく動搖するとの見透しである。こういう記事が載つてつたのであります。どういうお見透しをおもちになろうと、それは御随意でありますが、かりそめにもこれを口外されるということは容易ならぬことであると思います。それは新聞が書いたのだからおれの方は知らぬと、また西尾さんのような逃げ口上があろうかと思いますが、たとえ言葉にははつきりお述べにならなかつたとしても、有力なる一新聞がかようなことを書いております以上は、言外にそうした思わせ振りの態度を読み取り得られるがごとき言動を見せられた閣僚があつたことは、およそ想像されると思います。どうかこの点をよく愼しんでいただきたい。とかく今まで泥試合などというのがありまして、必要以上に、事実以上に政界が腐敗いたしておるような印象を國民に與えたことがあつた。腐敗いたしております点は徹底的にやらなければなりませんけれども、お互いにいろいろと放送したり、泥のなすり合いをやるがために、必要以上に、事実以上に政界が腐敗しておるというような印象を少くとも國民に與えておつたと思います。特にこの委員会は人の信用に関係がありますから、この点愼しまなければならぬと考えておるのであります。その意味におきまして政府においては特にこの点を御注意願わなければならなぬと思いますが、総理大臣はどういうふうにお考えになつておるか。  それからその閣僚懇談会におきましては、大体どういうようなお話が出て、どういうところから保守政党側に大きな動搖があるというお考えが出てきたのであるか。これは副総理格であります芦田さんも、十二月二十一日でありますか、和歌山において言つておられます。明春一月末には隠退藏摘発委員会から驚くべき事実が公表され、その結果政界に大動搖が起るだろう。具体的には言えないが、保守新党運動にも大きく影響するだろう。こういうことを言うておられる。まことに符節を合わすがごとくである。隠退藏問題から保守政党側に大動搖が起る。責任ある方々がかりにもこういうことを言われるのには何らかそこに根拠がなければならぬ。もしそういう根拠がありますならば、この委員会ができたことでありますから、どうかどんどん資料を出していただきたい。われわれはほんとうに超党派的立場に立ちまして、委員長が先日挨拶されたように、大義親を滅する覚悟で進んでまいりますから、どうかそういうことの資料があつつたら当委員会に出していただきたい。この点につきましてとくと首相の態度を伺つておきたいと存じます。
  34. 片山哲

    ○片山國務大臣 私としては辻君の御注意の通りほんとうに公平にやつていくつもりでありまして、どの政党に特になたを揮うというような不公平なるやり方はいたさないつもりであります。いやしくも不正があつた場合はいかなる党派を問わず、その不正を追究する。こういう建前でありますから、特に政略的にこれを使うというようなことは一切いたさない考えであります。なおまた閣僚の懇談会等におきましてそういうことを正式に申し述べたことは、私としてはないと思つております。また今日までそういうことは嚴に愼しんでまいつたのでありまするから、閣議の申合せ事項だとか、あるいは懇談の結果だとかいうような結論として出た話ではないと考えております。今後におきましてもただいま辻君のお言葉の通りいやしくもそういう問題がありまする場合には、この委員会が十分に活動できるように資料を提供するなり、あるいは意見を申し述べるなりいたして、委員会の活溌なる活動に多大の期待をかけ、これを通じて政界の刷新に大いに力を盡していきたい、かように考えておる次第であります。
  35. 鍛冶良作

    鍛冶委員 先ほどの総理大臣の御言明で大体われわれも納得はいくのでありまするが、特に念のために申し上げておきたいことは、総理大臣がここで十分やらせる、不正があれば取締るということをここでだけ言われたのでは下部まで届かぬのではないか。從いまして具体的に私はここで一々言明してくださいとは申しませんが、具体的にそれを徹底するようにやつていただくことを特にお願いいたします。なお差支えなかつたらこうこうこういう方法でやろうと思うということをお聽かせ願えればなお結構だと思います。それと同時にこの前のときにも今と同じような御研明があつたにもかかわらず、下部において協力しないどころでない、妨げると言うてもいいくらいでありましたが、この前のときにはどういう方法で下部まで傳えるようにおやりになつたか、もしそういう方法でいかぬのならば今度はこういう方法でやろうと思う、こういうことまでも聽かしていただけるならばわれわれ意を強うするのでありますが、まずそれだけを先に承りたいと思います。
  36. 片山哲

    ○片山國務大臣 今ここで具体的にどういう場合にはどうというところまではちよつと申し上げることは無理かとも思いまするが、この前は、委員会要求がある場合においてはできるだけ資材を提供して委員会調査の便宜に供しなければならない、こういうふうに行部に徹底さしておつたのであります。それは反対に諸君の方からこういう場合に出さなかつたというようなぐあいにお申し出くださいまするならば、それらをよく徹底せしむるようにいたしたいと思います。今抽象的にこういう場合を仮想してどうするということはちよつと申し上げにくいので、事実についてはなはだ不便であつたり、不当であつたりしたような場合は、その都度々々御指摘くださいまするならば、できるだけ中央の考えを滲透さすべくいたしたいと思つております。
  37. 鍛冶良作

    鍛冶委員 ごもつともと存じまするが、私の申し上げまするのは、下部まで徹底せないようなことのないようにお願いしたい、こういうことが趣旨なんでありまして、なお惡いことがあれば言えというのなら問題ありませんが、そうじやない。いつでもこちらからそんなことを言わないでも向うで協力するような方法をひとつ下部まで徹底さしていただきたい。なおさらに今辻君からもお話があり、総理大臣としてはそういうことのないように希望するとおつしやいますが、これは当り前のことである。ところがそうおつしやりながらもこの通り、こういうことが出るのでありまするから、これも私はそうしたいと思う、そう考えるということだけではわれわれは滿足できません。今後かくのごときことがあるなら総理大臣はどういう方法をとられるのであろうか、それを聽いておきたい。閣僚のうちにおいてこういうことを堂々と言つておる。それが事実であれば、総理大臣はそういうことはいかぬと言われるならバ、そのいかぬときにどういう方法をもつてこれを静め、これを拭うという考えをおもちになつておるか、それを伺いたいと思います。
  38. 片山哲

    ○片山國務大臣 職務を遂行する際に、その職に忠実でない下僚に対しましては、十分なる処断をするということは先ほど委員長にお答えした通りであります。今の鍛冶君の御質問の閣僚の場合には、事実仮空なることを想定してお答えするのもちよつと変だと思いますが、今後は十分注意いたしまして、政略的にこれを用いるとか、一党に事実無根を根拠として迷惑をかけるということのなきようには、最大の注意をいたしたいと思つております。
  39. 鍛冶良作

    鍛冶委員 今のお答えは当然のことですが、事実現われたらどうなさいましようか。今後こういうことがあつてはいかんのです。しかるにもかかわらず現に現われておる、そのときには総理大臣としてどうなさるお考えであるか。こういうことが今後あつてはいかんと思うから申し上げるのです。具体的にそれを問うておるのです。ないように注意するということを言うておられるが、それは聽かんでも当り前のことであります。事実現われたらこれはこうすべきである。今後はこうしてやろうというその御決心を聽きたいと思うのです。
  40. 片山哲

    ○片山國務大臣 大分仮定のように思いますが、もし閣議の意向に反して單独に意思を表示しまして、それが事実に基かざる場合においては、処置をとらなければならぬと思つております。
  41. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 今の質問に関連して……仮定してというお話でありますが、これは事実ではありますから申し上げてみたのいであります。十二月三十日の読賣新聞によりますと、鈴木司法大臣が社会党の閣僚懇談会におきまして、檢察廳においての取調べについてすべての資料を提供して、隱退藏物資に関する大きな問題があるということを発表せられておりますのは、実は先日鈴木さんにお会いしていろいろお話をしたのでありますが、これらが問題になつておるのだと存じます。これは鈴木司法大臣も特に何かのお考えがあつておやりになつたのではなく、ただ社会党の閣僚であるから話してもいいだろうということでお話しになつたのじやないかと、深く私どもも考えませんけれども、これが今日非常に大きな影響を來しておりまするし、またちようど一つのいい適例だと思います。仮定に基いて言うということでなく実際あつたことでありますから……。このようなことがありますると、新党問題にいたしましても、あるいはすべての政治問題にいたしましても、非常に大きな打撃を蒙むる。また各地において私ども実際に隱退藏物資調査につきまして、縣知事あるいは警察署の署長が應援をしないというような事実はいくらでもあるのでありますが、あまりそこをくわしくお話しては御迷惑であろうと思いまして遠慮しますが、そういう問題についても十分総理大臣としての御高配を願わなければ、今後この問題の調査について支障を來すのではないかと思いますので、一言申し上げます。
  42. 高橋榮吉

    高橋(榮)委員 鍛冶君の下僚に対する意見は、総理大臣がちよつと取違えておられるのではないかと思います。要するに下僚が積極的に協力しないという事実が頻々としてあるから、積極的に政党にも協力しろという具体的の方法をとつていただくことができないかどうかということを質問したものであろうと思いますが、私もそのような意味で質問したいのであります。すなわち現在までにおいて政党に協力しないという実例が盛んにあるのでありますから、これに対して、特に今度の不当財産取引調査の特別委員会は特別の事義をもつているのでありますから、積極的に政党に協力しろということを下部に浸透する特別の方法をおとりになる意思があるかどうかということを鍛冶君が問うたのであろうと思いますが、私もそのような意味でお尋ねしたいと思います。  それから新聞に報道された問題に対する鍛冶君の質問に対して、閣僚懇談会においても、閣議においてもそういう事実はなかつたという言明でありますから、われわれは非常に安心しておるのでありますが、そうしますと総理大臣は、すなわち新聞に報道せられたような政界に大動搖を起し、保守新党の結成に対して重大影響を及ぼすような事実が現在ないとお信じになつていると、こうとつて差支えないのであるか。すなわち裏から言いますと、現在さような見透しはつけておられないと私どもは受取つて差支えないであろうか。將來この委員会の進展いかんによつては、どういう問題が起るかもわかりませんけれども、現在においてはさような見透しをもつておられないと考えてよろしいのであるか、この点をお伺いいたします。
  43. 片山哲

    ○片山國務大臣 先の御質問の、下僚に対して協力する方法としてどういう心構えでやるかということは、先ほど加藤委員長が総括的にお尋ねになりました通り、私としては積極的に諸君に協力して、委員会の職能が十分発揮せられるように努力したい、こういうことをお答えいたしておりますので、積極的に御便宜をはかり、諸君の調査を十分有効ならしめるようにしたい、こういう意思は明白にいたしておるつもりでありますから、これで御了承願いたいと思います。  第二の、閣議でそういう決議をし平り、申合せもしていないということは、高橋君もお話なつた通りでありますし、先ほどからお答えしている通りであります。どうか委員会が中心となつて、わが國の不明朗なる政界を浄化して、眞に透き通つた、氣持のよい政界にしていただくことを心より期待いたしておる次第であります。
  44. 梶川靜雄

