運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1948-08-06 第2回国会 衆議院 農林委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年八月六日(金曜日)     午後二時零分開議  出席委員    委員長 井上 良次君    理事 岩本 信行君 理事 佐竹 新市君    理事 小林 運美君 理事 寺島隆太郎君       小川原政信君   小野瀬忠兵衞君       佐々木秀世君    綱島 正興君       松野 頼三君    梁井 淳二君       金子益太郎君    清澤 俊英君       久保田鶴松君    溝淵松太郎君       守田 道輔君   青木清左ヱ門君       中垣 國男君    坪井 亀藏君       平工 喜市君    松澤  一君       森山 武彦君    寺本  齋君  委員外出席者         総理廰事務官  安孫子藤吉君         総理廰事務官  安田善一郎君         農林事務官   田邊 勝正君         農林事務官   打越顯太郎君         專  門  員 岩隈  博君     ————————————— 本日の会議に付した事件  自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案  農業協同組合法の一部を改正する法律案  主要食糧需給対策に関する件  災害復旧対策に関する件     —————————————
  2. 井上良次

    井上委員長 それではこれより開会いたします。  第二國会より本委員会継続審査を付託されております農業協同組合法の一部を改正する法律案、それから自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案、さらに農地調整法の一部を改正する法律案。以上三案を議題として審議を進めることにいたします。特にこの三案に対して質疑がありますか——それでは私からさいぜん懇談的に質問をいたしました点について、正式に質問をいたしておきたいと存じますが、政府は本改正案議会に提案されてまだ議会審議中に、すでに協同組合分割設立の認可をしておるのでありまして、このことはいろいろな関係からやむにやまれずそういうことをやられておるということと同時に、農業会がこの八月の十六日限り解体を命ぜられるということから、その引継ぎその他の関係上やむにやまれずやられておることとわれわれは考えますが、しかし国会といたしましては、法律改正されていないのにかかわらず、法律を無視する政府の行為に対しては非常に遺憾の意を表さねばなりません。現在まで政府協同組合分割設立を許したる件数、それからその内容について一應御説明願いたいと思います。
  3. 打越顯太郎

    打越農林事務官 ただいま農業協同組合法改正の案を國会に提案しておりますさ中におきまして、その分割によります方針によつて、今日まで協同組合連合会について認可いたしました数を申し上げますと、全体の数といたしましては百二十五に相なるのでありますが、そのうちで全國を区域としております連合会一つでございまして、その他の百二十四は、いずれも縣を区域としております連合会設立をいたしましたものを本日まで認可いたしました数でございます。これを事業別に申し上げますと、信用事業別に申し上げますと、信用事業を営みます連合会におきまして三十一、購買並びに販賣業を営みます連合会につきましてそれぞれ二十五、指導事業を行います連合会につきまして十九、厚正企業を営みます連合会につきまして九、農村工業を営みます連合会につきまして二、その打ち全国区域といたしております連合会一つ含んでおります。畜産事業を営みます連合会につきましては七。共済組合を営みます連合会運輸事業を営みます連合会林産事業を営みます連合会わら工品、藺草、園藝殖産等事業を営みます連合会において、いずれも一箇の連合会設立を今日まで認可いたしておる次第であります。今日まで連合会設立につきまして認可いたしました数について右御報告申し上げます。
  4. 井上良次

    井上委員長 次にその分割設立されるということになりますと、一つ事務が非常に複雑多岐にわかれまして、かつその人の構成、それから予算経費等が非常に厖大化されてまいります。これらのことから考えますと、分割することによつて、かえつて協同組合本来の任務を困難化せしむる危険性が非常に多いということと、今一つは、各単位組合なり単位農家組合員負担が非常に重くなる。そういう点から、これらのいろいろな悪条件をどう一体政府は克服して、真に連合会としての任務を円滑に遂行するようにしようとしておるか。その点に対する政府の所見を伺いたい。
  5. 打越顯太郎

    打越農林事務官 ただいまお話がございました、多数の連合会設立を認めることによりまして経営が非常に困難になるということと、それに伴いまして非常に経費がよけいにかさみまして、結局単位組合なりについては農民負担が非常に重くなる。これに対する政府としての対策はどうかというお話でございましたが、ただいまお話のございました通り政府といたしましても、この点につきましては非常に心配をいたしておる次第でありますが、かりに信用事業を営みます連合会事業を総合してやりましても、結局この事業につきましては、それぞれ各部門別に採算のとれるように経営合理化をはからなければ非常にいけないのではないかと思うのでありますが、この分割によりまして、その各部門をそれぞれ別箇の連合会として設立を認める。従つていやでも應でもその経営合理化していかなければならぬということに相なると思うのであります。その際に分割によりまして相当人件費なりその他の事業に伴います費用がかさみますことは事実であると存じますが、その軽減対策といたしましては、それぞれの連合会の間におきまして、実際問題といたしまして協議をいたしまして、それぞれの設備なりあるいは人の問題なり、あるいは経営の具体的な方法につきまして協議を進めることによりまして、実際問題といたしましては、経営合理化する面も考えられるのではないかと思うのであります。なお役員その他の方々が、多数今度は出てまいることはやむを得ないのでございまするが、その場合の費用にいたしましても、それぞれ連合会経営がそれぞれに成り立つまでは、相当に犠牲を拂つて役員方々にもお考えを願うということによりまして、人件費の面についても軽減をする方法考えていくこともできるのではないかと考えておるのであります。なほこれに対しまして、さらに根本的な対策といたしまして相当経営の改善についての政府としての積極的な対策考えてはおりまするが、さしあたりこの八月十五日から新たに農業会の全部解体あとを引受けまして、農業協同組合の出発を遺憾なからしめるようにするというような意味におきまして、とりあえずさような方針改正をいたしてまいりたい、かように考えておる次第であります。
  6. 井上良次

