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1948-07-02 第2回国会 衆議院 農林委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年七月二日(金曜日)     午前十一時零分開議  出席委員    委員長 井上 良次君    理事 岩本 信行君 理事 森 幸太郎君    理事 佐竹 新市君 理事 永井勝次郎君    理事 小林 運美君 理事 寺島隆太郎君    理事 萩原 壽雄君 理事 北  二郎君       小川原政信君   小野瀬忠兵衞君       佐々木秀世君    佐瀬 昌三君       重富  卓君    田口助太郎君       綱島 正興君    野原 正勝君       松野 頼三君    八木 一郎君       梁井 淳二君    山村新治郎君       渡邊 良夫君    稻村 順三君       清澤 俊英君    田中織之進君       成瀬喜五郎君    野上 健次君       溝淵松太郎君    守田 道輔君       神山 榮一君    菊池  豐君       関根 久藏君    寺本  齋君       中垣 國男君    坪井 亀藏君      的場金右衞門君    平工 喜市君       松澤  一君    森山 武彦君       山口 武秀君    大瀧亀代司君  出席國務大臣         農 林 大 臣 永江 一夫君  出席政府委員         農林政務次官  大島 義晴君         農林事務官   山添 利作君         農林事務官   遠藤 三郎君  委員外出席者         農林事務官   井上 綱雄君         農 林 技 官 打越顯太郎君         專門調査員   片山 徳次君         專門調査員   岩隈  博君     ————————————— 七月一日  指定農林物資檢査法案内閣提出参議院送付  )(第二一一号)  馬匹組合整理等に関する法律案内閣提出)  (第二一三号) 七月二日  競馬法案内閣提出)(第二一二号)の審査を 本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  農業協同組合法の一部を改正する法律案内閣  提出)(第一〇四号)  食糧確保臨時措置法案内閣提出)(第一一五  号)  競馬法案内閣提出)(第二一二号)  馬匹組合整理等に関する法律案内閣提出)  (第二一三号)     —————————————
  2. 井上良次

    井上委員長 それではこれより会議を開きます。  農業協同組合法の一部を改正する法律案について質疑を始めます。最初に政府委員より本案についての一應の説明を願うことにいたします。
  3. 打越顯太郎

    打越説明員 ただいま委員長より農業協同組合法の一部改正案趣旨につきまして御説明申し上げますようにという御命令でございますので、御説明申し上げたいと思います。  農業協同組合法法案の一部改正趣旨については、もうすでに政府委員より御説明を申し上げておるのでございますが、本日は特に委員長よりの御命令がございましたので、事務的な点についてさらに敷衍いたしまして御説明申し上げたいと思います。從いまして、前にすでに御説明申し上げております点と重複いたします点もあろうかと思いますが、御了承願いたいと思います。  農業協同組合法案の一部改正趣旨については、すでに御説明申し上げましたように、農業協同組合について、その事業は独占的な形態をとつてはいけない、集中排除精神農業協同組合法の中にも規定する必要がある。かような趣旨からいたしまして、今回御提案申し上げましたような改正案によつてこの農業協同組合法におきますところの独占禁止集中排除精神を織込みたい、かような趣旨に相なつておる次第であります。それはどういう点かと申しますれば、主として農業協同組合法の第一條の事業に関しますところの改正に相なるのでございますが、現行法によりますれば、信用事業を営みます農業協同組合連合会以外の事業については、これはあるいは総合でやつてもよろしいし、あるいはそれぞれの部門單営で一部やつてもよろしいという建前になつておるのでございますが、その点について、ただいま申し上げましたような集中排除精神からいたしまして、信用事業を営みます連合法のみならず、その他の事業を営みます連合会の場合においても、それぞれこれを兼営をいたさない方針をとつたらどうか、かような趣旨に相なつておるのであります。現行法によりますれば、信用事業を営みます農業協同組合連合会は、これは單営で、ほかの事業兼営することができない。これは兼営事業の特殊の観点からさような建前を加えているのでありますが、信用事業を除きましたその他の事業については、この連合会がその全部を兼営して、いわゆる総合してやつてもよろしいし、あるいはまた第十條第一項第二号から第十二号に至ります事業につきまして、その一部もしくは相互または全部を兼営でやつてもよろしいという建前に相なつているのであります。その点につきまして、今回は六個の部門についてそれぞれ單営にいたすことになつたのであります。第一は、第十條第一項第三号にあります「組合員事業又は生活に必要な物資供給」いわゆる購買事業を営みます事業單営でやる。かような連合会の場合においては、さような処置がとられているので、あります。その次は「農作業の共同化その他農業労働の効率の増進に関する施設」すなわち第一項第四号の事業、それから第五号の事業であります「農業の目的に供される土地の造成、改良若しくは管理又は農業水利施設設置若しくは管理」の事業、いわゆる生産に関します事業を、一本に入れてやつてまいるという建前がとられているのであります。その次は「組合員生産する物資運搬加工、貯藏又は販賣」に関する農業協同組合連合会事業、すなわち第十條の第一項第三号にありまする購買事業をやりまするところの連合会、これは別個に兼営をしない、かような方面考えられておる次第であります。同樣な趣旨からいたしまして、農業協同合連合会事業であります農業増産に関連いたしますところの事業規定いたしております第十條第一項の第四号並びに第五号の事業、これを一本にまとめております次第であります。  その次には第六号の規定であります組合生産する物資運搬加工、貯藏または販賣事業でありまする農業協同組合連合会事業を一本にまとめてまいる、かようなことにしたのであります。  同樣の趣旨からいたしまして第八号の「農業上の災害又はその他の災害共済に関する施設」、いわゆる共済事業を営みますところの農業協同組合連合会事業も、同樣の趣旨によりまして、別個に切り離すという建前がとられておるのであります。  次に九号の事業でありますところの農村生活及び文化改善に関する施設を営みますところの事業につきましても、同樣の趣旨によつてこれを別個に切り離すということになつておるのでありまして、今回の第十條の事業を営みますところの農業協同組合連合会の中におきまして、ただいま御説明申し上げましたところの事業を営む連合会において、信用事業と合せまして六つ部門を営みます事業連合会は、相互兼営をいたさないという方針をとりたいと考えておるのであります。從いまして第十條に規定しておりますところの、ただいま御説明申しました事業以外の事業を営みます農業協同組合連合会におきましては、その事業單営でやつてもよろしうございますし、また兼営でやつてもよろしいということになつておるのでありまして、念のために御説明を申し上げけば、第十條の第一項第七号の事業、すなわち農村工業に関する施設、その次は第十号に規定しておりますところの事業、すなわち「農業技術及び組合事業に関する組合員の知識の向上を図るための教育並びに組合員に対する一般情報の提供に関する施設」、この第十号の事業、それから第十一号の「組合員経済的地位改善のためにする團体協約の締結」に関しまする事業、この七号、十号、十一号の事業單営でやつてもよろしいし、兼営でやつてもよろしい、かように相なつておる次第であります。  それからいま一つ御説明申し上げておきたい点は、第十條第一項第三号の中には現行法によりますれば、「組合員事業又は生活に必要な物資供給又は共同利用施設設置」ということに相なつておりますが、この第三号の事業規定のうちにおきまして「物資供給又は共同利用施設設置」の「又は共同利用施設設置」というのを削除いたしまして、これを別個に第十條の第三号の二といたしまして、「共同利用施設設置」という事業を新たに規定いたしたいと思つておりますが、これは現行法の第三号にありますところの購買事業につきましては、農業協同組合連合会單営でまいるという考えをもつておりますために、共同利用施設設置に関しまする事業を一括して第三号の中に現行法では規定しておりまするので、その点だけを取除きまして、第三号の二に規定いたしたのであります。從いまして第三号の二に新たに規定いたさんとしておるところの共同利路施設設置に関する事業も、先をど申しました農村工業に関する施設その他の事業と同じくそれぞれ單営でもよろしい、また兼営でやつてもよろしい、かような趣旨規定いたしておる次第であります。從いまして今回の改正案によりますれば、第十條の事業を営みます農業協同組合連合会といたしましては、信用事業を営みます連合会購買事業を営みますところの連合会、いわゆる生産事業を営みますところの連合会、いわゆる購賣事業を営みますところの農業協同組合連合会、次には保險共済に関しまするところの事業を営みます連合会、その次には農村生活文化改善に関する施設を営みますところの連合会、この六つ部門をそれぞれ單営にいたしておるのでございまして、その他の事業につきましては、從來通り兼営でも單営でもよろしい、かような趣旨改正案が出されておる次第であります。その精神は先ほど申しましたように農業協同組合法の中におきましても、独占禁止精神事業集中排除精神を織りこみたい、かような精神から規定いたされておるのでありまして、この点は從來の農業会連合会の場合のように双方で一本にまとまるということがございますれば、大木のもとに小さな芽生えが育たないことになりまして、農業協同組合の農民の自主的な活動がその点で万一阻害されるようなことがあつたらいけないと思いまして、かように考えた次第であります。今申しました点が今回の改正案の骨子でございます。  以上大体の趣旨の御説明を思し上げた次第であります。
  4. 井上良次

    井上委員長 それでは質疑にはいります。八木君。
  5. 八木一郎

    八木委員 組合設立進行状況について資料をいただいておりますが、一應御説明を願いたいと思います。單営組合想定数、大体いくつに対して何割あるか、連合会は大体どの程度進行しておるか、組合設立進行状況を承りたいと思います。おおざつぱな数字で結構です。
  6. 打越顯太郎

    打越説明員 ただいま農業協同組合單位組合につきまして、設立進行状態はどういうふうになつておるか、大体のところを述べてくれということですが、正確のところでは五月十五日現在で調査した各都道府縣農業協同組合の数をとりまとめたのがございます。これは全國において大体一万二千に近い数になつておるのであります。その後六月十五日現在におきまして、各都道府縣の数を御報告いただきまして現在集計中でありますが、二、三の縣を除きまして、大体一万五千を少しばかり超えておるようであります。この数字はすでに都道府縣の方におかれまして認可をいたした数であります。なおそのほかに創立総会を済ましたもの、これは相当あるのでございまして、五月十五日現在におきまして、約一万八千の数字に相なつておるようであります。從いましてそのうちにおいて一箇月経ちました六月十五日現在におきまして、一万五千を少し上まわつて、すでに認可をいたしております。かような現状になつております。すでに発起人会を開きました数は、正確なところはわかりませんが、六月十五日現在二万を越しております現状でございます。從いましてその数は今後も相当にできてくるのではなかろうかと存じます。なおこれが各町村におきましてどのくらいの比率になるかということでございますが、その点についてはまだ明確な統計をもつてただいま説明申し上げるところまでまいつておりませんが、相当町村におきましてこの單位農業協同組合は普及いたしております。かような現状になつております。
  7. 八木一郎

    八木委員 單位組合設立状況は順調に進行いたしておる。その設立はまつたく自由なる建前に基く農業協同組合單位組合がすくすくと成長いたしまして、連合会組織をつくろうとする失先にあたつて、突然連合会設立を中止せよというような指令電報をもつて発しておるという事実は、先般農林大臣も認めておるのでありますが、五月十四日の電報を出された動機がどこにあつて、その電文は全國の都道府縣知事に向つて発したかどうかという事実、私の調査の範囲では全國府縣に発したように認めますが、その事実を承知したいのであります。それから電文連合会設立を中止せられたし、但し信用事業を除くというような電文と承知しておりますが、その電文を聽かせてもらいたい。
  8. 打越顯太郎

    打越説明員 連合会設立を一應中止するようにという電文を全國の都道府縣の方に発したかという御質問でございますが、この点はすでに書面をもつて御回答申し上げておりますように、確かにさような電報を全國の都道府縣の長官に打つております。なお信用事業を営みまする連合会を除くということは、当初打ちました電報の中には、仰せのごとくさように打電いたしておるのであります。なおこの点は、すでに書面をもちまして御説明申し上げておりますように、その後数日を経まして、信用事業を営みまする連合会も併せて一時設立を差控えるようにということは、これを解除いたしたことに相なつておるのでございまして、これも電報で打つております次第であります。
  9. 八木一郎

