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1948-01-29 第2回国会 衆議院 不当財産取引調査特別委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    委員昭和二十三年一月二十八日(水曜日)議 長の指名で次の通り選任された。       足立 梅市君    池谷 信一君       加藤 勘十君    梶川 靜雄君       河井 榮藏君    佐竹 新市君       武藤運十郎君    山中日露史君       鍛冶 良作君    高橋 英吉君       辻  寛一君    平島 良一君       益谷 秀次君    明禮輝三郎君       村上  勇君    伊藤 恭一君       荊木 一久君    宇都宮則綱君       大森 玉木君    小松 勇次君       橋本 金一君    矢野 政男君       石田 一松君    野本 品吉君       田中 角榮君    平澤 長吉君       田中 健吉君    中村元治郎君       中野 四郎君    徳田 球一君     ━━━━━━━━━━━━━ 会 議 昭和二十三年一月二十九日(木曜日)     午後二時四分開議  出席委員       足立 梅市君    池谷 信一君       加藤 勘十君    梶川 靜雄君       河井 榮藏君    佐竹 新市君       武藤運十郎君    山中日露史君       鍛冶 良作君    高橋 英吉君       平島 良一君    益谷 秀次君       村上  勇君    伊藤 恭一君       荊木 一久君    宇都宮則綱君       大森 玉木君    小松 勇次君       橋本 金一君    矢野 政男君       石田 一松君    野本 品吉君       田中 角榮君    平澤 長吉君       田中 健吉君    中村元治郎君       中野 四郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  委員長及び理事互選  委員会運営に関する件     —————————————     〔大森玉木委員長席につく〕
  2. 大森玉木

    大森委員 ただいまから会議を開きます。  私が年長でありますから委員長の選任せらるるまで委員長の職務を行います。  ただいまより委員長互選を行います。
  3. 梶川靜雄

    梶川委員 委員長の選挙は投票を用いずに、加藤勘十君を委員長に推薦いたしたいと思います。
  4. 大森玉木

    大森委員 ただいまの動議に異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 大森玉木

    大森委員 それでは加藤勘十氏を委員長に推薦いたします。私の職責はこれで終りました。     〔拍手起る〕     〔加藤勘十君委員長席につく〕
  6. 加藤勘十

    加藤委員長 不肖微力なる私に対しまして、満場の皆さんから委員長に御推挙を受けましたことに対しては、私は心の底から感激をもつておこたえ申し上げたいと存じます。私のこの感激は、この委員会運営にあたりまして、眞に至誠、そして勇敢に必ず皆さんと相ともにこの委員会声價を高からしむるように努めたい、こういう熱意と結びついていることを御了承願いたいと思います。  御承知通りこの委員会は、さきにありました隠退藏物資特別委員会運営に関しまして私どもが経驗した点から、どこにどんな欠陷があり、障害があるかということを意識いたしまして、先般公表されましたような報告書となつて現われたのであります。この報告書が相当各方面に刺激を與えまして、それではそういう欠陷障害を取除いて、眞に日本の立直しのために、また日本の近づく講和会議における國際的信用を確保するために、どうしてもある程度残つておる封建的な考え方を一掃し、政界浄化官界浄化並びに政界官界と関連する一般社会浄化が行われなければならぬというような点から、第二回國会招集劈頭において、議長発議により、本委員会設置決議案が通過したわけでありまして、昨日議長から私ども委員指名せられ、今日最初委員会を開くことになつたのであります。  あの決議文の中にもありまする通り、眞に超党派的に、もちろんお互いはそれぞれ党もしくは会派に所属しております。政治的意見の一致によつてそれぞれの党派に所属はいたしておりまするが、この委員会運営にあたりましては、ときには、あるいは大義親を滅する、泣いて馬謖を斬らなければならぬというような事態が起らないとも限らないのであります。そういう場合におきましても、お互いは眞に日本の國の將來のために、勇敢に行動いたしたいと存じます。私もとより微力で、皆さんの熱烈なる御協力なくしては、委員会運営もどうかと考えられまするが、しかしながら、この問題は國民全体の監視のもとに運営せられるのでありまするから、お互いに私ども國家國民將來の運命を背負つたくらいの大きな抱負をもつて、この委員会運営に当りたいと存じます。  ただここで一言お願い申し上げておきたいことは、皆さんがいずれも常任委員会のあるいは理事として、あるいは委員としてそれぞれ分属されておいでになる関係から、ときには常任委員会会議と、この委員会とがぶつかつて、御出席が不可能な場合が、おそらくたびたび出てくるのではないかと存じますが、そういう場合におきましても、その日に扱われる問題の重合性に鑑みて、できるだけこの委員会に御出席願いたいと思うのであります。もし委員会が定足数に満たないで一回でも流会というようなことになりますと、その一回の流会がもたらす委員会に対する信頼というものは、他の多くの功績を打消すおそれすら考えられますので、この点皆さん十分御承知のこととは存じますが、今日委員長挨拶を一言述べさせていただきます機会にお願い申し上げておく次第でございます。すべての運営にあたりましては、いずれ皆さんの総意をまとめて、理事が選出されますならば、理事諸君と協議の上で運営方法、また取上げるべき問題についてもお諮りをいたしたいと存じます。  御承知通り、現在われわれの目の前には議員自身の権威と申しますか、品位と申しますか、世間から疑惑の眼をもつて見られるような問題も現実に起つておるのであります。また先般來、世耕事件に関連してやはり問題が残つておるのであります。さらにまた日本の生産の基礎原料である鋼鉄、スクラツプの問題につきましても、某方面においては、最初日本には七百万トンのスクラツプがあるはずである。しかるに日本政府兵器処理委員会処理せしめようとした案は、百二十八万トンにすぎない、しかして現実に今日まで処理されたものはわずかに八十数万トンにすぎない。この厖大なスクラツプの行方、さらに價格の点におきましても、某方面の計算とは格段の相違があるのであります。こういう事柄についても、嚴粛なる態度をもつて、嚴重に追究されなければならないと存じます。どうかこういう点を御考慮くださいまして、まず最初に取上げるべき問題が、おのずから何であるかということが予想せられると思うのでありますが、どういう問題を取扱うにいたしましても、お互いにわれわれは人間でありますから、感情を全然抜きにというわけにはいかぬでありましようが、少くとも問題の処理にあたつては眞に冷靜に、決して個人的な感情にとらわれたり、あるいは党派感情にとらわれて事実の眞相を曲げるというようなそれのないようにお互いに努めたいものと存じます。どうかこの点をお含み願いたいということを御挨拶に兼ねて元す上げたいと思う次第であります。(拍手)  引続き理事互選を行いたいと存じますが、いかがいたしますか。
  7. 石田一松