    井上委員長 この改正の一番ねらいは、いわゆる単一的な連合会に結成をしますと、結局それは旧農業会がかつて行つたがごとき独占的な支配をするというところから、その独占的な支配的傾向というものは、いわゆる独占禁止というものの考え方にも抵触するというような点から、特に分割せよ、こう言うのではないかと私ども考えられるのです。ところがまだ正式に全国的にそういう統一的な連合会というものが結成されて、そうして実際仕事をまだやつてないにもかかわらず、そういうことになるだろうという一つの仮定的な観念に立つて、この改正案が出されておるようにわれわれは見ておるわけなんです。およそ法律はものの動き実体に即して、かつ実際の人間社会一つ道義法則從つて、それを法的に裏づけていこうというのが、一つ法律をつくる建前であろうと思うのに、この法律だけは具体的な実体が何ら把握されずに、ひとつ概念論の上に立つて改正案がつくられておるというところで、私ども遺憾に存ずるとともに、もしこういうことでかりに法律改正され、また立案されるということになりますと、将来弊害がいろいろな面に起つてくるということが考えられる。現に実際やつてみて非常な弊害が生じ、あるいはまた悪影響があるということによつて改正の必要があるのであつて、そういうことが予想されないのにかかわらず、またこの法律自身が、御存じの通りあくまで民主的な基盤の上に立つて、民主的なやり方によつて組合をつくろうということになつておるのですから、従つてそれから出てくる連合組織も、おのずからやはり民主的な一つのものでき上つていかなければならぬし、そういう方向にわれわれも指導、援助をしていくということは当然であります。それが依然として旧來の農業会と同じような、全国的な一つ指導的な支配力をもつという一つ観念に立つて分割するというこの考え方、これはどうしてもわれわれ納得ができないのですが、それについてのあなたの御見解をひとつはつきり聴かしてもらいたい。
  7. 打越顯太郎

    打越農林事務官 ただいまお話のございました今度の農業協同組合法の一部改正案趣旨といたしまして、農業協同組合の独占的な活動をいたしますることを禁止するという線に沿つて、さような法律改正がなされておると思うが、また事実が起つておらないのにかかわらが、さようなことを前提として法律改正をするのはどうかと思うという御意見つたと存じまするが、この農業協同組合法につきましては、御承知のように農業協同組合私的独占禁止をいたします法律に抵触しないということになりまして、これは独占的な企業体でないということによつて、すでに農業協同組合法の第七條の中にも明記してあるのでございますが、この農業協同組合法を制定いたします当初から、農業協同組合が独占的な方向活動してはいけないということは、もちろんその前提になつてつたと存ぜられるのでありまして、この農業協同組合法ができましてまだいくらもたたない間ではございますが、諸般の情勢からいたしまして、将来縣もしくは全国に一本の強力な農業協同組合連合会が組織されまして、それが独占的な活動に抵触するようなことになつては、これはまた農業協同組合が独占的な活動をしないということによる趣旨からいたしましておかしいということに考えられるのでありまして、今日まだ農業協同組合ができて十分活動するところまで至つておりませんうちにおきまして、その間から将來さような弊害の起ることのないように、あらかじめ適当な措置を講じておく必要があるのではなかろうかと考える次第であります。今回の改正案を提案いたしました理由といたしましても、今日ただちにさような弊害はもちろん起つてはおりませんけれども、将來さようなことになつてはいけない。将來の農業会の場合におきましたようなことにもしなりましては、これは農村を民主的な方向に再建をしていくという建前からしましても、考えなければならぬ点ではなかろうか、かようにも考えられますので、今回農業協同組合法の実施を見ましてからいくらもならぬ際ではありますが、この改正案を提案したような次第であります。
  8. 井上良次

    井上委員長 他に特に質問しておきたい方がありますか。
  9. 清澤俊英

    清澤委員 資産処理取扱方について、ごく最近最後の決定が出ております。あれは大体現実に資産処理をやるまでの上には間に合わぬ傾向をもつておりますが、その点どういうふうに御解釈になつておるのでしようか。もう農業会は十四日なら十四日に解散せなければならぬ。そのせとぎわへ來て今まで與えられた目標と全然別な債権者が最大の権利をもつというような資産処理が出てまいりますと、大混乱を起しますが、これらに対してどういうお考えをもつておりますか。
  10. 打越顯太郎

