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中嶋勝一君
政府側としては、きようは
大島次官がお見えにな
つておるだけでありまして、
肥料関係の方は御出席くださ
つておらぬように思いますが、この
マンガン肥料の問題であります。これに対して大体本
会議で大臣の御
意見は伺
つておりまするが、さらに今回の
請願を出しておりまする件に関して、何か
農林当局として御
意見があるでございましようか、ちよつとそれをお伺いしたいのであります。その前に私の方から事情を申し上げたいと思います。
次官にはまだお目にかか
つてお尋ねしたことがないのでありますが、
マンガンが
肥料として非常に
肥効があるということは、明治三十七年ごろから非常に叫ばれてお
つたのでありますけれども、これが取上げられなか
つた。ところが私はこれを十五年間研究してお
つて、非常に
肥効があることを認めておりますから、去年の七月七日の本
会議で、この問題を叫んだ。そうして
農林当局に当りましたところが、
農林省では、全然これはだめだから
許可しない、こういうことであ
つた。ところがその
許可をしないという元凶が、東大の
塩入博士なんです。だから私は
塩入博士のところに
行つて、あなたがこれを
許可しないということはたいへんなことだ。あなたがこれを早くから
許可しており、奨励してお
つたら、
日本は今
食糧に困るようなことはない。
日本が今
食糧に困
つておるのは、あなたの
責任だ。その点から言うてみて、あなたの罪は万死に当ると思うが、どういうお考えであるかというので、衝いた。それからこの一月三十一日に
許可してもら
つて、それは
山口縣の
請願が
許可にな
つた。ところがきよう出ておるのは、
青森縣の
請願である。
青森縣では十五年前からつく
つておるけれども、
農林当局が非常な彈圧を加えて、
警察権をも
つて囚監をする、あるいは裁判にまわすというようなことをや
つてお
つた。ところが犯罪として取扱われましたけれども、それでも彼らは懲りることなく、現在
組合組織にして出しておる。その
組合員が二万数千人を超えておる。そういうふうにして、非常に
青森、
岩手方面ではこれを歓迎しておる。そういうぐあいでありますから、全國的に
マンガン肥料熱というものが起
つておる。
山口縣あたりでは一月三十一日に
許可をいただいて、つく
つておりますけれども、まだ
生産高というものは一日百トンぐらいしか出ない。ところが現在田にやるというのでありますから、百姓が押しかけてい
つて、
順番札をと
つて、その製品を持
つていくというような現況なんです。ところがこれが、今年
茨城縣方面から非常な麦の
立ち枯れが出ましたけれども、その麦の
立ち枯れに非常に
効果があるということを、
静岡縣の
農事試験場が発表しております。そういうようなことも奨励して
大量生産をさせなければならぬのにもかかわらず、
農林当局は現在でもまだこれを阻止しているというのです。阻止しているというのは、
マンガンを
硫酸処理しなければならない。それに一〇%の
硫酸を加えて
水溶性マンガンにせよということで、それを
條件に
許可している。ところが
水溶性マンガンにせよと
言つても、
硫酸の
配給はくれないので、
許可はしたけれどもつくられぬということにな
つております。さいわい
山口縣には
ソーダ会社がたくさんありますので、
ソーダ会社の廃液を
使つてこれをつく
つておるのでありますが、
硫酸処理をする必要はないのです。必要がないどころでなく、專門家の調査したところによりますと、一〇%の
水溶性マンガンにしたならば、これが非常に
効果があるのは
酸性土壤を中和するからですが、ところが
硫酸処理をすると
酸性度を増す。すなわち
水溶性マンガンを連年続けてや
つたならば
土壤の
酸性度が増しまして、作物ができなくなるという結果が出てくる。
塩入博士がこれを知られないはずがない。ところが二、三年これを続けてやらせてみて逆
効果が來て、それを阻止するというような魂胆で、ぜひ
水溶性マンガンにしてもらうということを
條件にしておられるのではないかということを、私どもの方の
技術者では指摘してきておるのであります。こういう状態で、これをや
つたならばあらゆる
食糧が二割五分の
増收になります。私はこの間も
農林省へ参りまして、君らはそういうことを言い、
石川技師あたりもそんなに
効果がないと言うが、その
試驗はどこでや
つたのかと言うと、藥種屋で賣
つている
硫酸マンガンで
試驗をしたと言う。だからそんな不熱心な無
責任がどこにある、ほんとうに
生産をするというなら、どうしてわれわれのところでつく
つているのを実驗してみないのか、そういう
効果があ
つて非常に喜んでいるものは何十万とあるからそれで
生産地に見に
行つてくれと要求したけれども、
旅費がなくていかれないというので、
旅費の二、三万円くらいは寄附するからぜひ見に
行つてくれ、あなた方が効かないというなら議事堂の前に菜園をつく
つて、その菜園で
試驗してみてくれ、それによ
つてはつきりするのである、こういうことを要求しておいたのであります。さいわい
青森縣から
請願が出てまいりましたから、この
請願は六月の初めでありますが、お願いしてお
つたのであります。今日の最終日までこれが提案せられるに至らなか
つたのでありますけれども、とにかく
農林省のあの官僚の蒙を啓きたい、そうしないと、
日本には御承知のように
マンガン肥料にする程度のものは捨てておる。無盡藏であります。何十億万トンでもあります。それをつくりますことについては、東條
内閣時代に
マンガン成分の品位が低いものでありますから、帝國興発が選鉱場をつく
つてお
つた、その設備の遊休したものが二十七箇所もあります。この遊休設備を活用してつくれば即時大量のものがつくれると思われるのであります。それで私はそれを実現せしめたいと思
つてこの
請願の
紹介人とな
つた次第であります。よろしく御研究いただくことをお願いいたします。