    石田(一)委員 從來三十名以内の委員会理事は七名であつたと記憶いたしますが、今までの、昨日解消いたしました隱退藏物資等に関する委員会では、社会党自由党民主党おのおの二名ずつ、小会派に対して一名という理事割当でありましたが、今回は小会派といたしまして全農議員クラブ、もう一つ同志クラブと二つ殖えているのであります。この際この小会派を代表いたしまして七名の定員のところへ二名理事を増員されんことを要望いたします。
  8. 梶川靜雄

    梶川委員 理事定員が問題になつておりますが、理事の数及び氏名はこの際委員長に一任いたしまして、委員長の御指名によつて決定したいと考え、ここに提案するわけであります。
  9. 加藤勘十

    加藤委員長 ただいま石田君から、從來七名であつた隱退藏物資委員会における理事の数を二名増員して九名にしてほしいという御意見がありました。また梶川君から理事は数も氏名委員長に一任せよという御意見が出ましたが、この点につきまして、今事務当局の方に聽いてみますと、國会法にも衆議院規則にも、また法律等にもございませんが、運営委員会において、運営方式として三十名の委員会は六名とするという申合せがなされておるそうでありまして、この前の隱退藏物資委員会において一名を殖やしたということは、他の委員会比率からいくと異例だそうであります。しかしこの点は法律規則にあるわけでありませんから、必ずしも強固に縛られたものであるとは存じませんので、そういう点もお含みの上で、石田君、梶川君の御提議を併せて御考慮の上、これらの点に対する御意見がありますれば御意見を述べていただきたいと思います。
  10. 中野四郎

    中野(四)委員 運営委員会で三十名の委員会は大体六名という申合せをしたということは、ここに石田君もおられますが、よく記憶しておりません。たとえそれがありましたにいたしましても、当委員会は時局柄容易ならざる本質をもつて設立されたものでありまするから、從つてこの委員会性質から考えても、また理事というものの役割委員会運営上には重要な役割を務めるものでもありまするし、過去隱退藏物資等に関する委員会において七名を採用したと同等に、さらに各派の殖えた情勢ともにらみ合わせて、特に当委員会において二名の増員をし九名にすることは、一向支障がないと思いまするので、委員長から各委員の御賛同を得られて、しかる後に運営委員会の方は了承で済むと信じております。どうぞさようお計らい願いたいと思います。
  11. 鍛冶良作

    鍛冶委員 先ほどからの御発言、一理あるとは考えまするが、あまりたくさん殖やすこともどうかと思いまするから、八名ぐらいでいかがであろうかと思います。
  12. 加藤勘十

    加藤委員長 ほかに御意見ございませんか。
  13. 石田一松

    石田(一)委員 この前の隱退藏物資等に関する特別委員会理事は、もちろん六名であつたと思いますが、それが七名になつたというわけは、六名を各党の比率によつて割り当てるときには、社会党自由党民主党に割り当つて國民協同党以下には割り当らない。これを七名にしても八名にしても、比率でいくならばこの三つの党に割り当つて小会派には割り当らないのであります。そういう点から小会派にも一名の理事が要るだろうというので、一名の理事が小会派のために設けられたと記憶しております。その点を御考慮くださいまして、二のの会派が殖えているのだから、ぜひわれわれの要求をお容れくださらんことをお願いいたします。
  14. 加藤勘十

    加藤委員長 ただいま石田君からも御提議があり、鍛冶委員からも大体八名ぐらいということでありましたが、理事委員会においてその数を決定すれば、必ずしも拘束されるものではないのでありますから、その点はここでおきめを願えば結構だと思いますが、ただ理事性質は、委員会運営を円滑ならしむるということが主眼でありまするから、そういう点から見まして、やはり石田君、中野君の御意見によつて九名ということにしていかがでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 加藤勘十

    加藤委員長 それでは理事は九名といたします。互選方法いかがいたしましようか。     〔「委員長指名」と呼ぶ者あり〕
  16. 石田一松

    石田(一)委員 これは委員長指名にもちろん異議ございませんが、小会派割当は三名をいただきまして、まことに我田引水でございますが、われわれの方に一名、あとの二名をわれわれ以下の他の小会派に割り当てる、こういうことにお願いいたします。
  17. 加藤勘十

    加藤委員長 それでは理事委員長指名に御一任を願いましたが、九名のうち決定を見ました七名の委員の方を御指名申し上げます。    梶川 靜雄君  武藤運十郎君    鍛冶 良作君  辻  寛一君    荊木 一久君  小松 勇次君    石田 一松君  他の二名は次の委員会において御発表申し上げることにいたします。御了承を願います。  つきましてはこの委員会運営方法について、御意見がございますればお述べ願いたいと思います。
  18. 鍛冶良作

    鍛冶委員 さき隱退藏物資等に関する委員会で、未だ処置のできておらぬものは、そのままお引継ぎになるものと心得ますが、もしそうだとすれば、まずそれから片づけていただくことおお願いしたいと思います。
  19. 宇都宮則綱

    宇都宮委員 この委員会権限が、われわれ一向わからないのでありますが、隱退藏物資のときの権限と同一のものであるかどうか、今から、あるいは理事でもつて権限をきめるというのか知りませんが、権限の大綱がわかれば御説明願うと、たいへん結構だと思います。
  20. 荊木一久

    荊木委員 今鍛冶君から前の隱退藏物資委員会の未処理の部分を先にという話がありましたが、これは少し考慮を必要とするのではないかと考えます。近い機会において、ひとつ理事会を開いていただきまして、問題の取上げ方について、どういう態度でいくか、一通り相談の上でこの会に諮つていただきたいと思います。
  21. 加藤勘十