    打越農林事務官 ただいま御質問のございました農業会資産処理方針につきましては、八月三日に市町村農業会資産処分に関する特別措置令という制令が公布されたような次第であります。この措置法によりまして市町村農業会資産処分に関しまする方針が確定いたされたのであります。農業会解体を間近かに控えて、非常に遅く制令が出ているのではないか、これでは資産処分について、実際問題として非常に困るのではないかという御質問でありますが、この制令の出ることが非常に遅くなつております点は、非常に申訳ないと思つておるのでありますが、関係方面との打合せの次第もございまして、実際に制令が公布されましたのは今申し上げましたように八月三日と相なつておるのでございますが、閣議を通過した後におきましては、この制令法によりまして実際には指導をいたしておるのであります。この制令が公布される前におきましても、大体の方向といたしましては、それぞれの農業会の方に一應方針が徹底するというふうな措置をいたしておるのであります。從いましてこの制令の公布が遅れていることにつきまして、この農業会資産処分について非常に支障を來すという点については、実際問題としてさようなことのないように相当勘案いたしている次第であります。なおそれにいたしましても、さしあたり農業会資産処分を、完全に新しき農業協同組合の方に移讓するということは、なかなかそう短日月にはまいりませんので、さしあたりは農業協同組合において必要といたしますものにつきましては、農業会のもつております財産農業協同組合に賃貸してやらせるというような措置もいたしておるのでありまして、さしあたり九月十四日まではさような應急的な措置によつて農業協同組合仕事が行われるようにというような措置も講ぜられている次第であります。市町村農業会の分につきましては、單位農業協同組合に対する資産処分についてさような政令が出ているのでございますが、都道縣農業会並びに全國農業会につきましては、今日まだ資産処分方針決定しておらないのでございまして、この点は八月十四日の農業会解体を間近かに控えまして、非常に支障が起るのではないかということを考えておりまして、今日心配しているのでございますが、何とかいたしましてこの都道縣農業会資産処分につきましても、実際問題としてあまり支障のないような措置を講ずるようにいたしたい、かように考えまして、目下関係当局ともそれぞれ折衝いたしているところであります。
  11. 清澤俊英

    清澤委員 ところが実際問題といたしまして、私どもはいろいろ相談を受けるのであります。あの処理政令が出ます前にすでに、いなか町とでもいつた方が早わかりでありますが、小都市等においては、非農家金融関係で力が強いのでありますが、それが資産処理をめぐつて農家も参加をして、そうして結局組合が小市民側農民側というふうに分れて、旧來の感情上二つ三つ組合ができております。われわれといたしましては、そういう場合にはできるだけ小都市人たち都市信用組合の方に肩替りしてもらうというふうにして、農民の方との資産処理をめぐつて大きな摩擦のできぬようにという方向はとつておりましたが、今の政令のごとく債権が優先する、だからわれわれ非農家もこれに参加して財産分配を強力に言うて出れば、時價をもつて競賈等で、力で全部が取れるのだ、それがいやならば二つ三つ協同組合をやめて、町家を中心にした協同組合にはいれというような強力手段に利用されておる。そういうことがこの政令以前に漏れて盛んに行われておるのですが、それと同じものが今度政令で出たのですから、非常に一つの疑惑をもつておると思いますが、これらはどういう関係でそういうことがいなか町にまで知られたのでしようか、非常に不思議に考えておるのですが……。
  12. 打越顯太郎

    打越農林事務官 市町村農業会資産処分に関します具体的な方法といたしましては、先般公布されました特別措置令で規定しておりますところでありますが、相当農業会のあります町村におきまして、非農民方々相当会員になつておられます農業会におきましては、この新しくできます協同組合農業会資産分割しようといたします場合におきまして、その分割方法についていろいろの問題も起るのではないかということを懸念いたしておるのでございますが、この農業会のあります町村におきまして、非農家相当たくさん会員になつておりますような農業会資産処分をいたします場合におきましては、やはりこの農業協同組合に移します資産につきましては、この農業会に対してもつております会員資産持分に應じて資産を譲渡するということになつております。非農家会員相当たくさんありますような、町にあります農業会におきましては、非農家方々会員になつております持分相当にたくさんあるのではないかと考えられますので、その資産につきまして、この新らしい農業協同組合に移ります場合におきましても、それを全部もつてまいるわけに参りませんので、その農業会に対します農民持分、それの割合に應じて分割譲渡するというような建前がとられておりますので、さような点について、実際の問題といたしましては、いろいろ町村におかれましてよく非農家なり農家方々が懇談をしていただきまして、もちろん資産処理委員会もできておりますことでありますから、資産処理委員会にも諮つてまいりまして、資産処理委員会のいろいろまた折衝によりまして、十分調停をとつていただきまして、円満無事にその資産の譲渡できますことを私どもは期待いたしておるような次第であります。
  13. 清澤俊英

    清澤委員 その場合に出てきます、時價をもつて処分するという、帳簿價格でなく、その時價の見方です。それといま一つは、私どもがこの協同組合法審議中には、実際の農家の数ということが中心でその資産処理せられるというふうに、しばしば説明を聴いておりましたのが、ここへ來て債権者が一番の優先権をもつ、こう変りましたことは非常な方向変換で、しかも今言うたように非農家がはいつてきておる。昔の信用組合関係ではいつてきておるのでありますから、町村單位組合においては、これはもう株数において圧倒的な力をもつて、全部競賈に付して資産処理するのだというような空氣が強烈に起きてきておる。それがいやならば一緒になれ、結局はお前らの意見をもつてこい、おれは使つてやる。こういうかつこうなつてくるのでありまして、たいへんな方向変更だと思うのであります。
  14. 打越顯太郎