    ○梶川委員 総理に対して二点だけお伺いしたいと思います。第一点は、本委員会に対して協力する旨仰せられまして、まことに心強く思つておりのでありますけれども、これは先般の隠退藏物資特別委員会におけるお言葉と同じでありまして、しかもあの半箇年にわたるところの隠退藏物資特別委員会におきましても、今なお資料提出ができていないというような現状は、御存じの通りであろうと思うのであります。これは先ほども委員長から御請求がありました通りでありまして、しかもこれに対する総理のお答えが、限度を越えて怠慢な者があつた場合には断固たる処置をとると言われた、ところがその限度を越えてと仰せられましても、その限度の認定が非常に困難であろうと思うのであります。ここに一例として申し上げますならば、以前にも期限付きで資料提出を求めたりした場合に、出なかつたことがたびたびあるのであります。これは限度を越えて怠慢したものとお認めになるのであるかどうか、さらにまた、無理な資料請求であるというふうに断定されるのであるかどうか、またその存理な資料でない場合における断固たる処置とはどういう懲戒方法をとられるのであるか、これに対してはつきりとしたことを承つておかないと、將來われわれの方で活動する上に、どこまで政府が國会に対して責任をとられるのであるかという点が明確でないと思うのであります。  第二点は、本委員会と非常に関連性の多い経済安定本部の問題についてでありますが経済安定本部の監督局における、特にその手足として働いている経済査察官、あるいはまたこれに側面的な協力を與えるところの警察官というような者が非常に事故が頻々として起つているのであります。総理は就任以來常に官紀の粛島ということを言つておられますが、キリストやまた非常な人格者ならいざ知らず、食う人間でありますので、現在のように状態においてこれらの不正事件あるいは收割事件等々が起ることも、ある程度やむを得ない点もあると思います。これに対して一体いかなる救弁方法を考えておられるか。今のままで官紀の粛正のみを叫んでやつていけるのであるかどうか。これらについて総理のお考えを承りたい。もしもこれらの点が救済されなければ、本委員会が活動するにあたつて非常なる支障を來すであろうと思います。政界、官界あるいは財界におけるところの粛正のまず根本は、何と申しましても総理の足もとにおられるところの官界の粛正であり、特にこれらの経済査察官、あるいはまた警察官、司法官彦等々に対するものであろうと思います。特にその中で経済査察官あるいは警察官における不正が非常に多いという事実に鑑みまして、この点を特に総理に対してお伺いいたしたいと思います。
  45. 片山哲

    ○片山國務大臣 その限界ですけれど、これは諸君の多年の経驗と政治的な判断と、法規の運用によつてきまつてくると思います。たとえば檢事局が搜査中のものでありまする場合においては、檢事局搜査の必要上いましばらく待つてもらいたいというようなことがあるいは出るかもしれないと思いまするが、これらはひとつ経驗やら常識やら、法規の運営によつて御判断願うよりしようがなかろうと思います。そうしてほんとうにその不正を摘発するについて故意に怠慢であつたり、あるいは諸君の要求に対して惡意をもつてこれを妨害するというような場合はすべて糾彈されます。そういうような職務に対して忠実でない、またそういう事実の摘発さるることを恐れて妨害するような者に対しましては、断固たる処置をとらなければならないと思つております。  第二の官界一般の粛正等につきましは非常な努力を拂つておるのでありまして、私といたしましては徹底的に官界の刷新、吏道刷新と申しまするか、官紀、綱紀の粛正をやりたいのであります。いやしくも官吏がその職務に忠実でなくして、賄賂をとつたり、あるいは御馳走等の不正事実がありまする際においては、徹底的に糾彈してください。事実をお申出くださいますれば徹底的に、法に照らしまして嚴に処罰する所在であります。こういうことにつきまして組閣以來監察制度を嚴にする。あるいは服務紀律の問題につきまして、十分官吏は國民の公僕であるという観荷に徹しなければならない。こういうような意味、あるいは窓口の改正、いろいろの点においてせいぜいやつておるつもりであります。努力をいたしまして、ほんとうに官吏が國家のために、國民の幸福のために奉仕しなければならないといす趣旨を徹せしめたいと思つておるのでありますが、何分長い間の問題でありまするから、一朝一夕にはまいりません。どうか諸君の方で事実を明らかにしてくださいますならば、決してかばうとか隠すとかいうようなことはいたさないつもりであります。
  46. 梶川靜雄

    ○梶川委員 その御意図はよくわかるのでありますが、一体犯罪の根本というものがただ綱紀の弛緩のみにあるか、もちろん綱紀の弛緩もあると思いますけれども、それ以上に精神的な問題、のみならで物質的な問題もあると思います。たとえば経済査察官とか、あるいは警察官に犯罪が多いということは、それらが権力をもつて同時に、それらの人の仕事が非常に過激であり、待遇が非常に惡いということに尽きるのでありまして、これらの点についてほかの一般官吏よりもより以上の待遇を與えられるお考えはないかどうか、最後にお聽きいたします。
  47. 片山哲

    ○片山國務大臣 行政機構の根本改革をやりまして、人員の整理も手をつけまして、能率主義にやりたいと思つております。同時に官吏の待遇も改善する。そのかわりうんと働いてもろう。能率をあげる。努力してもろう。ほんとうに國家本位にやつて、むだを排除するというような方針で官吏の待遇も改善する。こういうふうにしたいつもりであります。
  48. 田中角榮

    田中(角)委員 総理大臣並びに司法大臣にお伺いしたいのでありますが、本調算委員会議題に供せられました事項は政界、官界、実業界全般に通じまして、特に個人の人格や信用に関する問題でありますので、公開される事件につきましては、議題に供するまでに相当嚴重なる調査をわれわれ調査委員個人においてなさなければならないのでありますが、憲法の規定といたしまして、個人の祕密に立入ることはむつかしいという意味において、資料を集める部分が特に政府高官に及んだり、しかも政府の機密に属する事項であつたりいたしましたときに、総理大臣はどの限度まで調副委員会資料を御提出できるのであるか、特に資料が現の司直の手において取調べ中であつたような場合、その取調べの事項はどの程度までわれわれ委員会資料提出し得るか。先日の原問題におきましても、これから先は言えない。こういうようなことがこの委員会においてはこれから特に頻繁に起つてくると思います。これに対して総理大臣に——できましたら司法大臣から御答弁を得たいと思つております。
  49. 加藤勘十

    加藤委員長 今の質問は主として司法大臣の管轄、所管に属すると思いますが……。
  50. 田中角榮

    田中(角)委員 政府の閣議にかかる問題とか、こういうような政治的な機密に属する問題。先ほど自由党の方から言われような問題が出てくると思います。こういう問題に対しては祕密会において閣議の内容もぶちまけてもらえるか。そういうような点です。
  51. 片山哲

    ○片山國務大臣 その問題は今包括的にお答えすることは、あるいは困難かと思います。その問題々々に應じまして関係当局が寄りまして、あるいは諸君の方とも寄りまして、この問題の程度はこういうような程度であるということは、十分協議できるのではないかと思いますから、一つ問題々々について御審議願うのがよいのじやないかと思いますが、詳細は司法大臣と御協議願いたいと思います。
  52. 中野四郎

    中野(四)委員 私は二点お尋ねをしたいのですが、初つぱなに昨年の七月三十日の委員会で、片山総理とたいへんきびしい言葉を使つてお約束を願つた件が、残念ながら満足する過程にはいらなかつたのでありますが、これは先ほど私運営委員会に行つておる間に加藤委員長から質問があつたと聞いておりまするから、重ねて申しません。  第一番に伺いたいのは、この不当財産の特別委員会が進展過程において、再び原君のごとき、現職の國会議員の中から刑事上の被疑者がもし出たという場合に、総理は、原君に向けられた態度と同じように、國会開会中といえども議員逮捕の許諾を求める意思があるかどうか。この点を第一番に明確にしていただきたいと思います。  第二点は、先ほど申し上げた、昨年の隠退藏物資等に関する委員会の第二回目の委員会の席上において、非常に熱意ある期待すべき総理大臣の御答弁をいただいたにもかかわらず、その結果ははなはだ御答弁とは逆な結果を生んだと思うのであります。もし隠退藏物資等に関する委員会の功罪の面について問うならば、功の点は多々ありましたが、罪の点においては、特に私は、政府側の不誠意と、いま一つは、それに関連して、安定本部の微弱性を遺憾なく暴露したに過ぎないと思つておるのであります。すなわち近來の安定本部というものは國民の信頼を非常に失墜しておる感が深いのであります。特に在庫品課あるいは監査局等において取扱つておる面におきましては、その面をはなはなはだしく極端に現わしておるのであります。一例をあげまするならば、近來安定本部に情報を提供しても、それはだだビジネス的に取扱うだけであつて、実際上にこれを摘発し、誠意をもつてこの目的を達成するというような面が一つも見えてこぬことであります。それが証拠には、過去の隠退藏物資等の委員会におきまして、当時監査局長並びに和田長官より、当時の情報の数を二百幾通と聽いておりまするが、その後処理状況を見ておりますと、まつたく遅々としてその成果を收めておりません。地方安定局におきましても、やや同等の感が深いのであります。從つて一般國民の中には、せつかく國会の中に隠退藏物資等に関する委員会ができて活発なる行動をとるものと期待しておつたところが、それに反して安定本部の行動が、今申し上げたような結果において非常に惡い面が見えてきき、國民の信頼は安定本部にあらずして、率直にこれを摘発してくれるあるいはG・H・Qないしは第八軍関係のそれぞれの機関に申し出た方が、効果から言つても、報酬の点から言つても、きわめて敏速にいくという観点から、安定本部へ情報をもちこむことが非常に少くなつたことは、お調べになればただちにわかることであります。現にここにおられる加藤委員長が、昨年板橋における銀の摘発にあたりましても、事実上その品物は連合軍にもつていかれておる。しかしながらこれの報奬すらもどういう過程においてこの人々に支拂うべきか。あるいは支拂わざるものかというはつきりした結論を見出していないから、二、三日前の新聞紙上にも発表されたように、その情報提供人はこれを告訴しておるというような面に徴しても明らかであろうと思うのであります。私は、少くとも、現在の安定本部がその微弱性を遺憾なく現わしてきましたのは、非常に政府の熱意の足らざる面と、一つは、自分らがやつてみても、何をやつてもうまくいかぬというようなことから、力がそげてきたのではないかと思いますが、総理大臣は、安定本部におけるいわゆる官吏の氣持の墜落をばいかにして收拾し、今後の不当財産処理委員会の進展過程において熱意をもつてこの目的達成に答えられるつもりか。この二点を明確に伺いたいと思います。
  53. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 関連して。私は隠退藏物資に関連して総理大臣にお尋ねしたいと思うのでありますが、最近、特に農林省、あるいは商工省の石炭廳において、隠退藏物資がもし地方にあつたときには、これを局長が許可いたしまして、そうして地方の物資の買付を命じておる事実があります。また農林省においても、農民の報奬物資の買付のために、農林省の認可を受けて地方において買付をしておる事実も、調査が明らかになつておるのであります。私の考える範囲内におきましては、この隠退藏物資は、経済安定本部においてこれを摘発し、あるいは地方安定局において摘発しまして、それを復興公團に引渡し、復興公團から正規なルートをもつて一般のそういう團体なりあるいは業界に渡される、こういうようになつておるのが当然なルートであると私は考えておるのであります。しかるに石炭廳は、石炭の増産のために、経済安定本部の方からの正規の手続をしておつたのでは炭坑夫に配給する物資が間に合わないからということで、石炭廳が勝手に指令を出して地方で買付けておる。農林省は農民に配給する数字はあるけれども現物をつかんでいないということで課長あるいは局長において買付をやらしておる。こういう流通秩序のルートの乱れるようなことを政府みずからがやつておるのでありますが、そういう点に対しては総理大臣はどういうお考えをもつておるか。現在局長並びに課長の発しておるこの買付指令なるものを正当と認められるものであるか。またそれは違法なものであると認められるものであるか。この二点についてお伺いいたします。
  54. 片山哲