    八木委員 その動機は……
  10. 打越顯太郎

    打越説明員 この電報を打ちました動機につきましては、当初連合会組織をあまり急いでやらない方がよろしいという点につきまして、実は單位農業協同組合も先ほど御報告申し上げましたごとく、相当数には進んでおりますが、その当時の段階といたしましては、まだ認可の済んだものも十分とはいきませなかつたために、なるべく廣く單位農業協同組合がつくられた上に、連合会をつくる方に向つた方がよろしいという趣旨から、一時阻止をされたのであります。いま一つの理由といたしましては、今回御提案申し上げておりますところの法律改正案趣旨に副うて、この連合会組織いたすようにいたした方がよろしいではなかろうかということで、この点につきましては農業協同組合法改正が行われません前に、さような処置をとるということにつきましては、相当疑議もあるのでございますが、これがためにもしさような法律改正案議会の御審議を経て実施いたされますることに相なりまする曉を想定いたしますれば、この総合的の連合会ができました場合におきまして、この法律案施行後、またただちに改組の手続その他をいたさなければならないということになりまするし、それから農業会資産農業協同組合の方に讓渡いたしまするところの資産処分等の関連が、非常に複雜に相なつてまいるというふうなこともございまするので、今申し上げましたような趣旨から、この改正案の提案をいたす見透しもございましたので、一時さような電報を打ちました次第でございます。
  11. 八木一郎

    八木委員 御答弁のうちに書面をもつて回答した通りと言われますが、その書面はついておりますか、委員長にお尋ねいたします。
  12. 井上良次

    井上委員長 私の方はまだ正式に受取つておりません。
  13. 打越顯太郎

    打越説明員 ただいま私の方は、すでに書面委員長のお手もとまで御報告済みだと考えておりましたので、はなはだ失礼をいたしました。あるいはお手もと事務上の齟齬で届きますことが遅れているかと思いますので、その点については先ほど申し上げましたような趣旨で、この事実を率直に書面で御回答申し上げているのであります。その内容につきまして、ただいま申し上げました経過を少し敷衍をして御説明申し上げたいと思います。  委員長の方に差上げてありまする書面回答が、まだ——お手もとに届いておらないというお話でございますので、あるいは重複いたすかもしれませんが、重ねて御報告を申し上げておきたいと思います。  この農業協同組合法改正につきまして、一應念のためにこの沿革を御説明申し上げることをお許しをいただきたいと思います。五月の六日に私ども関係方面に呼ばれまして、この農業協同組合法改正することを考えてもらいたい。その改正趣旨は、今回御提案申し上げてありますような線に沿うた改正案考えてみるようにという指示があつた次第であります。この点につきましては私の方といたしまして、その後関係方面とも十分折衝をいたしたのでございますが、結局今回の改正案を提案せざるを得ない状態に相なりました次第であります。さような趣旨から改正案考えられているといたしますれば、それが議会におきまして御審議を経ました後におきまして、この施行後無用の混乱農村に來すようなことをいたしてはいけないと考えまして、ただいま申し上げましたような連合会設立についても、暫時中止をするようにというような電報を打ちました次第であります。しかしながらこれにつきましても農村におきまするところの單位農業協同組合が、相当にできてまいつております段階におきまして、連合会設立をいつまでも抑制するということは、もちろんよろしくないことでございまするので、今回御提案いたしておりまする線に沿うて連合会をつくる場合においては、これはよろしい。かようなことで都道府縣関係部課長会議を開きました際に、指示をいたしておる次第であります。その点につきましてはいずれも関係当局の方と十分打合せをいたしてやつておりますことは併せて御了承をお願い申し上げたいのであります。
  14. 八木一郎

    八木委員 さつきの書面のことはわかりましたか。書面は出したとか言われましたが、その書面を私は内容審査上ぜひ早く欲しいのですが、書面の件はわかりませんか。
  15. 井上良次

    井上委員長 向うは出したそうでありますが、まだこつちには着いておりません。
  16. 八木一郎

    八木委員 この電報を打たれた後の今日までの日数を数えますと、実に一箇月どころか、五月十四日でありますから、二箇月近くにもなつている。この事態になつて今この法律案審議に着手するということが私にはどうしてもわからないのであります。何がこういうことにさせたのかということは、われわれがこの提案された法案審議する上にまずもつてよく内容審査しなければ、せつかく審査が何にもならない。こういう意味におきまして、この問題について今少し詳しく伺いたいのであります。この電報を打たれる一方、また五月の十九日には都道府縣部課長を集められて、大臣部課長に向つて訓辞を発し、法案改正された要旨も説明いたし、法律執行も一時停止させるような処置をもとり、そしてその後今日まで五十日も経過しておるという、この動機とその経過考えますと、どうしても國会をどう見ておるかという問題にぶつかりまして、深く考えさせられ疑問をもつのでございますから、この事実を前にいたして、率直に胸を開いて納得のいくような説明をお願いいたしたいと思います。
  17. 打越顯太郎

    打越説明員 先ほどお話を申し上げましたごとく、農業協同組合單位組合相当に出そろつてまいりました段階におきまして、連合会組織独占禁止に反するような形体をとるようなことがありましては、農村民主化を使命といたしておりますところの農業協同組合の進展上もいかがかと思われる点も考慮いたされております事態もありますので、さような独占禁止に反するような方向にならないように法律改正案考えられましたような次第でありますが、これを國会の御審議によつて決定をいたしますその事前にさような措置がとられてまいつたということにつきましては、私どもも非常に遺憾に存じておる次第であります。しかしながらこれがさいわいに御審議をいただきまして、その結果これがもし通過いたすというふうな仮定をとつて考えてみます場合におきまして、一面八月十四日までに農業会の方は解散をいたさなければならぬことに相なつておりますので、農業会資産処分につきまして、非常な混乱を來すようなことがあつては、これもまた重大な問題だということもござすますので、あらかじめかような趣旨によりまして事前の指導をいたした、かようなことに相なつておる次第であります。さような措置をとりました趣旨について御説明を申し上げた次第であります。
  18. 八木一郎

    八木委員 大臣が見えたようですから、関連して大臣にお尋ねいたします。大臣は昨日の本会議における重富委員のこれに関連した問題の質問についても一應のお答えはありました。前回この委員会において、私の質問についても、事実は認めておられます。私は前会の質問において、この行政措置憲法第七十三條にある、内閣法律を誠実に執行し、という誠実に執行した事実でないと断ぜざるを得ない問題だと思いまして、その節もさよう考えましたが、その後今日まで私の考えには変りないのであります。大臣は、國会の会期中にかような電報を発し、かような会議を開き、全國に向つて命令をし、訓令を出して、しかも一箇月も経つて今日ここにこの改正改正案審議に着手する、この一箇月の間何をしておつたのか、これに対する責任をどう感ずるかという点をお伺いいたしたいと思います。
  19. 永江一夫

    永江國務大臣 速記ちよつと止めていただきたい。
  20. 井上良次

    井上委員長 速記ちよつと止めてください。     〔速記中止
  21. 井上良次

    井上委員長 速記を始めて……
  22. 八木一郎

    八木委員 速記を止めてまでお話を願いましても、私はますます納得できない。なぜ納得できないかと言えば、電報を出したのが五月十四日で、府縣主任幹部を集めたのが、五月十九日であります。今大臣説明では、起きた事実は、その一箇月後の間にいろいろ問題が起つたように見えますが、十五日と言えば四十日も五十日も前です。その当時から新聞や雜誌に法律改正するかのごとく、全國津々浦々にみな慘透しております。この慘透しておる事実を見てとつて、なお誠実に法律執行大臣がしておるというふうにみなしますかどうか、答えは簡單です。誠実なる法律執行をしておるという見解であるかどうか。私はその点を納得するように説明していただきたいと思います。
  23. 永江一夫

    永江國務大臣 その点は、話のありましたのが四月二十九日であります。從つて五月の中ごろにこういう準備的措置をいたしたわけであります。
  24. 八木一郎

    八木委員 なおさらいかぬ。五月七日ごろすでに準備的措置ができた。だから準備的措置として、全國に指令内容説明するということをいたした。それでは開会しておる國会を無視しておる、この措置をどうするか。責任國会にある、法律施行の全責任は全部われわれが負う、この國会毎日顔を会わしておる大臣から何も話がなく、大体の話がついたからこれを行政院として地方に指令するというに至つては、これは國会に対する、憲法の七十三條に対する責任をどう思われるかということであります。
  25. 永江一夫

    永江國務大臣 先ほど申し上げましたように、政府提出したこの改正案國会で否決になりました場合には、私はあくまでも國会決定りりに從うつもりであります。しかしその間において混乱を避けまするため準備的措置行政上いたしたのでありまして、これが効果あるものとして私どもは実施した覚えはないのであります。あくまでも本法案が通過した後における混乱を避けめための準備的措置でありまして、もちろん最高の意見である國会の御決定に反するつもりはないのであります。
  26. 八木一郎

    八木委員 準備的措置として一箇月も五十日間も國会に対して何らの連絡もないということはどういうわけですか。
  27. 永江一夫

    永江國務大臣 私が申し上げましたのは、それを受けましたけれども、それはあくまでも行政官として私は受けました。その趣旨に應じて法の改正をいたし、一應行政廳として関係方面と話を続けて、成文化する間が相当時間がかかつたのでありますので、一應の成文化をするまでは、私どもとしては國会側にその趣旨説明する時期には至つておらなかつたということを御了承願います。
  28. 八木一郎

    八木委員 成文化して五月十五日には仮改正案として系統行政機関に全部配つております。その後準備的の何を、どう説明されても、この間の、誠意をもつて法律を誠実に施行するその誠実さというものは私は認められない。それでもなお誠実に法律施行に当つてきておるということを抗弁されることになれば、はつきりと責任問題について私は動議によつてこの見解を明らかにいたしたい。
  29. 永江一夫

    永江國務大臣 私はあくまで法律を誠実に実行しておるつもりでございます。
  30. 八木一郎

    八木委員 先般委員長は、この問題を委員長より警告を発するという委員会の動議がありましたが、あれから今まで幾日経つておるか。その間まだ何ら説明をしておらぬ。この事実をもつても私はこの問題に対する誠実がなく、いたずらに某方面の力を借りで、独善的の行政をいたしておると言わざるを得ない。あれから幾日経つておるか、この間に書面をもつて説明したというが、その書面はきていない。これをどう思うか。
  31. 永江一夫

    永江國務大臣 いろいろ御非難の点については私は手続の上でいろいろ念の足らない点があるという点は認めるのでありますが、今御指摘になりますように、國民の最高意思機関であります國会決定した法律に違反しておるというようなことについて、行政廳の責任者としての私は、それを認めてお答えをするわけにはまいらないのであります。ただその間にいろいろ閣議の決定を経まして、そうして正規の手続によつて國会の御審議を願う間にある程度の時間のずれがございまして、國会に出ない先にいろいろ協同組合法の一部の改正ということが宣傳せられてきたことも私は認めております。すべて新聞出ない何時間前にまず國会にお諮りするという手続を踏みますのは、やはり政府としては閣議決定後でなければ正式にできないのであります。そういういろいろその間に新聞に載りますことについて、一々私ども責任を負うということは、非常に困難であろうと思います。
  32. 八木一郎

    八木委員 私が最後にお尋ねした点は、委員長が警告を発してからなおそれに対する処置のないのを、單なる手続だということで済ませるつもりか。私は單なる手続じやない、まつたく大臣が誠心誠意、誠実をもつてこの問題について國会に当られる意思があるならば、当然今まであつてしかるべきだと思いますが、処置なしに今日まできたのを、手続がどうのという言葉で逃げられておりますのは、承知できません。どういう手続の違いでありますか。
  33. 永江一夫

    永江國務大臣 先ほどの本委員会におきまして、委が長から確かに嚴重な警告は私は承わつております。その警告に反しないように、私は今後注意してやります。     —————————————
  34. 井上良次

    井上委員長 この際特に食糧確保臨時措置法案に対して綱島君から大臣に対する発言が留保されておりますから、綱島君に許します。
  35. 綱島正興

    ○綱島委員 この前事務当局に関係あることだけは質問いたしましたけれども、特に大臣に伺つておきたいのであります。私どもは食糧確保臨時措置法の根幹とも考えられるところの主要食糧農産物の生産及び供出と確保するために、公正かつ計画的に生産数量及び供出数量を割当てるということでございますが、実はこういうことが目的で計画的に生産をして割当をやるということになりますためには、その計画が科学的の根拠をもつておらなければいけない。こういうことは申すまでもないのでございますが、科学的根拠ということになりますと、いかように譲歩いたしましても、農生産物というものは、御承知の通り、本人の計画だけでは、本人がいかに万金を盡しましても、天氣の都合その他氣象風土の関係で計画通りにまいらぬ。農業というものは無計画性のものである。本人は計画しても、收穫の上においては実は計画が計画通りに行われないものである。こういうことを前提とされなければならぬのであります。その点に対する意見はいかがでございます。
  36. 永江一夫