    打越農林事務官 今回の市町村農業会資産処分に伴いまする特別措置令を公布いたしまするまでの経過におきましては、ただいま御意見もございましたように、いろいろの方法も立てられまして、農業協同組合あと農業会審査を引継いで活動を十分にできるようにいたすのには、どういうような措置をしたらいいかという点で、いろいろ研究をいたしたのでございまするが、関係方面と十分折衝いたしました結果、ここに特別措置令として公布されました資産処分方法につきましては、ただいまお話もございましたように、農業協同組合農業会資産を移しまする場合におきましては、まず農業会債権者の承認を得なければいけないという建前がとられたわけでございまして、債権者に対しまして、農業会資産農業協同組合に移すことにつきまして異義があるかないか、もし異義があるならば一定の期間に申し述べてもらいたい。その申し述べた債権者に対しましては、それぞれ債務弁済をいたすなり、それに相当する資産の供託をいたすなりいたしました後において、初めて農業会資産農業協同組合の方に移すという措置がとられた次第であります。その際におきまして、その債権者に対しまする債務弁済をいたしまする場合に、農業会資産を一應処分いたさなければならぬ場合がございまするが、その農業会資産処分いたしまする場合に、ただいま御説もございましたように、競賈方法なり、あるいは随意契約方法なりによりまして、その資産処分をすることに相なつておるのでございまするが、そのときの資産評價方法といたしましては、公定價格がありますものにつきましては公定價格によることにいたしまして、公定價格のないものにつきましては、資産処理委員会においてこれをきめることに相なつておるのであります。その資産処理委員会においてきめまする場合の評價といたしましても、時價によらなければならないということに相なつておるのでございまして、公定價格のないものについては、公定價格に準じた時價によつてその資産処分をしてまいるということに相なります。さようにいたしまして、債権者に対して債務弁済をした後において、その資産農業協同組合農業会から移すという措置が講ぜられますような次第であるのであります。その場合におきまして、非農家にあまりないような町村においては、問題はほとんどないのでございまして、またかりに極端な例を申し上げますれば、農業会に出資しております会員は、全部書面をもつて投資いたしました場合に、農業協同組合債権債務を包括承継せしめることができる。その場合に資産評價帳簿價格によつてよろしいということも、特別措置令によつて認められておるのでありまして、私どもの実際指導いたします場合におきましては、なるべくさような方法によつて農業協同組合資産が円滑に移つてまいるように、実際の問題としては措置をいたしたいと考えておるのであります。非農家相当ありまするような町村におきましては、いろいろ実際問題も起つてくると思うのでございまして、その場合には、やはり実際の指導を適切に加えまして、町村におきまするところの農業会に設置しておられまする資産処理委員の適正な活動によりまして、ここに公正な資産の譲渡ができますようにくふうを加えてまいりたい、かように考えておる次第であります。
  15. 清澤俊英

    清澤委員 もし單位組合資産処理委員会が不当な決定をしたと認めました場合、何か上級の機関に向つてこれを是正する方法が講ぜられてあるのでありますか、ないのですか、今度のこの臨時政令と申しますか、それの時價の点が非常にぼやけておりまして、公定に準じた時價というようなことでは、時價がなかなか出しきれませんので、この時價を出すという目安は、大体どういうふうな方法によつて時價を定め出すか。一つ公定價格一つ資産処理委員決定したものを参考にして、それからその次は時價、こうなつておりますが、その時價が問題になると思うのであります。
  16. 打越顯太郎

    打越農林事務官 ただいまお話がございました時價について、明確に解釈がつかないじやないかというお話でございまするが、その点は、これはやはり一般通念によりますところの観念時價考えてまいりたいと考えておるのでありまして、資産処理委員会が定める一定價格契約をする。その資産処理委員会のきめます一定價格というのは時價によるということになつておるのでありまして、実際の時價をいかにきめるかということにつきましては、やはりそれぞれの具体的な場合において適当に処理をしてまいりたいと考えておるのであります。やみ價格によつてこれを処分するというようなことはもちろん考えておらぬのでございます。建物その他について、公定價格のないものについても、やはりおのずからそこに適正な價格というものも考えられるのではないか、これは一つ資産処理委員会においてそこを十分に判断をしてもらいたい。かように含みのある余地を残したいと考えておる次第であります。  なお資産処理委員会活動につきましては、これは適正に活動いたさなければならぬことにつきましては、農業團体の整理後において、さように資産処理委員活動についても嚴正にやらなければならぬということになつておる。資産処理委員会活動がもし嚴正でない場合におきましては、監督官聴において十分に監督を加えるというような提案になつておる次第であります。
  17. 清澤俊英

    清澤委員 そこで時價の問題が出てくるのです。かりに私らの方の新潟縣にまいりますと、延長三里くらいの村がそう珍しくないので、そこで農業会の本部は一里の点にある。そういう村に限つて非常に経済情勢耕作状態も、山間地にいずれなるのでありますから、違うから協同組合三つなつた。そうしますと一里の場所に市街地が形づくられ、三里先臨時倉庫を設ける。そこで時價がひとつ争いになつて出ますのは、そこにある倉庫時價処分するということになると、三つの中の一番奥にできた協同組合がその倉庫をそのまま使用するときには非常に値打が出てくるが、市街地にあるものが非農家等も集めて資産処理をやるのだから、どうしても競賈であろうが何であろうがやつてつていくのだということになると、これを取拂つてつていくことになる。そうすると取拂いの價格がここに出てくる。ところがこれを時價として踏みますときになると、その村にあつて使う値段で押しつける。片方から申しますといらないものをもつていこうというのであるから毀わしてもつていく値段の時價で踏むであろうと考える。それをわれわれはもらうのは正当だ、それでなかつたならばもともと妥協した話合いをして、これはここへ置くのだということで何かの方法を講ぜらるべきだ、全部生きた、有効に使われる範囲で、同等の形で分けらるべきものであるという議論が出ておるのですが、そういう正当の議論を叩いて、これはどうしてもわれわれに優先的な権利があるのだから、これは競賈にでも何にでもしてもつていくのだ、それがいやならお前たちはその倉庫と一緒にこの町につけ、その場合に時價で評価するのだ、こういう二つの議論があるのですが、そういう際の時價はいずれを定めるべきかお尋ねいたします。
  18. 打越顯太郎