    加藤委員長 ただいまの宇都宮君の御意見に対して、この特別委員会権限は、さき隱退藏物資特別委員会権限とは、よほど内容が違つておるわけであります。このことは決議文の中に明記してありまして、その明記してあるところによりますれば、前の隱退藏物資委員会におきましては、主として物の摘発に関して、安定本部もしくは所轄省の行為を監督し、これを調査する。こういう権限しかなかつたのでありますが、今度の委員会は、構成につきましては、すでに御承知通りでありますが、その内容については、念のために朗読いたしますからお聽きを願いたいと思います。一は構成についてでありますが、二から読みます。   二、不当財産取引調査特別委員会昭和二十年八月十四日以降に於ける公有財産(但し軍用物資に限らない)民間保有物資、過剩物資隱退藏物資連合軍最高司令官より日本政府に移管された特殊財産遊休物資、過度の貯藏物資及びその他日本経済の復興に有用な一切の物資処理取扱及び取引並びに現存しない物資虚偽の賣買及びその收益につき全面的調査を行うものとする。   右調査目的は前述の財産に関し直接又は間接に違法に轉換を計り不当に私し又は詐欺を為して國民の信託に背いた公務員、会社、組合その他團体の使用人及び自己又は他人のため活勤する全ての個人責任の所在を調査するにある。   なおこの調査は以上の者と各省又はその他中央地方政府機関との関係國会の両院及び議員との関係並びに政党及び公職にあり又は公職にあらざるも、公然又はかくれて日本  國民の利益及び財産を奪い又は奪うのに寄與し乃至公益に反して行動をなした者との関係調査を含むものとする。   三、不当財産取引調査特別委員会又はその小委員会國会の会期中たると休会宣又は閉会中たると思わず、必要と認めた場合には証人の出頭又は帳簿書類提出を要求することができるものとする。   右に要する経費はこれを支出することができる。  大体これが本委員会権限であります。
  22. 宇都宮則綱

    宇都宮委員 大分長いようでありますが、願わくばそれを委員長に名によつて印刷するか、ガリ版でもかわまぬが、一部ずつ委員会に配付してもらうと、たいへん参考になると思います。
  23. 加藤勘十

    加藤委員長 本來これは召集劈頭議長決議案文を発議しますときに朗揚して速記録に出ておるものでありますゐガさらに念のために御意見に従いまして、これだけを摘出して皆さんにお配りすることにいたします。  それから鍜冶君から御提議があり、さらに荊木君から御提議がございましたが、どういう問題をどのようにして取上げるかということは、理事会において詳細を協議して、その上で委員会に諮つて委員会の承諾を受けるようにする。こういう御意見でありますが、それはそれでよろしうございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 加藤勘十

    加藤委員長 それでは問題の取扱の種類、方法につきましては理事会にお四てこれを協議し、それを委員会にかけて御決定を願う。こういうことにいたします。  つきましては本委員会開会をあらかじめ予定するか、それとも随時必要に應じて開くか、こういうことが残りますが、常任委員会でありますれば、大体開会予定日というものが定められておりますけれども特別委員会でありますから、あらかじめきめるということは困難でないかと存じますから、これは随時必要に應じて委員長召集をするということでいかがでございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 加藤勘十

    加藤委員長 それではそのようにいたします。  この機会に何か他に御発言はございませんか。
  26. 田中角榮

    田中(角)委員 先ほど宇都宮委員の御質問に関連した事項でございますが、これは当委員会発足説明があたつてわれわれの任務を御説明があつたと同時に、われわれの権限にも、はつきりした線を引いていただきたいて考えるのであります。それは世耕事件というものができました経緯を考えてみましても、すぐおわかりになるのでありますが、しかも前國会に取上げられました隠退藏物資特別委員会と同じように、本委員会運営にあたりましては、特に必要と認むる場合は、証人を喚問したり、書類提出をしてもらうことができるということでございますが、これは委員会としての権能をお定めになつたのでございまして、委員そのものは、事件に対して自分一つ根據を見つけますときに、自分の求める書類その他に対して、個人的にもその書類の必要な場合があると思いますが、こういう場合のわれわれ委員会権限に対して明確なる線を示していただきたいと思います。
  27. 加藤勘十

    加藤委員長 ただいま田中君から御提議がありましたが、この委員会はあくまでも調査の範囲を出でないのでありまして、事件なり物資なりを処理する権限はないのであります。この点はきわめて明確であると存じます。もし本委員会調査の結果、事件処理する必要があつた場合には、それぞれ適宜な機関に移牒をして処理せしめるということになりまして、この委員会としては、処理権限はないわけであります。また委員が、委員会決定に基いて行動をします場合には、一人の委員行動においても、それは委員会意思の発動としての行動でありますが、委員会決定しない場合に、委員個人で動かれます場合には、委員会意思とは見られないのでありますから、從つて委員個人で自由に何でも必要ある場合に行うことは、やはり権限逸脱にやることと存じますから、この点はお互いに注意して、そういうことのないようにいたしたいと存じます。そういうふうに御理解を願いたいと思います。  ただこの際一言申し上げておきたいことは、この委員会調査権能を十分に発揮いたしますにつきましては、どうしても委員だけの活動ではなかなか困難でありまして、從つて廣い意味から言うならば全國民的な協力を求めなければならないのであります。從つて皆さんが、あるいは新聞報道機関を通じ、あるいは個人を通じて、そういう資料の蒐集について、國民的協力を求められるように努められることが、委員として職責を満足に果す上から必要なことではないかと思いますが、そういう場合においても、今申したような権限逸脱の疑いをもたれるようなことは、お互いに避けたいと存じます。
  28. 梶川靜雄

    梶川委員 今のに関連いたしまして、本委員会権限並びにその目的は、大体判明しておるわけでありますけれども調査をいたしました場合に、特に今度の場合は、隠退藏物資特別委員会の場合と異なりまして、個人責任を追究するというふうになつております。その責任を明らかにして、その後にそれをどうするかということについては、何ら明確に示されていないのでありまして、その点についても、その際はつきりしておく必要があるのではないかと考えるわけであります。  次に特にこれが、たとえば公務員あるいはその他の公務員に準ずる議員というような者に関して、こういう問題が起つた場合に、この委員会はどの程度まで調査の機能を発揮すべきか、その限界並びにその後の処置をどういうふうに政府に求めるべきかという点についてもこの際明確にしておく方が、今後の活動の上において必要ではないかと考えているわけであります。この点についてお伺いいたします。
  29. 加藤勘十

    加藤委員長 ただいま梶川君から御提議がありましたが、本委員会は、月に二回以上は報告しなければならない義務をもつておるのであります。休会中といえども委員会の経過は議長にまで報告しなければならない義務をもつております。委員会としての調査については、何らの障壁はなく、調査は徹底的にこれを行うことができるのでありまするが、調査から、進んで具体的な事実が出てきた場合にそれをどうするかということは、調査の結果を本会議に報告し、もしくは議長に報告して、委員会委員会として態度をきめる。そうして最後決定は本会議において決定される、こういうことになるわけであります。調査に関する限りは、独自の権限をもつて、どこまでも、何事でも何者でも調査できるわけでありますが、最後処置については、委員会だけがこれを処置するということはできぬわけであります。ただ証人を喚問した場合に、喚問に應じないとか、あるいは宣誓をして虚偽の陳述をしたような場合には、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によつて議長なり委員長なりは、これに対して告発の権能をもつているわけであります。
  30. 梶川靜雄