    ○片山國務大臣 中野君の第一の原君の問題のような事件についてのお尋ねでありますが、これは、はなはだ望まないことでありますが、かりにそういう問題が再び起るようなことを想像して見ますと、檢察廳がぜひとも、わが國の犯罪捜査の上から、及び治安維持の上から、さらに尊法精神の徹底というような上から、どうしてもやらなければならない手続であるとして申し出してくる場合においては、万やむを得ないと思う次第であります。すなわち、一面において議員の立場を尊重しなければならないのでありますけれども、一面においては、國民全般の幸福のために、犯罪捜査、犯人の取調、檢挙というような問題も相当嚴重にやつて、わが國の法治國たる秩序を維持していかなければならない。この二つの問題をにらみ合わせていかなければならないのでありますから、それらは実際の問題に照し分わせまして十分に考えていきたいと思うのであります。その手続の問題でありますが、あるいはこれを裁判所の手に移して、裁判所から要求することが至当でないかというような御意見が大分あるようでありますし、実際どう取扱つていいかという純法律的な手続問題ですが、議員の犯罪を会期中においていかにして檢挙し逮捕するか、その手続の問題については、議員諸君の意見を十分に考慮いたしまして、なお一致と法律問題として檢討さすことにいたしたいと思います。これらは、実際問題とは別に、法律問題、訴訟法上の問題と申しまするか、檢挙手続上の問題といたしまして研究の余地を残しておきたいと存じます。第二の安本の機構に対してはなはだよからぬことがあるとか、複雜であるとか、官僚的であるとか、中にはなはだよくない者がある、こういうような御意見でありまするが、これらの問題は十分取調べの上でないと何とも申し上げられませんが、安本の機構についていろいろ御意見がありまするならば、今度できまするところの行政機構を根本的に改革いたしまする審議会を設置いたしまして、諸君の意見を十分に伺う、こういうことにしておりまするから、この機会にひとつ十分に意見を御発表願いたいと思います。そしてこの建前をいかにしたならばいいか、國家全般の行政機構の相当思い切つた根本的改革をやりたいと考えておりまするので、各方面の御意見を十分取入れて研究するつもりでありまするから、どうか諸君も遠慮なく御意見を出していただきたいと思います。  なお具体的にだれがどうしたとかいうようなことは事実をあげていただきまするならば、よく調査いたしまして、どしどし惡いものはやつつけます。その点は十分に決意をもつておるのでありまするから、諸君の御協力をまつて政界刷新、官界の刷新に進みたいと思つております。
  55. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 隠退藏物資を農林省や、あるいは商工省の石炭廳におきまして、——農林省は主として農民の供出報奨用物資を獲得するためにそれから林野局は主として地方の林野局におきまして、薪炭に必要なる配給物資を獲得するために、その数字だけで実物を握つておらないから、そこで局長名や課長名で勝手に指令を出して報奨物資を買い集めておる事実がある。それが場合によりましては隠退蔵物資をめぐつてブローカーが介在し、局長が認可したのであるということで、この隠退藏物資を故意にいろいろ妨害して、そして正規なルートに一部を載せて——かりに五千反だけ隠退藏物資があるとすれば、三千反だけ農林省あるいは石炭廳の正規なルートに載せて、あとの二千反をやみに流すということをブローカーがやつておる事実があります。この石炭廳の発しました指令に基きまして京都の事件が起きておるのでありますが、局長や課長が勝手にその指令を出しておるのか。あるいは経済安定本部と連絡をとつてつているのか、その点であります。私の考えるところにおきましては、隠退藏物資は安定本部あるいは地方安定局がこれを摘発して、それを復興公團に入れて、正規なルートに載せて配給することになつておると思いますが、各省内におきまして、郡雄割拠して、課長が勝手に判を押して出しておるということは、正当なことであるかどうかということであります。
  56. 片山哲

    ○片山國務大臣 今佐竹君の言われましたことが事実といたしますれば、もちろん不正であり、許すべからざることであります。それらはよくひとつ調査いたしたいと思います。なお係り政府委員がこれらについてあなたの方へお答えするようにしたいと命じておきます。
  57. 中野四郎

    中野(四)委員 私のお尋ねに対するお答えの焦点がはずれておるようですが、重ねてお尋ねを申し上げます。第一の点は私の言葉が足らなかつたかもしれぬが、片山総理は國会において総理大臣に御当選のときにも、その後の二回の施政方針を通しまして、精神の作興、道義の高揚、すなわち高度民主主義を説いて、あくまでも憲法の精神を尊奉するということを固く誓つておられるのでありまするが、憲法の第一條並びに第五十條に照らしてみましても、國会開会中に國会議員を逮捕せしめるがごとき、いわゆる承諾を得たいという総理大臣の信念に私は憲法を蹂躙するような意向があるのではないかということを疑うがゆえに、お尋ねを申し上げたのであります。さらに第二点におきましては現在安定本部の吏道が非常に頽廃して、從つて熱意がないのでありますから、國民がこれに期待しないという結果になつてきたのであります。この熱意をいかにして展開せしめこの目的達成の過程に入れられるかということを伺つたのであります。この二つの点についてさらにお答えを願いたい。
  58. 片山哲

    ○片山國務大臣 第一の点は先ほどもちよつとお答えした点の中にあるのでありまするが、議会を尊重し、議員の地位を十分に保障して議会政治の高揚をはかつていかなければならないということは、言うまでもありません。しかし一面において國家の治安を維持し、犯罪捜査という点においても、また考慮していかなければならぬ。この二つの問題が重つてくる場合に絶対議会主義、議会政治高揚ということになると、どんなことをしても議員は会期中においては全然犯罪から関係なく、捜査面から別個に取扱われるということになりますけれども、わが國の法規はそうではない。やはり議院の承諾を得れば議員といえども逮捕することができる、こういうことが許されておるのでありますから、この問題を調和して取扱つていかなければならない。この意味において二つの問題を政治の常識と経驗とに照らして、かつまた國家の治案を維持するという面から考えまして、あるいは会期中においても萬やむを得ざる事情が発生し、それが正当なりと考えられる場合においては、先般のような問題も今後出てくる場合なきにしもあらず、こう考えるのでありまするが、もちろん濫用は愼しむべきである。やたらにそんなことをやるべきではないのみならず、その手続においてもさらに愼重を期するために、裁判所がやつていいのか、だれがやつていいのか、それらの問題はなお檢討の余地がある、こうお答えしたのでありまして、ピントははずれていないつもりであります。第二の問題については中野君の御心配と私とまつたく同じであります。赤心誠意を被瀝いたしまして、吏道の性根の入れかえと申しますか、根本的印新に努力いたしたいつもりでありまして、はなはだその点において力足らざる点があつたのではないかと憂えておるのでありまするが、最大の努力を拂いまして、精神高揚、官吏の國民公僕観念に撤するべく努力いたしまして、殊にこういう経済問題にたずさわつておりまするところの一般官吏に対しましては、嚴にこれを戒告いたしまして、万遺憾なきを期したいと考えておる次第であります。
  59. 高橋榮吉

    高橋(榮)委員 中野君の質問に関連して、議員の逮捕の問題ですが議員の身分保障と治安維持の関係を円滑に調整して、憲法擁護上支障のないようにしたいというような総理大臣の御意見でありまして、非常にこれはいいお考えだと私は拜聽した次第でありますが、そうしますと逮捕許諾の請求がありました場合においては、その事件の内容とか、事件の軽重とかについて詳しくお調べになつて、はたして議員の身分保障の特例としてこれを國会に要求しても差支えないかどうかということを愼重に御研究になつた結果お出しになることになるのでありましようか、その点をお伺いしたい。
  60. 片山哲

    ○片山國務大臣 議員の地位の十分尊重しなければならないという建前から申しまして、手続をして來たからといつてすぐに右から左へと素通りに通して請求するというような、機械的な働きはいたさないつもりであります。愼重に考えまして、議院の立場も考え、治案の維持も考えて、これは万やむを得ないというふうな、こういうような態度をとつて愼重を期したいと思つております。
  61. 高橋榮吉

    高橋(榮)委員 そうしますと事件の内容をお調べになるのでありますから、たとえば先般の原前代議士の場合のごときでも、原君の犯罪内容につついは詳しく御研究になつて後に、檢察廳からの要求を至当として、ああいうお手続をおとりになつたものと思うのでありますが、そういたしますと、將來原君の事件の進展如何によつては、その御請求のお手続が軽率のそしりを免れなかつた、具体的にいえばもし檢察廳で起訴をしなかつたかとか、裁判所において無罪の言渡しがあつたというふうな場合においては、やはり相当の御責任をお感じになるものと承知してよろしいのでありましようか。
  62. 片山哲

    ○片山國務大臣 高橋君のただいまの御説明を私の考えと違つておるのでありまして、犯罪の結果どうなるかということは裁判所がきめるのです。裁判所が内容を十分調査いたしまして、証拠に照し合わせまして判決を下すのでありますから、これは裁判所の自由なる判断に任せなければしようがないので、今ここで何とも言えないと思います。ただ手続をとりましたゆえには、証拠湮滅、犯罪捜査、起訴の前提として檢察廳がこういう事件は起訴しなければならない、こういう事件については起訴の前提としてさらに本人を逮捕して調査しなければならない、こういう申出を訴訟手続上どうしてもとらなければならない、万やむを得ざる方法として認めたということになるのでありまして、犯罪の結果について責任を負うわけいはいきません。また負うべき筋合ではないのでありまして、檢察当局が犯罪を捜査する、訴訟上必要なる手続に承認を與え、その手続について國会に要請をした、こういう訴訟手続上の過程として必要なる手順をとつた、こういうふうに御了解を願いたいと思います。
  63. 高橋榮吉