    打越農林事務官 ただいま具体的の例をおとりになつて、農業倉庫を村で使う場合、それを解体して他に運んだ場合、どういうふうに財産時價評價するが適当であるかということの御質問であつたと思いますが、さような場合における時價についていかに判定するかということについては、今ここで結論をちよつと申し上げかねますが、その場合におきましては、要するに農業協同組合資産を譲渡いたします場合において、十分に話合いをして円満に処理していくように指導を加えてまいることが必要ではないかと思うのであります。時價の判定についていろいろ具体的の問題として意見の出る場合もたくさんあると思いますが、もちろん今お話のあつたような場合においては、その村で農業倉庫として使うのが一番いいのではないかと思うのでありまして、その場合にいかに定めるかということについて、資産処理委員会活動によつて円満な解決をしていただく。極端に申しますと、今お話がありましたように、入札なり競賈なりの方法によつて最高落札者にこれを落すこともあると思うのですが、さような方法を強行することも円満な農村の発達の上においていかがかと思われますので、実際問題として十分話合つて、適切な調和をして解決するようにしていただきたいと考えておる次第であります。
  19. 清澤俊英

    清澤委員 それはもちろん円満な話はしていきたいのでありますが、大体の方向くらいは與えていただかないと、ぐあいが悪いのではないかと思うのであります。私たちこの問題に対して話が出たとき、その倉庫を分けるには協同組合に集まつた農民の米俵でいけ、こういう考えがあるのであります。資産がどうであろうとこうであろうと、三つなら三つ協同組合に集まつたその倉庫を利用する米俵を中心にして倉庫を分けるべきというのであります。ところが前資産中心で、権利があるのないのという考えが片方にあるのです。
  20. 打越顯太郎

    打越農林事務官 御心配の点はまことにごもつともと思うのですが、特別措置令につきましては、あまり細かいところまで規定しておらないのでございまして、後はひとつ運用によつてここに適当な解決を見出したい、こういう着眼になつておるのであります。今お話のございましたような、資産分割等をめぐつていろんな問題が起りますことは非常に遺憾な点がございますが、入庫数量によつて農業倉庫分割標準をきめることも一つの案ではなかろうかと思うのですが、かような方針が参衆委員会にかけられまして、これによつて解決を見るということでございますれば、それも一案であろうと思います。また場合によりますればある一つ農業協同組合にその倉庫をそつくり譲渡いたしまして、他に二つ農業協同組合がある場合には農業倉庫を賃貸して入庫していくということも考えられると思うのであります。いろいろ具体的な方法については、やはりその村の実情において資産処理委員活動によつて解決するようにいたしたいと考えておる次第であります。
  21. 清澤俊英

    清澤委員 これはどうでしよう。ひとつ方針書を授けるというわけにはいかないですか。農業協同組合がいくつにも分かれた場合には、その一切の費用中心にしてなるべくやるように、くらいのことは言うてやれないものですか。そうでなかつたら実際神様の寄合でありませんから、珠に農村などに参りますといかがわしいことをやつてまいりますので……。
  22. 打越顯太郎

    打越農林事務官 今の御心配につきましては、資産処分をいたす方針資産処理委員会決定をいたしまして、実際に処分いたしまする場合は、縣の認可を得なければならぬということに相なつておりますので、縣がその中に結局はいりまして、十分に調停をとつて、しかる上に話がついた上に認可するということに相なろうかと思います。今お話がございましたような方針について、一々具体的に、この場合はどうするかということを総括的にお示し申し上げるということは、非常に場合がたくさんあると思いますので困難かと思うのでありますが、大体の方向等については、ある程度の場合も考えられると思います。御意見もありましたので、この点の措置についてもまたよく考えてみたいと思います。資産処理委員会の適切なる活動にまつておる次第でございますが、今もお話がございました、村で話がまとまらぬ場合においては、いずれ認可をいたしまする縣の当局において、調停をして話をつけて、しかる後に認可するということになろうかと思います。
  23. 森山武彦

    ○森山委員 先ほど委員長からお尋ねがありました質問に対する御答弁の中に、各連合会はできるだけ協議してスムースにやつていくようにしたいとか、あるいは役員費用をなるべく軽減するようにしたいという御希望のような御答弁がございましたが、これはいずれも法律上の根拠のない話でありまして、なるほどそういう希望はありましても、いろいろ利害が相反したりしますと、この協同組合協議に應じないということも起り得ると思うのであります。また役員費用軽減すると希望されておりましても、すでに初めから地方役員になるものは相当その費用をとるつもりでやつておるような者もあると思います。そうしますと、そうしたようなことはすでに初めから予想されるのでありまして、スムースにいかないと私は思うのであります。これはこの連合会分割された場合に、非常にわれわれが恐れている点でありますが、これに対する法律上の根拠を與える必要はありませんか、どうですか。
  24. 打越顯太郎