    永江國務大臣 第一條のことについてお尋ねがございましたが、農作物が天候その他によつて致命的な悪影響を受ける場合があることはお説の通りでありますが、ただ私どもといたしましては、事前割当その他の方法につきましても、また生産計画につきましても、一應は委員会によつて公正な計画を立てて、そうしてその上で供者数量の割当を行なうという方針をとつてまいりたい。ただその間におきまして、いろいろな不可抗力によりまして、この計画に齟齬を來します場合における適当な処置は、他の條文によつてこれを補つているわけであります。
  37. 綱島正興

    ○綱島委員 そういたしますと、他の條文で、その計画通りにならないときの救済方法の規定がいろいろあるようでございますが、それがあるから、それで計画がはずれても大丈夫だ、こういうおつもりでごさいましようか。そうでございますと、この法案というものは、最初からなかなか計画通りには行かぬものだということを前提としてやられたのでございましようか。それとも計画通りに大体行くはずであるが、特殊な場合のみに各條文に規定されてある風水害とか虫害とかいうものに対すめ補助規定によつて補助していくというお考えでありますか、どちらが基本線でございますか。
  38. 永江一夫

    永江國務大臣 今お尋ねの後段にお述べになりましたような趣旨で、私どもはこの法案を提案いたしております。
  39. 綱島正興

    ○綱島委員 さようでございますと、この法案が、基本線としては大体計画通り行われる、特殊な場合のみ救済方法を行わなければならぬ場合が起るということが前提であるといたしますれば、計画の数量というものは、從つて非常に低い数量でなければならぬ、大丈夫という数量でなければならぬ。こういうことになつて、実際はこの目的に指示されているこてとについては、結果の上では非常に低い数量を割当しなくてはならぬ、そうでなければこの法律の本旨に副わない、こういう結果になるのじやないでしようか。
  40. 永江一夫

    永江國務大臣 大体計画の中でも、最も重点がありますのは、供出数量の割当ということになるだろうと思いますが、そういう場合には、絶対量がかりに三千万石ある、これは絶対に割つてはいかぬというような考え方をなるべくもたないような方向において、総体の数量をきめることが一番公平になるのではないかと思うのであります。昨日もお答えしたと思いますが、個々の消費者に対する配給基準量というものは、一應今の日本の特殊情勢においてきまるものでありますが、それに対してこれだけはどうしても國内においても農作物でとらねばならぬという、その絶対量の線をあまり強く押しますと、どうしても供出割当が無理なことになつて末端に参りますから、これは最後には政府責任において、中央の委員会の諮問によつてきめますが、事前にやはり末端から漸次ピラミツド型に積み上げてまいりました資料を基準として、できるだけ決定をするというような方法で行こう、こう考えております。
  41. 綱島正興

    ○綱島委員 まことに結構な御意見でございまして、さよう願えますればまことに結構でございます。さらにもう一つ伺つておきたいことは、この法案でどうしても必要なことは、食管法で一應政令としては出ておりますが、保有の数量及び優先確保の明確な規定、こういうことが必要であると思う。これだけは何もその年の出來ぐあいとか、いろいろなことで変更の來るものでなくして、農村が保有しなければならぬ量というものは、およそ予見がつくものでございますから、こういうような保有の数量は、きまつておる通りに決定をする。そうしてその優先保有をするという規定をこの法案の中に明記する、こういう考えはいかがでございましようか。
  42. 永江一夫

    永江國務大臣 今までしばしばお尋ねのありました重要な点でございまして、そういう点については、保有量を割つてまで裸巧出をさせるというところに弊害があるのでありまして、そういうことのないように、事前において生産農民自身の意見を徴しまして、委員会においても民主的に運営されるという精神がこの法律精神でありますから、そういう保有米についてはまず確保するということが妥当でありまして、その立場からこの法を施行するという考えであります。
  43. 綱島正興

    ○綱島委員 これを法文化することが実は必要でございまして、実際百姓はいくらそう言つてきかしても、それはというわけで裸巧出を事実上はやるのです。そこでここを農民の実情に副うように立法したいというのがわれわれの趣旨であります。それに対して、あらかじめ実情に副うためにそのことを法文の上に明らかに示す、こういうことが必要であると思つておるわけであります。
  44. 永江一夫

    永江國務大臣 その点は政府は供出をお願する側でありますし、供出せられる側等におきまして一致しておるのでありますが、ただ立場が違うものですから、やはり供出をされる側においても、もちろんそういう御意見を明らかにしておきたいという御趣旨のあることは了承しておりますが、この点は委員会におきまして御決定になりますならば、私どもはあえてこれに反対するものではありません。
  45. 綱島正興

    ○綱島委員 終りました。
  46. 八木一郎

    八木委員 今関連質問だと思つて遠慮しておりましたが、私の質疑を継続してよろしいでしようか。
  47. 井上良次

    井上委員長 ちよつと待つてください。一應これで食糧確保臨時措置法案に対する質疑の通告は全部終りました。從つてここで委員長質疑を打切りたいと思つておるのでありますが、皆さんにお諮りいたします。     〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
  48. 井上良次

    井上委員長 それでは採決をいたします。  食糧確保臨時措置法案に対する質疑を打切ることに賛成の方は、御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  49. 井上良次

    井上委員長 起立多数、それでは食糧確保臨時措置法案に対する質疑を打切ることに決定いたします。     —————————————
  50. 井上良次

    井上委員長 引継いて農業協同組合法の一部を改正する法律案について八木君の質疑を許します。
  51. 八木一郎

    八木委員 大臣責任に関してもう一度伺つておきたいと思います。  大臣は先ほどこの法案が通らなければという前置きの御言葉を述べられましたが、本法案が握りつぶしになる、あるいは否決になる、あるいは修正になるという場合がありまして、審議未了に終つた場合においては、大臣はどういう責任をとられますか。
  52. 永江一夫

    永江國務大臣 その際は、この準備的な処置をいたしましたことを全部事務的に取消します。
  53. 八木一郎

    八木委員 單位組合設立状況から見まして、單位組合はきわめて民主的に、きわめて合理的にりつぱにできておるということをその筋も認めておりますし、われわれもさように承知しております。農林当局もこれをお認めになると存じます。その單位組合は民主的な合理的な組合であるのに、その單位組合の自由設立によつてでき得べき連合会の形が、まだできてもいない今日、ことさらに七つの型にはめていこうという意図は、先ほどの説明ではわかりかねるのであります。もし言うがごとく、独占禁止法によつて集中排除にあたるというような事業内容をもつてできた連合会事業内容が、さような内容に触れたときに、その事業内容にタツチしていくならばともかく、自由設立になつておる組織そのものを、ことさらに一定の型にもつていかなければならぬというところに疑問があるわけであります。この点はどう解釈してよろしいのでありますか、伺いたいのであります。
  54. 永江一夫

    永江國務大臣 お尋ねの趣旨が私に徹底しなかつたのかもわかりませんから、お答えいたしまして、そうでなければまたさらにお尋ねを願いたい。七つの部門にわけまして、府縣連合会をつくるということは、しばしば説明しておりますような、独占的な弊に陷らないためであります。そかもその実際の運営におきまして、事実協同組合が発足したばかりであつて、それを育成、強化する上において、生産農民諸君が自発的につくつたものである。從つて自由奔放に積極的に、さらに強力にこの組織を強化せしめる上において、発足まぎわにかような抑制を加えるがごとき、寸断するがごとき機構を考えるということは妥当でないという御意見は、一應ごもつともだと思うのであります。しかしいろいろわが國の現下の特殊情勢からいたしまして、この農業協同組合というものが、できるだけ都市の経済から圧追を受けないように、農村の特殊事情を守りまして、農村経済の確立をいたしますためにも、できるだけ法的にもその他の面からも政府はこれに協力援助を與えるということは当然のことと思いますが、できました法規の原則であります協同組合法を、実施直後にかように改めるということについては、いろいろな事揚がありまして、私どもはこの点ははなはだ遺憾に思つております。しかしながら政府の意図のありますところは、あくまでも協同組合の健全なる発展を念願しておるのでありまして、個々の條文におきまして、いろいろ御意見はあろうと思いますが、この法規の改正趣旨は、しばしば申し上げるように、協同組合の育成強化ということに重点をおいておりまするが、これが農村のいろいろな仕事の上における独占的な弊害に陷らないために、かような処置を必要と考えたのであります。
  55. 八木一郎

    八木委員 独占的な形体になるかならないかということは、私は組織に重きをおかないで、事業内容におくべきであると思うのであります。今の改正をしなくても、いわゆる育成指導費を、今年度は五千五百万円を予算に計上しておる。初年度は相当な経費を計上しておる。この育成指導費をもつて指導して、また認可事業内容独占禁止法にぶつかる。農業会の看板塗りかえになるということのないような処理はできると思うんですが、これはできないという御見解なんですか。その点を伺いたい。
  56. 永江一夫

    永江國務大臣 やはりこれは法的処置を明らかにしておく方がいいと私ども考えます。
  57. 八木一郎

    八木委員 自由設立一本で進んでいくことが一番好ましい形にできてくると思うんですが、これを好ましくないというふうに出てきたことが、何か奧歯にもののはさまつたように理解します。もつと具体的に言えば、連合会設立は待たせよ、もうつくつちやいけないということまでその筋からの話があつたのでありますか。
  58. 永江一夫

    永江國務大臣 それは先ほど速記停止をお願いいたしまして申し上げた範囲でお考えを願つておきたいと思います。
  59. 八木一郎

    八木委員 具体的に言えば改正を予想しておるような形態の連合会も現にできようとしておる。下から盛上つてできつつある。それも待てということにいたしておりますから、そこがわからなくなつてくるのでありまして、一律一体に全部待てということをなぜしなければならなかつたか。私の見解ならば自然にできる姿を見て、今の單位組合がその筋の了解を得、りつぱな組合だというお賞めをいただいておるように、連合会は自由設立でありますから、自然育成と相まつていけば、これもその筋の了解納得のいくようなものが当然できるのではないかと思うのでありますが、その点についてもやつちやいけない、こういうことを受けたか受けないかということをお聽きしたい。
  60. 井上良次

    井上委員長 ちよつと速記を止めて……     〔速記中止
  61. 井上良次

    井上委員長 速記を初めて……
  62. 八木一郎

    八木委員 だんだんわかつてきました。その法律改正しないで、指導精神というか國家方針というか、認可方針というか、これに合つた連合会は現在の法律認可していけるんだから、このままおいても必要なものは認可していく。こういうことではその筋の納得は得られないでしようか。その点についての折衝をいたしたんですかどうう伺いたい。
  63. 永江一夫

    永江國務大臣 その点は実はいろいろ折衝しておるのでありまして、これは今までの経過については、ある程度私は本質まであら筋については御了解を願うように、速記を止めまして申し上げたのでございます。それ以上にいろいろな経過についてお尋ねがありますれば、本問題については秘密会等においてお尋ねを願つた方が徹底すると思いますが、一應今まで二度速記を止めまして申し上げたことの線において御了承願いたいと思います。
  64. 八木一郎

    八木委員 やや了解をしてまいりましたが、そこで連合会にもいろいろなものが出てくる、それは二十九日以後認めつつある。この事実をもつて八月ごろまで進めていつたのでは、前身である農業会資産処分等の関係から行詰つてしもう、どうしてもここで改正しなくては打開の途がなくなる、こういう見解に立つが、私はその見解に立てないのでそこを一つ伺いたい。
  65. 永江一夫

    永江國務大臣 先ほど來申し上げておりますように、委員会並びに本会議におきまして、政府提出の本案が否決になり、あるいは修正になりました場合には、その國会の御決定通りに私ども処置をするわけであります。
  66. 八木一郎

    八木委員 二十九日以後の連合会設立認可方針がきまつて、その後のいわゆる連合会設立状況がここで審査の対象になると思います囲その連合会設立機運と申しますか、設立状況説明願いたいと思います。
  67. 打越顯太郎

    打越説明員 連合会設立進行状態について、現状はどうかというお尋ねでございますが、先ほど大臣よりお答えを申し上げた趣旨に副いまして、五月十九日以降その線に沿うて自由につくられます場合におきましては、その設立を認めておるのでございますが、現在の段階におきましては、各都道府縣におきまして、大体四つなり五つの部門にわかれまして、相当な数の設立進行中であるように存ぜられます。すでに最後の創立総会の手続まで経まして、官廳の方に認可の申請をしてまいつておりますものも若干あるわけでございます。この点につきまして、目下その内容について、この法令等に違反する不満な点があるかどうかという点を審査をいたしておるのでございますが、さような手続の上におきまして過誤がありません場合におきましては、これをどしどしなるべく早く認可をいたすことにいたして、それによりまして農業会の解体によります農業会資産も協同組合に移る、こういう点を円滑にして、農村におきます経済のスムースな移り変りをなるべく促進したい、かように考えております。
  68. 八木一郎