    高橋(榮)委員 今の総理の御答弁は法律上の責任の問題の御答弁と思うのであります。法律上総理に御責任がないこと、裁判所においてどういう判決をしようと、また檢察廳で起訴しようとすまいと、それは法律上の御責任はないということは私も法律家の一人としてよく存じております。しかし首相の政治的の責任すなわち現在の憲法によつて議員の特権が裏書されておりますが、その議員に対して、いやしくも逮捕を請求されるについては、愼重にその事件の内容を御檢討にならなければならない。これは御檢討になるとおつしやつた從つてそこにはたしてこの事件の見透しがどうなるかというくらいのことは、法律家の片山総理大臣としてよほどお考えになつた結果でなければならない。愼重に御研究になつた結果でなければならないのでありますから、その見透しにして誤つたということになりますれば、そこに程度の差違はありましようけれども、責任問題が生ずると、私は信じます。いやしくも裁判所の判決なるものは、これは個人個人の裁判官の意見の集りではありますが、それが判決になつて確定した場合においては國家の意思表示であります。われわれは檢察廳内部のことはよく知りませんが、檢事が起訴して無罪になつた場合においては、その檢事はいわゆる黒星というものをもらつて、出世の妨げになる。その檢事の在任中に二度無罪が出たら檢事正にはなれないというような話さえ私ども聞いているのであります。檢事が確信をもつて起訴した者が裁判所においてどういう判決になろうと、それは法律上責任はないのでありますけれども、檢事すらそれくらいの責任を負う。いわんや総理大臣がこの憲法保障の特例を破られることについて、軽々に無罪になるがごとき、まだ不起訴になるがごときこういう事件に対して、特権の垣をお破りになるような手続をおとりになるについては、われわれはそこに程度の差違はありましようけれども、多少とも責任をおとりになるべきである。それほど愼重にこの手続をお進めにならなければならぬ。しかるにかかわらず、不起訴になろうと、無罪の判決があろうと、何らそれに政治的に責任を感じないと言われるに至つては、議員の身分保障に対して、憲法に明記しているほどの尊重の念をおもちになつていないのだと解釈しても差支えないように思いますが、首相の所見はいかがでございましようか。
  64. 片山哲

    ○片山國務大臣 実は高橋君の今のお尋ねの点は先般の運営委員会において相当長時間にわたりまして委員諸君の御質問があり、私もお答えしたのでありまして、むし返えしてそれを審議いたしましても、ただ重なるだけじやないかと思うのであります。あと意見の相違になりますので、私といたしましては眞に國家全般の問題を考え、犯罪捜査と治安維持の問題と議員の地位の保障という問題とをにらみ合わせまして、各般の事情を愼重に考えてあの要請をいたしたような次第でありまして、法律上ともつかず、政治上ともつかないかもしれませんけれども、犯罪捜査の必要のためにとらなければならない手順として要請をいたした、こういうことに考えている次第であります。それが故意に政略的に議員の地位を無視してやつたというような場合においては、結果に從いまして責任を負わなければならないと思いますけれども、ただいまのところにおいては他意なく、眞に訴訟手続上必要なる方法、手順である、こういうつもりでありますから、今からその責任問題をそう檢討することは、あまり先のことを心配し過ぎるような氣がいたしますので、あとの問題はひとつ別個の問題として御考慮願いたいと思います。     〔発言する者多し〕
  65. 加藤勘十

    加藤委員長 靜粛に願います高橋君、ちよつと注意しますが、時間がありませんので重複にわたらぬように簡單にお願いいたします。
  66. 高橋榮吉

    高橋(榮)委員 総理大臣からこれ以上御答弁を要求しようとは思いません。しかし先日の運営委員会に私も傍聽しておりましたが、あのときの首相の御答弁は、あたかもただいまおつしやつた機械的に判を押したものであるという感じを受けたのであります。すなわち檢察廳は信頼すべき日本の制度である、その檢察廳から捜査上必要があると称してやつたのであるから、慣習上その他から檢察廳の見解を信じて自分は取次いだのだと、あたかも機械的であるがごとき御答弁があつたものですから、私はけしからんと思つてただいま質問したのであります。ところが本日においては内容をよく檢討した上に手続をしたと言われるから、その責任問題が生じてきはしないかというふうにお問いしたのであります。その責任問題についても運営委員会においてはピントがはずれた質問をして、総理大臣から政治的責任に対する確固たる答弁を得なかつたので、私は傍聽しておつたはがゆかつた。それでただいま質問した次第であります。しかしこれ以上質問しても、総理外臣としてその責任問題に対して的確なる御答弁はないものと思いまするから、私はこれ以上質問しません。要するに私どもは今後中野君が予想されておるようないろんな事態が生ずるかもしれませんが、その際にはどうふロボツト的な手続の取次ではなくして、眞に内容を檢討して、逮捕請求の必要があるかどうかということを総理大臣の責任において御決定の上に、議会に御請求あらんことを望んで、私の質問を打切ります。
  67. 加藤勘十

    加藤委員長 田中君。なるべく重複しないようにお願いいたします。
  68. 田中健吉

    田中(健)委員 二点について総理大臣にお尋ねいたします。不当財産取引事犯に対して委員調査いたしまするが、委員会の問題としてきまつたものを調査するということを先ほど委員会決定いたしました。そこで委員会に提起する前に、委員がある程度の必要なる調査をいたさなければならないのであります。從つてこの場合において、やはり政府が中央、地方の官廳に協力せしむることが絶対必要であるけれども、委員会にこれから提起するという問題があつて委員調査する必要があつた場合に、これを協力せしむるつもりであるかどうかという点、さらに関連して、委員会にもこの点についてやはり政府に協力すべきことを要求する必要がないかという点、次に日にちは忘れましたけれども、先般の閣僚懇談会において、不当取引事犯に関係のある者が政界人の四十名ほどおるということを司法大臣発言いたしたと聞いております。そこで総理にお尋ねいたしたいと思いますが、そういうことがあつたかどうか。もしありとすれば、いかなる不当財産取引事犯であつたかという点と、その関係しておるという三十数名あるいは四十名の政界人の名前を御発表願いたいと思います。
  69. 片山哲

    ○片山國務大臣 第一の問題は、委員今の決定前に委員が個々に政府要求することができるかというのですか。
  70. 加藤勘十

    加藤委員長 いや、そうではなく、委員会課題なつた問題については、委員会責任において委員各個が調査することは当然であるし、そういうぐあいにこの委員会ではきまつた。その場合に政府機関が全部挙げて協力することは当然であるが、委員会課題として提出する問題について、提出以前に委員個々が調査をする場合、政府機関、すなわちいろいろな官吏が協力すべきものと思うが、その点に対して総理大臣は協力させる意思があるかどうか。こういう点の質問です。
  71. 片山哲

    ○片山國務大臣 委員諸君がばらばらに各官廳に個々に御要求なつた場合に、あつちからも、こつちからも要求が出てまとまりがつかず乱雜になつてかえつて結論が得られないというようなことになるのではないかと思いますが、これらの運営に関しましてはできるだけ御便宜をはかるつもりでありますから、委員長を通じたり、あるいは理事の諸君などとよくお打合せを願いたいと思います。できるだけ御便宜をはかる。こういう総括的なお答えを今日いたしておきたいと思います。  第二の点は、閣僚懇談会でそういう話があつたかどうかということですが、とにかくまとまつてそんな話を聽いたことはありません。そういうような正式な話は一つもないということをお答えいたしておきます。
  72. 田中健吉

    田中(健)委員 ただいまの総理の御答弁は曖昧ではなはだ遺憾に思う。先般原事件の問題について議会運営委員会において、工藤委員から、司法大臣に対して質問がありました際に、閣議においてそういう発言をしたという話があるが、司法大臣どうだと聽いたところが、司法大臣は閣議において発言したのではない。閣僚懇談会において発言したと言つておる。それは速記録を調べてみればわかる。今、総理大臣はそんなことがあつたかなかつたかわからないと言われるけれども、司法大臣ははつきり閣僚懇談会においてと言つておるのです。だから私は総理大臣に対してそういうことがあつたかなかつたかということを聽いているのです。
  73. 片山哲

    ○片山國務大臣 今司法大臣に聽きますと、閣僚懇談会において、茶飲み話としてあつたそうですが、私は記憶にありません。聽いておりません。茶飲み話として話があつたとしても、その内容は申し上げるわけにはいかないと思います。
  74. 田中健吉

    田中(健)委員 まことにもつて不遜きわまる話と思います。一体三十数名の政界人の不当取引事犯に関しまして、茶飲み話でそういう話をしたというのは何たることです。茶飲み話では通らぬ。そのことが傳わつて芦田総裁がああいうことを言つたりしておるのじやないかと思う。そこでそういう点について茶飲み話だと言つて打消すつもりでおるのか。それとも茶飲み話だけれども、ちよつと言えないというのか。その点が曖昧ですから、もう一遍明確にお願いいたしたい。司法大臣が閣僚懇談会において発言した通り、政界人に三十数名ないし四十名の不当財産取引事犯に関係のある者があるとするならば、本会議において決議したところのこの委員会の設置の本質に鑑みて、まずもつて委員会がこの問題をやらなければならない。そういう意味において総理大臣に御質問申し上げておるのであるから、そういうあいまいなものではなくして、もう少ししつかり答弁願いたいと思います。
  75. 片山哲

    ○片山國務大臣 ただいまお答えいたします通り、私が記憶がないほどでございますから、重要な発言でもなく、ごく軽い発言でありますので、さらにそれを聽きたければ司法大臣がお答えします。
  76. 伊藤恭一

    ○伊藤(恭)委員 本不当財産取引委員会は、政界を淨化し、官界を淨化し、財界を淨化するための委員会であつて、ただ單なる隱退藏物資の摘発のみに限らないということは、今度新たに発足した原則であります。この政界を淨化するためには、あくまでも超党派的にやらなければならない。しかるにわれわれの感じといたしましては、どうもそこが合理的に超党派的にいかないで、ややもすれば感情的な分子が加わつてくる。これはわれわれといたしましてはやはり自分の党を守るというようなことに傾いたならば、國民がうなずかないと思います。たとえて申しますと、原侑君の逮捕問題にいたしましても、もちろん憲法においては身分の保障をせられております。しかしながら國民一般の感情といたしましては、代議士なるがために、そういう條件の地位を利用してそれを逃れるというような感じを國民が多数にもつております。そういうような点から申しましても、やはり自分の党を守るというようなことは拔きにして、あくまでも合理的にもつていくことが当然である。同時にまた官界を淨化し、財界を淨化するためには、下療であろうとだれであろうと、政府としてはやはり勇敢にこれを協力させることが当然必要であります。そういうような意味から言いまして、委員長最初に申された通りに、あくまでも超党派的にやることは当然である。官界を淨化するために、あくまでも勇敢に、感情を捨てて、合理的に紳士的にやつていただきたいということを私は提議いたします。
  77. 加藤勘十