    打越農林事務官 この農業協同組合連合会分割してつくられました場合において、いろいろ経費の節減をはかる上において、いろいろの方法考えるその一つ方法として、法的な処置をする必要はないかという御意見だと思うのでありますが、今の團体におきましてはそこまでやらなくてもよいのではないか、かように考えておるのであります。いろいろ分割のせられ方によりまして、経費が重むことによつて経営が困難になるということも十分考えなければならぬのでありますが、その点については、経営の任に当られます役員方々について十分お考え願いたい、その役員を選出いたしますのは、やはり結局のところ農民であるわけでありますから、農民方々において十分にその役員の選出について考えていただくということに相なりますれば、役員方々も、結局農民の信頼を負つて初めて連合会役員に当選されておるのでありますから、もしも自分の収入を殖やすというようなことにのみ頭を入れて役員なつたというような者かありましても、それは役員のリコール制もございますし、いつでも役員の改選を請求する権限を農民に與えられておるわけでありますから、もしさような場合には、役員の改選ということも現在の法律においてもできることになつておりますから、それ以上に法的措置を今日考える必要はまずなかろうと思つております。いろいろそういう点について、経費の節減をはかるべき点については、十分考えなければならぬ点もございますので、その点については連合会同士の間において適当な方法をとる。先ほど委員会からちよつとお話がありました、連絡をはかるための協議会においていろいろの相談をして、具体的の共通の方針を取上げてきめていくということも、経営の困難を防止する一つ方法ではなかろうかと思うのであります。そういうことについての法的措置を講ずるということについては、まだ今日はそこまでは必要ないのではないか。協同組合なりあるいはその下の農民の認識をもつてもらうという点に対する啓蒙と申しますか、教育と申しますか、指導と申しますか、そういう点を十分に徹底することによつて、さような点が防止できるのではなかろうか、かように考えている次第でございます。
  25. 森山武彦

    ○森山委員 もう一つお伺いします。協同組合法の十六條の決議権の所で、決議権及び役員の選挙権は書面もしくは代理人によつて行うことができるというところの規定がありますのに、最近政府の方で書面決議は認めないというような通知を発せられたことはありませんか、いかがでありますか。
  26. 打越顯太郎

    打越農林事務官 農業協同組合法第十六條にあります議決権について、役員の選挙権を行使する場合において、書面をもつて議決権を行使することについて、禁止したことはないかというお話でございますが、それはございません。
  27. 井上良次

    井上委員長 ほかにございませんか——それでは私特に最後に伺つておきたいのですが、御存じの通りいよいよ八月十四日で旧農業会解体されます。そうしますと、この農業会のもつておりました資産が非常に大きな問題になることは、今清澤委員から御指摘の通りであります。特に解体がされることが早くからわかつております関係上、農業会資産がいろいろな面で悪用されているといううわさが非常に飛んでおります。これに対して、政府は一体どういう処置を今までとつてきたか、もし解体後においてそういう悪用したいということから、犯罪その他を構成した場合の責任はだれが負うか、監督上の責任は一体だれが負うか、それから当然解体されるということが予想されているにかかわらず、ことさらに農業会を利用していろいろな農業生産資材なんかを買いこんで、これが品質その他價格の点等で賣りさばくことができ得ずに、相当農業倉庫にこれが滯貨されて、負債となつている所が多いのであります。この負債処理を一体どしようとするのか、それらの点について政府考え方を伺つておきたいと思います。
  28. 打越顯太郎

    打越農林事務官 農業会資産処分につきまして、これを不当に処分した場合における監督を從来どういうふうにしてきたかというのが、御質問の第一点であつたと思いますが、政府といたしましては、農業会資産の保善ということは、これは債権者の擁護はもちろんでありますが、農民の多年の蓄積でございますところの農業会資産でもありまして、新しく生れまする農業協同組合にそれをつぎこんで移していくことは、将来の農村の再建にとりましてもきわめて重要な施設でございますので、農業会資産の不当な処分がなされないようにということについては十分な監督をいたしたい、かように考えまして、それがためには相当経費を要する関係もございまして、先般國会に御要求を申し上げまして、國会の承認を経まして、その監督に必要な予算の成立を見たような次第であります。今日政府自身といたしましても、あるいは直接監督の第一線におりますところの都道府縣におきましても、今回の國会において成立した予算によりまして、相当監督上の陣容を整備してまいることができたような次第であります。今後引続きまして新しく成立した予算の適切なる執行によつて農業会資産の不当な処理ができないように十分監督を加えてまいりたい、かように考えておる次第であります。從来といたしましても、農業会資産処分につきましては、通常の業務に属します以外の資産処分は一切監督官廳の認可を経なければ処分ができないということにいたしておるのでございますが、その点認可なしに処分をするということのないように、十分嚴正なる監督を加えてまいつておる次第でございます。そのために特に資産処理委員会活動も十分にやつてもらいます必要がございますので、資産処理委員会に対しましては、相当にその趣旨の徹底をはかる方法考えてまいりましたし、またこの政令等の施行に伴いまする資産処分指導につきましても、従来いろいろの会合を開きまして、その趣旨の徹底をはかつてまいつたような次第であるのでありまして、今後さらにその監督について十分考えてまいりたい、かように考えておる次第であります。なお倉庫等にあります物資の滯貨のために減耗を来してくるというようなことにつきましては、これはさようなことになりましては非常に遺憾であるのでありますが、その具体的な個々の問題といたしましては、通常の業務として処理し得まする分につきましては、さようなものは処分してまいることができるのではないか、倉庫にいたしましても、たとえば雨が漏ることによつて中の入庫品の品質が低下することを防止いたしまするために、倉庫の修理をするというようなことは、通常の業務としてやり得ることでございますし、また中にありますところの物資が滯貨いたしまして、腐敗をすることによつて減耗し、品質が低下することは、非常に財産的な價値を消耗することに相なりますので、その場合におきましては、やはり通常の業務としてそれをやり得るのではないか、かようにも考えられる次第なのであります。  なお財産の不当な処分、悪用をやりました場合における責任は、それぞれ具体的に刑事問題になります場合には、刑事事件で処理いたしまするし、行政上の監督の責任を受ける場合がございますれば、それぞれ具体的にさような場合において監督の責に任ずる、かように相なろうと思うのであります。
  29. 井上良次