    八木委員 認可方針はどしどし認可していくということで扱つていけば、農業会資産処分等のために支障がくる氣ずかいがあるのではないかという見透について伺いたい。
  69. 打越顯太郎

    打越説明員 その点につきまして、連合会設立進行状態と、都道府縣におきます農業会資産処分との関連は大きな問題になつてまいると思うのでありますが、私どもはやはりこれははつきり國会審議を経ました法的根拠に基いてやることが最も妥当だ、かようにも考えておりますので、この資産処分をいたします場合の、法的根拠を明確にするという建前からいたしましても、この法律改正案に関する國会の方の御審議を、改正案趣旨によつてしていただきますることは、最も妥当だと考えております。
  70. 八木一郎

    八木委員 連合会兼営を認めないという点を、改正案によりますと、「その事業の目的を達成するためにこれに関連して行うことを通常必要とする範囲において」はよろしい。こういう非常にこみ入つた表現で書いてありますが、これに関連して行うことを通常必要とする範囲を、相当廣範囲に求めていくならば、現行法において、現在の認可方針に基いてりつぱにやれる。指彈をうける心配はないという見解を私はもちますが、この今あげました「事業の目的を達成するためにこれに関連して行うことを通常必要とする範囲と」いう、兼営の範囲の事業を具体的に税明願いたいと思います。
  71. 打越顯太郎

    打越説明員 この改正案におきまして、関連する業務はどういう範囲であるかというお尋ねでございますが、これは、今度の改正案によりまして、販賣購買事業がそれぞれ分離してやつてまいることになりますので、この建前をとります限り、それに関連しました事業は一際行えない、こういうようなことに相なるのでありますが、それでは、一面独占禁止精神からさような改正をいたすようにいたしましても、またその連合会事業の発達を阻止するようなことがあつてはならない。がような趣旨からいたしまして、この一部関連する事業についてはそれを兼営してもよろしい。かようなことに考えておるのであります。その例をとつて申し上げますならば、たとえば購買事業を営みまする連合会におきまして、所属農業協同組合に対しまして購買品の配給をする、その場合に掛賣りをするという場合も当然起つてまいると思うのでありますが、その掛賣りいたしました場合に、一部それを貸付の証書をとる貸付金の形で整理をする、という場合が起つてまいるであろうと思うのであります。さような場合におきまして、これはやはり形式論から申しますならば、信用事業ということにも相なるのでありますが、さようなことは、この購買事業を営みまする事業に当然関連してくる事業としてやつてもよろしい。かようなことが考えられる次第であります。なおもう一つ例をとつて申し上げますならば、販賣事業を営みまする連合会におきまして、その販賣事業を営みまするのに必要ないろいろな施設を協同購入するという場合もあろうと思うのであります。たとえば乾繭事業営みまするところの販賣組合連合会におきまして、それに必要ないろいろな蚕具その他のものを買いまして、それを所属農業協同組合の方にわけてやる。それはまた乾繭事業をやりまするところの販賣事業を円滑に進ませるゆえんでもあろうということにも相なりますので、それは一部購買事業ということにもなりますけれども、それもその販賣事業に関連した事業としてやつてもよろしい。かようなふうにいたしたいというふうに考えておるのであります。その他各部門につきまして、それに関連した事業をそれぞれやり得るということにいたしまして、この分割からまいりますところの弊害をできる限り少くいたしたい。かように考えられておる次第であります。
  72. 坪井亀藏

    ○坪井委員 先日委員長手もとまで、農林大臣に対しまして、市町村農業会及び府縣農業会資産農業協同組合に讓渡する点につきまして、なおもう一点は、農業協同組合連合会設立に関する緊急質問をいたしたいということを申し出ておきましたところが、協同組合法案が近く上程されるから、そのときまで延期してくれということで留保しておりました。本日農林大臣が見えられましたから、優先的に二、三の点について質問いたしたいと思います。もう八木委員より私の伺いたいと思つた点についてもるる質問がありましたから、その点は省略いたします。  先ほど農林大臣は、もし今度の法案が、第十條の改正が否決されるという場合には現行法でいくということを言われております。もちろん否決した場合には現行法でいくよりほかなかろうと思いますが、現在各市町村農業協同組合連合会設立するという準備にまさにはいつております。もうすでにその組織にはつております。それをまたもとにひきなおさせるということになると、迷惑するのが結局現在の單一の市町村農業協同組合だと思うのであります。こういう点については、結局、まだ法律改正されぬうちに、改正されたかのごとくに、いろいろ準備態勢を整える意味においてやられたと申されますけれども、先ほどの大臣の言葉からみると、どうもこれは緊急やむを得ざるものとしていわゆる準備態勢をしたのだと言われますが、もうこれとすでに昨年のうちにきまつておる。この農業会は八月十四日をもつて全部解散するのだということがきまつておるのでありますから、むしろこの連合会については、各縣において当然やつてもよかつたと思う。それすら抑えておいたというようなことで非常な迷惑をしております。今になつて急いでこれをつくつておるという現状で、非常な迷惑を來しておるのであります。いかに行政措置としても、こうした軽卒なる措置をとるということは、これはよほど愼むべきではないかと思うのであります。先ほど協同組合の係官から言われたように、関係当局からということを言われましたが、なんでも関係当局ということで、すべて指令を発するとかあるいは通達して、それによつて行政措置をとるということばかりになつてはいけないと思う。もうすでに三月一ぱいまでには、ほとんど協同組合は各町村にできておる。してみれば、すぐに連合会設立をしてよかつたにもかかわらず、ずつと遷延をされてきたというようなことで、この点からみますと、結局現在において、約六部門ですか、とにかくこれだけというふうに分類されて、これがばらばらになつていくというようなことになつておりますけれども、結局各縣におきましても、こうしたばらばらに分類されるということになると、これに対して出資しなければ、その連合会の機能を発揮できない。その出資たるや非常に莫大なものになります。一町村農業協同組合の出資というものは大体四、五十万円くらいだと思うのです。しかるにこれを六つにもわけて出資するのだということになると、町村にあります。農業協同組合の出資を全部してもなお足りないというようなことになつてきております。私はこの点について非常に憂慮されますので、なるべくは、將來、こういう必要が起つてきた場合においてはやむを得ぬけれども、まず現行法通りで、信連一本でいく、あるいは他の経済團体というようなことで、縣連合会二本建でいくというくらいが最もういことだ、こう思つておつた。ところがこうした関係当局というような言葉から、ついに私どもは抑えつけられた感がありますので、非常にこれは迷惑をしているわけであります。そこで、この場合において出資の関係は、今言つたように、これをばらばらにすると非常に困るということと、いま一つは、もうすでに協同組合はできておるのだから、両方産の処理もできておるのだから、両方が話合いでもつて、すでに資産の処理はいつでも引継げるというにもかかわらず、これも関係当局の関係でできないということに押えつけられておるようであります。聞くところによると、政令を近く発するということを言われておるが、これも六月十五日ごを、中旬には出ると言つてつたのが、今もつて出ない。まことに町村農業協同組合としては困つておる。そういうように何でもかでも関係当局に結びつけて、これを押えつけておいて、今になつて政令を出すと言いながら、その政令すらまだ今もつて出ない。結局市町村農業協同組合資産も処理できない。こういう関係にあります。一面においては、協同組合においては早く資産を処理讓渡して、今度の新しい組合連合会をつくる上において出資もしなければならぬ、こういう場面になつておりますけれども、これが未だもつて停頓状態にあります。これについてどんな処置をされるかということについて、お伺いいたしたい。  附け加えてちよつとお願いいたしたいが、資産を讓渡する場合においては、全部帳簿價格でやるべきだと言われておるようでありますが、ものによつては帳簿價格だけでもいくまい。人によつては時價によるのだ。そうしてその剩余金というものは政府の補償の方にまわすのだと伺つておりますが、どちらにしてもこれを早く資産処理委員と、それから農業会の役員と、新しい協同組合の役員の三者が一体となつて、この引継体制によつて、いつでも讓渡のでき得るようにするのが当然だと考えられるが、政府の手においてこれを押えつけておるということは、まことに遺憾千万だと思いますが、これについて大臣から御答弁願いたい。
  73. 永江一夫

    永江國務大臣 この農業協同組合法の一部を改正いたしまして、非常に順調に発足すべき農業協同組合連合会六つにわけられておることについては、私も同樣な心配をもつておる一人であります。ただ先ほど來しばしば申し上げましたような趣旨によりまして、本法が大所高所からやはり改正の必要に迫られておるという点は御了承願いたいと思います。  それから農業会から讓渡さるべき資産の処理につきましては、実はただいままで法制局でその政令案を審議中でありまして、これが近く発令する運びになると思つておるわけであります。そういうことについての手続上、いろいろ関係方面にすべてのことを政府がかぶせておいて、政府責任を明らかにしないという御趣旨のお尋ねがございましたけれども政府としては、現下の日本の占領政策の線のわく内におきまして、できるだけ忠実に政府の所信を具体化するという方針でやつておるのであります。個々にいろいろ御意見があろうと思いますが、この点は御線承願つておきたいと思います。ただ讓渡資産につきましての評價が、帳簿價格というようなお話でございましたが、ただいま政府が政令として考えております趣旨は、帳簿價格よりやはり時價價格に重点をおきまして、資産の評價をするという考え方によつて政令を立案審議中であります。
  74. 坪井亀藏

    ○坪井委員 そういたしますると、かりに時價によつて評價をいたすこととなりました場合には、そこに相当の剩余金が出てくるのではないかと考えますが、政府はその剩余金を政府に沒收するという、いわゆる政府の所得にせんがために時價の價格で算定されて、政令案を今度つくつておる。こういうように私には考えられますが、そういうまつたく矛盾した考え政府はもたれておると私は考えられます。この点についてどんなお考えをもつておりますか。
  75. 打越顯太郎

    打越説明員 ただいまの資産処分の点に関連いたしましての御質問にお答えを申し上げたいと思います。この資産処分をいたしまする点について、ただいま大臣から御答弁がございましたことく、目下法制局で審議をいたしておるのであります。これは農業会から農業協同組合の方に資産を讓渡いたしまする場合において、御質問にございましたことく、從來帳簿主義でいくことが考えられておつたのでございますが、その後方針を変更せざるを得ないことになりまして、ただいまのところ、時價を中心とした方針でいくことになつておるのであります。もちろん時價と申しましてもいろいろの場合があるのでありますが、公定價格がありますものは公定價格を尊重しなければいけませんし、また公定價格のないものにつきましても、なるべく公定價格に準ずる價格というようなことでまいる、さような資産の評價につきましては、農業会でできまする資産処理委員会で十分愼重に研究してやつていただく方針で、目下立案をいたしておる次第であります。從いまして、時價で処分いたしました場合に、相当利益が上るじやないか、その利益を國家に返納することが起りはしないかというお尋ねのようにも考えられますが、この点は金融再建整備法にあります新旧勘定の分離をいたしておる場合の政府の補償の場合に関連した御質問だと思いますが、このことについては御意見の中にもございましたように、さような場合についてはまだはつきりいたしておりませんが、なるべく新しい農業協同組合の方に移してまいる。政府の方にはその利益をそのまま返さなくてもよいということにいたしたいと思いまして、目下政令の中ではさような趣旨で立案をいたしておるのでございます。最後の決定についてはそこに多少の関係問題が残るので、政令といて決定いたした上でなければ明確なことは申し上げられませんが、現在折衝しておるところでは、今申しあげましたごとく、その点を円滑に処理してまいりたいと考えておる次第であります。
  76. 坪井亀藏