    加藤委員長 今伊藤君から御発議になりましたような事柄は、すでにこの前の委員会において私から申し上げた通りでありまして、今日たまたま議論が身近かな問題に起つておるために、その問題に関するそれぞれの立場からの意見が出ましたが、決してこれは党派心から出た意見ではないのでありまして、原君の問題が多く論議された点から、いかにも身近かな党派的な心持で発議されておるように聞えますけれども、決してそういう一方に片よつた考え方ではないということ、またさらにこの委員会としましては、あくまでも感情を殺して冷靜に事態の眞相を追求していくというところに本旨があること、今伊藤君が述べられた通りでありまして、この点は委員諸君も十分御了承の点であります。  それから徳田君、実は時間が四時までという約束でひつぱつてありましたけれども、もう五時になつてしまいましたから、それをお含みの上でお願いいたします。
  78. 徳田球一

    ○徳田委員 片山さんにちよつとお尋ねします。今度の不当取引の問題であつても、この下請はすべて官廳がこれをやつておるのです。隱退藏でもみなそうです。こういう問題が起るのは、一体何に基因するか。これは官僚統制の腐敗から起つてくる。官僚がこの統制をしつかりやつて、行政をはつきりしておきさへすれば、こんなことは起らないはずだ。これはすべて官僚の腐敗から起つてきておるのである。一切合財そうです。それなのに、今さら吏道をどうするの、精神をどうするのと言つたつて、今腐つておるものを、そんなこと言つたつてできますか、行政機構を改革してどうだとか言いますけれども、いくらそんなことをやつてみたところで、官僚になる者が腐つておる。現にあんたはこういう俸給生活で、実際生活ができないような状態に置いておいて、いかに正当にやれ、いかに熱意を出せ、情熱的にやれと言つたつてできますか。片山総理が少くとも政治家であり、少くとも社会主義を主張せられるその人がそういうことを言われたんじや、それは何のことはない、要するに官僚の受答えと同樣である。無意味な話であると思う。從つて不当財産取引委員会のこの問題につきましては、從來の官僚によらずして、これは官僚それ自体にメスを加えるんだから、それによらずして、新しい方法でやらなければとうていだめだ。官吏はその新しい方向に從つて、新しい機関に從つて、これに手足となつてやるということは、これは別の問題ですが、少くともこの摘発、この問題に審理に当りましては、今民の手を借りなければとうていできません。今までの摘発だつて、人民が摘発して、それを追つかけていつておる。司法省だつてそうだ。共産党が摘発していく。そのあとをみな追つかけておるようなものだ。それ以外に何も能はない。でありますから、この際総理は、こういう問題を官僚ではなしに、新しい機構のもとに、人民の機関によつて処理する意思があられるかどうか。それでなければ、これは実際やろうとしてもほとんど私は甲斐のないものだと思うのであります。
  79. 加藤勘十

    加藤委員長 ちよつと徳田君に申し上げますが、この委員会はあくまでも國会、衆議院の中に設けられた委員会であつて、これこそ行政権にも拘束されず、司法権にも拘束されず、あくまでも立法府の権威において運営していくのでありますから、これに対する片山総理の態度をお尋ねになりまするならば、そのことについての問題でなく、運営に関して政府がどういう考えをもつておるか、こういうお尋ねにしていただきたいと思います。
  80. 徳田球一

    ○徳田委員 そういうわけではありません。それはもう既定の事実でありまして、そういうことをお尋ねしなくもよろしい。今安本が腐つておる。これは安本がどうせやらなければならぬ。また檢察官がやらなければならぬ。司法省がやらなければならぬ。そういう手を使わない限り、この委員会が直接手をつけるわけにいきません。ここでは調査し、審議はするけれども、事実具体的にやつつけていく、いわゆる権力を発動するのは、それぞれの政府機関である。官僚である。官僚統制のゆえにこうなつておるのだ。だからいくらわれわれがガンガン言つてみたつて、官僚が不誠意であることは当然です。だからこの委員会のもとにやられるこういう問題に対しまして、人民自身の機関でやらせる意思があるかどうかを私はお尋ねしておるのであります。すなわち官僚を排除して、官僚を一つの対象として、これに対して大々的なメスを加える。これを摘発する。これをわれわれ自身が審議するとともに、人民の機関によつて徹底的に摘発させていくということを、片山さんは承認なされるかどうか。そういう点に対してどう考えられるかを私は言うておるのであります。
  81. 片山哲

    ○片山國務大臣 委員長の御説明がありました通り、この委員会委員会独自の立場において活溌に最も有効に活動してもらいたいことを私は期待しておるのです。官僚であろうが、人民であろうが、政党であろうが徹底的に諸君が大所高所から公正無私の立場において不正事実を摘発して政界を浄化し、明朗化されることを心より期待して、政府としては十分資料を與え、御便宜を提供して活動に便ならしめたいと思つているのでありまするが、徳田君の言われるように、飛躍してすぐ人民管理に移すということは、今日においては考えておりません。
  82. 徳田球一

    ○徳田委員 問題はそうではありません。飛躍ではありません。今の官僚を相手にはこれはできない仕事なんです。今われわれはここでいくら審議をしたつて、それだけ終つているではありませんか、隠退藏物資つて、今佐竹君が言わりた通り官僚自身が隠退藏物資の買付をやつている。そんなものに隠退藏物資を摘発しろと言つてもできやしない。この不正事件つてそうです。みんな官僚に絡まる。だからこの委員会だけでやれと言つたつてできる話じやない。だから私は何も人民管理を云々と言つているのではない。人民の機関が檢察廳及び安本、そういうものに先行して人民がどんどん摘発していることに対して認められるかどうか、それを認められないというならば、この委員会はほとんど私は効果を上げ得ないと思うからそれを特に言うのであります。
  83. 片山哲

    ○片山國務大臣 私は官僚を擁護しようとも何とも考えておりません。今日の官廳で惡いところがあつたらどしどしと順発していただきたいと思います。その資料はどこから出ようと、この委員会として御採用になれば結構です。委員会が十分に自由に活溌に活動されて、その資料をあらゆる方面からお集めになつて、官僚であろうと、政党であろうと、大いに浄化してその摘発調査をひとつやつていただきたい。こういうことを希望しているわけであります。
  84. 加藤勘十

    加藤委員長 それでは総理に対する質問はこれで一應打切ります。  つきましてはなお司法大臣が残つておりまするが、その前に先ほど來の事項につきまして、決定しなければならぬ事柄は、取上げる問題として世耕事件並びに兵器処理委員会の問題が決定しまして、ついてはどういう方法によつて調査していくかということであります。つきましては世耕事件については現在すでに三回まで公判が進行している状態でありまするから、檢察当局で聽取つた聽取書はもちろん、公判関係の記録も一應嚴密に調査しなければならぬと思いますので、そういう資料を取寄せることを第一に必要とすると思います。それから兵器処理委員会の方はただちに当時の中心人物と思われる人々を証人として喚問してここで証言を求める。こういう順序にしたいと思います。いかがでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 加藤勘十

    加藤委員長 御異議なければそのようにいたします。裁判記録、檢事の聽取書はこの問題につきましてもきよう檢事総長や最高裁判所の事務総長と会つていろいろ打合せいたしましたが、事務的に法務廳を通して行うかどうかという問題が多少残つておりますが、ともかくその書類を取寄せる、それには若干の時間がかかると思いますから、その間兵器の処理委員会当時の責任者というか、中心人物と思われる人を喚ぼうとすれば、元來この兵器処理委員会が構成せられるに至つた原因である当時の内務省の調査部長と小松隆君なる人との契約から発しておるのでありますから、当然この二人と兵器処理委員会構成の二大会社の代表者、これが喚ばれなければならぬと思います。ところが一度に七人も呼んではいきおい証人に証言を求めるのに粗漏に陷つてはならぬと思いますから、私の考えとしては、まず当時の内務省の調査部長と、契約締優の当事者である小松隆君、この二人を呼んで兵器処理委員会構成並びにこれに関する一切のことをまず証言を求めることにしたらと思いますが、いかがでしようか。
  86. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それと同時にそれに関する書証契約書など持つてくるように……。
  87. 加藤勘十

    加藤委員長 それはこつちに來てはおりますけれども、なお持たしてよこすようにいたしましよう。それではまずその二名を証人として喚問することに決定いたして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 加藤勘十

    加藤委員長 そのようにいたします。つきましては次会の証人を喚問して開く期日でありますが、きようが三十一日で土曜日、あすは日曜日ですから四日ぐらいがいかがでしよう。四日ならば十分に間に合うと思います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 加藤勘十

    加藤委員長 皆さんおさしつかえありまんね。これは相当重要な内容に触れていくと思いますから、極力委員諸君は、お差繰りの上で御意席願いたいと思います。それと同時に直ちに事務発な手続をとつて世耕事件関係する関係書類を取寄せることにいたします。
  90. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私遅れたので、あるいはその前にお話があつたかもしれませんが、司法大臣に対する本委員会との協力のことは……。
  91. 加藤勘十

    加藤委員長 まだ出ておりません。
  92. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうするとさつきのような記録の取寄せ、その他先ほどわれわれが檢事総長と話をしたことは、檢察廳に関することで司法大臣に……。
  93. 加藤勘十

    加藤委員長 まだ全然司法大臣には一言も質問しておりません。また直接司法大臣関係することですから、司法大臣が御出席でありますから司法大臣委員会として申し上げて、その御所信なり、御意見なりをお伺いいたしたいと思いますが、実は今日午前中関係方面に事理諸君とともに参りまして、いろいろ今後の委員会運営について協議をいたしてまいりました。  その帰りに最高裁判所を尋ねましたが、裁判所長官がおりませんために、檢事総長を尋ねました。そこに最高裁判所の事務総長に來てもらいまして、檢事総長、檢事次長とも同席していろいろ具体的な問題について打合わせたのであります。その際本委員会檢察当局との関係を実質的にはどういう連絡でもとれるが、形式上の関係は法務廳を通してやるか。あるいは委員会檢察当局と直接やるかということが問題になりましていずれこういう点については一度委員会の代表理事会と最高裁判所当事者と檢察廳当局との間に協議会をもつて具体的な方針を定めようということになつておりますが、差当つての問題としては今の世耕事件調書の問題であります。裁判所は独立機関でありまして、これは檢察廳、法務廳といえどもどうすることもできる機関であります。裁判関係記録は被告か、あるいは弁護人かでなければ書類はとれぬわけでありますが、しかし檢察廳が必要する場合にはもとよりとれるわけでありますから、本委員会としてはその必要なる書類は檢察廳に請求して檢察廳からとつてもらう、その経費は本委員会で負拒するということになると思いますが、そういう手続をする場合に、はたして司法大臣としては法務廳を経過することが妥当とお考えであるか。法務廳を経過することなく直接檢察廳に連絡してよいと思うか、その両者いずれをお選びになろうとするお考えであるか。さらに具体的に早急に調書を本委員会提出していただく方法について御意見をお伺いしたいと思います。
  94. 鈴木義男