    井上委員長 ちよつと私の質問を誤解したところがありますが、協同組合組合員に協同販賈する目的で、たとえば特殊な農機具なら農機具を共同購入したところが、それが品質が悪くかつ値段が高いために、賣れないで倉庫にたくさん残つておる、これをこのまま引継がれたのでは負債だけ協同組合が引継がなければならないことになるのですが、これは前の職員がそういうことをやつたために起つたことです。そういうのはまわつて見ますと到るところにある。その債権を一体どうするか、そこをお尋ねいたします。
  30. 打越顯太郎

    打越農林事務官 ただいま御質問のございましたような、非常に粗悪な品質のものを高價に買つたというような農具を、新しい協同組合に押しつけられては債務協同組合が受けることになり、われわれ非常に困るということでございましたが、その場合に、さような農具を協同組合で引継がなければならないという義理は全然ないのであります。農業協同組合の方でさような農具を引継ぐということを意思表示をいたしまして、農業会の方においてもそれを認めたいという場合において初めて引継ぎ得ると思うのであります。それを不当なものを農業協同組合はむりに引継がなければならないということは全然ないと思います。さような不当な資産を買つて損をしたという場合の責任はどこへいくかということになりますと、それぞれ農業会の内部の問題として処理すべきあると思います。
  31. 井上良次

    井上委員長 大体本案は去る六月十日上程されまして、爾来本委員会審議を重ねること十数回にわたつております。大体本案に対する質疑はもう盡きておると考えますので、この程度で質疑を打切りたいと思いますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 井上良次

    井上委員長 それでは質疑を打切ります。なお本案に対する態度は後ほど相談したいと思います。     —————————————
  33. 井上良次

    井上委員長 なおその前に特に農地関係について平工委員から質問がしたいという申込がありますからこれを許します。平工君。
  34. 平工喜市

    ○平工委員 ちよつと農地部長にお伺いいたしますが、今度農林委員会からの視察で東海地方に参りましたときに、新聞をでかでかと賑わしておつた三重縣の農地改革は不都合ではないかと思われる事件が新聞に載つておりましたがために、抜打ちに私は視察をやつてきました結果の概略を簡単に申し上げて、これに対して農地部長の御意見を伺つておきたい。三重縣の志摩半島の一町先で、きわめて不便な所でございますが、ここは農村でありまして、耕作反別はみな平均して一反歩くらしいかもつておらない。しかもその七、八百戸というのは農業、漁業の兼業でありまして、一戸平均が一反歩くらいの所であります。そこでもつて七反一畝歩という土地が町はずれの所に固まつております。そこに今度は町役場、警察署、公民館等をつくるという名目によつて、農地改革を阻害するためにそういう問題を利用しておるのであります。農地委員会の会長及び農地委員が地方事務所が地方事務所の農地課長に聴いてみましても、縣の農地部の書記長に聴いてみましても、志摩郡の農地委員会長及び農地委員たちは、最も正しく農地委員会を運営して、正常の仕事をして何ら落度がないにかかわらず、当局の方から一挙に町民大会を開き、それからリコール大会を開いてリコールをやつてしまつた。リコールをやつたまではよいけれども、それをよく調べてみると、知事や農地部長が、こういうリコールをやつてよいか悪いかということを相談を受けたので、実は知事や農地部長の了解済で、打合せの上でリコールをやつた農民組合から選挙された者だけは全部一人残らずリコールされてしまつた、農地改革妨害のためにリコールをやつたと断定せざるを得ぬ次第であります。私は時間がなかつたからつぶさには調べませんが、何がためにそういうことをやつたかというと、一石二鳥であります。賀川豊彦先生、杉山さん、河合義一さん等が手塩にかけた三重縣の農民組合の発祥地とも言われるその支部をつぶしてしまう方針で、そういうことが行われたのであります。それからもう一つは一反数百円で小作人に買われてしまう土地を自作人から取上げたり、今度の農地改革から除外したりすることによつて、一反十数万円の格價をこしらえ上げて、地主の利益を確保することと、農民組合をつぶすことと、一石二鳥のために波切町の農地委員会がリコール制をやられた。それについては私はいろいろな角度からこれに疑いをもつておるのであります。少くとも日本の民主改革、農地改革を真正面から妨害しようという行為だという認識をもつてつたのであります。かようなことを捨てておいては今後ゆゆしき問題であります。日本中どこでもでありますが、日本は観光土地だ、だから観光施設をというので、いろいろ競馬会をつくつたり、一箇所でよいところに二箇所も三箇所もつくつたり、遊覧施設をこしらえたりするということのために——、いたずらに市の発展、町の発展ということによつて農地改革を蹂躙してしまうということが、全面的に一つの兆しを現わしておるときに、こういうことをしてはいけませんから、農地委員会としても深い覚悟をもつてどもにも協力させてもらいたい。もう一遍徹底的な査察をやつて、こういう問題について認識をし、何人か農地改革のための罪人を摘発する必要があると思う。それをやらなかつたら始末に負えぬと思う。もう三重縣地方にはかような幾多の農地改革の不法、違法等があると思うのであります。私ども三重縣の農地委員会のやり方が信用ができないと思うのは、かような大事な問題を十票対十票で議長が一票を加えて、一票の差で今回農地から離してしまつて、直接それを地主の土地にしてしまつたということはゆゆしき問題でありますために、この問題については、徹底的に調べれば何ものかきずがある、農地改革の妨害のためのきずでなければならぬと思いますがために、これについて農地部長は、徹底的にこれをあばくというような目的で視察をしていただきたい。それからもう一つ、それについてどういうお考えをもつていらつしやるかを尋ねるのであります。  それからもう一つは、日本全土の農地委員会の職員さんたちが非常に脅えております。いろいろ個人的に話せば部長の腹の中もよくわかりまして、これを知れば安心すると思いますが、何とか急速に、今の農地委員会の職員さんたちが安んじて事務に精進がなし得るように、近いうちに安心せしめるように、現在農地部長として考えておられることを、速やかに達示をしていただきたいと思いますが、こういうことについてどのような措置をとられるかを身近に伺いたいと思います。以上お尋ねいたします。
  35. 田邊勝正