    ○坪井委員 これに関してさつきちよつと申しましたが、出資の問題であります。各府縣でばらばらになりまして、結局一方で相当の出資をなくしてはいかぬ、十万、十五万の出資を必要としてくるといつたことになりますと、農業協同組合の出資だけでは足りないことにもなつてくるし、結局農業協同組合の基礎もそれによつてゆるんでくることにもなりますので、過去においての農業会で放漫と言いますか、とにかく出資がとんでしまつたようなことにもなつており、その末に相当の赤字を出しておるが補償をしてもらうことになつておることは事実であります。今なおほとんど現金をもつておる農業会は少い、ほとんどこれは資産として購売、販賣等のいろいろ雜品等に相当つておる。結局今取付を食つたならばどうにもならぬという状態のものが相当あると思う。こういう結果に鑑みて、今後はたしてこういう出資を多額にすることはどうかと思う。それについてはある程度私は國家が補償というか、國家がとにかく新しい農業協同組合をつくつて農村の再建をはかるというときにおいては、当然國家がその負担をしてもいいと思う。それについては、今までは中金がありましたが、今度は農業復興金庫でもつくつて、なるべく農山漁村に融資をしてもらうということを常に私どもは要望しておつ平のでありますが、聞くところによりますと、どうも農業復興金融金庫というものはぐあいが惡い。なおまたそれにかえて、やむを得ぬから農漁村について、融資の機関で四、五十億あるいは五、六十億というものを本年度政府は認めようと言われるが、これは聞くところによると関係方面でだめだということになつた。そういたしますと、農業手形等の一時的のものならいいけれども、それだけでは農村の金融というものは間に合わないと思う。私は農業界の資産と同時に、結局新しい今度の協同組合の新発足、なお連合会をつくる上においてはどうしても相当の資金が必要だと思う。いわゆる復興金庫は一千三百五十億にしようと言つております。少くとも五百億か六百億の資金がなければ、今後の農村の復興はできないと思う。しかるにそれが全部関係当局からいけないと言われたとか、あるいは政府は何らかの方法と言われるだろうが、何らかの具体的の方法をもつておるかどうか。これについてどうしたら農村の金融の目鼻をここにつけていくかということについて、私は農大大臣から伺いたいと思います。
  77. 永江一夫

    永江國務大臣 速記をやめていただきたい。
  78. 井上良次

    井上委員長 速記をやめて……     〔速記中止
  79. 井上良次

    井上委員長 速記を始めて……
  80. 坪井亀藏

    ○坪井委員 農林大臣農村の金融についての御努力に対しては深甚の感謝を申し上げます。どうか職を賭してもこの問題を解決するように特にお願いいたします。  次に農業協同組合連合会設立に関する件でありますが、時間がありませんから、ちよつとお伺いしておきます。八月十四日までで大体農業会が解散になる。それまでに全部つくつてしまわぬ方がよいではないか、なるべく準備態勢を整えてやるようにと言われますが、こういう情勢下にありますと、なかなかそう手軽くいかないと思う。そこで結局その後において、そこにずれができてくる。空白ができてくる。これらの空白に対する、いわゆる農業会資産処理とか、そういうものに対する損失を生じた場合においては、政府はこれらに対する補償の義務があると思うが、これらに対する点について伺いたいと思います。
  81. 永江一夫

    永江國務大臣 その点は実際問題として政府が補償するということは困難であります。
  82. 坪井亀藏

    ○坪井委員 以上で打切ります。
  83. 井上良次

    井上委員長 午前の質疑はこれで打切ります。午後三時から別の部屋で質疑を行いたいと思います。  なおこの際ちよつとお諮りしておきますが、ただいま競馬法と馬匹組合整理等に関する法律案が上程されましたので、この二件を午後に審議いたしたいと思います。協同組合の方の審議はあとに回しにいたしたいと思います。さよう御了承願います。  それではこれで休憩いたします。    午後零細四十六分休憩      ————◇—————     午後三時五十五分開議
  84. 永井勝次郎

    ○永井委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  競馬法を議題に供し政府の提案理由の説明を求めます。永江國務大臣。     —————————————
  85. 永江一夫

    永江國務大臣 競馬法案について提案理由を御説明申し上げます。  現在競馬は日本競馬会の施行にかかわる競馬と地方競馬の両建てで施行してきたのであります。競馬が馬事の振興、國家財政への寄與、國民に健全なる娯樂を與えること等の点につき、きわめて大きな寄與をしてきたことについては御承知の通りであります。特に昭和二十三年度におきましては、八月以降、馬券の総賣上見込額は國営競馬においては四十億二千四百八十万円、地方競馬においては二十九億一千七百万円、政府收入は國営競馬から十五億二十一万円、地方競馬から地方財政收入とする額が二億四千八百九万円となりまして、浮動購買力の吸收により、インフレの抑制には多大の貢献をするものと思われるのであります。しかるにこれが施行の主体たる日本競馬会、都道府縣馬匹組合または馬匹組合連会会等は、私的独占禁止建前上解散をせざるを得ないような状況になりましたので、急遽本法案を提案することとしたのでありますが、本法案におきましては、從來、日本競馬会が施行してまいりましたいわゆる公認競馬は、これを國の直営とし、地方競馬はこれまた都道府県の直営としたのであります。  國営競馬における競馬場の数、開催回数、開催日数、勝馬投票法等につきましては、大体從來通りの建前を踏襲しております。なお時代の要求と公正な競馬を行うため、馬券の拂もどしは前馬投票券の券面金額の百倍を超えることができなかつたのを、今回この制限を撤廃し、本法によらざるいわゆるやみ競馬に特に重刑を科したほか、全面的に罰則を強化いたしたのであります。從來の日本競馬会の資産及び負債につきましては、これを政府に承継することができることとし、競馬の円滑な移行を期した次第であります。  地方競馬におきましても、競馬場の数、開催回数、開催日数、勝馬投票券の発賣、控除率、拂もどし及び監督規定等從來とまつたく同樣であります。特に改変しました著しい点をあげますれば、農林大臣の競馬施行の許可権を廃しましたほか、馬券税、入場税及び中央馬事会納付金等一切をあげて、これを都道府縣の收入となしたこと、また馬券の拂もどしに対する制限の撤廃と罰則の強化は國営競馬と同樣であります。  なお本法の実施に伴いまして、從來の主催者であります都道府縣馬匹組合連合会の所有していました競馬に必要な資産は、都道府縣がこれを承継することができるのでありますが、爾余の資産及び負債もまた一応都道府縣が承継することができるのであります。しかし、これらは農業協同組合連合会及び農業協同組合に他に優先してこれが資産を賣却することができることとした次第であります。  最後に、この法案は一應本法律施行の日から一年の有効期限を付したのでありますが、一年の後にさらに継続すべきや否やを檢討するという趣旨であります。  以上簡單でありますが、本法案の主たる内容について申し上げた次第であります。何とぞ愼重御審議の上速やかに可決せられんことをお願い申し上ます。     —————————————
  86. 永井勝次郎

    ○永井委員長代理 引続いて馬匹組合整理等に関する法律案の提案理由の説明を求めます。永江國務大臣。     —————————————
  87. 永江一夫

    永江國務大臣 馬匹組合整理等に関する法律案の提案理由を御説明申し上げます。  馬匹組合はすでに御承知のように、從來の畜産組合及び同連合会が昭和十八年法律第四十六号農業團体法制定の際、馬に関するものとその他のものとに分割され、馬に関するものについて畜産組合法を改正した馬匹組合法を根拠法として、馬事の改良発達をはかる目的をもつて設立されてものでありますが、新しい農業協同組合法の制定に伴い、当然解体されなければならなかつたことは、同法の制定の際にも衆議院の附帶決議とされいたのであります。農業協同組合法も制定以來すでに半歳を経、今や全國的に着実にその設立が進められている状況であり、かたがた競馬制度の改革問題も進展を見つつある諸般の情勢を勘案いたしまして、馬匹組合の円満かつ速やかな解体を行い、新たなる農業協輝組合の健全なる発展を期するために必要な措置を講ずるために、本法案提出した次第であります。以下本法案内容の要点を申し上げます。  第一は、既存の馬匹組合は、本法施行後五箇月以内に解散しなければならぬのであります。これは、比較的短かい期間であり、馬匹組合におきましては、事務の処理上やや困難が伴うものと考えられますが、一日も早く本來の協同組合組織を発展せしめますためには、馬匹組合を長く存続させることは好ましくありませんので、そこで速やかなる解散の措置をとつたのであります。  第二は、馬匹組合の財産を協同組合に讓渡させる措置をとつた点であります。馬匹組合の財産について、馬匹組合組合員組合員とする農業協同組合に対して優先的な讓辺を認めるということは、当然でもあり、かつ、協同組合の健全なる発達を期する上からも必要と存ずるのであります。  以上簡單でありますが、本法案のおもなる内容について申し上げた次第であります。何とぞ愼重御審議の上、速やかに可決せられんことを御願い申し上げます。     —————————————
  88. 永井勝次郎

    ○永井委員長代理 この際お諮りいたしたいと存じます。井上農林委員長の委員に対する発言制限に対し、不信任の動議を提出する。右成規により提出候也、昭和二十三年七月二日提出者北二郎。成規の手続をとつておりますので、本案を議題に供することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 永井勝次郎

    ○永井委員長代理 御異議なしと認め、本案を議題といたします。提案者の趣旨弁明を許します。——提案者欠席のようでありますので本案を採決いたしたいと存じますが……     〔「それは待て、そんなむちやなことがあるか」と呼びその他発言する者多し〕
  90. 永井勝次郎

    ○永井委員長代理 暫時休憩いたします。     午後四時三分休憩      ————◇—————     午後四時二十分開議
  91. 永井勝次郎

    ○永井委員長代理 休憩前に引続き開会いたします。  北二郎君より先刻提出されました委員長の不信任の動議は本人より撤回の申出がありました。——それでは委員長井上良治君と交代いたします。     〔永井委員長代理退席、委員長著席〕
  92. 井上良次

    井上委員長 私の不徳のいたすところから、皆さんにたいへん御迷惑をかけましたが、できるだけ委員各位の発言は尊重いたしまして、審議を円滑に進めたいつもりでありますから、何卒御協力願いたいと思います。  本会議の都合によりまして暫時休憩いたします。     午後四時二十一分休憩      ————◇—————     午後六時二十三分開議
  93. 井上良次

    井上委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。  競馬法並びに馬匹組合整備に関する法律案質疑を始めます。質疑は通告順によつてこれを許します。
  94. 田口助太郎

    ○田口委員 競馬というものは相当弊害の伴うものでありますことは、何人も異存のないことだと思います。特に勝馬投票券の発賣を伴う競馬は、一種の賭博行為であることは一点の疑いもない問題であります。刑法が賭博行為を処罰している理由は、経済的秩序の基礎になつている労働による財産の取得という社会的道義的原則に反する行為であるから、処罰するのであることは刑法学者の通説であります。この社会的通義的原則に反する賭博行為の一種の競馬を國家があえて是認するばかりでなく、國家みずから行おうとするためには、この一般法理論の原則に從うことのでき得ないより重要な高度の社会的必要性と目的がなければならないことは当然であります。特に現在のように著しく道義の頽廃している時代に、また労働意欲のはなはだしく低下しているわが國の現状においては、國民の全部が從前以上に勤労意欲を高揚せしめて、一日も早く経済を再建しなければならない時代であることもまた言うまでもないことであります。かかる社会情勢下において、一体この経済的秩序の基礎になつているところの、労働による財産の取得という社会道徳的一般原則に反する競馬を認めなければならない、あるいは國家みずから行わなければならないという一層重要なる高度の社会目的がどこにあるかをまず伺いたいと思います。
  95. 遠藤三郎

    ○遠藤(三)政府委員 現下の情勢におきまして競馬をあえて認めんとする社会的理由についてのお尋ねでありますが、御承知のように接馬は三つの大きな目的をもつております。  その一つは馬事の振興、廣く言いますれば、畜産振興を目的としております。第二は國家收入をあげまして、國の財政的な援助をする。國の財政收入の増加をはかる一つの方法としてこの競馬が考えられているわけであります。第三といたしましてはきわめて優秀なスポーツでありますので、この意味において國民に健全な娯樂を與えるという三つの大きな目的のもとに立つているわけであります。今回競馬法を提案いたしました理由はこの三つの目的を達成しようとしているものでありまして、いずれも從來の競馬におきましては、この三つの目的を達成してまいりますために、相当寄與してまいつたと思うのであります。今後ますますこの目的が十分に達成せられるようにいたしてまいりたいと考えております。
  96. 田口助太郎