    ○鈴木國務大臣 議会は立法府でありまして、司法省は行政府でありますから、立法府と行政府が交渉いたしますのはわれわれのもつております法制の上ではどうしても政務官を通じてやらなければならぬ。犯罪を告発するということでありますれば、直接どの檢事局にお出でになつてもよろしいのでありますけれども、そうではなく意見を徴する、書類を取寄せる、あるいはいろいろの交渉をいたしますことは、すべて政務官を通じてなすべきことになつておりますので、そのために原氏の逮捕状の要求も総理大臣から議会に出していただいたような次第でありまして、今後もその慣例は守つていただきたいと考えております。私まで御要求がありますならば、裁判に支障がない限りただいま公判をやつておりますので、たとえばあすは困るとか、あさつては困るとかいうこともあり得ると思いますが、裁判に支障なき限り、その記録は借用してごらんに入れるようにいたすということを申し上げておきます。
  95. 加藤勘十

    加藤委員長 今司法大臣からこの点についての御意見がありましたが、直接告発するというような場合は、もちろん檢察廳においてやることであるが、そうではなく形式上の資料の取寄せであるとか、あるいは調書の取寄せとかいうような場合には法務廳を通してやつてほしいという御意見でありましたが、これは大体において了承してよろしゆうございますか。
  96. 鍛冶良作

    鍛冶委員 まだ具体的にはいろいろなことがあると思います。
  97. 加藤勘十

    加藤委員長 具体的な点は先ほど申しましたように、三者の連絡委員会を開いてそこできめることにして、一應今の問題は司法大臣の答弁を了承しておくというのであります。
  98. 鍛冶良作

    鍛冶委員 ついでに司法大臣に聽いておきたいと思いますが、記録の取寄せとか、資料の取寄せとかいうことは問題ではない。問題はある程度本委員会で調べまして本委員会は直接の仕事はできませんから、そこで捜査に着手してもらいたいとか、このような手続をしてもらいたいとか、こういう要求で出てくる。そのときもやはり法務廳を通してやるべきか、この委員会から直接檢察当局へやつていくか。これをまず第一番にきめていただきたいと思います。
  99. 鈴木義男

    ○鈴木國務大臣 政治通徳的問題は当委員会におい御解決になるべきことと思います。犯罪に該当するとお認めになりましたならば、これは檢察廳の扱うべきことでありまするから、当委員会の名においてあるいは委員長の名において檢事込長に告発をしていただきたいと存ずるのであります。檢事に告発されてもいいのであります。こういう國会の権威ある委員会が告発をなさるのでありますから、相手方は檢事総長にしていただいたならば一番妥当ではないかと思います。
  100. 鍛冶良作

    鍛冶委員 告発というようなそんな固苦しいものでなくて、どうだい、これでやらぬかという程度でやれるものじやないですか。それとも一々新訟法上定められた告発でいかなければなりませんでしようか。
  101. 鈴木義男

    ○鈴木國務大臣 それは犯罪に該当するかしないか明らかでないようなものについては別で頭りますが、委員会の意思決定の問題でありますから、それは二通りあり得ると思います。
  102. 加藤勘十

    加藤委員長 本委員会としては一定の段階まで調査を進めていつたときにどうも、刑事上の疑いがある、こういう場合にただちに告発するか、あるいは材料を生のままで檢察廳に送るか、こういう問題に実際ぶつかると思うのです。今司法大臣の言われるのは、そういうような場合には、この委員会決定した方針に基いて嫌疑十分ありと認定されるならば告発してもらつてよろしいという御意見のようでありましたから、それは本委員会としましても調査を十分にして、これから先は多くの手足を必要とする、檢事なりあるいは司法警察官なり動員しなければ調査はむつかしいが、大体の見当はどうも刑事的疑いがあると思われるときは、それをそのままそつくり檢査廳の方へ渡すときに、鍛冶君のおつしやるのはそれをしも法務廳を通じてやるのか、直接檢察廳へもつてつていいのか、こういう質問なんです。そういう場合に司法大臣としてはどうお考えになるか、こういうことです。
  103. 鈴木義男

    ○鈴木國務大臣 すべて議会からおやりになるのでありますから、刑事訴訟法上に規定してあります告訴告発は直接檢事がやれる。その他は立法府の活動を援助申し上げるわけでありますから、一應司法大臣を通じていただかないと、諸種の点において支障を生ずると思いますから、通じてということに御了承願います。
  104. 鍛冶良作

    鍛冶委員 続いて先ほど政治上の責任ということをおつしやつたその点ですが、こつちが調べぬことでも檢察廳で調べて、法律上の責任はないかしらぬが、政治上の責任があると思うときは、これはやはり向うからこつちへ知らしてもらわなければならぬ。こつちへ移してもらわなければならぬ。その場合もやはり法務廳を通じてやるよりほかないものですか。
  105. 鈴木義男

    ○鈴木國務大臣 その点も同樣でありまして、檢察廳で調べておりまして、これは犯罪ではないが、議会で今不当財産取引調査委員会があつて調べておるのであるから、あの方へ移牒すべきものであると認めましたならば、やはり司法大臣を通じて本委員会に通牒する、こういうことに相なるわけであります。
  106. 鍛冶良作

    鍛冶委員 もう一つ、本委員会調査すると申しましても、手足はもつておりません。それからわれわれは委員だと申しましても、司法警察官の権限をもつておるわけでもありませんし、またかりにそういうことができるといたしましても、一々犯罪の場所に行つて調べたり、物的証拠を差押えたりするわけにいきませんから、これは何としてでも檢察廳なり司法警察官なりの助力を乞わなければならぬと思います。そのときも一々法務廳を通じて、こういうことをするのだから適当な者を出してくれと言つてつたのでは仕事がしにくいように思いますから、私の考えでは檢察廳において本委員会から頼んだらいつでもやつてくれる者を何か特設しておかれまして、それを設けるについての申込みは法務廳を通じてでもよい、特設して、さあきようひとつこれをやつてくれんかといつていけばちよつとやれるというものをあらかじめ用意しておいたら一番よいと思います。それを一々司法大臣言つて司法大臣から檢察廳に命令して、また大臣が任命するということでは仕事ができぬと思うから、これらの点もひとつ考えておいていただきたいと思います。
  107. 鈴木義男

    ○鈴木國務大臣 それは実は私どもの方でもよく考えたのでありますが、いわゆる檢事なり司法警察官なりが、立法府の議員の方々から頼まれれば檢事総長の命令に從つたと同じように仕事をしていくということは望ましいことでありますが、それを司法大臣なり檢事総長なりが承知しておらないで、自由に命令して使うことができるという建前をとりますことは、いろいろな場合に困るのでありまして、そこは決して御不便のないように取計らいまするから、一應文書または口頭をもつて司法大臣を通して檢事、司法警察官に働きかける、仕事を命ずる、こういうふうにいたしたいと思います。そうでないと司法大臣は知らないでおる。そうしていろいろな犯罪捜査が進行する。むろん司法大臣が知らないこともありますけれども、原則報告する建前になつておりますから、結局これは形だけの問題でありまして、文書または口頭で司法大臣を通じて檢事を使う。檢事を通じて司法警察官を使う、こういう形にしていただきたいと思います。
  108. 鍛冶良作

    鍛冶委員 理屈はその通りですが、私とすれば抽象的にこの委員会係の檢事をそれはもちろん法務長官なり、これからできる檢察長官なりから出てくるのに違いありませんので、それを通さずには使えませんが、それができておつたら、具体的な事件が起るごとにそれを通さなくてもよいのじやないか。報告はもちろんしなければならぬ。それはぼくから言わせると檢察廳と法務長官は向うの間柄でありまして、その向うの報告を妨げるものではありません。そうでないとときには困ることがありはせぬか。
  109. 鈴木義男

    ○鈴木國務大臣 事実上は、私どもの方でも專門の職員を置くほど忙しくなるかどうか疑問ですが、このことについて特に受付ける係の人を置くつもりであります。しかし日本全國にわたつてですから、これは問題により、京都に飛ぶか、福岡に飛ぶか、札幌に飛ぶかもしれない。ですから統一的にやはり一應司法大臣を通じてここの議員の方でもそうやつていただくことが望ましい。但し個々の犯罪、ここで取扱つていない問題に捜査ということになれば、告訴なり告発なりして、十分にどこの檢事局でもやれることでありまして、その点はどうぞ誤解のないように願います。
  110. 徳田球一

    ○徳田委員 先ほどはこつちから要求することばかりに関係しておりましたが、そうじやなしに大体不当財産取引に関するようなものがあつたらば、記録を一々こつちにもつてくるということはできませんけれども、大体の概要をここへ司法大臣からどんどん報告してもらわなければ困る。それはいろいろのものがあつて、向うでは調べておるのに、またそれをここでも二重に調べるということでは、非常に手数でもあるし、それで食違うとなかなかやりにくい。だからこういう事件がある、今こういう概要に進んでおるという大体の概要だけはここにどんどん出してもらわないと仕事はできないと思う。(「同感」)そういう点をひとつ積極的にやつてもらいたい。
  111. 鈴木義男

    ○鈴木國務大臣 その点は十分了承いたし、御希望を副いたいと思つております。ただし檢察廳の見込みによりまして、今ちようど大事なところを調べておるのであつて、これを会議会の方を移牒するとちよつと困る。犯罪捜査が坐折する。あるいは祕密が廣く知れわたつて証拠を湮滅されてしまうというような場合には、適当な時機を見はからつて、こちらに通報する。こういうことだけの御了承を得ておきたい、つまり犯罪捜査上さしつかえない限度において通知をする。
  112. 徳田球一

    ○徳田委員 これは今までのような司法省の石頭で考えてやられたんじや、もうことが済んでから來るようなことになる。それでは実際問題にならないだからここはもつと大胆に、概要でいいから、何も証拠湮滅罪なんかの問題にならないように、いよいよ問題にかかつたら確信があつて取りかかるのだから、概要をここに知らしたつて、ちつともあとに有害になるようなことはないと思う。ここは大胆に積極的にやつてもらわぬと仕事はできない。そういう点はもつと司法大臣が大胆になつてつてもらいたいと思います。司法官というものは、私も知つておるけれども、なかなかの石頭で、とうてい度しがたい人間なんです。(笑声)それをその通りにして、そういうやり方でなやつたのでは委員会が愚弄されるだけんだ。だからもつと積極的に委員会の意思を重んぜられまして、委員会も決して無謀なことをするじやない。証拠湮滅をさせるようなばかなことをしたら、委員会は不信任になつてしまう。委員会を信頼して、そういうことはどしどし通報してもらいたいと思うのであります。
  113. 辻寛一