    ○田邊農林事務官 これは三重縣の何郡のどこですか。
  36. 平工喜市

    ○平工委員 志摩群波切町の農地委員会です。
  37. 田邊勝正

    ○田邊農林事務官 今平工さんからいろいろお話を伺つたのでありまして、これの詳しいことについては私はまだ寡聞にして伺つておりませんから、この事実の内容がどういうものであるかがはつきりいたしませんが、ただお話を承つたところによりますと、例のリコール制に対していろいろな暗躍が行われたかのように考えられるし、これに対して副知事、農地部長が了解済の上で賛成したとかいうことのお話もあつたのでありますが、このリコール制はこれは各選挙区の半数以上の者が同意をすれば、リコール制をとることができるというように表向の規定はなつておりますから、これによつてやるということは自由でありますが、その前に事実上のいろいろないきさつによりまして、知事あるいは農地部長等が相談をしてどういうふうな意思を表明したかどうかということにつきましては、これははつきりしておりませんから、十分に調査いたしまして、その指導方針がよかつたか、悪かつたかということにつきましては、調べてみたいと思つております。  それからそういう委員会をつくつたがために農民組合の方の関係の委員がはじき出されてしまうような結果になり、しかもそればかりでなく、その農地委員会の構成が非常に不公平になつたがために、今いろいろ申されましたように、農地として保存すべきものが結局農地でないようなものに振り向けられて、農地改革が非常にひん曲げられるような結果になるじやないかというお尋ねでありますが、これはそこのところがはつきりわかりませんが、農地以外のものに変更するということになりますと、これは農地委員会できめましても、知事がその許可をしなければ、その使用目的の変更はできないことになつておりますから、これはそこまで事実はいつていないじやないですか。そこまで事実がいつておれば、十分にそこの係官がいろいろな調査をして、それが実際に必要であるかないかを調べた後でないと、これはかえることができないと思います。そしてそういうかえることがどういうかということにつきましては、われわれはあくまでも農地改革の方針從つて、日本全國からくる各般の問題から考えて、目下必要でないもののためには、あくまでつぶさないようにというのがわれわれの方針でありますから、その方針に向つて縣のものがやつておると考えております。もしもやつておらぬようでありましたならば、私の方から直接調べて適当な注意を與えることにしたいと思います。  それから農地委員会の書記諸君の問題でありますが、これは平工さんが申されました通り、農地改革が七五%買うという非常に重大な時期に立至りまして、いろいろな問題を起しておつたことは事実であります。それは結局問題の内容は、書記諸君の身分の保障を十分にしてくれということと、それから待遇を同様に十分にしてくれ、こういうのが大部分の要求でありまして、それについてわれわれの身分保障をするために、及び自分らの待遇を改善するために、政府に向つて労働協約を結んでくれという要求があつたのでありますが、いろいろ調べてみますと、これは労働関係の労働者ではなくして、結局公務員に準ずるという解釈になりましたので、労働協約はやめまして、労働協定を結ぶことにいたしました。その間数度にわたりまして私は折衝しました結果、向うとこつちの妥協点が大体成立いたしまして、大臣の決裁も得まして、近いうちにこれが締結されることになつております。しかしながら最近御承知の通り関係方面等いろいろ複雑な関係がありますので、なお十分に調べまして、あれが公務員にはいるかどうかということをよく調べました上で善処したいと思つているのであります。きようも向うの方の係の人が来て、それについて打合せた次第であります。大体のその向うの協定案の内容といたしましては、これは役員と同じようにいろいろ時間外労働に対する報酬をくれとか、あるいは傷害したときの傷害補償をしてくれとか、あるいは月給その他皆官吏並にしてくれということや、それから近いうちに農地改革が済みましても、決して自分らは失業しないようにしてくれというような内容でありまして、後者につきましては、農地委員会で農地改革を進めて多小減らすようなことがあつても、それは現在の作報なり作調の方へまわして決して失業者は出さぬという覚書を農林大臣でもつて交付しておるというような形になつておりまして、現在では非常に書記諸君は安心をしておられるような関係になつておりますから、その点は誤解のないように御了承願いたいと思います。
  38. 平工喜市

    ○平工委員 私言葉を訂正しておきたいと思うのですが、三重縣のことについて知事々々と申しましたが、あの知事というのは農地委員会でありますために農地委員会長という範囲内においての名前を出したのですから、知事の責任を負つたものとは違います。  それからあなたがおつしやつたように、農地部長も農地委員会長も、宅地として認可するというような仕事をすでにやつておることがいかぬ、まじめに農地改革に精進して落度のない委員に対してリコール制をやらしたこと自体が、結局小作人に買わせないで、地主に利得を得せしめる目的でやらせざるを得ないということをのみこんでいただきたい。
  39. 井上良次

    井上委員長 自作農創設特別措置法及び農地調整法の一部改正案はもう質疑は大体打切られておりますから、この両案と、さいぜんの農業協同組合法の一部を改正する法律案についての取扱いについて、暫時懇談をいたしたいと思いますから、このまま休憩をいたします。     午後二時二十分休憩    ━━━━◇━━━━━     〔休憩後は開会するに至らなかつた