    ○田口委員 政府は今三つの目的のために競馬は賭博行為であるが、より國家的には必要で、一般原則としては賭博行為だけれども、それ以外にもつと高度の目的は馬の改良と、財源の捻出と、健全なる娯樂であると言われました。しかしながらこの競馬によつて馬がどうして改良増殖できるか、私をして言わしむるならば、この競馬を施行することによつて日本の畜産、特に馬産は破壞されるものであると思います。なぜならば、現在行つている競馬に出ている馬の種類を見ればアラブ系とサラブレツト系だけでありますが、かくのごとき馬が一体日本の畜産五箇年計画にどれだけ必要としているか、ほとんど要らないのであります。現在日本は戰爭を放棄して、これから馬を必要とする面は輓馬と農耕馬であります。競馬のごときものは日本の産業には害あつて益のないものであります。特に平和時代においてもまた戰時中においても競馬を何ゆえに盛大にしておつたかといえば——一般農家は射倖心につられる、今のサラブレツトの最高價格は二百七十万円もしておるものが出ております。從つて農家はまじめな産業に必要な馬をつくらずに、一攫千金的な型式の馬をつくろうという思想になることは当然であります。從いまして戰時中には馬の繊細脆弱な、軍馬としても使えない、農耕馬としても使えないものが國内に満ちておつた。そのためにいろいろな立法処置を講じておつたのであります。從いまして今度種馬統制法を撤廃し、サラブレットとアラブの二種類だけの競馬をやりますならば、日本に不必要な馬だけをつくり、ほんとうに必要な馬はできなくなる。從つて馬の改良増殖振興に対しては、私は害があつても何らの益はないと断言して差支えないと思います。また健全なる娯樂を國民に與えると言つておりますが、競馬がどこに健全さがあるか。現在競馬に行く者はほんとうにまじめな人ではない。いわゆる競馬フアンなるものの低下は戰時中以上に低下しておりまして、一種のごろつきの集りとさえ社会からは指彈されておる状態である。またその開催の機会に傳助賭博が出たり、あるいはのみ屋が横行しておることは、農林省の資料の提供によつても、いかに競馬場における犯罪が多いかを明瞭ゆ示しておるところであります。從つて私は競馬が決して健全なる娯樂とは思いません。從つて政府の言いますところの馬の改良増殖という高次の目的というものは決して賭博行為を否定するだけの高次のものでは断じてないばかりではなく、健康なる娯樂といつても、やはり賭博行為以上の國家目的があるとは断ぜられないのであります。また財源取得上必要だと言いますが、実際の收益は地方競馬において農林省の案でも大体二億円、公認においても十五億円程度であります。かくのごとき小さな財源のために國民道義を頽廃せしめ、あるいはまた勤労意欲を阻害し、正当なる労働による收入を忘却するような政策は間違つておる。從つてただいまの政府の御答弁では、逆に競馬の不必要性を証明する何ものでもないと思うのでありますが、あらためてこの点について大臣の御見解を承りたいと思います。
  97. 永江一夫

    永江國務大臣 接馬のもつております短所についていろいろ御指摘がございました。この短所は全然否定するわけにはいかないだろうと私は思つております。しかし今日本の置かれております立場からいいましても、財政的に見ましても、また別の長所をもつておるのであります。また競馬が心身に及ぼします影響についても、これまた心配すればきりのないことでありますが、この程度のものが日本の人心撹乱の最も大きなものだと考えておらぬのであります。また実際に必要であります馬匹の改良等につきましても、今御議論のような極端な結論は私どもはもつておらぬのでありまして、いずれにいたしましても長所と短所とを対比いたしますならば、政府としてはさらに本法でねらつておりますような大きな長所をねらいまして、本法による利益を國家的に得たいと考えております。
  98. 田口助太郎

    ○田口委員 今政府委員は長所を三つあげられた。そのうちの二つは全然長所ではなくして弊害である。ただ私に言わせますならば、長所は財源の取得という一点だけであると考えます。從いましてこの財源を取得するという点と、馬の生産、畜産の振興を阻害しない範囲内において競馬は存在の意義があるのだと私は考えております。從來われわれも競馬に関係しておりましたが、その当時で一番苦心したものは財源と日本の馬政をどうとていくかという立場にあつたのであります。そこで競馬の開催の場合においてはできるだけ射倖心をあほらないように、また日本の馬政を破壞しないような程度において收入を取得するということを考えておつたのでありますが、本法案においては全部これを否定してしまつて、ただ金もうけだけのためにやつておる競馬であることは、この條文全体を通じて明らかであります。もしこの競馬の施行方法その他によつて馬の改良増殖上必要であるという点が指摘できるならば、大臣なり政府委員から指摘していただきたいと思います。
  99. 遠藤三郎

    ○遠藤(三)政府委員 競馬が馬産のために非常に弊害があるという点の御説明でございましたが、御指摘のように確かに弊害の面もあると思います。ただ御承知のように競馬はアラブの競馬にいたしましても、サラブレツトの競馬にいたしましても、きわめて進んだ血液の原種の確保ができることになるのでありまして、サラブレツトは單に競馬馬の生産だけではなくして、あらゆる馬の改良の基礎になつてまいる基本的な種でございます。サラブレツトの優れたものが出てまいりますことによりまして、馬全体の改良ができるというふうにわれわれ大ざつぱに考えておるわけでございます。  ただサラブレツトなりアラブなりの競馬用の馬がいたずらに氾濫いたしまして、ほんとうに私どものねらつております競馬や農耕馬の生産が阻害されるようなことになりますと、日本の農業建前からいいましてゆゆしい問題になりますので、その点につきましてはおのずから限度を設けてまいりまして、競馬場の数を制限するとか、あるいは競馬の施行についてもそれぞれ馬産の改良方針にかなうような回数だとか、施行の種類だとか、いろいろの点に制限を設けて馬産の奨励と相背馳しないように、馬事の振興を目的としておる一つの大きな眼目を失わないように競馬を施行してまいりまして、そうして競馬の大きな目的を失わないようにしてまいりたいと考えておる次第であります。
  100. 田口助太郎

    ○田口委員 サラブレツト及びアラブが必要であることを全然否定しておるわけではありませんが、日本のこれからの産業用馬としてアラブを必要とする頭教は一体何頭が適当だと政府委員考えられるか。あるいはサラブレツトは何頭を必要とするか、これは五箇年計画上あると思いますから説明していただきたいと思います。
  101. 井上綱雄

    井上説明員 それでは便宜私から御説明申し上げます。現在の國の競馬の方から申しますと、大体現在競馬場に收容しております頭数は八百頭あります。その中でアラブとサラブレツトの比率は、大体サラブレツト四、アラブ六くらいの割合になつております。今田口議員のおつしやつた一番弊害があるといわれるサラブレツト、アングロ・アラブは、大体公認競馬の関係であります。地方競馬の方は御承知のように一部はそれらのものもありますが、大体は地方の農馬であります。この方はしばらくおきまして、公認競馬だけについて申し上げます。  現在の馬産計画から申しますと、これも御承知のように元原種になるものはきわめて少数でよいのであります。サラブレツトなり、アングロ・アラブなりの再生産、それから一般馬の血液の改良のために必要な馬の頭数、これを合わせまして、—御承知のように馬は十年をもつて更新しているのでありますが、サラブレツト全体の競馬場につないであります馬が八百頭でありまして、ただいま申しましたようにそれが四対六になりますから、その比率で申しますと、その再生産と一般馬の血液更新のためには、一年間に大重種馬といたしまして二十頭ないし二十五頭おればよかろうと思います。それを十年間に更新いたしますと、嚴格に申しますれば、一年に三頭も原種ができればたくさんだという計数になりますが、これも御承知のように三頭を得るためには非常にむだなことが必要なのでありまして、詳しく申しますれば、この三頭を得るために数十頭のものから選ばなければならぬ。嚴格な淘汰をやらなければ改良原種ができないのであります。今お話のようにきわめて少数でありますが、少数にしてかつ貴重なものを得るためには、現在の競走馬の頭数ではむしろ不足であるわけであります。それからこの際特に現在の情勢を申しますと、最近牧場の整備の問題が起りまして、日本の食糧増産のためには大きな牧場の必要は認められません。特に競走馬の生産という面につきましては許容せられないという現状でありますので、むしろサラブレツトの生産、—アングロ・アラブは小さくてよろしゆうございますが、特にサラブレツトの生産につきましては、壞滅的な打撃を受けているのであります。ただいまお話のように二百六十万円の馬ができましても、今後こういうものができ得るということはほとんど望みがないと考えているので、たいへん五箇年計画等について御心配で恐縮でありますが、むしろ私どもはできないことに懸念をもつているとお答え申し上げたいと思います。
  102. 田口助太郎

    ○田口委員 今の説明員のお話を聽きますと、年に三頭あればよい、これは競馬を含めての数であるのでありますが、私の聽かんとするところは、日本の産業用馬、すなわち輓馬と農耕馬をつくるために、サラブレツトをどれだけ必要としているのかということであります。
  103. 井上綱雄

    井上説明員 輓馬と農馬、その他の関係から申しますと、ただいま的確な数字を申し上げる材料は実は用意しておりませんが、戰爭中におきまして、山砲駄馬を急速につきりますために、御承知のように重種系血液を非常にたくさん入れたのであります。北海道においてはほとんどそれでもよいのでありますが、内地においてはそのために困つた農馬が相当できております。從いましてこの馬をもとの形に返す、すなわち産業並びに軍事上必要であるということから、一般方針に返すことは非常に必要でございます。特に軍事上の必要ではございませんが、産業上の必要から急速に軍事化した馬の形をもとに返す必要があるのであります。五箇年計画にどのように織りこんであるかというお尋ねでありますが、ちよつと材料を持合わせませんので、明日でも御答弁いたしたいと思いますが、ただいま申しましたのは最小限度の頭数であることを繰返して申し上げます。
  104. 田口助太郎

    ○田口委員 その点についてはあすでも資料なり、御答弁をお願いしたいと思います。とにかく日本においてサラブレツトというようなものは、今政府委員説明では、競馬を含めても三頭程度でこれをつくるために日本の馬産計画はほとんど形式的になつている。ところが一般の馬の生産者は副業であり、また專業にしているのでも、どうしてももうかるものをつくる。從つてサラブレツト系、あるいはアラブ系のものをつくる傾向は、昔から現在まで変りないのであります。農馬に賣れば現在でも一万円か二万円、競馬馬ではこいものは二百万円以上になる。國家としてはわずかに三頭きりしか要らないもののために、不必要なる馬までたくさんでき、しかもこの不必要なる馬は農馬にも全然適していない。輓馬としても適していない。こういうものが日本に氾濫した場合におきましては、輸送面においても農耕用においても、一大障害を起します。戰前は百五十万頭の馬があつたのでありますが、現在は百万頭に減つております。そうして五箇年計画によつて、一方では戰前の水準にまで達しようとやりながら、一方では種馬統制法を撤廃し、自由なり種付を行い、また競馬というような問題てで、生産者を刺戟すると、何十年來農林省がかかつて、産業用馬増産に努めておつたことが破壞されてしまう。それでは將來ゆゆしい問題であると思います。この競馬法においては、これらの点を全然加味しておらないことを非常に遺憾に思います。私は施行方法などについても今局長が言われましたように、こうした面に三頭きりしか要らない馬を得るために経費を使い、射倖心をあおつてやるということは非常に遺憾でありますが、競馬開催その他についていかなる手段でこれらの弊害を抑制しようとするのか。先ほど政府委員は会場の制限をすると言いましたが、しかし戰前は通認競馬は同数であり、また地方の競馬は戰前の倍に殖えておるのであります。開催日数、あるいは開催回数においても、四倍あるいは二倍に増加しておるのでありまして、決してこれによつて抑制することはできないと思います。ただ一つ考えられることは、競馬の施行方法であります。この競馬はただ單に馬の速さだけによつて勝ち負けをきめるという考え方でありますが、從來われわれが考えた競馬はそうしたものではなくて、積載能力、あるいは輓曳能力を加味した競馬をやつたのでありますが、政府は今後の競馬において、そうして施行方法をとるかどうかを承りたいと思います。
  105. 遠藤三郎

    ○遠藤(三)政府委員 ただいま御指摘の諸点はいろいろ私どもも心配しておつた点でありますけれども、現在といたしましては旋行の回数、その他諸般の制限をこの法案につけております程度でやつてまいりますことが、最も適当というふうに考えておる次第であります。なお実際の競馬の施行につきましては、ただいまお話のように輓曳能力あるいは速歩のような競走をも入れまして、各種の馬の能力の檢定をしていき、能力の種類を檢定するというような考え方でまいりたいと思います。
  106. 田口助太郎

    ○田口委員 開催日数とか、開催場所が適当であるというだけでは結論だけであつて理由がない。どうしてそれが適当であるかということを承りたいのであります。
  107. 遠藤三郎