    ○辻委員 原侑君の逮捕要求の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。また原君の問題が、泥試合の傾向があつて困るという御注意もありましたが、どうかひとつその誤解がないように願いたいと思います。原君は離党はいたしましたけれども、自由党におりました。創立以來の友人であります。しかもその青天白日であるということを当人が言うておりましたが、かりにもあれだけの大きな問題が起りまして、いろいろな迷惑をかけたという点におきましては、われわれもそのつながる一人といたしまして、申しわけないと思つておる。できるならばこうした問題は出したくないと思いますが、しかしながらここが超党派的に行かなければならぬ点で、私どもは涙をのんでこの問題に関連する問題を追及せんとするわけでありますから、どうかわれわれの立場を御了解いただきたいと思うのであります。これについてお尋ねしたいと言いまするのは、結局この委員会におきましてわれわれが政界なりあるいは官界なりの不正の事実をいろいろ調査しまして、もし犯罪の疑いがありますれば、結局御厄介にならなければならぬのは檢察廳でありまして、その元締たる司法大臣の態度について腑に落ちぬような態度があつてはたいへんだと思いますので、それについて司法大臣の根本的な態度をひとつお尋ねしておきたいと思います。それは一月二十五日の朝日新聞に出ておつたのでありますが、去年の暮れ当時は社会党の代議士であられました本藤恒松氏に対して、物價統制令違反の容疑者として、長野地方檢察廳から東京高等檢察廳及び最高檢察廳を通じて、鈴木司法大臣のもとに同氏の逮捕許諾を衆議院に求めるよう、正式に申請がきたということが出ております。それとともに鈴木司法大臣は、この申請に接するや、ただちに本藤氏に対して、貴殿は衆議院議長の手を経て逮捕命令が出るかもしれない。こういう趣旨の手紙を出されたということが出ておつたのでありますが、これは一体事実でありますか。すなわち長野檢察廳から本藤氏に対する逮捕許諾方の申請があつたかどうか。そうしてまたそれに対して、今申し上げたような手紙を出されたことがあるかどうか、これをまずお尋ねいたしたいと存じます。
  114. 鈴木義男

    ○鈴木國務大臣 その問題は当委員会の問題でないと私は思うとともに、本藤氏の名誉に関することでありますから、かかる公開の席でお答えすべき範囲に属しないと思います。新聞に出たのはどういうところから出たのか存じませんが、本藤氏自体が語らなければ現われないようなことが出ております。私は不思議に存じております。私としては公開の席ではお答えいたしたくない。
  115. 辻寛一

    ○辻委員 すると新聞に出ておりました記事に対して、この場合それが事実であるかどうかということもここで言うことをはばかる、こう仰せになるのですか。
  116. 鈴木義男

    ○鈴木國務大臣 そうです。
  117. 辻寛一

    ○辻委員 それではまたしかるべき機会においてお尋ねいたすことにいたします。
  118. 高橋榮吉

    高橋(榮)委員 関連してですが、今の司法大臣の御答弁はおかしいと思う。第一本藤代議士の名誉に関することだからここで言えないと言われるし、またこの問題は当委員会で議すべき問題でないと言うが、これは私は違うと思う。すなわち不当財産取引調査特別委員会設置に関する決議の中にあるように、日本経済の復興に有用な一切の物資の処理とか取扱いとか、取引とか、また現在しない物資の虚偽の賣買とか、その取扱いとかのことについて調査を行う使命を有しておる委員会なのであります。すなわち本藤氏の関係事件は日本の経済復興に最も必要なる物資のやみ取引事件だというふうに聞いておる。しからば本委員会の檢討の目的になることはこれは言うまでもないことでありまするし、とにかく現在日本の終戰以後ありとあらゆる物資はすべて日本の経済復興に資するものでありますから、何も、どこから來た文章か知りませんが、こういうこまかい規定をする必要はない。要するに日本のためになる、日本國民のためになるものであつたならば、すべて取上げて改界淨化のために本委員会において論議すべきものだと思いますから、本委員会議題外の問題であるという、調査範囲外のものであるという司法大臣の御答弁は適当でないと思います。それから公開の問題でありますが、これはもし司法大臣の今の御答弁のようであつたならば、本委員会は終始祕密会でなければならない。たびたび言われるように、すべてが日本の現在の淨化を目的とするものでありまするので、どうしてもそこに人の名誉、信用というものが附随してるのでありますから、それならば公開というものはほとんどないことになるのでありますから、これはその程度によつて祕密会にしなければなりますないけれども新聞紙上に現われておりまするこういう事件については、もうすでに起訴にもなつておる事件と承つておる以上は、相当公知の事実と言わなければならない。從つてある程度これを公開委員会で御発表になつたところで、決して本藤代議士の名誉とか信用とかを傷つけることにまでならないと私は思うのでありますが、司法大臣の御意見はいかがでありますか。
  119. 鈴木義男

    ○鈴木國務大臣 それは私の言葉が不十分であつたために誤解を生じたと思いまするが、必要があれば本委員会で問題にされても一向差支えないのでありまするが、ただまだ起訴になつておりません。それかに大体檢事局だけで処理し得るとともに、処理したならば終るという見透しをもつておりまするために、当委員会の取扱う範囲にはいつてこないのではないかという私の予定のもとに申し上げたのであります。しかし日ならずして申し上げることができるようになると存じます。
  120. 辻寛一

    ○辻委員 私はこの事件の内容そのものについてお聽きいたそうとするのではありません。あなたの司法大臣としての同じようなる——同じとは言えないが、われわれから見ますると何かそこに同じような状態に置かれておる二つの問題がある。その場合にどういう態度をとるか、その根本的なあなたの御見解が承りたいと思つて、たまたまこれは一つの例として出たのでありますが、そういう個人の御名誉に関するいろいろ複雜なる問題がありますれば、あなたの態度はこれはどこまでもお尋ねをいたさなければわれわれ腑に落ちませんから、しかるべき機会に、秘密委員会にしていただいてもよろしいのでありますから、そういう機会をお與えいただきたいことを委員長を通じてお願いいたします。
  121. 鈴木義男

    ○鈴木國務大臣 そういうふうに願いたい。必ず適当なときにお答えいたします。     〔発言する者多し〕
  122. 加藤勘十

    加藤委員長 ちよつと待つてください。先ほども公開、非公開の問題が多少論議されましたが、本委員会原則として公開、本委員会課題になるまでの間においては、多くの人の信用なり名誉なりに関することがあるから、それをただちに公開の席で問題を取上げるということよりは、一應愼重を期するために、委員長の手もとに出されたものは理事会において審議して、それから委員会に取扱われるという段階になるのでありますが、委員会としては原則として公開で、非公開ということはきわめてまれであるということを御了承おき願いたいのであります。從つて今鈴木司法大臣の御答弁にありましたが、本藤代議士事件の内容はどういう内容か私どもよく知りませんが、しかしすでに新聞紙にも報道されておるというような問題であるならば、私は公開でも差支えないと思うし、それからまたかりに檢察廳でだけ処理し得られる問題にしましても、本藤代議士は議員でありまして、從つてこの議員の問題がかりにもし檢察廳において不起訴という決定を見たにしても、政治的な道義が残るわけであります。そういう問題は当然本委員会において扱うべき問題であるということを、司法大臣においても御了承おき願いたいと思います。
  123. 鈴木義男

    ○鈴木國務大臣 それは十分了承いたします。適当な時期がまいりましたなら、いかなるお問いに対してもお答えを申し上げます。ただ当委員会に臨んでおりまして、司法大臣としてやはり一應御留意を願いたいと思いますのは、先ほど來御発言を承つておると、非常に個人の名誉、信用について重大な御発言が多々あつたのであります。私は非常に意外に存じたのでありますが、これはいずれも確実な証拠を握つて発言なつたのでありますならば、名誉毀損等の告訴が起りましても、十分應戰ができるわけでありますが、もし証拠を握つておらずに名前を指して、いろいろな問題を取上げられますると、重大な問題が起ることになります。そこで私自身もその点については注意しなければならぬ。委員会ですでに取上げられた問題ならば、これは私答える義務があります。まだ取上げてない問題については十分な証拠をもつて、どこへ出ても應戰し得るだけの確信をもたなければ、いたずらに人の名誉に関することは発言することはできないのであります。その点において当委員会は立法府の名誉のためにも指揮されることのないように愼重に御発言願いたい、こう考える次第であります。     〔発言する者多し〕
  124. 加藤勘十

    加藤委員長 ちよつと待つてください。今の鈴木司法大臣の言葉は司法大臣の立場において委員会に御注意くださつた点においては、その御意見は承つておきますが、委員会委員会の独自の権限をもつておるのであります。本日もある方面においては、政界からどんな立場にある人でも、自分たちの仲間から腐敗者、不正者を出すことを不名誉と心得たり恥と思うような考え方があつてはいけない、こういうことをはつきり言明されております。そういう点から言つて、もちろんわれわれは單なる一片の訴えによつて直ちに問題を取上げようとはいたしません。先ほど來申しまする通り愼重なら、しかも冷靜なる考慮の上にこれは取上くべきか、取上げ得べからざるかということを決定した上に取上げるのでありますが、ただ單にまだ問題になつておらぬという例の中に引かれた事柄などにおいて、それがたまたま——今具体的に言えば本藤代議士の問題でありまするが、すでに新聞記事にそういう報道が出ておるとすれば、私は個人の名誉とか、個人の信用とは別個に見るべきであると思うのであります。ですから、その点司法大臣においても、著しく誤解があると思いますから、そういう誤酒のないようにお聽き願いたいと思います。
  125. 鍛冶良作

    鍛冶委員 今委員長から司法大臣に御注意がありましたから、わかつて、おるようなものでありますが、しかし委員長の御注意だけではいけません。私はさつきの司法大臣発言は、本委員会の將來にとつて非常に重大なことだと思うから、あらためてお聽きし、また司法大臣の考えをたしかめておきたい。この問題は檢事局だけで済む問題だと思うから、本委員会でやるべきものでないという。これはまことに重要きわまるものである。今後何事があつても、これは私のところで済むのだから、お前のところでやるなと言うならば、これじや何のためにわれわれがいるかわからない。先ほどから檢事局と連絡してやるということをぶち壞すことになるが、司法大臣は相變らずそういうお考えをおもちになるのかどうか、その点を明確にいたしておきたいと思います。
  126. 鈴木義男