    梶川委員 その場合やはり調査途上においても、檢察当局との関連性において、非常に問題の起る可能性があると思いますので、司法権と申しますか、特に檢察方面と本委員会との関連性並びにその権限、管轄というような点について、次には、具体的な問題が起つて委員会において調査をし、たとえば腐敗官吏があつたというような場合において、それを本委員会衆議院を通じて政府に対してこの罷免を要求するとか、あるいはしないとかいうことを、ここできめるのかどうかという点も、この際明らかにしていただきたいと思います。
  31. 加藤勘十

    加藤委員長 これは別にその決議文の中にはありませんけれども調査の結果として一つ結論が生れてきたならば、結論に対する委員会態度決定されて、その決定が本会議に報告され、そこで初めて議会の決定となるわけであります。それまでは当然この委員会委員会独自の意思をもつて進むことができるわけであります。
  32. 梶川靜雄

    梶川委員 司法関係の問題は……。
  33. 加藤勘十

    加藤委員長 それはもちろん調査途上ににおいて、司法檢察廳取調べ進行中のものについて、その資料を必要としまする場合には、これは何らかの方法によつて檢察当局取調べ状況を知り得る方法はあると思います。これはこの前隠退藏物資特別委員会理事諸君とその筋を訪問したときにも、述べられた点であります。これはあらかじめ抽象的に論議すべき問題でなくして、具体的な問題が起つたときに初めて問題となる事柄であると思います。こちらからは、当然これこれの事件に、もはやこれ以上の調査を必要としない、調査の結果はかくのごとく事理明白になつたから、檢察当局取調べに任すべきであるという決定をして、國会がこれを承認すれば、國会の名においてそうすることができると思います。
  34. 梶川靜雄

    梶川委員 それならば、その場合において調査をして、その結果に対する効果というものをはつきりしておかないと、本委員会活動の上において支障を來すのではないかと思います。なぜならば以前の隠退藏物資委員会においても、ただ單に物の実在を調査し、しかもこれに対して政治的な解決を與えるといただけであつた関係上、非常に運営上支障を來した。また摘発権能もなく、しかも実質的には摘発のようなかつこうになつてしまつたのであります。前には物でありましたけれども、今度は物と同時に人にも重点がおかれました関係上、やはりその政治的解決と言いながらも、その結果がどのくらい効果を生むものであるか、その点について明確にしておかぬと、將來また支障を來すのではないかとおそれるのであります。この点について、委員長いかなる考えをもつておられるか。また本委員会がどういう調査をした場合に、どういう効果を生むかという点も、明らかにしていただきたいと思います。
  35. 加藤勘十

    加藤委員長 それは今申し上げた通り、抽象的に決定さるべき問題ではないのでありまして、具体的に問題が発生した場合に、その調査の結果について、ただちにこの調査委員会が告発の権能をもつというわけにはいかないのでありまして、そういうことは、どこにもきめられていないのであります。從つて檢察当局取調べに移牒すべきものであるということ以上には、この委員会としては決定できぬわけであります。これをただちに刑事処分に付せよというようなことをこの委員会決定することは、できぬわけであります。ただ十分に事態が明らかになつたから、これを檢察当局取調べに任すべきであると決定されれば、そのことを本会議に報告して、本会議がその委員会の報告を承認すれば、それは決定になるわけであります。やはりこれは本会議に対し責任をもつのでありまして、ただちに檢察当局に対して責任をもつとかいう性質権限はないのであります。
  36. 梶川靜雄

    梶川委員 それならば、問題をもう少し具体的に進めてみますと、たとえば、現在問題になつておる原侑君の場合、この事件内容について調査するのがわれわれの委員会の任務であり、その結果について処理するのは、運営委員会というふうなかつこうになるのでありますか、あるいはまた本委員会において、現在運営委員会において取扱つているような事項も、当然に管轄さるべきものでありますか、この点を例示的にお伺いしたい。
  37. 加藤勘十

    加藤委員長 その点は、まだこの決議文内容には何も決定されておりません。一体ここで決定したことは本会議にかける場合に、一々運営委員会の議を経なければならぬか。私はそういうことはないと思います。この委員会は、本会議において決定されてできたものでありますから、当然この委員会独自の見解を本会議に報告すべきものである。この前の國会法改正の問題は運営委員会取扱うべきものであるから、運営委員会の方に移牒したわけでありますけれども、ただいま例示されたような、たとえば原侑君を中心とする問題のごときものは、事態が明白になれば、そのありのままを本会議に報告する、こういうことになるわけであります。
  38. 鍛冶良作

    鍛冶委員 ちよつと伺います。われわれの調査をしたる結果、ここに犯罪ありとの確認を得ますれば、この委員会からただちに檢察当局調査の結果、かくかくのことがあるからお前らの方でやるべきものだということを言つてよいのじやないですか。それを一々本会議にかけて、本会議で多数決できめるのですか。そうなると仕事ができなくなるのです。たとえば、この間でも、私仙台へ行きまして調べた結果、警察でこういうことをやつておる。警察のやることは間違つておる。檢察当局はどうした。檢察当局はおらなかつたが、安本の管理部長に、君も檢事であるのだから、檢察当局へ行つて話してもらわなければいかぬ、檢察当局でしつかりやつてもらわなければいかぬ、こんな檢察のやり方では困る、こう言つてきました。今の委員長の話であると、私がそう言つてきてことがすでに越権になるのですが、そういうものではないと思う。報告はしなければならぬが、こちらで承認を得たら、ただちにそれぞれの権限ある者に活動を促すということは、この委員会になくちやならぬと思いますが、どうでしようか。
  39. 加藤勘十

    加藤委員長 問題を二つにわけて、あなたのこの間のことは、委員会意思を承けておいでになつたことであるから、委員会意思として、私は決して越権ではないと解釈します。それからあとの問題は、委員会でただちに檢察当局に移牒すべきものであるということを決定されれば結構だと思います。やはり決定をせぬことには、いかないのじやないかと思います。
  40. 鍛冶良作

    鍛冶委員 こういうことで檢察当局活動を促した。これは報告しなければならぬ。それでいいのじやないですか。向うで本会議にかけて、促すものであるとの決定を得てからでないと動かせないのだということでは仕事ができません。
  41. 加藤勘十