    ○遠藤(三)政府委員 その点につきましては、一應從來やつてまいりましたその箇所数なり、施行の回数なり、あるいはその他の制限を大体そのまま踏襲するという考え方でありますので、從來さしたる弊害もなかつてということを前提に考えまして、このまま続けていきたいというふうに考えている次第であります。
  108. 田口助太郎

    ○田口委員 公認競馬の十一箇所は從前通りであります。しかし北海道においては、從來三箇所でありましたのが、今度は倍にしているわけでありますが、これは何ゆえに倍にしたのか。また從來は地方競馬は一箇所以内であつたのでありますが、終戰のどさくさまぎれに一箇所または二箇所農林大臣認可した場合があります。しかしその場合において現行法においても原則として一箇所、あとは農林大臣認可を受けてもう一箇所殖やせるということになつてつたのでありますが、この法案では頭から二箇所以内と規定されております。從いまして、從來より法案上から言えば殖えているのであつて、今の局長の説明とは食違つておりますが、なぜ殖やしたのか、その理由を承りたいと思います。
  109. 遠藤三郎

    ○遠藤(三)政府委員 戰前の競馬の事情と比較いたしますと、たしかに殖えているのでありますが、一昨年の暮の議会に今ここに示してありますような機構に変つてまいりまして、昨年はこの建前で進めてまいつたのであります。それを今回の競馬法では、ずつとそのまま踏襲していくという考え方をもつているので、その点を御了承願いたいと思います。
  110. 田口助太郎

    ○田口委員 それではここに提出されている資料は違つておりますか。競馬法新旧対照表の中の四行目に、新法では北海道六箇所、府縣は各二箇所、旧法では北海道三箇所、その他一箇所、但し農林大臣の認めたときは六箇所、二箇所、これは違つておりますか。
  111. 遠藤三郎

    ○遠藤(三)政府委員 北海道三箇所で六箇所以内、必要があれば認可することができるということでありまして、大体六箇所を標準にやつてまいつたのであります。そのときの地方競馬法改正趣旨も支障ない限り六箇所やつていく、あるいは府縣は二箇所やつていく、こういう趣旨でありましたので、精神は少しも変つておりません。
  112. 田口助太郎

    ○田口委員 次にお伺いしますが、從來競馬の利益金は畜産振興に使われておつたのでありますが、新法案になりました場合には、これを一般会計に繰入れることになつております。從つて法文からみますと、畜産振興は一文も競馬の恩惠には浴さないことになつているのでありますが、実質においてそうであるかどうかを承りたいと思います。
  113. 遠藤三郎

    ○遠藤(三)政府委員 旧法におきましては、政府納付金の四分の三以上を馬事の振興のために使い、残りの四分の一未満を社会事業に使うということが明示されておつたのでありますが、今回の改正案におきましては、そのひもを全部とつたのであります。この趣旨は、特定のひもをつけた財源の捻出法が最近の情勢に合せないというので、そのひもをとつた次第であります。但しこの点については財政当局は、ひもをとつたけれども、とらない前と同じような氣持で、同じ含みで畜産のためにはこの競馬の收入を見込んでいろいろ支出を考えてやるというような申合せになつております。
  114. 田口助太郎

    ○田口委員 大体從來と同じように実際的にはやられるということでありますが、これは國家財政窮迫の折からでありますから、なかなか單なる事務当局の約束くらいでは、來年再來年になればそれは消えてしまうおそれがあると思います。從いましてこの利益金の何パーセントかは——現在日本は有畜農業の國にするということまで叫ばれている時代でありますから、それをぜひ何とか法文上に表わして、永久にその線を確保する方法を考えておらないかどうかを承りたいと思います。
  115. 遠藤三郎

    ○遠藤(三)政府委員 私ども畜産の関係者といたしましては、まことにただいまの御質問はありがたくお聽きしたわけであります。私どもとしましては、でき得ればそうしたいとやまやま考えておつたわけでありますけれども、國家財政の現状からいたしまして、いろいろな支出にひもがつくということは、財政の大筋を乱すことになるということで、特定のひもをつけることに対しては、あまり明瞭にひもをつけないようにという大きな方針からしまして、このひもをとつたような次第であります。しかし單なる事務当局の口約束だけでなく、これは事実競馬から上つてまいります益金というものは、畜産の方から出てまいります益金でありますので、実際問題としてはそれが見合いとなつて相当の予算がほとんど永久に畜産のためにとられていくということを固く信じている次第であります。
  116. 田口助太郎

    ○田口委員 その点は大臣に聽きたいのですが、閣議決定事項になつているかどうかを承りたいと思います。
  117. 永江一夫

    永江國務大臣 この点は閣議決定事項ではありません。やはり事務当局としての了解事項であります。
  118. 田口助太郎

    ○田口委員 これはぜひ閣議に諮つて、そうした畜産振興のために使うように、大臣は努力される意思があるかないかを承りたいと思います。
  119. 永江一夫

    永江國務大臣 この点は今畜産局長からお答えをいたしましたように、農林当局としてはもちろん、こういう数字については、われわれが希望しております線に沿うて使いたいという立場をとつております。今局長が申しましたように、競馬により收益は、わが國の農業の上における、先ほどお話のありましたような有畜農業という面から考えまして、そちらに使いたいことはもちろんであります。こういう点が閣議の了解を得、さらに関係方面の了承を得ますならば、私としてはその方針でまいりたい、こう考えております。
  120. 田口助太郎

    ○田口委員 次にお伺いしたいことは、利益金の使途は一般会計に全部はいつてしまうならば、何ゆえに特別会計にしたかを承りたいと思います。
  121. 遠藤三郎

    ○遠藤(三)政府委員 今回の國営競馬の機構につきましては、現在競馬会がやつております事業の全部を特別会計にするという考え方が一方にあつたのであります。しかしその考え方をやめまして、それらの事業はすべて一般会計の歳入歳出に繰入れていく、但し窓口の事務だけはどうしても一般会計に入れることができないものが技術的に出てまいります。それはたとえば馬券を賣りまして、それが政府の收入になり、それを当つた者に拂戻しする。それが支出になる場合には、会計法の関係で言いますと、支出の場合には小切手で拂うとか何とかいろいろのこまかい制約が出てまいりまして、一般会計ではその面は技術的にどうしてもできなかつたのであります。從つて窓口事務だけを特別会計にいたしまして、そのほかの経理の全体の面は、ことごとくこれを一般会計にするという建前をとつたような次第であります。
  122. 田口助太郎

    ○田口委員 國営競馬と地方競馬の二種類の競馬を認めた理由を承りたいと思います。
  123. 遠藤三郎

    ○遠藤(三)政府委員 國営競馬と地方競馬の二種類を認めた理由は、大体二つあるのでございます。一つは性格的に國が直接やるものと、地方廳の道府縣がやるものとの、施行地帶の性格的な区分が一つでございます。もう一つは競馬の本質的な問題になりますが、もともと競馬は國営競馬、地方競馬というふうに、あるいは甲、乙というふうにわくべきものではなくして、一本でやるのが理想だと存じます。しかし從來の沿革から言いまして、また今の現状から言いまして、國営競馬の方で走らせる馬と、地方競馬の方で走らせる馬とでは、非常に大きな差違がございます。これを一本にしてしまいますと、全体のレベルが上ればよろしいが、もし下つてしまうようなことになりましては、競馬全体として非常に退歩したかつこうになつてまいります。從つていわゆる公認競馬の方はますます公認競馬として、今度は國営競馬の形になりますが、発展させていく。同時に地方競馬の方はそれに続いて発展させていきまして、あるレベルまでまいりましたならば、そのかきをとつて同一のものにしていくという、大きな目標をもつて進んでまいる。それまでは両建てにいくことが適当であるというふうに考えております。
  124. 田口助太郎

    ○田口委員 競馬を國営とか、都道府縣営で開催しておる國は、現在ではソビエト・ロシア一つであります。戰時中におきましては滿州でやりましたが、現在においてはソ連一つだけであります。その他の國はすべて民営でやつておるのでありますが、わが國は何ゆえに競馬を國営にしなければならないか。あるいは地方公共團体営にしなければならないのか、承りたいと思います。
  125. 遠藤三郎

    ○遠藤(三)政府委員 この点についてはいろいろ御議論があると存じます。ただしかし日本の現情から申しますと、地方競馬の現状と公認競馬の現状とを比較してみましても、地方競馬の方は御承知のようないわゆる暴力團といいますか、治安上非常に大きな問題が続発しております。これには相当いろいろな理由があるとは思いますけれども、終戰後の混乱した状態から拔け切らないで、いろいろ不安動搖の時代でありまして、まだ日本の現状としましては、イギリスやアメリカでやつておりますような競馬の段階まで、一挙に移ることはなかなか困難ではなかろうか。こういうようなことを考えたことが一つ。それからもう一つは、先ほども田口委員の御指摘のように、競馬は刑法の賭博の特例として、國家がこれを認めるというような建前でありますので、これからあがる收益ていうものは、ことごとく國家公共のために使う。これがもう当然であるという建前をも考えまして、國道府縣等がその收益をことごとくとるという建前考えて、この國営、縣営の制度を考えたような次第でございます。
  126. 田口助太郎

    ○田口委員 現在及び從來におきましても、競馬特に地方競馬が不明朗であり、ギヤングの巣窟のように社会から指彈されておつたことは、私も認めます。しかしそれは主催團体が惡いのではないのであつて、その主催團体を構成する役職員なり、施行員なり、あるいは競馬に全然関係のない者、第三者が相当惡いことをしておつたと私は思つております。從つて從來の團体が犯罪を犯したということは、この犯罪のいろいろの資料を見ましても、ほとんどないのであります。從いまして競馬はそうして犯罪の巣窟だと言われましても、決してそれは主催者團体に責任があるのではなくて、かえつてそれを構成する人の問題である。また行政監督が不徹底であつた。いわゆる政府責任相当あつた、と私は思うのでありますが、もし主催者團体に欠陷があるならば、その事例を示していただきたいと思います。
  127. 遠藤三郎

    ○遠藤(三)政府委員 ただいま御指摘のように地方競馬の主催者團体にいろいろの欠陷があつたかどうかという点につきましては、主はむしろないと信どております。主催者の團体それ自体が惡事を働いておるというようなことは、私は聞いておりません。もちろん人の問題にもあると思いまするけれども、問題は、今回主催者團体の建前を変えてまいります趣旨は、この團体が私的独占禁止建前に反する、あるいは集中排除精神に反するというような方面からの考慮から出ておるのでありまして、團体そのものが性格的に惡いことをしておつたというような趣旨ではないのでありますから、その点も御了承願いたいと思います。
  128. 田口助太郎

    ○田口委員 そういたしますと、結局主催者團体は惡いことをしていない。ただほかが惡いことをしておるのだ。ただ集中排除その他でこれを認めることができ得ないという御説明のようでありますが、なるほど日本競馬会は独占の團体であります。日本の公認競馬十一箇所を一手に收めておる團体であります。しかし馬匹畜産組合連合会は、これは縣ごとにあります。しかもこれは公益團体であつて、私益團体ではないのであります。ただ馬匹畜産組合は協同組合法の精神に則つて、排除することになりましたので、これに代るべきものは当然農業協同組合が予定されるわけであります。從つて公認競馬の場合においては集中評除法にかかる。これをやめてもやむを得ないと思いますが、馬匹畜産組合の場合におきましては、縣の畜産組合を主体とした農業協同組合施行権を與えても、一向差支えないと思うし、またそうすることの方が、協同組合を育成し、財源を獲得せしめ、畜産振興に役立つて思うのでありますが、その点を承りたい。また日本競馬会が独占禁止にかかる團体であるとしても、この團体は戰時中にできた團体である。その以前においては十一の競馬場ごとに競馬クラブが存在し、その上に会議機関としての協会があつたのでありますが、これらの戰前以前の團体に引きもどすことは、どうして不可能であるかと承りたいと思います。
  129. 遠藤三郎