    ○鈴木國務大臣 私閣議に出たいと思つて時間を節約するために、言葉が少くて恐縮であります。そういう意味でなく、もとより檢事局において取調べたことも、これから調べようとすることも、この委員会において同時に問題になり得ることはもちろんであります。今御質問になつたものは、適当な機会にまとめた形において御報告することができると考えますので、今ここで問題にするのは適当でない。殊にある人を、まだ起訴するかしないかきまつておらないのに、これを犯罪的に考える。犯罪以外のことなら一向かまわないのですが、問題にすることは困る。この委員会でも、おそらくどういう問題をお調べになつても、事が犯罪に触れるときまれば、檢事局にお移しになる。この委員会は、その人を強制権を用いてお調べになる権利はなかろうと思うのであります。そういう意味におきまして、問題はいつでも起きるのでありますが、この委員会で調べた結果が、犯罪になるときには檢事局に移し、檢事局で調べて犯罪になるときには、その人の政治道徳的責任を問うために、当委員会の方にお移し申し上げるということになるのであります。これは当委員会の方に、まだお移し申す時期でないという意味を申そうとしたわけであります。
  127. 鍛冶良作

    鍛冶委員 今の釈明で大分わかりましたが、時期とか、方法はわれわれは申しません。それはあなたの方の方の職権で、そんなことを言うておるのではありません。ただこつちできまる問題だと思うから、ここで問題にならぬのだと言われるのは……。今後はそれどころではありません。いやしくも議員の身分に関する問題があつたら、時期、方法等は、われわれは注文いたしませんが、あなたの方から進んでここへ報告してもらわなければならぬと思う。この問題に限りません。
  128. 高橋榮吉

    高橋(榮)委員 司法大臣のお心構えについて、ちよつと私お考え思いたいと思います。司法大臣は純粹の刑事事件としての從來の檢事局の立場にわざわいされておるのじやないかと思う。すなわち從來の檢事局の感じから言えば、不起訴になつた場合は、大体たれ人といえども、その記録を見せろといつても見せない、裁判所で必要な場合も記録の取寄せに應じてもくれない。とにかく人の名誉や、信用を傷つけない。というので、不起訴になつ事件の方のごときは、性対に公程しないということである。すなわち人の祕趣を嚴守されるという立場をとられておつた。これは当然であります。しかしこの委員会は、その祕密を暴露しなければならぬところの委員会である。從來の檢事局の考え方では絶対に律するとこのできない問題である。すなわちどういう問題でも、檢事局なんかに関係した事件で、政治界における淨化作用に資するというふうに材料がある場合においては、進んでこれを提供されなければならない。今鍛冶君は、適当な時期を司法大臣に任すというお話ですが、これはもつてのわかだと思う。そういうことではいかぬのであつて、檢事局、司法大臣のお考えもそれぞれあるだろうけれども、こちらはそういう問題に対して聞知したことがあれば、進んで積極的に事件のいかんを問わず、材料を蒐集する必要がある。何も檢事局の独自の考え、司法省独自の考えで、その時期なんかを決定さす必要はないと思う。要すにこれは破天荒なやり方で、日本人では考えがつかないような委員会なのでありますから、從來のような檢察当局の考え方では絶対にいけない。從來の考え方の裏を行くところの、人の祕密や信用を暴露するところの性質を伴つておる委員会であるということも、私はお含み願いたいと思うのであります。そういう意味において、從來の考え方を一掃されて、とにかく型破りのこの委員会に対して、應ずるだけの心構えをしていただきたい。私どもは人の非をあばいたり、殊に同僚の傷つくことを好みはいたしませんから、なるべく材料の提供をしていただかない方が、私個人としてはいいと思いますが、この委員会の建前としてはそういうような建前であると、私どもは信ずる次第でございます。
  129. 鈴木義男

    ○鈴木國務大臣 簡單にお答えしますが、高橋委員の仰せられる通りであります。
  130. 田中角榮

    田中(角)委員 先ほどの総理大臣の御答弁の中に、司法大臣から聽いてくれということでありましたのでお伺いします。それは閣僚懇談会において茶飲み話の中にあなたが発言したことについてですが、その不当財産解引事犯の関係者の名前をあげられるならば、あげてもらいたいと思います。  もう一つの問題は、現在檢察廳において取調べ中の不当財産取引事犯に関連のあるものは、本委員会に対して御報告をしてもらいたい。それができるかどうか、この二点を伺います。
  131. 鈴木義男

    ○鈴木國務大臣 第二の点についてはできるだけ御協力いたします。御報告いたすようにいたします。  第一の方の御質問は、十二月二十九日であつたと記憶いたしますが、その晩に西尾官房長官の家で社会党出身閣僚が、だれか一人欠席したような記憶がありますが、集まつて食事をともにして、大会に対する諸種の打合せをしたのであります。ご飯を食べたあとで應接間に集まつてお茶を飲みながら、いろいろ大会に提出すべき議案等を話しましたときに、その一番大切の一つの問題が選挙法の改正の問題であつたわけであります。田中委員を御承知のように、今度の大会には政界淨化と選挙法改正促進決議案というものが通過したわけであります。つまりあれが話題に上つたわけであります。それでその際に、すでにこの三十何名という問題は、私の承知したところによると、十二月十日にある方面からある方面に提務せられたる名簿であるように聞いているのでありますが、私はその二十九日の晩に初めて、名前などは自分も覚えておりませんから、從つて言いませんが三十何人ということを申したのであります。芦田外相が和歌山で演説したのは二十一日でありまして、どうか御了承を願いたい。私が言つたので芦田外相がああいう演説をしたというような、まるで物理的に因果関係の不可能なことを申す人がありますが……。そこで今不当財産取引に関連して、筋のよくない金を授受したという人が三十数名示されており、いずれこの委員会の問題になるであろうが、それはいろな党派に関係している。それがいつか自由党だけだと言つたと言われておりますが、私は夢にも自由党だけだと言つたことはありません。そういう筋のよくない金というのはなぜ必要であるかということになると、選挙に関がかかる、結局政界の淨化は金のかからない選挙を実施しなければならぬ。ゆえに今各党が研究し政府もやつて、おりますが、政党ができるだけ金のかからない、あらゆる方面を公営にする選挙を考えようじやないか、それがわれわれの大会における重大な議題でなければならない、こういう話をしたわけであります。そういう話がたしか翌々日の新聞だつたと記憶しますから、二十八日の晩であつたかもしれませんが、えらく変化して傳えられておる。保守党が打撃を受けるとか傳えられた。私はそんな言葉は夢にも言つたことはありません。その会話の中で私は決してある党派だけを考えて申したのではありません。政界全体の淨化、選挙法の改正ということはそういうところから考えなければならぬと思うのであります。それが新聞に載つたときは、いくらか違つて傳えられた。先日明禮さんもおいでくだすつて話をして帰られたその翌日の新聞を見ると、鈴木法相は責任を負つて辞任だとか、あるいは共産党も関係があると言つたということが出ておる。これもまた明禮さん御自身私から聽いてわかると思いますが、私は共産党まで入れてお話しした覚えはないのであります。すべて新聞に載るとそういうふうにいくらかずつ違つてくるのでありまして、新聞記事に対して全責任を負えと言われることははなはだ私としては迷惑であります。事のいきさつはこういう次第であります。
  132. 田中角榮

    田中(角)委員 なきわめて簡單に若干お尋ねいたしたい。私の聞くところでは、四十人ということであつたが、どうしてそれが三十六名になつておるか、この点は私は非常な疑惑をもつております。しかし閣僚懇談会においてそれだけの話合いであつたといたしますならば、それが当然問題になつているので、それは司法大臣報告されておるところの事犯であるとみなければならないと私は思います。そういたしますと今司法大臣がこの委員会にいつか問題になるだろうとおつしやいましたが、私もそう思つております。そこで司法大臣に村してその事犯が報告されておるということは、あなたの発言によつて想像できるのでありますが、現在それが三十名か四十名が事件になつてつて、どういう状態になつておるかということを一つお伺いしたいと思うのであります。それから加藤委員に対してお尋ねしたいと思いますがこの問題は政界淨化の問題に絡んでくる問題でありますので、これをいつ取上げていつこの委員会にもち出すお考えであるかということを承りたい。あまりほかの問題に力をいれてしまつて大事なこの問題に力瘤がはいらんでも困りますので、この点を委員長にお伺いいたしたいと思います。
  133. 加藤勘十

    加藤委員長 田中君に、もう少し議事の進行について注意しておつてもらいたい。その問題が第一にきよう取上げられているのです。だから関係書類を檢察廳、裁判所からいかにとるかということが先ほど來問題になつたので、それは明確に世耕事件に関連する中増根の詐欺事件ということはもうはつきりしておりまして、これはきよう第一に取上げられておつて、その書類が來れば、その書類の基いて、議員なり議員外の多くの人が、ここで証人あるいは議員としての発言を行い、こういう段取にちやんとなつておりますから、その点は明確になつているのです。
  134. 田中角榮

    田中(角)委員 私もそう想像しておりました。
  135. 鈴木義男

    ○鈴木國務大臣 報告があつたかと仰せられましたが、実は私は非常に迂闊でありまして、その問題はある方面から十二月二十二、三日頃私は聞いたのでありまして、それから私の方からそういうことがあるそうだが報告せよと命じまして、報告を聽取してはじめてその事実を知つたわけであります。そういう関係にあることをお答えいたします。
  136. 鍛冶良作

    鍛冶委員 委員長、関連して……本藤代議士の問題は新聞などにも出ている問題でありますから、その方法については委員長と相談せられてからでも構いませんが、可及的に早く報告してもらいたいと思います。それだけ申し上げておきます。
  137. 加藤勘十

    加藤委員長 それでは本日はこれをもつて散会いたしますが、散会に先立ちまして、先ほど次回の委員会は四日午後一時と申し上げましたが、これは証人の出頭を求める関係から——一人は東京に居住されていることは確実でありますけれども、当時の調査部長が現在どこにおられるか明確でありませんので、これを調べますから、万一これに遅れることがあれば、公報で御通知いたしますが、そうでない限りは四日に開く、大体そういう予定であることをお含みおき願いますが、いずれまた正確なことは公報をもつてお知らせいたします。  それから明禮君の提案された問題は、取上げるということに先ほど決定しております。同樣の問題として鍛冶君から新しく提議されるはずでありましたが、これは時間が遅くなりましたので、次回に鍛冶君の方からその経過なり、さらに提議についての御説明を願つて、それから取上げるか否かを決定することにいたしたいと思います。明禮君の問題を取上げるということは決定いたしましたので、これは今取上げた問題と相並行して、適宜政府の必要なる官吏の出席を求めるなり、あるいはこちらから出張して調査するなりいたしますが、その具体的な方法についてもし御意見があれば、次回の委員会までに一つ明禮さんから原案を示していただきたいと思います。本日はこれをもつて散会いたします。     午後六時五分散会