    加藤委員長 そうではありません。つまりこの委員会檢察当局にこれ以上ここで調査はできない、だからこれ以上は檢察当局調査にまたなければならぬという場合に、そのことをこの委員会決定すれば、そういうように諮つて、それを本会議に報告して、その承認を求めるということになります。
  42. 宇都宮則綱

    宇都宮委員 今のお話のようだと、非常に手間どると思います。たとえば、軍需物資の隠匿物は全國的に相当各所にあると思うが、中央の委員が地方に帰りましてそれを聽きこんだ場合に、これを一々委員会に諮つて、決議を経たものでなければその調査が進められないということになると、非常に手間どつて、その間にまた物資がどこかに隠れてしまうおそれがあるのですが、あらかじめ一括して、この委員会権限を先に決議しておいたらいかがなものですか。それでないとどこに物資があるが、あれを摘発するについては委員会を開いて委員会で決議しなければ進められぬというようなことでは、たとえば九州とか北海道とかいう場合に、一々ここに帰つてきてそれをやつておるのでは間に合わぬ。委員会で一遍に決議しておいて、そういうものの摘発に関しては、地方に行つたときに、駐在所の巡査あたりを使つて材料を集めさせる権限が附與されない限り、なかなか地方の隠退藏物資を掘り出すことは困難だと思う、帰つて相談せぬでも、あらかじめ権限をきめて決議を先にしておいたらいかがですか。
  43. 加藤勘十

    加藤委員長 ただいまの宇都宮君の提議は、非常に重大だと思うのです。これは便利といえば便利かもわからぬが、やはりそうなると、どうしても個人意思で動きがちになつてしまうのじやないかと思つて、非常におそれるのです。その点はいかがでしようか。
  44. 宇都宮則綱

    宇都宮委員 そうすると、たとえば隠退藏物資をかぎつけたとしても、今度はそれを突き止めておいて、われわれがこつちに帰つてきて、ここにおいて会議を開いておる間に、もうその品物はなくなつてしまう。それが今までの隠退藏物資摘発でも数回新聞に出ていたが、あつたはずのものがないというようなことがあるから、相当な権限を與えておかなければ押えることはできない。これは不動産なら押えられるが、動産はどこにでも持つていけるのだから、それを押える方法を講じてかからなければ効果がないのじやないかと思いますが、いかがでしようか。
  45. 荊木一久

    荊木委員 問題は委員長も相当固く考えておられるようですが、結局この特別の委員会権限の範囲は決議できまつていると思う。その決議を曲げることはできない。決議してはつきりした線が引いてあるから、從つた調査はそれによらなければならない。先ほどの問題の昏迷のくるのは、犯罪の嫌疑ありと認める相当顯著な理由があつた場合に、ことさらこれを檢察廳に移すかどうかということを本会議できめてもらうということは、一般國民がすでに何人といえども、犯罪の嫌疑ある場合には告発する権利があるから、檢察廳にこの問題を移すことは、明らかにこの委員会の当然の権利である。最終処理の問題は、これは決議の範囲外に属することでいかんともしがたいと思います。それからたとえば政治的な含みのあるような問題はあるいは調査の結果を発表しただけでも、場合によつたらいろいろなことがあるかもしれないが、そういうことは、おのずから権限の有無については関係はない。ただ、今の宇都宮君のお話ですが、これは実は法律あるいはこの委員会いか決定しても、何ともしようがない。巡査を使うとか、安本の査察官をこの委員会が勝手に使うことは、こういう委員会で決議してもいかんともしがたい。実は少し論外だと思いますが……。
  46. 田中角榮

    田中(角)委員 事実問題について申し上げたいと思います。私この間九州に行きましたら、ちようど安本の諸君が久留米で隠退藏物資摘発をやつておつた。実際調査に当つて地方の檢事とか、警察署長とか、こういう連中が弁護士などと一緒になつて、人権蹂躪とか何とかいろいろ言つて調査をやめたことがある。こういう実例がある。そこでこの委員会委員が地方に行つて調査する場合に、そういうことで拒否されるようなことはないはずだと思うが、これを調査するために、物があれば物の現場、人があれば人を召喚して調査するということで、人がおれば召喚するということになると思いますが、この前の委員会の場合には、そういう権限は何もなかつた。われわれは物のあることがわかつても、どうにもならないという点があつた。ところでこの委員会において、ある物件の不当取引に関する調査のために委員調査に行くことは、委員長の承認を得て現地に調査に参る、そういう形をとるのか。それとも最初から小委員会なりあるいは何か設けて、一般的に軍の放出物資について調査するということをきめてかかるのか。そういうような問題について、昨年は苦い経驗をもつておるわけですが……。
  47. 加藤勘十

    加藤委員長 よくわかりました。そこでさつき宇都宮君の言われたように、包括的に、抽象的にきめると、今荊木君が言われたような問題が起つてくるおそれがあるわけですが、具体的に問題を限定して、この問題について調査をするということになれば、そのときに、その調査は妨げられないでできるわけであります。
  48. 田中角榮

    田中(角)委員 たとえば、秋田縣に終戰当時キヤラコが十万反なら十万反が不当に拂い上げられておつた。それを調査することを委員会できめてから調査に行くことになるのか。それとも委員委員長に対して調査に行くからということの申出をして、委員長はそれでは調査に行つてこい、その結果を委員会に報告する、そういうことになるのか。その点をお聽ききしたい。
  49. 加藤勘十

    加藤委員長 そういうことになります。そのときは委員長というよりも、委員会決定すれば、ちやんと出張規定に基いて、正規の公務出張ということになるわけであります。ただ抽象的な、包括的な、何かどこかにあつた、それをそのままやるということになると、問題が起りますけれども、そうでなくて、今回田中君の言われたような場合には、何ら問題は起りません。
  50. 伊藤恭一