    ○遠藤(三)政府委員 ただいまお尋ねの全般の問題でありますが、馬匹組合連合会は独占的な性格をもつておるわけではないのじやないかという点であります。この点につきましてはいろいろ議論もあつたのでありますが、関係方面ともいろいろ折衝したのであります。しかし結論といたしましては、たとい競馬場が二箇所でありましても、北海道は六箇所でありますが、その縣下で馬匹組合以外には競馬の主催ができないというのが、独占的であるという点を強く関係方面でも指摘しておつたような次第であります。なお馬匹組合の場合におきましては、これは御承知のように強制の加入になつております。強制加入の團体だというような意味をも加味されて、解散すべき團体というものが決定されてまいつたのであります。  なお第二の御質問の、協同組合に競馬を許したらどうかという点につきましては、もともと協同組合は個々の農家が自己の農地あるいは農業生産の手段によつて農業生産をやり、それを販賣なり、あるいは講買なりして農民の利益を増進する團体であつて、こういう團体は競馬のような企業をやるに適しないという関係方面からの強い意見もありまして、この團体に施行させるという建前をとらなかつた次第であります。
  130. 田口助太郎

    ○田口委員 公認競馬は実際國が直接施行團体としてやられることと思いますが、地方競馬においては、縣自体が実際に競馬を開催することは、事実上困難であろうと思います。特に大都市の近接府縣でありますならば採算もとれるかもしれませんが、少し離れた府縣においては不可能であろう、かえつて赤字を出すのではないかとおそれるものでありますが、地方競馬の実際の施行者は、代行を認めるか。縣がだれかに委任して実際は開催させるような方決をとるのかどうかを承りたいと思います。     〔委員長退席、永井委員長代理著席〕
  131. 遠藤三郎

    ○遠藤(三)政府委員 地方競馬をやります場合に、縣が直営することはなかなか困難だという御指摘でありますが、この点はごもつともと存じます。従いまして実際やります場合には、それぞれ從來の知識経驗をもつておる者を縣の担当者として縣に採用いたしまして、そのまま縣の職員としてやつていくという考え方でやつてまいりたいと思います。ただ最後にお尋ねのありました代行の点につきましては、あくまでこれは直営でまいる考えでおりますので、代行は許されないと存じます。
  132. 田口助太郎

    ○田口委員 代行を許さないといたしますと、現在地方競馬は年に四回で、その日数は六日間でありますから、一年間二十四日間でありますが、これでは採算のとれない府縣相当出ると思います。かえつて一ブロツクごとに公正なる團体をつくつてやりますならばできると思うのでありますが、政府はそういう考えはもつておらないかどうか。もしこれをあくまでもこのままでいきますならば、相当縣においては開催ができ得ないと思いますが、でき得ない縣と見込まれるところはどの程度あるかを承りたいと思います。特に私は馬産振興上、競馬が多少とも馬のためになるという馬の生産地帶においては、かえつて競馬がなくなり、競馬の必要のない大都会に競馬が集中する傾向ができると思いますが、その点お伺いしたいと思います。
  133. 遠藤三郎

    ○遠藤(三)政府委員 從來の建前でまいりますと、馬券税及び馬券拂戻税等が相当きつかつたものですから、採算のとれない地方競馬がたくさんありました。六十三ばかりの競馬のうちで、おそらく黒字になつておりましたのは十六、七くらいかと思います。あとは大体とんとんないしは赤字になつておるような競馬が多かつたのであります。しかし今回の建前でまいりますと、いわゆる馬券税、馬券拂戻税、入場税、それから中央馬事会への納付金というものがことごとく縣の收入になつてまいりますので、縣が純然たる赤字を出すようなことは、もうほとんどなくなるだろう、こういうふうに見ております。但しただいま御指摘のように一縣一件独自でやつてまいりますと、非常に経費がかかつてまいりまして、これは非常に不得策だと存じます。從つて関西なら関西、関東なら関東、さらに全國的にブロツク的な自主的な團体をつくりまして、騎手だとか、あるいは調教師というものを一縣でことごとく抱えるのではなくて、相互に融通し合つて、それをフルに活用していくという方法をとつて、経費の節減をはかつてまいりたい、そうすれば各縣の採算はだんだんよくなつていくのじやないか、こういうふうに考えております。
  134. 田口助太郎

    ○田口委員 先ほどもちよつと触れたのでありますが、産業上必要とする馬の生産計画とマツチする競馬の施行方法について具体的に承りたい。現在の資料によると、公認競馬はアラブ系が千五百九十九頭、サラブレツトが二千百四十六頭、それから地方競馬は速歩と駈歩で、輓曳は青森だけということになつております。これは産業用馬と競馬とが全然マツチしていない。先ほどマツチするようにやると言われましたが、どうしてやるか、その具体的方法を承わりたい。
  135. 遠藤三郎

    ○遠藤(三)政府委員 それは專門的なことでありますから、説明員からひとつ……
  136. 井上綱雄

    井上説明員 從來、戰爭前におきましては、ただいま田議委員のお話のように競馬と一般馬産とは、嚴確に生産計画がマツチしておらなかつたことは御承知の通りであります。ややもすれば競走馬の生産が多くなり過ぎる。そういうことからよほど注意をしなくちやならぬということであつたのであります。しかし御承知のように当時は軍馬をつくることを中心としての考え方であつたのであります。軍馬には軽種き向かない。ところがただいまは軍馬的な必要はさらにないのであります。そこで先ほども申し上げましたように、われわれといたしましては、現在の日本の農業事情から、明治以來引続いておりました馬政計画のように、軍馬を中心とする馬政は必要がない。むしろこの際は速力が相当早く、つまり農業の方から申しますと、耕耘はおもに速力によるものでありますから、重足なものよりも足の早い馬の方がいいという傾向にだんだん傾いております。特に水田の除草中耕等をやりますと、一層そういう傾向が盛んになるのであります。特にサラブレツトにつきましては、先ほど御指摘のような点も多々あるのでありますが、私の考えでは、アングロアラブの方は、從來の軍馬生産時中と変りまして、相当に重要視してもよろしい、こういう見解をもつておるのであります。御案内のように九州に参りまして、宮崎、鹿兒島というところでは、アングロアラブ系の馬がすなわち農馬になつておることは御承知の通りであります。この型式が日本の農業では非常に多かつたのに、軍馬生産のためにこれが非常に曲げられておつたと私は考えるのであります。この計画を、從來馬政計画を立てておりましたときのように統制的な計画でやることは不可能であります。現状ではいかなる畜産にいたしましても自由にならせる建前をとらなければならぬ。はつきりと從來のように何百何十頭のうちで何パーセントは軽種でなければならぬということは、現在では計画は立てられないのであります。農業の実情において、漠然とその地方の要求に應じたものがつくられるということになるわけであります。先ほど御心配のように、競馬がどんどん盛んになつて、何百万円という馬もたまにはでき、特にそれらの方面の馬が高くなることは困るではないかということは、まことにごもつともであります。サラブレツトにつきましては、先ほどから申しておりますのでくどくなりますが、もう一度申しますと、大きな牧場で四十町歩がせいぜいと言われております。サラブレツトについては扱わない。サラブレツトの牧場で從來やつておつたものはみな削るというわけで、これからはサラブレツトはできないのであります。それにいたしましてもそれぞれの平均反別、すなわち青森について申しますと、約十二、三町歩、岩手で言つてもせいぜい二十町歩、しかもそれらを通じてサラブレツトの生産というものはごくわずかであります。むしろ馬産の計画の方から申しますと、非常に悲観すべき状態になつておるのでありまして、一般馬産には大した影響がないと思いますが、原々種を取得する面から申しますと、むしろ御心配は逆になつておるということになつております。先ほどの御質問でありますが、從來軍馬生産時代のように、はつきりとこれだけのパーセンテージでこれだけの競馬をも得るということは、五箇年計画ではできないのであります。
  137. 坪井亀藏

    ○坪井委員 お伺いいたします。大体この競馬法の改正については目的な三つあるように言われましたが、私はもつと大きな目的は、何としてもわが國の有畜一体の農業経営をする。ついては食糧確保ということが大きな問題である。いわゆる農家の経営を合理化するという面から見ても有畜一体の農業経営でなければならないということが一番大きな目的であると思われておる。そういう点から見たときに、それが目的のうちから落ちておるということは遺憾だと思うが、この点についてどんなふうにお考えですか。
  138. 遠藤三郎

    ○遠藤政府委員 有畜一体ということを競馬の目的にしたらどうかということですか。
  139. 坪井亀藏

    ○坪井委員 産馬奬励ということで取入れたらどうかというのです。
  140. 遠藤三郎

    ○遠藤政府委員 その点は産馬の奬励ということをこの法案にはあまり明示してありませんけれども、心持としましては畜産を奬励するという大きな目標のもとに立つておるのでありますから、御了承願いたいと思います。
  141. 坪井亀藏

    ○坪井委員 ついては今まで公認競馬、あるいは地方競馬ということでやつてまいりましたが、それは一部特定人のいわゆる娯樂であり、なおまた一般最下部の農民の娯樂というようなことには、あまりこうした公認競馬、地方競馬の特質から見てあてはまらぬじやないか。むしろもつと草競馬と言われたような、各地区ごとに小さなほんとうの農耕馬の競馬が必要じやないか。こう私は考えておりますので、むしろそうしたものについては、相当國なり、縣なりが監督して、そうしてこれらの奬励をしていくということが、私は最も機宜に適した施策ではないか。なおまた農村人の娯樂という点は申すに及ばず、農民が常に公認競馬、地方競馬に行つて、十二分の娯樂ができるということは今までできなかつたのであつて、結局特定人だけに止まつておつたが、この範囲を拡大したらどうか。なおまた過去においては、一箇所か二箇所各府縣に地方競馬が認められるということであつたが、靜岡縣のごときは人口二百四十万もある縣でありまして、必ずや地方競馬をつりましても、なおまた今度の改正によつて縣営の競馬にいたしましても、收支は必ず償うと思う。三箇所四箇所になつても償うと思う。しかるにそういう希望のあるところやらずして、今まで六十三もありましたが、わずかに收支の償うものは十三か十四だと言われるようなものをおかないでこういうものは整理統合して結局收支の償うような方向に、適地に増設するということにしていくことが最も民主的な方法ではないか。これをわざわざ抑制しておるという理由をお伺いいたしたいと思います。各縣必ず人口は一定でありません。また馬の頭数その他事情は一定でありません。どうしても私は人口の比率、馬の頭数、なおまた縣の要望というものにこたえて、縣営等における競馬を殖やすことが最も機宜に適した施策と思いますが、その点をお伺いいたします。
  142. 遠藤三郎

    ○遠藤(三)政府委員 ただいまお尋ねの前半の問題でありますが、地方の農村の方々に娯樂を與えて競馬をもう少し盛んにやつたらどうかという点につきましては、大体地方競馬はほんとうに田舎の人たちの娯樂のためにやるという建前になつておるのでありまして、さらにいわゆる祭典競馬のようなものにつきましては多々ますます弁ずるのでありますから、農村で大いにやることにして結構だと思います。ただこれに馬券を賣るということになつてまいりますと、いろいろな弊害が出てまいりまして、取締りの問題等もあり、あるいは暴力團等の問題もありますので、馬券を賣る競馬については、ある程度の限界を設けなければ、弊害に耐えないような結果になるのではないかと考えるのであります。特に先ほどからも田口委員から御質問を受けておつたわけでありますけれども、そう競馬場が殖えてくれば到るところにサラブレツトばかりで出て、日本の産馬がめちやめちやになつてしまうのではないか。こういう心配も一方にありますので、この辺がちようど適当なところだろうというようなことで、各縣二箇所、北海道六箇所ということで抑えておるような現状でございます。
  143. 坪井亀藏

    ○坪井委員 私はこの抑えるということがはなはだ不都合でありますので、むしろ弊害はどうであつても、どこででもやつております。公認競馬でも地方競馬でもいくら小さくても小さいほど管理は行届くと思い。むしろ都、市に一箇所くらいはそうした馬券を発賣するところの競馬をやらして、そうしてそこに收入を得させるということが、最も機宜に適した方法である。もちろんみだりにはできませんが、縣の指導監督のもとにおいてやるということにおいては大同小異だと思う。小さいからといつて決して弊害があるとか、監理ができないとかいう問題ではない。私の考えでは小さければ小さいほど、よく目が届いてよく監督指導ができる。こういう見解をもつておるが、この見解についてお伺いいたしたいと思います。
  144. 遠藤三郎

    ○遠藤(三)政府委員 競馬場の数の問題でございますが、これはやはり一番今問題になつておりますのは、農地に解放すべき、あるいは農地に利用すべき土地を競馬場に使うということが食糧政策の大きな見地からいかがかという点が強く論議されております。それらの点をも考えて、競馬場の数などは考えていかなければならないと思いますが、現状としてはやはり今までやつておりましたその数を維持していくということがせいぜいだろうというふうにわれわれは考えておる次第であります。
  145. 永井勝次郎

    ○永井委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後七時三十分散会