    伊藤(恭)委員 第一回國会隠退藏物資特別委員会において、非常に努力せられたことはわれわれ十分に承知いたしております。しかしながら一般國民の声といたしましては泰山鳴動鼠一匹、ということはもちろん第一回國会の隠退藏物資特別委員会には、権限が今言いましたようなぐあいで縮小せられたのでありますから、萬やむを得ないことであります。しかしながら、今宇都宮君が言われたように、ほんとうに隠退藏物資摘発して、一般國民にこの物資の乏しいときに少しでも均霑させようとの熱意のもとに努力せられたにもかかわらず、そういうような輿論が各地に起つておるということは、非常にわれわれ残念に思います。そういうような意味から言いまして、今度この不当財産取引特別委員会におきましては、もつと勇敢に活発に、これを國民のうなずけるようにしなければ、國会委員会としても、まことに権威を失墜するおそれがあると思います。でありますから、調査が原則であつて処置はこちらの権限にないということは、やむを得ないかもしれませんけれども、しかしながらその処置をする権限をもう一層確立するように、この委員会をもう少し発展せしめることが必要である。それにはやはり本会議にかけることも必要でありますけれども、この委員会においてもう一遍よく檢討して、その機能を一層拡大するようにしていただきたいと思います。
  51. 加藤勘十

    加藤委員長 ただいま伊藤君から御発議がございましたが、今になつて前の委員会のことをかれこれ申し上げるのはいかがかとも存じますけれども、決してこの点は私泰山鳴動鼠一匹というようなものではないと思うのです。あの委員会國会に設けられましたために、たとえば、今問題になつております大阪港兵廠の問題のごときも、この委員会にもたらされた資料によつて檢察当局の発動を見ておりますし、全國を通じまして、安本の手により、いかに莫大な物資摘発されておるかということ、あるいは自発的供出を見ておるかということは、この委員会の設置に刺激されたものであることは、一点疑いのない事実であります。殊に最近檢察当局が、特に隠退藏物資摘発隊を設けて活発な行動をとつておりますのも、本委員会の設置に刺激されてそれに要する巨額な予算をとることができて活動するようになつたのでありますから、これらの点は、明らかにあの委員会が設けられたことから生れたものであります。ただ世間が物足らなく思うことは、十分にすべての事柄が敏速に行われなかつたという点に、物足らなさがあつたと思うのでありますが、その点はそのように御了承願いたいと思います。  それから第二の、最終の処理権限までこの委員会がもつということになりますと、この委員会は、何と申しましても立法府に設けられた機関でありますから、從つてこの立法府の機関が行政もしくは司法措置の事柄まで処理することになると、これは著しき越権になる。やはり立法府は立法府としての権限内においてなし得ることをなす。こういうことになるのでありますから、この点はひとつさように御了承を願いたいと思います。
  52. 伊藤恭一

    伊藤(恭)委員 われわれも第一回國会において相当の物が摘発せられて、相当の成績があがつておることはよく承知いたしております。しかしながら國民一般の感じは、私前に申し上げた通りでありますから、この際できるだけその権限を拡大することに努力していただきたいと思います。
  53. 鍛冶良作

    鍛冶委員 大体わかりましたが、ああいう議論がありましたから、明確にしておかなければならぬと思う。われわれが調査の結果、ここに犯罪なら犯罪があるということになれば、ただちに処理権限があるものに活動を促してよろしいというぐあいに決定したいと思う。本会議へは報告をしなければならぬ、この通り促した、その結果はどうなつたということは、そこから聽いてもよい。それで本会議いかぬと言われれば別ですけれども、しからざる限りはやつていいものと、ここではつきり決定しておいていただきたい。
  54. 加藤勘十

    加藤委員長 ただいま御意見が出ました結果、鍛冶委員から御提議になりましたように、本委員会において調査の結果、具体的事実が判明した場合には、その事柄処理する機関に向つてただちに処理の權限を発動せしむるようにこちらから働きかける。こういうことをこの委員会において決定しておくという御意見でございますが、この点について御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 加藤勘十

    加藤委員長 それではそのように決定いたします。
  56. 田中健吉

    田中(健)委員 全然問題は違いますが、けさの新聞を見ますと、この前隠退藏物資委員長加藤氏ほか数名の委員が出かけて摘発した例の銀線、その報奬金をくれないというので、四百七十万円の訴訟を安本長官あてにやつているそうです。それで、それが報奬金をやらなければならないものであるかどうか、いずれ当時の委員長であるあなたが直接出かけていつて調査摘発した事件でありますから、当時の委員会では隠退藏物資であるかどうか、大藏省その他関係者を呼んでみても、判明しなかつた。そういう状態のもとにおいて、たぶん報奬金が拂えないでおるのではないかと思いますが、ああいうことに摘発について國民協力を求める方に惡い結果を來すと思います。どうせ摘発しても報奬金をくれない、こういうことになつても困るので、ああいう問題を解決つけるような方法委員長はお考えになつているかどうか、お伺いいたします。
  57. 加藤勘十

    加藤委員長 けさ朝日新聞に出ておりました銀線摘発に関する報奬金請求訴訟の問題は、私も聞きました。この問題は当時金、銀、貴金属というものが、直接日本政府というよりも、すべて司令部に届け出なければならぬ性質のものでありまして、これを製品にしても、銀分八〇%以上あつたそうでありますから、当然届け出でなければならぬ。いわんや九五%からのものならば、大体純銀分と見ていいわけでありまして、当然司令部を届け出でなければならないものが届け出でられてなかつたという点が、まず第一であります。それからこれを扱うのは、安本ではなくして大藏省であるということが一つ。それから報奬金の問題は、在庫品調整規則によつて指定された物資についてのみ支拂うのであつて、それに指定されておらぬものは、從來支拂わぬという慣例になつておつたというので、そういう貴金属類は、その指定物資の中にはいつておらぬわけです。そこでいろいろ議論が起つたわけでありますが、われわれの常識としては、一々國民にそういうことが示されなくて、何でも隠退藏物資摘発すればその報奬金がもらえるということしか、國民には知られておりませんから、これは司令部関係であるとか、これは大藏省関係であるとか、これは規則にないとかいうことでは、一般の人が納得できぬわけです。  それからこの点重大な問題でありまするが、最近安本の経済査察官数名が、身柄は檢束されておるかどうかは知りませんが、今取調べを受けておる事実があります。これは銀線に関係した問題ではありませんが、ある物資摘発される。そうするとその摘発された物資が知らぬ間に摘発から免れて元の隠匿者というか、退藏者に返されてしまつておる。ことに何か経済査察官の問題があるのではないかという疑いが、しばしば國民の間にもたれておつたのであります。こういう点を、今後はこの委員会におきましても、もしこの間に官吏の不正が介在するというならば、そういう点は忌憚なく調査を進めていきたいと思います。現に今数名の査察官が取調べを受けておるということでありまして、それもそういう報奬金に関連しておるらしく聞いておりますが、いずれにしましても銀線の問題はそういうような事情でそのままになつておるのではないかと思いますが、私どもの常識としては、政府が一々こまかいことを條件附で発表したのでないから、國民としては摘発したものに対する報奬金をもらうことは当然だという氣持になつておるのであろうと思います。
  58. 田中角榮

    田中(角)委員 先ほどからのむし返しのようでございまするが、私の質問もはつきりしなかつたようでございまして、非常に重要な問題だと考えておりますので、重ねて御質問したいのでございます。先ほどから宇都宮委員よりお話があり、同じようなことを田中委員から御発言もございました。しかも法律的な立場から荊木委員からの御説明もございまして、それは十分わかつておるのでございまするが、質問の結論は、本調査委員会決定した事件に対しての処理に関する件は、こうしようというように決議されたようでありまするが、私が先ほどから一つの線を引いておきたいというのは、本調査委員会と隠退藏物資処置委員会とは、ちよつと性質を異にしておるということを、原則的にわれわれは考えなくてはならぬ。それはこの調査委員会は、政界の淨化、官界の淨化ということが目的で、もちろんそれと同等以上の効果をもつ物資摘発しかも正常なルートに乘せるというような結果も生れてまいりますが、本調査委員会の本質的な使命は、昭和二十年八月十四日以後における不当財産取引を究明して、政界並びに官界、財界の淨化をするというのでございまして、私たちはその処理方法を考えるよりも、一番むつかしいのは調査資料を求むることではないかということを、先ほどから考えておるのであります。しかも、その調査資料を求むることが、調査委員会委員であるからというような考えから、自分である事件がありそうだというのでそこへ單独で参る、これはもちろん委員会調置の構成から見まして、委員会において取上げられたもの、つまり決定されたものに対しては、もちろん調査資料を要求することができますが、現実的に考えまして、われわれ委員が相当大きな、しかも複雜な方面から事件を取上げてくる。しかも確信のない、事件がありそうだというような雜ぱくな資料に基いて委員会運営されていつたならば、これは泰山鳴動して鼠一匹というようなことになる。時間的にもそういう莫大な調査は不可能だ。われわれが委員会にもちこむ、いわゆる委員会の議題に供し得る議題に対しては、少くともわれわれ委員自身が相当確固とした自信をもつものでなければならぬと考えるのであります。そうすると、われわれ委員委員会にもちこむ前に、調査資料を集めるための権能はどうであるか、それはもちろん法律的に考えますと、われわれはそういう個人的な祕密に関するものなどに立ち入る権能は全然ないのでありまして、こういうところに錯覚を起すと、いわゆる世耕指令という常常にいい例もありまして、こういう前例から見ますと、調査委員会委員として資料蒐集に対して特異の権能をもつものでないという前提はわかるのでありますが、そうであると、この委員会というものは、なかなか資料を見つけられないのではないか。そこに特に委員が、個人の利益や個人の自由や、個人の権利を侵さない範囲であるならば、資料を蒐集できるというような権能を與えられないものか、こういうふうに考えておるのであります。例を申し上げますと、軍需物資で、航空本部関係とか東部軍関係とかいうもので一つ資料があつて、拂下先その他も大体の書類はあるのでございますが、それが不当に処理されておるかということは、その会社につき第二段の書類調査したいというようなことがあるのでございます。この場委員会の議題に供しておらないものの資料を集める場合は、委員会の決議を経てやるということもできないと思いますが、調査委員会の本質的な使命であるところの調査資料を求める、しかもそれは議題に上らない、われわれが調査委員会提議する前に資料を集めるために、特に権能を與えられないか。これは非常に微妙な問題でございま4が、非常に重大な問題でございます。運用すると世耕指令と同じような状態になります。しかも一般法律の考えから推しまして、われわれが個人の自由にタツチすることもできないということになると、新聞のうわさとか、すでに事件が表面に出たものしか、この委員会の議題にならないというのであつたならば、この委員会の本質的な使命は果されない。こういう重大な問題でありますから、一つ大いに御協議願いたいし、また委員長のお考えも御被瀝願いたいと思います。
  59. 加藤勘十

    加藤委員長 ごもつともな御意見だと思います。ただ先ほど宇都宮君の御提議のありました場合と同じように、抽象的に権限をきめるということは、今おつしやつたような非常にデリケートな問題を惹起しやすいおそれがありますので、そういう場合には理事会で扱いまして、資料蒐集についてどういう方法を講ずるかということを協議する、問題自体はまだ委員会にかかつておらぬにしまましても、かけるべき問題のために資料を集めるような場合は、理事会一つ協議して、その上で方法を講じたい、こういうふうにいたしたいと思います。
  60. 中村元治郎

    ○中村(元)委員 ただいまのお尋ねに関連するわけで、これを繰返すのはくどいようでありますが、さきほどの御意見非常にごもつともだと思うのであります。今後の調査資料というものは、現在の範囲でいきますと、本委員会から與えられた問題に限つてのみなされるのであつて個人が、かりに他方面で相当有力な聞込みがあつたといたしました場合、それを一應今お話のように理事会に諮つて、しかる後でなければ行動ができない。私どもの考え方から行きますと、そういう有力な聞込みがあつた場合、いずれもその当局において相当なる取扱いをなしておるものと見た場合、檢察廳なら檢察廳、あるいは縣なら縣に出張して大体の内容を聽き得る資格が本委員会委員にはないものであるか。この点がなかつたならば、おそらく私は本委員会にかけられたもののみを調査するだけであつて、その調査したものを檢察廳なり何なりに報告する委員会にならない。ただ委員は昔の岡つ引役を勤める程度のものであると思います。でありますゆえに、重要な聞込みがありました場合には、当然その聞込みに基いて檢察廳なり、あるいは縣なり諸官廳に一應質してみる上において委員個人が出張して、それを聽き得る資格がありや否やということを定められたいと思うのであります。
  61. 加藤勘十

    加藤委員長 その点は、ただいま申しましたように、やはり抽象的にそういう権限があるかないかということをきめることは非常に困難と思いますが、どうしてもやはり問題が具体的なものでありませんと、何でもかんでも、それは皆さんの中に、そういうことはあり得ないが、しかしかりに極端な例をとれば、あいつは近ごろなまいきだ、金の使い方が荒いから、どこかに惡いことがあるだろう、これをひとつ調べてやろうということになると、かえつて御心配になりましたような、それこそ岡つ引き的な行為になつてしまう。そうではなくて、もしそういう事実がありますれば、聞き得た限りのことを理事会の問題として委員会が取上げるんどうか、取上げるについては資料が足らない。さらにどうやつて資料を集めるかということで、一遍これは協議してきめないといかぬ。個人がどこへでも勝手に出かけて行つて委員会の名を用いて聽くというのでは、私はかえつてほんとうのものがつかめないじやないか、こういう心配も起つてくると思いますので、やはりこれはお互い委員会として行動をとるようにすると、今度一人が動く場合でも、もちろん委員会もしくは理事会できめられたことならば、それは委員会意思として行動ができるわけでありますから、そういうふうにひとつ協議をして行うようにしたい、こう私は考えております。
  62. 中村元治郎

    ○中村(元)委員 そうなりますと、結局社会の風説のみよりつかめないことになりますが、それでもいいものでしようか。
  63. 加藤勘十

    加藤委員長 私はそうは思わぬです。たとえば一つの甲という問題について、いろいろな風説がある。風説があれば、どこかに何かの事実がなくてはならぬわけです。風説からさらにこの問題を探究していけば、必ずある一つの事実にぶつかると思う。それが全部きちつと材料がそろわなければ問題にでき得ないかというと、そういう性質ではないから、一つでも事実がつかめれば、それから問題はいくらでも追究していく方法はあると思う。ここで一遍問題になつて取上げられたならば、それがかりにどんな大きな銀行であろうと、会社であろうとどん権な勢のある立場の人であろうと、仮借することなく追究できるわけであります。そうせぬと、個人委員会の名でちよつとうわさが世間にあつたからこれはひとつ突き止めてやろうということでは私はかえつて問題をこんがらかすおそれがあると思いますから、この点はどうでしようか、皆さんやはりそういうときには、理事会なり、委員会なりで協議して行動をとるようにしたいと思います。
  64. 荊木一久

    荊木委員 この際一つはつきりしておきたいと思いますのは、先般第一國会の隠退藏物資特別処理委員会の結果のころに、私も委員長とともに関係方面を訪ねました際に、もしその委員会において相当秘密を守れるということがはつきりするならば、ある程度連絡をとることは差支えない、そういうふうな意見を漏らしておつたようですが、ただいまのこちらから出ました御意見も、結局は適当な方面において、適当な意見を聽いてみたいとおつしやるのですけれども、これは私はこの委員会將來の行き方として、委員長から檢事総長に対して御懇談を願つていただきたい。理事会は捜査の秘密を他に漏洩するようなことのないようにするから、緊密な連絡をとるようにということだけは、委員長から固くくぎを打つていただきたいと思います。
  65. 加藤勘十

    加藤委員長 これは後ほど御提案したいと思つておりました。実は私は理事諸君決定すれば、理事諸君と同行して檢事総長と正式会見をしまして、今後の委員会運営と、檢察当局取調べ方針とが互いに協力支援し合つていかなければならぬということを申出て、向うの意見も徴したい。これは後ほど提議しようと思つておりましたが、荊木君から御意見が出ましたので、この委員会提議しておきます。御了承願いたいと思います。  それから、さらに司令部に向つても同樣の方法をとりたい。これは渉外課から連絡をとつてもらつてやりたいと思います。
  66. 田中健吉

    田中(健)委員 ただいまの委員長の御発言に関連して、この間運営委員会において原問題を秘密会議でやつてつたのですが、司法大臣が捜査上困るというので、どうしても内容を発表しない。ああいうことがあると、たとえば、この委員会の場合においては活動できないじやないかと思いますので、特にお願いしておきます。  次に、私の考えていることですが、たとえば認々会社にかかわるゴム隠匿物資摘発をしたいか委員長の承認を求める。こうなつて委員長の承認をかりに求めて、それから地方に調査に参ります。そういう場合には、もちろんこちらの職員は連れていく場合もあると思いますけれども、地方官廳がその場合に協力を拒むことを得ざるものとしなければ、從來われわれが調査に行つても、警察あるいは地方の縣廳の役人でもなかなか動いてくれない。こういつたような場合が予想されますので、この点政府委員長においてよく協議いたしまして、委員が行つて調査協力を求められた場合には、これに必ず協力するものとする。また委員が地方官廳に対して当然協力すべきことを要請する權利をもつている。こまかいことですが、こういうことをよく御協議願いたいと思います。
  67. 加藤勘十

    加藤委員長 ただいまの田中君の御提議につきましては、この委員会の名によつて行われる行動に対してもし地方官憲その他が協力を拒否した場合には、それを十分に糾彈する権利は保有されていると思います。事実を明確にして、そういう場合に処していきたい。いずれこの点につきましては、政府協力関係を明確にするために、次回の委員会には総理大臣と司法大臣とに出席してもらつて、はつきり責任のある言明を得ておきたいと思います。  なお本委員会には、必要に應じて顧問、経驗者、相談員、技術者及び事務補助員を置くことができるわけでありまして、委員会が必要とした場合には、委員長はこれを議長に諮つて議長が任命権をもつておるわけでありますが、これを置くことができることになつております。いずれにしても、これらの人々は政党政派に関係のない政党員外から、信頼するに足る人を委嘱しなければならぬと思うのでありますが、もし皆さんに適当と信じられる希望者というか候補者がありましたらば、お申出を願いたいと思います。
  68. 中村元治郎

    ○中村(元)委員 人数に制限がありますか。
  69. 加藤勘十

    加藤委員長 予算の関係上そうむやみに置くことはできません。  なお予算について一言申し上げておきますが、予算は、決議の内容には、次期國会まで二十五万円ということに限られておりまするが、この二十五万円は決して決定的なものではありません。必要に應じていくらでも——無限というわけではありませんが、必要に應じで予算はとれることになつております。なぜ二十五万円という限界が設けられたかといえば、図書館運営委員会において予算が二十五万円ときめられたので、その予算と見合つて二十五万円ときめたのでありますけれども、この委員会は積極的な活動性をもつた委員会でありまするから、とうていこれだけの費用では何もできません。從つて経費をなお十分とり得ることになつております。人員については今申しましたように、まつたく党派関係のない公正な、そしてこの委員会運営に非常な興味と関心をもつた人々から推挙いたしたいと思うのであります。いずれも臨時の職員でありまするから、報酬その他のことはどうなるかまだわかりませんが、もし適当な候補者がありましたら、一つお申出を願いたいと思います。  ほかに御意見ございませんか。——それでは次の委員会は、理事会を開きまして——すぐ開けると思いますから、明後日第二回の委員会を開いて、そのときには総理大臣と司法大臣との出席を求めて、政府責任ある言葉を聽くことにいたしたいと思います。本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十三分散会